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スポーツパフォーマンス系 主な研究テーマ 氏 名 平成19年度の研究内容
スポーツパフォーマンス系 氏 名 いの うえ なお たけ 井 上 尚 武(教授) 主な研究テーマ ○超ワールドクラスの選手の能力と資質の検証 ○エリートサッカー選手の発掘と育成 平成19年度の研究内容とその成果 先を読んだ頭脳的なプレーが目立ち、対戦 2006年ワールドカップドイツ大会で優勝 相手のFWに決定的な仕事をさせませんで したイタリアは、予選リーグ、トーナメン した。以上の結果より、体格に恵まれない トを通じわずか2失点と強固な守備組織と 日本選手の育成・指導面においては、守備 個々の守備能力の高さがワールドカップ出 の組織だけでなく、個々の選手の守備能力 場32ヵ国でも際立っていました。中でも守 を高める為の方向性が示唆されました。 備の中心であるCBのカンナバーロは大型 表1 小柄な選手と大型な選手別1対1の勝敗 選手(180㎝以上)の多いCBの中で175㎝ と小柄(180㎝以下)ながら、守備のリー ダーとして活躍しMVPも獲得しました。 そこで2006年ワールドカップにおいてベス ト4に進出したイタリア、ドイツ、スペイ ン、アルゼンチン守備陣のCBについて国 別、小柄な選手、大柄な選手について、下 記の5項目について比較検証しました。 100% 23% 37% 80% 60% 77% 63% 40% 20% 0% ■1対1の負け ■1対1の勝利 小柄な選手 大型な選手 ①地上での1対1の勝率、②空中戦での 表2 小柄な選手と大型な選手別空中戦での勝敗 勝率、③相手選手への楔のパスへの対応、 100% ④ボールカットの地域での割合、⑤1対1 でのCBのカット数 その結果、高さ、強さ、速さが要求され るCBの中で小柄な選手はヘディングの競 り合いで劣ったものの、1対1やインター セプト、パスカットに優れ、特にカンナバー ロは際立っていました。小柄な選手は速さ、 80% 11% 29% 60% 71% 89% 40% 20% 0% ■ 空中戦の負け ■ 空中戦の勝利 小柄な選手 大型な選手 表3 小柄な選手と大型な選手での1試合あたりの CB のカット数 共同研究を進めていきたいと思っておりま 30 本 す。 25 本 20 本 15 本 10 本 23.9 5本 0本 17.4 ■ カットの数 小柄な選手 大型な選手 表4 個人での1試合あたりの CB のカット数 30 本 ■ カットの数 25 本 20 本 15 本 10 本 5本 25.3 24.3 23.8 22 20.9 17.8 19.6 11.3 0本 ラ ロ ロ ー ー セ ル ティ バー プジョ アジャ エイン ラッ ェルダ ザッカ パブ ナ テ テ ツ ン マ カ メッ メル これからの研究の展望 2006年ワールドカップではカンナバーロ を中心とした守備の堅固なイタリアが優勝 しましたが、今回のヨーロッパ選手権では カンナバーロを負傷で欠いたイタリアは守 備が崩壊し決勝に進めず敗れました。そし て抜群の攻撃力を誇るスペインが44年ぶり にヨーロッパチャンピオンになりました。 攻守は表裏一体、それがサッカーでありま すが、今回は小柄で早いFWを擁する国が 上位に進出いたしました。日本が世界に追 いつき追い越すには小柄でも俊敏で早く走 れ、創造性豊かな選手を発掘し、超ワール ドクラスに成長させるシステムを構築する ことであります。今後日本サッカー協会と