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自律型水中ロボットと海底ステーションに よる水中構造物の全自動・長期

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自律型水中ロボットと海底ステーションに よる水中構造物の全自動・長期
平成22年度(財)港湾空港建設技術サービス
センター研究開発助成報告書
助成番号
:平成22年2月2日付
研究開発項目:(21指定)②
第09―5号
に関するもの
自律型水中ロボットと海底ステーションに
よる水中構造物の全自動・長期モニタリン
グシステム(その1)
平成23年4月26日
東京大学
巻
俊宏
目次
1、はじめに ........................................................................................................................ 2
2、研究開発の概要 ............................................................................................................. 3
3、音響による測位手法の性能評価 .................................................................................... 4
3-1、方法..................................................................................................................... 5
3-2、結果..................................................................................................................... 7
3-3、考察..................................................................................................................... 9
4、画像による測位手法 .................................................................................................... 11
4-1、はじめに ........................................................................................................... 11
4-2、方法................................................................................................................... 11
4-3、精度評価試験 .................................................................................................... 12
5、水槽実験 ...................................................................................................................... 17
5-1、方法................................................................................................................... 17
5-2、AUV Tri-Dog 1 ................................................................................................. 19
5-3、結果................................................................................................................... 20
5-4、考察................................................................................................................... 20
6、まとめ .......................................................................................................................... 26
参考文献 .......................................................................................................................... 27
1
1、はじめに
岸壁や桟橋等の港湾施設を安心して運用するためには、水中支持部の定期点検が不可欠
である。具体的な検査項目としては肉厚や腐食状況、生物付着状況、堆砂状況などがあり、
現在は主にダイバーか遠隔操縦ロボット(ROV)によって行われている。
自律型水中ロボット(Autonomous Underwater Vehicle, AUV)[1]はエネルギー源と頭脳
を内蔵した海中探査機器であり、全自動で活動する新たな海中プラットフォームとして実
用化が進められている。人工構造物観測への応用も提案されているが、電池充電やデータ
転送のため観測のたびに回収しなくてはならず、結局船舶が必要となり、大きなコスト削
減は期待できない。
そこで本研究では、図1のように AUV の充電・データ転送を行う海底ステーションと AUV
を組み合わせることで、全自動かつ長期展開が可能なシステムを提案する。このようなシ
ステムが実現すれば、人間が現場へ行く必要がなくなるため港湾施設の保守点検コストの
大幅な削減が可能になる。特に羽田空港の D 滑走路のような大規模構造物の定期点検に威
力を発揮すると期待される。また、天候・時間によらない対応が可能になるため、災害時
の緊急調査や重要施設の警備にも応用可能である。
図1
自律型水中ロボットと海底ステーションによる水中構造物の長期モニタリング
2
2、研究開発の概要
海底ステーションを用いて AUV を充電し、また AUV による観測結果(ビデオ動画等の大
容量データと想定される)を陸上の監督者へ転送するためには、AUV とステーションが物理
的に接触しているか、または至近距離で静止している必要がある。これは、水が電磁波を
吸収するために、距離が離れると充電・通信効率が急激に悪化するためである。即ち AUV
はステーションに自律的にドッキングできることが必須であり、これを実現するためには、
AUV はセンチメートル精度でステーションとの相対位置関係をリアルタイムに把握するこ
とが求められる。また、AUV の活動範囲はステーションとの相対測位が可能な範囲に制限さ
れるため、AUV の活動範囲を拡大するためには最大測距レンジの拡大が重要である。
水中での相対測位手法には主に音響的手法と視覚的手法がある。前者は遠距離でも適用
可能だが分解能が悪く、後者は高分解能であるが至近距離でしか適用できないという特徴
がある。
そこで本研究においては、AUV が海底ステーションに対してリアルタイムに相対位置を求
める手法として、図2のように音響的手法と視覚的手法を組み合わせ、さらに他のセンサ
情報と融合することにより、高精度でかつセンサノイズに対してロバストな相対測位手法
を開発する。本手法は海底ステーションによる AUV の長期展開システムの鍵となる技術で
ある。
本年度は、まず音響による測位手法として、前年度までに申請者らが開発した音響測位・
通信装置 ALOC(Acoustic Localization and Communication)の性能検証試験を行った。次
に、画像による測位性能を検証したうえで、両者の結果から画像と音響の融合による測位
手法を開発し、水槽実験によって有効性を検証した。
図2
音響的手法と画像的手法の融合による AUV と海底ステーション間の相対測位手法
3
3、音響による
る測位手法
法の性能評価
価
申請
請者らはこれ
れまでの研究
究活動により
り音響による
る相対測位・通信装置 「ALOC (Acoustic
