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富士通ジャーナル 2006年5月号 VOL.32 NO.5 2006 NO.290

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富士通ジャーナル 2006年5月号 VOL.32 NO.5 2006 NO.290
表1.4入稿 06.4.28 2:03 PM ページ2
P2-3入稿 06.4.28 2:05 PM ページ1
ワークスタイル改革で「攻め」に転じる
現場を変えて競争力を創出する
オフィス・イノベーションモデル
ビジネス世界で最も早くIT化されたのはオフィスでした。オフィスには営業、製造、マーケット等から情報が集まり、
これらを処理して経営判断に役立てることで競争力が得られたからです。IT化はその後、生産、流通等の現場にお
いても進み、業務効率向上の競争は熾烈です。さらに競争力を得るにはどうしたらいいか?その答えが「現場の情報
化」です。現場の情報をオフィスに吸い上げ、判断するのではなく、現場で的確な判断をスピーディーに下す。
そのためのオフィス・イノベーションモデルに注目が集まっています。
向かい、帳票に氏名、住所、払込金額を書き込み、それをバック
現場のスタイルが変革すると新たな価値が生まれる
オフィスの行員が何重にもチェックし、基幹システムを呼び出し
て入力していました。これを、ATMの機能を向上させ、お客様
現場において高度な判断がなされることにより商品の付加
と行員が全てATMの画面上で、事務を分け合うように処理す
価値が高まり、創造的なビジネスの芽が生まれる―具体的な例
れば、バックヤードで帳票類を確認する作業も現金出納の処理
を示すと次のようになるでしょう。
も要らなくなり、待ち時間は大幅短縮されます。バックヤードス
交通事故による物損を保険契約にしたがって補償する案件
ペースが縮小されれば、例えばお客様がじっくりと資産運用に
が発生しました。ドライバーが現場から保険会社に事故発生
ついて相談するスペースに活用することも可能です。事務処
を伝えます。オペレーターがドライバーの現在位置を確認し事
理主体だった銀行店舗がリテール客の資産運用等について
故発生現場の住所を入力すると、現場に最も近い社員のデー
じっくり説明してくれる店舗へと一大変身する可能性があり
タと事故現場までの所要時間が表示されます。オペレーター
ます。店舗のスタイルだけでなく、銀行業務が顧客の資産運用
が、表示された社員のアイコンをクリックすると、社員のタブ
コンサルティングにシフトするなど、新しいニーズを目指す可
レットPCに「事故発生。次の住所へ急行してください」のメッ
能性が出てくるかもしれません。
セージが表示。社員が確認ボタンを押すと、オペレーターに
■ 図1 米国の損害保険会社
は「確認。5分後に移動開始します」のデータが送られ、同時
人とITとプロセスの改善
∼事故処理手続きも全て現場∼
にタブレットPCには事故にあったドライバーの保険契約内容
が表示されます。
現場に到着した社員は、
タブレットPCのデジタルカメラ機能
を使って事故現場の詳細を撮影します。画面には、
どういった
アングルから破損個所あるいは道路の状況を撮影するべきか
が表示され、撮影もれがないよう処理が進められます。
タブレットPC
事故現場で査定
即修理費用振込み
撮影データはタブレットPCから本社に送信。事故当事者の
責任度合いが明確なケースであれば、現場にやってきた担当
者がその場で修理費用を算出し、
タブレットPCのプリンタ機能
を使い支払明細書を作成し提示。
ドライバーの合意が得られ
変わるべきIT投資先
日米比較が示す競争力向上IT化のポイント
ればその場で決済され、翌営業日にはドライバーの銀行口座に
2004年以降の北米及び欧州と我が国のIT投資規模の推
振り込まれることになります。
移を見ると、
日本の投資規模は北米・欧州の約1/3、
アジアの
「保険金の現場支払」というきわめてスピーディーな保険業
1/6以下にとどまっていることがわかります。2004年から5
務処理は、保険商品の差別化をもたらすことでしょう。
年間の平均成長率見込みでみると、北米4.9%、欧州5.6%、
また、現場の情報化は銀行業務も大きく変えるでしょう。従
アジア9.4%に比較して、日本の成長率はわずか1.5%にとど
来の銀行店舗では、長い順番待ちの末、
お客様がカウンターに
まっています(図2)。
P2-3入稿 06.4.28 2:05 PM ページ2
■ 図2 世界の地域別 IT投資規模(2004年∼2009年)
日本の拡大スピードは北米、欧州の1/3以下、アジアの1/6以下
日本のIT投資規模の世界全体に占める割合は減少
1$=105円
5年間の
平均成長率
(兆円)
全世界IT市場
106.4兆円(2004)
140.4兆円(2009)
50
北米
56.1
4.9%
43.8
5.6%
15.5
11.7
1.5%
40
欧州
11兆6,994億円
(世界市場の8.3%)
30
10兆8,705億円
(世界市場の10.2%)
20
アジア・太平洋
(日本除
(日本除く)
本除く)
日本
10
2004
2005
2006
2007
2008
2009
9.4%
出典 : IDC 2005
IT投資が伸び悩んだ背景には、バブル経済崩壊後の長い経
いってみれば「守りのIT投資」を重視し続けた日本、
「攻め
済停滞がありました。十分なIT投資を維持できなかった主な
のIT投資」にウェイトを置いた米国という図式が見えてくるよ
理由はここにありました。
うです。
しかしIT投資冬の時代ともいえるこの数年間には、
もう一つ
日本経済が景気の踊り場を脱して、着実な成長を歩み始め
見落としてはならない現象がありました。それはIT投資を何に
たいま、IT投資はどうあるべきでしょうか。もちろん、業務効率
向けていたかです。
化のための情報システムづくりはしっかりとなされるべきです
図3は、IT投資効果に対する評価の日米比較です。これらか
が、守りから攻めへの視点に立った、新しい情報システムの構
らわかるのは、米国におけるIT投資先は、
築がなされなければなりません。
・製品・サービスの品質向上
そのための具体的なスタイルとしてクローズアップされて
・製品・サービスの高付加価値化
いるのが現場のワークスタイルを大きく変えるシステムづくり
・顧客満足度の向上
です。前述のスピーディーな保険処理業務、銀行店舗の改造に
・新規顧客の獲得
よる顧客満足度の向上はほんの一例に過ぎません。我が国特
などに向けられていたことです。
有の現場スタイルを、顧客満足度の向上、付加価値アップ、新
これに対して日本におけるIT投資先はどうだったでしょう。
しい市場を創造するといった目的を明確に定めつつ、
イノベー
米国がウェイトを置いた要素より、
むしろ重視したのは、
ションをもたらす現場に変えるという使いやすいシステム提供
・業務効率化/業務量削減
へのニーズは日毎に高まってきています。
・間接コストの削減
「どこでもオフィス」
「オフィスと現場の融合」の実現は、一
・部品在庫の圧縮
人ひとりの社員について、24時間365日、場所を問わずオ
などの要素です。
フィスにいる時と同様、
ときにはそれ以上のコミュニケーショ
■ 図3 投資効果に対する評価の違い
ン機能を実現する情報環境を作り出すこと、とも言い換えら
コスト削減・業務効率化効果
売上拡大・高付加価値化効果
業務効率化
業務量削減
売上拡大
それには、
データと音声を高度に統合する技術とそれを支え
るネットワーク技術、使い勝手の良いアプリケーションや、それ
製品・サービス
の品質向上
部品在庫
圧縮
れます。
新規顧客
獲得
調達単価
引下げ
らを陰で支えるミドルウェア、
システムを支える高度なサーバ
やデータベースシステムの設計・製造技術、そしてこれらのシ
ステムに万全の安全性を付与するセキュリティ技術が必要です。
もちろんシステムの完成度を左右する要素が、あらゆる企業規
直接コスト
削減
間接コスト
削減
米国
日本
顧客満足度
向上
製品・サービス
の高付加価値化
出典:平成15年版 情報通信白書(総務省)
模、企業形態におけるシステム化に対応してきた柔軟なシステ
ム構築経験の蓄積度であることはいうまでもありません。
P4-5入稿 06.4.28 2:07 PM ページ1
富士通が提案するワークスタイル改革のモデル化
の数だけイノベーションのチャンスがある、
ということにもな
るのです。
現場のイノベーションが経営の活力を生む
多様な現場ワークスタイルにベストフィットする
システムのテンプレート化
