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「日本語と中国語の気持ち表現」

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「日本語と中国語の気持ち表現」
「日本語と中国語の気持ち表現」
――モダリティから発見した――
研碩甲一 M97E0101
李静茹
はじめに
すべての言語には類型がある。主語(S) 述語(V) 目的語(O)の三つの基本類型である。
中国語の主語,述語,目的語のSVO型に対して、日本語は主語,目的語,述語のSOV型である。例えば、中
国語なら我要吃飯の文で挙げると、「我要」が主語のSで、「吃」が述語のV、そして「飯」が目的語
のOで、これがSVO型と分類するが、一方、日本語の例を挙げると、私はご飯を食べますの文なら「私」
は主語のSで、「ご飯」は目的語のO、そして述語は「食べます」のVである。つまり、中国語は何を
表したいのかが一番最初に示すが、日本語は一番最後の文に出てくる。この言語の類型は一番多いの
は世界半数も占めるSOV型に対し中国語のSVO型は世界の4割を占めている。(日本語に代表されるよう
なSOV型が何割をしめていますか?)他にもいくつかの類型があるが、(たとえば?具体的に紹介して
ください)SOV型がもっとも多い類型である。この類型で分かるように日本語の述語はすべて一番後
ろに出てくることだが、述語は名詞述語文と形容詞述語文、動詞述語文がある(このへんも具体的に
例を挙げて紹介してほしいですね)。日本語には主語を使わなくても通じる(これだけじゃ十分じゃ
ないですよ。つまり、ここでは敬語を前提として提示する必要があります)ため、述語が重要な役割
で述語だけでも成り立つ言語でありモダリティな言語でもある。
研究目的
日本語の文は大きく二つの部分に分かれることが出来る。それはコトガラとモダリティである。
コトガラというのは聞いたあるいは見た事実を伝える客観的な素材ともいうものである。一方、モダ
リティは話し相手の気持ちも含める主観的陳述(ムードなど)のもの。「明日雨が降るらしいね」や
「日本の物価は高そうね」の文でみてみよう。
「明日雨が降るらしいね」
コトガラ
「明日雨が降るらしいね」
モダリティ
「日本の物価は高そうね」
コトガラ
「日本の物価は高そうね」
モダリティ
しかしこれはあくまでも客観と主観の違いである。うれしい気持ちや怒る気持ちは入っていない。
もしこの文を変えないでこのコトガラについて自分の気持ちを表すときどうするのか。日本語は一体
どういう風に話してどう文法を変えて気持ちを表すのかを深く研究すべきであろう。中国語なら音調
を変えたりして自分の喜怒哀楽を表せる言葉である。もちろん文法を変えて気持ちを表すことも出来
るが、単純な文法をそのまま変えずに音調だけ変えても十分気持ちを伝えることも出来る。しかし日
本語には出来ない。日本語は文法を変えずに音調変えても気持ちを通じる時もあるが、基本的には気
持を強く受け取ってほしいときや強調したいときなど使う日本語は音調を変えるのではなく文法を
変えて話すのである。あくまでも、両方とも文を変えないで気持ちを表すやり方である。そのために、
まず日本語の構造を分析しどこでどう変えて気持ちを表すのかを考えたい。
先行研究
今学校で使っている文法は四大文法がある。山田文法、松下文法、橋本文法、時枝文法の4つの
文法は現代日本語文法において重要な位置を占めてきた。山田文法、松下文法、橋本文法この三つの
文法をみてみよう。
山田孝雄(やまだ・よしお 1873-1958)
山田孝雄は田舎で教師をしていた時に、生徒から出された「は」についての質問に答えられなかった
のをきっかけに文法研究を始めたという。山田孝雄は言語の基本の単位である「語」と「文」に対応
