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北極圏の石油ガス探鉱開発状況 - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報

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北極圏の石油ガス探鉱開発状況 - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報
JOGMEC ロンドン事務所
佐藤 大地
アナリシス
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
はじめに
北極圏とは、ほぼ北極点を中心とした高緯度地方で、太陽の沈まない夏の白夜、また、冬に太陽の昇
らない極夜になる北極線(北緯 6 6 度 3 3 分)以北の地域を指し、荒天、氷・海氷により、石油ガス探鉱に
おいてもチャレンジングな地域と考えられています。
一方で、同地域は、① 探鉱開発技術の発達、② 世界的な経済悪化の影響を受けながらも新興国(BRICs)
などの人口増と経済発展を受けた石油ガス消費量の増加基調と、それに伴う油価の上昇による経済性の
向上期待、③更には地球温暖化の影響とも言われる近年の北極圏の海氷の減少傾向による開発にかかる
自然条件の緩和期待があることなどから、にわかにクローズアップされ始めています。その上、④アメ
リカ地質調査所
(USGS:US Geological Survey)が、2 0 0 0 年に公表した世界の未発見資源量評価プロジェ
クト「World Petroleum Assessment 2 0 0 0」で未評価であった地域の評価を進めた北極圏の未発見資源量
評価プロジェクト「the Circum-Arctic Resource Appraisal(略称:CARA)」(2 0 0 8 年 5 月結果公表)の結
果でも、世界の未発見資源量の天然ガスでは 3 0 %、石油でも 1 3 %と多くの未発見資源量が期待される
地域として、今後の探鉱・開発の進展が注目される地域の一つとなっています。
同地域は、JOGMEC 石油 ・ 天然ガスレビューでも、ロシア北極海の資源ポテンシャルや北極圏 LNG
開発などで、取り上げられていますが、本稿では、USGS の評価概要のおさらい、最新の氷の状況、関
連地域の入札の動き、実際の既存生産企業概況、および、近年の探鉱の動きに焦点を当て、報告するこ
とにしたいと思います。
1. 北極圏の未発見資源量
米国地質調査所による未発見資源量評価概要
① 評価対象と手法
まず、USGS の評価結果を見てみましょう。CARA で
は、北極圏(北緯 6 6.5 6 度以北)の 3km 以上の堆積物があ
る地域を対象に、在来型技術で採取可能な石油ガス資
源 * 1(コールベッドメタン、ガスハイドレートやオイ
ルシェールなどの非在来型資源は含めない)について評
価しており、リスクを加味した資源量の推定をしてい
ます。リスクを加味したというのは、可採埋蔵量が石
油相当で 5,0 0 0 万バレル以上(ガスで 3,0 0 0 万立方フィー
ト)の発見が一つはある可能性が 1 0 %以上あるものを評
価したというものです。この可能性というのは、石油
出所:The USGS Circum-Arctic Resource Appraisal for the work
図1 USGS の未発見資源量推定手法
ガス交渉が成立するための要素として、(1)炭化水素が
集積(根源岩の存在とその熟成が十分である)する可能
時期とトラップ形成時期)が合っている可能性を考え
性、(2)岩石(貯留岩、トラップ、帽岩が存在する)が存
て、それぞれが成立し石油鉱床となる可能性のことで
在する可能性、また、(3)タイミング(炭化水素の移動
す。資源量の評価においては、北極圏は他の地域と異
17 石油・天然ガスレビュー
アナリシス
7 割以上が三つの地域、カラ海を含む西シベリア(6 5 1 兆
立方フィート)、東バレンツ海(3 1 8 兆立方フィート)、
アラスカ北極圏(2 2 1 兆立方フィート)に賦存すると評価
されています。国別に見ても、特にロシアに大きな未
発見ガス資源が賦存するだろうと評価されています。
また、石油についても未発見石油資源量の 7 割以上が五
つの地域、アラスカの北極圏(3 0 0 億バレル)、カナダの
PROBABILITY
(percent)
100
50 ∼ 100
30 ∼ 50
10 ∼ 30
<10
Area of low petroleum potential
出所:The USGS Circum-Arctic Resource Appraisal for the work
マッケンジーデルタ沖合(9 7 億バレル)、東グリーンラ
ンド(8 9 億バレル)、東バレンツ海(7 4 億バレル)、西グ
リーンランド-東カナダ間(7 2 億バレル)に賦存すると
され、ガスほどではないにしろ、これも偏在すると評
価されています。
図2 CARA 評価地域と発見可能性(%)
なり、石油ガスの探鉱が進んでおらず、地震探査データ、
坑井データなどがないか、ほとんどないため、これら
のデータを基に生産シミュレーションして推定する方
法や容積法を基にして推定する方法などはとれません。
そこで、石油ガスの賦存が知られる既存地域の地質や
石油ガス集積状態の類似性を考察し、World Petroleum
Assessment 2 0 0 0 で作成した USGS の既存地域の石油
ガス情報を集めたデータベースを基に、最終的には統
計を用いた確率論的手法であるモンテカルロシミュ
レーションを用いて見積もっています。このデータベー
スは米国を除く既知の石油ガスデータの 9 5 %をカバー
UNDISCOVERED GAS
(trillion cubic feet)
>100
6 ∼ 100
<6
Area not quantitatively assessed
Area of low petroleum potential
出所:The USGS Circum-Arctic Resource Appraisal for the work
図3 CARA の北極圏の未発見ガス資源量
すると言われています。また、本評価では経済性は考
慮されておらず、厚い氷に覆われた地域も含めての評
価となっています。
②評価結果概要
USGS が CARA で評価した 3 3 地方のうち、2 5 地方で
発見可能性が 1 0 %以上と評価され、資源量まで推定さ
れました。あとの 8 地域は発見可能性が 1 0 %未満で資源
量は推定されていません。資源量評価では石油、天然ガ
ス、
天然ガス液に区分され、
それぞれ約90億バレル、1,670
兆立方フィート、4 4 0 億バレルと推定され、そのほとん
どが水深 5 0 0m 以浅の海域にあると評価されています。
これは、石油で見ると世界全域の未発見資源量の 1 3 %、
天然ガスでは同じく 3 0 %にあたります。
北極圏ではガス資源量が石油資源量の 3 倍と、ガスに
より大きな資源の賦存する可能性があると評価されまし
た。
この未発見ガス資源量も賦存期待地域に偏りがあり、
UNDISCOVERED OIL
(billion barrels)
>10
1 ∼ 10
<1
Area not quantitatively assessed
Area of low petroleum potential
出所:The USGS Circum-Arctic Resource Appraisal for the work
図4 CARA の北極圏の未発見石油資源量
2010.3 Vol.44 No.2 18
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
