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INFORM - honto

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INFORM - honto
世界の本屋さん
vol.54
エストニア・タリン
ラフヴァーラ・マトウ
鍵 が か か っ て い た。 中 二 階 は ス ポ ー ツ、
音楽、演劇、カルチャーである。
地階はこどもの本、参考書、初等教育、
中 等 教 育 テ キ ス ト、 言 語 ト レ ー ニ ン グ、
辞書売場であった。地階教科書売場は定
価 別 に 教 科 書 が 陳 列 さ れ て い た。 五 ク
ロ ー ン︵ 五 十 円 ︶ の 教 科 書 が 一 番 安 い。
十五、二十五、三十九クローンの教科書が
多い。七十五∼九十九クローン︵七五〇
円∼九九〇円︶が高い教科書である。︵エ
ストニアの通貨は二〇一一年クローンか
らユーロになっている︶
この書店は商工会議所、観光協会が推
奨している。固定客が多く、市民に支持
されている書店であることがわかる。店
長さんは東京に行ったことがあるとい
う。英語が堪能な好男子であった。
ノセ事務所
能勢
仁
エストニアの経済状況はバルト三国中
では一番良い。フィンランドから高速船
で一時間半という好立地であり、世界遺
産に登録された首都タリン︵三十九万人︶
歴史地区を背景に観光産業が盛んである
からだろう。
ラフヴァーラ・マトウ書店はバルヌ通
りにある。創業は一八八四年で、市内で
一番古い。教科書の発行、発売もしてい
る老舗有名書店である。売場は一階、中
二 階︵ 回 廊 売 場 ︶、 地 下 売 場、 地 下 教 科
書 売 場 に 分 か れ て い た。 老 舗 で あ る が、
売場は明るく、一三〇年経過したとは思
えない。特に一階は綺麗である。品揃え
は 先 史 学、 エ ス ト ニ ア 史、 美 術、 哲 学、
心理、法律、記録文学、ノンフィクショ
ンである。この他レアブックコーナーが
あ り、 古 書 籍 が ウ ィ ン ド ウ に 入 れ ら れ、
(表紙題字・陳舜臣)
6月
桜桃が出た。
私 の 家 で は、 子 供 た ち に、 ぜ い た く
な も の を 食 べ さ せ な い。 子 供 た ち は、
世界の本屋さん
月
著書を語る
○ ﹁﹃ラオス全土の旅﹄を出版して﹂
﹁書標﹂歳時記
然
1
川口
正志
2
書標・書評
﹃﹁大正﹂を読み直す﹄ほか
特集
女たちよ。もっと強く、もっと自由に!
年!
創刊
自
科
書
書
芸
術
学
学
﹁こどものとも﹂をディグする3つの方法
∼おとなのともの見つけかた∼
今月のおすすめ
コ ン ピ ュ ー タ
学
書
医
社 会 科
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
インフォメーション
4
6 54
本屋うらばなし
﹁書店員の読書﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
桜 桃 な ど、 見 た こ と も な い か も 知 れ
ない。食べさせたら、よろこぶだろう。
父が持って帰ったら、よろこぶだろう。
蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃
は、珊瑚の首飾りのように見えるだろう。
﹃桜桃﹄太宰治著︵角川春樹事務所︶より
27 26 24 22 19 17
6
10
28 26 25 23 20 18
30 29
530
60
著書を語る
○
︱︱
も 癒 さ れ る 国 だ っ た の だ。 そ う し て 僕 の ラ オ ス 通 い が 始
とんでもない田舎で旅をするのも大変だけど、何故かとて
川口
正志
初めてラオスに行ったのは一九九五年。東南アジアを旅
﹃ラオス全土の旅﹄を出版して
した僕が旅の最後に訪れたのがラオスだった。他の国と比
り、毎年のようにラオスに通っては写真を撮りながらラオ
意識して現地の人々や人々の暮らしの写真を撮るようにな
旅をする内に﹁この国の魅力は人だ﹂と気がついた僕は
まった。
く、 と に か く 首 都 の ビ エ ン チ ャ ン に 着 い た 僕 は 他 の 旅 行 者
べて極端に情報が少なかったため事前の情報はほとんどな
から行ったほうがいいと勧められた北部にある古都ルアン
パバーンを目指した。
酷で気が遠くなったのがラオスの旅である。しかし、旅を
ポール、マレーシア、ミャンマーを旅したのだが、最も過
の時僕は半年かけてタイ、カンボジア、ベトナム、シンガ
早朝四時、ようやくルアンパバーンの街へと到着した。こ
東南アジアということで軽装だった僕は寒さに震えながら
ガ ラ ス の な い 窓 か ら は 容 赦 の な い 寒 風 が 車 内 に 吹 き こ み、
造 し た バ ス は 工 事 箇 所 を 迂 回 し な が ら ゆ っ く り と 進 ん だ。
化の工事を行っていたところで、僕の乗ったトラックを改
国道十三号線が結んでいる。しかしこの時はちょうど舗装
で は な か っ た の だ。 お ま け に い ざ ラ オ ス に 行 っ て み れ ば、
じだったので、なかなか短期間で原稿が書けるというもの
普通に日本で仕事をしながら時間を作っては行くという感
ラオスについての知識も浅かった。ラオスに通うにしても
まだまだラオス国内で行った事がない場所が沢山あったし、
はものすごく時間がかかってしまった。というのも僕には
れたのだった。ただ、そこから実際に本を出版するまでに
た僕に﹁本を出版してみないですか?﹂と、声をかけてく
当時はただ好きでラオスを廻り写真を撮っていただけだっ
が今回、この本を出版した﹁めこん﹂の社長の桑原さんで、
を東京と大阪で開催。その時に写真展を観に来てくれたの
ス各地を旅した。二〇〇二年、撮りためた写真で初の個展
終えて日本に帰った僕は﹁どこが一番良かった?﹂と友人
ラオスは南北に長い国で、北から南まで主要都市の間を
たちに聞かれ﹁ラオス﹂と即答していた。そう、この国は
−2−
530
も足りない感じで、途中で一度タイやベトナムに出国して
距離を一週間かけて移動してみたり、時間がいくらあって
いうのも何度か行ったが、通常であれば一日で移動できる
ればならなかった。最終的にはこの本のための取材旅行と
そういう場所へ行く場合は乾季にスケジュールを組まなけ
えられないが、雨季になると行けないというところもあり、
使っても多くの場所を廻れなかったりもした。日本では考
ラオス国内は相変わらずの交通事情で滞在期間をフルに
も、この地に暮らすラオス人たちの素朴な日常の中に身を
い。ラオスの旅の醍醐味は素晴らしい風景を見ることより
りこの国に観光名所と言えるようなところはそう多くはな
ない情報を教えてくれるようにもなった。とはいえ、やは
るから連れて行ってあげようか?﹂と、現地の人しか知ら
的に接してくれるラオス人も多くなり﹁こういう場所があ
てくると、自分の国の事を紹介しようとしている僕に好意
だった。しかし徐々にこの国を訪れる外国人旅行者が増え
言っても咄嗟にはよく理解できないラオス人がほとんど
た本となる。通常のガイドブックとは違い、ルートに沿っ
﹃ラオス全土の旅﹄はそんなラオスを全県に渡り紹介し
置き、穏やかに過ごしてみる事なのかもしれない。
地 図 と い う の が ほ と ん ど な く、 仮 に あ っ て も そ れ は か な り
て点ではなく線で紹介しているので、旅の情報と共に旅の
また取材をする上で困ったのが、取材当時は町の詳しい
いい加減なものであったため、写真を撮ったり宿や食事を
雰囲気も伝わると思う。この本を読んだ方がラオスという
−3−
から再びラオスに戻って取材を続けるという事もあった。
する場所を調べながら、スケッチブックに地図を描きなが
として大変嬉しい。
国に興味を持ち、実際にラオスに足を運んでくれたら著者
ら歩いたりもした。
ラオス国内を移動するには凄く時間がかかるくせにこの
国の変化は恐ろしく早いというのも頭の痛いところだっ
た。北部の町を取材して中央部まで戻ってくると、せっか
く 取 材 で 集 め た デ ー タ が も う 古 い も の に な っ て い る の だ。
まっていた船頭たちから僕はそう言われた事がある。日本
﹁ 頼 む か ら 値 段 は 書 か な い で く れ ﹂ あ る 時、 船 着 き 場 に 集
人はガイドブックに書いてあると言って昔の料金で舟に乗
せ ろ と 言 う の だ と い う。﹁ 今 は ガ ソ リ ン 代 も 値 上 が っ て と
僕 が こ の 国 を 旅 し 出 し た 最 初 の 頃 は、 ガ イ ド ブ ッ ク と
てもそんな値段じゃ行けないよ﹂
『ラオス全土の旅』
めこん・4,000 円
﹁ 神 代 ﹂ を 政 治 的 な﹁ 作 り 物 語 ﹂ と 喝
せ民主主義﹂に繋がる。
目標とすべきことを言う。現在の﹁お任
家の主権の活動﹂としての政治が人民を
に あ る 吉 野 作 造 の﹁ 民 本 主 義 ﹂ は、﹁ 国
い。翻って、現代を生きる我々はどうだ
の人々は、夜への畏怖があったに違いな
わち、世界が人口の光で照らされる以前
れる心から始まったことであろう。すな
工の光を灯していった。これは、夜を畏
に照明を作り出し、自身の生活空間に人
﹃﹁大正﹂を読み直す﹄
破した津田史学の︿脱神話化﹀の読みの
ろう。そもそも本当の夜を体感したこと
藤原書店・三〇〇〇円
昭和四十二年七月、最高裁は﹁大逆事
す ご さ が 顧 み ら れ る こ と も な く、﹃ 古 事
のない我々にそれが理解できるだろうか。
子安宣邦著
件 ﹂︵ 明 治 四 十 三 年 ︶ 再 審 請 求 の 特 別 抗
記﹄が今またもてはやされている。
遠ざけた、これはきっと正しいのだろう。
夜は恐ろしい、だから光を灯して闇を
告を棄却した。幸徳秋水らの有罪は覆ら
事実、月明かりに頼らずとも路を歩くこ
だ か ら、 子 安 宣 邦 は﹁﹁ 大 正 ﹂ を 読 み
直す﹂のだ。明治三十八年の﹁日比谷事
とができるし、好きな時間に本を読み放
ず、判決後即座に執行された死刑につい
件 ﹂ を 発 火 点 と し、﹁ 米 騒 動 ﹂ へ と 結 節
ても不問のままだ。
大正十三年九月、関東大震災直後の混
する、民衆が秩序を動かしていくエネル
そのものを失ってしまった。恐ろしいも
た。そして﹁夜は恐ろしい﹂という事実
まずもって、本当の星空を我々は失っ
に大きいのではないだろうか。
