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「教 員 の コ ンピ テ ンシ ー 」概 念 導 入 の 必 要性
∼教員のスタンダー ド研究の課題
付録 :【 翻訳資料】オランダの教員のコンピテンシーリスト
武
田
信
子
1.問 題意識
2.コ ンピテンシー研究の動向
専 門職 としての教員 は, どの よ うな資質 を身 に
つ けて い れば よいのだろ うか ?筆 者 はか つ て, 日
専門職 には,そ の業務 を十分に遂行するために
必要な コンピテ ンシーがあると言われてい る (マ
本 の 教 員養 成 とOISE(オ ン タ リオ教 育研 究所 )
クレラ ン ド1973)。 コンピテ ンシー とは「ある職
の教員養成及 び トロ ン ト大学大学 院 の ソー シヤル
ヮー カー養成 との比較 を行 い,専 門職養成 として
務又 は状 況に対 し,基 準 に照 らして効果的あるい
は卓越 した業績 を生む原因 として関わつてい る個
の 教 員養成 には コ ンピ テ ンシー リス トの開発 や
人 の 根 源 的特 性 」 と定義 され る
,
(ス
ペ ンサ ー
理 論 と実 践 の 統 合 が 必 要 で あ る と指 摘 した
2001)が ,一 方で,専 門職の養成 に採用 される場
また,他 の専 門職 の 力量形成 にお い て も
合は,そ れに加 えて知識や技能を含 める場合があ
コンピテ ンシー概念 の導入 が必要であ るこ とを指
る。本稿では,高 山 (2008)に 倣 って「知識や技
摘 しつつ (武 田2004他 ),実 際 に子 育 て支援 者 の
術 を含めた仕事上 の役割 や機能をうまくこなすた
コ ンピ テ ンシー リス トの作 成 を行 って (峰 村 他
めに必 要 な行動 として安定 して発揮 される能力」
2∞ 5, 汐見他 2tX16他 ),そ れ を用 い た現場 ス タッ
とする。
(2000)。
では,対 人支援職であ る教員 に必要な コンピテ
フの研 修 にあた って きた。 その上 で2006-2008年
ンシーはどの ようなものだろ うか ?
度 にはオラ ンダの教員 の コンピテ ンシー研究 を調
マ クレラ ン ド (1973)は ,旧 来の学問的適性 テ
査 し,複 数 の リス トを入手 して,そ の一 部 を翻訳
ス トや知識内容テス ト, さらに学校 の成績や資格
した (未 公刊 )。
それ らの経緯 の 中で , 日本 にお いて, コ ンピテ
証明書 では「職務 上での業績や人生におけ る成功
ンシー とい う概念 そ の ものが 誤解 して受 け止 め ら
は予測 しえない」 ことを多数 の研究結果 か ら明 ら
れて い る場合 が少 な くな い こ と,つ ま り「能力」
かにした。実際,現 在 の教員養成制度 にお いて大
と同 じ言 葉 で あ る と考 え られ た り (翻 訳 され た
学 の成績や教員免許 の所持 か ら教員 の業績 を予測
り),従 来 の「 評価 」 と同 じように使 う もので あ
る と考 え られた りす ることに気が つい た。 コ ンピ
で きるものではない し,教 員採用試験 の結果が よ
テ ンシー概念 は従来 の 日本 の 能力評価 の考 え方 と
ない。
い教員になれるとい う保証 には必ず しもなってい
そ こで,マ クレラ ン ドは この課題 に対 して
は大 きく異 なる概念 であ るため, 日本 では,一 時
,
た とは言 えないの が現状 で,世 界 に広が る有用 な
①す でに職務 で成功 を収めてい る人たちとそうで
ない人たちとの比較 を行 う ②将来の業績 の予測
概念が活用 されて い ないの は誠 に残念 な こ とであ
指数 は,組 織化 されてい ない状況 でその個人が 自
る。
発的に考える行動,あ るい は過去の組織化 されて
期流行 した企業 にお い てす ら十分 に活用 されて き
そ こで 本稿 では,教 員 のス タ ンダー ド研究 の盛
い ない状況でその個人が実際 に示 した行動である
んな今 ,な ぜ 加 えて コンピテ ンシー研 究が必要 で
と考え,そ れを見つ けだす行動結果面接 を① の人
あ るのか説明 し, さらに参考資料 としてオラ ンダ
たちに実施す る,と い う対応方法 を考えた。そ し
の 教 員 の コ ンピ テ ンシー リス トを紹介 す る こ と
て,実 際に面接 を行ってその内容 の比較分析 をし
で,現 行 のス タ ンダー ド研 究 の課題 を明確化 した
い。
「学力 とは一切 かかわ りの ないス キ ルの 数 々が
,
卓越 した外務情報職員
(注 :こ
の ときの研究対 象)
の思考や行動 の 中に頻繁 に示 されてい る」 とい う
ことを発見 した。た とえば,他 の人の感性 に うま
―- 29 -―
く自分を合わせてい くことがで きる, とい うよう
作成す るか ,教 職課程教員や現職教 員 ,教 育委員
なス キルである。 このの ち コンピテ ンシー研究は
会 ,生 徒 な どにア ンケー ト調査 を行 って項 目を作
世界各国に広が り, 日本 にお いて も企業の職員養
成 し,そ の妥当性 を現場 に問 う, とい う旧来 の心
成で取 り入れ られ,一 部 は ゴール ドマ ンのEQ(感
理学研 究 の形で行 われて きた。 これ らの研 究方法
情指数)と して知 られるよ うにな りOECDの キー・
コンピテ ンシー研究 (1999-2002)│こ つ なが って
では,研 究者 た ちの頭 の 中に入 っている内容 の範
い く。
有能 な教員 に必 要 な項 目であ るか ど うか のチ ェ ッ
囲で しか項 目が抽 出 されず ,そ れ らの内容が真 に
また現在, 日本では,医 学教育はもちろん,社
クは な され ない。 また,作 成側 の現職教員や大学
会福祉士養成,看 護学教育,保 育者養成等 におい
教員が必 要 な項 目を抽 出す る力 を持 ってい る, と
て も, コンピテ ンシーが学会 レベ ルの テーマ とし
い う前提 は全 く疑 われてお らず ,そ れ らのチ ェ ッ
て取 り上 げ られるようになっているが,教 員養成
ク もな されて い な い。 ところが ,従 来 の教育 に課
については, ご くわずかの研究 しかない。中教 審
題があ る と認識 されて い るか らこそ,現 在 ,教 員
で一度, コンピテ ンシーベースの教員養成の必要
の 質が問われて い る。 この方法 では,従 来 の教育
性が話題 となったが,実 践 にはつ なが らなかった。
を超 えることはで きな い。
つ まり,こ こまでの教員の質保証 の議論は「お
3.教 員のスタンダー ド研究 とコンピテンシー
代わ りに, 日本 の教員養成 においては,教 員 の
そ ら くこ うであれば, よい教員が育つのではない
か」とい う仮定 によって なされて きた ものであ り
,
ス タ ンダー ド研究が盛んに行われてい る。しか し
