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Experimental Analysis and Numerical Simulation for
環境と微生物
合成ポリマー生分解
モデルとシミュレーション
渡辺雅二1) ・
河合富佐子2)
1)岡山大学大学院環境学研究科
〒700-8530 岡山市津島中3-1-1
2)京都工芸繊維大学
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
1
要約
化粧品や医薬部外品などの原料として用いられる
水溶性性ポリマーは,リサイクルや焼却処理には
適さない。そのため,生産される水溶性ポリマー
の一部は使用後河川,湖沼,海域に排出される。
また,“プラスチック”と呼ばれる非水溶性ポリ
マーも,すべてがリサイクルあるいは焼却によっ
て処理されず,一部は環境中でその状態を維持す
る。微生物による分解,資化機能は,これら高分
子の環境中での不適切な蓄積を抑制する自然浄化
作用の一要因であり,そのメカニズムを解明する
ことが重要な課題となる。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
2
微生物よるポリマー解重合プロセスは,
exogenousタイプとendogenousタイプに大きく分
けられる。Exogenousタイプの解重合プロセスで
は,分子末端からのモノマーユニットの解離によ
りポリマー分子は低分子化する。Exogenousタイ
プ解重合プロセスの特徴としては,分子量分布域
全体で徐々に低分子化が進むことや,酸化プロセ
スが分解の主な要因であることなどが挙げられる。
ポリエチレン(PE)のβ-酸化はexogenousタイプ
の解重合の一例である。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
3
ポリエチレン分子は,炭化水素の代謝プロセスに
より末端にカルボキシル基が生成されるとき,脂
肪酸と類似の構造を持つようになり,その結果
β-酸化が連続して作用する。ポリエチレングリ
コール(PEG)の生分解もexogenousタイプ解重合
プロセスの例である。PEGは嫌気的あるいは好気
的代謝により,分子末端からモノマーユニットが
解離する。Exogenous解重合プロセスに関しては,
PE生分解プロセスの数学モデルと,このモデルに
よる解析に必要となる数値的手法が提案された。
PE生分解プロセスの解析に用いられた数学的手法
は,PEG生分解プロセスの解析にも適用された
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
4
Endogenousタイプの解重合プロセスでは,分子は
任意の位置で切断されることにより,低分子化す
る。Endogenousタイプ解重合プロセスの特徴とし
ては,分解初期に高分子が急激に減少することや,
加水分解が主な要因であることが挙げられる。
Endogenousタイプ解重合プロセスの一例であるポ
リビニールアルコール(PVA)の分解プロセスでは,
酸化酵素で生じたモノケトンあるいはジケトン構
造に加水分解酵素が作用し,その結果炭素鎖が切
断される。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
5
Endogenousタイプ解重合プロセスに関しては,
PVA分解プロセスのモデルと,このモデルによる
解析に必要となる数値的手法が提案された。PVA
分解プロセスの解析に用いられた数学的手法は,
ポリ乳酸(PLA)の酵素分解プロセスにも適用され
た。
前述のExogenousタイプ解重合および
endogenousタイプの解重合に関して提案されたモ
デルについて解説する。また,実験データから分
解率を求めるための逆問題および初期値問題を解
くことによって行うシミュレーションについても
解説する。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
6
ポリマー解重合のメカニズム
解重合:
Endo type----Exo type-----微生物の作用によるポリマーの解重合プロセスは,exogenousタイ
プとendogenousタイプに分けられる。 exogenousタイプ解重合プロ
セスでは,分解は分子末端に限られる。 Endogenousタイプ解重合
では,分子が任意の位置で切断される。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
7
Exogenousタイプとendogenousタイプ
Exogenous type
酸化分解が主な要因
分子は段階的に低分子化する
例: β-oxidation of PE, Biodegradation of PEG.
