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「2010年上半期の対中直接投資動向」
(特集)中国北アジア
日系企業が直面する課題
2010年9月号(Vol.13)
2010年上半期の対中直接投資動向
5
大連
北京● ●
青島● ●ソウル
●東京
●上海
広州●
●香港
<
目
次
>
● 総論:不動産業が牽引し非製造業が伸びる・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
● 京津冀地域:投資の大型化が一段と進む・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
● 華東地域:第三次産業向けが伸びる上海と江蘇・浙江の「中心都市」・・・・・18
● 遼寧省:香港からの不動産投資が相次ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
● 広東省・福建省:契約額ベースで中華圏からの投資が回復・・・・・・・・・・29
● 山東省:中国企業向けサービス分野が急増・・・・・・・・・・・・・・・・・33
● 香港の対中投資:契約件数、実行金額ともに急回復・・・・・・・・・・・・・37
● 台湾の対中投資:関係緊密化で大幅増・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
● 韓国の対中投資:製造・非製造ともに急回復・・・・・・・・・・・・・・・・45
● 日系企業の主要対中直接投資案件(10 年上半期)
・・・・・・・・・・・・・・48
4
5
『(特集)中国北アジア 日系企業が直面する課題』は、北東アジア進出企業が直面す
るさまざまな問題点や課題について、ホットなトピックスを取り上げ、各地域の事務所
から独自の視点や地域事情に基づくレポートをお届けいたします。希望されるテーマ等
がありましたら、海外調査部中国北アジア課までご意見をお寄せいただければ幸いです。
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1
<ポイント>
(1)件数・金額とも約2割の増加。不動産業の投資が牽引。
・ 10 年上半期の対内直接投資(銀行・証券・保険分野を含まず)は、契約件数が
前年同期比 18.8%増(1 万 2,377 件)、実行ベースの投資額も 19.6%増(514
億 3,000 万ドル)だった。実行ベースの投資額は 09 年 8 月以降、前年同月比で
プラスが続いている。
・ 業種別にみると、製造業が前年同期比で微増にとどまったのに対し、非製造業
は 4 割増だった。非製造業はシェア最大の不動産業が 5 割増となったことが大
きい。
(2)各地域への投資の動向
・ 京津冀地域への投資(実行ベース)は、北京市、天津市ともに前年同期比で増
加、特に天津市は 09 年に続いて 2 割増となった。北京市は第三次産業が全投資
実行額の 90.8%を占めた。天津市は、電気・電子分野や航空・宇宙分野、自動
車・同部品などで投資が大型化している。
・ 華東地域は、上海をとりまく「中心都市」
(南京、無錫、蘇州、杭州、寧波)で
は第三次産業向け投資が相次ぐが、実行金額は伸び悩み。上海市では地域統括
本部などの「総部経済」向け投資を行う産業分野のすそ野が広がっている。
・ 遼寧省は、香港からの不動産投資が増えている。省内中心都市の瀋陽市、大連
市も同じ傾向。省政府はインフラ整備と IT 関連産業への投資誘致を進め、年間
誘致目標額の 180 億ドル達成を狙う。
・ 山東省は、件数(契約ベース、増資含まず)が前年同期比 23.6%増の 760 件、
投資金額(実行ベース)が 20.3%増の 41 億 3,747 万ドルだった。中国企業への
サービス提供を目的とする投資が伸びている。
・ 広東省と福建省は、ともに契約額で全体の 8 割を占める香港からの投資が前年
同期比で 3 割増加したことが寄与し、それぞれ 34.2%増、55.3%増。中華圏か
らの投資が増加した一方、中華圏以外からの投資は軒並み減少している。
(3)香港・台湾・韓国の対中投資動向
・ 香港は、中国経済の回復を背景に、契約件数が前年同期比 24.3%増、実行金額
も 41.3%増と大幅に回復。対中直接投資全体に占める香港のシェアは、実行金
額(使用ベース)で 54.9%と首位を独走している。
・ 台湾(認可ベース)は、中台間の関係改善が大きく進展したことや中国経済の
急回復により、ビジネスチャンス拡大を狙う台湾企業の投資が拡大し大幅増。
金額はこの上半期で、09 年通年の投資額(71 億 4,200 万ドル)を上回った。
冀
・ 韓国(実行ベース)は、前年同期比 62.5%増の 15 億 500 万ドルだった。景気回
復を期待しての投資心理の回復により、製造、非製造業とも増加した。省市別
では金融・保険業での大型案件があった吉林省が 1 位になった。
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2
不動産業が牽引し非製造業が伸びる'総論(
●北京発
2010 年上半期の対内直接投資は増勢に転じ、实行ベースで前年同期比 19.6%増の 514 億
3,000 万ドルとなった。業種別では製造業が 2.0%増とほぼ横ばいだったのに対し、非製造業は
41.2%増と明暗が分かれた。非製造業では不動産業が 52.3%増、リース・ビジネスサービス業も
35.7%増と高い伸びを示した。
<不動産業への投資が 5 割>
商務部によると 10 年上半期の対内直接投資'銀行・証券・保険分野を含まず(は、契約件数が
前年同期比 18.8%増'1 万 2,377 件(、实行ベースの投資額も 19.6%増'514 億 3,000 万ドル(だ
った'表 1 参照(。实行ベースの投資額は 09 年 8 月以降、前年同月比でプラスが続いている。
業種別にみると、製造業が前年同期比で微増にとどまったのに対し、非製造業は 4 割増だった。
非製造業はシェア最大の不動産業が 5 割増となったことが大きい。不動産業の増加額は 39 億
2,872 万ドルで、非製造業の増加額 74 億 7,584 万ドルの過半を占めた。そのほか、リース・ビジネ
スサービス業が 35.7%増、卸・小売業も 25.7%増と堅調だった'表 2 参照(。
上半期の投資が 2 割増と堅調だったことについては、金融危機下にあってもほかの地域に比
べ景気の落ち込みが小さく、今の世界経済の回復局面でも回復がほかの地域より速いといった
中国経済の腰の強さを指摘する声がある。その一方、10 年春は海外から元切り上げ圧力が強
まり、切り上げを見込んだホットマネーが内陸部を含む不動産市場に投じられたのではないか
'政府系シンクタンク(、との見方もある。そのほか、外資導入の審査権限を地方に移譲した点を
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増加要因に指摘する向きもある。
<賃金上昇は自然な流れ>
中国の投資環境上で注目を集めている賃金上昇について北京の識者は、賃金が何年も引き
上げられていない労働者層の賃金は引き上げられるべきで、経済発展に伴い賃金が上昇する
のは自然な流れだとして、上昇を中長期的傾向と受け止めている。もっとも、ストに訴えることは
得策ではなく、「工会」'労働組合(の設置や活動強化を通じた話し合いによる賃金上昇が政府の
主導する方向、とみる向きが多い。
<遼寧省:不動産開発投資が大半>
实行ベースの対内直接投資を省・自治区・直轄市別にみると、広東省、海南省、広西チワン族
自治区を除き、前年同期比では増加している'表 3 参照(。
遼寧省は 9.5%増。国・地域別にみると、主要国の伸びがマイナスとなる中、香港は 38.7%増で
45 億 1,600 万ドルと、省全体の 54.9%を占めた。「10 大ソフトウエアパーク」の建設が進行中で、
関連インフラ整備のための投資が主に香港から入ってきているという。パーク自体の建設、道路
や鉄道の整備、ホテル、住宅、ショッピングセンター、娯楽施設建設など、香港を中心とした不動
産開発投資は今後も対内直接投資の大きな部分を占めるとみられる。
大連市の北西部にある大連長興島経済技術開発区は、10 年 4 月に国家級開発区に昇格し、
10 年末から 11 年初には保税区設立も予定されている。韓国企業の進出が目立ち、世界造船第
4 位の韓国 STX が進出しているほか、ポスコ'POSCO(も船舶向け鋼板の製造工場設立を決め、
STX と合弁で総額 3 億ドルを投資する予定。
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遼寧省は 10 年の投資誘致目標額を 180 億ドルとしている。上半期の 82 億ドルに、約 100 億ド
ルの上積みが必要だが、省投資誘致関係者は達成への自信を示す。背景として次の 2 点が指
摘できる。
09 年 7 月の「遼寧沿海経済帯発展計画」の国家戦略化に続き、10 年 4 月には瀋陽を中心に鞍
山、撫順、本渓、営口、阜新、遼陽、鉄嶺の 8 都市が「瀋陽経済区」として国家総合改革实験区
に指定された。交通インフラの整備や戸籍制度改革、市外局番統一など通信面の改革が進行し、
政治、経済、社会面にわたる多様な实験的政策も实施され、事業環境は改善するとみられてい
る。
また、13 年には瀋陽市で日本の国体に相当する全国スポーツ大会が開催される。政府は新し
い行政区画の「大渾南区」の整備を進め、大会は同区で開催される予定。スタジアムなどの新設
や交通網整備に加え、市役所などの行政機能も同区へ移転する計画。関連インフラの投資がこ
れから本格化する。
<北京、天津市:大型案件が増加>
華北地域では、北京市、天津市ともに前年同期比で増加、天津市は 09 年に続き 2 割増となっ
た。報道によると河北省への投資額'实行ベース(は 10 年の年間目標の 38 億 8,000 万ドルの
51%を達成し、8.4%増の 19 億 8,000 万ドルになったという。
北京市は、1,000 万ドルを超える大型投資が投資件数の 7 割を占め、うち 5,000 万ドル以上は
16 件に上った。その中には、オムロン'中国(、米国のアルミ最大手企業のアルコアなどの投資
