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中学校編

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中学校編
年間指導計画補助資料:指導者用ハンドブック2(中学校:道徳)
道徳ハンドブック
加須市教育委員会
―中学校編―
1
目標
道徳教育の目標
学校の教育活動全体を通じて、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの道徳性
を養う。
道徳 の時 間の目標
道徳教育の目標に基づき、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教
育と密接な関連を図りながら、計画的、発展的な指導によってこれを補充、深化、統合し、
道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深め、道徳的実践
力を育成する。
補充・深化・統合は、全教育活動を通して行われる道徳教育
の中での、道徳の時間の役割を明確に示すものです。
※補充、深化、統合
補充…全教育活動で行われている道徳教育を補い、充実させること。
深化…全教育活動で行われている道徳教育で養われた道徳的価値を内面的に深く自覚する
指導を行うこと。
統合…全教育活動で行われている道徳教育での指導を、組織的、計画的、発展的に指導し
ていくこと。
道徳教育と道徳の時間
全教育活動で行う
豊かな体験等
1
2
3
4
要としての
道徳の時間
四つの視点
道徳性の育成
補充・深化・統合
内容
○道徳的価値の自覚
○人間としての
生き方の自覚
道徳的実践力の育成
2
道徳教育
道徳の内容は、生徒の道徳性を次の四つの視点から捉え、その視点から内
容項目(24項目)を分類整理し、内容の全体構成及び相互の関連性と発展
性を明確にしています。
主として自分自身に関すること
主として他の人とのかかわりに関すること
主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること
主として集団や社会のかかわりに関すること
-1-
「道徳の内容」の学年段階・学校
1
主として自分自身に関すること
小学校第1学年及び第2学年
小学校第3学年及び第4学年
(1) 健康や安全に気を付け、物や金銭を大切 (1) 自分でできることは自分でやり、よく考え
にし、身の回りを整え、わがままをしない
て行動し、節度のある生活をする。
で規則正しい生活をする。
【第1学年の主題例】
○○くんのわがまま
わがまま
時間のきまり
【第2学年の主題例】
車に気をつけて
物を大切に
自分できちんと
【第3学年の主題例】
よくなりたいという心
きまりのある生活
計画的に行動する
【第4学年の主題例】
健全な生活態度
自分のことは自分で
よく考えて行動する
(2) 自分がやらなければならない勉強や仕事 (2) 自分でやろうと決めたことは、粘り強くや
は、しっかりと行う。
り遂げる。
【第1学年の主題例】
自分のためにがんばろう
決めたことは最後まで
何度も粘り強く
【第2学年の主題例】
つらくてもがんばる
やりぬく心
粘り強く頑張る
【第3学年の主題例】
さいごまでやりとげる
くじけない心
めあてに向かって
【第4学年の主題例】
くじけず最後まで
目標に向かって
困難に負けないで
(3) よいことと悪いことの区別をし、よいと (3) 正しいと判断したことは、勇気をもって行
思うことを進んで行う。
う。
【第1学年の主題例】
勇気を出して
よいことと悪いことの区別
【第2学年の主題例】
正しいことは勇気をもって
正しいことを思い切って
【第3学年の主題例】
勇気ある行動
勇気を出して
正しい心、強い心
【第4学年の主題例】
心にひびくかねの音
(4) うそをついたりごまかしをしたりしない (4) 過ちは素直に改め、正直に明るい心で元気
で、素直に伸び伸びと生活する。
よく生活する。
【第1学年の主題例】
本当のこと
正直で素直な心
【第2学年の主題例】
正直な心 正直な行い
うそと正直
内容項目
内容項目は、四つの視点に分かれて
おり、中学校は、全部で24項目あり、
これを年間35時間の「道徳の時間」
で学習します。
学校や学年として設定した重点項目
は、年間で2時間以上授業を行うなど
して、全部で35時間の道徳の授業を
行います。
年間指導計画は、35時間分で構成