Endogenous type
加水分解をともなうことが多い
高分子が急激に減少する
例: PVA酵素分解, PLA酵素分解
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
8
Exogenous 解重合プロ
セスは “periplasmic”:
少なくとも分子の一端
は細胞膜を通過するこ
とが条件。
Macromolecules
Endogenous
Incorporation
解重合プロ
Depolymerization
セスは細胞
外でも可能。
(periplasmic or membranebound)
Extracellular depolymerizatio
Metabolism
Incorporation
平成22年6月25日
Cells
環境学研究科博士前期課程概論
9
微生物による人造ポリマー解重合に
関する研究
Exogenous depolymerization
• Polyethers (PEG, PPG, PTMG, PBG)
• Polyacrylate
• Polyethylene(PE)
Endogenous depolymerization
• Polyester
• Polyvinyl alcohol(PVA)
• Polylactic acid (PLA)
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
10
ポリエチレン生分解の
解析とシミュレーション
河合富佐子(岡山大学資源生物科学研究所)
渡辺雅二(岡山大学大学院環境学研究科)
柴田勝(チッソ旭肥料)
横山茂男(旭化成工業)
巣立康博(チッソ旭肥料)
林静恵(旭化成工業)
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
11
概略
実験
実験と理論から導かれる
シナリオを数学モデルと
数値シミュレーションで
検証する。
シナリオ
モデル
理論
シミュレーション
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
12
ポリエチレン生分解実験
光分解されたポリエチレン樹脂あるいはポリエチ
レンワックスに生育した土壌バクテリアからポリ
エチレン生分解性バクテリアがスクリーニングさ
れ,次の4種から得られた5株を含む9株が分離
された。
Pseudomonas
Sphingomonas
平成22年6月25日
Acinetobacter
Stenotrophomonas
環境学研究科博士前期課程概論
13
土壌埋設ポリエチレンカプセルの
カビによる生分解性
低分子量ポリエチレン粉末
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
14
ポリエチレンカプセル
低分子量ポリエチレンによる環境分解型被覆肥料
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
15
ガラス容器での土壌埋設加速試験
自然界におけるカプセルの変化を追跡するため,土壌埋没試験を
実施したが,カプセルの回収と分解加速のため,適当なガラス瓶
を用いて,モデル実験を行った。ガラス容器に畑地や水田土壌を
いれ,河合らの PE 資化菌分離培地を養分として加え,いくつか
の堆肥混合物の抽出液を微生物源として接種して,水分補正をし
ながら25℃で培養した。
•
•
•
•
•
乾土 50 g
河合培地 5 ml
抽出液 5 ml
最大容水量 60 %(水分補正)
25℃ インキュベーター
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
16
•
•
•
•
•
富士市畑地
富士市水田
山形農試水田
宮城農業センター
全農平塚畑地
黒ボク土
灰色低地土
灰色低地土
黒泥土
褐色低地土
乾土
抽出液:牛糞堆肥,バーク堆肥,コーヒー粕
堆肥等量混合物 1 g/10 ml 生理食塩水抽出
細菌
糸状菌
0.5 %
K 2 HPO 4
0.01 %
酵母エキス 0.1 %
KCl
MgSO4 • 7 H 2O
平成22年6月25日
0.1 %
0.02 %
CaCl 2 • 2 H 2O
FeSO4 • 7 H 2O
0.0013 %
0.001 %
MnCl 2 • 4 H 2O
0.001 %
ZnSO4 • 7 H 2O
環境学研究科博士前期課程概論
0.001 %
17
土壌埋設加速試験(60日後)
カプセルは30日経過後,既に全面的にカビ
に覆われた。次第にカビの層が厚くなり,
60日後には穴も表面に見られる。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
18
土壌埋設加速試験(90日後)
90日後には部分崩壊,
あるいは紙のように
容易に裂ける状態に
なった。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
19
カプセルより分離されたカビ
カプセルからカビを
分離したところ,3
種のカビが得られた。
Aspergillus sp.
Penicillium sp.
平成22年6月25日
Acremonium
sp.
