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教育学部教育学科日本語教員養成コース 専門科目一覧

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教育学部教育学科日本語教員養成コース 専門科目一覧
■教育学部教育学科日本語教員養成コース 専門科目
系列
科目群
授業科目名
科目
コード
単位数
配当
年次
履修
パターン
日本語教育概論
70113
4
1
S
日本語文法Ⅰ
70213
2
2
S
日本語文法Ⅱ
日本語の文字・表記
70313
70413
2
4
2
2
S
日本語音声学
日本語文法Ⅲ
日本語の語用論
70513
70613
70913
71014
4
4
4
2
2
2
3
3
日本語教育の全体像をつかみ、何を学ばなければならないか、何を目標とするべきか、どのような心
構えで取り組むべきかを学びます。
まず、日本語教育と国語教育の基本的な相違点は何かを確認したうえで、日本語をどこで、どのような
人が学んでいるのか、どのような課題があるのかなど国内外の日本語教育の現状について学びます。
次に日本語を客観的に分析するための基礎的な知識として、言語学的な視点で日本語をとらえる視
点と方法、異文化・異言語接触の最前線で働くために知っておくべき異文化コミュニケーションの基
本、授業を行うためのコース・デザイン、シラバス・デザインの考え方、外国語教授法とはどのようなもの
か、第2言語はどのように習得されるのかなどについて学びます。
さらに、社会とことばの関係、日本語教育の歴史など幅広い視野で日本語ととらえられるようにします。
初級レベルの日本語を教えるのに必要となる日本語の文法について学びます。特に、日本語文法
Ⅰでは、品詞をとりあげ、品詞の文法的特徴やその下位分類などを見ていきます。
日本語を教える際、文法の知識がすべてではありませんが、文法の知識がなければ、単語を規則的
に連結させ、文を作成する指導はできません。
そこで、本科目は、日本語文法の知識と教え方を学習します。具体的には、日本語教育とは何かとい
うことを確認することから始まり、日本語教育で用いる文法とその用語などを整理していきます。日本語
教育現場の実情を踏まえながら、初級文型指導に必要な知識を獲得していきます。
外国人の日本語学習者にとって、日本語の発音はそんなに難しくはないようです。ところが彼らは、
文字・表記は比較にならないほど難しいと言います。文字・表記の「どこが」難しいのでしょうか。あるい
は「何が」難しいのでしょうか。全て漢字の問題なのでしょうか。講義は、漢字・仮名・ローマ字に関する
内閣告示を中心に進める予定です。特に漢字については、その歴史的変遷や六書、字体と書体、音
S 訓、部首など知っておくべき多くの事柄があります。そして、現在の漢字使用の中心は内閣告示「常用
漢字表」です。したがって、それについてのあらましを理解し、把握しておくことは必須であると言える
でしょう。この常用漢字表が、平成22年11月30日に新しく改定されました。タイトルは同じく「常用漢字
表」ですが、それまでの昭和56年のものとの違いを理解することが必要です。平仮名や片仮名につい
てもその歴史的な背景を概観します。戦後、仮名遣いは「歴史的仮名遣い」から「現代仮名遣い」へ大
F
きく転換しました。これは実際の発音を重視した考え方が基礎にあります。いわゆる「現代表記」になっ
たわけです。また、日本語はローマ字を使って書くこともできます。これにはいくつかの方式がありま
す。「漢字仮名交じり文」は実に多彩です。考えてみると、日本語の文字・表記のシステムは、日本語
母語話者にとっても決してやさしいとは言えないのではないでしょうか。日本語教育の観点から、ここで
T しっかりそのシステムを把握するようにしましょう。
必修
8単位
A
を含み
群
18単
位以上
日本語の語彙・意味
科目概要
T
S
T
T
「日本語教員養成コース」の中での科目として、「日本語の語彙・意味」をとらえます。特に、文法事項
や音声・音韻の知識をもって「語彙・意味」の学習に臨むことがこの科目では大切なポイントとなりま
す。
また、たとえば一つの語をみる場合、一つの語とその意味だけをみるのではなく、その語の周辺を幅広
く見渡さなければなりません。その語のもつ様々な「意味」、その語が組み合わさる形式と意味との関
係について、時間をかけ、根気よく考察していくことが「日本語教員養成コース」における「日本語の語
彙・意味」の学習になります。
「日本語音声学」は、以前の「音声学Ⅰ」と「音声学Ⅱ」を統合した科目です。講義は、テキスト「音声
を教える」(ひつじ書房)に沿って進める予定です。
まず前半は、第2章「母音と子音」を中心に講義します。母音、子音、半母音、特殊音素など、一通り
