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欧州諸国の金融システム = 英仏独の中央銀行と欧州中央
ロ 台M社 △ 禾こ 一.蜘n、 欧 州 諸 国 の金 融 シ ステ ム:英 仏独 の 中央銀 行 と欧州 中央 銀行(ECB) 黒 田 晃 生☆ CentralBanksoftheUK,France,Germany,andtheEU AkioKuroda llイ ギ リス の イ ン グ ラ ン ド銀 行 (i)イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 歴 史 名 誉 革 命 後 し ば ら く 経 過 し た1694年 に 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 国 王 ウ ィ リ ア ム3世 の 承 認 を 得 て 、 イ ン グ ラ ン ドお よ び ウ ェ ー ル ズ に お け る 最 初 の 株 式 銀 行 と し て 設 立 され た 。 当 初 の 資 本 金120万 ポ ン ドは 、 ロ ン ド ン ・シ テ ィ ー の 実 業 家 グ ル ー プ な ど1,268人 利 子で貸 の 出 資 者 か ら 集 め られ 、 政 府 に 対 して8%の し付 け られ た 。 イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 設 立 以 降 に お い て 、 イ ギ リ ス は 、 ス ペ イ ン 継 承 戦 争(1701∼13年)、 オ ー ス ト'リア 継 承 戦 争(1739∼48年)、7年 フ ラ ン ス 革 命 戦 争(1792∼1815年)な 戦 争(1756年 ∼63年)、 ア メ リ カ 独 立 戦 争(1776∼83年)、 反 どの 戦 争 に 次 々 と 巻 き 込 ま れ た 。 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 これ ら の 戦 争 の た め に 膨 張 し 続 け た イ ギ リ ス の 国 家 債 務 を 賄 う こ と の 見 返 り と して 、 次 第 に そ の 資 本 金 を 拡 大 し 、 国 家 と の 関 係 で 特 別 の 地 位 を 築 い て い っ た 。1776年 に ア ダ ム ・ス ミ ス が 著 書 「諸 国 民 の 富(国 富 論)」 の 中 で 指 摘 し た よ う に 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 「普 通 の 銀 行 と し て で は な く 、 国 家 の 偉 大 な エ ン ジ ン 」 と し て の 役 割 を 果 た し た の で あ る 。 な お 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 、 当 初 の 賃 貸 オ フ ィ ス か ら移 転 し て 、 現 在 の 所 在 地 で あ る シ テ ィ ー の ス レ ッ ドニ ーー ドル 街 に 自 前 の オ フ ィ ス を 構 え た の は1734年 の こ とで あ っ た。 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 そ の 設 立 時 に 政 府 に 対 す る 貸 し付 け120万 ポ ン ドの 見 返 り と し て 、 そ れ と 同 額 の 銀 行 券 発 行 を 認 め られ た の を 皮 切 り に 、 次 第 に 銀 行 券 の 発 行 量 を 増 大 させ て 、 独 占的 な 地 位 を築 い て い っ た 。 そ れ は 同 時 に 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 に 対 す る ロ ン ドン ・シ テ ィ ー の 民 間 商 人 た ち の 信 頼 が 確 立 さ れ た 過 程 で も あ り、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 へ の 預 金 の 集 積 が 地 金 準 備 の 保 有 を 可 能 と し て 、 そ れ に よ っ て 大 量 の イ ン グ ラ ン ド銀 行 券 の 流 通 が 支 え ら れ た 。 反 ナ ポ レ オ ン 戦 争 が 終 結 し た 後 、1816年 に は金 本 位 制 が 正 式 に 採 用 され 、 ポ ン ド ・ス タ ー リ ン グ は 一 定 の 金 星 で 裏 付 け され る こ と に な っ た 。1826年 方 銀 行 家 法1に と さ れ た(た よ っ て 、 ロ ン ドン か ら 半 径65マ の 「地 イ ル 以 内 で の 株 式 銀 行 業 務 は イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 独 占 だ し 、 そ の 範 囲 外 で は 、 株 式 銀 行 を 設 立 し 、 銀 行 券 を 発 行 す る こ と が で き た)。 同 時 に 、 ☆政治経済学部教授 一239一 第42巻 第1号2003年10月, イ ン グ ラ ン ド銀 行 に 地 方 支 店 の 設 立 が 認 め られ 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、銀 行 券 の よ り広 汎 な使 用 を 推 進 す る た め に1929年 に か け て グ ロ ス タ ー 、 マ ン チ ェ ス タ ー 、 バ ー ミ ンガ ム な どの11都 市 に 支 店 を 開 設 した 。 イ ギ リス の 繁 栄 期 と し て 知 られ る ヴ ィ ク ト リア 女 王(在 位1837∼1901年)時 代 に お い て 、1844年 に ピー ル 首 相 に よ っ て 定 め られ た 「 イ ン グ ラ ン ド銀 行 条 例 」 は 、銀 行 券 発 行 業 務 を 銀 行 業 務 か ら分 離 す る と と もに 、1400万 ポ ン ドの 信 用 発 行 額 を 除 い て 、銀 行 券 発 行 額 を金 準 備 高 と結 び つ け た 。 これ は 、 当 時 に お い て イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 通 貨 量 に 対 す る裁 量 権 を 持 つ こ と を 主 張 して い た 「 銀行 学 派」 を退 け 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 通 貨 量 を厳 格 に 金 準 備 と結 び つ け る べ きだ とす る 「通 貨 学 派 」 に 全 面 的 に 帰 依 す る もの で あ っ た。 こ の 「ピー ル 条 例 」 は 、イ ン グ ラ ン ドお よ び ウ ェー ル ズ に お い て 、イ ン グ ラ ン ド 銀 行 券 以 外 の 銀 行 券 が 流 通 しな く な る 決 定 的 な 一歩 で あ っ た(そ れ らが完 全 に 姿 を 消 したの は1928年 で あ っ た)。 19世 紀 に お け る 金 本 位 制 度 の 下 で 、 ロ ン ドン は 世界 の 国 際 金 融 セ ン ター と な り、 ポ ン ドは 国 際 的 な 貿 易 ・資 本 取 引 に お け る 基 軸 通 貨 と して の 役 割 を果 た す よ うに な った 。 イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 主 た る 業 務 は 、 ポ ン ドの 金 貸 換 性 を維 持 す る こ と で あ り、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 も っ ぱ ら公 定 歩 合(Bankrate) の 操 作 を 通 じて 海 外 か らの 資 金 流 出 入 を 調 整 す る こ と に よ っ て 、 為 替 相 場 の 安 定 化 を 図 っ た の で あ っ た 。 しか し、1914年 に 第 一 次 世 界 大 戦 が 勃 発 し、8月 に イ ギ リス が ドイ ツ に 宣 戦 布 告 す る と、流 通 して い た 金 貨 が 次 第 に 姿 を 消 し始 め 、 実 際 上 金 本 位 制 度 は 停 止 され た 。 そ の 後1919年3月 に な っ て 、 イ ギ リ ス は 公 式 に 金 本 位 制 度 か ら の 離 脱 を 表 明 した 。 第 一 次 世 界 大 戦 の 終 了 後 、1925年 に 金 本 位 制 度 へ の 復 帰 が 旧 平 価(1ポ ン ド=4.866米 ドル 相 当)で 行 な われ 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は金 食 換 を 一旦 再 開 し た が 、 金 貨 の 国 内 流 通 が 再 開 され る こ とは な か っ た 。1929年10月 に ニ ュ ー ヨー ク ・ウ ォー ル 街 の 株 価 大 暴 落 に よ っ て 始 ま った 世 界 大 恐 慌 の 波 が ヨー ロ ッパ に押 し寄 せ る に及 ん で 、1931年9月 に イ ギ リス は 再 び 金 本 位 制 度 を停 止 し て 、 変 動 為 替 相 場 制 度 へ と移 行 した 。 金 本 位 制 度 か ら の 離 脱 を契 機 と して 、1932年 に 為 替 平 衡 勘 定 が 設 立 され 、 そ の 運 営 を 大 蔵 省 が 行 う とい う形 で 、 外 国 為 替 相 場 に 関 す る決 定 権 限 が イ ン グ ラ ン ド銀 行 か ら大 蔵 省 の 手 に 移 され た 。 ま た 、 大 規 模 な 国 債 借 り換 え に対 処 す べ く 、イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 公 定 歩 合 は 、1932年6月 に2%に 断 さ れ た の を 除 く と、1951年11月 引 き 下 げ られ 、 こ のf低 金 利 政 策 」 が 、1939年 に 数 週 間 中 ま で 続 け られ た 。 す な わ ち 、 第 一 次世 界 大 戦 か ら第 二 次 世 界 大 戦 に 至 る 期 間 に お い て 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 次 第 に そ の 機 能 を 奪 わ れ 、 政 府 ・大 蔵 省 に対 す る 助 言 者 の 立 場 に と ど ま る こ と を 余 儀 な く され た の で あ っ た 。 第 二 次 世 界 大 戦 後 の プ レ:トン ウ ッ ズ 体 制 の 下 で 、米 ドル が 新 た に 基 軸 通 貨 と して の 地位 を 占 め る よ うに な っ た 一 方 で 、 ポ ン ドは 急 速 に そ の 地 位 後 退 を 余 儀 な く させ られ た(当 初1ポ ン ド=4 .03米 ドル で あ っ た 為 替 相 場 は 、1949年 に は2.80米 ドル 、1967年 に は2 .40米 ドル へ と切 り下 げ られ て い っ た)。 ま た 、 1946年 、 政 権 を と っ た 労 働 党 の 手 に よ っ て 「イ ン グ ラ ン ド銀 行 法 」 が 制 定 され 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 国 有 化 され た(従 来 の 株 主 に は 公 債 が 交 付 され た)。 金 融 政 策 に つ い て は 、 大 蔵 大 臣 が 、 ・イ ン グ ラ ン ド 銀 行 総 裁 と 協 議 の 上 、イ ン グ ラ ン ド銀 行 に 対 して 必 要 と認 め られ る指 令 を 出 し う る よ うに な り 、金 融 一240一 ll− 政 策 の 最 終 的 な 決 定 権 を 実 際 上 政 府(大 触 社 会 零e)究 蔵 省)が 所, 把 握 し 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 政 府 に 対 す る 助 言 者 に 過 ぎ な い と い う 関 係 が 定 着 し た の で あ っ た 。