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Ⅲ プレゼンテーションの基礎技術

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Ⅲ プレゼンテーションの基礎技術
第5章
Ⅲ プレゼンテーションの基礎技術
1 プレゼンテーションソフトの活用
プレゼンテーションソフトウェアを活用した教材や資料は,ディスプレイ画面やプロジェクタ
で投影することによって,動きやインパクトがあり,大変効果的なものとなる。また,教師が使
用するだけではなく,児童・生徒に調べ学習のまとめなどに使用させることも多い。
プレゼンテーションソフトウェアには次のようなものがある。
教師用・・・・パワーポイント, ブラウザ, ワードなど
児童・生徒用・・・・・絵本ライター, ハイパーキューブ, スタディノートなど
(1)活用事例
① 中学校での活用事例
プレゼンテーションソフトを使用したスライドからなる説明用資料である。生徒がインターネ
ットを通してライブカメラに接続させるために,検索エンジンからライブカメラを検索して接続
ができるまでを説明してある。生徒は自分のペースに応じて,画面を見ながら操作方法を習得で
きるよう工夫されているため,説明の時間が短縮でき,授業の目的である「ライブカメラを見て
日本各地の天気を比較する」ことに時間が確保される。
説明資料の画面は,操作順序にしたがって説明が表示されるようになっているため,操作の誤
りやトラブルが少なくなる。また,説明画面と実際操作するブラウザ画面を並べて表示しておく
ことによって,効率のよい操作が可能である。
② 養護学校での活用事例
養護学校教師が担任をした児童の6年間の写真を集めて「思い出のアルバム」にしたものであ
る。児童は直接見たい学年の個所をクリックするだけで写真を見ることができる。大きなアイコ
ンを画面上に作成し,児童が操作しやすいように工夫がなされている。また最終ページには,児
童が好きだった歌を聞くことができるように,録音した音声データへのリンクと,インターネッ
ト上で公開されている歌が聞けるページへのリンクが作成してあるため,児童が興味を持って自
分で操作できるよう工夫されている。
③ 情報を適切に収集し,処理・分析して発信する能力を育成するために
情報が氾濫する社会をたくましく生きぬいていく力を児童・生徒に育成するためには,コンピ
ュータやインターネットなどを使う能力を単に育成するだけでは不十分である。大切なのは,児
童生徒自身が自分で本当に必要とする情報は何かを主体的に決め,他人に聞いたり図書館で調べ
たり,パンフレットを集めたり,インターネットを活用して情報を収集したりする力を身に付け
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第5章
させることである。また,収集した情報をもとに,コンピュータだけでなくディジタルカメラや
スキャナなどの周辺機器や,プレゼンテーションソフト・Webページ作成ソフト等を活用して作品
にまとめ,インターネットを使って公開したり,プロジェクタや音響機器を駆使して他人の前で
発表できる能力を身に付けさせることも大切である。
2 プレゼンテーション作成の基礎技術
「プレゼンテーション」は,調べたことや考えたことを分かりやすく相手に説明することであ
る。そのために,あらかじめ説明する内容や方法を検討しておく必要がある。内容については,
説明文を要約したり,図や表,適切な写真を選んだりすることが必要である。方法については,
口頭での説明より,スライドやOHP,ビデオプロジェクタのようなビジュアルな手段が効果的
である。
ここでは,コンピュータのプレゼンテーションツールである「Microsoft Power Point 2000」
について,その使用方法を解説する。
(1)
プレゼンテーションの流れを考える
プレゼンテーションツールで作成する資料は,ちょうど紙芝居のようなものである。Power
Pointでは,1枚をスライドとよび,1枚のスライドには,文字のほかに写真や図,グラフ,表な
どを使うことができる。
プレゼンテーションツールをつかって発表資料を作成するような場合は,
特に,次のような点を事前に考え,準備しておくことが必要である。
・ 発表内容の要点
・ タイトル
・ 説明で使う図表・写真
・ スライドを表示しながら口頭で説明する内容の要約
(2)
プレゼンテーションの留意点
プレゼンテーションは,その目的,聞き手の集団としての性格や人数,会場の状態(照明や広
さなど)
,関連機器の制約などにより,その内容や方法は様々であるが,次のことを心がける必要
がある。
① 発表者は聞き手の立場を十分に考える。
② 次に示す三段階を基本に展開を工夫する。
ア 動機付け(導入)……身近にある新鮮な話題でひきつけ,目的を知らせて意欲を喚起する。