環境学研究科博士前期課程概論
20
糸状菌による低分子量ポリエチレン
生分解試験
• 接種菌: アスペルギルス属糸状菌
• 培地: 低分子量ポリエチレン 0.5
g/100 ml 河合培地/500 ml Δ
• 培養条件:28°C
ロータリーシェーカー200 rpm
培養液
平成22年6月25日
濾過
風乾
環境学研究科博士前期課程概論
GPC分析
21
糸状菌のフラスコ培養
糸状菌の培
養は通気を
よくするた
め,凹凸を
有するフラ
スコで好気
的に28°C
で行った。
培養3週間目 培養2週間目 培養1週間目
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
22
GPC Peak の変化
分離されたバクテリアやカビが,光分解され
たポリエチレン樹脂あるいはポリエチレン
ワックスを唯一の炭素源として培養され,分
子量に対する重量分布が培養前と培養後で比
較された。糸状菌を用いて行った実験結果の
例を示す。分子量約3000以下が吸収されてい
るのがわかる。また,重量分布が右にシフト
していることがわかる。これは低分子が吸収
されやすいことを示唆している。バクテリア
の場合もカビの場合も結果は同様であった。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
23
Aspergillus sp. AK-3の培養前と3週間
及び5週間後の分子量-重量分布
Masaji Watanabe,
Fusako Kawai, Masaru
Shibata, Shigeo
Yokoyama, Yasuhiro
Sudate, Shizue Hayashi,
Analytical and
computational techniques
for exogenous
depolymerization of
xenobiotic polymers,
Mathematical
Biosciences 192 (2004)
19-37.
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
24
N-alkaneの代謝経路とPEのβ酸化
PEのような n-alkane は炭化水素の酸化代謝経路に従う。
Terminal oxidation (Pseudomonas)
RCH 3
→ RCH 2OH → RCHO
Diterminal oxidation (Candida)
H3CRCH 3 →→→ CH 3RCOOH
OHCRCOOH
→
→ RCOOH
→ HOH 2CRCOOH
→
RCOOH → HOOCRCOOH
Subterminal oxidation (Norcardia)
RCH 2CH 2CH 3 → RCH 2CH(OH)CH 3 → RCH 2C(O)CH 3
→ RCH 2OC(O)CH 3 → RCH 2OH + CH COOH
3
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
25
β-酸化
炭化水素の代謝経路で代謝された PE は末端が酸
化されてカルボキシル基が生成し,脂肪酸類似構
造となるので,β-酸化経路が働くと考えられる。
この場合 PE 分子は炭素原子2つ分のユニットが,
1サイクルのβ-酸化で分解される。
PE生分解シナリオ
小さいPE分子は微生物によって直接吸収消化され
る。それ以上のものは,直接吸収消化されるよう
になるまで,β酸化で低分子化する。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
26
PE 生分解モデル
M
dx
= − ρ (M )x − β (M )x + β (M + L )
y
M +L
dt
t : 時間
M : 分子量
L :1回のβ酸化で失う量 (28 : CH CH )
2
2
x = w(t , M ) : 分子量Mを持つ分子の総重量
y = w(t , M + L ) : 分子量M + Lを持つ分子の総重量
ρ (M ) : 消化吸収率
β (M ) :β酸化率
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
27
PE生分解モデルの構成要素
M分子の総重量の変化速度
β酸化による減少量
dx
M
= − ρ (M )x − β (M )x + β (M + L )
y
dt
M +L
消化吸収による減少量
M+L分子のβ酸化による増加量
変化率は,単位時間当たりの増加量と減少量の和。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
28
初期値問題と逆問題
初期値問題 : 初期重量分布 f (M ) が与えられたとき,
初期条件
w(0, M ) = f (M )
を満たす,方程式
dx
M
y
= −α (M )x + β (M + L )
dt
M +L
の解を求めよ。
(α (M ) = ρ (M ) + β (M ))
逆問題 : 培養 T 週間後における重量分布 g (M ) が追加
されたとき,初期値問題の解が条件
w(T , M ) = g (M )
も満たすような,分解率 α (M ) と β (M ) を求めよ。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
29
逆問題の数値解
平成22年6月25日
培養前とカビ
Aspergillus sp. AK-3
3週間培養後のPE重量分
布に基づく分解率。
Masaji Watanabe, Fusako
Kawai, Masaru Shibata,
Shigeo Yokoyama,
Yasuhiro Sudate, Shizue
Hayashi, Analytical and
computational techniques
for exogenous
depolymerization of
xenobiotic polymers,
Mathematical Biosciences
192 (2004) 19-37.
環境学研究科博士前期課程概論
30
重量分布推移の数値シミュレーション
分解率が得られると,初
期値問題を解くことによ
り,重量分布の推移のシ
ミュレーションが可能と
なる。
Masaji Watanabe, Fusako Kawai,
Masaru Shibata, Shigeo Yokoyama,
Yasuhiro Sudate, Shizue Hayashi,
Analytical and computational techniques
for exogenous depolymerization of
xenobiotic polymers, Mathematical
Biosciences 192 (2004) 19-37.
