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日本語版 / 2404 KB - ドイツ銀行グループ

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日本語版 / 2404 KB - ドイツ銀行グループ
アイデンティティー
2008 / 2009 年財務カレンダー
2007年 アニュアル・レビュー
2008 年
2008 年 4 月 29 日
2008 年 5 月 29 日
2008 年 3 月 31 日時点中間報告
年次株主総会
(エキシビション・センター)
にて
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
2008 年 5 月 30 日
配当金支払
2008 年 7 月 31 日
2008 年 6 月 30 日時点中間報告
2008 年 10 月 30 日
2008 年 9 月 30 日時点中間報告
2009 年
2009 年 2 月 5 日
2008 年度決算発表(暫定)
2009 年 3 月 24 日
2008 年度年次報告書および様式 20-F
2009 年 4 月 28 日
2009 年 3 月 31 日時点中間報告
2009 年 5 月 26 日
年次株主総会
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキシビション・センター)
にて
2009 年 5 月 27 日
配当金支払
2009 年 7 月 29 日
2009 年 6 月 30 日時点中間報告
2009 年 10 月 29 日
2009 年 9 月 30 日時点中間報告
アニュアル・レビュー
変貌を遂げる世界で躍進する
2008 / 2009年財務カレンダー
ドイツ銀行 2007 年
変貌を遂げる世界で躍進する
変化する世界にあっては、顧客や株主、従業員のニーズの変化
に積極的に応えていくことが不可欠です。新たなチャレンジを
常に前向きにとらえ、チャンスに変える̶これこそが持続的成
功の秘訣です。
ドイツ銀行は、株主、顧客、従業員、社会といった、あらゆる
ステークホルダーに深くコミットしています。2007 年のアニュ
アル・レビューでは、こうした当行のステークホルダーを代表し
て、次の 4 人に、当行の本年のテーマである「変貌を遂げる世
界で躍進する」について語ってもらいました。
オマール・ビン・スレイマン Dr. Omar Bin Sulaimanドバイ国
際金融センター(DIFC)総裁、ドバイ
ジェニー・ツアン Jeanne Zhang、個人顧客、北京
ソフィア・デボート Sofia Devoto、ドイツ銀行グループ、ブエ
ノスアイレス
バートランド・ピカード Dr. Bertrand Piccard
ソーラー・インパルス 社長、ローザンヌ
アイデンティティー
ドイツ銀行グループは、世界の市場をリードするグローバルな
投資銀行であり、個人顧客ビジネスにおいても利益を生む強固
な事業基盤をもっています。ドイツ銀行グループのビジネスは
相互に補完しています。ドイツおよび欧州における圧倒的な強
みを背景に、北米やアジア、主要新興国において、力強い成長
を遂げています。
使命
ドイツ銀行グループは、世界をリードする金融機関として、現状
に満足することなく常に挑戦を続け、お客さまに卓越した価値を
提供しています。
A Passion to Perform.(熱意あるお客さまに情熱をもってお応えする)
これこそがドイツ銀行グループの基本姿勢です。私たちは、常
に最高を追求し、独自の洞察力で革新的な解決策を提供し、お
客さまとの長期にわたるリレーションシップの構築に注力します。
ドイツ銀行
アイデンティティー
2008 / 2009 年財務カレンダー
2007年 アニュアル・レビュー
2008 年
2008 年 4 月 29 日
2008 年 5 月 29 日
2008 年 3 月 31 日時点中間報告
年次株主総会
(エキシビション・センター)
にて
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
2008 年 5 月 30 日
配当金支払
2008 年 7 月 31 日
2008 年 6 月 30 日時点中間報告
2008 年 10 月 30 日
2008 年 9 月 30 日時点中間報告
2009 年
2009 年 2 月 5 日
2008 年度決算発表(暫定)
2009 年 3 月 24 日
2008 年度年次報告書および様式 20-F
2009 年 4 月 28 日
2009 年 3 月 31 日時点中間報告
2009 年 5 月 26 日
年次株主総会
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキシビション・センター)
にて
2009 年 5 月 27 日
配当金支払
2009 年 7 月 29 日
2009 年 6 月 30 日時点中間報告
2009 年 10 月 29 日
2009 年 9 月 30 日時点中間報告
アニュアル・レビュー
変貌を遂げる世界で躍進する
2008 / 2009年財務カレンダー
ドイツ銀行 2007 年
変貌を遂げる世界で躍進する
変化する世界にあっては、顧客や株主、従業員のニーズの変化
に積極的に応えていくことが不可欠です。新たなチャレンジを
常に前向きにとらえ、チャンスに変える̶これこそが持続的成
功の秘訣です。
ドイツ銀行は、株主、顧客、従業員、社会といった、あらゆる
ステークホルダーに深くコミットしています。2007 年のアニュ
アル・レビューでは、こうした当行のステークホルダーを代表し
て、次の 4 人に、当行の本年のテーマである「変貌を遂げる世
界で躍進する」について語ってもらいました。
オマール・ビン・スレイマン Dr. Omar Bin Sulaimanドバイ国
際金融センター(DIFC)総裁、ドバイ
ジェニー・ツアン Jeanne Zhang、個人顧客、北京
ソフィア・デボート Sofia Devoto、ドイツ銀行グループ、ブエ
ノスアイレス
バートランド・ピカード Dr. Bertrand Piccard
ソーラー・インパルス 社長、ローザンヌ
アイデンティティー
ドイツ銀行グループは、世界の市場をリードするグローバルな
投資銀行であり、個人顧客ビジネスにおいても利益を生む強固
な事業基盤をもっています。ドイツ銀行グループのビジネスは
相互に補完しています。ドイツおよび欧州における圧倒的な強
みを背景に、北米やアジア、主要新興国において、力強い成長
を遂げています。
使命
ドイツ銀行グループは、世界をリードする金融機関として、現状
に満足することなく常に挑戦を続け、お客さまに卓越した価値を
提供しています。
A Passion to Perform.(熱意あるお客さまに情熱をもってお応えする)
これこそがドイツ銀行グループの基本姿勢です。私たちは、常
に最高を追求し、独自の洞察力で革新的な解決策を提供し、お
客さまとの長期にわたるリレーションシップの構築に注力します。
ドイツ銀行
基本情報
ドイツ銀行グループ
ドイツ銀行株式
主要データ
グローバルな
ネットワーク
グローバルなネットワーク
ドイツ銀行株式に関する情報
平均株主持分合計利益率(税引後)
税引前平均株主持分合計利益率
税引前平均アクティブ資本利益率 1
基本的1株当たり純利益
希薄化後1株当たり純利益 2
発行済株式1株当たり純資産 3
基本的流通株式1株当たり純資産 4
費用 / 収益比率 5
報酬比率 6
非報酬比率 7
2007年度
18.0 %
24.3 %
29.2 %
13.65 €
13.05 €
69.84 €
77.54 €
69.6 %
42.7 %
26.9 %
2006年度
20.4 %
28.0 %
32.7 %
12.96 €
11.48 €
62.42 €
69.48 €
69.7 %
43.9 %
25.8 %
単位:百万ユーロ
総収益
信用リスク引当金繰入額
利息以外の費用合計
税引前利益
当期純利益
2007年度
30,745
612
21,384
8,749
6,510
2006年度
28,494
298
19,857
8,339
6,079
単位:十億ユーロ
総資産
株主持分
BIS 規制コア自己資本比率(Tier 1)
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
2,020
1,584
37.0
32.8
8.6 %
8.5 %
支店数
内ドイツ国内
従業員数(常勤相当)
内ドイツ国内
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
1,889
1,717
989
934
78,291
68,849
27,779
26,401
長期格付
ムーディーズ・インベスターズ・サービス
スタンダード・アンド・プアーズ
フィッチ・レーティングス
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
Aa 1
Aa 3
AA
AA –
AA –
AA –
2007年
投資収益の変化 1
ドイツ株式市場(XetraおよびFrankfurt Floor Trading)の出来高に占める比率
1日当たりの平均出来高 2
株価 高値
株価 安値
1株当たり配当金(2007年度については予定)
2007年12月31日現在
発行済株式数
流通株式数(社外株式数)
株式資本
時価総額
株価 3
DAX株価指数に占める比率
ダウジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率
有価証券識別コード
ドイツ取引所
種類
記号
WKN
ISIN
ロイター
1
2
3
記名株式
DBK
514 000
DE0005140008
DBKGn.DE
(8.6) %
8.1 %
610 万株
118.51 ユーロ
81.33 ユーロ
4.5 ユーロ
530,400,100
501,065,281
1,357,824,256.00ユーロ
474.1億 ユーロ
89.40 ユーロ
5.6 %
1.4 %
ニューヨーク証券取引所
種類
グローバル・レジスタード・シェア
通貨
U.S.$
記号
DB
CINS
D 18190898
ブルームバーグ
DBK GR
Xetra の株価による。
オーダーブック統計(Xetra)。
Xetra の終値。
1
競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティ
ブ資本利益率(Pre-tax return on average active equity)
」と称している。ただし、IFRS による実績尺度ではないため、算定方法の違いを
考慮せずに他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2007 年度:35,888 百万ユーロ、2006 年度:29,751 百万ユーロ)に調整を
加える項目は、売却可能有価証券に係る平均未実現純利益 / キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後)
(2007 年度:3,841 百万ユーロ、2006 年度:2,667 百万ユーロ)および平均未払配当金(2007 年度:2,200 百万ユーロ、2006 年度:1,615
百万ユーロ)である。配当金は、株主総会の承認後、年に 1 度支払われる。
2
想定される転換による分子への影響が含まれる。
3
発行済株式 1 株当たり純資産は、株主持分を発行済株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
4
基本的流通株式 1 株当たり純資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
5
利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
6
報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
7
利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計
に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
個人・中堅企業向け支店
支店 / 子会社
駐在員事務所
各地域の主要拠点
ニューヨーク
ロンドン
フランクフルト
ドバイ
シンガポール
東京
基本情報
ドイツ銀行グループ
ドイツ銀行株式
主要データ
グローバルな
ネットワーク
グローバルなネットワーク
ドイツ銀行株式に関する情報
平均株主持分合計利益率(税引後)
税引前平均株主持分合計利益率
税引前平均アクティブ資本利益率 1
基本的1株当たり純利益
希薄化後1株当たり純利益 2
発行済株式1株当たり純資産 3
基本的流通株式1株当たり純資産 4
費用 / 収益比率 5
報酬比率 6
非報酬比率 7
2007年度
18.0 %
24.3 %
29.2 %
13.65 €
13.05 €
69.84 €
77.54 €
69.6 %
42.7 %
26.9 %
2006年度
20.4 %
28.0 %
32.7 %
12.96 €
11.48 €
62.42 €
69.48 €
69.7 %
43.9 %
25.8 %
単位:百万ユーロ
総収益
信用リスク引当金繰入額
利息以外の費用合計
税引前利益
当期純利益
2007年度
30,745
612
21,384
8,749
6,510
2006年度
28,494
298
19,857
8,339
6,079
単位:十億ユーロ
総資産
株主持分
BIS 規制コア自己資本比率(Tier 1)
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
2,020
1,584
37.0
32.8
8.6 %
8.5 %
支店数
内ドイツ国内
従業員数(常勤相当)
内ドイツ国内
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
1,889
1,717
989
934
78,291
68,849
27,779
26,401
長期格付
ムーディーズ・インベスターズ・サービス
スタンダード・アンド・プアーズ
フィッチ・レーティングス
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
Aa 1
Aa 3
AA
AA –
AA –
AA –
2007年
投資収益の変化 1
ドイツ株式市場(XetraおよびFrankfurt Floor Trading)の出来高に占める比率
1日当たりの平均出来高 2
株価 高値
株価 安値
1株当たり配当金(2007年度については予定)
2007年12月31日現在
発行済株式数
流通株式数(社外株式数)
株式資本
時価総額
株価 3
DAX株価指数に占める比率
ダウジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率
有価証券識別コード
ドイツ取引所
種類
記号
WKN
ISIN
ロイター
1
2
3
記名株式
DBK
514 000
DE0005140008
DBKGn.DE
(8.6) %
8.1 %
610 万株
118.51 ユーロ
81.33 ユーロ
4.5 ユーロ
530,400,100
501,065,281
1,357,824,256.00ユーロ
474.1億 ユーロ
89.40 ユーロ
5.6 %
1.4 %
ニューヨーク証券取引所
種類
グローバル・レジスタード・シェア
通貨
U.S.$
記号
DB
CINS
D 18190898
ブルームバーグ
DBK GR
Xetra の株価による。
オーダーブック統計(Xetra)。
Xetra の終値。
1
競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティ
ブ資本利益率(Pre-tax return on average active equity)
」と称している。ただし、IFRS による実績尺度ではないため、算定方法の違いを
考慮せずに他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2007 年度:35,888 百万ユーロ、2006 年度:29,751 百万ユーロ)に調整を
加える項目は、売却可能有価証券に係る平均未実現純利益 / キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後)
(2007 年度:3,841 百万ユーロ、2006 年度:2,667 百万ユーロ)および平均未払配当金(2007 年度:2,200 百万ユーロ、2006 年度:1,615
百万ユーロ)である。配当金は、株主総会の承認後、年に 1 度支払われる。
2
想定される転換による分子への影響が含まれる。
3
発行済株式 1 株当たり純資産は、株主持分を発行済株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
4
基本的流通株式 1 株当たり純資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
5
利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
6
報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
7
利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計
に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
個人・中堅企業向け支店
支店 / 子会社
駐在員事務所
各地域の主要拠点
ニューヨーク
ロンドン
フランクフルト
ドバイ
シンガポール
東京
目 次
取締役会会長からのメッセージ
ドイツ銀行グループ経営執行委員会
02
06
01 //
03 //
ドイツ銀行グループ
会社概要
コーポレート・ガバナンス
ステークホルダーへの価値の創造
連結決算書
11
15
17
損益計算書
貸借対照表
キャッシュ・フロー計算書
02 //
04 //
ステークホルダー
追加情報
株主
2007 年−困難な一年
25
顧客
法人・機関投資家向けビジネス
個人・資産運用ビジネス
コーポレート・インベストメンツ
コーポレート・センター
29
35
41
42
従業員
従業員の長期的コミットメントを促進
43
社会
企業の社会的責任
46
51
52
53
経営機構
取締役会の責任に関する報告
監査役会報告書
監査役会
57
58
64
補足情報
グループ 5 年間の記録
用語解説
連絡先 / 刊行物
66
67
71
変貌を遂げる世界で躍進する
世界は、急速にしかも大きな変貌を遂げています。そして、グローバルなネットワークが
相互に作用するため、将来を予測することが以前より遥かに困難になっています。こうした
変化はどのように起こり、私たちはどこに向かっているのかを予測することが難しくなっ
ているのです。一方で、成熟市場のみならず新興市場においても、経済や文化に対する理
解だけでなく、信頼、誠実、顧客重視、知的資本といった資質や姿勢が求められています。
ドイツ銀行グループは、長年にわたりこうした変化に対応するための投資を続けてきました。
商品の開発や専門性の向上を図ることで、現在だけでなく将来にわたって、変化を
チャンスに、チャンスを成功へと変えていく能力を養ってきました。株主や顧客の皆さま、
従業員、そして自らの将来のために、これからも努力を続けます。
取締役会会長からのメッセージ
会長からのメッセージ
株主の皆さまへ
2007 年は、世界経済や金融市場、金融業界、そしてドイツ銀行にとっても非常に
困難な年となりました。2007 年前半は、ビジネスを取り巻く環境は良好に推移し、
金融市場のセンチメントは強気が支配し、世界経済も底堅さを示していました。
しかし、2007 年後半、住宅ローン市場における「サブプライム問題」が世界の金
融市場に大きな影響を与えた結果、投資家の不安は増幅され、グローバルな金融
システムにおける信用補完と流動性が著しく低下しました。そして、これは株式
市場の大きな変動を伴った調整へとつながりました。サブプライム問題とその広
範にわたる影響は、特に銀行業界で顕著でした。サブプライム住宅ローンやそれ
に関連した証券を直接保有している米国や欧州の金融機関の収益は大きな影響を
受けました。こうした影響は2008 年に入っても続き、金融市場のみにとどまらず、
世界経済にとっても重しとなっています。
こうした厳しい状況にもかかわらず、ドイツ銀行グループは 2007 年に底堅い業績
を達成しました。2007 年前半の良好な市場環境の恩恵を受け、2007 年後半に市
場環境が悪化するなかにあっても、底力を発揮しました。当行は、サブプライム
問題の影響を最も受けた分野において早期に対応をとったことで、競合他社と比べ、
大きな影響を免れました。また、リスク管理体制が効果を発揮したことや、
幅広い業務を網羅するビジネスモデルもプラスに作用しました。2007年の収益は、
前年比 8%増加し、307 億ユーロを計上しました。また、税引前利益は前年比 5%
増加し、87 億ユーロを計上した一方、純利益は前年比 7%増加し、65 億ユーロと
なりました。こうした結果、当行の定義に基づく税引前平均アクティブ資本利益
率は、景気変動にかかわらず 25%を維持するという目標を上回り、26%を達成し
ました。当行の定義に基づく希薄化後1株当たり利益は、
10.79ユーロとなりました。
株主資本の強化も図り、Tier 1リスク・ベース自己資本(BIS)は、約 50 億ユーロ
増加し、280 億ユーロを超えました。
02
ヨゼフ・アッカーマン
ドイツ銀行取締役会会長 兼
グループ経営執行委員会会長
こうした底堅い業績を反映して、当行は魅力的な配当政策を維持する考えです。2008 年 5月に開催予
