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NEWSLETTER OF IPNTJ
NEWSLETTER OF IPNTJ 測位航法学会ニューズレター 2015 年 12 月 22 日 IPNTJ 第Ⅵ巻第 3 号 測位航法学会 ニューズレター 第Ⅵ巻第 4 号 目 次 P.2 IS-GNSS 2015終了報告 IS-GNSS 2015が成功裏に終了 山川 宏 P.3,4 Technical Program Sessions P.5 CGSIC-IISC報告 穴井誠二 P.6 IS-GNSS 2015参加報告 斎藤詠子 P.7 ナビゲーション関連の英語訳語の統 一について 山本 昇 P.8 SPAC フォ-ラム 2015 開催報告 濱田英幸 P.9 GPS/QZSS ロボットカー コンテスト 岩城善広 IS-GNSS 2015 参加印象記 加藤尚大 P.10 ION GNSS+ 報告 鈴木太郎 IAIN 2015 報告 菊地 錬 イベントカレンダー P.11 IS-GNSS 2015 写真集 編集後記 P.12 イベント写真・法人会員 IS-GNSS 2015、盛会裏に終了(P.2~6) 会期:2015年11月16~19日 会場:京都勧業館「みやこめっせ」 次回は2106/11/21-23@台南市(予定) 会場の・みやこめっせ・エントランス 特別講演頂いた新藤義孝衆議院議員 11 月 16 日午後 A 会場 1 IS-GNSS 2015(GNSS国際シンポジウム2015)開催報告 IS-GNSS 2015 Kyotoが成功裏に終了 組織委員長 山川 宏(京都大学教授) 2015年11月16から19日にかけ て、京 都 勧 業 館「み や こ め っ せ」において、「衛星測位シス テムに関する国際シンポジウム ~ ISGNSS 2015 Kyoto ~」が 開 催されました。事務局長の安田 明生測位航法学会会長とともに 1年以上の準備期間を経て開催 し た も の で す。IS-GNSS 会 議 は、各国持ち回りで開催する会 議 で、初 日 の Plenary Session は 今 回 も、Civil GPS Service Interface Committee (CGSIC)のアジア・太平 洋地域ミーテイングも兼ねていました。今回のIS-GNSS 会議は、測位航法学会(IPNTJ), 準天頂衛星システム サービス株式会社(QSS)、衛星測位利用推進センター (SPAC), 衛星測位システム協議会(JGPSC)の4組織が 組織委員会の下に共催しました。また、京都市、内閣 府 宇 宙 戦 略 室、国 土 交 通 省、経 済 産 業 省、農 林 水 産 省、文部科学省、法務省、外務省、総務省、気象庁、 海上保安庁、警察庁、国土地理院、宇宙航空研究開発 機構, 産業技術総合研究所、電子航法研究所、情報通 信研究機構、日本経済団体連合会、日本測量協会の19 組織から御後援を頂きました。さらに、22もの企業様 (株式会社トプコン, 東芝, 三菱電機株式会社, NEC, QSS, アイサンテクノロジー株式会社,Spirent Communications, ラ イ カ ジ オ シ ス テ ム ズ , ㈱ デ ン ソ ー , PASCO, 日本無線㈱, 日立造船, (株)コア, ジオサー フ 株 式 会 社 , マ ゼ ラ ン シ ス テ ム ズ ジ ャ パ ン(株), (株)アムテックス, SKYTRAQ TECHNOLOGY, INC, ユー ブロックス㈱, 古野電気, ヤンマー, SONY, SPAC)が スポンサーとなって下さいました。 初日11月16日のオープニングセッションでは、京都 市の門川大作市長、International Program Committee ChairのProf. Sang Jeong Lee 、そして、衛星測位シ ステム協議会の森川博之会長からご挨拶を頂きまし た。プリナリーセッションでは、GPSの創始者である、 Bradford W. Parkinson 名 誉 教 授(Stanford University)に基調講演をして頂き、引き続き、内閣府宇宙 戦略室小宮室長に日本の宇宙政策全体に関するご講演 を 頂 き ま し た。さ ら に、US National Coordination Office, US Coast Guard, Department of Stateの方か らCGSICの報告を頂きました。昼食後には、特別講演と して、新藤義孝衆議院議員(自民党G空間情報活用推進 特別委員長、前総務大臣)に衛星測位を含む地理空間 情報活用に関する日本政府の取り組みや実証事業につ いて盛況の中、ご講演を頂きました。衛星測位システ ム の イ ン フ ラ 構 築(プ ロ バ イ ダ)の 観 点 か ら、日 本 (内 閣 府 宇 宙 戦 略 室)、ロ シ ア(Information Analytical Centre, Federal Space Agency) 欧 州 (European Commission)、中国(Chinese Academy of Science)、インド(Coordinates Magazine)の代表者か らご講演を頂きました。さらに、アジア・オセアニア における活動に関する報告をEU Japan CenterとJAXAの 方 か ら し て 頂 き、Stanford University の Dr. Sam Pullenと Prof. Bradford Parkinsonから、GPSに関す る歴史的な経緯に関する講演が続きました。 11月18日には、京都観光バスツアーにおいて、準天 頂衛星を利用した観光サービスのデモンストレーショ ンが行われた後、ウエスティン都ホテル京都において レセプションが開催され、スポンサー紹介、鏡割り、 日本酒による乾杯の後、舞妓さん芸妓さんによる華や かな踊りが行われました。 委員長として誠に至らぬ点が多々あり、ご迷惑をお かけいたしましたが、事務局の皆様の献身的なご努力 のおかけで、24カ国からの351名(うち、海外からの参 加者137名、学生63名、論文140編)の参加者による口 頭発表、ポスター発表、企業ブースにおける情報交換 と議論がなされ、シンポジウムとしての役割を十分に 果たしたものと思います。ありがとうございました。 門川京都市長の歓迎の辞 Plenary Sessionにおける小宮宇宙戦略室長のご講演 2 講演中の Parkinson 教授 Technical Program Session 紹介 11月17日(火)~19日(木) 研究論文の発表は17日から19日まで、並列4会場でト ピックス別に19セッションが行われました。セッショ ン名と論文件数、チェアパーソンと一部レポートをご 紹介します。論文タイトル等は測位航法学会ホ-ムペー ジにて、近日中にご紹介します。 Session 17A-1: Autonomous Navigation (9) Chairs: Michihisa Iida, Kyoto University, Japan Kwan-Dong Park, Jipyong Space, Korea Session 17B-1: Pricise Point Positioning (12) Chairs: Junichi Takiguchi and Ryoichiro Yasumitsu, Mitsubishi Electric Corporation, Japan このセッションは論文トピックスには無かったもの の、精密測位に関わる演題を集めて構成しました。