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CISTEC
部内限り
on Security Trade Control
クロノロジー
Vol.14, No.5 2009.09.16
C ISTEC
発行:財団法人 安全保障貿易情報センター
〒105-0001 東 京 都 港 区 虎 ノ 門 1-1-21
TEL:03-3593-1149
新 虎 ノ 門 実 業 会 館 4F
FAX:03-3593-1642
情報サービス・研修部
http://www.cistec.or.jp/
2009年8月の輸出管理関連主要情報
8月の輸出管理関連動向の総括 .................................................. 2
1.中華人民共和国 ........................................................... 14
2.台湾(中華民国) ......................................................... 16
3.北朝鮮 ................................................................... 17
4.インド ................................................................... 24
5.パキスタン・イスラム共和国 ............................................... 29
6.ロシア連邦 ............................................................... 32
7.イラン・イスラム共和国 ................................................... 49
8.イスラエル国 ............................................................. 63
9.シリア・アラブ共和国 ..................................................... 68
10.米国 ................................................................... 71
11.その他 ................................................................. 95
出典略号一覧表 .............................................................. 101
- 1 -
8月の輸出管理関連動向の総括
★中華人民共和国
◇輸出管理関連一般
-米国から中国への違法輸出事件-
米カリフォルニア中央地方裁判所は8月上旬、軍事転用可能な集積回路や赤外線カメラ
を中国に違法輸出した事件で被告の中国人3人に対して禁固 20 か月~5年を言い渡した。
また、米商務省産業安全保障局(BIS)は8月 14 日、半導体メーカーの RF Micro Devices
(RFMD)社がスペクトラム拡散モデムの中国への違法輸出で民事罰金 190,000 ドルを支払
うことに同意したと発表した。
◇核兵器関連
-米中、核ミサイル保有部隊の司令官訪米で協議継続へ-
米国と中国は、核ミサイルを保有する中国人民解放軍第二砲兵部隊の司令官の訪米を巡
り協議を続けているという。2006 年4月に当時のブッシュ大統領が、米中の核ミサイル担
当司令官による協議を提案した際、中国の胡錦濤国家主席は第二砲兵部隊の靖志遠・上将
(戦略ミサイル軍司令官)の訪米を支援するとしていた。
★北朝鮮
◇核兵器関連
-米朝関係と核協議-北朝鮮は米朝2国間協議を望む-
米クリントン元大統領は8月4日、北朝鮮に拘束されていた米国人記者を釈放させるべ
く、北朝鮮を訪問し、金正日総書記と会談した。会談後、米国人記者は釈放された。今回
の会談では、核問題は議論されなかったとされているが、北朝鮮が米国との関係改善を望
み、米朝2国間協議を要求してきたことが明らかになった。その後、北朝鮮が米ボズワー
ス特別代表らの9月訪朝を招待したと報じられるなど、北朝鮮は6か国協議の枠組みの外
での米朝2国間協議を望んでいる模様である。しかし、米国政府は、北朝鮮に6か国協議
への復帰を要求すると共に、米朝2国間協議はあくまで6か国協議の枠組みの中で行う考
えを繰り返し示している。
-ミャンマーの核開発と北朝鮮の関与に関する疑惑が浮上-
ミャンマーが北朝鮮やロシアの支援を受けて原子力施設を建設しようとしている模様
だと豪紙が伝えるなどミャンマーの核開発疑惑が取り沙汰されている。ミャンマーからの
亡命者によると、ミャンマーの軍事政権は兵器級プルトニウムを抽出するための再処理技
- 2 -
術の獲得も視野に入れて Naung Laing に原子炉を秘密裏に建設したという。これを裏付け
る強力な証拠は未だ見つかっていないが、豪グリフィス大学の Andrew Selth 氏は、ミャン
マーが核開発を続けている可能性はあるとの見方を示している。
-インドが北朝鮮 MV ムサン号の調査を継続-
インド沿岸警備隊は8月第2週、国連安保理決議に基づき、核物質を積んでいる疑いが
あるとして北朝鮮の MV ムサン号を拿捕した。インド当局がその積荷を検査するなど調査を
進めているが核物質は見つからず、砂糖が見つかったのみであるが、調査は継続されると
いう。
-北朝鮮と韓国の緊張が緩和へ-
北朝鮮が8月第2週に拘束していた韓国人を釈放したことを契機に、李明博・韓国大統
領が「北朝鮮が核兵器を放棄すれば支援を行う用意がある」と表明するなど両国の緊張が
緩和しつつある。北朝鮮は8月 21 日、2008 年 12 月に始めた韓国との南北軍事境界線の往
来制限を解除し、南北間のホットラインも一時的に再開、南北間を結ぶ貨物列車の運行も
再開させた。23 日には、急逝した金大中元大統領の国葬に北朝鮮弔問団を送り、弔問団が
李大統領と会談して金正日総書記のメッセージを手渡した。このメッセージには南北首脳
会談の提案が含まれているとの報道もなされたが、青瓦台はこれを否定し詳細については
言及しなかった。また、26 日には南北離散家族再会を協議するための南北赤十字会談も再
開された。しかし、こうした緊張緩和が進む一方で、韓国は北朝鮮に6か国協議への復帰
を促している間は国連の対北朝鮮制裁決議を忠実に実行する方針も示している。
★インド
◇通常兵器関連
‐ 印、露の技術移転によって軍備増強か ‐
ロシアは、インドへの軍用品や武器などの輸出だけではなく、インドとの共同開発や技
術 移 転 に も 関 心 を 示 し て い る 。 ロ シ ア 空 軍 は 、 印 Hindustan Aeronautics (HAL)社 と 露
Sukhoi 社との間で 5 世代機を共同開発する予定があることを表明している。インドの HAL
社は、
「 輸出用露製 Su-30 戦闘機用部品供給に関し、ロシアと契約を締結した」と発表した。
同様に輸出用 Su-30MK に向けて、航法装置や通信機器等を既に供給しているとした。HAL
社によると、
「インドとロシア両国は、年内にこれら部品供給に関する政府間協定の締結を
行う」との見方を示した。HAL 社も、Su-30MKI を自社生産し、「2010 年に国産化率は 100%
を達成し、2015 年まで年間 60 機のフル生産体制を取る」との計画を示している。 更に 8
月 24 日、印チェンナイ近郊の Avadi の Heavy Vehicles Factory は、ロシアからライセン
スを受け、2009 年 7 月から開始されていたロシアの戦車でも主力の T-90 戦車(10 台)を始
めてインド陸軍に納入した。印防衛研究開発機構(DRDO)によると、「T-90 は、化学・生
物・核攻撃から乗組員や装備を守るための最新防護システムを備えている」という。ロシ
アからの技術移転の遅れから生産が遅れていたが、今後は T-90 を年 100 台以上生産すると
- 3 -
見込まれている。一方インドは、米国製の軍用品や兵器の調達にも関心を寄せている。2009
年 8 月に米国政府は、米ノースロップ・グラマン社が開発中の空中早期警戒システムを装
備した早期警戒機「E-2D 先進型ホークアイ(Advanced Hawkeye)」の輸出を承認した。8
月の第 5 週には米国海軍代表のジョン・ボーリュー(John Beaulieu)氏が、8 時間にわた
ってインド海軍に「E-2D 先進型ホークアイ」の性能や仕様などについて説明を行った。更
にインドは、
「長距離海上偵察および対潜哨戒機である P-8I(米ボーイング社製)」を 8 機
調達することも既に決定しているという。
◇核兵器関連
‐ 印、原子炉建設や原潜開発は引き続き意欲的 ‐
インドは原子炉建設だけではなく、原潜の開発にも積極的である。実際インドの原子力
委員会(AEC)の Anil Kakodkar 委員長が 8 月 2 日、「インドは、新たに4基の原子炉を建
設する計画がある。既にインド政府から 4 基の 700 メガワットの発電能力を有する原子炉
建設の承認を得ている」と公表した。 一方、2009 年 7 月に進水式が行われたインド初の
国産の弾道ミサイル原子力潜水艦「アリハント(Arihant)」は 2009 年 8 月現在、
「原子炉が
搭載されていない」ことが判明した。 「アリハント」への本格的な原子炉搭載は、「更に
1 年はかかる」と見込まれているという。しかし、インドの Mihir Roy 退役海軍中将が 8
月 18 日、
「アリハント」に続いて、
「核弾道ミサイルを搭載する予定のある第 2 の原子力潜
水艦の完成が近い」と公表し、インドによる原潜開発が依然として意欲的であることが伺
える。 しかしながらインドは 2009 年 8 月現在、
「不拡散条約(NPT)」や「包括的核実験禁
止条約(CTBT)」への署名を拒否している。更に、1998 年 5 月に行った核実験に参加した
イ ン ド の サ ン タ ナ ム ( K. Santhanam ) 氏 は 8 月 28 日 、 イ ン ド 政 府 に 「 核 反 応 装 置
(thermonuclear)の爆発の規模が予想していたほど大きくなく、政府は再実験が必要であ
る」と要請したとのことである。
◇生物・化学兵器関連
‐ 印で対化学テロのガイドライン ‐
インドは、化学兵器テロに備えるため、学術的、科学的、軍事的情報源を基にした専門
的知識から作成されたガイドラインを公表した。
- 4 -
★パキスタン・イスラム共和国
◇通常兵器関連
‐ 印首相、新たなパキスタンのテロによる襲撃を示唆 ‐
2009 年 7 月にエジプトで開催された非同盟諸国首脳会議の折に、166 人の死者を出した
2008 年インド・ムンバイのテロ以降 2 度目となる「印パ首相会談」が行われた。両首相は
今後テロとの戦いで協力することに合意していたが、インドのマンモハン・シン首相が 8
月 17 日、「パキスタンに拠点を置くテロリストらが今後 1 年以内に再度インドを襲撃する
計画がある」と警告した。 シン首相は、確かな情報筋から同計画に関する情報を入手した
とし、「テロリストらによる攻撃に備える必要がある」と述べたという。パキスタン側は、
今回のインドのシン首相の発言に対するコメントは控えているとのことである。
◇核兵器関連
‐ パキスタン、核管理に懸念あるもカーン博士の軟禁を解除 ‐
パキスタンによる核管理の安全性について引き続き議論が行われているなか米専門家
らは、「武装勢力にはパキスタンの核兵器そのものよりも、核関連物質や技術が手に渡り、
最終的に彼らによって原子力機器が製造されることが脅威である」と分析しているという。
専門家らの中には、プルトニウムより容易に製造可能な高濃縮ウラン、兵器級ウランを製
造する民生用施設に対する警備に懸念の声が上がっているという。更に軍備管理協会(ACA)
のオリバー・マイヤー(Oliver Meier)氏は、「パキスタン国内では、70,000 人ほどが原子
力などの関連施設に従事しており、全ての従業員の審査および管理は不可能である」と述
べた。 一方 8 月 28 日、パキスタンのラホール高裁は、パキスタンの関係当局に、
「核の闇
市場」を構築して核拡散に関与したとされている A.Q.カーン博士に対し、「2009 年 8 月現
在でも継続されている事実上の軟禁措置撤回を命じる仮処分」を下した。2009 年 2 月にカ
ーン博士への軟禁解除が決定されていたが、カーン博士は、外出の際に警察当局に事前に
届けなければならず、更に自宅の周りでは常にインテリジェンス関係者の監視があり、ラ
ホール高裁に申し立てていたという。また今回の仮処分を受けてカーン博士は、パキスタ
ン政府に対して「軟禁措置が今後も続くようであれば“秘密”を暴露する」と警告したと
のことである。
◇ミサイル関連
‐ パキスタン、米製対艦ミサイルや哨戒機などの兵器改造疑惑 ‐
パキスタンが米製の兵器を改造しているとして、インド海軍参謀総長のスレーシュ・メ
ータ(Sureesh Mehta)大将が警告を発している。インドのメータ大将は、「パキスタンが隣
国のインドなど陸上の標的も攻撃可能にするため、米国製対艦ミサイル『ハープーン』を
改造している事実がある」と主張したという。New York Times 紙も「1980 年代の冷戦時代
に米国からパキスタンに売却された『ハープーン』の改造は、米国の武器輸出管理法(AECA)
- 5 -
に違反する」と報じた。また米国はすでに「哨戒機の P3-C 航空機が改造されている」と訴
えており、オバマ米政権も「米国法に違反している」と抗議しているという。
★ロシア連邦
◇輸出管理関連一般
―グルジアの CIS 脱退―
2008 年8月の露とグルジア間の戦争後、更に関係が悪化していた両国だが、1年以上経
過した8月 18 日にグルジアが正式に独立国家共同体(CIS)から脱退手続を完了したと発表
した。ソ連崩壊後の 1991 年にそれを補う形で創設された CIS だが、各共和国の民主化と米
欧のエネルギー戦略、更にアフガン戦等に伴う米欧の中央アジア進出等からモスクワの求
心力が低下、これで加盟国は 11 か国となった。
◇通常兵器関連
―仏製強襲揚陸艦導入計画―
露が、NATO 加盟国である仏より、強襲揚陸艦を導入することで協議している。対象とな
っているのは、仏 Mistral 級(21,300t)で、ヘリ 16 機、揚陸艇4隻、戦車 13 両を含む車両
70 両、450 人の兵士に加え、69 床の病院施設も併設する艦で、露にとり最初の外国からの
大規模調達となる予定。2008 年に両国が協議を開始したもので、今後4、5隻の強襲揚陸
艦を建造する可能性にも触れている。
―周辺諸国との関係―
2008 年8月の北京五輪直前に始まったグルジアとの戦争から1年が経過したが、グルジ
アからの分離独立を目指し露が支援する南オセチアをあらゆる手段を用い防衛するとグル
ジアを牽制、今も不安定な状況にある。南オセチア側には露部隊が展開するなか、EU 監視
団が間に入っているが、一部地域において露が境界線を移動したとグルジアが非難してい
る。一方露は、グルジアに向け武器を輸出する国に対する制裁を示唆、各国の締め付けを
強化しているが、ウクライナは同国兵器産業の露に対する優位性等を活かし、今も輸出を
継続している模様。
米のアフガン戦開始と共に中継基地となっているキルギスにおいては、米の限定的な基
地使用の継続が6月に承認されているなか、露がプレゼンスの増強に繋がる動きに出た。
メドベージェフ露大統領とバキエフ・キルギス大統領が同国内における露軍駐留継続に関
し覚書を交わしたもので、首都ビシュケク近郊を含む5か所の使用を 49 年間の期間継続使
用することで合意した。
一方露極東と接するモンゴルとは、8月中旬から約1か月間に及ぶ合同軍事演習を実施、
平和維持活動に向けた協力を行うことで合意した。
- 6 -
―通常兵器開発・調達状況―
露は昨 2008 年8月のグルジア戦争時に明らかになった軍近代化の遅れを取り戻す一環
で、UAV の導入・開発を計画し、まずはイスラエルから大型・小型計 12 機の導入を決めて
いたが、このたび露社が次世代大型軍用 UAV/UCAV 開発に乗り出すと発表した。露軍には今
後 100 機の UAV/UCAV が必要との見通しが示されるなか開発されるもので、Dozor-3 と命名
された同機は最大積載量 100kg、最大離陸重量 600kg で飛行時間は6時間とされている。
既に5世代機を実戦配備する米に遅れを取ったとされている露戦闘機開発だが、4++世
代機とされる Su-35 を調達、当面の増強を進める模様。また航空機製造産業再建計画を 10
月までにまとめ、同産業をを国防能力維持に不可欠とするだけでなく露経済の将来を担う
重要産業を位置付け、債務処理による体力増強と政府調達制度改革等を進める方針を示し
た。MAKS-2009 国際航空宇宙展においては、露 Sukhoi 社と 25 億ドルの契約を締結、近代
化推進の姿勢を印象付けた。5世代機として開発されている PAK-FA では露製 AESA レーダ
ーを搭載する予定等、技術面での向上を進めている様子。
印とは協力関係を強めており、輸出用の露製 Su-30 戦闘機部品供給に関し契約を締結、
航法装置や通信機器等の供給を行っている。
―通常兵器輸出案件―
露 の 主 要 兵 器 輸 出 先 で あ る 印 向 け に は 、 Krivak IV ミ サ イ ル ・ フ リ ゲ ー ト 艦 (Project
11356)改良型3隻で、2004 年に引渡した3隻とは異なり、印露共同開発の BrahMos 超音速
対艦巡航ミサイル8発を搭載する予定とされる。また露 Sukhoi 社は印 HAL と共同で5世代
戦闘機を開発している。また第4++世代戦闘機とされる Su-35 は印に加え、マレーシア、
アルジェリア等に計 160 機以上を輸出する計画がある模様。印ではまた、印国産戦車開発
の遅れ等から、現地で T-90 戦車がライセンス生産されている。
一方 2003 年に大量破壊兵器開発を放棄したリビアにおいては、国連制裁解除後 2006 年
より両国は2国間軍事技術協力を協議してきたが、保有する旧ソ連製 T-72 戦車のオーバー
ホールで合意した。また米欧の影響力が強かった湾岸諸国においても、導入が決まってい
る。歴史的に米英と関係が深いサウジアラビアにおいても、Mi-8 Hip 多用途ヘリの輸出版
である Mi-171B の導入が決まっている。当初サウジアラビアは、シーア派イランへの対抗
策として、防空システムへの関心を寄せていたともされており、今後更に協議を通じ関係
が深まる可能性もある。
―武器密輸出疑惑の浮上―
7月、フィンランドから約 200 万ドル相当の木材を搭載し、アルジェリアに向けて航行
していたマルタ船籍の貨物船が、交通量の多い欧海域で行方をくらまし、その後露海軍が
捜索、発見し制圧するという事件が発覚した。解決直後、露検察当局は申告された貨物以
外の積荷があったとのコメントを出したが、その後撤回している。積荷が木材で欧海域で
消息不明となり、その後イスラエル側と露に動きがあった等から、米誌はエストニア軍元
幹部や露海運専門誌等は露の武器密輸に絡んだ事件であったとの見方を伝えている。
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◇核兵器関連
―露戦略部隊―
露は次世代固体燃料型の SLBM, Bulava の試射では失敗が続き遅れが出ているが、それを
搭載予定の新型戦略原潜 Borei 級1号艦は順調に、今後6回程の試験航海を終えた後に就
役する予定。同型艦は最大 16 基の Bulava SLBM を搭載する予定で、既に2、3号艦の建造
も進んでいる。一部には、Bulava の開発難航から既に配備済みの液体燃料型の Sineva を
搭載するとの計画も浮上したが、設計変更が必要となることから、本格的な議論とはなっ
ていない様子。新型艦の建造を進める一方で、加・米の費用負担を受けて、退役した Delta
III 戦略原潜の解体を決定した。30 年以上現役であった同艦は 2008 年末に退役、R-29
Vysota (SS-N-8) SLBM を搭載していた。
また旧ソ連時代から近代化が進んでいない、空軍の戦略爆撃機を米空軍同様、精密誘導
弾等搭載に向け改修する方針を打ち出した。Tu-160、Tu-95S、Tu-22M3 が対象となり、レ
ーダーやアビオニクス等の更新を進めると同時に、戦略爆撃機としての近代化も行い三元
戦略核抑止力の一端としての効果を期待、更に第5世代戦略爆撃機の開発を進める方針に
も触れた。
―米露戦略核軍縮―
米 露 首 脳 は 電 話 会 談 を 開 催 し た 。 両 国 は 12 月 に 失 効 す る 予 定 の 戦 略 兵 器 削 減 条 約
(START)後継条約について先日基本合意に至ったが、今回の基本合意に沿い推進するとした。
本合意に関しては、米上院において条約案の承認が議題に上がる際、その後 10 年間米核戦
力更新等にかかわる予算見積を合わせて審議すべきとの声が出ている。また今回は START
やその後のモスクワ条約の際と同様、戦略核兵器のみが対象となっているが、露側では約
5,400 発を保有するとされる戦術核兵器の削減交渉には反対、また監視検証面が不安視さ
れている。
―各国との原子力協力―
核開発疑惑が浮上したミャンマーにおいて、原子力協力の話が出ている。豪紙は同国が
露や北朝鮮の支援を受け原子力施設を建設しようとしていると報じたが、一方露は医療用
放射性同位体生産のために軽水炉供給で合意している。
一方米商務省は、米社が露社と契約を締結し、低濃縮ウラン燃料を輸入することを承認
した。米露は脅威削減の一環で解体した核兵器を原発向け核燃料に加工し、米商業炉が引
き受ける枠組みが続いている。
◇ミサイル関連
―ミサイル防衛計画―
ミサイル防衛計画では米が、米本土及び欧配備計画等で先行するなか、露も新型早期警
戒レーダーの運用を今秋開始する。露南部 Armavir に建設されたもので現在試験運用中だ
が、ウクライナ西部 Mukachevo とクリミア半島 Sevastopol の代替施設として、飛翔体を約
- 8 -
4,000km 先で探知・追尾するとしている。6月には米ミサイル防衛局長がアゼルバイジャ
ンの Gabala と共に同施設を訪問、チェコに建設予定の早期警戒レーダーの代替施設として
の検討をしている模様。
また迎撃ミサイルに関しても、配備が始まった S-400 Triumph の次世代に当たる S-500
の開発が進められている様子。大気圏外において飛来する敵ミサイルを迎撃するという同
システムは、小型化と運動性能の向上が進められたという。また S-400 は、数量から露モ
スクワ近郊に配備地域が限定されていたが、露軍参謀総長は北朝鮮の核実験及びミサイル
発射への警戒を高める必要があるとして、極東に移動し配備したことを明らかにした。迎
撃ミサイル以外においても、米 ABL、ATL 同様に中距離ミサイル迎撃用に航空機搭載型のレ
ーザー迎撃システムを開発している模様。迎撃ミサイルとは異なり弾頭部分ではなく、燃
料タンクを熱することにより迎撃するとしている。
一方、米が欧配備を計画、露が抑止力を損なうと強硬に反対していた欧ミサイル防衛計
画においては、米政府内から計画の不備の指摘が上がった。米 GAO が行ったもので、米国
防総省の計画には不備があり、大幅な費用増が見込まれるとして警鐘を鳴らしている。一
方今年1月の米政権交代に伴う見直しと露の反対等から、米メーカー側からは固定式シス
テムではなく移動式システムを開発、輸送機により空輸し急速展開も可能との計画を発表
がなされた。ミサイル防衛システムと共に7月の首脳会談時に話題となった、合同情報交
換センター建設については、米露間で建設地に関し合意できていないという。そのような
中、早期警戒レーダー建設予定地のチェコと共に、迎撃ミサイルを受け入れることで合意
していたポーランドにおいて、ブッシュ米前政権が決定した欧ミサイル防衛計画をオバマ
米現政権が中止としたとの報道がなされた。その後否定する向きもあったが、ポーランド
紙は米ミサイル防衛産業の会合において、米軍当局者より配備地域が明言されなかったこ
と等を根拠に報じている。ポーランドは露が計画に対抗し国境付近に核弾頭搭載可能な短
距離弾道ミサイル配備計画を発表、露骨な揺さぶりがなされ、また両国内においては世論
が二分され、受入を同意した当時の政権は倒れ今日に至っている。代替案として、イージ
ス艦の展開、イスラエル、トルコ、バルカン半島への配備を検討しているとしている。
★イラン・イスラム共和国
◇通常兵器関連
―国防相任命問題―
6月の大統領選で不正の発覚と治安部隊によるデモ鎮圧等で混乱となったイランだが、
最高指導者より再選を確認されたアハマディネジャド大統領が組閣を実施、外相はモタキ
氏の留任により外交の継続性と混乱する国内重視との見方がなされるなか、国防相人事に
注目が集まった。1期目には国防副大臣であった Ahmad Vahidi 氏を昇格させ、国防相とす
る内容であったが、同氏は 1994 年にアルゼンチン・ブエノスアイレスにおいて発生した、
現地ユダヤ人施設爆破テロ事件の被疑者として、同国より 2007 年 11 月インターポール経
由で国際手配されている。
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―兵器密輸入疑惑等―
北朝鮮からイラン向け RPG 等兵器の密輸事件が UAE で摘発された。中国に事務所を置く
伊社が輸出者として、イラン革命防衛隊と関係のある企業に宛てられた貨物で、UAE が貨
物を差し押さえた。また豪運輸省も、豪国内法に違反し豪企業所有船が北朝鮮の貨物を輸
送していたとして、捜査中であるとした。
また、フィンランドから木材約 200 万ドル分をアルジェリアに向け輸送中、欧海域で消
息不明となった貨物船を露海軍が捜索・救出した事件が7月に発生したことが発覚したが、
海域や露海軍の捜索と時期、またイスラエルの動きが見られるなか、露製武器がイラン等
中東に向かい輸送されていたとの疑惑が浮上している。
―近隣諸国との関係―
イラク駐留米軍は南部バスラ近郊で、イラン製ロケット砲を押収した。米軍基地に向け
られていたものとされるが、イラク軍報道官は本件に関し、国名を明らかにせず隣国から
来たものと表現、フセイン前政権時代とは異なる、現イラク政権のイランとの関係重視を
印象付けた。
◇核兵器関連
―米 SEC 調査―
米証券取引委員会(SEC)が、イラン等との取引に関し米企業に聞き取りを行っていたとの
報道が相次いだ。Intel 社、AMD 社、HP 社等主要米コンピューター関連企業が対象となっ
ている模様で、HP 社には2月、AMD 社には5月に SEC より、米国務省によりテロ支援国家
指定を受けているイラン、シリア、スーダンとの直接及び間接取引の実態についての問合
せがあった模様。特に AMD 社に関しては、2007 年 12 月に同社製チップを用いイランがス
ーパーコンピューターを開発との報道に、また Intel 社については同社製 CPU 搭載 PC がキ
ューバで使用されているとの報道に関する部分があったとされる。
―核兵器開発疑惑―
核兵器開発疑惑があるイランについて、西側筋からイランの兵器化時期について観測が
流れた。英 Times 紙はある西側情報筋を引用、技術的に1年以内に核弾頭を開発できるも
のの政治判断がなされていないと報じた。2003 年夏には兵器級ウラン製造の研究が終わっ
ているとするもので、2年前の米国家情報分析においては米のイラク侵攻後、イランは核
兵器開発を中止していたという内容を覆す見方をしている。
一方、米国務省情報調査局は、2007 年よりイランは核兵器製造に向けウラン濃縮を行っ
てきたが、核兵器製造に必要な兵器級核物質を取得するには 2013 年までかかるとの見通し
を示した。イランの技術的能力を元に分析したもので、米情報当局は高濃縮ウラン製造の
政治的判断は下されていないとの見方を示している。ブレア米国家情報長官が2月に、米
上院情報特別委員会で証言したもの。
イスラエルは、バラク国防相が引き続きイランの核兵器開発を遅らせるオプションとし
て、軍事攻撃は選択肢であると述べ、関係者はナタンツとアラク両施設への空爆は同国の
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開発を2、3年遅らせる効果があるとの見方を示した。
そのようななか、任期満了を近く迎えるエルバラダイ IAEA 事務局長への風当たりが強く
なっている。イスラエルと仏独英米は、IAEA がイラン査察において入手したデータ全てを
理事会に開示していないとして公開を強く要求、一方事務局長はイランの核兵器開発に関
する確実な証拠はないとして、任期中の開示を拒否していた。イランはこのようななか、
IAEA 査察団の未完成のアラク重水炉へのアクセスを容認、ナタンツ濃縮施設への査察回数
増も認める姿勢を見せた。月末に IAEA が示した報告においては、5月以降、ナタンツの濃
縮施設において稼動されている遠心分離機の拡張ペースは鈍化、8,308 基の遠心分離機が
設置されているものの、5月時点で稼動していた約 5,000 基から、約 400 基減となったと
されている。
―新たな制裁案―
米はイランに対し、9月までに国連安保理常任理事国と独との多国間協議の場に復帰し
ない場合、新たな制裁を科すと警告した。イランが産油国であるにもかかわらず国内需要
を満たす精製能力を持たないため現在輸入に依存している石油精製品、特に 40%を輸入に
依存しているガソリン等の対イラン輸出を禁止することを目指すもので、制裁による価格
高騰で補助金で価格を低く抑えているイラン政府の負担を増やす効果があるとされる一方、
小規模な精製所等があることから制裁の実効性を疑問視する向きもある。独と EU も経済制
裁強化に向け、ガソリン禁輸に加え、イラン籍の航空機及び船舶の着陸・寄港の禁止等を
検討中。
◇生物・化学兵器関連
―チェコ情報当局報告―
チェコ保安情報庁は年次報告において、イラン、北朝鮮、シリアが大量破壊兵器製造を
目的とし、チェコ企業からの調達に関心を寄せていたとした。
◇ミサイル関連
―ミサイル開発―
元イスラエルのミサイル防衛専門家は、イランが突貫態勢を取った場合、今後4年で欧
を射程に収める弾道ミサイルを開発できるとの見方を示した。5月の Sajjil 2 ミサイル実
験においては、固体燃料及び多段式ミサイルに関し技術面等で大きな成果を収め、これに
より 1t の弾頭が搭載可能となったとした。米空軍は一方、イランが他国から支援を受ける
という条件において、6年以内に米本土を射程に収める ICBM の開発が可能とした。
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★米国
◇輸出管理関連
‐米企業、米国人らによる違法輸出事件‐
米国外への違法輸出事件で、企業に対する罰金刑、個人に対する有罪判決が 4 件あった。
集積回路、赤外線カメラを中国へ違法輸出したとして中国人 3 人には禁固刑が下された。
イラン、シリア、スーダン向けの違法輸出事件を起こした米企業、石油・ガス工業用部品
を複数国へ違法輸出していた米企業、スペクトル拡散技術を用いたモデム製品を中国へ違
法輸出した米企業に対して、それぞれ民事罰金が課された。
◇核兵器関連
‐核実験検証に必要な地震波の観測精度が向上‐
全米科学振興協会等が開催した会議において、核実験伴って発生する地震波の観測精度
向上に成功したとする報告がなされたという。TNT10 トン程度の小規模爆発も検出可能と
なる他、爆発地点は誤差 10 マイルで特定できるとされている。
◇生物・化学兵器関連
‐バイオテロの脅威を評価する新技術の確立が必要-英王立協会等が報告‐
英国王立協会と国際生命科学評議会は、バイオテロの脅威評価が困難である現況を受け、
新たな評価技術の開発が必要であるとの研究報告を発表した。
★その他
◇輸出管理関連一般
‐ インドネシア大統領、国内市場拡大を輸出より優先 ‐
2009 年 7 月 17 日にインドネシアのホテルで連続爆弾テロが発生した。 その翌 8 月にイ
ンドネシアの憲法裁判決でユドヨノ大統領の再選が確定した。ユドヨノ大統領は、連続爆
弾テロ発生を受けて「インドネシアのため今後もテロや貧困と戦う」と誓いを表明したと
いう。更にユドヨノ大統領は、
「インドネシアは、輸出よりも国内市場の拡大に努める必要
がある」と主張したとのことである。インドネシアの貧困は、不平等な資本主義に基づい
た世界経済の体制や、インドネシアで起こっているテロも起因しているとも述べたという。
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◇通常兵器関連
‐ 英からスリランカへの武器輸出の実態・・・英下院議員らが調査を要請 ‐
2009 年 5 月にスリランカ政府と対立していた独立武装勢力のタミル・イーラム解放のト
ラ(LITE)が敗北宣言をしていたが、2009 年 8 月に「英下院議員らは、英大臣らにイギリ
スからスリランカへの武器輸出の調査を要請した」という。スリランカ国内の実態の把握
が困難であった当時、実際にどの程度の武器が一般市民に対して使用されたか現時点(2009
年 8 月)では不明とのことである。英下院議員らは更に「既存の武器輸出におけるライセ
ンスなども調査し、英製造の武器、弾薬、備品などがスリランカ側によって LITE にどの程
度使用されたか調査する」必要があると勧告したという。しかしそれらの声に対し、イギ
リスのジョン・ソワーズ(John Sawers)国連大使は、
「『スリランカへの武器輸出の実態』を
国連安保理理事会の議題に含めることはない」と表明したという。
◇通常兵器関連
‐ フィリピン当局がマリベレス海岸で武器を押収‐
8 月 20 日にフィリピンのマリベレス(Mariveles)の海岸でパナマ船籍から、8.6 億ルピ
ー相当のアサルトライフルなどを含む武器がフィリピン当局によって押収された。インド
ネシア側は当初押収された武器取引には関与していないと主張したが、8 月 31 日インドネ
シアのジョコ・サントソ(Djoko Santoso)国軍司令官は、「押収された武器は、フィリピ
ンがインドネシアの国営企業 Pinrad から購入したもので、インドネシア国防省が情報機関
の勧告をもって許可を出したものであった」と認めた。更にサントソ国軍司令官は、
「国防
省から許可が下りており、購入者が誰であるか明確であるため問題はない。しかし、それ
らの武器がフィリピンで転売された場合は、我々の関与するところではない」と述べたと
いう。
◇核兵器関連
-IAEA、核物質の不正取引に警鐘-
IAEA は不正取引データベースを 1993 年から導入し、2008 年度の登録国は 103 カ国であ
る。データベースによると、2007 年度までの不正取引の総計は 1562 件であった。2008 年
度報告書では、15 件の核関連物質の不正取引、16 件の機微品目の盗難及び亡失、全体では
119 件の不正取引が報告されている。また、IAEA は核兵器転用の危険性に再び警告を発す
ると共に「使用場所や保管場所に関係なく、核放射性物質を安全に管理する方法や不正取
引を摘発する確率を向上させる必要がある」としている。
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1.中華人民共和国
(1)輸出管理関連一般
2009/8/5 【米地裁、中国への違法輸出で中国人3人に有罪判決】 米カリフォルニア中央
地方裁判所は、軍事転用可能な部品・製品を中国に違法輸出したとして中国
人3人に有罪判決を言い渡した。集積回路(IC)400 個以上を違法輸出した
Cheerway Trading 社副社長の William Chi-Wai Tsu 被告(61)に禁固 40 か
月、赤外線カメラを中国に密輸しようとした Tah Wei Chao 被告(53)に禁固
20 か月、赤外線カメラを中国に密輸した Zhi Yong Guo 被告(50)に禁固5
年がそれぞれ言い渡された。 (Computer World) (MISC 2009/8/5)
2009/8/14
【米半導体メーカーRFMD、中国への違法輸出で民事罰金】 米商務省産業安全
保障局(BIS)は8月 14 日、半導体メーカーの RF Micro Devices(RFMD)社
がスペクトラム拡散モデムの中国への違法輸出で民事罰金 190,000 ドルを支
払 う こ と に 同 意 し た と 発 表 し た 。 BIS は 更 に 、 同 社 の マ ネ ー ジ ャ ー で あ る
Carol Wilkins も、BIS の担当官に誤解を招く報告を行ったことから 15,000
ドルの民事罰金を支払うことに同意したと発表した。スペクトラム拡散モデ
ム は 、 ECCN 5A001 に 分 類 さ れ 、 EAR で 対 中 輸 出 が 規 制 さ れ て い る 。 (BIS
2009/8/14)
(2)通常兵器関連
2009/8/28 【米企業、中国製機関銃弾を偽装し米政府に納品】米国マイアミの武器販売を