そ こに具体的な コンピテ ンシー研究 のような根拠
北海道教育大学 の「 自己成長力 を高めるチェック
が不足 してい ると考え られるのである。
,
リス トの開発」 の ように,学 校現場や保護者か ら
一方,教 職課程履修生徒 に示 される教員 として
の意見 を加 えて リス トを作成 した例はあるが,横
望 ましいあ り方 のモデルは, まず,平 成 9年 の教
浜 ス タンダー ドを始め とす る各種 ス タンダー ド
が,残 念なが ら項 目作成 に コンピテ ンシー抽出の
養審第一次答申にお いて示 された「養成段 階で修
得すべ き最小限必要な資質能力」 つ まり「教職課
手法 を導入 してい ない。 また,教 員 のモデル・ コ
程 の個 々の科 日の履修 によ り修得 した専門的な知
ア・ カリキュ ラムが参考 に した 日本の医学教育に
識 ・技能 を基 に,教 員 としての使命感や責任感
おけるモデル・ コア・ カリキ ュ ラムは コンピテ ン
教育的愛情等 を持 って,学 級や教科 を担任 しつつ
シー研究 とともに策定 された (2002)の だが,教
大協のモデ ル・ コア・ カリキ ュ ラム研究などにお
教科指導,生 徒指導等 の職務 を著 しい支障が生 じ
いて,コ ンピテ ンシーの考え方は導入 されて きて
が,個 々の科 目で実際 に何 を教 えるかについては
い ない。
大学教 員の 自主性 に任 されていて,そ れ らが教員
,
,
ることな く実践で きる資質能力」 とされている。
,
先に述べ たように,マ クレラ ン ドは,従 来の タ
の資質向上に役立つ か どうか とい う内容 の検証は
ス ク分析 か ら始 まるス キ ル測定テ ス トの 開発 は
されてい ない し,例 えば「教育的愛情」が具体的
「高度 な レベ ルの職務 にお ける業績 を予測する点
にどうい う行動 を意味す るかについ ての正解 は提
では極 めて不適切 で ある ことが実 証 された」 (ス
ペ ンサー,2001)と い う。 とすれば教員のスタン
示 されてい ない。 これは,横 浜ス タンダー ド
(平
ダー ドに用 い られてい る項 目もまた,教 員の力量
成 18年 度)や 中教審答 申の「今後 の教員養成 。免
許制度の在 り方 につい て (中 間報告 )」 で示 され
形成に用 い ることが妥当であるか どうか,改 めて
た教員 として求め られる 4つ の事項
検討が必要であ る とい う ことになるのでは な い
任感,教 育的愛情等に関す る事項
か。
関係能力に関す る事項
とい うの も, これ までの教 師の専門性や質の研
究は,ほ とん どの場合,研 究者である大学教員が
現職教員 と協同 して,項 目を自分たちで検討 して
―- 30 -―
る事項
(使 命感や責
社会性や対人
幼児児童生徒理解 に関す
教科等 の指導力に関する事項 )に ついて
も同様である。
現場 においては,使 命感 。責任感・教育的愛情
,
あるい は
「教師 としての良識」(横 浜 ス タンダー ド)
財 団児 童 関連サ ー ビス調査研 究等事業報告書 ,2006
といった抽象的な文言が実際の行動 として どのよ
高 山静子 「 コ ンピテ ンシー理 論 に基 づ く保 育士 養成課
うなものであるか示 されなければ, これ らの「評
程 の考察」保育士養成研 究 ,第 26号 ,2008
価基準」 は評価す る者 によって変動 して しまう。
武 田信 子 「 日加 比較 に基 づ く教 員養 成 カ リキ ュ ラ ムの
教養審答 申にも「科 目の履修 により習得 した専門
的な知識 。技能を基 に」 とあるように,実 際 の と
再検討」武蔵大学教職課程研究年報 ,第 14号 ,2CXXl
武 田信子 「心理 臨床家 に求 め られ る子 育 て支援 の コ ン
目)の 範囲内で「使命感 。責任
ピテ ンシー」 日本心 理 臨床 学会 第24回 大 会発 表論 文
ころ大学教育 (科
感 。教 育 的愛情 」等 を図 る こ とは 困難 で あ る。
2002年 度か らの導入が決定 してい る 『教職実践演
集 ,2005
武 田信子他 シ ンポ ジウム『 ど うな る『教職 実践演 習』 ?
習』 にお いては 4事 項 の習得 が確認 される必要が
構 想 と課 題』「 関東 地 区私 立 大 学 教 職 課 程 研 究 連 絡
あ るとされるが,現 場 ではそれをどう確認す るの
協議会 第 二研 究部会 ア ンケ ー ト集計結果報告」2∞8
かについ て とまどいの声が出 てい る
(関 私教協
日本 医学教育学 会「基本的臨床技 能 の学 び方 ・教 え方」
,
南 山堂,2tX12
2C108)。
もし,学 校教員 として望 ま しい あ り方 の基 準が
峰村 芳樹 他 「地域 子 育 て支援 にお け る支援 者 の コ ンペ
明確 に示 されたな らば,教 員志望 の生徒 は, 自分
テ ンシー に 関す る研 究」平 成 16年 度 (財 )こ ど も未
のその 時点 での力量 を振 り返 り,適 性 を考 えた り
来 財 団 児 童 関 連 サ ー ビス 調 査 研 究 等 事 業 報 告 書
新 しい 日標 を立てて学習 して いった りす ることが
2CX15
,
,
で きるだろう。 しか し一方 でその基準 自体 の抽出
ライ ルM.ス ペ ンサ ー,シ グ ネM.ス ペ ンサ ー 「 コ ン
のあ り方 に問題があ る とした らど うだろ う ?ま
ピ テ ンシー・ マ ネ ジメ ン トの 展 開」 生 産性 出版
た,基 準 が,人 を型 にはめた り,萎 縮 させ た り
2CXll
,
評価 を意識 した対策を導 くものであ ったとした ら
どうだろ う ?型 破 りな存在や大器晩成型 の逸材
る子育 て支援 」 チ ャイ ル ド本社 ,20C19
,
先進的な人材 は早 々に外 されることになる。
ドミニ ク・S・ ライチ ェ ン
そ うい う意味 では,ス タンダー ドが コンピテ ン
シー概念 に基づ くもので あれば 『教育実践演習』
の導入 は意義あるものになる可能性 を持 ってい る
,
教員養成 に狭 い枠 をはめる ものにす るとした ら
効果 は望めないばか りか,逆 効果 をも生みかねな
いのである。 また,評 価で きない人格的側面 を評
価す ることを求め られた結果,大 学教員が さじを
投げる とい うこともない とはい えない。
せ っか く各種 のス タンダー ドモ デ ルが工夫 さ
れ,そ の導入が図 られようとしている今,そ れ ら
の知見 を生かすために,早 急 に コンピテ ンシー概
念が教員養成に導入 され, コンピテ ンシー に基づ
くスタンダー ドカミ
作成 されるべ きであると考え ら
(本 学教授 )
参考文献】
【
汐見和恵他「子育て支援活動における支援者の活動評
(財 )こ
立 田慶裕監訳「 キ ー・コ ンピテ ンシー 」明石 出版
2晰
McClelland, D.,Testing for competence rather than