されています。
道 徳性 の 発達
【第3学年の主題例】
誠実な気持ち
自分をふりかえって
【第4学年の主題例】
明るい心で
正直に生きる
「 道徳の時間」の授業を行う際、本時で
扱う内容項目は、学習指導要領上どのよ
うな位置付けで、義務教育9か年の中で
どのような道徳的な価値をもつのかをこ
の一覧表で確認して指導案を立案します。
(5) 自分の特徴に気付き、よい所を伸ばす。
【第3学年の主題例】
自分らしさを生かして
よりよくなりたい私
自分らしさ
【第4学年の主題例】
自分のよさを伸ばす
かがやく自分
それぞれのよさ
よりよく生きる力を引き出すこと
かかわりを豊かにすること
道徳的価値の自覚を深めること
-2-
道徳性の発達には様々な要素
がかかわり合っていますが、特
に、この3点に留意する必要が
あります。
段階の一覧表及び主題名の参考例
学習指導要領に示された小学校から中学校
にかけての義務教育9年間で指導する道徳の
内容項目を一覧に並べ、まとめたものです。
小学校第5学年及び第6学年
中学校
(1) 生活習慣の大切さを知り、自分の生活を (1) 望ましい生活習慣を身に付け、心身の健康
見直し、節度を守り節制に心掛ける。
の増進を図り、節度を守り節制に心掛け調和
のある生活をする。
【第5学年の主題例】
健康を見直す
ものを大切にする心
気持ちのよい習慣
【第6学年の主題例】
身の回りの整理整頓
素直な反省
ものを大切に
【中学校の主題例】
望ましい生活習慣
心身の健康増進
調和のある生活
(2) より高い目標を立て、希望と勇気をもっ (2) より高い目標を目指し、希望と勇気をもっ
てくじけないで努力する。
て、着実にやり抜く強い意志をもつ。
【第5学年の主題例】
夢を実現するために
希望をもって
前向きな生き方
【第6学年の主題例】
目標に向かって
将来への希望
精一杯生きる
【中学校の主題例】
強い意志
目標を目指して
着実にやり抜く
(3) 自由を大切にし、自律的で責任のある行 (3) 自律の精神を重んじ、自主的に考え、誠実
動をする。
に実行してその結果に責任をもつ。
【第5学年の主題例】
自律的な行動
自由と規律ある行動
【第6学年の主題例】
自律的な生活
見えない規律
【中学校の主題例】
自主自律
誠実に実行する
(4) 誠実に、明るい心で楽しく生活する。
【第5学年の主題例】
自分に誠実に
誠実な心
【第6学年の主題例】
明るく生きる
自分の心に誠実に
小 学 校 低 学 年 から
発達 段 階 に 応じ て内
容項 目 が 増 えて いき
ます 。 小 学 校と 中学
校の 内 容 項 目の 関連
を考 え る こ とが 大切
です。
(5) 真理を大切にし、進んで新しいものを求 (4) 真理を愛し、真実を求め、理想の実現を目
め、工夫して生活をよりよくする。
指して自己の人生を切り拓いていく。
【第5学年の主題例】
工夫して新しいことを
創造的に挑む
【第6学年の主題例】
新しいものをうみだす
柔軟な発想でものごとを考える
【中学校の主題例】
理想の実現
自己の人生
人生を切り拓く
(6) 自分の特徴を知って、悪い所を改めよい (5) 自己を見つめ、自己の向上を図るとともに、
所を積極的に伸ばす。
個性を伸ばして充実した生き方を追求する。
【第5学年の主題例】
自分のよさを伸ばす
みんなと伸ばす自分の力
よいところを伸ばそう
【第6学年の主題例】
自分らしさを生かす
自分の力を信じて
自分の中の宝物
【中学校の主題例】
個性の伸長
自分を見つめ、自己を向上させる
充実した生き方
中学校では、これらの中学生の心身の
発達上の特質を理解し、生徒一人一人の
実態を踏まえて、生徒と教師がともに考
え、探求していくことが大切です。
中学校発達段階における道徳性の育成
自己の探求、理想の追求と自律の尊重
人間関係の広がりと親密化
社会の一員としての自律のめばえ
-3-
2
主として他の人とのかかわりに関すること
小学校第1学年及び第2学年
小学校第3学年及び第4学年
(1) 気持ちのいいあいさつ、言葉遣い、動作などに (1) 礼儀の大切さを知り、誰に対しても真心をもっ
心掛けて、明るく接する。
て接する。
【第1学年の主題例】
明るいあいさつ
心をつなぐあいさつ
【第2学年の主題例】
気持ちのよいあいさつ
心をつなぐありがとう
【第3学年の主題例】
相手のことを考えた礼儀
子どもを守る礼儀
【第4学年の主題例】
心のかよい合い
まごころをもって
