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諸外国における風力発電所に係る環境影響評価について

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諸外国における風力発電所に係る環境影響評価について
資料2-4
諸外国における風力発電所に係る環境影響評価について
(動物、植物及び生態系関連)
1.ガイドライン等における動植物等の取扱い
(1)評価項目
環境省において、風力発電所に係る環境影響評価のうち、動植物に関する諸外国
のガイドライン等や個別事例について情報収集を行ったところ、ガイドライン等や
個別事例を確認できたすべての国で、動物及び植物を評価項目としていた。
表1 国・地域ごとの風力発電所の環境影響評価における動物及び植物の取扱い
動物及び植物の取扱い
国・地域の名称
風力発電所に係る環境影響評価手法につ いての
米国1(米国カリフォルニア州2)、フラン
ガイドライン等が策定されており、その中で動植物
ス3、韓国4、英国スコットランド5、ドイ
を評価項目とすることが示されている国・地域
ツブランデンブルク州6
上述のようなガイドライン等は確認できていない
スペイン、オランダ、デンマーク、カナ
が、環境影響評価を行った個別事例にお いて、
ダ、中国
動植物を評価項目としていた国
環境影響評価を行った個別事例が確認できて
ポルトガル、イタリア
いない国
※環境影響評価制度を法令により導入している諸外国を調査対象としている。
(2)調査、予測及び評価手法
諸外国のガイドライン等のうち、調査、予測及び評価の手法等が具体的に示されて
いた米国カリフォルニア州、フランス、英国スコットランド、ドイツブランデンブル
ク州のガイドライン等における調査、予測及び評価手法について整理した。
なお、これらのガイドラインのうち、米国カリフォルニア州及び英国スコットラン
ドのガイドラインは鳥類やコウモリ類に特化したものとなっている。
Wind Energy Siting Handbook(2008, 米国風力発電協会)
Final Programmatic Environmental Impact Statement on Wind Energy Development on
BLM-Administered Lands in the Western United States(2005, 内務省土地管理局)
California Guideline for Reducing Impact to Birds and Bats from Wind Energy Development
(2007, カリフォルニア州エネルギー委員会)
2 California Guideline for Reducing Impact to Birds and Bats from Wind Energy Development
(2007, カリフォルニア州エネルギー委員会)
3 風力発電の環境影響評価に関するガイド(2010,エコロジー・エネルギー・持続可能開発・海洋省)
4 環境影響評価書等に関する規則別表(http://eng.me.go.kr)
5 Survey methods for use in assessing the impacts of onshore windfarms on bird communities
(2005, スコットランド自然遺産局)
Guidance WINDFARMS AND BIRDS: Calculating a theoretical collision risk assuming no
avoiding action(2000,スコットランド自然遺産局)
6 風力発電施設の環境影響評価に関する海外調査報告書(2008,環境省請負業務)
1
1
鳥類を含む動植物全般については、フランスのガイドラインにおいて詳細な手法
が示されており、その概要は以下のとおり。
 既存文献及び専門家へのヒアリングにより、現地調査項目、調査地域等を明確
化させた上で、現地調査を行う。
 現地調査は、サイトの生態学的な機能、保護種、貴重種や、影響が大きいと考
えられる種について行う。
 現地調査は、生物季節、生活史を考慮した時期(季節)
・頻度で行うこととされ
