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05.学生の受け入れ - 聖隷クリストファー大学

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05.学生の受け入れ - 聖隷クリストファー大学
4.学生の受け入れ
(1)全学
4.学生の受け入れ
(1)大学における学生の受け入れ
【到達目標】
本学の教育目的・目標に基づき将来、保健医療福祉の分野の専門職として社会に貢献することの
できる人材を育成するため、建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」に共感し、専門職を志す質
の高い学生の受け入れに努めることとし、次のような到達目標を掲げる。
①入学者受け入れ方針に基づいて本学の求める学生を受け入れるために、より有効かつ適切な入学
者選抜制度を整える。
・対人援助の専門職養成教育に対する適性を見極めることのできる入学者選抜を実施する。
・入学者の質の向上と維持を図るため、基礎学力を見極めることのできる入学者選抜を実施する。
②志願者の継続的確保と入学定員数確保のために、学生募集活動の工夫と強化および入学試験実施
方法の改革を推進する。
③適切な入試問題を作成するための研究と検証と入学試験におけるミスを防止するためのシステム
を作る。
④入学者の受け入れが公平かつ公正に行われていることについて、情報公開・情報開示を行う仕組
みを作る。
⑤臨地・臨床・現場実習等、本学の教育方法の特殊性を考慮した適正な入学者数管理を行う。
【現状説明】
1)学生募集方法、入学者選抜方法
本学では、教育理念である「生命の尊厳と隣人愛」を基に、保健医療福祉の専門職を目指す上で
必要とされる能力・適性・人間性などを盛り込んだ「求める学生像」を学部ごとに定め学生を募集
している。主な学生募集活動として、募集強化地域を静岡県内と愛知県三河地域に定め、高等学校
訪問、進学相談会への参加、オープンキャンパスの実施と参加促進などを行っている。また、受験
情報誌や受験情報サイトでの大学紹介、新聞紙上への大学連合広告企画への参画、交通広告など大
学の認知度向上に努めている。
入学者選抜方法は、大きく分類すると、AO 入試、推薦入学、一般選抜、特別選抜の 4 種類の方法
により行っており、大学全体の募集人員の比率(AO 入試:推薦入学:一般選抜:特別選抜)は、お
よそ 1:10:23:1 である。その分類の中で更に学部ごとに多様な入試種別を設定している。
学生募集と入学者選抜の方法は、文部科学省の定める入学者選抜実施要項に沿って行っており、
当該年度の 5 月までに入学者選抜に関する基本的な事項を決定し、その内容を盛り込んだ入試要項
として、6 月に本学ホームページへの掲載および入試ガイドの発行・配布により公表している。ま
た、学生募集要項を 7 月から 9 月にかけて発表・配布している。
学部の学生募集方法および入学者選抜方法の詳細は各学部の該当部分で述べる。
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4.学生の受け入れ
(1)全学
2)入学者受け入れ方針等
本学は「キリスト教精神に基づく生命の尊厳と隣人愛」を教育理念として、各学部の目的・目標
に反映し、保健医療福祉に関わる上での知識と技術、その実践に必要なこころを身につけた専門職
を養成している。入学者の受け入れは、この建学の精神と理念に共感し、保健医療福祉の専門職を
志す明確な意思を持った者を受け入れることを基本方針としている。
学部の入学者受け入れ方針及び入学者選抜とカリキュラムとの関係については各学部の該当部分
で述べる。
3)入学者選抜の仕組み
入学者選抜に関わる組織として大学部長会、教授会、入学者選抜委員会、教授会附属の入試委員
会、入試・広報センター運営会議を置いている。大学部長会および入試・広報センター運営会議は
全学組織、その他は学部の組織である。各会議・委員会の役割は次のとおりである。
大学部長会は、入学者選抜の基本方針および入試制度に関わる重要事項の決定を行う。教授会は、
入学者選抜委員会において審議した原案をもとに、学力検査の実施教科・科目、選抜方法の決定お
よび合否判定を行う。入試委員会は、入試と学生募集に関わる事項の検討・連絡・調整を行う。入
試・広報センター運営会議は、各学部の入試委員長、センター統括部長および入試・広報センター
職員を構成員とし、教職員共同で入試の実施と学生募集活動に関する事項について検討・連絡・調
整を行う。
実施組織として試験実施本部を置き、実施本部長に学長、副本部長に学部長、本部要員として各
学部の入試委員長と入試・広報センター長、センター総括部長があたる。また、実施責任者として、
試験実施総責任者(入試・広報センター長)・学部責任者(入試委員長)・事務責任者(入試・広報
センター係長)
・点検責任者(入試・広報センター係長)
・休養室医務室担当(健康管理センター長)
を置き、教員が試験監督と面接官に、受験者の誘導・連絡・点検に事務職員があたっている。試験
監督については、複数の教員を必ず配置している。
入学者選抜の公正性・妥当性を確保するために、入試・広報センター長は学長のもとで入試問題
の作成から合否判定・合格発表までのプロセスにおける機密事項を厳重に管理し、公正・公平性の
確保に取り組んでいる。また、入試処理業務を支援するコンピュータシステムを導入しており、志
願者受付から合否判定処理までを一貫して処理するシステムにより正確な処理を行っている。この
入試処理支援システムのデータは学内サーバに格納しており、処理操作に際しては、専門の部署の
職員(入試・広報センター職員)が、パスワードで管理されたネットワーク端末より行っている。
以上のような組織とシステムにより、入学者選抜の公正・公平性と透明性を確保している。
4)入学者選抜方法の検証
入試問題を検証する仕組みの導入については、学力試験の実施後に複数の学外者に問題の適切性、
高等学校の教育課程との整合性、解答例の適切性等の確認を依頼し、意見をもらっている。学外者
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4.学生の受け入れ
(1)全学
からの指摘は出題者に戻され検討され、適切な指摘があった場合は、直ちに採点の修正が行われ、
合否判定会議前までに判定資料に反映される仕組みとなっている。入学試験問題は、翌年度の 7 月
中に、著作権法上公開できない問題を除いて全ての問題と解答例を公表し配布している。
5)定員管理
ここでは学生収容定員と在籍学生数について述べ、(編)入学定員と(編)入学者数については各学
部該当部分において述べる。
看護学部は、2006 年度から 3 年次編入学を定員化(若干名→5 名)し、次いで 2005 年度に 2 年次
編入学制度(5 名)を設けたが、2 年次編入学制度は 2007 年度に廃止した。入学定員は 2004 年度に
100 名から 140 名に、2007 年度に 140 名から 145 名に変更し、3 年次編入学定員 5 名を含め、看護
学部の学生収容定員は 2008 年度現在で 585 名である。
社会福祉学部は、福祉業界を取り巻く環境の悪化や福祉専門職の労働環境や待遇の悪さなどが社
会的に取り上げられ、福祉専門職への進路が敬遠されがちな状況の中で、2006 年度、2007 年度、2008
年度の入学者数は入学定員を若干下回っている。こうした状況に照らし、学科の改組新設を行った。
2008 年度に入学定員 40 名のこども教育福祉学科を開設し、同時に社会福祉学科は入学定員を 95 名
から 80 名に減員した。2008 年度現在の社会福祉学部の学生収容定員は 425 名である。
リハビリテーション学部においては、言語聴覚学専攻が 2008 年度に 20 名から 25 名に定員増し、
理学療法学専攻及び作業療法学専攻と合わせてリハビリテーション学部の学生収容定員は 2008 年
度現在で 325 名となっている。
学生収容定員に対する 2008 年度現在の在籍学生数の割合は、大学全体で 103.5%である。学部別
にみると看護学部は 105.0%、社会福祉学部は 91.5%、リハビリテーション学部は 116.6%である。
点検・評価及び各学部の定員管理の項で述べるとおり学部により多少の欠員・超過はあるが、大学
全体としては現在のところ著しい欠員ならびに定員超過の状況にはない。
6)編入学者、退学者
編入学制度は、看護学部看護学科と社会福祉学部社会福祉学科に設けている。両学科ともに 3 年
次に編入学する制度である。募集人員は、看護学部 5 名、社会福祉学科 10 名である。社会福祉学科
はここ数年、募集人員を充足できない状況が続いている。
全学の退学者数は、2005 年度 15 名、2006 年度 10 名、2007 年度 13 名と推移している。看護学部
の退学者は、2 年次に集中している。社会福祉学部・リハビリテーション学部は、1 年次∼4 年次に
分散している。退学の主な理由は、看護学部は進路変更が 59.5%、対人援助不適 9.5%、家庭の事
情・体調不良・勉学意欲喪失が各 6.8%となっている。社会福祉学部は進路変更 36.7%、体調不良
26.7%、勉強意欲の喪失 20.0%である。リハビリテーション学部は進路変更 50.0%、体調不良 20.0%、
経済的理由 10.0%という状況である。
退学者防止に関しては、①アドバイザーによる対応、②オフィスアワーの実施、③学生相談室や
カウンセラーによる対応、④新入生セミナーや基礎セミナーの実施などの教育改善の取り組みを行
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4.学生の受け入れ
(1)全学
ってきた。また、実習による対人援助不適応や体調不良などメンタルな面からも学生をフォローし
ている。
【点検・評価】
本学は、保健医療福祉の分野における人材育成に関わる学部の特性から、入学者受け入れ方針は
明確である。入学案内に大学の教育理念や教育目的・目標および本学が求める学生像すなわち入学
者受け入れ方針を掲載し、保健医療福祉の専門職を志す明確な意思を持った者を受け入れるという
方針を伝えている。入学者受け入れ方針に基づき多様な入学者選抜方法により保健医療福祉の専門
職を目指す学生を受け入れており、今後も現方針を継続していく。
AO 入試、推薦入学および特別選抜では、面接や小論文を通して対人援助の専門職養成教育に対す
る適性を見極め、一般選抜では基礎学力を見極めている。一方、適性と基礎学力の両方を見極める
選抜方法が確立されていない。また、入試問題の作成とそれを評価する組織が整っていないため、
入試問題の質・難易度の妥当性についての検証が十分できていない。以上のことから、入学後に適
性または学力面での支援が必要な状況が生じている。
近年、本学への入学者は静岡県内および愛知県東部地域に限定化の傾向が強くなっている。その
ため、大学の所在地である静岡県内と愛知県三河地域を学生募集の強化地域として活動することを
方針とし、本学の認知度の向上および高等学校との関係性の構築に力を入れている。これは、焦点
を絞った効果的な募集活動であり、高校生の地元志向の高まりにも合致しており有効であると判断
している。また、募集強化地域の志願者が受験しやすいよう 2008 年度入試より、本学以外に静岡市
や愛知県名古屋市などに学外試験場を設定し入学試験を実施するという工夫をしている。このよう
な短期的な募集活動と工夫に加え、中長期的な展望として、静岡県の保健医療福祉の専門職のレベ
ルの向上に貢献し、地域の保健医療福祉の拠点大学として存続していくための就職戦略、卒業生の
ネットワーク化、地域の保健医療福祉機関・施設との連携強化を掲げ、学生募集への相乗効果を狙
っている。
入学者選抜は学長を最高責任者とする入学者選抜組織と入試実施組織により公平かつ公正に行っ
ている。入学者選抜規程は制定後長期間が経過し、学部構成や学内の委員会組織の変化に対応でき
ていなかったため、2008 年 6 月に全面的に改定し、現状に合った規程にした。入試処理業務は、専
門の入試担当部署(入試・広報センター)により正確に行われている。
入試問題を検証する仕組みについては、入試問題の適切性、高等学校の教育課程との整合性、解
答例の適切性等を複数の学外者が点検しているため、信頼性の高い検証がされていると言える。一
方、この検証は入学試験の実施以前に専門的立場から点検することのできる信頼のおける第三者に
よってされることが望ましいと考えられるが、入試問題の機密保持の観点から入学試験終了直後に
行われている。学内に出題を点検できる点検者を置くことも本学の規模では入試科目についての専
門性を持つ教員数の不足から難しい点があり、困難な課題となっている。
入試問題については、出題内容に関する透明性確保のために、試験終了後、受験生に全て持ち帰
らせている。入学者の受け入れは公平かつ公正に行われているが、情報公開・情報開示を行うシス
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4.学生の受け入れ
(1)全学
テムが整っておらず、請求があった場合に必要に応じての対応となっている。
定員管理のうち入学者数に関しては、大学全体における過去 5 年間の入学定員に対する入学者数
比率の平均は、看護学部が 105.1%、社会福祉学部が 102.2%、リハビリテーション学部が 115.1%
である。リハビリテーション学部が高い比率となっているのは、2008 年度の入学者数が予想以上に
多かったことによる。また、単年度において入学定員を下回っている社会福祉学部においては、定
員充足よりも入学者の学力レベルの維持を優先している結果である。入学者数の管理は、合格者の
うち何名が入学するかを予測し、合格者数を管理するということに帰結する。過去の統計的数値や
経験則から予測し合格者数を管理している学部は、入学者数管理を適切に行うことがほぼ可能とな
っているが、開設後年数が浅く過去のデータが少ない学部では予測が難しい。
以上の状況から収容定員に対する在籍者数について学部別に見ると、学部により定員超過の学部