(2) 幼い人や高齢者など身近にいる人に温かい心で (2) 相手のことを思いやり、進んで親切にする。
接し、親切にする。
【第1学年の主題例】
温かい心
親切な心で
【第2学年の主題例】
思いやりをもって
助け合う友だち
【第3学年の主題例】
優しい心と心
親切っていいな
(3) 友達と仲よくし、助け合う。
【第1学年の主題例】
困っている友だちに
友だちだから
【第4学年の主題例】
友情の大切さ
友だちのよさを知る
(3) 友達と互いに理解し、信頼し、助け合う。
【第2学年の主題例】
友だちっていいな
助け合う友だち
【第3学年の主題例】
わかりあえる友
ほんとうの友だち
【第4学年の主題例】
友情の大切さ
友だちのよさを知る
改訂前の学習指導要領にあった2-(2)「温かい人間愛の精神を深め、他の人々
に対し感謝と思いやりの心をもつ」の文言から「感謝」を取り出し、新たに2-(6)
「多くの人々の善意や支えにより、日々の生活や現在の自分があることに感謝し、
それにこたえる」として2つの内容項目に分け、全体項目数を24項目としました。
(4) 日ごろ世話になっている人々に感謝する。
【第1学年の主題例】
ありがとうっていいな
3
(4) 生活を支えている人々や高齢者に、尊敬と感謝
の気持ちをもって接する。
【第2学年の主題例】
感謝する心
みなさんありがとう
【第3学年の主題例】
感謝する心
誰かのために
【第4学年の主題例】
感謝する心
みんなのためにありがとう
主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること
小学校第1学年及び第2学年
小学校第3学年及び第4学年
(1) 生きることを喜び、生命を大切にする心をもつ。(1) 生命の尊さを感じ取り、生命あるものを大切に
する。
【第1学年の主題例】
大切な命
命を守り育てる
【第2学年の主題例】
いのちつながり
生きものと一緒に
【第3学年の主題例】
【第4学年の主題例】
命あるものを大切に
生きることの幸せ
受けつがれる命
赤ちゃんが生まれるまで
(2) 身近な自然に親しみ、動植物に優しい心で接す (2) 自然のすばらしさや不思議さに感動し、自然や
る。
動植物を大切にする。
【第1学年の主題例】
自然を大切に
生き物にやさしくしよう
【第2学年の主題例】
ともに生きる
動植物にもやさしい心で
(3) 美しいものに触れ、すがすがしい心をもつ。
【第1学年の主題例】
美しいものを感じる心
美しい心
【第2学年の主題例】
すがすがしい心
清らかな心
【第3学年の主題例】
生き物へのやさしさ
生き物を大切に
【第4学年の主題例】
自然との共存
自然や生き物を愛する心
(3) 美しいものや気高いものに感動する心をもつ。
【第3学年の主題例】
美しいものに感動する心
命のふしぎ
-4-
【第4学年の主題例】
美しいものに感動する心
真心の美しさ
小学校第5学年及び第6学年
中学校
(1) 時と場をわきまえて、礼儀正しく真心をもって (1) 礼儀の意義を理解し、時と場に応じた適切な言
接する。
動をとる。
【第5学年の主題例】
あいさつの大切さを
気持ちのよいあいさつ
【第6学年の主題例】
礼儀は心のあらわれ
あいさつする心
【中学校の主題例】
心が礼儀に表れる
時と場に応じた言動
(2) だれに対しても思いやりのい心をもち、相手の (2) 温かい人間愛の精神を深め、他の人々に対し思
立場に立って親切にする。
いやりの心をもつ。
【第5学年の主題例】
ほんとうの思いやり
困った人の身になって
【第6学年の主題例】
人への思いやり
親切の温かさ
【中学校の主題例】
思いやりの心
温かい人間愛
(3) 互いに信頼し、学び合って友情を深め、男女仲 (3) 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達を
よく協力し助け合う。
もち、互いに励まし合い、高め 合う。
【第5学年の主題例】
友だちのために
男女が理解し合う心
【第6学年の主題例】
男女の友情と協力
親友
主題名は、これらの内容項目をもとに
簡潔に表現します。ねらいによって同じ
資料でも「男女の敬愛」
「相手の人格を
尊重する」などになります。
【中学校の主題例】
真の友情
信頼できる友だち
互いに励まし合い、高め合う友だち
(4) 男女は、互いに異性についての正しい理解を深
め、相手の人格を尊重する。
【中学校の主題例】
男女の敬愛
相手の人格を尊重する
