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エムポアTM 抽出ディスク
【現場分析】 図15 キレートディスク濃縮による高感度化 市販のディスクホルダーを用いた現場型のサンプリ ング法と可搬型の蛍光X線装置の組み合わせにより、 水 中 微 量 成 分のオンサイト分 析が 可 能になります 。 図14 に市販のPP製 ディスクホルダーとシリンジを用 いた現場型サンプリングとポータブルXRF による測 定の様子を示しました。 図15 に示したように水中のPb1mg/L は、可搬型の XRF では直接検知できませんでしたが(下段)、キレー トディスクで100ml を1 分たらずで濃縮することによ り、Pb が明瞭に検知されるようになりました(上段)。 エムポア 抽出ディスク TM Application Report エムポアディスク捕集-蛍光X線分析法 【はじめに】 エムポア 抽 出 ディスクは、水試料中の有害成分などの微量成分を迅速に固相抽出するために開発さ れた膜型の固相抽出媒体です。ディスクに捕捉した目的成分は、通常、溶離溶剤で溶出し機器分析に より分析されます。ただし、蛍光X線分析法(XRF )では、固形試料を分析することができるため、目的 成分は溶出することなく直接分析できます。このレポートでは、水試料中の様々な微量有害成分をエ ムポアディスクに迅速捕集し、XRF で直接分析する方法について紹介します。 TM 図14 現場型 サンプリングと可搬型装置(SII SEA200 ) 【キレートディスク捕集-XRF】 重金属類などの遷移金属や希土類元素などは、キレートディスクに選択的に捕集されます。重金属類 をキレートディスクに捕集し、波長分散型(WDS )のXRF を用いて測定しました(*) 。図1 に示すように ディスクへの負荷量とX線強度比 には、良好な一次の相関が得られました。検出下限は、表1 に示した とおりで、 1L を処理することによりppbレベルの分析が可能であると考えられます。図1 を検量線とし て、実海水に金属を添加して分析したところ良好な結果が得られました( 表2 )。その他、海水中の水 銀やウランについても、良好な結果が得られています。 表1. 検出下限 図1. 金属負 荷量とX線強度比 の関係 Detection Limit (µg) 【結 論】 1.8 *このレポートに記載されているアプリケーションの詳細については、別途お問い合わせください。 1.4 X線強度/Rh散乱X線強度 以上のようにエムポアディスクによる濃縮捕集-蛍光X線測定法 は、水中微量有害成分の分析におい て、特にその迅速性・簡便性の観点から、有用性の高い手法であると考えられます。 Cu Zn Ni 1.6 Co 1.2 Cd 4.4 0.8 Mn 0.6 Pb 0.4 0.2 Cd Zn 0.4 Cu 0.3 Ni 0.4 Co 0.5 Fe 0.4 Mn 0.6 表2. 海水 への添加回収試験結果(海水1L ) Fe 1.0 Pb 0.9 Cd Pb Zn Cu Ni Co Fe Mn Added (µg) Found (µg) 50 50 50 50 50 50 50 50 52.3 49.7 51.0 49.4 49.3 49.0 51.5 18.8 Recovery (%) 104.5 99.5 101.9 98.9 98.6 97.9 103.0 37.6 0 0 50 100 150 200 250 負荷量( µg ) 発行日 2002.10.15 <E mpore><エムポア>は、3M社の登録商標です。 輸入総代理店 医療用製品事業部 本 社 〒158-8583 東京都世田谷区玉川台2-33-1 TEL.03-3709-8266 FAX.03-3709- E-mailでのお問い合わせは、[email protected] http://www.mmm.co.jp/fibrous /empore 3M エムポア TM 製品に関する情報は、Webサイト http://www.3m.com/Empore でもご覧になれます。 