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体 験 活 動 事 例 集 (第1分冊)

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体 験 活 動 事 例 集 (第1分冊)
キ
キャ
ャリ
リア
ア教
教育
育
体
体験
験活
活動
動事
事例
例集
集
(第1分冊)
-家庭や地域との連携・協力ー
〔解説部分抜粋〕
平成20年3月
国立教育政策研究所生徒指導研究センター
159
160
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(3)学校教育と地域の教育力
(4)本事例集の活用にあたって
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(1)体験活動の意義
所長決定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
作成協力委員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
○
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
(3)地域の取組事例
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
(2)市区町村の取組
(1)学校や家庭や地域との連携・協力
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
(3)本事例の特色やその活用
地域における取組
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
高等学校における体験活動
(2)具体例
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
(3)本事例の特色やその活用
(2)具体例
(1)体験活動の意義
中学校における体験活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(3)本事例の特色やその活用
(2)具体例
(1)体験活動の意義
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
小学校における体験活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2)キャリア教育と体験活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)キャリア教育の推進
キャリア教育と体験活動
次
○
5
4
3
2
1
目
-1-
成 16 年 12 月)が策定されるなど、16 年度から 18 年度までの3年間にわたり政策・予算
位置付けられた。本プランに基づいて「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」
(平
自立・挑戦プラン」が取りまとめられ、この中で、キャリア教育の推進が重要な柱として
は政府の「若者自立・挑戦戦略会議」において、若者をめぐる様々な課題を背景に「若者
これら文部科 学省・国立 教育政策研 究所等にお ける協議が進む一 方、平成 15 年 6月に
教育」としている。
けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる
成 11 年 12 月)では、「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身につ
また、中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」(平
さわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育』ととら
え、端的には『児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育』」とされている。
「『キャリア』概念に基づき『児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふ
の過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」、キャリア教育とは、
では、キャリアとは「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖及びそ
「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」(平成 16 年 1 月)
「キャリア教育」
が求められたのである。
は視野に入れられることの少なかった視点に立って学校教育の在り方を改善していくこと
己の現在及び将来の選択や生き方にどのように生かしていくかという、これまでの教育で
こと」であった。つまり、キャリア教育には、子どもたちが身に付けた能力や態度を、自
軟にかつたくましく対応し、社会人・職業人として自立していくことができるようにする
た。この中で、学校教育に強く求められているのは「子どもたちが『生きる力』を身に付
け、社会の激しい変化に流されることなく、それぞれが直面するであろう様々な課題に柔
持つ、初等中等教育におけるキャリア教育の基本的な方向等について報告書を取りまとめ
年1月)が、生涯にわたるキャリアを形成していく基盤を培う場として特に重要な意味を
を経て、「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議」(文部科学省 平成 16
「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」(平成 14 年 11 月)の調査研究
て実施する必要がある」と提言した。その後、国立教育政策研究所生徒指導研究センター
あった。そして、その具体的方策として「キャリア教育を小学校段階から発達段階に応じ
と いう こ とだ けで はな く、「 学校 教育 と職 業生 活と の 接続 」の 改善 も視 野に 入れ たも ので
年 12 月 )である。 この答申の 基本テーマ は、学校種 間における接続を いかに改善するか
たのは中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」(平成 11
文部 科学 省関 連の 審 議会 報告 等に おい て、「 キャ リア 教育 」と いう文 言が 初め て登 場し
(1)キャリア教育の推進
1.キャリア教育と体験活動
161
職業についての基礎的な知識と技能、
-2-
る総合的調査研究協力者会議報告書」(平成 16 年1月)で、次のように述べている。
-3-
キャリア教育にかかわる体験活動においては、学校内外の教育資源を有効に活用し、子
どもたちに学ぶことの意義を理解させ、望ましい勤労観・職業観をはぐくみ、さらには、
将来に向けての主体的な進路設計を促し、その選択や決定を指導し、支援していくことが
等学校の各発達段階に応じて体系化することが極めて重要であるとされたのである。
所生徒指導研究センター調べ)。
さて 、 キャ リア 教育 にお ける 体 験活 動の 意義 につ い ては 、「 キャ リア 教育 の推 進に 関す
このように、キャリア教育は、小・中・高等学校を通じて、組織的・系統的に計画して
いくことが必要とされており、キャリア教育にかかわる体験活動についても、小・中・高
お いても実施率 は 62.9%で 、普通科の実施率も 近年増加してきている(国立 教育政策研究
社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項「キャリア教育」から
今後更に、子どもたちの発達の段階に応じて、学校の教育活動全体を通した組織
的・系統的なキャリア教育の充実に取り組む必要がある。
すなわち、8.で示すとおり、生活や社会、職業や仕事との関連を重視して、特
別活動や総合的な学習の時間をはじめとした各教科等の特質に応じた学習が行われ
る必要があり、特に、学ぶことや働くこと、生きることを実感させ将来について考
えさせる体験活動は重要である。具体的には、例えば、
・ 特別活動における望ましい勤労観・職業観の育成の重視、
・ 総合的な学習の時間、社会科、特別活動における、小学校での職場見学、
中学校での職場体験活動、高等学校での就業体験活動等を通じた体系的な指
導の推進、などを図る必要がある。
おり指摘されているところである。
方向が示された。この中においても、キャリア教育の重要性、体験活動の大切さが次のと
また、平成 20 年1月、中央教育審議会から、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び
特 別支 援 学校 の学 習指 導要 領等 の 改善 につ いて (答 申)」 が出 され 、学 習指 導要 領改 訂の
キャリア教育にかかわる体験活動等の意義
体験活動等には、職業や仕事の世界についての具体的・現実的理解の促進、勤労観、
職業観の形成、自己の可能性や適性の理解、自己有用感等の獲得、学ぶことの意義の理
解と学習意欲の向上等、様々な教育効果が期待され、事実、実施したほとんどの学校か
ら、こうした面での大きな成果が報告されている。
職業と生活の分離が進み、子どもたちが生き生きと働いている大人の姿を見ることが
少なくなった今日、子どもたちは、仕事は我慢してやらなければならないもの、苦労す
るものといった意識だけを持ちがちであるが、職場体験やインターンシップ等を通して、
やりがいを持って仕事をしている人たちから直接話を聞いたり、世の中にはこんな仕事
がある、仕事にはこんなやりがいや面白いことがあると教えられたりすることは、子ど
もたちに新鮮な驚きと発見をもたらし、職業ひいては大人社会への認識を改めるきっか
けになっている場合も少なくない。体験を通して得られるこのような自己への期待感や
大人との信頼関係は、子どもたちが抱えている不安を解消し、次の段階に踏み出してい
くエネルギーの源となるものでもある。
体験活動等には、このほか、学校と社会をつなぐという重要な役割がある。一面的な
情報に流され、社会の現実を見失いがちな現代の子どもたちに、現実に立脚した確かな
認識をはぐくむ上でも、体験活動等の充実は欠かすことのできないものである。
94.1%で 、そ のう ち実 施 日数 が5 日間 以上 は 約 17%と なっ て いる 。ま た、公 立高 等学 校に
さ れてきたとこ ろである。 なお、平成 18 年 度におけ る公立中学校の職 場体験の実施率は
教育の推進が図られる中で、特別活動の学校行事や総合的な学習の時間等において、実施
ャリア教育にかかわる体験活動についても、国、各教育委員会、各学校におけるキャリア
の充実が求められた。このような中で、職場体験、就業体験(インターンシップ)等のキ
「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策について」(平成 14 年 7月)等において、一層
こ ととされた。 また、その 後の学校教 育法改正( 平成 13 年7月)や中 央教育審議会答申
体験活動につ いては、平 成 10 年に改訂 された現行 学習指導要領にお いても充実を図る
(2)キャリア教育と体験活動
いる。ここに、キャリア教育の果たすべき役割を見ることができる。
教 育を 為 すた めに 、義 務教 育の 上 に、「高 度な 普通 教 育及 び専 門教 育」 が位 置付 けら れて
教育において配慮すべき条件が明記された。高等学校の多様な生徒の様々な状況に応じた
すことを目的とする」とされ、特に改正点として「進路に応じて」という文言が加えられ
ける教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施
ている 。また、高等学校においては 、改正学校教育法第 50 条で「高等学校は中学校にお
勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと」とも示され
る態度を養うこと」とある。また、同目標には「十
に、
「一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、
公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与す
