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貨物駅・人・物流の IT推進 -現場コミュニケーションからのシステムデザイン-
付録2 フィールド情報学ケース Kyoto University Field Informatics Case 貨物駅・人・物流の IT 推進 -現場コミュニケーションからのシステムデザイン京都大学情報学研究科社会情報学専攻 魅力ある大学院教育イニシアチブ 鉄道貨物の今 国土交通省のホームページには,鉄道貨物輸送について以下のように記述されている. 鉄道貨物輸送は,戦後復興期において国内陸上貨物輸送の大部分を担うとともに,高度 成長期の臨海工業地帯の立地を支える輸送基盤として機能してきた.しかし,昭和 40 年 代以降,道路網整備に伴うトラック輸送の著しい伸びとともに,鉄道のシェアは長期的な 減少傾向にある.近年の国内貨物輸送量における各輸送機関のシェアをみると,輸送重量 (トンベース)では,トラックが 90%と圧倒的なシェアを占めるのに対し,鉄道は約 1%に 過ぎない (表 1) しかし,輸送距離も勘案した輸送量(トンキロベース)では,トラックが 約 50%,内航海運が約 40%であるのに対し,鉄道は約 4%のシェアで推移している (表 2). また,陸上貨物輸送の距離帯別にトラックと鉄道のシェアをみると,1,000km 以上の距 離帯では鉄道のシェアが約 30%(トンベース,平成 14 年度)となっている(表 3). では,鉄道貨物輸送は今後衰退の一途を辿っていってしまうのであろうか?いや,そう ではない.むしろ,近年の貨物輸送におけるモーダルシフト 1 の重要性から考えると鉄道 1 モーダルシフト: 貨物が今後担う役割は大きい.しかし,環境面での優位性だけではトラック輸送から鉄道 トラックによる幹線 貨物に大きくシフトチェンジされるといったことは考えられない.地球温暖化などの環境 貨物輸送を,地球に 問題が大きく取り上げられている昨今,モーダルシフトを早急に進める必要に迫られてい 優しく,大量輸送が る.そのためにも鉄道貨物はモーダルシフトを進めていくための努力を行う必要がある. 可能な海運または鉄 道に転換すること. 改革に向けて 日本貨物鉄道株式会社(JR 貨物)IT 改革推進室の室長(当時は副室長)である花岡俊 樹氏は鉄道貨物輸送の現状を把握し,より鉄道貨物を利用してもらうにはどうするべきか 日夜考えていた.JR 貨物のお客様は荷主ではなく,荷主から荷物を預かっているフォワー ダー(運送事業者)である.フォワーダーにとっても鉄道貨物輸送を利用することにメリッ トが無ければ,トラック輸送から鉄道貨物輸送に変更するといったことは考えられない.そ のためにも,今まで以上に鉄道貨物を利用しやすくすることが必要であった.そのために は以下の 2 点が必要であると花岡氏らは考えた. • フォワーダーにとって利用しやすいダイヤ フォワーダーにとっては,集荷持ち込み時刻はできるだけ遅いほうが利用しやすく, また,いつでもどの貨車に対しても予約が可能であるということが求められる. • コンテナ管理 コンテナにはサイズや荷物の種類に応じたタイプ (保冷貨物用,液体・粉粒体用) が 多数ある.また,コンテナは片道輸送が基本であり,貨物の発駅にはフォワーダーの 1/15 2 国土交通省 HP より引用 Kyoto University Field Informatics Case 1㧚ャㅍᯏ㑐࿖ౝ⽻‛ャㅍ㊂ߩផ⒖㧔࠻ࡦࡌࠬ㧕*2 2㧚ャㅍᯏ㑐࿖ౝ⽻‛ャㅍ㊂ߩផ⒖㧔࠻ࡦࠠࡠࡌࠬ㧕*2 3㧚㒽⽻‛ャㅍߦ߅ߌࠆ〒㔌Ꮺࠪࠚࠕ㧔ᐔᚑ㧝㧠ᐕᐲ㧕*2 図 1: 貨物輸送量の推移,距離別シェア 2 2/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 2: FRENS 運送申込画面 要求に応えることが可能な数のコンテナ数を確保しておく必要がある.また,駅に はコンテナが溢れており,どこにどのコンテナがあるのか管理を行う必要があった. 花岡氏らは,これら 2 点を予約調整,コンテナ操配という方法で対応することを考えた. そしてこれらの方法を実現するためには IT 技術を利用したシステム化が必須であり,それ によってサービス改善が可能となると考えたのである.これまで人手で行っていた作業をシ ステムに置き換えるということがシステム化の第一の目的であった.JR 貨物の鉄道コンテ ナ輸送業務については,予約管理,輸送管理,コンテナ所在管理の機能を持った FRENS シ ステムが平成 6 年から既に運用されていた.図 1 に FRENS における運送申込画面を示す. FRENS システムではフォワーダーが貨物の発着駅において操作し,申込みを行ってい た.図 1 において楕円で囲まれている箇所では輸送列車に対応したルート番号を入力して いる.このルート番号を知らなければ申し込みは行えなかった.このように FRENS シス テムは,フォワーダーにとって予約調整が容易に行えるシステムではなく,またコンテナ 操配の問題を解決する術を持っていなかった. システム化 FRENS システムを基に開発した予約調整システムを IT-FRENS,コンテナ操配システ ムを TRACE と名づけた.システム構成図を図 2 に示す. 運送事業者事務所は Web ブラウザを通じて図 3 に示される IT-FRENS の画面から列 車の予約などを行う.データはインターネットを通して IT-FRENS サーバーに送られる. TRACE システムではフォークリフトに装備された GPS データとコンテナに装備された ID タグから,駅構内のコンテナの位置データとして IT-FRENS サーバーに送る.ドライ バーシステムでは,荷物の駅への出入りを管理している.トラックとコンテナに ID タグが 3/15 Kyoto University Field Informatics Case 㪠㪫㪄 㪠㪫㪄㪝㪩㪜㪥㪪䉲䉴䊁䊛 㪝㪩㪜㪥㪪䉲䉴䊁䊛᭴ᚑ࿑ 䉲䉴䊁䊛᭴ᚑ࿑ GPS ಠ ᣣᧄㅢㆇ䊺Ლ RACS 䌒䌁䌃䌓┵ᧃ • • • ో࿖ㅢㆇ♽ฦ␠Ლ FRENS 㵥 Z NET 䈍ቴ᭽ ䷥且 ䷨丶 ䷠䷣ ䷡ 个丶 䌚䋭䌎䌅䌔┵ᧃ ⇣Ᏹᤨᖱႎ 䉮䊮䊁䊅ㅊ〔ᖱႎ ⅣႺ⽸₂ᖱႎ 䉟䊮䉺䊷䊈䉾䊃䋯䌉䌐䋭䌖䌐䌎 IT-FRENS 䈲ኾ↪࿁✢ 䈲ⴐ࿁✢ 䊐䊧䊮䉵䊂䊷䉺᳢↪ൻ ฦ䉰䊷䊋䊷ㅪ៤ᯏ⢻ ฦ⒳ᯏ⢻ 䉮䊮䊁䊅⟎▤ℂ ᜰᡰេ ↪ㆇㅍᬺ⠪ᡰេ TRACEᡰេ 䉲䉴䊁䊛▤ℂ ઁ ⴡᤊ䉶䊮䉺䊷 ゞ⟎ 䉰䊷䊋䊷 •GPSᖱႎ •࿑䈱⟎ ᖱႎ 䉰䊷䊋䊷 䌔䌒䌁䌃䌅 䋨ㅢㆇ䊶 ㅢㆇ䊶㚞䉲䉴䊁䊛䋩 䉲䉴䊁䊛䋩 CQIS 䉰䊷䊋䊷 䇮 䈫䈱 䊂䊷䉺ធ⛯ ㅢㆇᬺ⠪Ლ ോᚲ 䌍䌃䌁ή✢䇮៤Ꮺ㔚䈮䉋䉎 ㈩ゞᄌᦝᜰ␜╬䈱વ㆐ ㅪ៤ ᜰᡰេ┵ᧃ ┵ᧃ 䋨㚞ャㅍ䋩 IT-FRENS 䌊䌒⽻‛ ⺞ᢛᜂᒰ 䊂䊷䉺䊔䊷䉴䈱 ▤ℂ 䊄䊤䉟䊋䊷 䉲䉴䊁䊛 ID䉺䉫⺒ข ⵝ⟎ 㸢 䊐䉤䊷䉪 䉲䉴䊁䊛 ⒖વၮ且 ㅍ 䶷 丫丱 વ䵿 ䷹ 䶿㓸 丆 ䷚䷲ ⩄ 丵 丶 丱丅 ㈩ ജ三 ㆐䷾ ䷚ 䉟䊧䉩䊠䊤䊷 ಣℂ ᭴ౝ䊨䉬䊷䉲䊢 䊮▤ℂ • GPS •IT-FRENS TRACE 䉟䊮䊃䊤䊈䉾䊃 䊐䉤䊷䉪 䉰䊷䊋䊷 䉦䊷䊄 ID 㚞᭴ౝ䊨䉬䊷䉲䊢䊮▤ℂ B㵥 1 C 㵥1 A㵥1 A㵥2 B㵥2 C 㵥2 䉮䊮䊁䊅䊖䊷䊛 ID 䉺䉫 図 3: IT-FRENS システム構成図 ついており,フォークリフトでコンテナの積み下ろしを行う時に,コンテナの位置情報は TRACE システムを通じて IT-FRENS に送られる.また,一部の運送事業者で利用されて いる独自端末のデータも IT-FRENS サーバーに送られ,相互連携を行っている.これらの データを IT-FRENS サーバーは一括して管理している.IT-FRENS システムでは,イン ターネットを利用して,Web ブラウザ上から貨物列車の予約を可能にした.TRACE シス テムではコンテナの運搬を行うフォークリフトに GPS,コンテナに RFID タグを付け,コ ンテナの位置を把握することを可能にした. IT-FRENS システム インターネットを利用して,パソコン上から貨物列車の予約を可能にするシステムであ る.FRENS システムでは,フォワーダーは申し込み画面上で何時発の列車を利用するか の予約を行っていた.これに対し,IT-FRENS システムでは発駅に荷物を持ち込む時刻と 着駅に荷物を下ろしたい時刻を入力するという形式に変更した.フォワーダーにとっては, 貨物列車が何時に出発し,到着するのかということではなく,発駅に何時に持ち込み,着 駅で何時に荷物を持ち出せるかということである.フォワーダーの指定した条件の中で最 適な列車の予約を自動的に行う.ここで言う最適は,全貨物に対してではなく,予約時点 における,その貨物に対して最も早く荷物が着くという意味である.また,どの列車が選 ばれたかはフォワーダーに対しても開示を行っている.また,この変更により,これまで 予約したい列車が満載で利用できなかった場合においても,急ぎでない荷物を他の貨物列 車にまわすといったことが可能になり,フォワーダーの要求により柔軟対応することが可 能となった.図 4 に IT-FRENS の原票登録画面を示す. フォワーダーは画面上の に発駅へのコンテナ持込日時と着駅からのコンテナ持出日時 を入力する.この入力を受けて,空いている輸送ルートを IT-FRENS が自動的に検索し, 最適な輸送ルートを確定し画面上の の部分に表示する.