8754 総販売元 本 社 〒163-1130 東京都新宿区西新宿6丁 目22番1号 新宿 スクエアタワー30F 〔営業部代表〕TEL.03(5323 )6611 FAX.03 (5323 )6622 CS センター 〒358-0032 入間市狭山 ヶ原237-2 TEL.042 (934 )1100 FAX.042 (934)3361 HPM-000-A(0000000)TY 古紙含有率100%の再生紙を使用しています。 【留意事項】 WDS型装置 では、X線照射 によりディスクが劣 化します 。特に下 面 照 射の装 置では、ディスク の 破 片で装 置が 汚 染され や すくなるので図 2 に示したように2 枚のフィルムに挟んで測定す るようにします。なお、EDS型装置 では、ディス クの劣化はほとんど生じません。 <重要> 真空条件下では、測定前にディスクをよく乾燥 してください。 図2. WDS(下面照射)による測定 アルミカップ ポリエステルフィルム(5µm) 固相ディスク ポリエステルフィルム 試料ホルダー 下面照射 【逆相ディスク捕集-XRF】 目的成分が金属オキシ酸のように、陰イオンの形態で存在する場合には、陰イオン交換ディスクを用 いて捕集することが可能です。水に添加したC r(重クロム酸イオン)、As(亜ヒ酸イオン)、Se(亜セレ ン酸イオン)をエムポアディスクAnion-SR に捕集し、XRF測定 を行いました(図3,4 )。いずれの元素 についてもディスクへの負荷量とX線強度 の間には、良好な直線関係が得られました(図5-7 )。 <留意事項>陰イオン交換ディスクによる捕集は、マトリクス陰イオンの影響を受やすく、目的イオン の種類によっては、水ベースで作製した検量線を用いる絶対検量は難しくなります。例えば、水道水の 場合、比較的保持の強い6 価クロム(重クロム酸イオン)は、500ml からほぼ100%回収 できましたが、 As 、Se の回収率は、約80%と低く、ジャスミン茶(100ml )からの回収率は約30% でした。このような、 成分については、標準添加法を用いることもできますが、EDS測定 と組み合わせることにより、迅速な スクリーニング分析に活用する方が賢明といえます。図8に緑茶中のA s のスクリーニング例を示します。 目的成分が疎水性の有機物である場合には、逆相系のエムポアディスクに捕集することができます。 SDB-XD ディスクに有機リン系の農薬であるフェニトロチオン(MEP )を捕集し、XRF により組成元素 であるPとS を測定しました(図9,10 )。MEP の負荷量と蛍光X線強度 には、良好な直線関係が認めら れました(図11 )。また、EDS によりコーラ中のMEP をスクリーニング分析した例を図12 に示します。 図9. P のXRF スペクトル(P-Ka ) kcps 図10. S のXRF スペクトル(S-Ka ) SDB-XD kcps P-Ka 80 S 70 P O (CH3O)2 30keV,120mA GE,PC NO2 Cr 100 µg 10 5 Cr 10 µg 0 67.0 68.0 68.5 69.0 69.5 70.0 70.5 71.0 2θ角度 deg 71.5 72.0 29 30 31 As-KA 32 deg 33 34 35 2θ角度 kcps deg 500µg 30 100µg kcps 141 2θ角度 142 143 50µg 20 10µg 10 144 deg 107 108 109 deg 図11. MEP の負荷量とX線強度 の関係 10 0 67.5 140 CH3 40 0 139 deg 40 20 DOL=0.2µg 50µg 0 138 50 30 Cr 50 µg 100µg 10 60 Cr 150 µg 15 Se-KA Cr 200 µg 500µg 40 As-KB1 20 70 30keV,120mA GE,PC NO2 MEP 50 20 As:As 2O 3 Se:SeO 2 80 X線強度 Cr-KA 25 50 30 90 Cr:K 2 Cr 2 O 7 P O 60 X線強度 kcps 30 X線強度 ) (CH3O)2 CH3 MEP P-KA kcps X線強度 図4. XRF-WDS スペクトル(As-Ka, Se-Ka S-Ka S 70 60 図3. XRF-WDS スペクトル(Cr-Ka ) SDB-XD 80 10µg S-KA 【陰イオン交換ディスク捕集-XRF】 