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企業への 協働提案マニュアル

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企業への 協働提案マニュアル
2013年3月
企業への
協働提案マニュアル
佐賀県
受託者:CSO 企業間協働調査事業体
NPO 法人 さが市民活動サポートセンター
NPO 法人 佐賀県 CSO 推進機構
認定 NPO 法人 地球市民の会
1
企業への協働提案マニュアル
はじめに
地方分権、自治体財政の悪化、少子・高齢化、環境保全や産業空洞化、多様な県民ニーズなど、行政
のみの対応では限界があります。県ではこうした地域課題を解決していくために、自己実現や社会の課
題解決に向け自主的に活動する多彩な市民社会組織(CSO)との協働を進めています。
一方、CSO 自身も組織内部のマネージメント(経営管理)能力を高め、自主的、自発的にいきいきと
活動できるよう、環境整備が必要になっています。そのような背景においてCSO活動をさらに充実さ
せるためには、CSO と他セクターとの協働・連携の取組が重要です。特に CSO にとって経営資源が豊
富な企業と様々な協働事業を実施することが重要です。このため、CSO が企業と協働・連携への取組を
深める必要がありますが、佐賀県においては十分に深まっているとは言えません。
そこで今回、新しい公共支援基金事業を活用し、県内3つの CSO の共同事業体である「CSO 企業間
協働調査事業体」に委託し、CSO が企業と協働を促進するためのマニュアルを作成しました。このマニ
ュアルを CSO に活用していただき、佐賀県の CSO と企業との協働が進むことを願っています。
※CSO とは: Civil Social Organizations(市民社会組織)の略で、NPO法人、市民活動・ボランテ
ィア団体に限らず、自治会・町内会、婦人会、老人会、PTAといった組織・団体も含めて、「CSO」
と呼称しています。
目
次
基礎編
1.企業の社会貢献意識について
(3)
2.企業の CSO(市民社会組織)との協働に対する意識
(6)
3.CSO に対する企業の本音
(10)
4.コーズ・リレイテッド・マーケティング(CRM)について
(12)
5.良い協働、悪い協働
(15)
実践編
6.CSO による企業への協働提案書作成の準備
(16)
7.協働提案書の書き方
(17)
8.企業と CSO の協働事例
(22)
参考資料
企業経営者の社会貢献活動と CSO の協働に関する
意識調査の結果概要
2
(24)
~基礎編~
企業の CSO(市民社会組織)との協働に対する意識や近年の推移について分析していきましょう。
1. 企業の社会貢献意識について
成熟した市民社会において、企業が単に利益を追求するだけの機能しか発揮しなかった場合、市民そ
して投資家からも支持されないという傾向が強まっています。そのような背景の中、企業の社会的責任
(英記:CSR: Corporate Social Responsibility
以下 CSR)が注目され、企業も CSR に対して意識を
強める傾向にあります。
CSR とは、企業の組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆる利害関係者(消費者・顧客、
投資家、社員及び社会全体)からの要求に対して、社会的規範と企業の理念に照らし合わせながら意思
決定をすることをいいます。 ここで、ポイントになるのが、いわゆる利益を目的としない慈善事業、
例えば寄付、フィランソロピー(奉仕的活動)、メセナ(芸術文化活動)だけを指していうものではな
いということです。CSR には広く、コンプライアンス(企業の法定遵守)、ガバナンス(企業の自己統
制)、アカウンタビリティ(企業の情報開示)を含めた企業全体の活動に関する責任であるということ
です。したがって、企業の社会貢献とは、企業の社会的責任、言い換えれば企業はコーポレート・シチ
ズン(企業市民)としての責任を果たすということであるということを認識して、CSO サイドは考えて
いかなければならないということになります。
では、企業は社会貢献についてどう考えているかについて見ていきましょう。
まず、以下のグラフ(図 1)をご覧下さい。これは一般市民の消費行動の際の基準を会社の社会貢献
図 1
「一般市民の消費行動と会社の社会貢献との関係性」
2003 年日本経済新聞
との関係性で調べた結果です(2003 年 日本経済新聞調べ)。一般市民の購入行動における意識が以上の
ような数値で出ました。企業はあくまでも利潤を求められる以上、顧客の意識に従って会社を運営する
傾向にあるのは疑いのないところです。特に注目すべき点は「地球環境に配慮する企業」の商品を重視
する消費者が 90.0%と出ている点です。この数字は 2003 年のものですから、ここ 10 年のあいだに実
際に市場には環境を重視した商品、販売戦略におけるメディア等の PR にも環境を謳った展開が増えて
3
きた現実を考えると、顧客ニーズに対し直接的に反応し、そのニーズに適合しようとする企業行動は非
常にわかりやすいと言えるでしょう。このような事実に対し、「地域社会・市民に貢献する企業」の商
品を重視する消費者が 77.5%という数字が出ている点を注目しましょう。環境に比べて低い数字ですが、
環境重視での差別化が飽和状態にあるという点と、2011 年に発生した東日本大震災後の今、地域社会
への社会全体の回帰基調を考えると、この数値はより高くなっているといえますので、今後の企業動向
を予測することが可能です。
2003 年日本経済新聞
図 2 「企業の社会貢献に対する意識調査」
また、上記のグラフ(図 2)は企業の社会貢献に対する意識についての調査結果です。
やはり、地球環境に対しての配慮が最上位にあるのは時代背景として納得のできるものです。注目す
べきは「企業は地域社会や市民との交流を積極的に行っていくべきだ」について、81.1%の企業が当て
はまると考えている点です。CSO に対し企業側の門戸は開かれているということを示す数値であり、
CSO 側も企業との協働や連携について、もっと意識しなければならないということです。また、もう一
つ注目すべきことは、
「企業の利益追求と社会性は両立する」が 71.8%という点です。