2. 北極圏の氷
近年の北極圏の氷の状況
に覆われていません。これは、大きくは海流の影響によ
① 氷が発達する時期
るものと考えられ、南の比較的暖かい海水を運んでくる
北極圏の探鉱開発作業、特に海洋での作業では、氷の
地域に氷の発達が少なく、また、河川の流れ込む地域で
状態を常に把握しておくことが安全かつ低コストに作業
も氷の発達が抑えられているように見えます。一方、海
を進めるのには必要です。北極圏の氷の発達状況を見て
氷が南方向にどれくらい広がるのかを見てみましょう。
みると、通年では 9 月ごろ氷が海を覆う面積が最も小さ
冬季は大西洋ではグリーンランド東岸、カナダ北東部の
くなり、逆に 2 月から 3 月にかけて最も氷が海を覆う面
ラブラドル沿岸(Labrador)、太平洋側では、ベーリン
積が大きくなります(図5)
。北極圏での作業は氷が発達
グ海ならびにサハリンからオホーツク海まで海氷が広
する時期に影響され、海洋での調査などは氷の発達の少
がっています。これらの地域では流氷などへの対策を立
ない時期に限られます。これは場所、その年の氷の発達
てないと開発を進めることができません。
状 況、 装 備・ 作 業 体 制 に も 左 右 さ れ ま す が、 例 え ば
2 0 0 8 年のグリーンランドの海洋でのある調査では、7
月から 1 1 月ごろを作業期間と見積もり、おおむね順調
に作業ができたようですが、
2009年は氷の影響が大きく、
冬季の海氷状況 (2009/3/10)
ヨーロッパ
ヨーロッパ
北大西洋
北大西洋
ユーラシア大陸
しんちょく
作業が予定どおり進捗しなかったとも聞いています。
夏季の海氷状況 (2009/9/20)
ノルウェー海
スカンジナビア
グリーンランド海
グリーンランド
ラブラドル
ラプラドル海
スカンジナビア
カラ海
氷
カラ海
北極海
カナダ
ラプテフ海
東シベリア海
北米大陸
ロシア
ラプテフ海
ボーフォート海
チュクチ海
北極海
東シベリア海
アメリカ
カナダ
ボーフォート海
アメリカ
チュクチ海
アラスカ
アラスカ
ベーリング海
ベーリング海
オホーツク海
オホーツク海
太平洋
太平洋
出所:宇宙航空研究開発機構(JAXA)提供(一部加筆)
北極圏の夏季と冬季の海氷状況
図6 (白色の部分)
出所:National Snow and Ice Data Center のホームページより
図5 北極海における海氷面積の年間変化
② 氷が発達する地域
一概に北極圏といっても、氷が発達する地域とあまり
発達しない地域があります。
人工衛星による北極圏の海氷のデータが取得されてい
ます。図 6 は、北極海の海氷の発達を示すように処理さ
れ た 人 工 衛 星 画 像 で す。 ロ シ ア の ノ バ ヤ ゼ ム リ ャ
(Novaya Zemlya)
島から西のバレンツ海は氷が発達する
出所:Norsk Polar Institute のホームページより
冬季においてもほとんどの海域が海氷に覆われていませ
ん。また、氷の少ない夏季では、ロシアのシベリアの北
に位置する海域からアラスカの北側の海域にかけても氷
19 石油・天然ガスレビュー
ラプラドル海
ノバヤゼムリャ
グリーンランド
ロシア
ラブラドル
グリーンランド海
バレンツ海
グリーンランド
バレンツ海
ノバヤゼムリャ
ノルウェー海
図7 北極圏の海流
アナリシス
③ 海氷面積の経年変化
北極圏の海氷が減少しているとよく言われるように
なってきています。どれくらいの割合でどの地域の海氷
が減少してきているのでしょうか?同じく人工衛星デー
タから見てみましょう。図5でも 2 0 0 9 年の海氷面積が
1 9 7 9 年~ 2 0 0 0 年の平均、1 9 7 9 年~ 2 0 0 9 年の平均に
比べて狭くなっているのが分かります。図8は 1 9 7 9 年
から 2 0 0 9 年までの 1 2 月時点の海氷面積の変化をグラフ
にとったものですが、隔年のばらつきはあるものの、減
少傾向にあることが分かります。
この傾向を見てみると、
およそ年に 3.3 %の割合で海氷面積が減少しているとの
出所:National Snow and Ice Data Center のホームページより
ことです。
図9は、2 0 0 3 年~ 2 0 0 8 年の夏季と冬季の実際の海氷
北極圏の海氷面積の変化
図8 (1979 年~ 2009 年)
面積の変化を衛星画像で見たものです。ここでも各年の
海氷の発達にばらつきが見られますが、夏季ではグリー
ンランド・カナダ側よりロシ
アの沖からバレンツ海にかけ
海氷の少ない夏季の変化(左から2003年∼2008年9月20日)
ての地域で年による海氷発達
2003年
2004年
2005年
氷
2006年
の違いが大きいように思われ
2007年
2008年
ユーラシア大陸
ます。また、冬季は氷の南限
域であるオホーツク海、ベー
リング海、グリーンランド南
部で年による海氷発達の違い
海氷の多い冬季の変化(左から2003年∼2008年3月10日)
が大きいように思われます。
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
詳しく見ると海氷の厚さや流
れてくる氷山の数が大きさな
どさまざまな違いがあります
が、ここでは海氷面積を見て
出所:宇宙航空研究開発機構(JAXA)提供(一部加筆)
みました。
北極圏の海氷面積の変化図
図9 (1979 年~ 2008 年)
3. 油ガス田概況
ここまでは、北極圏でこれから発見される可能性のあ
の大部分は陸域で発見されており、2 8 4 が発見され、こ
る石油ガスとそれを取り巻く自然環境の変化として海氷
れは全体の約 7 割を占めます。また、油ガスが発見され
の状況変化を見てきました。次に、これまでの石油ガス
たのは、ロシア、カナダ、アメリカ、ノルウェーの 4 カ
の探鉱開発状況について見てみましょう。
国となっています。油田・ガス田ともその多くはロシア
で発見され、特にロシア陸域は西シベリア北部やティマ
(1)
油ガス田数
ンペチョラ北部とそれらの北延長海域で多く、次にカナ
北極圏全域の石油ガス発見数
ダとなります。また、海での発見が最も多いのはカナダ
北極圏全域での油ガス田発見数は 4 0 0 を超えます。そ
です。
2010.3 Vol.44 No.2 20
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
北極圏で埋蔵量規模の大きい油ガス田を石油換算で上
占める割合は 7 0 %を超えます。すなわち、既発見埋蔵
位 2 0 までを並べてみると、このうち 1 5 がガス田、五つ
量においても北極圏はガスの賦存割合が大きいというこ
が油田です。また、国別では 1 7 がロシア、あと三つは
とが言えます。ただ、これは石油の埋蔵量が小さいとい
アメリカにあります。
うわけではなく、例えば、ロシアでは、石油の既発見可
採埋蔵量の約 9 %が北極圏の占める割合ですが、これは、
230億バレルと決して小さい数字ではありません。また、
総数:
409
ロシア: 230
カナダ:
85
アメリカ:
62
ノルウェー: 32
世界の油ガス田の可採埋蔵量の上位 2 5 のなかにも北極
圏の油ガス田は四つ(ガス田 3、油田1)入っており、北
(IHSデータより)
極圏の油田についても、小さいものしか期待できないと
いうわけではないと思います。
アメリカの北極圏の既発見可採埋蔵量
ガス
6,760
ロシアの北極圏の既発見可採埋蔵量
天然ガス液
938
天然ガス液
9,017
Total= 272,992 MMboe
Total= 29,825 MMboe
北極圏の既発見可採埋蔵量
石油
22,128
天然ガス液
10,202
ガス
240,900
石油
47,323
各国の割合
ロシア
88%
アメリカ
10%
カナダ
2%
ノルウェー ∼1%