がある一方で定員を充足できていない学部もある。学生数と入学生の質の確保は大学の教育と経営
に大きく影響する事項であるため、学生募集活動の時点から明確な方針を持って臨んでいる。また
本学は、すべての学部において保健医療福祉の現場における臨地・臨床・現場実習がカリキュラム
の必修科目として置かれており、実習施設の受け入れ態勢の現状からも適正な定員管理は学部運営
必須の重要事項として取り組んでいる。
【改善方策】
◆入学者選抜と入学後の学業成績等との関連性を追跡調査し、選抜方法を 2011 年度入試に向けて見
直す。
◆基礎学力と対人援助職に必要な適性の両方を総合的に判断できる入学者選抜方法を 2011 年度入
試に向けて検討する。
◆入試問題の作成および難易度や質を評価・検証する組織を 2010 年度までに整備する。
◆入試関係の情報公開・情報開示の組織とマニュアルを 2008 年度中に整備する。
◆入学生の学力レベルを低下させないよう、早期の学生確保を目的とした学生募集は行わないこと
とし、特に学力検査を課さない AO 入試、推薦入学の募集人員については、その目的に沿った最小
限のものにする。
◆合格者の入学率を予測する方法を確立するために、過年度の入学者と入学辞退者の分析により手
掛かりを見出す。
◆退学者を減らすために退学の理由の分析をするとともに、オフィスアワー等の施策の見直しをし、
学生がアドバイザー・学生相談室・学生支援をする各センターなどに相談できる環境を充実させ
る。
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4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
(2)学部における学生の受け入れ
1)看護学部
【現状説明】
ア)学生募集方法・入学者選抜方法
学生募集方法の実務は入試・広報センターと教員が連携、協力して実施している。6 月を中
心に静岡県内を始め長野県・山梨県・東京都・愛知県などで進学相談会・校内ガイダンスを開
催、7 月初旬に静岡と浜松で高等学校の進路指導担当教員を対象に入試説明会を実施、3 月・7
月・8 月・9 月・11 月(大学祭と同日)に本学において合計 5 回のオープンキャンパスを実施
すると共に、県内の高等学校からの要請に応えて大学見学を受け入れている。また、本学部教
員が高等学校で看護学の内容をやさしく説明する「模擬授業」も実施している。毎年度入学案
内・入試ガイドを発行すると共に、大学ホームページを利用して分かりやすい入試案内と大学
案内を展開している。
看護学部では入学者選抜方法として既卒系、推薦系、選抜系、編入学の 11 種類の入試を実施
している(表 4-1)。①から⑥の入試では、小論文と面接による選抜を、⑦・⑧では、学力試験
による選抜を、⑨から⑪では学力試験と面接の両者による選抜を実施している。①③④⑤では、
定員を上回る応募、あるいは推薦がある一方で、②は志願者が減少している。⑥は年度により
志願者数に変動があるが、ほぼ定員以内で推移している。⑦から⑩の選抜試験では実質競争率
で定員の 2 倍を上回る応募がある。⑪は看護系の 3 年課程を卒業し、看護師の資格を持つ者で、
さらに保健師の資格や大学卒業の資格を希望する志願者に門戸を開いている。
表 4-1
看護学部における入学選抜試験
入学 者 選抜 試 験種 別
既卒 系
推薦 系
選抜 系
編入 学
①
学士 ・ 短期 大 学士 特別 入 試
②
社会 人 特別 入 試
③
募集 人
員( 人 )
5
概要
大学 ・ 短期 大 を卒 業し た 者を 対 象と す る
若干 名
高等 学 校卒 業 後広 く社 会 人と し て 4 年 を経 過 した 者
公募 制 推薦 入 学 I
20
全国 の 現役 高 校生 で高 等 学校 で の評 定 平 均 3.5 以 上
④
公募 制 推薦 入 学Ⅱ
10
⑤
キリ ス ト教 学 校教 育同 盟 加盟
高等 学 校特 別 推薦 入学
⑥
併設 高 等学 校 推薦 入学
10
⑦
一般 入 試( 前 期)
62
⑧
大学 入 試セ ン ター 試験
利用 入 試( 前 期)
12
⑨
一般 入 試( 後 期)
12
⑩
大学 入 試セ ン ター 試験
利用 入 試( 後 期)
7
⑪
(3 年次 ) 編入 学 試験
5
5
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静岡 県 ・愛 知 県三 河地 区 の現 役 高校 生 で高 等 学校 で
の評 定 平均 4.3 以 上
本学 園 が加 盟 する キリ ス ト教 学 校教 育 同盟 に 属す る
高等 学 校か ら の推 薦
本学 園 が設 置 する 高等 学 校か ら の推 薦
高等 学 校卒 業 者( 予定 を 含む ) を対 象 とし 、2 月 に
実施
セン タ ー試 験 を受 験し て いる 高 等学 校 卒業 ( 予定 を
含む ) 者を 対 象と し、 2 月に 実 施
高等 学 校卒 業 者( 予定 を 含む )
を対 象 とし 、3 月 に実 施
セン タ ー試 験 を受 験し て いる 高 等学 校 卒業 ( 予定 を
含む ) 者を 対 象と し、 3 月に 実 施
看護 系 短期 大 学・ 看護 系 専門 学 校等 の
卒業 生 を対 象
4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
イ)入学者受け入れ方針等
本学部では、高等学校からの推薦入学に関して、4 種類の推薦系入試を実施している。公募
推薦入学Ⅰは全国の高等学校を対象に評定平均 3.5 以上、公募推薦入学Ⅱは、静岡県および隣
接地域にあり、地域の中核となる高等学校で一定水準以上の学業を修め、かつ看護師・保健師
になることを目指す志願者の推薦を受け入れている。この種別では、卒業後、地域医療の中核
として地元で活躍してくれることを期待している。キリスト教学校教育同盟加盟高等学校特別
推薦入学は、本学がキリスト教を建学の精神とする大学であることから、同盟加盟高等学校を
対象とした推薦枠を設けている。併設高等学校推薦入学は本学と同じ学校法人が経営する高等
学校からの推薦枠である。選抜系は、学力試験による選抜を主として、全国から志願者を募っ
ている。一般入試(後期)、大学入試センター試験利用入試(後期)は、学力試験に加えて面接
を実施している。既卒系、編入学の入試については、2009 年度入試(2008 年実施)より、3 名
の面接官の内 2 名以上の面接官が 50 点満点で 10 点以下の評価を付けた場合は、小論文や学科
試験の得点に関わらず不合格とするルールを策定した。
2006 年度に大学・学部の理念・目的・教育目標をもとにアドミッションポリシーを作成し、
2007 年度発行の入学案内からそれを明示した。そのため⑦・⑧以外のすべての入試種別におい
て面接を課していることは、アドミッションポリシーに合った学生を選抜することにもつな
がっていると考えられる。本学部のアドミッションポリシーにその基本が示されている入学者
受け入れ方針は、カリキュラムにも反映されている。隣人愛の涵養は教養基礎領域の「キリス
ト教概論」として必修になっているほか、
「キリスト教人間論」
「キリスト教の歴史」
「キリスト
教倫理」といった科目が選択として置かれている。科学的思考と深い教養の育成については「教
養基礎領域」と「専門基礎領域」のなかに多数の関連する科目が置かれている。また、社会福
祉やリハビリテーションの専門家との協働については「専門職連携の基礎」「専門職連携演習」
が 1 年次と 4 年次に置かれている。さらに、近隣施設との連携は、看護系科目の実習のなかで
聖隷グループに属する様々な施設との連携が図られている。
ウ)入学者選抜の仕組み
a)入学者選抜試験の実施体制
本学部の既卒系、編入学は 10 月、推薦系は 11 月、選抜系の前期の一般入試、センター試験
利用入試は 2 月、後期は 3 月に実施している。これらは、他の学部と同一期日に一斉に実施さ
れる。入学者選抜の実施組織については、「(1)大学における学生の受け入れ」において述べ
たとおりである。
b)入学者選抜基準の透明性
各入試種別において、各入試科目や面接の配点を当該年度の「入試ガイド」「募集要項」で
公開している。入試の方法や基準は、当該年度の入試が終了するまでは変更せず、変更・追加
は入試終了後、教授会で審議決定した上で次年度へ反映させる方式を取っている。公開された
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4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
方法と基準に基づいた入学試験を行い、その結果を集計後、入試選抜委員会に諮り合否判定の
原案作成をしている。原案は教授会に提案され審議により合否判定が行われる。面接の採点基
準は、試験実施前の説明会で面接官全員に説明が行われ、それに基づいて、各面接で原則 3 名
の面接官が評価を行い、それらを合わせて得点としている。併設高等学校推薦入学についても
合否判定のルールと基準を事前に設定し、それを高等学校に公開してその基準に沿った公正な
選抜をしている。その点、併設高等学校もその他の入試種別も同一の運用方針で臨んでおり、
区別はない。
c)入学者選抜とその結果の公正性・妥当性を確保するシステム
看護学部入試委員会では、これまで、次の 2 つの追跡調査を実施してきた。一つは、各入試
種別の適切性を検証するため、各学年における入学後の学業成績としての GPA と未修得単位の
ある学生の分布を、11 の入試種別ごとに追跡している。もう一つは、出願時に提出される調査
書を基に、2002 年から 2007 年度の 5 年間について、志願者の出身高等学校の特徴と、高等学
校での履修科目の分析を行ってきた。これらの結果は、入試選抜委員会での合否判定の原案作
成に反映するようにしている。
志願者に対する試験結果の開示は現状では行っていないが、高等学校からは推薦入学などで
不合格になった場合の理由の説明を求められることがある。こうした場合には、個別に不合格
理由の大まかな説明を行い、納得を得ている。
エ)入学者選抜方法の検証
入試問題を検証する仕組みについては「(1)大学における学生の受け入れ」において述べた
とおりである。
オ)入学者選抜における高・大の連携
本学には併設高等学校があるので、併設高等学校から本学部を目指す志願者を受け入れる枠
を設けている。11 月の推薦入学の時に行われる(その 1)と 2 月の前期選抜試験に合わせて行
われる(その 2)とがある。定員は両方を合わせて 10 名であるが、年度により志願者数には変
動がある。このところ併設高等学校からの志願者は増える傾向にあるが、10 名の定員枠にほぼ
収まっている。本学部としては 10 名を超える志願者があった場合には、他の推薦枠と同じよう
に、10 名を超えて受け入れる方針を採っている。併設高等学校とは、高・大連携の一貫した取
り組みを実施している。本学部から教員が高等学校へ出掛け、大学とはどんなところか、看護
学とは何かを説明して早い段階から当学部への志向を持ってもらうようなプログラム、看護学
の授業を模擬的に高等学校で行うプログラム、あるいは、高校生が本学部に来て学部生と一緒
に看護学実習を受けるプログラムなどを実施している。また、高等学校が企画する独自の催し
に本学部の教員が参加している。併設高等学校からの志願者は、併設高等学校推薦入学以外の
入試種別を受験することも可能である。
99
4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
カ)社会人の受け入れ
看護系以外の短期大学や大学の学部を卒業した後に看護師や保健師を目指す志願者には学
士・短期大学士特別入試を 2007 年より実施している。定員 5 名に対し、2007 年度は 7 名、2008
年度は 5 名の志願者があり、両年とも 4 名が入学した。また、高等学校卒業後 4 年間以上社会
人としての生活を送った後に看護師を目指す志願者を対象に社会人特別入試を実施している。
若干名の募集定員に対し、2005 年 11 名、2006 年 6 名、2007 年 2 名と減少し、2008 年度は 1
名の志願者となり、入学者数は、それぞれの年に 3 名、1 名、1 名、0 名であった。
キ)定員管理
編入学試験を除くすべての入試枠の募集人員は、2007 年度に「2 年次編入学試験(定員 5 名)」
を「学士・短期大学士特別入試(定員 5 名)」としたことから 145 名となった。入学者目標数は、
本学の過去数年の退学率がおおよそ 5%前後であることから、この募集人員に 5%をプラスした
数字を目標とすることで学内合意が形成されている。毎年度の入学者は 2006 年度に目標数を 1
名上回ったが、その他の年度は目標数通りの入学者を得ている。この間、補欠から繰り上げ合
格した者は、2004 年度 10 名、2005 年度 1 名、2006 年度 0 名、2007 年度、2008 年度が 1 名で
あった。2004 年度には補欠を 10 名繰り上げ合格としたものの、それ以降、繰り上げ合格者は 0
から 1 名に収まっている。
学部の学生収容定員と在籍学生数の比率に関しては、「(1)大学における学生の受け入れ」
において述べたとおりである。
ク)編入学、退学者
過去 3 年間の退学者数は大学基礎データ表 17 のとおりである。本学部では年間 2∼3 人と少
数で、殆どが 2 年次での退学である。退学理由の多くは職業選択として看護職を目指したが、
学習経過の中で看護以外への進路変更を希望する場合である。また、健康上の理由から進路変
更する場合もある。また、退学希望を申し出た学生に対しては、アドバイザーとの面接により、
学生の思いを十分聴いた上で退学希望の理由を把握するとともに、一定期間の休学の後、復学
するという方法等も説明する。退学の意思が固い場合は保護者の意向を確認し、教授会の承認
を得て退学を許可している。
3 年次編入学制度は、看護系短期大学および高等専門学校を卒業した(卒業見込みの)看護