最適なルートの確定は,図 4 に 4/15 Kyoto University Field Informatics Case ԙ Ԙ 図 4: IT-FRENS 原票登録画面 示すように発着駅間の輸送ルートを検索し,申込条件に合った輸送ルートを決定すること で行っている.輸送ルートの決定はシステムが内部で自動的に行うために,利用者には表 示されない. 3 RTK-GPS: リ TRACE システム アルタイムキネマテ コンテナの位置を管理するシステムである.TRACE システムはフォークリフト端末とド ィクス GPS の略. ライバーシステム端末から構成される.フォークリフト端末は, コンテナ荷役を行うフォー 3 4 クリフトに,パソコン,GPS(RTK-GPS ),無線アンテナ(SS 無線 又は PHS),RFID 5 GPS は位置補正処 理が必須であるが, 機器(2.4GHz)及びリーダ・ライターを装備し,駅構内のコンテナ位置情報を一元管理す RTK-GPS は数 る.コンテナ荷役を行う約 520 台のフォークリフトに全て搭載されている.TRACE 機器 十 cm の補正精度 を装備したフォークリフトを図 5 に示す.ドライバーシステム端末はトラックドライバー を持つ現在最も精度 専用の端末であり,コンテナの持ち出しおよび持ち込み作業をトラックドライバーが登録 の高い GPS 補正 を行う.登録された情報はフォークリフト端末へリアルタイムに伝達される.ドライバー 機能. システムは駅により設置台数が異なる.各駅平均 3 台程度で,拠点駅は 8 台から 10 台くら い設置している.ドライバー端末と作業の流れを図 6 に示す. 4 SS 無線:スペクト ラム拡散による無線 システム導入に向けて 伝送.広い帯域を必 システム導入決定 要とするが,大容量 システム導入の検討を開始したのは平成 12 年 12 月のことであった.花岡氏らは多くの 現場を実際に見ることで,以下の問題点を見つけた. 5/15 データを高速で伝送 できる. Kyoto University Field Informatics Case 図 5: TRACE システムを装備したフォークリフト 6/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 6: ドライバーシステム 7/15 Kyoto University Field Informatics Case 1. 売れ筋列車にも関わらず,実際には満載でない 2. 駅内において荷がどこに置かれている把握できていない. 1 点目は,フォワーダーに見込み予約 6 を認めていたため,直前でキャンセルという事 態が多々起こり,キャンセル枠を埋めることができなかったためである.2 点目は,特に 5 RFID:無線 ID タグ.IC カードと 貨車のダイヤが乱れた場合などに対応できなかった.これらの問題を解決することが可能 同じ仕組みで固有 になるシステムを経営陣に提案した. 情報を格納するが, この時の花岡氏らの考えは実際のところ,提案したシステムがあまりに理想を追い求め 形状が大きく読取 ていたため,まず提案が通ることはないであろうと考えていた.しかし,結果は花岡氏ら 距 離 が 長 い( 本 シ の予想を良い方に裏切ることとなった.提案が全て通ったのである.しかし,経営サイド ステムに採用した からは非常に厳しいチェックを受けることになった.本システム導入決定時には「人の業 RFID タ グ は 約 務をシステムに置き換える」という議論が先行していた.そのため, 「何人効率化できるの 1m).本システム か?」 「いつできるのか?」といった質問があった.これに関して花岡氏らは答えることが では 320,000 個 できなかった.こうしてシステム導入が決定した.しかし,花岡氏らにはシステム導入に のタグを導入した おいてもう一つ重要な要素があると考えていた.それは,オペレーションセンターの設置 である.オペレーションセンターとは,完成したシステムの利用状況を俯瞰的に見て,現 場に指示を出し,管理を行うセンターである.花岡氏らはオペレーションセンターの設置 は必要不可欠であると考えていた.しかし,オペレーションセンター設置を花岡氏らは断 念せざるを得なかった.その理由は,システム導入による要因削減という目的に反するた め,経営サイドから許可が出なかったためである.こうして,本プロジェクトはスタート することとなったのであった. 6 見込み予約:運送 事業者が貨車の一定 枠を見込みで予約し ておき,積荷の量に 応じて実際に購入す る貨車を JR 側と システム仕様決定 第一次リリース(TRACE システム導入) 平成 14 年 1 月に本格的にシステム開発がスタートすることとなった.システムの設計, 人手の割り振り,運用などの全てを IT 改革推進室が取りまとめた.またシステム開発自 体にもかなりの深いところまで入り込んだ.TRACE システム開発にあたり IC タグを利 用することに決定したのは,花岡氏が以前から IC タグの利用方法について様々な試みを 行っており,また,今回のシステムの環境条件に適していたからであった.しかし,実際 には花岡氏は IC タグをあまり利用したくなかった.その理由としては,環境により読み 取り距離が著しく変化し,確実に読み取れる距離を実測し,それにあわせてシステム化す るチューニングに非常にコストがかかるためであった. 実際,チューニングには非常に長 い時間を費やすこととなった.また,フォークリフトの無線は 2 重化することで耐障害性 を高めた.こうして,平成 16 年 1 月に第一次リリースを行った.第一次リリースにあわ せて,現場の人間の教育を行うチームを作り,全国に派遣した.TRACE システム導入前 には,フォークリフトドライバーの意識というものは,目の前のコンテナをとにかく捌く という意識のみであった.そのため,コンテナの位置管理や期限に関しての管理意識は非 常に低かった.システムを導入することでドライバーは TRACE システムの画面から様々 な情報を得ることが可能となった.これによりドライバーのコンテナ管理意識を高め,作 8/15 調整を行っていた. Kyoto University Field Informatics Case 業の効率化が期待できた.しかし,実際にシステム導入を行うとドライバー達の抵抗は非 常に大きかった.これまでのようにコンテナについた荷票 7 を見れば,そのコンテナが何 7 荷票:発着駅,輸 で,どこに運べばよいかすぐに理解でき,フォークリフトのドライバーにとっての作業効 送列車番号等を記載 率は以前の方が良かったのである.横を見ながら(TRACE システム端末画面は運転席の した紙であり,各コ 右側に設置されている),また一々止まって画面を見て運転するのは非常に時間がかかり, ンテナの受け箱に挿 抵抗が大きかった.また,導入直後は,コンテナの位置がずれるなど様々なエラーが発生 入することでコンテ することも多かった.広島のある駅ではフォークリフトの備品が壊れてしまい,7 割がエ ナの管理を行う. ラーになってしまうという問題も導入初期には発生した.現場からはエラーが発生した時 に,そのエラーの対処に時間がかかってしまい,作業の効率が悪くなるという不満が出た. この不満に対しては,1 個エラーが出た際に,他のコンテナの操配を行ってもらうことを 提案し,現場もこの提案に対しては素直に従ってくれた.コンテナ 100 個中 10 程度のエ ラーであれば,現場は何とか我慢して利用してくれるということも実際に対処していく中 で知ることができた.またフォークリフトドライバー達はコンピュータを利用するという ことに強い抵抗を持っていた.そのため,システムが導入されるのであれば,ドライバー をやめようかと考える人も多く,そういった人たちにはとにかく触ってもらい慣れてもら うという作業を地道に行った.システム導入は,このように多くの問題が生じることとなっ た.しかし,システム導入により,貨車のダイヤの乱れや,コンテナの位置が把握できな くなった場合などにはコンテナの位置をシステムにより把握することができ,システム導 入の効果は大きかった.システム導入によって現場でこれまでに行われていたやり方を全 て廃止したわけではなかった.実際,行き先に合わせてコンテナを並べるというルールは 現在もフォークリフトドライバーの中で継続されている.システム導入後はコンテナの位 置は GPS で把握できるようになっているため,システムと現場のルールがうまく融合し, 効率的なコンテナ操配が行われている.TRACE システム導入の目的は,コンテナを管理 することで効率を高めるということであった.しかし,実際にはもう一つの思惑が花岡氏 らにはあった.それは,フォークリフトドライバーに対する貨車へのコンテナ積載指示の 急な変更への対応であった.これは,IT-FRENS システムに導入されるコンテナ積載の自 動枠調整を可能にするものであった. 第二次リリース(IT-FRENS システム導入) IT-FRENS システムはインターネットを通じて申し込みができるシステムである.イン ターネットから申し込みを可能にしたのはJRでは初めての試みであり,FRENS ホストに 外部から入ることを可能にすることにはかなり抵抗が大きかった.そのためセキュリティ には十分配慮する必要があり,ファイアウォールもかなり厳重なものにした.基本的には IT-FRENS システムから FRENS システムを呼び出す構造となっている.こうして,平成 17 年 1 月に第二次リリースを行った.IT-FRENS システムはこれまでの FRENS システ ムとインタフェースが異なる.