年6月)され、新たに義務教育の目標が明記された。その義務教育の目標(第 21 条)の一つ
めの一翼を担うことが期待されている。改正教育基本法に伴って、学校教育法が改正(平成 19
求 めら れた基 本的な 理念に かかわ るもの であり 、キャリ ア教育 にはこ の目標 を達成するた
活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと」とある。これは、 今日キャリ ア教育に
尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生
目標が一層明確にされた。この改正教育基本法第2条「教育の目標」の一つに、「個人の価値を
平成 18 年 12 月、制定以来約 60 年を経て教育基本法が改正され、ここに我が国の教育の目的、
体験活動を推進することが、一貫して強く提言されたのである。
法として、職場体験や就業体験(インターンシップ)等のキャリア教育にかかわる様々な
そして、これらの報告書等の中で、キャリア教育の推進を図るための重要な手立て・方
月)、が出され、この中でキャリア教育の推進が提言されたのである。
な施策 を講じている。さらに、内閣 府からは、「キャリア教育等推進プラン」(平成 19 年
5月)が、また、教育再生会議「社会総がかりで教育再生を・第二次報告」(平成 19 年6
に反映された。また、平成 19 年度以降は、「再チャレンジ支援」として関係各府省が様々
162
-4-
キャ リア教育を 進めるための手立て・方法 としての体験活動の体系化には 、各学校・学
年段階の「タテの接続」の充実だけではなく、学校外の教育資源を有効に活用していくと
いう観点から、子どもたちを取り巻く学校・地域の現状や課題について学校と学校外の関
係者との共通理解を図りながら実践を進めていくという、いわば「ヨコの連携・協力」が
求められる。それは、職場体験等の直接的な受け入れなどだけではなく、例えば、産業構
造や雇用形態、進路をめぐる環境の変化などについて、キャリア形成にかかわる専門的な
知識や情報を持っている保護者、社会人、職業人などを、体験活動の事前指導、事後指導
等の外部講師として招き直接学んだりする機会を持つことなども大切である。
改 正 教 育基 本 法 第13条「 学 校、 家 庭及 び 地域 住 民等 の 相互 の 連携 協 力」 に は、「 学校 、
家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとと
もに、相互の連携及び協力に努めるものとする」とある。すなわち、教育については、学
校のみならず家庭、地域に対してもその役割と責任を自覚することが重要であり、その上
で、これら三者の連携・協力が求められたのである。
キャ リア教育が 求められた背景の一つとし て、子どもたちや若者の社会的 な経験の不足
とその結果としての進路意識形成の不十分さが指摘されている。この子どもたちの社会的
経験の不足は、それぞれの地域社会における大人も含めた社会的なネットワークの希薄化
とも連動したものとも考えられる。地域社会でのキャリア教育にかかわる体験活動は、子
どもたちが地域において様々な仕事、人々に触れることで、自らの生活する地域社会への
愛着を育て、職業生活場面にとどまらない、将来の地域社会を形成していくための力をも
はぐくむことにもつながる。このようなことから、子どもたちが地域社会の理解を深め、
参画していく活動を行う過程において、学校・家庭・地域のそれぞれの役割・責任を果た
していくことは、将来の地域社会を創造していく意味においても重要である。
さら に、学校の 役割は、キャリア教育にか かわる体験活動の実施を通して 、単に子ども
たちだけにとどまらず、地域の関係者や関係機関とのネットワークに対してより密接にか
か わる こ とで 、「 地域 の教 育力 」 をよ り高 める こと に もつ なが る。 また 、地 域が 学校 の活
動への支援を通して、その地域の子どもたちの様子を把握し、教育への参画の仕方、可能
性についても考えていくための重要な手がかりともなる。学校が「地域の教育力」を活用
し、かつそれを形成していくとともに、地域が学校を通して教育に参画する新たな方途を
探索していくために、学校が家庭や地域との連携・協力、すなわち「ヨコの連携・協力」
が重要となる。
本事 例集では、 子どもたちの組織的・系統 的なキャリア教育の学習を進め るための「タ
テの接続」についての参考事例であるとともに、もう一つの視点として学校が家庭や地域
との「ヨコの連携・協力」をいかに効果的に行うかという視点で先進的な事例であり、ま
た多くの学校において参考となる事例として紹介することとした。
(3)学校教育と地域の教育力
大切である。また、これら体験活動の体系化においては、小・中・高等学校の校種間の接
続だけでなく、学校内の学年間の接続を見通した計画が必要である。そのためには、児童
・生徒の成長・発達の現実を的確に把握することが大切であり、その上で体系的にキャリ
ア教育を編成していくことが重要である。学校内での学年間の連携・協力、学校間の連携
・協力を含めた、いわば「タテの接続」を充実させていくことが、体験活動の実践を進め
ていくための重要なポイントとなる。なお、小・中・高等学校の各学校段階の役割や、キ
ャリア教育と体験活動の概要について、次頁に表としてまとめているので参考とされたい。
キ
ャ
リ
ア
教
育
関
連
特別活動
総合的な学習の時間
各教科・科目
特別活動
総合的な学習の時間
各教科
- 1 -
・家族や身近な人の職業聞 ・インターンシップ
き取り調査
(事業所、大学、行政、研
・連続した 5 日間以上の職 究所等における就業体験)
場体験
・学校での学びと職場実習を
・子ども参観日(家族や身 組み合わせて行うデュアル
近な人の職場へ)
システム
・職場の人と行動を共にす ・上級学校の体験授業
るジョブ・シャドウイン ・企業訪問・見学
グ
・上級学校の体験入学
参考:*「高等学校インターンシップ事例集」(文部科学省 平成 13 年3月)
*「体験活動事例集」
(文部科学省 平成 14 年 10 月)
*「中学校職場体験ガイド」(文部科学省 平成 17 年 11 月)
現実的探索・試行と社会的
移行準備の時期
・自己理解の深化と自己受容
・選択基準としての勤労観・
職業観の確立
・将来設計の立案と社会的移
行の準備
・進路の現実吟味と試行的参
加
・自分の力を伸ばす挑戦をす
る。
・実際の現場を知り社会の問
題について考える。
・人に尽くしたり、社会に役
立つことに取り組む。
・自分がかけがえのない存在
であることを実感する。
・自分の内面の世界を表現
する。
・級友と共に活動し心を揺
さぶられる体験をする。
・大人の世界に加わり一定
の役割を果たす。
・自分たちの取組を社会に
発信していく。
段 進路の探索・選択にかかる基盤形成の 現実的探索と暫定的選択の
階 時期
時期
・自己及び他者への積極的関心の
・肯定的自己理解と自己有
課
形成・発展
用感の獲得
題 ・身のまわりの仕事や環境への
・興味・関心等に基づく勤
関心・意欲の向上
労観・職業観の形成
・夢や希望、憧れる自己イメージの
・進路計画の立案と暫定的
獲得
選択
・勤労を重んじ目標に向かって努力
・生き方や進路に関する現
する態度の形成
実的探索
・自分とのかかわり
を明確にし、主体
的に取り組めるよ
うにする。
・社会に目を向け、
多くの人々とかか
われるようにす
る。
・体験活動と教科等
での学習をつなげ
ていく。
・体験活動を振り返
り意味を考える。
特別活動
総合的な学習の時間
各教科
社会に広がっていく 内面との結びつきが意味を 大人の社会を展望する時期
時期
持つ時期
・地域の探検
・家族や身近な人の仕事調べ・見学
活動例 ・インタビュー
・商店街での職場見学
・中学校の体験入学
キ
ャ
リ
ア
発
達
体験活動から「気
づき」の生まれる
時期
・こどもの中で活
動がつながるよ
うにする。
・場になじみ安心
して活動できる
ようにする。
・自分たちの生活
や活動とつなが
るようにする。
・物事の本質に根
ざした気づきが
生まれるように
する。
教育課程上 生活科
の位置付け 特別活動
各教科
成長の過程
と体験活動
の工夫の観
点
学校段階の
役割(教育
課程審議会
答申平成10
年7月)
小学校
中学校
高等学校
低学年
中学年
高学年
個人として、また国家・社会の一員 義務教育の最終段階とし 高等学校においては、義務
として社会生活を営む上で必要とされ て、また、中等教育の前期 教育の基礎の上に立って、自
る知識・技能・態度の基礎を身に付け、として、個人として、また、 らの在り方生き方を考えさ
「豊かな人間性」を育成するとともに、 国家・社会の一員として社 せ、将来の進路を選択する能
自然や社会、人、文化など様々な対象 会生活を営む上で必要とさ 力や態度を育成するととも
とのかかわりを通じて自分のよさ・個 れる知識・技能・態度を確 に、社会についての認識を深
性を発見する素地を養い、自立心を培 実に身に付け、「豊かな人 め、興味・関心等に応じ将来
うことが求められていること。
間性」を育成するとともに、の学問や職業の専門分野の基
自分の個性の発見・伸長を 礎・基本の学習によって、個
図り、自立心を更に育成し 性の一層の伸長と自立を図る
ていくことが求められてい ことが求められていること。
ること。
小学校・中学校・高等学校の各学校段階における体験活動とキャリア教育
163
-1-
子どもたちは、他者、社会、自然・環境の中での体験活動を通して、自分と向き合い、他
者に共感することや社会の一員であることを実感することにより、思いやりの心や規範意識
がはぐくまれる。また、自然の偉大さや美しさに出会ったり、文化・芸術に触れたり、広く
物事への関心を高め、問題を発見したり、困難に挑戦し、他者との信頼関係を築いて共に物
事を進めたりする喜びや充実感を体得することは、社会性や豊かな人間性、基礎的な体力や
心身の健康、論理的思考力の基礎を形成するものである。
○ このように、親や教師以外の地域の大人や異年齢の子どもたちとの交流、集団宿泊活動や
職場体験活動、奉仕体験活動、自然体験活動、文化芸術体験活動といった体験活動は、他者、
社会、自然・環境との直接的なかかわりという点で極めて重要である。これらの体験活動の
充実に当たっては家庭や地域の果たす役割が大きいことを前提としつつも、核家族化や都市
化の進行といった社会の変化やそれを背景とした家庭や地域の教育力の低下等を踏まえ、学
校教育における体験活動の機会を確保し、充実することが求められている。
○ このため、現在、特別活動や総合的な学習の時間などにおいて行われている様々な体験活
動の一層の充実を図ることが必要である。その際、体験活動をその場限りの活動で終わらせ
ることなく、事前に体験活動を行うねらいや意義を子どもに十分に理解させ、活動について
あらかじめ調べたり、準備したりすることなどにより、意欲をもって活動できるようにする
とともに、事後に感じたり気付いたりしたことを自己と対話しながら振り返り、文章でまと
めたり、伝え合ったりすることなどにより他者と体験を共有し、広い認識につなげる必要が
ある。これらの活動は、国語をはじめとする言語の能力をはぐくむことにもつながるもので
ある。
○ また、体験活動についても、子どもたちの発達の段階に応じた充実が必要である。6.
(4)
で示したとおり、子どもたちの発達の段階として、個人差はあるものの一般的に見られる主
な特徴については、例えば、
・ 小学校においては、学年が上がるにつれて、自分のことも距離をもってとらえられる
ようになることから、自分と対象とのかかわりが新たな意味をもつ、
・ 中学校になると、未熟ながらも大人に近い心身の力をもつようになり、大人の社会と
かかわる中で、大人もそれぞれ自分の世界をもちつつ、社会で責任を果たしていること
への気付きへと広がっていく、
・ 高校生になると、思春期の混乱から脱しつつ、大人の社会を展望するようになり、自
分は大人の社会でどのように生きるかという課題に出会う、といったことが挙げられる。
○ このような発達の段階のほか、親や教師以外の地域の大人などとの交流の場や自然体験の
減少といった子どもたちを取り巻く状況の変化を踏まえれば、学校教育においては、
・ 自己が明確になり、自覚されるようになる小学校の時期においては、自然の偉大さや
美しさに出会ったり、身近な学校の仲間とのかかわりを深めたりする自然の中での集団
宿泊活動、
・ 大人が社会で責任を果たしていることに気付き、進路を自分の問題として考え始める
中学校の時期においては、職場での体験を通して社会の在り方を垣間見ることにより勤