ており、分類群ごとに具体的な調査時期が示されている。
 評価では、環境および動植物に対する影響要因(直接・間接、一時的・恒久的、
誘発的)及び影響度(面積、種数、個体数等)の検討を行う。
表2 フランスのガイドラインにおける動植物の調査、予測及び評価手法
段階
調査
内
容
 既存文献及び専門家ヒアリングにより、現地調査の項目、調査地域等を明確化させる。
 現地調査は、サイトの生態学的な機能、保護種、貴重種、影響が大きいと考えられる種につい
て行う。
 現地調査の時期・頻度は、生物季節、生活史を考慮した時期(季節)
・頻度とする。
コウモ
 超音波探知機等を用いて、ポイントセンサス法、トランセクト法等による。
リ類
 調査時期:春と秋(渡り期)、夏(活動期)
鳥類
 渡り鳥、猛禽類、水鳥等の鳥類全部(貴重種、保全種、普通種)を対象
 調査時期:生活史サイクル全体にわたり調査。年 12 回、重要性に応じて増やす。
 調査手法の詳細(渡り鳥の場合)
・項目:飛翔ルート・高度、単位時間あたりの渡り鳥数、集結地等
・時期:様々な天候条件・鳥種をカバーする季節。春(2-5 月)
、繁殖後(8-11 月)
・方法:観測点を定めた直接観察法。夜行性が 2/3 を占めるため夜間に観察を行う。
その他
の動物
・両生類:直接観察法、鳴き声等により調査。水中生活時に卵、幼生を観察(2,3 月
~5,6 月)。秋(又は春)の雨天時には繁殖地から越冬地への移動を観察。
・爬虫類:直接観察法、痕跡調査(3~7 月の適切な天候時)
・昆 虫:保全種の生息地近くに計画する場合に行う。直接観察法、トラップ法等
植物
 既存文献に基づき貴重種の確認、植物相・群落を確認
 現地調査は、スポットセンサス法、ラインセンサス法の併用
予測
• 影響要因の検討(直接・間接、一時的・恒久的、誘発的)
評価
 影響の程度の検討(面積、種数、個体数等)
2
鳥類については、フランス、ドイツブランデンブルク州、米国カリフォルニア州及
び英国スコットランドのガイドラインにおいて詳細な手法が示されており、その概要
は以下のとおり。
表3 諸外国のガイドライン等における鳥類の調査、予測及び評価手法※
項目
調査、予測及び評価の手法
影響要因
 評価対象とする影響要因:衝突、移動阻害、生息環境の損失[仏・英ス]
対象鳥類
 [仏]渡り鳥、猛禽類、水鳥等の鳥類全部(貴重種、保全種、普通種)を対象。
 [独ブ・英ス]法令や地域計画、レッドリスト等の掲載種や、猛禽類、渡り鳥、水鳥
等のうち対象とする種や分類群を対象
調査手法
 現地調査前に、既存資料等による調査を行い、調査項目、手法等の絞り込みを行う
[仏・米カ・英ス]
 現地調査項目は対象種によって異なる。
・渡り鳥:飛翔ルート、飛翔高度、個体数、行動内容等[仏、独ブ]
・計画地付近で営巣している鳥類:営巣地、餌場、個体数等[独ブ、英ス]
 調査手法:見通しの良い定点からの観察を行う[仏・米カ・英ス]
調 査 時  調査時期は対象種によって異なる。
[仏・独ブ・英ス]
期・期間
・渡り鳥:春・秋の渡り時期や越冬期
・計画地付近で営巣している鳥類:営巣期
 調査期間:
・
[仏・英ス]1年もしくは尐なくとも1年
・
[米カ]利用可能な既存データがある場合以外は最低1年間
予測・評
価手法
 [米カ]手法のひとつとして衝突リスク評価を行う。まず定性的手法により当該プ
ロジェクトの致命的な欠陥を見極め、次に定量的手法により衝突数を推定し、他の
プロジェクトとの比較により評価を行う。
 [英ス]衝突リスクの定量的な予測手法を解説したガイダンスが公表されている。
 [独ブ]風力発電施設の許認可の際に、評価対象としている種や分類群毎に定めら
れた基準と照合する。
(例:オジロワシの営巣地全域及びその外縁境界から3km の範
囲内は建設が認可されない 等)
※本表では、次のとおり略称を用いている。フランス:「仏」、米国カリフォルニア州:「米カ」、英国
スコットランド:
「英ス」
、ドイツブランデンブルク州:「独ブ」
3
(3)環境保全措置
フランス及び米国カリフォルニア州のガイドラインにおいては、動植物に係る環
境保全措置が紹介されている。これらを整理すると次のとおり。
表4 フランス及び米国カリフォルニア州のガイドライン等で紹介されている主な環境保全措置
推奨されている環境保全措置
風力発 電設
 事業地の配慮、変更[仏]