また時間指定で貨車予約を行うようになったために,指定 時間以内の場合には自動で貨車を調整する機能が追加された.また,貨物のステータスを 確認する機能なども追加された.IT-FRENS システム導入により,ユーザ数が多くなった ため,教育チームだけでは対応できず,JR 隅田川駅にはヘルプデスクが設置され全国から 9/15 Kyoto University Field Informatics Case 電話を受け付ける体制をとった.IT-FRENS は基本的には,FRENS のインタフェースを 変更したもので,ユーザはそれに対する戸惑いが発生する程度であり,TRACE システム リリース時ほどの混乱は生じなかったが,導入直後のエラーとしてはステータス 8 の整合 8 ステータス:貨物 性がとれないなどの問題が生じた.リリース 1ヶ月ほどでヘルプデスクへの電話の数も収 が積載されている貨 まっていった.IT-FRENS システムの自動枠調整機能により,TRACE システムもその効 車や現在地などの情 果を十分に発揮することが可能となったのであった.こうして,IT-FRENS と TRACE シ 報. ステムが連動し始め,フォークリフトドライバー達にコンテナの発着予定が目に見えて分 かるようになった時,これまでシステムに対して懐疑的であった現場の雰囲気が大きく変 わることとなった. 第三次リリース(ドライバーシステム) 平成 17 年 8 月に第三次リリースを行った.第三次リリースは最も困難を極めた.まず, ドライバーの人々にはドライバーシステム端末のような IT 機器を非常に苦手とする人も 多く,導入当初からかなりの混乱が生じた.また,ユーザ数も TRACE システムの場合の ユーザ数が約 500 なのに対して,トラックドライバーシステムの場合は約 10,000 になり対 応が非常に困難となった.JR 貨物ではドライバーの方々にドライバーシステムの利用法 を教えるために,ヘルプデスク教育チームと全国の主要駅に常駐で半年間置いたインスト ラクターと連携し, 手取り足取り現場で利用法を教えていった.ドライバーに危機感がな いと作業方法は覚えてくれない.そのため,実際に使ってもらい,だめならすぐにヘルプ デスクに電話してもらうという形をとった.インストラクターの人々も現場で利用方法を 教える中で困った場合にはヘルプデスクに電話し,より専門的な知識を持つ開発者などの 意見を聞いた.全国的にどの現場もシステム化に対しては難色を示していた.その中でも 大阪のある駅はシステム化に対して強く難色を示していた.しかし,この集配所のドライ バー達のシステムの習熟度が当初難色を示していたにも関わらず,全国的に見ても非常に 高いレベルになるという事態が起こった.この理由には,この集配所のインストラクター の女性の人気が非常に高く,ドライバーの人々が様々なエラーや問題点を質問するために 進んで勉強していたからであった.システム化においては,どんなケースにおいても導入 時には多くの苦情が発生するものである.この苦情をいかにうまく処理するのかというこ とにシステム導入の成否がかかってくる.上述のエピソードは単なる笑い話では終わらな い.花岡氏はこのエピソードを聞いたときに,IT システムを導入する際,最も重視すべき ものはやはり人と人との関係なのであると思った.IT を利用して人の作業を置き換えるこ とを目的にするのではなく,人が作業をサポートし,効率化するということこそが IT シ ステム化に最も求められる姿なのではないだろうか.ドライバーシステムは全ての駅に同 時に導入を行った.本来であれば試験的にいくつかの駅に導入し,様々なエラーに対処し ていくという方法をとるべきであったのかもしれない.しかし,花岡氏らは一度に導入を 行った.部分的に導入した場合には駅ごとに情報の不整合がでて,現場が混乱してしまう という恐れがあったからである.また,もう一つの理由としては,経営サイドから急かさ れていたという点が挙げられる.これまでのシステム開発・導入において予算も期日も上 乗せされてきており,経営サイドとしては早く結果を見る必要があったためである.ドラ 10/15 Kyoto University Field Informatics Case イバーシステム導入により JR 貨物側ではトラックの荷物が駅に入ってきているというこ とが確認でき,積載貨車の急な変更を行うことも可能となった.フォワーダー側にとって も,トラックのデータがあればドライバーの管理が容易になるため,フォワーダーもドラ イバー達にシステムの利用を促すこととなった. リリース全般において システム化に対する現場の人間の抵抗というものは無視することができない.実際に今 回のシステム導入においても現場からは様々な苦情が出た.これに対してヘルプデスクが 行ったことは,現場主義を貫くことであった.現場に行き,現場の人々と仲良くなり,現 場の話を聞くということを繰り返し行った.現場の人間にとって日常の作業を中断して集 合研修を受けるというのは現実的に困難であったため,集合研修などの形はとらなかった. ヘルプデスクとインストラクターが実際に現場で利用方法を教えた.現場には必ずキーマ ンとなる人物がおり,その人物がシステムに対して興味を持ってくれた場合には,その現 場全体のレベルも高くなった.ヘルプデスクが現場に行った時に,急にするどい質問をさ れて困るといった事態が生じることもあった.当初 2 年で全てのリリースを終える予定で あったが,結果としては 3 年半かかった.リリース全体を通して,非常に時間がかかってし まったのは現場の人のシステム化に対する抵抗を沈静化するという理由も少なからずあっ た. ヘルプデスク ヘルプデスクではシステム利用のノウハウを蓄積していった.現場での教育,電話対応 を行い続け,利用現場と微妙な緊張感と仲間意識を共有し始めた.この雰囲気になってか らシステム導入後の効果を最大限にするために何をすべきかが分かってきた.ヘルプデス クの作業は現地での教育と電話対応が主となる.教育チームは第一次リリースから活動し, 電話対応チームは第二次リリース後活動を開始した.教育チームは全国の駅を訪問し,現 場で発見した問題点はメール連絡で共有し,上司に決定を仰ぐという体制をとっていた. また,現場の人間のガス抜きを行うことも非常に重要であった.現場がシステムに慣れ, エラーを些細なことと考え,問題がヘルプデスクに届かなくなってしまったことがあった. これらも,現場をまわることで電話では言わないことも,顔を合わせると言ってくれるこ ともあり,現場を回ることは今でも非常に重要である.電話対応チームは 24 時間稼動し, 現在は昼の対応が多いが,現場のその時々の状況に強く依存している.電話対応だけで問 題解決が困難な場合には,端末にリモートで入って操作するのが非常に効果的な手段であ る.教育チームと電話対応チームが情報共有し,密に連絡をとることが非常に重要であっ た.現場では実際にモノが動いており,ヘルプデスクとの連携が非常に重要である.ヘル プデスクではシステム利用に関係ない場合でも電話対応を行っている.たとえ,ソフトウェ アのインストールやプリンタの使い方といったヘルプデスクの業務の範囲外の質問であっ ても,できる限りの対応を行ってきた.これも,また現場が信頼し,何かあった時にはヘル プデスクに電話するという環境を築くのに必要なことであった.とにかく現場で何か困っ たことがあれば連絡してもらうという環境を作り出すことで現場の情報を把握することに 11/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 7: TRACE システム画面 成功しているのである.当然負担は大きくなるが,現場の情報を把握することにつながっ ている.これらの情報(システム障害,タグのアンテナの破損など)をヘルプデスクでは 日報として蓄積し,吸い上げている.こういった現場の問題はシステム変更にも反映され た.図 6 はフォークリフトでコンテナを持ち上げた時の TRACE システムの画面である. 当初作成された時には,持ち上げた時には の楕円で囲まれている箇所にその情報が表 示されていた.しかし,この画面に対して,現場から苦情が出たのであった.フォークリフ トのドライバーの中には老眼の人もおり,それらの人から表示部分が小さく,非常に見づ らいという苦情が出たのであった.この苦情を現場で聞いたヘルプデスクは直ちにシステ ム開発部とこの情報の共有を行った.その結果,表示部分を の楕円で囲まれている箇所 にポップアップで大きく表示するように修正を行った.このように,現場の要望を吸い上 げ,実現すると現場の反応が非常に良かった.現場と開発部が一緒に作っているという意 識が高まり,現場の人間もシステムを利用し,問題点などを進んでコメントしてくれる環 境が築かれていくのである.システム導入前,つまりヘルプデスクがまだ存在しなかった 時には,現場の意見は幾つもの会議を通って上にあがってくるため,非常に時間がかかっ てしまっていたが,ヘルプデスク設立により現場の声がダイレクトに伝わってくることに なった.ヘルプデスク設立に関しても花岡氏の提案であった.当初は,単なるコールセン ターとして考えていただけであった.しかし,実際には花岡氏がシステム提案時に計画し ていたが頓挫したオペレーションセンターの役割に近いものとなった.3 次リリース後,こ れまでヘルプデスクの指揮を執っていた花岡氏が過労のため倒れてしまった.約 10 日の 療養期間を終え,復帰した時に花岡氏が目にしたのは自分自身がいなくてもうまく機能し 続けていたヘルプデスクであった.