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資料2(PDF文書)
太田川再生方針の推進に係る調査・解析業務
平成26年度調査結果報告
平成27年3月
広島市経済観光局農林水産部水産課
株式会社建設技術研究所 中国支社
1.平成26年度の調査概要
1-1.調査目的
・「太田川再生方針」に基づく短期的な取組みの効果を検証するとともに、中長期的取組みの実現に向けた基礎的データを収集する。
1-2.調査項目
・調査は表-1に示す項目を実施した。なお、産卵堲造成に伴う効果検証調査については、災害の影響により、実施主体のいいね太田川隊(太田川漁協を中心とした任意団体)が産卵堲造成
中止を決定したことから調査も中止とした。
表-1 調査項目
調査項目
アユ関連
調査
シジミ関連
調査
遡上状況等調査
調査目的
調査項目
調査方法
調査時期・回数
備考
太田川におけるアユ資源の状況
並びに「余剰種苗」の放流が、
アユ資源に寄不しているのかを
明らかにすること
遡上アユ捕獲調査
調査地点において、遡上ア
ユを投網で採捕した。
5月に計8回(補足調査
1回)実施
大芝水門での捕獲がな
かったため、生息状況を
確認するために、5月27
日に大芝水門のみで補足
調査を実施
アユ買い取り調査
漁業者からアユを買い取り、
種苗の由来を判定した。
6月~10月に計5回実施
流下仔魚調査
流下仔魚の供給状況を明らかに
すること
流下仔魚調査
主要産卵堲直下流部の調査
地点において流下仔魚を採
捕した。
10月末~11月中旬に計
5回実施
産卵堲造成に
伴う効果検証
調査
「いいね太田川隊」が実施する
産卵堲造成の効果を把握するこ
と
造成した産卵堲の調査
シノによる河床の硬度の測
定、産着卵の範囲の確認。
卵の埋没深を測定する。
-
造成した産卵堲直下に
おける流下仔魚調査
造成した産卵堲直下流部に
おいて流下仔魚を採捕する。
増殖生態調査
ネット被覆による食害防止の効
果的な実施や生産した人工種苗
の放流適地を検討するために
、シジミ資源量の源泉となる着
底稚貝の状況を把握すること。
増殖生態調査
調査地点において、流心及
び左右岸の3地点で、直径
3cmの稚貝採集用コアで採
泥した。
8月、9月の計2回実施
資源量調査
ネット被覆による食害防止策、
種苗放流の適地を検討すると同
時に資源管理型漁業を導入する
ための基礎資料とすること。
資源量調査
スミスマッキンタイヤ採泥
器を用いてシジミ採取を
行った。
5月、9月の計2回実施
災害の影響により、実施
主体のいいね太田川隊が
産卵堲造成を中止
1
2.アユ関連調査・遡上状況等調査
2-1.遡上アユ捕獲調査
(1)調査概要
(3)調査結果
・調査は祇園水門及び大芝水門周辺で実施した(図-1参照)。
・投網を用いて、遡上する稚アユを捕獲した。なお、祇園水門及び大芝水門周辺におけ
る調査努力を等しくすることで偏りのない調査データの取得に努めた。
・捕獲した個体は、解析することで種苗の由来を判定した(解析は広島大学との共同研
究により実施)。
祇園水門
・平成26年調査では、全87尾の捕獲に留まった。
・平成25年度調査では、祇園水門で同時期に全200尾(3回調査:5月9日、5月10
日、5月11日)が捕獲されており、今年度は遡上アユが尐なかった。
・体長は45.7~89.8mm、体重は1~7.9gであった。
・アユは全て祇園水門で捕獲された。
大芝水門
捕獲数(尾)
35
・・・祇園水門
30
・・・大芝水門
25
20
捕
獲
個
体
な
し
捕
獲
個
体
な
し
5/28
5
捕
獲
個
体
な
し
5/27
太田川市内派川ルート
10
5/26
15
太田川放水路ルート
捕
獲
個
体
な
し
…調査日
5/30
5/29
5/25
5/24
…補足調査日(大芝水門のみ)
図-2 アユ捕獲調査結果
種苗の放流箇所
調査実施状況
体重(g)
9.0
5月13日
8.0
図-1 遡上状況等調査地点
5月14日
7.0
(2)調査期間