師を対象とし、保健師教育とより深い看護専門性を目指す人を対象としている。看護学部にお
ける編入学定員は、2005 年度より 3 年次編入 5 名と定められている。また、2000 年度入試から
は、看護系専修学校専門課程修了者にも門戸を開いている。
ケ)助産学専攻科
a)学生募集方法、入学者選抜方法
助産学専攻科では、大学を卒業しかつ看護師の資格を得た後、助産師として活躍する志のあ
100
4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
る者を募集している。主な募集方法としては、看護系の大学に向けての学生募集に関する情報
提供と本学ホームページ上での受験案内である。大卒者を対象とする助産師養成校は全国的に
少数であるため、学部の学生募集活動ほどの多岐にわたる募集活動は行っていない。
入学者選抜方法は、一般入試と学内推薦入学の 2 種類の方法により行っており、大学全体の
募集人員の比率(一般入試:推薦入学)は、およそ 1:1 である。それぞれの入試において面接
を行い、本専攻科修了後に助産師として活躍する志の有無について確認し、
「高度な実践能力を
備えた質の高い助産師を養成する」という設置の趣旨に沿った入学者選抜を行っている。
・一般入試
入学者の選抜は、専門科目(母性・小児看護学)と小論文を課し面接を行い、それらの結
果と提出書類を総合して行っている。
・学内推薦入学
本学看護学部の 4 年次生の希望者を対象に推薦入学を実施している。看護学部内で 3 年次
までの学業成績と面接により推薦される者が選考される。選考された学生は、出願書類を
取り揃えて本専攻科に提出することにより合格となる。
学生募集と入学者選抜の方法は、文部科学省の定める入学者選抜実施要項に沿って行ってお
り、当該年度の 5 月までに入学者選抜に関する基本的な事項を決定し、その内容を盛り込んだ
入試要項として、6 月に本学ホームページへの掲載および入試ガイドの発行・配布により公表
している。また、学生募集要項を 7 月に発表・配布している。
b)入学者受け入れ方針等
本専攻科の教育目的・目標は、本学の教育理念である「生命の尊厳と隣人愛」を基に、女性・
乳幼児・家族・地域社会を対象に、健康問題の解決や発達課題の達成のための高度な実践能力
と、対象者を全人的に理解しよりそい、助産師として自律し・自立した専門職としての役割を
遂行する力を有する助産師を育成することにある。入学者の受け入れは、この教育の目的・目
標に沿える人材を受け入れることが前提となり、大卒であり看護師の資格を有し助産師を志す
明確な意思を持った者を受け入れることを基本方針としている。
c)入学者選抜の仕組み
学内推薦入学の選考は 9 月に行い、一般選抜は 10 月に実施している。それぞれの選抜方法は
前述のとおりである。入学者選抜の実施組織については、
「(1)大学における学生の受け入れ」
において述べたとおりである。
d)入学者選抜方法の検証
入試問題を検証する特別な仕組みは導入していないが、看護専門領域の複数名の教員が出題
に関わり適切な入試問題を出題している。
101
4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
e)定員管理
本学では、2009 年度まで本専攻科での助産師養成と本学看護学部の助産師課程における助産
師養成(5 名程度)教育とが並行して行われる。その間大学としては、専攻科と学部助産師課
程それぞれの助産師養成数を合わせて 15 名程度とすることを方針としている。そのため本専攻
科の募集人員は収容定員 15 名のところを、看護学部からの学内推薦入学者を含め 10 名として
いる。2008 年度の収容定員に対する在籍学生数の割合は 80.0%であり、定員を充足していない
ことになるが、これは教育上の負担を勘案した 2009 年度までの暫定的な措置によるものである。
【点検・評価】
現状の学生募集・入学者選抜方法は、多種類の入学者選抜方法を採用することにより、多様
なバックグランドを持つ志願者が増加する時代背景に対応しており、適切性があると考えられ
る。また面接を取り入れた選抜方法が大半であり、学力のみに偏重せず、対人援助の専門職養
成教育に対する適性を見極めるという観点から有意義である。問題点は、近年看護系大学や看
護学科が各地に新設され、本学部でも志願者が減少する傾向にあることである。数年の内には、
愛知県三河地区に 2 校、静岡県内でも中部と東部で各 1 校の看護学部の新設が予定され、減少
傾向にある高卒進学希望者をめぐる県内あるいは隣接地域での競争が激しくなることが予想さ
れる。
入学者受け入れ方針については、到達目標の一つである「対人援助の専門職養成教育に対す
る適性を見極めることのできる入学者選抜を実施する」という目標達成を目指しているが、本
人の希望、適正・資質の判定が重要である。これは 1 回の面接や学力試験だけでは充分に判断・
選抜できるものでは無く、本人の資質をよく見ている高等学校の先生の判断には、より適切性
があると考えられる。このため、推薦入学の枠を複数設定して実施している。看護学部では、
各高等学校が責任をもって推薦してくるものと理解し、面接や小論文で特別に成績が低い学生
でない限りは、募集定員を超えても入学を認める方針を採っている。公募制推薦入学ⅠとⅡは、
定員を上回る推薦がある。また限界もあるが、多くの入学者選抜に面接を課していることは、
学力のみに偏重せず、対人援助の専門職養成教育に対する適性を見極める、つまりアドミッショ
ンポリシーに合致した学生を選抜するという観点から有意義であると思われる。キリスト教学
校教育同盟加盟高等学校特別推薦入学はキリスト教の本学の教育理念を反映させるものである。
併設高等学校推薦入学は高・大連携の観点から、特にその機能を果たしている。問題点として、
高等学校における学習の成果がどれだけ身についているかに関して、大学側での判定がされな
いまま入学してくる現状がある。推薦による入学者についても、基礎学力を見極めることので
きる入学者選抜が出来るような方法が今後、必要と考えている。
入学者選抜試験の仕組みにおける実施体制には特に問題はなく、入学者選抜は公正・適切に
行われている。入学後の学業成績の検証から、入試種別による入学後の学業成績にそれ程大き
な差は見られず、入試種別の設定は良いと思われる。問題点として、入学試験科目の選択制や、
推薦入学で高等学校での履修科目を指定していないことがあり、高等学校での履修科目と入学
102
4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
後の必修科目の間に整合性が欠ける場合が見られることがある。これらは、入学前課題・リメ
ディアル教育・基礎科目で看護系の科学入門・基礎セミナーⅠ・Ⅱなど対応しているが、必ず
しも充分とは言えない。課題は入学試験運営上のミスやトラブルが発生した場合の改善報告書
(インシデントレポート)の書式や報告のシステムが未整理であることがあげられる。入試結
果の開示の一般原則については、現状では具体的に検討していない。
入試問題を検証する仕組みについては、「(1)大学における学生の受け入れ」の点検・評価
において述べたとおりである。
入学者選抜における高・大の連携では、本学部への併設高等学校からの入学者が少しずつ増
えてきていることが利点である。これには、併設高等学校からの志願者の実力が上がってきて
いる点と、高・大連携プログラムにより、本学部への志願の動機が高まりつつあることがある。
しかし、本学が希望する一定水準の志願者を併設高等学校から選抜するためには高等学校との
連携が欠かせない。今後、併設高等学校からの志願者が増加するように企画、調整していきた
い。
社会人の受け入れについてみると、学士・短期大学士特別入試では、志願者が定員を少し上
回り、ここ 2 年ほど 4 名の入学者がいる。これは、2005 年・2006 年には「2 年次編入学試験」
として実施していたが、本学はくさび形カリキュラムを採用しており、1 年次から必修の基礎
専門科目や看護専門科目が組み込まれたカリキュラムであった。このため、2 年次からの入学
は時間割の作成上、編入生にも負担が生じ、教員も特別開講を組まざるをえなかった。そこで、
2007 年からは、1 年次から学習する学士・短期大学士特別入試としたが、このことによって、
入学者が 4 名とそれ以前の 3 名より若干増加となった。最終学歴が高等学校卒であり卒業後 4
年以内の者は、既卒者として高等学校卒業者と同じ枠内での入試選抜となっている。問題点は、
志願者数が減少し、2008 年度は、入学者が無かった社会人特別入試である。高等学校卒業後 4
年以上経っているなかで、高等学校の基礎学力がどの程度保持されているか、本学の共通科目
に置かれている語学科目をこなすための基礎学力があるかの判定が難しい。そのため昨年度よ
り社会人特別入試の小論文では、簡単な英文の出題をし、それに対して日本語で作文をする出
題形式を試みている。大学や短期大学を卒業後、社会人として過ごしてきた本学部志願者が、
社会人特別入試を受験してくるケースが増えてきている。学士・短期大学士特別入試、社会人
特別入試の 2 種目の意図を明確にしたうえで、応募資格を振り分ける必要があるかどうか検討
が必要である。
本学部の入学者数については、ここ 5 年間、ほぼ目標数に達しているため、問題が無いと言
える。今後、看護系大学の増設が進む一方、大学進学者数が減少している現状にあっては、入
学目標数の確保と入学生の質の確保はトレードオフの関係でもあり、両者を適切に調整する視
点もまた必要である。2007 年度から、一般入試(前期)において静岡会場・名古屋会場での入
試を実施することに伴い、受験者に対する入学者の予測が難しくなり、入学者数の管理が困難
になることも予測される。
3 年次編入学生数は年度により変動があるが、合格者の学力や適性を一定レベルに保つこと
103
4.学生の受け入れ
(2)1)看護学部
に留意して合格者数を管理しているために入学辞退者が生じた結果であり、問題はない。
【改善方策】
◆学生募集方法については、本学の 56 年にわたる看護職者の養成の実績を基盤に卒業生や病院
を含め多数の関連法人施設との幅広い協力関係を図り、学部教育から大学院博士後期課程ま
で学べる場を強くアピールする。
◆入学者選抜方法については、一般入試(前期)では、受験の便宜を図って志願者の増加につ
なげるために 2009 年度以降も静岡と名古屋にも会場を設置する。また、全学統一入試を導入
することで一回の試験で複数学部を受験することを可能にする。後期試験を継続することに
より志願者の増加につなげていく。
◆併設高等学校推薦入学については高・大連携の観点から、また本学の目的であるキリスト教
精神に基づく教育の継続の観点からも、その機能を果たしているので、今後とも併設高等学
校との前向きの連携が拡大していく方向で継続していく。さらに、推薦による入学者の基礎
学力を見極めるための方策として、小論文の中に高等学校で学ぶ基本的な学力を測定するよ
うな課題を取り入れて、高等学校での学習成果の判定も可能な出題・採点システムとしてい
くことを検討する。2009 年度入試の出題の中で、その検討を一部開始している。
◆試験運営上のミスやトラブルが発生した場合の改善報告書(インシデントレポート)の書式
や報告のシステムを、今後整備・確立していく。
◆今後入学者の質がどういう推移を見せるか、引き続き入学後の追跡調査を実施する。
◆入試問題を専門的立場からチェックすることの出来る信頼できる第三者の確保が難しい状況
と、学内に出題を点検できるチェック者を置くことが教員の不足から難しい点があることか
ら現状のチェック方式を続ける。
◆学士・短期大学士特別入試は現状で特に問題は無いので、現行通り続ける。社会人特別入試
枠については、志願者も少なく、入試問題の作成や実施など、継続するには課題もあるが、
大学の社会的責任の下に、社会人に門戸を開く入試として今後とも継続していく。いずれも、
選抜の意図を明確にする作業を行い、遅くとも 2010 年度入試までに結論を出す。社会人特別
入試の小論文における英文出題は、まだ開始したばかりなので今後も継続して有用性をみて
いく。
◆特に一般入試(前期)において他大学や高等学校の教育の動向をみながら受験者数に対する
入学者数の予測方法を、数年間で検討、修正し、これまでの入学定員管理を維持する。入学
定員の管理と入学生の質の間にあるトレードオフの関係について、基礎データを収集しなが
ら教員間や学校法人管理者との間で合意の形成を図るように取り組む。
◆退学者の減少を図るために、アドバイザー教員による支援、教員間や健康管理センター等関
連部署と連携する。
104
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
2)社会福祉学部
【現状説明】
ア)学生募集方法、入学者選抜方法
本学部では 2005 年度をピークに志願者が大きく落ち込み始めた。この要因としては、少子化
による大学入学者年齢層の減少があげられる。また、日本における経済状況の変化の問題もあ
る。しかし、それ以外に、社会福祉政策の転換による、国民の間に「社会福祉の世界はやりが
いもあるし専門性も求められるが、一方で収入が乏しく、生活維持が困難である」というよう
な認識が蔓延したという要因があり、それが受験生の保護者や高等学校の進路指導教員に「社
会福祉分野への進学を積極的に勧められない」という状況を生み出したと考えられる。
そこで、本学部では、社会福祉学部独自の学生募集方法について検討し、2007 年度より実行
した。具体的には本学部の理念、目的、教育内容・方法を踏まえた「強み」を論議し、それを
明示した学部独自のパンフレットを作成したほか、重点高等学校(これまで、本学部入試・入
学に実績のある高等学校および今後それが期待される高等学校)を明確にした上で教員自らが
訪問し、進路担当教員に社会福祉施策の変化とその中で求められる専門職の役割、卒業後の進
路の多様性等とともに本学部の「強み」を伝えることをした。
またオープンキャンパス時に体験型のプログラムや近隣社会福祉施設見学を取り入れるなど、
