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Analytix - Sigma

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Analytix - Sigma
Analytix
Issue 1, 2・2012 合併号
ビールの微生物検査
• ビールの微生物検査
• エルシニア属
• ボルタンメトリー&イオンクロ
マトグラフィー用高純度試薬
• 有機、無機認証スタンダード
• 農薬、動物薬、カビ毒スタン
ダード
• 医薬品中の水分定量
• ESR 分光法用スピンラベル
• 誘導体化試薬
2
安全で美味しいビールは好きですか?
はじめに
ビールを愛する方々へ
人類がビールを飲み始めたのは数千年前
にさかのぼります。今も、夜に街では多く
の人々がこの飲み物を楽しんでいるのを
見かけます。しかしこの美味しい飲み物の
陰には、多くの熟練の技と見えない努力
が隠されています。ほんの数分で飲み干
してしまう一杯のビールでも、実は長く複
雑なプロセスを経てできたものです。収
穫したホップとモルトに始まり、酵母によ
る発酵を経て、微生物に関する厳密な品
質管理で終わるプロセスです。
Jvo Siegrist
Product Manager Microbiology
乾杯!
口に含んだ途端に吐き出したくなるよう
な不味いビールを飲んだことがある人は
多いはずです。その主な原因は細菌で、
ビールが腐っているのです。通常、このよ
うな問題は、制御の困難な発酵や瓶詰め
の過程で生じます。
私は、
プロダクトマネー
ジャーとして仕事をしてきた中で、ある一 Jvo Siegrist
つのロットすべてをリコールしたいくつか Product Manager Microbiology
の業者を見たことがあります。リコールは [email protected]
大きな損失をもたらしますが、素早く対応
しなければ、悪い評判につながります。ほ
とんどの人は、腐ったビールを一度飲ん
だら、その商品は二度と飲まなくなるで
しょう。ですから、起こってしまってから
対応するよりも、予防することのほうが重
要なのです。
Analytix is published five times per year by Sigma-Aldrich Chemie GmbH,
MarCom Europe, Industriestrasse 25, CH-9471 Buchs SG, Switzerland
Publisher: Sigma-Aldrich Marketing Communications Europe
Publication director: Ingo Haag, PhD
Editor: Daniel Vogler
sigma-aldrich.com/analytix
弊社シグマ アルドリッチは、ビールを腐らせる微生
物を初期段階で検出する優れた培地と検査用品を取
り揃えて、貴重な黄金の液体を腐らせることがないよ
うに、醸造業者の方をお手伝いいたします。弊社の
HybriScan® ビールキットをお使いいただければ、醸造
業者の方々の心労は著しく軽減されるでしょう−微生
物にとっては心配事が増えることになりますが・・・。
ワンステップで、腐敗を起こす微生物を検出できます。
ですから我々は、ビールをもっと安全に楽しむことが
できるようになるのです!
3
4
ビールの微生物検査
滴定
22
微生物
7
エルシニア属
微量分析
9
新製品 ボルタンメトリーおよびイオンクロマ
トグラフィー用の高純度試薬 TraceSELECT®
スタンダード
目 次
トピックス
医薬品中の水分定量
HYDRANAL® 試薬を用いたカールフィッシャー
滴定
分光法
24
新製品 医薬品および油類用の溶媒
TraceSELECT®
25
ESR 分光法用のスピンラベル
クロマトグラフィー
10
新製品 イオンクロマトグラフィー用、有機酸
スタンダード
26
MSTFA および MSTFA-D9 − GC/MS による化合
物同定に必須のツール
13
新製品 TraceCERT® 単一元素スタンダード
28
新製品 GC 誘導体化用のシリル化試薬
14
新製品 クロマトグラフィーおよび定量 NMR
用 TraceCERT® 有機認証標準物質
15
新製品 農薬およびカビ毒分析用標準試薬
16
医薬品不純物スタンダード
18
新製品 ウィザニア(Withania somnifera)
分析用スタンダードおよび HPLC メソッド
20
新製品 植物性医薬品の標準試薬
21
新製品 動物用医薬品標準試薬
sigma-aldrich.com/analytix
4
ビールの微生物検査
Jvo Siegrist, Product Manager Microbiology [email protected]
トピックス
古くからビールの品質管理に使われてきた微生物の検査方法は現在でも重要
ですし、現在でも多くの方法は分析のコストを減らすために、少なくとも 1
回はプレエンリッチ操作を行います。しかし現代のツールを使えば、重要な
結果がはるかに迅速に得られるため、醸造業者の方々の苦労を著しく軽減で
きるでしょう。
Figure 1 注ぎ口からのフレッシュ ビール
ビールは、懇親会を和ませる飲み物として人気のある
飲み物です。特に夏には人気が高くなり、ビールの消
費がうなぎのぼりで、醸造業者にとってはかき入れ時
です。しかし、製造や販売が増えるのは、ものごとの
一面でしかありません。生産されたビールが市場で生
きのびるためには、非常に高い品質でなければなりま
せん。
従来の方法は、形態学、染色法、酵素反応(代謝)
、
および多様な選択的分別的培地に基づくものです。最
初のステップの一つはビールのろ過で、次いで、フィ
ルターを寒天板上で培養してエンリッチ操作を経て固
体培地で培養するか、あるいは現代的な検出試験を行
います。寒天板上に疑わしいコロニーがあれば、顕微
鏡観察を行い、続いて、染色過程を経て生化学試験
を行います。体系的な同定方法の詳細を、Figure 3 に
示しました。
ものだけです(例外:ラクトバチルス・リンドネリで
は、すべての系統種が腐敗を招きます)
。
ラクトバチルス・ブレビスは、最も頻繁に見つかるビー
ル腐敗菌で、次に多いのがラクトバチルス・リンドネ
リです [1]。さらに、多くの野生酵母がビール腐敗の
原因になっていますが、その中ではサッカロミセス・
セレビシエが最も多く、次がカンジダ・ペリクロサと
なっています [2]。最大の問題の一つは、醸造物の中
にバイオフィルムが生じることで、これが生じると腐
敗に関連する微生物の除去が非常に困難になります。
これらの汚染菌の中には、発酵を阻害したり、風味や
賞味期限に悪影響を及ぼすようなものもあります。ま
た、腐敗に関連する微生物の多くは、ビールを酸っぱ
くしたり、ジアセチル化合物やテトラデン化合物のよ
うな味を悪くする物質を生成します。ペクチナタス属
およびメガスフェラ属も、危険な病原体です。
Medium
CAT. NO.
CaCO3 Agar
40545
Corn Meal Agar
42347
HiCrome ™ OGYE Agar Base
66481
Lysine Medium
L5910
Malt Agar
M9802
Malt Extract Agar, modified
97218
MRS Agar
69964
MRS Agar, Vegitone
41782
MRS Broth
69966
MRS Broth modified, Vegitone
38944
OGY Agar
75310
Plate Count Agar
70152
Plate Count Agar according to Buchbinder et al.
(ready media in the bottle)
88588
68414
Plate Count Agar, Vegitone
19718
Plate Count MUG Agar
51413
Raka Ray Agar, Base
02538
Rogosa SL Agar
R1148
Rose Bengal Chloramphenicol Agar
17211
Schwarz Differential Agar
40608
Tomato Juice Agar
17216
Universal Beer Agar
ラクトバチルス属およびペディオコッカス属に属する
WL Differential Agar
乳酸菌や、ペクチナタス属およびメガスフェラ属の種
WL Nutrient Agar
の偏性嫌気性菌のようなビール腐敗に関連する微生
WL Nutrient Broth
物の検出に用いられる培地には多くの種類がありま
Wort Agar
す。 醸造所や発酵所にいるカビや野生酵母も、腐敗
Yeast Carbon Base
を引き起こすことがあります(Table 1 参照)
。しかし、 Yeast Malt Agar
ビールやワインを腐敗させるような細菌、野生酵母お
Yeast Nitrogen Base
よびカビの属は限られています。アルコール含量や低
Yeast Nitrogen Base without Amino Acid
pH および他の成分の作用により、ほとんどの微生物
Yeast Nitrogen Base without Amino Acid and
Ammonium Sulfate
の生育が阻害されるからです。ビールを腐敗させると
YPD
Broth
して知られている乳酸桿菌の種の中でも、実際にビー
ル中で成長し、腐敗の原因となるのは特定の系統種の Table 1 代表的な醸造品質管理用培地
sigma-aldrich.com/microbiology
17226
17215
17222
W2261
70196
Y3627
Y3127
51483
Y0626
Y1251
Y1375
5
Figure 2 Contaminated
beer
ビール腐敗に関連する微生物の革新的な高速検出法
ビールに必要な品質管理は非常に特殊であるため、醸
造所および研究施設における微生物分析は、高度に熟
練した研究スタッフが行わなければなりません。ほと
んどの研究施設では、規格に準拠した従来型の培養
法が未だに用いられていますが、この方法は大変時間
がかかり、ビールが販売できるようになるまでに 3 ∼
5 日かかってしまうという問題があります。
HybriScan と他の迅速検査システムの比較
標準的な培養ベースの方法を使って品質管理をして
いたのでは、時間がかかり、製品の出荷が遅れます。
近年、この作業を速めようと多くの企業が迅速検査シ
ステムの開発を手掛けています。ビールおよび他の飲
料の品質管理向けの技術としては、現在、以下の 3
種が市場に出ています。
• HybriScan(サンドイッチハイブリッド化)
他の迅速検査システムと異なり、HybriScan 分析はロ • PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)
バスト性が高いため、醸造物酵母中の細菌コンタミ • VIT(バーミコン同定技術)
ネーションの検出が可能であり、貴重な資源を効率的
に利用できます。
この革新的な迅速検査システムでは、
Morphology
+
Bacilli
Gram staining
Catalase test
Lactobacillus
Gas production
+
Lactobacillus
brevis (*35%)
L. Linderi
(*25%)
L.brevisimilis
(*3%)
L. frigidus
(*2%)
-
Lactobacillus
coryniformis
(*3%)
L. casei
(*2%)
L. plantarum
(^1%)
Cocci
Gram staining
Alcoholic fermentation
+
Zymomonas
mobilis (^<1%)
+
-
+
+
DL
Pectinatus
cerevisiiphilus
and
Pectinatus
fringensis
(*4%)
-
Lactat configuration
Pantoe
agglomerans
(°<1%)
Obesumbacterium
Catalase test
Kocuria
kristinae
(^<1%)
Pediococcus
damnosus
(*17%)
Pediococcus
inopinatus
(^1%)
L(+)
Lactococcus
lactis
D(-)
Leuconostoc
mesenteroides
and
and
Lactococcus
raffinolactis
Leuconostoc
paramesenteroides
(^1%)
Megasphera
cerevisiae
(*2%)
(^<1%)
Figure 3 ビール腐敗に関連する菌の同定フローチャート
* 偏性ビール腐敗 ^ ビール腐敗可能性 °間接ビール腐敗
% 値は、ビールの品質苦情(1980-2002)における腐敗に関連する微生物の割合を示します。
(Source: Handbook of filling techniques: Grundlagen und Praxis für das Abfüllen flüssiger Produkte; S. Blüml, S. Fischer 2004)
Genus Lactobacillus:
Lactobacillus acidophilus
Genus Pediococcus:
Pediococcus acidilactici
Lactobacillus brevis
Pediococcus claussenii
Lactobacillus brevisimilis
Pediococcus damnosus
Lactobacillus buchneri
Pediococcus inopinatus
Lactobacillus casei
Pediococcus parvulus
Lactobacillus collinoides
Pediococcus pentosaceus
Lactobacillus coryniformis
Lactobacillus curvatus
Genus Pectinatus:
Lactobacillus fermentum
Pectinatus cerevisiiphilus
Pectinatus fringensis
Lactobacillus fructivorans
Lactobacillus lindneri
Genus Megasphaera:
Megasphaera cerevisiae
Lactobacillus malefermentans
Lactobacillus parabuchneri (frigidus)
Lactobacillus paracasei
Lactobacillus paraplantarum
Lactobacillus plantarum
Lactobacillus rhamnosus
Table 2 HybriScan D ビールキット(Fluka® CAT. NO. 62533、96 検体)で検出可能なビール腐敗に関連する微生物
(6ページに続く)
sigma-aldrich.com/microbiology
トピックス
HybriScan® ビールキットは、リボソーム RNA に基づ
いて微生物を検出する迅速検査システムで、1 回の分
析で 2 時間以内にすべてのビール腐敗汚染菌を検出
できるため、製品の出荷が素早くできるようになりま
す。2 時間(必要な場合は、24 時間のプレエンリッ
チを実施)後には、醸造者は最初の信頼できる結果を
得ることができるでしょう。
ビール腐敗汚染菌を検出できるだけでなく、すべての
細菌が定量できます。したがって、HybriScan 検査シ
ステムは、ディスペンサーの微生物管理に完璧なツー
ルと言えます。ディスペンサーの滅菌管理の法基準は
100.000 CFU/mL であり、プレエンリッチ処理なしで
高速かつ直接的にビール腐敗菌を検出することがで
きるため、2 時間以内に分析結果が得られます。
6
こ れ ら 3 種 の 技 術 の 比 較 を Table 3 に 示 し ま す。 す。HybriScan 検査と、培養ベースの分析法(MRS 寒
HybriScan® を PCR および VIT と比較すると、この迅速 天培地)とを比較すると、細胞数の量にわずかな違い
検査システムの優位性は明らかです。
しかないことが分かります。
• 高速で、コストパフォーマンスの高い分析
• 安価な読み取り技術
• 高い感度と選択性
plate count
1,E+10
Figure 4 ビールの充填
cells/ml
トピックス
検査フォーマット
検査方法は、8 ウェル×12 片からなる単純な 96 ウェ
ルのマイクロプレート上で行うようになっており、サ
ンドイッチハイブリッド化法です。この方法は、試料
微生物 RNA の検出には二つの異なるプローブを用い マトリックスを感知せず、生細胞だけを検出します。
るので、偽陽性結果となる事はほぼありえません。 高額な特殊機器は不要で、検査は約 2 ∼ 2.5 時間で終
Figure 5 には、3 個の異なる試料における種菌(サイ 了します。陽性の結果は肉眼でも確認できますが、細
レージ)中のブーフナー乳酸杆菌の定量結果を示しま 胞の数を定量するには、標準的なマイクロプレート
リーダーを用いて 450 nm で読み取ります。
1,E+11
HybriScan
1,E+09
1,E+08
1,E+07
1,E+06
1
2
sample
3
Figure 5 3 個の異なる試料における HybriScanD キットと寒天平
板計数の細胞数の比較
References
[1] E. StorgArds, M.-L. Suiiiko, Detection and Identification of
Lactobacillus linderi from Brewery Environments, J. Inst. Brew.,
Vol. 104, pp. 47– 54 (1998).