ために失ってしまったものは、想像以上
しすぎて夜を覆い隠してしまった。その
題である。ただ、あまりにも明るく照ら
乱のさなか、大杉栄は日本陸軍によって惨
︵フ︶
ギーの充満した﹁大正﹂を。
都市の明かりは私たちから何を奪ったのか﹄
﹃本当の夜をさがして
殺された。今日でも根強い人気を持つ大
杉だが、その人となりが偲ばれることは多
くとも、労働者が社会変革の道具だけに
とどまらず、運動の主体であるべきとす
友人たちと星を見に行こうという話に
の を 遠 ざ け た い と 思 う の は 尤 も で あ る。
白揚社・二六〇〇円
なったとする。街灯がある明るい場所で
しかし、それが﹁恐ろしいもの﹂だとい
ポール・ボガード著
星を見よう、ということになるだろうか。
見 る こ と が で き な い。 恐 ろ し い か ら と
本 当 の 星 空 は、 本 当 の 夜 の 中 で し か
ぼくたちは、昭和二十年に大きな﹁切
断﹂を見ることに慣れすぎている。だが
ここでの本当の夜というのは、星がよ
るその思想が、参照されることは少ない。
実際には、時代は連続しており、戦後の
く見える、人工の光が無い夜のことであ
る。本来の姿の星空を見ることができる
い っ て そ れ を た だ 駆 逐 し て し ま っ て は、
うこと自体は忘れたくない。
は、﹁ 民 主 主 義 ﹂ の 衰 退 史 で は な い か、
﹁民主主義国家﹂日本の国家的発展史と
と 子 安 宣 邦 は い う。﹁ 大 逆 事 件 ﹂ か ら 一
場所など、残念ながら現代の都市部周辺
知らぬ間に大事なものを失うことになる
世紀後の日本は社会主義をその政党とと
人間は、夜の暗さ、闇を遠ざけるため
では全く無いと言っていいだろう。
幸徳や大杉らの﹁直接行動論﹂の対極
もにほぼ消滅させた、と。
−4−
断ち切り難い糸が、自然と見えたりする。
はならないが、複雑な今の社会、相手へ
もしれない。人は本音で付き合わなくて
嘘をつけばどこかでほころびがでるか
するのだが。
向 か い 合 い、 背 を 向 け、 ま た あ る 時 は、
の思いやりで、または人間関係を潤滑に
︵助︶
こちらの丘とあちらの丘の頂きのように
するため、こんな人間をレンタルすると
だろう。
遠く離れ、しかし、確かに響き合う。そ
無論、わたしにとっての糸だ。歌と歌が
﹃うた合わせ 北村薫の百人一首﹄
ういう音を、わたしは聴いた。﹂
われわれ読者もまた、本書を通じて﹁そ
北村
新潮社・一六〇〇円
薫著
短歌なぞとは縁のない若造だが、北村
ういう音﹂を聴く。有名な歌も、著者の
学校からの大親友の二人の話。現実的で
薫のファンゆえ読んでみた。
著者の選んだ二首が冒頭に置かれ、そ
ムダが嫌いな薫と正反対な雪子はなぜか
﹁ままならないから私とあなた﹂は小
れに著者自身の随想が続く。全部で五十
手 に か か る と 全 く 新 し い 音 を 響 か せ る。
気が合い、大人になっても友情が続いて
いう会社も必要なのかもしれない。
章あるので短歌は一〇〇首。
みんなの国語の先生こと北村薫に導か
まず短歌のカップリングに驚く。
いる。
のないものを開発すればと思う薫に対し
︵た︶
て、消せないところを好きな渡辺君が消
黒板を消すのがむだだから、消す必要
﹃ままならないから私とあなた﹄
で浸ろう。
れ、五・七・五・七・七の小宇宙に心ゆくま
︽シ ー ス ル ー エ レ ベ ー タ ー を 借 り 切 っ て
心ゆくまで土下座がしたい︾ 斉藤斎藤
︽疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに
文藝春秋・一四〇〇円
戻っている。そして読者は二首の間の隠
それでいていつの間にか冒頭の短歌へ
オットやら﹃罪と罰﹄やらへ次々と飛び、
うを読んでみれば、話はジョージ・エリ
るのである。一体何のことかと随想のほ
そしてこの章は﹁祈り﹂と題されてい
て友人役で出席していた。そんな考え方
をする。ところが彼女はレンタル業とし
新婦の友人として出席していた女性に恋
﹁ レ ン タ ル 世 界 ﹂ は 同 僚 の 結 婚 式 で、
いている。
まくいかない現代社会の一片を巧妙に描
レ、そして何とか克服しようとしてもう
だが、思い通りにならない人間関係のズ
二つのまったく設定の異なる中篇小説
かる気がする。こちらの作品もどちらが
ため割り切って生きる雪子の気持ちもわ
切だともいえるが、余計な苦労をしない
とは決して順風満帆ではない。無駄が大
恋が実ってずっと付き合っている渡辺君
違和感を覚える雪子。だが小学校の淡い
婚相手をアプリで見つけた薫の考え方に
る物を発明したり、恋愛はムダだから結
彼女が好きなアーティストのように弾け
してくれたことを喜ぶ雪子。親友のため
朝井リョウ著
れた符合と対照に気づかされる。さすが
正しいか答えがでない。
さんた、ま、りあ、りあ、りあ︾葛原妙子
熟練のミステリ作家。思わず前のページ
は間違っていると本当の人間関係を見せ
︵ひ︶
ようと信頼する先輩の家庭を二人で訪問
著 者 は 言 う。﹁ あ る 歌 と あ る 歌 を 結 ぶ
に戻って読み返してしまう。
−5−
れこれ二百年以上前から女たちは権利を求
てからもうずいぶん時が経ったろうか。か
フェミニズムという言葉が社会に定着し
たちのパワーあふれる言葉をお楽しみあれ。
いない。現代社会の閉塞感をぶち抜く、女
氏にとっても啓発的で励まされるものに違
と育てられ、結婚することが女の幸せと諭
女の生は息苦しい。
﹁女の子らしく﹂しろ
かかわらず、現代日本社会においてもなお、
古 典 か ら。 昨 年、 平 凡 社 ラ イ ブ ラ リ ー か
﹁フェミニズム批評の聖典﹂とも呼ばれる
女 性 作 家 ヴ ァ ー ジ ニ ア・ ウ ル フ に よ る、
イ夫人﹄などの傑作を残したイギリスの
はじまりはまず、﹃灯台へ﹄や﹃ダロウェ
めて世界各地で闘ってきた。だがそれにも
され、少子化だから子を産めと命ぜられ、
ら新訳﹃自分ひとりの部屋﹄
︵片山亜紀訳・
と同時に低賃金で働き続ける道しか用意さ
れず、どんな状況でも若々しく美しくいな
て行われた講演をもとにまとめられた本
一二〇〇円︶が刊行されて話題になった
書でウルフは、﹁女性が小説を書こうと思
が、 長 年 読 み 続 け ら れ て き た み す ず 書 房
女たちよ、ともに闘い続けよう ! という
う な ら、 お 金 と 自 分 ひ と り の 部 屋 を 持 た
い と 不 憫 が ら れ ⋮⋮ 多 く の 女 性 た ち が
心意気で今回の選書をスタートさせたが、
ね ば な ら な い ﹂ と 語 り か け る。 女 性 の 経
刊﹃ 自 分 だ け の 部 屋 ﹄
︵ 川 本 静 子 訳・
ざっと集めた本を読めば読むほど愉快な気
済 的 自 立・ 精 神 的 自 立 の 重 要 性 を 説 く 文
日々、有形無形の圧力下に置かれて生きて
分になっていく自分に気がついて、途中で
章の、一行一行がとにかく素晴らしい。独
二六〇〇円︶ももちろん健在だ。一九二八
方向転換をした。何を隠そう、女たちの闘い
特 の 美 し く 洗 練 さ れ た 文 章 に は、 彼 女 の
いる。
﹁日本死ね ! ﹂は待機児童問題にお
の歴史・物語はおもしろいのだ ! セック
知性・教養が余すところなく盛り込まれ、
いてだけでなく、あらゆる局面で私たち女
ス/ジェンダーにかかわらず、自分らしく
上 品 な 皮 肉 が 次 々 と 炸 裂 し、 隅 々 に ま で
年にケンブリッジ大学で女子学生に向け
気持ちよく生きられる社会をつくろうと奮
の偽らざる本音ではないか。
闘する女たち。これらの本は女性だけでな
古典の文学作品といえばご存知、シャー
彼女の確固たる意志が表れている。
れて息苦しさを感じているであろう男性諸
く、別の形でかもしれないが同じく抑圧さ
−6−
文 社 古 典 新 訳 文 庫・ 小 尾 芙 佐 訳・ 上 巻
ロ ッ ト・ ブ ロ ン テ﹃ ジ ェ イ ン・ エ ア ﹄︵ 光
界を知ることで力を得る。
ことができるのだと、ねずみ女房は外の世
リブの活動家のひとり、田中美津の﹃い
の ち の 女 た ち へ と り 乱 し ウ ー マ ン・ リ ブ
くねずみ女房の様子が鮮やかな印象を残
もなかなかだが、徐々に世界に開眼してい
ふてぶてしいまでのおすねずみの描かれ方
界があることを知っためすねずみは︱︱。
とを話してくれるようになる。外に広い世
トが連れられてくる。ハトはやがて外のこ
がしている。そこへある日、捕らわれたハ
しい日々の中でも何か物足りないような気
たべもの集めに奔走するめすねずみは、忙
家で居心地の良い寝床をこしらえ、日々の
桃子訳・一二〇〇円︶だ。巣を構えている
音館書店・ウィリアム・デュボア画・石井
話が、
ルーマー・ゴッデン﹃ねずみ女房﹄
︵福
同時期の作品で、ぜひおすすめしたい寓
いの 衝 撃 を 多 く の 人 に 与 え た こ と だ ろ う 。
性 の 物 語 は、 今 で は 想 像 も つ か な い く ら
恋愛結婚がありえない時代に愛を貫く女
も異例のことで、大きな問題にもなった。
るなどということは文学的にも社会的に
性 が 感 情 を さ ら け 出 し、 自 ら 愛 を 告 白 す
この作品が発表された一八四七年当時、女
も丁寧に解説してくれる。
問題点や女性たちの間の意見の対立など
デ ィ カ ル・ フ ェ ミ ニ ズ ム が 内 包 し て い た
性、 社 会 に 与 え た 影 響 を 追 い な が ら、 ラ
真 っ 当 な 要 求 と い え る。 そ の 流 れ や 必 然
む/産まぬ決定権を取り戻そうとする
師 に 任 せ き り に す る の で は な く、 子 を 産
ラ デ ィ カ ル な 活 動 だ が、 男 性 が 中 心 の 医
い て 読 み や す い。 現 代 か ら し て も か な り
七八〇円︶がコンパクトにまとめられて
からだ フェミニズム以後﹄
︵ 岩 波 新 書・
た ち の 闘 い に つ い て は、 荻 野 美 穂﹃ 女 の
方 法 を 学 び 広 め て い っ た。 体 を め ぐ る 女
た ち の 性 器 を 観 察 し、 避 妊 や 中 絶 手 術 の
性・ 体 を 取 り 戻 す た め に、 女 た ち は 自 分
としてのみ扱う男性医師たちから自らの
た。子宮を﹁子どもを産むための一器官﹂
核になったのが、自分の体を知ることだっ
と呼ばれたこの女性解放運動のひとつの
ズでもある。日本では﹁ウーマン・リブ﹂
デ ィ カ ル・ フ ェ ミ ニ ズ ム の キ ー・ フ レ ー