行っている AEY 社を経営する Efraim Diveroli(24 歳)が 8 月 28 日、同社社
員と共謀し、1.03 億ドル相当の禁止されていた中国製の機関銃弾をアルバニ
ア製と偽っていたことを認めた。2007 年に米国防総省は、アフガニスタンで
タリバンやアル・カーイダと交戦中であった米国の同盟諸国に AKY 社から納
品されていた機関銃弾などを供給していたという。1989 年の天安門事件以来、
中国は米国の武器禁輸対象国である。Diveroli 容疑者は、今回の不正行為に
よ っ て
5 年 間 の 禁 固 刑 が 課 さ れ る 見 込 み で あ る と い う 。
(www.sun-sentinel.com) (MISC 2009/9/1)
(3)核兵器関連
2009/8/12
【中国外相、北朝鮮等の核問題を外交的手段で解決するよう要求】 中国の楊
外相は国際軍縮会議で、「政治的・外交的手段によって核拡散問題を解決し、
核拡散ルートを根絶することが重要である」と述べ、イランそして北朝鮮の
核問題を外交により解決するよう改めて国際社会に要求した。同外相はまた、
ミサイル防衛システムの開発や宇宙兵器の開発に反対する姿勢も示した。
(GSN 2009/8/12)
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2009/8/27
【米中、核ミサイル保有部隊の司令官訪米で協議継続へ】 米国と中国は、核
ミサイルを保有する中国人民解放軍第二砲兵部隊の司令官の訪米を巡り協議
を続けているという。ワシントン・タイムズ紙が8月 27 日に報じた。2006
年4月に当時のブッシュ大統領が、米中の核ミサイル担当司令官による協議
を提案した際、中国の胡錦濤国家主席は、第二砲兵部隊の靖志遠・上将(戦
略ミサイル軍司令官)の訪米を支援するとしていたが、今のところ実現して
いない。3月に発表された米国防総省の年次報告書では、
「中国が核兵器の先
制不使用政策を維持するかどうかは不明だ」とするなど、米国では中国の核
に対する懸念が高まっている。 (GSN 2009/8/27)
(4)生物・化学兵器関連
特記事項なし
(5)ミサイル関連
特記事項なし
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2.台湾(中華民国)
(1)輸出管理関連一般
特記事項なし
(2)通常兵器関連
特記事項なし
(3)核兵器関連
特記事項なし
(4)生物・化学兵器関連
特記事項なし
(5)ミサイル関連
特記事項なし
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3.北朝鮮
(1)輸出管理関連一般
2009/8/2
【南ア野党議員、WMD 転用可能な爆弾のリビア向け輸出を許可したとして政府
を非難】 南アフリカ共和国野党の David Maynier 議員は 8 月 2 日、「国家通
常兵器管理委員会(NCACC/National Conventional Arms Control Committee)
が WMD 転用可能な爆弾のリビア向け輸出を認めた」として政府を非難してい
る。NCACC は、人権侵害や紛争拡大につながるような武器輸出を禁止してい
る。しかし同氏は、
「NCACC は 1 年以上、定期的な協議を行っておらず、報告
書も 2005 年に出されたのが最後である。」と述べ、NCACC の活動を疑問視し
ている。さらにジンバブエや北朝鮮向け輸出についても言及している。なお、
NCACC にコメントを要請したが得られなかった。 (GSN 2009/8/3)
2009/8/11
【米国、対北朝鮮制裁を強化】 米国は、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)プログ
ラ ム に 関 与 し た 企 業 を 支 援 し た と し て 、 北 朝 鮮 の 銀 行 「 Korea Kwangson
Banking Corp.(KKBC)」の資産を凍結すると共に米国内における同行の事業
活動を禁止した。米財務省によると、KKBC が、WMD の拡散に関与した端川商
業銀行(Tanchon Commercial Bank)と朝鮮リョンボン総会社(KRGC :Korea
Ryonbong General Corporation ) に 対 し て 支 援 を 行 っ た と い う 。 (GSN
2009/8/11)
2009/8/13
【米国、アジアの銀行に北朝鮮との取引の精査を要求】 米国務省のゴールド
バーグ調整官(北朝鮮制裁担当)は8月 13 日、北朝鮮の核兵器計画を阻止す
るため、オバマ政権がアジアの銀行に北朝鮮との取引を精査させていると述
べた。ゴールドバーグ調整官は8月第4週にシンガポール、タイ、韓国そし
て日本を、8月末には中国を訪問し、その際、国連の対北朝鮮制裁決議の履
行を求めていくという。同調整官はまた、北朝鮮が後戻り不可能な核放棄を
行うまで米国の対北朝鮮制裁は続くとしている。 (ASP 2009/8/13)
(2)通常兵器関連
2009/8/31
【 イ ラ ン 向 け 武 器 輸 出 事 件 で 浮 か び 上 が る 北 朝 鮮 か ら の 拡 散 懸 念 】 World
Tribune 報道。北朝鮮製 RPG 等通常兵器がイランに向け輸送されていたとし
て、UAE が積荷を差し押さえたが、これがここ数週間の北朝鮮の姿勢の変化
に繋がったとの見方がなされている。米専門家は、北朝鮮の態度の変化は5
月 25 日の2回目の地下核実験後に科された制裁が原因と見ている。UAE は国
連安保理の制裁委員会に対し、差し押さえた仏企業 CMA CGM 社傘下の豪 ANL
社所有でバハマ船籍 ANL Australia の積荷への対応を確認中。英 Financial
Times 紙は国連筋の話として、既に同船は出港許可が出ており、積荷はイラ
ンの革命防衛隊に関係がある TSS 社、また UAE 筋は輸出者を中国・上海に事
務所のある伊 Otim 社と確認している。豪運輸相は、豪当局として ANL 社が豪
法に違反し北朝鮮の武器を運搬していたとして、捜査中であると認めた。
(MISC 2009/8/31)
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(3)核兵器関連
2009/8/1
【ミャンマー、核兵器獲得を模索】 シドニー・モーニング・ヘラルド紙は8月
1 日、ミャンマーが北朝鮮やロシアの支援を受けて原子力施設を建設しよう
としている模様だと伝えた。ロシアは既に、医療用放射性同位体の生産に用
いられる予定の軽水炉をミャンマーに供給することで合意している。ロシア
は核不拡散を約束していると指摘する専門家もいるが、ミャンマーからの亡
命者によると、ミャンマーの軍事政権は兵器級プルトニウムを抽出するため
の再処理技術の取り込みも視野に入れて Naung Laing に原子炉を秘密裏に建
設したという。 (GSN 2009/8/3)
2009/8/4 【クリントン元米大統領、北朝鮮総書記と会談】 米国のクリントン元大統領は
8月4日、北朝鮮を訪問して金正日総書記と会談した。北朝鮮に拘束されて
いるローラ・リン、ユナ・リーの両米人記者を釈放させることを目的とした
ものであるが、北朝鮮政権内部で現在何が起こっているか様子を探る目的も
あるとの見方を示す専門家もいる。しかし、元ホワイトハウス関係者は、ク
リントン元大統領による北朝鮮の核問題への関与については懐疑的な見方を
示している。 (GSN 2009/8/4)
2009/8/5 【北朝鮮、米国人記者を釈放】 北朝鮮の金正日総書記は8月5日、クリントン
元米大統領との会談後に拘束していた米国人記者2名を釈放した。ホワイト
ハウスの R・ギブス報道官は「(米国人記者の)拘束問題と他の問題は別であ
ると考えている。北朝鮮も今回の件については米国と同じように考えている
と思う。オバマ大統領は金総書記に何のメッセージも送っていない」と述べ、
クリントン元大統領の訪朝が北朝鮮の核問題やミサイル問題に関する交渉再
開とは関係ないことを強調した。 (GSN 2009/8/5)
2009/8/5 【米クリントン元大統領、金正日総書記と核問題を協議せず】 米国関係者は8
月5日、北朝鮮の金正日総書記とクリントン元大統領が会談した際に北朝鮮
の核問題については議論しなかったと述べた。中断している6か国協議を再
開するかどうかは北朝鮮次第であるが、H・クリントン米国務長官は、夫の訪
朝とジャーナリストの解放が米朝間の緊張緩和につながる可能性があること
を示唆した。 (GSN 2009/8/6)
2009/8/6 【飯村特使とイスラエル首相が北朝鮮問題で会談】 飯村豊・中東和平担当特使
は8月6日、イスラエルのペレス首相と会談し、
「北朝鮮は孤立して危険であ
り、北朝鮮が2度の核実験を実施したという事実は、近隣諸国にとって深刻
な脅威である」と述べた。ペレス首相も同特使の見解に同調し、「北朝鮮は、
シリアが核保有国になることを支援している」と指摘するともに「北朝鮮と
イランには類似点も多く、核保有への野心を抱く両国は危険である」と述べ
た。(Israel National News) (MISC 2009/8/7)
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2009/8/6
【米国、北朝鮮との関係正常化に言及】 米ホワイトハウスの R・ギプス報道官
は8月6日、
「北朝鮮は、他国との関係正常化に取り組む能力と力を有してい
る。北朝鮮が非核化作業を再開することを期待している」と述べた。しかし、
その一方で、北朝鮮による核兵器や長距離ミサイルの開発を阻止するために
必要な措置は取り続けるとの方針も示した。ギプス報道官はまた、訪朝した
クリントン元大統領と国家安全保障会議(NSC)関係者が会談していることを
明らかにする一方、クリントン元大統領とオバマ大統領が近々、今回の訪朝
の件で会談することも明らかにした。なお、ギプス報道官は今回のクリント
ン 元 大 統 領 の 訪 朝 で 北 朝 鮮 政 策 が 変 わ る こ と は 無 い と し て い る 。 (GSN
2009/8/7)
2009/8/7
【米国、北朝鮮に6か国協議への復帰を要求】 米国務省の R・ウッド報道官は
8月7日、
「米国の北朝鮮政策に変更は無い。あとは北朝鮮の対応次第だ。北
朝鮮は、朝鮮半島の非核化を進めることができるように6か国協議の枠組み
に復帰する必要がある」と述べた。ホワイトハウスは、クリントン元大統領
が訪朝した際に核問題は議論されなかったとしているが、国家安全保障問題
担当の J・ジョーンズ大統領補佐官は、今回の訪朝が中断している協議再開
につながることへの期待を表明した。 (REUT 2009/8/7)
2009/8/9 【米国、米朝対話は6か国協議の枠内と発言】 米国のJ・ジョーンズ大統領補
佐官(国家安全保障問題担当)は8月9日、複数のニュース番組の中で「北朝
鮮は米朝関係の改善を望んでいることを示唆する一方、米朝直接対話を求め
てきた。北朝鮮が6か国協議に復帰すれば、米国は6か国協議の枠組みの中
で米朝直接対話に応じるだろう」と述べた。同補佐官は一方で、
「米国人記者
の解放を目的としたクリントン元大統領の訪朝は個人的なものであり、政府
から北朝鮮に公式あるいは非公式メッセージは送っていない」と語った。
(ASP 2009/8/11)
2009/8/11
【核実験検出能力が向上】 包括的核実験禁止条約(CTBT)違反の核実験を検
出する国際核爆発検出ネットワークの検出能力が向上しているという。全米
科学振興協会(AAAS)と戦略国際問題研究所(CSIS)が7月に共同開催した
会議では、北朝鮮が 2006 年に最初の核実験を実施した際に、各国の 22 のサ
イトにある地震観測施設ネットワーク 228 か所のうち 61 か所で核爆発に伴う
地震が検出されたとの報告がなされた。この会議に出席した専門家は、既に
現在のネットワークで TNT 換算 10 トン程度の小さな爆発でも検出可能で、爆
破場所も 10 マイルの誤差で特定できるとしている。なお、地震観測施設は最
終的に 337 か所に増やされるという。 (GSN 2009/8/11)
2009/8/12
【中国外相、北朝鮮等の核問題を外交的手段で解決するよう要求】 中国の楊
外相は国際軍縮会議で、「政治的・外交的手段によって核拡散問題を解決し、
核拡散ルートを根絶することが重要である」と述べ、イランそして北朝鮮の
核問題を外交により解決するよう改めて国際社会に要求した。同外相はまた、
ミサイル防衛システムの開発や宇宙兵器の開発に反対する姿勢も示した。
(GSN 2009/8/12)
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2009/8/12
【北朝鮮高官、核兵器を維持すると発言】 北朝鮮外務省高官の Ro Jong Su
氏は8月 12 日、
「米国の核の脅威がある以上、
(北朝鮮には)核兵器を保有す
るという選択肢しかない」と語った。同氏は「日本と韓国は、世界最多の核
兵器を有する米国の核の傘に守られており、これらの国が核の脅威に晒され
ていると信じる者はいないだろう」と述べ、日本と韓国は核保有国と同じで
あるとの見解を示した。 (GSN 2009/8/13)
2009/8/14
【北朝鮮 MV ムサン号、核物質は見つからず】 インド警察は8月 14 日、北朝
鮮貨物船「MV ムサン号」を調査した結果、核物質は見つからなかったことを
明らかにした。MV ムサン号は8月第2週、核物質を積んでいる疑いがあると
して、国連安保理決議に基づきインド沿岸警備隊に拿捕され、調査を受けて
いた。積荷は砂糖だったという。 (GSN 2009/8/14)
2009/8/15
【韓国大統領、北朝鮮の核放棄にインセンティブを約束】 韓国の李明博大統
領は8月 15 日、北朝鮮が核兵器を放棄すれば支援を行う用意があるとすると
共に、両国国境付近に配備された通常兵器と軍隊を共同で撤退させる考えが
あることを明らかにした。北朝鮮が4月に6か国協議からの離脱を表明、5
月に2度目の核実験を実施して以来、北朝鮮と韓国の間の緊張が高まってい
たが、北朝鮮が8月第2週に拘束していた韓国人を解放したことで緊張が緩
和しつつある。 (GSN 2009/8/17)
2009/8/17
【北朝鮮、共同事業再開を認めるも米韓合同演習には警告】 北朝鮮国営メデ
ィアは8月 17 日、韓国企業が進出して4万人の北朝鮮人が雇用されている開
城工業団地がある開城への往来を認めると発表した。北朝鮮は更に、1950 年
~1953 年の朝鮮戦争で離散した家族の再会事業や金剛山の観光事業も再開
する予定である。しかし、米韓が北朝鮮の主権を侵害するような合同軍事演
習を実施すれば、核兵器を含むあらゆる手段をもって対抗すると警告した。
(REUT 2009/8/17)
2009/8/17
【米国、北朝鮮と韓国の緊張緩和の動きには満足せず】 米国務省のクローリ
ー報道官は8月 17 日、北朝鮮が開城往来や金剛山の観光事業の再開を表明す
るなど最近の北朝鮮と韓国の緊張緩和の動きを「両国の対話の再開に繋がる」
と歓迎していることを明らかにした。しかし、その一方で同報道官は、
「こう
した北朝鮮の動きに満足しているわけではなく、北朝鮮が後戻り不可能な核
放棄を実施することを望んでいる」と述べた。韓国の民間シンクタンク世宗
研究所(Sejong Institute)の南北関係専門家である張成昌氏は、
「問題は、北
朝鮮が『米朝関係が正常化し、米軍のあらゆる脅威がなくなるまで核兵器を
放棄しない』と言っていることだ」と指摘した。 (GSN 2009/8/18)
2009/8/19 【インド、北朝鮮 MV ムサン号の調査を継続へ】 インド当局は、核関連物質の
運搬疑惑で拿捕していた北朝鮮貨物船「MV ムサン号」の調査を継続する計画
を発表した。Press Trust of India が8月 19 日に報じたもので、北朝鮮関
係者及び船員 38 人から事情聴取を行うと見られているという。なお、これま
での調査では、核物質は確認されておらず、イラク向けと見られる砂糖が見
つかっただけである。 (GSN 2009/8/19)
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2009/8/19
【北朝鮮、核問題で米朝直接対話を望む】 米ニューメキシコ州の B・リチャ
ードソン州知事は8月 19 日、北朝鮮外交官2人と非公式に会談した。同知事
は会談後、北朝鮮側が核問題について米国との新たな直接対話を行う用意が
あることを示唆したことを明らかにすると共に、
「 北朝鮮は6か国協議の枠組
みではなく米朝2国間の直接対話を望んでいる」と語った。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/20
【北朝鮮、南北往来の制限を解除】 北朝鮮軍部は8月 20 日、2008 年 12 月に
始めた韓国との南北軍事境界線の往来制限を 21 日に解除すると発表した。韓
国統一省が明らかにしたもので、南北間のホットラインも一時的に再開、南
北間を結ぶ貨物列車の運行も 21 日に再開させると通知してきたという。また、
北朝鮮国営メディアは、急逝した金大中元大統領の国葬に北朝鮮の弔問団を
送ると発表したという。 (AFPR 2009/8/20)
2009/8/23
【北朝鮮金総書記、南北首脳会談を提案か】 AP 通信は、「金大中元大統領の
国葬に参列するために訪韓した北朝鮮の弔問団が8月 23 日に李明博大統領
と会談した際、金正日総書記のメッセージを渡した」と報じた。青瓦台(大統
領府)の李東官報道官は、メッセージは南北間協力に関するものであると述べ
たものの、詳細には言及しなかったという。金正日総書記のメッセージには
南北首脳会談の開催を求める内容も含まれると報道されたが、青瓦台はこれ
を否定した。一方、韓国外交通商省の文太暎報道官は、北朝鮮に6か国協議
への復帰を促している間は、韓国が国連の対北朝鮮制裁決議を忠実に実行す
る方針であることも明らかにした。 (GSN 2009/8/24)
2009/8/24
【ミャンマー核開発疑惑、証拠なくとも疑惑の声】 ミャンマーが北朝鮮の支
援を受けて原子炉及びプルトニウム抽出施設を建設しているとの疑惑が浮上
しているが、これを裏付ける強力な証拠は未だ見つかっていない。しかし、
豪グリフィス大学の Andrew Selth 氏は、「ミャンマーからリークした一部の
情報は信頼できる。また最近、疑惑を更に深めるような情報も出てきている」
とし、ミャンマーが核開発を続けている可能性はあるとの見方を示した。
(GSN 2009/8/24)
2009/8/25
【北朝鮮、米ボズワース特別代表らを招待か-米国は2国間協議を否定】 韓
国紙は8月 25 日、「北朝鮮が米国のボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)
とソン・キム6カ国協議担当特使を9月に訪朝するよう招待した」と報じた。
しかし、ケリー米国務省報道官は同日の記者会見で、
「米国が6か国協議の枠
組みの外で北朝鮮との対話ルートを持つことは、他の核協議参加国、すなわ
ち韓国、日本、ロシアそして中国の権利を奪うことになる」と述べ、米朝協
議の可能性を否定した。同報道官は、北朝鮮との協議には前向きに応じる用
意があるとする一方、あくまで6か国協議の枠組みの中で行うことを協調し
た。(VOA News) (MISC 2009/8/25)
2009/8/26
【韓国と北朝鮮、2年ぶりに協議再開】 韓国と北朝鮮は、南北離散家族再会
を協議するための南北赤十字会談を再開した。両国が協議を再開するのは約
2年ぶりとなる。(Big Pond News) (MISC 2009/8/27)
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2009/8/26
【専門家、米が中東同盟諸国に対し核の傘を提供する案に否定的】 クリント
ン米国務長官が8月、オバマ米政権として、イランの核開発が進んだ際に米
の中東同盟諸国に対し核の傘を提供すると述べたことについて、米不拡散専
門家 Joshua Pollack 氏は、避けることができる核戦争等米への影響が大きい
とし、攻撃を受けた国自身による反撃と異なり同盟国による反撃はその意味
が異なってくるとして、その効果に疑問を呈した。一方、Henry L. Stimson
Center の共同創設者、Michael Krepon 氏は、北朝鮮の核脅威に対し日韓に対
する傘の提供は、日韓独自の核抑止力の必要性をなくしていると、その効果
を主張した。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/28
【米国、ボズワース特別代表の訪朝を否定】 米国務省のケリー報道官は8月
27 日、ボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)が北朝鮮を訪問することを否
定すると共に、第三国で北朝鮮関係者と会談する可能性も否定した。韓国メ
ディアは8月第5週、
「 北朝鮮が米国のボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)
とソン・キム6カ国協議担当特使を9月に訪朝するよう招待した」と報じて
いた。 (GSN 2009/8/28)
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/31
【イランや北朝鮮、化学兵器製造にチェコの技術に関心示す】 チェコ保安・
情報庁(BIS:Bezpečnostní informační služba)は、8 月 31 日に公表された
年次報告書で、「2008 年にイラン、北朝鮮、シリアが大量破壊兵器開発・製
造を目的として、チェコの化学剤、機器、技術に関心を示していた」と公表
した。同報告書では、チェコ市場でチェコ企業との共同開発を通して、複数
のイラン企業が特定のエンジニアリング機器入手に関心を寄せている」との
ことである。更に、ベラルーシやパキスタンからも同様にチェコのエンジニ
ア リ ン グ 機 器 に 関 心 を 示 し て い た と い う ( praguemonitor.com )。 (MISC
2009/9/1)
(5)ミサイル関連
2009/8/5 【米国に向かうミサイル迎撃案、政権交代で調整困難か】 日本防衛省は、北朝
鮮の弾道ミサイルへの対応として、米国に向かうミサイル迎撃なども盛り込
んだ防衛に関する報告書を提出した。2009 年 8 月現在、日本自民党政権下で
進められている憲法解釈の見直しなどの動きのなか、2009 年 8 月末の投開票
の衆議院議員選挙において自民党が敗退し、日本民主党への政権交代がほぼ
確実な情勢であるという。民主党が政権を獲得した場合、今後の対応などの
調整が困難になるだけではなく、
「民主党は独自の外交政策を打ち出す」と表
明しているという。 (GSN 2009/8/6)
- 22 -
2009/8/14
【5月に実施されたシリアのミサイル実験失敗で 20 人が死亡】 共同通信は、
シリア、イラン、北朝鮮が共同で実施したスカッド・ミサイルの試射が失敗、
シリア人 20 人が死亡、60 人以上が負傷していたと報じた。発射されたのは
2発で、その内1発は技術的障害が発生し、シリア・トルコ国境付近の町の
市場に弾着した模様。市場はその後閉鎖され、一般にはガス爆発が起きたと
の発表がなされたとされるが、もう1発の弾着地点は明らかになっていない。
(JP 2009/8/15)
2009/8/25
【韓国、ロケット打上げ成功も人工衛星は正常軌道に乗らず】 韓国は8月 25
日、同国初となる人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)号」を打ち上げた。
しかし、韓国教育科学技術省は同日、人工衛星をロケットから分離する高度
が予定の 302km ではなく 360km にまで達したとし、人工衛星を正常軌道に乗
せることに失敗したことを示唆した。しかし、ロケット打上げ自体は成功だ
ったとしている。一方、北朝鮮は、今回の韓国のロケット打上げについて、
韓 国 も 北 朝 鮮 と 同 様 の 制 裁 措 置 を 受 け る べ き だ と 主 張 し て い る 。 (GSN
2009/8/25)
2009/8/26
【露、北朝鮮付近に防空システムを配備】 最近の北朝鮮の核及びミサイル実
験への対応として、露は最新型 S-400 防空システムを北朝鮮付近に配備した。
AFP 通信が報じたもので、マカロフ露軍参謀総長が発表した。更に、発射失
敗の際にロケットの破片等が落下してこないよう、引き続き可能な対応を検
討するとも付け加えている。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/26
【露、S-400 防空システムを極東の配備】 露は、新型 S-400 Triumf 防空シス
テムを極東に配備、北朝鮮のミサイル試射からなる潜在的脅威に備えるとし
た。モンゴル・ウランバートルを訪問中の露軍参謀総長が発表したもので、
これによりミサイル試射の失敗とそれに伴う破片落下等から、露国土を守る
とした。同システム(SA-21 Growler)は、最大射程 400km で、米パトリオット
や露 S-300PMU-2 を超える射程を持ち、射程 3,500km、秒速 4.8km までのステ
ルス機、巡航ミサイル、弾道ミサイルの迎撃が可能とされる。2015 年までに
露は 18 個大隊を配備する予定。 (RIA 2009/8/26)
- 23 -
4.インド
(1)輸出管理関連一般
特記事項なし
(2)通常兵器関連
2009/8/5
【露、印向けフリゲート艦完成のため、総額 6,000 万ドルの融資を模索】 露
Yantar 造 船所は、建 造中の印海 軍向けフリ ゲート艦3 隻完成に向 け、総額
6,000 万ドルの融資を模索中。Project 11356 Krivak IV 級誘導ミサイルフリ
ゲート艦3隻は、2006 年7月に総額 16 億ドルで同造船所が受注していた。
露 は 2004 年 に 同 型 艦 3 隻 を 引 き 渡 し て い る が 、 今 回 の 3 隻 は 改 良 型 で 、
Club-N/3M54TE に替え BrahMos 対艦巡航ミサイル8発を搭載する予定。 (RIA
2009/8/5)
2009/8/5
【露空軍司令官、空軍の将来を語る】 露空軍は、保有機を 2020 年までにその
70%を近代化する予定。戦略空軍の主力は Tu-95MC ベア、Tu-160 ブラックジ
ャック、Tu-22M3 バックファイアと Il-78 マイダス空中給油機から成り、開
発中の第5世代戦略爆撃機を加え、通常・核戦争の遂行が可能となるとした。
また成層圏の飛行が可能な新型偵察機を開発、偵察能力を強化するとした。
また戦闘機も第4++世代機に更新すると同時に、印 Hindustan Aeronautics
(HAL)社と露 Sukhoi 社との間で5世代機を共同開発、それを導入する予定。
同様に輸送機とヘリも更新、併せて UAV の重要性からその導入を推進、2025
年には全空軍の 40%を占める可能性をも示唆した。 (RIA 2009/8/5)
2009/8/17
【印首相、新たなパキスタン・テロリストによる襲撃の可能性を警告】 イン
ドのマンモハン・シン首相が 8 月 17 日、「パキスタンに拠点を置くテロリス
トらが今後 1 年以内に再度インドを襲撃する計画がある」と警告した。 シン
首相は、確かな情報筋から同計画に関する情報を入手したとし、
「テロリスト
らによる攻撃に備える必要がある」と述べたという。パキスタン側は、今回
のインドのシン首相の発言に対するコメントは控えているとのことである。
(GSN 2009/8/17)
2009/8/17
【露空軍、スホーイ社製戦闘機 60 機以上を 2015 年までに調達】 露空軍は、
2015 年までに 19 億ドルで 64 機のスホーイ戦闘機を調達する予定。露で開催
されている MAKS-2009 国際航空宇宙展で契約に至ったもので、内訳は Su-35
48 機、Su-30M2 4 機、Su-27M 12 機の計 64 機で、第5世代機の技術で開発さ
れた第4++世代機と呼ばれる Su-35 の額は 14 億ドルと見られている。露はま
た、印、マレーシア、アルジェリア等に、Su-35 を少なくとも 160 機輸出す
る計画を立てている。 (RIA 2009/8/17)
- 24 -
2009/8/18
【露首相、MAKS-2009 国際航空宇宙展の開会を宣言】 プーチン露首相は国際
航空宇宙展 MAKS-2009 に出席、数十億ドルに上る航空機産業への支援策を発
表した。空軍機2機が事故に見舞われた2日後の開会式では、専門家が世界
的な不景気により期間中の契約は少なくなるとの見方を示している。首相は
大統領時代航空機産業の近代化推進を約束したが、露は米 F-22 ラプターに相
当する第5世代機の開発に遅れを取り、Su-27 の更新版となる Su-35 が当面
露空軍の主力となる見込み。 (ASP 2009/8/18)
2009/8/18
【露スホーイ社、露国防省と 25 億ドルの契約を締結】 MAKS-2009 国際航空宇
宙展が開催された露では、国防省と露スホーイ社の間で、25 億ドルの契約が
締結された。同契約は、露空軍に向け 2015 年までに同社製戦闘機 Su-35S 48
機 、 Su-27SM 12 機 、 Su-30M2 4 機 を 納 入 す る も の と さ れ る 。 露 開 発 銀 行
Vnesheconombank (VEB)は、Su-35 戦闘機製造開始に当たり、1億 900 万ドル
の融資計画を発表した。また印、マレーシア、アルジェリア等に対し、少な
くとも 160 機の輸出が見込まれている。 (RIA 2009/8/18)
2009/8/20
【露 MAKS-2009 国際航空宇宙展で、露は印と部品供給契約を締結】 domain-b
報道。印 HAL 社は、輸出用露製 Su-30 戦闘機用部品供給に関し、露と契約を
締結したと発表した。既に、同様に輸出用 Su-30MK に向けて航法装置や通信
機器等を供給しているとした。HAL 社によると、印露は年内にこれら部品供
給に関する政府間協定の締結を行うとの見方を示した。露は既に同型機をマ
レーシア、インドネシア、越に輸出、またアルジェリアとベネズエラから受
注している。HAL 社自身、Su-30MKI を生産、2010 年にも国産化率は 100%を達
成するとし、年間 60 機で 2015 年までフル生産体制を取るとの計画を示して
いる。 (MISC 2009/8/20)
2009/8/24
【印陸軍、ライセンス生産した T-90 戦車を受領】 印チェンナイ近郊の Avadi
の Heavy Vehicles Factory は、露からライセンスを受けて生産した初めての
T-90 戦車を印陸軍に納入した。印は 2001 年に、国産 Arjun 戦車開発の遅れ
と、パキスタンがウクライナから T-80 戦車の導入を決定したことを受け、310
両を発注していた。このライセンス契約においては、更に 1,000 両の生産が
可能だが、露の技術移転の遅れから生産が遅れていた。 (RIA 2009/8/24)
2009/8/25
【インド、自国生産の T-90 戦車を納入へ】 インドは8月 24 日、自国で生産
した T-90(10 台)を納入したと発表した。印防衛研究開発機構(DRDO)は、
「T-90 は、化学・生物・核攻撃から乗組員や装備を守るための最新防護シス
テムを備えている」としている。インドは 2001 年にロシアから T-90 の生産
ライセンスの供与を受けており、今後、T-90 を年 100 台以上生産すると見ら
れている。 (GSN 2009/8/25)
- 25 -
2009/8/29
【インド、米製最新早期警戒機調達に強い関心】 2009 年 8 月米国政府は、米
ノースロップ・グラマン社が開発中の空中早期警戒システムを装備した早期
警戒機「E-2D 先進型ホークアイ(Advanced Hawkeye)」の輸出を承認した。
インドは、空中早期警戒システムに高い関心を示しているが、8 月の第 5 週
に米国海軍代表のジョン・ボーリュー(John Beaulieu)氏は、8 時間にわた
ってインド海軍に E-2D 先進型ホークアイの性能や仕様などについて説明を
行った。またすでにインドは、長距離海上偵察および対潜哨戒機である P-8I
(米ボーイング社製)を 8 機調達することも決定しているという。 (AWST
2009/9/2)
(3)核兵器関連
2009/8/2 【印、新たな原子炉建設を表明】 インドの原子力委員会(AEC)の Anil Kakodkar
委員長が 8 月 2 日、「インドは、新たに4基の原子炉を建設する計画がある」
と公表した。Kakodkar 委員長は、既にインド政府から 4 基の 700 メガワット
の 発 電 能 力 を 有 す る 原 子 炉 建 設 の 承 認 を 得 て い る と 述 べ た と い う 。 (GSN
2009/8/3)
2009/8/4 【印外相、豪に対印ウラン取引を期待】インドの S.M. クリシュナ外相が 8 月 4
日、ウラン取引についてオーストラリア関係者と協議するため、オーストラ
リアに向け出発した。2008 年の原子力供給国グループ(NSG)の会合でオー
ストラリアは、海外とインドとの原子力資機材取引について賛成を表明して
おり、今後オーストラリアは積極的にインドとの取引を行うと見込まれてい
る。 (GSN 2009/8/5)
2009/8/13 【印原潜『アリハント』、原子炉未だ搭載されず】 インドのバーハ原子力研究
センター(BARC:Bhabha Atomic Research Centre)が 8 月 13 日、「インド初
の国産の弾道ミサイル原子力潜水艦『アリハント(Arihant)』は 2009 年 8 月
現在、原子炉を搭載していない」と発表した。2009 年 7 月に同原潜の進水式
が行われ、運転が開始されたが同研究所の関係者は、
「原子炉を搭載するまで
には更に 1 年はかかるでろう」と述べたという。 (GSN 2009/8/14)
2009/8/14
【北朝鮮 MV ムサン号、核物質は見つからず】 インド警察は8月 14 日、北朝
鮮貨物船「MV ムサン号」を調査した結果、核物質は見つからなかったことを
明らかにした。MV ムサン号は8月第2週、核物質を積んでいる疑いがあると
して、国連安保理決議に基づきインド沿岸警備隊に拿捕され、調査を受けて
いた。積荷は砂糖だったという。 (GSN 2009/8/14)
2009/8/18
【インド、第 2 の原潜完成間近か】 Mihir Roy 退役海軍中将が 8 月 18 日、イ
ンド初の国産原子力潜水艦「アリハント(Arihant)」に続いて、
「核弾道ミサ
イルを搭載する予定のある第 2 の原子力潜水艦の完成が近い」と公表した。
(GSN 2009/8/19)
- 26 -
2009/8/19 【インド、北朝鮮 MV ムサン号の調査を継続へ】 インド当局は、核関連物質の
運搬疑惑で拿捕していた北朝鮮貨物船「MV ムサン号」の調査を継続する計画
を発表した。Press Trust of India が8月 19 日に報じたもので、北朝鮮関
係者及び船員 38 人から事情聴取を行うと見られているという。なお、これま
での調査では、核物質は確認されておらず、イラク向けと見られる砂糖が見
つかっただけである。 (GSN 2009/8/19)
2009/8/26
【印科学者、CTBT への署名拒否と更なる核実験を主張】 印防衛研究開発機構
(DRDO)の代表顧問 K・サンタナム氏は8月 26 日、Times of India に対して、
「インドは包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名すべきではない。また熱核
装置の試験を実施すべきである」と主張した。同氏によると、1998 年に実施
した核実験において唯一の熱核装置の試験に失敗し、核エネルギー収量が予
想よりも小さかったという。 (GSN 2009/8/27)
2009/8/28
【印科学者、核の再実験を要請】 1998 年 5 月に行った核実験に参加したイン
ド の サ ン タ ナ ム ( K. Santhanam ) 氏 は イ ン ド 政 府 に 、「 核 反 応 装 置
(thermonuclear)の爆発の規模が予想していたほど大きくなく、政府は再実
験が必要である」と要請した(TI 紙 8 月 28 日)。一方、サンタナム氏は依然
として政府に対して、
「包括的核実験禁止条約(CTBT)署名の拒否」も求
めているという。 (GSN 2009/8/28)
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/4
【印、対化学テロのガイドラインを公表】インドは 8 月 4 日、化学兵器テロに
備えるガイドラインを公表した。同ガイドラインでは、学術的、科学的、軍
事 的 情 報 源 を 基 に し た 専 門 的 知 識 か ら 作 成 さ れ て い る と い う 。 (GSN
