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気象庁の地震検知能力の時間空間的変化

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気象庁の地震検知能力の時間空間的変化
験震時報第 6
5巻
(
2
0
0
2
)1
1
1~ 1
2
2頁
気象庁の地震検知能力の時間空間的変化
太田健治*・藤原義寿*.前田憲二*
S
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るマグ、ニチュードの下限 (
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c:M
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)
1.はじめに
過去の地震活動を調査する場合,地震カタログがどの
が時間空間的にどのように変化してきたのかについて,
程度の小さい地震まで完全に収録しているか,というこ
系統的な調査を行なった.
とは重要な問題である.気象庁の地震の検知能力は地震
2
. データ
観測網及び処理システムが改善されることにより大きく
変化してきたことが知られている(例えば市川(19
7
8
),
震源データは気象庁震源カタログを使用し,震源の深
石川(19
8
7
)
).気象庁の地震検知能力の調査は過去にも
さが 6
0
k
m以浅のものについて調べた.深さが 6
0
k
m以浅
7
8
)は
, 1965 年~ 1
9
7
4
行われており,例えば望月ら(19
の地震を対象にしたのは,それより深い地震はマグニ
年の期間の気象庁 5
9型地震計による震源決定能力を調
チュードが決定されていない場合があるためである.気
査し,北海道の大部分と九州南部を除く内陸部に発生し
cの変化
象庁の震源カタログにおける全国の平均的な M
た深さ 9
0
k
m以浅の地震のうち M4以上は漏れなく決定
の概要を見るために, 1
9
2
6年から 2
0
0
0年までの全ての
8
4
)は
されていることを報告している.また,横山(19
T図を F
i
g
.1
に示す.なお, F
i
g
.
1
地震について作成した M
1
9
8
3年の期間について調査し,気象庁の地震
の作成には S
E
I
S
P
C (石川・中村, 1
9
9
7
) を用いた.一
観測網は日本付近に発生した地震に対して,内陸部で M
方,気象庁の地震計や処理システムの更新による震源カ
3以上,沿岸から 2
0
0
k
m以内の海域で M3.8以上のもの
タログの質の変還は石川 (
2
0
0
2
)によりまとめられてい
はほぼ漏れなく震源決定されているとしている.
a
b
l
e 1に石川 (
2
0
0
2
)によりまとめられたものに
る. T
1979 年~
9
2
6年以降,高感度地震観測網(防災科学
ここでは, 1
一部加筆した気象庁震源の変遷を示す.ここで、はT
a
b
l
e1
技術研究所が展開している微小地震観測網のこと:以下
及び、 F
i
g
.
1をもとに震源カタログの変遷を考慮し,マグ
H
i
n
e
tと呼ぶ)が導入される前の 2
0
0
0年 9月までの気
ニチェードの下限を解析する期間を次の 7期間に分け
象庁震源カタログについて,漏れなく地震を検知してい
た.
1
) 1926 年 1
*仙台管区気象台
月 1 日~
1
9
6
0年 1
2月 3
1日
震源カタログ開始から電子計算機による処理を開始す
S
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るまでの期間.ただし,現在の震源カタログは,後年こ
i
よ
11
,
、
験震時報第 65 巻第 1~4 号
1926 1/1 0
:口ー-20009/30 2
3
:59 :M 0
.
1 <=>5
.
0 :DepO
.口-60.0km: NN=43口35口/
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=430350
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気象庁の地震検知能力の時間空間的変化
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)
年
処理・システム
走時表
震源時刻
緯度・経度
深さ
M
1885-1925
1926-1950
全地震験浪)
1
市川・望月 +LL(深
さ600kmまで)
IBM704
和達・鷺坂ら
1951-1960
1
9
6
1
震源的ログ 77 イ J~
主な検知能力関係
理科年表 (
2
0
0
1年版)
被害地震の表
宇津カタログ
884
ー1
1分
1分
10km毎
I
平井、勝又
別 冊 6号で併記され
た旧震源は6
5コラム
自(
8
0レコード形式で‘ 全地震験測
li50コラ k 自)
1こr
C
J
.
rDJ.rWJの 文 字
0
.
