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よい評価の踊り手の要因についての考察(その2)…高橋系子…

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よい評価の踊り手の要因についての考察(その2)…高橋系子…
よ り調 査(有 効276名)
3. 分 析 方 法 及 び手 順
「よ い評 価 の踊 り手 の要 因 に
つ い て の考 察(そ の2)」
高
I目
橋
系
調 査1: 対 象 者 の 年 齢, 経 験 年 数 の平 均 を全 体,
モ ダ ン ダ ンス 群, バ レエ群 に関 して求 め た。
調 査2: 各 カ テ ゴ リーの 順 位 づ け に っ い て の 頻
度 か ら要 因 の重 要 度 を考 察。
調 査3: 踊 り手276名 よ り得 られ た デ ー タの 因
子 分 析 を 下 の 手 順 で 行 っ た。
・主 因 子 解 の 結 果 か ら固 有 値 が1.0以 上 の もの を
子
的
踊 り手 に は様 々 な要 因 が 必 要 とさ れ, そ の 獲 得
の た め に踊 り手 た ちが 汗 を 流 し, 稽 古 に励 む の は
抽 出。
・得 られ た 因子 行 列 に 対 して Normal
よ く知 られ た こ とで あ る。 そ の踊 り手 に は ど うい
っ た要 因 が 必 要 なの か。 舞 踊 に お い て, そ の 動 き
の 美 しさの 必 要 性 は も ち ろん だ が, そ れ以 上 に 必
Varimax
に よ る直 行 回 転 を 行 った。
・因子 の解 釈 は 命 名 可 能 な 範 囲 と し, 因 子 負 荷 量
0.4以 上 の もの を 有 効 と した。
・モ ダ ンダ ンス群 ・バ レ エ群 別 に それ ぞ れ の因 子
要 な もの が あ り, そ れ らが 身 に備 わ って 「よ い 踊
り手 」 と され るの で はな いか と考 え る。 先行 研 究
(高 橋 系 子 「よい評 価 の 踊 り手 の要 因 に関 す る考
に対 す る価 値 評 価 を 因子 の 平 均 得 点 を も と に試 み
察 その1」)1)で
の 課 題(音 楽 性, 被 験 者 の 年齢,
経 験 な どの 問題)に 対 し, 検 討, ア ンケ ー トを 改
訂 の 後, 今 回 の調 査 に至 った。
得 点 差 をTテ ス トに よ り検 定 した。
II方
III 結 果 と考 察
1. 対 象 者 の 年 齢 及 び経 験 年 数
法
先 行 研 究 で 得 られ た結 果 を 元 に ア ンケ ー トを 修
正 し, ア ンケ ー ト調 査 を 行 っ た。
1. 先行 研 究 で 生 じた課 題 及 び 改 訂
(1)音楽性 に 関す る因子 は抽 出 され な か っ たが,
ま た, 質 問 紙 の信 頼 性 を み るた め, 得 られ た デ
ー タ を もと に ク ロ ンバ ッ クの α 係 数 を 算 出 した。
平 均 年 齢 は全 体24.4才, モ ダ ンダ ンス 群24.8才,
バ レエ群23.7才 で あ り, 平 均 経 験 年 数 は 全 体12.3
年, モ ダ ンダ ンス群11.6年, バ レエ群13.0年 で あ
っ た。
2. 各 カ テ ゴ リーの 順 位 づ け にっ いて(表1)
舞 踊 と音 楽性 の 関連 は切 り離 せ な い もの と考 え,
ア ン ケ ー ト上 の項 目の 改訂 を行 った。
(2)仮に 設 け た 「音 楽 性 」 に 関 して モ ダ ン ダ ンス
各 カ テ ゴ リーで1位 に あげ られ た頻 度(人 数)
は 以 下 の 表 の よ う にな り, 総 合 的 に は表 現 性, テ
群 とバ レエ群 にT検 定 で 有 意 差 が 認 め られ た。 し
か し各 舞 踊 の経験 平 均 年 数(モ ダ ンダ ンス群5. 0
年, バ レエ群14. 4年)を 変 数 と したT検 定 の結 果
で も有 意 差 が 認 め られ た た め, 被 験 者 の経 験 年 数
の考 慮 が 必 要 と され た。
2. ア ンケ ー ト実 施 につ いて
(1)対象: ク ラ シ ック ・バ レエ及 び モ ダ ンダ ンス
の ス タ ジオ に通 って い る もの で 高 校 生 以 上。
(2)配布 方 法: ア 直 接 手 渡 しの 後, 郵 送 に よ る
ク二 ッ ク, 存 在感 が 高 か った。
表1.
