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資料 - 株式会社インデックス コンサルティング
老朽化マンション対策会議 設立総会議案書 設立総会 日時:平成22年6月9日(水)16:30∼16:50 場所:全国町村会館 2階 第一会議室 議事次第 1. 開会の辞 2. 発起人代表挨拶 3. 議長の選任 4. 議事録署名人選任 5. 議事 第1号議案 規約の制定 第2号議案 役員(会長及び幹事)の選出 6. 会長の挨拶 7. 閉会の挨拶 老朽化マンション対策会議 設立趣意書 1.趣旨 2009年時点の分譲マンションストック約562万戸のうち、築30年を越えるマンションは 約83万戸にのぼり、1981年(新耐震)以前に建設されたものは約106万戸と言われている。 これらは昨今問題視されている耐震性、安全性の観点から、早急に対策を講じていかな ければならない状況にある。 しかしながら、建替える場合の費用負担、資金調達、容積確保、一時転居先の確保や 区分所有者の高齢化等の課題が多く、耐震補強や大規模改修の場合でも費用負担や居住 環境に与える影響が大きく、合意形成が困難なために対応が遅れている。 昨年12月、内閣府規制改革会議において「老朽化マンション等の建替えの促進」が改 革の課題に挙げられたことからも、まさに時流を得た喫緊のテーマといえよう。 また、住宅政策は量から質への転換がうたわれて久しいが、マンション建替えを社会的なスト ック形成に向けたまちづくりの一環として捉え、建替え等を機に調和のある美しい街並みをめざ すことも、豊かで潤いのある社会を実現する上で重要な課題であると言える。 以上のことから、国民の命と安全を守るため、老朽化したマンション再生の課題解決 に向けた諸制度の見直し、施策の新設等について検討し、その成果を基に広報・啓発活 動を行い、経済活性化を図るとともに環境・景観への配慮も含めた社会問題として政府 等関係機関に提言していくことを目的として当会議を設置する。 2.活動内容 平成22年度は、マンション再生の気運の情勢のため、以下の取り組みを進める。 (1)マンション関係者のネットワーク化と情報共有 (2)マンション再生の実現に向けた政策提言の検討 (3)検討結果の取りまとめとシンポジウム開催等による広報 3.検討課題 以下の3本の柱を中心に検討を行う。 (1)建替え、大規模改修促進のための制度改正 ・区分所有法における建替え決議要件の一部緩和等見直し ・マンション建替え円滑化法の一部見直し ・建替え事業成立のための容積確保方法、既存不適格物件等の特別緩和措置 (2)事業実現のための資金調達方法の検討 ・建替え・改修に対する補助、助成制度の充実 ・建替え・改修を促進するファイナンススキームの検討 (3)区分所有者サイドに立った建替え・改修事業推進体制の構築 4.組織 全体会のほかに、中心となって検討内容を取りまとめる幹事会を設ける。その他、必 要に応じて各種研究会、部会を設ける。 5.会員 会員は老朽化し修繕や建替え等の課題を抱えるマンションの管理組合を主体に、マン ション問題を専門とする有識者、専門家(コンサルタント)、不動産会社、マンション 管理会社等、マンションの問題に関わりのあるメンバーにより構成する。 2010年5月吉日 発起人一同 浅見 泰司(東京大学空間情報科学研究センター 阿部 泰隆(中央大学 石川 良輔(コープオリンピア管理組合 植松 丘 教授) 教授・弁護士) 理事長) (東京海上不動産投資顧問株式会社 ・政策研究大学院大学 代表取締役社長 客員教授) 植村 公一(株式会社インデックスコンサルティング 戎 正晴(弁護士・明治学院大学法科大学院 大木 祐悟(旭化成ホームズ株式会社 久米 良昭(政策研究大学院大学 椎名 武雄(日本アイ・ビー・エム株式会社 清水 雅彦(慶應義塾大学 中川 雅之(日本大学経済学部 福井 秀夫(政策研究大学院大学 藤本 欣伸(西村あさひ法律事務所 弁護士) 升野 龍男(左門町ハイツ管理組合 理事長) 松尾 弘 宮原 義昭(株式会社アール・アイ・エー 村辻 義信(ウェルブライト法律事務所 森 章 山崎 福寿(上智大学経済学部 吉田 修平(吉田修平法律事務所 代表取締役社長) 教授) 資産コンサルティング部リレーション室課長) 教授) 名誉相談役) 名誉教授) 教授) 教授) (慶應義塾大学大学院法務研究科 (森トラスト株式会社 教授) 代表取締役社長) 所長・弁護士) 代表取締役社長) 教授) 所長・弁護士) (五十音順、2010年6月9日 現在) 「老朽化マンション対策会議」規約(案) 第一章 総 則 第1条 (名称及び適用) 本会議の名称は、 「老朽化マンション対策会議」とし、本規約は、「老朽化マンシ ョン対策会議」の運営について定める。 