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生活排水処理基本計画編

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生活排水処理基本計画編
浜松市一般廃棄物処理基本計画
『生活排水処理基本計画編』
平成 26 年3月
目
次
第 1 章 計画の概要 ··············································· 1
1
2
3
計画の目的 ···························································· 1
計画の内容 ···························································· 2
策定体制 ······························································ 4
第 2 章 生活排水処理の現状 ······································· 5
1
2
3
地域の概況 ···························································· 5
生活排水処理の現状 ···················································· 7
水質の状況 ··························································· 17
第 3 章 生活排水処理の検証 ······································ 19
1
2
3
目標達成状況 ························································· 19
前回計画における行動計画の進捗状況 ··································· 21
生活排水処理に係る課題 ··············································· 23
第 4 章 基本方針等 ·············································· 24
1
2
3
4
基本理念 ····························································· 24
基本方針 ····························································· 24
市民、事業者、市(行政)それぞれの役割 ······························· 25
達成目標等 ··························································· 26
第 5 章 施策の展開と具体的行動 ·································· 30
基本方針 1 水環境改善のための目的意識の共有····························· 30
基本方針2 生活排水による水環境への負荷低減のための取組 ················ 31
基本方針3 くみ取りし尿・浄化槽汚泥の安定的な処理と
強靭なし尿処理体制の確立 ············ 32
第 1 章 計画の概要
1
計画の目的
一般廃棄物*処理基本計画とは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第 6 条第 1 項」に基
づき策定する計画で、生活環境の保全、公衆衛生の向上、資源が循環して利用される社会の
形成を図りつつ、一般廃棄物(ごみと生活排水*)の適正な処理を行うため、市が区域内の処
理計画を中長期的な視点から定めるものです。
浜松市(以下、
「本市」という。)は、平成 17 年 7 月に 12 市町村が合併し、平成 19 年 4 月
に政令指定都市へ移行しました。平成 20 年 3 月に策定した一般廃棄物処理基本計画は、合併
直後に作成したものであり、合併後の施設の統廃合や包括委託への移行等の施策の効果や問
題点が顕在化してきた状況に加えて、し尿処理施設*や下水道*処理施設等の整備や維持管
理・長寿命化計画を策定するなど、生活排水処理行政にまつわる状況が大きく変化している
ことから、このたび浜松市一般廃棄物処理基本計画(生活排水処理基本計画編)の見直しを
行うこととしました。
浜松市総合計画(地方自治法第2条第4項)
基本構想(計画期間 H19∼H26)
都市経営戦略(計画期間(後期)H23∼H26)
戦略計画(各年)
浜松市環境基本計画(環境基本法)
(計画期間 H20∼H26)
浜松市一般廃棄物処理基本計画
[廃棄物の処理及び清掃に関する法律、
水質汚濁防止法]
(計画期間 H26∼H40)
・ごみ処理基本計画
・生活排水処理基本計画
※浜名湖流域生活排水対策推進計画を含む
浜松市一般廃棄物処理実施計画
[廃棄物の処理及び清掃に関する法律]
(各年度)
・ごみ処理計画
・生活排水処理計画
図 1.1
本計画の位置付け
1
2
計画の内容
(1)計画目標年度
本計画は、長期的な展望から本市の生活排水処理行政の方向性を示すものとして、概ね
15 年後の平成 40 年度を目標年度とします。また、中間目標年度を 5 年後の平成 30 年度と
します。
計画目標年度:平成 40 年度
(中間年度
:平成 30 年度)
(2)計画の内容
本計画は、本市における生活排水処理に係る取組の基本的な方向性と目標を設定すると
ともに、市民、事業者、市(行政)におけるそれぞれの役割を明確にし、目標達成のため
の具体的施策を示すものです。
生活排水処理の現状
・地域の概況
・生活排水処理の現状
・水質の状況
生活排水処理の検証
・目標達成状況
・前回計画における行動計画の進捗状況
・生活排水処理に係る課題
基本方針等
・基本理念
・基本方針
・市民、事業者、市(行政)それぞれの役割