労観・職業観をはぐくむ職場体験活動、
・ 自分と他者や社会との関係について考えを深める高等学校の時期においては、人に尽
くしたり社会に役立つことのやりがいを感じることで、自分の将来展望や社会における
自分の役割について考えを深めることが期待できる奉仕体験活動や就業体験活動をそれ
ぞれ重点的に推進することが適当である。特に、職場体験活動や就業体験活動は、キャ
リア教育の視点からも重要な役割を果たすものである。
○
7.教育内容に関する主な改善事項
(5) 体験活動の充実
中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等
の改善について」(平成20年1月17日)から抜粋
【参考】
-2-
2.で示したとおり、「生きる力」という考え方は、社会において子どもたちに必要となる
力をまず明確にし、そこから教育の在り方を改善するという視点を重視している。近年の産
業・経済の構造的な変化や雇用の多様化・流動化等を背景として、就職・進学を問わず子ど
もたちの進路をめぐる環境は大きく変化している。このような変化の中で、将来子どもたち
が直面するであろう様々な課題に柔軟かつたくましく対応し、社会人・職業人として自立し
ていくためには、子どもたち一人一人の勤労観・職業観を育てるキャリア教育を充実する必
要がある。
○ 他方、4.(1)で示したとおり、特に、非正規雇用者が増加するといった雇用環境の変化
や「大学全入時代」が到来する中、子どもたちが将来に不安を感じたり、学校での学習に自
分の将来との関係で意義が見出せずに、学習意欲が低下し、学習習慣が確立しないといった
状況が見られる。さらに、勤労観・職業観の希薄化、フリーター志向の広まり、いわゆるニ
ートと呼ばれる若者の存在が社会問題化している。
○ これらを踏まえ、現在においても、
・ 中・高等学校における進路指導の改善、
・ 職場体験活動、就業体験活動等の職業や進路に関する体験活動の推進、
などの取組を行っているところであるが、今後更に、子どもたちの発達の段階に応じて、学
校の教育活動全体を通した組織的・系統的なキャリア教育の充実に取り組む必要がある。
すなわち、8.で示すとおり、生活や社会、職業や仕事との関連を重視して、特別活動や
総合的な学習の時間をはじめとした各教科等の特質に応じた学習が行われる必要がある。特
に、学ぶことや働くこと、生きることを実感させ将来について考えさせる体験活動は重要で
あり、それが子どもたちが自らの将来について夢やあこがれをもつことにつながる。具体的
には、例えば、
・ 特別活動における望ましい勤労観・職業観の育成の重視、
・ 総合的な学習の時間、社会科、特別活動における、小学校での職場見学、中学校での
職場体験活動、高等学校での就業体験活動等を通じた体系的な指導の推進、
などを図る必要がある。
○
(7) 社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項
(キャリア教育)
このため、現在においても、学習指導要領上、小・中・高等学校の特別活動において「旅
行(遠足)・集団宿泊的行事」や「勤労生産・奉仕的行事」を行うこととなっているが、今回
の学習指導要領の改訂において、体験活動の重要性を一層明確にし、その内容に即して小・
中・高等学校でそれぞれ重点的に行う体験活動について記述することが必要である。また、
必要に応じ、各学校において体験活動を総合的な学習の時間に位置付けて充実を図ることが
できることを学習指導要領上明確にすることが求められる。
特に、これらの体験活動は、学期中や長期休業期間中に一定期間(例えば、1週間(5日
間)程度)にわたって行うことにより、一層意義が深まるとともに、高い教育効果が期待さ
れるものであり、学校や保護者等の負担を招かないよう、受け入れ先の確保、宿泊等に要す
る費用などについて、国や教育委員会等の支援・援助の充実を図る必要がある。また、教育
委員会や学校において自然の家などの社会教育施設や関係団体、企業、自治会等との連携を
日頃から図ることが必要である。
○ なお、これらの体験活動を総合的な学習の時間において行うに当たっては、体験活動を通
して、どのような問題解決や探究的な活動を行うのか、目的やねらいを明確にし、総合的な
学習の時間の趣旨等に沿ったものとする必要がある。その際、その効果として、学習指導要
領上、特別活動(学校行事)として掲げられている旅行(遠足)・集団宿泊的行事や勤労生産
・奉仕的行事などと同様の成果が期待できることが考えられる。その場合には、総合的な学
習の時間における体験活動をもって相当する特別活動に替えることができるといった弾力的
な取扱いが必要である。
○
164
4
1
2
1
本事 例集の全体構 成
2
中学 校
3
高 等学校
等
学校と 地域の連携 ・協力の在 り方、行政 の役割
地域に おける取組
等
各校種 ごとに、体 験活動の意 義、具体例 、本事例の 特色やその 活用
小学校
各学校段 階における 体験活動
事例集 全体の構成 、各事例の 構成、留意 点
事例集 の活用に当 たって
等
キャリ ア教育の推 進、キャリ ア教育と体 験活動、学 校教育と地 域の教育力
キャリ ア教育と体 験活動
キャリア 教育と体験 活動
(4) 事 前指導 の充実
(1) ねらいの 設定
-1-
(5) 実施期間 中の指導体 制
(2) 全体計画・ 実施計画の 立案
体 験活動実施 のポイント
(6) 事 後指導の充 実
(7) 評 価
(3) 体験先、保 護者との連 携
機関 、及び保護 者等との連 携・協力や 条件の整備 は必要不可 欠な条件と なる。
ま た 、 そ の 実 践 にお い て は 、 地 域 に お け る体 験 先 ( 事 業 所 等 )、 職場 体 験 支 援 組 織 、行 政
を含 めた事前・ 事後指導の 充実、体験 活動の質的 向上を図る 実施計画の 立案が重要 となる。
は 、キャリ ア教育 の全体 計画の もと、 体験活 動のねら いや目 的を明 確にし 、生き 方の指導
児童生徒一人一人の勤労観・職業観の育成を深める学習活動として機能を果たすために
指 摘もある 。キャ リア教 育にか かわる 体験活 動がその 多様な 教育的 機能を 十分に 果たし、
の 実践が体 験のみ に終わ ってし まい、 本来の 教育的機 能が十 分に発 揮でき ていな いという
創 意工夫に より特 色ある 体験活 動が実 践され 、大きな 成果を 上げて いる。 一方、 体験活動
現在、各 学校で は児童 生徒の 発達段 階、地 域性、各 学校の 実態等 に応じ て、そ れぞれの
Ⅱ
Ⅰ
的に 展開され、 キャリア教 育の推進が 図られるこ とを期待す るものであ る。
本事例集 を参考 として 、各教 育委員 会、各 学校にお いて創 意工夫 を生か した取 組が積極
当該 学校、教育 委員会に執 筆を依頼し たものであ る。
所生 徒指導研究 センターに より収集し た事例等の 中から、調 査研究の趣 旨を踏まえ 選定し、
府 県・指定 都市教 育委員 会から の推薦 事例、 文部科学 省研究 指定地 域、国 立教育 政策研究
ん できた、 学校及 び地域 の実践 例を掲 載した ものであ る。ま た、掲 載に当 たって は、都道
め るための 参考と なるよ う、こ れまで キャリ ア教育に かかわ る体験 活動に 先進的 に取り組
本事例集 は、全 国の小 学校、 中学校 、高等 学校及び 各地域 におい て、キ ャリア 教育を進
(4 )本事例集 の活用にあ たって
収 録 し た 事 例 は 、 小 学 校 5 例 、 中 学 校 5 例 、 高 等 学 校 7 例 、 地 域 事 例 3 例 の 合 計 20
-2-
国立教育政策研究所ホームページ(http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/i-s/siryosyu-zoho.pdf)
*「『キャリア教育』資料集-文部科学省・国立教育政策研究所-」(平成 19 年3月)
ャリ ア教育」資 料集として 取りまとめ ているので 、本事例集 と併せて活 用願いたい 。
政策 研究所等に おいて出さ れた関連す る主な研究 報告書・手 引き・資料 等を整理し、 「キ
教 育への理 解が不 可欠で ある。 国立教 育政策 研究所で は、こ れまで 文部科 学省、 国立教育
事 例の概要と 特色
1 現況等
(1) 市の状 況(産業、環 境等)
(2) 教育委 員会として の指導目標
(3) 学校等 の状況
2 キャリア 教育(進路指 導)の全体 計画(市と して計画あ るいは指導 しているこ と等)
3 体験 活動の 全体計 画(指 導目標及 び自然 体験な どすべ ての体 験活動に ついて 、市
として取り 組んでいる 、あるいは 指導してい ること等、 地域との連 携システム 等)
4 キャ リア教 育にか かわる 体験活動 (市と して取 り組ん でいる キャリア 教育に かか
わる各体験 活動の特色 などの詳細 )
5 その他
これら実 践を進 めてい くため には、 教職員 をはじめ 家庭、 地域、 行政機 関等の キャリア
地域の取組事例の内容構成
教科等と の関連等)等
3 体験活動 の全体計画 (学校とし て取り組ん でいる様々 な体験活動 の概要)
4 キャリア 教育にかか わる体験活 動
( 1)体験活 動の趣旨・ 校内外の組 織
( 2)計画・ 内容(事前指 導・事後指 導等含む)
( 3)地域・ 家庭との関 連
( 4)他校種 や行政機関 との関連
( 5)効果・ 評価
( 6)今後の 展望と課題 (課題に対す る対策など )
等
5 その他
事例の概 要と特色
1 学校概要
(1)学校の状 況(住所等 、規模、環 境、学校の 指導目標、 特色 等)
(2)地域の状 況(産業、 環境 等)
2 キャリア 教育(進路指 導)の全体 計画
( 1)目標・ ねらい
( 2)教育課 程上の位置 付け
( 3 ) 3 カ 年 (6 カ 年 )を 通 し た 全 体 計 画 (特 別活 動 ・ 総 合 的 な 学 習 の 時間 で の 取 組 、
学校事例の内容構成
よ っては、こ れによらな い場合があ る。
例である 。各事 例の内 容構成 等は、 原則的 には以下 のよう になっ ている 。なお 、事例に
165
平成14年11月)
の育成等、包括的な目的が含まれている場合が多く、それぞれについて複合的に機能して
をはぐくむ生徒指導的な側面、また肯定的な人間関係をはぐくむコミュニケーション能力
ての体験活動は、キャリア教育としてのねらいはもとより、基礎学習の側面から、社会性
教育的効果を生み出すことである。特に、生き方を探る基盤形成の時期にある児童にとっ
ばならないことの一つは、体験活動が多くの場合、多種多様な教育的機能を果たしながら、
小学校においてキャリア教育にかかわる体験活動を実施する場合、理解しておかなけれ
視点に学習活動を展開していくことである。
付くのか」また、
「子どもたちが自分自身の生き方についてどのように考えるのか」等を
体的実践において大切なことは、その体験を通して、「子どもたちにどのような力が身に
るのは、「体験を通して何を学ぶのか」といったそのねらいを明確化することである。具
創意工夫のもと、特色ある学校づくりや地域の特徴を生かしつつ多様な体験活動が実践さ
れている。しかし、より実効性のある体験活動を実施していくために重要なポイントとな
ものである。体験活動の持つ重要性や教育的効果等を踏まえ、現在各小学校では、学校の
解決等の創意を広げ、次への体験や学びへの深化を促す「学びの過程」の基盤と成り得る
動は、学びへの好奇心、課題発見等の学習への動機付けや意欲を高め、思考や実践、課題
「見たり、聞いたり、感じたり、味わったり・・・・」という直接的体験を繰り返す体験活
政策研究所生徒指導研究センター
「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」調査研究報告書(国立教育
られる。
間関係についての理解や心構えをもつことができるよう、指導・援助することが求め
取組を進めることが大切である。また、卒業後の中学校生活における新しい環境や人
する基礎的な知識・理解を得ることなどができるようにすることなどを主眼として、
の中でそれを生かそうとする意欲や態度をもつことができるようにすること、身の回
りの職場や施設の見学等を通して、自分たちの生活と職業との関係を考え、職業に対
しての役割を果たすことなどを通して、自分の良さや得意分野に気づき、日々の生活
小学校においては、子どもたちが家庭、学校、地域での諸活動の中で、その一員と