1件 キャンセルがあった。PPPにとって重要な項目の一つで ある座標系に関する発表を皮切りとして、2018年から サービスインとなる準天頂衛星から放送されるPPPであ るCLASが三菱電機他より報告があった。また各種PPP の検討状況として、NovAatel Australia, Topcon Positioning Systems, RMIT, 日立造船、ライトハウステクノロ ジーアンドコンサルティングより報告があった。さら に、サブメータ級補強サービスではあるが、準天頂衛 星から放送予定となるSLASについて日本電気より報告 が為された。セッションの最後に、準天頂衛星から放 送されるCLASの前身となるCMAS、同じくSLASの前身 となるL1-SAIF信号、及びMADOCAといった複数手法の 自動車走行による総合試験の評価比較結果について、 マルチGNSS時代の到来を考慮してJAXAより報告があっ た。聴講数約70名。 Session 17B 2-1: Augmentation Systems (3) Chairs: Sounosuke Fukusima, ENRI, Japan Sam Pullen, Stanford University, USA 発表は3件で,SBASが1件,GBASが2件です。1件目 は,チェコのIguassu Software Sytemsからの発表で, EGNOSを目的に開発されたリアルタイム性能評価ツール の紹介です。2件目は,ENAC(仏の航空関連の大学) からの発表で,複数周波GBASのコード・キャリアダイ バージェンスモニタについて,検知手法の提案と妥当 性検討の初期検討結果です。高い水準の内容で,テク ニカルな討議が行われました。3件目は,台湾のCheng Kung大学からの発表で,GPSとBeidoのマルチコンスタ レーションによるGBASについて,補強情報を検討した 内容です。特に保護レベルに関係するBeido特有のイン テグリティ情報が検討されました。全体を通して,聴 講者は30人ほどでした。 Session 17B 2-2: Tsunami and Landslide Monitoring (3) Chairs: Masashi Kamogawa, Tokyo Gakugei University Peiliang Xu, Kyoto University, Japan 聴講者約30名。GPSブイによる津波検知、電離圏全電 子数観測による津波検知、GPS受信器に関する講演があ りました。 Session 17C -1: Space Weather Effects on GNSS (7) Chairs: Susumu Saito, ENRI, Japan Charles Lin, National Cheng Kung University, Taiwan 米Stanford大のSam Pullen氏と中国の複数の参加者を中 心に活発な議論がありました。主に二つのトピックに焦点 が当てられ、一つは電離層補正のための広域(粗)・狭 域(密)TECの構築、もう一つはサイクルスリップや信 号喪失を招く電離層異常の発生に関するもので、有意義 な討論がなされました。 Session 17C -2: Indoor /Urban / Personal Navigation / Indoor Mapping (11) Chairs: Masafumi Nakagawa, Shibaura Institute of Tech. Toshiuki Tanaka, Keio University, Japan Session 17D -1: Miscellaneous (8) Chairs: Daisuke Yoshida、Osaka City University, Japan Teruyuki Kato, The University of Tokyo, Japan 後半のParkさんは航法メッセージの認証について,Li さんはGNSSの補間機能としての地上における相対測位 システムの紹介でし た.いずれも軍事的な応用に関わ ることでお国の事情が関わってように思いました.日本 からの講演はurban canyonでビルからの反射波を利用し てビルの3Dモデルを作る話でした.精度はm以下との こと.将来ドローンなどのコントロールにとても役立ち そうで 興味深い話でした。聴講数10名程度。 Session 17D2 -1: Interference, Jamming and Spoofing (7) Chairs: Dinesh Manandah, The University of Tokyo, Japan Yasuhiro Koyama, NICT, Japan キャンセルが1件あり、7件の講演でした。妨害/干渉 に関する発表が2件、Spoofingに関するものが5件ありま した。いずれも、内容的に優れており、特にSpoofing問 題に関心が集まっている様子が感じ取れました。聴講数約30 名でした。 Session 17D2 -2 Multi-sensor and Integrated Navigations (5) Chairs: Toshiaki Tsujii, JAXA, Japan Hungkyu Lee, Changwon National University, Korea Session 18A3: Global Satellite Navigation Systems Chairps: Satoshi Kogure, JAXA, Japan Toshimichi Otsubo, Hitotsubashi University, Japan 前半4件の発表は日本から2件、台湾から2件で、複数 GNSSの効果を示す発表が行われ、2-3件ずつの質疑応 答がありました。後半は韓国から3件(3人のkimさんに ご発表いただきました。)、欧州Thales Alenia社より Galileo第2世代システムに関する発表がありました。欧 州の発表では準天頂衛星同様のIGSO衛星からの補強を Galileo第2世代に追加する検討が行われているとのこと でした。参加者は最終的には60~70名程度でした。 Session 18B3: GNSS Seismology (Earthquake Prediction with GNSS Monitoring ) (8) Chairs: Masashi Kamogawa, Tokyo Gakugei University, Peiliang Xu, Kyoto University, Japan 参加者は若干少なく20名程度でしたが盛況でした。 先行現象のレビューに関する講演が1講演、地殻変動に 関する講演が4講演、全電子数観測に関する講演が3講 演ありどれも質疑で活発な議論がなされました。地殻変 動の講演では、前職の国土地理院で現業をやっていた西 村京大准教授によるGSIの地殻変動データの取り扱い方 (先行的変動にもみえる擬似的変動など)から始まり残 りの3講演で、国内外の複数の事例が紹介されました。 全電子数観測については、先行的変動と思われる変動を 自動判定する方法、統計的な解析が2件ありました。 