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再生半水石膏から溶出するフッ素が危険!?
平成26年3月1日(土) 第3回サイエンス・インカレ 口頭部門 工学系 再生半水石膏から溶出するフッ素が危険!? 浄水汚泥を使って環境に優しい 不溶化材作りに挑む!!! Waste Gypsum Board 福岡大学 工学部 社会デザイン工学科 三年 平川裕也 坂本慎也 西将太郎 あるときは橋をつくり・・・ あるときはトンネルを掘り・・ あるときはダムを建設し・・・ あるときは道路をつなげ・・・ 私たちの安全で快適な生活を 支えている・・・ 土壌汚染問題・・・ ゴミ問題・・・ 水不足・・・ 災害対策・・・ 当たり前の日常を 当たり前に過ごしている この日常を支えている 災害対策・・・ そして・・・ 今ある問題を解決し 更なる社会基盤への構築へ・・・ 1.はじめに オフィス街 道路 病院 学校 水環境 住宅街 1.はじめに 建築物解体に伴う 廃棄物の発生 地盤が軟弱 浄水処理に伴う 汚泥の発生 1.はじめに 建築物解体に伴う廃棄物の発生 浄水処理に伴う汚泥の発生 浄水汚泥 廃石膏ボード 新しい地盤改良固化材 軟弱な地盤の場合 に固化材を混ぜて 地盤の強度を強く する 2.石膏ボードについて 建築物解体に伴う 廃棄物の発生 2.石膏ボードについて 石膏ボードは天井や壁等に使用されている 石膏ボード マンション建設時の内装工事 2.石膏ボードについて 2-1.石膏ボード 工事の容易性 安価で経済的 防火性 利点 寸法安定性 遮音性 家屋やオフィスの天井や壁などの 建築用内装材として普及 2.廃石膏ボードについて 2-1.廃石膏ボード 耐用年数に達した家屋やビル等が急増 解体に伴って大量の廃石膏ボードが発生 廃石膏ボード排出量 2005年に138万トン 2013年には200万トン 2.廃石膏ボードについて 2-1.廃石膏ボード 耐用年数に達した家屋やビル等が急増 解体に伴って大量の廃石膏ボードが発生 廃石膏ボード排出量 2005年に138万トン 2013年には200万トン 廃石膏ボードの排出量(万トン) 200 150 100 年間総排出量 新築系年間排出量 50 解体系年間排出量 0 1995 2000 2005 発生年度 (年) 2010 図 廃石膏ボードの年間総排出量 2015 2.廃石膏ボードについて 2-1.廃石膏ボード 廃棄物の性状が安定している産業廃棄物等の処分場・・・ 安定型最終処分場 2.廃石膏ボードについて 2-1.廃石膏ボード 嫌気性 水がたまりやすい 硫酸還元菌 廃石膏ボードは安定型にて処分 が発生 安定型最終処分場 死亡事故が起きてしまう 【硫化水素の発生要因】 1.硫酸イオンが高濃度で 存在する 2.有機物が存在する 3.嫌気性の環境 4.水がたまりやすい状況 5.硫酸塩還元菌が存在する 石膏 クロス(紙) 硫酸イオン 有機物 2.廃石膏ボードについて 2-1.廃石膏ボード 遮断型処分場・安定型処分場で処分される産業廃棄物以外の 産業廃棄物と一般廃棄物を埋め立てる処分場・・・ 管理型最終処分場 2.廃石膏ボードについて 2-1.廃石膏ボード 2006年廃石膏ボードが 管理型最終処分場への処分が義務化 中間処理施設にて 管理型最終処分場 石膏とクロスに分離させてから処分 処理費用の増加 処理費用は新築系で1万円/t 解体系で1.5万円/t (平成19年時点) 廃石膏ボードの適切な有効利用方法の開発 2-2.中間処理施設 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 再生二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 2-2.中間処理施設 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 再生二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 2-2.