ャリア発達を促す実践が求められている。
域性を生かした多様な体験活動を、キャリア教育の視点からとらえ直し、小学校段階のキ
このため、小学校においても、従前から各学校で進められている特色ある教育活動や地
き方について考えることができるようにすることが大切である。
なりたいか?」というような「夢」「希望」「あこがれ」を持ち、児童が自らの将来の生
る。日常生活の様々な活動を通して、「大きくなったら何になりたいか?」「どんな人に
小学校段階は、進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期として位置付けることができ
(1)体験活動の意義
2.小学校における体験活動
がかかるのかは当然変わってくる。例えば、職場見学に焦点化した修学旅行を計画した場
が期待される。また、同じ体験活動であっても、そのねらいによってどちらの観点に比重
このように整理してみることで、よりねらいが明確化された効果的な体験活動になること
このような二つの観点でこれまでの体験活動を見直した例を資料1のように示したが、
かわる体験活動」とは、勤労観・職業観にかかわる職業や働くことを軸にした活動である。
きに描き、挑戦しようとする力(自立性)をはぐくむ活動である。また、「職業に直接か
ながら、円滑な人間関係を築く力(社会性)を養い、自己有用感と自己の夢や目標を前向
「キャリア教育に包括的にかかわる体験活動」とは、集団の中での自己の役割を自覚し
参照)。
ア教育に包括的にかかわる体験活動」と「職業に直接かかわる体験活動」である(資料1
るものなのか」「職業に直接的にかかわるものなのか」により分類したものが、「キャリ
場等により多種多様な教育的効果や児童の様々な変容に教育的機能を発揮する。その多様
な機能や効果が「人間関係、社会性等に代表されるような人間的な成長に総合的にかかわ
先に述べたように、キャリア教育にかかわる体験活動には、そのねらいや活動の方法、
種多様に実践されている。
幼稚園や保育所との交流、中学校への体験入学等、キャリア教育にかかわる体験活動は多
・消防署・警察署などの見学、市役所・図書館等の公共施設の見学、林間学校、修学旅行、
的な学習の時間等において、学校探検や地域探検、栽培活動、工場・商店の見学、郵便局
みるということである。現在の小学校における実践においても、各教科、特別活動、総合
いことを始めるということよりも、これまでの体験活動をキャリア教育の視点で見直して
小学校段階におけるキャリア教育にかかわる体験活動を考える上で大切なことは、新し
(2)具体例
考えさせる学習活動である。
活動は、多種多様な学びの場から、子どもたち一人一人に広く深く自己の生き方を感じ、
動から自己形成の基盤を内と外に広げるものとなっている。キャリア教育にかかわる体験
体験活動の観点も「体験活動からの気付き」「体験活動からの社会への広がり」と体験活
小学校におけるキャリア発達段階は、その基盤形成の時期にある。その成長過程を促す
よる生き方への自己形成等がはぐくまれる。
れ合いから、社会の様々な立場や役割についての理解、仕事への関心、夢やあこがれ等に
験する中で、地域社会等で活躍する人たちや様々な仕事をしている人たちとの出会いや触
人たちとかかわる体験を持つことが重要である。そうした内面的にも多様なかかわりを体
方法や手法等をあまり限定せず、広く学びの場や対象としてとらえ、地域に学び、様々な
また、小学校におけるキャリア教育にかかわる体験活動では、その具体的実践において、
まれていることが重要である。
の生き方を考える体験活動が実施される中、例えば、日常の学校生活における班活動、清
掃活動、給食当番等の活動等においても、それぞれの活動にキャリア教育の視点が盛り込
いく。各学校の創意工夫によって、子どもたちが「夢」「あこがれ」等をはぐくみ、自ら
166
○係活動
○清掃活動
○給食に関する活動
○委員会活動
○児童会活動
○児童会祭り
○異学年による活動(縦割り活動)
○高校生との交流 等
○中学校見学、体験入学
○留学生との交流
○地域の環境調査
○アイマスク・車いす体験
○特別養護施設の訪問や特別支援学校等
との交流
○幼稚園、保育所との交流
○地域の伝統を学ぶ 等
○学区の探検(生活科)
○栽培活動(生活科)
○家族調べ(生活科)
○幼稚園、保育所訪問(生活科) 等
特
別
活
動
総
合
的
な
学
習
の
時
間
教
科
●工場見学(社会科)
●テレビ局の見学(社会科)
●農家の見学(社会科)
●消防署、警察署見学(社会科)
●お店調べ、スーパーマーケット調べ
(社会科)
●郵便局、図書館、市役所等の見学
(生活科) 等
●学区の職場見学
●あこがれの仕事調べ
●農業体験
●地域の特産物づくり
●商店でのお手伝い
●地域の名人に学ぶ
●地域のお年寄りに学ぶ
●地域の芸術家に学ぶ
●身近な人の職業から学ぶ 等
●酪農体験等を組み込んだ林間学校
●職場見学・体験等を主体とした修学旅行等
職業に直接かかわる体験活動
小学校におけるキャリア教育にかかわる体験学習事例
キャリア教育に
包括的にかかわる体験活動
資料1
育の視点で見直していくために活用していただきたい。
ら創意工夫された活動を展開している事例である。各校の実情に合わせながらキャリア教
「キャリア教育に包括的にかかわる体験活動」とを学校の指導計画に応じ組み合わせなが
例集に紹介されている5つの小学校は、
「職業に直接かかわる体験活動」を核にしながら、
ける、6年間を見通したキャリア教育関連単元設定の工夫などが重要になってくる。本事
は総合的な学習の時間ではぐくみたい資質・能力及び態度とキャリア教育における能力領
域との関連を意識した、既存の体験活動の工夫・改善や生活科・総合的な学習の時間にお
既存の体験活動を見直し、キャリア教育の視点から更に充実したものにしていくために
る。
合は、職業に直接かかわる勤労観や職業観の基盤形成をねらった修学旅行ということにな
時間において、6年間を見通したキャリア教育単元を設定し、系統的な実践が行
われている。小学校においては、既存の教育活動をキャリア教育の視点から見直
イ
ン
ト
広島県庄原市立西城小学校
「地域の『ひと』『もの』『こと』に主体的にかかわり、自分の伸びを自覚する
児童の育成」を目指したキャリア教育を推進している。また、児童が「自分の伸
びを自覚する」方法として、ポートフォリオ評価を取り入れるなど、体験活動の
事前・事後指導も重視した実践である。
イ
ン
ト
の特性である「豊かな自然環境」
「温かい人的環境」を生かした体験活動を通し、
の
ポ
6年間を通じたキャリア教育学習計画や体験活動の全体計画が明確に示され、
発達段階に応じた系統的な体験活動の学習プログラムの実践を行っている。地域
用
習計画の作成
活
色
○生活科・総合的な学習の時間を中心に、各教科等を関連付けたキャリア教育学
・第5学年「田んぼ大好き」「スローライフ in 西城」
特
・第3学年「西城のじまんを見つけよう~『ひばごん丼』編~」
の
○豊かな自然環境を生かした系統的な体験活動の工夫
豊かな自然環境を生かし「地域学習」を核としたキャリア教育学習計画
動
活
存の体験活動を見直し、工夫・改善をしている。また、生活科・総合的な学習の
ポ
し、工夫・改善することが重要であり、その方向性を示すものとなっている。
キャリア教育計画作成に当たっては、総合的な学習の時間ではぐくみたい資質
・能力及び態度とキャリア教育における能力領域との関連を明確にした上で、既
の
自分たちの町が好きといえるような子どもを育てる教育」に力を入れている。
総合的な学習の時間導入時から、「地域の人々の力を借りて、地域から学び、
用
活
○地元商店会等との連携を図る体験活動の工夫
の
・3年総合的な学習の時間「町の人と握手 Part1 ~商店街で手伝い」
・5年総合的な学習の時間「地域の産業を訪ねよう~ものづくりに携わる人々~」
○6年間を見通したキャリア教育単元の設定
動
特
色
○生活科・総合的な学習の時間における既存の体験活動を生かしたキャリア教育
活
既存の体験活動を生かし、キャリア教育の視点で活動を工夫
神奈川県川崎市立苅宿小学校
(3) 本事例の特色やその活用
167
教育を展開している。地域の教育力を広く活用し、郷土のよさに積極的に目を向
ける取組として参考となる事例である。
イ
ン
馬路村の特産物である「ゆず」をテーマに取り上げるなど、地域特性を生かし
キャリア教育の基盤となる部分の指導に力を入れており、キャリア教育の4能
力を教科学習等においても明確に位置付け、「学び合い」のある学習を通して意
思決定能力やコミュニケーション能力をはぐくんでいる。また、保育所・中学校
を含む地域全体と連携して、基本的生活習慣及び社会的なルールやマナーを身に
付けるための実践が行われている。
ポ
イ
ン
ト
た体験学習を展開している。
の
用
活
・「保・小・中+地域・家庭」連携による基本的な生活習慣、社会的なルール
・マナー指導の徹底
・「学び合い」のある学習による基礎学力の向上
色
○キャリア教育の基盤となる指導の充実
・第3学年総合的な学習の時間「馬路村、ゆず大研究!」
○地域の特産物である「ゆず」を生かした「地域を知り、地域に学ぶ」体験活動
特
の
動
活
「生きる力」を身に付け、児童の自立を促すキャリア教育の工夫
高知県安芸郡馬路村立馬路小学校
の内容も充実している。
また、校内組織・校外組織が明確に設定されているなどキャリア教育全体計画
動を推進することにより、郷土のよさを実感し誇りに思う児童を育てるキャリア
ポ
ト
用。世界遺産登録に尽力してきた多様な地域人材(専門家・公的機関・ボランテ
ィアガイド等観光関連・保護者等)と実際にかかわり、「生き方」を学ぶ体験活
用
の
平成 19 年7月に世界遺産に登録された「石見銀山遺跡」を学習素材として活
○キャリア教育全体計画の作成
高が連携したキャリア教育の実践
○「キャリア教育地域推進指定事業」推進地域としての研究に基づき、小・中・
(総合的な学習の時間)
・第6学年「世界遺産登録に向けて、今わたしたちにできることは」
○地域の学習素材(石見銀山遺跡)を生かし、多様な人材を活用した体験活動
活
色
特
の
動
活
ト
ン
イ
ポ
の
用
活
色
特
の
動
活
キャリア教育を関連させ取り入れる際の参考となる事例である。
地域の教育力を極めて有効に生かした実践例であり、アントレプレナー教育と
『人間力・社会力』の具現化を図っている。
ャリア教育(生き方教育)」と「アントレ教育(起業家教育)」に分けてとらえ、
援ネットワーク」との連携・融合を図りながら実践している。キャリア教育を「キ
「参画型コミュニティースクール」であり、キャリア教育は NPO 法人「夢育支
○全学年で「キャリア教育」「アントレ教育」を1単元ずつ系統的に実践
(会社組織によるアントレ教育)
・第6学年総合的な学習の時間「四小カンパニー~紫草復活プロジェクト」
・第5学年総合的な学習の時間「写真展から社会をのぞこう」
○ NPO 法人「夢育支援ネットワーク」を活用した体験活動の工夫
東京都三鷹市立第四小学校
NPO法人を活用したアントレプレナー教育の推進
島根県大田市立仁摩小学校
郷土のよさを実感し、郷土への誇りを育てる追究活動の工夫
168
平成14年11月)
ものとなり、学びとして定着させる学習活動となる。体験が学習意欲の向上につながるよ
体化、内面化、共有化の過程は、個々の体験を生徒一人一人の学習成果として引き上げる
ある。
ても、すべて職場体験が実施され、学校全体のキャリア教育の中での位置付けや職場体験
わる体験活動が実践されている状況にある。本資料に紹介されている5つの中学校におい
現在、公立中学校での職場体験の実施率は 94 %を超え、その他多種多様な職業にかか
教科、道徳・特別活動、総合的な学習の時間
学校行事等
学校生活にかかわる諸活動(給食,清掃,係,生徒会,小集団,部活動等
●職場体験
●職場見学
●身近な人の職業調べ
●身近な人の職場訪問
●ジョブシャドウイング
●アントレプレナーシップに
かかわる体験活動
●商業・商人体験
●農業体験 等
キャリア教育にかかわる体験学習
中学校におけるキャリア教育にかかわる体験学習事例
○上級学校見学、体験入学
○大学訪問
○金銭教育
○保育、育児体験
○福祉、看護体験
○奉仕、勤労生産的活動
○国際理解にかかわる体験活動
○自然体験 等
資料
勤労観・職業観の育成を直接的なねらいとした体験活動まで、その活動内容は多種多様で
その基盤となる生き方を包括的にとらえた体験活動(福祉、奉仕、国際理解、環境、生徒
指導等をねらいとしたもの)から、職場体験に代表されるような働くことや職業を通して、
が実施されている。その活動内容は、キャリア教育の理念や考え方、機能等の広さにより、