して、論も大きく「語論」と「句論」とに分かれる。語論と句論は、それぞれ性質論と運用論とに分
けられる。山田孝雄の研究領域は、広範囲にわたり国語学のみならず国文学・国史学にも及んでおり、
まさに「最後の国学者」と呼ぶにふさわしいが、その中でも中核を占めるのが文法である。
文法論─┬─語論─┬─性質論……品詞・下位品詞の分類・記述
│
└─運用論……語の転成・複吅 語の位格 語の用法
└─句論─┬─性質論……句の分類(喚体と述体) 下位分類
└─運用論……単文と複文(重文・吅文・有属文)
主要著書としては、「日本文法論」(1908年)(宝文館)。口語を扱ったものとしては『日本口
語法講義』(1922年)(宝文館)。「日本文法学概論」(1936年)(宝文館)があげられる。研究領
域は主たる関心は文語にあった。
松下大三郎(まつした・だいさぶろう
1878-1935)
松下大三郎の研究領域
松下大三郎の文法は「詞の本性論」において、品詞としては、「名詞・動詞・副体詞・副詞・感動詞」
の五つに分かれた。いわゆる助詞・助動詞は、原辞であって単語=詞ではないから、品詞ではない。
松下の言う「動詞」は、いわゆる動詞のほか、形容詞・形容動詞をはじめ、擬音語・擬態語などの状
態副詞をも含めたもので、「变述性のある」もの、簡単に言えば、主語をとりえて述語になれる品詞
である
原辞論………………………………………………………形態素論・語構成論
詞論─┬─単独論─┬─詞の本性論……………………品詞の大・小の分類
│
└─詞の副性論─┬─相の論……派生のカテゴリー
│
└─格の論……屈折のカテゴリー
└─相関論…………………………………………構文論
「日本俗語文典」(1901)(誠之堂)「山田氏の日本文法論を評す」(1908)
中国人留学生への日本語教育の実践を積み、教科書『漢訳日語階梯』を刊行(1906)
「標準日本文法」(1924)(紀元社)「改撰標準日本文法」(1928)(中文館)
「標準日本口語法」(1930)(中文館)などの作品がある。
橋本 進吆(はしもと しんきち、1882年12月24日 - 1945年1月30日)
橋本 進吆の経歴
京都府第一中学校(現洛北高校)、第三高等学校(現京都大学)を経て、1906年に東京帝国大学
文科大学言語学科を卒業。文部省国語調査委員会補助委員、東京帝国大学文科大学国語学教室助手を
経て、1927年、同大学国語国文学第一講座助教授に就任。1934年、文学博士(東京帝国大学)。1929
年には教授に昇任した。1942年に文学報国会国会国文学部会長。
橋本 進吆の作品
「新文典 女子上級用」改制 (高女用)現行の学校文法の「親」ともいうべき文典。
「国語法要説」(1934)。『初年級用』(昭和6年)。文語法を含む『上級用』(昭和8年)。
「国文法体系論」(1959)岩波書店。
橋本 進吆の研究領域
橋本 進吆は品詞を名詞・代名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・接続詞・感動詞・助詞・助
動詞の10品詞に分類した、語の品詞分類では、「形態」つまり語形変化と、「職能」つまり他語との
接続、という形式面を基準にした分類をしめした。山田文法の「語」松下文法の「詞」にあたるもの
を、橋本は「文節」と名づけている。
大槻
文彦(おおつき・ふみひこ1847-1928)
大槻
文彦の作品
日本初の近代的国語辞典『言海』の編集者として知られる。和語や漢語だけではなく、外来語も
含めて五十音順に配列した国語辞書『言海』(1889年より刊行、後に『大言海』)を世に出す。また、
西洋文法をも取り入れた文法研究書『広日本文典』(基は『言海』中の「語法指南」)、国語調査委
員会の『口語法』の解説書『口語法別記』などを著し、後世へ影響を与えた。
9~20世紀にかけて、英・仏・米・独・伊などの、いわゆる「列強」と呼ばれる各国では、国語