定の年次株主総会では、1 株当たり配当を2007 年の 4.00 ユーロから増加し、4.50 ユーロとする増配
提案を行う予定です。株主の承認が得られた場合、当行の配当は 2003 年の水準から3 倍に増配され
ることになります。当行の株価は、残念なことに2007 年に12%下落しました。しかし、同期間にユー
ロ・ストックス銀行株指数が 17%下落したことや、競合他社数社の株価がより大幅に下落したことを
考慮すると、良好なパフォーマンスであったと言えます。
法人・機関投資家向けビジネス(CIB)は、2007 年後半の市場環境にもかかわらず底堅い業績を示し、
2007 年には 51 億ユーロの税引前利益を計上しました。このうち、コーポレート・バンキング・アンド・
セキュリティーズが、42 億ユーロの税引前利益を達成しました。セールス / トレーディングにおいても、
外国為替やマネー・マーケットといった大規模な「フロービジネス」が特に健闘したほか、顧客勘定に
よる株式トレーディングも良好でした。しかしながら、特にサブプライムに関連したクレジット・トレー
ディングは、市場の動揺の影響を免れませんでした。一方、コーポレート・ファイナンスでは、アドバ
イザリー・ビジネスが過去最高の収益を達成しました。しかし、債券オリジネーションは、レバレッジド・
ファイナンスやハイイールド債における困難な市場環境の影響を受け、保有するレバレッジド・ローン
やローン・コミットメントで償却が必要となりました。一方、グローバル・トランザクション・バンキング
(GTB)は、
主要な商品分野全般における増収と厳格なコスト管理が奏功し、
目覚しい実績を挙げました。
同ビジネスの税引前利益は前年比 34%増加し、9 億 4,500 万ユーロを計上しました。
個人・資産運用ビジネス(PCAM)は、底堅い業績を達成しました。税引前利益は、前年比 6%増加し、
21億ユーロを計上しました。2007年末時点の運用資産は、
2006年末の9,080億ユーロから9,520億ユー
ロに増加しました。資産運用およびプライベート・ウェルス・マネージメントで構成される資産運用およ
びウェルス・マネージメント(AWM)の税引前利益は、
2006 年から若干の増益となり、
9 億 1,300 万ユー
ロを計上しました。また、同ビジネスには、年間で 400 億ユーロの純資金流入がありました。個人顧
客および中堅企業(PBC)の税引前利益は、前年比 10%増の 11 億ユーロとなりました。同ビジネス
では、ドイツ国内においてベルリン銀行(Berliner Bank)とノーリスバンク(norisbank)の統合を進
める一方、中国やインド、ポーランドなどの成長著しい市場においても投資を行いました。困難な市
場環境のなか、PCAM や GTBは底堅い業績を達成し、こうした「安定」ビジネスの存在感を高めると
同時に、ドイツ銀行グループの収益の多様性への貢献を示す結果となりました。
03
取締役会会長からのメッセージ
2007年は、
世界的な基盤拡充に向けた投資を行った年でもありました。当行の従業員数は、
年間で9,400
人の増加となりました。この内、アジアでは、成長著しい同地域の可能性を重視した当行の姿勢が反
映され、4,300 人強の増員となりました。一方、米州では1,700人超、ドイツ国内では1,400人弱、その
他欧州および中東では各々 1,000人の人員増となっています。当行は、世界 76カ所の国と地域でビジ
ネスを展開し、従業員の国籍は150カ国にのぼっています。こうしたグローバルなネットワークと従業
員の多様性は、当行の強みとなっています。こうした基盤拡充への投資が、2007 年の当行の世界的
な成長を支えたものと確信しています。
今後の見通しとしては、短期的には困難な状況が続くと予想されます。金融市場のみならず実体経済
においても厳しい展開が続き、個人だけでなく法人にとっても、現在の問題が発生する以前と比べ、
信用コストが高まり、資金調達は厳しくなっていくと考えられます。
また、
米国や欧州の一部においては、
不動産市場で厳しい状況が続いています。エネルギーやその他商品価格の高騰によって、インフレ圧
力が高まっています。一方、金融市場においては、クレジットおよび流動性の両面でタイトな状況が
続き、個人ならびに機関投資家は警戒感を強めています。従って、短期的には、金融機関を取り巻く
環境は厳しい状況が続くでしょう。
ドイツ銀行は、強固な業務基盤と、明確な事業戦略を有しています。また、今後も、リスク / 資本 / コ
スト管理を厳格に行っていく方針です。当行は、中核ビジネス全般において主導的地位を築いており、
質への逃避が起こっている現状においても恩恵を受けるビジネス基盤を整えています。また、
「安定」
ビジネスへの投資を継続し、投資銀行としての競争力の一層の強化を図る一方で、相互に補完するビ
ジネスでの相乗効果の向上を目指していく考えです。
04
ビジネスを取り巻く長期的な傾向は依然として変わらず、当行にとって追い風となっています。グロー
バル化の勢いは衰えをみせず、中国やインドといったアジアの主要国や資源国の経済は、概ね拡大が
続いています。従来の銀行融資による資金調達が抑制されているなかで、発行体と投資家を結び付け
る世界の資本市場の重要性はますます高まっています。個人投資家が退職後の資産運用に取り組み、
成長国において新たな富が創造されつつあるなかで、運用資産規模は拡大を続けています。世界でも
主導的な投資銀行であり、グローバルな資産運用会社としても主要な地位を占める当行は、こうした
潮流からの恩恵を受ける万全の体制を整えています。
当行は、良好な市場環境のみならず、困難な状況にあっても、底力を示してきました。これまでの経営
戦略が有効に機能していることを受け、今後も従来の戦略を維持していく方針です。当行では、株主
や顧客、従業員、そしてビジネスを展開する地域社会の皆さまに、価値を提供することを重要な経営
課題と位置づけています。当行を取り巻くビジネス環境が不透明ななかにあっても、揺るぐことなくこ
うした姿勢を貫いていく考えです。
ヨゼフ・アッカーマン
ドイツ銀行取締役会会長兼グループ経営執行委員会会長
2008 年 3月
フランクフルト・アム・マイン
05
ドイツ銀行グループ経営執行委員会
ドイツ銀行グループ経営執行委員会
1
3
2
6
7
1
2
3
ピエール・ド・ウェック
Pierre de Weck 1950 年生まれ。
プライベート・ウェルス・マネージメント
統括責任者。
ユルゲン・フィッチェン
Jürgen Fitschen 1948 年生まれ。
リージョナル・マネージメント(地域運営)統括責
任者。ドイツ国内マネージメント・コミッティー
(ド
イツ国内運営委員会)会長。
アンソニー・ディ・イオリオ
Anthony Di Iorio 1943 年生まれ。
2006年取締役就任。チーフ・ファイナンシャ
ル・オフィサー。ファイナンス、税務、コー
ポレート・インシュアランス、インベスター・
リレーションズ、監査、MaRisk* に従った
証券セツルメントのオペレーション統括責
任者。
6
ケビン・パーカー
Kevin Parker 1959 年生まれ。
資産運用統括責任者。
* Bafin(ドイツ連邦金融監督庁)に従ったリスクマネージメント
の最低要件。
06
7
ヒューゴ・バンチガー
Hugo Bänziger 1956 年生まれ。
2006 年取締役就任。チーフ・リスク・オフィ
サー。リスク管理、法務、
コンプライアンス、
コーポレート・ガバナンス、コーポレート・
セキュリティ、財務戦略 / 資本管理統括責
任者。
4
5
8
9
10
4
5
アンシュー・ジェイン
Anshu Jain 1963 年生まれ。
グローバル・マーケッツ統括責任者。
ヨゼフ・アッカーマン
マイケル・コアーズ
Josef Ackermann 1948 年生まれ。
Michael Cohrs 1956 年生まれ。
1996 年取締役就任。取締役会会長兼グループ経営執行委員会 グローバル・バンキング統括責任者。
会長。法人・機関投資家向けビジネス、
個人・資産運用ビジネス、
コーポレート・インベストメンツ、リージョナル・マネージメン
ト(地域運営)
、広報 &CSR、企業戦略、経済統括責任者。
8
レイナー・ネスケ
Rainer Neske 1964 年生まれ。
個人顧客および中堅企業統括責任者。
10
9
ヘルマン-ヨゼフ・ランベルティ
Hermann-Josef Lamberti 1956 年生まれ。
1999 年取締役就任。チーフ・オペレーティング・オフィサー。
人事、情報技術(IT)
、オペレーション(MaRisk* に従った証
券セツルメントを除く)
、コストおよびインフラ管理、購買およ
び建物・設備などの不動産管理統括責任者。
ドイツ銀行 AG取締役会メンバー
07
変貌を遂げる世界で躍進する DR. OMAR BIN SULAIMAN
08
投資ポートフォリオの拡大につながっている。
ドイツ銀行には、
// ドイツ銀行への投資は、
確固とした持続的な成長戦略と、そうした戦略を推進する経営陣が備わっていると確信
している。
オマール・ビン・スレイマン Dr. Omar Bin Sulaiman
ドバイ国際金融センター(DIFC)総裁、ドバイ
09
01 // DEUTSCHE BANK GROUP
CORPORATE PROFILE AND OVERVIEW
ドイツ銀行グループ
01 //
010
01 // ドイツ銀行グループ
会社概要
さらなる利益成長に向け
万全の体制
経営機構
ドイツ銀行 AG 取締役会は、ドイツ銀行グループの経営戦略や資源配分、財務 / 経理、資本 / リ
スク管理、内部管理を主な職務とする。また、取締役会メンバーやコーポレート・センターが運
営する各管理部門別委員会の支援のもとで、経営・監督機能を遂行している。
2007 年 5 月、テッセン・フォン・ハイデブレックが、取締役会(当時まで 5 名で構成)を退任し、
ハイデブレックが担っていた人事、法務、コンプライアンス、監査、CSRの職責は、残りの取締
役(4 名)に割り当てられた。
グループ経営執行委員会(GEC)は、取締役会メンバーと5 つの中核ビジネスの統括責任者、
リージョナル・マネージメント(地域運営)統括責任者で構成され、取締役会の意思決定をサポー
トする。定例会議では、各業務の進捗状況の確認やグループ戦略にかかる課題を討議し、取締
役会が決定する事項の提案・提起を行う。ヨゼフ・アッカーマンが、取締役会とグループ経営執行
委員会(GEC)の会長を兼務する。
管理部門別委員会
グループ経営執行委員会
取締役会
グローバル・ビジネス統括責任者 / 地域統括責任者
法人・機関投資家向け
ビジネス
コーポレート・インベストメンツ
個人・資産運用
ビジネス
リージョナル・コミッティー(地域運営委員会)
グループ部門
ドイツ銀行のグループ部門は、法人・機関投資家向けビジネス(CIB)
、個人・資産運用ビジネス
(PCAM)
、コーポレート・インベストメンツ(CI)で構成される。
法人・機関投資家向けビジネス
CIBは、オリジネーションや債券、株式、その他証券を含む各種資本市場商品のセールス / トレー
ディングなどの資本市場業務、アドバイザリー、貸出し、トランザクション・バンキングの各資本
市場業務を担っている。対象となる顧客は、民間企業および公的機関(国や政府関連機関、
国際機関を含む)で、中堅企業から大規模な多国籍企業まで多岐にわたる。
11
01 // ドイツ銀行グループ
会社概要
CIBはさらに、コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズとグローバル・トランザクショ
ン・バンキング(GTB)の2つのコーポレート部門に分かれる。
コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズは、グローバル・マーケッツとコーポレート・
ファイナンスの2つのビジネス部門で構成され、オリジネーション、証券のセールス / トレーディ
ング、企業アドバイザリー、M&A(企業買収・合併)
、その他のコーポレート・ファイナンス業務
を担っている。
グローバル・トランザクション・バンキングは、金融機関や法人顧客に対し、貿易金融やキャッ
シュ・マネージメント、法人信託サービスを提供している。
コーポレート・ファイナンスとグローバル・トランザクション・バンキングは合わせて、グローバル・
バンキングと呼ばれる。
個人・資産運用ビジネス
PCAMは、資産運用およびウェルス・マネージメントと個人顧客および中堅企業の 2 つのコーポ
レート部門で構成される。
資産運用およびウェルス・マネージメントは、資産運用とプライベート・ウェルス・マネージメント
の 2つのビジネス部門で構成されている。資産運用は、DWSインベストメンツとDWSスカダー
の事業基盤を活用して、世界中の個人投資家を対象に投資信託を提供している。また、年金基金
や保険会社などの機関投資家向けには、伝統的資産運用サービスやオルタナティブ資産、洗練さ
れたアブソルート・リターン・ストラテジーや不動産資産運用を提供している。一方、プライベー
ト・ウェルス・マネージメントでは、世界中の個人富裕層やその家族を対象に、ポートフォリオ・マ
ネージメントや税務アドバイス、相続プラン、社会貢献活動に関するアドバイスなどの幅広い運
用サービスを、窓口を一本化して提供している。
個人顧客および中堅企業(PBC)は、個人顧客と中堅企業の顧客を対象に、当座預金から普通
預金、融資に至る一連の伝統的な銀行サービスに加え、資産運用商品や事業融資サービスを提供
している。PBCは、ドイツ以外では、イタリア、スペイン、ベルギー、ポルトガルで既に数年に
わたり実績を積んでいるほか、最近ではポーランドでも実績を挙げている。また、インド、中国を
含む成長著しいアジア市場においても注力分野に絞った投資を行っている。
コーポレート・インベストメンツ
コーポレート・インベストメンツ・グループ部門は、事業会社の株式保有や自社保有の不動産、
その他非戦略的な資産の保有を統括している。
12
今後の事業環境の見通し
2007 年前半、当行は、良好な市場環境のなか、堅調な業績を達成した。しかしながら、2007 年
後半には、米国のサブプライム問題を主な原因として、市場環境は著しく悪化した。
米国のサブプライム住宅ローンに関連した問題は、幅広い分野で混乱を生じ、投資家心理や世界
の金融市場の流動性に大きな影響を与えた。特に米国においては、金融業界だけでなく広範囲に
わたる実体経済においても、いまだに影響が続いている。2007 年、こうした外部環境の急速な
変化にもかかわらず、当行は力強さと底堅さを示した。
当行が引き続き底堅い業績を挙げている主な要因としては、主要市場ならびに主要ビジネスにお
いて強固な基盤を築いていることが挙げられる。特に、グローバル化、資本市場の成長、運用資
産の拡大といった金融業界を取り巻く長期的な潮流に対応した体制を整えている。
グローバル化の進展と地理的障壁の消滅は、世界の成長著しい地域で強固な基盤を築いている
組織に恩恵をもたらす。当行は、世界 76カ所に拠点を置き、2007 年にはドイツ国外で達成した
収益が全収益の70%を超すなど、世界で最も「グローバル」な金融機関の一社といえる。
当行は、世界でも主導的な投資銀行として、資本市場の重要性の高まりによる恩恵を享受している。
民間ならびに公的部門の顧客からの厳しい要求に応えるため、革新的で付加価値の高い商品や個
別ニーズに適したサービスの提供に注力したビジネスを展開している。
幅広い運用商品に対するニーズは世界的に高まっている。ドイツやその他成熟市場においては、
個人による退職後の資産運用ニーズが高まっている一方、アジア、中東欧諸国、ラテンアメリカ
といった成長市場では、新たな富の創出が、個人の投資意欲を高める要因となっている。当行は、
2007 年末時点で1兆ユーロ近くの顧客運用資産を有している。また、個人ならびに機関投資家
向け資産運用ビジネスでの強固な事業基盤と成長著しいオルタナティブ投資の強みを活かすこ
とで、こうした環境から恩恵を受ける万全の体制を整えている。また、顧客ニーズに応えるため、
投資銀行としての高い専門性と市場ニーズを熟知した営業力を結合するなど、部門を超えた総合
力を発揮することで、商品開発の分野で強みを発揮している。
従来の経営方針を維持
現在のような市場環境にもかかわらず、当行は従来の方針を貫く構えである。第 3 段階の経営戦略
の達成に向け、グローバルな事業基盤を活用することで加速度的成長を図っていく。厳格なコス
ト / リスク / 資本管理を維持し、自律的成長と補完的買収によって中核ビジネスへの投資を続ける。
また、
「安定」ビジネスと投資銀行としての競争優位性をより一層拡大する。さらに、相互に補完
するビジネスからの相乗効果の向上に引き続き取り組んでいく。
13
01 // ドイツ銀行グループ
会社概要
目標水準は引き続き達成
当行は、既に公表している財務上の目標を2007 年も引き続き達成し、困難な市場環境において
も底力を示した。特筆すべき利益や損失を除く当行の定義に基づく税引前株主資本利益率は
26%に達し、景気変動に左右されず 25%を維持するという目標を上回っている。さらに、希薄化
後1株当たり利益は前年と比べ55セント増加し、10.79ユーロとなった。
グローバルなネットワーク
ニューヨーク
フランクフルト
ロンドン
主要拠点
ビジネスを展開する国の首都
14
ドバイ
東京
シンガポール
コーポレート・ガバナンス
価値を追求する責任と透明性のある
経営および内部管理
効果的なコーポレート・ガバナンス(企業統治)は、当行アイデンティティーの重要な一部となっ
ている。当行コーポレート・ガバナンスの主要な枠組は、主としてドイツ株式会社法と 2007 年
6月に改正されたドイツ・コーポレート・ガバナンス法を踏襲している。当行は、ニューヨーク証券
取引所に上場していることから、米国の資本市場に関連する諸法規や証券取引委員会(SEC)に
よる規制、ニューヨーク証券取引所(NYSE)規則にも従っている。
当行はコーポレート・ガバナンスを通じて、価値を追求する責任ある経営と内部管理を遂行して
いる。当行のコーポレート・ガバナンスは、主に、株主との良好な関係、取締役会と監査役会の
効果的な協力関係、業績に連動した報酬制度、透明性の高い適時報告の 4 つの要因により構成さ
れている。
株主
株主は、法律に従い、基本定款の変更や年間配当の決定、新規株式の発行、株式買戻しプログ
ラム、重要な組織変更など、当行にとって最も重要な意思決定に関わっている。当行株式は1種
類であり、それぞれに同等の議決権が付与されている。また、株主による議決権行使を容易にす
るため、インターネットを通じて議決権行使の指示書を送付できるなど、株主総会での電子メ
ディアの活用を推進している。
取締役会
取締役会は経営に責任を負っており、グループ企業全体の調整を行う。また、グループ企業があ
らゆる法規制や社内規則を遵守しているかを確認し、コンプライアンスの徹底に取り組む。取締
役会メンバーと5つの中核ビジネスの統括責任者、地域運営統括責任者は、グループ経営執行委
員会を構成する。グループ経営執行委員会は、各事業の進捗状況の分析やグループ戦略にかか
る問題点の討議、取締役会による最終決定のための諸事項の提起・提案を行う。
監査役会
監査役会は、経営について取締役会を監視し、助言する。さらに、取締役会メンバーの任命や長
期的な視点での事業の継承について、取締役会と協力して検討する。当行に影響を与える重要
案件には、監査役会の承認が必要である。監査役会は、取締役会の情報・報告義務を規定し、法律
によって求められている仲裁委員会に加えて、会長統括委員会、監査委員会、リスク委員会を運
営している。2007 年10月には、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法の新規定に従い、年次株主
総会で株主代表による採択が必要な監査役会による議案を提案する指名委員会を設立した。
当業務は、従来は会長統括委員会が担っていた。さらに、コンプライアンスにかかわる責任は、
監査委員会が負うことが明確にされた。
15
01 // ドイツ銀行グループ
コーポレート・ガバナンス
業績連動型の報酬
取締役会メンバーの報酬は、主として業績に対する貢献度および業界の水準に照らして、決定さ
れている。その一部を占める株式報酬は、当行株価の動向と競合他社の株価を比較して決定さ
れる。監査役会メンバーの報酬は、2007年年次株主総会の決議を受け調整された。将来的には、
固定報酬を増額し、この固定報酬と、配当ならびに1株当たり利益(3 年平均)に基づく変動報
酬との組み合わせで、支給されることになる。監査役会会長および副会長や各委員会会長および
委員には、追加的な報酬が支給される。取締役会および監査役会各メンバーの報酬は、マネー
ジメント・リポートの報酬リポート(2007年ファイナンシャル・リポート、44 頁以降)で公表され
ている。
報告と透明性
当行は、株主ならびに一般に対して、特に連結財務報告書を含むアニュアル・リポートや半期報
告書を通じて、定期的に最新の情報を提供している。当行の報告は、国際財務報告基準(IFRS)
に従っている。よって、報告内容は透明性が高く、また、国際的にビジネスを展開する競合他社
との比較も容易となっている。
適合宣言
取締役会および監査役会は、2007年10月30日、ドイツ株式会社法第161条に基づき、新たに適
合宣言を行った。そのなかで、当行は、1つの例外を除いて、ドイツ・コーポレート・ガバナンス
法の勧告に従っていると述べている。例外となったのは、取締役会および監査役会メンバーのた
めに、自己負担額の約定のない役員責任保険が存在するということである。
当行の 2007 年コーポレート・ガバナンス報告書(完全版)は、2007 年ファイナンシャル・リポー
トの 260 頁以下に掲載されている。同報告書ならびに取締役会、監査役会および監査役会各委
員会の参照事項など、コーポレート・ガバナンス関連のその他書類はインターネット(www.