第2条 (目的) 本会議は、国民の命と安全を守るため、老朽化したマンション再生の課題解決に 向けた諸制度の見直し、施策の新設等について検討し、その成果を基に広報・啓 発活動を行い、経済活性化を図るとともに環境への配慮も含めた社会問題として 政府等関係機関に提言していくことを目的とする。 第3条 (事業) 本会議は、第2条の目的を達成するために、次の各号に掲げる活動を行う。 (1) マンション関係者のネットワーク化と情報共有 (2) マンション再生の実現に向けた政策提言の検討 (3) 検討結果の取りまとめとシンポジウムの開催等による広報 第二章 会 員 第4条 (会員の種類及び資格) 本会議会員の種類及び資格は、次の通りとする。 (1) A会員 老朽化マンション対策に関連する事業を営む企業及び団体 (2) B会員 老朽化マンション対策に関連する研究者及びその他の有識者 (3) C会員 本会議に賛同するマンションの管理組合及びその建替え検討組 織 第5条 (入会) 前条に定める会員の資格を有する者は、本会議の規約に同意し、所定の様式の入 会申込書に必要事項を記入のうえ事務局に提出し、幹事会の承認を得なければな らない。 第6条 (会員の権利及び義務) 会員の権利及び義務は、次の通りとする。 (1) 会員は、本会議の事業に参加するとともに、総会に出席し、各1個の議 決権を有し、本会議の事業に対して意見を述べることができる。 (2) 会員は、本会議で知りえた情報を他に漏らしてはならない。 (3) 会員は、本会議の規約を遵守しなければならない。 第7条 (権利の停止及び除名) 会員が次の各号の一つに該当するときは、幹事会の議決により期間を定めてその 権利を停止することができる。また、総会において会員の総数の3分の2以上の 議決に基づいて、その会員を除名することができる。 2 (1) 本会議の事業を妨げたとき (2) 本会議の名誉を毀損する行為をしたとき (3) 本会議の規約または総会の議決に反する行為をしたとき 前項の規定により会員の権利を停止し、または除名しようとするときは、その会 員にあらかじめ通知するとともに、当該会員の権利の停止を議決する幹事会、ま たは除名を議決する総会において弁明の機会を与えなければならない。 第8条 (退会) 次の各号の一つの事由に該当するに至った会員は、当該事由の発生をもって本会 議を退会したものとする。 (1) 第4条に定める資格を喪失したとき (2) 第7条の規定により除名されたとき (3) 所定の様式による退会届に必要事項を記入のうえ事務局に届け出るもの とし、退会したい旨を届け出て幹事会において了承されたとき (4) A会員が会費または分担金を納入せず、督促後なお1年以上納入しなか ったとき (5) 会員が死亡、解散または破産手続きその他の倒産手続きにより消滅した とき 第9条 (除名及び退会に伴う権利及び義務) 会員が第7条の規定により除名されたとき、または第8条の規定により退会した ときは、会員としての権利を失い義務を免れる。但し、未履行の義務はこれを免 れることはできない。 2 除名または退会された会員は、その日から1年間は引き続き機密保持義務を負う ものとする。 3 除名または退会された会員は、本会議の財産に対し何等請求することはできない。 第10条(会費) 会費とは、年会費をいう。 2 A会員は、会費を一口以上納入しなければならない。 3 会費に関する事項は、総会においてこれを定める。 4 事業年度の途中に新たに入会した会員については、入会が承認された日から年度 終了までの期間が6ヶ月未満の場合に限って、当該年度の会費を半額とする。 第11条(分担金) 本会議の事業を進めるうえで特に必要と認めるときは、総会の議決を経て、本会 議が行う事業に要する費用の全部または一部を A 会員から分担金として徴収する ことができる。 第12条(会費等の返還) 本会議に納入した会費及び分担金の返還を求めることはできない。 第13条(届出義務) 本会議の会員は、会員の名称及び連絡先等で入会の際に届け出た事項に変更が生 じた場合は、事務局に対して速やかに届け出なければならない。 第三章 組 織 第14条(会長の設置) 本会議に会長1名を置く。 第15条(会長の職務) 会長は、本会議が行う事業をとりまとめる。 第16条(会長の選任) 会長は、総会において会員から選任する。 2 会長の任期は2年とする。但し、再任を妨げないものとする。 第17条(事務局の設置) 本会議の事務局を株式会社インデックスコンサルティングに置き、株式会社イン デックスコンサルティングは本会議の事務的業務を行う。 第18条(事務局長の設置) 本会議に事務局長1名を置く。 第19条(事務局長の職務) 事務局長は、事業の達成に必要な事務局業務を実施する。 第20条(事務局長の選任) 事務局長は、株式会社インデックスコンサルティングから選任する。 2 事務局長の任期は2年とする。但し、再任を妨げないものとする。 第四章 会 議 第21条(会議の種類) 会議は、「総会」及び「幹事会」とする。 