花岡氏不在の間にヘルプデスクのメンバーが行ってい たことは,かかってくる電話にでる,列車を遅れないようにする,現場に行く.この 3 点 12/15 Kyoto University Field Informatics Case であった.ただただ,ドライバーたちが困っている点を解消するという作業をこなしてい くしか方法がなかったのである.しかし,この作業を真摯に行い続ける姿が現場の人間か らの信頼を得るための唯一の手段であったのかもしれない.フォークリフトとトラックの ドライバーがコンテナ情報の不整合が原因で取っ組み合いの喧嘩となっていた現場にもヘ ルプデスクは駆けつけ,仲裁を行った.この情報の不整合はシステムのバグが原因であっ た.花岡氏は,小さなバグでさえも現場にかけつけ仲裁に入ったヘルプデスクのメンバー の困った顔が頭に浮かび,現場のことを考えながらシステムの修正を行うことができたと 言う.ヘルプデスクでは定期的にミーティングを行うことを重視している.つまらない問 題であると捉え 1ヶ月放置した問題が実は非常に重大な問題点であったという苦い経験が あった.それ以来どのような情報でも些細なことと思わず,情報を共有し,しっかりと考え る必要があるという意識を共有できているのである.現在も,年度が替わり現場のスタッ フが変わった時にはヘルプデスクの電話の数が増える.現場での引き継ぎがうまくやって いかれることが理想ではあるが,システム利用が弱っていくのをヘルプデスクは中央から 防ぐという大きな役割を担っている. システム化による影響 今回のシステム化によって様々な影響が現れた.最も大きな影響は 1872 年から 130 年以 上続いていた荷票を三次リリースの後,廃止したことである.荷票を廃止することにより, 1000 万枚/年の荷表の調達,手書き作業が不要となり,年間 1 億円のコスト削減となった. JR 貨物の社員は伝統ある荷票を廃止する日が来るのを恐れていた.しかし,現場では既に システムがうまく機能しており,荷票が無くなっても問題ないと感じていた.実際,荷票 の廃止は非常にスムーズに行われた.また,システム導入後,これまでの貨物予約のルー ルを大幅に変更した.この変更に対して,フォワーダーからは多くの苦情が出た.ルール の変更点は大きく分けて 2 点である.まず 1 点目はコンテナの予約に対し 24 時間前から キャンセル料をフォワーダーから受け取るようにしたことである.これまではキャンセル 料というものをとっておらず,各フォワーダーは見込み予約を行っていた.その為,予約シ ステム上では満載になっている貨物列車も実際には満載でないということが非常に多かっ たのである.2 点目は,貨物駅のコンテナ留置に対し,留置料をとるようにしたことであ る.鉄道で運搬されたコンテナを着駅にしばらく置いておいても構わないというサービス を以前は行っていた.着駅に留置されたコンテナは多く,その中には急ぎのコンテナとし て申請されていたにも関わらず,現実には着駅に留置されたままというケースが非常に多 かった.これでは,本当に急ぎのコンテナをそうではないコンテナにより運搬することが 困難になってしまうというケースが多々発生していた.留置料をとることで本当に急いで 送りたい荷物と,そうでない荷物に分かれるようになった.これらのルールは当初フォワー ダーから多くの苦情が出た.しかし,これらのルールは送りたい貨物を送りたい時に送れ ることを実現するためのルールであった.そのため,結果としてはフォワーダーにとって も利益となった.このように,システム化により様々な影響が出た.あるフォワーダーは JR 貨物の利用が増加した.以前は各駅の事務所にある端末から貨物予約を行っていたが, IT-FRENS システム導入により,ネット上で予約可能となり,予約申込の拠点を集中化す 13/15 Kyoto University Field Informatics Case るなどフォワーダーにとっても効率化が可能となったためであろう.しかし,使い方を誤 るとフォワーダーにとってはコストが上がるケースもある. 見える化 多くのシステム導入による主たる目的は人員の削減であると考えられている.また,そ れが非常に大きなメリットであることも確かである.では,システム導入による人員削減 の先に無人化はあるのだろうか?花岡氏はシステム化による無人化は不可能であるという 考えを今回のシステム導入を通して知った.人間の仕事をシステムに置き換えることは不 可能である.人間の仕事とは,システムでは処理できない判断を要する業務である.これ らの業務に関しては,システム化ではなく,ノウハウを蓄積し,共有することが必要であ る.システムでできる作業に関しても完全に無人化ということは不可能である.システム で処理するために必要な設定などは人間がやらなくてはいけないという意識付けを行う必 要がある.システムに従って動くのではなく,人間が動き,その動きに対しシステムを利 用するという形が必要なのである.システム導入による最大の効果は「見える化」である. 「見える化」とはいつ,どこで,誰が,何をやったかすぐに分かるようにすることである. ヘルプデスクでは 24 時間システムのログを見ることができ,現場でどのように作業が行 われているかが瞬時に分かる.この見える化により現場の人間にはある種の緊張感が生ま れ,作業を真面目に行うようになる.見える化による業務改善策は人を育てることにつな がるのである. JR 貨物のさらなる挑戦 花岡氏は見える化を進めるためにもヘルプデスクを機能させていくことが非常に重要で あると考えている.今後は,IT-FRENS システムを用いるとフォークリフトやコンテナの データの集計が非常に容易である点を利用し,これらのデータの抽出・分析を行い,応用 していくことを考えている.また,現在は各駅にシステム導入前から置かれているコンテ ナの配置が記入された黒板の廃止に全国を奔走している.コンテナ配置が TRACE システ ムと黒板の両者で整合性がとれなくなるという事態が発生し,業務効率を悪化する可能性 があるためである.JR 貨物の挑戦はまだ終わらない. 14/15 Kyoto University Field Informatics Case 企業紹介 [1] 日本貨物鉄道株式会社(JR 貨物) :Japan Freight Railway Company. ケース関連記事 [1] 日本貨物鉄道株式会社(JR 貨物)News Release:平成18年度情報化促進貢献企業の 国土交通大臣賞受賞について, 2006.10.17. :JR 貨物ニュース, 第 169 号,2007.1.1. [2] 日本貨物鉄道株式会社(JR 貨物) [3] 日経産業新聞:JR 貨物花岡俊樹氏―業務改善提案を本格化(情報技術戦略を聞く), 2007.1.30. 15/15 Kyoto University Field Informatics Case 自然と人の関わりを探求する情報技術 :愛・地球博の自然ガイドツアー 京都大学情報学研究科社会情報学専攻 魅力ある大学院教育イニシアチブ ”自然の叡智”をテーマとして、2005 年に愛知県で 185 日間にわたり開催された愛 ·地球 博 1 には 121 カ国4国際機関が参加し、会期期間中、当初の予想を超える 2200 万人が来 1 場した。会期中、会場では 21 世紀の自然と人間との関わりの探求と自然との共生共存を考 称:2005 えるための様々なイベントが開催された。これらのイベントを通して、豊かな自然の恵み 年日本国 に触れ自然への理解を育む機会を提供できれば、地球環境の保護への関心を深めることが 際博覧会 正式名 でき、持続可能社会の形成を支援することができる。自然と人間の関わりを支援する役割 を果たすような情報通信技術の可能性を追求しよう−地球博会場で提供されたイベントの ひとつである自然ガイドツアーは、農学のバックグラウンドを持つ大学生たちの手により 2002 年から約 3 年の歳月をかけて開発されてきたものである。 上賀茂実験地(2002 年 7 月 20 日− 21 日) 自然ガイドツアーの実験は、京都市内北部の京都大学フィールド科学教育研究センター 里域ステーション上賀茂実験地からスタートした。上賀茂実験地は、1926 年に大阪営林署 より京都府愛宕郡上賀茂村字上賀茂 (現在の京都市北区上賀茂本山) の国有林の一部を買収 した総面積 47.0ha のエリアであり、総面積の 65 %はヒノキ、アカマツにコナラ、ソヨゴ、 ネジキ、ョウブ、ヒサカキ、コバノミツバツツジ、モチツツジなどの広葉樹が混交した天 然生林で、28 %が外国産樹種を主とした人工林、7 %が見本園、苗畑、建物敷等である。 本試験地は京都大学本部から北に 5km で、電車や車で 20∼30 分と交通至便であることか ら、京都大学をはじめ、多くの教育・研究機関からの利用がある。樹木の識別、植物の観 察、森林内の植物や動物の生態調査、土壌物理学、庭園管理や樹木剪定などの実習、小学 校等の環境教育やネイチャーゲームの講習、学内の新入生ガイダンスや技術職員研修など、 その利用内容は多岐にわたる。また、2000 年には自然観察コースが設置され、一般市民を 対象とした自然観察会も開催されている。 京都大学では、この市民に身近なフィールド環境を利用して環境学習を行なうための、 より効果的で実践的な試みを模索してきた。そのひとつが、環境学習を目的とした体験型 の自然ガイドツアーである。これまでの自然ガイドツアーといえば、ガイドと共に自然環 境を巡る形式が中心であった。