が含まれる。北京市が重点産業と位置付けている電子情報産業'液晶パネル、通信など(、自動
車産業、石油化学産業、設備製造産業'環境保護設備、発送電設備など(、バイオ・医薬産業と
都市型工業'食品飲料、工芸美術など(の 6 大産業の投資案件の大型化が進んでいる。
天津市も大型案件が増加した。契約件数 341 件のうち 1,000 万ドル以上のプロジェクトは 94 件
に上り、3,000 万ドル以上は 64 件、5,000 万ドル以上は 47 件に達した。さらに、1 億ドル以上のプ
ロジェクトが 3 件あった。投資の大型化が進んでいる業種としては、製造業では液晶、太陽光、
パソコンなどの電気・電子分野や航空・宇宙分野、自動車・同部品など、国内需要の拡大に伴い
生産規模を拡大するための投資が増えている。
サービス業を中心とした第三次産業の契約件数は 243 件で、全投資件数の 71.3%を占めた。
实行金額では 59.3%を占め、前年同期比でシェアが 8.1 ポイントアップした。中でも交通運輸・倉
庫業は、件数は 16 件だったものの、契約金額は 15 億 9,281 万ドルと製造業の投資金額に迫っ
ている。
<山東省:金融危機前の水準を上回る>
山東省は前年同期比 20.3%増で、投資金額は金融危機以前の水準'08 年上半期(を上回った。
09 年に急減した青島市向け投資が 44.8%増'13 億ドル(と増加に転じ、全省に占める割合も 3
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割を回復した。そのほか、●'さんずいに維(坊市、濱州市、東營市など国家発展戦略の黄河高
効率生態経済区発展計画 の対象都市への投資が増勢だ。
山東省商務庁関係者は「海外諸国の経済回復が遅れる中、山東省経済は好調で、国際資本
が逃避的に集中している」という。地場企業による香港やシンガポールなどからの資金調達が回
復。タックスヘイブン'租税回避地(からの投資も、英領バージン諸島は 5 倍に急増。米国も
97.5%増だった。日本は増加に転じたものの、「新規案件が尐なく増資案件が中心で、投資額が
小規模」'同関係者(で伸びは小幅だった。
業種別にみると第三次産業の伸びが高かった。シェア最大の不動産業が 44.5%増だったほか、
「金融危機後、低廉な労働力の活用を目的とした投資から、国内市場や国内企業向けサービス
提供を狙った投資が増加している」'同関係者(という。第二次産業は、伸びでは同 19.1%と第三
次産業より低いが、増加額では上回った。「中国経済の発展方式の転換と構造調整を背景に、
技術の改造、更新ニーズが増えている」'同関係者(ことから、設備製造や新エネルギー分野へ
の投資が活発化した。
<華東地域:「重要都市」に注目集まる>
華東地域は、上海市が前年同期比 4.1%増の小幅増だった。産業別に实行金額の伸び率をみ
ると、第一次産業が 13.1%減、第二次産業が 14.5%減となる中、第三次産業は 9.8%の増加だっ
た。その結果、第三次産業と第二次産業の投資規模は 08 年の 2:1 に対し 10 年上期は 4:1 とな
った。他方、件数は 14.9%と 2 ケタ増だった。サービス業の投資増が理由として指摘できる。また、
地域統括本部、投資性公司など、いわゆる本部機能の設置も各種奨励策の後押しを受け活発
だ。
江蘇省は 16.5%増で、華東地域で唯一 2 ケタ増となった。伸びを地域別にみると、南京、無錫、
蘇州といった「長江デルタ地区区域規画」上の「中心都市」が前年同期並みにとどまる一方、同
規画で「重要都市」「その他」に位置付けられた地域は高い伸びを示した。
浙江省は 2 年ぶりにマイナス成長から脱し、9.2%増になった。江蘇省同様、「中心都市」に比べ
「重要都市」の伸びがはるかに高い。
<広東省:内販型の産業に伸び>
華南地域をみると、広東省の上半期の实行金額は、前年同期の 98 億ドル、前年下半期の 97
億 4,000 万ドルからわずかに減尐し、96 億 4,000 万ドルとなった。一方、契約額ベースでは 2 年
ぶりに増加に転じた。契約件数は 21.0%増の 2,381 件、契約額は 34.2%増の 101 億 3,000 万ド
ルとなった。契約額の 79.1%を占める香港の 29.0%増が寄与している。
産業別にみると、第一次産業、第二次産業とも实行ベース金額が前年同期比で減尐する一方、
第三次産業は 4.5%の増加だった。サービス業の業種別では、实行金額は明らかにされていな
いが金融業が 5.6 倍、文化・スポーツ・娯楽が 3.6 倍、卸・小売りが 26.3%増と、いずれも内販型
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の産業が大きく伸ばしている。
福建省は、上半期の数値が下半期より高くなる傾向がある。10 年上半期も前年下半期の倍だ
ったものの、前年同期比ではほぼ横ばいの 38 億 3,000 万ドルとなった。ただし、契約額ベースで
は、明らかに海外からの投資が持ち直す傾向をみせて、契約件数は前年同期 418 件、下半期
521 件、10 年上半期は 546 件と連続して増加した。
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国別にみると、中華圏からの投資が好調である一方、日本、米国からの投資が減尐した。香港
からの直接投資の契約件数は 25.3%増の 214 件、契約金額は件数の増加率を大幅に上回る
53.6%増の 28 億 9,000 万ドルとなっており、投資が大口化している。
<国・地域別で香港が 1 位を保ち、日本は 3 位から 5 位に>
国・地域別の対中投資'实行ベース投入金額、タックスヘイブン経由を含む(をみると、第 1 位
は 09 年と同じく香港で、シェアは 09 年の 60.0%を上回る 61.7%となった'表 4 参照(。これにつ
いては従来から、香港の税制が対中直接投資に有利な点が指摘されている。受け取り配当はも
ともと非課税の上、中国企業が香港企業に配当する際の源泉徴収税率'5%(も、ほかの地域の
税率'10%(よりも優遇されている。上位の顔触れをみると、09 年に 2 位だった台湾の順位は変
わらず、3 位だった日本が第 5 位に下がり、シンガポール、米国が順位を上げた。
10 年上半期の日本の対中直接投資は、日本の財務省統計'国際収支ベース、速報値(による
と 2,307 億円で前年同期比 40.1%の減尐だった。もっとも日本の対外直接投資全体が 43.3%減
尐したため、中国のシェアは 09 年の 9.3%から 11.9%に高まった。
10 年上半期の日本の対外直接投資を国・地域別にみると、09 年に日本の投資先として上位を
占めたケイマン諸島がマイナス'資本還流(に転じたほか、EU 諸国向けが軒並み不振で、EU 全
体では 71.7%の大幅激となった'表 5 参照(。
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また、日本の財務省の統計で最近の業種別の対中投資動向をみると、現時点で判明している
10 年 1〜3 月期は、製造業の伸びが 44.8%減なのに対し、非製造業は 24.9%減となっている'表
6 参照(。製造業では、従来投資額が大きい「一般機械器具」が 3.1%の微増、「電気機械器具」
が 91.8%の激減、「輸送機械器具」が 1.6%減だった。非製造業では「卸・小売業」「金融・保険
業」の 2 業種で投資額のほとんどを占め、「卸・小売業」の減尐が 37.6%と大きかった。「不動産
業」の投資額は 15 億円のマイナス'日本への還流(だった。
日本の対中投資額を日中両国の直接投資統計で比較すると、金額に差がある。両者の差は
例えば 09 年上半期の場合、日本側:40 億ドル、中国側:20 億ドル、10 年上半期の場合、日本
側:約 25 億ドル、中国側:21 億ドルとなった。主な理由として日本と中国の直接投資統計の集計
方法と対象業種の違いが指摘できる'注(。
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<10 年上半期の日本の対中投資に 2 つの特徴>
世界的な景気低迷から回復に向かった 10 年上半期、中国に投資した日本企業が、中国のど
のような点に注目していたのかを各社のプレスリリース資料からみると、次の 2 点が指摘できる。
業種横断的な統括機能強化の動きと、自動車関連の子会社設立だ。
業種横断的な統括機能強化の動きとしては、三菱重工業やブリヂストン、帝人などがあり、自
動車関連では、東プレをはじめ東洋ゴム、ヨロズなどが子会社を設立した。
日系企業による主要対中直接投資案件'10 年上半期(の詳細は添付資料を参照。
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'注(日本の対外直接投資データは国際収支ベースで、a.株式資本'直接投資企業の株式、支店
の出資持ち分とその他資本拠出金(、b.再投資収益'直接投資企業の未配分収益のうち、直接
投資家の出資比率に応じた取り分と直接投資家に未送金の支店収益(、c.その他資本'上記 2
項目に含まれない直接投資家と直接投資企業または支店との資本取引(からなる。これに対し、
中国の対内直接投資データ'实行ベース(は新規投資に増資を加えたもので、日本側統計に含
まれる b.の再投資収益や c.のその他資本が含まれない。また、中国側統計には金融'銀行・証
券・保険(が含まれていない。近年は日本側統計で、金融業の変動が大きかった。さらに、09 年 6
月までの中国側月次統計は、当該国からタックスヘイブン経由で中国に投資される金額を当該
国からの投資金額に含まず、また实際使用金額だったが、同年 8 月からはタックスヘイブン経由
の投資額を含むようになり、また实際投入金額になった。
'箱崎大(
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11
投資の大型化が一段と進む'京津冀地域(
●北京発
2010 年上半期の京津冀地域'北京市、天津市、河北省(の対内直接投資額'实行ベース(は、
北京市、天津市ともに前年同期比で増加し、特に天津市は 09 年に続いて 2 割増となった。河北