2 会議の議事進行は、 「総会」においては会長、 「幹事会」においては幹事長がこれ にあたるものとする。 3 幹事会は、必要に応じて研究部会等の部会を置くことができる。 第22条(総会) 総会は、会員をもって構成する。 2 総会は、通常総会及び臨時総会とする。 3 通常総会は、年1回開催する。 4 臨時総会は、会長が必要と認めたとき、または会員総数の5分の1以上からの要 請があったときに開催する。 第23条(総会の審議事項) 総会は、この規約で定める事項の他、次の各号に掲げる事項について審議決定す る。 (1) 規約の改定 (2) 事業報告及び収支決算の承認 (3) 事業計画及び収支予算の承認 (4) その他、本会議の運営に関する基本事項 第24条(総会の議決権) 総会に関する議決権は、会員すべてに与えられる。 2 総会に出席できない会員は、書面をもって評決に参加し、またはその表決を代理 人に委任することができる。 3 前項の規定により、その議決権を行使する会員は総会に出席したものとみなす。 第25条(総会の議決の方法) 総会は、会員の総数の過半数の出席により成立する。また、議案に関しては、会 員の出席者の過半数の同意により、これを決定する。 第26条(幹事会) 幹事会は、会長、幹事長、副幹事長及び幹事により構成する。 2 幹事は、総会において会員から選任する。 3 幹事長は、幹事から互選され、幹事会のとりまとめ、及び円滑な運営を推進する。 4 副幹事長は、幹事から互選され、幹事長が不在の時は代わって役割を担う。 5 幹事の任期は2年とする。ただし、再任を妨げないものとする。 第27条(幹事会の審議事項) 幹事会はこの規約で定める事項の他、次の各号に掲げる事項について審議決定す る。 (1) 総会に付議すべき事項 (2) 総会で議決した事項の執行に関する事項 (3) 総会の議決を要しない会務の執行に関する事項 (4) 必要な部会の設立及びその部会が行う検討事項 (5) その他、会長が必要と認めた事項 第28条(幹事会の議決権) 幹事会に関する議決権は、幹事すべてに与えられる。 2 幹事会に出席できない幹事は、書面をもって評決に参加し、またはその表決を代 理人に委任することができる。 3 前項の規定により、その議決権を行使する幹事は幹事会に出席したものとみなす。 第29条(幹事会の議決の方法) 幹事会は、幹事の総数の過半数の出席により成立する。また、議案に関しては、 出席幹事の過半数の同意により、これを決定する。 第五章 会 計 第30条(会計) 本会議の収支状況については、総会において年度終了ごとに報告を行う。 第31条(事業年度) 本会議の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終了する。 第六章 その他 第32条(その他) 本規約の実施に関して必要な事項は、会長がこれを別に定める。 【附則】 1 この規約は本会議設立日(平成22年6月9日)から施行する。 2 本会議の設立当初の会長、事務局長及び幹事の任期は、第16条2項、第20条 2項の規定にかかわらず、平成24年3月31日までとする。 3 本会議の設立初年度の事業計画及び予算は、設立総会の定めるところによる。 4 本会議の設立初年度の会計年度は、第30条にかかわらず、平成23年3月31 日までとする。 第10条関連 年会費は、以下の通りとする。 (1) A会員の会費は一口5万円とする (2) B会員の会費は徴収しない (3) C会員の会費は徴収しない 老朽化マンション対策会議 幹事候補者(案) 2010 年 6 月 9 日 (五十音順) 浅見 泰司(東京大学空間情報科学研究センター 教授) 石川 良輔(コープオリンピア管理組合 理事長) 植松 丘 (東京海上不動産投資顧問株式会社 代表取締役社長 ・政策研究大学院大学 客員教授) 植村 公一(株式会社インデックスコンサルティング 代表取締役社長) 戎 正晴(弁護士・明治学院大学法科大学院 教授) 大木 祐悟(旭化成ホームズ株式会社 資産コンサルティング部リレーション室課長) 清水 雅彦(慶應義塾大学 中川 雅之(日本大学経済学部 教授) 福井 秀夫(政策研究大学院大学 教授) 升野 龍男(左門町ハイツ管理組合 宮原 義昭(株式会社アール・アイ・エー 森 章 (森トラスト株式会社 代表取締役社長) 吉田 修平(弁護士 吉田修平法律事務所) 名誉教授) 理事長) 1/1 代表取締役社長) 老朽マンションの現状と課題 分譲マンションのストック数 ・現在のストック総数は約562万戸(平成21年末時点) ・国民の1割以上(約1,400万人)が居住 旧耐震基準ストック数 約106万戸 (国土交通省HPを基に作成) 築50年以上のマンションストック数 ︵万 戸 ︶ (国土交通省成長戦略を参考に作成) マンション建替えの状況 ︵件 ︶ (国土交通省HPを基に作成) 老朽マンションの現状 昭和45年以前に建設されたマンションでは50㎡ 未満が36%。 