イ 本論(展開)…………伝えたい内容を効果的・効率的に展開する。
ウ 確認・強調(結び)…展開した内容を最終的に確認し,重要な部分をさらに強調して終わる。
③ リハーサルを実施し,プレゼンテーションの目的や構成,配布資料の適否,所要時間の確
認や操作方法などの事前に準備してきたことを再検討する。
(3)
表現のテクニック
◎レイアウト
① 「読ませる」より「見せる」
② 1テーマ・1スライド・1タイトル
③ キーワードや箇条書きで
④ 文字のサイズは大きめに(20ポイント以上,文字サイズは3種類まで)
⑤ 色の使い方に工夫を(美しさよりわかりやすさを)
◎背景と文字の色
① 強調したいところだけ色を変える
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第5章
② 色使いのセンス(身近なものからデザイナーの考えた色の組み合わせを参考に)
③ 機器によって変わる(実際に利用する機器で確認を)
3 プレゼンテーションソフト(Power Point)の概要
(1) ウインドウ
メニューバー
ツールバー
スライドペイン
ノートペイン
モード切替ボタン
図形描画ツールバー
(2) Power Pointのウインドウを開く
「Power Point」を起動すると左図のような画面
が表示される。
インスタントウィザード
あらかじめ様々なプレゼンテーションのパターンがあ
り,文字などを変更するだけでプレゼンテーションが
簡単に作成できる。
テンプレート
背景のあるスライドを使用することができる。
新しいプレゼンテーション
自由にレイアウトすることができる。
「新しいプレゼンテーション」を選択すると
左図のような画面が現れる。
タイトル・表・グラフ・テキスト・クリップ
アートなどの配置を選択できる。
「白紙」を選択すると,自由にレイアウトが
できる。
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第5章
(3) スライドの作成
「ワードアートの挿入」
デザイン文字を挿入
「テキストの入力」
文字を入力する。文字はフォント
や大きさ,色などが自由に変更
できる。
「画像のはりつけ」
クリップアートや写真を貼り
つける。
「ハイパーリンク」
インタ−ネット上のWebページ
「次のページ」へリンクするボタンを作成できる。
にリンクができる
それぞれの部品の上にポインタをのせると,十字矢印
に変化し,そこで右クリックをすると右図のような画
面が表示される。
・ 部品の「切り取り」
「コピー」
「貼り付け」等が可
能である。
・ 図形等が重なる場合は,その順序を指定できる。
・ プレゼンテーション実行時のアニメーション効果
を設定できる。
(4) 表やグラフの表示
Microsoft Wordで作成した表や Microsoft Excelで作成したグラフを表示することができる。
ツールバーの「挿入・オブジェクト」をクリックし
ダイログボックスのファイルを選択する。
(5) 全スライドの表示
全スライドを表示することができる。
この画面では,スライドの順序の入れ替えや削除ができる。
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第5章
4 簡単なプレゼンテーションソフトの使い方
新しいプレゼンテーション
(B)をクリック
白紙をクリックして
OKボタンをクリッ
① スタートボタン → プログラム → Microsoft
Power Point で起動
②白紙のテンプレートを作成する場合は左のよ
うな手順
③既存の背景を用いる場合は,テンプレートを
クリックして選択
(1)文字の入力
テキスト枠で文字を入力する場合
図形枠で文字を入力する場合
・ 挿入→テキストボックス→縦書き
又は横書きを選択
・ 図形描画のツールバーからも選択可
テンプレート上にポインタを移動すると
+表示になり,左クリックしながらドラ
ッグすると文字が入力できる枠ができ
る。
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図形描画のツールバー→オートシェイプ
→基本図形から選択
テンプレート上にポインタを移動すると+
表示になり,左クリックしながらドラッグ
すると図形ができる。
図形の上にポインタを移動させると,十字
矢印が表示され,右クリックしてテキスト
の追加を選択
第5章
図形枠の例
テキスト枠の例
・ 図形を指定(サイズ変更ハンドルの付
いた状態)する。
・ 加工したいボタン等をクリックし,加
工(コピー,貼り付け,図形変更,回
転等)をする。
(2)写真の貼り付け
○写真を貼り付ける場合(保存先から)
挿入→図→ファイルからで保存してある場所
を指定して挿入ボタンをクリックする。
○写真を貼り付ける場合(インターネット上から)
① インターネットの写真の上にポインタを