・達成目標等
施策の展開と具体的行動
・水環境改善のための目的意識の共有
・生活排水による水環境への負荷低減のための取組
・くみ取りし尿・浄化槽汚泥の安定的な処理と強靭なし尿処理体制の確立
図 1.2
一般廃棄物処理基本計画(生活排水処理編)策定の流れ
2
(3)計画対象地域
本計画の対象地域は、本市全域とします。
図 1.3
計画対象地域
3
3
策定体制
本計画は、環境部 資源廃棄物政策課が事務局となり、庁内関係課が検討を行い、素案を作
成しました。部内会議の調整を経た上で、庁内会議において全体的な内容の確認を行いまし
た。
一般廃棄物処理基本計画の素案に対して、浜松市環境審議会ごみ減量推進部会、浜松市環
境審議会、浜松市議会環境経済委員会、パブリックコメント*等によって、市民・事業者、市
議会、専門家等さまざまな立場の方々よりご審議及びご意見を頂き、最終的に一般廃棄物処
理基本計画としました。
質問
浜松市議会
報告
環境経済委員会
市議会
事務局 環境部 資源廃棄物政策課
庁内会議
構成:庁内関係課
・計画策定の主体
・素案の検討及び計画案の作成
①一般廃棄物処理の現状と課題
②一般廃棄物処理施設の検討及び
将来目標の検討
③一般廃棄物処理基本計画素案の
作成
④一般廃棄物処理基本計画パブリ
ックコメントの回答の作成
審議
浜松市環境審議会
提案
専門家・市民
意見
浜松市環境審議会
報告
ごみ減量推進部会
専門家・市民
部内会議
・環境部内の調整
意見
パブリックコメント
公表
市民・事業者等
図 1.4
計画の策定体制
4
第 2 章 生活排水処理の現状
1
地域の概況
本市は、全7区で構成されており、平成 17 年の市町村の合併により人口は 80 万人を超え、
面積は約 1,558 平方キロメートルとなり、静岡県最大の人口及び面積を有する都市となって
います。
地勢は、北に赤石山系、東に天竜川、南に遠州灘、西に浜名湖と四方を異なる環境に囲ま
れ、豊かな自然に恵まれており、森林面積が約 70%、中山間地と都市部の人口集住エリアが
ある特徴を有しています。
(1)人口
本市の行政人口の推移を表 2.1、図 2.1 に示します。人口は平成 21 年度をピークとして、
それ以降は緩やかな減少に転じています。平成 24 年度の数値は住民基本台帳法の改正を受
け、外国人人口を含めたため見かけ上、人口が増加しています。
世帯数は全体的に増加傾向となっており、核家族化が進んでいる状況となっています。
表 2.1
行政人口及び世帯数の推移
行政人口(人)
世帯数
(世帯)
※3 月末日現在
1 世帯あたり人数
(人/世帯)
平成 20 年度
792,104
298,454
2.65
平成 21 年度
792,446
301,239
2.63
平成 22 年度
792,173
303,968
2.61
平成 23 年度
791,710
306,876
2.58
平成 24 年度
812,762
320,053
2.54
資料:住民基本台帳人口
※平成 20∼23 年度は、外国人を含まない数字、平成 24 年度の行政人口については外国人を含む数字
※各年度末の数字(生活排水処理基本計画編は、下水道の統計資料を使用するため年度末の人口を使用)
人口
(千人)
行政人口
世帯数
(千世帯)
世帯数
1,000
350
800
340
600
330
400
320
200
310
0
300
H20
H21
図 2.1
H22
H23
人口及び世帯数の推移
5
H24
(年度)
(2)気候
本市の平成 20 年度から平成 24 年度における気候の状況を表 2.2、図 2.2 に示します。本
市は面積が広く、様々な自然環境を有しているため、地区によって気候条件が異なります
が、平野部は比較的温暖な気候です。
表 2.2
気候の状況(平成 20∼24 年度の平均値)
降水量(mm)
年月
合計
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1月
2月
3月
日最大
181.9
213.8
265.2
164.2
177.7
173.6
160.0
146.6
70.8
46.3
118.5
133.3
日平均
18.0
14.5
27.8
21.0
44.9
23.6
21.6
28.1
14.8
6.4
10.1
17.9
気温(℃)
平均
日最高
14.4
18.8
22.2
26.2
27.4
24.7
19.4
13.6
8.4
5.4
7.2
10.0
日最低
25.1
28.2
32.0
35.1
35.8
33.3
28.4
23.2
18.6
14.9
19.1
21.1
風速(m/s)
平均
風速
日照時間
(h)
3.5
3.2
2.6
2.5
2.6
2.8
2.8
3.3
4.0
4.3
3.9
4.0
212.5
201.7
135.6
186.5
235.0
186.8
174.4
169.2
201.0
218.4
165.9
201.2
4.6
10.7
14.9
19.4
21.7
16.1
10.8
4.6
0.1
-1.3
-0.6
1.0
資料:気象庁ホームページ(浜松特別地域気象観測所)
※浜松特別地域気象観測所については、平成 24 年 11 月 15 日に中区三組町から中区高丘東に移設しています。
降水量(mm/月)
気温(℃)
500
40
降水量
日平均
日最高
400
日最低
30
300
20
200
10
100
0
0
-10
4月
5月
6月
図 2.2
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
気候の状況(平成 20∼24 年度の平均値)
6
3月
2
生活排水処理の現状
(1)処理形態別人口
本市の処理形態別人口*を表 2.3 に示します。公共下水道の整備範囲が拡充されることに
より、公共下水道処理人口*、公共下水道水洗化人口*が増加しています。合併処理浄化槽*
は、単独処理浄化槽*やくみ取便槽からの設置替えにより若干の増加傾向となっています。
公共下水道水洗化人口及び合併処理浄化槽人口の増加に伴い、汚水衛生処理率*は上昇傾