延べ床面積−建築時期別(戸数ベース) 平均値 「空き家率が1割以上」の住棟は、昭和45年 以前に建設されたマンションでは15%。 住棟内の「空き家率」からみた住棟分布−建築時期別 (棟数ベース) 48.9㎡ 昭和45年以前 3% 昭和46∼55年 2% 33% 47% 16% 50% 昭和56∼60年 2% 9% 30% 39% 昭和61年以降 2% 4% 46% 20% 29㎡以下 3% 54% 40% 40% 30∼49㎡ 60% 50∼69㎡ 3% 2% 46% 36% 全ストック 2% 8% 0% 13% 80% 70∼99㎡ 45% 昭和45年以前 40% 12% 3% 56.9㎡ 47% 昭和46∼55年 45% 6% 1% 63.1㎡ 昭和56∼60年 56% 57% 5% 67.0㎡ 昭和61年以降 4% 63.5㎡ 全ストック 100% なし 20% 0∼10% 6% 1% 38% 54% 0% 100㎡以上 37% 4% 1% 39% 40% 10∼20% 60% 20∼50% 5% 1% 80% 100% 50%以上 住棟内の「一般借家」の割合からみた住棟分布−建築時期別 (棟数ベース) なし 43% 昭和45年以前 45% 9% 2% 0∼10% 昭和46∼55年 45% 昭和56∼60年 47% 51% 昭和61年以降 40% 37% 58% 全ストック 53% 40% 7% 1% 6% 2% 4% 1% 5% 10∼20% 20∼50% 1% 50%以上 0% 20% 40% 60% 80% 昭和45年以前に建設されたマンション では、「一般借家」世帯の比率が1割を 超えるものが11%。 100% (住宅・土地統計調査(H15) ) 老朽マンションの現状 マンション居住者の高齢化の状況 40% 昭和45年以前に建設されたマンションでは、 「60歳以上のみ」の世帯の割合が約40% 30% 20% 39.4% 30.3% 20.3% 10% 16.7% 9.9% 0% 昭和45年以前 昭和46∼55年 昭和56∼60年 昭和61年以降 全ストック エレベーター設置率−4∼5階−建築時期別 (棟数ベース) 昭和45年以前 6% 昭和46∼55年 94% 10% 昭和56∼60年 75% 25% 昭和61年以降 67% 0% 昭和45年以前に建設された中層マンション (4,5階建て)で、エレベータが設置されて いるものはわずか6% 90% 20% 33% 40% あり 60% 80% 100% なし (住宅・土地統計調査(H15) ) 老朽マンションの事例 【 築39年のマンションの事例 】 庇に大きなひび割れや剥落跡がみられ、鉄筋が 露出している個所もある。 【 築50年のマンションの事例 】 バルコニーに大きなひび割れが生じている。 【 築50年のマンションの事例 】 住戸天井に走るひび割れ。 【 築51年のマンションの事例 】 住戸内給水管の断面図。錆こぶがひどい。 老朽マンションの建替え事例(同潤会江戸川アパート:東京都新宿区) 建替え前 建替え後 【建替え前】 昭和9年入居、4・6階建て2棟、258戸 容積率:168%(指定容積率:300%) 【建替え後】 平成17年竣工、11階建て1棟、232戸 容積率:297%(指定容積率:300%) 7 老朽マンションの建替え事例(月島コーポ:東京都中央区) 建替え前 【建替え前】 昭和29年入居、4階建て1棟、30戸 容積率:261%(指定容積率:400%) 【建替え後】 平成13年竣工、15階建て1棟、126戸 容積率:447%(指定容積率(割増後): 450%)) 建替え後 老朽マンションの建替え事例(富士マンション:新潟県新潟市) 建替え前 従前が容積率オーバーであったため、隣接地を取得 し敷地面積の増加を図った上で、建替えを行った。 建替え後 【建替え前】 昭和40年建築、9階建て1棟 54戸(住宅)+19区画(事務所) 容積率:717%(指定容積率:400%) 【建替え後】 平成20年竣工、13階建て1棟 44戸(住宅)+7区画(店舗・事務所) 容積率:436%(指定容積率(割増後) :440%)) 区分所有法の概要① 建物の区分所有等に関する法律 1つの建物に構造上区分された複数の住戸、店舗、事務所等が ある場合の、その所有関係や、建物及びその敷地の管理を行う 団体の基本ルール等について定めた法律 ○建替えの意思決定のながれ 集会招集の通知 ※団体による建替えの意思決定方法についても規定されている。 <専有部分> 単独所有 <共用部分> 説明会の開催 (土地、階段、廊下等) 区分所有者の共有 集会の開催(建替え決議) 建替えに参加するか否かの催告 ○専有部分と共用部分は原則として分離処分禁止 ○区分所有者全員で「管理組合」を構成 参加するか否かの回答 ○マンション管理の基本ルールとして「管理規約」を制定 ○共用部分の変更等は、集会の決議で決する。 ⇒ひとつの建物に複数の価値観の異なる区分所有者がおり、 適切な管理等にあたり、区分所有者間の合意形成が課題 となっている。 参加を回答しない者に売渡し請求 建物取壊し工事着手 区分所有法の概要② 建替え決議 ・集会において、区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数で、建物を取り壊し、新たに建物を 建築する旨を決議する。 ※ 建替え前後で、敷地が一部でも重なっていなければならない。 ※ 議決権は専有部分の床面積の割合による。(規約で別段の定めをすることは可) <団地(敷地を複数の棟で共有)を建替える場合の要件> ①団地内の1棟を建替える場合 建替え決議 建替え決議 建替える棟の区分 所有者数及び議決 権の5分の4以上 の決議 承認決議 承認決議 + 団地全体の区分所有 者等の議決権※の4 分の3以上の決議 ②団地内の全ての建物を建替える場合 一括建替え決議 一括建替え決議 団地全体の区分所有者数及び 議決権※の5分の4以上の決 議 及び 各棟の区分所有者 数及び議決権の3分の2以上 の賛成 <一括建替え決議を行う前提条件> ①団地内建物の全部が専有部分のある建 物であること ②団地内建物の敷地が団地内区分所有者 で共有されていること ③全棟一括管理規約が定められているこ と ※・・当該議決権は規約に別段の定めがあっても、土地の持分割合による 区分所有法の概要③ ○区分所有関係の解消 内 容 区分所有関係の解消 該当すると考えられるケース 要件 ・オフィスや商業施設に建替えるケース ・既存不適格等、既存の区分所有関係を維持したままで は建替えが困難なケース ・需要が無くなったリゾートマンション等を、建替えずに除 却するケース 区分所有者の全員の合意 (民法の規定による) ○大規模修繕・改修に係る決議要件 工事の内容 該当すると考えられる工事の例 決議要件 形状又は効用の著しい変更を伴わない工 事 外壁修繕 スロープ・手すりの設置 区分所有者数及び議決権の過半数 形状又は効用の著しい変更を伴う工事 又は敷地の利用を著しく変更する工事 共用部分の増築 広場の駐車場化 区分所有者数及び議決権の3/4以上 共用部分の所有関係の変化を伴う工事 団地敷地の分割 区分所有者等の全員の同意 (民法の規定による) ※共用部分の変更が専有部分の使用に特別な影響を及ぼすときには、専有部分所有者の承諾が必要 マンション建替え等の阻害要因 1.建替え決議にあたって4/5以上の賛成を必要とする要件が厳しいこと 建替え決議には「区分所有者及び議決権の各4/5以上」の多数による議決が必要であるが、「4/5以上」という要件が厳しいことや建物の面積的に は多くの合意があっても、面積の少ない人も1人としてカウントするため、人数要件が制約になることがある。 2.団地型の一括建替えには、建物ごとに2/3以上の賛成が必要とする要件が厳しいこと 団地型マンションを一括して建替える場合には、団地全体の4/5以上に加え、各棟で2/3以上を満たす必要があるが、戸数の少ない棟でも2/3この 要件の充足が必要であり、少数の反対のために多くの賛成者がいる建替えができない場合がある。 3.建替え決議がなされた事実のみをもっては、賃借人に明け渡しを求められないこと 建替え決議後に、建物の取壊しができるように専有部分の占有者が賃借人であった場合には、賃貸借契約の解約や更新拒絶等が必要になるが、建替 え決議がなされていることが正当事由となっておらず、明け渡しには、場合により裁判によることとなり、建替計画が停滞する場合がある。 4.非現地での建替えができないこと 建替え後の敷地と建替え前の敷地が別敷地の場合には、建替え決議を行うことが認められていない。このため、建替えにあたって、2回の引っ越しと仮 住居への移転を余儀なくされ、居住者には建替えに慎重になる者もいる。別の敷地で建物を建ててから、居住者が移転する場合には、仮住居が必要な く、引っ越しも1回で済み、居住者の負担が軽くなり、合意形成も容易となる。 5.売渡し請求の価格の基準が明確でないこと 建替え決議で賛成せず、建替えに参加しない区分所有者に対しては、「時価」で売渡し請求を行うことにより、建替え参加者側に権利を移す仕組みが区 分所有法において規定されている。この「時価」の考え方については、法文上明確なものがなく、「時価」の取扱いが争いとなる。また、建替え決議に反 対し売渡し請求を受けると時価での換金化ができるのに対し、賛成者は建替え実現に向けての事業リスクや価格下落リスクを負うこととなるため、建替 え決議に賛成するインセンティブが働かない。 6.多数決により区分所有関係を解消する制度がないこと マンションをオフィスや商業施設に用途変更したい場合、あるいは更地にして売却したい場合、区分所有関係を解消し一括売却等を行えるようにするこ とが考えられる。