備の位 置・
 風車配置の変更[仏・米カ]
規模
例:風力発電設備を飛翔ルートと平行に配置、留鳥の移動阻害や上昇気流を利
用する鳥類に配慮した配置、コウモリの生息地(例:森林)と風力発電設
備との距離を離す
附帯施 設の
 送電線の地下埋設[仏・米カ]
配慮
 アクセス道路の変更[仏]
 生態系ネットワーク保持のため移動を阻害するフェンスを設けない[仏]
 風車周辺が獲物の生息地とならないような設計・管理[米カ]
 鳥類やコウモリを誘引する照明を避ける[米カ]
工事段 階の
配慮
 生活史サイクルに配慮した工事計画[仏]
例:繁殖シーズンを避ける、コロニー形成期間を避ける
 保護の必要のある群落等に標識を付け、現場作業員に知らせる[仏]
 外来種侵入防止のため、表土は現地のものを再利用[仏]
 河川等への懸濁物、油分等の流入を防止する[仏]
 風車等の工事組立場所の最小化[仏]
供用段 階の
 生じた問題に対応して、風力発電設備を稼働する[仏]
配慮
 稼働していない風車の撤去[米カ]
その他
 代償措置[仏・米カ]
例:事業実施区域外における生息地の保全・創出・復元、重要生息地の保護、
生息環境の向上
※本表では、次のとおり略称を用いている。フランス:「仏」
、米国カリフォルニア州:「米カ」
4
(4)事後調査
フランス及び米国カリフォルニア州のガイドラインにおいては、動植物に係る事後
調査の手法が解説されている。これらを整理すると次のとおり。
(フランス:動植物)
 事後調査は、基本的には重大な影響があると予測される項目、予測が不確実な項
目について実施し、建設前の調査と比較できるよう、同じ手法を用いる。
 鳥類の衝突に関しては推定衝突数を把握するため、死骸調査を実施。捕食による
死骸消滅のバイアスを最小にするため、調査頻度を高くする。また、事前に死骸
消失期間を季節ごとに調査しておく。
(米国カリフォルニア州:鳥類・コウモリ類)
 利用可能な既存データがある場合以外は、稼働後に1年間の鳥類飛来頻度調査と、
2年間の死骸調査を実施。
 死骸調査は2週間に1回。
 調査範囲は、風力発電設備を中心として、地上からブレード先端部までの最大高
と同等の幅。
5
2.動植物に係る環境影響評価の実施状況
環境省において、風力発電所に係る環境影響評価を行った諸外国の個別事例につい
て情報収集を行ったところ、4事例(米国アイダホ州7、米国ワシントン州8、英国9、
オランダ10)について、動植物に係る具体的な調査、予測及び評価の実施内容が把握
された。これらの4事例について、
(1)調査対象とした種、
(2)鳥類等に関する調
査、予測及び評価手法、(3)採用された環境保全措置の観点から、各事例の内容を
まとめた結果を次に示す。
(1)調査対象とした種及び調査地域
 動植物に関する評価対象としての選定状況や、現地調査の実施状況は表5のと
おり。
 すべての事例において、調査地域には附帯施設(送電線、取付道路)が含まれ
ていた。
表5 動植物に関する評価対象としての選定状況や、現地調査の実施状況
評価対象として
現地調査を
選定した事業
実施した事業
4件
4件
コウモリ
4件
4件
鳥類
4件
4件
爬虫類
3件
3件
両生類
4件
4件
魚類
2件
2件
昆虫
1件
1件
4件
4件
動物
哺乳類
(コウモリ除く)
植物
7
8
9
10
Cotterel Wind Power Project(http://www.blm.gov/id/st/en/fo/burley/Planning/cotterel_wind_power.html)
Whistling Ridge Energy Project(http://www.efw.bpa.gov/environmental_services/Document_Library/
Whistling_Ridge/)
Yelvertoft Wind Farm(http://www.yelvertoft-windfarm.com/default.asp)
Noordoostpolder Wind Farm(http://www.windparknoordoostpolder.nl/)
6
(2)鳥類等に関する調査、予測及び評価手法
鳥類等に関する環境影響評価の概要は以下のとおり。
表6 鳥類等に関する環境影響評価の概要
項目
影響要因