省は上半期の統計を公開していないため正確な数字は分からないが、「河北日報」'7 月 25 日(
によると、8.4%増の 19 億 8,000 万ドルと年間目標 38 億 8,000 万ドルの 51%を達成したという。
<北京市:9 割が第三次産業向け投資>
10 年上半期の北京市の対内直接投資は、契約金額が前年同期比 15.0%減の 41 億 3,700 万ド
ル、实行金額が 2.5%増の 35 億 8,900 万ドルと、契約金額は減尐したものの、实行金額ベースで
は増勢を維持した。
国・地域別に实行金額をみると、第 1 位は香港で前年同期比 29.9%増の 18 億 292 万ドルだっ
た。第 2 位の英領バージン諸島は前年同期の大幅増から一転し、64.5%減の 3 億 1,810 万ドルと
なった。第 3 位の日本は 27.2%増の 2 億 1,917 万ドルとプラスに転じた。第 4 位のケイマン諸島
は 19.6%減の 1 億 8,951 万ドル。第 5 位のシンガポールは 2.3 倍の 1 億 6,562 万ドルと大幅に増
加した'表 2 参照(。
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産業別にみると、伸び率がプラスだったのは第三次産業で、前年同期比 9.0%増の 32 億 5,848
万ドルと全投資实行額の 90.8%を占めた。第二次産業は 35.3%減の 3 億 1,812 万ドル'シェア
8.9%(、第一次産業は 39.1%減の 1,246 万ドル'0.3%(といずれも 3 割を超える減尐となった。
<電子情報産業などで大型投資が増加>
北京市商務委員会によると、投資件数'实行ベース(のうち 1,000 万ドルを超える大型投資が全
体の 7 割を占め、さらに 5,000 万ドル以上の大型プロジェクトは 16 件に上った。その中には、オ
ムロン'中国(、米国のアルミ最大手アルコアなどの投資が含まれており、多国籍企業による大
型投資が多かった。
北京市投資促進局によると、同局がサポートした投資案件のうち 1,000 万ドル以上の投資案件
は 36 件で、うち 11 件が既に登記を終え、投資を实行に移している。
これら大型投資案件は主に電子情報産業やバイオ・医薬産業などに集中しており'「中国建築
企業網」7 月 28 日(、北京市が重点産業と位置付けている電子情報産業'液晶パネル、通信な
ど(、自動車産業、石油化学産業、設備製造産業'環境保護設備、発送電設備など(、バイオ・医
薬産業、都市型工業'食品飲料、工芸美術など(の 6 大産業の投資案件の大型化が進んでい
る。
<三菱重工が地域統括本部を設立>
日本企業の主な投資案件としては、三菱重工業が地域統括会社の三菱重工業'中国(を設立
したことが挙げられる。資本金は 3,100 万ドルで、同社が全額を出資する。
中国の国内市場でのビジネス拡大を狙う多国籍企業の中には、北京市や上海市に地域統括
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本部を設置し、中西部などの内陸地域への展開をサポートする動きが活発化している。同社は、
現在中国で需要が高まっている都市開発や省エネ・環境ビジネスなど大型プロジェクト案件を開
拓するため、中央省庁や大手国有企業の意思決定機関が集中する北京に地域統括本部を置い
た。
多くの外資系メーカーは、これまで中国に生産拠点としての役割を求めていたこと、外資系企
業が統括的な機能を持てない規制があったことなどから、事業部門単位での進出を行ってきた。
このため、各現地法人に管理機能を持たせる必要があり、事業の拡大についても、本社事業部
との直接的な関係が強く、中国ビジネスを横断的に統括する全社的な統制機能が弱いという指
摘があった。中国市場の需要が拡大し、また外資に対する規制緩和が進んだことなどから、多
国籍企業の中には、中国ビジネスの効率化を指向する動きが強まっている。
このような中、北京市は 09 年 5 月に「多国籍企業の北京における地域本部設立条例に関する
若干規定」、6 月には同实施条例を公布し、地域統括本部の誘致に力を入れている。北京市に
地域統括本部を設立すると、開業に際しての補助金や営業収入に対する奨励金が支給される
などの優遇制度のほか、外国籍人員のビザ取得や人員雇用面での便宜供与などが受けられ
る。
<天津市:米韓企業の投資が激増>
10 年上半期の天津市の対内直接投資は、契約件数が前年同期比 18.4%増の 341 件、契約金
額は 10.7%増の 82 億 1,106 万ドル、实行金額は 20.0%増の 59 億 1,325 万ドルと、いずれも 2
ケタ増となった。
国・地域別の投資状況'实行金額(をみると、第 1 位は香港で前年同期比 3.5%増の 23 億 5,248
万ドル、韓国が 3.3 倍の 7 億 9,749 万ドルと急増して 2 位に入り、米国も 5.2 倍の 5 億 6,422 万ド
ルで第 3 位となった'表 3 参照(。日本は 3.4%減の 2 億 3,691 万ドルで第 4 位、英領バージン諸
島は、62.4%減の 2 億 3,250 万ドルと急減し、第 5 位になった。
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産業別にみると、全投資の 44.8%を占める製造業の实行金額は、前年同期比 12.8%増の 24
億 4,147 万ドルと堅調に伸び、交通運輸・倉庫業は 3.6 倍の 11 億 1,744 万ドルと激増した'表 4
参照(。他方、不動産業は 62.9%減の 3 億 6,674 万ドルと前年の増加から大幅な減尐に転じた。
また、卸・小売り・飲食業は 53.4%減の 1 億 7,502 万ドルと前年に引き続き減尐した。
<新規プロジェクトの大型化が顕著>
天津市商務委員会の発表によると、新たに認可された投資プロジェクトの特徴として、大型案
件が増加したことが挙げられる。契約件数 341 件のうち、1,000 万ドル以上のプロジェクトは 94 件
に上り、3,000 万ドル以上は 64 件、5,000 万ドル以上は 47 件、1 億ドル以上のプロジェクトが 3 件
もあった。
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投資の大型化が進んでいる業種としては、製造業では液晶、太陽電池、パソコンなどの電気・
電子分野や航空・宇宙分野、自動車・同部品など、国内需要の拡大に伴い、生産規模を拡大す
るための投資が増えている。製造業分野の投資案件は 90 件、契約金額は 16 億 9,203 万ドルで、
特に航空・宇宙、新エネルギー、バイオ分野への投資が多かった。これらハイテク製造業の投資
シェアは前年比 7 ポイント増加し、全製造業投資案件の 83%に達した。
またサービス業を中心とした第三次産業の契約件数は 243 件で、全投資件数の 71.3%を占め
た。シェアは契約金額の 78.4%、实行金額の 59.3%と、前年同期に比べそれぞれ 7.2 ポイント、
8.1 ポイント拡大した。中でも交通運輸・倉庫業は、件数は 16 件だったものの、契約金額は 15 億
9,281 万ドルと製造業の投資金額に迫っており、投資の大型化が最も顕著にみられた業種といえ
る。
<多国籍企業を中心に増資が拡大>
天津経済技術開発区'TEDA(によると、上半期の投資の特徴として、大手企業を中心に増資
が多かったことが挙げられる。TEDA エリア内で増資を行った企業は 75 社、金額にして 10 億ドル
を超えた。
サムスン電子は TEDA 内だけで独資企業 10 社、合弁企業 3 社を設立しており、LED、パソコン
モニター、携帯電話分野で増資した。韓国からの投資受け入れが 3 倍以上の伸びを示したのは
同社による増資拡大が大きく影響している。
米モトローラは天津を中国市場向けの最大生産拠点と位置付けており、生産拡大のための増
資を行っている。米 DHL も地場の物流企業の大田物流と提携し、華北エリアの物流サービス向
上のため増資を行うなど、米韓企業による増資が目立った。
このほか、自動車・同部品企業の増資も国内市場の拡大に伴って増加している。TEDA 内には
100 社を超える自動車関連企業が進出しており、うちトヨタ関連企業は 70 社余りあるとみられて
いる。今期はティア 1、ティア 2 を中心とするサプライヤーの増資が多く、新規投資を検討する新
たなサプライヤーも増えているという。
またサービス業では、イオンが 9 月内に新店舗を TEDA エリア内にオープンすることが決定して
おり、伊勢丹も現在、TEDA に新店舗を開業するための最終調整を行っている。これまでは製造
拠点という位置付けが強かった TEDA だが、住宅地の造成などに伴う居住人口の増加により、
新たに商業地としての発展も期待されている。
<濱海新区:急速に進む「天津エコシティー」開発>
06 年 6 月に中央政府から「国総合・複合改革試験区」として認可された濱海新区の投資状況を
みると、契約金額は 16.2%増の 64 億 6,000 万ドルと、市全体投資額の 78.7%に達した。实行金
額は 31.4%増の 38 億 7,000 万ドルで 65.4%を占め、いずれも市全体の伸び率を大きく上回った。
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日本でも注目され始めた「天津エコシティー」'中新天津生態城(は濱海新区の北部に位置して
おり、現在、初期投資による第 1 期工事が急ピッチで行われている'2010 年 1 月 6 日記事参照(。
07 年 11 月に中国政府とシンガポール政府が調印しプロジェクトがスタート。総投資規模は
2,500 億元'約 3 兆 5,000 億円(、双方 50%の出資で 08 年 7 月に「天津エコシティー」の開発に着
工した。現在、中国国有企業、シンガポール、香港、マレーシア、台湾、日本などの企業が開発
に参入しているが、華人系資本が圧倒的な力を示しているという印象が強い。
天津エコシティーはビル建築や公共交通などに環境技術の導入を前提としており、ごみ回収利
用率を 60%以上、エネルギーの再生利用率を 20%、水の再生利用率を 50%以上にするなどの
