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全文PDF - 文教育学部

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全文PDF - 文教育学部
青少年期から成人期への移行についての追跡的研究
JELS第9集
Cエリア算数・数学学力調査報告
§
職
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鮮
懲
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謹
i
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j
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蚤妙鐸=申蛇塞謬醇噸轟留霧
璽
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1
瞳
i
董
蕊
綴
お茶の水女子大学21世紀COEプログラム
『誕生から死までの人間発達科学」
Studies⑪fHumanDevel⑪pmentfr⑪mBirtht⑪De誠h
目 次
はじめに..……………………………………・…………・…………………・………………………・・…………………………・…………………………I
11458
章ABCD
I
第
調査の概要・………・…………………………………………………………………………………・…………………….……………….….
目的と方法…………………………………………………………………………………………………………..…………………………
予備調査…..…………・………………………………………………………………………….………………….…….…………..……….
本調査………………・………………………………………・…………・……………………………………………………………………
研究組織と研究経過…..…………………………・……………………・…………………………………………………………….……
章ABC
Ⅱ
第
結果と分析1−−小3………………………………………………………・……………………………………………………………
1
小3AT……………………………………………………………………………………………….…………………………………………
1
1
小3PA……・…………………………………………………………………………………….………………………..………………….… 2
2
小3におけるATとPAの関係………..…………・………・………………………・…・………………………….…………………
小6Ar・……………………………・………………………・………………………・…………………………………………………………
小6PA…・………………・…・…………………………・………………………………・……………………・・…………………………・……
53
54
86
2
3
章ABC
Ⅲ
第
結果と分析Ⅱ一一一小6……………………………………………………………………・………………………………………………
3
0
小6におけるATとPAの関係……………………・…………………………………・……………………………………………..
中3.高3AT…………………・…………………………………………・………………………・…………………………………………
中3.高3PA……・…………………………………………………………………………………………………………・……・…………
56
58
49
5
6
章ABC
Ⅳ
第
結果と分析Ⅲ---.中3・高3………………………………………………………………………………………………・……………・
中高におけるATとPAの関係……………………・…………………………………………………………………………………
v
章ABcDE
第
総合的考察……・……………………・………………………………………………・……………………………………………………・…101
小3………・………………………………・…………………………………………………………………………・………・…………………101
小6…………………・…………………………………………………………・…………・……………………………………・………………102
中3・高3・…………・………………・………・……………………………………………………………………・…………………………lO3
ATとPAの関係……………・…………………………………・……………………………・…………………………・…………………104
今後に向けて…………………………・………………………・………………………………………………・……………………………104
巻末資料…………………………・………………………………………………………………………………………………………・……・…………113
A・小3PA解答例..……・……..……………………・………………………………………………………………..……..…………………ll3
B、小6PA解答例・…………………………………………・…………………………………………………………………………・………・l21
C中3.高3PA解答例・………………………………………………………………・………………・…・…………………………・……147
は じ め に
本書は、お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「誕生から死までの人間発達科学」のプロジェクトⅢ「子
どもから成人への移行に及ぼす社会・文化的要因の影響」(プロジェクトリーダー:耳塚寛明)の一つである、「青
少年期から成人期への移行についての追跡的研究」(JELS2003)においてなされた算数・数学学力調査の第四次
報告書である。JELS2003では、①児童・生徒質問紙調査、②同・学力調査、③担任教員質問紙調査、④保護者対
象質問紙調査を実施することを通じて、青少年の学力および進路形成過程を総合的に把握し、家庭的背景・文化
的経済的環境と、教師のペダゴジーや進路指導実践との間の相互作用を社会学的に明らかにすることが試みられ
ている。
算数・数学学力調査は、3つのエリアの小3.小6.中3.高3を対象として、2003年秋(Aエリア・附属:A
エリアの中3を除く全学年)、2004年冬(Aエリア中3)、2004年夏(Cエリア高3)、2004年秋(Cエリア小3.
小6.中3)に実施された。本書は、そのうちCエリアの調査結果を分析したものである。Cエリアは東日本の
ある地方都市であり、Aエリアと同じく、小・中・高すべて公立学校のみを調査対象校としている。なお、Aエ
リアについては『JELS第3集』(小3・小6)および『JELS第5集』(中3・高3)で、附属(お茶の水女子大
学附属学校)については『JELS第6集』(全学年)で、すでに報告ずみである。
本書は、算数・数学学力調査問題作成グループの中から以下の5名が分担して執筆し、松下が監修、および図
表の作成を行った。
神戸佳子(お茶の水女子大学附属小学校)…第Ⅱ章A
上垣渉(三重大学教育学部)…第Ⅱ章B、第Ⅲ章A
小寺隆幸(明星学園中学校非常勤)…第Ⅳ章A
増島高敬(自由の森学園・和光学園・東京電機大学・日本大学非常勤)…第Ⅳ章B
松下佳代(京都大学高等教育研究開発推進センター)…第I章、第Ⅱ章C、第Ⅲ章B・C、第Ⅳ章B・C、第
V章
最後に、本調査の実施にあたって、調査対象校で調査を実施してくださった先生方、何種類もの調査に長時間
が
つきあってくれた児童・生徒のみなさん、調査対象校とのパイプ役になってくださった調査エリアの教育委員会
の方々、ArとPAの採点および調査結果の統計的処理を手伝ってくれたお茶の水女子大学、京都大学の大学院生
のみなさんに、心から感謝申し上げます。
2007年1月
算数・数学学力調査問題作成グループリーダー
松 下 佳 代
I
第I章調査の概要
[本章は、『JELS第3集算数・数学学力調査報告』第2部および『JELS第5集中学校・高等学校学力
調査報告』第3部、『JELS第6集お茶の水女子大学附属学校学力調査報告』第2部の内容から、本書で示
す結果と分析を読む際に必要と思われる部分を抜粋し、編集・加筆・修正を行ったものである。]
A,目的と方法
1)調査の目的
私たちがこの調査の計画・実施にあたって方針としたのは、「算数・数学教育の質を変えることに貢献できるよ
うな調査」である。具体的には、私たちが重要と考える学力を把握するための問題の開発、評価法の提案、学校・
教師への結果のフィードバックなどである。なかでも、一般的な標準テストでは測りにくい質の学力(思考プロ
セスや算数・数学的なコミュニケーション能力など)も含めて算数・数学の学力を多面的・総合的に把握するこ
とを、主たる目的とした。評価法に関しても、単に学力調査の評価法というだけにとどまらず、教師が教育実践
において子どもたちの学力を把握するときにも役立つような評価法の開発をめざした。また、フィードバックに
ついては、報告書の刊行という形だけでなく、学力調査結果を調査対象校に返すことによって、結果を指導に生
かせる回路を確保するよう努めた。
2)算数・数学の学力の定義
調査の概念的枠組を検討する際には以下のような学力調査を参考にした。
(a)国立教育研究所(現国立教育政策研究所。以下「国研」):基礎学力調査(1990年:小6、中2)
(b)IEA:TIMSS(ThirdlntemationalMathematicsandScienceStudy)(1995年:小3.4,中1.2)
(c)IEA:TIMSS2003(TrendsinMathematicsandScienceStudy)
(。)OECD:PISA(ProgrammefbrlntemationalStudentAssessment)(2000年:15歳児)
(e)文科省:教育課程実施状況調査(2001年:小5∼中3)
算数・数学の学力の定義については、時間的制約のため、調査問題作成グループで議論し新たな提案を行うと
いうことはできなかったが、私たちがグループ内で共有していた学力概念は、PISAの「数学的リテラシー」の定
義にほぼ合致している。「数学的リテラシー」とは、数学を単に学校のカリキュラムの枠内で習得するにとどまら
ず、数学的な知識と技能を「機能的に活用する能力」を意味している。PISAの報告書では、次のように定義され
ている。
数学が世界で果たす役割を見つけ、理解し、現在及び将来の個人の生活、職業生活、友人や家族や親族との
社会生活、建設的で関心を持った思慮深い市民としての生活において確実な数学的根拠にもとづき判断を行い、
数学に携わる能力(国研2002,15頁)’)
また、より簡潔な形では次のようにも述べられている。
様々な場面や状況において、数学を用いて問題を設定し定式化し解決し問題の解を解釈する能力(国研2002,
15頁)
特にこの後者の定義は、私たちが概念的枠組みとして用いた「数学的問題解決の図式」(後述)をほぼそのまま
言語化したものとみなすことができ、私たちの考える学力概念とほぼ同じといってさしつかえない。
3)調査の構成
今回の算数・数学学力調査は、アチーブメント・テスト(achievementtest:以下、Arと表す)とパフォーマン
ス・アセスメント(perfbrmanceassessment:以下、PAと表す)という2部構成をとっている。両者を比較すると、
図表I−1のようになる。
1
JELS第9集(2007.2)
図表I−1ATとPAの比較
PA
Ar
比較的限定された学力を、一元的な尺度で、測定
評価尺度
する
「プロセス」をみる
主として「結果」をみる
評価対象
複合的な学力を、多次元的な尺度で、測定する
評価観点の設定
どんな学力をみる問題かをあらかじめ決めておく
時期
どんな学力が発揮されているかは、事後的に個人
ごとに明らかになる
スピードテスト的性格
パワーテスト的性格
評価手段
ペーパーテスト
具体的活動、ペーパーテスト
回答形式
択一式、簡単な記述式
自由記述式(ペーパーテストの場合)
テストの性格
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
このように、違ったタイプの調査を組み合わせることで、算数・数学の学力を多面的・総合的に把握しようと
いうのが今回の調査のねらいである。
調査の種類と時間は、図表1−2のとおりである。
高3の問題は、高等学校の教育課程が多様化していて一律の問題が作成しにくいため、AT・PAとも、中3の
問題と同一のものを用いた。小6Arの問題には、実施時期によって未履修の問題が含まれていることがわかった
ので、3つの問題を削除し、あらたに2つの問題を加えた。したがって、Aエリア・附属ではあわせて23問だっ
たが、Cエリアではl間少ない22問になっている。なお、ATとPAの間には休憩を入れることが想定されてい
る
。
図表1−2調査の種類と時間
小6
小3
AT
PA
中3・高3
30分(大間7問、全18問) 40分(大間14問、全22問) 45分(大間11問、全22問)
20分(1問)
20分(1問)
20分(l問)
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
4)ATについて
以下では、ArとPAについてより詳しく論じていこう。
一般に、学力調査問題は次のような構成要素からなっている。
[内容×認知]×回答形式×履修学年
①認知
今回の調査では、Ar問題の作成にあたって、以下の6つの認知カテゴリーを設定した。
A:知識・概念……・………・…・知識・概念をもっている
B:形式への表現(数学化)…現象から数学的形式に表現する
c:形式の解釈(具体化)……数学的形式から現象へ具体化する
D:形式の運用(処理)・…・…・数学的形式を運用して解を導く(計算など)
E:推論…………・・・……………数学的推論を行う(論理規則を使う、一般化するなど)
F:検証・判断…………………解の妥当性を吟味する
この認知カテゴリーは、国研の「数学過程」とも類似しているが、直接には、数学教育協議会で使われている
「数学的問題解決の図式」を基盤にしている(銀林1982,172頁)。
2
第I章調査の概要一小1
図表1−3数学的問題解決の図式
定式化
行
動
I
技
法
解 釈
(JELS2003)
この図式では、数学(特に学校教育において経験すべき数学)を、<l>直接には解決困難な現実世界の問題を
数学の問題に「定式化」し、<2>その問題を数学的な「技法」で解いて解を求め、<3>この解を再び現実世界に「解
釈」してもとの問題の解決とする、という活動とみる。このプロセスと対応づければ、BとCは
くl>(およびその逆)、DとEはく2>、Fはく3>に位置づくことは明らかだろう。<2>を,(形式の運用)とE(推
論)に分けたのは、学力調査で比較的大きなウェイトをしめる計算問題を、推論問題とは別個に分類するカテゴ
リーが必要だと考えたためである。
②内容
学習指導要領では、小学校算数の分野を「数と計算」「量と測定」「図形」「数量関係」(ただし、「数量関係」は
第3学年以上)、中学校数学の分野を「数と式」「図形」「数量関係」に分けている。算数・数学の学力調査として
偏りのないようにするには、それぞれの分野からまんべんなく出題するのが望ましい。ただ、そうすると問題数
が多くなって子どもの負担が増すという問題が生じてくる。今回の調査では、学力調査の結果がBaseSurveyの
基礎的変数として用いられることから、「内容」より「認知」の方で問題の多様性を確保すべきだと判断した。家
庭の文化資本や通塾などの影響は、「内容」より「認知」の方により強くあらわれると推測されるからである。
以上から、小3および小6では、「数と計算」を主要な分野として設定し、他の分野からはl∼4問の出題に限
定した。また、中3.高3では、「数と式」「数量関係」を主要な分野とし、「図形」分野からは2問出題するにと
どめた。
③回答形式
回答形式は、TIMSSにしたがって、「選択肢形式」「求答形式」「考え方形式」の3つに分類した。チャンスレ
ベルを等しくするためにすべての問題を選択肢形式にすること(国研の基礎学力調査はその方法をとっている)
も検討したが、問題の質と多様性を優先して、そうした方法はとらなかった。
④履修学年
学力調査の実施は、当該学年の10∼11月に予定されていたので、各学年の問題は当該学年の9月頃までに履修
される内容とした。ただし、高3については、既に述べたとおり、中3の問題と同一のものを用いた。なお、実
際にCエリアで学力調査が実施されたのは、2004年11月である。
5)PAについて
PAにおいて、複合的な学力を多次元的な尺度で測定するためには、評価基準(ルーブリック)が必要になる。
評価基準には「一般評価基準」(GeneralScoringRubrics)と「課題別採点基準」(nlskSpecificScoringRubrics)が
ある。
今回採用した一般評価基準はグループメンバーの一人であった鈴木京子氏(日本大学工学部)が開発したもの
であり、概念的知識(ConceptualKnowledge)、手続き的知識(ProceduralKnowledge)、推論とストラテジー(Reasoning
andStrategies)、洗練度(Maturity)、コミュニケーション(Communication)の5つのく評価カテゴリー>と、「示
されていない(0)−低(1)−中(2)−高(3)」の4段階のくスキル・レベル>の2次元からなる。なお、今回の調査で
は、Arの「認知カテゴリー」との区別しやすさ、および呼称の簡潔さを考慮して、<評価カテゴリー>を「観点」
と呼ぶことにした。また、予備調査の結果、小3.小6については「洗練度」は入れないことにした。
3
JELS第9集(2007.2)
この一般評価基準を個々のPA問題について具体化したものが、課題別採点基準である。課題別採点基準(以
下、本書では「ルーブリック」とは課題別採点基準をさすものとする)は、課題ごとに、5(4)観点×4スキル・レ
ベルからなる表を埋めていくことによって作成される。
ルーブリックの作成や採点においては、信頼‘性が問題になる。信頼’性で問われるのは、異なる採点者が採点し
ても結果が同じになるかという「採点者間の信頼’性」(inter-raterreliability)と、同じ採点者が同じように採点し
つづけているかどうかという「採点者内の信頼‘性」(intra-raterreliability)である。今回の調査では、こうした信
頼性を保つために、複数の採点者が合議しながらルーブリックの作成と採点を行うという手続きをとった。採点
のしかたにも2種類ある。各カテゴリーの特徴を考慮しつつ、全体のパフォーマンスを総合的にみて得点を1つ
だけ割り振る「総括的採点」(holisticscoring)と、カテゴリーごとの得点を個別につける「分析的採点」(analytic
scoring)である。今回は、後者を用いることにした。
PAは標準テストに比べて、信頼’性は高くないし、採点の負担も大きい。しかし、算数・数学の学力を総合的に
把握するために意味のある測定手段であると私たちは考えている。
PAについての詳しい理論的説明は、『第3集』の「補論」(鈴木京子氏執筆)を参照していただきたい。
B・予備調査
1)実施状況
調査問題や調査手続きの妥当性を調べるために、予備調査を実施した(図表1−4参照)。
図表1−4予備調査実施状況
小3
AT
PA
30分
(大間7問、小間17問)
中3
小6
45分
(大間10問、小間14問)
40分
(大問14問、小問21問)
1校81名
2校101名
2校135名
20分(l問)
30分(2問)
30分(2問)[第一次]
20分(l問)[第二次]
2校115名
2校186名
1校148名[第一次]
1校100名[第二次]
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
実施校については、予想される学力水準、学級や学校の風土、地域の様子、国立・公立・私立などを考慮して
選定し、予備調査の実施を依頼した。なお、中3と高3は同じ問題なので、中3のみで予備調査を実施した。実
施日は6月中旬から7月上旬であるが、中3PAのみ、第二次予備調査を8月上旬に実施した。実施後は、各学年
グループで採点作業を担当し、採点結果を全体で検討した。
2)結果と問題の修正
①AT
予備調査の結果、AT問題の平均通過率は、小3が67.1%、小6が71.2%、中3が55.4%で、また、各問通過率
もかなり広く分散していたことから、おおむね妥当であると判断した(ただし、小6については予備調査実施時
に未履修だった問題l問を平均の算出から除外している)。
予備調査の結果を受けて、通過率があまりに高い問題(90%台半ば以上)については同種のやや難易度が高い
と思われる別の問題に差し替え、一方、通過率が低い問題については、問題の修正を行った。さらに、予備調査
時には未履修と考えられたため実施を控えていた問題を挿入した。
②PA
小3については、鈴木京子氏がアメリカで実施したことのある問題を予備調査問題として採用した。解答には
それぞれの子どもの考え方の記述が見られたので、ルーブリック(課題別採点基準)を作成し、採点を行った。
採点結果から、問題として概ね適当であると判断したが、より数学的な思考がしやすくなるよう、表現や状況設
定について修正を行った。また、当初は観点に洗練度も入れて評価したが、小学生段階では、洗練度を明確に判
断することが難しいことがわかったため、小3.小6のルーブリックからは洗練度を除くこととした。
4
第I章調査の概要一小1
小6については、予備調査問題を3問作成、うち2問ずつを組み合わせて3セット用意し、2問30分で実施し
た。その結果、調査問題にかなりの修正を加える必要があることが明らかになったので、ルーブリックは作成せ
ず、解答傾向や問題の適否・修正点の把握に力を注いだ。また、解答者と採点者双方の負担の大きさを考慮して、
本調査では、l問20分とすることにした。予備調査問題3問(「マッチ棒の問題」「クッキーの問題」「速さの問
題」)の中から、「速さの問題」を選び、数値や状況設定について修正を行った。
小3.小6のPAの予備調査の結果、および本調査へ向けての問題の修正点については、「第3集』第2部第Ⅲ
章,.Eをご参照いただきたい。
中3(高3)についても、予備調査問題を3問作成、うち2問ずつを組み合わせて3セット用意し、2問30分
で実施した。小6と同様に、本調査では1問20分とすることにし、予備調査問題3問(「クッキーの問題」「おこ
づかいの問題」「サッカー定期券の問題」)の中から、「サッカー定期券の問題」を選定し、それを大幅に修正して
「プールの問題」を作成した。修正の度合いがきわめて大きかったため、第二次の予備調査を行ったところ、ほ
ぼ期待したような結果が得られたので、若干の字句修正を加えて本調査問題とした。
中3(高3)のPAの予備調査の結果、および本調査へ向けての問題の修正点については、『第5集』第3部第
Ⅲ章cをご参照いただきたい。
C、本調査
1)実施状況
本調査の配布数、回収数、回収率は、図表1−5のとおりである。「Ar・PA両方」は、ArとPAの両方に回答
した人数とその割合を示している。
図表I−5Cエリア本調査実施状況
3633
小小中高
配布数
Ar
PA
AT・PA両方
回収数回収率
回収数回収率
回収数回収率
935
92498.8
92799.1
974
96298.8
87489.7
86789.0
1,022
96894.7
96794.6
96294.1
1,194
1,15296.5
1,15096.3
91798.1
11 4 9 9 6 . 2
ツ
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
2)調査問題
①AT
図表1−6.7.8に、小3,小6、中3.高3の各AT問題について、大まかな内容と、分野、認知カテゴリー、
回答形式を示す。
5
JELS第9集(2007.2)
図表I
設問番号
(大間)
設問番号
(小間)
形式の運用
求 答
形式の運用
求 答
(
3
)
三位数の減法(2段繰り下がり)
数と計算
形式の運用
求 答
形式の運用
求 答
(
4
)
加法逆
数と計算
(
5
)
一位数の乗法
数と計算
形式の運用
求 答
(
6
)
二位数÷一位数(余りなし)
数と計算
形式の運用
求 答
(
7
)
二位数÷一位数(余りあり)
数と計算
形式の運用
求 答
かけ算の意味(作間)
数と計算
形式の解釈
考 え
求 答
位取りの概念
数と計算
知識・概念
演算の意味、立式(×または+)
数と計算、図形
形式への表現(知識・概念) 選 択
(
2
)
演算の意味、立式(−)
数と計算
形式への表現(知識・概念) 選 択
(
3
)
演算の意味、立式(×または+)
数と計算
形式への表現(知識・概念) 選 択
長さの測定の妥当性
量と測定
検証・判断
(
1
)
【
6
】
回答形式
認知カテゴリー
数と計算
数と計算
【
3
】
【
5
】
分 野
二位数の減法(繰り下がりあり)
三位数の加法(2段繰り上がり)
【
2
】
【
4
】
内 容
(
2
)
(
1
)
【
l
】
6小3AT問題一覧
(
1
)
(
2
)
選 択
考 え
選 択
(
1
)
数学的判断の妥当性
数と計算
検証・判断
(
2
)
数学的判断の妥当性
数と計算
検証・判断
選 択
(
3
)
数学的判断の妥当性
数量関係
検証・判断
選 択
四角形、倍々関係
図形、数量関係
推 論
求 答
【
7
】
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
図表1−7小6AT問題一覧
設問番号
(大間)
【
1
】
設問番号
(小間)
内 容
分 野
回答形式
認知カテゴリー
形式の運用
求 答
形式の運用
求 答
数と計算
形式の運用
求 答
数と計算
形式の運用
求 答
数と計算
形式の運用
求 答
求 答
(
1
)
四位数の減法(3段繰り下がり)
(
2
)
小数の減法
数と計算
数と計算
(
3
)
小数の乗法
(
4
)
小数の除法(整数÷小数)
(
5
)
混合算(減法・除法)
(
6
)
分数の加法(異分母)
数と計算
形式の運用
(
7
)
分数の乗法
数と計算
形式の運用
求 答
(
8
)
分数の除法
数と計算
形式の運用
求 答
(
9
)
乗法逆
数と計算
形式の運用
求 答
【
2
】
小数のわり算の意味(作問)
数と計算
形式の解釈
考 え
【
3
】
割合の文章題
数量関係
【
4
】
位取りの概念、筆算の意味
数と計算
知識・概念
数量関係、図形
推 論
求 答
2つの円の面積の比(倍)
【
5
】
形式への表現
(知識・概念、形式の運用)
求 答
選 択
【
6
】
分数の積・商の大小関係
数と計算
【
7
】
帰納的推論
数量関係
検証・判断(知識・概念)
推論(知識・概念)
選 択
【
8
】
三角形の高さの意味
図 形
知識・概念
求 答
九九表の意味にもとづく推論
数と計算
推 論
求 答
分数の概念
数と計算
知識・概念
【
9
】
【
1
0
】
(
1
)
(
2
)
検証・判断(知識・概念
選 択
求 答
求 答
、
求 答
【
1
1
】
商と余りの意味
数と計算
【
1
2
】
線対称
図 形
推論(知識・概念)
【
1
3
】
容積の推移律
量と測定
推 論
求 答
【
1
4
】
表の読み取り、概算
数量関係
形式の解釈(知識・概念)
選 択
形式の運用)
選 択
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
6
第I章調査の概要
図表I
設問番号
(大間)
【
1
】
【
2
】
【
3
】
【
4
】
【
5
】
設問番号
(小間)
内
8中3.高3AT問題一覧
容
分 野
認知カテゴリー
回答形式
(
1
)
正負の数の加法・乗法
数と式
形式の運用
求 答
(
2
)
文字式の減法
数と式
形式の運用
求 答
(
3
)
文字式の加法・減法
数と式
形式の運用
求 答
(
4
)
平方根の加法
数と式
形式の運用
求 答
(
1
)
一元一次方程式
数と式
形式の運用
求 答
(
2
)
二元一次方程式(連立方程式)
数と式
形式の運用
(
1
)
(
2
)
割合、文字式
(
1
)
方程式の文章題(立式)
(
2
)
方程式の文章題(解)
(
1
)
(
2
)
【
6
】
数 と 式 、 数 量 関 係 検証・判断、形式への表現
数と式
(
2
)
(
3
)
求 答
選 択
考 え
形式への表現
考 え
形式の運用
求 答
一次関数のグラフへの表現
数量関係
形式への表現、形式の解釈
平均の意味
数量関係
形式への表現
(
1
)
【
7
】
小1
選 択
選 択
選 択
選 択
確率の概念
数量関係
知識・概念
(
4
)
選 択
選 択
選 択
ダイヤグラム(一次関数のグラフ)
数量関係
の解釈
形式の解釈
【
9
】
二つの円の面積比
数量関係、図形
推 論
求 答
【
1
0
】
正多角形の回転
図 形
知識・概念、推論
選択(複数)
【
8
】
【
1
1
】
答え
速さ(比)の文章題(解)
式・計算 速さ(比)の文章題(立式・解法)
数 量 関 係 、 数 と 式 形式への表現、形式の運用
選 択
求 答
考 え
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
各学年とも、【l】は計算問題である。計算問題については、学力水準の変化がみられるよう、できるだけ過去
の調査問題と同一あるいは類似の問題を用いるようにした。【l】以外は、基本的に今回新たに作成した問題であ
るが、過去の学力調査に類似の問題がみられる場合には、それとの異同を示すようにした。詳しくは、小3.小6
については『第3集』、中3(高3)については「第5集』の第Ⅲ章をご参照いただきたい。
②PA
PA問題の作成にあたっては、以下のような条件を満たすよう考慮した。
(1)複数の数量間の関係を把握できるかどうかが評価できること
(2)扱われる数量が子どもたちにとって身近なものであること
(3)計算で解決できるだけでなく、種々の解決方法があること
(4)子どもたちが問題において直面する場面に真実味があること
また、予備調査においても本調査においても、問題を提示する際、問題数と解答時間の他に、以下の注意事項
を与えた。
.このテストは、あなたがどのように考えたのか、その考え方の全体を調べるためのものです。
.どのように考えたのか、その考えを、式、言葉、図、絵などを使って、わかりやすく書いてください。[*小
3では、「式、絵、図、言葉など」とした。]
.正しい答えが出せなくても、考え方がきちんと書けていれば、点数がもらえます。
しかし、答えが正しくても、考え方を書いていなければ、点数はもらえません。
・途中までしかわからないときでも、自分が考えたところまで書いてください。
各学年の問題については、以下の第Ⅱ∼Ⅳ章のB、および、巻末資料をご参照いただきたい。また、問題の詳
しい説明は、小3.小6については『第3集」、中3(高3)については『第5集』に掲載されている。
7
JELS第9集(2007.2)
D、研究組織と研究経過
1)研究組織
算数・数学学力調査問題作成グループのメンバー構成と作業分担は以下の通りである(メンバーはグループ組
織時点。◎リーダー、○客員研究員:2004年2月時点)。ただし、いずれの内容も会議で議論され、メンバー間
で合意された。
・ATの概念的枠組みの検討、過去問題の分析、問題作成(Ar、PA)、PA採点(小3.小6)
。○松下佳代(京都大学高等教育研究開発推進センター)
○上垣渉(三重大学教育学部)
・Arの概念的枠組みの検討、過去問題の分析、問題作成(AT)
瀬山士郎(群馬大学教育学部)
・PAについての専門的知識の提供、問題作成(PA)
鈴木京子(日本大学工学部)
・小3問題作成、予備調査の採点および結果分析
神戸佳子(お茶の水女子大学附属小学校)
下田正義(京都府長岡京市立長岡第十小学校)
・小6問題作成、予備調査の採点および結果の分析
松井幹夫(自由の森学園非常勤)
加川博道(和光鶴川小学校)
・中3(高3)問題作成、予備調査の採点および結果の分析、PA採点(中3・高3)
○増島高敬(自由の森学園・和光学園・法政大学非常勤)
・中3(高3)問題作成、予備調査の採点および結果の分析
小寺隆幸(多摩市立和田中学校・東京学芸大学大学院)
松本純一(お茶の水女子大学附属中学校)
・学力調査セクションコーディネーター
冨士原紀絵(お茶の水女子大学文教育学部教育科学コース)
・事務局
諸田裕子(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程・COE研究員)
(2002年4月∼2005年3月)
長谷川真里(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程・RA)
(2003年4月∼2004年3月)
桜井恵子(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程・RA)
(2004年4月∼2005年3月)
2)研究経過
グループの組織から本報告書作成にまでいたる研究経過は以下の通りである。
2002年
12月:グループの組織
2003年
1月26日:第1回会議
・プロジェクトⅢの内容の確認
・問題作成のコンセプトの決定(ArとPAの2部構成とする、「数と量」に重点をおく、 ATは計算問題を過
去問題から選択し、それ以外の問題を新作問題とする、など)
3月2日:第2回会議
・Arの問題作成のための認知カテゴリーの検討
8
第I章調査の概要一小1
・過去の学力調査問題の検討
.PAにおける評価基準の検討
・問題作成のコンセプトの再検討
4月6日:第3回会議
・新作問題の検討(Ar/小3、小6、中高)
5月9日:第5回COEセミナー
・研究経過報告(松下「算数・数学の学力を測る」)
5月25日:第4回会議
・予備調査問題の確定(小3,小6,中高)
・予備調査実施校・学級の決定
6月中旬∼7月上旬:予備調査の実施
7月中旬まで:予備調査の採点
7月19日・20日:第5回会議
・予備調査結果の分析(小3,小6,中高)
・本調査問題の検討(〃)
・予備調査の結果の返却方法についての検討
8月上旬:第二次予備調査の実施と採点(中高PA)
8月21日:第6回会議
・本調査問題の確定(小3,小6,中高)
・採点コードの作成(AT問題)
9月中:学力調査票の印刷
10∼12月:本調査の実施
.Aエリア(小3、小6,高3)
・附属学校(小3,小6、中3、高3)
11∼12月:AT採点
。Aエリア(小3,小6、高3)
・附属学校(小3,小6、中3、高3)
2004年
2月:本調査の実施
.Aエリア(中3)
2∼3月:AT採点
.Aエリア(中3)
l∼3月:PA採点(Aエリア:小3.小6、附属:小3
l∼3月:PA採点(Aエリア:小3.小6、附属:小3、小6)、本調査結果の分析
3月:第一次報告書(『JELS第3集算数・数学学力調査報告』)刊行
4月:PA採点(Aエリア:中3.高3、附属:中3、高3)
6月17日:Aエリア校長会で報告
7月:本調査の実施
.Cエリア(高3)
7月10日:第1回合同研究会(BaseSurveyグループ+学力調査グループ)
7∼9月:第二次報告書(『JELS第5集』)作成
10∼11月:本調査の実施
.Cエリア(小3.小6.中3)
11月27日:第11回COEセミナーで附属学校の結果を中心に報告(松下・増島 「算数・数学の学力調査結果
について」)
12月:AT採点(Cエリア:全学年)
9
JELS第9集(2007.2)
2005年
2004年11月∼2005年1月:第三次報告書(『JELS第6集』)作成
10月27日:Cエリア「子どもたちの成長についての総合的な調査(追跡型)」に関わる研修会
7月:『誕生から死までの人間発達科学平成16年度セミナー報告書』刊行
2006年
2005年9月∼2006年2月:学力問題の微調整
8月24日:Aエリア教員対象PA採点講習会
2006年9月∼2007年2月:本調査の実施
.Aエリア(小3.小6.中3)
11月:AT採点(Aエリア:小3.小6.中3)
2007年
1月:『誕生から死までの人間発達科学平成17年度セミナー報告書』刊行予定
3)本書の執筆分担
本書は、算数・数学学力調査問題作成グループの中から以下の5名が分担して執筆し、松下が監修、および図
表の作成を行った。
神戸佳子(お茶の水女子大学附属小学校)…第Ⅱ章A
上垣渉(三重大学教育学部)…第Ⅱ章B、第Ⅲ章A
小寺隆幸(明星学園中学校非常勤)…第Ⅳ章A
増島高敬(自由の森学園・和光学園・東京電機大学・日本大学非常勤)…第Ⅳ章B
松下佳代(京都大学高等教育研究開発推進センター)…第1章、第Ⅱ章C、第Ⅲ章B・C、第Ⅳ章B・C、第
V章
く
注
〉
1)数学的リテラシーの定義として、報告書の日本語版では、一貫してこの定義が使われているが、報告書の英語版での定義は少しず
つ変化しており、PISA2003報告書では次のようになっている。「個人が、建設的で関心をもった思慮深い市民として生活していく上
での必要をみたせるようなやり方で、数学が世界で果たす役割を見分け理解し、十分な根拠にもとづいて判断を行い、数学を使い数
学と関わることができる能力」。
〈参考文献〉
銀林浩1982,『人間行動からみた数学』明治図書。
国立教育政策研究所2002,『生きるための知識と技能一OECD生徒の学習到達度(PISA)2000年調査国際結果報告書』ぎようせい。
1
0
含◎つ面の自国e
匪欄釦、l[l自淵函※
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抑回畦
沖雛e型e岬
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︵沖瀧︶
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章 当 画 筆
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樫こい〆今細長e岬量筈如厘※
の両方を「正答」とみなした。
小3
第Ⅱ章結果と分析I
A小3AT
1)採点基準
小3Ar問題については、採点基準を作成し、それにしたがって採点を行った(図表Ⅱ−1参照)。 正 答 と 準 正 答
1
1
JELS第9集(2007.2)
︵、つつ国の昌四己
念つっぺ函昌四c
︵ぬ亜K︶糾輔唖迷e網臣﹄く雲一への’一I目傭園
蕊
軸畦
a歴K︶糾醐唾迷e網題﹂語二へ劃1−1自偶園
J
沖離
.l︲︲︲︲
Ⅱ
一帥雛T
一坤雛一
l
帥雛
1
2
鍵
第Ⅱ章結果と分析1−小3
2)得点分布
ATの得点を正答数および得点率(問題数に対する正答数の割合を百分率で表したもの。百点満点換算した値と
同じ)で表わすと、小3Arの得点分布は、図表Ⅱ一2のようになる。小3のAT問題は全部で18問であったが、
【5】(1)(2)は両方とも正答で初めて意味をもつので、平均と標準偏差の算出においては、(1)(2)の両問正答で正答
とみなした。また、Cエリアについては、【l】(7)(二位数÷一位数(余りあり))は未履修だった学校があるこ
とがわかったので、結果から除外した。したがって、Cエリアにおいて平均や標準偏差の算出に用いた問題は、
Aエリア・附属よりl問減って、全部で16問ということになる。
︵ま︶抑抑肖
5
03
53
02
52
01
51
050
44
図表Ⅱ−2小3ATの得点分布
0102030405060708090100
得点率(%)
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
6
.
3
1
2
.
5
1
8
.
8
2
5
.
0
3
1
.
3
3
7
.
5
4
3
.
8
5
6
.
3
6
2
.
5
6
8
.
8
7
5
.
0
8
1
.
3
8
7
.
5
9
3
.
8
100.0
平均
標準偏差
1
1
.
3
70.9
2
.
6
16.1
11111l
5
0
.
0
者
正
0
.
0
答%Ⅲ伽ⅢⅢMM釧知伽伽伽鋪M印Ⅳ刈珊
得点率
鮒一lOll4喧凹羽兇児児側捌剛川筋別
正
得猟0123456789ⅢⅡ、旧川崎肥
点
(N=924)
累積%
0
.
1
0
.
1
0
.
2
0
.
3
0
.
8
2
.
4
4
.
4
7
.
5
1
3
.
7
23.7
33.7
4
9
.
1
62.6
78.7
90.4
97.4
100.0
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
最も多かったのは16問中13問正答(得点率81.3%)の子どもで全体の16.1%であるが、11問正答(得点率68.8%)
の子どももほぼ同じ程度(全体の15.5%)いる。したがって、得点の分布は2つの峰をもつ右よりのなだらかな
曲線を描いている。平均得点率を3エリア共通の16問でみると、附属(87.9%)と比べれば低いが、すべて公立
学校からなるAエリア(69.8%)とは、ほぼ同じ70.9%である。
標準偏差は16.1であり、附属の11.3に比べると高いが、Aエリアの19.21)に比べると、得点率の散らばりはや
や小さいといえる。
1
3
JELS第9集(2007.2)
3)各問通過率
小3Arの各問題の通過率および反応率は、図表Ⅱ−3の通りである。
図表Ⅱ−3小3ATの各問通過率と反応率
(N=924)
”5−五万一両一三
1 . 3 3 . 2 4 . 8 一 一
一 1 2 . 1 3 . 2 − −
− 1 5 . 8 7 . 0 一 一
一 1 1 . 8 9 . 4 − −
5 8 . 1 一 一 一 一
講義議議11.149.5−−
22.3
19.3
327
33.5
7
邸皿刈一弧
1 . 7 0 . 1 − − −
0 . 6 − − 一 一
M叩Ⅳ”Mn|川一Ⅳ|匁皿弛一刈羽
0 . 6 一 一 一 一
似似い一妬
0 . 1 3 . 7 − − −
4.33.44.12.91.6
川伽伽加叫弧一岨一郎一N弧Ⅲ|Ⅲ叩
1 . 3 5 . 6 − − −
卿郷州蜘一川蕨一︾
△△
6
○○○一△
2
12312、1123
2’3’4
5
川朋伽蝿Ⅷ剛一剛一脚一側加州一伽Ⅲ川一加那伽一剛
1
123456
大 間 小 問 通 過 率 1 2 3 4 5 6 7 8
1
7
.