Total= 311,694 MMboe
ガス
254,170
カナダの北極圏の既発見可採埋蔵量
天然ガス液
86
(IHSデータより、MMboe比較)
ノルウェーの北極圏の既発見可採埋蔵量
天然ガス液
161
石油
1,811
図10 北極圏に分布する油ガス田分布図
(スバールバル諸島含む)
石油
308
Total= 2,515 MMboe
Total= 6,358 MMboe
ガス
4,461
出所:the USGS Circum-Arctic Resource Appraisal for the work
石油
23,076
ガス
2,049
単位:石 油(MMbbl)、 ガ ス(MMboe)、 天 然 ガ ス 液(MMbbl) で
2P の可採埋蔵量
出所:IHSE データなどより作成
図12 北極圏の既発見石油ガス可採埋蔵量
出所:IHSE データより作成
150,000
Bovanenkovskoye ロシア
Prudhoe Bay アメリカ
陸海域
6%
Yamburgskoye ロシア
陸域
69%
200,000
可採埋蔵量 (MMboe)
海域
25%
100,000
50,000
図11 北極圏の発見油ガス田数
0
0
5
10
15
油田
ガス田
北極圏 の油田
北極圏 のガス田
Zapolyarnoye ロシア
総 数:409
陸 域:284
陸海域: 24
海 域:101
20
25
可採埋蔵量順
(2)
可採埋蔵量
(2P* 2 ベース以下同じ)
北極圏に分布する石油ガスの既発見可採埋蔵量
一方、既発見埋蔵量はどうでしょうか。北極圏全体で
出所:IHSE データより作成
世界の油ガス田可採埋蔵量上位 25 での
図13 北極圏にある油ガス田
は、石油換算で 3,1 1 7 億バレルの可採埋蔵量と見積もら
れ、その約 8 2 %がガス、1 5 %が油で、あと 3 %が天然ガ
ス液です、圧倒的にガスの発見が多くなっています。逆
(3)北極圏の主要油ガス田
にアメリカでは、既発見炭化水素に占める石油の割合は
①北極圏の主要油田
約 7 5 %にもなります。他の 2 カ国ではロシア同様ガスの
Prudhoe Bay 油田(1 9 6 8 年発見):北極圏で発見され
21 石油・天然ガスレビュー
アナリシス
ている油田のうち最大のもので、アメリカ北部アラスカ
に Gazprom は Achimov 貯留層からの生産テストを開始
のノーススロープの陸域から海域に位置します。面積は
しました。引き続いて同層から 2 0 0 8 年 1 1 月 1 2 日には
7 6.3 km 。オペレーターは BP で、各社の権益比率は BP
商業生産を開始しています。また、2 0 0 9 年 1 1 月 1 2 日
2 6.3 6 %、ExxonMobil3 6.4 %、ConocoPhillips 3 6.0 8 %、
の Gazprom 発表ではマネジメント委員会で承認された
Chevron 1.1 6 %とメジャー各社が参加しています。可採
投 資 計 画 案 に は、Urengoyskoye ガ ス 田 の Zapadno-
埋蔵量は油で 1 4 3 億バレルあまり、ガスで 1 9.7 兆立方
Pestsovaya 地域の開発前作業が含まれているというこ
フィートにのぼり、1 9 7 7 年に生産開始され、現在も生
とです。また、海域で最大のガス田である Shtokman ガ
産中です。累積生産量は油で 1 1 2.3 億バレル(2 0 0 8 年)、
ス田の開発前作業も同計画案に含まれているということ
2 0 0 8 年の年間生産量は油で 1 億 8 0 0 万バレル、ガスが
です。
2
2 7 億立方フィートでした。生産開始時に油の原始埋蔵
量250億バレルの40%が回収されると期待されましたが、
今日では技術の進展により回収率 6 0 %以上が期待され
ています。また、近傍にも多くの油ガス田が見つかって
います。
Urengoyskoyeガス田
出所:IHSE より(一部加筆)
北極圏で最大のガス田:
図15 Urengoyskoye ガス田(東シベリア)
Aurora
Polaris
Orion
Midnight Sun
Borealis
Prudhoe bay
(4)北極圏のプレーヤー
①北極圏の操業会社(オペレーター)
出所:IHSE と BP リーフレットより作成
北極圏で活動している会社のうち、オペレーターとし
北極圏で最大の油田:
図14 Prudhoe Bay 油ガス田(アラスカ)
て活動している会社は、80社近くになります。このうち、
主 だ っ た 会 社 と し て、 可 採 埋 蔵 量 の 上 位 1 0 社 は、
Gazprom、BP、Ministry of Natural Resources Russian
Federation and Komi Republic(MNR)* 3 、Lukoil、
②北極圏の主要ガス田
Statoil(STAT HYD P)
、ConocoPhillips(COP)
、RD
Urengoyskoye ガス田(1 9 6 6 年発見)
:北極圏で発見
S h e l l(S H E L L)、P e t r o - C a n a d a(P E T R O C A N)、
されているガス田のうち最大のもので、ロシア ・ 西シベ
Naryanmarneftegaz JV(NARYAN MNG)
、ExxonMobil
リア北部の陸域に位置します。面積は 2,4 0 4.6 km 。オ
(XOM)です。また、発見数上位 1 0 社に入っていますが、
ペレーターは Gazprom で、1 0 0 %の権益を持っています。
可採埋蔵量上位 1 0 社から漏れているのは、Imperial Oil
可採埋蔵量は、油で 1 0 億バレル、ガスで 3 8 1.6 兆立方
Resources Ltd(IMPERIAL)と Rusvietpetro(RUSVIET
フィート、天然ガス液 3 8.9 億バレルで、1 9 7 7 年に生産
PT)です。またそれぞれで 1 0 位には入りませんが、主
開始され、現在も生産中です。累積生産量は油で 0.7 億
な 企 業 と し て は、Rosneft、Eni、Devon、Suncor
バレル、ガスで 1 8 0 兆立方フィート、天然ガス液で 5.7
Energy Inc(SUNCOR)、Chevron などがあり、北極圏
億バレル
(2 0 0 7 年)
。2 0 0 7 年の年間生産量は油で 3 3 0 万
での操業プロジェクトを持っています。このなかで日本
バレル、ガスで 4.7 兆立方フィート、天然ガス液で 2,8 4 0
人にあまりなじみのない会社である NARYAN MNG は
万バレルでした。
Lukoil と COP との JV 会社(それぞれ持ち分 7 0 %、3 0 %)
同ガス田の開発は今も続いており、2 0 0 8 年 7 月 1 5 日
で、RusViet は ロ シ ア の 独 立 系 石 油 企 業 で あ る
2
2010.3 Vol.44 No.2 22
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
ZarubezhneftとベトナムのPetroVietnamとのJV会社(そ
れぞれ持ち分 5 1 %、4 9 %)
です。
北極圏の会社別発見数上位
会社(略称)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
北極圏の会社別埋蔵量上位
発見数 埋蔵量
(MMboe)
MNR
COP
BP
GAZPROM
IMPERIAL
LukOil
PETROCAN
STAT HYD P
NARYAN MNG
RUSVIET PT
60
29
27
27
24
18
17
17
15
13
17,421
6,195
29,944
195,033
1,183
7,127
2,859