2009/8/5)
(5)ミサイル関連
2009/8/17
【印露、月探査機の設計を完了】 印露は共同で、月面探査2号機の設計を終
えた。Indian Express 紙が報じたもので、2011-2012 年に月に向け打ち上げ
られる予定という。印宇宙研究機構(ISRO)と露連邦宇宙局は 2007 年 11 月に、
同機 Chandrayaan 2 号の共同開発で合意した。1号機は 2008 年 10 月に打ち
上げられているが、2号機は月面に軟着陸し土壌サンプルを採取、持ち帰る
計画とさ れ る。印製 PSLV-C11 ロ ケットに よ り打ち上 げ られる予 定 。 (RIA
2009/8/17)
- 27 -
2009/8/31
【インド、パキスタンによる米製対艦ミサイル改造を主張】 インド海軍参謀
総長のスレーシュ・メータ(Sureesh Mehta)大将が 8 月 31 日、
「パキスタンが
隣国のインドなど陸上の標的も攻撃可能にするため、米国製対艦ミサイル『ハ
ープーン』を改造している事実がある」と主張した。New York Times 紙によ
ると、「1980 年代の冷戦時代に米国からパキスタンに売却された「ハープー
ン」の改造は、米国の武器輸出管理法(AECA)に違反する」とのことである。
米国はすでに哨戒機の P3-C 航空機が改造されていると訴えており、オバマ米
大 統 領 政 府 も 米 国 法 に 違 反 し て い る と 抗 議 し て い る と い う 。 (AFPR
2009/8/31)
- 28 -
5.パキスタン・イスラム共和国
(1)輸出管理関連一般
特記事項なし
(2)通常兵器関連
2009/8/6
【スイス武器輸出が問題に】 World Radio Switzerland 報道。スイスでは、武
器輸出を中止する提案に対する住民投票が年末に行われる。輸出額は減少傾
向にあるが、サウジ向け等未だ高水準にある。サウジやパキスタン等へのス
イス武器輸出が正当化できるのかが、住民投票において焦点となる見込み。
(MISC 2009/8/6)
2009/8/17
【印首相、新たなパキスタン・テロリストによる襲撃の可能性を警告】 イン
ドのマンモハン・シン首相が 8 月 17 日、「パキスタンに拠点を置くテロリス
トらが今後 1 年以内に再度インドを襲撃する計画がある」と警告した。 シン
首相は、確かな情報筋から同計画に関する情報を入手したとし、
「テロリスト
らによる攻撃に備える必要がある」と述べたという。パキスタン側は、今回
のインドのシン首相の発言に対するコメントは控えているとのことである。
(GSN 2009/8/17)
(3)核兵器関連
2009/8/6
【米大統領補佐官、テロ資金源撲滅に憂慮】 米中央情報局(CIA)に 25 年勤務
し、現在オバマ米大統領の米国土安全保障・テロ対策担当補佐官であるジョ
ン・ブレナン氏は 7 月 6 日、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)において、
テロの資金源の撲滅が困難であると述べた。資金の流れは、各国政府中央レ
ベルでは把握が可能だが、各州や地域レベルでは資金の追跡が困難になると
いう。米国らは以前、暴力行為を目的としたイスラム教徒の慈善資金団体を
起訴したとこがあったが、実際には穏健なイスラム教徒による活動が偽装組
織として、過激派やテロに利用されることもあり、追跡を一層困難にしてい
るという。 (GSN 2009/8/7)
2009/8/16
【米専門家、パキスタンの核関連物質や技術などの管理に懸念】 米専門家ら
は、
「武装勢力にはパキスタンの核兵器そのものよりも、核関連物質や技術が
手に渡り、最終的に彼らによって原子力機器が製造されることが脅威である」
と分析しているという。専門家らの中には、プルトニウムより容易に製造可
能な高濃縮ウラン、兵器級ウランを製造する民生用施設に対する警備に懸念
の声が上がっているという。また軍備管理協会(ACA)のオリバー・マイヤー
(Oliver Meier)氏は、「パキスタン国内では、70,000 人ほどが原子力などの
関連施設に従事しており、全ての従業員の審査および管理は不可能である」
と述べた。 (GSN 2009/8/17)
- 29 -
2009/8/21
【米国等、パキスタンに軍縮会議での反対撤回を要求】 米国等は8月 20 日、
パキスタンに対し、ジュネーブ軍縮会議(CD)で加盟国が 10 年以上前に合意
した最初の作業計画への反対を撤回するよう要求した。加盟 65 か国は5月、
兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約:FMCT)や宇宙兵器配備
禁止、核軍縮等に関する作業計画について合意していたが、パキスタンは8
月 初 旬 に 安 全 保 障 上 の 懸 念 が あ る と し て 更 な る 検 討 を 求 め て い た 。 (GSN
2009/8/21)
2009/8/28
【印科学者、核の再実験を要請】 1998 年 5 月に行った核実験に参加したイン
ド の サ ン タ ナ ム ( K. Santhanam ) 氏 は イ ン ド 政 府 に 、「 核 反 応 装 置
(thermonuclear)の爆発の規模が予想していたほど大きくなく、政府は再実
験が必要である」と要請した(TI 紙 8 月 28 日)。一方、サンタナム氏は依然
として政府に対して、
「包括的核実験禁止条約(CTBT)署名の拒否」も求
めているという。 (GSN 2009/8/28)
2009/8/28
【パキスタン高裁、カーン博士の軟禁解除を命令】 パキスタンのラホール高
裁は 8 月 28 日、パキスタンの関係当局に、「核の闇市場」を構築して核拡散
に関与したとされている A.Q.カーン博士に対し、「2009 年 8 月現在でも継続
されている事実上の軟禁措置撤回を命じる仮処分」を下した(AP 通信)。2009
年 2 月にカーン博士への軟禁解除が決定されていたが、カーン博士は、外出
の際に警察当局に事前に届けなければならず、更に自宅の周りでは常にイン
テリジェンス関係者の監視があり、ラホール高裁に申し立てていたという。
また今回の仮処分を受けてカーン博士は、パキスタン政府に対して「軟禁措
置が今後も続くようであれば“秘密”を暴露する」と警告したとのことであ
る。 (GSN 2009/8/28)
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/31
【イランや北朝鮮、化学兵器製造にチェコの技術に関心示す】 チェコ保安・
情報庁(BIS:Bezpečnostní informační služba)は、8 月 31 日に公表された
年次報告書で、「2008 年にイラン、北朝鮮、シリアが大量破壊兵器開発・製
造を目的として、チェコの化学剤、機器、技術に関心を示していた」と公表
した。同報告書では、チェコ市場でチェコ企業との共同開発を通して、複数
のイラン企業が特定のエンジニアリング機器入手に関心を寄せている」との
ことである。更に、ベラルーシやパキスタンからも同様にチェコのエンジニ
ア リ ン グ 機 器 に 関 心 を 示 し て い た と い う ( praguemonitor.com )。 (MISC
2009/9/1)
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(5)ミサイル関連
2009/8/31
【インド、パキスタンによる米製対艦ミサイル改造を主張】 インド海軍参謀
総長のスレーシュ・メータ(Sureesh Mehta)大将が 8 月 31 日、
「パキスタンが
隣国のインドなど陸上の標的も攻撃可能にするため、米国製対艦ミサイル『ハ
ープーン』を改造している事実がある」と主張した。New York Times 紙によ
ると、「1980 年代の冷戦時代に米国からパキスタンに売却された「ハープー
ン」の改造は、米国の武器輸出管理法(AECA)に違反する」とのことである。
米国はすでに哨戒機の P3-C 航空機が改造されていると訴えており、オバマ米
大 統 領 政 府 も 米 国 法 に 違 反 し て い る と 抗 議 し て い る と い う 。 (AFPR
2009/8/31)
- 31 -
6.ロシア連邦
(1)輸出管理関連一般
2009/8/19 【グルジア、CIS より脱退】 グルジアは 18 日、1991 年に創設された独立国家
共同体(CIS)から脱退手続を完了したと発表した。グルジア議会は 2008 年、
露のアブハジアや南オセチアを巡る戦闘を受けて脱退の決議を採択していた。
一方露議会は、西側に傾斜するグルジアやウクライナ等は CIS の活動を妨げ
るとし、脱退に大きな影響はないとした。 (NYT 2009/8/19)
(2)通常兵器関連
2009/8/1 【露・グルジア間で緊張が高まる】 露はグルジアが4月1日に迫撃砲や手榴弾
を南オセチアに打ち込んだとして非難、露は南オセチアをあらゆる力と手段
を用い防衛すると牽制した。グルジアは露の主張を根拠がないものと否定、
状況を更に不安定化させ危険な道に進めるものと非難した。2008 年の戦争か
ら1年が経過しようとする中、展開している EU 監視団は、敏感な時期にエス
カレートする非難に懸念を示した。 (WP 2009/8/2)
2009/8/1 【露・キルギス、露軍駐留に関し覚書を交わす】 メドベージェフ露大統領とバ
キエフ・キルギス大統領は、キルギス国内における露軍駐留継続に関し覚書
を交わした。露はキルギス首都のビシュケク近郊の Kant を含む5か所に基地
を設置、Kant 空軍基地には約 400 人の兵士と Su-25 戦闘爆撃機、Mi-8 ヘリ等
が駐留している。11 月1日に発効、期間は 49 年間でその後は 25 年間の自動
延長となっている。また同国においては、8月1、2日の両日、集団安全保
障条約機構(CSTO)サミットが開催され、アルメニア、ベラルーシ、カザフス
タン、キルギス、露、ウズベキスタン、タジキスタンの加盟国が参加する。 (RIA
2009/8/1)
2009/8/3 【グルジア、露が境界線を移動と非難】 グルジアは、分離独立運動が起きてい
る南オセチアに露偵察部隊が侵入、Kveshi 村において境界線を数百メートル
移動したとして非難した。4月 30 日より露は警備隊を展開しているが、徐々
に兵力を増強していると警戒している。同地に展開する EU 監視団は、双方で
境界線の位置についての議論はあるものの境界線の変更等具体的な行動を示
す証拠はないとしている。 (NYT 2009/8/3)
2009/8/3
【ウクライナ、グルジア向け武器輸出を継続】 Axis of Logic 報道。グルジア
に武器を輸出する国に対してメドベージェフ露大統領が制裁圧力をかける中、
ウクライナはグルジアに武器輸出を継続している模様。南オセチア大統領は、
米、ウクライナ、イスラエルが引き続きグルジアに向け武器供給をしている
と非難している。7月上旬にはウクライナ Segodnya 紙が、同国武器輸出公社
Ukrspetsexport 幹部の「グルジアとの以前の契約を満たす」との発言を掲載
した。露国防産業筋は、まだ Ukrspetsexport 社及び同社の露国内提携企業に
対する制裁は科されていないとする一方、グルジア内務省及び国防省はコメ
ントを避けた。 (MISC 2009/8/3)
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2009/8/4 【露、仏製の艦船導入で協議】 露は、仏 Mistral 級強襲揚陸艦(総額4億 3,000
万-5億 8,000 万ドル)を導入することで仏と協議している模様。露国防省筋
が明かしたもので、海軍、United Shipbuilding Corp.と造船所関係者の間で
協議が行われているという。仏経済紙 La Tribune も同様に報じている。両国
は 2008 年の Euronaval 展示会に露海軍参謀長が参加した際から協議を開始、
6月のサンクトペテルブルグにおける展示会において同型艦の導入でほぼま
とまったという。同艦には、ヘリ 16 機、上陸艇4隻、戦車 13 両を含む最大
70 両の車両と 450 人の兵士が載ることができ、同時に 69 人分のベッドを擁
する病院施設もあるとされる。 (RIA 2009/8/4)
2009/8/4
【露、ヘリ空母を仏から導入か】 露は約5億 7,600 万ドルを費やし、NATO 加
盟国の仏からヘリ空母を導入することで協議中。外国から最初の大規模調達
となる予定で、自国企業による旧ソ連時代の装備近代化を進める中でのもの
となる。Interfax 通信は、露海軍司令部が仏報道を確認したと報じている。
Mistral 級ヘリ空母に関し両国は、6月のサンクト・ペテルブルグでの展示
会で協議がなされたとされ、露 Kommersant 紙は導入は進められるとの見通し
を報じた。 (REUT 2009/8/4)
2009/8/4
【露企業、大型軍用 UAV を開発】 露 Kronshtadt 社は、新世代の大型軍用 UAV
開発に乗り出す。同社幹部が述べたもので、Dozor-3 と名付けられた同機は
最大積載量 100kg、最大離陸重量は 600kg で6時間の飛行が可能、偵察用と
してだけでなく UCAV としての利用も可能としている。グルジア戦争の際に偵
察能力不足が露呈した露軍だが、UAV100 機が必要との見通しが示されており、
現在露国内で唯一製造する Vega Radio Engineering Corp.に次いで国内2社
目となる模様。Vega 社は航続距離 40km・時間3時間の小型 UAV 最大6機をカ
タパルトから発射、管理できる Tipchak 移動式航空システムを開発している。
(RIA 2009/8/4)
2009/8/5
【露、印向けフリゲート艦完成のため、総額 6,000 万ドルの融資を模索】 露
Yantar 造 船所は、建 造中の印海 軍向けフリ ゲート艦3 隻完成に向 け、総額
6,000 万ドルの融資を模索中。Project 11356 Krivak IV 級誘導ミサイルフリ
ゲート艦3隻は、2006 年7月に総額 16 億ドルで同造船所が受注していた。
露 は 2004 年 に 同 型 艦 3 隻 を 引 き 渡 し て い る が 、 今 回 の 3 隻 は 改 良 型 で 、
Club-N/3M54TE に替え BrahMos 対艦巡航ミサイル8発を搭載する予定。 (RIA
2009/8/5)
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2009/8/5
【露空軍司令官、空軍の将来を語る】 露空軍は、保有機を 2020 年までにその
70%を近代化する予定。戦略空軍の主力は Tu-95MC ベア、Tu-160 ブラックジ
ャック、Tu-22M3 バックファイアと Il-78 マイダス空中給油機から成り、開
発中の第5世代戦略爆撃機を加え、通常・核戦争の遂行が可能となるとした。
また成層圏の飛行が可能な新型偵察機を開発、偵察能力を強化するとした。
また戦闘機も第4++世代機に更新すると同時に、印 Hindustan Aeronautics
(HAL)社と露 Sukhoi 社との間で5世代機を共同開発、それを導入する予定。
同様に輸送機とヘリも更新、併せて UAV の重要性からその導入を推進、2025
年には全空軍の 40%を占める可能性をも示唆した。 (RIA 2009/8/5)
2009/8/5 【露攻撃型原潜、米沖合いの西太平洋で展開していたことが発覚】 米国防省筋
は、露海軍の攻撃型原潜2隻が米東海岸沖の西大西洋に展開しており、異例
の展開に米国防総省、情報当局において露軍に関し懸念が高まっていること
を明かした。冷戦時にはソ連原潜が常駐、情報収集や米艦隊の行動を監視し
ていたものの、ソ連崩壊後遠距離への展開能力を失い、専門家はここ 15 年程
なかったとしている。展開中の原潜は攻撃型の Akula 級2隻、内1隻は新型
の Akura II 級だが、8月4日現在、1隻は米沖合い 200 海里の公海に、もう
1隻はキューバに向けて南下、或いは北上したと見方が割れている様子。こ
れに関連し、オバマ米大統領はメドベージェフ露大統領と4日、内容は明ら
かにされていないものの電話会談を開催した。また米国防総省筋は、露海軍
の異例な活動は常に懸念を生じさせるものとする一方で、米の探知・追跡能
力への自信を示した。 (NYT 2009/8/5)
2009/8/5
【米、西太平洋に展開中の露攻撃型原潜を追跡中】 米国防総省筋は、2隻の
Akula 級露攻撃型原潜が米東海岸沖の大西洋において哨戒していることを認
めた。モレル米国防総省報道官は、公海にいる間は特に警戒すべきものでな
いとしたが、同省筋は近年同海域に展開することができなかったものの、再
びその能力を得たとし、2008 年の中南米遠征、海賊対策等、露海軍の遠征能
力の誇示との見方を示した。また北米防空宇宙司令部(NORAD)は、NORAD と北
方軍司令部(USNORTHCOM)が東海岸の公海における露原潜活動を探知している
ことを認める一方、露軍報道官は記者会見で通常の活動との声明を出した。
(CNN 2009/8/5)
2009/8/6 【ベネズエラ、露製戦車導入でコロンビアに対抗か】 チャベズ・ベネズエラ大
統領は記者会見で、隣国コロンビアにおける潜在的な米軍の存在感増大に対
応するため、露から戦車を導入する計画を示した。同国は総額 40 億ドルを投
じ、ヘリ、戦闘機、自動小銃を購入しているが、更に数大隊相当の戦車を導
入するとしている。 (RIA 2009/8/6)
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2009/8/15
【米、グルジアに訓練部隊派遣を公式発表】 米はグルジアに対し海兵隊を送
り、グルジア陸軍大隊のアフガニスタン派遣に備え訓練を開始したと発表し
た。露が懸念する中の隣国グルジアへの軍事協力となるが、グルジア陸軍歩
兵旅団のアフガニスタンの ISAF への派遣に向け、8月 15 日に現地に到着す
る米海兵隊が訓練を実施、1個大隊 750 人が ISAF に派遣されるという。派遣
される米海兵隊部隊は、60-70 人規模とされ、6か月の期間派遣される予定。
(RIA 2009/8/15)
2009/8/15
【露・ベネズエラ間の軍事協力は継続される模様】 チャベズ・ベネズエラ大
統領は、麻薬と反政府ゲリラ FARC 対策として米軍部隊が隣国コロンビアへ展
開することを受け、その対抗策として露戦車購入を発表したが、セチン露第
一副首相は両国の軍事協力は今後も継続するとした。ベネズエラ陸軍は現在、
80 両の仏製 AMX-30 戦車と AMX-13C 軽戦車数十両を保有しているが、それら
老朽化したものを T-90 戦車等に更新する予定。 (RIA 2009/8/15)
2009/8/17
【露空軍、スホーイ社製戦闘機 60 機以上を 2015 年までに調達】 露空軍は、
2015 年までに 19 億ドルで 64 機のスホーイ戦闘機を調達する予定。露で開催
されている MAKS-2009 国際航空宇宙展で契約に至ったもので、内訳は Su-35
48 機、Su-30M2 4 機、Su-27M 12 機の計 64 機で、第5世代機の技術で開発さ
れた第4++世代機と呼ばれる Su-35 の額は 14 億ドルと見られている。露はま
た、印、マレーシア、アルジェリア等に、Su-35 を少なくとも 160 機輸出す
る計画を立てている。 (RIA 2009/8/17)
2009/8/17
【露、リビアの旧ソ連製戦車の近代化で合意】 露は、リビアの保有する旧ソ
連製 T-72 戦車 145 両のオーバーホール等を行うことで合意、契約した。2003
年の国連制裁解除後の 2006 年より、両国は同計画を2国間の軍事技術協力の
一環として協議してきたもので、リビアは露兵器の有力顧客であり大量の兵
器を輸入していた。しかし保有する戦車の殆どは即時オーバーホールが必要
とされている。 (RIA 2009/8/17)
2009/8/18
【露首相、航空機産業の改革を求めると同時に支援を約束】 プーチン露首相
は、航空機製造産業再建計画を 10 月1日までにまとめる方針を示した。金融
安定化策を進めると共に、航空機製造産業は債務処理を行うべきと述べ、産
業界は市場主義に向け準備すべきとした。航空産業なしに露経済の将来はな
く、国防能力維持に必要とした。直前にはスホーイ社に関し 32 億ルーブルの
資本増強策が発表されており、また政府調達において長期契約を可能とする
等、改善策を施したとした。 (ITAR 2009/8/18)
2009/8/18
【露首相、MAKS-2009 国際航空宇宙展の開会を宣言】 プーチン露首相は国際
航空宇宙展 MAKS-2009 に出席、数十億ドルに上る航空機産業への支援策を発
表した。空軍機2機が事故に見舞われた2日後の開会式では、専門家が世界
的な不景気により期間中の契約は少なくなるとの見方を示している。首相は
大統領時代航空機産業の近代化推進を約束したが、露は米 F-22 ラプターに相
当する第5世代機の開発に遅れを取り、Su-27 の更新版となる Su-35 が当面
露空軍の主力となる見込み。 (ASP 2009/8/18)
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2009/8/18
【露スホーイ社、露国防省と 25 億ドルの契約を締結】 MAKS-2009 国際航空宇
宙展が開催された露では、国防省と露スホーイ社の間で、25 億ドルの契約が
締結された。同契約は、露空軍に向け 2015 年までに同社製戦闘機 Su-35S 48
機 、 Su-27SM 12 機 、 Su-30M2 4 機 を 納 入 す る も の と さ れ る 。 露 開 発 銀 行
Vnesheconombank (VEB)は、Su-35 戦闘機製造開始に当たり、1億 900 万ドル
の融資計画を発表した。また印、マレーシア、アルジェリア等に対し、少な
くとも 160 機の輸出が見込まれている。 (RIA 2009/8/18)
2009/8/18
【露とモンゴル、合同軍事演習を実施する】 露シベリア軍管区は、露とモン
ゴルが合同軍事演習を実施、平和維持活動に向けた協力を行うと発表した。
Darkhan-2 と呼ばれる同演習は、露シベリア軍管区から 200 人の陸軍工兵大
隊と 90 両の車両が参加、モンゴル軍に合流するとしている。昨年に次ぐ2回
目となり、8月 17 日から9月 15 日までと長期にわたるものとなる。 (RIA
2009/8/18)
2009/8/19
【独、露との経済関係を強化か】 メルケル独首相は訪露するたびに、露は独
の最大の貿易相手国であるにもかかわらず露の人権問題を指摘してきたが、
今回の訪露においては両国間の貿易額が昨年比 35.8%減となる中、経済を主
題とした。過去に首相は、EADS 社等戦略的に重要な企業への露の資本参加に
は警戒感を示していたが、独総選挙を6週間後に控え経済重視でメドベージ
ェフ露大統領との協議に及んだとされる。露との間では、米 GM 傘下にあった
Opel 社、Wadan 造船所等への投資問題が協議されている。 (NYT 2009/8/19)
2009/8/20
【露 MAKS-2009 国際航空宇宙展で、露は印と部品供給契約を締結】 domain-b
報道。印 HAL 社は、輸出用露製 Su-30 戦闘機用部品供給に関し、露と契約を
締結したと発表した。既に、同様に輸出用 Su-30MK に向けて航法装置や通信
機器等を供給しているとした。HAL 社によると、印露は年内にこれら部品供
給に関する政府間協定の締結を行うとの見方を示した。露は既に同型機をマ
レーシア、インドネシア、越に輸出、またアルジェリアとベネズエラから受
注している。HAL 社自身、Su-30MKI を生産、2010 年にも国産化率は 100%を達
成するとし、年間 60 機で 2015 年までフル生産体制を取るとの計画を示して
いる。 (MISC 2009/8/20)
2009/8/20
【英武器商がウクライナ製武器を懸念国に輸出か】 Milaz 報道。英在住の武
器商人が、ウクライナ製武器を懸念国に向けて輸出したとされる件について、
超党派の英議員が警告した。議員らは、英政府がウクライナ当局の武器商登
録リストに掲載されていることを知らなかったとして危惧を表明した。議員
らは詳細を明らかにしなかったが、これに対しミリバンド英外相は英税関と
輸出管理機構が調査を開始したと書面で回答した。 (MISC 2009/8/20)
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2009/8/24
【印陸軍、ライセンス生産した T-90 戦車を受領】 印チェンナイ近郊の Avadi
の Heavy Vehicles Factory は、露からライセンスを受けて生産した初めての
T-90 戦車を印陸軍に納入した。印は 2001 年に、国産 Arjun 戦車開発の遅れ
と、パキスタンがウクライナから T-80 戦車の導入を決定したことを受け、310
両を発注していた。このライセンス契約においては、更に 1,000 両の生産が
可能だが、露の技術移転の遅れから生産が遅れていた。 (RIA 2009/8/24)
2009/8/25
【サウジ、露製軍用ヘリ 30 機を購入】 サウジは、露から 30 機の Mi-171B 軍
用多用途ヘリを購入することで合意した。消息筋が明らかにしたもので、最
終契約は9月になる見込みとされる。同型機は、Mi-8 Hip 多用途ヘリの輸出
仕様で、露 Kazan 市及び Ulan-Ude 市で製造、最大 37 人の搭載が可能。 (RIA
2009/8/25)
2009/8/26
【露空軍、今後の装備構想を示す】 露空軍は MAKS-2009 国際航空宇宙展で発
注した、総額 26.5 億ドルのスホーイ戦闘機調達に留まらず、無人戦闘攻撃機
(UCAV)や第5世代戦闘機、次世代戦略爆撃機まで含む調達構想を練ってい
る模様。露の第5世代戦闘機とされる PAK-FA は、露 NIIP 社製の 1,500 個の
素子から成る AESA レーダーを搭載、同機の先端に固定される模様。NIIP 社
は、パッシブ型の製造を進めていたが、最近の技術の進化に伴いアクティブ
型の製造を始めたとされる。また空軍は、第5世代機と同様の武装を搭載す
る、UCAV の開発にも言及した。 (AWST 2009/8/26)
2009/8/26 【露、欧海域で海賊に制圧された貨物船に、未申告の貨物が積載されていたと
の見方を示す】 露検察幹部は、7月にスウェーデン沖で海賊により制圧され
た貨物船に、未申告の貨物が積載されていた可能性を示した。マルタ船籍の
同船は、木材をアルジェリアに向けて航行中、バルト海で乗っ取られ、数週
間に渡り制圧されていたものを最近露海軍が奪還、8人が拘束されている。
しかし検察当局はその数時間後、違法な貨物の密輸や極秘作戦があったとの
見方を否定する声明を出した。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/26
【露、仏から軍用艦調達を計画】 露軍参謀総長のマカロフ大将は、NATO 加盟
の仏から新型のヘリ搭載強襲揚陸艦を調達する計画を示し、軍近代化加速の
方針を明確にした。LCAC と揚陸艇を備え、16 機の大型ヘリと 470 人の部隊を
載せることが可能な仏 Mistral 級1隻を調達する計画で、総額9億 9,500 万
ドルの契約は年内に締結される見込み。また今後、同様の艦を4、5隻建造
する可能性についても触れた。 (AFPR 2009/8/26)
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2009/8/28
【露、北極圏に向け新技術を砕氷船に投入】 プーチン露首相が参列する中、
今年5月、露で新型砕氷船が任務に就いた。北極圏の資源開発に向けたもの
で、サンクトペテルブルグの Baltiysky 造船所で建造された。数年前は、ソ
連時代の老朽化した2隻と、3隻の退役直前の原子力砕氷船、1隻の建造が
中 止 さ れ た 原 子 力 砕 氷 船 で あ っ た が 、 2007 年 に 新 船 の 建 造 を 開 始 し た 。
Sevmash Predpriyatie 造船所が近代化の遅れから、印空母 Vikramaditya (旧
艦名 Admiral Gorshkov)の建造で困難に陥る中、造船業の合併・増強とそれ
に伴う効果が必要とされている。United Industrial Corp.(OPK)がソ連崩壊
後、傘下の Severnaya Verf、Baltiysky Zavod、砕氷船設計局の近代化を進
め、世界最大の砕氷船艦隊を保有している。 (TG 2009/8/28)
2009/8/28 【サウジ、露製ヘリ購入でほぼ合意】 サウジアラビアは、露から 30 機の攻撃
ヘリを購入する協議で最終段階に入っている模様。主要な米同盟国であり、
大量の米製兵器を長期にわたり導入している同国だが、2007 年 11 月に最初
に JDW により報じられ、その後露 Kommersant 紙が、2009 年8月 25 日には露
RIA Novosti 通信が Mi-171B ヘリ 30 機で9月にも合意と報じた。当初サウジ
は、防空システム、戦車とヘリに関心を示していたとされるが、米英仏との
従来の関係があるなかで露は湾岸諸国市場への参入を図り、シーア派イラン
をイスラエル同様脅威視するスンニ派サウジとの間で利害が一致したとされ
る。 (UPI 2009/8/28)
2009/8/31
【乗っ取られた木材輸送船が武器密輸に関与していた可能性も】 フィンラン
ドを出港し、200 万ドル相当の木材を積載してアルジェリアに向かっていた
マルタ船籍で露船員を乗せた貨物船 Arctic Sea が行方不明となった件だが、
7月に追跡不能となった後、露海軍は8月 12 日に捜索を開始、1週間後に露
は同船と乗組員の奪還を発表した。積荷が木材で、救難信号がなかったこと、
奪還直後にペレス・イスラエル大統領が急遽訪露、露の捜索開始までの期間
等異例な事例が積み重なる中、元エストニア軍幹部、露海運誌 Sovfrakht 編
集 者 ら は 、 露 製 兵 器 が 積 荷 の 中 に 紛 れ て い た と の 見 方 を 示 し た 。 (TIME
2009/8/31)
(3)核兵器関連
2009/8/1
【ミャンマー、核兵器獲得を模索】 シドニー・モーニング・ヘラルド紙は8月
1 日、ミャンマーが北朝鮮やロシアの支援を受けて原子力施設を建設しよう
としている模様だと伝えた。ロシアは既に、医療用放射性同位体の生産に用
いられる予定の軽水炉をミャンマーに供給することで合意している。ロシア
は核不拡散を約束していると指摘する専門家もいるが、ミャンマーからの亡
命者によると、ミャンマーの軍事政権は兵器級プルトニウムを抽出するため
の再処理技術の取り込みも視野に入れて Naung Laing に原子炉を秘密裏に建
設したという。 (GSN 2009/8/3)
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2009/8/2 【印、新たな原子炉建設を表明】 インドの原子力委員会(AEC)の Anil Kakodkar
委員長が 8 月 2 日、「インドは、新たに4基の原子炉を建設する計画がある」
と公表した。Kakodkar 委員長は、既にインド政府から 4 基の 700 メガワット
の 発 電 能 力 を 有 す る 原 子 炉 建 設 の 承 認 を 得 て い る と 述 べ た と い う 。 (GSN
2009/8/3)
2009/8/3 【米、イランに対し新たな経済制裁を警告】 クリントン米国務長官は、イラン
に対し核開発問題に関し9月までに協議に復帰しない場合は、新たな経済制
裁を科すと警告した。長官は具体的な段階について議論には早いとしながら
も、
「 イラン政府からの積極的な反応がなければ国際社会として次の段階に進
む必要があり、それには制裁が含まれる」との見方を示した。ギブス米大統
領報道官も、
「 イランの核兵器保有を阻止するために何が重要か見極める必要
がある」と述べる一方、イスラエルと協議した内容については触れなかった。
(GSN 2009/8/4)
2009/8/3 【露 Borey 級新型戦略原潜、就役までに5、6回の試験航海を予定】 露海軍の
新型戦略原潜、Borey 級1号艦の Yury Dolgoruky は、今後6回程の試験航海
を就役前に実施する予定。建造した Sevmash 造船所が明らかにしたもので、
同型艦は新型 SLBM の Bulava ミサイルを搭載する予定で、最大 16 基を搭載す
る予定。2、3号艦も現在同造船所で建造中で、2009 年、2011 年にそれぞれ
完成、2015 年までに8隻が建造される予定。 (RIA 2009/8/3)
2009/8/4 【米露首脳、戦略核軍縮協議推進で合意】 米露首脳は電話会談において、戦略
核軍縮協議を更に推進することで合意した。新華社通信が報じたもので、両
者はモスクワでの首脳会談の合意を実行に移すとした。これに関連し露専門
家は、1991 年 START に基づき、米は露施設に対し 559 回、露は米施設に対し
464 回の検証をそれぞれ実施した。また露は毎年 START に基づき 50 回、オー
プンスカイ条約に基づき 50 回等の偵察飛行を実施、中国に対しても2国間合
意に基づき4回査察を実施しているとし、検証の結果署名国がほぼ合意を遵
守していると述べている。一方、露軍は核兵器を搭載しない2隻の攻撃型原
潜が、西大西洋において哨戒活動に当たっているとの報道を認めた。 (GSN
2009/8/5)
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2009/8/4 【米上院、米露戦略核軍縮に向けた予算案を政権に要求】 マケイン米上院議員
らはオバマ米大統領に対し、上院で米露核軍縮条約案の承認を求める際には、
同時にその後 10 年間の米核戦力更新等予算見積を示すべきとの書簡を送っ
た。老朽化した ICBM や原潜、爆撃機等核弾頭の運搬手段までの即応性を維持
している証を求めるとしている。同書簡は、2010 年度国防予算法案への追加
条項に対応したもので、ケリー議員、レビン議員、ルーガー議員、マケイン
議員と超党派有力議員が共同で署名した。下院案は、米核戦力に必要な予算
が充てられているか、新軍縮条約に必要な検証手続が盛り込まれているか、
また米にミサイル防衛及び通常兵器の配備の制限が科せられていないかとい
う点を議会に証明することをオバマ政権に求める一方、上院案ではこれらに
関 し オ バ マ 大 統 領 の 回 答 を 書 簡 で 要 求 す る 内 容 と な っ て い る 。 (GSN
2009/8/4)
2009/8/5
【米専門家、IAEA はミャンマーの核活動を調査すべきと発言】 米武器管理協
会(Arms Control Association)の D・Kimball 氏は、最近のミャンマーの核開
発疑惑報道に触れ、
「疑惑報道は、国際原子力機関(IAEA)事務局長(とミャン
マーの民生用原発建設に協力するロシア)がミャンマーに核活動の説明と特
別査察の受け入れを要求する上で十分な根拠となる」と述べた。しかし、そ
の一方で、Kimball 氏や米科学国際安全保障研究所(ISIS)の D・オルブライト
所長らは、ミャンマーが核兵器を開発しようとしていることを裏付ける明確
な証拠は今のところ無いとしている。 (GSN 2009/8/5)
2009/8/5 【露、戦略爆撃機の改修を計画】 露空軍は、核兵器搭載可能な戦略爆撃機を精
密誘導爆弾等搭載のため、改修する計画。露 Interfax 通信が報じたもので、
Tu-160、Tu-95MS、Tu-22M3 が対象となり、露空軍参謀長は Tu-160 爆撃機に
対し、精密誘導爆弾を含む通常兵器を搭載する攻撃ミッションにおける役割
を拡大するため、レーダー更新や搭載可能な兵器増等を行うとした。また
Tu-22M3 爆撃機についてもアビオニクスや精密誘導爆弾搭載に備えた更新等
を行うとし、併せて第5世代戦略爆撃機を開発していることにも触れた。
(GSN 2009/8/6)
2009/8/5
【露とベネズエラ、研究炉建設を協議】 露とベネズエラは 2008 年の合意に基
づき、ベネズエラに研究炉を建設する。露国営 Rosatom 傘下の Atomenegoprom
社と、ベネズエラのエネルギー・石油省との合意によるもの。ベネズエラは
1960 年に研究炉を建設、運用していたが 1994 年に廃炉としていた。 (RIA
2009/8/5)
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2009/8/6 【米が検討中の対イラン燃料制裁、輸入業者にとり好機となるか】 米が計画し
ている、イランに対する燃料供給者に対する制裁案は、イランの燃料輸入額
を高騰させると同時に、業者に利益をもたらすものと見られている。イラン
は世界5位の原油産出国だが、国内需要を満たすだけの精製能力を持たず、
