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New Magnesium Alloy for Die Casting
新しいダイカスト用マグネシウム合金 小 河 原 和 夫 筑波ダイカスト工業 ㈱ AM−liteは、オーストラリアのAMT社(Advanced Magnesium Technologies) が開発した新しいダイカスト用マグネシウム合金である。当社は 2005 年 から“秘密保持に関する覚書”を締結しテストを行っている。今回 AMT 社の了解のもとで、AM−lite の概要を紹介する。 1.はじめに 30 マグネシウム合金ダイカストの歴史は古い。1930 国交省から示されていることから自動車の軽量化が 年代にはドイツやアメリカでマグネシウム合金ダ 最も効果的な対策であるとされている。しかしなが イカストで飛行機やタイプライターの部品などが ら、従来の AZ 91 および AM 60 などのダイカスト用 つくられている。わが国では 1940 年代に実用化さ マグネシウム合金は耐クリープ性に劣り、また高温 れ、太平洋戦争中に航空機の計器筺体など一部の軍 環境で使用されるパワートレイン系部品として用い 需関連部品が製造されたと聞く。1949 年にドイツの ることが困難であることから Mg-Al-Si 系の AS 41、 VolkswagenBeetle で、クランクケースなど 7 部品 AS 21 合金や Mg-Al-RE 系の AE 42 合金などが開発 で 17 kg のマグネシウム合金ダイカストが使用され されており、現在でも更なる開発が続いている。 た。この時に使用されたマグネシウム合金は AZ 81 マグネシウムは、密度は鉄、亜鉛の 1/4、アルミ であった。わが国で自動車部品にマグネシウム合金 ニウムの 2/3 で比強度は実用金属中で一番強い。大 ダイカストが最初に使用されたのは 1959 年で、マツ 気中での耐食性は鉄よりも良い。軽金属の中で高い ダ R−360 クーペのオイルパン、クラッチハウジング 振動吸収性を持つ唯一の金属であり、電磁波シール などに 3 kg が使用された。その後、自動車部品以外 ド性も良い。 では携帯用農機具、チェーンソー、映写機の部品な 切削動力比はアルミニウムの 1/2、軟鋼の 1/6 で どにマグネシウム合金ダイカストが使用されてきた。 切削性にも優れているなどの他の金属に無い種々の 1990 年代後半から、ノート型パソコン、デジタルカ 特性を持っている。しかしながら、マグネシウムは メラ、ビデオカメラ、携帯電話などの普及に伴ない 実用金属中で最も卑なる電位を示すことから実際に IT 関連の筺体類に薄肉マグネシウム合金ダイカスト 使用する際には表面処理が重要な課題になる。工業 が急速に増加してきたのはご存知のとおりである。 的には化成処理、陽極酸化処理、めっき、真空蒸着 一方、ダイカスト用マグネシウム合金では、Mg- 法などがあるが、現状では化成処理+塗装がその大 Al-Zn 系 の AZ 91 合 金 が 汎 用 合 金 と し て 広 く 使 用 半を占めている。電子機器部品には導電性を求めら さ れ て い る が、 自 動 車 部 品 に は Mg-Al-Mn 系 の れが、導電性と耐食性は相反する性質であり、この AM 60、AM 50 などの延性、耐衝撃性を向上させた ためにはローコストなめっき処理が求められてい 合金が採用されている。近年においては、環境問題 る。AZ 91 D 合金でも技術的には可能であるが、コ が大きく取上げられ、2015 年度新燃費基準の方針が スト的に実用化されていないのが現状である。 特集 ダイカストの新しい用途開拓を探る オーストラリアの AMT 社は AM−lite というダイ 覚書”を締結してテストを行っているが、この合 カスト用マグネシウム合金を市場に出し、マグネシ 金は 2006 年の第 63 回国際マグネシウム会議で発表 ウム市場の未来に道を開きつつある。この AM−lite され、すでにヨーロッパで先行して紹介され数社と はダイカストで幅広く応用できるように、鋳造性と 商談中のものである。この報告は、その時に発表さ 装飾的なめっき性を最重要特性と考えて特別に開発 れた論文と AMT 社のテクニカル・シートを翻訳し、 された合金である。 AM−lite の概要を紹介するものである。 