deutsche-bank.com/corporate-governance)でも入手できる。
当行は、新規発生事項や法律上の要請、国内および国際基準の進展に照らして、コーポレート・
ガバナンスを定期的に見直し、それらに従って修正を行っている。
16
ステークホルダーへの価値の創造
株主、顧客、従業員、
地域社会への熱意ある対応
ドイツ銀行は、世界でも主導的な金融機関として、株主や顧客、従業員、そして社会に対して価値
を提供することを重視している。グローバル化の進展とその金融市場への影響、新興国や先進国
における資本の増大、環境の変化による脅威は、持続的な繁栄に対する大きな課題として、株主
から対応を求められている。当行は、今こそ行動を起こす時機であり、またそうすることが義務
であると考えている。卓越した業績を達成するビジネスモデルとグローバル規模で確固とした事
業基盤、従業員の熱意によって、当行は厳しい状況にあっても期待に応えていけるものと確信し
ている。
株主
従業員
顧客
社会
株主
競合他社との競争が激化するなかで、株主からの支持は当行の長期的成功に不可欠である。この
ため、厳格なリスク管理のもと、強固で安定的な収益を維持していかなければならない。また、
株主と率直で充実した対話を行うことは、信頼関係の強化と継続的投資につながる。
顧客
当行は、高い専門性と創造力を駆使し、熱意をもって顧客ニーズに応えていくことを目指している。
このため、グループの総合力を活かし、卓越した商品とサービスの提供を行っている。いかなる
状況においても顧客ニーズを徹底的に分析することで、適切な提案を行っていく。今後、環境が
さらに急激に変化した場合においても、当行の顧客はリスクを抑え、チャンスを追求することが
可能である。顧客からのフィードバックは、サービスの向上を図る上で大いに役立っている。
従業員
顧客からの多様かつ高い水準の要求に応えていく上で、従業員の専門性と熱意は欠かせない。
当行は、雇用主としての魅力を高めることで、優れた従業員の採用と維持に努めている。従業員
が職業上の目標を達成し、人生の目的に沿うことができるよう、専門的・個人的な研修に加え、
幅広い可能性を提供している。また、従業員による地域ボランティア活動の支援や個人の生活上
の困難にも支援を行っている。
地域社会
当行は社会的責任の重要性を認識し、取り巻く課題に向き合い、取り組んでいる。高い専門性を
活用することで、若者の教育を支援すると同時に、文化面でも、芸術や音楽の分野で、特に教育
や将来に焦点を当てた支援活動を展開している。最近では、持続性を重視する企業姿勢の一環と
して、気候環境の変化とその影響への対応に力を注いでいる。
17
01 // ドイツ銀行グループ
ステークホルダーへの価値の創造
株主
増配がドイツ銀行株の魅力をさらに高める
2007年
360,785
86
14
45
31
9
13
2006年
348,196
86
14
54
30
5
10
2005年
411,593
84
16
52
30
6
11
2
1
1
2007年
2006年
2005年
(8.6) %
27.4 %
28.8 %
株式売買シェア(XetraおよびFrankfurt Floor Trading)
8.1 %
7.8 %
5.2 %
1株当たり配当(ユーロ)
4.50 3
4.00
2.50
株主構成
株主数
株主別内訳 株式資本に占める比率 1(%)
地域別内訳 株式資本に占める比率 1(%)
機関投資家(銀行を含む)
個人投資家
ドイツ
EU(ドイツを除く)
スイス
米国
その他
主要数値
ドイツ銀行株式の投資収益の変化 2
特別プロジェクト
国際財務報告基準(IFRS)ワークショップ
2007年のU.S.GAAP(米国で一般に認められている会計原則)からIFRSへの会計基準の移行に伴い、
その影響と両者の相違を説明するワークショップを、アナリストとジャーナリストが共同で開催。
認識調査
当行株式の投資対象としての魅力を調べるため、機関投資家を対象に定例の認識調査を実施。
自社株買戻しプログラム
2006年 / 2007年の自社株買戻しプログラムを完了。新たな自社株買戻しプログラムは、
2007年年次株主総会後に引き続き開始。
1
2
3
数値は四捨五入。
Xetraの株価による。
2008年5月29日開催予定の年次株主総会で提案。
18
顧客
常に前進を続ける顧客に対し、卓越したパフォーマンスを提供
2007年
部門別顧客数
顧客数(概数)
法人・機関投資家向けビジネス
個人・資産運用ビジネス
2006年
2005年
56,900
54,200
54,800
13,800,000
14,100,000
13,410,000
2,926,000
2,530,000
2,500,000
2,400
2,300
2,600
プライベート・ウェルス・マネージメント 2
92,000
90,000
74,000
ユーロマネー誌の「ポール・オブ・ポールズ」における順位
2007年
1
2006年
1
2005年
2
1
1
1
個人顧客および中堅企業
資産運用およびウェルス・マネージメント
個人顧客向け資産運用 ¹
(ドイツ / ルクセンブルク)
法人顧客向け資産運用
主要数値
法人・機関投資家向けビジネス
ユーロマネー誌の「資金調達ポール」における順位
ユーロマネー誌の「アワード・フォー・エクセレンス」
において獲得した賞の数
IFR誌で獲得した賞の数(主要カテゴリー)
個人・資産運用ビジネス
31
21
19
18 (7)
26 (7)
12 (4)
DWSインベストメンツ:スタンダード・
アンド・プアーズによるファンド・アワード
(「Larger Group」のカテゴリー)³で上位
特別プロジェクト
法人・機関投資家向けビジネス
ドイツ
2
2
3
オーストリア
1
1
1
スイス
1
1
2
アビー・ライフ・アシュランス・カンパニーの買収。
ヒューストンに新オフィスを設置し、米国エネルギー市場における基盤拡充。
欧州やアジアのファンド向けに、ETFの新しいプラットフォームを開始。
アルジェリアとペルーに支店開設。
トルコのGaranti Bank A.S.の機関投資家向けクロスボーダー証券カストディー・ビジネスを購入。
個人顧客および資産運用
ポーランドにおいてdb kredyt shopを66店舗開設。
社会で注目されるテーマに対応した革新的な投資信託の運用開始:DWS Riester Rente Premium、DWS
Invest Climate Change、DWS Invest Global Agribusiness
オルタナティブ資産運用とプライベート・エクイティ投資に特化した助言会社であるAldus Equityの少数持
分取得。
マイクロファイナンス金融機関が有する劣後ローンの世界初の外部格付けを取得しての証券化案件を、ドイ
ツ市場で成功裡に販売。
1
口座数。
データベースの変更。米国プライベート・クライアント・サービスを除いた数字。
3
「Larger Group」の定義:
ドイツおよびオーストリア:最低でも5つのセクターの15以上のファンドを対象。
スイス:最低でも4つのセクターの10以上のファンドを対象。
2
19
01 // ドイツ銀行グループ
ステークホルダーへの価値の創造
従業員
選ばれる雇用主としての地位を持続
項目別データ
従業員(常勤相当)1
部門別
地域別
最終学歴別 2
年齢別 2
個人・資産運用ビジネス
法人・機関投資家向けビジネス
コーポレート・インベストメンツ
インフラ / リージョナル・マネージメント
ドイツ国内
欧州(ドイツを除く) / 中東 / アフリカ
米州(北 / 中南米)
アジア太平洋
大学卒
高等学校卒
その他
24歳以下
25 – 34歳
35 – 44歳
45 – 54歳
55歳以上
主要数値
従業員コミットメント指数
転職により当行を離職する従業員の割合
研修費用(単位:百万ユーロ)
職業訓練費用(単位:百万ユーロ)
2007年
78,291
39.3 %
21.1 %
0.0 %
39.6 %
35.5 %
28.1 %
17.2 %
19.2 %
64.4 %
17.4 %
18.2 %
10.0 %
35.2 %
32.3 %
17.9 %
4.6 %
2006年
68,849
41.1 %
20.9 %
0.1 %
37.9 %
38.3 %
29.1 %
17.0 %
15.6 %
59.7 %
19.4 %
20.9 %
8.9 %
34.7 %
33.8 %
18.3 %
4.3 %
2005年
63,427
41.9 %
20.2 %
0.1 %
37.8 %
41.5 %
29.1 %
18.1 %
11.3 %
55.6 %
22.8 %
21.6 %
7.6 %
34.2 %
34.7 %
19.1 %
4.4 %
2007年
71
8.4 %
129
41
2006年
68
7.0 %
130
40
2005年
68
6.9 %
109
40
特別プロジェクト
プロフェッショナル・トレーニング・アワード
当行の従業員トレーニング・プログラムである「In eigener Sache – 将来のキャリアのために」がIIRドイツの
プロフェッショナル・トレーニング賞を受賞。選考基準は、従業員の潜在力向上や雇用機会の拡大に加え、
独創性、実行力、理念の革新性にあった。
報酬体系全般の透明性向上
ドイツ国内の非正社員(non-tariff employees)に対して、「報酬概要」の冊子を提供し、年金や傷病手当を
含むすべての主要な報酬体系について概要を紹介。
インドにおける主要ヘルス・ケア・プログラム
インドで事業を展開する都市に勤務する従業員を対象に、医療サービス会社と協力して、包括的で統一した
高水準のヘルス・ケア・プログラムを導入。
1
2
従業員数(常勤相当)は、パート従業員(見習い、インターンを除く)を比例調整した人員数。
従業員数(人員数)を基に算出。
20
社会
More than money(お金を超える価値)
:社会資本の構築
2007年
2006年
2005年
76
73
73
2007年
2006年
2005年
寄附
47.3
53.6
スポンサーシップ 2
28.5
24.0
26.0
75.8
77.6
82.8
12.7
12.3
15.0
構成上のデータ
ドイツ銀行がビジネスを展開している国の数
(オフショアを含む)
主要数値(単位:百万ユーロ)
ドイツ銀行による支出
小計
56.8 1
内訳:
ドイツ銀行アメリカ基金
ドイツ銀行CSR(企業の社会的責任)
英国
5.0
5.7
4.5
ドイツ銀行アジア基金
2.6
1.2
1.0
ドイツ銀行基金
5.4
6.6
5.6
その他基金
1.0
1.0
1.3
小計
6.4
7.6
6.9
合計
82.2
85.2
89.7 1
ドイツ銀行の基金による支出
特別プロジェクト
持続性(サステイナビリティ)の追求
大都市における建物のエネルギー効率を高めるグローバルなプログラムである
「クリントン気候イニシアティブ」のパートナー。
コミットメント
ロンドンおよびニューヨークの国際的なMBAプログラムの卒業生90人による公的機関ならびに非営利団
体への助言。
機会の創出
アメリカ国内ならびに世界の恵まれない地域における教師を支援するため、ドイツ銀行アメリカ基金は
「指導者としての教育者」という新しいプログラムを開始。
創造性の支援
2007年、ドイツ銀行基金は若手芸術家の支援に対し、ワルシャワで「Views」芸術賞ならびにモスクワで
「Kandinsky Prize」を授与。
才能を育てる
ロンドンにおける教育プログラム:10,000人の若者がパフォーマンスを披露し、1,200人の生徒が150の
ワークショップに参加。また、継続して実施しているプロフェッショナル・トレーニングには89人の教師
が参加。
1
2
災害支援のための1,000万ユーロの臨時支出を含む。
社会的責任に関わるプロジェクトのみ対象。
21
変貌を遂げる世界で躍進する JEANNE ZHANG
22
// 21世紀は、中国にとってまさに変化の世紀である。こうしたなか、自らのライフス
タイルの向上を目指して、魅力的な金融商品と最高水準のサービスを提供してくれる
ドイツ銀行を財務プランナーに選んだ。
ジェニー・ツアン Jeanne Zhang
個人顧客、北京
23
02 // ZIELGRUPPEN
GESELLSCHAFT
GESELLSCHAFTLICHE VERANTWORTUNG
ステークホルダー
02 //
ドイツ銀行の競合他社との比較や市場シェア、ランキングにかかわる記述は、主に、金融専門誌(ユーロマネー、ザ・バンカーなど)や
専門情報会社(トムソンファイナンシャル、ディーロジック、ブルームバーグなど)の外部情報に基づく。
24
02 // ステークホルダー
株主
2007 年−困難な一年
2007 年−困難な一年
配当の推移
1株当たり(単位:ユーロ)
4.50*
4.00
4.50
4.00
2007 年、ドイツ株式市場は海外株式市場と比べ底堅い展開となった。米国のサブプライム問題
に端を発した市場の大きな混乱にもかかわらず、ドイツ株価指数(DAX 指数)は年間で 22%上
昇し、5年連続で前年を上回った。世界の他の主要株式市場においては、緩やかな上昇にとどまり、
いくつかの市場では前年度に比べ下落した。ユーロ・ストックス 50 指数は年間で 7%の上昇に
とどまり、ストックス50 指数は年初と比べ若干低い水準に終わった。
3.50
3.00
2.50
2.50
2.00
1.50
1.70
1.50
1.00
0.50
0
03
04
05
06
07
* 提案
当行株価は市場の混乱により影響を受ける
株式市場は、良好なスタートをきった後、2007 年前半には、米国サブプライム住宅ローンの借
り手に関する不安の広がりによる影響を初めて受けることとなった。しかし、数週間で楽観的な
見方が戻り、市場は回復した。こうしたなか、当行株価は5月に過去最高水準の118.51ユーロを
記録した。しかしながら、夏には、米国におけるサブプライム住宅ローンの延滞率が上昇し、不安
が再び高まった。これにより、投資家のリスク許容度は減退し、特に住宅ローン担保証券やその
他債券でこの傾向が顕著になった。多くの金融機関が多額の評価減を迫られ、世界的に銀行間
資金取引における流動性が問題となるなかで、投資家に不安感が広がった。当行株価も、金融
業界全般に対する投資家心理の悪化の影響から完全に逃れることはできず、高いボラティリ
ティーを背景に金融機関の株価が急落していくなかで、11月には 2007 年最低水準となる81.33
ユーロをつけた。結局、当行株価は、2007 年年間で12%下落し、89.40 ユーロで取引を終えた。
しかしながら、当行株価は、ユーロ・ストックス銀行株指数ならびに主要競合他社の株価の下落
率と比較すると、各々、5%ポイントと25%ポイント上回るパフォーマンスを見せた。
増配を提案
特に2007 年後半の厳しい市場環境にもかかわらず、ドイツ銀行は底堅い業績を達成した。2008
年年次株主総会において、前年比12.5%の増配となる1株当たり4.50ユーロの配当を提案する予
定である。これは、2007 年度の底堅い業績の達成と将来の業績予想に対する自信を反映したも
のである。当行の配当は、他の投資銀行と比べても魅力的な水準となっている。
長期的な投資価値
ドイツ銀行株式は、2007年の低調な展開にもかかわらず、長期的な投資対象としてはリターンを
あげている。当行株式を1980 年年初に10,000 ユーロ相当購入し、現金配当をすべて株式購入に
充て、無償増資に応じたと想定した場合、2007年末には151,257ユーロ相当の株式を保有してい
ることになる。これは、年間平均で10.2%の投資収益に相当し、同期間のDAX 指数の年間平均
収益率10.5%と同水準となっている。
25
02 // ステークホルダー
株主
2007 年−困難な一年
出来高の大幅な増加
2007年、当行株式の出来高は約1,000 億ユーロ増え、3,360 億ユーロとなった。これはDAX 指数
銘柄のなかで第 4 位となっている。2007 年末時点の当行株式資本は、2006 年末より約 600 万株
増加し、530,400,100 株の無額面株式で構成されている。2007 年末時点の時価総額は、年末の
終値が前年末の終値よりも低くなったことを受け、2006 年末の532 億ユーロに対し、474 億ユー
ロとなり、グローバルな金融機関のなかで、昨年より3 つ順位を上げ、24 位に位置している。
2007年末時点で、DAX 指数における当行株式の比率は5.6%となっている。
株主数の推移
年末時点(単位:千人)
600
500
503
468
412
400
348
海外投資家の増加
2007 年は、2001 年以来初めて前年と比べ株主数が若干増加し、2006 年より12,600 人増の
360,785人となった。これは、ドイツ国内株主数が引き続き減少を続け、1996 年以来の最低水準
となったなかで注目に値する。2007 年末時点で、個人投資家は全株主数の 98%を占め、株主資
本1,357,824,256 ユーロのうちの14%を保有している。一方、2007 年末において全株主数の 2%
弱を占める機関投資家(銀行を含む)の株主資本保有比率は前年と同じ86%であった。株主の
地域別構成比には大きな変化がみられた。当行株式に対する海外投資家の関心が高まり、ドイツ
以外の株主の保有比率は2006 年末時点の 46%から約55%に上昇した。ドイツの国内投資家(特
長期的な投資収益
1,900
1,600
1,300
1,000
700
400
100
81
83
85
87
89
1980年を100とした投資収益の指数(四半期)
ドイツ銀行
DAX株価指数
出典:データストリーム
—
—
26
91
93
95
97
99
01
03
05
07
361
300
200
100
03
04
05
06
07
年次株主総会における
議決権行使の増加
に投資信託や金融機関などの機関投資家)が保有を減らす一方で、特にスイスやルクセンブルク、
米国の投資家による取得が増加した。
株主資本に占める比率(%)
43
45
41
39
32
30
25
15
03
04
05
06
07
当行株式は、引き続き100%浮動株式である。2007 年初頭、ドイツ証券取引法第 21条(1)は報告
義務を負う株主を、従来の 5%以上から3%以上の保有に引き下げた。2007 年12月31日時点で、
同法に基づく報告義務に従って当行が認識している大株主は、UBS AG(スイス)
(4.07%)
、バーク
レーズ PLC(英国)
(3.10%)および AXA S.A.(フランス)
(3.08%)である。2007 年 5月、ドバイ
政府が所有するドバイ国際金融センター(DIFC)は戦略的投資として、当行株式の 2.2%を取得
した。
年次株主総会出席者の増加
2007年 5月24日にフランクフルトのフェストハレで開催した年次株主総会(AGM)には、5,000
人近くの株主が出席し、取締役会と現状や見通しについて意見を交わした。議決権を行使する株
主の割合は 2007 年も増加し、議決権株式の 42.5%にあたる株主が権利を行使したが、これは
2006 年より 2%ポイント近く高い水準であった。取締役会会長が恒例の事業報告を行った後、
株主と経営陣の間で活発な質疑応答が行われた。すべての議題が賛成多数で議決され、年次株主
総会は終了した。
新たな自社株買戻しプログラムを開始
年次株主総会において、当行は、株主資本の最大 10%に相応する自社株を買戻すことに関し、
株主から再度承認を得た。承認は2008 年10月31日まで有効で、5,250 万株を上限に買戻すこと
ができる。これを受けて、取締役会は 2006 年 / 2007 年の自社株買戻しプログラムを終了し、
現在は新たなプログラムのもとで買戻しを継続している。
2006 年 / 2007 年の自社株買戻しプログラムでは、2006 年 6 月2日から2007 年 5 月29日の間に、
1,410 万株を総額13 億 4,000 万ユーロで買戻した。続く2007年下半期には、目標とするコア自己
資本比率 8 ∼ 9%を維持するため自社株買戻しを抑制し、2007 年末までの半年間に買戻した自社
株は約630 万株であった。
当行は、2002 年半ばの自社株買戻しプログラム開始時点から2007 年 12 月末までの間に、2 億
2,200 万株、額にして147 億ユーロを買戻し、そのうち1億1,800 万株、額にして約 72 億ユーロを
消却した。自社株買戻しは、直接市場で購入するか、必要に応じてデリバティブを活用している。
27
02 // ステークホルダー
株主
2007 年−困難な一年
インターネット・サービスの拡張
2007 年、当行は株主に対して、将来的に年次株主総会の資料を電子媒体で送付することの是非
を問い、費用の削減と環境への配慮につながることから、非常に好意的な反応を得た。既に、
約1万件の電子メールアドレスが登録されており、2008 年の年次株主総会の招集通知を初めて
電子メールで送付する予定である。
株主資本の
地域的分布
年末時点(%)
60
53
50
当行株主は、2007 年もこれまで数年間にわたり当行が提供してきたインターネットを駆使した
サービスを活用することができた。このサービスにより、株主は年次株主総会への入場チケット
の送付依頼、当行指定代理人への委任、また議決権行使の指示を行うことが可能になった。
2007年には、6,700人近くの株主がこうしたサービスを利用した。
格付けの変更
2007 年、当行の長期格付けについて、ムーディーズは2 段階格上げして Aa1に、スタンダード・
アンド・プアーズは1段階格上げしてAAに変更した。また、フィッチは当行の長期格付け(AA-)
の見通しを「安定的」から「ポジティブ」に変更した。こうした格上げの理由としては、業績の
持続的な改善や堅実なリスク管理、資本市場関連ビジネスにおける卓越した地位が挙げられた。
投資家とのより充実した対話
当行 IRチームは、2007 年、増大する株主やアナリストからの情報提供の要望に様々な方法で応
えた。約 300回(2006 年は230回)におよぶ個別ミーティングやグループ・ディスカッション、13回
におよぶ投資家との国際会議を通じて投資家からの質問に答え、そのうちの数回には当行の経営
陣が出席した。アナリストとの会議や常時行われる電話会議では、当行の事業や戦略の進展につ
いて報告した。さらに、債券投資家との対話も継続したほか、投資判断を行う上で持続性に重き
を置く投資家との対話も進めた。また、アナリストとジャーナリストを対象として2007年春に開
催したワークショップでは、2007 年度から要請されるU.S.GAAP(米国で一般に認められている
会計原則)からIFRS(国際財務報告基準)への移行に伴う影響について説明を行った。
個人株主に対しては、主に無料ホットラインやインターネットを活用している。2007 年に当行は、
ホームページの刷新を行い、利便性を向上した。当行ホームページは、包括的な情報の提供だけ
でなく、例えば当行株価を分析するなど双方向の分析ツールも提供している。また、当行株主は
様々なリポートや資料も入手できる。インターネットを通じて、全てのIR 説明会をリアルタイム
で配信しているほか、オンライン情報サービスも提供している。1年に2回は、インターネットの
チャットラインを通じて、業績や直近の課題について議論を行っている。
28
47
49
51
55
54
52
48
46
45
40
30
20
10
03
ドイツ
ドイツ以外
04
05
06
07
顧客
法人・機関投資家向けビジネス
2007 年、変化する外部環境のなか
底堅い業績を達成
グローバル・マーケッツ:
金利スワップのオンライン・トレーディングで
グローバルに優勢な地位
単位:兆ユーロ
2
1.7
1
0.6
5
1
06
07
0.1
05
順位
出典:ブルームバーグ
2007 年、法人・機関投資家向けビジネス(CIB)グループ部門を取り巻く環境は急速に変化した。
前半は事業環境が極めて堅調に推移したが、後半には、金融市場は近年ではまれに見る困難に
直面した。このように事業環境が急速に変化するなかで、CIBは底堅い業績を達成し、強固な業務
基盤を示した。2007 年の収益は前年を若干上回り、税引前利益は底堅いものとなった。2007 年
後半の困難な状況のなかで、CIBは競争力を大きく高めた。これは、優れたリスク管理と、金融
市場の混乱の影響が最も直接的に及んだ分野において早期に対応を図ったことが奏功した結果
である。
CIBは、コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズとグローバル・トランザクション・バ
ンキングの 2 つのコーポレート部門で構成されている。このうち、コーポレート・バンキング・ア
ンド・セキュリティーズは、グローバル・マーケッツとコーポレート・ファイナンスの 2つのビジネ
ス部門で構成されている。なお、コーポレート・ファイナンスとグローバル・トランザクション・バ
ンキングは、合わせてグローバル・バンキングと呼ばれている。
コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズ
グローバル・マーケッツは、債券、コモディティーズ、株式、株式関連商品、デリバティブ / 店頭
デリバティブ、外国為替、マネー・マーケット、資産 / モーゲージ担保証券、ハイブリッド商品を
含むあらゆる金融商品のセールス、トレーディング、ストラクチャリングおよびリサーチ業務で
構成される。債券および株式のオリジネーションや引受け、シンジケーションは、グローバル・
マーケッツおよびコーポレート・ファイナンスが共同で運営している。
グローバル・マーケッツは、8つの主要ビジネスと3つの横断的な顧客担当グループ(グローバル・
キャピタル・マーケッツ、法人営業、リサーチ)で構成され、各地域の強力なマネージメントに
よって統括されている。
部門別決算報告からの抜粋(法人・機関投資家向けビジネス 1 )
2007年のCIBの税引前利益は、2006年より9 億ユーロ減少し、51億ユーロを計上した。コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティー
ズの税引前利益は、セールス・アンド・トレーディング(債券)および債券オリジネーションがサブプライム問題に起因するクレジット市
場の混乱の大きな影響を受けたことにより、12 億ユーロ減少した。こうしたマイナスの影響は、セールス・アンド・トレーディング(株式)
の過去最高収益の達成やアドバイザリー・ビジネスの増収によって一部相殺された。2007年も引き続き顧客ビジネスが収益の大半を占
めた。一方、グローバル・トランザクション・バンキングは、全ての地域で2 桁の増益を達成した結果、前年比 2 億ユーロ増の税引前利
益を計上した。
単位:百万ユーロ
純収益
貸倒引当金繰入額(繰戻額)
利息以外の費用
税引前利益
株主資本利益率(税引前、%)
リスク加重調整済ポジション(BIS)
資産
1
2007年
19,092
109
13,802
5,147
25
237,026
1,895,756
2006年
18,802
(94)
12,789
6,084
36
191,891
1,468,321
部門別決算報告から抜粋。注記その他の詳細については、2007 年ファイナンシャル・リポート(マネージメント・リポート)を参照。
29
02 // ステークホルダー
顧客
法人・機関投資家向けビジネス
2007 年はグローバル・マーケッツにとって困難な一年となった。前半は堅調な市場展開のなか、
顧客取引も活発で、債券および株式のセールス / トレーディングは過去最高の収益を計上した。
しかしながら、夏期以降は、米国サブプライム住宅ローンの延滞の増加に端を発した世界的な金
融市場の混乱は急速に他の分野にも広がり、市況は急速に悪化すると同時に、顧客取引も急減
した。10 月には、企業や機関投資家による一時的な市場回帰の動きがみられたものの、結局、
2007年後半を通じて市場活動は低迷した。
ドイツ銀行:
ユーロ建て債券引受けで
引き続き市場をリード
市場シェア(%)
15
13.2
14.2
12.3
こうした困難な市場環境にもかかわらず、グローバル・マーケッツは底力を示した。その背景には、
金融リスクの分散に重きを置く顧客重視のビジネスモデルと、市場の急速な悪化に迅速に対応
するマネージメントの存在がある。また、幅広いビジネスを網羅する当行のビジネスモデルも
良好に機能した。外国為替やマネー・マーケット、
一部の金利トレーディングといった「フロー」
ビジネスからの好収益は、クレジット商品や株式の減収を一部相殺した。
2007 年を通じて、引き続き顧客取引が収益の大半を占めた。2007 年前半は主要ビジネス全般で
良好な展開が続いた。特に、主要プライベート・エクイティと協力して複数の投資商品を販売し
たファイナンシャル・スポンサーにおいて地位を強化した。2007 年後半には、銀行や非金融事業
法人、機関投資家といった複数の顧客グループの活動が急減した。ヘッジファンドは、仕組み商
品から政府債券や為替といった「フロー」商品に基軸を移行する動きがみられたものの、2007
年後半を通じて活発な取引が続いた。2007 年前半に活発であった自己勘定による取引は、その
後低迷したが、債券および株式の自己勘定取引は2007年のグローバル・マーケッツの業績に貢献
した。
2007 年を通じて、当行の事業基盤は拡充した。欧州においては引き続き主導的地位を維持した
一方、北米においては収益基盤を拡大し、特に債券ビジネスで初めて上位 3 位を占めた(グリ
ニッチ・アソシエイト調べによる)
。金融専門誌として著名なインターナショナル・ファイナンシン
グ・レビュー(IFR)誌からは、最優秀ボンド・ハウス、最優秀デリバティブ・ハウス、最優秀セキュ
リタイゼーション・ハウス、最優秀EMEA(欧州 / 中東 / アフリカ)エクイティ・ハウスに選ばれた。
アジアにおいては、グリニッチから最大の債券商品提供金融機関に選ばれるなど、2007 年を通
じて同地域の成長から恩恵を受けた。日本を除くアジア市場は、北米金融市場の混乱の影響は小
さく、2007年後半も顧客取引は活発であった。
30
10
9.5
1
1
1
1
04
05
06
07
5
順位
出典:トムソンファイナンシャル
2007 年の受賞
インターナショナル・ファイナンシング・レビュー(IFR):
「最優秀ボンド・ハウス」
「最優秀デリバティブ・ハウス」
「最優秀金利デリバティブ・ハウス」
「最優秀株式デリバティブ・ハウス」
「最優秀セキュリタイゼーション・ハウス」
「最優秀 EMEA エクイティ・ハウス」
ユーロマネー:
「最優秀クレジット・デリバティブ・ハウス」
「最優秀外国為替ハウス」
リスク誌:
「最優秀金利デリバティブ・ハウス」
「最優秀通貨デリバティブ・ハウス」
グローバル・マーケッツ:
外国為替で世界の市場をリード
市場シェア(%)
19.3
19.3
20
16.7
12.2
9.8
10
3
2
1
1
1
3
2
1
1
1
03
04
05
06
07
順位
出典:ユーロマネー誌外国為替サーベイ
米国サブプライム住宅ローンについては、2006 年に買収した、
「オルト A(Alt-A)
」あるいは
「プライム」セクターに特化したオリジネーターであるモーゲージ IT 社が直接保有をしていたが、
「オルト A」や「プライム」セクターの損失が比較的軽微であったことから、当行への直接の影響
は大きなものとはならなかった。さらに、当行は、サブプライム住宅セクターに対して、比較的
早い段階から対応を図っていた。
投資家心理の急速な悪化から債務担保証券(CDOs)やクレジット・トレーディングなどの業務は
影響を受け、2007年後半、クレジット商品ビジネスは大きく低迷した。しかし、基本的な証券化
ビジネスは順調に推移し、
リスク管理を積極的に推進することで業績全般への最悪の影響を免れた。
当行は、CDOs の大規模かつ直接的な保有を回避することで、7月後半以降に起こったこれらの
資産の急速な価値の下落による影響をさほど受けずに済んだ。クレジット商品分野は、トレー
ディングによる損失を除いたベースでは、過去最高の収益を記録した2006 年とほぼ同水準の収益
を達成した。
顧客取引に注力した株式ビジネスの収益は、全般的に良好であった。株式デリバティブは、収益
と市場シェアの両面で良好に推移した。北米および日本における現物株式のトレーディング能力
が向上し、全般的な業績改善に寄与した。また、欧州および北米の株式オリジネーション・ビジ
ネスは連携を深め、収益成長に貢献した。さらに、プライム・サービスの分野では、
「質への逃避」
を図る投資家の間で、夏期に起こった金融危機の影響が比較的軽微で、かつ、強固な資本基盤
を持つプライム・ブローカレッジ業者とのビジネスを模索する傾向が強まり、当行にとって追い風
となった。
マネー・マーケット取引および外国為替取引は、圧倒的な市場シェアを持つことや市場の大きな
混乱のなかでも一貫して厳格なリスク管理を行ったことが奏功し、卓越した年となった。ユーロ
マネー誌による2007 年顧客調査では、外国為替業務(総合)で、19%を超える市場シェアを獲
得し、3 年連続して世界トップの地位を占めた。
インデックスを活用した商品分野では、70を超える欧州 / アジア市場のインデックスを対象とし
たETF(上場投資信託)の提供を開始するなど、これまでの金融技術への投資が実を結んだ。
欧州では、債券ETFの分野で当初より主導的地位を築いており、株式関連のETFでは上位 3 位を
占めている。
新興国市場では、中東、ラテンアメリカ、アジアで株式売出しビジネスを開始し、良好な実績を
挙げた。一方、債券ビジネスからの収益も大半の地域において好調であった。中東欧地域におい
ては、2005 年後半に買収したロシアの大手投資銀行であるUFGの統合による恩恵を受けた。
31
02 // ステークホルダー
顧客
法人・機関投資家向けビジネス
コーポレート・ファイナンスは、M&A アドバイザリー、株式資本市場(ECM)
、レバレッジド債
券資本市場(LDCM)
、商業用不動産(CRE)
、アセット・ファイナンス & リーシング(AFL)
、
企業貸付けの各業務で構成される。コーポレート・ファイナンスの商品とサービスはすべて、各地
域で産業別に編成している顧客カバレッジ・チームによって提供される。
2007 年後半の特に厳しい市場環境によってLDCMおよび CRE が影響を受けたにもかかわらず、
2007 年はコーポレート・ファイナンスにとって良好な年となった。幅広いビジネスを網羅する
ビジネスモデルと地域的な多様性、顧客重視のビジネスモデルによって、市場シェアは拡大し、
主要地域・商品において成長を遂げた。
コーポレート・ファイナンス:
欧州における主導的地位を維持
市場シェア(%)
6
欧州においては、手数料シェアで5 年連続してトップの地位を占めた。米州では、引き続き上位
10 位以内を維持した。アジア太平洋では、オーストラリアおよびニュージーランドで手数料シェ
アを伸ばし、引き続きトップ 10の地位を占めた。一方、ドイツ国内では、M&A アドバイザリー、
ECM、投資適格社債でトップを占めるなど、コーポレート・ファイナンス全般にわたり主導的地
位を維持した。当行の地域や顧客を重視したカバレッジ(営業)体制や革新的な各種の商品の
投入を続けていることは、ドイツの中堅企業顧客(
“Mittelstand”
)向けビジネスの成功を支える
要因となっている。
7.0
7
6.3
6.3
1
1
1
1
04
05
06
07
6.0
順位
出典:ディーロジック
アドバイザリー・ビジネスは、2007 年に取引案件の数の増加と質の向上を図り、引き続き力強い
展開を見せた。当行による全世界の取扱高は前年比で 79%増加し、特に鉱山セクターでの買収
や化学業界の取引、さらにLBO の各分野で、過去最大となる案件を成立させるなど、世界的に
注目されたいくつかの主要案件への取り組みは特筆に値する。欧州におけるM&A 取扱高が公表
案件ベースで前年比 43%の増加であったのに対し、当行の取扱高は前年比 85%増加した。米州
においては、市場全体では前年比16%の拡大であったのに対し、当行の取扱高は60%増加した。
この結果、取扱高のリーグテーブルにおいて着実に順位を上げ、8 位を占めた。
株式資本市場(ECM)では、2007 年に全世界で市場シェアを拡大した。欧州においては新規株
式公開の取扱高ベースで 6 位から1位に躍進し、特にドイツ国内で地位を強化した。当行の新興
国における投資が実を結び、ロシアでは取扱高ベースで前年の第 5 位からトップへと躍進したの
に対し、中東では、ドバイ国際金融取引所による初めての個人向け新規株式公開を手掛けるなど、
市場シェアで第 6 位を占めた。米州では、転換社債の取扱高ベースで第 6 位を占めたほか、新規
株式公開業務でも順位を上げた。アジア太平洋では、香港で過去最大規模の新規株式公開案件
となったインターネット関連企業の案件を手掛けた。
レバレッジド債券資本市場(LDCM)業務は、全般に 2007 年後半のクレジット市場の混乱の影
響を受けた。しかしながら、欧州においては、欧州ハイイールド債の引受けで7 年連続してトップ
を維持した。また、欧州や南アフリカにおける最大規模のLBO 案件に取り組んだことは注目に値
する。当行はまた、2007 年を通じて、事業法人やファイナンシャル・スポンサーの顧客のため、
金融専門誌より賞を獲得した革新的な案件を数多く手掛けた。
32
2007 年の受賞
ユーロマネー:
「最優秀M&A ハウス:中東欧」
「最優秀M&A ハウス:ロシア」
ユーロウィーク:
「最も注目されるLBOストラクチュアラー(組成者)
」
「最優秀アレンジャー:ドイツ国内ローン」
「最優秀ローン・トレーディング・ハウス」
グローバル・ファイナンス:
「最優秀投資銀行:西欧」
インスティテューショナル・インベスター:
「最優秀銀行(不動産ファイナンス&インベストメント)
」
コーポレート・ファイナンス:
欧州株式資本市場における力強い改善
市場シェア(%)
8.5
8.4
7.6
6.9
2007 年、厳しい市場環境は商業用不動産(CRE)ビジネスにも打撃を与えたが、一部ビジネス
は好調を維持した。2004 年に買収した、政府保証事業のオリジネーション・サービスを手掛ける
ドイツ銀行バークシャー・モーゲージは好業績を達成した。この要因としては、オリジネーション
の取扱高が記録的水準だったことや買収後の相乗効果による持続的な恩恵が挙げられる。また
CREは、特に上海や香港における取扱高、主幹事案件およびローン・オリジネーションの増加を
背景に、アジア太平洋において拡大を続けた。一方、欧州における市場の混乱は、不動産スペ
シャル・シチュエーション・グループにとって有望な投資機会の増加につながった。
7.5
6.8
6.5
4
1
4
1
04
05
06
07
順位
出典:ディーロジック
当行が、インフラストラクチャーや輸送、再生可能エネルギーの分野で活動の幅を広げているな
かで、アセット・ファイナンス&リーシング(AFL)は、グローバル化の進展と気候変動という2
つの大きな潮流による恩恵を受けた。当行はスペインのソーラー・プロジェクトの開発に関わった
ほか、ドイツにおける高速道路の資金調達に対する2回目の A- モデル官民共同(Public-PrivatePartnership:PPP)プロジェクトで成功裡にアドバイザーを務めた。また、MENASA(中東 / 北ア
フリカ / 南アジア)における輸送やインフラストラクチャーの大規模プロジェクトに関連し、同地
域で高まりを見せているアドバイザリー・サービスへのニーズに応えるため、ドバイに窓口を開設
した。さらに当行は、マイクロファイナンスなど新しい資産クラスに対するサービスを拡大し、
世界でも有数の劣後マイクロファイナンス証券化プログラムを、部門を超えた連携のもとで完了
した。
グローバル・トランザクション・バンキング
グローバル・トランザクション・バンキング(GTB)は、国内およびクロスボーダー決済、海外貿
易にかかわる高度なリスク軽減、ならびに信託、取次ぎ、預託、カストディ(証券保管)および
これらの関連サービスをはじめとする、法人顧客および金融機関を対象とした商業銀行商品およ
びサービスで構成される。GTBは、事業法人および金融機関を対象としたキャッシュ・マネージ
メント、貿易金融、法人信託の各業務で構成されている。
2007 年の受賞
ユーロマネー アワード・フォー・エクセレンス:
「最優秀キャッシュ・マネージメント(西欧)
」
「最優秀キャッシュ・マネージメント(アジア)
」
ユーロマネー トレード・ファイナンス・アワード:
「最優秀フォーフェイティング機関」
「最優秀トレード・ファイナンス・ソフトウェア / テクノ
ロジー・プロバイダー」
ユーロウィーク:
「最優秀発行・支払代理機関(ミディアム・ターム・ノート)
」
イスラミック・コンファレンス・グループ:
「最優秀事務 / 受託銀行(スクーク*)
」
トータル・セキュリタイゼーション:
「最優秀受託銀行」
トレード・アンド・フォーフェイティング・レビュー:
「最優秀国際貿易金融銀行」
「最優秀仕組み商品ファイナンス銀行」
2007 年はGTBが過去最高の業績を挙げた年となった。厳しい市場およびマクロ経済環境にもか
かわらず、拠点とする欧州だけでなくアジア太平洋で力強い成長を遂げた一方、米州においても
底堅い業績を挙げ、すべての地域で成長を達成した。
法人顧客グループにおいては、事業基盤と販売力を拡充することで、アジア、米州、欧州におけ
る銀行としての地位を強化した。東欧においては注力市場に特化することで、いくつかの主要案
件を獲得した。また、2008 年 1月末の SEPA(単一ユーロ支払地域)の導入に先立ち、顧客が
SEPA の提供する恩恵を迅速に享受できるよう、商品開発に率先して取り組んだ。貿易金融は特
に新興国において着実に成長し、当行は、グローバルな貿易金融ローンのアレンジャーとして、
リーグテーブルで主導的地位を占めた。2007年、当行は、法人顧客のキャッシュ・マネージメント
と貿易金融の複合したニーズに応えるため、商品ならびにサービスを拡充した。
* シャリア適格案件
33
02 // ステークホルダー
顧客
法人・機関投資家向けビジネス
2007 年には、顧客企業(金融機関)の間で、キャッシュ・マネージメント業務をグローバル規模 グローバル・トランザクション・バンキング:
カストディ
(証券保管)
資産の増加
で一つの金融機関に集約する動きが高まり、当行のサービスを利用する顧客が増えた。さらに、
単位:十億ユーロ
取引処理業務では、他の金融機関からの当行との業務提携・連携や当行への発注(イン・ソー
1,610
シング)に対する関心が増大した。法人信託業務では、株式およびカストディ業務で力強い成長
1,500
を遂げ、預託証券やカストディの主要案件で多くの指名を獲得したほか、イスラム資本市場案件
における事務管理で卓越した地位を築いた。
1,161
当行は、成長著しい市場においても業務拡大に力を注いだ。トルコでは Garanti Bank の機関投資
家向けカストディ業務を買収し、インドにおいては投資信託の登録・名義書替代理ビジネスを立ち
上げたほか、いくつかのアジア市場では投資信託の事務管理サービスを開始した。このなかには、
マレーシアにおけるシャリア適格サービスも含まれる。当行は、2007 年後半のクレジット市場の
混乱による影響を受けたが、こうした幅広いサービスの提供によって難局に立ち向かっている。
1,000
863
500
588
04
34
05
06
07
顧客
個人・資産運用ビジネス
過去最高水準の純資金流入
プライベート・ウェルス・マネージメント
:
地域別運用資産
個人・資産運用ビジネス・グループ部門(PCAM)は、個人および法人顧客を対象とする資産運用
ビジネスと、個人顧客および中堅企業を対象とする銀行業務で構成されている。
(2007年末時点)
欧州
(ドイツを除く)
、
中南米、
中東
570 億ユーロ
米国
530 億ユーロ
2007 年、PCAMは厳しい外部環境にもかかわらず、2006 年を上回る利益を上げ、成功を収めた
年であった。2007 年末時点の運用資産残高は、ドル安による為替のマイナスの影響にもかかわ
らず、2006 年末と比べ 440 億ユーロ増加して9,520 億ユーロとなった。新規純資金流入は、過去
最高水準の 590 億ユーロに達した。当行は、2007 年も、中核となる欧州および米国市場だけで
なく、成長市場である中国やインドにおいても事業基盤の拡大に向けた投資を継続した。
PCAMは、資産運用およびウェルス・マネージメント(AWM)と個人顧客および中堅企業(PBC)の、
2つのコーポレート部門により構成されている。
ドイツ
510 億ユーロ
アジア太平洋
220 億ユーロ
英国
110 億ユーロ
資産運用およびウェルス・マネージメント
資産運用およびウェルス・マネージメント(AWM)
・コーポレート部門は、資産運用とプライベート・
ウェルス・マネージメントの2つのビジネス部門で構成されている。資産運用では、個人投資家に
対して幅広い投資信託商品を提供する一方、機関投資家に対しては、グローバル規模で伝統的
な運用商品から、アブソルート・リターン・ストラテジーや不動産運用を含む高付加価値商品に至
るまで、幅広い運用商品を包括的に提供している。プライベート・ウェルス・マネージメントは、
世界中の個人富裕層やその家族を対象にサービスを提供している。
資産運用(AM)ビジネス部門は、個人顧客向け資産運用、オルタナティブ資産運用、法人顧客
向け資産運用、保険資産運用の 4 つの業務で構成され、これら業務をグローバル規模で展開して
いる。こうしたビジネスの構成が、注力分野への特化や成長著しい分野への投資、さらには非中
核業務からの撤退など、柔軟な戦略を可能にしている。
資産運用は、2007年に270 億ユーロの新規純資金流入を獲得し、2007年末時点の運用資産残高
は5,550 億ユーロに達した。2004 年以来、急速にビジネスは好転し、純資金流入は3 年連続して
増加した。
部門別決算報告からの抜粋(個人・資産運用ビジネス 1 )
PCAMは2007年度に、21億ユーロの税引前利益を計上した。前年と比べ1億ユーロの増益となった主な要因は、個人顧客および中堅
企業コーポレート部門の成長による。ノーリスバンクおよびベルリン銀行の買収や革新的投資商品ならびに年金関連商品の販売によって、
収益は拡大したものの、買収費用や成長のための投資による費用の増加によって、これが一部相殺された。資産運用およびウェルス・
マネージメントの税引前利益は若干増加した。プライベート・ウェルス・マネージメントは、自律的成長と買収によって大幅な増収を達成
したが、業績連動ビジネスにおける減収と資産運用における無形資産の減損計上により、一部相殺された。
単位:百万ユーロ
純収益
貸倒引当金繰入額
利息以外の費用
税引前利益
株主資本利益率(税引前、%)
リスク加重調整済ポジション(BIS)
資産
1
2007年
10,129
501
7,561
2,059
24
85,586
156,391
2006年
9,315
391
7,000
1,935
27
76,234
130,642
部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細については、2007 年ファイナンシャル・リポート(マネージメント・リポート)参照。
35
02 // ステークホルダー
顧客
個人・資産運用ビジネス
AMは、資産運用において長期的にその方向性を決定づける大きな潮流が 7つあると考えている。
それは、米国および欧州における年金運用(退職者)市場の拡大、炭素依存経済からの移行、
新興市場における富の増大と活性化、運用商品の組成(パッケージ)の変化、オルタナティブ投
資の拡大、市場平均を上回る投資パフォーマンス、すなわち“アルファ”
(
“alpha”
)を狙った投
資戦略の分離、保険会社による投資運用機能の外部委託の増加である。2007 年に開始した多く
の取り組みは、こうした潮流からの恩恵を受けることができるように設計されたものであった。
当行は、グローバル規模で起こっている基本的な潮流に沿った戦略を展開することで、当行が成
功を収める上で、AMが引き続き強力で安定的な収益源であることを目指している。
DWS:ドイツにおける
主導的な投資信託会社
運用資産
(2007年末時点、単位:十億ユーロ)
150
100
個人顧客向け資産運用
グローバル規模で個人顧客向け資産運用ビジネスを展開しているDWS の 2007 年末の運用資産
総額は、2,350 億ユーロとなった。4月には、年金運用市場の拡大を企図して、ドイツ国内において
DWS RiesterRente Premiumを投入した。2007年、DWSは約 35 万 2,000 件の新規契約を獲得し、
年金運用市場で最も成功を収めた運用会社のひとつとなった。また、炭素依存型経済からの移行
に対応するべく、環境をテーマとした商品も多数投入した。革新的な投資信託であるDWS
Invest Climate Change(気候変動への投資)とDWS Invest Global Agribusiness(グローバルな
農業ビジネスへの投資)の設定によって環境に配慮した投資信託の残高は増大し、2007 年末時点
で約71億ユーロとなった。
DWSは、成長著しいアジア太平洋やラテンアメリカの新しい市場でもビジネスを拡大している。
7月には、日本において地球温暖化対策関連株投信(DWS Climate Change Fund)の販売を開始し、
1,540 億円(約9 億 4,400 万ユーロ)の資金を獲得した。
運用商品が新しい展開をはじめるなかで、DWSでは高い専門性を活かして、従来の投資信託の
枠を超えた幅広い商品を投入した。2007 年末時点で仕組み商品の運用資産残高は、77 億ユーロ
にのぼっている。
DWSは、2007年も引き続き良好な運用実績を挙げ、これが、先に述べた運用資産の拡大や革新
的商品の投入、さらにはグローバルなビジネス展開の基盤となった。2007 年末時点で、DWSの
株式投資信託の 86%(資産残高による調整後)が、過去10 年にわたりベンチマークを上回るパ
フォーマンスを達成している。
オルタナティブ資産運用
オルタナティブ資産運用を担うRREEFは、オルタナティブ投資の成長を背景に、運用資産残高
を2006 年末の 590 億ユーロから2007 年末には 660 億ユーロに拡大した。また、グローバルに5
つのオフィスを新規に開設し、世界でも最大規模の不動産投資運用マネージャーのひとつとなっ
ている。クレジット市場における困難な環境にもかかわらず、2007 年12月末までに米国不動産
市場に50 億ユーロを超える投資を行ったほか、欧州においては 30 億ユーロ超、アジア太平洋に
おいては15 億ユーロに近づく規模の投資を行った。
36
50
DWS
競合他社
出典:BVI
141
資産運用:
非系列のグローバルな保険資産
運用会社としてトップの地位
運用資産(2006年末時点、単位:十億ユーロ)
112
100
60
20
ドイツ銀行 AM
競合他社
出典:インシュアランス・アセット・マネージャー
(直近データ)
RREEFは、個人投資家向けの商品も拡充した。6月には香港株式市場に初めての公募不動産投資
信託を上場し、個人投資家が中国主要都市のオフィス関連不動産に投資する機会を提供した。
8 月には、RREEF 汎欧州インフラストラクチャー・ファンドが 20 億ユーロを超える運用資金を集
めた。さらに、北米におけるインフラ投資でも多額の資金を獲得しており、RREEFが真にグロー
バルなインフラ投資ビジネスの創出で成功を収めていることを示している。一方で、買収を通じて
業務の幅も拡大した。7月にはテキサスに拠点を置くアルダス・エクイティに少数持分投資を行い、
プライベート・エクイティ・ファンド・オブ・ファンズ・ビジネスに参入した。
法人顧客向け資産運用
法人顧客向け資産運用は2007 年もグローバル規模で拡大を続け、その成功は運用コンサルタン
トによる評価結果に反映されている。2007 年を通じて、高い成長が期待できる革新的商品に注
力し、販売ネットワークの改善や顧客 / コンサルタント・リレーションシップ・チームの構築、マー
ケティングの強化に取り組んだ。こうした取り組みは、法人顧客の多様で複雑化するニーズに応
える上で成果を挙げている。
また、市場平均を上回る投資パフォーマンス、すなわち、
