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姫騎士がクラスメート! ∼異世界チートで奴隷化
姫騎士がクラスメート! ∼異世界チートで奴隷化ハー レム∼ EKZ !18禁要素を含みます。本作品は18歳未満の方が閲覧してはいけません! タテ書き小説ネット[R18指定] Byナイトランタン http://pdfnovels.net/ 注意事項 このPDFファイルは﹁ノクターンノベルズ﹂﹁ムーンライトノ ベルズ﹂﹁ミッドナイトノベルズ﹂で掲載中の小説を﹁タテ書き小 説ネット﹂のシステムが自動的にPDF化させたものです。 この小説の著作権は小説の作者にあります。そのため、作者また は当社に無断でこのPDFファイル及び小説を、引用の範囲を超え る形で転載、改変、再配布、販売することを一切禁止致します。小 説の紹介や個人用途での印刷および保存はご自由にどうぞ。 ︻小説タイトル︼ 姫騎士がクラスメート! ∼異世界チートで奴隷化ハーレム∼ ︻Nコード︼ N0153CE ︻作者名︼ EKZ ︻あらすじ︼ 友達のいない男子高校生、小田森トオルは、修学旅行のバス事故 でファンタジー異世界へと転生することに。そこで引き当てたジョ ブは、他人を言いなりにできるチート職業﹃魔隷術師﹄。さっそく その力で女たちを奴隷にし始めるトオル。だが同じく転生したクラ スメートの美少女、姫野桐華が正義の﹃姫騎士﹄としてトオルの前 に現れて̶̶!? ﹁こうなったら元クラスメートも冒険者も、エ ルフも魔族もお姫様も、まとめて奴隷にしてやるぜ!﹂︻※書籍版 1 1∼3巻、キルタイムコミュニケーション様﹃ビギニングノベルズ﹄ から発売中! 漫画版﹃コミックヴァルキリーWeb﹄にて連載中、 コミックス1巻発売中! 書籍版最新4巻、10/4発売予定!︼ 2 01話:魔隷術師な俺と、姫騎士な彼女 おだもり ﹁小田森くん、はいこれ。修学旅行用の冊子﹂ ﹁あ⋮⋮う、うん﹂ ﹁それじゃ、半分よろしくね﹂ ﹁あぁ、わかったよ﹂ たったこれだけ。 ひめのきりか それが俺、小田森トオルと、クラス委員の姫野桐華との間で交わ された会話のすべてだった。 俺の席が教室の最前列左端だったため、冊子を配る手伝いをする 流れになった時の、ただそれだけの会話。 何のとりえもない地味な男子生徒と、成績優秀で人気も抜群な学 園指折りの美少女。 できる接点なんて、まあせいぜいそんなもんだ。 でも、まさか⋮⋮﹁ただし、元の世界では﹂という註釈が、ここ につくことになるなんて。 ※ ※ ※ 俺にとって修学旅行は、他の学校行事と同じく陰鬱なイベントだ った。 3 なにせ恋人はもちろん、友達のひとりもいないのだから。 イジメられてるわけではないが、誰からも重要視されない、空気 のような存在。 それが入学以来ずっと変わらない、クラスにおける俺の立ち位置 だった。 そんなぼっちの俺が、そうじゃない幸せな連中を横目に観光だの 散策だのを楽しめるはずもない。 事故 は起こった。 だから行きのバスの中で一人、早くも最低のテンションで窓の外 をぼんやり眺めていた時⋮⋮その 爆発音、強い衝撃、クラスメートや教師の悲鳴。 ホワイトアウトしていく視界。 そんな中俺は、ああ結局人生ひとつもいいことなかったけど、死 ぬタイミングだけはみんなと平等だったな⋮⋮などと、無感動なこ とを考えていた。 ※ ※ ※ 次に気が付いた時、俺はオフィスのような場所で安っぽい椅子に 座っていた。 目の前の机ごしには、ねずみ色のスーツに眼鏡の神経質そうな男。 三十代くらい、東洋人にも西洋人のようにも見える。 なんだこれ、あの世にも面接とかあるの? ﹁⋮⋮ええと、このたびは私どもの管理ミスで大変申し訳ないこと 4 をしました。 もちろんすぐ 補償 いたしますので、ご安心を﹂ 管理者 。あ 海外ドラマみたいに両手を大げさに広げて、作り笑いを浮かべる スーツ男。 ⋮⋮あの、さっぱり話が見えないんですが。 ﹁ごもっとも。手短に説明しましょう。まず、私は なたがたの概念でいう神、その端末のようなものと思っていただき たい﹂ はあ⋮⋮それにしちゃずいぶんと神秘性のかけらもない場所と服 装だなあ。 事故 だったとご理解ください。次元同士の部分 せめて背景デザイン、神殿とかにすりゃいいのに。 ﹁次に、あれは 衝突⋮⋮まあ、数世紀に一度くらいは起こるんです。ええ、もちろ ん再発しないよう努力を⋮⋮﹂ 手短に、と言ったくせに言い訳がましいセリフが無駄に混じって いる。 管理者 のおっさんの説明を、まとめると以下のよ 神の領域もお役所仕事とは世も末だ。 ともあれ、 うになる。 転生 させてくれる 1.元の世界での俺たちは全員即死しており、それを覆すことは できない 2.その代わりに、俺たちの魂を別の世界に 3.転生先の世界は、いわゆる中世ファンタジーな魔法や魔物つ 5 き異世界である 4.赤ん坊からではなく、元と同じくらい成長した姿への転生と なる 5.どんな職業や立場に転生するかはランダムとなる 6.それからの人生はどうぞご自由に ﹁というわけで、一人ずつ説明がてら転生先を決めるクジを引いて もらってる、というわけです。さあどうぞ﹂ 町内会の福引きみたいな、穴の開いたしょぼい箱を差し出された。 いろいろと適当だなあと思いつつ、仕方ないので手を突っ込んで 一枚抜き出す。 スレイヴマンサー なになに⋮⋮﹃魔隷術師﹄? ﹁え、マジですか? そんなヤバイの混じってました? 本当に? 管理人 。 おっかしいなあ⋮⋮﹂ 首をひねる おいおい、しっかりしてくれよ神様の端末とやら。 そもそも、スレイヴマンサーって何? 職業? 称号? ﹁ま、でも出ちゃったもんは仕方ないですねぇ⋮⋮。 じゃ、今後は魔隷術師としてセカンドライフを頑張ってください な。 それじゃ、次の人がつかえてるんでさよ∼なら∼﹂ おい、ちょっと待ってまだ聞きたいことが⋮⋮と止める間もなく。 俺の視界は、再びホワイトアウトした。 6 ※ ※ ※ ⋮⋮その小さな辺境の村に、奇妙な異変が起きたのは春先のこと。 森に薬草採りに行った村娘を皮切りに、若い女ばかりが次々と行 方不明になっていったのだ。 ゴブリンやオーク、あるいは野盗のしわざかと思われたが、何も 痕跡や目撃報告がない。 捜索や山狩りもまるで成果がなく、調査依頼を請けた冒険者パー ティさえも消息を絶った。 ここに至って、ついに王都に直接の救援要請が打診されることに なる。 先の冒険者パーティがかなりの腕利きだったこともあり、事態を 重く見た王都政府は、騎士団から最精鋭を派遣することを決定した。 そして、真っ先に名乗りをあげたのは⋮⋮。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮第三トラップルームも、突破されたようです。ご主人様﹂ 薄暗い灯りが照らす、洞窟最深部。 遠視魔法のかかった片眼鏡ごしに戦闘区域を観察していた、ロー 7 ソーサレス ブ姿の女法術師が、うつろな瞳で俺に報告する。 俗に言うレイプ目ってやつだな⋮⋮っと、そんなことを考えてる 場合じゃあない。 に質問する。 俺は石造りの簡素な玉座の上で足を組み直し、彼女に⋮⋮自分の スレイヴ 魔隷 ﹁マジックミサイルとパラライズガスの複合トラップもあっさり単 独突破、か。どう思う、侵入者はお前みたいな冒険者だと思うか?﹂ ﹁いえ、おそらくは王都の騎士⋮⋮それも単独での討伐戦闘や迷宮 攻略に特化した、最精鋭かと﹂ ﹁へえ、そんなのいたんだ、この国。まあ、これだけ派手にやって りゃ騒ぎも大きくなるわな﹂ この辺境を騒がせている連続行方不明事件。 その主犯は何を隠そう、この世界に転生した俺だ。 洞窟にトラップまみれの拠点を築き、討伐に来た冒険者をこのよ うに隷属させる。 すべては、俺が偶然引き当てた魔隷術師の力のなせるわざ。 詳しい内情は、後ほどあらためて説明するとして⋮⋮今はとりあ えず無礼な侵入者をどうするかだな。 ﹁このぶんだと、間もなくここに到達します。いかがしますかご主 人様、我々が迎撃に出ますか?﹂ ﹁それで勝てると思うか? もし、その最精鋭だとして﹂ ﹁難しいでしょうね。敵の力は、我らパーティのそれを単独で上回 ります。ですが、手傷は負わせられるかと﹂ 捨て駒戦法をするか、否か。 もちろん、そう命じれば魔隷たちはためらいなく命を捨てるだろ 8 う。 少し考えて⋮⋮俺は首を振る。 ﹁いや、よそう。せっかくだ、ここで出迎えてやろうじゃないか。 その騎士様とやらをね﹂ は、と従順に一礼する女法術師に指示をして、俺はいくつかの準 備を施す。 ちょうどそれが終わる頃⋮⋮部屋の扉が、バンとけたたましく開 いた。 ﹁狼藉の日々もここまでです、邪悪な術師よ! おとなしく抵抗をやめ降伏なさい、さもなくば̶̶﹂ 現れたのは、青いマントと黒い長髪をなびかせ、きらめく白銀の 甲冑をまとった女騎士。 うっすら輝く幅広の騎士剣の切っ先を、まっすぐ俺に向けている。 ﹁この姫騎士キリカの剣にかかって、果てることに̶̶﹂ ⋮⋮え? その声、その顔、その名前。 まさかそんなと、思わず立ち上がる俺。 同時に、向こうも気付く。 ﹁ひ、姫野⋮⋮さん?﹂ ﹁小田森、くん!?﹂ 9 ⋮⋮そう。 これが俺、小田森トオル改め魔隷術師トオルと。 姫野桐華改め、姫騎士キリカの。 新たな世界における最初の会話だった。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV6 スキル:??? 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV5 スキル:??? 10 02話:戦いと、決着と ﹁そんな⋮⋮まさかあなたが、連続行方不明事件の首謀者だったな んて⋮⋮!﹂ さすがに驚いた様子の姫野桐華、いや姫騎士キリカ。 隙なく構えられた騎士剣の切っ先が、わずかに動揺して揺れてい る。 だが、俺にとってもこの出会いは予想外だった。 思わず石椅子から立ち上がりかけた腰を、ゆっくりと下ろす。 ﹁その驚きようじゃあ、元クラスメートと再会するのはこれが初め てみたいだね、そっちも﹂ ﹁ええ⋮⋮それもまさか、こんなにすぐなんて﹂ もしこの異世界が地球とそう変わらない広さだとして、バスに乗 っていたのはたった20数人。 それぞれの転生先がランダムなら、ひとつの大陸に数人程度の密 度ってことになる。 魔法を除いて、移動手段も通信手段も中世レベルのこの世界だ。 転生 してからまだ一ヶ月程度なのだ。 一生誰とも会わずに終わってもおかしくない。 ましてや、俺たちが ﹁でも、それよりも驚いたのは。 ⋮⋮小田森くん、あなたがこんな悪事に手を染めてるってことよ﹂ 11 彼女の声は、怒りではなく悲しみを帯びていた。 それが、俺をどうにも苛立たせた。 ﹁へえ、優等生の姫野さんは異世界に来てまでお説教かい。 しかもクラス委員の次は王都の騎士様になるとはね。 そのいい子ちゃんっぷり、変わらないね﹂ ﹁小田森くん、あなたは⋮⋮変わったわ。そんな見下した目をする 人じゃなかったのに﹂ ﹁はあ? 君が俺の何を知ってるって言うのさ﹂ ちゃんちゃらおかしくて、変な笑いが出てしまう。 そう、俺に目もくれなかったくせに。 あの一言以外、話す機会もなかったくせに。 ﹁俺は変わっちゃいないよ。こっちに来て、やりたいことを自覚し て、そのための力も手に入れただけさ﹂ ﹁それが魔隷術師の力⋮⋮人を精神操作で奴隷にする伝説の禁術だ っていうの?﹂ まさかとは思ったけど、俺のジョブを知っている。 ということは、対策を立ててここに来てるってことか。 俺は考えを巡らせながら、時間稼ぎの会話を続ける。 ﹁知ってるなら話が早い。健全な男子高校生がそんな力を手に入れ たらどうするかくらい、マジメな姫野さんでも想像つくだろ?﹂ ﹁そ、それは⋮⋮!﹂ 彼女が息を呑む音が聞こえた。 部屋の灯りは薄暗いからはっきりとは見えないが、赤面もしてい るに違いない。 12 ﹁そう、今考えてるとおりだよ。いや、姫野さんが知らないような、 想像もつかないようなことも俺はしてるはずさ⋮⋮捕まえてきた村 娘や、冒険者の女にね﹂ ﹁や、やめてっ! どうして!﹂ どうしてそんなひどいことを、とでも糾弾するつもりか。 笑わせる。 ﹁理解できやしないよ、生まれつき恵まれた姫野さんに俺の気持ち なんかね。それにこっちに来てからも⋮⋮姫騎士、だっけ? 当然 のようにレアなジョブだ﹂ 彼女の格好を上から下まで、じろじろと眺める。 体の要所要所をガードする軽装鎧をベースに、よく見るとレース やフリルで飾られたそのスタイル。 首元のリボンなんか、どちらかというと制服か何かのようで、ご 丁寧にミニスカートと白タイツの絶対領域まで確保されている。 地球の中世なら絶対にありえない、非現実的にもほどがある装束 だ。 ﹁しっかしオタク趣味とか無縁そうな姫野さんが、そんなコスプレ みたいな格好するなんてねぇ⋮⋮だいたい姫なのか騎士なのかはっ きりしてくれよ﹂ ﹁そ、そんなことはどうでもいいでしょ!﹂ わざと軽口を叩いて見せながらも、俺は内心で舌打ちしていた。 ちょっとした動きの軽やかさから見ても、彼女の鎧は特殊なアー ティファクト⋮⋮魔法強化された武具であることは間違いない。 おそらくは、高い対魔法能力も備えているだろう。 13 それだけではない。 姫騎士というジョブの詳細は不明だが、ジョブ自体の魔法抵抗が 高いこともほぼ間違いない。 洞窟の魔法トラップを傷一つなく突破してこれたのも、そもそも 単独で術師を討伐に来たのも、そうじゃなければ理由がつかない。 ⋮⋮これは、実に厄介だ。 というのも魔隷術師の隷属魔法は、支配力も効果時間も強力な反 面、魔法抵抗の高い対象にはよほど近距離から長時間かけ続けない と効力が薄い。 そしておそらく、彼女はそんな隙を与えてはくれないだろう。 ﹁最後の警告よ。素直に降伏する気は、ないのね?﹂ ﹁勝てる勝負を捨てるバカがどこにいるんだよ﹂ そう、じゃあ悪いけど⋮⋮とつぶやいて、姫騎士が一瞬で間合い をつめてきた。 予想以上に早い踏み込みだ。 俺の反射神経そのものは、元の世界と大差ない。 普通なら、なすすべなく打ち倒されるしかなかっただろう⋮⋮だ が。 ﹁っ!?﹂ ガインッと金属音が鳴って、騎士剣が大盾に食い止められた。 石椅子の陰に隠れていた女戦士が、俺をガードしたのだ。 それにしても、俺を殺さないよう剣の背部分で打ちかかるとはお 優しいことで。 14 ﹁魔隷⋮⋮!﹂ うつろな瞳で俺を守る元冒険者を、驚いたように見つめるキリカ。 俺はその隙に、高速言語による詠唱を何節か完了させた。 ホログラフィのような緑の光が、円状にキリカの黒髪をとりまき 始める。 ﹁くうっ!? あ、頭がくらくらするっ⋮⋮!﹂ 慌てて、バックジャンプして間合いを離す彼女。 魔隷女戦士はあらかじめ命令したとおり、無言でガードの体勢を 続けている。 ﹁さすがに抵抗力高いね。進行度5%ってとこか。 ま、打ち込むたびに上乗せされてくけどね﹂ 相手を打ち倒す必要はない。隷属魔法をかける隙さえ作れば勝ち だからだ。 だからただ守りに徹する、それが俺の作戦だ。 盾の防御力も、女法術師によるエンチャント魔法で強化済みだ。 ﹁考えたわね、小田森くん。いえ、魔隷術師⋮⋮でも﹂ 5mほど離れた間合いで、肩の高さまで持ち上げた騎士剣が水平 に構えられた。 そんな遠さから一体なにを⋮⋮? ブリリアント・バースト ﹁我が気高き剣に来たれ、破邪の霊光! 聖光爆濤破ッ!!﹂ 15 真紅の魔力が刀身に収束し⋮⋮そして奔流となって放たれた。 閃光が部屋を照らし、炎の元素魔法よりも強烈な衝撃がはじける。 かざした盾ごと、魔隷女戦士が壁まで吹き飛ばされて動かなくな った。 ﹁驚いたな⋮⋮こりゃすごい魔法剣技だ。それが姫騎士のスキルっ てわけか﹂ ﹁そうよ。そしてこの技は悪しき者、心なき者に特効の破壊力を示 す。あなたの魔隷にも効果てきめんのようね﹂ 守り手のいなくなった俺めがけ、腰を落として剣を構え直すキリ カ。 魔法の射程外から一気に踏み込み、一撃で昏倒させるつもりだろ う。 ﹁もう盾はないわ。残念だけど、これでおしまいよ﹂ ﹁ああ、どうやらそうみたいだ﹂ 彼女が踏み込む。 同時に俺が指を鳴らす。 部屋奥の扉から現れた女法術師が、高速詠唱を開始する。 それに気付きつつも、キリカの動きは変わらない。 どうせ自分に魔法はほぼ効かないし、俺を倒せば決着するのだか ら当然だ。 だが⋮⋮それこそ俺の目論見どおりだった。 ﹁⋮⋮えっ!?﹂ 振り抜かれた騎士剣は、俺の体をむなしく突き抜けた。 16 ﹁これは、ミラーイメージ!?﹂ ﹁ご名答﹂ 実際の俺の位置は、一歩半ぶん斜め後ろ。 魔法抵抗が高くとも﹃他者にかけられた魔法﹄を看破できるわけ ではない。 この仕掛けを見破られないため、魔隷にも最初から、ニセの俺を 守らせていた。 そして、鏡像の俺が立っていた場所、彼女が踏み込んだ場所には ⋮⋮。 ﹁うそ、落とし穴っ⋮⋮!?﹂ 姫騎士さまの体が、まぬけにも1.5m四方ほどの縦穴にすべり 落ちていく。 この洞窟を拠点にした時から準備しておいた、きわめて原始的な 仕掛け。 だが、それゆえに魔法トラップと違い、魔力による感知も魔法抵 抗も関係ない。 もちろん、それだけなら彼女は優れた身体能力ですぐ脱出するだ ろう。 だから、女法術師の魔隷に詠唱させた魔法の出番だ。 ガチャン、と3cmほどの隙間しかない鉄格子が、キリカの頭上 をふさいた。 テレポートオブジェクト⋮⋮物体短距離転送魔法によって、一瞬 で受け穴にはめこんだのだ。 17 ﹁そんな⋮⋮こんな手にっ⋮⋮!﹂ ﹁さすがに手こずらせてくれたね、姫騎士さまは。 でも、ろくに構えもとれないその狭さならさっきの剣技も使えな いよね?﹂ 鉄格子を破って脱出するのにかかる時間は、どんなに急いでも数 分以下にはなるまい。 その間に俺は、ゆうゆうと近付いて詠唱を完了させればいい。 彼女を⋮⋮姫騎士キリカを、元クラスメートの姫野桐華を、隷属 させる術式を。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV6 スキル:︻隷属魔法LV5︼ ??? 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV5 スキル:︻聖騎剣技LV3︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 18 02話:戦いと、決着と︵後書き︶ 次回、Hシーンに入ります。 19 03話:隷属と、奪われる純潔 ﹁思ってもみなかったよ。まさか、隷属されても意識を保ってるな んてね。 ⋮⋮魔法抵抗が一定以上だとこうなるのかな?﹂ 洞窟奥、俺の私室。 ベッドに腰かけ、俺は目の前にひざまづいた姫騎士キリカを興味 深く見つめる。 彼女は、俺の隷属魔法にかかった。それは間違いない。 無抵抗にここに来て、俺の指示に従っているのだから。 だが、これまでかけた相手は皆、人形のような受け答えをするだ けの存在と化したのに対して、彼女だけは性格も意識もそのままだ ったのだ。 ﹁っ⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 長いまつげの目を伏せて、キリカはじっと耐えるように黙ってい る。 体が思うように動かせない屈辱に、これから自分が何をされるか の悪寒に。 ﹁ま、いいや。今からどうなるかくらい想像つくよね、マジメな姫 野さんでもさ﹂ ﹁小田森くん、あなたは⋮⋮きゃっ!?﹂ ぼろん、と目の前に取り出したチンポを突きつけると、驚いて目 20 をそむけるキリカ。 その新鮮な反応がたまらない。ムクムクと勃起してしまう。 何せ、これまで犯してきた村娘や冒険者たちは、従順すぎてまる でダッチワイフだったからな。 ﹁や、やめて! そんなヘンなものを近付けないでっ!﹂ のニュアンスが入った言葉に反応し、彼女の顔が向きを ﹁ヘンなものとは失礼だなあ。ほら、ちゃんと見てごらんよ、姫野 命令 さん﹂ 変えていく。 赤面した可愛らしい顔が、嫌そうな表情のまま、まじまじと俺の チンポを見つめる。 ﹁姫野さんは、そういえばキスはまだしたことないのかな?﹂ ﹁う、うう⋮⋮し、したことない、です﹂ 俺の質問に、魔隷となった彼女は正直に答えるしかない。 ﹁そっか、なら姫野さんのファーストキスは⋮⋮俺のチンポに捧げ てもらおうかな﹂ ﹁え、そっそんな!? やっ、あっ嫌っ⋮⋮んんうっ!?﹂ 自分の意志に反して、かわいい薄桃色の唇がギンギンになった亀 頭に近付き、触れた。 柔らかい、少し湿った感触。 あの姫野桐華が、学年トップの美少女が、姫騎士の装束で俺のチ ンポに初キスを捧げている! それだけで射精してしまいそうな達成感だ。 21 ﹁う、ううっ⋮⋮へ、ヘンな味がっ⋮⋮! においも臭いぃっ⋮⋮ !﹂ ﹁初キスおめでとう姫野さん。じゃあそのまま、俺のチンポをフェ ラチオしてよ。フェラくらい知ってるよね?﹂ 魔隷自身の知らない概念を命令しても、正確に実行させることは できない。 涙目の姫騎士キリカは、おそるおそるピンクの舌を伸ばして、俺 の膨らんだ亀頭をぺろぺろと舐め始めた。 ﹁ははっ、うぶな姫野さんでもフェラが何かくらい知ってたか。で も、こういうことするのは初めてだよね? 男と付き合ったことも ないよね?﹂ ﹁は、初めて、です⋮⋮はい、手を握ったこともありません⋮⋮﹂ ﹁だと思ったけど、安心したよ。じゃ、俺が初めての男ってわけだ﹂ ﹁っ⋮⋮! さ、最低の男だわ、あなたはっ⋮⋮!﹂ ﹁そのとおり。いいねえ、睨まれながらしゃぶられると余計燃える よ﹂ 俺をキッと睨みつけながら、ぎこちなく先端をワンパターンに舐 め続けるだけのフェラ。 ま、うぶな処女の知識じゃその程度が限界か。 元クラスメートに、クラスのアイドルにさせてるってだけで達成 感は抜群だけど、いつまでもこのままじゃ面白くない。 ﹁おい、ニーナ。ちょっと来てくれ﹂ ﹁はい、ご主人様﹂ ローブ姿の女法術師が入室し、俺のそばにやってくる。 ひざまづいてチンポを舐めさせられている姿を、魔隷とはいえ他 22 人に見られたことで、キリカがビクッと反応する。 ﹁下手クソなフェラしかできない姫騎士さまに、俺がお前に仕込ん でやったテクを教えてやってくれよ。横でこいつを使ってみせてさ﹂ ﹁わかりました﹂ ベッド脇に置かれたディルド̶を、キリカの隣に正座した彼女に 渡す。 ニーナがローブの頭巾をとると、金髪セミロングの、少し地味だ が整った顔が現れる。 年格好は俺たちとそう変わらない。 そのまま彼女は、捧げ持つようにしたディルドーにねっとりと舌 をからめ始めた。 ﹁うわ⋮⋮す、すごい⋮⋮!﹂ にゅちゃぺちゃと水音を立てて、いやらしい舌と唇の動きで偽物 のチンポをしゃぶり始める姿を見て、キリカがかぼそい声で驚く。 彼女を魔隷にしてから、時間をかけて少しずつ教え込んだフェラ テクだ。 ﹁さ、真似して同じようにしてもらおうかな。できるだけ忠実に、 ね﹂ ﹁え!? あっ、うそ嫌っ⋮⋮んちゅっ、んぶぶうっ!?﹂ 命令に従わされたキリカが、ニーナを横目で見ながら同じ動きを 始めた。 いくら恥ずかしくても、忠実にマネしろという指示に逆らうこと はできない。 とたんに下品に舌を伸ばし、唇を前後に動かして、よだれを垂ら 23 しながら俺のチンポをしゃぶりだす元クラス委員。 ﹁う、お⋮⋮! すごいよ姫野さん、さすが飲み込みが早い⋮⋮く っ!﹂ ﹁やっ、わたし、こんなことしたくなっ⋮⋮んぷぅ!!?﹂ ニーナがノドの奥まで、ずぶずぶとディルドーを呑み込み始めた。 同じようにさせられたキリカの柔らかい粘膜が、俺のチンポをに ゅっぽりディープに包む。 ﹁くううっ! いいぞ、そのまま大きく前後にしゃぶれ、姫野さん !﹂ ﹁んぶ、んじゅぶっ、じゅずぶぶっ!? ぷぁ、嫌っんぁあ! は ぶぶっ!!﹂ いい匂いのする黒髪を振り乱し、銀の騎士鎧をかちゃかちゃ鳴ら しながら、俺にひざまづいて激しくフェラ奉仕する、姫騎士にして クラスメートの処女美少女。 たまらない征服感と気持ちよさに、たまらず俺のチンポは限界を 迎えた。 ﹁いくよっ、出すぞっ! 口の中に俺の精液っ、受け止めて溜め込 めキリカ!﹂ どくん! と白い奔流がはじける。 んーっ、んーっとうめく彼女の口内に、びゅるびゅると大量の精 液を注ぎ込む。 ﹁うっ、くっ⋮⋮! ぜ、全部吸い取ったら、口を開いて見せるん だ⋮⋮﹂ 24 ﹁あ、あうぅ⋮⋮!﹂ ゆっくりチンポから離れた小さな唇が、命令通りに開かれた。 唾液と混じった白濁液だまりが、むあっと湯気をたてている。 ﹁よし⋮⋮それをゆっくり呑み込め﹂ ﹁っ⋮⋮! んっ⋮⋮!﹂ ごくんっ、と白い喉が鳴って、俺の排泄した精液が姫野桐華の体 内におさまっていく。 一ヶ月前には、非現実的すぎて想像すらできなかった眺めだ。 ﹁はぁ、はぁ⋮⋮けほっ⋮⋮! こ、これで満足なの⋮⋮?﹂ 荒い息を吐きながら、そんなお決まりのセリフを吐く彼女。 俺は当然、にやりと笑って首を振った。 ﹁ニーナ、いつものアレをチンポに頼む﹂ ﹁はい、ご主人様﹂ ディルドーをようやく口から離し、女法術師が術式を詠唱する。 紫色の光が萎えたチンポを取り巻き⋮⋮するとすぐに、それがム クムクとフル勃起状態に戻っていく。 ﹁う、うそ⋮⋮い、一回出したら終わりじゃないの!?﹂ ﹁フィジカル強化系エンチャント魔法のちょっとした応用だよ。冒 険者はこういう使い方結構してるらしいぜ? 勉強不足だね、姫騎 士さま﹂ 青ざめる彼女を笑い、俺は次の指示を出す。 25 ﹁さあ、本番といこうじゃないか姫野さん。いや、姫騎士キリカ﹂ ※ ※ ※ ﹁くっ⋮⋮み、見ないでぇぇ⋮⋮! お願いっ⋮⋮﹂ ﹁いいねえ、綺麗だ。最高の眺めだよ﹂ ベッドに悠々と寝転んだ裸の俺。 キリカはというと、甲冑姿のままショーツだけを外しスカートを 自分でめくりあげ、俺の腹あたりにまたがるようにひざ立ちになっ て女性器を突き出すという恥知らずな格好だ。 ﹃オマンコを広げてよく見せろ﹄という命令を、実行させられて いるのだ。 ﹁毛が薄いんだね、姫野さんは。マンコもそのまわりの肉も、シミ ひとつなくて本当に綺麗だよ﹂ ﹁やぁっ、は、恥ずかしいよぉ⋮⋮!﹂ 狭そうな未使用穴がせいいっぱい広げられ、サーモンピンクのヒ ダがひくひく震えている。 奥には、うっすらとフリルのような処女膜が確認できる。 ﹁じゃあいよいよ、俺のチンポに自分からまたがって処女を捨てて もらおうかな﹂ ﹁そ、そんなっ⋮⋮じ、自分でするなんて、うそっ⋮⋮!?﹂ どんなに嫌がろうと、魔隷への命令は絶対だ。 26 天井めがけてそそり立った俺のチンポ、その真上に処女マンコを 移動させ、ぴとりとあてがうキリカ。 ちなみに姫騎士というジョブは、強さと気高さ、美しさを併せ持 った最精鋭の女騎士にのみ贈られる称号らしい。 そんな姫騎士の誇りも、元クラス委員の真面目な美少女の尊厳も、 まとめて打ち砕くための騎乗位セックス指令というわけだ。 ﹁おっと、その前に⋮⋮ハメやすいように、濡らしてもらおうかな﹂ ﹁え⋮⋮あっ、な、何これっ!? 何をしたのっ!?﹂ ぶるるっと震えたキリカの、亀頭に密着した割れ目からとろりと 愛液が溢れた。 魔隷術師の命令は、新陳代謝などの肉体的現象にもある程度およ ぶ。 ﹁初めてのセックスが痛くないように、俺の優しい心遣いってわけ さ﹂ ﹁く、こ、こんな事っ⋮⋮どのみち最低よ、あなたと無理矢理なん て!﹂ ﹁いいねぇ、チンポ突っ込まれてもその抵抗心を失わないで見せて くれよ、姫騎士さま。それじゃあ⋮⋮俺のチンポを自分でくわえこ め、キリカ!﹂ ﹁いっ⋮⋮嫌ぁぁぁぁぁぁっ!!!﹂ 腰を落としてずぶずぶと、好きでもない男の、俺のチンポを自分 から迎え入れていく姫野キリカ。 強制的にたっぷり濡れていても、キツいしめつけがチンポを覆い、 そして⋮⋮。 27 ﹁いっ⋮⋮痛っ、痛ぁぁ⋮⋮いっ⋮⋮!!﹂ ﹁はははっ! 姫野さんの処女を、姫騎士キリカのバージンを、俺 が! 俺が今破ってやったぜ! はははははっっ!!﹂ 頭がしびれるような征服感と達成感。 ぷちぷちと若い膜を破って、俺のチンポが姫騎士マンコを貫き奥 まで侵入していく。 村娘や女冒険者たちの処女を奪った時も、その時は感動的な気分 だったが、今のこれとは比較にならない。 ﹁さて、せっかくだからギャラリーを呼んであげないとな。ニーナ、 アメリア!﹂ 俺の呼び声に答えて、女法術師と、先の戦いでガード役を担当し ていた女戦士がベッドの左右に並ぶ。 