1‐
,
価 に関する調査研究」平成17年 度
著
ロー ラ・H・ サ ルガニ ク編
for “
intenigence."American Psychologist, 1973, 28,
し,も しそ うでな く,従 来の教員養成の観点か ら
れ る。
子育 て支 援 者 コ ンピテ ンシー研 究会編 「 育 つ 。つ なが
ども未来
-31-
14
,
]オ ランダの中等教育及び職業教育を担 う教員に要請 されるコンピテンシー (訳
[資 料
)
httpノ /www.bekwaamheidsdossier.n1/cms/bllagen/SBLcompetencettand_v.pdf
(職 業教育 に関す る項 目の一 部 は略 )
資料解説】
【
翻訳 した。
ここ に掲 載す る リス トは,ユ ニ セ フの イ ノ
オ ラ ン ダで は,「 教育 の 自由」が保 障 されて
チ ェンティ研究所 の調査 (2007)に おいて「先
お り,教 員 たちが 自分 たちの教 育 を作 り上 げて
進 国 で一 番幸 せ と実感 して い る子 どもの多 い
い く自由度が 日本 に比 べ てはるか に高 い。 そ の
国」 また「幸福度総合 ラ ンキ ング 1位 」 とい う
ような中であえて全 国統 一の もの として作成 さ
結 果 を得,OECDの PISA学 力 調 査 (2006)で
も高 い成績 を収めてい るオランダ (科 学的 リテ
れた コンピテ ンシー リス トは,作 成 の経過にお
ラシー 日本 6位 , オラ ンダ 9位 ,読 解 と数学の
参画を得てい る。
いて, さまざまな形で多 くの教員や一般市民 の
リテラシーはオランダが 日本 よ り上位 )の SBL
なお, この リス トはそのまま各学校 で用 い る
(教 員資質協議会 )が ,2000年 か ら2005年 にか
ものではな く, 自分たちの学校及 び学校群 に適
けて作成 した全国共通の教員 の コンピテ ンシー
切 な形に改変 して使 うための大筋 を示す もので
リス トである。
ある。各学校がそれぞれ独 自性 を持 つ オラ ンダ
では,一 つ の基準 ですべ てに通用 す るものはで
オラ ンダの教育は,学 校教育体制 の相違やオ
ル タナティブ教育 の拡が り (永 田,2005, リヒ
テルズ2004)な ど日本 の教育 とは異 なる点 を多
きないか らである。それ らの資料 もまた別の機
会に紹介する予定 である。
く持 つが,不 登校や学級崩壊 など教育に大 きな
(参 考文献)
問題 を抱 えてい る日本の教 育 との対比 の 中で一
永田佳之「 オルタナティブ教育」新評論,2005
つ の代替モ デルとな りうると考え,こ の資料 を
リヒテルズ直子 「オラ ングの教育」平凡社 ,2004
*
1.対 人関係の コンピテンシー
中等教育 。職業教育 を担 当す る教員は,学 級に楽 し
この 条件 を満 たす ため に教 員 は次 の こ とをす る必
要が あ る。
ヽヽヽ
コ
く生 き生 きとした学びの風土 を生み出さな くてはな ら
。生徒 とふれ合 い
ない。それは教員 の責任 であ り,そ の責任 を果たすた
クス させ る。
めに教員 には対人関係 のコンピテンシーが必要である。
生徒 自身が学習 のプロセスで活動 で きる枠組みを提
ョンを求 め,リ ラ ッ
示 し,支 援する。
対 人関係 の コ ンピテ ンシー を持 つ 教員 は よい リー
ダー シップを示す ことが出来る。友好的な,ま た協力
生徒 と共にまたは生徒 間で協働 で きるような雰囲気
的な雰囲気 を作 り,開 かれた コ ミュニ ケー シ ョンを促
をつ くりだす。
し,達 成する。教員は,生 徒 たちが 自律的 であるよ う
*
主導 と追従・
に励 まし,対 人関係において,指 導 と相談 。
きなければな らない。
この 条件 を満 たす ため に教 員 は次 の こ とが充分 で
対決 と和解・ 是正策 と刺激 の ち ょうどよいバ ラ ンス を
生 徒 た ち の社 会 環 境 や 就 労 実 習 に お け るマ ナ ー や
見つ けようと努 める。
ルー ル, コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの プ ロセス につ い て十
分 な情報 を得 てい る こ と。
コ ミュ ニ ケ ー シ ヨンの理 論 や集 団力学 ,異 文化 間 コ
必要な コン ピテンシー
教員 は, 自分 の行動 やその行動 の生徒 へ の影響 を認
ミュニ ケ ー シ ョンにつ いて,実 用 的 な レベ ルで 熟知
して い る こ と。 これ らの視 点 か ら,特 に 自分 自身 の
識 してい る。
教員 は,知 識 と技術 を十分に使 いこな し,生 徒 と共
にまたは生徒 同士 で協力的な活動 を進めて いけ るよ う
に学級 を運営 し,コ ミュニ ケー シヨンを促す。
一- 32 -―
行動 と生徒 た ちに させ る行動 に関 してそ の 意 味す る
ところを知 ってい るこ と。
対人関係 のコンピテンシーの指標 の例
。自分 の学級 で起 きて い るで きごとに気 づい て い る。
必要 な コン ピテ ンシー
十分 な教 育学 の 知識 や技 術 を持 ち,生 徒 が 自律 的 で
生徒の話に耳 を傾け,対 応する。望 ましくない行動
責任 の持 て る人間 に成長 で きる ように確 か な学習環境
につい ては声 をかけ,期 待 される行動 をす るよう働
を創 り出す。
きかける。生徒 をあるが ままに受け入れ,教 員 を尊
学級 に対 して も生徒個 人 に対 して も確 か な学習環境
を実現 す る。 それ はす べ て専 門的か つ 体 系 的 な方法 で
重 し,お 互 い を尊重 しあうよう求める。
・学級 の雰囲気 につい て生徒 に共同責任 を持たせ,生
行 われ る。
*
徒 がイニ シアチプを持つ ことを高 く評価す る。
・生徒 と協働 し,ま た生徒が協働するよう働 きかける。
生徒の質問をいつ も受け入れ,生 徒 の話 に理 解 を示
この 条件 を満 たす ため に教 員 は次 の よ うな行動 を
とる必要があ る。
・学級 の社 会的 な雰 囲気 と,生 徒 一 人 ひ と りの よい あ
りか た と, 自立 と責任 を身 につ けて い くプ ロセス に
し,心 に留め置 く。
つ い ての青写真 を作成す る。
・生徒たちがよく協力 し合ってい ることを高 く評価 し
,
・ これ らにつ い ての観察 に基 づ き,教 員 は,安 全 で調
互 い に思 いやってい るか確認す る。
和 の とれ た生 活 と学 びの風 土 に生徒 を導 き,同 時 に
・言葉 の使 い方,マ ナーや コ ミュニケーシ ョンの仕 し
生徒 の社 会 ―情緒 的,道 徳 的発 達 を促 して, 自立 し
て,生 徒 たち自身の社会環境 のルールをよく考える。
・ コ ミュニ ケー シ ヨンパ ター ンや異文化集団の相 互 関