“アルファ”の獲得を目指す投資戦略
を分離する傾向が世界的に強まるなかで、クオンツ戦略(Quantitative Strategies)への投資を継
続した。法人顧客向け債券ビジネスでは、専門家チームを増強し、業務基盤を拡充した。
保険資産運用
グローバルな保険資産運用ビジネスは、非系列の保険運用会社として、2007 年も世界で最大規
模の地位を占め、2007 年末の運用資産残高は930 億ユーロにのぼった。保険会社がコアとなる
運用機能を外部の専門アセット・マネージャーに委託する傾向を強めるなかで、当行はこうした
傾向に対応する体制を整えている。2007 年もグローバルな業務基盤の拡充を図り、さらなる成
長を目指して、欧州、アジア太平洋、米国において要職での人員を増強した。
ビジネスがさらにグローバルな展開を強めるなかで、2007年1月、資産運用ビジネスの中国にお
ける合弁相手であるハーベスト・ファンド・マネージメントと、初めての共同コンファレンスを開
催した。これは、ハーベストとの協力関係を強化するなかで実行した、様々なイベントや取り組
みのひとつとなった。
プライベート・ウェルス・マネージメント(PWM)ビジネス部門は、30カ国超に85カ所を超える
オフィスを配し、世界中の個人富裕層とその家族を対象に、国内ならびに海外金融センター(オ
フショア)の資産運用アドバイザリー・サービスを提供している。
当行の資産運用アドバイザリー・サービスの中核は、一人ひとりの顧客ニーズに適した戦略的な
資産配分やリスク管理を、包括的に提供することにある。当行は、一任勘定のポートフォリオ管
理やオルタナティブ投資を含むあらゆる資産クラスを対象としたアクティブ運用のアドバイス、
37
02 // ステークホルダー
顧客
個人・資産運用ビジネス
資産の保全や継承プラン、社会貢献活動、芸術に関するアドバイス、家族経営、金融仲介業者
向けサービスなどを、個々の顧客ニーズに沿って提供している。
プライベート・ウェルス・マネージメント:
運用資産の増加
(2007年末時点、単位:十億ユーロ)
2007 年はPWMにとって成功を収めた年となった。米ドルやその他通貨の下落にもかかわらず、
130 億ユーロの新規純資金流入や市場での高い運用成績を反映し、2007 年末時点の運用資産残
高は1,940 億ユーロに増加した。
当行は、近年、顧客サービスに携わるスタッフの陣容拡大に努めており、これがビジネスの成長
を支える大きな要因となっている。
250
200
189
194
163
150
100
アジア太平洋においても引き続き成功を収め、2007 年末時点の同地域の運用資産残高は 220 億
ユーロに達した。急速な経済発展からウェルス・マネージメントに対する需要は高まっており、
さらに陣容を160人拡大した。PWMは、特に仕組み商品の拡充に力を注いでいる。2007年夏には、
アジアマネー誌より「インドにおける最優秀プライベート・バンク」に選ばれた。
一方、当行の本拠地であるドイツにおいても運用資産残高を前年比 9%増加した。PWMは他の
ビジネス部門との連携によって、世界で初めての外部格付けを取得したマイクロファイナンス金
融機関に対する劣後ローンの証券化を、ドイツ国内市場に投入した。2007年、PWMは、ドイツ
において、フォーカス・マネー誌やn-tv(テレビ・ニュース・チャネル)から「最優秀リスクマネー
ジャー」に選ばれたほか、ユーロ・フィナンツェン誌から「最優秀アクティブ・アセット・マネージ
メント」を受賞するなど、主要な賞を獲得した。
さらに、西 / 中欧(ドイツ、オーストリア、英国を除く)や東欧、中東、アフリカ、ラテンアメリ
カにおいて、現地仲介金融機関との連携強化を一部要因としてビジネスを拡大し、これらの地域
における運用資産残高は2007年末時点で570 億ユーロにのぼった。
ウェルス・マネージメントの分野で世界最大の市場規模をもつ米国においては、事業経営者の資
産運用や資産の拡大に注力した。
2006 年末に買収したティルネイ・グループは、既存のビジネスモデルへの統合が順調に進み、
現在ではPWMの英国におけるビジネスを代表している。ティルネイ・グループは、投資銀行部門
と連携し、
「超富裕層(UHNW)
」に特化したサービスの拡充を進めている。
グローバルには、オルタナティブ投資(ヘッジファンドやプライベート・エクイティ)やコモディティ、
アジア、気候変動など、当行の投資戦略に沿ったいくつかの投資テーマに注力した。そして、こう
した投資テーマに沿った様々な投資商品やサービスを、対象とする顧客セグメントに応じてタイ
ムリーに提供した。革新的な商品をより効果的に顧客を重視した業務と結びつけることで、顧客
の個々のニーズにこれまで以上に機動的・効果的に対応することが可能になった。
38
50
05
06
07
個人顧客および中堅企業:
従業員数の増加
(年末時点)
25,000
23,214
21,161
19,569
15,040
13,324
15,000
13,979
5,000
05
06*
07**
PBCドイツ
PBC世界全体
* ノーリスバンクを含む
** ベルリン銀行を含む
PWMの成功の鍵を握っているのは、
ドイツ銀行グループの他のビジネスとのチームワークである。
富裕層の複雑な個別ニーズに応えるため、CIBや AMとの相乗効果をフルに活かすことを目指し、
主要顧客を担当する機能を新たに設けた。
個人顧客および中堅企業
個人顧客および中堅企業(PBC)コーポレート部門は、ドイツ国内ならびに欧州およびアジアの
その他 7カ国の個人および中堅企業の顧客に対し、オンラインなど多様な媒体を通じて、銀行
サービスを提供する。そのサービスは、融資、当座 / 普通預金、支払いから証券や投資信託、
ポートフォリオの投資アドバイスに至る。
顧客は、主にドイツ、イタリア、スペイン、ポーランドに開設している1,500カ所の支店を通じ
てサービスを受けることができる。さらに、独立したファイナンシャル・アドバイザーを約 3,200
人擁しているほか、ドイツ国内においてはファイナンシャル・アドバイザリー・グループである
DVAG(Deutsche Vermögensberatung AG)や欧州最大の自動車クラブであるADACなど、多数
の外部パートナーと販売協力を結んでいる。
2007 年はPBC にとって非常に良好な年となった。引き続き堅調な業績を達成しただけでなく、
成長戦略においても前進を遂げた。ドイツ国内における基盤を強化し、欧州の中核市場では拡大
基調を維持した一方、新興市場においても存在感を高めた。拠点とするドイツでは、組織の自律
的成長と買収を通じて基盤を拡大した。ノーリスバンクの統合を成功裡に終え、9月には新しい
ビジネス領域への参入を通じて、ドイツの銀行業界における立場を強化した。さらに、ベルリン
銀行の買収では、顧客基盤を大幅に拡充しただけでなく、複数ブランドの維持により、順調にビ
ジネスを拡大した。
こうした結果、PBCのドイツ国内における従業員数は2007年に約1,100人増加した。
ドイツ銀行やベルリン銀行といった卓越したブランド力とノーリスバンクという特定分野での強
みを活用することで、顧客に多様なサービスを提供することが可能になっている。ドイツ銀行ブ
ランドは、その買収によって当行のベルリン地域における大きな基盤強化につながったベルリン
銀行と同じく、最良のサービスと卓越したアドバイス、高い競争力を表している。ベルリン銀行は、
ベルリンに60 支店、1,100 人の従業員を擁し、確立したブランド力を有している。こうした買収
の結果、当行は、ドイツ最大の市場規模を誇るベルリンにおいて、ドイツ銀行、ノーリスバンク、
ベルリン銀行の全支店を含めて130カ所を超える拠点を有している。その顧客数は約100 万人に
達しているが、そのうち34 万1,000人がベルリン銀行の顧客であった。
ノーリスバンクは、成長著しい消費者金融や預金ビジネスに特化したオンラインバンクであり、
97支店を有する。ノーリスバンクは、限定した数の特徴ある商品やサービスを、良好な価格で提
供して、当行グループの商品・サービスの提供の幅を広げている。
39
02 // ステークホルダー
顧客
個人・資産運用ビジネス
ドイツ以外でも、欧州市場において引き続き成長路線を推進した。イタリアでは、ドイツ銀行ブ
ランドのもとで8 支店を開設したほか、Prestitempoブランドで1支店を開設した。スペインでは、
郵便サービスを担うCorreosとの提携関係によって、BanCorreos ブランドの提供を推進した。
ポルトガルでは2007年に支店数が 3倍近くまで増加し、現在では36支店を擁している。ベルギー
でも支店数は増加し、現在 30 支店を擁している。
個人顧客および中堅企業:
ポーランドの支店数
150
129*
100
2007 年に特に成長が著しかったのは、ポーランドであった。支店数は、2004 年末から倍増して
63支店となり、2007年には、収益および取扱高ともに前年比60%増となるなど実績を挙げている。
2007年 2月には、db kredytブランドのもとで消費者金融サービスの提供を開始し、2007年末まで
に66のdb kredytの店舗を開設した。
アジアで成長を続けるインドや中国でも、引き続き事業基盤を強化した。インドでは、2007年末
現在10 支店を通じて、総勢 50 万人を超える顧客にサービスを提供している。中国では、2007年
第 4 四半期に 3 つ目の支店を開設したが、6月には中国の提携銀行である華夏銀行との協力のも
とで、クレジット・カード事業にも参入した。
2007 年10月以来、ドイツ銀行は、ベトナムのHabubank(ハノイ・ビルディング・コマーシャル・
ジョイント・ストック・バンク)の株式を10%取得した。これは、非常に潜在成長力が高いとみな
されているベトナム市場への参入という意味で、重要な第一歩となった。
40
62
52
50
31
04
* db
05
06
07
kredyt(消費者金融)の店舗を含む
顧客 コーポレート・インベストメンツ
非中核資産の処分による
資本の有効活用
保有事業会社株式の推移
取得価格ベース
(単位:十億ユーロ、年末時点)
5
4.6
4.1
4
3
2.2
2.3
2.1
2
1
03
04
05
06
コーポレート・インベストメンツ(CI)
・グループ部門は、事業会社株式の保有、当行所有の不動産、
その他の非戦略的保有の各業務で構成されている。
2007年、当行は計画どおり非中核資産からなるポートフォリオの圧縮を続け、収益力のあるビジ
ネスや株主への還元に充当できる資本を確保した。こうした結果、2007 年末までに、事業会社
の株式保有は51億ユーロとなり、その他の事業投資による保有資産は13 億ユーロとなった。
保有する事業会社株式の処分
当行は、主に、上場しているドイツの金融機関ならびに事業会社の株式を保有している。2007
年には、好調な市場環境を背景に保有株式の売却を進め、利益を計上した。リンデ AG、アリア
ンツSE、ボントベル・ホールディング AG、フィアットS.p.A.につき、各々 2.6%、0.5%、1.5%、
0.8%の保有株式を売却した。さらに、インターホテルが保有していたホテルの株式ポートフォリオ
をブラックストーン・グループに売却した。
07
2007 年末時点の時価ベースによる保有株式上位は、ダイムラー AG(4.4%)
、アリアンツ SE
(1.7%)
、リンデ AG(5.2%)となっている。2007 年1月には、持株会社の株式を10%取得する
こ と に よ り、 欧 州 航 空 宇 宙 会 社 で あ る EADS(European Aeronautic Defence and Space
Company EADS N. V.)の持分 0.75%を取得した。
その他の株式持分の売却
2007 年末時点で、上記以外で当行の株式持分比率が大きいのは、Atradius N. V.(12.7%)
、
Mannesmann GmbH & Co. Beteiligungs-KG(Arcor)
(8.2%)
、Gopla Beteiligungsgesellschaft
mbH(Varta)
(70.6%)で、そのほかにもドイチェ・ベンチャー・キャピタル・ファンドや他の投資
信託の持分を保有している。
Atradius N. V. とCrédito y Caución S. A. は2007 年 4月に統合の契約締結後、2008 年1月に統合
が完了し、当行の持株比率は9.1%に減少した。2007年には、保有していたニューヨーク市ウォー
ルストリート60 番地のビルを売却し、リース契約を結んだ。
部門別決算報告からの抜粋(コーポレート・インベストメンツ1 )
CIは、2007年も引き続き非中核ビジネスへの投資を削減した。税引前利益は、前年を9 億ユーロ上回る13 億ユーロを計上した。利益
増加は、保有する事業会社株式の売却益が前年よりも大きかったことを反映したものであった。
単位:百万ユーロ
純収益
貸倒引当金繰入額(繰戻額)
利息以外の費用
税引前利益
リスク加重調整済ポジション(BIS)
資産
1
2007年
1,517
3
220
1,299
4,891
13,002
2006年
574
2
214
361
5,395
17,783
部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細については、2007 年ファイナンシャル・リポート(マネージメント・リポート)参照。
41
02 // ステークホルダー
顧客
コーポレート・センター
取締役会を執行面で支援
コーポレート・センターは、ドイツ銀行グループ取締役会が経営責任を果たす上で必要な機能と
資源を提供し、取締役会を支援する。そのなかには、グループ全体を網羅し、グローバル規模で
遂行する経営管理とリスク管理に対する責任も含まれている。こうした幅広い業務は、ファイナ
ンス、監査、法務、リスク / 資本管理、コミュニケーション&CSR、インベスター・リレーションズ、
人事の各部門の従業員によって遂行されている。コーポレート・ディベロップメントは、グループ
全体の戦略上の重要課題に対応する。一方、DBリサーチはマクロ経済に関連したアドバイスを
提供する。コーポレート・センターは、グループ全体の内部サービスを担うインフラ部門の一部と
なっている。
財務(トレジャリー):
資本市場からの調達(商品別)
(2007年末時点:1,030億ユーロ)
6%
譲渡可能融資契約
14 %
劣後商品
16 %
CDs*
64 %
債券
特に、経営管理とリスク管理は、各ビジネス部門と連携をとる一方、取締役会の担当メンバーへ
の厳格に独立した報告ラインをもっている。こうした責任の厳格な分離は、グローバルな金融機
関にとって極めて重要であり、当行は長年にわたりその有効性を実証してきた。
組織の調整
2007 年、当行は、従業員の高い専門性をより有効に活用するため、相互に補完する部門を統合
した。
* 満期 1 年超の譲渡性預金証書
例えば、コミュニケーションとCSR 活動を、より大きな単独組織に統合することで、今後、ビジネ
スやコミュニケーション、CSR 活動を緊密な連携のもとで推進していく体制を整えた。この結果、
新設されたグループ・コミュニケーション&CSRは、グローバル規模でメディアとの関係構築や社
内広報、グローバル・ブランド・コミュニケーション、CSR 活動に責任を負う。一方、新設の法
務 / リスクおよび資本管理は、法務、コンプライアンス、財務(トレジャリー)
、リスク管理で構
成され、より広範な専門知識を活用できる体制を整えた。
課題
世界的な流動性危機の結果、2007 年は特に財務(トレジャリー)にとって、厳しい年となった。
こうしたなか、当行は、短期金融市場が最も困難な時期においても、流動性を確保することがで
きた。
当行の「A Passion to Perform(熱意あるお客さまに情熱をもってお応えする)
」というモットーは、
これまで以上に当行のビジネスに対する取り組み姿勢を表す結果となった。2007 年、当行のこう
した姿勢は、市場や文化の枠を超え、広く各ビジネス分野で認識されただけでなく、従業員自身
の意識にも深く浸透した。
ファイナンスは、規制に従い、2007年の中間決算報告から、国際財務報告基準(IFRS)に準拠し
た報告を行っている。2007 年初め、会計基準をIFRSに移行するにあたり、当 該 移行が決算報告
に与える影響について詳細な報告書を作成した。内部的には、財務データを厳密に分析するため、
業務プロセスの精度向上に取り組み、本件について各ビジネス部門へ的確な助言を提供した。
42
従業員 従業員の長期的コミットメントを促進
従業員の長期的
コミットメントを促進
従業員数
*
(単位:千人、年末時点)
2007 年、ドイツ銀行の従業員数はグローバル規模で 9,442 人増加し、78,291人(常勤相当)と
なった。特に、ベルリン銀行の買収やアジアにおけるインフラ部門の増強といった成長戦略の遂
行が増加要因となった。
90
78.3
67.7
65.4
68.8
63.4
60
30
03
04
05
06
07
* 常勤相当
選ばれる雇用主としての基盤の強化
今後数年間にわたり、高い専門性を持つ有能な人材の獲得競争は激化する。こうしたなか、当行は、
「選ばれる雇用主」としての地位を持続していくことを目指している。こうした取り組みは着実に
成果を挙げ、大学卒業者や数年の職歴のある者を対象とした調査でその成果は証明されている。
2007 年、大学卒業者向けに実施する雇用主イメージ調査で、当行は、ドイツの銀行として唯一、
100 社を超える企業を対象とする主要 2つの調査で10 位以内に選ばれた。インドでは、同様の調
査で 4 位に選ばれた。また、ドイツの大学の新卒予定者を対象とした職業とキャリアに関する調
査では、9 位に上昇した。
数年の職歴のある者を対象とした調査では、当行は、ドイツにおける「望ましい雇用主」として
16 位に上昇した。オンラインを活用したビジネスへの取り組みや新しいメディアの活用による
アクセスのよさが、こうした地位の向上に役立っている。当行の採用ホームページでは、様々
なビジネスや管理部門の従業員が日々の業務について報告し、具体的な業務内容について紹介
している。当行の採用ホームページは、他社との比較調査で、米国において第 1位に選ばれた
ほか、ドイツでは2006 年の15 位から3 位に躍進した。
世界的な従業員数の増加
当行の従業員数は、全世界で前年比14%の伸びとなったが、この急増の主な要因としては、成長
戦略の実行が挙げられる。すなわち、世界の成長著しい地域やアジアの費用対効果の高い地域に
おいて新たな雇用が創出され、従業員数は増加した。一方、ドイツ国内における従業員数も前年
比 5.2%、数にして1,378 人の増加となった。
全世界の従業員数の増加のうち、46.1%はアジア太平洋におけるもので、2007 年には同地域に
おいて4,357人を新規雇用した。残りのうち、英国(963 人)
、南北アメリカ(1,743 人)
、その他
欧州 / 中東 / アフリカ(1,000 人)で 39.3%を占めた。特にインフラ部門における増員が大きく、
2007年中に4,887人を新規に雇用した。PCAMおよび CIBの増員数は、各々、2,443 人と2,121人
であった。
主にアジア太平洋における新規雇用を反映して、24 歳以下の割合が前年の8.9%から10.0%に増
加した。しかしながら、依然として25 ∼ 44 歳の従業員が全体の67.5%と最大部分を占めている。
平均勤続年数は若干短縮され、9.4 年となった。2007 年の研修生の受け入れは、前年より55 人
多い1,506人であった。
43
02 // ステークホルダー
従業員 従業員の長期的コミットメントを促進
新規採用者への取り組み
2007年の大学卒の新規採用者数は、前年比 8%増となった。人事は、こうした採用活動のほかに、
オリエンテーションの実施や会社に対する帰属意識の向上にも取り組んでいる。
従業員の学歴
*
大学卒の割合(%)
64.4
59.7
60
新規採用者を円滑に融合し、長期にわたって雇用していくためには、系統的にオリエンテーショ
ンを実施することが重要である。当行は、アジア太平洋で、新規採用者を初日からチームに迎え
入れ、全体の組織像や企業文化を早急に習得させる新しい試みを行った。この遂行のため、入社
後 6カ月までの新人を視野に入れ、多くのアドバイスや提案事項を含んだ研修プログラムを立案
した。
グローバル規模で魅力的な報酬制度
長期にわたる雇用主としての魅力を高めるためには、業績に連動した報酬だけではなく、定期的
な医療検診を実施するなどの幅広い制度が必要である。
2007年には、既に30年超にわたって実施している子育て支援制度の拡充に特に力を注いだ。この
制度の目的は、再雇用の推進にある。2007 年末時点で当行従業員が利用可能な託児施設は、
ドイツにおいて260カ所、英国では50カ所存在する。終日ケアや複数言語によるサービスの提供
のほかに、従業員の海外異動も支援していく方針である。
米国においては、ドイツと同様に、有給の産後休暇期間を出産または養子縁組後 16 週までに延
長した。新規に導入した「段階的な復帰プログラム」によって、段階を追って職場復帰を果たす
ことが容易になった。このプログラムでは、従業員は8 週間にわたり自分自身で勤務時間を設定
することが可能である。英国では、2008 年より有給の産休取得期間を18 週間から26 週間に延長
することを決定した。
当行は、従業員が勤務時間を柔軟に設定できる様々な支援策を導入している。アジア太平洋では、
ワーク・アンド・ライフ・バランス(仕事と個人生活の両立)の改善に向けた支援プログラムを新
たに開発した。このプログラムは、外部専門家によるアドバイスの提供とオンラインを通じた子
育てや介護に関するアドバイスの提供で構成されている。インドでは、現地の医療サービス機関
との提携を通じて、従業員が高水準の医療サービスを受けられる施策を開始した。
一人ひとりのキャリアを支援
従業員の雇用を維持していく上で、個人のキャリアの将来像を示すことは重要である。投資銀行
業務の基盤強化や、その一環としてグローバル規模で拡大を続けた1990 年代半ばには、当行は、
有能な人材の獲得に特に注力した。グローバル規模で競争力を確保した現在においては、当行は
再び社内における雇用維持と能力の開発に力を入れている。
44
51.0
53.4
55.6
40
20
03
* 人員数
04
05
06
07
従業員の地域別内訳
*
(2007年末時点)
ドイツ
36 %
欧州(ドイツを除く)/
中東 / アフリカ
28 %
アジア太平洋
19 %
米州
17 %
* 常勤相当
今日では、グループ全体に人材管理を適用するだけでなく、各ビジネスの戦略に沿ったかたちで
能力の開発を進めていくことを目指している。この中核を成している「人材見直し」プロセスは、
優秀な人材の発掘や昇進、後継、自己開発プランの作成にも役立っている。当行は、全管理職
が毎年、このプロセスをチームメンバーと共に実行することを目指している。
当行は、女性管理職の割合の上昇にも力を注ぎ、その一環として、女性従業員のネットワークの
確立を支援している。フランクフルトおよびロンドンの「欧州ビジネスで活躍する女性(Women
in European Business)
」や、ニューヨークの「ウォールストリートで働く女性(Women on Wall
Street)
」は、毎年、それぞれコンファレンスを開催し、女性従業員と女性顧客が経験や意見を交
換できる場を提供している。さらに、女性従業員向けに特別に開発した様々な研修やメンター
(指南役)プログラムも実施している。
当行は、従業員がライフサイクルの変化に応じて、キャリアを開発していけることを目指している。
また、労働力人口の構成変化に対しては、健康や業績、雇用の維持を支援する幅広い施策の導入
や任意の特典、継続研修コースの実施によって対応していく。例えば、2007 年、当行は WISE
ネットワークの参加企業として、ヤコブ・インターナショナル・ユニバーシティ・ブレーメンと協力
して、生涯教育に関する調査を実施した。さらに、異なる年齢層の従業員を対象とした初の社内
ネットワークである「SeniorExperts@db」の創設を支援した。
当行は、1999 年以降、全従業員を対象にグローバル規模で従業員満足度調査を実施している。
この調査結果を受け、各ビジネスは、改善のための施策に取り組んでいる。調査結果は、若干で
はあるが着実に改善傾向を示している。
45
02 // ステークホルダー
社会 企業の社会的責任
企業の社会的責任
社会的責任の遂行は、当行企業文化の中核である。優れた業績と社会的責任、資源の持続的活
用は、相互に連携している。
グローバルな
社会的責任活動の投資内訳
8,220万ユーロ1(2007年)
2007 年、社会的責任活動は、取締役会会長の直轄となり、グループ・コミュニケーションと統合
された。各ビジネスとの連携をさらに深めることで、当行の姿勢や取り組みをこれまで以上に明
確に当行の内外に発信していく方針である。
42 %
社会投資
24 %
教育
24 %
芸術
10 %
企業ボランティア
社会的責任活動における当行のモットーは、
「More than Money(お金を超える価値)
:社会資本
の創出」にある。
コミットメント
当行は、慈善活動に対して、資金的支援以上のものを提供することを目指している。当行従業員
にとって、
「A Passion to Perform(熱意あるお客さまに情熱をもってお応えする)
」はビジネスに
取り組む姿勢だけでなく、あらゆるステークホルダーに対する行動の基本姿勢となっている。
2007 年、世界中の当行従業員が携わったボランティア延べ日数は、前年比で100%超増加し、
19,440日となった。
1
機会の創出
革新的な解決策を提案することは、当行のビジネス上の基本的な目的の一つである。当行は、社会
的責任を遂行する上でも革新的解決策の提案に努めている。既に、10 年以上もの間、マイクロ
ファイナンスを積極的に推進し、他行を先導している。マイクロファイナンスは、ビジネスの専
門知識をいかに社会的責任活動に活用できるかを示したもので、世界の恵まれない地域の人々に
対して、多くの機会を創出した代表的な例となっている。2007 年には、世界で初めてマイクロ