1秒
参考 (
1959:IBM704導入)
20km毎
地震月報+別冊 5
号
電計作業開始
1962-1964
1965
験 測 基 準 変 更5
9型 全 振 幅 1mmJ
;
)
.
上
竜計
1966
1
9
6
7
HITAC5020F
和達・鷺坂らに内挿
10km毎
6
7型地震計展開開始
1968-1969
6
7型盛岡,宮古,大船渡,秋田山形,
3月)
酒田 (
6
7型青森・八戸・石巻・白河・小名
浜 (6/1
)
1970
1
9
7
1
1972
1973
1974
1975
1976
1977
電計
市川・望月
地震月報
)
6
7型 本 語 (4/1
76型 地 震 計 展 開 開 始
l
1978
+EMT式
(深さ 60kmまで)
LL走 時 追 加
7
6型 青 森 2
.大 船 渡 2
.山形 2(8/15)
1979
1980
1
9
8
1
地東震管伝南送部網月
L/A
1982
験測基準振幅
変 更(
2月)
5
9型 全
3mm以上
6
1型 全 振 幅 6mm
東 管 北 部 7月
L/A札幌・仙台 3月
1983
0月
L/A大 阪 1
1984
L/A福岡 8月
83A+LL(10月)
0
.
1分
EMT式の定数,
1km毎
76型だけ変更 (
1
0
(
L
L除く)
月)
O
.
l
k
m毎と
1km毎
1985
1986
宮古1
000倍 → 3000倍 (8/11
)
1987
EPOS東尽 9月
1988
1989
L/A沖 縄8月
1990
ETOS仙台 3月
1
9
9
1
ETOS札 幌 3月
1992
ETOS福岡 3月
1993
ETOS大 阪 3月
東泉、他機関データ導入
88型 地 震 計 展 開 開 始
八戸〉八戸 2(5/18)
盛岡ー〉盛岡 2(3/19)
LL
1km毎
ETOSI
沖
s
l
縄
山3月
T-sy 台
1994
9/21
(一 部4月)
T-sys大 阪 10/14
T-sys福 岡 9/28
地震月報簡略化
地 震 年 報 CD開 始
T,
石
s
y
巻
s
)
1
0月
津波地大震船早渡期。山検形知,網(国
仙台
酒
,本荘,
青 森 2大船戸 2
.山 形 2を停止 (11/1
)
震源、フォーマット変更
ー)96
ハ.イト(遡る)
80
観測点数記入
4月)
東京津波地震早期検知網(
仙 台 3月刊力.一変更
T-sys沖 縄4月
1995
T-sys礼申晃1/1
0
EPOS2東 京4月
0
.
0
1秒
0
.
0
1分
O.Olkm
│設札幌沖
1月縄稚3
内
12
恵
6玉
北
城
、1
移
0月
設平取を移
1996
1997
1
0月 全 国 一 元 化
121110BS室 戸 1、
室 戸 2接 続
1998
11/5近畿・東海 H
i
n
e
t接 続
1999
冗 化 以 降 EMT
式を深さ 90kmま 1
0月 札 幌 管 区 で 低 周
で鉱張、他機関 ;皮地震識別開始
振幅採用
低周波地震全国で
開 始(
9月)
深さ 700kmま
で
、
2
0
0
1
根室豊里、日
札 幌 3月、根室 88-)
0月 北 海 道 東 方 沖 深
高ー〉十勝ダム、 1
/22
南近畿
大阪 1
さ30km固定
H
i
n
e
t
設定変更、 2111-3/2ト1
)力'一変
更、 10/30土居ト )
1力
.
