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ベトナム刑事訴訟法 における 弁護士の地位

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ベトナム刑事訴訟法 における 弁護士の地位
ベトナム刑事訴訟法
における
弁護士の地位
名古屋大学法学部三年
鮎京ゼミ
坂本あずさ
小田侑哉
横田裕美
―2014年11月29日(土)
慶應義塾大学にて―
1
目次
1. 法整備支援の歴史
2. 弁護士の権利が尊重されていない例
3. 原因・背景
① 法曹養成課程
② 弁護士業務の非独占
③ 人民検察院
4. 解決策・まとめ
2
1. 法整備支援の歴史
3
ベトナムに対する
日本の法整備支援の歴史
1994年
法務省による支援開始
1996年
法整備支援フェーズ1
1999年
法整備支援フェーズ2
2000年
ベトナム司法制度共同研究(SPP交換プログラム)が始まる
2003年
法整備支援フェーズ3
2003年
刑事訴訟法改正
参考:各国法整備支援の状況 ベトナム(第37号 2008年12月号)
4
ベトナムに対する
日本の法整備支援の歴史
2007年
法・司法制度改革支援プロジェクト(フェーズ1)
2011年
法・司法制度改革支援プロジェクト(フェーズ2)
弁護士会がカウンターパートに
2012年
ワークショップ
2013年
セミナー
2013年
本邦研修
「刑事訴訟法上の弁護権について」
(UNDP開催)
「日本の刑事事件における弁護権及び弁護人の
経験」
「刑事司法における弁護人の権利の確立」
参考:各国法整備支援の状況 ベトナム(第37号 2008年12月号)
5
2. 弁護士の権利が尊重されていない例
6
刑事訴訟法において
弁護士の権利が尊重されていない例
弁護士を選任
する手続要件
証拠物等の
収集
接見交通権
取調立会権
ベトナム刑事訴訟法仮訳(法務省法務総合研究所国際協力部)
7
弁護人を選任するための手続要件
提出書類
ベトナム
日本
①弁護士証
②顧客からの弁護士依頼書
③弁護士会等からの紹介文書
国選→指名通知書
私選→弁護人選任届
(自署・押印)
(弁護士法27条2項、2011年公安省通達
(刑事訴訟規則17・18・60条)
70号5条)
ベトナム刑事訴訟法仮訳(法務省法務総合研究所国際協力部),日弁連HP,愛知県弁護士会HP
8
弁護人を選任するための手続要件
弁護人であることの証明書
ベトナム
日本
弁護人許可書(3日以内に授 私選→捜査機関などの印を
与)
押した選任届のコピー
授与を拒否する場合は、理由 国選→弁護人選任書
を明記した文書で通知
いずれも書類提出時に
(刑事訴訟法56条4項、弁護士法
入手可能
27条2項、2011年公安省通達70号
5条)
ベトナム刑事訴訟法仮訳(法務省法務総合研究所国際協力部),日弁連HP,愛知県弁護士会HP 9
弁護人を選任するための手続要件
日本に比べてベトナムの手続きは厳しい
→選任の遅滞に
10
接見交通権
ベトナム
日本
弁護人になろうとするものに 弁護人だけでなく弁護人選
面会権なし
任権者の依頼を受けている
がまだ選任の手続をしてい
ない弁護人になろうとする者
にもあり
捜査官の立会必須
立会人無くして接見し、物の
授受が可能
(刑事訴訟法58条2項e)
(刑事訴訟法39条)
ベトナム刑事訴訟法仮訳(法務省法務総合研究所国際協力部),加藤康榮『刑事訴訟法(第2版)』
(2012・法学書院)
11
接見交通権
ベトナムでは日本と違い
弁護人に選任されるまで接見ができないほか
立会人無しで接見することもできない
12
3. 原因・背景
13
原因・背景
①養成課程の違い
②弁護士業務の非独占
③検察院の強い権限
14
法曹養成課程の大枠
卒
業
実務
経験
卒
業
司法
学院
4年
1年
実務
経験
試験
司法
裁判官
学院
1年 検察官
弁護士
1年
15
裁判官の選任要件
(人民裁判所組織法37条1項、39条)
•
•
•
•
•
•
ベトナム公民
人物に関わる条件(※)
法学士
審理業務についての訓練
実務活動の従事時間(法律の規定あり)
審理を行う能力を備え、任された業務の完遂を保証する
健康状態