目標を定めている。同シティー管理委員会からは、省エネ・環境分野に優れた技術と経験を持つ
日本からの投資に期待する声が聞かれる一方で、政府プロジェクトのため日本企業単独では参
入が難しいという一面もある。
現在、外観からは土地開発が中心にみえるが、前記の目標を实現するため、水や電力といっ
たインフラや各種環境設備などの入札が既に急ピッチで進められている。
<河北省:卸・小売業投資が過去最高を記録>
河北省は 10 年上半期の対内直接投資統計を公表していない。「河北日報」'7 月 25 日(は、同
省商務庁からの情報として以下のとおり、投資受け入れ状況を報道した。
それによると同省の投資受入額'实行ベース(は前年同期比 8.4%増の 19 億 8,000 万ドルと、
年間目標の 38 億 8,000 万ドルの 51%を達成した。
第三次産業は全投資の 21.5%を占める 3 億 7,972 万ドル、契約金額は 34.7%を占める 3 億
5,411 万ドルとなった。中でも卸・小売業向けの实行金額は、前年同期比 6.8 倍の 1 億 5,564 万ド
ルで過去最高額を記録した。
'清水顕司(
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第三次産業向けが伸びる上海と江蘇・浙江の「中心都市」(華東地域)
●上海発
2010 年上半期の華東地域'上海市、江蘇省、浙江省(の対内直接投資状況をみると、上海をと
りまく「中心都市」'南京、無錫、蘇州、杭州、寧波(では第三次産業向けの投資が相次いでいる
が、实行金額は伸び悩んでいる。上海市では、地域統括本部などの「総部経済」向け投資を行う
産業分野のすそ野が広がっている。
<華東地域全体:1 年半ぶりに 2 ケタ成長を回復>
10 年上半期の華東地域の対内直接投資額'实行ベース(は 259 億ドル'前年同期比 12.2%増(
と、08 年'通年(以来 1 年半ぶりの 2 ケタ成長となった'表 1 参照(。
国務院が 10 年 5 月 24 日に承認した「長江デルタ地区区域規画」'[2010]38 号、以下「規画」(
には、外資の利用レベルの向上を図るため、「外商投資企業の形式審査の試行」による利便性
の向上と「外商投資企業による国内企業の改組改造'M&A、資本参加、戦略同盟の結成など(」
の奨励が盛り込まれた。
「規画」は、長江デルタ地域'上海市、江蘇省、浙江省(を、国の GDP の 5 分の 1'21.7%(を占
める「国内総合实力最強区域」、アジア太平洋地区の国際ゲート、「現代サービス業」と先進的な
製造業の中心、と位置付けた上で、09 年から 15 年にかけての発展目標を明記している。「発展
の中心」の上海に加えた、南京、蘇州、無錫、杭州、寧波など 16 の「核心区」を中心に、長江デ
ルタ地域はハード・ソフト両面からの一体化を目指す。
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<上海市:4.1%増、投資は大型化からサービス化へ>
上海市への投資'实行ベース(は、前年同期比 4.1%増と 09 年'通年(並みの伸びだったが、契
約件数は 14.9%増、09 年 3 月から前年同月比でマイナスだった契約金額も 10 年 2 月から 12 ヵ
月ぶりにプラスに転じた結果、上半期は 12.2%増の 74 億 7,700 万元'1 ドル=約 6.8 元(に達し
た。上海市の総外資实行額は、6 月末までの累計で 1,000 億ドルを突破した'1,006 億 7,400 万ド
ル(。広東省、江蘇省に次ぐ第 3 位で、全国の 10 分の 1 を占める。
「規画」では、上海市は、a.産業創新基地と R&D センター、b.「虹橋総合交通ハブ」活用による
ビジネスセンター、c.「現代サービス業」'市中心部(と先進製造業・ハイテク産業・現代農業基地
'市郊外(、と位置付けられた。中国の発展モデルで先頭を走る上海市では、直接投資も大型化
からサービス化へとシフトしている。
復調した投資件数の牽引役となったのが、サービス産業をはじめとする第三次産業だ。
産業別では、实行金額で第三次産業が増加を続ける一方、第二次産業は 2 ケタの減尐となっ
た'表 2 参照(。その結果、第三次産業と第二次産業の投資額は、08 年の 2:1 から 4:1 まで拡大
した。
<地域統括本部設置業種が多様化>
多岐にわたる奨励策の対象となる地域統括本部などの本部機能'「総部経済」(向け投資も活
発だった'表 3 参照(。
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21 社の設立が承認されたグローバル企業の地域統括本部には、米クラフト'食品(、スイスのノ
バルティスファーマ'製薬(、米ディズニー'娯楽・メディア(、ブラジルのバーレ'資源開発(、フラン
スのソデクソ'給食受託・施設管理(とレクセル'電気機器流通(が含まれる。国別では、米国 8 社、
日本 6 社、フランス 3 社など。
上海市商務委員会の沙海林・主任は「新たに承認された地域統括本部は、鉱産物、電力・エネ
ルギー、自動車部品、包装、特殊化学品、食品、不動産、文化娯楽、飲食管理に広がっている」
と語る'第 18 次グローバル企業地域統括本部承認式、10 年 7 月 14 日(。
R&D センターとしては、5 月にドイツのバイエル'医薬(傘下のバイエルマテリアルサイエンス
'自動車用軽量化素材(、7 月にフランスのロレアル'化粧品(がそれぞれ浦東新区に技術評価セ
ンターを設立した。
3 月、米マクドナルド'飲食(は、世界 7 番目となる社内人材育成機関「ハンバーガー大学」の設
立を発表。5,000 人が「入学」できる規模だ。香港の「大学」を上海に移転し、急拡大する事業展
開に対応するマネジャークラスの育成を図る。
<日本から上海へは金額で減るも件数で 4 割増加>
国・地域別'契約ベース(では、日本が前年同期比で 27.4%減尐したのを除き、主要国からの
投資はおおむね増加した。件数では、逆に日本が 39.6%増加していることから、投資金額が尐な
いサービス業などの対中投資意欲が増していることがうかがえる。
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グループ企業 12 社を中国に展開する帝人は 4 月、中国事業の統括会社を設立。市場開拓、
事業開発、新規投資を担う。三菱マテリアルは 6 月、販売・調達・管理機能を併せ持つ統括会社
を設立した。
前年 5 月に施行された新たな「中国旅行社管理条例」では、外商単独資本旅行会社による分
社の設立が解禁された。これに伴い、4 月に近畿日本ツーリストと阪急旅行社、5 月に H.I.S がそ
れぞれ上海に分社を開設した。そのほかにも、貿易、物流、コンサルタント、飲食などのサービス
分野に日本からの投資が相次いだ。
<江蘇省:16.5%増、蘇南で第三次産業向けが相次ぐ>
江蘇省への投資'实行金額(は、16.5%増と華東地域では唯一の 2 ケタ増となった。その伸び
率は、ほぼ前年並みの「中心都市」'南京市、無錫市、蘇州市(と、それ以外の「重要都市」「その
他」との差が鮮明だ'表 5 参照(。
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その背景として挙げられるのが、「投資实行額の伸び率で第二次産業をはるかに上回る第三
次産業」〔江蘇省商務庁の●'竹かんむりに旦(家祥・報道官〕だ。上海に近い蘇南の「中心都
市」では、既に機械・電子産業が集積している。そのため「中心都市」では、既存の産業集積をバ
ックアップするための研究開発センター、投資管理、技術サービス、レンタル、金融など比較的投
資金額が尐額な「第三次産業」向け投資が中心だ。
南京市では、2 月に住友信託銀行が合弁で、3 月にフィリピン首都銀行が単独資本で進出。無
錫市では、5 月に EMCOM ホールディングスがコールセンター・アウトソーシング事業の合弁会社
設立を発表した。蘇州市では、6 月に損保ジャパンの中国現地法人である日本財産保険'中国(
が、進出日系企業に対して保険サービスを提供するため支店の開設、7 月に韓国国民銀行が国
内 3 番目の支店の開設をそれぞれ発表した。
第二次産業への投資实行額は全体の 66.6%を占めている。うち、電子、通信設備製造業向け
は 17.95%と、08 年以来の前年比減尐から増加に転じた。機械重工と電子製造業の大型プロジ
ェクトを誘致した常州市は、实行額の伸び率で蘇南のトップに立っている。
蘇中、蘇北地域では、09 年 6 月に国家戦略として認められた「江蘇沿海地区発展規画」で、南
通市、連雲港市、塩城市を中心とする新しい工業基地と長江デルタの運輸センター開発の呼び
掛けにより、实行額が蘇中で 44.9%、蘇北で 51.4%増加した。南通市では、6 月に信越化学工業
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がシリコーン'ケイ素樹脂(工場を建設し、2011 年に稼働すると発表した'投資額 85 億円(。
<浙江省:9.2%増、外資利用促進策を準備中>
浙江省への投資'实行金額(は、2 年ぶりにマイナス成長から脱し、前年同期比 9.2%増になっ
た。江蘇省と同様に、「中心都市」と「重要都市」の伸び率の差が明らかになった'表 6 参照(。
实行金額で全省の 4 割強を占める杭州市では、前年同期比 9%増加した。三井住友海上火災
保険は 4 月、杭州に拠点を置く生命保険会社、信泰人寿に 7%出資した。
6 月には、リチウムイオン電池メーカー米エナーデルの親会社エナール・ワンが、杭州に拠点を
置く中国部品大手の万向集団傘下の電気自動車部門と合弁会社設立を発表した。電気自動車
向けリチウムイオン電池を、万向集団の既存顧実に供給する。
杭州市は、09 年 1 月に「新エネ・省エネ自動車普及モデル都市」に、10 年 6 月に個人向け新エ
ネ自動車補助金の試行都市に選定された。同じく 6 月に公布された「外商投資審査認可権限の
委譲にかかる問題に関する通知」'商貿発[2010]209 号(でも、南京、広州、武漢、成都などとと
もに、3 億ドル未満'奨励類・許可類(または 5,000 万ドル未満'制限類(の外商投資企業設立の