「企業の株主への
配当重視」47.3%、
「短期収益性が低下しても社会貢献に取り組むべき」44.4%と並べてみれば、企業利
益と企業の社会貢献に対する関連性を重視しているという傾向が読み取れます。後述しますが、コー
ズ・リレイテッド・マーケティング(CRM)が注目されている理由もこの点にあります。利益もあげた
い、社会貢献もしたい、というのが企業の置かれた立場であるということでしょう。
※
CRM:Cause Related Marketing。コーズ(Cause)とは社会的課題やテーマのこと。CRM とは、
そうした課題の解決と売上拡大の実利との両立(社会性と収益性の両立)を目指すマーケティング手法
4
下記のグラフ(図 3)は、2012 年に発表された「2011 年度の社会貢献活動調査」(日本経団連社会貢献
推進委員会調査)の結果から、企業が社員の社会貢献活動を支援をする理由を示した表です。注目すべき
は「地域社会に貢献したい」「社会における企業イメージを上げたい」という 2 つの項目の伸び率が高
い点です。
図 3 「社員の社会貢献活動を支援する理由」 2012 年 日本経団連社会貢献推進委員会 調査
図 3 「社員の社会貢献活動を支援する理由」
5
2012 年日本経団連社会貢献推進委員会調査
2. 企業の CSO(市民社会組織)との協働に対する意識
図 4 「非営利組織との接点の有無」2012 年日本経団連社会貢献推進委員会調査
企業の CSO に対する意識を見てみましょう。日本経団連社会貢献推進委員会の調査では、非営利組
織との接点を持つ企業は 75%となっており、多くの企業が CSO と何らかの関係を有しているといえま
す。次のグラフ(図 5)は企業における CSO との具体的な関係です。
図 5 「非営利組織との具体的な関係 ( 複数回答 )」2012 年日本経団連社会貢献推進委員会調査
6
具体的な関係において注目すべきは、寄付や物品提供による支援が減少傾向にあるという点と、それ
に対して協働事業の実施などの密接な関係が増加傾向にある点です。単に寄付や物資の提供という支援
だけでは、企業の社会貢献を果たしたというにはアピール度が高くなくなってきたということと、前の
グラフ(図 3)で「社員が会社に対して誇りを持てる」ことが社員の社会貢献活動を支援する理由として
高いことから、企業にとって CSO との密接な関係が求められてきていると言えます。
また、次のグラフ(図 6)は CSO との支援・連携の際に企業が重視する点です。
図 6 「非営利組織との支援・連携の際に企業が重視する点 ( 3 つ以内回答)」
2012 年日本経団連社会貢献推進委員会調査
7
CSO との支援・連携の際には、自社の基本方針や重点分野と CSO からの提案が一致することが特に
重視されています。CSO は企業に対して提案する際には十分に企業の基本方針や重点分野を調べたのち
にアプローチする必要があるということです。
注意しなければならないのは、運営の透明性や活動実績の数値が減少しているのは、そのポイントを
重視しなくなったというわけではなく、
「当たり前」のものになったということであるということです。
つまり、組織の透明性や活動の実績があり、なおかつ自社の基本方針や重点分野との一致した CSO と
の協働を考えているということです。
また、プログラムの企画提案力が求められてきていますが、企業にはない CSO の強さから提案され
ること、特に CSO の強みは一般的に現場に近く、現場のニーズを熟知していると言えますので、企業
の「市民が真に求めることを知りたい」というニーズをカバー出来ることが CSO に求められています。
信頼性については公益法人、認定 NPO 法人であることが求められつつあり、代表者のリーダーシッ
プなどの個人的な信頼よりも組織としての信頼が求められるようになりました。これは CSO という活
動が企業によってより一般的に認識されつつある現象だと言えます。次のグラフ(図 7)では 72%の企業
が「公益法人、認定 NPO 法人であることが協働・連携の判断に影響を与える」という回答を示してい
ます。企業との協働を目指す CSO は公益法人や認定NPO法人を取得しておいたほうが有利であると
言えるでしょう。
2012 年
日本経団連社会貢献推進委員会
調査
図 7 「公益法人、認定 NPO 法人であることが支援・連携の判断に与える影響」
次のグラフ(図 8)では、企業が CSO と連携を進める上で、企業側からみた CSO の課題を示していま
す。
このグラフから、企業側は CSO の「社会のニーズにあった新規事業の開発」や、
「メッセージの発信
力強化」について課題であると感じているといえます。このことは、企業は成果を重視しており、CSO
が社会課題を社会に対して提案し、その解決に向けた活動の成果を社会全体に発信できる能力を重視す
るという企業の意識を顕著に表しています。
ドラッカーは著書「非営利組織の経営」において、非営利組織が対外的に明示できなければならない
重要なポイントとして、
1.解決する問題は何か。
2.どのように解決するのか。
3.成果は何か。
の 3 点を明示しています。CSO は、このドラッカーの言葉を待たなくとも、企業はすでにそれを求
めていると認識しなければなりません。
情報開示やガバナンスといった組織体制への視点が、数値的に低下してきている背景としては、公益
8
法人、認定 NPO 法人であれば、情報開示やガバナンスはすでに実施しているものであるため、それを
実施していることが前提となってきていると考えるべきです。つまり、CSO に対する企業の目は一ラン
クレベルが上がってきていると言えますので、CSO も組織としての有り様を見直す必要があり、組織強
化は組織全体として取り組むべき課題だと言えます。
図 8 「非営利組織と連携を進める上で、NPO-NGO 等にとっての今後の課題 ( 3 つ以内回答 )」
2012 年
9
日本経団連社会貢献推進委員会
調査
3. CSO に対する企業の本音
県内 46 社に対する訪問調査(調査期間:平成 25 年 1 月~3 月)による企業経営者や CSR(企業の社会
的責任)担当者に対する聞き取りから、企業の CSO に対する意識等について下記のとおりまとめまし
た。(アンケート調査の集計結果は 24 ページの参考資料参照)
①
協働・連携したい CSO とは
1.