• その上で、裁判官選任評議会による選任及び提議を受け
る。
※祖国及びベトナム社会主義共和国憲法に対して忠誠心を持ち、よい品質、道徳を備え、
清廉潔白で忠実であり、社会主義的適法性を断固として防衛する精神を持つ
16
裁判官
実務活動に従事した時間
(人民裁判所の裁判官及び参審員令)
• 原則:4年以上
– 人民裁判所に属する初等裁判官に選任及び任命する
ことができる。(20条)
• 例外:必要な場合には、十分に法律活動に従事し
た時間がなくても
– 人民裁判所に属する初級裁判官・・・(中略)・・・に選任
及び任命することができる。(23条)
17
検察官の選任要件
(人民検察院組織法43条、
人民検察院の検察官令2条1項)
•
•
•
•
•
•
ベトナム公民
人物に関わる条件(※)
法学士
検察・捜査業務の教育
実践的な勤務期間(法律の規定あり)
与えられた任務を完遂するだけの健康状態
• その上で、検察官採用評議会による採用及び上申を受け
る。
※祖国及びベトナム社会主義共和国憲法に対して忠誠心を持ち、よい品質、道徳を備え、
社会主義法制を守る決意をしている。(43条)清廉潔白で勝つ誠実な品費を有している、
18
断固として社会主義的適法性を守ると言う精神を有している。(2条1項)
検察官
実務活動に従事した時間
(人民検察院の検察官令)
• 原則:4年以上
– 人民検察院の初級検察官として採用されて任命される
(18条)
• 例外:必要がある場合、・・・(中略)・・・法律業務の
期間が十分でないが、
– 人民検察院の初級検察官・・・(中略)・・・に採用されて
任命される。(21条)
19
弁護士の要件
(弁護士法10条、11条)
•
•
•
•
•
•
•
•
ベトナム国民
人物に関わる条件(※)
憲法および法律を順守する
法学士
弁護士専門業務の研修
弁護士実務の研修期間を終了
弁護士業務を行うために十分な健康状態
その上で、弁護士免許を取得し、弁護士会に入会す
る。
※祖国に忠実で、良好な道徳的性質を有している
20
弁護士養成課程
弁護士会へ
の加入
•法学士を取得
•弁護士業務の研修を終了
弁護士資格
の取得
•研修弁護士として実務修習
•研修後の試験に合格
21
要件
法学士と弁護士業務の研修
• 法学士を取得
– 法律大学の卒業
• 弁護士業務の研修
– 弁護士業務研修期間は12か月とする(弁護士法12条2項)
– 裁判官、検察官又は捜査官であった者、法律専門の大学
教授、助教授、法学博士等は、研習が免除される(※)
(弁護士法13条)
※他にも、裁判所の上級審査官、検察院の上級検察官、法律分野の上級専
門官/研究官/講師であった者、裁判所の正式捜査官、検察院の正式検察官、
法律分野の正式専門官/研究者/講師であったものを含む。
22
要件
研修弁護士としての実務修習
• 弁護士業務研修の卒業証書保有者が行える。(例
外として16条2項、3項に規定する者)
• 弁護士会から法律事務所が紹介され、法律事務
所が指導弁護士を任命する。
• 12か月間実務修習を受ける。(14条)
– 指導弁護士に割り当てられた業務を行う。
– 公判における代理、弁護、顧客の合法的な権利及び利
益の保護、又は法律助言文書の署名をしてはならない。
• 実務修習結果評価試験に合格する。(15条)
23
例外
研修弁護士の短縮と免除
(弁護士法16条)
免除される期間
裁判官、検察官、上級
捜査官、中級捜査官、
法律専門の教授、助教
授、法学士など(16条1
項)
全期間を免除
(16条2項)
3分の2を免除
(16条3項)
半分を免除
24
裁判官・検察官と弁護士の違い
裁判官・検察官
弁護士
なし。
社会主義的 あり。
適法性の
「社会主義的適法性」一般に、
要件
公務員は共産党員でないと
昇進は難しいといわれている。
実務研修
4年
1年
期間
社会主義体制のため、指導する立場である
国家で働く側がどうしても強くなる。
実務研修期間の差が能力の差に出る可能性がある。
25
司法学院の現状
• 過去15年間の間、裁判官コース、検察官コース、
弁護士コースを分けて設置。
• コース内容の60%は同じ。
参考:Phap Luatニュース記事(2014年3月17日)
26
法曹養成課程 理想
法曹三者の教育の質を同等に!
