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NEWS LETTER No.52 (2004 SEPTEMBER) [PDF

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NEWS LETTER No.52 (2004 SEPTEMBER) [PDF
52
No.
2004 SEPTEMBER
(財)
国際労働財団
〒101- 0051 東京都千代田区神田神保町3−23−2錦明ビル5F TEL.03−3288−4188 FAX.03−3288−4155
URL:http://www.jilaf.or.jp
E-mail:[email protected]
いたが、実際に見て痛感した。世界大
◆連合と共同で招聘
JILAFは連合と共同でICFTUシャメ
会出席者に大会の前か後に広島を訪問
ンダ会長(ザンビア労働組合会議名誉
するよう是非訴えていきたい」と感想
会長)を2004年6月10日-16日に日
を述べた。
本に招聘した。本年12月に宮崎市で
ICFTU第18回世界大会が開催されるの
に伴い、ICFTU会長として開催国日本
の関係組織・関係者に世界大会への協
▲連合笹森会長と懇談
◆特別講演会:第18回世界
大会の意義を強調
6月15日の午前中には連合本部会議
力要請を行うとともに、労働組合運動
の日本政府の協力に感謝の意が表明さ
室にて「国際労働組合運動の新たな挑
を始め日本全般の実情を見てもらうた
れ、併せて一層の協力要請を行うと伴
戦」をテーマに特別講演を行った。日
めであった。シャメンダ会長は2000
に、世界大会開会式への総理の出席要
本側からは連合本部、構成組織、
年5月にICFTU会長に就任以来、初め
請を行った。奥田日本経団連会長との
JILAF、省庁関係、学者、ジャーナリ
ての日本訪問となった。日本滞在中の
会談でも同じく奥田会長への世界大会
ストなど約50名が参加。シャメンダ会
プログラムは連合と共同で作成した。
への出席要請を行った。
長は講演の中で次回世界大会のスロー
ガンが「連帯のグローバル化―将来に
訪日の冒頭には、同時期に日本に招
聘していたアフリカ英語圏9カ国の
2004年度JILAF招聘プログラム参加
◆世界大会会場および
広島原爆資料館を視察
向けての国際労働組合運動の構築」で
あると紹介し、グローバル化の「負の
者と一緒に、得本理事長を始めJILAF
世界大会開催都市宮崎訪問では連合
側面」をどう克服するかが課題である
役員と会談。併せて得本理事長の「日
宮崎の会長、事務局長、県副知事、市
とした。そのために、コミューニケー
本の労働組合運動の現状と課題 −
長その他宮崎県・市の関係者と懇談。
ションを密にして加盟組織間のみなら
歴史を含む」を受講してもらい、日本
連合宮崎、県および市への感謝と協力
ず、国際組織間、NGOとの連携を強
の労働組合運動に対する理解を深めて
要請を行った。懇談後、世界大会会場
化し、それらを通じて国際労働組合運
もらった。
となる宮崎国際コンベンションセンタ
動の強化を呼びかける世界大会となる
ー(シーガイヤ)を視察。世界大会開
であろうとその意義を強調した。
◆日本の政労使のトップと会談
シャメンダ会長は日本滞在中に連合
催施設として、また準備状況に満足の
意を表明した。
の手配により政労使のトップとの会談
シャメンダ会長の希望に応じて広島
を行うことができた。先ず、連合では
市も訪問。平和祈念資料館を館長の案
笹森会長、草野事務局長と会談。6月
内で視察。その後、連合広島の会長、
15日には連合の三役会議や事務局全体
事務局長、広島市長と懇談。核兵器廃
会議で挨拶。世界大会受入れ組織の連
絶を求める広島市の願い、また世界平
合に感謝が表明され、成功に向けて連
和を希求する日本の労働組合の運動を
