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ドミニカ共和国訪問から実感したこと ~新しい使命感と責任感~

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ドミニカ共和国訪問から実感したこと ~新しい使命感と責任感~
国際青年育成交流事業レポート 西山 敏伸
ドミニカ共和国訪問から実感したこと
~新しい使命感と責任感~
世界同時不況で不安定な経済情勢の中、今年1月
ホームステイでは、友人の
家や教会を訪れ、また塾の授
業見学も行った。
私たち日本人の美徳であ
る「もてなしの心」以上に素
にはハイチで、また2月にもチリで大地震が起こっ
晴らしい心の人々に出会い、
た。また世界各地で数多くの人々が貧困やテロ、紛
感動しないことがない毎日
争等で苦しんでいる。そういったニュースは知識と
であった。現代の日本が失ってしまった素晴らしい
して持っていても、身近なものとして実感すること
部分を今なお持っている国という印象を強く受けた。
はなかった。しかし、昨年9月に内閣府青年国際交
しかし、ドミニカ共和国の抱える問題に出会う場
流事業に参加し、ドミニカ共和国を訪れたことで私
面もあった。ある平日の午後、学校へも行かず町で
自身の中で小さな変化が起きたように思う。
靴磨きをしている少年に出会った。
「なぜ学校へ行か
私はこれまでにオーストラリアやアメリカという
ないのか?」と聞くと、
「母親が病気で亡くなってし
国を旅行で訪れたことはあるが、いずれも豊かな国
まい、学校へ行けない。鉛筆とノートを持たずに学
ばかりで良い部分ばかりを見るだけにとどまり、負
校へ行くと、先生に叱られて家に帰される。だから
の部分を見たり聞いたりすることはなかった。
仕方なく靴磨きをしてお金を稼いでいる」という答
しかし今回の研修では、現地で活躍する日本人や、
えが返ってきたことに私たちは言葉を失った。
日系人の方々、大臣や市長、また副大統領にもお会
私たちがドミニカ共和国で出逢った人々は、携帯
いすることができ、普段の旅行ではお会いできない
電話を使いこなし、彼らが住む都心部では先進国を
ような人々とお話することができた。同時に、色々
思わせるほど発展している。しかし都心を離れると、
な場所を訪れることで数多くの問題を抱えていると
電気も水道も通っていないような町ばかり。私たち
いう実態を知ることもできた。
が出会った少年のように、勉強したくても学校へ行
訪問の目玉は、大学で行われたディスカッション。
けず勉強できない子どもはたくさんいるようだ。
スペイン語を公用語とするドミニカの人たちだが、
現地で活躍する日本人の話では、ドミニカ共和国
彼らの英語力の高さに驚いた。日本人が発言する隙
には義務教育制度もないため、市民のモラルが低く、
を与えないほど活発に意見を述べる彼らの姿に、私
平気で公園や海岸にゴミを捨ててしまうらしい。み
たち日本人はただ圧倒されるばかりであった。そこ
んながそうするから、誰もそのこと自体が悪いこと
でソーラン節を披露するなど、日本文化を紹介する
だと思わない。ドミニカ共和国では、そういった「教
という貴重な経験もすることができた。
育問題」が大きな課題だと言える。
葉巻工場見学や病院視察、小学校訪問なども行い、
研修を終えて、普段日本で暮らしているだけでは
充実した時間を過ごした。そういった経験を通して、
気がつかないことを改めて認識することができた。
私たちが出会ったすべてのドミニカの人が情熱的で
日本は素晴らしい国である。しかしドミニカの人た
親切な人々ばかりだということを感じた。初めて出
ちを見習わなければならない部分も多くある。
会った人々でさえも、満面の笑みで温かいハグやキ
スで出迎えてくれた。また、性別、人種、宗教など
を超え、相手を受け入れようという温かい心で私た
ちをもてなしてくれた。
今後、私が経験した感動を一人でも多くの人に伝
えていくことが私の責任だと感じている。
今回の研修に参加させていただくにあたり、数多
くの方々にご尽力いただいたことに感謝し、今後の
教育活動を充実したものにしていきたい。
「今後の夢は?」と聞かれ私は「世界に誇れる日
本人を一人でも多く育てたい」と答えた。今のこの
気持ちを忘れることなく、教師としての使命を果た
していきたい。
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