また、建築基準法上既存不適格であるマンションでは、建替えた場合に住戸数を減らさざるをえず、区分所有関係を維持したままでは 建替えが困難な場合があるが、区分所有法には、多数決により区分所有関係を解消する制度がなく、民法の全員合意によらなければならない。 7.耐震改修等にあたり、区分所有者の3/4以上の合意等を求められることがあること 耐震改修等の場合、形状又は効用の著しい変更を伴う工事については3/4以上の多数決による議決が必要であるとともに、専有部分への出入りや採 光等の影響や工事により専有部分の面積の変更が生じる等の専有部分の使用に特別の影響がある場合には、専有部分の所有者の承諾が必要であり、 改修に支障となる場合がある。 区分所有法等の制約により改修・建替えが阻害された事例 【建替え決議要件(4/5)が問題となった事例】 ケース1【Aマンション(東京都)】 ○昭和40年に建設された162戸のマンション。区分所有者151名の約90%にあたる136名が建替えを望んでいるものの、反 対者のひとりが、マンション全体の1/5を超える専有面積を所有し、面積割合に応じて1/5以上の議決権を保有しているた め、建替え決議の成立が見込めず、建替えの見通しがたっていない。このような状況になっている間にも、建替え検討費用が生 じている。 【団地一括建替え決議要件(団地全体4/5、各棟2/3)が問題となった事例】 ケース2 【Bマンション(東京都)】 ○昭和41年に建設された約700戸の団地。平成18年に、全体の5分の4を超える賛成で建替え推進決議(区分所有法によらな い任意の決議)がなされたが、10戸の住棟で2/3以上の賛成を得られない状況が続いており、建替え決議の成立が見込めな いため団地全体の建替え計画がストップしている。 ケース3 【Cマンション(大阪府)】 ○昭和44年に建設された約400戸の団地。団地一括建替え決議が成立したが、各棟要件では2/3をぎりぎり満たす棟もあり、 手続きが適切であったかどうか等について訴訟となった。その後、裁判所により建替え決議が適合していることが認められた が、解体工事着手まで3年半以上を要し、区分所有者にとっては、この間に多額の仮住まい費用の負担が生じた。 【建替え決議後の賃借人の建物明け渡しが問題になった事例】 ケース4【Dマンション(東京都)】 ○昭和29年に建設された約30戸のマンション。建替え決議が成立し、賃借人全員と、敷金の全額返還及び立ち退き期限まで無 償で住み続けて良いとの条件で合意したが、うち1名が翻意し、条件の引上げを要求して明け渡しに応じなかった。結局、1年 間建替えがストップし、建替えを進めるために高額な立ち退き料を支払わざるを得なかった。 区分所有法等の制約により改修・建替えが阻害された事例 【建替え決議後の賃借人の建物明け渡しが問題になった事例】 ケース5【Eマンション(東京都)】 ○昭和33年に建設された約160戸の団地。建替え決議後、専有部分を賃貸している区分所有者は、それぞれ借家人に対して 立ち退きを求め、多くは立ち退いたが、1戸について、借家人が法外な立退き料を要求し、立退期限までに建物の明け渡しに応 じなかった。当該住戸の区分所有者は、立退期限を過ぎても建替えがストップして他の区分所有者に迷惑がかかるのを避ける ため、要求どおり立退料を支払わざるを得なかった。 【耐震改修において3/4決議が問題となった事例】 ケース6【Fマンション(東京都)】 ○昭和45年に建設された約20戸のマンション。管理組合の再生検討委員会が、耐震改修を含む大規模改修案を作成し、個別 に意向を確認したところ70%の賛成しか得られず、3/4以上の決議が成立するまで、意向確認から6カ月を要した。 (改修するという決議がなされたものの、その後理事長の交代があり、反対の意向を持つ理事長が就任したため改修は中止 された。) 【耐震改修において専有部分の使用に特別の影響が及ぼされる専有部分所有者からの承諾が問題となった事例】 ケース7【Gマンション(東京都)】 ○昭和46年に建設された約60戸のマンション。耐震改修にあたり、共用部分である耐震壁を、専有部分側に厚さ30センチほど 増設する計画をたてた。しかしながら、この工事により一部住戸の専有部分の面積が減少することとなり、該当する区分所有 者にとっては、自分の住戸だけがなぜ影響を受けなければならないのかという意識が強かったため、これらの者から区分所有 法第17条に基づく承諾を得るのに時間を要し、耐震改修工事の着手が遅れた。 韓国のマンション建替えに関する制度概要 ○韓国の住宅事情 住宅ストックの約7割をマンショ ンが占める 世帯数と比べて住宅が不足してい る 行政課題と住民側のメリット が一致 ・2005年現在の住宅ストック数 (1,322万戸)の約7割をマン ションが占める。 ・2005年時点の世帯数に対する住 宅ストック数の割合は83%。 ・266万戸の住宅が不足しており、 特に都心部において不足が顕著。 ・建替え等により住宅不足を解消す るという行政課題と、旺盛な住宅 需要から建替えれば利益が見込め るという住民側のメリットが一致。 