合へ一層の協力要請が行われた。坂口
知る機会となった。シャメンダ会長は
厚生労働大臣との会談では世界大会へ
「資料を読んで原爆の悲惨さを知っては
▲特別講演会を開催
──➊
JILAFは、1994年の現地支援事業開始当初よりフィリピン
評価会議で
においてTUCPとの間で主に「労働安全衛生」「生産性と労使
は、単組か
関係」「女性の権利」「組織化」の4つのカテゴリーで事業を実
らの参加者
施している。今年6月には、このうち「組織化」を除く3セミ
からの具体
ナーの初の事業評価会議をそれぞれ2地域(Luzon及び
的な成果の
Visayas/Mindanao)で開催した。
報告を通じ
これまでの
て、セミナ
10年間は基本
ー参加で得
的に各地域で年
た知識とア
1回の全国セミ
イデア等が、実際の職場での労働条件や環境改善に役立って
ナーの開催のみ
いることが確認できた。また加盟Federationからの参加者の
であったため、
報告からはFederationでの活動や組織化活動にも役立てられ
セミナー開催中
ていることが確認できた。今回初めての評価会議であったが、
にAction plan
それぞれのカテゴリー毎の特徴を踏まえ、多角的な視点から
は策定するもの
の評価と課題分析が出来た。また、来年の#2評価会議に向け
の、参加者がセミナー参加後にそれぞれの組織(Federation
た具体的な活動計画を参加者全員が策定し、議論を経てお互
や職場)に戻ってから、どのように活動し、どのような困難
いに確認した。さらには事務局と参加者のネットワークを構
があり、どのような成果があったかを確認し、意見交換・情
築し、定期的な活動報告やネットミーティングを行えるよう
報交換する場が無かった。そのために今年度は今回6月と更に
にした。7月以降、ネットワークに参加者からの成果報告がと
6ヵ月後の来年1月∼2月頃に評価会議を実施し、同時に活動
どいている。今後このネットワークを活用・フォローしなが
状況の把握と情報交換のためのネットワークを構築しつつ、
ら来年の#2評価会議を経て、今後のプロジェクトの充実・強
来年以降のプロジェクトについて議論していくこととした。
化を図っていく予定。
75%の卒業生が公立学校への編入を果たす
今年度もネパール各地に分散する14校の非正規学校が運営
大学に進
される。開校を前に、各校の責任者、調整員、教師が首都カ
学する可
トマンズに集合し、6月23日から3日間運営会議が開催され
能性があ
た。
る生徒も
1996年から実施している当プロジェクトは、貧困家庭の
いるとの
児童に基礎教育を受ける機会を提供するとともに、期間中に
報告が行
教育を受けることの重要性を本人や両親に実感してもらい、
われた。
卒業後に公立学校へ編入することを促進している。
今回の会議では、各学校からの報告を基に、前年度入学し
その一
方で、公
た生徒762名のうち、716名が卒業し、公立学校への編入者
立学校側の受入能力不足により編入が進まない事例や、親の
が574名(編入率75.33%)であることが集計された。編入
転職等により学校に通えなくなった生徒の事例の報告も行わ
者は学力に応じて公立学校の2年生∼4年生への編入が認めら
れ、公立学校の充実、義務教育化に向けての運動や、編入で
れる。過去の卒業生の中には、公立学校に編入し既に9年生に
きない児童を対象とした職業訓練コースの整備など、今後進
到達しており、近い将来、SLC(卒業認定試験)に合格し、
めるべき課題も明らかにされた。
❷──
JILAF NEWS LETTER
回 廊
2002年7月にタイへ赴任して、早いもの
ますが、山中でも道路が舗装されて、時には
で2年以上が経ちました。担当業務は「草の
立派な小学校が建っている様子を見かけるな
根・人間の安全保障無償資金協力」という、 ど、インフラ・公共福祉等はある程度の水準
