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代替燃料を用いた環境調和型エネルギーシステム

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代替燃料を用いた環境調和型エネルギーシステム
代替燃料を用いた環境調和型エネルギーシステム
(NDEO産業技術研究助成課題: 内燃機関における水素の効率的利用に関する研究)
1. 直接噴射層状給気による水素エンジンの冷却損失低減と熱効率向上
(自動車技術会学術奨励賞受賞,日本機械学会奨励賞受賞,NEDO産業技術研究助成)
水素均一予混合燃焼 λ=1.0, φw=0.43
水素直接噴射層状燃焼 λ=1.5, φw=0.34
12
10
8
水素
6
0.25
0.75
1.25
1.75
点火後経過時間
MBT
4
メタン
2
0
-54
-36
-18
0
18
点火時期 deg ATDC
0.3
50
0.25
0.2 0.15
40
φw = 0.34 (層状燃焼)
水素燃焼では燃焼ガスから壁面への熱伝達による冷却損失
が大きく,通常のエンジンよりも熱効率が低い条件がある.
冷却損失低減が水素エンジンの熱効率向上のために重要.
直接噴射層状給気による冷却損失低減を提案.
また,冷却損失評価のための新たな解析手法を考案.
2.25
ms
ηu = 0.98, γ = 1.4, ηglh = 0.95
φw = 0.1
60
熱効率 [%]
壁面熱流束 J/m2deg
水素エンジンは燃料電池に比べて出力密度および耐久性が高く,
燃料電池に劣るのは熱効率のみであり,水素エンジンの熱効率
向上は重要な課題である.
30
φw = 0.43 (均一燃焼)
8
10
12
14
圧縮比
16
18
直接噴射層状給気により冷却損失割合φwが低下し
水素エンジンの熱効率が向上.
2. 水素による低温酸化抑制効果を利用した排熱回収HCCIエンジン
(関連研究でNEDO新規産業創造型研究助成)
本研究の提案
流量制御装置
水素等
メタノール
燃料タンク
流量制御装置
DME
空気
HCCI燃焼
エンジン
改質器
(DME)
改質器
(水素) 蒸発器
排気
DME/MRG比率による着火時期制御
自己着火特性が異なるDMEと水素の比率による着火時期制御.
単一の液体燃料(メタノール)を車両に搭載
複数燃料搭載不要.気体燃料に比べて高いエネルギー密度.
エンジン排気熱を利用した燃料改質による排熱回収
メタノールからDME,水素を生成する反応は吸熱反応.
HCCIによる高いエンジン効率と排熱回収により高い総合効率を実現.
DMEの低温酸化
CH3OCH3 + OH −> CH3OCH2 + H2O
水素の導入によるOHの消費
H2 + OH −> H2O + H
DMEの低温酸化抑制による着火時期制御
総合効率[%] 燃料熱量増加[%] エンジン効率[%]
HCCI (Homogeneous Charge Compression Ignition 予混合圧縮着火)
ガソリン機関のような予混合気をディーゼル機関のように圧縮自己着
火させる新たな燃焼方式.
高い熱効率とクリーンな排気を実現するが,着火制御が課題.
50
水素を利用した
HCCI燃焼
40
30
20
通常の燃焼(ガソリンエンジンと同様)
30
20
10
0
-10
排気熱の一部を化学エネル
ギーとして回収
(計算値)
50
通常の燃焼
40
30
排熱回収HCCI燃焼による高い総合効率
20
10
0
1
2
3
空気過剰率
4
5
北海道大学大学院 工学研究科 エネルギー環境システム専攻 准教授 首藤 登志夫
ホームページ http://mech-me.eng.hokudai.ac.jp/~netsu2/srg
連絡先 [email protected]
代替燃料を用いた環境調和型エネルギーシステム
(NDEO産業技術研究助成課題: 内燃機関における水素の効率的利用に関する研究)
3. 全面供給型多孔体金属セパレーターによる燃料電池の発電性能向上
(NEDOのDMFC開発目標を達成,日経産業新聞など国内外10数紙の新聞記事)
燃料電池の出力向上が求められるが,反応物を供給するセパレーター
流路が高電流密度での発電性能を大きく左右する.
本研究では,金属多孔体により全面供給型のセパレーター流路とする
ことで,有効電極面積の増加およびスムーズな反応物供給を実現した.
反応物の供給や生成物の排出が改善し反応抵抗が低減することで発電性能が向上.NEDOの開発目標値を達成.
4. バイオディーゼル燃料へのエタノール混合による黒煙・NOx同時低減
(自動車技術会論文賞受賞,関連する他の研究でも論文賞受賞,日経産業新聞記事)
BDF(パーム油メチル)
セタン価: 65.6
沸点: 215~443 ℃
酸素含有割合: 13.2 wt%
Ethanol (C2H5OH)
セタン価: 8
沸点: 78.3 ℃
酸素含有割合: 34.8 wt%
エタノールはBDFより低セタン価,低沸点,高酸素割合.
BDFへのエタノール混合は混合気形成,着火,燃焼,排気
に大きな影響を与える.また,低温流動性の改善も可能.
2000
NOx(窒素酸化物) [ ppm]
植物油から作られるバイオディーゼル燃料(BDF)の利用
はCO2排出削減に有効.
エタノール混合40%
1500
軽油
1000
BDF
(パーム油メチルエステル)
PME
EGR(排気再循環) 35%
500
黒煙とNOxが同時大幅低減※
0
n=1300rpm, θinj=5°CA BTDC, BMEP=0.5MPa
n=1300rpm, BMEP=0.5MPa
–4
–2
0
2
4
6
黒煙 [% Bosch]
バイオディーゼル燃料へのエタノール混合とEGRによりNOx
と黒煙の大幅同時低減が可能となる.
PME + Ethanol 10%
BDFへのエタノール混合によって輝炎発光が減少.燃料の
蒸発性向上とセタン価低下による着火遅れ増加による予混
合化の促進および酸素含有量増加により黒煙排出が低減.
PME + Ethanol 20%
time
※ ディーゼルエンジンの黒煙とNOxは通常トレードオフの関係にあり,同時低減は非常に困難.
北海道大学大学院 工学研究科 エネルギー環境システム専攻 准教授 首藤 登志夫
ホームページ http://mech-me.eng.hokudai.ac.jp/~netsu2/srg
連絡先 [email protected]
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