高校生がより社会福祉の学習に関心やイメージをもてるよう工夫した。
2008 年度に実施した入学者選抜は以下の 9 種類および編入学試験である。
a.一般入試(前期)は、入学後の学習に必要な基礎学力を、本学出題の入試科目で判定する入
学者選抜であり、募集人員は社会福祉学科 30 名、こども教育福祉学科 22 名である。本選抜
は、受験生の本学部選択の意思についてはそれを信頼し、基礎学力を見極めることにより入
学者の選抜を行うものである。一般入試(前期)は、その科目として国語(「国語総合(古
文・漢文を除く)」)、外国語(「英語Ⅰ・英語Ⅱ・リーディング」)、地理歴史(「世界史B」
「日本史B」)、公民(「現代社会」)、数学(「数学Ⅰ・数学A」)、理科(「生物Ⅰ」)があり、
このうちから 2 教科 2 科目を選択(ただし、国語または英語を必ず選択)するものである。
多くの私立大学の学部が 2 科目または 3 科目程度の教科・科目選択をさせるなか、本学部で
は、その受験生のレベルに合わせて 2 科目選択としている。ただし、本学部の入学者受け入
れ方針(アドミッション・ポリシー)は、「イ)入学者受け入れ方針」で後述するように、
「人との関わり」「社会との関わり」に注目するのであり、そのために国語および英語(英
語については、これが国語力と深く関わるという理由による)の学力を特に重視するものと
なっている。
b.一般入試(後期)も、入学後の学習に必要な基礎学力を、本学出題の入試科目で判定する入
学者選抜であり、募集人員は社会福祉学科 4 名、こども教育福祉学科 3 名である。一般入試
(後期)は、その科目として国語(「国語総合(古文・漢文を除く)」)、外国語(「英語Ⅰ・
105
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
英語Ⅱ・リーディング」)、数学(「数学Ⅰ・数学A」)があり、このうちから 2 教科 2 科目を
選択するものである。この入試の選択科目数および国語、英語の学力を重視することについ
ては、一般入試(前期)と同じ理由による。
c.大学入試センター試験利用入試(前期)は、大学入試センター試験得点で基礎学力を判定す
る入学者選抜であり募集定員は社会福祉学科のみ 2 名である。この試験の選択科目は、大学
入試センター試験の「国語」(近代以降の文章)が必修であり、それ以外に 2 教科 2 科目を
選択する、3 教科選択となっている。 この入試が特に国語の学力を重視するのは、一般入
試(前期・後期)と同じ理由によっている。
d.大学入試センター試験利用入試(後期)も、大学入試センター試験得点で基礎学力を判定す
る入学者選抜であり募集定員は社会福祉学科のみ 2 名である。この試験の選択科目は、大学
入試センター試験利用入試(前期)と同様であり、選択科目の意義についてもこれと同様で
ある。
e.アドミッション・オフィス入試(以下 AO 入試)は、社会福祉学科のみ実施しているもので、
本学部独自の AO 入試エントリー条件(1.積極的にボランティア活動を行った、2.文化・
芸術・スポーツ等の活動に優れた能力と実績を持つ、3.正課の学業以外に、課外活動・留
学などの国際体験、または高度な資格を有する等の特殊な体験や能力を持つ)を設定し、こ
れに見合う学生を選抜することを主眼とする、自己推薦入学ともいうべき入学者選抜である。
エントリーシートおよび 2 回の面談と 1 回の課題提出により判定している。募集は第Ⅰ期と
第Ⅱ期に分かれるが、募集人員は合計で 15 名である。
f.公募制推薦入学は、小論文によって感性・論理性・社会性・教養の幅等を評定し、面接によっ
て感情表現、目的意識、論理的思考力など対人援助専門職を志向した学習への適正を判定す
る入学者選抜である。これは受験生の学科試験の学力以外の資質・能力を発見し、それを評
価しようとするものである。(なお、以下に示すこれ以外の推薦入学についても同様の趣旨
で選抜を行っている。)募集定員は社会福祉学科 4 名、こども教育福祉学科 3 名である。
g.指定校制推薦入学は、高等学校と大学との連携を図るために、近隣の地域(静岡県および愛
知県東部)の範囲で本学部が独自に指定した高等学校の推薦を受けて行うものであり、面接
によって対人援助専門職を志向した学習への適正を確認する。募集人員は社会福祉学科 13
名、こども教育福祉学科 8 名である。
h.併設高等学校推薦入学は、設立理念が同じである併設の聖隷クリストファー高等学校で教育
を受けた生徒を対象にした推薦入学で、併設高等学校との複数回の話し合いを含め、面接に
よって対人援助専門職を志向した学習への適正を確認する。定員は社会福祉学科 8 名、こど
も教育福祉学科 4 名である。
i.社会人特別入試は、社会人経験を経た受験生を学科試験以外の能力・資質から選抜するもの
で、小論文によって感性・論理性・社会性・教養の幅等を評定し、面接によって感情表現、
目的意識、論理的思考力など対人援助専門職を志向した学習への適正を判定する。募集人員
106
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
は社会福祉学科のみ 2 名である。
なお、入学者選抜における高等学校の「調査書」の利用方法について、面接試験があるものに
ついては参考とするものの、その点数化等は行っていない。
以上が 1 年次入学生に対する入学者選抜であり、募集人員の合計は社会福祉学科 80 名、こど
も教育福祉学科 40 名である。
これ以外に、3 年次に編入する編入学試験があり、その種類は一般編入学試験(秋季・春季)
および指定校推薦編入学試験(秋季・春季)がある。このうち指定校推薦編入学試験は、本学
部が指定した福祉・保育・介護系専門学校および短期大学の推薦を受けて行うものである。選
抜方法については小論文によって感性・論理性・社会性・教養の幅等を評定し、面接によって
感情表現、目的意識、論理的思考力など対人援助専門職を志向した学習への適正を判定する。
募集人員は社会福祉学科のみで、一般編入学試験(秋季・春季)それぞれ 4 名、指定校推薦編
入学試験(秋季・春季)それぞれ 1 名である。
イ)入学者受け入れ方針等
2007 年度から「3.教育内容・方法等」の「(1)学士課程の教育内容・方法」に示された社
会福祉学部到達目標に照らし、本学部のアドミッション・ポリシーとして以下の内容を公表し
ている。
・人間が好きで、豊かな感性を持つ人
・人間社会に関心をもち、社会的不公正を問う人
・人とかかわり、多くのことを吸収し、協働を大切にする人
・社会福祉を学び、この分野でリーダーとして活躍したいという強い意志と意欲をもつ人
この方針は、大学案内をはじめ社会福祉学部独自のパンフレット、オープンキャンパス時の
説明等、あらゆる場面で高校生、高等学校に周知している。とりわけ指定校推薦入学の対象と
なる指定校や併設高等学校に対して、文書や直接訪問等をとおしてアドミッション・ポリシー
に基づき、社会福祉の学習に求められる適正、能力、意欲を見極めて推薦してほしい旨を伝え
ている。
本学部のカリキュラムもこの本学部入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)に合
致したものとなっている。これを本学部の入学者選抜全てに関連づけて示すものはないが、た
とえば AO 入試においては、そのエントリー条件に「積極的にボランティア活動を行った」等が
あり、推薦入学の出願資格として「本学の教育方針に賛同し、本学部を専願とする者」という
条項があって、これはこのアドミッション・ポリシーとカリキュラムに基づいたものである。
また、これはそれぞれの入学者選抜の記述において明文化されているわけではないが、本学部
の入学者選抜すべての基本となる理念となっている。
107
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
ウ)入学者選抜の仕組み
入学者選抜の実施組織については、「(1)大学における学生の受け入れ」において述べたと
おりである。
本学部としての入学者選抜基準の透明性については、まず、各入学者選抜において、面接を
含むそのすべての評価を点数化しているということがあげられる。この点数化された入学者判
定資料を用いて、本学部入試・選抜委員会、教授会という 2 段階の審議を経て合格者を判定す
るというシステムを設けている。入学者選抜とその結果の公正性・妥当性を確保するシステム
については、現在のところ何の問題もないので、それ以上の方策はとっていない。
エ)入学者選抜方法の検証
本学では、学部に入学者選抜の方法やその選抜の権限が与えられているので、学部独自に、
しかも「ウ)入学者選抜の仕組み」で述べたように、公明正大に入学者選抜の判定をしている。
入学者選抜方法の適切性の検討は、入試・選抜委員会が行っている。ここでは、入学者選抜
基準の透明性、学部の理念・目的・教育目標、アドミッション・ポリシーとの関連について検
討している。また、入学生の入学後の成績等を調査して、どの入学者選抜が適切であるかを検
討することも進めている。さらに、入学者選抜方法等の改定についても、入試・選抜委員会の
審議を経、その後教授会の審議を経るという 2 段階を踏むことになっている。
一般入試における入試問題を検証する仕組みについては「(1)大学における学生の受け入れ」
において述べたとおりである。
社会福祉学部の推薦入学・社会人特別入試・編入学試験の小論文の入試問題の作成について
は最低 3 名によって作成しており、その出題者相互および入試委員長がその適切性について点
検・検証している。
オ)AO 入試
社会福祉学科で実施している AO 入試は、①積極的にボランティア活動を行った、②文化・芸
術・スポーツ等の活動に優れた能力と実績を持つ、③正課の学業以外に、課外活動・留学など
の国際体験、または高度な資格を有する等の特殊な体験や能力を持つ、のいずれかをその AO
入試エントリー条件とし、指定のエントリーシート提出(エントリーする)をもって始まる。
エントリー者に対しては、指定した日時に教員による面談(1 回 45 分程度)を 2 回行う。教
員との面談は、1 回目はエントリーシートを中心にコミュニケーションを深め、お互いをより
よく理解する場となる。1 回目の最後に、エントリー者の社会福祉を学ぼうとする意欲、その
背景としての体験、知識などを勘案し、それぞれに応じた課題を課す。2 回目の面談は、課題
の成果報告を中心に展開する。面談者は面談記録に毎回記録し、2 回の面談終了後、面談記録
をもとに結果を点数で評価する。
その結果をもとに入試・選抜委員会、教授会の審議を経て出願許可の可否を決定する。これ
108
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
が事実上の選抜となり、出願許可を得た者が出願すると、教授会の確認を経て合格となる。
AO 入試における、AO 入試エントリー条件は、「イ)入学者受け入れ方針等」で述べた本学部
のアドミッション・ポリシーを基本としたものであり、本学部の入学者受け入れの中でも、特
に本学部の特性に見合った学生を募集するという意義を持っている。
カ)入学者選抜における高・大連携
入学者選抜における高等学校との連携としては、公募制推薦入学、指定校制推薦入学、併設
高等学校推薦入学がある。とりわけ指定校制推薦入学、併設高等学校推薦入学は該当する高等
学校との信頼関係によって成り立っている。指定校制推薦入学の対象となる高等学校や併設高
等学校に対しては、文書や直接訪問等をとおして本学部のアドミッション・ポリシーに基づき、
社会福祉の学習に求められる適正、能力、意欲を見極めて推薦してほしい旨、伝えている。
また高等学校との連携を深める中で、「AO 入試、推薦入学関係については早い時期に合否が
確定するため、生徒のその後の学習意欲が低下する」という弊害があることを理解した。そこ
で AO 入試、推薦入学関係の合格者に対しては、合格発表後早期に学習計画を立て大学に提出す
ること、さらに 2 月末頃にその学習成果を再度大学に提出することを課している。
キ)定員管理
2007 年度入学者まで本学部は社会福祉学科のみで、その募集人員は 95 名であった。それに
対する入学者の 推移を見る と、2005 年度は入学 者 108 名(入学定員に対 する入学者 の比率
113.7%)であったが、2006 年度は入学者 91 名(同 95.8%)、2007 年度は 81 名(同 85.3%)
と、2006 年度以降定員を下回っている。この大きな要因は志願者自体の激減によるものである
(2005 年度の志願者数を 100 とした場合、2006 年度 75.3、2007 年度は 55.6。志願者減の要因
は「ア)学生募集方法、入学者選抜方法」で述べたとおり)。これにより、社会福祉学科 95 名
定員を今後も維持することは困難と判断し、2008 年度から社会福祉学科定員を 80 名とした。
2008 年度入学者は 71 名で定員割れを解消することはできなかったが、入学定員に対する入学
者の比率は 88.8%と、多少改善することはできた。
併せて 2008 年度より、昨今のこどもを取り巻く情勢の変化の中で社会的要請に対応するため
「こども教育福祉学科」を新たに募集人員 40 名で開設した。初年度の入学者は 34 名で募集人
員に対して 85%であったが、これは文部科学省、厚生労働省による設置認可以降に入学試験を
開始しなければならなかったため、推薦入学関係で志願者が十分集らなかったことに大きく起
因すると考えられる。
また編入学試験は、募集人員 10 名に対し、2005 年度 8 名、2006 年度 6 名、2007 年度 1 名、
2008 年度 3 名と、上記と同様に著しい定員割れをきたしている。(大学基礎データ表 13 参照)
学部の学生収容定員と在籍学生数の比率に関しては、
「(1)大学における学生の受け入れ」に
述べたとおりである。
109
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
ク) 編入学者、退学者
2005 年度から 2007 年度まで各年度それぞれ 11 名、7 名、4 名の学生が退学しており、退学
