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「ベトナム 投資ガイド」
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ベトナム 投資ガイド
グローバル・アドバイザリー部
Global Advisory
Department
2016年10月
本資料は、情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、一般に信頼できると思われるデー
タに基づき作成致しておりますが、その信憑性・正確性を保証するものではありません。また、本資料はお客さまの参考資料の目的でのみご利用いただき
たく、お客さま及びお客さま担当会計士・税理士・弁護士等の専門家以外の法人・個人に対して本資料の全部もしくは一部の引用、複写、転送、開示をさ
れることは、ご遠慮いただきますようお願い致します。最後のページに当資料の利用に関する留意点を掲載しています。
目次
Information Only
1. 進出手続き
1.1 企業法・投資法の改正
1.2 参入規制
1.3 投資優遇措置
1.4 進出形態
1.5 会社設立の流れ
・・・・・・・・・ P.3
・・・・・・・・・ P.5
・・・・・・・・・ P.7
・・・・・・・・・ P.10
・・・・・・・・・ P.11
2. 税制
2.1 概要
2.2 所得課税
2.3 外国契約者税
2.4 消費課税
2.5 輸出入税
2.6 国際課税
・・・・・・・・・ P.14
・・・・・・・・・ P.15
・・・・・・・・・ P.17
・・・・・・・・・ P.18
・・・・・・・・・ P.19
・・・・・・・・・ P.20
3. 貿易・為替管理制度
3.1 貿易管理・為替管理
3.2 FTA/EPA
・・・・・・・・・ P.21
・・・・・・・・・ P.22
1
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目次
Information Only
4. 金融政策と金融機関
・・・・・・・・・ P.23
5. インフラ
5.1 物流インフラ
5.2 電力・通信
・・・・・・・・・ P.24
・・・・・・・・・ P.26
6. 労働事情
6.1 賃金動向
6.2 就業者数・労働条件
・・・・・・・・・ P.27
・・・・・・・・・ P.28
2
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1.1 進出手続き「企業法・投資法の改正」(1)
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 企業法が10年ぶりに改正され、有限会社・株式会社の定足数・決議数が一部引き下げ。
有限会社・株式会社に関する改正内容
項目
定足数
決議数
法的
代表者
出資の
履行
企業法(従来:2015年6月30日以前)
有限会社
株式会社
• 議決権付株式65%以
【2人以上有限会社】
上の株主の出席
• 出資総額の75%以上の出
資者の出席
【1人有限】
• 75%以上の社員の出席
• 株主総会の出席株主
【2人以上有限会社】
の議決権付株式65%
• 社員総会の出席社員総資
以上(普通決議)、75%
本65%以上(普通決議)、
以上(特別決議)
又は75%以上(特別決議)
【1人有限】
• 社員総会の出席社員の
50%以上(普通決議)、又
は75%以上(特別決議)
• 企業形態を問わず、1名に限定されており、かつ、ベトナ
ムに居住する義務がある
新企業法(現行:2015年7月1日以降)
有限会社
株式会社
• 議決権付株式51%以上
【2人以上有限会社】
の株主の出席に引き下
• 出資総額の65%以上の
げ
出資者に引き下げ
【1人有限】
• 変更なし
• 株主総会の出席株主の
【2人以上有限会社】
議決権付株式51%以上
• 変更なし
(普通決議)、65%以上
【1人有限】
(特別決議)に引き下げ
• 変更なし
•
•
•
企業の事業登録証明書
の発行日から36カ月以
内に払い込むこと
•
規定なし
•
企業の事業登録証明書
の発行日から90日以内
に払い込むこと
•
•
人事の
変更通知
複数の法的代表者を選任することが認められ、かつ、そ
のうち最低1名ベトナムに居住する義務がある
複数選任する場合は、会社の定款に法的代表者の人数、
権限や義務等について明記する必要がある
• 変更なし
株式会社同様、企業の
企業登記証明書の発行
日から90日以内に短縮
株式会社の取締役、監査役会の構成員や監査役、社長
等の変更事項がある場合、変更から5日以内にその氏
名や個人情報等について会社本店所在地の経営登記
機関へ通知する義務がある
(出所)ジェトロウェブサイト、JICAウェブサイト(法・司法制度支援プロジェクト〔原典:ベトナム2014年投資法〕)を基に作成
3
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1.1 進出手続き「企業法・投資法の改正」(2)
Information Only
 投資法が10年ぶりに改正され、投資規制分野や投資申請手続きが変更され、実務面への影響大。
 同法は基本法であるため、今後策定される政令・通達等、施行細則の内容や運用面の注視が必要。
投資法の主な改正内容
項目
企業法(従来:2015年6月30日以前)
•
外国投資家が投資プロジェクトを実施する場合、投
資証明書の取得が必要
•
投資登録証明書の取得後に企業登記証明書の取
得が必要になった
•
•
投資禁止分野:51分野
条件付き投資分野:386分野
•
•
投資禁止分野:6分野に削減
条件付き投資分野:267分野に削減
•
外国法の適用の条件について明確な定義が存在
しない
•
一方の当事者が外国投資家・外国投資家が直接・
間接的に51%以上の出資比率を保有するベトナム
企業の場合には、ベトナムの法令に反しない限り、
合意により外国法を適用できることとなった
外資が直接・間接的に多数を保有するベトナム子
会社同士の契約等においても、外国法を準拠法と
して選択できるようになった
投資申請手続き
投資禁止分野・条件付
き投資分野
新企業法(現行:2015年7月1日以降)
外国法の適用
•
投資形態
•
BCC契約、BOT契約、BTO契約、BT契約による投
資
•
非公開会社への出資については明確な定義がなく、 •
一部地方においては1%の出資であっても投資証
•
明書(IC)の取得が必要とされるケースが存在
外国投資家によるM&
A手続きの簡素化
•
•
BCC契約、PPP契約による投資
(BOT契約、BTO契約、BT契約は廃止)
外国投資家によるM&Aであっても原則、投資登録
証明書の取得が不要となった
ただし、株式購入についての計画投資省への登録
手続きは必要である
又、対象企業が条件付き投資分野である場合や、
買収後の外国投資家の直接・間接的な株式保有
比率が51%以上の場合については、別途投資登
録証明書の取得が義務付けられている
(出所)ジェトロウェブサイト、JICAウェブサイト(法・司法制度支援プロジェクト〔原典:ベトナム2014年投資法〕)を基に作成
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1.2 進出手続き「参入規制」 (1)
Information Only
 2007年のWTO加盟をきっかけに、外国資本に対する規制が大幅に緩和。
外資参入業種規制(注1)
項目
業種
禁止投資業種(6分野)
①各種麻薬物質に関する事業、②各種化学物質・鉱物に関する事業、③絶滅のおそれのある各種動植物
や動物の標本に関する事業、 ④売春事業、⑤人身、身体組織の売買、⑥人の無性生殖に関する事業
条件付投資業種(267分野)
(注2)
会計、税務、証券、保険、商業銀行、石油、ガス、酒・タバコ、米の輸出、冷凍食品・中古品の暫時の輸入、
再輸出、物流、鉱産物、職業教育、陸上運送、船舶輸送、海洋運送、航空運送、鉄道運送、海港、空港、鉄
道インフラ、不動産、印刷・出版、SNS、ネットワークの娯楽、有料放送・放映、教育活動組織、水産物、農薬
、病気の診断・治療、薬事、広告宣伝等、計267分野
(注1)投資法改正により2015年7月1日から投資優遇措置の対象者が変更された。国会によって精査・修正が行われ、政令・施行細則の交付により詳細が定められる予定。
(注2)国防、国家の治安、社会の秩序、安全、社会道徳、市民の健康を理由とする条件を満たす必要がある。又、一部の大規模プロジェクトは、国会や政府首相、
各省の人民委員会の了承が必要である。又、WTO加盟国際公約により外資100%現地法人への市場開放をする分野がロードマップによって別途規定されている。
外資出資比率規制(注3)(注4)
業種
参入規制に関するその他トピック
規制
