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平成25年度 富士見市国民健康保険事業運営方針
平成25年度 富士見市国民健康保険事業運営方針 1 基本的な考え方 国民健康保険制度は、相互扶助の精神にのっとり、市民を対象として、 病気、けが、出産及び死亡等の場合に保険給付を行うなどの社会保険制度 で、昭和34年1月から国保事業を市町村の義務的事業とするとともに国 の責任を明確にし、療養給付費等に対する国庫負担制度の改善と調整交付 金制度の創設、事業内容の統一等を内容とする新国保法が施行され、 『国民 皆保険体制』を確立しています。 国保事業は保険者(市)が事業実施主体となって運営することとされ、 国より交付される国庫支出金と被保険者の負担する保険税を主な財源とし ています。国民健康保険制度は、対象者が広範囲にわたるため産業構造の 変化や高齢化などの影響を受けやすく、加えて低所得者層が多くを占める という構造的な問題を抱えています。 したがって、被保険者の高齢化は医療費の増加を招き、低所得者層の増 加は保険税収に影響を及ぼすことにつながり、これらに伴う財政基盤の弱 体化による赤字体質の克服が本質的な課題となっています。 また、平成18年度に法改正が行われた医療制度改革が平成20年度に 本格的に実施され、後期高齢者医療制度が創設されるなど医療保険の分野 では大きな改革が行われましたが、国保の最重要課題である財政基盤の強 化のための決定打とはなっておりません。 このような状況下にありますことから、今年度につきましても国民健康 保険事業における重点項目を設定することとし、安定した国民健康保険事 業の運営に資するために、引き続きその財政運営について適正化に努めま す。 2 国民健康保険事業の現状 本市の国民健康保険の加入者は、平成25年3月31日現在、被保険者 数30,994人、加入世帯17,919世帯となっています。前年度に 比べ被保険者数で461人の減、加入世帯数では38世帯の増となってい ます。また、本市の高齢化率は平成19年の19.6%から平成24年で は、21.7%と約2.1%上昇しており、高齢者層が多い国民健康保険に おいては、国民健康保険財政の中心である医療費の支出に直接影響を及ぼ 1 すことになります。 したがって、一人当たりの医療費の支出についても、年々増加傾向にあ り、平成23年度国民健康保険特別会計歳出決算での保険給付費総額は、 74億7千万円となり、平成24年度の決算見込みでは、約75億円とな っています。 一方、国保財政の根幹である保険税については、後期高齢者医療制度の 創設に伴い、平成20年度から新たに後期高齢者支援金等分が賦課され、 従前の医療分、介護分と合わせた賦課方式に変わりました。また、保険税 の収納率は、以前は約90%程度の推移を示しておりましたが、ここ数年 の収納率は88%台を推移しています。 こうしたことから、医療費の不足分に対しては、一般会計からの繰入に より事業運営を行っている状況であります。今後においても安定した税収 の確保に向け、収納率向上を図るための積極的な取り組みが求められてい ます。 3 重点項目 基本的な考えに基づき、次の4項目を重点項目として事業を実施します。 (1)医療費適正化対策の積極的推進 (2)保険税収納率の向上対策 (3)保健事業の充実 (4)市町村国保の広域化への対応 4 具体的施策 (1)医療費適正化対策の積極的推進 被保険者の健康管理と医療保険に対する認識を促すため、医療に対する 意識の啓発に努めます。これまでの年6回の医療費通知をはじめ、ジェネ リック医薬品(後発医薬品)対象の医療を受けた方に対し、平成24年度 から年2回の差額通知を送付し周知を図るなど、被保険者の健康管理にか かる意識の向上や医療費抑制への関心を深めるための情報提供を積極的に 進めます。また、レセプト点検については、平成19年度からレセプトデ ータの提供が磁気媒体化されたことにより、事務の効率化及び点検内容の 精度の向上が図られていますが、今年度においても、引き続きレセプト内 容等点検の一層の充実強化を進め、医療費の適正化を図ってまいります。 2 (2)保険税収納率の向上対策 被保険者の負担の公平性と国保財政の安定化を確保するため、保険税の 収納率の向上を目指し、以下の項目を積極的に推進していきます。 ○現年度分の納期内納付を進めるために、保険年金課と収税課が協力し て催告書の送付や電話催告、徴収嘱託員による現年度滞納者への訪問 分納誓約や納税相談を根気よく行い納付の勧奨を徹底します。 ○滞納処分(所得税還付金、預貯金、生命保険、不動産、給与の差押え 等)を強化します。 ○他の担当課と情報の連携を図り、滞納処分をする事ができる財産が無 い場合などには、執行停止を進めていきます。 ○窓口での納付、資格届けや納税通知書発送時などに口座振替加入の勧 奨をより一層強化します。 ○毎月始めの土曜日(午前中)に休日窓口の開設及び、毎週木曜日の窓 口延長を行い、納税機会と相談の拡充を図ります。 ○必要に応じて資格者証や短期被保険者証を交付し、納税交渉の機会確 保として有効に活用します。 ○今年度からコンビニ納付による新たな納税機会の拡充が図られます。 ○徴収体制を地区別に編成し、担当エリアの明確化を図り、きめ細かな 対応を図ります。 (3)保健事業の充実 被保険者の健康の保持増進を目的に保健事業を実施します。また、国民 健康保険財政の健全化を図るため、医療費適正化という観点から以下の事 業について積極的に取り組みます。 ①保険者による特定健康診査・特定保健指導の実施 平成20年度から「生活習慣病予防の徹底」を図るため医療保険者に 対し、これまでの「基本健康診査」に代わり、内臓脂肪型肥満に着目し た特定健康診査及び保健師等による特定保健指導が義務付けられました。 これに伴い、平成19年度に策定した「富士見市国民健康保険特定健 康診査等実施計画」は5年を1期として見直しを行うことから、平成 25年度に「富士見市国民健康保険特定健康診査等第2期実施計画」を 策定しました。これに基づく目標値に向けて、今年度においても県内の 各市町村並びに、健康増進センターと連携を図り、被保険者の生活習慣 病の予防・改善のため、特定健康診査・特定保健指導の受診率向上のた め積極的な啓発活動に取り組んでいきます。 3 ②人間ドック受診の促進 保健事業の一環として疾病の早期発見、医療費の抑制等を目的に人間 ドック検査料補助を実施します。 被保険者の高齢化による医療給付費の増大が顕著であり、1人当りの 費用額は、平成21年度より3年間で1万5千円以上の増額となってい ます。 このようなことから、保険者として医療費適正化及び被保険者の健康 管理に努めるため、人間ドック受診対象者の年齢を平成20年度から5 歳引き下げ30歳以上の被保険者とし、毎年度、積極的に受診勧奨に努 めています。また、平成24年度から富士見市マスコットキャラクター ふわっぴーを健康大使とし、各イベント等に参加し受診率向上を図って いるところです。また、平成20年度からの特定健康診査の開始に伴い、 人間ドック検査項目を見直し、特定健康診査を兼ねることとしましたが、 平成23年度には、追加項目の拡充を図ったところです。今年度におい ても、特定健康診査(詳細項目)との関係から検査項目を精査するとと もに、被保険者の健康管理・早期予防対策に保険者として積極的に取り 組み、医療費の適正化に努めてまいります。 (4)市町村国保の広域化への対応 平成22年12月22日、埼玉県において策定された「埼玉県市町村 国保広域化等支援方針」では、平成30年度を目途に、県内市町村国保 を広域化していく。その内容としては、「国保税の統一賦課方式」「高額 医療費負担に係る共同事業」「保険財政の安定を図る共同事業」「統一シ ステム化」 「特定健康診査の統一的な取り組み」等、脆弱な市町村国保の 財政基盤の安定と強化を図るため、県が運営主体となって行うことが目 的とされていました。「埼玉県市町村国保広域化等支援方針」は、平成 25年3月31日に期限が切れるため、平成25年3月15日、 「第2次 埼玉県市町村国保広域化等支援方針」が、新たに2年間を対象期間とし 策定されました。 大きな変更内容としましては、 「平成30年度を目途に広域化する」と いう指針が消滅し、統一賦課方式(2方式化)においても推進から標準 となり、円滑な実施に向けた取り組みとして、①4方式税額算定におけ る資産割・平等割の税率等を段階的に引き下げる。②隣接市町村など、 複数保険者による地域単位での移行、となっています。 一方で国では、医療制度改革をはじめとして、社会保障問題に係る様々 4 な議論や検討が進められておりますが、具現化するまでには少々時間も かかると考えております。 いずれにいたしましても、国または県の動向を注視し、今後も一層の 財政基盤強化策への働きかけを実施するとともに、必要な対応を図って まいります。 5 (4)国保広域化への対応 平成22年度に埼玉県が定めた「埼玉県市町村国保広域化等支援方針」 では、平成25年度までに広域化するための必要な施策が明記されてお り、平成30年度を目標に国保広域化するというものです。賦課方法も 現行の4方式(所得割、資産割、均等割、平均割)から県内全域を2方 式(所得割、均等割、)に統一する方針を示している。平成25年度まで には延べ20市町村で2方式に移行される。また、保険財政共同安定化 事業を拡充し、平成24年度から対象医療費を30万円超から10万円 超に引き下げ、平成26年度以降には5万円以下に引き下げるとともに 所得割の比率を高めるなど、市町村国保広域化への支援を打ち出してい る。いずれにしましても、国保広域化に向けての検討が進められており ますが、脆弱な国民健康保険の財政基盤を強化するためにも新たな財政 措置を講じるなど、財政基盤強化策の一層の充実を望むとともに、今後、 国の動きを注視しながら保険者として必要な対応を図ってまいります。 6