係 について述 べ ,説 明する ことがで きる。必要 であ
た責任 あ る人間 に導 くた めに,計 画 し,方 策 を立て る。
・ そ の計画や方策 を実行す る。
。そ の計 画 や方策 を評価 し,必 要 で あれ ば,学 級全体
ればその改善策を知 っている。
・異文化 のグルー プや一人ひとりの生徒 とのふれあ い
方 を説明,理 由を話す ことがで きる。その際,理 論
や 一 人 ひ と りの生徒 にそれ を合 わせ る。
・ 生徒 の社 会 ―情緒 的 ,道 徳 的成長 にお け る問題 や障
害 に焦点 をあ て,必 要 で あれ ば,同 僚 と共 に,そ の
的方法論的 にどう考えたか語ることがで きる。
問題 に対応す る計画や方策 に取 り組 む。
2
*
教育者 としての コン ピテンシー
中等教育 ・職業教育 を担当する教員は,生 徒 たちが
この 条件 を満 たす ため に教 員 は次 の よ うな知識 を
持 たねばな らな い。
将来 の夢や可能性 が よ く見えてい る 自立 した責任ある
。生徒 の社会環境 ,主 要 なニー ズ,期 待 をよく知 ってお
人間になる よう支援 しなければならない。それは教員
り,そ れ らが文 化的 に規定 され るものであるとわか っ
の責任 であ り,そ の責任 を果たすために,教 員には教
て い る。 またそれ らへ の対応 の仕方 を知 ってい る。
育者 としての コンピテ ンシーが必要である。
・ 生徒 た ちが将 来 の 職業生 活 の 中でかか わ っていか な
教育者 としての コンピテ ンシー を持 つ教員 は,確 か
くてはな らない企業文化 をよ く知 ってい る。
な (safe)学 び と学習環境 の基礎 の上 に,生 徒が選択
・ 十代 の 若 者 ,青 年 や大 人 の 社 会 ―情緒 的,道 徳 的発
をせ まられた とき支えとなるよ うな構造 を提供 し,生
達 につ い て,ま た同時 に起 こ りうる問題 や障害 につ
徒 の さらなる個人的成長 を促す。その ような教員 は生
い て よ く知 ってい る。教 員 は これ らの 問題 につ い て
徒が確実 に
指摘 した り対応 した りす る方法 を知 ってい る。
,
・所属感 を持ち,受 け入れ られ,価 値 を認め られて い
・多様 な教 育実践 に も発達理論や教育理論 に も詳 しく
,
また,そ れ らが文 化 的 に規 定 され る もので あ る とい
ると感 じる
。お互 い に尊重 しあい,責 任 を持ち合 う
うことを知って い る。 つ ま り教育実践や,自 分 自身
。イニ シアチプを取 り,自 律的に学 ぶことがで きる
の教員 としての行動 の あ りかたが,そ れ らの理論 と
。自らの適性や将来 の夢 を見出 し,そ れに基 づ い て
つ ながってい るとわかってい る。
,
さらなる学問や仕事 の選択がで きる
・ 十代の若者,青 年や大人が どの ようにアイデ ンテ ィ
ようにする。
テ イや価値観 を発達 させるか,自 分 の人生にどの よ
うに意味 を見出すかを知 っている。教員はそのプ ロ
セスが文化的に規 定 されるものであるとい うことを
―- 33 -―
知 っていて,自 分 自分 の行動 のあ り方に も影響が及
ために教 員 は教授内容や教育方法に関す る十分な知識
んでいることを知 っている。
を持たなければならない。
教科 の知識や教育方法 につい て十分 な コンピテ ン
教育者の コン ピテンシーの指標 の例
。生徒 たちがお互いにどの ように意志 を伝 えあ い,共
シー を持 つ教員は,他 の人 々 とともに,職 業や社会に
おける現実的で適切 な知識 とつ なが りをつ くる ことに
に活動す るかを観察す る。そ してそれが (一 人ひと
よって,強 力な学習環境 を作 り出す。このような教員 は
りの)生 徒 の幸 せ にとって重要であるとい うことを
・ 自分の行動 と生徒 へ の働 きかけ方 を適切 に調整 し
;
,
知ってい る。 コ ミュニ ケー シ ョンのマ ナーやクラス
ー 人ひとりの違 い を考慮する。
。例えば課外 カリキュラムの学習 の可能性や職業実習
の雰囲気について生徒 と話 し合 う。
。生徒 たちの貢献 を高 く評価 し,彼 らの考 えに関心 を
の よ うな (個 に応 じた)教 育 の進 め方 を,生 徒 と共
持 ち,常 に敬意 を表する。生徒 自身の意見や行動 を
に決定する。
・生徒 の学習意欲や仕事 に取 り組 む意欲 をか きたて
批判的に振 り返 らせ,学 級で話 し合 うよう働 きかける。
。自分 の担当学級 の社会的風土 を十分 に分析 し,そ の
,
生徒が最善 を尽 くす よう発奮 させ,そ れが うまく達
ことについて同僚 と意見交換する。
成できるよう手助けする。
・生徒一人ひとりの発達上,行 動上 の 問題 に焦点 をあ
・生徒が互 いか ら学びあ うことを教 え,同 時に生徒 の
て,そ れについて何 をどうした らいいのか, しない
自立 を促す。
方が いいのか,同 僚 たちと話 し合 う。
・ 自律的に学習 し協働するよ うに生徒 たちに働 きかけ
必要な コン ピテンシー
る。刺激 を与 えた り,達 成結果や,学 びや協働 のプ
中等教育 ・職業教育 を担当す る教 員 は,教 科 の知識
ロセスを振 り返 らせた りして,生 徒たちの 自立心や
と教育方法に関する責任 を負 う。
協働する力を高める。
教 える教 科 の 内容 に関 して十分 な知識や技術 を持
。生徒 たちの相違 を公正 に扱 う :そ の相違 を考 慮 し,
ち,生 徒 たちが適切 に教科や職 の 内容 について学 びと
教育実践 の中にそれらを含める。
る効果的な学習環境 を作 るためにどの ような教育方法
・生徒が よ り高 い学 びや職業 を選択するよう支援する。
が適 してい るか知ってい る。
生徒の夢や実力に応 じた適切な助言でそれを行 う。
教員は担 当の学級 と生徒 一 人ひとりのために,効 果
・ 自分 の職業観,価 値観や基準 に気づいてお り,そ れ
的な学習環境 を実現する。そ して,そ れを時代 に合 っ
を生徒 に示 す。例 えば,教 員 の価値観や職業観が生
徒 たちとの仕事 の 中で どの ような役割 を演 じている
た専門的でシステマテイックな方法で行 う。
*
この条件 を満たすために,教 員 は次のよ うに行動
か,説 明す ることができる。
しなければならない。
。生徒 たちの,教 科 の課題 の習得段階や学習方法 につ
・ 自分 の教育観や,そ れをどのように一人ひとりの生徒
に適用 してきたかを説明することがで きる。その際,
いて,正 しい把握 に努める。
・ これ らの観察 に基づいて,多 様な学習活動を考案す る。
理論的方法論的にどう考えたか語る ことがで きる。
それ らは,生 徒 たちに とって実践可能で,必 要 に応
3.教 科の知識や教育方法 に関するコンピテンシー
じて選択可能な, 自律的な学 びを促す ものである。