(4) 謙虚な心をもち、広い心で自分と異なる意見や (5) それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなも
立場を大切にする。
のの見方や考え方があることを理解して寛容の心
をもち謙虚に他に学ぶ。
【第5学年の主題例】
広い心で
相手の立場を考えて
【第6学年の主題例】
過ちを許す
広い心で
【中学校の主題例】
個性の尊重
広い心
謙虚に他に学ぶ
寛容な心
(5) 日々の生活が人々の支え合いや助け合いで成り (6) 多くの人々の善意や支えにより、日々の生活や
立っていることに感謝し、それにこたえる。
現在の自分があることに感謝し、それにこたえる。
【第5学年の主題例】
多くの人の支えに対して
感謝の心
【第6学年の主題例】
尊敬、感謝の心
支え合って生きる
【中学校の主題例】
感謝の心
感謝にこたえる
小学校第5学年及び第6学年
中学校
(1) 生命がかけがえのないものであることを知り、 (1) 生命の尊さを理解し、かけがえのない自他の生
自他の生命を尊重する。
命を尊重する。
【第5学年の主題例】
命があったからこそ
かけがえのない命
【第6学年の主題例】
生命の尊重
命の尊さ
【中学校の主題例】
生命の尊重
かけがえのない命
(2) 自然の偉大さを知り、自然環境を大切にする。 (2) 自然を愛護し、美しいものに感動する豊かな心
をもち、人間の力を超えたものに対する畏敬の念
を深める。
【第5学年の主題例】
自然を守る
自然を大事にする
【第6学年の主題例】
気高い心
大いなるもの
【中学校の主題例】
自然への畏敬の念
自然愛護
(3) 美しいものに感動する心や人間の力を超えたも (3) 人間には弱さや醜さを克服する強さや気高さが
のに対する畏敬の念をもつ。
あることを信じて、人間の力を超えたものに対す
る畏敬の念を深める。
【第5学年の主題例】
美しい真心の尊さ
大切に思う心の美しさ
【第6学年の主題例】
気高い心
大いなるもの
【中学校の主題例】
生きる喜び
人間として生きる
-5-
人間の気高さ
4
主として集団や社会とのかかわりに関すること
小学校第1学年及び第2学年
小学校第3学年及び第4学年
(1) 約束やきまりを守り、みんなが使う物を大切に (1) 約束や社会のきまりを守り、公徳心をもつ。
する。
【第1学年の主題例】
電車の中で
気持ちよく使うために
きまりの大切さ
きまりを守って使う
【第2学年の主題例】
みんなが守らないと
みんなの約束
きまりを守る
みんなのものを大切に
【第3学年の主題例】
きまりって大切なの?
みんなのものを大切に
きまりは何のために
みんなの使うもの
【第4学年の主題例】
社会のルールを守る
みんなの場所を
きまりを守る心
心の内にあるきまり
道徳の内容は、児童が自ら道徳性をはぐくむためのものであり、「道徳の時間」は
もとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動においても、それぞれの特質
に応じた適切な指導を行うものとなっています。
そのため、この「道徳の内容」一覧表は、各教科等の学習指導要領解説に掲載さ
れています。
教育活動全体を通じて行う道徳教育として、教科や道徳、総合的な学習の時間、
特別活動(学級活動、生徒会活動、学校行事)など、学校の教育課程のどの教育活
動を行う場合でも、これらの道徳の内容を意識して指導していく教師側の姿勢が大
切です。
(2) 働くことのよさを感じて、みんなのために働く。(2) 働くことの大切さを知り、進んでみんなのため
に働く。
【第1学年の主題例】
働くことの楽しさ
働くって気持ちいい
【第2学年の主題例】
働く楽しさ
みんなのために
【第3学年の主題例】
みんなのためにできるこ
とを
【第4学年の主題例】
進んで活動する
社会のためになることを
(3) 父母、祖父母を敬愛し、進んで家の手伝いなど (3) 父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合
をして、家族の役に立つ喜びを知る。
って楽しい家庭をつくる。
【第1学年の主題例】
家族大好き 家族の人の願い
【第2学年の主題例】
私と家族 家族のために
【第3学年の主題例】
大切な家族 楽しい家庭
【第4学年の主題例】
家族の助け合い 家族みんなで
(4) 先生を敬愛し、学校の人々に親しんで、学級や (4) 先生や学校の人々を敬愛し、みんなで協力し合