か ら 百 年 以 上 あ と、 ア メ リ カ で 始 ま る ラ
﹁知識は力﹂とは、
﹃ねずみ女房﹄の発表
よっては積極的に背負おうとして︶きた女
ろう。女性が長年、背負わされて︵場合に
クチュアルな批判として突き刺さるからだ
経った今でも本質的に変わっておらず、ア
性性と﹁とり乱し﹂の状況が、五十年ほど
おもしろいのは、美津が見破り喝破した女
読ませる力を持っている。本書がこれだけ
り乱し﹂ている美津。すごい熱量で一気に
まうけれどもあきらめたくない、
と終始﹁と
絡めとられたくない、しばしば矛盾してし
況の中で、それでも自分らしく生きたい、
負う歴史性に影響され、ままならぬ社会状
行一行に共感してしまう。女という性の背
ず笑ってしまうこともしばしばながら、一
と表現するにふさわしい。読んでいて思わ
け る 美 津 の 文 章 は 文 字 通 り、
﹁とり乱し﹂
方の刻印があると日々気づかされ動揺し続
さを指摘しながらも、自分の中にもその両
に切り裂きあってきた﹂女たち。その卑し
対立のように、
﹁男性を間にはさんで互い
母性的なやさしさを男に貢ぐ生き方︶との
びる生き方︶と、主婦︵娼婦を蔑みながら
もしろい。娼婦︵性の対象として男性に媚
論﹄
︵パンドラ・三〇〇〇円︶も非常にお
す。見えている世界がすべてではないのだ
八四〇円・下巻九〇〇円︶を挙げておこう。
と、今までしてきたことよりもっとすごい
−7−
の美津の鋭い非難の言葉。
性の歴史性に、無意識的に迎合する女性へ
い、一緒に留学した津田梅子とともに女子
等教育を受けさせる機会をつくりたいと願
人女性に憤慨し、捨松は日本でも女性に高
る辻潤と結婚し、のちに大杉栄をめぐる四
れた結婚相手からは逃げ出し、恩師でもあ
上京して学びたいとお金をせびり、決めら
いう人物がとにかくかっこいい。貧乏でも
め、たった二十八歳という若さで大杉とと
角関係へと身を投じ、子ども七人を産み育
もに官憲に虐殺されるという、盛りだくさ
英学塾︵現在の津田塾大学︶を奮闘の末に
︵捨松の時代ほどではないにしても︶現在
ん︵ ! ︶ な 一 生 を 送 っ た。 気 鋭 の 政 治 学
日本の小説、評伝、エッセイからも紹介し
よりも厳しい時代であることが端々から感
者による文章もかなり破天荒でおもしろ
て、その間に雑誌﹃青鞜﹄の編集長をつと
九五〇円︶は、明治初期に日本初の公許の
じられるが、それもまたおもしろい。日々、
い。著者は男性だが、まるで野枝本人のよ
設立する。本書が書かれたのが一九八二年
女医となった荻野吟子の物語だ。十九歳で
社会に対して憤りを感じていた捨松の、健
うに自由に、自在にその思想を語っていく。
ということもあり、女性を取り巻く環境は
嫁いだが夫から淋疾をうつされた吟子。夫
やかな意志の力が全編に満ちていて、背筋
渡 辺 淳 一﹃ 花 埋 み ﹄
︵ 講 談 社 文 庫・
と離縁し、闘病しながら学問へのめり込ん
が伸びる思いだ。
よう。どれも元気の出る読みものばかりだ。
でいく彼女はやがて、自分と同じく病に悩
﹁ワガママ上等 ! ﹂
﹁習俗打破 ! 習俗打
破 ! ﹂お金なんてなくても世間に何とい
われても、みんなやりたいことを精一杯や
ればいいのだとくり返し訴える著者が野枝
とダブって見える。フェミニズムというよ
りアナーキズムの観点から書かれていると
いうのも興味深く、女性だけでなく男性読
の評伝﹃鹿鳴館の貴婦人 大山捨松﹄
︵中公
荻野吟子とほぼ同時代を生きた大山捨松
武器に結婚制度や社会道徳に立ち向かった
今、注目を集めている評伝が、筆一本を
いうこと﹄
︵平凡社・一九〇〇円︶などで
鞜﹂の冒険 女が集まって雑誌をつくると
は、 瀬 戸 内 寂 聴﹃ 美 は 乱 調 に あ り ﹄
︵角川
伊藤野枝の生涯や、雑誌﹃青鞜﹄について
者もきっと魅了されるはずだ。ちなみに、
文 庫・ 久 野 明 子 著・ 六 六 〇 円 ︶ も 良 い。
女性 伊
・ 藤野枝について書かれた、栗原康
﹃ 村 に 火 を つ け、 白 痴 に な れ 伊 藤 野 枝 伝 ﹄
も読むことができる。
−8−
む女性たちに手を差し伸べたいと願うよう
になり、医者への道を歩き始める。五〇〇
ページを超す大著だが、読んでいて長いと
は感じない。女だからという理由だけでな
ぜあきらめなければならないのか ! とい
う吟子の怒りや悲しみ、戸惑いや不安まで
も丁寧に描き出す作者の筆致はさすが。直
向きに努力し続ける、凛々しい吟子の生き
一八七一年に弱冠十二歳でアメリカに渡り
タイトルからも想像できるが、この野枝と
︵岩波書店・一八〇〇円︶だ。思い切った
様が愛しくて仕方ない。
学んだ大山捨松の人生を、捨松のひ孫がた
学芸出版・二三八一円︶や、森まゆみ﹃
﹁青
どる。因習に縛られ、従順に振る舞う日本
『村に火をつけ、
白痴になれ』
元気をもらえる女性のエッセイで、鴨居
る 姿 勢 を 詩 に 詠 ん で い る。 お 気 に 入 り の
で自分の生に価値を見つけていこうとす
放さない姿勢こそが大切なのだと改めて
会の動きに目を凝らし思考することを手
ど ん な 状 況 下 に 生 き て い て も、 じ っ と 社
ここまで紹介してきた女性たちの奮闘
羊子﹃わたしは驢馬に乗って下着をうりに
の 軌 跡 を 読 み つ つ、 あ わ せ て﹃ フ ェ ミ ニ
ことなのだと知るようになった。
﹂本書は
うことは、既存の、この〝業〟に打ちかつ
ながら、新しいものを創り、販売するとい
れない。それらを体系づけ、総合してゆき
それらなつかしい器物の前で
鍋とお釜と、燃える火と
私たちの前にあるものは
おそくはない
たちおくれたとしても
そのために知識や、世間での地位が
の性/生を自らの意思で生きようとする人
いの記録が二十一世紀に入った今も、自ら
さを知ることができるだろう。
ム理論が社会に与えた衝撃と影響の大き
ち の 活 動 を 俯 瞰 す る こ と で、 フ ェ ミ ニ ズ
と 論 点 に つ い て ま と め ら れ て い る。 女 た
主 に は ラ デ ィ カ ル・ フ ェ ミ ニ ズ ム の 流 れ
二六〇〇円︶も手にとっていただきたい。
教えてくれる。
◎
炊事が奇しくも分けられた
ズム﹄
︵新曜社・江原由美子・金井淑子編・
一節を引用しよう。
くりはじめた著者。一九七三年に刊行され
女の役目であったのは、
げておきたい。新聞記者を辞めて下着をつ
た当時は、女性の下着はまだとても保守的
不幸なこととは思われない、
ゆきたい﹄
︵ちくま文庫・八二〇円︶をあ
なものだったというが、
﹁これは女の下着
いわゆるフェミニズムについての本ではな
お芋や、肉を料理するように
の業というよりは、女の業そのものかもし
たらそうと商売に乗り出した著者による、
たちの光となることを願う。女たちよ、そ
伊 藤 比 呂 美 編・ 七 〇 〇 円 ︶ に も、 実 際 の
を ま と め た﹃ 石 垣 り ん 詩 集 ﹄︵ 岩 波 文 庫・
全部が愛情の対象あって励むように。
人間のために供せられるように
全部が
それはおごりや栄達のためでなく
ンク堂書店池袋本店一階エレベータ前と福
内千織︶
二百年以上前から続いてきた女たちの闘
地に足のついた、実体験に基づく女性︵自
深い思いをこめて
し て 男 た ち も ! も っ と 強 く、 も っ と 自 由
いが、下着という象徴的なものに自由をも
分︶解放のための行動と言えるだろう。
政治や経済や文学も勉強しよう、
生 活 や 社 会 を 見 つ め た 詩 が 多 い。 結 婚 し
岡 店 三 階、 丸 善 名 古 屋 本 店 一 階 と 京 都 本 店
に生きてゆこう。 ︵岩波書店
て 家 庭 に 入 る こ と も、 詩 作 だ け で 食 べ て
︵
﹁私の前にある鍋とお釜と燃える火と﹂より︶
ア展開中です。
戦後の女性詩を牽引した石垣りんの詩
い く こ と も せ ず、 労 働 者 と し て 銀 行 で 勤
◎
な ん て お お ら か な、 独 立 の 宣 言 だ ろ う。
地下二階にて、六月十日∼七月九日までフェ
もっと自由に ! ﹂でご紹介した書籍は、ジュ
*愛書家の楽園・特集﹁女たちよ。もっと強く、
め 上 げ た 詩 人 で あ る。 女 の 性 の 歴 史 性 と
闘 う の で は な く、 そ れ を 超 越 し た と こ ろ
−9−
生きる﹂ヒントを届けてくれる、子育て
らしと絵本を二本柱に﹁子どもと楽しく
友 ﹂ で し た。﹁ 母 の 友 ﹂ と は 子 ど も の 暮
きっかけは福音館書店の月刊誌﹁母の
たいなのを紹介するというのはどうかな
る う ち に、﹁ 生 き る 力 を 届 け る 絵 本 ﹂ み
疲れてるだけかもなあ、なんて思ってい
あ、と思いました。いや、むしろ自分が
と は い え、 そ う す る と、﹁ 母 の 友 ﹂ が
あ、と思いまして⋮⋮。
関係なくなってしまう。そこでたとえば、
ひょんなことから、この雑誌が編集長
世代にうれしい雑誌です。
をはじめ、多くの男性編集者が関わって
﹁母の友﹂六月号のお父さん特集に登場
新藤という三人のおじさんたちの会話
のとある居酒屋、登場人物は中平・武田・
というタイトルで、舞台は丸の内近辺
その生きる力ってやつを﹂
なら、オレにもくれよ、
届けますって言うじゃない?
﹁絵本は子どもに生きる力を
その添付には、
付ファイルでございます。︱︱
れなんて⋮⋮と思って書いてみたのが添
について語りあってもらって、という流
したおじさんたち︵父父父劇場︶に絵本
つ く っ て い る こ と を 知 り、﹁ 母 の 友 な の
﹂
と思い、いつか一緒に何かできないか考
に、男子が作ってる ! おもしろい
えていたのです。
と い う の も、 こ こ 丸 善 丸 の 内 本 店 は、
多くの男性が集う店。絵本に興味がない
人に絵本のおもしろさを知ってほしい
と、常に考えていました。
そんなある日、福音館の母の友の編集
︱︱今朝、通勤のため山手線に乗ってお
長Iさんから一通の企画メールが。
りまして、丸善丸の内本店さんにいらっ
が、台本形式で綴られていました。
わ た く し も 人 の こ と は 言 え ま せ ん が、
﹁お父さんという生きもの﹂︵父父父劇場︶
月刊誌﹁母の友﹂二〇一五年六月号特集
中平、武田、新藤とは、福音館書店の
でも、すっごくおもしろい !
ナニコレ? 企画書なの
しゃる会社員の男性たちの姿を想像し
ながら、スーツ姿の皆さんを眺めており
ました。この方たちに届けるべき絵本と
皆さん、なんだか、疲れた感じがするな
は、と。
?!
− 10 −
!
!
