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病害虫発生予察注意報第2号
佐 農 技 防 第 899号 平 成 28年 9月 28日 病害虫発生予察注意報第2号 佐賀県 作物名:大豆、野菜類、花き類、果樹類 病害虫名:ハスモンヨトウ 1.注意報の内容 発生地域:県内全域 発生量:平年及び前年より多い 2.注意報発表の根拠 1)大 豆 に お け る 調 査 (9月 14~ 16日 、県 内 22圃 場 )で は 、幼 虫 の 発 生 圃 場 率 68.2%、発 生 株 率 7.8% ( 平 年 4.9% ) で あ り 、 発 生 量 は 平 年 よ り や や 多 か っ た ( 図 1 ) 。 な お 、 本 虫 による食害の程度は圃場間で差が大きく、多発生した圃場も認められた(写真1、表 1 )。さ ら に 、9月 5半 旬 に な っ て 食 害 が 進 み 、白 変 葉 が 発 生 し た 圃 場 も 認 め ら れ る( 写 真2、3)。 2)県 内 9 地 点 に 設 置 し た フ ェ ロ モ ン ト ラ ッ プ で の 雄 成 虫 の 誘 殺 数 は 、平 年 よ り 多 く 推 移 し て お り 、 9月 4半 旬 に 急 増 し た ( 図 2 ) 。 3)福 岡 管 区 気 象 台 が 9月 22日 に 発 表 し た 九 州 北 部 地 方 の 予 報 で は 、向 こ う 1 ヶ 月 の 気 温 が 高 い 確 率 は 70% と さ れ て お り 、 本 虫 の 発 生 に 好 適 な 条 件 と な っ て い る 。 以上のことから、大豆では、すでに発生が見られる圃場や周辺圃場において、被害を 生じる恐れがあり防除の徹底が必要である。また、野菜類、花き類及び果樹類について も、現時点での発生は多くないものの、大豆での多発生を受け、今後、発生の増加が予 想されるため、注意が必要である。 20 平年 本年(破線は 予測値) ( ) 発 生 10 株 率 % 0 8月上 8月下 9月上 9月下 10月上 図1 大豆でのハスモンヨトウの発生推移 写真1 ハスモンヨトウに激しく 加害された大豆 ( 平 成 28年 9月 15日 撮 影 ) 表1 各大豆圃場毎のハスモンヨトウ 幼虫の発生株率 ハスモンヨトウ幼虫の 発生株率(%) 圃場番号 36 30 2 0 12 0 6 4 0 2 0 2 2 0 6 0 2 10 4 0 32 22 68.2 7.8 4.9 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 No.10 No.11 No.12 No.13 No.14 No.15 No.16 No.17 No.18 No.19 No.20 No.21 No.22 発生圃場率(%) 発生株率(%) 平年発生株率(%) 写真2 ハスモンヨトウにより新たに生じた大豆 の 白 変 葉 ( 平 成 28年 9月 26日 撮 影 ) 写真3 白変葉に群れるハスモンヨトウ若齢幼虫 図1の9月下旬の結果を圃場毎に表示 ( 平 成 28年 9月 26日 撮 影 ) 2000 多発生年(H16年) 半 旬 別 1500 誘 殺 数 1000 平年 本年(H28年) ( ) 頭 500 0 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 1 2 8月 9月 10月 図2 フェロモントラップによるハスモンヨトウ雄成虫の半旬別誘殺数 (農業共済組合、農業試験研究センター、農業技術防除センターによる県内9地点 の平均誘殺数。) 半旬 3.防除上注意すべき事項 大豆 1)ハ ス モ ン ヨ ト ウ の 発 生 量 は 、 圃 場 毎 に 大 き く 異 な る た め 、 必 ず 各 圃 場 で の 発 生 状 況 を 確認し、幼虫の発生が認められた圃場では、早急に薬剤防除を行う(表2)。 2)同 一 成 分 の 薬 剤 の 防 除 効 果 は 、 一 般 に 粉 剤 よ り も 液 剤 ( 水 和 剤 、 乳 剤 、 フ ロ ア ブ ル 剤 等)の方が高いため、今後の防除は液剤を用いて行う。 3)幼 虫 は 大 き く な る と 日 中 は 物 か げ に か く れ 、 夜 間 に 活 動 す る 習 性 が あ る の で 薬 剤 散 布 は夕方に行う。 