向となっており、平成 20 年度の 77.2%から平成 24 年度の 81.5%まで、4.3 ポイント*上昇
しています。
表 2.3
区分
単位
処理形態別人口の実績
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
人口
①
人
792,104
792,446
792,173
791,710
812,762
公共下水道処理人口
②
人
601,383
610,876
618,315
622,594
645,115
公共下水道水洗化人口
③
人
555,863
567,779
576,564
581,926
604,813
合併処理浄化槽
④
人
53,202
54,423
54,599
55,529
55,704
単独処理浄化槽
⑤
人
140,630
130,697
124,001
121,655
121,424
農業集落排水*
⑥
人
2,245
2,514
2,216
2,164
2,094
くみ取便槽
⑦
人
40,164
37,033
34,793
30,436
28,727
%
77.2
78.8
80.0
80.8
81.5
汚水衛生処理率※
※汚水衛生処理率:{(③+④+⑥)/ ①}×100
※平成 20∼23 年度は外国人を含まない
※平成 24 年度の行政人口については外国人を含む数字
処理形態別人口
(人)
公共下水道
合併処理浄化槽等
くみ取便槽
汚水衛生処理率
汚水衛生
処理率(%)
単独処理浄化槽
900,000
85
800,000
80
700,000
75
600,000
70
500,000
65
0
400,000
60
H20
H21
H22
H23
H24
(年度)
※合併処理浄化槽等:合併処理浄化槽+農業集落排水
図 2.3
処理形態別人口の動向
7
(2)生活排水の処理の流れ
公共下水道及び公共下水道以外の生活排水処理フローを図 2.4 に示します。
公共下水道
・ 西遠処理区
●公共下水道
・ 中部処理区
・ 湖東処理区
家
庭
トイレ
し
尿
放流(一部再利用)
・ 舘山寺処理区
・ 細江処理区
台所・風呂等
生活雑排水
生産ライン等
事業系排水
処理水
・ 井伊谷処理区
事業所
・ 三ヶ日処理区
汚泥
・ 気田処理区
・ 浦川処理区
・セメント原料化
・溶融スラグ化
・コンポスト化
・ 佐久間処理区
・ 城西処理区
●農業集落排水
放流
農業集落排水
家
庭
事業所
トイレ
台所・風呂等
し
尿
・ 都田処理区
・ 両島処理区
生活雑排水
処理水
・ 落合・石神処理区
汚泥
・ 上市場処理区
●合併処理浄化槽
家
庭
事業所
トイレ
台所・風呂等
し
合併処理浄化槽
尿
生活雑排水
汚泥
処理水
放流
し尿処理施設
汚泥
●単独処理浄化槽
家
庭
事業所
トイレ
台所・風呂等
・ 西部衛生工場
し
単独処理浄化槽
尿
生活雑排水
放流
●くみ取便槽
庭
事業所
トイレ
台所・風呂等
し
くみ取り
尿
未処理放流
生活雑排水
図 2.4
・ 天竜衛生センター
・ 細江し尿処理センター
処理水
未処理放流
家
・ 東部衛生工場
生活排水処理フロー
8
汚泥
処理水
農地還元(肥料)
放流
(3)生活排水処理施設
① 公共下水道
これまでの下水道は、市街地拡大、人口増加、生活様式の高度化に伴う水利用の増加等
を前提として、生活環境の改善、公共用水域の水質保全、市街地の浸水防除等を目的に事
業を推進してきました。しかしながら、少子高齢社会や人口減少の到来、環境保全意識の
高まり等による節水社会への変化等、社会を取り巻く環境が変化してきており、下水道の
整備方針についても大きな転換期を迎えています。
また、地震対策、浸水対策、合流式下水道の改善等、下水道機能の質的向上に関する新
たな取組が急務となっています。
地球温暖化や水、資源、エネルギー問題等の環境問題が深刻化しており、環境負荷を抑
えた循環型社会*への転換が求められる中で、
「浜松市下水道ビジョン」を作成し、効率的
な事業運営と供用開始区域内における接続率*のさらなる向上を目指しています。
表 2.4
施設名称
下水道処理施設の状況と処理主体
処理区域
処理方式
処理能力
(㎥/日)
西遠浄化センター
西遠処理区
標準活性汚泥法
175,000
中部浄化センター
中部処理区
標準活性汚泥法
124,000
湖東浄化センター
湖東処理区
舘山寺浄化センター
舘山寺処理区
気田浄化センター
気田処理区
オキシデーションディッチ法
浦川浄化センター
浦川処理区
オキシデーションディッチ法+急速ろ過法
凝集剤併用型硝化内生脱窒法+
急速ろ過法
凝集剤併用型嫌気‐硝化内生脱
窒法+急速ろ過法
処理主体
静岡県※
2,400
6,000
1,300
800
浜松市
佐久間浄化センター
佐久間処理区
オキシデーションディッチ法+急速ろ過法
1,155
城西浄化センター
城西処理区
膜分離活性汚泥法
1,375
細江浄化センター
細江処理区
井伊谷浄化センター
井伊谷処理区
三ヶ日浄化センター
三ヶ日処理区
凝集剤併用型循環式硝化脱窒法
+急速ろ過法
有機物及び凝集剤併用型循環式
硝化脱窒法+急速ろ過法
凝集剤併用型高度処理オキシデーショ
ンディッチ法+急速ろ過法
※平成 27 年度末に浜松市に移管予定
9
4,800
3,400
1,800
資料:上下水道部資料
図 2.5
公共下水道事業区域(天竜区)
10
資料:上下水道部資料
図 2.6
公共下水道事業区域(天竜区以外)
11
②
農業集落排水
農業振興地域における農業用排水の水質保全、機能維持を図ることを目的に、原則とし
て処理対象人口が概ね 1,000 人以下の規模を対象として計画、施工しています。合併浄化
槽設置整備事業、漁業集落環境整備事業等とともに、下水道類似施設を設置する事業であ
り、供用開始区域において、接続率のさらなる向上を目指しています。
表 2.5
農業集落排水の状況と処理主体
処理施設の種類
農業集落排水
処理区域
都田地区、両島地区、
落合・石神地区、上市場地区
対象となる生活排水
し尿、生活雑排水
処理主体
浜松市
③
浄化槽
下水道整備計画区域外においては合併処理浄化槽への設置替えを要請するため、戸別訪