Session 18C3: Space Applications and Remote Sensing-I (6) Chairs: Takuji Ebinuma, Chubu University, Japan Jyh-Ching Juang, Natinal Chengkun University, Taiwan 3 Session 18D3: GNSS Receiver Technologies (7) Chairs: Taro Suzuki, Waseda University, Japan Ivan Petrovski, IP-Solution, Japan IS-GNSS2015における会場案内システム IS-GNSS2015では開催中「Beacon」を使った会場案内ア プリを参加者に提供していました。株式会社ジェナ(https:// www.jena.ne.jp/)の協力により、予め専用アプリをダウンロー ドしたスマートフォン(iOS、Android)による英語・日本語二ヶ国 語による会場案内を実現しました。 「Beacon」は、IOT(Internet of Things)技術の中でも「O2O (Online to Offline)」としての通信技術で、AppleのiPhoneでは 「iBeacon」(iOS7以降)の名前でユーザーに提供されていま す。こ れ は 近 距 離 非 接 触 通 信 技 術「BLE(Bluetooth Low Energy)」を使ったものですが、iBeaconだけのものでは無く、 Androidでも4.3以降はBLE技術を利用可能なライブラリーが 搭載されています。「Beacon」による通信の仕組みをごく簡 単に示します。 Session 19A4: Geodesy, Surveying, Mapping and RTK Applications (9) Chairs: Yukihiro Kubo, Ritsumeikan University, Japan Martin Ploner, University of Bern, Switzerland Session 19A5: Signal Processing in Navigation Systems (3) Chairs: Nobuaki Kubo, Tokyo University of Marine Science and Technology (TUMSAT), Japan Li-Ta Hsu, The University of Tokyo, Japan Session 19B4: Algorithm and Methods (3) Chairs: Nobuaki Kubo, TUMSAT, Japan Li-Ta Hsu, The University of Tokyo, Japan Session 19B5: Next Generation GNSS Technology (4) Chair: Masato Kawai, Furuno Electric Co., Japan 活発な質疑応答という感じではなかったですが、弊 社の近藤氏からも幾つか質問頂き、Q&Aのやり取りは それなりには出来たと思います。発表者の力量不足で Answerに苦慮する場面が多かった様な気がします。 2番目の発表者(Mi Hyun Jin氏)への質問でKorean Navigation Satellite Systemはグローバルか?かというの があり、Global(GNSS) と回答されていたのですが、本 当にそうなんでしょうか、どなたかご存じであれば教 えて下さい。KNSSの計画について質問したところ、発 表者は答えられなかったのですが、会場内の別の方 が、2020年運用を目指し、現在study phaseであると回 答がありました。聴講者は20~30名でした。 Session 19C4-1: Space Applications and Remote Sensing (3) Chairs: Toshitaka Tsuda, Kyoto University, Japan Eugenio Realini, Geomatics Research & Development srl, Italy Session 19C4-2: Space and Land Application (4) Chair: Junichi Yuasa, TOPCON Co., Japan 会場では、30ヶ所の案内情報サインボードにビーコン端末 をセットし、スマートフォンで近づく(電波強度によりますが数 メートル)と会場案内コンテンツが表示されます。詳細情報が 有 る 場 合 は URL が 表 示 さ れ て お り、ク リ ッ ク す れ ば ISGNSS2015のWebサイトにアクセスしてプログラム内容等を知 ることが出来るシステムでした。会場内の「京都伝統産業ふ れあい館 ミュージアムショップ 京紫苑」での割引コンテンツ も提供し、シンポジウム参加者に活用を図りました。下記に 「Beacon端末」の設置状況及び「会場案内システム」による スマートフォン画面を下段左に示します。 IS-GNSS2015 京都市内観光バスナビツアー GNSS技術を基にしたアプリケーションということで 発表の内容は多様ではありましたが、あまり活発な議 論とはなりませんでした。質問はトータル5件 (会場からは2 件)でした。 聴講者20~30名程度でした。 3日目の18日の午後は「QZSSを用いたバスナビの公開実 験バスツアー」と題して、京都市内の著名な観光スポットであ る金閣寺、伏見稲荷大社、清水寺を観光するオプショナルバ スツアーが行われ、IS-GNSS参加者から94名が参加した。 本バスツアーでは、準天頂衛星システムサービス(株)と共同 で準天頂衛星を活用する実証実験を実施した。観光バスに 搭載した準天頂対応受信機からのリアルタイムな位置情報を 用い、バス周辺の観光情報をツアー参加者のスマートフォン に提供する実験で、バス乗車中にも観光気分を味わって頂く 「おもてなし」をテーマに行なわれた。当日は生憎の空模様と なったが、アンケート結果では、実証実験に対して好意的な 意見が大勢を占め、ツアー参加者にはご満足いただけたもの と推察される。 こ の シ ス テ ム は、ISGNSS2015における屋内測位 の実証実験としての意味合い で実施したものです。IOT特に O2O で の「Beacon」の 活 用 の 広 が り を 期 待 さ れ て お り、 「Beacon」は今後の屋内測位 の技術研究に欠かすことので きない通信手段です。 IS-GNSS2015 Sponsored Reception シンポジウムのレセプションは京都観光バスナビツアーのバ スの終着地、ウエスティン都ホテルで18時より盛大に開催さ れました。鏡割りに引き続き、乾杯の後、舞妓さん芸子さんの ショウや接待で、大いに盛り上がりました。関連写真・裏表紙。 4 第4回準天頂衛星シンポジウムについて Session 18C3: Space Applications and Remote Sensing-I (6) CGSIC-IISCの報告 日本電気㈱ JGPSC事務局長 穴井誠二(正会員) 「CGSIC-IISCレポート」と題されたセッションでは、米国政 府 の 3 人 の方 が GPS・GNSS の 現 状 と 見 通 し に つ い て レ ク チャーされました。