に登場し、子育てにまつわる悩みを語り
合った三人のキャラクター。
例えば、
あえず、一緒にお風呂に入ろう。
まだ〇歳の赤ちゃん。
丸の内勤務の会社員。妻は育休中。娘は
反撃すればいいってわけじゃないみた
と思って、我慢なさっては。
➡愛する奥さんの理不尽。かわいらしい
基本はおだやかだが、時々、かっかする。
新藤
﹁母の友﹂男子編集者と丸善丸の内本
妻に﹁イクメン﹂特集の雑誌をよく渡さ
これで何かできないか !
店 男 子 脳 女 子︵ お っ さ ん 女 子 と も い う ︶
答え︶﹃くわずにょうぼう﹄
いですよ。
が タ ッ グ を 組 ん だ、 大 人 男 子 の た め の
悩み︶妻の理不尽に、どう対応したらい
女があらわれて嫁にするが、なぜかどん
でも飯をくわない妻。理想通りの美しい
よくばりな男が望んだのは、よく働き、
︵稲 田 和 子 再 話・ 赤 羽 末 吉 画・
八〇〇円︶
いのでしょう? 論理では無理で
どん蔵の米が減ってゆく。おかしく思っ
そんな彼のお悩みは⋮⋮。
れる。
す。言い返すと不機嫌になって余
知 ら な い 闘 い は、 あ ら ぬ 方 向 へ ⋮⋮?
︵谷川俊太郎文・タイガー立石絵・
答え︶﹃ままです すきです すてきです﹄
しょう。
めば奥さまのことを可愛く思えるで
➡理不尽なことはたくさんあります。読
た男が見たものは⋮⋮。
計困ることになるだけなのです。
答え︶﹃もっとおおきなたいほうを﹄
︵福音館書店︵あとの絵本も同、以
下省略︶
・二見正直作・九〇〇円︶
意地の張り合いなんてくだらない。とり
王さまとキツネの大きさ勝負。限度を
『もっとおおきな
たいほうを』
− 11 −
フェア第一弾が始まったのです。
誌上を飛び出した彼らがさらなる悩み
を告白。その悩みに、丸善丸の内本店児
童書担当が福音館書店の絵本で答えると
いうちょっと変わった試み。
家は買ったほうがいいのかとか妻の理
不尽にどう対応するべきかなど、リアル
な悩みがいっぱい。あなたの悩みも絵本
ですとんと解決させてみせますよ。
題して﹁働くお父さんたちの悩みを絵
本で解決します ! ﹂
『くわずにょうぼう』
「働くお父さんたちの悩み
を 絵 本 で 解 決 し ま す!」
フェアの様子
八〇〇円︶
ただのしりとり絵本と侮るなかれ !
その世界観はじわじわと、生涯忘れられ
ない一冊になることまちがいなし ! 大
いだろうなあ !
ものはそらいろの家。家はどんどん大き
て庭に埋め、大事に育てます。出てきた
あなたは、どんな家が好きですか?
スになるはず。
どちらにしても楽しい人生のエッセン
➡自 分 が 素 敵 だ と 心 か ら 思 え た 家 な ら、
そこにきつねがやってきて⋮⋮。
くなり、みんなが入りはじめるのですが、
➡おもしろい家を見たらあなたは家を建
てたくなるかも
答え︶﹃たろうのひっこし﹄
︵村 山 桂 子 作・ 堀 内 誠 一 絵・
八〇〇円︶
人も子どもも、何度だって繰り返したい。
➡さりげなーく奥さんの耳に届くように
自分の部屋が欲しいとねだったたろ
これが、本当におもしろかった !
こんな形で回答していきました。
スーツの男性が絵本を手にとっている
グを組むことに。それがこちら⋮⋮。
刊六十周年企画も﹁母の友﹂さんと再タッ
味をしめ、福音館書店のこどものとも創
私がやりたかったことはこれだ ! と
のを目撃した時の快感といったら
もの想像力に、わくわくがいっぱい !
があります。
➡色んな所を転々とすると、新しい発見
さて、どんな部屋にしようかな。子ど
ました。
う に、 お か あ さ ん が じ ゅ う た ん を く れ
読み聞かせたりして。キュンとさせま
しょう。
か? 借りたほうがいいのでしょ
悩み︶家は買ったほうがいいのでしょう
うか?
答え︶
﹃世界あちこち ゆかいな家めぐり﹄
一三〇〇円︶
︵小 松 義 夫 文・ 写 真・ 西 山 晶 絵・
中 川 李 枝 子 文・ 大 村 百 合 子 絵・
︵
九〇〇円︶
﹃そらいろのたね﹄
答え︶
ゆうじは自分の宝物のひこうきときつ
家、どんぐりの形の家
中はどうなっ
『たろうのひっこし』
ねの宝物の﹁そらいろのたね﹂を交換し
!
!
「創刊 60 年!「こどものと
も」をディグする3つの方
法∼おとなのともの見つけ
かた∼」フェアの様子
− 12 −
!?
てるの? もちろん、詳しく図説してあ
屋根に目がある家、えんとつで息する
『世界あちこち
ゆかいな家めぐり』
ります。一軒一軒訪ねたら、きっと楽し
!
!
二〇一六年、月刊物語絵本﹁こどもの
∼おとなのともの見つけかた∼
創刊 年 !
﹁こどものとも﹂をディグする
3つの方法
な ら ば、 福 音 館 書 店 が 誇 る ロ ン グ セ
う か 、 まずは手がたく定番から攻めた
いんだけどなあ
ルスの﹁カインド・オブ・ブルー﹂とい
なんですよ。たとえば、ジャズならマイ
しょ
どっこいしょ﹂のかけ声は、誰で
も覚えがあるはず。大らかさとユーモア
おおきなかぶをぬくときの﹁うんとこ
﹃おおきなかぶ﹄
A・トルストイ再話・内田莉莎子訳・
︵
佐藤忠良画・九〇〇円︶
ぼくは基本からおさえていきたいタイプ
さい頃、ちょっと楽しんだ︶
と も ﹂ が 六 十 周 年 を 迎 え ま し た。 毎 年
ラーをご紹介。
じぷたは、山小屋の火事にたったひとり
﹃たろうのおでかけ﹄
︵村山桂子作・堀内誠一絵・九〇〇円︶
プ レ ゼ ン ト を 持 っ て、 た ろ う は ま み
➡三位には一九六六年七月一日発売の
を感じさせる、ロシアの昔話。
十 二 冊 ず つ、 七 二 〇 冊 の 絵 本 が 生 ま れ、
人気作は単行本となって現在も版を重ね
➡いちばん歴史が古いのは、
﹃しょうぼうじどうしゃじぷた﹄
︵渡邉茂男作・山本忠敬絵・九〇〇円︶
一九六六年六月十日から、読み継がれ
て い ま す。 単 行 本 も 現 在、 × × 冊 以 上。
つ ま り、﹁ た く さ ん ﹂ あ り ま す。 こ の 中
から、自分にぴったりあった﹁こどもの
立ち向かいます。いつまでも古びること
小 さ く っ た っ て、 や る と き ゃ や る
ています。
を吐露した三人のお父さん﹁中平﹂
﹁武田﹂
➡二位は一九六六年六月二十日発売の、
− 13 −
とも﹂をどう探すべきか⋮⋮
昨年、福音館の育児雑誌﹁母の友﹂に
﹁新藤﹂さんたち︵音楽好きらしい︶も﹁ど
のない、不動ののりもの絵本。
登場し、ここ、丸善丸の内本店でも悩み
れがいいかな﹂と悩んでいるご様子。わ
*﹁ディグする﹂とはdig ︵=掘る︶という
たしたち書店員がお手伝いしましょう !
こと。音楽用語では﹁︵音楽を︶探す﹂なん
ていう意味でも使われます。
ではこちらの見どころを、少しですが
ご紹介していきます。
手堅くいきたい、中平︵絵本は息子が小
『しょうぼうじどうしゃ
じぷた』
『おおきなかぶ』
『たろうのおでかけ』
!
!
60
でも、急いでいても周りには気をつけ
ちゃんの家に急ぎます。
!
ないと﹁だめ
だめ
だめ﹂
では、刷数の一番多いのは?
➡ご存知、﹃ぐりとぐら﹄︵中川李枝子文・
大村百合子絵・九〇〇円︶
おそらく日本一有名なねずみのコンビ
でしょう。二人が森でつくる大きなかす
てらは、子どもたちの永遠の憧れ。
﹁ 母 の 友 ﹂ 二 〇 一 六 年 四 月 号 に は、 絵
がり〟みたいなの知りたい﹂
本作家さんの﹁こどものとも﹂の思い出
﹁ 絵 本 と 絵 本 の 間 に あ る〝 ふ し ぎ な つ な
ているうちわが気になります。
についてのエッセーが載っています。
だるまちゃんは、てんぐちゃんの持っ
﹁てんぐちゃんの ような うちわが ほ
➡二〇一六年四月号年中向きに﹃もじも
︵加古里子作/絵・九〇〇円︶
しいよう﹂だるまちゃんの屈託のない子
二世代三世代にわたって同じ世界が共
しむらあつこさんの印象深かった本は
︵八〇〇円︶シリーズでおなじみのに
➡﹃ ゆ う び ん や さ ん の ホ ネ ホ ネ さ ん ﹄
きなかぶ﹄との思い出をあげています。
きくちちきさんは、小さい頃の﹃おお
じ こ ぶ く ん ﹄︵ 三 八 九 円 ︶ を 描 か れ た
どもらしさと好奇心が長く愛されている
のでしょう。
一 五 五 刷、 累 計 一 八 一 八 五 〇 〇 冊 と
有できるのも、絵本の魅力の一つです。
なっています。
︵*これは二〇一六年三月二日時点での数字です︶
− 14 −
﹃ ぐ り と ぐ ら ﹄ は、 一 九 六 七 年 一 月
功作・絵・八〇〇円︶なのだそう。な
﹃ぶたぶたくんのおかいもの﹄︵土方久
んだか、わかる気がする
どこかに今の作品に繋がるヒントがあ
る の か も ! な ん て 思 っ て、 二 冊 を 読 み
比べるのも、おもしろいですね。
ホネホネさんはみんなに友達から
の、夏の旅行のお誘いの手紙を届け
ます。ある日ホネホネさんにも手紙
が届いて……。たくさんのお手紙の
内容も楽しい一冊。
二十日に発売されてから、二一〇刷 !
メタリカがモーターヘッドをリスペクト
おれ、﹁つながり﹂にひかれるんすよ。
わしい、らしい︶
マニアックな武田︵絵本にはけっこうく
『だるまちゃんと
てんぐちゃん』
してるって知ってどっちもますます好き
になった。
?!
『ゆうびんやのホネホネさん』
累計四八一九〇〇〇冊 ! 恐れ入りま
した
『ぐりとぐら』
➡三位は﹃だるまちゃんとてんぐちゃん﹄
一六八刷、累計二八二五六〇〇冊。
➡二位はこちらも﹃おおきなかぶ﹄。
!
!
れたばかり。絵本はこれから︶
新しいもの好き ! 新藤︵子どもが生ま
昔の作品はすごい、って詳しい人は言う
じゃないですか。ビートルズやストーン
ズに比べて今のバンドは⋮⋮みたいな。
まあ、そうなのかもしれないけど、ぼく、
正直、ぴんとこなくて⋮⋮
の本でおすすめを教えてほしいです﹂
﹁ や っ ぱ、 新 し い の が 好 き な ん で、 最 近
ち ょ っ と︵ い や、 け っ こ う ! ︶ 変 な
疲れた心に、これが効く∼∼。
うさぎが、おかしくって笑っちゃう。
ですが、新しい本にもおもしろいものは
たくさんあります。
最近、体、動かしてる? 思わず真似
でひともじを造る !