5
平 均 7 0 . 9
標 準 偏 差 2 2 . 1
(注)○…やさしかった問題
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
△…難しかった問題
網かけ部分が「正答」(準正答を含む)
図表中の「やさしかった問題」「難しかった問題」とは次の定義による。
やさしかった問題:通過率がく平均通過率十標準偏差>以上のもの
難しかった問題:通過率がく平均通過率一標準偏差>以下のもの
これは、今回の調査のすべての対象地域・学年において共通して用いている定義である。
小3Arの平均通過率は70.9%、標準偏差は22.1であった。したがって、Cエリアの小3ATの場合、
やさしかった問題:通過率が93%以上のもの
難しかった問題:通過率が48.8%以下のもの
いうことになる。ここでの「やさしい」「難しい」は、あくまでCエリアの小3の子どもにとって、
ということになる。ここでの「やさしい」「難しい」は、あくまでCエリアの小3の子どもにとって、および、
他の問題と比較して、という意味である。
各問題の通過率の標準偏差を、3エリア共通の16問でみると、Aエリアは20.7、附属は14.8に対し、Cエリア
は22.1であるから、これらと比べて、Cエリアは各問題の通過率の散らばりが大きい。したがって、Cエリアの
傾向として、子ども間の散らばりは相対的にみて小さいが、問題間の散らばりは相対的にみて大きいということ
ができる。
Cエリアの子どもたちにとって相対的にやさしかった問題は、計算問題からなる【l】の3問である。一方、難
しかった問題は、【2】(かけ算の作間)、【5】(長さの測定の妥当性)、【7】(四角形の倍々関係)である。【5】と【7】
はAエリアおよび附属の両方でも難しい問題であった。また【2】も、Aエリアでは難しい問題であったし附属
でも通過率が79.5%と低めであった。したがって、難しい問題の傾向は平均通過率に関わらずほぼ一致するとい
える。
これらについての細かな分析は4)で行う。
1
4
第Ⅱ章結果と分析1−小3
4)個々の問題についての分析
今回、AT問題を作成するにあたっては、学力水準の変化をみることができるように、どの学年でも、計算問題
については、できるだけ過去に実施された大規模な学力調査での問題と同一かまたは類似した問題となるよう心
がけた。
参考にした大規模な学力調査は、1950∼60年代に実施された文部省のいくつかの学力調査、1990年の国研の学
力調査(対象:小6,中2)2)、1995年のIEAのTIMSS調査(対象:小3.4,中1.2)3)、2001年のベネッセ教
育研究所の学力調査(対象:小5、中2)4)、2002年の東京大学学校臨床総合教育研究センターの2つの学力調査
(「東大・関西調査」(対象:小5、中2)、「東大・関東調査」(対象:小l∼6))5)、および2001年の文部科学省
教育課程実施状況調査(対象:小5∼中3)6)である。以下において、「管見しうる過去の主な学力調査」とはこ
れらの調査をさしている。
以下、問題ごとに、出題意図、および結果とその分析を述べる。分析にあたっては、過去の主な学力調査の結
果、およびAエリアの結果と比較できるように、そこでの通過率も示した。
【1】計算をして、あてはまる数を□にいれましょう。
この問題は7個の小間から構成されているが、いずれも、整数の四則計算に関する問題であり、分野は「数と
計算」、回答形式は「求答」である。計算式という数学的に表現された形式を正しい手続きにしたがって運用でき
るかどうかをみる問題であるから、認知カテゴリーは「形式の運用」である。
(1)67−38
これは2位数のひき算の問題であり、繰り下がりを含んでいる。ひき算の中でもつまずきが多いとされる繰り
下がりを含む計算ができるかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は81.9%であった(Aエリアでは79.7%)。この問題は東大・関東調査での問題と同一であり、
そこでの通過率80.3%であったから、これとほぼ同じ数値である。この種の問題の通過率は約8割とみてよいで
あろう。
(2)264+457
これは3位数のたし算の問題であり、2段繰り上がりを含んでいる。繰り上がりが2段階あることによって、
正解に至るためにはそれぞれの繰り上がりを正確に行うとともに、繰り上がった数を正確に上の位に加えていく
ことが要求される。
この問題の通過率は833%であった(Aエリアでは81.2%)。この問題は東大・関東調査での問題と同一であり、
その通過率は85.1%であったから、この種の問題の通過率は8割強とみてよいであろう。
(3)600-236
これは3位数のひき算の問題であり、2段繰り下がりを含んでいる。(1)の問題とは繰り下がりが2段階にわた
ることが違っている。(1)の通過率とこの問題の通過率を比較することにより、2段繰り下がりの理解とその背景
となる位取りの原理の理解がどの程度であるのかをみるために出題した。
この問題の通過率は69.9%であった(Aエリアでは57.7%)。類似の問題として、1995年に実施されたTIMSS
での問題「6000-2369」(ただし、出題形式は縦書きの筆算形式であった)の通過率(小3、小4対象)はそれぞ
れ713%、88.5%であった。これと比較すると今回の通過率はほぼ小3と同等であるので、この種の問題の通過
率に大幅な変化はみられないと考える。しかし、(1)の通過率と比較すると10%強低く、2段繰り下がりや「0」
が含まれる計算は子どもによっては大きな壁になることの証左の一つと考えられる。
誤答例として、「374」と「464」があわせて7.5%みられるが、これらは繰り下げの仕方の一部に誤りがあった
ものと考えられる。また、「474」という誤答も2.9%あり、この場合は繰り下がりの意味が理解できていないお
それがある。もう一つの誤答例として「436」が4.3%みられる。この誤答は百の位の計算を「6-4=2」とし、
十の位以下はそのまま「36」とした誤りであろう。この誤答はきわめて深刻であるが、誤答率は低いので個別の
1
5
JELS第9集(2007.2)
指導が適切かと思う。
(4)20+□=45
これはたし算の中にある未知数を、ひき算を使って求める計算の問題である。たし算とひき算が逆算の関係に
あることが理解できているかどうかをみるために出題した。ここでは上記の観点を明確にするために計算に使う
数値は繰り下がりがないように選んでいる。
この問題の通過率は94.5%であった(Aエリアでは93.5%)。この問題は東大・関東調査での問題と同一であり、
その通過率は93.4%であった。この種の問題の通過率は9割を超すとみてよいであろう。
(5)7×6
これは1位数のかけ算の問題である。いわゆるかけ算九九の範囲の計算であるが、九九の中では比較的覚えに
くいといわれている七の段である。
この問題の通過率は96.1%であった(Aエリアでは90.4%)。類似の問題として、東大・関東調査で出題された
「6×8」の通過率でも96.0%であった。かけ算九九の問題はCエリアの場合、ほぼ全員ができるとみてよいであ
ろう。
(6)36÷4
これはわり算で除数と商がともに1位数となり、かつわりきれる場合の問題である。
この問題の通過率は95.0%であった(Aエリアでは91.0%)。かけ算九九の範囲内で商が求められ、あまりもな
い問題はCエリアの場合ほぼ全員ができるとみてよいであろう。
【2】しきが4×3になる文章の問題を1つ作りましょう。
この問題の分野は「数と計算」、回答形式は「考え」である。かけ算の式という数学的形式を具体的場面として
解釈できるかどうかをみるものであるから、認知カテゴリーは「形式の解釈」である。
これはかけ算に関する問題であるが、単に計算ができるかどうかというアルゴリズムの習得をみる問題ではな
く、式に合う問題を作成させることを通して、かけ算そのものの意味を理解しているかどうかをみるために出題
した。なお、管見しうる過去の主な学力調査では、このような問題は出題されていない。
この問題の通過率は34.0%であった(Aエリアでは40.9%)。【l】の(5)の問題「7×6」の通過率が96.1%(ほ
ぼ全員)であるから、かけ算の計算はできても、かけ算の式の解釈は不十分であるといえる。今後の指導課題の
一つと考える。
誤答の内容を分析すると、何らかの解答は書かれているもののかけ算の場面となっていないものが、40.2%あ
る。【4】の演算決定問題が70%以上の通過率であることと考えあわせると、具体場面を式に表すことよりも式か
ら具体場面を想起することの方ができていないと考えられる。この傾向はAエリアや附属と一致する。なお、無
答は21.0%であって、これはAエリアとほぼ同じであるが、附属は無答の割合が低かった。
【3】1000を3こ、10を5こ、1を2こあわせた数は□です。
この問題の分野は「数と計算」、回答形式は「求答」である。位取りの原理という数学的な知識・概念の理解に
関する問題であるから、認知カテゴリーは「知識・概念」である。この問題では百の位をあえて空位とすること
によって、問題文に現れた順に数字を並べるのではなく、位を理解して数を構成しなければならない場面を設定
した。
この問題の通過率は82.1%であった(Aエリアでは80.6%)。類似の問題として、東大・関西調査(小5)での
問題「10億が3こ、100万が7こ、10万が5こ、1万が4こ、100が1こ、10が6こあつまってできる数」での
通過率は65.1%であった。もっとも、位の大きさが異なるので、15%以上の開きがあっても不思議ではない。
このことから、千の位までの位取りの原理の理解を問う問題では通過率は約8割であるが、より大きな位にな
ると通過率は下がると考えられる。
1
6
第Ⅱ章結果と分析1−小3
【4】つぎの問題をとくために、あなたはたし算(+)ひき算(一)かけ算(×)わり算(÷)のどれをつかいますか。つかうもの
を○でかこみましょう。(選択肢はいずれも、+、一、×、÷である。)
分野は(1)が「数と計算」と「図形」、(2)(3)は「数と計算」、回答形式はいずれも「選択」である。文章から題
意を読み取り、その場面に相当する演算を選択する、すなわち数学的な形式に表現できるかどうかをみる問題で
あるから、認知カテゴリーは「形式への表現」である。正しい演算を選択するためには「知識・概念」の認知カ
テゴリーも関連しているが、ここでは「形式への表現」を主と考えた。なお、管見しうる過去の主な学力調査で
は、このような問題は出題されていない。
(1)したのような正方形の色紙があります。まわりの長さは何cmですか。
c、
これは正方形の周囲の長さを求めるために用いる演算を選択する問題である。正方形の4辺の長さが等しいこ
と、および、周囲の長さを求めるためには各辺の長さを加えればよいかまたは1辺の長さを4倍すればよいこと、
が理解できているかどうかをみることができる。
この問題の通過率は79.3%であった(Aエリアでは80.8%)。この問題を解くための演算として、たし算または
かけ算を正しく選ぶことは概ねできている。
誤答例として「÷」が12.1%ある。これは図の一辺の長さ12cmを周とするような正方形の一辺を求めようと
したのかもしれないが、他のエリアには見られなかった傾向であり、この解答だけから誤答の理由を推論するの
はやや無理がある。
(2)れいぞう庫にあったたまごを料理に7個つかいました。れいぞう庫には、まだ9個のこっています。料理するまえに、
れいぞう庫には何個はいっていたのでしょう。
これは使った個数と残りの個数から全体の個数を求めるには、どのような演算を用いればよいかを選択する問
題である。「のこり」という言葉だけに左右されず問題の場面全体の構造を読み取って、たし算を選ぶことができ
るかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は71.9%であった(Aエリアでは72.3%)。誤答例として「−」が15.8%あり、これは問題文
中の「つかいました」「のこっています」という言葉から、ひき算を想起したのではないかと思われる。これは文
章中の特定の語句によって演算を決定してしまった例とみることができる。
(3)リボンを同じ長さの5本にわけました。すると、1本8cmになりました。リボンのもとの長さは何cmだったのでしょう。
これは等しく分けた部分量から全体量を求めるときにどのような演算を用いればよいかを選択する問題である。
「わける」という言葉だけに左右されず問題の場面全体の構造を読み取って、かけ算を選ぶことができるかどう
かをみるために出題した。
この問題の通過率は75.4%である(Aエリアでは72.6%)。誤答例として「÷」が11.8%あるが、これは問題文
中の「わけました」というという言葉から、わり算を想起したのではないかと思われる。これは文章中の特定の
語句によって演算を決定してしまった例とみることができる。
先の(2)における同様の誤答の率と比べるとやや低くなっているが、これはAエリアや附属とは異なる傾向であ
る。その要因としては、cエリアの場合、わり算を学習してから間もない時期に調査が行われたために除法の適
用に対する抵抗があり、それがよいほうに作用した可能性もあると考えられる。
1
7
JELS第9集(2007.2)
【5】体育のじかんに走りはぱとびをしました。ゆみ子さんのきる<をたけしさんがは
かっています。たけしさんは「ゆみ子さんのきる<は60cmです」と言いました。た
けしさんが言ったことは正しいでしょうか。
「正しい」、「正しくない」のどちらかに○をつけ、わけも書きましょう。
(※走りはばとびのきろくは、かかとのところではかります)
この問題の分野は、「量と測定」、回答形式は「選択」と「考え」である。
問題文の中の発言を正しいか正しくないかを判断し、その理由を問う問題で
あるから、認知カテゴリーは「検証・判断」である。これは巻き尺を用いて
の測定方法が理解できているかどうかをみる問題ではあるが、問題文中の言
葉の正否を問うかたちをとることで、いったん出された結論が正しいかどう
川
00
かを検証していく見方を要求した。検証の際に数学的に正しい根拠をもって
行っているかどうかを調べるために、(2)で理由を記述させるようにした。し
I I I I l I ロ
叩:
たがって、この問題は(2)で根拠のある理由が述べられることが重要となる。
4Ocm5OmB0tm7OcmBO画、90画nBmlO
なお、管見しうる過去の主な学力調査では、このような問題は出題されてい
ない。
この問題の通過率は(1)が38.9%、(2)が18.0%、(1)(2)ともが17.9%(Aエリアではそれぞれ、62.4%、22.7%、
22.2%)であった。この問題では両方に正しく答えられることが重要であるから、実質的な通過率は17.9%と判
断できる。これは小学校3年生の問題の中で最も低い通過率である。
(2)の誤答例として「ぴったり60cmだから」「60cmではなく80cm」等があわせて60.6%あった。巻き尺の、見
えている部分の目盛りだけに着目し、その数値が持つ意味をとらえずに答えたものと思われる。ここでは問題文
中の発言の妥当性を問うという形式をとって、出された結論を見直す場面を設定しているが、それでも数値がお
かしいことに気づかなかった誤りであろうから、この誤答は深刻である。同様の誤答の割合はAエリアでは49.9%、
附属では41.1%であった。上記のような誤りをしてしまう子どもが、各エリアとも半数前後いることは、真剣に
受け止めるべきであろう。
なお、誤答例の中に、幅跳びの測定をつま先の部分で行うと考えてそのように書いたと思われるものが、11.1%
ある。Aエリアでこのような誤答が多かったため、Cエリアでは問題の最後に、「(※走りはぱとびのきろくは、
かかとのところではかります)」という注を入れたのだが、注を読み落としたか、理解できなかったものと思われ
る。それでも、Aエリアでは(1)と(2)の差がきわめて大きかったのに対し、Cエリアで差が縮まっているのは、問
題の改善の成果といえるだろう。
【6】つぎの文章をよんで、その考えでよいと思うものには○、おかしいと思うものには×を□に書きましょう。
この問題の分野は(1)(2)が「数と計算」、(3)が「数量関係」、回答形式は「選択」である。この問題は、数学的
な判断の妥当性を問うものであるから、認知カテゴリーは「検証・判断」である。問題文に表された場面の中か
ら数学的な構造を抽出し、その構造に適した演算を実施して、その結果から妥当性を判断しなければならない。
現実の生活にそくした場面の中で数学的な判断ができるかどうかをみるために出題した。なお、管見しうる過去
の主な学力調査では、このような問題は出題されていない。
(1)1まい5円の色紙を8まい買いたいと思います。50円あれば、ぜんぶ買えます。
この問題では、色紙8枚分の代金を考え、それと50円とを比較して判断しなければならない。50円硬貨が存
在するので、このような場面は日常生活でも出会う可能'性がある。「50円あれば」という考え方は、見積もりの
観点からも大切である。そのような場面でかけ算を活用できるかどうか、そしてそれをもとにして数学的な妥当
性を判断できるかどうかを問う問題である。
この問題の通過率は75.2%であった(Aエリアでは74.5%)。かけ算で求められる物の代金と、持っているお金
とを比較して、持っているお金が十分であるかどうかの判断は概ねできるとみられる。
1
8
第Ⅱ章結果と分析1−小3
(2)子ども会で18人集まります。長いすを4つ用意しました。4人ずつすわると、全員すわれます。
この問題では、子どもの人数と長いすに座れる人数を比べて判断しなければならない。全員座れるという状況
がおこるためには長いすに座れる人数が多くなければならないが、4×4という計算の結果と長いすに座れる人数
とを結びつけて、かつ、子どもの人数より少ないことから、問題文の判断は誤っていると答えなければならない。
演算の決定、計算、比較、判断という段階をふまなければならない問題である。
この問題の通過率は78.5%であった(Aエリアでは79.0%)。長いすに座れる人数と、そこにいる子どもの人数
を比較して、座れない子どもがいるという判断は概ねできるとみられる。
(3)4こで30円のあめがあります。60円では8こ買えます。
この問題ではあめの個数が4こから8こへと2倍になった場合に、代金も2倍になるという比例の考えを用い
ている。その意味では小学校6年生の比例の学習内容にも関係するが、かけ算の意味の学習の範囲内でこの程度
の推論は可能であろうとの考えから出題した。そのような比例的な見方ができるかどうかが明確に表れるように、
あめの代金(30円)は4個で割り切れない数値にし、また第2の文章の組み立てを「60円では…」というように
第1の文章の組み立てとは逆にした。
この問題の通過率は64.3%であった(Aエリアでは64.7%)。先の2問に比べると通過率がやや低いことから、
比例の関係にある2つの量を比べて判断することは、かけ算の答えと定数を比べて判断することに比べてやや難
しいとみることができる。これはAエリアと同じ傾向である。
【7】おり紙をたてに半分におると、図1のように2つの四角形ができます。もう一度たてに半分におると、図2のように4
つの四角形ができます。さらにもう一度たてに半分におると、いくつの四角形ができますか。
:︲!︲11li
、一F「l-m
図1
図2
この問題の分野は「図形」と「数量関係」、回答形式は「求答」である。与えられた情報から、次にいくつの四
角形ができるかを推測する問題であるから、認知カテゴリーは「推論」である。
この問題は、折り紙を折ることで折り目がどのようについて、その結果、四角形がいくつできるかを考えれば
正解に到達する。しかし、1回折ることで四角形は2つ、2回折ることで四角形は4つできた、という結果だけに
着目してしまうと、3回目は6つではないのかという推論を導きやすい。そのような推論をした場合でも、実際
の行動と結びつけて、推論を修正していくことが大切である。ここでは折り紙を折るという操作と、四角形の個
数とを関連づけることができるかどうかをみるために出題した。
現行の指導要領では伴って変わる2量の関係については小学校4年生の学習内容となっているが、ここでは具
体的なものの操作に関連しており、かつ、「もう一度半分におると…」という限られた状況での結果を要求してい
ることから、小学校3年生でも回答が可能であろうと考えた。なお、管見しうる過去の主な学力調査では、この
ような問題は出題されていない。
この問題の通過率は35.6%(Aエリアでは35.9%)であった。誤答として「6」「2つずつ増える」が33.5%あ
る。このことから「2,4」と並んだ数列にとらわれ、2ずつ増える、という判断をした子どもが約3割いたとみ
られる。Aエリアでも同じ誤答が同じく3割であったことともあわせて、小学校では比例の関係にあるものを考
察の対象にすることがほとんどであるために、それ以外の関係を想定しにくいのではないかと考えられる。
1
9
JELS第9集(2007.2)
5)問題タイプ別の分析
今回の小3ATの調査問題は全部で17問(実質的には16問)から構成されており、平均得点率は70.9%であっ
た
。
小学校の算数科を構成している4つの分野別の通過率をみてみると、以下のようになる(図表Ⅱ−4−1参照)。
[数と計算]78.2%[量と測定]17.9%[図形]57.5%[数量関係]50.0%
図表Ⅱ−4−1小3AT結果(分野別)
(N=924)
123456
大間小間数と計算量と測定図形数量関係
1
81.9
83.3
69.9
94.5
96.1
95.0
34.0
3
82.1
123
2
4
79.3
79.3
71.9
75.4
5
1
38.9
2
18.0
17.9
123
1,2
75.2
78.5
64.3
35.635.6
7
平均
78.2
17.957.550.0
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
また、認知カテゴリー別の通過率をみてみると、以下のようになる(図表Ⅱ−4−2参照)。
[知識・概念]82.1%[形式への表現]75.5%[形式の解釈]34.0%
[形式の運用]86.8%[推論]35.6%[検証・判断]59.0%
図表Ⅱ−4−2小3AT結果(認知カテゴリー別)
(N=924)
1
93
9
5
1
0
●9
●4
●6
●5
●
1●8
3
8
69
99
123456
大問小問知識・概念形式への表現形式の解釈形式の運用推論検証・判断
2
3
4
.
0
123
3
4
82.1
79.3
71.9
75.4
1
5
38.9
18.0
1,2
17.9
123
2
6
75.2
78.5
64.3
7
3
5
.
6
平均
82.1
75.5
34.0
86.835.659.0
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
2
0
第Ⅱ章結果と分析1−小3
さらに回答形式別にみると以下のようになる(図表Ⅱ−4−3参照)。
[選択]69.1%[求答]79.8%[考え]26.0%
図表Ⅱ−4−3小3AT結果(回答形式別)
(N=924)
123456
大 問 小 間 選 択 求 答 考 え
81.9
83.3
69.9
94.5
96.1
95.0
2
34.0
4
82.1
123
3
71.9
1
38.9
79.3
75.4
5
1
8
.
0
1
7
.
9
123
2
1,2
6
75.2
78.5
643
7
3
5
.
6
平均
69.1
79.826.0
(JELS2003)
分野別の通過率一覧は、今回の調査問題では、「量と測定」と「数量関係」の分野の通過率が低かったことを示
している。量と測定については、測定値の妥当性を問う問題であったが、この問題に正しく答えるためには、測
定の意味や、測定器具の扱い、また、数直線の読み方が正しく理解されていることが必要である。これらの事柄
は「量と測定」の基本であるので、この問題の通過率が低いことは重大である。しかしながら、「量と測定」の問
題は1問のみであり、この問題の難易度はかなり高いと考えられることを考慮すれば、この問題の通過率の低さ
からただちに「量と測定」分野の学力が低いと結論づけることはできない。数量関係については、比例関係にあ
る場合は通過率が高いが、そうでない場合に低かった。第I章で述べたように、今回の調査問題では、「数と計算」
を主要な分野として設定し、他の分野からの出題はごく限られているので、「量と測定」「図形」「数量関係」の数
値から早計な結論を導くことはできない。あくまでも参考程度にとどめるべきである。
一方、認知カテゴリー別の通過率一覧からは、「知識・概念」「形式の運用」の通過率が高く、「形式の解釈」「推
論」の通過率は低いことが読みとれる。「知識・概念」「形式の解釈」「推論」のいずれもl問なので早計な結論は
禁物であるが、「形式の解釈」については「式が4×3になる文章題をつくる」という典型的な問題なので、l問
でもその通過率から解釈を行うことは許されるだろう。そうした場合、興味深いのは、「形式の解釈」と「形式の
表現」の通過率の対比である。現象から数学的形式(式など)に表現することに比べて、数学的形式が具体的に
どのような意味を持つのかを考える力が低いとみることができる。総体的にみて、基本的な知識・概念や計算方
法の理解はできているが、それが具体的にどのような意味を持つのかを考えることが十分ではないといえる。
回答形式別では「考え」を記述する問題の通過率が低くなっている。「選択」よりも「求答」の方が高くなって
いるのは、「求答」の問題の9問中7問が計算問題であるためと考えられる。いずれにせよ、正しいものを選んだ
り、正解を求めたりすることはできても、自分の考えを表現していくことが十分ではないと考えられる。これは
予想通りの結果ではあるが、Aエリアや附属も同じ傾向であることともあわせて、小学校3年生全般に「選択」
「求答」と「考え」との間の通過率の差が大きいことは見過ごすことのできない問題であるといえよう。
6)まとめ−小3ATにみられる学力の特徴
調査の結果全体からみて、cエリアの小3については、計算を実行することや知識・概念を適用して解く問題
2
1
JELS第9集(2007.2)
について高い通過率をみせている。また、通過率が低い問題はAエリアや附属と同じであり(【2】【5】【7】)、計
算問題や定型的な問題はよくできるが【2】【5】【7】では正答に至らない子どものタイプが存在すると推測される。
これから期待される学力を培うために、そのような子ども達にどのような学習指導を行っていくのか検討するこ
とが課題の一つである。
また、得点率の散らばりはAエリアに比べて小さいにもかかわらず、各問題の通過率の散らばりはAエリアよ
り大きい。このことから、Cエリアの場合、解ける問題と解けない問題がよりはっきりしている、いいかえれば、
多くの子どもが同じ問題が解け、同じ問題で間違えてしまう傾向があると思われる。
B、小3PA
1)評価手続きとルーブリック
①評価手続き
JELS2003で初めてPAを実施したAエリアでは、小3.小6とも、図表Ⅱ−5のような手続きでPAの評価を行
った(詳しくは、『JELS第3集』第2部第V章参照)。
図表Ⅱ−5PAの評価手続き
①系統抽出法によって100部を無作為抽出する。
②あらかじめ、一般評価基準を参考にして、課題別採点基準(ルーブリック)の素案を作っておく。
③最低3人の採点者が、採点とルーブリック作成を行う。
④各採点者がそれぞれの表に点数を記入する。
⑤1部ずつ点数をつきあわせ、ルーブリックを修正・加筆していく。
⑥100部採点終了後、確定した点数を表に入力するとともに、ルーブリックを完成させる。
⑦完成したルーブリックにしたがって、再度、採点を行い、得点を採点者間で一致させる。
⑧ルーブリックの説明に使えるように、また、解答傾向の分析に役立つように、特徴的な解答をいくつか抽出してお
く
。
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
なお、①で100部抽出したのは時間的制約のためであって、PAに必要な手続きというわけではない。附属およ
び今回のCエリアの採点は、Aエリアの採点の際に作成したルーブリックをもとに行った。3人の採点者が各自、
4観点からなる採点表にO∼3の点数を記入し、1部ずつ点数をつきあわせていった。得点を採点者間で一致させ
るとともに、必要があればルーブリックの加筆・修正も同時に行った。
②作成した問題
従来の学力調査は、最終的な答えだけを求めさせる問題群で構成されており、解法のプロセス、アイデア、方
略などを評価対象とするような学力調査はほとんどみられない。したがって、従来の学力調査は、学力を個別的
側面から評価することに重点が置かれていて、学力を総合的に評価することに関しては不十分であったと思われ
る。そこで、今回の学力調査では、解法のプロセス、アイデア、方略などを評価対象とする“新たな”学力調査
を実施することとした。今回の学力調査では、学校で行われる従来型のテスト問題ではなく、より現実的で真実
味のある場面設定の下で、どのような学力が発揮されるかを総合的に評価できるような問題の作成を試みた。
上記のような視点から、どのような内容を含んだ問題が適切であるかを検討した結果、
(1)複数の数量間の関係を把握できるかどうかが評価できること
(2)扱われる数量が子どもにとって身近なものであること
(3)単なる計算で解決できるだけでなく、種々の解決方法があること
(4)子どもが直面する具体的な場面がイメージしやすいこと
などの要素を含んでいることが望ましいとの判断に至った。そして、最終的に下記のような問題となった。
2
2
第Ⅱ章結果と分析1−小3
おまつりで、子どもたちへのプレゼントとして、赤いふうせん12こと白いふうせん15こを用意しました。ところ
が、子どもが20人きました。
ふうせんをぜんぜんもらえない子どもがいるといけないので、一列にならんでもらって、まえの子から赤いふうせ
んを、うしろの子から白いふうせんを、一人に1つずつくばっていきました。すると、うんよく2つのふうせんをも
らえた子どもがいました。
2つのふうせんをもらえた子どもは何人いたでしょうか。どのように考えたか、わかるように説明してください。
(注:漢字にはすべてルビがふってある)
この問題は、「赤風船・白風船・子ども」という3種類の数量間の関係を問う問題であり、上記の要素(1)に対
応している。計算としては「12+15-20」のように、2桁の加法(1回)と減法(1回)で解決できるものであり、
小学校3年生にとっては適度な計算過程であると思われる。また、赤風船・白風船の個数(12こ・l5こ)や子ど
もの人数(20人)といった数量も、子どもにとって身近であり、イメージしやすいと思われる。この点は上記の
要素(2)に対応している。さらに、この問題の解法は計算によって解決される以外に、絵や図を描いたり、言葉で
説明するなどしても解決できるものであり、上記の要素(3)に対応している。
この問題は数学的には「集合算」とでも呼ぶことのできる問題である。集合算では、たとえば「ある学級の子
ども20人の調査をしたところ、12人はバスを利用し、15人は電車を利用していた。このとき、バスと電車の両
方を利用している子どもは何人か」といった問題がよく見受けられる。しかし、この「バス・電車」問題は、上
記の「赤風船・白風船」問題と数学的には同種であっても、問題解決的には大きく異なっている。
「バス・電車」問題では、たとえば、20人の子どもの絵を書いておき、一方から子どもに「バス」を対応させ、
他方から子どもに「電車」を対応させるなどの場面図を書くことは、可能ではあるがきわめて不自然であり、一
般的にはベン図などを利用して解決されることが多い。これに対して、「赤風船・白風船」問題では、子どもを一
直線に並べて、子どもに赤風船・白風船を1対1に対応させるという場面図を描くことがきわめて自然であり、
さらに、その場面図がすなわち問題解決のための構造図ともなっているのである。この点は上記の要素(4)に対応
している。
したがって、この「赤風船・白風船」問題では、集合算が計算によって解決できるような、いわゆる既成の「数
学的学力」がそれほど高くなくても、現実的な解決方法を見出すことが可能である。その意味において、「赤風船・
白風船」問題は、より現実的で真実味のある場面設定の下で、どのような学力が発揮されるかを総合的に評価で
きる問題としての妥当性を備えていると考えられるのである。
③ルーブリック
小3PAの採点において作成・使用したルーブリックを以下に示す(図表Ⅱ−6参照)。
2
3
JELS第9集(2007.2)
図表Ⅱ−6ルーブリツク(小3)
る
3
●
2
◎
前後、赤白の関係がきち
んと理解されて、正しい
数式、絵・図、文が明記
されている。
・題意を示す数式あるいは
絵・図はあるが、一部に
誤りが含まれている。
・題意を説明する文はある
が、一部に誤りが含まれ
ている。
・前後・赤白の関係がきち
んと明記されていない。
コミュニケーション
推論とストラテジー
手続き的知識
概念的知識
・題意が正しく理解できて
いると思われる数式ある
いは絵・図がある。
・説明文から題意を正しく
理解しているとみなせ
・加法・減法が正しく実行 ・数式が順序よく立てられ
ており、答えに至ってい
されている。
る
絵・図において、子ども
と 風 船 が 正 し く 1 対 1 対 ・子どもと風船とを順序よ
く対応させている。
応できている。
・文章など、前後とのつな ・目立たないミスはあるが、
適切なストラテジーを選
がりで手続きが正しけれ
択し実行している。
ば、目立たない立式ミス
などは許容する。
・数式および絵・図の対応
がすべてできている。
立式の過程に、一部の誤
・加法・減法の実行過程に
りが見られる。
おいて、一部の誤りが見
・子どもと風船の間の対応
られる。
が順序よく行われていな
絵・図において、子ども
い。
と風船の間の1対1対応
に 、 一 部 の 誤 り が 見 ら れ 。正しい数値が得られてい
る
るのに、違う数値を答え
・数式かまたは絵・図の対
としている。
応 の い ず れ か が 誤 っ て い ・結果が題意に沿って検証
る
されていない。
・言葉や数式で論理的に正
しく説明されている。
・加法・減法の計算が完全
・考え方を示す数式・文章
がなかったり、誤りが見
られる。
絵・図のみで言葉や数式
での説明がない。
●
◎
●
・言葉や数式による論理的
な説明が不足している。
●
◎
◎
1
。与えられた情報にもとづ
く何らかの数式あるいは
絵・図があるが、それが
完全に誤っている。
・説明文はあるが、それが
部分的にも正しくなく、
題意から基本的にずれて
に誤っている。
・子どもと風船の間の1対
1対応の絵・図が完全に
誤っている。
・何らかの操作は見られる
が、明確な意図がつかめ
ていない。
●
いる。
●
見当はずれな情報を一部
使用している。
・意味ある情報が見られな
い。
0
・何らかの数式があっても、
与えられた情報にもとづ
いていない。
●
・計算や対応を示す絵・図
が見られない。
●
●
空白
問題解決のための推論や
ストラテジーが見られな
い
●
◎
・解法の説明がない。
絵・図、数式などあるが、
まったく意味がわからな
●
空白
い。
●
空白
空白
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
図表Ⅱ−5の評価手続き②で述べたルーブリックの「素案」を作成するにあたっては、今回のPA問題において、
どのような解法が予想されるか、その解法における重要なポイントは何かなどを検討した。
予想される解法は2つに大別される。第1は、赤風船12個と白風船15個を合わせて、風船が全部で27個ある
ことから、子ども20人との差である7が風船2個をもらえる子どもの数だとする解法である。この場合、「12+
15=27」と「27-20=7」という2つの計算式、あるいは、これらを合わせた「12+15-20=7」という計算式に
よって解法が記述されると思われる。第2の解法は、絵図を使用するものである。子ども20人の絵、あるいは子
どもとみなした○などの記号20個を一列に並べて描き、一方(前)から赤風船を意味する何らかの印を12個、
他方(後)から白風船を意味する何らかの印15個を子どもと1対1に対応させて描いていくのである。そうする
と、赤風船と白風船の両方の印が付けられた子どもが列の中央部に7人いることが、絵図から識別される。
このように、今回のPA問題の解法は、計算式によるものと絵図によるものの2種類ありうると考えられる。
小3段階の子どもであるから、ほとんどは絵図を書くと予想される。このときの絵図が解法に直結する場合もあ
るが、そうではなく、単に子どもや風船の絵を個別に描いただけの場合もありうる。もちろん、計算式によるも
のと絵図によるものの両方の解法を記述する子どももいるだろう。
解法に関する以上のような考察から、第1の観点の「概念的知識」に関しては、題意を正しく反映している計
算式あるいは絵図が記述されているかどうかが重要なポイントである。さらに、絵図においては、前・後や赤・
白の関係がきちんと理解されているかどうかも重要なポイントである。第2の「手続き的知識」に関しては、計
2
4
第Ⅱ章結果と分析1−小3
算式による解法では、加法・減法が正しく実行されているかどうかが重要なポイントであり、絵図を使用する解
法では、子どもと風船との1対1対応が正しく実行されているかが重要なポイントである。計算式、絵図いずれ
の場合においても、問題文中の数字を誤ってしまうこともありうるが、その場合でも、加法・減法が正しく行わ
れていたり、1対1対応が正しくなされているならば、「手続き的知識」としての得点は高くなる。第3の「推論
とストラテジー」に関しては、計算式による解法では、式が順序よく立てられているか、得られた数値が何を意
味しているかを把握しているかなどが重要なポイントである。第4の「コミュニケーション」に関しては、解法
を言葉で適切に説明しているかが重要なポイントである。問題文の最後に「…わかるように説明してください」
と指示されているから、単に計算式のみ記述されていて、言葉による説明がみられない場合は、「コミュニケーシ
ョン」の得点は高いとはいえない。
以上のような観点からの考察・検討によって作成されたのが、図表Ⅱ−6に示したルーブリックである。
2)事例分析一得点と正誤による分析
以下では、上のルーブリックにしたがって採点した結果について分析を進める。
まず、927枚の解答を得点と正誤によって分類してみると、正答者の型で25種類、誤答者の型で41種類、合
計66種類の型に分類できる。
以下では、この中から、得点の高・中・低と正答・誤答とを組み合わせて、特徴的な解答例を10種類取り出し、
その解法と観点別に与えた得点について解説する(「高得点」とは各観点の得点合計が10点以上のもの、「中得点」
とは9∼7点のもの、「低得点」とは6点以下のものをさす)。
常識的に考えれば、高得点であれば正答、低得点であれば誤答となりそうであるが、実際には必ずしもそうで
はなく、高得点であるのに誤答、低得点であるのに正答というケースがときどきみられる。そこで、ここでは、
高・中得点で正答であった[3333]・[3332]・[3331]・[2333]・[2332]・[2331]と、低得点であるのに正答であ
った[1000]、および高得点であるのに誤答であった[3233]、中得点で誤答の多かった[2222]・[2221]につい
て解説することにしたい。
なお、[]内の数値は、順に、「概念的知識」「手続き的知識」「推論とストラテジー」「コミュニケーション」
の得点を表している。これらの答案については、巻末に縮小コピー(原版はB4判)を収録したので、参照して
いただきたい。
①高得点・正答型の答案
.[3333]型の答案
この答案の解法は数式と絵図とを併用したものである。数式も順序よく正しく実行されているし、絵図におけ
る「前後・赤白」の関係も的確に記述され、正答に至る過程も、数式にそって言葉で正しく説明されているから、
すべての評価基準において満点の3である。
.[3332]型の答案
この答案の解法は数式と絵図とを併用したものである。この答案では、題意に示されている「前後・赤白」の
関係を正しく示す絵図が記述されているから、「概念的知識」は満点の3である。また、計算式も正しく遂行され
ているから、「手続き的知識」は満点の3である。さらに、子どもと風船とを順序よく対応させて正答が得られて
いるから、「推論とストラテジー」も満点の3である。しかし、正答に至る過程についての言葉による説明が不足
しているから、「コミュニケーション」の得点は2である。
.[3331]型の答案
この答案の解法は図のみによるものである。この答案では、題意に示されている「前後・赤白」の関係を正し
く示す絵図が記述されているから、「概念的知識」は満点の3である。また、図において、子どもの数と風船の数
が正しく対応させられているから、「手続き的知識」は満点の3である。さらに、順序よく対応させて正答が得ら
れているから、「推論とストラテジー」も満点の3である。しかし、正答に至る過程についての説明がほとんどみ
2
5
JELS第9集(2007.2)
られないから、「コミュニケーション」の得点は1である。
.[2333]型の答案
この答案の解法は数式(言葉で述べられている)と絵図とを併用したものである。この答案では、言葉による
数式が正しく実行されているので、「手続き的知識」は満点の3である。また、子どもと風船の対応が正しく実行
されて正答が得られているので、「推論とストラテジー」も満点の3である。さらに、正答に至る過程が言葉で正
しく説明されているので、「コミュニケーション」も満点の3である。しかし、風船の絵図においては、「前後・
赤白」の関係が、題意に示された形できちんと記述されていないので、「概念的知識」の得点は2である。
.[2332]型の答案
この答案の解法は数式と絵図とを併用したものである。この答案では、題意に示されている「前後・赤白」の
関係がきちんと記述されていないから、「概念的知識」の得点は2であり、正答に至る過程についての説明が不足
しているから、「コミュニケーション」の得点も2である。しかし、数式が順序よく記述され、正しく実行されて
いるから、「手続き的知識」、「推論とストラテジー」ともに満点の3である。
②中得点・正答型の答案
.[2331]型の答案
この答案の解法は数式と絵図とを併用したものである。絵図において、題意に示されている「前後・赤白」お
よび子どもの関係がきちんと記述されていないから、「概念的知識」の得点は2である。また、正答に至る過程に
ついての言葉による説明がみられないから、「コミュニケーション」の得点は’である。さらに、絵図では、子ど
もと風船の対応が前後の順序はないが、,対’対応によって正しく実行され、さらに、どのような方略で進めば
よいかは理解されているとみなせるから、「手続き的知識」および「推論とストラテジー」は満点の3である。
③低得点・正答型の答案
.[1000]型“
この答案では赤風船が12個、白風船が15個正しく描かれていて、題意に沿った’情報が一部みられるから、「概
念的知識」の得点は1である。しかし、正答に至る手順が数式によっても絵図によっても示されていないから、
どのような方略で進められているのかについてもまったく不明である。したがって、「手続き的知識」も「推論と
ストラテジー」も0である。さらに、正答に至る説明がまったくみられないから、「コミュニケーション」の得点
も0である。
しかし、答えが「7人」と書かれているから、一応は正答としなければならないが、この正答が正しい手順で
得られたのか、それとも偶然の結果であるのかについては不明というほかない。
④高得点・誤答型の答案
.[3233]型の答案
この答案の解法は絵図を使用したものである。題意も正しく理解されていると思われるし、方略も正しく実行
されているから、「概念的知識」および「推論とストラテジー」の得点は3である。また、言葉による説明も正し
く記述されているから、「コミュニケーション」の得点も3である。しかし、子どもの数が20人ではなく19人し
か描かれていない。つまり、風船の1対1対応は順序正しく実行されているが、子どもが1人不足していること
が誤答の原因である。したがって、「手続き的知識」の得点は2である。
⑤中得点・誤答型の答案
.[2222]型
この答案では、「12+15=27」「27-20=7」までは正しく計算されているが、その後の「7-1=6」や「6÷2=3」
などは、計算結果は正しいとしても、その意味が題意にそって理解されていない。ただし、結果(誤ってはいる
2
6
第Ⅱ章結果と分析1−小3
が)に至る過程は言葉で説明されている。したがって、すべてについて得点は2である。このような答案は22
人もみられるし、附属においてもみられた。
.[2221]型
この答案は絵図を使用したものである。題意に示されている「前後・赤白」および子どもの関係がきちんと記
述されていないから、「概念的知識」の得点は2である。また、子どもと風船の1対1対応を実行するという方略
はみられるが、それが順序正しく行なわれておらず、対応に誤りがみられるから、「手続き的知識」および「推論
とストラテジー」の得点も2である。さらに、言葉による説明も数式による説明もまったくみられないから、「.