当 社 は 2005 年 に AMT 社 と“ 秘 密 保 持 に 関 す る 2.AZ91D 合金の限界 汎用のダイカスト用マグネシウム合金 AZ 91D は、機 能部品や装飾部品として幅広く使用されているが、 過去において、ごく僅かな人達によって、AZ 91D の代替合金を開発することはやりがいのあるテーマ であると考えられていた。AZ 91D 合金にはいくつか の欠点があるが、これを改善すれば大きな潜在的な 需要を喚起することができるという考えには大きな 驚きを感じる。 例えば、電子工業の顧客は、より薄く、より軽く、 より高品質の表面仕上げの筺体を要求してきてい る。AZ 91D 合金は、そのような用途のためには“働 き者”のマグネシウム合金であったと思う。しかし、 表1 競合材料の特性別 スコアーカード ( 最高得点:5、最低得点:1 ) 特性 AZ 91D Zn Al 樹脂 鋳造性 / 成形性 3 5 2 5 素材の表面性 3 5 2 5 電気メッキ性 1 5 2 3 塗装性 3 3 5 3 溶解ロス 1 4 4 5 リサイクル性 3 5 5 1 生産性 2 4 3 5 機械的性質 4 3 5 1 金属感 4 4 5 1 密度(軽さ) 5 1 4 5 それも限界に到達したように思われ、もはや工業が 求めている将来の発展は見込めないように思われ および表面処理である。電子機器向けの精密薄肉部 る。表 1 は、競合材料となる表面処理を必要とする 品では、製造ラインの最初から最終の表面処理工程 ダイカスト部品、モールド部品の特性ごとの“スコ までに投入した数量の 10 % 以上が不良になることは アーカード”である。得点は 1 ∼ 5 の 5 段階評価で、 珍しいことではない。鋳造品がトリミングされた後 最高得点は 5 で、最低得点は 1 である。 で発見される鋳造不良品は、しばしば 30 % かそれ以 表 1 から明らかなように、優れた鋳造性と優れた 下であり、製造のいろいろな工程で多くの部品が不 表面処理が求められる多くの市場で、マグネシウム 良品として取り除かれる。最終仕上げ後の不良品に の成長は制限され、すでに限界であるように思われ は、すでに各工程のコストが支払われており、更に る。他の競合材料との比較では、AZ 91D 品の表面 表面処理された部品のリサイクルが困難であること 処理コストが高いのが大きな問題であり、これは特 から特に厄介である。受入れ可能な鋳造品でさえも、 に電気めっきの場合にあてはまる。マグネシウムの 表面の欠陥をカバーするための“パテ埋め”がしば “軽い”という本来の強みにもかかわらずダイカスト しば必要になることがある。これらを解決するため メーカーは常に AZ 91D 合金との格闘を強いられて に、AM−lite の開発では AZ 91D 合金の欠点を改良 いる。 することと、表 1 で取上げた基礎的な項目を改良す 問題解決の“鍵”は、鋳造性と鋳造時の表面欠陥 ることに特別の注意が払われてきた。 3.AM−lite の一般特性 AM−lite は、AZ 91D に比べて鋳造性が改良され の場合と同程度のコストで電気めっきができること ており、鋳放し品の鋳肌表面は AZ 91D よりもはる である(写真 1)。 かに良好である。したがって AM−lite で鋳造された AM−lite は、他のダイカスト用マグネシウム合金 ダイカスト品は後の表面処理作業にとって好都合で と比較して固相線およびそれより低い温度領域で酸 ある。特記すべき利点は、AM−lite 合金は亜鉛合金 化に対する抵抗力がある。これは鋳造表面の酸化が 31 AZ 91D 材よりもリサイクルが容易であることを表 しており、湯道などのクリーンスクラップは社内で リサイクルが可能であることを実験で示している。 これは、リサイクルを外部に依頼してかなりの費用 を支払っているコストを節約できる。 AM−lite の設計応力は、AZ 91D や亜鉛ダイカス ト用合金よりもかなり高くとれる。これは、より薄 い断面でよいことを兼ね備えており、設計者に設計 の自由度を与える。 最も重要なことは、AM−lite はコスト低減ができ 写真 1 電気めっきをした AM-lite ダイカスト品 ることである。AZ 91D との比較において表面処理を する部品では 0 ∼ 50 % のコスト低減ができると見積 より少ないことであり、他のマグネシウム合金の鋳 もられている。