ファイナンス金融機関の劣後ローンを外部格付けを取得して証券化した「db マイクロファイナ
ンス・インベスト」を提供し、個人投資家や機関投資家の投資機会を創出した。
もう一つの世界的な課題としては、大都市の急激な成長である。当行は、ドイツ銀行アルフレー
ト・ヘールハウゼン・ソサイアティによる「都市の時代(Urban Age)
」の一連のコンファレンス開
催を通じて、この問題に対して解決策を提示していくことを目指している。2007年には、都市の
持続的成長に向けた画期的な取り組みを評価する、
「ドイツ銀行 都市の時代(Urban Age)ア
ワード」を初めて実施し、ムンバイ(インド)の2つのプロジェクトに対して10 万米ドルを贈呈
した。
創造性の支援
当行の芸術活動の主な目的は、創造性を支援することにある。オフィスには、ドイツ銀行コレク
ションの作品を展示し、当行従業員の職場環境の改善につなげている。若手の有望な芸術家には、
作品の購入や奨学金の支給を通じて活動を支えている。ドイツ銀行基金は、モスクワの
「Kandinsky Prize」やワルシャワの「Views」芸術賞を通じて、東欧の若手芸術家を支援している。
46
スポンサーシップを含む。
従業員ボランティア活動の
地域別内訳
延べ19,440日(2007年)
アジア / アフリカ
5%
米州
20 %
英国
22 %
才能を育てる
教育プロジェクトの目的は、才能を発掘し、それを伸ばすことにある。2007年、ドイツ銀行基金は、
アクセンチュア基金とドイツ・ビジネス基金と共に、高等教育を受けていない両親を持つ子供に
対して、大学への進学を奨励し、職業機会を増やすことを目的とした「Studienkompass(アカ
デミック・コンパス)
」を開始した。
一方、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の教育プログラムである「Future@BPhil」を通じて、
若者にクラシック音楽に触れる機会を提供し、個性の伸張を支援している。当行は、ベルリン・
フィルハーモニー管弦楽団と専属パートナーシップ契約を結び、2002 年以降、8,000 人を超える
若者がこの教育プログラムに参加することを支援してきた。こうした当行のコミットメントは、
ベルリン・フィルとその主席指揮者であるサー・サイモン・ラトルが、2007 年にニューヨークのユ
ニセフ大使に選ばれる一つの要因となった。なお、ユニセフ大使に選ばれたのは、団体としては
ベルリン・フィルが初めてであり、また、個人としてもドイツから選ばれた国際大使はこれが初め
てである。
ドイツ
53 %
学術研究や教育分野でも前進した。2007年、フランクフルトのヨハン・ウォルフガング・ゲーテ大
学金融センターは、当行の支援により、銀行や資本市場研究における優れた研究業績を称える
「ドイツ銀行金融経済賞」の 2 度目の授与を行い、コロンビア大学(ニューヨーク)政治経済学
部のマイケル・ウッドフォード教授が受賞の栄を得た。
持続性
当行では、社会的責任活動の一環として、気候環境変化への取り組みも行っている。2007年には、
持続性を目的とした運用商品を拡大し、DWS Climate Changeなどの投資信託を投入した。世界
15 大都市で建物のエネルギー効率を高めることを目指したグローバルなプログラム、
「クリントン
気候イニシアティブ」のパートナーとして、金融の専門知識を活かし、市場を通じた解決策の開
発に貢献した。
「ソーラー・インパルス」プロジェクトでは、一滴の燃料も使わずに、昼夜を通し
て世界中を飛行することができる飛行機の開発支援を通じて、再生可能エネルギーの促進と天然
資源の希少性への注目を喚起した。当行は、1999 年以降、毎年、持続性管理システムISO14001
の認証を取得している。企業の持続性への取り組みを評価する SAMリサーチ・サーベイでは、
当行は銀行セクターで上位10%に入った。人権や労働基準、環境保護や汚職防止を目的とする
UN(国連)グローバル・コンパクトの10原則は、長年にわたり当行の社内方針ならびにガイドライン
の基礎となっている。
社会的責任活動の詳細は、2007年社会的責任報告書「More than Money(お金を超える価値)
:
社会資本の創出」に記載されている。
47
変貌を遂げる世界で躍進する SOFIA DEVOTO
48
// ドイツ銀行は、顧客との長期にわたる関係の構築を目指している。いかなる状況に
おいても顧客の特有なニーズを理解することは、当行が躍進を遂げる上で大きな要因
となっている。
ソフィア・デボート Sofia Devoto
ドイツ銀行グループ、ブエノスアイレス
49
03 // CONSOLIDATED FINANCIAL STATEMENTS
STATEMENT OF INCOME
連結決算書
03 //
50
03 // 連結決算書
損益計算書
損益計算書
損益計算書
2007年度
67,706
58,857
8,849
612
8,237
2006年度
58,275
51,267
7,008
298
6,710
手数料およびフィー収益
損益計算書を通じて公正価値で測定する金融資産 / 負債に係る純利益(損失)
売却可能金融資産に係る純利益(損失)
持分法適用投資に係る純利益(損失)
その他の収益
利息以外の収益合計
12,289
7,175
793
353
1,286
21,896
11,195
8,892
591
419
389
21,486
給与手当
一般管理費
保険業務に係る費用
無形資産の減損
再構築費用
利息以外の費用合計
13,122
7,954
193
128
(13)
21,384
12,498
7,069
67
31
192
19,857
8,749
2,239
6,510
36
6,474
8,339
2,260
6,079
9
6,070
2007年度
13.65
13.05
2006年度
12.96
11.48
474.2
468.3
496.1
521.2
単位:百万ユーロ
利息および類似収益
利息費用
純利息収益
信用リスク引当金繰入額
信用リスク引当金繰入額控除後の純利息収益
税引前純利益
法人所得税費用
当期純利益
少数株主に帰属する純利益
ドイツ銀行株主に帰属する純利益
普通株式 1 株当たり純利益
単位:ユーロ
基本的
希薄化後 1
単位:百万株
基本的 1 株当たり純利益計算上の分母
−加重平均流通株式数
希薄化後 1 株当たり純利益計算上の分母
−転換想定後の修正加重平均株式数
1
想定される転換による分子への影響が含まれている。
51
03 // 連結決算書
貸借対照表
貸借対照表
資産
単位:百万ユーロ
現金および銀行預け金
利付銀行預け金
中央銀行ファンド貸出金および売戻条件付買入有価証券(逆レポ)
借入有価証券
損益計算書を通じて公正価値で測定する金融資産
このうち、2007年および2006年12月31日現在でそれぞれ1,580億ユーロおよび870億ユーロは、
債権者に担保として差入れ、売却または再担保差入れが可能
売却可能金融資産
このうち、2007年および2006年12月31日現在でそれぞれ17百万ユーロおよび23百万ユーロは、
債権者に担保として差入れ、売却または再担保差入れが可能
持分法適用投資
貸出金
土地建物および設備
のれんおよびその他の無形資産
その他の資産
法人所得税資産
繰延税金資産
資産合計
2007年12月31日現在
8,632
21,615
13,597
55,961
2006年12月31日現在
7,008
19,199
14,265
62,943
1,474,103
1,104,650
42,294
3,366
198,892
2,409
9,383
182,897
2,428
4,772
2,020,349
38,037
2,541
178,524
3,241
8,612
139,021
2,120
4,332
1,584,493
2007年12月31日現在
457,946
178,741
9,565
966,177
53,410
171,509
1,295
4,515
2,124
126,703
6,345
3,553
1,981,883
2006年12月31日現在
411,916
102,200
21,174
694,619
48,433
144,129
1,768
4,033
2,285
111,363
4,771
4,327
1,551,018
負債および株主持分
単位:百万ユーロ
預金
中央銀行ファンド借入金および買戻条件付売却有価証券(レポ)
貸付有価証券
損益計算書を通じて公正価値で測定する金融負債
その他の短期借入金
その他の負債
引当金
法人所得税負債
繰延税金負債
長期債務
信託優先証券
自己株式購入義務
負債合計
株主持分
普通株式、無額面、名目価額 2.56 ユーロ
資本剰余金
利益剰余金
自己普通株式、取得原価
自己株式購入義務振替額
損益計算書に認識されていない純利益(損失)、税引後
売却可能有価証券に係る未実現純利益、該当する税金およびその他控除後
キャッシュ・フロー・ヘッジ目的のデリバティブに係る未実現純利益(損失)、税引後
外貨換算調整勘定、税引後
損益計算書に認識されていない純利益(損失)合計、税引後
ドイツ銀行株主持分合計
少数株主持分
株主持分合計
負債および株主持分合計
52
1,358
15,808
25,116
(2,819)
(3,552)
1,343
15,246
20,451
(2,378)
(4,307)
3,635
(52)
(2,450)
1,133
37,044
1,422
38,466
2,020,349
3,208
(45)
(760)
2,403
32,758
717
33,475
1,584,493
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書
単位:百万ユーロ
当期純利益
営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益を営業活動によるキャッシュ・フローに調整するための修正:
貸倒引当金繰入額
再構築費用
売却可能金融資産、持分法適用投資およびその他の売却益
繰延法人所得税、純額
減損、減価償却およびその他の償却
持分法適用会社の純利益に対する持分
非資金損益項目等調整後純利益
営業資産および負債の純増加 / 減少 / 変動に関する調整:
利付定期銀行預け金
中央銀行ファンド貸出金および売戻条件付買入有価証券、借入有価証券
トレーディング資産
その他の損益計算書を通じて公正価値で測定する金融資産(投資活動を除く)
貸出金
その他の資産
預金
トレーディング負債
その他の損益計算書を通じて公正価値で測定する金融負債(財務活動を除く)
貸付有価証券および中央銀行ファンド借入金および買戻条件付売却有価証券
その他の短期借入金
その他の負債
優先長期債務
その他、純額
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー:
収入:
売却可能金融資産の売却 ¹
売却可能金融資産の満期償還 ¹
持分法適用投資の売却
土地建物および設備の売却
購入:
売却可能金融資産 ¹
持分法適用投資
土地建物および設備
企業結合 / 事業売却による純資金支出額
その他、純額
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー:
劣後長期債務の発行 ²
劣後長期債務の返済および償還 ²
信託優先証券の発行 ²
信託優先証券の返済および償還 ²
株式を基礎とした報酬制度に基づく普通株式の発行
自己株式の購入
自己株式の売却
少数株主への配当の支払
少数株主持分の増加
現金配当の支払
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金および現金同等物に対する為替レート変動の純影響
現金および現金同等物の純増加
現金および現金同等物、期首残高
現金および現金同等物、期末残高
営業活動によるキャッシュ・フローは以下を含む
法人所得税支払額、純額
利息支払額
利息および配当受取額
現金および現金同等物の構成要素
現金および銀行預け金
利付要求払銀行預け金
(2007年12月31日現在4,149百万ユーロおよび2006年12月31日現在8,853百万ユーロの定期預金を含んでいない)
合計
2007年度
6,510
2006年度
6,079
651
(13)
(1,907)
(918)
1,731
(358)
5,696
352
30
(913)
165
1,355
(207)
6,861
7,588
5,146
(302,932)
(75,775)
(22,185)
(42,674)
47,464
205,814
70,232
69,072
6,531
21,133
22,935
(1,255)
16,790
(3,318)
(11,394)
(87,409)
(19,064)
(14,403)
(30,083)
35,720
25,243
41,518
18,955
7,452
30,079
10,480
527
11,164
12,470
8,179
1,331
987
11,952
6,345
3,897
123
(25,230)
(1,265)
(675)
(648)
463
(4,388)
(22,707)
(1,668)
(606)
(1,120)
314
(3,470)
429
(2,809)
1,874
(420)
389
(41,128)
39,729
(13)
585
(2,005)
(3,369)
(289)
8,744
17,354
26,098
976
(1,976)
1,043
(390)
680
(38,830)
36,380
(26)
130
(1,239)
(3,252)
(510)
3,932
13,422
17,354
2,806
58,097
67,706
3,102
49,921
58,275
8,632
7,008
17,466
26,098
10,346
17,354
¹ 損益計算書を通じて公正価値で測定するものを含む。
² 損益計算書を通じて公正価値で測定するものを含む。
53
変貌を遂げる世界で躍進する DR. BERTRAND PICCARD
54
// ドイツ銀行は、ソーラー飛行機による世界一周有人飛行のスポンサーを務めている。
これは、より多くの人々に我々の活動を知ってもらうだけでなく、再生可能エネル
ギーの開発や利用拡大を可能にしている。ドイツ銀行とは、新境地を切り開いていく
勇気を共有している。
バートランド・ピカード Dr. Bertrand Piccard
ソーラー・インパルス 社長、ローザンヌ
55
追加情報
04 //
04 // 追加情報
経営機構
取締役会の責任に関する報告
取締役会の責任に関する報告
連結財務書類は、取締役会が知りうる限りにおいて、また適用ある報告原則に従い、ドイツ銀行
グループの資産、負債、財政状態、損益について、真実かつ公正な見解を示している。ドイツ銀
行グループ・マネージメント・リポートは、事業展開や業績の公正な検討に加え、グループの今後
の事業展開にかかる主要な機会とリスクについても記述している。
2008 年 3月4日
フランクフルト・アム・マイン
ヨゼフ・アッカーマン
Josef Ackermann
ヒューゴ・バンチガー
Hugo Bänziger
アンソニー・ディ・イオリオ
Anthony Di Iorio
ヘルマン-ヨゼフ・ランベルティ
Hermann-Josef Lamberti
57
04 // 追加情報
経営機構 監査役会報告書
監査役会報告書
2007 年は、金融機関にとって大きな課題に直面した年となった。米国住宅ローン市場の混乱に
端を発して、世界的に金融システムは深刻な試練を受けた。こうした困難な状況にもかかわらず、
当行は良好な業績を達成した。これは、当行の経営戦略が成功裡に遂行されていること、引き続
きビジネスモデルが適切であること、そしてコーポレート・ガバナンスが有効に機能していること
の証左である。当行の取締役ならびに従業員は、こうした成功に向け多大な貢献を行った。彼ら
の尽力に対し、謝意を表したい。
2007年、監査役会は、経済・財務状況やリスク管理、事業戦略、さらには事業計画について包括
的な議論を行った。取締役会とは、事業戦略や経営課題となっている施策の遂行について、詳細
な議論を行った。取締役会から、経営企画や事業方針、運営戦略、財務、収益状況、リスク / 流
動性 / 資本政策に関する基本的事項に加え、当行に重要な取引や事案について、遅滞なく定期的
に報告を受けた。監査役会は取締役会に助言を行い、取締役会による経営を監視した。また、
根本的に重要性の高い事案の決定に関与した。定例会議のない期間も、監査役会は取締役会より、
重要事項について文書で報告を受けた。必要に応じて、文書の回覧による決議も行われた。さらに、
取締役会会長と監査役会会長による定例会議において、重要事項や今後の決定事項が取り上げ
られた。
2008年5月29日開催の年次株主総会終了をもって、現監査役会メンバーは5年の任期を終えるが、
我々は当行の将来に対し楽観的な見方をしている。当行は、引き続き成功を収めていくために、
万全の体制を整えていると確信している。そこでは、グローバルな事業基盤の活用が特に重要な
意味を持つ。今後も、当行は組織の自律的成長や補完的・選択的買収を通じて、中核ビジネスに
注力していく所存である。また、既に強固な基盤を確立している法人・機関投資家向けビジネス
に加えて、市場の変動にかかわらず安定した収益が見込まれる個人・資産運用ビジネスの拡充を
続けていく。また、異なるビジネス間の相乗効果も一層拡大していく方針である。さらに、当行は、
コスト / リスク / 資本の厳格な管理とコンプライアンスの強化にも引き続き取り組んでいく。
監査役会会議
監査役会は、2007年度中に5回の会議を行った。
2007 年1月31日に開催された第1回会議において、2006 年の事業展開および年次財務書類の主
要数値、配当の提案、2007 年から2009 年までの事業計画について議論した。さらに、ハイデブ
レックの後任について議論し、ハイデブレックが 2007 年年次株主総会の終了をもって取締役会
メンバーを退任するのに伴い、ハイデブレックの職責を取締役会の他のメンバーが継承すること
を決議した。
58
クレメンス・ベルジッヒ
監査役会会長
2007 年 3 月21日の財務書類に関する会議は、監査委員会委員長であるアイックが議長を務め、
2006 年度財務書類の承認、確定を行った。さらに、同会議では、コンプライアンスおよび反マ
ネーロンダリング報告書ならびにコーポレート・ガバナンス報告書についての議論に加え、監査
役報酬の調整についても詳細に議論した。また、2007年年次株主総会の議題について承認した。
さらに、グループ全体のリスク管理については、広範かつ詳細にわたる情報を入手した。
年次株主総会前日の夕方には、株主総会の議題に関連した事項についての現状ならびに公表さ
れている反対提案に関して議論を行い、必要に応じて決議が行われた。さらに、株主総会の承認
を受けることを条件として、ベルジッヒを、監査役会メンバーの任期終了まで監査役会会長とし
て再選した。
2007 年 7月31日の会議では、2007 年上半期の事業展開について見直しを行い、クレジット市場
の現状について詳細に議論した。さらに、過去 2 年間に実行した大規模な企業買収に関連した事
業の進捗状況について、当初の計画から変更があった場合はその理由も含めて、検討を行った。
基本定款13 条1d)で規定されている監査役会の承認を必要としない持分の取得や売却について、
取締役会から報告を受けた。
10月30日に2007 年最後となる監査役会が開催され、同年1∼ 9月期の事業展開について詳細に
議論された。特にリスク管理や今後の事業戦略について、その目標と計画されている施策に議論
が集中した。2007年 6月に政府委員会が承認したドイツ・コーポレート・ガバナンス法の補遺に基
づき、監査役会は指名委員会を設置し、監査役会、監査役会委員会、取締役会の参照事項につ
いての修正や取締役会の事業配置計画への変更を決議した。さらに、人材開発や継承計画につ
いての人事報告書について議論した。
監査役会メンバーは、全員が、2007 年度に開催された監査役会会議に、僅かな例外を除いて出
席した。
監査役会委員会
会長統括委員会は2007 年度中に 4 回の会議を開催した。主に、取締役会に関連した議題が取り
上げられ、なかでも2007 年の取締役の変動報酬部分の決定や取締役会の長期的な継承計画につ
いて議論された。また、監査役会の決議のための準備を行ったほか、監査役会メンバーの新しい
報酬制度についても議論した。必要に応じて、取締役の他企業における取締役就任についても
承認した。さらに、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法の新たな勧告や提案の実行に関しても議
論した。
59
04 // 追加情報
経営機構 監査役会報告書
リスク委員会は、6回の会議で、ドイツ法および基本定款の下で承認を必要とする当行のエクス
ポージャーに加え、主要融資のすべておよび内包するリスクが拡大した融資について議論し、
必要に応じてこれらを承認した。同委員会は、信用リスク、流動性リスク、カントリーおよび市場
リスクとは別に、事業リスク、法的リスクならびに風評リスクについても議論した。また、米国
住宅ローン市場のリスク管理の状況や現状ならびにその影響に関して、特に集中して検討した。
さらに、特定の計画に従ったグローバル規模の業種ポートフォリオが提示され、詳細な議論が行
われた。
監査委員会は 2007 年度中に 7 回の会議を開催し、当行監査人代表もすべての会議に出席した。
議題は、年次財務諸表および連結財務諸表、四半期財務諸表、米国SEC 様式 20-Fならびに6-K、
半期報告書の監査と承認であった。また、2007年監査人選任の提案や監査人依頼書の発行、焦点
を当てるべき監査対象領域の特定、監査人報酬の決議、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法なら
びに米国上場企業会計監視委員会(PCAOB)規則に従った監査人の独立性の証明も行った。
監査委員会は、前年度までと同様に、監査人との間に利害関係がないことを確信している。さらに、
内部管理システムの実行に関するサーベンス・オクスレー法の規定やこれに関連した定期的な報
告書について、詳細にわたり議論した。また、必要に応じて決議を行い、または、監査役会の承
認のため決議案が提案された。監査委員会は、監査人を含む会計事務所による非監査業務や監
査人による内部監査業務に関する報告書に加え、法的リスクおよび風評リスクに関する報告書を
定期的に受け取った。監査委員会は、会計や内部会計システム、監査事項について、何らの苦情
も受け取らなかった。さらに、臨時会議において、米国で一般に認められている会計原則
(U.S.GAAP)から国際財務報告基準(IFRS)への移行に関して議論した。2007年最後の会議では、
監査委員会は、取締役会と監査人に対し、IFRSに従った2007 年度財務書類および財務報告書、
公正価値会計、融資契約の会計処理、連結対象ならびに連結対象外の特定目的事業体に関して、
予定されている重点監査領域について提示を求めた。
2007 年10月30日に設置された指名委員会は、同年12月に初めての会議を開いた。同会議では、
監査役会の株主代表の現在の構成について分析し、その将来の構成要件について定めた。さらに、
監査役会メンバーの候補者選定に関して助力を得るため、国際的な外部コンサルタント会社を任命
した。
ドイツの共同決定法の規則に基づき設置された仲裁委員会は、その必要がなかったため、2007
年には開催されなかった。
60
各委員会の委員長は、各委員会の業務について定期的に監査役会に報告した。
コーポレート・ガバナンス
ドイツ・コーポレート・ガバナンス法の新たな勧告ならびに提案の実行に関して、監査役会、会長
統括委員会、監査委員会は各々、数回にわたり議論した。監査役会は新たな勧告の実行および
指名委員会の設置を決議した。指名委員会は 3 人の株主代表によって構成され、株主代表監査
役メンバーの年次株主総会における選任のための監査役会の提案や裁判所による指名のための
準備を担う。これらの業務は、以前は会長統括委員会が担っていた。さらに、コンプライアンス
に関連した問題は、監査委員会が責任を負うことが明確にされた。これらを受けて、監査役会な
らびに監査役会委員会の参照事項が修正された。
監査役会メンバーの報酬は、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法に従って2007 年年次株主総会
で決議され、調整された。この新しい報酬制度や各監査役会メンバーの報酬についての詳細は、
報酬報告書の 44 頁以降に公表されている。
2007年10月に、現在の任期の終了時において、監査役会の効率性調査を再び実施することが決
議されたことを受け、2007 年末には、当行独自の質問表がすべての監査役会メンバーに送付さ
れた。その結果、前回の調査で行われた提案や施策は有効に実施され、監査役会の効率性向上
につながっていることが示された。この調査結果は、本日開催された監査役会において詳細に議
論された。
取締役会メンバーを除いた監査役会メンバーだけによる特別会議(エグゼクティブ・セッション)
が数度にわたり開催された。
監査役会は、現在の独立メンバーの数が適切な人数であると判断した。
取締役会の参照事項に関する規則に従い、取締役会は、監査役会会長の同意を得て、2007 年 5
月24日の株主総会終了をもって、バンチガーをフォン・ハイデブレックの後任としてコーポレー
ト・ガバナンス責任者とすることを決議した。
前回は2006 年10月に監査役会と取締役会により行われた、ドイツ株式会社法第161条(AktG)
への適合宣言は、2007年10月30日、監査役会において新たに行われた。
61
04 // 追加情報
経営機構 監査役会報告書
2007 年10月30日の適合宣言を含んだ当行コーポレート・ガバナンスの包括的な記述は、2007 年
度ファイナンシャル・リポートの 260 頁以降に掲載されているが、当行ホームページ(www.