呼びかけで、いい歳した大人たちが全力
﹁からだでもじをつくってみよう﹂の
明写真・九〇〇円︶
︵近 藤 良 平 作・ 柿 木 原 政 広 構 成・ 山 本 尚
﹃ひともじえほん﹄
の頃。戻れるなら、戻りたい?
ろんなことに怖がらず飛び込めた子ども
安心できる後ろ盾があるからこそ、い
のは、猫も人間もおんなじ。
冒険して、失敗して、親に心配かける
絵・九〇〇円︶
︵ルース・エインズワース作・河本祥子訳・
﹃しおちゃんとこしょうちゃん﹄
﹃あいうえおみせ﹄
︵安野光雅作・絵・九〇〇円︶
大人には懐かしい、子どもにはめずら
しいお店があいうえお順にずらり。
最後のページでは、おうちでゆっくり
ネ ッ ト シ ョ ッ ピ ン グ な ら ぬ、 ブ ッ ク
ショッピングができますよ。
﹃でんしゃにのったよ﹄
でんしゃ、いとこのうち、うんてんせ
︵岡本雄司作・九〇〇円︶
『あいうえおみせ』
きのちかく、てっきょう、からあげべん
とう、まどぎわ、しんかんせん !
男子の好きな物がいっぱいです !
﹃うそうさぎ﹄
うそ、うさぎ? これ、うさぎ??
︵谷川晃一作・八〇〇円︶
− 15 −
はじめて一人でおかいものにでかけ
た、ぶたぶたくん。途中でかあこちゃ
んと出会ったら、にぎやかなおかい
ものツアーのはじまりです。
ロングセラーの印象が強い福音館書店
『ひともじえほん』
『ぶたぶたくんのおかいもの』
彼らの表情と小物使いにも注目 !
したくなる事間違いなし !
﹃きょうりゅうがすわっていた﹄
まるでその硬さや冷たさが伝わってく
絵本の世界へ﹃たからさがし﹄にでかけ
こどものともで﹃おおきくなるの﹄。
よう !
九〇〇円︶
るよう。見事な存在感。
ページをめくると、リアルであるのに
ひ み つ の 合 言 葉 は、﹃ め っ き ら も っ き ら
のすくさんぽ﹄。
︵市川宣子作・矢吹申彦絵・九〇〇円︶
界。一本のナイフからこんな絵本ができ
どおんどおん﹄。
﹃やまこえ のこえ かわこえて﹄
﹃おなか
﹁きみがうまれたときの
はなしをし
ようか﹂と、お父さんの口から語られる
るとは ! 圧巻 !
決して見ることのできないふしぎな世
のは、まさかの不思議な出来事。
﹃まじょのかんづめ﹄見つけたよ。
わあ ! ﹃ジオジオのかんむり﹄ !
きみと一緒に大きくなっているはずの
﹃ちょっとだけ﹄ひとやすみしたら、また、
しゅっぱつだー。
﹃いってらっしゃーいいってきまーす﹄。
﹃あしたてんきになあれ﹄。
奥深い絵本の世界。
見てくださいね。
どんな絵本かはお店で直接手にとって
「こどものとも」
のタイトルで
メッセージを!
︵丸善丸の内本店・兼森︶
そこの男子 ! 未知なる扉を開けてみ
ませんか?
− 16 −
あの子に思いをはせつつ、子どもの成長
最後に﹁こどものとも﹂の
タイトルでメッセージを !
ひたと染み込んでくる絵本です。
あなの奥に広がるロマンが、心にひた
ちゃいろいあなも。
読み終わった後は、裏表紙のぽっかり
眺めて、みてほしい。
ぽっかりまるく、あいたあな。じっと
︵谷川俊太郎文・和田誠画・八〇〇円︶
﹃あな﹄
『あな』
がいとおしくなります。
番外編はジャケ買い必須の
名カバー
忘れられないインパクトを持つ表紙や
﹁顔﹂で選ぶのも、一つの手ですよ。
タイトル。そんな絵本を集めてみました。
﹃ふしぎなナイフ﹄
︵中 村 牧 江、 林 健 造 作・ 福 田 隆 義 絵・
『ふしぎなナイフ』
ネット炎上の研究
田中辰雄・山口真一著
シンギュラリティは近い
ケート調査からは、炎上参加者は﹁年収
分析をおこなっている点が新しい。アン
どが多かったのに対し、本書は定量的な
個別の事例紹介や企業における対応策な
ムで一躍脚光を浴びて、今回のエッセン
かった単語が昨今の第三の人工知能ブー
二〇〇五年にはほとんど知られていな
え る 技 術 的 特 異 点 の こ と。 原 著 発 行 の
リティとは人工知能が人間の能力を超
コンパクトになって再登場。シンギュラ
大 著﹃ ポ ス ト・ ヒ ュ ー マ ン 誕 生 ﹄ が
レイ・カーツワイル著
が高く、子持ちで若い男性﹂が多いとい
ス版発行となった。十年前に書かれたと
これまでのネット炎上に関する書籍は
う意外な姿が見えてきた。炎上はなぜ起
はサーバの構築や設定の自動
Ansible
化をおこなう、オープンソースの構成管
一五〇〇円
きるのか、防ぐことはできないのか。そ
NHK出版
は思えない、いまこそ読むべき予言の書。
二二〇〇円
初めての
Ansible
のひとつの答えが提示されている。
勁草書房
メイカーズのエコシステム
高須正和・ニコニコ技術部深圳観察会著
ない、個人による創作活動、いわゆるメ
理 ツ ー ル。 競 合 ソ フ ト の
三二〇〇円
− 17 −
コンピュータ
考古学
Unix
Truth of the Legend
藤田昭人著
イカームーブメントは急激な成長を遂げ
解説書が出ていたが、待望の Ansible
の
本が登場。名前の由来は﹃ゲド戦記﹄で
著
Lorin Hochstein
Sky 株式会社
玉川竜司訳
ている。多数の小規模製造業者と巨大な
有名なアーシュラ・K・ル・グィンのS
専門誌
UNIX
﹂にて連載されていた記
UNIX USER
事が、十二年の時を経て書籍として復活。
電気街を擁し、いま世界中のメイカーか
かつて発行していた
オープンソースの先駆け、
C言語の開発、
ら注目を集める街、中国・深圳。メイカー、
る造語。本書もまた、高速で快適なサー
F小説に登場する、超光速通信を意味す
ワ ン ボ ー ド マ イ コ ン Arduino
の普及
や三Dプリンターの低価格化などにとも
緊密なコミュニティなど、現在のプログ
企業、政府がからみ合い独自の生態系を
﹁
ラミングに多大な影響をもたらした
織り成している様を、現地の熱もあらわ
オライリー・ジャパン
バ管理を約束してくれるだろう。
は何点か
Chef
は、どうやって生まれたのか。そ
UNIX
こには開発者の情熱があり、企業の事情
二一〇〇円
があり、幾つものドラマがあった。資料
インプレス
に描き出している。
二六〇〇円
としても読み物としても秀逸な一冊。
ドワンゴ
コンピュータ
科学の発見
スティーヴン・ワインバーグ著
文藝春秋
直感力を高める
数学脳のつくりかた
一九五〇円
たのを追い払おうとすると臭い匂いを発
野澤雅美著
﹁ カ メ ム シ ﹂ と い え ば、
洗濯物についていたり肩にとまったりし
は、スティーヴン・シェイピンに代表さ
上の物理学の統一までを語る本書後半部
の発見から、ニュートンによる天空と地
コペルニクスの美意識による﹁地動説﹂
学の修士号とシステム工学の博士号を取
と数学・科学を勉強し直し、電気情報工
た。 軍 を 退 役 後 に﹁ 脳 を 再 教 育 し よ う ﹂
が 好 き で、 ロ シ ア 語 に 長 け た 軍 人 だ っ
高校時代は単位を落としたほど。言語学
著 者 は 工 学 教 授 だ が、 そ の 経 歴 が ユ
バーバラ・オークリ著
する虫。あまり良い印象ではない。本書
れる﹁科学革命などというものは存在し
得した。
自 然 科 学
科学の意義は、自然の模倣にある。今
日、ハイデッガーに反して﹁科学=技術﹂
として捉えられることが多くなっている
の著者はそんなカメムシを追いかけ、調
なかった﹂というような歴史観に対する
が、本書はそれが如何に分断されたもの
べ続けてなんと五十年。
批判でもある。科学革命は確かに存在し、
女が本書で提唱するのは、人間の脳機能
カメムシ
写真で見ると意外にも美しいカメムシ
をふまえた学習法。脳が持つ二種類の思
ニークだ。
かつては数学や理科が苦手で、
がいることに驚く。またその生態、暮ら
それは﹁美しい理論のほうが、観測結果
考モードを切り替える方法、情報をチャ
いう意味において、柄谷の言う﹁憲法の
対する、自然の狡知︵カント︶によると
い。それは、理性の狡知︵ヘーゲル︶に
の美意識によって批判されねばならな
思うに、現代の﹁科学=技術﹂も、こ
問題解決能力を高めたいビジネスパーソ
数学 科
・ 学を得意分野にしたい人はも
ちろん、攻めの学習法を習得したい人や、
交えて解説される。
果的な脳の使い方が、豊富な事例や図を
る気持ちを克服する方法などの学習に効
ンクにして記憶する方法、先延ばしにす
であったかを論じている。
しぶりからつき合い方まで、著者のカメ
に合う醜い理論より正しい﹂という美意
無 意 識 ﹂ に も 通 底 す る。﹁ 人 類 の 世 界 の
数学脳をつくり直すことに成功した彼
ムシ愛に溢れた文章がカメムシの﹁くさ
識によってもたらされたのだ。
一六〇〇円
い﹂以外の魅力を伝えてくれる。
農山漁村文化協会
理解は蓄積していくものであり、その道
一九〇〇円
ンにもおすすめの﹁脳の取扱説明書﹂。
河出書房新社
のりは計画も予測も不可能だが、確かな
知識へとつながっている﹂のである。
− 18 −
自然科学
医
学
シュミレーションで学ぶ
書
避難所の立ち上げから管理運営
Happy
山﨑達枝監修
江部克也編
災害医療の歴史は浅く、避難所のケア
も新しい分野であるため、避難所に関す
田淵アントニオ著
﹃ト シ、1 日1 分 で い い か ら、
フ ク シ マ 英 語 に 触 れ て み て。
それだけできっと世界は変わる。
﹄
り高齢者福祉に従事してきた社会福祉
カットなどから生じるサービス低下問題
導 入・ 活 用 に 積 極 的 に 取 り 組 ん で い る。
トな内容で︶やってしまってもよいのだ
学英語の本としてここまで︵ピンポイン
発売された本書のタイトルを見て、医
法 人 経 営 者。 介 護 職 員 不 足 や 介 護 報 酬
の打開策として、外国人の介護スタッフ
経済連携協定などによりフィリピン、イ
しかしそこはこれまでの医療英語学習本
ろ う か? と の 疑 問 も 正 直 最 初 は あ っ た。
の常識を壊し、ベストセラーとなった﹁ト
る多くの看護師・介護福祉士候補者。彼
ら が よ り 良 く 働 け る 体 制 を つ く る こ と、
シ﹂シリーズ。日本の現状や福島で何が
ンドネシア、ベトナムから日本に来てい
その後の海外に向けての人材活用も提案
ストや図表、人形︵シンボル︶を使うこ
練、体験学習を行うことも出来る。イラ
が大切である。本書は、時間のない中で
悩みなど問題意識を持ち続けていくこと
療で常に新しい知見・珍しい知見・疑問・
作成まで目を向ける余裕がない。日常診
無二の書籍となっている。
CICUS
S
一三〇〇円
つながる、そんな願いが込められた唯一
ほんの少しでも福島のことを想うことに
張らずに学ぶことができ、それによって
起こったのか等の英語での伝え方を肩肘
一五〇〇円
している。
幻冬舎
時 間 が な く て も、 お 金 が な く て も、
英語が苦手でも、論文を書く技法