Locallization annd Communic
cation)」の 試作を進めて
ている。これ
れは送波器が
が一台と受波
波器が
4 台か
からなるシス
ステムであり
り、図3のよ
ように AUV⇔
⇔AUV あるいは AUV⇔海底
底ステーショ
ョンな
ど海中システム同
同士が相互に
に連携するた
ための装置で
である。送波
波器からの超
超音波信号を
を受波
差および往復 伝播時間から相対距離・方位を求め
めるものであ
あり、
器 4 台で受け、その時間差
通信・測位レ
レンジは 1000m である。 ALOC のブロック図を図
図4に、各構
構成要素の写
写真を
最大通
図5、
、6に示す。
。
本研
研究では水槽
槽実験によっ
ってこのシス
ステムの性能
能評価を行う
うと共に、ハ
ハイドロフォ
ォンア
レイの
の配置方法と
と精度の関係
係、ならびに
に AUV のスラスター等に
によるノイズ
ズの影響につ
ついて
検討す
する。
図
図3
図4
4
ALOC の概念図
の
ALOC ブロック図
4
図5
5
図6
ALOC 電子
子部
ALOC 送受
受波器
3-1、方法
AL
LOC 単体で
での性能を確認するため に、実海域で
での動作試験
験を実施した
た。実験場所
所は神
奈川県
県三浦市にあ
ある東京大学
学三崎臨海実
実験所[2]の桟
桟橋付近であ
ある。2 組の A
ALOC(ALO
OC_1、
ALOC_2)をそれ
れぞれ図7のような簡易 ステーションに装着し、
、この状態で
で海底に設置した。
は桟橋近くに
に(ALOC_1)、もう一台
台はまずは地
地点 A に設置
置し(ALOC
C_2A)、その
の後地
一台は
点 B に移動した
た(ALOC_2B)。水深は
はどちらも約5m である。ALOC の
の設置位置を図8、
に示す。なお
お、設置位置
置は水面にて
てハンディ GPS
G
で計測したため、数
数メートル程
程度の
表1に
誤差を含んでいる
る可能性があ
ある。GPS 計
計測値から求
求めた ALOC 間の直線距
距離は、ALOC_1
ALOC_2A が 103m、AL
LOC_1 ⇒ A
ALOC_2B が 190m とな
なった。
⇒ A
実験
験手順は次の
の通りである
る。まずは相
相対距離によ
よる性能変化
化を調べるた
ため、ALOC_
_1 か
ら、A
ALOC_2A および
お
ALOC_2B をそれ
れぞれ 200 回連続で呼び
回
び出し、測位
位およびデー
ータ通
信を行
行った(実験
験①)。次に相対方位の影
影響を調べる
るため、ALOC_1 の向き
きを手でさま
まざま
に変えて、ALOC
C_2B 計測し
した。向きは
は 5 方向とし
し、それぞれ
れの向きで 700 回計測した
た(実
)。
験②)
5
図7
ALOC を搭
搭載した簡易
易海底ステー
ーション(写
写真は ALOC
C_2。ALOC
C_1 はケーブ
ブルで
陸上から
ら制御したた
ため、電池・ホスト PC が無い)
図
図8
表1
ALOC
C 設置場所 (描画には Google
G
Earth[3]を利用)
)
ALOC 設置
置場所
緯度
度 [deg‐min]
経度 [deg‐m
min]
水深
深 [m]
ALO
OC_1
N3
35‐09.451
E139‐36.7
739
5
ALO
OC_2A
N3
35‐09.425
E139 36.7
799
5
ALO
OC_2B
N3
35 09.405
E139 36.8
851
5
6
3-2、結果
実験①
①
図9、10は ALOC_1 によって計測
に
測された、AL
LOC_1 から
ら ALOC_2A
A までの距離
離と方
ある。方位は
は ALOC_1 を基準とす る相対方位で
である。図1
11、12は
は同じく ALOC_1
位であ
によっ
って計測され
れた、ALOC
C_1 から AL
LOC_2B まで
での距離と方
方位である。 計測結果と
と相対
距離の
の関係を表2に示す。
図9 距離計測結果
果(ALOC_
_1 ⇒ ALOC
C_2A)
結果(ALOC
C_1 ⇒ ALO
OC_2A)
図10 方位計測結
7
図11 距離計測結
結果(ALOC
C_1 ⇒ ALO
OC_2B)
図12 方位計測結
結果(ALOC
C_1 ⇒ ALO
OC_2B)
表2
相対距離と
と計測結果の
の関係
ターゲ
ゲット
相対
対距離 [m]
測位
位成功率
通信
信成功率
距離
離計測値の平
平均 [m]
距離
離計測値の標
標準偏差 [m
m]