福岡
11/1
9熊 本 御 船 開 始
沖 縄 3月
SIDEで1/1
0
0秒データ化、 3/18与那
国島久部良移設
札 幌 3月北見 8
8ー〉常呂、 1
1月 奥 尻
移
福設
大 阪 2/29舞 鶴 2廃 止
/2串間奈留開始、 3/28熊 本
岡 3
低周波地震現業処
理 開 始(
6月)
御船廃止。
沖
縄
華
万 6
/23
西表島、波
8型 更 。6/30粟国島、宮
照 間 島 の8
古島城辺、竹富町黒島を開始。
8月 釧 路 沖 OBS接
2000
札幌 1
2月 上 川 を 移 設
/28-8/24波 照 間 島 、 多 良
沖縄 5
間 島 7イM
-使 用 、 験 測 再 検 討 開 始
1
2月刊がー変更
札 幌 2月 八 雲 、 知 内 を 移 設 福 岡
6/1串 間 本 城 休 止
続
1
0
}
月
t
接大続
阪福岡H
i
1
1月 大 阪 大 学 1
7
点追加
5
.
6月 大 阪 北 近 畿 1
0月 JMA2001モ
H
i
n
e
t1
0月札幌・ デル開始、三陸沖
仙台H
i
n
e
t接 続 LL廃 止
5月変位 M6秒フィ
ルト導入
5月 トリ力.処理にま全
7ィ
国
Hー一波形導入
1
0月 M5以上 l
で験測
円べU
1li
-
験震時報第 65 巻第 1~4 号
の期間について電子計算機により再処理されたものであ
で表されることを利用し,マグニチュード別の地震回数
り,今回の解析にも再処理後のデータを用いた.
積算曲線が直線からずれる点を基に求める方法である.
2) 1965 年 1 月 l 日~ 1
9
7
5年 1
2月3
1日
M
c を求める方法の概念図を F
i
g
.
2に示す.
~
1
9
6
5年から 7
6型地震計設置以前の期間.なお 1
9
6
1年
地域ごとの M
c を求めるため,全国を緯度経度ともに
1
9
6
4年は F
i
g
.
1から検知能力が著しく低下しており,
0
.
5度間隔の格子点を中心とし,それぞれの格子点から
またデータ数も少ないことから解析期間から外した.
0
k
m以内の領域に分けた.空間的な分解能を上げ
半径 5
1
9
6
4年の検知能力が低下しているのは電子計
るためには格子点の間隔を狭くし,また隣り合う領域が
算機の処理能力の問題で小さな Mが決定されなかったと
重ならないように半径を小さくした方がよいが,一方で、
されている.
半径を小さくしすぎると領域内の地震数が少なくなり,
3) 1977 年 1 月 l 日~ 1
9
8
2年 1月 3
1日
M
cが求まらなくなる.格子間隔 0
.
5度,半径 5
0
k
mという
1961 年~
7
6型地震計設置(一部は期間中に設置)から地方中枢
値はこのことを考慮して試行錯誤により決定した.領域
気象資料自動編集中継装置(以下 L
/
A
D
E
S
Sと呼ぶ)整備
i
g
.
3に示す.また,各々の領域
の分割方法の概念図を F
9
7
6年のデータは 7
6型地震計が展
以前の期間.なお, 1
0個以上の場合について
内の地震に対し,地震の数が 2
開中であるため除いた.
M
cを決定することとした .20個以上とした理由は,対象
4) 1982 年 2 月 1 日~ 1
9
8
9年 2月 2
8日
とする地震の数が少ないと適合度に問題が生じ,この下
限の数が多いと M
cを求められる領域が減ってしまうた
L/ADESS整備開始から地震津波監視システム(以下
回りSと呼ぶ)整備以前の期間.
め,この 2点を考慮して決めた.
M
c以上の地震について,マク、、ニチュードの積算が直線
5) 1991 年 3 月 1 日~ 1
9
9
4年 8月 3
1日
cの適合
からずれる程度を次式の Rにより表し,これを M
仙台・札幌管区における E
T
O
S整備以降から津波地震
%
ハリ
×
一一品
仏町
PH
α
8型地震計が展開中のため除いた.
また 8
c
u一
年 2月の期間のデータは仙台・札幌町D
S整備中であり,
M
Y
4一
度と定義した.