[2] Markus Timke, et al., Identity, Beer Spoiling and Biofilm Forming
Potential of Yeasts from Beer Bottling Plant Associated
Biofilms, Springer Science+Business Media B.V. (2007).
培養ベースの方法
PCR
VIT
HybriScan
method
光学的または顕微鏡で読み取る培養
ベース法
PCR/real-time PCR
蛍光顕微鏡法
サンドイッチ ハイブリッドデザイ
ンで測光検出
detection
spectrum
ビール腐敗に関連する微生物すべて
を検出して同定
ビール腐敗に関連する全ての微生物
の検出と同定が可能
有胞子性乳酸菌およびペディオコッ
カス・ダムノサス、有胞子性乳酸菌
+ ラクトバチラス・ブレビス、ペク
チナタス属 + メガスフェラ・セレ
ビシエ
ビール腐敗に関連する全ての微生物
の検出と同定が可能
sample
preparation
選択的なプレエンリッチ
菌のエンリッチおよび溶解、必要な
場合はプレエンリッチ操作を行な
う。
選択的なプレエンリッチ
菌のエンリッチおよび溶解、必要な
場合はプレエンリッチ操作を行な
う。
time
3∼7日
3 時間∼ 2 日
2日
3 時間∼ 2 日
cost per test
Low
High
High
Low
detection
limit (cfu)
1
1–5 x 103
1 x 103
1–5 x 103
devices
不要
PCR サイクラー
蛍光顕微鏡
マイクロプレートリーダー
advantage
高感度、比較的安価
高感度定量分析
disadvantage
時間がかかる、培養できない微生物
は検出できない、人件費が高額
高価な機器が必要、生細胞と死細胞
の区別不可、公定法でない
簡単な検出技術の構成、生細胞
(RNA)のみを検出
迅速で高感度、生細胞を定性的定量
的に検出、コストパフォーマンスの
高い分析
時間がかかる、試料処理速度が遅い、 血清型と亜種の区別不可、プローブ
高価、自動化不可、データ解析が困 設計に限界(rRNA ターゲット)、公
難、公定法でない
定法でない
Table 3 ビール腐敗に関連する菌の検出に用いられる様々な技術の比較
HybriScan キットの概要
食品、水および他の試験体などにおいて、幅広い用途があります。
HybriScan は、単にビール腐敗に関連する微生物を検出可能なだ たとえば、HybriScan 迅速検査システムで水中のレジオネラ菌を
けではありません。この革新的で迅速な検査システムは、飲料、 検出できます。
Genus
CAT. NO. Species
CAT. NO.
Groups/Applications
CAT. NO.
Campylobacter
56917
E. coli
96343
Waste Water Index
78436 & 04447
Cronobacter
(Enterobacter sakazakii)
12838
Legionella pneumophila
07190 & 49417
Beer Spoilage Organisms
62533
Beverage Spoilage Organisms
68301
Lactobacilli
62533
Listeria monocytogenes
49699 & 49712
Total Bacterial Count
02349
Legionella
16593
Microthrix parvicella
04447
Yeasts
61397
Listeria
55661
Brettanomyces
79742
Salmonella
55662
Candida albicans
19503
Megasphaera
42875
Lactobacillus brevis
75724
Leuconostoc
77007
Lactobacillus buchneri
80065
Lactobacillus lindneri
86827
Pectinatus cerevisiiphilus
89348
Pectinatus frisingensis
73582
Pediococcus damnosus
67289
sigma-aldrich.com/microbiology
HybriScan に関するより詳しい情報については以下のウェブサイ
トを参照ください。
sigma-aldrich.com/hybriscan
7
エルシニア属
Jvo Siegrist, Product Manager Microbiology [email protected]
エルシニア種の検出、同定、区別および培養
今のところ、エルシニアは大きな問題とはなっていま
せんが、これらのうち少なくとも 3 種が病原体として
時折、出現しており、大発生の可能性は否定できませ
ん。たとえば、2011 年 3 月、ノルウェー公衆衛生研
究所は、エルシニア・エンテロコリチカ 0:9 による
21 の事例を同定し、その発生源がチコリロッソを含
む袋入りのミックスサラダであることを突き止めまし
た。製造業者は、そのバッチを自主的にリコールしま
した。
エルシニアの科学的分類
界:細菌
門:プロテオバクテリア
綱:ガンマプロテオバクテリア
目:腸内細菌目
科:腸内細菌科
属:エルシニア
特徴
Y. enterocolitica
カタラーゼ陽性、ほとんどの系統はオ
ルニチン陽性、22 ∼ 26˚C で運動性、
37˚C で非運動性、尿素陽性、ソルビトー
ルおよびセロビオース陽性、ほとんど
の系統はスクロース陽性、CIN 寒天培
地で赤色牛眼状
エルシニアは、グラム陰性の棒状細菌の属で、腸内細
菌科に属する通性嫌気性菌です。また、発酵代謝を
行い、オキシダーゼ陰性、マンニトール陽性、グルコー
ス陽性でラクトース陰性です。エルシニアはサルモネ
Y. pseudotuberculosis 22 ∼ 26˚C で運動性、37˚C で非運動性、
ラに関係した微生物ですが、亜硫酸ビスマス寒天培地
尿素陽性、エスクリン陽性、オルニチ
(Fluka® 95388)上で区別できます。エルシニアは硫
ンデカルボキシラーゼ陰性、インドー
ル陰性、ラムノース陽性
化水素を生成しないからです(その他の培地や検査用
Y. pestis
二つの抗貪食性成分(抗貪食性スライ
。さらに
品については Table 1 ∼ 4 を参照ください)
ム)を生成、カタラーゼ陽性、22 ∼
エルシニアは、好冷性の微生物で、0 ∼ 4˚C の低温(た
26˚C および 37˚C で非運動性(エルシ
とえば冷蔵庫内の食品上)で生存、増殖できます。ま
ニア種を除く)、エスクリン陽性、イ
た、比較的耐熱性も高い種もありますが、37˚C では
ンドール陰性、オルニチンデカルボキ
他の腸内細菌よりも生育が遅くなります(小型のコロ
シラーゼ陰性
ニーとしてのみ見られます)
。しかし、過酸化水素や
Table 1 重要なエルシニア種の特徴
過マンガン酸カリウムのような酸化剤で容易に不活性
化できます。エルシニアの自然界での発生源は、ブタ、
ネズミ類、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌおよび
ネコです。現状で、
エルシニアによるヒトの病気のケー
スは、ほとんどがエルシニア・エンテロコリチカによ
るものですが、すべての次亜種が病原性を示すわけで
はありません。エルシニア・エンテロコリチカはエル
シニア感染症の原因となりますが、この病気は伝染性
で、発熱、腹痛、下痢などの症状が出ます。エルシニ
ア属の既知の 11 種のうちで、臨床的に重要なのは他
に 2 種だけです。その 2 種とは、エルシニア・シュー
ドツベルクローシス(エルシニア・エンテロコリチカ
と同様の症状ですが、ほとんどの場合下痢は見られま
せん)と、エルシニア・ペスティス(腺ペストの病原
体)です。ほとんどの感染は、
生あるいは充分火の通っ
ていないブタ肉製品、猟肉、海鮮品、野菜、低温殺菌
されていないミルクあるいは生水など汚染された食
品を通じて起こっています。しかし、感染した動物あ
るいはその糞尿に接触した場合や、ノミを通じて感染
Figure 1 べん毛染色法を用いて撮影したエルシニア・エンテロ
することもあります。
コリチカの光学顕微鏡写真(出典:CDC 1980)
この細菌の名称は、スイスの微生物学者である A. E. J.
Yersin の名前から取られました。Yersin は、1894 年に
香港でエルシニア・ペスティスを発見しました。
(8ページに続く)
sigma-aldrich.com/microbiology
微生物
種
8
サプリメント
CAT. NO.
Ferrioxamine E
38266
Yersinia Selective Supplement
75258
Ticarcillin Supplement
17778
Potassium Chlorate Supplement
17777
Table 3 エルシニア用選択性および成長サプリメント
エルシニア診断用検査用品
微生物
非選択性培養液
CAT. NO.
CAT. NO.
Bile Esculin Disks
80507
Catalase Test
88597
Cellobiose Disks
56481
Dextrose (Glucose) Disks
63367
DMACA Indole Disks
05686
DMACA Reagent
49825
Kovac’s Reagent for Indoles
67309
Kovac’s Reagent Strips
78719
Lactose Disks
28816
Brain Heart Broth
53286
Mannitol Disks
94438
Peptone Water, phosphate-buffered, Vegitone
40893
Methyl Red Solution
08714
Peptone Water, phosphate-buffered
77187
Oxidase Reagent acc. Gaby-Hadley A
07345
CAT. NO.
Oxidase Reagent acc. Gaby-Hadley B
07817
選択的なエンリッチ培養液
ITC Broth (Base)
17156
Oxidase Reagent acc. Gordon-McLeod
18502
Mossel Broth
69965
Oxidase Strips
40560
17192
Oxidase Test
70439
Rhamnose Disks
93999
Peptone Sorbitol Bile Broth
炭水化物利用向け基本培地
CAT. NO.
Andrade Peptone Water
A0715
Salicin Disks
92971
Andrade Peptone Water, Vegitone
28943
Sorbitol Disks
93998
CAT. NO.
Sucrose Disks
94309
自己凝集反応用培地
Methyl Red Voges Proskauer Broth
分別および確認用非選択性寒天培地
39484
Christensen’s Urea Agar
27048
Kligler Agar
60787
Motility Indole Ornithine Medium
M1428
OF Test Nutrient Agar
75315
Ornithine Decarboxylase Broth
O5386
Urea Broth
検出および単離用選択性寒天培地
Yersinia Selective Agar (CIN Agar)
分別、検出および単離用分別システム付き
選択性寒天培地
51463
CAT. NO.
95760
CAT. NO.
Bile Esculin Agar
48300
Bismuth Sulfite Agar
95388
DCLS Agar
70135
DCLS Agar No. 2
90035
Mac Conkey Agar No 1
70143
Violet Red Bile Glucose Agar without Lactose
17213
Violet Red Bile Glucose Agar without Lactose,
Vegitone
53605
VRB MUG Agar
95273
Table 2 エルシニア用培地
sigma-aldrich.com/microbiology
Table 4 エルシニアの同定と分別用の検査用品
CAT. NO.
References
[1] K.J. Ryan, C.G. Ray (editors), Sherris Medical Microbiology,
4th ed., McGraw Hill, 368 –70 (2004).
[2]F.M. Collins, Pasteurella, Yersinia, and Francisella. In: Barron’s
Medical Microbiology (S. Barron et al, eds.), 4th ed., University
of Texas Medical Branch (1996).
[3]F. Bichai, P. Payment, B. Barbeau, Protection of Waterborne
Pathogens by Higher Organisms in Drinking Water: A Review,
Can. J. Microbiol. 54 (7), 509 –524 (2008).
[4] Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology, (1994), 9th ed.,
Williams and Wilkins, Baltimore.