問を継続するほか、イベント等にも出展し設置替えの啓発を図っています。
単独処理浄化槽は生活雑排水*を未処理で放流するため、生活排水処理施設としては不
完全な施設です。生活排水を適正処理し、汚水衛生処理率を向上させるため合併処理浄化
槽への設置替えを推進する必要があります。
また、浄化槽設置補助金については、申請者全員に交付できるよう予算措置に努めてい
ます。
表 2.6
処理施設の種類
浄化槽の状況と処理主体
処理区域
対象となる生活排水
処理主体
合併処理浄化槽
-
し尿、生活雑排水
個人・事業主等
単独処理浄化槽
-
し尿
個人・事業主等
浄化槽
④
し尿処理施設
くみ取りし尿及び浄化槽汚泥*は現在、市内4ヶ所のし尿処理施設にて処理を行ってい
ます。合併時には5ヶ所あった処理施設を見直し、施設の統廃合を検討した結果、平成
20 年度をもって浜北クリーンセンターを休止しました。また、施設の長寿命化計画を策
定しています。
12
表 2.7
施設名称
し尿処理施設の状況
処理方法
1・2 次
処理能力
S61.3
200 kl/日
放流先
:標準脱窒素処理
高度処理(3 次) :加圧浮上式処理方式、
東部衛生工場
稼働年月
ろ過処理方式、
豊町 30 号排水路
(天竜川)
活性炭吸着
当初は、標準脱窒素処理方式
※平成 17 年に
西部衛生工場
S56.2
下水道放流施設に改修
(改修:H17.2)
400 kl/日
公共下水道
し渣除去後希釈し、公共下水道へ放流
1・2 次
浜北クリーンセンター
:標準脱窒素処理
高度処理(3 次) :凝集分離
H4.9
(H21.3 より
オゾン酸化
休止中)
砂ろ過
1・2 次
アップ施設
(休止中)
:標準脱窒素処理
高度処理(3 次) :凝集分離
天竜衛生センター
災害時のバック
95 kl/日
オゾン酸化
H3.3
70 kl/日
天竜川
H4.3
85 kl/日
都田川
砂ろ過
1・2 次
細江し尿処理センター
:高負荷脱窒素処理
高度処理(3 次) :凝集UF膜分離、
活性炭吸着
⑤
し尿の貯留施設
天竜区内(中山間部)の佐久間町・水窪町・龍山町・春野町において、家庭や事業所等
から収集したくみ取りし尿及び浄化槽汚泥を、各地区に配置した貯留槽に一時貯留し、
10t 車にて効率良く天竜衛生センターへ運搬し、処理をしています。老朽化が進んでい
るため、施設の補修・新設や新たな運搬方法の検討をしています。
表 2.8
貯留槽名
し尿の貯留施設の状況
所在地
築造年
容量(㎥) 敷地面積(㎡)
佐久間貯留槽
天竜区佐久間町中部 12−4
昭和 30 年代
(推定)
100
357.39
水窪貯留槽
天竜区水窪町地頭方 63−4
昭和 46 年
122
641.00
龍山貯留槽
天竜区龍山町戸倉 67−1(借地)
昭和 44 年
春野貯留槽
天竜区春野町宮川 986−4(借地) 昭和 57 年(2 代目)
13
100(推定)
60
55.00
88.77
図 2.7
廃棄物処理施設(生活排水処理施設)配置
14
(4)くみ取りし尿及び浄化槽汚泥の収集量
くみ取りし尿・浄化槽汚泥の処理量を表 2.9 に示します。くみ取りし尿については、水
洗化(公共下水道接続・合併浄化槽への設置替え)や人口減少が進み、減少傾向となってい
ます。
浄化槽汚泥については多少の増減はあるもののほぼ横ばいの状況となっています。下水
道接続人口が増加することにより、浄化槽人口は減少します。一般的に合併処理浄化槽は、
より多くの汚泥が発生するため、設置替えが進むことにより浄化槽汚泥は増加します。ま
た、くみ取便槽から合併処理浄化槽へ設置替えした場合も、浄化槽汚泥は増加します。
表 2.9
くみ取りし尿・浄化槽汚泥の収集量の過去 5 年間の推移
単位:kl
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
22,189.2
20,405.5
18,250.7
16,478.2
15,510.0
浄化槽汚泥
107,639.4
104,454.5
104,100.8
105,282.2
106,394.8
計
129,828.6
124,860.0
122,351.5
121,760.4
121,904.7
くみ取りし尿
※小数第 2 位を四捨五入しているため、合計が合わない場合があります。
くみ取りし尿・
浄化槽汚泥処理量
(kl/年)
くみ取りし尿
浄化槽汚泥
140,000
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
H20
H21
H22
H23
H24
(年度)
図 2.8
くみ取りし尿・浄化槽汚泥処理量の推移
15
(5)くみ取りし尿・浄化槽汚泥の収集体制
くみ取りし尿・浄化槽汚泥については、収集区域を 9 つに区分けし、収集業者に許可を
して収集を行っています。
表 2.10
くみ取りし尿・浄化槽汚泥の収集体制
収集区域
収集業者
中区・東区・南区・西区(旧浜松地域)・北区(旧浜松地域)
(一財)浜松市清掃公社
西区(舞阪・雄踏地域)
(株)ハマエイ
北区(細江地域)
(有)西遠デトリー
北区(引佐地域)
東名興産(有)
北区(三ヶ日東部地域)
東名興産(有)
北区(三ヶ日西部地域)
(有)明治商会
浜北区(浜北地域)
(株)ハマエイ
(株)ハマセイ東海
天竜区(天竜地域)
天竜二俣清掃(株)
天竜区(佐久間・水窪・龍山・春野地域)
(株)ハマエイ
16
3
水質の状況
市内の環境基準点における BOD*(河川)もしくは COD*(湖沼・海域)の状況を表 2.11、
2.12 に示します。平成 24 年度の環境基準達成状況は、佐鳴湖(拓希橋)・浜名湖(湖心)・
浜名湖(猪鼻湖)で環境基準*を達成できていません。
※平成 24 年度の調査結果の詳細は資料編に記載
表 2.11
水域名
市内の環境基準点における BOD・COD の達成状況(平成 24 年度)
観測地点
環境基準
類型
BOD
COD
75%値
(mg/l)
達成状況
天竜川
鹿島橋
河川 AA
1mg/l 以下
-
<0.5
○
天竜川
掛塚橋
河川 AA
1mg/l 以下
-
0.6
○
都田川
落合橋
河川 A