認可や管理の権限が国務院から移譲された。
「規画」では、杭州市は「ハイテク産業基地」「国際観光レジャーセンター」「文化創造センター」
「電子商取引センター」「地域金融サービスセンター」として、寧波市は「先進製造基地」「現代物
流基地」として、位置付けられている。
浙江省商務庁は「国務院の外資利用促進策をベースに、外資利用促進に関する实施細則を
策定している」と語る。外資企業の投資が江蘇省に比べ遅れていた浙江省も、「規画」や「省エ
ネ・新エネ自動車モデル都市」の实現に向け、外資の積極的な導入が進展していくことになろう。
'張培葉、志村和俊(
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香港からの不動産投資が相次ぐ'遼寧省(
●大連発
遼寧省、省内中心都市の瀋陽市、大連市ともに、香港からの不動産投資が増えている。省政
府はインフラ整備と IT 関連産業への投資誘致を進め、年間誘致目標額の 180 億ドル達成を狙
う。
<大連市は前年に続き高い伸び>
2010 年上半期の遼寧省の対内直接投資は、契約件数が前年同期比 2.8%増の 618 件、契約
金額が 11.5%減の 90 億 2,300 万ドル、实行金額は 9.5%増の 82 億 2,200 万ドルだった。大連市
の实行金額は 37 億 2,000 万ドルで、前年同期比 51.7%増と前年に引き続き高い伸びを維持して
いる'表 1 参照(。
实行金額を国・地域別にみると、香港からの投資が目立つ。日本'49.2%減(、韓国'46%減(、
米国'27.8%減(と主要国の伸び率が軒並みマイナスとなる中、香港は 38.7%増の 45 億 1,600 万
ドルと省全体の 54.9%を占めた'表 2 参照(。
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各市レベルでも、香港からの投資は瀋陽市が 12 億 3,000 万ドル、大連市が 2.8 倍の 16 億 6,720
万ドルなど、国・地域別で最多となっている'表 3 参照(。不動産関連の投資が中心だ。
大連ハイテクパーク投資促進局関係者は「現在『10 大ソフトウエアパーク』の建設が進んでおり、
関連インフラ整備のために主に香港からの投資が入ってきている。パークそのものの建設以外
にも、道路や鉄道の整備、ホテル、住宅、ショッピングセンター、娯楽施設の建設が計画されてお
り、今後も香港を中心とした不動産開発投資が、対内直接投資の大きな部分を占めるだろう」と
話している。
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<不動産業を中心に第三次産業が牽引>
实行金額を業種別にみると、第三次産業が 56.5%増の 50 億 3,000 万ドルで、全实行金額の
61.6%を占めた。中でも不動産業の投資が伸びており、契約件数は 2.1 倍の 69 件、实行金額は
34.7%増の 23 億 9,200 万ドルとなった'表 4 参照(。
省都の瀋陽市は、10 年 10 月 1 日に地下鉄 1 号線が開業の予定で、2 号線の建設も進行中だ。
大連市も 12 年中の地下鉄開通を目指し、工事が急ピッチで進んでいる。また、大連~ハルビン
間の高速鉄道が 11 年中に開通の予定で、各沿線は地価上昇を当て込んだマンションの建設ラ
ッシュになっている。
マンションだけではない。韓国ロッテは 30 億ドルを投じ、瀋陽北駅前にショッピングモール、アミ
ューズメント施設が一体化した「ロッテワールド」の建設を進めている。また、大連では、香港の世
茂集団'SHIMAO Group(による総投資額 45 億ドルのテーマパーク「世茂嘉年華プロジェクト」が 4
月に着工している。同集団による国内最大規模の施設建設で、注目を集めている。
<製造業は大幅に減尐>
製造業は、業種別实行金額ではトップの 28 億 9,000 万ドルだが、前年同期比 26.8%減と大きく
落ち込んだ。大型の新規投資案件は尐なく、既進出企業の増資など追加投資が多い。瀋陽では
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完成車メーカーの華晨宝馬'BMW と華晨の合弁企業(が 50 億元'1 ドル=約 6.8 元(を投じて新
工場を着工、物流センターや検査センターの併設も予定している。大連では、ダイカスト製品製
造のリョービが 9,100 万元を増資したほか、日本電産は 5,000 万ドルを投資し、車載用モーター生
産のための第 3 工場と研究開発センターを建設している。
製造業以外では、鹿島建設が瀋陽に進出し、地場の瀋陽兆寰現代建築産業園と、瀋陽兆寰
'日本(現代建築産業パーク建設を進めている。4 月に着工しており、総投資額 40 億元、面積 2
平方キロで、設計、施工、研究開発、製造などを行う建築関連日系企業の誘致も目指す。
大連は情報サービス・ソフトウエア産業の一大基地で、日系企業を中心に集積が進んでおり、
この上半期にもソニー、損保ジャパン、シマンテックなどが開発拠点や ITO'IT アウトソーシング(、
BPO'ビジネス・プロセス・アウトソーシング(拠点を新規設立している。
<大連長興島に内外企業が進出>
大連市の北西部にある大連長興島経済技術開発区は、10 年 4 月に国家級開発区へと昇格し、
年末から 11 年初頭には保税区設立も予定されている。代表的な進出企業は世界造船第 4 位の
韓国 STX で、現在は従業員が 1 万 8,000 人まで増加している。同じく韓国のポスコ'POSCO(も
船舶向けの鋼板工場設立を決め、STX と合弁で総額 3 億ドルを投資する予定だ。
日系企業も 10 年 4 月、伊藤忠商事がフランスのスエズ・エンバイロメントと共同で汚水処理場
の保守運営を受託すると発表した。長興島はエコアイランド構想を推進しており、伊藤忠商事は
そのマスタープラン作成に参画するほか、リサイクルプロジェクトや鉄鉱石岸壁の建設も予定し
ている。
外資以外の進出も増加している。恒力集団は総額 250 億元を投じ、石油化学基地建設を進め
ており、中国石油天然ガス集団'ペトロチャイナ(も進出を決定している。大型企業の誘致に成功
し、今後関連企業の集積が進むと同開発区関係者は期待している。
<中央政府の後押しを受けて、年間目標達成へ>
遼寧省は 10 年の投資誘致目標額を 180 億ドルとしている。上半期の 82 億ドルに約 100 億ド
ルを上積みしなければならないが、省の投資誘致関係者は、達成可能だと話す。09 年 7 月の
「遼寧沿海経済帯発展計画」の国家戦略化に続き、10 年 4 月には瀋陽と鞍山、撫順、本渓、営
口、阜新、遼陽、鉄嶺の 8 都市が、「瀋陽経済区」として国家総合改革实験区に指定された。交
通インフラの整備や戸籍制度改革、市外局番統一など通信面の改革が進行し、政治、経済、社
会面にわたる多様な实験的政策も实施され、事業環境はこれまで以上に改善が進むと考えられ
る。
また、13 年には瀋陽市で全国スポーツ大会が開催される'日本の国体に相当し、4 年に 1 度開
催(。市政府は新しい行政区画、「大渾南区」の整備を進め、大会は同区で開催される予定だ。
スタジアムなどの新設や交通網整備に加え、市庁舎などの行政機能も同区に移転する計画。関
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連インフラの投資はこれから本格化するため、外資企業にとってのビジネスチャンスは今後拡大
する。
大連市も政策面の支援を受けて、IT 産業、中でもアウトソーシング産業の一層の集積、発展を
目指す。7 月 28 日、国家財政部は海外からのサービスアウトソーシング収入に対する営業税を
免税とする通知を出した。対日アウトソーシング分野で優位性を持つ大連にとって、日系企業誘
致には追い風となろう。
'渕田裕介(
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契約額ベースで中華圏からの投資が回復'広東省、福建省(
●広州発
2010 年上半期の広東省と福建省の対内直接投資は、ともに契約額で全体の 8 割を占める香
港からの投資が前年同期比で 3 割増加したことが寄与して、それぞれ 34.2%増、55.3%増となっ
た。投資元の国・地域別でみると、両省とも中華圏からの投資が増加した一方、中華圏以外から
の投資は軒並み減尐している。
<広東省:契約額では 2 年ぶりに増加へ>
広東省の 10 年上半期の対内直接投資は实行ベースで 96 億 4,000 万ドルと、前年同期の 98
億ドル、前期の 97 億 4,000 万ドルからわずかに減尐した'表 1 参照(。
一方、契約額は 2 年ぶりに増加に転じた。契約件数は前年同期比 21.0%増の 2,381 件、契約
額は 34.2%増の 101 億 3,000 万ドルだった。これは契約額の 79.1%を占める香港が 29.0%増加
したことが寄与している'表 2 参照(。このほか、シェアはわずかながらもシンガポールが 2.4 倍、
マカオが 75.4%増と中華圏からの投資が増加した。
日本は契約額で 15.3%減尐したものの、件数は 61.5%増の 42 件となっており、小口投資が増
加している。米国も同様の傾向だ。一方、フランスは件数、金額とも減尐した。
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<内販ビジネス向け投資が活発に>
实行額を産業別にみると、第一次産業、第二次産業が減尐する一方、第三次産業は 4.5%増
加した'表 3 参照(。サービス業の業種別の实行額は明らかにされていないが、金融業が 5.65 倍、
文化・スポーツ・娯楽が 3.65 倍、卸・小売りが 26.3%増と、いずれも内販型の産業が大きく伸びて
いる。
一方、外需向けの産業は、ワーカー不足、賃上げ、労働争議問題と、生産環境が不安定な状
況が続いている。広東省の 10 年 1~7 月の貿易額'輸出入合計(は前年同期比 32.3%増の 4,139
億 3,000 万ドルにとどまり、伸び率は全国平均を 8.6 ポイント下回った。
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<福建省:契約額では持ち直し傾向>