培地および試験用品についてのさらに詳しい情報は、
以下のウェブサイトを参照ください。
sigma-aldrich.com/microbiology
9
新製品 ボルタンメトリーおよびイオンクロマトグラフィー用の高純度試薬 TraceSELECT®
Matthias Drexler, Product Manager Analytical Reagents [email protected]
シグマ アルドリッチの TraceSELECT シリーズの製品
は、
ppb(µg/kg)レベルの分析用に開発されたもので、
注意深く調製、検査し、最終製品の金属含量およびイ
オン性微量不純物について確認した上で、これらの純
度および組成を保証しております。ボルタンメトリー
およびイオンクロマトグラフィーに最適な新しい有機
試薬を、この製品群に新たに加えました。また、ポー
ラログラフィーにおける電極として用いる水銀も、便
利なサイズのパッケージでお求めいただけるようにな
りました。
ボルタンメトリーおよびイオンクロマトグラフィー用試薬の一部。全製品のリストは、以下のウェブサイトを
ご覧ください。
sigma-aldrich.com/traceselect
CAT. NO.
Brand
Description
Specification
Pack Size
83359
Fluka®
Mercury
for polarography >= 99.9995%
5 g, 25 g, 100 g
12819
Fluka
DL-Tartaric acid
TraceSELECT
25 g
39692
Fluka
Ethylenediaminetetraacetic acid
TraceSELECT
25 g
78513
Fluka
D-Mannitol
TraceSELECT
50 g
References
[1] Henze, G.. Introduction to Polarography and Voltammetry, Metrohm Monograph 60 pages, DIN A 5 format.
For a free copy, please contact www.metrohm.com
sigma-aldrich.com/traceselect
微量分析
ボルタンメトリーは、もっぱらアニオンやカチオンの
無機トレース分析に用いられていますが、種々の有機
化合物の分析にも用いることができます。無機分析に
おける最も重要な分野は、冶金学、環境分析、食品分
析、毒物学および臨床分析です。水銀をボルタンメト
リー用セルの電極に用いた場合、その技術はポーラロ
グラフィーと呼ばれます。金属が水銀中に還元される
反応は、固体電極への還元よりも容易に起こります。
また、測定ごとにクリーンで新しい Hg 電極表面を用
いることができます。
10
新製品 イオンクロマトグラフィー用、有機酸スタンダード
Jürg Wüthrich, Senior Scientist R&D Europe [email protected]
CRM は、認められた標準物質にトレーサブルという
だけでなく、純度が明確に決められるとともに、その
不確かさも適切に算出されていなければなりません。
使用する CRM の品質は分析結果の精度に直接影響す
るため、適切な CRM 製造業者を選択することが極め
て重要です。ほとんどの科学者にとって、このことは
信頼の問題に直結します。
この記事では、TraceCERT® というブランドの新しい
IC 用有機スタンダードについて、その製造および認
証に関する最も重要な技術的側面について説明しま
す。これらの CRM は、単一成分を水ベースで濃度
1 g/L としたものであり、一般的なほとんどのカルボ
ン酸を網羅しています。
スタンダード
信頼をボトルに詰める方法
CRM 製造業者の技術的、管理的能力の基礎の一つと
なるのは、独立した機関による検査および認定です。
現在、
イオンクロマトグラフィー(IC)の利用は、
食品・ これらの IC 用スタンダードを製造しているシグマ ア
飲料、環境、生命科学、薬学、発電、エレクトロニク ルドリッチの Buchs(スイス)にある施設では、SAS
スなど多くの産業に広がっています。この幅広い分野 (Swiss Accreditation Service) か ら ISO ガ イド 34( 標
での分析対象物としては、無機アニオン・カチオン、 準物質製造者の能力に関する一般要求事項)の認定
有機酸、炭水化物、アミノ酸、タンパク質、脂肪酸、 を受けています。また、いくつかの分析方法(たとえ
多糖類、ポリリン酸、界面活性剤などが挙げられます。 ば秤量、qNMR®、ICP-OES、滴定、密度)についても、
ISO/IEC 17025(検査施設および校正機関の能力に関
残念ながら IC は一次分析法ではないため、校正や品 する一般要求事項)のもとで認定を受けています。
質管理用のスタンダードとして、
認証標準物質(CRM) ISO/IEC 17025 と ISO ガイド 34 の組合せは、品質保証
が必ず必要となります。CRM は、国家計量機関のよ に関して得られる最高レベルのもので、CRM 製造業
うな国際的に認められた別の標準物質や、SI 単位に直 者に対する認定の中で「ゴールドスタンダード」とも
呼ばれています。
接トレーサブルとなるため、その役割は重要です。
これらの認定要求事項によって、CRM 製造が厳格な
コンセプトに則っており、証明されたプロセスに従っ
ていることが認証されています。弊社では、親水性有
機化合物スタンダードの製造および認証には、下記に
示すステップに従うことが最も重要であると考えてい
ます。
qNMR による
出発原料含有量
高精度な秤量
による
重量の測定
クリーンルーム
での滅菌容器へ
のボトル詰め
最終 CRM 溶液
容器の浸出
および
蒸発データ
sigma-aldrich.com/ic
ボトル詰め CRM
溶液に対する
安定性検査
11
分析対象物の濃度に影響する物質の主な発生源と潜
在的な汚染物が特定され、可能な限り除去することが
できて初めて、製造工程が適切に検証されたと言うこ
とができます。弊社は、認証のプロセスに関して卓越
した専門性を有しており、お客様には、手に取られた
すべての製品を信頼していただけることをお約束いた
します。
このような条件をすべて維持し、さらに基本設備を
日々改良することによって初めて、弊社は、1 mg か
ら 65 kg までの全ての重量領域を、非常に小さい不確
かさ(通常約 0.01%)でカバーできるのです。
高精度秤量後、出発原料は 60 L の PVDF 容器に定量
的に移されます。混合容器を天秤に載せた状態で、計
算した最終溶液の重量になるように高純度水(比伝導
度:18 MΩ•cm、全有機炭素:低 ppb レベル、0.2 µm
ろ過済)を加えます。この秤量に基づく方法によって、
校正溶液の最終濃度が精密に調整できます。その後、
容器を上下反転させ回転することで溶液を均一化し
ます。この技術によって、溶液には測定可能な不均一
性がなくなることが確かめられています。
(12ページに続く)
sigma-aldrich.com/ic
スタンダード
qNMR® による出発原料の認証
定量的核磁気共鳴分光法(qNMR)は、有機物質の定
量および純度測定に関して、他の分析技術より多くの
優れた点があります。それは、qNMR の最も顕著な属
性が相対的一次法だということです。すなわち、シグ
ナルの強度は、共鳴する水素原子核の数に直接比例し
ます。従って、化学物質の構造は全く関係がありませ
ん。さらに、シグナルの比に影響するような重要な実 最後に重要なのは、溶液を最終の高密度ポリエステル
験的因子や不明なバイアスも全くありません。つまり、 (HDPE)ボトルに、移行プロセス中にいかなる汚染も
qNMR 手法における直接的な応答は、最高の確度を有 起こさずに、移さなければならないことです。これは、
しており、これにより認証値における不確かさが低下 クリーンルーム条件下で、不活性な PTFE チューブと
します(次の記事もご覧ください:ANALYTX 02-2010 ペリスターポンプを用いて、スタンダードをボトル詰
“Certified Standards for Quantitative 1H-NMR”and めすれば達成できます。多くの有機分析対象物の品質
ANALYTX 03-2010“Launch of a New Generation of と安定性という点では、微生物による汚染が何より最
Organic CRMs”
)
。
も重要な懸念であり、弊社は特別な注意を払っていま
す。HDPE ボトルは X 線滅菌しており、ボトルに詰め
シュウ酸ナトリウムのような水素原子核を含まない化 た溶液はさらにアジ化ナトリウム(約 0.0005%)で
合物など少数の例外を除いて、弊社の IC スタンダー 安定化させ、0.2 µm 膜でろ過してあります。
ド溶液用の出発原料は qNMR で認証しております。
すべての測定は、ISO/IEC 17025 認証の下で実施され、 保管と安定性
認証値は NIST SRM に直接トレーサブルです。
スタンダード溶液の理想的な容器は、完全に不活性で
あり、分析対象物を吸着せず、溶液中への不純物の溶
秤量による製造、均一化およびボトル詰め
解や、溶媒および大気の浸透もない、取扱いと保管が
秤量による製造は最も正確な製造技術であり、ISO/ 容易である容器です。これらすべての要件を満たし、
IEC 17025 認定の高精度秤量定能力に基づいておりま かつ高価でない容器材料は不可能なように思われま
す。高精度天秤が、正確な秤量に必須のツールである す。弊社では、現在手に入る最適の材料は、ほとんど
ことは言うまでもありません。しかし、天秤の周辺環 の微量不純物がないという要求を満たす HDPE ボトル
境、オペレータの技量やノウハウも非常に重要です。 であると考えています。いくつかの不純物、たとえば
カルシウム、ナトリウム、フッ化物、酢酸、ギ酸、グ
弊社では、特別な秤量室を建設し、1000 kg にもなる リコール酸などが、ごく微量(低 µg/L 程度)見つか
3 点支持の花崗岩テーブルの上に天秤を設置しまし ることがあるかもしれませんが、1 g/L スタンダード
た。振動が測定結果に影響することはなく、天秤の最 溶液では通常問題のないレベルです(Figure 1)
。
高性能が得られます。静電気も秤量誤差につながるの
で、高電圧静電放散器を用いて正確な秤量を確実にし HDPE は、溶媒が容器の壁を透過して蒸散してしまう
ています。室内環境も測定精度に影響します。空気に ことが知られています。損失の速度と程度は、温度、
よる浮力を計算するのに必要となるため、秤量室内の 壁厚、壁の形状および表面によって変わります。表
温度、湿度および気圧を綿密にモニターしています。 面 / 体積比が大きいほど、溶媒の損失は早くなります。
空気による浮力は、秤量の結果に最大 0.1% まで影響 HDPE ボトルにおける溶媒の蒸散速度について、様々
する可能性があります。すべての高精度天秤は、第三 な保管条件で、安定性研究の一環として包括的な研
者機関で定期的に検査・校正を受けており、DAkkS ガ 究を行いました。このときのデータは、不確かさの値
イ ド ラ イ ン(DAkkS = Deutsche Akkreditierungsstelle に組み込んでおり、また製品の有効期限と最大保管温
GmbH、ドイツの認定機関)に従って認証されていま 度を算出するのにも用いています。
す。
12
starting material mass
starting material content
bulk mass
homogenization
density measurement
storage stability
0%
Figure 1 赤線= HDPE ボトルにおける水中への浸出検査試料。
(5)
黒線=次の各物質の混合溶液:それぞれ 1 µg/kg の(1)F–、
(7)NO2–、
(8)C2O42–、
(9)NO3–、
(10)PO43–、
(11)SO42–、
(13)
Cl–、
(3)CH3COO–、
I– およびそれぞれ 10 µg/kg の(2)HOCH2COO–、
–
2–
(12)C2O4 ;
(6)システムピーク
(4)CHOO 、
測定の不確かさと認証
ISO/IEC 17025 認証の研究施設で作業している場合、
分析結果の測定の不確かさは計算できる、あるいは少
なくとも見積りできる必要があります。そのため、校
正に用いた標準試薬に由来する不確かさが分かって
いる必要があります。CRM 製造業者にとって、関連
する不確かさの要因すべてを考慮することが最も重
要であり、それによってお客様の試料中の分析対象物
の測定不確かさをより信頼できるものにすることがで
きます。
スタンダード
認証値を「値は認証した日付のものです」という注意
書をつけて発行している CRM 製造業者もありますが、
これは(上記の通り)
、ボトル内部の濃度が保管条件
や容器の種類によって変化することを無視したもので
す。こうすれば、不確かさは非現実的なレベルに下げ
られます。
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
Figure 2 このチャートは、通常の不確かさの要因を % で表した
ものです。1000 mg/L スタンダード溶液(100 mL HDPE ボトル)
における拡張不確かさ(95% confidence level)は、通常 3 年の
有効期限に対して 4 mg/L です。
確かさに含めています。なぜならば、弊社は、お客様
がその CRM を購入されるのが製造の 1 カ月後である
か 2 年後であるかに関わらず、認証した濃度をお約
。
束したいと考えているからです(Figure 2)
これらの新しい IC スタンダード溶液は、ISO ガイド
31 による包括的な認証書がついており、弊社のウェ
ブサイトから入手可能です。製品番号およびロット番
号を入力すると、以下の情報が示されます。
•
•
•
•
•
ロットごとの濃度の値
拡張測定不確かさ(95% confidence level)
認証値のトレーサビリティ
推奨する保管条件および使用方法
有効期限と組成
弊社では、定期的に製品ラインを拡大しております。
最新のリストについては、以下のウェブサイトをご覧
TraceCERT® スタンダード溶液は違います! 弊社では、 ください。
保管中に起こるこの潜在的な濃度変化を最終的な不 sigma-aldrich.com/ic
Name
Composition
CAT. NO.
