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欧州の再生可能エネルギーの現状
情 報 報 告 ウィーン 欧州の再生可能エネルギーの現状 欧州環境庁(EEA)が、2015 年 2 月 17 日付けで発行したレポート『欧州の再生可能エネル ギー ~近年の成長の概要と連鎖反応(Renewable energy in Europe – approximated recent growth and knock-on effects)」では、2013 年の風力、太陽光、バイオマスなどの再 生可能エネルギーの技術が発展を続け、欧州の温室効果ガス排出量を削減するために重要 な役割を果たしていると新しいデータで示している。以下にその内容を報告する。 再生可能エネルギーが欧州の炭素排出量削減を進展させる 欧州環境庁(デンマーク) 1.レポートの概要 1.1 はじめに 欧州環境庁(以下、EEA)のレポート『欧州の再生可能エネルギー ~最近の成長の概要と 連鎖反応』によると、2005 年以降に再生可能エネルギーの利用がなければ、2012 年の温室 効果ガス排出量は現在の排出量より 7%多かった可能性がある。また、再生可能エネルギー の技術によってエネルギー安全保障が強化されることもわかった。さらに、2005 年以降、 再生可能エネルギーの追加利用がなければ、2012 年の EU の化石燃料の消費量は約 7%多 くなっていた。最も多く置き換えられた燃料は石炭で、以前の消費率が続ければ、13%多く なっていたと考えられ、欧州のガス埋蔵量が減少している中、天然ガスの消費量が 7%多く なった可能性もある。 EEA の Hans Bruyninckx 事務局長は、「再生可能エネルギーは、瞬く間に欧州の偉大 なサクセスストーリーの 1 つになりつつあり、さらに進展することができる。この分野で イノベーションを支持すれば、排出量の削減と同時に雇用が創出され、欧州経済の主要な 原動力にもなりえる」と述べている。 再生可能エネルギー以外に、欧州の温室効果ガス排出量(以下、GHG)を削減する他の要 因もある。排出量の削減、エネルギー効率の引き上げ、再生可能エネルギーの普及を刺激 するための政策や措置はすべてその役割を果たしてきた。公害の少ない燃料へのシフトや 変動する経済的要因などの他の要因も排出量の削減に影響を与えている。 1.2 その他の所見 ①EEA の推計によると、2013 年に再生可能エネルギーの最終消費量は、各 EU 加盟国で増 加した。2013 年の EU の再生可能エネルギーの割合は約 15%に増加し、「再生可能エネ ルギー指令(2009/28/EC)」(以下、RED)によって定められている 12%の目標を上回った。 EU は、2020 年までにエネルギーの少なくとも 20%、2030 年までには 27%を再生可能 資源(以下、RES)から生産することを目指している。 ②スウェーデン、ラトビア、フィンランド、オーストリアでは、再生可能エネルギーは、 2013 年の最終エネルギー消費量の 3 分の 1 以上を占めていた。その一方、マルタ、ルク センブルク、オランダ、イギリスの割合は 5%未満であった。 ― 29 ― 情報報告 ウィーン ③2013 年の再生可能な熱・冷房部門は、EU での全体的な再生可能エネルギーの利用に一 番貢献したが、再生可能電力の方が早く成長している。これに対し、2013 年に EU 加盟 国の半分や EU 全般で、輸送部門における再生可能エネルギーの利用は低下した。 ④今でも、石炭、石油、ガスなどの化石燃料は最終エネルギー消費量の約 4 分の 3 を占め ており、気候変動、大気汚染やその他のさまざまな環境問題の主な原因である。 ⑤欧州委員会のエネルギーに関する 2050 年までのロードマップ(European Commission’s Energy Roadmap 2050)では、欧州の脱炭素化目標に達するためには、最終エネルギー消 費量に占める RES の割合は 2050 年までに 55%から 75%まで増加すると予測している。 2.最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合(ENER 028)の評価 2.1 進捗状況と見通し 2020 年までの EU の再生可能エネルギー消費量の 20%目標の実現に向けての進捗状況と して、 2012 年の EU28 ヵ国全体における最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネ ルギーの割合は 14.1%に達しており、再生可能エネルギーを 20%とする 2020 年目標の 70% に相当する(図 2-1 および表 2-1 参照)。 また、2012 年に、RES は熱・冷房部門では最終エネルギー総消費量の 15.6%、最終電力 消費量では 23.5%、輸送燃料消費量では 5.1%をそれぞれ占めている(表 2-2 参照)。 RES の割合 RES の割合 (適合外のバイオ燃 料を含む) NREAP の想定理 2011 年までの傾向 RED の指標 20 2020 年目標 15 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2005 5 2007 10 2006 最終エネルギー総消費量に占める RES の割合(%) 25 年 (注記)本図は,2020 年までの RES 割合(すべてのバイオ燃料とそれぞれの「RED」持続可能性基準に適合 するバイオ燃料を含む)および「RED」の指標と NREAP の想定値の 2 つの 2020 年までの軌道を示してい る。EU 全体の指標は各国家の「RED」の指標から算出される。他の指標は加盟国の NREAP による累積 および想定値の実現状態を示す。Eurostat によって報告された『最終エネルギー総消費量に占める再生可 能資源の割合(SHARES Results 2012)』では、2005 年から 2010 年にかけて輸送部門で消費されたすべて のバイオ燃料を考慮し、2011 年以降は「RED」の持続可能基準に適合しているバイオ燃料のみを考慮する。 出典:最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合(ENER 028)、EEA 図 2-1 EU 全体の最終エネルギー総消費量に占める RES の実際の進捗状況と想定値 ― 30 ― 情報報告 ウィーン 表 2-1 各 EU 加盟国の内訳 (実際の RES の進捗、RED の指標、NREAP の想定値) 2011 年から 2012 年 の平均割合 (%) 2011 年から 2012 年 の RED 目標値との差 (%) 2011 年から 2012 年 の RED 指標 (%) 2020 年 の目標値 (%) スウェーデン 50 -8 42 49 ブルガリア 15 -5 11 16 ギリシャ 12 -3 9 18 イタリア 13 -5 8 17 ルーマニア 22 -3 19 24 エストニア 26 -6 19 25 リトアニア 21 -4 17 23 フィンランド 33 -3 30 38 スロバキア 10 -2 8 14 ハンガリー 9 -3 6 13 デンマーク 25 -5 20 30 クロアチア 16 -2 14 20 ベルギー 6 -2 4 13 スロベニア 20 -2 18 25 ラトビア 35 -1 34 40 ドイツ 12 -4 8 18 チェコ 10 -3 7 13 キプロス 7 -2 5 13 オーストリア 31 -6 25 34 ポーランド 11 -2 9 15 ルクセンブルク 3 0 3 11 英国 4 0 4 15 アイルランド 7 -1 6 16 フランス 12 0 13 23 スペイン 14 -3 11 20 オランダ 4 0 5 14 マルタ 1 1 2 10 ポルトガル 25 -2 23 31 EU28 ヵ国 14 -3 11 20 ノルウェー 65 -4 60 68 アイスランド 76 -11 65 72 国名 (注記) 2020 年までの目標と 2011 年から 2012 年の RED 指標は、 「RED」に定義されている。