企業の利害関係者(消費者・顧客、投資家、社員及び社会全体)に共感してもらえる CSO
2.
企業イメージやブランド、企業理念や基本方針、重点分野と一致する活動を行っている CSO
企業としても CSO と協働するための理由が必要です。なぜ、その団体と協働するのか、
と問われた際に明確に答えられるためです。そのために必要な点が上記の2点となります。
一つ目は、活動の成果をコンパクトにまとめ、効果的に伝えることが重要です。そのため広
報に力をいれ、なおかつ組織強化で対応していきます。二つ目は、協働をする企業を絞り、
その企業の理念や重点分野などを理解することで対応していきます。
②
パートナーとして選ばれる CSO の条件
1.団体の成果、実績・知名度
2.他企業との協働の実績
3.信頼度
4.企業の立場の理解
知名度を上げるためには、マスコミやソーシャルネットワーク、インターネットでの露出
を重ねていくしかありません。様々な賞を受賞することも有効です。企業との協働実績は団
体案内やリーフレットにも記載することが必要です。信頼度は公益社団法人、公益財団法人、
認定 NPO 法人となることが最も有効です。また、組織内にボランティアコーディネーター
や認定ファンドレイザー等の資格を持った人がいるというのも、今後有効になってくると思
われます。
③
嫌われる CSO
1.説教臭い
2.自分の都合だけ話す
3.暗い話題を暗く話す
4.スピード感がない
CSO は実際に孤軍奮闘で「社会問題解決活動」をしています。そのような環境下である
がゆえに CSO の提示する社会的問題を企業は全く知らないと思いがちです。そして、「企
業はなぜ支援してくれないのか」と思ってしまい、ついつい説教臭い話の展開になってし
まいます。本来ならば、同志を作る為の活動であるにもかかわらず、恨み節になってしま
えば逆効果になり、企業の方もそのような話は聞きたくありません。また、企業の立場も
考慮せず自分の都合だけを話されても、企業は対応が難しいのです。
10
CSO はなんとかしなければならない社会課題を扱っていますので、明るい話題ばかりで
はありません。元来暗い話題です。これを暗く語ってしまうと企業担当者もなんとかしな
きゃという気持ちが萎えてしまいます。従って、CSO は暗い話題を如何にうまく伝えるこ
とができるかは重要な技術となります。このためには、普段から「我々のミッションは何
か」「我々の取り扱う社会問題は何か」「そのために何をするか」「そして何を実現するか」
ということを組織内で語り合い、ブラッシュアップして説得力あるものを用意しておかな
ければなりません。
CSO は企業の即決に近いスピード感に対応できないことがあります。企業の意思決定ス
ピードに合わせた組織としての対応も必要です。例えば、企業との協働の実施と方向性を
組織内で合意し、詳細は理事長や専務理事または事務局が即決できるよう組織内の了解を
取っておくことで対応できます。
④
企業へのアプローチ方法
企業に協働を提案するときの窓口によって、企業の対応方針に違いがあります。従って、提案
する企業の窓口によって提案の仕方を工夫する必要があります。
1.社会貢献室
社会貢献を全社的に対応しているので、現在行われている社会貢
献活動と比較してより意義のある活動の提案を受け入れる傾向にあ
ります。その場合、現行の社会貢献活動を調査し、提案の際に、従
来の活動と比較したメリツトを強調して伝えます。
2.広報課
社会貢献活動への取り組みを積極的に広告宣伝することを重視し
ている企業は広報課で社会貢献を受けていますので、マスコミ等の
取り扱いが大きくなりそうな事業の提案を受け入れる傾向にありま
す。その場合、話題性を十分考慮した提案を行います。
3.マーケティング室
コーズ・リレイティッド・マーケティング(CRM)などに力を入れ
る傾向があります。特に企業側のメリットを十分に考慮した提案を
行います。
4.社長室
この場合、社長自身が社会貢献意欲が強いことが多のですが、自
らのポリシーがありますので、そのポリシーに合致した提案のため
の十分な下調べが必要です。しかし、話が一度まとまると思った以
上に大きな協働なども期待できます。
11
4. コーズ・リレイテッド・マーケティング(CRM)について
この項は 2013 年 3 月東京で開催されたファンドレイジング・ジャパン 2013 の分科会で野村尚克
氏のセッション、
「活動を元気にするコーズ・リレイテッド・マーケティング」からまとめています。
コーズ・リレイテッド・マーケティング(CRM)とは
コーズ・リレイテッド・マーケティング(以下 CRM)とは、「収益の一部が CSO などへの寄付を
通じて、社会的課題の解決のために役立てられ、なおかつ、売上拡大の実利との両立(社会性と収益