ガソリンの 40%を輸入に依存しているため、価格高騰により、補助金でガソ
リン小売価格を抑えているイランは財政的に厳しくなる効果が期待される。
イランに燃料を輸出している企業としては、欧 Vitol、Trafigura、露 LUKOIL、
マレーシア Petronas に加え、印 Reliance(5月より輸出を停止)が挙げられ
るが、小規模な企業も数多くあり、制裁の実効性を疑問視する向きもある。
また印西岸の精製所や、UAE の Jebel Ali 港等もこれにより影響を受けると
見られている。 (REUT 2009/8/6)
2009/8/7
【イラン、兵器製造に必要な核物質生産にはまだ数年必要か】 2007 年からイ
ランは核兵器製造に向けウラン濃縮を行ってきたが、米国務省情報調査局は
イランが必要な兵器級物質を製造するには 2013 年までかかるとの見通しを
示した。イランの技術能力を元に分析をしたもので、高濃縮ウラン製造の政
治的判断については考慮しない分析としたものだが、米情報当局は未だ政治
的判断は下されていないとの見方で一致している。2月に米上院情報特別委
員会で行われた、ブレア米国家情報長官の証言における質疑に含まれていた
もので、米科学者連盟(FAS)が米情報公開法に基づき開示請求を行い、公開
された。また露の軍備状況についても触れられていたが、長官は露の通常兵
力は中・西欧の直接的脅威ではなく、大規模な遠征能力は極めて限定的であ
り、露の国防予算は GNP 比 3%以下(2009 年度の米予算は GDP 比 4.7%)との見
方を示した。 (WP 2009/8/7)
2009/8/10 【国連事務総長、米露の戦略武器削減に関する会談に言及し、軍備不拡散を希
求】 潘基文国連事務総長は 8 月 10 日、国際社会に対して世界の核兵器廃絶
への努力を促進するよう求めた。同氏は、オバマ米大統領とメドベージェフ
露大統領が、2009 年 12 月に失効する米露戦略兵器削減条約(START)の後継
条約締結に向け、両国の戦略核と戦略爆撃機や弾道ミサイル等の運搬手段を
削減することで合意したことを歓迎した。さらに、同氏が展開する“We Must
Disarm”という軍縮キャンペーンについても紹介があった。 (GSN 2009/8/10)
2009/8/14
【露、状況によっては開発中の SLBM、ブラバの開発を中止か】 これまで 11
回試射を実施したものの6回失敗している露が開発中の SLBM である Bulava
だが、今後実験で失敗が続く場合は開発中止もあり得る模様。ロイター通信
が報じたもので、同ミサイルを搭載するために新造した Borei 級戦略原潜に
ついても、既に配備している SLBM である Sineva ミサイルを搭載する方向に
転換する可能性があるという。Bulava は 10 個の弾頭を搭載、5,000 マイルの
射程を持つ固体燃料ミサイルだが、Sineva は 11,547 マイルの射程を持つ。
(GSN 2009/8/14)
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2009/8/14 【露専門家、露戦術核削減案に反対する提案】 露科学アカデミー(RAS)国際安
全保障問題研究所長で、元露国家安全保障会議議長の Kokoshin 氏は、米露核
軍縮合意において、露の国家安全保障には戦略・戦術核の両方が必要である
とし、戦術核削減は行うべきでないとした。米専門家は、露は現在約 5,400
発の戦術核を保有、内約 2,000 発を巡航ミサイル、魚雷等の形で配備してい
ると見ている。米露が戦術核削減で合意した場合、戦略核軍縮の際より複雑
な 監 視 検 証 手 段 が 必 要 と な り 、 そ の 点 か ら も 懸 念 さ れ て い る 。 (GSN
2009/8/14)
2009/8/17
【独と EU、対イラン制裁強化を検討】 独と EU は、イランが核問題において
妥協をしない場合、イランに対し経済制裁を科すため調整を続けている。EU
と独は、イランが輸入に頼るガソリンの禁輸を計画、これはイランの輸入量
の 30%を占めるとされている。またイラン籍の航空機及び船舶の EU 着陸・寄
港を禁止することも検討しており、ロイズ等主要保険会社はイランとの貿易
に係る保険引き受けの中止に追い込まれる可能性がある。独政府は、中露が
制裁強化には消極的な国連安保理において提案する模様だが、独外交筋は EU
と米は独自に強力な制裁を科す方針を示しているという。 (SP 2009/8/17)
2009/8/17
【露、退役した戦略原潜の解体を計画】 露は8月 14 日、2008 年 12 月に退役
した戦略原潜の解体を決めた。30 年以上現役であった Delta III 級戦略原潜、
K-496 Borisoglebsk で、Zvezdochka 造船所で解体される予定。同型艦は核弾
頭を積んだ R-29 Vysota (SS-N-8) SLBM を搭載、露 Rosatom と加、米が同艦
解体費用を負担する予定。 (GSN 2009/8/17)
2009/8/18
【イラン外交筋、核協議再開の意思表示をしたとの観測を否定】 Soltanieh
イラン IAEA 大使は、イランは IAEA の枠内で平和目的の原子力活動を行う方
針で変わっていないと述べた。国営テレビに答えたものだが、以前は前提条
件なしでの協議が同国の方針と主張していた。またイラン外務省報道官は、
イラン国民は対話を歓迎するが、国益の範囲内で行うものであり、真剣に原
子力開発の権利を護るつもりでこれについては条件は付けさせないと述べて
いる。 (GSN 2009/8/18)
2009/8/19
【露、戦略爆撃機の近代化を計画】 露空軍参謀次長は、核搭載可能な戦略爆
撃機を近代化する計画を示した。Tu-95MS や Tu-160 戦略爆撃機を近代化する
ことにより、三元戦略核抑止力の一部として効果が期待できるとした。また、
露 は 最 近 、 Su-34 戦 闘 爆 撃 機 の 契 約 を 締 結 し た と も 付 け 加 え た 。 (GSN
2009/8/20)
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2009/8/19
【IAEA、イランの核開発に関する証拠を示していないと批判を受ける】 イス
ラエルと西側外交筋は、IAEA がイランの核兵器開発に関する情報を抑えてい
ると非難した。イスラエル Haaretz 紙が報じたもので、IAEA 査察官は本部に
報告を提出したものの、イランの核関連活動の保障措置に関する部分は含ま
れておらず、仏独英米はエルバラダイ IAEA 事務局長に対し9月の総会までに
情報を提示するよう要求したという。事務局長は任期満了まで同情報を関係
国に公開するつもりがないとされる中、イスラエル原子力委員会と外務省が
公開を要求している。事務局長はイランの核兵器開発に関し確実な証拠はな
いと述べているが、6月には核兵器開発をしているのではとの強い感触を持
っていると述べていた。 (GSN 2009/8/19)
2009/8/20 【イラン、IAEA による監視を受け入れ】 イランは8月第3週、IAEA に対し未
完成のアラク重水炉へのアクセスを認める一方、ナタンツのウラン濃縮施設
への査察回数増も認める姿勢を示した。AP 通信が報じたもので、IAEA は5月
時点で約 5,000 基のウラン濃縮用遠心分離機を擁するナタンツに、近く更に
約 2,000 基が増やされることを受け、設置カメラ増と査察強化を求めていた。
イランは 2009 年前半に 1,000kg 以上の低濃縮ウランを保有し、更なる濃縮で
核爆弾1個が製造可能と見られている。 (GSN 2009/8/21)
2009/8/21 【米、露からの核燃料輸入契約を承認】 米商務省は、米 Constellation Energy
Nuclear Group 社が露 Techsnabexport と直接契約を交わし、それに基づき低
濃縮ウラン燃料を輸入することを承認した。2009 年5月から7月の間におい
て、露と米社間の同様の契約は6件目とされている。 (RIA 2009/8/21)
2009/8/25
【イスラエル、不信感が高まればイラン空爆に向け前進する可能性】 アゼル
バイジャン APA 通信報道。ペレス・イスラエル大統領は露黒海沿岸のソチを
訪問、メドベージェフ露大統領と会談したが、最大の目的はイラン対応にお
ける露の支持獲得であったとされる。露のイスラエルとの関係は常に複雑で
あったが、冷戦後露はパレスチナ問題解決に向け関与、しかし引き続きイラ
ンやアラブ武装勢力に対する支援も続けている。 (MISC 2009/8/25)
2009/8/25
【イラン、濃縮計画拡大を停止か】 3年間に及ぶ段階的拡張がなされたイラ
ン・ナタンツの濃縮施設だが、5月から稼動される遠心分離機数の拡張は停
止されている模様。ロイター通信が報じたもので、6月に IAEA は同施設で
5,000 基が稼働中、更に 2,100 基が準備に入っているとの報告を出していた。
専門家は設置後数週間で試験運用が完了するとの見方を示す中、外交筋等の
多くは技術的問題が拡張を妨げているとの見方をしているが、一部にはイラ
ンの核兵器開発防止のため軍事行動も辞さないとするイスラエルへの刺激を
避けるためとの見方もある模様。 (GSN 2009/8/25)
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2009/8/25
【英首相、イランへの圧力強化を示唆】 イラン政府系 Press TV 報道。ブラウ
ン英首相は、協議によりイランの核兵器開発を止めることができなかった場
合は、更なる制裁を科す必要があるとの姿勢を示した。訪英したネタニヤフ・
イスラエル首相との記者会見で述べたもので、イランの核開発疑惑について
ネタニヤフ首相は、時間は過ぎ去っていくがまだ遅過ぎることはないと述べ
た。9月2日には国連安保理常任理事国と独の6か国で、イランへの対応が
協議される予定となっている。 (MISC 2009/8/25)
2009/8/26
【西側諸国、IAEA に対しイラン報告を提供するよう要求】 米と西側諸国は、
IAEA に対しイランの核計画に関する情報を全て提供するよう要求した。米
New York Times 紙が報じたもので、核実験を模した高性能爆薬の実験やシャ
ハブ・ミサイルの核弾頭搭載のための改良等を含む、イランの核兵器研究に
関するあらゆる資料を要求している。2008 年2月の IAEA 理事会において一
部開示されたが、その残りとなる。欧外交筋は、イスラエルだけでなく仏独
英米を含む多国間の対イラン包囲が進められていると述べた。一方、外交筋
はイエローケーキの不足によりイランがナタンツ施設において3か月前より、
稼動遠心分離機の増加を抑えていると見ているが、一方でイラン側は不足説
を否定、米国務省はコメントを避けている。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/26
【IAEA、協議に先立ちイランの核開発】 主要国がイランに対する制裁強化を
検討する中、IAEA はイランが核開発計画の拡張を遅らせ協力する姿勢を見せ
ているとの報告をまとめている。イランが協議に向け政策転換をしたか、或
いは一時的に制裁強化反対における露と中国の協力を得て更なるウラン濃縮
に向けて調整中か、報告の解釈は異なっているが、西側諸国は後者を想定し
検討を続けている。一方、ウィーン外交筋にはイランの遠心分離機増強の遅
れは技術的なもので、稼働中の機器と修理・保守のために交換を強いられて
いるとの見方があり、見方が分かれている。 (REUT 2009/8/26)
2009/8/26
【露、ブラバ・ミサイル開発遅れに伴い、開発を他社に移管】 露は、生産上
の問題から開発に遅れが出ている Bulava SLBM の開発を他社に移管する方針
を示した。RIA Novosti 通信が報じたもので、マカロフ露軍参謀総長は設計
上の問題ではなく生産上の問題と述べた。そして新たに建造されている新型
戦略原潜 Borei 級に、代わりに既に配備されている Sineva SLBM を搭載する
との観測を否定、Bulava の開発継続方針を示した。 (GSN 2009/8/27)
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/14
【露化学兵器関連施設に関し、情報管理を進める模様】 露は、同国化学兵器
関連施設に関する情報を公開、透明性の確保に努めていた国際的 NPO の Green
Cross International の事務所を閉鎖した。6月 30 日に閉鎖された同 NPO は、
1993 年にゴルバチョフ元ソ連共産党書記長により設立され、露の7か所ある
化学兵器貯蔵施設の内、6か所に支所を開設、監視活動を行ってきた。1996
年に開設された露 Shchuchye 施設はモスクワ東方 1,600km で付近には 15 の村
と約 40,000 人の住人がいるという。 (GSN 2009/8/14)
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(5)ミサイル関連
2009/8/6 【露、新型ミサイル防衛用レーダーの運用の準備にあたる】 露は、新型ミサイ
ル防衛用レーダー基地の運用を今秋から始める計画。RIA Novosti が報じた
もので、露南部 Armavir に建設されたレーダーは現在試験中だが、飛来する
ミサイル等を最大 4,000km 先で探知可能とし、ウクライナ西部 Mukachevo と
クリミア半島 Sevastopol にあるレーダーの代替となる予定。露連邦特殊建設
庁は、10 月から 11 月に運用開始されるとの見通しを示した。 (GSN 2009/8/7)
2009/8/15
【米 GAO、欧ミサイル防衛計画で予算超過の可能性を指摘】 米が欧ポーラン
ド及びチェコに配備を計画しているミサイル防衛システムに関し、米会計検
査院(GAO)は当初予算額の 40 億ドル超を上回るとの報告を米議会に提出し
た。米国防総省は両国への施設建設費用として8億 3,700 万ドルを要求した
が、GAO は発電所や上下水道関連施設等の追加建設が必要と指摘している。
2009 年度予算に反映された見積は、米陸軍工兵隊の確認を経ずに作成された
もので、陸軍工兵隊は約 12 億ドルに増額されるべきと指摘している。 (WP
2009/8/15)
2009/8/17
【印露、月探査機の設計を完了】 印露は共同で、月面探査2号機の設計を終
えた。Indian Express 紙が報じたもので、2011-2012 年に月に向け打ち上げ
られる予定という。印宇宙研究機構(ISRO)と露連邦宇宙局は 2007 年 11 月に、
同機 Chandrayaan 2 号の共同開発で合意した。1号機は 2008 年 10 月に打ち
上げられているが、2号機は月面に軟着陸し土壌サンプルを採取、持ち帰る
計画とさ れ る。印製 PSLV-C11 ロ ケットに よ り打ち上 げ られる予 定 。 (RIA
2009/8/17)
2009/8/19
【露空軍幹部、将来の防空システムを視察】 露空軍参謀次長は、露の次世代
防空システム、S-500 は、様々な標的を迎撃できるだけでなく、大気圏外で
敵のミサイルを迎撃できると計画を披露した。現在最新鋭の S-400 Triumph
より性能向上が図られているだけでなく、小型化と運動性が向上、防空能力
が向上しているとした。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/19
【米ボーイング社、移動式迎撃ミサイルの欧配備を提案か】 米ボーイング社
は、米として欧に移動式迎撃ミサイルを配備することで、長距離ミサイルへ
の脅威に備えることが可能と提言した。露が米の計画に反対し、オバマ米政
権は計画を再検討している中、米ボーイング社はミサイル防衛会議において、
固定施設建設が政治的問題等で困難となった場合、地上配備型迎撃ミサイル
は固定配備との固定観念を持って欲しくないとした。2015 年を目処に、同社
は C-17 輸送機に搭載し 24 時間以内に展開可能、脅威がなくなったら撤収可
能な2段、21t の迎撃ミサイルを計画している。 (GSN 2009/8/20)
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2009/8/20 【チェコ、米の新迎撃ミサイル構想においても、レーダー配備計画に変わりは
ないと言明】 米ボーイング社が欧ミサイル防衛において、当初予定されてい
た固定式の地上配備型迎撃ミサイル(GBI)の代わりに、移動式迎撃ミサイルを
ポーランドに配備することを提案したことに対し、レーダーが配備される予
定のチェコは、システム全体は固定式・移動式システムの組み合わせで補完、
機能するものであると述べ、コメントを避けた。 (GSN 2009/8/21)
2009/8/25
【露、ソユーズ ST ロケットを 2010 年4月に打上げ予定】 露は、ソユーズ ST
ロ ケ ッ ト の 1 号 機 を 仏 領 ギ ニ ア か ら 、 2010 年 4 月 に 打 ち 上 げ る 計 画 。 露
Progress Design Bureau が発表した。同ロケットは、Soyuz-2 ロケットの近
代化版で、来年の打上げ時点で3基の準備を整え、2基を積載した貨物船は
サンクトペテルブルグを今年 11 月に出港する予定とした。仏領ギニアからの
打上げは、赤道に近いことから、カザフスタンの Baikonur、露 Plesetsk よ
りも重い衛星の打上げが可能で、静止軌道衛星打上げに主に用いられている。
(RIA 2009/8/25)
2009/8/26
【露、ブラバ・ミサイル開発遅れに伴い、開発を他社に移管】 露は、生産上
の問題から開発に遅れが出ている Bulava SLBM の開発を他社に移管する方針
を示した。RIA Novosti 通信が報じたもので、マカロフ露軍参謀総長は設計
上の問題ではなく生産上の問題と述べた。そして新たに建造されている新型
戦略原潜 Borei 級に、代わりに既に配備されている Sineva SLBM を搭載する
との観測を否定、Bulava の開発継続方針を示した。 (GSN 2009/8/27)
2009/8/26
【露、北朝鮮付近に防空システムを配備】 最近の北朝鮮の核及びミサイル実
験への対応として、露は最新型 S-400 防空システムを北朝鮮付近に配備した。
AFP 通信が報じたもので、マカロフ露軍参謀総長が発表した。更に、発射失
敗の際にロケットの破片等が落下してこないよう、引き続き可能な対応を検
討するとも付け加えている。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/26
【露、S-400 防空システムを極東の配備】 露は、新型 S-400 Triumf 防空シス
テムを極東に配備、北朝鮮のミサイル試射からなる潜在的脅威に備えるとし
た。モンゴル・ウランバートルを訪問中の露軍参謀総長が発表したもので、
これによりミサイル試射の失敗とそれに伴う破片落下等から、露国土を守る
とした。同システム(SA-21 Growler)は、最大射程 400km で、米パトリオット
や露 S-300PMU-2 を超える射程を持ち、射程 3,500km、秒速 4.8km までのステ
ルス機、巡航ミサイル、弾道ミサイルの迎撃が可能とされる。2015 年までに
露は 18 個大隊を配備する予定。 (RIA 2009/8/26)
2009/8/26
【米露、ロケット観測センター建設地で合意できず】 露軍参謀総長は、米と
の間で未だ合同ロケット観測センター建設地で合意に至っていないと認めた。
7月の米露首脳会談の席で、ミサイル防衛システムと共に話題となったもの
で、合同情報交換センターを建設、世界各国の打ち上げるロケットに関し情
報交換をすることで合意している。また併せて、米との間で公海上における
艦船の活動等、信頼醸成が必要とも述べた。 (RIA 2009/8/26)
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2009/8/26
【米露、ミサイル防衛計画における協力には至らない模様】 米露間で検討さ
れていたミサイル防衛計画における協力は、政治・安全保障面における懸念
から困難との観測が専門家から出ている。欧ミサイル防衛で、米は協力と透
明性向上を、露は代替案を提示、両国とも緊張緩和を目指していた。米上院
軍事委員会では協力案全般について、6月にはリン米国防副長官が2か所の
露レーダー施設を組み込むことを検討、オライリー米ミサイル防衛局(MDA)
長がアゼルバイジャン Gabala と露南部 Armavir の露レーダー施設を訪問、同
時にミサイル発射情報を共有するため合同データ交換センター(JDEC)設置を
提案する等の検討を進めていた。しかし露がイランのミサイル脅威はないと
の姿勢を崩さないため、検討が進まないのが現状とされる。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/27
【 イ ラ ン の 新 型 ミ サ イ ル 、 3 、 4 年 の 内 に 欧 を 射 程 に 収 め る か 】 Digital
Journal 報道。イスラエル軍事専門家は、イランの新型中距離弾道ミサイル
Sejil-2 の開発が完了した場合、ロンドンまでを射程に収めるとの見方を示
し、イランは技術的・戦略的躍進を果たしたと警鐘を鳴らした。そして現在
革命防衛隊に配備されている Shahab-3 ミサイル等と異なり、Sejil-2 は2段
式の固体燃料エンジンを備え、1t の弾頭が搭載可能、将来的には、最短で 3-4
年の内に、射程を倍増できるとの見方を示した。 (MISC 2009/8/27)
2009/8/27
【米、欧ミサイル防衛計画について未だ検討中と説明】 米国務省報道官は、
ブッシュ米前政権が計画した欧ミサイル防衛の中止決定を下したとの報道を
否定した。米前政権は、ポーランドに迎撃ミサイル 10 基、チェコにレーダー
施設を設置する計画であったが、露が戦略上の脅威と位置付け、ポーランド
近 辺 に 短 距 離 弾 道 ミ サ イ ル の 配 備 計 画 を 出 し て い た 。 ポ ー ラ ン ド Gazeta
Wyborcza 紙が報じたもので、米は海上配備システム、イスラエル、トルコ、
バルカン半島等への配備でイランのミサイル脅威に対抗するとの代案を検討
としていた。 (GSN 2009/8/28)
2009/8/27
【米、欧ミサイル防衛システム配備を中止か】 米議会及びロビイスト筋によ
ると、オバマ米政権はブッシュ米前政権が計画した、ポーランドに配備予定
の迎撃ミサイル及びチェコに配備予定のレーダー施設から成る欧ミサイル防
衛計画を中止する模様。米は代案として、艦船の展開、イスラエル、トルコ、
バルカン半島への配備等を検討、イランからの長距離ミサイル脅威に備える
としている。8月第4週に開催されたミサイル防衛推進団体の会合において、
米軍関係者は配備予定地に触れなかったとされ、ポーランド紙は、米現政権
はポーランド及びチェコ以外の配備で検討を進めていることは明確と報じた。
(GSN 2009/8/27)
2009/8/27 【露、ミサイル防衛用レーザーを開発】 露 Interfax 通信は、中距離ミサイル
迎撃用に、航空機に搭載するレーザーを開発していると報じた。露軍事産業
委員会の研究開発部局が承認したという。露のシステムは、ミサイルの燃料
タンクを急速に熱することにより、敵ミサイルを破壊するものとされている。
(GSN 2009/8/28)
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2009/8/27
【元露軍戦略軍司令官、ブラバ・ミサイル製造を移管する計画を批判】 開発
中の新型露固体燃料 SLBM、Bulava の開発に問題が出ていることを受け、マカ
ロフ露軍参謀総長は同開発をウラル山脈の Votkinsky 工場から他社に移す計
画を発表したが、それに退役将軍が異議を呈した。1990 年代前半に露戦略ミ
サイル軍司令官であった、Yesin 大将は Bulava ミサイルの生産を移管すると
メディアが誤解したとし、問題のある部品の供給元を変えることは可能であ
るが、それでも困難との見方を示した。 (GSN 2009/8/28)
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7.イラン・イスラム共和国
(1)輸出管理関連一般
2009/8/17
【イラン、UAE とガス供給契約を締結】 イラン Fars 通信報道。イランと UAE
は、イラン産天然ガスを海底パイプライン経由で UAE に売却することで合意
した。イラン側は国営イランガス輸出会社(NIGEC)が、一方 UAE 側の企業名は
明らかにされなかったが、過去の例から Crescent 社ではと噂されている。同
社は 2001 年、国営イラン石油会社(NIOC)と契約、Salman ガス田とペルシャ
湾 Lavan 島 を 結 ぶ 海 底 パ イ プ ラ イ ン を 経 由 し 天 然 ガ ス を 調 達 し て い る 。
(MISC 2009/8/17)
2009/8/18
【イラン、改革派司祭系の新聞社に閉鎖命令】 イランの改革派大統領候補の
カルビ師に近い新聞社、Etemad-e-Melli 紙が閉鎖に追い込まれた。拘留中の
抗議デモ参加者への虐待について報じたことで、テヘラン市検察当局により
8月 16 日夜、閉鎖命令が出た。同社側は技術的問題が原因としているが、政
府系 Press TV は、違法な内容を報じようとしたとして閉鎖命令が出たと報じ
ている。 (NYT 2009/8/18)
2009/8/18
【 米 証 券 取 引 委 員 会 、 HP 社 の イ ラ ン 、 シ リ ア 、 ス ー ダ ン と の 取 引 を 調 査 】
Sacramento Business Journal 報道。米証券取引委員会(SEC)は、米 HP 社に
対するイラン、シリア、スーダン向け輸出の有無に関し調査を行っている。
同社は、スーダンとの取引はなく、イランとシリアとの件については米政府
の 許 可 を 得 て 行 っ て い る と 説 明 し た 。 2008 年 の イ ラ ン と の 取 引 額 は 1 億
2,000 万ドルとされる。2月 10 日付で SEC より送られた質問状では、イラン、
シリア、スーダンと直接・間接を問わず過去・現在の取引と今後の予測につ
いての説明が求められ、米国務省のテロ指定国であり米経済制裁と輸出管理
の対象であるとの前書きがされていたという。SEC は HP のドバイ代理店、
Redington Gulf 社について特に関心を示したとされるが、HP 社製プリンター
は 2007 年のイラン市場で 41%のシェアを占め、2008 年に1億 2,000 万ドルの
売上げがある。HP 社は今後、イラン、スーダンとの取引計画はないものの、
シ リ ア と は 米 商 務 省 の 許 可 の 下 、 限 定 的 な 取 引 を 行 う と し て い る 。 (MISC
2009/8/18)
2009/8/19
【イラン外相が再任】 アハマディネジャド・イラン大統領は、現在の外相、
モタキ氏の再任の意向を示した。米 Los Angeles Times 紙が報じたもので、
米欧との核協議における姿勢を変えないことを示唆していると見られている。
イラン専門家は、国内で政争が起きている中で、外交面での現状維持により
大統領は内政に集中できると見られている。一方新華社は、IAEA がイランの
核開発に関する証拠を隠していると報じている。エルバラダイ IAEA 事務局長
の任期は、今年 11 月末までであり、後任の天野氏も路線を踏襲するのではと
報じられている。 (GSN 2009/8/20)
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(2)通常兵器関連
2009/8/13
【イラン民兵部隊 Basij の忠誠度が試されるか】 イラン大統領選後、民兵組
織である Basij は、政権掌握を図るアハマディネジャド政権の手となってい
るが、平服でデモ隊の中にバイクで乗り込み、警棒と銃、ナイフや剃刀等で
対処する取締りが論議を呼んでいる。12 歳以下で集められ教育され、長期間
の訓練においてイスラム教を教え込まれるとされる。拘留している人の拷問
等も伝えられる中、人道、イデオロギー、権力、富等の要因により、内部で
は一部不協和音も出ているとされる。1979 年のイスラム革命の際は、国軍の
国王からの離反が成功要因となったとされる中、現在は革命防衛隊、Basij
共に忠誠な構成員からなるとされているが、今後の情勢が注目される。 (BBC
2009/8/13)
2009/8/19
【イラクでイラン製武器が押収される】 イラク軍と駐留米軍は、イラク南部
バスラ近郊でイラン製ロケット砲を押収した。これらは米軍基地に対し向け
られていたとされ、爆発音の後捜索で発見されたもの。ピックアップ・トラ
ックの荷台に Grad ロケット砲が 13 発搭載されていたとされ、イラク軍報道
官は国名を明らかにせずに隣国から来たものと表現した。 (NYT 2009/8/19)
2009/8/21 【アハマディネジャド・イラン大統領、国際手配されている者を国防相に任命】
1994 年にアルゼンチン、ブエノスアイレス都心部のユダヤ人施設が爆破され、
85 人が死亡、150 人が負傷した爆弾テロ事件の被疑者としてインターポール
に国際手配されている Ahmad Vahidi 氏が国防副大臣から昇格し、国防相に任
命された。2007 年 11 月よりインターポールにより、赤手配書が出され、各
国警察当局に逮捕要請が出されている。 (BN 2009/8/21)
2009/8/28 【サウジ、露製ヘリ購入でほぼ合意】 サウジアラビアは、露から 30 機の攻撃
ヘリを購入する協議で最終段階に入っている模様。主要な米同盟国であり、
大量の米製兵器を長期にわたり導入している同国だが、2007 年 11 月に最初
に JDW により報じられ、その後露 Kommersant 紙が、2009 年8月 25 日には露
RIA Novosti 通信が Mi-171B ヘリ 30 機で9月にも合意と報じた。当初サウジ
は、防空システム、戦車とヘリに関心を示していたとされるが、米英仏との
従来の関係があるなかで露は湾岸諸国市場への参入を図り、シーア派イラン
をイスラエル同様脅威視するスンニ派サウジとの間で利害が一致したとされ
る。 (UPI 2009/8/28)
- 50 -
2009/8/31
【 イ ラ ン 向 け 武 器 輸 出 事 件 で 浮 か び 上 が る 北 朝 鮮 か ら の 拡 散 懸 念 】 World
Tribune 報道。北朝鮮製 RPG 等通常兵器がイランに向け輸送されていたとし
て、UAE が積荷を差し押さえたが、これがここ数週間の北朝鮮の姿勢の変化
に繋がったとの見方がなされている。米専門家は、北朝鮮の態度の変化は5
月 25 日の2回目の地下核実験後に科された制裁が原因と見ている。UAE は国
連安保理の制裁委員会に対し、差し押さえた仏企業 CMA CGM 社傘下の豪 ANL
社所有でバハマ船籍 ANL Australia の積荷への対応を確認中。英 Financial
Times 紙は国連筋の話として、既に同船は出港許可が出ており、積荷はイラ
ンの革命防衛隊に関係がある TSS 社、また UAE 筋は輸出者を中国・上海に事
務所のある伊 Otim 社と確認している。豪運輸相は、豪当局として ANL 社が豪
法に違反し北朝鮮の武器を運搬していたとして、捜査中であると認めた。
(MISC 2009/8/31)
2009/8/31
【乗っ取られた木材輸送船が武器密輸に関与していた可能性も】 フィンラン
ドを出港し、200 万ドル相当の木材を積載してアルジェリアに向かっていた
マルタ船籍で露船員を乗せた貨物船 Arctic Sea が行方不明となった件だが、
7月に追跡不能となった後、露海軍は8月 12 日に捜索を開始、1週間後に露
は同船と乗組員の奪還を発表した。積荷が木材で、救難信号がなかったこと、
奪還直後にペレス・イスラエル大統領が急遽訪露、露の捜索開始までの期間
等異例な事例が積み重なる中、元エストニア軍幹部、露海運誌 Sovfrakht 編
集 者 ら は 、 露 製 兵 器 が 積 荷 の 中 に 紛 れ て い た と の 見 方 を 示 し た 。 (TIME
2009/8/31)
(3)核兵器関連
2009/8/3 【西側情報筋、イランは核弾頭製造可能と分析】 西側情報筋は、イランが技術
的に核弾頭を1年以内に製造できる段階に到達し、最高指導者の命令を待っ
ている状態との見方を示した。英 Times 紙が報じたもので、米情報当局は 2007
年に「イランは 2003 年に核兵器開発を中止した」と分析していたが、英 Times
紙の情報源は「イランが計画中止前において、兵器級ウラン生産とシャハブ
3ミサイル搭載用核弾頭製造に関し研究を終えていた」としている。またナ
タンツ等ウラン濃縮施設での濃縮に半年、核弾頭製造に半年が必要と見てい
る。英外務省は本件に関し独自の証拠は得ていないとしながらも、英として
その分析に疑問符を付けるような情報はないとした。 (GSN 2009/8/3)
- 51 -
2009/8/3 【イラン、最高指導者の号令で核爆弾製造可能な段階か】 西側情報筋は、イラ
ンが核爆弾の起爆装置の開発を終え、製造に向け最高指導者ハメネイ師の号
令を待っているとの見方を示した。同筋は、イランが 2003 年夏に兵器級ウラ
ン製造の研究を終え、最高指導者の命令後1年以内に製造が可能としている。
2年前の米国家情報分析においては、米のイラク侵攻によりイランが核兵器
開発を中止したとしていたが、情報筋はイランが停止した理由は目標を達成
したからとの見方を示した。またイラン国防省は、革命防衛隊幹部率いる極
秘調達局を設けて開発を進めているとした。バラク・イスラエル国防相は引
き続き軍事行動は選択肢の内とし、関係者はナタンツとアラクの施設への空
爆は同国の開発計画を2、3年遅らす効果があるとの見方を示した。英情報
筋は、イランが起爆装置実験に成功したとの独自の証拠は得ていないものの、
同筋の見方を否定する理由はないとしている。 (TIMES 2009/8/3)
2009/8/3 【米、イランに対し新たな経済制裁を警告】 クリントン米国務長官は、イラン
に対し核開発問題に関し9月までに協議に復帰しない場合は、新たな経済制
裁を科すと警告した。長官は具体的な段階について議論には早いとしながら
も、
「 イラン政府からの積極的な反応がなければ国際社会として次の段階に進
む必要があり、それには制裁が含まれる」との見方を示した。ギブス米大統
領報道官も、
「 イランの核兵器保有を阻止するために何が重要か見極める必要
がある」と述べる一方、イスラエルと協議した内容については触れなかった。
(GSN 2009/8/4)
2009/8/5 【イスラエル、中東地域の核兵器拡散を危惧】 イスラエルのシモン・ペレス大
統領は訪問中の米国議員に対し、
「 自国と近隣国との間の紛争を迅速に解決し
なければ、中東地域の核兵器は拡大の一途をたどり、取り返しの付かないこ
とになる」と述べた。イスラエルは中東で唯一の核兵器保有国であると信じ
られているが、確証はない。イスラエル、米国及び他国の主要人物は、エネ
ル ギ ー 生 産 が 目 的 だ と い う イ ラ ン の 原 子 力 計 画 を 危 惧 し て い る 。 (GSN
2009/8/6)
2009/8/5
【アハマディネジャド・イラン大統領、「抑圧的な勢力」への対抗を語る】 ア
ハマディネジャド・イラン大統領は、就任式において今後4年間の任期を務
めるに当たり、世界の抑圧者に抵抗、また米欧が主張する核活動放棄に抵抗
するとの姿勢を示した。米国務長報道官は、イランが9月までに多国間協議
に復帰しない場合新たな経済制裁を科すと警告、一方イラン議員は米が計画
しているガソリン等石油精製品禁輸を持ち応えることができると反発した。
ネタニヤフ・イスラエル首相は米との協議以降、オバマ米政権の対イラン政
策は好転しているとの見方を示した。 (GSN 2009/8/5)
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2009/8/6 【米が検討中の対イラン燃料制裁、輸入業者にとり好機となるか】 米が計画し
ている、イランに対する燃料供給者に対する制裁案は、イランの燃料輸入額
を高騰させると同時に、業者に利益をもたらすものと見られている。イラン
は世界5位の原油産出国だが、国内需要を満たすだけの精製能力を持たず、
ガソリンの 40%を輸入に依存しているため、価格高騰により、補助金でガソ
リン小売価格を抑えているイランは財政的に厳しくなる効果が期待される。
イランに燃料を輸出している企業としては、欧 Vitol、Trafigura、露 LUKOIL、
マレーシア Petronas に加え、印 Reliance(5月より輸出を停止)が挙げられ
るが、小規模な企業も数多くあり、制裁の実効性を疑問視する向きもある。