福建省は全般に上半期の数値が下半期より高い傾向がある。10 年上半期も实行額は前年下
半期の 2 倍になったものの、前年同期比ではほぼ横ばいの 38 億 3,000 万ドルだった'表 4 参照(。
ただし、契約額は持ち直す傾向をみせており、契約件数は前年同期の 418 件から前期は 521 件、
10 年上半期は 546 件に、契約額も前年同期の 24 億 1,000 万ドルから前期の 29 億 5,000 万ドル、
10 年上半期は 37 億 4,000 万ドルと、ともに連続して増加した。投資規模も大口化している。
国・地域別にみると、契約額は広東省と同様、中華圏からの投資が好調な一方、日本、米国か
らの投資が減尐した。香港の契約件数は前年同期比 25.3%増の 214 件、契約額は件数の増加
率を大幅に上回る 53.6%増の 28 億 9,000 万ドルと、投資が大口化している。
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'西澤成世、鄒淮英、覃虹(
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中国企業向けサービス分野が急増'山東省(
●青島発
2010 年上半期の山東省の対内直接投資は件数'契約ベース、増資含まず(が前年同期比
23.6%増の 760 件、投資金額'实行ベース(が 20.3%増の 41 億 3,747 万ドルだった。同省商務庁
関係者によると、中国企業へのサービス提供を目的とする投資が伸びている。
<青島市、V 字回復>
09 年に急減した青島市向け投資が反転増加した。同市への投資額は前年同期比 44.8%増
'13 億ドル(となり、全省に占める割合は 3 割を回復した'表 1 参照(。
青島市に次ぐ投資先の煙台市は 12.3%増'5 億 9,382 万ドル(、3 位の済南市が 9%増'4 億
5,012 万ドル(、4 位の●'さんずいに災のあたまの下に田(博市も 27.4%増'2 億 6,184 万ドル(と
増加した。しかし、5 位の威海市は 32.1%減'2 億 4,406 万ドル(と急減した。
国家発展戦略の黄河高効率生態経済区発展計画'注(の対象都市への投資が増勢だ。●'さ
んずいに維(坊市は 15.4%増'2 億 4,260 万ドル(、濱州市は 6.5 倍増'2 億 2,538 万ドル(、東營
市は 42.9%増'5,436 万ドル(だった。
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33
<英領バージン諸島が 5 倍、米国は倍増>
「海外諸国の経済回復が遅れる中、山東省経済は好調で、国際資本が逃避的に集中してい
る」と山東省商務庁関係者はいう。
中国地場企業による香港やシンガポールなど国外からの資金調達が回復し、これらの国・地
域からの投資が増加に転じた。投資国・地域トップの香港は前年同期比 19.5%増'18 億 8,985 万
ドル(、3 位のシンガポールは 42.1%増'3 億 8,028 万ドル(となった'表 2 参照(。
さらに、タックスヘイブン'租税回避地(からの投資が急増した。英領バージン諸島は 5 倍'3 億
497 万ドル(となり、全体の 7.4%を占め 4 位となった。5 位の米国も急回復した。投資額は 97.5%
増'2 億 8,010 万ドル(で、上半期でほぼ 09 年通年の投資額'2 億 9,229 万ドル(に達した。
伝統的な主要投資国の日韓両国の投資額は、合計 10.1%減'6 億 1,143 万ドル(で、特に 2 位
の韓国は 14.2%減'4 億 8,135 万ドル(と落ち込んだ。6 位の日本は、「09 年 12 月の山東省省長
の訪日によるトップセールスが功を奏した」'同関係者(ことなどで 8.7%増'1 億 3,008 万ドル(だっ
たが、増加率はほかの増加国に比べ小幅にとどまった。これは「新規案件が尐なく増資案件が
中心で、投資額が小規模」'同関係者(だったためだ。
<第三次産業のシェアが 3 割を回復>
業種別の投資額をみると、第三次産業の伸びが大きい。第二次産業の 19.1%増'28 億 3,070
万ドル(に対し、第三次産業は 43.5%増'12 億 4,855 万ドル(で、全体に占めるシェアが 3 割を回
復した'表 3 参照(。
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第三次産業の増加の半分はシェア最大の「不動産」で、44.5%増'5 億 8,308 万ドル(と急増した。
そのほか、「金融危機後、低廉な労働力の活用を目的とした投資から、中国市場や中国企業向
けサービス提供を狙った投資が増加している」'同関係者(という。「卸・小売り」が 81.7%増'1 億
2,386 万ドル(、「レンタル・ビジネスサービス」がほぼ倍増'1 億 2,182 万ドル(となった。金融分野
の投資も増勢。韓国金融大手の友利 F&I が青島市で、中小企業と個人向けに担保サービスを
提供する青島友利世紀担保'総投資額 3,660 万元、1 元=約 12.4 円(を設立するなどして、
44.9%増'7,184 万ドル(となった。
<第二次産業では設備製造、新エネルギーが増勢>
第二次産業は伸びとしては第三次産業より低いが、増加額では第三次産業の 3 億 7,848 万ド
ルを上回る 4 億 5,405 万ドルとなった。「中国経済の発展方式の転換と構造調整を背景に、技術
の改造、更新ニーズが増えている」'同関係者(ことで、設備製造や新エネルギー分野への投資
が活発化した。
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山東省商務庁によると、製造業は 19.9%増'25 億 7,727 万ドル(で、うち設備製造業は製造業
全体の 28.7%を占めた。風力発電など新エネルギープロジェクトの投資総額が倍増'7,929 万ド
ル(したほか、「電力、ガス、水処理」は 88.7%増'1 億 9,955 万ドル(となった。台湾の UMC'聯華
電子(は済寧市に投資会社の華鴻'山東(能源投資'総投資額 3 億元(を設立した。今後、新エネ
ルギープロジェクト建設が相次ぐ見通しだ。
<中国企業との合作進む>
下半期も投資は増加する見込み。上半期同様、「国内市場を狙ったサービス業や新エネルギ
ー分野の増勢が続き、中国企業をパートナーとした合作案件が増える」'同関係者(見通しだ。特
に日本企業の関心が強い「電力や水処理分野をはじめとする省エネ・環境分野は大規模プロジ
ェクトが多い市場開拓型投資で、中国企業との連携が不可欠だ」と同関係者はいう。
'注(黄河デルタ地帯の国家級高効率生態経済モデル区などの建設と、同地域の 2020 年までの
発展計画目標を定めたもの。効率的な資源利用と生態環境の改善を発展の前提とし、集中的資
源投入による従来型発展と一線を画す。国家級高効率生態経済モデル区として 4 つの臨港産業
区を建設し、石油化学、港湾関連工業、新エネルギー、物流、現代農業、観光の 6 つの産業を重
点育成する。黄河デルタ地帯の人口と面積は山東省の約 1 割、経済規模'GDP(は約 15%を占
める。
'荒木正明(
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契約件数、实行金額ともに急回復'香港(
●香港発
2010 年上半期の香港の対中直接投資は、順調な中国経済を背景に、契約件数が前年同期比
24.3%増、实行金額も 41.3%増と大幅に回復した。対中直接投資全体に占める香港のシェアは、
实行金額'使用ベース(で 54.9%と首位を独走している。
<中国経済の回復が誘因>
中国商務部の統計によると、09 年上半期の香港の対中直接投資契約件数は前年同期比
33.2%減、实行金額は 14.5%減で、その原因は「金融危機、世界不況の影響」というのが、当時
の香港のコンセンサスだった。
10 年上半期をみると、金融危機や世界不況は「過去のものになった」といえそうだ。香港政府
エコノミストのアンドリュー・アウ'Andrew Au(氏は「中国・アジア地域は、金融危機からの回復も
早かった。また、経済見通しも、欧米に比べて極めて楽観視できる状況だ。特に中国本土は 09
年第 2 四半期から回復に転じ、その後も高い成長率を達成している。経済が好調な中国が、直
接投資を引き寄せるのは当然のこと。中国の高成長が維持されるならば、今後も中国への直接
投資も増えていくだろう」と述べた'表 1、図参照(。
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37
<サービス業の対中進出が目立つ>
香港の対中投資は不動産開発、サービス業への進出が特徴的だ'表 2 参照(。
香港のデベロッパー各社は、中国本土内に大型商業施設を建設する計画を打ち出している。
また、中国本土の購買力を見込んで、飲食・小売業の進出も、より活発になってきている。銀行
は沿海部や大都市での業務をさらに充实させつつも、内陸地域や農村部に進出する動きをみせ
始めている。
10 年上半期の対中直接投資に占める香港のシェアは、54.9%と過半数を超えた。香港のシェ
アが高いことには「香港は中国・アジア地域のビジネスセンターで、地域統括拠点を設ける外国
企業が多い」'アウ氏(、「国際金融センターの香港は、対中投資の導管」'香港総商会(という背
景があると思われる。
また、税制面の優遇措置も重要な要因だ。特に、中国企業が香港企業に配当する際の源泉徴
収税率'5%(がほかの地域'10%(に比べて優遇されており、香港からの直接投資を有利なもの
にしている。
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38
'普家弘行(
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関係緊密化で大幅増'台湾(
●中国北アジア課
中台間の関係改善が大きく進展したことや中国経済の急回復により、ビジネスチャンス拡大を
狙う台湾企業の投資が拡大して、台湾の 2010 年上半期の対中直接投資'認可ベース(は大幅