性の両立)を目指すマーケティング活動」と言えます。最も馴染みがあるのはアサヒビールが 2009
年から春・秋の年 2 回実施している『うまい!を明日へ!』プロジェクトでしょう。スーパードライ
1 本につき 1 円を、日本全国 47 都道府県それぞれの自然や文化財などの保護・保全活動に寄付する
活動です。佐賀県は吉野ヶ里遺跡のために寄付をされています。2012 年の佐賀県におけるプロジェ
クト第 5 弾の寄付金総額は 282 万 6,414 円でした。2009 年春の第 1 弾からの佐賀県での累計寄付金
額は、1,556 万 3,144 円となっています。第1弾が 155 万本の販売本数に対し第2弾が 432 万本の販
売と売り上げ増加を実現しています。つまり、CRM を簡単に言うと寄付付き商品、寄付付きサービ
スで企業の社会的責任として社会的課題を解決し、なおも売上を増大させようとする企業活動だとい
うことになります。
CRM は従前の企業活動と社会的課題の解決活動の重なる部分を領域とするマーケティング活動で
す。この領域は社会的課題を企業が持つ営利事業を通し解決しようという方向性で、企業にとっては
新しいマーケットだと言えます。(図 9)
図 9 「コーズ・リレイティツド・マーケテングとは」
(野村尚克氏
作成)
一方、CRM の場合、社会の課題解決を誰が実施するかという重要なポイントもあります。企業に
は本分の経済活動があるために、自らが解決するための活動をするわけにはいきません。そこで、企
業が社会的課題だと考えた問題解決を CSO に代わりに担ってもらうという形になります。通常の企
業の経済活動は企業と顧客との2者間で完結しますが、CRM の場合、企業と顧客と CSO の三者にな
ります。
この場合、三者間には近江商法の「三方よし」が成り立つという特徴があります。まず、企業にと
12
っては、CSR の一環として社会的責任を果たすことができますし、寄付商品を売ることで売上をあげ
ることもできます。CSO にとっては、寄付を集め、自分たちの活動を広く広報し、自分たちのミッシ
ョンの実現にも近づけられます。消費者にとっては、気軽にできる社会貢献であり、商品選択の基準
を得ることができます。これら 3 者がそれぞれにメリットを享受できる仕組みとなっているところで
す。(図 10)
図 10
「関係するステークホルダー」
(野村尚克氏
作成)
では CRM は企業や CSO にとって有効なのでしょうか?
次の表(図 11)は、寄付付き商品の購入経験を尋ねたものですが、2009 年からわずか3年のあいだ
に寄付付き商品の購入者が半分以下から 4 人中 3 人以上の数に増えています。購入理由が「どうせな
ら、役に立つほうがいい」と思ったからという理由からも CRM は有効だと言えます。しかし、企業
にとって CRM は明確な目的、期間、関連性を上手に訴えなければ、社会貢献活動の目的を誤認され、
売名行為や売らんがための行為と思われる可能性は出てくるので、キャンペーンやプロジェクトとし
て共感を得られるようにしなければなりません。
図 11
(野村尚克氏
作成)
CRM の事例
◆ボルヴィック「1L for 10L(ワンリッター フォー テンリッター)」プログラム
2007 年からボルヴィック社がユニセフと協働してアフリカのマリ共和国に井戸を掘るなどの活動
を行っています。一般の市民がボルヴィックの水を 1L 購入するごとにアフリカのマリ共和国に水 10L
13
が供給される事業を実施するというプログラムです。このプログラムを実施した期間の売上昨年対比
は 131%となり、翌年はなおも 111%で、わずか2年で売上は1.5倍になっています。
◆アメリカン・エキスプレス社
自由の女神修復プロジェクト
1980 年代初頭、ニューヨークの自由の女神の老朽化が目立つようになったのですが、この頃のア
メリカ経済は、経済成長率はマイナス、失業率も高止まりで推移し、財政収支、貿易収支もともに赤
字の「双子の赤字」時代でアメリカ史上最悪の経済状況でした。当然ニューヨーク市にも合衆国政府
にも修復に当てる予算がない状況でした。そこで、1983 年にアメリカン・エキスプレス社が、自由
の女神を修復するために寄付付きのキャンペーンを実施しました。アメックスカードへ新規で入会す
ると 1 ドルを、カードを利用するごとにつき 1 セントを寄付として積み立てて自由の女神を修復する
というものでした。このキャンペーンによってアメックスカードの新規入会者は 145%、アメックス
カード利用額は 128%の増加となり、わずか 3 か月間で 170 万ドル(日本円にすると約 4 億円)の寄
付を集めました。これが、CRM の始まりと言われています。
佐賀県における CRM について
佐賀の企業と寄付付き商品に取り組むことは可能でしょうか?