4)そ の 他 の 防 除 方 法 は 、 「 県 病 害 虫 防 除 の て び き 」 の ハ ス モ ン ヨ ト ウ の 項 (http://www.pref.saga.lg.jp/kiji00321964/index.html)を 参 照 す る 。 野菜類・花き類 1)野 菜 類 、 花 き 類 の 施 設 で は 、 開 口 部 に 防 虫 ネ ッ ト ( 4 mm目 以 下 ) を 張 り 、 成 虫 の 侵 入 を防ぐ。また、幼虫のハウス内への侵入を防止するため、ハウス周辺に水を溜めた遮 断溝を設ける。 2)卵 塊 や 若 齢 幼 虫 の 発 生 に 注 意 し 、 こ れ ら を 認 め た 場 合 は で き る だ け 除 去 処 分 す る と と もに薬剤防除を実施する(表2)。 3)幼 虫 は 大 き く な る と 日 中 は 物 か げ に か く れ 、 夜 間 に 活 動 す る 習 性 が あ る の で 薬 剤 散 布 は夕方に行う。 4)そ の 他 の 防 除 方 法 は 、 「 県 病 害 虫 防 除 の て び き 」 の 各 野 菜 ・ 花 き の ハ ス モ ン ヨ ト ウ の 項 (http://www.pref.saga.lg.jp/kiji00321936/index.html)を 参 照 す る 。 5)オ オ タ バ コ ガ に つ い て も 、 今 後 の 発 生 は 平 年 に 比 べ 多 い と 予 想 さ れ る た め 、 発 生 に 注 意し、初期に防除を行う。 果樹類 1) 圃 場 で の 発 生 に 注 意 し 、 卵 塊 や 幼 虫 の 発 生 を 認 め た 場 合 は 直 ち に 薬 剤 防 除 を 行 う 。 表2 ハスモンヨトウの主な防除薬剤 大豆(無人ヘリコブターによる散布を除く) IRACコード 系統 薬剤名 ラービンフロアブル ランネート45DF トレボン乳剤 3A ピレスロイド系 トレボンEW アタブロン乳剤 15 ベンゾイル尿素系 カスケード乳剤 ノーモルト乳剤 マトリックフロアブル 18 ジアシル-ヒドラジン系 ロムダンゾル 11 BTと殺虫タンパク質生産物 フローバックDF 22A トルネードエースDF UN プレオフロアブル フェニックス顆粒水和剤 フェニックスフロアブル 28 ジアミド系 プレバソンフロアブル5 ベネビアOD ペガサスフロアブル UN:作用機作が不明あるいは不明確な剤 1A カーバメイト系 ※佐賀県施肥・病害虫防除のてびきに掲載している粉剤以外の薬剤を記載 成分名 希釈倍率 10a当たり 使用量 使用時期 本剤の 使用回数 チオジカルブ メソミル エトフェンプロックス エトフェンプロックス クロルフルアズロン フルフェノクスロン テフルベンズロン クロマフェノジド テブフェノジド BT インドキサカルブ ピリダリル フルベンジアミド フルベンジアミド クロラントラニリプロール シアントラニリプロール フルベンジアミド 750~1000倍 1000~2000倍 1000倍 1000倍 2000~4000倍 4000倍 2000倍 2000~3000倍 1000倍 1000倍 2000倍 1000~2000倍 2000倍 2000~4000倍 4000倍 2000~4000倍 2000~4000倍 - 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 150~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 収穫14日前まで 収穫14日前まで 収穫14日前まで 収穫14日前まで 収穫14日前まで 収穫7日前まで 収穫14日前まで 収穫前日まで 収穫14日前まで 発生初期 但し、収穫前日まで 収穫7日前まで 収穫7日前まで 収穫7日前まで 収穫7日前まで 収穫7日前まで 収穫7日前まで 収穫7日前まで 2回以内 4回以内 2回以内 2回以内 2回以内 2回以内 2回以内 3回以内 3回以内 - 2回以内 2回以内 3回以内 3回以内 2回以内 3回以内 3回以内 イチゴ IRACコード 系統 薬剤名 1A 11 カーバメイト系 ラービンフロアブル BTと殺虫タンパク質生産物 デルフィン顆粒水和剤 アタブロン乳剤 15 ベンゾイル尿素系 カスケード乳剤 ノーモルト乳剤 ファルコンフロアブル 18 ジアシル-ヒドラジン系 マトリックフロアブル ロムダンフロアブル 13 コテツフロアブル ミルベマイシン系 アニキ乳剤 6 アベルメクチン系 アファーム乳剤 トルネードエースDF 22A トルネードフロアブル フェニックス顆粒水和剤 28 ジアミド系 ベネビアOD