中間処理施設 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 再生二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 2-2.中間処理施設 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 2-2.中間処理施設 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 2-2.中間処理施設 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 2.廃石膏ボードについて 2-3-1.再生半水石膏からのフッ素溶出メカニズム このイメージは、現在表示できません。 【石膏にフッ素が含有している原因】 石膏ボードの原材料として 排煙脱硫石膏が使用されている 排煙脱硫石膏 2.廃石膏ボードについて 2-3-1.再生半水石膏からのフッ素溶出メカニズム このイメージは、現在表示できません。 清浄な排ガス SO2+Ca (OH ) 2 → CaSO3+H 2O CaSO3+O(酸化) → CaSO4 (石膏) Ca (OH ) 2+HF → CaF2+2 H 2O フッ化カルシウムが 排煙脱硫石膏に混入 半水石膏からのフッ素溶出 排ガスを洗浄 消石灰 (Ca(OH)2) 硫黄酸化物や フッ化水素を 含む排ガス 酸素と反応させて 石膏(CaSO4) として取り出す フッ化水素 (HF) フッ化カルシウム (CaF2) 石灰石と水 の混合液 亜硫酸カルシウム (CaSO3) 排煙脱硫石膏は火力発電所から発生 → フッ素が混入 原子力発電所よりも火力発電所が主流 → 排煙脱硫石膏の増加 2-3‐2.中間処理施設 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 廃石膏ボード 紙と石膏に分離 二水石膏 130℃以上で加熱 再生半水石膏 2.廃石膏ボードについて 2-3‐2.中間処理施設 中間処理施設での廃石膏ボードの一時仮置き場の様子 再生半水石膏の特性 フッ素溶出の対処法 固化材 再生半水石膏 補助固化材 高炉セメントB種 固化材 再生半水石膏 F-クレスト 本研究目的は・・・ 安価で環境に優しい中性域を保ったフッ素の溶出濃度の抑制 2.廃石膏ボードについて 2-3‐2.中間処理施設 中間処理施設での廃石膏ボードの一時仮置き場の様子 再生半水石膏の特性 フッ素溶出の対処法 固化材 再生半水石膏 補助固化材 高炉セメントB種 固化材 再生半水石膏 再生半水石膏のデメリットを解消し 更なる循環型社会に貢献 F-クレスト 3.浄水汚泥について 浄水処理に伴う 汚泥の発生 3.浄水汚泥について 福岡市南区 夫婦石浄水場 3.浄水汚泥について 浄水場の仕組みを教えてもらい 浄水汚泥ができる工程の説明 河やダムから汲み上げた 水を濾過する工程までを 模擬浄水場で説明 3.浄水汚泥について 浄水場簡略図 フロック 混和池 形成池 沈澱池 凡例 原水 P P ポンプ ポリ塩化アルミニウム 注入 二次濃縮槽 一次濃縮槽 P 貯留槽 脱水機 P P P 排水池 浄水汚泥 3.浄水汚泥について 浄水場簡略図 混和池 フロック 形成池 原水 P 河川 ダム 沈澱池 3.浄水汚泥について 浄水場簡略図 混和池 フロック 形成池 沈澱池 原水 P ポリ塩化アルミニウム 注入 混和池 フロック形成池 沈澱池 3.浄水汚泥について グランド材 園芸材 粒状改良土 浄水汚泥(脱水ケーキ) グランド材・園芸材・粒状改良土に有効利用されている 3.浄水汚泥について グランド材 浄水汚泥 乾燥質量にして年間約34万トン発生 有効利用率は63.2%(2012年度) 厚生労働省は水道ビジョンのなかで 浄水汚泥の有効利用率100%を目標 園芸材 粒状改良土 浄水汚泥 さらなる浄水汚泥の有効利用が必要とされている 4.両方の特徴 建築物解体に伴う廃棄物の発生 浄水処理に伴う汚泥の発生 浄水汚泥 廃石膏ボード 新しい地盤改良固化材 軟弱な地盤の場合 に固化材を混ぜて 地盤の強度を強く する 4.