鎧を脱いだ女戦士アメリアは、日焼けした健康的な肌とワイルド な赤毛のロングヘアが特徴的な野性的美女だ。 年齢は俺たちやニーナより2、3歳上だろうか。 ﹁やだっ、やぁぁだぁ⋮⋮っ! み、みない、でぇっ⋮⋮! んあ ぁっ!!﹂ 処女を喪失し、初めてのセックスなのに男の上で鎧着衣のまま腰 を振るというはしたない格好を。 つうっと一筋垂れた破瓜の血を。 すべてをまじまじと二人に、魔隷とはいえ女同士に見つめられる。 その強い羞恥心に、真っ赤になって涙を流しつつも腰を止められ ないキリカ。 ﹁ははっ、見られ始めると余計にしめつけがキツくなったよ? ひ 28 ょっとして見られると感じるマゾだったのかな、元クラス委員の姫 野さんは?﹂ ﹁そ、そんな、ことっ⋮⋮わ、わからない、わかりませんっ⋮⋮!﹂ 質問の形だったためか、正直にわからないと答えてしまっている のが滑稽だ。 俺はその様子に、泣き顔に、なおさら興奮して自分からも腰を突 き上げる。 ﹁ひっ、ひぐぅぅ!? やっあっあっっ!? う、動かさなっ⋮⋮ んぁああっっ!?﹂ ﹁だんだん気持ちよさそうな声が出てるね。ほーら、俺の動きに合 わせて腰を上下にグラインドさせてごらん﹂ ﹁やぁっ、そ、そんなのできなっ⋮⋮ひっ、あひぃぃっっ!?﹂ 本来なら羞恥心でためらうような状態でも、命令は絶対だ。 はしたないほどに大きく、深く、腰をくねらせてチンポをマンコ でしゃぶる姫騎士。 カチャッ、チャリッと鎧がこすれあう金属音を立て、可憐なフリ ルやスカート、長い黒髪が動きと共に揺れる。 ﹁くっ⋮⋮! すごく熱くなってうねって、俺のチンポをしめつけ てくるよ、キリカの姫騎士マンコは!﹂ ﹁やだやだぁっ、わたしっそんなのしてないぃ⋮⋮おふぅっ!? あふ、ひゃぁぁあ、んぁぁあ⋮⋮あっ!?﹂ 乳房の形をそのまま象ったような、地球ではありえない奇妙な胸 アーマーが大きく揺れる。 そういえば姫野桐華は着痩せする隠れ巨乳だという話を、クラス の男子が噂にしていた。 29 その真偽は、後でたっぷりと確かめてやるとしよう。 ﹁処女とは思えないチンポの締め方だよっ、セックスでも優等生だ ね姫野さんは⋮⋮! ところでっ、さっきの濡れろって命令で想像 つくかもしれないけど⋮⋮!﹂ ﹁ひぐぅっ、えっ何っ、えっ!?﹂ ﹁俺が命令したら、君はなすすべなくイクんだ、絶頂するんだよ。 どうだい、最初のセックスで射精と同時にイカされるなんてなかな かできない体験だと思わない?﹂ ﹁っっ!!? な、何それっ、い、嫌ぁぁっ! イキたくなんかっ、 イキたくなんかぁぁ⋮⋮!﹂ 泣いても嫌がっても、もう遅い。 それでも腰をがくがく上下させる姫騎士を、俺は下からガンガン 突き上げながら。 ついにこみあげてくる射精感に合わせて、その命令を放った。 ﹁さあイけっ、姫野桐華ぁっ!! 俺の射精に、子宮への生出しに 合わせて思いっきりお前はイクんだっ、姫騎士キリカ!! イク時 は宣言しながらなぁっ!!﹂ ﹁いっ嫌ぁぁっ、ダメぇぇぇぇっっ!! やだやだダメ駄目だめぇ ぇぇっっ、ひっ⋮⋮!?﹂ ひときわ深いストロークで、キリカの腰が落とされ、俺のチンポ が突き上げられ。 こりこりした子宮口と俺の亀頭先端が、がっつりとキスをした瞬 間。 ﹁ひっ⋮⋮んあはぁぁぁぁっっっ!!? イッ、イクぅぅぅぅっっ っ!!? いっいく、イキます、イキましゅぅぅぅぅううっっっ! 30 !!﹂ どくっ⋮⋮どくんっ、びゅるるぅ⋮⋮!! 鎧とシルクの下衣に包まれた、姫騎士のもっとも大事な場所に。 脈打つ音をたてて、俺の子種が破裂せんばかりの勢いで流し込ま れていく。 ﹁うっ⋮⋮くっ、おあっ⋮⋮!﹂ ﹁ああっ、んあぁぁっ⋮⋮はぁ、あぁぁっ⋮⋮! な、何これぇ⋮ ⋮こ、こんなの知らないぃ⋮⋮!﹂ ニーナとアメリア、魔隷ふたりの従順な瞳にじっと見つめられな がら。 くたっと俺の胸板に倒れ込んだキリカが、おそらく人生初のアク メの余韻に黒髪を震わせた。 俺のザーメンをたっぷりと、子宮に浴びながら⋮⋮。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮小田森くん。わたしは、あなたを許さない﹂ ベッドに倒れたキリカは、綺麗な瞳から鋭い視線を俺に向け。 処女喪失と初絶頂、初中出しのショックと疲労で、まだ息を乱れ させながらそう言った。 俺はその言葉に、ぞくりと背筋が震えた。 恐怖のせいじゃない。 それは初めて彼女から自分に向けられた、強い意志の現れだった 31 からだ。 彼女もおそらく、そんな強烈な感情を他人に向けるのは初めてだ ろう。 俺が⋮⋮俺だけが、あの姫野桐華とそういう関係になったんだ。 ある意味、処女を破った時以上の達成感を俺は感じていた。 ﹁それでこそだよ、姫騎士キリカ。やれるものならやってみてくれ﹂ ﹁ええ、今はその方法もわからないけど、必ず⋮⋮必ずやってやる わ。私を魔隷としてそばに置くなら、覚悟することね﹂ 俺に危害を加えることや、命令なく俺から一定以上離れたり、自 分の命を捨てるような行為。 それらは命令するまでもなく、魔隷の﹃基本禁止原則﹄として隷 属術式に組み込まれている。 そして、魔隷となった者への支配は、半永続的に解けない。 厳密にはもっと細かいルールがあるのだが、それはまた今度説明 しよう。 ともあれ、それを覆してみせるというなら見物だ。 ﹁楽しみにしてるよ。それはそうと、だ﹂ 俺はベッドの上で手のひらを握ったり、開いたりを繰り返した。 ﹁よし、やっぱりか。ありがとう、礼を言うよ姫騎士さん﹂ ﹁どういう、こと⋮⋮?﹂ 体の奥底からわき上がってくるような感覚がある。 これまでに何度か味わったものだ。 32 ﹁ジョブの練度⋮⋮レベルを上げる条件は知ってるだろ? 対応す るスキルを使って経験を溜め、スキルレベルを上げること⋮⋮それ もただやみくもにじゃダメだ﹂ 剣技なら、実戦の中で強敵と斬り結ぶことで得られる経験量は、 単なる素振りの訓練とは比較にならない。 魔法なら、より複雑な術式を使ったり、より抵抗力の高い相手へ の使用を成功させたりすることが重要だ。 ﹁俺の隷属魔法も、高い魔法抵抗の相手にかけ、そして命令を実行 させるほどに経験がハイスピードで溜まっていく。それが複雑で珍 しい命令ならなおさらだ﹂ ﹁っ!? ま、まさかそれって⋮⋮!﹂ ﹁そう。姫騎士さまにさっきしたいやらしい命令の数々は、予想以 上の経験値を与えてくれたよ﹂ 思わず笑いがこみ上げてくる。 最強の持ち駒と、効率的なレベルアップ手段、そのふたつが一気 に転がり込んできたことになる。 しかも⋮⋮元クラスメートの美少女で、現在はレアジョブの姫騎 士という、最高に陵辱しがいのある性奴隷として。 ﹁そ、そんなことって⋮⋮!﹂ ﹁この出会いに感謝だね。じゃあ姫野さん、いや姫騎士キリカ。ま だまだ魔法で勃たせられるし、今日は一晩中経験値稼ぎに付き合っ てもらおうかな﹂ ﹁い、嫌ぁっ⋮⋮﹂ ﹁試してみたい命令もプレイも、いくらでもあるからね。飽きさせ ないことは保証するよ﹂ 33 もう、いやぁぁぁっ̶̶と響き渡る、姫騎士の悲鳴。 次の夜明けを迎えるころ、俺は。 首尾よく隷属魔法と、魔隷術師のレベルを上げることに成功して いた。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV6↓7 スキル:︻隷属魔法LV5↓6︼ ??? 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV5 スキル:︻聖騎剣技LV3︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 34 03話:隷属と、奪われる純潔︵後書き︶ ※本作品では、女性キャラによる主人公の裏切り、寝取られなどは 発生しません。ご安心ください。 35 04話:お風呂と、パイズリ奴隷 ﹁いや∼、運動した後に浴びる風呂は格別だね。そう思わない?﹂ 湯気のたちこめる岩風呂で、顔にばしゃりと白っぽいお湯をかけ る俺。 洞窟の最深部、湧き出た天然温泉を利用した快適な風呂場。 ここを拠点にできたのは、実にラッキーだった。 ﹁何が運動よ⋮⋮。体を洗わせてくれたことにだけは、一応感謝し ておくわ﹂ キリカはといえば、少し離れた場所に肩までつかり、俺をジト目 で睨んでいる。 一晩中のセックスでついた汚れは、すっかり洗い落とされていた。 もちろん、胎内に注ぎ込まれたぶんを除いてだが。 ﹁魔隷の生活環境には、ご主人様として気を遣ってるつもりだよ﹂ クラスメートの姫野さんの裸 ﹁それはどうも⋮⋮って、こっちを露骨に見ないでよね。言っても 無駄だろうけど﹂ 鎧を脱ぐと姫騎士要素が消え、 が意識される。 真っ白で健康的な裸体と、湯に浸からないようまとめて肩に乗せ られた黒髪とのコントラストが綺麗だ。 無駄な肉はないけど柔らかそうな女性的ライン、なかなかにそそ る。 36 ﹁今更恥ずかしがる所? ぶっ倒れて眠るまで、昨日あんなにくん ずほぐれつ⋮⋮﹂ ﹁だ、だからそんな話はやめてって!﹂ たっぷり経験値を稼ぐためあんなにヤリまくったのに、いちいち 恥ずかしがる反応が可愛い。 胸を必死に腕で隠しているが、予想どおりそのふくらみはなかな かのボリュームだ。 Eカップくらいは余裕であるんじゃないか? 命令して手をどけさせるのは簡単だが、恥じらう姿も捨てがたい ので今はこのままだ。 ﹁さて、話を戻そう。 システィナ姫⋮⋮それが、君を召し抱えた主君ってわけだ﹂ もちろん、ただ一緒に浸かっていたわけじゃない。 俺はキリカを情報源に、この国⋮⋮ランバディア王国の内情を聞 いていた。 そこで出てきた名が、第三王女システィナ・ランバディア。 彼女が仕える若き王族の名だ。 キリカは転生してきてすぐ、お忍びで郊外を散策していたシステ ィナ姫が、運悪くモンスターに襲われている所に出くわしたのだと いう。 そして窮地を救い実力を示し、姫の恩人として、側近として迎え られたらしい。 ﹁すごい出世コースだねぇ。システィナ姫ってどんな人?﹂ ﹁彼女は⋮⋮とてもお優しくて、しっかりした頭のいい方よ。年が 同じこともあって、わたしとは友達のように接してくださったわ﹂ 37 ﹁ふむふむ。それで、美人?﹂ にやにやしながら聞くと、露骨にいやな顔をするキリカ。 おいおい、そこは非常に大事なとこじゃないか。 ﹁⋮⋮とてもお綺麗な方よ。プラチナブロンドと蒼い瞳の、絵に描 いたようなお姫様⋮⋮ランバディアの至宝、とまで呼ばれてるわ﹂ ﹁へえ、そんなプリンセスに仕える姫騎士か。さぞかし絵になった だろうなあ﹂ ま、今は俺がご主人様なんだけどな。 しかし、ランバディアの至宝か⋮⋮そこまで言われると興味が湧 いてくる。 ﹁よし、決めた。そのシスティナ姫を、俺の魔隷にしよう﹂ ﹁なっ⋮⋮!?﹂ さすがに絶句するキリカ。 あ、一瞬隠す腕がずれて乳首が見えそうになったぞ。 ﹁しょ、正気とは思えないわ。いくらあなたの力でも、そんな無謀 なこと⋮⋮成功しても失敗しても、国を敵に回すことになるのよ! ?﹂ ﹁どうしてそう思う? 王族だろうと護衛だろうと、あっさり国中 の要人を魔隷にして王国を乗っ取っちゃうかもしれないぜ?﹂ 挑発するように言うと、キリカは少し思案顔をして、慎重に口を 開いた。 ﹁いいえ⋮⋮あなたの力でも、限界があるはず。たとえば一度に魔 38 隷にしておける人数がそう多くないことは、あなたの活動や戦力を 見れば予想がつくわ﹂ ﹁へえ⋮⋮﹂ なかなか頭が回るじゃないかと、少し感心する俺。 そう、いくらチートジョブの魔隷術師といえども、無制限に魔隷 を増やせるわけじゃない。 同時に隷属させておける人数は、隷属魔法のスキルレベルに等し い。 つまり、今の俺なら最大6人ということだ。 もしかしたら一定レベルを越えると急激に増えるかもしれないが、 まだその様子はない。 そしてもし限界まで魔隷を作っていれば、誰かの術式を解除して 解放してからでないと、新しい魔隷を隷属させることはできない。 空き枠 を一人分は作るようにしてい これには多少の時間がかかるのが玉にキズだ。 だから、俺は可能な限り る。 キリカと戦った時︵スキルレベル5の時︶、俺の魔隷は女法術師 ニーナ、女戦士アメリア、そしてあと二人の冒険者たち︵別の命令 を与えているため、今ここにはいない︶。 能力のテストがてら魔隷にしていた村娘たちは、今はみな術式を 解除されて洞窟内の隠し部屋に監禁してある。 数が限られてる以上、魔隷は一体一体の質が重要。 だからこそ、姫騎士キリカという予想外のエースをゲットできた のは幸運だった。 ﹁あなたの総戦力自体は大した規模じゃない。それに、王宮には高 39 い魔法抵抗を持つ騎士や護衛、魔法をかけられた状態にある者を見 破れる術師もたくさんいるわ﹂ ﹁君を利用して侵入しようとしても、一筋縄じゃいかないってこと か﹂ ﹁そうよ。大それた野望は抱かない方が身のためね﹂ ﹁へえ、俺のこと心配してくれてる?﹂ ﹁だ、誰がっ⋮⋮! 私が心配してるのは、システィナ姫さまの方 よ!﹂ 彼女をからかいつつも、俺は思案する。 確かに、ちょっと慎重に計画を練る必要はあるな。 ﹁ま、いいや。ああそうそう、姫野さん。言っとくけど、俺に善悪 や損得を説いてもムダだよ﹂ ﹁え⋮⋮?﹂ 困惑顔の彼女。 俺は濡れた髪に手櫛を入れながら、言葉を続ける。 ﹁俺はね、こっちに来て決めたんだ。第二の人生は、好きなように 生きてやるって﹂ ﹁それが、女の人たちを次々言いなりにすることなの!?﹂ ﹁ゲスだと思うならそれでいいさ、俺自身そう思うし。でも、元の 世界の俺には、何もなかった⋮⋮力も、きっかけも、やりたいこと ひとつなかったんだよ﹂ バス事故で死んだと思った時さえ、しょっぱい達成感しか俺の中 にはなかった。 もう、あんな人生はごめんだ。 何も満足感を得られないまま生きて死んで、後悔するのはたくさ 40 んだ。 ﹁だから、今度は欲望のままに生きるって決めたのさ。そしてその ためならどんな困難も排除してみせる。いや、従えてみせる。君に そうしたようにね﹂ 姫騎士を手駒に、お姫様を堕とす。 それはちょうどうってつけの燃える目標だ。 男として、オスとして、これほどやりがいのある挑戦も少ないだ ろう。 ﹁小田森くん、あなたは⋮⋮!﹂ キリカはそんな俺を、さまざまな感情が混じった複雑な表情で見 つめていた。 ※ ※ ※ 湯船を出て、すべすべの岩盤に寝転んだ俺。 楽しい洗い方 命令によって後に続いたキリカが、これから起こることに警戒の 表情を見せている。 ﹁汚れは落ちたけど、せっかくだから改めて二人で をしようと思ってね。まず、君の体前面に石鹸をまぶしてもらお うか﹂ ﹁え、や⋮⋮やだっ、何の準備っ!?﹂ どんな命令だろうと、魔隷が逆らうことは不可能。 41 ぷるん、と露わになった形の良く柔らかそうなおっぱいに、なだ らかなお腹のラインに⋮⋮自分の手で石鹸の泡を塗りたくっていく キリカ。 ﹁君自身が洗う道具になるんだ。ほら、そのまま俺に覆い被さるよ うに密着してごらん﹂ ﹁ええっ!? そ、そんなの絶対おかしいっ⋮⋮きゃ、んっ⋮⋮! ?﹂ むにゅり、と二つの柔らかいふくらみが胸板に押し当てられ変形 する感触。 引き締まった、でも適度に脂肪のついた太股が、二の腕が。 彼女の柔らかい部分がいくつも、俺の素肌に泡まみれで密着する。 ﹁おお、これはなかなかっ⋮⋮! そのまま全身をそう、こすりつ けるようにするんだ⋮⋮おおう!?﹂ ﹁や、あっあんっ!? こ、これっ滑り落ちそうにっ⋮⋮やぁぁあ っ!?﹂ ぎこちなく体を前後させ、みずみずしい体そのものを肉スポンジ にして俺を磨いていくキリカ。 ニュルニュルと泡ですべる裸体が、細かく滑り続けて心地いい。 ﹁まさか、あの姫野さんがソープの風俗嬢みたいに俺に洗い奉仕し てくれるなんてね⋮⋮感動だよ﹂ ﹁な、なにそれっ、そんなの知らなっ⋮⋮あうぅ、こ、こすれてっ ⋮⋮!﹂ 縦横無尽に形を変えて飽きさせない巨乳に、時々硬めの触感が混 じってきた。 42 白い泡の中に、かわいい薄ピンクの突起が見え隠れしている。 ﹁あれ、姫野さん、ひょっとして乳首勃起してる?﹂ 質問 に嘘をつくことは許されない。 ﹁え!? そ、そんなことっ⋮⋮は、はい、勃起して、ます⋮⋮っ !﹂ 主人の 生理現象とはいえ、はしたなく尖った乳首を男の体にこすりつけ る行為の羞恥が、彼女の顔を余計に染める。 ﹁別に恥ずかしいことじゃないさ。俺のも、こんなになってるし﹂ ﹁う、ううっ⋮⋮さ、さっきから当たってるから言わなくてもわか るわよぉ⋮⋮﹂ 学校トップクラスの美少女にソーププレイされて、勃起しない男 がいるはずもない。 泡塗れでそそり立つ俺のチンポは、彼女の柔らかな内股や下腹部 と触れ合うたびに硬さと熱さを増していた。 ﹁ちょうどいい、次はここを重点的に洗ってもらおうか。ただし⋮ ⋮そのおっぱいで、だ﹂ ﹁え、ええっ!?﹂ 身を起こし、岩盤に腰かけた両脚の間に、彼女の上半身が移動す る。 そのまま、大ボリュームでせり出した肉の双球が⋮⋮むにゅぅぅ うっ! と俺の熱い肉棒を挟み込んだ。 ﹁っく、おぉ⋮⋮こ、これは予想以上にっ⋮⋮!﹂ ﹁や、あっ熱ぅっ⋮⋮!? お、おっぱいでこんなことぉ⋮⋮っ! 43 ?﹂ 元クラスメートの巨乳姫騎士による、初めての泡まみれパイズリ。 ふにゅふにゅの巨大なマシュマロのような、お湯の詰まったシル クの水風船のような。 なんともいえない心地良さが、優しく俺のフル勃起チンポを包み 込む。 ﹁すごいな、完全に俺のが挟めるじゃないか。おっぱいのサイズ、 いくつ?﹂ ﹁う⋮⋮き、きゅうじゅうっ⋮⋮90のEカップ、です⋮⋮っ!﹂ 魔隷への強制力が、恥ずかしい告白を引き出す。 隠れ巨乳だって評判だったけど、まさかそこまでだったなんて嬉 しい誤算だよ。 ﹁あうぅ⋮⋮さ、最悪ぅ⋮⋮! は、恥ずかしいよぉぉ﹂ ﹁さあ、そのまま谷間からチンポを逃がさないように、そのEカッ プおっぱいでしごき洗いだ﹂ いい匂いのする濡れた黒髪を、指先でもてあそびながらの指示。 ぬぷっ、ぱぷっ、にゅるるんっ⋮⋮とエッチな音を鳴らし、キリ カがパイズリ奉仕を強制される。 ﹁こ、こんなことさせて何が楽しいのか全然わかんないっ⋮⋮!﹂ ﹁男心がわかってないな∼、姫騎士クラス委員さんは。学校でも宮 廷でも、男どもは君のおっぱいをそういう目で見てたと思うぜ﹂ ﹁う、嘘よっ! そんな変態みたいなこと考えてるのっ、あなただ けだわっ⋮⋮あうぅ!﹂ 44 憧れの美少女の、高嶺の姫騎士の谷間が、今初めて俺だけに捧げ られている。 独占する征服感にチンポはますますいきり立ち、真っ赤に膨らん だ亀頭がキリカの眼前に何度もグイグイ迫って、彼女を怯えさせる。 ﹁うう⋮⋮こ、これ、熱くてガチガチでっ、人間の体じゃないみた いで気持ち悪いぃ⋮⋮!﹂ ﹁気に入ってもらえて嬉しいよ。ああ、そうそう⋮⋮ひとつ教えと こうか。魔隷の、持続時間のことを﹂ 唐突に変わった話題に、怪訝そうな顔でパイズリしつつ耳を傾け るキリカ。 俺の支配をなんとか脱しようとしてる彼女には、聞き逃せない情 報だ。 ﹁それは、隷属させられてる者の魔法抵抗の強さに反比例する。魔 法抵抗を持たない凡人なら、俺が解除しない限り半永久的に続くけ ど⋮⋮君みたいな抵抗スキル持ちはそうじゃない﹂ それを聞いて、キリカの表情に希望がさした。 あいかわらず胸でチンポをしごきながらってギャップが、妙に興 奮するけど。 ﹁⋮⋮いいの? そんなことを私にバラしてしまっても﹂ ﹁構わないさ、この程度。もちろん術式をかけ直せばリセットされ るし、具体的なスパンを教えるつもりもないからね﹂ ﹁それでも⋮⋮十分な収穫よ。あなたが何らかの理由でかけ直せな い状況に陥ったりしたら、この隷属が解けるチャンスがあるってこ とだわ。私は決してあきらめない⋮⋮システィナ姫さまにも、手を 出させはしない⋮⋮ッ!﹂ 45 ああ、やはり、彼女は面白い。 魔隷という絶望的な支配を受け、辱められてもなお、希望を捨て ず俺に立ち向かおうとしている。 姫騎士の称号は伊達じゃないってわけだ。 かけ直す と そして、そんな彼女だからこそ、いつか心から屈服させてやると いう決意がふつふつとたぎってくる。 ﹁それでこそ姫騎士キリカ。じゃあ、さっそく⋮⋮ しようか﹂ にやりと笑う俺に、この状況で魔法を? といぶかしむキリカ。 ﹁詠唱以外にも、魔法の媒介にはさまざまなものがある。たとえば そう、体液だ。血液なんかが代表的だけど、隷属の術式には他にも うってつけのものがある﹂ カケ直す ってね。いくら姫野さんでも、意味わかる ﹁え⋮⋮ま、まさか⋮⋮!?﹂ ﹁文字通り よねっ⋮⋮!﹂ 天国のような肉球凶器で快感を高められたチンポは、もう爆発寸 前。 意味を悟った姫騎士の怯え顔めがけ、カウパーを漏らした先端が ぷるぷる小刻みに震えている。 ﹁ま、まさかアレを私の、かっ顔にっ!? や、やだ嘘ぉっ!!﹂ ﹁逃げちゃダメだぞ、こってりブチまけてやるからなっ⋮⋮さあラ ストスパートだっ、思いっきりおっぱいで押し潰すみたいにしろっ ! 俺も、ほらこうしてっ!﹂ ﹁や、やぁっ、あうぅっ!? えっ、ちっ乳首だめぇぇっっ!!?﹂ 46 不意打ちで俺に乳首を両方つままれ、可愛い声で鳴くキリカ。 すっかり勃起したままのコリコリした突起をもてあそばれても、 彼女はされるがままだ。 憎い俺のチンポに熱烈なおっぱい奉仕を続ける動作を、止めよう にも止められない。 ﹁射精すると同時に、乳首でイクように命令出してやるからな⋮⋮ くうぅっ!!﹂ ﹁やだやだやだぁぁっ!!? そ、そんなイキ方したくないよぉぉ っっ! んやっ、あはぁぁぁっっ!!﹂ にゅぱんっ、にゅぱんっと真ん中のチンポを圧迫してしごく90 cmの姫騎士巨乳。 風呂場の熱でうっすら上気し、黒髪が何筋か貼り付いた顔を狙う、 ぎちぎちの赤黒い亀頭。 俺は腰の奥で荒れ狂うオスの衝動を解き放つと同時に。 きゅぅぅうっっ!! と、充血した乳首を指先でつねり上げて命 令を放った。 ﹁ううっ、イクぞっ、顔面にご主人様のマーキングだっ!! 精液 ぶっかけられて、乳搾りでイッてしまえ、姫野キリカぁっ!!﹂ ﹁やっやだっあっあっっあっ⋮⋮⋮⋮ひぐぅぅぅあぁぁ∼∼∼∼∼ ∼っっっ!!?﹂ どびゅるっ、どぷっどびゅるるるぅぅぅ!!! のけぞって乳首絶頂したキリカの柔らかな巨乳に圧迫、いや圧搾 され。 すさまじい勢いで肉棒の先から、ねばつく白濁液が姫騎士の顔面 47 にぶちまけられた。 次々と、自分でも驚くほどの量が、整った美少女の顔を、黒髪を、 汚していく。 ﹁はぅっ⋮⋮はぷぁっ!? あぁぁっ⋮⋮んはぁ、やぁぁ⋮⋮っ! !﹂ ﹁く、うくっ⋮⋮! う、おっ⋮⋮ま、まだ出るっ! お前は俺の だっ、俺だけの魔隷だぞキリカっ⋮⋮ううっ!﹂ ﹁や、やらぁぁ⋮⋮! あ、あなたのにぃ、なんかぁぁ⋮⋮!﹂ ﹁身も心も俺のものになるまで、これから毎日、こうして刻み込ん でやる⋮⋮体の中に、外に、俺の所有物だって証をな⋮⋮!﹂ ねっとりと臭く白いミルクが、魔力の媒介となって新たな隷属の 証を刻み込む。 荒い息を吐いて、乳首イキの余韻と汚された屈辱に身を震わせる キリカを見下ろしながら、俺はこの上ない征服感にひたっていた。 そして⋮⋮タイミングを見計らったように。 湯気とイヤらしいにおいのたちこめる風呂場に、ふたつの人影が 現れる。 ﹁隷属術式の更新、ちゃんと終わったようですねっ、ご主人様!﹂ ﹁あーあー、姫騎士サマってば思いっきりカワイイ顔にひっかけら れちゃってまぁ⋮⋮出しすぎだぜ、マスターってば﹂ もやの向こうから現れる、金髪のセミロングと、ワイルドな長い 赤毛。 ﹁えっ、あ、あなたたちは⋮⋮っ!?﹂ 48 べっとりと顔に白濁を付着させたまま、違和感に混乱するキリカ。 無理もない。 女法術師ニーナと女戦士アメリア⋮⋮俺の二人の魔隷。 だが、今の彼女たちは。 表情といい口調といい、今までの人形のようなそれではなく⋮⋮ まるで普通の人間のように、活き活きとしていたのだから。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV7 スキル:︻隷属魔法LV6︼ ??? 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV5 スキル:︻聖騎剣技LV3︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 49 05話:女冒険者たちと、食卓 ﹁自己紹介まだでしたね、姫騎士さん。わたしはニーナ、法術師で す。元冒険者で、今はもちろんトオル様の魔隷⋮⋮あん、ご主人様 のおちんちん、美味しいですぅ﹂ ﹁はぷっ⋮⋮あたしはアメリア、よろしくな。あんたの聖騎剣技、 だっけ? ありゃ凄いもんだなぁ、盾ごと吹っ飛ばされたのは初め てだぜ⋮⋮ちゅっ、れろろぉっ⋮⋮!﹂ 俺の股間で揺れる、セミロングの金髪とワイルドな赤の長髪。 二人で、射精したチンポをていねいにお掃除フェラしながらの自 己紹介。 キリカは赤面しつつ、その光景から目をそらせずにいる。 ﹁ど、どういうこと? 昨日とは全然⋮⋮﹂ ﹁様子が違うのが不思議かい? これはね、君とのセックスでレベ ルアップしたおかげだよ﹂ 例外のキリカを除いて、今までの魔隷は必要最低限の反応しか返 さない人形じみた人格になっていた。 を戻す能力だ。 隷属魔法のスキルレベル6で獲得したのは、そんな魔隷たちに 本来の人格 もちろん、俺をご主人様として敬い絶対服従するという部分だけ が、元と違う。 なお、新たに得たスキルの情報は自動的に脳内インプットされる から安心だ。 50 地球と違って便利なルールで動いてる異世界だね。 ﹁この二人は、俺の起こした村娘誘拐を調査しにやってきた冒険者 パーティの一員だ。お察しの通り、隙をついて一人ずつ魔隷にして いったってわけさ﹂ ﹁うふふっ、えっちドレイにされちゃいましたぁ﹂ ﹁マスターに二人仲良く、な﹂ キリカと違い、彼女たちは隷属魔法の存在を想定してなかった。 魔隷術師というジョブ自体、この世界では伝説上のものになりか けていたらしいから無理もないが。 普通の術師が使う魅了魔法は、知性の低い動物を従わせるのがせ いぜいだ。 俺はおそらく今の世界唯一の、人間を隷属させる異能の持ち主と いうわけだ。 ﹁せ、説明はわかったから! なんで私にこんなもの見せるのよっ !?﹂ ﹁そりゃ、お掃除フェラを覚えてもらうために決まってるだろ﹂ ﹁ううっ⋮⋮や、やっぱり最低⋮⋮﹂ あと、キリカの恥ずかしがる反応が楽しいのは言うまでもない。 なので彼女には、1mくらいの距離から観察させる命令を出して いるのだ。 ﹁魔隷としちゃあたしたちが先輩だもんな、よく見ててくれよ姫騎 士さま﹂ ﹁アメリアったらぁ、さっき負けたのちょっと根に持ってない?﹂ ﹁そ、そんなことないぞ﹂ 51 恥じらう姫騎士を気にもとめず、水着のような下着だけをつけ、 俺に奉仕する元冒険者パーティの二人。 とろんとした瞳に、ハートマークのような魔力の紋様がうっすら 浮かんでいる。 ﹁⋮⋮わたし、真っ先にご主人様に隷属させられちゃったんですよ ねー。村娘に混じって捕まった人のフリしてたご主人様と、二人っ きりになった隙に﹂ ﹁まあ、先に術師をなんとかするのが鉄則と思ったからなあ⋮⋮う っ、上手になったなニーナ、ずいぶんとおしゃぶりが⋮⋮っ!﹂ ﹁ふふっ、喜んでもらえて嬉しいです。たくさん仕込まれちゃいま したからね∼﹂ ニーナはやや幼児体型で、ひかえめな胸と術師らしい細身で真っ 白な肌の持ち主。 くりっとした瞳が猫のように愛嬌たっぷりなのが、人格が戻った 今だとよくわかる。 ミルクをなめるように舌を伸ばしてチンポをくすぐる顔は、実に 楽しそうだ。 ﹁ニーナの様子がおかしいと思って、問いただしてる間にあたしも やられちゃったんだっけか。魔法抵抗ないとあっさりだよな、ほん と⋮⋮ま、おかげで仲良くマスターのおチンポ様にお仕えできてる わけだけど﹂ ﹁ニーナはともかく、アメリアも処女だったのはちょっと驚いたな。 俺より年上だったし⋮⋮しかも中はニーナより狭かった﹂ ﹁は、恥ずかしいからはっきり言わないでくれよマスター、そうい うことはさ!﹂ アメリアは戦士らしく鍛えられ日焼けしているが、筋肉質という 52 より野生動物めいたしなやかな長い手足に、しっかり女らしく柔ら かい肉のついた胸とお尻を持つ。 切れ長の眼に、意志の強そうな流線型の眉、こちらもまた違った タイプの魅力だ。 チンポにも竿といわず先端といわず、情熱的にキスの雨を降らせ てくる。 ﹁それはそうと二人とも、掃除にしちゃ続けすぎだろ⋮⋮うっ!﹂ ﹁ええ∼? だってご主人様のおちんちん、美味しすぎですよぉ⋮ ⋮ちゅるっ、ちゅっ﹂ ﹁よしニーナ、こうやって二人でおチンポ様を楽しませてやろうぜ。 はぷっ⋮⋮﹂ ﹁あっそれ名案ね、アメリア⋮⋮んっ、ちゅぷうぅぅ⋮⋮っ﹂ 二人で一本のハーモニカを演奏するような形で、いつの間にかま たギンギンになったチンポを両脇から挟む唇ふたつ。 ﹁う、うわ⋮⋮あ、あんなことまでするの⋮⋮!?﹂ 淫らなコンビネーションを、息を呑んで見つめるキリカ。 俺は再び高まってくるリビドーを感じつつ、眼下の金髪と赤髪を わしわしとなでる。 ﹁もっと教えてやれよ二人とも、いつもどうやって俺とセックスし てるかを﹂ ﹁は、はぁい⋮⋮ニーナはご主人様に抱っこしてもらいながらハメ られるの大好きですぅ⋮⋮お、奥に当たるのが気持ちいいのっ⋮⋮﹂ ﹁あ、あたしはバックからおチンポ様にガンガン突かれるのに弱く て、何回も先にイッてしまうんだ⋮⋮っ。バージン奪われた時も、 後ろから無理矢理ぃぃ⋮⋮!﹂ 53 ﹁や、やだぁっ⋮⋮! き、聞かせないでそんな話っ⋮⋮!﹂ いやらしい告白をしながら、愛おしそうに金玉をさわさわと撫で るニーナ。 指で輪っかを作り、根元をリュコリュコとしごきたてるアメリア。 そして同時に肉の幹を、ぷにぷにした圧迫で挟み撃ちにされるの だからたまらない。 ﹁くっ、くおぉっ!? 限っ界っ⋮⋮だっっ!!﹂ ﹁きゃっ!? すっすごぉいっ!﹂ ﹁あはぁっ、出た出たぁっ!﹂ ﹁やっ、こ、こっちにまでっ!?﹂ どぷっ、どくっどぷんっっ⋮⋮と、三人の美少女に見られながら 放たれる白濁液。 今日二回目だというのに、一部はキリカのいるあたりにまで飛び 散った。 二人の魔隷冒険者は、われ先にと争ってそれを舌で受け止める。 ﹁お掃除なのにお射精しちゃダメですよぉ、ご主人様ぁ⋮⋮んうっ、 またどろどろぉ⋮⋮﹂ ﹁お前なあ⋮⋮舐めながらこっそり精力強化のエンチャントかけて ただろ、ニーナ﹂ ﹁えへへ、バレてましたか﹂ ﹁どうするマスター、もう一回やりなおしか? それとも⋮⋮﹂ とろけた表情で、口元にかかった俺の精液をお互いに舐め合いな がら。 うずうずと何かを期待する目線で、お尻をふりふり、俺を見上げ る二人。 54 ﹁いや、それより先にご飯にしよう。さすがに腹ぺこだよ﹂ ﹁おっけー、任せてくれよマスター。腕によりをかけるぜ﹂ ﹁あ∼、わたしは料理スキルぜんぜんなので⋮⋮一緒に待ってまし ょうか、姫騎士さん﹂ ﹁え、ええ⋮⋮﹂ こくん、と精液を当然のように呑み込んで、フレンドリーに話し かけるニーナ。 一見普通の女の子に見える魔隷に、どう接したらいいかわからな いという様子のキリカだった。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮おいしい﹂ 木のお椀に盛られた春野菜と鴨肉のシチューをすすって、驚いた ように言うキリカ。 今は姫騎士装束の鎧部分を外し、インナーだけを身に着けている。 フリルに彩られた青いネクタイつきのブラウスに、折り目のつい たミニスカート。 どこか制服を思わせる清楚なスタイル⋮⋮この格好でエッチする のもいいな。 ﹁でしょでしょ? アメリアはこう見えて、わたしたちのパーティ でもシェフ担当だったんですよ﹂ ﹁こう見えては余計だ。でも、へへ、王宮で美味しいものに慣れて そうな姫騎士さんに褒めてもらえると嬉しいね﹂ 55 ニーナとアメリアも、ゆったりしたローブとチュニック姿で同じ 食卓についている。 人形のような魔隷に囲まれてたこれまでと違って、急に賑やかに なったもんだ。 ﹁ううん、お世辞じゃなく本当においしいわ。⋮⋮ここだけの話、 宮廷の仰々しい料理ってちょっと味気なくて。よく冷めてるし﹂ ﹁ああ、そうなんだ? 意外と苦労してるんだなぁ、姫騎士様も﹂ ﹁そうね、こういう新鮮な素材を活かしたシンプルな料理の方が、 私たちの味覚に合うのかも⋮⋮あ﹂ 流れで俺と普通に会話をしていることに、ワンテンポ置いて気付 いたキリカが、ぷいと口をとがらせて横を向く。 でも、スプーンを上下させる動きを全然止められてないのがかわ いいぞ。 なるほど、姫騎士は意外と美味しいものに弱い⋮⋮これは覚えて おこう。 ⋮⋮それにしても、こういう時間は意外と悪くないな。 思えば、誰かと楽しく話しながら食事をするなんて、ずいぶん久 しぶりな気がする。 ﹁ところで、小田森くん。あなたが魔隷にした冒険者はあと二人、 いるはずよね﹂ ﹁残り二人のことが気になる?﹂ 食事が一段落ついた所で、キリカが言葉を選びながら聞いてくる。 そりゃ彼女にとっては、俺の戦力を正確に把握しておきたい所だ ろう。 56 どんな人物なのか、今どこで何をしているのか。 ﹁教えちゃってもいいんですか、ご主人様?﹂ ニーナの問いに、俺が口を開こうとした⋮⋮その時。 から外れた﹂ 結果 を ピシリ⋮⋮と俺の頭の中で、何かが割れるような異音が鳴った。 反射的に、机に両手をついて立ち上がる。 ﹁どうしたんだ、マスター?﹂ 魔隷術師のスキルが、空間を越えて今まさに起こった 知らせてきた。 間違いない。この感覚は。 枠 ﹁残りの二人⋮⋮そのうち一人が、今。 俺の支配の ﹁え? どういう、こと⋮⋮?﹂ ﹁それって⋮⋮まさか!?﹂ ざわつく魔隷たちに、俺は重々しく答える。 ﹁ああ⋮⋮死んだか、それとも何らかの理由で解放されたってこと になる﹂ 明らかにしなくちゃならない。 俺の魔隷に、何が起こったのかを。 57 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV7 スキル:︻隷属魔法LV6︼ ??? 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV5 スキル:︻聖騎剣技LV3︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 女法術師ニーナ ジョブ:法術師LV5 スキル:︻強化魔法LV2︼︻空間魔法LV2︼︻治療魔法LV1︼ ??? 女戦士アメリア ジョブ:戦士LV6 スキル:︻剣技LV3︼︻盾技LV3︼︻料理LV1︼ ??? 58 06話:来訪者と、魔の誘い 夕暮れが迫る、薄暗い林の中。 あれから、すぐに武装して洞窟を発った俺たち四人。 草木の間を足早に抜けて、とある目的地に向かっている。 可憐な姫騎士装束に騎士剣を携えたキリカ、剣と大盾を装備した アメリア、杖にローブ姿のニーナ。 俺は厚手のフードローブをまとい、武器は特に持たないスタイル だ。役目はあくまで司令塔だしな。 ﹁術式が途切れたのはシエラちゃんの方だけなんですね、ご主人様 ?﹂ ﹁ああ、少なくとも今のところはね﹂ 一体 で構 ﹁ナナの方がどうなってるかは、まだわからないってことか⋮⋮﹂ ニーナたちのパーティは、女性ばかり+性別のない 成されていた。 残りのメンバーは、エルフの弓使いにして精霊術師、シエラ。 そして変わり種、生きた鎧アーマーゴーレムのアールマV7、通 称ナナ︵名付け親:ニーナ︶。 錬金術師に造られた魔法生物が冒険者に加わることは、この世界 ではそれなりにあるらしい。 中でもナナは、自分の意思でニーナたちと行動を共にしていた変 わり種だったようだが。 ﹁それにしてもあなたの隷属魔法、まさか魔法生物にまで効くなん てね⋮⋮﹂ 59 ﹁ま、あれも一種の知的生命体だからね﹂ ﹁んで解除されちまった原因は、どんな可能性が考えられるんだ、 マスター?﹂ そう、そこが非常に重要なところだ。 術式の効果時間が切れるタイミングは、もちろんまだまだ先だっ た。 ﹁ひとつはディスペルマジックなんかの解呪魔法。でも、この可能 性は低い﹂ 解呪魔法は、かけられた魔法の術式を理解していなければ効果が ない。 つまり、半ば伝説化していた隷属魔法を解除する難易度は並大抵 じゃない。 ニーナの話では、おそらく今の世界に隷属魔法を初見で解呪でき る術師はいないということだった。 ﹁それよりはまだ、単純に魔隷が⋮⋮死んでしまって自動的に解除 された可能性の方が高い﹂ ﹁そんなぁ⋮⋮! 無事かなあ、シエラちゃん⋮⋮﹂ パーティメンバーの死という可能性に、ニーナが泣きそうな顔に なる。 魔隷になっていても、仲間への感情や思い入れは変わらない。 ﹁泣かないでニーナ、まだそうとは限らないわ。あるいは小田森く ん⋮⋮あなたの知らない解除方法が、あるってことにならないかし ら?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 60 まさに、そこが俺の懸念だった。 そしてもし、そんなものがあり得たとすると。 この探索にキリカを連れて行くこと自体、彼女にそれを知られて しまう結果を招くかもしれない。 だが、紛れもなく姫騎士は俺の最強の手駒だ。 起こっている謎の事態に対処するには、彼女の力が必要かもしれ ない⋮⋮悩んだ末、キリカも同行させるという判断に踏み切った。 ﹁⋮⋮ま、それを確かめるのも目的のひとつさ﹂ ﹁落ち着いてるのね。魔隷が死んだとしてもあなたの心は痛まない の?﹂ ﹁さあね、悲しむかどうかはまだわからないな。⋮⋮でも﹂ 暗い瞳で、俺は林の奥をにらむように見つめた。 ﹁俺の魔隷に手を出した奴を、俺は許さない。それだけだよ﹂ ﹁たいした独占欲ね。⋮⋮そこには、私も入ってるのかしら?﹂ ﹁もちろん。さあ、先を急ごう﹂ それきり会話は途絶え、俺たちは暗い林の中をただ駆けていった。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮静まりかえってますね。人影とか、戦闘の痕跡は何も見えま せん﹂ 61 片眼鏡にエンチャントされた遠視魔法で、目標地点の偵察結果を 報告するニーナ。 俺たちは少し離れた丘の上⋮⋮遠視魔法の効果範囲ギリギリから、 林に囲まれた小さな屋敷を見下ろしている。 彼女たち冒険者パーティが、もしもの時の拠点として用意してい たギルドハウスだ。 魔隷から話を聞いた俺は、シエラとナナを、ここに保管されたア ーティファクトや魔術書などの回収に向かわせていた。 そして支配が途切れたのは、ちょうど彼女たちがここに着く頃の タイミング。何らかの手掛かりが残っている可能性は高い。 あるいは、原因となった何か⋮⋮それとも何者かが、まだ中に。 ﹁どうするの、小田森くん?﹂ ﹁⋮⋮行ってみるしかないな。頼りにしてるよ、姫野さん﹂ ﹁はいはい。まあ支配は解きたいけど、死んで解除ってのはさすが にゴメンだし﹂ 自嘲ぎみに笑って、腰の騎士剣に手をやるキリカ。 こうして俺たち四人は、屋敷への突入を開始した⋮⋮。 ※ ※ ※ それ はあった。 襲撃や罠を警戒しつつ、屋敷の中へと踏み込んだ俺たち。 二階のほとんどを占める広い部屋に ﹁なんだ、これは⋮⋮!?﹂ 62 部屋の中央、床から天井までを虹色の光が円柱状に取り巻いてい る。 そして内側に倒れている、細身の人影がひとり。 尖っている耳から、エルフであるとわかる。 ﹁シエラちゃん!﹂ ﹁待て、誰もそれに近付くな! ニーナ、これは一体なんだと思う ?﹂ ﹁ええとぉ、ダメージ軽減用の空間障壁魔法に似てますね⋮⋮でも、 こんな色のものは見たことも⋮⋮﹂ これが俺の隷属魔法を解除した原因なのか? とにかく内部のシエラが生きているかどうかを見極めようとした、 まさにその時。 ﹁くふふっ⋮⋮よく来たのぉ、魔隷術師よ﹂ 頭上から、時代がかった口調のやや幼い声。 空間が紫色の魔力で歪み⋮⋮奇妙な姿をした小柄な少女がそこに 出現した。 真っ白な肌を漆黒のゴスロリドレスに包んだ、ビスクドールのよ うな美少女だ。 大きく赤い瞳には、人を見下すサディスティックな笑みが浮かん でいる。 そして透き通るような長い銀髪から突き出る、雄牛とも山羊とも つかない太い二本の角。 額には、縦長の目玉を模したような紫色のまがまがしい紋様が刻 まれていた。 63 ﹁その角、額の魔紋⋮⋮まさか、魔族! それも、かなり高位の⋮ ⋮!﹂ ﹁然り。わらわの名はパルミューラ。第四位階に位置する魔貴族で ある﹂ 空中で脚を組み、悠然と言い放つ、少女の姿をした魔族パルミュ ーラ。 俺よりも2∼3歳年下に見えるが、実年齢は間違いなくケタ違い だろう。 ﹁ま、魔族のランクは全七段階⋮⋮四位より上は、人間界にはめっ たに出現しない大物ですっ!﹂ ニーナの声が震えている。 確か、最下位のレッサーデーモンですら駆け出し冒険者には絶対 かなわないような強敵だったか。 はは、まさかこんな大物が出てくるなんてな⋮⋮! ﹁ああ安心せよ、そこな娘の命に別状はない、指一本触れてはおら ん。 我が秘術、次元断層によって一時的にこの世界より隔絶されてお るだけよ﹂ 虹の光に囲まれたシエラを指して言う。 次元断層⋮⋮つまり、世界自体のレベルで遮断されてるってこと か。 なら納得がいく。携帯が圏外になるように、俺の術式も異世界ま では届かない。 ﹁まいったね、そんな解除手段があったなんて。ところで、ナナ⋮ 64 ⋮一緒にいたアーマーゴーレムはどうした?﹂ ﹁ああ、このデク人形のことか? 抵抗しおったゆえ、おぬしを待 つ暇つぶしの遊び相手になってもろうたぞ、許せ﹂ 紫色の空間から、巨大な赤銅色の全身鎧⋮⋮魔法生物アールマV 7の体そのものを、軽々と引きずり出す魔族少女の細腕。 床にガシャリと落ちたその巨体はボロボロで、あちこちがへこん でいた。 ﹁ナナちゃん!?﹂ ﹁ス、スマナイ、ゴ主人⋮⋮! シエラ、守レナカッタ⋮⋮﹂ ﹁気にするな、ナナ。無事ならいい⋮⋮それで魔貴族さんとやら、 俺の魔隷にまわりくどいちょっかいを出してくれた理由はなんだ?﹂ くふふ⋮⋮とパルミューラの小さな口元が歪み、赤い瞳が俺を射 貫いた。 ﹁おぬしと会いたかったからじゃ、数百年ぶりの魔隷術師。 そう⋮⋮そなたを、我が魔族陣営に引き入れるために、な﹂ ﹁っ!? なん、だって⋮⋮?﹂ 俺ばかりでなく、キリカやその場の全員が息を呑んだ。 まさか、俺をおびき寄せるためにこんなことをしたっていうのか。 ﹁ふふ、魔界でも伝説と化しつつあった魔隷術師⋮⋮その術式の反 応がわらわの魔力網にかかった時は流石に驚いたぞ。次元断層まで 用意するのは面倒じゃったが、こうすれば必ずここに来ると踏んだ からのう﹂ 65 そもそも魔族とは、魔界で果てしない勢力争いを続けている種族 らしい。 人間界には、エネルギー源や生贄となる生物を狩りにきたり、た だ暇つぶしに混乱や破壊をもたらすはた迷惑な存在だ。 ﹁俺の力を、あんたたちの内輪もめに利用できるって判断か﹂ ﹁なかなか理解が早いの。さよう、わらわの右腕となれ魔隷術師。 さすれば、人の身では味わえぬ栄光と快楽、永遠の愉悦を与えてや ろう﹂ 石膏のような白い手が、芝居がかった動作で差し伸べられた。 全員の視線が、俺に集まる。 ﹁そうか、じゃあ答えはひとつだ。⋮⋮断る﹂ 俺は即答した。 それ以外に、答えはなかった。 ﹁⋮⋮ふむ、聞き違いかの? 従えば、この娘も返してやるという に﹂ ﹁何度でも言ってやるよ、ノーだ。俺は思う所あって、第二の人生 は自分の好きに生きるって決めててね﹂ ﹁小田森くん⋮⋮﹂ ﹁誰かの顔色をうかがって生きるのも、まっぴらごめんだ。誰かを 従えることはあっても、俺は誰にも従わない。決してだ﹂ 俺はゲスで悪人だが、だからこそ俺に命令できるのは俺だけだ。 俺はこの世界で好きなように生きて、その結果は全部受け入れる。 それが以前キリカにも聞かせた、俺の唯一のルールだった。 66 ﹁そして俺の魔隷を奪おうとしたお前を、俺は許さない。俺のシエ ラは奪い返させてもらうぞ、魔貴族!﹂ ややあって、くふふふ⋮⋮と愉しそうに口元をほころばせるパル ミューラ。 ﹁そうか、そうか⋮⋮分不相応な力を得て、慢心しおったか。なら まずは教育してやらねばならんな、その程度の力ではかなわぬ相手 がおることをな!﹂ 差しのばされた腕が上下反転し、小さな手のひらに紫の魔力が収 束した。 まずい、詠唱もなしでか⋮⋮と思った時には、そこから球状の魔 弾が放たれていた! ﹁⋮⋮はぁぁッ!!﹂ ただひとり、キリカがそれに反応した。 淡い輝きを帯びて振り抜かれた騎士剣が、俺に迫る魔力弾を切り 払い、消滅させたのだ。 少しだけ不愉快そうに、片方の眉をはね上げるパルミューラ。 ﹁ほう⋮⋮聖騎剣技か。忌々しい技よ﹂ ﹁そう、あなたたち魔族と戦うために編み出されたスキルよ﹂ 黒髪と青いマントをなびかせ、魔貴族に一歩もひるまず剣を突き つけるキリカ。 予想はしてたが、さすが姫騎士、ここまでとは⋮⋮よく勝てたな、 俺。 67 ﹁なるほど、他の魔隷と違っておぬしは意志を保っておるようじゃ の。では、今のうちに聞いておこうか﹂ 今度はキリカに、真紅の瞳が注がれた。 ﹁見ての通り、わらわが秘儀を尽くせば、未熟な隷属魔法は解除で きる﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁そこな魔隷術師がさぞ憎かろう? わらわに敵対せぬと約束すれ ば、こやつを痛めつけて刃向かう心を折った後に、おぬしを支配か ら解放してやってもよいぞ﹂ なるほどね⋮⋮断ったことを俺に後悔させるパフォーマンスの一 環ってわけか。 キリカが、ちらりと俺を振り返った。 俺と彼女の視線が一瞬、無言で交わった。 ﹁⋮⋮せっかくだけど、お断りするわ﹂ ﹁ほう? これはまた意外な⋮⋮﹂ ﹁なめないでちょうだい、私は姫騎士! その誇りは、魔隷となっ ても変わらないわ。人類の天敵、魔族と取引をするくらいなら、こ のままの方がまだマシよ!﹂ 騎士剣をまっすぐに掲げて、姫騎士キリカは堂々と言った。 俺の前に現れた時と同じ、あの凛とした横顔で。 ﹁ありがとう、信じてたよ﹂ ﹁嘘ばっかり。とにかく、ここを切り抜けるわよ小田森くん。あな たの卑怯な頭で、作戦を考えてちょうだい﹂ 68 ﹁ひどい言われようだ⋮⋮まあいいや、じゃあなんとかしてみるか、 みんな!﹂ ﹁は、はい、ご主人様!﹂ ﹁ああ、ナナを痛めつけてくれたお返しだぜ!﹂ キリカとアメリアが前に進み出、後列のニーナと俺を守る陣形を 組む。 少女魔貴族は、そんな俺たちを見下ろし、あざ笑う声をもらした。 ﹁くふふ⋮⋮よかろう⋮⋮ならば魔貴族パルミューラの実力、そし て己の無力。 とくと味わい知るがよいぞ、魔隷術師ッ!﹂ ※ ※ ※ 魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV7 スキル:︻隷属魔法LV6︼ ??? 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV5 スキル:︻聖騎剣技LV3︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 女法術師ニーナ ジョブ:法術師LV5 スキル:︻強化魔法LV2︼︻空間魔法LV2︼︻治療魔法LV1︼ ??? ※前回と今回、ニーナのスキルにミスがあったので修正しました。 69 女戦士アメリア ジョブ:戦士LV6 スキル:︻剣技LV3︼︻盾技LV3︼︻料理LV1︼ ??? 70 06話:来訪者と、魔の誘い︵後書き︶ なんだかバトルものみたいですが、次回はHシーンになだれ込む予 定ですのでご安心ください。 71 07話:魔貴族少女と、魔の契り ﹁おらおらッ、どうしたパルミューラッ! さっきまでの威勢はっ !!﹂ ﹁ひっひぃぃっっ、ひぐぅぅっ、あひゃぁぁぁうぅぅっっ!!?﹂ いやらしく湿った水音に、泣き叫ぶ快感混じりの高い悲鳴。 ﹁魔貴族の実力がなんだってっ!? もう一回言ってみてくれよ、 なあ!? ほらほらぁっ!!﹂ ﹁こっ壊れっっ、わらわもう壊れるぅぅぅっっ!! ゆっ許してく れぇぇっっ、あっあぁぁぁ∼∼∼∼∼っっっっ!!?﹂ ズチュズチュドチュッッと、情け容赦ない肉棒ピストンを四つん 這いの魔貴族美少女に叩き込む。 ﹁誰が無力を思い知るって? チンポ突っ込まれて無力を思い知っ たのはどっちだ、さあ答えろっ!﹂ ﹁わ、わらわじゃ、わらわの方ですぅぅ⋮⋮! あああっ口が勝手 にぃっ!?﹂ ﹁ようしいいぞおっ、ほら命令出してやるからしっかりマンコ濡ら せ!﹂ ﹁ひゃぁあああんっっっ!? わ、わらわの意に反して体がっ、体 がぁぁっ!? こやつのモノを迎え入れておるなぞ、うっ嘘じゃぁ ぁ⋮⋮!﹂ いい手触りの黒ゴスロリ生地ごしに細い腰を抱え、俺はパルミュ ーラをバックからガンガン犯している真っ最中だ。 72 ﹁くっ、狭くていい締まりだぞっ! そろそろ三発目ブチこむから なっ⋮⋮小さな子宮で服従ザーメンちゃんと飲み干せよっ、うっく ぁぁっっ!!﹂ ﹁ひあっ、もっもうやめっ⋮⋮んぁぁあひぃぃぃ∼∼∼∼∼っっっ !!?﹂ なぜ、こんなすばらしい状況になっているのか。 少し時間をさかのぼって、その過程をもう一度思い返してみよう。 ※ ※ ※ ﹁くふふ⋮⋮どうした、逃げておるだけではどんどん後がなくなっ てゆくぞ、んん? 大口を叩いたからには、もう少しわらわを楽し ませてみせよ!﹂ 優雅に足を組んだ姿勢のまま天井近くに浮遊し、俺たちを挑発す るパルミューラ。 その周囲からは闇色をした無数の魔力弾がひっきりなしに生成さ れ、雨あられと周囲に降り注いでいる。 ﹁くそっ、あいつムチャクチャしやがる! あたしの盾、そろそろ もたないぜ!﹂ ﹁やっぱりというか、魔法で弱体させようとしても抵抗に阻まれち ゃいますっ!﹂ ニーナの強化魔法で対魔法防御力を上げられたはずのアメリアの 大盾が、あちこち削り取られて今にも砕けそうだ。 73 キリカも聖騎剣技で流れ弾を切り払うのに精一杯で、反撃するチ ャンスを掴めずにいる。 ケタ違いの魔力による爆撃じみた猛攻に、俺たちは防戦一方だっ た。 一気に勝負をつけにこないのは、俺をいたぶり無力を実感させる のが目的だからに過ぎない。 ﹁このままじゃジリ貧だわ。小田森くん、何か手はないのっ!?﹂ ﹁あるといえばある。あるけど⋮⋮﹂ おそらく唯一の勝機。 それはパルミューラに俺の隷属魔法をかけることだ。 俺を魔界での勢力争いに利用するつもりだと、あの魔貴族はうそ ぶいた。 ということは、魔族相手だろうと効くはずなのだ、魔法抵抗さえ 貫けば。 問題は、当然あの極悪ゴスロリもそれは警戒してるだろうという こと。 近付くことさえ困難なこの状況で、一体どうやって⋮⋮! ﹁いや⋮⋮待てよ。そうか、近付かなくても⋮⋮!﹂ ある記憶と共に、俺の頭に閃いたのは、あまりにも突拍子もない 奇策。 でも、だからこそ⋮⋮試してみる価値はある。 やってみなければどのみち、可能性はゼロだ。 74 魔力弾にどんどん削り取られていく二階を階段付近まで後退しつ つ、俺は小声で口を開いた。 ﹁いいか、みんな。耳を貸してくれ̶̶﹂ ※ ※ ※ ﹁さぁて、そろそろ魔隷をひとりずつ叩きのめし再起不能にしてや るとするか。 ⋮⋮ほう姫騎士、おぬしがその一番手となるのを希望か?﹂ 石造りの階段の裏側に身を隠した俺たちの所から、キリカだけが 騎士剣を構えて飛び出したのを見て、余裕しゃくしゃくのセリフを 吐くパルミューラ。 見てろよ、その生意気な態度を絶対に後悔させてやる⋮⋮! ブリリアント・バースト ﹁この奥の手を受けてもまだ余裕でいられるかしら、魔貴族さん。 我が気高き剣に来たれ、破邪の霊光⋮⋮聖光爆濤破ッッ!!﹂ 真紅の魔力が姫騎士を取り巻き、水平に構えられた剣から聖なる 波動が放たれる。 一瞬、パルミューラの人を見下した笑い顔が真剣なそれへと変わ った。 ジェットブラック・ヴォルテックス ﹁ここまでの聖騎剣技を身に付けていたか、ならばわらわも本気を 見せよう! 我が魔力にねじ曲がれ亜空⋮⋮漆黒螺旋渦動!﹂ 75 掲げられた細い両腕から、螺旋状にうずまく膨大な闇の魔力がほ とばしった。 空間を歪ませる黒い波動と、聖なる奔流が正面からぶつかりあう。 激突の余波が、屋敷の天井や床板をメリメリとはがしていく。 ﹁く、ううっ⋮⋮! ダメ、押し返され、るッ!?﹂ ﹁くふふ、人の身でよくぞと褒めておこう。じゃがの、第四位階の 魔貴族に挑むにはちと無謀であったなぁ姫騎士!﹂ 騎士剣が上下にがくがく震え、聖なる力がじわじわと押し返され る。 キリカの敗北が時間の問題となった、まさにこの時。 ﹁おい、こっちを見ろ魔貴族パルミューラ! この性悪ロリババア !﹂ ﹁ああん? ⋮⋮⋮⋮なぁぁ!?﹂ さしものパルミューラが、小さな口をぽかんと開けて絶句した。 驚くのもまあ、無理はない。 隠れ場所から立ち上がった俺は、仁王立ちで⋮⋮脱いだ股間を、 いきりたったチンポ先を、かがんだアメリアの唇に突っ込んでいた のだから。 ﹁な、な、なっ⋮⋮気でも触れたかっ、魔隷術師っ!?﹂ ﹁いたって正気だぜ! ううっ、いいぞアメリアっ⋮⋮チンポごと 持ってかれるような吸い付きのいいフェラだっ⋮⋮!﹂ ﹁はぷっ、ちゅぶぶっっ! んぁ、ぷあっ⋮⋮んぶっ、ぶちゅるる ぅぅっ!!﹂ 76 激しく赤毛を前後に揺らして、俺のいきり立ったモノを唇でしご きたてる女戦士。 呆然としていたパルミューラの表情が、わなわなと激しい怒りを 帯びる。 ﹁そのような下らん痴態ショーで、わらわが隙を見せるとでも思う たか⋮⋮! おぬしはもう少し頭の切れる人間じゃと思っておった ぞ!﹂ 魔力の螺旋流が弱まるどころか、轟音をたててより太く強く膨れ あがった。 キリカは床に片膝をつき、今にも押し切られそうな様子だ。 ﹁いや、全部計算通りだぜ。これが俺の勝ち筋だっ⋮⋮くぅぅっ!﹂ キリカが飛び出す前から始めていた濃厚なフェラによって、俺の チンポが爆発の瞬間を迎えた。 アメリアの口からチュポンと抜いた肉棒を⋮⋮パルミューラに向 ける! ﹁い、イくっ⋮⋮うっ!! い、今だニーナっ!﹂ ﹁はっはい! テレポートオブジェクトっ!﹂ びゅるびゅるるっ⋮⋮と、宙に放たれる精力強化された大量の白 濁液。 それをニーナの転送魔法が、テレポートさせたその先は。 ﹁⋮⋮ひゃぁんっ!? あぷっ⋮⋮な、なんじゃこれ、は⋮⋮ま、 まさか!?﹂ 77 人形めいて端正な小顔に、赤い瞳の周囲に、額の魔紋に、ねっち ょりと濃厚な精液が貼り付いた。 両腕を突き出し秘術を放っているため、防ぐこともできない無防 備なチャンス。 魔力激突の余波で近付くことはできなくても、転送された物体な らたどり着く。 ﹁精液は隷属魔法の媒介になる⋮⋮確かにそう言ってたわね、小田 森くん。 ⋮⋮それにしてもまあ、ひどい作戦だわ﹂ ﹁き、貴様っ、貴様ぁぁっ⋮⋮こ、このわらわの顔にっ! 高貴な る魔貴族の面体に何をひっかけおったぁっ!?﹂ むろん、高い魔法抵抗を持つ相手に対し、これだけで隷属が完成 したりはしない。 支配力がおよぶのはせいぜい一瞬。 だが、この場合その一瞬で十分だった。 ﹁体液を介した簡易術式にて命ずる、魔貴族パルミューラ! ﹃今放っている魔力を自分に逆流暴発させろ﹄ッ!!﹂ ﹁し、しまっ⋮⋮うぉぉぉぉぉっっっっ!!?﹂ 慌てて飛びすさるキリカ、盾で俺たちをかばうアメリア。 直後、すさまじい轟音と閃光が、屋根を半ば吹き飛ばす勢いで炸 裂した。 爆炎が晴れた時⋮⋮そこにはえぐれた床に力なく落下したパルミ ューラの姿があった。 怒りで膨れあがったみずからの最大奥義にくわえ、キリカの放っ た破邪の秘剣⋮⋮魔族に特効の一撃も、まとめて喰らったのだから 78 ただでは済まない。 しかしなんだな⋮⋮顔射で魔貴族を倒した人間なんて、俺だけだ ろうな。 ※ ※ ※ ﹁く、はっ離せ! 触れるな人間ごときがっ、このわらわに⋮⋮っ !﹂ あちこちボロボロになったゴスロリドレス。キリカとアメリアに 手足を取り押さえられ、じたばたもがくパルミューラ。 最大奥義の暴発は、魔貴族からほとんどの戦闘力と魔力を奪って いた。 ﹁おーおー、形勢逆転されても威勢のいいことで。どうする、マス ター?﹂ ﹁そりゃもちろん⋮⋮みっちりと隷属の術式を叩き込んでやらない となあ、パルミューラさまの高貴なお体に﹂ ﹁やっぱりそうなるわよね⋮⋮まあ、この状況じゃ仕方ない、か﹂ ため息をつくキリカの前で、俺はニーナの魔法で再びギンギンに なった肉棒を取り出す。 突きつけられたグロテスクなブツに、ひっ⋮⋮と息を呑む魔貴族 美少女。 ﹁や、やめいっ! そのような醜悪で下品で悪臭を放つ汚物、わら わに近付けるでない! ゆっ許さんぞ絶対にっ⋮⋮きゃひぃっっ! 79 ?﹂ べちぃぃん! と肉の打ち合う音と、短い悲鳴。 