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飯塚東小学校 主題研究 [545KB pdfファイル]

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飯塚東小学校 主題研究 [545KB pdfファイル]
飯塚東小学校 主題研究
1 研究主題
伝え合う力を高め、よりよく生きる子どもを育てる教育活動の創造
~言葉をふやし思いを伝える国語科学習の試み~
2主題設定の理由
教育の今日的課題
飯塚東小教育目標
心身ともに健やかで、自ら考える児童を育成する
心づくり
体づくり
知恵づくり
学ぶ意欲の低下
「生きる力」「確かな学力」の育成
コミュニケーション能力の育成
自分への自信の欠如
伝え合う力を高め、よりよく生きる子ども
お互いに相手を大切に思う(尊重する)子ども
自分の考えを持ち、きちんと伝える子ども
大事なことを落とさずにしっかり聞く子ども
児童の実態(平成23年度始め)
○
○
素直な言葉で自分の気持ちを表現する事ができる
研究の課題から(H22 末)
子どもがいる。
○日常生活に生きる研究を
興味がある事には興味を持って学習することがで
きる。
行う。
○他の教科にも役に立つ学
△
語彙が少ないため、自分の思いを伝えるのが苦手。
び方スキルを身に付けさ
△
相手の気持ちを考えずに発言してしまう。
せていく。
△
聞き手に分かりやすく、筋道立てて話すことが苦
手。
○コミュニケーション能力
を付ける必要を感じる
3
「伝え合う力」のとらえ方
本校が考える「伝え合う力」とは、人間と人間との関係の中で、互いの立場や考えを尊重し、
言語を通して適切に表現したり正確に理解したりする力ととらえる。
よりよく生きる子どもとは…
人間関係を豊かにし、学びの質を向上させる子どものことである。
4 めざす子ども像
お互いに相手を大切に思う(尊重する)子ども
自分の考えを持ち、きちんと伝える子ども
大事なことを落とさずにしっかり聞く子ども
5 めざす授業像
授業における「伝え合う力を高める」意義は、次の2点ととらえる。
①
ねらいを明確にしたどの子にもわかりやすい授業を行うことにより、自分の考えをもち交流さ
せる。
(
「聞く」
「書く」
「話す」
)
②
集団で「聞く」
「書く」
「話す」などの伝え合う活動を行うことを通して、学びを深め・高め・
広げる事ができる。
伝え方スキル
伝え合う力
表現力
理解力
明確な
言葉をふやす取り組み
授業の論理
教材研究
子どもの発達段階に応じた教材
参考文献
小学校学習指導要領解説国語編
山形県庄内市立余目三小学校研究紀要
伝える力
池上
彰
授業のユニバーサルデザイン「全員参加の国語授業づくり」
林 聖
6 研究の目標
国語科の学習において、伝え合う力を高め、よりよく生きる子どもを育てるための指導法
を次の3つの視点から(①ねらいの明確化②ことばをふやす継続的取り組み③伝え方スキル
を大切にした単元を貫く言語活動)究明する。
7 研究の内容
(1) 毎時間の授業改善(ねらいの明確化)
<授業づくりの視点>
(ア) 論理を目標への手がかりにして、主眼をシンプル化する。
深まった
論理
初めの
イメージ
イメージ
論理とは、主眼達成のために本時で有効な
「教えるべき事柄」と考える。
※ 読みが深まるとは…、
教材文の初めのイメージがある論理に着目して読むことによって深まるという事である。
論理によるイメージの深まり
(2)
言葉をふやし生きた言葉を育てる日常の言語活動
「生きた言葉」を増やすために必要なこと
① 人との関わる力
○受け答え (あいさつ・教えるべき学校生活での会話など)
② 語彙を増やす
○朝学習の工夫(暗唱・群読・古典・名文・MIM)
○国語辞典を手元に置き活用する
○朝の読書 (読み語り)
③ スピーチの工夫
○皆が聞きたくなる話題の提示
○形態のくふう(ペア→班→学級→保護者→全校)
(3) 飯塚東小学校伝え方スキルについての共通理解
東小の「伝える」とは?