に増加、金額では 09 年通年の投資額'71 億 4,200 万ドル(を上回った。
<不動産分野が急浮上>
10 年上半期の投資動向を件数、金額別でみると、件数は前年同期比 2.7 倍の 453 件'事後認
可分含む(、金額は 3.2 倍の 71 億 9,400 万ドルと、いずれも 2 倍以上になった'表 1 参照(。
業種別では、主力の電子部品が 20 億 100 万ドル、4 倍と高い伸びを示し、投資額全体の
27.9%を占めて第 1 位となった'表 2 参照(。第 2 位には 81 倍と激増した不動産業が急浮上した。
台湾当局が 10 年 2 月に発表した「中国投資に関する新ネガティブリスト」の中で、中国の不動産
開発分野への投資額の上限を総額で 500 億台湾元'1 台湾元=約 2.63 円(に、個別の案件は
5,000 万ドルを上限に規制緩和したことも相まって、急激に伸びた。そのほか電子部品と並んで
主力のパソコンや電子製品、光学製品も 2.6 倍の 7 億 1,000 万ドルと高い伸びをみせた。
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<福建省、重慶市への投資が拡大>
地域別に台湾企業の対中投資をみると、上位 3 位は 09 年と同様、江蘇省、広東省、上海市の
順で、いずれも高い伸びをみせた'表 3 参照(。そのほかの投資先として急浮上したのが福建省
'前年同期比 9.3 倍(、重慶市'90 倍(といった新興地域で、それぞれ 09 年の浙江省、山東省に
代わり第 4 位、第 5 位となった。
江蘇省、広東省、上海市では引き続きノートパソコンや半導体など電気・電子分野の投資が目
立つ。福建省は同省が推進する「海峡西岸経済区'海西区(」構想が台湾企業の投資を後押しし、
分野別でもアモイ市への金融分野の投資が实施されるなど、新たなサービス分野への投資もみ
られる。
重慶市では、08 年に米ヒューレット・パッカードがノートパソコンの生産拠点設置を発表して以
来、同社に OEM 供給をする鴻海精密工業、英業達'INVENTEC(、広達電脳'QUANTA(が相次
いで生産拠点を設置。関連部品メーカーの投資も相次いだことから投資が激増した。
<鴻海精密工業が 4 件の大幅増資を实施>
投資金額順に個別投資案件をみると、上位 10 件のうち 7 件は増資案件となっている'表 4 参
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照(。中でも電子機器受託製造'EMS(世界最大手の鴻海精密工業の増資が 4 件あった。
同社は製造ラインの大部分を中国に設置している。台湾の「中央通訊」'8 月 10 日(によると、
米アップルから同社製品を受注し生産しており、10 年上半期は「iPad」「iPhone」など新製品の出
荷が好調だった。
そのほかで目立つのが台湾水泥'TAIWAN CEMENT(による投資で、投資総額は 4 億 3,056 万
ドルに上った。
<ECFA が弾みをつける>
10 年上半期の中台関係は経済面を中心に急速に緊密化が進展し、これが台湾企業の対中投
資を後押しした。
まず、09 年 11 月 16 日に調印された金融覚書'MOU(が 1 月 16 日に発効、金融分野の投資規
制が緩和された。これを受け、富邦金融グループ傘下の富邦人寿と富邦産険が合弁でアモイに
損保子会社の富邦財産保険を設立。さらに同グループ傘下の投資会社、富邦創投も、中国企業
と合弁で北京市にリース事業会社を設立するなど中国での金融サービス分野の投資が加速し
た。
次いで 2 月 10 日には対中投資に関する新たなネガティブリストが発表され、液晶パネルや半導
体ウエハー、金融、不動産などの分野で投資規制が緩和された。これを受け、台湾の液晶パネ
ル最大手、友達光電'AUO(は、3 月に江蘇省昆山市に液晶テレビ用パネル'7.5 世代(を生産す
る工場の新設を経済部投資審議委員会に申請している。
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さらに 6 月 29 日には、中台間の自由貿易協定'FTA(に相当する海峡両岸経済協力枠組み協
定'ECFA(が締結された。その後 8 月 17 日に台湾立法院で承認され、年内にも発効する予定。
これにより貨物貿易分野では、アーリーハーベスト'関税の早期引き下げ項目(対象品目につい
て、中国側が 539 品目の台湾原産の製品の関税を、台湾側が 267 品目の中国産の製品の関税
を、11 年 1 月 1 日から段階的に引き下げ、最終的には関税を撤廃する見通し'表 5 参照(。
さらに、ECFA ではサービス分野でもアーリーハーベスト条項が設けられている'表 6 参照(。対
象は、中国側は 11 分野'うち金融サービスは 3 項目(、台湾側は 9 分野'うち金融サービスは 1
項目(で、それぞれ相手側に対する投資規制を緩和する。
これにより、これまで合弁形態に限られていた外資系企業による病院設立に関し、一部地域
'上海市、江蘇省、福建省、広東省、海南省(では台湾企業の独資での開設が可能となる。この
ほか、これまで年間 10 本までに制限されていた台湾製中国語映画の輸入割当規制の撤廃やコ
ンピュータサービス、自然科学・エンジニアリング研究開発なども、台湾企業独資での会社設立
を認めることなどが盛り込まれた。さらに銀行業、証券先物業、保険業といった金融サービス分
野での規制緩和も实施されることになっている。
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11 年には ECFA 発効が見込まれることもあり、10 年下半期も台湾企業による対中投資が引き
続き活発化すると予想される。
'小林伶(
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製造、非製造業ともに急回復'韓国(
●ソウル発
2010 年上半期の韓国の対中直接投資'实行ベース(は前年同期比 62.5%増の 15 億 500 万ド
ルだった。製造業、非製造業ともに増加した。これは景気回復を期待しての投資心理の回復に
よる。省市別では金融・保険業での大型案件があった吉林省が 1 位になった。
<対中投資の割合が 20%台を回復>
10 年上半期の韓国の対外直接投資'实行ベース(は、前年同期比 8.0%増の 69 億 1,798 万ド
ルだった。このうち、対中直接投資は、62.5%増の 15 億 500 万ドルで、全体の増加率を大きく上
回った。対中直接投資の増加は、景気回復を期待しての先行投資と、前年同期に低迷したこと
の反動による。全体に占める対中直接投資の割合も、前年同期の 10%台から 20%台'21.8%(
に回復した'図参照(。
<サービス分野が急拡大>
業種別にみると'表 1 参照(、製造業、非製造業ともに増加した。製造業は前年同期比 29.4%増
の 9 億 2,500 万ドル、非製造業は約 3 倍の 5 億 8,000 万ドルを記録、対中直接投資に占める製
造業の割合は前年同期の 78.5%から 61.5%に低下した。製造業の割合の低下は、中国の位置
付けが生産拠点から販売・サービス拠点へとシフトしつつあることを示している。
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製造業をさらに詳しくみると、「電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装置」'2.6 倍(、「化合
物・加工製品」'23.2%増(、「繊維製品」'3.3 倍(などが伸びを牽引した。一方、「自動車・トレーラ
ー」'55.7%減(、「非金属鉱物製品」'86.2%減(などは減尐し、明暗が分かれた。
非製造業分野は「金融・保険業」'19 倍(、「専門・科学・技術サービス」'4 倍(などが伸びを牽引
した。「金融・保険業」の伸びが大きいのは、ハナ'HANA(銀行の吉林銀行への資本参加'18%、
3 億 1,600 万ドル:ハナ銀行発表資料(があったことによる。
対中投資を省市別にみると、吉林省が対中直接投資全体の 21.4%の 3 億 2,200 万ドルで 1 位、
次いで江蘇省、山東省の順だった'表 2 参照(。吉林省を除けば従来から上位の省市が今回も上
位に名を連ねている。
<液晶分野やサービス業への投資が増加の見込み>
10 年通年の対中直接投資は、世界の景気回復、為替など外部要因により変動すると予想され
るが、サムスン電子、LG エレクトロニクスなどの液晶分野への追加投資'中国政府の認可待ち(
が予定されているなど、好材料もいくつかある。また、中国内需市場向けのサービス業への参入
を示している韓国企業も多数あり、対中直接投資は年末にかけてさらに増加すると見込まれる。
〔李海昌'イ・ヘチャン(〕
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日系企業による主な対中直接投資案件(2010 年1-6月期)
企業名
繊
維
帝人
レンゴー
木
材
・
パ
ル
プ
化
学
・
医
薬
投資額
概要
資本金3,000万ド 帝人は5月13日、上海市に投資会社「帝人(中国)投資有限公司」を設立し
ルを帝人が全額 た。中長期の成長戦略における重要市場の1つである中国でのさらなる事
出資。
業強化・拡大を目ざす。この新会社をグループ全体の戦略的展開の中核拠
点と位置付け、中国全域を対象としたグループの総合力発揮を図るととも
に、有力企業に対する投資活動や、中・長期的な観点からの中国でのM&
Aなどを推進していく。
出資持分を
レンゴーの中国合弁企業である上海聯合包装装●'さんずいに黄(は6月
76.7%から
14日、パートナーが保有するすべての出資持分の譲渡を受け、レンゴーの
100%に引き上 完全子会社となった。 上海聯合は、日本をはじめとした海外資本の優良企
げ。
業を主要ユーザーとして事業展開しているが、今後は100%子会社として経
営のスピード化とこれまで以上にサービスの向上を目指す。
理文造紙有限公
司株の12%を取
得。株式取得価
格は約3,550 百
日本製紙グループ 万香港ドル'約
426 億円(。
三菱化学
関西ペイント
東洋ゴム
ゴ
ム
・
皮
革
資本金は4億