アメリアの唾液にまだ濡れたチンポで、白い陶器のような頬をビ ンタしてやったのだ。 ﹁ひどい言いぐさだな、これからその汚物をたっぷり味わってもら うって言うのに。口の悪い子にはチンポビンタの刑だ。ほーらほら、 ぺちぺーち﹂ ﹁ううっ、く、臭いぃぃ⋮⋮! こ、このような屈辱っ、必ずや永 劫の生き地獄の中で後悔させてやるぞ魔隷術師っ⋮⋮お、押しつけ るなぁっ!?﹂ ﹁へえ、そりゃ怖い。じゃあその前に俺がイキ地獄を体験させてあ げよう﹂ ﹁あなたほんといい性格してるわよね、小田森くん﹂ 絹のような手触りの銀髪をくしゃくしゃと撫でつつ、キッと俺を にらむ殺意に満ちた顔をぺちんぺちんとチンポで好き勝手になぶる 征服感。 キリカにジト目で見られながらってのがまた、余計興奮してしま うぞ。 ﹁か、必ずやその肉体を寸刻みにして魔界の業火に⋮⋮んぷぅぅぅ っっっ!!?﹂ なおも生意気なセリフを吐こうとした口を、不意打ちのチンポ挿 入でふさぐ。 狭くてあったかくて、人間同様にいい感触だ。 ﹁おおっ、これが魔貴族さまの口内粘膜かぁ⋮⋮ああ噛み切ろうと 80 してもムダだぜ、ニーナの強化魔法で防御力上げておいたからな﹂ ﹁よくそんな使い道次々と思いつきますね、マスターは⋮⋮﹂ ﹁んんぅぅぅっっ!!? はぷ、んぷぷぅぅぅっ!? ん∼∼∼っ っ!!﹂ ちょうどいい位置に突き出た、硬い二本の角を両手でがっしり掴 む。 それをハンドルのように使って、ジュポジュポと魔貴族口まんこ をオナホ扱いだ。 赤い瞳で睨まれつつ、小さな口に自分のチンポが出入りする光景 は、最高に興奮する。 ﹁なかなかいい使い心地だぜ、パルミューラ! 待ってろ、服従術 式の詰まったドロドロザーメン、お上品なノドにこってり流し込ん でやるからな⋮⋮っ!﹂ ﹁っっ!? んっんんっっ!!? んぶっっ、んぷぅぅうう!!? ? ぷぁあああん!!?﹂ 弱々しく首を振って逃れようとするも、その抵抗はあまりにも無 力。 必死にチンポを食い千切ろうとしているようだが、せいぜい甘噛 み状態で余計気持ちいい。 押し出そうと動くちっちゃなベロも、鈴口やカリ首にあちこち当 たってランダムな快感をくれる。 ﹁よおしニーナ、アメリアっ、顔寄せて舌を出せ! 3Pキスで精 液量さらにブーストだ﹂ ﹁はぁい、ご主人様っ! ⋮⋮んっ、ちゅぷ、れろろっ⋮⋮あは、 魔貴族さんにすっごい見られてるぅ﹂ ﹁あ、あたしにもあとでご褒美チンポ様くれよ? ⋮⋮れりゅっ、 81 んちゅうぅぅ⋮⋮ちゅぱぷっ!﹂ 他の女たちを交えてのいやらしい舌遊びを見せつけられながら、 射精便器のように自分の口を使われるのはよりいっそうの屈辱だろ う。 涙目になりつつあるパルミューラの表情に、さんざん苦しめられ た溜飲が下がるのを感じつつ、俺は角ハンドルを握りしめ激しく上 下させた。 じゅぼっじゅぼぼっっ、じゅぶちゅぶぢゅっっ!! ずっちゅぬっちゅぶっ!! ﹁っくぉおおっ、さあ出すぞッ、射精ぶちまけてやるぜパルミュー ラっ! 人間様の精子、全部呑み込め⋮⋮よぉぉっっ!!﹂ ﹁んっんうぅぅっ⋮⋮んぶっっ!? んぷぅ、うぷぁ⋮⋮んぁぐぅ ぅぅぅううんっっ!!?﹂ どぷんっっ!! びゅるるんっっ、どくどぷぅぅっっ!! 掴んだ硬い角を思いっきり引いて、ちっちゃな唇を俺のチンポ根 元に密着させた状態での大噴射。 強制力はまだ働いてなくても、ほとんど直接ノドに流し込まれる 大量のネバネバ液を、パルミューラは飲み下すしかない。 ﹁んっんくっっ⋮⋮ご、くっ⋮⋮こくんっっ、ごきゅぅうっ⋮⋮ご きゅんっ、ごくくんっ⋮⋮!﹂ ﹁くっ、うぅぅ⋮⋮! こ、この征服感やばいなっ⋮⋮!﹂ 高貴な魔貴族美少女の食道に、たっぷりと注がれ続けるすさまじ い量。 82 白いのどがこくこく必死に動き、死にものぐるいでそれを飲み下 し続けている。 ちらっとキリカの方を見ると、息を呑んでその光景を凝視してい て、俺の視線に気付いて慌てて赤面し目をそらした。 その可愛い反応のおかげで、さらに精液がびゅるっとひと出し追 加される。 ﹁う、うえぇ⋮⋮げほっ! き、貴様ぁぁ⋮⋮! こ、このわらわ に、よくもこのようなぁぁ⋮⋮けほっ!﹂ ずるんっと口からチンポを抜くと、さっそく涙目でにらんでくる パルミューラ。 その額、瞳のような魔紋の周囲を緑色の魔力が円環状にとりまい た。 まだ完全にとはいかないが、精液を介した隷属術式がしだいに彼 女を支配しつつある証拠だ。 ﹁たった一発で何言ってるんだ、まだまだこれからだぞ? 次はい よいよ、魔貴族マンコに直接注入タイムなんだからな﹂ ﹁な、なぁっ⋮⋮!?﹂ ﹁さあ、俺の命令を聞けパルミューラ。尻を突き出して、ご主人様 になる男にお前の一番恥ずかしい部分をさらすんだ﹂ ﹁か、体が勝手にっ⋮⋮!? よ、よもやわらわの魔法抵抗がっ、 抜かれつつあるなどと⋮⋮いっ嫌じゃぁぁぁっっ、そっそんな格好 はぁぁっ!!﹂ がくがくと全身が震え、パルミューラの中で抵抗と服従がせめぎ あう。 だが、ゆっくりとその体が床に倒れ込み、黒いドレススカートに 包まれた尻を俺に突き出すようにさし上げていく。 83 地球でも見たことがないほど高級そうな、幾重にも折り重なった 半透明のフリルがみずからの震える手で持ち上げられ、同じく黒の ガーターベルトと精緻なレースの下着があらわになった。 ﹁ようしいいぞ、効いてきてるな。じゃあマンコを情けなく濡らし ながら答えろ、お前が処女かどうかをはっきりと、な!﹂ ﹁ひっ⋮⋮な、なんじゃ体が熱く⋮⋮!? こ、答えなどするもの か、そのような無礼極まるっ⋮⋮そ、そうじゃ処女じゃ、わらわは まだ性行為をいたしたことなどないっ⋮⋮き、生娘じゃぁぁ⋮⋮!﹂ ﹁あら、意外﹂ ﹁ははははっっ! こりゃ傑作だな、パルミューラちゃんお前、し たこともないくせに人間の及びもつかない快楽がどうとか偉そうに 言ってたのか!?﹂ ﹁う、うううるさいうるさいぃぃっっ!! だっ黙れ殺す殺すぅぅ ぅっっ!!﹂ 必死に暴れて姿勢を変えようとするが、そのたびフィルムを逆回 しするように、はしたなくケツを突き出した同じバック挿入待ち体 勢に戻ってしまう。 俺は笑いながら、強化魔法がいらないほどガチガチになった肉棒 を、黒い下着と柔らかい股間の肉の合間に押し当てた。 ぷにっと柔らかく閉じた純白の割れ目が、うっすらと透明の愛液 に濡れて光っている。 ﹁何百年大事にしてきたか知らないが、俺に奪われるために取って おいてくれたと思うと感無量だね。それじゃあいよいよ犯すぞ、覚 悟はいいなパルミューラッ!﹂ ﹁や、やめろ、やめるのじゃっ⋮⋮そっそれだけはっ、お願いじゃ 止めっ⋮⋮ひっひぎぃぃっっ!!? あぐぅぅぅぅうううううぅぅ っっっ!!?﹂ 84 細い腰を思いっきり両手で抱え、ぐぐぐっ⋮⋮と硬めの抵抗を押 しのけ、ぷちぷちと膜を破る感覚に到達。 子供のように狭い膣穴に、にゅるるぐんっ⋮⋮! と。 俺の怒り狂った肉棒が、中ほどまで一気に打ち込まれた。 ﹁ああぁぁぁっ⋮⋮あ、あぁぁ⋮⋮ひぃぃあぁぁぁぁっっっ∼∼∼ ∼!!?﹂ 脳が焼けるような征服感、蹂躙感、達成感。 処女魔族マンコの吸い付くようなチンポざわり。 たまらない密着感に締め付けられながら、しばし陶酔していた俺 に⋮⋮! ﹁痛っ!? なんだこれ⋮⋮?﹂ ばちっと、静電気のはじけたような感覚が右手の甲に発生した。 見ると、そこにはやや禍々しい爪と牙、瞳のようなデザインを組 み合わせた赤い紋章が浮かんでいる。 契りの魔紋 が、このような人間 どことなく、パルミューラの額にあったものと似てるような? ﹁あ、ああっ⋮⋮わ、わらわの ごときにっ⋮⋮!﹂ ﹁契りの、魔紋? おい、それはどういう⋮⋮っぐうぅ!? な、 なんだこの感じはっ!?﹂ ﹁ど、どうしたんだマスター!?﹂ とてつもない快感と共に、みっちりパルミューラにおさまったチ ンポからエネルギーが体に逆流するような感覚。 レベルアップの実感を数十倍にしたような、とてつもない何か。 85 そして俺の脳裏に、覚醒した新たなスキルの知識が降りてきた⋮ ⋮いったい何が起こったのかを、理解するための情報が。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵レベルUP! 新たなスキルに覚醒した︶ ジョブ:魔隷術師LV7↓9 スキル:︻隷属魔法LV6↓7︼︻魔の契約LV0↓1︼ ??? 姫騎士キリカ︵レベルUP!︶ ジョブ:姫騎士LV5↓7 スキル:︻聖騎剣技LV3↓5︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 女法術師ニーナ︵レベルUP!︶ ジョブ:法術師LV5↓7 スキル:︻強化魔法LV2↓3︼︻空間魔法LV2↓3︼︻治療魔 法LV1︼ ??? 女戦士アメリア︵レベルUP!︶ ジョブ:戦士LV6↓7 スキル:︻剣技LV3︼︻盾技LV3↓4︼︻料理LV1︼ ??? 86 07話:魔貴族少女と、魔の契り︵後書き︶ 次回もまだまだ、がっつりお仕置きHですよ。 87 08話:お仕置きと、新たな力 手の甲に刻まれた、禍々しい 契りの魔紋 を眼前にかざす。 魔貴族パルミューラは俺にバックから挿入されたまま、絶望的な 表情を浮かべてそれを振り返った。 ﹁なんなんだマスター、そいつは?﹂ ﹁これは上位魔族の額にある魔紋と対になっている。魔力の主導権 を、これが刻まれた相手に委ねるという服従の証だ﹂ スキル獲得と共に頭へと流れ込んできた知識。ニーナがなるほど と相槌を打つ。 ﹁あっ、魔法学校で習いましたそれ。だから魔界は、それを介した 支配関係や姻戚関係が重要な社会なんですよね﹂ ﹁ええ、そして魔界に勢力争いが絶えない理由のひとつでもあるわ﹂ だが通常、それはあくまで魔族同士でしか成立しない。 隷属契約の術式を応用し、人の身でありながら魔族と契りをなし 上位に立つ。 それこそが魔隷術師の持つ、規格外のスキルのひとつだった。 ﹁わかるぜ、パルミューラ。見えない魔力の流れが、俺とお前の間 を繋いでいることがな﹂ ﹁う、あうぅっ⋮⋮! よ、よもやこのような事態に陥ろうとは⋮ ⋮っ!﹂ 魔族は強大な力とほぼ永遠の寿命を持つ反面、魔力がなければ存 88 在を維持できない種族だ。 つまりパルミューラは、生殺与奪を俺に握られてしまったことに なる。 乱暴にたとえるなら通帳とクレジットカードを押さえられてしま ったようなもんだ。 ﹁しかも魔族の膨大な魔力が、俺に流れ込んできたおかげで⋮⋮隷 属魔法のレベルも一気に上がったのを感じる。こりゃたっぷりお礼 をしないと⋮⋮なっ!﹂ ﹁⋮⋮んひっ!? きゅ、急に動っ⋮⋮ひああぁぁぁっっ!!?﹂ 感謝をこめて、黒い花弁のようなドレススカートに包まれたお尻 に腰をぱぁん! と打ち付ける俺。 初めて迎え入れたチンポで敏感な粘膜をえぐられ、パルミューラ の嬌声が響く。 ﹁どんな気分だっ、魔界第四位階の魔貴族さま!? 見下していた 人間に処女を奪われ生命を握られ、動物みたいに犯されて完全敗北 するってのは!﹂ ﹁ひっあひぃぃっ!? な、なぜわらわがこのようなぁ目にぃぃ⋮ ⋮卑しい人間風情にっ、玩具にすぎん下等生物などに支配されるな どっ、あ、あってはならんことじゃぁぁっ!! ひゃうぅう!!﹂ パンッパンッとリズミカルにバックから攻め立ててやると、拳を キュッと握って屈辱と初めての感覚に叫ぶパルミューラ。 今や隷属術式も完成し、人形のような体はまるで無抵抗だ。 ﹁くっ、それにしても⋮⋮初めてにしちゃ濡れやすいし、いいウネ り具合だなっ、魔貴族さまのマンコは! ひょっとしてお前、普段 からオナニーしまくってたんじゃないか?﹂ 89 ﹁なぁっ!? ば、馬鹿にするのも大概にせよ、わっわらわがその ような⋮⋮な⋮⋮っ!﹂ ビクンとあからさまに動揺して、慌てて否定しようとした言葉が 途切れる。 隷属の強制力は、質問への嘘を許さない。 ﹁⋮⋮は、はい、しておるっ、わらわ毎日オナニーしておるっ⋮⋮ や、ちっ違っ!? こ、これは違うのじゃっ、ああっ言わすなぁぁ ぁ!!﹂ ﹁へぇぇ∼、二日に一回ペースのわたしよりしてるんですねぇ、魔 貴族さん﹂ ﹁あの、ニーナ? あなたまで言わなくても﹂ イヤイヤと角を振って、必死にじたばたもがくパルミューラ。 この魔貴族娘、なんだか無性にイジメたくなるな。 ﹁くくっ、傑作だな。どうやっていつもオナってるのか、しっかり みんなに説明してやれパルミューラ!﹂ ﹁あっあああっ⋮⋮ゆ、指でっ、入り口すぐをくすぐったりっ⋮⋮ く、クリトリスをつまんでいじったりしておる、のじゃぁぁ⋮⋮! き、聞くなっ聞かないでくれぇぇっ!!﹂ 興味津々と耳を傾ける人間たちに、もっとも恥ずかしい情報を告 白する。 そのすさまじい羞恥と屈辱に、白いうなじや耳まで真っ赤になっ て、顔を両手で覆う魔貴族少女。 ﹁へえ、魔貴族のお嬢様はクリが敏感なのか。よし、誰かいじって やれよ⋮⋮ほらっ!﹂ 90 ﹁っっきゃうぅぅんっっ!?﹂ 細い両脚を抱えて軽い体を持ち上げ、姿勢を変える俺。 まるで幼児におしっこをさせるようなM字開脚ポーズで、パルミ ューラの恥ずかしい場所を真正面に広げてやる。 ﹁う、うわぁ⋮⋮!﹂ ﹁やっ、いやじゃイヤじゃこんな格好ぉ!? そっそれにこの角度 っ、アレが奥まで深く入っ⋮⋮ひぎっ、ひゃぁぁうっ!?﹂ ﹁はーいっ、じゃあわたしやりますね、ご主人様っ!﹂ 命令によってみずからスカートをつまんで持ち上げさせ、結合部 を魔隷たちに向け晒させる屈辱ポーズ。 ニーナが楽しそうに、ずっぽりハマったチンポのすぐ上の可愛い 豆に舌を伸ばした。 ﹁や、やめよ人間っ⋮⋮んあっひぃぃ!? 舐めっ、そんなとこ舐 めるっなぁぁっ、ふ、ふあぁぁぁ⋮⋮っ!?﹂ ﹁どんな味だ、上位魔族のクリトリスは?﹂ ﹁ん∼、ミルクみたいな甘ぁい味しますよぉ⋮⋮ふふっ、ぷっくり 尖っちゃって、これ相当ふだんからイジってますね魔貴族さん?﹂ ﹁だ、黙れ黙れやめんかぁぁ! あっやっ、しっ舌ではじくなぁっ !? ひっ⋮⋮お、奥も一緒にえぐられっ⋮⋮るぅぅぅっっ!?﹂ ニーナのおかげで、チンポへの締め付けがさらにキュウキュウと キツくなっていい感じだ。 俺は抱えた腰をゆっくりと上下にゆすり、狭い膣内を奥までねっ とり味わい尽くす。 ﹁アメリア、姫野さん! せっかくだしみんなで一緒にこいつを可 91 愛がってやろうぜ、先輩魔隷からのご挨拶だ﹂ ﹁よしきた! へへっ、あたしの盾をボロボロにしてくれたお礼は きっちりしてあげないとだな﹂ ﹁シエラちゃんとナナちゃんのぶんもですね!﹂ ﹁わ、私は別に⋮⋮って、か、体が勝手に!? め、命令されてな いのに!﹂ 隷属魔法のレベルアップにより、俺は口に出さなくても簡単な命 令なら直接体に飛ばせるようになっていた。 薄い胸を覆うレースが二人の手で引き下げられ、つつましい貧乳 が空気にさらされる。 かすかに膨らんだ真っ白な肌で自己主張する薄桃色の突起ふたつ に、左右からそれぞれ⋮⋮⋮⋮。 ﹁ひっあひゃぁぁんっっ!? ちっ乳首一緒にぃぃぃっっ!!?﹂ ﹁んっ、れろろっ⋮⋮おぉ、ほんとだ、なんか甘い味するぜ、赤ち ゃんの肌みたいにきめ細かいし﹂ ﹁ちゅっ⋮⋮れりゅっ、わっ私までこんなことぉ⋮⋮! んふ、ち ゅぷっ!﹂ ノリノリの赤髪女戦士と恥ずかしそうな黒髪姫騎士が、魔貴族の ちっちゃな乳首を舌先でイジる、非現実的光景。 その間にも女法術師にクリをしごかれ、少しずつ強くなる俺のス トロークに開通したばかりのマンコをほじられているのだからひと たまりもない。 ﹁ぜっぜんぶっいっぺんにぃっ!! いっぺんにされたらあぁぁぁ っ!? ひっあひっ!? おかしくっ、わらわおかしくなってしま うぅぅ∼∼∼っっ!!?﹂ ﹁ははっ、命令出すまでもなくイケそうだなパルミューラっ! さ 92 あイッちまえ、見下してた人間にイカされて鳴けっ! そらそらそ らあぁぁっ!!﹂ 真っ白なお腹に、チンポの形がうっすら浮き出るほどのラストス パートピストン。 魔貴族のキツい処女穴は、三人の美少女魔隷の舌攻めで溢れた大 量の愛液によって、それをしっかり快感として受け入れてしまって いる。 そして、トドメの一撃がコリッとした奥の子宮口を、ずずんッ⋮ ⋮と押し上げた! ﹁⋮⋮あ!? あ、あ、ああっ⋮⋮んひぃぃあぁぁぁぁっっっ!! ? だっだめぇぇぇじゃぁぁぁっっっ∼∼∼∼∼っっっ!!!﹂ どぷんっっ!! 勢いよく狭い最奥ではじける大量の白濁液。 人間の、俺の熱い精液が、本来近付くことすら不可能な魔貴族の 胎内に、どきゅっどくんっと注がれていく。 生物として格上の存在を、無理矢理自分のモノにする強烈な征服 感だ。 ﹁うっ、くぅぅッ!! しっかり子宮で覚えろよっ、これがお前と 契約した、お前を支配した唯一絶対の主人のザーメンだっ!!﹂ ﹁あ、あひっ、あうぅぅ⋮⋮⋮⋮! わ、わらわの中にぃぃ⋮⋮熱 いものがぁ、入ってくるぅぅ⋮⋮!!﹂ ﹁きゃっ!? あは、魔貴族さんのが顔にかかってますっ﹂ ぷしゅっ、ぷしゃあっ⋮⋮! 背筋をのけぞらせつつ絶頂の証拠、愛液のしぶきをニーナに放っ てしまうパルミューラ。 93 がくがくと銀髪を、小柄な体全体を震わせて初めての膣内射精に 圧倒されている。 キリカとアメリアはうっすら上気した顔で、そのさまを見つめて いた⋮⋮。 ※ ※ ※ それからパルミューラは、強化魔法でブーストされた合計4回の 射精を膣内に叩き込まれ、幾度となく甘い泣き声をあげて絶頂を重 ねた。 前から後ろから俺のチンポでほじくられ、三人の魔隷に幼い性感 を開発され、ついに気を失ったのは、半壊した屋敷をすっかり夜闇 が包む頃。 そしてエルフのシエラを囲んでいた虹色の次元断層もあとかたな く消失し、俺は彼女を魔隷として無事回収したのだった。 ※ ※ ※ ﹁しっかし派手に壊しやがって⋮⋮こりゃ、ここはもう放棄した方 がいいな。第二の拠点に使おうと思ってたんだが﹂ ﹁今更だけどあんなのによく勝てたわね、私たち﹂ ﹁ああ、あの作戦が成功しなけりゃヤバかった。それにしても内容 を伝えた時の姫野さんの表情ときたら⋮⋮﹂ ﹁わ、わざわざ思い出させないでよ、馬鹿っ!﹂ 94 深夜、かろうじて無事だったギルドハウス一階の広間。 俺とキリカはソファーに腰を下ろし、戦いの余波でヒビの入った 窓から月を眺めていた。 制服に似た白いアンダーウェア姿に、風呂あがりのつややかな黒 髪が美しい。 シエラ、そしてアールマV7ことアーマーゴーレムのナナは、治 癒魔法を心得たニーナが別室で看ている。 シエラは無傷で捕らえられていたし、魔法生物のナナには自己修 復能力もあるので、二人︵?︶とも明日には動けるようになるだろ う。 アメリアは食事の片付け後、疲労で寝入ってしまった⋮⋮彼女に は新しい盾を用意してやらないとな。 ﹁さすがの姫騎士も、あんな大物との死闘は初めてだった?﹂ ﹁ええ、第四位階以上にもし会ったら全力で逃げろ、それは恥では ない⋮⋮って教えがあるくらいよ﹂ お仕置きバトル でも大活躍だ﹂ ﹁良かったじゃん、結果的には勝てたしレベルアップしたし。その 後の ﹁だ、だからあれはあなたの命令でっ⋮⋮!﹂ 赤面してひとしきり俺をにらんだ後、ふとその表情が冷静になる。 黒く綺麗な瞳が、まっすぐ俺を見つめた。 警戒と、かすかな畏怖の視線。 ﹁⋮⋮あなたは今日、とてつもない戦力を手に入れたことになるわ ね﹂ 第四位階の魔貴族すらも従わせる。それは人の身に余る大いなる 95 力だろう。 魔隷術師というジョブが、伝説とまで言われるわけだ。 ﹁いや⋮⋮でもさすがに、あの力をそっくりそのままってわけじゃ ない。魔の契りにはデメリットもあってね、俺からパルミューラに 供給される魔力は、俺のスキルレベルに制限されるんだ﹂ 手の甲にうっすら光る魔紋を月にかざし、脳に刻まれた知識を口 にする。 ﹁それってつまり、あなたの魔隷になった彼女はさっきの戦いの時 より弱体化してるっていうこと?﹂ ﹁うん、少なくとも今はね。俺のスキルレベルが上がれば別だけど ⋮⋮今のパルミューラのポテンシャルは、だいたい第五位階の下の 方と同等じゃないかな?﹂ ﹁それでも魔騎士か、指揮官級魔族レベルじゃない⋮⋮私と互角以 上ね﹂ 彼女の瞳が、無言で訴えている。 そんな力を得て、あなたはいったい何をするつもりなのか、と。 俺はそれを無視して、逆にひとつの疑問を口にした。 ﹁不思議に思っていたことがある。そんな伝説上の存在、魔隷術師 の出現を、パルミューラはともかく君が察知していたのはなぜだ?﹂ この世界で再会したあの時、キリカは俺より先に魔隷術師の名を 口にした。 数件の行方不明事件と冒険者パーティひとつの失踪で、そこまで 想像がおよぶとは思えない。 96 ﹁⋮⋮あなたに隠し事は無意味ね。その可能性を私に教えたのは、 システィナ姫さまよ﹂ キリカの主君、システィナ・ランバディア第三王女が、いったい なぜそれを? ﹁ランバディア王家の女性に、建国女王から代々受け継がれたスキ ルよ。一種の予言能力⋮⋮あいまいにだけど、予知夢の形で未来を 見ることがあるの。システィナ姫さまには、数世代ぶりにそのスキ ルが発現したのよ﹂ ﹁へえ、すごいな。卑弥呼みたいだ﹂ ﹁予言はみだりに人に教えてはならないとされてるけど、私は彼女 の側近だったから聞かされていたわ。近く、この世界に伝説の魔隷 術師が復活する⋮⋮そして、世界に変化をもたらすと﹂ 世界に変化、か。 俺もずいぶんと大きく評価されたもんだ。 ﹁それで、可能性のありそうな事件の調査には名乗りをあげるよう にしてたのよ。まあ、まさかこんなに早く出現するとは思わなかっ たし、あなただったのはもっと予想外だったけど﹂ ﹁ま、それはお互い様ってことで﹂ なら、調査から戻らない姫騎士の異変を、魔隷術師との遭遇だと 姫が結論付けるのも時間の問題だろう。 これは本腰入れて、姫を手に入れる計画を考える必要があるな。 予言スキルってのも役に立つかもしれないし。 ﹁⋮⋮またろくでもないことを考えてる顔だわ﹂ ﹁え、そう?﹂ 97 ごまかしがてら、ソファに座る位置を寄せて彼女に近付く。 乾きかけた黒髪のいいにおいが、ふんわり鼻孔をくすぐった。 ﹁今はただ、姫野さんのその格好がかわいいなと考えてる﹂ ﹁ちょっ⋮⋮や、やめっ⋮⋮あ、あんなにしたじゃない、パルミュ ーラと!﹂ ﹁いや、姫野さんもしたいのかなと思って。ずっと羨ましそうに見 てたし﹂ ﹁だっ誰がっ!﹂ 慌てる様子が可愛くて、押し倒そうかなと思ったその時。 部屋の反対側で、小柄なゴスロリ姿がふらりと立ち上がった。 別のソファーに寝かされていたパルミューラが、いつの間にか目 を覚ましていたのだ。 乱れた服や行為の汚れは、魔力の作用ですっかり綺麗になってい る。便利だな、魔族。 ﹁おっ、起きたか。どうだ、生まれ変わった気分は?﹂ ﹁最悪じゃ。最悪に決まっておるわ。魔力も制限され、このような 虜囚の辱めを受けようとは⋮⋮うう﹂ 屈辱とあきらめの混じった色で、憮然と俺をにらむ赤い瞳。 ⋮⋮あ、ちょっと涙目になってる。 ﹁それよりも、システィナ姫といったな。命令で聞き出されるのも シャクじゃから、先に伝えておくぞ﹂ ﹁え?﹂ あるいは、俺にせめてもの仕返しの一撃を喰らわせてやるとばか 98 りに。 パルミューラは、意外な言葉を口にした。 ﹁予言の姫⋮⋮その存在を狙って、動いている魔族がおる﹂ キリカが、息を呑む音が聞こえた。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV9 スキル:︻隷属魔法LV7︼︻魔の契約LV1︼ ??? 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV7 スキル:︻聖騎剣技LV5︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 女法術師ニーナ ジョブ:法術師LV7 スキル:︻強化魔法LV3︼︻空間魔法LV3︼︻治療魔法LV1︼ ??? 女戦士アメリア ジョブ:戦士LV7 スキル:︻剣技LV3︼︻盾技LV4︼︻料理LV1︼ ??? 魔貴族パルミューラ ジョブ:魔貴族LV8︵本来は少なくともLV18以上︶ 99 スキル:︻魔界魔法LV6︵本来は少なくともLV10以上︶︼︻ 魔法抵抗LV2︼ ??? 100 08話:お仕置きと、新たな力︵後書き︶ 今回ちょっと説明が多くなってしまいましたが、今後本作はジャマ にならない程度のストーリーを入れつつあくまでHシーンをメイン に展開する予定です。 その配分等に関しても、ご意見あれば感想で聞かせてくださいませ。 101 09話:闇の陰謀と、エルフ娘 魔族の位階は、以下の七段階からなる。 第七位階、レッサーデーモンやヘルウォーリアといった魔界の尖 兵たち。 第六位階、より上位のデーモンや、ランクアップしたエリート兵 力。 第五位階、魔将軍ら魔軍の指揮官級、魔騎士などの最精鋭ユニッ ト。 第四位階、魔貴族を名乗る魔界の支配階級たち。 第三位階、八冥家と称される魔界の名門八大貴族。 第二位階、三大公と讃えられる魔界三大実力者。 そして第一位階、魔界の支配者にして唯一絶対の強者⋮⋮すなわ ち魔王。 だが魔王は数千年の昔、勇者なる異能の人間と相討ち、姿を消し たという。 以後、統率者を失った魔界は果てしなき勢力争いに明け暮れてい る⋮⋮。 ※ ※ ※ ノーヴル・エイト ﹁八冥家イヴリース。ヤツは己の目的のため、予言の姫を狙ってお る﹂ 102 イヴリース。 それが、システィナ姫を我がものにしようとしている魔族。 ﹁最悪だわ、よりによって第三位階のそんな大物が⋮⋮!﹂ ﹁ふん、名ばかりの成り上がりものじゃ。わらわの血筋は千年前ま で八冥家に数えられておったというに、あやつの卑劣な追い落とし によってその座を奪われ⋮⋮ええい、思い出すも虫酸が走る!﹂ 没落貴族みたいなものだったのか、パルミューラ。 その仇敵イヴリースに対して、だいぶ思うところがあるらしい。 ﹁他人のこと言えるのか、お前? そいつに対抗する一環で俺を、 魔隷術師を手駒にしようとしてたんじゃないだろうな﹂ ﹁うっ⋮⋮﹂ 赤い目をそらすゴスロリ魔貴族。図星か。 ﹁まあいいや、で、イヴリースはなんでシスティナ姫を狙うんだ? 予言の力で何を知ろうとしてる?﹂ ﹁⋮⋮そこまではわからぬ。予言の姫を狙っておること自体、ヤツ の陰謀を常に探っていたわらわくらいしか掴んでおらぬはずじゃ﹂ まあどうあれ、人間にとってロクな目的じゃないのは間違いない だろうな。 ﹁魔界の陰謀に、システィナ姫さまが巻き込まれようとしてるなん て⋮⋮﹂ 主君にして友でもある女性の危機に、蒼白になるキリカ。 じゃが、直接ヤツが来る可能性は低かろう⋮⋮とパルミューラが 103 首を振る。 ﹁直接動けば、他の八冥家をはじめとするライバルに狙いを気取ら れる。それに高位の魔族ほど、魔界の魔力そのものと肉体が直結し ておるから、人間界では弱体化を余儀なくされるのじゃ﹂ 魔力を俺に依存してる今のパルミューラが弱体化してるのと似た 理屈か。 なるほど、人間界にいる所を他の勢力に袋叩きにされるのは避け たいだろうしな。 ﹁つまり、もっとまわりくどい方法で姫さまを手に入れようとして いる?﹂ ﹁おそらくはの。陰謀はヤツの十八番、ことによると人間を手駒に 使うやも⋮⋮﹂ 人知れず王家に、姫に迫る危機。 魔族の暗躍を、いま俺たちだけが知ってしまった。 ﹁ならランバディア王都に、そのことを知らせなくちゃ!﹂ ﹁おいおい。魔族まで引き連れた魔隷術師や、その魔隷の言うこと を誰が信じるんだ? 確か宮廷には、隷属魔術にかかってることを 見破れる術師もいるって言ってたよな﹂ ﹁そ、それは⋮⋮﹂ ﹁それに、知らせたところで高位魔族に対抗できるとはあまり思え ないな。なら、やることはひとつ⋮⋮いや、今までどおりだ﹂ システィナ姫を、俺のものにする。イヴリースとやらには渡さな い。 それだけのことだ。 104 ﹁その話を知る前から、俺は姫さまも自分の魔隷にするって決めて たんだ。八冥家だか知らないが、魔族なんぞに渡してやるかよ﹂ ﹁で⋮⋮でも、あなた怖くはないの? 魔界の大諸侯を敵に回すの よ﹂ 恐ろしいか恐ろしくないかで言えば正直怖い。背筋がちりちりす る。 だけど、それで諦めてちゃ、好きに生きることはできやしない。 ﹁なんとかしてみせるさ。だいたい第四位階の魔貴族さまにだって 本来は勝てそうになかったのに、やってみたら何とかなっただろ?﹂ ﹁くっ⋮⋮か、返す返すも不覚であったわ﹂ ﹁小田森くん⋮⋮!﹂ 複雑な表情で俺を見つめるキリカ。 今や魔隷術師が、姫を魔族から守る立場になったのだから無理も ない。 ﹁まあよい、ヤツに一泡ふかせられるなら願ったりよ。くふふ、い つかこの契約から逃れてみせるのは当然として、その計画にはわら わも乗ってやろう﹂ ﹁なにが乗ってやろう、だ偉そうに。元々お前に拒否権なんかない だろ﹂ ﹁ぐ、ぐぬぬ⋮⋮﹂ 悔しそうに口をへの字にするパルミューラ。 月明かりの下、あらためてキリカが俺に向き直った。 ﹁小田森くん⋮⋮半分だけ。半分だけありがとうと言っておくわ﹂ 105 ﹁姫野さんらしいね。ま、お姫さまは仲良く魔隷にしてやるから安 心しててよ﹂ ﹁だから半分だけなのよ、もう⋮⋮!﹂ ともあれ、まずは情報をもっと集める必要がありそうだ。 隷属術式上書き をキリカに気持ち良く そうして俺たちは、ひとまずの眠りについたのだった。 ⋮⋮もちろん、日課の 施した後で。 パルミューラに見せつけながらするのも、なかなか盛り上がるな、 うん。 ※ ※ ※ まどろみの中で、俺は奇妙な感覚に襲われていた。 腰から下がフワフワするような、何かくすぐったいような⋮⋮? ﹁⋮⋮はっ!? う、うおっ!?﹂ 朝の陽光がまぶたを照らし、意識が眠りから覚醒する。 横になって占有していたソファの上で、俺の下半身にかかった毛 布がもぞもぞと動き⋮⋮長い耳がピコンと飛び出た。 あるじ ﹁んっ⋮⋮おはよう⋮⋮主さま﹂ ﹁シ、シエラ?﹂ 緑色の、少し眠そうなタレ気味の瞳、あまり感情を表に出さない 表情。 106 ニーナのより色素が薄くふんわりしたロングの金髪は、左耳側の 前髪を一房だけ、三つ編みに結った特徴的なヘアスタイルだ︵部族 の伝統らしい︶。 森に暮らす長命種族エルフの弓使いにして精霊術師、シエラ。 四人の冒険者パーティ、最後の一人である。 そんな彼女が、今⋮⋮俺の朝立ちした息子に白い指を添え、細い 舌を這わせていた。 ﹁な、何してるんだお前っ、いや見ればわかるけど、その﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮シエラは、主さまの命令、守れなかったから﹂ 負けて、捕まって、ナナも守れなかった、とつぶやくシエラ。 抑揚のとぼしい声だが、どうやら落ち込んでいるらしい。 ﹁いや、さすがに相手が悪かったし気にすることは⋮⋮って、う、 うはっ!?﹂ ぱくっ⋮⋮と朝立ちの亀頭が、生温かいエルフの口腔に包まれた。 中で舌がにゅるにゅると踊り、敏感な輪郭をなぞるよう愛撫して くる。 ﹁う、うお⋮⋮お、お前、また上手くなってないか⋮⋮?﹂ 天性の才能なのか、シエラはフェラチオが異様にうまい。 仕込むそばから一を聞いて十を知るでどんどん上達するのだ。 ﹁んっ⋮⋮主さまに、シエラは喜んでもらいたいから⋮⋮ちゅぶ、 ずじゅぶぶ、ぶ﹂ ﹁くっ!? す、吸われっ⋮⋮お、おおおっ⋮⋮!﹂ 107 シエラは決して、舌やくちびるを慌てて激しく動かしたりはしな い。 ゆっくりねっとり、スローペースでチンポをじわじわと追い詰め てくる。 おとなしそうな顔に似合わず、どこにも逃げ場がないようなしつ こいフェラだ。 ﹁ちゅ⋮⋮⋮⋮んっ⋮⋮気持ちいい、主さま⋮⋮?﹂ しながら宝石のような碧の瞳でじっと見つめてくるのが、またチ ンポに悪い。 得意技 があった。 このまま朝一番をヌかれてしまうのも天国だろう。 だが、シエラにはもうひとつの ﹁う⋮⋮ああ、お口もいいが、前みたいにあっちでしてくれないか、 シエラ?﹂ 無口なエルフ少女の動きがぴたっと止まった。 薄いワンピースの肩ひもを、無言でゆっくりとはずす。 細身の体に似つかわしくない、真っ白な釣り鐘型の双球がたぷん っ⋮⋮とこぼれた。 ﹁あいかわらず、シエラのはパーティで一番でかいな⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ エルフは種族的に貧乳が多いらしいが、シエラは珍しく巨乳の持 ち主だ。 アメリア以上なのはもちろん、キリカよりもやや大きいんじゃな いか? 108 あっという間に、ソファーから垂直に跳ね上がったチンポを二つ のまろやかなふくらみが包む。 ﹁おおっ、うっ⋮⋮! この、エルフのきめ細かな肌が吸い付くみ たいなもちもち感⋮⋮っ!﹂ フェラ唾液でテラテラ光るチンポ⋮⋮樹液に濡れた熱い枝が、み っちり優しくコネ回される。 まるでどこにも接触せずに浮いているような錯覚すら覚える気持 ちよさ。 ﹁主さま⋮⋮おっぱい好き?﹂ ﹁ああ、どっちかというと大好きだ﹂ ﹁新しく来た姫騎士にも⋮⋮⋮⋮おっぱいでさせてたって、アメリ アが﹂ ﹁う!? まあ、させたな、あーうん﹂ じーっと見つめられる。 にゅっぽ⋮⋮にゅぽんっ⋮⋮とスローペースにおっぱいズリされ ながら。 感情が読み取れないけど、もしかして嫉妬してるんだろうか? ﹁そう⋮⋮⋮⋮でも、おっぱい担当は⋮⋮シエラが先輩だから⋮⋮﹂ じぃぃぃぃっと静かな目力と同時に、挟む乳圧もぐぐぐっと強く なった。 よくわからないが、やる気を出しているらしい。 ﹁わかってるってシエラ。お前は俺の大事なおっぱい魔隷だ﹂ ﹁ん⋮⋮嬉しい、主さま⋮⋮⋮⋮もっとするね?﹂ 109 少しずつスピードを増すエルフパイズリ。ヤバい、このままじゃ 発射は時間の問題だ。 その時、机を挟んだ向こう側のソファで、キリカの毛布が不自然 にもぞっと動いた。 ははん、あいつ寝たふりしてるな⋮⋮よし。 ﹁⋮⋮⋮⋮ひにゃっ!?﹂ シエラが、それまでと違う高い声をもらした。 水平よりやや下向きの角度で伸びた長いエルフ耳に、俺が手を伸 ばして触れたのだ。 すべすべした表面をさわさわ、根元から先まで何度もなぞってや る。 ﹁あ、主、さまっ⋮⋮み、耳⋮⋮よ、弱い⋮⋮って⋮⋮⋮⋮ひゃあ、 あ⋮⋮!﹂ ﹁ああ知ってる。でも、シエラの可愛い声が久しぶりに聞きたくて さ﹂ 目をつぶって小刻みに震えながら、性感帯をいじくられて鳴くシ エラ。 声に驚いて毛布がもそもそ動き、こっちをチラチラ気にしてるの がわかるぞ。 ﹁ほら、胸止めちゃダメだろ? シエラはおっぱい魔隷なんだから な﹂ ﹁う⋮⋮主さま⋮⋮⋮⋮いじわる⋮⋮っ﹂ 俺の耳攻めから逃れるように、巨乳のたぷたぷ動きを再開させる 110 シエラ。 じりじりとせりあがってくる射精感をこらえつつ、俺は両手で左 右の耳をもてあそぶ。 ﹁さあお待ちかねの命令だ、シエラ⋮⋮俺のミルクをエルフ乳で搾 り取りながら、開発された耳いじりで軽くイッてしまえ﹂ ﹁はっ⋮⋮はうぅ⋮⋮あ、主さまっ⋮⋮し、シエラは⋮⋮⋮⋮み、 耳で、イかされちゃう、の⋮⋮っ?﹂ ﹁ああそうだ、エルフおっぱい魔隷にふさわしい、恥ずかしいイキ 方させてやるよ。嬉しいか?﹂ ﹁う、うん⋮⋮嬉しっ⋮⋮⋮⋮ひ、にゃあっ!? あっ、あっ⋮⋮ ⋮⋮ああぁぁぁっっっ!!?﹂ 爪でひっかくように裏側を、親指の腹で押し潰すようにコリコリ した部分を。 紅く染まったエルフ耳にキュッとトドメを刺すと、シエラが細く 叫んでのけぞった。 同時にエルフおっぱいに先端まですっぽり包まれたまま、俺のチ ンポがぶるるっと震え、朝一番の白濁をどくどくっと吐き出す。 ﹁くうっっ⋮⋮! エルフ乳にっ、中出しっ⋮⋮くはっ!﹂ 耳イキしながらも巧みに、きゅむっきゅむっと乳圧で最後の一滴 まで搾ってくるアフターケア、さすがのおっぱい魔隷だ。 ﹁あ⋮⋮熱、い⋮⋮! 主さまの⋮⋮いっぱい、しぼれたぁ⋮⋮⋮ ⋮シエラのおっぱいの中、ぬちょぐちょ⋮⋮﹂ 耳をぴこぴこ嬉しそうに動かし、おっぱいをゆっくり開いて見せ るシエラ。 111 ねちょぉぉおっ⋮⋮と濃厚なザーメンが、そこで糸を引き湯気を たてていた。 ﹁よく頑張ったな、シエラ。洞窟に戻ったら、久しぶりに抱いてや るからな﹂ ﹁うん⋮⋮うれしい、主さま⋮⋮シエラはずっと、主さまのもの⋮ ⋮⋮⋮﹂ こっちが気になって仕方ないといったキリカの気配を感じながら、 余韻に浸りつつ。 今度、二人のおっぱいをWで味わうのもいいなと、俺はぼんやり 考えていた⋮⋮。 ※ ※ ※ 干し肉のサンドイッチに春キャベツのサラダという簡素な朝食︵ アメリア製︶を済ませた俺たちは、元いた洞窟に戻るため荷物をま とめていた。 ちなみにパルミューラは魔力が活動源のため、普通の食事はとら ないそうだ。 その割には、和気あいあいと食べる俺らをどこか羨ましそうに見 ていたが。 ﹁ゴ主人、ナナノ機能ハスッカリ修復サレタ。イツデモ戦エル﹂ ﹁ああ、頼りにしてるぜ、ナナ﹂ 2mを越す赤銅色の全身鎧が、ガシャガシャ音を立てて嬉しそう に近付いてくる。 112 その頭部のスリットからのぞく魔力レンズが、パルミューラの姿 をとらえた。 ﹁オウ、新入リ。ボコラレタノハ水ニ流シテヤル、アリガタク思エ﹂ ﹁誰が新入りじゃデク人形。もう一度ベコベコにしてやろうか?﹂ ﹁ナンダト、ヤルノカ、弱クナッタ小ッチャイノ﹂ 巨大なアーマーゴーレムに頭上からガンを飛ばされ、むきーっと 両手を振り上げて怒るパルミューラ。 この魔貴族、最初の威厳はどこに行ったんだ。 ﹁まあまあ、これからは仲良くしないといけませんよパルちゃんも ナナちゃんも﹂ ﹁だ、誰がパルちゃんじゃ!﹂ 冒険者パーティの3人+1体、キリカ、パルミューラ、そして俺。 気が付けば7人というなかなかの大所帯になったもんだ。 ﹁あの⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁え? あ⋮⋮﹂ 浅黄色の軽装レザーアーマーに弓と矢筒を背負ったシエラが、い つの間にかキリカのそばに立っていた。 ﹁シエラは、キリカには負けないから⋮⋮おっぱい魔隷として﹂ ﹁ちょ、ええっ!?﹂ 突然、とんでもない単語を出され真っ赤になって狼狽するキリカ。 きっとその脳内では、さっき盗み見た光景がリフレインされてる のだろう。 113 ﹁なになにシエラちゃん、おっぱい⋮⋮何って?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ひみつ﹂ ﹁なんだよー、教えろよなー﹂ ﹁やれやれ⋮⋮﹂ こうして色んな意味で賑やかになった6人の魔隷たちと俺は、半 壊した屋敷を発って拠点の洞窟へと向かうのだった。 ※ ※ ※ 精霊弓士シエラ ジョブ:精霊弓士LV6 スキル:︻弓技LV2︼︻精霊魔法LV2︼︻隠密行動LV2︼ ??? 魔法生物アールマV7︵通称ナナ︶ ジョブ:アーマーゴーレムLV6 スキル:︻格闘LV3︼︻頑強LV2︼︻自己修復LV1︼ ??? 114 09話:闇の陰謀と、エルフ娘︵後書き︶ 表記が長くなってきましたので今回からレベル・スキル表記は新規 メンバー加入時とレベルUP時のみとします。 115 10話:パーティの力と、男のロマン︵前書き︶ ※改めて、本作の方針について明言しておきます。 魔隷かそれ以外かに関係なく、今後女性キャラが主人公に手のひ らを返す、裏切る、他の相手になびく︵寝取られる︶といった展開 は、絶対に発生しません。 その点は最後まで守りますので、気になるという方はご安心くだ さい。 116 10話:パーティの力と、男のロマン ﹁我が剣に宿りし聖光、其は魔なるものを切り裂く⋮⋮てぇぇぇい ッッ!!﹂ 4mを越す巨体が、騎士剣の斬線に刻まれ、怒りと苦痛の咆吼を あげた。 凶暴無比な熊型モンスター、ルーンベア。 魔力によって変質したその体は、金属のような光沢を持つウロコ 状の装甲に守られていたが、レベルアップしたキリカの聖騎剣技は ものともしない。 ﹁風よ⋮⋮⋮⋮お願い、運んで⋮⋮⋮⋮﹂ さらに淡い浅黄色の光に包まれた矢が、物理的にありえない楕円 軌道を描いて、ルーンベアの死角からその背中にいくつも突き立っ た。 風の精霊魔法と弓術を組み合わせた、精霊弓士シエラの得意戦法 だ。 ﹁イイゾ、シエラ! ナナモ、ゴ主人ニイイトコ見セル! ヌォォ ォーッ!!﹂ その背中側では、もう一体のルーンベアとアーマーゴーレムのナ ナが、がっぷり手四つに組み合ってギリギリと力比べの真っ最中。 体格では負けているのに、押しているのはナナの方で、ルーンベ アの丸太みたいな豪腕がべきばきと痛そうな音をたてている。 117 ﹁ナナちゃんやっるぅ! そのまま抑えててね、とっておきのやつ 詠唱するからっ﹂ ﹁オウ、任セトケ、ニーナ!﹂ 帰路の途中、林の中で俺たちは飢えたルーンベア二匹の襲撃に遭 った。 このあたりでは最強クラスの要注意モンスター、少しは厄介な相 手かと思ったのだが⋮⋮。 ﹁ゴッゴァァッ⋮⋮ゴアァァァァッッ!!﹂ 刃と矢で満身創痍、狂乱したルーンベアが泡を飛ばしながら、俺 めがけ一直線に突進してきた。殺意満載のトラックが突っ込んでく るようなもんだ。 普通なら死を覚悟する状況。だが、俺はまるで動じない⋮⋮なぜ なら。 ﹁おおっとォ!! あたしがいる限り、マスターには指一本触れさ せないぜ!﹂ アメリアの構えた大盾が、壁くらいブチ抜きそうな衝撃をものと もせず受け止めた。 ランパート・ 盾自体はギルドハウスにあったスペアの店売り品だが、使い手の 盾技レベルのなせるわざだ。 しかも、ただ止めただけではない。 ﹁助かったよ、アメリア﹂ ノック ﹁へへっ、ついでにあたしの新しいスキルも見てくれよ! 攻性城 壁!!﹂ 118 バシンッ⋮⋮と、一瞬すさまじい衝撃が盾とルーンベアの間では じけた。 宙に浮くほどの勢いではじき飛ばされた巨体が、もんどりうって 地面に倒れる。 まさに攻防一体、得意の戦い方に磨きがかかってるな。 ﹁詠唱完成っ! 発動、グラビティフィールドっ!﹂ ﹁グ⋮⋮? グォッ、ゴォォォォォッッ!!?﹂ 向こうではニーナ覚えたての空間魔法によって発生した局地的な 疑似高重力が、ナナに押し返されたもう一体を地面にめり込ませた。 すかさず、狙い澄まされたシエラの一矢が額の急所を貫き、とど めをさす。 そして、よろよろと起き上がった残り一体めがけ、キリカが駆け る。 地を蹴った白銀の甲冑姿、その足下に蒼い円状の輝きが出現した。 サークル・エアリアル ﹁天翔輝円ッ! はぁぁッ!!﹂ 小さな皿ほどの輝きを足場にして、姫騎士がマントと黒髪をなび かせ天を舞う。 ルーンベアの頭上を飛び越え、首筋から背中にかけての一閃。 優雅にキリカが着地したのと同時に、その巨体は倒れ⋮⋮今度は 二度と立ち上がらなかった。 ﹁お疲れ様。いやはや、しかしすごいな、みんな⋮⋮﹂ ﹁ん⋮⋮⋮⋮がんばった﹂ 三分とかからず複数の巨体モンスターを撃退したパーティの実力 119 と連携の冴えに、素直に感嘆をもらす俺。 一体でもベテランパーティを苦戦させる強敵と聞いていたが、ま るで子供扱いだ。 ﹁⋮⋮ふう。私の聖騎剣技も、順当にレベルアップしてるみたいね﹂ ﹁わたしの魔法もです! それに、詠唱時間も魔力の消耗も、思っ たより軽減されてるような⋮⋮?﹂ ﹁ナナモ、イツモヨリ体ガ軽イ気ガシタ﹂ ﹁ああ、それはきっと俺が、魔隷術師として新たに覚えたスキルの 恩恵だな﹂ 近くにいる魔隷に、主人から魔力を供給するスキル。 それにより基礎スペックを引き上げたり、消耗をおさえることが 可能だ。 パルミューラとの契約で大きな内在魔力を得た俺には、うってつ けの能力といえる。 ﹁そいつはすごいなマスター! さすがあたしたちのご主人サマだ ぜ﹂ ﹁へえ⋮⋮そんな力まであるのね、魔隷術師って﹂ ﹁主さまと繋がってる⋮⋮⋮⋮嬉しい﹂ 魔隷たちの驚きと尊敬の視線が、俺に集まる。少しくすぐったい。 ﹁ふむ、着々と魔隷術師としての格を上げておるようじゃの⋮⋮く ふふ、さすがはわらわが見込んだ人間じゃ﹂ ﹁何偉そうにかっこつけてんだ、お前サボってただろ。後でお仕置 きな﹂ ﹁な、なにゆえっ!?﹂ 120 ともあれ、今のパーティの実力︵ひとり除く︶を確認できて、結 果オーライといえる遭遇だった。 こんなに強い美少女たちを従えているという充実感も、実に悪く ない。 この戦力をどう活かし、いかにシスティナ姫を手に入れるか⋮⋮ それは、俺の采配にかかっている。 ※ ※ ※ そんなこんなで、洞窟に戻ってきた俺と六人の魔隷たち。 ここを離れていたのはほんの丸一日程度なのに、ずいぶんと久々 な気がする。 ちなみにパルミューラは﹁こんなみすぼらしい穴ぐらにわらわが ⋮⋮!﹂と失礼な嘆き方をしたので、お仕置きポイントさらに+1 だ。 さて、今後やるべきことは、大きく分けてふたつある。 情報の収集と、戦力の充実だ。 まずはとにもかくにも、システィナ姫周辺の内情を探ることだ。 キリカからの聞き取りと併行して、やはり王都に誰かを向かわせ て直接探りを入れた方がいいだろう。 隠密行動スキル持ちで、本人も失敗を取り返したがってるシエラ が適任かな。 同行者は、もちろんキリカやパルミューラを除くメンツから選出 しよう。 121 戦力の充実に関しては、ちょうどギルドハウスから回収した諸々 が役に立つ。 エンチャント レベルアップしたニーナは、魔力の器となるアーティファクトに 魔法を充填付与できるようになった。 指輪などの装身具に強化魔法を付与すれば戦術の幅も広がるし、 魔法生物のナナは体そのものを付与対象にできるから相性抜群だ。 ただし、その儀式には時間がかかるからニーナは調査には向かわ せられないけど。 イヴリースの暗躍は気になるが、いまさら慌てても仕方がない。 という要素も含まれ いつ、何とやり合うことがあっても最大限に力を発揮できるよう みんなで英気を養う 準備を整えておくことが肝心。 そしてそれには⋮⋮ る。 うん、とても重要なことだ。 具体的には、そう⋮⋮。 ※ ※ ※ ﹁さ、最低! ほんっっっっと最低だわ、あなたって!!﹂ ﹁主さまのこと⋮⋮⋮⋮悪く言っちゃダメ⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁ああ∼、久しぶりだしドキドキするぜ。あ、あたしが一番だとい いなぁ⋮⋮﹂ ﹁ダメですよアメリア、それを選ぶのはご主人様なんですから﹂ ﹁し、信じられぬ⋮⋮! ただ辱められるばかりか、こ、このよう な扱いっ⋮⋮!﹂ 122 お尻、お尻、お尻、お尻、お尻。 清楚な白いスカートから突き出された、適度にむっちりした姫騎 士シリ。 浅黄色のミニからのぞく、きゅっと切れ上がったエルフ尻。 腰にレザーベルトの巻かれた、日焼けした健康的な安産型。 術師のローブをぺろんとまくりあげた、真っ白な丸いおしり。 ドレススカートの下でぷるぷる震える、生意気なちっちゃいケツ。 五つの魅惑的なお尻が、俺の目の前にずらり並んでいる。 どれをどの順番でどうするも、俺の自由。 その全部が、俺のもの⋮⋮俺だけのものだ。 ﹁いや∼、絶景だね。せっかく女魔隷が五人、こうやって一同に会 したんだ﹂ やらいでか、男のロマン。 さあ、全員並べてオマンコ比べといこうじゃないか。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵スキルレベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV9 スキル:︻隷属魔法LV7︼︻魔の契約LV1︼︻魔隷強化LV0 ↓1︼??? 123 11話:五人の魔隷と、俺との宴 俺の目の前にずらり、並んでお尻を突き出した5人の魔隷たち。 立ったまま寝室の壁に手をつかせ、計10個ものぷりっとしたふ くらみが並んでいるのは絶景だ。 これぞ男の夢、男のロマン! ﹁わかってたつもりだけど、あなたってほんと最低っっ! しかも なんで全員、服とか鎧のままなのよ!?﹂ ﹁そこがこだわりポイントだよ。着衣だと普段のみんなを、パーテ ィの仲間を犯してるって感じがしてよけい燃えるだろ?﹂ ﹁り、理解できぬ⋮⋮! こ、こやつ下衆すぎる⋮⋮!﹂ 騎士鎧のキリカとゴスロリ姿のパルミューラだけは、隷属命令で 立ちバック待ちポーズ強制だ。 残りの三人はすでに、お尻を振ったり足を小刻みに震わせたりし て、今か今かと俺のチンポに選ばれるのを待ちわびている。 ﹁さ∼て、最初はだ・れ・に・し・よ・う・か・なっ⋮⋮と﹂ ﹁あっ、熱っ⋮⋮!?﹂ ﹁ん⋮⋮⋮⋮う⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁んあんっ、マスターのたくましいおチンポ様が当たってるぜ!﹂ ﹁ひゃあぁ⋮⋮い、いつ入れらちゃうかわからなくてドキドキしま すっ﹂ ギンギンにフル勃起したチンポを並んだケツにグッと押し当て、 そのままゆっくり横に移動。 左から順に、キリカ、シエラ、アメリア、ニーナ、パルミューラ 124 の並びだ。 スライドしたチンポ先が、少しずつ触感の違う柔らかい凹凸の上 を、先走り汁の跡を引いて一人ずつ通過していく。 ﹁そうだシエラ、久しぶりに抱いてやるって約束してたな。最初に ハメてほしいか?﹂ ﹁あ⋮⋮⋮⋮﹂ きゅっと締まった無駄な脂肪のないエルフ尻の割れ目を、ゆっく りと亀頭でなぞると、嬉しそうにぶるぶるっと細い腰がわなないた。 ﹁で⋮⋮も、シエラはみんなに迷惑、かけちゃったから⋮⋮⋮⋮そ んなの悪っ⋮⋮ひゃ!? ひにゃぁぁぁぁぁあんっっ!!?﹂ ぬぢゅんっ⋮⋮ぬるぐぐんっ⋮⋮!! 不意打ちで腰を押し進めると、遠慮と裏腹にじゅくじゅくに濡れ そぼった狭いエルフマンコは、嬉しそうに俺のチンポを呑み込んで いく。 ﹁責任感強いのはシエラのいいとこだけど、こういう時は素直に受 け取れよっ⋮⋮と!﹂ ﹁そうそう、誰も気になんかしないぜ⋮⋮あぁっ、でもうらやまし いなぁ⋮⋮!﹂ ﹁よかったねー、シエラちゃんっ﹂ 二人の冒険者仲間に横目で見守られつつ、俺に貫かれる喜びに長 耳をぱたぱた上下させるシエラ。 キツキツの柔壁を掘り進んでかきわける痛いほどの快感が、チン ポにみっちり返ってくる。 125 この狭い穴を自分のカタチにする征服感が、エルフマンコの醍醐 味だ。 ﹁あ、主さまっ⋮⋮! い、いきなりいっぱいっ、奥までいっぱい にっ⋮⋮あーっ、んあ゛あ゛ぁーーっっ!!?﹂ ﹁えっ、うそ⋮⋮あ、あんなすごい声出すんだ、あの子っ⋮⋮!﹂ 服の上からでもわかる巨乳をゆさゆさ揺らして、普段の静かなト ーンとまるで違う声で鳴くエルフ娘のギャップに、面食らう姫騎士。 ﹁ああ、キリカは聞くの初めてだったな。ハメられてるシエラ、普 段と全然違うだろ?﹂ 人間よりも細身のエルフは、男女ともに性器のサイズも小さめら しい。 個人差はあるが、人間のオスとのセックスは、同族とは比べもの にならないほど気持ちいいスポットを奥まで激しくグリグリ刺激さ れてたまらないそうだ。 この世界でハーフエルフが生まれがちな理由のひとつだとか⋮⋮ エルフの男性には同情するなあ。 ﹁な、なんたる浅ましい嬌声じゃ。誇り高き森の民とは思えぬ恥知 らずな⋮⋮!﹂ ﹁へえ、人のこと言えるのか魔貴族さま? 自分はあんな声出さな いって?﹂ ﹁あ、当たり前じゃ! 人間の粗末なモノをねじ込まれた程度で、 このわらわが獣のようによがるなど⋮⋮っはぉぉぉうみゅぅぅぅっ っっ!!?﹂ びくびくぅぅっ! と突然、黒薔薇のようなフリルに彩られた魔 126 貴族の背筋が反り返った。 スカートからのぞく細い内股を、とろぉぉっ⋮⋮と見る間に愛液 が伝う。 ﹁おいおい、ほんと口先だけだなお前? 発情期の猫か何かみたい な声出しちゃってまあ⋮⋮﹂ ﹁えっえっ? 急にどうしちゃったのパルちゃん?﹂ ﹁な、なんじゃこれっ、はっ⋮⋮!? いっ、入れられてなぞない の、にっ⋮⋮ま、まるで体の芯がっ、太いモノに貫かれておるよう なぁっ⋮⋮ひぐぅぅぅっっ!?﹂ 困惑するのも無理はない。いぜん俺のチンポはシエラのエルフ膣 に納まっていて、手などで触れてもいないのだから。 だが、パルミューラが今感じているのは間違いなく俺のチンポに 犯される感触なのだ。 ﹁昼間に使った魔隷強化スキル、あれには応用法があってね。俺か ら魔隷に魔力を供給するネットワークを応用すれば、こうやって魔 隷同士の感覚を同調させることができるんだ﹂ ﹁な、なん⋮⋮じゃとっ⋮⋮ひっ、ひぃあひぃぃぃっっ!? わ、 わらわの膣内がっ⋮⋮ひ、ひとりでにウネって何かをねだっておる ぅぅっっ!? んぁぁひあ!!﹂ 100%そのまま共有するわけではないが、俺に貫かれる喜びで とろとろになったシエラとほぼ同じ状態に、しかも不意打ちで落と されたパルミューラのマンコは、熱いしぶきをあげてあっという間 に陥落した。 ﹁す、すごいな⋮⋮な、なあ、あたしにもそれやってくれよ、マス ターっ﹂ 127 ﹁いや、お前には直接こっちの方がいいだろ、アメリア?﹂ 俺は名残惜しそうなチンポを、シエラから一旦にゅるっと引き抜 き。 右隣のアメリアがさっきから物欲しそうに振っている日焼けした 安産型のお尻、その中心を一気にミチミチと割り開いた。 ﹁あぁぁっ、んぁぁぁぁああっっっ!! きっ来たぁぁ! マスタ ーのおチンポ様きたよぉぉっ! うっ嬉しいっ、あたしハメられて 嬉しひ、よぉぅぅっっ!!﹂ シエラに比べたっぷり肉厚で、愛液も多いジューシィな女戦士マ ンコが、鍛えられたしなやかな筋肉でギュウギュウ締め上げてくる。 これもまた、たまらない。 ﹁普段は男勝りなのに、こう攻めてやるとすぐ可愛くなっちゃうよ なー、アメリアはっ⋮⋮ほらほらっ! バックからハメられるのそ んなに好きかっ!?﹂ ﹁はっはいぃぃ!! あたし男なんかっ、自分より弱いってずっと 馬鹿にしてたんだぁっ! でもでもぉっ、マスターに負けておチン ポ様のすばらしさ教えられちゃったぁぁ!! 今はっバックでしつ けられるの、大しゅきぃぃっ!!﹂ 内に秘めた願望を、快楽のあえぎに乗せて吐き出すアメリア。 シエラとパルミューラもまた、俺の動きに合わせて高い泣き声を あげている⋮⋮感覚同調によって彼女の快感を、二人とも共有して いるのだ。 そして左端ではキリカが、エルフに続いて女戦士の豹変にも驚き つつ赤面している。 128 ﹁よぉし、順番に次はニーナだ! しっかり尻を上げてハメ乞いし てみろっ!﹂ ﹁は、はいご主人様! に⋮⋮ニーナの待ちきれない欲しがりおま んこに⋮⋮友達ふたりのエッチな声聞いて、もうぐしょぐしょにな っちゃってるご主人様専用の穴にっ! ど、どうかいっぱいお仕置 きしてくださぁい⋮⋮っ!﹂ すっかり発情した可愛いエロおねだり。 上出来だとばかりに、アメリアからニーナへ、女戦士と対照的に どこまでもまったり柔らかい法術師のお尻の中心、ピンク色の割れ 目へとチンポの標的を移す。 吸い付くようなまったりした挿入感に迎えられ、二人一緒に長い 快感の声をもらす俺たち。 ﹁はぁぁ、ぁあっ⋮⋮! 幸せですっ、ご主人さまぁぁ⋮⋮わたし の中っ、ご主人さまのおちんちんのカタチすっかり覚えちゃいまし たぁぁ⋮⋮!﹂ ﹁ああ、俺もニーナのあったかい柔やわオマンコ、しっくりきて好 きだぜっ⋮⋮!﹂ 一転ゆっくりまったり、味わい尽くすようにしっとりした内壁を こねまわす。 もちろん今度も感覚同調が連鎖しているので、仲良し冒険者仲間 三人のあえぎ声が重なって絶妙なハーモニーを奏で、部屋の空気を ピンクに染めていく。 ﹁主さまっ⋮⋮主さまぁぁ!! シエラ、シエラの中ずっと主さま のでいっぱいで幸せっなのぉぉ⋮⋮!!﹂ ﹁ああっマスター、マスター大好きぃぃっ! あたしも幸せだよぉ、 おチンポ様に屈服させられて本当によかったよぉぉ!!﹂ 129 ﹁とっ溶けるぅぅ⋮⋮おちんちんでとろとろに溶かされちゃいます ぅ、ニーナのおまんこ奥までぇ⋮⋮あ、あ、んああっ!﹂ 彼女たちの快感は、あくまで全部俺のチンポによるもの。この独 占感がたまらない。 ちらりとキリカの様子を見ると、みんなのエッチな雰囲気にあて られて頬は上気し、カチャカチャと鎧をかすかに鳴らして自由にな らない体を揺すっている。 俺はある意図でまだ、彼女だけには感覚を共有させていない⋮⋮ そろそろ頃合いだな。 ﹁ねえ姫野さん、気付いた? 実はさっきから君にも三人の感覚同 調を少しずつ送ってるんだ﹂ ﹁え⋮⋮そ、そういえば変な感じがっ⋮⋮こ、これはあなたがやっ たのね⋮⋮!﹂ 内股をすり合わせつつキッとにらんでくる姫騎士の黒い瞳にひそ む、せつない微快感の色を見つけ、俺は内心の笑いをこらえて大真 面目に頷いた。 ﹁姫野さん、君のオマンコはみんなの快感を部分的には同調で感じ られる⋮⋮でも、決してそれだけでイクことはできない。もどかし い生殺しがずっと続くのさ﹂ ﹁そ⋮⋮そんなの、別に、イキたくなんかっ⋮⋮う、ぁうっ⋮⋮!﹂ ﹁ああそう? じゃあそのまま適当に楽しんでてよ。イヤなら今回 はムリにとは言わない。俺は最後にパルミューラに入れて終わりに するからさ﹂ ﹁あ⋮⋮⋮⋮﹂ 答えを待たず、ニーナからにゅるんっとチンポを引き抜き、右端 130 の魔族尻の前に移動する。 