互いの立場や考えを尊重し合い 「相手にきちんと伝える」こと
※何より大切なことは伝え合いを生み出すための教師の心構えである
ことば
自分
相手
思い
書く
話す
考えをもつ
伝える
読む
聞く
東小伝え方スキル
伝え方スキルキーワード
キーワードの具体的な子どもの姿
① 自分本位にならずに
(独りよがりにならない)
人の話にきちんと(謙虚に)耳を傾ける子
相手の反応を見て、考えを修正できる子
② 相手の思いに立って
(相手意識をもつ)
相手に応じた傾聴・態度のできる子
相手に応じた適切な言葉や図で伝える子
③ 自分の思いを
(自分の考えをもつ)
自分の考えをもつ子
その考えの根拠をあげて説明できる子
④ きちんと伝える
自分がきちんと内容・情報を理解している子
(自分の思いを正しく伝える) 具体的な事例で相手に分かるように伝える子
本研究でめざす子ども像と伝え方スキルのつながり
伝え方スキルキーワード
① お互いに相手を大切に思う(尊重する)子ども
自分本位にならずに
(独りよがりにならない)
② 自分の考えを持ち、きちんと伝える子ども
相手の思いに立って
(相手意識をもつ)
③ 大事なことを落とさずにしっかり聞く子ども
自分の思いを
(自分の考えをもつ)
きちんと伝える
(自分の思いを正しく伝える)
(4)伝えたくなる地域の教材開発と他教科との関連
「小鳥塚」についての校内研修(8 月 9 日
深町純介先生を講師にお招きして)
ガンジャク池付近
小鳥塚(飯塚市上三緒)
8 研究の経過
(1)
コミュニケーションの実態を明らかにする
伝えるための実態
学年
1年
2年
キーワード
平成 23 年 6 月30日
伝えるための子どもの実態
自分本位
・自分本位で自分のことだけ考える。
主述がない
・単語が中心で主述がない。
単語表現
・言いたいことがあっても単語のみで、うまく文章につなげることがで
発表が苦手
場の変化
きず伝わらない。
・クラス全体の前では声が小さくなったり、もじもじしていたりして発
表が苦手な児童もいる。
・個人差が大きい。場が変わると言えなくなってしまう。
3年
4年
自分の思い
・自分の思いを伝えるのが苦手。
(乱暴な行動・ことば)
あいさつ
・語彙力が乏しい。
語彙力
・進んであいさつができない。
理由付け
・自分の考えを述べる時、理由付けや話の構成がうまくできないために
自分の考え
相手の気持ち
相手にうまく伝わらない
・自分の考えをまとめて話すのに、時間がかかったり話せなかったりす
る子がいる
・相手の気持ちを考えずに発言してしまうことでトラブルになることが
多い。
5年
自分の思い
・自分の思いを言葉で表現することが苦手な児童が多い。
筋道
・聞き手にわかりやすいように論理的(筋道がわかるように)に話すこ
表面的に受け止
め
とが苦手。
・人の話の言葉を表面的に受け止めて受け答えをするため、交流場面で
考えに深まりが出ない。
6年
自分本位
語彙
受け止めレベル
・自分本位なとらえ方をする児童が多く友達関係でトラブルがみられる。
(一部)
・自己表現力の中で特に語彙の活用ができていないため相手に伝わらな
い言動がよくみられる。
・聞く態度は少しずつよくなっているが、受け止め方のレベルの差がと
ても激しい。
特支学
抵抗
・人前で話すことに抵抗がある児童がいる。
内言
・内言はあっても、うまく表出することが難しく、伝える事をあきらめ
表出する
たりごまかしたりすることがある。
平成23年度
(2)
学年
1年
2年
コミュニケーションの実態を明らかにした学年のめざす子ども像
キーワード
めざす子ども像
大事なことを落
・大事なことを落とさずに、話したり聞いたりすることができる子ども