MY--
9
9
1
早期検知網の展開以前の期間.なお, 1989 年 3 月~ 1
6) 1995 年 5 月 1 日~ 1
9
9
7年 9月 3
0日
津波地震早期検知網の展開以降から大学等関係機関の
ここで, B
i,S
iはそれぞれ M
c以上の地震について,マ
E
D
Cと呼ぶ)開始以
地震観測データの一元的処理(以下 R
グニチュードの i
番目の階級 Miまでの観測された積算
9
9
5年 4月の期間のデー
前の期間.なお, 1994 年 9 月~ 1
地震数とグーテンベルグーリヒターの式から予測される
タは津波地震早期検知網展開中のため除いた.
積算地震数を表す.また,係数 a
,bは M
c以上の地震デー
7) 1997 年 10 月 l 日~ 2
0
0
0年 9月 3
0日
タから求められたグーテンベルグーリヒターの式の定数
を
, Mmaxはマグニチュードの最大の階級を表す. M
cを
R
E
D
Cの開始以降から西日本 H
i
n
e
tのデータ処理開始
,
c
変化させるにつれて適合度 Rは変化するが,ここで、は M
直前の期間.
を小さい方から次第に増加させ,適合度が95%に達した
3
. 解析方法
cとした.もしこれで求められなければ適合度が
時を M
M
cを求める計算法は W
I
E
M
E
RandW
Y
S
S(
2
0
0
0
) の方法
90%に達したものを M
cとした.さらに求められなかっ
m
a
p(
W
I
E
M
E
Rand罰則I
G
A,1
9
9
4
) を用
を,プログラムは Z
た場合は積算回数ーマグニチュード図の最大曲率から求
m
a
pは W
I
E
M
E
Rらが数値解析言語 MA
1LABを使って
いた. Z
cとした.
めたものを M
開発した地震活動の解析用プログラムであり,ソース
4
. 結果及び考察
コードは公開されている.Z
m
a
pは大地震前の地震活動静
cの空間的変
解析の結果,各期間ごとに求められた M
穏化や活発化といった地震活動度変化の調査, b値の大
IEMER
きさ分布等の調査にも利用されている(例えば W
i
g
. 4に示す.また, M
cの時間変化を分かりやす
化を F
a
n
dW
Y
S
S,1
9
9
4
)
.
くするため,すべての期間のカラースケールを同じ色に
W
I
E
M
E
Ra
n
dWYSS (
2
0
0
0
) の方法は,基本的にはマグ
i
g
.5に示す.以下に各期間の M
cの特徴
固定した図を F
ニチュードの頻度分布がグーテンベルグーリヒターの式
と若干の考察を述べる.
A
1Bi
A斗
気象庁の地震検知能力の時間空間的変化
.Observed
口 Synthetic
一)﹄
30 @aEコZ@﹀冨旦コEコO
Si
Magnitude
F
i
g
. 2 Schematic diagram showing t
h
e method o
f
obtainingM
c
.B
i andS
i are t
h
eo
b
s
e
r
v
e
d andpredictedcumulative number o
fe
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•〆
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F
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f circle area i
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c
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s fixeda
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戸
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験震時報第 6
5巻第 1~ 4号
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気象庁の 地震検知能力の時間空間的変化
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験震時報第 65 巻 第 1 ~ 4 号
461
.
1991.3.1-1994.8.31
441N=60ω
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気象庁の地震検知能力の時間空間的変化
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0
0
.
程度 M
cの改善がみられ
ど改善が見られ,期間 2)より l
期間 1) (1 926 年 l 月 1 日 ~ 1
9
6
0年 1
2月 3
1日)では,
近畿地方及び九州の一部で Mが
9
7
6年から始まった 7
6
る.これ らの検知能力の 向上は 1
3
.5~ 4
.0程度の地震 まで検知されており,東海,山陰
型と呼ばれる地震計の全国的な展開によるものである.
.
5前後まで検知されていることが
地方の一部では Mが 4
横山 (
19
8
4)の結果と比較すると 三陸沖の海溝軸近傍で
分かる .北海道,東北,北陸及び九州南部は地震数が少
は本調査結果のほうが若干 Mcが大きめに求まっている
ないため M
cの求められていない領域が多い.海域では
が,他の地域については大きな相異はない.