Package Size
Acetate Standard for IC
Acetic acid, NaOH, water
51791
100 mL
Benzoate Standard for IC
Benzoic acid, water
40497
100 mL
Butyrate Standard for IC
Sodium butyrate, water
08089
100 mL
Citrate Standard for IC
Citric acid, water
96068
100 mL
Formate Standard for IC
Calcium formate, water
44293
100 mL
Maleate Standard for IC
Maleic acid, water
06908
100 mL
Malonate Standard for IC
Malonic acid, water
42412
100 mL
Oxalate Standard for IC
Sodium oxalate, water
73139
100 mL
Phthalate Standard for IC
Potassium phthalate monobasic, water
90677
100 mL
Propionate Standard for IC
Sodium propionate, water
51716
100 mL
Tartrate Standard for IC
L-(+)-tartaric acid, water
43484
100 mL
Table 1 イオンクロマトグラフィー用の認証有機標準物質の最初のシリーズ。分析対象物の濃度は 1000 mg/L
sigma-aldrich.com/ic
13
新製品 TraceCERT® 単一元素スタンダード
Jürg Wüthrich, Senior Scientist R&D Europe [email protected]
Matthias Nold, Product Manager Analytical Standards [email protected]
•
•
•
•
Fluka® の TraceCERT 製品ラインには、様々な用途に応
じた、有機および無機の認証付標準物質(CRM)が
あります。これらの標準物質は、達成しうる最高の品
質レベルを満たし、ISO/IEC 17025 および ISO ガイド
34 に従って製造、認証されています [1,2]。
認証値のトレーサビリティ
推奨する保管・使用方法
有効期限と組成
ICP スタンダードについては、約 70 種の微量不純物
ICP スタンダードは HDPE ボトルに充填され、光およ
び気体を通さないアルミ箔の袋でパッケージされて
います。この念入りな包装によって、スタンダードの
不確かさは低くなり、有効期限も 4 年に及びます。
下記のリストには、TraceCERT 製品ラインに最近加
わった原子吸光、ICP 用およびイオンクロマトグラ
フィー用の CRM を示します。最新のリストは、以下
のウェブサイトをご覧ください。
sigma-aldrich.com/inorganiccrm
ISO ガイド 31[3] に従って作成された包括的な認証書
には、以下の内容が記載されています。
• ロットごとの、拡張不確かさを含む濃度の値
Element 1000 mg/L
Dysprosium
Europium
Neodym
Terbium
Composition
ICP Standards
CAT. NO.
68339
05779
04730
44881
Dy2O3 in HNO3
Eu2O3 in HNO3
Nd2O3 in HNO3
Tb2O3 in HNO3
[1] ISO/IEC 17025, General requirements for the competence of
testing and calibration laboratories, (2005).
[2]ISO Guide 34, General requirements for the competence of
reference material producers, (2009).
[3]ISO Guide 31, Reference materials – Contents of certificates
and labels, (2000).
Pack Size
100 mL
100 mL
100 mL
100 mL
AAS Standards
CAT. NO.
78247
03734
41695
50356
Pack Size
100 mL
100 mL
100 mL
100 mL
Table 1 ICP および AAS 用認証標準物質の新製品
Element 10000 mg/L
Antimony
Cobalt
Lead
Tin
Titanium
Tungsten
Composition
Sb semi-metal in HNO3 /HF
Co metal in HNO3
Pb(NO3)2 in HNO3
Sn metal in HNO3 /HF
Ti metal in HNO3 /HF
W metal in HNO3 /HF
CAT. NO.
91482
01488
39082
42991
44973
50938
Pack Size
100 mL
100 mL
100 mL
100 mL
100 mL
100 mL
CAT. NO.
91286
Pack Size
100 mL
Table 2 ICP 用高濃度認証標準物質の新製品
Name
Multi-cation standard 1 for IC
Composition
50 mg/L: Li
200 mg/L: K, Mg, Na
400 mg/L: NH4
1000 mg/L: Ca
in <0.1% HNO3
Table 3 新製品 IC 用認証標準物質 混合カチオン溶液
sigma-aldrich.com/inorganiccrm
スタンダード
無機 TraceCERT 製品ラインには、50 を超える ICP お
よび AAS 用の 1 g/L の単一元素溶液を、取り揃えてお
ります。最も一般的に用いられている元素については、 万一、お客様のニーズに応じたスタンダードが弊社の
10 g/L の高濃度 ICP スタンダード溶液も用意しており 製品群にない場合、弊社では特注品としてご提供する
ます。
事が可能です。カスタム(特注)スタンダードをご希
望の場合は、お手数ですが、弊社アナリティカル製品
(E-mail:
出発原料は、すべて高純度のものを注意深く選定し、 グ ル ー プ ま で お 問 い 合 わ せ く だ さ い。
徹底的にキャラクタライズを行うことによって、それ [email protected])
ぞれの元素のスタンダード溶液として特有の要件を
References
満たすものにしております。
14
新製品 クロマトグラフィーおよび定量 NMR 用 TraceCERT® 有機認証標準物質
自分の分析結果を信じることは、つまり自分の標準物質を信じること。
Matthias Nold, Product Manager Analytical Standards [email protected]
Alexander Rück, Senior Scientist R&D Europe [email protected]
Christine Hellriegel, Senior Scientist R&D Europe [email protected]
分析において信頼性ある定量的な結果を得るために
は、校正に用いる標準物質の選択が非常に重要です。
下記のリストに、最近追加された製品を挙げています。
新製品を継続的に加えておりますので、すべての製品
をカバーする最新のリストは、弊社のウェブサイト
国際的なスタンダード(NIST SRM® のような)へのト (sigma-aldrich.com/organiccrm)を ご 覧 くだ さ い。
レーサビリティを有する標準物質を用いることは、信 また証明書のサンプルや技術資料がダウンロードでき
頼性が高く比較可能な結果を得るのに役立ちます。し るようになっております。
かし、有機物質では、トレーサブルな標準物質が容易
CAT.
Brand Product
Pack
Product
に見つからない場合も多くあります。市販されている
NO.
Size
Group
標準物質の多くは、国際的に認められたスタンダード
100 mg FA/FAME
07041 Fluka® Methyl Laurate
にトレーサブルではありません。これは、ほとんどの
76511 Fluka Resveratrol
100 mg Natural Products
分析技術で、国際的に認められた同じ化合物のスタン
92549 Fluka Acenaphthylene
100 mg PAH
ダードが入手できず、トレーサビリティが不可能だか
07671 Fluka Anthracene
100 mg PAH
96996 Fluka Biphenyl
100 mg Pesticide
らです。
シグマ アルドリッチは、TraceCERT 有機標準物質の製
品ラインで、直接 NIST SRM、さらには SI へのトレー
サビリティを備えた、高品質の認証標準物質(CRM)
を提供しており、製品群の幅を急速に広げて包括的な
ものにしつつあります。トレーサビリティは、高性能
定量 NMR(HP-qNMR®)を相対的一次法として使用す
ることで得られます。CRM は、ISO/IEC 17025 および
ISO ガイド 34 の両方を満たした、研究施設で認証さ
れます。
スタンダード
これらの TraceCERT 有機認証標準物質は、以下の特
徴があります;
• 定量 NMR(qNMR)による認証値
• 超高レベルの精度、算出した不確かさ、およびロッ
トごとの値
• NIST SRM へのトレーサビリティ
• 製品に同封する包括的な書面(ISO ガイド 31 によ
る認証書)
51991
91481
64947
50744
30958
94664
Fluka
Fluka
Fluka
Fluka
Fluka
Fluka
30056
51868
03323
94676
68714
49893
09172
Fluka
Fluka
Fluka
Fluka
Fluka
Fluka
Fluka
Cypermethrin
50 mg
Malathion
50 mg
Prochloraz
50 mg
Dimethyl fumarate
100 mg
Benzo[b]fluoranthene 50 mg
Anhydrotetracycline
50 mg
hydrochloride
Betaine
50 mg
trans-Caffeic acid
50 mg
Benzo[k]fluoranthene 10 mg
Citric Acid
100 mg
Malonic Acid
100 mg
Succinic Acid
100 mg
L-(-)-Malic acid
100 mg
Pesticide
Pesticide
Pesticide
PAH
Antibiotics
Natural Products
Natural Products
PAH
Natural Products
Natural Products
Natural Products
Natural Products
Table 1 新製品 TraceCERT クロマトグラフィー用未希釈有機認
証標準物質
新製品 定量 NMR 用 TraceCERT® 有機認証標準物質
定量 NMR 測定を行われるお客様向けに、様々な ppm
値と溶解度をカバーする内部標準を NIST トレーサブル
な認証標準物質として提供いたします。既に販売して
いる 9 製品に、
新たに 2 製品が加わりました(Table 2)
。
相対的一次法としての 1H 定量 NMR の大きな利点は、 弊社のウェブサイト(sigma-aldrich.com/organiccrm)
水素原子核のシグナルの積分値が化学構造に全く依 には、すべての製品をカバーする完全な最新のリスト
存しない点です。
が掲載されており、証明書のサンプルや技術資料がダ
ウンロードできるようになっております。
ですから、秤量法で製造した分析対象物の溶液と内部
CAT.
Brand Produkt
Chemical
Soluble In
標準の両方を測定すれば、NIST トレーサブルが可能
NO.
Shift
な内部標準が少数であっても、基本的にはどんな有機
07038 Fluka Dimethyl
3.9 + 8.1 ppm CDCl3,
化合物も認証できることになります。質量対質量の比
MeOD,
terephthalate
が正確に分かりますから、分析対象物の含有量を非常
DMSO-d6
89151 Fluka Dimethylmalonic 1.3 ppm
D2O, MeOD,
に高精度で算出することができるのです。通常、不確
acid
DMSO-d6
かさは、0.5% から 0.1% の範囲になります。
Table 2 新製品 TraceCERT qNMR 用未希釈有機認証標準物質
新製品 TraceCERT クロマトグラフィー用有機認証
標準物質
現在の製品群には、前報 [1] で示したとおり、70 種を
超える CRM があり、アミノ酸、天然物、PAH、脂肪
酸 /FAME、農薬および医薬品が含まれます。
sigma-aldrich.com/organiccrm
References
[1] TraceCERT Organic Certified Reference Materials, Analytix,
Vol 3 2010; Vol. 1 2011; Vol. 3 2011; Vol 4 2011.
[2]TraceCERT Organic Certified Reference Materials, Analytix,
Vol 2 2010.