アイス ランドとノルウェーの場合、そのような目標は欧州経済領域協定の付属書 IV に定義されている。マルタの データは、「エネルギー統計に関する規制(Regulation(EC)No. 1099/2008)」に定められているように、 国家データ伝送に基づき、Eurostat によって推計される。最終エネルギー総消費量の算出に関して、キプ ロスは、「RED」逸脱の利用の意図について EEA に通知した。その逸脱の使用によって、最終エネルギー 総消費量の割合として航空部門でのエネルギー消費量が 4.12%を超えないように考慮される。 出典:最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合(ENER 028)、EEA ― 31 ― 情報報告 ウィーン 表 2-2 最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合 (注記) 年 電力部門(RES-E) (%) 熱および冷房部門(RES-H/C) (%) 運輸部門(RES-T) (%) 2005 3.4 5.0 0.3 2006 3.5 5.2 0.5 2007 3.8 5.5 0.7 2008 4.0 5.6 0.9 2009 4.5 6.3 1.1 2010 4.6 6.7 1.2 2011 5.2 6.9 0.8 2012 5.7 7.3 1.1 運輸部門(RES-T)における RES の割合および累積の RES の割合は、2005 年から 2010 年の間に 運輸部門で消費された全てのバイオ燃料を考慮しているので、「RED」の持続可能性基準に適合したバイオ 燃料は 2011 年以降である。 出典:最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合(ENER 028)、EEA 2.2 評価 (1) 最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合 ①2012 年の RES 由来のエネルギーは、EU28 ヵ国における最終エネルギー総消費量の 14.1%を占めた。それは、 2020 年の EU の再生可能エネルギーの 20%目標の約 70%に 相当している(図 2-1 参照)。 ②再生可能エネルギーの消費量は、2010 年から 2012 年にかけて毎年 3.5%増加した。2005 年から 2012 年の間、再生可能エネルギー消費量の年平均増加率は 6.1%であった。最終 エネルギー総消費量は、2005 年から 2012 年にかけて年平均で 1%減少し、2010 年から 2012 年にかけては 2.3%の減少であった。 ③2005 年から 2012 年にかけて最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割 合が最も大きかったのは、スウェーデン、デンマーク(両国とも 10.4%増)、エストニア (8.4%増)、オーストリア(8.1%増)、イタリア(7.7%増)であった。 ④2012 年の運輸部門で消費された再生可能エネルギーの割合は、EU28 ヵ国で 5.1%に達し た。2005 年には 1.3%、2010 年には 4.8%、2011 年には 3.4%となっている。「RED」に 従い、各加盟国は本指令の持続可能性基準に適合している場合のみ運輸部門で消費され たバイオ燃料を再生可能エネルギーの目標に算入することができる。しかし、すべての 加盟国は、2011 年と 2012 年のすべてのバイオ燃料に対して基準に対応していなかった。 そのようなバイオ燃料は 2011 年以降のデータに含まれなかった。これにより、運輸部門 で消費されたすべてのバイオ燃料を含めていた 2010 年時の割合と比べて、2011 年の運 輸部門の再生可能エネルギーの割合が減少していることが説明できる。 ⑤非 EU・EEA 加盟国の最終エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合は以 下のとおりであった。 ・アイスランド:76%(2012 年の地熱エネルギー、水力の割合が高いことが要因) ・ノルウェー:65%(水力の割合が高いことが要因) ― 32 ― 情報報告 ウィーン ・トルコ:12%(2011 年のデータ) ・スイス:22%(2010 年のデータ) ⑥2012 年の欧州のすべての国は、再生可能エネルギーのための政策や支援スキームを持っ ていた。 「RED」に定められている報告要件に従い、隔年ごとに欧州委員会は各加盟国が 提出する進捗状況のレポートに基づいて、再生可能エネルギーに関する進捗レポートを 発行している。2013 年の欧州委員会のその進捗レポートでは、再生可能エネルギー利用 の 2020 年目標や、その中間的目標値に達するための各加盟国の再生可能エネルギーの促 進・利用に関する進捗状況を評価している。固定価格買取り制度(FIT)、フィード・イン・ プレミアム、オークション・入札制度、クォータ(割当て)制度の義務などのさまざまな支 援スキームが加盟国で利用されている。「RED」には、加盟国が再生可能エネルギーの 2020 年目標に達することを可能にする 3 つの協力メカニズムが挙げられている。今まで こういった協力メカニズムはほとんど利用されていなかった。EU 全域で、再生可能エネ ルギーの支援へのより調和のあるアプローチに貢献するため、2014 年に欧州委員会は 2020 年までの期間に環境保護やエネルギーのための国家支援についてのガイドラインを 発表している。 (2) 個々の評価 EEA 加盟国における電力、熱・冷房および運輸に対する再生可能エネルギー利用の成長 については、以下のとおり。 ①2012 年の EU28 ヵ国における RES 由来の電力は最終エネルギー総消費量の 40%を占め、 再生可能エネルギーに占める熱・冷房の割合は 52%、運輸では 8%が再生可能エネルギー であった。 ②2005 年の 14.8%と 2010 年の 19.7%と比べて、2012 年の RES 由来の電力は EU28 ヵ国 の総最終消費電力量の 23.5%を占めた。水力発電は総再生可能発電の 45%で、EU28 ヵ 国における再生可能電力の最大割合を占めた。