2mg/l 以下
-
1.6
○
伊佐地川
中之谷橋
河川 B
3mg/l 以下
-
1.6
○
新川
志都呂橋
河川 C
5mg/l 以下
-
4.9
○
馬込川
茄子橋
河川 C
5mg/l 以下
-
1.3
○
馬込川
白羽橋
河川 C
5mg/l 以下
-
1.3
○
佐久間ダム
貯水池ダムサイト
湖沼 A
-
3mg/l 以下
3.0
○
佐鳴湖
拓希橋
湖沼 B
-
5mg/l 以下
8.2
×
遠州灘
馬込川沖
海域 A
-
2mg/l 以下
1.1
○
遠州灘
浜名湖沖
海域 A
-
2mg/l 以下
1.0
○
浜名湖
湖心
海域 A
-
2mg/l 以下
2.4
×
浜名湖
塩田
海域 B
-
3mg/l 以下
1.9
○
浜名湖
白洲
海域 B
-
3mg/l 以下
2.6
○
浜名湖
猪鼻湖
海域 B
-
3mg/l 以下
3.2
×
17
また、最近 5 年間の BOD・COD の達成状況を確認すると、佐鳴湖(拓希橋)や浜名湖(湖心)
では基準を満足していない状況が続いています。
新川(志都呂橋)等のように平成 20 年度は基準を超過していたものの、それ以降は水質が
改善した地点もありますが、浜名湖(猪鼻湖)のように、新たに基準超過した地点も確認で
きます。
表 2.12
水域名
環境基準点における最近 5 年間の BOD・COD の達成状況
観測地点
種類
H20
H21
H22
H23
H24
天竜川
鹿島橋
河川 AA
○
○
○
○
○
天竜川
掛塚橋
河川 AA
○
○
○
○
○
都田川
落合橋
河川 A
○
○
○
○
○
伊佐地川
中之谷橋
河川 B
○
○
○
○
○
新川
志都呂橋
河川 C
×
○
○
○
○
馬込川
茄子橋
河川 C
○
○
○
○
○
馬込川
白羽橋
河川 C
○
○
○
○
○
佐久間ダム
貯水池ダムサイト
湖沼 A
○
○
○
○
○
佐鳴湖
拓希橋
湖沼 B
×
×
×
×
×
遠州灘
馬込川沖
海域 A
○
○
○
○
○
遠州灘
浜名湖沖
海域 A
○
○
○
○
○
浜名湖
湖心
海域 A
×
×
×
×
×
浜名湖
塩田
海域 B
○
○
○
○
○
浜名湖
白洲
海域 B
○
○
○
○
○
浜名湖
猪鼻湖
海域 B
○
○
○
×
×
18
第 3 章 生活排水処理の検証
1
目標達成状況
平成 20 年 3 月の一般廃棄物処理基本計画(以下、
「前回計画」という。)では目標年度を定
めて、具体的な数値目標を設定しています。それらの目標達成状況を検証しました。
(1)前回計画の数値目標達成状況
前回計画の汚水衛生処理率の数値目標の達成状況前回計画の処理形態別人口の見通しと
の比較を表 3.1 に示します。また、前回計画の汚水衛生処理率の数値目標の達成状況前回
計画の処理形態別人口の見通しとの比較を表 3.2 に示します。 前回計画では汚水衛生処理
率の数値目標を平成 24 年度では 82%(81.9%)、平成 34 年度では 95%(94.6%)としており、
平成 24 年度の計画は概ね達成した状況となっています。
表 3.1
前回計画の数値目標の達成状況
前回計画
区分
汚水衛生処理率
表 3.2
単位
%
目標
目標
H24
H34
82(81.9)
実績
H24
95(94.6)
81.5
前回計画における処理形態別人口の見通しとの実績値の比較
前回計画
区分
単位
目標
目標
H24
H34
実績
H24
計画処理区域内人口
人
835,500
835,000
812,762
水洗化・生活雑排水処理人口
人
684,202
790,069
662,611
汚水衛生処理率
%
81.9
94.6
81.5
合併処理浄化槽人口
人
76,869
94,141
55,704
下水道 接続人口
人
603,536
690,128
604,813
農業集落排水人口
人
3,797
5,800
2,094
人
127,402
41,278
121,424
人
127,402
41,278
121,424
水洗化・生活雑排水未処理人口
単独処理浄化槽人口
非水洗化人口
人
23,896
3,653
28,727
くみ取りし尿人口
人
23,568
3,622
27,962
自家処理人口
人
328
31
765
19
(2)浜名湖流域の汚水衛生処理率の達成状況
観光・漁業等の各方面において重要な水域である浜名湖について、良好な水質の確保の
ため生活排水対策の推進が特に必要な地域として、水質汚濁防止法に基づき平成 6 年 3 月
に静岡県知事から「浜名湖流域生活排水対策重点地域」に指定されました。
これを受け、本市では浜名湖流域における汚水衛生処理率の目標を基本計画の中で別に
定め、公共下水道や合併処理浄化槽の整備を進めるとともに、未処理の家庭等からの生活
排水による川や湖の汚れを防ぐため、平成 13 年に「川や湖をきれいにする市民会議*」が
設立され、
「水フォーラム」開催による啓発活動等や、市民・事業者・行政の協働による「川
や湖をきれいにする市民運動」を展開し、約 10 年にわたり生活排水対策に取り組みました。
その結果、平成 5 年度の汚水衛生処理率は 45.1%でしたが、平成 24 年度は 79.2%となり、
浜名湖流域における生活排水対策は一定の成果をあげることができました。
汚水衛生処理率の目標と実績を表 3.3 に示します。前回計画では汚水衛生処理率の数値
目標を平成 24 年度では 80%以上、平成 34 年度では 95%としており、平成 24 年度の数値
目標は概ね達成した状況となっています。
表 3.3
区分
汚水衛生処理率
浜名湖流域における汚水衛生処理状況
目標
単位
H24
%
80 以上
実績
H34
H24
95
79.2
静岡県から「浜名湖流域生活排水対策重点地域」に指定された理由のひとつに「浜名湖
流域において汚濁発生源から排出される汚濁負荷のうち、約6割が生活系排水に由来する」
とありましたが、上記数値からもわかるとおり平成 24 年度には浜名湖流域の汚水衛生処理
率が 79.2%となり一定の成果をあげることができたため、今後は、浜松市一般廃棄物処理
基本計画『生活排水処理基本計画編』を「浜名湖流域生活排水対策推進計画」として位置