このため、自然ガイドツアーを企画する場合に専門的な自 然観察、樹木や植物の知識を持ったガイド 2 が必要となり、実施のための制約が大きい。し 2 かも、市民がこうしたガイドツアーに参加する場合、ガイドと共に自然観察を行わなけれ プリター ばならず、本来期待される各自の関心や興味にあわせた発見や観察といった行動が難しい。 もっと身近に、自然ガイドツアーにおいて参加者が自由な行動によって自由に自然観察を 行う機会を実現することができないか−目標とされたのはそんな参加者中心の自然ガイド ツアーの実現であった。こうして、農学のバックグラウンドを持つ学生たちにとって、馴 染みが深い、手ごろで使いやすい上賀茂の演習林を実験地として、参加者を集めて行なう 1/15 インタ Kyoto University Field Informatics Case ੩ㇺ♖⪇ᄢ೨㚞 ⾐⨃ ⹜㛎 ซ ጊ 㔚 ㋕ ർጊㅢ ർᄢ〝ㅢ ട ⨃ ⴝ ᧲ ᄢ 〝 ㅢ ਅ 㡞 ᧄ ㅢ Ꮉㅢ ⊕ Ꮉ ㅢ ↸ᩉ㚞 ੩ㇺᄢቇ 図 1: 上賀茂実験地 自然ガイドツアーシステム実験が計画された。最新の情報技術を環境学習に適用し、特定 の樹木や草花に関する情報を提示すると同時に、自然の観察体験を通して環境との関わり を認識し考える機会を提供する−そのための情報技術として最初に採用されたのが、GPS3 と無線 LAN4 、PDA5 を組み合わせたフィールドワークにおけるナビゲーション実験シス 3 GPS テムである。このナビゲーション実験システムは、PDA に GPS レシーバーを搭載した仕 組みにより実現されている。位置情報の取得及び観察ガイド(教材)は次のような方法で 提供される。 4 無 線 LAN 1. あらかじめ教材を表示したい場所(アンカーポイント)の位置情報(緯度、経度) をサーバーに登録しておく 2. 森林内に無線 LAN のアクセスポイントを設置し、森林内の PDA とサーバー間 は無線 LAN により通信が可能な状態にしておく 3. サーバー内のアンカーポイントの位置情報は、散策開始時に、無線 LAN を通し て PDA に配信され、PDA 側のデータベースに格納される 4. 散策中、一定間隔で GPS から位置情報を取得し、そのデータと PDA 側のデータ ベースに登録されているアンカーポイントの位置情報との照合を行い、一定範囲 内に近づくと、アンカーポイントに関連した教材を PDA に表示する 2/15 5 PDA Kyoto University Field Informatics Case GPS 䉰䊷䊋䊷 㽲⟎ᖱႎ PDA 㽵䈫ᢎ᧚䈱ෳᾖ⁁ᴫ䉕ㅍା ᚻᦠ䈐䊜䊝䉕ㅍା 㽷▤ℂ⠪䈎䉌䈱䊜䉾䉶䊷䉳䈫 ᣂⷙ䈱ᛚ䈘䉏䈢䊜䊝䉕ㅍା 㽶ᢎ᧚䈱ෳᾖ⁁ᴫ䈫 ቇ⠌⠪䈱⟎䉕⫾Ⓧ 㽴ᢎ᧚䉕␜ 㽳⟎ᖱႎ䈱ᾖว ቇ⠌㐿ᆎᤨ䈮 ᢎ᧚㈩Ꮣ 䉰䊷䊋䊷䊂䊷䉺䊔䊷䉴 ቇ⠌⠪䈱ᢎ᧚ෳᾖ⁁ᴫ 䉕ᩰ⚊ 䌐䌄䌁䊂䊷䉺䊔䊷䉴 ᢎ᧚䈱⟎ᖱႎ䉕 ᩰ⚊ 図 2: 上賀茂実験地・ナビゲーションシステム このシステムで実験を始めると、ユーザの視点からみて GPS の測位誤差をどのように吸 収するかということが課題となった。単独測位の GPS の測位誤差は 10-20m であり、その ままでは樹木や植物などの対象物を発見するには誤差が大きすぎる。海上保安庁が発信し ている中波帯ビーコン 6 を受信する方法もあったが、受信機の重さが1.16kgと持ち 6 歩くのには重過ぎる。また内陸部では中波帯ビーコンが入りにくい地域が多いため、補正 ビーコン 効果が期待できない。この問題を解決するため、自然ガイドツアーで採用したのは、直近 5 回の測位結果を平均したものを現在地として採用し、近傍の判定に利用する方式であった。 すなわち、システム起動中は、周辺地図とユーザの現在地が PDA に表示される。ユー ザの現在地では 10∼20 メートルの誤差があるとされる GPS の単独測位で取得しているた め、直近測位5回の平均を用いる。取得したユーザの現在位置と位置情報ファイルに登録 されているコンテンツの位置情報との照合処理を随時行い、一定範囲(10 メートル以内) に入ったと判断されるとその場所に関連したコンテンツを PDA に表示する。なお、学習 者はポケット付の帽子を着用し、このポケットの中にアンテナを格納するので、散策中に GPS の測位が途切れることがない。学習者は GPS 受信機とコードをポシェットに入れ、両 手で PDA を使いながら散策する。 コンテンツ作成 ガイドツアーのためには、上賀茂実験地の自然観察に適した森林や自然に関するコンテ ンツ作成が必要となる。人間のガイドによる自然ガイドツアーにおいては、これらはガイ ドから提供されるものである。こうしたガイドから提供される情報に対応付けて、樹木や 植物を説明するための画像が数多く採取され、コンテンツとして加工されることになった。 観察対象は、植物に詳しい専門家と共に学生たちが演習林を歩きながら、教育的に意味が 3/15 中波帯 Kyoto University Field Informatics Case 図 3: 実験システム一式 ある対象や面白いと思った対象を、コンテンツとして収集・採用して作り上げていったの である。 対象物として選ばれた樹木や植物は、以下のものであった。 ハイビャクシン、クロマツ、ストローブマツ、ハクショウ、トウヒの仲間、メタセコイア、 ラクウショウ、メキシコラクウショウ、オオモミジ、アセビ、シナユリノキ、ハナイカダ、 カラタチ、スイレン、ソメイヨシノ 更に、もう少し能動的な学習スタイルを取り入れることができないだろうか−学生たち は科学的な観察や記録といった要素を取り入れ、教材は森林や自然に関する三択式のクイズ 形式と指示された樹木の葉を描写するスケッチ形式の2種類を用意することにした。これ により、教材を読むだけではなく、ツアーガイド参加者中心の能動的な学習が可能となる。 この自然ガイドツアーでは、参加者はツアーガイドと共に動き回りながら、自らの視 点にもとづく観察により様々な対象物を発見する。こうした観察による発見を尊重するこ とは、更に、参加者の能動的な学習意欲を刺激する可能性を秘めている。そこで、ガイド ツアーがあらかじめ想定した対象物以外に、参加者の視点で見出された対象物を扱う方法 を模索した。その結果、参加者の能動的な観察による学習を促進するための工夫として、 散策中に珍しい植物などを自由に手書きメモとしてスケッチしサーバーに送信すると、管 理者が承認したものがアンカーポイントして扱われる機能を用意した。これにより、他の 学習者にその存在を伝えることができるといった、学習者同士の情報交換が可能となる。 学習者がそれぞれの興味に任せて学習していても、あたかもガイドツアーにおいて他の学 習者と行動を共にしているように、共同学習の要素を取り入れるのである。参加者は自分 が発見した対象物が他者と共有される喜びを味わうことができる。同時に、参加者の視点 にもとづいてコンテンツを蓄積することができるのである。 4/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 4: コンテンツ事例:ハナイカダの紹介 図 5: コンテンツ事例:ストローブマツの発見から三択式クイズまでのガイドフロー 5/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 6: コンテンツ事例:ロックフェラーセンターのもみの木の画像を活用した特長あるコ ンテンツ 図 7: 手書きメモ事例 インターフェースの改善 環境学習は、子供から高齢者まで幅広い年代層を対象としていた。このため、どのよう な年齢層の利用者にも対応可能で、ユーザが操作上で戸惑うことがない、確かなユーザイ ンターフェースが必要とされた。例えば、クイズ画面の JavaScript の改善として、「正解 です」 「残念でした」Box の出力や選択肢を選ばずに「回答」ボタンを押したときの対策な ど、実用に耐えうるシステムを提供するための最低限のインターフェース上の細やかな対 応を行なう必要もあった。 ユーザインターフェース仕様は、実際に実験前に実際の利用を想定しながら、改善を細 やかに繰り返して完成させた。具体的には、図のように、スケッチコンテンツのクイズ画 面で、 「送信終了後に押してください」ボタンの表示位置を下げ、本文との間に『スケッチ 6/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 8: きのこの役割・コンテンツ は、右上の「メモ」ボタン→「手書き」ボタンで作成できます。』の出力を追加するといっ た細やかな工夫である。実際のユーザの利用に基づく改善は、コンテンツの操作を間違い のないものとするために極めて重要なものであった。 チュートリアルの重要性 更に、情報端末を利用したことがない一般の参加者を想定したチュートリアルの準備で は、様々な工夫が必要となった。以下は作成されたチュートリアルの一部である。TODO で示された箇所は、リハーサル時に、改善が指摘された部分である。 7/15 Kyoto University Field Informatics Case コンテンツヒット-1 クイズ コンテンツとは何か—「教材です。」 コンテンツ画面の説明—まず、「ハイビャクシン」は教材である植物の名前です。こ の写真が,ハイビャクシンの写真です。 このページは,まず,その教材となる植物を探してもらうという意味のページです。 ブラウザの使い方の説明—スクロール →地図を見ることができる。 「写真と地図を手がかりに,ハイビャクシンを探してください。」 