陸域については関東
.
0~ 6
.
0程度であるが,南に向
浦河沖 房総沖でMcは 4
期間 4) (1 982 年 2 月 1 日 ~ 1
9
8
9年 2月 2
8日)では,
かうほど検知能力が向上してくることが分かる.この傾
陸域では特に中国,四国地方で M
cが求まる領域が増え
向は北海道・東北地方及ぴ、九州南部で、地震計が少なかっ
たとともに検知能力も向上している .海域ではいくつか
たことによるものと思われる.
cが求められるようになり, 1
9
8
3年日
の領域で新たに M
9
7
5年 1
2月 3
1日)では,
期間 2) ( 1 965 年 1 月 l 日~ 1
本海中部地震の余震域周辺が 3
.5~ 4.
0程 度 に 九州の
解析した期間が期間 1)より短いせいもあり地震数が約
南東沖で 2
.
8~ 3.
7程度に求め られている .この期間は
半分であるため M
cが求められた領域は期間 1) より少
91
)
様々な要因で検知能力が向上し た (
地震火山部(19
なく,特に陸域で少なくなっている.検知能力は陸域で
も参照)
.とりわけ 1
9
8
2年から L
/
A
D
E
S
Sが各管区に展開
は期間 1) とほぼ同じ程度である .海域では根室半島南
されたことに より処理能力は向上し,また,この期間の
東沖の領域で新たに M
cが求められ, 5
.
0程度となってい
9
8
8年か ら 8
8型地震計の展開が始まり,この影
末期の 1
7
8)の調査結果と比
る.この期間に対応する望月ら(19
9
8
2年 2月から検測
響でも検知能力が向上した.一方
, 1
較するとほぼ同様の結果となっており,Mcを求める手法
9型地震計の全振幅が 3
m
r
n以上, 6
1型
基準をヲ │
き上げて 5
の違いによる結果への影響は少ないことが分かる.
地震計が 6mm以上の検測となったため検知能力の低下が
9
8
2年 1月 3
1日)では,
期間 3) ( 1 977 年 1 月 1 日 ~ 1
陸域では関東
6型地震計に よる高感度の地
懸念されたが,実際には 7
/
A
D
E
S
S
震観測処理には変更がなか ったことと,前述の L
近畿地方にかけて Mcが求められるよう
cが 2
.
0~ 3.
0程度である.海域では沿岸部ほ
になり, M
による処理能力の向上により検知能力の低下の様子は見
口
同d
ー
よ
ー
ー
よ
!検震 時報第 65 巻 第 1 ~ 4 号
45
45
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c
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円ノ臼
ylよ
U
ハ
気象庁の地震検知能力の時間空間的変化
4
5
0
0
0
道胆振地方と伊豆諸島のMcが大きいのは,それぞれ 2
1
9
9
7
.
1
0
.
1
2
0
0
0
.
9
.
3
0
年有珠山噴火と 2
0
0
0年三宅島噴火に伴う火山性地震の
増加による処理能力の一時的低下の影響 によるものであ
4
0
リ
良
一v
qv
-O
曲豆副司コき帽 d
る.
5
. まとめ及び今後の課題
今回用いた手法により 比較的容易に M
cの時間的空間
3
0
的変化の状況を定量的に,また系統的に評価することが
できた.その結果,地震観測網や処理システムの改善に
2
5
・
ーE
1
2
5
1
3
0
1
3
5
1
4
0
1
4
5
9
7
6年からの
伴い地震検知能力が大きく向上し,特に 1
1
5
0
L
o
n
g
i
t
u
d
e(
d
e
g
]
7
6型地震計の運用, 1
9
9
7年 1
0月からの阻配の処理開始
Mc
1
は大きな効果を上げていることが分かった.本調査で得
4
2
3
Fi
g
.5 (
co
nti
n
u
e
d)
5
6
cの調査結果との整合性
られた結果は過去に行われた M
られない.
