Windows

特集2
APIでイチから学ぶ
Windows
プログラミングの基本
Win32 APIの重要性と使い方が一気にわかる
Visual Studio な ど の 開 発 環 境 を イ ン スト ー ル し て，こ れ か ら
Windows プログラミングに取り組もうとしている方に向けて，Win32
API を用いた Windows プログラミングの基本と具体例を説明します。
Part1 で は，Windows プ ロ グラミング の 根 幹 を 成 す Windows
API の重要性と全体像，Part2 以降では実際に API を使ってプログラ
ミングをしながらOS制御のはじめの一歩を紹介します。
(編集部）
Part1
Windowsプログラミングの変遷と
Win32 APIの重要性
p.73
コラム：Win32 APIを使えるＣ/Ｃ++の開発環境を整える
Part2
ファイル入出力に挑戦
Part3
Windowsのメモリー管理
Part4
GUIプログラミング入門
72
NIKKEI SOF T WARE　2008.10
p.82
p.88
p.93
特集2
Part1
Windowsプログラミングの変遷と
Win32 APIの重要性
安室 浩和
Windows Vistaが発売されて，1年半以上が経ちました＊1。
Win32 APIの位置付けと重要性
2008年3月中旬には，初めてのサービスパックであるService
最初に，Win32 APIの歴史から見ていきましょう。本格
Pack 1も公開されましたが，期待されていたほどにはVista
的にWindowsが普及するきっかけとなった，Windows 95
の普及は進んでいないようです。しかし，Windows XPを
が発売されたのは，もう13年も前のことです＊2 。
使い続けている人も含め，Windowsは相変わらずパソコン
OSの主流であり，ソフトウエア開発者にとって重要なプラ
Windows 95とともに生まれたWin32 API
ットフォームであることは間違いありません。
Windows 95は，先に普及しつつあった32ビットのCPU＊3
こ のPart1で は，Win32 APIが 登 場 し て か ら，.NET
の機能を，初めてフル活用できる32ビットOSということで
Frameworkに至るまでに登場した各種プログラミング・イ
注目を集めました。そして，その機能をプログラムから利用
ンタフェースの変遷を追いつつ，それぞれの位置関係を
するためのインタフェースとして生まれたのが，Win32 API
整理し，Win32 APIの重要性を明らかにします。そして，
です。
Win32 APIの全体像を説明したうえで，開発環境の準備方
Win32 APIは，全く新たに設計されたものではなく，16
法を紹介します。
ビットWindows＊4のプログラミング・インタフェースである，
続くPart 2以 降 では，数 あるWin32 APIの 機 能 の 中
Win16 APIをベースにしたものでした。そのため，Win16
から「ファイル」
「メモリー管理」
「GUI（Graphical User
APIに慣れ親しんだ開発者が，Win32 APIでの開発に移行
Interface）」の3つを取り上げ，より詳しく説明しながら，
するのは比較的容易だったといえるでしょう。
プログラミングの実例をお見せします。
しかし，当然のように，16ビット環境と32ビット環境に
今さらWin32 APIと思っている人や，Win32 APIは難
は，根本的な違いがありました。それは，4Gバイトもの広
しくて手が出ないと思っていた方々が，本記事を通して
大なメモリー空間と，プリエンプティブなマルチタスク＊5環
Win32 APIプログラミングに興味を持っていただければ幸
境の実現です。これにより，プログラムの可能性は拡大し
いです。
ましたが，同時に大規模化と複雑化が一気に進みました。
安室 浩和（やすむろ ひろかず）
大手コンピュータ・メーカー勤務。入社以来10
数年の大半をソフトウエア製品開発の現場で
過ごす。数年前に初めて現場を離れるも，今年
2月に復帰。モノづくりの楽しさと大変さを再
認識している。プライベートでは，現在訳あっ
てJavaScriptを勉強中。
＊1 Windows Vistaの店頭販売は2007
年1月30日，Windows Vista Service
Pack 1の一般向け提供は2008年3月
19日に始まりました。
＊2 Windows 95の日本版は1995年11
月に発売されました。
＊3 Intel 80386など。同じx86命令セ
ットを採用するPentium 4やCore2プ
ロセッサの祖先に相当します。
NIKKEI SOF T WARE　2008.10
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