学校の生活を楽しくする。
って楽しい学級をつくる。
【第1学年の主題例】
学校大好き
楽しい学級に
【第2学年の主題例】
学校大好き
学級の仕事
(5) 郷土の文化や生活に親しみ、愛着をもつ。
【第1学年の主題例】
大好きな自分の町
ふるさとに親しむ
【第2学年の主題例】
郷土を愛する心
「まち」を大切に
【第3学年の主題例】
学級や学校を愛する心
学校を愛する心
【第4学年の主題例】
自分の学校のよさ
心合わせてつくる学級
(5) 郷土の伝統と文化を大切にし、郷土を愛する心
をもつ。
【第3学年の主題例】
郷土を愛する心
私たちのふるさと
【第4学年の主題例】
私たちのふるさと
郷土を愛する心
道徳教育の目標は、従来の目標に加
(6) 我が国の伝統と文化に親しみ、国を愛する心を
えて「伝統と文化を尊重し、それらを
もつとともに、外国の人々や文化に関心をもつ。
はぐくんできた我が国と郷土を愛し」
「公共の精神を尊び 」「他国を尊重し、
【第3学年の主題例】
【第4学年の主題例】
国際社会の平和と発展や環境の保全に
日本の文化や伝統を知る 日本のよさ
貢献し」が加えられました。
日本のよさ
-6-
私の国、日本
小学校第5学年及び第6学年
中学校
(1) 公徳心をもって法やきまりを守り、自分の権利 (1) 法や社会のきまりの意義を理解し、遵守すると
を大切にし進んで義務を果たす。
ともに、自他の権利を重んじ義務を確実に果たし
て、社会の秩序と規律を高めるように努める。
【第5学年の主題例】
公共の広場を大切に
約束や規則の尊重
【第6学年の主題例】
権利と義務
公徳を守る心
【中学校の主題例】
権利と義務
法の精神
社会の秩序と規律を高める
(2) 公徳心及び社会連帯の自覚を高め、よりよい社
会の実現に努める。
【中学校の主題例】
公徳心
社会連帯
よりよい社会の実現
(2) だれに対しても差別をすることや偏見をもつこ (3) 正義を重んじ、だれに対しても公正、公平にし、
となく公正、公平にし、正義の実現に努める。
差別や偏見のない社会の実現に努める。
【第5学年の主題例】
公平な心 みんな同じ人間
【第6学年の主題例】
公平な態度 差別を許さない
【中学校の主題例】
正義を重んじる 差別や偏見のない社会
公正・公平
(3) 身近な集団に進んで参加し、自分の役割を自覚 (4) 自己が属する様々な集団の意義についての理解
し、協力して主体的に責任を果たす。
を深め、役割と責任を自覚し集団生活の向上に努
める。
【第5学年の主題例】
役割を果たす 責任を果たす
【第6学年の主題例】
自分の役割とは みんなの中の自分
【中学校の主題例】
集団生活の向上
役割と責任の自覚
(4) 働くことの意義を理解し、社会に奉仕する喜び (5) 勤労の尊さや意義を理解し、奉仕の精神をもっ
を知って公共のために役に立つことをする。
て、公共の福祉と社会の発展に努める。
【第5学年の主題例】
困っている人のために
社会への奉仕
【第6学年の主題例】
ボランティア活動をして
みんなに奉仕する心
【中学校の主題例】
勤労の意義
奉仕の心
(5) 父母、祖父母を敬愛し、家族の幸せを求めて、 (6) 父母、祖父母に敬愛の念を深め、家族の一員と
進んで役に立つことをする。
しての自覚をもって充実した家庭生活を築く。
【第5学年の主題例】
温かい家庭
家族の絆
【第6学年の主題例】
家族の一員として 家族とともに
【中学校の主題例】
家族愛 家族の一員としての自覚
父母、祖父母への敬愛の念
(6) 先生や学校の人々への敬愛の念を深め、みんな (7) 学級や学校の一員としての自覚をもち、教師や
で協力しあいよりよい校風をつくる。
学校の人々に敬愛の念を深め、協力してよりよい
校風を樹立する。
【第5学年の主題例】
私の学校 母校を愛する心
【第6学年の主題例】
よりよい校風 よりよい学校に
【中学校の主題例】
愛校心
よりよい学校に
(7) 郷土や我が国の伝統と文化を大切にし、先人の (8) 地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛
努力を知り、郷土や国を愛する心をもつ。
し、社会に尽くした先人や高齢者に尊敬と感謝の
念を深め、郷土の発展に努める。
【第5学年の主題例】
郷土を見直す 日本を愛する心
【第6学年の主題例】
郷土を愛する 日本人として
【中学校の主題例】
郷土愛 地域社会の一員としての自覚 郷土の発展に努める
(9) 日本人としての自覚をもって国を愛し、国家の