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
31
Aspergillus sp. AK-3培養前と3週間培養
後データに基づく分解率による5週間
後 の重量分布シミュレーション
Masaji Watanabe, Fusako Kawai,
Masaru Shibata, Shigeo Yokoyama,
Yasuhiro Sudate, Shizue Hayashi,
Analytical and computational
techniques for exogenous
depolymerization of xenobiotic
polymers, Mathematical
Biosciences 192 (2004) 19-37.
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
32
カビとバクテリアのPE生分解性比較
Aspergillus sp. AK-3 とバク
テリアコンソーシアム KH-12
の培養前と3週間培養後のPE重
量分布に基づく分解率の比較。
Fusako Kawai, Masaji Watanabe,
Masaru Shibata, Shigeo
Yokoyama, Yasuhiro Sudate,
Shizue Hayashi, Comparative
Study on Biodegradability of
Polyethylene Wax by Bacteria and
Fungi, Polymer Degradation and
Stability 86 (2004) 105-114.
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
33
結論
β-酸化率はある程度まで分子量によらず一定で
あると考えられる。この仮定により吸収率と酸化
率を求めることができた。微生物による PE 生分
解では β-酸化による低分子化と低分子の吸収・
消化という二つの作用が主な要因であることが数
学モデルとシミュレーションにより示すことがで
きた。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
34
ポリエチレングリコールの
生分解性解析
河合富佐子(京都工芸繊維大学)
渡辺雅二(岡山大学大学院環境学研究科)
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
35
ポリエーテル (HO(R-O)nH)
ポリエーテルは水溶性あるいは油状の液体であり,
潤滑剤,不凍液,インク,化粧品等の製品の成分
として利用されるばかりでなく,洗剤やポリウレ
タンを合成するとための原料としても用いられる。
ポリエチレングリコール polyethylene glycol
(PEG) はポリエーテルの中でも,最も大量に生産
され,大部分は界面活性剤の原料として消費され
る。
Polyethylene glycol (PEG): R= CH2CH2
Polypropylene glycol (PPG): R = H3CHCH2
Polytetramethylene glycol (PTMG): R = (CH2)4
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
36
PEG-utilizing sphingomonads
Sphingomonad Assimilation of
(Gram-negative) PEG
Metabolism
Induction of
PEGDH
Sphingomonas ~PEG 20,000
terrae+Rhizobiu
m sp.
Periplasm
Inducible
Sphingomonas
macrogoltabidu
s
strain 103
~PEG 4000
Periplasm
Inducible
Sphingomonas
macrogoltabidu
s
strain 103
~PEG 4000
Periplasm
Constitutive
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
37
PEGの代謝経路
PEG は,分子末端でのモノマーユニットの切断により,
嫌気的(左)あるいは好気的(右)に代謝される。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
38
分解前と分解後のPEGのHPLC解析
バクテリアコンソーシアム E1の分解前と分解後のPEG重量分布が計測された。 Tosoh
high performance liquid chromatography (HPLC) ccp&8020 equipped with Tosoh TSK-GEL
G2500 PW (7.5 φ× 300 mm) with 0.3 M sodium nitrate at 1.0 ml/min at room temperature.
Detection was done with a RI detector (Tosoh RI-8020).
Original HPLC outputs Standards for retention
time versus molecular
weight
6/9/2009
平成22年6月25日
ICMSA 2009
環境学研究科博士前期課程概論
Transformation
based on the
standards
Shift according to
39
the base lines
分解率の時間依存性
シミュレーションの結果は,分解率は分子量だけでなく
時間にも依存していることを示している。
dx
M
= −ψ (t , M )x + ψ (t , M + L )
y
dt
M +L
また分解率は,微生物の個体数を表す時間だけの関数と
分子量だけの関数の積であることも示唆している。
ψ (t , M ) = σ (t )λ (M )
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
40
分解率の時間ファクターと分子量ファ
クター
M
dx
= −σ (t )λ (M )x + σ (t )λ (M + L )
y
M +L
dt
τ = ∫ σ (s ) ds, x(t ) = X (τ )
t
0
とおくと
dX dx dt
M
Y
= ⋅
= −λ (M )X + λ (M + L )
dτ dt dτ
M +L
となり,従来の分解率が時間依存性をもたないモデル
に変形される。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
41
分解率の分子量ファクター
培養前とバクテリアコンソーシウ
ムE1培養3日後の重量分布に基
づく分解率(分子量ファクター)
M. Watanabe, F. Kawai, Modeling and
simulation of biodegradation of xenobiotic
polymers based on experimental results,
BIOSIGNALS 2009, Second International
Conference on Bio-inspired Systems and Signal
Processing, Proceedings, Porto - Portugal, 14-17
January, 2009, 25-34, 2009.