典型的な営業現場をはじめ、開発の現場、製造の現場、研究
の現場、
物流の現場、
サービスや工事の現場等、
現場は実に様々
です。これらの現場ワークスタイルが、24時間、場所を問わず
富士通は、現場ワークスタイルの種類は「企業の数×業務
に的確な情報をスピーディーにやり取りするコミュニケーショ
の種類」だけ存在する、そして、そのワークスタイルの数だけ
ンシステムによって一新されることで、
どのような変革が起こ
企業を活性化させるイノベーションが潜在している、
と考えて
りうるでしょうか。
います。
例えば、
営業担当者が接するエンドユーザーからの生の声が、
とはいえ、ワークスタイルにあわせたシステムを一つひと
開発や製造現場にダイレクトに届けられることで新製品の開
つオーダーメイドで構築するには膨大な手間と時間を必要と
発リードタイムが短縮され、競争力が大幅に向上するかもしれ
し、ユーザー側にとっても現実的ではありません。映像、音声、
ません。あるいは、エンドユーザーがサービス部門、工事部門
文字データをやり取りする技術は日進月歩で、アプリケーショ
の現場稼働状況を確認することによって、サービス待ちに伴う
ンに新技術が次々とアド・オンされる状況で万全のシステム
ストレスが解消し、企業イメージが大きく向上するかもしれま
安定性を維持し、将来的な発展に対応するためには、相応の
せん。また、営業現場と協力工場の製造現場がつながることで、
コストと構築期間を必要とします。
在庫管理業務が大幅に効率化される可能性も出てくるでしょう。
そこで、
多種多様なワークスタイルに対応し、
柔軟かつスピー
現場のスタイルを大きく変革することで「攻め」の経営へと反
ディーに「どこでもオフィス」、
「オフィスと現場の融合」をかな
転するチャンスが見えてくるかもしれません。
えるコミュニケーションシステムを構築するために用意された
これからのIT化は、従来型の非効率的な業務を一つひとつ
のが「オフィス・イノベーションモデル」です。
見直してシステム化し、一歩一歩と業務効率を向上させてい
「オフィス・イノベーションモデル」では、あらかじめ多様な
くのとは異なり、現場を見直すことで付加価値が一気に高まる、
ワークスタイルに対応するシステムを型決めし、テンプレート
あるいは全く新しい企業価値が生まれるという場面を作り出
のように用意しています。個々の現場の利用シーンにあうよう、
していくものと思われます。そういうシステム化であってこそ
モデルを最適に組み合わせて、いつでもどこでも仕事ができ
攻めの経営を支える活力を生み出すともいえるでしょう。
るユビキタス・オフィス環境を構築し、
これらをご利用いただこ
現場がコミュニケーションシステムによって大きく変わるこ
うというわけです。
とで経営に活力が生まれる―これは言い換えてみると、現場
■ 図4 フィールド・イノベーションを実現するIT
企業の“現場”の革新による新しい競争力を創出
営業の現場
物流の現場
研究の現場
マネジメント系
システム
サービスの現場
工事の現場
開発の現場
製造の現場
調達の現場
堅牢なITインフラ
長期保証と最新技術の組み込み
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オフィス・イノベーションモデルを実現する15のモデル
⑧「携帯電話活用モデル」
ベーシックモデル+4カテゴリーの15モデルで
多様なオフィス・イノベーションに対応
携帯を活用したSFA※3/携帯のセキュリティ対策システムを
提供。例えば日報報告、
セキュア電話帳、配送状況管理等。
多種多様なワークスタイルにあったオフィス・イノベーション
⑨「PCリモートアクセスモデル」
を実現するために、富士通はユビキタス・オフィス環境を短期
強固なセキュリティを確保しつつ、社外から社内ネットワークへ
間で構築する「ベーシックモデル」を中心に、次の15のモデル
のアクセス。
をご提供しています。
⑩「携帯リモートアクセスモデル」
NTTドコモ、au、Vodafoneの携帯電話で社内サーバ、社内
①「ベーシックモデル」
メールへセキュアーにアクセス。
新規にIPテレフォニー ※1を導入。各種アプリケーションと連
⑪「安心・安全モデル」
携させることで最適のコミュニケーションスタイルを提供
携帯電話のEメール機能を活用し、災害時における従業員の
する。
一斉安否確認や緊急連絡を実現。
②「マイグレーションモデル」
〈セキュリティ・パワーアップのカテゴリー〉
既存の電話環境を利用しながら、SIP※2対応IPテレフォニーシ
⑫「リモートアクセス認証強化モデル」
ステムを部門別、
段階的に導入。
外出先で利用するノートPCのセキュリティ強化と運用性向上
〈オフィスのカテゴリー〉
を実現。
③「オフィスtoオフィスモデル」
⑬「アクセスセキュリティモデル」
フレッツ回線を利用したリーズナブルなコストで拠点間を接続。
ネットワーク機器とミドルウェアの連携で、
不正アクセス防止、
不
セキュアーなネットワークを実現。
正PCの接続制限と同時にワーム・ウイルスの侵入・拡散を防止。
④「ビジュアルコミュニケーション連携モデル」
⑭「情報漏洩対策モデル」
簡易操作のテレビ会議導入でコミュニケーション環境を強化。
PCや外部記憶媒体からの情報漏洩防止対策を実現。
⑤「オフィスアプリケーション連携モデル」
〈ユーザー業務構築のカテゴリー〉
ユニファイドメッセージやグループウェア連携等を活用し、業務
⑮「業務構築ソリューション」
効率の向上を図る。
情報システムと通信システムの融合を加速するWebと音声の
⑥「ペーパーレスモデル」
連携サービスの実現。
紙資料を電子化し、
フレキシブルなオフィスを構築。
※1 :IPテレフォニー
〈モバイル・オフィスのカテゴリー〉
通話相手との間の通信経路をインターネットのIPプロトコルで構築した電話ネットワーク
※2 : SIP(Session Initiation Protocol)
⑦「無線LANデュアル端末連携モデル」
インターネット電話の通話制御プロトコル。転送機能や発信者番号通知機能を持ち、公
無線LANデュアル端末によるシームレスなコミュニケーション
衆電話網に近いとされる。
※3:SFA(Sales Force Automation)
環境の提供。
情報通信技術を活用した営業部門の情報システム
■ 図5 オフィス・イノベーションモデル
ベーシックモデル
オフィス
モバイル・オフィス
マイグレーションモデル
セキュリティ・パワーアップ
ユーザー業務構築
無線LANデュアル端末連携モデル
オフィスtoオフィスモデル
携帯電話活用モデル
リモートアクセス認証強化モデル
PCリモートアクセスモデル
アクセスセキュリティモデル
携帯リモートアクセスモデル
情報漏洩対策モデル
ビジュアルコミュニケーション連携モデル
オフィスアプリケーション連携モデル
ペーパーレスモデル
安心・安全モデル
業務構築ソリューション
P6-7入稿 06.4.28 2:08 PM ページ1
モデルの組み合わせによるケーススタディー
15のテンプレートモデルを組み合わせることで、様々な現
ません。オフィス環境で得ていた便利さと安全性を、必要に
場の利用シーンにフィットしたオフィス・イノベーションを展開
応じて、いつでもどこにおいても実現する、あるいは従来のオ
することができます。
フィス環境以上に使いやすいストレスフリーのコミュニケー
典型的な例として、テレビ会議による営業効率アップ、通話
ション環境を実現しながら、
「いつでも、
どこでもオフィス」を
録音機能によるクレーム対応処理、携帯電話を活用した日報
構築する―それがオフィス・イノベーションモデルのコンセプ
報告等が考えられます。しかしこれらはほんの一例に過ぎ
トなのです。
通話記録を利用し顧客からのクレームにきめ細かく対応
(組み合わせモデル:ベーシックモデル、オフィスアプリケーション連携モデル)
顧客からのクレーム電話が、担当者が外出中のためになか
その内容を担当者が確認するシステムを構築します。このシ
なかつながらない、電話を取り次いだ別の社員がディテールを
ステムであれば、顧客のクレーム内容を担当者にリアルに伝
伝えられないがためにトラブルを増幅させてしまう、珍しいこ
えることが可能です。クレーム電話を受け付け、その内容が
とではありません。
サーバに保存されたことをいち早く知らせるためにはメール
こうした事態を防ぐためには、オフィス内の社員がクレーム
通知システムを利用します。
電話を受けながら自動的に音声メッセージをサーバに録音、
■ 図6 組み合わせ事例①利用例 お客様対応もスムーズに!
通話録音を上手に利用し、お客様対応を迅速に
お客様
「○○さんはいないの?じゃあ伝えて!