娯楽サービス、電子ゲームセンター
49%以下
海上・内陸水路・鉄道・道路運送業
49%以下
農業、狩猟及び林業
51%以下
映画製作、映画配給
51%以下
付加価値サービス(ネットワークインフラ保持)
50%以下
基本通信事業(ネットワークインフラ保持)
49%以下
基本通信事業(ネットワークインフラ不保持)、
付加価値サービス(ネットワークインフラ不保持)
65%以下
項目
詳細
•
•
2013年6月に2店舗目以降の出店審査が緩和
「省・中央直轄都市による商業マスタープラン
があり、インフラ建設が完了(注5)していれば、
500平方メートル未満の店舗で出店する場合」
については、審査が免除される。大型店舗に対
する審査も窓口が一本化され、審査基準も明
確化
開放分野に残る
不透明性
•
市場開放された事業分野でもライセンスが認
可されにくいケースも存在するため注意が必要
今後の規制開放
分野の一例
•
鉱山開発関連、製造関連サービス、配達サー
ビス、機械・設備メンテナンス、証券業等
流通分野への
規制
(2店舗目以降の
出店への規制)
(注3)WTOコミットメントによる規制。ベトナム国内の各種法令と一部内容が
異なる場合がある。
(注5)対象となる建物が建設済みであり、商業活動を実施できる状態になっていること。
(注4)複数の事業を行っている場合は、もっとも低い外資比率が適用される。
(出所)ジェトロウェブサイト、JICAウェブサイト(法・司法制度支援プロジェクト〔原典:ベトナム2014年投資法〕)を基に作成
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1.2 進出手続き「参入規制」 (2)
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 資本金規制が存在する業種は一部のみ。
 すべての土地は政府の管理下に置かれているため、所有は認められず、賃借が必須。
法人設立要件の規制
項目
規制内容
•
•
最低資本金、定款資本の所有に制限はない
上場会社、公開会社(注1)、証券事業組織、証券投資
基金、又は株式会社化、及び、所有転換を行う国営企
業に対しては、各種法令により定款資本の所有割合に
制限がある(注2)
•
一部の条件付投資業種に関しては法定資本金が定め
られている(銀行業、保険業、海外向け労働者派遣、不
動産、航空サービス、観光、通信業、映画作成等)(注3
)
•
•
ベトナム人雇用義務は存在しない
法定代表者を1人以上選び、その中の少なくとも1人が
ベトナムに居住する必要がある。法定代表者が1人のみ
の場合は、代表者が30日以上ベトナムを離れる際に書
面により権限を他者に委任する必要がある
•
企業法の改正により法定代表者を複数選ぶことが可能
となった。例えば、現地子会社の居住者と共に海外親
会社社員が共同代表者になることが出来る。
2013年11月に改正労働法の外国人の就労許可に関す
る施行細則が発効し、外国人就労許可が厳格化された
。ベトナム人登用が狙いと見られる
土地は国民の共有財産であるとともに、政府の管理下
に置かれている
外資系企業、あるいは事業協力契約の外国当事者は、
土地を所有することは認められず、ベトナム政府から土
地使用権を賃借する(注4)
•
資本金規制
企業の役員・
従業員
に関する規制
•
土地所有に
ついて
特記事項
•
•
•
外資比率100%の法人が土地使用権の貸与を受けるの
は困難であり、ベトナム国内の有力企業との間で合弁
企業を設立し、その企業が土地使用権を取得するケー
スが多い
工業団地へ入居した場合は、工業団地開発業者から土
地をサブリースする形になる
≪改正労働法の外国人の就労許可に関する施行細則の概要≫
• 外国人の就労許可証取得の条件として、年間の外国人雇用計画の提出と省・中央直轄市の人民委員会委員長の事前承認が必要
外国人労働者の就業開始予定日から少なくとも30日以上前に承認の申請が必要になる
• 新規取得及び期間満了時の再発行の場合も含め、就労許可証の有効期間が最長3年から2年へ短縮された
(出所)ジェトロウェブサイト、JICAウェブサイト(法・司法制度支援プロジェクト〔原典:ベトナム2014年投資法〕)、各種報道資料を基に作成
(注1)株主が100名以上(機関投資家を除く)で払込済資本が100億ドン以上である会社、新規株式公開を行った会社、ベトナム証券取引所に上場している会社。
(注2)証券法、各与信機関法等の規定に基づく。(注3)暫定的に旧投資法に準拠して交付された政令による規定を記載している。今後、政令・施行細則の交付に
よって詳細が定められる可能性がある。(注4)住宅法改正により2015年7月1日から住宅については、外国企業や外国人の所有が大幅に緩和された。
6
Copyright © 2016 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved.
1.3 進出手続き「投資優遇措置-概要」
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 投資法に基づき、特定の業種と立地場所に対する優遇措置が存在。
 「社会・経済状況が(特に)困難な地域」は、一般的に日系企業の進出には適さない地域。
投資優遇措置の概要
投資法に基づく優遇措置(注1)
特定の業種に対する優遇措置(注2)
• 投資法16条において13分野が投資優遇分野に定められている
【投資優遇分野】
①ハイテク製品の研究開発、②新素材、新エネルギー、クリーンエネルギー、再
生エネルギーの生産、省エネルギー製品の生産、③電子製品、重点機械製品、
農業機械、自動車の生産、造船、④繊維、皮革の生産、⑤情報技術、ソフトウェ
ア、デジタルコンテンツ製品の生産、⑥農林水産物の養殖・加工、バイオテクノロ
ジー製品の生産、⑦廃棄物の収集・処理・再利用、⑧インフラの開発・運営、⑨幼
児教育、普通教育、職業教育、⑩診察、治療、医薬品の生産、生物学的技術の
科学研究、⑪障碍者又は専門家訓練、体育競技施設の投資、文化遺産の保護
及び活用、⑫老人ホーム、メンタルケアセンター、孤児・放浪児の養護センター、
⑬人民信用基金、マイクロファイナンス金融機関
立地場所に対する優遇措置(注2)
• 投資法16条において6地域が投資優遇地域に定められている
①工業団地、②ハイテク区、③輸出加工区、④経済特区
(20のハイテク区・経済特区が存在)
⑤社会・経済状況が特に困難な地域
⑥社会・経済状況が困難な地域
ベトナム国内で「僻地」といえる地域
以下の条件を満たすプロジェクト
その他の優遇措置
• 資本規模が6兆ドン以上かつ、投資登録証明書の発給、又は
投資方針の決定日から3年以内に6兆ドン以上を支出するもの
• 農村地域において500人以上の労働者を使用するもの
特定の条件を満たすプロジェクトに対しての優遇措置
• 投資法15条で、新たに追加
ハイテク企業、科学技術企業及び科学技術組織
(出所)ジェトロウェブサイト、JICAウェブサイト(法・司法制度支援プロジェクト〔原典:ベトナム2014年投資法〕)を基に作成
(注1)投資法改正により2015年7月1日から投資優遇措置の対象が変更された。国会によって精査・修正が行われ、政令・施行細則の交付によって詳細が定められる予定。
なお、具体的な優遇の程度は租税に関する法令、土地に関する法令等の規定に従う。
(注2)投資法に関する政令「Decree118/2015/ND-CP」によって、投資優遇分野は「投資特別奨励分野」と「投資奨励分野」に、投資優遇地域は「社会・経済的に特に困難
な地域」と「社会・経済的に困難な地域」に明確に分けられ、優遇措置に段階が付けられた。該当する事業については、同政令の付録に記載されている。
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1.3 進出手続き「投資優遇措置-法人税等」
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 2014年1月1日から施行された新法人税法では、優遇税率の対象が「企業」から「プロジェクトの利益」に変更。
 投資優遇分野・投資優遇地域でのプロジェクトに対して、10%もしくは20%の優遇税率を適用。
法人税における優遇措置
≪新法人税法による変更点:優遇税率の対象を「企業」から「プロジェクトの利益」に≫
旧法では主な優遇対象は新たに設立された「企業」であったが、「プロジェクトの利益」に変更(注1)され、優遇を受けられる範囲が広くなった。
税率
20%
17%
15%
10%
条件
標準所得税率(下記以外)
利便性の高い経済・社会条件を持つ地域(注2)に属する場合を除く、工業団地での新規投資プロジェクト
社会・経済的に困難な地域(注3)での新規投資、及び事業拡大投資プロジェクト