110 kcps 111 112 113 2θ角度 114 deg 図12. コーラに添加されたMEP(XRF-EDS ) 80 36 deg 70 kcps P-Ka R2 = 0.9996 図5. Cr負 荷量とX線強度 の関係 図6. As負 荷量とX線強度 の関係 80 30 2 Cr:R = 0.9990 2 As:R = 0.9998 70 X線強度(kcps) X線強度(kcps) 25 20 15 10 X線強度(CPS) 60 50 40 30 60 20 50 10 40 0 S-Ka R2 = 0.9991 0 100 30 200 300 400 500 600 負荷量(μg) 20 5 10 0 0 0 50 100 150 200 負荷量(μg) 図7. Se負 荷量とX線強度 の関係 2 X線強度(kcps) Se:R = 1.0000 60 50 40 30 20 10 0 0 50 100 150 負荷量(μg) 0 50 100 150 負荷量(μg) 200 図8. 緑茶 に添加されたA s(XRF-EDS ) 80 70 250 200 【複合分析】 エムポアディスクの E D S 型 装 置 による測 定は基 本 的に非 破 壊であるため、E D S で 一次的にスクリーニングないし半定量を実 施後、目的成分を溶出し、二次的に精密分 析することができます。図13 は、重金属類 を1 0 0μg / L 含 む海 水 5 0 0 m l を捕 集した キレートディスクをXRF-EDS で分析し、そ の後(約2ケ月後)、2M硝酸 で金属類を溶 離しICP発光法 により再測定した例です。 このように、EDS型 の装置と組み合わせる ことにより複合的な分析が容易にできます。 Disk SPE XRF/EDS ICP/AES 一次スクリーニング 二次定量 図13. 海水中 の重金属類の2段定量 Recovery of Heavy Metals from Sea Water XRF-EDS (July 12. 2002) ppb Recovery % Mn Fe Co Ni Cu Zn Pb Cd 39 230 223 214 212 215 228 196 19 115 112 107 106 107 114 98 ICP/AES (Sep. 17. 2002) ppb Recovery % 27 191 174 199 202 200 196 196 13 95 87 100 101 100 98 98 Sea Water 500ml, 100ug spiked 【逆相ディスク捕集-XRF】 目的成分が金属オキシ酸のように、陰イオンの形態で存在する場合には、陰イオン交換ディスクを用 いて捕集することが可能です。水に添加したC r(重クロム酸イオン)、As(亜ヒ酸イオン)、Se(亜セレ ン酸イオン)をエムポアディスクAnion-SR に捕集し、XRF測定 を行いました(図3,4 )。いずれの元素 についてもディスクへの負荷量とX線強度 の間には、良好な直線関係が得られました(図5-7 )。 <留意事項>陰イオン交換ディスクによる捕集は、マトリクス陰イオンの影響を受やすく、目的イオン の種類によっては、水ベースで作製した検量線を用いる絶対検量は難しくなります。例えば、水道水の 場合、比較的保持の強い6 価クロム(重クロム酸イオン)は、500ml からほぼ100%回収 できましたが、 As 、Se の回収率は、約80%と低く、ジャスミン茶(100ml )からの回収率は約30% でした。このような、 成分については、標準添加法を用いることもできますが、EDS測定 と組み合わせることにより、迅速な スクリーニング分析に活用する方が賢明といえます。図8に緑茶中のA s のスクリーニング例を示します。 目的成分が疎水性の有機物である場合には、逆相系のエムポアディスクに捕集することができます。 SDB-XD ディスクに有機リン系の農薬であるフェニトロチオン(MEP )を捕集し、XRF により組成元素 であるPとS を測定しました(図9,10 )。MEP の負荷量と蛍光X線強度 には、良好な直線関係が認めら れました(図11 )。また、EDS によりコーラ中のMEP をスクリーニング分析した例を図12 に示します。 