鳥類の評価にあたって考慮された影響要因は次のとおり。
影響要因
評価対象とした事業
衝突
4件
かく乱による生息地放棄、 4件
生息環境の改変
移動阻害
調査対象とな

る鳥類の種類
2件[米ワ、蘭]
すべての事例において、鳥類の調査対象として、猛禽類、渡り鳥、その
他の希尐鳥類及び一般鳥類が選択されていた。
調査手法

すべての事例において、鳥類の飛翔位置、飛翔高度等が確認されていた。
予測手法

3件において、鳥類の衝突頻度についての定量的な予測が行われていた
[米ア、米ワ、蘭]。その他の事例では衝突に関する定性的な予測が行わ
れていた。
評価手法

1件において、鳥類の移動阻害についての予測が行われていた[蘭]
。

複数案における予測結果を比較したものが3件[米ア、米ワ、蘭]

生態系の価値と風力発電事業による影響の大きさを指標として、定性的
に評価したものが 1 件[英]
事後調査
コウモリに関

3件において、死骸調査を実施することとされていた[米ア、米ワ、英]
。

死骸調査の実施時期:2 年~5 年間以上

すべての事例において、コウモリの生息数、高利用域及び風車建設地点
する事項
の利用頻度の把握が行われていた。

3件において、バットディテクターを地上及び一定の高さの位置に設置
して、高さ方向の調査が実施されていた[米ワ、英]
。
※本表では、次のとおり略称を用いている。米国アイダホ州:「米ア」、米国ワシントン州:「米ワ」、
英国の事例:「英」
、オランダの事例:
「蘭」
7
鳥類の衝突について定量的な予測を行っている例を示すと以下のとおり。
【鳥類の衝突について定量的な予測を行っている事例①】
Cotterel Wind Power Project(米国アイダホ州)では、他の風力発電所における鳥類の年間死
亡率(基数当たり、風車のブレード回転範囲の面積当たり及び出力当たりの 3 個の死亡率)を用
いて、当該事業に係る鳥類の年間死亡数の定量的予測が行われていた。
表7 Cotterel Wind Power Project(米国)における鳥類の年間死亡数の予測結果の例
代替案 B
代替案 C
代替案 D
代替案の概要
風車の数(基)
130
98
81
82
66
ブレード直径(m)
70
77
100
77
100
500,300
456,350
636,174
381,844
518,364
1 基当たり出力(kW)
1,500
1,500
3,000
1,500
3,000
合計出力(万 kW)
19.5
14.7
24.3
12.3
19.8
ブレード回転範囲の面積の合計(m2)
年間死亡数(羽/年)
猛禽類
基数当たりの死亡率を用い
0~5
0~4
0~3
0~3
0~2
0~63
0~58
0~81
0~48
0~66
0~52
0~39
0~64
0~33
0~52
0~364
0~274
0~227
0~230
0~185
183~934
167~852
233~1,188
140~713
~968
176~546
132~412
219~680
111~344
~554
0~416
0~314
0~259
0~262
0~211
167~667
152~608
212~848
127~509
~691
156~644
118~485
194~802
98~406
~653
た場合
ブレード回転範囲の面積当
たりの死亡率を用いた場合
出力当たりの死亡率を用い
た場合
鳥類
基数当たりの死亡率を用い
た場合
ブレード回転範囲の面積当
たりの死亡率を用いた場合
出力当たりの死亡率を用い
た場合
コウ
基数当たりの死亡率を用い
モリ
た場合
ブレード回転範囲の面積当
たりの死亡率を用いた場合
出力当たりの死亡率を用い
た場合
※代替案Aはゼロオプションとされている。
8
【鳥類の衝突について定量的な予測を行っている事例②】
Whistling Ridge Energy Project(米国ワシントン州)では、次式による鳥類の種ごとの相対
的な衝突リスクの予測がなされていた。
R=A×Pf×Pt
R:当該種の衝突リスク
A:当該種が風力発電設備の建設予定地を通過する相対的頻度
Pf:当該種が飛翔している単位時間当たりの割合
Pt:当該種の飛翔高度がブレードの回転範囲内となる割合
表8 Whistling Ridge Energy Project(米国)における鳥類の種ごとの
衝突リスクの予測結果の例
種類
アカイスカ
ワタリガラス
コマツグミ
チャガタルリツグミ
スズメ目
オビオバト
ミドリツバメ
キビタイシメ
ノドジロハリオアマツバメ
オウゴンヒワ
アカオノスリ
ヒメコンドル
スミレミドリツバメ
マツノキヒワ
ムラサキマシコ
ヒメレンジャク
カンムリカケス
アシボソハイタカ
アメリカガラス
クーパーハイタカ
ハクトウワシ
オオタカ
ニシキフウキンチョウ
ハシボソキツツキ
オビナシショウドウツバメ
クリイロコガラ
チャバライカル
風力発電設備の
建設予定地を通過
する相対的頻度
0.34
0.59
0.73
0.18
0.13
0.22
0.09
0.07
0.11
0.47
0.08
0.10
0.11
0.07
0.10
0.04
0.52
0.04
0.02
0.05
0.03
0.02
0.23
0.16
0.01
0.14
0.14
飛翔している
割合
飛翔高度がブレードの
回転範囲内となる割合
95.3
72.1
59.5
98.1
96.7
59.3
100
91.3
100
96.5
95.2
100
100
100
35.7
90.0
62.3
70.0
100
78.6
100
80.0
30.3
25.0
100
35.0
20.0
90.2
55.1
31.9
62.3
75.9
59.4
78.3
100
56.7
12.6
70.0
53.6
45.2
58.3
100
100
9.3
85.7
100
45.5
66.7
100
20.0
25.0
100
14.3
25.0
9
衝突リスク
0.29
0.23
0.14
0.11
0.09
0.08
0.07
0.06
0.06
0.06
0.05
0.05
0.05
0.04
0.04
0.04
0.03
0.02
0.02
0.02
0.02
0.02
0.01
0.01
0.01
0.01
0.01
鳥類の移動阻害について調査、予測及び評価を行っている例を示すと以下のとおり。
【鳥類の移動阻害について調査、予測及び評価を行っている事例】
Noordoostpolder Wind Farm(オランダ)では、風力発電所の建設予定地(都市部、西部及び南
部にまたがる区域)近辺に生息する鳥類がねぐらと餌場の間を毎日往復する際に、風力発電所に
よる移動阻害の影響をどの程度受けるかについて、以下の手法による定性的な予測及び評価が行
われていた。
<移動阻害についての定性的な予測・評価手法>