1957年 に 、 伝 統 的 な 金 融 政 策 の 重 要性 を 格 下 げ した ドク リ フ 委 員 会 報 告 書 」 が 提 出 さ れ た あ と 、1960∼70年 「ラ 代 に か け て は 、 イ ン フ レー シ ョ ン を 克 服 す る た め に 金 融 政 策 の 復 活 が も た ら さ れ た も の の 、 そ れ は イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 復 権 を 意 味 す る も の で は な か っ た 。 金 融 市 場 や 外 国 為 替 市 場 に 精 通 す る よ うに な っ た 大 蔵 省 に 対 し て 、 助 言 者 と し て の イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 役 割 は む し ろ 縮 小 す る 傾 向 に あ り 、 金 融 政 策 に 関 す る イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 機 能 は 、 金 融 市 場 の 運 営 とい う多 分 に 技 術 的 な も の に 限 定 され る よ うに な った 。 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 長 年 に 亘 り、 「最 後 の 貸 し手 」 と し て ク リ ア リ ン グ ・バ ン ク(ロ 換 所 加 盟 銀 行)を ン ドン 手 形 交 始 め とす る シテ ィ の 銀 行 に 対 す る 守 護 者 の 立場 に は あ っ た も の の 、 個 々 の 銀 行 に 対 す る 公 的 な 監 督 権 限 や 管 理 責 任 を 持 っ て い た わ け で は な か っ た 。 し か し 、1946年 に 国 有 化 され る と と も に 、 国 内 銀 行 シ ス テ ム に 対 す る イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 監 督 権 が 公 式 に 確 立 さ れ た 。1950年 ラ ン ド銀 行 は 、 シ テ ィ の 銀 行 に 対 す る 「リ ク エ ス ト」 と 呼 ば れ る 非 公 式 の ガ イ ドラ イ ン(道 を 好 ん で 用 い て い た が 、1960年 義 的 説 得) 代 に 入 る と 、 ユ ー ロ ・マ ー ケ ッ トの 発 達 に 伴 う シ テ ィ の 国 際 化 や 外 国 銀 行 の 進 出 に 対 応 し て 、 市 場 志 向 型 へ と戦 略 の 転 換 を 迫 ら れ る よ う に な っ た 。1971年 に よ っ て 導 入 され た 代 のイ ング 「競 争 と 信 用 規 制(CompetitionandCreditContro1:CCC)」 際 に は イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 設 計 し た も の で あ っ た 。CCCに に 政 府(大 蔵 省) の 枠 組 み は 、実 よ っ て 、 伝 統 的 な 割 引 市 場 とそ の 外 周 に 発 達 し た 並 行 市 場 と の 一 体 化 が 進 め られ 、 そ れ ま で 公 定 歩 合 と 連 動 し て い た 預 金 貸 出 金 利 も原 則 と し て 自 由 化 され た 。 1971∼73年 の 不 動 産 ブ ー ム が 終 焉 した 後 、 貿 易 産 業 省 の 監 督 下 に あ っ た セ カ ン ダ リー ・バ ン ク の 破 綻 が1973∼75年 に か け て 相 次 ぎ 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 「ラ イ フ ボ ー ト」 と呼 ば れ た 救 済 基 金 の 設 置 に よ っ て 危 機 に 対 応 し た 。(注E)セ カ ン ダ リ ー ・バ ン ク の 危 機 に よ っ て 明 らか に さ れ た 金 融 監 督 体 制 の 不 備 を 繕 う べ く1979年 に 採 択 され た 銀 行 法 に よ って 、 貿 易 産 業省 の 監 督 権 限 は 縮 小 され る一 方 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 す べ て の 預 金 取 扱 機 関 に 対 す る 包 括 的 な 許 可 ・監 督 権 限 を 与 え ら れ こ と に な っ た 。 さ ら に 、 1984年 の ジ ョ ン ソ ン ・マ ッ セ イ 銀 行 の 破 綻 を 経 て 、1987年 に 銀 行 法 が 改 正 さ れ 、 預 金 者 保 護 と銀 行 監 督 に 関 す る イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 権 限 が 一 段 と 強 化 され た 。 こ の 間 に お い て 、1986年 ャー 政 権 に よ って 「ビ ッ グ ・バ ン(TheBigBang)」 には 保 守 党 の サ ッチ と呼 ば れ る ロ ン ドン 証 券 市 場 の 大 改 革 が 行 な わ れ 、 証券 会 社 の単一 一資 格 制 度 が 廃 止 さ れ る と と も に 、 国 内 外 の 金 融 機 関 に よ る 証 券 業 へ の 参 入 が 活 発 化 し た 。 「ビ ッ グ ・バ ン 」 を 契 機 に 、 マ ー チ ャ ン ト ・バ ン ク(投 資 銀 行)は 、 ジ ョバ ー や ブ ロ ー カ ー を 吸 収 し て 総 合 証 券 会 社 に 変 貌 し て い っ た が 、 や が て ア メ リ カ の イ ン ベ ス トメ ン ト ・バ ン ク や 欧 州 大 陸 諸 国 の ユ ニ バ ー サ ル ・バ ン ク と の 競 争 に 敗 れ て 吸 収 合 併 され て い っ た 。 シ テ ィ の い わ ゆ る 「ウ ィ ン ブ ル ドン 化 現 象 」 が 、 も た ら さ れ た の で あ る 。 ま た 、1986年 Act)」 に 制 定 され た 「金 融 サ ー ビ ス 法(FinancialServices は 、 幅 広 い 金 融 商 品 を 対 象 と し そ 投 資 家 保 護 を 図 る た め の も の で あ り、 認 可 業 者 の 規 制 監 督 に つ い て は 自主 規 制 が 基 本 と され た 。 同 法 に よ り、 貿 易 産 業 省 の 委 任 を 受 け て さま ざま な 業 態 の 自主 規 制機 関を統括 す る 1992年 に はSlBの 「証 券 投 資 委 員 会(SecuritiesandInvestmentBoard:SIB)」 監 督 権 限 が 大 蔵 省 に 移 管 され た。 -241一 が 設 置 され た が 、 第42巻 第1号2003年10月 (2)イ ン グ ラ ン ド銀 行 のig97年 1997年5月 改 革 と金 融 サ ー ビス 機 構 の 設 立 の 総 選 挙 で 圧 勝 した 労 働 党 の ブ レ ア 政 権 は 、 近 い 将 来 に お け る欧 州 連 合(EU)参 加 への 準 備 を 整 え る 狙 い も あ っ て 、 金 融 政 策 に 関 す る イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 独 立 性 を 確 保 す る 改 革 を 大 胆 に 打 ち 出 し た 。す な わ ち 、5月6日 に ブ ラ ウ ン 大 蔵 大 臣 か ら イ ン グ ラ ン ド銀 行 ジ ョ ー ジ 総 裁 に 宛 て られ た 「金 融 政 策 の 枠 組 み 」 と題 す る 公 開 書 簡 に お い て 、そ れ ま で 大 蔵 大 臣 に 属 して い た 金 融 政 策 面 の 決 定 権 限 が 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 内 部 に 新 設 さ れ た 金 融 政 策 上 の 最 高 意 思 決 定 機 関 で あ る 金 融 政 策 委 員 会 (MonetaryPolicyCommittee)に 委 ね られ た の で あ る 。 同 委 員 会 は 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 総 裁 、 副 総 裁2名 、 金 融 政 策 と 市 場 調 節 の 責 任 者 各1名 、 お よ び 金 融 政 策 や 経 済 分 析 の 実 務 ・専 門 家 か ら な る 外 部 専 門 委 員4名 の 合 計9名 で 構 成 され て お り 、 月1回 開 催 さ れ る(大 蔵 省 代 表 の 出席 が 認 め られ て い る が 、 投 票 権 は 有 し て い な い)。 委 員 会 の 決 定 内 容 は 、 大 蔵 省 に 通 知 し た 上 で 直 ち に 公 表 さ れ る ほ か 、 そ の 議 事 要 旨 も 約6週 間 後 に 公 表 さ れ る な ど 、 金 融 政 策 の 運 営 に 関 す る 透 明 性 が 確 保 さ れ る よ うな 仕 組 み と な っ て い る。 イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 金 融 政 策 上 の 独 立 性 を 与 え ら れ る に 至 っ た 経 緯 を み る と 、1992年10月 以降 にお け る イ ン フ レ ー シ ョ ン ・タ ー ゲ テ ィ ン グ の 枠 組 み が 重 要 な 意 味 を 有 し て い る 。 イ ギ リス は 、 同 年9月 に 、 欧 州 各 国 と の 間 で の 為 替 相 場 の 変 動 を 一 定 範 囲 内 に 制 限 す る 為 替 相 場 メ カ ニ ズ ム(ExehangeRate Mechanism:ERM)か ら 離 脱 した が 、 そ れ に 伴 っ て ポ ン ドへ の 信 認 が 低 下 す る こ と を 恐 れ た 政 府 大 蔵 省 は 、 中 期 的 な 小 売 物 価(RPI)上 昇 率 のH標 す る と 同 時 に 、 そ の 達 成 状 況 を イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 値(す な わ ち 、 イ ン フ レ 目 標 値)を 対外 的に 明示 「イ ン フ レー シ ョ ン ・ レポ ー ト」 と い う経 済 分 析 レ ポ ー トの 形 で 公 表 す る こ と に した 。 こ う した イ ン フ レ ー シ ョ ン ・タ ー ゲ テ ィ ン グ の 枠 組 み の 下 で 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 的 確 な 情 勢 判 断 を 通 じ て 信 認 を 高 め る た め の 努 力 を 続 け て き た こ と が 、 多 く の 人 が 予 想 だ に し な か っ た 早 い タ イ ミ ン グ で の イ ン グ ラ ン ド銀 行 へ の 独 立 性 付 与 に っ な が っ た と い え る 。 1997年 の 改 革 後 に お い て は 、 政 府 が イ ン フ レ 目標 を 設 定 し、 そ れ を 達 成 す る た め の 金 融 政 策 運 営 に 関 し て は イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 全 面 的 な 責 任 を 負 う と い う 形 で 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 に 対 し て 上 の 独 立 性(OperationalIndependence)」 にお いて も、政府 は 「政 策 運 営 が 付 与 さ れtgの で あ る 。 