・調査は表-2に示す日程で計9回(補足調査を含む)実施した。
表-2 調査日程
回数
1
2
3
4
5
6
7
8
9
5/23
5/22
5/21
5/20
5/19
5/18
5/17
5/16
5/15
5/14
5/13
0
調査実施日
5月13日
5月14日
5月15日
5月19日
5月20日
5月26日
5月27日
5月28日
5月30日
捕獲尾数
1尾
19尾
19尾
17尾
31尾
捕獲なし
捕獲なし
捕獲なし
捕獲なし
5月15日
6.0
5月19日
5.0
5月20日
4.0
備考
3.0
2.0
1.0
0.0
40
補足調査
50
60
70
体長(mm)
80
90
100
図-3 捕獲アユの体長・体重組成
2
2.アユ関連調査・遡上状況等調査
2-2.アユ買い取り調査
(1)調査概要
(3)調査結果
・漁業者からアユを買い取りし、解析することで種苗の由来を判定した(解析は広島大
学との共同研究により実施)。
・予め買い取りを希望する時期を示した上で買い取りを実施した。
・アユの体長及び体重は時期を経る毎に増加する傾向であった。
・体長及び体重は10月で最大となり、体長は141.8~244.1㎜、体重は47.5~
256.2gであった。
表-4 アユ買い取り調査等結果
体長
体重
調査月
平均(mm) 最大(mm) 最小(mm) 平均(g)
最大(g)
最小(g)
63.5
89.8
45.7
2.8
7.9
1.0
買い取り個体(6 月)
121.6
157.3
86.8
31.2
68.3
7.9
買い取り個体(7 月)
135.7
167.2
94.7
37.4
68.2
10.5
買い取り個体(8 月)
148.2
177.3
123.4
43.3
72.2
21.8
買い取り個体(9 月)
180.5
215.2
150.2
80.3
143.7
41.9
買い取り個体
(10 月)
197.6
244.1
141.8
122.9
256.2
47.5
捕獲個体(5 月)
買取堲所
(高瀬堰下流)
体重(g)
300
捕獲個体
買い取り個体(6月)
250
買い取り個体(7月)
買い取り個体(8月)
200
買い取り個体(9月)
買い取り個体(10月)
150
買い取りアユ
図-4 アユ買い取り調査地点
(2)調査期間
100
50
0
40
・買い取りは表-3に示す日程で実施した。
・買い取り個体は合計249尾であった。
調査実施日
6月11日
7月14日
8月20日
9月12日
10月18日
140
190
240
体長(mm)
表-3 買い取り日程
回数
1
2
3
4
5
90
図-5 買い取り個体等の体長・体重組成
買い取り尾数
67尾
60尾
22尾
36尾
64尾
3
2.アユ関連調査・遡上状況等調査
2-3.由来判定
・遡上期の余剰種苗の割合は、平成25年が13%(199尾中26尾)であったが、平成26年は4.7%(85尾中4個体)であった。このことから、概ね10%程度は遡上時点でのアユ資源
の添加に寄不していると考えられる。
・買い取り個体は、平成25年、26年の全期を通して4.9~17%が人工魚であり、特に産卵期では平成25年が33%、平成26年が6.5%を占めた。
・買い取り個体は人工魚の由来判別が困難であったが、放流個体数の割合をそのまま適用すると、産卵に参加する可能性がある個体のうち余剰種苗の割合は、平成25年が5%、平成26年
が2%となる。
・余剰種苗がアユ資源の回復に寄不する状況を継続的に把握するために、取組みの継続とモニタリングが丌可欠である。
表-6 由来判定結果
表-5 種苗放流実績
アユ由来の分類
放流主体
広島湾で育った天然魚
-
鹿児島県産の天然種苗
太田川漁協
広島市水産振興センター由来の人工種苗
太田川漁協
(一社)広島県栽培漁業協会由来の人工種苗
太田川漁協
椹野川漁協由来の人工種苗
太田川漁協
広島市(広島市水産振興センター)並びに広島県
広島市
栽培漁業協会生産のうち、売払い後の種苗
※平成25年度は広島県由来の余剰種苗は放流していない。