1,785
2,357
591
会社(略称)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
発見数 埋蔵量
(MMboe)
GAZPROM
BP
MNR
LukOil
COP
SHELL
PETROCAN
NARYAN MNG
STAT HYD P
XOM
27
27
60
18
29
11
17
15
17
2
195,033
29,944
17,421
7,127
6,195
3,454
2,859
2,357
1,785
1,535
赤は発見数上位10に入る会社。
MNRはMNRロシア、MNRコミ共和国を含む。
Petro-Canadaは2009年8月Suncorに買収統合されているが、ここでは統合前として扱う。
また、ごく一部ではあるがJVにつては、参加会社で重複して計算。
出所:IHSE データより作成
北極圏の会社別油ガス田
図16 発見数と可採埋蔵量(2P)
Chukchi
E.Siberian
Sea
Laptev
Canadian
Sea
Beaufort
Arctic Islands
Amerasia
Basin
Eurasia
Basin
Greenland
North Kara
South Kara
Barents Sea
Production
Discovery
Exploration
BP/Rosneft regional 2D seismic
出所:BP ホームページより
図17 BP の北極圏周辺プロジェクト
②生産プロジェクトを持つ北極圏の操業会社
に積極的な企業の一つです。
北極圏で 2 0 0 9 年 1 1 月の情報で、生産中のプロジェク
同 4 位の Lukoil には 1 8 の発見があり、総可採埋蔵量
トを持つ会社を可採埋蔵量上位 1 0 社から何社か見てみ
は 7 1 億バレルで、すべて西シベリア、ティマンペチョ
ましょう。なお、以下の地域でいう西シベリア、ティマ
ラ地域に分布します。西シベリアの Salekaptskoye 油田
ンペチョラは北方海域を含めています。
は、陸域から海域に位置しますが、他のプロジェクトは
まず、可採埋蔵量ベースで 1 位の Gazprom には 2 7 の
すべて陸域です。生産中のプロジェクトは、九つの陸上
発見があり、総可採埋蔵量は 1,9 5 0 億バレル(石油換算、
油ガス田で、西シベリアの Nakhodkinskoye ガス田以外
以下同じ)で、すべてティマンペチョラ地域に分布し、
は、ティマンペチョラに位置します。ティマンペチョラ
陸域、海域のプロジェクトがあります。このうち、生産
の Kharyaginskoye 油田の Total との操業など、生産プ
中のプロジェクトは五つで、いずれも西シベリア陸上に
ロジェクトは単独操業の形をとるものはありません。
位置したガス田です。また、Shtokman ガス田は同社の
同 5 位の COP には 2 9 の発見があり、総可採埋蔵量は
1 0 0 %子会社である Sevmorneftegaz を操業会社として
6 2 億バレルで、カナダとアメリカに分布します。カナ
おり、これは既述の数字には入れていません。
ダではマッケンジーデルタに海域八つを含む10プロジェ
同 2 位の BP には 2 7 の発見があり、総可採埋蔵量は
クトがあり、アメリカではアラスカのノーススロープで
2 9 9 億バレルで、カナダとアメリカに位置します。アラ
海域と陸から海域にまたがる計二つを含む 1 9 プロジェ
スカのノーススロープでは 1 3、カナダでは、マッケン
クトがあります。生産中のプロジェクトは七つで、いず
ジーデルタとパリー(Parry)諸島域に 1 4 の油ガス田が
れもノーススロープにあり、陸から海域に延びる一つと
あります。このうち生産プロジェクトは、アラスカの陸
六つの陸域で油を生産しています。
海にある 1 3 の油田のうち、評価中の一つ、一時生産停
同 8 位の NARYAN MNG には 1 5 の発見があり、総可
止中の二つを除き、既述の Prudhoe Bay 油田を含む 1 0
採埋蔵量は 2 4 億バレルで、いずれもロシアのティマン
油田です。このうち、陸上油田が三つ、陸から海域に広
ペ チ ョ ラ 地 域 に 位 置 し ま す。 陸 域 か ら 海 に 広 が る
がる油田が三つ、海域の油田が四つになります。海域の
Medynskoye 油田以外は陸域に位置します。生産プロ
油田は水深 3 ~ 1 0m、最大 2 0m の比較的浅い海に位置
ジェクトは Khylchuyuskoye Yuzhnoye 油田(可採埋蔵量
しています。BP は 1 9 5 9 年にアラスカに事務所を開く
5億3,600万バレル)を筆頭に四つの陸上油田があります。
など比較的早くから北極圏での探鉱を進めてきていま
また、生産プロジェクトはありませんが、可採埋蔵量
す。このうちアラスカは BP の資源供給地として 2 番目
ベースで 1 0 位に入ったそのほかの会社を簡単に見てみ
の位置を占めるとされます。また、2 0 1 0 年 1 月でも BP
ましょう。可採埋蔵量ベースで 3 位に入る MNR は 6 0 の
の CEO である Tony Hayward のロシアの北極圏資源へ
発見がありますが、生産プロジェクトはありません。す
のアプローチに積極的な発言が伝えられるなど、北極圏
べてロシア国内で東西シベリア、ティマンペチョラ地域
23 石油・天然ガスレビュー
アナリシス
などに広い地域で油ガス田を持っています。このうち、
クトを持つ操業会社は、オホーツク海 サハリンで、サ
二つは一時的に生産停止の油ガス田です。そのほか、別
ハリン I、II のプロジェクト以外では Rosneft があります。
に開発中のプロジェクトが 1 2 あります。
同社は Odoptu-More Severnoye 油田(1 9 7 0 年発見、可
同 6 位に入る SHELL も北極圏では生産プロジェクト
採埋蔵量 3,7 0 0 万バレル、水深最大 3 0m)で生産してい
はありません。ただ、氷海となる北極圏と同様厳しい環
ます。また、カナダ東部沖では XOM が、Hibernia 油田
境のサハリンで、サハリン II プロジェクトで生産してい
(1 9 7 9 年 発 見、 可 採 埋 蔵 量 1 6.3 億 バ レ ル、 水 深 最 大
ます。北極圏では 1 1 の発見があり、総可採埋蔵量は 3 5
8 0m、1 9 9 7 年 1 1 月生産開始)を含む五つの油ガス田で
億バレルで、カナダ マッケンジーデルタ アラスカノー
生産中です。そのほかに同地域では Husky、Suncor が
ススロープに分布します。カナダでは海域から陸域の一
あり、Husky の White Rose 油田(1 9 8 5 年発見、可採埋
つを含む九つのプロジェクト、アラスカ ノーススロー
蔵量 8 億 3,4 0 0 万バレル、水深最大 1 2 2m、2 0 0 5 年 1 1
プ海域の二つのプロジェクトで操業会社となっていま
月生産開始)、Suncor の Terra Nova 油田(1 9 8 4 年発見、
す。
可採埋蔵量 4 億 3,3 0 0 万バレル、水深最大 9 5m、2 0 0 2
同 7 位の Petro-Canada
*4
には 1 7 の発見があり、総可
年 1 月生産開始)で生産中です。
採埋蔵量は 2 9 億バレルで、カナダ マッケンジーデルタ
の一つ以外はパリー諸島域に位置します。パリー諸島の
島に位置する Bent Horn 油田(1 9 7 4 年発見、可採埋蔵量
6 0 0 万バレル)は 1 9 8 5 年 7 月に生産開始されましたが、
現在は一時生産停止中です。
同 9 位の STAT HYD P には 1 7 の発見があり、総可採
埋蔵量は 1 8 億バレルで、ノルウェーのバレンツ海とノ