発展に努めるとともに、優れた伝統の継承と新し
い文化の創造に貢献する。
【中学校の主題例】
愛国心 日本人としての自覚
伝統の継承と新しい文化の創造
(8) 外国の人々や文化を大切にする心をもち、日本 (10) 世界の中の日本人としての自覚をもち、国際的
人としての自覚をもって世界の人々と親善に努め
視野に立って、世界の平和と人類の幸福に貢献す
る。
る。
【第5学年の主題例】
同じ地球に生きている
心の通い合い
【第6学年の主題例】
【中学校の主題例】
平和と国際親善のために 人類の幸福
世界平和への貢献
世界平和のために
国際理解
よりよい世界に
-7-
3
話合いを重視した道徳の時間のつくり方
1
資料分析
資料分析とは、ねらいとのかかわりで道徳的価値がどのように描か
れているのか、生徒がどのように感じ、考えるのか、どのようにして
価値の自覚を深めることができるのか等を多面的に検討することです。
資料分析の手順
① ねらいとする内容項目の視点で資料を読む。
② 最も話し合わせたい場面を決める。本時のねらいに迫る発問を考える。
③ 話合いの前提として押さえておく場面の条件等を考える。
④ 話合いにおける生徒の反応を予想し、話合いを深めるための補助発問等を考える。
⑤ 話合いが効果的に深まるように、資料提示の工夫や授業への関心が高まるような導入の
工夫などを検討する。
2
発問構成
発問構成とは、生徒の思考の過程に沿って、道徳的価値の自覚を深
めさせる連続した発問の組合せのことです。
基本的な発問構成
第1発問…人間のありのままの姿が描かれている部分(共感:人間理解)
第2発問…主人公の迷いが表れている(推測できる)部分(葛藤)
第3発問…望ましい生き方が描かれている部分(覚醒:価値への気付き)
資料を活用しての話合いでは、発問の構成をこのようにすると生徒の多様な価値観を引き
出すことができます。
様々な価値観の選択場面を見つけて、生徒の多様な価値観を引き出すという点からは、葛
藤場面を大切にします。資料分析で捉えた「最も話し合わせたい場面」を中心発問とし、生
徒の反応を予想し、どのように話し合わせ、深めていくか、具体的に考える必要があります。
3
指導過程の基本形
導
入
価値への方向付け
☆主題に対する興味や関心を高め、学習意欲を喚起する。
・豊かな体験活動や生活経験の想起
・アンケート調査の結果等の表示
・資料に関する絵や写真等の提示
・主題にかかわる新聞記事、作文、詩等の活用
・
「心のノート」の活用等
☆中心的な資料によって、生徒一人一人が道徳的価値及びそれに基
づいた人間としての生き方についての自覚を深める。
前
段
後
段
末
価値の整理・まとめ
☆まとめをする
・生徒の考えの整理や感想発表
・生活体験の想起
・教師の説話や体験談
・地域人材の活用
・
「心のノート」の活用
・格言、ことわざの活用等
生
徒
生
徒
主人公
終
価値の主体的な自覚
○主人公が気付いた道徳的価値を自覚し、自己の生き方につい
ての考えを深め、発展させていく発問
・自分自身を振り返り、自分の生き方、在り方を内省する。
※振り返る視点を明確に示したワークシート等の活用、書く
活動
資料への共感
主人公
開
▲
展
価値の追求・把握
○資料の範読
○主人公の生き方に共感させる発問
○話合いのきっかけを投げかける発問
・多様な感じ方や考え方を引き出し、話し合わせる。
※グループやペアによる小集団の話合い
※動作化、役割演技の活用
※十分な時間の確保
指導過程とは、生徒一
人一人が主体的に道徳的
実践力を身に付けていく
ための指導の手順を示す
ものです。
指導過程の基本形とは、
道徳の時間を誰もがわか
りやすく行えるように、
指導の効果を考えた導入、
展開、終末という授業の
流れですが、教師の創意
工夫が必要で、固定化・
形骸化は避けなければな
りません。
生徒が資料中の主人公と気
持ちを重ね合わせ、自分の
こととして考えるように
-8-
4
道徳の時間の学習指導案
~枠組み例と記入のポイント~
学習指導案
「道徳の時間」の学習指導案は、各学校で工夫してつくることが大切です。
作成に当たっては、授業者としての指導の意図がよく伝わるような柱立てや表現(表記)
の仕方を工夫し、記載する内容を明確にしておくことが重要です。
第○学年○組 道徳 学習指導案
日 時
場 所
指導者
1
主題名
平成
年
月
第○学年○組教室
教諭
○○ ○○
日( )第
在籍生徒数
校時
名
