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2013年度 岐阜経済大学 学内ゼミナール大会 参加論文

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2013年度 岐阜経済大学 学内ゼミナール大会 参加論文
2013年度 岐阜経済大学
学内ゼミナール大会 参加論文
ゼミ名
菊本ゼミナール B
テーマ
防犯コミュニティ研究グループ
大垣の まち を守るぞ! 防犯隊
代表者
野田智之
参加者
小畑将太 野田智之 白川峻 土屋大樹 森望未
目次
はじめに
第 1 章 テーマの背景
第 1 節 岐阜県下の犯罪状況
第 2 節 大垣市内、犯罪状況
第 3 節 JR 大垣駅付近の自転車盗難発生状況
第 4 節 防犯団体の推移
第 2 章 防犯コミュニティ研究グループの歴史
第 3 章 今年度の活動
第 1 節 見回り活動(防犯パトロール)
第 2 節 警察、他団体との連携活動
第 3 節 アンケート調査
第 4 節 ヒアリング調査
第 4 章 今年の成果と課題
おわりに
参考文献・参考資料
はじめに
現在、全国の商店街は経営不振、大型ショッピングモールの増加により店をたたみシ
ャッターが閉まっている店の多い商店街、通称「シャッター商店街」が多くなっている。
「シャッター商店街」の持つイメージの悪さが来街客を遠ざけ、悪循環に陥っている。
こうした駅前の商店街を安心で安全な暮らしの出来る空間にしていくことが活性化の 1
つの条件であると考えている。その際には、警察や防犯活動をしている市民団体とが連
携をとりながら活動していくことが必要である。そして活動を通して犯罪を減少させる
ことが商店街の治安の維持・改善につながると考える。私たちは、岐阜経済大学が大垣
商店街に設置した「まちなか共同研究室マイスター倶楽部」にて、
「防犯コミュニティ研
究グループ」として、防犯見回り活動などを行っている。そこで本稿は岐阜県大垣市を
事例としながら、市民による防犯活動について考察を加えていくものである。
第 1 章 テーマの背景
「防犯活動はそれほど必要ではないのではないか」とも思われがちだが、本章では、
市民による防犯活動が何故必要なのか、考えていきたい。
第 1 節 岐阜県下の犯罪状況
まず、岐阜県の刑法犯の認知件数を見ていきたい。刑法犯というのは、殺人、強盗、
放火、窃盗、詐欺などの犯罪のことを指す。
図1は、空き巣・事務所荒らしなどの「侵入盗」
、ひったくりなどの「非侵入盗」
、自
動車、自転車盗みの「乗り物盗」の3種類の犯罪について平成 20 年から平成 24 年まで
の件数を表したグラフである。
出所:
「岐阜県内刑法犯認知件数・検挙情報」より転載
このグラフを見てわかるように岐阜県全域の件数はゆるやかに減少傾向にある。
では直近の大垣市の情勢はどうなのか見ていきたい。
第 2 節 大垣市内、犯罪状況
大垣警察署管内では、図 2 のような結果が出ている。
図 2 大垣警察署管内刑法犯認知件数(平成 25 年 9 月まで)
自販機
ねらい
2%
自動車
盗難
8%
空き巣
18%
ひった
くり
7%
自転車
盗難
65%
出所:
「大垣警察署管内・検挙情報」より転載
図 2 のグラフは大垣警察署管内の特に多い6つの犯罪を取りあげたものである。グラ
フからわかるように「自転車盗難」が 65%であり、半数以上を占めている。そこで次に、
自転車盗難に視点を置いて大垣市の状況を詳しく見ていきたい。
大垣市で、自転車盗難が多く発生する場所としてあげられるのはアクアウォーク、イ
オンタウン(コロナ)
、路上駐車である。どうすれば、このような場所での自転車盗難が
減少するか、まず、
「防犯環境設計」をふまえて考えていきたいと思う。
防犯環境設計とは、人の手によって犯罪をなくすことである。例えば、警察のパトロ
ール、防犯団体の見回り活動を通して犯罪を減少させる考え方がソフトな面であれば、