的に学ぶキャリア教育が実践され、その学校の特徴や地域性等に応じ、特色ある体験活動
現在各中学校において、「学ぶこと」「働くこと」「生きること」について総合的、包括
(2)具体例
実現に向けたキャリア教育を進めるために不可欠である。
ら、各中学校の創意工夫による特色ある体験活動は、生徒一人一人の社会的・職業的自己
る学習の場である。体験活動のねらいを明確にしつつ、事前・事後指導の充実を図りなが
ら、他者とのかかわりにより人間関係形成能力を高め、望ましい勤労観・職業観を育成す
中学校段階でのキャリア教育における体験活動は、生徒一人一人の自己理解を深めなが
ようなことから「事前指導-体験活動-事後指導」に対する一体的な実施計画と指導実践
が強く求められる。
うに事後指導を計画することも、キャリア教育のねらいを実現する上で大切である。この
キャリア教育に包括的にかかわる体験活動
指導の基本的方向性とねらいにも大きな影響を与えるものである。事後指導での体験の具
る。また、事前指導の在り方は、体験そのものの質を大きく左右するにとどまらず、事後
活動内容の理解等は体験に向けての動機付けを深め、主体的な活動意欲を高めるものとな
果を引き上げるための大きな課題である。事前指導における体験の目的・ねらいの熟考、
また、それぞれの体験活動のねらいに沿った事前・事後指導の充実も、体験の教育的効
内面化・共有化して個々の学びとして引き上げていくことが重要である。
る。生徒一人一人が直面し正対した体験を、その体験活動のねらいを通して、学習として
として生徒一人一人の内面的変容・成長に結びついていないのではないかという指摘もあ
に生徒一人一人の多様な成長を促す教育的効果を持つものである。
しかしながら、体験活動が生徒たちにとって非日常的なイベントにとどまり、真の学び
多種多様な体験活動が行われている。これら創意工夫のある体験活動は、直接的・間接的
現在、各中学校においては、学校の教育目標や実態、地域のニーズや特色等に応じて、
学びの場である。
に向けた活動としての意義を持つ中学校での体験活動は、自己と他者及び社会とをつなぐ
するものである。社会と職業への関心を高めるのみにとどまらず、将来の社会的自己実現
もなる体験活動は、自己及び他者の肯定的な理解を深め、望ましい勤労観・職業観を形成
面を表現しつつ社会を見つめ自己の生き方や進路について考えていくための重要な機会と
現実的探索と暫定的選択を繰り返すキャリア発達段階にある中学生にとって、自分の内
教育政策研究所生徒指導研究センター
「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」調査研究報告書(国立
選択することができるよう、指導・援助することが求められる。
希望する進路先の情報を入手して理解を深めることを通して、自覚をもって進路を
進めることが大切である。また、就職及び高等学校等に進学することの意味を考え、
索活動を行うための方法などを理解することなどができるようにするための取組を
得しながら、職業の世界についての理解を深めること、仕事や勉学などについて探
価値観等についての基本的・総合的理解を得ること、働くことの厳しさや喜びを体
中学校においては、生徒が自分の良さや得意分野を理解すること、能力・適性、
会への視野を広げつつ、自己と社会を結び付けていくことが重要である。
独自の内面の世界があることに気付き、個性の発見・伸長を図り自立心を養いながら、社
関心や、将来への夢や希望、勤労を重んじる態度等の基盤をもとに、生徒一人一人が自分
義務教育最終段階の中学校において、小学校ではぐくまれた自己及び他者への積極的な
(1)体験活動の意義
3.中学校における体験活動
職業に直接かかわる体験活動
169
島根県隠岐郡海士町立海士中学校
等
活
キャリア教育を進路という側面のみならず、社会の中で生きていくための教育
用 の根幹として、学習指導、生徒指導の側面と結び付けてとらえ、包括的なキャリ
の ア教育を推進している。3カ年の学習のテーマを「人間関係づくり」「現代社会
ポ の課題」「進路指導-学校から社会へ-」と生徒に分かりやすいテーマとして活
イ 動内容の明確化を図っている。
ン
また、多種多様な体験活動が行われている中で、墨田の地域性や伝統をポイン
ト トとし、発達段階によりステップアップする系統的な実践が行われている。
活
動
の
特
色
○学習指導と生徒指導を深く関連付けてとらえたキャリア教育
○学習を基本にとらえたキャリア教育の推進
○「人間関係づくり、社会的課題、学校から社会を学ぶ」をテーマとしたキャリ
ア教育の学びの場の設定
○キャリア教育を包括的にとらえた多種多様な体験活動の実践
(福祉、地域の伝統から職場、企業体験まで)
○江戸っ子気質(地域性)を生かした体験活動の実践
学習と社会を結ぶ体験活動によりキャリア教育の視点で学校を振り返る
東京都墨田区立寺島中学校
(3)本事例の特色やその活用
を活用していただきたい。
のポイントとしてとらえながら展開されている。これらの視点を参考にしながら本事例集
各中学校におけるキャリア教育にかかわる体験活動は、このような視点を充実に向けて
○体験活動の評価の在り方
○体験活動の事前・事後指導の充実
○学校の指導体制、組織の工夫
○保護者との連携や活動参加への工夫
○関係諸機関、行政、NPO団体等との連携(コーディネーター等の配置と連携)
なっている。
ト
広島県竹原市立竹原中学校
て、キャリア教育の基本となる実践である。
さらに、それ以外の体験活動においても系統的にその配置がなされ、組織や関
係諸機関との連携が図られ工夫ある取組がなされている。評価までの取組を含め
ト
い職場体験がなされている。
ン
イ
また、事前・事後指導の重要性を明確にとらえ、体験そのものとしても質の高
れた「竹原中学校キャリア教育プラン」により、具現化されている。
の
ポ
学校教育全体を通してのキャリア教育の在り方や、3カ年の発達段階に応じた
キャリア教育の方向性が全体計画、単元系統図、各学年学習計画等で明確に示さ
○事前、事後指導の充実など効果的な職場体験の実践
○系統的なキャリア教育の評価
用
○機能する校内、校外組織の確立
特
色
活
○各実践における組織的取組と関係団体、機関等との連携
の
○3カ年を見通した教育課程上の位置付けとキャリア教育指導計画の作成
職場体験を中心とした中学校3カ年のキャリア教育基本プランと系統的実践
動
活
徒一人一人が地域を振り返り、ふるさとに生きることの大切さを考える機会とも
ン
地方における職場体験の一つの在り方を示す事例でもある。
島という地域の特性を生かしながら、地域と学校が支え合いながら教育活動を
進め、このような環境下で取り組まれる職場体験や多様な体験活動を通して、生
イ
た人々との交流を通して、生徒一人一人に自立心と自己有用感をはぐくんでいる。
の
ポ
6泊7日という宿泊体験と職場体験を一体化させた体験活動は、勤労観・職業
観の育成とともに、より深い人間関係や社会性、内面的な発達を培っていく。ま
活
色
○地域性を生かした体験活動(伝統、文化、歴史、自然、地域等)
用
○地域に根ざした系統的な体験活動の実践
の
特
○体験活動のねらいの明確化
○体験活動等の在り方の工夫(日数、回数、複数学年での実施、体験先との連携等)
○深い人間関係と働くことの喜び・厳しさを体験する職場体験
○地域、地元を振り返るキャリア教育
○地域が支えるキャリア教育の実践
動
○宿泊体験と職場体験を一つにした6泊7日の生活学校
活
○学びと社会とのかかわりの視点
社会人としての自覚と生き方をはぐくむ生活学校(職場体験+宿泊体験)
○指導計画の改善と見直し(工夫ある全体計画、指導計画、題材系統図等)
○学校教育全体における位置付け
(学校の活性化に向けてのキャリア教育の推進)
る。その特色は職場体験の内容を含めて、キャリア教育にかかわる体験活動の充実に向け
ての視点となり、次のような点が改善の工夫のポイントと考えられる。
のねらいや目的、学校や地域の教育環境等によって、その工夫の在り方に特色が表れてい
170
福岡県飯塚市立頴田中学校
職場体験の在り方を示すものとなっている。
ト
合致し計画されている。
ト
教育力を地域の活性化に生かしている。
地域への発信も十分に行われており、学校の教育成果を地域に還元し、学校の
体験活動の重要性をとらえながら、自己の課題や目標を明確にする課題解決学
習や、社会性等をはぐくむスキル学習もバランスよく配置され、学校のねらいに
ン
とは、キャリア教育を進めていく上で大変重要な要素である。
ポ
イ
ら、関西という地域の特徴を生かしたアントレプレナーシップ等を学んでいくこ
の
○スキル学習や課題解決学習を基盤に据えたキャリア教育
色
京都・伏見という時代や文化などの背景を含めた教育資源を生かしながら、キ
○アントレプレナー等との連携を図ったキャリア教育の実践
特
ャリア教育が推進されている。「酒造り」「商店街」等の題材をテーマとしなが
○地元商店会等と連携を図る多様な体験学習の実施
の
用
○各学年の発達段階に応じた系統的な体験学習の計画
動
活
○地元伏見から振り返るキャリア教育の実践
-地域ぐるみのキャリア教育-
活
地域の教育力を生かしたキャリア教育の推進
京都府京都市立伏見中学校
年における職場体験は、組織の活用を十分に行うなど、その方法や内容も今後の
ン
イクルを有効に活用している。
ポ
また、各学年の発達段階に応じた多様な体験活動を系統的に配置し、特に3カ
や生徒一人一人にキャリア教育への意識と理解の深化を図るためマネジメントサ
の
イ
でのキャリア教育を推進している。教育課程上での位置付けを明確にし、教職員
○ねらいの明確化と指導と評価の一体化を図る目標の設定
色
用
CA)の実施
○学年の発達段階に合わせた職場体験の実施
キャリア教育の4能力領域を自校の教育活動に明確に位置付け、教育活動全体
○教育活動全体をキャリア教育の視点で見つめ直すマネジメントサイクル(PD
動
の
特
活
○キャリア教育の視点で見直す学校改革への取組
活
発達段階に応じた職場体験(各学年での職場体験)と教育活動全体をつなぐ評価
か い た
体験活動の意義
平成14年 11月)
-1-
の こ と は 、 キ ャ リ ア 発 達 の 課 題 に 照 ら せ ば 、「 進 路 の 現 実 的 吟 味 」 で あ り 、「 試 行 的 な 参
科 目やコー スの選 択に役 立てた り、学 習や活 動の意欲 を高め ること にもつ ながる 。これら
探 索するこ とは、 今、学 校で何 を学ぶ べきか 、学ばな ければ ならな いかを 理解し 、教科・
に 役立てる ことが できる 。また 、この ように 明確な進 路希望 を形成 し、そ の実現 の方途を
て の職業の 選択に 役立て たり、 その希 望する 職業に就 くため の進路 として の進学 先の選択
お ける社会 参加を 視野に 入れな がら職 業に対 する理解 を一層 深めて 、明確 な進路 希望とし
第 2に、 上記の 職業に かかわ る体験活 動及び 上級学 校に関 する体 験活動は 、近い 将来に
るこ との意義や 大切さを理 解すること ができる。
こ のような 体験を 通して 、規則 正しく 、かつ 、節度あ る言動 で学校 ・家庭 ・社会 生活を送
仕 方を身に 付け、 社会人 ・職業 人とし ての能 力、態度 を一層 高める ことが できる 。また、
流 を通して 、言葉 遣いを はじめ とする 礼儀な ど、異年 齢の人 々との コミュ ニケー ションの
る いはルー ルやマ ナーを 学ぶと ともに 、職場 での異年 齢、特 に年齢 差の大 きな大 人との交
に おける職 場体験 などを 基盤と して、 改めて 、社会人 ・職業 人とし ての勤 勉さや 責任感あ
ま ず第1 に、高 校生の 職場訪 問・見学 やイン ターン シップ といっ た体験活 動は、 中学校
発達 課題に照ら してみれば 、次のよう に指摘する ことができ る。
が あ る の か を 、「 現実 的 探 索 ・ 試 行 と 社会 的 移 行 の 準 備 の 時 期 」に あ る 高 校 生 の キ ャリ ア
そ こで、 高校生 の体験 活動が 、その事 前・事 後の適 切な指 導を含 めて、ど のよう な意義
育 政策研究所 生徒指導研 究センター
「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」調査研究報告書(国立教
指 導・援助す ることが求 められる。
行おうとしている選択が妥当性を持つかどうか等についても十分検討できるよう、
を進めることが大切である。また、自己の希望や能力・適性等に照らして、現実に