15
新製品 農薬およびカビ毒分析用標準試薬
Matthias Nold, Product Manager Analytical Standards [email protected]
新製品 残留農薬分析用高純度スタンダード
新製品 カビ毒(マイコトキシン)標準試薬
弊社では PESTANAL のライン
アップとして、食品および環
境分析用の農薬とその代謝物、
さらに同位体でラベル化した
化合物の 1500 を超える高純度
スタンダードを提供しており
ます。この製品群は、引き続
き拡充しております。最近追
加した新製品を、以下にリス
トアップしました。製品リスト
は下記のウェブサイトをご覧
ください。
sigma-aldrich.com/pesticides
®
Brand CAT. NO. Description
Pack Size
4-(3,6-Dimethyl-3-heptyl)phenol-ring-13C6 solution
Fluka
35371
Acibenzolar acid
50 mg
Fluka
32461
Ametoctradin
50 mg
Fluka
32457
Aminopyralid
25 mg
Fluka
32849
Amisulbrom
25 mg
Fluka
32442
Amitraz Metabolite BTS 27271
10 mg
Fluka
32474
Benzofenap solution
Fluka
32456
Chlorethoxyfos
25 mg
1 mL
2 mL
収穫物がカビに汚染されると、直接的に、あるいは家畜のエサと
しての使用を通じて、人間の食品へカビ毒汚染が起こることにな
ります。シグマ アルドリッチは、食品分析用として、カビ毒お
よび同位体ラベル化したカビ毒の分析用スタンダードをご用意し
ております。下記の表は、この製品群への最新の追加製品を挙げ
たものです。カビ毒スタンダードのすべての製品リストについて
は、下記のウェブサイトをご覧ください。
sigma-aldrich.com/mycotoxins
Fluka
35376
Cuelure
25 mg
Brand CAT. NO. Description
Fluka
37023
Cumyluron
25 mg
Fluka
35758
Alternariol
Pack Size
0.1 mg
Fluka
35978
Dimethirimol
10 mg
Fluka
35762
Alternariol 9-methyl ether
0.1 mg
Fluka
35352
Dioxabenzofos
10 mg
Fluka
37012
Beauvericin
0.1 mg
Fluka
32475
Fenothiocarb
100 mg
Fluka
35878
Citreoviridin A
0.1 mg
Fluka
35372
Fluazifop-P
25 mg
Fluka
35410
Citrinin solution, 100µg/mL in acetonitrile
1 mL
1 mL
Fluka
37038
Flumorph, mixture of E and Z isomers
25 mg
Fluka
37017
Fumagillin solution, 100 µg/mL in acetonitrile
Fluka
32462
Fluopyram
50 mg
Fluka
35598
Gliotoxin solution, 100 µg/mL in actonitrile
Fluka
32464
Fluthiacet-methyl
25 mg
Fluka
35970
Meleagrin
100 mg
Fluka
37013
Moniliformin sodium salt solution,
100 µg/mL in acetonitrile/water
100 mg
Fluka
35516
Patulin-13C7 solution, 25 µg/mL in acetonitrile
10 mg
Fluka
35417
Paxilline solution, 100 µg/mL in acetonitrile
35976
Stachybotrylactam
0.1 mg
0.1 mg
Fluka
32458
Glycarbylamide
Fluka
35378
Haloxyfop-P
Fluka
35373
Hydramethylnon
Fluka
37007
Iminoctadine triacetate
25 mg
1 mL
0.1 mg
1 mL
1.2 mL
1 mL
Fluka
35351
Inabenfide
10 mg
Fluka
Fluka
37009
Isouron
10 mg
Fluka
35977
Tentoxin
100 mg
Fluka
37016
Verruculogen solution, 100 µg/mL in acetonitrile
1 mL
Fluka
32473
Metoclopramide
Fluka
32440
N-(2,4-Dimethylphenyl)-N’-methyl-d3-formamidine
10 mg
Fluka
35441
Wortmannin solution, 100 µg/mL in acetonitrile
1 mL
Fluka
37005
Oxaziclomefone
10 mg
Fluka
35405
α-Zearalanol-solution , 10µg/mL in acetonitrile
1 mL
10 mg
Fluka
35406
α-Zearalenol-solution, 10µg/mL in acetonitrile
1 mL
25 mg
Fluka
35407
β-Zearalanol-solution , 10µg/mL in acetonitrile
1 mL
Fluka
35409
β-Zearalenol-solution, 10µg/mL in acetonitrile
1 mL
Fluka
Fluka
35346
32459
Pyraflufen-ethyl
Pyrazolynate
Fluka
32437
Pyrazoxyfen
50 mg
Fluka
35999
Pyrimidifen
10 mg
Fluka
35369
Simeconazole
25 mg
Table 2 新製品 カビ毒(マイコトキシン)標準試薬
Table 1 新製品 農薬標準試薬
sigma-aldrich.com/pesticides
スタンダード
Fluka® 32471
16
医薬品不純物スタンダード
Matthias Nold, Product Manager Analytical Standards [email protected]
医薬品中の不純物は、薬の効果に大きな影響を与えた
り、望ましくない副作用をもたらしたりすることがあ
ります。したがって、医薬品の品質管理においては、
製品中に存在する可能性のある不純物を注意深くモ
ニターすることが重要です。ICH ガイダンス Q3A[1]
「新
有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガ
イドライン」によると、不純物は、有機不純物、無機
不純物および残留溶媒の 3 つに分類されています。
有機不純物は、製造工程中に生じる可能性があるもの
で、たとえば、過剰な出発原料、中間体、試薬、副生
成物などが挙げられます。さらに製造プロセスや保管
中に、劣化によって不純物が生じる可能性もあります。
医薬品の不純物およびその分析方法や上限値は、USP
や EP のようなそれぞれの薬局方によって規制されて
います。
新製品 不純物標準試薬の製品ラインアップ
医薬品の不純物の標準物質をお客様が容易に入手で
きるように、シグマ アルドリッチは医薬品不純物ス
タンダードの新しい製品ラインを立ち上げました。こ
れらのスタンダードの仕様書には、通常、クロマトグ
ラフィーでの純度、水分量、残留溶媒および NMR に
よる構造確認が記載されています。
最初に 6 種の有効成分、吉草酸ベタメタゾン、カル
ベジロール、プロピオン酸クロベタゾール、塩酸メト
ホルミン、塩酸オンダンセトロンおよび塩酸ラニチジ
ンの不純物からスタートしましたが、これから数カ月
で製品群を増やしていく予定です。弊社のウェブサイ
ト:sigma-aldrich.com/pharmaimpurities を ご 覧 く
ださい。最新の製品リストが対応する API ごとに記載
してあります。
References
[1] www.fda.gov/downloads/RegulatoryInformation/Guidances/
ucm127984.pdf
CAT. NO.
Description
USP
Ph Eur
Pack Size
Metformin hydrochloride Impurities
スタンダード
41924
Cyanoguanidine
08515
Melamine
Related Cmpd A
Impurity A
50 mg
Impurity D
50 mg
Ondansetron hydrochloride Impurities
54318
9-Methyl-3-methylene-1,2,3,9-tetrahydro-4H-carbazol-4-one
02739
Imidazole
Related Cmpd D
Impurity D
50 mg
Impurity E
50 mg
02736
2-Methylimidazole
Impurity F
50 mg
95439
Ondansetron LC System Suitability
LC Sys Suit
50 mg
42884
Ondansetron TLC System Suitability
Resolution Mix
TLC Sys Suit
50 mg
Ranitidine hydrochloride Impurities
19336
2-[[[5-[(Dimethylamino)methyl]furan-2-yl]methyl]sulphanyl]ethanamine
hemifumarate salt
Related Cmpd A
Impurity B
50 mg
42218
N,N’-Bis[2-[[[5-[(dimethylamino)methyl]furan-2-yl]methyl]sulphanyl]ethyl]-2nitroethene-1,1-diamine
Related Cmpd B
Impurity A
50 mg
52448
Ranitidine S-oxide
Related Cmpd C
Impurity C
50 mg
Betamethasone valerate Impurities
03936
Betamethasone-21-valerate
18081
Betamethasone
Related Cmpd A
Impurity E
50 mg
Impurity A
200 mg
Carvedilol Impurities
07496
1-[[9-[2-Hydroxy-3-[[2-(2-methoxyphenoxy)ethyl]amino]propyl]-9Hcarbazol-4-yl]oxy]-3-[[2-(2-methoxyphenoxy)ethyl]amino]propan-2-ol
Related Cmpd A
Impurity A
50 mg
41946
(2RS)-1-[Benzyl[2-(2-methoxyphenoxy)ethyl]amino]-3-(9H-carbazol-4-yloxy)
propan-2-ol
Related Cmpd C
Impurity C
50 mg
36008
Carvedilol spiked with impurity F
Sys suit mixture
50 mg
Clobetasol-17-propionate Impurities
93686
(17R)-4’-Chloro-5’-ethyl-9-fluoro-11β-hydroxy-16β-methylspiro[androsta1,4-diene-17,2’(3’H)-furan]-3,3’-dione
38325
73529
Impurity J
50 mg
21-Chloro-9-fluoro-11β-hydroxy-16-methylpregna-1,4,16-triene-3,20-dione
Impurity B
50 mg
21-Chloro-9-fluoro-11β,17-dihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20dione (clobetasol)
Impurity G
50 mg
新製品 医薬品不純物標準試薬
sigma-aldrich.com/pharmaimpurities
Related Cmpd A
17
新製品 医薬品不純物標準試薬
NH
NH2
N
H
H2N
CN
N
H2N
41924
N
N
N
H
H3C
O
N
H
NO2
N
H
N
H
52448
02736
H3C
HO
H3C
CH3
S
O
NH2
CH3
N
O
NO2
S
O
N
H
S
N
H
O
HO O
O
CH3
H3C
HO
CH3
H3C
O
H
H
OH
N
H
O
03936
18081
O
O
HO
H3C
OH
N
OH
07496
N
N
H
O
H3CO
OH
CH3
O
OCH3
O
CH3
N
CH3
H
F
O
HO O
OCH3
O
OH
• 1/2 HO
42218
H
F
O
CH3
N
19336
H3C
02739
O
S
H3C
CH3
NH2
N
08515
CH3
N
N
F
N
H
H3C
Cl
H
CH3
H
O
41946
38325
スタンダード
Fluka® RTC 薬局方トレーサブル
医薬品二次標準試薬を使えば、
時間と費用を節約できます!
• 複数の薬局方 (USP、EP、BP) にトレーサブル。
• 分析は、薬局方を用いて GMP によって検証済の装置で実施。
• 秤量法を用い、ISO 17025 および ISO ガイド 34 に従った認証値。
• ISO ガイド 31 による包括的な認証書付。
Learn more on sigma-aldrich.com/pharmastandards
sigma-aldrich.com/pharmaimpurities
18
新製品 ウィザニア(Withania somnifera)分析用スタンダードおよび HPLC メソッド
Matthias Nold, David S. Bell and Hugh Cramer [email protected]
Fresh Plant
ウィザニアの乾燥した根はアシュワガンダの原料で
す。アシュワガンダはインド伝統医学
(アーユルヴェー
ダ)で最も人気のある療法の一つです。このインド伝
統の植物薬は、西洋諸国でも人気が出てきており、そ
れはアメリカ薬局方(USP)にアシュワガンダ根粉末
として [1]、またイギリス薬局方(BP)に伝統的なハー
ブ医薬品(THMP)用ウィザニア根として [2] 記載さ
れていることからも分かります。
昔から得られている健康上の効能は、催淫作用、若返
り、長生き作用など、非常に多様です [3]。その効用
は最近の生物活性の研究でも裏付けられ、動物実験
でウィサフェリン A が著しい抗ガン活性を備えてい
ることが示されています [4]。
Dried Root
シグマ アルドリッチは、植物薬製品群に、アシュワ
ガンダの定性と定量に役立つウィザニア成分について
のスタンダードを数種類追加しました。また、重要な
成分を素早く効率的に分離するのに有効な HPLC カラ
ムも特定することができました。
スタンダード
ウィザニアの成分
特徴的な成分は、ステロイドラクトンのグループに属
するもので、ステロイドの骨組みが六員環ラクトンに
結合したものです。構造式を Figure 1 に示します。
A 12-Deoxywithastramonolide
C Withanolide A
B Withaferin A
D Withanolide B
E Withanone
F Withanoside IV
G Withanoside V
Figure 1 Structures of Selected Withania Constituents
Ascentis® Express カラムを用いたウィザニア成分の
HPLC 分析
最近の自然健康製品に関する数多くの研究の一環とし
て、ウィザ ニ ア の 主 成 分 の 多くを、最 近 の FusedCore® 固定相を数種用いてスクリーニングしました。
このスクリーニングの結果、Ascentis Express F5 およ
び Ascentis Express Phenyl-Hexyl の両相が、C18 固定相
よりも選択性が優れていることが分かりました。この
両固定相は、固有の平面構造に起因するものと思われ
る、面選択性が高いことで知られています。この面選
択性成分は、平面構造を持つよく似た化合物を分離
するのに有用であることがよくあります。
これに対し、phenyl-hexyl を用いた場合には、15 分の
グラジエントでカラムは 10 cm × 2.1 mm と短くても、
すべての成分をベースライン分離できています。
Figure 2 に、ウィザニアスタンダード成分を USP 法
で分離した場合と、Ascentis Express Phenyl-Hexyl で分
離した場合との比較を示しました。USP 法では、40
分という長時間のグラジエントと 25 cm × 4.6 mm
C18 カラムが必要です。この時間のかかる分析メソッ
ドを用いても、ウィタノリド A とウィザノンとの分離
は部分的にしか行えません。
結論
天然物の成分分析のような複雑なマトリックスの分析
も、高品質のスタンダードと最新の分析ツールがあれ
ば、著しく容易になる可能性があります。今回の例で
は、Ascentis Express Phenyl-Hexyl Fused-Core 粒子カラ
ムを用いることで、アシュワガンダ根からの 7 つの成
分について素早く完全に解析することができました。
sigma-aldrich.com/medicinalplants
Figure 3 には、アシュワガンダ抽出成分を両方の分析
メソッドで分離した場合の比較を示します。この場合
も、phenyl-hexyl カラムの方が、短時間かつ約 3 倍の
感度で分解能も優れていることが分かります。ここで
は、自信を持って同定できた成分だけを記載してある
こ と に ご 注 意 く だ さ い。 同 様 の 結 果 が、Ascentis
Express F5 固定相を用いた場合にも得られました
(デー
タは示していません)
。
19
Discovery® C18
compound 7 elutes
at 24 minutes
4
3
Discovery C18
compound 7 elutes
at 24 minutes
5 6
3
1
7
1
12
24 5
2
14
16
18
Min.
20
24
0
10
20
Min.
Ascentis ® Express Phenyl-Hexyl
compound 7 elutes
at <9 minutes
1
22
4
Ascentis Express Phenyl-Hexyl
compound 7 elutes
at <9 minutes
56
3
3
4
1
7
5
2
2
0246810
Min.
0246810
Min.
Figure 2 ウィザニアスタンダードを C18 USP 法で分離した場合
と Ascentis Express Phenyl-Hexyl 法で最適分離した場合の比較
Figure 3 アシュワガンダ抽出成分を C18 USP 法で分離した場合
と Ascentis Express Phenyl-Hexyl 法で最適分離した場合の比較
Discovery C18 Conditions for Figures 2 and 3
Description
column:
mobile phase A:
mobile phase B:
gradient:
12-Deoxywithastramonolide
* 0.14 gのリン酸二水素カリウムを900 mLの水に溶かしたものに
0.5 mLのリン酸を加え、1000 mLになるように水で希釈した後、
攪拌しました。
Ascentis Express Phenyl-Hexyl Conditions for Figures 2 and 3
column: Ascentis Express Phenyl-Hexyl, 10 cm x 2.1 mm
I.D., 2.7 µm (53336-U)
mobile phase A: water
mobile phase B: acetonitrile
gradient: Min.