とでイメージしやすくなっている。次の
効率のよい論文作成の進め方をビジネス
日々多忙な若手臨床医は、研究や論文
木下晃吉著
災害に備える為には普段からシュミレー
思 考 の 活 用︵ 研 究・ テ ー マ の 設 定 ︶・ 型
二五〇〇円
− 19 −
るマニュアルがあっても学ぶための書籍
は少ないのが現状である。本書は、エマ
ルゴトレインシステムを用い、課題解決
型学習法を取り入れて解説しており、問
ションや訓練等を行うことが大切であ
の習得・クラウド利用の三ステップを用
題解決能力を養うことや、深く考える訓
り、減災につながるのではないだろうか。
中外医学社
きるスキルである。
いて解説する。効率的にアウトプットで
二七〇〇円
荘道社
介護事業のグローバル人材活用術
古田勝美著
著 者 は 三 十 五 年 に わ た
医学書
日 本 の 家 庭 崩 壊 の 映 画﹁ 家 族 ゲ ー ム ﹂、
バブル景気の若者の恋模様を綴ったドラ
マ﹁ 男 女 七 人 夏 物 語 ﹂、 フ ジ テ レ ビ 移 転
を目前に控え、急激に発展し続ける東京
の歌には、繁栄と消費の象徴として東京
社 会 科 学
による台場の変化を表した﹁踊る大捜査
きみがもし選挙に行くならば
の歴史を読み解く、重要な一冊である。
線 ﹂、 他 に も 岡 崎 京 子 の 漫 画 や 山 崎 達 郎
古川元久著
著者は民進党の国会議員
で、十六歳の長男がいる。本書は親子の
筑摩書房
一四〇〇円
タワーが掲げられている。オリンピック
対話形式で、選挙や安全保障、社会保障
や議員の仕事等、様々なテーマについて
語り合うという内容。
帝国の参謀
日経BP社
ヤバすぎる経済学
二八〇〇円
常識の箱から抜け出す最強ロジック
には知られていないアンドリュー・マー
ゴンのヨーダ﹂などの異名もあるが一般
本 書 が 取 り 上 げ て い る の は、﹁ ペ ン タ
曜日がいいのか、レストランで腐ったチ
されている。たとえば銀行を襲うのは何
を経済学的に検証する一三一の話が収録
シリーズ待望の最新作で、世の中の問題
本書は大ベストセラー﹃ヤバい経済学﹄
スティーヴン・D・レヴィット、
今年六月から十八歳選挙権がスタート
シャルという人物である。一九二一年生
キンが出されたときにはいくら払うべき
スティーブン・J・ダブナー著
のような変化が期待できるのかが、わか
まれで、九十歳を超えた二〇一四年まで
なのか、あるいは政治家に高給を与えれ
アンドリュー・クレピネヴィッチ、
りやすく書かれている。自身が政治家を
米国国防総省ネットアセスメント室の
ば能力の高い人が集まって政治は良くな
バリー・ワッツ著
志すに至った経緯も詳しく語られてい
ト ッ プ を 務 め た。 米 ソ 冷 戦、 軍 事 革 命、
るのかと言った問題が挙げられる。過激
げられた選挙によって、日本の将来にど
て、政治に少しでも興味のある学生の方
昨今ではピボットやリバランスと言われ
すぎて前著に書けなかった、炎上必須の
する。約七十年ぶりに投票年齢が引き下
にはぜひ読んでいただきたい一冊。
る数々の政策の舞台裏で、米国の世界戦
東京β
一三〇〇円
略をデザインしてきた。公式の場には出
小話満載である。
集英社
速水健朗著
東京は常に変化を遂げる
都市である。本書は東京を題材にした小
ない、発言しない人物の半生をたどりな
一八〇〇円
説や映画などから、時代ごとに語られて
がら、知の軌跡を追っている。
東洋経済新報社
きた都市像を掘り下げる。たとえば戦後
− 20 −
社会科学
池上彰の君たちと考える
これからのこと
平行して非正規雇用の待遇改善を進め
較しながらその思想の真髄に迫る。
自己実現を目指す西洋的な啓発思想と比
力 を 説 く。 堅 苦 し い 形 式 に 思 え た 礼 が、
かくれんぼやクリスマスを例に︿礼﹀の
特に面白いのが孔子の章。子どもとの
る 必 要 が あ る。 ど う す れ ば 労 働 者 全 員
のヒントが、本書を読むと見えてくるよ
習癖を破り真の自由をもたらすものに見
が満足できる時代が来るのか。その解決
本書は日本経済新聞で二〇一五年四月
う に 思 わ れ る。 転 職、 起 業、 地 方 移 住、
えてくる。知っていたはずの東洋哲学が、
池上
彰著
から今年三月まで連載されていた、東京
育児等、取材で得られた生の声は非常に
空室が日本を救う !
早川書房
一六〇〇円
我々に新鮮な視点を示してくれるのだ。
著 者 に よ っ て 新 た な 息 吹 を 与 え ら れ、
工業大学での授業をもとにしたコラム記
一五〇〇円
貴重だ。
日本経済新聞出版社
事を加筆修正したもの。加えて、﹃いま、
君たちに一番伝えたいこと﹄の続編にあ
たるものでもある。テーマは多岐にわた
り、その時々のニュースを題材に政治や
経済に関わるものが多い。全てではない
名門大学の人気講義の書籍化が続いて
りなど、手法は多種多様。アイデアと情
果を利用して外国人向け賃貸を促進した
に生まれ変わらせたり、インバウンド効
− 21 −
が学生とのやりとりもある。また、ひと
谷
正男監修
空き家、空きビル、空室の増加がいま
つひとつのテーマの文章量も短めにされ
日本の深刻な問題となっている。古い物
件を活用して、社会を良くしていけない
か。本書には、そんな課題に挑戦してい
団 地 を 丸 ご と 福 祉 施 設 に 再 生 し た り、
る革新的企業二十二社が登場する。
いるが、本書で扱うのは東洋哲学。日本
熱があれば、いくらでもやりようがある
屋上緑化を糸口にそこを人が集まる場所
今の日本人の働き方について、最前線
でもおなじみの孔子、老子、孟子等の名
一二〇〇円
ており、読みやすくなるように配慮され
ハーバードの
人生が変わる東洋哲学
を徹底取材。問題点や将来像を解説した
が並ぶ。論語等の書籍は章句の解説が中
マイケル・ピュエット著
ている。
日本経済新聞出版社
働き方Nex t
選ぶのはあなた
内容となっている。少子高齢化により労
日本経済新聞社編
働力人口が減少するこれからの社会で
一五〇〇円
と感じた。
ダイヤモンド社
心のものが多いが、本書ではそれらの哲
学 が 生 ま れ た 時 代 背 景 か ら 説 き 起 こ し、
は、 女 性 や シ ニ ア の 更 な る 活 用 が 重 要
に な っ て く る。 正 社 員 の 残 業 を 減 ら し、
社会科学
柳田國男と考古学
設楽博己・工藤雄一郎・松田睦彦編著
仏教からみたもうひとつの近代
近代仏教スタディーズ
民俗学、考古学、人類学がどのように関
していた。それらの資料を題材に、日本
みられていたが、実は石器や土器を収集
までさまざまな﹁濃い﹂キャラの絡まり
洞察力にあふれ、大谷光瑞から宮沢賢治
時には沈痛で、時にはあやまち、時には
数︶。実は近代仏教は﹁時にばかばかしく、
宮都市﹂の楽しいガイドブック︵写真多
近 代 仏 教 史 と い う﹁ ハ イ カ ラ な ﹂﹁ 迷
大谷栄一ほか編
わり、どのように分かれていったのかを
あうダイナミックな歴史﹂をもっている。
人 文 科 学
日本民俗学を確立した柳田國男は、性
豊富な画像と共に追究してゆく。知られ
質の違いから考古学とは袂を分かったと
保育施設﹁リンゴの木﹂代表で、多方
ざる資料を各分野の碩学が追究してゆく
保育の瞬間
面に活躍する著者が、保育者として疑問
柴田愛子著
に思ったり不思議に感じたりした様々な
二三〇〇円
SAGE 質的研究キット②
法蔵館
さまは、さながら謎解きのよう。
二二〇〇円
質的研究のための
﹁インター・ビュー﹂
た︵ バ タ イ ユ、 ブ ラ ン シ ョ、 ナ ン シ ー
あ る こ と ﹂︶ に つ い て 根 本 か ら 問 う て き
ス 現 代 思 想 は﹁ 共 同 体 ﹂︵ ま た は﹁ 共 に
とは職人技であり、本を読むだけではな
待望の翻訳である。インタビューの技術
し て 第 一 人 者 で あ る 著 者 に よ る 主 著 の、
二巻にあたる本書。質的研究の理論家と
﹁S A G E 質 的 研 究 キ ッ ト シ リ ー ズ ﹂ 第
このたび新曜社から刊行が開始された
スタイナー・クヴァール著
等 々︶。 本 書 は 資 本 主 義 と 国 家 の 価 値 が
同 体 の 危 険 と 希 望 ﹀ 一 理 論 編 ﹂。 フ ラ ン
副題は﹁フランス現代思想が問う︿共
岩野卓司ほか著
共にあることの哲学
新泉社
ことに、具体的なエピソードを通して答
えていく。子ども同士のトラブルも、見
守っていると、時間をかけて本人たちが
解決していくことがある。子どもの心に
寄り添うことを基本とする著者の、子ど
一六〇〇円
もを見る目の温かさが印象的である。
学研
揺らいでいる現代にあって、共同体の問
技術だと著者は考える。社会調査に関わ
くインタビューの実施により蓄積される
新曜社
二七〇〇円
る人にとって、必携の一冊。
題を再考する試みである。続く実践・状
三三〇〇円
況編にも期待したい。
書肆心水
− 22 −
人文科学
がる物語をがっしりと支える骨太な傑作。
一八五〇円
本懐に候
新撰組を題材にした小説を読むには体
山本音也著
力・気力がいる。とりかかるのに覚悟が
集英社
残り者
いった彼らには、惹かれずにはいられな
文学・文芸
い強さと悲哀がある。覚悟して読んでい
いるのだ。激動の幕末、翻弄され倒れて
幕末、鳥羽伏見の戦に敗れ、朝敵となっ
朝井まかて著
バラカ
ても彼らの運命にひきずられて苦しく
なってしまう。でももっと深くまで読ん
た徳川家に江戸城の明け渡しが命じられ
でみたいと思ってしまう。本書はまさに、
る。官軍が来ることを恐れ、女中たちが
放射能警戒区域の中に一人残されてい
我先に城を出ようとするなか、大奥にと
桐野夏生著
た 少 女。﹁ ば ら か ﹂ と し か 口 に し な い そ
苦しいけれど読まずにはいられない新撰
どまった五人の﹁残り者﹂がいた。
大震災に原発事故という現実を目にし
えない不安と混乱の中でも仕事のことが
で長年務め上げた者たちばかり。先の見
るが、本作の女中たちは皆、己の腕一本
た。相馬は腕を、安富は指を失って。
たふたりは、明治の世へと生き残ってい
士・安富才助。土方歳三の最期を看取っ
新撰組最後の隊長・相馬主計と、元隊
組だった男たちの物語だ。
た 著 者 は、﹁ 作 家 と し て 何 も な か っ た よ
気 に な っ て し ま う、 そ こ に 見 え る の は、
に忠義を尽くして奉公するイメージがあ
大奥というと、御台所やそれぞれの主
の少女をめぐり、この物語は恐ろしいほ
ど に 躍 動 す る。 震 災 と い う 異 形 の 神 に、
うな話が書けるだろうかと自問し﹂た結
一七〇〇円
− 23 −
物語自身が命を吹き込まれたように。
果、当時構想中だった作品に、その現実
しい時世とは無縁にいずれ朽ち果てる﹂