た だ し 、 新 し い 金 融 政 策 の 枠 組 み 「 極 端 な 経 済 状 況 の 下 で 国 益 の た め に 必 要 と 認 め ら れ る 場 合 の み 一 定 期 間(通 は28日 間 、 両 院 議 会 の 承 認 が 得 られ た 場 合 は 最 長3ヶ 月)金 常 利 に 関 す る 命 令 を 出 す こ とが で き る 」 と 定 め られ て い る 点 に は 注 意 が 必 要 で あ る。 一方 、1997年 の イ ン グ ラ ン ド銀 行 改 革 に お い て 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 が そ れ ま で 保 持 し て い た 銀 行 監 督 権 限 を 、 新 た に 設 立 され る 金 融 サ ー ビ ス 機 構(Financia1ServicesAuthority:FSA)に 方 針 が 打 ち 出 され れ た 。1998年 に 発 足 し たFSAは 移 管す る 、銀 行 の み な らず 、 証 券 、 保 険 、 証 券 取 引 所 、 先 物 取 引 所 な どの 幅 広 い 金 融 サ ー ビ ス 業 を 一 元 的 に 規 制 監 督 す る 新 機 構 で あ り 、 具 体 的 に は 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 銀 行 監 督 部 門 にSIB傘 投 資 規 制 機 関(PIA)と 会 で 成 立 し、2001年12月 下 の 証 券 先 物 委 員 会(SFA)、 投 資 管 理 規 制 団 体(IMRO)、 い う3つ の 自 主 規 制 団 体 な ど を 続 合 し た も の で あ る 。2000年6月 に イ ギ リス議 か ら 施 行 され た 「金 融 サ ー ビ ス ・市 場 法(FinancialServicesandMarketsAct) 一242一 個人 明 治 大 埋 で は 、 ①FSAに 土会 牽'一 回 空}・,、 金 融 規 制 監 督 権 限 を 一 元 化 す る こ と、 ②FSAは 、 イ ン サ イ ダL-… 取 引 な どの 不 正 取 引 に 対 して 行 政 処 分 権 を 持 つ と同 時 に 、 す べ て の 市 場 参 加 者 が守 る べ き 「市 場 行 為 規 則 」 を 作 成 す る こ と 、 ③ 消 費 者 保 護 の た め の 「オ ン ブ ズ マ ン制 度 」 や 市 場 参 加 者 が 不 服 審 査 を請 求 で き る 「 金 融 サー ビス 市 場 法 廷 」 を 設 置 す る こ と一 な どが 定 め られ た 。 す な わ ち 、 「 金 融 市 場 サ ー ビ ス ・市 場 法 」 の 下 で のFSAは 、 一 元 的 な 金 融 規 制 監 督 体 制 の 確 立 、 幅 広 い 金 融 商 品(サ ・ 一 ー ービ ス)を 対 象 と した 業 界 横 断 的 な 市 場 ル ー ル の 作 成 、 不 正 取 引 の 摘 発 と消 費 者 保 護 の 強 化一 とい う明 確 な 使 命 を 与 え られ た の で あ る。 1997年 の イ ン グ ラ ン ド銀 行 改 革 は 、 金 融 政 策 運 営 に 関 す る独 立性 を イ ン グ ラ ン ド銀 行 に 対 して 付 与 する一 …方 で 、 銀 行 部 門 の 規 制 監 督 権 限 を 一一 元 的 な 金 融 規 制 監 督 と して のFSAに 移 管 す る とい う画 期 的 な 内 容 で あ っ た 。改 革 後 に お け るイ ン グ ラ ン ド銀 行 は 、 「 通 貨価値 の安 定」と 「 金 融 システ ムの安 定」 とい う2っ の 目的 を 引 き続 き 追 求 して い く とい う公 式 的 な 立場 を 表 明 して い る が 、 イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 実 際 に 金 融 政 策 と プ ル ー デ ン ス政 策 の そ れ ぞ れ の 面 で 果 た す べ き役 割 は 、 改 革 の 前 後 で 、 や は り大 き く変 化 した の で あ る。 2.フ ラ ン ス の フ ラ ン ス 銀 行 (1)フ ラ ンス銀行 の 歴 史 フ ラ ン ス 銀 行 は 、1800年1月18日 に ナ ポ レ オ ン ・ボ ナ パ ル トの 提 唱 に よ り 設 立 さ れ た 。 新 設 さ れ た フ ラ ン ス 銀 行 の 使 命 は 、商 業 手 形 の 割 引 業 務 を通 じて 一 般 的 に流 通 す る銀 行 券 を発 行 す る こ とで あ っ た 。 フ ラ ン ス 銀 行 の 発 行 す る 銀 行 券 は 、 金 貨 と の 分 換 を 保 証 さ れ た 。 フ ラ ン ス 革 命 以 前 の 旧 体 制(ancien regime)の 下 で 、 ジ ョ ン ・ ロ ー に よ る 土 地 革 命 構 想 が 失 敗 した こ と や 、 革 命 政 府 に よ る ア ッ シ リ ア 紙 幣 の 増 発 に 伴 い イ ン フ レー シ ョ ン が 起 きた こ と か ら、 当 時 の 人 々 の 間 で 不 換 紙 幣 に対 す る不 信 感 が 高 ま っ て い た。 ナ ポ レ オ ンは 、 こ う した 苦 い経 験 に学 ん で 、 フ ラ ン ス銀 行 を 設 立 す る こ とに よ っ て 価 値 の 安 定 し た 銀 行 券 を 発 行 さ せ よ う と し た の で あ る 。 フ ラ ン ス 銀 行 は 、 株 式 会 社 で あ り 、.当初 の 資 本 金 3,000万 フ ラ ン の 一 部 は ナ ポ レ オ ン 自 身 に よ っ て 出 資 され た 。 フ ラ ン ス 銀 行 が 、 パ リ 中 心 部 に あ る ト ゥー ル ー ズ 公 旧 邸 を 買 収 して 、 そ の 本 店 と し た の は 、1808年3月6日 フ ラ ン ス 銀 行 は 、1803年 で あ っ た。 に パ リで の 独 占的 な 銀 行 券 の 発 行 権 を 与 え られ た の を 皮 切 り に 、 次 第 に 中 央 銀 行 と し て の 地 位 を 固 め て い っ た 。 フ ラ ン ス 銀 行 の 発 行 す る 銀 行 券 は 、 強 制 的 な 通 用 力 を 与 え られ て お ら ず 、 そ の 意 味 で 法 貨 で は な か っ た が 、1848年2月22日 の 成 立)に の 暴 動 を 契 機 と し た 二 月 革 命(第 際 し て 、 フ ラ ン ス 銀 行 券 に 初 め て 強 制 通 用 力 が 付 与 さ れ た 。19世 行 の 支 店 網 は フ ラ ン ス 全 土 へ と 拡 大 し 、 支 店 数 は1900年 に はi60、1928年 二 共和政 紀後 半以降 、 フ ランス銀 に は259に 増加 した 。 ま た 、 国 債 を 始 め と した 証 券 を 担 保 とす る 貸 出 業 務 が 拡 大 され た り、 金 本 位 制 度 の 下 で の フ ラ ン の金 平価 を 維 持 す る た め に 外 国 為 替 市 場 で の 介 入 を 行 う よ う に な っ た(た だ し 、1914∼26年 の間 、フ ラ ンスは金 本 位 制 度 か ら 離 脱 し た)。 こ の 時 期 に お け る フ ラ ン ス 銀 行 は 、 最 終 的 に 国 庫 の 資 金 繰 り と 対 政 府 信 用 の 一243一 第42巻 第1号2003年10月 供 与 な どを も行 うよ うに な り、 フ ラ ン ス の 中 央 銀 行 と して の 地 位 を 確 立 した の で あ る 。 1936年 の 一 般 選 挙 に よ る 「 人 民 戦 線 」 の 勝 利 以 降 に お い て 、 フ ラ ン ス 銀 行 に 対 す る政 府 の 関 与 は強 ま っ て い っ た 。 第 二 次 世 界 大 戦 中 の ドイ ツ の 占 領 下 か らフ ラ ン ス が 解 放 され た 後 、1945年12月 に 「フ ラ ン ス銀 行 法 」 が 改 正 さ れ て 、 フ ラ ン ス 銀 行 は 国 有 化 され た 。 フ ラ ン ス銀 行 の 資 本 は 、 す べ て 国 家 の 所 有 に移 され 、 そ れ ま で の 株 主 に 対 して は20年 満 期 の 公 債 が 代 わ りに 交 付 され た 。 国 有 化 以 降 に お け る フ ラ ン ス 銀 行 は 、 経 済 財 政 省 の 支 配 化 に お か れ 、経 済 財 政 省 が 決 定 した 金 融 政 策 を 実 施 す る執 行 機 関 と し て の 性 格 が 強 い 中 央 銀 行 とな っ た 。 ま た 、 フ ラ ン ス 銀 行 は 、 現 在 に 至 る ま で 金 融 機 関 全 体 に対 す る 強 力 な 監 督 権 限 を有 して い る が 、 そ れ も経 済 財 政 省 の 執 行 機 関 と して の フ ラ ン ス銀 行 の 位 置 付 け に よ る も の で あ る こ とに 注 意 して お く必 要 が あ ろ う。 な お 、1973年 に 「フ ラ ン ス銀 行 法jに 関 す る若 干 の改正 が行 な われ た。 1993年8月 に 、 「フ ラ ン ス 銀 行 法 」 の 抜 本 的 な 改 正 が 行 な わ れ 、 フ ラ ン ス 銀 行 は 依 然 と して 国 有 の機 関 で は あ る も の の 、.金利 決 定 な ど金 融 政 策 の運 営 に 関 し て は 政 府 か らの 独 立 性 を保 障 され た 中 央 銀 行 へ と変 貌 を 遂 げ た 。 フ ラ ン ス銀 行 法 改 正 の 基 本 的 な 背 景 は 、1992年 に施 行 され た 「マ ー ス トリ ヒ ト条 約 」 に お い て 、 経 済 通 貨 同 盟 に 参 加 す る 各 国 中 央 銀 行 の 独 立 性 が 求 め られ た こ と に 対 応 す る必 要 性 で あ っ た 。 と も あ れ 、1993年 の 「フ ラ ン ス 銀 行 法 」 改 正 は 、 物 価 安 定 を 達 成 す る た め に 独 立 性 を 保 障 さ れ た 中 央 銀 行 へ と フ ラ ン ス 銀 行 を 変 え る 画 期 的 な 出 来 事 で あ った 。 (2)フ ラ ン ス 銀 行 の1997年 1997年 に 改 正 さ れ た 改 革 と フ ラ ンス の 金 融 規 制 監 督 体 制 「フ ラ ン ス 銀 行 法 」 は 、 フ ラ ン ス 銀 行 の 目 的 に っ い て 、 「物 価 安 定 の 確 保 を 目 的 と し て 、 金 融 政 策 を決 定 し 、 実 施 す る。 フ ラ ン ス 銀 行 は 、 政 府 に よ る一 般 経 済 政 策 の 枠 組 み の 中 で 、 そ の 使 命 を 遂 行 す る。 フ ラ ン ス銀 行 は 、 政 府 あ る い は い か な る者 に 指 示 を 求 め た り、 ま た 受 け 入 れ た り し て は な ら な い 」(同 法 第1条)と 規 定 し て い る 。す な わ ち 、 フ ラ ン ス 銀 行 は 、 「マ ー ス ト リ ヒ ト条 約 」 との 整 合 性 を と る 形 で 、金 融 政 策 の 運 営 に 関 して 政 府 か らの 独 立性 を は っ き り と保 障 され た の で あ る。 1998年6月 に 欧 州 中 央 銀 行(EuropeanCentralBank:ECB)の 傘 下 に 置 か れ る以 前 に お い て は 、 フ ラ ン ス 銀 行 の 金 融 政 策 に 関 す る 最 高 意 思 決 定 機 関 は 、 金 融 政 策 理 事 会(leConseildelapolitique mon6taire)で あ り 、 総 裁 、2名 の 副 総 裁 、 お よ び6名 の 理 事 に よ っ て 構 成 され て い た 。 少 な く と も 月 に 一 度 開 催 され る 金 融 政 策 理 事 会 は 、9名 の メ ン バ ー の2/3以 上 の 出席 に よ っ て 有 効 と な り、議 決 は 出席 者 の 多 数 決 に よ っ た 。 