高級鉄鋼生産、省エネ製品、農林水産業、製塩業、灌漑事業、家畜の飼料生産、伝統産業の開発
人民信用基金、マイクロファイナンス機関
社会・経済的に困難、又は特に困難な地域に所在しない農業生産、農水産物加工企業
社会・経済的に特に困難な地域(注3)での新規投資、及び事業拡大投資プロジェクト
経済特区・ハイテク地区での新規投資、及び事業拡大投資プロジェクト
技術開発・科学研究、ハイテク応用・ソフトウェア開発(注4)、複合材料等の生産、再生可能エネルギー
等の生産、環境保護等に関する新規投資、及び事業拡大投資プロジェクト
生産分野で投資証明書発行から3年以内の投資額が6兆ドン以上、かつ、売上があった年度から3年以
内に年間10兆ドン以上の売上もしくは3,000人(注5)以上の雇用があったプロジェクト
ハイテク関連の生産分野で投資証明書発行から5年以内の投資額が12兆ドン以上の新規投資、及び事
業拡大投資プロジェクト
ハイテクサポートの裾野産業製品、アパレル、IT、自動車、機械製造の分野に属し、2015年までにベトナ
ムで生産できない、又はEUの技術基準を満たさない製品製造サポートの裾野産業製品
首相が規定する教育、職業訓練、医療、文化、スポーツ、環境分野
優遇期間
全期間
全期間
全期間
全期間
全期間
全期間
15年間
15年間
免税期間
なし
2年間
2年間
2年間
なし
2年間
2年間
4年間
50%減税期間
なし
4年間
4年間
4年間
なし
4年間
4年間
9年間
15年間
4年間
9年間
15年間
4年間
9年間
15年間
4年間
9年間
全期間
4年間
9年間
全期間
4年間
5年間/9年間
(注6)
なし
なし
なし
なし
社宅法で規定されている対象向けの社会住宅投資プロジェクト
全期間
なし
プレス機関の新聞発行、出版機関の出版活動による所得
全期間
なし
森林保護、又は社会・経済的に困難な地域での農林水産業、製塩業、農林水産物・食品の保管
全期間
なし
農業協同組合、共済組合
全期間
なし
(出所)ジェトロウェブサイトを基に作成
(注1)優遇税率の適用期間は売上が発生してから、免税・50%減税の適用期間は利益が発生してからとなる。又、両者は独立して行われる措置のため、優遇税率適用
期間が終わっても、免税・50%減税の適用期間内であれば、免税・50%減税が適用される。(注2)特級市、中央直轄市、省直轄市の市内の区(ハノイ、ホーチミン、ハイ
フォン、ダナン、カントー、フエ、ビン等)。(注3)「社会・経済的に(特に)困難な地域」は一般的に日系企業進出には不向きな地域であるため、灰色で表示。(注4)IT関連
の法人税の優遇措置を享受できる分野は特に「デジタルデータ製品の開発」、「ソフトウェアサービス」、「重点となるIT製品の開発」、「トラブルシューティング・情報安全の
保護サービス」と定められている。又、1,000名以上を雇用し、特別に投資を奨励する必要があるIT分野における新規投資プロジェクトを開始する場合、別途税率10%適
用期間が15年間延長される。(注5)3,000人には、パートや1年未満契約の労働者は含まない。(注6)「社会・経済的に(特に)困難な地域」への投資の場合には減税期間
は9年間、それ以外の場合には5年間となる。
8
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1.3 進出手続き「投資優遇措置-関税等」
Information Only
 投資優遇分野・地域、使用目的によって関税や土地使用料が免除される。
関税における優遇措置
分類
具体的ケース
•
•
投資優遇分野・地域
における優遇
使用目的による優
遇
•
•
•
•
•
•
•
「特別投資奨励分野」又は「社会・経済的に特に困難な地域」へのプロジェクトにおいて、生産のために輸入され
る原材料、供給品、部品(生産開始から5年間免除)
「特別投資奨励分野」又は「社会・経済的に特に困難な地域」へのプロジェクトにおいて、必要となる資本財(生
産設備、施設設備)
 機械・設備や、ベトナムで生産されていない生産ライン上での運搬手段や工員の運搬手段(組立てに必
要な原材料、部品を含む)や、建設資材等の固定資産の輸入は免税
 特にホテル、オフィス、賃貸マンション、住宅、ショッピングセンター、技術サービス、スーパー、ゴルフ場、
遊技場、診断・治療所、教育、文化、金融、銀行、保険、会計監査、コンサルタントサービスに投資する案
件の場合は、施設の運営に必要な設備(給水設備、空調、換気設備等)の輸入は、初回のみ免税
貿易フェアや展示会出品のために一時的に輸入され、再度輸出される物品
委託加工契約のもと、輸出加工用に輸入される物品
農林漁業への投資案件のために輸入される種苗、家畜
石油ガス事業サービスのために輸入される物品
造船分野における船(輸出税の免除)、固定資産(輸入税の免除)
国内で生産できないソフトウェア製品の生産用に輸入される原材料、物資
科学研究や技術開発活動で直接使用するために輸入される物品
土地使用料における優遇措置(注1)
業種/立地
社会・経済的に特に困難な地域(注1)
社会・経済的に困難な地域(注1)
該当しない
特別投資奨励分野
15年間免除
15年間免除
11年間免除
投資奨励分野
15年間免除
11年間免除
3年間免除
該当しない
11年間免除
7年間免除
優遇措置なし
(出所)ジェトロウェブサイトを基に作成
(注1)土地使用料における優遇措置が適用されるのは、政府から直接土地を借りる場合のみ。
(注2)「社会・経済的に(特に)困難な地域」は一般的に日系企業進出には不向きな地域であるため灰色で表示。
9
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1.4 進出手続き「進出形態」
Information Only
 ベトナムに進出する日系企業の大部分は、有限会社の形態を選択。
 投資する事業によっては、BCC契約、PPP契約による投資形態も存在。
ベトナムにおける進出形態
①1人有限会社
現地法人の設立
②2人以上有限会社
③株式会社
進出
形態
企業への追加投資
企業の株、又は持分の買収
④個人事業
⑤合名会社(注1)
現地法人設立の場合に選択されやすい
進出形態(なかでも有限会社は最も
一般的な形態であり、日本人投資家
の会社設立登録の8割以上を占める)
出資者が個人のみに限られるため日系
企業の進出形態としては選択されにくい
通信等の特定事業、石油開発等
の共同事業、インフラ建設等で活用
BCC契約、PPP契約(注2)
(注1)合名会社とは、共同所有主2名以上によって設立する形態。共同所有主は、個人資産を限度として全債務の返済義務を負う。
(注2)BCCはBusiness Cooperation Contracts、PPPはPublic Private Partnershipの略。 投資法改正により2015年7月1日からBOT契約、BTO契約、BT契約による投資が
廃止され、BCC契約、PPP契約による投資に限定された。
有限会社と株式会社の相違点(注3)
項目
有限会社
株式会社
1人有限会社
有限責任
2人以上有限会社
有限責任
有限責任
1名
2~50名
3名以上
重要事項の決定
会長もしくは社員総会
社員総会
株主総会
定足数
2/3以上の社員の出席
出資総額の65%以上の出資者
議決権付株式の51%以上の株主
監査役
1~3名必要
一定の要件を満たす場合のみ(注4)
一定の要件を満たす場合のみ(注5)
(監査役の要件が定められている(注6))
責任の形態
出資者
(出所)ジェトロウェブサイト、 JICAウェブサイト(法・司法制度支援プロジェクト〔原典:ベトナム2014年投資法〕)を基に作成
(注3)企業法改正により2015年7月1日から有限会社・株式会社の定足数や決議数等が変更された。
(注4)社員数が11名以上の「2人以上有限会社」は、監査役会を設置しなければならない。
(注5)①11名以上の個人株主がいる会社、もしくは、②50%以上の株式を保有する株主がいる株式会社は監査役会を設置しなければならない。ただし、企業法
改正により2015年7月から取締役の20%以上が独立取締役、かつ取締役会直属の内部会計監査委員会がある場合は監査役会の設置が必要ではなくなった。
(注6)過半数がベトナムに常駐する人であり、かつ少なくとも1名以上は公認会計士か同等の経験を持つ者でなければならない。
10
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1.5 進出手続き「会社設立の流れ」 (1)
Information Only
 投資法改正により2015年7月から投資登録証明書と共に企業登記証明書の取得が必要になった。
 投資登録手続きは各地の投資登録機関、企業登記手続きは経営登記機関へ申請書類を提出することで行う。(注1)
現地法人設立において行う主な手続の全体像(注2)
②企業登記証明書の取得