「見つかったら, 『はい』ボタンをタップしてください。」 タップの説明 →見つからなかったとき…「地図へ戻る」ボタンをタップ 長タップの説明…タップすると、ペンの先の周りを赤い印が 1 周します。 1 周すると,ポップアップメニューが出てしまいます。(あえて長押しさせる。) (ppt をさして「このような画面です。そういう場合は,まったく関係のない白い部分 をタップしてください。これで戻ります。」) 「はい」をタップしたら,コンテンツの説明画面 説明画面では,またスクロールとタップにより,ページ全体を閲覧する。 説明画面の説明…「このページは、ハイビャクシンの説明です。 ここで,クイズがでるので、『次へ。』ボタンをタップしてください。」 クイズ画面—ラジオボタンの説明 TODO:ラジオボタンを選択せずに「解答」を押した場合の対策を考える。 JavaScript で「解答を選んでください」メッセージボックスを出せないか検討。 「ここではクイズに答えてもらいます。答えは 3 択になっていますので,どれか 1 つを 選んでから、 『解答』ボタンをタップしてください。」 「この際,何も選ばずに『解答』ボタンを押さ ないようにしてください。」 「タップ出来るのは,選択肢の前の『○』だけです。文をタップしても選択できません ので注意してください。」 →「解答」ボタンを押す。 「正解です」or「残念でした」メッセージボックスが出る。 「OK」をタップして,次へ進んでください。 : 「正解です」or「残念でした」メッセージボックスでは、「地図へ戻る」ボタンは押 せないのか? TODO:メッセージボックスが一瞬で消えないように修正。 解説ページ 「クイズの答えと,解説のページです。」「1 つのコンテンツがここで終わります。」 TODO:解説ページの最後に, 「『地図へ戻る』ボタンを押してください。」の 1 文を書 き加える。 TODO:解説のはじめから,ここまでをカバーするログを作る。時間的に結構長いも のになる。 8/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 9: 上賀茂実験地での実験の様子 実験 これらの機材、コンテンツの準備を終えて、上賀茂実験地での実験が行なわれた。実験 は午前1回と午後2回にわたり、学生たちの手によって行なわれ、実験地に参集した参加 者からの意見が多く収集された。 参加者からは自然に対する興味が深まり楽しかったという高い評価が得られた一方、ナ ビゲーション機能(GPS)が役に立ちにくかったという GPS の精度の問題が残された。つ まり、システムの安定性や教材の出現する位置が正確であることが、総合的な評価のポイ ントになっていることがわかった。GPS の単独測位での誤差があったため、教材が表示さ れた場所と対象物までの距離が遠かったことと、対象物の場所がわかりにくいことが原因 になっていることが予測された。学生たちは、この実験から得られた課題である GPS の 測位誤差をカバーする方策を模索する一方で、システムの実用化にむけての方向性を目指 そうとしていた。つまり、より多くの参加者に環境教育の機会を提供すると同時に、人間 の側からみたコンテンツの呈示方法を環境教育の実践の中で、更にこの問題を人間との接 点で改善したいと考えていたのである。 愛・地球博(2005 年 7 月 30 日− 8 月 28 日) 森林教育支援システムの実用的利用のチャンスは、思いがけない形で実現した。2005 年 に開催が決定していた地球博で、市民参加型のイベント参加が実現し、環境学習のコンテ ンツ企画を提供することが可能になったのである。学生たちは上賀茂実験地での森林教育 支援システムの評価実験の成果を生かし、このシステムを地球博覧会における市民向けイ ベントを展開しようと考えた。そして、このシステムを「森とお話しよう!携帯端末ガイ ドツアー」と名づけて、身近な森の自然とのふれあいを体験してもらうイベントとして提 供することになったのである。 この企画においても相変わらず、単独測位の GPS の測位精度では扱いづらいと予想さ れる小さなオブジェクトに対する情報提供を行うために、どのような工夫をすればよいか、 9/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 10: 愛・地球博「北の森」散策コース ということが課題となった。地球博は入場料金を払って入場するイベントであることから、 大学機関で行う被験者実験とは異なり、サービス品質に対するユーザの評価はシビアであ る。動いて当たり前、測位できて当たり前−イベントを成功させるには、更なる工夫が避 けられなかった。 会場コース 割り当てられたイベント会場は、愛・地球博の森林体感ゾーン・森の自然学校「北の森」 の散策コース(全長約1キロ)であった。愛・地球博会場には、 「南の森」も計画されてい たが、南の森はメイン会場からのアクセスが良いため、既に多くの開催イベントが予定さ れていた。一方、 「北の森」はアクセスが悪いことから、定常イベントである絵本の展示イ ベント以外の開催イベントは、未決定であったのである。現地は立地の点では恵まれてい なかったが、静かな雰囲気をたたえた自然観察の雰囲気に適した森であった。愛・地球博 会場は、自然との共生をテーマとしていることから、自然が多く残される形で会場がデザ インされている。この散策コースの沿路にも、貴重種などを含めた樹木や植物が点在して いた。とはいえ、この散策コースは一方通行のウッドデッキ型の遊歩道である上に、遊歩 道の両サイドには簡単な木柵が取り付けられており、そのままでは植物を見つけることは 容易ではなかった。 上賀茂実験地における実験結果から、対象物が発見できない、という問題は、利用者の ストレスを増大させることがわかっていた。従って、利用者が対象物に到着する前に、利 用者が対象物への接近に気づくことが重要となる。対象物への接近を知らせることは現在 の GPS の測位誤差からいって、技術的には非常に難しい課題である。そのための対策とし て、ランドマークを利用する方法など、人間とのインタラクション上での工夫 7 がとられ 7 てきた。ユーザの画面上でまず、遠景写真+ポインタを示し、その後オブジェクトの全体 文 とオブジェクトの一部分を示して、段階的にズームインする形式をとる。また、オブジェ クトの一部分を示すとともに、発見確認のインタラクションや視点や注意のコントロール 10/15 関連論 Kyoto University Field Informatics Case を呈示することにより、GPS 誤差の吸収のための観点を示しながら、ユーザとのインタラ クションによって、GPS の測位誤差を吸収する方策をとる、といった工夫である。技術的 な観点からは単独測位の GPS の測位誤差を吸収するためのコンテンツ様式の提案および 評価 8 が求められた。また、GPS・PDA を用いたセルフガイドツアーのガイドラインを 8 作成することも目標であった。 文 関連論 検討の結果、次のような方法が採用されることになった。まず、コンテンツの最初のペー ジに、オブジェクトの遠景シーン、更に赤い丸印でオブジェクトの存在場所を示す。会場 は一方通行の遊歩道であり、オブジェクトを通り過ぎてから戻って探すことが難しいため、 オブジェクトの位置よりも手前でコンテンツが表示されるように位置情報を調整し、GPS の誤差を、コンテンツと人間の位置関係を考慮して調整した。「見つかりましたか?」と いう確認作業をコンテンツ側から人間に対して投げかけ、ユーザにオブジェクトを特定し てもらえるように誘導する。従来は GPS の誤差をデファレンシャル GPS9 のような精度 の高い GPS 機器で吸収する、ないし、GPS 以外の測位技術(無線 IC タグ 10 を用いると いったハードウェア的な改善や、高度の低い衛星 11 を無視するといったソフトウェア的な 9 デ ファ レ ン シャ ル GPS 改善が考えられた。これに対して、このイベントでは、ユーザの視線やコントロールを行 うコンテンツ様式に依存した改善方法を採用することになった。 RFID タグ 12 等の利用も検討された。しかし、野外活動という特性から、バッテリー供 給ができない、電源がとれない、という制約があった。バッテリーが必要なケースでは、 10 無線 IC タグ PDA 側にバッテリーをもたせる必要がある。開発に要する時間も足りなかった。限られた 環境の中で、様々な制約を考慮しながら、できる方法をとることが必要となった。設備の 11 設置にも様々な事情から制約が発生し、無線 LAN の利用も不可能となった。そのため、結 低い衛星 高度の 果的には、上賀茂実験地のシステムをそのままの形で利用することは困難となり、無線L ANを使用しない形式により運用することになった。 南の森と比較して静かなこの地域(北の森)では、定常イベントである絵本の展示イベ ントが始まっていた。この定常イベントは地元の散歩コースのような雰囲気をたたえた北 の森の中を、家族で散歩しながら野外に展示された絵本を楽しむイベントであり、素晴ら しいものであった。学生たちは、このエリアで行なわれるイベントが、参加者にとって押 し付けがましいものでないことが望ましいと直感した。そして、提供されるコンテンツも また、そのような空間特性を活かした、押し付けがましくない環境に合ったものであるこ とが望ましいと感じていた。 コンテンツはコースツアー形式とし、「北の森なるほどコース」, 北の森なるほどコース の「English version」, 子供向けの「クイズで親しむ北の森コース」、玄人向けの「樹木博 士コース」の 4 種類のコースが用意された。 