理由は経済的問題、進路の変更、交友関係等、様々である。退学を予防する初期段階として、
まずは、アドバイザーシステムを通して、授業に欠席し始めた学生を早期に発見している。そ
して、アドバイザー教員や学生相談室の臨床心理士等による個別相談を通して、退学を考え始
めた段階から、学生の相談に応じると共に、教務委員会や学生委員会と連携を通して学生の状
況を把握し、できるだけ学生が退学をしなくても済むように支援を行っている。
また、編入学に関しては、社会福祉専攻において 3 年次への入学を受け入れており、2005 年
度に 1 名、2006 年度に 3 名の学生が入学をしているが、2007 年度は入学生がなかった。転学部
に関しては、看護学部と社会福祉専攻の間において可能な制度を設けているが、受け入れ側の
看護学部の学生数の関係からこれまで転学部した学生はいない状況である。
【点検・評価】
学生募集については、重点高等学校への教員による訪問を 5 月と 9 月に実施し、社会福祉を
取り巻く状況、その中で今後求められる社会福祉専門職の能力、それを育成する本学部の教育
力について一定程度周知でき、本学部に対する高等学校の信頼も高まったと考える。またオー
プンキャンパスについては参加者の減少を食い止めることは困難であったが、参加高校生から
の評価は高かった。
入学者選抜方法には、社会福祉学科、こども教育福祉学科ともに様々な種類があり、それに
よって受験生は自分にあった受験方法を選択できたり、多くの受験機会を得ることができたり
するという利点がある。またこうした様々な入学者選抜によって入学した学生が混在すること
によって、多様な価値観・経験・資質をもった学生が集まり、学生の活性化にもつながると考
える。
入学者選抜方法のうち、AO 入試、併設高等学校推薦入学、指定校制推薦入学、公募制推薦入
学および編入学試験は、その意図もはっきりしており、推薦入学等においては、これが高・大
連携の一部ともなりえている。また面接(AO 入試の場合は面談)を課すことにより、本学部の
ような対人援助の専門職養成教育に対する適性を見極めることができる。しかし入学者の質の
向上と維持を図るための基礎学力を正確に見極めることは困難であるため、入学後の成績等の
調査を継続していく。
一方、一般入試(前期・後期)、大学入試センター試験利用入試(前期・後期)は、基礎学力
を見極めることは可能であるが、面接を課していないため、本学部への入学の目的や対人援助
の専門職養成教育に対する適性を推し量ることは困難である。
以上を踏まえた上で、入学後の成績(GPA を活用)や国家試験の結果(卒業生)などを調査
することをとおして、入学者選抜方法を点検している。現在までのところ、
「GPA が高い学生ほ
ど国家試験合格率が高い」ということは明らかであるが、志願者数の変動を反映して学年ごと
110
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
に様相が異なるため、GPA と入学者選抜方法との明確な相関は明らかになっていない、という
のが実情である。
本学部の理念・目的・教育目標は明確であり、それがカリキュラムに活かされていることは
確かであったが、従来はそれがアドミッション・ポリシーという形で明確になっていなかった。
アドミッション・ポリシーが明確になった現在、あらゆる機会に周知するとともに、選抜の際
の基準としてどう位置付けるかが課題である。上記のとおり面接(AO 入試の場合は面談)を課
す場合には、アドミッション・ポリシーに合致しているかどうかも含めて人物を評価すること
は可能であるが、一般入試、大学入試センター試験利用入試のように面接を課さない試験の場
合、どうすべきか検討する必要がある。
入学者選抜の仕組みに関しては、本学部の入学者選抜は、いずれも公明正大なものであり、
情報公開に耐えるものである。
入学者選抜の判定、入学者選抜方法の適切性の検討、選抜方法の改定などについては、慎重
かつ綿密な手続きで行われていて問題はない。入試問題の検証について、本学部の責任の範囲
である小論文についても問題ないといえる。
AO 入試は、これまでの学科試験のみに偏っていた入試を見直す意味から本学部の入試に取り
入れたものであり、本学部の入試の中でも、とくに本学部の特性に見合った学生を募集すると
いう意味ではその存在意義は大きい。実際、教員との 45 分間×2 回の濃密な面談と、その間に
課せられる課題の実行をとおして、社会福祉を学習する意欲・能力の高い学生を多く獲得でき
ており、資格取得のための実習や就職試験を好成績で突破する学生も多い。しかし中には入学
後意欲が低下する学生や、GPA が低い、国家試験不合格など、基礎学力の面で問題を抱える学
生が散見されるのも事実である。
推薦入学における高等学校との関係については、公募制推薦入学、指定校制推薦入学、併設
高等学校推薦入学による入学生の入学後の成績を調査中であり、入試種別と成績との明確な相
関はなく、それぞれの種別で成績等の良好な学生と、そうでない学生が混在しているのが実情
である。
編入学制度については、開設当初から、志願者が少なく、社会貢献にかかわる生涯教育の一
環として定年退職者の積極的な受け入れの検討等編入学制度の見直しが求められている。
2006 年度以降本学部において入学定員を確保できなかった要因は志願者が激減したことに
つきる。その背景と対策については現状説明の冒頭において述べたとおりである。
【改善方策】
◆オープンキャンパス、進学ガイダンス等をとおして、高校生に対しても上記について説明す
る。その他、あらゆる機会をとおして高校生、高等学校教諭、保護者に対して周知をはかる。
◆昨今の社会福祉政策の変化と求められる専門職のあり方等について、教員がその専門性をい
かして進路指導担当教員に直接説明する機会である高等学校訪問を継続する。
111
4.学生の受け入れ
(2)2) 社会福祉学部
◆こども教育福祉学科の完成年次である 2011 年度を目途に入学後の成績等の調査を継続し、入
試選抜方法の種類および種類ごとの募集人員の見直しを行う。
◆社会人入試、編入学制度の見直しを早急に行う。
◆2009 年度に AO 入試および推薦入学関係については基礎学力を測定する方法、一般入試・大
学入試センター試験利用入試については適正を見極める方法を検討する。
◆2009 年度に面接(面談を含む)の際のアドミッション・ポリシーに基づく評価基準の要否に
ついて検討する。あわせて面接を課さない場合、入学者選抜にアドミッション・ポリシーを
どう活かすかについて検討する。
◆AO 入試における教員の面談精度の向上、評価基準の統一を一層はかる。
112
4.学生の受け入れ
(2)3)リハビリテーション学部
3)リハビリテーション学部
【現状説明】
ア)学生募集方法および入学者選抜方法
学生募集活動については、入学案内・入試ガイドの発行、大学ホームページでの広報のほかに、
オープンキャンパスの開催、進学相談会への参加などを実施している。募集強化地域としている静
岡県および愛知県三河地方については、入試・広報センター職員と協力し教員自ら高等学校訪問も
行っている。また、作業療法学専攻および言語聴覚学専攻については、それぞれ専攻パンフレット
を作成した。作業療法士・言語聴覚士の業務内容をわかりやすく説明し、医療専門職としてより広
く認知してもらえることを目的としている。
2008 年度に実施した入試種別は以下の 5 種類である。理学療法学専攻、作業療法学専攻、言語聴
覚学専攻における各入試選抜方法およびその位置づけとそれぞれの募集定員は次のとおりである。
理学療法学専攻:
a.一般入試(前期)、および一般入試(後期)は、入学後の学習に必要な基礎学力を本学出題の
入試科目で検定する入試である。受験方式は、3 教科型および 2 教科型を設定し、それぞれが
募集人員の 5 割を按分する。募集人員は前期 16 名、後期 4 名である。
b.大学入試センター試験利用入試(前期)は、全国的な広がりを持つ大学入試センター試験得
点で基礎学力を検定する入試である。募集人員は 4 名である。
c.公募制推薦入学は、小論文で文章読解力、論理的思考力および文章表現力を検定し、面接で
対人援助職としての適性を検定する入試である。募集人員は 4 名である。
d.併設高等学校推薦入学は、設立理念の同じ併設高等学校で教育を受けた生徒を対象に、高等
学校長の推薦を受けて行う入試である。併設高等学校との複数回の話し合いを含め、小論文
および面接での検定を加味し、その適性を判定する。募集人員は 2 名である。
作業療法学専攻:
a.一般入試(前期)は、入学後の学習に必要な基礎学力を本学出題の入試科目で検定する入試
である。受験方式は、3 教科型および 2 教科型を設定し、それぞれが募集人員の 5 割を按分す
る。募集人員は 18 名である。
b.一般入試(後期)は、本学出題の入試科目で基礎学力を検定し、同時に面接(1 科目相当に配
点)で医療専門職への意欲および適性を検定する入試である。募集人員は 2 名である。
c.大学入試センター試験利用入試(前期)は、全国的な広がりを持つ大学入試センター試験得
点で基礎学力を検定する入試である。募集人員は 4 名である。
d.公募制推薦入学は、論文で文章読解力、論理的思考力および文章表現力を検定し、面接で対
人援助職としての適性を検定する入試である。募集人員は 4 名である。
e.併設高等学校推薦入学は、設立理念の同じ併設高等学校で教育を受けた生徒を対象に、高等
学校長の推薦を受けて行う入試である。併設高等学校との複数回の話し合いを含め、小論文
および面接での検定を加味し、その適性を判定する。募集人員は 2 名である。
113
4.学生の受け入れ
(2)3)リハビリテーション学部
言語聴覚学専攻:
a.一般入試(前期)は、入学後の学習に必要な基礎学力を本学出題の入試科目で検定する入試
である。受験方式は、3 教科型および 2 教科型を設定し、それぞれが募集人員の 5 割を按分す
る。募集人員は 15 名である。
b.一般入試(後期)は、本学出題の入試科目で基礎学力を検定し、同時に面接(1 科目相当に配
点)で医療専門職への意欲および適性を検定する入試である。募集人員は 2 名である。
c.大学入試センター試験利用入試前期は、全国的な広がりを持つ大学入試センター試験得点で
基礎学力を検定する入試である。募集人員は 2 名である。
d.公募制推薦入学は、論文で文章読解力、論理的思考力、および文章表現力を検定し、面接で
対人援助職としての適性を検定する入試である。募集人員は 4 名である。
e.併設高等学校推薦入学は、設立理念の同じ併設高等学校で教育を受けた生徒を対象に、高等
学校長の推薦を受けて行う入試である。併設高等学校との複数回の話し合いを含め、小論文
および面接での検定を加味し、その適性を判定する。募集人員は 2 名である。
なお、言語聴覚学専攻においては、2007 年度までの募集人員 20 名を 5 名増員し、2008 年度より
25 名とした。
イ)入学者受け入れ方針等
本学の「入学案内」には、建学の精神をはじめとした全学的な受け入れ方針に続けて、各学部が
求める学生像を記載している。本学部では、高度な知識と実践的な専門技術を習得し、かつ相手の
心を理解し敬意を表すという人間としての基本的な態度を有した専門職者を育成するという目標の
もと、以下のように求める学生像を明示している。
・隣人愛の精神のもと、豊かな感性をもつ人
・学習に意欲を燃やし、確かな技術をもつように努力する人
・論理的思考ができ、高い問題解決能力がある人
・研究的な視点をもち、かつ実践もおろそかにしない人
・国内外の保健医療福祉の分野でリーダーとして活躍できる人
それらを実現すべく、カリキュラムには国家試験受験資格を得るための科目配当だけでなく、
「卒
業研究」
「専門職連携の基礎および演習」
「入門リハビリテーション英語」
「聖隷の精神とキリスト教」
などの特色ある科目を設定している。
ウ)入学者選抜の仕組み
入学者選抜の実施組織については、「(1)大学における学生の受け入れ」において述べるとお
りである。
入学者選抜に関する方法ならびに選抜基準は、入試制度ごとに入試要項と大学ホームページに
明記している。入試選抜は、各入学者選抜において、面接を含むその全ての評価を点数化し、審
査するための基準を明確にしている。公募制推薦入学の小論文および面接の採点は各受験生につ
114
4.学生の受け入れ
(2)3)リハビリテーション学部
いて複数人で行い、予め採点表を作成し、明確な基準の下に判定、数値化し、採点者の点を合計
している。合否はこの数値に沿って上位から選抜し、提出書類は、面接および判定の資料として
利用している。また、一般入試と大学入試センター試験利用入試についても、受験番号と学力検
査の結果を表にし、合否はこの数値に基づいて上位から選抜している。提出書類は選抜の参考と
して用いている。入試結果は、志願者数・受験者数・合格者数・入学者数などの情報を入試ガイ
ドや大学ホームページに掲載し公開している。
合格者を判定するシステムは、本学部教授全員を含む入試・選抜委員会(拡大)、教授会という
2 段階の審議を経て、公明正大に判定するというシステムを設けている。入学者選抜方法の適切性
の検討は、入試・選抜委員会が行っている。ここでは、入学者選抜基準の透明性、学部の理念・
目的・教育目標との関連について詳細に検討している。また、入学生の入学後の成績等を調査し
て、どの入学者選抜が適切であるかを検討することをも進めている。さらに、入学者選抜方法等
の改訂については、本学部教授全員を含む入試・選抜委員会(拡大)の審議を経てから、教授会
の審議を経るという 2 段階を踏むことになっている。
エ)入学者選抜方法の検証
入試問題を検証する仕組みについては「
(1)大学における学生の受け入れ」において述べたと
おりである。
オ)入学者選抜における高・大の連携
本学部において、高等学校との連携を図ろうとする入学者選抜には、公募制推薦入学、併設高
等学校推薦入学がある。公募制推薦入学は全国の高等学校の推薦によるもので、併設高等学校推
薦入学は併設高等学校である聖隷クリストファー高等学校からの推薦によるものである。