(注3)
①投資登録証明書の取得
③社印の作成
(注4)
④銀行口座
開設
⑤資本金払込
外国投資家が投資を行う場合、
出資比率に関係なく申請が必要。
(注1)投資登録証明書の申請は、各地域の計画投資局(Department of Planning and Investment:DPI)にて行う。一部の大規模プロジェクト等への投資は、別途国会、
政府首相、省級人民委員会が投資方針の決定権限を持つため、承認を受ける必要がある。
(注2)施行細則が発表されておらず、法改正による運用上の取り扱いについては不明瞭な部分が多い。
(注3)企業法改正により2015年7月1日から納税者番号の取得は不要となり、企業登記証明書に記載する企業コードによって税務管理を行うこととなった。
(注4)企業法改正により2015年7月1日から企業は社印の形式、数量、内容について決定する権利を有することとなった。従来の社印の登録証書が廃止され、
国家企業登記ポータルに印影が登録される。ただし、印章には企業名称と企業コードが含まれている必要がある。
企業登記に必要な書類
必要書類
有限会社
株式会社
企業登記申請書
合名会社
私人企業
必要
会社の定款
必要
社員・株主名簿
株主名簿
個人である社員・株主の個人身分証明書
社員名簿
株主身分証明書
社員身分証明書
身分証明書
組織である社員・株主の企業登記証明書
必要
投資登録証明書(外国投資家による投資について)
必要
(出所)ジェトロウェブサイト、 JICAウェブサイト(法・司法制度支援プロジェクト〔原典:ベトナム2014年投資法〕)を基に作成
11
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1.5 進出手続き「会社設立の流れ」 (2)
Information Only
 日本における書類の認証の取得、ベトナム政府の指定者による翻訳の必要性など、書類の準備に手間がかかる。
申請書類準備の流れ
【日本国内での手続き】
公文書の場合(注1)
私文書の場合(注2)
必要書類の入手
(法務局等から)
必要書類の作成
公証役場で公証
【日本での書類の認証】
• 「公証役場で公証」、「外務省で公証確認」という流れが一般的
だが、地域によっては公証役場で外務省の印鑑をセットで押して
くれるケースや、書類によっては公証役場の公証が不要で外務
省の公印確認のみでよいケースも存在
法務局での証明
日本国内で手続きする場合
ベトナムで手続きする場合
外務省で公印確認
在日ベトナム大使館で認証
【ベトナム語での翻訳と公証の取得に関する注意事項】
• ベトナム公証役場で公証が取得できる場合には、在日ベトナム
大使館での認証は不要であり、ベトナム公証役場で公証を取得
するケースが一般的
• 会社設立に必要な書類はベトナム語への翻訳とベトナムの公証
人による公証が必要
• ベトナム語への翻訳も政府から認可された者によって翻訳され
た証明が必要(政府指定者が翻訳した証明がなければ、書類に
不備がなくても受理されない)
• 公証資料が英語でない場合、ベトナム外務省での認証を受ける
前に、ベトナム公証役場でベトナム語に翻訳・公証する
• 通常はベトナム公証役場が翻訳と公証を合わせて対応
【ベトナムでの手続き】
在ベトナム日本国大使館、
又は総領事館で公印確認
ベトナム外務省での認証
ベトナム公証役場でベトナム語翻訳・公証
書類一式を提出
(出所)ジェトロウェブサイト
(注1)登記簿謄本、納税証明書等の公的機関から発行される書面。(注2)決算書、定款等、自ら(会社)が作成した書面。
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(ご参考)進出手続き「主要作業チェックリスト」
進出スケジュールの目安
Information Only
約21カ月(注1)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
(月)
14
15
16
17
18
19
20
進出先・進出形態の決定・事業計画策定
物件情報収集、現地視察
物件決定・賃貸権契約
投資総額決定、人事関連決定
企業登記
企業・投資登録証明書取得申請
社名の使用可否確認、法人設立登記
社印取得
会社設立公示
銀行口座開設・資本金払込
VAT(付加価値税)インボイス印刷
営業許可税(事業登録税)の申告・納税
工場建設
建設許可取得
防災許認可・環境に関する諸手続き
内外装工事・安全対策(工事期間は規
模・内容により異なる)
保険付保
什器・備品
社員の採用・研修
労働許可書取得(日本人の採用)
就業規則作成
労務関係保険、労働契約書作成
公募・採用、研修(技術者派遣)(注2)
機械設備搬入(注2)
機械の発注、運送業者への依頼
通関書類作成、輸送・搬入・検収
広報(注2)
開業・マスコミ広報活動・式典準備
開業(注2)
設備の現地調整・試運転、本格操業
(出所)各種報道資料を基に作成
(注1)進出形態や政治・経済状況等により異なる。(注2)工場建設期間に合わせて行う手続きである。
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21
2.1 税制「概要」
Information Only
 すべて国税であり、主要な租税は中央政府の財務省歳入局や関税局の管轄。
租税の概要
大分類
名称
直接・間接
税率・税額
特記事項
法人所得税
直接税
20%(15%、10%)
個人所得税
直接税
外国契約者税
間接税
•
括弧内は優遇措置を適応した場合
 石油・ガス事業については32~50%の税率を適用
 鉱物資源探索については40~50%の税率を適用
5~35%
•
非居住者にはベトナムでの源泉所得に対し一律20%の
税率を適用
所得税率+
付加価値税率
•
ベトナム会計基準の導入の有無で、算出方法が異なる
•
括弧内は一部の物品・サービスに適応される値
 生活に不可欠な物品及びサービスの供給には、5%
の税率を適用
 輸出される物品及びサービスには、0%の税率を適用
•
物品、サービス内容により異なる
 自動車:10~60%(2016年7月より最大150%に増税
予定)、二輪車:20%、アルコール:30~55%
‐
土地利用の用途に応じて、免税措置が存在
土地利用権のみを対象に課せられる税金であり、土地以外
の家屋等の固定資産に課せられる税金ではない
所得課税
付加価値税
(VAT)
間接税
10%(5%、0%)
特別売上税
(SST)(注1)
間接税
10~70%
資本譲渡税
直接税
25%
土地家屋税
直接税
地域により異なる
天然資源税
間接税
資源により異なる
(0~40%)
‐
輸出入税
輸出入関税
間接税
商品により異なる
‐
その他
営業許可税
直接税
100万~300万ドン
‐
環境保護税
直接税
従量課税(注2)
(課税数量×従量税率)
消費課税
•
•
資産課税
•
石油、石炭、HCFC(注3)、ビニール袋、除草剤等の販売、
交換、寄付、社内使用、輸入の際に数量に応じて課税
(出所)ジェトロウェブサイト、EY「Worldwide Personal Tax Guide Income tax, social security and immigration 2015–16」 、EY「Worldwide Corporate Tax Guide 2016」を基に作成
(注1)改正特別消費税法により2016年1月からタバコ、アルコール、カジノ及び電子ゲームの勝利金については増税、バイオディーゼルについては減税された。(注2)税率は
対象物ごとに異なる。(注3)ハイドロクロロフルオロカーボンの略であり、フロンガスの一種。
14
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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2.2 税制「所得課税」
Information Only
 法人所得税の標準税率は20%であり、外資系企業は課税所得算定の際に法定監査が必要。
法人への所得課税
項目
概要
税率
•
•
•
•
•
通常、20%
但し、各種優遇軽減税率がある
軽減税率のレートは、産業・プロジェクト・地域によって異なるが、10%又は17%
石油・ガスの操業を行う企業はその操業の地域、プロジェクトの条件によって異なるが、32~50%
鉱物資源の探索等を行う企業は、プロジェクトの場所により異なるが40~50%
課税対象
•
現地法人を設立するケースは全世界所得が課税対象(注1)
納税義務者
以下の形態の企業が法人税の対象
• 会社法、投資法、保険業法、証券法、石油法、商法その他合弁企業等により設立された法人で、パートナーシップ、有
限責任会社、法律事務所、私企業、事業協力契約の当事者、石油生産分与契約の当事者、石油・ガス合弁企業等