国際音声記号(IPA)を用いて、日本語の音節を説明します。音声記号は、ローマ字と似ていますが全
く別物だと思ったほうが良いでしょう。この音声記号に慣れることが、音声学を学ぶ上でどうしても必要
です。
音声の勉強は、実際に自分の口を動かしながら、自分の耳で、自分の日本語を観察する作業が欠
かせません。ところが、音声学の知識なくしては、これがなかなか難しいのです。そのため、一人での
学習に不安や疑問が生じやすいと思います。スクーリングではそうした日ごろ感じている問題点などを
大いに語り合いましょう。
中級レベルの日本語教育における文法項目の全般について学びます。中級レベルの日本語教育
では、国語教育では問題とならないような文法事項が多く取り上げられますが、日本語教育の未経験
者には何が問題であるかということ自体が把握しにくいかもしれません。国語教育と日本語教育におけ
る文法の扱い方の違い、および類義表現の違いを学び、日本語を母語としない人に対し、文法規則
や意味の違いを簡潔かつ分かりやすく説明できる能力の養成を目指します。
言語学の中で最も意味的な領域を扱う語用論(pragmatics)の基礎知識をもとに、日本語における対
人コミュニケーションのあり方について学びます。人は対人コミュニケーションにおいて、文字通りの言
語形式で表現していることよりももっと豊かな内容を互いにやり取りしています。そこには暗黙のうちに、
コミュニケーションのための高度な約束ごとや思考法が駆使されているのですが、それを改めて客観
的に意識しながら考えていきます。特に後半は、日本語コミュニケーション論の最新のトピックとして
「配慮表現」を取り上げます。例えば、「私もパーティーに参加していいですか」という《許可要求》に対
する応答は「いいですよ」という典型的な《許可》ではなく、「ぜひ参加してください」と《依頼》のように言
うのが日本人らしい配慮表現となるのです。日本語教師をめざす人たちのために、コミュニカティブ・ア
プローチとの関連も学んでいきたいと思います。
日本語史
71113
4
B 4単位
群 以上
日本語の表現
71213
4
1
合
計
44
単
位
以
上
言語学概論
T
2
日本語の歴史に関する知識を深める科目です。
日本語の歴史を学ぶことによって、二つの知識を得ることができます。一つは、現代語に近い言語
ヴァリエーションとしての古代日本語の知識です。もう一つは、現代語体系の歴史的由来についての
知識です。
言語ヴァリエーションとしての古代日本語は、日本語教育で教える現代日本語のルーツであるととも
に、現代日本語と異なってはいるものの、別の言語と捉えることができます。現代日本語の特徴を捉え
るには、それと比較するものがあると捉えやすくなります。「対照言語学」は、日本語と他系統の言語
(英語・中国語など)を比較する科目ですが、「日本語史」は、同系統の言語を比較する科目です。つ
まり、この科目は、外国語としての古代日本語を学ぶ科目ということになります。古代日本語と現代日
本語の特徴を重ね合わせて見ることによって、現代語を複眼的に見る視点が得られます。
また、現代語には、体系・機能という観点からだけで説明することが難しい、さまざまな表現や語が混
在しています。体系や機能による説明努力を放棄する必要はないですが、現代語の歴史的由来を知
ることによって、現代語に見られるさまざまな表現の重層性について、その事情を知ることができます。
日本語史の知識によって、日本語の体系的な説明を補完できるようになるでしょう。さらに、日本語に
どのようなバリエーションがあったか、またどのような方向に変化してきたかを知ることは、現代日本語
に起こっている変化の行く先を予見する視点も得ることになります。
過去の日本語を知ることは、それだけでも知的興味を湧きおこす面もあります。現代語を含め、日本
語に対する尽きない好奇心を広く養ってもらいたいと念願します。
日本語の表現の基礎から一歩すすんで、「文章全体とは何か」を視野に入れながら学んでいく科目
です。言語活動(読む・書く・聞く・話す)の中から、特に書くことを中心に学習しますが、口頭発表・討
議などにおける説得力のある効果的な表現法も学べるテキストを選びました。したがって、「よりよい日
本語表現とは何か」について、総合的に考察を深めることができる学習内容となっています。スクーリン
グでは、文学作品の読解が加わり、より具体的、実践的な授業になります。
S また、母語は無意識のうちに身につけることができますが、日本語学習者は日本語を正しく「話す・聞
く・書く・読む」ための意識的な学習が必要になります。特に文章理解においては、「単語」、「文」、「文
章」の特徴を理解させ、「文法」や「語彙」とともに段階的に分かりやすく説いていかなければ相当困難
なスキルになってしまいます。まずは、日本語教員が文章の仕組みを知り、表現力の向上を図らなけ
ればなりません。
F