の統一運動と、その集大成としての辞書作りが行われた。具体例を挙げるなら、イギリスの『オック
スフォード英語辞典』、アメリカの『ウェブスター大辞典』、フランスのリトレによる『フランス語
辞典』、ドイツのグリム兄弟による『ドイツ語辞典』などがある。『言海』の完成も、そうした世界
史的な流れの一環としてみることができる。
大槻
文彦の経歴
宮城師範学校(現・宮城教育大学)校長、宮城県尋常中学校(現・宮城県仙台第一高等学校)校
長、国語調査委員会主査委員などを歴任し、教育言語が発布された際にいち早く文法の誤りを指摘し
た。
大槻 文彦の研究領域
大槻 文彦は品詞を八つに分析した学者で、八つとは「名詞、動詞、形容詞、助動詞、副詞、接続詞、
弖爾乎波(今の助詞)、感動詞」の八つの品詞である。現在の学校文法の基礎はここに築かれたほどだ。
研究方法
では今の日本人知っている日本語どのぐらいだろうか。国立国語研究所が調査した「現代用語・用
字(1)~(3)」によると日本人が知っている日本語語彙は約一億4千万語である。(昭和37-39年
の調査)しかしこの数字は主観的な語彙も入ってるためこの莫大な数字になったのであるが、出来る
だけ単純な、しかし何事でも言い表せる、整理された、簡単に記憶にすることができる基礎となる基
礎語彙は約1100個ある(1943年)と土居 光知が考案した。
しかし語彙は10年で100語が増えるという。
それに対して日本語学習者はどのぐらい日本語を覚えなければならないのか。四級程度なら800語、
三級程度なら1500語、二級程度まであがるとかなりステップアップして6000語、さらに上級を学習す
る日本語学習者は一級程度10000万語を覚えなければならない、一級の中に含む漢字は2000語とされ
ている。
知っている語彙を正しく排列して、その上に助詞を入れ文法の変化をして初めて日本語が成り立ち、
自分の気持ちをどう伝えるのかにより文法を変えていくのだが、どの助詞がどういうふうに気持ちを
表すのか、文法をどうすれば言いたい表現が出来るのかまず日本語文法を研究する。
それからいくつかインタビューの調査を行う。
1:台湾人にインタビューやアンケートなど行う。
言葉の音調を何個か聴いてもらい、意味を当ててもらう。
2:日本人に日本語の文法を変えないで音調だけ変えたり音調だけ変えて文法を変えたりして
聞いてもらい、意味を当ててもらう。
3:日本語と中国語の悲しいときやうれしいとき、いろんな気持ちを表すときに使う文法の調査
目次
はじめに
第一章
類型
2-1 SOV型
2-2 SVO型
2-3 VSO型
2-4 VOS型
2-5 OSV型
第三章
日本語の基本語彙
3-1 述語 について
3-2 補足語と主語の違いについて
3-3 修飾語について
第四章
1-1 調査の目的
1-2 調査方法
1-3 アンケートにより文法を分析
第五章 気持ちの表し方
1-1 コトガラとモダリティ
2-1 モダリティと気持ち表現の違い
3-1 助詞の違い
4-1 四つの動詞
5-1 可能形の違い
6-1 敬語と辞書形
第六章
1-1 結論
1-2 今後の課題
終わりに
参考文献
アークアカデミー
アークアカデミー
アークアカデミー
アークアカデミー
「みんなの日本語
「みんなの日本語
「みんなの日本語
「みんなの日本語
日本語教師養成科(平成18/4) 「文法/文体」
日本語教師養成科(平成18/4) 「言語/文化」
日本語教師養成科(平成2/6)
「文法入門/複文編」
日本語教師養成科(平成18/7) 「形態/語彙/文字(上)」
初級 Ⅰ」(1999/02)
初級 Ⅱ」(1999/03)
進階 Ⅰ」(1999/05)
進階 Ⅱ」 (2006/11)
益剛 隆志(2007/5) 「日本語モダリティ探究 」
金田一春彦 (1955)
継続動詞/瞬間動詞
