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独断!IT予測
行などの口座を開こうとすると、必 えてくれる。ドコモも最近GPS搭載の携 ず自宅ないし勤務先の電話番号を 帯電話を発売した。米国では2005年から 入力しなければならない。この場合、携帯 開始される無線電話でのE911(日本の 電話の番号は対象外であるといわれて当惑 110番にあたる)が今年度から試行が始ま した人も多いだろう。住所確認のためには っている。これは発信者の位置を自動的に 固定電話が一番簡単だからだが、この慣行 受信側の警察官に知らせる仕組みを電話 に疑問を投げた人も少ない。固定電話の設 会社が提供することを義務付けている。 置では、NTTなど電話会社の工事が入り、 GPS搭載が前提ではないが、多くの電話 住所確認が必須で、住所変更の際には必 会社は採用する公算が大である。このよう ず電話番号の変更が伴う。金融機関にと な地理情報が提供されていくことはモバイ って住所確認には固定電話番号が一番確 ル化の進展にとって必須である。 銀 ◎ toyosu研究室 vol.5 実な手段であろう。しかし携帯電話の普及 電話とインターネットの融合を目指す電 により固定電話が減少している今日、この 話会社はこのような地理的(ないしは位置 慣行も今後は見直されていくだろう。 的)情報の一元的管理をその競争優位の ドコモが提供している「いまどこサービ 強力な武器としている。その具体的な試み ス」は基地局と現在の携帯電話の場所か がENUMと呼ばれるドメイン・アドレス管 らおよその位置を教えてくれるサービスで 理である。全世界の電話会社が参加して あるが、GPS(全地球測位システム)を い る ITU( International Telecommuni 採用したAUでは、さらに正確な位置を教 cation Union)では、電話番号設定標準と インターネットにおけるアドレス論議 丹 沢 の ふ も と 七 沢 温 泉 に し ゃ れ た ラ ー メ ン 屋 Z U N D ︱ B A R が 出 現 。 連 日 林 道 に 十 数 台 の 車 が 行 列 す る ほ ど の 評 判 に 恥 じ な い 味 だ っ た 。 お 勧 め ︵ 。 ラ ー メ ン 通 ︶ −地理、位置情報の取り込みへの動き してE.164を制定している。これは最初に 法が採用されているが、あくまでもガイド こうした動きがすぐに普及される可能性 国番号(米国:1、日本:81)を入力し、 であって強制的なものでない。このような は少ない。電話番号とドメイン・アドレス 後は国内の電話番号が続くことを求めたも ドメイン・ドメインに地理的情報を付加す が一義的に定義されても、一般利用者が の。現在IETFは、E.164に従った電話番 る動きは、ドメイン・アドレス命名ルール 従来の慣行から脱却し、受け入れるには相 号をドメイン・アドレスに対応する仕様を を設定する目的で設立されたICANNでも 当時間かかると思われるからである。イン 制定しており、ITUと協力してその普及を 検討され始めているが、ICANNが新たに ターネット/WWWでは「ドット・コム」 進めている。これはENUMと呼ばれており、 設定したgTLD(ジェネリック・トップレ が象徴する「距離の死」がグローバリゼー 例えば1(234)567-8910という電話番号 ベル・ドメイン)にも含まれていない。米 ション・パラダイムの後押しを受けながら (1は米国を指す)を0.1.98.7.6.5.4.3.2. 国の研究機関であるSRI(Stanford 当然の帰結であるとされた時期もあった。 1e164.arpaというドメイン・アドレスに Research Institute)は緯度と経度からな しかし「クリック」から「クリック・モル 変換するプロトコルである。このENUMが る位置(地理)情報を持つ.geoという タル」にEビジネスの中心が移るにつれ、 普及すれば、現在の固定電話番号による gTLDの設定をICANNに提案しており、国 実体情報の取り込みがいろいろな形で検討 住所確認と同じ効果がWWWのドメイン・ 連の貿易開発委員会(UNCTAD)などの され始めている。これらに共通するのは物 サイトでも実現される可能性がある。 支持を得ている。これらの支持は、開発途 理的情報(位置、商品特性など)をその インターネットは当初から固定電話のよ 上国や僻地についての広報活動を公平に 実体に関する情報に取り込むことで、イン うな住所情報という地理的情報は考慮し Web上で実現するのにgTLDが有効ではな ターネットの初期の特徴であった仮想世界 ていなかった。DNSではドメイン・アドレ いかという理由からだ。しかしこの提案は に実体世界を結びつけ、より信頼性の高い スに日本ならjp、英国ならukといった命名 ICANNではまだ採用されていない。 情報を創出する動きであるといえよう。 14