方位
位計測値の平
平均 [m]
方位
位計測値の標
標準偏差 [m
m]
ALOC
C_2A ALOC
C_2B
190
103
0.99
1.00
0.10
0.57
10
07.12
18
89.58
0.07
0.10
11 6.98
-5
57.92
0.51
0.38
②
実験②
結果
果を表3、図
図13に示す
す。
8
表3
相対方位と計測結果の関係(相対距離 約 190m)
測位成功率
通信成功率
距離計測値の平均 [m]
距離計測値の標準偏差 [m]
方位計測値の平均 [m]
方位計測値の標準偏差 [m]
方向①
方向②
方向③
方向④
方向⑤
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
0.14
0.06
0.01
0.10
0.37
189.56
190.50
190.42
190.31
189.33
0.10
0.07
0.04
0.03
0.02
-57.82 -175.72
81.79
135.84
19.63
0.25
1.70
1.03
1.79
2.06
1
0.8
0.6
測位成功率
0.4
通信成功率
0.2
0
‐180
‐120
‐60
0
60
相対方位(ALOCによる計測値) [deg]
図13
120
180
相対方位による計測成功率の関係
3-3、考察
以上の結果より、ALOC により 200m 程度であれば距離や方位によらず安定した測位が
可能であることを確認した。特に測位成功率は全ての距離、方位においてほぼ 1 であり、
確実に測位できたことがわかる。また、計測の安定性に関しても、距離の標準偏差が 0.1m
前後、方位の標準偏差が 0.3~2.1deg となっている。この値は、AUV がステーションに搭
載された LED マーカーを発見するために十分な精度である。
一方、通信性能には距離、方位による影響が見られた。また、成功率が測位に比べて全
体的に低くなっている。表2によると、距離 100mの時の通信成功率が 0.57 であるのに対
し、190m では 0.1 まで低下している。ただし図13を見ると、距離が同じ 190mでも相対
方位によって成功率が大きく異なることがわかる。成功率が低い原因としては、データ量
が多いことがあげられる。測位の場合は単一の信号を送受信できればよいが、データ通信
の場合、データ信号全ての送受信に成功する必要がある。この信号は 1 秒以上の長さにな
るため、海底や水面による多重反射(マルチパス)等の影響を受けやすい。本実験は水深
が 5mと水平距離に対して非常に浅い場所で行ったため、マルチパスの影響が大きかったと
推定される。相対方位による成功率の違いは、データ受信に使うハイドロフォンと ALOC
本体の位置関係によって説明できる。ALOC にはハイドロフォンが4台、送波器の前後左
9
右に1台ずつ設置されているが、このうち前方のものでデータ受信を行っている。このた
め、送信源が前方にあれば、他の装置の影響を受けずに信号を受けられるため成功率が上
がると考えられる。
以上の実験により、音響通信・測位装置 ALOC が AUV と海底ステーション間の測位・
通信手法として有効であることが確認された。通信性能が測位性能に比べて低いという問
題も明らかになったが、これには ALOC のハイドロフォンの配置の工夫や、運用上の工夫
(通信時には AUV がステーションの方を向くなど)によって回避可能である。
10
4、画像による
る測位手法
法
4-1、はじめに
に
水中では光の減
減衰が大きい
いため、画像
像による測位
位が適用でき
きるのは近距
距離に限られる。
の測位可能距
距離は環境光
光や水の透明
明度、浮遊物
物の有無など
どにも影響さ れるが、およ
よそ 1
実際の
~10m 程度である。これは音
音響と比べる
ると非常に小
小さいが、光
光は波長が短
短いので音波
波より
分解能な計測
測が可能であ
ある。このた
ため、AUV がステーションへドッキ
キングすると
ときの
も高分
最終的
的な測位手法
法として最適
適であり、こ
これまでに複
複数の提案が
がなされてい
いる[4, 5]。海
海中ス
テーシ
ションへドッ
ッキングする
るためには、 AUV 自身とステーションとの相対
対的な位置関
関係を
求める必要がある
る。これを画
画像で行う場
場合、ステー
ーションに視
視覚的な位置
置基準となる「ラ
マーク」を装
装着し、AU
UV がこれを カメラで撮影
影することに
になる。本研
研究では、視
視認性
