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東京理科大学の公式 Web サイトを 環境パフォーマンスに優れたサーバと

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東京理科大学の公式 Web サイトを 環境パフォーマンスに優れたサーバと
東京理科大学の公式 Web サイトを
環境パフォーマンスに優れたサーバと
SAMP プラットフォームで構築
秋元 禮
サン・マイクロシステムズ株式会社
[email protected]
概要:東京理科大学は、同校の魅力や取り組みなどを広く伝え、優秀な学生を集めるための情報発信メディアとして、
公式 Web サイト(http://www.tus.ac.jp/)の利便性向上と、コンテンツの充実に注力してきている。今回、その
システム刷新にあたり重視したのは、5 年先のトラフィックの増加にも対応するパフォーマンス/拡張性があるこ
と、オープンソースのアプリケーションが稼働すること、加えて、地球環境への配慮がシステム設計に取り入れ
られた省消費電力で「環境パフォーマンス」に優れたシステムであることの 3 点。ここでは、これらの検討によ
り採用された情報システム環境を紹介する。
キーワード:環境パフォーマンス、オープンソース
やコンテンツの多様化に対応できる柔軟なシ
ステム構成に変えることを決めたのです」と
東京理科大学総合情報システム部情報開発課
デジタルメディア室室長のデベンドラ・ナラ
ヤン氏は語る。2006 年 11 月 1 日に稼働した
新システムでは、以前は備えていなかった
DB サーバ機能を導入し、DB に MySQL を
採用。そこでは Sun Fire X4200 を 2 台設置
し た。 ま た、HTML コ ン テ ン ツ 用 の Web
サーバには Sun Fire T2000 を 2 台、動画コ
ンテンツを配信するストリーミング・サーバ
に Sun Fire V240 を 1 台、LDAP サ ー バ に
Sun Fire X4100 を 1 台備える柔軟性と拡張
性に優れた強固なシステム構成とした。
Sun を選択した理由についてナラヤン氏
は、「毎年 20 ∼ 30% 程度のペースで Web サ
イトへのアクセス数が増えています。さらに
動画のストリーミング配信をはじめ、コンテ
ンツを充実させていく計画があることから、
今まで以上にアクセス数が増大し、サーバの
負荷が増えることは確実です。そうした条件
をクリアし、しかもコスト的にも環境的にも
有利だったのが Sun でした」と語る。特に
消費電力を抑え、省スペースであり、発熱が
少ないといった「環境パフォーマンス」に優
れていることは、地球環境への配慮がなされ
ているという点で高く評価された。さらにも
う 1 つの理由として「私自身、長年にわたっ
て Sun 製品でシステム開発をしてきた経験
があり、扱いやすさを知っていることに加
え、とても信頼性が高いことも実感していま
す」というように、ナラヤン氏の技術者とし
ての視点においても、Sun 製品が最適だと判
断されたのである。
ナラヤン氏の長年にわたる経験の中には、
1. 公式 Web サイトへのアクセス数は 1
か月平均で約 3,000 万。今後はさら
に増加する傾向にある
東京理科大学は今年、創立 125 周年を迎え
た。理科系私大の雄として、これまで産業界
に多くの人材を輩出しており、もちろん IT
業界にも卒業生は数多い。このような確固た
る実績がある一方で、これからの少子化時代
を迎えるにあたって、東京理科大学では既に
その対策にも取りかかっている。そうした中
で、公式 Web サイトは大学の魅力を広くア
ピールするツールの 1 つとして欠かせない存
在である。また、受験シーズンは合格発表に
使われるなど、その用途は単なる情報発信に
とどまらず、拡大の一途をたどっている。
東京理科大学の公式 Web サイトは、アク
セ ス 数 が 1 か 月 平 均 で 2,000 万 ∼ 3,000 万。
それが受験シーズン、特に合格発表の季節に
なると 1 時間で 100 万アクセスを超えるほど
のトラフィックが集中するという。そのた
め、Web システムはコンテンツを充実させ
て情報発信のキーとするだけでなく、急激に
増加するトラフィックにも対応しなければな
らない。
2. パフォーマンスとコストなどに加え、
省電力や省スペース、低発熱量な
ど、環境面も考慮して Sun を採用
それまでのシステムも、Sun のサーバと
Solaris OS を使ったシステム構成だったが、
2006 年 3 月、システムの刷新に着手するこ
とにした。「システムの能力的には問題はな
かったのですが、5 年後の想定トラフィック
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図 1 ネットワーク構成
のマシンが運び込まれ、8 月にはシステム構
築に着手した。システム構築はソニーブロー
ドバンドソリューション株式会社が担当し、
9 月には開発技術支援として株式会社ビー
グッド・テクノロジーも加わった体制で推進
した。OS には Solaris 10、Web サーバ・ソ
フトウェアには Apache を使い、DB には前
述した MySQL、スクリプト言語は PHP。こ
れらは「SAMP プラットフォーム」と呼ば
れるように、Solaris 10 OS とオープンソー
スのソフトウェアの組み合わせは、それぞれ