2008年時点で23万戸(建替後42万戸)の住 宅が建替えられており、ソウル市では、新規供給さ れるマンションの3割が建替えによるもの。 ※日本における建替え実績(累積)は、2009年10 月時点で約1.1万戸(建替え後1.8万戸)であ り、韓国の20分の1であるとともに、過去10 年間の分譲マンションの着工件数204万戸の 0.9%にすぎない。 ○日本の建替え制度に与える示唆 ○日本と韓国の建替え制度の比較 建替えの一連の手続きを行政法化し、建替え決議を法的に安定させる こと等について検討していく余地がある。 韓 国 日 本 ほぼ全てのマンションの建替え(建替え後の 戸数が20戸以上の建替え)は、行政法の下 で実施される。 建替えの意思決定を含む一連の手続きが行 政法に規定されており、行政処分されるため、 法的安定性がある。 一方で、認可基準等が明確でなく、行政庁の 裁量により事業が停滞する例も見られる。 建替え決議は、区分所有法(私法) に基くため、いつでも決議無効の訴 えが可能である等、法的な安定性に 欠ける。 決議後の事業化に当たっては、マン ション建替え円滑化法(行政法)が あるが、同法を適用しないで建替え を行うことも可能となっている。 建替えのための 要件 区分所有権及び議決権の3/4以上の同意が 必要であり、2007年にそれまでの4/5以上と いう要件から緩和がなされた。 区分所有者及び議決権の4/5以上 となっている。 団地敷地の分割 小規模店舗が反対した場合、当該住棟の敷 地を団地から分割して、その棟を除いて建替 えることが可能。 団地を分割することができないため、 1棟でも棟別要件を満たさなければ 団地の一括建替えができない。 建替え決議等があった場合は、借家関係を消滅させることができる制 度を検討していくべきである。 韓国では、預託金を返還すれば契約が更新されない等、大家からの借家契約の解除が 容易な借家制度となっていることに加え、管理処分計画の認可の告示後は、区分所有 者・借家人共、建物の使用及び受益ができなくなることが法に規定されているが、こ のことにより居住の安定が脅かされている等の問題は生じていない。 日本では、建替え決議がなされても、借家人が立退きに応じなければ事業が頓挫又は 遅延する恐れがあり、高額な立退料の要求に応じざるを得なかった例が報告されてい ることから、建替え決議等があった場合には借家関係を消滅させる制度について、検 討していくべきである。 建替え関連法 建替え対象住戸 に借家人がいる 場合の借家契約 の解除 契約更新時に預託金を返還すれば契約が更 新されない等、もともと借家契約の解除が容 易な借家制度となっているのに加え、管理処 分計画の認可の告示があれば、賃貸人、賃 借人ともども、建築物等の使用や受益ができ ないこととなっている。 建替え決議があっても、賃貸借契約 に残存期間があればその間は借家 権が保護される上、正当事由がなけ れば賃貸借契約の解約や更新拒絶 ができず、建替えが頓挫又は遅延 するおそれがある。 売渡請求における 時価 売渡請求における時価は、建替えによる開発 利益を見込んだ価額から、建替えが実現す るまでの建替え参加者の労力や売渡請求時 点の事業リスクを減額した価額で設定されて いる。 売渡請求の時価は、開発利益を見 込んだ価額で設定されており、建替 え参加者も反対者も同列に開発利 益を享受できる。 韓国では、マンション建替えは公共性の高い事業と位置付けられており、建替えの意 思決定を含む一連の手続きは行政法の下で行政処分化され、法的な安定性が確保され ている。一方で、基準が明確でなく行政の裁量で事業が停滞する例もみられた。日本 においても、この点に留意しながら、韓国の事例を参考に、建替え決議を法的に安定 させること等について検討していく余地がある。 建替えのための決議要件の緩和を検討していくべきである。 韓国では、連絡がとれない者の存在が建替えの意思決定を困難にしている等の理由か ら、建替えに必要な同意の要件を5%緩和したことを評価する声が多かった。日本に おいても、「4/5以上」という要件が設けられているが、連絡がとれない者や、管 理や建替えに無関心な者の存在が、建替えの意思決定を困難にしている一因になって いるため、合意形成の円滑化のため、要件の緩和を検討していくべきである。 売渡請求の時価の算定にあたっては、建替えが実現するまでの建替え 参加者の労力や事業上のリスク等を考慮するべきである。 韓国では、売渡請求における時価は、開発利益をすべて享受できるのではなく、建替 え参加者の労力や事業リスクを考慮され減額されている。日本でも、売渡請求の時価 の算定にあたっては、これらを考慮し、建替え参加者と反対者との衡平性が保てるよ う、検討していくべきである。 