な お 、 首 相 お よ び 経 済 財 政 大 臣 は 、 金 融 政 策 理 事 会 に 出 席 して 動 議 を 提 出 で き る が べ 議 決 権 は 有 して い な か っ た。 一一方 、 金 融 機 関 に 対 す る規 制 監 督 の 面 で フ ラ ン ス銀 行 が ど の よ うに 関 与 す る の か とい う問題 に つ い て は 、 フ ラ ン ス 銀 行 法 改 正 の 過 程 で 、 経 済 財 政 省 と フ ラ ン ス 銀 行 が 激 し い 権 限 争 い を 繰 り広 げ た が 、 結 局 、 従 来 か らの 分 業 体 制 が 基 本 的 に は 維 持 され て 、 経 済 財 政 省 が 諸 規 制 を 企 画 立 案 し、 フ ラ ン ス 銀 行 が 実 際 の 許 認 可 、 検 査 、 行 政 処 分 等 を 行 う こ と に な っ た 。1984年 「金 融 機 関 の 活 動 と 監 督 に 関 す る 法 律(銀 行 法 と 略 称)」 は 、1995年 一244-一 に 全 面 的 に 改 訂 され た フ ラ ン ス の に 追 加 改 訂 され た が 、 そ こで は 、 堕治大学社会科学研究所紀要 ① 金融 規 制 委 員 会(CRBF)、 ② 金 融 機 関 ・投 資 サ ー ビ ス会 社 委 員 会(CECEI)、 ③ 銀 行 委 員 会(CB) 一 とい う3つの 金 融 規 制 監督 機 関 が 置 かれ て い る 。 ① は 、金 融機 関全 体 に対 す る規 制(資 本 金 額 、支 店 設 置 、財 務 諸 比 率 、会 計 原則 等)を 制 定 す る委 員 会 で あ り、 経 済財 政 大 臣 が 委 員 長 を 勤 め 、 フ ラ ンス 銀 行 総 裁 は 、 そ の メ ン バ ー とな っ て い る。 ② は 、 個 別 の 金 融 機 関 に 対 す る 許 認 可権 限 を 有 す る 委 員 会 で あ り、 フ ラ ン ス 銀 行 総 裁 が 委 員 長 を 勤 め 、経 済 財 政 省 事 務 次 官 が 、 そ の メ ンバ ー と な っ て い る。 ③ は 、 金 融 機 関 に適 用 さ れ てい る法 律 や 規 則 が 遵 守 され て い る か ど うか を 監 督 す る委 員 会 で あ り、 金 融 機 関 に 対 す る 検 査 を 随 時 行 う。 ② と同 様 に 、 フ ラ ン ス 銀 行 総 裁 が 委 員 長 を 勤 め 、 経 済 財 政 省 事 務 次 官 が 、 そ の メ ン バ ー と な っ て い る。 な お 、3っ の 委 員 会 と も、 そ の ス タ ッ フの 大 半 は フ ラ ンス 銀 行 か ら派 遣 さ れ て い る。 この よ うに 、 フ ラ ン ス に お け る金 融 規 制 監 督 体 制 は 、 金 融 諸 規 制 を 企 画 立 案 す る経 済財 政 省 と、 政 府 の 決 定 した 金 融 諸 規 制 を 実 行 し金 融 機 関 を 実 際 に 監 督 す る フ ラ ン ス銀 行 の両 者 が 、 そ の 担 い 手 と な っ て い る 。 ま た 、 経 済 財 政 省 と フ ラ ン ス銀 行 は 、 各 金 融 機 関 の 業 態別 代 表機 構 を通 じて 、 個 別 の金 融 機 関 に 対 す る規 制 監 督 を 行 っ て お り、 典 型 的 な ピ ラ ミ ッ ド型 を した 中 央 集 権 的 な 金 融 規 制 監 督 体 制 と な っ て い る。 な お 、 フ ラ ン ス の 金 融 機 関 は 、 「 銀 行 法]に よ っ て 、銀 行 業 務 を営 む 金 融 機 関 と 「そ の 他 の 機 関 」 に 区 分 され て お り、 銀 行 業 務 を 営 む 金 融 機 関 は 、 さ らに そ の 組 織 形 態 ・業 務 内 容 に応 じて 、 ① 銀 行 、 ② 相 互 ・協 同組 合 銀 行 、③ 貯 蓄 金 庫 、 ④ 市 町 村 信 用 金 庫 、⑤ 金 融 会 社 、 ⑥ 特 殊 金 融 機 関 一 の6種 類 に 分 類 され て い る。 「 そ の 他 の 金 融 会 社 」 と して は 、 銀 行 仲 介 業 者 、 金 融 持 株 会 社 、 お よび 、 証 券 会 社 が あ る。 こ の 間 に お い て 、 フ ラ ン ス の 証 券 市 場 に 対 す る 規 制 監 督 は 、1995年 の 「 金融 活動 の近代 化 に関す る 法 律 」 に よ っ て 、 証 券 取 引 委 員 会(COB)と COBは 金 融 市 場 評 議 会(CMF)を 軸 と した 体 制 とな っ て い る。 、1967年 に 設 立 さ れ た 独 立 の 政 府 機 関 で あ り、 従 来 は 証 券 会 社 の 規 制 監 督 機 関 で あ っ た が 、 1995年 の 法 律 改 正 に よ っ て 証 券 市 場 の 監 督 に特 化 す る こ と に な っ た 。CMFは 、1995年 に 証 券 取 引所 評 議 会 と先 物 取 引 評 議 会 が 統 合 され て で き た 自 主 規 制 機 関 で あ る。 両 者 の 関係 は 、COBが 督 全 体 を統 括 す る 一 方 、 自主 規 制 の 方 が 効 率 的 と判 断 され る も の に つ い て はCMFに 証券市場 監 権 限 が 委 譲 され て い る。 な お 、経 済 財 政 省 と フ ラ ン ス 銀 行 は 、 上 記 の3つ の 委 員 会 ほ ど直 接 的 で は な い も の の CMFの 3.ド イ ツ の ブ ン デ ス バ ン ク(ド (1)ド 、COB、 い ず れ に 対 して も か な りの影 響 力 を有 して い る。 イ ツ連 邦 銀 行) イ ツ にお ける中央 銀行 の歴 史 ドイ ツ に お け る最 初 の 中 央 銀 行 は 、1876年 に 、 ドイ ツ 帝 国 内 に お け る 通 貨 流 通 量 の 適 正 化 、 決 済 の Pj滑 化 、 資 本 の 有 効 利 用 な どを 目的 と し て設 立 され た ラ イ ヒスバ ン ク(Reichsbank 、帝 国 銀 行)で あ っ た 。 ライ ヒ ス バ ン ク の 資 本 は 、 民 間 に よ っ て 保 有 され て い た が 、 帝 国 宰 相 の 監 督 下 に お い て株 主 の 権 利 は 極 め て 制 限 され て お り、 帝 国 宰 相 は ラ イ ヒス バ ン ク役 員 会 に対 す る 決 定 的 な 影 響 力 を保 持 して 一245一 第42巻 第1号2003年10月 い た。 ラ イ ヒス バ ン ク の 通 貨 発 行 権 は 、 独 占的 な も の で は な か っ た が 、 そ の 優 越 的 な 地 位 に よ っ て 事 実 上 の 中 央 銀 行 と し て 機 能 した 。 ま た 、 ラ イ ヒ ス バ ン ク が 発 行 す る 帝 国 銀 行 券 は 、 一 定 の 比 率 で 金 と の 免 換 を 保 障 され て お り 、 金 本 位 制 度 が 採 用 さ れ て い た 。 1914年 に 第 一 次 世 界 大 戦 が 勃 発 し 、 金 本 位 制 度 は 一 旦 廃 止 さ れ た 。 さ ら に 、 第 一 次 世 界 大 戦 に 敗 れ た ドイ ツ は 、1919年 の ヴ ェ ル サ イ ユ 条 約 に よ っ て 、 海 外 植 民 地 す べ て に 加 え て 、 鉄 ・石 炭 の 主 要 産 地 を 含 め て 本 国 領 土 のi3.5%を 失 っ た ほ か 、 過 大 な 賠 償 金 を 課 され た 。 こ の た め 、1919年 に成 立 した ヴ ァイ マ ー ル 共 和 国 の 下 で の ドイ ツ 経 済 は 破 綻 し、 空 前 の ハ イ パ ー ・イ ン フ レ ー シ ョ ン が 引 き 起 こ さ れ た 。 1923年 に 首 相 に 就 任 し た 人 民 党 の シ ュ トレ ー ゼ マ ン が 、 銀 行 家 シ ャ ハ トの 協 力 を 得 て 発 行 した 新 し い 通 貨 レ ン テ ン マ ル ク は 、1924年 初 に1レ ン テ ン マ ル ク=1兆(旧 紙 幣)マ ル ク と い う天 文 学 的 な 比 率 で 交 換 さ れ 、 こ れ に よ っ て ハ イ パ ー ・イ ン フ レーシ ョ ン は 一 旦 収 束 し 、 そ の 後 レ ン テ ン マ ル ク は ラ イ ビ ス マ ル ク へ と 交 代 し た 。1924年 の 銀 行 法 で は 、 ライ ヒス バ ン ク に対 す る 政 府 の 監 督 権 は 廃 止 され 、 ラ イ ヒ ス バ ン ク の 政 府 か ち の 独 立 性 が 明 確 に 打 ち 出 され た 。 ま た 、 ライ ヒ ス バ ン クが 政 府 に 対 して 信 用 を 供 与 す る こ と が 厳 し く 制 限 さ れ た 。1930年 に な っ て 、 ラ イ ヒ ス バ ン ク は よ うや く 金 本 位 制 度 に 復 帰 し た。 「レ ン テ ン マ ル ク の 奇 跡 」 に よ っ て 経 済 混 乱 か ら 次 第 に 立 ち 直 っ た ドイ ツ 経 済 で あ っ た が 、1929年 10月 の ニ ュ ー ヨ ー ク 株 式 市 場 大 暴 落 に 始 ま っ た 世 界 大 恐 慌 の 波 が ヨ ー ロ ッ パ に 波 及 す る に 及 ん で 、 1932年 に は 工 業 生 産 が4割 も 減 少 し600万 人 の 失 業 者 が 発 生 す る な ど 、 再 び 壊 滅 状 態 に 陥 っ た 。 そ う し た 社 会 不 安 の 下 で 、 ヒ ッ トラ ー に 率 い ら れ た ナ チ ス(国 家 社 会 主 義 労 働 者 党)が 台 頭 し 、1933年3月 に は 、 全 権 委 任 法 に よ っ て ヴ ァイ マー ル 憲 法 が 停 止 され 、 ナ チ ス に よ る 一 党 独 裁 体 制 へ と移 行 した 。 翌 1934年8月 に 、 ヒ ッ トラ ー は 国 民 投 票 に よ っ て 総 統 に 就 任 し 、 名 実 と も に 独 裁 者 と な っ て 、 ドイ ツ 第3 帝 国 が 成 立 し た の で あ る 。 ヒ トラ ー は 、 シ ャ ハ トの 協 力 を 得 て ラ イ ヒ ス バ ン ク か ら 巨 額 の 軍 事 費 や 社 会 保 障 費 を 調 達 す る よ う に な り 、1937年 さ ら に 、1939年 に 制 定 され た に は ラ イ ヒ ス バ ン ク 役 員 会 を 首 相 の 直 接 的 な 指 揮 下 に 置 い た 。OI.2) 「ラ イ ヒ ス バ ン ク 法 」 は 、 ラ イ ヒ ス バ ン ク を 国 有 化 し て ナ チ ス の 軍 事 体 制 に 完 全 に 組 み 込 む もの で あ っ た。 ラ イ ヒ スバ ン クの 発 行 す る銀 行 券 の住 換 に 関 す る規 定 は 削 除 され 、 ラ イ ヒス バ ン クが 政 府 に 信 用 を供 与 す る こ と に つ い て は 、 総 統 と首 相 が 定 め る こ と と され た 。 1939年9月 、 ドイ ツ 軍 が 突 如 ポ ー ラ ン ドに 侵 入 した こ と に よ っ て 勃 発 した 第 二 次 世 界 大 戦 は 、 当 初 ド イ ツ ・ 日本 の 枢 軸 側 が 圧 倒 的 に 優 勢 で あ っ た が 、 ア メ リカ の 参 戦 を 契 機 と し て 次 第 に 連 合 国 側 の 軍 事 力 が 圧 倒 す る よ う に な っ た 。 ヨ ー一 一 ・ロ ッ パ 戦 線 で は 、1945年4月 に ヒ トラ ー が 自 殺 し 、5月 に は ベ ル リ ン が 陥 落 し て 、 ドイ ツ が 連 合 軍 に 対 し て 無 条 件 降 伏 し た こ と に よ っ て 戦 争 が 終 結 し た 。