中等教育 ・職業教育 を担当す る教員は,生 徒 たちが
・ これ らの活動を生徒 たちと一緒に実践する。
。これ らの活動 とその効 果 を評価 し,必 要 とあれば
教科や職業 の学習内容 を身につ け る手助けをしなけれ
,
学級全体,あ るいは生徒 一 人ひ とりに合 わせて調整
ばな らない し,そ れ らを毎 日の生活や学びの状況 の 中
で用 い ることがで きるように しなければならない。
する。
。学習 上の 問題や障害 を指摘 し,必 要 であれば同僚 と
さらに教員は生徒たちが,社 会についての洞察を深
ともに適切な計画や アプ ローチを実行する。
め,働 くことを通 して何が得 られるのかわかるように
手助けしな くてはならない。
*
それは教員の責任 である。 この責任 を十分に果たす
この条件 を満たすために教員 は次の ような知識 を
持たねばな らない。
―- 34 -―
。自分 が責任 を持 つ 学 習 内容 につ いて深 い 知識 を持 ち
課題 ,教 材 ,教 具)を する。
か つ 熟 知 して い る。 そ して, 自分 の 学習 と職業 経験
・ICTの よ うな現代教育資材 を活用す る。可能であれ
か ら,理 論 的 また,(職 業 )実 践 的背 景 につ い て 精
ばe_learningの 環境 を利用する。それにより場所や時
通 して い る。
間の拘束 を受けずに学習が可能 とな り, さまざまな
・ 生徒 の 将来 の職 業 や 日々の 生活 にお い て,学 習 内容
場所か らの学習へ の効果的な コ ミュニ ケー ションを
が い か に大切 であ るか認識 して い る。
支援で きる。
。生徒 にさまざまな学習活動の狙 いが何 を目標 として
・ 学校 内 または コース 内 の他 の科 目や仕事 につ い て も
,
い るかを明確 に説明する。又は生徒 に与 え られた枠
大体 の 内容 を理解 して い る。
・生徒 た ちが過去 に何 を どの よ うな方法 で 学習 して き
たか ,そ してそれ を 自分 の教 育 方法 に ど うつ なげて
組みの中で 自分 自身の学習 目標 を組み立てさせる。
・振 り返 りの討議 を通 して生徒 に学習 プ ロセス を指導
い け ば よい かの大筋 を とらえて い る。
する。それにより生徒 は自分の学習上の問題 を明確
。(研 究 に基 づ く)教 育 デザ イ ンや ,教 育方法 ,ICTを
にでき, 自分 の学習プ ロセスの舵取 りがで きる。
・生徒たち との交流において,生 徒が例 えばどこか の
含 む学習教材 につ い ての知識 を持 つ 。
学習 プ ロセスで得た知識や経験 を活用す る。そ うし
・ 多様 な教授 学 習理論 や ,中 等 ・職 業教育 の ア レンジ
の 仕 方 (職 業 を意識 した他 の 即 戦 的 な教 育 方 法 等 )
て教育活動 を,時 宜 を得た ものに し,生 徒 たちが互
を熟 知 してお り,か つ それ らを どう実践 につ なげ る
いの知識 を分かち合 い学習 しあうよう働 きかける。
・生徒 の活動や ものごとへ のアプローチの仕方 に対 し
か知 って い る。
・ 生徒 た ちの学 習 の仕 方 ,学 習 の ユー ズ,発 達 の 仕 方
肯定的な フイー ドバ ックを与える。評価やテス トに
や出会 う課題 をよく知って いて,そ れにどの よ うに
基 づ き生徒 の知識や スキルに対 して信頼で きる判断
対処 してい くかわかってい る。
をする。
・生徒 たちの言語習得 ,言 語運用能力が学習 にどれだ
・研究調査 に基づい て (同 僚 と協力 して)教 育 をデザ
け影響 を与えるか知 ってお り,実 践 の場 で どう考慮
イ ンする。
。(同 僚 と共に)評 価 の方法 を開発する。
してい くかわかってい る。
・ よく生 じる学習障害や教育上 の障害 につい て,実 践
・生徒たちが どのようにして学習 しどのように向上 し
,
的な知識があ り,そ れ らにどの ように対処 してい く
どのよ うな長所 ,短 所 を持 っているか,ま た彼 らの
かわかってい る。
学習 を刺激す るためにどの ように働 きかけたかを明
・ 十代 の若者,青 年,そ して大人がアイデ ンテ ィティ
確 に述べ ることがで きる。 また,学 習上 の課題 を指
や価値観 をどう発達 させ,人 生 をどう意味づ けるか
摘 で き,こ れを教 員 自身で解決 で きるか どうか判定
知 ってい る。 また,そ れ らのプ ロセスが文化的に規
で き,校 内外 の どこで教員や生徒が解決へ の支援 を
定 される こと も知 っている。そ して, 自分 の行動 に
得 られるかわかってい る。
・学級や生徒たちの扱 い方につい て も,教 科 の課題や
それ らの結果をどう結びつ けてい くか心得てい る。
教育方法 に関す る視点について も,そ れが正 しい と
教科 の知 識や教育方法に関する コン ピテンシーの指標
説明で きる。その際には,理 論的方法論的な洞察 を
の例
。生徒 に与 える課題,演 習,テ ス トを間違 えることな
用 い る。
くで きなければならない。そ してそれについ て明確
4
に実演,説 明で きなければな らない。 これは 自分 の
担当す る教科 (分 野)に 関するものについてである。
組織化の コン ピテンシー
中等教育 ・職業教育 を担当す る教 員は, 自分 の教育
的実践 と校 内 と職場実習 での生徒 の学 びのプ ロセスに
・生徒 に課題や論題 ,実 施方法 の選択権 を与 え,生 徒
関 わるあ らゆる組織化 の仕事に気 を配 らな くてはなら
が教育 プ ログラムにおける 自分 の活動 に能動的にか
ない。それは教 員 の責任 であ り,こ の責任 を全 うする
かわるよう心がける。生徒が 自分のペースやや り方
ためには教員は組織化の コンピテ ンシー を持たなけれ
で活動 で きるよう,事 前準備 (雰 囲気作 り,組 織立 て
ばならない。
,
―- 35 -―
組織化の コンピテ ンシーを持つ教員は,生 徒たちの
組織化 の コン ピテ ンシ ーの指 標 の例
ために,う まく構成 された課題中心の学習環境を作 り
・ 生 徒 た ちが受 け容 れ てい る具体 的 で機 能的 な手順 や
出せる。
決 ま りご とを適用 す る とき,一 貫 して矛盾 が な い こ
教員は,学 びのプ ロセスが,異 なる場 (例 えば校内
と。組 織 形 態 や補助 教 具 ,教 育 的資料 を提 供 し,こ
の異なる場,作 業実習,職 業訓練や課外 カリキュラム
れ らが 学習 目標 や学習活動 を支援 す る。
な ど)で 展 開 される時は いつで も,(で きれば他 の指
・ 明確 な計 画 に従 い,生 徒 た ちに選択 を まかせ る。選
導者 と協働 して)そ れ らの活動 を互 い にす り合わせて
択肢 は生 徒 た ち と議 論 し,可 能 で あれ ば生徒 と とも