ンドマ
の良さと消費電力
力、そして測
測位分解能の
の観点から、LED アレイ
イをランドマ
マークとする
る手法
用する。
を採用
4-2、方法
ランドマークと
としてステー
ーションに設
設置する LED アレイを図14に示す
す。平面上に
に3つ
の緑色
色の LED を並べ、その
を
の前方に 1 つ
つの赤色 LED
D を配置して
ている。LED
D の色は他の
の色で
も構わ
わないが、後
後ろの 3 つと
と前の 1 つの
の色や明るさ
さを変えるこ
ことで、識別
別しやすくす
するこ
とがで
できる。
この
の LED アレ
レイをカメラ
ラで撮影し、 写った LED
D の位置を求
求めることで
で、図15の
のよう
にカメ
メラから見た
た LED アレ
レイの相対位
位置関係(直
直線距離 r、方
方位θ、相対
対角φ)を求
求める
ことが
ができる。
画像
像処理の流れ
れを図16に
に示す。まず
ず撮影画像に
に対して歪み
み補正を行う 。次に、画
画像の
膨張・収縮によっ
ってノイズを
を除く。そし
して抽出され
れた目標物を
をラベリング
グし、その面積を
ステーション
ンとの相対角
角を計算する
る。
計算し、重心やス
図1 4
LED アレイ
ア
11
図15
カメラに
による相対位
位置測位
図16
画像処
処理の流れ
4-3、精度評価
価試験
4-3-1、方法
法
LE
ED アレイを
をアルミフレームに取り付
付けて、ロボ
ボットからの
の距離を 0.55m、1.0m、1.5m
に変えてデータを
を取得した。ロボットは
は水槽実験で
でも利用する
る AUV Tri-D
Dog 1 であり
り、本
ついているカ
カメラをその
のまま利用し
した。本ロボ
ボットについ
いては次章にて説
ロボット前方につ
れの距離にお
おいて、相対
対角を 180°、150°、12
20°に向けた
た状態で固定
定し、
明する。それぞれ
にて各 50 枚の写真を撮
枚
撮った。ロボ
ボットの前方カメラと LE
ED アレイの
の位置関係を
を図1
水中に
7に示
示す。それぞ
ぞれの位置で
での距離 r、方位角θ、及
及び相対角φの計測結果
果の標準偏差
差を求
める。
。なお、LE
ED アレイの大きさは両端
端の緑の LE
ED 間の距離
離を 15 ㎝、緑
緑の LED の上下
の
の距離
離を 7.5cm、
、緑の LED の平面から
ら赤の LED までの距離を
ま
を 7.5cm とし
した。
画像
像処理には OpenCV(IIntel Open S
Source Com
mputer Visio
on Library) を用いる。
Open
nCV は米 In
ntel 社で開発された画像
像処理・画像
像認識用のC
C言語ライブ
ブラリである
る。オ
ープンソースで、
、商用・非商
商用を問わず
ず無料で使用
用できる。静
静止画にも動
動画にも対応して
ため、特にロ
ロボット工学
学やバイオメ
メトリクスの
の研究によく使われてい
いる[6]。
いるた
12
カメラ
ラ
LED アレ
レイ
測位精度評価
図17 LED
L
アレイ測
価試験のセッ
ットアップ
果
4-3-2、結果
AU
UV のカメラ
ラによって撮
撮影された画
画像と、LED の抽出結果を図18~ 20に示す。
。それ
ぞれ上
上段が元画像
像、下段が顔
顔像処理によ
よって LED を抽出した結
結果である。
。三種類の相
相対角
度にお
おける結果を
を示す。
各条
条件で撮影した 50 枚の
の画像から求
求めた、測位
位結果の標準
準偏差を図2 1~23に示す。
図21からは、L
LED までの距離が離れ るほど標準偏
偏差が大きく
くなり、その
の値は距離 0.5m
0
きで 5mm、1.5m のとき
きで 35mm 程度である。
。一方、図22を見ると
と方位角θは
は距離
のとき
との明
明確な関係は
は見られず、0.1deg 程度
度となってい
いる。図23
3を見ると、 相対角Φは
は距離
との関
関係は認めら
られないが、角度によっ
って標準偏差
差が大きく異
異なっている 。180-Φが
が小さ
いほど、即ち AU
UV と LED アレイが正対
対に近いほど標準偏差が
が小さくなり
り、その値は
は 180
=0deg で 1~
~2deg、180
0-Φ=60degg で 2~4de
eg となってい
いる。
-Φ=
4-3-3、考察
察
本実
実験では、L
LED アレイの測位精度評
評価を行った
た。LED アレイを用い
ア