1945年7月 のポ ツ ダ ム 協 定 に 基 づ い て 、 ドイ ツ は 米 ・英 ・仏 ・ソ連 の4ヵ 国 に よ っ て 分 割 占 領 さ れ た が 、 東 西 関 係 の 悪 化 か ら1948年 に 西 ドイ ツ で 新 ドイ ツ ・マ ル ク が 導 入 さ れ る 一 方 、 東 ドイ ツ で も 新 東 ドイ ツ ・マ ル ク が 導 入 さ れ て 、 ドイ ツ は2つ の 通 貨 地 域 に 分 裂 した 。 翌1949年9月 協 和 国(西 ドイ ツ)と に は 、 ボ ン を 暫 定 首 都 と し た ド』 イ ツ連 邦 ベ ル リ ン を 首 都 と し た ドイ ツ 民 主 共 和 国(東 裂 国家 としての道 を歩む こ とになった。 一246一 ドイ ツ)が 誕 生 し て 、 ドイ ツ は 分 明治大 学社会 科 学研究 所 紀要 西 ドイ ツ で は 、1948年 の 通 貨 改 革 に よ っ て 、 西 側 占領 地 域 の 各 州 に あ る 州 中 央 銀 行 と フ ラ ン ク フ ル ト ・ア ム ・マ イ ン に 設 立 さ れ た レ ン ダ ー バ?ク(BankdeutscherL5nder)と の 二 重 中央 銀 行 制 度 が採 用 され た 。 ・ レ ン ダ ー バ ン ク は 、 独 立 し た 各 州 中 央 銀 行 の 共 通 の 子 会 社 と し て 、 新 ドイ ツ ・マ ル ク 銀 行 券 の 発 行 に 当 た り、 各州 中 央 銀 行 の 総 裁 と レン ダ ー バ ン ク 役 員 会 の議 長 に よ っ て 構 成 され る 中央 銀 行 理 事 会(Zentralbankrat)が 金 融 政 策 の 運 営 に お け る最 高 意 思 決 定機 関 で あ っ た 。 政 府 に 従 属 した 中 央 銀 行 が 二 度 に 亘 っ て 招 い た 不 幸 な 経 験 に 学 ん で 、 レ ン ダ ー バ ン ク は 、 当 初 よ り政 府 か ら の 独 立 性 を 保 障 さ れ た 。 ま た 、 発 行 す る 銀 行 券 に 対 して は い か な る 担 保 も 徴 求 さ れ て お らず 、 新 ドイ ツ ・マ ル ク は 完 全 な 不 換 紙 幣 と して ス タ ー トし た 。 こ れ は 、 通 貨 の 価 値 を 安 定 さ せ る た め に は 、 銀 行 券 を 金 や 外 貨 で 担 保 す る こ と が 必 要 条 件 で もな く十 分 条 件 で も な く、 肝 心 な こ と は通 貨 の供 給 量 を 適 切 に 管 理 す る こ と だ とい う一般 的 認 識 に 基 づ く もの で あ っ た 。 1949年 に 発 効 し た ドイ ツ 基 本 法 第88条 に よ っ て 、西 ドイ ツ 政 府 は ドイ ツ ・ブ ン デ ス バ ン ク(Deutsche Bundesbank)を 設 立 す る こ と を 義 務 付 け られ て い た が 、 こ の 規 定 は1957年 のfド イ ツ ・ブ ン デ ス バ ン ク 法 」 と して 実 現 さ れ た 。 こ れ に よ っ て 、 西 ドイ ツ の 中 央 銀 行 と し て の ドイ ツ ・ブ ン デ ス バ ン ク が 設 立 さ れ 、 各 州 中 央 銀 行 は 従 来 か ら の 独 立 性 を 失 っ て(た だ し、 「州 中 央 銀 行 」 と の 名 称 は 残 し な が ら)、 ブ ンデ スバ ン ク の 傘 下 に 置 か れ る よ うに な っ た 。 ブ ンデ ス バ ン ク は 、連 邦 直 属 の 公 法 上 の 法 人 で あ り、 原 則 と して 連 邦 政 府 の所 在 地 に 置 か れ る こ と に な っ て い る が 、 と り あ え ず は レ ン ダ ー バ ン クの 後 を継 い で フ ラ ン ク フ ル トに 所 在 地 を 定 め ら れ た 。 1985年 に ゴ ル バ チ ョ フ が ソ連 書 記 長 に 就 任 し て 以 来 、 東 西 の 冷 た い 戦 争 は:一挙 に 緩 和 に 向 か い 、 そ れ と 共 に 東 欧 諸 国 の 民 主 化 も 進 展 した 。1989年10月 に 東 ドイ ツ の ホ ネ カ ー 議 長 が 、 国 外 へ の 大 量 の 市 民 脱 出 と 国 内 で の 市 民 デ モ の 前 に 退 陣 を 余 儀 な く され 、ll月9目 1990年7月 に ベ ル リン の 壁 が っ い に崩 壊 した 。 に は 、 西 ドイ ツ の コ ー ル 首 相 が 主 導 し て 通 貨 統 合 が 行 な わ れ 、 西 独 マ ル ク と 東 独 マ ル ク は 、 ① 企 業 ・政 府 の 債 権 ・債 務 に つ い て は1対2、 を 超 え る 預 金 に っ い て は1対2な い し3)の ② 家 計 の 現 預 金 や 賃 金 に つ い て は1対1(た 比 率 で 交 換 さ れ 、 統 一 マ ル ク(す 東 ドイ ツ に お け る 通 貨 と し て も 使 用 され る よ うに な っ た 。 次 い で 、8月31日 約 」 が 調 印 され 、IO月3日 だ し、 限 度 額 な わ ち 、 旧 西 独 マ ル ク)が に 「ドイ ツ 統 一 に 関 す る 条 に は 同 条 約 が 発 効 した こ と に よ っ て 、 西 ドイ ツ が 東 ドイ ツ を 編 入 す る 形 で の ドイ ツ 統 一 が 実 現 した 。 こ れ に よ っ て ブ ン デ ス バ ン ク は 、 ドイ ツ 全 体 の 中 央 銀 行 と な っ た の で あ る。 (2)ブ ン デ ス バ ン ク と連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 ブ ン デ スバ ン ク はECBの 基 本 モ デ ル と され た 中 央 銀 行 で あ り、ブ ンデ ス バ ン ク の 目的 と機 能 が どの よ うな もの で あ っ た の か を 理 解 してお く こ とが 、ECBの 金 融 政 策 を理 解 す る 上 で 重 要 で あ るb ブ ン デ ス バ ン ク は 、 「ブ ン デ スバ ン ク 法 」 第3条 に よ り、 通 貨 価 値 の 安 定 を 目的 と して 、 通 貨 の流 通 と信 用 の 供 給 を コ ン トロ ー ル し、 国 内 外 の 支払 決 済 に 配 慮 す る こ と を そ の 使 命 と して い た。 ブ ンデ ス バ ン ク は 、 通 貨 価 値 の 安 定 の 内 容 と して 、 国 内 物 価 の 安 定 と と もに 通 貨 の 対 外 的 な価 値 で あ る外 国 為 替 相 場 の 安 定 を重 視 して お り、 外 国 為 替 市 場 で の 介 入 権 限 を有 して い た。 一247一 第42巻 第1号2003年10旦 ブ ンデ ス バ ン ク は 、 連 邦 政 府 官 庁 と同 等 の 地 位 に 置 か れ てお り、 政 府 の監 督 下 に は 置 か れ て い な か っ た 。 ブ ン デ ス バ ン ク は 、 通 貨 価 値 の 安 定 とい う使 命 を 損 な わ な い 限 りに お い て 連 邦 政 府 の 全 般 的 な経 済 政 策 を 支 持 す る義 務 を負 う もの の 、 連 邦 政 府 の 指 令 を受 け な い と され て お り、 そ の 意 味 で 、 金 融 政 策 の 策 定 ・運 営 に 関 して 連 邦 政 府 か らの 独 立 性 を保 障 され て い た 。 ブ ン デ ス バ ン ク の 最 高 意 思 決 定 機 関 で あ る 中央 銀 行 理 事 会 は 、 東 西 ドイ ツ の 統 一 後 に お い て は 、 総 裁 、 副 総 裁 、 そ の 他 の 役 員 会 メ ンバ ー の 合 計8名 と州 中央 銀 行 総 裁9名 に よ っ て 構 成 され て お り、 原 則 と して2週 間 に1回 開 催 され て い た。 中 央 銀 行 理 事 会 の 議 長 を総 裁 が 務 め 、議 決 は 単 純 多 数 決 で あ っ た。 な お 、 中 央 銀 行 理 事 会 で の 決 定 事 項 を執 行 す る た め の 機 関 と して 、 総 裁 、 副 総 裁 、 お よ び そ の 他 の 役 員 に よ っ て 構 成 され る役 員 会 が 置 か れ て い た 。 ドイ ツに お け る金 融 規 制 監 督 体 制 を見 て お く と 、1961年 の 「 金 融 機 関 法 」 に よ っ て ベ ル リ ン に設 立 され た 連 邦 金 融機 関 監 督 庁(BundesaufsichtamtfifrdasKreditwesen)が 、金融 規制 監督 に関す る 中 央 機 関 とな っ て い る 。 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 は 、 「 金 融 機 関 法 」 に基 づ い て連 邦 大 蔵 省 の 管 轄 下 に あ る も の の 、独 立 し た 連 邦 最 高 官 庁 で あ る 。 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 は 、 金 融 機 関 免 許 の付 与 ・取 り消 しの 権 限 を 有 して い る ほ か 、 金 融機 関 の 自 己資 本 比 率 、 大 口信 用 、流 動 性 等 に 関す る規 則 を制 定 して い る。 「 金 融 機 関 法 」 は 、 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 と ブ ンデ ス バ ン ク との 間 で の 緊 密 な 協 力 関 係 を 規 定 して い る。 す な わ ち 、 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 の長 官 は 、 連 邦 政 府 の 提 案 に基 づ い て 連 邦 大 統 領 に よ っ て任 命 さ れ る が 、 そ の 際 に 連 邦 政 府 は ブ ン デ ス バ ン クの 意 見 を事 前 に聴 取 す る こ と が 義 務 付 け られ て い る。 ま た 、 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 が 一 般 的 な規 定(た に っ い て の 規 則)を とえ ば 、 金 融 機 関 の 自 己 資 本 比 率 、 大 口借 用 、流 動 性 等 制 定 し よ うとす る場 合 に は 、 ブ ンデ ス バ ン ク の 同意 を得 る必 要 が あ る 。 実 際 の 監 督 行 政 に つ い て も 、 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 は 地 方 支 局 を 持 っ て い な い た め 、 ブ ンデ ス バ ン ク の 州 中央 銀 行 が 個 々 の 金 融 機 関 か ら の 報 告 や 年 次 決 算 資 料 の 提 出 を受 け 、 これ ら の 資 料 に ブ ン デ スバ ン ク の意 見 が 添 え られ て 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 に 送 付 され て い る。 この よ うに 、 金 融 機 関 監 督 に 関 して 入 手 され た 情 報 は 、 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 と ブ ン デ スバ ン ク の 間 で 交 換 さ れ て お り、 そ の 上 で 、 連 邦 金 融 機 関 監 督 庁 に よ る 金 融 行 政 が 行 な わ れ て い るの で あ る。 4.統 一 連 貨 ユ ー ロの 誕 生 と 欧 州 中 央 銀 行 制 度 (1)統 一 通 貨 ユ ー ロ誕 生 ま で の 歴 史 ま ず 、欧 州 に お け る 統 一 通 貨 ユ ー ロ 導 入 に 至 る ま で の 欧 州 通 貨 統 合 の歴 史 を概 観 して お く。 