また印西岸の精製所や、UAE の Jebel Ali 港等もこれにより影響を受けると
見られている。 (REUT 2009/8/6)
2009/8/7
【イラン、兵器製造に必要な核物質生産にはまだ数年必要か】 2007 年からイ
ランは核兵器製造に向けウラン濃縮を行ってきたが、米国務省情報調査局は
イランが必要な兵器級物質を製造するには 2013 年までかかるとの見通しを
示した。イランの技術能力を元に分析をしたもので、高濃縮ウラン製造の政
治的判断については考慮しない分析としたものだが、米情報当局は未だ政治
的判断は下されていないとの見方で一致している。2月に米上院情報特別委
員会で行われた、ブレア米国家情報長官の証言における質疑に含まれていた
もので、米科学者連盟(FAS)が米情報公開法に基づき開示請求を行い、公開
された。また露の軍備状況についても触れられていたが、長官は露の通常兵
力は中・西欧の直接的脅威ではなく、大規模な遠征能力は極めて限定的であ
り、露の国防予算は GNP 比 3%以下(2009 年度の米予算は GDP 比 4.7%)との見
方を示した。 (WP 2009/8/7)
2009/8/12
【中国外相、北朝鮮等の核問題を外交的手段で解決するよう要求】 中国の楊
外相は国際軍縮会議で、「政治的・外交的手段によって核拡散問題を解決し、
核拡散ルートを根絶することが重要である」と述べ、イランそして北朝鮮の
核問題を外交により解決するよう改めて国際社会に要求した。同外相はまた、
ミサイル防衛システムの開発や宇宙兵器の開発に反対する姿勢も示した。
(GSN 2009/8/12)
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2009/8/12
【米証券取引委員会(SEC)、米 AMD 社及び米 Intel 社の禁輸国との取引を調査
か】 米証券取引委員会(SEC)は、米半導体大手 Intel 社及び AMD 社のテロ支
援国家との取引に関し調査を実施している模様。SEC は5月に AMD 社に対し
書簡で、イラン、シリア、スーダンとの商取引に関し質問、また 2007 年 12
月のイランが AMD 社製チップを用いスーパーコンピューターを製造している
との記事にも触れたとされている。Intel 社へは、同社の Form 10-K 報告に
記載があった、同社の中東における活動と、2008 年5月に報じられたキュー
バにおける同社製 Celeron プロセッサ搭載の PC について調査がなされている
模様。両者は米輸出管理法令の順守と当局への協力に関する声明を出す一方、
SEC は声明を出していない。専門家はイラン等への提供は馬鹿げているとす
る一方、高性能遠心分離機製造に必要な機械類等を北朝鮮が入手できる中、
高性能 PC 等の入手も同様との見方を示している。 (DJNW 2009/8/12)
2009/8/14
【 米 証 券 取 引 委 員 会 (SEC)、 AMD 社 の イ ラ ン 及 び シ リ ア と の 取 引 を 調 査 中 】
Trading Markets 報道。米証券取引委員会(SEC)は、米 AMD 社製半導体がイラ
ン等テロに関連する中東諸国に輸出されている可能性について調査を行って
いる。米 Wall Street Journal 紙が報じたもので、5月8日に SEC は AMD 社
に対し、米国務省がテロ支援国家と指定するイラン、シリア、スーダンとの
商取引に関し質問状を出し、その中には 2007 年 12 月にイランが AMD 社製チ
ップを用いスーパーコンピューターを製造したとの記事についても触れた模
様。AMD 社はイラン等米禁輸国との取引を否定する声明を出している。同社
は関連会社である米 GlobalFoundries 社を通じ、マルタにおいてチップ製造
に乗り出す予定とされている。 (MISC 2009/8/14)
2009/8/16
【駐米イスラエル大使、イラン攻撃の意図はないと伝える】 Oren 駐米イスラ
エル大使は CNN に出演、同国がイランを攻撃するとの観測を否定した。イス
ラエル政府はオバマ米政権の対話、関与政策を支持しているとし、イスラエ
ル政府は情勢に不満を持っていたものの5月のネタニヤフ・イスラエル首相
の訪米の際、オバマ米大統領から説明を受けたとした。 (HA 2009/8/16)
2009/8/17 【エジプト大統領、イスラエルに対しイランの核施設攻撃の危険性を警告】 ア
ラブ諸国でヨルダンと共にイスラエルを承認しているエジプトのムバラク大
統領は訪米し、現地ユダヤ系団体において演説、イスラエルによるイラン核
施設への攻撃はイラン人をイラン現政権の下にまとめるだけと警告した。そ
の中で、イラン指導層で争いが起きているが、最善の策は待つことであると
した。 (AFPR 2009/8/17)
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2009/8/17
【独と EU、対イラン制裁強化を検討】 独と EU は、イランが核問題において
妥協をしない場合、イランに対し経済制裁を科すため調整を続けている。EU
と独は、イランが輸入に頼るガソリンの禁輸を計画、これはイランの輸入量
の 30%を占めるとされている。またイラン籍の航空機及び船舶の EU 着陸・寄
港を禁止することも検討しており、ロイズ等主要保険会社はイランとの貿易
に係る保険引き受けの中止に追い込まれる可能性がある。独政府は、中露が
制裁強化には消極的な国連安保理において提案する模様だが、独外交筋は EU
と米は独自に強力な制裁を科す方針を示しているという。 (SP 2009/8/17)
2009/8/18
【イラン外交筋、核協議再開の意思表示をしたとの観測を否定】 Soltanieh
イラン IAEA 大使は、イランは IAEA の枠内で平和目的の原子力活動を行う方
針で変わっていないと述べた。国営テレビに答えたものだが、以前は前提条
件なしでの協議が同国の方針と主張していた。またイラン外務省報道官は、
イラン国民は対話を歓迎するが、国益の範囲内で行うものであり、真剣に原
子力開発の権利を護るつもりでこれについては条件は付けさせないと述べて
いる。 (GSN 2009/8/18)
2009/8/19
【イラン外相が再任】 アハマディネジャド・イラン大統領は、現在の外相、
モタキ氏の再任の意向を示した。米 Los Angeles Times 紙が報じたもので、
米欧との核協議における姿勢を変えないことを示唆していると見られている。
イラン専門家は、国内で政争が起きている中で、外交面での現状維持により
大統領は内政に集中できると見られている。一方新華社は、IAEA がイランの
核開発に関する証拠を隠していると報じている。エルバラダイ IAEA 事務局長
の任期は、今年 11 月末までであり、後任の天野氏も路線を踏襲するのではと
報じられている。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/19
【IAEA、イランの核開発に関する証拠を示していないと批判を受ける】 イス
ラエルと西側外交筋は、IAEA がイランの核兵器開発に関する情報を抑えてい
ると非難した。イスラエル Haaretz 紙が報じたもので、IAEA 査察官は本部に
報告を提出したものの、イランの核関連活動の保障措置に関する部分は含ま
れておらず、仏独英米はエルバラダイ IAEA 事務局長に対し9月の総会までに
情報を提示するよう要求したという。事務局長は任期満了まで同情報を関係
国に公開するつもりがないとされる中、イスラエル原子力委員会と外務省が
公開を要求している。事務局長はイランの核兵器開発に関し確実な証拠はな
いと述べているが、6月には核兵器開発をしているのではとの強い感触を持
っていると述べていた。 (GSN 2009/8/19)
2009/8/20 【イラン、IAEA による監視を受け入れ】 イランは8月第3週、IAEA に対し未
完成のアラク重水炉へのアクセスを認める一方、ナタンツのウラン濃縮施設
への査察回数増も認める姿勢を示した。AP 通信が報じたもので、IAEA は5月
時点で約 5,000 基のウラン濃縮用遠心分離機を擁するナタンツに、近く更に
約 2,000 基が増やされることを受け、設置カメラ増と査察強化を求めていた。
イランは 2009 年前半に 1,000kg 以上の低濃縮ウランを保有し、更なる濃縮で
核爆弾1個が製造可能と見られている。 (GSN 2009/8/21)
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2009/8/24 【イラン、独の制裁強化案に反発】 Iran Focus 報道。イラン外務省報道官は、
イランに対するエネルギー制裁案が出ていることについて、国営放送で同国
の原子力開発方針が変わることはないと反発した。メルケル独首相の制裁強
化案に反発したものだが、米英仏露中独は9月にイランに対する圧力を高め
る方向で方針を再検討するとしている。 (MISC 2009/8/24)
2009/8/24
【イラン、IAEA への協力を続けると表明】 Trans World News 報道。イランは
引き続き、アラク等核施設に対する IAEA の査察受入等の協力を行うと声明を
出した。IAEA はイラン国内における活動についてコメントを出していないが、
エルバラダイ IAEA 事務局長は近く報告を提出する予定。 (MISC 2009/8/24)
2009/8/24 【イラン、アラク重水炉の IAEA 査察を認める】 イランは、建設中のアラク重
水炉への査察受入等、IAEA の要求を受け入れると再確認した。イラン外務省
報道官は、全ての原子力関連活動は IAEA と NPT の枠内であり、エルバラダイ
IAEA 事務局長はイランの協力体制を確認しているとし、今後もその流れは続
くと主張した。イランはまた、ナタンツのウラン濃縮施設への査察強化を受
け入れるとも明言したが、米国務省報道官はイランの IAEA に対する協力は不
十分であるとしている。 (GSN 2009/8/24)
2009/8/25
【オバマ米大統領、中東和平協議で成果間近か】 長らく停滞していた中東和
平協議だが、オバマ米大統領はイスラエル・パレスチナ間の合意に近付いて
おり、9月末までに成果を発表すると見られている。米、イスラエル、パレ
スチナ、欧各国筋が明らかにしたもので、米英仏は国連安保理でイランの石
油・ガス産業を対象とした制裁強化を計画しているが、イランへの圧力を高
めることはイスラエルの和平参画において必須で、同国も居住区建設の一部
停止に応じる姿勢を示している。詳細は 26 日にロンドンで、既にブラウン英
首相と会談を済ませたネタニヤフ・イスラエル首相、ミッチェル米特使間の
協議でまとめられる見込み。当初、ラマダン入り前に合意を発表する予定と
されていたが遅れたもので、最終的な和平合意は今後2年間で協議が更に進
められることとされる予定。 (GN 2009/8/25)
2009/8/25
【イスラエル、不信感が高まればイラン空爆に向け前進する可能性】 アゼル
バイジャン APA 通信報道。ペレス・イスラエル大統領は露黒海沿岸のソチを
訪問、メドベージェフ露大統領と会談したが、最大の目的はイラン対応にお
ける露の支持獲得であったとされる。露のイスラエルとの関係は常に複雑で
あったが、冷戦後露はパレスチナ問題解決に向け関与、しかし引き続きイラ
ンやアラブ武装勢力に対する支援も続けている。 (MISC 2009/8/25)
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2009/8/25
【イラン、濃縮計画拡大を停止か】 3年間に及ぶ段階的拡張がなされたイラ
ン・ナタンツの濃縮施設だが、5月から稼動される遠心分離機数の拡張は停
止されている模様。ロイター通信が報じたもので、6月に IAEA は同施設で
5,000 基が稼働中、更に 2,100 基が準備に入っているとの報告を出していた。
専門家は設置後数週間で試験運用が完了するとの見方を示す中、外交筋等の
多くは技術的問題が拡張を妨げているとの見方をしているが、一部にはイラ
ンの核兵器開発防止のため軍事行動も辞さないとするイスラエルへの刺激を
避けるためとの見方もある模様。 (GSN 2009/8/25)
2009/8/25
【英首相、イランへの圧力強化を示唆】 イラン政府系 Press TV 報道。ブラウ
ン英首相は、協議によりイランの核兵器開発を止めることができなかった場
合は、更なる制裁を科す必要があるとの姿勢を示した。訪英したネタニヤフ・
イスラエル首相との記者会見で述べたもので、イランの核開発疑惑について
ネタニヤフ首相は、時間は過ぎ去っていくがまだ遅過ぎることはないと述べ
た。9月2日には国連安保理常任理事国と独の6か国で、イランへの対応が
協議される予定となっている。 (MISC 2009/8/25)
2009/8/26
【ネタニヤフ・イスラエル首相、イランに対する制裁強化を訴える】 訪独中
のネタニヤフ・イスラエル首相は、イランの核開発を止めるため強烈な制裁
が必要と制裁強化を呼びかけた。メルケル独首相との協議において、イラン
からのイスラエルの存続に係る脅威を警告、中東和平協議の早期再開に期待
を示した。 (AFPR 2009/8/27)
2009/8/26
【イスラエル、居住区の拡張停止と引き換えにイラン制裁強化で合意か】 オ
バマ米大統領は、停滞していたイスラエル・パレスチナ間の協議をまとめる
見込み。英紙が報じ、米、英、イスラエル、パレスチナ各筋が明らかにした
もので、イスラエルは居住区拡張の一部停止と引き換えに、イランへの対応
強化を米と合意した模様。オバマ米大統領は、9月 23 日の週に予定されてい
る国連総会か、24-25 日に米ピッツバーグで予定されている G20 サミットの
場で発表すると報じられているが、その後2年間をかけてイスラエル・パレ
スチナ間で協議を進める予定。 (HA 2009/8/26)
2009/8/26 【イラン提案の、原子力施設に対する攻撃禁止決議案、非同盟諸国等からの支
持を得る】 Daily Times 紙報道。イスラエルによる核関連施設攻撃の脅威を
受けるイランは、先日核関連施設に対する攻撃を禁止する決議案を9月の
IAEA 総会において提案するとしたが、非同盟諸国 118 か国が書簡で支持を表
明した。決議案の文言は一般的な内容になる見込みで、イスラエルと米に向
けられたものと見られている。150 か国の集まる IAEA 総会は9月 14 日に開
催される予定で、従来通り欧米とイスラエル、イスラム国と非同盟諸国の構
図が再現されると見られている。 (MISC 2009/8/26)
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2009/8/26
【西側諸国、IAEA に対しイラン報告を提供するよう要求】 米と西側諸国は、
IAEA に対しイランの核計画に関する情報を全て提供するよう要求した。米
New York Times 紙が報じたもので、核実験を模した高性能爆薬の実験やシャ
ハブ・ミサイルの核弾頭搭載のための改良等を含む、イランの核兵器研究に
関するあらゆる資料を要求している。2008 年2月の IAEA 理事会において一
部開示されたが、その残りとなる。欧外交筋は、イスラエルだけでなく仏独
英米を含む多国間の対イラン包囲が進められていると述べた。一方、外交筋
はイエローケーキの不足によりイランがナタンツ施設において3か月前より、
稼動遠心分離機の増加を抑えていると見ているが、一方でイラン側は不足説
を否定、米国務省はコメントを避けている。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/26
【IAEA、協議に先立ちイランの核開発】 主要国がイランに対する制裁強化を
検討する中、IAEA はイランが核開発計画の拡張を遅らせ協力する姿勢を見せ
ているとの報告をまとめている。イランが協議に向け政策転換をしたか、或
いは一時的に制裁強化反対における露と中国の協力を得て更なるウラン濃縮
に向けて調整中か、報告の解釈は異なっているが、西側諸国は後者を想定し
検討を続けている。一方、ウィーン外交筋にはイランの遠心分離機増強の遅
れは技術的なもので、稼働中の機器と修理・保守のために交換を強いられて
いるとの見方があり、見方が分かれている。 (REUT 2009/8/26)
2009/8/26
【専門家、米が中東同盟諸国に対し核の傘を提供する案に否定的】 クリント
ン米国務長官が8月、オバマ米政権として、イランの核開発が進んだ際に米
の中東同盟諸国に対し核の傘を提供すると述べたことについて、米不拡散専
門家 Joshua Pollack 氏は、避けることができる核戦争等米への影響が大きい
とし、攻撃を受けた国自身による反撃と異なり同盟国による反撃はその意味
が異なってくるとして、その効果に疑問を呈した。一方、Henry L. Stimson
Center の共同創設者、Michael Krepon 氏は、北朝鮮の核脅威に対し日韓に対
する傘の提供は、日韓独自の核抑止力の必要性をなくしていると、その効果
を主張した。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/27
【イラン最高指導者、国内における核開発停止論を拒否か】 西側外交筋によ
ると、イラン最高指導者のハメネイ師は5月に、国内において一部出ていた
ウラン濃縮計画を停止し米欧等との核問題解決を図るとの議論を拒否した模
様。ロイター通信が報じたもので、保守派大統領候補レザイ氏に近い筋から
の提案がなされたものの、ハメネイ師は拒否、Soltanieh イラン IAEA 大使は
同提案を知らされていなかったと述べている。 (GSN 2009/8/27)
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2009/8/28
【IAEA、イラン核開発に関する報告を IAEA 理事会に開示】 IAEA は、イラン
の核兵器開発計画に関する報告を IAEA 理事会に提出した。西側諸国からもた
らされた情報に基づくもので、高性能爆薬による核爆発を模した実験やシャ
ハブ・ミサイルに搭載するための研究等、またイランによる核兵器開発に関
するコンピューター・ファイル等の記録を含むもので、イランはこれらを偽
造されたものと反発している。報告によると、情報は複数の情報源から異な
る時点にもたらされ、全般的に一貫性があるようで十分に包括的且つ詳細で
あると位置付けた。そしてイランに対し、IAEA の懸念に対してきちんと回答
するよう要求すると共に、IAEA がイランの主張を確認できるようにするため
文書に記載された人、情報、場所に検査官がアクセスすることを認めるよう
促した。IAEA 理事会と9月の総会で議題の中心となる本件だが、イランはナ
タンツのウラン濃縮施設の能力拡張を行っているにもかかわらず、濃縮スピ
ードを落としており、同施設には 8,308 基の遠心分離機があるものの、未稼
働基数は約 1,000 基増となり、前回の報告で稼働中基数は約 5,000 基とされ
たものの現在は約 400 基減となっている模様。 (GSN 2009/8/28)
2009/8/28
【パキスタン高裁、カーン博士の軟禁解除を命令】 パキスタンのラホール高
裁は 8 月 28 日、パキスタンの関係当局に、「核の闇市場」を構築して核拡散
に関与したとされている A.Q.カーン博士に対し、「2009 年 8 月現在でも継続
されている事実上の軟禁措置撤回を命じる仮処分」を下した(AP 通信)。2009
年 2 月にカーン博士への軟禁解除が決定されていたが、カーン博士は、外出
の際に警察当局に事前に届けなければならず、更に自宅の周りでは常に当局
者の監視があり、ラホール高裁に申し立てていたという。また今回の仮処分
を受けてカーン博士は、パキスタン政府に対して「軟禁措置が今後も続くよ
うであれば“秘密”を暴露する」と警告したとのことである。 (GSN 2009/8/28)
2009/8/31
【NATO のイランに対する関心増加か】 イランが弾道ミサイルの改良を進め、
欧を射程に収めようとしていることから、NATO は同国への関心を高めている。
イスラエル国防筋は、具体的な対応は米の欧ミサイル防衛計画以外にないも
のの、既にイランをタブー視していないとの見方を示した。NATO 筋はミサイ
ル防衛計画の推進、特に NATO 部隊の派遣地域における能力を重要視している
とした。 (JP 2009/8/31)
- 59 -
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/31
【イランや北朝鮮、化学兵器製造にチェコの技術に関心示す】 チェコ保安・
情報庁(BIS:Bezpečnostní informační služba)は、8 月 31 日に公表された
年次報告書で、「2008 年にイラン、北朝鮮、シリアが大量破壊兵器開発・製
造を目的として、チェコの化学剤、機器、技術に関心を示していた」と公表
した。同報告書では、チェコ市場でチェコ企業との共同開発を通して、複数
のイラン企業が特定のエンジニアリング機器入手に関心を寄せている」との
ことである。更に、ベラルーシやパキスタンからも同様にチェコのエンジニ
ア リ ン グ 機 器 に 関 心 を 示 し て い た と い う ( praguemonitor.com )。 (MISC
2009/9/1)
(5)ミサイル関連
2009/8/14
【5月に実施されたシリアのミサイル実験失敗で 20 人が死亡】 共同通信は、
シリア、イラン、北朝鮮が共同で実施したスカッド・ミサイルの試射が失敗、
シリア人 20 人が死亡、60 人以上が負傷していたと報じた。発射されたのは
2発で、その内1発は技術的障害が発生し、シリア・トルコ国境付近の町の
市場に弾着した模様。市場はその後閉鎖され、一般にはガス爆発が起きたと
の発表がなされたとされるが、もう1発の弾着地点は明らかになっていない。
(JP 2009/8/15)
2009/8/19
【米ボーイング社、移動式迎撃ミサイルの欧配備を提案か】 米ボーイング社
は、米として欧に移動式迎撃ミサイルを配備することで、長距離ミサイルへ
の脅威に備えることが可能と提言した。露が米の計画に反対し、オバマ米政
権は計画を再検討している中、米ボーイング社はミサイル防衛会議において、
固定施設建設が政治的問題等で困難となった場合、地上配備型迎撃ミサイル
は固定配備との固定観念を持って欲しくないとした。2015 年を目処に、同社
は C-17 輸送機に搭載し 24 時間以内に展開可能、脅威がなくなったら撤収可
能な2段、21t の迎撃ミサイルを計画している。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/20 【チェコ、米の新迎撃ミサイル構想においても、レーダー配備計画に変わりは
ないと言明】 米ボーイング社が欧ミサイル防衛において、当初予定されてい
た固定式の地上配備型迎撃ミサイル(GBI)の代わりに、移動式迎撃ミサイルを
ポーランドに配備することを提案したことに対し、レーダーが配備される予
定のチェコは、システム全体は固定式・移動式システムの組み合わせで補完、
機能するものであると述べ、コメントを避けた。 (GSN 2009/8/21)
- 60 -
2009/8/20 【イスラエル、欧がイランのミサイルの脅威に3、4年で晒されることにとの
見方を示す】 元イスラエルのミサイル防衛専門家は、イランが突貫態勢を取
った場合、今後4年以内に欧を射程に収める弾道ミサイルを開発できるとの
見方を示した。5月 20 日に実施した、Sajjil 2 ミサイル実験においては、
固体燃料と多段式等の技術・戦略で大きな成果を収めたとされ、1tの弾頭を
搭載可能との見方を示した。米空軍国家航空宇宙情報センターは、イランが
他国から支援を受けた場合、6年以内に米を射程に収める ICBM を開発可能と
分析している。 (GSN 2009/8/21)
2009/8/26
【米露、ミサイル防衛計画における協力には至らない模様】 米露間で検討さ
れていたミサイル防衛計画における協力は、政治・安全保障面における懸念
から困難との観測が専門家から出ている。欧ミサイル防衛で、米は協力と透
明性向上を、露は代替案を提示、両国とも緊張緩和を目指していた。米上院
軍事委員会では協力案全般について、6月にはリン米国防副長官が2か所の
露レーダー施設を組み込むことを検討、オライリー米ミサイル防衛局(MDA)
長がアゼルバイジャン Gabala と露南部 Armavir の露レーダー施設を訪問、同
時にミサイル発射情報を共有するため合同データ交換センター(JDEC)設置を
提案する等の検討を進めていた。しかし露がイランのミサイル脅威はないと
の姿勢を崩さないため、検討が進まないのが現状とされる。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/27
【 イ ラ ン の 新 型 ミ サ イ ル 、 3 、 4 年 の 内 に 欧 を 射 程 に 収 め る か 】 Digital
Journal 報道。イスラエル軍事専門家は、イランの新型中距離弾道ミサイル
Sejil-2 の開発が完了した場合、ロンドンまでを射程に収めるとの見方を示
し、イランは技術的・戦略的躍進を果たしたと警鐘を鳴らした。そして現在
革命防衛隊に配備されている Shahab-3 ミサイル等と異なり、Sejil-2 は2段
式の固体燃料エンジンを備え、1t の弾頭が搭載可能、将来的には、最短で 3-4
年の内に、射程を倍増できるとの見方を示した。 (MISC 2009/8/27)
2009/8/27
【米、欧ミサイル防衛計画について未だ検討中と説明】 米国務省報道官は、
ブッシュ米前政権が計画した欧ミサイル防衛の中止決定を下したとの報道を
否定した。米前政権は、ポーランドに迎撃ミサイル 10 基、チェコにレーダー
施設を設置する計画であったが、露が戦略上の脅威と位置付け、ポーランド
近 辺 に 短 距 離 弾 道 ミ サ イ ル の 配 備 計 画 を 出 し て い た 。 ポ ー ラ ン ド Gazeta
Wyborcza 紙が報じたもので、米は海上配備システム、イスラエル、トルコ、
バルカン半島等への配備でイランのミサイル脅威に対抗するとの代案を検討
としていた。 (GSN 2009/8/28)
- 61 -
2009/8/27
【米、欧ミサイル防衛システム配備を中止か】 米議会及びロビイスト筋によ
ると、オバマ米政権はブッシュ米前政権が計画した、ポーランドに配備予定
の迎撃ミサイル及びチェコに配備予定のレーダー施設から成る欧ミサイル防
衛計画を中止する模様。米は代案として、艦船の展開、イスラエル、トルコ、
バルカン半島への配備等を検討、イランからの長距離ミサイル脅威に備える
としている。8月第4週に開催されたミサイル防衛推進団体の会合において、
米軍関係者は配備予定地に触れなかったとされ、ポーランド紙は、米現政権
はポーランド及びチェコ以外の配備で検討を進めていることは明確と報じた。
(GSN 2009/8/27)
- 62 -
8.イスラエル国
(1)輸出管理関連一般
2009/8/26
【ネタニヤフ・イスラエル首相、居住区で合意か】 訪英中のネタニヤフ・イ
スラエル首相は、ミッチェル米特使が合流する中、オバマ米大統領の中東和
平案に合意するよう圧力を受けることとなる。米特使は、アラブ近隣諸国と
の関係改善、イランへの強硬路線を提案する代わりに、首相に対し居住区に
おける妥協を要求しているが、米筋は新たな和平案は数週間以内に発表され
る可能性を、場合によっては国連総会において発表される可能性を示唆した。
ブラウン英首相との会談後、ネタニヤフ首相は、米との協議で目指すものは、
解決の橋を見出すものであるが、同時に普通の生活を続けられるようにする
ものであると述べ、ヨルダン河西岸パレスチナ占領地の居住区に住む 30 万人
の自然増への対応を含ます発言をした。 (TIMES 2009/8/26)
(2)通常兵器関連
2009/8/11
【トルコとイスラエルの海軍が共同演習を計画】 イスラエルとトルコの関係
が改善される中、イスラエルは海軍艦艇2隻をトルコに派遣し、米、トルコ、
イスラエルの3国で合同演習を8月 17 日から実施する。イスラエルとトルコ
は従来より関係は良好であったものの、イスラエルのガザ攻撃に伴い関係が
冷却化していた。 (JP 2009/8/11)
2009/8/26
【イスラエル、居住区の拡張停止と引き換えにイラン制裁強化で合意か】 オ
バマ米大統領は、停滞していたイスラエル・パレスチナ間の協議をまとめる
見込み。英紙が報じ、米、英、イスラエル、パレスチナ各筋が明らかにした
もので、イスラエルは居住区拡張の一部停止と引き換えに、イランへの対応
強化を米と合意した模様。オバマ米大統領は、9月 23 日の週に予定されてい
る国連総会か、24-25 日に米ピッツバーグで予定されている G20 サミットの
場で発表すると報じられているが、その後2年間をかけてイスラエル・パレ
スチナ間で協議を進める予定。 (HA 2009/8/26)
2009/8/31
【乗っ取られた木材輸送船が武器密輸に関与していた可能性も】 フィンラン
ドを出港し、200 万ドル相当の木材を積載してアルジェリアに向かっていた
マルタ船籍で露船員を乗せた貨物船 Arctic Sea が行方不明となった件だが、
7月に追跡不能となった後、露海軍は8月 12 日に捜索を開始、1週間後に露
は同船と乗組員の奪還を発表した。積荷が木材で、救難信号がなかったこと、
奪還直後にペレス・イスラエル大統領が急遽訪露、露の捜索開始までの期間
等異例な事例が積み重なる中、元エストニア軍幹部、露海運誌 Sovfrakht 編
集 者 ら は 、 露 製 兵 器 が 積 荷 の 中 に 紛 れ て い た と の 見 方 を 示 し た 。 (TIME
2009/8/31)
- 63 -
(3)核兵器関連
2009/8/3 【イラン、最高指導者の号令で核爆弾製造可能な段階か】 西側情報筋は、イラ
ンが核爆弾の起爆装置の開発を終え、製造に向け最高指導者ハメネイ師の号
令を待っているとの見方を示した。同筋は、イランが 2003 年夏に兵器級ウラ
ン製造の研究を終え、最高指導者の命令後1年以内に製造が可能としている。
2年前の米国家情報分析においては、米のイラク侵攻によりイランが核兵器
開発を中止したとしていたが、情報筋はイランが停止した理由は目標を達成
したからとの見方を示した。またイラン国防省は、革命防衛隊幹部率いる極
秘調達局を設けて開発を進めているとした。バラク・イスラエル国防相は引
き続き軍事行動は選択肢の内とし、関係者はナタンツとアラクの施設への空
爆は同国の開発計画を2、3年遅らす効果があるとの見方を示した。英情報
筋は、イランが起爆装置実験に成功したとの独自の証拠は得ていないものの、
同筋の見方を否定する理由はないとしている。 (TIMES 2009/8/3)
2009/8/3 【米、イランに対し新たな経済制裁を警告】 クリントン米国務長官は、イラン
に対し核開発問題に関し9月までに協議に復帰しない場合は、新たな経済制
裁を科すと警告した。長官は具体的な段階について議論には早いとしながら
も、
「 イラン政府からの積極的な反応がなければ国際社会として次の段階に進
む必要があり、それには制裁が含まれる」との見方を示した。ギブス米大統
領報道官も、
「 イランの核兵器保有を阻止するために何が重要か見極める必要
がある」と述べる一方、イスラエルと協議した内容については触れなかった。
(GSN 2009/8/4)
2009/8/5 【イスラエル、中東地域の核兵器拡散を危惧】 イスラエルのシモン・ペレス大
統領は訪問中の米国議員に対し、
「 自国と近隣国との間の紛争を迅速に解決し
なければ、中東地域の核兵器は拡大の一途をたどり、取り返しの付かないこ
とになる」と述べた。イスラエルは中東で唯一の核兵器保有国であると信じ
られているが、確証はない。イスラエル、米国及び他国の主要人物は、エネ
ル ギ ー 生 産 が 目 的 だ と い う イ ラ ン の 原 子 力 計 画 を 危 惧 し て い る 。 (GSN
2009/8/6)
2009/8/5
【アハマディネジャド・イラン大統領、「抑圧的な勢力」への対抗を語る】 ア
ハマディネジャド・イラン大統領は、就任式において今後4年間の任期を務
めるに当たり、世界の抑圧者に抵抗、また米欧が主張する核活動放棄に抵抗
するとの姿勢を示した。米国務長報道官は、イランが9月までに多国間協議
に復帰しない場合新たな経済制裁を科すと警告、一方イラン議員は米が計画
しているガソリン等石油精製品禁輸を持ち応えることができると反発した。
ネタニヤフ・イスラエル首相は米との協議以降、オバマ米政権の対イラン政
策は好転しているとの見方を示した。 (GSN 2009/8/5)
- 64 -
2009/8/6 【飯村特使とイスラエル首相が北朝鮮問題で会談】 飯村豊・中東和平担当特使
は8月6日、イスラエルのペレス首相と会談し、
「北朝鮮は孤立して危険であ
り、北朝鮮が2度の核実験を実施したという事実は、近隣諸国にとって深刻
な脅威である」と述べた。ペレス首相も同特使の見解に同調し、「北朝鮮は、
シリアが核保有国になることを支援している」と指摘するともに「北朝鮮と
イランには類似点も多く、核保有への野心を抱く両国は危険である」と述べ
た。(Israel National News) (MISC 2009/8/7)
2009/8/13
【イスラエル、イランの核兵器攻撃に懸念】 UPI 通信は、イスラエル安全保
障関係者の話として、
「 イランが核開発のためのウラン濃縮を平和的な原子力
利用であると偽り、イスラエルからの攻撃に対し、核兵器による十分な報復
能力を持とうとしている」と伝えた。一方、イスラエル、米国、EU の数カ国
は、イランのウラン濃縮活動を核兵器開発につながるものだとして懸念を示
している。イスラエルはイランからの攻撃が差し迫っている場合には、
(対イ
ラン攻撃に対する)米国の承認をとる時間的余地はないと考えており、米国
にイランとの外交交渉を進めるよう主張している。 (GSN 2009/8/14)
2009/8/13
【中東諸国、EU へイスラエル核開発の透明性の確保を希求】 中東諸国 22 カ
国からなるアラブ連盟(LAS)は 6 月、EU27 カ国に対し、イスラエルの核開
発を国際的な監視下に置くことへの賛同を求めた。中東諸国は毎年の IAEA
理事会において、国際社会に対し、イスラエルが核不拡散条約に署名し、核
施設を国連の監視下に置くよう訴えている。LAS の Amre Moussa 事務局長は 6
月 29 日、スウェーデンに請願書を送付し、訴えへの同意を求めている。一方、
スウェーデン外務省報道官の Anders Jorle 氏は「この訴えに協力する意思は
あるが、最終的な判断はまだ行なっていない」と述べた。また、EU の残りの
26 カ国にも同様の文書を送付しているという。なお、イスラエルは中東唯一
の核保有国であるという疑いが持たれているが、公式には核保有を表明して
いない。 (GSN 2009/8/14)
2009/8/16
【駐米イスラエル大使、イラン攻撃の意図はないと伝える】 Oren 駐米イスラ
エル大使は CNN に出演、同国がイランを攻撃するとの観測を否定した。イス
ラエル政府はオバマ米政権の対話、関与政策を支持しているとし、イスラエ
ル政府は情勢に不満を持っていたものの5月のネタニヤフ・イスラエル首相
の訪米の際、オバマ米大統領から説明を受けたとした。 (HA 2009/8/16)
2009/8/17 【エジプト大統領、イスラエルに対しイランの核施設攻撃の危険性を警告】 ア
ラブ諸国でヨルダンと共にイスラエルを承認しているエジプトのムバラク大
統領は訪米し、現地ユダヤ系団体において演説、イスラエルによるイラン核
施設への攻撃はイラン人をイラン現政権の下にまとめるだけと警告した。そ
の中で、イラン指導層で争いが起きているが、最善の策は待つことであると
した。 (AFPR 2009/8/17)
- 65 -
2009/8/19
【IAEA、イランの核開発に関する証拠を示していないと批判を受ける】 イス
ラエルと西側外交筋は、IAEA がイランの核兵器開発に関する情報を抑えてい
ると非難した。イスラエル Haaretz 紙が報じたもので、IAEA 査察官は本部に
報告を提出したものの、イランの核関連活動の保障措置に関する部分は含ま
れておらず、仏独英米はエルバラダイ IAEA 事務局長に対し9月の総会までに
情報を提示するよう要求したという。事務局長は任期満了まで同情報を関係
国に公開するつもりがないとされる中、イスラエル原子力委員会と外務省が
公開を要求している。事務局長はイランの核兵器開発に関し確実な証拠はな
いと述べているが、6月には核兵器開発をしているのではとの強い感触を持
っていると述べていた。 (GSN 2009/8/19)
2009/8/25
【オバマ米大統領、中東和平協議で成果間近か】 長らく停滞していた中東和
平協議だが、オバマ米大統領はイスラエル・パレスチナ間の合意に近付いて
おり、9月末までに成果を発表すると見られている。米、イスラエル、パレ
スチナ、欧各国筋が明らかにしたもので、米英仏は国連安保理でイランの石