図9. P のXRF スペクトル(P-Ka ) kcps 図10. S のXRF スペクトル(S-Ka ) SDB-XD kcps P-Ka 80 S 70 P O (CH3O)2 30keV,120mA GE,PC NO2 Cr 100 µg 10 5 Cr 10 µg 0 67.0 68.0 68.5 69.0 69.5 70.0 70.5 71.0 2θ角度 deg 71.5 72.0 29 30 31 As-KA 32 deg 33 34 35 2θ角度 kcps deg 500µg 30 100µg kcps 141 2θ角度 142 143 50µg 20 10µg 10 144 deg 107 108 109 deg 図11. MEP の負荷量とX線強度 の関係 10 0 67.5 140 CH3 40 0 139 deg 40 20 DOL=0.2µg 50µg 0 138 50 30 Cr 50 µg 100µg 10 60 Cr 150 µg 15 Se-KA Cr 200 µg 500µg 40 As-KB1 20 70 30keV,120mA GE,PC NO2 MEP 50 20 As:As 2O 3 Se:SeO 2 80 X線強度 Cr-KA 25 50 30 90 Cr:K 2 Cr 2 O 7 P O 60 X線強度 kcps 30 X線強度 ) (CH3O)2 CH3 MEP P-KA kcps X線強度 図4. XRF-WDS スペクトル(As-Ka, Se-Ka S-Ka S 70 60 図3. XRF-WDS スペクトル(Cr-Ka ) SDB-XD 80 10µg S-KA 【陰イオン交換ディスク捕集-XRF】 110 kcps 111 112 113 2θ角度 114 deg 図12. コーラに添加されたMEP(XRF-EDS ) 80 36 deg 70 kcps P-Ka R2 = 0.9996 図5. Cr負 荷量とX線強度 の関係 図6. As負 荷量とX線強度 の関係 80 30 2 Cr:R = 0.9990 2 As:R = 0.9998 70 X線強度(kcps) X線強度(kcps) 25 20 15 10 X線強度(CPS) 60 50 40 30 60 20 50 10 40 0 S-Ka R2 = 0.9991 0 100 30 200 300 400 500 600 負荷量(μg) 20 5 10 0 0 0 50 100 150 200 負荷量(μg) 図7. Se負 荷量とX線強度 の関係 2 X線強度(kcps) Se:R = 1.0000 60 50 40 30 20 10 0 0 50 100 150 負荷量(μg) 0 50 100 150 負荷量(μg) 200 図8. 緑茶 に添加されたA s(XRF-EDS ) 80 70 250 200 【複合分析】 エムポアディスクの E D S 型 装 置 による測 定は基 本 的に非 破 壊であるため、E D S で 一次的にスクリーニングないし半定量を実 施後、目的成分を溶出し、二次的に精密分 析することができます。図13 は、重金属類 を1 0 0μg / L 含 む海 水 5 0 0 m l を捕 集した キレートディスクをXRF-EDS で分析し、そ の後(約2ケ月後)、2M硝酸 で金属類を溶 離しICP発光法 により再測定した例です。 このように、EDS型 の装置と組み合わせる ことにより複合的な分析が容易にできます。 Disk SPE XRF/EDS ICP/AES 一次スクリーニング 二次定量 図13. 海水中 の重金属類の2段定量 Recovery of Heavy Metals from Sea Water XRF-EDS (July 12. 2002) ppb Recovery % Mn Fe Co Ni Cu Zn Pb Cd 39 230 223 214 212 215 228 196 19 115 112 107 106 107 114 98 ICP/AES (Sep. 17. 2002) ppb Recovery % 27 191 174 199 202 200 196 196 13 95 87 100 101 100 98 98 Sea Water 500ml, 100ug spiked