し、将来の生き方や職業を適切に選択することなどができるようにするための取組
と、インターンシップ等による試行を通して、職業の世界の現実をしっかりと認識
高等学校においては、生徒一人一人が自己の個性をできるだけ的確に把握するこ
にあ るとされて いる。
業観 の確立」、「将 来設計の立 案と社会的 な移行の準 備」、「進路の 現実吟味と 試行的参加」
そ の キ ャ リ ア 発 達 課 題 は 「 自 己 理 解 の 深 化 と 自 己 受 容 」、「 選 択 基 準 と し て の 勤 労 観 ・ 職
高 校生のキャ リア発達段 階は「現実的探 索・試行と 社会的移行 の準備の時 期」にあって、
(1)
4.高等学校における体験活動
171
具体例
①
-2-
置 付けの 下、多 くの高 校で幅 広く実施 されて いる。 そうし た中で 、普段接 するこ とがで
活 動の一 環とし て、勤 労生産 ・奉仕的 行事や 総合的 な学習 の時間 の体験活 動とい った位
職場や研究 機関の訪問 ・見学
職場の 訪問・ 見学は 、職業 理解あ るいは それと上 級学校 理解と が組み 合わさ れた学習
多様 な教育課程 上の位置付 けで実施さ れている。
学 科 の 原 則 履 修 科目 で あ る 「 産 業 社 会 と 人間 」、 専 門 教 科 の 科 目及 び 学 校 設 定 科 目 など 、
特 別活動の 学校行 事、総 合的な 学習の 時間、 専門学科 や総合 学科に おける 課題研 究、総合
円 滑な接続を 図るための 体験活動が 、多くの高 校と大学等 との間で実 施されてい る。
平成 11 年 の中教審答 申(いわゆ る「接続答 申」)以降 、初等中等 教育と高等 教育との
オープン・ キャンパス や上級学校 の授業の受 講(出前授 業・出張講 義を含む)
-3-
る 多種多様 な体験 活動も 幅広く 行われ ている 。ただ、 高等学 校にお ける体 験活動 は、それ
高 等学校 では、 職業に 直接か かわる体 験活動 ばかり ではな く、キ ャリア教 育に包 括され
⑧ そ の他の体験 活動
⑦
習 活動で、「 課題研究」 や学校設定 科目に位置 付けられて 取り組まれて いる。
て 、それ らを地 元商店 街の空 き店舗で 、商店 街の商 店主な どの指 導を受け て販売 する学
商業高 校にお けるデ ュアル システ ムある いはアン トレプ レナー シップ 教育と して、学
校 オリジ ナル商 品を開 発、製 造したり 、他の 専門高 校が製 造した 商品を取 り寄せ たりし
学校オリジ ナル商品を 開発し、そ れを商店街 の空き店舗 を利用して の販売
い る。
科 学省と 経済産 業省と が共同 で実施し ている 「もの づくり 人材育 成のため の専門 高校・
地 域 産 業 連 携 事 業 」( ク ラ フ トマ ン 2 1 ) で は 、 こ のよ う な 取 組 が 積 極 的 に 推進 さ れ て
度 な 職業 知識 ・技 術を 地 元企 業の 熟練 技術 者 に学 ぶ取 組で ある 。 平成 19 年 度か ら 文部
高 度な資 格取得 や高校 生もの づくりコ ンテス ト及び 技能五 輪地方 大会等で 求めら れる高
み 入れようと するもので ある。具体的 には、専門高 校における「課 題研究」など として、
で あるの に対し て、こ の取組 は、いわ ば逆方 向の取 組で、 地域の 教育力を 学校教 育に組
インタ ーンシ ップや デュア ルシス テムは 、生徒が 学校か ら職場 に出向 いての 学習活動
熟練技術者 を学校に招 いての技術 指導
の 25 校 の専門高 校等で取組 が行われた 。
版 デュ アルシ ステム』 推進事 業」で は、平 成 16 年度 、17 年度に 指定を 受けた 20 地域
シ ステム 」とし て、キ ャリア 教育の推 進事業 の一つ である 「専門 高校等に おける 『日本
業 等の現 場で実 際的・ 実践的 に職業に 関する 知識や 技術・ 技能を 学ぶ「日 本版デ ュアル
デュアルシ ステム
デュア ルシス テムは 、本来 、ドイ ツにお ける職業 教育の 方式で ある。 我が国 では、企
プ を全面的に バックアッ プするとい うユニーク な取組もあ る。
業 の受講な ど上級 学校に 関する 体験活 動など がある。 これら の体験 活動は 、高等 学校では
⑥
⑤
④
や 、市の 発注工 事の入 札条件 に高校生 のイン ターン シップ の受入 れを定め るとと もに、
市 の建設 業協会 が工業 高校建 築科の生 徒によ る、市 発注の 建設現 場でのイ ンター ンシッ
に 直接かか わる体 験活動 、及び オープ ン・キ ャンパス や高大 連携等 に基づ く大学 等での授
学 ぶ調査活 動及び アント レプレ ナーシ ップ教 育として の商品 開発や 空き店 舗経営 など職業
ュ アルシス テム、 熟練技 術者を 学校に 招いて の技術指 導、地 域の職 業人に 職業・ 生き方を
高 等学校 におけ る体験 活動に は、職場 や研究 機関の 訪問・ 見学、 インター ンシッ プ、デ
(2)
た成 果も報告さ れている。
っ ては、地 域ぐる みで若 者の成 長を見 守り、 その自立 を支援 する気 運が醸 成され るといっ
地 場産業の 発展に 貢献す るとい う成果 も認め られる。 また、 生徒を 受け入 れた企 業等にあ
業 に対する 理解を 深める ととも に、地 元への 愛着を高 めて、 地元企 業への 就職率 を高め、
派 生的に は、地 場産業 などの 職場にお けるイ ンター ンシッ プ等は 、生徒の 地元産 業・企
容」 する機会と なる。
り す る 経 験 は 、 自己 の 社 会 的 な 存 在 意 義 を感 得 し 、 社 会 参 加 へ の自 信 を 深 め て 、「 自己 受
労 体験の過 程で、 職場で の働き ぶりを 高く評 価された り、顧 客から 誉めら れ、感 謝された
化 」を図る またと ない機 会でも ある。 また、 インター ンシッ プやデ ュアル システ ムでの勤
気 が 付 か な か っ た自 己 の 特 性 や 長 所 を 見 出す こ と に も な っ た り する な ど 、「 自 己 理 解の 深
第 3に、 高校生 の体験 活動は 、生徒が 自己の 個性や 職業適 性を改 めて考え たり、 今まで
拓 など、 学校と 事業所 とのパ ートナー シップ 構築の コーデ ィネー ターを努 めてい る取組
会的 な移行の準 備」でもあ るといえる 。
インタ ーンシ ップは 、教育 課程上 多様な 位置付け で、専 門高校 を中心 として 多くの高
インターン シップ
け る職業・進 路理解ある いは進路研 究の学習と して取り組 まれている 。
校 で実施 されて いる。 そうし た中で、 市の商 工会議 所がイ ンター ンシップ の受入 先の開
③
職 業 や 生 き 方 に つ い て 学 ぶ 学 習活 動 は 、「 産 業 社 会 と人 間 」 や 総 合 的 な 学 習 の時 間 に お
生徒が 興味・ 関心を 抱いた り、憧 れてい る地域の 職業人 にイン タビュ ーをし て、その
地域の職業 人に職業・ 生き方を学 ぶ調査活動
高 度 な 技 術 に つ い て 指 導 を 受 け る 体 験 は 、「 進 路 の 現 実 吟 味 と 試 行 的 参 加 」 で あ り 、「 社
す る知識や 技術・ 技能を 学ぶ体 験的な 学習活 動や、地 元企業 の熟練 技術者 を学校 に招いて
る 。加えて 、専門 高校等 の生徒 が、デ ュアル システム によっ て実際 的・実 践的に 職業に関
動 に 意 欲 的 に 取 り組 む こ と は 、「 社 会 的な 移 行 の 準 備 」 の 過 程 とみ る こ と も で き る ので あ
め に、上級 学校と その学 部・学 科や分 野及び 教科・科 目やコ ース等 を選択 して、 学習や活
い うキャリ ア発達 課題を 達成す るとい うこと でもある 。また 、希望 する進 路を実 現するた
②
訪 問・見 学し、 卒業生 の生き 方、進路 などに ついて 話を聞 き、将 来の生き 方、進 路の多
様 な選択可能 性を理解す る特色ある 取組もみら れる。
を通 してどのよ うに生きて いくのかと いう「 生き方」を考え、選択 決定するこ とでもあり 、
そ れ は 、「 将 来 設計 ・ 進 路 設 計 」 に 基 づく 「 選 択 基 準 と し て の 勤労 観 ・ 職 業 観 の 確 立」 と
き ない、 遠く離 れた場 所で活 躍する卒 業生の 職場や 研究機 関など を修学旅 行を利 用して
加 」とみる ことが できる 。しか も、明 確な進 路希望と しての 職業選 択は、 職業や 働くこと
172
活
用
の
ポ
イ
ン
ト
活
動
の
特
色
(3)
-4-
地域 に密着 する農・ 工の専 門高校 であり 、卒業 生の多 くが地元 に居住 してい る。
生徒の 約6割 が就職希 望で、 その多 くが地 元就職 を希望 している 。地域 には伝 統産
業や自営農 家が存在し 、卓越した 熟練工や農 業経営者が 多い。
平 成 18 年 度 まで の 3年 間「 日本 版 デュ アル シス テム 」の 研 究指 定と して 、環 境
技術 科 2年 生 で実 施し て いた 。平 成 19 年 度か ら「 利根 実版 デ ュア ルシ ステ ム」 と
して農 業系、 工業系の 2年生 全員で 「学校 外実習 」を中 心に、前 期後期 3日間 の合
計 6 日 間 実 施 し た 。 実 習先 の 企 業 は 、 同 窓 会や 卒 業 生 の 支 援 の 下、「日 本 版 デ ュ ア
ルシス テム」 で協力を 得てき た企業 や卒業 生の就 職先等 で実施し ている 。この 実習
は、日 頃の「 実習」や 「課題 研究」 とも関 連させ 、3年 間のキャ リア教 育の一 環と
し て 位 置 付 け て い る 。 こ の よ う に 、「 日 本 版 デュ ア ル シ ス テ ム 」 を 継続 実 施 し て い
く上で参考 となる。
○農業と工 業の専門高 校であり、 卒業生の多 くが地元に 居住する地 域密着高校
○地元には 、小規模で あるが伝統 的地場産業 が多く、卓 越した多様 な熟練工
○平成 18 年度 まで3年間 「日本版デ ュアルシス テム」の研 究指定校
○同窓会、 商工会議所 、建設業協 会など、地 域と連携し た実習先企 業の開拓
○ 2 年生全 員を対象に、 前期後期そ れぞれ 3 日 間(計 6 日間 )の企業実 習
○専門科目 の「実習」 や「課題研 究」と関連 付けた企業 実習
○高校生活 3年間にお けるキャリ ア教育の一 環としての 「学校外実 習」
日本版デ ュアルシス テムを継続 して実施す る「利根実 版デュアル システム」
群馬 県 立 利 根実 業 高 等 学校
本事例の特色やその活用
な どを学ぶ活 動が行われ ている。
異文化 理解の 学習の 一環と して、 地域の 外国人を 講師に 招き、 諸外国 の食文 化や生活
○国 際理解にか かわる体験
る 体験活動と して、多く の高校の移 動教室や修 学旅行など で実施され ている。
○自 然体験や農 業・漁業体 験
こ れ ら の 体 験活 動 も ま た 専 門 教 科 の 学習 と し て は 無 論 の こ と、「 生 き る 力 」 を 育成 す
く の高等学校 で実施され ている。
場 ではイ ンター ンシッ プとし て、ある いは子 育てや 命の大 切さを 学ぶ体験 活動と して多
上述の ように これら の体験 活動は 、専門 教科の学 習とし てばか りでな く、こ れらの職
○保 育体験や育 児体験及び 福祉体験や 看護体験
ボ ランティア 活動として 奉仕体験に 取り組んで いる高校生 も少なくな い。
し て、奉 仕体験 に取り 組む地 域が増え ている 。また 、学校 での奉 仕体験に 啓発さ れて、
高等学 校段階 におけ る地域 ・社会 の一員 としての 役割理 解とそ れに基 づく実 践活動と
○奉 仕体験
例 えば、福 祉体験 や看護 体験は 、福祉 科や看 護科では 前者に 位置付 けられ るが、 他の学科
では 後者に位置 付けられる など、それ を実施する 学科によっ て位置付け が異なる。
が職 業に直接か かわる体験 活動である か、キャリ ア教育に包 括される体 験活動であ るかは、
「総合的な 学習の時間 『まつナッ プ』におけ る地域体験活 動
宮城 県 松 島 高 等学 校