NGOや地方公共団体、学校・病院等の小規模
井上 友孝
P
R
O
F
I
L
E
(在タイ日本国大使館 二等
書記官)
「JEC連合」の前々身で
ある、「合化労連」書記局入
局。その後、「化学リーグ21」
時代に、在タイ日本国大使館
へアタッシェとして赴任。現
在に至る。
が行き渡っているようにも感じられます。
プロジェクトを直接支援するスキームで、日
しかしながら、富裕者と貧困者との格差が
本を含めた世界中のNGOと常日頃から接して
著しく大きく、エイズや麻薬、少数民族・難
います。
民等の諸課題を抱えており、タイ政府だけで
当地では、日本のNGOや日本人ボランティ
は対応しきれない範囲・分野もまだあり、私
アの活動が非常に盛んで、同様に労働組合で
の担当業務もそういった分野への支援を行っ
も、今年の5月に第9回を実施した連合FAN
ています。今後の労働組合のタイにおける国
を初めとして、各産別や単組で独自に国際協
際協力も、現地の草の根レベルで本当に必要
力活動を実施しており、確実に現地社会に貢
とされている分野を厳選していくことが望ま
献しています。その一方、タイはすでに海外
れると思います。そのために連合やJILAFが、
からの支援を必要としないという考え方もあ
支援を必要とする国や分野、カウンターパー
り、労働組合を含めて各援助機関・団体は、 トとなるNGO等の取りまとめを行い、新た
より援助を必要とする他国へと、支援の方向
に国際協力活動を始めようとする産別や単組
をシフトしている過渡期にあると理解してい
へ橋渡しをすることも期待します。
ます。個人的にも地方出張の機会が多くあり
労働組合で取り組む国際協力
No. 5
教職員組合の教育支援活動
日本教職員組合
組織局長
福岡憲夫さん
教職員組合の国際協力活動は「非軍
EIアジア太
事・文民・民生の国際貢献」のコンセ
平洋地域事
プトのもと、1991年に始まった。最
務所のコー
初の対象国に選ばれたのはカンボジア。
ディネート
ポルポトによって破壊された教育制度
のもと、日
を立て直すため、NPOと連携して学校
本・オース
2校を開設した。1995年からはタイの
トラリア・
教員養成大学(ラジャパット・インス
ノ ル ウ ェ
ティチュート・ブリラム)と協力して
ー・スウェ
教員養成プロジェクトを実施。2001
ーデン・ア
年からはカンボジア教育省にプロジェ
クトの中心的な役割を担ってもらい、
2002年からは完全に自主的な運営に
移行してもらった。
▲カンボジアの教員養成プロジェクトに参加した
ラジャパット・インスティチュート・ブリラムの人々
提供した。
そして現在最も力を入れているのが、
メリカの教
職員組合と
協同で行われている。組織人員160万
人のPGRIが変わればインドネシアの労
インドネシア教職員組合民主化プロジ
働運動全体が変わる可能性がある。ま
ナショナル)、MEFTU(モンゴル教職
ェクトである。スハルト政権崩壊後、
た教育者の意識が変われば、次世代を
員組合)と連携して児童プロジェクト
インドネシア教職員組合(PGRI)が真
担う子どもたちの意識も変わってくる。
を実施した。教職員・保護者・教育関
に自由で民主的な労働組合に生まれ変
教職員組合が自由で民主的な労働運動
係者を対象に児童労働についての意識
わるのを促進するため、組合活動家を
推進のために果たす役割は非常に重要
開発セミナーを開催したほか、経済的
対象に2000年から労働組合権や団体
である。
に困窮している児童に衣類や文房具を
交渉についての研修を始めた。これは
またモンゴルではEI(教育インター
――❸
JILAF NEWS LETTER
インドネシアにはこれまで11の労働関連法があったが、
2003年これらを一本化した新労働法(No.13/2003)が
制定された。
スハルト大統領以後インドネシアは改革、民主化路線を進