教科書には、文章の書き出しと結末、タイトルのつけ方、目に浮かぶような描写の方法、相手が知ら
ないことを手際よく伝える説明の方法、疑問文を使った読み手の惹きつけ方、伏線の張り方などが、調
査報告とともに詳細に述べられています。よく読み、ノートにまとめながら内容を理解していきましょう。
実生活では学術的な口頭発表をする機会は少ないかもしれません。しかし、体験や心境を分かりや
すく伝えたり、あるテーマについて解説したりする機会はたくさんあると思います。そのようなときに活用
T できる知識や技術も学べるので、楽しみながら力をつけていきましょう。
外国人に日本語を教えるためには、日本語を外国語の一つとしてとらえなおすことが必要になりま
す。言語学概論はそのための基礎的な知識を提供します。仮名やローマ字と発音の関係や、外国人
S が苦手とする発音はどのようなものかから始まり、格助詞の用法や動詞の活用、構文の特徴などを客
観的に分析します。
F
日本語学習者の母語は多様ですから、世界の言語に関する知識も不可欠です。韓国語や中国語、
タガログ語やインドネシア語といった近隣諸国の言語、および主要な西欧語の発音や文法構造の基
T 本を学びます。
71313
4
2
異文化コミュニケーション 71613
2
3
F
3
グローバル化によって海外で働く日本人も増えましたが、一方で日本で暮らす外国人も増えました。
S 人の移動は、言語と文化の移動を伴います。日本語教育を考える時にも、幅広く、多角的な視野から
捉えていくことが求められます。この科目では言語政策という視点から、国内国外における言葉と社会
F
T の問題について学びます。
多言語社会と言語政策
社会言語学
71514
71714
2
2
3
世界には多くの文化圏がありますが、この授業では特に英語圏の文化を取り上げます。その理由
S は、受講生の多くが英語を学んでいるので基礎的な知識を持っているからです。 グローバル化の中
で、英語が世界で多く用いられる言語の1つだからです。
T
T
D 8単位
群 以上
第二言語習得理論
対照言語学
71814
71913
4
4
3
3
社会言語学は、特に社会と言語の関係を考える学問で、言語学の下位分野にあたります。言語学が
言語以外の要素をできるだけ排除して、言語そのものを分析しようとする学問だとすれば、社会言語学
はその排除された社会的な側面を中心に持ってきて言語を分析しようとする学問です。具体的には、
話し手の年齢、性、階層、所属する集団の違いによって言語が異なることを扱う「属性とことば」、場面
や状況、話題など会話の環境によって言語が違うことを扱う「言語変種」、生活時間や生活環境の違い
による言語の多様性を扱う「言語生活」、異なる言語変種が社会的・地理的に接触することで言語がど
う変わるかを扱う「言語接触」、地域社会における共通語化と方言の消滅のプロセスや、新しく生まれる
方言形の発生のメカニズムを扱う「言語変化」、言語に対する社会的認識やアイデンティティとの関係
を扱う「言語意識」、言語の習得を言語変種の習得と捉え直しそのメカニズムを追う「言語習得」、言語
をどう整備し普及させるかを扱う「言語計画」です。
大変幅広い分野を扱う学問ですが、私たちにとっては身近な問題を多く含むので、興味を持って学
習を進めていただきたいと思います。
第二言語習得とは、母語以外の言語を習得することですが、その際に誤用は避けられません。かつ
S ては母語と対象言語との違いが誤用を生むと考えられていましたが、さまざまな研究の結果として複雑
な要素が絡んでいることが分かってきました。こうした研究の成果は、習得理論やモデルとして示され
ていますし、習得過程で見られる言語的な特徴は中間言語として位置づけられています。また複数の
F
言語環境で生きることはバイリンガリズムとして研究されています。第二言語として日本語を効果的に
T 教えていくには、こうした知識が不可欠となります。
S
対照言語学は、任意の2つの言語を比較することによって、その相違点や類似点を明らかにすること
を目的とする言語学の一分野です。2つの言語を比べることで、言語の特徴をより深く捉えられ、そこ
から外国語教育に役立つ大きな知見を得ることができます。講義では、対照言語学について、言語学
の基礎、音韻論、統語論、意味論、第二言語習得等の諸分野と絡めて学ぶとともに、中国語と日本
語、英語と日本語の他、受講生の得意な言語と日本語について対照し、それぞれの言語の特徴につ
いて論議し、言語の理解を深めていきます。また、日本語学習者の誤用について具体例を紹介し、母
語の干渉や転移等から分析し、そこから、日本語教育、外国語教育への応用(具体的な指導法)につ
いて考察します。スクーリングにおいては、対照分析(グループ学習)を行なう際、それぞれの学習経
験のある外国語(日本語を母語としない学生の場合は母語)と日本語の比較対照するため、辞書(電