﹁これから向かっていく時世に腕を
と思い定めている安富。どこまでも対照
揮 っ て み た い ﹂ と い う 相 馬 に 対 し、﹁ 新
家とも職場とも言える、唯一の場所を
忠義というよりも自分の仕事への誇りで
失うことへの不安や切なさを抱えながら
的に描かれる二人の行末。
と、そこから生まれた空想を大きく取り
それはまさに﹁作家の業﹂であり、震
も明日はやってくる。五人それぞれがど
と 思 い つ つ も、 そ の 重 さ が 心 地 よ く て、
ある。
災後の世界と同時進行的に紡がれた物
のような明日を迎えるのか、読み終えた
この物語の世界に浸っていたいと思わせ
込んだ。
語は、自身の吐き出す業火で己を焼き尽
後にはなんだか胸が温かくなる、そんな
小学館
てくれる。
読み終えて、やっぱり苦しかった⋮⋮
くしてしまうかのような壮絶な作品と
一冊だ。
登場人物に対する共感と反感のギリギ
一五〇〇円
なった。
リ の 線 を つ い て く る 細 か な 心 理 描 写 と、
リアルな設定。確かな筆力が、自在に広
双葉社
文学 ・ 文芸
潮鳴り
文庫・新書
葉室
麟著
﹁落ちた花は二度と咲かぬ﹂
もう時は戻せない。今更足掻いたとて、
を守ろうとする染子の物語であり、そし
て自分が落ちた花だと感じている誰かに
続いていく物語なのかもしれない。
それでいて昨今の育児事情なども織り
モアミステリーである。
果たして羽田はこのまま鈴木家の子ど
込んで、社会派の要素も見せる。
もとして育っていくのか否か、そのあた
りもご注目いただきたい。
六八〇円
最 近、 何 か と 仕 事 が う ま く い か な い、
七〇〇円
ひとを愛する尊さを、改めて、思い知
らされる作品である。
祥伝社文庫
中公文庫
うまくいかないときの心理術
も う ひ と つ 上 の レ ベ ル に 行 き た い の に、
古田敦也著
生きることを諦めていたはずの男女
どうしたらいいかわからない。誰かぐっ
失った者は二度と戻ってはこない。
が、落ちた花を再度咲かしてみせたいと
とくるアドバイスをくれないだろうか
間関係における具体的なケースを挙げな
あの名捕手・古田敦也氏が、仕事や人
⋮⋮そんなときに読んでみたいのが本書。
願ったとき、そこには死ぬことよりも辛
そうまでして咲かせたかった花が、自
い道が待っていた︱︱︱。
こんにちは刑事ちゃん
がら、経験に基づいた的確な解決法を伝
分のための花ではなく、相手のための花
藤崎
翔著
N県警捜査一課のベテラ
ン刑事、羽田隆信、五十歳。部下の鈴木と
授してくれる。
だったというその境地に触れたとき、極
限まで苦しみぬいた人がこうまでも他
殺人事件の捜査中、犯人に撃たれて殉職。
も、生活や仕事における悩み解決に大い
した人の言葉は、そことは無縁の我々に
プロ野球という厳しい世界で実績を残
者を想うことができるのか、と衝撃を受
鈴木家の赤ちゃんに生まれ変わってし
う ! と 思 い き や、 ど う い う わ け か 彼 は
冒頭からこれでは話が終わってしま
﹃潮鳴り﹄は役目をしくじりお役御免
けた。
となった櫂蔵の物語でありながら、好い
PHP新書
るアドバイスが満載である。
七八〇円
責任者の立場にある人まで、幅広く使え
に 役 に 立 つ。 こ の 春 社 会 へ 出 た 人 か ら、
まさかの展開が読者をひきつけるユー
としての記憶と知識を持って⋮⋮。
しかもちゃんと五十歳のベテラン刑事
まったのだ !
た男に裏切られ身を売ったお芳の物語で
あり、兄を慕いながらひたすら真摯に生
きた新五郎の物語であり、妻子を捨てた
俳諧師の咲庵の物語であり、武家の誇り
− 24 −
文庫・新書
芸
術
﹁売る﹂から、﹁売れる﹂へ。
水野学の
ブランディングデザイン講義
水野
学著
﹁ く ま モ ン ﹂ の 生 み の 親 で も あ り、
に﹁ブランド力﹂を上げられるかが重要
を雪山に見立てた作品に添えられている
る面白さを加えている。ソフトクリーム
思わず笑ってしまった。
水曜社
二二○○円
コ メ ン ト は﹁ 雪 山 を な め る べ か ら ず。﹂
になってくるのである。
本書では、企業やその商品に合ったプ
ロデュースをするために必要なポイント
デザインとは関わりのない方にとって
が実例と共に紹介されている。
も﹁プロデュースをする﹂とはどういう
一六〇〇円
ことなのかを知ることのできる書籍と
なっている。
誠文堂新光社
MINIATURE LIFE 2
編
MINIATURE CALENDAR
子どもの頃、ブロッコリーを手にとっ
チの山をハイキングしたり、クロワッサ
年を超える人生がたっぷりと詰まった一
さらにはドラマ制作秘話まで。その八十
一六〇〇円
− 25 −
代表のクリエイ
good design company
ティブディレクター・水野学さん待望の
て﹁木に見える﹂と思ったことがある人
倉本
聰著
﹁ 北 の 国 か ら ﹂ シ リ ー ズ な ど、 多 く の
新刊である。
私たちがモノを買う時、一体何を基準
は意外に多いのではないだろうか。大人
人気ドラマや舞台などを手掛ける脚本
私の履歴書
に選んでいるのであろうか。商品のデザ
になってもその遊び心を失わず、創造力
見る前に跳んだ
イン、価格、機能性など、その理由はきっ
の 限 り を つ く し て 作 り 上 げ ら れ た 世 界。
そして、その理由の中の一つに、この
ンの雲に乗り休日を謳歌する。なんとも
冊である。
幼 少 期 の こ と か ら ニ ッ ポ ン 放 送 時 代、
家・倉本聰さんの自伝。
ンド力﹂が入っていることも少なくない
楽しそうな世界である。また、本書の魅
。
MINIATURE LIFE
この作品に登場する人々はサンドイッ
それが本書
と様々だろう。
メーカーの商品だったらきっと良いもの
のではないだろうか。
力は一つの作品ごとに添えられた一言に
に違いない、という信頼、つまり﹁ブラ
安くて性能の良い商品がいくらでも溢
日本経済新聞出版
のか、と驚くこと必至である。
あの人気作品にはそんな設定があった
れ て い る 今 の 時 代、﹁ 本 当 に 良 い モ ノ ﹂
ある。著者曰く悩んだらダジャレに走っ
てしまうというその一文が、作品に更な
であってもそれだけで売れるように仕向
けることは大変難しい。そのため、いか
芸術
実
用
書
地図・旅行書
な ぜ、 あ の 家 族 は 二 人 目 の 壁
を乗り越えられたのか?
応援団著
1 more Baby
初めて産んだ子どもが、先日、二歳の
誕生日を迎えた。親族・職場・保育園な
ど、たくさんの方々に支えられて迎えた
上いる家族ってどんな人たちなの?﹂の
全三章で構成されている。
二人目を授かって出産するまでの道は
平坦ではないけれど、
﹁これがクリアでき
い。さまざまな家族の、さまざまな例を
ていなければダメ ! ﹂というものでもな
挙げながら、
﹁二人目がほしい﹂あなたや
一六〇〇円
本文書体や装画も美しく、添えられた
図版が楽しませてくれる。
講談社エディトリアル
ツバサノキオク
スケールアヴィエーション編集部編
災 害 時 や 遭 難 時、 最 後 の 砦 と な っ て
人々の救出に向かうのは、自衛隊の救難
部隊である。全ての組織が捜索を断念し
た後に初めて出動許可が下りるため、彼
ら の 任 務 は 必 然 的 に 過 酷 な も の と な る。
と。⋮⋮できればこの子に、兄弟がほし
最近引っかかっているのは、実は別のこ
いと感じる。古来、花は人間の思いを全
子 を 見 て、﹁ 花 と ダ ン ス し て い る ﹂ み た
やはり花に関わる仕事に携わる家族の様
著 者 は 幼 い 頃 か ら 花 に 囲 ま れ て 育 ち、
な ら で は の、﹁ 航 空 ﹂ に 対 す る 計 り 知 れ
数々の航空関連作品を手掛けてきた著者
いる。本職は映像プロデューサーであり、
飛行機模型専門誌での連載が纏められて
救 難 隊 の 実 情 を 発 信 す る 目 的 で 寄 せ た、
一三五〇円
私の背中をそっと押してくれる一冊。
プレジデント社
花と人のダンス
だが、その救助の様子は殆ど報道されな
いのだ。でも、教育費は? 一人でも大
て受け取り、時に代弁し、心を癒す大切
い。本書はそんな現状を憂いた杉山氏が
変だったのに、本当にもう一人育てられ
な存在だった。
川崎景介著
るの? 職場の上長・同僚たちにこれほ
誕生日。とても嬉しい一日ではあったが、
ど支えられていながら、また長い育休を
その事実に傷を負いながら、今日も訓練
ない熱意と、救難隊への深い尊敬の念が
の魅力、グレース・ケリーとスズランの
﹃星の王子さま﹄と花一輪、ツタンカー
花束、巨匠ガウディは植物の教え子、花
取ると思うと⋮⋮などなど、不安材料に
そんな煩悶を抱えながら働いていたと
彼らの活動を支えることができるのだろ
最 善 を 尽 く し て も 救 え な い 命 が あ る。
きに入ってきたのが本書。一〇四五人の
を踊らせた絵師
伊藤若冲、など﹁読む
と幸せになる花文化五十話﹂というサブ
ひしひしと伝わってくる。
ママ・パパからの聞き取りをもとに、﹁﹃2
うか。考えさせられる一冊。
メ ン に 捧 ぐ 花、﹃ 万 葉 集 ﹄ の 人 気 者 ハ ギ
人目の壁﹄を乗り越えたいまどき家族の
タイトル通り、古今東西の花と人のエピ
は事欠かない。
い ろ ん な カ タ チ ﹂、﹁﹃2 人 目 の 壁 ﹄ を 乗
ソードが盛り沢山。
大日本絵画
三二〇〇円
に 励 む 救 難 隊。 我 々 は ど の よ う な 形 で、
り越える8のヒント﹂、﹁子どもが2人以
− 26 −
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
ハッキヨイ ! せきトリくん
Jリサーチ出版
一〇〇〇円
世界の英語ができるまで
唐澤一友著
英語のしくみがわかる
基本動詞
英語に限らず外国語を勉強する際、よ
小西友七著
が、どのような道筋をたどり、英語の通
れる言語にすぎなかった。本書ではそれ
ンダ・ドイツ北部沿岸地域で細々と使わ
省略や比喩的使われ方により全く異なる
み 合 わ せ で 様 々 な 意 味 合 い を 帯 び た り、
詞自体が持つ曖昧性によって名詞との組
験がある方もいるのではないか。その動
覚えているだけでは対応できなかった経
しい。例えばg e t を﹁手に入れる﹂と
用する地域はいつ頃どのようにして拡大
意味にもなる。だからこそ基本動詞ほど
く使われる基本動詞ほど習得するのは難
リサ・ヴォート著
していったのか、また広まった先々でど
英語の源となった言語は、北ヨーロッ
にしづかかつゆき絵
のように変化し発達したか、といった点
パの片隅、現在のユトランド半島やオラ
本書は日本相撲協会公式キャラクター
ひよの山の
英会話に待ったなし !