先ず、商務省でGPSを担当されてから20 年近いキャリアを有するジエイスン・キム氏(PNT国家調整 事務局首席顧問)が「米国のPNT政策、GPS衛星群の現状 と近代化」についてプレゼンされました。この後、ラッセル・ホ ルムズ氏(沿岸警備隊・大尉)が、「グローバルサービスの供 給の展望」というテーマでGPSサービスの展望についてプレ ゼンされました。最後にジエフ・オーエルバッハ氏(国務省首 席GPS顧問)が「GPSとICG~マルチGNSSの建設に向けて」と いうテーマで国連ICGの活動についてプレゼンされました。 この後、プログラムに記載されていない「サプライズ・セレモ ニー」がジョン・ワイルド氏(CGSIC-IISC委員長)の司会で挙 行されました。これは10月7日付で衛星測位システム協議 会(JGPSC)事務局長を退任された西口浩氏の長年の功績 を称えるために企画されたものです。ご承知の方も多いで しょうが、今年で3回目となる日本でのCGSIC-IISC会議の 開催については、20年ほど前に西口氏が米国政府等の関 係者に対して折衝を行った結果、日本での開催が実現した ものです。 表 彰 状 が 森 川 博 之 JGPSC 会 長 か ら 授 与 さ れ た 後、 JGPSCとNASAからの記念品が基調講演者のブラッド・パー キンソン博士より西口氏に贈呈されました。パーキンソン博 士はスピーチの中で西口氏の衛星測位システムに対する長 年の貢献を賞賛されました。この後、米国から郵送された二 通の感謝レターが司会者により朗読されました。スコット・ ペース博士(ジョージワシントン大学宇宙政策研究所長)は レターの中で、西口氏のGPS・GNSSへの深い理解により日 本の衛星測位システムの利用が大きく伸展し、日本と米国 の政府と産業界の協力関係の改善にも貢献したと述べてお られました。又、マイケル・スイーク氏(前米国GPS産業協議 会 専 務 理 事)は レ タ ー の 中 で、日 米 両 国 の 政 府 と GPS/ GNSS産業界のために西口氏がパイオニアとして積極的に活 動されたことで日米両国にとっても大きな影響を与えたこと に深い感謝の気持ちを抱いていると述べておられました。セ レモニーの最後に西口氏が退任スピーチをされましたが、 23年間の事務局長としての様々な思い出が走馬灯のように 胸をよぎったのか、何度も声につまらせながら話されておりま した。 長塚真宏 第4回準天頂衛星シンポジウムはIS-GNSS 2015シンポジウ ムのA会場に於いて、11月17日14時より開催された。 参加者は約80名であり、そのうち国外(英語資料配布+翻 訳レシーバ貸出)からの参加者は16名であった。 ○第4回準天頂衛星シンポジウムについて ・主催:準天頂衛星システムサービス(株)内閣府のPFI事業 として同社が推進している「準天頂衛星システムの運用等事 業」について、 利用拡大、システム開発、海外利用、利用実証、の各テーマ 毎に最新状況が報告された。 ・内閣府宇宙戦略室の田村栄一企画官からは、 国が主導する新たな取組である「スペース・ニューエコノミー 創造ネットワーク」が紹介され、 ・京都大学の美濃導彦教授による講演では、 京都の観光事業における位置情報活用の重要性と準天頂 衛星への期待が述べられた。質疑応答が交わされたことから も、準天頂衛星への関心の高さが窺える会となった。 IS-GNSS 2015 国別参加者数・発表論文数 国別参加者数(学生は内数)1日/2日登録29を含む Country/Region 西口前事務局長へ森川JGPSC会長から感謝状の授与。 左端・筆者 5 参加者 学生 (Total) (内数) Japan Korea China Taiwan United States United Kingdom Russia Australia Canada Italy Germany Sweden Viet Nam Belgium Brazil Czech France India malaysia Morocco Nepal New Zealand Singapore Switzerland Thailand 214 38 34 12 11 8 6 4 3 3 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 17 21 14 5 0 0 0 1 1 1 0 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 Total 351 63 国別講演論文数 Country/ Region No. Japan Korea China Taiwan Australia 46 25 22 13 5 United States 4 Viet Nam Italy 3 3 United Kingdom 2 Russia Germany Canada Brazil Switzerland Sweden Singapore New Zealand Morocco France 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 Czech 1 Total 138 アーでは、NEC様によるQZSSアプリのデモもあり、二 条城の紹介にはデモで使用したアプリが活用され、参 加された皆様は興味深くアプリに見入っていました。 そ の 後、伏 見 稲 荷 神 社、清 水 寺 を 観 光 し、レ セ プ ション会場へ向かいました。伏見稲荷神社はバスの駐 車場から境内までの道が複雑で狭く、大人数での移動 により途中で逸れてしまう方が発生してしまうのでは ないかと不安でしたが、私たちのグループは幸いにも 全 員 無 事 で、回 り き る こ と が で き ま し た。歩 い た 先 に、相次いで鳥居が見えるのが印象的でした。清水寺 に到着した頃には、雨は小康状態となり、境内からの 美しい景色を眺めることができました。雨にもかかわ らず、清水寺はたくさんの観光客で賑わっており、や はり観光スポットは違うなと感じました。中でも中国 人 観 光 客 と遭 遇 し た 場面 が 多 く、「こ こ は 日本 だ よ な」と振り返りながら観光していました。大雨ではあ りましたが、古都京都の名所を回ることができ、良い 思い出になりました。バス観光ツアーを企画頂いたNEC の皆様に感謝申し上げます。 レセプションでは舞妓さんのダンスショーが行わ れ、日本舞踊を優雅に舞う姿はとても素敵でした。ダ ンスショー終了後、舞妓さんと直接お話する機会を頂 き、日々の稽古の厳しさや日常生活についてのお話を 伺うことができました。また、レセプションを通じて 多くの方々とお話しすることができ、つながりの輪が 広がった気がします。 全体として非常に楽しく、幅広い内容を勉強させて 頂きました。このような貴重な国際シンポジウムに参 加させて頂いた経験を生かし、今後の研究に生かして いきたいと思います。 IS-GNSS 2015参加報告 東京海洋大学 齊藤詠子 (学生会員) 2015年11月16日~19日までの4日間、京都勧業館 「みやこめっせ」にて、IS-GNSS 2015 が開催されま した。京都はお寺や神社が多く、昔ながらの風情溢れ る街並みであり、日本の素晴らしさを海外の皆様に触 れて頂けたのではないかなと思います。 