油・ガス産業を対象とした制裁強化を計画しているが、イランへの圧力を高
めることはイスラエルの和平参画において必須で、同国も居住区建設の一部
停止に応じる姿勢を示している。詳細は 26 日にロンドンで、既にブラウン英
首相と会談を済ませたネタニヤフ・イスラエル首相、ミッチェル米特使間の
協議でまとめられる見込み。当初、ラマダン入り前に合意を発表する予定と
されていたが遅れたもので、最終的な和平合意は今後2年間で協議が更に進
められることとされる予定。 (GN 2009/8/25)
2009/8/25
【イスラエル、不信感が高まればイラン空爆に向け前進する可能性】 アゼル
バイジャン APA 通信報道。ペレス・イスラエル大統領は露黒海沿岸のソチを
訪問、メドベージェフ露大統領と会談したが、最大の目的はイラン対応にお
ける露の支持獲得であったとされる。露のイスラエルとの関係は常に複雑で
あったが、冷戦後露はパレスチナ問題解決に向け関与、しかし引き続きイラ
ンやアラブ武装勢力に対する支援も続けている。 (MISC 2009/8/25)
2009/8/25
【イラン、濃縮計画拡大を停止か】 3年間に及ぶ段階的拡張がなされたイラ
ン・ナタンツの濃縮施設だが、5月から稼動される遠心分離機数の拡張は停
止されている模様。ロイター通信が報じたもので、6月に IAEA は同施設で
5,000 基が稼働中、更に 2,100 基が準備に入っているとの報告を出していた。
専門家は設置後数週間で試験運用が完了するとの見方を示す中、外交筋等の
多くは技術的問題が拡張を妨げているとの見方をしているが、一部にはイラ
ンの核兵器開発防止のため軍事行動も辞さないとするイスラエルへの刺激を
避けるためとの見方もある模様。 (GSN 2009/8/25)
2009/8/26
【ネタニヤフ・イスラエル首相、イランに対する制裁強化を訴える】 訪独中
のネタニヤフ・イスラエル首相は、イランの核開発を止めるため強烈な制裁
が必要と制裁強化を呼びかけた。メルケル独首相との協議において、イラン
からのイスラエルの存続に係る脅威を警告、中東和平協議の早期再開に期待
を示した。 (AFPR 2009/8/27)
- 66 -
2009/8/26 【イラン提案の、原子力施設に対する攻撃禁止決議案、非同盟諸国等からの支
持を得る】 Daily Times 紙報道。イスラエルによる核関連施設攻撃の脅威を
受けるイランは、先日核関連施設に対する攻撃を禁止する決議案を9月の
IAEA 総会において提案するとしたが、非同盟諸国 118 か国が書簡で支持を表
明した。決議案の文言は一般的な内容になる見込みで、イスラエルと米に向
けられたものと見られている。150 か国の集まる IAEA 総会は9月 14 日に開
催される予定で、従来通り欧米とイスラエル、イスラム国と非同盟諸国の構
図が再現されると見られている。 (MISC 2009/8/26)
2009/8/28
【IAEA、シリアの秘密核施設への調査を拡大】 IAEA は、シリア・ダマスカス
の研究炉において検出したウランについて、更なる分析を進めていると発表
した。一方イスラエルが 2007 年に空爆し破壊した砂漠地帯 Dair Alzour の、
北朝鮮の設計による原子炉とされる施設については、シリアが立ち入りを拒
んでおり査察が行えないとした。6月に IAEA は、ダマスカスで検出したサン
プルからウランが検出されたと発表していたが、その結果の公表は 11 月にな
る見込み。米専門家は、シリアが天然ウランを用い、使用済燃料からプルト
ニウムを分離する実験を行っていたのではとの懸念を示している。シリア側
は一方、Dair Alzour 施設において、IAEA が 2008 年6月に重大な発見として
環境サンプルからウランが検出されたと発表していた件について、イスラエ
ルの攻撃に用いられた兵器からウランが検出されたとの見解を示した。
(REUT 2009/8/28)
(4)生物・化学兵器関連
特記事項なし
(5)ミサイル関連
2009/8/20 【イスラエル、欧がイランのミサイルの脅威に3、4年で晒されることにとの
見方を示す】 元イスラエルのミサイル防衛専門家は、イランが突貫態勢を取
った場合、今後4年以内に欧を射程に収める弾道ミサイルを開発できるとの
見方を示した。5月 20 日に実施した、Sajjil 2 ミサイル実験においては、
固体燃料と多段式等の技術・戦略で大きな成果を収めたとされ、1tの弾頭を
搭載可能との見方を示した。米空軍国家航空宇宙情報センターは、イランが
他国から支援を受けた場合、6年以内に米を射程に収める ICBM を開発可能と
分析している。 (GSN 2009/8/21)
2009/8/27
【 イ ラ ン の 新 型 ミ サ イ ル 、 3 、 4 年 の 内 に 欧 を 射 程 に 収 め る か 】 Digital
Journal 報道。イスラエル軍事専門家は、イランの新型中距離弾道ミサイル
Sejil-2 の開発が完了した場合、ロンドンまでを射程に収めるとの見方を示
し、イランは技術的・戦略的躍進を果たしたと警鐘を鳴らした。そして現在
革命防衛隊に配備されている Shahab-3 ミサイル等と異なり、Sejil-2 は2段
式の固体燃料エンジンを備え、1t の弾頭が搭載可能、将来的には、最短で 3-4
年の内に、射程を倍増できるとの見方を示した。 (MISC 2009/8/27)
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9.シリア・アラブ共和国
(1)輸出管理関連一般
2009/8/18
【 米 証 券 取 引 委 員 会 、 HP 社 の イ ラ ン 、 シ リ ア 、 ス ー ダ ン と の 取 引 を 調 査 】
Sacramento Business Journal 報道。米証券取引委員会(SEC)は、米 HP 社に
対するイラン、シリア、スーダン向け輸出の有無に関し調査を行っている。
同社は、スーダンとの取引はなく、イランとシリアとの件については米政府
の 許 可 を 得 て 行 っ て い る と 説 明 し た 。 2008 年 の イ ラ ン と の 取 引 額 は 1 億
2,000 万ドルとされる。2月 10 日付で SEC より送られた質問状では、イラン、
シリア、スーダンと直接・間接を問わず過去・現在の取引と今後の予測につ
いての説明が求められ、米国務省のテロ指定国であり米経済制裁と輸出管理
の対象であるとの前書きがされていたという。SEC は HP のドバイ代理店、
Redington Gulf 社について特に関心を示したとされるが、HP 社製プリンター
は 2007 年のイラン市場で 41%のシェアを占め、2008 年に1億 2,000 万ドルの
売上げがある。HP 社は今後、イラン、スーダンとの取引計画はないものの、
シ リ ア と は 米 商 務 省 の 許 可 の 下 、 限 定 的 な 取 引 を 行 う と し て い る 。 (MISC
2009/8/18)
(2)通常兵器関連
2009/8/31
【乗っ取られた木材輸送船が武器密輸に関与していた可能性も】 フィンラン
ドを出港し、200 万ドル相当の木材を積載してアルジェリアに向かっていた
マルタ船籍で露船員を乗せた貨物船 Arctic Sea が行方不明となった件だが、
7月に追跡不能となった後、露海軍は8月 12 日に捜索を開始、1週間後に露
は同船と乗組員の奪還を発表した。積荷が木材で、救難信号がなかったこと、
奪還直後にペレス・イスラエル大統領が急遽訪露、露の捜索開始までの期間
等異例な事例が積み重なる中、元エストニア軍幹部、露海運誌 Sovfrakht 編
集 者 ら は 、 露 製 兵 器 が 積 荷 の 中 に 紛 れ て い た と の 見 方 を 示 し た 。 (TIME
2009/8/31)
- 68 -
(3)核兵器関連
2009/8/12
【米証券取引委員会(SEC)、米 AMD 社及び米 Intel 社の禁輸国との取引を調査
か】 米証券取引委員会(SEC)は、米半導体大手 Intel 社及び AMD 社のテロ支
援国家との取引に関し調査を実施している模様。SEC は5月に AMD 社に対し
書簡で、イラン、シリア、スーダンとの商取引に関し質問、また 2007 年 12
月のイランが AMD 社製チップを用いスーパーコンピューターを製造している
との記事にも触れたとされている。Intel 社へは、同社の Form 10-K 報告に
記載があった、同社の中東における活動と、2008 年5月に報じられたキュー
バにおける同社製 Celeron プロセッサ搭載の PC について調査がなされている
模様。両者は米輸出管理法令の順守と当局への協力に関する声明を出す一方、
SEC は声明を出していない。専門家はイラン等への提供は馬鹿げているとす
る一方、高性能遠心分離機製造に必要な機械類等を北朝鮮が入手できる中、
高性能 PC 等の入手も同様との見方を示している。 (DJNW 2009/8/12)
2009/8/14
【 米 証 券 取 引 委 員 会 (SEC)、 AMD 社 の イ ラ ン 及 び シ リ ア と の 取 引 を 調 査 中 】
Trading Markets 報道。米証券取引委員会(SEC)は、米 AMD 社製半導体がイラ
ン等テロに関連する中東諸国に輸出されている可能性について調査を行って
いる。米 Wall Street Journal 紙が報じたもので、5月8日に SEC は AMD 社
に対し、米国務省がテロ支援国家と指定するイラン、シリア、スーダンとの
商取引に関し質問状を出し、その中には 2007 年 12 月にイランが AMD 社製チ
ップを用いスーパーコンピューターを製造したとの記事についても触れた模
様。AMD 社はイラン等米禁輸国との取引を否定する声明を出している。同社
は関連会社である米 GlobalFoundries 社を通じ、マルタにおいてチップ製造
に乗り出す予定とされている。 (MISC 2009/8/14)
2009/8/26
【専門家、米が中東同盟諸国に対し核の傘を提供する案に否定的】 クリント
ン米国務長官が8月、オバマ米政権として、イランの核開発が進んだ際に米
の中東同盟諸国に対し核の傘を提供すると述べたことについて、米不拡散専
門家 Joshua Pollack 氏は、避けることができる核戦争等米への影響が大きい
とし、攻撃を受けた国自身による反撃と異なり同盟国による反撃はその意味
が異なってくるとして、その効果に疑問を呈した。一方、Henry L. Stimson
Center の共同創設者、Michael Krepon 氏は、北朝鮮の核脅威に対し日韓に対
する傘の提供は、日韓独自の核抑止力の必要性をなくしていると、その効果
を主張した。 (GSN 2009/8/26)
- 69 -
2009/8/28
【IAEA、シリアの秘密核施設への調査を拡大】 IAEA は、シリア・ダマスカス
の研究炉において検出したウランについて、更なる分析を進めていると発表
した。一方イスラエルが 2007 年に空爆し破壊した砂漠地帯 Dair Alzour の、
北朝鮮の設計による原子炉とされる施設については、シリアが立ち入りを拒
んでおり査察が行えないとした。6月に IAEA は、ダマスカスで検出したサン
プルからウランが検出されたと発表していたが、その結果の公表は 11 月にな
る見込み。米専門家は、シリアが天然ウランを用い、使用済燃料からプルト
ニウムを分離する実験を行っていたのではとの懸念を示している。シリア側
は一方、Dair Alzour 施設において、IAEA が 2008 年6月に重大な発見として
環境サンプルからウランが検出されたと発表していた件について、イスラエ
ルの攻撃に用いられた兵器からウランが検出されたとの見解を示した。
(REUT 2009/8/28)
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/31
【イランや北朝鮮、化学兵器製造にチェコの技術に関心示す】 チェコ保安・
情報庁(BIS:Bezpečnostní informační služba)は、8 月 31 日に公表された
年次報告書で、「2008 年にイラン、北朝鮮、シリアが大量破壊兵器開発・製
造を目的として、チェコの化学剤、機器、技術に関心を示していた」と公表
した。同報告書では、チェコ市場でチェコ企業との共同開発を通して、複数
のイラン企業が特定のエンジニアリング機器入手に関心を寄せている」との
ことである。更に、ベラルーシやパキスタンからも同様にチェコのエンジニ
ア リ ン グ 機 器 に 関 心 を 示 し て い た と い う ( praguemonitor.com )。 (MISC
2009/9/1)
(5)ミサイル関連
2009/8/14
【5月に実施されたシリアのミサイル実験失敗で 20 人が死亡】 共同通信は、
シリア、イラン、北朝鮮が共同で実施したスカッド・ミサイルの試射が失敗、
シリア人 20 人が死亡、60 人以上が負傷していたと報じた。発射されたのは
2発で、その内1発は技術的障害が発生し、シリア・トルコ国境付近の町の
市場に弾着した模様。市場はその後閉鎖され、一般にはガス爆発が起きたと
の発表がなされたとされるが、もう1発の弾着地点は明らかになっていない。
(JP 2009/8/15)
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10.米国
(1)輸出管理関連一般
2009/8/5 【ブルネイ、東 ASEAN 成長地域改善策を提言】ブルネイの Hj Bujang Hj Tinkong
臨 時 港 湾 管 理 責 任 者 ( acting deputy ports director ) は 、「 成 長 著 し い
BIMP-EAGA(東 ASEAN 成長地域)の港湾のインフラの改善の過程においてブル
ネイは、同地域の積替地となり、輸出量の増加を目指す必要がある。」と述べ
た。またブルネイのビジネス委員会(BEBBC)の資源開発クラスター作業部会
の PgHj Yura 担当者は、
「同地域で積み替えが行われ、更にもしブルネイ内に
自由貿易地域が設置されれば、事務所を設置したいという多くの投資家を魅
了するだろう。またシンガポールなどを経由せずとも、ブルネイを通して積
み 替 え が 行 わ れ る で あ ろ う 」 と 期 待 し て い る と い う(www.brudirect.com)。
(MISC 2009/8/5)
2009/8/5 【米地裁、中国への違法輸出で中国人3人に有罪判決】 米カリフォルニア中央
地方裁判所は、軍事転用可能な部品・製品を中国に違法輸出したとして中国
人3人に有罪判決を言い渡した。集積回路(IC)400 個以上を違法輸出した
Cheerway Trading 社副社長の William Chi-Wai Tsu 被告(61)に禁固 40 か
月、赤外線カメラを中国に密輸しようとした Tah Wei Chao 被告(53)に禁固
20 か月、赤外線カメラを中国に密輸した Zhi Yong Guo 被告(50)に禁固5
年がそれぞれ言い渡された。 (Computer World) (MISC 2009/8/5)
2009/8/6 【イラン、シリア、スーダンへの違法輸出で米企業に民事罰金 944 万ドル】 米
商務省産業安全保障局(BIS)と米財務省外国資産管理局(OFAC)は、米企業
の DPWN Holdings(前身は DHL Holdings, Inc)と DHL Express, Inc がイラ
ン、シリア、スーダンへ物資を違法輸出していた事件について、同社が民事
罰金約 944 万ドルを支払うことで合意したと発表した。DPWN Holdings グル
ープは、罰金を支払う他、2007年 3 月から 2011 年 12 月までの間、イラン、
シリア、スーダンへ向けた輸出に対しては、外部監査を設けなければいけな
いという。 (BIS 2009/8/6)
2009/8/11
【米国、対北朝鮮制裁を強化】 米国は、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)プログ
ラ ム に 関 与 し た 企 業 を 支 援 し た と し て 、 北 朝 鮮 の 銀 行 「 Korea Kwangson
Banking Corp.(KKBC)」の資産を凍結すると共に米国内における同行の事業
活動を禁止した。米財務省によると、KKBC が、WMD の拡散に関与した端川商
業銀行(Tanchon Commercial Bank)と朝鮮リョンボン総会社(KRGC :Korea
Ryonbong General Corporation ) に 対 し て 支 援 を 行 っ た と い う 。 (GSN
2009/8/11)
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2009/8/13
【米国、アジアの銀行に北朝鮮との取引の精査を要求】 米国務省のゴールド
バーグ調整官(北朝鮮制裁担当)は8月 13 日、北朝鮮の核兵器計画を阻止す
るため、オバマ政権がアジアの銀行に北朝鮮との取引を精査させていると述
べた。ゴールドバーグ調整官は8月第4週にシンガポール、タイ、韓国そし
て日本を、8月末には中国を訪問し、その際、国連の対北朝鮮制裁決議の履
行を求めていくという。同調整官はまた、北朝鮮が後戻り不可能な核放棄を
行うまで米国の対北朝鮮制裁は続くとしている。 (ASP 2009/8/13)
2009/8/14
【オバマ米大統領、輸出管理制度の包括的な検討を指示】 米政府は 8 月 14
日、米オバマ大統領が米国家安全保障会議(NSC)と米国家経済会議(NEC)
に対して現行の米輸出管理制度を包括的に検討するよう指示したと、発表し
た。米国産軍事技術のリスト化や許可申請の登録が検討対象になっていると
いう。 (MISC 2009/8/14)
2009/8/14
【米企業、石油・ガス工業用部品の違法輸出で民事罰金 610,000 ドル】 米商
務省産業安全保障局(BIS)は 8 月 14 日、米輸出管理規則(EAR)に違反して
石油・ガス工業で用いられる部品を様々な国に輸出したヒューストンにある
FMC Technologies, Inc.が民事罰金 610,000 ドルの支払いに応じたと発表し
た。違法輸出した部品は、蝶形弁や逆止め弁で、EAR の ECCN(Export Control
Classification Number) 2B350 で分類されており、生物兵器や化学兵器に
転用可能であるという。 (BIS 2009/8/14)
2009/8/14
【米半導体メーカーRFMD、中国への違法輸出で民事罰金】 米商務省産業安全
保障局(BIS)は8月 14 日、半導体メーカーの RF Micro Devices(RFMD)社
がスペクトラム拡散モデムの中国への違法輸出で民事罰金 190,000 ドルを支
払 う こ と に 同 意 し た と 発 表 し た 。 BIS は 更 に 、 同 社 の マ ネ ー ジ ャ ー で あ る
Carol Wilkins も、BIS の担当官に誤解を招く報告を行ったことから 15,000
ドルの民事罰金を支払うことに同意したと発表した。スペクトラム拡散モデ
ム は 、 ECCN 5A001 に 分 類 さ れ 、 EAR で 対 中 輸 出 が 規 制 さ れ て い る 。 (BIS
2009/8/14)
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2009/8/18
【 米 証 券 取 引 委 員 会 、 HP 社 の イ ラ ン 、 シ リ ア 、 ス ー ダ ン と の 取 引 を 調 査 】
Sacramento Business Journal 報道。米証券取引委員会(SEC)は、米 HP 社に
対するイラン、シリア、スーダン向け輸出の有無に関し調査を行っている。
同社は、スーダンとの取引はなく、イランとシリアとの件については米政府
の 許 可 を 得 て 行 っ て い る と 説 明 し た 。 2008 年 の イ ラ ン と の 取 引 額 は 1 億
2,000 万ドルとされる。2月 10 日付で SEC より送られた質問状では、イラン、
シリア、スーダンと直接・間接を問わず過去・現在の取引と今後の予測につ
いての説明が求められ、米国務省のテロ指定国であり米経済制裁と輸出管理
の対象であるとの前書きがされていたという。SEC は HP のドバイ代理店、
Redington Gulf 社について特に関心を示したとされるが、HP 社製プリンター
は 2007 年のイラン市場で 41%のシェアを占め、2008 年に1億 2,000 万ドルの
売上げがある。HP 社は今後、イラン、スーダンとの取引計画はないものの、
シ リ ア と は 米 商 務 省 の 許 可 の 下 、 限 定 的 な 取 引 を 行 う と し て い る 。 (MISC
2009/8/18)
2009/8/19
【イラン外相が再任】 アハマディネジャド・イラン大統領は、現在の外相、
モタキ氏の再任の意向を示した。米 Los Angeles Times 紙が報じたもので、
米欧との核協議における姿勢を変えないことを示唆していると見られている。
イラン専門家は、国内で政争が起きている中で、外交面での現状維持により
大統領は内政に集中できると見られている。一方新華社は、IAEA がイランの
核開発に関する証拠を隠していると報じている。エルバラダイ IAEA 事務局長
の任期は、今年 11 月末までであり、後任の天野氏も路線を踏襲するのではと
報じられている。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/26
【ネタニヤフ・イスラエル首相、居住区で合意か】 訪英中のネタニヤフ・イ
スラエル首相は、ミッチェル米特使が合流する中、オバマ米大統領の中東和
平案に合意するよう圧力を受けることとなる。米特使は、アラブ近隣諸国と
の関係改善、イランへの強硬路線を提案する代わりに、首相に対し居住区に
おける妥協を要求しているが、米筋は新たな和平案は数週間以内に発表され
る可能性を、場合によっては国連総会において発表される可能性を示唆した。
ブラウン英首相との会談後、ネタニヤフ首相は、米との協議で目指すものは、
解決の橋を見出すものであるが、同時に普通の生活を続けられるようにする
ものであると述べ、ヨルダン河西岸パレスチナ占領地の居住区に住む 30 万人
の自然増への対応を含ます発言をした。 (TIMES 2009/8/26)
(2)通常兵器関連
2009/8/1 【露・グルジア間で緊張が高まる】 露はグルジアが4月1日に迫撃砲や手榴弾
を南オセチアに打ち込んだとして非難、露は南オセチアをあらゆる力と手段
を用い防衛すると牽制した。グルジアは露の主張を根拠がないものと否定、
状況を更に不安定化させ危険な道に進めるものと非難した。2008 年の戦争か
ら1年が経過しようとする中、展開している EU 監視団は、敏感な時期にエス
カレートする非難に懸念を示した。 (WP 2009/8/2)
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2009/8/3
【ウクライナ、グルジア向け武器輸出を継続】 Axis of Logic 報道。グルジア
に武器を輸出する国に対してメドベージェフ露大統領が制裁圧力をかける中、
ウクライナはグルジアに武器輸出を継続している模様。南オセチア大統領は、
米、ウクライナ、イスラエルが引き続きグルジアに向け武器供給をしている
と非難している。7月上旬にはウクライナ Segodnya 紙が、同国武器輸出公社
Ukrspetsexport 幹部の「グルジアとの以前の契約を満たす」との発言を掲載
した。露国防産業筋は、まだ Ukrspetsexport 社及び同社の露国内提携企業に
対する制裁は科されていないとする一方、グルジア内務省及び国防省はコメ
ントを避けた。 (MISC 2009/8/3)
2009/8/5 【露攻撃型原潜、米沖合いの西太平洋で展開していたことが発覚】 米国防省筋
は、露海軍の攻撃型原潜2隻が米東海岸沖の西大西洋に展開しており、異例
の展開に米国防総省、情報当局において露軍に関し懸念が高まっていること
を明かした。冷戦時にはソ連原潜が常駐、情報収集や米艦隊の行動を監視し
ていたものの、ソ連崩壊後遠距離への展開能力を失い、専門家はここ 15 年程
なかったとしている。展開中の原潜は攻撃型の Akula 級2隻、内1隻は新型
の Akura II 級だが、8月4日現在、1隻は米沖合い 200 海里の公海に、もう
1隻はキューバに向けて南下、或いは北上したと見方が割れている様子。こ
れに関連し、オバマ米大統領はメドベージェフ露大統領と4日、内容は明ら
かにされていないものの電話会談を開催した。また米国防総省筋は、露海軍
の異例な活動は常に懸念を生じさせるものとする一方で、米の探知・追跡能
力への自信を示した。 (NYT 2009/8/5)
2009/8/5
【米、西太平洋に展開中の露攻撃型原潜を追跡中】 米国防総省筋は、2隻の
Akula 級露攻撃型原潜が米東海岸沖の大西洋において哨戒していることを認
めた。モレル米国防総省報道官は、公海にいる間は特に警戒すべきものでな
いとしたが、同省筋は近年同海域に展開することができなかったものの、再
びその能力を得たとし、2008 年の中南米遠征、海賊対策等、露海軍の遠征能
力の誇示との見方を示した。また北米防空宇宙司令部(NORAD)は、NORAD と北
方軍司令部(USNORTHCOM)が東海岸の公海における露原潜活動を探知している
ことを認める一方、露軍報道官は記者会見で通常の活動との声明を出した。
(CNN 2009/8/5)
2009/8/6 【ベネズエラ、露製戦車導入でコロンビアに対抗か】 チャベズ・ベネズエラ大
統領は記者会見で、隣国コロンビアにおける潜在的な米軍の存在感増大に対
応するため、露から戦車を導入する計画を示した。同国は総額 40 億ドルを投
じ、ヘリ、戦闘機、自動小銃を購入しているが、更に数大隊相当の戦車を導
入するとしている。 (RIA 2009/8/6)
2009/8/11
【トルコとイスラエルの海軍が共同演習を計画】 イスラエルとトルコの関係
が改善される中、イスラエルは海軍艦艇2隻をトルコに派遣し、米、トルコ、
イスラエルの3国で合同演習を8月 17 日から実施する。イスラエルとトルコ
は従来より関係は良好であったものの、イスラエルのガザ攻撃に伴い関係が
冷却化していた。 (JP 2009/8/11)
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2009/8/15
【米、グルジアに訓練部隊派遣を公式発表】 米はグルジアに対し海兵隊を送
り、グルジア陸軍大隊のアフガニスタン派遣に備え訓練を開始したと発表し
た。露が懸念する中の隣国グルジアへの軍事協力となるが、グルジア陸軍歩
兵旅団のアフガニスタンの ISAF への派遣に向け、8月 15 日に現地に到着す
る米海兵隊が訓練を実施、1個大隊 750 人が ISAF に派遣されるという。派遣
される米海兵隊部隊は、60-70 人規模とされ、6か月の期間派遣される予定。
(RIA 2009/8/15)
2009/8/15
【露・ベネズエラ間の軍事協力は継続される模様】 チャベズ・ベネズエラ大
統領は、麻薬と反政府ゲリラ FARC 対策として米軍部隊が隣国コロンビアへ展
開することを受け、その対抗策として露戦車購入を発表したが、セチン露第
一副首相は両国の軍事協力は今後も継続するとした。ベネズエラ陸軍は現在、
80 両の仏製 AMX-30 戦車と AMX-13C 軽戦車数十両を保有しているが、それら
老朽化したものを T-90 戦車等に更新する予定。 (RIA 2009/8/15)
2009/8/18
【露首相、MAKS-2009 国際航空宇宙展の開会を宣言】 プーチン露首相は国際
航空宇宙展 MAKS-2009 に出席、数十億ドルに上る航空機産業への支援策を発
表した。空軍機2機が事故に見舞われた2日後の開会式では、専門家が世界
的な不景気により期間中の契約は少なくなるとの見方を示している。首相は
大統領時代航空機産業の近代化推進を約束したが、露は米 F-22 ラプターに相
当する第5世代機の開発に遅れを取り、Su-27 の更新版となる Su-35 が当面
露空軍の主力となる見込み。 (ASP 2009/8/18)
2009/8/19
【イラクでイラン製武器が押収される】 イラク軍と駐留米軍は、イラク南部
バスラ近郊でイラン製ロケット砲を押収した。これらは米軍基地に対し向け
られていたとされ、爆発音の後捜索で発見されたもの。ピックアップ・トラ
ックの荷台に Grad ロケット砲が 13 発搭載されていたとされ、イラク軍報道
官は国名を明らかにせずに隣国から来たものと表現した。 (NYT 2009/8/19)
2009/8/19
【サウジアラビア、アルカイダ構成員を逮捕】 サウジアラビア内務省は、過
去1年間で同国が 44 人のアルカイダ構成員を逮捕したと発表した。7月にア
ムネスティ・インターナショナルにより、同国におけるアルカイダ摘発にお
ける拷問や改革派等に対する治安部隊による人権侵害が報告され、そこで約
3,000 人が嫌疑も明らかにされない状態で拘留、中には数年間弁護士との接
見も認められていない人もいるとされた。サウジ政府は公式コメントを出さ
な か っ た が 、 サ ウ ジ 政 府 筋 は 取 締 り の 実 績 を 主 張 し た と さ れ る 。 (CNN
2009/8/19)
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2009/8/26
【イスラエル、居住区の拡張停止と引き換えにイラン制裁強化で合意か】 オ
バマ米大統領は、停滞していたイスラエル・パレスチナ間の協議をまとめる
見込み。英紙が報じ、米、英、イスラエル、パレスチナ各筋が明らかにした
もので、イスラエルは居住区拡張の一部停止と引き換えに、イランへの対応
強化を米と合意した模様。オバマ米大統領は、9月 23 日の週に予定されてい
る国連総会か、24-25 日に米ピッツバーグで予定されている G20 サミットの
場で発表すると報じられているが、その後2年間をかけてイスラエル・パレ
スチナ間で協議を進める予定。 (HA 2009/8/26)
2009/8/26
【露、仏から軍用艦調達を計画】 露軍参謀総長のマカロフ大将は、NATO 加盟
の仏から新型のヘリ搭載強襲揚陸艦を調達する計画を示し、軍近代化加速の
方針を明確にした。LCAC と揚陸艇を備え、16 機の大型ヘリと 470 人の部隊を
載せることが可能な仏 Mistral 級1隻を調達する計画で、総額9億 9,500 万
ドルの契約は年内に締結される見込み。また今後、同様の艦を4、5隻建造
する可能性についても触れた。 (AFPR 2009/8/26)
2009/8/26
【BAE システムズ社幹部、中東における需要増を見込む】 Middle East, North
Africa Financial News (MENAFN)報道。英 BAE システムズ社は、世界に 105,000
人を雇用、2008 年の売上高は 344 億ドルで、世界第3位の防衛企業として知
られるが、湾岸協力会議(GCC)諸国において影響力が強いことを活かし、引
き続き同地域における需要に楽観的な見方を示している。GCC 諸国の国防関
連調達額は、2004 年の 593 億ドルから 2008 年には 756 億ドル(25%増)にな
るなど成長著しいが、それには巨額の石油・ガス関連インフラを防衛する必
要性からと見ている。 (MISC 2009/8/26)
2009/8/28
【露、北極圏に向け新技術を砕氷船に投入】 プーチン露首相が参列する中、
今年5月、露で新型砕氷船が任務に就いた。北極圏の資源開発に向けたもの
で、サンクトペテルブルグの Baltiysky 造船所で建造された。数年前は、ソ
連時代の老朽化した2隻と、3隻の退役直前の原子力砕氷船、1隻の建造が
中 止 さ れ た 原 子 力 砕 氷 船 で あ っ た が 、 2007 年 に 新 船 の 建 造 を 開 始 し た 。
Sevmash Predpriyatie 造船所が近代化の遅れから、印空母 Vikramaditya (旧
艦名 Admiral Gorshkov)の建造で困難に陥る中、造船業の合併・増強とそれ
に伴う効果が必要とされている。United Industrial Corp.(OPK)がソ連崩壊
後、傘下の Severnaya Verf、Baltiysky Zavod、砕氷船設計局の近代化を進
め、世界最大の砕氷船艦隊を保有している。 (TG 2009/8/28)
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2009/8/28 【サウジ、露製ヘリ購入でほぼ合意】 サウジアラビアは、露から 30 機の攻撃
ヘリを購入する協議で最終段階に入っている模様。主要な米同盟国であり、
大量の米製兵器を長期にわたり導入している同国だが、2007 年 11 月に最初
に JDW により報じられ、その後露 Kommersant 紙が、2009 年8月 25 日には露
RIA Novosti 通信が Mi-171B ヘリ 30 機で9月にも合意と報じた。当初サウジ
は、防空システム、戦車とヘリに関心を示していたとされるが、米英仏との
従来の関係があるなかで露は湾岸諸国市場への参入を図り、シーア派イラン
をイスラエル同様脅威視するスンニ派サウジとの間で利害が一致したとされ
る。 (UPI 2009/8/28)
2009/8/28 【米企業、中国製機関銃弾を偽装し米政府に納品】米国マイアミの武器販売を
行っている AEY 社を経営する Efraim Diveroli(24 歳)が 8 月 28 日、同社社
員と共謀し、1.03 億ドル相当の禁止されていた中国製の機関銃弾をアルバニ
ア製と偽っていたことを認めた。2007 年に米国防総省は、アフガニスタンで
タリバンやアル・カーイダと交戦中であった米国の同盟諸国に AKY 社から納
品されていた機関銃弾などを供給していたという。1989 年の天安門事件以来、
中国は米国の武器禁輸対象国である。Diveroli 容疑者は、今回の不正行為に
よ っ て
5 年 間 の 禁 固 刑 が 課 さ れ る 見 込 み で あ る と い う 。
(www.sun-sentinel.com) (MISC 2009/9/1)
2009/8/29
【インド、米製最新早期警戒機調達に強い関心】 2009 年 8 月米国政府は、米
ノースロップ・グラマン社が開発中の空中早期警戒システムを装備した早期
警戒機「E-2D 先進型ホークアイ(Advanced Hawkeye)」の輸出を承認した。
インドは、空中早期警戒システムに高い関心を示しているが、8 月の第 5 週
に米国海軍代表のジョン・ボーリュー(John Beaulieu)氏は、8 時間にわた
ってインド海軍に E-2D 先進型ホークアイの性能や仕様などについて説明を
行った。またすでにインドは、長距離海上偵察および対潜哨戒機である P-8I
(米ボーイング社製)を 8 機調達することも決定しているという。 (AWST
2009/9/2)
(3)核兵器関連
2009/8/2 【印、新たな原子炉建設を表明】 インドの原子力委員会(AEC)の Anil Kakodkar
委員長が 8 月 2 日、「インドは、新たに4基の原子炉を建設する計画がある」
と公表した。Kakodkar 委員長は、既にインド政府から 4 基の 700 メガワット
の 発 電 能 力 を 有 す る 原 子 炉 建 設 の 承 認 を 得 て い る と 述 べ た と い う 。 (GSN
2009/8/3)
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2009/8/3 【西側情報筋、イランは核弾頭製造可能と分析】 西側情報筋は、イランが技術
的に核弾頭を1年以内に製造できる段階に到達し、最高指導者の命令を待っ
ている状態との見方を示した。英 Times 紙が報じたもので、米情報当局は 2007
年に「イランは 2003 年に核兵器開発を中止した」と分析していたが、英 Times
紙の情報源は「イランが計画中止前において、兵器級ウラン生産とシャハブ
3ミサイル搭載用核弾頭製造に関し研究を終えていた」としている。またナ
タンツ等ウラン濃縮施設での濃縮に半年、核弾頭製造に半年が必要と見てい
る。英外務省は本件に関し独自の証拠は得ていないとしながらも、英として
その分析に疑問符を付けるような情報はないとした。 (GSN 2009/8/3)
2009/8/3 【イラン、最高指導者の号令で核爆弾製造可能な段階か】 西側情報筋は、イラ
ンが核爆弾の起爆装置の開発を終え、製造に向け最高指導者ハメネイ師の号
令を待っているとの見方を示した。同筋は、イランが 2003 年夏に兵器級ウラ
ン製造の研究を終え、最高指導者の命令後1年以内に製造が可能としている。
2年前の米国家情報分析においては、米のイラク侵攻によりイランが核兵器
開発を中止したとしていたが、情報筋はイランが停止した理由は目標を達成
したからとの見方を示した。またイラン国防省は、革命防衛隊幹部率いる極