6/9/2009
平成22年6月25日
ICMSA 2009
環境学研究科博士前期課程概論
42
5日間培養のシミュレーション
培養前と3日後のHPLC
データに基づくシミュ
レーションの結果,培
養5日後の結果に至る
には30日かかった。
M. Watanabe, F. Kawai, Modeling and
simulation of biodegradation of xenobiotic
polymers based on experimental results,
BIOSIGNALS 2009, Second International
Conference on Bio-inspired Systems and
Signal Processing, Proceedings, Porto Portugal, 14-17 January, 2009, 25-34,
2009.
6/9/2009
平成22年6月25日
ICMSA 2009
環境学研究科博士前期課程概論
43
分解率のタイムファクター
分解初期の段階では微生物の生育はexponentia l.
(
)
b
e
σ (t ) = e at +b , τ = ∫ σ (s ) ds = ∫ e
ds =
e at − 1 ,
a
Suppose that two sets of data (T1,Γ1 ), (T2 ,Γ2 ) are available :
t
0
(
)
eb aT
Γ1 =
e −1
a
e aT − 1
Γ2 = Γ1 aT
e −1
1
2
1
⇒
t as + b
0
e at − 1
τ = Γ1 aT
e −1
e aT − 1 Γ2
− =0
h(a ) = aT
e − 1 Γ1
1
⇒
2
1
 e aT − 1 Γ2 
T2 Γ2
T2 e aT Γ2 T2 Γ2
< , lim h(a ) = lim  aT
−  = lim
− = − < 0.
If
aT
a
a
a
→
+
→
+
→
+
0
0
0
Γ1 T1 Γ1
T1 Γ1
T1e
 e − 1 Γ1 
If T1 < T2 , lim h(a ) = ∞.
2
2
1
1
a →∞
Numerical solution by Newton' s method :
T1 = 3, Γ1 = 3, T2 = 5, Γ2 = 30, a ≈ 1.136176
6/9/2009
平成22年6月25日
ICMSA 2009
環境学研究科博士前期課程概論
44
時間-分子量ファクターを持つ分解率に
よるシミュレーション
The initial value problem
of time dependent model
was solved numerically to
simulate the transition of
weight distribution for 5
days.
M. Watanabe, F. Kawai, Modeling and
simulation of biodegradation of xenobiotic
polymers based on experimental results,
BIOSIGNALS 2009, Second International
Conference on Bio-inspired Systems and
Signal Processing, Proceedings, Porto Portugal, 14-17 January, 2009, 25-34, 2009.
6/9/2009
平成22年6月25日
ICMSA 2009
環境学研究科博士前期課程概論
45
培養1日後のシミュレーション
M. Watanabe, F. Kawai, Modeling and
simulation of biodegradation of xenobiotic
polymers based on experimental results,
BIOSIGNALS 2009, Second International
Conference on Bio-inspired Systems and
Signal Processing, Proceedings, Porto Portugal, 14-17 January, 2009, 25-34, 2009.