16日はOpening SessionとPlenary Sessionが行われまし た。Opening SessionではBradford Parkinson博士より、 GPSの現状と信号の保護・補間について、貴重なご講演 を頂きました。GPSは正確な位置情報を提供し、日常で もカーナビやケータイの位置情報機能等、身近な現場 で使用されています。しかし一方で、信号の脆弱性と いった弱点もあります。こうした弱点を踏まえ、将来 のGPS技術や利用に必要なことは何か、深く考える必要 があるなと感じました。また、Plenary Sessionでは前総 務大臣で衆議院議員の新藤義孝様がご講演されまし た。新藤様はG空間社会の実現に向け、高精度測位の多 分野での活用を提案なさっていました。将来、人々が 安全・安心かつ豊かな生活を送れる社会実現のために 高精度測位の活用を取り入れることは、社会問題解決 に必要なアイデアなのではないかと考えるきっかけに なりました。 17日から19日までは研究発表が行われ、測位技術・ 利用面等、各セッション内容は多岐に渡り、活発な議 論がなされていました。私は17日に行われたPrecise Point Positioningのセッションを聴講していたのですが、 内容としてはセンチメートル級精度達成のためのセミ ダイナミック補正について、準天頂衛星の補強信号の 概要とその活用事例、将来運用予定の実用準天頂衛星 に使用予定の補強システムの紹介、GPSとGLONASSを使 用したPPP(高精度単独測位:Precise Point Positioning)の AR(Ambiguity Resolution)の精度評価と安定性、現在の準 天頂衛星で実験運用されているMADOCA(複数GNSS対応 高精度軌道時刻推定ツール:Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)による準天頂 衛星の軌道推定技術、自動運転の実用化に向けた車両 によるGNSSの精度評価の発表でした。準天頂衛星の補 強信号の活用事例や技術面に関する発表が多い印象で あり、今後打ち上げ予定の実用準天頂衛星を含め、4機 体制になった場合を意識しているのだなと感じまし た。また、PPPの技術がかなり注目されている印象も受 けました。PPPは基準点を使用せず、二周波では衛星か ら直接軌道とクロックの補正情報を送る仕組みなの で、今後の技術発展により高精度化が進んだ場合、世 界中での利用が可能となります。準天頂衛星からもPPP の一助となる信号を配信できる仕組みが整えられた場 合、準天頂衛星の利用拡大という面でメリットが増え るのではないかと感じました。このセッションの質疑 応答は時間が不足するほど活発に行われており、非常 に中身の深い議論が展開されていました。 また、18日の午後は京都市内観光バスツアーが行わ れました。あいにく天候は大雨となってしまい、最初 の目的地である金閣寺に到着した瞬間、雨がさらに強 さを増し、金閣寺の優美な姿に感動したものの、バス に戻る頃には全身びしょ濡れの状態でした。このツ 舞妓さんを挟んで筆者・左。右はニューズレター編集 委員長、峰 正弥氏。11 月 18 日、ウエスティン都ホテ ル Reception 会場にて。 6 ナビゲーション関連の英語訳語の統一についてオリエ 置表(海上保安庁水路部)、エフェメリス(JAXA)、 位置推算表、天文暦、日めくりなど ・Almanac 衛星暦、軌道暦、天文年鑑、暦など ちなみに、宇宙航空関連の用語については、JAXAが略 語集をまとめているが、衛星ナビゲーションは、比較 的新しい分野であるためか、ナビゲーション関連の略 語は、まだ、含まれていない。KDDI財団発行の『衛星 通信年報』も巻末に略語集があるが、同様である。 ・そもそも、英語の訳語が幾つも現れるのは、今に 限ったことではない。例えば、数学や物理について も、明治初期には、沢山の訳語が存在したといわれ る。和算系統の用語のほか、中国語訳からの借用、西 欧語からの翻訳など入り乱れていたようである。これ に対し、明治10年ころ、日本最初の学会として「数学 会」が発足し、その3年後には訳語の統一をはかる部会 ができた。まず、同部会の規則が作られ、算術の語か ら統一し、次に代数、微分、積分の訳語へと進んだ。 そのうち、物理学会などができて、同様の作業が続け られた。 最近めざましいのは、医学の分野における日英語の 翻訳支援の組織的取組である。医学分野では、国際的 な交流が盛んであり、英語から日本語への翻訳のみな らず、日本からの英語による論文の投稿が膨大な数に 上り、1980年代には、その数がカナダ・オーストラリ ア・ニュージーランド三ヶ国の合計を上回った。その 後も、20世紀末まで増加が続き、年間総数3万2千件程 度に達した。医学英語のコミュニケーションの訓練も たいへん充実している。 文科系においては、明治の初め、会計用語の訳語の 統一からはじまり、その後、株式や債券、融資や預 金、さらに投資信託における訳語について、銀行協 会、証券業協会などを中心に統一化が進められた。し かしながら最近、コーポレートガバナンスなどの企業 経営やM&A、デリバティブなど新しい金融商品の分野 で膨大な英語が入ってくるようになり、各金融機関や 運用会社が訳語の統一を試みている。 一方、法律用語については、企業活動の国際化に伴 い、統一性の必要性が叫ばれ、平成17年に「法令外国 語訳推進のための基盤整備に関する関係省庁連絡会 議」が内閣に設置された。その下で法令の外国語訳の 統一のために、学者及び弁護士が集められ『法令用語 日英標準対訳辞書』が作成され、翌平成18年3月、 実 施推進検討会議から関係省庁に報告され,関係者が法 令の日英語間の翻訳を行う場合には,本書に準拠する ものとされた。 これまでの日本における訳語の統一に関する活動を みると、数学・物理・医学や法律の分野では、学者た ちが集まって定訳をつくり調整をはかっていく「中央 管理」型であるのに対し、会計や金融などは、訳語を 提供するものと利用するものの影響力の大きさによっ て、訳語が実質上決まってくる「デファクト・スタン ダード」型であることが指摘されている。 ナビゲーション分野が、「デファクト・スタンダー ド」型でないことは、これまでの訳語の不統一が証明 しているので、「中央管理」型をとらざるを得ないこ とは自明のようである。P.8右下欄へ続く。 ンス・コンサルティング* 山本 昇(正会員) 以前「測位航法学会ニューズレター 」で、ナビゲー ションに関わる英語の訳語が不統一であることについ て触れた。英語はたった一つのことばであるのに、日 本語では幾つもある現状は、何かと不都合のはずであ る。衛星ナビゲーションのための準天頂衛星が、主要 な国家プロジェクトの一つとして選ばれたからには、 国民の叡知を結集し、海外に発信するためにも、訳語 の統一は、早急に取り組むべき課題ではないだろう か。 そもそも、対象となる科学技術が、海外から来たも のである場合、その内容を理解し、それを自分のもの にし、その改善・改良から、新しい発見・発明が行わ れていく過程では、数々の日本語訳が出て来ることは やむを得ない。しかしながら、我が国として、その研 究の成果としての市場開拓を海外に積極的に進めて行 こうとするのであれば、日本語訳としての統一は、必 要・不可欠の行為であると考える。