そしてまた、表面処理を施す亜鉛ダ 造品に比べて貯蔵期間が改善されることになる。ま イカスト品に対しては 10 ∼ 30 % のコスト低減がで た、酸化抵抗力のもう 1 つの効果は、AM−lite 材が きると見積もることができる。 4.AM−lite の鋳造性と鋳肌の表面品質 AM−lite は、すばらしく改良された流動性によっ での安定性が抜群に良く自動化が容易になることで て種々の条件下において、亜鉛ダイカスト合金と同 ある。 等の鋳造性を発揮する。AZ 91D 合金の鋳造でしばし AM−lite は、AZ 91D のように金型に付着したり、 ば経験する湯じわに沿って発生する 割れ などの 反応したりすることが無いのも特徴である。これは 欠陥は AM−lite では、かなり減らすことができる。 通常行われる“型磨き”をかなり削減することがで AM−lite の優れた流動性は、従来使用していた湯道 き、鋳造機の休止時間を減らすことができる。 の寸法や湯溜りの容積を小さくすることができる。 薄肉品の鋳造は、AM−lite の方が AZ 91D よりも 実際の鋳造作業では、AM−lite の最適鋳造条件は 容易であり、金型表面を細部まできれいに複写する AZ 91D のそれと違うことを知らなければならない。 ことができる。これは、AM−lite 合金が鋳造品表面 高品質のダイカスト品を生産するために AM−lite 上に特殊な組織を創り出すためであり、AM−lite の の鋳造条件の幅は非常に広く、したがって鋳造作業 最大の特性である。 5.AM−lite の酸化反応 先に述べたように、AM−lite は凝固過程で酸化に 対して強い抵抗力を持っている。写真 2 は、パン皿 鋳型で空冷凝固させた AM−lite と AZ 91D の酸化の 状況を示したものである。 このような環境下では AZ 91D は表面全体が最終 的には燃えてしまうが、AM−lite は光った表面で凝 固する。AM−lite の溶融状態及び凝固中の酸化反応 は、合金の多くの表面特性に影響する。例えば、鋳 造中に溶融金属の表面酸化皮膜はその湯流れ特性に 影響を与える。特にキャビティ充填中の流れが冶金 学的に言う結合或いは接着するのを妨害する。不完 全な結合は、しばしば表面の割れや湯じわを発生さ せる。AM−lite の酸化に対する強い抵抗力は、流れ が凝固中に結合するのを妨害する欠陥の深さを効果 32 写真 2 AM-lite(上)と AZ 91D(下)を 空気中で凝固させた時の酸化状態 特集 ダイカストの新しい用途開拓を探る 的に著しく低減させることができる。そして溶湯が、 なる。現場での実験では、ドロスの発生による AM− 圧力下で収縮中に発生する小さな割れ目を充填しス lite のメタルロスは従来の AZ 91D よりも同じ環境下 ムースに流動することを可能にし、AM−lite 鋳造品 で 75 % も少なかった。スラッジの形成は無視できる。 の表面が鋳造の後も酸化しにくく、平滑で光り輝い このメタルロスの低減はダイカストメーカーにとっ た表面を持続するのに貢献している。 て重要なコスト削減になる。更なる効果は、炉から AM−lite の酸化に対する強い抵抗力は他にも大事 溶湯を汲出す時に柄杓についたマグネシウムの燃え な効果がある。溶湯の取扱いでカバーガスは必要で る量やドロスを除去する時に出るヒュームの量が減 あるがドロスの発生量がはるかに減少する。これは ることによって、工場の環境がよりクリーンになる 炉内温度を AZ 91D よりも 20℃下げることが可能に ことである。 6.AM−lite の表面処理 大幅に改良された AM−lite の鋳肌表面は、表面処 リープ特性が“焼付け工程”で閉じ込められていた 理の前工程である研磨やバフ磨きの必要性を減らす ガスの膨張を抑えることから、粉体塗装や塗装品の ことができる。また、表面欠陥をパテで埋める作業 “焼付け工程”中に発生する“発泡不良”の形成に をなくすことができる。これは、表面処理前の準備 対しての抵抗力がある。 作業のコスト及び不良品を減らすことである。更に AMT 社は、AM−lite のメッキプロセスの開発の 付け加えることは、AM−lite 合金が酸化抵抗力を持っ ために、世界をリードする技術と化学品の供給者で ている理由から、AM−lite 鋳造品は長期間の貯蔵が あるマクダーミッド(Mac. Dermid)社に経営参加し 可能であり、これは、特に気温や湿度等の気候に対 た。