検察官
裁判官
弁護士
一元的
解決策
・分離されたコースを統一
・実務研修期間を統一
法曹教育
27
最新の動向
教育内容の
統一
• 2083号決定(2083/QÐ-TTg, 2013年11月)
– 統一コースを設立し、法曹三者共同養成を1年間、試
験的に行う。
• 検察大学の設立(2014年4月)
– 高校卒業後、入学できる。
法曹人数の
増大
• 裁判所学院の設立(予定)
• 弁護士養成校の設立(予定)
2083号決定(Thu Vien Phap Luat)、Phap Luatニュース記事(2014年3月17日)
28
原因・背景
①養成課程の違い
②弁護士業務の非独占
③検察院の強い権限
29
弁護士業務の非独占とは…
弁護士以外でも弁護士業務ができるということ
弁護士以外・・・法律家協会に属する法律相談員
弁護士業務・・・法律相談や訴訟代理
丸山毅「ベトナムの法曹養成制度及び弁護士制度の改革(概要)」(ICDニュース第2号 2002年3月号)
30
法律家協会とは
・ベトナム祖国戦線(=共産党の方針を国民の末端
まで伝達する組織)の構成機関
・弁護士、検察官、裁判官、司法省職員のような法
律職に就いている者、退職した者から構成(全国で
約1万人の会員)
・会員に対して法律相談員の証明書を発給
丸山毅「ベトナムの法曹養成制度及び弁護士制度の改革(概要)」(ICDニュース第2号 2002年3月号)
31
法律相談員とは
・法学士号を得て約5年間法律職を経験し、
訴訟代理・法律コンサルタント能力が十分
にあると法律家協会から認められた者
・訴訟代理や法律相談を行うことができる
丸山毅「ベトナムの法曹養成制度及び弁護士制度の改革(概要)」(ICDニュース第2号 2002年3月号)
32
弁護士業務が非独占になった背景
フランス植民地時代
弁護士制度の
1930年まで弁護士は
フランス人に限定
ベトナム人弁護士は
認められていなかった
スタートが遅れ
深刻な
弁護士不足に
柳原克哉「ベトナムの弁護士制度について」(ICDニュース第2号 2002年3月号)
33
弁護士業務が非独占になった背景
弁護士不足を補うため・・・
1945年
緊急法令
で裁判官
を弁護人と
して活動さ
せる制度を
制定
1946年
裁判で弁
護士以外
の者を弁
護人として
選任でき
る制度を
制定
1957年
大衆組織のメ
ンバーが裁判
の対象になっ
た時に弁護人
を組織の中か
ら選任する人
民弁護人制度
を制定
柳原克哉「ベトナムの弁護士制度について」(ICDニュース第2号 2002年3月号)
弁護士以外
の者が
弁護活動
することに
抵抗のない
社会に
34
なぜいまだに弁護士業務の
非独占が続いているのか?
弁護士制度が数・質ともに
まだ成熟していないから
35
なぜいまだに弁護士業務の
非独占が続いているのか?