○○○○○○○○○○〔指導内容○-(○)〕 学習指導要領の内容項目
※学習するテーマとしての主題について、短くまとめて表現します。
2
資料名
「○○○○○○○○○○○○○○○」
(出典:「○○○○」
(
)」
※中心的に生かす資料名とその出版社、作者等を明らかにします。 副読本等、使用す
る資料(出版社、作者等)
3 主題設定の理由
(1)ねらいとする価値について
※ねらいとする内容(価値)についての教育的意義や、教師の
受け止めについて記述し、本主題の指導をどのように方向付
けるのかを整理します。
(2)生徒の実態について
※ねらいとする内容(価値)に関して、実際に指導する学級の
子どもたちの実態を捉え、どのように育って欲しいのか(教
師の思い・願い)も含めて示します。
(3)資料について
※主題設定の理由は、
左のように、
(1)価値観
(2)生徒観
(3)資料観
の3つについて整
理して記載するこ
とが多く、そこに
教師の指導観が織
り交ぜられるよう
にします。
※本時の指導で生かす中心的な資料の内容についての受け止めと、その生かし方や指
導の中心的な手立てなどについて示します。
4
他の教育活動との関連
※特に関連のある教育活動や体験活動(各教科等)、日常生活との関連(家庭とのか
かわり)、事前や事後の指導の工夫について記述します。
※教師の指導の意図や重点を強調するために、例えば、学校の実情によって、「研究
主題とのかかわり」
「指導の主な手立て」
「本指導の重点」などを新た柱立てを設け、
特記することも考えられます。
※複数時間の関連を図った指導の場合は、具体的に説明します。
5
本時のねらい
※ねらいとする内容について、どのような角度から指導するのか、また、道徳的心情
や判断力、態度等、どのような側面に重点を置いて指導するのかを簡潔に示します。
-9-
6
段階
学習指導過程
学習活動と主な発問
予想される生徒の反応 ・指導上の留意点 ☆評価の観点
1
導
入
○○○○○○○
・○○○○○○○○○ ・○○○○○○○○○○○○○。
○○○。
○○○○。
※話合いへの動機付けとして、子どもが問題意識をもったり、関心をもち、意
欲が高まったりするよう工夫をする。(資料提示、教師の話など)
導入では、ねらいとする道徳的価値への方向付けや主題に対する生徒の興味・
関心を高めます。
価値への方向付け
展
開
・○○○○○○○○○。・○○ ※それぞれの学習場面
での工夫やその場で
・○○○○○○○○。
の指導のポイント等
・○○
※主な発問に対し、
を織り込みます。
○○
子どもの期待され
例えば、演技的な活
る発言例などを整 ・○○
動、討論的な話し合
理して示します。
い、ノートの工夫、
・○○
板書での工夫、個別
3 ○○○○○○○○
指導での配慮、話合
(1) ○○○○○○○○ ・○○○○○○○。
いの着眼点などにつ
・○○
※学習の中心を担う発問(中心発問、主
いて示すことが考え
○○
発問などという)から考え、それを生
られます。
かす前後の発問(基本発問などという)
2 ○○○○○○○
※学習の流れを、子
どもの活動する姿
としていくつかの
節目に分けて書き
ます。
(2)
を考えるといった手順が効果的です。
・○○○○○○○○○○○○○。
展開前段では、問題意識をもってねらいとする道徳的価値を追求し、多様な感
じ方や考え方によって生徒が学び合うように導いていきます。価値の追求・把握
(3) ○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○。
○○○○。
・○○○○○○○○○○○○○。
※授業の中心部分に紙幅をとって、子どもの ※この欄の節目となる箇所に
考えの違いや対立などが浮き彫りになるよ
評価の観点(☆印)を示す
うに表現する工夫が重要です。
書き方がよく見られます。
☆○○○○○○○○○○○○○。
4
○○○○○○○○ ・○○○○○○○○○。・○○○○○○○○○○○○。
展開後段では、生徒一人一人が自分自身の生き方をじっくりと見つめ、夢や希
望、課題をもてるように導いていきます。
価値の主体的自覚
※資料を通して考えたことを自分たちの生活
や生き方に結び付けて一層深めるための話
合いを位置付けること(生活体験の想起)
が多く見られます。
終
末
5
・○○○○○○○○○○○○○
○○○○。
☆○○○○○○○○○○○○○。
○○○○○○○○
終末では、道徳的価値に対する思いや考えを温めて、道徳的実践への意欲を高