△△の□□が××になっているんだ
けど、
これはどういうこと?至急●●
の▲▲を■■して対応して欲しい。
分かった?すぐに伝えてね。」
応対者
お客様からクレームの電話が!
録音した音声メッセージを、
サーバに保存
お客様の声を
その場で録音
おお、そうか。
ありがとう。
「 い つ もお 世 話 になって
おります○○です。△△の
□□が××の件ですが、確
認したところ既に対応済み
ですのでご安心下さい!」
外出先の担当者へ自
動的にメール通知され、
担当者は録音された
音声メッセージを確認
生の言葉でニュアンスまで確認
以降の対応を迅速に
録音されたお客様メッセージ
「△△の□□が××になって
いるんだけど、
これはどういう
こと?至急●●の▲▲を■■
して対応して欲しい。分かった?
すぐに伝えてね。」
そのまま録音
「私、
◇◇が承りました。
至急連絡させます。」
メールで通知
音声メッセージを確認
これは大変だ!
すぐに連絡しないと。
社内では内線電話、社外では携帯電話
業務アプリケーション連携でケータイをビジネスツールとして活用
(組み合わせモデル:ベーシックモデル、無線LANデュアル端末連携モデル、携帯リモートアクセスモデル、携帯電話活用モデル)
最もイメージしやすいモデルの組み合わせといえるでしょう。
な情報を取り出すことができるモデルです。
携帯端末を内線/携帯電話として利用、会社宛のメールを出
最大のメリットは、担当者が席を外している間にかかってき
先で確認したり、社内ネットワークのDBにアクセスして必要
たお客様からの電話をダイレクトにつなぐことができること
P6-7入稿 06.4.28 2:08 PM ページ2
です。担当者が社内のどこかにいるか、社外にいるかはプレ
驚くほどロスになっています。在社の社員が内線電話を取り
ゼンスサーバが自動的に検知し、最適の回線を選んでコー
次いで外出先の担当者に取り次ぐ手間が省かれるため、業
ルします。相手と電話がつながらないために電話をかけ直
務の集中度は大幅にアップします。
す手 間、あるいはメモ取りに費や す時 間は、年 間を 通して
■ 図7 組み合わせ事例②利用例 営業利用シーン
携帯電話をビジネスツールとして活用し、現場で即解決!
移 動
社 内
顧客情報閲覧
資料閲覧
顧客情報や資料を
携帯電話から
参照し事前確認
090,080発信時、社内にいれば内線、
社外なら携帯電話に自動発信
お客様先
携帯電話で社内サーバに
アクセスし、在庫・納期等の
情報を素早く確認
発信前に、通話相手の
プレゼンス情報も確認
グループウェア
携帯電話で
スケジュール管理
外出先
会社に戻らず、携帯電話
から日報報告作成
メンバーとの
情報共有
社内メールを
携帯電話で確認
ネットワークセキュリティでウイルス・ワームを未然に防ぐ
情報漏洩も万全
(組み合わせモデル:情報漏洩対策モデル、アクセスセキュリティモデル、
リモートアクセス認証強化モデル、携帯リモートアクセスモデル)
社内情報の漏洩や、社外に持ち出したPCからの情報漏洩
「情報漏洩対策モデル」を組み合わせるセキュリティ対策で
に対しては万全の対策を講じる必要があります。
「どこでも
す。これらのモデルを組み合わせることにより、不正操作に
オフィス」のコンセプトで展開する各種のオフィス・イノベーショ
よる情報漏洩、不正アクセスやワームの拡散、ウイルス感染
ンモデルとセットとして考えていただきたいのが、
「リモート
の防止、
ノートPCの盗難や紛失による情報漏洩への対策は
アクセス認証強化モデル」、
「アクセスセキュリティモデル」、
万全です。
■ 図8 組み合わせ事例③利用例 ネットワークセキュリティで安心
現場に負担をかけず、セキュリティ対策を強固なものに
社内ネットワーク
不正操作による、
情報漏洩を防止
外部メディアへの不正コ
ピーや、印刷・ファイル参
照等の不正操作を防止
不正アクセスや、ワーム拡散・
ウイルス感染を防止
未知のウイルスやワーム
は、早期に検知・遮断
秘
持ち込みPC
PCのセキュリティレベル
チェックで事前に検疫!
レ ベ ル を 満 たし て い る
PCのみ、アクセスを許可!
インターネット網
指紋で外出先からネット
ワーク認証しPCにログイ
ン。HDD暗号化で、万一
の盗難・紛失時も安心!
万一の盗難・
紛失対策も万全
社外からでも安全に社内
ネットワークへアクセス
外出先
お客様先
外出時でも、社内の商品
DBサーバにアクセスし、
仕様・納期等の情報を素
早くかつ安全に確認
P8-9入稿 06.4.28 2:10 PM ページ1
オフィス・イノベーションモデル導入事例
〈導入効果〉
●通話相手が社内、
社外のどこにいても1つの番号でかけるこ
とができる。
6,000台の携帯電話型IP電話導入でユビキタス環境実現
●内線、
外線通話のIP化、最適な通信手段の自動選択により年
間4億5,000万円のコスト削減を見込む。
近畿一円に約670万戸のユーザーをもつ大阪ガス(株)様は
約90の事業所、従業員5,600人を擁しています。社員の多く
●ノートPCや携帯電話のブラウザで、
電話をかけたい相手が
が出先業務に従事することが多い同社では、社員を固定電話か
話中かどうか分かる、着信側が「携帯に転送希望」
「留守電
ら解放、
どこにいても1つの電話番号で簡単につながるコミュ
に記録希望」等、望む着信方法を選択できる「電話帳機能」
ニケーション環境の実現が生産性向上の鍵でした。2005年
でスムーズなコミュニケーション環境が実現。
9月、本社を皮切りに始まったオフィス・イノベーションモデル導
入は同年9月に展開を完了。約6,000台の携帯電話型IP電話
導入という大規模システムによって、通信コスト大幅削減、スト
内線、外線を意識させない
シームレスな電話環境で業務の円滑化
レスフリーのコミュニケーション環境が実現しました。
〈導入の背景〉
●ガス機器設置、
点検で、外で働く社員との連絡で、居場所に
超高層ビル建設技術、
トンネル掘削など大型土木工事技術
応じて内線/携帯電話をかけ分ける不便さと高コストを改
等で実績を誇る(株)熊谷組の広島支店様は、2005年1月、
善したい。
事業所の移転に伴い老朽化した電話交換システムから新シス
〈導入モデル〉
テムへの入れ替えという課題に直面していました。
●IPテレフォニーとFOMA/無線LANデュアル端末(携帯型
大規模建設業務は円滑なコミュニケーション環境の上でス
無線IP電話)モデルとの連携
ムーズに流れます。長年の課題に応えてくれるシステムとして
無線LAN搭載の携帯電話を、社内では内線として、社外で
採用されたのが「無線LANデュアル端末連携モデル」でした。
はマルチキャリアで運用できる企業内IP内線システムとし
導入後1年目には「電話連絡が簡素化、確実化し本来の業務へ
て導入。
の集中が図れるようになった」などの効果がみられました。
■ 図9 大阪ガス(株)様導入システム概要
①プレゼンス連携
による営業支援
社 内
Aさんに連絡しよう
②090発信時、相手が社内に
いれば内線に、社外にいれば
外線に自動発信(コスト削減)
Cさん
プレゼンスサーバ
FOMA 無線LAN
デュアルl端末
無線LAN
アクセスポイント
SIPサーバ
Web電話帳
サーバ
SIP-SIP-GW
I
P
公
衆
網
F
O
M
A
網
Aさん
社 外
大 阪
Aさん
③オフィスアプリケー
ションとの連携
社 内
SIPサーバ
(バックアップ)
京 都
④高速切り替え
(約4秒)
P8-9入稿 06.4.28 2:10 PM ページ2
■ 図10(株)熊谷組広島支店様システム構成(イメージ)
事務所移転と既存交換機の老朽化を機に、コミュニケーション改革による
業務効率化とコスト削減を同時に実現するユビキタス・オフィスを構築。
ご要望①
モバイル機能
短期間で社内でも社外でも素
早く確実にコミュニケーション
できるユビキタス環境を構築。
携帯電話と内線IP電話
を 1 台に集 約 。担 当 者
がどこにいても迅速・確
実に連絡。お客様を待
たせる時間の短縮
ご要望②
FOMA
デュアル端末
無線LAN-AP
PSTN-GW
将来のシステム規模拡張、機能
拡充に柔軟に対応。
SIP
電話機
移動先
約70台のFOMA無線LAN
デュアル携帯を含む約150台
のIP電話システムを構築。
内線エリア内FOMAへの090
発信は内線番号に自動的に振
り替えて発信、TCOを実現。
停電用
電話機
RADIUS認証サーバ
090をダイヤルしても
自動で内線に発信
良好な通話品質
・安定した同時10通話
・ハンドオーバー時の
音切れなし
ソリューション②
ソリューション③
公衆電話網
(PSTN)
SIP-TA
留守番電話
FAX
ソリューション①
顧客対応レベルを維持するため、
FAX,留守番電話,停電対応電
話はフルIPでも収容。
IP Pathfinder
「RM10S」
SIP電話機
内外線自動選択
内線エリア内FOMAへ
の090発信は内線に自
動的に振り替えて発信、