・数
人口10万人当たりの
弁護士数
↓
日本の 約1/3
弁護士が1年間に
受け持つ裁判数
↓
日本の 約1.4倍
ベトナム弁護士連合会HP,日本弁護士連合会HP,裁判所HP
36
なぜいまだに弁護士業務の
非独占が続いているのか?
・質
全国統一の弁護士連合会が設立されたの
は2009年の5月
設立からまだ
5年!
日本弁護士連合会HP
37
法律相談員の存在は問題か?
・数不足を補う上では重要
・法律の知識・実務経験あり
→質は粗悪ではない
・「弁護士」の知識・経験はない
・弁護士資格を取ろうという
インセンティブを弱める
38
解決策
法律相談員は・・・
現在は必要なものとして維持
(弁護士数を補完するものとして有効)
養成制度改革によってある程度質と数を高めて
将来的には弁護士業務を独占に
(質向上・職業として人気に→人数増加)
39
原因・背景
①養成課程の違い
②弁護士業務の非独占
③検察院の強い権限
40
検察官
裁判官
書記官
弁護士
41
人民検察院
• 国家権力は統一されており,立法権,法執
行権及び司法権それぞれの実現において,
各国家機関間で配分,協同,抑制される
(2013年憲法2条3項)
42
国会
(任免)
首相
(行政府を統括)
司
法
省
公
安
省
・
・
・
・・・
省
長官
最
裁高
判人
所民
長官
最
検高
察人
院民
丸山毅「ベトナムの2003年改正刑事訴訟法と新捜査体制」(ICD NEWS 第23号 2005年9月号)43
検察院の権限
(1992年憲法137,138条
1992年人民検察院組織法)
• 公訴権
• 一般監督権限
検察院
法律遵守の監督・管理
政府機関
経済組織
社会組織
伊藤文規「ベトナムの統治機構、司法制度の概観」(ICD NEWS 第28号 2006年9月)
44
検察院の権限
(2001年憲法137条、
2002年人民検察院組織法1条)
• 公訴権
• 司法活動の監督権限
– 捜査機関、裁判所、判決執行機関、訴訟人の法
律遵守を監督する
しかし…
45
検察院の権限
(2002年人民検察院組織法20-22条、)
• 刑事事件以外の民事訴訟,経済契約訴訟,行政訴
訟,労働訴訟についても、検察院が参加することに
なった
• 2004年 検察官の民事訴訟への関与を大きく制限(民訴法21条)
• 控訴・監督審申立が急増
• 2011年 民訴法改正で検察官の関与範囲が再び拡大
山下輝年「ベトナム刑事法の特色と司法改革に関する一考察」(ICD NEWS 第5号 2002年9月)
松原禎夫「ベトナム刑事司法制度の改正動向」(ICD NEWS 第48号 2011年9月)
46
訴訟遂行主体と訴訟参加主体
訴訟遂行主体
訴訟参加主体
捜査機関、検察院、
裁判所
被暫定留置人、被疑者、
被告人、被害者、民事
原告、弁護人、証人、鑑
定人など
• 訴訟遂行主体が犯罪を証明するすべての権限を
任され、これを独占している
中村憲一「2012年度ベトナム司法制度共同研究」(ICD NEWS 第52号 2012年9月)
47
解決策
• 検察院の地位・権限が非常に強いために、相対的に
弁護士の地位が低くなっている
• しかし、現状のまま検察院の権限を弱めると、混乱・
国民の司法への信頼の低下が生じる
• 弁護士の量・質の向上を最優先し、後の検察院の権
限縮小へつなげる
• 最終的には検察院の権限を刑事事件関係に限定
48
4. 解決策・まとめ
49
解決策・まとめ
養成制度の改革
弁護士の質・量の向上
弁護士業務の独占化
検察院の権限縮小
弁護士の地位の向上
50
日本の法整備支援に対する具体的提言
①ベトナム人弁護士の日本でのPh.D.取得支援
②国際商事に特化した弁護士の育成
③検察大学、裁判所学院、弁護士養成校、法科大学
の講師交換、出張授業等の交流
51
国民にとっての利益
弁護士の地位向上は、
被疑者・被告人の権利保障に資する。
52
さらに調査が必要な事柄
• 司法学院の具体的カリキュラム
• 2083号決議の内容(詳細な目標と手段)
• 任意的弁護事件における弁護士と法律相談員の
利用割合
• 検察院の一般監督の具体的な態様
53