ミユニケーシヨン」の得点はlである。
3)全体的な特徴
以上で事例分析を終えて、全体的な特徴の分析に移ろう。
①得点パターンの分布
得点パターンは図表Ⅱ−7のように分布している。
図表Ⅱ−7小3PAの得点パターンの分布
(N=927)
正答(N=567)
119
[
3
3
3
3
]
8
2
[
3
3
3
2
]
5
7
[
3
3
3
1
]
1
[
3
3
3
0
]
1
[
3
2
3
3
]
5
[
3
2
3
2
]
1
[
3
2
3
1
]
1
0
5
[
2
3
3
3
]
1
0
5
[
2
3
3
2
]
4
9
[
2
3
3
1
]
1
[
2
3
2
3
]
6
[
2
3
2
2
]
3
[
2
2
3
2
]
3
[
2
2
3
1
]
1
1
[
2
2
2
2
]
6
[
2
2
2
1
]
2
[
2
2
2
0
]
3
[
2
2
1
1
]
1
[
2
1
2
2
]
1
[
2
1
2
1
]
1
[
2
1
1
1
]
1
[
1
1
1
1
]
1
[
1
1
1
0
]
1
[
l
O
O
O
]
1
[
O
l
l
O
]
誤答(N=360)
[
3
3
3
2
]
[
3
3
3
1
]
[
3
3
2
2
]
[
3
2
3
3
]
[
3
2
3
2
]
[
3
2
3
1
]
[
3
2
2
2
]
[
3
2
2
1
]
[
3
1
3
3
]
[
2
3
3
3
]
[
2
3
3
2
]
[
2
3
3
1
]
[
2
3
2
2
]
[
2
2
3
2
]
[
2
2
3
1
]
[
2
2
2
2
]
[
2
2
2
1
]
[
2
2
1
1
]
[
2
1
2
2
]
[
2
1
2
1
]
[
2
1
1
2
]
[
2
1
1
1
]
[
2
1
1
0
]
[
2
0
2
1
]
[
1
2
2
2
]
[
1
2
1
2
]
[
1
2
1
1
]
[
1
2
1
0
]
[
1
1
2
1
]
[
1
1
1
2
]
[
1
1
1
1
]
[
l
l
l
O
]
[
1
1
0
1
]
[
1
1
0
0
]
[
1
0
1
1
]
[
1
0
0
1
]
[
l
O
O
O
]
[
0
1
0
0
]
[
0
0
1
0
]
[
0
0
0
1
]
[
0
0
0
0
]
1
2
1
3
6
1
2
1
3
1
3
2
8
1
4
6
2
2
3
2
1
2
8
2
6
3
1
1
8
3
5
1
1
3
5
9
1
7
4
2
3
2
7
2
3
5
1
4
3
5
(注)[]内は各観点の得点を表す。(JELS2003)
2
7
JELS第9集(2007.2)
ここからどのような特徴が抽出できるであろうか。正答者と誤答者に分けて、特徴をみてみることにする。
(a)正答者について
正答者567人のうち、実に518人(91.4%)が「手続き的知識」および「推論とステラテジー」に関して3点
であることから、正答を得るためには、この2つの観点が重要な要因になっていることがわかる。次に、正答者
567人のうち、すべての観点で3点を獲得した119人を除外した448人をみてみよう。「概念的知識」が2点の者
は297人であり、「コミュニケーション」が0点、1点あるいは2点の者は341人である。したがって、「コミュ
ニケーション」の得点が低い者のほうが多いこと、「概念的知識」で1点の者が3人であるのに対して、「コミュ
ニケーシヨン」で1点の者が122人もいることから、正答者であっても、コミュニケーシヨンに関する得点が低
いということができる。
(b)誤答者について
一方、誤答者については、Aエリアでの調査結果と類似した傾向を示している。Aエリアの誤答者(36人)の
内訳が、高得点1人(3%)、中得点4人(11%)、低得点31人(86%)であったのに対して、Cエリアの誤答者
(360人)の内訳は、高得点19人(5%)、中得点92人(26%)、低得点249人(69%)であり、誤答者の多くが
低得点者なのである。附属の場合は、誤答者が必ずしも低得点ではないという特徴がみられたが、公立校である
AエリアとCエリアには共通した傾向があるといえる。
②観点別得点の分布
図表Ⅱ−8は、小3PAの観点別得点の度数分布を示したものである。
図表Ⅱ−8小3PAの観点別得点の度数分布
(N=927)
ノJJJ
占い占い占い占い
3210
概念的知識
手続き的知識
度 数 %
度 数 %
推論とストラテジー
度 数 %
コミュニケーション
度 数 %
299
32.3
543
5
8
.
6
579
62.5
23325.1
395
42.6
1
7
0
1
8
.
3
1
0
1
10.9
26728.8
187
20.2
1
4
0
1
5
.
1
1
4
5
15.6
31333.8
4
6
5
.
0
7
4
8
.
0
102
11.0
11412.3
平均
2.02
2.28
2.25
1.67
標準偏差
0.85
0.99
1.08
0.99
(JELS2003)
4つの観点の中で、「コミュニケーション」の平均がもっとも低く、「概念的知識」がこれに続いている。この
傾向はAエリアと同様である。前者に関しては、説明が式・図・絵に依拠するにとどまり、言葉によってわかり
やすく説明する能力が他の3つの観点に比較して低いためであり、後者に関しては、前後関係や赤白に関する'情
報が明示されていない答案が減点の対象とされたからである。他の2つの観点の分布はきわめて似通っており、
平均にいたってはほぼ同じ数値である。したがって、「手続き的知識」と「推論とストラテジー」は類似性がきわ
めて高いといえる。
③項目間の相関
より深く調べるために、各観点、合計点、正誤のそれぞれの間で相関を取ってみたところ、図表Ⅱ−9に示す
ように、多くの観点間において高い正の相関がみられた(p<,01)。
2
8
第Ⅱ章結果と分析1−小3
図表Ⅱ−9小3PAの観点別得点・合計点・正誤の間の相関
(N=927)
概念的知識手続的知識推論とストラテジーコミュニケーション合計点
正誤
、
6
4
車
掌
八︾一句〃Jへ″今
合計点
688
、
5
7
傘
*
、
8
3
.
傘
車*
**
*
車
コミュニケーション
へ”今︽mU﹃″J〆、﹀
.
7
2
.
.
.
7
9
・
*
●*
**
**
*
*
︽uンワ〃。。。。
●●、■
手続的知識
推論とストラテジー
、
8
9
*
*
、
6
3
拳
*
、
7
8
.
事
寧
寧
p
<
、
0
1
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
図表Ⅱ−9から、「手続き的知識」と「推論とストラテジー」の相関がきわめて高いことがわかる。一方、観点
別得点と正誤との相関をみると、「コミュニケーション」、「概念的知識」との相関がやや低い。「コミュニケーシ
ョン」はまだしも、「概念的知識」との相関が低いというのはやや意外な結果であるが、今回のような問題では、
「概念的知識」が多少弱くても、正答を得ることができるためと考えられる。このような全般的特徴はAエリア
および附属での結果と共通している。
④合計点の分布
次に、合計点の分布をみてみよう。観点別得点の合計点の算出が意味をもつためには、各観点の得点間に正の
相関がみられることが必要条件である。前項でみたように、各観点の得点間には高い正の相関がみられる。した
がって、これらの得点の合計点を出すことは意味があるといえる。
図表Ⅱ−10は、小3PAの合計点の度数分布を示したものである(平均8.21、標準偏差3.55)。
図表Ⅱ−10小3PAにおける合計点の度数分布
5
0
0
8
6
64
4
7
353431
2
4
罵畷l露
鰯
鼠
罵
2
5
闇
縦
l
l
l
l
l
;
I
l
I
;
4245
闇霞
合計点
(JELS2003)
平均
標準偏差
中央値
1
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2
累積%
84
8
●0
●4
●3
●4
●0
●6
●4
●7
●1
●8
●0
●
3●7
13
10
25
28
22
37
36
46
66
80
0
度150
数lOO
%
8●7
●3
●6
●9
●1
●7
◆5
●9
●3
●4
●7
●2
●
33
3
2
6
5
2
4
4
9
9
10
23
1
1
8
0
1
9
2
200
53
43
12
46
44
72
54
24
58
68
09
22
3
112
1
(N=927)
250
Ol23456789mⅡ、
合計点度数
8.21
3.55
1
0
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
Aエリア(100部抽出分)では、平均7.95、標準偏差3.50であったから、平均はやや高いが、これと類似の傾
向を示しているといえる。
最も多いのは11点の192人であり、2番目に多いのが10点の180人という結果であり、合わせて全体の40%
を占めている。また、中央値は10点で全体的に得点の高い方に偏っているものの、4点が64人、5点が47人お
り、低得点者(6点以下)の割合が28.0%に達しているという状況もAエリアに類似している。
4)まとめ−小3PAにみられる学力の特徴
最後に、Aエリア、附属およびCエリアにおける調査結果の比較を通じて、小3PAの結果にみられる学力の特
徴について考察してみたい。
第1の特徴として、「正答を得る」ということに大きく関係している観点は、「手続き的知識」と「推論とステ
2
9
JELS第9集(2007.2)
ラテジー」であることが指摘できる。図表Ⅱ−9にみられるように、「手続き的知識」「推論とストラテジー」は
他の2つの観点に比べて正誤との相関が高い。これはCエリアに限らず、Aエリア、附属にもみられた傾向であ
る
。
第2の特徴は、誤答者はもちろんであるが、正答者であっても、「概念的知識」に比べて「コミュニケーシヨン」
に関する得点が低いということである。正答者のうち「コミュニケーション」が0点あるいは1点の者は、Aエ
リアで33%、Cエリアで23%に達している。附属の場合は9%であるが、「概念的知識」における0点あるいは1
点の者の割合と比較すると高い率となっている。
さらに、正答者と誤答者の全員について分析してみよう。「コミュニケーション」が0点あるいは1点の者はA
エリア、附属、Cエリアそれぞれ52%、11.2%、46.1%となっている。附属が約1割であるのに対して、一般の
公立校では約5割という差異がみられる。つまり、一般の公立学校に比べて、附属では「コミュニケーション」
の得点が高いのである。PAの「コミュニケーション」は、他の種々の学力を牽引する言語運用能力の一側面と考
えられる。その高さが附属の学力水準の高さを下から支えているといえるのではないだろうか。
第3の特徴は誤答者の内訳にみられる。各観点の得点合計が10点以上のものを「高得点」、9∼7点のものを「中
得点」、6点以下のものを「低得点」として、Aエリア、附属、Cエリアそれぞれの誤答者がどのような得点層に
あるかを調べてみると図表Ⅱ-11のような結果が得られる。
図表Ⅱ−11小3PAにおけるエリアによる誤答者の得点分布の違い
Cエリア (
N=927)
中(9∼7点)
低(6点以下)
11%
90%
州%州
876
附 属 (N=117)
335
A エ リ ア (N=100)
%%%
高(10∼12点)
26%
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
ここに、公立校と附属の大きな相違がみられる。附属では、正答・誤答のいかんにかかわらず、比較的高い得
点を得ていることになる。採点した実感では、附属での答案には、なにがしかの記述がみられるとともに、絵・
図や言葉による説明にさまざまなバリエーションがみられる。たとえ誤答であっても、「堂々と」記述されている
答案が少なくないのである。したがって、附属での学力には、問題解決に対する積極的な姿勢とそれを可能にす
る広義のコミュニケーション力にすぐれているという特徴を見出すことができるのではないだろうか。逆に、A
エリア.Cエリアでは、コミュニケーション力が不十分であるために、思考が正しく行われているにもかかわら
ず、それが伝えられない、あるいは、思考プロセスそのものを言語によって支えることができていない、といっ
た問題が生じていると考えられる。
C,小3におけるATとPAの関係
最後に、小3におけるArとPAの関係をみておこう7)。
1)ATとPAの相関
まず、ArとPA(各観点別得点および合計)の相関係数を求めると、図表Ⅱ−l2のようになる。【l】はすべて
計算問題という特徴があるので、【1】の合計点とPAの得点との相関もとってみた。
3
0
第Ⅱ章結果と分析1−小3
図表Ⅱ−12小3におけるATとPAの相関
手続き的知識
、
1
9
*
掌
推論とストラテジー
、
1
9
*
*
コミュニケーション
、
1
9
事
率
PA合計
、
2
0
*
*
概念的知識
、
2
2
*
.
.
2
3
寧
傘
、
2
1
*
事
、
2
2
.
傘
PA合計
6
(
1
)
、
2
3
車
掌
6
(
2
)
、
1
8
.
.
手続き的知識
、
1
9
*
*
.
1
7
*
.
推論とストラテジー
、
2
2
*
.
、
2
0
傘
噂
コミュニケーション
、
2
2
*
*
、
1
7
*
事
PA合計
、
2
5
寧
寧
、
1
9
*
事
6
(
3
)
﹃○J〆、︾〆、︾句、︶〆、︾
概念的知識
***
**
**
*
*
*
38且111且利■1利■且
●
①●●■
AT
.
2
1
*
寧
●●
コミュニケーション
3
●●
手続き的知識
推論とストラテジー
.
1
3
車
.
、
1
4
寧
事
、
1
6
*
*
、
1
5
寧
寧
仙了脈脈げげ
2F〃ががが
AT
1
(
4
)
、
1
5
率
*
川下耐ばげげ
、
1
7
念
*
咽而糾糾け服
概念的知識
咽了げげ〃げ
l
(
1
)
咽一肌 川 畑 糾 佃
AT
(N=917)
1合計
,
1
9
*
*
、
1
9
.
*
、
2
1
車
.
、
2
2
寧
寧
、
2
2
*
傘
4
(
2
)
、
2
6
*
*
4
(
3
)
、
1
6
.
*
、
2
4
傘
零
.
1
7
*
.
、
1
6
車
掌
.
2
5
寧
寧
、
1
8
*
*
、
1
9
寧
傘
5
.
2
5
掌
*
,
2
4
.
*
、
1
2
*
*
、
1
3
.
率
、
2
6
寧
寧
、
1
6
*
.
、
1
9
*
.
7
AT合計
、
1
9
.
率
,
4
2
*
*
、
1
9
*
*
.
3
8
*
*
、
2
0
.
*
、
4
1
*
*
、
2
1
*
*
.
3
8
傘
*
.
2
3
*
事
、
4
3
事
*
車p<、05念寧p<、01
(JELS2003)
【l】(2)(5)以外は、PA合計との間に、1%水準で有意な正の相関がみられた。
PAとの相関係数が最も高いのはArの合計であるが、0.3∼0.4台で相関は弱から中程度である。特に、【l】の
計算問題との相関があまりみられない点は注目される。
Arの小間ごとにPA合計との相関をみてみると、相関係数が最も高いのは【2】(かけ算の意味(作問))、つい
で【4】(2)(演算の意味、立式(−))、【6】(1)(数学的判断の妥当性)となっている。【2】は3エリア共通して、
PAとの相関が高かったが、PAの課題との類似性からすれば、納得できる結果である。ただし、全体的に、小間
間の相関係数の差は小さい。
2)AT内相関、およびATとPAの関係
次に、ATの小問間で相関係数を求めると、図表Ⅱ−l3のようになる。
一目してわかるとおり、Arのすべての小間とAr合計との間に1%水準で有意な正の相関がみられ、相関係数
も【l】(5)を除けば、0.23∼0.54と弱い相関ないし中程度の相関を示している。【l】(5)は一位数の乗法の問題で
通過率が96.1%と高かったため、相関が表れにくかったのであろう。
図表Ⅱ−12に示されるように、ATの各小問とPA合計との相関係数は0.03∼0.27であった。それと比べると、
すべての小間においてAT合計との相関の方が強くなっていることがわかる。附属では、この傾向はさらに顕著
であった。Cエリアでも、附属ほど顕著ではないとはいえ、類似の傾向が認められたことは注目される。このこ
とは、今回の小3ATと小3PAが質の異なる学力を測定していることの証左といえるのではないだろうか。
3
1
JELS第9集(2007.2)
含◎。Nの自国己
守忌Ⅱz︶
:
=
│
萱
︵、︶@
岳骨ト、。
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二・V。:いつ・VQ轡
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︵同︶[
3
2
【∼
第Ⅱ章結果と分析1−小3
く注〉
1)『JELS第3集』54頁の図表Ⅳ−3−2には標準偏差20.1と記しているが、正しくは19.2であった。ここでは、さらに【1】(7)を除
く16問で算出している。
2)国立教育研究所数学教育研究室1996,『算数・数学の基礎学力を考える』。
3)国立教育研究所1996,『小・中学生の算数・数学、理科の成績一第3回国際数学・理科教育調査国内中間報告書』東洋館出版社。
4)ベネツセ教育研究所2002、『第3回学習基本調査報告書小学生版・中学生版』研究所報第27.28巻。
5)東京大学学校臨床総合教育研究センター2003,『学校臨床研究』第2巻第2号「学力低下の実態解明(その1)関西調査から」、
第2巻第3号「学力低下の実態解明(その2)関東調査から」。
6)国立教育政策研究所教育課程研究センター2003,『平成13年度教育課程実施状況調査(小学校・中学校)ペーパーテスト調査集
計結果』。
7)Cエリアの小3Ar問題では【1】(7)を分析から除外したが、ArとPAの関係についていえば、この問題に特に際だった特徴がみら
れたわけではないので、エリア間の比較検討をする上で支障はないと考えられる。
3
3
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
A、小6AT
1)採点基準
小6Ar問題については、下記のような採点基準を作成し、それにしたがって採点を行った。そして、正答と準
正答の両方を「正答」とみなした。
沖回
坤溌e型e岬
帥瀧e型e岬
沖溌e望e岬
す.い〃犯寸、
雲−し兵長一面終蕊
雪雪拙侭い〃雪雪耗侭躯、
日璽︷
昌芝一
畑二P異︵査一面U一軍側9
U一砥廻型やトヨ①︵桓心 吊嚢e︵[1−、︶馳肖
つすひく/圧つぐ。N
g@/圧○s
つつ@m
卜・心.、︵U雲一心灸掲︶
和、
国伺
。内
す−mクベヘ﹃
即響粍拙e坪釦心/卜
、〃逆、
つ、g/圧○℃目
ぺぺ
ベ〃迦同
心品Jp︲①
入語雪幻ヤ圧gmP日︷
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◎。。いい
ト寺/菖茜
m・い
一す。@
函。○ベ
GCm寸
含ユー、︶
含エー、︶
︵、︶
︵N︶
︵弓︶
︵N︶
︵弓︶
︵い︶
︵@︶
︵卜︶
︵函︶
e唾、
入や
壷 = =
︵、︶
︵N︶
︵[︶
※
︻、[︼
︻す[︼
︵ね佃沖肖糾︶﹁沖田﹂濃余話迄長竪※
心・や・卜︵U画一一四長州︶
卜
抑離迩黒迄得二PC Y点一ミ狸異e日昌、へ
埋如刊幽剖錘埋ee組 語.e川・ヤ州・穐終
守ト・つ
つっぺ@m
つめ
寸q弓
つい、
︻●一
西③.[
[、、、
念ユー、︶
︻︻[
ー
抑稲e塁e申
沖瀧e望e岬
沖回畦
坤溌e塁e岬
︷、卜、
寺ユー、︶
ー
坤回鮭
帥回畦
坤溌eごe岬
坤黙e塁e坪
沖回黙
沖雛e塁e岬
沖回駐
沖回鮭
坤離eごe岬
坤瀧e塁e岬
坤羅e望e岬
坤回鮭
抑瀧e里e坪
帥回駐
坤回鮭
沖瀧e塁e坪
郡回騨
馳瀧e塁e岬
命ユー、︶
︻ト︼
︻@︼
︻い︼
︻マ︼
︻N︼
亜K
=
里
一
二
〔
、
0
つ
。、
−
ー
二
ー
抑回畦
帥回壌
沖回駐
沖溌e塁e岬
坤瀧e望e岬
沖回駐
抑瀧e塁e坪
坤回畦
抑回駐
坤雛e塁eⅣ
坤瀧e型e岬
坤回畦
坤瀧e望e岬
坤回職
坤回鮭
や
︵、Cっぺ四自国己
沖駐判服※
。s響
〃迩異ニレ兵刊響
異拙長銅PC鼻鞠
婁ぺ終垣到剖銀埋
・二得畏拙昼親や
袋迄や送艇得扇廻※
︵︹旦自。︾軍︶蓮弐
沖回畦
沖羅e型e坪
︵@ユーjn︶
沖回壌
含ユー、︶
や
貢
貢
貢
1
0
や
l
r
白淵園
〆
〆
・
に
、
糾輔嘘迷e頚距﹄語舌↑
へ
一
・
に
、
卜
:
l
F
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ー
・
心
〆
1
F
│
ミ
検 マ
}
.
や
卜 卜
卜
。
津苓÷
、=〆
一
寺
距
百﹂逆追掛e刊幽※
荊準
I
i
I
│
│
l
│
l
i
│
I
l
│
│
l
i
I
l
I
l
I
l
i
I
l
i
1
i
'
I
l
'
i
I
l
'
i
l
│
'
l
'
'l
i
l
i
I
i
I
l
i
l
i
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l
IIiii
il
i
il
i
l
i
l
i
I
l
l
l
i
I
l
鍵
守
マ
+
〆
迫
横
マ
{
.
3
5
JELS第9集(2007.2)
2)得点分布
ATの得点を正答数および得点率で表わすと、小6ATの得点分布は、図表Ⅲ一2のようになる。小6のAT問題
は全部で22問であったから、この22問を用いて、平均や標準偏差を算出した。なお、Aエリアおよび附属で使
用した調査問題では、【l】(7)(8)および【6】に分数の乗除に関する内容が含まれていたが、分数の乗除は調査実
施時期に未履修の場合があることがわかったため、Cエリアでは問題を変更した。したがって、Aエリアおよび
附属と比較する場合は、上記の3問を除いた19問で行う必要がある。
︵ま︶御沖肖
5
01
51
050
40
45
30
35
22
図表Ⅲ−2小6ATの得点分布
0102030405060708090100
得点率(%)
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
(N=962)
0 0 . 0
1 4 . 5
2 9 . 1
313.6
418.2
522.7
627.3
731.8
836.4
940.9
1045.5
1150.0
1254.5
1359.1
1463.6
1568.2
1672.7
1777.3
1881.8
1986.4
2090.9
2195.5
22100.0
平均
標準偏差
9.6
43.6
4.0
18.4
蝋一l9E調岨茄乃脇力師開閉師似妬兇刃加u5552
得点
正答数得点率
正答者
%
累積%
0
.
1
0
.
1
0
.
9
1
.
0
1
.
4
2
.
4
3
.
6
6
.
0
4
.
4
1
0
.
4
5
.
8
1
6
.
2
7
.
8
24.0
8
.
6
3
2
.
6
8
.
0
4
0
.
6
9
.
0
4
9
.
7
9
.
9
5
9
.
6
99
6
9
.
4
8
.
9
7
8
.
4
4
.
4
8
2
.
7
4
.
8
8
7
.
5
4
.
0
9
1
.
5
3
.
4
9
4
.
9
2.1
9
7
.
0
1.2
9
8
.
2
0
.
5
9
8
.
8
0
.
5
9
9
.
3
0
.
5
9
9
.
8
0
.
2
100.0
(Aエリア・附属と共通部分のみ:42.4)
(Aエリア・附属と共通部分のみ:18.5)
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
最も多かったのは22問中10間正答(得点率45.5%)と11問正答(得点率50.0%)の子どもで、それぞれ全体
の9.9%をしめる。平均は9.6問正答(得点率43.6%)で、得点分布は左に偏ったカーブを示しており、Aエリア
の調査結果と類似している。また、上述の3問を除く19間について平均得点率を算出すると、Cエリアが42.4%
であるのに対し、Aエリアが43.3%、附属が76.9%であるから、Aエリアとほぼ同じである。また、標準偏差は
3
6
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
18.5であるから、Aエリア22.1')、附属の18.1と比較すると、Aエリアよりは得点率の散らばりが小さく、附属
とほぼ同じであることがわかる。
ただし、得点の算出においてはすべての問題を配点1点として同列に扱っており、得点分布だけをみてもあま
り学力の質は明らかにならない。重要なのはむしろ、各問題の通過率である。
3)各問通過率と反応率
小6ATの各問題の通過率および反応率は、図表Ⅲ−3の通りである。
図表Ⅲ−3小6ATの各問通過率と反応率
2
.
3
0
.
8
−
−
1
6
.
4
28.4
伽一伽一M
川一M|伽
州州一M−u
6.4
−
1.7
(N=962)
7lMMⅢ妬朋妬ⅣⅢ|川一川一朋一細一u|伽一価一刺一仙朋|胡一帖一加一妬
0.8
6|加川剛伽的加川川一伽一叩一M|川一旧一Ⅲ|州一川一W州一Ⅷ|Ⅲ|川一M
4|別
3|酌伽岨仙旧叩伽”|伽一川一伽一朋一妬一柵一Ⅷ|M|皿朋一加一而一胡一川
5
15.82.2
平 均 4 3 . 6
標準偏差22.2
(注)○…やさしかった問題
(JELS2003)
△…難しかった問題
網かけ部分が「正答」(準正答を含む)
小6Arの平均通過率は43.6%、標準偏差は22.2であった。したがって、定義に従えば、小6ATの場合、
やさしかった問題:通過率が65.8%以上のもの
難しかった問題:通過率が21.4%以下のもの
と
ということになる。ここでの「やさしい」「難しい」は、あくまでCエリアの小6の子どもにとって、お
いうことになる。ここでの「やさしい」「難しい」は、あくまでCエリアの小6の子どもにとって、および、
他の問題と比較して、という意味である。
各問題の通過率の標準偏差を、3エリア共通の19問でみると、Aエリアは22.3、附属は15.5に対し、Cエリア
は23.1であるから、各問題の通過率の散らばりは、Aエリアとほぼ同じである。したがって、Cエリアの傾向と
して、子ども間の散らばりは相対的にみて小さいが、問題間の散らばりは相対的にみて大きいということができ
る。これは小3と同じ傾向である。
やさしかった問題のうち、【9】は「九九表の意味にもとづく推論」の問題、【12】は「線対称」の問題で、この
結果はAエリアおよび附属の双方と共通している。また、【l】(3)はAエリアとCエリアにおいて「やさしかっ
た問題」と分析できる。一方、難しかった問題の中で特に通過率の低さが目立つのは、【2】と【10】(1)(2)であっ
3
7
JELS第9集(2007.2)
た。【2】は小数のわり算に関する作間、【10】はいずれも分数の概念の理解をみる問題である。これら個々の問題
についての分析は4)で行うことにするが、「やさしかった問題」「難しかった問題」をAエリアおよび附属と比
較すると、興味深いことが明らかになる。すなわち、平均通過率とは無関係に、【9】と【12】は「やさしかった
問題」であり、【2】と【10】(1)(2)は「難しかった問題」であると結論づけることができる。したがって、これら
の問題は、日本の小学校6年生にとって、その難易度の傾向が共通している可能性が高い。
4)個々の問題についての分析
【1】つぎの計算をしなさい。
この問題は8個の小問から構成されているが、いずれも、整数・小数・分数の四則計算に関する問題であり、
分野は「数と計算」、回答形式は「求答」である。また、計算式という数学的に表現された形式を正しい手続きに
したがって運用できるかどうかをみる問題であるから、認知カテゴリーは「形式の運用」である。
(1)6000-2369
これは4位数のひき算の問題であり、しかも3段繰り下がりを含んでいる。小学校3年生で3位数−3位数を
学習するが、3位数のひき算の理解がきちんとなされていれば、位取りの原理の理解が図iうれていると考えられ
るので、ここでは、小学校6年生における位取りの原理の定着の度合いをみるために出題した。
この問題の通過率は64.4%であった(Aエリアでは74.7%)。この問題は1995年に実施されたTIMSSでの問題
と同一であり(ただし、出題形式は縦書きの筆算形式であった)、そこでの通過率(小3,小4対象)はそれぞれ
71.3%、88.5%であった。小学校4年生の通過率が高いのは、この種の問題が小学校4年生の時期に扱われるか
らであろう。なお、誤答例「4369」(0.5%)はごくわずかではあるが、位取りの原理をまつたく理解していない
深刻なつまずきであり、Aエリアにも共通してみられた。Cエリアに比較的よくみられた誤答は「3731」(5.4%)
であるが、これは百位のひき算にケアレスミスが生じたためである。
(2)7.04-6.3
これは小数のひき算の問題であり、小数点以下第2位までの小数が含まれている。しかし、小数は整数と同じ
く、十進位取り記数法にしたがっていることから、整数のひき算を既習と考えた上で、小数点をそろえることの
理解をみるために出題した。
この問題の通過率は58.3%であった(Aエリアでは64.9%)。この問題はベネッセ教育研究所が2001年度に実
施した到達度テストでの問題と同一であり、小学校5年生での通過率は57.5%であった。また、類似の問題とし
て、1959年の文部省学力調査で出題された問題「4.7-1.36」の通過率は68.0%であり、東大・関西調査での問題
「8.6-0.63」の通過率は51.0%であった。これらの数値と比較すれば、この種の問題の通過率は、一般的には約
5∼6割であることがわかる。
誤答としては「6.41」が12.5%みられるが、これは小数点をそろえないで、末尾をそろえて計算したことによ
るものである。
(3)1.3×1.6
これは小数のかけ算の問題であり、小学校5年生での学習内容となっている。小数のかけ算の問題としては標
準的な問題である。
この問題の通過率は68.3%であった(Aエリアでは68.4%)。この問題は東大・関東調査での問題と同一であり、
その通過率は75.3%であったから、この種の問題に関する通過率は、一般的には約7割とみることができる。
誤答としては「20.8」が12.3%みられるが、これは小数点の位置に関する誤りである。
(4)154÷2.8
これは小数のわり算の問題であり、小学校5年生での学習内容となっている。小数のわり算の問題としては標
準的な問題である。
3
8
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
この問題の通過率は59.3%であった(Aエリアでは56.3%)。この問題は東大・関東調査での問題と同一であり、
その通過率は78.7%であったから、両エリアともこれより20%近くも低い。
正答は「55」であるが、小数点移動に関する誤りであると思われる「5.5」という誤答が21.8%もみられた。こ
れは明らかに、÷小数の指導法の改善が求められる点である。
(5)80-30÷5
これは、3つの整数の混合計算に関する問題であり、このような計算問題は小学校4年生の学習内容となって
いる。小学校4年生の混合計算では、()の中を先に計算すること、たし算・ひき算よりかけ算・わり算を先に
計算すること、という計算における規則の理解が重要である。この問題は、乗除先行の規則の理解をみるために
出題した。
この問題の通過率は34.6%であった(Aエリアでは39.5%)。この問題は東大・関西調査での問題と同一であり、
そこでの通過率は42.4%であったから、附属は別として、この種の問題の通過率は約4割と考えられるが、Cエ
リアの結果はそれをやや下回るものであった。四則計算における「乗除先行の規則」を理解して、正しく計算が
遂行できるかどうかをみる問題であるが、80-30=50,50÷5=10と計算する誤答が実に56.4%もみられた。半
数を超えるというきわめて高い数値である。したがって、小学校4年生での学習後も、種々の機会をとらえて「乗
除先行の規則」の理解の定着を図る必要がある。
(6)5/6+3/8
これは異分母分数のたし算の問題であり、小学校6年生の学習内容となっている。そして、異分母分数のたし
算としては標準的な問題である。
この問題の通過率は55.2%であった(Aエリアでは63.4%)。この問題は1964年の文部省学力調査、1990年の
国研による学力調査(AおよびB)、2001年度の文部科学省教育課程実施状況調査で出題された問題と同一であ
り、通過率はそれぞれ順に、68.5%、87.9%、88.7%、78.6%であった。近年では、この種の問題の通過率は約8
割とみてよいが、今回の調査では、それを大きく下回る結果であった。Aエリアと比較しても、8%あまり低い数
値である。
分母同士、分子同士を加えて、それぞれ分母・分子とする誤答8/14あるいは4/7が11.6%みられた。その他の
誤答も30%に近い数値を示している。
(7)875×64
この問題はCエリアに固有の問題である。3位数×2位数は、旧学習指導要領では小学校3年生の学習内容で
あったが、現行の学習指導要領では2位数×2位数までの範囲となった。ここでは、2位数×2位数を学習ずみの
子どもが3位数×2位数の問題をどの程度できるかをみるために出題した。
この問題の通過率は66.5%であった。この問題は1959年に実施された文部省学力調査での問題と同一であり、
そこでの通過率は67.7%であったから、ほぼ同じ水準である。
「55960」、「56200」、「5600」などの誤答がわずかにみられるが、それ以外の誤答が30.9%にも達している。計
算過程での種々の段階でのケアレスミスが原因であろう。
(8)34.04÷4.6
この問題もCエリアに固有の問題である。これは小数のわり算の問題であり、小数点以下第2位までの小数が
含まれている。現行の学習指導要領では、小数点以下第1位までの小数しか扱われていない。しかし、小数は整
数と同じく、十進位取り記数法にしたがっていることから、整数のわり算を既習と考えた上で、わり算における
小数点移動が誤りなくできて、計算できるかどうかをみるために出題した。
また、現行の学習指導要領での整数のわり算は3位数÷2位数までである。しかし、この問題は、小数点を無
視すれば4位数÷2位数の問題となってしまうから、3位数÷2位数を学習ずみの子どもが、さらに進んで、4位
数÷2位数の計算ができるかどうかということをみる問題ともなっている。
3
9
JELS第9集(2007.2)
この問題の通過率は55.0%であった。この問題は1961年実施された文部省学力調査での問題と同一であり、
そこでの正答率は52.4%であったから、ほぼ同じ水準であるが、しかし、この問題は1990年に実施された国立
教育研究所の学力調査での問題とも同一であり、そこでの正答率は81.1%であったから、これに比べると、かな
り低い数値である。上記の問題(7)の通過率とも合わせ考えると、Cエリアでの調査結果は、1960年代初めのレベ
ルということになる。
なお、誤答例としては、「74」が15.1%、「0.74」が2.7%みられたが、いずれも小数点移動に関する誤答である。
【2】ものの値段と長さを使って、式が300÷1.5になる文章問題を1つ作りましよう。
この問題の分野は「数と計算」、回答形式は「考え」である。また、わり算の式という数学的形式を具体的場面
として解釈できるかどうかをみる問題であるから、認知カテゴリーは「形式の解釈」である。
これは小数のわり算に関する問題であるが、単に計算ができるかどうかというアルゴリズムの習得をみる問題
ではなく、式に合う問題を作成させることを通して、小数のわり算そのものの意味を理解しているかどうかをみ
るために出題した。式が300÷1.5になる問題としては、たとえば、「ある数を1.5倍したら300になりました。あ
る数はいくつですか」というような問題もあるが、ここでは、より現実的な場面に即しての式解釈ができるかど
うかをみるために、「ものの値段」と「その長さ」を使用することを指示した。
この問題の通過率は15.1%であった(Aエリアでは13.9%)。(4)の問題「154÷2.8」の通過率が59.3%という数
値であったことと合わせ考えると、÷小数の計算はできても、わり算の式を解釈することは難しい問題であると
いってもよい。この問題を通して、いわば、「できても、わからない」といわれる事態が生じていることがわかる。
この傾向はAエリアおよび附属にも共通してみられ、日本の算数教育の大きな課題となっていると考えられる。
誤答例としては、「1mで300円するリボンがあります。このリボン1.5mの値段はいくらでしょう」のような
かけ算になる問題を作った誤答が4.7%、ものの値段と長さを使用しない誤答が12.8%みられた。その他の誤答
も40.6%に達しており、誤答が事前の予想をこえた多様なものであったことを示している。
【3】近くの店で大売り出しをやっています。ある商品は3割引きで売られていて、定価より420円安くなっているそうです。
この商品の定価は何円だったのでしょう。
この問題の分野は「数量関係」、回答形式は「求答」である。また、文章から題意を読み取り、それを式化する
ことができるかどうか、すなわち数学的な形式に表現できるかどうかをみる問題であるから、認知カテゴリーは
「形式への表現」である。正しく式化でき、正答を得るためには「知識・概念」や「形式の運用」の認知カテゴ
リーも関連しているが、ここでは「形式への表現」を主と考えた。
これは割合に関する文章題であり、小学校5年生の学習内容である。割合に関しては、3用法があるが、ここ
では、あえて最も難しいと言われている第3用法で、しかも「割引き」を含む問題を出題した、割合に関する問
題の理解は、第3用法の理解に端的にあらわれると考えたからである。
この問題の通過率は20.1%であった(Aエリアでは21.6%)。一般的に、割合に関する問題(特に、第3用法の
問題)は難しいといわれている。附属の結果は別として考えると、一般的には、割合に関する第3用法の問題の
通過率は約2割ていどといえるのではないだろうか。他の問題の通過率と対比して考えると、割合に関する指導
法の改善が必要とされているといえよう。
誤答例としては「1260」が31.5%みられたが、この誤答は、問題中にみられる2つの数、3と420を単純にか
けて得られたものであろうから、この種の問題がまったく理解できていないといえる。その他の誤答も34.2%み
られた。
【4】右の計算で、□の中の数が1大きぐなると、答えはいくつ大きくなりますか。
アーオの中から1つ選びなさい。
217
×□6
ア.1イ.16ウ.217エ.2170オ.3472
この間題の分野は「数と計算」、回答形式は「選択」である。また、位取りの原理という数学的な知識・概念の
理解に関する問題であるから、認知カテゴリーは「知識・概念」である。
4
0
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
これは筆算形式で示された3桁×2桁の計算問題であるが、乗数(かける数)の十の位の数字が隠されている。
この十の位の数がl大きくなると、答えがいくつ大きくなるかを見出すのであるから、筆算形式における位取り
の原理を理解していなければならない。
この問題の通過率は33.5%であった(Aエリアでは37.4%)。附属は別として、一般的な通過率は約35%と考
えられる。通常の3位数×2位数の問題では、通過率は高いと予想されるから、計算技能が低いわけではなく、
筆算形式における位取りの原理の理解が不十分だということになる。日常の授業において、計算技能の習熟だけ
でなく、意味理解に対する指導が一層求められているといえる。
正答は「2170」であるが、誤答「3472」(284%)は、□の数値をlとして、217×16=3472としたものであり、
十位の数値がl大きくなるという題意が理解されていないことがわかる。また、誤答「217」(16.4%)は明らか
に位取りの原理に関わるものであるといえる。
【5】ある円の半径を2倍にして、新しい円を作りました。新しい円の面積は、はじめの円の面積の何倍ですか。
この問題の分野は、主として「数量関係」であるが、円の面積に関係していることから、「図形」の分野にも関
連している。回答形式は「求答」である。また、単なる円の面積公式の理解だけではなく、新しく作った円の面
積を半径とのかかわりで推論しなければならない問題であるから、認知カテゴリーは「推論」である。
これは円の面積と半径との関係を問う問題であり、数学的には、円の面積が半径の2乗に比例していることの
理解を必要とする。もちろん、「2乗に比例する」という形での学習は中学校3年生のものであり、小学校段階で
は、(円の面積)=(半径)×(半径)×(円周率)という形での理解にとどまっている。
小学校では、たとえば三角形の面積のように、「高さが2倍になれば、面積も2倍になる」という単純な倍々関
係が多くみられるが、ここでは、あえて、円の面積のように、半径が2回かけ合わされていることから、半径が
2倍になると、面積は4倍になることの推論がどの程度できるかをみるために出題した。
この問題の通過率は36.4%であった(Aエリアでは32.8%)。これと類似した問題が1962年の文部省学力調査
(中3対象)で出題されていて、その通過率は20.0%であった。それに比べると、高い数値を示している。
予想されるとおり、ほとんどの誤答は「2倍」であるが、その誤答は実に46.7%にも達している。
【6】ハガキの面積はどれくらいですか。アーオの中から近いものを1つ選びなさい。
ア.15cm2イ.15,2ウ.150mm2エ.150cm2オ.150,2
この間題の分野は「量と測定」、回答形式は「選択」である。また、この問題は「およその面積」を適切な単位
の理解と合わせてみる問題と考えられるから、認知カテゴリーは「知識・概念」である。なお、この問題はcエ
リアに固有の問題である。
この問題は量感に関わる問題ともいえ、ハガキという大きさのものの面積と、m2,cm2,,2などの単位とを正
しく結びつけることができるかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は33.1%であった。これと類似の問題として「教室の床の面積」に関する問題が’990年の
国研による学力調査にみられるが、これの正答率は54.0%であったから、それと比べるとかなり低い。
このような量感に関わる問題は教科書でも取り上げられていて、日常の授業でも扱われていると思われるのだ
が、約7割の子どもが正答できないという状況である。最も多かった誤答は、「l5cm2」で実に51.4%にのぼった。
'50を’5×'0,’5を5×3などと分解して、ハガキのタテ・ヨコのおおよその長さと比べることができなかった
と推測される。国研の問題でも約5割の子どもが正答できていないことを考えあわせると、量感や面積の概念が
あまり身についていないと考えられる。
【7】箱の中に玉がたくさん入っています。まさお君、たけし君、きよし君、ひろし君が玉を1つずつ取り出したら、みんな赤
玉でしたが、あき子さんが取り出したら白玉でした。ただし、取り出した玉は箱の中にもどさないことになっています。こ
のことから、必ず言えることを1つ、アーオの中から選びなさい。
ア.赤玉は続けて出やすい。
イ.赤玉の方が白玉より多く入っている。
4
1
JELS第9集(2007.2)
ウ.赤玉は最初4個以上入っていた。
エ.赤玉は白玉の4倍入っている。
オ.赤玉か白玉しか入っていない。
この問題の分野は「数量関係」、回答形式は「選択」である。また、与えられた情報から、未知である箱の中の
状況を推測する問題であるから、認知カテゴリーは「推論」であるが、確からしさ(確率)についての「知識・
概念」も関連している。
これは与えられた‘情報から推論によって正しい結論と正しくない結論を区別する問題である。具体的な事柄に
ついて、与えられた'情報をもとにして正しく推論することができるかどうかは、算数で扱うべき重要な内容であ
ると考えられる。そのような意図からこの問題を出題した。
この問題の通過率は23.8%であった(Aエリアでは27.0%)。与えられた'情報から推論して正しい結果を得る力
は、約2∼3割の子どもにしか身についていないということになる。これと類似の問題が1990年の国研による学
力調査にみられるが、その通過率は45.1%であった。
正答は「ウ」であるが、誤答「イ」(41.9%)は、あき子さんが玉を取り出した段階での‘情報である「赤玉4個、
白玉1個」だけから推論した結果と思われる。「赤玉の方が白玉より多く入っている」ということはありそうだが、
「必ず言える」とは限らない。誤答「イ」が多いという傾向はAエリアにも共通している。
【8】三角形アイウの面積を求めたいと思います。イウの長さを底辺とする
とき、高さはどこになりますか。図の中に書き入れなさい。定規を使わな
くてもかまいません。
この問題の分野は「図形」、回答形式は「求答」である。また、三角形の底辺と高さに関する基礎的な知識をみ
る問題であるから、認知カテゴリーは「知識・概念」である。
これは三角形の面積を求めるときの底辺に対する高さを問う問題であり、小学校5年生の学習内容である。底
辺に対する高さが三角形の内部にあるような場合は比較的容易に正答すると思われるが、この問題のように、底
辺に対する高さが三角形の外部にあるような場合でも、底辺に対する高さがきちんと理解されているかどうかを
みるために出題した。
この問題の通過率は26.3%であった(Aエリアでは21.4%)。三角形の底辺に対する高さを識別できる児童が3
割に満たないというのは、指導の改善が必要とされているといわざるをえない。
主な誤答としては、「アウをそのままなぞる」(14.6%)、「ウから辺アイに垂線をおろす」(8.2%)などがみら
れた。
【9】かけ算九九を順にならべて、表を作りました。
下はその表の一部です。(ア)に入る数は何ですか。
1
0
1
2
1
4
1
5
1
8
2
1
(
ア
)
この問題の分野は「数と計算」、回答形式は「求答」である。また、数の並び方からその規則を推測する問題で
あるから、認知カテゴリーは「推論」である。
これは乗法九九表に関する問題であるが、九九表の一部しか示されていない。表の左の列から5,6,7の段で
あり、上の行から2,3,4の段となっているが、そのことを、数字の並び方からの推論によって見出すことがで
きるかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は83.1%という高率であった(Aエリアでは78.6%)。九九表の一部であることがわかってい
4
2
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
る場合、数の並び方から規則性を見出すことは、ほとんどの子どもにとって容易であることがわかる。
【10】2mの長さのひもが2本あります。それぞれ4等分、3等分しました。ひもの震蕊調のところは何mですか。ひも
の長さが2mであることに注意して、mをつけて、分数で答えてください。
(1)4等分
(2)3等分
この問題の分野は「数と計算」、回答形式は「求答」である。また、分数についての基礎的な概念理解をみる問
題であるから、認知カテゴリーは「知識・概念」である。
これは分数概念に関する問題である。分数は、「1/2m」(50cmのこと)のように、具体的な量の大きさを表現
するときに使用される他、「ある量のl/2」のように、割合を表現するときにも使用される。そして、多くの児童
がこの2つの側面をきちんと理解していないといわれている。そこで、そうした分数の意味理解がどの程度にな
されているかをみるために出題した。出題に際しては、「ひもの長さが2mであることに注意して、mをつけて、
分数で答えてください。」というただし書きを付けるなどして、何が問われているのかに関して注意を促すように
配慮した。
この問題の通過率は、(1)が8.8%(2)が6.9%であった(Aエリアでは(1)15.5%、(2)13.3%)。1976年の国民教
育研究所の調査では、(1)17.1%、(2)12.7%であったから、一般的にみても、この種の問題の通過率はかなり低い
といえる。今回の問題では、「ひもの長さが2mであることに注意して」とか、「mをつけて、分数で答えてくだ
さい」などの文言を付して単なる勘違いを防ぐための工夫をし、予備調査では、(1)が63.7%、(2)が34.1%の通過
率を得ていたが、Cエリアでは、10%に満たない通過率であった。
(1)の正答は「l/2mあるいは2/4m」であるが、誤答の多くは「l/4mあるいは1/4」(47.4%)であった、また「l/2
あるいは2/4」(2.1%)という誤答もみられた。(2)の正答は「2/3mあるいは4/6m」であるが、誤答の多くは「l/3m
あるいは1/3」(47.4%)であった。また「2/3あるいは4/6」(2.8%)という誤答もみられた。つまり、「全体が2m
であることに注意して」との断り書きがあるにもかかわらず、全体をlとみて、その4分の1,3分の1と回答し
ている子どもが少なからずいることがわかる。分数概念の理解をはかる指導は依然として算数教育の重要な課題
となっている。
【11】子ども会で遠足に行くことになりました。参加者は全部で243人います。45人乗りの貸し切りバスを使うことになりま
した。バスは少なくとも何台必要ですか。
この問題の分野は「数と計算」、回答形式は「求答」である。また、わり算の結果である商あるいは余りを現実
に即してどのように検証し、判断できるどうかをみる問題であるから、認知カテゴリーは「検証・判断」である。
正しく立式でき、正答を得るためには「知識・概念」や「形式の運用」の認知カテゴリーも関連しているが、こ
こでは「検証・判断」を主と考えた。
これはわり算における商と余りの意味を問う問題である。243÷45を計算して、
(1)商5,余り18とする
(2)商5.4とする
の2通りが考えられる。(1)においては、余り18が「18人」であることから、バスは5台ではなく6台だと判断
できるかどうかが鍵となっている、また(2)においては、商5.4をそのまま解答としたり、5を解答とするのでは
なく、題意に立ち返って、5台では乗りきれないから、「少なくとも6台必要」と判断できるかどうかがポイント
となっている。そのような理解ができているかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は53.1%であった(Aエリアでは39.2%)。1956年の文部省学力調査での類似問題の通過率
4
3
JELS第9集(2007.2)
Iま40%弱であったから、それよりは高い数値ということになる。しかし逆に、このような実際場面での判断を誤
る子どもが約5割であるということも看過できない。
243÷45の結果である「5あまり18」を正しく求めることができても、「あまり18」に関しての実際的判断で誤
っている例が22.9%もみられた。
【12】右の図のように、おり紙のはしをそろえて4つにおり、ななめの線が
入ったところの三角形を切り取りました。広げたときにできる形はどれで
すか。アーオから1つ選びなさい。
ア
イ
ウ
エ
オ
周匪犀弔閏
この問題の分野は「図形」、回答形式は「選択」である。また、紙を広げるときの形を推測する問題であるから、
認知カテゴリーは「推論」である。ただし、線対称に関する「知識・概念」も関連している。
これは線対称図形に関する推論をみる問題である。線対称に関する学習内容は、現行の学習指導要領で小学校
から削除されたが、この問題の程度であれば、小学生に問うことは可能であると思われる。4つ折りにされた紙
を広げるときにできる形を順序よく推論できるかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は80.7%であった(Aエリアでは75.8%)。1990年の国研による学力調査での類似問題の通
過率は89.2%であったから、それよりも若干低い数値であるが、Aエリアよりは若干高い通過率を示している。
小学校6年生の学習内容から線対称が削除されたことと今回の通過率を重ね合わせると、この種の問題は、線対
称の学習と必ずしも連動しないとも考えられる。この結論はAエリアおよび附属にも共通しているといえよう。
正答は「イ」であるが、誤答としては、「ア」(8.1%)、「ウ」(7.7%)、「オ」(1.7%)がみられた。
【13】(ア)、(イ)、(ウ)の3種類のジャムが2個セットで売られています。各
セットの重さを比べたら、下図のようになりました。箱の重さはどのセット
も同じです。重い順に(ア)、(イ)、(ウ)の記号を書きましょう。
伽.』曇a
アハイ)Iハイ○
哩塾血
OMRアハア
4
4
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
この問題の分野は「量と測定」、回答形式は「求答」である。また、与えられた情報から重さの軽重を推測する
問題であるから、認知カテゴリーは「推論」である。
これは重さに関する推移律の理解をみる問題である。(ア)、(イ)、(ウ)のジャムを1個ずつ比較するのではなく、
2個セットにして比較することによって、難易度を少し高めた。上から2つ目の図は、答を得るには不必要な情
報であるが、それにまどわされることなく推論できるかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は341%であった(Aエリアでは39.0%)。ジャムを1個ずつ比較した図であれば通過率はか
なり高くなると思われるが、このように、2個セットにし、さらに不必要な図を1つ入れただけで、正しく推論
できる子どもが、附属は別として、約3∼4割しかいないことがわかる。
【14】右の表は、2003年3月に発表された日本の人口を表しています。
子ども(0歳∼14歳)の人口は総人口のおよそ何%にあたりますか。
年齢
0
アーオの中から1つ選びなさい。
ア.1%イ.10%ウ.15%エ.30%オ.50%
この問題の分野は「数量関係」、回答形式は「選択」である。また、
統計表という数学的に表現された形式を解釈できるかどうかをみる問
題であるから、認知カテゴリーは「形式の解釈」であるが、概算につ
いての「知識・概念」も関連している。
これは統計表の読みとりができるかどうかをみる問題であり、また
人口(万人)
1
4
1803
2
9
2428
30∼44
2569
4
5
戸、ゴ
5
9
2724
6
0
〆 ∼
7
4
2185
75以上
1028
合計
12737
戸 ∼
1
5
戸、ジ
概算の理解を問う問題でもある。総人口と子どもの人口を比較して、およそ
カユを概算できるかどうか
をみるために出題した。
この問題の通過率は43.3%であった(Aエリアでは39.4%)。1990年の国研
この問題の通過率は43.3%であった(Aエリアでは39.4%)。1990年の国研調査での類似問題の通過率が49.8%
であるから、全国水準よりも若干低い数値ということになる。
正答は「ウ」の15%であるが、誤答のほとんどが「イ」の10%であり、その誤答は31.3%みられた。このこ
とから、この種の問題がまったく理解されていないわけではなく、子どもの多くが、数パーセントの差違を処理
できなかったとみるべきであろう。なお、誤答「エ」は15.8%みられた。
5)問題タイプ別の分析
今回の調査問題は全部で22問から構成されていたから、これら22問を対象として、概評を行うことにする。
なお、22問の平均通過率は43.6%であった。
小学校の算数科は4つの分野から構成されているから、分野別の通過率をみてみると、以下のようになる(図
表Ⅲ−4−1参照)。
[数と計算]47.3%[量と測定]33.6%[図形]47.8%[数量関係]30.9%
4
5
JELS第9集(2007.2)
図表Ⅲ−4−1小6AT結果(分野別)
(N=962)
43
3
3
6
2
5
0
●8
●9
●4
●5
●6
●5
●
4●5
8
6
65
35
65
12345678
大間小間数と計算量と測定図形数量関係
15.1
2
20.1
3
33.5
4
36.436.4
5
3
3
.
