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復元ZEB
エネルギー機能材料学特論 第7回目 担当:西野信博 A3-012号室 [email protected] 1 プラズマ実験装置NSTX(Princeton) 授業の内容 • プラズマ中の代表的な波動現象 – 電子プラズマ波 – イオン音波 • より一般的扱い(Cold Plasma) – イオン波とAlfven波 2 電子プラズマ波 • • • 周波数が十分高く、massが大きいイオンは運動できず、単に平均的 な電気的中性を保つための背景の役割を果たすだけとする。 簡単のため、B0=0とし、x方向に伝播する一次元の縦波を考える。 電子に関する分散の式、連続の式、運動方程式は 2 c 2 E1 i0 en0 Ve1 0 ne1 n0 kVe1 0 ime n0Ve1 en0 E1 i eTe 0 kne1 • となる。これらから、 E1,Ve1を消去し、 trivialでない解(ne1が0でない) が存在するためには、 2 p 2 3Te k 2 / me p 2 3 ve,th 2 k 2 • • の分散関係が得られる。ここに、ωpeは電子プラズマ周波数、Ve,thは 電子の熱速度である。 各自導いてみよ 3 電子プラズマ波の分散関係 • • • • • • • • 前頁で得られた式を 図示すると右図となる。 熱速度の存在を考慮すると k~0(λ~∞)付近での単なる プラズマ振動から波として 伝播が起こる。 kの増大とともにωも増大 すなわち、位相速度ω/kは 次第に減衰し、電子音波 に近づく。 ただし、ランダウ減衰と呼ばれる現象によって、波は強い減衰を受け 電子プラズマ波は存在しなくなる。 分散関係をデバイの距離λDを用いて書きなおすと 2 2 pe 2 1 12 2 D / • となり、λが小さくなってデバイの距離に近づくとランダウ減衰が起こる 4 イオン音波 • • • • • • イオン音波は低周波の縦波で,イオンが主役の波である。 圧力勾配とクーロン力がそれぞれ駆動力、復元力となる点で電子プ ラズマ波と同じである。 では、イオン音波の分散関係を導こう 低周波なので、電子はイオンに追随して動くと考えると、 ne1 ~ ni1 n1 と Ve1 ~ Vi1 V1 とおいてよい。 簡便のため、B0=0とし、x方向に伝播する波を考える。連続の式はイ オンと電子が同じ式になリ、分散の式と運動方程式からV1とE1を消 去して、前回同様n1≠0でない条件を考えると、mi>>meとして k • 2 eTe 0 iTi 0 / mi 特に、電子温度がイオン温度より十分高ければ、 v ph k eTe 0 / mi 1/2 • • となる。 このように、イオン音波の特徴は、電子温度とイオン質量に依存する こと、また、通常気体と違って無衝突でも存在できる。 5 物理的解釈 電子はイオンに比べると質量 が小さいので、イオンの動きに 追随して動く。 電子の運動方程式でme0と すると、 en0 E1 ik eTe 0 ne1 0 左辺第1項は電子に働く静電 力、第2項は電子の圧力勾配に よる力で, Fep pe / x eTe 0 ne1 / x k eTe 0 ne1 これらが釣り合っている。 6 イオン波 • • • • • イオン音波の分散式では、 ne1 ~ ni1 n1 の条件(準中性条件]を設 けた。これを外してより広い条件で考えると、イオン波と呼ばれる広い 形態の波が現れる。但し、追加条件としてポアソンの式を導入し、式 変形の後に、ω2<<ωpe2を仮定して0でない解を見出すと、 k 1 e D 2 k2 2 1 eTe 0 / mi iTi 0 / mi となる。 これから、 D 2 k 2 1 の場合、前のイオン音波になり 1 D 2 k 2 Te 0 / Ti 0 の場合、ωはkとは無関係な一定値 pi e 2 n0 / 0 mi • • D 2 k 2 Te 0 / Ti 0 、 D 2 k 2 1の場合、 / k iTi / mi i vi ,th これらをまとめると次ページの図になる。 7 イオン波の全体像 周波数が高くなると波長が小さくなり、デバイの長さで 波が立ってくるため、準中性条件が成立しなくなる 8 冷たいプラズマにおける波 総論 • • 粒子の熱運動がない(冷た いという意味)時、 電子・イオンの2成分での 一般的な波の分散式を導く • 外部静磁場をz方向とし、波 の伝播ベクトルkはx-z面内 にあって、z軸と角θを成すと する • 従って、ky=0 この座標系で分散式を導く このような座標系で考える という意味です 9 多少の式変形の後 • 運動方程式 i me ne 0 Ve1 ene 0 E1 Ve1B 0 i mi ni 0 Vi1 ene 0 E1 Vi1B 0 • Maxwell方程式の一つ k 2 E1 k (k E1 ) 2 / c 2 E1 i0 ene 0 Vi1 Ve1 • を使用して、かなり長い式変形の後,変動電場E1のみの式を得る。 