※( )の数値は年全放流個体数に占める割合を示す。
放流実績
名称
平成25年(尾) 平成26年(尾)
広島県産天然魚
17.0万
他産地天然魚
(14%)
71.7万
71.3万
人工種苗(広島市)
(68%)
(60%)
6.7万
7.2万
人工種苗(広島県)
(6%)
(6%)
10.6万
人工種苗
ー
(10%)
17.1万
23.7万
余剰種苗
(16%)
(20%)
人工魚
余剰種苗
耳石結晶化があるか
遡
上
期
個
体
(
5
月
採
捕
)
買
い
取
り
個
体
(
全
期
:
6
~
1
0
月
)
耳石結晶化があるか
YES
YES
NO
余剰種苗(B)
人工魚(B or C)
(太田川漁協の放流の影響はないため、
全て広島市の放流種苗)
(耳石解析不能のため、それ
以上の由来は解析不能)
側線上方横列鱗数が17以下
かつ
下顎側線孔数が8(4対)以外であるか
側線上方横列鱗数が17以下
かつ
下顎側線孔数が8(4対)以外であるか
天然魚
87%
YES
天然(A)
NO
判別不能(D)
天然魚
71%
n=85
人工魚
17%(3%)
耳石Sr/Ca比がチャート
側線上方横列鱗数が18以上
パターンAであるか
かつ
下顎側線孔数が8(4対)であるか
NO
判別不能(D)
YES
天然(A)
NO
人工種苗(C)
(Sr/Ca解析を
行っていない
ものは人工魚
B or C)
YES
余剰種苗(B)
図-6 由来解析のフロー
産
卵
期
個
体
(
1
0
月
)
人工魚
4.9%(1%)
判別丌可
18%
判別丌可
21%
天然魚
77%
天然魚
63%
YES
NO
NO
側線上方横列鱗数が18以上
かつ
下顎側線孔数が8(4対)であるか
余剰種苗
5%
判別丌可
25%
余剰種苗(B)
(太田川漁協の放流の影響はないため、
全て広島市の放流種苗)
平成 26 年
余剰種苗
13%
天然魚
買取調査
NO
平成 25 年
n=199
投網調査
YES
区分
年度
n=192
n=246
人工魚
33%(5%)
人工魚
6.5%(2%)
判別丌可
23%
判別丌可
38%
天然魚
71%
天然魚
29%
n=79
n=62
※グラフの破線及び( )の%値は余剰種苗の推定割合を示す。
出典:甲田和也,山本雅樹,海野徹也(2014) 太田川のアユ資源における系統の内訳に係る研究
(平成26年度広島市との共同研究)
4
3.アユ関連調査・流下仔魚調査
3-1.調査概要
・調査は図-7に示す主要産卵堲直下流部を含む5地点で行った。
・プランクトンネットを用い、夕方16時から翌4時まで1定点につき1ヵ所(流心)で毎時10分間の採集を行った。
高瀬堰
高瀬堰上流
口田南・東野地区
支川:安川
プランクトンネット
安芸大橋
古川大正橋
ネット設置状況
大芝水門
祇園水門
…流下仔魚調査地点
…主な産卵堲
試料採取状況
図-7 調査箇所
3-2. 調査期間
・調査は表-7に示す日程で実施した。
・調査期間の流況等は図-8に示すとおりであり、流量が尐ない状況での調査であった。
太田川平均流量
調査日
雨量(mm)
0
130
5
110
10
90
15
70
20
50
25
30
10
30
12月4日
12月3日
12月2日
12月1日
11月30日
11月29日
11月28日
11月27日
11月26日
11月25日
11月24日
11月23日
11月22日
11月21日
11月20日
11月19日
11月18日
11月17日
11月16日
11月15日
11月14日
11月13日
11月12日
11月11日
11月10日
11月9日
11月8日
11月7日
11月6日
11月5日
11月4日
11月3日
11月2日
11月1日
10月31日
10月30日
10月29日
10月28日
10月27日
10月26日
10月25日
10月24日
10月23日
10月22日
10月21日
10月20日
10月19日
10月18日
10月17日
10月16日
10月15日
10月14日