とさずに
・話の順序を考えながら、話すことができる子ども
順序
・順序を考えて文や文章を書くことができる子ども
大事なことを落
・相手に応じて話す事柄を順序立て話すことができる子ども
とさない
・大事なことを落とさないようにしながら、興味をもって聞く事ができ
相手に応じて
話題に沿って話
し合う
3年
主題研究
自分の思い
る子ども
・先生や友達の話を集中して聞き話題に沿って話し合うことができる子
ども
・相手の思いを受け止めて、自分の思いをしっかり言葉で伝えられる子
ども
・進んで元気にあいさつができる子ども
4年
相手の立場
・相手の立場に立って、自分の考えをうまく伝える事ができる子ども
あいさつ
5年
はっきりと話す
・語尾まではっきりと話す子ども
しっかり聞く
・人の話を最後までしっかり聞く子ども
自分の表現に生
・辞典の活用や読書活動で学んだ言葉を自分の表現に生かすことができ
かす
6年
る子ども
相互理解
・相互理解
お互いに相手を思う気持ちに気づき、考えて行動することができる子
ども
特支学
最後まで聞く
・人の話を最後まで聞く事ができる子ども
相手の気持ち
・相手の気持ちを考えようとする子ども
きちんと
・自分のことをきちんと相手に話すことができる子ども
目指す子ども像
皆さんからのアンケートから次のように考えました
研究でめざす子ども像
○ お互いに相手を大切に思う子ども〈伝え合う〉
(相手を尊重する→あいさつ・優しい声かけ・共感的な理解)
○ 自分の考えを持ち、きちんと伝える子ども〈話す〉
○ 大事なことを落とさずにしっかり聞く子ども〈聞く〉
7
(3) 学年のめざす子ども像に近づくための手立て
学年
1年
言葉をふやすために
伝えるために
・MIM の取り組み
・帰りの会でのスピーチ
・音読の宿題
・授業中の発表の仕方を教える(伝え方スキル)
・言葉遊び
・絵本の読み聞かせ・読書
2年
・朝学習での速読、朝読書、言葉のプリン
ト、視写
・授業で言葉にこだわる(意味の説明)
・朝の会などで、話すスキルの声出し(詩
・日常生活における伝え方の練習
※教師に対する言葉づかいや説明等、言い方を教
えたり繰り返し練習させたりする
・話し方「あいうえお」の掲示と確認
の群読)
3年
・読書量を増やす
・朝読書の工夫(読み聞かせ)
・正しい言葉遣いの指導
・スキルなどを中心に国語での正しい意味
・自分の思いを伝える場の設定
(1分間スピーチ・学級会・学習の中で)
・伝え方のモデル
(声の大きさ・発表のしかた)
を把握する。
4年
・読書
・意味調べ
・どの教科においても発言の場や説明の場を多く取
り入れる
・ペアやグループで説明の練習をする場をつくる。
5年
・一人ずつ国語辞典を机の横にかけさせて ・朝の会で班ごとにスピーチ、質問を設け自分の経
必要に応じて自由に引くようにする。
・教科書の後ろページの付録(評価・判断・
験を話し、慣れる事。友達のスピーチを聞いて質
問をする機会を多く持つ。
感情)を表す言葉を教室掲示して、日記 ・意図的な指名を心がけ、どの子にも人前で発表(伝
や授業の感想に生かしている。
6年
・日常的な国語辞典の活用
える)する機会を設ける。
・日常生活でコミュニケーションスキルの練習
・自学ノート活用や本の紹介、長文視写な ・児童一人ひとりの表現力のレベルに合った声かけ
どを通して語彙力の向上に努める。
特学
・コミュニケーションスキルの具体事例を掲示自分
・言葉のフラッシュカード(MIM)
・朝の会でのスピーチの継続
・読み聞かせ
・学習単元構成の工夫
・あいさつスキル
・ソーシャルスキルトレーニング
・体験的な学習の充実
(相手の気持ち・場面の状況を理解し、気持ちを
伝えるための練習)