一番早くから感覚同調の挿入感にさらされ続けてきたパルミュー ラは、あらためて生チンポをシエラ並みに狭いマンコにずぶずぶ沈 めてやると、息も絶え絶えに細い悲鳴をあげた。 ﹁くっ、相変わらず子供マンコだなっ⋮⋮そういやお仕置きしてや るって言ったよな、お前には⋮⋮よし、こうだっ!!﹂ ﹁っっんひぃぃぃっっ!!? き、貴様っ、し、尻をぉぉっっ!?﹂ ぱちぃぃぃんっ!! と部屋に響く、渇いた音。 ゴスロリスカートをまくりあげ、魔族娘の白いお尻を俺が平手で 叩いた音だ。 ﹁ほらほらっ、お尻叩きしながらチンポハメの刑だ! ムダにプラ イドの高いお前には効くだろ!?﹂ ﹁んぉぉ、んぁぁあ、ひっ⋮⋮ま、待てっ、わらわにかような無礼 っ、許されるとでも⋮⋮あっひぃぃぃぃっっっ!!?﹂ 涙目の抗議にかまわず、ばちん、ばちんとちっちゃなケツにスパ ンキングを繰り返す。 叩くたびにキュンキュンと、ただでさえ狭い魔貴族マンコがお上 品に収縮して、俺のチンポを食い千切らんばかりだ。 ﹁くっ! 叩くとめちゃくちゃ締まるぞ、お前のマンコ⋮⋮ひょっ としてマゾなのか? 人間にお尻イジめられて気持ちよくなっちゃ うのか、魔貴族お嬢様? とんだマゾ貴族だな!﹂ ﹁そっそんなぁぁっ、そんなわけ⋮⋮んひゃぁあっ! わ、わらわ が尻をぉぉ、いたぶられて悦ぶなどと⋮⋮そ、そのような浅ましい 姿をさらすはずがっ、ひぃぃっゆっ許してくれぇぇっ!!﹂ 131 俺の手形でうっすら赤くなった魔貴族の尻は、明らかに痛みと屈 辱を快感に変換して何度も小刻みにイッていた。 薄々思ってたが、マゾの素質あるなこいつ⋮⋮少しずつ開発して やるとしよう。 ﹁う⋮⋮ぁう、み、みんなすごいことになってるっ⋮⋮! はぁっ、 あぁっ⋮⋮ど、どうしてこんなにせつないのっ⋮⋮私のカラダ、ス キルで変にっ⋮⋮されちゃって、る⋮⋮っ!﹂ そんな四人の狂宴の脇で、俺の目論見どおり⋮⋮たったひとり。 凛とした白銀の姫騎士装束の内側に、中途半端にしか満たされな い快感を持てあましたキリカが、もどかしそうに内股を自分からす り合わせて震えていた。 ﹁あれれ、どうしたの姫野さん? カラダがどうしたって?﹂ ﹁⋮⋮えっ、あっ!?﹂ さっきパルミューラからチンポを抜いた俺が︵もちろんトドメの 尻叩きと同時にだ︶、自分のお尻のすぐ後ろに移動していることに やっと気付いたようだ。 隷属魔法による、お尻を突き出したポーズを維持しろとの命令が もしなければ、こっそりオナニーでも始めていたんじゃないかとい う勢いだ。 ﹁ずいぶんとせつなそうだけど? やっぱり、仲間外れはイヤなん じゃないの?﹂ ﹁そ⋮⋮そんな、こと⋮⋮!﹂ 否定の言葉がいつもより弱々しい。 おあずけと周囲で延々続くセックスの熱にあてられ、じっとりと 132 汗ばんだ元クラスメートの体は、全身から若いメスの匂いをうっす ら放っているかのようだ。 ﹁が、ガマンは体に毒ですよぉ、キリカちゃん?﹂ ﹁あはぁっ⋮⋮意地張らずにマスターにハメてもらえよぉ、キリカ もさ﹂ ﹁みんな⋮⋮⋮⋮っ、一緒が、いい⋮⋮⋮⋮!﹂ 荒い息をつきつつ、うっとりした顔で誘惑する冒険者娘三人組。 それでも、真面目なキリカは自分で踏ん切りをつけることはでき ない。 俺への複雑な感情が、そしてセックスにおぼれることをタブーだ と遠ざける古風な倫理観が、カラダのうずきに正直になることを邪 魔している。 姫野桐華は、そういう女の子なのだ。 だから、きっかけは俺が用意してやる⋮⋮少なくとも、まだ今は。 ﹁⋮⋮ああダメだ、焦らそうと思ったけど可愛いお尻見て俺の方が ガマンできなくなっちゃったよ、姫野さん。チンポ入れるけど、い いかな?﹂ ﹁えっ⋮⋮う⋮⋮そ、それはっ⋮⋮か、勝手にすれば、いいじゃな い⋮⋮! ど、どうせ私は逆らえないんだから、小田森くんには⋮ ⋮っ!﹂ 一瞬、ほんの一瞬。 目をそらして長いまつげを震わせる姫騎士の顔に、せつないマン コにチンポを入れてもらえることへの期待と安堵が、確かに見えた。 まだ本人はそれを自覚していないだろうが、これは大きな一歩だ ⋮⋮彼女の心と体を、俺が真に陥落させるための。 133 ﹁ありがとう、じゃあ遠慮なく⋮⋮あ、そうそう。ひとつ言ってお くことがあった﹂ 清楚な白いスカートの下で言葉と裏腹に、もうトロトロに透明の 仕込み を口にした。 蜜を溢れさせた割れ目にちゅくりと亀頭を押し当てつつ⋮⋮俺はそ の ﹁ごめんごめん、さっきは俺が術式をミスってたみたいだ。﹃姫野 さんだけは、まだみんなと感覚が同調してなかったよ﹄﹂ ﹁え⋮⋮? あ⋮⋮っ!? そ、それってっ⋮⋮う、うそ、まさか っ!?﹂ ﹁うん、だからもし姫野さんのオマンコが今濡れまくってたら、そ れは姫野さんが自分でエロく濡らしたってことになるけど⋮⋮まさ かそんなことはないよね?﹂ ﹁あっ、えっえぇっ!? ちょ、ちょっと待って小田森くんっ、待 っ⋮⋮﹂ にゅぐぐっ⋮⋮ずにゅるるるるるんんんっっっ!! ﹁⋮⋮あっああっっあっ!? ⋮⋮んあぁぁぁぁぁひぁぁぁぁああ あ!!!?﹂ 心にできた隙ごと、まっぷたつに切り開くようなチンポ挿入。 驚くほどスムーズに、素直に、無数のヒダがフル勃起チンポを奥 へ奥へと、せかして招き入れるように呑み込んでいく。 姫騎士甲冑のまま俺とバックでつながったキリカは、言い訳のし ようもないエクスタシーに全身を貫かれて絶叫した。 ﹁うお、すごいなっ、五人の中で一番ぬちょぐちょに濡れてるよっ、 134 姫野さんのマジメな姫騎士マンコがっ! そんなにチンポ欲しかっ たんだ、待ってたんだ!?﹂ ﹁ひゃぐぅぅっ、ちっ違っ、そんなことぉぉぉっ!? まっ、待っ てなんかぁぁっ⋮⋮そ、そんなのわからないよぉぉっ!!﹂ 解答強制で引き出した彼女の真意は、まだ自分の欲望がはっきり 自覚できてないことを示していた。 なら、少しずつわからせていくまでだ。俺のチンポで。 むっちりしたお尻をスカートごしに掴み、じゅくじゅくマンコを 容赦なくグリグリ攻め立ててやる。 ﹁あふっ、ひゃひうぅぅっっ!? まっ前と全然違っ⋮⋮んぉあっ、 あひぃぃい!!?﹂ ﹁入り口すぐとっ、真ん中あたりと奥っ⋮⋮三箇所で段階的に締め 付けてくるよっ、姫野さんのオマンコはっ⋮⋮チンポ喜ばせるのが 上手なっ、優等生マンコだっ!﹂ ﹁やっやだぁっ、そんなの解説しないでぇっ、ほっ褒められても困 るわよぉぉっ!!﹂ ﹁いいじゃないか、素直に気持ちよくなっちゃってる姫野さんを、 みんなに見せてやればさ⋮⋮ほら、今度こそ感覚同調だっ!!﹂ キリカの感じている快楽を、他の魔隷たちにも伝わるようリンク させる。 すると即座に、四人の背筋や腰が悲鳴じみた声と共に跳ね上がっ た。 ﹁ひゃああっ!? こ、これ凄っ⋮⋮キリカちゃんからの感覚っ、 奥までびりびり響いてっ!﹂ ﹁い、今までで一番派手なのが流れ込んでくるぜっ⋮⋮よ、よっぽ ど感じちゃってるんだなっ!﹂ 135 ﹁キリカは⋮⋮⋮⋮っ、素直じゃないっ⋮⋮! 気持ちいい時はい いって言えばいいのに⋮⋮⋮⋮あ゛ひゃうっ!﹂ ﹁ううぅ、あぐうぅぅ!? た、頼むうぅ⋮⋮わ、わらわの情けな い尻を、もっとぶってくれぇぇ⋮⋮!﹂ この場の全員に、自分があさましくチンポ快感をむさぼってしま っていることがバレている事実を突きつけられ、黒髪を振り乱して イヤイヤとむせび泣くキリカ。 約一名、別方向にできあがってる弱キャラがいるが、今はお仕置 き放置プレイしとこう。 ﹁ひぁぁ嘘ウソぉっ、やだやだぁぁっ、みっみんな見ないでっ、感 じないでぇぇ!!﹂ ﹁盛大にイクところ、見せつけながらお裾分けしてやれよ姫野さん っ!﹂ ﹁んぁぁひあっっ、イッたりなんか、わたしこんなのでイッたりな んかあああぁぁぁっっ!!? んあぁあ∼∼∼∼っっ!?﹂ 言葉に反して、激しい柔肉の収縮が大きな絶頂の近さを示す。 五つのマンコを味比べハシゴした俺のチンポも、さすがにそろそ ろ限界だ。 左手で腰を、右手で甲冑の肩口から伸びる青いマントをひっつか み、姫騎士の体を丸ごと前後させて最奥までチンポでえぐりあげる。 ﹁さあキリカっ、これは命令じゃないぞっ!! 自分の心で、自分 のカラダで、俺のチンポで気持ち良くさせられてイッてしまえぇぇ っ!! くぅっぅっっ!!﹂ ﹁だっダメっダメだめだめッッ⋮⋮あ、ああっ、あっ⋮⋮んぉぉあ ひぃぁぁぁぁああああんあぁぁ∼∼∼∼∼∼っっっ!!!??﹂ 136 びくびくぅっ⋮⋮どびゅるるるぅぅぅっっ!! どぶっ、びゅく んどくんっっ!! こつんと当たった子宮ごと、心をえぐる勢いで打ち込んだとどめ のピストン。 弱点にゼロ距離から精液をぶちまけられたキリカは、全身を巨大 な波に押し流されるよう波打たせて、これまでにないオルガスムス の叫びをほとばしらせた。 その本気イキのエクスタシーは、当然同調した他の魔隷たちにも 伝播していく。 ﹁あ゛ーーっ、んああ゛ーーーっっ!? あ、主さまのがっ⋮⋮⋮ す、すごい⋮⋮!﹂ ﹁ひぐっ、んはぉぉぉ⋮⋮!! ははっ、こ、こっちまでイッちま ったぁ⋮⋮!﹂ ﹁ふあぁ!? あ、あはぁぁ⋮⋮ご主人様のおちんちんで、みんな まとめて⋮⋮っ!﹂ サービス精神にあふれた俺は、射精を搾りきると同時に、キリカ の丸いお尻をひとつ、ぱちんと叩いた。 ﹁いぎっ、ひぃぃぃっ!? し、尻っ⋮⋮尻で達して、わらわ叩か れてまたイッてしまううぅ!?﹂ みんなの可愛い声を楽しみながら、心より先にデレてしまった姫 騎士マンコの奥にじんわりと精子を浸透させていく、征服感と幸福 感。 精子の発射量も段違いで、でもキリカはそれをしっかり残らず受 け止め飲み干してくれる。 137 ﹁さ、最高だったよ、姫野さん⋮⋮! あれ⋮⋮どうして顔必死に 隠してるのかな﹂ ﹁う、うるひゃいっ⋮⋮うるひゃぃぃ⋮⋮⋮⋮ばかぁぁ⋮⋮!﹂ 髪とマントで今の顔を必死に見せまいとする、姫騎士クラス委員 長。 もっとも、そのイキたてオマンコは挿入されたままのチンポを嬉 しそうに、もぐもぐと甘噛みしているのだが。 ﹁キリカ、うらやましい⋮⋮⋮⋮こ、今度はシエラの中で⋮⋮⋮⋮ だめ?﹂ ﹁あ、あたしもそれは譲れないぜ、マスターにたくさん可愛がって もらいたいんだ﹂ ﹁心配しなくても、一人一発といわず何度も注ぎ込んでやるって、 みんな﹂ ﹁ふふっ、精力と体力の強化エンチャントは準備万全ですもんねぇ﹂ ﹁そ、そんな、まだやるの⋮⋮さ、さっきみたいなのを、何度もっ ⋮⋮? そんなのされたらっ、私っ⋮⋮うあ、あうぅ⋮⋮!﹂ ﹁た、頼むぅぅ⋮⋮わらわの尻を、もっと、もっとぉぉ⋮⋮!﹂ そう、楽しい宴はまだまだ始まったばかりだ。 こうして、俺と魔隷たちの夜はにぎやかに更けていく⋮⋮。 ※ ※ ※ ﹁マッタク、皆ハ何故アノヨウナ遊ビガ楽シイノカ⋮⋮ナナニハ意 味不明ダ﹂ 138 眠る必要のない体で自主的に外の見張りをしつつ、ぼやくアーマ ーゴーレム。 ため息をつく機能がもしあれば、嘆息していたに違いない。 ﹁ソレトモ⋮⋮コノ体ガ皆ト同ジナラ、理解デキルノダロウカ⋮⋮ ?﹂ 地球と違い大小二つ並んだ月を見上げ、全身鎧の魔法生物はそう つぶやいた。 139 11話:五人の魔隷と、俺との宴︵後書き︶ 月間1位、四半期6位という目を疑うようなご好評に感激です。 感謝の意味もこめて、今回はいつもよりボリューム増のHシーンを お届けしました。 今後も皆さんの評価や感想を励みに、エロ楽しい物語を続けていき たく思います。 140 12話:ふたつの食事と、ひとつの知らせ 次の日さっそくシエラとアメリア、そしてナナというメンバーが、 ランバディア王都近辺まで情報を探りに出発した。 メーラースクロール 俺は緊急連絡手段として、ギルドハウスに保管されていたアーテ ィファクトのひとつ、伝書巻物を調査パーティに持たせた。 これは二枚一組で、送信側に書かれた文字が距離に関係なく受信 側にも浮き出る魔法のFAXみたいなものだ。 ただし一回きりの使い捨てで、地球の科学の方が魔法より進んで る部分もあるんだなと妙な感慨を抱かせてくれる。なくなってわか るネットやスマホのありがたみ。 洞窟の拠点に残ったメンツは、キリカとパルミューラ、ニーナ、 そして俺。 先の二人は色々と目立つ上に俺が同行しないと隷属術式の更新も できないし、ニーナはエンチャントの準備があるため自然とこの分 け方におさまった。 さて、調査組がどんな情報を持ち帰るやら⋮⋮まあどうあれ、八 冥家イヴリースを出し抜いてシスティナ姫をものにするって目標は、 変わらないけどな。 ※ ※ ※ ﹁あれ⋮⋮こんなとこで何してんの、姫野さん﹂ 141 かすかに漂ういい匂いに誘われて台所部屋を覗くと、火にかかっ た調理鍋を前に手を動かすキリカがいた。 白のブラウスに似たアンダーウェアと短めのスカート姿に、落ち 着いた黒のエプロンがよく似合っている。 ﹁見ればわかるでしょう、料理よ。アメリアさんに、出発前にシチ ューのレシピ教えてもらったの﹂ ﹁へええ、というか、料理できたんだ﹂ ﹁失礼ね⋮⋮そりゃアメリアさんほど上手くないし、こっちの世界 に来てからは初めてだけど、学校じゃお弁当とか一応自分で作って たのよ?﹂ なるほど優等生らしい生き様だ。 俺は木の椅子に腰を下ろし、すらりとした後ろ姿をながめること にした。 あのエプロンの下に、たっぷりしたEカップが隠れてるんだよな ⋮⋮。 ﹁ふむふむ、それで本妻として対抗心を燃やして俺のために作って くれてる、と﹂ ﹁何をどうすればそんな都合のいい発想に至れるのか不思議だわ⋮ ⋮単に手持ちぶさただし、邪悪な変態魔術師に捕まってるって気の 重い現実を紛らわせてるだけよ﹂ ﹁うーん、言い返そうと思ったけど特に反論の余地がないな⋮⋮﹂ ﹁だってほんとのことしか言ってないもの﹂ 椅子を船こぎながら、しばらく鍋の煮える音に耳を傾ける俺。 こうして彼女の背中を座って見ていると、授業中黒板に向かって いた同じシルエットを、最前列の席からぼんやり眺めていた頃を思 142 い出す。 本来俺なんかじゃまともに話す機会もなかった高嶺の花、クラス 委員の美少女。 それが何の因果か、今じゃ異世界でご主人様と魔隷、男と女の関 係だ。 ﹁⋮⋮姫野さんはさ、元の世界に戻りたいとか思うことある?﹂ 何気なくそんな言葉をかけると、鍋をかき混ぜる手が一瞬止まっ た。 ﹁そうね⋮⋮不可能なことを今さら考えても仕方ないけれど。そん なこと、思ってもみなかったわね、そういえば﹂ ﹁へえ、そうなんだ? 意外かも﹂ あっちに何の充実感もなかった俺と違い、クラスの人気者で教師 からの信頼も厚い姫野桐華は、それらを失って来たこの異世界より 地球に未練があるとばかり。 だけど今、元の世界について語る彼女は本当に興味すらなさそう で、それが俺に違和感を抱かせた。 ﹁それに⋮⋮どっちでも、同じようなものかもしれないし﹂ ぽつりと小声でつぶやかれた、奇妙な言葉。 どっちでも同じ⋮⋮とは、どういう意味だろう? さすがにクラス委員と姫騎士、そして魔隷には大きな隔たりがあ るように思えるが。 ﹁実は優等生の裏の顔は、人知れず悪と戦う美少女戦士だったとか 143 ? あ、それとも変態教師に弱みを握られ夜な夜な奴隷調教されて ⋮⋮﹂ ﹁よくもまあ次から次へとろくでもない発想が浮かぶわね⋮⋮一周 して感心しちゃうわ﹂ 呆れるキリカをからかいながら、ふと思い出す。 初めて俺の前に現れた姫騎士キリカの振る舞いは、堂に入ったも のだった。 自分がそうなので忘れていたが、ほんの一ヶ月でああも新しい環 境に順応できる彼女も、ある種の特異な人間といえるだろう。 今だって、魔隷というめちゃくちゃな立場や、他の魔隷たちとの 関係性に、なんだかんだで適応しつつあるように見える⋮⋮俺の願 望も入ってるかもしれないが。 頼れるクラス委員の優等生。 王女付きの精鋭姫騎士。 そして俺の魔隷。 もちろん環境もやることも違うが、並べてみると共通する点がな くもない。 。 組織や個人、誰かに奉仕し、求められた役割を果たす⋮⋮従順な 良い子 彼女にはどこまでも、そういった立ち位置が付きまとっている。 そして彼女は、それを受け入れ続けている。 姫騎士キリカは、姫野桐華は⋮⋮そんな自分をどう思っているん だろうか? ﹃どっちでも同じ﹄。 先の言葉がそういう意味なら、この世界で転機を迎えた俺と違っ 144 て、彼女には本当の意味で 変化 は訪れていないのかもしれない。 ﹁そろそろかしら⋮⋮これで、一応はいいはずだけど﹂ ﹁お、味見タイム? 俺にもちょうだいよ﹂ エプロン姿の隣に並んで、一緒に不透明なシチューの海を見つめ る。 ﹁少なくとも匂いと見た目は美味しそうだ﹂ ﹁⋮⋮味は保証できないわよ。成功してるかどうか﹂ ﹁そうだな、じっくり味わってみるまでわからないよね、何事も⋮ ⋮というわけで、えいや﹂ ﹁あっ、ちょ、ちょっと!? 腕が勝手にっ⋮⋮!﹂ ひとりでにシチューをすくったキリカが、あーんと開いた俺の口 にそれを近付けた。 脳内で命令を出し、彼女の体を部分的に操ったのだ。 ﹁ぱくっ⋮⋮あ、熱うっ!? うわ味どころじゃねえわこれッ、み っ水水水っっ!﹂ ﹁冷まさないで急に入れるから当たり前よ、馬鹿ね⋮⋮ふふっ、罰 が当たったんだわ﹂ くすくす笑うキリカに、俺はさっきまでの神妙な考えを頭からす っ飛ばし。 この女、絶対エプロン姿でひぃひぃ言わせてやる、と心に固く誓 うのだった⋮⋮。 ※ ※ ※ 145 ﹁まったく、エプロンの隙間からちょっと乳を揉んだだけで怒らな くてもいいのに⋮⋮問答無用で命令すりゃよかったかな﹂ あの後、キリカのエプロン姿にムラムラ来てちょっかいを出した 俺は、料理の邪魔だからと追い出されてしまった。 まったく、ご主人様相手に失敬な魔隷もいたもんだ。 ぼやきながら自室まで戻ってくると、中には先客が待ち構えてい た。 ベッドの前にたたずむ漆黒のゴスロリドレス姿、うつむいた銀髪 がふるえている。 ﹁どうしたパルミューラ、何か用か?﹂ ﹁き⋮⋮貴様、ぬけぬけと⋮⋮わ、わかっておるくせに⋮⋮っ!﹂ 上目遣いの赤い瞳が、八の字になった眉の下でうるんでいる。 俺はちょうどいいムラムラのはけ口がやって来たことに、内心で にやりと笑い、扉を後ろ手に閉めた。 ※ ※ ※ ﹁くくっ、魔の契りを結んだ魔族は、食事のかわりに俺からの魔力 供給が必要⋮⋮でもまさか、こんな形で与えられることにドハマリ するなんてなあ?﹂ ﹁い、言うなぁっ⋮⋮わ、わらわはこの身を保つためやむを得ずっ ⋮⋮はぷ、ぢゅるっっ、ちゅるるぅぅっ⋮⋮!﹂ 146 椅子に腰かけた俺の股間で、いきり立ったチンポ先を一心不乱に 舐め回す魔貴族少女。 床に座り、両手はひざのスカート上にちょこんとそろえ、発情し た顔を突き出すようにして吸い付いてくる。 ﹁そうだ⋮⋮手は使うなよ、言いつけどおり口と舌でチンポを追っ かけて、下品なくらいにおしゃぶりするんだ﹂ ﹁あ、あふああっ⋮⋮わらわがこんな品のない、はしたないマネを して男根を求めるなどおっ⋮⋮んちゅぅぅ、れろりゅろろっ!﹂ ﹁はは、よだれ出まくってるぞ、お前﹂ 今までと違い、契約によって最低限の魔力しか供給されなくなっ てしまったパルミューラは、いつも腹を空かせ渇いているのと同じ。 そんな魔貴族にとって、精液という生体魔力のたっぷり詰まった 俺のチンポは何ものにも代えがたいごちそうというわけだ。 ﹁んうーっ、んぷふぅぅぅ⋮⋮! 後生じゃっ、ここから早く濃い ドロドロ魔力をたらふく注いでくれぇ⋮⋮つぷっ⋮⋮!﹂ ﹁うおっ⋮⋮尿道口を舌先でっ、くうぅっ! ずいぶんと従順に人 間チンポに奉仕するようになったなぁ、魔界第四位階の高貴な魔貴 族さまっ!?﹂ 羞恥と屈辱にもだえながら、人形のように完璧な美貌を持つ高位 魔族の美少女が俺のチンポにかぶりつくさまは、男冥利につきる眺 めだ。 あふれた先走り汁で小さな顔があちこちぬるぬるになってるが、 魔力欲しさに我を忘れたパルミューラは意に介さない。 ﹁い、言わんでくれぇ⋮⋮! そなたの、ち、チンポがわらわを夜 147 な夜な狂わせるからじゃ、このオス臭い匂いや熱さの中毒にさせた からじゃ⋮⋮っあひぃぃっ!?﹂ 雄牛のようなクリーム色の角を爪の先でごりごりっと強めにひっ かいてやると、快感の悲鳴があがった。 エルフの耳同様、魔族の角は性感帯らしい。 ﹁そうやって素直にチンポにしゃぶりついてると可愛いぞ、パルミ ューラ⋮⋮待ってろ、すぐ濃いのを直に飲ませてっ、やるから⋮⋮ なっ⋮⋮!﹂ ﹁あうぅ、た、頼むうぅ⋮⋮!﹂ と、その時。 扉をノックの音が叩いて、ビクッ! と亀頭にかぶさった唇が驚 き震え上がった。 ﹁小田森くん、いる? 夕食の用意できたから、食べに来てちょう だい﹂ ﹁ああ、わかった⋮⋮今すぐ、イクから⋮⋮っ!﹂ 二本の角を十本の爪でこすって、必死で声をもらすまいとする魔 貴族美少女をイジめながら、何も知らないキリカの声を聞きながら。 俺は唾液とカウパーでぬちゅぐちゅの口内に、思いっきり精液を 解き放った。 ﹁⋮⋮ぅぷぅっ!? んぅ、んぉぉっぷ⋮⋮んくっ、ごくんっ⋮⋮ こくんっ⋮⋮!﹂ ﹁わかったわ。あっそうだ、パルミューラ知らない? 食べないだ ろうけど一応、声かけとこうと思って﹂ ﹁っっっ!!?﹂ 148 ﹁いや、知らないなっ⋮⋮まあ、勝手にくるんじゃないかっ⋮⋮?﹂ それもそうねと言って、ドアの前から去って行く気配。 俺は最後の一滴までちゅーちゅー吸い上げる貪欲なロリフェラリ ップから、チンポをゆっくりと引き抜いた。 ﹁よぉし⋮⋮注いでもらった後は、どうご挨拶しろって教えたっけ ?﹂ ﹁ぷぁ、はぁぁう⋮⋮! はひぃぃ⋮⋮あ、ありがとうごひゃいま ひたぁぁ⋮⋮!﹂ リスみたいにほおばった大量の精液をすべて呑み込み、チンポの においに染まった舌をおずおずと伸ばしつつ、両手でピースサイン を作るパルミューラ。 俺が教えた服従ポーズで、魔貴族は魔力に満たされる快感にぷる ぷると小さな身体を波打たせていた。 ※ ※ ※ ﹁ん、正直かなりおいしいです! あ、でも鶏肉の下ごしらえはも う少し丁寧に時間をかけた方が、もっとよくなると思いますよ﹂ ﹁ありがとう。なるほど、その一手間がポイントなのね﹂ ﹁ニーナお前、意外と的確なアドバイスだな⋮⋮﹂ ﹁ふふふ、アメリアの料理スキルもわたしの舌が鍛えたんですよ﹂ その日、夕食の卓はキリカの作ったシチューの品評会となった。 最近エンチャント作業で部屋にこもりがちなニーナは、ここぞと ばかりに舌鼓を打っている。 149 ﹁ふむ⋮⋮わらわの舌にはちと粗野な味付けではあるが、香草で臭 みを消すアイデアは悪くない﹂ ﹁お前、人間みたいな食事はとらないんじゃなかったのか?﹂ ﹁味わうことはできるぞ。これも娯楽のうちじゃ﹂ ﹁さっきあんなに味わったじゃないか、濃い栄養を⋮⋮﹂ ﹁な、ななななにを言っておるかぁっ!?﹂ ﹁え? え?﹂ そんな和気あいあい︵?︶とした食卓が、一段落ついた頃。 卓上に置かれた伝書巻物が淡く輝き、表面に文字が浮き出し始め た。 ﹁来たっ⋮⋮緊急連絡だ!﹂ シエラたちが発って数日。そろそろ何かを掴んでもおかしくない 頃合いだ。 ﹁なになに⋮⋮﹃パーティは健在、現状危険なし。ただ調査の結果 システィナ姫は⋮⋮﹄﹂ パルミューラ戦の時みたいな窮地には陥ってないことにホッとし 天啓の塔 に向かった﹄⋮⋮天 つつ、俺は続けて浮き出た文字に目を走らせる。 ﹁﹃姫は王都に不在。入れ違いで 啓の塔、だって?﹂ 予言の姫 が、重要な予言のビジョンをより正確に見極 その聞き慣れない単語に、キリカがえっと声をあげて反応した。 ﹁代々の 150 めるために瞑想する施設だわ⋮⋮!﹂ ﹁その塔、場所はどこにある?﹂ ﹁確か、シビュラ渓谷を抜けた先⋮⋮ヴァリス平原の西端よ﹂ ﹁え、じゃあここから約一日ちょっとの距離ですよ、王都よりも近 くです!﹂ 予言はこの際、二の次だ。 重要点は、姫が王都を離れ、おそらくは少人数で僻地に向かって いること。 これがチャンスでなくて何だろう。 その身を人知れず狙う者たち⋮⋮そう、俺とイヴリース双方にと って。 ※ ※ ※ 姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV7 スキル:︻聖騎剣技LV5︼︻魔法抵抗LV2︼︻料理LV0︵ま だ上がらない模様︶︼??? 151 13話:強襲作戦と、切り結ぶ剣 正午過ぎの日差しが、広大な赤茶色の荒れ地に照りつける。 切り立った崖から見下ろすと、ギザギザに蛇行した狭い渓谷はま るで干上がった深い河のようだ。 元の世界で言うなら、映画とかで見る北アメリカの荒野に似た光 景かもしれない。 ﹁渓谷の入り口にヒヅメや車輪の跡はありませんでした、ご主人様﹂ ﹁なんとか、姫より先回りできたみたいだな﹂ あれから俺たち四人は、調達したばかりの二頭立て小型馬車を駆 天啓の塔 に入られてしまっては面倒だ。先手を って、ここシビュラ渓谷へと急行してきた。 この先にある 打つには、シエラたちの合流を待っていては間に合わない可能性が 大きかった。 幸いこの渓谷は待ち伏せにうってつけの地形。 システィナ姫一行がここを抜ける前に、現在の戦力だけで勝負を 決めるのだ。 ﹁よしニーナ、グラビティフィールドで出口側にでかい岩をいくつ か転がしてきてくれ。遠くからバレないよう、曲がった地形の先に な﹂ ﹁わかりました、足止め用ですね﹂ ﹁遠見の片眼鏡は姫野さんに渡しておく。それらしい馬車が近付い てきたらすぐ知らせてくれ、王家に仕えてた君ならわかるだろ﹂ ﹁了解よ⋮⋮ねえ、小田森くん。イヴリースもここを狙ってくると 152 思う?﹂ 天啓の塔 についての詳しい話をキリカから教わ ﹁それはわからないな。ただ、気になることがある﹂ 移動中、俺は った。 その施設はここ百年以上もの間、ずっと使われてないという。 システィナ姫ほどの高い予言スキル持ちが不在だったのもあるが、 よほど重大な、それこそ国の命運を左右する予言でもないと軽々し く用いるべからずと禁じられていたらしい。 ﹁それがなぜ今になって? 魔隷術師が出現して世界に変化をもた らす⋮⋮あの予言がそんなに重要と判断されたか、それとも他にも 予言があったのか?﹂ ﹁私が知る限り、他の予言の話は聞いてないけど⋮⋮でも、姫さま はとても聡明な方だわ。理由なしに禁を破るようなことはなさらな いはずよ﹂ 理由⋮⋮理由か。 そこが少し、俺の頭に引っかかっていた。 ﹁もし、万が一にだ。天啓の塔行きを姫に勧めた者がいたとしたら ⋮⋮? 姫の確保と正確な予言、一挙両得を狙う奴が、だ﹂ はっとキリカの表情が鋭くなる。 ﹁あ⋮⋮! それってまさか、すでにイヴリースの息のかかった奴 が王宮まで入り込んでるってこと!?﹂ ﹁あくまで仮説のひとつだけどね。ただ結果的に今、最精鋭の姫騎 士はシスティナ姫のガードを離れている。仕掛けるにはチャンスだ﹂ ﹁じゃあ私の行動が、この状況を⋮⋮﹂ 153 可愛い顔をうつむかせる姫騎士。おっと、責任感が強いのも考え ものだな。 ﹁なあに、ものは考えようだよ。その結果巡り巡って、イヴリース の陰謀を俺たちは察知できたじゃないか﹂ ﹁そう、ね⋮⋮確かにそうだわ。姫を、魔族の手からは絶対に守ら ないと﹂ ﹁うんうん、その意気だ﹂ 軽く頷き、いつもより真剣な顔で渓谷入り口側へと向かうキリカ。 その足がふと、ピタリと止まった。 ﹁ねえ⋮⋮小田森くん。システィナ姫さまも⋮⋮魔隷にするつもり なのよね﹂ ﹁ああ、何度も言ったろ? まさか、今さらやめてくれなんて頼む 気じゃないよな﹂ 強制隷属の立場にいるキリカから、俺に提示できる交換条件はひ とつもない。 はなから交渉にならないことくらい、彼女もわかってるはずだが。 ﹁⋮⋮いいえ。ただ、ひとつだけ言っておくわ﹂ 渓谷の強い横風が、長い黒髪と青いマントをばさりとはためかせ た。 以前も見た、凛とした決意の表情。 ﹁姫さまは私の恩人よ。もしあの方の心が、あなたの手で絶望に突 き落とされることになれば⋮⋮あなたを決して許さない理由が、増 154 えることになるわ﹂ 驚くべきことに、彼女はまだ逆転の希望を、反抗の意志を捨てて いない。 ぞくりと背筋が震える。恐怖じゃなく、歓喜に。 そう、これだ⋮⋮これだから俺は彼女を、キリカをそばに置くの が楽しいんだ。 ﹁ああ。覚えておくよ、姫野さん﹂ ﹁ええ、ありがとう。話はそれだけよ﹂ よどみない足取りで配置に向かう彼女を見送る。 少し離れた場所で宙に脚を組み浮いていたパルミューラが、音も なく近付いてきた。 ﹁よほどシスティナ姫とやらが大事らしいの、姫騎士どのは﹂ ﹁それもあるだろうけど⋮⋮マジメなんだよね、あの子はさ。