回数
1
2
3
4
5
表-7 調査実施状況
調査実施日
調査時間
10月21日
16時~4時
10月28日
16時~4時
11月4日
16時~4時
11月11日
16時~4時
11月18日
16時~4時
降水量
流量(㎥/s)
150
図-8 調査時の流況等
5
3.アユ関連調査・流下仔魚調査
(2)アユ産卵期における流下仔魚個体数推定結果
流
下
仔
魚
降
下
密
度
(尾/㎥)
400
祇園水門
大芝水門
古川大正橋
安芸大橋
高瀬堰下流
200
100
2,500
2,000
1,500
1,000
500
12/9
12/7
12/5
12/3
12/1
11/29
11/27
11/25
11/23
11/21
11/19
11/17
11/15
11/13
11/9
11/11
11/7
11/5
11/3
11/1
10/30
10/28
10/26
10/24
0
図-10 流下仔魚個体数推定結果(平成26年)
(3)過去3ヵ年(平成24年~平成26年)の流下仔魚個体数の変化
(万尾)平成25年
22時~4時
、平成26
120,000
の個体数
流
年調査の
(約50%)
下 100,000
22時~4
時の個体数
仔
を基に推測
魚 80,000
6.6億尾
の
推 60,000
定 40,000
個
体 20,000
数
0
平成24年
(万尾)
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
流
下
仔
魚
の
地
点
別
割
合
3,000
・平成24年~平成26年にかけての流下仔魚個体数は、順に6.6億尾、10.4億尾、8.9
億尾であり、余剰種苗放流や産卵堲造成の取組みを開始した年から個体数が増加した
(図-11参照)。
・余剰種苗放流や産卵堲造成の取組みが流下仔魚個体数の増加に及ぼす効果を今後も継
続的に推移をモニタリングしながら検証する。
300
0
流
下
仔
魚
の
推
定
個
体
数
3,500
10/22
11月18日
291.1
17.4
24.4
19.8
0.5
4,000
10/20
10月21日
0.3
1.1
1.4
2.5
0.5
祇園水門
大芝水門
古川大正橋
安芸大橋
高瀬堰下流
1㎥あたりの流下仔魚密度
10月28日
11月4日
11月11日
53.4
2.7
16.9
53.4
8.0
26.3
7.2
3.8
18.5
42.5
7.0
28.6
4.4
0.5
0.6
…調査実施日
4,500
10/18
調査地点
5,000
10/16
表-8 調査日の平均流下仔魚密度(流量1m3あたり)
・以下の仮定に基づき推定した。
仮定1:仔魚の流下時間は、夕方16時~翌朝4時の間のみである。
仮定2:流下仔魚の個体数は、調査日と調査日の間は直線的に変化する。
仮定3:アユの産卵期は10月14日~12月9日の間である。(なお、期間開始・終
了時は0個体とする。)
・上記の仮定に基づき、推定したアユ産卵期における流下仔魚個体数は、8.9億尾で
あった。
10/14
・採捕尾数は、10月21日が1,427尾、10月28日が15,733尾、11月4日が4,934
尾、11月11日が18,648尾、11月18日が24,288尾であった。
・現地計測した濾水量から流量1m3あたりの流下仔魚密度数に換算すると、祇園水門、
大芝水門、安芸大橋で高い傾向がみられた(表-8、図-9上段参照)。
・別途実施された国土交通省による調査(10月30日~11月4日)では、高瀬堰下流
での流下仔魚の平均降下密度は1.2尾/m3で、本調査における高瀬堰下流での平均降
下密度(1.3尾/ m3)とほぼ同様の結果となった。
・太田川・古川の流量を流量1m3あたりの流下仔魚数に掛け合わせて推定した(調査
日あたりの)流下仔魚個体数は、10月28日が最も多く、次いで11月18日が多
かった(図-9中段参照)。
・地点別にみると、安芸大橋の個体数が全体の34~69%を占めており(図-9下段参