結論的に言うとそれは可能です。なぜなら、佐賀の企業も社会貢献活動に関心を持っていますし、
出来ることならやりたいと考えています。例えば、佐賀にある菓子製造業の企業に寄付付き商品を提
案したところ、子どもの健全育成などの寄付付き商品ならば OK だと回答されました。また、佐賀の
貴金属業の企業に提案したところ、女性を支援する組織のために寄付付き商品を販売しても良いと話
されていました。このように佐賀の企業でも意欲は有り、CSO 側の提案によっては十分に成り立つ可
能性があります。
さて、寄付付き商品に取り組むために必要なことを野村尚克氏は「コーズ・リレイテッド・マーケ
ティングは、共感を集める右脳型のマーケティングです。だから、とにかくすっきりわかりやすく、
『この商品を買ったら井戸を掘ります』『売上から 1 円を寄付します』というようなシンプルなもの
にし、透明かつ報告もきちんと行うことが大事」だと説明しています。(図 12)
企業には、これらのポイントをおさえた提案が必要です。
図 12
(野村尚克氏
14
作成)
5. 良い協働、悪い協働
企業との協働において良い協働とは。
① 対等なパートナー関係を維持する。
② 社会問題の解決による受益者の増大を共通の目的とする。
③ 役割と責任を明確にし、依存関係にならない。
④ お互いの文化の違いを認め合う。
⑤ お互いの状況、特にマイナスの状況を共有する。
⑥ 情報公開を適切に行い、癒着等のいわれ無き嫌疑を避ける。
協働事業では以上のポイントを押さえているかを常にチェックする必要があります。
企業との協働において悪い協働とは。
①
CSO が企業の下請けになってしまう。
②
協働事業そのものが目的となってしまう。
③
相手に依存してしまう。
④
自分の都合を優先する。
⑤
お互いのコミュニケーションがない。
⑥
資金の流れなどが不明瞭。
上記のような状況になっていないか常にチェックし、このような傾向が現れたら改善をしていきま
しょう。
15
~実践編~
企業の社会貢献や CSO との協働に対する意識等について基礎編で分析してきました。それを基盤
として、実際に企業に協働を提案していきましょう。
6. CSO による企業への協働提案書作成の準備
協働提案書の作成前に、次の4つのことを事前にチェックをしておくことをお薦めします。
まず、本当に企業と協働する必要があるのかをもう一度じっくり考えてみましょう。何のために協
働するのかを明らかにすることで、協働の成果が CSO にとってプラスであるのか、ということを客
観的に評価することができるようになります。
二つ目に、協働を進める理由が固まったところで、CSO の持っている人材やノウハウなどの資源を
明らかにしつつ、団体としての強さが何であるかを詰めていきましょう。強みこそが、企業と対等に
協働を実施していく鍵となります。
三つ目に、協働を提案する相手企業を調査します。相手の事業を考えずに提案することは善意の「押
し売り」でしかありません。協働がうまく実現できないだけではなく、CSO の組織としての信用も失
墜します。
そして最後に、提案したい企業に直接、協働の可能性を尋ねるのです。この時点では、提案の内容
が固まっていない状態でしょうが、大丈夫です。企業に「佐賀に本部を持つ、○○をする(主な活動:
一言で言えるようにしておきましょう)○○(組織名)ですが、社会貢献活動の協働事業として御社
に○○(概ねの事業内容)の提案をさせていただきたいのですが、そのようなお話を聞いていただけ
ますでしょうか」というような電話をします。企業側がその意向が一切ない場合は電話で断られます。
ここで「社会貢献はもう十分にやっている」とか、
「△△分野に絞っている」、とか、
「特定の CSO と
の協働はしていません」、と言われたら、どうしてもその企業でなければならない理由がなければ、
諦めて他の企業にターゲットを変える方が良いでしょう。一度直接聞きましょうということになった
ら、先方は聞く気になってくれたわけですからここで提案書を作成いたします。
<協働提案書作成の準備のポイント>
①
協働によって自分たちのやるべきことは何かを明らかにする。
・具体的な社会課題はなにか
・その解決方法は何か
・実現する具体的成果は何か
②
CSO 自らの強みを知る。
・強みは何か、弱みは何か
・社会的なチャンスは何か
・持っている資源を整理・確認する
③
企業の理念、社会貢献活動の実績や企業の社会的責任の指針などを調べる。
・協働を提案したい企業の理念、社会貢献指針
・企業の社会貢献活動の実績
・同業他社の社会貢献活動
④
電話して事前調査のアポイントを取る。
・企業の担当者に協働提案をする内容について可能性を実際に聞いてみる。
16
7. 協働提案書の書き方
準備が終わったらいよいよ提案書を作成しましょう。一度お会いした、もしくはお話をした担当者
の顔を思い出しながら、どのような提案なら喜んでもらえるか想像しながら記入していくと、伝わる
提案書になります。
これから説明する協働提案書の書き方は、図 13 のフォームに従っています。
記載する内容はこのマニュアルの基礎編で説明したポイントを網羅したものになっています。また、
順番に記載していけば論理的な整合の取れた提案書になります。従ってプレゼンテーションもこの提
案書の順番に説明すれば、理解してもらいやすくなり、話下手と思われている方も安心して企業訪問
が出来るでしょう。
以下、フォームの項目ごとに記入方法を説明します。
協働提案書
年