根っ からの委員長体質﹂ ﹁おぬしの言葉は時々、よくわからぬ﹂ 責任感。それが姫野桐華という女の子を突き動かす重要キーワー ドだ。 ま、だからこそからかいがいもあるし、誘導もしやすいんだけど。 ﹁それはそうと、お前も今回はちゃんと働いてもらうぜ﹂ ﹁ふん、わかっておるわ。ムダ飯食らいと思われるのも、ちとシャ クじゃからのう﹂ ﹁⋮⋮自覚、あったのか﹂ 作戦は練るだけ練った。さあて、果たしてこのプランが首尾良く 155 いくかどうか。 いずれにせよ、大きく盤面は動く⋮⋮そのはずだ。 ※ ※ ※ ﹁来たわ⋮⋮間違いなく、ランバディア王家の馬車よ﹂ 日が傾きかけた頃、渓谷へと入ってくる二頭立ての大きな白い馬 車。 その前後左右には馬上の護衛兵が計四騎、守りを固めて併走して いる。 ﹁よし、手はず通りに仕掛ける。ミッションスタートだ、みんな﹂ 崖の上に伏せつつ、俺は固唾を呑んで状況を見守った。 狙い通り、蛇行した渓谷内で行く手をふさぐよう現れた、不自然 な落石の出現に急停止する馬車一行。 さすがは姫の近衛兵、鋭い号令をあげて二騎が弓を、もう二騎が 手槍を抜き放ちつつ四方を警戒し、同時に馬車を急速反転させる。 そう、まさにこの瞬間が勝負だ。 ﹁今だ、送るぞパルミューラッ!﹂ ふわりと、大きな落石の上に降り立つ黒い魔貴族。 魔力の同調によって、俺の手と彼女の額に刻まれた対の魔紋が同 時に輝いた。 そしてドッと俺を襲う、全力で100m以上泳いだ後のような全 156 身の疲労感。 ﹁くっ、思ったより、きついなこれっ!﹂ ﹁くふふ⋮⋮感じるぞ、契約を通して流れ込むそなたの心地よい魔 力を!﹂ 弱体化した今のパルミューラでは手に余る高レベル魔界魔法を半 ば無理矢理行使するため、危険を承知で最大限に魔力を供給したの だ。 護衛たちが彼女の存在に気付くが、もう遅い。 ブレイジング・ケイジ ﹁さあ、穴ぐら暮らしで溜まった鬱憤を晴らさせてもらおうか! 囲みて燻れよ煉獄の檻⋮⋮紫炎監獄!!﹂ 馬車を円状に取り囲むように噴き上がる紫色の炎、魔界の業火。 驚き、色めき立つ護衛たちから悲鳴があがった。 あの炎は肉体ではなく、精神を灼くという。 急激な虚脱感とショック症状に襲われ、円内に閉じ込められる形 になった護衛や御者たち、馬までが、ひとりまたひとり倒れていく。 姫も車内で気を失っているはずだ。シエラを捕らえる際に使った というこの術は、今回の作戦にうってつけだった。 ﹁案ずるな、命に別状はない⋮⋮これでわらわの仕事は終了じゃな、 うむ﹂ ﹁よくやった、あとで尻にご褒美くれてやるぞ﹂ ﹁そっ、そんなものはいらぬわっ!?﹂ 最近実力を忘れがちだったが、さすが第四位階の魔貴族は伊達じ ゃないな。 157 もっとも、今回は停止位置が先読みできた待ち伏せだからこそ最 大限に活かせたのもあるが。 俺は眼下に軽口を飛ばしつつ、向かいの斜面に立つキリカに合図 を送る。 ﹁よし、行ってくれ。お姫様を回収するのは、君の役目だ!﹂ ﹁言われなくても⋮⋮はぁッッ!!﹂ サークル・エアリアル キリカが斜面を蹴って、いまだ燃えさかる檻の内側めがけ飛び込 んだ。 落下途中で天翔輝円を起動、輝く足場を蹴って衝撃を軽減し、動 くもののいなくなった馬車の前へと優雅に降り立つ。 魔法抵抗スキル持ちの姫騎士は、くすぶる魔炎の影響をものとも しない。 ﹁まさか、こんな形で姫さまと再会することになるなんて⋮⋮!﹂ 複雑そうな表情をしているだろうことは、見えなくてもわかる。 なにせ魔族から守るためとはいえ、かつての同僚たちを蹴散らす 側となって、主君をその手で誘拐するのだから。 だが、俺から下された命令に逆らうことはできない。 姫騎士の手がゆっくりと、静まりかえった馬車の扉へと伸びる。 ﹁なんとか計算通りに運んだな、これでミッションコンプリー⋮⋮﹂ その刹那。 扉が内側から蹴破られ、光る刃を構えた人影が猛然とキリカめが け突進した! ﹁なっ⋮⋮!?﹂ 158 がきぃんッッ!! 鳴り響く金属音は、かろうじてキリカが騎士剣で受け止めたこと を示していた⋮⋮そっくりなデザインの騎士剣による斬撃を。 ﹁かかったな狼藉者ッ! あいにくだが、私は囮だ! 姫さまはこ こには̶̶﹂ 若く鋭い女の声。 それが目の前の相手を認識したことで、驚愕のトーンを帯びた。 ﹁な、き⋮⋮キリカだと!?﹂ ﹁あなたなのね⋮⋮セレスタ!﹂ 炎の檻の中、キリカと刃を競り合わせ対峙したその人物は。 もうひとりの、女騎士だった。 159 ︻企画告知︼エキストラHシーン投票企画のご案内 ﹁本編中の特定の時期に、実はこういうHイベントが起こってい た﹂という設定で、投票結果をもとに新たなシーンを追加する﹁エ キストラHシーン投票企画﹂第一回、おかげさまで無事終了いたし ました。本稿はその告知スペースの名残となります。 結果発表は活動報告の方でいたしますので、書き下ろしHシーン の投稿ともども、しばしお待ちくださいませ。 また、今回の企画に関しては﹁作品への没入を阻害するのでこの ような告知は他の場所でしてほしい﹂というもっともなご指摘をい ただきました。反省を踏まえ、今後同様の企画などはあとがき等で の簡単な告知にとどめつつ、活動報告の方で詳細を書かせていただ くという形にするつもりです。 それでは、引き続き本編をお楽しみください。 160 14話:女騎士と、その言葉 ﹁キリカ⋮⋮なぜだ! なぜ、お前がここにいてこのようなことを しているッ!?﹂ ﹁セレスタ、私は⋮⋮くっ!﹂ 姫騎士と騎士剣同士で斬り結ぶ、馬車から現れた女騎士。 周囲を包む炎を反射してにぶく輝く、キリカによく似た白銀の甲 冑。 ただキリカの青と対照的に、胸元のリボンやスカートなどのあち こちを彩るラインは赤く、ひるがえるマントもまた真紅だ。 年齢は大差なさそうだが、すらりとした長身はキリカよりやや上 背があり、長い亜麻色の髪をポニーテールにしてまとめている。 そしてプライドの高そうな切れ長の瞳は、驚愕から敵意の色に変 わりつつあった。 ﹁答えろッ! 姫騎士の称号を冠したお前がランバディアに、いや システィナ姫に弓引くというのか!?﹂ ﹁そ、それはっ⋮⋮!﹂ ﹁答えられぬのならば、お前は私の敵だッ! おとなしく我が剣に かかるがいい!﹂ 怒声と共に打ち込まれる高速の剣撃が、キリカを二歩、三歩と後 退させた。 まずい、あれはかなり強い。さすがにキリカほどではないだろう が、その当人は知り合いらしい相手と戦うことを明らかに躊躇して いる。 161 相手は逆に、命を奪わんばかりの勢いで斬りかかって来ていると いうのにだ。 ﹁何をやっておるのだ、姫騎士は⋮⋮手加減して戦える相手ではな かろうに﹂ パルミューラの舌打ちももっともだ。 魔炎の檻を受けても動けている所から見て、装備かスキルかはわ からないが魔法抵抗持ち。つまりニーナやガス欠状態のパルミュー ラでは有効な援護手段がほぼない。 それにあまり時間をかけていては、護衛兵たちが意識を回復して しまう。 早急にカタを付けてもらうしかないのだ、キリカひとりの手で。 ﹁やむを得ないか⋮⋮姫騎士キリカ! 主人たるこの俺が術式をも って命ずる!﹂ ﹁小田森くん!? ま、待っ⋮⋮!﹂ ﹁いいや待てない。眼前の敵を、全力で無力化しろっ!﹂ 俺から飛んだ、隷属術式による逆らえない命令が、姫騎士の体を 支配した。 とたんに防戦一方、炎の円の際まで追い詰められつつあったキリ カの動きが変わる。 ﹁なにッ!? 速っ⋮⋮ぐああッ!?﹂ セレスタの騎士剣が空を切り、地を這うような姿勢で瞬時にその 脇を抜けたキリカが、すれちがいざま背中に強烈な蹴りを食らわせ た。 162 バランスを崩しよろめく女騎士。ポニーテールが大きく揺れる。 そして元同僚めがけ、距離をとった姫騎士の剣がゆらりと構えら れた。 ﹁くっ⋮⋮ううっ! わ、我が気高き剣に来たれ、破邪の霊光⋮⋮ !﹂ ブリリアント・バースト ﹁なっ、し、しまッ⋮⋮!?﹂ ﹁ブ⋮⋮聖光爆濤破ッ!﹂ キリカの奥義、聖なる剣光の奔流が、女騎士を呑み込む。 ぶわッ、と衝撃の余波が渓谷を吹き荒れ、魔炎の檻すらまるでロ ウソクの炎のように吹き消された。やはりとんでもない威力だな、 あの剣技は。 ﹁し、死んじゃったんじゃないですか、あれっ!?﹂ 土煙に包まれた渓谷内を見下ろし、慌てるニーナの声。 ﹁いや、大丈夫だ⋮⋮ほら﹂ 視界が晴れると、そこには気を失い倒れたセレスタの姿があった。 マントはあちこちボロボロだが目立った外傷はない。 そのすぐ隣では、赤茶色の地面が小さなクレーターめいてえぐれ ている。 キリカは先の一撃を直接ではなく、女騎士の足下の地面に撃ち込 むことで、致命傷を与えることなく無力化に成功したのだ。 ﹁なるほどの。全力で無力化しろとは命じたが、殺せとは命じてお らぬというわけか。くふふ、姫騎士もじゃが、魔隷術師もなかなか どうして甘いのう?﹂ 163 ﹁⋮⋮元同僚を手にかけさせたら、それこそ俺への憎悪で以降の作 戦に支障をきたすかもしれないからね。それだけさ﹂ ﹁ふん、そういうことにしておくかの﹂ ﹁いいから、すぐ撤収の準備だ⋮⋮こうなった以上、ぐずぐずしち ゃいられない﹂ 馬車の中に姫はいなかった。自分は囮だと、あの女騎士は言った。 予測されていたのだ、姫を狙う者の襲撃が⋮⋮だが、誰によって? ﹁俺の予想が正しければ⋮⋮システィナ姫の身が、危ない!﹂ ※ ※ ※ だった。 女騎士セレスタにとって、姫騎士キリカは生涯で初めて現れた 気に入らない相手 ﹁なぜ、システィナ姫さまはあのような得体の知れない出自の者を 重用されるのだ⋮⋮!﹂ お忍びで城の外に出た姫を、モンスターから救い出した不思議な 少女。 行く所がないという彼女に、姫はあれよという間に自分の側近と しての立場を、近衛騎士の座を与えてしまった。 異例の抜擢だったが、強さと心の気高さを備えた者にしか発現し ない姫騎士のジョブに選ばれていたことが、そして何より姫の命を 救い、その全幅の信頼を得ていたことが周囲を納得させた。 だが、セレスタは納得がいかなかった。 164 姫を護るという大役は、自分のような貴族の子女が幼少から文武 を鍛え作法を修め、やっと勝ち取れる役目のはずだ。 年端もいかない子供の頃、父に連れられシスティナ姫さまに初め て拝謁を許され、そのまばゆい美しさを前に憧れとともに誓った。 このお方を命に代えても守り抜こうと。 だからこそ、それは自分の役目のはずなのだ。 ﹁姫さま、今日という今日は大事なお話がありますッ!﹂ ﹁あら、セレスタ。ちょうど美味しいお茶が入った所なの。一緒に いかが?﹂ ﹁は⋮⋮では、それを頂いてからお話します!﹂ ﹁ええ、どうぞ﹂ ﹁では失礼して⋮⋮む⋮⋮これはとても美味、ですね﹂ ﹁うふふ、それはよかった。お菓子もありますわよ﹂ ﹁は、いただきます。む⋮⋮ぅ、これも実に美味ですね!﹂ ﹁よかった、まだまだありますわよ﹂ 何度か姫に直談判しても、いつもの天真爛漫な笑顔で諭され、い つの間にか姫と一緒にお茶やお菓子をご馳走になって、気が付くと うやむやにされていた。 これではいかん、とセレスタは決意した。 そして、キリカに手合わせを挑んだ。自分が納得するだけの実力 を示さなければ姫のそばにいる資格はない、荷物をまとめて出て行 くがいい、と。 勝負はあっさりと決した。 ﹁なぜだ⋮⋮なぜ勝てん!﹂ ﹁あの、セレスタ⋮⋮さん? そう落ち込まないで、ほら、勝負は 時の運だし﹂ 165 ﹁うるさい、情けの言葉などッ! も、もう一戦だ!﹂ 余計にセレスタを複雑な思いにさせたのは、キリカが自分の立場 や実力を鼻にかけるような所が微塵もなく、人に気を遣える優しい 子だということだった。 他の女騎士からメイドに至るまで、どんどん彼女は周囲の信頼と 人気を得ていった。 手合わせを重ね、共に任務に就くうちに、彼女が裏表のない好人 物だと思い知ってしまった。 セレスタの煩悶は続いた。だが、そこに転機がやってきた。 ﹁キリカが消息を絶った⋮⋮だと!?﹂ 辺境で起きたある事件の調査に赴いた後、連絡も足取りも途絶え たのだ。 心配する姫を慰めながら、セレスタはまたもや悩み、とまどった。 気に入らない相手が消えて喜ぶべきなのに、なぜかそう思えない 自分に。 ﹁まさか、私があいつの心配をしている、などと⋮⋮ば、馬鹿なっ !﹂ 姫がお心を痛めているから、自分も喜ぶような気にはなれないの だと、あるいは剣で決着をつけられなかった未練がそうさせるのだ と、セレスタは自分を納得させた。 だが、女騎士の胸のモヤモヤは消えてくれない。 そこに再びの、決定的な転機が訪れる。 だった⋮⋮。 それは、姫の身に降りかかろうとしている危険を密かに報せる、 信頼できる筋からの情報 166 ※ ※ ※ セレスタが意識を取り戻した時、どうやらそこは揺れる幌馬車の 荷台の中らしかった。 反射的に立ち上がろうとして、手足が拘束されていることに気付 く。 顔を上げると薄暗がりの中、地味な色のローブをまとった男らし き姿が、自分を見下ろしていることがわかった。 他の者の、キリカの姿はない⋮⋮御者台だろうか、それとも。 拘束は厳重だ。部下たちはあの異様な術で無力化され、もしかし たら皆殺しにされ、自分だけがこうしてどこかに運ばれている。 なぜ生かされたのか⋮⋮これからこいつは自分をどうするつもり なのか。 あらゆる可能性を考え、そして覚悟を決めた。 誇り高き女騎士として、貴族の家に生まれた女として、システィ ナ姫に剣を捧げた者として、この状況で言うべきことはひとつしか なかった。 セレスタは、ぎりっ⋮⋮と歯ぎしりをし、長いポニーテールの頭 を持ち上げて眼前の男をキッとにらみつけ。 その言葉を、言い放った。 ﹁くっ⋮⋮殺せッ!!﹂ 167 14話:女騎士と、その言葉︵後書き︶ 次回は普通にトオル視点に戻ります。 168 15話:砕かれる誇りと、その名 天啓の塔 へと向かわせながら、 ﹁この女騎士は、まだ魔隷化しない。少なくとも今はね﹂ ニーナに運転を任せた馬車を 荷台で気絶したセレスタを前に俺がそう言うと、キリカとパルミュ ーラは意外そうな顔をした。 ちなみに他の護衛兵たちに関しては、武器を奪った上で馬のあぶ みと馬車の車輪を破壊してきた。気がついても、まともに追いつい ては来られないだろう。 ﹁む? なぜじゃ、予言の姫の居場所や、なにゆえ襲撃を予測して 天啓の塔 に別ルートから向かっていることはまず いたかという情報を一刻も早く聞き出す必要があるのではないのか ?﹂ ﹁姫なら今、 間違いない。だからこうして塔に急いで、近くで待ち伏せればいい さ﹂ ﹁どうしてそう断言できるの? 姫さまが王都に残ってる可能性も ⋮⋮﹂ 女騎士を見下ろしながら、俺は静かに首を振った。 ﹁いや、多分それはない。なぜなら⋮⋮セレスタを囮にするって計 画自体、おそらくイヴリースの息がかかった誰かが彼女に吹き込ん だものだからだ﹂ ﹁なんじゃと、ヤツの!?﹂ ﹁考えてもみろよ。姫野さんがいない今、現状最強の近衛騎士をシ スティナ姫から引き離し、俺たちとぶつけて双方を足止め、あわよ 169 くば潰し合わせる⋮⋮その隙に、本命の姫を安全確実に確保しつつ 塔で予言をさせる。イヴリースにとって最高の筋書きじゃないか﹂ ﹁た、確かにそうだわ⋮⋮!﹂ ﹁囮作戦って言えば聞こえはいいけど、実際は単に護衛の戦力を分 散させる愚を犯しただけだ。まんまとハメられたんだよ、セレスタ も、そして俺たちも﹂ イヴリースがどこまで俺たちのことを把握しているかはわからな い。もしかしたら﹁襲撃者がいる﹂という情報はハッタリで、セレ スタを引き離し護衛を手薄にできればよかっただけかもしれない。 だがどう転んでも悪くない手だ。パルミューラの言う通り、周到 な陰謀家だな。 ﹁なるほどのぉ、ヤツらしい策よ。じゃが、ならなおさら魔隷化し て、その黒幕の名を聞き出しつつ、戦力に加えた方が得策に思える がのう﹂ 枠 問題だ。 ﹁もちろん情報は聞き出すよ。でも、できれば魔隷化抜きで済ませ たい理由があってね﹂ それは他でもない、魔隷の 今の俺の隷属術式スキルレベルは7、すなわち魔隷は最大7人。 そのうち6人までの枠がすでに埋まってしまっている。 最後の枠は、もちろんシスティナ姫用であると同時に、いざとい う時の保険でもある。敵を無力化し、俺の身を守る奥の手だからだ。 そして隷属術式の解除には時間がかかる。加えて今回、ただでさ え乏しい戦力をこれ以上減らすわけにはいかない⋮⋮セレスタは弱 くないとはいえ、現状キリカの下位互換に近いだろうしな。 ﹁だから、まだ隷属させずに尋問で情報を引き出す。ま、どうして 170 もダメだった時は魔隷化も検討するけどね﹂ ﹁で、でも! セレスタはその実力と気高さから クリムゾンローズ 深紅の薔薇 と まで呼ばれた近衛騎士筆頭よ。そう簡単に喋るとは思えないわ﹂ ﹁ぷっ、なんだその二つ名⋮⋮ま、確かに普通の方法ならそうかも ね﹂ にやりと口の端を歪めてみせる俺。 さっきキリカから聞いた、セレスタの経歴と性格。俺の予想が正 しければ、攻略法はだいたい想定できた。 ﹁ただ、それには姫野さんの協力が必要だ。システィナ姫を魔族か ら守るため⋮⋮手伝ってくれるよね?﹂ ﹁え、私? な、なんだか猛烈にイヤな予感がするんだけど⋮⋮?﹂ 馬車が天啓の塔に近付くまでが勝負。 さあ、なかなか面白いゲームになりそうだ。 ※ ※ ※ ﹁くっ⋮⋮殺せッ!!﹂ 第一声がよりによってそれかよ、と俺は思わず噴き出しそうにな った。 まあ、王家をはじめランバディア貴族の多くが信仰しているとい う光と法の神ルメインの教義では、自殺は禁じられてるらしいから おかしくはないのだが。 でもなんというか、テンプレな女騎士もいたもんだ。まあ、これ なら余計に読みやすい。 171 ﹁ずいぶんとあきらめのいいことだな、女騎士セレスタ?﹂ ﹁ふん⋮⋮何者か知らんが、私を見くびるな。姫のことを聞き出す つもりだろうが、あいにく私は取引も命乞いもしない。屈辱の忍従 より誇り高き死を選ぶ!﹂ 気丈そうな吊り目と切れ長の眉が、俺を見上げにらみ付けた。氷 でできた剣を思わせる、鋭くもどこか気品のある美貌の持ち主だ。 さすが貴族令嬢出身。 ちなみに俺は今、ギルドハウスから持ってきた、顔の上半分を覆 う金属の仮面をつけている。正体隠しというより、素顔の若さがバ レると凄みに欠けるからだ。 ﹁なるほど⋮⋮では死ぬ前に知りたくはないか、姫騎士キリカのこ とを?﹂ ﹁キリカ、だと!?﹂ 女騎士の顔色が変わった。元同僚がなぜ敵に回ったのか、それと も最初から騙すつもりで姫に近付いたのか、さまざまな可能性を浮 かべ悩んでいる、そんな顔だ。 ﹁やはり気になるようだな。消息を絶った姫騎士は、我が手に落ち 秘術にかかり、俺の忠実な下僕となっていたのだ﹂ ﹁なんだと⋮⋮貴様、でたらめを!﹂ まあ、これは実際本当のことなんだけどな。 ﹁くっくっく、冥土の土産に見せてやろう⋮⋮こっちに来い、キリ カ!﹂ 172 だんだん楽しくなってきた俺は、芝居がかった動作で手を叩いた。 荷台隅の暗がりから、うつむいたキリカが進み出る。 ﹁キリカ、やはりお前っ⋮⋮な!? なんだその姿はっ!?﹂ 目を見開いて硬直し、絶句するセレスタ。まあムリもない。 キリカの甲冑姿にはあるべき部分がなかった。 胸と股間、大事な部分を隠す装甲と布地だけが部分的に取り外さ れ、たゆんと豊かなEカップが馬車の振動に合わせて揺れている。 そして両手で恥ずかしそうに持ち上げられた清楚な白スカートか ら、隠すものひとつない恥ずかしい部分までが丸見えになっていた。 ﹁な、な、なっ⋮⋮なんと破廉恥なッ!? そ、それが騎士の姿か キリカッ!﹂ ﹁ああ⋮⋮見ないで、セレスタ⋮⋮! わたし、このお方に身も心 も調教されて、誇りも何もかも奪われ踏みにじられてしまったのぉ ⋮⋮っ!﹂ ﹁な、なにを言っている!?﹂ 姫騎士の唇から出た、どこか陶酔した声にセレスタが面食らって いる。 そのままキリカは俺にしなだれかかるように、むにゅうっ⋮⋮と 巨乳を腕に押しつけ、むっちりした生足を腰に絡めた。 ﹁くくくくっ、わかったろう? これぞ我が隷属魔術⋮⋮ご覧のと おり姫騎士は我が下僕だ﹂ ﹁なっ⋮⋮そ、それでは姫さまが夢で見たという魔隷術師、それが 貴様の正体なのか!﹂ 173 くっくっくっそのとおり、と仰々しく頷いて見せる俺。 キリカはその間も妖しく体をくねらせ、俺の指先にうやうやしく 舌を這わせた。 ﹁あはぁ、ご主人様ぁ⋮⋮私、ご命令どおりセレスタたちを倒しま したぁ⋮⋮ごほうびを、くださぁい⋮⋮っ!﹂ ﹁何が欲しいんだ? ちゃんと言ってみろ、元同僚にも聞こえるよ うにな﹂ ﹁はっはい⋮⋮ち、チンポですっ、ご主人様のたくましい、おチン ポ様ですぅ⋮⋮!﹂ ﹁や、やめろ⋮⋮! キリカ、どうしてしまったんだ! お、お前 はそんな声音で男に媚びるような情けない女ではなかったはずだぞ !?﹂ 今までに知る彼女からは想像もつかないメスのしぐさに、愕然と するセレスタ。 もちろんこの豹変には、カラクリがある。 ︵そうよ、なんてセリフ言わせるのよっ! い、いくらなんでもあ りえないわよこれ!?︶ と言わんばかりの抗議の視線が痛いが、俺は構わず隷属術式によ るコントロールを続けた。 操られたキリカは俺の股間に鼻先を押し当て、すんすんとオスの 匂いを吸い込んで熱い息を吐く。 ﹁も、もう我慢ができないんですぅ⋮⋮お願いです、キリカの淫乱 姫騎士おまんこにおちんぽブチ込んでくださぁい⋮⋮っ﹂ ﹁しょうがないメス犬姫騎士だな。だが⋮⋮ほうびを授けてやるワ ケには、いかんなぁ!﹂ 174 ﹁っっ、ああっ!?﹂ 俺に黒髪を掴まれ、床板に押しつけられたキリカが細い悲鳴をあ げた。 突然のことに、セレスタは何が起きたかわからない様子だ。 ﹁貴様、さっきこの女騎士との戦いで剣を向けることをためらった な? 手心を加えたな? 俺の目はごまかせんぞ。この俺の命に背 くとはやってくれたな!﹂ ﹁お、お許しを、お慈悲を、ご主人様っ⋮⋮!﹂ ﹁いいや許さん。俺は忠実な下僕しか要らんのだ! お前はもう廃 棄処分のオモチャだ⋮⋮最後の餞別に、肉の剣ではなくこれをくれ てやろう!﹂ キリカの腰から抜いた騎士剣を、これみよがしにペロリと舐める 俺。 ﹁よ、よせ! 何をするつもりだ!?﹂ ﹁クックック知れたことよぉ、この女のあそこにこれを突っ込んで かき回し、元同僚の見守る前でもだえ死にさせてやるのだぁ! 最 高のショーだと思わんかね!?﹂ ﹁き、貴様っ! こ、この外道がッ⋮⋮!﹂ 俺のテンプレ非道悪役演技に歯を食いしばり、俺をにらみ付ける セレスタ。 おいおい、そうじゃないだろ⋮⋮と思いつつ、俺は刃をゆっくり、 震える白い尻に近付けていく⋮⋮ふりをする。馬車が揺れて危ない んだから早く気付いてくれよ。 ﹁⋮⋮ま、待てっ! わ、私がその騎士の身代わりになる! なん 175 でもする、だからキリカは助けてやってくれッ!﹂ よし、上出来だ。さすが気高い女騎士、自己犠牲精神も完璧だ。 俺はわざとらしく、寸前で剣先をピタリと止めてみせる。 ﹁ほほう? お前が具体的に何をするというのだ、んん?﹂ ﹁そ、それは⋮⋮き、貴様は女を支配したいのだろう、ならばっ⋮ 深紅の薔薇 が相手では不服か!?﹂ ⋮彼女の代わりに、わっ私の体を好きにするがいい、この騎士セレ スタをっ! よしよし、完全に俺の読み通り、想定通りのセリフを引き出して やった。 セレスタが心に秘めるキリカへの嫉妬、芽生え始めた友情、そし て無自覚な憧れ。 キリカを守り、自分が身を挺することで得られるライバル騎士と しての、そして女としての優越感。 キリカの前でそれをすることの背徳的な快感。 突然のショッキングな情報と行動で、正確な判断力を奪われた女 騎士の心は、そういった深層心理を刺激する俺の誘導に、面白いほ どに引っかかった。 ﹁ほう、いいだろう⋮⋮だが俺の機嫌を損ねたら、あるいは俺を出 し抜こうとしたら、姫騎士は我が術によってみずから惨たらしい死 を選ぶぞ。下手なことは考えるなよ﹂ ﹁わ、わかった⋮⋮私は抵抗など、しない⋮⋮ッ!﹂ 言葉は気丈だが、声は震えている。まあ処女だろうし、ムリもな いかな。 俺は抵抗の失せたセレスタを床板に座らせ、さっきからキリカの 痴態でギンギンになっているチンポをその眼前にぼろんと突きつけ 176 た。 ﹁ひっ⋮⋮な、なんだそれはっ、そのおぞましいモノはッ!?﹂ ﹁ははっ、女騎士どのは勃起チンポも知らないのか。ウブにもほど があるぞ﹂ ﹁ぼ、ぼっきちん⋮⋮ぽ⋮⋮? うぁ、ち、近付けるな!? そ、 そのような汚らわしいもの、見たくもっ⋮⋮!﹂ ︵ちょっ、そこまでする必要があるの!? こ、この女の敵!︶ 床板に転がったキリカの視線抗議をよそに、俺は先走り液を垂ら す先端を、ぐいぐいと女騎士のなめらかな白い頬に押しつける。 ﹁ほら、逃げるなよ? 騎士の訓練じゃ身に付かないお勉強をさせ てやろう⋮⋮キリカの命を助けたくば、まずはこれをしゃぶっても らおうか、さっき姫騎士が指にしていたように、な﹂ ﹁こ、こんな臭くて病気になりそうなモノを、口に入れるなどとッ ⋮⋮い、いや、わかった、やる、やればいいのだろう!? ううっ ⋮⋮うあ、変な味、がっ⋮⋮!﹂ キリカの命を盾にした俺に逆らえず、セレスタは目をぎゅっとつ ぶりながら震える舌先を亀頭におそるおそる這わせた。 ぴとっ⋮⋮と触れた瞬間、びくっと舌が驚くしぐさが興奮をそそ る。 ﹁よし、次は唇を先端にかぶせながら、舌を回すように動かすんだ ⋮⋮お上品な貴族の食事じゃないんだぞ、下品に音を立てるくらい 派手に動かせ﹂ ﹁な、なあッ⋮⋮ちゅるっ、れろっ⋮⋮んじゅる、じゅるるっ⋮⋮ んちゅぱっ、れろろぉっ⋮⋮こ、これでいいのか!?﹂ 177 ﹁くくく、なかなか筋がいいぞ。そう、最初のキリカより上手なく らいだ。剣よりチンポの扱いの方に才能があるようだな?﹂ ﹁ぐ、愚弄するなッ!? 私はこのようなことっ、したくも⋮⋮ち ゅぶっ、じゅるぶぶッ!﹂ 顔から火の出るような羞恥と屈辱をごまかすよう必死に、セレス タの動きが派手になる。 だが、その稚拙なテクはもちろん俺をイカせるほどじゃない。 ﹁努力は認めるが、それではいつまでたっても終わらないぞ⋮⋮手 伝ってやろう、そらっ!﹂ ﹁⋮⋮んっ!? あぷっ、んぶぅぅぅぅっっっ!!?﹂ ポニーテールの根元を掴み、グッとのどの奥までチンポを突き込 んでのイラマチオ。 女騎士は涙を浮かべながら陵辱に耐え、俺にされるがまま口マン コを使われる。 ﹁くっ、奥の粘膜のフィット感がなかなかっ⋮⋮よぉし、そろそろ 一発目をブチまけてやるぞ! 姫騎士にもしっかり見てもらえ、お 前が騎士として汚されるさまをなあ!﹂ ﹁んぶっ、あうぐぅぅぅっ!? ぷぁ、ぶはっげほっ⋮⋮や、やめ ろ何をッ⋮⋮うああっ!?﹂ 勢い良く女騎士の口より引き抜かれたチンポから、暴れ回るよう な勢いの精液をびゅるっどびゅるるっっ! と解き放つ。 それは頭を掴まれ体を拘束されたセレスタの身を包む、深紅に彩 られた白銀の鎧のあちこちに乱れ飛び、ねばつく粘液とむわっとす るオスのにおいで汚染した。 178 深紅の薔薇 、まさにメス騎士 ﹁か、家伝の鎧がっ⋮⋮き、きさま騎士の誇りになんという侮辱を ぉっ⋮⋮あううっ!﹂ ﹁ふふふっ、よぉく似合ってるぞ 奴隷にふさわしい化粧だなぁ? なにせこれから⋮⋮その純潔を俺 に散らされるのだからな!﹂ ﹁な、そ、そんなッ⋮⋮そ、それだけはっ、うああっ!?﹂ 俺は両足が縛られたままのセレスタを四つん這いに転がし、赤い ラインの入った純白のスカートをめくりあげた。 キリカが命令の制御下でじたばた意識を暴れさせているが、やめ るつもりはない。 これは尋問の上で必要なことだ。自分は犠牲にしても、他人の名 を喋らせるには、この強情で誇り高い女騎士の心を折ってやる必要 がある。 ﹁く、くううッ⋮⋮だ、だが体をいかように嬲られようと、心まで は決して屈しないぞっ! 私は、誇りあるランバディアの騎士だか らだ⋮⋮ッ!﹂ そして何より、セレスタはいい女だ。キリカにライバル心を抱き つつ、その命を救うためにプライドを曲げるあたり、真の騎士魂の 持ち主といえるだろう。 だからこそ、オスとしての支配欲がうずく。この女を、俺のもの にしたいと。 ﹁そうかそうか、それは楽しみだ⋮⋮どれ、これが女騎士の初物マ ンコか﹂ ﹁っひうあっ!? んはぁぁっ、や、なっ舐め⋮⋮そ、そのような 所をぉぉぉっっ!?﹂ 179 清楚だが色気に欠けた白い下着を引き下ろし、ぴったり閉じた割 れ目に舌を伸ばす。かすかに汗の味がするが、健康的ないいにおい が悪くない。 