付けます。
20
2
前回計画における行動計画の進捗状況
(1)みんなが考え、行動する社会づくり
みんなが考え、行動する社会づくりを実現するために、市民一人ひとりが水環境の汚濁
原因となる可能性があることを理解していただき、それを未然に防ぐための方法を実施し
てもらえるよう様々な取組を行ってきました。
本市の委託を受け平成 23 年度まで活動していた「川や湖をきれいにする市民会議」では、
継続的な啓発活動や情報発信に取り組んだ結果、水質浄化や水辺環境の保全に対する市民
の関心や認識が高まり、一定の成果を得ることが出来ました。
また、市民の水環境への関心の度合を把握するため、
「川や湖を守る条例*」の認知度や、
河川や湖沼等の自然環境に配慮した市の取組についての満足度等のアンケート調査(母体
数:約 2,000 世帯)を行いました。
アンケート調査の結果について、表 3.4 及び表 3.5 に示します。
表 3.4
浜松市川や湖を守る条例の認知度
(単位:%)
年度
名称も内容も知っている
名称だけは知っている
知らない
無回答
21
22.7
37.7
37.7
1.9
22
18.6
37.8
42.4
1.3
23
21.4
37.5
38.8
2.3
25(中間報告)
19.4
34.0
44.8
1.8
※平成 24 年度未実施
表 3.5
河川や湖沼等の自然環境に配慮した取組の満足度
(単位:%)
年度
満足
やや満足
どちらともいえない
やや不満
不満
無回答
22
2.5
19.0
54.7
14.6
5.5
3.8
23
3.7
20.3
54.0
13.0
4.7
4.4
24
4.0
20.2
53.4
12.6
6.0
3.8
25(中間報告)
3.7
18.4
58.8
11.1
3.7
4.4
21
(2)環境負荷低減のための処理体制づくり
公共下水道が整備されている区域の接続率を向上するため、専任職員や委託事業による
戸別訪問を計画的に実施し、効果的な啓発に努めました。
浄化槽を利用している住宅等へは、リーフレット・広報誌・市ホームページ等により浄
化槽法に基づく維持管理の啓発を行いました。また、くみ取便槽や単独処理浄化槽を利用
している住宅等へは専任職員による戸別訪問を実施し、合併処理浄化槽へ設置替えを呼び
かけました。
(3)施設の相互連携による処理の最適化
市内に5ヶ所あったし尿処理施設のうち、浜北クリーンセンターを緊急時・災害時のバ
ックアップ施設として位置づけ、平成 20 年度をもって施設を休止しました。また、新たに
1 つの施設を直営から包括運転管理委託にしたことにより、維持管理費の低減化と施設の統
廃合を図ることができました。
(4)持続性のある資源循環型の社会づくり
おおよそ5年に1度見直しが行われる一般廃棄物処理基本計画及び毎年作成される一般
廃棄物処理実施計画により、計画の進捗状況を常に把握して、環境負荷の少ない社会づく
りに取り組んできました。今後も安定した処理機能を確保するとともに、事故や災害時に
おいても処理機能が停止しないよう、市内施設の連携や周辺市町との連携を進めてまいり
ます。
22
3
生活排水処理に係る課題
(1)公共下水道
公共下水道は、効率的な事業運営のため、供用開始区域内のさらなる接続率の向上を目
指しています。今後も、下水道供用開始区域で接続率の低い地区を対象に戸別訪問による
勧奨業務の強化等、接続率向上に向けた取組を行う必要があります。
(2)合併処理浄化槽
公共下水道整備計画区域外の地域において、生活雑排水を未処理のまま放流している、
単独処理浄化槽・くみ取便槽の住宅や施設に対して、合併処理浄化槽への設置替えを推進
する必要があります。
また、合併処理浄化槽の性能を確保するため、保守点検・水質検査・清掃を定期的に行
う必要があることから、今後、浄化槽法に基づく維持管理の指導を強化する必要がありま
す。
(3)し尿処理施設
平成 25 年度現在では、市内 4 つの施設で、くみ取りし尿及び浄化槽汚泥の処理を行って
いますが、いずれの施設も稼働から 20 年以上経過しています。どの施設も予防保全が進ま
ないため老朽化による突発工事が多発化しています。現在、ほぼ横ばいから増加傾向にあ
りますが平成 32 年以降には、くみ取りし尿・浄化槽汚泥の総量が減少していくことが予測
される中で、適切な処理施設の管理を進めるために、地震等の大規模災害を想定し、また、
施設の長寿命化を含めた整備計画を策定していく必要があります。
(4)収集・運搬
くみ取りし尿・浄化槽汚泥については、収集区域を 9 つに区分け収集を行っています。
公共下水道の整備や人口の減少に伴い、くみ取りし尿・浄化槽汚泥の収集量は今後、緩や
かに減少すると考えられますが、収集世帯が減少する状況においても効率的な収集体制を
維持していく必要があります。
(5)水環境
環境基準点における BOD・COD の環境基準達成状況を確認すると、一部の河川で改善は見
られるものの、佐鳴湖(拓希橋)や浜名湖(湖心・猪鼻湖)は依然として環境基準を満足
できていない状況です。
工場や事業所からの排水が規制される状況において、家庭から排出される未処理の生活
雑排水が水質汚濁の原因の一つとなっています。浜名湖や佐鳴湖の水質の改善を図るため、
汚水衛生処理率の向上を図る必要があります。
23
第 4 章 基本方針等
1
基本理念
本市ではこれまでも、市民・事業者・市(行政)の協働*により水環境改善に取り組んでき
ました。しかし、環境基準点における最近 5 年間の BOD・COD の達成状況を確認すると、環境
基準を満足しない地点が存在することから、一層の努力が必要となります。そこで、基本理
念として水環境の改善ための基本的な取組を市民・事業者・市(行政)の協働で推進するこ
ととしました。
『市民・事業者・市(行政)の協働による水環境改善の取組の推進』
2
基本方針
先に示した基本理念の実現のための基本方針を以下に示します。
基本理念 『市民・事業者・市(行政)の協働による水環境改善の取組の推進』
基本方針1:水環境改善のための目的意識の共有
個別施策1:市民団体・自治会等との協働の呼びかけ