駐輪場の建設、窓や家の玄関の扉を防犯性の高い機能を持った鍵にする、公園、道路に
街頭を設置することにより暗い夜道をなくし、危険を少なくするというハードな面の考
え方である。
自転車盗難をなくす対策を防犯環境設計から考えると、有料駐輪場の建設や路上に自
転車置き場を設置するという方法がある。
第 3 節 JR 大垣駅付近の自転車盗難発生状況
防犯環境設計の考え方を踏まえ、
次に大垣駅周辺の駐輪場の経緯を説明していきたい。
この表1 は JR 大垣駅付近における自転車盗難の発生状況について平成23 年と 24 年を
比較したデータである。
表 1 JR 大垣駅付近における自転車盗発生状況(平成 24 年 12 月末)
平成 24 年 平成 23 年
増減
駅西
32
48
-16
駅東
15
6
9
駅北
8
6
2
ロックシティ
62
41
21
アクアウォーク
79
41
38
計
196
142
54
*「大垣警察署資料(大垣警察署管内の犯罪発生状況等)
」から転載
大垣駅の北口には、もともと無人の駐輪場があり、自転車で通勤し、電車に乗る人な
ど学生の多くは大垣駅北口の無人駐輪場にとめていた。しかし、平成 23 年 5 月 1 日、
大垣駅北口に有料で監視員、防犯カメラが常駐している駐輪場ができ、無人駐輪場は撤
廃、使えなくなってしまった。有料で監視員、防犯カメラがある駐輪場は安全で安心し
てとめることができるが、定期的や毎日のようにとめる人からすると駐輪料金は負担に
なってくる場合もある。こういった金銭的な理由から有料駐輪場にとめず、アクアウォ
ーク、イオンタウン、路上に止める人達が増えていった。そして「自転車を盗もう、犯
行しよう」としている人達も北口の無人駐輪場からアクアウォーク、イオンタウン、路
上へと犯行現場の視点をかえて犯行が行なわれるようになっていった。その結果、駅の
駐輪場と比べ、イオンタウン、アクアウォークの盗難件数は 20 件を超す発生状況にな
ってしまった。このような現状があるので自転車盗難は減っていかない。
自転車をとめる場所に関係なく、
「施錠をせず自転車をとめる」
、
「うっかり施錠をする
事を忘れる」
、
「自分の自転車は盗まれないだろうという安易な気持ち」等も盗難にあう
原因のひとつである。他にも施錠する鍵が簡単に壊せること、解除できる自転車も原因
のひとつだと思われる。盗難にあわない対策として、
「施錠の確認」
、
「人目につく場所に
とめる」
、
「2重ロック」
、さらに、これは私達の提案だが、
「店の前や常にある場所にと
める」方法がある。
ただし、個人でできる対策には限界がある。では警察がパトロールを強化などしてい
けば盗難の減少、治安の改善ができるのではないかという考え方もある。しかし、警察
も忙しく色々な理由があり、パトロールの強化にはまず人員の確保が必要である。そし
てパトロールだけが仕事ではなく、事件、事故が発生すればかけつけ仕事をしなければ
ならない。警察は事件、事故が発生し通報があってから出動し、発生後から動くのがメ
インとなってくる。警察ができる犯罪の予防にも限界があるため防犯活動を行う市民団
体、住んでいる地域での防犯活動が重要になる。
第 4 節 防犯団体の推移
それでは、防犯活動をしている団体はどのくらいの数があるのか見ていきたい。
表 2 全国防犯団体の推移(平成 15 年と平成 24 年の比較)
団体数
平成 15 年
平成 24 年
3056団体
46673団体
*警察庁「防犯ボランティア団体の推移」より転載
表 2 は平成 15 年と平成 24 年の防犯ボランティア団体の数を表したものである。平成
15 年と比べ平成 24 年は 15 倍の数の団体が増えている。これは様々な地域、自治体の
防犯活動に対する意識が変わってきた証拠であろう。しかし、課題として残る部分もあ
る。それは年齢層の高齢化である。中心となって活動している方は 50~60 歳代の方々