(4) 研究授業の実際
月
7
11
日
曜
6
水
17
24
12
1
1
19
26
2
9
木
木
木
木
木
木
単元名
内容
特別支援学級
3クラス合同による
「修学旅行の思い出をみんなに伝えよう」
体験活動を生かしたスピーチ
第1学年
声に出してよもう
「くじらぐも」
ペア→全体による
第3学年
話し合って決めよう
「わたしたちの学校行事」
小グループによる
第2学年
しょうかい文を書こう
「友だちのことしりたいな」
ペアによる
第 4 学年
調べて発表しよう
「目と心で読む」
小グループによる
第5学年
好きな叙述に焦点を当てて
「大造じいさんとがん」
ペアによる双方向の対話
第6学年
聞く人の心に届くように表現しよう
「今、わたしは、ぼくは」
小グループによる
音読の工夫
話し合いの仕方の習得
取材を生かして友だちの紹介
文を書き、発表する
ポスターセッション
総合との関連
ポスターセッション
読書体験を生かした学習
心に届く表現とそのためのア
ドバイスの仕方
単元を通して大切にした「伝え方スキル」キーワード
自分本位にならずに
相手の思いになって
1年
2年
自分の思いを
○ワークシート
○人の話に耳を傾ける
○話す練習
3年
きちんと伝える
○ペア→学級
○話し方のパターン化
○原稿メモ
○話し合いのルール
グループ→全体
4年
○相手意識を持たせ
○話し方のポイント
る構成のパターン化
5年
小グループの練習
○ペアでの PS
○双方向の対話
6年
○将来の夢について
の原稿を準備
特学
○6年生5人で作成
○下級生に伝える
○叙述に即して読む
書く活動・読書体験
○心に届くスピーチに
するために
○伝える事の絞り込み
9 研究推進の方策
(1)ビデオによる授業提案
(2)学年の提協議会の企画・運営(資料)
(3)校内研究のキーワード
子どもが変わる
他教科でも活用できる
無理なく全員で
10 研究の実際(省略)
12 研究のまとめ
(1)成果
○
児童の実態をしっかり把握したことにより、児童に付けたい力を明らかにした学習を行う
ことができた。
○
ペア・小集団など学習形態を工夫して伝え合ったり、伝えたい内容を明確にした日常的・
継続的な学習を行ったりしたことにより、話すことへの抵抗感が減ってきた。
○ 速読・名文暗唱・MIM 等の継続的な取り組みにより、子どもたちのことばが増えた。
○
国語の授業で学んだ言葉を他の教科や日常生活の場で活用する場面が増えた。
○
教室前面に掲示した「話し方あいうえお」・「聞き方かきくけこ」については各学年の実態
をもとに本校独自の物を作成し、日常的に指導することができた。
(2)課題
●
話し方・聞き方のみの指導ではなく、内容や文章構成についての指導と支援が必要である。
● 個人差が大きいため、伝える内容を作る段階で個に応じた手立てを取る必要がある。
● ことばを増やすためには、読書好きな子どもの育成のための取り組みが必要である。
●
児童が「伝え合いたい!」と思う他教科・領域と関連した教材や体験活動を生かした教材
の研究が必要である。
●
「伝え合う」ためには、学級の支持的風土や教師の心構えが必要である。
●
伝え合う力は一朝一夕でつくものではない。日常生活全般でつけていく必要がある。
● 「伝え方スキル」とは話す・聞く技能のみを目指すものではない。今年度の研究では、様々
な授業実践を行い、「伝え方スキル」によって目指すものは共通理解できたが、「伝え方スキ
ル」が何であるかの明確な定義をすることはできなかった。今後の研究で明らかにしていく。
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