の長所を活かすことができ、非常に親和性が
高い。
「導入期間を短縮するという点では、パッ
ケージを活用する方法も 1 つの選択肢です。
今回はオープンソースを採用しましたが、も
ちろんコスト面だけで決めたのではありませ
ん。自分たちの使いやすいシステムを構築す
るには、パッケージでは難しい面もあるから
です。オープンソースを採用することは、技
術者がユーザの要求に合わせて自分の手で
コードを変更しカスタマイズできるため、効
率性に優れたアプリケーション・サービス環
境を構築する上で非常に価値の高いことであ
ると思います」と、ナラヤン氏はオープン
ソースを活用した理由を語る。そして、
「オー
プンソースをベースに開発していく中では、
自分なりの工夫や改良を施すことができま
す。そうした個々人の改良部分を他のシステ
東京理科大学のサーバ上で Sun 製品のユー
ザや UNIX 開発者が技術情報などを交換し
合うコミュニケーションの場である
「SunSITE」 の 運 営 実 績 も 含 ま れ る。 こ の
SunSITE は「1993 年に始めたので、1994 年
に開設された東京理科大学の公式サイトより
も 1 年だけ長い」(ナラヤン氏)という歴史
と実績がある。さらに当時、東京理科大学の
サーバでは、イタリアやアルゼンチンなど各
国大使館のホームページやノーベル財団など
国際組織のミラーページのホスティングもし
ていたという。SunSITE は現在「一時的に
休止中」の状態にある。膨大な情報が集まる
サイトを運営するための時間的な制約から、
手が回らなくなってきたというのがその理
由。ただし、ナラヤン氏自身は「技術者のコ
ミュニケーションの場として、SunSITE は
必要だと思っています」としており、今回の
Web サーバのリプレースを機に「近い将来、
再開することを検討していきたい」と語って
いる。
3. カスタマイズなどを考慮し、Solaris 10
と親和性の高いオープンソース・ソフ
トウェアを採用
東京理科大学で新しい Web サーバ・シス
テムの検討を開始したのが、2006 年の受験
シーズンを終えた 3 月。7 月にはひととおり
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ムや技術者が共有し、そのオープンソース・
コミュニティが参加者と共に成長して行くこ
とができるということは、すばらしいことだ
と思います」と、ナラヤン氏のシステム開発
にかける想いは深い。
オープンソース・ソフトウェアを基幹シス
テムに採用するにあたっては、もちろん入念
なテストを実施した。「アクセス数の飛躍的
な増大などの将来を見据えて、システム能力
を最大限に発揮させることを想定し、複数回
のテストを重ね、慎重にチューニングしてい
きました。さらに、コンテンツ内容の多様化
や携帯電話といった現在と将来の配信チャネ
ルの広がりも考慮して開発しています」と、
ソニーブロードバンドソリューションテクニ
カルソリューション部インターメディアソ
リューション課テクニカルマネジャーの古川
英一氏は語る。
ハードの構成では、前述のとおり DB サー
バには Sun Fire X4200 を採用しているが、
ここでは AMD Opteron プロセッサを搭載
した Sun Fire x64 サーバのコストパフォー
マンスを重視したシステム選定を行った。そ
して、Web サーバでは、Web 用途に最適な
パフォーマンスを発揮する UltraSPARC T1
プロセッサ搭載の Sun Fire T2000 を選定し
た。ナラヤン氏は「ハードの性能については、
ベンチマーク結果も検討の指標として、ま
た、両サーバとも環境パフォーマンスに優れ
ており、適切な選択ができました」と満足し
ている。そのうえで、5 年後までの負荷の増
大に耐えるシステム開発を目指したわけだ
が、今回の新 Web システム構築のノウハウ
が、東京理科大学の他のシステム開発に生か
されたり、他大学の Web システム開発にも
応用されたりすることも期待している。
「これからは学生の手による学生生活の紹介
などの動画配信も検討していく」とのこと。
また、Web サーバには教員向けのポータル・
サイトの開設、学生向けの情報発信の仕組み
も拡充させていく考えだ。合格発表について
は、すでに携帯電話からのアクセスを可能に
していたが、今回導入した携帯向けのコンテ
ンツ変換サーバにより、さらに多くの情報を
携帯電話向けに配信していく準備も進めてい
る。
「将来を見据えて構築したシステムですか
ら、これからやることはたくさんあります。
ひとまずホッとできるとすれば、入試の合格
発表が終わってからですね」とナラヤン氏は
語る。まずは、2007 年度入試での合格発表
において、新システムの高い性能が発揮され
ることになる。
4. Web サイトの充実に向け、大学が
制作したコンテンツに加え、今後は学生
が作成した動画も配信
本格的な受験シーズンを前に稼働し始めた
東京理科大学の Web システム。ナラヤン氏
は「入試要項や合格発表だけでなく、東京理
科大学の良さを多くの方に PR するためのコ
ンテンツの充実を今まで以上に図っていきま
す」と語る。コンテンツ内容を考えるのは広
報課の仕事になるが、システムの能力を背景
に、最新機能の活用などを提案するのはデジ
タルメディア室の役割だという。すでに学校
紹介などの動画配信は一部でスタートしたが
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