第 二 次 世 界 大 戦 復 し ば ら く し た1952年7月 、 ザ ー ル 地 方 と ア ル ザ ス ・ロ レー ヌ 地 方 の 石 炭 ・鉄 鋼 の 共 同 管 理 を 実 現 す る こ と に よ り 、 ドイ ツ と フ ラ ン ス の 歴 史 的 な 対 立 を 克 服 し 、 ひ い て は 欧 州 全 体 の 協 調 と 繁 栄 を 図 る こ と を 目 的 と し て 、 ドイ ツ(旧 ラ ン ダ 、 ベ ル ギ 一-sル CommunitylECSC)が ク セ ン ブ ル ク)の6ヵ 西 ドイ ツ)、 フ ラ ン ス 、 イ タ リ ア 、 ベ ネ ル ッ ク ス3国(オ 国 に よ っ て 欧 州 石 炭 鉄 鋼 共 同 体(EuropeanCoalandSteel 設 立 さ れ た 。 さ ら に 、1957年3Aの 一248一 「ロー マ 条 約 」 の 調 印 に 伴 い 、1958年1月 明治大学社会科学研究所紀要 に は 上 記6ヵ 国 に よ っ て 、 ベ ル ギ ー の ブ リ ュ ッ セ ル に 本 部 を 置 く 欧 州 経 済 共 同 体(EuropeanEconomic Commuinity:EEC)が 設 立 さ れ た 。EECは して い た が 、1962年 、 関 税 同 盟 の 形 成 と共 通 農 業 政 策 の 策 定 を 主 た る 内 容 と の 行 動 計 画 議 定 書 に お い て は 、1970年 を 目途 に 通 貨 同 盟 を 形 成 し、 各 国 間 の 為 替 相 場 を 固 定 す る と い う構 想 が 早 く も 提 示 さ れ て い た 。1967年2Aに れ て 、 欧 州 共 同 体(EuropeanCommunities:EC)へ は 、EEC、ECSCな と 発 展 し た 。1969年12月 どが 統 合 さ 、 ハ ー グ で のEC首 脳会 議 に お い て は 、 従 来 の 目 標 で あ っ た 関 税 同 盟 の 実 現 を 受 け て 、 ① 経 済 通 貨 同 盟 の 段 階 的 形 成 、②ECへ の 新 規 加 盟 を 希 望 す る 諸 国 と の 交 渉 開 始 、 ③ 将 来 に お け る 政 治 的 欧 州 同 盟 の 形 成 一 が 、 新 た な 目標 と し て 定 め ら れ た 。1970年10月 に 発 表 され た 「ウ ェ ル ナ ー 委 員 会 レ ポ ー ト」 で は 、 政 策 協 調 の 強 化 と 為 替 変 動 幅 の 縮 小 を 通 じ て 、 最 終 的 に は 単 一 通 貨 を 導 入 す る と い う形 で 、 今 後10年 (EconomicandMonetaryUnion:EMU)を 1971年8月 間 で経済 通貨 同盟 実 現 す る と の 方 向 性 が 打 ち 出 され た 。 の ニ ク ソ ン ・シ ョ ッ ク に よ っ て ブ レ トン ウ ッ ズ 体 制 が 崩 壊 し 、 同 年12月 場 を 対 米 ドル ・セ ン トラ ル ・ レー トの 上 下2.25%以 か ら各 国 の為 替 相 内 に 維 持 す る と い う ス ミ ソ ニ ア ン 体 制 に 移 行 した 。 こ れ に 対 し てEC参 加 各 国 は 、1972年4月 よ り 、 相 互 の 為 替 相 場 変 動 幅 を 上 下1.25%以 内 に収 め る こ と と し た た め 、EC参 加 各 国 の 通 貨 は 、 「トン ネ ル の 中 の 蛇 」 と 称 さ れ る 状 態 に な っ た 。 しか し 、1973年 3月 に は 、 主 要 国 が 相 次 い で 変 動 為 替 相 場 制 度 を 採 用 して ス ミ ソ ニ ア ン 体 制 が 崩 壊 した た め 、EC各 国 の 共 同 変 動 為 替 相 場 制 度 は 、 対 米 ドル の 変 動 幅 制 限 が な く な り 、 「トン ネ ル を 出 た 蛇 」 の 状 態 へ と移 行 し た 。 こ の 間 、ECの に 加 盟 し て 、EC参 拡 大 方 針 を 受 け て 、1973年1月 加 国 は9ヵ 国 と な っ た(ノ に は イ ギ リ ス 、 ア イ ル ラ ン ド、 デ ン マ ーーク が 新 た ル ウ ェー も加 盟 条 約 に 調 印 した が 、 国 民 投 票 で 否 決 され た た め 、 実 際 に は 加 盟 し な か っ た)。 1978年4月 、 ドイ ツ の シ ュ ミ ッ ト首 相 と フ ラ ン ス の ジ ス カ ー ル デ ス タ ン 大 統 領 に よ っ て 欧 州 通 貨 制 度 (EuropeanMonetarySystem:EMSと ギ リ ス を 除 く8カ 国)の 略 称)が 提 唱 さ れ た 。 翌 年3月 に 発 足 し たEMSは 通 貨 相 互 間 の 為 替 変 動 幅 を 基 準 相 場 の 上 下2,25%以 相 場 変 動 メ カ ニ ズ ム(ExchangeRateMechanism:ERMと EC加 略 称)に 、 参 加 国(イ 内 に 維 持 し よ うとす る為 替 よ っ て 特 徴 付 け られ た 。 す な わ ち 、 盟 各 国 の 通 貨 バ ス ケ ッ ト と し て の 欧 州 通 貨 単 位(EuropeanCurrencyUnit:ECUと 入 さ れ 、ECUに 略 称)が 導 対 す る 各 国 通 貨 の 中 心 相 場 を も と に 各 国 通 貨 相 互 間 の 基 準 相 場 が 設 定 され た 。 そ して 、 各 国 は 、 為 替 相 場 を 上 記 範 囲 内 に 維 持 す る た め に 無 制 限 に 介 入 す る 義 務 を 負 う こ と に な っ た 。ERMは そ の 後 長 期 間 に 渡 っ て 維 持 さ れ 、 ドイ ツ ・マ ル ク を ア ン カ ー と したERM加 ス の 収 敷 が 、 欧 州 統 合 へ の 基 盤 を 次 第 に 形 成 し て い っ た 。1980年 1981年1月 に ギ リ シ ャ 、1986年1月 た 。 イ ギ リ ス も 、1990年1月 リ ア と と も にERMか 1989年4月 の 盟 各 国 の 経 済パ フ ォー マ ン 代 は 、ECの に ス ペ イ ン 、 ポ ル トガ ル が 新 た に 加 盟 し てEC加 か らERMに ら 離 脱 した(イ 参 加 し た が 、1992年9月 タ リ ア は 、ig96年11月 第2次 拡 大 期 で あ り 、 盟 国 は12カ 国 と な っ か らの 欧 州 通 貨 危 機 に 際 し て 、 イ タ に 復 帰 し た)。 「ド ロ ・ 一ール 委 員 会 レ ポ ー ト」 は 、 「 経 済 同 盟 と 通 貨 同 盟 は 相 互 に 欠 く こ と の で き な い2つ の 部 分 を 構 成 す る 」、と い う基 本 認 識 に 立 ち 、 単 一 通 貨 導 入 と い う形 で の 経 済 通 貨 同 盟(EMU)達 成ま で の 手 順 を3段 階 に 分 け て 進 め る こ と を 提 案 し た 。.そ の 内 容 を 具 体 的 に み る と 、 第1段 階 は 、EC全 通貨 一249一 、 第42巻 第 】号2003年10月 のERMへ の 参 加 を 実 現 す る こ と で あ り、1990年7月 よ り開 始 す る こ と が 提 案 さ れ た 。 第2段 階 で は 、 欧 州 中 央 銀 行 制 度(EuropeanSystemofCentralBanks:ESCB)を 創 設 す る こ と 、 そ し て 、 第3段 階 で は 、欧 州 中 央 銀 行 に よ る統 一 的 金 融 政 策 を実 施 す る こ と、 お よび 、 単 一 通 貨 を 導 入 す る こ とが 提 案 さ れ た 。 そ の 後 、 各 国 に よ る 活 発 な 議 論 を 経 て 、1992年2月 州 連 合 条 約(通 に 、 オ ラ ン ダ の マ ー ス ト リ ヒ トに お い て 称 は 、 マ ー ス ト リ ヒ ト条 約)」 へ の 調 印 が 行 な わ れ 、1993年11月 同 条 約 の 発 効 に 伴 い 、ECは 欧 州 連 合(EuropeanUnion:EU)へ か ら同 条 約 が 発 効 した。 と 進 ん だ 。 「マ ー ス ト リ ヒ ト条 約 」 は 、 「ド ロ ー ル 委 員 会 レ ポ ■ 一 ー ート」 で 示 さ れ た 手 順 を 基 本 的 に 継 承 し て 、 ①EMU第2段 1994年1月 か ら 開 始 さ れ 、ECBへ を 設 立 す る こ と 、 ②EMU第3段 「欧 階 へ の移 行 は 、 の 準 備 と し て 欧 州 通 貨 機 構(EuropeanMonetarylnstitute:EMI) 階 へ 移 行 す る た め に は 、4つ の 経 済 収 敏 基 準(す な わち、物価安 定に 関 す る 基 準 、 政 府 の 財 政 状 態 に 関 す る 基 準 、 為 替 レー ト安 定 に 関 す る 基 準 、 金 利 収 敏 に 関 す る 基 準)を 達 成 す る こ と が 必 要 で あ る こ と 、 そ し て1999年1月1日 に は こ れ ら の 条 件 を 達 成 国 が 自 動 的 に 第3段 階 に 移 行 す る こ と一 な ど が 定 め られ た 。(iE3)な お 、1995年1月 ラ ン ドがEUに 加 盟 し 、EU加 に は 、 オ ー ス ト リア 、 ス ウ ェ ー デ ン 、 フ ィ ン 盟 国│は15ヵ 国 と な っ た(た だ し、 ス ウ ェ ・ 一一デ ン は 、ERMに は 参加 し て い な い)。 ドイ ツ の フ ラ ン ク フ ル トに 設 立 され たEMIは トを 発 表 し 、12月 に マ ド リ ー ドで 開 催 さ れ たEU首 の 名 称 を ユ ー ロ(EURO)辿 ①1998年 、1995年11月 に 「単 一 通 貨 へ の 移 行 」 と 題 す る レポ ー 脳 会 議 に お い て は 、 同 レ ポ ー トを 受 け て 、 単 一 通 貨 す る こ と が 決 定 さ れ た 。 ま た 、 単 一 通 貨 へ の 移 行 ス ケ ジ ュ ー ル と して 、 の 早 い 時 期 にEMU参 加 国 を 決 定 し 、 そ れ と 同 時 にECBを 参 加 各 国 通 貨 と ユ ー ロ と の 換 算 相 場 を 不 可 逆 的 に 固 定 す る こ と(す な る こ と)、 ③2002年1月1日 1997年6月 ム 条 約 」 で は 、① 承 認 さ れ 、 同 時 にEMU第3段 本 条 約 の 改 正 案(通 置 き 換 え る こ と(た に よ っ て 、EMU第3段 度q)財 政 赤 字 を 対GDP比 へ の 参 加 は 任 意 とす る こ と)一 に ブ リ ュ ッ セ ル で 開 催 さ れ たEU特 階移 行 率 で 原 則3%以 参 加 国 通 貨 の 間 で の 為 替 相 場 安 定 化 を 目 的 と す るERMIIに だ し 、ERM皿 称、ア ム 階 移 行 に 関 す る 最 終 合 意 が な され た 。 「ア ム ス テ ル ダ 「安 定 と成 長 の 協 定 」(StabilityandGrowthPact)」 め る こ と)、 ② ユ ー ロ とEMU未 1998年5月 な わ ち 、 ユ ー ロが 域 内 単 一 通 貨 と 脳 会 議 に お い て 、EU基 後 に お け る 参 加 国 の 財 政 規 律 ル ー ル を 定 め る こ と(過 RMを に、 か ら ユ ー ロ 紙 幣 ・硬 貨 の 流 通 を 開 始 す る こ と一 な ど が 決 定 さ れ た 。 次 い で 、 に ア ム ス テ ル ダ ム で 開 催 さ れ たEC首 ス テ ル ダ ム 条 約)が 設 立 す る こ と 、 ②1999年1月1日 上 と定 よ っ てE が 定 め られ た 。 別 首 脳 会 議 に お い て 、1999年1月1日 か らEMU第3段 階 へ 移 行 し、 統 … 通 貨 ユ ー ロ を 導 入 す る の は 、 ドイ ツ 、 フ ラ ン ス 、 イ タ リ ア 、 ベ ネ ル ッ ク ス3国 に 加 え て 、 オー ス・ ト リア 、 フ ィ ン ラ ン ド、 ア イ ル ラ ン ド、 ス ペ イ ン 、 ポ ル トガ ル の 合 計11ヵ 国 と す る こ と が 正 式 に 決 定 さ れ た 。 