1
6
23.8
7
26.3
8
83.1
9
1
0
1
1
1
8.8
2
6.9
53.1
80.7
1
2
3
4
.
1
1
3
43.3
1
4
平均
47.333.647.830.9
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
また、認知カテゴリー別の通過率をみてみると、以下のようになる
二、認知カテゴリー別の通過率をみてみると、以下のようになる(図表Ⅲ−4−2参照)。
[知識・概念]21.7%[形式への表現]20.1%[形式の解釈]29.2%
[形式の運用]57.7%[推論]51.6%[検証・判断]53.1%
図表Ⅲ−4−2小6AT結果(認知カテゴリー別)
(N=962)
12345678
43
3
3
6
2
5
0
●8
●9
●4
●5
①6
●5
●
4●5
8
6
65
35
65
大間小間知識・概念形式への表現形式の解釈形式の運用推論検証・判断
1
15.1
2
20.1
3
3
3
.
5
4
36.4
5
3
3
.
1
6
23.8
7
26.3
8
8
3
.
1
9
1
0
1
8.8
2
6.9
5
3
.
1
1
1
80.7
1
2
3
4
.
1
1
3
43.3
1
4
平均
21.7
20.1
29.2
57.751.653.1
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
4
6
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
さらに、回答形式別にみると以下のようになる(図表Ⅲ−4−3参照)。
[選択]42.9%
[求答]45.6%[考え]15.1%
図表Ⅲ−4−3小6AT結果(回答形式別)
(N=962)
1
43
3
3
6
2
5
0
●8
●9
●4
●5
●6
●5
●
4●5
8
6
65
35
65
12345678
大 間 小 間 選 択 求 答 考 え
2
1
5
.
1
3
20.1
4
3
3
.
5
5
36.4
6
3
3
.
1
7
23.8
8
26.3
9
83.1
1
1
0
8.8
2
6.9
11
53.1
1
2
80.7
1
3
34.1
1
4
43.3
平均
42.945.615.1
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
分野別の通過率からわかることは、「数と計算」および「図形」が通過率45%を超えているのに対して、「量と
測定」および「数量関係」が通過率35%を下回っていることである。これと類似の傾向はAエリアの調査結果に
もみられた。また、附属での調査結果においても、絶対的な通過率は高いとしても、他の分野との相対的比較に
おいて、「数量関係」および「量と測定」の分野の通過率が低い傾向がみられた。内容的には、割合・倍などに関
連した問題での通過率が相対的に低い。この傾向は日本の子どもたちの学力にみられる一般的傾向と推測される。
また、近年の種々の学力調査からは、「数と計算」の分野での通過率はそう低くないという結果が出ているが、私
たちの一連の調査では、それを裏付けるのは附属だけであり、AエリアおよびCエリアの調査結果をみる限り、
5割を切っているわけであるから、やはり低いといわざるをえない。
一方、認知カテゴリー別の通過率をみると、「形式の運用」が最も高く、「推論」や「検証・判断」も比較的高
い。「知識・概念」が相対的に低いのはやや意外な感がするが、今回の調査問題のように、事実的な知識ではなく、
概念的な理解の深さが求められるような問題になると、誤答が多くなるということである。計算はできても、そ
れを裏付ける知識・概念の理解に不十分さが残っているといえよう。また、「形式への表現」や「形式の解釈」の
通過率を「形式の運用」のそれと比較してみると、数学的な形式の処理はできても、形式そのものの意味の理解、
その作成などに不十分さがあるといえよう。以上のような全般的傾向はAエリアおよび附属においてもみられた
ことであり、日本の子どもたちにみられる一般的傾向であるように思われる。
また、回答形式別の通過率からは、「選択」と「求答」が同程度で、「考え」がそれらと比べてかなり低いこと
がわかる。「選択」および「求答」形式の通過率は、いずれも約4割強であるのに対して、「考え」形式の通過率
はそれより約30%近くも低いのである。今回の調査においては、「考え」に関する問題は1問しかないが、これ
はAエリアでも附属でもみられた結果であり、通過率の低さは一般化しても誤りではないだろう。「考え」を述
べることに関する学力が十分育っていないことが指摘できる。
4
7
JELS第9集(2007.2)
6)まとめ一小6ATにみられる学力の特徴
ここでは、Aエリア、附属、Cエリアの3エリアの調査結果を比較検討して、共通にみられる傾向を明らかに
してみたい。附属の学力レベルはどの観点からみても他の2エリアよりは高いが、分野別にみると、通過率の高
さが「数と計算」および「図形」→「量と測定」および「数量関係」の順になっていることは共通している。
また、認知カテゴリー別にみても、通過率の高さが「形式の運用」→「検証・判断」および「推論」→「形式
の解釈」→「知識・概念」および「形式への表現」の順になっていること、回答形式別では「求答」→「選択」
→「考え」の順になっていることが共通していえる。このような傾向は、今回の小6Arの問題についていえば、
日本の子どもたちに共通する傾向といえそうである。
学力を算数の内容に照らしてみるならば、【2】のような作間に関する問題、【3】のような割合に関する問題、
【10】のような分数概念に関する問題という3種類の問題に対する通過率の低さが目立つ。これらは、日本の算
数教育が当面する大きな課題といえるのではなかろうか。
B,小6PA
1)評価手続きとルーブリック
小6PAの評価手続きは、基本的に小3PAと同じである。今回のCエリアの採点は、小3PAと同様に、Aエリ
アの採点の際に作成したルーブリックをもとに行った。3人の採点者が各自、4観点からなる採点表に0∼3の点
数を記入し、1部ずつ点数をつきあわせていった。得点を採点者間で一致させるとともに、必要があればルーブ
リックの加筆・修正も同時に行った。
①作成した問題
今回、小6PAで用いた問題は以下のようなものである。
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコースが全長3kmで、
けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこで2つのグループに分かれ
ごうりゅう
て、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつきコーースにしました。あきお君のグ
ループはけやきコースにしました。
10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグループがレストハウスについたのは11時でした。その時、あきお君たち
のグルーープはまだ到着していませんでした。「距離が長いから当然だね。あきお君たちが着くまでどのくらいの時間
とうちゃく
きより
がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をはかっていたら、30分後にあきお君のグループがレストハウ
きゅうけい
スに到着しました。ゆう子さんはあきお君に「どこかで休憩していたの?」と聞きました。あきお君は「休憩なんか
していないよ、ずっと歩いていたんだよ。」と答えました。どちらのグループも休憩したりせず、一定の速さで歩いて
いました。
そこで、みんなはどちらのグループのほうが速く歩いたのか知りたくなりました。あなたは、どちらが速く歩いた
せつめい
と思いますか。あなたの考えを、わかるように説明してください。[*挿絵あり]
この問題は、簡単にいうと、3kmを1時間で歩く場合と5kmを1時間30分で歩く場合との間で速さを比較す
るという問題である。速さという量を選んだのは、小学校算数でもっとも重要な教育内容の一つだからである。
では、ふつうの文章題とはどこが違うのか。第I章であげた今回の調査におけるPA問題の特徴にそって述べ
ていこう。
(a)思考のプロセスを表現することを要求している。
これには2つのことが含まれている。1つは「思考のプロセス(考え方の全体)」が評価の対象となること、も
う1つはそれを算数・数学的に伝える能力、つまり「コミュニケーション能力」も評価の対象になるということ
である。
4
8
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
(b)多様な表現方法が使える。
ふつうの文章題では、式と計算、答えのみが評価の対象になるのに対して、PA問題では、式(計算、答えも含
む)だけでなく、言葉、図、絵などで自分の考え方を表現してもよい。算数・数学的に意味のあるやり方で、自
分の考え方が相手に伝わるように書かれていればよいのである。
(c)日常的な場面を扱っていて、日常的な場面から数学化するプロセスを含んでいる。
<ハイキングで距離の異なるコースが2つあって、出発時間は同じで到着時間は違っていた>という場面は日
常的な場面として不自然ではない。また、ふつうの文章題では、速さの公式があてはめやすいように最初から「時
刻」ではなく「かかった時間」が示されていることが多いが、ここでは、場面設定にそって「時刻」と「かかっ
た時間」の両方が使われている。
もちろん、まったくの日常場面ではなく、算数の問題ならではの制約もある。たとえば、計算が複雑になりす
ぎないような数値にしたり、「一定の速さで歩いていた」という条件を加えるといったことである。しかし重要な
のは、日常場面をそのまま写しとることではなく、子どもたちに、経験してもおかしくないというような真実味
を感じさせることだろう。
なお、子どもたちにはほとんど気にならないだろうが、距離・時間の数値も、子どもの歩く速さとして適当な
数値に設定してある。
(。)複数の解法がとれる。
図表Ⅲ−5に示すように、この問題にはいくつかの解法がある。
ゆう子とあきおの速さを比べるには、まず、ゆう子とあきおの歩いた時間と距離に関する情報を取り出さなけ
ればならない。すなわち、ゆう子が3km(3000m)を1時間(60分)、あきおが5kmを1.5時間(90分)歩いた
ということである。このとき、距離をkmで表すかmで表すか、また時間を時で表すか分で表すかが、その後の
計算のしやすさに影響する。立式して計算にとりかかったものの途中で計算ができなくなり、数値の表し方を変
えるということも、もちろんある。
速さを比べるのに一般的なやり方は、時速(解法①-1)や分速(解法①-2)といった内包量で比べることであ
るが、逆内包量で比べることもできる。内包量が単位時間あたりの距離を表す量であるのに対して、逆内包量と
いうのは、その逆、つまり“単位距離'’あたりの時間を表す量である。この問題の場合は、計算のしやすさから
して、「1kmあたりの時間(分)」が選ばれやすいだろうと予想された(解法②)。この場合、計算結果を比較す
る際に注意しなければならないのは、内包量では、数値の大きい方が速いことになるのに対し、逆内包量では、
数値の小さい方が速いことになる、という点である。
以上の3つの解法は、いずれも単位時間あたり(1時間あたり、1分あたり)や“単位距離”あたり(1kmあ
たり)で比較する方法であった。しかしながら、時間や距離を等しくさえすれば、その数値がlでなくても、比
較は可能である。たとえば、時間を3時間(解法③-1)や1.5時間(解法③-2)でそろえる方法、また、距離を
15km(解法④-1)や5km(解法④-2)でそろえる方法などが考えられる。解法④−2については少し説明が必要だ
ろう。これは、ゆう子が3kmまでと同じ速さで5kmを歩いたと仮定した上で双方が5km歩くのにかかる時間を
比べる方法である。ゆう子が1kmあたり歩くのにかかる時間をまず求める必要があるので、解法②を部分的に含
んでいることになる。
解法⑤はやや特殊な方法である。この解法ではまず、あきおの速度を3km1時間までゆう子と同じだと仮定す
る。5kmを1時間30分で歩いたのだから、あきおは残り2kmを30分で歩いたことになる。ゆう子は1時間で
3km歩いたのだから、30分では1.5kmしか歩けない、あるいは2km歩くのには40分かかる。したがって、あき
おの方が速いと判断できる。こうして最終的には残り30分で歩ける距離、あるいは残り2kmを歩く時間によっ
て、両者の速さを比べるのである。この解法は、あきおが「一定の速さで歩いていた」という条件に反している
が、そのことを了解した上で、数学的な操作として上の条件を仮定していることが答案から読みとれる場合には、
減点の対象とはしなかった。(ただし、この解法を妥当な解法として認めるかどうかは意見が分かれるところだろ
う
。
)
4
9
JELS第9集(2007.2)
図表Ⅲ−5小6PA問題の予想される解法
①-1内包量(時速)で比べる
ゆう子:3(km/時)あるいはゆう子:3=9/3(km/時)
あきお:3.3...(km/時)あるいはあきお:5/1.5=10/3(km/時)
①−2内包量(分速)で比べる
ゆう子:3000÷60=50(m/分)
あきお:5000÷90=55.5…(m/分)あるいは555/9(m/分)
②逆内包量(1kmあたりの時間)で比べる
ゆう子:20(分/k、)
あきお:18(分/k、)
③−1時間(3時間)をそろえて距離で比べる
ゆう子:3時間で9km
あきお:3時間で10km
③−2時間(1.5時間)をそろえて距離で比べる
ゆう子:1.5時間で4.5km
あきお:1.5時間で5km
④-1距離(15km)をそろえて時間で比べる
ゆう子:15kmで5時間
あきお:15kmを4.5時間
④−2距離(5km)をそろえて時間で比べる
ゆう子:残り2kmに40分かかるので、5kmで1時間40分
あきお:5kmを1時間30分
⑤3km1時間まで同じ速さと仮定した上で、時間(30分)をそろえて距離で比べる、あるいは
距離(2km)をそろえて時間で比べる
あきお:3km1時間までゆう子と同じ速さで歩いたと仮定すると、残り2kmを30分
ゆう子:30分で1.5km、あるいは2kmを40分
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
なお、小6のPA問題には挿絵をつけたが、これは、国語の読解力の影響をできるだけ小さくするためである。
パフォーマンス課題において具体性や真実味を高めようとすると、問題場面を説明するための語句が増え、どう
しても問題文が長くなる。そうすると、算数・数学学力調査問題なのに、国語の学力調査問題のような様相を呈
してしまう。問題文の内容ができるだけ直観的に理解できるよう挿絵は不可欠であると考えた。ちなみに、小3
や、中3.高3の問題は比較的、問題文が短く、問題文の内容自体は理解しやすいと思われたので、挿絵はつけ
なかった。
②ルーブリック
小6PAの採点において作成・使用したルーブリックを以下に示す(図表Ⅲ−6参照)。
5
0
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
図表Ⅲ−6ルーブリツク(小6)
概念的知識
手続き的知識
推論とストラテジー
コミュニケーション
観点の説明
問題が理解できている。
解法の手続きを正しく実行 数 学 的 に 筋 道 だ っ た 考 え 方 自分の考え方を数式、こと
できている。
をしている。
ば、図、絵を使ってきちん
と説明できている。
速さ・時間・距離の関係が 解を導くために必要な計算 二つの内包量(速さ)を正 速さをどう比較したかを数
正しく理解できている。
が正しくできている。
しく筋道立てて比較できて 式、ことば、図、絵を使っ
いる
。
てきちんと説明できてい
る
3
a)時間、距離に関する情報 a)解を導くために必要な計
が正しく取り出せている。
算が正しくできている(分
/b)時間、距離、速さを正 数・小数を含むかけ算・わ
しく関係づけられている。
り算の計算、単位換算な
ど
)
0
。
a)どんな量や比で比較する a)考え方(プロセスと答え)
か を 正 し く 選 択 で き て い が数式や言葉などを使って
る。/b)比較のしかたに一 きちんと書かれており、し
貫性と順序性がある。/c) か も 、 そ の 根 拠 が 十 分 に 説
手続きの結果を題意にてら 明されている。
して吟味できている。
a)時間、距離に関する情報 a)解を導くために必要な計 a)どんな量や比で比較する a)数式と答えはきちんと書
は 正 し く 取 り 出 せ て い る 算を行っているが、小さな か を 正 し く 選 択 で き て い る か れ て い る が 、 そ れ に つ い
が 、 そ れ ら の 関 係 づ け に 一 ミスがある。/b)解を導く が 、 比 較 の し か た に 一 貫 性 て の 説 明 が 不 十 分 で あ る
部誤りがある。/b)速さの た め に 必 要 な 計 算 で は な い や順序性が欠けていたり、
概 念 に 部 分 的 な 誤 り や 不 十 が、計算そのものは正しく 不十分さがみられる。/b)
分さがみられる。/c)時間、 行われている。/c)解を導 手 続 き の 結 果 を 題 意 に て ら
距離に関する情報に正しく くために必要な計算が部分 して吟味していない。
着 目 し て い る が 、 見 落 と し 的にしか行われていない。
や誤記がある。
2
か、誤っている。/b)考え
方の説明に部分的な欠落が
ある。/c)数学的言語の使
い方が不十分である。/d)
説明部分と下書き部分がき
ちんと区別されていない。
/e)説明が途中で終わって
いるが、書こうとした内容
が十分予想できる。
1
0
a)時間と距離に関する情報 a)解を導くために必要な計
に着目しているが、正しく 算を行っているが、重大な
取り出せていない/b)時間 計算ミスがある。/b)解を
と距離に関する情報は正し 導くために必要な計算では
く 取 り 出 せ て い る が 、 関 係 なく、計算そのものも誤っ
づ け が 行 わ れ て い な い 。 / ている。/c)計算はしてい
c)速さの概念に重大な誤り な い が 、 何 ら か の 数 学 的 操
がある。
作は行っている。/d)演算
が完全に間違っている。
a)時間と距離の一方にしか a)解法を示す数式や言葉が
着目できていない。/b)時 みられない。/b)数学的操
a)速さの比較が行われてい a)考え方の説明がない。/
ない。/b)空白
b)絵・図、数式などが書か
間あるいは距離の概念に重 作がまったく行われていな
れているが、まったく意味
大な誤りがある。/c)意味 い。/c)空白
をなしていない。/c)空白
a)どんな量や比で比較する a)説明が断片的で関連づけ
か を 正 し く 選 択 で き て い な られていない。/b)数式や
い
/b)比較の基準が不明 答 え が き ち ん と 書 か れ て い
である。/c)比較の基準が ない。/c)絵・図のみで言
複数書かれていて、その間 葉や数式での説明がない。
に矛盾や組酪がある。/d) /d)説明の重要部分が欠落
定 性 的 判 断 し か 行 っ て い な している。/e)結論がない。
いか、概算を誤って適用し
◎
ている。
のある情報がみられない。
/d)空白
(注)不要な記述でも、誤りを含まなければ減点の対象とはしない。
(JELS2003)
小6のPA問題は、解法がきわめて多様性に富むと考えられたので、ルーブリックを作成するにあたって、ま
ず、課題分析を行い、予想される解法をリストアップした(図表Ⅲ−5参照)。これは、ルーブリックの作成にと
ってだけでなく、解答の解釈や事例分析にとっても、きわめて有効であった。
小6PAのルーブリックについて注意すべき点を以下に列挙しておこう。
。「概念的知識」は問題の数学的構造が理解できていること、「手続き的知識」は問題を解くための手続きが実行
できていること、「推論とストラテジー」は解法を選んだり論理を組み立てたりするときの筋道が数学的にしっ
かりしていること、「コミュニケーション」は考え方を相手にわかるようにきちんと説明できていること、を意
味している。このように、「概念的知識」「手続き的知識」「推論とストラテジー」「コミュニケーション」とい
うのは、算数・数学という教科の特徴を反映した観点である。教科が変われば、観点も変わる。
・観点とスキル・レベル(0∼3)はどの課題にも共通だが、各セルの中の記述は今回のパフォーマンス課題にの
みあてはまるものである。だからこそ、課題別採点基準なのである。なお、「観点の説明」はルーブリックには
不要だが、わかりやすいように付け加えた。上の欄が各観点の一般的説明で、下の欄がこの課題に限定した説
明である。
・各観点は、原則的には独立している(つまり、採点の際に、ある観点の得点が他の観点の得点によって左右さ
5
1
JELS第9集(2007.2)
れることはない)。
・各セルの中の記述をすべて満たさなければならないということではない。一つ以上あてはまる記述があればよ
い。
.「0」は採点の対象になるようなことが書かれていないということで、必ずしも「記述がない」ということでは
ない。
・採点者間での不一致がいちばん生じやすいのは、「l」と「2」である。たとえば「概念的知識」では、「速さの
概念に重大な誤りがある」場合が1点、「速さの概念に部分的な誤りや不十分さがみられる」場合が2点となっ
ているが、誤りが重大であるか、部分的であるかは、採点者の判断にゆだねられる。どうしても主観が入らざ
るをえないが、見かたを変えれば、教師の「鑑識眼」(子どもの答案の価値を判断する眼)が発揮されるところ
でもある。
2)事例分析一解法と得点による分析
以下では、図表Ⅲ−6のルーブリックを用いて採点した結果を示し、質的・量的分析を進める。2)ではまず事
例分析を行う。
小3や中高のPA問題では答えの正誤が事例分析の際の重要な視点となっていた。それは、それらの問題が考
え方を説明するとともに答えを求めることを要求する問題だったからである。この場合、正答にたどり着いたか
どうかに解答の質がかなりのていど反映される。これに対し、小6のPA問題は、答えだけみれば、「あきお」「ゆ
う子」のどちらが速いかを問う二択(せいぜい「同じ」を含んだ三択)の問題であり、答えの正誤はあまり解答
の質と関連しない(後述の正誤と観点別得点の相関を参照)。
一方、解法についていえば、小6のPA問題は、小3や中高の問題よりもはるかに多様性に富んでいる。
以上から、小6PAの事例分析においては、解法と得点に着目して事例分析を行うことにした。分類すると次の
ようになる。
解法による分類
・純粋型:事前に予想された解法(図表Ⅲ−5参照)のいずれか1種類のみを用いたもの
・並記型:複数の解法が明確に区別された上で並記されているもの
・混在型:複数の解法が区別されないまま混在しているもの
・新型:事前に予想された解法の中には存在しなかったもの
・不適切な解法によるつまずき:不適切な解法をとっているためにつまずいているもの
得点による分類
・典型例:いずれの観点も高いもの(すべての観点が3,あるいは1つの観点のみ2で他はすべて3)
・不十分な例:いずれかの観点において難点があるもの
*「不適切な解法によるつまずき」はすべて「不十分な例」に属する
分析の結果を図表Ⅲ−7に示す。
5
2
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
図表Ⅲ−7小6PAの事例分析
(N=874)
解法
(a)典型例
(b)不十分な例
(i)純粋型
①
1
#2063131[3333]
①-2
#2063031[3333]
#2062272[1311]
②
#2063262[3333]
#2062051[1322]
③
1
#2111231[3333]
③
2
#2053262[3333]
④
2
#2083342[3332]
⑤
#2064192[1212]
(ii)並記型
①−2と定性的判断
#2162232[3333]
②と④-1
#2083121[3333]
(iii)混在型
①−1と②
#2083382[1311]
①-1、①−2と②
#2061292[1322]
(iv)新型
③の亜種(30分で比較)
#2083392[3333]
④−2の変種
#2083101[3332]
比
#2141031[3333]
(v)不適切な解法によるつまずき
時間と時刻の混同、距離と時間の混同
#2092232[0201]
距離と速さの混同
#2152071[0001]
行為者の意図と実際の速さの混同
#2043152[0001]
時間と距離のみ
#2092011[1001]
差にもとづく概算
#2162222[1111]
時刻と距離の比
#2152072[0201]
「一定」=「同じ」
#2053111[0001]
勝手にストーリーを作る
#2121242[0001]
意味のない操作
#2091221[0100]
(注)#は答案番号、[]内は各観点の得点を表わす。
(JELS2003)
図表Ⅲ−7にあげた事例については、巻末に答案の縮小コピー(原版はB4判)を収録したので、参照していた
だきたい。以下、#は事例の番号、[]内は左から概念的知識、手続き的知識、推論とストラテジー、コミュニ
ケーションの各観点の得点、()内は解法の番号を表している。
(i)純粋型
(a)典型例
#2063131(解法①-1)、#2063031(解法①-2)、#2063262(解法②)、#2111231(解法③−1)、#2053262(解法③-2)
[3333]、#2083342(解法④-2)[3332]
まず、純粋型についてみていこう。この6例はそれぞれの解法の典型例と呼べるものであり、#2083342を除い
てどの答案も、すべての観点で3点である。
#2083342は、最後の一文から、解法④−2をとっていることがわかるが、説明に不十分なところがあるので、「コ
ミュニケーション」のみ2点とした。
(b)不十分な例
以上の答案が、[3333]あるいは[3332]の高得点の答案であるのに対して、「不十分な例」の方はどれも、観
点のいずれかに難点がある。
5
3
JELS第9集(2007.2)
#2062272(解法①-2)[1311]
#2062272は、問題場面は理解できており、式とその計算結果も正しく書けている。にもかかわらず、「ゆう子
さんがレストハウスについた後の30分後にあきお君たちがついたので、ゆう子さんたちの方が速いのではないか
と思います」と、時間の違いのみに着目して、「ゆう子さんたちが速く歩いた」という間違った結論を導いている。
ここでは、正しい式と計算結果は、結論を導くのにまったく使われていない。おそらく、速さの求め方を形式と
しては習得しているものの、その意味が理解されていないためだろう。
「手続き的知識」は「必要な計算が正しくできている」ので3点だが、「概念的知識」は「速さの概念に重大な
誤りがある」ので1点、「推論とストラテジー」は「比較の基準が複数書かれていて、その間に矛盾や組鋸がある」
ので1点である。また、「コミュニケーション」は、一見きれいに書かれているが、「速さの比較に必要な決定的
部分が欠けている」ため1点とした。
#2062051(解法②)[1322]
#2062051の子どもは、解法②を使っており、式もその計算結果も正しいが、1kmを20分で歩いたゆう子の方
が18分で歩いたあきおより速い、と間違った判断をしている。逆内包量(単位距離あたりの時間)なので数値が
大きい方が遅くなるにもかかわらず、内包量(単位時間あたりの距離)と同様に数値が大きい方が速いと考えた
ために生じたつまずきであり、典型的な解法②の誤りである。
上の#2062272と同じく、「手続き的知識」は「必要な計算が正しくできている」ので3点、「概念的知識」は「速
さの概念に重大な誤りがある」ので1点である。ただし、この子どもの場合、計算結果の解釈は誤ってはいるも
のの、ストラテジーは一貫しており、速さの比較についても説明がなされていることから、「推論とストラテジー」
「コミュニケーション」はそれぞれ2点とした。
#2064192(解法⑤)[1212]
#2064192は解法⑤の不十分な例である。解法⑤は、問題文には「どちらのグループも休憩したりせず、一定の
速さで歩いていました」とあるにもかかわらず、あきおの速さを3km1時間までゆう子と同じ、つまり、あきお
の速さが、3kmまでと3km以降とで変わった、と仮定する。そうすると、あきおは残り2kmを30分で歩いたこ
とになるから、その速さを、ゆう子の速さ(3km1時間だから、2km40分、あるいは1.5km30分)と比べて、あ
きおの方が速いと結論するのである。解法⑤が正しく使われていると評価されるには、少なくとも、解答者が、
問題文とは異なる「仮定」をしていると自覚していることが、答案に表れていなければならない。
#2064192をみてみよう。この子どもは、けやきコース(あきお)を「3km+2km=5km1時間十30分=1時間
30分」とみて、さつきコース(ゆう子)の「3km=1時間」と比較している。そして、「2km=30分」というあき
おの速さでさつきコースを歩くとすると「45分でつくはず」として、「あきお君のグループが速くあるいた」と
結論している。ここには、問題文とは異なる「仮定」をしていると自覚していることを表す表現(たとえば「3km
まで同じ速さで歩いたとすると」のような)がまったくない。「2km=30分」が、あきおの5km全体を歩く速さ
と混同している可能性が高い。したがって、⑤が正しく適用されているとはいえないのである。
「概念的知識」は「速さの概念に重大な誤りがある」とみて1点、「手続き的知識」は「解を導くために必要な
計算が部分的にしか行われていない」ので2点、「推論とストラテジー」は「どんな量や比で比較するかを正しく
選択できていない」ので1点、「コミュニケーション」は「数式や答えはきちんとかかれているが、それについて
の説明が不十分である」ので2点とした。ただし、解法⑤の誤りの答案がしばしば、あきおとゆう子の距離と時
間の差をとって、2km30分をあきおの速さと即断しているのと比べると、この答案はもう少し慎重である。した
がって、「概念的知識」は「速さの概念に部分的な誤りや不十分さがみられる」として2点と評価することもでき
よう。
(ii)姉記型
Aエリアでは、「並記型」(複数の解法が区別された上で並記されているもの)と「混在型」(複数の解法が区別
されないまま混在しているもの)は区別せずに、複数の解法を使っているものを「混合型」としていたが、附属
5
4
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
の事例分析から、「混合型」を「並記型」と「混在型」に分けることにした。並記型は複数の解法の違いが子ども
の側で明確に意識されている分、高得点が多く、不十分な例はほとんどみられない。
(a)典型例
#2162232(解法①−2と定性的判断)[3333]
#2162232は、左側に分速(解法①-2)による解答を書いた上で、右側に3つの「考え方」を並記している。「2
つ目」が解法①−2で、「1つ目」は概算(後述の#2162222の分析参照)、「3つ目」は解法②である(解法②はプラ
ンを書いただけで、実行はしていない)。
したがって、並記はしているが、実際に結論を導く上で有効に機能しているのは解法①−2のみであり、純粋型
に近い並記型である。11時30分を11.3と書くという小さな誤りはあるものの、解答には影響を及ぼしていない
ので、すべての観点において3点とした。
#2083121(解法②と④-1)[3333]
#2083121は、「l」で解法②を、「2」で解法④-1(距離を最小公倍数15kmにそろえて時間で比べる)をとって
おり、典型的な並記型の解答である。どちらの解法とも式、言葉、図で説得力のある説明が行われている。した
がって、どの観点も3点である。
(iii)混在型
並記型は複数の解法が明確に区別されているので高得点になる場合がほとんどであるのに対し、混在型の方は
複数の解法が十分意識されていないために混乱し、不十分な例となる場合が多い。
(b)不十分な例
#2083382(解法①−1と②)[1311]
#2083382は、「あきお君のグループは時速18m」「ゆう子さんのグループは時速20m」と書いているが、「18」
「20」というのは、本来、時速ではなく、解法②で求められる逆内包量(単位距離あたりの時間:分/k、)のは
ずである。つまり、この子どもは、時速と逆内包量の区別ができておらず、したがって、逆内包量の場合も、時
速の場合と同様、数値が大きい方が速いと判断している。
「手続き的知識」は3点だが、「概念的知識」は「速さの概念に重大な誤りがある」ので1点、「推論とストラ
テジー」も「比較の基準が複数書かれていて、その間に矛盾や遡酷がある」ので1点、「コミュニケーション」も、
「時速18m」「時速20m」の根拠が書かれておらず「数式や答えがきちんと書かれていない」ので1点とした。
#2061292(解法①-1、①−2と②)[1312]
#2061292は、「1時間あたりの速さを調べればいいと思う」と時速(解法①-1)で比較する方針を示しながら、
実際には、解法②の式を立て、しかもその計算結果を「分速」として意味づけている。1時間を60分に直して速
さを求めたので、「分速」なのだろうか。このように、#2083382と類似の誤りをおかしているので得点も似てく
るが、#2061292の方は、間違いながらも、「分速20m」「分速18m」の根拠が書かれているので、「コミュニケー
ション」は2点とした。
(iv)新型
(a)典型例
新型は、事前に予想された解法の中にはない解法を用いているものである。Aエリア(100部抽出分)の中に
は新型の答案は存在しなかった。一方、附属では、かなりの割合で新型がみられた。今回のcエリアでは、附属
ほど目につかなかったが、いくつか新型の事例が認められた。
5
5
JELS第9集(2007.2)
#2083392(解法③の亜種)[3333]
#2083392は、30分間に進んだ距離で速さを比較している。計算式は書かれていないが、おそらく、3km÷2,
5km÷3と計算したのだろう。時間をそろえて距離で比べるという点で、解法③の亜種といえるが、30分で比較
している点がユニークである。
#2083101(解法④−2の変種)[3332]
#2083101は、解法②と同じく「1kmの時間をだして」いるが、解法②のように、「20」(分/k、)と「18」(分/k、)
から直接、速さを比較するのではなく、それを使って、あきお君が3km歩くのにかかる時間、ゆう子さんが5km
歩くのにかかる時間を算出し、ゆう子さんが3km歩くのにかかった時間、あきお君が5km歩くのにかかった時
間と比較している。したがって、④−2の変種といってよいだろう。よく考えられてはいるが、式に一部誤りがあ
り、説明も十分とはいえないので、「コミュニケーション」のみ2点とした。
#2141031(比)[3333]
時間と距離の比例関係を使っており、3つの中で最も新型らしい答案である。実は、「予想される解法」(図表
Ⅲ−5参照)をリストアップする際、比や比例による解法もいったんあげかけたが、この問題で小6が使いこな
すのは難しいだろうとみて、除外したという経緯がある。実際、Aエリア(100部抽出分)の中には比を使って
正答に至った答案はみられなかった。だが、この答案では比をうまく使いこなしている。「5は3の約1.6倍」だ
から、「時間も約1.6倍にする」と96分になるが、実際にあきお君グループがかかった時間は90分だから「6分
速い」という論法であり、言葉、式、絵図を使って説得力ある説明がなされている。よって、どの観点も3点と
した。
(v)不適切な解法によるつまずき
(i)∼(iv)では、解法と得点によって、事例分析を行ってきた。しかし、答案の中には、そもそも正答を導くの
につながらない不適切な解法をとっているものも存在した。以下では、そうした不適切な解法によるつまずき例
を取り上げ、その分析を行う。
#2092232(時間と時刻の混同、距離と時間の混同)[0201]
この答案には、多くのつまずきが絡み合って表れている。「時間÷長さで速さがでる」とする速さの概念の誤り、
ゆう子.あきおの所要時間を11時.11時30分とするく時間と時刻の混同>、11時÷3kmの答えを3.7kmとする
単位の誤り、30分を0.3時間とする単位換算の誤り、さらには、3.7kmを「1kmを37分であるいた」と解釈する
く距離と時間の混同>である。<時間と時刻の混同>はどのエリアでも予想以上に多くみられたが、<距離と時
間の混同>はまれである。
このような何重ものつまずきの背後に、何かこの子どもなりの概念やストラテジーがあるのだろうか。もしあ
るとすれば、時間に関連した数値と距離に関連した数値をわり算して出てくるのが速さだという誤概念、わり算
の立式は数値が大÷小になるようにするという誤ったストラテジー、といったものであるように思われる。形だ
けに着目し意味を考えないという点では一貫している。それでいて、割り切れないわり算の計算は正しく行われ
ている。
「解を導くために必要な計算ではないが、計算そのものは正しく行われている」ので「手続き的知識」は2点、
説明は一応行われているので「コミュニケーション」は1点だが、「概念的知識」と「推論とストラテジー」には
点数が与えられない。
#2152071(距離と速さの混同)[0001]
速さの概念は時間と距離の2量によって構成されているが、速さの概念形成が不十分な段階では、子どもは2
量のうちの一方にしか着目できない。それによって生じるつまずきが、<距離と速さの混同>やく距離と時間の
混同>である。前者の場合は「距離が短い方が速い」と判断し、後者の場合は「時間が短い方が速い」と判断す
5
6
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
る。cエリアで目立ったのは、前者のつまずきであった。
#2152071は、「考え①」で距離に、「考え②」で時間に着目しているが(ただし、時刻から時間を取り出しては
いない)、速さの比較は、距離のみを使って行っている。<距離と速さの混同>の典型的な例である。
得点は、自分なりの考え方を説明しているという点で、「コミュニケーション」のみ1点とした。「時間と距離
の一方にしか着目できていない」ので「概念的知識」は0点、速さを比較するための数学的操作がまったく行わ
れていないので、「手続き的知識」と「推論とストラテジー」も0点とした。「概念的知識」については、1時間
で3km、1時間30分で5kmという2組の2量が抽出できることが、最低1点を与えられる必要条件である。
#2043152(行為者の意図と実際の速さの混同)[0001]
同じく距離にしか着目していない場合でも、結論が、ふつうのく距離の速さの混同>とは逆に「あきお君の方
が速い」となる場合もある。事前には予想していなかったのだが、このような事例はどのエリアでもかなりの数
みられた。#2043152はその典型的な例である。
距離が長いとわかっていたので「またせないように」なるべく速く歩いたという説明に示されるように、行為
者の意図と実際の速さを混同し、実際の速さではなく行為者の意図によって速さを判断するのである。各観点の
得点およびその理由は、#2152071と同じである。
#2092011(時間と距離のみ)[lOO1]
#2092011は、1時間で3km、1時間30分で5kmという2組の2量は抽出できているが、そこで終わっている
事例である。
「時間と距離に関する情報は正しく取り出せて」いて、そこまでの説明はなされているので、「概念的知識」と
「「コミュニケーション」は1点を与えられるが、「(速さを求めるための)数学的操作がまったく行われていない」
「速さの比較が行われていない」ので「手続き的知識」」と「推論とストラテジー」は点数を与えられない。
#2162222(差にもとづく概算)[1111]
#2162222は、#2092011よりもう1ステップ進んで、2組の2量を抽出した後、速さを比較しようとしてはいる
が、時間と速さを関係づけて速さを求めることはできていない。この子どもが速さを比較するのに用いているの
は、2つのコースの距離の差、時間の差を求めて、それをもとに距離の差に比べて時間の差が小さいとする概算
である(ただし、なぜ小さいといえるのかは示されていない)。「比較せよ」といわれたときに、まず差をとると
いうのは多くの子どもが採りやすいストラテジーである。これに類する答案はかなりみられた(並記型の#2162232
もその一例)。
「時間と距離に関する情報は正しく取り出せているが、関係づけが行われていない」「[必要な]計算はしてい
ないが、何らかの数学的操作は行っている」「定'性的判断しか行っていないか、概算を誤って適用している」「数
式や答えがきちんと書かれていない」といった理由により、「概念的知識」「手続き的知識」「推論とストラテジー」
「コミュニケーション」はそれぞれ1点である。
#2152072(時刻と距離の比)[0201]
#2152072は、やや特殊なつまずきの例である。ここで採られている解法は、時刻と距離の比をとるという方法
である。したがって、このつまずきには、<時間と時刻の混同>も含まれていることがわかる。一見すると複雑
な式操作を行っているようだが、速さを比較することとはまったく関係がない。おそらく学校か塾で比を学んだ
後だったのだろうが、新しく得た知識が理解されないまま誤って適用されたつまずきと考えられる。
得点およびその理由は、#2092232と同じである。両者とも、概念理解が不十分なままに形式操作のみが習得さ
れた例といえる。
#2053111(「一定」=「同じ」)[0001]
#2053111は、「長さを見るとさつきが3kmでけやきが5kmだから同じスピードで歩いても絶対ゆう子さんの方
5
7
JELS第9集(2007.2)
が速いと思います」と書いている。「同じスピード」なのに「ゆう子さんの方が速い」というのは矛盾のように思
えるが、後者の「速い」は「早い」(早く着く)の意味だろう(絵の横に「同じきよりだったら…一定の速さで歩
けばどうじくらいにつくと思います」とある)。つまり、この子どもは、「一定の速さ」を「同じスピード」と誤
って解釈しているのである。
だとすれば、これは国語の読解力の問題なのだろうか。そうとはいえないだろう。問題文から数値を適切に取
り出し関係づけることができれば、「一定」=「同じ」でないことには気づいたはずだからである。答案の中に時
間に関する数値がまったく出てこないことから考えれば、2量のうち距離しかうまく操作できないという可能性
が高い。
なお、「一定」=「同じ」とする答案の中には、この問題をひっかけクイズとみて、「一定の速さだからどちら
も同じ速さ」と回答する事例もある。その場合は、テスト状況を誤読したか、あるいは意図的に読み替えたもの
と解釈される。
#2121242(勝手にストーリーを作る)[0001]
#2121242も、#2053111と同じように、「一定の速さ」を「同じペース」と誤って解釈している。しかし、#2053111
が、同じスピードだから距離が短い方が早く着くと正しく推論していたのに対し、#2121242は、「上り道」や「人
数」などといった要素を自分で付け加えて、<最初は同じペースだったが、あきおの方は「歩く速さがおくれた」>
と勝手にストーリーを作っている。この答案には、距離の違いへの言及がまったくなく、遅く着いた(=時間が
より多くかかった)のは速さが遅かったからと判断しているdそこで、「速さが遅い」と「同じペース」のつじつ
まを合わせるために、このようなストーリーを作ったのだろう。つまり、勝手なストーリーの背後には、<時間
と速さの混同>というつまずきが隠されていると考えられる.