就職 が約半 数の商業 高校で ある。 これま で、体 験学習 として販 売実習 を行っ てき
たが、 一過性 のもので はなく 、学校 全体の キャリ ア教育 、3年間 系統的 な学校 独自
の仕組みを 考えた。キ ャリア教育 にかかわる 科目を必修 科目とした 。
1年 次は総 合的な学 習の時 間とし て「ラ イフプ ランニ ング」に おいて 、自己 を見
つめ将 来につ いて考さ せる。 2年次 には商 業科目 として 「商品開 発」と いう学 校設
定科目 を設定 し、オリ ジナル 商品の 開発を 行う。 3年次 には、商 業科目 「経済 活動
と法」の授 業の一環と して、その 商品の販売 ・営業活動 を行う。
また 、NP O法人 「ゆめ かご」を 設立し 、活動 におけ る資金 の流れ をスムー ズに
すると ともに 、仮想会 社でな く、社 会から 認証さ れてい ることで 体験活 動に真 剣味
が増 し てい る 。平 成 17 年 度か ら、 こ のN PO 法人 は神 戸市 の キャ リア 教育 推進 協
議会の 協力団 体となり 、小中 学校へ のキャ リア教 育の講 師派遣を 行って いる。 この
ように、商 品の開発か ら販売まで 3年間の系 統的な取組 を考える上 で参考とな る。
○商品の開 発から販売 までの 3 年間 の系統的な 取組
○キャリア 教育科目の 必修化とと もに学校独 自の仕組み
○自己を見 つめ将来に ついて考え させる総合 的な学習の 時間「ライ フプランニ ング」
○オリジナ ル商品の開 発を行う学 校設定科目 「商品開発 」
○商品の販 売・営業活 動を行う「 経済活動と 法」
○活動にお ける資金の 流れをスム ーズにする NPO法人 「ゆめかご 」の設立
・2学年 で実施する 事前事後指 導を充実さ せた職場体 験
・3学年 で実施する 地域の支援 を受けた模 擬面接
生徒 の進路 が多様な 普通科 高校で あり、 総合的 な学習 の時間と ホーム ルーム 活動
特
色
活
ト
ン 視している 。
-5-
イ 生徒が 自らの 進路につ いて考 え行動 するこ とがで きる生 きる力や 職業観 の育成 を重
ポ 地元の商工 会や事業所 等の方によ る面接指導 など、地域 との協働し た取組によ って、
の 生き方 を探る 職業人イ ンタビ ューや 、その 経験を 生かし た職場体 験の実 施、ま た、
用 に位置 付けて 系統的な キャリ ア教育 を行っ ている 。地元 の職業人 に密着 して、 その
・1学年 で実施する 町内で働く 人々への職 業人インタ ビュー
の
動 ○総合的な 学習の時間 『まつナッ プ』を中心 にしたキャ リア教育
活 ○進学と就 職がほぼ同 じ割合の全 日制普通科 高校
活
用
の
ポ
イ
ン
ト
活
動
の
特
色
兵 庫 県 神戸 市 立 兵 庫商 業 高 等 学 校
N PO法人を 設置し、商 品の開発か ら販売まで 系統的な取 組
173
活
用
の
ポ
イ
ン
ト
活
動
の
特
色
活
用
の
ポ
イ
ン
ト
-6-
全日制普 通科高校で 、2年生か らコース制 をとってい る進路多様 校である。
平成 18 年 度まで3 年間、「キ ャリア教育 推進地域指 定事業」に おける協力 校の指
定を受 け、総 合的な学 習の時 間を中 心とし た3年 間を見 通した指 導計画 に基づ き実
施している 。
また 、地元 商工会議 所や各 町商工 会と連 携し2 年生全 員で実施 してい るイン ター
ンシッ プや、 卒業生や 保護者 、地域 の方の 協力に よる「 身近な職 業人と の座談 会」
「キャリア アドバイザ ー講話」「 職業に関す る壁新聞作 成」等を行 っている。
他に も、老 人ホーム 訪問、 保育実 習、勤 労体験 、郷土 料理教室 等、地 域の教育力
を活用し、 職業にかか わる体験的 な学習を行 っている。
○全日制普 通科の進路 多様校
○「キャリ ア教育推進 地域指定事 業」協力校
○地元商工 会議所と各 町商工会の 協力による 2年生全員 のインター ンシップ
○ 卒 業 生 や 保 護 者 、 地 域 の 方 の 協 力 に よ る 「 身 近 な 職 業 人 と の 座 談 会 」、「 キ ャ リ
アアドバ イザー講話 」
○地域の教 育を活用し た老人ホー ム訪問、郷 土料理教室 等
地域の協力によって2年生全員がインターンシップを行う
長 崎県 立 諫 早 東高 等 学 校
130 年 の 伝統 を 誇る 全日 制普 通科 の 男子 校で 、ほ ぼ全 員が 上 級学 校へ 進学 する 。
総合的 な学習 の時間の 中で、 内発的 な学び の集団 を形成 し、自主 的な学 習能力 を育
成すること に力を入れ ている。1年生では「現代社 会を見つめ る」、2 年生では「自
己 を 見 つ め る 」、 3 年 生 で は 「 将 来 を 見 つ め る」 を 学 年 テ ー マ と し て、 各 学 年 で 課
題研究 を行っ ている。 これに 1年生 の研修 旅行、 2年生 の大学企 業訪問 、大学 模擬
体験等 の体験 が組み合 わされ 、それ らの成 果は3 年間で 3本の論 文に結 実する 。こ
の課題 研究の 過程が、 社会に 対する 視点か ら自分 の将来 へと絞り 込んで いくよ うに
なっている 。
また 、各学 年の課題 研究の 具体的 内容が 、1学 期は課 題発見活 動、2 学期を 課題
探究活 動、3 学期をま とめと 発表活 動と型 が決ま ってお り、その ことが スキル 定着
につながっ ている。
活 ○ほぼ全員 が上級学校 へ進学する 全日制普通 科の男子校
動 ○ 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 中 で 、 1 年 生 で は 「現 代 社 会 を 見 つ め る」、2 年 生 で は
の
「 自 己 を 見 つ め る 」、 3 年 生 で は 「 将 来 を 見つ め る 」 を 学 年 テ ー マと し て 、 各 学
特
年で課題 研究
色 ○1年生は 研修旅行、 2年生は大 学企業訪問 、大学模擬 体験、3年 生は論文作 成
体験 活動を3年 間で3本の 課題研究に 結実する
群 馬 県立 前 橋 高 等学 校
北 海道 札 幌 星 園高 等 学 校
九 州 北 部 の ほ ぼ 中 央 に 位 置 す る 総 合 学 科 の高 校 で あ る 。 こ れ ま で、「 産 業 社 会 と
体験活動 として、1年次は「産業社 会と人間」の中の「この人 に学ぶ」において、
-7-
体を包括し たキャリア 教育の推進 体制を構築 する上で参 考となる。
って調 査・研 究等(個 人研究 )を行 い、卒 業論文 を提出 する。こ のよう に、学 校全
ト ターン シップ や上級学 校体験 等を実 施して いる。 3年次 には、設 定した テーマ に従
ン う 。 2 年 次 は 全 員 「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 ( 夏の 活 動 )」 の 中 で 、 3 日間 以 上 の イ ン
イ 人 生 の 先 輩 で あ る 「 こ の 人 ( 職 業 人 )」 か ら 直接 学 ぶ 等 、 自 己 分 析 や進 路 調 査 を 行
ポ
の め、学校全 体を包括し た推進体制 (Mikuma"PAS"System) を構築 した。
用 人間」 や「課 題研究」 におい てキャ リア教 育を進 めてき たが、よ り一層 推進す るた
活
○3日間 以上のイン ターンシッ プや上級学 校体験を行 う「夏の活 動」
色
○設定し たテーマに 従った調査 ・研究等に よる卒業論 文
○ 人 生 の 先 輩 で あ る 「 こ の 人 ( 職 業 人 )」 か ら 学 ぶ 体 験 等 に よ る 自 己 分 析 や 進 路
調査
(Mikuma"PAS"System)
○総合学科として学校全体を包括した学校キャリア教育の推進体制
学校全 体を包括した キャリア教 育の推進体 制(Mikuma"PAS"System)
の
特
動
活
昼夜 間定時 制普通科 高校で あるの で、午 後の時 間帯を 有効活用 して様 々な活 動を
行って いる。 多様な生 徒が入 学して くる中 で、進 路探究 学習を導 入、総 合的な 学習
の時間 を中心 に、特に 自己肯 定感を 高める ことに 力を入 れ、構成 的グル ープエ ンカ
ウンタ ープロ グラムを 実施し ている 。イン ターン シップ は、全員 、希望 者、就 職支
援型長 期イン ターンシ ップの 3段階 があり 、特に 就職支 援型長期 インタ ーンシ ップ
を雇用 につな げている ところ が注目 される 。また 、キャ リアカウ ンセリ ングに 力を
入れて おり、 地域関係 機関の 協力で 、キャ リアカ ウンセ ラーが先 生とは 違う第 三の
ポジションで 生徒を支 えてい る。校 内にジ ョブカ フェ的 なスペー スをつ くり、 キャ
リア学習の 拠点となっ ていること も興味深い 。
活
用
の
ポ
イ
ン
ト
大 分 県立 日 田 三 隈高 等 学 校
○午後の時 間帯を有効 活用してい る昼夜間定 時制普通科 高校
○自己肯定 感を高める 構成的グル ープエンカ ウンタープ ログラム
○全員、希 望者、就職 支援型長期 の3段階の インターン シップ
○外部のカ ウンセラー と教員によ るキャリア カウンセリ ング
○キャリア 学習の拠点 となる校内 ジョブカフ ェ的なスペ ース
活
動
の
特
色
自己肯 定感を高め るプログラ ムとキャリ アカウンセ リングの体 制が整う
174
(2) 企業や大学等に求めるもの
○ 4 .( 1 ) で 指 摘 し た と お り 、 非 正 規 雇 用 が 増 大 す る と い っ た 雇 用 環 境 の 変 化
は、 子 ども た ち の学 習 意欲 な どに も 影響 を 及ぼ し てい る 。企 業等 にあ っ ては 、子
ども た ちが 将 来 を見 通 して 希 望を も って 学 習に 取 り組 む こと がで きる よ う、 人材
を育てることを重視した雇用環境の整備を強く求めたい。
○ ( 1 )で 示 し た職 場 体験 活 動な ど の学 校 外で の 学習 や 体験 活動 の実 施 には 、企
業等 の 協力 が 欠 かせ な い。 他 方で 、 大人 が 家庭 や 地域 で 子ど もた ちの 教 育や 安全
の確 保 に十 分 役 割を 果 たせ る よう に する た めに は 、大 人 の働 き方 の問 題 がか かわ
って お り、 こ の 点に つ いて も 企業 等 の協 力 が必 要 であ る 。ま た、 企業 等 の社 会的
責任 が 重視 さ れ る中 で 、学 校 教育 活 動へ の 協力 ・ 参加 に 企業 等が より 組 織的 に取
組む こ とや こ れ らの 取 組が 円 滑に 学 校に 受 け入 れ られ る ため の教 育委 員 会等 の仕
組みの充実も期待したい。
な お 、男 女 共 同参 画 社会 に おい て 、子 育 てと 職 業が 両 立で きる よう に する ため
の行政や企業等の取組や環境づくりが求められる。
10.家庭や地域との連携・協力の推進と企業や大学等に求めるもの(抜粋)
(1) 家庭や地域との連携・協力の推進
○ こ れ まで 、 家 庭や 地 域の 教 育力 の 低下 を 前提 に 、学 校 教育 がそ れに ど のよ うに
対応 す るか に つ いて 述 べて き たが 、 本来 、 家庭 や 地域 で 果た すべ き役 割 のす べて
を学 校 が補 完 す るこ と はで き ず、 仮 にで き たと し ても 、 子ど もの 心の 満 足は 得ら
れないなど、家庭の教育力は学校で代替できる性質のものではないと考えられる。
○ こ の ため 、 特 に、 豊 かな 心 や健 や かな 体 の育 成 につ い ては 、家 庭が 第 一義 的な
責 任 を も つ も の で あ り 、 そ の 自 覚 が 強 く 求 め ら れ る 。「 早 寝 早 起 き 朝 ご は ん 」 と
いった取組を通して、家庭教育の充実を求めていく必要がある。
○ さ ら に、 現 在 、学 校 教育 は 、勤 労 観・ 職 業観 の 育成 や 道徳 教育 、環 境 教育 、伝
統や文化に関する教育、体験活動の充実など多岐にわたる課題に直面している。
こ の ため 、 ま ず、 時 代の 変 化等 に より 共 通に 指 導す る 意義 が乏 しく な った 内容
を見 直 した り 、 教職 員 定数 と いっ た 教育 条 件の 有 効な 活 用を 考慮 する 必 要が ある