この結果、AZ 91D に使用されているものよりも して表面処理の更なる自由度を増すことになる。 はるかに優れ亜鉛ダイカストのメッキ品と同等の高 AM−lite は、すべての表面処理に対して優れた 品質めっきができるプロセスを完成させた。 素地を備えている。更に、AM−lite 合金固有の耐ク 7.AM−lite の物理的・機械的性質 表 2 に AM−lite ダイカスト品の物理的性質を、表 3 に機械的性質の要約と AZ 91D との比較を示す。 AM−lite の 0.2 % 耐力及び最大引張り強さは AZ 91D よりも大きい。機械的性質の最も重要な違いは図 1 に示されている。AM−lite は AZ 91D よりも高い応 力で直線的な弾性を保っている。AZ 91D の直線部の 表 2 AM-lite の物理的特性 特性 AM-lite 密度(20℃) g/cm 3 2.02 585 ∼ 330 潜熱 kJ/kg 340 比熱(25℃) 0.95 kJ/kg℃ 放熱量(600∼250℃) kJ/cm3 熱膨張係数 k-1 1.0 24.9 × 10-6 表 3 AM-lite と AZ91D の室温における機械的 特性(2mm 厚さの試験片) 特性 AM-lite AZ91D 引張り強さ MPa 230 ∼ 250 180 ∼ 205 0.2% 耐力 MPa 160 ∼ 170 120 ∼ 150 ヤング率 GPa 45 44 弾性限界 伸 び MPa % ∼ 100 ∼ 40 3∼4 3∼4 300 250 応力 (MPa) 応 力 (MPa) 凝固範囲 ℃ 限界は∼ 40 MPa であるのに対して AM−lite の限界 200 AM‑lit e AM-lite 150 AZ91D 100 50 0 0 1 2 3 4 5 ひずみ(%) ひずみ (%) 図 1 AM-lite と AZ91D の引張り曲線の比較 (2mm 試験片) 33 160 対して、AM−lite の設計応力は AZ 91D のそれより 140 もかなり高くとれることを意味している。 また、AM−lite は AZ 91D や亜鉛合金よりもクリー プ 強 さ が 高 い。 図 2 に 示 す よ う に 100 ℃ 付 近 で の AM−lite のダイカスト品のクリープ強さは A Z91D 応 力(MPa) は∼ 100 MPa である。これは、剛性が重要な部品に 120 100 80 60 40 ダイカスト品よりもおよそ 50 % も大きく、一般的な 20 亜鉛ダイカスト品(ZAMAK No. 5 = JIS では ZD C1) 0 より 500 % も大きい。 亜鉛合金 A Z 91 AM‑lit e AM-lite 図 2 3 つの合金のクリープ強度の比較 (100℃、100 H後、0.5% 歪の応力値) 8.AM−lite と AZ 91D のコスト比較 すでに述べたように、AM−lite 合金は一般的に使 を持っており、マグネシウム合金の“軽い”という 面は非常にきれいで装飾的な表面処理プロセスに最 鋳造 特性を維持しながら、優れた鋳造性を有し、鋳肌表 工程 用されている現在の AZ 91D 合金よりも優れた利点 表 4 ケーススタディ(対 AZ91D) :AM-lite による PDA ケースの工程別低減比率 も適している。特筆すべきことは“めっき”ができ ることであり、その場合のコストおよび品質は一般 義のあることは、“AM−lite は AZ 91D よりもコスト 塗装 的な亜鉛ダイカストのめっきと同様である。最も意 メリットがある”ことである。表 4 に PDA ケース(寸 AM-lite での低減 比率(対 AZ 91D) 製品肉厚 20%の低減 不良品 3%の改善 コスト合計 30%のコスト低減 不活性処理 変わらず パテ埋め 廃止した バフ研磨 73%の削減 塗 装 法:75×120 mm)を例にとってケーススタディの結 コスト合計 めっき 果を示してみる。 作業名 変わらず 50%のコスト低減 バフ研磨 75%の削減 めっき 50%の削減 コスト合計 51%コスト低減 9.AM−lite と 亜鉛合金のコスト比較 AM−lite は、亜鉛合金と同じくらいの“鋳造のし 質の優位性を別にしても、優れた“コスト低減がで 例にとってケーススタディの結果を示してみる。 