利用者は、これらのコースのうちの1つを選択し、各自のペースで散策する。各コース には 14∼15 個のコンテンツが配置されており、それぞれ異なる自然観察ツアーを楽しむ ことができる。コンテンツは PDA から提供されるが、コース途上ではメンバーが巡回し、 インタープリテーション的な役割を果たすこともあった。PDA から提供されるコンテンツ はインタープリテーションを行なうメンバーと共に選択していった。その結果、30程度 のコンテンツが出来上がり、その中から標準コースが作成された。自然物を対象とするこ 11/15 12 RFID タグ Kyoto University Field Informatics Case 㽲⟎ᖱႎ䈱ขᓧ GPS PDA 㽴ᢎ᧚䉕␜ 㽳⟎ᖱႎ䈱ᾖว 䊨䊷䉦䊦䉨䊞䉾䉲䊠 ᢎ᧚䈍䉋䈶ᢎ᧚䈱 ⟎ᖱႎ䉕ᩰ⚊ 図 11: 地球博・ナビゲーションシステム 図 12: 北の森定常イベント・絵本を楽しむイベント 12/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 13: 地球博・ナビゲーションコースとコンテンツ とから、季節の移り変わりにあわせて、コンテンツの差し替えが頻繁に行なわれた。コン テンツには、園内のゴンドラに手を振ろう、といった小さな遊びの要素も取り入れた 13 。 13 遊びの また、上賀茂実験地で実験された手書きメモは、地球博イベントでも自由に使用可能とし、 要素 イベント参加者によって描かれた手書きメモの一部はインターネットで公開された。プロ グラム終了後に、参加者に対する簡単なインタビュー調査を行ない、このイベントに対す る評価がどのようなものであったかを把握することとした。 地球博でのガイドツアーは、実施期間中、予想をはるかに超える 1,000 人近いリアルユー ザを集め、ファミリー中心の体験型イベントとなった。イベントを続けるうちに、自然をそ のままの形で利用した地球博会場で、情報端末を手に新しい植物を発見して目を輝かせる 子供たちに、学生たちは確かな手ごたえを感じ始めていた。イベントは好評を博し、被験 者からは、プログラムの面白さで肯定的な意見が多数寄せられた。一方、システムの使い 勝手や操作性の点では画面がみづらい「スタイラスペンによる操作が難しい」などの問題 を指摘する声があり、コンテンツの分量やコンテンツの質(音声や動画)についても、多 様な意見があった。GPS の測位誤差に関してはやはり、「対象物が見つからなかった」と いった意見も若干ながら存在した。 単独測位の GPS の測位誤差について,ハードウェアやソフトウェアによる誤差改善以 外にも,コンテンツ様式による誤差吸収が可能であることがわかった。特に、GPS の測位 誤差を吸収するにあたって、進行方向を考慮したポイントの設置(道幅数 m の一方通行) に加え、歩道上の人工物の存在はユーザの認知を助ける結果となり、ランドマーク(人工 物や特徴的なオブジェクト)の存在が重要であるということがわかった。こうした、ランド マークの存在の重要性や進行方向といったアイディアを組み込みながらも、対象が樹木や 草本などの植物の場合,変化の大きい季節があり、なかなか対象物を見つけられないケー スがあることがわかった。このことから、コンテンツマネジメントの一環として、変化の 大きい季節への対応、観察しやすい個体の選択なども、重要であることがわかった。 情報技術の利用は新しい自然観察ガイドツアーを、具体的な方法論の面から支援する。 学生たちにとっての夢− 1976 年にベオグラード憲章 14 として発表されている「環境と環 14 ベオグ ラード憲 13/15 章 Kyoto University Field Informatics Case 図 14: 北の森なるほどコース:英語バージョンのコンテンツ 境に関連する諸問題を自覚して、それに対して関心を持つとともに、現在の問題を解決し 将来の問題を未然に防止するために、個人あるいは集団で行動するために必要な知識、技 能、態度、動機、熱意を身につけた人々を世界中で育成すること」につながる実践−への 一歩が踏み出された。 14/15 Kyoto University Field Informatics Case 図 15: 愛・地球博でのアクティビティ 関連ケース [1] フィールド情報学ケース:稲荷小学校の野外自然観察学習,2007. [2] フィールド情報学ケース:稲荷小学校の動物園ケース,2007. 技術関連学術論文 [1] 垂水浩幸,森下健,中尾恵,上林弥彦:時空間限定型オブジェクトシステム:SpaceTag, インタラクティブシステムとソフトウエア ,近代科学社,pp.1-10,1998. ケース関連学術論文 [1] 阿部光敏,長谷川直人,大崎智弘,安川直樹,木庭啓介,吉村哲彦,守屋和幸,酒井 徹朗:PDA と GPS を用いた環境学習支援システムの開発と評価,情処第 65 回全国大 会,分冊 4,no2B-4,pp.257-258,2003. [2] 大崎智弘,安川直樹,阿部光敏,守屋和幸,酒井徹朗: 「総合的な学習の時間」における 学習課題決定支援,ヒューマンインターフェース学会論文誌,Vol.6,No.2,pp.49-55, 2004. [3] 安川直樹,大崎智弘,阿部光敏,守屋和幸,酒井徹朗:自然・環境学習における観察記 録の作成・共有支援,ヒューマンインターフェース学会論文誌,Vol.6,No.2,pp.67-74, 2004. [4] 安川直樹,松尾佳秀,阿部光敏,守屋和幸,酒井徹朗:還流型学習コンテンツを用いた 野外体験学習支援,教育システム情報学会誌,Vol.22,No.3,pp.197-205,2005. 15/15 䌁␠䈱䉬䊷䉴䋺ၮᐙ䉲䉴䊁䊛䉟䊮䉺䊷䊐䉢䊷䉴䈮䉋䉎ᬺോᡷༀ╷㩷 䋨䉬䊷䉴䊜䉸䉾䊄ታ〣↪䋩㩷 㧭␠ੱㇱߦൕോߔࠆ᳗᳁ߪ㧘มߩ↰ㄝ᳁ߣߦో␠⊛ߥᬺോᡷ㕟ࠍផㅴߔࠆ․ ࠴ࡓߦോߣߥࠅ㧘␠ౝᬺോߩ⋥ߒߦขࠅ⚵ࠎߢߚ㧚᳗᳁ߪ␠એ᧪㧘ࠪࠬ࠹ࡓ 㐿⊒ㇱ㐷ߢ␠ౝߩㆡ↪ᬺോࠪࠬ࠹ࡓ㐿⊒ߦᓥߒ㧘ࠕ࠽ࠬ࠻ߣߒߡߩ␠ౝᬺോಽᨆߥߤ ࠍᚻ߇ߌߡ߈ߚ㧚ߎߩ⚻㛎ࠍᵴ߆ߒߡੱㇱߦ⇣േߒߚ᳗᳁ߦਈ߃ࠄࠇߚࡒ࠶࡚ࠪࡦߪ㧘 ␠ౝߩੱ⊛⾗Ḯߩౣ㈩⟎ߣౣᵴ↪ߢࠅ㧘ੱ⊛⾗Ḯߩല₸⊛ᵴ↪ߦ㑐ߒ㧘⋡ߦ߃ࠆ৻ቯ ߩᚑᨐࠍ᳞ࠄࠇߡߚ㧚᳗᳁ߩมߩ↰ㄝ᳁ߪ㧘߽ߣ߽ߣߪᛛⴚㇱ㐷ߢࠍߒߡ ߚ߇㧘▤ℂ⡯ߦߥࠆߣหᤨߦ▤ℂㇱ㐷ߦ⇣േߒ㧘ᛛⴚߩࠊ߆ࠆ⧯ᚻ▤ℂ⡯ߣߒߡ␠ౝߢߩ ᵴേߩ႐ࠍᐢߍߟߟߞߚ㧚 ␠ߩ⚵❱ߪ࿑㧝ߩߣ߅ࠅߢࠅ㧘ฦㇱ⟑ߦߪฦㇱ⟑ߩ✚ോࠍขࠅ߹ߣࠆ⓹ญߣߒߡ ߩ✚ോࠣ࡞ࡊ㧔ߥߒ✚ോડ↹ࠣ࡞ࡊ㧕߇⸳ߌࠄࠇߡߚ㧚ߘߩⷙᮨߪ᭽ࠅߢޘ㧘 㧝㧜㧜ฬ⒟ᐲ߇ᚲዻߔࠆᬺᧄㇱනߦ✚ോડ↹ࠣ࡞ࡊࠍ⸳ߌߡࠆࠤࠬ㧘㧟㧜߆ࠄ 㧡㧜ฬ⒟ᐲߩㇱනߦ⸳ߌߡࠆࠤࠬ߇ߞߚ㧚߹ߚ㧘ၞߏߣߦᡰ␠߇⸳ߌࠄࠇߡ߅ ࠅ㧘ᡰ␠ߩ▤ロਅߦߪᡰᐫ߇⸳ߌࠄࠇߡߚ㧚ߎࠇࠄߩᡰ␠߿ᡰᐫߦ߅ߡ߽✚ോࠣ࡞ ࡊ߇ሽߒߡߚ㧚㧭␠ߩ೨りߣߥࠆᲣ⚵❱ߪ㧘⊛ᬺࠍ༡ᢙਁੱߩᓥᬺຬࠍᛴ߃ ࠆᄢⷙᮨߥో࿖⚵❱ߢߞߚ㧚ߎߩᲣ⚵❱ߩ⚵❱᭴ㅧߣᬺോࡊࡠࠬࠍߘߩ߹߹ᒁ߈⛮ ߢߚߚߦ㧘ࠦࡦࡄࠢ࠻ߥ߇ࠄ߽ᱧผ⊛ߦฦㇱ⟑ߦ✚ോ⚵❱ࠍᱷߒߡߚߩߢࠆ㧚 ᳗᳁߇⋡ࠍߟߌߚߩߪ㧘ߎࠇࠄߩ✚ോࠣ࡞ࡊߢᜂᒰߒߡࠆ⚻ℂോߢߞߚ㧚✚ ോࠣ࡞ࡊߪߨ㧘ฦㇱ⟑ߩㇱ㐷㐳ߩ⒁ᦠᬺോࠍߪߓߣߔࠆ✚ോ㧘ࠝࡈࠖࠬ▤ℂ㧘ශ ▤ℂ߿ᄾ⚂ᬺോߩߣࠅ߹ߣ㧘ㇱ⟑ౝߢ⊒↢ߔࠆ⚻ℂജᬺോߥߤࠍᜂߞߡߚ㧚✚ോࠣ ࡞ࡊߦߪᔅߕ⚻ℂᜂᒰ⠪߇ሽߒ㧘ㇱ⟑ౝߢ⊒↢ߔࠆฦ⒳વࠍ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓߦജߔ ࠆࠍᜂᒰߒߡߚߩߢࠆ㧚␠ౝߩ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓߪࡔࠗࡦࡈࡓߢⒿേߔࠆၮᐙࠪ ࠬ࠹ࡓߢࠅ㧘ฦㇱ⟑ߩ✚ോࠣ࡞ࡊߦߪ⚻ℂવജ↪┵ᧃ߇㈩⟎ߐࠇߡߚ㧚 ㇱ⟑ౝߢ⊒↢ߔࠆવߪ߹ߕ㧘ฦㇱ⟑ߩ⚻ℂᜂᒰ⠪߇ജࠍⴕ㧘ࡕ࠾࠲ࠬ࠻ߣ ߫ࠇࠆࡊ࡞ࡈࠬ࠻ࠍജߔࠆ㧚ߘߩࡕ࠾࠲ࠬ࠻ߣㇱ⟑ౝߢ⊒↢ߒߚ⚻ℂ⸽ᙀ㘃ࠍ ࠶࠻ߦߒ㧘✚ോࠣ࡞ࡊߩ⚻ℂᜂᒰ⺖㐳ߩශࠍᓧߚ߽ߩࠍ⚻ℂㇱߦㅍࠆ㧘ߣ߁ࡊࡠ ࠬߢ⚻ℂಣℂ߇ߥߐࠇߡߚ㧔࿑㧝㧕㧚᳗᳁ߪએ೨߆ࠄ㧘ߎߩᬺോࡊࡠࠬߦ㕖ല₸ߥ 㕙߇ࠆ߽ߩߣ⠨߃ߡߚ㧚ࠦࡦࡄࠢ࠻ߥ⚵❱ߦߒ㧘৻ቯ▸࿐ߩ⚻ℂോࡊࡠࠬࠍ㓸 ਛൻߔࠆߎߣߢ㧘ੱ⊛⾗Ḯౣ㈩⟎ߩน⢻ᕈ߇ࠆߩߢߪߥ߆ߣ⠨߃ߡߚߩߢࠆ㧚 ㇱ⟑ౝฦ␠ຬ䈎䉌⸽ᙀ㓸 ⸽ᙀ䉼䉢䉾䉪 ⚻ℂ䉲䉴䊁䊛䈻 ᡰᛄ╬䊂䊷䉺ജ 䊝䊆䉺䊷䊥䉴䊃ജ ⸽ᙀ䈫䉶䉾䊃䈪ᛚ ᛚᓟᦠ㘃䉕⚻ℂㇱ䈻ㅍઃ ࿑㧝㧦⚻ℂᜂᒰ⠪ߦࠃࠆ⚻ℂવಣℂࡈࡠ ᳗᳁ߪ㧘ߐߞߘߊᬺോ⺞ᩏߩߚߦ⚻ℂㇱߦะ߆ߞߚ㧚⚻ℂㇱߦߪᧄ␠ㇱ㐷߆ࠄ߇ ߞߚ೨ᐕᐲಽ߹ߢߩోࡕ࠾࠲ࠬ࠻߇ᢛὼߣ▤ߐࠇߡߚ㧚ߎࠇࠄߩࠬ࠻ࠍߊࠅ ߥ߇ࠄ㧘᳗᳁ߪࠆߎߣߦ᳇߇ߟߚ㧚⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓߦജߐࠇࠆવߩਛߢޟᬺോ↪ ㅢ⾌ߣޠ߫ࠇࠆ㧘ᣣࠆߔ↢⊒ޘㅢ⾌ߩ♖▚વ߇㕖Ᏹߦᄙ߆ߞߚߩߢࠆ㧚ᣣߩޘ ᬺോߢ⊒↢ߔࠆㅢ⾌ߪੱߩ┙ᦧᛄߦࠃߞߡಣℂߐࠇߡ߅ࠅ㧘┙ᦧ㊄ࠍ⺧᳞ಣℂߔࠆᚻ ⛯߈ߣߒߡޟᬺോ↪ㅢ⾌┙ᦧ⺧᳞ᦠ߇ޠᄙᢙឭߐࠇߡߚߩߢࠆ㧚 ᳗᳁ߪᣇᄢቇߩᎿቇㇱࠍතᬺߒߡ㧭␠ߦ␠ߒߚ㧚ᦨೋߦขࠅ⚵ࠎߛߪ␠ౝߩ 㧻㧭ൻߢߞߚ㧚ᐔဋᐕ㦂ߩ㜞ߊ㧘ਛ㜞ᐕߩᄙ㧭␠ߦ߅ߡ㧘ో␠ຬߦࡁ࠻ဳࡄ࠰ࠦ ࡦࠍ㈩Ꮣߒ㧘ߎࠇࠍᣣᏱ⊛ߥ↪߳ߣዉߊߎߣߪኈᤃߥߎߣߢߪߥ߆ߞߚ㧚ߘߩߚߦዉ ߐࠇߚߩ߇㧘ࠣ࡞ࡊ࠙ࠚࠕߢߞߚ㧚᳗᳁ߪ㧘ᖱႎࠪࠬ࠹ࡓㇱਥዉߢߪߥߊ㧘ฦㇱ 