が、 そ れと と も に、 す べて を 学校 で 抱え 込 むの で はな く 、学 校の 教育 活 動と 家庭
や地 域 、企 業 、 NP O 、青 少 年団 体 など に よる 学 校外 の 教育 活動 の役 割 を明 確に
した上で、例えば、職場体験活動の実施などを連携して行う必要がある。
○ な お 、将 来 的 な課 題 とし て 、子 ど もに 対 する 学 習や 体 験活 動の 提供 に つい ての
教育委員会等の責任を明確化することや、地域、企業、大学などの高等教育機関、
NP O 、青 少 年 団体 な どに よ る学 習 や体 験 活動 の 提供 と いっ た取 組を 奨 励す る仕
組みの構築などについて検討することが必要である。
携・協力について、以下のように述べている。
年1月)においては、学習指導要領改訂の方向性が示され、その中で、家庭や地域との連
小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(平成 20
このような教育基本法及び学校教育法等の改正を踏まえ、中央教育審議会答申「幼稚園、
「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任
を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする」
に書かれている。
改正教育基本法第13条「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」には、次のよう
(1)学校と家庭や地域との連携・協力
5.地域における取組
職場体験やインターンシップ等のキャリア教育にかかわる体験活動の実施については、
庭
等
P T A
保 護 者
家
家庭の教育力
情報提供
活動公開
啓発活動
連携・協力
就 学 前
成長・発達
小 学 校
中 学 校
高等学校
上級学校、社会
生 涯 学 習
情報提供
活動公開
啓発活動
連携・協力
域
等
関係行政機関
社会教育団体
地 元 企 業
地
地域の教育力
キャリア教育推進の手引(平成18年11月 文部科学省)
〈 小学校・中学校・高等学校の連携と家庭・地域との連携 〉
が連携を図っていくことが重要である。
必要がある。また、体験活動の前後はもちろんのこと、入学時期から家庭・地域と学校と
力を得て、体験活動推進のための協議会を組織するなど、地域のシステムづくりに努める
むことが大切である。このため、ハローワークや経済団体、PTA、地域の自治会等の協
息の長い取組として定着させることができるよう、学校と関係機関が一体となって取り組
学校で行っている場合が多いが、体験活動をより円滑に実施し普及していくため、また、
めぐる競合等が課題となっている。現状では、受入事業所等や講師等の開拓をそれぞれの
受入事業所等を十分確保できなかったり、実施校が増えてきたため受入事業所等の確保を
175
(3)地域の取組事例
地域との連携・協力による取組は、子どもたちが地域社会に学び、地域の人々と交流す
ることで、豊かな人間性と社会性を培うことが期待できる。
掲載した3市の事例、福島県福島市、新潟県上越市、福岡県宗像市の共通点は、どれも
地域の教育委員会が学校と地域社会をつなぐコーディネーター役となり体験活動を推進
し、行政、学校、保護者、地域のそれぞれが、その役割を果たすことによって、成果を上
げていることにある。
3市の取組は、今後、全国の市区町村教育委員会等が、地域と一体となって、体験活動
を中心にキャリア教育を進めていくために極めて参考となる事例である。
市区町村教育委員会においては、学校、PTA、ハローワーク、商工会議所、商店会や
農協等により構成される、キャリア教育にかかわる体験活動を実施するためのより具体的
な協議や情報交換、体験先の開拓などを行う場を設けるなど、効率的なシステムづくりに
積極的に取り組むことが求められる。地域と密着した実効性のある協議の場として、この
実行委員会において市区町村教育委員会は、中心的な役割を果たし、都道府県教育委員会
との緊密な連携の下に、学校現場における展開に際し、指導・助言を行い、また、コーデ
ィネーターとしての役割を積極的に果たすことが求められる。例えば、各学校での体験活
動前後での取組として、事前では、事業の企画、立案、事業所の確保、ボランティアであ
る支援スタッフの募集など、事後では、学校、事業所、家庭等に対するアンケート調査の
実施及び分析などを行うとともに、次年度への協力を要請することなどがある。これら一
連のことにより、次年度の協力体制をさらに充実させ、ひいては、地域全体の教育力を掘
り起こし、活性化につながっていくのである。なお、その際には、市区町村における観光
課、産業課や商工課等の各関係部署と連携し、各学校に対し、都道府県教育委員会から提
供された国が実施する施策等に関する各種情報を十分に理解した上で各学校に周知を行
い、各学校で円滑に体験活動が実施できるよう具体的に指導・助言することが重要である。
さらに、広報啓発活動などを通じて地域ぐるみで体験活動を実施する気運を醸成すること
が求められる。
(2)市区町村の取組
教育については、学校のみならず家庭、地域に対してもその役割と責任を自覚すること
が求められたのであり、その上で、三者の連携・協力が求められる。学校が「地域社会の
教育力」を活用し、かつそれを形成していくとともに、地域が学校を通して教育に参画す
る新たな方途を探索していくために、学校と家庭、地域との連携・協力、いわゆる「ヨコ
の連携協力」が重要となる。すなわち子どもたちの発達段階に応じての組織的、系統的な
学習、いわゆる「タテの接続」とともに、もう一つの視点として学校と地域が効果的な連
携をし、地域の教育力を活用するという「ヨコの連携・協力」という視点が重要なのであ
る。
このような中で、地域で体験活動を円滑に実施するためには、学校は家庭や地域にある
企業等との積極的な連携を図り、地域の教育資源を有効に活用することが必要である。さ
らに、子どもたちを地域社会全体で育てるという気運を高めるとともに、学校・家庭・地
域が一体となった取組となることが望まれる。
教育委員会がコーディネーター役となって、事業を活性化させた取組
活 ○実行委員会の設立及び教育委員会がコーディネーター役となることで、事業が
動
活性化
の ○学校と教育委員会の共同事業
特 ○地域、事業所、家庭、学校、教育委員会の役割分担の明確化
色
宗像市が実施している中学校職場体験「ワクワクWORK」は、平成11年度か
活 ら市の指定校による調査研究を行い、初年度3日間、翌12年度からは5日間に延
用 長し実施した。その研究成果を受け、平成14年度からは宗像市内全中学校で5日
の 間の職場体験を実施してきた。現在9月に市内全7中学校が一斉に実施している
ポ が、この取組を円滑に進めるために、地域や事業所、家庭、学校、教育委員会の
イ 役割を明確にし、事業の効率化を図っている。特に、コーディネーターとして大
ン きな役割を果たしているのが市教育委員会であり、他の地域で推進していく上で
ト 参考となる。また、これ以外にも本市は小中を通じて様々な体験活動に積極的に
取り組んでおり、体験活動の在り方全体についても参考となる。
学 校・家庭・地域 ・行政が一体 となって進め るキャリア教 育
(福 岡県宗像 市教育委 員会)
○行政、学校、地域支援センター、受入事業所が連携した支援体制の確立
○商工会議所、公共職業安定所、雇用環境整備財団等による受入事業所開拓
○職場体験の受入のシステム化
○事前・事後指導の充実
○小学校・中学校・高等学校・大学による校種間連携した店舗経営の取組
本市では、地域連携と校種間連携を視野に、キャリア教育にかかわる体験活動
の推進に取り組んでいる。
職場体験の円 滑な実施ができるよう、行 政、学校、上越地域学校教育支援セン
ター、受入事業所等により連携した支援体制が確立されている。
また、地域の活性化を図るための体験学習として、市内の小学校、中学校、高等
学校そして大学の、児童生徒そして学生が一体となった取組は全国的にも例はな
く、今後学校種間の連携・協力により、キャリア教育を進めていく上で参考となる。
地 域連携 と校種 間連携に よる「ゆめ 」をは ぐくむ体験活動
(新 潟県上越 市教育委 員会)
家庭・地域社会と連携し、学校と地域が一体となって生徒を育成
○市内20校の中学2年生全員による5日間の職場体験実施
○体験活動を通して、自己の生き方を見付けることがねらい
○市中学校長会及び市各部局を挙げての取組、推進委員会の設置
○「地域に学ぶ中学生体験活動」実行委員会の設置
○多くの受入先事業所及びボランティアの方々の存在
○市医師会との連携
本事業は全市的な支援体制の下、PTA、地域諸団体、青少年健全育成推進会
代表等で組織した実行委員会を中心に推進されている。
「 指 導 ボ ラ ン テ ィ ア 」、「 訪 問 ボ ラ ン テ ィ ア 」、「 引 率 ボ ラ ン テ ィ ア 」 等 、 多 く
の方々の協力を得ている。
福島市の取組 は家庭や地域社会との連携を深め、地域の人々と一体となって生
徒を育成するという観点から参考となる。
「地域の子どもは地域で育てる」をスローガンに、キャリア教育にかかわる体験活動の推進
活
動
の
特
色
活
用
の
ポ
イ
ン
ト
活
用
の
ポ
イ
ン
ト
活
動
の
特
色
地域に学 ぶ中学生 体験活動 事業(福 島県福島 市教育委 員会)
176
4
3
2
1
東京都墨田区立寺島中学校 主幹
今野
惣脇
こ の調 査 研 究 にか か る 庶 務は 、 生 徒 指導 研 究 セ ンタ ー が 処 理す る 。
庶務
調 査研 究 の 実 施に 当 た っ ては 、 学 識 経験 者 、 教 員等 の 協 力 を得 る こ と がで き る 。
生徒指導研究センター長(平成 19 年 7 月 6 日から)
生徒指導研究センター総括研究官
藤平
生徒指導研究センター総括研究官
生徒指導研究センター総括研究官
三好 仁司
滝
生徒指導研究センター企画課長
生徒指導研究センター企画課企画係長
生徒指導研究センター企画課指導係
太田 敏彦
渡辺 桂子
五十嵐 裕
充
教育課程研究センター基礎研究部総括研究官
名取 一好
敦
生徒指導研究センター総括研究官
生徒指導研究センター長(平成 19 年 7 月 5 日まで)
宮下 和己
宏
大槻 達也
国立教育政策研究所においては、次の者が担当した。
(4) そ の 他
実 施方 法
福岡県立筑紫丘高等学校 教諭
九州大学大学院 准教授
埼玉県ふじみ野市教育委員会学校教育課 指導主事
筑波大学大学院 准教授
◎…主査 ○…副主査
和田美千代
◎吉本 圭一
堀川 博基
○藤田 晃之
和歌山県立和歌山工業高等学校 副校長
中前 耕一
(3) 諸 課 題 や 効果 等 の 検 証
方 法や 地 域 の 関係 機 関 、 企業 等 と 学 校間 の ネ ッ トワ ー ク の 構築 に つ い ての 検 討
(2) 小 学 校 ・ 中 学 校 ・ 高 等 学 校 に お け る 職 業 に か か わ る 体 験 活 動 の 効 果 的 な 普 及 ・ 促 進 の
の 情報 収 集
(1) 小 学 校 ・ 中 学 校 ・ 高 等 学 校 に お け る 職 業 に か か わ る 体 験 活 動 の 先 進 的 な 取 組 に つ い て
調 査研 究 の 内 容
う。
の方法や地域の関係機関、企業等と学校間のネットワークの構築についての調査研究を行
て、各学校段階を通じた計画的・体系的な職業にかかわる体験活動の効果的な普及・促進
そこで、これまでの調査研究で得た成果や課題等を踏まえ、さらなる発展的な取組とし
る 体 験活 動 の 一 層の 改 善 ・ 充実 が 求 め られ て い る とこ ろ で あ る。
観の育成が課題となっており、このため、職場体験・インターンシップ等の職業にかかわ
をめぐる環境は大きく変化している。こうした中、子どもたちの進路意識や勤労観、職業
玉川大学通信教育部教育学部 准教授
坂野 慎二
晋
栃木県芳賀郡市貝町立市貝小学校 教諭
河俣久美子
今日、産業・経済の構造的変化や雇用の多様化・流動化等を背景に、子どもたちの進路
目的
千葉商科大学 教授
鹿嶋研之助
静岡県富士宮市立東小学校 教諭
秋山 勝美
国立 教 育 政策 研 究 所 長決 定
作成協力委員 <職名は平成20年3月31日現在>
平 成 1 9 年 4 月 1 日
地域の教育力を活用した職業にかかわる体験活動についての調査研究
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