ルウェー海に位置します。バレンツ海の Snohvit ガス田
(1 9 8 4 年 発 見、 可 採 埋 蔵 量 6 億 9,5 0 0 万 バ レ ル、 水 深
3 3 5m)は 2 0 0 7 年 9 月に生産開始されましたが、現在は
一時生産停止中です。
同 1 0 位の XOM は二つの発見があり、総可採埋蔵量
は 1 5 億バレルで、ともにアラスカ ノーススロープ地域
に位置します。これらは評価中であり、生産油ガス田は
ありません。しかし、XOM には氷海となる北極圏と同
様の厳しい環境のサハリンのサハリン I プロジェクト、
カナダ東部沖での生産プロジェクトがあります。
③その他氷海で生産プロジェクトを持つ操業会社
北極圏以外で氷海になる地域としては、
オホーツク海、
カナダ東部沖があります。これらの海域で生産プロジェ
出所:ExxonMobil リーフレットより
ExxonMobil の北極圏周辺プ
図18 ロジェクト
4. 近年の探鉱・開発状況
(1)
入札関係
あたるバフィン湾が 2 0 0 9 年に Baffin Bay 入札ラウンド
北極圏で予定される最近の入札情報
(2 0 1 0 年 1 月現在)
2 0 1 0 として正式にアナウンスされました。入札締め切り
2 0 1 0 年 1 月現在で公表されている北極圏の入札情報
は、2 0 1 0 年 5 月 1 日、各鉱区面積 8,2 0 0 ~ 1 万 5,0 0 0km2
のうち、終了年月が 2 0 1 0 年 3 月以降のものを表 1 に示
で計 1 4 鉱区総面積 1 5 万 1,3 5 8km2 を対象にしています。
しました。グリーンランドでカナダとの間の海域北部に
グリーンランドの入札ラウンドは 2 0 0 6/2 0 0 7 年にこの
2010.3 Vol.44 No.2 24
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
南接する DiscoWest 地域で行われたのに続くものです
そのほかロシアのティマンペチョラ陸域においても
が、その間にはグリーンランド南部海域のオープン地域
Auction 2 Mar 2 0 1 0 や Auction 3 Mar 2 0 1 0 など 2 0 1 0 年
で四つの鉱区が付与されています。また、グリーンラン
1 月から 2 月の締め切り予定で入札が行われています。
ド東側のグリーンランド海域においても詳細はアナウン
スされていませんが、2 0 1 3 年には入札が行われる予定
とのことです。
また、北極圏の他の地域の最近の入札状況を振り返れ
ば、2 0 0 8 年 2 月 に ア ラ ス カ 北 西 海 域 の チ ャ ク チ 海
(Chukchi Sea)で探鉱ライセンスラウンドが行われてい
Greenland Sea
Bid Round
Baffin Bay
Bid Round 2010
ます。入札には SHELL、COP、Repsol YPF など 7 社が
参加し、5,3 5 4 鉱区のうち、4 8 8 鉱区が落札されています。
Greenland
また、ノルウェーでも、2 0 0 8/2 0 0 9 年に実施された
第 2 0 回の入札(7 9 鉱区の公開)において、北極圏のバレ
ンツ海、ノルウェー海を含む地域で入札が行われていま
す。この入札全体では 4 2 の石油会社に 3 8 の生産ライセ
ンスが付与されています
(Oil Voice 22 Jan 2010)
。また、
このなかで、出光スノーレ石油開発株式会社が三つの探
鉱鉱区で権益を取得しました。そのうち、バレンツ海
(PL537鉱区:オペレーター OMV)
、
ノルウェー海
(PL522
鉱区:オペレーター BG)は北極圏に位置し、現在日本
の石油会社が権益を保有する北極圏の鉱区になっていま
出所:Baffin Bay 入札説明資料に加筆
図19 グリーンランドの入札鉱区
す。
表
国
入札名
デンマーク(グリーンランド)
Baffin Bay 2010
鉱区名
北極圏で予定される最近の入札情報
開始年月日
終了年月日
陸域 / 海域
環境
10,167
500 ~ 800m
Blck 2
9,392
400 ~ 600m
Blck 3
15,220
500 ~ 2,000m
Blck 4
10,000
500 ~ 2,000m
Blck 5
9,991
500 ~ 1,500m
Blck 6
8,170
Blck 7
11,091
800 ~ 2,000m
10,618
500 ~ 2,000m
Blck 8
2010/5/1
Deep Water
Blck 9
Offshore
11,802
200 ~ 500m
12,179
500 ~ 2,000m
Blck 11
13,410
8,522
Blck 13
10,226
200 ~ 1,000m
Blck 14
10,569
500m
Greenland Sea
Northern Area
Greenland Sea
Southern Area
25 石油・天然ガスレビュー
250 ~ 500m
Blck 12
Greenland Sea
Northeastern Area
出所:IHSE データより作成
水深
Blck 1
Blck 10
Greenland Sea 2012
鉱区面積
2013/10/15
200 ~ 1,000m
1,000 ~ 2,000m
1,900
200 ~ 1,500m
Deep Water
~ Shelf
95,600
100 ~ 2,500m
Deep Water
21,500
200 ~ 2,000m
アナリシス
出所:ExxonMobil リーフレットより
図22 Ted Link と Norman Wells oil field
出所:The Minerals Management Service
図20 Chukchi Sea の入札地域
②北極圏の探鉱井数と発見油ガス田水から見た探鉱
IHSE のデータを基に、図 2 3 ~図 2 6 にそれぞれ、
北極圏の国別の探鉱井掘削数、北極圏の陸海別の探鉱井
掘削数、北極圏の国別の発見油ガス田数、北極圏の陸海
別の発見油ガス田数をグラフで示してみました。
探鉱井の掘削数の推移を見てみると(図 2 3)
、1 9 4 4
年のカナダの探鉱井の掘削の後、ロシアとアメリカでの
掘削が続き、1 9 5 0 年代にはロシアの掘削が多くなって
きています。1 9 6 0 年代から 1 9 7 0 年代にかけてはカナ
ダでの坑井が増加しましたが、1 9 7 3 年ごろから徐々に
減少しました。替わりにロシアでの掘削数が 1 9 7 0 年代
半ばから 1 9 9 3 年にかけて他の地域を圧倒します。また、
アメリカでは 1 9 4 0 年代後半から 1 9 5 0 年代初めにかけ
て掘削数が増加しており、1 9 6 8 年のアラスカ ノースス
ロープ Prudhoe Bay 油ガス田の発見により、翌年さら
出所:NPD(Norwegian Petroleum Directorate)ホームページより
に増加しています。年による増減はあるものの継続して
掘削が続けられています。グリーンランドでは西側海域
図21 Norway の第 20 回入札エリア
に 1 9 7 0 年代後半から計 8 坑が掘削されています。
140
(2)
探鉱概況
120
①北極圏の初期の石油ガスの探鉱
はしないものの、1 9 2 0 年には当時の最も北に位置する
探鉱井数
北極圏における石油ガスの探鉱の始まりははっきりと
100
80
60
Norman Wells 油田が Imperial Oil Limited(インペリア
40
ル オイル)の Ted Link によって、カナダの北西テリト
20
リーの北極圏近傍で発見され、1 9 3 2 年より生産が始ま
りました。Ted はインペリアルオイルのチーフジェオロ
ジストを務め、カナダ北西テリトリーで地質調査に航空