deutsche-bank.com)でも入手できる。監査役会、監査役会委員会、取締役会の参照事項も同
時に入手できる。
利害関係および対処
リスク委員会は、ドイツ銀行法第15 条で規定されている融資の承認を行った。当該決議を行う
時点で、借り手企業の監査役会構成員を兼ねていた当行監査役会メンバーは、議論ならびに投
票に参加しなかった。
ベルジッヒは、会長統括委員会による 2006 年度取締役会メンバーの変動報酬決定において、
自らに関連する事項については投票に参加しなかった。またベルジッヒは、2006 年度財務書類
を確定する監査委員会および監査役会の議論ならびに決議にも参加しなかった。この議題を扱っ
た監査役会会議はアイックが議長を務めた。ベルジッヒは、以前務めていた取締役会メンバーと
しての活動に関連した一つの議題についても、書面による決議に参加しなかった。当該書面によ
る決議は、トーデンヘーファーが主導した。
訴訟
前年までと同様に、監査役会は、ドイツ銀行およびブロイヤーに対するキルヒ氏の訴訟に関して
定期的に情報提供を受け、今後の対応について議論した。2003 年から2007年までの各年次株主
総会に関連した無効確認訴訟や情報入手のための手続きや予期される結果を含めて、定期的に
幅広く議論された。2006 年 6月1日の年次株主総会における、ベルジッヒの監査役会メンバーへ
の選任は、当初、フランクフルト地方裁判所により無効が宣言されていたが、2007 年 5月24日
開催の年次株主総会においてその選任が確認された。
さらに、重要な訴訟については、定期的に報告を受けた。
年次財務諸表
昨年の株主総会で選任された年次財務諸表の監査人であるKPMGドイチェ・トロイハント- ゲゼル
シャフト・アクツィエンゲゼルシャフト会計監査会社(フランクフルト・アム・マイン)は、会計お
よび 2007 年度財務諸表およびマネージメント・リポート、2007 年度連結財務諸表(注記を含む)
およびマネージメント・リポートの監査を行い、個々について適正意見を表明した。監査役会は、
監査人による報告書を検討し、包括的な議論を経て、監査委員会による推薦に沿って、監査結
果に同意した。
62
本日、監査役会は取締役会が作成した年次財務諸表を確定し、連結財務諸表を承認する。また
監査役会は、利益配分に関わる提案および無額面株式 1株当たり4.50 ユーロの配当支払いに同
意する。
人事
フォン・ハイデブレックは、2007 年 5月24日の年次株主総会終了をもって取締役メンバーを退任
した。ハイデブレックの従来の職責は、取締役会の他のメンバーに引き継がれた。ランベルティ
が人事を担当し、ドイツ銀行の労務ディレクターの役職も引き継いだ。アッカーマンは、従来の
職務に加え、CSR 活動に関する責任も負うこととなった。さらに、バンチガーが法務ならびにコ
ンプライアンス、ディ・イオリオが内部監査の職務を引き継いだ。監査役会は、ハイデブレック
の長年にわたる当行への貢献と取締役会メンバーとしての献身的な働き、そして監査役会に対す
る一貫した建設的な支援に心より謝意を表する。
本日開催された監査役会会議において、ステファン・クラウスが 2008 年 4 月1日付で取締役会メ
ンバーに任命された。クラウスは、2002 年 5月にBMW AGの取締役会メンバーに就任し、2007
年 9 月までチーフ・ファイナンシャル・オフィサー(CFO)を務めた後、セールス・アンド・マーケ
ティング統括責任者を務めていた。クラウスは、当行の取締役会メンバーとして、2008 年10月1
日付で退任するディ・イオリオの後任としてCFOに就任する予定である。
2007年、監査役会の構成に変化はなかった。
2008 年 3月19日
フランクフルト・アム・マイン
監査役会
クレメンス・ベルジッヒ
会長
63
04 // 追加情報
経営機構 監査役会
監査役会
Dr. Clemens Börsig
Peter Kazmierczak*
Chairman,
Frankfurt am Main
Deutsche Bank AG,
Herne
Heidrun Förster*
Maurice Lévy
Deputy Chairperson,
Deutsche Bank Privat- und
Geschäftskunden AG,
Berlin
Chairman and Chief Executive
Officer, Publicis Groupe S.A.,
Paris
Dr. Karl-Gerhard Eick
Deputy Chairman of the Board
of Management of
Deutsche Telekom AG,
Cologne
Henriette Mark*
Deutsche Bank AG,
Munich
Prof. Dr. jur. Dr.-Ing. E.h.
Heinrich von Pierer
Erlangen
Ulrich Hartmann
Chairman of the Supervisory
Board of E.ON AG,
Düsseldorf
Gabriele Platscher*
Deutsche Bank Privat- und
Geschäftskunden AG,
Braunschweig
Gerd Herzberg*
Deputy Chairman of
ver.di Vereinte Dienstleistungsgewerkschaft,
Hamburg
Karin Ruck*
Deutsche Bank AG,
Bad Soden am Taunus
Dr. Theo Siegert
Deutsche Bank AG,
Frankfurt am Main
Managing Partner of
de Haen Carstanjen & Söhne,
Düsseldorf
Rolf Hunck*
Tilman Todenhöfer
Deutsche Bank AG,
Seevetal
Managing Partner of
Robert Bosch Industrietreuhand KG,
Stuttgart
Sabine Horn*
Sir Peter Job
London
Prof. Dr.
Henning Kagermann
CEO of SAP AG,
Hockenheim
Ulrich Kaufmann*
Deutscher BankangestelltenVerband, labor union
for financial services providers,
Ratingen
64
Dipl.-Ing. Dr.-Ing. E.h.
Jürgen Weber
Chairman of the Supervisory
Board of Deutsche Lufthansa AG,
Hamburg
Leo Wunderlich*
Deutsche Bank AG,
Mannheim
* ドイツの従業員による選任
委員会
会長統括委員会
リスク委員会
Dr. Clemens Börsig
Chairman
Dr. Clemens Börsig
Chairman
Heidrun Förster*
Sir Peter Job
Ulrich Hartmann
Prof. Dr. Henning Kagermann
Ulrich Kaufmann*
Prof. Dr. jur. Dr.-Ing. E.h.
Heinrich von Pierer
Substitute Member
仲裁委員会
Dr. Clemens Börsig
Chairman
Tilman Todenhöfer
Substitute Member
Heidrun Förster*
指名委員会
Ulrich Hartmann
Henriette Mark*
(2007 年 10月30日以降)
Dr. Clemens Börsig
Chairman
監査委員会
Dr. Karl-Gerhard Eick
Chairman
Ulrich Hartmann
Dr. Clemens Börsig
Dipl.-Ing. Dr.-Ing. E.h.
Jürgen Weber
Heidrun Förster*
* ドイツの従業員による選任
Sabine Horn*
Rolf Hunck*
Sir Peter Job
65
04 // 追加情報
補足情報
グループ 5 年間の記録
グループ 5 年間の記録
IFRS に基づく
U. S .G A A P に 基 づ く 1
貸借対照表
単位:百万ユーロ
総資産
貸出金、純額
負債 2
株主持分合計
少数株主持分 3
Tier 1リスク・ベース自己資本(BIS)
リスク・ベース自己資本合計(BIS)
2007年
2006年
2,020,349 1,584,493
198,892
178,524
1,981,883 1,551,018
37,044
32,758
1,422
717
28,320
23,539
38,049
34,309
2005年
992,161
151,355
961,603
29,936
622
21,898
33,886
2004年
840,068
136,344
813,616
25,904
548
18,727
28,612
2003年
803,614
144,946
775,065
28,202
347
21,618
29,871
2005年
6,001
350
10,089
7,429
2,121
19,639
10,993
7,366
52
–
767
19,178
6,112
2,039
544
–
3,529
2004年
5,182
307
9,506
6,186
1,044
16,736
10,222
6,681
260
19
400
17,582
4,029
1,437
120
–
2,472
2003年
5,847
1,063
9,332
5,611
478
15,421
10,495
6,759
110
114
(29)
17,449
2,756
1,327
215
151
1,365
2005年
7.62 €
6.95 €
1.70 €
12.5 %
21.7 %
74.7 %
8.7 %
13.5 %
63,427
2004年
5.02 €
4.53 €
1.50 €
9.1 %
14.8 %
79.9 %
8.6 %
13.2 %
65,417
2003年
2.44 €
2.31 €
1.30 €
4.7 %
9.5 %
81.8 %
10.0 %
13.9 %
67,682
損益計算書
単位:百万ユーロ
純利息収益
信用リスク引当金繰入額 4
手数料およびフィー収益
損益計算書を通じて公正価値で測定する金融資産 / 負債に係る純利益(損失)5
その他の利息以外の収益
利息以外の収益合計
給与手当
一般管理費 4,6
保険業務に係る費用
無形資産の減損
再構築費用
利息以外の費用合計 4 ,6
税引前純利益 6,7
法人所得税費用(ベネフィット)
税率変更による1999年度 / 2000年度貸方計上額の振戻しによる影響
会計処理方法変更の累積的影響、税引後
当期純利益 8
少数株主に帰属する純利益
ドイツ銀行株主に帰属する純利益
2007年
8,849
612
12,289
7,175
2,432
21,896
13,122
7,954
193
128
(13)
21,384
8,749
2,239
2006年
7,008
298
11,195
8,892
1,399
21,486
12,498
7,069
67
31
192
19,857
8,339
2,260
6,510
36
6,474
6,079
9
6,070
主要数値
2007年
13.65 €
13.05 €
4.00 €
18.0 %
24.3 %
69.6 %
8.6 %
11.6 %
78,291
2006年
12.96 €
11.48 €
2.50 €
20.4 %
28.0 %
69.7 %
8.5 %
12.5 %
68,849
基本的1株当たり純利益
希薄化後1株当たり純利益
期中1株当たり支払配当金
平均株主持分合計利益率(税引後)
税引前平均株主持分利益率
費用 / 収益比率
BIS 規制コア自己資本比率(Tier 1)
BIS 規制自己資本比率(Tier 1+2+3)
従業員数(常勤換算)
1
U.S.GAAP による貸借対照表、損益計算書および主要数値は、IFRS によるものとごく一部のみ比較可能。U.S.GAAP による損益計算書の数値は、IFRS の定義によって調整済。
少数株主持分を除く。
少数株主持分は、IFRS では株主持分合計に含まれるが、U.S.GAAP では負債に含まれる。
4
U.S.GAAP では、オフバランス信用リスク引当金繰入額は、一般管理費から信用リスク引当金繰入額に振替え。
5
U.S.GAAP では、トレーディング純収益。
6
U.S.GAAP では、少数株主費用を含む。
7
U.S.GAAP では、法人所得税費用および会計処理方法変更の累積的影響前利益。
8
U.S.GAAP では、ドイツ銀行株主に帰属する純利益。
2
3
66
補足情報
用語解説
用語解説
アルファ(Alpha)
ベンチマークを上回る投資収益。
バイアウト
企業の全体もしくは一部の買収、ある
いは特定事業の買収。
オルタナティブ資産 / 投資
プライベート・エクイティ(別記参照)
、
ベンチャー・キ ャ ピ タ ル、 メ ザ ニ ン・
キャピタルへの直接投資、不動産キャ
ピタル投資、レバレッジド・バイアウ
ト・ファンド投資、ベンチャー・キャピ
タル・ファンド、ヘッジファンド(別
記参照)。
BIS 基準自己資本
1988 年のバーゼル合意(1996 年 1 月
に最終改訂)に基づき、国際業務を行
う銀行に対して規制目的で設定された
自己資本。資本構成は以下の通り。
− コア資本(Tier 1)
:主に株式資本、
剰余金、ハイブリッド資本。
− 補完的資本(Tier 2)
:主に参加資本、
米国預託証券(ADRs)
長期劣後債、上場証券の未実現利益、
米国銀行が発行し、米国銀行に預託した
その他貸倒引当金。
非米国株式を表す譲渡可能預かり証書。 − Tier 3:主に短期劣後債、Tier 2 資
手続きの簡略化やコスト削減、米国証
本超過額。
券市場における売買の増加につながっ 補完的資本はコア資本の 100%に限定
ている。
され、また、補完的資本とみなされる
長期劣後債はコア資本の 50%に限定
資産担保証券(ABS)
される。
特定タイプの支払債権を取引可能な形
態にした証券。特定の金融資産のリ キャッシュ・フロー計算書
パッケージにより証券化(別記参照) 当会計年度中に、企業による事業、投資、
される。
財務活動の結果として発生、消費した
アセット・ファイナンス & リーシング
高価な耐久資産を裏付けとした革新的
なファイナンスの組成を担う。
BIS
国際決済銀行(本拠はバーゼル)。
BIS 規制自己資本比率
規制目的により、自己資本とリスク加
重ポジションの比率をパーセント表示
した数値。国際業務を行う銀行にとっ
て重要な指標。最低でも自己資本比率
で 8%、コア自己資本比率で 4%が必
要とされている。
ブローカー / ブローカレッジ
ブローカーは、銀行や個人投資家から
証券売買の注文を受け、顧客に代わっ
て注文を執行することで、通常、手数
料を受け取る。
キャッシュ・フローの計算・提示、ならび
に期首・期末における現金および現金
等価物(現金準備)の調整。
キャッシュ・マネージメント
事業法人や金融機関が、財務活動の最
適化を図るために行う、ドル、ユーロ、
その他通貨建ての流動資産管理。
決済
支払いの送金、調整、場合により確認
のプロセス。
コーチング
管理能力やコミュニケーション・スキ
ルなどの従業員のパフォーマンスの改
善を目指して、コーチの個別指導のも
とで行う教育・能力開発。
債務担保証券(CDOs)
債券、ローン、デリバティブなどの資
産ポートフォリオを裏付けとした投資
商品。
コミットメント
従業員は、会社と目標や価値を共有する
とき、意欲を持って職責を果たし、会社
への帰属意識を持つ(コミットする)
。
コンプライアンス
法規制上の違反や経済的損失、風評被
害を防ぐことを目的として、関連する
法律 / 規制 / 社内規定を遵守するため
に適応される諸施策。
コーポレート・ファイナンス
法人顧客向け資本市場関連ビジネス、
特に個々の顧客ニーズに応じて革新的
なアドバイザリー・サービスを提供す
る金融ビジネスの一般的総称。
費用 / 収益比率
一般的には、営業収益に対する営業費
用の割合を示し、企業のコスト効率を
表す。ここでは、純利息収益と利息以
外の収益の合計に占める利息以外の費
用合計の割合を表す。
クレジット・デフォルト・スワップ
当事者の一方が一定期間、特定の金利
を支払う一方で、デフォルト(債務不
履行)などの信用リスクに関わる事象
が発生しない限り、相手方は支払いを
行わない当事者間の合意。デフォルト
発生時には、支払いが行われ、スワップ
(交換)は終了する。
67
04 // 追加情報
補足情報
用語解説
クレジット・トレーディング
ローン(貸付)やクレジット関連商品
のトレーディング。
デット・プロダクツ
単一もしくは複数の民間企業や公的機関
による債務・債権などの売買可能商品。
外国為替や商品契約を含む売買可能な
商品を広範に意味する。
デリバティブ
株式、債券、外国為替、指数など原取引
の価格、価格変動、価格予想によって
価値が変動する商品。スワップ、オプ
ション、先物(すべて別記参照)など
を含む。
株式資本市場(ECM)
主に、企業の IPO(株式新規公開)や
新規株式募集に関連した業務。公的機
関の民営化も含まれる。
エクイティ・プライム・サービス
当行のエクイティ・プライム・サービス
では、ヘッジファンドを対象に、オル
タナティブ投資のニーズに対応した一
連のサービスを提供している。
ユーロ・コマーシャル・ペーパー・プロ
グラム
発行体が柔軟に無担保短期債券を発行
するための資金調達プログラム。一定
期間に複数回の発行が可能である。
ダウ・ジョーンズ持続性指数(DJSI) ユーロ・ミディアム・ターム・ノート
DJSI は、環境および社会的貢献を追 (MTN)
求する企業によって構成されている指 無担保債券を複数回に分けて柔軟に発
数であり、当行は指数導入当初より、 行するための資金調達プログラム。発行
DJSI World および DJSI STOXX の構成 体のニーズにより、発行額、通貨、期間
銘柄となっている。
(1∼10 年)を自由に設定できる。ユーロ
www.sustainability-index.com
MTNは、ユーロ市場において主に米ドル
建てで発行され、銀行シンジケート団
1 株当たり利益(EPS)
により完売が保証されている。
国際財務報告基準(IFRS、別記参照)
に従った主要数値で、平均普通株流通 フェアー・バリュー(公正価格)
株式数に対する純利益を表す。流通株 十分な判断能力を備えた、独立した両
ストック・オプションや株式分割、転換 者間で交換される資産や債務の価格。
社債の転換・行使によって株式数の増 市場価格と一致することが多い。
加が見込まれる場合は、基本的 EPS に
加えて、希薄化後 1 株当たり利益も報 ファミリー・オフィス
複雑で多額の資産を持つ富裕層(一族)
告しなければならない。
に対して提供する金融サービス。完全
に独立した立場から、個々の資産の最
適な管理と包括的な調整を行い、顧客
の利益を守る。
68
先物(フューチャーズ)
数量、質、引渡期日が標準化された先物
契約。マネー・マーケットや資本市場、
貴金属・為替市場において、将来の一
定期日に、あらかじめ合意された価格
で取引が行われる。契約の履行に関し
ては、株価指数先物のケースにみられ
るように、(証券の引渡しではなく)
現金による決済が規定されている場合
が多い。
貿易金融(グローバル・トレード・ファ
イナンス)
当 行 の 貿 易 金 融 お よ び 貿 易 リ ス ク・
サービスを統合した業務部門。多国籍
企業、大手企業、成長企業、公的機関
などの金融機関や法人顧客を対象に、
輸出金融業務やリスクヘッジ・ビジネ
スを行う。
のれん
企業の買い手が、対象企業の将来にわ
たる利益を考慮に入れ、資産・負債価
値のフェアー・バリュー(別記参照)
を超過して支払う金額。
ヘッジファンド
空売りやレバレッジ、デリバティブ(別
記参照)など、ミューチュアル・ファン
ドが投資できない投資戦略を駆使した
ファンドで、一般的に機関投資家や個
人富裕層を顧客とする。ヘッジファン
ドの投資リターンは伝統的投資による
リターンと相関しないケースが多い。
IFRS(国際財務報告基準)
グローバルに比較可能で透明性の高い
会計報告やディスクロージャーの確立
を 目 指 し て、 国 際 会 計 基 準 審 議 会
(IASB)が設定した財務諸表に関する報
告基準。投資家が経済的判断を下すの
に役に立つ情報提供を主目的とする。
インソーシング(In-Sourcing)
支払いやキャッシュ・マネージメントに
おいて、他行の既存システムを補完・
代替するため、当行のシステムを提供
する。
インベストメント・アンド・ファイナン
シャル・センター
個人顧客および中堅企業を顧客対象に
近代化を図った当行の支店。窓口を一
本化することで、幅広い商品や投資ア
ドバイスを提供する最新の体制を整え
ている。
インベストメント・バンキング(投資
銀行業務)
一般に資本市場関連ビジネスを指す。
主に、証券の発行・売買、デリバティ
ブ(別記参照)
、金利・為替管理、コー
ポレート・ファイナンス(別記参照)
、
M&A アドバイザリー、ストラクチャー
ド・ファイナンス、プライベート・エク
イティ(別記参照)などのビジネスを
行う。
インベスター・リレーションズ
企業と現在および将来の(潜在的)資
本提供者を結ぶ、体系的・継続的な双
方向の財務コミュニケーション。主な
企業活動や業績、事業戦略、経営に関
する情報を提供する。活動の目的の一
つは、株式が市場で適正な水準に評価
されることにある。
マネージメント・バイアウト
経営陣による企業の発行済み株式全体
の買収を意味し、買収により上場が廃
止される。
メザニン
株式ならびに債券の混合による柔軟な
資金調達形態。ここでは、借り手の株主
資本を強化する一方、成長資金として
も使われる長期劣後金融商品を指す。
クオンツ投資
株式、債券、ヘッジファンド(別記参
照)のポートフォリオ(別記参照)。ポー
トフォリオの運用は、基本的な投資原
則のもと、体系的・規則的に行われ、
モーゲージ担保証券(MBS)
投資選択は、定量的(クオンツ)手法
モーゲージ・ローン(住宅抵当融資) を駆使して大量のデータを処理し決定
を担保とする証券。
する。
オプション
証券や外国為替などの特定資産を将来
の特定期日(あるいは期日前)に、予め
決められた価格で、相手方(オプション
売り手 )から買う権 利(コール・オプ
ション)
、あるいは相手方(オプション買
い手)に売る権利(プット・オプション)
。
OTC デリバティブ
証券取引所ではなく市場参加者間(店
頭)で直接相対で取引される金融派生
商品(デリバティブ参照)。
ポートフォリオ
一般的には、資産(証券、ローン、株式
投資、不動産など)の一部あるいは全
体を意味し、リスク分散を主な目的に
組成される。ここでは、価格リスクの
観点から、証券やデリバティブ(別記
参照)など類似した取引のコンビネー
ションを意味する。
レイトステージ(上場間近)プライベー
ト・エクイティ
年数やキャッシュ・フローの観点から、
投資機会が 「 成熟」した部類に属する ポートフォリオ管理
顧客向けの証券ポートフォリオの運用
未上場企業への投資。
ならびに管理(ポートフォリオ参照)
。
ポートフォリオの継続的な見直しや顧
レバレッジド・バイアウト
企業の全部もしくは一部、または特定 客の合意のもとで売買を実行すること
事業をデット・ファイナンス(借入金) もある。
によって買収すること。買収した企業
の将来収益を、買収に要した債務の返
済に充てる。
パブリック・プライベート・パートナー
シップ(PPP)
公的セクターと民間投資家の長期間に
わたる協力によって、インフラ関連プ
ロジェクトの効率性向上を目的とする。
格付け
社外的には、発行体の信用状態と債券の
標準化された評価を意味する。専門の
格付け会社が実施。社内的には、債務
者に関連したあらゆるエクスポージャー
の詳細なリスク査定を意味する。
記名株式
特定の者の氏名により登録された株式。
株式会社法の規定により、登録者の個
人情報や所有株式数は株式名簿に記録
される。株式名簿に記載された者だけ
が当該企業の株主と見なされ、例えば
株主総会における権利など、あらゆる
権利を行使できる。
レポ(買戻し条件付取引)
売却した証券の買戻しの合意(資産の所
有権は売り手に留保される買戻し契約)
。
買い手の立場からはリバース・レポと
なる。
セールス・リースバック
不動産などの資産を売却すると同時に、
期間を限定してリースバック(貸借契
約を結ぶ)する取引。
プライベート・エクイティ