両方の特徴 廃石膏ボード 廃石膏ボードリサイクル普及のため 地盤改良材に使用したいが・・・ 環境安全性の面から フッ素の溶出が懸念される 【現在あるフッ素抑制法】 ○セメント系固化材添加・・・pHが強アルカリへ ○F-クレスト・・・コストが高い 浄水汚泥 浄水汚泥は 100%のリサイクルが求められている 浄水過程において ポリ塩化アルミニウムを含んでいる 4.両方の特徴 廃石膏ボード - 3F +Al 浄水汚泥 3+ → AlF3 フッ化アルミニウムにすることで フッ素の溶出を抑制する 中性かつ安価な固化材を開発できるのでは!!? 5.仮実験 5-1.実験材料 実験を始めるにあたり・・・ フッ化アルミニウムの考え方も理論上の考え 直ぐに実験に取り掛かれる 模擬実験を行い効果を検討 浄水汚泥 【用いた試料】 ○底泥・・・川底の泥を模擬 ○山砂A・・・ダム等の山肌 から流れついた砂を模擬 底泥 山砂A 5.仮実験 5-2.実験方法 環境庁告示46号試験 6 時 間 平 行 振 と う 試 料 作 製 20 分 間 遠 心 分 離 濾 過 フ ッ 素 溶 出 量 の 測 定 【用いた試料】 ○底泥・・・川底の泥を模擬 ○山砂A・・・ダム等の山肌 から流れついた砂を模擬 底泥 山砂A 5.仮実験 5-2.実験方法 環境庁告示46号試験 試 料 作 製 6 時 間 平 行 振 と う 100mg/L 15mg/L 5分攪拌 凝集剤 20 分 間 遠 心 分 離 15分攪拌 濾 過 沈殿 フ ッ 素 溶 出 量 の 測 定 乾燥 5.仮実験 5-2.実験概要 環境庁告示46号試験 試料 配合条件 土質材料 ポリ塩化アルミニウム (タイパック) 底泥 0.075 0.005 粘土 3.7 5.0 6.6 10.0 20.0 硫酸アルミニウム 山砂A 底泥 再生半水石膏:浄水汚泥 =1:X 凝集剤 シルト 0.250 細砂 0.850 中砂 2 4.75 粗砂 細礫 19 中礫 75 粗礫 100 80 通過質量百分率 (%) 山砂A 60 40 0 0.001 再生半水石膏 山砂A 再生半水石膏 底泥 20 0.01 0.1 1 粒経 (mm) 粒径加積曲線 10 100 凝集剤 6.実験結果 6-1.各試料単体でのフッ素溶出濃度及びpH 各試料単体でのフッ素溶出濃度及びpH フッ素溶出濃度 (mg/L) pH 再生半水石膏 18 6.50 山砂A nd 7.61 底泥 nd 5.80 再生半水石膏 山砂A 再生半水石膏単体 ・フッ素の土壌環境基準0.8mg/Lを 大幅にオーバーしている ・中性域にpHが存在している 底泥 6.実験結果 6-1.各試料単体でのフッ素溶出濃度及びpH 各試料単体でのフッ素溶出濃度及びpH フッ素溶出濃度 (mg/L) pH 再生半水石膏 18 6.50 山砂A nd 7.61 底泥 nd 5.80 再生半水石膏 山砂A 山砂A及び底泥 ・フッ素の溶出は確認されず 土壌環境基準0.8mg/Lを満足している ・ほぼ中性域にpHが存在している 底泥 6.実験結果 6-2. 再生半水石膏に模擬浄水汚泥を添加したフッ素溶出濃度の関係 再生半水石膏単体でのフッ素溶出濃度18mg/L 16 タイパック+底泥 タイパック+山砂A フッ素溶出濃度(mg/L) 14 12 【再生半水石膏:模擬浄水汚泥】 再生半水石膏の乾燥質量を1と基準化 10 その場合の乾燥質量における比率 8 6 例) 1:5 4 2 10g 0 0 5 10 15 20 25 X 再生半水石膏:模擬浄水汚泥=1:X 50g タイパック 再生半水石膏 模擬浄水汚泥 ・模擬浄水汚泥と混合させることによりフッ素溶出濃度は減少する ・フッ素溶出濃度の環境基準を満足できていない 6.実験結果 6-2. 再生半水石膏に模擬浄水汚泥を添加したフッ素溶出濃度の関係 再生半水石膏単体でのフッ素溶出濃度18mg/L 16 タイパック+底泥 タイパック+山砂A フッ素溶出濃度(mg/L) 14 12 10 8 6 4 2 0 0 5 10 15 20 25 タイパック X 再生半水石膏:模擬浄水汚泥=1:X ・模擬浄水汚泥と混合させることによりフッ素溶出濃度は減少する ・フッ素溶出濃度の環境基準を満足できていない 6.実験結果 6-2. 