つまり、自分達か ら積極的に海外に発信して行くということを考えるの であれば、その共通語は統一されるべきであり、ま た、統一されて行かなければ、ベクトルがあった総合 力となって行かないであろう。 ナビゲーションの分野に関しては、日本は、まさ に、そう言う時期に来ており、専門用語の日本語の統 一は、これを測位航法学会が中心となって進めるべき ものと考える。具体的には、測位航法学会に常設の専 門部会を設けて、統一のための規則を作り、対訳表を とりまとめて、内閣府に提出し、各省の協力を得て政 府内に徹底しては、いかがであろうか?政府内での統 一が徹底すれば、民間は次第に、それに従うと思われ る。また、ウィキペディアなどには、同義語が多数あ る場合に、それを一つのことばに誘導する仕組みもあ るので、あわせて利用すると効果的であろう。 ここで、上述のニューズレターの記事に引用したも のも含めて、もう一度、ナビゲーションに関する英語 の訳語がいくつもある例を上げると以下のとおりであ る。 ・GPS 全世界衛星航法システム(外務省、東京海洋大)、全 地球航法装置(JAL)、全(汎)地球(的)測位シス テム(JAXA、文部科学省、総務省、国土交通省)、全 球衛星測位システム(気象庁)、全世界(的)測位シス テム、全地球無線測位システム、全地球(的)位置決め システム、グローバル・ポジショニング・システムな ど ・Navigation 航法、航行、航行支援、運行指示、航海、航海術、飛 行、航空術、ナビゲーションなど ・Positioning Navigation Timing(略称PNT) 測位・航行・時刻システム(NICT)、測位航法(国土交通 省)、測位、航法及びタイミングサービス(外務 省)、地理空間情報(内閣官房)、PNTサービス (文部 科学省)など ・Ephemeris 天体暦(国立天文台)、天測暦(海上保安庁)、天体位 7 発を目的に、石川県金沢市において「みちびき」の受信状況 を確認するための実証実験を行った。現在結果を精査中で 衛星測位利用推進センター(SPAC)濱田英幸 あるが、科学警察研究所の「聞き書きマップ」の有効性、「み ちびき」(L1-SAIF)による精度の良い歩行ルート、観光客の G空間EXPO2015の一環としてSPACシンポジウム2015 滞留時間等の解析が可能等の知見が得られた。 が日本科学未来館にて11月27日午後、主催SPAC、共催 なお、シンポジウムの詳細は、SPACホームページ(http:// 日本経済団体連合会、後援内閣府宇宙戦略室の下、開催 www.eiseisokui.or.jp)をご覧ください。 されました。参加者数は講演者等を含めると184名で、主な 内容は次のとおりです。 特別講演: SIP自動走行システムにおけるGNSSの可用性調査[細井 幹 広、アイサンテクノロジー(株) 研究開発知財本部 部長] QZSS 、GPS、GLONASS、BeiDouが自動車の高精度な位 置特定手段として利用可能かを見極めることを目的に、内閣 府委託事業として実証実験を行った。結果、遮蔽物の無い 環境では、コード測位でもマルチGNSSや測位補強情報を利 用することでレーン識別可能な精度が得られることが確認で き、搬送波測位でも静止測位と同等の数cmの精度が得られ た。 小特集-人にやさしいG空間社会-: ココロのバリアフリーとは [池田 君江、NPO法人ココロのバリアフリー計画 理事長;荻 野 千登勢、(一社)フラットスタイル 代表] 日本で車椅子の方は181万人以上いるが、引きこもってい る方が多く、外出時に出会うことはほとんど無い。G空間社会 日本科学未来館・未来館ホールにて の中で、スマートフォンの端末により1mの精度で自分の位置 が分かれば、必要な時にサポートしていただけることが可能に P.7「英語訳語の統一について」から続く なる。技術で安心のナビを実現し、ココロのナビでサポートする しかも、日本でこれまで訳語の統一がはかられたの ことが必要である。G空間とココロのバリアフリーがあれば、誰 は、それぞれの個別分野内だけのことで、各分野を超 もが過ごし易く優しい国になると考えている。 えて日本語全体としての翻訳語の統一を図るという試 小特集-人にやさしいG空間社会-: みは、行なわれていない。そのため、分野が異なれば 市民が作るオープンなバリアフリーマップ 訳語も変わるという状況は避けられないが(例えば、 [古橋 大地、青山学院大学 地球社会共生学部 教授]著 revolutionは、政治学では「革命」と訳されているのに 作権のない自由に使える地図が必要であり、作るためには衛 対 し、物 理 学 で は「(地 球 が 太 陽 の 周 囲 を 回 る)公 星測位の技術が重要である。車椅子用の地図は、データに Wheelchair と い う 属 性 を 与 え る こ と で 実 現 で き、 転」と訳されているが、本来、西洋語では同じことば Wheelmap.orgのサイト等に開示している。活動例としては、G である)、ナビゲーションの分野については、とりあ 空 間 EXPO2014 で の「お 台 場 バ リ ア フ リ ー マ ッ ピ ン グ パ ー えずは、測位航法学会が、訳語の統一にむけて、部会 ティー」等がある。活動で一番大切のことは、自分自身が楽 ならびに規則を設けてとりくむほかはないであろう。 しむことであり、これが次の活動に繋がる。 ともあれ、数学、物理、医学等々も、専門用語の統一 準天頂衛星を活用した高速道路の除雪等道路メンテナンス から、日本としての急激な発展を遂げ、今では、世界 における運転支援について に対しても、その成果をもとにして、積極的に発信で [杉崎 幸樹、 きるようになって来た。これらの分野における日本人 東日本高速道路(株)北海道支社 技術企画課長] 北海道の高速道路の冬期事故を防ぐため、準天頂衛星を活 によるノーベル賞の取得のラッシュもその線上にある 用した雪氷車両運転支援技術の導入を北海道大学野口先 だろう。衛星ナビゲーションについても、まずは、訳 生のご指導を頂き検討している。現在準備作業として、実際 語の統一を基盤にして、日本国内のベクトルを合わせ の高速道路において、緯度経度等の情報を取得した。引き て、総合力を蓄え、それをテコにして、日本から海外 続き、モニタによるガイダンス装置の開発、運転操作支援技 へ、積極的な発信に向かうことが期待される。 以上 術の開発、現場での複数台による試行導入等を行う予定で 参考: ある。 富士山山頂における補正データの効果に関する基礎的観測 『法令用語日英標準対訳辞書』 [鵜飼 尚弘、(株)ジェノバ 企画経営室 次長] 日本法令外国語訳推進会議、座長 柏木 昇 標高の高い地域における測位精度の検証を目的に富士山 金融に関する翻訳: 山頂で測位精度についての実証実験を行った。結果、高い http://www.takahashi-office.jp/honyaku/kinyuu/ FIX率で測位ができ、通信インフラが脆弱な山間地で高精度 医学英語コミュニケーション: な衛星測位ができることを確認した。山間地におけるcm級 http://www.ronbun.jp/intro/lecture01-1.html 測位の活用として、1)植生、環境GISデータの取得、高度 『続 数学と日本語』著者代表 福原満洲雄、共立出版 化、2) 救助活動の安全確保、3) 山地地形のモニタリング、 等が考えられる。 *衛星通信・衛星ナビゲーション・衛星放送コンサルタント 観光おもてなし実証実験 著書『ナビゲーション‐位置情報が世界を変える』(集英社新 [徳永 光晴、金沢工業大学 教授] みちびきを活用した「外国人向け音声観光案内ツール」開 書) SPACシンポジウム2015開催報告 8 成績を追及する機体、驚きや楽しさを優先する機 体、と様々で、大会は大いに盛り上がりました。来年 の第10回大会では、早稲田大学の新たな取り組みと、 早稲田大学を脅かす機体がどれほど出てくるかに注目 したいと思います。 東京モーターショー2015では自動運転技術が大きな 話題となりました。自動車の自動運転において、衛星 測位は主要技術の一つとなるはずです。GPS・QZSSロ ボットカーコンテストの参加者から、将来の日本を先 導する技術者が一人でも多く出ることを期待します。 GPS・QZSSロボットカーコンテスト2015開催報告 岩城農場 熊本高専 岩城善広(正会員) 入江博樹(本会理事) 測位航法学会は、10月24日(土)に東京海洋大学越 中島キャンパスにて「GPS・QZSSロボットカーコンテ スト2015」を開催しました。GPS・QZSSロボットカー コンテストは衛星測位しながら自律走行するロボット カーのコンテストです。 第9回となる今回は、昨年と同様に、①ダブルパイロ ンレース(2つのWaypointを周回することにより得られ るポイントを競う)と、②QZSSスクランブル(QZSSの 簡易メッセージ(災危通報)で指定されたルートを走 行し、走行時間の短さを競う)の2種目の競技を行いま した。小学生、高校生、高専生、大学生、大学院生、 教員、サラリーマンと、幅広い層の約40人15チームが 参加しました。 注目を集めたのは、早稲 田大学基幹理工学部天野研 究 室 の 機 体「Kevin(ケ ビ ン)」です。Kevinは前回大 会で圧倒的な力で2種目を制 しました。今回は、機 体を 軽量化し、さらに、地 磁気 センサーを外し衛星測位の みで走行するという、あえてハードルを上げての出走 となりました。 Kevinは、ダブルパイロンレースにて、前回大会で更 新した大会記録(95点)を2倍以上上回る260点を獲得 しました。QZSSスクランブルでは、やはり自身の大会 記録59秒を更新する53秒で走行しました。 「今 年 も Kevin の 圧 勝 か」と 思われましたが、福井高専の 「GRASSHOPPER」が 待 っ た を かけました。ダブルパイロンレー スで300点をたたき出したので す。福井高専は初出場ながら 全く無駄のない走りをし、観戦 者を驚かせました。 GPS・QZSSロボットカーコンテスト2015 URL:http://robot-car.jimdo.com/ 主催:一般社団法人 測位航法学会 共催:準天頂衛星システムサービス株式会社/一般財 団法人 衛星測位利用推進センター/ 公益社団法人 日本航海学会 GPS/GNSS研究会 大会スポンサー:アイサンテクノロジー株式会社 協力:電子航法研究所/日立造船株式会社 IS-GNSS 2015参加印象記 早稲田大学 加藤尚大 今年のGNSS国際シンポジウム「International Symposium on GNSS 2015」は,11月16-19 日の4日間,京都勧業館「みやこめっせ」で開 催されました. 初日のプレナリーセッションでは,GPSの生み の親であるB. Parkinson教授の講演があり,大 変貴重なお話をしていただきました.また,京都は紅葉のシー ズンということもあり,3日目の午後からは,「Sightseeing Bus Location Demo in Kyoto City」と題して,バスの現在位置を 側位しながら,京都市内を観光で巡りました.生憎の雨でした が,京都を初めて訪れる外国人参加者の方々にとって,非常 に記憶に残る良い思い出になったことと思います. 私は,3日目の午前中に行われた「GNSS」のセッションに て,「Performance Evaluation of Kinematic Positioning Using Multi-GNSS in an Urban Area」という題目で発表しまし た.今回,英語発表はもとより,学会発表自体が初めての経 験である私にとって,国際学会というのは未知なるものへの挑 戦でした.しかし,いざ発表を終えてみると,身構えていたこと もあってか,自分が思っていたよりも案外あっさり終わってし まったような印象を受けました.ただし,英語による質疑応答 はまだまだ改善の余地ありといった感じで,今後準備をより入 念に行う必要性があるように感じました. 最後に,今回の学会では私の論文を Scholarship Awarded Papers に選出していただき,主催側から非常に厚いご支援を いただきました.この場を借りて,深く感謝申し上げます. 今回大会は新しいチャレンジをした機体が増えたの も 特 徴 的 で し た。早 稲 田 大 学「Kovin(コ ビ ン)」 (Kevinの兄弟機)は、大会初のドローンでの参加とな りました。大田原ロボット研究所チームの「ロボッ ト・インフィニティ2015」は、ロボットに模した機体 が首や腕を振るというパフォーマンスをしながら走行 しました。 9 来年のION GNSS+ 2016は,米国オレゴン州ポートランドで 開催されます.久しぶりの西海岸での開催で日本からも直行 早稲田大学 鈴木太郎(正会員) 便があり非常にアクセスも良い場所です.2011年に同じポー 9月14日~18日に開催されたION GNSS+ 2015に参加し トランドで開催されたION GNSS 2011にも参加しましたが,非 ましたので,以下に報告致します.ION GNSS+2015は,米国 常に素晴らしい場所でした.ぜひ,来年参加して会場でお会 航法学会(ION)が毎年9月に開催するGNSSに関する世界最 いしましょう! 大の国際会議です.今回の会議は昨年に引き続き米国フロリ IAIN World Congress 2015参加報告 ダ州タンパの,タンパ国際会議場で行われました.会議には 東京海洋大学 菊地 錬(学生会員) 大学からの参加だけでなく,企業からの参加による機器展示・ 発表も非常に多く非常に盛況でした.IONによると今年も昨年 10月20日から23日の4日間、チェコ共和国プラハにてIAIN とほぼ同等の参加人数だったということです.しかしながら,企 (International Association of Institutes of Navigation) 業の展示では,TrimbleやJAVADなどの展示はなく,大きな World Congress 2015が開催されました。IAIN World Conブースが減り少し寂しく感じました. gressは3年に一度開催されており、前回は2012年にエジプト 今年もセッションが”Track”と呼ばれる大きなまとまりに分け が会場となりました。今回会場となったのはCORINTHIA HOられましたが,昨年とはいくつかの変更がありました.具体的に TELというホテルで、プラハの中心からは少し郊外にあり、プラ は全ての発表が”System and Application Tracks”, “Peer- ハの市街を一望できる建物でした。