E1≠0の解がある,以下の屈折率Nの条件を得る S N 2 cos 2 iD N 2 cos sin iD S N2 0 ここに、屈折率 N kc N 2 cos sin 0 0 P N 2 sin 2 参考文献 宮本健朗:核融合のための プラズマ物理 T.H.Stix:プラズマの波動 である 10 記号の定義 2 2 1 pi pe • 但し、 L 1 ci ce Lは左、Rは右、Pはプラズマ の頭文字 2 pe 2 1 pi R 1 ci ce pi 2 pe 2 P 1 2 S pe 2 RL LR , D 2 2 2 2 e 2 ne Z e ni eB ZeB , pi 2 , ce , ci me mi 0 me 0 mi 11 行列式の展開 • 前々頁の行列式を展開すると S sin • 2 P cos 2 N 4 RL sin 2 PS 1 cos 2 N 2 PRL 0 となる。これから、N2を求めると RL sin PS 1 cos RL PS 2 sin 4 4 P 2 D 2 cos 2 N2 2 S sin 2 P cos 2 2 • θについて解くと tan 1/2 2 P N 2 R N 2 L SN 2 RL N 2 P 12 波の遮断、共鳴条件 • • • • • 前頁のN2の式 S sin 2 P cos 2 N 4 RL sin 2 PS 1 cos 2 N 2 PRL 0 から, 遮断: N=0 P=0、または、R=0、または、L=0 外部磁場がない場合は、簡単に遮断周波数ωcは c pi pe 2 2 1/2 pe • となり、プラズマ周波数程度で遮断が起こる • • 共鳴:N=∞ tan P N 2 R N 2 L SN 2 RL N 2 P P / S θ=π/2では、S=0で共鳴が起こるハイブリッド共鳴(Hybrid resonance) • • 2 ci 2 2 ce 2 2 ce 2 pi 2 2 ci 2 pe 2 0 k / / B 0 の場合(θ=0)には、N2=R,または,Lとなり、 ci または ceで共鳴が起こるそれぞれ、イオン、電子サイクロトロン共鳴という 13 電磁流体波 • 磁場中のプラズマで、主に磁力線方向に伝播する横波で、イオンの振動 が主役をなすプラズマ特有の低周波振動(電磁波に属する)である。 • • • 周波数領域として、ω<<ωci<<ωceで,かつ、ω<<ωpeの低周波を考える これらの条件のもとで、R,L,P,S,Dをテーラー展開し、 ωci<<ωceと pi 2 / ci pe 2 / ce en0 0 B0 の条件から R L S 1 pi 2 ci 1 0 m c 2 / B0 2 c VA 2 D0 • 但し、 VA B0 0 m • S 従って、分散式は N 2 2 P / sin P / S cos 1/2 2 14 Alfven波 • 以上の結果から、Cold plasmaでは VA Vph c N k VA cos • • 波の波面を右図に示す 特徴 – 静磁場B0に沿って伝播しやすく 磁場からの角度θの増大に伴い 位相速度は次第に減少する – 磁場の垂直方向には伝播しな い プラズマは磁力線にくっついて運動する。 磁力線方向に張力B2/2μ0、垂直方向に B2/2μ0の圧力が加わっている。 この磁力線にプラズマがくっついている ので、波の速度VAがB2/(μ0ρm)で与えら れる。 15 温度効果を入れたMHD波 • • • • • Cold plasmaでは温度効果(温度=0と近似)を入れなかった。 温度効果を入れると断熱圧縮効果である音速( cs 2 p m )がでて きて前ページのアルヴェーン波が修正される。 ここでは、結果のみを示す 下図のようなアルヴェーン波の円の内外にV+,V-の波ができる。 特に,V+波は磁場に垂直方向に伝播し,磁気音波と呼ばれる 音速 音速 16 電磁波 • プラズマ中では多種多様な電磁波が存在するが,ここでは概要を説明する • • 静磁場B0が無い場合,サイクロトロン運動が無いので, ci ,ce 0 すると,R=L=S=P,D=0となり P 1 pi 2 pe 2 / 2 • • • • • 分散式は N 2 / 0 P 1 pe 2 / 2 よって, 2 c 2 k 2 pe 2 この分散関係を右に示す。 