未公開株式への投資。ベンチャー・キャ
ピタルやバイアウト・ファンドなどが
主な例。
69
04 // 追加情報
補足情報
用語解説
サーべンス・オクスレー法(SOX)
企業・会計不祥事の発生を受け、コー
ポレート・ガバナンス(企業統治)の
強化や投資家からの信頼回復を目的と
して、2002 年に成立した米国におけ
る資本市場法。取締役会の責任の拡大
から米国株式市場の上場企業を対象と
した刑罰に至るまで、幅広い規制の強
化・新設を行った。
法人信託サービス
証 券 に 関 す る 幅 広 い 管 理 サ ー ビ ス。
例えば、証券の保管(カストディ)や
管理(トラスティ)、発行、元利支払い
事務、ADR(別記参照)の預託業務
などがある。
U.S.GAAP(米国で一般に認められて
いる会計原則)
財務会計基準審議会(FASB)および
米国公認会計士協会(AICPA)によっ
証券化
一般的には、株式や債券などの証券に て作成された米国会計原則。このほか
具現される権利。ここでは、ローンや にも、米国証券取引委員会(SEC)の
様々な債権を、債券やコマーシャル・ 提供する解釈や説明は、特に証券取引
ペーパーなどの証券を発行することに 所に上場している企業にとって意味を
持っている。国際財務報告基準(IFRS)
より転化することを意味する。
と同じく、特に投資家の意思決定にお
株主価値
いて有益な情報を提供することを主な
経営・事業戦略上の意思決定を下す際に、 目的としている。
企業価値の着実な増大に重きを置く経営
理念。資本コストを上回るリターンだけ WISE ネットワーク
が株主に付加価値を創出する、という主 WISE デモグラフィック・ネットワー
原則に従っている。
クは、同ネットワークに参加している
ドイツの 7 企業の人事役員と WISE ビ
シャリア適格
ジネスリサーチがカバーする世界的な
イスラム法を遵守していること。
ネットワークを結びつけている。
シングル・マネージャー・ヘッジファンド
ある特定の投資戦略に従った証券・金
融商品に直接投資するヘッジファンド。
持続性(サステイナビリティ)
将来に備えつつ、生活・社会基盤を持続
的に発展させることを目指した、経済、
生態環境、および社会的責任の相互作
用を意味する。
スワップ
一般的には、ある支払いフローを他の支
払いフローと交換することを意味する。
金利スワップでは、同一通貨の金利支
払いを異なる条件(固定、
変動金利など)
に交換すること。為替スワップでは、
異なる通貨間で金利支払いおよび元本
を交換することを指す。
70
10886_K04_56-72_JP.indd 70
08.6.5 5:07:27 PM
補足情報
連絡先 / 刊行物
連絡先 / 刊行物
ドイツ銀行 AG
60262 フランクフルト・アム・マイン
テオドール・ハウス・アレー 70
ドイツ
電話:+49 69 9100 0
電子メール:[email protected]
財務諸表に関する刊行物
将来の事象に関する記述についての注意
ドイツ銀行グループ2007年年次報告書は、
2007 年 ア ニ ュ ア ル・レ ビ ュ ー お よ び
2007 年ファイナンシャル・リポートの 2 部
により構成されています。
本年次報告書には、将来の事象に関する記述が含
まれています。将来の事象に関する記述とは、歴史
的事実ではない記述であり、当行の考えや予想が
含まれます。本報告書中の、当行の意図、考え、
予想または予測(およびその基礎となる前提)の記
述はいずれも、将来の事象に関する記述です。これ
らの記述は、当行経営陣が現在入手可能な予定、
推定および計画に基づいています。従って、将来
の事象に関する記述は、あくまで当該記述がなされ
た日現在のものであって、当行はこれらの記述に関
して、新しい情報や将来生起した事象があっても、
これを更新して公表する責任は負いません。
2007 年アニュアル・レビュー
(ドイツ語、英語、日本語)
インベスター・リレーションズ
電話:+49 69 91 03 80 80
電子メール:[email protected]
2007 年ファイナンシャル・リポート
(ドイツ語、英語)
様式 20-F
インターネット上の 2007 年アニュアル・ (英語)
レビューおよびファイナンシャル・リポート
ドイツ銀行 AG2007 年度財務諸表および
(英語)
マネージメント・リポート
www.deutsche-bank.com/07
(ドイツ語、英語)
2007 年マンデイト・リスト
(ドイツ語、英語)
2007 年株主構成リスト
(ドイツ語、英語)
諮問評議会委員リスト
(ドイツ語)
2007 年社会的責任報告書
(2008 年 5 月以降、ドイツ語、英語)
将来の事象に関する記述は、その性質上リスクお
よび不確実性を含みます。従って、いくつかの重
要な要因が作用して、現実の結果を、将来の事象
に関する記述に含まれる結果とは大きく異なるも
のにする可能性があります。これらの要因には、
ドイツ、欧州、米国および当行がトレーディング
収益の重要な部分を得ているその他地域における
金融市場の動向、借り手または取引相手による将
来の債務不履行、経営戦略の実施、リスク管理の
方針、手続きおよび方法への信頼性、ならびに米
国証券取引委員会(SEC)への情報開示に関連す
るリスク等が含まれます。このような要因につい
ては、SEC に提出した当行の 2008 年 3 月 26 日付
年次報告書(Form 20-F)に、
「リスク・ファクター」
の表題のもとに詳しく記載されています。当該報
告書の写しは、請求により入手可能であり、また、
www.deutsche-bank.com/ir からダウンロードす
ることができます。
これらの刊行物をご要望の方は、以下
までご連絡ください。
– 電子メール
[email protected]
– インターネット
www.deutsche-bank.com/07
– ファックス
+49 18 05 07 08 08
– 電話
+49 18 05 80 22 00
撮影
Martin Joppen
(フランクフルト・アム・マイン)
2頁
Andreas Pohlmann(ミュンヘン)
6 / 7頁
Nathan Beck(チューリッヒ)
8 / 9、22 / 23、48 / 49、54 / 55 頁、表紙
Wolfgang von Brauchitsch(ボン)
58 頁
– 郵便
Bestellservice Deutsche Bank
Gottlieb-Daimler-Strasse 1
33428 Harsewinkel
Germany
2007年アニュアル・レビュー
(日本語)
は、
www.db.com/japan からダウンロードす
ることができます。
71
ドイツ銀行の将来にわたる成功は、いかに変化をとらえ、チャンスを活かすかに
かかっています。そして、
それは、信頼の上に成り立つものでなければなりません。
つまり、有言実行に徹し、誠実に実績を挙げる姿勢を貫くことで信頼を得る―この
積み重ねです。こうした姿勢は、現在のような複雑な世界においてはより重要で、
顧客が決断を下す際の判断材料となります。そして顧客の決断は、私たちのとる
べき行動を明示し、現在だけでなく将来にわたった成功を確かなものとしてくれ
ます。株主、顧客、従業員、そしてドイツ銀行の将来のために―私たちはたゆまぬ
努力を続けます。
基本情報
ドイツ銀行グループ
ドイツ銀行株式
主要データ
グローバルな
ネットワーク
グローバルなネットワーク
ドイツ銀行株式に関する情報
平均株主持分合計利益率(税引後)
税引前平均株主持分合計利益率
税引前平均アクティブ資本利益率 1
基本的1株当たり純利益
希薄化後1株当たり純利益 2
発行済株式1株当たり純資産 3
基本的流通株式1株当たり純資産 4
費用 / 収益比率 5
報酬比率 6
非報酬比率 7
2007年度
18.0 %
24.3 %
29.2 %
13.65 €
13.05 €
69.84 €
77.54 €
69.6 %
42.7 %
26.9 %
2006年度
20.4 %
28.0 %
32.7 %
12.96 €
11.48 €
62.42 €
69.48 €
69.7 %
43.9 %
25.8 %
単位:百万ユーロ
総収益
信用リスク引当金繰入額
利息以外の費用合計
税引前利益
当期純利益
2007年度
30,745
612
21,384
8,749
6,510
2006年度
28,494
298
19,857
8,339
6,079
単位:十億ユーロ
総資産
株主持分
BIS 規制コア自己資本比率(Tier 1)
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
2,020
1,584
37.0
32.8
8.6 %
8.5 %
支店数
内ドイツ国内
従業員数(常勤相当)
内ドイツ国内
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
1,889
1,717
989
934
78,291
68,849
27,779
26,401
長期格付
ムーディーズ・インベスターズ・サービス
スタンダード・アンド・プアーズ
フィッチ・レーティングス
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
Aa 1
Aa 3
AA
AA –
AA –
AA –
2007年
投資収益の変化 1
ドイツ株式市場(XetraおよびFrankfurt Floor Trading)の出来高に占める比率
1日当たりの平均出来高 2
株価 高値
株価 安値
1株当たり配当金(2007年度については予定)
2007年12月31日現在
発行済株式数
流通株式数(社外株式数)
株式資本
時価総額
株価 3
DAX株価指数に占める比率
ダウジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率
有価証券識別コード
ドイツ取引所
種類
記号
WKN
ISIN
ロイター
1
2
3
記名株式
DBK
514 000
DE0005140008
DBKGn.DE
(8.6) %
8.1 %
610 万株
118.51 ユーロ
81.33 ユーロ
4.5 ユーロ
530,400,100
501,065,281
1,357,824,256.00ユーロ
474.1億 ユーロ
89.40 ユーロ
5.6 %
1.4 %
ニューヨーク証券取引所
種類
グローバル・レジスタード・シェア
通貨
U.S.$
記号
DB
CINS
D 18190898
ブルームバーグ
DBK GR
Xetra の株価による。
オーダーブック統計(Xetra)。
Xetra の終値。
1
競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティ
ブ資本利益率(Pre-tax return on average active equity)
」と称している。ただし、IFRS による実績尺度ではないため、算定方法の違いを
考慮せずに他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2007 年度:35,888 百万ユーロ、2006 年度:29,751 百万ユーロ)に調整を
加える項目は、売却可能有価証券に係る平均未実現純利益 / キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後)
(2007 年度:3,841 百万ユーロ、2006 年度:2,667 百万ユーロ)および平均未払配当金(2007 年度:2,200 百万ユーロ、2006 年度:1,615
百万ユーロ)である。配当金は、株主総会の承認後、年に 1 度支払われる。
2
想定される転換による分子への影響が含まれる。
3
発行済株式 1 株当たり純資産は、株主持分を発行済株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
4
基本的流通株式 1 株当たり純資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
5
利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
6
報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
7
利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計
に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
個人・中堅企業向け支店
支店 / 子会社
駐在員事務所
各地域の主要拠点
ニューヨーク
ロンドン
フランクフルト
ドバイ
シンガポール
東京
基本情報
ドイツ銀行グループ
ドイツ銀行株式
主要データ
グローバルな
ネットワーク
グローバルなネットワーク
ドイツ銀行株式に関する情報
平均株主持分合計利益率(税引後)
税引前平均株主持分合計利益率
税引前平均アクティブ資本利益率 1
基本的1株当たり純利益
希薄化後1株当たり純利益 2
発行済株式1株当たり純資産 3
基本的流通株式1株当たり純資産 4
費用 / 収益比率 5
報酬比率 6
非報酬比率 7
2007年度
18.0 %
24.3 %
29.2 %
13.65 €
13.05 €
69.84 €
77.54 €
69.6 %
42.7 %
26.9 %
2006年度
20.4 %
28.0 %
32.7 %
12.96 €
11.48 €
62.42 €
69.48 €
69.7 %
43.9 %
25.8 %
単位:百万ユーロ
総収益
信用リスク引当金繰入額
利息以外の費用合計
税引前利益
当期純利益
2007年度
30,745
612
21,384
8,749
6,510
2006年度
28,494
298
19,857
8,339
6,079
単位:十億ユーロ
総資産
株主持分
BIS 規制コア自己資本比率(Tier 1)
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
2,020
1,584
37.0
32.8
8.6 %
8.5 %
支店数
内ドイツ国内
従業員数(常勤相当)
内ドイツ国内
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
1,889
1,717
989
934
78,291
68,849
27,779
26,401
長期格付
ムーディーズ・インベスターズ・サービス
スタンダード・アンド・プアーズ
フィッチ・レーティングス
2007年12月31日現在 2006年12月31日現在
Aa 1
Aa 3
AA
AA –
AA –
AA –
2007年
投資収益の変化 1
ドイツ株式市場(XetraおよびFrankfurt Floor Trading)の出来高に占める比率
1日当たりの平均出来高 2
株価 高値
株価 安値
1株当たり配当金(2007年度については予定)
2007年12月31日現在
発行済株式数
流通株式数(社外株式数)
株式資本
時価総額
株価 3
DAX株価指数に占める比率
ダウジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率
有価証券識別コード
ドイツ取引所
種類
記号
WKN
ISIN
ロイター
1
2
3
記名株式
DBK
514 000
DE0005140008
DBKGn.DE
(8.6) %
8.1 %
610 万株
118.51 ユーロ
81.33 ユーロ
4.5 ユーロ
530,400,100
501,065,281
1,357,824,256.00ユーロ
474.1億 ユーロ
89.40 ユーロ
5.6 %
1.4 %
ニューヨーク証券取引所
種類
グローバル・レジスタード・シェア
通貨
U.S.$
記号
DB
CINS
D 18190898
ブルームバーグ
DBK GR
Xetra の株価による。
オーダーブック統計(Xetra)。
Xetra の終値。
1
競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティ
ブ資本利益率(Pre-tax return on average active equity)
」と称している。ただし、IFRS による実績尺度ではないため、算定方法の違いを
考慮せずに他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2007 年度:35,888 百万ユーロ、2006 年度:29,751 百万ユーロ)に調整を
加える項目は、売却可能有価証券に係る平均未実現純利益 / キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後)
(2007 年度:3,841 百万ユーロ、2006 年度:2,667 百万ユーロ)および平均未払配当金(2007 年度:2,200 百万ユーロ、2006 年度:1,615
百万ユーロ)である。配当金は、株主総会の承認後、年に 1 度支払われる。
2
想定される転換による分子への影響が含まれる。
3
発行済株式 1 株当たり純資産は、株主持分を発行済株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
4
基本的流通株式 1 株当たり純資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在)。
5
利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
6
報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
7
利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計
に利息以外の収益を加えた額に占める比率。
個人・中堅企業向け支店
支店 / 子会社
駐在員事務所
各地域の主要拠点
ニューヨーク
ロンドン
フランクフルト
ドバイ
シンガポール
東京
アイデンティティー
2008 / 2009 年財務カレンダー
2007年 アニュアル・レビュー
2008 年
2008 年 4 月 29 日
2008 年 5 月 29 日
2008 年 3 月 31 日時点中間報告
年次株主総会
(エキシビション・センター)
にて
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
2008 年 5 月 30 日
配当金支払
2008 年 7 月 31 日
2008 年 6 月 30 日時点中間報告
2008 年 10 月 30 日
2008 年 9 月 30 日時点中間報告
2009 年
2009 年 2 月 5 日
2008 年度決算発表(暫定)
2009 年 3 月 24 日
2008 年度年次報告書および様式 20-F
2009 年 4 月 28 日
2009 年 3 月 31 日時点中間報告
2009 年 5 月 26 日
年次株主総会
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキシビション・センター)
にて
2009 年 5 月 27 日
配当金支払
2009 年 7 月 29 日
2009 年 6 月 30 日時点中間報告
2009 年 10 月 29 日
2009 年 9 月 30 日時点中間報告
アニュアル・レビュー
変貌を遂げる世界で躍進する
2008 / 2009年財務カレンダー
ドイツ銀行 2007 年
変貌を遂げる世界で躍進する
変化する世界にあっては、顧客や株主、従業員のニーズの変化
に積極的に応えていくことが不可欠です。新たなチャレンジを
常に前向きにとらえ、チャンスに変える̶これこそが持続的成
功の秘訣です。
ドイツ銀行は、株主、顧客、従業員、社会といった、あらゆる
ステークホルダーに深くコミットしています。2007 年のアニュ
アル・レビューでは、こうした当行のステークホルダーを代表し
て、次の 4 人に、当行の本年のテーマである「変貌を遂げる世
界で躍進する」について語ってもらいました。
オマール・ビン・スレイマン Dr. Omar Bin Sulaimanドバイ国
際金融センター(DIFC)総裁、ドバイ
ジェニー・ツアン Jeanne Zhang、個人顧客、北京
ソフィア・デボート Sofia Devoto、ドイツ銀行グループ、ブエ
ノスアイレス
バートランド・ピカード Dr. Bertrand Piccard
ソーラー・インパルス 社長、ローザンヌ
アイデンティティー
ドイツ銀行グループは、世界の市場をリードするグローバルな
投資銀行であり、個人顧客ビジネスにおいても利益を生む強固
な事業基盤をもっています。ドイツ銀行グループのビジネスは
相互に補完しています。ドイツおよび欧州における圧倒的な強
みを背景に、北米やアジア、主要新興国において、力強い成長
を遂げています。
使命
ドイツ銀行グループは、世界をリードする金融機関として、現状
に満足することなく常に挑戦を続け、お客さまに卓越した価値を
提供しています。
A Passion to Perform.(熱意あるお客さまに情熱をもってお応えする)
これこそがドイツ銀行グループの基本姿勢です。私たちは、常
に最高を追求し、独自の洞察力で革新的な解決策を提供し、お
客さまとの長期にわたるリレーションシップの構築に注力します。
ドイツ銀行
アイデンティティー
2008 / 2009 年財務カレンダー
2007年 アニュアル・レビュー
2008 年
2008 年 4 月 29 日
2008 年 5 月 29 日
2008 年 3 月 31 日時点中間報告
年次株主総会
(エキシビション・センター)
にて
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
2008 年 5 月 30 日
配当金支払
2008 年 7 月 31 日
2008 年 6 月 30 日時点中間報告
2008 年 10 月 30 日
2008 年 9 月 30 日時点中間報告
2009 年
2009 年 2 月 5 日
2008 年度決算発表(暫定)
2009 年 3 月 24 日
2008 年度年次報告書および様式 20-F
2009 年 4 月 28 日
2009 年 3 月 31 日時点中間報告
2009 年 5 月 26 日
年次株主総会
フランクフルト・アム・マイン フェストハレ
(エキシビション・センター)
にて
2009 年 5 月 27 日
配当金支払
2009 年 7 月 29 日
2009 年 6 月 30 日時点中間報告
2009 年 10 月 29 日
2009 年 9 月 30 日時点中間報告
アニュアル・レビュー
変貌を遂げる世界で躍進する
2008 / 2009年財務カレンダー
ドイツ銀行 2007 年
変貌を遂げる世界で躍進する
変化する世界にあっては、顧客や株主、従業員のニーズの変化
に積極的に応えていくことが不可欠です。新たなチャレンジを
常に前向きにとらえ、チャンスに変える̶これこそが持続的成
功の秘訣です。
ドイツ銀行は、株主、顧客、従業員、社会といった、あらゆる
ステークホルダーに深くコミットしています。2007 年のアニュ
アル・レビューでは、こうした当行のステークホルダーを代表し
て、次の 4 人に、当行の本年のテーマである「変貌を遂げる世
界で躍進する」について語ってもらいました。
オマール・ビン・スレイマン Dr. Omar Bin Sulaimanドバイ国
際金融センター(DIFC)総裁、ドバイ
ジェニー・ツアン Jeanne Zhang、個人顧客、北京
ソフィア・デボート Sofia Devoto、ドイツ銀行グループ、ブエ
ノスアイレス
バートランド・ピカード Dr. Bertrand Piccard
ソーラー・インパルス 社長、ローザンヌ
アイデンティティー
ドイツ銀行グループは、世界の市場をリードするグローバルな
投資銀行であり、個人顧客ビジネスにおいても利益を生む強固
な事業基盤をもっています。ドイツ銀行グループのビジネスは
相互に補完しています。ドイツおよび欧州における圧倒的な強
みを背景に、北米やアジア、主要新興国において、力強い成長
を遂げています。
使命
ドイツ銀行グループは、世界をリードする金融機関として、現状
に満足することなく常に挑戦を続け、お客さまに卓越した価値を
提供しています。
A Passion to Perform.(熱意あるお客さまに情熱をもってお応えする)
これこそがドイツ銀行グループの基本姿勢です。私たちは、常
に最高を追求し、独自の洞察力で革新的な解決策を提供し、お
客さまとの長期にわたるリレーションシップの構築に注力します。
ドイツ銀行
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