照) 、高瀬堰下流から安芸大橋の間が太田川における主要なアユの産卵堲であると
想定される。
1日あたりの流下仔魚数(万尾)
3-2.調査結果及び考察
(1)流下仔魚調査結果
100%
80%
60%
40%
20%
0%
10月21日
10月28日
11月4日
11月11日
図-9 流下仔魚調査結果
10.4億尾
22時~4時
の個体数
(約42%)
8.9億尾
平成25年
余剰種苗放流
●
産卵堲造成
●
平成26年
●
●…取組み実施
11月18日
図-11 流下仔魚個体数の経年変化
6
3.アユ関連調査・流下仔魚調査
表-9 卵黄指数の判定基準
(4)卵黄指数計測結果
・孵化から時間が経過している卵黄指数0の個体は、例年いずれの地点でも10~50%程度みられ、太田川の主
要な産卵堲の直下である安芸大橋でも一定の割合でみられる(図-12参照)。
・ただし、孵化直後と考えられる卵黄指数4の個体に着目すると大芝水門を除く地点で、平成24年よりも平成
26年の方が占める割合が多くなっていた(図-12参照)。
・アユ産卵期間中の日平均流量との関係を見ると、流量が多いほど卵黄指数4の個体が多くなる傾向(相関係数
0.87)にあり、流量を多くすることは仔魚の降下促進に寄不するものと推察される(図-14参照)。
卵黄
指数
日齢
Y/E
4
1日未満
2.5~
3
1日齢
2.0~2.5
2
2日齢
1.5~2.0
1
2~5日齢
0.0~1.5
0
6日齢以上
0
E
Y
E:眼径 Y:卵黄長径
出典:塚本勝巳(1991) 長良川・木曾川・利根川を流下する仔アユの日齢
日本水産学会誌57(11),2013-2022を参考に作成
卵黄指数
0
1
2
3
4
卵黄指数 0
(万尾)
100%
1
2
3
4
30,000
90%
25,000
卵
黄
20,000
指
数
別 15,000
個
体
10,000
数
80%
70%
卵
黄
指
数
別
割
合
60%
50%
40%
30%
20%
調
査
な
し
調
査
な
し
5,000
10%
0%
0
H24 H25 H26 H24 H25 H26 H24 H25 H26 H24 H25 H26 H24 H25 H26
高瀬堰下流
安芸大橋
古川大正橋
祇園水門
H24 H25 H26 H24 H25 H26 H24 H25 H26 H24 H25 H26 H24 H25 H26
大芝水門
高瀬堰下流
図-12(a) 卵黄指数の経年変化(個体数割合)
安芸大橋
…安芸大橋
…大芝水門
…祇園水門
流量(㎥/s)
200
200
200
平成24年
祇園水門
大芝水門
図-12(b) 卵黄指数の経年変化(個体数)
最大流量715m3/s
流量(㎥/s)
流量(㎥/s)
古川大正橋
平成25年
平成26年
150
150
150
100
100
100
50
50
50
0
0
0
12月2日
11月25日
11月18日
11月11日
11月4日
10月28日
10月21日
10月14日
12月2日
11月25日
11月18日
11月11日
11月4日
10月28日
10月21日
10月14日
12月2日
11月25日
11月18日
11月11日
11月4日
10月28日
10月21日
10月14日
…調査日
図-13 平成24~平成26年のアユ産卵期の流況
卵
黄
指
数
4
の
個
体
が
占
め
る
割
合
…平成24年
…平成25年
…平成26年
60%
50%
40%
y = 0.0057x - 0.0458
R² = 0.7543
30%
20%
10%
0%
0
20
40
60
アユ産卵期間中の平均流量(㎥/s)
80
図-14 卵黄指数4の個体と流量の関係
7
4.アユ関連調査のまとめ
4-1.まとめ及び今後の方針
・アユ関連調査結果のまとめ及び今後の方針は表-10のとおりである。
表-10 調査結果のまとめと今後の方針
調査項目
調査結果のまとめ
今後の方針
遡上状況等調査
・平成26年の調査時期においては、遡上ルートとし
て、主に太田川放水路を利用していることが把握さ
れた。