月
日
御中
この事業実施による成果とその指標
団体名
広報の方法
事業名
他の協働先、協力者
私たちが御社と協働事業で行いたいこと
他社の事例
誰のために実施するのか
実施体制
どんな社会的問題が解決されるか
予算案
御社にご協力いただきたい事とそのメリット
その他
私たちの実施することと、私たちの強み
いま実施すべき社会的要因
図 13 「協働提案書フォーマット」
●
団体名
団体名は法人の種類もしっかりと記載しましょう。提案者が代表者とは別の場合は代表者を記名
しましょう。
●
事業名
事業名は内容がしっかり理解できるものにしましょう。例えば、夏休みの子どもに理科に対する
興味を高めようとするプログラムには「学校ではできない理科実験を通し、子どもの理科力を高め、
佐賀からビルゲイツを育てる事業」などというように、内容がすぐわかり、興味を引き出すような
事業名にしましょう。
17
情緒的なタイトルを付けたくなることもあります。例えば、「感動・発見・ワクワクの夏事業」
とか、「探せ!佐賀のビルゲイツ事業」とネーミングしたい場合です。実際にはその名前でチラシ
などを作って募集をしてもいいのですが、企業に提案するときは避けたほうがよいでしょう。
事業名で内容を理解してもらえなければ、興味を示してもらえないからなのです。情緒的な表現
はサブタイトルに入れるという方法もあります。
●
私たちが御社と協働事業で行いたいこと
事業の内容を説明します。ここでは、事業内容の面白さが鍵となります。今まで当該地域で実施
されたことがない、実現可能な事業がベターです。しかし、当該地域で既に実施されていても、実
績があり、同じようなものを実施しても別のメリットが創出できる事業の場合は勝負ができます。
その場合十分にそのメリットを表現しましょう。また、ここの記述はより具体的に書きましょう。
実施されている様子を頭にイメージしてもらえることが重要です。
●
誰のために実施するのか
受益者は誰かということを具体的に書きましょう。佐賀県民、とか、地域の人という「不特定多
数」は間接的な受益者としての記載は可能ですが、できれば避けたいところです。直接的な受益者
を具体的に想定しましょう。例えば、前例に沿って言えば、「佐賀市内に住む理科に興味を持つ小
学生とその保護者」です。特許を持つ電気製造業のような企業なら、これだけで理解いただけるか
もしれません。なぜなら、その会社の将来の社員になるかもしれない子ども達に対するアプローチ
になりますし、佐賀の製造業にとって小学生の保護者が新しい顧客になるかもしれないからです。
●
どんな社会的問題が解決されるか
社会問題というのは、基本的には多くの人が問題だと認識し、マスコミ等でも伝えているものを
いいます。しかし、そこまで社会的認知が高まっていなくとも、共感を得られる社会的問題でも提
示する価値はあります。
ここで問題になるのは、やりたい事業が社会的問題の解決ではなく、単に提案者がしたいことで
あった場合、企業は対応するのが難しくなります。これは、提案者が社会的問題だと定義しても、
共感を得にくい個人的なものであると取られる場合も同じです。重要なのは、この事業でどんな社
会的問題が解決され、それがどれだけの人の共感を生むのか、を伝えることなのです。
前述の例ならば、「理科離れは日本の教育の問題と指摘され、理科系を志向する子どもが地域か
ら減少することで、将来的地域の産業競争力が低下する恐れがあるため」という言い方になります。
●
御社にご協力いただきたい事とそのメリット
企業に提案する具体的な内容とメリットを説明します。資金や商品提供なのか、人なのか、施設
などの物的資産の活用なのか、を記載します。また、それによって生じる企業のメリットの提示も
必要です。しかし、会社の社会的価値が上がり市場競争力が向上する、企業の社員が社会貢献に参
加できる、といったステレオタイプのありきたりなものではなく、より具体的に示す必要がありま
す。
前述の例ならば、
「冠イベントとし、御社の研究者と実験資材と参加景品の提供をお願いします。
理科志向の子どもを育て、その子どもとその保護者に御社のイメージをアップさせることで、将来
18
的な自社の人材確保につながる可能性もあり、また、この募集や実施報告は各学校に教育委員会の
後援を得て配布し、マスコミのパブリシティを活用することで地域の理科力の向上に貢献する企業
として注目されます」といった言い方です。
気をつけなければならないのは、企業は必ずしも企業のメリットを重視するのではなく、
「陰徳を
積む」ことを好み、特に売名行為にならないことを重視する企業もあるということです。この場合
は「御社の開発担当者が子どもに夢を与えることで、社会に意識を広げることができる社員になれ
ます」というような別の価値を提案してみると受け入れやすいでしょう。
●
私たちの実施すること、私たちの強み
自分たちが何をするかということと、それをする強みは何かということを説明しましょう。企業
は「なぜ、あなた方としなければならないか」という理由を必要とします。あとで、他の団体から
「あの団体とは協働して、私たちにはしてくれないのですか」と尋ねられた際に「あの団体はこう
いうところがあり、我々はそれを評価し協働しました」と説明する必要があるからです。これは、
企業の社内的(例えば役員会)にも、株主にも同じような疑問が出る可能性がありますので必要な
情報です。
前述の例で強みを表現するならば、「佐賀大学工学部名誉教授の物理学博士の○○先生が監修の