も良く,今回の手法が有効であることも分かった.
9
9
4年 8月 3
1日)では陸
期間 5) (1 99 1 年 3 月 1 日 ~ 1
今後,気象庁マグニチュードの決定方法が見直される
cが求
域については北海道と北陸,九州の一部以外は M
とともに,過去に遡 ってマグニチユードの再計算が行わ
.
0以下である .海域については北海道
められ,全て 3
in
e
t導入に伴い地
れることが計画されている . また H
cは 2
.
0~ 3
.
5程
九州の太平洋側で北海道東方沖lを除き M
震検知能力がこれまでよりもさらに向上するであろう .
9
9
4年北海道南西沖地震の余
度である.日本海側では 1
cが大きく変わることが
これらの業務的な改善により M
.
5程度で,それ以外では 2.
0~ 3.
0程度で
震域周辺で 3
予想されることから,今後も引き続き調査を行っていく
ある.この期間は陸域
必要がある.
海域とも検知能力の大幅な改善
cの求められた領域は期間 4)よりも
は見られないが, M
謝辞
広がっている .検知能力に大幅な改善が見られないのは
目隠の整備により処理効率や速度が向上したものの,新
本論をまとめるにあたり,匿名の査読者と気象研究所
規の地震計の展開がそれほど多くなか ったため検知能力
石川有三室長か らは適切な助 言 をいただき,また,
にはさほど影響を与えなか ったか らと考えられる.
S
t
e
f
a
nWi
e
n
r
e
r博士からはプログラムを提供していただ
9
9
7年 9月 3
0日)では,
期間 6) (1 995 年 5 月 l 日 ~ 1
いた .ここに記して感謝し Eたします .
cが計算されないものの,それ
陸域は北海道の一部で M
cが求められた領域では全般に 2
.
0 ~ 3. 0
程度で,
以外の M
参考文献
cが 2
.
0以下の領域が増えている .これは,
期間 5)より M
8
7):気象庁震源データの変選とその問題
石川有三 (
19
1,4
7
5
6.
点
, 験震時報, 5
津波地震早期検知網展開に伴う地震計の増設と,設置場
石川有三 (
2
0
0
2):気象庁地震観測網と処理システムの
所を気象台庁舎にこだわらず可能な限りノイズの少ない
3(
5
)
,3
0
3
3.
変選,日本地震学会ニュースレター, 1
地点を選定した結果,検知能力が向上したものと思われ
る.海域では九州南方沖
~ 3.
.
5
沖縄付近の海域にかけて 2
石川有三 ・中村浩二, (
1
9
9
7):
S
E
I
S
P
Cf
o
rW
i
n
d
o
w
s
9
5,
9
9
7年合同大会予稿集, 7
8.
地球惑星科学関連学会 1
5程度に求められている.
0
0
0年 9月 3
0日)では,
期間 7)(1 997 年 10 月 l 日 ~ 2
市川政治
(
19
7
8):気象庁新地震観測網の震源決定能力,
験震時報, 4
2,5
5
6
0.
大学等関連機関か らのデータ提供により 全国的に大幅に
J
cは北海道胆振
検知能力が向上した.陸域についての M
地震火山部 (
1
9
91
) :最近の気象庁の地震観測網の震源
8,1
3.
決定能力一視覚的表現による一,測候時報, 5
地方周辺の 3 . 5 程度以外は日本全域で1. 0 ~ 2 . 0 程度で
あり, 北海道,九州、│
のM
cがかなり改善 されている .海域
望月英志,小林悦夫,岸尾政弘
(
19
7
8):1
9
6
5~ 1
9
7
4年
は北海道東方沖,伊豆諸島付近海域と沖縄付近海域の一
2,2
3
3
0.
の気象庁の震源検知能力,験震時報, 4
.
5程度でそれ以外は 2.
0~ 3
.0程度である .北海
部で 3
横山博文 (
1
9
8
4):最近の気象庁地震観測網の震源決定
ω
li
司
円ノ
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験震時 ~(:I;Z第 65 巻第 1~4 号
能 力 一1
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