%A
%B
0.0
80.0 20.0
10.0
0.0 100.0
10.5
0.0 100.0
11.0
20.0 80.0
15.0
20.0 80.0
flow rate: 0.3 mL/min.
temp.: 35 ˚C
det.: 227 nm
injection: 5 µL
samples: same as Discovery C18
1.
2.
3.
4.
Withanoside IV
Withanoside V
Withaferin A
Withastramonolide
5.
6.
7.
Withanolide A
Withanone
Withanolide B
CAT. NO.
10 mg
94187
Withaferin A
10 mg
89910
Withanolide A
10 mg
74776
Withanolide B
10 mg
94284
Withanone
10 mg
90896
Withanoside IV
10 mg
94186
Withanoside V
10 mg
66042
1
53336-U
Ascentis Express Phenyl-Hexyl Column
10 cm x 2.1 mm I.D., 2.7 µm
シグマ アルドリッチは、植物性医薬品の成分につい
て 250 を超える幅広い分析スタンダード、一次標準
物質および認証標準物質を提供しており、医薬品業界
の品質管理に役立てられています。
弊社のウェブサイトsigma-aldrich.com/medicinalplants
では、これらの製品をアルファベット順、物質の分類
または数多い薬草の属ごとに、ご覧いただけます。
謝辞
ウィザニアの写真は Dr. Amit Agarwal(Director, Natural
Remedies Pvt. Ltd., Bangalore, India)に提供いただきま
した。
References
[1] USP 34, Dietary Supplements, Ashwagandha 1079.
[2]BP 2011, Withania somnifera roots for THMP, 3674.
[3]Agarwal, A.; Murali, B.; “Quality Assessment of Selected Indian
Medicinal Plants”; Volume 1.
[4] Singh, G.; Sharma, P.K.; Dudhe, R.; Singh, S.; Annals of Biological
Research, 1 (3); 56–63.
sigma-aldrich.com/medicinalplants
スタンダード
flow rate:
temp.:
det.:
injection:
samples:
Discovery C18, 25 cm x 4.6 mm I.D., 5 µm (504971)
phosphate buffer*
acetonitrile
Min.
%A
%B
0.0
95.0
5.0
18.0
55.0 45.0
25.0
20.0 80.0
28.0
20.0 80.0
30.0 95.0
5.0
40.0 95.0
5.0
1.5 mL/min.
27 ˚C
227 nm
20 µL
Standard: 20 µg/mL each in 80:20 = water: methanol
Extract: As per USP (1)
Package Size
20
新製品 植物性医薬品の標準試薬
Matthias Nold, Product Manager Analytical Standards [email protected]
植物由来の物質は、近年植物性医薬品や食品または
サプリメントとして、重要度を増しています。これら
の製品は、自然由来であり、多くの場合は伝統的に医
薬品として用いられてきたものであるため、品質管理
の必要性が見過ごされがちでした。
しかし、植物抽出物の成分プロファイルは、収穫条件
および加工方法によって著しく異なることがありま
す。さらに、毒性のある植物種や他の汚染物質の混入
の可能性も考えられます。これらに応えるため、近年
Pack Size
規制への圧力が増してきました。有効成分や指標成分
の濃度をモニターするためには、信頼できる分析用標
準試薬が必要です。シグマ アルドリッチは、薬用植
物の有効成分やマーカーの分析用標準試薬や一次標
準を提供しております。現在この製品ラインアップは、
200 を超え、常に新製品が追加されています。
リストはウェブサイトからご覧いただけます。
sigma-aldrich.com/medicinalplants
CAT. NO.
Brand
Description
CAT. NO.
Brand
Description
18543
Fluka®
Acetoxyvalerenic acid
10 mg
44689
Fluka
Kuromanin chloride
50292
Fluka
Aloin
10 mg
77556
Fluka
N-Malonyl-DL-tryptophan
90331
Fluka
Arjunetin
5 mg
04157
Fluka
Matairesinol
44006
Fluka
Avicularin
5 mg
42248
Fluka
7-Methoxycoumarin
56619
Fluka
Bacopaside I
73962
Fluka
I3,II8-Biapigenin
5 mg
80488
Fluka
R-(+)-Methysticin
10 mg
72576
Fluka
Myricetin
Pack Size
5 mg
10 mg
5 mg
10 mg
5 mg
10 mg
40501
Fluka
Deacylgymnemic acid
5 mg
06069
Fluka
Oleandrin
5 mg
51773
Fluka
Desmethoxyyangonin
5 mg
75602
Fluka
6-Prenylnaringenin
5 mg
41866
Fluka
(S)-(+)-7,8-Dihydrokavain
5 mg
75119
Fluka
8-Prenylnaringenin
5 mg
52007
Fluka
(+)-Dihydromethysticin
5 mg
30147
Fluka
Primulaverin
5 mg
スタンダード
18442
Fluka
Faradiol
5 mg
90657
Fluka
Primverin
5 mg
52181
Fluka
Gymnemangenin
5 mg
73633
Fluka
Psoralen
10 mg
79737
Fluka
Hederacoside C
10 mg
30873
Fluka
Rhein
10 mg
07512
Fluka
α-Hederin
10 mg
73422
Fluka
Sakuranetin
10 mg
78109
Fluka
Homoorientin
5 mg
43623
Fluka
β-Sitosterol
10 mg
5 mg
39363
Fluka
Sodium 3-(3,4-dihydroxyphenyl)-DL-lactate
55507
Fluka
Hydroxyvalerenic acid
59802
Fluka
(1S,2R,5R)-(+)-Isomenthol
55423
Fluka
(-)-Isoxanthohumol
00382
Fluka
(R)-(+)-Kavain
25 mg
5 mg
79257
Fluka
Tiliroside
10 mg
10 mg
75575
Fluka
Yangonin
5 mg
Table 新製品 植物性医薬品の有効成分およびマーカー化合物の分析用標準試薬
薬用植物のための標準物質
植物性医薬品、機能性食品、研究用の分析用標準試薬および一次標準
シグマ アルドリッチは、薬用植物に関する有効成分分析スタンダードおよびマーカー化合物を幅広く提供
しており、さらに製品群を拡充中です。この製品群には、植物性医薬品の品質管理、工程内管理および安
定性検査用の、一次標準スタンダードも入っています。リストは、ウェブサイトをご覧ください:
sigma-aldrich.com/medicinalplants
製品は、アルファベット順、構造分類および植物の属で分類し、リストアップしております。
sigma-aldrich.com/medicinalplants
5 mg
21
新製品 動物用医薬品標準試薬
Matthias Nold, Product Manager Analytical Standards [email protected]
現代の畜産、水産業においては、感染、寄生虫および
病害を防ぐため、抗生物質等の薬剤が広く使用されて
います。そのため、動物起源の食料品は、残留医薬品
およびその代謝物について検査する必要があります。
弊社の VETRANAL® 製品群には、200 を超える動物用
医薬品の有効成分の高品質なスタンダードを提供し
ており、同位体でラベル化した化合物や、一般的な代
謝物もあります。下記の表は、追加した VETRANAL
製品の最新の製品をリストアップしたものです。製品
のリストについては、弊社のウェブサイトをご覧くだ
さい。
CAT. NO.
Brand
Description
35342
Fluka®
2,5-Dimethyl-celecoxib
Pack Size
10 mg
32463
Fluka
5-Hydroxyflunixin
10 mg
CAT. NO.
Brand
Description
32479
Fluka
Mapenterol-(dimethyl-d6,
propyl-d5) hydrochloride
Pack Size
10 mg
10 mg
35404
Fluka
5-Hydroxymebendazole
10 mg
35403
Fluka
Mebendazole-amine
35394
Fluka
Albendazole sulfone
10 mg
35364
Fluka
Mefenamic acid-(benzoic ring-13C6)
10 mg
35395
Fluka
Albendazole sulfoxide
10 mg
32460
Fluka
Meropenem trihydrate
25 mg
35344
Fluka
Albendazole-(methyl-d3)
10 mg
37011
Fluka
Methazolamide
35396
Fluka
Brombuterol-(tert-butyl-d9)
hydrochloride
10 mg
32477
Fluka
Moxifloxacin hydrochloride
50 mg
35365
Fluka
10 mg
10 mg
Niclosamide-(2-chloro-4nitrophenyl-13C6) hydrate
10 mg
100 mg
Fluka
Bromchlorbuterol hydrochloride
32472
Fluka
Cefquinome sulfate
100 mg
32482
Fluka
Niflumic acid-(phenyl-13C6)
32488
Fluka
13
Chloramphenicol- C11 solution
1.2 mL
32439
Fluka
Nifurpirinol
50 mg
35398
Fluka
Cimbuterol-(tert-butyl-d9)
10 mg
35367
Fluka
Nitroxynil-(phenyl-13C6)
10 mg
35399
Fluka
Clencyclohexerol hydrochloride
10 mg
35379
Fluka
Oxyclozanide-(benzoyl ring-13C6)
10 mg
35401
Fluka
Clenisopenterol hydrochloride
10 mg
32438
Fluka
Parbendazole
25 mg
32480
Fluka
Clenpenterol-(dimethyl-d6,
propyl-d5) hydrochloride
10 mg
32493
Fluka
Phenylbutazone-(diphenyl-13C12)
10 mg
35381
Fluka
Rafoxanide-(benzoyl ring-13C6)
10 mg
35353
Fluka
Clorsulon-(phenyl-13C6)
10 mg
35382
Fluka
Secnidazole hemihydrate
10 mg
35359
Fluka
Closantel-(benzoyl ring-13C6)
10 mg
32476
Fluka
Selamectin
10 mg
32489
Fluka
Cyclosporin A-13C62 solution
1.2 mL
32478
Fluka
Sudan II-(naphthyl-d6)
10 mg
32465
Fluka
Detomidine hydrochloride
monohydrate
10 mg
35383
Fluka
Sulfadimethoxine-(phenyl-13C6)
10 mg
35384
Fluka
Sulfamethizole-(phenyl-13C6)
10 mg
Diclofenac-(acetophenyl ring13
C6) sodium salt 4.5-hydrate
10 mg
35386
Fluka
Sulfisoxazole-(phenyl-13C6)
10 mg
35387
Fluka
Ternidazole hydrochloride
10 mg
35361
Fluka
35362
Fluka
Firocoxib-(5,5-dimethyl-d6)
10 mg
35388
Fluka
Toltrazuril-(N-methyl-d3)
10 mg
32492
Fluka
Florfenicol amine
10 mg
35389
Fluka
Triclabendazole sulfone
10 mg
35363
Fluka
Flufenamic acid-(benzoic ring-13C6)
10 mg
35391
Fluka
Triclabendazole sulfoxide
10 mg
32491
Fluka
Griseofulvin-13C17 solution
1.2 mL
35393
Fluka
Triclabendazole-(methyl-d3)
10 mg
32481
Fluka
Halofuginone hydrobromide
10 mg
35345
Fluka
10 mg
35349
Fluka
Iminoctadine albesilate
10 mg
Tulobuterol-(tert-butyl-d9)
hydrochloride
35343
Fluka
Mabuterol-(tert-butyl-d9)
hydrochloride
10 mg
32483
Fluka
Voriconazole
25 mg
sigma-aldrich.com/standards
スタンダード
35397
22
医薬品中の水分定量
HYDRANAL® 試薬を用いたカールフィッシャー滴定
Andrea Felgner, Market Segment Manager [email protected]
重要事項:
1. 滴定試薬は選択できます。滴定容器にメタノール
を用いる場合の推奨滴定液は、一液型試薬である
HYDRANAL- コンポジットです。
2. 弊社は、以前行った EP 比較テストや難しい試料に
ついてのアプリケーションレポートにおいて、分
析対象試料に応じた適切な溶媒を多数推奨してま
いりました。この先行研究によって、EP に「… も
しくは滴定試薬メーカーが推奨する」という文言
が挿入されたのです。
医薬品の製造に使う材料の多くに対して、水分の定量
が義務づけられています。カールフィッシャー(KF)
滴定は、この分析において長年標準的な方法となって
おり、ヨーロッパ薬局方(EP)
、アメリカ薬局方(USP)
および日本薬局方(JP)のような主な薬局方に記載さ
れています。
一例として、ゲンタマイシン硫酸が挙げられます。
EP では、滴定容器中にメタノールを使うべきとし
ています。適合性テストを行った結果、この化合
物は滴定中に完全には溶解しないことが分かりま
した。その結果、水分量の測定値は低くなり、添
加した水の回収量が大きくなりました。これは、