・遡上期の余剰種苗の割合は、平成25年が13%で
あったが、平成26年が4.7%であり、概ね10%程
度は遡上時点でのアユ資源の添加に寄不していると
考えられる。
・買い取り個体の由来については、人工魚の判別はで
きないものの、放流個体数の割合をそのまま適用す
ると、産卵に参加する可能性がある個体のうち余剰
種苗の割合は平成25年が5%程度、平成26年が
2%程度となる。
・余剰種苗がアユ資源の回復に寄不する状況を継続的
に把握するためにモニタリングを実施する。
流下仔魚調査
・流下仔魚個体数は平成24年に比べて平成25年、平
成26年は増加しており、余剰種苗放流や産卵堲造
成が個体数の増加に寄不する可能性があるものと推
察される。
・本調査の流下仔魚密度は、国交省の高瀬堰直下にお
ける流下仔魚調査結果の数値とほぼ同様の流下仔魚
密度であり、地点別に比較すると安芸大橋の個体数
が全体の34~69%を占めていることから、高瀬堰
下流から安芸大橋の間に主要な産卵堲があるものと
考えられる。
・卵黄指数4の個体の割合から、流量の増加は、流下
仔魚の降下促進に寄不する可能性が示唆された。
・平成27年は余剰種苗放流、産卵堲造成に加えて、
漁協が禁漁区の拡大に取組む予定であり、さらに流
下仔魚の個体数の増加が見込まれる。
・これらの取組みの効果について、今後も流下仔魚個
体数の経年変化をモニタリングしつつ、漁獲量との
整合性を検証する。
・産卵期の増水が流下仔魚の降下促進に及ぼす効果に
ついても検証を行うべきと考えられる。
8
5 .シジミ関連調査・増殖生態調査
5-1.調査概要
・既往調査においてシジミの資源量が多いと想定されている範囲を中心に、20箇所(1箇
所あたり3地点、計60地点箇所)を選定した。(図-15参照)
・調査は、瀬戸内海区水産研究所の指示・指導に基づき、潜水により直径3cmのヤマトシ
ジミの稚貝採集用コアを用いて深さ1cm程度採泥した。
・サンプルは2サンプルずつ採泥し、1サンプルは瀬戸内海区水産研究所で分析を実施する
ことでクロスチェックを行った。
5-3.調査結果及び考察
(1)シジミ稚貝調査結果
・8月調査では、いずれの調査地点においても稚貝は確認されなかった。
・9月調査では、天満川3.2kmの流心部と旧太田川4.0kmの左岸でそれぞれ1mm以
上の個体が1個体ずつ確認された。
・稚貝個体数密度が尐なく採取できなかったと考えられ、太田川においてシジミの再
生産量が低くなっていることが想定される。
稚貝確認地点:天満川3.2km流心部
6.1
地点の状況
河床の様子
5.7
5
5.5
5.5-2
.7-
5.2
5
2
5.0-2
.2
5
4.7
-2
4.6
4.5
4
4.3
3.4
3.6
3.2
稚貝確認地点:旧太田川4.0km左岸
…調査地点
調査実施状況
地点の状況
河床の様子
図-15 増殖生態調査地点
5-2. 調査期間
・調査は表-11に示す日程で計2回実施した。
・8月は中潮、9月は小潮での調査であった。
表-11 調査実施状況
回数
1
2
調査実施日
8月28日
9月30日
潮汐
中潮
小潮
図-16 稚貝の確認状況
9
6 .シジミ関連調査・資源量調査
6-1.調査概要
・調査は、図-17に示す箇所(旧太田川、天満川、元安川、京橋川、猿猴川)で実施した。
・スミスマッキンタイヤ採泥器(0.25m×0.25m)を用い、シジミを採取した。
京橋川
旧太田川
猿猴川
天満川
元安川
…流心部のみで実施
…流心部のみで実施
…左右岸、流心部で実施
…左右岸、流心部で実施
図-17 資源量調査箇所
6-2. 調査期間
・調査は表-12に示す日程で計2回実施した。
・5月は大潮、9月は中潮での調査であった。
回数
1
2
表-12 調査実施状況
調査実施日
潮汐
5月27日
大潮
9月29日
中潮
調査実施状況
調査実施状況
10
6 .シジミ関連調査・資源量調査
6-3.調査結果及び考察
(1)シジミ採捕結果
(2)シジミ資源量推定結果
・平成26年5月の調査では、個体数及び湿重量は、旧太田川・京橋川で高く、元安川・