参考文献①
• 加藤康榮『刑事訴訟法(第2版)』(2012・法学書院)
• ベトナム刑事訴訟法仮訳 ―ベトナムの刑事訴訟制度と弁護人の権利―
(p43より、2003・法務省法務総合研究所国際協力部)
• 日本弁護士連合会(https://www.nichibenren.or.jp/)(最終アクセス11月28日)
• 愛知県弁護士会(https://www.aiben.jp/)(最終アクセス11月28日)
• ベトナム弁護士連合会(http://liendoanluatsu.org.vn/)(最終アクセス11月28日)
• 裁判所(http://www.courts.go.jp/)(最終アクセス11月28日)
• 山下輝年「ベトナム刑事法の特色と司法改革に関する一考察」
(ICD NEWS 第5号 2002年9月)
• 丸山毅「ベトナムの法曹養成制度及び弁護士制度の改革(概要)」
(ICD NEWS第2号 2002年3月号)
• 柳原克哉「ベトナムの弁護士制度について」
(ICD NEWS第2号 2002年3月号)
• 吉村徳重「ベトナム民事訴訟法制定 ―成立の背景と審理手続の基本的特徴―」
(ICD NEWS 第21号 2005年)
54
参考文献②
• 丸山毅「ベトナムの2003年改正刑事訴訟法と新捜査体制」
(ICD NEWS 第23号 2005年9月号)
• 伊藤文規「ベトナムの統治機構、司法制度の概観」
(ICD NEWS 第28号 2006年9月)
• 伊藤文規「ベトナムの司法改革と人民検察院」
(ICD NEWS 第29号 2006年12月)
• 松原禎夫「ベトナム刑事司法制度の改正動向」
(ICD NEWS 第48号 2011年9月)
• 中村憲一「2012年度ベトナム司法制度共同研究」
(ICD NEWS 第52号 2012年9月)
• 2013年11月8日2083号決定(http://thuvienphapluat.vn/)(最終アクセス11月28日)
• Phap Luatニュース記事(2014年3月17日00:15)
(http://plo.vn/phap-luat/dao-tao-ba-chung-vi-cai-cach-tu-phap-454292.html)(最終ア
クセス11月28日)
• 使用した写真は全て、発表者がハノイ市及びホーチミン市にて撮影。
55
関連条文(選任手続き、接見交通権関連)
<ベトナム法>
○刑事訴訟法
• 56条4項 弁護に関する書類とともに弁護人の提案を受け取った日から3日以内
に,捜査機関,検察院又は裁判所は,検討し,弁護人が弁護を遂行できるよう弁
護人に認可証を授与しなければならない。 認可証の授与を拒否する場合は,そ
の理由を明確にしなければならない。 暫定留置の場合には,弁護に関する書
類とともに弁護人の提案を受け取った時から24時間以内に,捜査機関は,検討
し,弁護人が弁護を遂行できるよう弁護人に認可証を授与しなければならない。
認可証の授与を拒否する場合は,その理由を明確にしなければならない。
• 58条2項e 被暫定留置人,勾留された被疑者又は被告人と面会すること。
○弁護士法
• 27条2項 弁護士は、民事事件又は行政事件における当事者の正当な権利及び
利益の保護者、被害者、民事事件の原告及び被告、刑事事件において関連する
権利義務を有する者の正当な権利の保護者として訴訟手続に参加する場合は、
自己の弁護士証及び顧客からの弁護士依頼書を提出しなければならない。訴訟
執行機関は、かかる提出から営業日以内に弁護士に訴訟手続参加証明書を発
行しなければならず、これを拒否する場合には、理由を明記した文書で通知しな
ければならない。
56
○2011年公安省通達
• 70号5条 弁護士に対する弁護人承認書発給手続 弁護士が、弁護人承認書の
発給を申請し、訴訟に参加するためには、次の条件を満たす必要がある。a)弁護
士証b)被暫定留置人や被疑者からの弁護士要請文書:被暫定留置人、被疑者
の親族からの弁護士要請文書(被暫定留置人、勾留中の被疑者が、親戚に対し
て、弁護士弁護人を依頼した場合);又は、被暫定留置人、被疑者の合法的代理