後に完溶したためです。この試験結果は、適合性
テストの要件を満足することができませんでした。
これは、滴定フラスコに HYDRANAL- メタノールド
ライとホルムアミドとの混合物を用いた場合と対照
的です。この場合には化合物はよく溶け、結果は適
合性テストの要件を満たしました。
滴 定
ヨーロッパ薬局方のカールフィッシャー(KF)滴定
3. より適した滴定液の選択に加え、滴定フラスコに
要件
入れる溶媒を指定することもできます。この許容
最近まで、KF 試薬の配合組成については、ピリジン
度の広さは、EP の文面の「メタノール R または文
を含めて詳細に規定されていました。しかし 1980 年
献に示された溶媒または滴定試薬メーカーが推奨
以降、化学的技術の進歩により、有害で不快臭のする
する溶媒」という箇所に反映されています。
ピリジンを含まない滴定試薬として HYDRANAL カー
ルフィッシャー試薬を供給できるようになりました。
弊社のウェブサイト http://www.sigmaaldrich.com/
この成功により、EP はバージョン 5.7 から重要な変更
japan/analytical-chromatography/analyticalを行い、カールフィッシャー滴定による水分定量にピ
reagents/hydranal.html には、KF 滴定に関する EP
リジンベースの試薬を使うことが必須でなくなりまし
の要件について、より詳しい情報を掲載しておりま
た。
す。弊社の HYDRANAL 技術サービスチームは、様々
な物質に対して適合性テストを実施しております。
2.5.12. 章 水分:セミミクロ分析(容量滴定)において、
A 法として記載されているのは水の直接滴定法、B 法
資料をご希望の際は [email protected] へご連絡くだ
は間接法です。このうち直接法の方が便利なので、よ
さい。
く使用されます。公表されている説明は以下のとおり
です。
カールフィッシャーオーブン法(KF- オーブン法 / 水
分気化法)
「A 法:滴定フラスコに、メタノール R または文献に 不溶性の試料、KF 試薬と副反応する試料あるいは高
示された溶媒または滴定試薬メーカーが推奨する溶 温でないと水を放出しない試料も、KF オーブン法を
媒を入れます。使用する器具によっては、滴定セルか 用いれば分析できる可能性があります。様々な温度で
ら残留水を除去するか、予備滴定を行います。検査す 放出された試料中の水分は、適切なキャリアーガスに
べき物質を素早く中に投入後、必要な抽出時間撹拌し よって KF 滴定フラスコの中に移送されます。水分量
て滴定を行います。
」
は標準の手順で分析されます。5- アミノレブリン酸
-HCl(凍結乾燥物)は、メタノール中で強い副反応を
示し、
直接 KF 滴定法を行っても終点には到達しません。
sigma-aldrich.com/hydranal
23
この化合物は、含まれる水分が少ないので、弊社では
KF オーブンと電量滴定法と組み合わせて測定するこ
とを推奨しています。適切な測定パラメータは、蒸発
温度 80˚C(試料の分解は 120˚C で始まります)
、滴定
時間 600 秒、試薬として HYDRANAL®- クーロマット
AG または HYDRANAL- クーロマット AG- オーブンお
よび HYDRANAL- クーロマット CG(アプリケーショ
ンレポート:L506)です。
副反応、および pH が影響する試料
窒素化合物を含む物質は、測定系 pH 値に干渉を起こ
すことがあります。副反応が KF 滴定中に進行すると、
電極が覆われてしまったり、終点がはっきりしなく
なったり、全く終点がなくなってしまったりして、誤
差を含む結果につながることがあります。これらの副
反応は、
滴定フラスコ中の溶媒に適切なバッファー(緩
衝剤)を加えれば、抑制できる可能性があります。
リン -3- 水和物(アプリケーションレポート:L352)
およびアンピシリン(アプリケーションレポート:
L422)があります。
しかし、リボフラビンリン酸ナトリウム(生化学的コ
ファクターであり、食品着色料としても使用されます)
のような物質は、アルコールベースの KF 溶媒には溶
けないことが分かっています。この化合物に適した溶
媒として、ホルムアミドが推奨されます。これを 1:1
の割合で測定溶媒に加えることができます(容量滴定
法)
(アプリケーションレポート:L495)
。
試料溶解度の改善
KF 溶 媒 中 で 溶 解 度 が 乏 し い 試 料 に つ い て は、
HYDRANAL- バッファーベース、あるいは HYDRANALメタノールドライとサリチル酸との混合物を推奨しま
す。これにより溶解度が向上し、正しい滴定結果が得
られます(滴定液は HYDRANAL- コンポジット)
。その
例としては、β ラクタム系抗生物質であるアモキシシ
34801
HYDRANAL-Titrant 5
34800
HYDRANAL-Solvent
34836
HYDRANAL-Coulomat AG
34739
HYDRANAL-Coulomat AG-Oven
34840
HYDRANAL-Coulomat CG
34724
HYDRANAL-Formamide dry
37865
HYDRANAL-Salicylic acid
32035
HYDRANAL-Benzoic acid
37859
HYDRANAL-Buffer Base
sigma-aldrich.com/hydranal
滴 定
アプリケーションレポート
本論文で述べた応用レポートは、弊社の HYDRANAL
技術サービスチームに問い合わせいただければお送り
いたします。お問い合わせ先、
さらなるアプリケーショ
ンレポート、全製品のリストおよびカールフィッ
シャー滴定に関するより詳しい情報については、弊社
パーキンソン病の治療に使われる有効成分であるベ の ウ ェ ブ サ イ ト http://www.sigmaaldrich.com/
ンセラジド塩酸塩は、このような窒素含有物質の一例 japan/analytical-chromatography/analyticalで す。 こ の 物 質 の 水 分 量 を 正 し く 測 定 す る に は、 reagents/hydranal.html を ご 覧 く だ さ い。 カ ー ル
HYDRANAL- バッファーベース、または HYDRANAL- フィッシャー滴定について、30 年を超える経験から
メタノールドライとサリチル酸との混合物を測定時の 得た知見と、幅広い応用に関するデータベースを、ご
溶媒として使用し、HYDRANAL- コンポジット 2 で滴 利用ください。ご質問、サポート、あるいはフィード
定するとよいでしょう(アプリケーションレポート: バックについては、弊社のウェブサイトをご覧いただ
L416)
。局所防腐剤であるヘミ硫酸プロフラビンも測 くか、[email protected] までご連絡ください。
定時の溶媒の pH 値を上げてしまい、滴定の終点が得
られません。HYDRANAL- バッファーベース、または
活性成分
L249
Adenosine-5’-triphosphoric acid disodium salt
HYDRANAL- メタノールドライと安息香酸との混合物
L230
Dobutamine hydrochloride
を用いれば、pH 値を低下させることができ、副反応
L242
Erythromycin
を防ぐには HYDRANAL- コンポジット 5 で滴定します
L660
Ibuprofen (film tablets)
(アプリケーションレポート:L354)
。ペニシリン類は
L307
Benzyl penicillin procaine
カビ代謝物の一群で、細菌による感染の治療に用いら
L448
Gentamicin sulfate
れます。ペニシリン中の水分量の測定は、pH によっ
L510
Ethosuximide
副反応では、 L463
ては副反応が起こるために妨害されます。
Cyclophosphamide
ペニシロ酸や他の加水分解生成物などのペニシリン
添加剤
誘導体がヨウ素で酸化されます。しかし、滴定を弱酸
L607
Sorbitol solution (70%)
Polysorbate 80
性条件下で実施すれば、この副反応は抑制できます。 L608
L169
Citric acid
KF 一成分技術では、HYDRANAL- メタノールドライま
L70
Glucose and Lactose
た は HYDRANAL- メ タ ノ ー ル ラ ピ ッ ド お よ び
L604
Povidon
HYDRANAL- コンポジット 2 を使っており、滴定フラ
L326
Magnesium stearate
スコ内の pH をほぼ 5 にすることができます。こうす
L297
Glycerine monostearate
れば、副反応を起こさずにペニシリン中の水分量を滴
L489
Disodium hydrogen phosphate-12-hydrate
定できます。終点が容易に得られない場合には、
(滴
Table 医薬品業界向けのその他のアプリケーションレポート
定前に)サリチル酸を溶媒に加えることを推奨してい
ます。ペニシリンの滴定は、二液型試薬を使って行う
CAT. NO.
Description
こともできます。推奨する試薬は HYDRANAL-Solvent
34805
HYDRANAL-Composite 5
34806
HYDRANAL-Composite 2
とサリチル酸との混合物で、滴定は HYDRANAL- タイ
34741
HYDRANAL-Methanol dry
トラントを使って行えます(アプリケーションレポー
37817
HYDRANAL-Methanol Rapid
ト:L166)
。
24
新製品 医薬品および油類用の溶媒 TraceSELECT®
Matthias Drexler, Product Manager, Analytical Reagents [email protected]
微量金属の分析が成功するかどうかは、正しい試料前
処理技術を使い、正しい試薬を使うかどうかにかかっ
ています。ほとんどの場合、試料は湿式分解または溶
融分解で分解する必要があります。これに対し、医薬
品化合物や様々なタイプの油類のような試料は、直接
希釈して AAS または ICP-OES/MS で分析できます。分
解のステップを避けられることによって、分析は通常
速く(したがって安く)できるようになり、このこと
はルーチン分析の場合に特に有用となります。
いくつかの金属ベースの燃料添加剤によって、バイオ
ディーゼルの燃焼効率が向上しますが、逆にいくつか
の(Cu,Co,Mn のような)金属は、酸化劣化の触媒作
用や毒性を有したりするために油類に有害な影響を与
えます。したがって、植物油やバイオディーゼルに含
まれる微量金属をモニターするための公的な手順が多
弊社の新しい TraceSELECT グレー
く定められています。
ドの 1- プロパノール(Fluka® 09158)は、植物油やバ
イオディーゼルの希釈に特に適しており、有毒あるい
は腐食性の分解試薬を使用する必要がなくなります。
分光法
多くの重金属は有毒で劣化作用があるため、医薬品に
おいて、微量金属を分析して品質管理を確実に行うこ
とは、公的書類においても極めて重要とされています。
医薬品を直接希釈し、微量金属を素早くスクリーニン
グするためには、有機溶媒と水(Fluka 14211)の混
合物が使われており、特に Pd や Pt のような重金属の
微量を分析する上でとても有用です。このような重金
属は、医薬品化合物の有効成分やその前駆物質を合
成するための有機金属触媒として広く使われているも
のです。
すべての TraceSELECT 有機溶媒は、70 種に及ぶ金属
種について分析証明書に明確に記載されているよう
に、ブランク値が極めて低くなっています。また浸出
の影響を最低限に抑える高品質の包装容器に充填さ
れています。このため、これらの有機溶媒は長期間の
保管後でも問題ありません。
References
[1] E. S. Chaves, M. T. C. de Loos-Vollebregt, A. J. Curtiusa, F.
Vanhaecke, Determination of Trace Elements in Biodiesel and
Vegetable Oil by Inductively Coupled Plasma Optical Emission
Spectrometry Following Alcohol Dilution, Spectrochim. Acta B
66 (2011) 733–739.
[2]N. Lewen, The Use of Atomic Spectroscopy in the
Pharmaceutical Industry for the Determination of Trace
Elements in Pharmaceuticals, J. Pharm. Biomed. Anal. 55 (2011)
653–661.
[3]N. Lewen, S. Mathew, M. Schenkenberger, T. Raglione,
A Rapid ICP-MS Screen for Heavy Elements in Pharmaceutical
Compounds, J. Pharm. Biomed. Anal. 35 (2004) 739–752.
CAT. NO.
Brand
Description
Specification
09158
Fluka
1-Propanol
TraceSELECT (>= 99.5%)
Pack Sizes
92328
Fluka
Ethylene glycol butyl ether
TraceSELECT (>= 98%)
1L
01324
Fluka
Acetonitrile
TraceSELECT (>= 99.9%)
1L
500 mL
42105
Fluka
Methanol
TraceSELECT (>= 99.9%)
1L
14211
Fluka
Water
TraceSELECT Ultra
1L
43729
Fluka
1-Methyl-2-pyrrolidinone (NMP)
TraceSELECT (>= 99%)
1L
製品リスト 微量金属分析用試料の直接希釈に最適な溶媒
sigma-aldrich.com/traceselect
sigma-aldrich.com/traceselect
25
ESR 分光法用のスピンラベル
Matthias Drexler, Product Manager, Analytical Reagents [email protected]
NH2
OCH3
H3C
H3C
N
O•
CH3
CH3
H3C
H3C
N
O•
CH3
CH3
ESR 分光法は、高分子生物学、特にタンパク質の構造、
動力学および高次構造変化のキャラクタリゼーション
において重要な方法になってきています。タンパク質
結晶化による構造解析とは対照的に、ESR は溶液中で
の構造や高次構造を確認することができます。ESR は
NMR 分光法と比較していくつかの重要な優位性があり
ます。たとえば、電子スピンの磁気モーメントが比較
的大きいために感度が高い点、タイムスケールがはる
かに小さい(ナノスケール)ためにより速い動力学を
研究できる点があります。最近、多重周波数 ESR の技
術が進歩し、タンパク質の動力学についてさらに詳し
いキャラクタリゼーションが行えるようになりました。
H3C
H3C
N
O•
NCS
CH3
CH3
H3C
H3C
N
•
O
CH3
CH3
対象となる化学・生物学試料のほとんどは、安定な固
有の不対電子を持っていないので、ESR 法の多くはス
ピンラベルした試薬を使うことを前提としています。
通常、TEMPO(2,2,6,6- テトラメチル -1- ピペリジニ
ルオキシル)の誘導体のような窒素酸化物が用いられ
ます。この物質では、不対電子の安定性が高く、ESR
感度が極めて高い上に、化学反応によって試料に容易
に結合しうる汎用性の高い官能基を有しているからで
す。シグマ アルドリッチは、ESR 分光法に適した包括
的なスピンラベル製品群を提供しておりますが、これ
らは高純度で、分析結果の解析も容易なものとなって
おります。
CAT. NO.