風力発電や太陽光(PV)発電が急速に拡大 しているため、RES 由来の電力の 70%が水力によって生産されていた 2005 年以降から 水力発電の相対的な重要性は大幅に減少してきている。 ③風力発電は、2005 年の 14%に比べ、2012 年の RES 由来の電力の 26%を占めた。 ④太陽光(PV)発電は、2005 年の 0%に比べ、2012 年の RES 由来の電力の 9%を占めた。 ⑤固体バイオ燃料は、2005 年の 9%に比べ、2012 年の RES 由来の電力の 10%を占めた。 ⑥他のすべての RES は、2005 年の 7%に比べ、2012 年の RES 由来の電力の 10%を占めた。 ⑦欧州各国の間に大きい差がある。キプロスやマルタの 2.5%未満からオーストリアの 65.5%は、加盟国それぞれの再生可能エネルギーを進展する開始点、各国の再生可能エネ ルギーを生産するための物理的な状況、再生可能エネルギーを刺激する政策の違いを示 している。 ⑧2012 年の熱・冷房のための再生可能エネルギーは、2005 年の 10.3%と 2010 年の 14.2% と比べて、EU28 ヵ国の熱・冷房のための総最終消費電力量の 15.6%を占めた。 a)熱・冷房のために使用された再生可能エネルギーは総再生可能エネルギーの 78%を占 めた。 ― 33 ― 情報報告 ウィーン b)熱供給ネットワークに接続された大規模なバイオマス熱電併給(以下、CHP)施設ならび に熱生産施設によって生産された RES 由来の熱が 14%を占めた。 c)ヒートポンプによる RES の熱・冷房は、総再生可能エネルギーの 8%を占めた。 d)CHP や熱生産施設によりバイオマス由来の熱の主要な生産国は、スウェーデン(26%)、 フィンランド(15%)、デンマーク(12%)、ドイツ(11%)、オーストリア(8%)であった。 それらの総量は、EU28 ヵ国における CHP や熱生産施設での熱産生のための総バイオ マス利用量の 72%を占めた。 ⑨EU28 ヵ国の運輸部門における再生可能エネルギーの割合は、2005 年の 1.3%に比べ、 2012 年には 5.1%に増加した。2005 年から 2012 年にかけて、運輸部門における RES の 消費量が年平均に 20%増加した(「RED」の持続可能基準に適合しないすべてのバイオ燃 料を含む場合は 25.2%)。運輸部門におけるバイオ燃料の総消費量は、2012 年に 14.6 百 万石油換算トン(Mtoe)に達した。その中の 11.6 Mtoe が持続可能性基準に適合していた。 2012 年の EU の運輸部門における再生可能エネルギー消費量の 5.1%は、2003 年の「バ イオ燃料指令(2003/30/EC)」における 2010 年時の 5.75%目標より約 1%低かった。 2012 年時、21 の加盟国が 2010 年の目標に達さなかった一方で、6 ヵ国(デンマーク、ド イツ、フランス、イタリア、オーストリア、スウェーデン)だけがその目標を超えた。2012 年時、ドイツ(20%)、フランス(23%)、イタリア(12%)の 3 ヵ国で EU28 ヵ国の総バイオ 燃料消費量の 55%を占め、バイオ燃料の最大の消費国(第 17 条に準拠)であった。 (3) 指標を選択する理由 化石燃料に比べて、再生可能エネルギーには GHG や大気汚染物質排出量の削減、環境や 健康に対するより少ない影響、エネルギー輸入への依存性の低減などの利点がある。その ため、エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を増加させれば、エネルギー 資源抽出・利用に関連している環境負荷を減少させることができる。最終エネルギー総消 費量に占める再生可能エネルギーの割合は、“欧州 2020 年戦略(Europe 2020 Strategy)” の重要な指標の一つである。 3.国内の総エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー量 (CSI 030/ENER 029) 3.1 主要事項 国内の総エネルギー消費量(以下、GIEC)に占める再生可能エネルギー量は、1990 年の 4.3%から 2012 年の 11.0%まで増加した。2012 年の再生可能エネルギーの主要なものとし ては、バイオマスや再生可能な廃棄物(58%)、水力発電(16%)、風力発電(10%)、液体バイオ 燃料(9%)であった(表 3-2-1、表 3-2-2 参照)。RES からの GIEC は、1990 年から 2012 年の 間、平均年率 4.4%で増加し、2005 年以降に平均年率は 6.7%と急増した(表 3-3 参照)。非 EU・EEA 加盟国の GIEC に占める再生可能エネルギー量の割合は 20%に達した。 ― 34 ― 情報報告 ウィーン 表 3-1 GIEC に占める再生可能エネルギーの割合 バイオマ ス・廃棄物 (%) 水力 発電 (%) 風力 発電 (%) 液体 バイオマス (%) 地熱 太陽熱 (%) 太陽光 (PV)発電 (%) 1990 2.6 1.5 0 0 0.2 0 0 1991 2.7 1.6 0 0 0.2 0 0 1992 2.7 1.7 0 0 0.2 0 0 1993 3.0 1.7 0 0 0.2 0 0 1994 3.0 1.7 0 0 0.2 0 0 1995 3.0 1.7 0 0 0.2 0 0 1996 3.1 1.6 0 0 0.2 0 0 1997 3.3 1.7 0 0 0.2 0 0 1998 3.3 1.7 0.1 0 0.2 0 0 1999 3.3 1.7 0.1 0 0.3 0 0 2000 3.4 1.8 0.1 0 0.3 0 0 2001 3.4 1.8 0.1 0 0.3 0 0 2002 3.5 1.6 0.2 0.1 0.3 0 0 2003 3.7 1.5 0.2 0.1 0.3 0 0 2004 3.9 1.6 0.3 0.1 0.3 0 0 2005 4.1 1.5 0.3 0.2 0.3 0 0 2006 4.2 1.5 0.4 0.3 0.3 0 0 2007 4.5 1.5 0.5 0.5 0.3 0 0.1 2008 4.7 1.6 0.6 0.6 0.3 0 0.1 2009 5.2 1.7 0.7 0.8 0.3 0.1 0.1 2010 5.7 1.8 0.7 0.8 0.3 0.1 0.1 2011 5.9 1.6 0.9 0.9 0.3 0.2 0.1 2012 6.4 1.7 1.1 0.9 0.3 0.3 0.2 年 出典:国内の総エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー量 表 3-2-1 製 GIEC に対する資源別の内訳 品 (%) (CSI 030/ENER 029)、EEA (2012 年) 割合 (%) すべての石油製品 33.8 ガス 23.3 固体燃料 17.5 核エネルギー 13.5 再生可能エネルギー 11.0 廃棄物(非再生可能) 0.8 その他 0.1 出典:国内の総エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー量 ― 35 ― (CSI 030/ENER 029)、EEA 情報報告 ウィーン 表 3-2-2 再生可能エネルギーの内訳 種 類 (2012 年) 割合 (%) バイオマスや廃棄物 58.3 水力発電 15.6 風力発電 9.6 液体バイオマス 8.5 太陽光(PV)発電 3.1 地熱 3.1 太陽熱 1.8 潮力・波力・海流発電 0 出典:国内の総エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー量 (CSI 030/ENER 029)、EEA 太陽光発電 太陽熱 バイオガス 風力発電 バイオディーゼル 一般廃棄物(再生可能) 2010 年~2012 年 すべての RES 地熱 1990 年~2012 年 固形バイオ燃料(木炭除く) バイオガソリン 2005 年~2012 年 潮力・波力・海流発電 水力発電 その他の液体バイオ燃料 バイオジェット燃料 -50 0 50 100 150 200 年平均増加率(%) 出典:国内の総エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー量 (CSI 030/ENER 029)、EEA 図 3-1 期間別の再生可能エネルギー総消費量の年平均増加率 ― 36 ― 情報報告 ウィーン 表 3-3 country GIEC に占める再生可能エネルギーの割合(EU15 ヵ国目標との比較) 1990 1995 2000 2005 2010 2011 2012 目標 オーストリア 20.14 21.76 22.69 20.64 26.99 26.27 30.05 12 ベルギー 0.99 0.98 1.08 1.97 4.18 4.8 5.94 12 ブルガリア 1.21 1.81 4.19 5.56 8.2 7.14 8.92 - クロアチア 7.04 10.16 11.24 10.1 13.2 10.4 12.13 - キプロス 0.37 2.3 1.92 2.13 3.85 4.52 5.14 - チェコ 1.82 2.82 3.25 3.96 6.21 6.92 7.5 - デンマーク 5.77 6.42 9.1 14.53 19.46 21.19 23.33 12 エストニア 1.89 6.07 10.31 10.48 13.76 13.49 14.08 - フィンランド 19.1 20.93 23.91 23.43 25.09 25.59 29.17 12 フランス 6.68 7.05 6.14 5.58 7.77 7.03 8.16 12 ドイツ 1.48 1.73 2.61 5.02 8.47 9.36 10.35 12 ギリシャ 4.95 5.4 4.96 5.22 7.44 7.72 8.87 12 ハンガリー 2.59 3.32 3.28 4.31 7.57 7.52 7.51 - アイルランド 1.64 1.4 1.64 2.43 4.38 5.83 5.93 12 イタリア 4.22 4.77 5.81 6.13 10.38 11.6 12.77 12 ラトビア 13.17 27.21 30.82 32.14 32.96 32.38 36.38 - リトアニア 2.01 5.71 9.56 10.11 15.71 15.1 16.4 - ルクセンブルグ 0.51 1.05 1.07 1.48 2.78 2.74 3.1 12 マルタ 0.17 0.13 0.12 0.1 0.31 0.44 0.96 - 33.43 39.34 24.56 28.34 - モンテネグロ オランダ 1.11 1.22 1.65 2.64 3.55 4.11 4.28 12 ノルウェー 53.19 48.45 51.02 47.74 35.14 42.72 45.69 - ポーランド 1.53 3.97 4.27 4.85 7.22 7.86 8.8 - ポルトガル 18.01 16.08 14.87 12.65 22.48 21.7 19.79 12 ルーマニア 2.73 6.04 11.03 12.6 16.37 13.86 14.67 - スロバキア 1.51 2.8 2.67 4.25 7.42 7.43 8.14 - スロベニア 9.12 8.94 12.22 10.57 14.27 13.54 14.85 - スペイン 6.89 5.39 5.51 5.82 11.49 11.47 12.55 12 スウェーデン 24.3 24.94 30.15 29.07 33.47 33.28 37.17 12 英国 0.49 0.83 0.98 1.7 3.23 3.9 4.15 12 アイスランド 64.58 67.31 71.14 72.78 80.53 81.77 87.48 - マケドニア 1.73 10.68 12.38 10.65 14.82 10.61 9.84 - セルビア 10.14 13.12 13.38 11.7 13.17 11.05 12.61 - トルコ 18.47 17.35 13.18 11.84 10.88 9.85 10.14 - ユーロ圏(18 ヵ国) 4.69 5.07 5.52 6.28 9.67 10.01 11.08 - EU(28 ヵ国) 4.27 4.99 5.64 6.42 9.6 9.94 10.96 - (注記)目標値および数値のある 15 ヵ国は「再生可能電力推進指令」を参照 出典:国内の総エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー量 ― 37 ― (CSI 030/ENER 029)、EEA 情報報告 ウィーン 3.2 評価 (1) 国内の総エネルギー消費量(GIEC)に占める再生可能エネルギー EU 全体での変化については、下記事項のとおり。 ①1990 年から 2012 年にわたり、EU28 ヵ国における GIEC における再生可能エネルギー の割合は、1990 年の 4.3%から 2012 年の 11.0%となり 2 倍以上増加した(表 3-1、表 3-2 を参照)。 ②再生可能エネルギーの国内総消費量の主要な割合を占めたのは、固体・気体バイオマス や再生可能廃棄物(58%)、水力発電(16%)、風力発電(10%)、液体バイオ燃料(9%)、太陽光 発電(3%)、地熱(3%)と太陽熱(2%)であった(表 3-2 を参照)。 ③1990 年から 2012 年にわたり、再生可能エネルギーの消費量は年平均で 6.7%増加してお り、2005 年以降から年平均で 6.7%の急激な増加となった(図 3-1 を参照)。同時に、GIEC は 2005 年から 2012 年にかけて、1 年間に 1.1%減少し、再生可能エネルギーの割合の相 対的な増加につながった。 ④太陽光発電(73%)、太陽熱(25%)、液体バイオ燃料(23%)、風力発電(17%)は、2005 年から 2012 年の期間で最高の年平均増加率を示した(図 3 を参照)。固体・気体バイオマスや再 生可能エネルギー廃棄物の平均増加率は、同期間で 5%であった。すべての再生可能エネ ルギーは年平均 7%で増加した一方で、水力エネルギーの消費量の増加は、同期間で年に 1%未満であった。 ⑤2012 年の EU15 ヵ国の GIEC における再生可能エネルギーの割合は、11.1%であった。 それは廃止された「再生可能電力推進指令(2001/77/EC)」で述べられていた 2010 年時点 における EU15 ヵ国の再生可能エネルギーの 12%目標を下回っている(表 3-3 を参照)。 (2) EEA 加盟国における変化 EEA 加盟国で見られた変化は以下のとおり。 ①2012 年の GIEC における再生可能エネルギーの割合に関して、EU 加盟国の中で大きな 違いがある(表 3-3 を参照)。マルタ、ルクセンブルク、英国、オランダはそれぞれ 5%未 満の割合しかなく、オーストリア、ラトビア、スウェーデン、ノルウェー、アイスラン ドが 30%を超えている。これは競争力の面で、再生可能エネルギーを生産するための異 なる物理的可能性、各国の再生可能エネルギーを発展させる際の異なる開始条件、およ び、再生可能エネルギーを刺激する政策の違いを反映している。 ②2005 年以降でみると、GIEC に占める再生可能エネルギーの割合が 5%以上増加した国が 多い(オーストリア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、イタリア、リトアニア、ポル トガル、スペイン、スウェーデン、アイスランド)。トルコとノルウェーでは減少が見ら れた。トルコの場合、LPG などのより効率的な非再生可能エネルギー源によってチャコ ールなどの固形バイオマスが減少したことが原因で、ノルウェーの場合は水力発電の変 動が原因である。マルタ、オランダ、ルクセンブルグでは 2%未満のわずかな進展しか見 られない。 ③2012 年に、EU28 ヵ国におけるバイオマスや廃棄物の消費の大部分(61%)は 6 ヵ国に集 中していた。この消費の大部分を木材や木材廃棄物で占めた国は、ドイツ(20%)、フラン ― 38 ― 情報報告 ウィーン ス(11%)、スウェーデン(10%)、フィンランド(8%)、ポーランド(7%)、イタリア(7%)であ った。 ④2012 年に、EU28 ヶ国における水力発電の消費の大部分(66%)は 4 ヶ国に集中してい た。スウェーデン(22%),フランス(18%),オーストリア(13%),イタリア(12%)。 1990 年以降、国内の再生可能エネルギー消費量における水力発電の相対的な貢献は減少 しているが、適した場所も不足してきているため、将来的に大幅に増加することは期待 できない。 ⑤2012 年の EU28 ヵ国における風力発電の消費の大部分(58%)は次の 3 ヵ国に集中してい た。ドイツ(25%)、スペイン(24%)、イギリス(10%)。 ⑥2012 年の EU28 ヵ国における液体バイオ燃料の消費の大部分(63%)は次の 4 ヵ国に集中 していた。ドイツ(20%)、フランス(17%)、スペイン(14%)、イタリア(13%)。 ⑦2012 年の EU28 ヵ国における太陽光(PV)発電の消費の大部分(79%)は次の 3 ヵ国に集中 していた。ドイツ(39%)、イタリア(28%)、スペイン(12%)。太陽熱エネルギー(太陽光発 電による電力および屋根の上の太陽熱システム)の 68%は、スペイン(51%)とドイツ (17%)で生産された。 ⑧2012 年の EU28 ヵ国における地熱発電の消費の大部分(87%)はイタリアに集中していた。 ⑨非 EU・EEA 加盟国の GIEC に占める再生可能エネルギーの割合は 20%に達している。 1990 年から 2012 年の期間で、非 EU・EEA 加盟国は総エネルギー消費量が 39% 増加 した。主に、トルコの経済成長の影響を受けたこれらの国の GIEC の激増(105%プラス) を考慮すると、GIEC における再生可能エネルギーの割合は、1990 年の 30%から 2012 年の 20%へと減少する。 4.再生可能エネルギー由来の電力(CSI 031/ENER 030) 4.1 主要事項 2012 年の総電力消費量に占める再生可能エネルギー由来の電力(以下、再生可能電力)の 割合は、EU28 ヵ国で 24.1%であった。水力発電は 2012 年のすべての発電の 11%を占め、 そして風力発電(6%)、バイオマスや廃棄物(3%)、太陽光発電(2%)、地熱やその他の再生可 能エネルギー(2%)が続く。1990 年以降に再生可能電力は年平均に 4.1%伸びており、2005 年以降は年平均 7.1%で急速に増加している。 EU 全体でみると、「再生可能電力推進指令(2001/77/EC)」で努力目標値とされている 2010 年までに総電力消費量に占める再生可能電力の割合の 21%に達した。加盟国レベルで は、EU の 14 ヶ国は、その指令の指標的国立再生可能電力の目標に達した。 2012 年に「再生可能電力推進指令」は、「再生可能エネルギー指令(2009/28/EC)」によ って廃止された(ENER 28)。この指令では、2020 年までに最終エネルギー総消費量に占め る再生可能エネルギーの定められている割合を満たすために、加盟国に対して拘束力のあ る目標を設定している。 ― 39 ― 情報報告 ウィーン 表 4-1 電力消費量に占める再生可能電力の年平均増加率 2011 年から 2012 年 (%) 2005 年から 2012 年 (%) 1990 年から 2012 年 (%) 太陽光(PV)発電 48.4 72.8 48.0 風力発電 14.6 16.5 28.9 バイオガス、バイオ燃料 21.6 19.3 19.9 一般廃棄物(再生可能) 3.6 7.2 9.7 固体バイオ燃料 9.4 9.1 9.5 再生可能エネルギー 0.6 2.2 4.1 地熱発電 -2 0.9 2.7 水力発電 7.8 0.8 0.8 潮力・波力・海流発電 -3.3 -0.6 -0.4 太陽熱発電 92.7 ― ― 期間 出典:再生可能エネルギー由来の電力(CSI 031/ENER 030)、EEA 総消費量に対する再生可能電力の割合(%) 他の RES 水 力 出典:再生可能エネルギー由来の電力(CSI 031/ENER 030)、EEA 図 4-1 総電力消費量に占める再生可能電力の割合(2012 年) ― 40 ― 情報報告 ウィーン 表 4-2 総電力消費量に占める再生可能電力の割合の推移 1990 年 (%) 1995 年 (%) 2000 年 (%) 2005 年 (%) 2011 年 (%) 2012 年 (%) 2010 年目標 (%) EEA 加盟国 17.0 18.4 19.0 18.7 ― 24.6 27.7 クロアチア 23.9 42.7 40.1 36.8 ― 26.3 28.7 ドイツ 3.9 5.6 6.9 11.2 13.0 21.3 24.5 リトアニア 2.5 6.7 6.4 7.0 7.0 14.6 14.6 スペイン 17.7 15.1 16.6 16.0 29.0 31.2 31.6 EU28 ヶ国 12.4 13.8 14.7 14.8 21.0 21.4 24.1 ポーランド 2.5 2.9 3.1 3.7 8.0 8.6 10.9 アイスランド 99.9 99.8 99.9 99.9 13.0 100 100 スロバキア 8.0 