#2091221(意味のない操作)[OlOO]
答案の一番上に「3km」「5km」TlO時」「11時」「30分」という5つの数値が書かれている。そして、その下に、
これらの数値を使った式が16こ並んでいる。が、どれ一つとして意味をなしているものはない。計算はどれも正
確である。というより、正確に計算できる式だけを書いたようにみえる。わり算の式は一つもない。この子ども
の中にはわり算の世界がまだ構築されていない可能性がある。したがって、わり算によって構成される速さとい
う概念が形成される前提ができていないといえる。
「演算が完全に間違っている」が計算は正しく行われているので、「手続き的知識」は1点としたが、他の観点
については得点が与えられない。
3)全体的な特徴
以上で事例分析を終えて、全体的な特徴の分析に移ろう。
①得点パターンの分布
小3PAの分析では、得点による型分けを行ってそこにみられる特徴をさぐったが、小6の方は、小3に比べて
解法が多様であるので、同一の得点パターンでもそこに共通の特徴を見出すのは容易ではない。とりあえず、小
3との比較のために、得点パターンごとの度数分布を、出現率3%以上のものだけ抽出して示すと、図表Ⅲ−8の
ようになる。
5
8
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
21
図表Ⅲ−8小6PAの得点パターンの分布
(N=874)
得点パターン人数
3332
1322
1211
1
1
1
1
1001
0001
8
1
8
1
4
2
5
9
●7
●3
●3
●6
●3
●0
●3
●
6
%
46
23
32
75
62
89
23
4
3
2
3333
0000
(注)出現率3%以上の得点パターンのみ抽出
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
最も多いのは[3333]で、全体の26.8%をしめる。次の[3332]の7.1%を加えると、全体の約1/3がほぼ満点
に近い解答であった。Aエリア(100部抽出分)では[3333]が25%、[3332]が8%、附属(N=123)ではそれ
ぞれ52.8%、9.8%だったので、ほぼAエリアとほぼ同じ割合であったことがわかる。
l観点のみ2点で他は3点という得点パターンのうち[3332]が最も多いというのはAエリアおよび附属でも
共通にみられた特徴であり、答えと考え方は正しくとも、それをきちんと相手にわかるように伝えるという点で
なお不十分さがみられることを物語っている。
一方、[3333]の次に多いのが[0001](10.5%)であるということにも注意を向ける必要がある。Aエリアで
は13%であったので、やや少ないとはいえほぼ同程度の出現率である。[0001]の答案というのは、事例分析で
みたように、一応説明は書いているものの、<時間と時刻の混同><距離と速さの混同><行為者の意図と実際
の速さの混同>など、基本的な概念形成でのつまずきを抱えている事例である。これらの子どもに対しては、個
別の丁寧な指導や生活全般での概念形成の援助が行われる必要があろう。
[1322]は、そのほとんどが、#2062051のような解法②の不十分な例である。また、[1111]は、#2162222の
ようなく差にもとづく概算>によるつまずきである。[1211]には、「概念的知識」「推論とストラテジー」「コミ
ュニケーション」にはつまずきがみられるが、計算そのものは正しく行われているために「手続き的知識」のみ
2点となる事例が多く含まれている。[1001]は、#209201lのように、1時間で3km、1時間30分で5kmという
2組の2量は取り出せているが、そこで終わっている事例である。
なお、[0000]が3.9%いるが、まったくの白紙はまれであり、取り組んだ形跡はあるものの「コミュニケーシ
ョン」で得点が与えられるような説明とはみなされなかった場合がほとんどである。小6PAの課題は、答えが「ゆ
う子」「あきお」「どちらも同じ」の3通りしか存在しないので、答えしか書かれていない場合は、正答であって
も[0000]とした。小3PAや中高PAの課題のように求答型の問題であれば、正答だけでも得点が与えられてしか
るべきだろう。
②観点別得点の分布
図表Ⅲ−9は、小6PAにおける観点別得点の度数分布を示したものである。
図表Ⅲ−9小6PAにおける観点別得点の度数分布
(N=874)
概念的知識
点点点点
3210
標準偏差
373
42.7
度 数 %
推論とストラテジー
度 数 %
コミュニケーション
度 数 %
402
46.0
351
40.2
26830.7
5
7
6.5
1
4
5
16.6
1
3
2
15.1
20623.6
264
30.2
1
2
8
14.6
198
22.7
35140.2
180
20.6
1
9
9
22.8
1
9
3
22.1
12
1
7
1●
1●
平均
度 数 %
手続き的知識
495.6
1.86
1.73
1.79
1.22
1.20
0.94
(JELS2003)
5
9
JELS第9集(2007.2)
最も3点の割合が多く平均点も高いのは「手続き的知識」である。Cエリアでは概念やストラテジーには難点
があっても計算は正しく行われている事例が目立った。「概念的知識」で2点が目立って少ないのは、速さが理解
されているかどうかがはっきり分かれやすい課題であったためだろう。
小3では、「コミュニケーション」の得点が最も平均が低く、散らばりも大きかったのに対し、小6では、「コ
ミユニケーシヨン」の得点は相対的に高く、かつ、散らばりが4観点の中で最も小さい。同様の傾向はAエリア
および附属でもみられた。
小3では、数式がなければ3点を与えられないにもかかわらず、絵・図のみで正答に至っている答案が比較的
多かったために、他の観点に比べて「コミュニケーション」の3点が少なかった。これに対して、小6では、言
葉で十分に説明がなされていれば、数式が書かれていなくても減点はせず、また、説明が間違っていても、その
子なりの考え方の説明が行われていれば最低1点を与えた。このように、小3と小6との「コミュニケーション」
の得点分布の違いは、学力の違いというよりもむしろ、課題の特徴やルーブリックの作り方の違いを含む複合的
要因によって生じていると考えられる。
③項目間の相関
さらに、観点別得点、合計点、正誤のそれぞれの間で相関を取ってみたところ、図表Ⅲ−10に示すように、い
ずれにおいても正の相関がみられた(p<、01)。
図表Ⅲ−10小6PAにおける観点別得点・合計点・正誤の間の相関
(N=874)
手続き的知識
概念的知識手続き的知識推論とストラテジーコミュニケーション
、
8
2
車
*
、
9
0
.
.
、
8
6
顛
。
コミュニケーション
.
7
8
*
.
.
7
7
*
*
、
8
3
車
掌
合計点
、
9
3
寧
寧
、
9
1
*
掌
、
9
5
*
*
、
9
1
噸
事
正誤
,
5
1
*
*
、
4
0
準
*
、
5
2
*
ゅ
,
5
4
*
*
推論とストラテジー
摩
索
p
<
、
0
1
合計点
、
5
4
*
.
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
この図表に示されるように、各観点の得点間の相関はきわめて高い。それに比べ、正誤と他の項目についての
相関は高くない。これは小3や中高とは異なる傾向であるが、小3や中高のPA問題が求答式の問題であったの
に対して、小6の場合は答えだけみれば「どちらが速いか」の選択式の問題であったことを考えると、むしろ当
然といえよう。なお、これでも、Aエリアと比べれば正誤と他の項目との相関はやや高めである(Aエリアでは
033∼0.38、附属では0.45∼0.58)。
④合計点
次に、合計点の分布をみてみよう。観点別得点の合計点を出すことが意味をもつためには、各観点の得点問に
正の相関がみられることが必要条件である。上記のように、各観点の得点間には高い正の相関がみられる。した
がって、合計点が意味をもつための必要条件は満たしているといえる。
図表Ⅲ−11は、小6PAの合計点の度数分布を示したものである(平均7.10、標準偏差4.27)
6
0
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
図表Ⅲ−11小6PAにおける合計点の度数分布
0
l
l
i
liii旅i稲「
1
1
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2
累積%
9
2
●5
●1
●1
●0
◆1
●1
●6
◆4
●5
●2
●2
●0
●
3
12
27
25
30
45
49
45
59
54
63
70
0
5
0
%
9
3
9
0
9
0
0
5
8
1
7
0
8
●1
●6
●5
●7
●5
●5
●4
●5
●4
●4
●9
●6
●
3
1
2
度
1
5
0
数
1
0
0
49
96
04
46
94
44
43
95
13
64
17
93
4
3
2
02
伽
蛮
(N=874)
Ol23456789旧皿、
合計点度数
合計点
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
平均
7.10
標準偏差
4.27
中央値
8
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
Aエリア(100部抽出分)では、平均6.63、標準偏差4.31、附属では、平均9.69、標準偏差3.54であった。C
エリアと同様に公立学校のみからなるAエリアと比べると、平均はAエリアよりやや高く、標準偏差はほぼ同じ
である。とはいえ、12点の234人(全体の26.8%)に次いで多いのは1点(コミュニケーションのみ1点で他は
0点)の99人(11.3%)であり、得点の二極分化の傾向は、CエリアにおいてもAエリアと同様にみられる。
だが、ここからただちに学力が二極分化していると結論するのは早計である。「観点別得点の分布」のところで
も述べたが、PAの場合、課題の特徴やルーブリックの作り方などが、得点の分布のしかたに影響を与えるからで
ある。とりわけ、JELSでは、PAの課題をl問にせざるをえなかったため、それらの影響が、直接得点に反映す
ることになった(反対に、小6Arは22間あるので、問題間の通過率の差異が相殺されて、山型カーブになって
いる)。
課題の特徴の影響について述べると、小6PAの課題は、速さの概念が理解できているかどうかが答案全体の質
に影響を与えやすい課題であったため、得点の二極分化が生じやすかったと考えられる。一方、中高PAの課題
は、2カ所で料金の高低が逆転する関数であるため、そのうち1カ所しか見つけられない生徒が多く、結果的に
中得点層が分厚くなっている(第Ⅳ章参照)。
このように、PAでは得点の解釈においていっそうの慎重さが求められる。
4)まとめ−小6PAにみられる学力の特徴
以上の分析をふまえて、小6PAの結果からみえてくるCエリアの小6の学力の特徴をまとめると、以下の点が
指摘できる。これらは、いずれもAエリアにも共通してみられた特徴である。
(a)解法は多様性に富んでいるが、適切な解法は、ほぼ予想された解法の範囲内におさまっている。学校で学
ぶ速さの求め方(内包量)をそのまま適用したものは決して多くなく、むしろ、逆内包量や、時間あるいは
距離のどちらかを一方をそろえて、速さを比較しているものが多い。
(b)複数の解法を用いている場合、並記型は少なく、混在型が多い。そのため、途中で混乱して、誤答にいた
っている場合が少なくない。速さの概念の理解・習得が不十分な状態にとどまっているためと考えられる。
(c)つまずきの中には、基本的な概念形成でのつまずきがかなり多く含まれている(時間と時刻の混同、距離
と速さの混同など)。また、それ以外にも、逆内包量における計算結果の解釈の誤り、差にもとづく概算な
ど、つまずきには一定のパターンが認められる。
(。)合計点をみると、高得点(11∼12点)がほぼl/3近くいる一方で、次に多いのは1点であり、得点の散ら
6
1
JELS第9集(2007.2)
ばりが大きく、二極分化の傾向がみられる。ただし、得点の二極分化がただちに学力の二極分化を意味する
わけではなく、慎重な解釈を要する。
C,小6におけるATとPAの関係
最後に、小6におけるATとPAの関係をみてみよう2)。
1)ATとPAの相関
まず、ATとPA(各観点別得点および合計)の相関係数を求めると、図表Ⅲ一12のようになる。【l】はすべて
計算問題という点で共通しているので、【l】の合計点とPAの得点との相関もとってみた。
図表Ⅲ−12小6におけるATとPAの相関
(N=867)
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(
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3
)
ATのすべての問題において、PAのすべての観点および合計との間に、1%水準で有意な正の相関がみられた。
PAの合計点との相関係数が最も高いのはArの合計点であり、0.55という中程度の相関がある。小3の場合と
異なり、【l】合計とPA合計との相関も0.47と決して低くない。
Arの小間ごとにPA合計との相関をみてみると、最も相関係数が高いのは【11】(商と余りの意味)、ついで【3】
(割合の文章題)、【l】(2)(小数の減法)である。小6PAの課題は、わり算を必要とする速さの問題であり、解
法によっては小数・分数の計算を要するものであったから、この結果は納得できる。ただ、そこからすると、【2】
(小数のわり算の意味(作間))とそれほど相関が強くなかったのは、やや意外な結果であった。いずれにしても、
小問ごとの相関係数の違いはさほど大きくない。
以上の結果をAエリア、附属の結果とつきあわせてみよう。PA合計とAT合計との相関係数は、Aエリアが
0.49、附属が0.37,Cエリアが0.55で(いずれも、p<、01)、附属に比べて、Aエリア.Cエリアがやや高い。PA
合計と計算問題である【l】合計との相関は、Aエリアが0.44、附属が0.19、Cエリアが0.47であった(附属はp
<、05、他の2エリアはp<、01)。ここでもAエリアとCエリアは類似の傾向を示している。附属の相関係数の低
さについては、【l】の通過率がいずれも80%台後半∼90%台前半と高かったことが関係していると考えられるが、
同程度に通過率が高い問題でも、計算問題でない問題においては弱い相関がみられたことからすれば、それだけ
では説明できない。
6
2
第Ⅲ章結果と分析Ⅱ−小6
なお、小間ごとにみると、どのエリアでも相関係数が相対的に高かった問題として【11】があげられる程度で、
あまり共通性はみられなかった。
2)AT内相関、およびATとPAの関係
次に、ATの小間間で相関係数を求めると、図表Ⅲ−l3のようになる。
一目してわかるとおり、ATのすべての小間とAT合計との間に1%水準で有意な正の相関がみられ、相関係数
も0.26∼0.57と弱い相関ないし中程度の相関を示している。図表Ⅱ−12でみたように、ATの各小間とPA合計と
の相関係数は0.11∼0.36であった。それと比べると、すべての小問においてAr合計との相関の方が強くなって
いることがわかる。この傾向は、Aエリア・附属でも共通してみられた。小6の場合も、小3の場合と同様、今
回のATとPAが質の異なる学力を測定していることを示しているのではないだろうか。
く注〉
l)『JELS第3集』61頁の図表Ⅳ−6−2には標準偏差22.3と記しているが、正しくは22.1であった。
2)Cエリアの小6Ar問題は、Aエリア・附属と【l】(7)(8)および【6】が異なるが、ATとPAの関係についていえば、これらの小間に
特に際だった特徴がみられたわけではないので、エリア間の比較検討をする上で支障はないと考えられる。
6
3
JELS第9集(2007.2)
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第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
A中3.高3AT
1)採点基準
中3・高3Ar問題については、採点基準を作成し、それにしたがって採点を行った(図表Ⅳ−1 参照)。正答と
準正答の両方を「正答」とみなした。
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6
5
JELS第9集(2007.2)
2)得点分布
ATの得点を正答数および得点率で表わすと、中3ATの得点分布は図表Ⅳ−2−1、高3ATの得点分布は図表Ⅳ
−2一2のようになる。中3.高3のAT問題は全部で22問であった。得点率とは、問題数にしめる正答数の割合
を百分率で示したものであり、百点満点換算した得点に等しい。なお、【5】(1)(2)、および【7】(1)∼(4)は全問正
答者の割合も調べたが、平均と標準偏差の算出においてはその結果は考慮せず、各小間についての正答をもとに
算出した。
︵ま︶御沖尚
2
086420
11
図表Ⅳ−2−1中3ATの得点分布
0102030405060708090100
得点率(%)
(JELS2003)
(N=968)
%01043885737335119341010
積 LL22a&&La839a29864L83Z0
累
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者
正
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激一m1849別沙茄、糾匁弱兇砂糾師師列的砺卿判邪
得
率05162738495051627384950
点04938271605049382716050
数
正
答0123456789ⅢⅢ、⑱叫咽胴Ⅳ岨⑲加創迦
平均
標準偏差
得点
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
6
6
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3.,高3
︵ま︶抑沖閏
2
086420
11
図表Ⅳ−2−2高3ATの得点分布
0102030405060708090100
得点率(%)
(JELS2003)
(N=1152)
得点率
0
.
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4
.
5
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0
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.
6
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餓一413469胞喧n羽咽堺弱釘砧Ⅷ兜舛川Ⅲ兜朋Ⅲ
数
正
答0123456789ⅢⅡuBM喧肥Ⅳ岨⑲別別迦
得点
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0
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1
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100.0
(
J
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2
0
0
3
)
①中3
最も多かったのは15問正答(得点率68.2%)の生徒で、全体の9.0%であり、14問以上正答(得点率63.6%以
上)の生徒が57.5%を占めている。平均得点率は633%で、得点分布はゆるやかなやや右に偏った山型のカーブ
を示している。ただ、問題が半分以下しか正答できていない生徒も23.7%存在する。その結果、標準偏差も21.9
とやや大きい。これまでの調査では、Aエリアが平均得点率63.9%、標準偏差22.0、附属が平均得点率84.8%、
標準偏差17.2であった。したがって、Cエリアの結果は、Aエリアとほぼ同じであるといえる。
ただし、得点の算出においてはすべての問題を配点1点として同列に扱っており、得点分布だけをみてもあま
り学力の質は明らかにならない。重要なのはむしろ、各問題の通過率である。
6
7
JELS第9集(2007.2)
②高3
最も多かったのは22問全問正答(得点率100%)の生徒で、全体の10.5%であり、14問以上正答(得点率63.6%
以上)の生徒が82.9%を占めている。問題が半分以下しか正答できていない生徒は13.3%であり、平均得点率は
72.9%、標準偏差は20.9であった。
これまでの調査では、Aエリアが平均得点率61.5%、標準偏差24.8、附属が平均得点率92.6%、標準偏差9.0
であった。附属との比較は別として、Aエリアと比べると、平均得点率は11.4ポイント高く、標準偏差もやや小
さい点が注目される。
③中3と高3の比較
同じ地域の中3と高3で、平均得点率は高3が9.6ポイント上回っている。また問題が半分以下しか正答でき
ていない生徒は、中3で23.7%いたが、高3では13.3%に減っている。調査問題が中学校のレベルであることを
考えると、当然であるようにも思われるが、Aエリアでは、平均得点率は高3が中3よりも2.4ポイント下回っ
ていた。両方のエリアの中学生の結果はほぼ同じであるのに、高校生の結果は明らかに異なっている。このよう
な違いが生まれるのは、当該エリアの中学校卒業者のうち同じエリアの公立学校に進学する層が、AエリアとC
エリアでは異なるためではないかと考えられる。
3)各問通過率
①中3
中3Arの各問題の通過率は、図表Ⅳ−3−1の通りである。
図表Ⅳ−3−1中3ATにおける各問通過率と反応率
5
8
0
.
’
○90.7
1
8
0
.
2
7
9
.
3
7
5
.
2
2
△42.5
3
△24.7
加的一鏑
6
9
.
1
6
1
.
0
4
6
3
.
1
8
0
.
8
7
7
.
5
5
1
0
.
5
7
7
0
.
9
6
4
.
5
.1
*
4
7
4
.
7
6
5
.
8
62.4
1
△34.4
2
△38.1
7.9
“|岨
8’9|Ⅲ
3
7
.
5
△36.6
1
1
0.9
u|川川川川M−ul刈一刑一伽川
1ワ今34一
6
0
.
4
6
1
.
6
似一いい旧い柵一M|帥一Ⅲ|川川
6
9
.
6
6
(N=968)
7|畑旧珊棚一MⅢ|仙伽|加川一Ⅲ皿
通過率
6|肌匁伽Ⅲ|的Ⅳ|旧加一州剛一川Ⅲ
問
小
大間
平 均 6 3 . 3
標準偏差17.7
(注)○・・.やさしかった問題
△…難しかった問題
*…平均・標準偏差の算出から除外
網かけ部分が「正答」(準正答−濃い網かけ部分一を含む)
6
8
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
中3Arの平均通過率は63.3%、標準偏差は17.7であった。したがって、定義に従えば、中3Arの場合、
やさしかった問題:通過率が81.0%以上のもの
難しかった問題:通過率が45.6%以下のもの
ということになる。ここでの「やさしい」「難しい」は、あくまでこの地域の中3の生徒にとって、および、 他 の
問題と比較して、という意味である。
やさしかった問題は、計算問題の【l】(2)である。一方、難しかった問題は、【3】割合、文字式、【10】’正多角
形の回転、【11】速さ(比)の文章題であった。これらについての分析は4)で行う。
②高3
霞謹警蕊簿
高3ATの各問題の通過率は、図表Ⅳ−3−2の通りである。
%肌肌別祇狼岨勉祇朋肌汎凪侃刈破祇蛾茄勉弧孔鬼
腿率朋○
○
○
○
△
△
○
△
△
△
△
図表Ⅳ−3−2高3ATにおける各問通過率と反応率
1.44.1
8.6
5.112.4
0.2
5.74.6
鰯
0.5
1.2
-
5.8
M|川口町加伽一皿一皿一邸一加川
2.92.1
(N=1152)
7|M叩鰯皿一妬妬一叫川一伽川一いい
4.3
︾府︾︾三︾
2
1.2−
1.16.1
知一M|伽
11
11灘灘繍
M|いい似Ⅲ川一似一肌一川一伽加
4,
*
ー
8’9|Ⅲ
1
2
1
.
1
6|側u別別一叩川一佃茄一川側一MN
7
1ワ﹄34.ヘ
6
0.30.2
羽側一妬
5
4|”
3
5
加刈一柵
2
105800078360184040632706
1
3|佃
問
小
大間
亜認溌.倉些一m
平 均 7 2 . 9
標準偏差13.4
(注)○…やさしかった問題
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
△…難しかった問題
*…平均・標準偏差の算出から除外
網かけ部分が「正答」(準正答一濃い網かけ部分一を含む)
高3ATの平均通過率は72.9%、標準偏差は13.4であった。したがって、定義に従えば、高3ATの場合、
やさしかった問題:通過率が86.3%以上のもの
難しかった問題:通過率が59.5%以下のもの
ということになる。ここでの「やさしい」「難しい」は、あくまでこの地域の高3の生徒にとって、他の問
他の問題と比
較して、という意味である。
や
さしかった問題は計算問題【l】、【5】1次関数のグラフへの表現の(1)である。一方、難しかった問題1W
やごしかった問題は計算問題Ill、【5】1次関数のグラフへの表現の(1)である。一方、難しかった問題は、【3】
割合の(2)、【7】確率の概念、【10】正多角形の回転、【11】速さ(比)の文章題であった。これらについての分析
6
9
JELS第9集(2007.2)
Iま4)で行う。
③中3と高3の比較
中3と高3の比較のために、各問の通過率の差(高3の通過率一中3の通過率)を、図表Ⅳ−3−3に示してお
く
。
図表Ⅳ−3−3中高の各問通過率の比較
(高3−中3)
0335
8588
小間差(%)
1234
大間
1
1
0
.
8
2
6
.
9
2
1
16.6
2
25.0
3
1
11.9
2
10.1
4
85
5
●8
●
5●6
1
2
5
1,2*
3.4
*
−
4
81
0
3
1
●5
●0
●6
●
4●3
7
1う﹄34,へ
6
1
0
.
5
9.8
1
9
.
2
1
0
1
1
1
1
6
.
6
2
1
4
.
5
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
上の図表に示されるように、22問すべてにおいて、中3より高3の方が通過率が高くなっている。これは当然
のように思われるかもしれないが、Aエリアでは、中3より高3の方が高いのは22問中10間にすぎなかったこ
とと比べれば、対照的な結果である。
中3の通過率に対して高3の通過率が特に高い問題は、【3】割合、文字式((1)が16.6ポイント、(2)が25.0ポ
イント)、【10】多角形の回転(19.2ポイント)、【11】速さ(比)の文章題((1)が16.6ポイント、(2)が14.5ポイ
ント)である。これについてもあわせて4)で分析を行う。
ここで、得点率の標準偏差と各問通過率の標準偏差について、中3と高3を比較しておこう。得点率の標準偏
差は21.9から20.9へ、各問通過率の標準偏差は17.7から13.4へ、それぞれ減少している。つまり、生徒間のば
らつきも、問題間のばらつきも高3の方が小さくなっている。なお、Aエリアでは、生徒間のばらつきは高3の
方が大きく(得点率の標準偏差は22.0から24.8へと増加)、問題間のばらつきは中3の方が大きい(各問通過率
の標準偏差は17.9から14.9へと減少)という結果だった。当該エリアの中学校卒業者のうち同じエリアの公立
学校に進学する層が、CエリアよりAエリアの方が広範囲にわたる(特に低得点層が多い)ためではないかと考
えられるが、質問紙調査や進学状況などとあわせてさらに検討する必要がある。
7
0
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
4)個々の問題についての分析
【1】つぎの計算をしなさい。
この問題は4個の小間から構成されており、分野は「数と式」、回答形式は「求答」である。計算式・文字式と
いう数学的に表現された形式を正しい手続きにしたがって運用できるかどうかをみる問題であるから、認知カテ
ゴリーは「形式の運用」である。
(1)9+(+4)×(−5)
これは四則混合計算であり、乗除先行の規則の理解・乗法の符号の決定・加法の計算方法の理解が定着してい
るかどうかも問われる問題である。
この問題の通過率は、中3で80.1%、高3で88.1%であった。この問題は1990年の国研による学力調査問題
と同一であり、その通過率は84.5%であった。
ちなみに、Aエリアでのこの問題の通過率は、中3で89.0%、高3で81.3%であり、高3の通過率が中3より
低下していた。それは、高校でこのような基本的な計算を行う場面が少なくなる結果、計算の感覚が鈍りついう
っかりミスしてしまったという問題であるようにとらえてきたが、cエリアではそのような逆転傾向はみられな
い。
(2)6a一a
これは文字式の同類項をまとめる問題であり、aの係数がlであること、6a-a=6a-la=(6−1)a=5aとい
う手順で同類項をまとめることの理解が定着しているかを問う問題である。この問題は6a−2aなどに比べてつま
ずきやすい。文字式の理解が不十分な生徒は、6aからaを「除去」して6になると「錯覚」しやすい問題だから
である。今回の調査ではそのようにつまずく生徒がどの程度いるかをみるために出題した。
この問題の通過率は中3で90.7%、高3で96%であった(Aエリアはそれぞれ93.5%、90.5%)。予想した6
という誤答は中3で2.8%、高3で2.0%であった。このことから6aは6×aであることや文字式の減法の基本に
ついては、ほとんどの生徒が理解できているとみてよい。
(3)x−3y−(x+4y)
これは2元l次式の減法の問題であり、符号に注意して()をはずし、同類項をまとめることの理解の定着
をみる問題である。
この問題の通過率は中3で80.2%、高3で88.5%であった(Aエリアではそれぞれ84.8%、77.8%)。()を
はずす際に符号を間違えてyとした生徒は中3で2.3%、高3で1.4%であった。80%以上の生徒は、このような
一次式の計算が理解できているとみてよい。
(
4
)
ヘ
/ず
十
,
J
T
豆
これは平方根の加法の問題であり、根号の中の数を小さい数にするように変形することと平方根の加法の理解
の定着をみる問題である。
この問題の通過率は中3で79.3%、高3で87.8%であった(Aエリアではそれぞれ84.0%、64.5%)。Aエリア
調査では、中3よりも高3が通過率で19.5ポイントも低下しており、高校で「の基本的な理解や計算方法まで剥
落してしまう生徒が多いという事実が明らかになっているが、cエリアではそのような傾向はみられない。
なお、この問題は2001年の中3の教育課程実施状況調査での問題と同一であり、その通過率は78.7%であっ
た
。
【2】次の方程式を解きなさい。
この問題は2個の小問から構成されているが、いずれも方程式に関する問題であり、分野は「数と式」、回答形
式は「求答」である。方程式という数学的に表現された形式を正しい手続きに従って運用し、正答を得ることが
できるかどうかをみる問題であるから、認知カテゴリーは「形式の運用」である。
7
1
JELS第9集(2007.2)
(1)2x−5=4x−2
これは1元1次方程式の問題であり、移項し、同類項をまとめ、xの係数で両辺を割る、という手順で解くこ
とのできる標準的な問題である。ただ、−2x=3からxを求める段階で、等式の性質を利用することの理解や分
数の理解が不十分であると混乱する生徒が出てくる。その点での誤答がどの程度あるかも調べることを意図して
出題した。
この問題の通過率は中3で75.2%、高3で86.0%であった(Aエリアではそれぞれ77.6%、71.6%)。−2x=3
からxを求める段階で、分母分子を逆にした生徒は、中3で3.2%、高3で2.0%だった。また符号ミスをした生
徒は、中3で6.3%、高3で3.7%であった。
②{鯛ご
これは加減法で解くことのできる2元1次連立方程式の標準的な問題で、解も整数である。
この問題の通過率は中3で75.2%、高3で86.0%であった(Aエリアではそれぞれ75.1%、60.7%)。これは1964
年の文部省学力調査、および'990年に国研が実施した学力調査(CおよびD)での問題と同一であり、そこでの
通過率はそれぞれ順に、53.4%、76.0%、79.4%であった。
なお、Aエリア調査結果では、高3の通過率が15ポイントも低下していたが、Cエリアでは高3が10.8ポイ
ント高くなっている。
【3】バーゲンセールでの定価の3割引きのものを買いました。レジで消費税5%ぶんが加算されました。そこで、けい子さ
んは疑問がわきました。「定価の3割引きで買って、それに消費税5%ぶんが加算されるのと、まず定価に消費税5%
ぶんを加算しておいて、その全体の代金を3割引きしてもらうのとでは、どちらが安いだろうか?」
(1)あなたはどう思いますか。アーオの中から正しいものを1つ選びなさい。
ア.定価の3割引きで買って、それに消費税5%ぶんが加算される方が安い。
イ.定価によって変わる。
ウ.まず定価に消費税5%ぶんを加算しておいて、その全体の代金を3割引きしてもらう方が安い。
エ.値引きされる金額によって変わる。
オ.どちらも同じである。
(2)そう考えた理由を、式を使って説明しなさい。
この問題の分野は「数と式」と「数量関係」であり、回答形式は(1)が「選択」、(2)が「考え」である。この問
題の(l)は数学を用いて2つの量の大小を判断する問題であるから、認知カテゴリーは「検証・判断」であり、(2)
はそれを数学的に定式化して説明する問題であるから、認知カテゴリーは「形式への表現」である。
この問題の(1)の通過率は中3で42.5%、高3で59.0%であり、(2)の通過率は中3で24.7%、高3で49.7%であ
った(Aエリアでは、(1)が40.9%と43.3%、(2)が26.1%と32.2%)。高3の通過率が中3を大きく上回っている。
特に(2)はプラス25.0ポイントであり、最も大きい差である。
この問題は日常生活の中で出会う代金の割引や割り増しの問題を数学的に考察し処理する力をみるために、今
回新たに作成された。この問題を考えるには「ある金額の3割引きとは、元の金額の7割、すなわち元の金額に
0.7をかけた金額を意味すること。また元の金額の5%増しとは、元の金額に1.05をかけた金額となることを意
味する」ということの理解が前提となる。
この問題が難しいのは、2種の割合が介在すること、しかも一方は割引、他方は割り増しであることから直感
的な判断が下しにくいからである。この問題に正しく答えるには「定価の3割引きの5%増しとは、定価に0.7
をかけた代金にさらに1.05をかけることを意味し、また定価の5%増しの3割引きとは、定価に1.05をかけてか
らさらに0.7をかけることを意味する」という理解が不可欠である。そして乗法の交換法則からこの2つの結果
は常に等しくなることに気付くことで解決される。
しかし、この問題はしばしば大人でも戸惑う。それは、代金を「定価一割引き額十その消費税額」、あるいは「定
価十消費税額一その割引き額」とみて、金額の大小を比較しようとするからであろう。最初に割引すると割引額
7
2
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
は少ないがそのあとの消費税額も少なく、反対に最初に税金を加えると税額は多いがその後の割引額も多くなり
判断に迷うのである。
それに対して、前述したように割合の見方を的確に用いることができるかをみる問題が(1)である。(1)について
は中3では正答のオが42.5%、それに次ぐウが29.4%、アは14.5%であった。高3では正答が59.0%、ウは21.1%、
アは10.6%であった。なお無答は中3で4.0%、高3で2.4%であった。
ウを選んだ生徒は、最初に税金を加えて総額を大きくしたほうが割引額も多くなるから結果として安くなると
直感したのであろう。またアを選んだ生徒は、逆に最初に割り引いた方が得だと判断したのであろう。どちらに
しても、定価と代金の関係を直感的に判断して選んだと思われる。確かにこの問題はそのような誤解を生みやす
い問題であり、最初にそう直感したことは無理からぬことである。
そのことを一般的に説明するためには文字を用いればよいことに気づき、式で説明する力をみるのが(2)のねら
いである。ただ、文字を用いなくても、上記のような乗法の交換法則をもとに説明できればよい。このように日
常生活の問題を数学的に判断する力、それを簡潔な数学的形式で説明する力をみるために、(2)で、考えを記述さ
せることにした。
(2)で文字を用いて正しく説明できた生徒は中3で10.8%、高3では16.8%であった。言葉で説明した生徒が中
3で0.8%、高3で0.7%いて、この両方を正答とした。また正答のオをある具体例で説明した生徒が中3で13.0%、
高3で32.3%おり、これは準正答とした。通過率は準正答も含めて計算している。またアイウエを選択した生徒
で等しくないことの説明を試みた生徒が中3では1.9%、高3では17.9%いた。残りの生徒は、そのほかの誤答
(中3…27.0%、高3…3.6%)と無答(中3…46.5%、高3…28.8%)であった。何らかの説明を試みた生徒が中3
の3割弱、高3でも7割しかいなかったことは問題であろう。
確かにこの問題は割合という生徒にとって苦手な概念を含む。しかし、3割引きや5%の消費税の計算は生徒も
日常生活で行っていることであり、多くの生徒はその個別の計算はできるはずである。問題はそれを組み合わせ
ることである。そのためには定価を決めなければならない。そこで一般的に考えるためには文字を用いねばなら
ないが、さしあたって1000円などの簡単な場合で考えて見当をつけることもできる。そして税加算を先に行う場
合と割引を先に行う場合でそれぞれ計算して比較することを実際に行ってみればよいのである。
このような複雑な問題に直面したときには、最初から数学的形式でとらえることができなくても、手探りで具
体例からはじめ、試行錯誤しながら量の間の数学的構造を探っていくことが事象を数理的にとらえるための第一
歩なのである。この問題では、1つの具体例で計算してみるだけで、結局定価に0.7と1.05をかけることであり、
その結果は計算順によらないことが容易にみえてくる。そこからすぐに文字を用いた説明に移行することができ
る
。
中学・高校の数学教育を通じて、事象を数理的に考察する力を養うことが大きな目標とされているが、このよ
うな身近な問題を数理的に考える力も十分育まれていないことをこの結果は示している。このような具体的でし
かも定型化されていない問題を授業の中で扱い、試行錯誤しながら生徒が考えていく過程を重視する必要がある
のではないだろうか。
【4】2つの箱に合計54kgのリンゴが入っています。2つめの箱に入っているリンゴは、最初の箱よりも12kg多いです。箱
にはそれぞれ、リンゴが何kg入っていますか。
(1)問題を解くために、あなたが作った式を書きなさい。
(2)答えを求めなさい。
この問題の分野は「数と式」、回答形式(1)が「考え方」、(2)が「求答」である。(1)は文章から題意を読み取り、
数学的な式に定式化する問題であるから、認知カテゴリーは「形式への表現」である。正しい定式化を行うため
には「知識・概念」の認知カテゴリーも関連しているが、ここでは「形式への表現」を主と考えた。(2)はその式
を処理してもとの場面での解を求める問題であるから、認知カテゴリーは「形式の運用」である。
(l)は文章から重さの関係をとらえ、算数の式、一次方程式、連立方程式などに表す力をみる問題である。文字
を用いて方程式を立式することに限定せず、逆算による算数の考え方も正解に含める。(2)はそれを形式的に解く
力をみる問題である。
7
3
JELS第9集(2007.2)
(1)の通過率は中3で61.0%、高3で72.8%であり、(2)の通過率は中3で63.1%、高3で73.3%であった(Aエ
リアでは、(1)が63.6%と59.7%、(2)が61.9%と63.3%)。(1)の定式化では、連立方程式(中3…17.9%、高3…13.4%)、
一次方程式(中3…35.7%、高3…38.8%)、算数の式(中3…7.2%、高3…20.1%)、そのほかの正解の式(中3
…0.1%、高3…0.5%)というように様々な考えが出された。ここでは中学生よりも高校生の方が様々な式で個性
的に考える傾向があることに注目したい。
【5】人間が作ったあるガスは大気中に放出されると、分解することなく、大気中にたまっていきます。最近の10年間につ
いて、このガスが使われて大気中に放出された量は毎年ほぼ同じだったことがわかっています。
(1)毎年放出されるガスの量の変化を表すグラフの形はどうなりますか。下のアーオの中から1つ選びなさい。
iEE日三巴
(2)大気中に蓄積されたガスの量の変化を表すグラフの形はどうなりますか。下のアーオの中から1つ選びなさい。
§巨巨E日匡
この問題の分野は、「数量関係」、回答形式は「選択」である。また、文章を読み、量の変化を表すグラフを選
択する問題であり、その思考過程では、量の変化のグラフを自分で構成することと、グラフをみてそこから変化
の様子を読み取ることがともになされと考えられるので、認知カテゴリーは「形式への表現」と「形式の解釈」
とした。
この問題は、現実の変化の文脈の中で、量の変化とグラフの関係を理解する力や、放出量と蓄積量という二つ
の関連する量の関係を正しくとらえる力をみる目的でこの調査のために新たに作られた。この問題を考えるうえ
で重要な点は次の3点である。
・大気中に放出されるガスの量が毎年一定であるということから、そのグラフはx軸に水平な直線である。
・放出されたガスが分解することなくたまっていく、ということは、大気中のガスの量は毎年一定量ずつ増え
ていくことを意味している。
・毎年一定量ずつ増えると、グラフは右上がりの直線になる。
(1)の通過率は中3で80.8%、高3で86.6%であり、(2)の通過率は中3で77.5%、高3で84.0%であった(Aエ
リアでは、(1)が79.1%と80.0%、(2)が75.5%と73.5%)。また(1)(2)両方とも正解だった生徒は、中3で69.6%、
高3で78.1%であった(Aエリアでは65.8%と67.7%)。この結果から、現実の変化の文脈の中で、量の変化とグ
ラフの関係や、放出量と蓄積量という2つの関連する量の関係が、8割近い生徒に一応理解されていることが明
らかになった。
一応としたのは、(1)(2)と順次考えたことで、(1)が(2)のヒントのようになってしまったからである。(2)だけ提
示すれば結果は変わったかもしれない。
この放出量と蓄積量の関係は、一般にはフローとストックの関係として様々な場面で出てくる。数学教育の中
で重視したい概念の一つである。
7
4
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
【6】あるクラスの人数は女子19人、男子20人です。数学のテストで、クラスの女子の平均点はx点、男子の平均点はy
点でした。このクラス全体の平均点を表す式をアーオの中から1つ選びなさい。
ア . イ . ウ . エ . オ .