子辞書も可。国語辞典や「英和・和英」「中日・日中」等の外国語辞書)の持参をお勧めします。
言語と心理
日本語教授法Ⅰ
日本語教授法Ⅱ
日本語能力評価法
必修
4単位
E
を含み
群
12単
位以上
日本語教材研究Ⅰ
日本語教材研究Ⅱ
日本語教授法演習Ⅰ
日本語教授法演習Ⅱ
年少者日本語教育
72013
72113
72213
72314
72414
72514
72613
72713
72814
4
2
2
2
2
2
2
2
2
3
3
3
3
4
4
4
4
4
T
T
S
T
S
S
私たちは普段特別に意識することもなく自分の母語を使って、話したり聞いたり読んだり書いたりして
います。生まれてから段階的に、音声を獲得し、語を覚え、文法をマスターし、他人の発する文の意味
や意図を理解することができるようになります。さらに、母語だけでなく外国語を習得することも可能で
す。
このような言語能力を育てるための日本での実践、言語能力を支えるメカニズムや働きについて学
びます。また、発達性読み書き障がいとその支援についても学んでいきます。
日本語教育について、概説的な知識を学びます。日本語教育の歴史背景と現状、代表的な教授
法、異文化間コミュニケーションなどを中心に学びます。テキストの10章は、コースデザイン、シラバス
デザイン、教授法、評価法、授業の実施方法など、日本語教育の現場で応用可能な詳しい情報が記
述されています。日本語教育に関するキーワードの概念を確認したうえで、現場での応用方法を学
び、理論・応用の両面について、バランスのとれた知識の修得を目指します。
メディア授業では、日本語文法の最も基本的なことを学びます。
面接授業では、初級日本語教育のコースデザイン、授業を組み立てる方法とその「練習方法」を中
心に学びます。学習者へのニーズ調査・分析に基づき、コースが運営されることを学習します。特に、
「シラバス」「練習方法」「評価方法」については、受講者全員で具体的に意見交換をしていきます。
「練習方法」では、「話す」練習を中心に考える。日本語教育におけるさまざまな教授法を概観し、その
特徴や利点を観察します。また、多文化社会が進みつつある日本における目的別・対象別の日本語
教育についても概観します。
教育における「評価」とは、教育活動の実態を把握する共に、その改善を第一義とするものです。教
授する側と学習者の双方が、教育目標の達成度を知ることにより、それぞれの教授法、学習方法が適
切であったか、不適切であればどう改善すればよいか、を考える大きな手がかりとなります。
当科目では評価の具体的な一形態である「テスト」を実際に作成しながら、テストが備えるべき条件とは
何か、妥当性と信頼性の高いテストとは何かを考えていきます。
本科目の目的は、日本語教師にとって必要な「教材を分析する力」を身に付けることです。スクーリン
グでは、教材・教具の種類や役割など基礎的事項を学んだ上で、市販教科書を分析し、学習者の
ニーズに合った教科書選びの方法を学習します。また、初級教科書『みんなの日本語』『初級日本語』
の各課の構成や使い方を学ぶとともに、文型や語彙などの学習項目がどのように提示されているかを
比較し、両者の特徴を考えます。さらに、スクーリングの内容を受けて、レポート作成に取り組みます。
この科目では、中級の教材について学習します。まず初級と中級の違いについて学び、その上で中
級教科書『日本語3rdステップ』の各課の構成や使い方、学習項目の洗い出しについて学びます。ま
た、四技能「読む・書く・聞く・話す」のそれぞれに特化した教材を参考にして、新聞記事やテレビ番組
などを使った中級レベルの教材作成に取り組みます。
S
グループで話し合いながら、初級授業の指導案を作成し、その教案をもとに模擬授業を行います。ま
た、他のグループの模擬授業を見学し、授業の進行の様子や良かった点・問題点を授業観察記録に
まとめます。模擬授業終了後は、良かった点・問題点について議論し、どうすればよりよい授業となる
かを考えます。
S
グループで話し合いながら、中級「精読」授業の指導案を作成し、その指導案をもとに模擬授業を行
います。また、他のグループの模擬授業を見学し、授業の進行の様子や良かった点・問題点を授業観
察記録にまとめます。模擬授業終了後は、良かった点・問題点について議論し、どうすればよりよい授
業となるかを考えます。
S
グローバル化に伴って、日本にやってくる外国人の子ども、日本で育つ外国人の子ども、さらに海外
で育った日本人の子どもなど、さまざまな形で日本語指導が必要な子どもたちが増加しています。この
科目ではそうした子どもたちのかかえる諸問題への理解を深めるとともに、適切な指導のあり方をにつ
いて考察します。さらにどのような施策が行われているのか、どのような教材があるのかなどを学びま
す。
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