TCOを実現。
SIP-TA
留守番電話
FAX
〈導入の背景〉
出先拠点
外では携帯電話として運用できる企業内IP内線システムと
● 建設業では社内、
現場、顧客と緊密なコミュニケーションの
して導入。
上に作業が進むため、担当者がいつでもどこにいてもスピー
〈導入効果〉
ディーにつながる電話連絡環境を確保したい。
●事業所移転に伴い老朽化した交換機をきわめて短期間で新
システムに移行したい。
〈導入モデル〉
●無線LANデュアル端末連携モデル
無線LAN搭載の携帯電話を、社内では内線電話として、社
今後の展開
・出先拠点のサテライト化
・プレゼンス機能追加
シームレスなコミュニケーション環境が実現。担当者が社内
にいても社外にいても、
お客様からかかってきた電話が直接つ
ながるので、
お客様側の連絡待ちが解消。顧客満足度は向上し、
社員は電話取り次ぎや伝言にわずらわされることなく業務に
集中できるようになった。社内の担当者間での携帯電話通話
料がゼロに。
また、業種毎に特化したオフィス・イノベーションモデルの
オフィス・イノベーションモデル今後の展開
検討も進めています。
「イノベーションモデル・ホテル版」、
「イ
ノベーションモデル・キャンパス版」、
「イノベーションモデル・
オフィス・イノベーションモデルをより多くのお客様に効果的
ホスピタル版」等をはじめとする各種の特化モデルによって、
に導入していただくには、ベストフィットするモデルの組み合わ
ユビキタス環境の一層の普及を目指すことが富士通の使命
せをしっかりと見定める必要があります。そのためには、まず
です。
現場のワークスタイルを精査することが重要です。
富士通では、オフィス・イノベーションモデルの導入により、
ど
のような効果が得られるかを定量的に提示するために、独特の
お問い合わせ先
コンサルティング手法を導入しようとしています。実際にお客
富士通(株)ネットワークサービス事業本部
様の現場に担当者が密着し、
ワークスタイルの動線を詳しくト
ネットワークフロントセンター ネットワークビジネス企画部
レースして分析、最適のモデルを導き出すといった、現場重視、
TEL 03-6424-6260
現場に立ったご提案を展開していく予定です。
URL http://jp.fujitsu.com/telecom/
P10-11入稿 06.4.28 2:13 PM ページ1
製薬ITソリューション
競争力向上、内部統制強化を図るべく
開発プロセスの“見える化”の実現へ
医療費抑制やジェネリック医薬品の推進、成立が近いとされる日本版SOX法への対応、またグローバル化や経営
統合による競争激化、研究開発投資費の増大等、製薬業は大きな転換期を迎えています。こうした時代のニーズ
に応えるべく、富士通では6つのテーマを設定し、新たな製薬ITソリューションのご提供を開始。開発プロセス改革
を図るべく、EDCソリューションのご提供に続き、今回、開発プロセスの“見える化”を実現するコンプライアンス
対応のマネジメント基盤を確立。その第一弾として革新的な4つのソリューション製品をご提供していきます。
EDCは、医師がインターネットを通じて遠隔で臨床試験の症例
グローバル競争時代を勝ち抜くために
データを直接入力、
修正できる仕組みです。富士通では、
2003
年から本格的にEDC事業をスタート。高度なセキュリティのもと、
薬はグローバルな製品です。それだけに製薬ビジネスでは真
システムを運用するデータセンターから、製薬企業のニーズに
の競争力が問われます。日本の新薬開発は、欧米に比べ、創薬
応える独自の周辺システム、実際に使用する医師等への支援、
研究力は高く評価される一方で、開発力は充分とはいえないの
導入後のサポートまで包括的なソリューションをご提供。また、
が現状です。また長期間に及ぶ研究開発投資、特許による利益
HIS(病院情報システム)との連携も視野に入れています。
の確保等、
従来型ビジネスモデルの変化も求められています。
EDC導入により臨床開発業務の効率化はもとよりテンプレート
富士通は先進のバイオインフォマティクス技術等の提供によ
活用等によるコスト削減も見込まれ、現在、5社、12スタディー
り創薬領域を支援するとともに、新時代の製薬業をトータルに
の受託、
稼働を有しさらに実績を積み重ねています。
サポートするために「コンプライアンス対応」
「スピードと品質
欧米ではすでにEDC導入が進められており、富士通はグロー
の向上」
「ポストマーケティング」
「経営環境変化への対応」
「コ
バルスタンダードの観点からもEDCの普及を図るべく日本標
ラボレーション」
「ITマネジメント革新」という6つのテーマを
準の確立へ向けた取り組みも積極的に行っています。
設定し、新たなソリューションの展開を進めています。
新たなマネジメント基盤を確立
EDCの普及、拡大への取り組み
開発プロセス改革に欠かせない、
もう一つの要素が“見える化”
医薬品開発の競争力強化にはITによる開発プロセス改革
です。製薬業においても開発プロセスの可視化を図り、
全体最適
が欠かせません。そのベースとなるのが電子化です。最も業
化を行うことが重要なテーマとなってきています。また、
電子記録・
務効率化が求められている治験のプロセスにおいてEDC
電子署名に関する規制対応、
日本版企業改革法(SOX法)の成
(Electronic Data Capture)がいま注目を集めています。
立を控え、開発プロセスの透明性確保も必須です。
“見える化”
■ 図1 製薬業新時代に応える、コンプライアンス対応マネジメント基盤の概要図
経営環境変化への対応
コラボレーション
内部統制
プロセスの見える化
横断検索/集計/分析
リスク評価
ITの利用
統合情報管理
電子帳票/ワークフロー/プロセス定義
データ統合基盤
業務システム
内部監査
モニタリング
データ統合(XML)
前臨床
臨床開発
製造・品質
製造販売後
ER/ESガイドライン※1
CSV(コンピュータ・システム・バリデーション)
(情報)セキュリティマネジメント
GLP(Good Laboratory Practice)
統制環境
ITマネジメント革新
GCP(Good Clinical Practice)
ポストマーケティング
GQP(Good Quality Practice)
GMP(Good Manufacturing Practice)
スピードと品質の向上
GVP(Good Vigilance Practice)
コンプライアンス対応
全体最適
目的
内部統制の
構成要素
組
織
単
位
COSOモデル※2
※1:ER/ESガイドライン
平成17年4月1日に発効された「医
薬品等の承認又は許可等に係る申請
等に関する電磁的記録・電子署名利
用のための指針」
(ER/ES(Electronic
Records and Electronic Signature)
ガイドライン)
※2:COSOモデル
米国トレッドウェイ委員会組織委員会
(COSO:Committee of Sponsoring
Organizations of Treadway
Commission)が公表した内部統
制のフレームワーク。
P10-11入稿 06.4.28 2:13 PM ページ2
■ 図2 開発プロセスの“見える化”を実現する、新しい4つのソリューション製品
治験実施施設
製薬会社
被験者
HIS-EDC
連携
進捗管理
CRA
研究者
複写/
スキャニング
e-Clinical
TICTAC
ピーディーな判断や意思決定を支援します。
e-Clinical
RESERVOIR
統計解析
CRF/DCF
e-ECM
PArcRoom
Patient
Diary
サーバ/システム
構築・運用管理
オンサイト
サポート
データ統合基盤
(SOA)
ダブル
チェック
GCP
業務管理
開発プロセス改革では現場の業務改革も重要です。3番目
のソリューション「e-Clinical TICTAC」は、治験プロセス現場
の進捗管理を支援します。治験の登録状況は把握できても進
捗状況が把握できない等、複数の医療機関や受託業者等が関
EDC端末
セットアップ・展開・保守
Q&A
サポート
イメ−ジ
格納
データ連携も可能に。必要な情報が思いのままに入手でき、
ス
DM入力
Internet
EDC
EDCサービス
展開
GCP
業務管理
わる治験ではきめ細かい進捗管理が困難でした。
「e-Clinical
TICTAC」では、GCP管理システム等と連携して治験業務情
DM
データセンター
報を自動収集し、症例/Visit毎の進捗状況の管理を可能に。遅
※HIS:Hospital Information System(病院情報システム) ※DCF:データマネジメント部門から発行される照会事項
※CRA:Clinical Research Associate(治験モニター)
※GCP:Good Clinical Practice(医薬品の臨床試験の実施基準)
延しているチェックポイントもわかりやすく表示し、進捗状況も