個別施策2:広報誌やインターネットを用いた情報発信
基本方針2:生活排水による水環境への負荷低減のための取組
個別施策1:公共下水道の整備と接続率向上のための施策
個別施策2:合併処理浄化槽への設置替えと適正管理の指導
基本方針3:くみ取りし尿・浄化槽汚泥の安定的な処理と強靭な
し尿処理体制の確立
個別施策1:し尿処理施設の性能水準の確保と安定的な処理
個別施策 2:し尿処理施設の長寿命化計画の策定と実施
個別施策3:大規模災害を想定した強靭なし尿処理体制の確立
24
3
市民、事業者、市(行政)それぞれの役割
(1)市民の役割
市民は、家庭から排出される生活排水が、水環境の汚濁原因となっていることを理解し、
可能な限り水環境に悪影響を及ぼさないよう努めなければなりません。公共下水道が整備
されている地域については、公共下水道に接続すること、公共下水道が整備されていない
地域については、合併処理浄化槽を設置することにより生活雑排水による水環境への負荷
を大きく抑制することが可能です。
(2)事業所の役割
事業所も家庭と同様に、水環境の汚濁原因となっていることを理解し、可能な限り水環
境に悪影響を及ぼさないよう努めなければなりません。工場等の大量に水を利用する事業
所については水質汚濁防止法によって規制を受けますが、水質汚濁防止法にかからない作
業所や飲食店等についても、グリストラップ・オイルトラップの設置や適切な維持管理等、
それぞれの対策により、水環境への負荷を低減することが可能です。
(3)市(行政)の役割
市は、一般廃棄物の処理主体として適切な処理体制を整備・維持していく必要がありま
す。将来の人口及び、くみ取りし尿及び浄化槽汚泥処理量の変動を予測し、将来にわたっ
て適切な処理施設の管理や整備計画を立てる必要があります。
また、適切な水環境の維持について、策定・周知・実施にあたっての中心的役割を担う
ことが期待されます。さらに事業者等には直接、指示・依頼できる立場であり、よりよい
循環型社会の形成のための施策が期待されます。
25
4
達成目標等
生活排水処理の基本理念及び基本方針を実行するための指針の一つとして、中間目標年度
及び最終目標年度における数値目標を設定しました。
(1)将来人口の見通し
将来人口の推計結果を表 4.1 及び図 4.1 に示します。
本市の人口は平成 21 年度をピークとして、それ以降は減少傾向となっています。中間目
標年度である平成 30 年度は 790,200 人、最終目標年度である平成 40 年度は 756,300 人に
なると予測されます。
表 4.1
将来人口推計
推計
平成 30 年度
総人口(人)
平成 40 年度
790,200
756,300
人口(千人)
850
825
800
775
中間目標年度
750
725
最終目標年度
700
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H33
H34
H35
H36
H37
H38
H39
H40
(年度)
図 4.1
将来人口の推移
26
(2)将来くみ取りし尿・浄化槽汚泥量の見通し
整備計画における形態別処理人口及び汚水衛生処理率の推移を表 4.2、図 4.2 に示します。
今後計画どおりに整備が行われることによって、公共下水道接続人口及び合併処理浄化槽
人口が進展し、将来の汚水衛生処理率は平成 30 年度で 90.6%、平成 40 年度で 97.0%にな
る見込みです。
表 4.2
整備計画における処理形態別人口の推移
区分
実績
単位
整備計画
平成 24 年度
平成 30 年度
平成 40 年度
計画処理区域内人口
人
812,762
790,200
756,300
水洗化・生活雑排水処理人口
人
662,611
716,070
733,370
汚水衛生処理率
%
81.5
90.6
97.0
合併処理浄化槽人口
人
55,704
92,200
108,670
下水道 接続人口
人
604,813
622,000
623,100
農業集落排水人口
人
2,094
1,870
1,600
人
121,424
55,500
20,000
人
121,424
55,500
20,000
人
28,727
18,630
2,930
人
28,727
18,630
2,930
水洗化・生活雑排水未処理人口
単独処理浄化槽人口
非水洗化人口
くみ取りし尿人口+自家処理人口
処理形態別人口
(人)
公共下水道
合併処理浄化槽等
単独処理浄化槽
H31
H33
H36
くみ取便槽
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H32
H34
H35
H37
H38
H39
H40
(年度)
※合併処理浄化槽等:合併処理浄化槽+農業集落排水
図 4.2
処理形態別人口の変動
27
(3)くみ取りし尿及び浄化槽汚泥の処理量の見通し
先述した将来の形態別処理人口を元に、将来のくみ取りし尿及び浄化槽汚泥の処理量を
推計しました。1人1日あたりのくみ取りし尿及び浄化槽汚泥の発生量*は、過去5年間の
本市の実績より設定しました。なお、本市では合併処理浄化槽と単独処理浄化槽に区分し
て収集していないため、「汚泥再生処理センター等施設整備の計画・設計要領」(社団法人
全国都市清掃会議)に示された合併処理浄化槽と単独処理浄化槽の1人1日あたりの発生
量の比率から推定しました。表 4.3 及び図 4.3 にくみ取りし尿及び浄化槽汚泥の処理量の
見通しを示します。くみ取りし尿及び浄化槽汚泥処理量は、くみ取りし尿量及び単独処理
浄化槽の浄化槽汚泥が減少するものの、1人1日あたりの発生量の大きい合併処理浄化槽
人口が増加することから、大きな減少とはならないものと推計されます。
表 4.3
くみ取りし尿及び浄化槽汚泥の処理量
1人1日あたりの
実績(kL/年)
発生量(l/人・日)
平成 24 年度
1.48
くみ取りし尿量
浄化槽汚泥
合併処理浄化槽
2.58
単独処理浄化槽
1.17
平成 30 年度
15,510.0
106,394.8
-
計
推計(kL/年)
121,904.7
平成 40 年度
10,089.5
1,586.8
86,093.0