プログラムで、市内の20校で昨年は実施され、参加者のアンケートでは“良かった”との回答が
86%であり、実績に基づいたより子供の興味を引くプログラムを提供できます」です。
●
いま実施すべき社会的要因
社会的な要因とは、例えば国や地方行政の政策や方向性との合致、社会の興味の趨勢、マスコミ
の注目度、環境的な背景などとなります。
前述の例ならば、
「文科省は小学校の理科の教師を小学校教諭の資格のホルダーではなく中学校・
高校理科教諭の資格ホルダーにするという答申がなされ、時代は理科の復権の流れにあります」な
どです。
●
この事業実施による成果とその指標
企業が社会貢献活動で最も重視するのは、どれだけ成果が出たか、ということです。CSO はどち
らかというと過程を重視し、成果を過小評価する傾向があります。CSO は社会の課題解決という公
益の実現が存在意義ですから、その公益が成果として必ずしもすぐに現れるものではなく、考え方
や生活パターンの変化などで社会の変革につながれば、それが成果だと言えます。それゆえの、成
果を数値等で具体的に示せないことは理解できますが、しかし、協働する相手が成果そのものを重
視しているのであるのならば、協働を考える CSO サイドは成果を示す努力をしなければなりませ
ん。
成果は事業を始める前に具体的にこういう結果になるように実施しますという目標設定です。そ
の目標を達成したら、提案者が提示する社会問題の解決に小さくても前進できるということを示さ
なければなりません。
前述の例ならば、
「一回につき 20 組の小学生とその保護者が参加し全 5 回の開催で、延 200 人が
理科実験教室に参加し、アンケートでもっと理科の勉強や実験を体験したいと答える率が 80%を超
えることで、佐賀における理科を志向する子どもとその保護者を定着させ、理科離れの加速を止め
19
ます。」となります。
●
広報の方法
広報は2種類有ります。ひとつは開催の告知、もうひとつは開催後の報告です。
CSO は参加者募集のための開催の告知を重視します。企業も、例えばイベントであるならば参加
者の数が重要ですので、CSO サイドは積極的に参加募集をすることをしめさなければなりません。
・県や市町の広報
・マスコミでの告知
・チラシの配布(配布部数と配布場所の提示)
・ソーシャルメディアやメールの活用(告知する件数)
など、可能なものを提示しましょう。
一方、CSO は開催後の報告を十分に広報していない場合が多い傾向にあります。企業は、社会貢
献活動を広く PR することにあまり積極的ではありません。売名行為という風評が好ましくないか
らです。しかし、実施した社会貢献活動をほとんどの人が知らないというのも、企業側の徒労感と
なります。そこで、事業の実施報告や成果報告は CSO サイドが積極的に取り組む必要があります。
そのための手段として
①
実施当日の取材依頼をマスコミに行う。
②
開催中はツィッターでツィートする。
③
いち早く、ホームページやフェイスブックページに掲載する。
④
紙の報告書を配布する。
⑤
会報や年次レポートに記載する。
などがあります。どのように広報するかを出来る範囲で明示することが好ましいです。
●
他の協働先、協力者
企業は CSO からの提案に県や市とともに事業を実施しているという事実があれば安心が増すで
しょう。また、他のネームバリューのある CSO や、友好関係にある他企業とも協力するというこ
とがあれば提案に応じる可能性が高くなります。
ただし、資金提供をお願いしていて、他からも資金提供してもらう話があった場合などは難色を
示すケースもありますので、注意しながら提案していきましょう。
●
他社の事例
提案する事業が他地区で他の企業によって実施されたなどという情報があれば、それが同業者で
あった場合は安心してもらうことができます。見当たる例があれば記載しましょう。
●
実施体制
事業を実施する具体的な体制を明示すると安心してもらえます。以下の例示している役割を誰が
実施するのか組織名と個人名を具体的に記載してください。この中に企業の役割も入れていても良
いです。他の協働先があるならばはっきりと区分しておいたほうが良いでしょう。
・
全体マネージメント
・
広報
20
参加者募集
・
当日配布資料作成
・
当日用消耗品、作業等
・
講師手配
・
当日事業実施(会場設営・撤去、受付等)
・
アンケート解析、報告書作成
・
その他
●
・
予算案
企業は予算を明示することを求めます。これは、資金提供をお願いする場合は必須となります。
その場合、管理費(人件費も含み)を入れても大丈夫です。個人の寄付と違い、企業は事業をする
ために経費がかかるということに理解があります。事業費と管理費の比率はできるだけ小さくしま
しょう。管理費のなかの人件費で直接事業に関わる費用は事業費の中に入れましょう。謝金や交通
費なども事業費に入れましょう。管理費は全体の管理人件費や郵送代や印刷代などとなりますので、
見た目で小さくなります。
21
8. 企業と CSO の協働事例
認定 NPO 法人地球市民の会
(本部:佐賀市)
事業名:
アジアの貧困層の子どもの教育支援のためのチャリティショップ事業「ばーん・たわん」協働
事業
社会的問題点:
アジアの途上国の子どもは貧困のため教育へのアクセスに困難をきたしている数が多く、先進国
として解決しなければならない世界的問題である。
協働実施事業:
アジアの貧困層の子どもの教育支援に賛同する一般市民からの中古の女性服の寄付を受け取り、