「マ ー ス ト リ ヒ ト条 約 」 で 定 め ら れ た4つ の 経 済 収 敏 基 準(こ 関 す る 収 敏 基 準)を とに、政府 の財 政状態 に 達 成 で き る 国 は 限 られ た も の に な る の で は な い か と 、 一 時 は 懸 念 さ れ た が 、 さ ま ぎま な 対 応 策 の 弾 力 的 容 認 に よ っ て 、 結 果 的 に は ギ リシ ャ を 除 く各 国 が 同 基 準 を 達 成 した 。 た だ し、 イ ギ リ ス 、 デ ン マ ー ク 、 ス ウ ェ ー デ ン は 、 そ れ ぞ れ の 国 内 事 情 に よ っ て 自 発 的 にEMU第3段 加 を 見 送 っ た 。 な お 、 ギ リ シ ャ 、 デ ン マ ー ク は1999年 一250一 か らERMHに 階 への参 参 加 し 、 ギ リ シ ャ は 、2001年1月 明 に な っ てEMU第3段 コ 学社 会奉 受 血 所,コ ー 階 へ と 進 ん だ が 、イ ギ リス と ス ウ ェ ー デ ン はERMHに も未 参 加 の 状 態 が続 い て い る 。(注4} (2)欧 州 中央 銀 行 制度 の金 融 政策 欧 州 中 央 銀 行 制 度(EuropeanSystemofCet}tralBanks:ESCBと ヒ ト条 約 」 に よ っ て 定 め られ た も の で あ り 、EUに 略 称)の 構 想 は 、 「マ ー ス ト リ お け る通 貨 統 合 と金 融 政 策 の統 一 化 を 通 じて 、そ の 経 済 的 ・社 会 的 統 合 を 図 る こ と を 目 的 と し て い る 。 ESCBの 中 心 と な るECBは が 置 か れ て い る 。ECBの れ た 。ESCBは 、EMU第3段 にEMIを 盟 各 国 の 中 央 銀 行(す よ っ て 構 成 さ れ 、ECBは .ド イ セ ン ベ ル グ が 選 ば な わ ち 、 ドイ ツ の ブ ン デ ス バ ン ク や フ ラ ン ス 加 盟各 国 中央銀行 をそ の傘 下に治 め る上部機 構 で あ 階 の ス タ ー ト し た1999年1月1日 策 を 運 営 す る よ う に な っ た 。 ま た 、2002年1月1日 ESCBの 改 組 す る 形 で 設 立 さ れ 、 フ ラ ン ク フ ル トに 本 部 初 代 総 裁 に は 、 オ ラ ン ダ 中 央 銀 行 の 総 裁 を 務 め たW 、ECBとEMU加 の フ ラ ン ス 銀 行 な ど)に る 。ECBは 、1998年6月 か ら各 国 の 中 央 銀 行 に代 わ っ て 実 際 に 金 融 政 か ら 、 実 際 に ユ ー ロ 紙 幣 ・硬 貨 の 流 通 が 開 始 さ れ た 。 目 的 、 組 織 、 お よ び 機 能 は 、 「マ ー ス ト ジ ヒ ト条 約 」 お よ びESCB付 属 議 定 書 に よ って 、 次 の よ う に 定 め られ て い る 。 ESCBの 目 的 は 、 「マ ー ス ト リ ヒ ト条 約 」 第105条 に よ っ て 、 「物 価 安 定 の 維 持 」 で あ り 、 こ の 目 的 に 反 し な い 限 り、 共 同 体 の 一 般 経 済 政 策 を サ ポ ー トす る も の と さ れ て い る。 ま た 、 「物 価 安 定 の 維 持j と い う 目 的 を 達 成 す る た め 、 「ESCBは 、EU、 受 け た り し て は な ら な い 」(同 条 約 第107条)と 各 国 政 府 、 そ の 他 い か な る機 関 か ら も指 示 を 求 め た り、 定 め ら れ て い る 。 こ の よ う に 、ESCBの 目的 規 定 は 、 基 本 的 に は ドイ ツ ・ブ ン デ ス バ ン ク の 例 に 倣 う形 で 、 は っ き り と物 価 安 定 を 最 優 先 の 目 的 と し 、 そ の た め に 中 央 銀 行 と し て のESCBの ECBの 独 立性 を保 障 す る こ と を 定 め て い る の で あ る。 組 織 と し て は 、理 事 会(GoverningCounci1)、 Counci1)の3っ が 置 か れ て い る 。 理 事 会 は 、ECBの 役 員 会(ExecutiveBoard) 、一 般 委 員 会(General 最 高 意 思 決 定機 関 で あ り、 こ こ で 市 場 介 入 金 利 や 準 備 供 給 な ど の 金 融 政 策 に 関 す る 決 定 が な さ れ る 。 理 事 会 は 、 役 員 会 の 構 成 メ ン バ ー で あ るECB総 副 総 裁 、 お よ び4人 の 理 事 に 、EMU加 裁、 盟 各 国 の 中 央 銀 行 総 裁 が 加 わ っ て 構 成 され て い る。 原 則 と して 隔 週 木 曜 日 に 開 催 さ れ る 理 事 会 で の 決 定 は 、3分 の2以 上 の 出 席 に よ り 、 単 純 多 数 決 に よ る(賛 否 同数 の 場 合 は 、 総 裁 が 決 定 す る)。 役 員 会 は 、 理 事 会 の 決 定 に 従 っ て 金 融 政 策 を 執 行 す る 機 関 で あ り、 加 盟 各 国 の 中 央 銀 行 を 指 揮 ・監 督 す る 。 役 員 会 メ ン バ ー と し て のECB総 裁 、 副 総 裁 、 お よ び4人 の 理 事 は 、 EU閣 僚 理 事 会 の 推 薦 を 受 け て 、 加 盟 各 国 政 府 の 合 意 に よ っ て 選 出 さ れ 、 任 期 は8年 と な っ て い る 。㈱ 一般 委 員会 は 、ECB総 裁 、 副 総 裁 にEU加 盟 各 国 の 中 央 銀 行 総 裁 が 加 わ っ て 構 成 され 、 統 計 、 規 則 、 雇 用 な ど の 総 務 事 項 が 決 定 さ れ る と と も に 、ENU未 CBの 参 加 国 と の 金 融 政 策 面 で の 協 調 を 図 る 。 な お 、E 理 事 は 一 般 委 員 会 に 出 席 で き る が 、 投 票 権 は 有 して い な い。 ECBが 果 た す 基 本 的 な 機 能 は 、 「マ ー ス ト リ ヒ ト条 約 」 第105条 に よ っ て 、 ① 金 融 政 策 の 企 画 ・運 営 、 ② 外 国 為 替 市 場 で の 介 入 操 作 、 ③ 公 的 外 貨 準 備 の 保 有 管 理 、 ④ 支 払 決 済 シ ス テ ム の 運 営 一 の4っ で あ る 一251一 第42巻 第1号2003年10月 と 定 め ら れ て い る 。 こ の ほ か 、ECBは Bの 決 定 に 基 づ い てECBと は 、ECBが ECBは 、 統 一 通 貨 ユ ー ロ に つ い て の 発 行 許 可 権 を 独 占 し て お り、EC 各 国 中 央 銀 行 と が ユ ー ロ 紙 幣 を 発 行 し て い る 。 な お 、a− ロ硬 貨 に つ い て 承 認 した 発 行 量 の 範 囲 内 で 、 各 加 盟 国 が 独 自 に 発 行 で き る よ うに な っ て い る。 、 物 価 安 定 を 最 終 目 標 と す る 金 融 政 策 を 遂 行 す る 上 で 、 基 本 的 に は2段 階 ア プ ロ ー チ を 採 用 し て い る 。ま ず 、ECBは Prices:HlCP)の 、 「物 価 安 定 」の 内 容 と し て 、r消i費 者 物 価 指 数(HarmonizedIndexofConsumer 上 昇 率 が 中 期 的 に み て2%を 下 回 る 」 こ と を 具 体 的 な 目 標 と し て 掲 げ て い る(同 時 に 、 物 価 の 下 落 す る デ フ レ状 態 に 陥 ら な い こ と も 目 標 と さ れ て い る)。 た だ し 、 イ ン フ レ 率 の 実 績 値 が 、 掲 げ られ た 目標 範 囲 か ら 乖 離 した と して も 、 機 械 的 に 政 策 対 応 す る もの で は な い 点 に は 注 意 が 必 要 で あ る 。 次 に 、 中 間 目標 に 相 当 す る も の と し て は 、 マ ネ ー サ プ ラ イ(M3)の 1998年12月1日 参 照 値 を 公 表 して お り、 に 初 め て 公 表 さ れ て 以 来 、4.50/・ と な っ て い る 。 こ の 値 は 、 ①HICP上 回 る 、 ② 趨 勢 的 な 経 済 成 長 率 が2∼2.50/。 に な る 、 ③M3の 一 と い う想 定 で 計 算 さ れ た も の で あ る な い の で 、 も しM3が 昇 率 が2%を 流 通 速 度 が 中 期 的 に み て 年0.5∼1%低 。 た だ し 、ECBが 下 下す る 公 表 し て い る の は 参 照 値 で あ り 、 目標 値 で は 参 照 値 か ら乖 離 した と しで も機 械 的 に 政 策 対 応 す る も の で は な い 点 に注 意 が 必 要 で あ る。 ECBの 金 融 政 策 手 段 と し て は 、 ① 常 設 フ ァ シ リ テ ィ(ECBに よ る貸 出 供 給 な い しは預 金 吸 収 に よ るri`一ー ーバ ー ナ イ トの 資 金 調 節 手 段)、 ② 公 開 市 場 操 作 、 ③ 最 低 準 備 制 度 の3つ が あ る 。ECBは の 政 策 手 段(主 と し て ① と ②)を 、 これ ら 用 い る こ と に よ っ て 、 操 作 目 標 と し て の 翌 日 物 コ ー ル レー ト(euro overnightindexaverage:EONIA)を 上 限 と 下 限 の 範 囲 内 で コ ン トロ ー ル し て い る。ECBの 金融 調 節 手 段 と し て は 、 流 動 性 供 給 を 目 的 と し て 毎 週1回 定 期 的 に 実 施 す る 主 要 リ フ ァ イ ナ ン ス ・オ ペ が 最 も 重 要 で あ り 、 そ の レー ト(い わ ゆ る 市 場 介 入 金 利)が 、 翌 日物 コ ー ル レー トの 中 心 値 と な っ て い る 。 外 国 為 替 市 場 で の 介 入 操 作 に つ い て は 、fマ ー ス ト リ ヒ ト条 約 」第m9条 替 相 場 の 基 本 方 針 を 決 定 す る こ と に な っ て い る 。ECBは 市 場 で の 介 入 を 行 う 。 ま た 、ECBは に よ っ てEU閣 僚理 事会 が為 、そ う した 基 本 方 針 の 下 で 、 実 際 に 外 国 為 替 、設 立 当 初 に 各 国 中 央 銀 行 か ら移 管 され た 外 貨 準 備 を 運 用 管 理 し て い る。 ECBの 決 済 シ ス テ ム は 、TARGET(Trans-EuropeanAutomatedReal-TimeGrossSett!ement ExpressTransfer)と 呼 ば れ て お り,1999年1月 各 国 の 即 時 決 済(RTGS)シ ス テ ム とECBの 運 営 に 当 っ て い る 。 な お 、EMU第3段 のEMU第3段 階 ス タ ー トと と も に 稼 動 し て い る 。加 盟 決 済 シ ス テ ム を リ ン ク さ せ た も の で あ り 、ECBが 階 未 参 加 国 の 決 済 シ ス テ ム も 、RTGSで 管理 あ れ ば 原 理 的 に は リン ク 可 能 で あ る。 (3)EUの EMU第3段 金 融規 制 監督 体 制 階 の ス ター トに よ っ て 、ECBは の 一 方 で 、ECB自 参 加 各 国 に とっ て 唯 一 の 金 融 政 策 の 主 体 と な っ た が 、そ 体 が 参 加 各 国 に お け る金 融 規 制 監 督 に直 接 関与 は して い な い。 