101,618.0
23,789.3
8,572.7
119,971.7
111,777.5
※表中では小数第 1 位までの表示のため、合計の計算が合わない場合があります。
くみ取りし尿および浄化槽汚泥処理量
(kl/年)
くみ取便槽
合併処理浄化槽等
単独処理浄化槽
浄化槽汚泥
140,000
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H33
H34
H35
H36
H37
H38
H39
H40
(年度)
※平成 24 年度までは実績値、平成 25 年度より推計値
図 4.3
くみ取りし尿・浄化槽汚泥処理量の将来推計
28
(4)達成目標
将来の人口の動向及び処理形態別人口の推計を踏まえて、本計画における生活排水処理
の数値目標を以下に示します。目標値は現状の公共下水道整備計画等と同様の数字であり、
計画どおりに公共下水道や合併処理浄化槽等の整備を行うことによって達成可能な目標で
あると考えています。
汚水衛生処理率
平成 30 年度(中間目標年度):90.6%
平成 40 年度(最終目標年度):97.0%
29
第 5 章 施策の展開と具体的行動
基本方針1:水環境改善のための目的意識の共有
個別施策1:市民団体・自治会等との協働の呼びかけ
水環境改善のためには、市民・事業者の協力が不可欠となります。そのため、市民団体
や自治会との活動において地域全体として水環境改善のための意識向上を図るよう取り組
みます。また、小学生等を対象にした環境教育教室等を開催して、環境意識の励行を図り
ます。
具体的行動
・水環境に関する意見交換会の開催
・環境教育教室の開催
個別施策2:広報誌やインターネットを用いた情報発信
毎年実施している水質調査結果等を広報誌やインターネット等を用いて情報を発信し、
本市の水環境の現状を市民の皆様に把握してもらい、水環境改善のための取組について理
解と協力を得られるよう取り組みます。
具体的行動
・水質調査結果の公表
・公共下水道の整備状況の公表
30
基本方針2:生活排水による水環境への負荷低減のための取組
個別施策1:公共下水道の整備と接続率向上のための施策
公共下水道整備区域では、計画的かつ効果的な戸別訪問により接続率の向上を図ります。
また、整備予定区域については効果的な整備に努めます。
具体的行動
・公共下水道整備区域については、より計画的かつ効果的な戸別訪問に
より接続を促すよう呼びかける
・“水洗便所改造資金貸付あっ旋及び利子補給”制度の周知を図る
・下水道整備予定区域については、効率的に整備を行う
個別施策2:合併処理浄化槽への設置替えと適正管理の指導
公共下水道整備計画がない地域については、合併処理浄化槽の設置により水環境への負
荷を低減することができます。そのため、公共下水道整備計画がない地域において、くみ
取便槽や単独処理浄化槽を使用している家屋等を対象に、合併処理浄化槽への設置替えを
促します。また、合併浄化槽を使用していても適切な管理がなされていない場合十分な処
理能力が維持されないため、適切な管理を呼びかけます。
具体的行動
・合併処理浄化槽への切り替えを呼びかける
・“浄化槽設置者に対する補助制度”の周知を図る
・浄化槽の保守点検・管理の必要性の周知を図る
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基本方針3:くみ取りし尿・浄化槽汚泥の安定的な処理と強靭なし尿処理体制の確立
個別施策1:し尿処理施設の性能水準の確保と安定的な処理
くみ取りし尿及び浄化槽汚泥を、将来にわたって安定的に処理するために、適切な運転
体制を確立します。そのために、運転管理委託業者の業務の確認や指導等を的確に行なっ
ていきます。
また、性能水準を確保するため、年次計画に基づく維持管理を行ないます。
具体的行動
・運転管理業務委託の業務の確認・指導
・し尿処理施設において安定的な処理をするために、年次計画の策定・
維持管理
・下水道処理施設等のとの連携の検討
個別施策2:し尿処理施設の長寿命化計画の策定と実施
現在は市内4ヶ所の施設で処理を行っていますが、すべての施設において稼働から 20 年
以上経過しており、長期的な整備計画を策定する必要があります。
強靭なし尿処理体制の確立に向けて、施設の長寿命化計画を策定し実施していくことに
より、ライフサイクルコスト*の低減を図ります。
さらに、将来の人口減少を見据える中で、施設の統廃合、汚泥処理の集約化等、施設の
最適化を進めていきます。
具体的行動
・ライフサイクルコストの低減
・長寿命化計画の策定・実施
・将来処理量の推定と処理施設の確保
・施設の統廃合、汚泥処理の集約化など施設の最適化
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個別施策3:大規模災害を想定した強靭なし尿処理体制の確立
平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災では、地震や津波の影響により廃棄物処理施設が
稼働停止になるなど、生活排水処理行政においても大きな影響がありました。本市におい
ても南海トラフ地震等の自然災害が懸念される状況において、災害時等における適正な生
活排水処理の確保が必要となります。現在、休止している浜北クリーンセンターなどを大
規模災害時のバックアップ施設として整備し、下水道処理施設を含むすべてのし尿処理施
設等の運転が不可能となった場合でも、全浜松市民の7日分のくみ取りし尿等を受け入れ
られる容量を保持していく計画です。また、災害発生後も速やかに復旧できるよう予防保
全を実施していきます。そのほか、近隣自治体との緊急時相互受入等の協定や収集業者と
の協定を締結するなどして、強靭なし尿処理体制を確立します。
具体的行動
・生活排水処理施設(し尿処理・下水処理施設等)の強靭化
・災害時計画の策定
・災害時における緊急マニュアルの作成
・近隣自治体との緊急時相互受入等の協定の締結
・収集業者との協定の締結
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