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「放課後子どもプランの展開」相川良子氏
平成19年度 「子どもの生活圏づくり研究集会」 分科会 2 「放課後子どもプランの展開」 平成20年2月15日(金) 渋谷区青少年教育コーディネーター 相川 良子 内容 1 子どもの現状・・・・・・・子どもの放課後どうする? 2 社会変化の中で・・・・・求められる地域の力 3 点から面へ・・・・地域子ども教室は「つながり」をつくった (1)本物と「出会う」場 その1 / その2 :小学生対象 (2)人が「寄り合う」場 その1 / その2 :10代対象 (3) 「学び合う」場:異世代・異年齢 4 放課後子どもプラン・・・・ ・社会全体による教育再構築 1 子どもの現状 子どもたちは いろいろな友達と いっぱい 遊んでいるでしょうか 放課後の生活 1 放課後は自宅で過ごす比率が高い(18年度渋谷区調査) 自宅(小・中61%) 友達の家(小19%・中15%) 教室や図書館(小・中4%) 校庭・ 体育館(小30%・中31%) 区の施設(小4%・中3%) コンビになど(小6%・中9%) 2 放課後遊びは同じクラスの友達が多い ひとりで遊ぶ(小8%・中15%) 決まった友達(小59%・中86%)、いろんな友達(小 33%・中17%) 3 週の大半は部活に取り組む(中) 運動部(66%)、文化部(26%)、週に3日~5日(54%) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 自宅と学校(塾・習い事・クラブ)」の往復、友達関係も学校のクラス中 心・・・・・・・・・・同質化を好む傾向 放課後 家での生活 1 家で遊ぶもの 第1位 (平成17年江戸川区の調査) (1) 小学3年 (男子)テレビゲーム( 37,5 %)(女子)テレビ・ビデ(43,6%) (2)小学5年 (男子)テレビゲーム(56,4 %) (女子) 本読み(43,1%) (3) 小学6年 (男子)テレビゲーム(60,7 %) (女子) 本読み(56,8%) 2 テレビやゲームの時間2時間以上が小6・中1で半数を超える 3 家では室内遊びが多い・・個人主義的な傾向が進む 友達関係 1 小学校高学年は友だち関係の緊張感が高い (17年 ベネッセ 子どもの生活実態調査) 高学年の15.4%が「悩み事を相談できる友達がいない」「友達と話が合わ ないと不安に感じる」「仲間はずれにされないように話を合わせる」など友 だち関係の緊張感が高い 2 誰かとつながっていたい・「関係主義」の若者達 (17年 サントリー 次世代研究所) 豊かさの中で、「イマ」そして「ココ」を心地よくするために身の回りの人間 関係を良好に保つことが重視される 困ったときの相談相手 (平成16年度渋谷区) 1 悩み事 ・ 勉強、進路・・・・親、先生に相談しやすい ・ 友だち関係・・・・誰にも相談できない 2 ・ ・ ・ 相談相手は1位母親、2位友達・・・・しかし 学校の先生(2%)や、カウンセラー(5%) 誰にも相談しない・・・15% 相談相手がいない・・2% 3 相談しない理由 ・ 排除されるのが怖い ・ 先生、友達、家族の中で「いやな思い」をしたくない 子どもに不足しているもの (1) (2) (3) (4) (5) セルフコントロールする力 身体能力 体験~経験値・五感・感受性 想像力・創造性 コミュニケーションの力 言われたことはできるが自分で考えて行動する力が弱く、規範 意識や思いやり、礼儀などの倫理観がはぐくまれていない ↓ ○ ルールがないと遊べない ○ 遊んでもらうことに慣れきっている ○ 創造的な遊びが衰退している(ごっこ遊びなど) ○ 遊びのコミュニティが分断されている(同質化傾向) 育てたいコミュニケーションの力 1 誰でも「成長欲求」を持っている 「納得感」の中で成長(認められ・・納得・・意欲) 2 成長には共感の「場」=他者が必要 3 コミュニケーションの力とは (1) (2) (3) (4) 自分から人に働きかける力 ・・つたえる力 受け取る力・・共感性 場をつくる力 ・・話し合いのルール、プロジェクトの運営 コミュニティに働きかける力・・学校・家庭・地域に成長できる「場」を (1),(2)は「個」の力 2 (3),(4) は「場」の力・・いま求められている力 社会変化のなかで これまでの50年を これからの50年として くり返すことができない 社会変化・・・・・・「多元参加型社 会」 1 工業社会から情報ネットワーク社会へ ↓ 個別化、多様化、グローバル化が進む 2 教育、環境、共生、人口、資源、福祉などの諸問題 ↓ 行政・地域(市民、企業、NPO等)学校、家庭が課題解決に向けス クラムを組む 3 地域課題に住民が自ら主体となって取り組む ↓ 地域資源(人材、自然、文化など)の活用 NPOをはじめとした新しいタイプの市民組織の活用 教育再生会議第2次報告 (平成19年6月1日) ○ 学力向上にあらゆる手立てで取り組む ○ 心と体・・調和のとれた人間形成を目指す ・子どもたちの体験活動の充実 ・親の学びと子育てを応援 ・地域ぐるみの教育再生お拠点づくり ・社会総がかりで教育再生のためのネットワーク作り 社会全体による教育 (文科省の方向性) ○ 社会・地域による学校支援・・・・学社連携 ・地域でできることは地域で・・地域子ども教室で地域活性化 ・地域からの学校教育支援 ↓ ○ 「教育」と地域社会・・・「共同(協働)」する・・・・学社融合 ・「教育」と地域の双方向性 ・行政・学校・市民団体・NPO・こども・地域・家庭・企業・大学な ど関係者をつなぐ機能(コーディネート機能)を充実 「教育=学校」と地域社会の共同(協働) 行政と地域、人と人・・パートナーシップが重要 1 ・ ・ ・ トップダウン型手法(緊急度は高い) 行政や団体→指示・・・・・・・動員、お願い、成果が上がる 目的、目標よく分からない・・・・ヤラサレ感 活動の固定化・・・・・・・・・・・・・協力の気持ちが弱まる 2 ・ ・ ・ ボトムアップ型手法(ネットワークが生まれる) 多様(バラバラ)・・・・・・・・・・・自分の意志(無責任) 目的目標で行動する・・・・・・・達成感、有用感を持ちやすい 活動の相乗効果を生む・・・・ひろがり、つながり、イノベーション(革新) 1、2の融合を生み出すのがコーディネーター 3 点から面へ・・「つながり」をつくる それぞれが「居る」場所で 行動できる範囲で 日常の延長で、自らの意志で 活動はささやかでも つながりをつくる ひろがりをつくる 地域の「場」をつなぐ 思考・活動の多様化(多元参加型社会) 求められていること ・誰でも参加できる地域づくり ・「共感=包容力」を大事にした地域づくり 緩やかな地域の「つながり」をつくる → 「つながり」が活動をひろげる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ネットワーク のための 教育コーディネーター 子どもの居場所づくり・・・地域子ども教室 ○地域子ども教室の評価・・平成16年度地域子ども教室推進事業実施状況調査 ・ ・ ・ ・ 子どもたちは、学校・家庭・地域において積極的な態度を見せるきっかけになった 保護者は、地域子ども教室の活動を通して、子どもの成長を感じている 学校長は、子どもや、地域の大人が良い方向に変化していると認識している 参加した大人自身も、活動を通して、自分自身の変化を感じている ○活動の組み方 ・ プログラム提供型・・・・非日常的傾向 ・ ノンプログラム居場所型・・・日常的傾向 ・ 両者の組み合わせ型 ○課題 ・ 学校教育・学校外教育の育成観の共有と双方向性(学校とのネットワーク) ・ 社会全体がかかわるための「コーディネート機能」の充実・・日常活動の強化 本物と「出会う」場・その1:小学生対象 街の中から「本物」を探す(山谷チャレンジ) 〜「亀屋」のおじさんと和菓子をつくった〜 本物と「出会う」場・その2:小学生対象 「地の利」「人の利」「文化の利」を 活かして本物と「出会う」(山谷チャレンジ) 〜建築家と東京ドームの模型をつくった〜 人が「寄り合う」場・その1:10代対象 日常のなかに、日常の延長で、 子どもも、若者も、大人も集まれる「場」(ファンイン) (1)誰もが気楽に居られる場 (2)自分を認めてもらえる場 (3)挑戦できるチャンスがある場 (4)仲間ができる場 人が「寄り合う」場・その2:10代対象 認められ、かかわり、自分たちでつくる「場」(ファンイン) ピアサポーターと一緒に ソフトバレーで遊ぶ 4 放課後子どもプラン ○ 放課後の遊びと学び(かかわり・ルールやマナー・知的好奇心) が意欲を育む ・ 日常性の確保 ・ 安全性の確保 ・ 異年齢・異世代で「遊ぶ・学ぶ」・・・意欲を引き出す「学びのプログラム」 ○ 社会全体で取り組む必要性 ・ 子育て中の家族を行政だけではなく、社会全体で支援する ・ 行政の基盤整備とコーディネート機能の仕組みづくり ・ 社会の力(資源=ヒト・モノ・カネ・プログラム)を集める ○ 「地域子ども教室」が培ったノウハウを放課後へ ・ 市民団体やNPOの力(人材・プログラム・マネジメント)を生かす ・ 地域コーディネーターが教育コーディネーターとして、学校・地域をつなぐ ・ 学校を核として「育成観」を共有する取り組み・・・学校と地域の共同(協働) 放課後子どもプランの取り組み ○ 異世代・異年齢で遊べる、「安全で楽しい放課後」のために 1 行政は ・ 発達段階に応じ、取り組みの柔軟性を ・ 地域社会全体で、「教育」を支援するビジョンと仕組みづくり ・ そのための「教育コーディネーター」の位置づけ 2 地域は ・ 「放課後」という日常の体験活動をつくる ① 異世代・異年齢で「群れて遊ぶ」という体験 ② 異世代・異年齢で「学び合う」という体験 ・ 参加したくなる魅力あるプログラムづくり ① 地域社会の各分野(企業、NPO,市民団体など)との協力によるプログラム ② 子どもと一緒につくるプログラム 3 学校は ・ 地域の「教育」の核。地域に支えられ、子育て中の家族を地域と共に支える