めます(「価値の主体的自覚」を促す)。
価値の整理・まとめ
7
評価の観点
※ねらいとのかかわりは生徒の心の動きなどを捉え、それによって自らの指導を評
価する観点について記述します。
8
板書計画
※思考の流れだけでなく、違いや多様性を対比的、構造的に示す工夫を凝らします。
- 10 -
5
道徳の時間に生かす指導方法
7つの工夫
道徳の時間の効果を高めるには、教師自らが多様な指導方法を理解して、身に付けておく
必要があります。
指導に際しては、子どもの学習が効果的に生み出されるよう、指導方法をよく吟味した上
で活用していくことが大切です。
ここでは、「学習指導要領解説道徳編」が示す指導法の7つの工夫について、その趣旨や
具体例などを整理して紹介します。
7つの工夫
工夫の着眼点・具体例
留意点
●アンケート結果の活用
○資料の世界の視聴
●視聴覚機器(PC、プロジェクター、スラ
に傾注できるよう
生徒と資料が出会い、 イド、DVDなど)の活用
配慮する
興味や関心をもち、 ●実物や写真の提示
○情報過多にせずに、
資料の内容を臨場感 ●絵本の語り聞かせ
選り抜かれた情報
をもって理解する
●教員が役者になって録音した資料
で想像を膨らませ
●BGMの活用
など
ることを大切にす
る
1
導入・資料提示
▲
DVDを使って
絵本を使って
プロジェクターを使って
●子どものこだわりや問題意識が生かされ、 ○細かな発問は授業
生み出される発問
を引きずる不安が
生徒の心を動かし、 ●自由度があり、個性的な考えが出される発問 強い
多様な考えを引き出 ●考える必然性や切実感があり、心が揺さぶ ○重要な発問に絞る
し、思考を深める。
られる発問
など
ことで、多様な考
〈話し方〉
えが引き出される
〈わかりやすい言葉遣い〉
・声の大きさ
・わかる言葉
・温かい言葉
・声の調子
子どもたちを生き生
・美しい言葉
・心に響く言葉 ・話すときの表情
きとさせ、やる気を起
・時には厳しい言葉
・言葉の抑揚
こさせる大切な要素
2
発問構成
▲
●考えの立場や気持ちなどの類別や心情図、 ○教師と子どもの閉
グラフなどでの視覚化
じられた受け答え
生徒相互に多様な考 ●意図的指名
ではなく、相互作
えを学び合い、深め ●座席配置などの形態の工夫
用を促し、聞き合
合い、切磋琢磨する ●ペア、小グループ討議などの集団の工夫
いや議論が生まれ
●パネル討議、ディベート形式の形態 など
るように配慮する
3
話合い
▲
小グループでの話合い
コの字型座席での話合い
- 11 -
保護者のグループでの話合い
●吹き出しを付けた形式
○書く回数を重要な
●手紙の形式
箇所に絞り込み、
個別化の中で個性的 ●作業的、ゲーム的な内容を組み入れた形式
記述内容を生かす
な考えが深められる ●自己評価欄を置いた形式
工夫をする
●授業で学んだことや考えたこと、これから
の自分に生かしたいことなどを書く活動
など
4
書く活動
▲
●役割演技…特定の役割をもって即興的演技 ○常に大がかりな場
から深める方法
の設定が効果的だ
一人一人の考えが内 ●劇
化…せりふや演技や状況などの真似
とも限らない
容面から語られ、実 ●動 作 化…動きを忠実に真似をして実感的 ○子どもの動作や表
感的に深められるよ
な理解を深める方法
情が創造的に発揮
うにする
●疑似体験…一定条件での追体験的活動など
される場の設定を
工夫する
5
表現活動
▲
●中心部分を特にクローズアップした構成
○順接的、時系列的
●意見の違いが類別化、類型化された構成
な構成だけでなく、
思考を深める共通の ●子どもが参画できる構成
対比的、構造的な
ノートとして生かす ●黒板を舞台のようにした構成
など
構成の工夫も大切
にする
6
板書
▲
マナーを考える電車のポスター
絵本にある場面絵や折紙
縄文杉1枚の絵
説話等の終末 ●日常の話題や学級の出来事等を生かした内 ○教師の考え方を子
容
どもに押し付ける
生徒に伝えたいこと ●格言やエピソード 、「心のノート」のメッ
構えではなく、願
を教師の言葉で伝え
セージなどを生かした内容
いとして語り伝え
る
●教師の忘れられない体験
る姿勢をもつ
●ゲストティーチャーの話
●授業に関連する詩の朗読
●音楽や歌を聴く
など
7
▲
詩の朗読
ゲストティーチャーの話
折紙
「心のノート」の活用
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