回収
イ 郵 送 に よ る配 布, 回 収
(413名 に配 布, 282名 回 収 回収 率68.2%)
(3)調査 時期: 1990年10月
「各 カ テ ゴ リ ー の 頻 度(271名)」
(1位 ∼3位)
数 字 は人 数
中で 最 も重 要 なの は表 現 性 と考 え られ 「表 現 的
精 神 に反 応 す る よ う に身 体 を訓 練 しな け れ ば な ら
な い」2)と い う よ う に, テ ク 二 ッ クに裏 づ け られ
た 表 現 性 が 重 要 だ と考 え られ て い る こ とが 推察 さ
れ た。 また, 瞬 時 に消 え て い く舞 踊 で 人 の心 に い
か に印 象 を 残 す か, 観 客 の 共 感 を そ こで い か に 呼
ぶ か が 舞 踊手 の課 題 とな るの が 当然 で あ り, こ こ
で は, 存在 感 の重 要性 もみ の が せ な い もの で あ る
とい う こ とが うか が え た。
3. 因 子 の抽 出 と解 釈 ・命 名 につ い て
(4)調査 内 容:
調 査1: 被 験 者 の 性 別, 年齢, 各舞 踊(モ ダ ン
ダ ンス, ク ラ シ ッ ク ・バ レエ)の 経験 年 数
調 査2: 前 回抽 出 され た因 子 を仮 の カテ ゴ リー
と して, 各 カ テ ゴ リー に関 す る順 位 づ け を 上 位3
位 まで あ げ て も ら った(こ の課 題 に 関 す る有 効 数
は271名)
調 査3:
先行 研 究 で 抽 出 さ れ た テ ク二 ッ ク, 表
固 有 値1.0以 上 の基 準 で抽 出 され た 因 子 は14因
子 で あ り, 累 積 貢 献 度 は 全 分散 の66.0%で あ った。
この14因 子 に対 しNorrnal Varimax
回 転 を行 い,
現性, 感 性, ル ック ス, 空 間 ・状 況 把 握 力, 基 本
的 体 力 ・精 神 力, 存 在 感, 音 楽 性 の8っ の各 カ テ
ゴ リー の各 要 因51項 目 にっ いて5段 階 評 定 尺 度 に
因 子 負 荷 量0.4以
-15-
上 の項 目か ら各 因 子 を解 釈 した
と ころ10因 子 につ いて の命 名が可 能 とな った(表2)。
抽 出 され た10因 子 の う ち, 先行 研究 で 課 題 と さ
れ た 音 楽 性 に っ い て は今 回 の調 査 で抽 出 され た。
図1.
「ア ン ケ ー ト上 カ テ ゴ リ ー と 抽 出 さ れ た 因
子」
〈ア ンケ ー トカテ ゴ リー 〉 〈抽 出 され た 因 子 〉
表2「Varimax回
転 後 の 抽 出 因子 及 び
因子 負 落 量(負 荷 量0.4以 上 を有 効)」
*解釈 命名 した因子の横の数字が固有値及 び貢献
度棚, 各項 目の横の数字が負荷量
モ ダ ンダ ンス群 とバ レエ群 の抽 出 され た 因子 に
対 す る平 均 得 点 とそ の 有 意差 のTテ ス トによ る検
定 で, 認 識 差 が 明 らか にな った もの は, 「動 きの
美 しさ」, 「音楽 性 」, 「意 欲 」, 「技 」, 「存
在 感 」, 「ル ッ クス 」, 「演 技 力」 の7要 因 で あ
った。1%水
準 で の有 意 差 が認 め られ, 又, バ レ
エ群 の 方 が 認 識 が 高 い(平 均 得 点 が 高 い)と い う
もの で あ った。
先 行研 究 で考 察 され た よ うに, モ ダ ンダ ンス と
バ レエ の舞 踊 の種 類 に よ る違 い に起 因 す る と ころ
が 大 きい よ うに思 わ れ る。
しか し, この差 はバ レエ の舞 踊 手 に必 要で モ ダ
ン ダ ンス に は必 要 な い とい え る ほ ど の もので は な
い と思 わ れ る。 そ の点 か ら, 洋 舞 を代 表 す る と考
え られ るモ ダ ンダ ンス もバ レエ もそ の踊 り手 の要
因 に 関 して は, 根 本 的 に は大 き な差 が な い ので は
な い か とい う こ とが 推 察 され る。
逆 に得 点 差 が 認 め られ なか っ た因 子 に関 して は,
身 体 運 動 と して の 根 本 的 な部 分, あ る い は舞 台 芸
術 と して の根 本 的 な部 分 か ら生 じる理 由 に よ る も
の で は な いか と考 え られ る。
尚, この ア ンケ ー トに関 す る信 頼 性 は α=0.9282
で ほ ぼ確 保 で き た と い え よ う。
5. ま と め
順 位 づ け に おい て は, 先行 研 究 と同 様 に 「表 現
性 」, 「テ ク 二 ック」 が1位,
2位 を 占め た。3
位 に選 ば れ た 「存 在 感 」にっ いて は, 被 験 者 に専 門
家 が よ り多 く含 まれ て い た こ と に起 因 す るか も し
れ な い。
因 子 分 析 に関 して は, 先 行 研 究 で 抽 出 され た も
の が さ らに細 分 化 され て10因 子 とな って 現 れ た。
因 子 の 認 識 度 に 関 して は, 舞 踊 の 種 類 に よ る差
が くみ 取 れ, 有 意 差 無 しの 要 因 には モ ダ ンダ ンス,
バ レエ にか か わ りな く, そ の 根 本 的 な 部 分 に起 因
す るの で は な い か とい う こ とが 考 え られ た。
〈参 考 及 び 引 用 文 献>
抽 出 され た 因子 は 先行 研 究 と比較 す る と図1の
1)高
よ うに な り, 今 回 の 調査 で は, 先行 研 究 で 抽 出 さ
れ た要 因 構 造 が 分化 され た 結果 とな って 現 れ た と
い う ことが で き よ う。
4.
橋 系 子 「よ い評 価 の踊 り手 の要 因 に関 す る考 察
(そ の1)」
『東 京 体 育 学 研 究1990年
度報告 』
pp9-12.
2)H・
ドゥブ ラ ー, 松 本 千 代 栄 『舞 踊 学 原 論 』大 修
館 書 店(p.74)
各 舞 踊 群 に お け る要 因 へ の認 識 差 につ い て
-16-
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