高校生に対して行う進路相談・指導に関しては、オープンキャンパスの他、高等学校からの依
頼により、随時、説明会や模擬授業等を開催し、
「リハビリテーションの専門性」
「各専攻の特徴」
の理解を促し、進路選択の参考としてもらうための活動を行っている。
本学部における併設高等学校推薦入学は、面接により適性を判定するもので、理学療法学専攻、
作業療法学専攻、言語聴覚学専攻、いずれも募集人員は 2 名である。併設高等学校には、
「リハビ
リテーション講座」を年 3 回開催している。
カ)定員管理
入学定員に対する入学者の比率の適切性について、入学者数は入学定員に対する 10%以下の超
過に収めるようにしているが、2008 年度 1 年次の入学定員数は学部全体で 85 名のところを 110
名が入学し、23%の超過となった。この結果が学部収容定員の超過にも影響している。
学部の学生収容定員と在籍学生数の比率に関しては、「(1)大学における学生の受け入れ」に
述べたとおりである。
115
4.学生の受け入れ
(2)3)リハビリテーション学部
キ)編入学者、退学者
本学部では編入学制度は設けていない。
退学者の状況と退学理由の把握状況については、退学者総数が 2005 年度は 4 名(1 年次 3 名、2
年次 1 名)、2006 年度は 1 名(3 年次)、2007 年度が 6 名(1 年次 1 名、3 年次 3 名、4 年次 2 名)
であった。退学理由は、ほとんどが進路変更によるものであり、体調不良によるものと自主退学
がわずかにあった。本学部は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の各国家試験受験資格を得
る専門コースのため、入学と同時に将来の仕事を選択することと、ほぼ同等の意味を持つ。その
ことを十分に吟味した上での入学であっても、実際に学習を進めていく途上で、描いていた自分
の目指すイメージと違うということに気づく学生もいる。
本学部では、1 学年につき、専攻ごとに 2 名のアドバイザーを設け、欠席などの学生の動向を早
期に掴み、個別相談によるフォローを行っている。これが、退学を予防する初期の対応として機
能しており、その後の学生相談室の利用、場合によっては医療機関への紹介など、必要に応じて
専門家のアドバイスを受けられるようなシステムとなっている。
【点検・評価】
本学部の入学者選抜方法は、入学希望者の能力を多面的に評価するために、入試種別ごとに特徴
を持たせた構成となっている。しかし、学力検査における選択科目は専攻ごとに異なり、選択した
科目の得点を偏差値化することにより比較可能としているが、より精度の高い方法の検討が必要で
ある。また、一般入試(前期)の選抜科目の中に面接が課されていない現状では、本学部の教育目
標を理解した学生の見極めや、対人援助の専門職養成教育に対する適性を見極めることが困難であ
る。
入学者選抜試験の実施体制には特に問題はなく、入学者選抜は公正・適切に行われている。入試
種別と入学後の学業成績についての関係性については、完成年度を迎える前に実施した調査では、
大きな差は見られなかった。2008 年 3 月に第 1 期の卒業生を輩出した現在、専門的知識の修得およ
び実践力の養成の観点から入学者の在学中の動向を調査し、入学者選抜方法の適切性について点
検・評価を行う。
収容定員に対する在籍学生数の割合は、2008 年度現在で 116.6%であり超過気味である。この状
況については、2008 年度入試において例年通りの合格者数を公表したところ、予想以上に多くの入
学手続者がいたため、この年度の入学生の超過分が大きく影響している。それまで 2007 年度以前に
ついては、著しい欠員および定員超過は恒常的に生じてはいない。しかし、今年度から 3 学部を統
一した入試の実施、名古屋会場を新たに設けての 3 会場での実施により、入学者数の予測が更に難
しくなることが予測される。
【改善方策】
◆入試種別と入学後の学業成績・職業人としての適性との関係性を追跡調査し、2011 年度入試に向
けて入試方法の見直しの検討を行う。具体的には、2010 年度中に入学後の GPA および実習成績を
116
4.学生の受け入れ
(2)3)リハビリテーション学部
確認し、入学生数と入学生の質(適性)の観点から分析をする。
◆受験者数に対する入学率を予測する方法の確立を目指し、これまでの入学者と入学辞退者の分析
を行う。
◆退学者に対する対策として以下のような対策を図る。
・アドバイザー制度をより充実させ、早期からの対応を行う。
・転学部制度の整備を検討する。
117
4. 学生の受け入れ
(3)1)保健科学研究科
(3)大学院における学生の受け入れ
【到達目標】
本学大学院では、学生の受け入れについて次のような到達目標を掲げている。
①建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」に共感し、専門職をこころざす質の高い学生を受け入
れるための入試制度を整える。
②入学者受け入れ方針に基づいて大学院研究科の求める学生を受け入れるために、より有効かつ適
切な入学者選抜制度を整える。
a.高度専門職業人育成教育に対する適性を見極めることのできる入学者選抜を実施する。
b.入学者の質の向上と維持を図るため、専門領域における基礎能力を見極めることのできる入学
者選抜を実施する。
③修士課程三研究科および博士後期課程一研究科の各分野・関心領域において継続的に入学生を得
るため、大学院オープンキャンパス(または大学院相談会)の開催および研究指導教員個々の学
生募集活動を強化する。
④修業年限の弾力化(長期在学コース等)や夜間その他特定の時間または時期に授業や研究指導を
行うことにより、社会人入学者が入学しやすい制度の充実を図る。
⑤地域の保健医療福祉専門職の質の向上に貢献するため、それら専門職の正規入学生、研究生およ
び科目等履修生の受け入れを促進する。
⑥入学者の受け入れが公平かつ公正に行われていることについて、情報公開・情報開示を行う仕組
みを作る。
⑦保健医療福祉分野における国際的相互理解を促進し、かつ互いの学びを深めるため、外国人留学
生の受け入れのための制度を整える。
1)博士後期課程保健科学研究科
【現状説明】
ア)学生募集方法、入学者選抜方法の適切性
本研究科は、2008 年 4 月に開設した。2007 年 12 月 3 日に文部科学省から設置認可書を交付され、
2008 年度の入学生募集はそれを待って開始したため、初年度については入学試験は 1 度とし、2008
年 2 月 2 日に実施した。
学生受け入れの手順は次のように行った。入学希望者は、研究計画の概要、修士論文の要旨、そ
れまでの業績一覧など出願書類一式を提出するが、出願前に関心のある分野の代表教員に連絡をと
り、関心領域の教員の紹介を受ける。関心領域の教員は学生と話し合い、本学建学の精神に基づく
応募者の適性や資質をある程度見極め、指導を引き受け得ると判断した場合に、応募を勧める。
入試科目は、英語の読解、小論文、面接であり、これにより、英語文献読解の基礎学力、文章構
成力と論理性、そして関心領域の教員を含む 3 名の教員による面接を通して、専門領域の知識、研
118
4. 学生の受け入れ
(3)1)保健科学研究科
究能力、高度専門職業人育成教育への適性を見極める。
入学者選抜方法は、「2009 年度募集要項」および「聖隷クリストファー大学入学者選抜規程」に
示すとおりである。選抜方法の適切性については、入学者選抜試験終了後の保健科学研究科委員会
の議題として検討し、また、次年度の入試要項作成の際に再度研究科委員会の議題として検討し、
必要に応じ改訂している。
2009 年度入試以降は、秋季および春季の 2 度の入学試験を行う。定員は 10 名であり、学生募集
方法の資料は、入学案内等に示す通りである。
入試の成績等に関して志願者から問い合わせがあった場合は公表することになっており情報公開
による公平性は確保されている。
イ)学内推薦制度、他大学・大学院の学生に対する門戸開放等
成績優秀者に対する学内推薦制度は設けていないが、2008 年度入試においては、学内進学者には
英語科目を免除した。その後保健科学研究科委員会で検討し、2009 年度からは、学内からの進学希
望者にも学外者と同様の試験を課すこととした。ただし、学内進学者には入学金を免除している。
保健科学研究科の入学定員は 10 名であるが、2008 年度は、中国人留学生 1 名を含む 17 名が応募
し、全員が合格した。これらの学生が出願資格を得た学校(博士前期課程あるいは修士課程)は 12
校にのぼり、そのうち本学大学院修士課程からの学内進学者は 4 名である(大学基礎データ表 18-3
参照)。
なお、「飛び入学」については実施していない。
ウ)社会人の受け入れ
2008 年度は、入学した 16 名の日本人学生中 15 名が社会人として常勤もしくは非常勤の仕事に就
いているが、授業は基本的に平日のⅥ限目(18 時 20 分−19 時 50 分)および土曜日、もしくは夏期
の集中講義で組まれているため、社会人にも修学しやすくなっている。
エ)科目等履修生、研究生等
本学大学院には、科目等履修生および研究生についての規程があるため、正規に入学せずに関心
科目の履修や研究指導を受けることのできる体制ができており、更に科目履修した単位の 10 単位ま
では、入学後の単位として認められる。このような制度により、学生は、自分と大学の適合性を試
した上で入学の判断をすることができる。
現在までのところ、本研究科には科目等履修生および研究生の登録はない。
オ)外国人留学生の受け入れ
留学生について、初年度は日本人入学者と同じ試験を課したが、受け入れを促進するため 2009
年度入試より特別措置を講じた。即ち、日本人学生には、研究計画概要の提出、英語読解、小論文、
面接を課しているのに対し、外国人留学生には、このうち小論文を課さないこととした。一方、日
119
4. 学生の受け入れ
(3)1)保健科学研究科
本学生支援機構による「日本留学試験」のうち、「日本語」を受けることが望ましいとした。2008
年度外国人留学生として、本学と交流協定を結んでいる中国の第三軍医大学から教員 1 名が入学し
た。
カ)定員管理
17 名の合格者は定員をかなり超過しているが、これらの学生が取り組む関心領域は 11 領域にわ
たり、一人の主指導教員が指導する大学院生は多くても 3 名であり、指導上問題は生じないものと
考えている。
開設初年度の 2008 年度は本学教員が多く入学したため定員を越えたが、今後については予断を許
さない。そのため、大学院入試相談会(2008 年は 7 月 26 日実施)やオープンキャンパスを開催(11
月 22 日)し、また各教員が専門職者に積極的にアプローチして有望な優れた資質を持つ専門職者を
リクルートすることを申し合わせている。特に地域の保健医療福祉専門職の質の向上に貢献するた
め近隣の病院施設職員へのアプローチを心がけている。2008 年度は学外者 8 名中、3 名が近隣病院
施設からの入学者であった。本学の教員を加えれば、12 名がそれに該当する。
【点検・評価】
到達目標に鑑みて、現状を顧みると、次のようになる。
建学の精神については入学案内に謳っており、指導教員との予備的話し合いや面接を含む入学試
験の中でその資質を見極めており、適切な入学生を得ているといえる。
高度専門職業人育成教育への適性の見極めと、基礎学力の見極めについては、応募前の指導教員
との予備面談等、研究計画の概要を含む応募書類、英語、専門領域の小論文、面接により行ってお
り、これまでの入学生(2008 年度)を見る限り、選抜方法に不都合はなかったと思われる。
学生募集については、2008 年度は 17 名の入学生があったが、そのうち 9 名が学内の教員であった。
今後継続して入学生を得るため、2008 年は、7 月と 11 月に学内の行事とあわせて大学院相談会を開
催し、また教員各自が優秀な学生を獲得すべく活動を行っている。
社会人が入学しやすい制度の充実については、2008 年度は 17 名中 15 名が社会人であり、また今
後も社会人入学生が多数を占めるものと考えられるため、授業および研究指導は、ほとんど夜間お
よび土曜日に行っている。
地域の専門職の質の向上への貢献については、近隣の専門職に入学を勧め、また、本学教員も入
学しているため、現在は 70%が近隣からの入学者になっている。また、科目等履修生および研究生
の制度を設けて、フルタイムで入りにくい学生への門戸を開いている。
入学試験の公平性に関わる情報公開については、不合格者から不合格理由の問い合わせがあった
場合には、入試・広報センターが回答することになっているが、システムは整っていない。
外国人留学生の受け入れについては、2008 年度は特別の制度がなかったため、1 名の応募者に対
しては、日本人学生と同じ試験を課した。この学生については、2007 年度に半年間にわたり、本学
で研究生をしていたため、その間の勉学態度や能力も勘案して入学を判断した。2009 年度入試から
120
4. 学生の受け入れ
(3)1)保健科学研究科
は、外国人留学生には、文化の影響を受ける小論文は課さないこととし、修学の基本となる日本語
能力と英語能力を重視し、また専門的知識や論理性については、提出書類と面接により判断するこ
ととした。今後更に留学生を積極的に受け入れるためには、何らかの優遇制度を設ける必要性があ
る。そこで 2008 年 9 月の学園執行役員会において留学生の授業料減免制度について検討が行われ、
発展途上国からの学生について授業料を 5 割減免することが決定し、在籍中の 1 名の中国人留学生
にこの措置が適用された。
【改善方策】
◆到達目標は現時点ではおおむね達成されているといえるが、本研究科は、まだ開設 1 年目であり、
今後完成年次を迎えた時点で評価する。
◆2010 年までに、大学院全体として入試結果に関する情報公開システムを整える。
121
4.学生の受け入れ
(3)2)看護学研究科
2)修士課程看護学研究科
【現状説明】
ア)学生募集方法、入学者選抜方法の適切性
学生募集方法:主な方法としては、全国の看護系大学、卒業生の就職した病院、静岡県内と愛知