• 財の生産及び販売又はサービスの供給に従事している、課税所得を有する公開又は非公開の非営利事業
• 協同組合法に基づいて設立及び運営されている会社
• 外国法に基づいて設立された企業で、ベトナムにおいて恒久的施設を有している企業
• 財の生産及び販売又はサービスの供給を行っており、かつ課税所得を有する会社で上記以外の会社
特記事項
企業は、以下の条件を満たす場合に費用を損金に算入することが出来る
• 企業の生産及び事業活動において発生し、かつこれに関連している費用
• 当該費用について法律で義務付けられたインボイス(請求書)及び関連証憑一式が保管されている(注2)
(出所)EY「Worldwide Corporate Tax Guide 2016」、ベトナム法人税法「Low 14/2008/QH12」を基に作成
(注1)外資系企業には法定監査が求められる。
(注2)2,000万ドン以上の費用は、現金払いではない(例えば銀行送金又はクレジットカード支払い)ことを示す証憑の裏付けが必要である。
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2.2 税制「所得課税」
Information Only
 個人所得税の給与所得に対する税率は居住者に対しては5~35%の累進課税、非居住者に対しては一律20%。
個人への所得課税
項目
概要
居住者:5~35%(累進課税)(注1)
非居住者:20%
税率
•
•
課税対象
所得税法において以下の10種類の所得が課税対象となる
• 1.事業所得、2.給与所得、3.資本投資所得、4.資本譲渡所得、5.不動産譲渡所得、6.ロイヤルティ所得、7.フランチャイ
ズ所得、8.賞金・賞品所得。9.受取相続所得、10.受取贈与所得
納税義務者
• ベトナム居住者は全世界所得が課税対象となる。一方、非居住者はベトナム源泉所得が対象となる
【居住者の定義】
• ベトナム到着日から起算して、暦年中、又は連続する12ヶ月の期間中に合計183日以上(注2)ベトナムに居住する個
人
• ベトナムに恒久的住所を有する者(ベトナム国内に183日以上の賃貸契約等の居住場所を有するケースも含む)
特記事項
給与所得及び(又は)事業所得を有する税務上の居住者は以下の所得控除の利用が可能。
• 人的非課税枠及び扶養非課税枠:900万ベトナムドン/月の基礎控除と適格扶養家族1人に付き360万ベトナムドン/月
の扶養控除が認められている
• 社会保険料等:拠出が強制されている社会保険料、健康保険料、雇用保険料等は、給与所得から控除できる
• 慈善事業への寄付金:登録された慈善基金、人道基金又は、研究新興基金に対する一定の寄付金は控除できる
• 任意の退職基金への拠出金;財務省の指針に従い設立される任意の年金基金に対する雇用主及び雇用者双方の拠
出金は1か月100万ベトナムドンを限度として課税所得から控除できる
• 税額控除:外国で納付した税金は、ベトナムで納付すべき税額を限度として、ベトナムの税額から控除可能。ただし、
税額控除の金額は、国外源泉所得に対してベトナムで納付すべき税額を超えることはできない
(出所) EY「Worldwide Personal Tax Guide Income tax, social security and immigration 2015–16」を基に作成
(注1)最高税率の35%が適用される基準は、全世界での課税所得が年間9億6,000万ドン(約500万円)以上の場合。基礎控除は年間1億800万ドン(約57万円)、扶養控除
は1名あたり4,320万ドン(約23万円)である。
(注2)日数の計算上、到着日と出発日を合計して1日と数える。
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2.3 税制「外国契約者税」
Information Only
 外国契約者税は、外国の個人・法人がベトナムの個人・法人に対して提供したサービスに課される税金。
 2014年10月1日に新法令が発効し、納税義務者および非納税義務者の範囲が変更された。
資産課税
種類
外国契約者税
納税義務者
外国の個人及び法人
(ベトナムでの居住
性、恒久的施設の有
無は問わない)
みなし税率一覧
種類
税率
【ベトナム会計基準(VAS)導入事業者】
所得税率+付加価値税率(通常の税率)
【VAS非導入事業者】
外国契約者税率(みなし税率)
特記事項
法人所得税分はみなし法人税率を適用、付
加価値税分についてはVASを適用するという
ハイブリッド方式も存在
外国契約者税の非納税義務者
付加価
値税率
所得
税率
物品販売サービス
-
1%
サービス一般
5%
5%
資材・機械設備の供給
を伴わない建設・据付
5%
2%
資材・機械設備の供給
を伴う建設・据付
3%
2%
運輸サービス
3%
2%
製造および
その他の事業活動
3%
2%
再保険
-
0.1%
資本譲渡
-
0.1%
利子
-
5%
ロイヤルティ
-
10%
• ベトナム国内に、ベトナムの法律に基づいて設立された外国法人又は個人
• サービスの提供を伴わない物品の販売を行う外国法人又は個人
• ベトナム国外で提供され、消費されるサービスを行う外国法人又は個人
• 航空機や船舶等の輸送手段の修繕、広告宣伝サービス、トレーニングサービス等をベト
ナムの企業や個人にベトナム国外で提供する外国法人又は個人
• 国際輸送、運搬中継、加工目的の製品保管用途で倉庫を使用する外国法人又は個人
新法令で新たに追加された外国契約者税の納税義務者
• 国内事業者に契約締結仲介サービスを行う外国法人又は個人
• 国内でみなし輸出・輸入(On the Spot Export/Import)(注)を行う外国法人又は個人
• 下記の条件に1つでも該当する形で、ベトナムにて商品の販売及びサービスの提供の
一部もしくは全てを実施する外国法人又は個人
 商品の所有権を保持し続けている場合
 品質に対する責任、配送費用、広告・マーケティング費用等を負担する場合
 販売価格、サービス料金の決定権限を持つ場合
(注)物流上はベトナム国内企業Aからベトナム国内企業Bに直接商品が納品されるものの、商流上はベトナム
国内企業Aから外国法人に販売(輸出)し、外国法人からベトナム国内企業Bに販売(輸入)する取引。
(出所)ジェトロウェブサイトを基に作成
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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2.4 税制「消費課税」
Information Only
 標準税率は10%であり、必需品・必需サービスに対する税率は5%、輸出品・輸出サービスへの税率は0%。
付加価値税
項目
概要
税率
【標準税率:10%】
• 0%又は5%の税率の対象となる物品及びサービスの一覧に含められていないものに適用
【軽減税率:5%】
• 生活に不可欠な物品及びサービス(水、肥料、教育助成、児童用書籍、食料品、医薬品及び医療機器、畜産物、農業用
の特別な機器、農産品、農業サービス、科学技術サービス、基礎化学品等)の供給に適用
【ゼロ税率:0%】
• 輸出される物品及びサービス、海外で又は輸出加工区内での建設及び据付、又国際航空、国際海運及び国際輸送
サービスの実施に適用(注1)
課税対象
•
特にVAT対象外と定義されたものを除き、生産、事業及び消費に用いられる外国からの供給業者からの財・サービスの
購入を含む物品及びサービスに適用
•
ベトナム国内において課税対象となる物品及びサービスを生産及び売買する組織及び個人、又は課税対象となる物品
及びサービスを国外から輸入するもの(以下、事業者)はVATを納付する義務を負う
以下の者が事業者に含まれる
•
納税義務者





•
•
特記事項
•
ベトナムの法律に基づき事業の登記を行っている事業組織
政治団体、社会団体、及び職能団体の経済組織、並びに人民軍の部隊
ベトナムの法律に基づき設立された外資系法人、並びにベトナム国内に法人を設立していないが、ベトナム国内で事業を営
む外国企業及び外国人
ベトナム国内で生産活動、売買活動又は輸入活動を営む個人、家族世帯、パートナーシップ及びその他の事業形態
ベトナム国内で生産及び事業、並びにベトナム国内に恒久的施設を有さない外国の組織又はベトナムの非居住者である外
国人からの購入サービスを営む組織及び個人
事業者は、VAT課税対象となる物品・サービスの生産、又は売買に用いられる物品・サービスに対して支払ったインプッ
トVATを税額控除でき、事業者はインプットVATを売上に係るVATと相殺することにより回収する
VATの税額控除が認められるためには、購入価額が2,000万ドン未満の場合を除き、銀行を通じた支払いであることを証
する書類が必要であり、又インプットVATの税額控除を裏付けるため正当なタックスインボイスが必要だが、そのタックス