で、携わる年齢層が上がっていけばいくほど若者の防犯活動に対する意欲、関心が薄れ
ていくと思う。そうした中、大垣駅前商店街の治安の維持、改善を目指し、市民の方々
に防犯意識の向上を目指してきたのが防犯コミュニティ研究グループである。
第 2 章 防犯コミュニティ研究グループの歴史
本章では、私たち防犯コミュニティ研究グループが発足した経緯およびこれまでの活
動について述べる。
まず防犯コミュニティ研究グループができたきっかけについて説明する。以前には、
大垣駅前の商店街の事業者が仕事の合間に見回り活動を行なっていた。しかし、事業者
の高齢化、減少により防犯活動が困難になってしまい、それを補完するかたちで、平成
16 年 4 月に大学生で構成された防犯コミュニティ研究グループが発足された。発足して
約 10 年が経ち、その中で様々な活動をしてきた。
写真 1 防犯コミュニティグループ発足当時
平成 16 年頃
写真 2 ではシャッターにイラストを描いている。もし落書きを、そのまま放置した場
合、この場所では落書きが出来ると思われてしまう。悪質な落書きが増加していくとま
ちのイメージが悪くなり治安の悪化に繋がるが、先にシャッターにイラストを描くこと
で、落書き防止になると同時にまちのイメージが良くなり明るくなる。こうした目的で
シャッターペイントを行った。
写真 2 シャッターペイント
平成 19 年秋
写真 3 では、大垣城一帯での芭蕉元禄イルミネーション大会へボランティアで参加
している。イルミネーションの電球が切れていないか、イタズラがされていないか、ゴ
ミが捨てられていないかなどを注視しながら見回る活動を行った。
写真 3 芭蕉元禄イルミネーション
平成 20 年冬
写真 4 は、宇留生小学校で防犯教室が開催されたときの写真である。この防犯教室
は岐阜県警が子どもたちに防犯意識を高めてもらう目的で開催された。
子どもたちには、
犯罪を未然に防ぐだけではなく、子ども自身が犯罪に巻き込まれないようにするための
方法、手段を学生が体を張って教えた。
写真 4 防犯教室
平成 24 年頃
写真 5 ではヒアリング調査をしている様子である。
この活動は今年から始めた活動で、
大垣駅前の商店街に店舗を構える方々を対象に調査を行なった。商店街に店舗を構える
方々を対象とした理由として、ハツラツ市で月に 1 回しか来ない人よりも毎日商店街に
いる人の方が商店街のことをよく知っているからである。
写真 5 ヒアリング調査
平成 25 年頃
ヒアリング調査を踏まえ今年は次の4つの活動を目標に立てた。1 つ目は見回り活動
である。大垣駅前の商店街を見回り、現状を把握、改善点を私達が作る地域安全マップ
に反映し、市民へ情報を発信する。2 つ目はアンケート調査である。調査をした結果を
データ化し、グラフに表す。3 つ目はヒアリング調査である。これは平成 25 年から始め
た活動である。
商店街の人達の話を聞き、
思いや要望を警察との会議で話していきたい。
そして、見回り活動とヒアリング・アンケート調査のデータと情報から作るマップを作
っていく。危険な場所や犯罪が起きやすい場所などをマップに載せネットに掲載し、情
報を発信していく。
第 3 章 今年度の活動
本章では平成 25 年度の実践活動について説明する。
第 1 節 見回り活動(防犯パトロール)
まずは、見回り活動を紹介する。見回り活動とは月に 2 回行っている活動である。主
に大垣駅前の商店街を中心に清掃しながら見回りをしていく。見回り活動では、犯罪が
起きやすい場所、危険な場所など自分たちが気づいた点があればカメラで写真を撮りメ
モをする。見回り活動のときの服装は緑色のベスト、防犯パトロールを呼び掛ける緑色
のバンダナを着用する。持ち物はまちを清掃するための物ハサミとごみ袋、危険な場所
などを撮るためのカメラを持参して見回りをする。写真 6 で自転車の施錠を確認してい
る。次節では他団体との連携活動についても見ていきたい。