18.6 17.5 17 31.0 18.3 20.0 チェコ 2.3 4.4 4.5 5.4 8.0 11.3 12.5 フィンランド 24.6 27 28.6 26.8 ― ― 32.5 ギリシャ 5.6 9.0 8.5 11.0 ― ― 16.5 スウェーデン 51.8 48.1 55.5 53.8 60 58.8 67.0 0.1 0.2 1.3 5.0 12.6 15.2 国 エストニア ラトビア 43.9 47.1 47.7 48.4 49 32.0 27.7 スロベニア 25.8 28.9 31.7 24.2 34 20.0 13.4 オランダ 1.0 1.5 2.7 6.3 9.0 10.1 10.5 イギリス 2.3 2.4 3.2 4.9 10 10.0 11.8 オーストリア 67.5 74.3 74.8 62.2 78 60.0 73.1 ― ― ― ― 6.0 3.6 5.4 ポルトガル 35.0 27.8 29.7 16.2 39 44.7 37.4 イタリア 15.3 16.3 17.9 15.7 25 24.4 27.5 ハンガリー 0.5 0.6 0.6 4.5 4.0 6.4 6.2 マルタ - - - - 5.0 0.6 1.0 ルーマニア 15.5 28 28.8 35.8 33 27.4 25.6 ブルガリア 4.1 5.6 8.1 12.9 11 11.7 15.6 デンマーク 2.5 5.1 15.2 26.1 29 38.8 41.3 ルクセンブルク 15.7 13.6 13.4 13.5 6.0 16.0 17.2 ベルギー 1.8 2.0 2.6 3.7 6.0 10.4 12.7 フランス 15.8 18.5 15.9 11.9 21 13.8 17 アイルランド 6.8 5.5 6.2 7.9 - 19.4 19.5 ノルウェー 114.8 105.4 115 109 - 98.9 111.4 トルコ 40.9 41.9 24.3 24.7 - 25.2 26.9 キプロス 出典:再生可能エネルギー由来の電力(CSI 031/ENER 030)、EEA ― 41 ― 情報報告 ウィーン 4.2 評価 EU における再生可能電力の変化については下記のとおり。 ①1990 年以降で EU28 ヵ国における総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合は、 最初の 12.4%から 2012 年の 24.1%へと倍増した。 ・1990 年から 2012 年にかけて再生可能エネルギー発電は 144%増加しており、この期間 中の総発電の 26%増加よりも大きく増加した。 ・1990 年から 2012 年にかけて総発電の 1%の年平均増加率に比べて、再生可能電力の増 加率は年間で 4.1%であった。 ・2005 年から 2012 年にかけて再生可能エネルギー由来の発電量は 61%増加した(年平均 に 7.1%)が、全体の発電量は同期間に変化しないままであった。 ②全般的に見れば、再生可能エネルギー由来の発電は、従来型の発電資源のマーケットシ ェアを獲得しながら急速に増加している。 ③平均的に、再生可能エネルギー由来の発電に占める大規模水力発電のシェアは減少して きた。それは主に、太陽光(PV)発電、風力発電、バイオマスの急速な市場への普及の結 果である。 ・水力発電はその割合が低下しているにもかかわらず、依然として大半の加盟国の再生 可能電力の多くを占めている。 ・EU28 ヵ国において、水力発電は総再生可能エネルギー発電量(2012 年の 45.9%)のほ ぼ半分を占める。すべての再生可能電力の約 4 分の 1 は風力発電(2012 年の 25.8%)、 バイオマスと廃棄物(12.4%)、太陽光発電(8.4%)、バイオガスや液体バイオ燃料(6.3%) が続く。地熱発電(0.7%)やその他の再生可能エネルギー資源(0.5%)が残りを占める。電 力消費量の割合については、ENER 028 の最終エネルギー総消費量の割合と ENER 029 の国内の総エネルギー消費量とで異なる[注記 1]。 ④総発電量に関して、水力発電が 11.1%を占め、そして、風力発電(6.2%)、バイオマスや廃 棄物(3.0%)、太陽光発電(2.1%)、バイオガスと液体バイオ燃料(1.5%)、地熱発電やその他 の再生可能エネルギー資源(0.2%)が続く。 ⑤1990 年から 2012 年の間にかけて、再生可能電力で最も高い増加率が見られたのは、太 陽光発電(年間に 48%増)、風力発電(年間に 29%増)とバイオガスや液体バイオ燃料(年間 に 20%増)であった。 ・2005 年以降では、太陽光発電(年間に 73%増)およびバイオガスや液体バイオ燃料(年間 に 19%増)の急速な増加率に比べて、風力発電の増加率は低い(年間に 17%増)。 ・2005 年以降、水力発電、地熱発電、その他の再生可能エネルギー資源は約 1%増加し た(表 4-1 を参照)。 ・太陽熱発電は、EU28 ヵ国では比較的新しい。2012 年に、太陽熱発電量が 3.8TWh に 増加し、総発電量に占める地熱発電(0.2%)の割合に比べ,0.1%の割合を占める。 ⑥EU28 ヵ国において、発電における再生可能エネルギーのシェアに大きな違いがある。各 国の天然資源の可用性の違いだけでなく、再生可能エネルギーの普及面での異なる開始 点および各国の再生可能エネルギー導入を支援するための政策の違いも反映している。 2012 年の 33 の EEA 加盟国において、ノルウェー(111%)、アイスランド(100%)、オー ストリア(73%)、スウェーデン(67%)、ラトビア(52%)で、水力発電が含まれていたら、総 ― 42 ― 情報報告 ウィーン 電力消費量に占める再生可能電力量で最大の割合を占めた(図 4-1 を参照)。一方、デンマ ーク(41%)、アイスランド(30%)、ポルトガル(25%)、スペイン(23%)、ドイツ(20%)では、 非水力発電が総発電量における再生可能電力量の最大の割合を占めた[注記 2]。EEA 加盟 国における再生可能電力のそれぞれの割合は、表 4-2 に示されている。 [注記 1] この割合は総電力消費量で測定される。それに従い、電力消費の割合は ENER 28 の最終エネルギー総 消費量(GFEC)の割合と、ENER 029 の国内総エネルギー消費量(GIEC)と異なる。GIEC はある国また は地域の総エネルギー需要を表し、GFEC は変換損失を除く GIEC に等しい。バイオマスや再生可能廃 棄物は主に暖房用に利用されているため、GIEC(ENER 029)に占めるバイオマスや再生可能廃棄物の割 合に比べて、それらの電力消費量に占める割合は比較的に低い。 [注記 2] 非水力の再生可能電力のすべては地熱発電が盛んなアイスランドを除き、その他の国では、非水力の再 生可能電力の中の最も大きな割合を占めているのは風力発電である。風力に加えて、スペインやドイツで は太陽光(PV)発電も大きな割合を占めており、デンマークでは熱電併給(CHP)で利用されるバイオマスが 大きな割合を占めている。 5.