インボイスには課税前の価格、そのVAT及び合計支払額が記載されている必要がある
タックスインボイス又は税金の納付書の脱漏の為、申告において控除していないVATの金額があることに気付いた場合
は、税務調査の実施決定前であれば、追加の税額控除の申請が可能であり、又、税額控除方式を用いてVATを納付す
る事業者は一定の条件下でVATの還付が認められる
(出所)EY「Worldwide VAT, GST and Sales Tax Guide 2016」を基に作成
(注1)税率0%を適用するためには、各会社で輸出通関書類を適切に保管しておく必要がある。
18
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2.5 税制「輸出入税」
Information Only
 輸出関税については、保険料及び運賃を除き、出港地での売却価格(FOB価格)を基に課税標準を算定。
 輸入関税には、4種類(標準関税率、優遇税率、特別優遇税率、その他)の異なる税率が存在。
輸出入税(注1)
項目
課税対象
輸出税
ベトナムの国境を超えて輸出の
許可を得た物品
(一部、対象外の商品有り)
商品により異なる
•
•
出港地での売却価格(FOB価格)を基に課税標準を算定
関税価格は、輸出時の契約書ならびにその他関連書類に基
づく売却価格となる
ベトナムの国境を超えて輸入の
許可を得た物品(一部、対象外
の商品有り)
4種類の税率
• 標準関税率
• 優遇税率
• 特別優遇税率
• その他
•
•
CIF価格(保険料、運賃を含んだ価格)を基に関税率を算定
2009年10月に日越経済連携協定(JVEPA)が発効し、ベトナ
ム側は輸入額の88%に相当する品目を2009年から10年間で
無税化
2012年3月にベトナム財務省はJVEPAの2012年4月1日から
2015年3月31日までの輸入引き下げスケジュールを公表
(注2)
輸入税
税率
課税基準及び備考
•
(日本からの輸入品には特
別優遇税率を適用)
(注1)納税は原則としてベトナムドンで行う必要がある(外貨の場合はベトナムドンに換算可能なものに限られる)。
(注2)輸出税は、主に鉄鉱石等の鉱物や石炭・木材・天然ゴムといった天然資源を輸出する場合に課せられる。
関税の対象外となる物品等
物品
輸入税における4つの税率
項目
ベトナムを通過するだけの貨物
援助事業等による支援物質
外国企業が固定資産として使用する
ために輸入される機械装置等
標準関税率
•
•
優遇税率及び特別優遇税率に該当しない輸入物品に適用される
標準関税率は優遇輸入関税表一覧に定められている優遇関税率よ
り50%高く設定されている
優遇税率
•
•
最恵国待遇の合意がある通商国からの輸入物品に適用
物品ごとに税率が規定されている
•
自由貿易地域や共通関税制度の一環として国際貿易の連携強化、
もしくは、その他特別優遇措置の対象となる場合に、特別優遇輸入
関税に関する協定が締結している国からの輸入物品に対して適用
•
国内の関税法令により、個別に優遇税率が適用
ベトナムで生産不可能な建築資材
輸出加工区間で輸送される物品
特別優遇税率
その他
(出所)ジェトロウェブサイトを基に作成
概要
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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2.6 税制「国際課税」
Information Only
 日本とベトナムとの間では租税条約が締結済み。
 移転価格税制はOECDガイドラインに準拠しているが、「関連者」の定義等がベトナム独自である。
租税条約
• ベトナム・日本間で二国間租税条約(日越租税協定)が締結されている。
• ベトナム・日本間で締結されている租税条約は、OECDモデル条約をベースにして規定されている。
• ベトナムは約50カ国と租税条約を締結している。
源泉税
• 配当:0%、利子:5%、ロイヤルティ:10%(内国法)(注1)
国際的租税回避行動に対する対応
項目
移転価格税制
概要
ベトナムの移転価格の規則の下において認められる独立企業間価格算定のための方法はOECDガイドラインに定めら
れた方法に極めて類似している。認められる方法は、以下の通り
 独立価格比準法
 再販売価格基準法
 原価基準法
 利益分割法
 取引単位営業利益法
•
•
過少資本税制
関連当事者は、年度末から90日以内に法人税確定申告書に添付して開示しなければならない。同時に移転価格に
関する報告書を年次で作成及び保管し、書面による要求から30営業日以内に税務当局に提出しなければならない
改正税務行政法は、2013年7月より事前確認(APA)の適用について定めている。場合においてVATの還付が認め
られる
なし
(出所)EY「Worldwide Corporate Tax Guide 2016」、EY「Worldwide Personal Tax Guide Income tax, social security and immigration 2015–16」を基に作成
(注1)日越租税協定では、配当10%、利子10%、ロイヤルティ10%だが、実際の日本の受取人に対する支払いでは、より有利な内国法に基づく税率が適用される。
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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3.1 貿易・為替管理制度「貿易管理・為替管理」
Information Only
 2007年のWTO加盟以降、貿易の自由化が促進。
 為替相場は中央銀行が米ドルに対して公式レートを設定し、決められた範囲で取引される管理フロー ト制度。
貿易・為替管理制度
項目
概要
【概要】
• 2007年のWTO加盟における①関税引き下げ、②サービス分野の開放、③農業分野の補助金廃止や知的財産権保護等
の合意により、貿易の自由化が進められている
貿易管理
【輸入規制品目】
• 商工省が国内の需給等を基に、通常5年ごとに輸入制限品目の見直しを実施
• 現在、武器、花火、衣服等の特定中古消費財、自動車等の特定中古製品、中古IT関連製品等の輸入が禁止されている
【固定資産投資に対する免税】
• 進出企業が生産に必要な設備や機器を輸入する場合、当初の固定資産投資の一部は免税される
• 設備・機器が中古品の場合、一定の規制があり、計画投資省の許可が必要となる
外国為替
管理
【為替相場管理】
• 外国企業や外国人投資家は、ベトナム国家への納税義務を履行した後、利益、配当金、収益の分配金、 その他の合法
な収入(ロイヤルティ、借入金元利、個人所得等)を海外に送金する権利を有する(注)
• ベトナム国家銀行(中央銀行)が米ドルに対して公式レートを設定し、決められた範囲で取引される管理フロー ト制度を採
用
【貿易管理】
• 外貨決済が認められている。決済方法 としては、信用状、為替手形、振り込み指示書等の支払い方法が利用可能
【貿易外取引】
• 経常取引や資本取引から外貨収入を得た現地法人は、銀行で外貨口座を開設することができる
(出所)Decree 31/2015/TT-BTTTT、ジェトロウェブサイトを基に作成
(注)外国人投資家は送金に際して送金業務の認可を受けた銀行に対し、税務当局による税金の納付証明書を含む一定の関係書類を提出する必要がある。
21
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3.2 貿易・為替管理制度「FTA/EPA」
Information Only
 各国・地域とのFTA/EPAの締結・交渉によって、貿易関連規制の緩和を積極的に推進。
貿易政策
区 分
二国間協定
多国間協定(
注
ASEAN+1
ベトナム・日本EPA
ベトナム・チリFTA
ベトナム・韓国FTA
ベトナム・イスラエルFTA
ASEAN・中国FTA
日本
チリ
韓国
イスラエル
中国
ASEAN・韓国FTA
韓国
ASEAN・日本FTA
日本
ASEAN・インドFTA
ASEAN・香港FTA
インド
オーストラリア、
ニュージーランド
香港
AFTA(注2)
ASEAN加盟国
ベトナム・EU FTA
ベトナム・EFTA FTA(注3)
TPP(注4)
ベトナム・EEU FTA(注5)
AEC(注6)
EU加盟国
EFTA加盟国
TPP加盟交渉国
EEU加盟国
ASEAN加盟国
ASEAN・豪・NZ FTA
)
1
その他
締結国・地域
名 称
締結状況
備 考
2009年発効
―
2014年発効
―
2015年発効 2015年12月20日に発効
交渉中
2016年3月より交渉開始
2005年発効 2020年までに関税を撤廃予定