いる利点としては、
音響測
測位センサよ
よりコストが
が低い、そし
して自ら発光
光しているの
ので認識しや
やすい点があげら
れる。
。また、AU
UV 側に必要
要なセンサは カメラのみであり、これ
れは観測用と
と併用できる
るので
システ
テムが簡単に
になるという
う利点がある
る。
測位
位精度試験の
の結果、LED アレイま での距離が遠
遠いほど、ま
また相対角が
が大きいほど
どそれ
ぞれの
の測位安定性
性が悪化する
ることがわか
かった。しか
かしながら遠
遠距離におい
いては音響測位に
よって
て測位可能で
である。そし
して近距離で
で相対角が小
小さい条件で
では、LED ア
アレイによっ
ってド
ッキングに十分な
な精度が得ら
られることが
が確認された
た。このため
め、音響測位
位との融合により
度かつロバス
ストな測位が
が実現できる
ると考えられ
れる。
高精度
13
φ
φ=180°
図
図18
φ=120°
°
撮影
影画像(上) と LED 抽出結果(下)
)
:距離 0.5m
m
φ
φ=180°
図
図19
φ=150°
φ=150°
φ=120°
°
撮影
影画像(上) と LED 抽出結果(下)
)
:距離 1.0m
m
14
φ
φ=180°
図
図20
φ=150°
φ=120°
°
撮影
影画像(上) と LED 抽出結果(下)
)
:距離 1.5m
m
0
0.040
0
0.035
y = 0.02
285x ‐ 0.0107
0
0.030
σr[m]
0
0.025
0
0.020
0
0.015
0
0.010
0
0.005
0
0.000
0
0.5
図21
1
r(設定値
値) [m]
標
標準偏差(直
直線距離 r)
15
1.5
2
0.12
0.10
σθ [deg]
0.08
y = ‐0.0444x + 0.1118
0.06
0.04
0.02
0.00
0
0.5
1
r(設定値) [m]
図22
1.5
2
標準偏差(方位θ)
4.5
4.0
3.5
σφ[deg]
3.0
2.5
r=0.5m
2.0
r=1.0m
1.5
r=1.5m
1.0
0.5
0.0
0
10
20
30
40
50
180‐φ(設定値)[deg]
図23
標準偏差(相対角φ)
16
60
70
5、水槽実験
提案
案手法の有効
効性を確認す
するために、 AUV Tri-D
Dog 1 を用い
いて水槽実験
験を実施した
た。
5-1、方法
実験
験は東京大学
学生産技術研
研究所の試験
験水槽で行う
う。本水槽は
は長さ 8m、幅
幅 8m、深さ
さ 8m
の試験
験水槽である
る。AUV は音響通信が
は
でき、自身の速度、方位
位、深度を計
計測できるこ
ことが
前提条
条件である。
。ステーショ
ョンとの音響
響測位は水槽
槽環境では難
難しいので、 本実験では図2
4のように音響カ
カメラを用い
いる。そして
て AUV の制
制御は外部 PC
C によって行
行ものとする
る。実
置を図25に
に示す。ステ
テーションを
を原点とし、音響カメラ
ラをその真正
正面に 5.81m
m 離し
験配置
て設置
置する。座標
標系は、LED
D アレイの位
位置を原点と
とし、LED アレイと正対
ア
対したときに AUV
が向く方向を x 軸方向、その
軸
の 90°右を y 軸方向とした。実際の
の設置状況を
を図26~2
27に
。なお、本実
実験では音響
響カメラとし
して DIDSON(http://w
www.soundm
metrics.com
m/)を
示す。
利用した。本装置
置は1.8M
MHzの超音
音波により周辺環境をスキ
キャンするこ
ことができる
る。本
の計測結果を
を画像処理す
することで A
AUV の位置
置と方位を推定する[7]。最
最終的な AU
UV の
装置の
位置は
は、DIDSON
N による測位
位と LED に
による測位、そして AUV
V 自身の対地
地速度と方位
位角速
度からパーティク
クルフィルタ
タ[8]により確
確率的に推定
定する。この
の測位結果に
に基づいて AUV
A
御し、ステー
ーションへド
ドッキングさ
させる。
を制御
図24
4
水槽実験
験の概念
17
図25
図26
初期配置(
(上面図)
試作ステー
ーション
18
図27 試作ステー
ーションへ接
接近する Trri-Dog 1
5-2、AUV Tri-Dog 1
AU
UV Tri-Dog 1(以後ロボットと称す))は 1999 年に
に東京大学生