さまざまな場に取 り入れる。教員は生徒たちが確実に
に描 き出す。使 える時 間 を適切 な方法 で用 い る。 予
。自分 の立 ち位置や, 自発的に動 くための視野 の 巾 を
期 しな い状 況 に対 して専 門家 と して即応 し,そ うす
知ってい る
る際 には,は っ き りと優 先すべ きもの が見 えて い る。
。生徒 たちが,自 分が しなければな らないこ と (で き
・ 同僚 や実 習先企業 ・ 機 関 の 指導者 と協 働 して,生 徒
ること), どんな 目的で どの よ うにそれ を しなけれ
の 評価 を ま とめ る。 この評価 につ い て生 徒 と明快 な
ばならないか (で きるか)を 知 っている
コ ミュニ ケ ー シ ョンを持 つ よ う心 が け る。
ようにする。
・ 自分 の 考 え,手 法 ,学 級経営 に責任 を持 つ こ とが で
きる し,(学 校 ,企 業 あ る い は機 関 にお け る )教 育
必要な コン ピテンシー
活動 に関 して所属組織 に責任 を持 つ こ とが で きる。
中等教育・ 職業教育 を担当する教 員 は 自分 の組織化
5
の責任 を果たす。
教員 は,学 級内あるい はそれ以外 の生徒 たちとのふ
同僚 との協働 の コン ピテ ンシー
中等 教 育 ・ 職業 教 育 を担 当す る教 員 は同僚 と確 実 に
れあ いの場 によい生活風土 ・学 びの風土 を作 るため
息 を合 わせ て仕事がで きなければな らない。教員 は,ま
組織化 に関する知識や技術 を持 っている :そ の風土 と
た,よ く機能 して い る学校組 織 に貢献 しなければな らな
は,す べ ての点 で うまくまとまっていて,秩 序があ り
い。 そ れが教 員 の 責任 で あ り,そ の責 任 を全 うす るた
課題 を最優先で きるような もので,先 生たち,同 僚
めに教 員 は 同僚 との協働す る力が な くてはな らな い。
,
,
,
同僚 と協 働 す る力 が あ る教 員 は,校 内 の 教育 的 な学
そもそ も生徒たちのための ものである。
びの風 土 や望 ま しい相 互協 力 を生 み,学 校組織 を よ く
教員は これ を専門的で体系的な方法で達成する。
*
この条件 を満たすために,教 員 は次の ように行動
す る こ とに貢献 す る。 つ ま り
,
。同僚 と効 果 的 に コ ミュ ニ ケ ー シ ョンを取 り,協 力 し
しなければならない。
・生徒 たちが受け入れてい る具体的で機能的な手順や
あ う。
・会議 ,校 内のそ の他 の 会合 ,あ る い は よ りよい 学校
決まりごとを適用するとき,一 貫 して矛盾がないこと。
・学習 目標や学習活動 を支援する教育的資料,補 助教
運営 のための活動 に建 設的 に関わ る。
・学校 の発展 と改善 に貢献す る。
具,組 織形態を用 い る。
・生徒 に知 らせ たプラ ンを しっか り守 る。その結 果
,
生徒 たちは自分たちのプ ラ ンをそのプランに合 わせ
必要 な コン ピテ ンシー
中等 教育 ・ 職業教 育 を担 当す る教 員 は,同 僚 との協
て調整す ることがで きる。 また教員はそ の時間を適
働 にお け る責任 を担 う。
切 に用 い る。
*
教 員 は充分 な知識 と技 術 を用 い,校 内 の よい教 育 的
この条件 を満たすために,教 員 は次のよ うな側面
に関す る知識を持たなければならない。
風 土 , よい職場 関係 , よい学校 組 織 に専 門家 として貢
・学級経営 の側面 に関す る知識。それは自分の教育活
献す る。
*
動 と関連 している ものである。
。学校や企業,公 開学習 セ ンター,職 場 ,実 地訓練や
実習 トレーニ ングなどの多様な学習環境 の組織的な
この 条件 を満 たす ため に,教 員 は次 の ように行動
しなければな らない。
・同僚 と仕事 の進捗 状 況 に関連 す る情 報 を共有 し,同
僚 か ら得 た情報 を利用す る。
側面に関する知識
―- 36 -―
。様 々 な会議 や校 内で の他 の協 働 に対 して建 設 的 に関
合 ってい るか確 認 してお く必要が あ る。 さ らに教 員 は
,
学校 と,関 連 の あ る組 織 との 間で の協 力 が うま く進展
わる。
・ 同僚 に対 し助言 をお こ ない ,助 言 を受 け い れ る。
す る よ うに力 を尽 くさね ばな らない。
・学校 の発展 と改 善 に対 し (研 究 を基盤 と して )貢 献
そ れ は 中等教育 ・ 職業教 育 を担 当す る教 員 の責任 で
あ り,こ の責任 を果 たす ため に,教 員 は学校 の周 辺環
す る。
*
境 との協働 に関す る コ ンピテ ンシー を必要 とす る。
この 条件 を満 たす ため に教 員 は次 の ような知識 を
周 辺環境 と協 働す る力が あ る教 員 は,生 徒 の 親 あ る
身 につ けなけれ ばな らない。
・ 実践 レベ ルで 同僚 と協 働 し,同 僚 に助言 す る方法 を
い は保 護者 との よい協 力 関係 を作 る こ とが で きる。 生
徒 へ の コ ンサ ル テ ー シ ョンにお いて,学 校 ,生 徒 ,担
知 って い る。
当 コー ス の 生 徒 が 関 わ っ て い る組 織 と よ い コ ミュ ニ
・ 実践 レベ ルで,児 童 の モ ニ タ リ ング シス テ ム や利 用
ケ ー シ ョンや調整 を行 うこ とが で きる。
しやす い業務状 況報告 の記述 の仕 方 に慣 れて い る。
生 徒 の 教 育 や福 祉 に 関連 して い る学 校 の 専 門 的 な
・ 中等教 育 ,職 業教 育 にお け る組織化 の形 態 や学校 運
ネ ッ トワー クを効果的 に利用す る。
営 につ いての知識 を持 ってい る。
学校環境 とこれ らの 周辺 環境 の連携 を指揮 し,注 意
・ 質保 証 モ デ ルや ,教 育 改善 と学校 の発展 の 方 法 に精
深 く,責 任 を もって学校 のため にそれ を継続す る。
通 して い る。
必要 な コン ピテ ンシ ー
同僚 との協働 の コン ピテ ンシー にお ける指標 の例
中等教 育 ・職 業教 育 を担 当す る教 員 は学校 の 周辺環
・ 自分 の教育活動 の準備 ,実 践 (チ ーム テ ィー チ ング),
評 価 に お い て ,同 僚 (教 員 , イ ンス トラ ク タ ー
境 との協 働 に対 し責任 を引 き受 ける。
,
教 員 は十分 な知識 と技 術 を用 い,生 徒 を教育 し職業
AT)と 協 力 し合 う。 また,入 手可能 な記録 を保管 し
,
訓練 す る中で 日常 の責任 を果 た す ため に企 業 あ る い は
生徒 に関す るデ ー タを記録 す る。
協議 会 との 円滑 な協 働 を成立 させ る。教 員 は,さ らに
・教育や組織 の改善や刷新 に関 して同僚 と協 力 し合 う
,
,