によるCRO等委託会社へのガバナンス強化もポイントとなります。
一目瞭然。すでに大手製薬会社で導入され、
治験プロセスの“見
富士通は、前述の6つのテーマのもと、様々な企業の業務改
える化”で評価を得る等、その効果に期待が集まっています。
革で培った技術力と、製薬業の情報化における30年にわたる
電子化は必要ですが、その一方で原本性の問題等により治
ノウハウを融合し、医薬品開発プロセスの“見える化”を実現す
験プロセスの多くが紙ベースで行われている現状への対応も
る、
コンプライアンス対応のマネジメント基盤を確立しました。
必要です。4番目のソリューションは、
紙の資料、
イメージデータ、
その基盤を支える情報セキュリティマネジメントでは、
リスクマ
電子ドキュメント等、様々な資料を安全かつ効率的に管理・活用
ネジメントや情報漏洩対策等、富士通ならではの先進のセキュ
できる「e-ECM PArcRoom」です。CRF(症例報告書)の追
リティ技術がベースとなっています。新しいマネジメント基盤に
記検出機能(オプション)により、
スキャンニングでのオリジナル
よる第一弾として、現在と将来の課題に応える4つのソリュー
データと照合することで追記箇所の抽出を可能に。スキャンニ
ション製品をご提供していきます。
ングの際のズレ、
ノイズの除去には富士通研究所が開発した技
術を活用。属人的に判断する部分を最小限にすることで、
デー
情報の有効活用が今後の成長の鍵
タマネジメント(DM)等業務の効率化を図るとともに、
イメージ
データでの管理、
活用も可能にします。
製薬業においては各部門の専門化が進み、部門毎にシステ
全体最適化の視点から、開発の効率化やスピードアップ、品
ムが導入されており、
システム間連携は進んでいないのが現状
質向上、
さらに内部統制強化、
コスト削減を図るために、医薬品
です。また外部委託によるデータ分散や、異なるデータフォー
開発における個々の業務で蓄えた情報をいかに有効活用して
マットも課題となっています。1番目のソリューションは、医薬
いくか。ITの活用が製薬企業成長の重要な鍵となっています。
品開発における各業務システムと連携し様々な形式のデータ
富士通は、今後も先進技術と総合力を駆使し、
日本で展開する
の一元管理を実現する「e-Clinicalデータ統合基盤(SOA)」
製薬企業のグローバル競争力向上に貢献していきます。
です。
「Interstage」をプラットフォームとするミドルウェア製
■ 図3 追記照合業務の効率化を図る、CRF追記検出機能
品群の活用により、部門の垣根を越えた情報の有効活用や内
スキャニングでのゆがみを考慮してオリジナルデータと照合し、
差分抽出、ノイズを除去して手書きメモを抽出する最先端の技術です。
部統制強化への対応を可能にします。
システム間連携の実現により、いままでできなかった情報の
有効活用が可能になります。年齢、
性別、
服用時間、
副作用回数等、
複数条件を組み合わせて傾向分析を行いたい、
部門を超えて関
連情報を検索・活用したい等、複雑な検索条件でも高速かつ安
定した検索を可能にするのが、2番目のソリューション「 eClinical RESERVOIR」です。富士通のXML型データベース
1234
678
Word等の
元電子文書
貼付
貼付け
仮
想
印
刷
1234
678
照
合
印刷
1234
678
白背景
A CRF(元)
メ
モ
書
き
&
ス
キ
ャ
ン
5
1234
678
.
てがき
黒背景
B CRF(追記後)
. .,5
‘
. . :
.
てがき
5
.
てがき
小さいもの、
画像端に
あるものを消去
てがき
C 差分画像
D ノイズ除去後
E 手書きメモ画像
(出力)
スキャンした画像は、ズレ、ゆがみ、
ノイズが発生します。
エンジン「Interstage Shunsaku」を活用し、データを関連
付けて様々な切り口から横断的な検索、集計が行えます。臨
お問い合わせ先
床から製造販売後までの症例データ、安全性情報の統合管理
富士通(株)ライフサイエンスシステム事業部
を実現し、XMLによる業務プロセス/文書の標準化、社外との
製薬R&Dソリューションセンター TEL 03-6424-6215
P12-13入稿* 06.4.28 5:00 PM ページ1
P12-13入稿* 06.4.28 5:00 PM ページ2
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ビジネスイノベーション
ますます広がる「非接触型手のひら静脈認証」
「非接触型手のひら静脈認証」
が拓く
新たなビジネスの無限の可能性
2003年3月、富士通が世界初の「非接触型手のひら静脈認証技術」を開発してから、わずか3年の間に銀行、大学、
病院、マンション等、その活用シーンは急速に広がっています。この3月には従来機に比べ体積比1/4の小型化、さ
らに高性能化、低価格を図った新製品「PalmSecure」をグローバルに販売開始。新製品は開発キットとともに部品
としても提供され、お客様自らが自社製品へ自由に組み込み可能に。
“いつでもどこでも「非接触型手のひら静脈認
証」”の実現へ、新たなビジネスモデルを生み出すポテンシャルの高さに大きな期待が寄せられています。
バイオメトリクス認証は適材適所
小型化によりエリアをさらに拡大へ
富士通では、ユビキタス社会の様々な本人確認のシーンに
金融不正取引、情報漏洩等セキュリティ犯罪の増加、個人情
適材適所で応えていくため、手のひら静脈認証以外にも、指紋、
報保護法、SOX法等セキュリティ関連の法整備といった時代
顔貌、声紋等、主なバイオメトリクス認証をカバーしています。
背景もあり、
「非接触型手のひら静脈認証」の導入は拡大し、そ
守るべき内容や利用者の目的に対応できる選択肢の多様性は
の名を広く知られるようになりました。2004年7月に「非接
利用者の利便性につながります。なかでも指紋とともにユビキ
触型手のひら静脈認証装置」を製品化し販売開始して以来、国
タス時代の本人確認の主流と目される「非接触型手のひら静
内で約1万台を超える販売実績をあげています。その内訳は、
脈認証」は、他の認証技術にはない特長に大きな期待が寄せら
金融機関6,000台、PCログイン2,500台、入退室300台、組
れています。
込部品4,300台(2006年4月末現在)。現在は、金融分野や
まず体内情報であるため偽造が困難であること。また指
入退室、ログインが主な活用領域ですが、
「こういう製品にも
では血管の細さによる寒さの影響、手の甲では体毛等の影響、
組み込めないか」といったリクエストが富士通製品はもとより
指紋では磨耗や乾燥等の影響があるのに比べ、手のひらは
富士通の専門外の製品分野からも急増しています。
血管が太く静脈パターンも複雑で外界の影響を受けること
そこで今回、
小型・高性能化、
低価格化した非接触型手のひら
なく安定していること。さらに、適用率の高さと、本人拒否率
静脈認証装置「PalmSecure」では、
開発キットとあわせて部品
0.01%、他人受入率0.00008%以下という高い認証精度
としても販売を実施。専用Webサイトの設置等、開発をきめ細
も魅力です。
かくサポートします。セキュリティと利便性をキーワードに、車、
富士通では全世界で7万5千人15万手の静脈データサン
携帯電話、パソコン、住宅等のパーソナルユースで、
デジタル複
プルを収集し、認証精度と適用率の高さを実証しています。
合機、
ロッカー等様々なビジネスユースで、
“いつでもどこでも「非
また、非接触で手のひらをかざすという自然な操作性により、
接触型手のひら静脈認証」”の実現へ。お客様企業と利用者に
衛生的で心理的な抵抗感が少ないことも大きなアドバンテー
新たな価値をご提供しながら、
グローバルスタンダードを目指し
ジとなっています。
てさらに進化していきます。
■ 小型化、部品化により拡大していく非接触型手のひら静脈認証「PalmSecure」の世界
簡易化
VAR/SIer
運転者認証
住宅(鍵)
富士通製各種パッケージソフト
小型化
入退室
お
客
様
金融
高速化
IHV/ISV
低価格化
デジタル複合機
ロッカー書庫
PCログイン
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ビジネスイノベーション
【 対談 】
「非接触型手のひら静脈認証」の革新性
∼技術的イノベーションからビジネスイノベーションへ∼
なぜ「手のひら」だったのか。なぜ急速に活用領域を拡大できたのか。導入企業
左/富士通 ユビキタスシステム事業本部
はどのような理由で採用したのか。部品化の意味するものは何か。技術的イノ
ベーションからビジネスイノベーションへ、富士通の研究員と担当者の対談を通
バイオメトリクス認証システム部 部長
若林 晃
右/富士通研究所 画像パターン処理研究部
じて「非接触型手のひら静脈認証」の独自性・先進性・革新性に迫ります。今回