文献調査及び現地調査結果より、ねぐら及び餌場と風力発電所の位置関係を把握する。

風車の建設前後における鳥類の飛翔距離を推定し、風車による飛翔距離の増加分を推定す
る。

ねぐらと餌場の間の飛翔距離に対して、風車による飛翔距離の増加分が占める割合を推定
し、鳥類が風力発電所の計画地域を飛翔する頻度を踏まえて、移動阻害による影響の度合
いを評価する。
表9 Noordoostpolder Wind Farm(オランダ)における鳥類の移動阻害についての予測結果の例
種類
建設予定地全体
建設予定地の区分ごとの影響
における影響
都市部
西部
南部
カワウ
0
0
0
0
コハクチョウ
-
-
0
0
ガン(マガン、ヒシクイ、ハ
0/-
0/-
0
0
0/-
0、0/-
0、0/-
0
カモ(ホシハジロ、スズガモ) 0/-
0、0/-
0、0/-
0/-
カモメ
0
0
0
イイロガン、カオジロガン)
カモ(ツクシガモ、ヒドリガ
モ、マガモ、オカヨシガモ)
0
0:影響はない
0/-:影響は軽微
-:影響がある
10
(3)採用された環境保全措置
4事例において採用された環境保全措置は以下のとおり。
表 10 風力発電所における動植物に係る環境保全措置の適用状況
環境保全措置
風力発電設備の位置・規模
採用された事業数
コウモリの生息地から風車を一定距離離す
1件[英]
風車の間隔を大きくとる
1件[蘭]
他の風力発電事業において、風車の配置を重
1件[米ア]
複列にした場合、鳥類の衝突リスクが大きく
なる傾向がみられたことから、風車を一列に
配置する
附帯施設の配慮
工事段階の配慮
送電線の地下埋設
1件[米ワ]
照明の調整
2件[米ア、米ワ]
繁殖期を避けた建設工程、猛禽類の営巣地
4件
への影響を避けるような工法の工夫
供用段階の配慮
在来種を用いた速やかな法面緑化
1件[米ワ]
濁水防止対策
1件[蘭]
渡りのピーク時等における風車の停止等、
2件[米ア、蘭]
運転方法の調整
その他
レーダーシグナルの発信機の装着
1件[蘭]
餌資源の生息地の創出
1件[英]
巣箱の設置
1件[英]
環境保全措置とモニタリングを行うに
1件[米ワ]
当たり、専門家の意見を聞くための第 3 者
機関を設置
※本表では、次のとおり略称を用いている。米国アイダホ州:「米ア」、米国ワシントン州:「米ワ」、
英国の事例:「英」
、オランダの事例:
「蘭」
11
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