リサイクル業の小松商店に寄付品を運び販売の可否を選別後、再販可能品は質業のニューポーンの
インショップであるチャリティショップで再販し販売手数料を引いた後に、その資金を地球市民の
会に寄付し、タイでの教育支援事業に活用する事業。(小松商店では再販不可能商品の処分をして
もらっている)
見込める成果:
アジア教育基金として、途上国の現場の教師や住民が要望した持続的なソフト、ハード事業を実
施する。
地球市民の会の強み:
タイで 20 年の奨学金事業を実施し、タイの現場の教育者とのコネクションがあり、より効果的
な支援が出来る。
事業実施の問題点:
地球市民の会は上記事業を実施するために問題点を有すため、それぞれの問題点をカバーするた
めに 2 つの企業に協働を提案した。
問題点1・・・地球市民の会には寄付衣類を置く場所がない
⇒
リサイクル業の小松商店の倉庫の一角を借り、そこに送ってもらう。
売れない服は小松商店で資源物として処分する。
小松商店のメリット
布ものの資源物回収をしていて、買取もしている。
⇒
余分な負担が無く、従来事業で社会貢献が出来る。
問題点2・・・地球市民の会には販売する店舗も無く、人件費も捻出できないため店舗用
の人材をおくことができない。
22
⇒
ニューポーンは質店であり、買取だけでも委託販売をしており、店舗
内にチャリティコーナーを設置し、通常業務として販売してもらい、
販売手数料をお支払いする。
ニューポーンのメリット
余分な負担が無く、従来事業で社会貢献が出来る。
社員が通常業務で社会貢献できることに誇りと喜びを持つ。
市民は不用品処分
で国際協力
企業は通常業務で
社会貢献
CSO は事業実施の
資金を調達
地球市民の会
提供
事業実施のインパクト
●当事業の実施後の成果:
①第一弾として、貧困家庭のための支援金を捻出するための精米所建設、図書館のない学校に小
規模図書館建設を実施した。
②損保ジャパン佐賀コールセンターが CSR 活動として不用の女性用衣料品の全社的な取り組み
として年に数回、全国のコールセンター三箇所で展開し、地球市民の会に寄付をしてくれてい
る。企業との協働が拡がっている。
マニュアル作成担当
認定 NPO 法人地球市民の会専務理事
佐賀大学 産学・地域連携機構 客員教授
大野 博之
23
参考資料
企業経営者の社会貢献活動と CSO の協働に関する意識調査の結果概要
1.調査の対象
県内企業46社
2.調査の期間
平成 25 年 1 月 29 日から 3 月 12 日
3.調査の方法
経営者等へ聞き取りにより調査
4.調査の内容
①CSR(社会貢献活動)の実施状況
②CSO との協働に関する意識
【調査結果】
(1)企業による社会貢献活動(CSR)に対してどのように考えているか。
①企業市民として、積極的に行っていくべき(19 社)
②企業理念に合致する貢献は行っていくべき(11 社)
③
35%
①
41%
③余力のある場合に、できる範囲で行うべき(16 社)
④納税により社会貢献は十分に果たしており、特に行う必要はない
②
24%
(0 社)
⑤その他(0 社)
(2)現在、行っている社会貢献活動(CSR)はあるか。
②
17%
①実施している(38 社)
②特に実施していない(8 社)
①
83%
(3)CSO(市民社会組織)にどのような印象を持っているか。
⑤
4%
④
11%
③
9%
①社会における重要な役割を担っている(12 社)
⑦
13%
①
26%
②
37%
②市民社会の成長のために期待している(17 社)
③組織が小さく財政的に弱く、あまり信用できない(4 社)
④ボランティアが中心で責任力に乏しい(5 社)
⑤目的や成果を明らかにしないで寄付や協力を求めてくる(2 社)
⑥興味がない(0 社)
⑦その他(6 社)
24
(4)今後 CSR 活動を CSO との協働で実施することを考えているか。
④
7%
①考えている(6 社)
①
13%
②できることがあれば考えてもよい(13 社)
②
28%
③
52%
③今は考えていない(24 社)
④よく分からない(3 社)
⑤その他(0 社)
(5)CSO との協働は企業にとって新しいビジネスチャンスであると思うか。
①CSO との協働は、ビジネスと離れた社会貢献活動であるべきもの
⑤
6%
(10 社)
①
22%
④
17%
②協働による相乗効果で企業側のニーズを実現するべきもの(18 社)
③協働によって企業側の経済的メリットがあるべきもの(7 社)
③
15%
②
39%
④よく分からない(8 社)
⑤その他(3 社)
(6)CSO の組織強化(資金、人材、マネジメント能力等)が課題となっているが、どう思うか。
①CSO が自ら努力して高めるべき(11 社)
⑤
4%
④
7%
①
24%
③
43%
②
22%
②公的な組織がバックアップしていくべき(10 社)
③CSO は社会問題の解決のために活動している団体であり、社会全体で
支える仕組みが必要(20 社)
④よく分からない(3 社)
⑤その他(2 社)
(7)県民や企業からの寄付をもとに CSO 活動へ助成を行う県民基金について、どう思うか。
①実現すべきだ(0 社)
④
30%
③
9%
②実現した方がよい(28 社)
②
61%
③なくても構わない(4 社)
④よく分からない(14 社)
⑤その他(0 社)
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