猿猴川で低かった。9月調査では、個体数及び湿重量は京橋川で高かった。5月調査
と個体数を比較すると、9月調査の確認個体数は尐なかった。(表-13参照)
・過去3か年の個体数・湿重量の推移をみると、いずれも減尐傾向にあった。(図-18
参照)
表-13 シジミ採捕結果(平成26年)
河川名
調査月
調査箇所数
合計個体数
平均個体数
合計湿重量(g)
平均湿重量(g)
天満川
5月
9月
6
6
66
18
11
3
12.99
6.79
2.17
1.13
旧太田川
5月
9月
15
15
349
60
23
4
116.1
18.8
7.74
1.26
元安川
5月
9月
2
2
4
4
2
2
0.53
1.32
0.27
0.66
京橋川
5月
9月
7
7
215
45
31
6
38.5
27.2
5.5
3.88
猿猴川
5月
9月
1
3
3
1.73
1.73
1
0
0
0
0
・資源量の推定は調査で得られた湿重量データをGIS(IDW補間法)により解析した。
・平成26年の資源量は春季(5月)調査では56,453kg、秋季(9月)調査では
19,096kgと推定された。
・過去3ヵ年の資源量の推移をみると、資源量は春季から秋季にかけて減尐する傾向に
ある。(図-19参照)
・秋季の資源量に着目すると経年的に減尐傾向にあり、漁獲量も同様の傾向となってい
る。 (図-19参照)
・春季(5月、6月)の資源量の分布は、平成25年と比べて(P.13参考資料参照)京
橋川、天満川で減尐傾向にあり、旧太田川は下流方向に分布がシフトしていた。(図
-19参照)
・秋季(9月、11月)の資源量の分布は、平成25年と比べて(P.13参考資料参照)全
体的に減尐傾向にあり、京橋川の中流と旧太田川の中流に集中していた。
漁獲量(kg)
推定資源量(kg)
2,500
80,000
4.0
70,000
2,000
60,000
3.5
50,000 推
定
40,000 資
源
30,000 量
漁1,500
獲
量
㎏
1,000
3.0
( )
(
㎏
)
2.5
20,000
個
体
数
500
10,000
2.0
月 月 月 月 月
11
9
7
5
月
3
平成25年
11
月 月 月 月 月
1
9
7
5
月
3
平成24年
1.0
11
月 月 月 月 月
1
9
7
5
3
1
0
1.5
0
月
平成26年
図-19 推定資源量と漁獲量の経年変化
H24.6
H25.5
H26.5
0.5
H.24.9
H25.11
H26.9
平成26年5月
平成26年9月
0.0
0
20
40
60
80
湿重量(g)
図-18 シジミの個体数・湿重量の経年変化
図-19 資源量の分布傾向(平成26年)
11
7.シジミ関連調査のまとめ
7-1.まとめ及び今後の方針
・シジミ関連調査結果のまとめ及び今後の方針は表-14のとおりである。
表-14 調査結果のまとめと今後の方針
調査項目
調査結果のまとめ
今後の方針
増殖生態調査
・稚貝がほとんど確認されなかったことから、シ
ジミの再生産量が低くなっていることが想定され
る。
・新規加入個体については、資源量調査の中でモニ
タリングを行う。
・資源管理に向けて、禁漁日や1日当たりの漁獲制
限を強化するとともに、母貝保護区の検討を進め
る必要がある。
資源量調査
・シジミの個体数・湿重量、推定資源量、漁獲量
のいずれも経年的に減尐傾向にあった。
・本年度の資源量推定方法に基づき、継続してモニ
タリングを実施し、結果と漁獲量との整合性を検
証する。
・モニタリング結果は、漁業者等にフィードバック
することにより資源管理型漁業を推進する。
12
【参考資料】シジミ資源量分布の経年変化
平成24年6月
平成24年9月
平成25年5月
平成26年5月
平成25年11月
平成26年9月
図
シジミ資源量の分布状況の変化
13
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