主任研究員 工学博士
渡辺 正規
は対談形式と最新情報を交えてその魅力を多面的にご紹介します。
渡辺 いろいろな人が利用するシーンを考えると非接触でな
最初からコンシューマー向けを想定
ければというのがありました。また当時は高精度のものは接触
型が多く、非接触型により一歩抜きん出ることができると考え
「手のひら静脈認証」に取り組まれたのはいつ頃ですか。 ていました。2003年3月に世界初の「非接触型手のひら静脈
渡辺 検討を開始したのは2000年頃です。当時、すでに重
認証技術」を開発しましたが、
プレスリリースの後、いろいろな
要施設の入退室に虹彩認証が使われていたり、オフィスのパソ
お問い合わせがありました。当時は事業部がまだなく、研究員
コンへのログインに指紋の利用が進められていましたが、
コン
が直接、営業と一緒にお客様のもとに説明に伺っていました。
シューマー向けのバイオメトリクス認証はまだ未開拓でした。
若林 研究所がリリースを出して世の中に情報を発信してい
近い将来、大きな市場が見込まれる領域ですから、他社に先ん
くことが、
ビジネスイノベーションという観点からも大事だと思
じるべく検討を進めました。
います。その反響は事業化する際の参考にもなります。
当初からコンシューマーを意識していたわけですね。なぜ静
脈だったのですか。
渡辺 汎用性を考えてまず手というのが先にありました。指紋
はすでに富士通でも取り組んでいましたし、検討を重ねる中で、
体内にある情報なので他人に見られない、簡単に情報をとられ
ないという点から静脈認証に着目しました。指や手の甲の静脈
は他社が進めていましたが、認証精度や安定性等の議論を重
ねるうちに手のひらにも静脈があると。研究所内で700人を
集めてデータをとることからはじめました。そのときあわせて
顔、声、指紋等のデータもとりましたが、その結果を検証し、手
「非接触型手のひら静脈認証」の歩みと時代背景
2001年9月11日 米国同時多発テロ
2002年 3月 手のひら静脈認証によるマウス型認証装置開発
2002年8月 住民基本台帳ネットワークがスタート
2003年 金融不正取引社会問題化
2003年 3月 世界初「非接触型手のひら静脈認証」技術開発
2004年 7月 スルガ銀行(株)様にて世界初「手のひら静脈認
証」による「バイオセキュリティ預金」販売開始
2004年10月 (株)東京三菱銀行様(現、
(株)三菱東京UFJ銀
行様)にて世界初「非接触型手のひら静脈認証」
でのATM利用開始
2005年 1月 「非接触型手のひら静脈認証入退室装置/ログイ
のひらでいけそうだとなりました。
ン装置」販売開始
最初の製品化は2002年3月に開発された「手のひら静脈認
金融機関をはじめ、大学、病院等、様々な領域で
証によるマウス型認証装置」でしたね。当初はどのような市場
を描いていたのですか。
渡辺 当時は、2001年9月11日に米国で同時多発テロがあ
導入拡大
2005年4月 個人情報保護法スタート
2006年 3月 小型・高性能化を実現した非接触型手のひら静
脈認証装置「PalmSecure」を発表
り本人確認の重要性がクローズアップされ、国内では2002年
8月にスタートする住民基本台帳ネットワークの話題が連日と
りあげられていました。当初は、官公庁内でのパソコンのログ
研究者の時代感覚が
大きなビジネスチャンスに
インや重要施設への入退室をターゲットにしていました。しか
非接触型の開発された2003年といえば金融不正取引が大き
し最終的な目標はコンシューマー向けですから。
な社会問題化してきた頃です。
(株)東京三菱銀行様※導入の
非接触ということも当初から念頭にあったということですか。
お話はそのあたりですか。
P16-17入稿 06.4.28 2:18 PM ページ1
(株)東京三菱銀行様が生体認証を
若林 2003年9月末に、
の市場の拡大を図るべく、現在、私も所属するバイオメトリクス
来年度に導入するというニュースが新聞に大きく掲載されまし
認証システム部が誕生しました。まずお客様と目に見えるかた
た。その提案を行う際に、
どのバイオメトリクス認証でいくか。
ちで商談を進めるために、市場調査の結果や商談の傾向から
富士通グループで営業店システムやATM端末を開発製造し
入退室とログインの2つを製品化し2005年1月に販売を開
ている富士通フロンテック(以下、
フロンテック)の担当者は「金
始しました。
融機関のインフラとしての提案なので指紋は難しい。体内情
金融機関から、病院、大学、マンション等、様々な分野へ導入が
報で偽造が困難であることと、非接触という点に潜在的な可能
広がりました。そのポイントはどこにありますか。
性を直感した」と話していました。コンシューマー向けを意識
若林 金融機関の本人確認技術は指静脈認証と市場を二分す
してきた研究者の時代感覚が大きなビジネスチャンスを引き
る状況になっていますが、私たちとしてはデモ機等を使って体
寄せたともいえますね。
感していただければ「非接触型手のひら静脈認証」の優位性を
渡辺 いろいろと準備は進めていたのですが、実際にコン
わかっていただけると確信しています。導入側はもとより利用
シューマー向けとなると性能面で非常に高いレベルを求めら
者の視点を大切にしていることに大きなアドバンテージがある
れました。例えば、先進性・独自性を持ってICカード上で照合
と思います。セキュリティ面で非常にインパクトのある企業も、
処理を行う、マッチオンカードで提案したため、まずカード上
実際に使って比較された上で導入を決断されました。
で照合処理を行うこと、そして照合スピードが課題となりまし
渡辺 利用者に選ばれることは、私たちの誇りであり大きな励
た。提案していた時点ではATMで利用するにはまだ数秒、照
みとなっています。
合時間がかかっていましたので、時間を短縮するために必死
で取り組みました。
お客様に選ばれた
「非接触型手のひら静脈認証」
(株)東京三菱銀行様が採用された大きなポイントの一つにお
非接触だからさらなる小型化が可能に
様々な領域で導入が拡大した2005年。開発はどのような状
況でしたか。
若林 これまでの取り組みを通じて、バイオメトリクス認証シ
客様の評価があったということですが。
ステム部、富士通研究所、開発製造を行うフロンテックと三位
渡辺 (株)東京三菱銀行様では、
「非接触型手のひら静脈認
一体の体制が確立できました。世界も視野に入れて事業領域
証」
と他のバイオメトリクス認証方式について、営業店舗におい
を拡大するために、2005年度の開発テーマは「小型化」で
てデモ機を使ってお客様に実体験していただくとともに、アン
した。
ケート調査により、その評価を集計されました。その結果、
お客
渡辺 カメラで顔を撮影するのに顔と同じ大きさのレンズが
様から選ばれたのが「非接触型手のひら静脈認証」でした。
必要ないように、静脈認証において非接触を実現したことによ
若林 実際に利用するお客様から評価されたことが採用の大
り、撮影対象とセンサーの大きさは関係ありません。センサー
きな決め手となりましたね。その後、ATMに搭載するためにセ
のサイズは撮影手法がポイントとなります。指静脈認証が採用
ンサーを10cm×10cmから7cm×7cmまで小さくしたり、
している、指の裏側や横側から光を当てる透過型撮影方式に
フロンテックでICカードのリーダ/ライタとセンサーの一体型
比べ、
照明部品と撮影部品を1ヵ所にまとめやすい反射型を「手
の開発を行うなどして2004年10月に世界初「非接触型手の
のひら静脈認証」では採用しています。
ひら静脈認証」でのATM利用が開始されました。
若林 指静脈認証では指を固定する仕組みのためのスペース
渡辺 稼働にあたってはきちんとした静脈データサンプルも
も必要になります。指を意識的にある特定の位置に固定する
必要でした。統計データとしては1万手で充分でしたが、
富士通
のは難しいからです。手のひらをかざすという自然な操作性で
として世の中に出すのだからしっかりとしたデータを集めよう
あれば完全に非接触にできます。ATMではお年寄り等に配慮
と、黒川社長の掛け声のもと富士通全社員7万人14万手の
し支えを備えていますが、基本的に小型化は「非接触型手のひ
データを収集しました。そのおかげで自信をもって数字を示
ら静脈認証」の大きなアドバンテージの一つです。
すことができました。
渡辺 小型化にあたってはセンサーを全て最初からつくり直す
若林 当初、
「非接触型手のひら静脈認証」は金融機関の領域
ことになりました。部品の選定から光学的な技術、広角レンズ
にのみ焦点があたっていたのを、2004年4月、金融機関以外
の開発まで、
フロンテックはもとより富士通全社の協力を得て
P16-17入稿 06.4.28 2:18 PM ページ2
ビジネスイノベーション
小型化に取り組みました。製品の開発にあたっては、
プロダクト
アウトではなくマーケットインにしなくてはいけないというのは