機を商業的に使用したパイオニアであり、航空写真や地
質断面も利用したということです。
United States
Russia
Norway
Greenland
Canada
0
1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
掘削年
出所:IHSE データより作成
図23 北極圏の国別探鉱井数の推移
2010.3 Vol.44 No.2 26
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
また、海域での掘削は 1 9 7 0 年代後半以降に本格化し
後に 2 0 0 3 年に掘削が再開されるまで 1 2 年の空白があり
ますが、多少の増減があるものの現在まで継続されてい
ます。この時期、原油価格は低迷しておりロシア・アメ
ます(図 2 4)。そして、1 9 7 7 年以降ノルウェー海では
リカでも発見数は伸び悩でいます。
水深 1,0 0 0m を超える大水深域に 1 3 坑が掘削されていま
ロシアでは現在まで大きな増減があるとはいえ、継続
す。グラフには、ロシアの坑井について 3 3 0 坑以上の掘
して油ガス田の発見が続いており、1 9 6 9 年と 1 9 7 0 年、
削年不詳の陸上坑井データが含まれておらず、また、油
1 9 7 5 年、1 9 7 7 年 に は 年 間 五 つ 以 上 の 発 見 が あ り、
ガス田の発見年と比べても最初の発見油田が 1 9 4 3 年で
1 9 8 0 年代後半から 1 9 9 0 年初期にかけては 1 0 以上の発
あるのに、
最初の坑井が1944年であることから坑井デー
見が続きました。特に 1 9 9 0 年には 2 0 の発見が見られま
タの一部欠落があることが分かりますが、大まかな探鉱
す。アメリカは1960年代後半以降、散発的な発見があり、
推移を把握することができます。
1 9 6 9 年、2 0 0 0 年には、それぞれ五つ、四つと若干です
次に発見油ガス田の推移を見てみましょう
(図 2 5)
。
がまとまった発見が見られます。ノルウェーは 1 9 7 7 年
ここでの最初の発見は、1 9 4 3 年のロシアで陸域にお
以降に発見が見られ、近年では 2 0 0 8 年にバレンツ海・
いてです。1 9 5 0 年代初期にかけていくつかの発見がロ
ノルウェー海でそれぞれ四つ、二つの計六つのまとまっ
シア・アメリカでありました。ただ、本格的になるのは、
た発見がありました。
1 9 6 0 年代後半からです。ロシア・アメリカでの発見に
また、海域での発見が本格化するのは1974年以降です。
続いて、1 9 6 9 年から 1 9 8 0 年代半ばにかけてカナダで
ロシアでは陸上を中心に海域でも発見が続いています
の探鉱井掘削が活発化しました。しかし、1 9 9 0 年を最
140
120
(図 2 6)
。
30
海域
陸域
25
20
発見数
探鉱井数
100
海域
陸から海域
陸域
80
60
15
10
40
5
20
0
1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
掘削年
出所:IHSE データより作成
図24 北極圏の陸海別探鉱井数の推移
0
1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
発見年
出所:IHSE データより作成
図26 北極圏の陸海別発見油ガス田数の推移
30
25
発見数
20
United States
Russia
Norway
Canada
15
10
5
0
1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
発見年
出所:IHSE データより作成
図25 北極圏の国別発見油ガス田数の推移
27 石油・天然ガスレビュー
出所:BP 統計 2009 より
図27 原油価格の変遷
アナリシス
(3)
開発概況
(発見から開発までの年数など)
を一部含みますが、多くは現在生産に至っていない油ガ
北極圏で発見された油ガス田 4 0 9 のうち、現在生産中
ス田です。発見から生産開始までの早い例としては、
なのは、6 8 あります。そのほか、一時生産停止中の油
1 9 4 9 年、アラスカノーススロープ陸域で発見された
ガス田
*5
がバレンツ海の Snohvit ガス田やカナダ パリー
South Barrow ガス田があり、同年生産開始しています。
諸島の Bent Horn 油田やロシア、アメリカに八つがあり
また、長くかかった例としては、1 9 6 5 年ロシア 西シベ
ます。これら一時生産停止中の油ガス田を除いた既発見
リ ア で 発 見 さ れ た Zapolyarnoye ガ ス 田 は 生 産 開 始 が
未開発油ガス田は、既発見の 8 3 %あまりに及び、北極
2 0 0 1 年と、発見から生産まで 3 6 年を要しています。発
圏ではその多くが生産に至っていません。
見から生産までの年数のばらつきは大きいものの、生産
6 8 の生産中の油ガス田の発見から生産までの平均年
に至った油ガス田のみに着目すると最近の発見に従い、
を見てみると、1 2.7 年になり、これは陸域では 1 2.9 年、
生産開始までの年数が短くなってきているように見えま
海域では 9 年、陸から海域に位置する油ガス田では 1 3.5
す。しかし、未生産油ガス田も多く、発見の時期、場所
年となっています(生産開始年不詳のロシア陸上 3 油田
などにより、ばらつきが大きいということも言えるかも
を除く)
。
しれません。
図 2 9 は北極圏での油ガス田の発見から生産に至る年
数をプロットしたものです。グラフの発見から生産まで
の年数が 0 になるのは、発見年に生産が開始されたもの
160
61
20
41
6
3
32
3
2
18
1
12
P
re rod
co ,
v en
ha
nc
ed
Pr
re od
co ,
v im
pr
ov
ed
Di
sc
ov
er
y
De
ve
lop
ing
0
Ap
pr
ais
ing
Aw
ap a
pr it d
ov e
al ve
l
47 1
2
73
2
4
44
8
2
6
除いて、既発見未開発油田の割合は 7 7 %弱になります。
開発中 3 3、開発承認待ち 6 7、評価中 5 1 で開発承認待ち
が最も多い割合になっています。生産前の 1 8 2 のうち、
北極圏の油ガス田のプロジェクト
図28 ステージ別油田数
評価作業などが行われている油ガス田が 1 5 1 あり、開発
80
海域の油ガス田
陸から海域の油ガス田
陸域の油ガス田
35
60
発見油ガス田数
30
25
20
15
50
40
20
10
5
0
1950
1960
1970
1980
発見年
1990
出所:IHSE データより作成
北極圏の油ガス田の発見から
図29 生産までの年数
2000
2010
6
総数: 230
陸域: 201
陸海域: 11
海域: 18
2
51
33
59
39
3
29
海域
陸海域
陸域
42
2
12
30
10
0
1940
67
70
1
31
3
40
28
2
4
4
0
Ap
pr
ais
ing
A
ap wa
pr it d
ov e
al ve
l
発見から生産までの年数
あとは海域もしくは陸から海域にかけての油ガス田で
す。生産中の油ガス田は 4 6 あり、一時生産停止中2を
出所:IHSE データより作成 プロジェクト ステージ別
40
ロシアでは 2 3 0 の発見があり、そのうち 2 0 1 が陸域で、
2
T
sh em
ut po
-in ra
rily
55
図30 北極圏の油ガス田の国別発見数
6
P
re rod
co ,
v en
ha
nc
ed
P
re rod
co ,
v im
pr
ov