UN プレオフロアブル UN:作用機作が不明あるいは不明確な剤 成分名 チオジカルブ BT クロルフルアズロン フルフェノクスロン テフルベンズロン メトキシフェノジド クロマフェノジド テブフェノジド クロルフェナピル レピメクチン エマメクチン安息香酸塩 インドキサカルブ インドキサカルブMP フルベンジアミド シアントラニリプロール ピリダリル 希釈倍率 10a当たり 使用量 使用時期 本剤の 使用回数 1000倍 1000倍 2000倍 4000倍 2000倍 4000倍 2000倍 2000倍 2000倍 2000倍 2000倍 2000倍 2000倍 2000~4000倍 2000~4000倍 1000倍 - 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 定植30日後まで 発生初期 但し、収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 3回以内 - 3回以内 3回以内 2回以内 3回以内 3回以内 2回以内 2回以内 3回以内 2回以内 2回以内 2回以内 2回以内 3回以内 4回以内 アスパラガス IRACコード 系統 薬剤名 ゼンターリ顆粒水和剤 デルフィン顆粒水和剤 カスケード乳剤 15 ベンゾイル尿素系 ノーモルト乳剤 フェニックス顆粒水和剤 28 ジアミド系 プレバソンフロアブル5 UN プレオフロアブル UN:作用機作が不明あるいは不明確な剤 11 BTと殺虫タンパク質生産物 成分名 希釈倍率 BT BT フルフェノクスロン テフルベンズロン フルベンジアミド クロラントラニリプロール ピリダリル 1000倍 1000倍 4000倍 2000倍 2000倍 2000倍 1000倍 成分名 希釈倍率 10a当たり 使用液量 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 使用時期 発生初期 但し、収穫前日まで 発生初期 但し、収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 収穫前日まで 本剤の 使用回数 - - 2回以内 2回以内 2回以内 3回以内 2回以内 キャベツ IRACコード 系統 1B 有機リン系 1A カーバメイト系 6 5 22B ミルベマイシン系 スピノシン系 ジアミド系、ネオニコ 28、4A チノイド系 28 ジアミド系 薬剤名 オルトラン水和剤 ラービンフロアブル ランネート45DF アニキ乳剤 ディアナSC アクセルフロアブル アセフェート チオジカルブ メソミル レピメクチン スピネトラム メタフルミゾン キックオフ顆粒水和剤 クロラントラニリプロー ル、ジノテフラン 100倍 ベネビアOD シアントラニリプロール 2000~4000倍 ベリマークSC 1000~1500倍 750~1000倍 1000~2000倍 1000~2000倍 2500~5000倍 1000~2000倍 シアントラニリプロール 400倍 10a当たり 使用液量 100~300L - 100~300L 100~300L 100~300L 100~300L 使用時期 収穫30日前まで 収穫7日前まで 収穫3日前まで 収穫3日前まで 収穫前日まで 収穫前日まで セル成型育苗トレイ1 箱またはペーパーポッ ト1冊(30×60cm・使 定植前日~定植時 用土壌約1.5~ 4.0L)当り0.5L 100~300L 収穫前日まで セル成型育苗トレイ1 箱またはペーパー ポット1冊(約30× 育苗期後半~定植当日 60cm、使用土壌約 1.5~4L)当り0.5L 本剤の 使用回数 1回 4回以内 3回以内 3回以内 2回以内 3回以内 1回 3回以内 1回 UN:作用機作が不明あるいは不明確な剤 キク IRACコード 11 系統 薬剤名 BTと殺虫タンパク質生産物 ゼンターリ顆粒水和剤 成分名 希釈倍率 BT 1000倍 10a当たり 使用液量 100~300L 使用時期 発生初期 本剤の 使用回数 - バラ IRACコード 28 系統 ジアミド系 薬剤名 フェニックス顆粒水和剤 成分名 希釈倍率 フルベンジアミド 2000倍 連絡先:佐賀県農業技術防除センター 〒 840‐ 2205 TEL 10a当たり 使用液量 100~300L FAX 発生初期 病害虫防除部 佐 賀 市 川 副 町 南 里 1088 (0952)45‐ 5297 使用時期 (0952)45‐ 5085 本剤の 使用回数 4回以内