秘調達局を設けて開発を進めているとした。バラク・イスラエル国防相は引
き続き軍事行動は選択肢の内とし、関係者はナタンツとアラクの施設への空
爆は同国の開発計画を2、3年遅らす効果があるとの見方を示した。英情報
筋は、イランが起爆装置実験に成功したとの独自の証拠は得ていないものの、
同筋の見方を否定する理由はないとしている。 (TIMES 2009/8/3)
2009/8/3 【米、イランに対し新たな経済制裁を警告】 クリントン米国務長官は、イラン
に対し核開発問題に関し9月までに協議に復帰しない場合は、新たな経済制
裁を科すと警告した。長官は具体的な段階について議論には早いとしながら
も、
「 イラン政府からの積極的な反応がなければ国際社会として次の段階に進
む必要があり、それには制裁が含まれる」との見方を示した。ギブス米大統
領報道官も、
「 イランの核兵器保有を阻止するために何が重要か見極める必要
がある」と述べる一方、イスラエルと協議した内容については触れなかった。
(GSN 2009/8/4)
2009/8/3 【IAEA の 2010 年度予算、前年度比 5.4%増額で決着】 ロイター通信によると国
際原子力機関(IAEA)理事会は 8 月 3 日、2010 年度予算を前年比 5.4%増の4
億 5,300 万ドルとすることを承認した。しかし、経済危機のためか、エルバ
ラダイ事務局長が求めていた、民生原子力利用の支援と査察強化のための
11%増額という大幅な予算拡充は実現しなかった。米国のスーザン・ドーマン
IAEA 報道官は、「今回の増額については、IAEA の使命は非常に重要であるた
め、国連の他部門に適用されている(予算の)ゼロ成長政策にはしばられな
いということを示すきっかけとなった」と述べた。 (GSN 2009/8/4)
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2009/8/4 【クリントン元米大統領、北朝鮮総書記と会談】 米国のクリントン元大統領は
8月4日、北朝鮮を訪問して金正日総書記と会談した。北朝鮮に拘束されて
いるローラ・リン、ユナ・リーの両米人記者を釈放させることを目的とした
ものであるが、北朝鮮政権内部で現在何が起こっているか様子を探る目的も
あるとの見方を示す専門家もいる。しかし、元ホワイトハウス関係者は、ク
リントン元大統領による北朝鮮の核問題への関与については懐疑的な見方を
示している。 (GSN 2009/8/4)
2009/8/4 【米露首脳、戦略核軍縮協議推進で合意】 米露首脳は電話会談において、戦略
核軍縮協議を更に推進することで合意した。新華社通信が報じたもので、両
者はモスクワでの首脳会談の合意を実行に移すとした。これに関連し露専門
家は、1991 年 START に基づき、米は露施設に対し 559 回、露は米施設に対し
464 回の検証をそれぞれ実施した。また露は毎年 START に基づき 50 回、オー
プンスカイ条約に基づき 50 回等の偵察飛行を実施、中国に対しても2国間合
意に基づき4回査察を実施しているとし、検証の結果署名国がほぼ合意を遵
守していると述べている。一方、露軍は核兵器を搭載しない2隻の攻撃型原
潜が、西大西洋において哨戒活動に当たっているとの報道を認めた。 (GSN
2009/8/5)
2009/8/4 【米上院、米露戦略核軍縮に向けた予算案を政権に要求】 マケイン米上院議員
らはオバマ米大統領に対し、上院で米露核軍縮条約案の承認を求める際には、
同時にその後 10 年間の米核戦力更新等予算見積を示すべきとの書簡を送っ
た。老朽化した ICBM や原潜、爆撃機等核弾頭の運搬手段までの即応性を維持
している証を求めるとしている。同書簡は、2010 年度国防予算法案への追加
条項に対応したもので、ケリー議員、レビン議員、ルーガー議員、マケイン
議員と超党派有力議員が共同で署名した。下院案は、米核戦力に必要な予算
が充てられているか、新軍縮条約に必要な検証手続が盛り込まれているか、
また米にミサイル防衛及び通常兵器の配備の制限が科せられていないかとい
う点を議会に証明することをオバマ政権に求める一方、上院案ではこれらに
関 し オ バ マ 大 統 領 の 回 答 を 書 簡 で 要 求 す る 内 容 と な っ て い る 。 (GSN
2009/8/4)
2009/8/5 【イスラエル、中東地域の核兵器拡散を危惧】 イスラエルのシモン・ペレス大
統領は訪問中の米国議員に対し、
「 自国と近隣国との間の紛争を迅速に解決し
なければ、中東地域の核兵器は拡大の一途をたどり、取り返しの付かないこ
とになる」と述べた。イスラエルは中東で唯一の核兵器保有国であると信じ
られているが、確証はない。イスラエル、米国及び他国の主要人物は、エネ
ル ギ ー 生 産 が 目 的 だ と い う イ ラ ン の 原 子 力 計 画 を 危 惧 し て い る 。 (GSN
2009/8/6)
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2009/8/5
【アハマディネジャド・イラン大統領、「抑圧的な勢力」への対抗を語る】 ア
ハマディネジャド・イラン大統領は、就任式において今後4年間の任期を務
めるに当たり、世界の抑圧者に抵抗、また米欧が主張する核活動放棄に抵抗
するとの姿勢を示した。米国務長報道官は、イランが9月までに多国間協議
に復帰しない場合新たな経済制裁を科すと警告、一方イラン議員は米が計画
しているガソリン等石油精製品禁輸を持ち応えることができると反発した。
ネタニヤフ・イスラエル首相は米との協議以降、オバマ米政権の対イラン政
策は好転しているとの見方を示した。 (GSN 2009/8/5)
2009/8/5 【北朝鮮、米国人記者を釈放】 北朝鮮の金正日総書記は8月5日、クリントン
元米大統領との会談後に拘束していた米国人記者2名を釈放した。ホワイト
ハウスの R・ギブス報道官は「(米国人記者の)拘束問題と他の問題は別であ
ると考えている。北朝鮮も今回の件については米国と同じように考えている
と思う。オバマ大統領は金総書記に何のメッセージも送っていない」と述べ、
クリントン元大統領の訪朝が北朝鮮の核問題やミサイル問題に関する交渉再
開とは関係ないことを強調した。 (GSN 2009/8/5)
2009/8/5 【米クリントン元大統領、金正日総書記と核問題を協議せず】 米国関係者は8
月5日、北朝鮮の金正日総書記とクリントン元大統領が会談した際に北朝鮮
の核問題については議論しなかったと述べた。中断している6か国協議を再
開するかどうかは北朝鮮次第であるが、H・クリントン米国務長官は、夫の訪
朝とジャーナリストの解放が米朝間の緊張緩和につながる可能性があること
を示唆した。 (GSN 2009/8/6)
2009/8/6 【米が検討中の対イラン燃料制裁、輸入業者にとり好機となるか】 米が計画し
ている、イランに対する燃料供給者に対する制裁案は、イランの燃料輸入額
を高騰させると同時に、業者に利益をもたらすものと見られている。イラン
は世界5位の原油産出国だが、国内需要を満たすだけの精製能力を持たず、
ガソリンの 40%を輸入に依存しているため、価格高騰により、補助金でガソ
リン小売価格を抑えているイランは財政的に厳しくなる効果が期待される。
イランに燃料を輸出している企業としては、欧 Vitol、Trafigura、露 LUKOIL、
マレーシア Petronas に加え、印 Reliance(5月より輸出を停止)が挙げられ
るが、小規模な企業も数多くあり、制裁の実効性を疑問視する向きもある。
また印西岸の精製所や、UAE の Jebel Ali 港等もこれにより影響を受けると
見られている。 (REUT 2009/8/6)
2009/8/6
【被爆から 64 年、核廃絶に向け更なる努力を・・・広島平和記念式典】 8 月 6
日、被爆から 64 年の広島平和記念式典に出席した日本の麻生太郎首相は、
「非
核三原則を掲げ、日本は核廃絶に向け、国際社会の先頭に立つ」と述べた。
民主党の鳩山由紀夫代表も参列し、オバマ米大統領による「核兵器のない世
界」を支持したという。広島の秋葉忠利市長は「我々は核兵器廃絶を願う世
界の多数派『オバマジョリティー』であり、2020 年までに核廃絶の実現のた
め力を合わせよう」と訴えたとのことである。 (GSN 2009/8/6)
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2009/8/6
【米国、北朝鮮との関係正常化に言及】 米ホワイトハウスの R・ギプス報道官
は8月6日、
「北朝鮮は、他国との関係正常化に取り組む能力と力を有してい
る。北朝鮮が非核化作業を再開することを期待している」と述べた。しかし、
その一方で、北朝鮮による核兵器や長距離ミサイルの開発を阻止するために
必要な措置は取り続けるとの方針も示した。ギプス報道官はまた、訪朝した
クリントン元大統領と国家安全保障会議(NSC)関係者が会談していることを
明らかにする一方、クリントン元大統領とオバマ大統領が近々、今回の訪朝
の件で会談することも明らかにした。なお、ギプス報道官は今回のクリント
ン 元 大 統 領 の 訪 朝 で 北 朝 鮮 政 策 が 変 わ る こ と は 無 い と し て い る 。 (GSN
2009/8/7)
2009/8/6
【米大統領補佐官、テロ資金源撲滅に憂慮】 米中央情報局(CIA)に 25 年勤務
し、現在オバマ米大統領の米国土安全保障・テロ対策担当補佐官であるジョ
ン・ブレナン氏は 7 月 6 日、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)において、
テロの資金源の撲滅が困難であると述べた。資金の流れは、各国政府中央レ
ベルでは把握が可能だが、各州や地域レベルでは資金の追跡が困難になると
いう。米国らは以前、暴力行為を目的としたイスラム教徒の慈善資金団体を
起訴したとこがあったが、実際には穏健なイスラム教徒による活動が偽装組
織として、過激派やテロに利用されることもあり、追跡を一層困難にしてい
るという。 (GSN 2009/8/7)
2009/8/7
【イラン、兵器製造に必要な核物質生産にはまだ数年必要か】 2007 年からイ
ランは核兵器製造に向けウラン濃縮を行ってきたが、米国務省情報調査局は
イランが必要な兵器級物質を製造するには 2013 年までかかるとの見通しを
示した。イランの技術能力を元に分析をしたもので、高濃縮ウラン製造の政
治的判断については考慮しない分析としたものだが、米情報当局は未だ政治
的判断は下されていないとの見方で一致している。2月に米上院情報特別委
員会で行われた、ブレア米国家情報長官の証言における質疑に含まれていた
もので、米科学者連盟(FAS)が米情報公開法に基づき開示請求を行い、公開
された。また露の軍備状況についても触れられていたが、長官は露の通常兵
力は中・西欧の直接的脅威ではなく、大規模な遠征能力は極めて限定的であ
り、露の国防予算は GNP 比 3%以下(2009 年度の米予算は GDP 比 4.7%)との見
方を示した。 (WP 2009/8/7)
2009/8/7
【米国、北朝鮮に6か国協議への復帰を要求】 米国務省の R・ウッド報道官は
8月7日、
「米国の北朝鮮政策に変更は無い。あとは北朝鮮の対応次第だ。北
朝鮮は、朝鮮半島の非核化を進めることができるように6か国協議の枠組み
に復帰する必要がある」と述べた。ホワイトハウスは、クリントン元大統領
が訪朝した際に核問題は議論されなかったとしているが、国家安全保障問題
担当の J・ジョーンズ大統領補佐官は、今回の訪朝が中断している協議再開
につながることへの期待を表明した。 (REUT 2009/8/7)
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2009/8/9 【ヨルダン、米国と今後の原子力支援について協議】 ヨルダン原子力委員会の
ジャマル・シャラフ氏は 8 月 9 日、アンマンにある米国大使館のナタリー・
ブラウン経済担当官と会談し、両国は今後どのように核物質の密輸防止や国
境警備の増強、関係者の訓練に取組んでいくかについて議論した。米国側代
表によると、
「米国はシャラフ氏の援助を行う予定であり、米国の関係機関と
も調整する」と述べている。 (GSN 2009/8/10)
2009/8/9 【米国、北朝鮮に6か国協議への復帰を要求】 米国のJ・ジョーンズ大統領補
佐官(国家安全保障問題担当)は8月9日、複数のニュース番組の中で「北朝
鮮は米朝関係の改善を望んでいることを示唆する一方、米朝直接対話を求め
てきた。北朝鮮が6か国協議に復帰すれば、米国は6か国協議の枠組みの中
で米朝直接対話に応じるだろう」と述べた。同補佐官は一方で、
「米国人記者
の解放を目的としたクリントン元大統領の訪朝は個人的なものであり、政府
から北朝鮮に公式あるいは非公式メッセージは送っていない」と語った。
(ASP 2009/8/11)
2009/8/10 【国連事務総長、米露の戦略武器削減に関する会談に言及し、軍備不拡散を希
求】 潘基文国連事務総長は 8 月 10 日、国際社会に対して世界の核兵器廃絶
への努力を促進するよう求めた。同氏は、オバマ米大統領とメドベージェフ
露大統領が、2009 年 12 月に失効する米露戦略兵器削減条約(START)の後継
条約締結に向け、両国の戦略核と戦略爆撃機や弾道ミサイル等の運搬手段を
削減することで合意したことを歓迎した。さらに、同氏が展開する“We Must
Disarm”という軍縮キャンペーンについても紹介があった。 (GSN 2009/8/10)
2009/8/11
【核実験検出能力が向上】 包括的核実験禁止条約(CTBT)違反の核実験を検
出する国際核爆発検出ネットワークの検出能力が向上しているという。全米
科学振興協会(AAAS)と戦略国際問題研究所(CSIS)が7月に共同開催した
会議では、北朝鮮が 2006 年に最初の核実験を実施した際に、各国の 22 のサ
イトにある地震観測施設ネットワーク 228 か所のうち 61 か所で核爆発に伴う
地震が検出されたとの報告がなされた。この会議に出席した専門家は、既に
現在のネットワークで TNT 換算 10 トン程度の小さな爆発でも検出可能で、爆
破場所も 10 マイルの誤差で特定できるとしている。なお、地震観測施設は最
終的に 337 か所に増やされるという。 (GSN 2009/8/11)
2009/8/12
【北朝鮮高官、核兵器を維持すると発言】 北朝鮮外務省高官の Ro Jong Su
氏は8月 12 日、
「米国の核の脅威がある以上、
(北朝鮮には)核兵器を保有す
るという選択肢しかない」と語った。同氏は「日本と韓国は、世界最多の核
兵器を有する米国の核の傘に守られており、これらの国が核の脅威に晒され
ていると信じる者はいないだろう」と述べ、日本と韓国は核保有国と同じで
あるとの見解を示した。 (GSN 2009/8/13)
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2009/8/12
【米証券取引委員会(SEC)、米 AMD 社及び米 Intel 社の禁輸国との取引を調査
か】 米証券取引委員会(SEC)は、米半導体大手 Intel 社及び AMD 社のテロ支
援国家との取引に関し調査を実施している模様。SEC は5月に AMD 社に対し
書簡で、イラン、シリア、スーダンとの商取引に関し質問、また 2007 年 12
月のイランが AMD 社製チップを用いスーパーコンピューターを製造している
との記事にも触れたとされている。Intel 社へは、同社の Form 10-K 報告に
記載があった、同社の中東における活動と、2008 年5月に報じられたキュー
バにおける同社製 Celeron プロセッサ搭載の PC について調査がなされている
模様。両者は米輸出管理法令の順守と当局への協力に関する声明を出す一方、
SEC は声明を出していない。専門家はイラン等への提供は馬鹿げているとす
る一方、高性能遠心分離機製造に必要な機械類等を北朝鮮が入手できる中、
高性能 PC 等の入手も同様との見方を示している。 (DJNW 2009/8/12)
2009/8/14
【 米 証 券 取 引 委 員 会 (SEC)、 AMD 社 の イ ラ ン 及 び シ リ ア と の 取 引 を 調 査 中 】
Trading Markets 報道。米証券取引委員会(SEC)は、米 AMD 社製半導体がイラ
ン等テロに関連する中東諸国に輸出されている可能性について調査を行って
いる。米 Wall Street Journal 紙が報じたもので、5月8日に SEC は AMD 社
に対し、米国務省がテロ支援国家と指定するイラン、シリア、スーダンとの
商取引に関し質問状を出し、その中には 2007 年 12 月にイランが AMD 社製チ
ップを用いスーパーコンピューターを製造したとの記事についても触れた模
様。AMD 社はイラン等米禁輸国との取引を否定する声明を出している。同社
は関連会社である米 GlobalFoundries 社を通じ、マルタにおいてチップ製造
に乗り出す予定とされている。 (MISC 2009/8/14)
2009/8/14 【露専門家、露戦術核削減案に反対する提案】 露科学アカデミー(RAS)国際安
全保障問題研究所長で、元露国家安全保障会議議長の Kokoshin 氏は、米露核
軍縮合意において、露の国家安全保障には戦略・戦術核の両方が必要である
とし、戦術核削減は行うべきでないとした。米専門家は、露は現在約 5,400
発の戦術核を保有、内約 2,000 発を巡航ミサイル、魚雷等の形で配備してい
ると見ている。米露が戦術核削減で合意した場合、戦略核軍縮の際より複雑
な 監 視 検 証 手 段 が 必 要 と な り 、 そ の 点 か ら も 懸 念 さ れ て い る 。 (GSN
2009/8/14)
2009/8/16
【駐米イスラエル大使、イラン攻撃の意図はないと伝える】 Oren 駐米イスラ
エル大使は CNN に出演、同国がイランを攻撃するとの観測を否定した。イス
ラエル政府はオバマ米政権の対話、関与政策を支持しているとし、イスラエ
ル政府は情勢に不満を持っていたものの5月のネタニヤフ・イスラエル首相
の訪米の際、オバマ米大統領から説明を受けたとした。 (HA 2009/8/16)
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2009/8/16
【米専門家、パキスタンの核関連物質や技術などの管理に懸念】 米専門家ら
は、
「武装勢力にはパキスタンの核兵器そのものよりも、核関連物質や技術が
手に渡り、最終的に彼らによって原子力機器が製造されることが脅威である」
と分析しているという。専門家らの中には、プルトニウムより容易に製造可
能な高濃縮ウラン、兵器級ウランを製造する民生用施設に対する警備に懸念
の声が上がっているという。また軍備管理協会(ACA)のオリバー・マイヤー
(Oliver Meier)氏は、「パキスタン国内では、70,000 人ほどが原子力などの
関連施設に従事しており、全ての従業員の審査および管理は不可能である」
と述べた。 (GSN 2009/8/17)
2009/8/17 【エジプト大統領、イスラエルに対しイランの核施設攻撃の危険性を警告】 ア
ラブ諸国でヨルダンと共にイスラエルを承認しているエジプトのムバラク大
統領は訪米し、現地ユダヤ系団体において演説、イスラエルによるイラン核
施設への攻撃はイラン人をイラン現政権の下にまとめるだけと警告した。そ
の中で、イラン指導層で争いが起きているが、最善の策は待つことであると
した。 (AFPR 2009/8/17)
2009/8/17
【独と EU、対イラン制裁強化を検討】 独と EU は、イランが核問題において
妥協をしない場合、イランに対し経済制裁を科すため調整を続けている。EU
と独は、イランが輸入に頼るガソリンの禁輸を計画、これはイランの輸入量
の 30%を占めるとされている。またイラン籍の航空機及び船舶の EU 着陸・寄
港を禁止することも検討しており、ロイズ等主要保険会社はイランとの貿易
に係る保険引き受けの中止に追い込まれる可能性がある。独政府は、中露が
制裁強化には消極的な国連安保理において提案する模様だが、独外交筋は EU
と米は独自に強力な制裁を科す方針を示しているという。 (SP 2009/8/17)
2009/8/17
【米国、北朝鮮と韓国の緊張緩和の動きには満足せず】 米国務省のクローリ
ー報道官は8月 17 日、北朝鮮が開城往来や金剛山の観光事業の再開を表明す
るなど最近の北朝鮮と韓国の緊張緩和の動きを「両国の対話の再開に繋がる」
と歓迎していることを明らかにした。しかし、その一方で同報道官は、
「こう
した北朝鮮の動きに満足しているわけではなく、北朝鮮が後戻り不可能な核
放棄を実施することを望んでいる」と述べた。韓国の民間シンクタンク世宗
研究所(Sejong Institute)の南北関係専門家である張成昌氏は、
「問題は、北
朝鮮が『米朝関係が正常化し、米軍のあらゆる脅威がなくなるまで核兵器を
放棄しない』と言っていることだ」と指摘した。 (GSN 2009/8/18)
2009/8/17
【露、退役した戦略原潜の解体を計画】 露は8月 14 日、2008 年 12 月に退役
した戦略原潜の解体を決めた。30 年以上現役であった Delta III 級戦略原潜、
K-496 Borisoglebsk で、Zvezdochka 造船所で解体される予定。同型艦は核弾
頭を積んだ R-29 Vysota (SS-N-8) SLBM を搭載、露 Rosatom と加、米が同艦
解体費用を負担する予定。 (GSN 2009/8/17)
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2009/8/17
【オバマ米大統領、通常兵器の輸出削減に消極的】 オバマ米大統領は、核兵
器の削減には積極的だが、戦闘機やミサイルなど通常兵器の輸出削減には消
極的であると見られている。米国の政府間取引による兵器売上は 2009 年の前
半だけで 270 億ドルとなっており、2000 年代初期の年間約 80 億~130 億ドル
に比べて大幅に増加しているという。 (MISC 2009/8/17)
2009/8/18
【イラン外交筋、核協議再開の意思表示をしたとの観測を否定】 Soltanieh
イラン IAEA 大使は、イランは IAEA の枠内で平和目的の原子力活動を行う方
針で変わっていないと述べた。国営テレビに答えたものだが、以前は前提条
件なしでの協議が同国の方針と主張していた。またイラン外務省報道官は、
イラン国民は対話を歓迎するが、国益の範囲内で行うものであり、真剣に原
子力開発の権利を護るつもりでこれについては条件は付けさせないと述べて
いる。 (GSN 2009/8/18)
2009/8/19
【北朝鮮、核問題で米朝直接対話を望む】 米ニューメキシコ州の B・リチャ
ードソン州知事は8月 19 日、北朝鮮外交官2人と非公式に会談した。同知事
は会談後、北朝鮮側が核問題について米国との新たな直接対話を行う用意が
あることを示唆したことを明らかにすると共に、
「 北朝鮮は6か国協議の枠組
みではなく米朝2国間の直接対話を望んでいる」と語った。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/19
【IAEA、イランの核開発に関する証拠を示していないと批判を受ける】 イス
ラエルと西側外交筋は、IAEA がイランの核兵器開発に関する情報を抑えてい
ると非難した。イスラエル Haaretz 紙が報じたもので、IAEA 査察官は本部に
報告を提出したものの、イランの核関連活動の保障措置に関する部分は含ま
れておらず、仏独英米はエルバラダイ IAEA 事務局長に対し9月の総会までに
情報を提示するよう要求したという。事務局長は任期満了まで同情報を関係
国に公開するつもりがないとされる中、イスラエル原子力委員会と外務省が
公開を要求している。事務局長はイランの核兵器開発に関し確実な証拠はな
いと述べているが、6月には核兵器開発をしているのではとの強い感触を持
っていると述べていた。 (GSN 2009/8/19)
2009/8/19
【リベリア、包括的核実験禁止条約(CTBT)に批准】 リベリア共和国は 8 月
18 日、包括的核実験禁止条約(CTBT)に批准した。現在、アフリカ大陸 53 カ
国のうち、包括的核実験禁止条約(CTBT)に批准しているのは 37 カ国であり、
残りの 14 カ国は署名したが批准はしていない。CTBT は 1996 年の軍縮会議に
参加し、動力用原子炉または研究用原子炉を保有する附属書二に掲げる 44
カ国が批准しない限り、効力は生じない。その 44 カ国のうち、35 カ国は批
准しており、批准していないのは中国、エジプト、インド、インドネシア、
イラン、イスラエル、北朝鮮、パキスタン、米国である。2009 年 9 月 21 日
に国連安全保障理事会が開催されるが、その議長となるオバマ米大統領は
2009 年 4 月、早急に CTBT に批准する意思を表明したとされている。 (GSN
2009/8/19)
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2009/8/20 【イラン、IAEA による監視を受け入れ】 イランは8月第3週、IAEA に対し未
完成のアラク重水炉へのアクセスを認める一方、ナタンツのウラン濃縮施設
への査察回数増も認める姿勢を示した。AP 通信が報じたもので、IAEA は5月
時点で約 5,000 基のウラン濃縮用遠心分離機を擁するナタンツに、近く更に
約 2,000 基が増やされることを受け、設置カメラ増と査察強化を求めていた。
イランは 2009 年前半に 1,000kg 以上の低濃縮ウランを保有し、更なる濃縮で
核爆弾1個が製造可能と見られている。 (GSN 2009/8/21)
2009/8/21
【米国等、パキスタンに軍縮会議での反対撤回を要求】 米国等は8月 20 日、
パキスタンに対し、ジュネーブ軍縮会議(CD)で加盟国が 10 年以上前に合意
した最初の作業計画への反対を撤回するよう要求した。加盟 65 か国は5月、
兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約:FMCT)や宇宙兵器配備
禁止、核軍縮等に関する作業計画について合意していたが、パキスタンは8
月 初 旬 に 安 全 保 障 上 の 懸 念 が あ る と し て 更 な る 検 討 を 求 め て い た 。 (GSN
2009/8/21)
2009/8/21 【米、露からの核燃料輸入契約を承認】 米商務省は、米 Constellation Energy
Nuclear Group 社が露 Techsnabexport と直接契約を交わし、それに基づき低
濃縮ウラン燃料を輸入することを承認した。2009 年5月から7月の間におい
て、露と米社間の同様の契約は6件目とされている。 (RIA 2009/8/21)
2009/8/21
【米 NNSA、ニューメキシコ州警察へ放射線探知機の取扱い訓練を実施】 米国
家核安全保障管理局(NNSA)は、8 月第 3 週の 3 日間、米―メキシコ間の国
境付近に配備されている放射線探知機の実践的な取扱いについて、ニューメ
キシコ州警察へ訓練指導を行ったと発表した。 (GSN 2009/8/25)
2009/8/24 【イラン、アラク重水炉の IAEA 査察を認める】 イランは、建設中のアラク重
水炉への査察受入等、IAEA の要求を受け入れると再確認した。イラン外務省
報道官は、全ての原子力関連活動は IAEA と NPT の枠内であり、エルバラダイ
IAEA 事務局長はイランの協力体制を確認しているとし、今後もその流れは続
くと主張した。イランはまた、ナタンツのウラン濃縮施設への査察強化を受
け入れるとも明言したが、米国務省報道官はイランの IAEA に対する協力は不
十分であるとしている。 (GSN 2009/8/24)
2009/8/25
【エジプト、米国の核の傘下に入ることを拒否】 エジプトのムバラク大統領
とその側近は、8 月 18 日に行われたオバマ大統領との会談内容を引用し、
「エ
ジプトは、湾岸諸国の防衛を目的とした米国の核の傘に入ることはないだろ
う。中東に必要なのは、核武装することよりも平和や安全、安定、そして発
展である」と述べ、米国の核の傘下に入ることに対し、拒否する方針を示し
ている。 (GSN 2009/8/25)
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2009/8/25
【オバマ米大統領、中東和平協議で成果間近か】 長らく停滞していた中東和
平協議だが、オバマ米大統領はイスラエル・パレスチナ間の合意に近付いて
おり、9月末までに成果を発表すると見られている。米、イスラエル、パレ
スチナ、欧各国筋が明らかにしたもので、米英仏は国連安保理でイランの石
油・ガス産業を対象とした制裁強化を計画しているが、イランへの圧力を高
めることはイスラエルの和平参画において必須で、同国も居住区建設の一部
停止に応じる姿勢を示している。詳細は 26 日にロンドンで、既にブラウン英
首相と会談を済ませたネタニヤフ・イスラエル首相、ミッチェル米特使間の
協議でまとめられる見込み。当初、ラマダン入り前に合意を発表する予定と
されていたが遅れたもので、最終的な和平合意は今後2年間で協議が更に進
められることとされる予定。 (GN 2009/8/25)
2009/8/25
【イスラエル、不信感が高まればイラン空爆に向け前進する可能性】 アゼル
バイジャン APA 通信報道。ペレス・イスラエル大統領は露黒海沿岸のソチを
訪問、メドベージェフ露大統領と会談したが、最大の目的はイラン対応にお
ける露の支持獲得であったとされる。露のイスラエルとの関係は常に複雑で
あったが、冷戦後露はパレスチナ問題解決に向け関与、しかし引き続きイラ
ンやアラブ武装勢力に対する支援も続けている。 (MISC 2009/8/25)
2009/8/25
【イラン、濃縮計画拡大を停止か】 3年間に及ぶ段階的拡張がなされたイラ
ン・ナタンツの濃縮施設だが、5月から稼動される遠心分離機数の拡張は停
止されている模様。ロイター通信が報じたもので、6月に IAEA は同施設で
5,000 基が稼働中、更に 2,100 基が準備に入っているとの報告を出していた。
専門家は設置後数週間で試験運用が完了するとの見方を示す中、外交筋等の
多くは技術的問題が拡張を妨げているとの見方をしているが、一部にはイラ
ンの核兵器開発防止のため軍事行動も辞さないとするイスラエルへの刺激を
避けるためとの見方もある模様。 (GSN 2009/8/25)
2009/8/25
【英首相、イランへの圧力強化を示唆】 イラン政府系 Press TV 報道。ブラウ
ン英首相は、協議によりイランの核兵器開発を止めることができなかった場
合は、更なる制裁を科す必要があるとの姿勢を示した。訪英したネタニヤフ・
イスラエル首相との記者会見で述べたもので、イランの核開発疑惑について
ネタニヤフ首相は、時間は過ぎ去っていくがまだ遅過ぎることはないと述べ
た。9月2日には国連安保理常任理事国と独の6か国で、イランへの対応が
協議される予定となっている。 (MISC 2009/8/25)
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2009/8/25
【北朝鮮、米ボズワース特別代表らを招待か-米国は2国間協議を否定】 韓
国紙は8月 25 日、「北朝鮮が米国のボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)
とソン・キム6カ国協議担当特使を9月に訪朝するよう招待した」と報じた。
しかし、ケリー米国務省報道官は同日の記者会見で、
「米国が6か国協議の枠
組みの外で北朝鮮との対話ルートを持つことは、他の核協議参加国、すなわ
ち韓国、日本、ロシアそして中国の権利を奪うことになる」と述べ、米朝協
議の可能性を否定した。同報道官は、北朝鮮との協議には前向きに応じる用
意があるとする一方、あくまで6か国協議の枠組みの中で行うことを協調し
た。(VOA News) (MISC 2009/8/25)
2009/8/26 【イラン提案の、原子力施設に対する攻撃禁止決議案、非同盟諸国等からの支
持を得る】 Daily Times 紙報道。イスラエルによる核関連施設攻撃の脅威を
受けるイランは、先日核関連施設に対する攻撃を禁止する決議案を9月の
IAEA 総会において提案するとしたが、非同盟諸国 118 か国が書簡で支持を表
明した。決議案の文言は一般的な内容になる見込みで、イスラエルと米に向
けられたものと見られている。150 か国の集まる IAEA 総会は9月 14 日に開
催される予定で、従来通り欧米とイスラエル、イスラム国と非同盟諸国の構
図が再現されると見られている。 (MISC 2009/8/26)
2009/8/26
【西側諸国、IAEA に対しイラン報告を提供するよう要求】 米と西側諸国は、
IAEA に対しイランの核計画に関する情報を全て提供するよう要求した。米
New York Times 紙が報じたもので、核実験を模した高性能爆薬の実験やシャ
ハブ・ミサイルの核弾頭搭載のための改良等を含む、イランの核兵器研究に
関するあらゆる資料を要求している。2008 年2月の IAEA 理事会において一
部開示されたが、その残りとなる。欧外交筋は、イスラエルだけでなく仏独
英米を含む多国間の対イラン包囲が進められていると述べた。一方、外交筋
はイエローケーキの不足によりイランがナタンツ施設において3か月前より、
稼動遠心分離機の増加を抑えていると見ているが、一方でイラン側は不足説
を否定、米国務省はコメントを避けている。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/26
【IAEA、協議に先立ちイランの核開発】 主要国がイランに対する制裁強化を
検討する中、IAEA はイランが核開発計画の拡張を遅らせ協力する姿勢を見せ
ているとの報告をまとめている。イランが協議に向け政策転換をしたか、或
いは一時的に制裁強化反対における露と中国の協力を得て更なるウラン濃縮
に向けて調整中か、報告の解釈は異なっているが、西側諸国は後者を想定し
検討を続けている。一方、ウィーン外交筋にはイランの遠心分離機増強の遅
れは技術的なもので、稼働中の機器と修理・保守のために交換を強いられて
いるとの見方があり、見方が分かれている。 (REUT 2009/8/26)
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2009/8/26
【専門家、米が中東同盟諸国に対し核の傘を提供する案に否定的】 クリント
ン米国務長官が8月、オバマ米政権として、イランの核開発が進んだ際に米
の中東同盟諸国に対し核の傘を提供すると述べたことについて、米不拡散専
門家 Joshua Pollack 氏は、避けることができる核戦争等米への影響が大きい
とし、攻撃を受けた国自身による反撃と異なり同盟国による反撃はその意味
が異なってくるとして、その効果に疑問を呈した。一方、Henry L. Stimson
Center の共同創設者、Michael Krepon 氏は、北朝鮮の核脅威に対し日韓に対
する傘の提供は、日韓独自の核抑止力の必要性をなくしていると、その効果
を主張した。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/27
【米中、核ミサイル保有部隊の司令官訪米で協議継続へ】 米国と中国は、核
ミサイルを保有する中国人民解放軍第二砲兵部隊の司令官の訪米を巡り協議
を続けているという。ワシントン・タイムズ紙が8月 27 日に報じた。2006
年4月に当時のブッシュ大統領が、米中の核ミサイル担当司令官による協議
を提案した際、中国の胡錦濤国家主席は、第二砲兵部隊の靖志遠・上将(戦
略ミサイル軍司令官)の訪米を支援するとしていたが、今のところ実現して
いない。3月に発表された米国防総省の年次報告書では、
「中国が核兵器の先
制不使用政策を維持するかどうかは不明だ」とするなど、米国では中国の核
に対する懸念が高まっている。 (GSN 2009/8/27)
2009/8/27
【イラン最高指導者、国内における核開発停止論を拒否か】 西側外交筋によ
ると、イラン最高指導者のハメネイ師は5月に、国内において一部出ていた
ウラン濃縮計画を停止し米欧等との核問題解決を図るとの議論を拒否した模
様。ロイター通信が報じたもので、保守派大統領候補レザイ氏に近い筋から
の提案がなされたものの、ハメネイ師は拒否、Soltanieh イラン IAEA 大使は
同提案を知らされていなかったと述べている。 (GSN 2009/8/27)
2009/8/27
【米国、核体勢の見直し作業が遅延へ】 米国防総省関係者は、広範な国防戦
略の評価を行う「核態勢の見直し(NPR:Nuclear Posture Review)」の一部
として、一連の核弾頭近代化オプションの見直し作業を進めている。しかし、