人からの弁護人要請文書(被暫定留置人、被疑者が、未成年者、精神的又は身
体的な障害者精神的である場合)c)当該弁護士が、弁護士活動している弁護士
職業組織からの紹介文書、又は、弁護士会から紹介文書(個人資格で活動して
いる場合)d)この通達4条3項に規定されている場合に関して、弁護士会から任務
割り当て文書
57
<日本法>
○刑事訴訟法
• 30条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
• 39条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選
任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見
し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
○刑事訴訟規則
• 17条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑
事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審におい
てもその効力を有する。
• 18条 公訴の提起後における弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を差し出
してこれをしなければならない。
• 60条 官吏その他の公務員以外の者が作るべき書類には、年月日を記載して署
名押印しなければならない。
58
関連条文(法曹養成関連)
◎検察官
○人民検察院組織法
• 第43条 ベトナム社会主義共和国の祖国及び憲法に忠誠するベトナム人 は、良い品質・良い道
徳・忠実で、法務大学卒業で、検察・捜 査業務を教育され、社会主義法制を守る決意をし、法律の
規定 による実践的な勤務期間があり、健康を持っている人であれば、 検察官・捜査官に指名され
ることができる。
○人民検察院の検察官令
• 2条 祖国及びベトナム社会主義共和国憲法に忠誠を誓うベトナム公 民で、道徳的に優れた、清廉
潔白でかつ誠実な品位を有し、法学士の 資格を有し、検察業務に関する養成教育を受け、断固と
して社会主義 法制を守るという精神を有し、この法令の規定に従って業務を実践す る期間を有し、
与えられた任務を完遂するだけの健康状態を有するな らば、検察官として採用されて任命される。
• 18 条【改正】 本法令 2 条において規定された基準を十分に満たす者で、法律業務を行った期間
が 4 年以上で、公訴権及び各司法活動の検察権を実行す る能力を有する場合、人民検察院の初
級検察官として採用されて任命 される;仮に、(その者が)在籍中の軍隊の士官【sĩ quan quân đội tại
ngũ】である場合、軍事検察院の初級検察官に採用されて任命される。
• 21 条【改正】 必要がある場合、人民検察専門組織において業務を行っている者、又は権限のあ
る機関、組織から人民検察院専門組織における業務へ派 遣された【điều động】者で、未だ初級検
察官、中級検察官としての 期間が十分ではなく、又は法律業務の期間が十分でないが、本法令
18,19,20 条において規定されたその他基準を十分に満たしている場 合もまた、人民検察院の初級
検察官か中級検察官に、又は最高人民検 察院の検察官に採用されて任命される;仮に、(その者
が)在籍中の 軍隊の士官【sĩ quan quân đội tại ngũ】である場合、軍事検察院の初 級検察官又は中
級検察官に、又は中央軍事検察官の検察官に採用され て任命される。
59
◎裁判官
○人民裁判所組織法
• 第37条
1.ベトナム公民であって,祖国及びベトナム社会主義共和国憲法に対して忠誠
心を持ち,良い品質,道徳を備え,清廉潔白で忠実で あり,社会主義法制を断固と
して防衛する精神を持ち,法学士を 取得し,審理業務についての訓練を受けてお
り,法律の規定に従 った実務活動に従事した時間があり,審理を行う能力を備え,
任 された業務の完遂を保証する健康状態の者は,裁判官に選任及び 任命され