した が っ て 、金 融 規 制 監 督 に つ い て は 、 引 き続 き 各 国 の 金 融 規 制 監 督 当 局(各 ー252一 国 中 央 銀 行 を 含 む)の 責 任 下 に あ り 、フ ラ 明 治大 学社会 科 学研究 所 紀要 ン ス 銀 行 や ブ ン デ ス バ ン ク な ど の 各 国 中 央 銀 行 が(政 府 当 局 と 協 調 し な が ら)従 来 にお い て果 た して きた 金 融 シ ス テ ム 安 定 化 機 能 は 、 そ の ま ま維 持 され て い る の で あ る。 な お 、 個 別 金 融 機 関 の 一 時 的 な 流 動 性 不 足 の 事 態 に お い て 、 緊 急 流 動 性 援 助 を 行 うの は 、 当該 国 の 中 央 銀 行 の責 任 で あ る と され て お り、 そ の 意 味 で 「最 後 の 貸 し手 」 と して の 役 割 が 、 依 然 と し て 各 国 中 央 銀 行 に 残 さ れ て い る 点 に 注 意 し て お く 必 要 が あ ろ う。 金 融 規 制 監 督 に 関 す るECBの 役 割 は 、各 国 固 有 の 権 限 を 尊 重 しな が ら、国 際 協 調 を図 る こ とで あ る。 ち な み に 、 「マ ー ス ト リ ヒ ト条 約 」 第105条 で は 、 「ESCBは 、金 融 機 関 の 監 督 お よび 金 融 シ ステ ム の 安 定 に 関 わ る 政 策 当 局 に よ り実 施 さ れ る 政 策 の 円 滑 な 遂 行 に 貢 献 す る も の と す る 」 と 定 め られ て い る 。 具 体 的 に は 、ECB、EU加 盟 各 国 の 中 央 銀 行 、 お よ び 金 融 規 制 監 督 当 局 か ら構 成 さ れ る 銀 行 監 督 委 員 会(BankingSupervisionCommittee)に ECBは お い て銀 行 監 督 に 関 す る事 項 が 検 討 され る こ と に な っ てお り、 銀 行 監 督 委 員 会 の 事 務 局 を 務 め て い る。 銀 行 監 督 委 員 会 は 、各 国 の 金 融 規 制 監 督 当局 の 間 で の 情 報 交 換 の 場 と して の 役 割 を 期 待 され て い るの で あ る。 こ こ で 、EUの 金 融 規 制 監 督 に 関 す る こ れ ま で の 経 緯 を み て お く と 、ECの 加 各 国 間 に お い て 最 低 限 の ル ー ル の 調 和(minimumharmonization)を 承 認(mutualrecognition)す 金 融 規 制 監 督 体 制 は 、参 図 っ た 上 で 、 各 国 の 制 度 を相 互 る と い う の が 基 本 原 則 で あ っ た 。 そ う し た 基 本 原 則 に 沿 っ て 、EC加 盟 各 国 は 、 ま ず 自 己 資 本 比 率 な ど金 融 機 関 の 健 全 性 に 関 す るル ー ル や 、 預 金 者 お よび 投 資 家 保 護 に 関 す る ル ー ル な ど の 調 和 を 図 っ た 。 そ の 上 で 、 金 融 機 関 の 規 制 監 督 体 制 に っ い て は 、 単 一 免 許(single license)制 度 と 母 国(homecountry)監 ゆ る1evelplayingfieldの ECか らEUへ 実 現)を 督 主 義 を 採 用 し 、EC域 内 に お け る 競 争 条 件 の 平 等 化(い わ 図 っ た の で あ る。 と移 行 し 、 さ ら に 統 一 通 貨 ユ ー ロ の 導 入 が 進 む に つ れ て 、EU各 国 の 金 融 市 場 と金 融 機 関 は 急 速 に 変 貌 を 遂 げ っ つ あ り 、 各 国 の 金 融 規 制 監 督 体 制 も そ う し た 動 き へ の 対 応 を 迫 られ て い る 。 す な わ ち 、 各 国 の 金 融 市 場 に お い て は 、 国 境 を超 え た 市 場 間 競 争 が 激 化 して お り、 生 き残 りの た め の 規 制 緩 和 撤 廃 や イ ノベ ー シ ョ ン が 相 次 い で い る。 ま た 、 各 国 の 主 要 金 融機 関 も 、 従 来 に お い て は 各 国 内 で 享 受 し て き た 優 越 的 な 地 位 が ユ ー ロ の 導 入 に よ っ て 急 速 に 侵 食 され る こ と を 意 識 し て 、 国 境 を 超 え た 提 携 ・合 併 を 活 発 化 さ せ な が ら 、 全 欧 州 的 な 総 合 金 融 機 関 へ と 変 貌 す る こ と を 生 き 残 り 戦 略 の 鍵 と し て い る 。 こ う し た 状 況 下 、 各 国 の 金 融 規 制 監 督 当 局 も 、 自 国 の 金 融 市 場 や 外 国 為 替 市 場 が 、 ヨー ロ ッパ の 「国 際 金 融 セ ン タ ー 」 と し て 生 き 残 る た め に は ど う す れ ば よ い の か と い う戦 略 的 課 題 を 突 き 付 け られ て い る の で あ る。 イ ギ リ ス が1998年 に 一 元 的 な 金 融 規 制 監 督 機 構 と し て のFSAを 設 立 し た こ と は 、 そ の 他 のEU加 盟 各 国 に も 影 響 を 及 ぼ しっ っ あ る 。 す な わ ち 、 ル ク セ ン ブ ル ク に お け る 金 融 セ ク タ ー 監 督 委 員 会 (CommissiondeSurveillanceduSecteurFinancier)の 設 立(1998年)、 監 督 評 議 会(NationalCouncilofFinancialSupervisors)の が で き る 。 こ う し たEU各 ポ ル トガ ル に お け る 金 融 設 立(2000年)な 国 に お け る 金 融 規 制 監 督 体 制 の 再 編 成 が 、EU全 どの 例 を あ げ る こ と 体 と して の 金 融 規 制 監 督 体 制 の 整 備 へ と ど の よ う に っ な が っ て い く の か 、 現 状 に お い て は 何 ら 明 確 な 展 望 は 開 け て い な い が 、EU −253一 第42巻 第1号2003年10月 のい わ ゆる 「 深 化 と拡 大 」 の 過 程 に お い て 注 目され る べ き重 要 な 側 面 の ひ とっ と い え よ う。 [注] 1)セ カ ン ダ リ ー ・バ ン ク と は 、 公 認 銀 行 と し て 認 め られ て い な い 中 小 金 融 機 関 の こ と で あ り 、 日本 の ノ ンバ ン ク に相 当 す る。 2) .1939年 に 、 シ ャ ハ ト指 揮 下 の ラ イ ヒ ス バ ン ク 役 員 会 は 、 止 ま る こ と無 き 拡 張 的 な 財 政 政 策 に よ る イ ン フ レの 危 険 性 を 指 摘 し た あ と 、・ヒ トラ ー に よ っ て 解 散 さ せ られ た 。 こ の と き の 役 員 会 メ ン バ ー で あ っ たW,フ ォ ッ ケ とK.プ レ ヅ シ ン グ は 、 戦 後 に お い て そ れ ぞ れ レ ン ダ ー バ ン ク 総 裁(1948∼57年)、 ブ ン デ ス バ ン ク 総 裁(1958rv69年)を .3)EMU第3段 務 めた。 階 に 参 加 す る た め に 満 た す 必 要 が あ る4つ の 経 済 的 収 敏 基 準 は 、 次 ぎ の と お り で あ る 。 ① 消 費 者 物 価 上 昇 率 が 、 評 価 時 点 ま で の1年 間 の 平 均 で 、EU加 をL5%ポ 盟 国 の 中 で 最 も 低 い 国3ヶ 国 の 平 均 値 イ ン ト以 上 上 回 っ て い な い こ と ・② 長 期 金 利 が 、 評 価 時 点 ま で の1年 間 の 平 均 で 、 ① に お い て 採 用 さ れ た 国 の 平 均 値 か ら2%ポ イ ン ト以 内 に あ る こ と ・, ③ 一 般 政 府 の 財 政 赤 字 の 対 名 目GDP比 的 に 財 政 赤 字 が 縮 小 して お り 、3%近 率 が 、3%を 超 え て い な い こ と(あ 辺 に 達 し て い る か 、3%を 合 で あ る こ と)、 ま た 、 一 般 政 府 の 公 的 債 務 残 高 の 対 名 目GDP比 .るい は 、 十 分 な 速 度 で60%に るい は 、 実 質 的 か つ 継 続 超 え て い る の が 例 外 的 で 一 時 的 な場 率 が60%を 超 え て い な い こ と(あ 向 か っ て 縮 小 して い る こ と) ④ 為 替 相 場 が 、 自 国 か ら発 生 し た 理 由 に よ っ て 中 心 レ ・一 トを 切 り下 げ る こ と な く 、 少 な く と も 過 去2 年 間 、ERMで 4)1999年1月1日 40.3399ベ 定 め られ た 通 常 の 範 囲 内 に 収 ま っ て い る こ と に 固 定 され た 各 国 通 貨 と ユrロ ル ギs-一 一■フ ラ ン ・=1.95583ド ン=0.787564ア ラ ン ダ ・ギ ル ダ ー=13.7603オ 5.94573フ ィ ン ラ ン ド ・マ ル カ 総 イ ツ ・マ ル ク=166.386ス イ ル ラ ン ド ・ポ ン ド=1936.27イ 2.20371オ 5)ECBの の 交 換 レ ー トは 、 以 下 の と お り で あ る 。1ユ ー ロ= ペ イ ン ・ペ セ タ=6,55957フ タ リ ア ・リ ラ=40.3399ル ク セ ン ブ ル ク ・フ ラ ン= ース ト リ ア ・シ リ ン グ=200.482ポ ル トガ ル ・エ ス ク ー ド= 初代 役 員 会 メ ン バ ー とそ の 出身 国 お よび 任 期 は 、 以 下 の とお りで あ る。 裁=ド イ セ ン ベ ル ク(オ 副 総 裁=ノ ワ イ エ(フ 理 ッ シ ン グ(ド 事=イ ラ ン ダ 出 身 、8年) ラ ン ス 出 身 、4年) イ ツ 出 身 、8年) パ ドア ・ス キ オ ッ パ(イ ソ ラ ン ス(ス タ リ ア 出 身 、7年) ペ イ ン 出 身 、6年) ハ マ ラ イ ネ ン(フ ラ ン ス ・フ ラ ィ ン ラ ン ド出 身 、5年) 一254一 明 大el』 二 会 黍 受6究 所紀一 [参 考文 献] 黒 白 晃 生 「中 央 銀 行 と 金 融 規 制 監 督 」(黒 田晃 生編 著 「日 本 の 金 融 シ ス テ ム:展 望 」 第8章)、 日本 経 済 研 究 セ ン タ ー 、1998年7月 高 木 仁 ・黒 田 晃 生 武 田 哲 夫 ・渡 辺 良 夫 「 金 融 シ ス テ ム の 国 際 比 較 分 析 」 東 洋 経 済 新 報 社 、1999年3月 「中 央 銀 行 と 金 融 シ ス テ ム の 安 定 」 拓 殖 大 学 論 集(251)政 治 ・経 済 ・法 律 研 究 、 第5巻 第3号 2003年3月 羽 森 直 子 「欧 州 中 央 銀 行 の 金 融 政 策 」 中 央 経 済 社 、2003年4月 山 本 武 信fユ ー ロ 誕 生 へ の 道 」 共 同 出 版 社 、2000年7月 BauquedeFrance,BauquedeFrance'1/istory.Organi2ation,alldノ?oie,1995 DeutscheBundesbak,DiθDθutschθBundesbank'6θ.∼dPolitisehθAufgabet∼undiηstrumθnte, 1989(葛 見 雅 之 ・石 川 紀 共 訳 「ド イ ツ 連 邦 銀 行 」、 学 陽 書 房 、1992年) Roberts,RichardandDavidKynastoned.,T72eBankoff}ngland:Alonθy,Pヒ)vel;&1/7fluenoe,Oxford UniversityPress,1995(浜 田康 行 ・宮 島 茂 紀 ・小 平 良 一 訳 「イ ン グ ラ ン ド銀 行 の300年 」、 東 洋 経 済 新 報 社 、1996年) Sayers,R.S.,TうeBankofEngland,ノ891-1944,Cambridge、1976 (く ろ だ 一255一 あ き お) 、