韓国からの輸入品目の90%に対する関税が2016年
2007年発効
までに撤廃又は5%以下に引き下げられる
ベトナムにおいては、それぞれの経済発展に応じて
2008年発効
関税撤廃・削減のスケジュールを決定
2010年発効
―
交渉中
―
2010年までに先発加盟国6カ国間で域内関税を撤廃
2015年までに後発加盟国4カ国でも域内関税を撤廃
2015年12月にEUが最終合意と発表
2014年11月に第8回目の交渉を実施
1995年発効
交渉中
交渉中
2016年調印 2016年2月に調印式後、加盟国が共同声明を発表
2015年調印 2015年5月に正式署名を発表
2015年発足 2015年12月31日に発足
(出所)ベトナム商工省ウェブサイト、アジア開発銀行ウェブサイト、ジェトロウェブサイトを基に作成
(注1)多国間協定の発効年はベトナムとの間で協定が発効した年。(注2)AFTA(ASEAN自由貿易地域):ASEAN加盟10カ国。ATIGA(ASEAN物品貿易協定)により主として
域内関税の撤廃を目指す。(注3)EFTA(欧州自由貿易連合):アイスランド、スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン(注4)TPP(環太平洋パートナーシップ協定):米国、オー
ストラリア、カナダ、シンガポール、チリ、日本、ニュージーランド、ベトナム、ペルー、ブルネイ、メキシコ、マレーシア(注5)EEU(ユーラシア経済連合):ロシア、カザフスタン、
ベラルーシ、アルメニア(2015年1月加盟)、キルギス(加盟予定)(注6)AEC(ASEAN 経済共同体):ASEAN加盟国10カ国。ASEAN共同体の中心を担い、2020年までに単一
市場、生産基地の構築を目指す。
22
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4. 金融政策と金融機関
Information Only
 国有商業銀行がベトナム金融の中心的存在。
 株式銀行(民間商業銀行)は今後、再編が起こる可能性が存在。
金融機関
形態
国有政策銀行
役割・特徴
•
市場経済で対応できないインフラ開発や貧困削減に資する金融を担うため、政府の方針を基に融資活動を行う
•
国有商業銀行及び旧国有商業銀行は5行あり、同国の金融の中心的存在
•
国有商業銀行は一般の民間商業銀行と同様の競争状況下で営業することが義務付けられている
•
政府はIMFや世界銀行等の支援を受けて、株式会社化を推進中。既に5行中4行が株式会社化済み。残り1行も
株式会社化を予定。2015年12月末時点で国有商業銀行は7行存在している
株式銀行
(合資銀行)
•
•
小規模乱立が目立ち、経営基盤が弱く不良債権の累積が問題視されている
2011年に2011~2015年の銀行再編計画が発表された。2015年6月末時点で株式銀行は34行存在している
合弁銀行、
外国銀行支店
•
•
2015月6月末時点で合弁銀行は4行存在している
2015年6月末時点で外国銀行49支店が設立されている
ベトナム国家銀行
(中央銀行)
•
融資規制、預金準備制度、外貨管理等を通じた金融政策を遂行するとともに、金融機関との預金及び貸付取引
を通じた「銀行の銀行」の役割、財政に対する貸付等「政府の銀行」の役割を担当している
国有商業銀行
及び
旧国有商業銀行
金融機関の不良債権及び株式銀行の再編計画
•
2011年に発表された銀行再編計画では「規模が小さくかつ財務内容が不健全な銀行」に指定された銀行について再編を進める予定。
•
中央銀行査察部は2012年11月の不良債権比率が8.8%(不良債権額:250兆ドン、約120億ドル)に達したことを発表した。
•
2013年7月にベトナム国家銀行は債権回収公社を発足させ、10~12月中旬に銀行から総額22兆8,630億ドン(約1,120億円)の不良債権を買
い取った。公社は簿価で債権を購入し、銀行は公社が債権を保管する5年間で、不良債権処理のための引当金を積み立てる形になる。
•
2015年2月にベトナム国家銀行は2017年までに銀行数を約40行から15行程度に減らす方針を発表した。2015年は5月末までに6件のM&Aが
公表されている。
•
債権回収公社は2014年に81.6兆ドン(約4,500億円)相当の不良債権を買取ったが、その回収額は約4.5兆ドン(約250億円)に留まった。
•
2015年3月にベトナム中央銀行は債権回収公社が不良債権買取のために80兆ドン(約4,500億円)の特別債を発行すると発表した。
(出所)ベトナム中央銀行ウェブサイト、各種報道資料を基に作成
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5.1 インフラ「物流インフラ」
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 海上輸送では、コンテナ取扱量の約70%が南部の港に集中。
 航空輸送では、タンソンニャット国際空港とノイバイ国際空港が大部分を占有。
物流インフラ(海上・航空輸送)
形態
現状
•
海上
輸送
•
•
航空
輸送
•
課題・今後の計画
主要な港が国内に7つあるが、い •
ずれも河川港のため、大型船の
寄港は困難
2014年のコンテナ取扱量は前年 •
比18.4%増の1,000万TEU。全体
の約70%が南部、約26%が北部
ホーチミン市郊外では、サイゴン港に代わる海運拠点として 新
ノイバイ国際空港
国際港(カイメップ・チーバイ港)の整備が行われ、同港は2013
年2月に開港した
しかし、サイゴン港から同港への主要港湾機能の移行が進まず、
又、同港周辺に多数の港の開港により競争も激化し、稼働率が
ハイフォン港
低下している
クアンニン港
国内の主要国際空港は、タンソン •
ニャット、ノイバイ、ダナンの3つ
国際輸送では、タンソンニャット国
際空港とノイバイ国際空港が大 •
部分を占有
2011年ホーチミンから約40km離れたロンタイン新国際空港の建
設を決定し、2015年6月の国会で投資計画案が賛成多数で承
認された。投資額は約160億ドル、第1期開業は2025年の見通し
2015年8月時点で、20港の国内空港の改修が進められている
ダナン港
主要港のコンテナ取扱量(2014年、万TEU)(注)
ダナン国際空港
コンテナ取扱量
北部
中部
ハイフォン港
100.3
クアンニン港
0.3
22.7
ダナン港
8.7
クイニョン港
南部
クイニョン港
カットライ港(サイゴンニューポート)
382.7
カイメップ港(CMIT、TCIT)
132.6
タンソンニャット国際空港
カットライ港
カイメップ港
サイゴン港
34.5
サイゴン港
(出所)外務省ウェブサイト「国・地域情報」、ベトナム港湾協会ウェブサイト、各種報道資料を基に作成
(注)TEUは20フィートコンテナ1個分。
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5.1 インフラ「物流インフラ」
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 道路網、鉄道網ともに整備が十分に進んでおらず、商用の貨物輸送での利用には課題が存在。
物流インフラ(内陸輸送)
項目
現状
•
道路網は総延長で20万6,633km(2013年)
•
全道路のうち舗装(アスファルト)されているのは全体の
71.8%の14万8,338km
•
主要国道は、北ベトナムと南ベトナムを結ぶ1号線、ハノイ
市とハイフォン省を結ぶ5号線、ハノイ市とライチュー間を結
ぶ6号線、ホーチミン市とナムカンを結ぶ4号線等
•
地方都市の道路の約6割は未舗装。特に北部の省・村
道の舗装率は低く、降水量が多い雨期に通行不能とな
る道路も多い
最重要道路は国道1号線で、アジア開発銀行の借款により
拡張工事が進展し、2005年6月、中部のハイバン峠を貫通
するトンネルが完成
•
2009年7月、ベトナム道路局は交通運輸省に対して総
建設費312兆ドン(約1.6兆円)の南北高速道路(ハノイ・
カントー間1,811km)の詳細整備計画を提出。建設は第
1期(~2010年)、第2期(2011~2020年)、第3期(2021
年~)に分かれる
•
車両の老朽化が著しく、単線、狭軌、橋梁の整備が不
十分なため、重量物の輸送や高速輸送ができない(現
状では商用の貨物輸送には適さない)
•
2013年6月にタン運輸相がハノイ・ホーチミン間約
1,600kmを高速鉄道で結ぶ「南北高速鉄道」計画を2020
年までに国会提出する考えを示した
•
2015年6月にタン運輸相が設計計画の立案を関連当局
に指示した。設計速度は時速60km程度の営業速度を
90km程度に引き上げ、同時に複線を時速160~200km
未満を想定して新設する。ハノイ - ヴヴィン、ホーチミン
- ニャチャン間を先行して整備する