生産技術研究
究所海中工学
学研究
センタ
された全長約
約 2 m のホバ
バリング型 AUV
A
であり、6 台のスラ
ラスタによっ
ってサ
ターで開発さ
ージ、
、スウェイ、ヒーブ、ヨー
ーの四自由度
度を制御する
ることができる[9]。最大潜
潜航深度は 110m
である。
写真
真を図28に
に示す。速度
度センサとし
しては、海底
底面に音波を
を出し反射波
波のドップラーシ
フトか
から対地速度
度を求めるド
ドップラ式対
対地速度計(D
Doppler Velocity Log, D
DVL)を、方位
位角速
度センサとしては
は光ファイバ
バジャイロ(F
Fiber Optic Gyro, FOG
G)を搭載して
ている。DVL
L は海
計測にも使用
用する。その
の他の航法セ
センサとして
ては深度計と 姿勢センサを搭
底からの高度の計
ている。環境
境センサとし
しては、音響測
測位通信装置
置 ALOC を前
前方上部に備
備えているほ
ほか、
載して
前方の
のアクリルドーム内のカ
カメラ(SON
NY EVI-D10
00, NTSC)にてステー ションの LE
ED ア
レイを検出するこ
ことができる
る。
19
図28
AUV
Trri-Dog 1
5-3、結果
果を図29~
~35に示す
す。図29は
は測位結果か
から推定され
れた AUV の軌
軌跡である((①前
結果
進、②
②横移動、③
③ドッキング
グ)。図30~
~34は各種
種パラメータ
タ(水平位置 X,Y と方位 Yaw
のパー
ーティクルフ
フィルタによ
よる推定結果
果および DID
DSON による測位結果、
、LED の計
計測結
果)の
の時間変化を表したグラフである。時
時間基準は AUV
A
がプー
ールの底に達
達し、水平移
移動を
開始した瞬間であ
ある。まずは
は DIDSON の計測値のみによって移
移動し、開始
始から約 142
2.6 秒
は LED の計
計測も得られ
れるようにな
なった。そして
て 301.2 秒後
後にステーシ
ションへのド
ドッキ
後には
ング地
地点に到達し
した。このと
ときに真上か
から撮影した
た写真を図35に示す。図
図35から、AUV
の位置
置がステーシ
ション方向約
約 1.8cm、横
横方向約 11.4cm、方位約
約 2.9°の誤
誤差であった
たこと
が確認
認された。
5-4、考察
図30~32は
は DIDSON による計測 値とパーティクルフィル
ルタによる推
推定結果の比
比較で
ある。
。これらの図
図を見ると、水平位置 (図30、3
31)につい
いてはドッキ
キングするまでは
DIDS
SON 計測値
値と推定結果
果に差がみられ
れるものの、
、ドッキング
グ後にはほぼ
ぼ同じ値に収
収束し
ていることがわか
かる。これは
は、パーティ
ィクルフィル
ルタで初期値
値として与え
えたばらつきが
SON 計測値
値に沿って収束したため と考えられる。一方で図
図32からは
は、方位に関
関して
DIDS
は DIIDSON 計測
測値と推定結
結果に常に 1 0deg 程度の
の差があることがわかる 。この原因と
として
は、D
DIDSON 計測値の求め
計
方が挙げられ
れる。DIDS
SON の計測結果から AU
UV の方位を
を求め
るため
めには、図3
36のように
に AUV 領域 を抽出し、これを楕円近
こ
近似するなど
どする必要がある。
このた
ため、AUV
V の高度や位
位置によって 誤差が生じや
やすい。
20
図33、34か
からは、LED
D アレイによ
よって安定し
した測位が出
出来ていると
とともに、AU
UV が
適切に
に制御されて
ていることが
がわかる。そ
そして、図3
35から計算
算された程度
度の誤差であれば
ドッキ
キング装置の
の工夫によっ
って十分吸収
収可能である
るため、提案
案手法の有効
効性が示されたと
いえよう。
図2 9
AUV の航跡
の
21
x
‐1
170
220
270
320
370
‐1.5
計測値[m]
‐2
particle
‐2.5
DIDSON
‐3
‐3.5
‐4
missiontime[sec]
図30 AUV 水平位置(X)の計測結果
y
1
0.5
計測値[m]
0
170
220
270
320
370
‐0.5
Particle
‐1
DIDSON
‐1.5
‐2
missiontime[sec]
図31 AUV 水平位置(Y)の計測結果
22
yaw
30
Particle
25