県東部の 400 床以上の総合病院ならびに専門病院、大学病院、静岡県内の保健所等に、募集要項と
入学案内を送付している。また、2008 年度からは大学院の入試相談会を実施し、研究指導教員(教
授)が志願者の質問や相談に応じている。さらに本学のホームページにも学生募集が掲載されてお
り、資料請求が可能になっている。
入学者選抜方法:本研究科では、大学院入学案内にも明記されているように、「広い視野に立っ
て看護専門分野の学識を深めるとともに、看護における研究能力を養い、高度の専門性を有し、高
い倫理観をもった看護専門職者」になるための強い動機づけと学習意欲をもった学生を選抜するこ
とを入学者選抜の方針としている。この方針に則って、試験科目は高度看護専門職者をめざして進
学する力を試し、入学動機や意欲ならびに研究課題等を確認するために、筆記試験(英語、専門科
目、小論文)と面接試験からなる。また、選抜試験は秋季入試(10 月初旬)と春季入試(2 月初旬)
の年 2 回に分けて行っている。
入学者選抜の仕組み:大学院における入学試験の実施および入学者選抜は、本学入学者選抜規程
に基づいて、研究科長を責任者として研究科委員会が行っている。入学者の選抜については、英語、
専門科目、小論文および面接の各試験と提出書類を総合して行うことを「学生募集要項」に明示し
ている。入試成績は、応募者から問い合わせがあった場合に公表することになっており情報公開に
よる公平性は確保されている。
また、学生の受け入れの在り方については、毎年、研究科委員会において、この入試選抜の方法
等が学生のニーズや受験状況に即したものであるかどうかの検討を行い、必要があれば、修正を行っ
ている。
イ)学内推薦制度、他大学・大学院の学生に対する門戸開放等
学内進学者(本学の学部の新卒者)は、開設年次の 1998 年度から 2001 年度まで 1∼2 名あったが、
その後はいない。また、本研究科には学内推薦制度は設けられておらず、学内からの進学者にも学
外者と同様の試験を課している。ただし、学費については、学内からの進学者は入学金が半額にな
る優遇措置が設けられている。
2004 年から 2008 年までの 5 年間における全入学者数は 31 名で、その内本学看護学部の卒業生は
7 名(22.5%)で、他大学(含む学位授与機構)の卒業生は 17 名(55%)、残り 7 名(22.5%)は
看護短期大学ならびに看護専門学校の卒業生であった。本学では、2001 年以降、入学資格審査によ
り大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22 歳に達した者の出願を認めており、
短期大学ならびに看護専門学校の卒業生はこの制度を利用して入学している。さらに、他大学院を
122
4.学生の受け入れ
(3)2)看護学研究科
修了した入学者に対しては、研究科委員会の承認のもと、既修得単位の認定を 10 単位まで行ってい
る。このように、本研究科では、他大学・大学院の学生ならびに大学を卒業した者と同等以上の学
力がある学生に対して、学習の機会を提供すべく広く門戸を開放している。
なお、「飛び入学」についてはこれまで希望がなく、実績がない。
ウ)社会人の受け入れ
本研究科の入試種別は一般入試のみであるが、開設時より社会人学生が多く、過去 5 年間をみる
と入学者がすべて社会人であるという特徴を持つ。そのため、社会人の受け入れに関しては、開設
当初より積極的に取り組んでおり、2001 年度より大学院設置基準第 14 条の「教育方法の特例」に
基づく、夜間と土曜日の教育の実施と、全国の大学院に先駆けて修業年限を 3 年とする長期在学コー
スを設けた。以後、社会人学生の多くは、長期在学コースを選択している。なお、入学後の長期在
学コースから 2 年コースへの修業年限変更は、内規に基づく基準が満たされた場合に可能であり、
大学院生のニーズに合わせて対応している。さらに、最近の社会人学生の中には、がん看護学 CNS
コースの大学院生のように 1 年間の休職を交えて 2 年の履修コースを選択している者や、科目等履
修制度を利用して単位を取得し 2 年の履修コースを選択している者もいる。このように、社会人の
受け入れを促進すべく、履修方法は多様な選択が可能となっている。
エ)科目等履修生、研究生等
科目等履修生、研究生等に関しては、いずれも学則および規程に定められており、受け入れに当
たっては、入学資格のいずれかに該当する者を対象としている。平均して年間 3 名程度の科目等履
修生受け入れ実績がある。科目等履修生として本大学院の授業科目を履修し取得した単位は、本大
学院に改めて正規入学した場合に当該単位を入学後に取得したものとみなし、10 単位までを修了に
必要な単位数に算入することができる。
研究生については、入学実績はない。
オ)外国人留学生の受け入れ
本学大学院外国人留学生規程に基づき、本大学院入学資格と同等以上の学力をもち、大学院にお
いて教育を受ける目的をもって入国し、本大学院に入学を志望する者があるときは、選考の上、外
国人留学生として入学を許可することがあるが、これまでに入学の実績はない。そのため、2009 年
度の学生募集要項に具体的な選抜方法を明記した。すなわち、外国人留学生選抜は、選抜方針に則っ
て、英語と面接(口頭試問を含む)とし、この二つの試験により、英語力と共に日本語能力と専門
知識や研究能力の審査ができるようになっている。
カ)定員管理
本研究科における過去 5 年間の入学試験の志願者、受験者、合格者、入学者の推移は、大学基礎
123
4.学生の受け入れ
(3)2)看護学研究科
データ表 18-3 に示す通りである。入学定員 10 名に対する入学者の割合は、年度によって 40∼90%
(平均 62%)と変動があり、専門領域による偏りが見られる。また、2008 年度の収容定員に対する
在籍学生数の比率は、3 年間の長期在学コースの大学院生を含めて 90%であり、自習室や講義室等
の学習環境は確保されている。
学生募集方法については、入試・広報センターを中心とした静岡県や全国的なパンフレット配布
による広報活動に加えて、これまでも近隣の施設職員との共同研究の実施、公開講座への勧誘、広
報活動(オープンキャンパス、学内外における大学院リーフレットの配布、学報における大学院に
関する記事掲載等)等を通して、本研究科の普及宣伝に努めてきた。また、教育課程ならびに教育
方法の改善については、2001 年度に 3 年間の長期在学コースを設置したほか、2004 年度には母子看
護学分野、2007 年には看護管理学分野と老年看護学分野を独立させ、2008 年には成人看護学分野を
慢性看護学分野、急性期看護学分野、がん看護学分野の 3 分野に分け、専門分野を増やす等の努力
を続けた。さらに、専門性と基礎的研究能力を修得することに加えて、2005 年度からはがん看護学
の CNS(専門看護師)コースを開設し、より高度な看護実践能力を発揮できる人材の育成を開始し
た。2008 年度に慢性看護学と急性期看護学にそれぞれ CNS コースを開設した。これらの変更に伴っ
て、2004 年度以降は 4∼7 名の入学者があり、2008 年度入学試験では、初めて定員を超える志願者
があり、9 名の入学者があった。
しかし、10 名の入学定員は満たされたことがなく、全国に 102 の看護系大学大学院修士課程が設
置されている現在、本学の入学者選抜方針に則った入学者の確保に向けて、教育課程の充実を含め
た更なる取り組みが急務である。一方、臨地・臨床における看護職者の間では、専門看護師等の高
度な看護実践への関心が高まっている。そこで、大学院の教育目標や教育課程等への理解を図り、
教育課程に対するニーズや進学を妨げている要因を把握する目的で、2008 年 8 月に本学卒業生およ
び静岡県ならびに愛知県東三河地区の臨床施設の看護責任者を対象として、本研究科における大学
院教育に対するニーズ調査を実施した。
【点検・評価】
大学の理念に基づく教育目的・目標は入学案内に書かれており、内容的には学生の受け入れ方針
も含まれるが、明確なアドミッション・ポリシーの表記がないため、入学案内やホームページに記
載し、明確にしていく必要がある。
入学者選抜方法については、入学者選抜規程に基づき、受け入れの方針に則って、公正な受け入
れを行っていると言える。また、入学試験の公平性に関わる情報公開については、不合格者から不
合格理由の問い合わせがあった場合には、入試・広報センターが回答することになっているが、シ
ステムは整っていない。
学生の受け入れに関しては、他大学・大学院の学生ならびに大学を卒業した者と同等以上の学力
がある学生に対して、学習の機会を提供すべく広く門戸を開放している。また、就業者については、
修業年限の弾力化(長期在学コース等)や科目等履修制度の利用も含めて柔軟な履修方法を活用し
124
4.学生の受け入れ
(3)2)看護学研究科
て、入学しやすい制度の充実を図っている。これらは本学における学生受け入れの長所と言える。
ただし、外国人留学生については、受け入れ体制はあるが、積極的な広報活動や募集は行っていな
いため、これまで受け入れはない。
定員管理については、2008 年度は看護管理学分野や老年看護学分野の専門分野を新たに独立させ
る等の改善を行った結果、志願者は定員を上回り、入学者も 9 名となったことは評価できる。しか
し、分野により志願者ならびに入学者の偏りがあり、これまで定員を満たしたことがないのは大き
な問題である。そのため、臨地・臨床の看護職者および看護管理者のニーズに対応した教育課程な
らびに教育方法の改善に取り組むとともに、各専門分野の教員が積極的に関連施設に出向いて広報
活動を行い、各分野の入学者を確保していく必要がある。
【改善方策】
◆看護学研究科のアドミッション・ポリシーについて、研究科委員会で検討し 2010 年度入試の募集
要項に掲載できるようにする。
◆2008 年度調査をもとに、2009 年度は臨地・臨床の看護職者および看護管理者のニーズに対応した
教育課程ならびに教育方法の検討委員会を設け改善に取り組む。
125
4.学生の受け入れ
(3)3)社会福祉学研究科
3)修士課程社会福祉学研究科
【現状説明】
ア)学生募集方法、入学者選抜方法の適切性
本研究科の入学者選抜は、聖隷クリストファー大学入学者選抜規程に基づいて行われ、建学の精
神である「生命の尊厳と隣人愛」に共感し、専門職をこころざす質の高い学生を受け入れるための
学生募集や入学者選抜方法を整えている。
学内外の志願者から、このような学生を適切に選抜するために、入学者の選抜試験は秋季と春季
の 2 回に分けて行っている。入学試験は学内外の志願者、社会人、外国人留学生その他を分けるこ
となく同時に行う。すべての志願者から、広く公平に選抜したいという方針に基づいたものである。
試験科目は、英語と専門科目に関する記述試験と面接となっている。
社会人には英語が苦手という人もいないではないが、やはり高度な専門職をめざすためには、英
語の文献を読む力が必要であるので、この科目を試験科目に定めている。専門科目の記述試験は、
基本的な社会福祉の課題や近年の注目されている課題などについての記述が求められ、高度な専門
職を目指して進学するのに必要な知識や理解力等の基礎能力を見極めるものとなっている。なお履
歴書には、学部時代の卒業論文または関心のあった演習について書く欄を設け、受験生に学部教育
と大学院教育へのつながりについて考察することを促すことを進める方策がとられている。
面接試験では、本研究科入学の動機や研究の方向性等を中心に面接を行い、高度専門職業人育成
に対する適性を見極めることを目的としたものとなっている。
学生募集や入学者選抜方法は、大学院入学案内等に明記されている。
「社会的ニーズの変化に対応
し、社会福祉の領域における高度な知識と広範な視点を持つ福祉職の専門職として、社会福祉実践
分野において、指導的な役割を果たすことができる優れた専門性と研究能力を備えた高度な専門職
業人」になるための強い動機づけと学習意欲をもった学生を選抜するという目的もそこに記され、
受験生への説明責任を果たしている。
入学者選抜の試験科目として、英語、専門科目および面接を課している。面接は 3 名の試験官に
よる点数制としており、各試験科目について設けられた基準により合否が判定され、研究科委員会
の承認を経て正式に決定される方法がとられているので、入試の公平性は十分に保たれていると言
える。
また学生の受け入れの在り方については、毎年、入試選抜終了後、研究科委員会および大学院委
員会において、この入学者選抜の方法等が時代や学生のニーズや受験状況に即したものであるかど
うかの検討を行い、必要があれば、修正を行っている。
継続的に入学生を得るために行われるオープンキャンパスと大学院相談会は、ホームカミング
デーおよび学内学会年次大会の際に開催されている。また 2008 年 7 月には、大学院博士後期課程の
開設記念講演会の会場でも大学院相談会が行われた。研究指導教員による学生募集活動の強化に関
しては、2008 年 8 月に近隣の社会福祉施設を対象に、学生募集のための方策を練るための資料を得
126
4.学生の受け入れ
(3)3)社会福祉学研究科
るために、大学院への関心度をはかるアンケート調査およびその分析を行い、調査票の送付の総数
900 のうち、523 名から回答が得られた。その内、大学院進学を考えたことがある人は 53 名で 10%
であったが、現在大学院進学に興味があると答えた人は、108 名で、20%となっている。そして授
業料の割引制度があれば、進学の気持ちが促進されると答えた人は、381 名で 72.8%となっている。
社会人の大学院進学の障害になっているものは、さまざまであるが、そのなかでも経済的な要因が
強いことが明らかとなった。
イ)学内推薦制度、他大学・大学院の学生に対する門戸開放等
広く志願者を集めたいとのことから学内推薦制度は設けていない。
入学者選抜のための学力試験および面接試験において、本学学生と他大学・大学院の学生の扱い
には差をつけることなく対応しており、広く他大学に門戸を開放している。しかし、本研究科にお