﹁ハッキヨイ ! せきトリくん﹂のひよ
の使い方にこそネイティブの考え方が表
ネイティブの使用頻度が高く、基本動詞
具体的にはイングランドにおける英語
について語っている。
の山を中心に、相撲に関する言葉や多く
の人が抱きそうな疑問について、可愛い
アフリカ、更にはカリブ海地域やアフリ
語を示すなど様々な視点を取り入れるこ
やすく示しつつ、それぞれの意味に類義
意味が派生していく様子を図解で分かり
本書は基本動詞の﹁中核的意味﹂から
れやすい。
カ、アジアなどその名の通り﹁世界﹂と
とで、習得の難しい基本動詞を分かりや
盛衰史からはじまり、アメリカ、カナダ、
日英対訳になっており、ひよの山とラ
いう名にふさわしいほどの変貌を遂げ
オーストラリア、ニュージーランド、南
イバル赤鷲の成長と戦いを中心に、角界
る。英語史関連書と比べると、かなり一
イラストとマンガで楽しく分かりやすく
の慣習や決まりごとなどを通して英語の
解説している。
フレーズを覚えられる。相撲についての
基本動詞をマスターすれば、いままで曖
すく解説している。本書にある二十四の
昧だった基本動詞に対する理解が深まる
般向けに書かれており、読みやすい。
新しい英語の形である﹁ピジン﹂や﹁ク
解説も詳しく、国技である相撲を知るう
えでも役に立つ一冊だ。四年後の東京オ
だけでなく、英語ネイティブの考え方へ
二五〇〇円
レオール﹂にも触れており、英語の多様
研究社
の理解も深まるだろう。
性や豊かさを知ることができる一冊。
二〇〇〇円
リンピックに向けて今後さらに外国人観
亜紀書房
− 27 −
24
光客増加が予想されるが、日本文化に興
語れるようになるだろう。
味を持つ外国人に、英語で相撲の魅力を
語学・辞典
児
童
書
このあとどうしちゃおう
ヨシタケシンスケ作
亡くなったおじいちゃんの部屋のベッ
ドの下からノートが出てきました。
﹁このあと
どうしちゃおう﹂と書か
れたノートには、自分が死んだらどうな
るのか、どうなりたいのか、いてほしい
夢の宮殿をたてた郵便配達夫
シュヴァル
岡谷公二文
ちっちゃいさん
イソール作
宇野和美訳
夫婦の元にちっちゃいさんがやってき
山根秀信絵
かれていて、愛されていたこと、愛して
たちから変な目で見られてもその情熱は
上の夢の宮殿をたてることを決意。村人
ヴァルは不思議な形の石を発見し、空想
今 か ら 百 年 ほ ど 前、 郵 便 配 達 夫 シ ュ
ました。ちっちゃいさんの生態︵?︶や
いたことがふつふつと思い出されてきま
衰えず、三十三年もの月日をかけて完成
仕草、ちっちゃいさんとの生活がよく描
す。この絵本を読むと、子どもの寝顔を
さ せ ま す。 当 時 の 雑 誌 や 万 国 博 覧 会 の
小やぎのかんむり
福音館書店
圧倒します。
一三〇〇円
で見事に造りこまれた宮殿は、見る者を
影響を強く受け、非常に細かいところま
眺めるのと同様に、時折のぞく子育ての
一五〇〇円
疲れも癒されることでしょう。
講談社
十三番目の子
シヴォーン・ダウド作 パム・スマイ絵
神様の理想像、家族への希望などがヨシ
タケシンスケの世界で書かれていて、死
池田真紀子訳
小さな山寺でのサマーキャンプ。苦し
市川朔久子著
く息が詰まる毎日から逃れてきた中学三
ドンドの生け贄として捧げなければなら
た子は十三歳の誕生日に地底の暗黒の神
村の言い伝えでは、十三番目に生まれ
をテーマにしているのに重くも軽くもな
一四〇〇円
く、楽しく真剣に考えられます。
ブロンズ新社
ない。生け贄となる少女ダーラは、十三
生葉介、優しいお寺の人々との触れ合い
を通じて、その胸の奥底でずっと抱え続
年生の夏芽は、五歳の雷太、地元の高校
けていた問題と正面から向き合おうとし
歳の誕生日の前日に十二番目の子である
番を取り違えられていた事実を知った二
ます。精一杯生きる者へ贈られる﹁宝だ﹂
双子の兄と再会します。生まれた時に順
人は、この日はじめて会った互いのため
一四〇〇円
に、ある決断をします。北方の神話の空
講談社
の一言は、心の奥深くまで響きます。
一三〇〇円
気を感じさせる美しい物語です。
小学館
− 28 −
児童書
﹃心臓外科医がキャリアを捨ててCEOになった理由﹄
山﨑
舞
げない︱︱言うは易し、行うは難しという諺があるが、
か を 捨 て 去 ら な い と、 エ ネ ル ギ ー や 集 中 力 の 分 散 を 防
潮 が あ る と 感 じ て い る の で す が、 個 人 的 に は、 今 の 日
事を両立することが立派で偉大なこととされている風
女性が、結婚や出産、育児などのライフイベントと仕
などの点で惹かれ、本書を手にとりました。
本 書 の 著 者 は 思 い 切 っ た キ ャ リ ア 選 択 を し て、 自 分 の
本社会はそのロールモデルとなるような人物が少ない
新しいことに真剣に挑戦するためには、一方で古い何
成し遂げたい夢の実現にむけてたゆみない努力を続け
女 子 像 ﹂ と、 今 の そ れ と は 大 き く 異 な っ て い る よ う に
私は今、医学部学生ですが、自分の親の世代﹁勝ち組
と感じています。
大 医 学 部 に 再 入 学。 医 師 と な っ た 後 も、 研 修 医、 心 臓
感 じ て い ま す。 そ ん な 中、 本 書 は、 自 ら の キ ャ リ ア プ
現役で京大理学部に入るも、卒後に不安を感じ翌年京
ている人です。
外 科 医、 研 究 者、 経 営 者 と そ の 時 々 の 自 分 の や り た い
ランを考える上で大いに助けになると思いました。
︵東洋経済新報社・野尻知里著・一五〇〇円︶
﹃心臓外科医がキャリアを捨ててCEOになった理由﹄
*
︵二十一歳・学生︶
こ と と 自 身 の 気 持 ち に 素 直 に、 実 に し な や か に キ ャ リ
アを変えてきた人物です。
一度他学部に入学した後医学部に入学し直していらっ
しゃることや、常にいろいろなことに興味を持ち続け、
男 性 優 位 の 社 会 に あ り な が も 自 分 の 信 念 に 素 直 に、 し
なやかに変化に柔軟に対応し生き抜いていらっしゃる
− 29 −
A
A TT II O
ON
N
ジュンク堂書店
名古屋栄店
MARUZEN &ジュンク堂書店
梅 田 店
ジュンク堂書店
MARUZEN
奈 良 店
広 島 店
☎(052)212 5360 ☎(06)6292 7383 ☎(0742)30 1021 ☎(082)504 6210
〔営業時間〕10時∼ 20時
丸善
名古屋セントラルパーク店
〔営業時間〕10時∼ 22時
丸善
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
関西国際空港店
西 宮 店
〔営業時間〕10時∼ 22時
ジュンク堂書店
広島駅前店
☎(052)971 1231 ☎(072)456 6486 ☎(0798)68 6300 ☎(082)568 3000
〔営業時間〕10時∼ 21時
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− 30 −
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営業時間は変更する場合がございます。ご了承ください。
定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
− 31 −
〔営業時間〕10時∼ 21時
│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
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い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
年間一二三〇円︵送料込︶
現金書留もしくは八十二円切手十五枚で
│
お申し込み先
しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。
四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
月は運動会の季節。小学校の
組み体操、中学校の部活対抗
リレー、高校の騎馬戦や応援
合戦など、工夫をこらされ盛
︵緒︶
り上がる種目を観戦するのが
楽しみだ。
− 32 −
│
│
│
わが家では毎年五月から六
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
書店員の読書
書店員というのは月に何冊、本を読む
のか?
ということを考えてみたけれど、月並
も僕の読むスピードは早い方であるらし
ヒーをちびちび飲みながら挙動不審に過
部分を満喫できず、残された時間はコー
落ち着きがないとたくさんの方から言わ
ごすのみ。そして、このせいでしばしば
れ、踏んだり蹴ったりである。
かを聞かれることがある。その答えとし
ては﹁すごく集中して読む﹂だけである。
く、どうやったらそれだけ早く読めるの
こう答えると笑われるのだけど、それし
僕の歳も四十歳に近づくにつれて、や
人間が一生のうちに読める本の数は限ら
はり本はじっくりと読みたいものだと最
れており、それだったらたくさん読めた
か答えようがない。僕はこれで、小説だ
漫画だけの話をすると、集中して読む
近はしみじみ思う。けれども、一方では
と一ページもしくは見開き一ページが一
と一冊一∼二時間、漫画だと一冊五分∼
僕に関して言えば、小説が月に五∼十冊、
方がよいのでは?とも思っている。
十分で読める。
漫画が二十∼三十冊程度である。今思え
コマとして読める。こんなわけで一冊読
み な 答 え に な る が 人 そ れ ぞ れ だ と 思 う。
ば書店員になる前はこんなに読んでいな
むのがあっという間というわけである。
良いことだ、ということはなく、時間を
しかしながら、本が早く読めることは
ので、早く読めてもじっくり読んでもど
学ぶものでもあり、楽しむものでもある
でも分からなくなってきているが、本は
結局のところ、何が言いたいのか自分
かったし、書店員になってから年々読む
僕の読書量が一般的に多いかどうかは
潰したいときにこのスキルを発揮したり
量が増え、今に至ってしまった気がする。
自 分 で は 判 断 し に く い が、 漫 画 を 月 に
ちらでもよく楽しんだもの勝ちだ。
ゆっくりと読書 と思っていても、すぐ
653- 1600013 0008
︵junjun ︶
んでもらえることを願っている。
僕らが販売している本たちが楽しく読
すると困ったことになってしまう。
に 本 を 読 み 終 え て し ま っ て﹁ ゆ っ く り ﹂
さらには休日にオシャレなカフェで
二十∼三十冊はまぁまぁ多いのではない
書店員仲間と読書の話になると、よく
かと思う。
読むスピードの話になる。そして、どう
!
!
二〇一六年六月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
451
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