例 えば,教 育 上 の課題 ,一 般 的 な教育 改革 の ため の
十分 な知 識 と技 術 を用 い,学 校 の周 辺環境 に位 置 して
枠 組 み を与 える評価 の 課題 と方法 を発展 させ る こ と
い る青年 の福 祉 に関わ る組 織 や 人 々 との良 い協 同 を継
に よって,ま た,中 心 とな るチ ー ム を構 成 し, と り
続す る。
わけ 自分 を鼓舞す る よ うなチ ームの構 成 を提供 す る。
*
・指摘 され て きた数 々の 問題 に取 り組 むため に,さ ま
この 条件 を満 たす ため に教 員 は次 の よ うに行動 し
なけれ ばな らない。
・ 親 た ちや 関 わ りのあ る他 の グル ー プに専 門的 な情 報
ざまな形 のア クシ ョンリサ ーチ を使 う。
を伝 え,そ して彼 らか ら得 た情報 を利用す る。
・ 教員 は仕 事 で誰 か を手伝 う よ うな問題 が起 きた とき
,
・生徒 や 関 わ りの あ る他 の グ ルー プ と共 に,校 内で の
同僚 たち を招集す る。 それが教員の責任 であ る。
・ 同僚 や学校 の利益 に理解 があ る。
学 び と校外 での 学 びが お互 い に連 動 しあ う こ と,全
・組織 に適用 され る契約 ,手 順 ,シ ステ ム に従 って働
ての人の責任 や貢献が明確 であ るよう,取 り図 らう。
・校外 の 人 々や組織 との い ろ い ろな形 の コ ンサ ル テ ー
くこ とで,効 果的 に機 能す る組織 に貢献す る。
。同僚 と協働す る場で, 自分 の考えと仕事 のや り方 を
報告す ることがで き, また,学 校組織 における自分
シ ョンに対 し建設 的 に貢献 す る。
。専 門家 の 意 見や生徒 との 活動 方法 につ い ての報 告 を
親 た ちや 関 わ りの あ るグ ルー プ に表 し,相 互 の承認
の機能 も報告することがで きる。
に よ り生徒 との活動 を採 用す る。
6
*
学校周 辺環境 との協働 に関 す るコンピテ ンシー
中等教育 ・職 業教育 を担 当す る教 員 は,生 徒 の 親 ま
この 条件 を満 たす ため,教 員 は次 の よ うな知識 を
持 たなけれ ばな らない。
た は保 護者 や ,学 校 が提 携 して い る実習先 や実習機 関
・ 親 た ちや保 護者 の社 会環境 や生徒 の 文化 的 な背 景 に
の仲 間 と継 続 的 に連携 す る こ とが必 要 であ る。教 員 は
つ い て よ く知 ってい る。 また教 師 と しての行動 の 中
そ の 職 業 上 の 行 動 が 学 校 以 外 の 人 々 の 行 動 と歩 調 が
にそれ らの要 因が考 え られ るこ とを知 って い る。
―- 37 -―
。学校 の一部 である職業的なイ ンフラ基盤 についてよ
く知 って してい る。
。生徒が関わるビジネス社会における文化や報告
7
省察 と成長の コン ピテンシー
中等教育・ 職業教育 を担当する教 員 は,個 人 として
書を
の成長 と専門家 としての成長 を遂げ続 けな くてはな ら
よく知ってお り,教 員 とい う立場 にどの よ うに対応
ない。それが教 員 の責任 であ り,そ の責任 を果たすた
するか知ってい る。
めに教員は省察 と成長 の力 を持つ必要がある。
・学校 と,学 校が提携 してい る組織や企業 との協働 の
省察 と成長の力がある教員は,専 門家 としての視 点
手順や規定に慣れてい る。
ゃ力に常 に気 を払 う。専門家 としての実践 を刷新 し続
・校 内 と校外での相互 の学 びと学習 の連動 の させ方 を
け,改 善を続ける。教員は
知ってい る。
・専 門家 としての実践 に何が重要 であるか,潜 在的な
基準 ,価 値 ,そ して教育的な視点 とは何かを知 って
周辺環境 との協働に関するコンピテンシーの指標 の例
い る。
・ オー プンで建設的な態度で,親 たちや保証人,関 係
・ 自分 自身の能力,長 所 と短所についてよ く知 っている。
す るグ ルー プ と連絡 を取 り続 ける。そ こで教員は,
・体系的な方法で専門家 としての成長 を図ってい る。
青年 と活動す る校外 の組織や個人に説明会 を開 き,
・教員の個人的な成長を学校 の方針 と連動 させ,学 校が
一方教員はその組織や個人に対 し教 員側 の理由を釈
教員の個人的成長のために提供する機会を利用する。
明する責任がある。そ うする中で,教 員 は 自分 の仕
事 と,関 連するグルー プの活動 とを連動 させる。
必要な コン ピテンシー
・潜在する問題 を見出 し,解 決 されるように,ス ーパ
中等教育 。職業教育 を担当する教 員 は, 自分 の専門
バ イザ ー と共にオー プ ンで建設的な態度で生徒の成
性 を成長 させ ることに責任 を負 う。
長について討議す る。
教員は職業についての見解や教員 としての力 を分析
・企業や協議会 との関係 を作 り上 げ,連 携 を維持する。
企業や協会が,生 徒 に対 し安全 な学習環境や意味 の
し,成 長 させ,そ れ らを明 らかにする。
*
ある職場 を創 り出せるよう支援する。生徒 ,学 校 と
この条件 を満たすために教員は次 の ことを行わな
ければならない。
。自分の力の分析 に基 づい た体系的な方法で
企業 間のワー クバ ラ ンス を生み出す,そ うする こと
,自 分 の
で長期的に良 い協働が保証 される。 システム管理 さ
力 の成長に取 り組む。
。自分 の力 を学校の方針やチームの進展や契約 に合わ
れた (デ ジタルな)関 係 の 中で企業や協議会 と連絡
を短時間で取 り合 い,そ の情報 を同僚 に利用で きる
せ る。
ようにす る。
・個人的成長の中で,生 徒や (学 校や企業 の)同 僚か
・積極的で市場 に適応 した態度 を持ち,産 業界や施設
ら得 た情報 を活用す る。助言やス ーパー ビジ ョンと
や社会の変化 に従 い,そ れ らを教育的な立場 に変化
させ る。教員は産業界や施設か らの疑 間 に充分に対
い う形 の 中での同僚 の補佐 もまた活用する。
*
この条件 を満たすために教員は次の ような知識 を
応 し,そ してそれ らの疑間を教 育的実践 の 中で活用
持たなければならない。
する
・教育実践 に関連す る業界や社会 の最新事情について
(例
えば生徒の研究課題 に替える)。
。生徒が 自分 の仕事 を最適 な条件で表現で きるよう,
情報 を得てい る。
一 貫 した学習 プ ロセス を達成す るために, フ ィー
・他 の 中等 ・職業教育 の学校 における教 育実践 につい
ダース クール (小 学校 )や フォロー アップ トレーニ
て,ま た,中 等 ・職業教育 の 内容,学 習法や組織 の
ング協会の代理人 と協議する。
形態における進展について も情報を得てい る。
・親たち,保 証人,そ して校外の人たち同様に,就 労