外部の科学者による技術評価を実施するため、同報告書の提出は当初予定の
12 月ではなく 2010 年に遅れる可能性があるという。核戦力の見直し案とし
て、現在備蓄している核弾頭を「再利用及び改良することで維持し続ける」、
「安全性、セキュリティ、信頼性を向上させた核弾頭で代替する」という2
つの案が検討されている。 (GSN 2009/8/27)
2009/8/28
【印科学者、核の再実験を要請】 1998 年 5 月に行った核実験に参加したイン
ド の サ ン タ ナ ム ( K. Santhanam ) 氏 は イ ン ド 政 府 に 、「 核 反 応 装 置
(thermonuclear)の爆発の規模が予想していたほど大きくなく、政府は再実
験が必要である」と要請した(TI 紙 8 月 28 日)。一方、サンタナム氏は依然
として政府に対して、
「包括的核実験禁止条約(CTBT)署名の拒否」も求
めているという。 (GSN 2009/8/28)
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2009/8/28
【IAEA、イラン核開発に関する報告を IAEA 理事会に開示】 IAEA は、イラン
の核兵器開発計画に関する報告を IAEA 理事会に提出した。西側諸国からもた
らされた情報に基づくもので、高性能爆薬による核爆発を模した実験やシャ
ハブ・ミサイルに搭載するための研究等、またイランによる核兵器開発に関
するコンピューター・ファイル等の記録を含むもので、イランはこれらを偽
造されたものと反発している。報告によると、情報は複数の情報源から異な
る時点にもたらされ、全般的に一貫性があるようで十分に包括的且つ詳細で
あると位置付けた。そしてイランに対し、IAEA の懸念に対してきちんと回答
するよう要求すると共に、IAEA がイランの主張を確認できるようにするため
文書に記載された人、情報、場所に検査官がアクセスすることを認めるよう
促した。IAEA 理事会と9月の総会で議題の中心となる本件だが、イランはナ
タンツのウラン濃縮施設の能力拡張を行っているにもかかわらず、濃縮スピ
ードを落としており、同施設には 8,308 基の遠心分離機があるものの、未稼
働基数は約 1,000 基増となり、前回の報告で稼働中基数は約 5,000 基とされ
たものの現在は約 400 基減となっている模様。 (GSN 2009/8/28)
2009/8/28
【米国、ボズワース特別代表の訪朝を否定】 米国務省のケリー報道官は8月
27 日、ボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)が北朝鮮を訪問することを否
定すると共に、第三国で北朝鮮関係者と会談する可能性も否定した。韓国メ
ディアは8月第5週、
「 北朝鮮が米国のボズワース特別代表(北朝鮮政策担当)
とソン・キム6カ国協議担当特使を9月に訪朝するよう招待した」と報じて
いた。 (GSN 2009/8/28)
2009/8/31
【NATO のイランに対する関心増加か】 イランが弾道ミサイルの改良を進め、
欧を射程に収めようとしていることから、NATO は同国への関心を高めている。
イスラエル国防筋は、具体的な対応は米の欧ミサイル防衛計画以外にないも
のの、既にイランをタブー視していないとの見方を示した。NATO 筋はミサイ
ル防衛計画の推進、特に NATO 部隊の派遣地域における能力を重要視している
とした。 (JP 2009/8/31)
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/13 【米政府、生物テロ防止戦略に関する会議を実施】 米政府は8月 13 日、ホワ
イトハウス・カンファレンス・センターに生物学者ら約 40 名を集め、生物テ
ロを防止するための国家戦略について協議した。米国家安全保障会議(NSC)
の Laura Holgate(WMD テロ・脅威削減担当)らが進行役を努めた。参加者に
よると、今回の会議では、1) 米国に対する生物テロの脅威、2) 生物テロと
戦うための既存の国際的なイニシアチブ、3) オバマ政権の戦略において非政
府組織が果たす役割、という3つの議題に焦点が当てられたという。 (GSN
2009/8/28)
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2009/8/14
【露化学兵器関連施設に関し、情報管理を進める模様】 露は、同国化学兵器
関連施設に関する情報を公開、透明性の確保に努めていた国際的 NPO の Green
Cross International の事務所を閉鎖した。6月 30 日に閉鎖された同 NPO は、
1993 年にゴルバチョフ元ソ連共産党書記長により設立され、露の7か所ある
化学兵器貯蔵施設の内、6か所に支所を開設、監視活動を行ってきた。1996
年に開設された露 Shchuchye 施設はモスクワ東方 1,600km で付近には 15 の村
と約 40,000 人の住人がいるという。 (GSN 2009/8/14)
2009/8/19
【在米イラク人、米企業と和解】 米企業、VWR International LLC 等米企業
に対し、フセイン政権下のイラクに対し化学兵器の原材料等を輸出していた
として、その被害にあった在米クルド族の団体、北米クルド国民会議が民事
訴訟を起こしていたが、原告は被告がフセイン政権に関連資機材を供給した
企業との間で関連性が見出せなかったとして、和解した。他の2社、Thermo
Fisher Scientific Inc.と Alcolac Inc.に対する訴訟は引き続き進められる
模様。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/28
【バイオテロの危険性を評価する新技術の確立が必要―英王立協会等が報告】
8 月 28 日、英国王立協会と国際生命科学評議会(International Council for
the Life Sciences)は共同で、疫病の危険性を評価する新技術の確立が必要
であるとの研究報告内容を発表した。同報告書はバイオテロの専門家らによ
るもので、現技術では疾病関連、特にバイオテロの危険性を評価するのが難
しいことから、国際的的協調、学際的研究を効果的に生かす新評価システム
の必要性を訴えている。 (GSN 2009/8/28)
(5)ミサイル関連
2009/8/5 【米国に向かうミサイル迎撃案、政権交代で調整困難か】 日本防衛省は、北朝
鮮の弾道ミサイルへの対応として、米国に向かうミサイル迎撃なども盛り込
んだ防衛に関する報告書を提出した。2009 年 8 月現在、日本自民党政権下で
進められている憲法解釈の見直しなどの動きのなか、2009 年 8 月末の投開票
の衆議院議員選挙において自民党が敗退し、日本民主党への政権交代がほぼ
確実な情勢であるという。民主党が政権を獲得した場合、今後の対応などの
調整が困難になるだけではなく、
「民主党は独自の外交政策を打ち出す」と表
明しているという。 (GSN 2009/8/6)
2009/8/15
【米 GAO、欧ミサイル防衛計画で予算超過の可能性を指摘】 米が欧ポーラン
ド及びチェコに配備を計画しているミサイル防衛システムに関し、米会計検
査院(GAO)は当初予算額の 40 億ドル超を上回るとの報告を米議会に提出し
た。米国防総省は両国への施設建設費用として8億 3,700 万ドルを要求した
が、GAO は発電所や上下水道関連施設等の追加建設が必要と指摘している。
2009 年度予算に反映された見積は、米陸軍工兵隊の確認を経ずに作成された
もので、陸軍工兵隊は約 12 億ドルに増額されるべきと指摘している。 (WP
2009/8/15)
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2009/8/18 【韓国のロケット打上げに懸念広がる】
韓国は8月 19 日に同国初の宇宙ロ
ケット「羅老(ナロ)」
(KSLV-I)を打ち上げる予定であるが、この打上げに
懸念の声が出ている。ワシントンポスト紙が8月 18 日に報じたもので、元米
国務省諜報関係者で武器管理協会の Greg Thielmann 氏は、
「(大量破壊兵器の)
不拡散を追及するという観点では、懸念国であるか否かに関わらず、弾道ミ
サイルに転用可能な技術を開発することには懸念がある」と述べたという。
韓国は、弾道ミサイルの開発や取引規制を受け入れているものの、同様の技
術を用いる宇宙開発は禁止していない。 (GSN 2009/8/18)
2009/8/19
【米ボーイング社、移動式迎撃ミサイルの欧配備を提案か】 米ボーイング社
は、米として欧に移動式迎撃ミサイルを配備することで、長距離ミサイルへ
の脅威に備えることが可能と提言した。露が米の計画に反対し、オバマ米政
権は計画を再検討している中、米ボーイング社はミサイル防衛会議において、
固定施設建設が政治的問題等で困難となった場合、地上配備型迎撃ミサイル
は固定配備との固定観念を持って欲しくないとした。2015 年を目処に、同社
は C-17 輸送機に搭載し 24 時間以内に展開可能、脅威がなくなったら撤収可
能な2段、21t の迎撃ミサイルを計画している。 (GSN 2009/8/20)
2009/8/20 【チェコ、米の新迎撃ミサイル構想においても、レーダー配備計画に変わりは
ないと言明】 米ボーイング社が欧ミサイル防衛において、当初予定されてい
た固定式の地上配備型迎撃ミサイル(GBI)の代わりに、移動式迎撃ミサイルを
ポーランドに配備することを提案したことに対し、レーダーが配備される予
定のチェコは、システム全体は固定式・移動式システムの組み合わせで補完、
機能するものであると述べ、コメントを避けた。 (GSN 2009/8/21)
2009/8/20 【イスラエル、欧がイランのミサイルの脅威に3、4年で晒されることにとの
見方を示す】 元イスラエルのミサイル防衛専門家は、イランが突貫態勢を取
った場合、今後4年以内に欧を射程に収める弾道ミサイルを開発できるとの
見方を示した。5月 20 日に実施した、Sajjil 2 ミサイル実験においては、
固体燃料と多段式等の技術・戦略で大きな成果を収めたとされ、1tの弾頭を
搭載可能との見方を示した。米空軍国家航空宇宙情報センターは、イランが
他国から支援を受けた場合、6年以内に米を射程に収める ICBM を開発可能と
分析している。 (GSN 2009/8/21)
2009/8/25
【米国、韓国のロケット打上げを是認】
米国務省のケリー報道官は8月 25
日、
「韓国のロケット打ち上げが、国際法や国際公約に違反するという情報は
得ていない」と述べ、韓国のロケット打上げに懸念を抱いていないことを明
らかにした。韓国は 25 日にロケットを打ち上げたが、人工衛星は軌道に乗ら
ず落下し、地表に到達する前に燃え尽きたと見られている。 (GSN 2009/8/27)
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2009/8/26
【米露、ロケット観測センター建設地で合意できず】 露軍参謀総長は、米と
の間で未だ合同ロケット観測センター建設地で合意に至っていないと認めた。
7月の米露首脳会談の席で、ミサイル防衛システムと共に話題となったもの
で、合同情報交換センターを建設、世界各国の打ち上げるロケットに関し情
報交換をすることで合意している。また併せて、米との間で公海上における
艦船の活動等、信頼醸成が必要とも述べた。 (RIA 2009/8/26)
2009/8/26
【米露、ミサイル防衛計画における協力には至らない模様】 米露間で検討さ
れていたミサイル防衛計画における協力は、政治・安全保障面における懸念
から困難との観測が専門家から出ている。欧ミサイル防衛で、米は協力と透
明性向上を、露は代替案を提示、両国とも緊張緩和を目指していた。米上院
軍事委員会では協力案全般について、6月にはリン米国防副長官が2か所の
露レーダー施設を組み込むことを検討、オライリー米ミサイル防衛局(MDA)
長がアゼルバイジャン Gabala と露南部 Armavir の露レーダー施設を訪問、同
時にミサイル発射情報を共有するため合同データ交換センター(JDEC)設置を
提案する等の検討を進めていた。しかし露がイランのミサイル脅威はないと
の姿勢を崩さないため、検討が進まないのが現状とされる。 (GSN 2009/8/26)
2009/8/27
【 イ ラ ン の 新 型 ミ サ イ ル 、 3 、 4 年 の 内 に 欧 を 射 程 に 収 め る か 】 Digital
Journal 報道。イスラエル軍事専門家は、イランの新型中距離弾道ミサイル
Sejil-2 の開発が完了した場合、ロンドンまでを射程に収めるとの見方を示
し、イランは技術的・戦略的躍進を果たしたと警鐘を鳴らした。そして現在
革命防衛隊に配備されている Shahab-3 ミサイル等と異なり、Sejil-2 は2段
式の固体燃料エンジンを備え、1t の弾頭が搭載可能、将来的には、最短で 3-4
年の内に、射程を倍増できるとの見方を示した。 (MISC 2009/8/27)
2009/8/27
【米、欧ミサイル防衛計画について未だ検討中と説明】 米国務省報道官は、
ブッシュ米前政権が計画した欧ミサイル防衛の中止決定を下したとの報道を
否定した。米前政権は、ポーランドに迎撃ミサイル 10 基、チェコにレーダー
施設を設置する計画であったが、露が戦略上の脅威と位置付け、ポーランド
近 辺 に 短 距 離 弾 道 ミ サ イ ル の 配 備 計 画 を 出 し て い た 。 ポ ー ラ ン ド Gazeta
Wyborcza 紙が報じたもので、米は海上配備システム、イスラエル、トルコ、
バルカン半島等への配備でイランのミサイル脅威に対抗するとの代案を検討
としていた。 (GSN 2009/8/28)
2009/8/27
【米、欧ミサイル防衛システム配備を中止か】 米議会及びロビイスト筋によ
ると、オバマ米政権はブッシュ米前政権が計画した、ポーランドに配備予定
の迎撃ミサイル及びチェコに配備予定のレーダー施設から成る欧ミサイル防
衛計画を中止する模様。米は代案として、艦船の展開、イスラエル、トルコ、
バルカン半島への配備等を検討、イランからの長距離ミサイル脅威に備える
としている。8月第4週に開催されたミサイル防衛推進団体の会合において、
米軍関係者は配備予定地に触れなかったとされ、ポーランド紙は、米現政権
はポーランド及びチェコ以外の配備で検討を進めていることは明確と報じた。
(GSN 2009/8/27)
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2009/8/31
【インド、パキスタンによる米製対艦ミサイル改造を主張】 インド海軍参謀
総長のスレーシュ・メータ(Sureesh Mehta)大将が 8 月 31 日、
「パキスタンが
隣国のインドなど陸上の標的も攻撃可能にするため、米国製対艦ミサイル『ハ
ープーン』を改造している事実がある」と主張した。New York Times 紙によ
ると、「1980 年代の冷戦時代に米国からパキスタンに売却された「ハープー
ン」の改造は、米国の武器輸出管理法(AECA)に違反する」とのことである。
米国はすでに哨戒機の P3-C 航空機が改造されていると訴えており、オバマ米
大 統 領 政 府 も 米 国 法 に 違 反 し て い る と 抗 議 し て い る と い う 。 (AFPR
2009/8/31)
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11.その他
(1)輸出管理関連一般
2009/8/1
【カナダとリビア、原子力分野での協力で合意】 Jamahariya
News は 8 月 1
日、カナダとリビアが原子力分野での協力を進めることで合意したと報道し
た。両国は、ウラン採掘や原子力などで利用される用水を確保するための海
水淡水化工程など民生用原子力関連プロジェクトで協力を進める覚書に署名
した。両国はまた、国際法並びに両国の国内法とも整合性をとりながら、安
全基準、不拡散及び環境基準を整備することでも合意した。 (GSN 2009/8/3)
2009/8/2
【南ア野党議員、WMD 転用可能な爆弾のリビア向け輸出を許可したとして政府
を非難】 南アフリカ共和国野党の David Maynier 議員は 8 月 2 日、「国家通
常兵器管理委員会(NCACC/National Conventional Arms Control Committee)
が WMD 転用可能な爆弾のリビア向け輸出を認めた」として政府を非難してい
る。NCACC は、人権侵害や紛争拡大につながるような武器輸出を禁止してい
る。しかし同氏は、
「NCACC は 1 年以上、定期的な協議を行っておらず、報告
書も 2005 年に出されたのが最後である。」と述べ、NCACC の活動を疑問視し
ている。さらにジンバブエや北朝鮮向け輸出についても言及している。なお、
NCACC にコメントを要請したが得られなかった。 (GSN 2009/8/3)
2009/8/5 【ブルネイ、東 ASEAN 成長地域改善策を提言】ブルネイの Hj Bujang Hj Tinkong
臨 時 港 湾 管 理 責 任 者 ( acting deputy ports director ) は 、「 成 長 著 し い
BIMP-EAGA(東 ASEAN 成長地域)の港湾のインフラの改善の過程においてブル
ネイは、同地域の積替地となり、輸出量の増加を目指す必要がある。」と述べ
た。またブルネイのビジネス委員会(BEBBC)の資源開発クラスター作業部会
の PgHj Yura 担当者は、
「同地域で積み替えが行われ、更にもしブルネイ内に
自由貿易地域が設置されれば、事務所を設置したいという多くの投資家を魅
了するだろう。またシンガポールなどを経由せずとも、ブルネイを通して積
み 替 え が 行 わ れ る で あ ろ う 」 と 期 待 し て い る と い う(www.brudirect.com)。
(MISC 2009/8/5)
2009/8/6 【南アフリカ共和国政府、リビア向け輸出に対する野党の非難を無視】 南アフ
リカ共和国政府は、野党である民主同盟の David Maynier 議員による「国家
通常兵器管理委員会(NCACC/National Conventional Arms Control Committ
ee)は 2008 年、WMD を運搬可能な滑空爆弾のリビア向け輸出を認めた」とい
う非難を退けている。さらに同議員の主張によると、
「NCACC は、南ア企業が
北朝鮮に軍事品展示を行うことを許可し、シリアに手榴弾発射筒を輸出する
ことを許可した」という。それに対し、南ア政府は「政府は法的プロセスに
基づいて展示や輸出を許可した。同議員の主張は事実を捻じ曲げている」と
述べている。 (GSN 2009/8/6)
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2009/8/14
【インドネシア大統領、輸出より国内市場拡大を強調】 インドネシアの憲法
裁判決で再選が確定したユドヨノ大統領は 8 月 14 日、インドネシアのため今
後もテロと貧困と戦うと誓いを表明したという。更にユドヨノ大統領は、
「イ
ンドネシアは、輸出よりも国内市場の拡大に努める必要がある」と主張した。
インドネシアの貧困は、不平等な資本主義に基づいた世界経済の体制や、イ
ンドネシアで起こっているテロも起因しているとも述べた。7 月 17 日に発生
したホテル連続爆弾テロ事件については、2009 年 8 月現在容疑者を確認中で
あるという。 (FT 2009/8/14)
2009/8/20
【英国実業家、軍用車両をスーダンへ違法輸出した罪で有罪判決】 英サザッ
ク刑事裁判所は、英国実業家ら2人が軍事転用可能な車両をスーダンに違法
輸出した容疑を8月 20 日に認めたと発表した。容疑を認めたのは、Jackson &
Co Ltd の所有者である Andrew Jackson 容疑者と同社従業員の Steven Smithey
容疑者の二人。訴状によると、両容疑者は、17 人乗りの軍民両用のスウェー
デン製トレーラー「Hagglund BV206」15 台をスーダンに違法輸出したという。
(Seventh Space Interactive) (GSN 2009/8/21)
(2)通常兵器関連
2009/8/4
【スイス、武器輸出額が減少】 2009 年上半期のスイスの武器輸出額は、サウ
ジ向けの増加にもかかわらず 5%減の3億 1,200 万ドルとなった。連邦税関局
が発表したもので、その内約 46%は独、デンマーク、サウジの3か国が占め
た。スイスでは、11 月 29 日に反武器輸出に関する国民投票が予定されてい
るが、政府は軍需産業が 5,100 人の職を支えているとして同案に反対してい
る。 (ASP 2009/8/4)
2009/8/14
【インドネシア大統領、輸出より国内市場拡大を強調】 インドネシアの憲法
裁判決で再選が確定したユドヨノ大統領は 8 月 14 日、インドネシアのため今
後もテロと貧困と戦うと誓いを表明したという。更にユドヨノ大統領は、
「イ
ンドネシアは、輸出よりも国内市場の拡大に努める必要がある」と主張した。
インドネシアの貧困は、不平等な資本主義に基づいた世界経済の体制や、イ
ンドネシアで起こっているテロも起因しているとも述べた。7 月 17 日に発生
したホテル連続爆弾テロ事件については、2009 年 8 月現在容疑者を確認中で
あるという。 (FT 2009/8/14)
2009/8/18
【バルカン半島の再武装が進む】 セルビアの軍事産業は経済停滞にもかかわ
らず、記録的な成長を記録する見込み。2008 年の同国軍用品輸出額は5億
2,000 万ドルで、2009 年は6億 5,000 万ドルを見込んでいるが、同国の軍事
産業は 90%を輸出に依存している。イラク向けの練習機 20 機を3億 500 万ド
ルで受注する等好調となっているが、1990 年代のバルカン紛争以前から数十
億ドルの輸出を行っており、国が過半数の株式を所有する形で国内6か所の
工場で生産されている。 (AFPR 2009/8/18)
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2009/8/18
【英下院議員、英からスリランカへの武器輸出の実態調査を要請】 英下院議
員らはスリランカ政府と対立していた独立武装勢力のタミル・イーラム解放
のトラ(LITE)が 2009 年 5 月に敗北宣言をしたことを受けて、英大臣らイギ
リスからスリランカへの武器輸出の調査を要請した。スリランカ国内の実態
の把握が困難であった当時、実際にどの程度の武器が一般市民に対して使用
されたか 2009 年 8 月現在では不明であるという。英下院議員らは更に「既存
の武器輸出におけるライセンスなども調査し、英製造の武器、弾薬、備品な
どがスリランカ側によって LITE にどの程度使用されたか調査する」必要があ
ると勧告したという。(www.dailymirror.lk) (MISC 2009/8/18)
2009/8/18
【英国連大使、スリランカへの武器輸出を理事会議題に含めず】 英下院議員
らは、スリランカ国内で繰り広げられていた大量殺戮の折に、イギリスから
スリランカへの武器輸出の実態について懸念の声をあげていた。しかしジョ
ン・ソワーズ(John Sawers)国連大使は、「スリランカへの武器輸出の実態」
を国連安保理理事会の議題に含めることはないことを表明したという。
(www.innercitypress.com) (MISC 2009/8/19)
2009/8/19
【アルゼンチン軍、装備更新を計画】 アルゼンチンは、大規模な軍近代化を
計画していたものの、世界的な景気悪化に伴い計画縮小を余儀なくされてい
る。経済成長が続くブラジルと石油収入に恵まれるベネズエラが装備更新を
進める中、アルゼンチンは更新を進めようとしているものの、官僚主義、腐
敗等で困難に陥っている。 (UPI 2009/8/19)
2009/8/19 【アムネスティ、不十分な武器輸出管理が人権を脅かしていると警鐘】 Amnesty
International 発表。英議会武器輸出管理特別委員会が英政府に対し武器輸
出管理を強化するよう報告を出したことに対し、アムネスティが声明を出し
た。同委員会の報告を歓迎、英武器輸出管理は重要な問題を未だ抱えており、
大量の英国製武器や部品等が世界で人権侵害に係る結果となっているとした。
アムネスティは、
「英政府が未だ英機器の海外生産・組み立て、再輸出におけ
る抜け穴を塞いでいない」と指摘、車両や IED 製造に転用可能な部品等を例
に、民間人だけでなく英軍人に対しても深刻な脅威となると指摘した。 (MISC
2009/8/19)
2009/8/25
【ルーマニア大統領の兄弟、爆発物取引】 Romanian Times 紙報道。ルーマニ
アで、バセスク・ルーマニア大統領の兄弟がテロ容疑者 Bakri Imad Abdul Reda
との間で、爆発物の取引に関わったと報じられたことに対し、関係を否定す
る声明を発表した。報道によると、大統領の要請により事件は隠されたとさ
れている。 (MISC 2009/8/25)
2009/8/28
【セルビアとイラク、1億ドル規模の武器取引で合意】 セルビアは1億ドル
相当の武器をイラクとの契約に基づき、輸出する予定。セルビア国防相が同
国 B92 テレビに述べた。イラクは Lazar 装甲戦闘車、Lasta 95 訓練機と砲に
関心を示していたとされる。 (AFPR 2009/8/28)
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2009/8/31
【フィリピン、押収された武器の取引関与を認める】 8 月 20 日にフィリピン
のマリベレス(Mariveles)の海岸でパナマ船籍から、8.6 億ルピー相当のアサ
ルトライフルなどを含む武器がフィリピン当局によって押収された。インド
ネシア側は当初押収された武器取引には関与していないと主張したが、8 月
31 日インドネシアのジョコ・サントソ(Djoko Santoso)国軍司令官は、「押
収された武器は、フィリピンがインドネシアの国営企業 Pinrad から購入した
もので、インドネシア国防省が情報機関の勧告をもって許可を出したもので
あった」と認めた。更にサントソ国軍司令官は、
「国防省から許可が下りてお
り、購入者が誰であるか明確であるため問題はない。しかし、それらの武器
がフィリピンで転売された場合は、我々の関与するところではない」と述べ
たという(www.tempointeractive.com)。 (MISC 2009/8/31)
2009/8/31
【イラク、セルビアに対し戦闘機の返還を要求】 イラク当局は、80 年代に旧
ユーゴスラビアに修理のため送られていた MiG-21 及び 23 戦闘機、計 19 機の
返還を求めた。イラク・セルビア両国の国防省が協議したもので、2機は飛
行可能とされる一方で残り 17 機の状態は不明とされている。イラク国防省報
道官は、4隻の海軍艦艇がエジプトと伊で、また航空機と関連部品等が露仏
で「発見」されたと発表している。 (BBC 2009/8/31)
(3)核兵器関連
2009/8/12
【アフリカ非核兵器地帯条約が発効】 アフリカ地域における非核兵器地帯条
約(NFWZ)、別名ペリンダバ条約は域内における核爆発装置の研究・開発・製
造・貯蔵・所有、核廃棄物投棄を全面禁止するもので、条約の発効には 28
カ国の批准が必要だった。7 月 15 日、28 カ国目となるブルンジ共和国が批准
したことにより、発効した。これにより、厳格な不拡散体制の下で民生用原
子力エネルギー開発が促進されることとなる。なお、中国、フランス、英国
はアフリカの非核地帯を容認し、条約に署名しているが、ロシア及び米国は
未だ署名していない。 (GSN 2009/8/13)
2009/8/12 【UAE、原子力規制当局を設立するための法案の承認遅れる】 UAE のシェイク・
ハリファ・ビン・ザーイド・スルタン・アル・ナヒヤン大統領は、計画中の
原子力プロジェクトを進める上で必要不可欠な原子力規制当局を設立するた
めの法案に未だ署名していない。UAE のデービッド・スコット経済担当相は、
「法律が制定されないと計画が進展しない」と述べ、核燃料輸入や関連施設
の建設は不可能だとしている。同法案は、様々な軽水炉建設プロジェクトの
監督責任を有する UAE 原子力規制当局と Emirates Nuclear Energy 社を設立
するためのものである。なお、軽水炉建設プロジェクトには 410 億から 600
億以上のコストがかかると予想されている。 (GSN 2009/8/13)
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2009/8/14
【IAEA、アフリカ非核地帯条約の発効に言及】 アフリカ非核地帯条約がブル
ンジ共和国の加盟により 2009 年 7 月 15 日に発効し、南半球全体の核兵器廃
止に関する条約が成立した。IAEA エルバラダイ事務局長は同条約の発効を賞
賛し、
「ラテンアメリカ、カリブ、南アジア、南太平洋、中央アジアは核兵器
の無い世界への役割を担う、重要な地域である」と述べた。なお、IAEA は、
迅 速 に ア フ リ カ の 21 カ 国 が 国 連 核 査 察 を 受 け 入 れ る よ う 要 請 し て い る 。
(GSN 2009/8/17)
2009/8/17
【ミャンマー軍事政権、原発の建設を否定】 米民主党のジム・ウェッブ上院
議員は、ミャンマー軍事政権の高官が原子力発電所の建設を否定したことを
明らかにした。ウェッブ上院議員は、民主化運動指導者のアウン・サン・ス
ー・チー女史と会談した他、米要人としては初めてミャンマー軍事政権トッ
プのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長と会談した。しかし、ウ
ェッブ上院議員は、タン・シェ SPDC 議長とはミャンマーの核開発問題につい
ては直接協議しなかったとしている。(bangkokpost) (MISC 2009/8/17)
2009/8/17
【IAEA、2008 年度報告書において核物質の不正取引に警鐘】 IAEA の 2008 年
度報告書によると、15 件の核関連物質の不正取引、16 件の機微品目の盗難及
び亡失があったという。IAEA は不正取引データベースを 1993 年から導入し、
2007 年度までの総計は 1562 件であった。2008 年度分は 119 件である。さら
に、データベースに登録する国も増えており、2008 年度は 103 カ国であった。
また、IAEA は核兵器転用の危険性に再び警告を発している。使用場所や保管
場所に関係なく、核放射性物質を安全に管理する方法や不正取引を摘発する
確率を向上させる必要があると言及している。 (GSN 2009/8/17)
2009/8/21
【サウジアラビア、民生用原子力発電所の建設を表明】 サウジアラビアは 8
月 21 日、原子力発電所の建設を発表し、民生用原子力エネルギーの開発に取
組む意思を正式に示した。懸念事項として、中東地域の新興国の原子力開発
の取組みが、核兵器開発の手段として転用されないかということである。一
方、エクアドルは 8 月 21 日、ロシアと民生用原子力協力協定を締結した。そ
の協定内容は、エネルギー生産や科学研究を目的とした原子炉の共同開発や、
ウラン鉱山の共同開発に両国が取組むというものである。 (GSN 2009/8/24)
(4)生物・化学兵器関連
2009/8/17
【加、キルギスにバイオセキュリティ面で支援】 キルギスは加より 2,700 万
ドルの支援を受け、炭疽菌やペスト等の危険度の高い病原菌のための保管・
研究施設を建設する。同国の研究所の保安体制は悪く、バイオテロを企てる
ために病原菌が狙われる危険性があり、また同施設の上級研究員等の月収は
18 ドルと低く、不正取引を誘発しかねない高リスクな環境に置かれていると
いう。同国の施設は、ソ連時代には生物兵器計画の中で主要な役割を担って
いたとされ、現在同国は各種疾病の拡大を防ぐため研究所の維持が必要とし
ている。 (GSN 2009/8/18)
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2009/8/24
【生物兵器禁止条約専門家会合、ジュネーブにて開催】 生物兵器禁止条約専
門家会合が 8 月 24 日、スイスのジュネーブにて 5 日間にわたって行われる。
具体的には疫病の監視、伝染予防手段、ライフサイエンスや関連する技術の
有効的活用方法、さらには加盟国の協力体制の向上について討議が行われる
予定である。2009 年 12 月に行われる締約国会合では 162 カ国の代表が参加
し、討議が行われる。 (GSN 2009/8/24)
(5)ミサイル関連
特記事項なし
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出典略号一覧表
(参
考)
人民日
・人民日報
共同
・共同通信
時事
・時事通信
新華社
・新華社通信
タス
・タス通信
RP.
・ラジオプレス
AB.
・ARABIES
AFPR. ・AGENCE FRANCE-PRESSE
APNW. ・ASSOCIATED PRESS NEWSWIRES
AW.
・ASIAWEEK
AWSJ. ・ASIAN WALL STREET JOURNAL
AW&ST.・AVIATION WEEK & SPACE TECHNOLOGY
BBCMS.・BBC Monitoring Service
BBCMM.・BBC Monitoring Middle East
BIS. ・BUREAU OF INDUSTRY AND SECURITY, US DEPT. OF COMMERCE
CHD. ・CHINA DAILY
CHNA. ・CHANNEL NEWS ASIA
CP.
・CHINA POST
CSM. ・THE CHRISTIAN SCIENCE MONITOR
DD.
・DEFENSE DAILY
DJN. ・DOW JONE'S NEWSWIRE
DM.
・DAILY MAIL
DN.
・DEFENSE NEWS
DOS. ・US DEPARTMENT OF STATE
DW.
・DEFENSE WEEK
EM.
・ECONOMIST
FAL. ・FRANKFURTER ALLGEMEINE
FE.
・FINANCIAL EXPRESS
FEER. ・FAR EASTERN ECONOMIC REVIEW
FR.
・FOREIGN REPORT
FT.
・FINANCIAL TIMES
GN.
・GUARDIAN
GSN. ・GLOBAL SECURITY NEWSWIRE
HB.
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HI.
・THE HINDU
ICE. ・IMMIGRATION AND CUSTAMS ENFOECEMENT, US DEPT. OF HOMELAND SECURITY
ID.
・INDEPENDENT
IFAX. ・INTERFAX NEWS AGENCY
IDR. ・INTERNATIONAL DEFENSE REVIEW
IHT. ・INTERNATIONAL HERALD TRIBUNE
IPR. ・IPR STRATEGIC BUSINESS INFORMATION
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ITW. ・ITAR-TASS WORLD SERVICE
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JDW. ・JANE´S DEFENCE WEEKLY
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JC.
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LT.
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MEIW. ・MIDDLE EAST INTELLIGENCE WIRE
MEN. ・MIDDLE EAST NEWSWIRE
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XNA. ・XINHUA NEWS AGENCY
YH.
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*国別の担当者は次の通りです。
風間主任研究員: 中国、台湾、北朝鮮、その他北東アジア、イラン
加藤研究員
: インド、パキスタン、その他アジア
大森研究員
: ロシア及び周辺地域、欧州
山下研究員
: イスラエル、シリア、国際、その他
内田研究員
: 米国、カナダ
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