3,500万円。出資
比率は三菱化学
49%、青島泰達
37%、明和産業
14%。
資本金3,200万ド
ルは、関西ペイ
ントが全額出
資。
総投資額は
9,800万ドル。う
ち資本金は
5,000万ドル。全
額を東洋ゴムが
出資する。
資本金3000万ド
ルをブリジストン
が全額出資。
ブリジストン
鉄
・
非
鉄
・
金
属
資本金1,200万ド
ル'約11億円(。
出資比率はDO
DOWAホールディ WAサーモテック
ングス
70%、久恩企業
有限公司30%。
日本製紙グループは6月22日、中国における段ボール原紙生産量第2位の
メーカーである理文造紙有限公司(Lee & Man Paper Manufacturing
Limited(との間で、業務提携および同社の株式取得について契約を締結し
た。同社グループはアジア・オセアニア市場において着实に事業拡大を積
み重ねており、さらに、事業拡大を推進するために急成長する中国市場に
おいて成長の原動力となる事業機会を獲得することを検討してきた。業務
提携の内容は、'1(技術交流およびコスト削減'2(人材交流'取締役の派
遣('3(新商品・新規事業分野および研究開発活動における協力、などで
ある。
三菱化学は5月7日、青島泰達天潤炭材料有限公司および明和産業株式
会社と、リチウムイオン二次電池用負極材の主原料である球形化黒鉛の
製造合弁会社を、山東省青島市に設立した。リチウムイオン二次電池は世
界的に需要が拡大している。球形化黒鉛は負極材の主原料。合弁会社
は、2,000トン/年の球形化黒鉛の生産能力を持つ。三菱化学は自社の特
許である球形化黒鉛の改質技術を供与、青島泰達は球形化黒鉛の量産
技術を提供しプラントの基本設計および運転に当たる。明和産業は物流・
商流の整備に当たる。
関西ペイントは5月28日、中国事業の統括、戦略策定、マーケティング、資
金管理などを行う子会社を上海市に設立することを発表した。成長著しい中
国での事業拡大に対応していくため、設立する子会社を通じて同国の事業
を統括し、経営資源の有効活用と事業戦略の効果的な展開を図る。
東洋ゴムは4月19日、江蘇省張家港市に中国子会社を設立した。中国市
場での急速なモータリゼーションの進展に伴うタイヤ需要増加に対応する。
平成23 年末に操業を開始し、生産能力としては年産200万本'乗用車・ライ
トトラック用タイヤ(の規模を予定している。
ブリヂストンは4月28日、江蘇省蘇州市に工業資材・建設資材事業、電材
化成品事業、化工品直需事業の統括販売会社「普利司通'中国(化工品
投資有限公司」を設立した。同社は中国に化工品事業の事業会社を8社有
する。統括会社を設立し、各事業会社へ管理業務支援を行うことにより、各
社のガバナンス強化を図る。また、統括会社に一部の販売機能を持たせ、
中国市場において顧実ニーズに的確かつ機動的に対応する体制を構築す
る。
DOWAホールディングス子会社のDOWAサーモテックは5月18日、中国に
熱処理炉の製造および加工会社を保有している台湾の久恩企業有限公司
と、中国において熱処理設備製造の合弁会社を設立することで合意した。
DOWAサーモテックの主力製品である雰囲気熱処理炉の中国国内での市
場規模は、2009年の170億円から2015年には250億円規模となることが予
想される。この市場拡大に合わせて、中国国内にDOWAサーモテック生産
拠点を構築し、日系メーカーのみならず、今後シェア拡大が見込まれる中国
現地メーカーをターゲットに、事業展開を加速する。
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企業名
三菱重工業
一
般
機
械
器
具
資本金550万US
ドル。出資比率
はタダノ55.8%、
タダノ、アムロン、 アムロン・カワニ
カワニシ
シ各5%、河北金
天利34.2%。
クボタ
ニッセイ
東芝
電
気
機
械
器
具
輸
送
機
械
器
具
投資額
概要
資本金3,100万ド
三菱重工業は1月29日、北京に地域統括会社「三菱重工業'中国(有限公
ルを三菱重工業
司」'MHIC(を設立した。成長を続ける中国で、総合力発揮の仕組みを構築
が全額出資。
し新たな商機の獲得を目指す。併せて、コーポレート機能を充实させ、当社
グループ会社への経営支援とガバナンスの強化をはかり、地域での事業
基盤をより強固なものとする。2月には上海分公司'上海支店(も開設する。
タダノ、アムロン、カワニシの3社は1月21日、河北金天利機械製造有限公
司とともに、建設機械用金属加工部品の製造を行う合弁会社を河北省タク
州市に設立した。タダノはこれまで、中国市場におけるトラッククレーン製
造・販売の拠点とすべく、北京京城重工機械有限責任公司との合弁で
2003年「北起多田野'北京(起重機有限公司」を設立。北起多田野は製造
品質の向上とコストダウンのため2007年、油圧部品の製造合弁会社「京城
多田野'北京(液圧機器有限公司」を設立。さらに今回、金属加工部品につ
いても製造合弁会社を設立することとなった。
資本金は4600万 クボタは3月23日、安徽省に中国との合弁企業を設立することを発表した。
元'約6億円(。 クボタは上下水道や雨水排水などに使用されるポンプを長年手掛けてき
出資比率はクボ た。 合弁会社設立後早々に、三聯ポンプの設備を借用して生産を開始し、
タ70%、安徽三 その後三聯ポンプの隣接地に新工場を建設、順次生産能力を拡大する。
聯ポンプ有限公
司が30%。
資本金1200万ド ニッセイは4月27日、単独の出資による減速機および関連ユニット製造子
ルをニッセイが全 会社の設立を発表した。中国における減速機市場の急激な成長による需
額出資。
要増加を受け、昨年販売子会社を設立したばかり。
資本金は
73,461,000元
'約10億円(で、
出資比率 '当
初(は東芝半導
体無錫80%、南
通富士通20%。
東芝と同社の中国における後工程拠点の東芝半導体'無錫(有限公司は2
月10日、中国大手後工程専業会社の南通富士通微電子股●'にんべんに
分(有限公司と生産合弁会社設立の正式契約を締結した。新会社は、東芝
半導体無錫の製造部門を母体とする。東芝半導体無錫には生産管理機能
等を残し、南通富士通を中国における戦略的パートナーとして、後工程のア
ウトソーシングを推進する。東芝は、システムLSI後工程の再編を進め、ア
ウトソーシング化、後工程の海外生産比率の向上に取り組んでいる。
ナナオ
資本金900万ド ナナオは5月10日、蘇州市における子会社設立の認可を取得したことを発
ルをナナオが全 表した。コンピュータ用モニター等の開発、製造、販売を行う。急速な経済
額出資。
発展を遂げている中国では、医療環境についても高度医療の進展とともに
医薬品・医療機器市場の拡大が見込まれている。同社は中国市場を最重
要戦略市場と位置づけ、現地において調達・生産・販売を一貫して行う体
制を構築し、医療市場向けモニターの中国国内での販売を強化に踏み切っ
た。将来的には20%以上の市場シェア獲得を目指し事業を推進する。
東プレ
総投資額60億
円。うち資本金
20億円。全額を
東プレが出資す
る。
総投資額72億
円。資本金1億
8600万元'約
24.5億円(。出資
ヨロズ、三井物産
比率はヨロズ
51%、宝鋼金属
有限公司25%、
三井物産24%。
出資持分を
83.3%から
100%に引き上
げ。
トピー工業
東プレは1月22日、広東省に新たな自動車用プレス部品製造販売を行う子
会社設立の準備が整ったことを発表した。中国自動車市場は大きな成長
が見込まれる有望な市場であり、特に広東省は主要顧実各社が自動車生
産を本格的に開始しており、増産が期待できるとみている。
ヨロズは4月21日、武漢市に、宝鋼金属有限公司、三井物産とともに合弁
会社を設立した。自動車用サスペンション部品及び関連部品の製造・販売
を行う。同社の中国拠点としては、広州市に続いて2拠点目。急成長する
中国の自動車需要を受けたもの。
トピー工業は6月22日、福建省で乗用車用スチールホイールを製造・販売
する合弁会社、福建源興トピー汽車零件有限公司の持分を追加取得し、完
全子会社化とした。中国の自動車産業は、2009年には世界第1位の市場
規模となり、今後も所得水準の向上を背景に、都市部を中心に乗用車購買
層の着实な増加が見込まれている。日系自動車メーカーも相次いで生産
能力の増強を打ち出している。完全子会社化により、意思決定を一層的確
かつ機敏に行う経営体制を構築し、トピー工業グループの中国におけるホ
イール事業の基盤をより強固なものにしていく。
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企業名
卸
売
・
小
売
業
金
融
・
保
険
業
サ
ー
ビ
ス
業
ラオックス
投資額
概要
資本金1億円を
ラオックスは5月17日、上海市に楽購思'上海(商貿有限公司を設立した。6
全額ラオックスが
月18日には上海の中心地区にある蘇寧電器・浦東第一店に「MUSICVOX
出資。
上海遠東店」をオープンした。
出資額は約24億 住友海上火災保険は3月30日、中国の生命保険会社「信泰人寿保険株式
円。
有限会社」に対し7%の資本参加を行うことについて中国保険監督管理委
員会より認可を取得した。同社は、持続的な成長の实現に向けた戦略の1
住友海上火災
つとして海外事業・生保事業への積極的な事業投資を行う方針としてい
る。今後益々成長が見込まれる中国市場において、損保・生保の両分野で
の取組みを強化していくとしている。
資本金6,000万 マネックスグループは5月12日、SEEC HoldingsLimitedのグループ会社との
人民元。出資比 間で、中国における金融教育'研修(にかかわる各種サービスを提供する
率はSEEC
合弁会社の設立登記の完了と、経営体制決定を発表した。中国国内金融
マネックスグルー Investment
機関等へのサービス提供開始に向け、オンライン研修のためのシステム・
プ
Management
プラットフォームや関連ソフトウェアの開発が現在進行中。
Limited51%、
マネックスグ
ループ49%。
(出所)各社プレスリリース、新聞報道等より作成
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