移動し,右クリックしてコピーを選択
② 最小化ボタンを押すか,Power Point を
クリックし,テンプレートを出してポイ
ンタをテンプレート上において右クリ
ックして貼り付けを選択
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第5章
(3)画面切り替え効果の設定
(1) スライド一覧表示モードボタンをクリックする。
(2) 画面切り替え効果を設定するスライドを選択する。
(複数の場合は Shift キーを押しなが
ら選択する。
すべてスライドに適用する場合は,
(4)のダイアログボックスですべてに適用ボ
タンを押す。
)
(3) メニューバーより〔スライドショー〕→〔画面
切り替え〕をクリックする。
(4) 〔画面切り替え〕ダイアログボックスより「効
果」
,
「速さ」
,
「タイミング」
「サウンド」
を設定
し,適用ボタンをクリックする。
(4)アニメーションの設定
5つの部分からでき
ているテンプレート
順番に動きのある表示の仕方を設定する。
① Shift と左クリックで部分をすべて指定す
る。
(枠の周囲に□が表示される。
)
② スライドショー→アニメーションの設定
をクリック
③ 右画面で効果,タイミングを選択
④ アニメーションの順序を設定(部分をクリ
ックして窓右側の↑や↓で)
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第5章
(5)ハイパーリンクの設定の仕方
○ ハイパーリンクはイメージまたはハイパーリンク表示文字列で表され,この部分をユーザーがクリッ
クすると,別の場所へジャンプできます。
○ ハイパーリンクのジャンプ先は,ローカル ハード ディスク,イントラネット,および WWW ペー
ジに代表されるインターネットに対して設定できます。
○ 別の文書,ファイル,または Web ページ 別の Word 文書や Web ページ,PowerPoint プレゼ
ンテーション,または Excel ブックをジャンプ先とするハイパーリンクを挿入できます。
・マウスの左ボタンをおしながら
設定の仕方
・Shift+→キーで
1. ジャンプするための文字,図形等を指定する。
・ 文字の場合は,指定したい文字の範囲を『岐阜県総合教育センター』と反転する。
・ 図形の場合は,指定したい図形を指定する。
・ポインタを図形の上に移動し,十字矢印のマークに変わったら左クリック
2.
挿入→ハイパーリンクで下の図を表示させる。
3.
「ファイル名または Web ページ名」の枠内にジャンプ先のアドレスを入力する。
・ コピーして貼り付け
・ 下の枠内から選択
・ 参照先をクリックして選択
などで入力する。
OK ボタンをクリックして編集画面に戻って終了する。
スライドショーの実行で確認する。
4.
5.
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第5章
(6)保存・印刷
保存する際に,よく使用される形式にはプレゼンテーション形式,Webページ形式,スライ
ドショー形式がある。また,Power Pointがセットアップされていないパソコンでも実行できる
ような機能(プレゼンテーションパック)がある。
ファイルの種類
拡張子
目的
プレゼンテーション
ppt
通常のPowerPoint用のプレゼンテーションとして
使用
スライドショー
pps
プレゼンテーションが常にスライドショートして
開く。
アウトライン/リッチテ rtf
プレゼンテーションのアウトラインをWordな
キスト形式
どのアウトライン文書として使用
Webページ
htm
Webページをhtmファイルとすべてのサポー
html
トファイルの入ったフォルダとして使用
(1) 〔ファイル〕→〔名前を付けて保存〕をク
リックする。
(2) 〔保存〕ダイアログボックスが表示され,
〔保存先〕を指定し,最下部の〔ファイル
の種類〕から選択する。
(3) 〔ファイル名〕を入力する。
文書ファイルのように,表示されたとおりに印刷するだけではなく,発表する内容や注意点な
どを記録しておく発表者用のノートや出席者用の配布資料などを簡単に作成できる。スライド,
配布資料,ノート,アウトライン表示がある。配布資料の場合,1ページあたりのスライド数を
指定することができる。
(1) メニューバーより〔ファイル〕→〔印刷〕をクリックする。
(2) 〔印刷〕ダイアログボックスより〔印刷対象〕を設定し,OKボタンをクリックする。(配
布資料の場合,1ページあたりのスライド数が指定できる。)
【参考文献】
マルチメディアで学校革命 :鈴木敏江 小学館 1996
ベスト!Power Point 97 セラン・エディターズラボ[著] ソフトバンク株式会社 1997
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