金田一春彦(1976) 「日本語動詞のアスペクト」 むぎ書房
土居 光知(1993)「はじめてのにほんご」
古田東朔・築島裕 (1972)「国語学史」(東京大学出版会)
西田直敏 (1979)「資料日本文法史」(桜楓社)
徳田政信 (1983)「近代文法図説」(明治書院)
時枝誠記 (1940)「国語学史」(岩波書店)
山田孝雄 (1943)「国語学史」(宝文館)
福井久蔵 (1953)「増訂日本文法史」(復刻版 国書刊行会)
松下大三郎(1928)「改撰標準日本文法」紀元社(復刊 勉誠社 1974)
山田孝雄(1936)「日本文法学概論」宝文館
孟 玲秀 (2007)「本語教育における「は」と「が」の教授法」
洪 淑俐 「行為要求のモダリティについての考察―人間関係を中心に」
国立国語研究所 「現代用語・用字(1)~(3)」(1943)
国語学論文集(没年順)http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/ronbun.htm
研究内容
日本語には名詞、目的語、述語の三つで成り立つのはもうすでにはじめにのところで話してある
が、この三つを正しい順番に話すとその通り名詞、目的語、述語である。日本語は気持ちを伝える助
詞を変えたりもするが、ほとんどの場吅は述語を変えて気持ちが伝わるように話すため、述語は重要
な役目である。述語にはまた三つに分かれられる。名詞述語、形容詞述語、動詞述語文の三つである
が、名詞述語で例を挙げれば「これは本だ」、形容詞述語なら「海は青い」「夜は静か」、そして動
詞述語は「ご飯を食べる」など。では一体どうすれば気持ちが変わるのか、実際に見てみよう。
述語の変化
1:どうしましたか → どうしたんですか
羨ましい 心配 緊張 表現 理由
你怎麼了
→ 你怎麼了 (音調を変える)
2:お金を落とした → お金を落としてしまった
残念
我錢掉了
→ 我錢掉了 (音調を変える)
3:全部読んだ
→ 全部読んでしまった
完了
我看完了
→ 我看完了 (音調を変える)
4:ここでタバコを吸わないでください
→ ここでタバコを吸わないようにしてください
請不要在這裡抽煙→請不要在這裡抽煙(音調を変える)
以上述語の変化の例である。「どうしましたか」の文に自分の心配な気持ちを強調するなら、
中国語みたいに声を上げずに文法を変える。「どうしましたか」を「どうしたんですか」や「どうし
たの」などに変えることで気持ちの変化が見られる。もしここで中国語みたいに文法を変えずに声を
上げて聞話すと耳の悪い人に話しかけていると思われるのだ。
助詞の変化
1:100円がある
我有100塊
2:100円がかかる
要花100塊
→
→
100円もある
→
我有100塊
100円もかかる
→
要花100塊
陳述と満足の表現
陳述と不満、驚きの表現
この例で分かるように助詞で違う気持ちを表している文であるが、1の文は「が」の後ろに状態動
詞をつけると、ただ一つの事柄を陳述しているだけだが、「が」を「も」に変えることで気持ちの変
化がおきる。しかし中国語は変えなくても、音調を変えることで気持ちを変えることが出来る。2の
文も同じである、「が」の後ろに「かかる」という動詞がつくことにより気持ちの変化がおきる。
他:
時間の気持ちの変化
食べています
→
食べているところです
可能形の気持ちの変化
__ことができる
→
__られます
敬語の気持ちの変化
急げ
→
ません
→
急いでください
ないです
推量で気持ちの変化
でしょう
→
かもしれない
理由の気持ちの変化
寝坊しましたから
→
寝坊しましたので
事柄の陳述
も~し
も~し
→
たり~たり
助詞の気持ちの変化
はとが
__のは楽しいです
→
__のが楽しいです
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