前からいわれていましたが、
今回、
その重要性を再認識しました。
世界初!図書の貸し出しで
「非接触型手のひら静脈認証」によりカードレスを実現
富士通は、茨城県那珂市様が2006年10月に開館を予定され
いつでもどこでも「手のひら」で本人確認
ている市立図書館のシステム構築を受注しました。本システムは、
2006年3月に新製品「PalmSecure」がグローバルに発売
を採用。利用者は利用者カードを使用することなく、
「手のひら」
開始されました。その特長やねらいはどのようなことですか。
で図書を借りることができます。利用者カード紛失の心配もなく、
若林 「PalmSecure」では従来機の1/4サイズ(35mm×
利用者カード発行の削減により省資源にも貢献します。
世界で初めて図書館システムに「非接触型手のひら静脈認証」
35mm)まで小型化するとともに、各種性能向上、低コスト化
を実現しました。すでにいくつかのお客様で採用・導入が進め
られていますが、なかでも「非接触型手のひら静脈認証」によ
るカードレスを実現した、茨城県那珂市様の市立図書館は注目
を集めています。セキュリティとともにカードレスやキーレス
等の利便性はこれからの「非接触型手のひら静脈認証」におけ
「非接触型手のひら静脈認証装置」の小型・高性能化を実現
開発キットと合わせ部品としても提供。開発サポートも充実!
2006年3月より小型・高性能化した「非接触型手のひら静脈認
証装置」を米州、EMEA、豪州、
アジアで販売開始。また世界統一
るビジネスのキーワードとなります。カードやキー等を持つ必
ブランド「PalmSecure」
(パームセキュア)を採用。実装部分の
要も暗証番号を覚える必要もなく、いつでもどこでも「手のひ
省スペース化、
スマートで自然な外観、
さらに低価格化の実現によ
ら」をかざすだけで様々なサービスが受けられるようになります。
り広範囲なコンシューマー向け製品への組み込みが可能に。また
小型・高性能化した新製品は部品化してご提供していくことも
英日対応のSDK(Software Development Kit)の提供により、
大きな特長です。製品に組み込みたいというお話が多方面か
らきていますが、全てにお応えするのは現実的とはいえません。
お客様自らが組み込み製品・アプリケーション開発を自由かつ容
易に行うことができます。スピーディーな開発支援体制もグロー
バルに整えています。
なかにはデジタル複合機や貸し金庫等、富士通の専門外の製
品やサービスもたくさんあります。部品化により、お客様自身
の発想を活かし、自社製品の付加価値を高めるために自由に
組み込むことができます。開発キットはもとより安心して開発
を進めていただくために、専用のWebサイトを通じて開発を直
接サポートする体制も整えました。開発サポートも日本語、
英語とグローバルに対応しています。また環境面など国際的な
規格への対応も行っています。
今後の展開についてお聞かせください。
若林 2005年3月に独ハノーバー市で開催された国際情報
通信技術見本市「CeBIT」に参考出展し大きな注目を集めました。
「The Wall Street Journal 2005 Technology Innovation
(The Wall Street Journal)
Award セキュリティ部門最優秀賞」
をはじめ、海外の著名な賞を数々受賞する等、その認知度は高
特 長
●従来機と比べ、体積比1/4、35×35×27mmの小型化を実現
(従来機70×70×27mm)
●従来機に対し、半分以下の認証時間を実現(1:1認証時)
●従来機に比べ、半額以下の販売価格を実現
●ノートPCではUSBコネクターへのダイレクト接続も可能
●開発者向けに、サンプルアプリケーション、認証率評価ツール等を同梱した英
日対応のSDKを提供。また専用のWebサイトを通じて技術情報の提供、関
連ソフトウェアのレベルアップサービス、個別のQ&Aサポート等、きめ細かく
開発を支援
●地球環境に配慮した植物性プラスチックの採用等、環境負荷の低減に配慮
まっています。すでに高度なセキュリティが求められる公共・民
需分野で数多くの商談が展開されており、
セキュリティ市場での
グローバルスタンダードを目指した展開もさらに加速していき
ます。より安全で快適なユビキタス社会づくりに貢献するべく、
お問い合わせ先
これからも時代の一歩先を見据えた研究開発に取り組み、
「非
富士通(株)ユビキタスシステム事業本部
接触型手のひら静脈認証」を大きく成長させていきます。
バイオメトリクス認証システム部 TEL 044-754-3298
※現、
(株)三菱東京UFJ銀行様(文中では導入当時の行名で表記させていただいております。)
URL http://jp.fujitsu.com/solutions/palmsecure/contact/
P18-19入稿 06.4.28 2:19 PM ページ1
モバイルインターネットを支える
モバイルミドルウェア新技術
これからの本格的なモバイルインターネット時代の到来に向けて、ネットワークからアプリケーションまでの各
領域で、TCP/IPやWebを前提としたモバイルのインターネット化を支える技術の開発が急速に進められて
います。
今回は、富士通研究所が取り組んでいる、モバイルミドルウェアの新技術のいくつかをご紹介します。
(3)次世代プレゼンス管理
モバイルミドルウェア
IP電話やIM※3で利用が始まった“ヒトのプレゼンスサービス”
を、モバイル環境で“ヒト・モノのプレゼンスサービス”へ拡張
現在、3.5G/無線LAN/WiMAX等によるモバイルの広帯域
するための、次世代プレゼンス管理技術
化とインターネット化が進んでいます。また、携帯機器向けの
CPUやバッテリー等の技術の進展により、数年前のPCと同等
VoWLAN
な能力を携帯機器が備える時代となってきました。同様に、
ミ
ドルウェアもモバイルインターネット時代に向けた様々な技術
無線LANは、同じAP※4に接続される端末間で帯域を共有
開発が進められています。そんな中、富士通研究所パーソナル
すること、有線LANに比較して帯域が小さいことから、様々な
システム研究センターがいま進めている注目のモバイルミド
問題が生じます。例えば、ある端末が大量のデータを送信する
ルウェア新技術が、次の3点です。
と、別の端末の通話に途切れや遅延が発生してしまいます。ま
(1)VoWLAN※1
た、APに同時接続できる端末数には限りがあり、肝心なときに
モバイルインターネット時代の端末の主役である携帯電話の基
接続できないケースもあります。さらに、
端末が移動することで、
本サービスである電話機能の、
QoS※2技術等のIP電話化技術
APとの距離や障害物のために電波状況が変化し、パケットロ
(2)Mobile Message Service
ス等による音質低下の原因となるケースがあります。
圏内(接続)と圏外(切断)を頻繁に行き来するようなモバイ
このような無線LANで高品質なIP電話を実現するには、優
ル環境でも、データを確実に送受信するための高信頼トラン
先的に通信する音声発信を識別して、必要な帯域を確保する
スポート技術
ための制御が必要になります。これを実現するために、富士通
■ 図1 モバイルインターネットを支える新技術
研究所では、APとSIP※5サーバの連携によるQoS制御技術
を開発いたしました。
アプリケーション
モバイル端末のIP電話から発信時、端末のIPアドレスやポー
プレゼンス
HTTP
ユビキタス
トランシーバ技術
SIP
トランスポート
次世代プレゼンス技術
L2/L3SW
IP-IT統合技術
基地局/AP
セキュリティ技術
3G/3.5G/WiFi/WiMAX
高信頼
トランスポート技術
ト番号等がSIPサーバに通知されます。APはこの情報をもとに、
音声であることを識別し、優先的に通信させます。また、複数
の通話が発生した場合は、それぞれの帯域を管理し、新規通話
VoWLAN技術
を許可するかどうかをSIPサーバに通知します。加えて、帯域
の空きに応じて最適なリンク速度を割り当てることで、通信速
度を低下するフォールバックの発生しにくい、高品質な通話を
実現します(図2)。
性能評価によると、
データ通信時にIP電話14台を同時に接
続しても音質の変化は見られませんでした(802.11bでの評
携帯電話
PDA
HHT
PC
価)。従来方式ではIP電話4台でも品質が劣化しており、
この
P18-19入稿 06.4.28 2:19 PM ページ2
■ 図2 アプリケーションとSIPサーバとの連携によるQoS制御
・帯域管理により新規通話の接続許可、不許可を決定する
・音声データを識別し、優先通信する
・最適なリンク速度での接続を行う
802.11e対応AP
802.11a/b/g
QoS Admission control
SIP signaling
Call control
Voice data
IP電話端末
VoIP info.
