...

ブラジルのテメル暫定大統領は財政健全化策を公表

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Transcript

ブラジルのテメル暫定大統領は財政健全化策を公表
2016年5月26日
ブラジルのテメル暫定大統領は財政健全化策を公表

テメル暫定政権発足から約半月が経過し、政権運営に進展。5月25日にはブラジル議会が財政目標の修正を承認。

財政目標の議会での早期承認は、政府機関の封鎖回避とテメル暫定政権の政策に対する議会の支持を示すもの。

テメル暫定大統領は5月24日にも、歳出抑制や国立開発銀行による債務返済を含む財政健全化策を公表。

暫定政権では企画相の離職などの逆風あるも、財政政策を巡る議会審議が政権運営の求心力を測る試金石に。
テメル暫定大統領の政権運営に進展
図1:テメル暫定大統領の就任後の政権運営
ブラジルのテメル暫定政権の発足から約半月が経過し、
日付
財政目標の議会承認や新規の財政健全化策の公表など
の面で政権運営に進展が見え始めています(図1)。
テメル暫定政権は5月20日に2016年の連邦政府の基
礎的財政収支を1,705億レアル(GDP比2.8%)の赤字と
する修正財政目標を公表し、翌週の5月25日にブラジル
議会で承認されました(ルセフ政権の従来目標は967億レ
アル(GDP比1.6%)の赤字)。
財政目標承認は暫定政権への議会の支持を示す
今回、修正財政目標が早期に議会承認されたことには
5月12日 テメル暫定大統領の就任と閣僚人事公表
5月20日 2016年の修正財政目標の公表
5月23日 ロメロ・ジュカ企画・予算管理相が一時的に離職
5月24日 テメル暫定大統領が財政健全化策を公表
5月25日 ブラジル議会が2016年の修正財政目標を承認
(出所)各種報道
次の2つの意味があると考えられます。第一に、議会承認
図2:テメル暫定大統領が公表した財政健全化策
が遅れれば政府機関が封鎖される可能性がありましたが、
議会での承認手続きにより政府機関封鎖は回避されまし
項目
た。第二に、修正財政目標の承認は、テメル暫定政権に
対する議会の支持を示すものと捉えることができます。
①
歳出抑制
テメル暫定大統領は財政健全化策を公表
テメル暫定大統領は5月24日にも、歳出抑制や国立開
発銀行(BNDES)による債務返済、ソブリン・ウェルス・ファ
出来事
政策の概要
議会承認
 国債費用を除いた歳出の伸び率を
必要
前年のインフレ率に制限(=実質的
(憲法改正)
な歳出伸び率をゼロ%とする)。
国立開発  ブラジル国立開発銀行(BNDES)が
② 銀行による
国庫へ1,000億レアルの債務を返済。
債務返済  2016年の返済額は400億レアル。
-
ンド(SWF)の国庫への還元、補助金引き上げの凍結など
を含む財政健全化策を公表しました(図2)。
③
SWFの国庫  約20億レアルのソブリン・ウェルス・
への還元
ファンド(SWF)を国庫へ還元。
④
公的年金の
運営改革
特に財政健全化策の中でも、国債費用を除いた歳出の
伸び率を前年のインフレ率に制限する(実質的な歳出伸
び率をゼロ%とする)歳出抑制策は、憲法改正を伴う財政
 公的年金の理事任命に関し厳格な
基準を導入。公的年金の効率的か
つ専門的な運営を図る。
必要
⑤
深海油田
 深海油田(プレサル)の開発に係る
開発の
ペトロブラス社への規制を緩和。
規制緩和
必要
⑥
補助金の  補助金の引き上げを行わない。
引き上げ  新規の補助金設定の際には、他の
凍結
プログラムでの補助金を削減。
-
構造改革であることから、上下両院において5分の3の議
員の賛成が必要となります。
テメル暫定政権では、5月23日にロメロ・ジュカ企画・予
算管理相が汚職捜査への妨害疑惑から一時的に離職す
るなどの逆風もあるものの、財政健全化政策を巡る今後
の議会審議は、テメル暫定政権の政策運営の求心力を
測る試金石となりそうです。
-
(出所)ブラジル財務省
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種
データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、
将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予
告なく変更されることがあります。●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面に
よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作
成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
1
Fly UP