AM−lite は、亜鉛ダイカスト合金と同じように、 バラエティに富んだ装飾的なめっきを施すことがで ダイカスト きる合金”である。表 5 に自動車用ドアハンドルを 工程 易さ”と“めっきの容易さ”を持っており、機械的性 表 5 ケーススタディ(対 Zn 合金):AM-lite による 自動車用ドアハンドルの工程別低減比率 きる。AM−lite のめっき工程は、従来の亜鉛めっき とは亜鉛めっきの場合と同じである。このように、 塗装 の工程に簡単で安価な 1 工程を追加すればよく、あ AM−lite は、めっきが困難で高価につく他のマグネ 製品重量 67%の重量低減 39%の低減 サイクル 37%の短縮 鋳造コスト 32%の低減 コスト合計 34%のコスト低減 バフ研磨 塗 装 変わらず ブリスター減少 26%のコスト低減 バフ研磨 変わらず めっき 変わらず コスト合計 34 AM-lite での低減 比率(対 Zn 合金) 材料費 コスト合計 めっき シウム合金とは全く違った合金である。 作業名 11%のコスト低減 特集 ダイカストの新しい用途開拓を探る 10.まとめ 以上はオーストラリアで開発された新しいダイカ あ り、 ダ イ カ ス ト メ ー カ ー に と っ て“ 夢 の 合 金 ” スト用マグネシウム合金 AM−lite の概要紹介である。 となり得るであろう。今後は実用化に向けて研究を 現在の AZ 91D は亜鉛やプラスチックに対抗する 進めて行く予定である。 主要なダイカスト用マグネシウム合金であるが、市 場はアルミニウムダイカスト品、亜鉛ダイカスト品 参考文献 やプラスチック成形品より小さい範囲でしかない。 1 )G. L. Dunlop, T. Abbott, M. T. Murray: Advanced 全体の市場は非常に大きいが AZ 91D はそのほん の一部を獲得しているにすぎない。 もしも、これらの競合する材料に比べて、より魅 力的な特性を持ったマグネシウム合金が開発されれ ばおそらくマグネシウムダイカストの需要が増大す るチャンスが来るであろう。 AM−lite は、高品質の表面が得られ、競争力のあ るコストで電気めっきが可能なオーストラリアで開 発されたユニークな新しいマグネシウムダイカスト 用合金である。この新しい合金は、一般の消費財や 自動車用装飾部品への応用の道を開くことができる。 近年、自動車のデザインの傾向は、特に内装部品 Magnesium Technologies Pty Ltd C. J. Bettles, M. A. Gibson: CAST Coopertive Research Centre New magnesium diecasting alloy for decorative and powertrain applications, 63rd Annual World Magnesium Conference, May 21-24, 2006, Beijing, China 2 )Advanced Magnesium Technologies Pty Ltd, Technical Information Seet: Version:AM-lite TIS VO-0505 (Doc Approval No, DA0180) Version:AM-lite TIS VO-0506 (Doc Approval No, DA0188) に は“ メ タ リ ッ ク 調 ”の 装 飾 表 面 が 求 め ら れ る Version:AM-lite TIS Zn VO-0605 ようになりつつある。しかしこれらの多くはプラス (Doc Approval No, DA0187) チックであることも事実であり、自動車メーカーは、 コストを含めて常に新しい代替品を探し求めている に違いない。 一方、AM−lite は、ダイカスト鋳造において、他 の合金よりも極めて広い“鋳造条件範囲”を持っ ており、量産でのサイクルタイムの短縮や不良低減 筑波ダイカスト工業株式会社 宮城工場 〒 989 - 5171 宮城県栗原市金成沢辺前門沢 127 - 2 TEL. 0228 - 42 - 3911 FAX. 0228 - 42 - 3914 http://www.tsukuba-dc.co.jp/ ができるので、潜在的に大きなコスト低減が可能で 35