ることができる。
• 第39条 裁判官の職に任命されるためのこの法律の 37 条 1 項に規定する基準
を 十分満たす者は,裁判官選任評議会による選任及び提議を受けなければ なら
ない。 裁判官選任評議会の組織及び活動,裁判官選任評議会及び最高人民裁
判 所長官との関係は,国会常務委員会の規定に基づく。
60
○人民裁判所の裁判官及び参審員令
• 第5条
1 ベトナム公民であって,祖国及びベトナム社会主義共和国憲法に対して忠誠心を
持ち,良い品質,道徳を備え,清廉潔白で忠実であり,社会主義法制を断固として防衛す
る精神を持ち,法 学士を取得し,審理業務についての訓練を受けており,この法 令の規
定に定める実務活動に従事した時間,審理を行う能力が あり,任された業務の完遂を
保証する健康状態の者は,裁判官 に選任及び任命されることができる。
• 第20条 この法令 5 条 1 項に規定する基準を十分満たし,4 年以上の法律活動 に従
事した時間があり,県級人民裁判所,区域の軍事裁判所の管轄に 属する事件の審理
及びその他の事務を解決する能力を有する者につい て,県級人民裁判所裁判官に選
任及び任命することができる。その者 が現役の軍隊士官である場合には,区域の軍
事裁判所裁判官に選任及 び任命することができる。
• 第23条 必要な場合には,裁判所で従事する者又は動員権限のある機関,組織 によっ
て裁判所で従事させられている者について,下級裁判官として 十分な従事時間がなく
又十分に法律活動に従事した時間がなくても, この法令 20 条,21 条,22 条に個別に規
定する基準を十分に満たす場 合には,県級人民裁判所裁判官,省級人民裁判所裁判
官,最高人民裁 判所裁判官に選任及び任命することができる。その者が現役の軍隊
士 官であれば,区域軍事裁判所裁判官,軍区級軍事裁判所裁判官,中央 軍事裁判所
裁判官に選任及び任命することができる。
61
◎弁護士
○弁護士法
• 第10条 祖国に忠実なベトナム国民で、憲法及び法律を尊守し、良好な道徳性
質を有し、法学士資格を取得し、弁護士専門業務の研修を受け、弁護士実務の
研修期間を終了し、弁護士業務を行うために十分な健康状態にある者は、弁護
士になることができる。
• 第11条 第 10 条に規定された基準を十分に満たす者が、弁護士業務を行おうと
する場合は、弁護士免許を取得し、かつ弁護士会に入会しなければならない。
1. 法学士の保有者は、弁護士業務研修施設において、弁護士業務の研修に参
加することができる。
2. 弁護士業務研修期間は 12 カ月とする。弁護士業務研修プログラムを終了し
た者は、弁護士業務研修施設から弁護士業務研修の卒業証書を交付される。
3. 政府は、弁護士業務研修施設について定める。
4. 司法省大臣は、弁護士業務研修の枠組みのプログラム、及び外国における
弁護士業務研修の承認について定める。
62
• 第13条 弁護士業務研修の免除を受ける者
1.裁判官、検察官又は捜査官であった者。
2. 法律専門の教授、助教授又は法学博士。
3. 裁判所の上級審査官、検察院の上級検察官であった者。法
律分野の上級専門官、上級研究官、上級講師であった者。
4. 裁判所の正式審査官、検察院の正式検察官であった者。法律分野の正式専
門官、正式研究官、正式講師であった者。
• 第16条 弁護士実務修習期間が免除される者
1. 裁判官、検察官、上級捜査官、中級捜査官、法律専門の教授、助教授、法学
博士、裁判所の上級審査官、検察院の上級検査官、法律分野の上級専門官、
上級研究官、上級講師であった者は、弁護士実務修習を免除される。
2. 初級捜査官、裁判所の正式審査官、検察院の正式検査官、法律分野の正式
専門官、正式研究員、正式講師であった者は、弁護士実務修習期間の3 分の2
を免除される。
3. 法律分野における専門官、研究員、教員として 10 年以上の職務経験を有す
る者は、弁護士実務修習期間の半分を免除される。
63
関連条文(人民検察院関連)
○2001年憲法
• 第137条 最高人民検察院は、公訴権を行使し、各司法活動を検察(監督・コント