エネルギー強度 (CSI 028/ENER 017) 5.1 主要事項 1990 年から 2012 年の間に、EU28 ヵ国のエネルギー強度(国内の総エネルギー消費量 と国内総生産の比率)は年平均で 1.7%減少した。2012 年には、EU28 ヵ国のエネルギー強 度は 31%で 1990 年のレベルよりも小さかった。 同期間に、 EU28 ヵ国のエネルギー強度の減少率はかなり一定であった。1990 年から 2005 年の期間では、比較的高い経済成長と国内の総エネルギー消費量(以下、GIEC)のより緩や かな成長が特徴である。2005 年から 2012 年の期間では,非常に小さな経済成長と GIEC の減少を特徴とする。エネルギー強度の減少率は,これらの期間にむしろ似ている。 ギリシャ(年間に 2.0%増)、アイスランド(年間に 6.4%増)、ノルウェー(年間に 0.4%増)、 トルコ(年間に 1.1%増)を除き、すべての EEA 加盟国(EU の 28 ヵ国にアイスランド、リヒ テンシュタイン、ノルウェー、スイス、トルコを含む)には、2005 年から 2012 年の間にエ ネルギー強度の減少があった。減少が最も大きかったのは、経済構造の変化があったスロ バキア、リトアニア、ルーマニアなどの中央ヨーロッパ諸国であった。 5.2 評価 (1) EU28 ヶ国におけるエネルギー強度 EU 全体のエネルギー強度の評価結果を要約すると下記事項のとなる。 ①2005 年から 2006 年の EU28 ヵ国の GIEC のピーク以降、経済成長と GIEC が完全に乖 離(デカップリング)した。EU28 ヵ国の経済が 2005 年から 2012 年の間の 5.4%増加した のに比べて、2012 年の GIEC は 2005 年より 7.7%低下した。1990 年から 2005 年にか けて、EU28 ヵ国には相対的にデカップリングが見られた。 ― 43 ― 情報報告 ウィーン ②2012 年の EU28 ヵ国における GIEC は 1990 年の消費量とほぼ同レベルにあり、2005 年に測定された国内総生産(以下、GDP)は、1 年間に 1.8%増加してきた。結果的に、EU28 ヵ国のエネルギー強度は、この期間に年間で 1.7%減少した(表 5-1 を参照)。 ③2005 年から 2012 年にかけて、GDP は 1 年間に 0.8%増加した一方で、EU28 ヵ国にお ける GIEC は年間で 1.1%減少した。結果的に、EU28 ヵ国におけるエネルギー強度は、 この期間に年平均で 1.9%の減少となった。 ④2012 年の EU28 ヵ国におけるエネルギー強度は 31%で、1990 年レベルよりも低かった。 この減少の約 3 分の 1 は 1996 年から 2000 年の間で見られ、力強い経済成長と控えめな エネルギー消費量が特徴である。2012 年の EU28 ヵ国における一人当たりの平均 GIEC は 3.3 石油換算トン(Toe)であった(表 5-2 参照)。 表 5-1 エネルギー強度、国内総生産、国内総エネルギー消費量の傾向 年 国内の総エネルギー消費量 2005 年の市場価格での GDP エネルギー強度 1990 100 100 100 1991 100 101 99 1992 98 102 96 1993 98 102 96 1994 98 106 93 1995 100 109 92 1996 104 112 93 1997 103 115 89 1998 104 119 87 1999 103 122 84 2000 104 127 82 2001 106 130 82 2002 106 131 80 2003 108 133 81 2004 109 136 80 2005 109 139 79 2006 110 144 76 2007 108 148 73 2008 108 148 73 2009 102 142 72 2010 106 145 73 2011 102 147 69 2012 101 147 69 (注記) 1990 年時を 100 として、それに対する比率を示す 出典:エネルギー強度(CSI 028/ENER 017)、EEA ― 44 ― 情報報告 ウィーン ⑤EU28 ヵ国のエネルギー強度の減少は、最終ユーザーや発電のためのエネルギー効率の改 善、電力構成における再生可能エネルギーの増加、経済の構造変化の影響を受けてきた。 構造変化には、GDP におけるサービス部門の増加や産業部門内でのエネルギー集約型産 業からよりエネルギー消費量の少ない付加価値の高い産業に向けたシフトが含まれる。 表 5-2 総エネルギー強度、相対的エネルギー強度(PPS)、1 人当たりの消費量 国 1990 2000 2005 2010 2012 1990 年か ら 2012 年 年の平均 変化率 2005 年か ら 2012 年 年の平均 変化率 2012 年の 相対的 エネルギ ー強度 1 人当たり のエネルギ ー強度 (%) (%) EEA 100 83 80 75 71 -1.6 -1.7 100 3.1 EU28 ヶ国 100 82 79 73 69 -1.7 -1.9 100 3.3 オーストリア 100 89 97 91 86 -0.7 -1.7 92 4 ベルギー 100 81 75 73 66 -1.9 -1.7 129 5.1 ブルガリア 100 76 62 49 49 -3.2 -3.3 159 2.5 クロアチア 100 83 76 71 69 -1.7 -1.4 94 1.9 キプロス 100 100 90 86 81 -1 -1.6 96 2.9 チェコ 100 78 70 61 58 -2.4 -2.7 155 4.1 デンマーク 100 85 79 82 73 -1.4 -1.1 78 3.3 エストニア 100 35 28 30 26 -5.9 -0.6 196 4.6 フィンランド 100 92 86 89 79 -1.1 -1.2 167 6.3 フランス 100 93 92 86 82 -0.9 -1.7 111 4 ドイツ 100 79 77 70 65 -2 -2.4 96 3.9 ギリシャ 100 85 94 101 108 0.4 2 99 2.5 ハンガリー 100 85 76 72 66 -1.9 -2.1 110 2.4 アイルランド 100 68 56 56 51 -3.1 -1.6 70 3 イタリア 100 97 99 94 89 -0.5 -1.5 82 2.7 ラトビア 100 70 56 60 52 -2.9 -1.1 108 2.2 リトアニア 100 61 52 38 36 -4.5 -4.9 102 2.4 ルクセンブ ルク 100 63 70 63 59 -2.3 -2.4 96 8.5 マルタ 100 82 93 81 70 -1.6 -4 70 2 オランダ 100 83 84 83 79 -1.1 -0.9 115 4.9 ポーランド 100 59 53 46 42 -3.9 -3.3 117 2.5 ポルトガル 100 104 108 93 89 -0.5 -2.7 84 2.1 ルーマニア 100 31 25 20 19 -7.2 -3.6 102 1.8 スロバキア 100 73 59 44 40 -4.1 -5.6 125 3.1 スロベニア 