x ザ x
−
t
y
20
x+
19
yl9x+20
2 3 9 3 9 3 9
y
x
−
t
y
この問題の分野は「数量関係」であり、回答形式は「選択」である。ここでは、文章中の数量の関係を式とい
う数学的な形式に表現できるかどうかが問われているのであるから、認知カテゴリーは「形式への表現」である。
この問題は平均の意味の理解と式表現の力をみる問題である。これは「重みづけ平均」の問題ともいえるが、
クラス全員の合計がわかればよいこと、そのためには男子と女子のそれぞれの合計がわかればよいことに気づけ
ば、平均の基本的理解だけで十分解ける問題である。
この問題の通過率は中3で60.4%、高3で63.8%である(Aエリアではそれぞれ57.9%、52.2%)。誤答ではあ
るが考え方自体は正しく、数字のあてはめミスをしたと思われるイが中3で9.3%、高3で5.1%あった。なお誤
答では、ウを選択した生徒が中3で15.6%、高3で12.4%、アを選択した生徒が中3で123%、高3で16.9%と
やや異なる傾向を示している。ともに、平均を求めるにはクラス全員の合計を求めなければならないことを理解
していないという点は共通であるが、アは平均の平均を求めておりまだ意味がある.しかしウは全く意味がない
式であり、平均の概念自体や文字を用いたその表現について基本的な理解がなされていないと考えられる。
【7】それぞれの目が出る確率がみな等しく÷であるさいころがあります。このさいころを振るとき、どんなことが言えます
か。正しいものに○、正しくないものに×をつけなさい。
(1)このさいころを6回振ると、必ず1の目が出る。
(2)このさいころを5回振って1の目が1回も出なかったときは、つぎに必ず1の目がでる。
(3)このさいころを7回振っても、1回も1の目が出ないことがある。
(4)このさいころを3000回振ると、どの目もだいたい500回くらい出る。
この問題の分野は「数量関係」であり、回答形式は「選択」である。これは確率の概念を正しく理解している
か否かを調べる問題であり、認知カテゴリーは「知識・概念」である。
確率は現行の学習指導要領では、中学校2年生の学習内容である。そこでは確率pとは、実験を多数回くり返
すときそのことがらが起こる割合がpに近づくという意味を持つことを学ぶ。しかしその後は場合の数を用いた
確率の計算が中心となっている。そこで、正しい確率概念がどの程度定着しているかをみることがこの問題の出
題意図である。
なお、この4問すべてに正しく答えられていなければ確率の概念が理解されているとは言いがたい。この問題
の(1)の通過率は中3で61.6%、高3で66.4%、(2)の通過率は中3で70.9%、高3で74.0%、(3)の通過率は中3
で64.5%、高3で69.4%、(4)の通過率は中3で74.7%、高3で75.0%であった。また、(1)∼(4)すべてに正解だ
った生徒は、中3で37.5%、高3で43.6%であった(Aエリアではそれぞれ36.7%、35.8%)。
このことから確率の概念をしっかり理解している生徒は中高生の4割程度であることがわかる。4項目の1つ
でも誤るということは、確率の理解が暖昧だと考えられるからである。
7
5
JELS第9集(2007.2)
【8】下のグラフは、電車P、Qの運行のようすを表したものです。このグラフを見て、アーオの中から、正しくないものを1
つ選びなさい。
80km
|︲︲ ︲ l ︲ ︲
C駅120km
、
雲
》
S
/
/
鐸
《
/
、
B駅40km
/
A駅0km
篭
P
〆
/
、
、
8 時 9 時
0102030405001020分
ア.PとQはB駅とC駅の間で出会った。
イ.PとQはB駅で約5分間停車した。
ウ.Pの速度はQの速度よりも遅い。
エ.PがA駅に着く時刻と、QがC駅に着く時刻は同じではない。
オ.QはA駅を出発してから80分後にC駅に到着した。
この問題の分野は「数量関係」であり、回答形式は「選択」である。これはグラフという数学的に表現された
形式を正しく解釈できるかどうかが問われていることから、認知カテゴリーは「形式の解釈」である。
この問題は、列車の運行を等速運動とみなし、それを一次関数のグラフで表した時に、その傾きや交点の意味
などが正しく解釈できるかどうかをみるために出題した。
この問題の通過率は中3で65.8%、高3で763%である。このような一次関数のグラフの読み取りは3分の2
以上の生徒はできると思われる。なおAエリア調査では、全体的に高3が中3よりも通過率が低かったなかで、
この問題については、中3が62.9%、高3が70.1%であり、高3の方が高かった。このような現実事象をみる力
は生活経験の深まりとともに育っていくように思われる。
【9】ある円の半径を2倍にして、新しい円を作りました。新しい円の面積は、はじめの円の面積の何倍ですか。
この問題の分野は、主として「数量関係」であるが、円の面積に関係していることから「図形」の分野にも関
連している。回答形式は「求答」である。また、単なる円の面積公式の理解だけではなく、新しく作った円の面
積を半径とのかかわりで推論しなければならない問題であるから、認知カテゴリーは「推論」である。
これは円の面積と半径との関係を問う問題であり、数学的には、相似形の面積比は相似比の2乗に比例するこ
との特殊な場合である。相似形の面積比の一般的な理解は、現行の学習指導要領では、高校1年生の学習内容で
ある。
しかし、ここでの出題意図は、円の面積の式から半径との関係を推論する力をみることである。半径rの円の
面積をSとすると、S=冗r2で表されること、y=ax2で表される関数の性質として、xが2倍・3倍…になればy
は4倍・9倍…になること、すなわちyはxの2乗に比例すること、その2つの知識を組み合わせて円の面積は
半径の2乗に比例することに気づけば、正しく推論することができる。
また、この問題は文字式の問題として捉えることもできる。その場合は、「S=冗r2で、rの代わりに2rを代入す
るとS=4冗r2となるからもとの値の4倍になる」、というように、代入、式変形、式の読みなどの力があれば正し
く推論できる。
この問題でのつまずきは、円の面積が半径に比例すると錯覚する点にある。上述したような関数の概念や文字
式を用いた推論が出来なくても、1つの例で実際に計算してみれば、比例しないということはすぐに気づくはず
である。この問題は、そのような錯覚に陥る生徒がどのくらいいるかをみるためにも出題された。
中3の通過率は62.4%、高3で72.2%である(Aエリアではそれぞれ60.4%、54.4%)。なおこれを比例と考え
て2倍とした誤答は、中3で25.8%、高3で15.9%である。
なお、いくつかの例から帰納的に考えることや、(円の面積)=(半径)×(半径)×(円周率)という式で半
径が2回かけ合わされていることから、半径が2倍になると面積は4倍になるという推論は小学生でも可能であ
7
6
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
る。その推論がどの程度できるかをみるために、この問題は小学校6年生対象の学力調査にも出題された。そこ
での通過率は36.4%であった。
【10】5つの正多角形を、それぞれ点Oを中心にして、時計まわりに90度回転するとき、もとの図形に重なる正多角形を
すべて答えなさい。
ア
イ
ウ
空
エ
オ
画
この問題の分野は「図形」、回答形式は「選択」である。ここでは、図形の回転に関する知識・概念が必要とさ
れるとともに、回転によって図形が変化していく様子を推論できるかどうかが問われているから、認知カテゴリ
ーは「知識・概念」および「推論」である。
これは正多角形の回転に関する問題である。現行の学習指導要領では、回転移動などは削除され、線対称・点
対称が学習内容となった。したがって、180度回転については点対称として学習するが、一般の回転移動は中学
校1年生の学習内容となっていない。ここでは、180度回転は学習済みであることから、90度回転の場合ではど
の程度推論できるかをみるために出題した。なお、この問題は1965年の文部省学力調査での問題と同一であり、
そこでの通過率は29.9%であった。
通過率は中3で36.6%、高3で55.7%である(Aエリアではそれぞれ39.7%、48.9%)。
この問題では、正しいイ・オを選びながら、それ以外のものも加えてしまった生徒が、中3では41.2%、高3
では29.3%いた。おそらく一つ一つ回転させながら重なるかどうかを考えたのだと思われるが、中心にできる角
に注目すればよいという考え方に到達できなかった生徒であろう。
なお、この問題は高3の通過率が中3を19.1ポイント上回っている。その理由として、紙に書かれた図形を頭
の中で回転し重ね合わせるという抽象的思考は成長に伴って伸びていくことが考えられる。また数学の指導との
関係では、中学では回転を量的に扱う場面はなくこのような問題を数学化する手立てが教えられていないこと、
三角関数などの高校数学を学ぶ中で回転を中心角でとらえる視点が獲得されていくことなどが考えられる。この
問題も、現実の「もの」を回転することを想定すれば現実事象の問題となり、【3】【8】と同様、定型化されてい
ない現実事象の問題を考える力は高校生のほうが優れていることを示している。
【11】一郎君は自動車でA市からB市まで行こうとしています。A市とB市は長さ60kmの高速道路で結ばれています。
一郎君はこれを使って40分でB市に着くつもりでした。ところが、高速道路は渋滞していて、30分かかっても途中のC
じゅうたい
町までしか行けませんでした。A市からC町までは24kmです。
このまま渋滞が続くとすれば、B市に着くのは、予定より何分おくれることになりますか。式と計算も解答らんに書きなさ
い。
この問題の分野は「数量関係」と「数と式」、回答形式は「求答」と「考え」である。文章から量の関係を理解
し、式で表現し、それを計算して解を求める問題であるから、認知カテゴリーは「形式への表現」と「形式の運
用」である。
この問題を考えるには、文章を丁寧に読み取り、その中の速さ、時間、距離の関係を図や表を用いて整理する
力が必要である。次に、「速さ=距離÷時間」をもとに、渋滞による実際の分速を求め、その速さで進むと目的地
7
7
JELS第9集(2007.2)
までどのくらいかかるかということを求める。そしてその結果をもとに、求める値は何かを考えて答えを出す。
その際に分速が1より小さくなるから、「時間=距離÷速さ」という関係がしっかり理解されていないとつまずく
生徒もいると考えられる。
また、この問題は、分速を考える方法だけではなく、倍比例や比例式で解くこともできる。そのような様々な
解き方をみるために、式と計算を書かせるようにした。
この問題の式の通過率は中3で34.4%、高3で51.0%であり、解答の通過率は中3で38.1%、高3で52.6%で
あった(Aエリアでは、式が38.3%と34.1%、解答が39.7%と40.8%)。なお解答の無答は中3で31.1%、高3
で22.6%と多かった。
正解と考えられる式を、「分速で考える」(中3…26.2%、高3…313%)、「倍比例で考える」(中3…4.3%、高3
…10.4%)、「比例式で考える」(中3…1.2%、高3…7.5%)の3つに分類した。分速で考えるのが最も定型的な解
法であるが、分速が0.8km/分という小数になり、その後の立式においても計算においても多少困難が伴う。この
問題では倍比例や比例式のほうが容易である。中3よりも高3の方が現実事象の問題に対して自由な発想ができ
る生徒が多くなることがうかがわれる。
もちろんこの通過率で十分なわけではない。このような問題は日常生活の中で直面することであり、それを考
える力を育てることが数学教育の目的である。そのためにはまずこのような現実の文脈の問題から量的関係を整
理し、数学の問題として定式化し、解き、その解の意味を現実の文脈に戻して解釈するという過程(「図表1−3
数学的問題解決の図式」参照)をきちんとたどる力を育てねばならない。
その力を育てるために、普段からこういう定型化されていない文章題を扱う必要がある。そして、様々な解法
を生徒から引き出しながら、数値によっては倍比例などを用いるほうが良い場合もあることにも気づかせたい。
そういう指導を通して、定型化されていない問題に様々にアプローチしていく力を育てることが重要である。
5)問題タイプ別の分析
以下では問題タイプ別の分析を行いながら、中3、高3それぞれのAT結果について概評を行う。
①中3
中学校の数学科は3つの分野から構成されているから、分野別の通過率をみてみると、以下のようになる(図
表Ⅳ−4−1参照)。
[数と計算]61.5%[図形]49.5%[数量関係]583%
7
8
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
図表Ⅳ−4−1中3AT結果(分野別)
(N=968)
1234
大間小間数と計算図形数量関係
1
80.1
90.7
80.2
79.3
2
3
4
1
75.2
2
69.1
1
42.5
42.5
2
24.7
24.7
1
61.0
2
63.1
80.8
2
77.5
1,2*
69.6
12へj4一
60.4
5
6
7
*
4
●1
69●5
7
5
●4
●7
●
1●
06
4
6
7
73
1
8
65.8
9
62.4
1
0
36.6
1
1
62.4
1
34.4
34.4
2
3
8
.
1
38.1
平均61.549.5
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
58.3
(JELS2003)
また、認知カテゴリー別の通過率をみてみると、以下のようになる(図表Ⅳ−4−2参照)。
[知識・概念]61.6%[形式への表現]52.4%[形式の解釈]74.7%
[形式の運用]67.8%[推論]49.5%[検証・判断]33.6%
図表Ⅳ−4−2中3AT結果(認知カテゴリー別)
(N=968)
1234
大間小間知識・概念形式への表現形式の解釈形式の運用推論検証・判断
1
80.1
90.7
80.2
79.3
2
3
4
1
75.2
2
69.1
1
42.5
42.5
2
24.7
24.7
1
61.0
63.1
2
80.8
80.8
2
77.5
77.5
1,2*
69.6
69.6
1
5
4.
*
1
69●5
7
5
●4
●7
●
1●
06
4
6
7
73
7
1ワー︽j40へ
6
60.4
65.8
62.4
9
1
0
11
36.6
36.6
1
34.4
2
3
8
.
1
平均61.652.4
34.4
38.1
74.7
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
67.849.533.6
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
さらに回答形式別にみると以下のようになる(図表Ⅳ−4−3参照)。
[選択]63.5%[求答]70.5%[考え]413%
7
9
JELS第9集(2007.2)
図表Ⅳ−4−3中3AT結果(回答形式別)
(N=968)
1234
大 間 小 問 選 択 求 答 考 え
1
80.1
90.7
80.2
79.3
1
75.2
2
69.1
2
42.5
1
3
24.7
2
61.0
1
4
63.1
2
1
80.8
2
77.5
1,2*
69.6
5
1234ヘ
6
7
60.4
61.6
70.9
64.5
74.7
*
4
ーユ
8
37.5
65.8
9
62.4
1
0
36.6
1
34.4
1
1
2
平均63.570.5
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
3
8
.
1
41.3
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
分野別の通過率では「図形」の分野がやや低いが、図形の問題数が少ないためこれだけで「図形」の力が他分
野より劣っているとは必ずしもいえない。問題の中で特に通過率が低いものは【3】割合、文字式、【10】正多角
形の回転、【11】速さ(比)の文章題である。これらに共通するのは何らかの変化を対象にしている点であり、ま
た中学数学の授業で扱われる定型化された問題とは少し異なるという点である。
一方、認知カテゴリー別の通過率をみると、「形式の解釈」「形式の運用」が高い。中学で学ぶ数学的な形式に
ついては7割ほどの生徒が理解し運用する力をつけている。「知識・概念」はやや低いが、今回の調査問題の中に
は数学的知識を問う問題は確率と図形でしか出題されず、特に図形についてはやや難しい問題だったことに規定
されている。
「形式への表現」については、【5】のようなグラフ表現はできているが、定型化されていない問題から文字を
用いて数量的な構造を考え数式化する力は十分ではないことが明らかになった。
「推論」についても【10】の結果から、図形を変化させて推理する力が十分ではないことがうかがわれる。ま
た「検証・判断」の面でも、【3】のように具体例で確かめて判断するという力が不十分であることが明らかにな
った。
また、回答形式別の通過率からは、「求答」「選択」に比べて、「考え」が低いことがわかる。中学生が文章題や
定型化されていない問題に対して自分なりに考え、それを表現する力がまだ十分ではないことがわかる。
②高3
高3についても中学の3つの分野について分野別の通過率をみておこう。以下のようになる(図表Ⅳ−5−1参
照
)
。
[数と計算]73.4%[図形]640%[数量関係]67.7%
8
0
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
図表Ⅳ−5−1高3AT結果(分野別)
(N=1152)
1234
大間小間数と一十算図形数量関係
88.1
96.0
88.5
87.8
1
2
3
4
86.0
2
76.0
1
59.0
59.0
2
49.7
49.7
1
72.8
2
73.3
1
86.6
84.0
1,2*
78.1
63.8
7
*
1基
40●4
0
6
●5
●3
●
6●
46
9
6
7
74
2
4
1ワー34.一
5
76.3
9
72.2
1
0
72.2
5
5
.
7
1
1
1
91.2
51.0
2
88.2
5
2
.
6
平均79.764.0
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
67.7
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
また、
二、認知カテゴリー別の通過率をみてみると、以下のようになる(図表Ⅳ−5−2参照)。
[知識・概念]74.2%[形式への表現]65.0%[形式の解釈]82.3%
[形式の運用]77.7%[推論]64.0%[検証・判断]54.4%
図表Ⅳ−5−2高3AT結果(認知カテゴリー別)
(N=1152)
1
1234
大問小間知識・概念形式への表現形式の解釈形式の運用推論検証・判断
88.1
96.0
88.5
87.8
2
3
4
5
1
86.0
2
76.0
1
59.0
59.0
2
49.7
49.7
1
72.8
73.3
2
1
86.6
86.6
2
84.0
84.0
1,2*
78.1
78.1
63.8
6
1
7
66.4
2
74.0
3
69.4
4
75.0
1∼4*
43.6
76.3
8
72.2
9
1
1
55.7
86.3
1
0
1
5
1
.
0
2
5
2
.
6
平均74.265.0
5
1
.
0
5
2
.
6
82.3
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
77.764.054.4
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
さらに回答形式別にみると以下のようになる(図表Ⅳ−5−3参照)。
[選択]71.0%[求答]79.9%[考え]58.4%
8
1
JELS第9集(2007.2)
図表Ⅳ−5−3高3AT結果(回答形式別)
(N=1152)
1234
大 間 小 間 選 択 求 答 考 え
88.1
96.0
88.5
87.8
86.0
1
2
76.0
2
59.0
1
3
49.7
2
72.8
1
.
4
73.3
2
5
1
86.6
2
84.0
1,2*
78.1
1234−
63.8
7
66.4
74.0
69.4
75.0
*
4
1
43.6
76.3
9
72.2
1
0
5
5
.
7
1
11
51.0
2
平均71.079.9
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
5
2
.
6
5
8
.
4
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
全体的にみて中3の結果と似た傾向ではあるがばらつきは小さくなっている。分野別の通過率ではやはり「図
形」がやや低い。
問題の中で特に通過率が低いものは【3】割合、文字式の(2)、【7】確率の概念、【10】正多角形の回転、【11】
速さ(比)の文章題である。これらに共通するのは何らかの変化を対象にしている点であり、また中学数学の授
業で扱われる定型化された問題とは少し異なるという点である。
一方、認知カテゴリー別の通過率をみると、中3と同様「形式の解釈」「形式の運用」が高い。中学で学ぶ数学
的な形式については8割近い生徒が理解し運用する力をつけている。しかし、「形式への表現」、「推論」、「検証・
判断」は、中3に比べ通過率が10∼20ポイント上がっているが、やはり十分とはいえない。
回答形式別の通過率をみても、「考え」が中3よりも17ポイント増えてはいるが、やはり低い。
このような「形式への表現」、「推論」、「検証・判断」などの力、そしてそれを記述する力は、文章題や定型化
されていない問題に取り組む中で育まれるものであり、授業の中でそのような取り組みを充実させる必要性を示
しているといえよう。
③中3と高3の比較
最後に中高の結果を比較する。中3と高3の各問通過率の差(高3の通過率一中3の通過率)を分野別、認知
カテゴリー別、回答形式別に整理したのが、次の図表Ⅳ−6である。
8
2
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
図表Ⅳ−6−1中高の各問通過率の比較(高3−中3)(分野別)
1
1
2
3
4
033s
8588
1234
大問小間数と計算図形数量関係
1
0
.
8
2
6
.
9
1
16.6
16.6
2
25.0
25.0
11.9
10.1
85
5
●8
●
5●6
1
2
1
5
2
1,2*
81
0
3
1
◆5
●0
●6
■
4●3
7
3.4
40
●1
*
1ワ﹄34へ
6
8
1
0
.
5
9
9.8
1
0
1
1
9.8
1
9
.
2
1
1
6
.
6
1
6
.
6
2
1
4
.
5
1
4
.
5
平均11.914.5
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
9
.
4
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
図表Ⅳ−6−2中高の各問通過率の比較(高3−中3)(認知カテゴリー別)
1234
、335
8588
大問小問知識・概念形式への表現形式の解釈形式の運用推論検証・判断
1
0
.
8
1
2
6
.
9
2
3
4
1
1
6
.
6
1
6
.
6
2
1
9
.
7
1
9
.
7
1
1
1
.
9
1
5
2
85●5
●
5●
68
85●5
●
5●
68
2
1
0
.
1
1,2*
7
40
●1
*
81
0
3
1
●5
●0
●6
●
4●3
1234−
6
3.4
1
0
.
5
9.8
1
1
9
.
2
49.7
1
0
1
1
6
.
6
2
1
4
.
5
平均12.612.5
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外
1
6
.
6
1
4
.
5
7.6
9.914.520.8
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
8
3
JELS第9集(2007.2)
図表Ⅳ−6−3中高の各問通過率の比較(高3−中3)(回答形式別)
1234
05
38
38
5
8
大 間 小 問 選 択 求 答 考 え
1
1
0
.
8
1
2
6
.
9
2
1
6
.
6
1
3
1
9
.
7
2
1
1
.
9
1
4
85
5
◆8
●
5●6
2
1
5
2
10.1
1,2*
3.4
*
14
4
8
81
0
3
1
●5
●0
●6
●
4●3
7
1ワ﹄︽j40−
6
1
0
.
5
9.8
9
1
9
.
2
1
0
1
1
6
.
6
11
2
1
4
.
5
平均7.59.417.1
(注)*…平均・標準偏差の算出から除外(JELS2003)
分野別、認知カテゴリー別、回答形式別それぞれで高3が中3を上回っている。問題ごとにみて特に高3が高
いのは、【3】割合、文字式、【10】多角形の回転、【11】速さ(比)の文章題などの非定型的な問題である。その
点についてはすでに個別に分析してきた。
両者の学力の質の違いを示すものとして、認知カテゴリー別の通過率の差に注目してみよう(表Ⅳ−6−2参照)。
高3で特に伸びているのは「検証・判断」「推論」であり、相対的に伸びが少ないのは「形式の解釈」「形式の運
用」である。「形式の解釈」や「形式の運用」は定型的な問題を解く上で重要であるが、これは中学生段階である
程度獲得され、高校でも大きくは変化しない。それに対して「検証・判断」「推論」などの力は中3では極めて不
十分であり、その後伸びているとはいえ高3でも決して十分ではない。
この事実は数学教育のあり方に示唆を与えてくれる。今までの数学教育では定型化された問題を決まった方法
で解くことの習熟が重視されてきたが、そのことは定型化されていない問題を解決する力に必ずしもつながって
いないのである。そのような力を意識的に育てることが数学教育に求められているのではないだろうか。
なお、高校3年まで数学を履修している生徒と、2年あるいは1年で履修を終えた生徒とでは数学の学力は異
なると思われるが、その点に踏み込んだ分析は今回の調査では行っていない。しかし3年後には、今回調査した
中3の生徒の変容を調べる予定である。その中で、個々の生徒の学習の履歴と学力の変化との関係を分析するこ
とで、数学教育のあり方についてより明確な示唆が与えられるであろう。
B、中3.高3PA
1)評価手続きとルーブリック
①評価手続き
今回のCエリアの採点は、Aエリアおよび附属の採点の際に作成したルーブリックをもとに行った。複数の採
8
4
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
点者が各自、5観点からなる採点表に0∼3の点数を記入し、1部ずつ点数をつきあわせていった。得点を採点者
間で一致させるとともに、必要があればルーブリックの加筆・修正も同時に行った。
②作成した問題
ルーブリックの説明に入る前に、簡単に今回の調査問題について説明しておきたい。第I章でふれたように、
今回の問題は、2回の予備調査をへて作成された。1回目の予備調査には下の3問を用意した。
予備調査問題
【クッキーの問題】
かおりさんのお母さんは、クッキー生地からクッキーの型をとっています。厚さを一定にして、一辺が20cmの正
方形の生地から半径lOcmの丸型クッキーをとりました。そうすると、端の部分が残るので、残った部分をこれ合わ
せて、同じ厚さのクッキーをもう1つ作ろうと思います。下の絵のような考え方で、形の候補を2種類考えて、その
サイズ(一辺の長さなど)を答えてください。円周率を使うときは、冗でも3.14でもかまいません。
[*挿絵省略]
【おこづかいの問題】
ある家のある月の収入は30万円で、お父さんのおこづかいは20000円でした。5年後の家計の収入は40万円で、
お父さんのおこづかいは25000円でした。その間の物価上昇率は5年間で7%でした。この家の家計はお母さんが担
当しています。
(A)お父さんは、おこづかいの増え方が少なすぎると考えています。
上の数値を用いて、お母さんを説得する仕方を説明してください。
(B)お母さんは、お父さんのおこづかいの増やし方は十分だと考えています。
上の数値を用いて、お父さんを納得させる仕方を説明してください。
【サッカー定期券の問題】
中学生の中田君はサッカーが上手で、毎日でも練習に行きたいと思っています。もちろん、毎日練習場に行けるわ
けではありませんが、自分が行きたいときは、できるだけ練習場に行くようにしています。今、中田君は交通費をも
っと節約するためには、定期券を買うほうが得か、1回ごとに運賃を払うほうが得か、迷っています。
練習場には電車とバスを両方使って行きます。電車は190円区間をバスは300円区間を利用します。もし1ヶ月(31
日間)の定期券を買うならば、電車は6760円、バスは13500円かかります。
そこで、中田君に数学を使って、どちらが得か、アドバイスをしてあげてください。
予備調査の結果、おこづかいの問題はたいへん魅力的ではあるが、不適当であろうと判断された。というのは、
(a)正答率がきわめて低くなることが予想される
(b)「非数学的な」解答が数多く出てくると予想される(予備調査では「俺が汗水流して働いているのがわ
かっているのか!こづかいも上げられないなんてふざけるな」「あなた家計のやりくりがどれほど大変か
わかっているの?これ以上こづかいを上げるなんていうのなら離婚するわよ!」というような「解答」
が続出した)
からである。(b)は中学生にはややむずかしいことの反映とも考えられる。
次に、クッキーの問題であるが、これは、予備調査の結果、解答がかなりパターン化されてしまうことがわか
った。「面積の計算ができる」ことと「多様な形を自由に考える」こととが両立させにくいのである。
定期券の問題はこれら2問に比べて、かなり「使える」という感触であった。
ただ、地域の公立の中学校に通う子どもたちにとって、定期券というのはあまりなじみがないだろうというこ
とから、場面を変えることにした。そして、2回目の予備調査をへて、文章を整え若干の字句修正をして、調査
問題を決定した。それが下に掲げた問題である。
8
5
JELS第9集(2007.2)
調査問題
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。年間使用料には2コースあって、料金が次のようになってい
ます。
Aコース:50回まで、10000円。その後、1回ごとに400円。
Bコース:1回ごとに300円。
ただし、途中でコースを変えることはできません。
北島君はこれから1年間、何回プールに行くかを予想しながら、どちらのコースにした方が得か、考えています。
そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスしてあげてください。
③ルーブリック
Aエリアの中3.高3のPAの採点において作成し、修正・完成したルーブリックを以下に示す(図表Ⅳ−7参
照
)
。
図表Ⅳ−7ルーブリツク(中3・高3)
手続き的知識
概念的知識
洗練度
推論とストラテジー
コミュニケーション
観点の説明
問 題 が 理 解 で き て い 解法の手続きを正しく 数学的に筋道だった考 手続きが抽象的数学的 自分の考え方を数式、
る
ことば、図、絵などを
になされている。
え方をしている。
実行できている。
◎
使ってきちんと説明で
きている。
料金の損得が回数によ 解を導くために必要な 料金の損得と回数の関 文字式や不等式、方程 回数による両コースの
って変化することが理 計算が正しくできてい 係の変化を筋道だてて 式 な ど を 使 う こ と が で 有 利 不 利 の 変 化 を 、 数
る
式、ことば、図、絵な
解できている。
比較できている。
きている。
どを使って説明できて
0
いる
3
2
料金と回数の全体的な
関係に気付いている。
回数の変化によって
A、Bの損得の変化が2
度生じることに気付い
ている。(あいまいであ
れ、逆転が2回あるこ
とに気付いている)。
料金の損得と回数の関
係の一部に気付いてい
境目の数値が一方で 両
方(33.3...,100)とも、 文 字 式 で 書 い て い る
も、境目の数値として 境目と判断する根拠が (一方でよい)。不等
正 し く 求 め ら れ て い 明らかになっている。 式 、 方 程 式 を 使 っ て い
る。式に書いていなく 境目の前後の数値を比 る
て も 、 正 し い 数 値 が 出 較して関係が逆転する
て い れ ば よ い ( = 暗 ことを示そうとしてい
る
算
)
。
◎
料金と回数の関係が式
として表されている
(300×50=15000な
ど)。表やグラフ、図に
整理されて示されてい
る
◎
を明らかにしようとし
ているが正確に発見で
きていない。表から暖
昧な境目を認識してい
る
1
いる
。
◎
複数ヶ所の正しい料金 境目(333…、100)の
の計算ができている。 一方の判断の根拠が明
る。B→AかA→Bの一
らかである。両方(ま
方が理解できている。
たは一方のみでも)の
100回(または33.3…
境目に気付いているが
回)が境目だと見つけ
判断の根拠が暖昧であ
ている。
る。損得が逆転してい
る二点を発見して境目
料金と回数が正しく取
り出せているがA、B
の損得が逆転すること
が理解できていない。
「50回」や「1年間毎
日」などの料金だけを
考えている。
◎
回数に関連させてあら
ゆる場面に適応したア
ドバイスが出来(B-→A
→B)、根拠も示されて
回数に関連させてお
り、根拠も示されては
いるが、場面が限定(A
→BorB→A)されてい
る。回数に関連させて
あらゆる場面に適応し
たアドバイスが出来て
はいるが、根拠が示さ
れていない。
◎
一ヶ所だけの計算が出
来ている。大きな計算
ミスや転記ミスがあ
る。−ヶ所のポイント
(365日や50回)の料
金を計算しただけ。
損得の異なった場面の 算術的式がない。計算
比較がない。主観的に の 表 記 が 断 片 的 で あ
(偶然)見つけた境目 る。筆算形式のみで表
を、境目と認識してい 記 し て い る 。 式 の 表 記
ない(100以上または が 誤 っ て い る 。 文 字 式
100以下という表現が が あ っ て も 答 え に つ な
ない。あるいはlOOは が ら な い 。 計 算 を し た
同じというだけ)。「何 形跡はあるが、きちん
回でいくら」、「月何回 と 式 や 表 に 整 理 さ れ て
でいくら」、「365日毎 いない。
日行くとして」のみ
直観的判断しか行って
いない。
料 金 と 回 数 の 関 係 づ け 意味のない計算。数学 ス ト ラ テ ジ ー が み ら れ 数学的表現が無い。
が 全 く 行 わ れ て い な 的 操 作 が 全 く 行 わ れ て ない。概算のみ。意味
い
いない。
のない比較
アドバイスはあるが、
根拠に乏しい。アドバ
イスに矛盾がある。ア
ドバイスが不明確であ
る。回数に関連させて
はいるが、場面が限定
されており、根拠も示
されていない。考え方
の説明が欠如してい
る
。
◎
0
。
◎
アドバイスがない。解
答に全く関係のない表
記のみ。
(JELS2003)
8
6
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
Aエリアのときには、採点に入る前に、ルーブリックの素案を作成した。この素案の作成にあたっては、予備
調査問題の採点、本調査問題の試行的な採点をもとに、実際の解法を分析し、その解法における重要なポイント
は何かなどを検討した。それを整理して述べれば、下のようになる。
まず問題になるのは、問題の場面からプールの利用条件・料金と利用回数の関係を正しく抜き出し、利用回数
による料金の変化がどうなるか、A・B両コースのどちらが有利かを考えることである。つまりこの問題の構造.