㐷ߩ⧯ᚻ߇⥄ࠄߩᚻߢࠕࡊࠤ࡚ࠪࡦࠍኈᤃߦ㐿⊒ߢ߈ࠆⅣႺࠍࠆߎߣߎߘ߇㧘ዉ ᚑഞߩ㎛ߣ⠨߃ߚ㧚ߘߎߢ㧘ቯ⹏ߩࠆࠣ࡞ࡊ࠙ࠚࠕࠍో␠⊛ߦዉߒ㧘ฦㇱ⟑ߦࠣ࡞ ࡊ࠙ࠚࠕኾ↪ߩࠨࡃࠍ㈩⟎ߒ㧘ㇱ⟑ߩ⧯ᚻߦ৻ቯߩᮭ㒢ࠍਈ߃ߡߎߩࠨࡃߩㆇ ༡ߦ⽿છࠍᜬߞߡ߽ࠄ߁ߎߣߣߒߚ㧚ߎ߁ߒߡฦㇱ⟑ߦࠪࠬ࠹ࡓㇱߦࠃߞߡࠨࡃ߇ዉ ߐࠇ㧘ో␠⊛ߥࡀ࠶࠻ࡢࠢ߇᭴▽ߐࠇߡᢙᐕ߇⚻ㆊߒߡߚ㧚᳗᳁ߩദജ߽ߞߡ㧘 ᄙߊߩ␠ຬߪ␠ߣหᤨߦฦ⥄ߩࡄ࠰ࠦࡦࠍ㐿߈㧘ࡔ࡞࠴ࠚ࠶ࠢࠍⴕ߁ᢥൻ߽ቯ⌕ߒ㧘 㧵㨀ൻߐࠇߚⅣႺߩਛߢ߇ㅴࠄࠇࠆࠃ߁ߦߥߞߡߚ㧚␠ౝߩᄙߊߩㅪ⛊ߪ㔚ሶࡔ ࡞ߢⴕࠊࠇࠆࠃ߁ߦߥࠅ㧘৻ߒߡല₸ൻ߇ㅴࠎߛ߆ߦߺ߃ߚ㧚ߒ߆ߒ㧘ߩ߿ࠅᣇ ࠍᩮᧄ⊛ߦᄌ߃ࠆߣ߁㗴ࠍవㅍࠅߦߒߡߚߎߣߢ㧘⋡ߦ߃ࠆวℂൻ߿ല₸ൻࠍᨐ ߚߔߎߣ߇ߢ߈ߡߥ㧘ߣ߁ᛕ್߽␠ౝߦῗࠅᆎߡߚ㧚 ᳗᳁ߣมߩ↰ㄝ᳁ߪ㧘⋡ߦ߃ࠆวℂൻ߿ല₸ൻࠍᧂߛᨐߚߖߕߦࠆ㧘ߘߩᩮᧄ ⊛ߥේ࿃ߦߟߡ⠨߃ߡߚ㧚ߩᄙߊߪᏭ߇ࡌࠬߦߥߞߡ߅ࠅ㧘␠ౝߢߪᢙᄙߊ ߩᄙ⒳ᄙ᭽ߥᏭ߇↪ߐࠇߡࠆ㧚ߎࠇࠄߩᏭߩᄙߊߪ㧘ᣢߦฦㇱ㐷ߩᗧ᰼ࠆ⧯ᚻ ߇㔚ሶൻߦ⌕ᚻߒߡߚ㧚⧯ᚻߩਛߦߪࠬࠠ࡞ߩࠆ␠ຬ߽ᄙߊ㧘⧯ᚻߪߘߩ⢻ജࠍ┹߁ ࠃ߁ߦߒߡࠣ࡞ࡊ࠙ࠚࠕߩᯏ⢻ࠍᦨᄢ㒢ߦᵴ↪ߒ㧘㔚ሶⵙߥߤ㜞ᐲߥࡢࠢࡈࡠࠪ ࠬ࠹ࡓࠍ㐿⊒ߒߡߚ㧚ߒ߆ߒ㧘ߎࠇࠄߪౕ⊛ߥੱ⊛⾗Ḯߩౣ㈩⟎ߦⓍᭂ⊛ߦ⽸₂ߒߚ ߣߪ߃ߥ߆ߞߚ㧚ขࠅ⚵ߺ߇ࡏ࠻ࡓࠕ࠶ࡊߢࠆߎߣߪ㧻㧭ൻߩㅴዷߦߪ⽸₂ߒߚ߽ߩ ߩ㧘ฦㇱ⟑ߦߣߞߡ㧘ᬺോߩ㔚ሶൻߣੱ⊛⾗Ḯߩౣ㈩⟎ߣߪ㗴ߦߥߞߡߒ߹ߞߡߚ ߩߢࠆ㧚 ᳗᳁߇⋡ࠍߟߌߚᬺോ↪ㅢ⾌ߦ㑐ߔࠆ┙ᦧ㊄ߩ⺧᳞↳⺧ᦠߪ㧘ᰴߩࠃ߁ߥࡊࡠࠬ ߢಣℂߐࠇߡߚ㧚ᣢߦ↳⺧ᦠߦߟߡߪࡢࠢࡈࡠߦࠃࠆ㔚ሶᛚࠪࠬ࠹ࡓ߇Ⓙേߒ ߡ߅ࠅ㧘ᛚⵙߦ㑐ߒߡߪ㔚ሶൻ߇ߥߐࠇߡߚ߇㧘ⵙᓟ㧘ᛚᷣߩᏭࠍ⚕ࡌࠬ ߢജߔࠆᬺ߇ⴕࠊࠇߡߚ㧚ߘߒߡߎߩ⚕ࡌࠬߩᏭߪ㧘ౣ߮ᚻᬺߢ⚻ℂࠪࠬ࠹ ࡓߦജߐࠇߡߚ㧚ߘߒߡ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓ߆ࠄജߐࠇߚࡕ࠾࠲ࠬ࠻ߣ࠶࠻ߦߐࠇ㧘 ⚻ℂㇱߦ࿁ઃߐࠇߡߚߩߢࠆ㧚㔚ሶᛚߩࡢࠢࡈࡠ߇Ⓙേߒߡࠆࠣ࡞ࡊ࠙ࠚ ࠕߩ࠺࠲ߪ㧘ၮᐙࠪࠬ࠹ࡓߢࠆ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓߦォㅍߐࠇࠆ⚵ߺ߇ߥߚߦ㧘ౣ ജ߇ᔅⷐߣߥߞߡߚߩߢࠆ㧚ߘߒߡ㧘ߎߩࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬߪ㧘ၮᐙࠪࠬ࠹ࡓߣߩ ㅪേࠍᔅⷐߣߔࠆ߽ߩߢࠆߎߣ߆ࠄ㧘ㇱ⟑ߩ⧯ᚻ߇ࡏ࠻ࡓࠕ࠶ࡊߦ㐿⊒ߔࠆߎߣߪ࿎㔍 ߢߞߚߩߢࠆ㧚 ᬺോ↪ㅢ⾌ߩ㔚ሶ↳⺧ߩߚߩࡢࠢࡈࡠࠪࠬ࠹ࡓߢᚑߐࠇߚ࠺࠲ࠍ㧘⚻ℂࠪ ࠬ࠹ࡓ߳ォㅍߢ߈ࠇ߫㧘ฦㇱ⟑ߦ㈩⟎ߐࠇߡࠆ⚻ℂᜂᒰ⠪ߩࠍඨᷫߢ߈ࠆ㧚ߎ߁⠨ ߃ߚ᳗᳁ߪ㧘ࡢࠢࡈࡠࠪࠬ࠹ࡓ߇ቯ⌕ߒߡࠆࠣ࡞ࡊ࠙ࠚࠕߩ࠺࠲ࠍၮᐙࠪ ࠬ࠹ࡓߩ࠺࠲ࡌࠬߦㅪ៤ߐߖࠆᛛⴚ⊛ᬌ⸛ࠍᆎࠆߎߣߦߒߚ㧚 ᬌ⸛ࠍᆎࠆߣ㧘ߔߋߦ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓߩࡔࠗࡦࡈࡓߩࡌࡦ࠳߆ࠄឭ᩺߇߇ߞߡ ߈ߚ㧚ၮᐙࠪࠬ࠹ࡓߣࠣ࡞ࡊ࠙ࠚࠕࠍㅪ៤ߐߖࠆ࠺࠲ォㅍ࠷࡞߇ሽߒ㧘ߎࠇࠄࠍ ዉߒࠞࠬ࠻ࡑࠗ࠭ߔࠆߎߣߢ㧘ࡎࠬ࠻߳ߩቯᦼ⊛ߥ࠺࠲ๆߍ߇◲නߦታߢ߈ࠆ ߣߩߎߣߛߞߚ㧚Ⓧ߽ࠅ㊄㗵ߪ㧘ࠞࠬ࠻ࡑࠗ࠭⾌↪߽⚂㧡㧜㧜ਁߢࠅ㧘᳗᳁ ߇ᒰೋᗐቯߒߚࠃࠅ߽ߪࠆ߆ߦଔߢߞߚ㧚 ߎߩⓍ߽ࠅࠍฃߌߡߩ᳗᳁ߩ⹜▚ߣߪ㧘ᰴߩࠃ߁ߥ߽ߩߢߞߚ㧚Ფㅳ㧠㧜㧜ᨎ⒟ ᐲߩᬺോ↪ㅢ⾌↳⺧߇⊒↢ߔࠆߣߒ㧘㧝ᨎߩવജಣℂߣᛚಣℂߥߤวࠊߖߡ㧟㧜 㧜ߩ⚻⾌⽶ᜂߣߔࠇ߫ߚࠅ⚻⾌ߪ⚂㧝㧞ਁߢࠆ㧚㧝ࡩߢ⚂㧢㧜ਁ⒟ᐲߩᷫ ߣߒߡ㧘㧝ᐕߢߎߩᛩ⾗⾌↪ࠍ࿁ߢ߈ࠆߣ⠨߃ߚ㧚 มߩ↰ㄝ᳁ߪ㧘᳗᳁߆ࠄߎߩᣂߚߥੱ⊛⾗Ḯࠍ↢ߺߔࠕࠗ࠺ࠖࠕࠍ⡞߈㧘ߗ߭ㅴ ࠃ߁ߣ⾥หߒߡߊࠇߚ㧚ߘߎߢ㧘ᖱႎࠪࠬ࠹ࡓㇱߦᚲዻߒߡࠆ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓߩᜂ ᒰ⠪ߢࠆ㈬᳁ߦ⋧⺣ߒߚߣߎࠈ㧘㈬᳁߽⿰ᣦࠍℂ⸃ߒ㧘᳗᳁ߪ㈬᳁ߣߦᖱႎ ࠪࠬ࠹ࡓㇱߩߎߩࡎࠬ࠻ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬࠍታߔࠆߚߩࡊࡠࠫࠚࠢ࠻ࠍ┙ߜߍࠆߎ ߣߦߥߞߚ㧚 ᳗᳁߇ឭ᩺ߒߚᡷༀᓟߩᬺോࡈࡠߣߪ㧘એਅߩࠃ߁ߥ߽ߩߢߞߚ㧚߹ߕ㧘ฦㇱ⟑ ߢᣢߦ↪߇ᶐㅘߒߡࠆㅢ⾌ࠪࠬ࠹ࡓߦ㧘ฦ␠ຬ߇࠺࠲ࠍജߔࠆ㧚ߎࠇࠄߩ࠺ ࠲ࠍࡢࠢࡈࡠߣߒߡߘߩ␠ຬߩㇱ⟑㐳߇ᛚߔࠆ㧚ᛚᓟߩ↳⺧ᦠߪ㧘ޟᛚᷣߣޠ ߁ࠬ࠹࠲ࠬߣߦ㧘ࠣ࡞ࡊ࠙ࠚࠕߩ࠺࠲ࡌࠬߦ⫾Ⓧߐࠇࠆ㧚 ㅳ㧝࿁㧘Ფᦐᣣᣧᦺߦ㧘ฦㇱ⟑ߩࠨࡃ߆ࠄޟᛚᷣࠗߦ࠻ࠬࡎࠍߺߩ࠲࠺ߩޠ ࡦ࠲ࡈࠚࠬߒ㧘ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬߐࠇߚ࠺࠲ߦ㑐ߔࠆ৻ⷩࠬ࠻ᒻᑼߩ࠺࠲৻ⷩ ࠍ⚻ℂㇱౝߦ⸳⟎ߐࠇߚࡎࠬ࠻ኾ↪ࡊࡦ࠲ߦജߔࠆ㧚⚻ℂㇱߩᜂᒰ⠪߇ߎߩ৻ⷩࠍ ᬌߔࠆߎߣߢ㧘ᡰᛄಣℂ߇ⴕࠊࠇࠆߣ߁߽ߩߢࠆ㧔࿑㧞㧕㧚 䊂䊷䉺឵䋨ㅳ䋱࿁䋩 ᝄㄟ ⚻ℂ䉲䉴䊁䊛 䉟䊮䉺䊷䊐䉢䊷䉴 䊥䉴䊃 ฦㇱ ฦㇱ 䉫䊦䊷䊒䉡䉢䉝 䉫䊦䊷䊒䉡䉢䉝 䉰䊷䊋 䉰䊷䊋 ฦㇱ 䉫䊦䊷䊒䉡䉢䉝 䉰䊷䊋 ฦ␠ຬ䈮䉋䉎↳⺧䊂䊷䉺ജ䋨㓐ᤨ䋩 ࿑䋲䋺䉟䊮䉺䊷䊐䉢䊷䉴⇛࿑㩷 ߒวߪ㗅⺞ߦㅴߺ㧘ࡎࠬ࠻ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬߪ㗅⺞ߦ߹ࠆ߆ߣᕁࠊࠇߚ㧚ߒ߆ߒ㧘 ⚻ℂᜂᒰ⠪ࠍ߃ߡ⚦ߩᬺോࡈࡠࠍᆎࠆߣ㧘⚻ℂᜂᒰ⠪߇ᬺോࡈࡠߦ㔍⦡ࠍ ␜ߒᆎߚ㧚 ⚻ℂᜂᒰ⠪߇␜ߒߚᬺോࡈࡠߣߪ㧘એਅߩࠃ߁ߥ߽ߩߢߞߚ㧚߹ߕ㧘৻ⷩࠬ࠻ࠍ ㇱ⟑නߩജߣߒ㧘⚻ℂㇱߢ৻ᬌߔࠆߩߢߪߥߊ㧘ߎߩࠬ࠻ࠍߞߚࠎฦㇱ⟑ߦ ᚯߔ㧚ߘߒߡ㧘ฦㇱ⟑ߩ⚻ℂᜂᒰ⺖㐳ߩᛚࠍᓧߚ߽ߩࠍౣᐲ⚻ℂㇱߦᚯߒߡ߽ࠄ㧘ߎ ߩᛚߦၮߠߡ㧘⚻ℂㇱ߇ᬌߔࠆߣ߁ᵹࠇߢࠆ㧚 ⚻ℂㇱߩᜂᒰ⠪ߩਥᒛߪ㧘߽ߢ߹ߊޟ㧘ࠬ࠻ߦߪฦㇱ⟑ߩ⚻ℂᜂᒰ⺖㐳ߩᛚශ߇ᔅ ⷐߢࠅ㧘ߎࠇ߇ߥ߽ߩࠍᬌߔࠆߎߣߪߢ߈ߥߚߞߢߩ߽߁ߣޠ㧚ߘߩℂ↱ߪ㧘 ᡰᛄߩᩮߣᱜᒰᕈࠍ⏕ߔࠆߩߪߊ߹ߢ߽ฦㇱ⟑ߩ⽿છߢࠅ㧘⚻ℂㇱߩ⽿છߢߪ ߥ㧘⚻ℂㇱߪ⑼⋡߿⸶ߥߤߩ⚻ℂ⊛ߥᅷᒰᕈࠍᬌߒߡࠆߩߛ㧘ߣ߁ਥᒛߢߞ ߚ㧚 ᳗᳁ߪ㧘ฦㇱ⟑ߦࠬ࠻ࠍㆶరߔࠆߎߣߪࠅ߃ߥ㧘ߣਥᒛߒߚ㧚ฦㇱ⟑ߦࠬ࠻ ࠍㆶరߔࠆߣߔࠆߥࠄ㧘ߘߩ৻ⷩࠬ࠻ߩౝኈࠍ⏕ߔࠆߎߣߩᗧࠍฦㇱ⟑ߩ⚻ℂᜂᒰ ⺖㐳ߦኻߒߡ⺑ߒߥߌࠇ߫ߥࠄߥ㧚ฦㇱ⟑ߢߪᣢߦ㧘ࡎࠬ࠻ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬ೨ߩ 㔚ሶᛚࡢࠢࡈࡠߢᱜᒰᕈߦ㑐ߔࠆᛚࠍᷣ߹ߖߡࠆߣ߁⼂߇ࠆ㧚ౣᐲࠬ ࠻ࠍᛚߔࠆߎߣߩᗧ߇ߥએ㧘߽ߒ㧘ߎߩ৻ⷩࠬ࠻ࠍฦㇱ⟑ߦᚯߒ㧘ౣᐲᛚⴕ ὑࠍᒝࠆߣߔࠇ߫㧘ฦㇱ⟑ߦή㚝ߥᚻ⛯߈ࠍߐߖࠆߎߣߦߥࠆ㧚 ߊ߹ߢ߽ᡰᛄߩᩮߣᅷᒰᕈߦ㑐ߔࠆ⽿છߪ㧘㔚ሶᛚߦࠃߞߡᜂߢ߈ߡࠆߣ ⠨߃ߡߚ᳗᳁ߪ㧘ࠬ࠻ߩᬌࠍ⚻ℂㇱߢ৻ߒߡⴕ߁ࠃ߁ߦਥᒛߒߚ㧚ߒ߆ߒ㧘ฦ ⚻ℂㇱߩᜂᒰ⠪ߪ㧘ㇱ⟑ߩᛚශ߇ߥࠬ࠻ߪᛒ߃ߥߩߛ߆ࠄ㧘ߎߩࠬ࠻ߦฦㇱ⟑ ߩᛚශ߇ߥ㒢ࠅ㧘⚻ℂㇱߢߪᡰᛄࠍฃߌࠇࠄࠇߥ㧘ᓥߞߡ㧘ࡎࠬ࠻߳ߩࠗࡦ࠲ ࡈࠚࠬ߳ߪ⾥หߢ߈ߥ㧘ߣਥᒛߒߚ㧚 ᳗᳁ߪᖠࠎߢߚ㧚⚻ℂㇱߩਥᒛࠍ๘߫㧘ߎߩᬺോᡷ㕟ߪታߢ߈ߥ㧚ᖱႎࠪࠬ ࠹ࡓㇱߩ㈬᳁ߪ㧘᳗᳁ߩ⠨߃ࠍᓟߒߔࠆࠃ߁ߦߪ࠻ࠬޟ㔚ሶᛚߩ⚿ᨐߢࠅ㧘 ᣢߦᡰߦ߁ᱜᒰᕈߪᛚߐࠇߡࠆߩߢࠆ߆ࠄ㧘ߣߪ⚻ℂㇱߢߘࠇࠍᬌߔࠇ߫ ࠃߩߢߪ㧫ߣޠଦߔࠃ߁ߦㅀߴߚ߇㧘ᒝߊਥᒛߔࠆߦߪ⥋ࠄߥ߆ߞߚ㧚 ߎߩᯏળࠍㅏߖ߫㧘ࡎࠬ࠻ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬߪታߒߥ㧙ߘ߁⠨߃ߚ᳗᳁߇ߒߚ ᢿߪ㧘⚻ℂㇱߦജߐࠇߚฦㇱ⟑ߩࠬ࠻ࠍ৻ߒߡ᳗᳁ߩᬺോᡷ㕟࠴ࡓߢ⏕ߒ ශߒ㧘ౣᐲ⚻ℂㇱߦᚯߔ㧘ߣ߁߽ߩߢߞߚ㧚 ߆ߊߒߡ㧘ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬߪⒿേߒߚ㧚 ฦ␠ຬ߇ജߒߚ߽ߩ߇㔚ሶᛚࠍ⚻ߡ࠳ࠗࠢ࠻ߦ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓߦࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬ ߐࠇ㧘ᡰᛄࠊࠇࠆ⚵ߺߣߥߞߚ㧚ߎߩࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬߩⒿേߣߦ㧘ฦㇱ⟑ߢߩㅢ ⾌ߩ⚻ℂࠪࠬ࠹ࡓ߳ߩജ߇ਇⷐߣߥࠆᣦߩㅪ⛊ߣᜰዉ߇ߥߐࠇ㧘࠺࠲ߩࠗࡦ࠲ࡈࠚ ࠬ߇㐿ᆎߐࠇߡ߆ࠄ㧘ฦㇱ⟑ߢߩㅢ⾌વߩ⚻ℂಣℂߩᔅⷐߪߥߊߥߞߚ㧚ߘࠇߣᒁ ߈឵߃ߦ㧘ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬⒿേᓟ㧘᳗᳁ߩ࠺ࠬࠢߦߪᲤᦐᦺߦ㧘ዋߥᣣߪᢙᨎ㧘 ᄙᣣߪᢙචᨎߩࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬ࠺࠲ߩ৻ⷩ߇ዯߊࠃ߁ߦߥߞߚ㧚᳗᳁ߪࠣ࡞ ࡊ࠙ࠚࠕߩㇱ⟑ߩ࠺࠲ઙᢙߣࡎࠬ࠻ߩ࠺࠲ઙᢙࠍᾖวߒ㧘ࠬ࠻ߦශࠍⴕߞ ߚ㧚ࠗࡦ࠲ࡈࠚࠬߦߪ৻ಾߩ࠻ࡉ࡞ߪߥߊ㧘㗅⺞ߢࠅ㧘᳗᳁߇ขࠅ⚵ࠎߛ ߦኻߔࠆ↰ㄝ᳁ࠍߪߓߣߔࠆม߆ࠄߩ⹏ଔߪߚߞߢޘ㧚 ߒ߆ߒ㧘᳗᳁ߦߣߞߡ᳇߇߆ࠅߥߎߣ߇ߞߚ㧚ߘࠇߪ㧘ฦㇱ⟑ߩ⚻ℂᜂᒰ⠪߆ࠄ㧘 ߆ߥวࠊߖ߇ᢙઙߞߚߩߺߢ㧘߶ߣࠎߤ㗀߇᳗᳁ߩ⡊ߦߪዯ߆ߥ߆ߞߚ㧚᳗ ᳁߇ᦼᓙߒߡߚޟㅢ⾌વߩಣℂ߇ᷫߞߚߩߢ㧘ᭉߦߥߞߚߪ⾥⾨߁ߣޠ㧘߹ߞ ߚߊߣߞߡ߶ߤ᳗᳁ߩ⡊ߦዯ߆ߥ߆ߞߚߩߢࠆ㧚 ࿑㧝 ⚵❱࿑