DIDSON
計測値[deg]
20
15
10
5
0
170
220
270
320
370
‐5
missiontime[sec]
図32 AUV 方位の計測結果
distance(LED)
3
計測値[m]
2.5
2
1.5
1
0.5
0
170
220
図33
270
missiontime[sec]
r 計測結果(LED アレイ)
23
320
370
theta(LED)
1
10
8
6
計測値[deg]
4
2
0
170
22
20
270
320
‐2
‐4
‐6
‐8
‐1
10
mission
ntime[sec]
図34 θ計
計測結果(LE
ED アレイ)
図35
ドッキン
ング時の真上
上からの撮影
影結果
24
370
図36
DIDSO
ON 画像(手
手前の赤枠が
が AUV の抽出
出結果、奥に
には水槽壁面
面が写ってい
いる)
25
6、まとめ
岸壁や桟橋等の港湾施設を安心して運用するためには、水中支持部の定期点検が不可欠
である。具体的な検査項目としては肉厚や腐食状況、生物付着状況、堆砂状況などがあり、
現在は主にダイバーか遠隔操縦ロボット(ROV)によって行われている。本研究ではこのよ
うな点検作業の自動化手法として、AUV の充電・データ転送を行う海底ステーションと AUV
を組み合わせることで、全自動かつ長期展開が可能なシステムを提案した。
海底ステーションを用いて AUV を充電し、また AUV による観測結果を陸上の監督者へ転
送するためには、AUV はステーションに自律的にドッキングできることが必須であり、これ
を実現するためには、AUV はセンチメートル精度でステーションとの相対位置関係をリアル
タイムに把握することが求められる。水中での相対測位手法には主に音響的手法と視覚的
手法がある。前者は遠距離でも適用可能だが分解能が悪く、後者は高分解能であるが至近
距離でしか適用できないという特徴がある。そこで本研究においては、AUV が海底ステーシ
ョンに対してリアルタイムに相対位置を求める手法として、音響的手法と視覚的手法を組
み合わせ、さらに他のセンサ情報と融合することにより、高精度でかつセンサノイズに対
してロバストな相対測位手法を開発した。
本年度は、まず音響による測位手法として、前年度までに申請者らが開発した音響測位・
通信装置 ALOC(Acoustic Localization and Communication)の性能検証試験を行った。2
台の ALOC を実海域に設置して試験したところ、最大 200m 離れても測位可能であることを
確認した。また、計測の安定性に関しても、距離の標準偏差が 0.1m前後、方位の標準偏差
が 0.3~2.1deg となった。この値は、AUV がステーションに搭載された LED マーカーを
発見するために十分な精度である。通信性能が測位性能に比べて低いという問題も明らか
になったが、これには ALOC のハイドロフォンの配置の工夫や、運用上の工夫(通信時に
は AUV がステーションの方を向くなど)によって回避可能である。
次に、画像による測位手法として LED アレイとカメラによる手法を提案した。LED アレイ
をステーションに設置し、AUV に搭載したカメラによってこれを撮影する。これにより、画
像中の LED 位置から AUV と LED アレイの相対位置関係を求めることができる。水槽実験に
より、距離 0.5~1.5m の至近距離において、距離の標準偏差が 0.03m 程度で安定した測位
ができることを確認した。
最後に、AUV Tri-Dog 1 による水槽試験を行った。ALOC の代わりに音響カメラ DIDSON を
用い、LED アレイの検出結果と合わせて相対位置をリアルタイムに推定した。そしてこの位
置情報を元に自動制御し、試作ステーションへドッキングさせた。最終的な誤差は水平位
置が 10 ㎝程度、方位が 3deg 程度となった。このレベルの誤差であればドッキング装置の
工夫によって吸収可能であることから、提案手法の有効性が示された。
このようなシステムが実現すれば、人間が現場へ行く必要がなくなるため港湾施設の保
守点検コストの大幅な削減が可能になる。特に羽田空港の D 滑走路のような大規模構造物
の定期点検に威力を発揮すると期待される。また、天候・時間によらない対応が可能にな
るため、災害時の緊急調査や重要施設の警備にも応用可能である。
26
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