米国のマンション(コンドミニアム)再生に関する制度概要 ○米国のコンドミニアム再生の実態 コンドミニアムは比較的新しい住 居形態 コンドミニアム再生の手法は、 主に修繕・改修 抜本的な再生の手法は、 区分所有関係の解消 ・コンドミニアムは、規約コミュニティ及びコーポラティブと併せて、コミュニ ティ組織居住の一形態(各々4:5:1の割合)。 ・コンドミニアムは、主に1980年代後半から1990年代前半に掛けて建設された比 較的新しい住居形態。 ・全米のコミュニティ組織数は30万団体、総戸数2,440万戸、居住人口6,000万人。 ・老朽化したコンドミニアムの再生は、大規模な修 繕や改修によって行っている場合がほとんど。 ・コンドミニアムを、同じ場所で、建替えて、同一 コミュニティで住み続けると言う意識がない。 ・ハリケーン等の災害による建物の損 壊や、団体の経済的破綻により、コン ドミニアムの維持が不可能になった際 には、区分所有関係を解消できる。 ○日本と米国のマンション(コンドミニアム)再生制度の 比較 米 国 日 本 ・団体の特別多数決議により区分所 有関係を解消できる ・解消後は、同じ場所に建物を建替え ても、異なる場所に移住してもよい (自由に選択できる) ・建替えに特化した法律の規定はな い(修繕や改修と同様) ・団体の特別多数決議に基づき建替 えができる ・団体の特別多数決議により区分所 有関係を解消するための法律の規定 はない(区分所有者の全員同意が必 要) ・区分所有者及び議決権の4/5以上 (統一区分所有法。一部3/4又は2/3 の州法あり)で解消決議 ・賃貸借契約の解約のために正当事 由が要件とならないため、借家人の 反対が解消の阻害要因になることは ない ・区分所有者及び議決権の4/5以上 で建替え決議 ・建替えは、敷地の一部又は全部が 同一場所 ・建替え決議があっても、正当事由が なければ賃貸借契約の解約や更新 拒絶ができず、少数の借家関係で事 業全体がストップするおそれ 反対者に 対する対 応 ・特段なし ・反対住戸に対する買取価格を低く設 定する等のルールを任意で規約等に 規定することが可能 ・売渡請求、買取請求により、団体が 反対者住戸を「時価」で買収 住戸売却 に際しての 時価評価 及びその 確定方法 ・解消後の売却収入を、解消直前時 点の各区分所有者の持分の時価の 比に応じて分配(賛成者も反対者も平 等) ・時価評価は団体が選任する1人以 上の不動産鑑定士が評価 ・評価額につき、分配後30日以内に 区分所有者及び議決権の1/4以上の 否認がない限り確定 ・売渡請求の時価として、開発利益を 見込んだ価額(賛成者が負担する、 建替えのための労力・金銭負担を含 む)で売却されている ・評価額を巡る争いは、訴訟により確 定させるしかない 法律に規 定された再 生のため の手法 区分所有 関係の解 消又は建 替えのた めの要件 ○日本の制度に与える示唆 多数決決議による区分所有関係の解消制度の創設、そのうえで、非現地で建替 えるための制度の導入について、検討していくべきである。 米国では、区分所有者が、下記のいずれかを選択できる →継続的に居住する場合…建物の適切な維持修繕 →継続的に居住しない場合…区分所有関係の解消 一方日本では、同じ場所に、同じコミュニティが居住し続けることを前提とした制度設計と なっており、区分所有関係の解消という選択ができない。 そこで、多数決議による区分所有関係の解消の制度の創設を検討する余地があり、そのうえで、 建替えについても、非現地建替えのための制度の導入について、検討の余地がある。 建替えのための決議要件の緩和等を検討していくべきである。 米国では、多くの州では区分所有者及び議決権の4/5以上で解消決議すれば、賃借人や抵当権者 の同意は法律上で求められておらず、法律では合意形成に関する最低限の枠組みのみ規定され ている。また、州によっては3/4又は2/3等、4/5未満の決議要件としているところもあり、決議 要件の緩和等を検討する余地がある。 建替え決議があった場合は、借家権を消滅させることができる制度を検討して いくべきである。 米国では、解消決議にあたり、法律に賃借人の同意要件が規定されていないが、これにより借 家人の居住の安定が脅かされる等の問題は見受けられない。 日本では、借家人の権利が強く、建替え決議がなされても、少数の借家人により建替え事業全 体が頓挫する恐れや、高額な立退料支払いが発生している事例があることを踏まえると、借家 人の権利保護が過大すぎるのではないかについて、検討の余地がある。 売渡請求等の時価評価を巡る争いを長期化させない仕組みを検討していくべき である。 米国では、団体が選任する不動産鑑定士による資産評価後、一定期間内に一定割合の反対がな い限り、自動的に資産評価額が確定される旨規定されており、資産評価を巡る争いが長期化し ない仕組みになっている。 日本では、売渡請求時の評価額を巡る争いは、訴訟により確定する仕組みであり、事業の阻害 要因になっているため、日本の売渡請求制度等のあり方を検討する上でも参考になる。