全体状況がよく捉えられているか、ということである。これは、ルーブリックの「概念的知識」である。
問題の場面からは、プールに行く回数がとても少なければ(たとえば1回)、明らかにBコースが得であり、
また、回数がとても多ければ(たとえば毎日)、51回目以後の1回ごとの料金の差(300円と400円)が効いてき
て、やはりBコースが得であることが予想される。途中でAコースのほうが得になることがあるかどうかの見き
わめが問題だということになる。そこで、たとえば50回のときを考えると、Aコース10000円に対してBコー
ス15000円となるから、ここではAコースのほうが得である。こうして、両コースの有利不利は、「Bが得→A
が得→Bが得」の順に変わっていくと考えられる。
このように全体の状況が理解できれば、問題で有利不利の入れ替わるポイントを求めることに帰着する。
この様子を、文字式(方程式や不等式)を用いたりグラフに書いたりすることができれば、事態は一層明瞭に
なる。プールに通う回数を横軸にとり、かかる金額を縦軸にとってグラフに書いてみると、下のグラフのように
なるだろう(おおまかな様子を予想するだけなら、関数の式を立式しなくてもできる)。
また、プールの利用回数をx回、利用料金をy円とすると、
Aコースy=10000(x≦50)
y=10000+400(x-50)(x≧51)
Bコースy=300x
と立式できる。すると
300x=lOOOO
x=33.33…
さらに
10000+400(x-50)=300x
[中略]
lOOx=10000
x=100
/
となることから
33回までBコースが有利
34回から100回までAコースが有利(ただし、100回はA・B同じ)
101回から先再びBコースが有利
となることがわかる。
そこで、何らかの方法・根拠で「B→A→B」の順に有利不利が2回入れ替わることがつかめていれば「3」と
し、1回は入れ替わることがつかめていれば「2」、有利不利の変化についての何らかの記述があれば「l」、意味
ある記述がないか白紙の場合は「0」とすることにした。
有利不利の入れ替わる境目をどうやって発見するかについていえば、筋道をたてて「作戦」を考え、立式・計
算などを行って解決に至ることになる。前段がルーブリックの「推論とストラテジー」、後段が「手続き的知識」
にあたるのだが、実際にはこれは「概念的知識」と区別し難く入り組み関連している。
ここで、もっぱら算術的に解決するか、文字式を用いて方程式または不等式を立てて解くかに分かれてくる。
また、表やグラフを活用するかどうかで読み手にとってのわかりやすさには大きな差異が出てくる。
不等式を用いた場合、原理的には、それを解く段階では、A・B両コースのどちらが有利かなどの予想・判断
は不要である。解いた結果がそれを教えてくれる。方程式の場合は、前後を調べる必要がある。しかし算術的に
のみ考えた場合は、数多くの計算をして比較したりしながら帰納的に考えていかざるをえない。
したがって、「概念的知識」と「推論とストラテジー」とが入り組み関連してくるのである。ここでの「推論と
8
7
JELS第9集(2007.2)
ストラテジー」は、「概念的知識」を得るためのものであると同時に、一方では問題解決のための「手続き的知識」
を導くものでもあると考えた。
そこで、「概念的知識」については、A・B両コースの有利不利が2回入れ替わることの根拠を示しているもの
を「3」とし、一方しか説明できていないなどあいまいさや不十分さを含むものを「2」、主観的に決めた境目での
比較だけなど境目を正確に捉えていないものを「l」、意味のない比較や概算のみあるいは白紙は「0」とした。
また、「手続き的知識」については、他の観点からなるべく独立的に評価しようということで、有利不利の逆転
のポイントが片方だけでも正しく算出されていれば「3」、複数箇所での料金が正しく計算されていれば「2」、大
きな計算ミス・転記ミスがある場合や1ケ所だけの料金が計算できている場合は「l」、無意味な計算の羅列など
は「0」と評価した。
「洗練度」については、文字式を適切に使用したものは、算術的な計算のみによった者より数学的な洗練度が
一段高いと考え「3」と評価し、算術的な計算のみによっている場合も計算過程が整理して示され、あるいは回数
と料金の関係が式で示されているなどの場合は「2」、その他の何らかの計算が示されている場合は「l」、数学的
な表現がない場合は「0」とした。
最後に、「コミュニケーション」についてだが、北島君がどのくらいの頻度でプールに行くかはまったくわから
ないのだから、回数が非常に少ない場合から多い場合まで全体を含んだアドバイスをしなくてはならない。述べ
方としては、日常生活的に「週2回」「月5回」「1日おき」などという述べ方でもいいのだが、それらを比較し
て有利不利を論ずるときに数学的な解を根拠とする必要がある。あるケースだけを主観的に切り取って来てアド
バイスとするわけにはいかない。「月に1,2回しか行かないとか、反対に週2,3回以上も行くとかだったら、B
コースにしなさい。週1回程度なら、Aコースの方がいいよ」といったアドバイスは、数学的な解ときちんと結
びついていれば立派なアドバイスであるが、いきなり根拠なくこう言うのでは、漠然とした全体状況の把握によ
るヤマカンにすぎない。また、根拠があれば、もっと精密に回数を指示することもできる。このように、「コミュ
ニケーシヨン」では、解答と結びついた数学的な根拠の有無によって差をつけざるをえないだろう。
④「数学的問題解決の図式」との関係
以上のことは、私たちがATの認知カテゴリーを設定する際に基盤にした「数学的問題解決の図式」と密接に
関係している。そこで、第I章に引用されている「数学的問題解決の図式」を再掲し、ルーブリックの各観点と
の関係を整理しておこう。
定式化
行
動
I
技
法
解 釈
「概念的知識」「推論とストラテジー」はく定式化>に深く関わっている。また、「手続き的知識」はく技法>
そのものであるが、問題の定式化の仕方はすでにある技法の選択・構成と結びついており、そのためにく技法>
は「概念的知識」「推論とストラテジー」のありようにかかわってくる。いうまでもなくく定式化>の過程は現実
と数学との間の往復作業であり、数学の問題として定式化されたときにはすでに問題解決のためのある程度の戦
略・見通しが得られているはずなのである。一方で、<技法>には数学的に洗練されているか、という問題がつ
きまとう。「洗練度」は直接にはく技法>の洗練度であるが、洗練度が低い技法によっては問題解決の見通しが見
えにくかったり複雑になってしまったりするから、それは「推論とストラテジー」にも影響してくる。<解釈>
というカテゴリーはく定式化>の逆なのだから、「概念的知識」「推論とストラテジー」と関連する。また、「コミ
ュニケーション」は「数学的問題解決の図式」の全プロセスをいかに表現できるか、ということになるが、ここ
では、とりわけ「数学の考え・コトバ」を日常生活の考え・コトバにもどすことができるかどうかが問われる。
8
8
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
2)事例分析
次に、典型的な答案の例をかかげて、簡単なコメントを記す(巻末資料参照)。
#は中学校の、##は高校の答案の例であり、[]内は左から概念的知識、手続き的知識、推論とストラテジー、
洗練度、コミュニケーションの順に観点別の得点、最後の「・」の後の数値は2が正答、lが部分正答、0が誤答
を示している。
①2回の境目を見出して正答している例
#3312141[33333.2]はグラフを用いた数少ない例の一つである。みての通り、計算としてはかなり不十分な
ものだが、グラフによる「目で見える」判断が有効に働いている。グラフに示された直線ないし折れ線の式が明
示されるとなおよかった。
これに対して以下の例はいずれもグラフを描いてはいない。グラフを活用した答案が非常に少なかったのがな
ぜかは判然としない。#3322151[33333.2]は文字式を活用しながらも、文章による説明が中心になっている例
である。中学生や高校生の場合、必ずしも「数式も文章である」と理解してはないから、この例は典型的なもの
の一つである。#3333051[33333.2]や##013101[33333.2]、##0131436[33333.2]は方程式あるいは不等式
を運用した整理された答案の例である。
以上の例に比して以下の例は算術的であり、「洗練度」において不十分である。#3331452[33323.2]、##013209
[33323.2]、##053339[33323.2]は、いずれも方程式や不等式によらずに、基本的には全回数の料金を計算し
て比較する、という方針である。実際には、その計算途中で何らかの見通しを持ち答案に整理している。#3323161
[33323.2]や##013208[33323.2]ではそのことがよくわかる。##013117[33313.2]も同様な例だが、全体
的な検討の中から33回あるいは100回がどのように選ばれてきたのかが書かれていない。
②境目を一方しか見出せなかった例
##013210[33332.1]は内容的には①に分類されるべきものであるが、途中で「xが50より小さい数の場合」
云々という余計な議論に入り込んでしまったために、時間が足りなくなってしまった。問題の全体的な状況はつ
かんでいるのである。これに対して、#3331422[23222.1]や##013338[23221.1]、##013312[23222.1]の場
合は、50回を境にAコースの料金が変わることに眼を奪われて、全体の状況がつかめていない。#3331422,
##013312は50回より多い場合だけ、##013338は50回より少ない場合だけしか検討されていない。そこで「概念
的知識」「推論とストラテジー」は2点としたが、必要な計算は正確になされているので「手続き的知識」は3
点と評価した。「コミュニケーション」の差は結論としてのメッセージがはっきり示されているかどうかの差であ
る。また、#3331121[23222.1]は全回数の料金を計算しようとしているが、100回の境目しか見出せなかった。
③悪意的な場合分けを行っている例
これは大変多かった。#3321192[32122.0]は、グラフを書くことで境目が2つあることは示しているが、そ
れを数学的に特定する方向ではなく「北島くんが月何回行くとすれば」というような窓意的な場合分けに進んで
しまった。そこで「推論とストラテジー」は1点という評価になっている。
##023109[22222.0]、#3313432[21122.0]、##013303[22122.0]、#3322302[23222.0]などは問題に与え
られた状況から場合分けするのではなく、窓意的な場合分けを行っている例である。その上、#3313432には重大
な計算違いがあり(200回でA・B同料金)、「推論とストラテジー」がみえてこない。#3322302では、100回が
境目であることを事実上出していながらそのことに気づいていない。
④問題場面を正しくつかんでいない例
#3313141[11111.0]は「つまり」以下が意味不明である。#3331322[12111.0]は「Aコースでは1回200
円」と誤解している。この誤解は回答に影響しない形ではあるが、他の答案にも散見された。#3331322は33回
を算出しているが、自分でその意味に気づいていない。##013330[11121.0]は入れ替わりがあることに気づい
ていない。##013412[12121.0]は「回数に対して料金が決まる」と考えるのではなく、「料金が同じとき回数が
8
9
JELS第9集(2007.2)
どうなる」と考えてしまった。
解答のパターンは、基本的にはAエリアと重なるところが多い。『JELS第5集』を参照していただければ幸
いである。
3)全体的な特徴
次に、解答の全体的な特徴を述べる。
①正答率
まず正答率についてみよう。
中3では、正答率は5.7%にとどまり、非常に低かった。これは、プールに通う回数が0∼33回、34∼100回、
101回以上となるに応じてBコース、Aコース、Bコースの順に有利になることを導いてアドバイスしているも
のの比率である。これに部分正答(上記の2つの区切りの一方が求められているもの)の19.5%を合わせても
25.2%にとどまる。
高3ではどうか。正答率は中3に対して高3では15.7%(部分正答の31.7%を加えて47.5%)で、かなり上が
っている。
Aエリアでは、中3の正答率が6.6%(部分正答の21.5%を加えて28.1%)、高3の正答率が13.0%(部分正答
の22.8%を加えて35.8%)であった。高3の部分正答率においてCエリアの方が10%弱高いことを除けば、両エ
リアにおいて、ほぼ類似の傾向を示しているといえる。
図表Ⅳ−8中3.高3PAの正答率
高3(N=1150)
中3(N=967)
度数
度数
%
%
誤答または無答
72374.8
60452.5
部分正答
18919.5
36531.7
完全正答
5 5 5 . 7
18115.7
24425.2
54647.5
完全と部分正答の合計
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
②観点別得点の分布
次に、観点別得点の分布をみてみよう。
中3については、図表Ⅳ−9−lのようになる。
図表Ⅳ−9−1中3PAにおける観点別得点の度数分布
(N=967)
概念的知識
﹄息占い占い﹄点
﹄JJJ
3
210
度 数 %
度 数 %
推論とストラテジー
度 数 %
洗練度
コミュニケーション
度 数 %
度 数 %
226
23.4
4
1
4.2
5
1
5.3
515.3
38.7
218
22.5
237
24.5
602
62.3
45847.4
45.5
436
45.1
617
63.8
237
24.5
40742.1
8
5
8.8
374
440
6
8
手続き的知識
7
.
0
8
7
9
.
0
7
2
7
.
4
7
7
8
.
0
515.3
平均
1.49
1.60
1.26
1.65
1
.
5
3
標準偏差
0.75
0.94
0.65
0.70
0
.
6
8
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
「概念的知識」で3点の比率は8.8%であり、「推論とストラテジー」について3点のものは4.2%にすぎない。
つまり、ほとんどの生徒が、問題場面の全体的な状況を把握しきれない(あるいは、しない)まま解答を進めて
いることがわかる。
これはまた、「洗練度」の3点が53%にとどまっていることと無関係ではない。「洗練度」3点とは、文字式を
9
0
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
適切に使用している場合である。他方、「洗練度」が2点あるいは1点の生徒が87%近くいることから、大多数
の生徒が算術的に解答していることがわかる。このやり方では、解答に着手してから、問題の全体像を把握しつ
つ、多くの場合についての計算・比較をせざるをえず、たかだか部分正答の段階で「降りる」例が続出している
のである。このことは、手続き的知識1点が45.1%にのぼるという数字にも反映している。
さらに、問題の場面・条件に即した場合分けではなく、「北島君がプールに行く回数は週3∼4回だろうから」
「平均して月10回とすると」といった恋意的な場合分けが多く、それぞれの場合の料金のみを記述するものが目
立った。そこで、多数がなんらかのアドバイスを記しているにもかかわらず、「コミュニケーション」の得点は下
方に偏ることとなった。
これに対して、高3の観点別得点の分布は、図表Ⅳ−9−2のようになる。
図表Ⅳ−9−2高3PAにおける観点別得点の度数分布
(N=1150)
概念的知識
蛸一猟一瞭一順
度 数 %
手続き的知識
度 数 %
推論とストラテジー
度 数 %
洗練度
コミュニケーション
度 数 %
度 数 %
23020.0
52845.9
17315.0
53146.2
27023.5
39734.5
71762.3
53846.8
34329.8
29225.4
53046.1
22419.5
40134.9
464.0
605.2
504.3
14212.3
675.8
17915.6
322.8
平均
1.82
2.10
1.60
1.81
1.75
標準偏差
0.79
0.96
0.79
0.72
0.74
(JELS2003)
どの観点をみても3点の生徒の比率は、中学校よりも大幅に上昇している。概念的知識では8.8%から20.0%
へ、手続き的知識では23.4%から45.9%へ、推論とストラテジーでは4.2%から15.0%へ、洗練度では53%から
12.3%へ、コミュニケーシヨンでは5.3%から15.6%へと大幅な上昇である。各観点の平均点も大きく上昇してい
る
。
同時に、各観点の0点は、概念的知識で7.0%から4.0%へ、手続き的知識で9.0%から52%へ、推論とストラ
テジーで7.4%から4.3%へ、洗練度で8.0%から5.8%へ、コミュニケーシヨンで5.3%から2.8%へと、いずれも
減少している。必ずしも二極分化が進んでいるとはいえないことを裏づけているといえよう。
Aエリアでは、中3と高3を比較すると、いずれの観点においても3点、0点両方の比率が増加しており、中3
から高3へと二極分化が進行していた。それとは対照的な結果である。
③項目間の相関
観点別得点・合計点・正誤のそれぞれの間で相関をとってみたところ、図表Ⅳ−10−1,−2に示すように、中
3、高3ともに、いずれの項目間にも高い正の相関がみられた(P<0.1)。
ただし、どちらの学年でも「洗練度」は他の項目との相関がやや低い。洗練度の得点は、他の観点の得点とは
少し異なった傾向を示しており、また、正答を得られるかどうかにあまり関係していないといえる。これは、代
数的手法によらずに算術的に解いた答案でも、それなりに正答に到達しうることの結果である。
また、正誤とPA合計点の相関が中3で0.73,高3で0.89とかなり強い。Aエリアでは、それぞれ0.41,0.57
だったので、それとはかなり異なる傾向を示しているといえる。
各観点の間の相関を中3.高3で比較してみると、概念的知識と手続き的知識の相関だけが微減で他の観点ど
うしの相関はすべてかなり強まっている。これは中3よりも高3の方が、よく書かれた答案とそうでない答案の
区別がはっきりしているということを意味している。これはAエリアでもみられた特徴であり、採点した実感と
も合致している。
9
1
JELS第9集(2007.2)
図表Ⅳ−10−1中3PAにおける観点別得点・合計点・正誤の間の相関
(N=967)
3兵︶2
,
9
1
*
車
、
7
6
噸
*
本*
*中
*
*
司”I◎。へ〃と
.
6
3
嘩
寧
︵uシ・刀守A4.nU
正誤
,
4
3
*
*
36op8
合計点
、
8
3
車
車
**
**
**
*
*
洗練度
コミュニケーション
○○〆、︾ミジ﹃〃〃﹃″〃・刀守
﹃″〃旬○J句。〆、︶。。〆、﹀
手続的知識
推論とストラテジー
*
**
*車
**
**
*
**
、p■0●①
概念的知識手続的知識推論とストラテジー洗練度コミュニケーション合計点
、
8
1
“
.
5
4
.
.
寧p<、05..p<、01
.
7
3
傘
*
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
図表Ⅳ−10−2高3PAにおける観点別得点・合計点・正誤の間の相関
(N=1150)
*
**
**
**
**
*
**
ワ,。。A4ooo︿u”﹃″〃
●
●◆●●●
概念的知識手続的知識推論とストラテジー洗練度コミュニケーション合計点
、
9
3
*
寧
、
6
7
*
*
、
9
4
.
.
、
4
5
*
*
車p<、05寧.p<、01
●●
、
5
1
.
寧
︿u“nxU
正誤
、
5
1
.
事
、
8
4
*
事
本*
*
*
●0入口Ⅱ且
合計点
on︾君■且nM︾へ〃全﹃“J
洗練度
コミュニケーション
**
**
**
**
*
*
oOミジ。○︿u”。。
●
●●●●
推論とストラテジー
◎ハ︶句、︶︿u〃﹃〃〃11︿uジ
手続的知識
、
8
9
*
*
(JELS2003)
④合計点の分布
観点別得点の合計点の算出が意味をもつためには、各観点の得点間に正の相関がみられることが必要条件であ
る。③でみたように、各観点の得点間には、高い正の相関がみられる。したがって、これらの得点の合計点を算
出することには意味があるといえる。
Aエリアでは、中3.高3で平均点にほとんど差異がなく(平均点は、中3が7.27点、高3が7.41点)、中3
に比べて高3の二極分化の進行が鮮明に表れていた(標準偏差は、中3が3.50,高3が4.40)。特に、0点が169
人(11.8%、N=1428)で6点の180人についで多く、そのうち、無答(白紙)が126人にのぼっていたことは、
注目される結果であった。
Cエリアではどうだろうか。中3の合計点の度数分布をみると、中央値より1点下の6点のところにピークが
あるが、全体としてみれば、やや上位に偏った分布といえる。平均は7.53点(標準偏差は3.13)であり、6点以
上が81.0%となっている。
正答率は5.7%と低かったが、この分布からすると、単純に「できが悪い」ということにはならないように思
われる。低正答率は予備調査の結果からもある程度予測できたことであり、むしろ、子どもたちはよく解答して
いるといってよいだろう。ここで「子どもたちは文章題が苦手である」「文章の読みとりができないことは国語力
の問題である」などの通俗的な解釈をしてみても仕方がない。
一方、高3では、平均点は9.09点(標準偏差は3.54)であり、6点以上が86.1%である。中央値でみると、中
3が7点に対して高3が9点であるから、中3と散らばりぐあいはあまり変わらないまま、全体的に上層に移行
していることがわかる。度数分布のしかたをみると、どちらも6点と11点にピークがあるが、中3では6点の方
がはっきりと高くて全体的に山型に近く、高3では11点の方がやや高く全体的にはM型に近い形になっている。
15点は79人(6.9%)で、Aエリアの5.0%よりややと多い程度であるが、一方、0点は、25人(2.2%)とAエ
リアに比べて大幅に少なく、二極分化の傾向はみられない。このように、得点分布については、Aエリアの結果
と大きく異なっているといえる。
9
2
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
図表Ⅳ−11−1中3PAにおける合計点の度数分布
度150
数
1
0
0
5
0
0
i
l
Ii鋤
98109
〕
3
2
7
1
1
1
3
7
溺霞,函‘蝿’露
1
7
2
5
亀
爾
.
皇
0123456789101112131415
合計点
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
平均
7.53
標準偏差
3.13
中央値
4237406567588620
●
●
●
●
●
●
●
●
●
■
●
●
●
●
●
●
3
6
7
8
9
9
6
9
0
19
35
53
63
79
70
94
99
9
0
1
199
200
% 累 積 %
4
8
1
3
7
6
6
9
1
1
8
3
0
8
6
8
●2
●1
●1
●0
●9
●0
●5
●8
●0
●5
●1
●4
●1
●2
●0
■
3
2
1
1
1
32
71
4
85
60
93
91
72
58
3
13
17
93
99
5
789
11
1
(N=967)
250
0123456789mⅢ、旧叫喧
合計点度数
7
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
図表Ⅳ−11−2高3PAにおける合計点の度数分布
鰯
200
度150
数
1
0
0
0
:
鰯
;
霞
闇爾
鴬§霞 ;
I
闇 ;
盲意旦Ⅱ具 ;;;:;
’
iii ;;霞 ;§
9
1
御 、 F 一 二
叫顧
5
0
1ノ4
;
8471
l
O
O
P
7
1
又う旬‘ワQ
ノム『。=
廟
旬旬
0123456789101112131415
合計点
(JELS2003)
9.09
3.54
中央値
1
平均
標準偏差
2
0
3
8
0
9
●4
●4
●4
●6
●3
●9
●2
●4
●1
●2
●7
●9
◆7
●2
●0
●
2
18
26
32
41
57
56
73
86
83
90
0
〃-〃-凸『
% 累 積 %
2
8
3
5
2
9
0
3
2
7
2
5
1
9
4
9
●1
●0
●0
●1
●7
●5
●7
●6
●8
●6
●9
●7
●2
●6
●6
●
2
1
1
52
13
27
40
17
01
47
9
2
16
94
718
24
822
337
1
1
(N=1150)
250
0123456789ⅧⅢuB叫噛
合計点度数
9
(JELS2003)
4)まとめ
①cエリアの特徴
以上みてきたように、Cエリアの中高のPA結果には、Aエリアと類似する部分と異なる部分がある。
まず、正答率でみると、高3の部分正答率を除いて両エリアに大きな違いはない。したがって、この問題が仮
に答えのみを書かせる問題であったとしたら、両エリアの違いはほとんど目に見えなかっただろう。しかしなが
9
3
JELS第9集(2007.2)
ら、PAという評価法をとったことにより、両者の違いが観点別得点および合計点の分布に表れることになった。
断っておくと、中3では両エリアの違いはあまりない。違いが際だつのは高3であり、また、中3と高3の差
異である。Aエリアでは、中3と高3を比べると、平均点にほとんど差がない一方で、標準偏差が大きく上昇し
ていた。合計点の度数分布のグラフでみると、中央が高い山型(中3)から、中央と両端が高いw型(高3)に
変化しており、二極分化の進行が顕著であった。これに対し、cエリアでは、逆に、標準偏差はあまり変化せず、
平均点が上昇していた。合計点の度数分布のグラフでみると、中3は山型で、高3はW型というよりむしろM型
に近い(2つのピークをもち、高得点の方により大きなピークがある)。つまり、散らばりぐあいはあまり変わら
ないまま、全体的に上層に移行していることがわかる。
今回の対象生徒についていえば、Aエリアの高3よりCエリアの高3の方が、PAで測られる学力は相対的に
高かったということができる。そしてその差は、正答を求めること自体よりむしろ、数学的に筋道立てて考え、
それを相手にわかるように説明するという面でより大きくなっている。
中3では大きな違いがみられないにもかかわらず、高3においてこのような違いが生まれるのはなぜだろうか。
少なくとも2つの要因が考えられる。(a)Aエリア.Cエリアとも同エリア内の公立高校全校を対象としているが、
私立高校の量と質が異なるため、中学校卒業者のうち同エリア内の公立高校に進学する層に違いがある、(b)高校
段階での数学教育の質、あるいは小学校段階以降の算数・数学教育の質の違いが、高校での学力の質の違いとな
って表れている。
(a)の要因の影響が大きいと推測されるが、それに加えて、学校外も含めた数学教育の質の違いが影響している
可能'性もある。これについては、Arの結果や、通塾率などを含めた児童・生徒質問紙調査の結果とあわせて解釈
する必要がある。
②PA結果にみられる学力の問題点と数学教育の課題
次に、AエリアとCエリアのPA結果に共通してみられる学力の問題点と数学教育の課題を述べよう。
最大の問題は、問題を「数学の問題」として定式化できていない、「解決すべき問題が何か」がはっきりしない
まま解答に着手している、ということである。これは、特に中学校で顕著であった。
この問題を克服するためには、問題場面から数量を抜き出し関連づけ、変化の見通しを探る手段が必要となる。
それは、第一にはそこに登場する諸量とその相互関係・構造についての知識、その知識を運用した経験と一定の
習熟である。不足しているのは、文章読解力一般ではなく、こうした、対象の中にある量的な構造や関係を分析
する、まさに数学的な分析力なのである。「文章題が苦手」の内実はこういうことである。この問題は、小学校か
ら高校までの算数・数学教育の一貫した流れの中ではじめて解決できることであろう。
今回のPA問題は、算術レベルの解法でも基本的には解決できる。しかしそれではかなり煩雑になる。このよ
うに場面が複雑になってきたときに、全体的な状況を把握するための有力なツールとして、文字の使用・方程式
やグラフがあるわけだが、これは既習であるにもかかわらず、中3の場合、全くといってよいほど活用されてい
ない。これは、中学校での指導のあり方・内容に大きな問題を提起しているといってよい。子どもたちは文字の
使用・方程式やグラフを学んでいても、現実問題に直面したときにそれを解決するためのツールとしては全く意
識していないのである。もちろん「定着していない」という側面もあろう。だがそれだけではないのではないだ
ろうか。これらの内容の学び方にも光をあてて検討する必要がある。
一方、高校になると、文字式を使用するものの数はかなり増加する。少なくとも洗練度3点の答案(全体の
12.3%)は方程式・不等式を有効に使用したものである。洗練度2点の答案の中にも同様のやり方をとりつつも
不手際だったものが含まれていることを考えれば、文字式を有効に使用したものが皆無に等しかった(ともかく
も文字式を使用したものが5.3%である)中3に比べて、かなり高いとはいえる。これが数値的にみて十分な前
進かどうかはおくとして、文字式の活用に「'慣れた」ものがCエリアの高校生の中で、「学力的に上層」をしめ
ていることは確かである。しかし、なぜなのか理由はわからないが、高3の答案でもグラフを活用したものはき
わめて少なかった。正答者の多数は計算一本槍で解いている。したがって、概念的知識、および推論とストラテ
ジーという観点からみると、高校生たちの学力が望ましい状態を示しているといえるかどうか、疑問が残る。
また、問題の場面を、所与の客観的条件から分析していくことと分析結果を解釈して実践的な方途を見出して
9
4
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
いくこととは、一応区別される別のテーマである。この問題に即していえば、「毎週2∼3回行くのならばBコー
スのほうが有利だよ」とか「毎週1回行くのだったらAコースがいいよ」とかいうアドバイスはたいへん実際的
なものである。しかし、なぜそうかといえば「プールに行く回数が100回をこえればBコースのほうが有利であ
る」「34∼100回だったらAコースが有利である」というような分析結果をもとにしていえることなのである。実
生活の中での考え・コトバと「数学の問題」として定式化して解いた結果とが一応区別された上で、両者を照ら
し合わせて解釈することとが求められているのであるが、この区別と関連が意識された解答はきわめて少なく、
「週何回行くとすれば」「年何回行くとすれば」ということを窓意的に選び出して論じている解答が多かった。
PA問題は、すでに数学的に定式化された問題ではなく、現実的な場面から問題そのものを数学的に構成・定式
化することを含むものである。このようなトレーニングはやはり著しく不足しているのではないだろうか。
C・中高におけるATとPAの関係
最後に、中3・高3におけるATとPAの関係をみてみよう。
1)ATとPAの相関
①中3
まず、ATとPA(各観点別得点および合計)の相関係数を求めると、図表Ⅳ−12−lのようになる。【1】と【2】
はすべて計算問題という点で共通しているので、【l】【2】の合計点とPAの得点との相関もとってみた。
図表Ⅳ−12−1中3におけるATとPAの相関
手続き的知識
、
1
9
寧
.
、
2
5
車
。
、
2
7
・
車
、
3
2
傘
.
、
2
5
章
.
推論とストラテジー
、
2
2
掌
寧
洗練度
、
2
8
*
車
2
1
*
傘
、
3
1
む
心
、
3
1
寧
。
3
2
車
.
、
2
7
*
率
、
2
3
寧
*
,
2
7
.
.
、
2
8
寧
寧
、
2
8
.
.
、
3
0
寧
寧
コミュニケーション
,
1
8
*
掌
、
1
9
*
.
.
2
7
車
*
,
2
7
*
.
.
2
7
寧
車
,
2
2
*
*
PA合計
、
2
4
寧
寧
、
2
0
寧
寧
、
3
0
寧
.
、
3
0
寧
寧
、
3
4
寧
ゆ
、
2
8
率
.
Ar
概念的知識
4
(
1
)
、
3
9
傘
寧
4
(
2
)
、
4
1
*
*
5
(
1
)
、
2
1
*
*
5
(
2
)
、
2
2
寧
寧
.
1
6
念
●
手続き的知識
3
9
.
.
、
4
1
車
*
.
2
0
*
.
、
2
7
.
事
,
1
4
.
*
推論とストラテジー
.
3
7
傘
寧
、
3
6
*
傘
.
2
0
傘
.
、
2
3
寧
*
、
1
5
聯
.
洗練度
、
3
2
率
*
、
3
2
掌
*
、
2
2
寧
.
、
2
6
噸
な
、
1
0
寧
*
コミュニケーション
.
3
1
*
傘
、
3
2
*
傘
、
1
7
.
*
、
2
2
*
傘
、
1
3
.
*
PA合計
,
4
2
*
*
、
4
3
傘
*
、
2
2
.
.
、
2
7
掌
傘
・
'
4
.
.
6
7
(
2
)
、
1
0
(
*
*
)
、
0
7
掌
3
(
1
)
、
2
7
率
率
、
3
4
*
事
、
2
5
車
車
、
3
5
*
*
、
2
6
*
*
、
3
5
*
車
、
2
4
掌
.
、
2
2
*
*
、
2
4
奪
率
.
3
1
*
*
、
3
0
*
*
、
3
8
*
*
3
(
2
)
7
(
4
)
.
2
0
*
*
7合計
、
2
4
*
*
.
2
0
*
*
、
2
3
*
*
.
2
2
*
*
,
2
1
*
*
*
畑一㎡耐Ⅱ似朋Ⅲ
、
3
2
.
傘
.
2
7
寧
噂
●
、
1
7
*
率
、
2
1
率
*
(N=962)
計
1
l
(
3
)
合げずrヂザヂ
2333323
2
(
2
)
牢*
**
**
**
**
*
牢
句″会う今今全今全う今へ”全
●
、●●■●
l
(
2
)
概念的知識
1
(
1
)
、
1
9
.
寧
74
13
12
15
07
02
1
2
(
1
)
、
2
7
.
.
1
(
4
)
、
2
7
車
掌
**
**
**
**
**
*
*
、。●●●●
Ar
、
1
2
*
*
、01
.
0
7
率
.
1
1
*
*
、
2
2
*
*
、
1
6
*
*
.
2
6
*
*
、
2
1
*
*
*
.
1
8
*
*
、
3
0
*
率
洗練度
、
3
0
事
寧
コミュニケーション
、
2
4
傘
.
PA合計
、
3
5
車
*
*p<、05**p<,01
、
3
7
・
車
3
8
念
.
3
1
*
*
.
3
2
*
*
、
2
6
*
率
、
2
5
.
率
,
2
9
*
*
、
2
8
*
、
、
3
8
寧
寧
3
8
.
愈
︿ロベソ糠1季ソ苧ムヂ4辞、︾
、
3
4
*
車
今、︶〆、︾。◎へ〃とnUon︾
手続き的知識
推論とストラテジー
91011(1)11(2)
3
3
事
*
3
3
*
事
句、︶P、︶句、︶戸、︾︽叩︾on﹀
、
2
9
傘
*
へ“全へ〃今つ生へ〃今へ〃今へ″今
概念的知識
計*。*。。。
8
師454445
AT
,
0
7
車
(JELS2003)
【7】(1)∼(3)以外は、ATとPA(すべての観点および合計)との間に、1%水準で有意な正の相関がみられた。
【7】(1)∼(3)でも、部分的には、1%水準あるいは5%水準で有意な正の相関がある。【7】は確率の概念を問う問
題であるが、相関が表れにくかったのは、問題の内容よりもむしろ、○×式という回答形式によるところが大き
いのではないかと考えられる。
PAの合計点との相関係数が最も高いのはArの合計点であり、0.55という中程度の相関がある。これは小6の
9
5
JELS第9集(2007.2)
場合と同じ値である。ただし、計算問題とPAの合計点との相関は、【l】【2】の合計点でみても、0.37にとどま
っており、それほど高くない。
Arの小間ごとにPAの合計点との相関をみてみると、相関係数が高いのは、順に、【4】(方程式の文章題)、【11】
(速さの文章題)、【3】(2)(割合・文字式(考え))であって、PAの課題との類似性を考えれば、納得できる結
果である。
小問ごとの相関については多少違いがあるとはいえ、以上の結果は、全般的に、Aエリアの結果と共通すると
ころが多い。
②高3
高3についてはどうだろうか。中3と同様に、ArとPA(各観点別得点および合計)の相関をとると、図表Ⅳ
−l2−2のようになる。
図表Ⅳ−12−2高3におけるATとPAの相関
l
(
1
)
、
1
3
*
*
手続き的知識
、
1
3
*
*
推論とストラテジー
、
1
4
*
噸
洗練度
、
0
9
*
*
1.2合計
3
(
1
)
、
3
3
*
*
、
2
9
*
*
3
0
*
*
、
3
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、
2
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*
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3
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*
、
2
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*
、
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*
、
3
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噸
*
、
3
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、
1
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事
*
、
2
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*
*
、
2
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*
、
2
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事
、
3
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*
*
、
2
4
*
*
、
2
2
掌
率
、
3
1
*
掌
、
3
6
*
*
,
3
3
*
*
、
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0
*
*
、
2
2
寧
寧
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2
7
*
率
、
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*
、
3
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*
、
3
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.
4
3
.
車
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2
(
1
)
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2
1
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*
2
(
2
)
、
2
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*
、
2
2
掌
*
、
2
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*
車
、
2
1
寧
*
.
2
2
.
*
、
2
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*
.
、
2
3
*
*
、
1
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噸
*
、
2
2
*
*
、
2
2
*
*
3
(
2
)
、
3
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*
*
、
1
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*
*
PA合計
、
1
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傘
*
AT
4
(
2
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3
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*
*
5
(
1
)
、
2
1
寧
*
5
(
2
)
、
2
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*
*
.
2
0
*
*
7
(
1
)
、
2
2
車
寧
7
(
2
)
、
1
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*
*
7
(
3
)
、
1
6
*
*
7
(
4
)
、
2
2
*
*
7合計
概念的知識
4
(
1
)
、
3
5
傘
.
手続き的知識
、
3
8
寧
寧
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3
8
事
*
.
2
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*
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*
、
2
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*
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傘
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2
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.
.
2
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車
*
推論とストラテジー
、
3
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車
、
3
7
車
*
、
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*
事
、
2
5
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.
、
2
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*
*
、
2
3
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*
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1
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2
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.
*
、
3
1
寧
寧
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、
2
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*
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車
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1
8
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事
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.
、
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*
傘
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2
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*
、
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*
、
1
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*
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*
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5
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3
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3
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寧
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.
、
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*
、
2
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*
*
、
2
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率
寧
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率
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、
2
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*
、
3
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.
*
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,
3
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、
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*
、
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*
*
、
2
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*
*
,
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*
*
、
1
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車
掌
、
1
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寧
心
、
2
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*
*
、
3
2
車
.
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.
3
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*
*
、
3
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*
率
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*
*
,
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*
、
3
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*
、
3
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*
*
、
3
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傘
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4
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*
、
3
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*
*
︿ロヂコぷ4.ヂノヂ、︶︽○・〆U
、
3
7
*
*
、
2
9
*
*
計**。***
PA合計
nx︶旬〃〃﹃8Jへ″今O︵︶■Ⅱ且
コミュニケーション
へ、︶句、︶句、︾句、︶今、︾ん寺
洗練度
へ〃全︽nUへ雪皇ハ叩︾111且
へ、︾へ、︶へ、︶ヘム句、︶句、︶
推論とストラテジー
︿uシ戸、︺P、︶on︶へ〃全〆、﹀
手続き的知識
891011(1)11(2)
、
3
5
寧
車
3
3
車
.
う全句、︶へ、︾へ″︽へ、︶句、︾
概念的知識
灯555456
コミュニケーション
申
**
**
*車
**
*
**
●●●、■、
1
(
4
)
、
2
4
*
*
●*
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**
**
**
*
車
●●●●●●
1
(
3
)
、
2
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車
*
●*
**
**
**
**
*
*
●■●●●●
咽了げげ肘げぽ
AT
概念的知識
(N=1149)
噂p<、05..p<、01
(
J
E
L
S
2
0
0
3
)
Arのすべての問題において、PAのすべての観点および合計との間に、1%水準で有意な正の相関がみられる。
PAの合計点とArの合計点との相関係数は0.60で、小間ごとにみても、全体的に中3よりやや高くなっている。
これもAエリアと共通する傾向である。
附属の場合は、高3では、5%水準に落としても有意な相関がみられたのは22問中2問にすぎず、中3に比べ
てずっと相関が弱くなっていた。ただし、その原因は、附属の高3が、AT,PAともに、中3に比べて、得点が
高く散らばりが小さかったためだと考えられる(『JELS第6集』参照)。したがって、一般的な傾向としては、
中3と高3を比べれば、高3の方が、ArとPAの相関が強まると結論してよいだろう。
2)AT内相関
①中3
次に、Arの問題どうしの相関をとってみると、中3では、図表Ⅳ−14−lのようになる。
9
6
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ−中3・高3
一目してわかるとおり、ATのすべての小間とAT合計との間に1%水準で有意な正の相関がみられ、相関係数
も0.26∼0.70と弱い相関ないし中程度の相関を示している。図表Ⅱ-12-1でみたように、ATの各小問とPA合
計との相関係数は0.07∼0.43であった。それと比べると、すべての小間においてAT合計との相関の方が強くな
っていることがわかる。この傾向は、小3や小6,また、附属でも共通してみられた(AエリアではAT内相関は
求めていないので言及できない)。
②高3
一方、高3の場合のAT内相関は、図表Ⅳ-13−2のようになる。
附属の場合は、AT内相関においても、高3は、中3とはかなり異なる傾向を示していた(附属の高3は、AT・
PAともに、高得点で散らばりが小さかったため、相関をみるには適さなかったと考えられる)。これに対して、
Cエリアの場合は、中3とまったく同じ傾向を示しており、すべての小問においてAr合計との相関の方が強く
9
7
JELS第9集(2007.2)
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8,吋.
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漁碧龍営這雲漁熊熊陰
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骨
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新軸窒建│鴬
題哩E﹄く岬士穐叩冨任−1里l邑淵園
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︵[︶[[
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湘言湘洲三二=〒営萱龍甑│窟
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番碁四N。
骨骨つ、。
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骨骨トベ。
骨箸西[・
骨番ずぶ.