写真 6 見回り活動(自転車施錠確認の様子)
平成 24 年頃
第 2 節 警察、他団体との連携活動
連携活動とは警察や大垣市内の高校のMS リーダーズなどの他団体と連携する防犯活
動のことである。写真 7 は大垣駅周辺で通行人に自転車盗難に対して呼びかけている様
子である。無料でチェーンを配布し、施錠・2 重ロックを呼びかけるビラを配布した。
なぜ施錠・2 重ロックを呼びかけるのかと言うと自転車盗難にあう人のほとんどが「施
錠をしなくても盗まれないと思った」などの安易な気持ちが盗難の原因になるからであ
る。盗難に遭ってからでは遅く、盗難に遭わないように施錠・2 重ロックを心掛けてほ
しい。
写真 7 自転車盗難の呼びかけ
平成 25 年頃
写真 8 は去年の年末にアクアウォークのなかで一般のお客さんに振り込め詐欺対策を
してもらうように呼び掛けるビラを配った写真である。ビラには振り込め詐欺の一般的
な手口や相手をだますテクニックが書いてありそれに対しての対策、対応の仕方が書い
てある。振り込め詐欺の被害は年末に増加する。年末は会社からボーナスが入る人や、
年末年始に旅行に行くためにお金を貯めている人などが多く、そのような人が詐欺に気
付かず、高い金額を振り込んでしまう傾向がある。なかでも狙われやすいのが一人で住
む高齢者の人である。対策としては、
「家族を名前で呼び合う」
、
「合言葉などを決めてお
く」と被害に遭いにくくなると思う。
写真 8 振り込め詐欺の呼び掛け
平成 24 年頃
第 3 節 アンケート調査
次にアンケート調査について説明していく。アンケートやヒアリング調査を行う目的
として、市民の人達の想い、どうして欲しいかと言ったリアルな意見を知り、分析しよ
うと思ったからである。アンケート調査は、平成 25 年 11 月 3 日に大垣駅で開催された
イベント
「元気ハツラツ市」
来場者の方々に質問票を用いたアンケート調査を行なった。
質問内容は、
「性別」
、
「居住地域」
、
「職業」
、
「大垣市内と駅周辺の治安についてどう思
うか」といった点である。4 択にわけ、
「とても良い」
、
「良い」
、
「悪い」
、
「とても悪い」
、
の4項目から選んでもらった。加えて「悪い」
、
「とても悪い」と答えた人には理由を書
いてもらった。5つ目には、
「防犯活動に参加したことがあるか」という項目で「ある」
と答えた人には、どのような活動に参加したか、
「ない」と答えた人には5つ項目を作り
選んでもらった。6つ目には、
「町の治安を改善するには、どのようなことが必要だと思
うか」書いてもらい、調査結果としては、次のデータがとれた。
1つ目の性別では、
「男性」が 24 人、
「女性」が 26 人、職種としては、
「会社員」
、
「自
営業」
、
「主婦」
、
「パート」
、
「無職」と様々な職種からとれた。アンケート項目にある、
「大垣市内および大垣駅周辺の治安についてどう思うか」
聞いたところ、
男女別と市内、
市外別でグラフをわけた所以下のようなデータになった。どちらのグラフも「治安は良
いと思う」と答えた人たちが半数以上を越える結果となった。
図 3(大垣市内全体の治安)男女別
図4(大垣市内全体の治安)市内・市外別
図 5、6 のグラフは駅周辺の治安についてのグラフである。このグラフも市内全体
とあまり変わらない割合のグラフになった。
図5(駅周辺の治安)男女別
図6(駅周辺の治安)市内・市外別
しかし、市内全体と駅周辺のグラフを比較して分かったことが1つある。それは、市
内全体、駅周辺の2つのグラフとも「治安が悪いと思っている」割合が多いのは「男性」
と「市内に住んでいる人」だということだ。大垣市内に住んでいる人が治安が悪いとい
う印象を抱くのは、実際に市内に住んでいて、私たちより大垣市のことを分かっている
からだと考えられる。特に注目したい点は、男性のほうが、
「治安が悪いと思っている人」