会場もこぢんまりとしてお Reviewed Tracks”の2つに区別され,コマーシャルな技術や り、全日程を通しての参加者も136名とアットホームな会議と 製品の発表と,テクニカルな技術発表とが明確に区別されま なりました。 した.ほとんどのセッションで“Peer-Reviewed Tracks”を聴講 20日は役員会議、総会、公開討論会があり、21日はプレナ していましたが,やはり全ての発表がpeer reviewを受けている リーセッションでした。 ということもあり発表の質は高かったと思います.来年のION そして22、23日が一般講演でした。一般講演では計9つの GNSSもほぼ同じシステムを採用するようですが,peer review セッションがあり、22日は4つのセッションが、23日は2-3セッ はオプションになるようです. ションが並行で進みました。発表件数は計85件あり、うちポス また,発表のトレンドとしては,スマートフォンを用いた歩行者 ターが7本でした。 測位などが多かったように感じました.スマートフォンはナビ 私は最終日23日に都市部移動体におけるGNSS/INS複合 ゲーションに必要なセンサをすべて含んでいるため,これから 測位について発表しました。はじめての海外発表で緊張しまし も研究や開発用途で利用が増えそうな印象を受けます.今 たが、何とかなりました。プラハは一度訪れてみたいと思って 年はUAV(飛行ロボット)のセッションも新たに開催され,近年 いた場所だったこともあり、大変有意義な経験となりました。 のドローンなどの爆発的な広まりの影響を受けているように感 次回のIAIN World Congressは2018年11月28日~12月1 じました.精密単独測位(PPP)では,PPP-ARに関する発表 日に千葉の幕張メッセ国際会議場で開催される予定です。 や,実サービスに関する発表が多く,新たなフェーズに移行し ている感触を受けました. イベントカレンダー ION GNSS+ 2015 参加報告 国内イベント ・2015.11.16-19 IS-GNSS 2015 (京都) ・2015.11.17-19 EIWAC2015 (Tokyo, Japan) ・2015.11.26-28 G 空間 EXPO 2015 (科学未来館、東京) ・2016.03.15-18 電子情報通信学会総合大会(九州大学) ・2016.04.26-28 測位航法学会全国大会(TBC) ・2016.08.01-08.06 International Summer School on GNSS ・2018.11.28-12.01 IAIN 2018 (幕張メッセ) 南国情緒溢れるタンパ市街 プラハと言えば 国外イベント ・2015.10.05-09 22nd ITS World Congress (Bordeaux, France) ・2015.10.13-16 IPIN Indoor Navigation 2015 (Banff, Canada) ・2015.10.20-23 IAIN 2015 (Prague, Czech Republic) ・2015.11.01-06 ICG-10 (Boulder, USA) ・2015.12.01-12.04 APRSAF-22 (Bali, Indonesia) ・2015.12.07-09 7th AOR Workshop (Brunei) ・2016.01.25-28 ITM 2016 (Monterey, USA) ・2016.09.12-16 ION GNSS+ (Portland, USA) ・2016.10.04-07 IPIN 2016(Madrid, Spain) ・2016.11.21-23 IS-GNSS 2016 (Tainan, Taiwan) (TBC) ・2017.09.25-29 ION GNSS+ (Portland, USA) *太字は本会主催行事 情報をお持ちの方は事務局までお知らせ下さい。 10 盛況の Ice Breaker 16 日、Plenary 後 新藤先生にもご覧いただきました。 賑わう展示会場・ソフトドリンク/スナックも用意 測位航法学会役員 平成 26 年 4 月 24 日、測位航法学会総会にて承認 (平成 26 年 4 月 24 日~平成 28 年総会まで) 会長 安田 明生 東京海洋大学 副会長 加藤 照之 峰 正弥 東京大学地震研究所 衛星測位利用推進センター 理事 入江 坂本 澤田 柴崎 菅野 菅原 曽我 高橋 高橋 瀧口 寺田 中嶋 福島 宮野 博樹 規博 修治 亮介 重樹 敏 広志 冨士信 靖宏 純一 弘慈 信生 荘之介 智行 熊本高等専門学校 宇宙政策アナリスト(元日本航空宇宙工業会) 東京海洋大学 東京大学 早稲田大学 (株)日立製作所 日本電気(株) 横浜国立大学 情報通信研究機構 三菱電機(株) 宇宙航空研究開発機構 電気通信大学 電子航法研究所 東京都立産業技術高等専門学校 編集後記 早いもので、2015年も今月で終わりとなりました。測位航 法学会としての今年を振り返ってみると、やはり、「IS-GNSS 2015@京都」の準備から実施までが、大きなイベントであっ たように思います。皆様の多大なご協力のお蔭で参加者約3 50人の大きな成功を分かち合えることが出来たのですが、特 に、GPSの父「Parkinson氏」の40分に渡るアグレッシブな ご講演、内容は勿論のこと、そのバイタリティそのものについて も、敬服あるのみでした。 後10日程でお正月ですが、皆様に、炬燵の中で、みかん の皮でもむきながら、このレターをご覧頂くことを想像して、今 年のニューズレターを終えようと思います。 良いお年をお迎えください ニューズレター編集委員長 峰 正弥 入会のご案内 測位航法学会は測位・航法・調時に関する研究開発教 育に携わる方々、これから勉強して研究を始めようと する方、ビジネスに役立てようとする方、測位・航法・ 調時に関心のある方々の入会を歓迎いたします。皆様 の積極的なご加入とご支援をお願い申し上げます。 申 込 方 法 : 測 位 航 法 学 会 事 務 局 へ 申 込 書(http:// www.gnss-pnt.org/pdf/form.pdf )をお送りください。 会員の種類と年会費:個人会員【¥5,000】 学生会員【¥1,000】 賛助会員 【¥30,000】 法人会員【¥50,000】特別法人会員【¥300,000】 申込方法:測位航法学会事務局へ申込書 (http://www.gnss-pnt.org/pdf/form.pdf )をお送り ください。ご不明な点は事務局までお問合せ下さい。 TEL & FAX:03-5245-7365 E-mail:info @ gnss-pnt.org 監事 小檜山 智久 (株)日立産機システム 北條 晴正 東京海洋大学 11 バスロケ・デモで会場まで Reception の華は何と言っても舞妓さんの踊り。 ウエスティン都ホテルにて。11 月 18 日 法人会員 ヤンマー株式会社 航空保安無線 システム協会 賛助会員 セイコーエプソン株式会社 日本電気株式会社 測位航法学会 事務局 〒 135-8533 東京都江東区越中島 2-1-6 東京海洋大学 第 4 実験棟 4F TEL & FAX : 03-5245-7365 E-mail : info @ gnss-pnt.org 12