ed
Pr
od
uc
ing
2
Di
sc
ov
er
y
40
72
4
7
出所:IHSE データより作成
De
ve
lop
ing
60
81
24
Russia
230
Canada
85
海域
陸海域
陸域
T
sh em
ut po
-in ra
rily
80
60
Pr
od
uc
ing
発見油ガス田数
120
100
総数: 409
陸域: 284
陸海域: 24
海域: 101
139
140
Norway
32
United States
62
出所:IHSE データより作成 プロジェクト ステージ別
ロシア 北極圏の油ガス田の
図31 プロジェクトステージ別油田数
2010.3 Vol.44 No.2 28
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
に向けての評価などの動きのあるものが 8 3 %に達して
発見のみの油ガス田が 2 1 で、割合では 5 7 %と最も高く
います。これは後述する他の国より高い割合で、ロシア
なっています。また、増進回収法が適用されている油ガ
の特徴にもなっています。
ス田が 1 7 と多くなっており、これはアメリカの特徴に
カナダでは 8 5 の発見があり、そのうち 3 9 が陸域で、
もなっています。
あとは海域もしくは陸から海域にかけての油ガス田で
ノルウェーでは 3 2 の発見があり、そのうちスバール
す。生産中の油ガス田は一つで、一時生産停止中 1 を除
バル諸島を除く 3 0 が海域の油ガス田です。生産中の油
いて、およそ 9 9 %が既発見未開発油ガス田です。開発
ガス田はなく、一時生産停止中が 1 あります。このうち
承認待ち 5、評価中 9 に対して、発見されたままになっ
開発中 5、評価中 8 で、発見のみの油ガス田が 1 8 で割合
ている油ガス田が 6 9 と最も多い割合になっています。
では 5 8 %と最も高くなっています。
海域での発見数も 4 5 %あまりに上ります(陸から海域の
20
アメリカでは 6 2 の発見があり、そのうち 4 2 が陸域で、
あとは海域もしくは陸から海域にかけての油ガス田で
12
8
16
8
5
6
8
5
2
69
70
34
50
1
ノルウェー 北極圏の油ガス田の
図34 プロジェクトステージ別油田数
29
0
0
1
0
1
T
sh em
ut po
-in ra
rily
5
2 1
2
P
re rod
co ,
v en
ha
nc
ed
P
re rod
co ,
v im
pr
ov
ed
Pr
od
uc
ing
9
2
1
6
Ap
pr
ais
ing
Aw
ap a
pr it d
ov e
al ve
l
0
0
プロジェクト ステージ別
Di
sc
ov
er
y
10
0
6
30
20
0
(注)スバールバル諸島を含む
出所:IHSE データより作成
40
De
ve
lop
ing
発見油ガス田数
60
海域
陸海域
陸域
Ap
pr
ais
ing
Aw
ap a
pr it d
ov e
al ve
l
総数: 85
陸域: 39
陸海域: 8
海域: 38
2
0
0
P
re rod
co ,
v en
ha
nc
ed
Pr
re od
co ,
v im
pr
ov
ed
Pr
od
uc
ing
10
4
80
海域
陸海域
陸域
Di
sc
ov
er
y
ます。開発中 3、評価中 1 3 です。生産前の 3 7 のうち、
14
De
ve
lop
ing
を除いて、既発見未開発油田の割合は 7 3 %程度になり
16
発見油ガス田数
す。生産中の油ガス田は 2 1 であり、一時生産停止中 4
総数: 32
陸域: 2
陸海域: 0
海域: 30
18
18
T
sh em
ut po
-in ra
rily
油ガス田を加えると 5 4 %以上)
。
出所:IHSE データより作成プロジェクト ステージ別
(4)北極圏の探鉱開発の課題
北極圏における探鉱開発が難しいポイントを整理して
みましょう。
カナダ 北極圏の油ガス田の
図32 プロジェクトステージ別油田数
・遠隔地であること
市場、資機材調達地から遠く、熟練技術者や作業員な
ど人材確保の観点からも、また既存の供給地から離れて
25
総数: 62
陸域: 42
陸海域: 5
海域: 15
21
7
3
出所:IHSE データより作成
8
4
1
4
1
3
3
T
sh em
ut po
-in ra
rily
3
2
1
3
0
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プロジェクト ステージ別
アメリカ 北極圏の油ガス田の
図33 プロジェクトステージ別油田数
29 石油・天然ガスレビュー
ようになります。また、ヘリコプターの航続距離を超え
た遠隔地となる可能性もあります。
海域においては、流氷(floating ice)、氷山(iceberg)
、
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いることから、その確保が困難で、よりコストがかかる
・氷環境の影響
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発見油ガス田数
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海域
陸海域
陸域
そうひょう
流動してくる叢氷(pack ice)に直接ぶつかっても大丈夫
な建造物や、ぶつからないように氷の季節に一時退避で
きるシステムが必要であったり、浅海では氷山の下部が
海底を引っかくことの対策として海底パイプラインや海
底建造物の埋設などの措置が必要になります。海氷地域
では、海氷を避けるための砕氷船の配置や砕氷能力のあ
る船を採用する必要の出てくる場合もあります。掘削リ
グや生産施設などの海上施設への資材や補給物質の運搬
アナリシス
に使われるサプライボートなどの船舶の使用が制限され
ながる気象現象で、北極前線の北のスカンジナビア周辺
ることも想定しなければなりません。最近のニュースで
の外洋で発生するものがあります。
も Statoil は Chukchi 海の 2,4 0 0km の 3D 地震探査データ
・環境への影響
取得に Fugro 社の、大きく近代的な C-class の地震探査
北極圏は人間以外の生物にとっても生存環境が厳しい
船を使用したデータ取得契約にサインしたとのことで
ところであるゆえに、自然環境・生態系への影響に十分
す。この探査船はノルウェーの船級協会 DNV の ICE
配慮した活動が求められる地域です。1 9 8 9 年のアラス
Classification を受けているものだそうです。
(firstbreak
カ南部での原油流出事故では、海鳥 2 5 万~ 5 0 万羽、ラッ
2 0 1 0 年 1 月号)
。
コ 2,8 0 0 ~ 5,0 0 0 頭が死ぬなど多くの生物に影響を与え
陸上においても積雪への対応、永久凍土層や地表が冬
ました。現在では、石油探鉱活動の前に生物や自然環境
に凍り夏に溶ける不安定な場所での建造物の設置に対応
への影響調査がなされるようになってきています。例え
する必要が出てきます。
ば、グリーンランドでは、石油探鉱による環境への影響
そのほか、建築物や飛行機の翼などさまざまなものに
調査として、カモメ類やカモ類などの海鳥、タラ、オヒョ
氷が張り付く氷結(freezing)や着氷(icing)対策として、
ウやシシャモなどの魚類、エビなど甲殻類や貝類、ホッ
氷が付着しにくい構造形態をとることも不可欠です。
キョクグマ、セイウチ、アザラシやクジラなど海洋哺乳
・気象観測と氷のモニタリング
類などの調査を行い、影響の少ないエリアで鉱区設定を
また、気象状況の変化を的確にとらえ、作業の安全や
行っています。その地に生息する生物は生息域が限られ、