AP
SIPサーバ
QoS制御技術がいかに有効であるかがわかります。このように、
インターネットはオフィスの生産性向上に貢献しましたが、モ
SIPサーバとAPとを連携させ、帯域管理することにより、音
バイルインターネットはフィールドの生産性向上への貢献が期
声通話のQoSを制御し、さらにネットワーク全体の帯域を有
待されます。そのためには、
ヒトの状況としてのプレゼンスに
効利用することが可能となります。
加えて、モノの状況もプレゼンスとして捉え、
ヒト・モノの状況
をプレゼンスとして一括管理することが必要です。一括管理す
Mobile Message Service
ることで、
フィールドでの作業の同期等、
フィールドでの業務フ
ローの大幅な効率化につながるアプリケーションの開発が容
フィールドにおけるモバイル端末利用は、その機動性が大き
易になります。
なメリットである反面、通信状況が不安定であったり、特に移
また、
フィールドで広く利用されているトランシーバですが、
動中は突然電波をひろえなくなるといった問題が発生します。
モバイルのブロードバンド化・インターネット化とともに、モバ
さらに開発の面では、HTTPやTCP等、サポートするトランス
イルインターネット上にPoCとしての開発が進められており、
ポートに対応したアプリケーションを新規開発することは、非
一部、2005年末にサービスが開始されました。PoCでは複
常にコスト高となります。
数ユーザーの状況を管理するためにヒトのプレゼンスが利用
そこで富士通研究所では、
「データを確実に届ける」ことが
されていますが、
このPoCのヒトのプレゼンスと、業務フロー
でき、
かつライブラリ化してアプリケーションにAPIを提供でき
等のモノのプレゼンスの統合を進めています。これにより、離
るトランスポート技術(Mobile Message Service)を開発
れた場所(フィールド)にいる作業者同士が、作業フローと音声
しています。この技術の特徴は、通信が突然切断した場合に、
メディアを用いた円滑な作業が可能となり、
またこれらのアプ
端末∼サーバ間の通信状態を把握できる点です。通信が切断
リケーションの開発も容易になります。現在、さらに、
この技術
しても、その後適切なタイミングで通信を再開し、データの再
の動画拡張・マルチキャリア・グローバル化を進めています。
送信や分割送信を自動処理します。
こうすることにより、
社外から社内の業務アプリケーションに対
今後も、NGN/FMC※8等、来るべきモバイルインターネット
して大量のデータを送信する際も、
ユーザーは送信完了までそ
時代に向けて、モバイル環境をサービスや業務に容易に効率
のセッションを見守る必要がなくなります。現在、携帯電話及び
よく活用できる“モバイルミドルウェア新技術”の開発を進め
デュア
HHT※6に向けた開発を行っている最中であり、今後は、
てまいります。
ル端末等における利用を想定した、
異種ネットワーク間における
シームレスなメッセージング技術の開発も視野に入れていきます。
※1 VoWLAN : Voice over Wireless LAN
※2 QoS : Quality of Service
※3 IM : Instant Message
※4 AP : Access Point
次世代プレゼンス管理
※5 SIP : Session Initiation Protocol
※6 HHT : HandHeld Terminal
※7 PoC : Push-To-Talk over Cellular
※8 NGN : Next Generation Network/FMC : Fixed Mobile Convergence
富士通研究所が早くから着目し、
インターネットで標準化し
たプレゼンス管理技術は、IP電話やIMで通話相手(ヒト)の状
況(在席等)
を共有する技術として利用が開始されました。現
在は、モバイルインターネット時代に向けて、モノへの拡張や
お問い合わせ先
(株)富士通研究所 パーソナルシステム研究センター
PoC※7との統合等、次世代のプレゼンス管理技術の研究開発
TEL 078-934-8248
を進めています。
E-mail [email protected]
表1.4入稿 06.4.28 2:03 PM ページ1
環 境
富士通グループでは、
環境配慮レベルがトップ水準にある
「スーパーグリーン製品」
の提供を推進。
着実にその成果をあげています。
富士通グループでは、環境汚染の未然防止と環境負荷低減を目的として、
新製品の設計段階から製品環境アセス
メントを実施しています。環境面で特に優れた製品を「グリーン製品」、
さらにその中で環境トップ要素を持つ製品
を「スーパーグリーン製品」と位置付け、
これらの製品のご提供を推進しています。
「スーパーグリーン製品」認定製品例
スーパーグリーン製品の提供
これまでに、富士通グループでは多数の「スーパーグリーン製品」を
認定し、
ご提供しています。その一部をご紹介します。
「スーパーグリーン製品」とは
「スーパーグリーン製品」と
● POSターミナル「TeamPoS3000」/富士通フロンテック
(株)
■ スーパーグリーン製品の位置付け
は、富士通グループの「グリー
(2006年2月認定)
・環境ラベル:業界初第三者認証「エコ
高
ン製品」に適合していることを
リーフ環境ラベル」の認定
スーパーグリーン製品
製品
(環境配慮
環境配慮トップ型製品
トップ型製品)
型製品)
前提条件に、さらに「省エネ」
「 3 R( R e d u c e , R e u s e ,
Recycle)設計・技術」
「含有
グリーン製品
(環境配慮強化型製品)
化学物質」
「環境貢献材料・技
【環境要素と内容】
・3R設計技術:本体、ディスプレイの外
環
境
配
慮
度
装プラスチックに再生プラスチックを
採用
・環境貢献材料:電子多項目キーボー
ドの一部に植物性プラスチック材料
術」等の環境配慮要素のいず
を採用
れかにおいて、環境配慮レベルがトップランナー水準(「世界初」
「国内
初」
「業界初」
「世界最小」
「国内最小」
「業界最小」等のいずれかに該
● スキャナ「fi-5900C」/(株)PFU
当)であり、自社製品または市場製品との比較においてきわめて優れ
(2006年1月認定)
た製品またはシステムを指します。
【環境要素と内容】
・省エネ:国際エネルギースタープログ
また、
「環境負荷低減取り組み」
「環境ラベル」等においては、外部
ラム登録の大型スキャナ装置で低電
団体による表彰や第三者機関等による認定を受けた製品及びシステ
力モード時消費電力がトップクラス
・環境貢献材料:原稿排出部の一部に植
ムも該当するものとします。
物性プラスチック材料を採用
シンボルマークの表示
厳しい基準をクリアしたこれ
・その他:用紙セット/取り除き時間の短
縮機構の追加により総合処理能力を
■ 環境シンボルマーク
向上させ、従来機比55%のCO2排出
らの「スーパーグリーン製品」
削減を実現(環境影響評価手法にて
には、
右のような「環境シンボル
試算)
マーク」も表示しています。
お問い合わせ先
富士通(株)環境本部 SD企画統括部 TEL 044-754-3413
URL http://jp.fujitsu.com/about/eco/
富士通グループはチーム・マイナス6%に参加しています。
富士通ジャーナル
発 行
発行責任者
富士通株式会社
カスタマーリレーション部 E-mail : [email protected]
〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2
(汐留シティセンター) TEL 03-6252-2253(直通)
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次 号 予 告
2006年6月発行
TopStory
「日本発PLMソリューション」
2006年5月発行
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