100 91 87 78 77 -1.2 -1.6 126 3.4 スペイン 100 102 101 87 87 -0.6 -2.1 87 2.7 スウェーデン 100 84 77 70 66 -1.8 -2 124 5.3 イギリス 100 81 71 63 60 -2.3 -2.5 87 3.2 ― 45 ― 情報報告 ウィーン 表 5-2 総エネルギー強度、相対的エネルギー強度(PPS)、1 人当たりの消費量(続き) 国 1990 2000 2005 2010 2012 1990 年か ら 2012 年 年の平均 変化率 2005 年か ら 2012 年 年の平均 変化率 2012 年の 相対的 エネルギ ー強度 1 人当たり のエネルギ ー強度 (%) (%) トルコ 100 101 90 96 97 -0.1 1.1 90 1.6 アイスランド 100 116 105 159 162 2.2 6.4 493 18.3 ノルウェー 100 86 79 93 81 -0.9 0.4 93 6.1 世界 100 87 86 86 85 -0.7 -0.2 124 1.9 アフリカ 100 102 95 87 87 -0.6 -1.3 135 0.7 中国 100 53 52 45 44 -3.7 -2.6 169 2.1 中東諸国 100 122 125 129 127 1.1 0.3 126 3.2 インド 100 84 72 64 63 -2.1 -1.9 109 0.6 ロシア 100 105 82 74 74 -1.4 -1.4 268 5.3 米国 100 85 76 70 65 -2 -2.3 116 6.8 (注記)エネルギー強度は、各年度における国内の総エネルギー消費量と国内総生産(GDP)の比率で表わされ る。各国の比較を可能にするために、指標は“1990 年=100”として提示されている。“1990 年から 2012 年 の平均変動率”と“2005 年から 2012 年の平均変動率”はパーセンテージで表示される。 “2012 年の相対的エネルギー強度”は、EU28 ヶ国と比較して電力調達基準(PPS)で測られるエネルギー強 度を示している。PPS は共通通貨に変換し、異なる通貨の購買力を等しくする通貨の変換レートである。 “一人あたりのエネルギー強度”は、一人あたりの石油換算トン(Toe)で表される。 出典:エネルギー強度(CSI 028/ENER 017)、EEA (2) EEA 加盟国におけるエネルギー強度 EEA 加盟国のエネルギー強度の評価結果を要約すると下記事項のとなる。 ①2005 年から 2012 年の間でみれば、ギリシャ(1 年間に 2.0%増)、アイスランド(1 年間に 6.4%増)、ノルウェー(1 年間に 0.4%増)、トルコ(1 年間に 1.1%増)を除くすべての EEA 加盟国ではエネルギー強度が減少している。最も大きな減少は経済構造の変化があった スロバキア、リトアニア、ルーマニアなどの中央ヨーロッパ諸国で見られた。アイスラ ンドにおけるエネルギー強度の増加は、アルミニウム産業による電力消費の激増に関連 している。トルコでは、GDP も国内総エネルギー消費量も急激に増した。エネルギー強 度の増加につれて、国内総エネルギー消費量は GDP よりも早く増加した。これとは対照 的に、ギリシャの GDP と国内総エネルギー消費量は急激に減少した。GDP は国内総エ ネルギー消費量よりも早く減少したことで、エネルギー強度が増加した。 ②2012 年の EU28 ヵ国平均の相対的な PPS で測定されたエネルギー強度において、EU 加 盟国の間には有意差があった。最も大きなエネルギー強度はエストニア、フィンランド、 ブルガリア、チェコで見られた。最も低いエネルギー強度は、アイルランド、マルタ、 デンマークで見られた(表 5-2 を参照)。 ③2012 年の一人当たりの国内総エネルギー消費量が最も低かったのは、トルコ、ルーマニ ア、クロアチア(2012 年において、1 人あたり約 2Toe またはそれ未満)であり、最も高か ― 46 ― 情報報告 ウィーン った国はアイスランド(1 人あたり 18.3Toe)、ルクセンブルク(1 人あたり 8.5Toe)、フィン ランド(1 人あたり 6.3Toe)、ノルウェー(1 人あたり 6.1Toe)、スウェーデン(1 人あたり 5.3Toe)であった。 (3) 指標を選択する理由 エネルギー強度は、GIEC と GDP との比率として表される。歴史的に見れば、経済成長 によってより多くのエネルギーを消費する。したがって、エネルギー生産や消費によって 環境負荷が大きくなった。指標はエネルギー消費と経済成長の乖離(デカップリング)がどの 程度まで進んだかを明示する。エネルギー消費量より GDP の方が大きくなる場合、相対的 デカップリングが起こる。GDP が成長していくと同時に、エネルギー消費量が安定かつ減 少する場合、完全なデカップリングが起こる。完全なデカップリングはエネルギー生産と 消費による環境への負荷を緩和させる可能性がある。 (4) 環境面での状況 経済成長とエネルギー消費量のデカップリングは、経済および環境目標に達することに 役立つ。それは、暖房、照明、乗客または貨物輸送などのエネルギーサービスの需要を減 らすこと、エネルギーをより効率的な方法(経済生産の単位あたりのより少ないエネルギー の利用)で利用すること、またはこの 2 つの組み合わせに起因する。環境の観点から、全体 的な影響はエネルギー消費の総量およびエネルギー生産のために使用される燃料や技術の に依存している。 (参考資料) ・Renewables successfully driving down carbon emissions in Europe(2015 年 2 月 17 日) (http://www.eea.europa.eu/highlights/renewables-successfully-driving-down-carbon) ・Share of renewable energy in gross final energy consumption (ENER 028) (2014 年 10 月) (http://www.eea.europa.eu/data-and-maps/indicators/renewable-gross-final-energy-consumption -3/assessment) ・Renewable energy in gross inland energy consumption (CSI 030/ENER 029) (2014 年 12 月) (http://www.eea.europa.eu/data-and-maps/indicators/renewable-primary-energy-consumption3/assessment) ・Energy intensity (CSI 028/ENER 017) (2014 年 11 月) (http://www.eea.europa.eu/data-and-maps/indicators/total-primary-energy-intensity-1/assessment-2) ― 47 ―