が多いことである。なぜ治安が悪いと思うのか理由を書いてもらったところ、
「不審者が
いるから」
、
「夜、ヤンキーがいる」など、夜の大垣市内、駅前の様子が理由としてあげ
られた回答が多くあった。これについて、私たちは仮説を立てた。男性は仕事をしてい
る人たちが大半である。仕事が終わるのは夜で、電車通勤をされている方ならば、夜の
大垣駅周辺の印象が強くなると思う。一度悪い印象を持てば、それが大垣市のイメージ
となってしまい、アンケートのデータにつながったのではないかと私たちは考える。
次にアンケート項目にある、
「防犯活動に参加したことがあるか」について聞いたとこ
ろ、男女別、市内市外別で以下のデータが出た。
図 7 防犯活動の参加したことがあるか?(男女別)
図 8 防犯活動に参加したことがあるか?(市内・市外別)
どちらのグラフとも「ある」と答えた人は少なく、
「ない」と答えた人が 8 割以上で
あった。少ない意見だったが、
「ある」と答えた人は、見回り活動や登下校の見守り、パ
トロール等の活動に参加したことがあるという答えがあった。
「ない」と答えた人には、
あらかじめ 5 つの理由を提案し選んでもらうかたちにした。
「ない」と答えた人の理由
をグラフ化し、男女別、市内、市外別で分けた結果図 9、図 10 のようなグラフになった。
図 9 ないと答えた理由(男女別)
図 10 ないと答えた理由(市内・市外別)
2 つのグラフからわかることは、
「活動を行なっているかわからない」という理由や、
「他人が行なっているから必要ない」という理由は、防犯活動に対して興味、関心が薄
いことを示している。興味、関心があれば、市や町の情報誌を見て探すと思われる。興
味、関心が薄い人たちに防犯に対する意識を向上させることが、防犯団体、私たち防犯
コミュニティ研究グループの課題である。
第 4 節 ヒアリング調査
今年から始めたヒアリング調査は平成 25 年 9 月 1 日の「元気ハツラツ市」で行った。
対象者は大垣駅南口に店をかまえる店主の方々に直接質問をぶつけて意見を聞いた。仕
事で多忙の中であったが、10 店舗から調査結果を得た。質問内容は、
「職業」
、
「店の築
年数」
、
「防犯、防災対策として行なっていたこと」
、
「店を開業した当時と現在を比べて」
、
「人通りと治安」
、
「犯罪の変化」
、
「大垣駅前の商店街の良いところと改善して欲しいと
ころ」を質問して聞いた。
まず、1つ目の職業は、
「雑貨屋」
、
「カナモノ屋」
、
「飲食店」
、
「スポーツ店」
、
「タバコ
屋」等の 10 種の店舗から調査を行うことができた。
2 つ目の店の築年数は、平均で 40 年から 60 年と長い年数の店舗が多くみられた。3
つ目の防犯、防災対策として行なっていることでは、防犯対策の面では、
「留守にする時
は、必ずシャッターを閉める」
、
「鍵、ガスの元栓の確認を徹底している」とのことであ
った。商店街で店舗どうしの間隔が狭く、火事になった場合、大惨事なり他店に迷惑を
かけてしまうからだ。防災対策としては、
「消火器の設置」
、
「タンス、棚の倒壊の恐れを
予想し、固定の徹底」
、
「非常食の入れ替え」をされている。4つ目の昔と今を比べた率
直な感想として、まず、人通りの面では、
「店を開業した当時はお客さん、人通りは現在
と比べ倍近くいて、客層も広い年齢層が来ていた」という。治安、犯罪では、
「昔のほう
が、万引きが多く、現在はゼロに近くなった。治安が良くなったというよりお客さんが
来ないから犯罪が起きない」という話があった。ヒアリング調査をおこなったどの店で
も言われたことだ。5 つ目の大垣商店街の良いところでは、
「気さくな人が多い」
、
「近所
同士の仲が良い」
、
「商店街の横のつながりがある」
、
「外観がきれい」という意見があっ
た。6 つ目の逆に改善して欲しいところでは、
「新しい店舗を増やしてほしい」や「活気
がないように感じる」
、