め、労働運動も自由な活動が認められるようになった。ILOの
中核的な8条約(結社の自由、団体交渉の保障、性差別、強制
労働や児童労働の禁止など)を全て批准した。
新労働法の要点(ILOの原則、精神が盛り込まれている)
1.中央、地方で産業諸問題を協議する三者構成協力機関
を常設する。
2.企業レベルでは労使の諸問題を協議する労使協力機関
を設置する。
3.労働組合は10名以上の労働者により結成できるし、
懲罰的とも言える割増率を経営者に課している。たとえば、
祝祭日に働き残業した場合400%の支給となる。
5.労働者のストライキは政府、経営者に7日前に予告す
れば、期間の定めなく賃金の損失なしでスト権が保障
されている。
6.企業の都合で解雇された労働者には解雇手当、勤続功
労金、その家族の帰郷旅費も企業から支給される。
7.年次有給休暇は年12日、生理休暇は100%有給2日
間、労働者の子女の割礼式(circumcision)は
100%有給2日間などとなっている。
8.労働の弾力化面では新しく、見習工、パートタイム、
アウトソーシングの規定も設けられた、など。
いま活動的な全国労働団体は職場を調査、点検し、労働法
一定の条件の下に全国連合組織の結成ができ、政府に
に盛り込まれた労働者の諸権利を完全実施させるための全国
対し登録の義務付けはない。
キャンペーンを進めている。
4.法定週労働時間は40時間で、時間外労働に対しては
今年で9回目を向かえた連合の国際支援プロジェクト・連合
存在感が薄れてしまったことは否めない。次回からLCTがよ
FANに、日本からは産別およびJILAFから計9名が参加した。
り大きなイニシアチブを発揮して当プロジェクトを運営する
5月23日から31日までの9日間で、ラオスとタイに拠点を持
ことを期待する。
つNPOの活動を視察したほか、バンコクのスラム街に足を踏
み入れて貧困層の暮らしぶりを目の当たりにする機会などを
得た。参加者全員にとって国際協力活動のあり方を考える貴
重な体験となった。
連合FANの最大のイベントであるタイのスポーツフェステ
ィバルに今年は5,000人の参加者が集まり、これまでの最大
規模であった昨年(3,500人)を大きく上回った。タイ国皇
太后の72回目の誕生祝いと重ね合わせたイベントとなったこ
と、タクシン首相の義姉であるヴィーンナー・シナワット氏
が実行委員長になったことが求心力として作用したようであ
る。しかしその分、タイのナショナルセンターであるLCTの
JILAFカレンダー ● 招聘
● 東南アジア・オセアニアチーム
5月27日∼6月9日
● アフリカ英語圏チーム
6月10日∼6月23日
● 中米チーム
6月24日∼7月7日
● アフリカ仏語圏チーム
7月8日∼7月21日
●現地支援
● フィリピンTUCP
事業評価会議(POSITIVE他)
6月1日∼6月19日
ケソン、セブ、カガヤン・デ・オロ
● ネパールNTUC
学校運営会議
6月21日∼6月27日
カトマンズ
● パキスタンICFTU-PC
ナショナルセミナー
7月5日∼7月12日
イスラマバード
❹──
▲スポーツフェスティバル(タイ・バンコク)
(2004年6月∼2004年8月)
● バングラデシュICFTU-BC
POSITIVE会議
7月17日∼7月23日
ダッカ
● インドネシアITUC/ITF
労組基礎セミナー
7月27日∼8月12日
ジャカルタ、パレンバン、マカッサル
● モンゴル CMTU
組織運営セミナー
8月18日∼8月21日
ウランバートル
● 調査広報
● カナダ/スコットランド コミュニティービジネス調査 7月17日∼7月30日
● アメリカ
情報サービス産業調査 8月29日∼9月10日
●シンガポールICFTU-APRO/OTCILS/JILAF第13回上級指導者 (アドバンスリーダーシップ)コース
8月16日∼9月2日
Fly UP