ロール)し、法律が厳格かつ統一的に執行されることを確保する。地方における
各検察院、各軍事検察院は、法律が規定する範囲内において、公訴権を行使し、
各司法活動を検察する。
○2002年人民検察院組織法
• 第1条 人民検察院は、憲法及び法律の規定により、公訴権の実施及び司法活
動の検察を行う。最高人民検察院は、公訴権の実施及び司法活動の検察をし、
法律が厳密且つ統一的に執行されることを確保する。各地方の人民検察院は、
管轄地域において、公訴権の実施及び司法活動の検察を行う。各軍事検察院は、
法律の規定により、公訴権の実施及び司法活動の検察を実施する。
• 第20条 人民検察院は、民事・婚姻及び家族・行政・経済・労働及びその他法律
に規定される分野の事件解決を検察して、その事件の解決が法律に従い、遅滞
なく実施されることを確保する。
64
• 第21条 民事・婚姻及び家族・行政・経済・労働その他法律に規定される分野の
事件解決を検察する時、人民検察院は、以下の任務及び権限を持つ。
1.事件書類の受理・作成を検察し;事件を正しく解決するために事件を明確に
することの確認をするように人民裁判所に要求する又は自分で実施する。
2.法律の規定によって事件を起訴する。
3.裁判所に参加して、事件解決について人民検察院の観点を述べる。
4.人民裁判の裁判活動における法律厳守性を検察する。
5.訴訟参加者の法律厳守性を検察する。
6.人民裁判所の判決及び決定を検察する。
7.人民裁判所に対して、法律の規定による臨時緊急措置を適用するように要求
する。
8.不服に関する検討・決定するために、同級又は下級の人民裁判所に対して民
事・婚姻及び家族・行政・経済・労働その他法律に規定される分野の事件に関す
る書類を渡してくれるように要求する。
• 第22条 民事・婚姻及び家族・行政・経済・労働その他法律に規定される分野の
事件の解決を検察する時、人民検察院は、法律の規定により、再審、終審、判決
の再審、人民裁判所の決定の手続きによる不服をする権限を持ち;同級及び下
級の人民裁判所に対して事件解決における法律違反を克服するように要求し;
犯罪の兆しがあれば刑事に関する起訴をする。
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○2004年民事訴訟法
• 第21条 民事手続における法遵守の検察
1. 民事事件及び非訟事件の適法及び適時の解決のため,人民検察院は,民事手続
における法遵守を検察し,法令の規定に従い申立て,訴え,又は異議申立てをする権
利を行使する。
2. 人民検察院は,裁判所が証拠を収集し,当事者が不服申立てをした事件,裁判所
が管轄する非訟事件並びに判決又は決定に対し人民検察院が異議を申し立てた民
事事件及び非訟事件の公判期日に立会う。
○2011年民事訴訟法
• 第21条. 民事訴訟における法遵守の検察
1. 人民検察院は,適時,適法な民事訴訟・非訟事件の解決を保障する目的として,法
律の規定に従い,民事訴訟における法遵守を検察し,要求,建議,異議を行う権利を
行使する。
2. 人民検察院は,民事非訟事件の第一審の会議期日,訴訟事件の第一審のうち,裁
判所が証拠収集を行った事件,紛争の対象が公用財産,公共の利益,土地使用権又
は住宅である事件,当事者の一方に未成年,心身に障害のある者がいる事件の公判
期日に参加する。
3. 人民検察院は,控訴審,監督審,再審の会議期日,公判期日に参加する。
4. 最高人民検察院は最高人民裁判所と協調して本条の施行を指導する主たる責任
を負う。
※以上、ベトナム法は全て法務総合研究所国際協力部のベトナム六法から引用。
(http://www.moj.go.jp/housouken/houso_houkoku_vietnam.html)
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ご清聴
ありがとうございました。
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