「歩道の脇にある木に鳥がとまりフンを落とすことにより衛生的
に悪い」という意見や「お客さんに車を停めてもらうスペースがないのが集客に影響す
るのではないか」という意見があった。
アンケート・ヒアリング調査から分かったことは、防犯活動に参加している人が少な
い、大垣市内の夜のイメージが悪いということである。この結果から私たち防犯コミュ
ニティ研究グループができることは、私たちで防犯活動を計画し、市民の方に参加して
もらう、見回り活動を曜日ごとに時間をずらし、どの時間・曜日に、警察・団体のパト
ロールが必要か分析していくことである。
第 4 章 今年の成果と課題
今年様々な活動を通して、成果、課題が見つかった。成果としてあげられることは、
見回り活動の回数を増加し、見回りの範囲の拡大ができたことである。また、振り込め
詐欺防止のビラ配り、自転車盗難防止の呼びかけ等、さまざまな連携活動への参加がで
きた。
写真 9 は、東京の明治記念館で行われた、全国地域安全中央大会の写真である。私た
ち防犯コミュニティ研究グループの10 年の長い歴史、
活動が認められ表彰を受賞した。
表彰式には全国の防犯団体等、200 人ほどの方が来場され、来賓には秋篠宮ご夫妻も出
席されていた。こうした表彰を受けたことも成果のひとつである。
写真 9 表彰式写真
平成 25 年夏
逆に課題として残ったのは、アンケート調査で 50 人しか実施できなかったことだ。
50 人では、統計データをとるのにまだ少なく、来年は 100 人以上を目指していく。ヒ
アリング調査も同様で数の課題が残った。こちらも調査を数回にわけて実施し、50 店舗
を目指していく。マップの作成に関しては、現在作成中で、2 月に完成を目標に取り組
んでいる。
おわりに
大垣市中心市街地における課題は駅前の商店街、自治会の高齢化ではないだろうか。
若い年齢層が少なく、
高齢者だけでは体力的にきつく、
活動に限界があると考えられる。
それにより、鳥害対策、防犯パトロール、警察との連携などの環境整備の不足が発生し
ている。そんな状況を変えるべく、商店街の総会に警察関係者が同席し、検討を行って
いる。警察との連携を強化するだけでなく、駅前の商店街のにぎわい、活性化を目指し、
今、大垣駅前にマンションを建設中である。まちなか居住をめざし、ターゲットは子育
て世代だ。その為には、子どもを安心して育てられるまちづくりが重要になってくる。
今後パトロールの強化、マンションに住む人、商店街の人の繋がりを広げていくことで
にぎわい、活性化につながってくると考えている。
最後に、安全で安心な社会のあり方として、市民の方々が住みやすい「まち」にする
ために犯罪のない、治安のよい まち をつくることが必要だ。警察だけに任せるので
はなく、一人一人が防犯活動に参加してもらうことで、近隣同士、商店街とのつながり
ができ、安心して過ごせるまちになり、人通りが増え、活性化していく。防犯活動の意
識を高めてもらうためには、ひとりひとりの防犯意識の向上が必要であり、若い年齢層
の方々に防犯活動への関心を持ってもらえるよう努力が必要になってくる。防犯につい
て市民の方々に理解、意識の向上が、防犯コミュニティ研究グループ最大のテーマだ。
このテーマを成功するように、これからも励んでいきたい。
参考文献・参考資料
・岐阜県内刑法犯認知件数・検挙情報
http://www.pref.gifu.lg.jp/police/kurashi-anzen/hanzai-kenkyo/keihohan/
・大垣警察署管内・検挙情報
http://www.pref.gifu.lg.jp/police/keisatsu-sho/ogaki-sho/kyogi-kai/kaisai22-1.html
・大垣警察署資料(大垣警察署管内の犯罪発生状況等)
・警察庁編「警察白書」
(平成 21 年度版)
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