Brand
Description
Specification
43967
Fluka®
4-Amino-TEMPO
for ESR-spectroscopy, ≥ 98%
Pack Sizes
42777
Fluka
4-Hydroxy-TEMPO
for ESR-spectroscopy, ≥ 99%
1g
76381
Fluka
4-Isothiocyanato-TEMPO
for ESR-spectroscopy, ≥ 97%
250 mg
42619
Fluka
4-Methoxy-TEMPO
for ESR-spectroscopy, ≥ 99%
250 mg
42442
Fluka
TEMPO
for ESR-spectroscopy, ≥ 99.5%
250 mg
250 mg
製品リスト ESR 分光用スピンラベル用試薬の一部 全製品のリストは次のウェブサイトをご覧ください。sigma-aldrich.com/esr
分光法
References
[1] P. P. Borbat et al., Electron Spin Resonance in Studies of
Membranes and Proteins, Science (2001), 291, 266–269.
[2]Wayne L. Hubbell et al., Identifying Conformational Changes
with Site-directed Spin Labeling, Nature Structural & Molecular
Biology, (2000), 7, 735–739.
[3]Linda Columbus and Wayne L. Hubbell, A New Spin on Protein
Dynamics, Trends in Biochemical Sciences (2002), 27, 288–295.
[4] Yuri E. Nesmelov and David D. Thomas, Protein Structural
Dynamics Revealed by Site-directed Spin Labeling and
Multifrequency EPR, Biophys. Rev. (2010), 2, 91–99.
sigma-aldrich.com/esr
26
MSTFA および MSTFA-D9 − GC/MS による化合物同定に必須のツール
Dieter Urbach BKA, KT 12 – Zentrale Analytik II 65173 Wiesbaden
はじめに
誘導体化、特にシリル化は、GC/MS を用いて既知お
よび未知の化合物を同定し定量する上で、大変有効な
ツールで広く使われるようになってきています。この
方法を適用できるのは、低分子だけではありません。
大型のペプチドでも、特に重水素を導入したい場合、
この方法を応用できます [1]。N- メチル -N- トリメチ
ルシリルトリフルオロアセトアミド(MSTFA)は、最
も汎用性のある試薬で、非極性のトリメチルシリル
(TMS)基を付加することで有機化合物の多くの一般
的な官能基を誘導体化できます。多くの場合 TMS 誘
導体は、揮発温度が比較的低くなっているので、より
低温で使用できるようになり、インジェクターやカラ
ム内での熱による分解を減らすことができるようにな
ります。定量分析には、触媒を使用することが推奨さ
れます [2–4]。
F
F
CH3
F
O
N
Si
F
CH3
CH3
+
CH3
CH3
R-OH
R
O
Si
CH3
CH3
+
F
Method Derivatization
1. 1 mgの試料を 270 µLのMSTFAに溶解させます(あるいは、約
10 µgの試料を25 µlのMSTFA-D 9に溶解させます)
2. 70˚Cで10分加熱します。
3. 30 µlのピリジンを加えます。
4. 70˚Cで10分加熱します。
必要に応じて、溶液をクロロホルムで希釈します。
GC/MS
Column:
F
O
MSTFA-D9 を使うと、192 m/z フラグメントイオンは 6
質量単位シフトして 198 になり、また 9 質量単位シ
フトして 201 m/z になっています(Figure 2 下)
。最
初のシフトは、TMS 基が一つ付加したことを示して
います。9 質量単位のシフトは、アンフェタミンの脂
肪鎖中の α- メチル結合の開裂に伴うもので、フラグ
メント化のメカニズムに関してさらなる情報が得られ
ます。
NH
CH3
semi-polar GC column, e.g. Supelco® SLB™-5ms,
30 m x 0.25 mm, 0.25 µm (28471-U)
Carrier Gas Flow: 1 ml/min (helium)
Temp. Grad.:
40 –300 ˚C in 26 min, hold for 10 min
Figure 1 MSTFA による水酸基の誘導体化の反応スキーム(R–X,
X=–OH, –COOH, =NH, –NH2 および –SH)
100
x7
44
クロマト
グラフィー
Figure 2 に、
SLB-5ms カラムで GC-MS を用いた場合の、
アンフェタミン(α- メチルフェネチルアミン)のマ
ススペクトルを示します。アンフェタミンのような一
級あるいは二級アミノ化合物の場合、しばしば [M-1]+•
イオンが現れますが、これを分子質量と誤認すると窒
素含有化合物の同定を誤ってしまいます。アンフェタ
ミンも、特定できないどちらとも取れる主フラグメン
トを生じます(44 m/z はアミノ化合物にもアルデヒ
ド化合物も有しています(Figure 2 上)
)
。MSTFA 誘
導体化後のマススペクトル(Figure 2 中)には、典型
的な TMS 誘導体フラグメント(TMS からメチルが失
われたもの)が認められますが、ターゲット化合物の
アンフェタミンの分子質量は、そのままの分子として
の 192 m/z から算出できます(192+15 m/z = 207 m/z、
TMS- アンフェタミン)
。
sigma-aldrich.com/cichromatography
CH3
or
m/z 44
OH
M+.= 135 m/z
NH2
CH2
m/z 44
CH3
50
91
65
42 51
77
103 120
0
100
Relative Abundance
重水素化 MSTFA-D9 を利用した化合物の同定
未知の化合物を同定しなければならない場合、分子内
でいくつの官能基が誘導体化反応の影響を受けるの
か は っ き り し な い こ と も あ り ま す。 付 加 反 応 で
MSTFA-D9 を使えば、この問題を克服することができ
ます。MSTFA-D9 誘導体による分子質量の増加は、誘
導体化した官能基の数× 9 質量単位と分かるからで
す。したがって、MSTFA/MSTFA-D9 のスペクトルの質
量シフトを考慮することで元の化合物の分子質量を
算出できます。
+
+
NH2
134
116
+
NH
CH3
.
CH3
Si
CH3
CH3
M+ = 207 m/z
m/z 116
50
H3C
Si
+
CH3
CH3
192
91 116
NH
192
73
CH3
192
m/z 73
0
100
91 100
45 59 65
175
135 147 160
206
125
+9u
M+.= 216 m/z
+9u
50
D3C
Si
CD3
82
+6u
50
65
60
CH3
+9u
m/z 82
40
198
91 125
NH
+
CD3
0
CH3
Si
CH3
CH3
91 106
80
100
+9u
198
201
139 149 162 181 190
215
120 140
m/z
160
180
CD3
Si
CD3
CD3
201
200
Figure 2 アンフェタミン(上)
、TMS- アンフェタミン(中)
、
TMS-D9 アンフェタミン(下)のマススペクトル。アンフェタミ
ンのマススペクトルでは、特定できない誤認しやすいフラグメン
トだけが認められます。44 m/z および 134 m/z は、窒素化合物
や正しい分子質量を示しているわけではありません。これは、
MSTFA/MSTFA-D9 で誘導体化したものを見れば明らかです。
27
7,98
100
TIC MS
Relative Abundance
50
0
100
7,98
NH
CH3
m/z=
43,50-44,50+
115,50-116,50
CH3
Si
CH3
CH3
50
5,69
0
100
NH2
7,93
NH
CH3
0
CH3
5,70
50
4,0
6,0
Si
m/z=
43,50-44,50+
124,50-125,50
CD3
CD3
CD3
8,0
Time (min)
10,0
12,0
Figure 3 誘導体化アンフェタミンおよび非誘導体化アンフェタミンの GC/MS クロマトグラム(TIC, EIC)
Figure 3 は、SLB™ -5ms カ ラ ム で の ク ロ マ ト グ ラ
フィーへの誘導体化の影響を示します。他の薬剤と異
なり、誘導体化されていないアンフェタミンが最初に
溶出し、
次いで TMS 誘導体が出てきます。この例では、
誘導体化をどのように行なえば、保持力および選択性
を変え、通常なら試料のマトリックスや他の成分と同
時に溶出してしまう未知の化合物を検出できるように
なるかを示しています。
まとめ
現在の GC/MS システムの多くには、シングル四重極
質量分析計がついていますが、その質量分解能には限
界があります。この装置では、トリプル四重極質量分
析計やイオントラップ質量分析計のように、MS/MS
や MSn スペクトルを得ることはできません。このよ
う な シ ン プ ル な GC/MS シ ス テ ム で は、MSTFA/
MSTFA-D9 を用いた誘導体化法が大きな力を発揮しま
す。すなわち、分子質量を得る化学イオン化を調整す
る必要がなく、分子組成やフラグメント組成を解明す
る MS/MS を付加することも可能です。
Brand
Description
CAT. NO.
GC 誘導体化試薬
Fluka®
MSTFA for GC derivatization
69479
Fluka
MSTFA-D9 for GC derivatization
68769
Supelco SLB-5ms Capillary-GC column,
30 m x 0.25 mm, df=0.25 µm
28471-U
GC カラム
Supelco®
クロマト
グラフィー
MSTFA および MSTFA-D9 のその他の優位点は、それら
の誘導体物とのクロマトグラフィー上の特性が比較可
能であるということです。TMS および TMS-D9 の誘導
体は、同じ時間フレームで溶出してきます。重水素化
された化合物の方が早く溶出することもあるかもしれ
ませんが、ほんの数秒だけです。したがって、低濃度
レベルでも、保持時間からターゲット化合物を検出し
て同定することができます。
References
[1] Spengler, B., F. Lützenkirchen, R. Kaufmann (1993) On-target
Deuteration for Peptide Sequencing by Laser Mass
Spectrometry. Org. Mass Spectrom., 28, 1482–1490.
[2]M. Donike: N-Methyl-N-trimethylsilyl-trifluoracetamid, ein
neues Silylierungsmittel aus der Reihe der silylierten Amide. J
Chromatogr, 42 (1969) 103.
[3]Donike M, Zimmermann J: Zur Darstellung von Trimethylsilyl-,
Triethylsilyl- und tert. Butyl-dimethylsilyl-enoläthern von
Ketosteroiden fürgaschromatographische und massenspektrometrische Untersuchungen. J.Chromatogr , 202 (1980)
483.
[4] Blau King, Handbook of Derivatives for Chromatographie.
Verlag Wiley-VCH (1993).
[5]McLafferty, Turecek : Interpretation von Massenspektren.
Spektrum Akademischer Verlag, Heidelberg (1995).
新しい誘導体化試薬のパンフレットには、GC、HPLC、
キラルおよび TLC 誘導体化用の製品リストを掲載
しています。無料のパンフレットは、sigma-aldrich.
com/derivatization からご請求ください。
sigma-aldrich.com/cichromatography
新製品 GC 誘導体化用のシリル化試薬
Shyam Verma, Market Segment Manager Analytical Reagents & Solvents [email protected]
シリル化によって化合物を誘導体化すると、その化合
物は化学的に修飾され、揮発性が増し表面吸着が減
少します。シリル化誘導体は、-OH、-SH および -NH
基の活性な水素が置換されることによって生成しま
す。シリル化を受ける活性な水素原子を含む化合物と
しては、酸、アルコール、チオール、アミン、アミド
およびエノール化が可能なケトンとアルデヒドなどが
あります。これらの化合物は、誘導体化されないまま
ではクロマトグラフィー挙動が乏しく、揮発性が不十
分で、熱安定性に欠けるうえ、適切に検出されない場
合もあります。これらの化合物のシリル化誘導体は、
一般に、元の化合物より揮発性が高く、極性が低く、
熱安定性が高いため、正確なクロマトグラフィー分析
が可能です。シリル化試薬は、その化合物に対する反
応性および選択性、対象用途、誘導体の安定性、並
びに反応副生成物の質や量を考慮して選択します。
シリル化は質量分析を行う上でも有用で、シリル基の
導入によって、より特徴的なフラグメントが生じたり、
SIM(選択イオンモニタリング)で使用される非常に
特徴的なイオンが生じたりします。
シグマ アルドリッチは、誘導体化試薬について様々
なタイプの幅広い製品群を取り揃えており、さらなる
進歩と、これらを用いた革新的な改良製品の探求に寄
与しております。下記の製品は、シリル化誘導体化を、
溶媒なしあるいは GC 分析用試薬の過剰な添加なしで
行える試薬です。全製品のリストは、弊社のウェブサ
イト(sigma-aldrich.com/derivatization)をご覧い
ただくか、無料の最新の Derivatization Guide(誘導体
化ガイド)をご請求ください。
CAT. NO.
Brand
Description
79262
Fluka®
tert-Butyldimethylsilyl methallylsulfinate, for GC derivatization
Pack Size
5 mL
79264
Fluka
Triethylsilyl methallylsulfinate, for GC derivatization
5 mL
79271
Fluka
Trimethylsilyl methallylsulfinate, for GC derivatization
5 mL
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SAJ1465 2012.7
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