6/9/2009
平成22年6月25日
ICMSA 2009
環境学研究科博士前期課程概論
46
結論
数週間の培養期間のPE生分解では,十分な生育後の分解
プロセスである。一方,数日間の培養期間のPEG生分解
では微生物の生育が顕著となる。培養初期では,その生
育はExponentialであると仮定して求めた数値結果は妥
当なものであることから,分解率は時間ファクターと分
子量ファクターからなることが示された。HPLC解析結果
は分解率は,培養5日経過後は低下することを示してい
る。これは時間ファクターが定数に近づく,あるいは微
生物生育後は小さくなることを示している。これに関し
てはロジスティック成長や,ポリマーを炭素源とする微
生物の成長を考慮した最近の結果がある。
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
47
References
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Yasuhiro Sudate, Experimental analysis and numerical simulation for
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Yasuhiro Sudate, A computational method for analysis of
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平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
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Biodegradability of Polyethylene Wax by Bacteria and Fungi,
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Yasuhiro Sudate, Shizue Hayashi, Analytical and computational
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[7] 渡辺雅二・河合富佐子,数値シミュレーションによるポリエ
チレングリコール生分解性解析,環境制御,第26号 (2004) 1722 (Masaji Watanabe, Fusako Kawai, Analysis of biodegradability
for polyethylene glycol via numerical simulation, Environmental
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平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
[9] M. Watanabe, F. Kawai, Mathematical modelling and computational
analysis for enzymatic degradation of xenobiotic polymers, Applied
Mathematical Modelling 30 (2006) 1497-1514.
[10] M. Watanabe, F. Kawai, Mathematical study of the biodegradation
of xenobiotic polymers with experimental data introduced into
analysis, Proceedings of the 7th Biennial Engineering Mathematics
and Applications Conference, EMAC-2005, Melbourne, Editors:
Andrew Stacey and Bill Blyth and John Shepherd and A. J. Roberts,
ANZIAM J. 47 pp.C665--C681, 2007.
(http://anziamj.austms.org.au/V47EMAC2005/Watanabe)
[11] M. Watanabe, F. Kawai, S. Tsuboi, S Nakatsu, H. and Ohara,
Study on enzymatic hydrolysis of polylactic acid by endogenous
depolymerizaion model, Macromolecular Theory and Simulations
16 (2007) 619-626.
doi: 10.1002/mats.200700015.
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
50
[12] M. Watanabe, F. Kawai, Modeling and analysis of biodegradation
of xenobiotic polymers based on experimental results, Editors: Geoffry
N. Mercer and A. J. Roberts,
ANZIAM J. 49 (EMAC-2007) pp.C457--C474, 2008.
(http://anziamj.austms.org.au/ojs/index.php/ANZIAM/article/view/361)
[13] Masaji Watanabe, Fusako Kawai, MODELING AND
SIMULATION OF BIODEGRADATION OF XENOBIOTIC
POLYMERS BASED ON EXPERIMENTAL RESULTS, BIOSIGNALS
2009, Second International Conference on Bio-inspired Systems and
Signal Processing, Proceedings, Porto - Portugal・14-17 January, 2009,
25-34, 2009.
[14] Masaji Watanabe, Fusako Kawai, Mathematical analysis of
microbial depolymerization processes of xenobiotic polymers,
Proceedings of the 14th Biennial Computational Techniques and
Applications Conference, CTAC-2008, Editors: Geoffry N. Mercer and
A. J. Roberts, ANZIAM J. 50, pp.C930--C946, 2009.
(http://anziamj.austms.org.au/ojs/index.php/ANZIAMJ/article/view/1465
51
環境学研究科博士前期課程概論
) 平成22年6月25日
[15] M. Watanabe and F. Kawai, STUDY ON EFFECTS OF
MICROORGANISM IN DEPOLYMERIZATION PROCESS OF
XENOBIOTIC POLYMERS BY MODELING AND SIMULATION,
Proceedings of the First International Conference on Bioinformatics,
Editors: Ana Fred and Joaquim Filipe and Hugo Gamboa, 2010
INSTICC - Institute for Systems and Technologies of Information,
Control and Communication, 181--186, 2010.
This work was supported by KAKENHI (20540118).
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
52
実験とシミュレーション
「・・要するに手間の割にはデータにならない実験である.事実,実験経過を詳細に追跡した例
はない.しかし,分解前と分解後のデータさえあれば,このようなシミュレーションで代謝経路が
追跡可能であるのなら,マニュアルのサンプリングよりも正確で取りはぐれなく,ポリマーの分
解様式による分子量変化の遷移状態や分解率を比較することが可能である.」
渡辺雅二,河合富佐子,数学で高分子製分解のメカニズムを解明する,測定不可能なプロセ
スをシミュレーションで証明する,今日の話題,化学と生物,Vol. 41, No. 9, September 2003.
平成22年6月25日
環境学研究科博士前期課程概論
53
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