骨骨ト国。
骨番両面・
骨骨。函。
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骨骨、、。
昏骨い、。
長畳トベ。
︵d︶寸
骨骨m函。
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丹骨四N。
︵画︶い
駆哩E﹂く岬士穐叩一両沌園l里l崖淵園
骨
骨
骨
倭
骨
骨
骨
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骨
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長
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骨
暑
号
骨
番
讐
骨
骨
︵、つつ面函目四己
︵忌冒Ⅱz︶
湘寓==雪鯛三三弓三三土碧龍萱:=│震
骨
替
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骨
︵武︶[[つ[⑨図@︵[︶寸︵刷︶、︵[︶、︵N︶面︵[︶ベ
︵[︶[[
:」
高3
中3
第Ⅳ章結果と分析Ⅲ
9
9
JELS第9集(2007.2)
なっている。
あらためて、今回の調査では、ArとPAが質の異なる学力を測定していることが示唆されたといえる。
3)ATとPAの相関の学年変化
最後に、前2章で述べた小3.小6の結果とあわせてATとPAの相関が学年進行によってどう変化するか、ま
た、Aエリアや附属の結果とあわせて全体的にどのような特徴をもっているといえるのかをみておこう。ただし、
学年間での比較がしやすいように、ATの合計点とPAの合計点の相関係数に限定して検討を加える。
図表Ⅳ−14ATとPAの相関の学年変化
リー一一一一一一一
1
1
7j
7j
29
4
ア引師%Ⅲ
エ個個個個
(N=132)
4556
(N=123)
C
**
***
*
*
45*
50
**
**
*
*
。。﹃〃〃。。﹃〃全
2341処
j
j8
7
118
ア卯師師皿
リ’’’’’’一一
エく
Nく
NN
くN
く
3456
A****
*
4*
9*
6*
6
3633
小小中高
附属
(N=117)
(N=102)
噂
寧
p
<
,
0
1
(JELS2003)
図表Ⅳ−14に示すように、附属の高3を除けば、すべてのエリア・学年において弱あるいは中程度の正の相関
がみられ(p<、01)、ほぼ学年が上がるにつれて相関が強くなっていることがわかる(附属の高3は相関をみるに
は適さないので、考察から除外する)。
ATとPAとの間に中程度の正の相関がみられるとすれば、学力調査としてはArだけで十分で、必ずしもPA
を実施する必要はなかったということになるのだろうか。そうではないだろう。これまでに述べてきたように、
Arの小問ごとにみると、Cエリアでは、全学年において、すべての小間でATの合計点よりPAの合計点との相
関の方が強くなっていた。附属でも、小3のl問、高3の3問をのぞいて同じ結果が得られた(Aエリアでは分
析未実施)。ここからすれば、PAはArとは質の異なる学力を測定している可能性が高いといえるからである。
さらにいえば、そもそも、20分かけてl問の問題に取り組むという体験はそれ自体、子どもたちにとって、通常
の細切れの問題に取り組むのとは違う意味ある学習体験となると期待できる。
さて、ATとPAの相関が、学年進行にしたがって強まるのはどうしてだろうか。少なくとも2つの要因が考え
られる(『JELS第5集』第Ⅵ章参照)。
一つは、学年が上がるにしたがって、問題そのものがPAとArの間で類似したものになってくるということで
ある。小3のPA問題は、絵や図だけでも解くことのできる、学校ではあまり出会うことのないタイプの問題で
あった。それに対し、小6のPA問題は、速さの比較の問題であり、解法による違いこそあれ、学校で解く文章
題の延長上にある問題といえる。中3.高3のPA問題も、日常的な場面設定がなされていて変化のしかたがやや
変則的ではあるものの、2つの一次関数の関係を問う問題であり、小6の問題と同様、学校的な文章題のバリエ
ーションとみなしうるものであった。その学年にふさわしい数学的な内容を含んでいて、子どもたちも取り組め
る問題となると、どうしても、それほど非定型的でない、AT問題とあるていど類似した問題にせざるをえないと
ころがある。仮に、予備調査で用いた「おこづかいの問題」のような、子どもたちになじみのないまったく非定
型的な課題を与えていたならば、PAとATの相関も今回とは違ったものになったかもしれない。
もう一つの要因は、学年が上がるにつれて、できる子どもとできない子ども(あるいは、やらない子ども)が、
AT、PAといった問題のタイプの違いに関係なく、収数してくるということである。小3や小6の場合には、AT
とPAのように問題のタイプが変わることによって問題への取り組み方や成績が違ってくる子どもが、少なから
ず存在した。しかしながら、中、高と進むにつれて、問題のタイプが、問題への取り組み方や成績に影響する程
度は小さくなると推測される。そして、問題のタイプを超えて一貫する態度や成績の根底には、学校での学習や
算数・数学についての信念(belief)が存在していると考えられる。この推測の妥当性については、生徒質問紙調
査での生徒の学習観、数学観の結果とあわせて検討される必要がある。
100
第V章総合的考察
本報告書は、2003年から2004年にかけて3つのエリアで実施された「青少年期から成人期への移行について
の追跡的研究」(JELS2003)の算数・数学学力調査のうち、Cエリアの調査結果を分析したものである(高3は
2004年夏、小3.小6.中3は2004年秋に調査を実施)。
算数・数学学力調査は、AT(アチーブメント・テスト)とPA(パフオーマンス・アセスメント)の2部構成
をとっており、それによって算数・数学の学力を多面的・総合的に把握することをめざした。ただし、中3と高
3は、AT,PAともに同一の問題である。
AT問題は、内容(分野)、認知カテゴリー、回答形式から構成されている。小学校算数の分野は「数と計算」
「量と測定」「図形」「数量関係」、中学校数学の分野は、「数と式」「図形」「数量関係」からなっているが、今回
の調査では「数と計算」と「数量関係」を主要な分野として設定した。認知カテゴリーについては、「知識・概念」
「形式への表現」「形式の解釈」「形式の運用」「推論」「検証・判断」の6つに分類した。特に、「形式の運用」(計
算)と他のカテゴリーとの比較を重視した。回答形式は、「選択」「求答」「考え」の3種類とした。
PA問題は、思考のプロセスやコミュニケーション能力をみるための自由記述式の問題である。AT問題に比べ
て、真実味のある具体的な場面設定で、多様な解法がとれる問題になっている。スキル・レベルと観点一概念
的知識・手続き的知識・推論とストラテジー・洗練度・コミュニケーション−の2次元からなる「一般評価基
準」をもとに、課題ごとに「課題別採点基準」(ルーブリック)を作成し、それにもとづいて評価を行った(ただ
し、小3.小6は「洗練度」を含まない)。
なお、ATは小3が30分(18問、実質的には17問。ただし、分析では未履修のl問を除外)、小6が40分(22
問)、中3.高3が45分(22問)、PAはどの学年も20分(l問)で実施した。
以下では、第Ⅱ∼Ⅳ章で得られた知見を総合しながら、Cエリアの子どもたちの学力の姿を、他の2エリアと
の比較も含めて、描きだしてみたい。なお、AT、PAそれぞれの結果については学年別に論じるが、ATとPAの
関係については、ほぼどの学年でも類似の結果が得られたので、学年を分けずに述べることにする。
A小3
1)AT
Arの得点を得点率で表わすと、平均は70.9%、標準偏差は16.1であった。得点分布は右に偏ったカーブを示
しており、ほぼ過去の調査や予備調査の結果から予想していたようなでき具合であった。共通する16問で比較す
ると、Aエリアは平均69.8%、標準偏差19.2、附属は平均87.9%、標準偏差は11.3であったから、Cエリアと同
じく対象校がすべて公立学校であるAエリアと比較すると、得点の平均はほぼ同じで、散らばりはやや小さいと
いえる。ただし、各問題の通過率の標準偏差は、Aエリア20.7、附属14.8に対し、Cエリアは22.1であり、問題
ごとのでき具合のばらつきはAエリアよりCエリアの方が大きくなっている。
通過率を問題ごとにみていくと、すべて計算問題からなる【l】の通過率は高かったが、【2】(かけ算の作問)、
【5】(長さの測定の妥当性の判断)、【7】(四角形の倍々関係の推論)で、通過率の低さが目立った。これらの問
題は、いずれも理解や推論を必要とする問題であり、Aエリア・附属でも特に通過率の低い問題であった。した
がって、子どもにとって難しい問題の傾向はAr全体の得点に関わらず一致するといえる。とはいうものの、こ
れらの問題の通過率のエリア間格差は、平均通過率のエリア間格差以上である。つまり、理解や推論を要する難
しい問題の方が、附属とAエリア.Cエリアの差はより大きくなっている。
2)PA
PAの合計点は、平均8.21(12点満点)、標準偏差3.55であった。最も多いのは11点で、12点とあわせると、
全体の約1/3をしめる。分布は全体的には得点の高い方に偏っていたが(中央値10点)、低得点者(6点以下)
の割合も3割近い。Aエリア(100部抽出分)では平均7.95、標準偏差3.50、附属では平均10.09、標準偏差1.86
であったから、Aエリアと比べてやや平均は高いが、ほぼ同じ傾向を示している。
101
JELS第9集(2007.2)
小3のPA課題は、事前の課題分析で、大別して計算式によるものと絵図によるものの2種類の解法がとりう
ると予想され、それにもとづいてルーブリックが作成された。小3では、得点の高・中・低と正答・誤答を組み
合わせた6つの型について、得点パターンごとに事例分析を行った。
解答の特徴として注目されるのは、Aエリア.Cエリアと附属とでは、正答率の差に比して得点の差が大きい
という点である。「7人」という正答にいたった子どもの割合(ATの「通過率」と区別して「正答率」と呼ぶ)
は、Aエリア64%、Cエリア61.2%に対し、附属73.5%で、エリア間格差はさほど大きくない。一方、得点は、
合計点の平均で2点前後の差があった。Aエリア.Cエリアと附属の違いは、とりわけ誤答者の内訳に明確に表
れている。誤答者のうち6点以下の低得点者の割合は、Aエリア86%、Cエリア69%に対して、附属はわずか7%
であった。また、観点別にみると、Aエリア.Cエリアと附属の間で最も大きな差がみられたのは「コミュニケ
ーション」であった。
このような数値上の差は、解答の質的な差異を反映している。附属の子どもたちの解答は、誤答の場合であっ
ても、なにがしかの記述があり、絵・図や説明にさまざまなバリエーションがみられた。つまり、問題解決の正
しさ以上に、それを伝えようとする態度と能力において、Aエリア.Cエリアと附属との違いがみられるのであ
る
。
B・小6
1)AT
ATの得点を得点率で表わすと、平均は43.6%、標準偏差は18.4であり、得点分布は左に偏ったカーブを示し
ている。Aエリア・附属と共通する19問で比較すると、Cエリアが平均42.4%、標準偏差18.5であるのに対し、
Aエリアは平均43.3%、標準偏差22.1、附属は平均76.9%、標準偏差は18.1であったから、平均はAエリアに近
く、標準偏差は附属とほぼ同じでAエリアよりはかなり小さい。得点率の平均が40%台半ばというのは、予備調
査の結果から予想していたでき具合に比べるとかなり低かったが、Aエリアもほぼ同じであったことからすると、
問題の難易度が総体的に高かったと考えられる')。一方、各問題の通過率の標準偏差は、Aエリア22.3、附属15.5
に対し、Cエリアは23.1であり、問題ごとのでき具合のばらつきは附属よりむしろAエリアに近い。つまり、C
エリアの傾向として、子ども間の散らばりは相対的にみて小さいが、問題間の散らばりは相対的にみて大きいと
いうことができる。これは小3と共通する傾向である。
通過率を問題ごとにみていくと、【1】の計算問題((5)の「減法と除法の混合算」を除く)、【9】(九九表の意味
にもとづく推論)、【12】(線対称)は、相対的に通過率が高かったが、【2】(小数のわり算の作間)と【10】(分数
の概念)は通過率が1割前後にまで落ち込んでいる。通過率の低い問題は、いずれも概念理解を必要とする問題
であり、Aエリア・附属でも特に通過率の低い問題であった。つまり、難易度の傾向は、得点に関係なくエリア
間で共通していたといえる。一方で、これらの問題の通過率のエリア間格差は、平均通過率のエリア間格差以上
に大きく、40%前後にもなっている。
このように、子どもにとって難しい問題の傾向が平均得点率に関わらず一致すること、難しい問題の方が附属
とAエリア.Cエリアとの差がよりいっそう大きくなっていることは、小3の結果と共通する特徴である。
2)PA
PAの合計点は、平均7.10(12点満点)、標準偏差4.27であった。最も多いのは12点で、11点とあわせると、
l/3強になる。一方で、12点の次に多いのは1点(11.3%)であり、やや二極分化の傾向がみられた。Aエリア(100
部抽出分)では、平均6.63、標準偏差4.31、附属では平均9.69、標準偏差3.54であったから、Aエリアと比較す
ると、得点の散らばりは変わらないが、得点はやや高くなっている(中央値でみると、Aエリアが6点、Cエリ
アが8点であり、いっそうよくわかる)。
小6のPA課題は、答えの形式だけでみれば、小3や中高のような求答式ではなく選択式だったので、正誤は
事例分析の視点として有効ではない。また、小3や中高以上に解法が多様‘性に富んでいる。そこで、解法(純粋
型、並記型、混在型、新型、不適切な解法によるつまずき)と得点(典型例と不十分な例)に着目して、事例分
析を行うことにした。その結果、Cエリアの特徴として以下の点が明らかになった。これらはAエリアにも共通
1
0
2
第V章総合的考察
してみられた特徴であり、附属との間では共通点と相違点の両方を含んでいる。
・解法は多様だが、適切な解法は、ほぼ予想された解法の範囲内におさまっている。一方、附属では、新型の
中にも適切な解法が多くみられた。
・複数の解法を用いている場合、並記型は少なく、混在型が多い。そのため、途中で混乱して、誤答にいたっ
ている場合が少なくない。附属では、高得点の並記型が多くみられた。
・つまずきの中には、基本的な概念形成でのつまずきがかなり多く含まれている(時間と時刻の混同、距離と
速さの混同など)。割合は少ないとはいえ、こうしたつまずきがみられたのは、附属でも同様である。
・合計点をみると、高得点(11∼12点)がほぼl/3近くいる一方で、次に多いのは1点であり、得点の散らば
りが大きく、二極分化の傾向がみられる。附属では低得点層は相対的に少ないが、それでも1.2点をあわ
せると約1割になり、二極分化の傾向がまったくないとはいえない。
小3では、特に「コミュニケーション」においてエリア間での差異が大きかったが、小6では、そのような傾
向はみられなかった。ただし、附属の小6では、新型や並記型が多く、小3と同じく問題解決やそれを表現する
ことへの積極性・柔軟性が認められた。これは得点には表れないが、質的な差異として指摘できる点である。
C、中3.高3
1)AT
中3のATの得点を得点率で表わすと、平均は63.3%、標準偏差は21.9であった。Aエリアは平均63.9%、標
準偏差22.0、附属は平均848%、標準偏差は17.2であったから、Aエリアとほぼぴったり同じ結果を示している。
高3についてみると、Cエリアの平均は72.9%、標準偏差は20.9であり、一方、Aエリアは平均61.5%、標準
偏差24.8、附属は平均92.6%、標準偏差は9.0であった。このように、高3ではエリア間の違いがきわめて大き
い。附属高校は、附属中学校以上に進学校化しているのに対し、Aエリア.Cエリアの対象校には学力的にさま
ざまな高校が含まれていること、また、特に非進学校の文系のクラスでは高3になると(あるいは高2から)数
学を履修しないところが少なくないということを考えれば、附属とAエリア.Cエリアの間に大きな差異がみら
れることは納得できる。では、AエリアとCエリアの違いについては、どう説明されるだろうか。Aエリア、C
エリアともに、エリア内の公立高校全校を対象としているのだが、おそらく、公立と私立の量と質が両エリア間
で異なるために、このような差異が生まれたのであろう。つまり、当該エリアの中学校卒業者のうちどの学力層
の生徒が、同エリアの公立高校に進学するか、ということから生じる違いである。
さて、問題ごとの通過率についてはどんな特徴がみられるだろうか。通過率の標準偏差は、中3が17.7,高3
が13.4で、問題ごとのでき具合のばらつきは、高3の方が小さくなっていた。これは、Aエリア、Cエリアにも
共通してみられた傾向である。つまり、中学から高校へと、問題による差は縮小して学力が生徒ごとに収教して
いく傾向があると考えられる。
中3と高3の違いを問題ごとにみていくと、Cエリアでは、22問すべてにおいて、中3より高3の方が、通過
率が高かった。Aエリアでは22問中10問、附属でも16問であったから、Cエリアに特徴的な結果である。ただ
し、その内訳をみると共通性も浮かび上がってくる。Cエリアにおいて、特に高3の方が高いのは、【3】(百分率、
文字式)、【10】(多角形の回転)、【11】(速さ(比)の文章題)であり、これは附属の結果とぴったり重なってい
る。Aエリアにおいても、平均通過率では高3の方が下回っているなかで、【3】と【10】は高3の方が有意に高
くなっていた。これらはいずれも、現実的事象を扱った理解や推論を要する非定型的な問題である。学力水準や
生徒間格差に大きな違いがある3つのエリアにおいて、中3から高3への学力変化の質について共通した傾向が
みられたことは興味深い。
2)PA
中3のPAの合計点は、平均7.53、標準偏差3.13であった(満点は15点)。分布は、6点(20.6%)と11点(11.3%)
という2つの峰をもつカーブを描いている。Aエリアでは平均7.27、標準偏差3.50、附属では平均10.70、標準偏
差2.82であったから、Aエリアと比較すると、得点はやや高く、散らばりはやや小さくなっている。
12点・’1点(満点は12点)が全体の約1/3をしめていた小3や小6と比べると、得点の分布のしかたが大き
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JELS第9集(2007.2)
く異なるが、これは学力の違いによるというより、小6と中高のPA問題の課題構造の違いによるところが大き
い。中高のPA問題は、2つの料金コースのどちらを選ぶのが得かをアドバイスさせるものであり、2カ所で料金
の高低が逆転する関数であったため、そのうち1カ所しか見つけられない生徒が多く、結果的に中得点層が分厚
くなった。
一方、Cエリア高3のPAの合計点は、平均9.09、標準偏差3.54であった。6点と11点に峰があるのは中3と
同じだが、中3とは逆に、6点が15.0%、11点が19.5%となっており、14.15点の高得点層も増えている。Aエ
リアの高3(平均7.41、標準偏差4.40)では、高得点層が増えると同時に、0.1点の低得点層が大幅に増加し、
二極分化傾向の進行がみられたが、Cエリアにはそのような傾向はみられなかった。附属の高3は、平均13.39、
標準偏差2.31であったが、ATのところで述べたように、公立とは進学する生徒の層がかなり異なるので、比較
は意味をもつまい。
ATと同じくPAでも、高3ではエリア間の違いが顕著だが、それでもなお、すべてのエリアで、中3より高3
の方が、得点が高くなっていることに注目したい。ATの場合も、現実的事象を扱った理解や推論を要する非定型
的な問題では、中3より高3の方が、通過率が高くなっていた。PA問題は、Arのどの問題よりいっそう、現実
事象を扱った非定型的な問題であるという性格を強くもっている。だからこそ、Aエリアを含めて、すべてのエ
リアで高3の方が高い得点になったのだろう。
このことは、高3のすぐれた点であると同時に、裏返していえば、中3の教育的課題を示しているともいえる。
すなわち、中3の場合、「現実事象を扱った非定型化な問題」を数学の問題として「定式化」することに困難があ
るということである。また、文字の使用・方程式やグラフの使用について一応は習得しているものの(Arの結果
から)、「現実事象を扱った非定型的な問題」に直面したときにそれを解決するためのツールとしては使いこなせ
ていないということである。
高3では、こうした問題点は程度の違いはあれ改善されている。現実事象を数学的に考える力が、発達あるい
は日常経験の深まりとともに伸びるとすれば、それを数学という形式にのせて解決する力につないでいくことが、
高校での数学教育の課題になるといえよう。
D、ATとPAの関係
今回の算数・数学学力調査においてArとPAの2部構成をとったのは、算数・数学の学力を多面的・総合的に
把握するためであった。ATとPAの関係についてはどのようなことがわかっただろうか。
まず、AT(合計点)とPA(合計点)の相関についてみると、どの学年でも、弱から中程度の有意な正の相関
がみられた。ただし、附属の高3を除けば、学年が上がるにつれて強くなっており、ほぼどのエリアも、小3で
は弱い相関であるが、中3では中程度の相関になっている(附属の高3は、AT・PAともきわめて高得点で散ら
ばりが小さく、相関をみるのには適さなかったので、考察から除外しても差し支えないだろう)。その要因として
は、①学年が上がるにつれて、できる子どもとできない子どもが、Ar、PAといった問題のタイプの違いに関係
なく収数してくる、②学年が上がるにしたがって、PAとATの問題の類似性が高まる、といったことが考えられ
る
。
また、Ar内相関についても調べたところ、どのエリア・学年においても、Arのほとんどすべての問題でPA
の合計点よりATの合計点との相関が高かった。このことは、ATとPAが質の異なる学力を測定していることを
示唆している。
これらの結果から、学力を多面的・総合的に把握するために、ArとPAを組み合わせることの意味があらため
て確認されたといえる。
E今後に向けて
1)3エリア間の比較から
以上では、Cエリアの結果を、Aエリア・附属との比較をまじえながら考察してきた。事前には、Aエリアと
Cエリアはどちらも当該エリアのすべての公立学校を対象としているものの、地域的特‘性がかなり異なるので調
査結果も当然異なるだろう、と予想していた。だが、高3を除けば、意外なほどに類似した結果であった。
104
第V章総合的考察
ただし、このような結果の類似性が、それぞれのエリアでの学校教育の効果の類似‘性をそのまま表していると
はいいきれない。通塾率の高い地域や学年では、学力調査の結果は学校学習と塾学習をあわせた結果を示してい
るからだ。この事実は、学校教育関係者には暗黙の理解であるにもかかわらず、多くの学力調査では考慮されて
こなかった。耳塚(2005)は、JELS2003の小6Arのデータをもとに、通塾率の高いAエリアと低いCエリアで
の結果を比較することで学校学習の効果を評価することが試みている。今後、JELSの学力調査結果と質問紙調査
結果を組み合わせて、このような研究がいっそう展開されることが期待される。
高3については、Ar・PAとも、AエリアよりCエリアの方が得点が高く散らばりも小さかったが、当該エリ
アの中学校卒業者のうちどの学力層の生徒が同エリアの公立高校に進学するかに影響されるので、単純には比較
できない。また、全学年を通じて、附属(国立)とAエリア.Cエリア(公立)の問に大きな格差がみられたの
も、入学者層の違いを考えれば、当然のことだろう。これらの間でみられた差異が、単なる入・進学者層の違い
をこえて、どのていど学校教育の質の差異を反映しているかについては、JELS2003からJELS2006、JELS2009へ
とつながる追跡調査のなかで、より詳細に検討していくことが必要である。
さて、Aエリア.Cエリアと附属との間で(また、高3ではAエリアとCエリアとの間でも)差異がみられた
一方で、3エリアに共通する特徴も見出された。地域的特性や学校の性格の異なる3エリアで共通するのであれ
ば、そうした特徴は一般化可能性が高いと考えられる。まずあげられるのは、ATにおいて、それぞれのエリア内
での相対的な難易度の傾向が、どの学年でもほぼ一致していたということである。具体的にいえば、計算問題は
通過率が相対的に高く、作間などの理解や推論を必要とする問題では相対的に低かった。そして、難しい問題に
おいて、Aエリア。Cエリアと附属との差がより大きくなっていた。
また、中3から高3への学力水準の変化をみると、現実的事象を扱った理解や推論を要する非定型的な問題に
おいて高3の方が通過率が高いという共通性がみられた。PAの得点も、すべてのエリアにおいて、中3より高3
の方が高かった。
この事実は、数学教育のあり方についての課題と可能性を示唆している。現在、数学教育の国際的動向におい
ては、OECD/PISAの数学的リテラシーの定義(「個人が、建設的で関心をもった思慮深い市民として生活してい
く上での必要をみたせるようなやり方で、数学が世界で果たす役割を見分け理解し、十分な根拠にもとづいて判
断を行い、数学を使い数学と関わることができる能力」第I章注参照)にみられるように、現実世界と数学の世
界を往還して問題解決や判断を行える力の基礎を、義務教育終了時までに培うことが重要だと考えられている。
理解や推論を必要とする問題で通過率が低いという結果は、こうした力を獲得させるような教育がいまだ不十分
であり今後の課題であることを示している。同時にまた、現実的事象を扱った理解や推論を要する非定型的な問
題の通過率が、中3より高3で高くなっているということは、そうした教育の前提条件が、発達あるいは日常経
験の深まりとともに作られていることを示唆しているのである。
2)調査問題および評価法の有効性について
最後に、JELS2003で用いた2種類の調査問題および評価法の有効性について検討しておきたい。
①ATについて
ATについては、調査実施時期に内容が未履修の問題があったことが、最も大きな反省点である(Aエリアの小
6で3問、Cエリアの小3でl問)。その結果、実施はしたものの分析からは除外したり、問題を差し替えたりし
なければならなくなり、エリア間比較が難しくなった。今回のように対象学年に配当された内容を調査問題に入
れる場合には、使用教科書による履修時期の違いに十分注意する必要があるということを痛感した。
Arでは、「知識・概念」「形式への表現」「形式の解釈」「形式の運用」「推論」「検証・判断」の6つの認知カテ
ゴリーを設定した。問題の作成において問題が偏らないようにする上では一定の有効性を発揮したものの、分析
においてはそれほど有効に機能したとはいえない。認知カテゴリー以上に内容が通過率に大きく影響したこと、
各カテゴリーに含まれる問題数が少なすぎたこと、がその原因である。結果的に、認知カテゴリーごとの分析よ
り、小問ごとの分析が主になった。実施時間や問題数が限られているなかでは、認知カテゴリーによる分析を行
うのは困難であるように思われる。
105
JELS第9集(2007.2)
②pAについて2)
Arが、従来の学力調査とほぼ同様の形式のものであるのに対し、pAは、わが国の大規模学力調査では試みら
れたことのない新しいタイプの評価であり、きわめてチャレンジングな試みであった。
得点分布をみると、とりわけ小6では11点・12点の高得点層が多く、得点だけでは、個々の生徒の学力のプ
ロフィールを十分描き出すことができなかった。また、答えの形式だけでみた場合、小3や中高では求答式の問
題であったため答えから思考プロセスの適切さをあるていど判断することができたが、小6では選択式の問題で
あったため、そうした判断ができず、その分、答案の解釈にいっそう多くの労力を要することになった。また、
小3で有効性を発揮した、正誤と得点の関係をみるという分析も行えなかった。答えの形式は求答式になるよう
なものの方が採点はしやすいだろう。
得点は偏ったものの、今回の小6の分析では、解法という視点を併用することで、得点には表れない解答の質
的な特徴をとりだすことができた。その結果、Aエリア.Cエリアと附属との質の違いも明らかになった。とは
いえ、今回のような大規模調査で他のさまざまな調査結果と組合せながら分析を進めていこうとすれば、解答の
質の違いがなるべく得点にも反映するようにしておくことが、確かにより望ましいことではあろう。
PAの最大の難点は、問題の開発.実施や採点に多くの時間と労力を必要とすることである。一定の信頼性を確
保するためには複数の採点者で採点し、採点結果が整合‘性をもつようにしなければならない。また、採点と同時
平行でルーブリック(課題別採点基準)を開発していく必要もある。しかも、ルーブリックはたえず修正の可能
性にさらされており、ルーブリックが修正されれば採点結果も見直さねばならなくなることが多い。そもそも採
点するためには、子どもたちが書いた答案から、その背後にある思考プロセスを読み取らなければならない。
また、時間や労力がかかることから、どうしても、課題数が制限され、限られた内容しかカバーできなくなっ
てしまう。小3.小6と中高の得点分布の違いからもわかるように、得点はきわめて課題依存的である。今回の
調査では課題がl問だけだったために、この課題依存性がいっそう明確だったが、仮に課題数を増やすとしても
限界がある。これが、PAのもう一つの大きな難点である。今回の調査では、Arと組み合わせることによって、
この難点を和らげようとした。ギップス(2001)は、パフオーマンス・アセスメントを標準化された評価と組み
合わせることによって、プロセスや高次の技能に比重を置くことと広い範囲をカバーすることとの調停をはかる
ことを提案している(168頁)。私たちがとったのもそのような方法であった。
しかしながら、こうした難点があるにせよ、それを補って余りある意義をpAはもっているというのが、今回
実施してみての実感である。個々の子どものパフォーマンスの違いに私たちは固有名をもった個々の子どもの個
性的な学力の質を感じとることができる。
PAでは、個々の子どもの答案は、ルーブリックを用いて評価され、数値に変換される。しかし、個々の子ども
の個性的なパフォーマンスの質は、数値の中にではなく、もとの答案の中にこそある。ルーブリックは、パフォ
ーマンスの質をみるためのツールの一つにすぎない。pAを指導に生かすには、パフォーマンスをどう解釈し、そ
こに表れた学力をどう読み解くのか、その作業を粘り強く行うことが欠かせないのである。
したがって、PAは、今回のような大規模学力調査だけではなく、むしろ個々の学校.学年.学級で採り入れて
ほしい評価法である。子どもたちの書いた答案を前にして、教師同士で議論しながらルーブリックを作成し、採
点する。採点しながらまたルーブリックを修正していく。こうした答案とルーブリックの往復作業の中で、答案
に「パフォーマンス(作品)」として表現された子どもたちの学力が浮かび上がってくると同時に、教師自身の学
力を把握する眼(教育的鑑識眼)が鍛えられていくと考えられるからである。
JELS2006では、PAは希望する学校でのみ実施し、採点はその学校の教師集団が行うことになっている。採点
者のトレーニングのために、PA研修も実施した。専門的力量の発達の機会となることを期待したい。
〈注〉
l)ただし、松下が埼玉県下のある公立小学校で小6Ar問題を実施した際には、平均得点率60.4%であったことから、Aエリア.Cエ
リアの結果を、公立小全体にまでは一般化できない。
2)PAについては、松下(印刷中)で検討したので参照していただきたい。
1
0
6
第V章総合的考察
〈参考文献〉
ギップス、cv2001、『新しい評価を求めて−テスト教育の終駕』(鈴木秀幸訳)論創社。
松下佳代印刷中、「パフォーマンスと学力一算数・数学学力調査で何をどう評価するか?」耳塚寛明・牧野カッコ編『閉ざされた
大人への道一学力と卜ランジッションの危機(お茶の水女子大学21世紀COEプログラム誕生から死までの人間発達科学第4
巻)』金子書房。
耳塚寛明2005,「学力・家庭的背景・地域」日本教育社会学会第57回大会発表資料。
1
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巻
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巻末資料
[3333]型
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ふうせんをぜんぜんもjうえない子どもがいるといけないので、
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JELS第9集(2007.2)
[3332]型
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JELS第9集(2007.2)
[2333]型
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巻末資料
[2332]型
おまつりで、子どもたちへのプレゼントとして、謀いふうせん
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JELS第9集(2007.2)
[2331]型
おまつりで、子どもたちへのプレゼントとして、謀いふうせん
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巻末資料
[1000]型
おまつりで、手どもたちへのプレゼントとして、謀いふうせん
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JELS第9集(2007.2)
[3233]型
おまつりで、手どもたちへのプレゼントとして、茅いふうせん
12こと旨いふうせん15こを甫意しました。ところが、字どもが20天
きました。
こ
ふうせんをぜんぜんもらえない子と、もがいるといけないので、
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巻末資料
[2222]型
おまつりで、手どもたちへのプレゼントとして、茅いふうせん
,2こと旨いふうせん,5こを甫意しました。ところが、字どもが20天
きました。
こ
ふjうせんをぜんぜんもらえない子どもがいるといけないので、
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JELS第9集(2007.2)
[2221]型
おまつりで、学どもたちへのプレゼントとして、茅いふうせん
,2こと旨いふうせん,5こを甫意しました。ところが、字どもが20天
きました。
こ
ふJうせんをぜんぜんもらえない子どもがいるといけないので、
些罰にならんでもらって、まえの字から謀いふうせんを、うしろ
こ
ひとり
の子から白いふうせんを、一人に1つずつくばっていきました。
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すると、jうんよく2つのふうせんをもらえた子どもがいました。
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巻末資料
#2063131
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JELS第9集(2007.2)
#2063031
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコーースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
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で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつ
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巻末資料
#2063262
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JELS第9集(2007.2)
#2111231
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全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
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巻末資料
#2053262
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JELS第9集(2007.2)
#2083342
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが二手に分かれていました。さつきコーースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつ
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きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグループがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
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くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をはか
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た。ゆう子さんはあきお君に「と.こかで休憩していたの?」と聞きまし
た。あきお君は「休憩なんかしてないよ。ずっと歩いていたんだよ。」と
答えました。どちらのグループも休憩したりせず、一定の速さで歩いて
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巻末資料
#2062272
ふたて
子と辱も会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが二手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
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で2つのグループに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグルーープは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
ふたて
10時に二手に分かれて、ゆう子さんのゲノレーーブがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
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た。ゆう子さんはあきお君Iこ「どこかで休憩していたの?」と聞きまし
た。あきお君は「休憩なんかしてないよ。ずっと歩いていたんだよ。」と
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JELS第9集(2007.2)
#2062051
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。きつきコーースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
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で2つのグループに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグルーープは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
ふたて
10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグループがレストハウスについ
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巻末資料
#2064192
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコーースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうり●う
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流すること・にしました。ゆう子さんのグループは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグルーープがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
ませんでした。「齢が長いから雪蕊だね。あきお君たちが着くまでどの
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JELS第9集(2007.2)
#2162232
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが竺手に分かれていました。さつきコースが
全長3-k辺で、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうり●う
で2つのグループに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
ムたて
10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグルーープがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
ませんでした。「齢が長いから雪蕊だね。あきお君たちが着くまでどの
くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をはか
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っていたら、30分後にあきお君のグルーープがレストハウスに到着しまし
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た。ゆう子さんはあきお君に「どこかで休憩していたの?」と聞きまし
た。あきお君は「休憩なんかしてないよ。ずっと歩いていたんだよ。」と
答えました。どちらのグループも休憩したりせず、一定の速さで歩いて
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そこで、みんなはどちらのグループのほうが速く歩いたのか知りたく
なりました。あなたは、どちらが速く歩いたと思いますか。あなたの考
廿つめい
えを、わかるように説明してください。
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巻末資料
#2083121
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さつきコースが
子と.も会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが二手に分かれていました。さつきコー
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。
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で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグルーープは、
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
ふたて
10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグループがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
ませんでした。「燐が長いから雪蕊だね。あきお君たちが着くまでどの
くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をIまか
とうらやく
っていたら、30分後にあきお君のグノレープがレストハウスに到着しまし
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た。ゆう子さんはあきお君に「どこかで休憩していたの?」と聞きまし
た。あきお君は「休憩なんかしてないよ。ずっと歩いていたんだよ。」と
答えました。どちらのグループも休憩したりせず、一定の速さで歩いて
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そこで、みんなはどちらのグループのほうが速く歩いたのか知りたく
なりました。あなたは、どちらが速く歩いたと思いますか。あなたの考
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135
JELS第9集(2007.2)
#2083382
ふたて
子と辱も会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが二手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうり●う
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグルーープは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
ふたて
10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグルーープがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
ませんでした。「産離が長いから雪蕪だね。あきお君たちが着くまでどの
くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をIまか
とうらやく
っていたら、30分後にあきお君のグルーープがレストハウスに到着しまし
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た。ゆう子さんはあきお君に「と畷こかで休憩していたの?」と聞きまし
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巻末資料
#2061292
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが二手に分かれていました。さつきコーースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうりゅう
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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137
JELS第9集(2007.2)
#2083392
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうりゅう
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグルーープは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグルーープがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
ませんでした。「産錐が長いから雪蕊だね。あきお君たちが着くまでどの
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138
巻末資料
#2083101
ふたて
子と.も会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが二手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうりのう
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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139
JELS第9集(2007.2)
#2141031
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが二手に分かれていました。さつきコーースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうりのう
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグルーープは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグルーープがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
ませんでした。「雌が長いから雪殊だね。あきお君たちが着くまでどの
くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をIまか
とうもやく
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巻末資料
#2092232
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子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうりのう
で2つのグループに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグルーープは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグルーープがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
ませんでした。「産錐が長いから雪蕊だね。あきお君たちが着くまでどの
くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をIまか
とう島やく
っていたら、30分後にあきお君のグルーープがレストハウスに到着しまし
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た。ゆう子さんIまあきお君に「どこかで休憩していたの?」と聞きまし
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そこで、みんなはどちらのグループのほうが速く歩いたのか知りたく
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JELS第9集(2007.2)
#2152071
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子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
ごうりのう
で2つのグルーープに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグループがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
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た。ゆう子さんはあきお君に「どこかで休憩していたの?」と聞きまし
た。あきお君は「休憩なんかしてないよ。ずっと歩いていたんだよ。」と
答えました。どちらのグループも休憩したりせず、一定の速さで歩いて
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そこで、みんなはどちらのグループのほうが速く歩いたのか知りたく
なりました。あなたは、どちらが速く歩いたと思いますか。あなたの考
せつめい
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巻末資料
#2043152
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが竺手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
で2つのグループに分かれて、レストハウスで合流することにしました。ゆう子さんのグループは、さつ
きコースにしました。あきお君のグループは、けやきコースにしました。
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ふたて
10時に二手に分かれて、ゆう子さんのグループがレストハウスについ
たのは11時でした。その時、あきお君たちのグループはまだ到着してい
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くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をIまか
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っていたら、30分後にあきお君のグループがレストハウスに到着しまし
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た。ゆう子さんはあきお君に「どこかで休憩していたの?」と聞きまし
た。あきお君は「休憩なんかしてないよ。ずっと歩いていたんだよ。」と
答えました。どちらのグループも休憩したりせず、一定の速さで歩いて
いました。
そこで、みんなはどちらのグループのほうが速く歩いたのか知りたく
なりました。あなたは、どちらが速く歩いたと思いますか。あなたの考
廿つめい
えを、わかるように説明してください。
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JELS第9集(2007.2)
#2092011
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全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
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巻末資料
#2162222
ふたて
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコーースが
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JELS第9集(2007.2)
#2152072
ふたて
さつきコースが
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコー
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。
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巻末資料
#2053111
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子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが竺手に分かれていました。さつ
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JELS第9集(2007.2)
#2121242
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さつきコースが
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコーースが二手に分かれていました。さつきコー
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巻末資料
#2091221
子ども会でハイキングに行ったところ、ある地点でコースが竺手に分かれていました。さつきコースが
全長3kmで、けやきコースは全長5kmです。どちらのコースをとってもレストハウスへ行けます。そこ
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ませんでした。「蛾が長いから雪蕊だね。あきお君たちが着くまでどの
くらいの時間がかかるのかはかってみよう。」ということで、時間をIまか
っていたら、30分後にあきお君のグループがレストハウスに到着しまし
た。ゆう子さんはあきお君に「どこかで休憩していたの?」と聞きまし
た。あきお君は「休憩なんかしてないよ。ずっと歩いていたんだよ。」と
答えました。どちらのグループも休憩したりせず、一定の速さで歩いて
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巻末資料
#3312141
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
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JELS第9集(2007.2)
#3322151
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料b51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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154
巻末資料
#3333051
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円O
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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JELS第9集(2007.2)
##013101
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は’年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、’年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから’年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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156
巻末資料
##013436
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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Aコース(,ご入,全しニ現冷、
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JELS第9集(2007.2)
#3331452
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、’回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、,年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから,年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてくだきい◎
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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巻末資料
##013209
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間
会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
どちらのコース
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、と
アドバイスして
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってア
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてくだきい。)
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159
JELS第9集(2007.2)
##053339
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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巻末資料
#3323161
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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JELS第9集(2007.2)
##013208
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いて〈だ言い。)
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巻末資料
##013117
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金はlOOOO円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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JELS第9集(2007.2)
##013210
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。皇聖一
Aコース:入会金は10000円‘一”3.1蝉
50回目までは無料。51回目からは、,回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。,回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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巻末資料
#3331422
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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JELS第9集(2007.2)
##013338
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
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巻末資料
##013312
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
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JELS第9集(2007.2)
#3331121
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
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巻末資料
#3321192
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
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169
JELS第9集(2007.2)
##023109
北島君は会員制のプールを利用しよう としています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
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ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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巻末資料
#3313432
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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JELS第9集(2007.2)
##013303
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料◎1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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巻末資料
#3322302
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてくだきい。)
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JELS第9集(2007.2)
#3313141
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません◎
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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巻末資料
#3331322
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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175
JELS第9集(2007.2)
##013330
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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巻末資料
##013412
北島君は会員制のプールを利用しようとしています。会員の期間は1年間で、
料金には次の2コースがあります。
Aコース:入会金は10000円。
50回目までは無料。51回目からは、1回ごとに400円。
Bコース:入会金は無料。1回ごとに300円。
ただし、1年間は途中でコースを変えることができません。
北島君は、これから1年間何回プールに行けるか予想しながら、どちらのコース
にした方が得か、考えています。そこで、北島君に、数学を使ってアドバイスして
あげてください。
(あなたがどのように考えたか、わかるように書いてください。)
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執筆者一覧(執筆順)
松下佳代(京都大学COE客員研究員)
神戸佳子(お茶の水女子大学附属小学校COE研究協力者)
上垣歩(三重大学COE客員研究員)
小寺隆幸(明星学園中学校非常勤COE研究協力者)
増島高敬(自由の森学園・和光学園・東京電機大学・日本大学非常勤COE研究協力者)
青少年期から成人期への移行についての追跡的研究
JELS第9集Cエリア算数。数学学力調査報告
お茶の水女子大学21世紀COEプログラム
「誕生から死までの人間発達科学」
StudiesofHumanDevelopmentfromBirthtoDeath
2007年2月28日発行
発行お茶の水女子大学大学院人間文化研究科
人間発達科学専攻COE事務局
〒112-8610文京区大塚2-1-lお茶の水女子大学内
Phone/Fax(03)5978-5340
E-Mail
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