物資の輸送を確実に行ったり、そもそもの現地設置物な
また全く人跡未踏の地域とも限らず、漁業などへの影響
どの仕様を決めるために、氷の状況などを的確に把握す
も含め、地域の住人への配慮・理解を得ることも必要に
ること、海氷の観測システムやデータ収集システムが必
なります。アラスカの北極圏野生生物保護区(ANWR:
要となります。
Arctic National Wildlife Refuge)などの自然保護地域を
・日照時間
避けるなどのことも欠かせません。
冬季には極夜になり、その前後でも日照時間が限られ
・技術課題
ることになります。屋外での作業時間が限られるととも
サハリン I では陸から 9km 沖合にある油層に大偏距坑
に、屋外での十分な照明設備などが必要になります。
井を掘削し、生産しています。比較的陸域に近い地域で
・北極圏の気象
は、このような大偏距坑井による開発を行うこともでき
北極圏の気象は厳しく嵐なども発生しますが、北極圏
ますが、掘削方向のコントロールや長い距離の水平井を
のハリケーンとも呼ばれるポーラーロー(Polar Lows)
掘削するなどの技術が求められます。また、北極圏では
は、サイズ 2 0 0 ~ 4 0 0km、地表風速 1 5 ~ 3 2m/s に達し、
バレンツ海に見られるような大水深域もありますので、
急激に発達・消滅し、予測なども難しく海難事故にもつ
大水深での掘削・開発技術も必要になってきます。特に
2
出所:GKSS ホームページより
スカンジナビア半島北部の巨
図35 大低気圧
出所:ExxonMobil リーフレットより
図36 サハリン I での大偏距掘削
2010.3 Vol.44 No.2 30
北極圏の石油ガス探鉱開発状況
探鉱開発では、このように最新技術への対応に加え、氷
は政治的に安定した国が多く、他のフロンティア地域に
環境への対応をはじめ、ともかく厳しい自然環境下でプ
比べて地政学的なリスクが少ないと言えるかと思いま
ロジェクトを進めていくマネジメント力など総合的な技
す。その代わりに、本当の技術力が問われる地域と言え
術力が問われます。北極圏の排他的経済水域の問題が解
るかもしれません。
決しているわけではありませんが、北極圏に存在する国
まとめ
北極圏での期待される資源量、氷の状況、油ガス田の
動向についても今後とも注意深く見守っていきたいと思
開発状況を駆け足で見てきました。技術的にも困難では
います。
あるものの、新たな石油ガス発見の可能性の高いフロン
また、今まで在来型の石油ガスについての状況につい
ティアエリアとして、魅力的な地域だと思います。もち
て述べてきましたが、USGS の 2 0 0 8 年評価では、非在
ろん単独での探鉱開発には難しい地域ではありますの
来型としてガスハイドレートの資源量がアラスカ ノー
で、技術力・資金力を持ったパートナーとリスクをシェ
ススロープ地域に賦存し、8 5.4 兆立方フィートのガスが
アリングしながら、中長期的に取り組むことも念頭に置
既存技術で可採可能だと推定されています。今後、ます
かなければならないでしょう。北極圏で活動する各社の
ます北極圏が魅力的になっていくかもしれません。
<注・解説>
*1:ここでは天然ガス液
(NGL:Natural Gas Liquid)
を含む。
*2:確認鉱量(proved reserves)+ 推定鉱量(probable reserves)を合わせた埋蔵量で、BP 統計で発表される確認鉱量
より数字が大きくなり、会社発表などではよく使われる。
*3:MNR は MNR ロシア、MNR コミ共和国を含む。
*4:Petro-Canada は 2 0 0 9 年 8 月、Suncor に買収統合されているが、データは統合前。
*5:石油の発見から生産、生産停止に至るまでのプロジェクトのステージとして、各段階に分けてみることができま
す。通常のステージは、油ガス田の発見(discovery)
、評価(apprising)
、開発承認待ち(await developing
approval)
、開発中(Developing)
、生産中(producing)
、増進回収法(EOR: enhanced oil recovery もしくは IOR:
improved oil recovery)
ですが、何らかの理由で生産を一時調停している場合もあります
(temporarily shut-in)
。
【参考文献】
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5.Charpentier, R.R., Klett, T.R., and Attanasi, E.D., 2 0 0 8, Database for assessment unit-scaleanalogs(exclusive of the
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31 石油・天然ガスレビュー
アナリシス
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- 2 0 0 9 年 7 月号、原田 大輔
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(上)
」
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(下)
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(2 0 0 9 年 1 2 月 1 6 日)
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http://www.exxonmobil.com/corporate/
GAZPROM
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International Arctic Research
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National Snow and Ice Data Center
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http://www.npd.no/engelsk/cwi/pbl/en/index.htm
USGS:CARA
http://energy.usgs.gov/arctic/
USGS:Oil and Gas - World Petroleum Assessment
http://pubs.usgs.gov/dds/dds-0 6 0/
宇宙航空研究開発機構(JAXA)関連
http://www.ijis.iarc.uaf.edu/jp/index.htm
執筆者紹介
佐藤 大地(さとう だいち)
1991 年 筑波大学 第一学群 自然学類 地球科学専攻 卒業。
同年 4 月に石油公団(JNOC)に入団。1992 年 JNOC 海外地質構造調査部、1995 年(財)石油開発情報セ
ンター研究部勤務、1998 年 JNOC 石油開発技術センター地質・地化学研究室、2000 年石油資源開発(株)
長岡鉱業所技術一部勤務、2002 年 JNOC 技術部、2004 年独立行政法人 石油天然ガス金属鉱物資源機構
(JOGMEC)移籍と同時に JNOC 技術評価部勤務、2005 年 JOGMEC 石油・天然ガス開発技術調査グループ、
2006 年夏より JOGMEC ロンドン事務所 副所長。
家族の笑顔が心の支え、血圧と体重が気になる 40 代。
2010.3 Vol.44 No.2 32
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