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※国際的に活躍する実践的な技術者への「ロードマップ」

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※国際的に活躍する実践的な技術者への「ロードマップ」
 ※
国際的に活躍する実践的な技術者への「ロードマップ」 富山高等専門学校 ○栂伸司,成瀬喜則
1.まえがき 高専に隣接する地域の企業は、生き残りをかけて
海外展開を進めている。地域企業がこのような海外
との連携活動を行うためには、工学的知識と国際的
な素養をあわせ持った実践的技術者の採用が喫緊の
課題である。 現在、高専機構および各高専では、このような地
域企業の要求に答えるべく、国際的な活動に対して
も即戦力となる実践的な技術者の輩出に向けた様々
な努力がなされている一方で、企業の海外展開の意
義を理解させることや、いかに海外で働こうとする
意欲を育てるかということが課題として残されてい
る。 国際的に活躍する高専生を育成するために、国際
理解や海外で働く意欲を含めた総合的な国際性を自
主的に身につけるためのプログラムを策定すること
を目的とする。そのために、機構・連携校の国際性
啓発ための教育資源を連携校による国際教育に関す
るFD研修会に集約するとともに、卒業生・留学生・
地域企業に学ぶ国際性育成プログラムを開発する。
これらの教育機会を学生に対して「見える化」する
ことにより、学生各自に国際性育成の「ロードマッ
プ」を作成させ、技術者として海外で活躍するため
の能力開発に自主的に取り組ませる枠組みを構築す
る。 2.プロジェクトの目的 『国際的に活躍する実践的な技術者への「ロー
ドマップ」〜卒業生・留学生・地域企業に学ぶ、
自 ら 学 ぶ 国 際 性 〜 』 で は 、 機構・連携校の国際性
啓発ための教育資源と、卒業生・留学生・地域企業
に学ぶ国際性育成プログラムとを、学生に対して「見
える化」し、学生各自に国際性育成の「ロードマッ
プ」を作成させ、技術者として海外で活躍するため
の能力開発に自主的に取り組ませることを目的とす
る。 3.プロジェクトの概要 本事業は、東海北陸地区高専を中心とする10校
(沼津高専、豊田高専、鈴鹿高専、鳥羽商船高専、
岐阜高専、舞鶴高専、福井高専、石川高専、長岡高
専、富山高専)が連携して実施するものであり、そ
の内容は、5つの事業とそれらを実施するための枠
組み(事業6)で構成される。 図1 プロジェクト概念図 ・事業1「卒業生に学ぶ」 連携各校の卒業生
で、海外で活躍する先
輩の事例を調査し、テ
キスト化する。このテ
キストを元に、企業の
海外展開の必要性や
必要とされる国際的
な能力について学ぶ。 図2 冊子『卒業生に
学ぶ』の表紙 ・事業2「留学生に学ぶ」 連携各校の留学生が「留学」を選んだ理由や留学
生の母国について日本人学生が学ぶ機会をつくり、
留学生が将来共に働く可能性のあるパートナーであ
ることを認識させる。 ・事業3「地域企業に学ぶ」 地域企業の中で、海外での事業展開を行っている
会社から講師を招へいし、海外展開の必要性等につ
いてのセミナーを行う。さらにインターンシップを
県内実習+海外事業所見学に拡張し、企業で必要と
される国際的な実務について体験する。 【連絡先】〒933-0288 富山県射水市海老江練合 1-2 富山高等専門学校 商船学科 栂伸司 TEL:0766-86-5255 FAX:0766-86-5110 e-mail:[email protected] 【キーワード】国際性, 可視化, ポートフォリオ ・事業4「見える化」 事業1〜3において開発した国際性
教育のための資源と、既存の高専機構
や連携各校で取り組んでいる教育活動
を、SPICEに集約し、学生向けの
リーフレットを作成する。これを連携
各校の学生に配布する。 ・事業5「ロードマップ」 事業4「見える化」によって作成し
たリーフレットを元に、連携校内で学
生各自に【国際的に活躍する実践的な
技術者へのロードマップ】を作成して
もらい、語学力の到達目標なども含め
て国際性に関する各自の目標を明確化
させ、目標の実現に向けて自主的に取
り組ませる。 図3 見える化リーフレット(富山高専版)
・事業6「SPICEおよび外部評価
委員会」 成果は、各校で参照して利用できるように Web ペー
連携各校の国際性教育資源の集約と「見える化」
ジにまとめた。 リーフレットの作成、さらには学生の作成したロー
3.事業「地域企業に学ぶ」 ドマップの実現に向けての支援方法を検討するため
地域で海外展開を行っている企業等から講師を招
に、国際教育に関するFD研修会:SPICE
へいし、海外展開の意義や現状などについてお話し
(Symposium for Promoting Internationalization いただく学生向け・教職員向けセミナーを開催した。
in College Education)の枠組みを利用する。 他方で、地域の企業の海外事業所でのインターンシ
SPICEにおいて検討されたプログラムの実施
ップを企画するため、現地調査を行い、実施に向け
内容や各校の取組は、フォーラムを開催して外部か
て準備を行った。 らの評価を受けた後、WEB等によって外部へ発信
4.事業「見える化」 を行う。 連携各校の外国語教育や、国際交流活動、海外研
修等を調査した。これらの内容を各校毎の国際教育
4.プロジェクトの進捗 資源として、学生向けに「見える化」するためのリ
23年度はまず、機構・連携校の国際性啓発ため
ーフレットを試作し、連携各校に配布した。 の教育資源を連携校によるSPICE(国際教育に
5.事業「ロードマップ」 関するFD研修会)において集約するとともに、卒
学生向けの国際教育資源を「見える化」したリー
業生・留学生・地域企業に学ぶ国際性育成プログラ
フレットを基に、次年度、各校の低学年の学生に「ロ
ムの開発に取り組んだ。さらに、これらの教育機会
ードマップ」を作成してもらうため、各校のキャリ
を学生向けのリーフレットに「見える化」した。ま
ア教育について調査を行った。さらに、各校のキャ
た、24年度に連携校の低学年の学生に「ロードマ
リア教育の中に、この事業をどのように組み込んで
ップ」を作成してもらうための体制作りを行った。
いくかについて各校と協議を行い、24年度に実施
以下に各事業の成果を列挙する。 に向けた準備を行った。 1.事業「卒業生に学ぶ」 5.プロジェクトの予定 技術者としての国際的な仕事をイメージしやすく
平成23年度は学生による「ロードマップ」作成
するために、連携各校から国際的に活躍する卒業生
に向けて、5つの事業に別けて準備を行った。24
を推薦いただき、そのうち数名にインタビューを実
年度には、23年度の活動を基に、各校において、
施していただいた。インタビューの結果は、学生向
学生のロードマップ作成活動と自主的な国際性の育
けの読み物として冊子にまとめ、連携校の学生に配
成について具体的な取り組みを進めてもらう。 布した。 また、事業1〜4については、学生のアンケート等
2.事業「留学生に学ぶ」 を元に、さらに改善を行う。 連携各校に在籍する留学生は、海外で学ぶことを
本年度の最後には、成果を報告書にまとめるとと
選んだ、日本人学生にとっては海外で学ぶ先輩と言
もに、ホームページ等で公開する。また、成果報告
える。この事業では、連携各校における留学生と日
のためにフォーラムを開催し、外部評価委員会によ
本人学生の交流による交流事例を収集した。各校の
る評価を受ける予定である。
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