前に学んだ電子プラズマ波と よく似ているが,kの増大とともに位相速度が光速に近づくところが違って いる。また,ωpeが遮断周波数となっており,ω<ωpeでは波は反射する。 電子の運動による遮断 17 応用例 • • • 短波といわれる通信手段は, 地球上のある地点から,地球 上の遠くの地点へ連絡する 手段であり,周波数は地球を 取り囲む電離層(プラズマ) のプラズマ周波数より低い 周波数を使用,電離層での 反射を利用している。 一方,衛星軌道との通信に は,プラズマ周波数より高い 周波数を用いて,地上と通 信を行う。 (反射すると通信できない) FOMAなど2GHz帯も アマチュア無線 数百kHz~数GHz 行政、船舶、など 静磁場が存在する場合の電磁波 • 静磁場B0はz軸方向とし,以下の3つの場合があることがわかっている。 • • • (a)波は磁場に垂直方向に進み,変動電場は静磁場方向と同一 (b)波は磁場方向に進み,変動電磁場が静磁場方向と垂直 (c)波は磁場に垂直方向に進み,変動電場が静磁場方向と垂直,変動磁場は 静磁場方向と同一 同一方向 垂直 X波 O波 Oはordinary、XはExtrodinaryの意味で使用された 19 磁場に平行方向に進む波 • 磁場に平行方向に進む波は,磁場の方向に対して右向きか左向き に回る円偏波となる。 円偏波は,位相の 異なる直線偏波の 組み合わせである そのため,直線偏波 を基本としても良い のであるが,歴史的 に円偏波を基本と している。 20 磁場に平行に進む波のまとめ • 磁場に平行方向に進む波は,低周波の場合は前に述べたアルヴェー ン波となり,周波数がそれより高いとL波とR波の違いが顕著になる。L ,R波の分散関係を求めると以下のようになる(複合同順) N 2 1 1 pi 2 / ( ci pe 2 / ( ce • • • • L波(複合の上側) はωがωciに 近づくと共鳴し, イオンサイクロ トロン共鳴 R波は,ωがωci とωceの中間領 域でホイスラー 波となる。 21 ファラデー回転 • • • • プラズマ中を十分高い周波数で通過する電磁波は,前のL,R波の分 散関係から N 2 c 2 k 2 / 2 1 pe 2 / ( ce ) ω>>ωciなので,電子による効果のみを考えて導出。L波は複合上側 すると,R波のほうが屈折率がL波より大きくなり,早く進むことになる それ故,プラズマ中に入った波の偏波面が回転する 22 静磁場に垂直に進む波 • tan P N 2 R N 2 L SN 2 RL N 2 P で,θ=π/2であるから, N 2 P, or N 2 RL / S • • • O波:分散式が前の方の波で,パラメータがP,すなわち, pi 2 pe 2 P 1 2 より,静磁場B0は無関係の波となる。 この場合は,変動電場はz方向,変動磁場はy方向のみの成分があり (各自調べてみよ),荷電粒子に与える影響のE1Zは磁場と無関係の ため,結果的に磁場なしの結果と同じになる。 23 X波 • • • • それに対して,後半の分散式であるX波は,形が複雑である。 この場合は,変動電場はx,y方向,変動磁場はz方向のみが残る(各 自調べてみよ) この波は,伝播方向(x方向)にも電場があるため,縦波と横波の混合 波と解釈される。Hibrid wave 変動電場は,x-y平面内で楕円を描き,X波の共鳴条件(ハイブリッド 共鳴)は,S=0で与えられる。 • 2 ci 2 2 ce 2 2 ce 2 pi 2 2 ci 2 pe 2 0 の解から, 2 pe 2 ce 2 , or 2 ceci pe 2 ceci pe 2 ce 2 電磁波のまとめ • • 電磁波の種類が多いので,わかりやすくするため図画が考え出された 磁場をz方向にとり,位相速度と進む方向の角度をθとすると,下の3 つの場合しか存在できないことがわかった。これを利用して, CMA図 と呼ばれる図が作られた。 CMA図 • • • 右に示すのが 縦軸に ce / 横軸に pe 2 pi 2 / 2 • を取った図である • • 縦軸は,磁場に対応し, 横軸は,プラズマ密度 に対応する • 実線,破線で示されて いるのが遮断と共鳴 で,この線を越えると 伝播形態が変化する Bに対応 Alfven波 nに対応 レポート • 領域13から11 へ行く途中で、L 波が消える理由 は何か? • 領域8bから5bへ 行く途中で、R波 が消える理由は 何か? 27