を薦 める (潜 在的)企 業,協 議会 との協働 の分野に
おい て教員 自身の意見や学習法 の根拠 を説明するこ
とがで きる。
。自分 の教育実践 に関連す る教育学や教育方法 の分野
での最近 の進展 について情報 を得てい る。
・行動心理学 の充分な知識 を持 ち, 自分 自身や 自分以
外 の人の行動 を分析 し理解する。
―- 38 -―
定 と評価手順 )の 中でそ の疑 間 に体系 的 に取 り組 む。
省察 と成長 の コン ピテ ンシ ーの指標 の例
・ 教員 の仕事 にお い て何 が重要 であ る と思 ってい るか
社会 ,産 業界 ,教 育 におけ る成長の 関連性 を認識 し
,
,
自分 の 専 門家 と して の 見解 が何 であ るか 表 明 す る。
自分 の専 門家 としての成長 のため に結論 を描 く。
それ は学校 の (教 育学 的,宗 教 的 あ るい は イデ オ ロ
個 人 の 成長 の ため に様 々 な機会 を活 用す る,例 えば
ギ ー 的 )ア イデ ンテ ィテ ィと,教 員 自身 の専 門家 と
専 門的 な文学研 究 を続 けた り, トレー ニ ングや講座
しての見解 や就労 態 度 を どの よ うに一致 させ て い る
に 申 し込 ん だ り,改 善 プ ロ ジェ ク トに参 画 した り
か とい う こ とであ る。
ア クシ ョン リサ ー チ の 実践 や新 しい課題 に取 り組 ん
・ 自分 の仕事 に対 し批判 的 な姿勢 を持 ち,そ の ため に
,
だ りな どであ る。
自分 の 更 な る成長 にむけて,他 の 人か らの評価 ,省
自分 の 活動 や計 画 に対 し,専 門家 と しての成長 の 観
察 ,フ イー ドバ ックを活用す る。
点 や学校 方針 や 同僚 チ ー ム との合 意 や ,教 育 ,産 業
界 ,社 会 にお け る最 近 の発展 の背 景 か ら説 明す る こ
・ 自分 の強 さや弱 さを示 し,学 習 上 の疑 間 を明確 に し
,
学校 が提供 す る枠組 みや構 成 (例 えば能力管理 ,個
とがで きる。
人 的 な成長 プ ラ ン,チ ー ムの 成長 プラ ン,実 績 の査
―- 39 -―
(翻 訳
武 田信子 )
国語教育 にお け る「教材」 の研究
杉
は じめに
井
和
子
ことが, まず問題である。
この ところの「 国語教育」 を捉 え直す新たな試
私は これ まで過去 12年 間に亘 って武蔵大学 での
みが特 に注 目される。た とえば,佐 藤泉 の「国語
教育実践研究の授業 に携 わって きた。そ して今
教科書 の戦後史」 (『 シリーズ 言葉 と社会 4』
もっ とも深刻 な事態 として受 け止めて い るこ と
5),石 川巧の 『
「国語」入試の
近現代史』 (講 談社選書 メチ エ 2008。 1)な ど
には,従 来,多 く見 られたような,現 場 での教育
実践 に密着 した もの とは異な り,現 場 を鳥腋 しう
るよ うな視点か ら,具 体的かつ現実的な問題が提
は,小 ,中 ,高 と学習を積 み重ねて きた大学生が
批判的に捉 え返す視点 を持てず,安 易 に授業を進
示 されてい る。教育に携 わる者 は実践的なや り方
めることで ある。 ともか く習 った方法 を踏襲 し
に限が行 き, とか く実践方法,技 術面 (発 間の し
新たな冒険を避けて,何 とか早 く形に して安心 し
かた,板 書 の しかた,発 声 の良 し悪 し,な どを含
て しま うことである。模擬授業 とい う場面 は自分
む教室管理 )に とらわれて しまう。そ もそ も「国
を独創的に表現で きる絶好 のチ ャ ンスであるに も
語教育」の実践 に当たって教師が常に考えていな
かかわ らず,な ぜ真似 でごまか して しまうのか。
ければならぬ重要な こととは何 であろ う。その問
そ うな った理 由 の一 つ は確 か に受験勉強であろ
は次のようにも言 い換 えられる。あ まり本質的な
う。与 えられた問題 を,マ ニ ュアル を使 って解 く
思考 をめ ぐらす ことな く,授 業 を行って しまって
方法に慣れて しまうと,独 創 の入 り込む余地がな
い る日常 において最 も懸念 される問題は何か とい
くなるのであろうか。 マニュアルに飼 い慣 らされ
うよ うに。具体的な実践方法や技術 の向上なので
て しまってい るこの深刻 な事態は,年 を追 うごと
あろうか。それ よ りもまず,「 教科書」であ り,「 入
にます ます広がる。そこで,教 壇 に立つ学生 の深
試問題」 であると,問 題 を焦点化 したのが前述 の
刻 な事態 を ど うにか して切 り崩 した い とい うの
書物 である。確 かに,教 科書 は制定 された時か ら
が,私 の動機 づ け となってい く。人間を相手 に
現代 まで,入 試問題 にお いては現代 の さしせ まっ
教師が人間 らしくあるためには, まず内面か ら沸
た深刻な問題 を含んでお り,こ れが教育 の実態 を
き起 こって くる疑問や思索 を他 に投 げかけ る主体
現場 の教師の意識 を,全 的に左右 してい るといっ
であ りたい。悩む力,そ れを言語にする力 を育て
て も過言ではない。それが今 ,あ らためて問われ
るための「国語」 の授業 でな くてはならない。 自
たのである。 しか も,国 語 の教科書 と国語 の入試
分 の なかに,破 壊力 と構成力 とを蓄えることが大
(大 学)の 検証が,教 室か らの実践報告では
切 なのだ。そのためには,い かに教 えるか とい う
な く,近 代文学研究者 か らなされ,自 ら受 けてき
方法論 よ りも,何 を使 って教 えるのかの方が重要
た国語の体験 を織 り交ぜて,「 思想」の レベ ル に
になる。良い「教材」 を自分で発掘 し, 自分 のカ
まで押 し上げた点 も新 しい。「活字」化 された も
で選 り分けで きることが先決である。教科書 の教
のに徹底的 に注 目し,そ こに国語教育 の歴史的な
変遷 を確認 しなが ら,あ るべ き方向を模索す るも
材 に対 して も, 自らの批評眼に よって教材 を対象
の となってい る。つ まり,良 い授業 を支 えるため
をみて もこの問題 の重要性 はす でに周知 されてい
の 日常的な教師の意識 こそが問われてい るとも言
る。
えるのだ。そのための具体的な手がか りとして
はまさに「言語」の意味や面 白さに目覚 めること
教科書 を取 り上げ,そ れをいかに広げるか とい う
にほかな らない。
勁草書房 2006・
,
自らの体験の枠組みか ら自由になれないこ とであ
り,ひ いてはそのことに学生 自身が無 自覚 である
ことである。与 えられた教科書や,学 んだ体験 を
,
,
,
問題
,
化する ことが重要である。近年 の教材研究 の実績
,
一- 40 -―
(7‐
1)「
教材」に対する自覚 を高めること,そ れ
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