•
道路網
•
2015年12月、ハノイ市とハイフォン市を結ぶ高速道路が開
通。国道で2時間30分以上かかるところを約1時間で移動
可能に
•
ハノイ、ホーチミンの市内道路は全面的に舗装されている
•
鉄道は公社による独占事業
•
2013年の国内鉄道網の総延長距離は2,632kmで、全線が
単線で狭軌
•
鉄道網
課題・今後の開発計画
同国第一の主要幹線はハノイとホーチミンを結ぶ南北統一
鉄道
(出所)CIA「The World Factbook」2016年1月版、各種報道資料を基に作成
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5.2 インフラ「電力・通信」
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 第7次国家電力開発マスタープラン(PDP7:2011~2020年)の進捗率が前計画の進捗率よりも大幅に改善。
 「電力不足・停電」を「経営上の問題」と考える日系企業は減少しており、電力事情は改善傾向。
電力・通信の現状
項目
現状・問題点
•
•
•
電力
•
方向性
ベトナムにおける2014年の発電量は約14.6万GWh。このうち、水力発
電が41.1%、天然ガス発電が30.7%、石炭火力が25.9%を占める
第7次国家電力開発マスタープランの2011~2014年の電源開発実行
率は84.3%であり、前計画の進捗率(70%以下)より改善
2014年のJETROの調査でも、「電力不足・停電」を「生産面での問題
点」と回答した日系製造企業の割合は17.9%と2011年の61.6%から激
減
ただし、天候の影響を受けやすい水力発電に依存しているため、石炭
やガス火力発電所の安定的な稼働が今後の課題
•
•
•
•
•
通信
•
通信市場は、民間企業にも開放され、新規参入企業による通信料金
の低価格化が進んでいる
商用通信については、電話、ファックス、インターネットとも問題なく利
用可能
•
•
•
2011年7月、第7次国家電力開発マスタープランを発
表。総発電量を、2020年に約35万GWh(2014年の約
2.4倍)、2030年に約75万GWh(2014年の約5.2倍)ま
で引き上げる計画
同計画では、2030年までに石炭火力発電の発電容
量が全体の半分を占める予定
2014年から着工予定であった原子力発電所の建設
の着工が2020年に延期された。2020年以降のエネ
ルギー開発計画に影響を及ぼす可能性が存在
商工省は2016年から電力下卸売市場を自由化する
方針で、ベトナム電力公社(EVN)の独占状態を解消
携帯電話の加入者数が急増した後、横ばいで推移
携帯電話は特に都市部で普及しており、国民1人あ
たり、1.3~1.4契約を結んでいる
インターネット加入者も近年増加傾向にある
(出所)ジェトロウェブサイト、各種報道資料を基に作成
通信サービス普及状況
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
固定電話契約者数
(人口100人あたりの契約数)
1,017万契約
(11.3契約)
956万契約
(10.5契約)
673万契約
(7.3契約)
556万契約
(6.0契約)
590万契約
(6.3契約)
携帯電話契約者数
(人口100人あたりの契約数)
1億2,732万契約
(141.6契約)
1億3,167万契約
(145.0契約)
1億2,374万契約
(135.0契約)
1億3,615万契約
(147.1契約)
1億2,200万契約
(130.6契約)
ブロードバンド契約者数
(人口100人あたりの契約数)
384万契約
(4.3契約)
478万契約
(5.3契約)
515万契約
(5.6契約)
600万契約
(6.5契約)
760万契約
(8.1契約)
(出所)ITU「ICT Facts and Figures」2016年版を基に作成
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6.1 労働事情「賃金動向」
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 基本給料とは別に会社が負担する人件費は、基本給料の32~40%。
 政府は最低賃金の引き上げを2011年1月、10月、2013年1月、2014年1月、2015年1月、 2016年1月に実施。
最低賃金は2011年1月から2016年1月にかけて全地域で2倍以上に上昇。
会社が負担する人件費
基本給料
+
社会保険料
+
基本給料の18%
健康保険料
+
基本給料の3%
失業保険料
基本給料の1%
労務費
+
+
基本給料の2%
ボーナス
(年間で基本給料の1~2カ月分)
基本給料の8~16%程度
基本給料の32~40%
主要都市の賃金水準(月額、2015年10~11月時点)(注2)
地域別最低賃金(月額)
(万ドン/月)
地域
(注1)
2011年
1月
2011年
10月
(注1)
2013年
1月
2014年
1月
2015年
1月
2016年
1月
第1地域
155
200
235
270
310
350
ハノイ
ワーカー
(一般工職)
エンジニア
(中堅技術者)
中間管理職
第2地域
135
178
210
240
275
310
(課長クラス)
賞与支給額
第3地域
117
155
180
210
240
270
保険負担
率(注3)
第4地域
110
140
165
190
215
240
(出所)ジェトロウェブサイト、各種報道資料を基に作成
(注1)2011年10月より、各地域に含まれる都市区分が一部変更された。ジェトロウェブサイトをご参照。
雇用者
被雇用者
ホーチミン
397万ドン
181ドル
758万ドン
346ドル
423万ドン
193ドル
765万ドン
349ドル
1,908万ドン
1,612万ドン
871ドル
1.58カ月
22.0%
10.5%
736ドル
1.48カ月
(出所)ジェトロウェブサイト、
ジェトロ「ジェトロセンサー」2016年6月号を基に作成
(注2)2016年の1月5日の為替レートで換算。
(1ドル=21,907ドン)
(注3)保険には社会保険、健康保険、失業保険を含む。
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6.2 労働事情「就業者数・労働条件」
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 農林水産業の就業者数・割合ともに減少傾向。工業・建設業、サービス業の就業者数・割合は増加傾向。
 2012年6月に労働法が改正され、2013年5月1日から施行。残業規制が実質的に変更されず、テト(旧正月)休暇の日
数が増加するなど、一部の進出日系企業にとってはコストアップの要因となる内容。
労働市場
労働条件
総人口(2014年)
9,063万人
就業者数(2015年)
5,289 万人
概要
•
(出所)IMF、ベトナム統計局
•
雇用契約
産業別就業者数割合の推移
(%)
100%
90%
80%
5,035
1,527
5,170
1,626
(万人)
5,221
5,274
5,289
1,671
1,699
1,736
70%
60%
1,072
1,096
1,106
1,131
50%
1,208
40%
30%
20%
2,436
2,449
2,444
2,444
2,345
10%
0%
2011
2012
農林水産業
2013
工業・建設
2014
2015 (年)
サービス
•
雇用契約には、①期限の定めのないもの、②12~36カ
月の期限付き、③季節労働又は特定業務に関する12カ
月未満、の3種類がある(労働法第27条)。
期限付き契約(上記②、③)において、契約終了後も被
雇用者が雇用の継続を望んだ場合、終了後30日以内に
新たな労働契約を結ばなければならない。
期限付き契約の場合、契約更新が認められるのは1回
のみで、2回目の更新の際には、期限の定めのない雇
用契約(上記①)を結ばなければならない。
勤務時間
•
週48時間、週休1日、1日あたり8時間
残業
•
1日あたり4時間以内、年間200時間以内
(政府承認を取得すれば、年間300時間まで可能)
試用期間
•
30~60日、給料は正式採用時の70%
年休
•
1年勤務後、年間12~16日
年間祝祭日
•
日数
(2016年)
10日(正月、旧正月(5日)、フンヴォン王(雄王)記念日、
解放記念日、メーデー、独立記念日等)
退職金
•
雇用期間1年につき月給の50%
産休期間
•
6カ月
(出所)各種報道資料を基に作成
(出所)ベトナム統計局「Socio-economic situation」を基に作成
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