再生半水石膏に模擬浄水汚泥を添加したフッ素溶出濃度の関係 再生半水石膏単体でのフッ素溶出濃度18mg/L 16 フッ素溶出濃度(mg/L) 14 12 10 8 6 硫酸ア+底泥 硫酸ア+山砂A 4 2 0 0 5 10 15 20 25 液体硫酸アルミニウム X 再生半水石膏:模擬浄水汚泥=1:X ・模擬浄水汚泥と混合させることによりフッ素溶出濃度は減少する ・フッ素溶出濃度の環境基準を満足できていない 6.実験結果 6-3. 再生半水石膏に模擬浄水汚泥を添加したpHの関係 14 14 タイパック+底泥 タイパック+山砂A 12 10 10 8 8 pH pH 12 6 6 4 4 2 2 0 0 0 5 10 15 20 25 X 再生半水石膏:浄水汚泥=1:X 硫酸ア+底泥 硫酸ア+山砂A 0 5 10 15 20 25 X 再生半水石膏:浄水汚泥=1:X 再生半水石膏のみを添加させた場合はほぼ中性域にpHは存在する pHに関しては環境に優しいことが分かる 6.実験結果 6-4.模擬実験を終えて 模擬浄水汚泥と混合させることにより中性域にてフッ素溶出濃度は減少する フッ素溶出濃度の環境基準を満足できておらず、今後の検討が必要 模擬浄水汚泥がフッ素を抑制したのか? 再生半水石膏と模擬浄水汚泥の比率の変化により フッ素が希釈されただけなのか? フッ素の抑制ができたことから 以上のことを考慮し 本物の浄水汚泥にて実験を行った 7.本実験 配合条件 再生半水石膏:浄水汚泥 =1:X 0.07 0.08 0.1 0.14 0.20 0.50 1 10 20 80 100 150 200 浄水汚泥のフッ素抑制効果を把握する為に・・・ 例)再生半水石膏:浄水汚泥=1:1 再生半水石膏+浄水汚泥 石膏 汚泥 25g 25g 純水 500g 再生半水石膏単体 石膏 汚泥 25g 25g 存在する と仮定 純水 525g この結果を比較することにより・・・ 浄水汚泥によるフッ素溶出濃度の抑制効果が正確に把握できる! 7.本実験 7-1. 再生半水石膏に浄水汚泥を添加したフッ素溶出濃度の関係 再生半水石膏+浄水汚泥 再生半水石膏単体 16 ○フッ素溶出濃度は減少傾向 14 フッ素溶出濃度(mg/L) 浄水汚泥を添加すると・・・ ○0.8mg/lを満足している部分もある 12 10 再生半水石膏単体では・・・ 8 約5倍 ○フッ素溶出濃度は減少傾向 6 ○浄水汚泥を添加した条件より 非常に高いフッ素溶出濃度 4 2 0 0.01 0.1 1 10 100 1000 X 再生半水石膏:浄水汚泥=1:X 浄水汚泥による フッ素の抑制が確認 7.本実験 7-1. 再生半水石膏に浄水汚泥を添加したフッ素溶出濃度の関係 再生半水石膏+浄水汚泥 再生半水石膏単体 16 フッ素溶出濃度(mg/L) 14 0.8mg/lを守る X=0.52 12 浄水汚泥を不溶化材として 考えると・・・ 最小値X=0.52 10 8 6 再生半水石膏の乾燥質量に対し 52%の浄水汚泥を添加・・・ 4 2 0 0.01 0.1 1 10 100 1000 X 再生半水石膏:浄水汚泥=1:X フッ素の環境基準値 0.8mg/Lを満足 7.本実験 7-2.再生半水石膏に浄水汚泥を添加したpHの関係 再生半水石膏+浄水汚泥 再生半水石膏単体 9 どちらの試料も 添加量に関係なく 8 ほぼ中性域にpHが存在 pH 7 6 pHに関しても 環境に優しいことが分かる 5 4 0.01 0.1 1 10 100 1000 X 再生半水石膏:浄水汚泥=1:X 8.まとめ 再生半水石膏 浄水汚泥 再生半水石膏の乾燥質量に対し 約52%以上の浄水汚泥を混合することで フッ素の溶出を環境基準以下に抑制が可能 8.まとめ 建築物解体に伴う廃棄物の発生 廃石膏ボード 浄水処理に伴う汚泥の発生 浄水汚泥 8.まとめ 建築物解体に伴う廃棄物の発生 浄水処理に伴う汚泥の発生 廃棄物 浄水汚泥 浄水汚泥 廃石膏ボード 新しい地盤改良固化材 軟弱な地盤の場合 に固化材を混ぜて 地盤の強度を強く する 8.まとめ 浄水処理に伴う汚泥の発生 建築物解体に伴う廃棄物の発生 廃棄物 浄水汚泥 浄水汚泥 廃石膏ボード 製造 使用 廃棄 新しい地盤改良固化材 軟弱な地盤の場合 に固化材を混ぜて 地盤の強度を強く する 新たな循環型社会の構築に・・・・ ご清聴ありがとうございました