いては、他大学の卒業生もいったん社会人を経てから受験するものが多く、これまで、他大学卒業
と同時に受験した者は 1 名である。他大学からの志願者はいつでも本研究科の教員に面接して、本
研究科の様子を聞くことができ、過去の問題集を入手して受験の準備をすることができる。
本学社会福祉学部からの学内進学者は、2006 年度 6 名、2007 年度 6 名、2008 年度 2 名である。
なお、飛び入学制度は実施していない。
ウ)社会人の受け入れ
社会人の受け入れに関しては、長期在学コースを設けるなど、本研究科の開学以来、力を入れて
いるポイントとなっている。高度な専門職業人の育成という本研究科の教育目標からしても、地域
の社会福祉施設等からの入学者は歓迎すべきであり、地域に対する積極的な働きかけを行った。大
学院学生募集要項にも大学院設置基準第 14 条の実施について記載しており、社会人受け入れへの本
学大学院の積極的な姿勢を示している。
また入学資格審査により大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22 歳に達した
者について、別に定めた出願資格の認定の手続きを経て、出願資格ありと認められたものについて
は出願を認めている。2007 年に 2 名の者が、この制度を利用して出願し、入学した。
エ)科目等履修生、研究生等
科目等履修生、研究生等に関しては、いずれも学則および規程に定められており、受け入れに当
たっては、規程に沿った運用を行っている。これまでの社会福祉学研究科への科目等履修生は 2008
年度の 1 名である。
オ)外国人留学生の受け入れ
外国人留学生の受け入れに関しては、学生募集要項にその選抜方法が明記されている。外国人留
学生選抜の試験科目は、英語と面接となっており、この二つの科目により、英語力と共に日本語能
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4.学生の受け入れ
(3)3)社会福祉学研究科
力と専門知識や研究能力の審査ができるようになっている。今日まで本研究科への外国人留学生の
受験はない。
カ)定員管理
本研究科は入学者数が、年度ごとに 2 名から 6 名と未だ定員が充足されたことはない。2008 年 4
月現在の在籍者は 12 名であり、充足率は 60%である(大学基礎データ表 18 参照)。開設以来日が
浅いこともあり、指導体制との関係もあって、これまでは妥当な入学者数ということもできたが、
2008 年度の入学者が 2 名となったため、学生定員確保の必要性が生じてきた。
本研究科では、地域の専門職者の正規入学生等の確保の意味も含めて、これまでも近隣の社会福
祉施設職員に対しては、さまざまなアプローチを行ってきた。例えば、施設職員と教員および大学
院生との共同研究の提携、公開講座への勧誘、広報活動(オープンキャンパス、学内外における大
学院リーフレットの配布、大学報における大学院に関する記事掲載等)等を通して、本研究科の普
及宣伝に努めてきた。特に 2006 年の学内学会の立ち上げおよび 2007 年・2008 年の年次大会による
本研究科の存在意義の浸透のための努力は学内外の共感を呼んでいる。このように近隣施設職員と
の人的交流は順調に行われているが、大学院受験とは直接的に結びつくことは少ない。近隣施設職
員に対し、聞き取り調査も行ったが、大学院に関心はあるが、今日、福祉関連施設職員、特に中間
管理職層の忙しさは尋常でなく、大学院における 2 年間の通学は不可能であるとの回答が多かった。
また大学院のことをあまり知らないと答えた者が多く、本研究科の宣伝およびリクルート活動の
必要性が改めて問われていることが感じられた。
【点検・評価】
本研究科における学生の受け入れに関しては、専門職をこころざす質の高い学生を受け入れるた
めの入試制度や入学者選抜制度の整備については、その目的に適った入学者選抜制度を整備するこ
とにより、高度専門職業人育成に対する適性と基礎能力を見極めることができるものとなっている
と評価できる。オープンキャンパスについては、毎年学内学会年次大会と同時に開催し、2008 年度
は 7 月に行われた大学院博士後期課程の開設記念講演会の会場で、また 11 月 22 日のホームカミン
グデーにおいて大学院相談会を開催したことからも適切に遂行されているとしてよい。
地域の保健医療福祉の専門職者の受け入れの点では、既に何人かの正規入学生が入学しており、
それをさらに促進するために 2008 年に地域の社会福祉関連施設へのアンケート調査や聞き取り調
査を行ってその結果を分析し、専門職者のニーズ把握に努めたことでその第一歩を進み始めたと言
うことができるが、その結果をもとにして、具体的にどのような方策を立て、実行するかの課題が
残った。
社会人の入学への配慮としては、長期在学コースや研究生、科目等履修生の制度は 2004 年度の社
会福祉学研究科開設以来、既に設定し利用されている。外国人留学生の受け入れに関しては、2009
年度入試から学生募集要項に明記しているが、積極的な広報活動や募集は行っておらず、これまで
128
4.学生の受け入れ
(3)3)社会福祉学研究科
留学生の受け入れはないという課題が残る。
入学者選抜に関する情報公開・情報開示については、特に問い合わせがあった場合のみ回答して
いるという現状なので、今後検討する必要がある。
本研究科の理念・目標に応じた適切な入学生を継続的に得る点に関しては、学生の定員不充足と
いう課題が残った。しかし福祉関連施設職員等との研究会等による人的交流は活発化しており、地
域貢献の意味と共に本研究科の普及にも貢献していることは明らかであり、評価できる。特に 2006
年の学内学会の立ち上げについては、近隣職員との連携も強化され、学内外の共感を呼んでいるこ
とは広く認められている。しかしそれが本研究科受験と結びつかないことが課題である。今日の社
会福祉施設の恒常的な多忙と人手不足、短期大学や専門学校自体がその存続の危機に曝されている
こともあり、大学院における学生募集は困難な社会的状況にあることもその理由の一つとも考えら
れるが、さらに検討し、打開のための方策を立てる。
【改善方策】
◆地域の専門職者の入学を促進するための方策の検討を 2010 年までに行う。
◆就労者や専門職者の入学しやすい制度については適切に設定されているので、それをさらに進め
ていく。
◆入学者定員の確保の意味も含めた学内学会活動や近隣施設との交流はさらに推進する。
◆定員確保のための具体的な方策については、今後改めて学生定員確保の困難な状況の原因解明、
専門学校や短期大学教員へのリクルート活動等について研究科委員会において検討し、2010 年ま
でに具体的な方策を立てる。
129
4. 学生の受け入れ
(3) 4)リハビリテーション科学研究科
4)修士課程リハビリテーション科学研究科
【現状説明】
ア)学生募集方法、入学者選抜方法の適切性
学生募集に関しては、全国のリハビリテーション関連養成課程を持つ大学や近隣の保健医療施設
などに広く資料を配布し、入学後の履修方法や指導体制などについて指導教授あるいは研究科長が
事前の相談に応じる体制をとっている。希望者は出願前に関心のある分野の代表教員に連絡をとり、
関心領域の教員の紹介を受ける。関心領域の教員は学生と話し合い、応募者の適性や資質をある程
度見極め、指導を引き受けると判断した場合に応募を勧めている。
入学者選抜試験は、秋季(10 月上旬頃)と春季(2 月上旬頃)の 2 回実施しており、筆記試験と
提出書類を総合して合否判定がなされる。2008 年度入試までの一般選抜の試験科目は、英語、志望
する分野に関する専門科目、小論文、面接であり、社会人特別選抜の試験科目は、英語、小論文、
面接であった。これにより、リハビリテーション関連の英文献読解の基礎学力、文章構成力と論理
性、専門領域の知識、研究能力などを見極めていた。2009 年度の学生募集からは受験者の負担に配
慮し、一般選抜においては、試験科目を英語、小論文、面接とし、専門的知識は小論文と面接にお
いてその能力をみることとした。また、社会人特別選抜においては、試験科目を英語と面接とし、
専門的知識は業績と面接においてその能力をみることとした。
イ)学内推薦制度、他大学・大学院の学生に対する門戸開放等
学内からの進学者受け入れについては、学部の完成年度である 2007 年度を経て始まっている。
2008 年度は全入学者 11 名のうち 8 名が学内からの進学者である。本研究科には学内推薦制度は設
けておらず、学内からの入学者にも学外者と同様の試験を課している。ただし、学費については、
学内からの進学者は入学金が半額になる優遇措置が設けられている。
2008 年度の学内からの入学者 8 名を除くすべての入学者は、他大学および専門学校出身者である。
そのうち、専門学校出身者は、学校教育法施行規則第 155 条に基づき入学資格審査を行うことによ
り受験資格を得ることができる。この制度を利用した入学者は 3 年間で 6 名であった。
なお、「飛び入学」については実施していない。
ウ)社会人の受け入れ
社会人の受け入れについては、大学院設置基準第 14 条の「教育方法の特例」に基づく、夜間と土
曜日の教育の実施と、修業年限を 3 年とする長期在学コースを設けている。入学者のうち社会人の
占める割合は、2006 年度は 10 名中 9 名(うち 1 名が長期在学コース)、2007 年度は 7 名全員(う
ち 1 名が長期在学コース)、2008 年度についても 11 名全員が社会人であった。さらに、地域の専
門職の質の向上に貢献するため、大学周辺の病院・施設などで働く実務者の入学についても積極的
に働きかけを行っており、2006 年度は 10 名中 8 名が、2007 年度は 7 名中 6 名が、2008 年度は 11
名中 9 名が近隣からの入学者となっている。
130
4. 学生の受け入れ
(3) 4)リハビリテーション科学研究科
エ)科目等履修生、研究生等
入学資格のいずれかに該当する者を対象として、科目等履修生と研究生を募集している。科目等
履修生として本大学院の授業科目を履修し取得した単位は、本大学院に改めて正規入学した場合に、
当該単位数を入学後に取得したものとみなし、10 単位を上限として修了に必要な単位数に算入する
ことができる。これまでに 2 名の科目等履修生があり、そのうちの 1 名は 2008 年度に正規入学して
いる。研究生については、1 名の入学実績がある。
オ)外国人留学生の受け入れ
本大学院入学資格と同等以上の学力をもち、大学院において教育をうける目的をもって入国し、
本大学院に入学を志望する者があるときは、選考の上、外国人留学生として入学を許可することが
あるが、これまでに入学者の実績はない。具体的な選抜方法として、2009 年度からは、外国人留学
生には文化の影響を受ける小論文は課さないこととし、修学の基本となる日本語能力と英語能力を
重視することとした。さらに、専門的知識や論理性については提出書類と面接により判断すること
とした。
カ)定員管理
過去 3 年間の入学試験の志願者・受験者・合格者・入学者は大学基礎データ表 18-3 に示すとおり
である。リハビリテーション科学研究科の定員 10 名に対し、2006 年は 10 名(理学療法科学系 4 名、
作業療法科学系 6 名)、2007 年度は 7 名(理学療法科学系 1 名、作業療法科学系 5 名、言語聴覚療
法科学系 1 名)、2008 年度は 11 名(理学療法科学系 9 名、作業療法科学系 2 名)が入学した。3
年間で言語聴覚療法科学系が 1 名のみであることや、2007 年度は作業療法科学系に多く入学し、2008
年度は理学療法科学系に多く入学するなど、年度によって研究領域の入学者数に偏りが見られる。
【点検・評価】
入学者選抜試験は、秋季(10 月初旬)と春季(2 月初旬)の 2 回実施されている。これに合わせ
た学生募集活動として、保健科学研究科と共に 7 月と 11 月に大学院入試相談会とオープンキャンパ
スを開催することになっている。これにより、本学の大学院の目的を理解した学生の募集につなげ
ることとしている。
入学者選抜試験科目については、2009 年度の学生募集からは受験者の負担に配慮し、一般選抜に
おいては専門科目を課さず、社会人特別選抜においては小論文を課さないこととした。削減された
試験科目については、一般選抜においては小論文で担保され、社会人特別選抜においては業績調書
などの提出書類の中で担保されている。また、入試成績は、応募者から問い合わせがあった場合に
公表することになっており情報公開による公平性は確保されている。
入学者については、10 名の定員に対して、2006 年度の開設時は定員 10 名を満たしたが、2007 年
度は 7 名と定員を割り込んだ。2008 年度は 11 名と再び定員を満たしたが、3 年間で研究領域別の入
学者数には明らかに偏りが見られる。偏りの是正のため、研究領域間で人数調整しながら学生確保
131
4. 学生の受け入れ
(3) 4)リハビリテーション科学研究科
のための活動を行い、大学周辺の病院・施設などで働く実務者の入学についても積極的に働きかけ
を行っている。また、入学者のうち社会人の占める割合は 3 年間で 90%を越えており、今後も社会
人が多数を占めるものと考えられる。それに対応するために、授業および研究指導は夜間および土
曜日を中心に行っている。
外国人留学生の受け入れについては、これまで受験実績がない。これは、これまで具体的な入学
者選抜方法や授業料の優遇制度などが整備され公表されてないことが関係していると思われる。入
学者選抜方法については、2009 年度からは、小論文は課さないこととし、専門的知識や論理性につ
いては提出書類と面接により判断することとした。
【改善方策】
◆現状説明および点検・評価より、到達目標は現時点では達成されていると言えるが、今後は、毎
年 4 月の研究科委員会で入学者の分析を行い、研究領域の学生数の偏りや、大学院生確保ための
活動などについて、必要に応じ具体的対策を講じる。
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