弱々しく逃げようとする腰を掴んで、そのまま舌を差し込みかき 回すと、セレスタは火傷した子供みたいな甲高い困惑の叫びをあげ た。 ﹁ひゃっ、ひやぁぁっ!? まっ待て、へっ変だ、変な感覚がっ襲 ってッ⋮⋮んひぃぃっ、はうぅぅあ!?﹂ 思ったより感度がいいな、こいつ。想定してたより楽にことを運 べそうだ。 俺はまろやかなヒップラインをさすりながら、肉唇の内や外、ふ るふると控えめに自己主張するクリトリスまでも、次々と舌先で、 指で、未知の快感を教え込む。 ﹁どうだ、異様な未知の感覚が体を貫いて揺さぶってるだろ? そ れは俺の術によるものだ⋮⋮ほぉら、どんどん強くなるぞ? キリ カもそれをやられてすぐに堕ちた、お前もそうなる!﹂ ﹁そっそんなッ⋮⋮え、得体の知れない邪術に私の体がっ、感覚が ぁ⋮⋮ほ、ほんとに強くなってっ、ひぃぃっんはぁぁっ!?﹂ 簡単な暗示に過ぎないが、異常な緊張状態の状況下で未知の触感 を叩き込まれたセレスタは面白いようにそれを自己増幅させ、自分 から快楽のループにはまっていく。 ﹁なんだ、あっという間にトロトロじゃないか⋮⋮見ろ、お前の濡 らしたいやらしい汁がこんなに糸を引いてるぞ?﹂ ﹁え!? そ、そんなウソだッ、あ、あああ⋮⋮!﹂ 180 ネチョネチョになった指先を眼前に突きつけてやると、いやいや とポニーテールを振り乱して、自分の肉体に訪れたイヤらしい変化 を必死に拒むセレスタ。 これだけ濡れてれば大丈夫だろう⋮⋮俺はあらかじめニーナにか けてもらった精力エンチャントのおかげでまだビキバキの勃起を、 後ろから狭い濡れ穴に押し当てた。 ﹁さあ、姫騎士キリカと同じくお前の処女も俺が奪ってやる⋮⋮こ の魔隷術師トオルがな! 自分を女にした男の名を痛みと共に刻み 込まれろ、女騎士セレスタ!!﹂ ﹁あッ⋮⋮がっ、ひぎぃッ⋮⋮!? あ、うぁぁぁぁっ⋮⋮あっひ ぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!?﹂ ぬぶっ、にゅぶぶぶぶッ⋮⋮ぷち、ぷちぷちぃっ⋮⋮! マントの切れ端とポニーテールを掴み、犬のようなバックスタイ ルでのバージン強奪挿入。 処女な上、足がまとめて縛られているせいで余計に締まるキツキ ツの女騎士マンコを、俺のいきりたったチンポがぎゅちにゅちと開 墾していく。 ﹁あぁぁぁあうぅぅッッ、んぁぁぁぁああぁぁ∼∼∼ッッッ!!? ひっぎ、ひゃぁぁっやめっ、やだやだやだ抜いてくれぇぇぇッッ !?﹂ ﹁今更、もう遅いぞっ! ほら、キリカもお前が女になった所をよ ぉく見てくれているぞ、自分を貫いたのと同じチンポでなあ!﹂ ︵わ、わかってたけどやっぱり最低最悪っ、節操なしの強姦魔っっ っ!!︶ 181 俺への抗議とセレスタへの同情を交互に宿して、床から俺たちの 生ハメロストバージンを涙目で見つめさせられるキリカ。 その視線に反応するように、女騎士の膣内がキュキュッと収縮し た。 ﹁あ、ああっ⋮⋮見るな、見ないでくれっキリカッ⋮⋮こんな私の 姿をっ、無惨に散らされた情けない私をぉぉ⋮⋮ひっひゃぁんッ! ?﹂ ﹁口ではイヤがっていても体はずいぶん正直だなあ、セレスタ?﹂ ﹁う、ウソだぁぁぁッ!? 人質を取るような卑劣な男にいいよう にされてっ、この私が屈するなどっ、そんなことあるわけがッ⋮⋮ ひぐぅぅぅぅーーーッッ!!?﹂ 今回の俺はとことんテンプレなゲス野郎のセリフだが、ここまで くると逆に楽しくなってきたから仕方がない。 ポイントは、セレスタもこれ見よがしになぶられることでマンコ を濡らしキュウキュウとわななかせ、激しく反応してるってことだ。 それはマゾというより、今まで守ってきたものを叩き潰される破 滅的快楽、一種の開放感のなせるわざだろう。 女騎士としての義務感、姫への責任感、キリカへの劣等感、さま ざまなものに縛られ抑圧された少女は、ある意味で今はじめて精神 的な解放の時を迎えているのだ。 ここまでくれば⋮⋮あと一押し。 ﹁どんな気分だセレスタっ、姫騎士同様に敗北し女の尊厳も守れず、 好きでもない男に屈服するというのは!? お前がなぜこんな目に 遭っていると思うっ!?﹂ ﹁そ、そんなものッ、きっ貴様のせいに決まっているぅぅッ⋮⋮!﹂ ﹁いいや違う! お前はハメられたのだ、騙されたんだよ! お前 を姫から引き離し、囮作戦などというバカな名目で俺に差し出した 182 内通者にな!﹂ ﹁なッ⋮⋮!? なん、だとっ⋮⋮き、貴様何をっ、うあうぅぅぅ っ、ひぃぃぃんっ!!?﹂ 思考を落ち着かせないために、俺はパンッズパンッと腰を打ち付 けてセレスタの未開発な少女騎士マンコに荒削りな快感電流を送り 込む。 馬車の揺れが小刻みに俺たちの体を揺さぶり、思いもよらない形 で混じるランダムな刺激が、セックスに不慣れなセレスタをいじめ そいつ の言葉はどこか不自然じゃなか 抜いてはしたない声をあげさせる。 ﹁思い出してもみろ! ったか!? お前はそいつを信用していたがために、姫のためとい う甘言に覆い隠された真意を見抜けなかったんだ! その結果がこ のザマだっ!﹂ ﹁ばっ馬鹿な、そんなことあるわけが⋮⋮ッひゃうぅぅう!? お っ奥っ、おおっ奥を叩くのやめッ⋮⋮あはうあああああっっっ!!﹂ どちゅ、どぬちゅっ、ぶちゅんっ⋮⋮と、どんどんチンポに慣れ ていく半熟マンコをこねくりまわす。 同じくらいの身長のアメリアの弱い部分、奥の上側の壁を亀頭で こすってやると、同じように弱点にヒットしたみたいでなおさら泣 き声が大きくなった。 ﹁そうだっ! お前には心当たりがあるはずだ、そいつの名が! そいつこそランバディアの獅子身中の虫、システィナ姫を狙う敵な んだ⋮⋮よっ!!﹂ 食いちぎらんばかりに締め付けてくる処女穴にいよいよ限界を感 じながら、俺はとどめの一言を、根元からこみあげる精液と共に叩 183 き付けた! ﹁馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁあぁぁああっ!!? そ、それでは私はな んのためにっ、こんなことまでされてッ⋮⋮ひ、姫ぇぇぇぇっっ! ? 姫さまのッ身をッ、あの方が⋮⋮あの⋮⋮ッ!!?﹂ どびゅるるるっっ!! ぶびゅるるるぅぅ、びゅぶばぁぁっっ!! ﹁ッッッ!!? あッ熱ぅぅッッ⋮⋮あ、あぁぁぁぁぁぁんぉぉぉ あぁぁぁ∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ 亜麻色のポニーテールを振り乱し、背筋を弓のように反らせて、 生まれて初めてのチンポ絶頂に叫ぶ女騎士セレスタ。 下半身が溶けそうな快感と共に、どくんどくんと送り込まれる俺 の精液が、開通したばかりの敏感マンコを、子宮を、脳を焼き焦が していく。 ﹁くっ⋮⋮ううっ! 確かに、聞かせて、もらったぞ⋮⋮っ!﹂ それ を口走ってしまったこ ﹁う⋮⋮あうぅ⋮⋮そ、そんなぁぁ⋮⋮ッ!﹂ 膣内射精そのものもだが、自分が とに、そしてかすかな疑念が俺の言葉によって実を結んだことに、 女騎士は打ちのめされていた。 その汗に濡れたしなやかな太股に、純潔の血と混じってうっすら 桃色になった大量の白濁液が、ぷるるっと震えてあふれ、馬車に揺 られてゆっくり流れていく。 キリカの大きな瞳もまた、驚愕に見開かれていた。 最後の瞬間、セレスタの口から漏れた、その名を聞いて。 184 ※ ※ ※ ﹁セレスタは⋮⋮危ない目には遭っていないでしょうか?﹂ 透き通るようなプラチナブロンドを宝冠の下で揺らし、空と海を 閉じ込めたような深い蒼の瞳を憂いに曇らせて、馬車の中システィ ナ姫は隣席にそう呼びかけた。 遠くからその笑みをひと目見るだけで、何十、何百もの騎士や兵 士が彼女のために命を捧げると誓ってやまない、ランバディアの至 宝と呼ばれた第三王女。 天啓の塔 ですぐ無事に合流できまし ﹁ははは⋮⋮確かに囮のようなものとは申しましたが、くせ者の噂 はおそらく杞憂でしょう。 ょうぞ、そうご心配めされるな﹂ 柔和な顔でにこやかに応えたのは、白い簡素な法衣に身を包んだ、 やせた老人。 その胸に吊られた、法と光の神ルメインのシンボルがにぶく輝い ている。 ﹁ええ⋮⋮ならよいのですけれど。グルーム大神官にまでこうして 同行していただくことになるなんて、なんだかどんどん大事になっ てしまったみたいで、少し不安ですわ﹂ ﹁元大神官、でございますよ。今は隠居の身、こうして姫のご成長 を見守るのがこの年寄り唯一の楽しみで⋮⋮お気に召されますな、 ははは﹂ ところで、城からずっと携えておられるその包みはなんでござい 185 ますかな⋮⋮とグルームが聞くと、姫はぱっと恥ずかしそうに頬を 赤らめた。 天啓の では正確な予言が降りてくるまで何日もかかるかもしれないと ﹁その、わたくし⋮⋮枕が変わると、眠れないんですの。 塔 聞いて⋮⋮﹂ ﹁ははは、姫はしっかりしておられるように見えて、まだまだかわ いい所のあるお方だ﹂ ﹁もう、からかわないでくださいませ、グルーム様﹂ いつしか雨がぱらつく中、塔というより細い台形のような形をし た灰色の建造物が、馬車の窓から行く手の曇り空に現れはじめた。 ﹁見えてきましたぞ、あれが天啓の塔にございます﹂ ﹁あそこでなら、わたくしの見た予言の真実も⋮⋮はっきりとする のですね﹂ ええ、その通り⋮⋮と、元大神官グルームはおごそかに頷いた。 ﹁そしてそれは、我らが偉大なる主も望むところでございますれば ⋮⋮!﹂ 186 16話:予言の姫と、虹の刃 ﹁元大神官グルーム⋮⋮まさかあの人が!? 先王の代からずっと 王家の神事を取り仕切ったり、ご意見番を務めたりしてる立派な人 なのよ﹂ セレスタの口から出たその名前こそ、八冥家イヴリースの息がか かった黒幕。 天啓の塔 へとまさに到達しようとしていた。 俺たちが驚くべき事実を知った時、馬車は開けた荒野にそびえ立 つ ﹁ふん、魔族の寿命を考えてもみよ。百年規模の気長な陰謀などザ ラじゃわい。最初から予言の姫の発見・監視役として長年息を潜め ておったのじゃろ﹂ ﹁なんてこと⋮⋮!﹂ 雨に濡れ灰色に染まる塔の周辺には、人影ひとつ見えない。 入り口付近に、セレスタが乗っていたのとよく似た馬車が無人で 停まっている。 ﹁一歩遅かったか! こうなったら仕方ない、現在の戦力で突入す るぞ、みんな﹂ ﹁わかったわ、姫さまをお救いしないと!﹂ 予言を終えた姫を、魔族がどうするかわかったもんじゃないしな。 俺は降りる準備をしつつ、荷台に気絶して横たわっているセレス タに視線をやった。 187 ﹁打てる手は⋮⋮すべて打っておくか﹂ ※ ※ ※ ﹁システィナ姫さま! その男から離れてください!﹂ はるか上まで吹き抜けになった、塔内部の広い空間。 内壁沿いにぐるりと上に向かう螺旋階段へと足をかけようとして いた真っ白なドレスの女性と、地球のカソックに似た法衣姿の老人 を、姫騎士の声が止めた。 あれがシスティナ姫とグルームか⋮⋮と、俺はキリカの後方、入 り口の陰から姿を現さずに様子をうかがう。 ﹁まあ、キリカ!? よかった⋮⋮無事だったのですわね!﹂ 何かの包みを抱えたまま、再会した友に駆け寄ろうとする姫を、 グルームが手で制した。 従う兵士ふたりが音もなく、姫たちとキリカの間に割って入る。 ﹁おやおや⋮⋮誰かと思えば行方不明の姫騎士殿。なぜ唐突にこの 場に?﹂ ﹁とぼけないで! あなたが魔族イヴリースの操り人形であること、 姫さまを予言の道具として利用しようとここに連れてきたこと、す べてわかってるのよ!﹂ グルームの笑顔が、笑顔のまま能面のように凍り付いた。 ﹁魔族、ですって? いったいどういうことですの!?﹂ 188 ﹁耳を貸されますな。姫騎士殿はご乱心めされたようだ⋮⋮やれ﹂ 明らかに人間ではない野獣じみた前傾姿勢で、兵士たちが飛びか かる。 だが、キリカの反応は速かった。足にローラーでもついているか のような動きで連中の周囲を8の字に旋回し、騎士剣が閃いたかと 思うと、兵士たちが同時に倒れ伏す。 そしてそのままの勢いで、立ち尽くすグルームめがけ刃が振りか ぶられ⋮⋮! ﹁⋮⋮あぐぅっっ!!?﹂ ﹁き、キリカっ!?﹂ 姫の悲鳴。宙を飛ばされたキリカが、なんとかヒザをついて受け 身をとる。 グルームの右腕が、遠近法の狂った作画ミスみたいに、何倍にも 太く長く膨れあがっている。あれでキリカを殴り飛ばしたのか。 ﹁ぐぐぐゥ⋮⋮! 予言の間に姫を入れてしまえば後は楽だったも のをォ⋮⋮面倒な邪魔をしてくれおってェ⋮⋮!﹂ ﹁グルーム、ではあなたはやはり⋮⋮!﹂ 返事代わりにみちみちッと異音が響き、小柄な老人の体が変貌し ていく。 骨の鎧めいた灰色の外骨格に覆われた、3mはありそうな逆三角 体型の巨体へと。馬の骸骨にも似た頭部では、黒い眼窩の中で蒼い 鬼火が燃えている。 離れていてもビリビリ響く、とてつもない威圧感と危険信号⋮⋮ こいつはヤバい! 189 ﹁いかん、よりによって魔騎士級か! 気を付けよ姫騎士っ、そや つ白兵戦能力だけなら第四位階魔族にも引けを取らんぞ!﹂ 俺の指示で飛び出したパルミューラが、浮遊しつつ紫の魔力弾を 次々と投射するが、グルームをわずかにひるませただけだ。 ﹁ちっ、まだ回復しきっておらぬ魔力で使える術では牽制がせいぜ いか﹂ ﹁その魔紋、魔貴族⋮⋮だとォ? なぜ人間とォ、つるんでいるの だァ?﹂ ﹁黙れ、第五位階ふぜいが! こちらにも色々と事情があるのじゃ !﹂ うるさそうに巨大な手をかざし、降り注ぐ魔力弾を打ち払う魔騎 士グルーム。 注意がそれた隙を逃さず、キリカがその足を狙って低姿勢から騎 士剣を振り抜く⋮⋮が。 ﹁くぅぅっ!? 刃が、通らないっ⋮⋮!?﹂ にぶい金属音をたて、聖騎剣技スキルを帯びて攻撃力を増してい るはずの騎士剣がはじかれた。 バカな、いくら魔騎士級だからって対魔族に特化した剣技が通用 しないだと!? ﹁ワシはイヴリースさまから特別なカラダを与えられているゥ⋮⋮ ! 予言の姫を確実に手中とすべくゥ、あらゆる障害を圧倒できる ディスロケートアーマー ようになァ⋮⋮!﹂ ﹁ちぃッ、よもや次元断層魔甲か! 厄介なものを持ち出しおって、 今の姫騎士のスキルレベルでは並の武器でアレは破れぬぞ!﹂ 190 見れば、グルームを覆う外骨格は時たま虹色にうっすら輝いてい る。あれはシエラを捕らえていた結界と同じ色⋮⋮つまり次元の障 壁そのものをバリアにしてるようなもんか、なんてチートな。 どうする⋮⋮あの様子じゃ聖光爆濤破でも致命傷は与えられない 可能性が高い。次元断層と同じ原理なら、俺の隷属魔術もまず通用 しないだろう。 ﹁やむを得ない、作戦をプランBに変更だニーナ。ここは姫を確保 して撤退する!﹂ ﹁はっはい! ご主人様にミラーイメージをかければいいんですね っ﹂ 実際の位置を2mほど誤認させる魔法を付与された俺は、壁沿い に必死でダッシュして、奥で動けなくなっている姫のところを目指 す。 シエラやアメリア、ナナたちがいればこんな危ない橋は渡らずに すむんだが、やむを得ない。 俺の存在に気付いたグルームが、キリカやパルミューラと打ち合 いながら飛ばしてきた床の破片が、虚像の俺を貫いてかき消し、壁 にビシビシと食い込んだ。 ︵当たったら骨折くらいじゃすまないな⋮⋮くそっ、生きた心地が しない!︶ それでもなんとか、豪奢だが品のあるドレスに身を包んだ、プラ チナブロンドに碧眼の美少女のそばまでたどり着く。 近くで見ると、本当に信じられないくらい綺麗なお姫様だ。パル ミューラも人形みたいだが、こっちはそこにいるだけで太陽の明る さを放つような、輝く美貌。 191 それに、ほっそり清楚なたたずまいの中で一部分、高級レースに 彩られた胸のボリュームだけかなり自己主張が激しい。へたり込ん でいる姫を上から見下ろすと、お腹が見えないくらいだ。下手する とシエラ級じゃないかこれ⋮⋮ってそんなこと考えてる場合じゃな い。 ﹁あ、あなたは一体どなたなのです⋮⋮?﹂ そういえば仮面をつけたままだったが、今は外してる余裕もない な。 ﹁キリカの仲間ですよ。彼女があのバケモノを食い止めてる間にこ こを脱出しましょう、姫!﹂ 抱き起こそうとした俺のローブのすそを、レースの長手袋に包ま れたたおやかな指が掴んだ。意外なくらいに、しっかりと。 ﹁お待ちになってください。グルーム⋮⋮いいえ、あの化け物から そう簡単に逃げ切れるとも思えません。今戦っている者たちは無事 では済まないでしょう﹂ てっきり現状に怯え、わけもわからずパニックになっていると思 いきや、その一言は俺が驚くほどにしっかりした冷静な響きだった。 確かにキリカもパルミューラも、ほぼ無敵なのをいいことに暴れ 回るグルームの猛攻をしのぐのに精一杯で、深い傷を負うのは時間 の問題だ。 ﹁ですが、現に姫騎士の剣技も通じない。ヤツを倒す手段が我々に はないんですよ﹂ ﹁手段なら⋮⋮あるかもしれませんわ﹂ 192 まっすぐ見上げてくる蒼い瞳。 俺は耳を疑った。何を言っているんだ、このお姫様は? ﹁これを、なんとか渡してあげられないでしょうか。姫騎士キリカ に﹂ 姫が後生大事に抱えていた包みを解くと、中から出てきたのは⋮ ⋮大きな枕? いや枕投げであいつを倒そうとか何だそのジョーク、と面食らっ 細長いそれ を。 ている俺をよそに、姫はさらにその中から取り出しはじめた。 枕にずっと隠していた ﹁っ!? それは⋮⋮!﹂ ※ ※ ※ ﹁くすぐったいぞォ! 効かぬとォ⋮⋮言っておろうがァ!﹂ ﹁っく⋮⋮ああっ!?﹂ 飛翔して首の外骨格の隙間を狙った一撃も効果がなく、逆に丸太 のような豪腕による猛反撃を、すんでの所で受け止めるキリカ。 ついにキリカの騎士剣が、衝撃に耐えられず半ばから折れて飛ん だ。 ﹁こうなった以上お前にはァ、姫に言うことを聞かせる材料になっ てもらおうか姫騎士ィ⋮⋮! 目の前ではらわたをかき回しィ、ゆ っくり嬲り殺すさまを見せつければァ、おとなしく予言の間に入る 193 だろうよォ⋮⋮!﹂ ﹁誰がっ、お前なんかに負けるもんですか! システィナ姫さまに もそんなこと、させはしないっ!﹂ 折れた剣でなお、迫る魔騎士の巨体に一歩も退かず構えをとるキ リカ。 絶体絶命の姫騎士めがけ⋮⋮俺は意を決し、駆けだした。 ﹁こいつを受け取れぇっ、キリカぁっ!﹂ 叫び、投げる。手にしたそれを。 接近に気付いたグルームが腕を振り抜き、ぶわッと床を薙いだ衝 撃波が、俺を後方へ吹き飛ばす⋮⋮体がバラバラになりそうな激痛! ﹁お、小田森くんっ!?﹂ 俺の無謀な行動に目を丸くしながら、キリカが反射的に掴み取っ た。 まるでガラスのような半透明の刀身を持つ、その長剣を。 こうけん ﹁え⋮⋮!? ウソ、これってまさか⋮⋮王家の煌剣アルカンシェ ル!?﹂ 煌剣アルカンシェル。 ランバディア王家に伝わる、かつて伝説的な姫騎士が魔族との戦 いに用いたという秘宝。 ふさわしい使い手がおらず死蔵されていたそれを、姫は王族しか 立ち入れない宝物庫から密かに持ち出してきていた。 自分を狙う者の存在を想定して、姫騎士との再会を信じて、キリ カに託すために⋮⋮とんでもない行動をするお姫様だ。 194 ﹃なぜキリカと再会できると思ったか⋮⋮ですって? なぜならば、 わたくしの窮地にはきっとキリカが助けに現れてくれると信じてい たからですわ﹄ 確信に満ちた声でにっこりと笑った天真爛漫な顔に、俺は正直舌 を巻いた。 このお姫様、綺麗なだけじゃない。 ならば、俺も信じよう。俺の魔隷を、姫騎士キリカを。 そのためなら俺も命を危険にさらすくらい上等だ、むしろ面白い じゃないか。 俺は激痛にゆがむ顔で、驚くキリカに無理矢理ニヤリと笑ってみ せた。 ﹁小田森くん、あなた⋮⋮!﹂ ﹁得物を変えたところでェ! なにができるとォ!!﹂ 一本一本が手槍ほどもあるカギ爪の右手をふりかぶり、キリカを 襲うグルーム。 鮮血が飛び散り⋮⋮魔騎士のヒジから先が、どしゃりと床に落ち た。 ﹁グゲゲェェェェッ!? なぜなぜなぜ次元断層魔甲を貫けるゥゥ ゥ!!?﹂ 美しい軌跡を描き、まるでバターでも切るようにグルームの豪腕 を斬り飛ばした刀身。 それは虹の七色にグラデーションし、オーロラめいて美しく煌め いていた。 195 ﹁あれが煌剣アルカンシェル⋮⋮聖騎剣技スキルに呼応して、その 刀身は空間そのものを斬断する攻性の疑似次元断層と化す。高位魔 族との決戦を想定した伝説の対空間アーティファクト、現存してお ったのか⋮⋮!﹂ パルミューラの声がかすかに震えている。 俺は床に転がりながら、歯を食いしばり声を振り絞った。勝機は 今しかない! ﹁⋮⋮やれッ、姫野さんっ! 俺の残った魔力を全部送ってやるッ !!﹂ ﹁ええ、わかったわっ! 任せて!﹂ 魔隷強化の同調リンクを全開。最後の一撃を繰り出す力を、姫騎 士に注ぎ込む。 サークル・エアリアル 想定外の事態に狂乱するグルームめがけ、キリカが黒髪とマント をなびかせ、天翔輝円を足場に飛んだ。 振りかぶられた虹色の刀身が、数mほどもあるオーロラの刃とな って伸びる。 ボレアリス・アルカンシェル ﹁いま聖なる輝きにて、邪なる魔空を断つ! 極光聖彩刃ッッ!!﹂ ﹁い⋮⋮イヴリースさまァァァァッッッ!!﹂ そして振り下ろされた輝き、次元を断つ聖刃による断罪の一撃が ⋮⋮次元断層魔甲もろとも、魔騎士グルームを真っ向両断した。 ※ ※ ※ 196 グルームの巨体は兵士のそれと共に、悪臭を放つ黒い泡と化して 消滅しつつあった。 俺はなんとか上半身を起こそうとして、痛みにうめいた。全身が 打撲と疲労感でバラバラになりそうだが、ニーナの治癒魔法があれ ば死にはしないだろう。 ﹁なんとか、勝てたかっ⋮⋮! それにしてもあいつは、どんな予 言を聞き出すつもりだったんだ?﹂ ともあれ、これから大事な仕上げが、本来の目的が残っている。 システィナ姫を⋮⋮魔隷にするのだ。だが、今のこの体じゃ近付く ことも⋮⋮! ﹁だ、だいじょうぶ小田森くん!?﹂ ﹁ご主人様っ!﹂ ﹁まったく、無茶をしおって⋮⋮!﹂ キリカが、魔隷たちが口々に走り寄ってくる。 だが⋮⋮その到着より先に、俺にそっと近付いた純白の姿があっ た。 ﹁システィナ姫⋮⋮っ?﹂ 俺を心配そうに見下ろす憂い顔。さっきの衝撃で壊れた仮面が外 れ、現れた俺の素顔を見て⋮⋮そのつぶらな瞳が、驚きに見開かれ た。 ﹁ああ⋮⋮そんな! あなたはまさかトオル、さま⋮⋮!?﹂ 197 え? なんで俺の名を姫が? と考えるヒマもなく。 ぼふにゅんっ⋮⋮といいにおいのする柔らかな感触が、俺の顔を 包んだ。 ﹁⋮⋮んぷっっ!?﹂ システィナ姫に頭を、そのふくよかな胸に抱きしめられいるのだ、 と数瞬遅れて理解する。俺を窒息させんばかりに包むふたつのマシ ュマロクッション⋮⋮い、いかん、マジで意識が。 この行為にキリカたちも絶句し固まっているのが、ぼんやりとわ かった。 ﹁ずっと、ずっとお会いしたかった! 魔隷術師、トオルさま。わたくしは⋮⋮あなたさまのものです!﹂ ※ ※ ※ 姫騎士キリカ︵レベルUP!︶ ジョブ:姫騎士LV7↓8 スキル:︻聖騎剣技LV5↓6︼︻魔法抵抗LV2︼??? 特殊装備:煌剣アルカンシェル︵NEW!︶ 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV9↓10 スキル:︻隷属魔法LV7︼︻魔の契約LV1︼︻魔隷強化LV1 ↓2︼??? 198 17話:姫の決意と、柔らかな天国 ﹁すると⋮⋮俺のことは予言の夢の中で見て知っていた、と﹂ 床に座り込んでニーナの治癒魔法処置を受けながら、俺たちはあ らためてシスティナ姫から話を聞いていた。 とりあえず隷属術式をかけるのは、少し様子見だ。 ﹁ええ、伝説の魔隷術師の予言夢を見るたび、しだいにトオル様の 姿がはっきりと⋮⋮そのお名前を知ったのは、キリカが消息を絶っ た後に見た夢でのことでしたが﹂ 俺の正面にお行儀よく正座し、わずかに頬を赤らめ顔を伏せる美 姫。 とっさに俺に抱きついてしまった自分の行動を、恥ずかしがって いるようでもある。 ﹁で、でも姫さま。なんでご自分のことをコイツのものだなんて! ? ご存じのとおり、魔隷術師は人をムリヤリ⋮⋮ど、奴隷にする 非人道的ジョブなんですよ?﹂ キリカが慌てつつ、言葉を選んでいるのがわかる。 自分がどんな状態にあるか、何をされたか⋮⋮主君であり友人で もある、この汚れなきお姫様にどこまでどう伝えるべきか迷ってる んだろう。 ﹁確かに、その力は危険で人倫や法を越えたものでしょうね。です が⋮⋮わたくしは、見たのです。魔隷術師トオル様が、その唯一無 199 二の力をもって ﹁え!?﹂ 世界を救う という予言のビジョンを﹂ 世界を救う、だって? この俺が? こんな俺が? 予想外の言葉に、俺もキリカも開いた口が塞がらない。 だいたい、何から救うっていうんだ? 魔族は人間にとって脅威 だけど、全力で滅ぼしにきてるとかじゃないはずだし。 ﹁もちろん、まだ曖昧なビジョンですが⋮⋮だからこそ、真実を確 かめるためにもわたくしはここに来ました。それを利用しようとす るグルームの陰謀を見抜けなかったのは、大きなあやまちでしたけ れど⋮⋮﹂ なるほど⋮⋮俺に世界を救うなんて気はさらさらないが、少なく とも姫がそう思い込んでいるなら好都合だ。 さっき魔族から救い出す形になったことも、信頼に繋がっている んだろう。俺を見る姫の瞳は、まるで勇者かなにかと勘違いしてる かのようだ。 魔隷の枠を使わなくても俺に従ってくれるなら、願ったり叶った りじゃないか。 ﹁じゃああなたは予言の姫としての力を、その身ごと俺に捧げてく れるというわけか。俺が世界を救う手助けとして﹂ ﹁⋮⋮はい。魔族がわたくしを狙っているというなら、なおのこと ですわ。わたくしを、トオル様のおそばに置かせてはくださいませ んか﹂ ﹁し、システィナ姫さまっ!?﹂ 美姫がはっきりと紡いだとんでもない言葉に、さすがに絶句する 一同。 200 ﹁それが⋮⋮どういうことかわかってるんですか? 二度と姫とし ての暮らしに戻れないかもしれないんですよ﹂ ﹁覚悟の、上です﹂ 俺をまっすぐ見つめる蒼玉の瞳が、決意と緊張に揺れていた。そ こに嘘は見えない。 もちろんそんな突拍子もない独断を、父王をはじめとする王家の 面々が許すはずもない。だからこそ計画を胸に秘め、少数で王城を 離れここに来たのだろう。 家族と別れ、王女としての何不自由ない生活を捨てることさえ覚 悟で⋮⋮やっぱりとんでもない決断力と行動力を秘めたお姫様だ。 ﹁し、システィナ姫さま⋮⋮!﹂ ﹁ごめんなさいね、キリカ。あなたに相談もなくこんな重大な決断 をしてしまって﹂ ﹁いえ、姫さまがご決断されたことなら、私は⋮⋮で、でも⋮⋮﹂ 予想外の展開に戸惑い、姫と俺を交互に見るキリカ。 姫が魔隷にされずにすむかもしれないが、それはそれとして俺と の同行を自主的に望んでいるという流れを、喜ぶべきか悩むべきか 混乱している様子だ。 ﹁ふむ、これはなんとも妙な雲行きになってきたのう﹂ ﹁あの⋮⋮ところでそちらの方は? お角が、生えてますが﹂ 腕を組み浮遊する黒ゴスロリ少女を、不思議そうに見つめるシス ティナ姫。 ﹁ああ、こいつは俺が従えてる魔貴族のパルミューラだ。最近はも 201 っぱら支援役とか解説役として忠実に仕事してるから、安心してい い﹂ ﹁な、なんじゃその失礼きわまる紹介はっ!?﹂ ﹁まあ! よくわかりませんが、トオル様は魔族さえも仲間にして しまわれるほどなのですね⋮⋮やはり世界を救うお方に違いありま せんわ!﹂ ﹁ひ、姫さま? あの、やっぱりちょっとお話が⋮⋮むぐっ!?﹂ 余計なことを言う前に、キリカの口を隷属命令で物理的にふさい でおく。 積もる話 をしてくる。誰も ﹁治療ありがとなニーナ、外のセレスタも回収して介抱してやって くれ。俺は、奥で姫ともうちょっと 邪魔しに入ってこないように﹂ ﹁はーい、ご主人様﹂ ﹁よかった⋮⋮セレスタともすぐ会えるのですね﹂ 俺の笑顔に隠れた狼の視線に気付かず、ぱっと美貌を輝かせる巨 乳姫。 聡明で思慮深いところもあるけど、基本はちょっと天然マイペー スな性格らしい。 白い手を胸の前で握り合わせた拍子に、ゆさっ⋮⋮と重そうなバ ストが揺れた。 ﹁んーっ!? んーんーーんーーーっっ!!?﹂ ﹁どうしましたのキリカ、お腹でも痛いのですか?﹂ ﹁ああ、姫との再会に感極まってるんでしょう。そっとしといてや りましょう﹂ ﹁?? トオル様がそうおっしゃるなら⋮⋮﹂ 202 そのケダモノについていってはダメですと、キリカの瞳が必死に 訴えかけているが、命令の支配は絶対だ。 俺は姫の手を取って、塔の一階に備え付けられた居住用区画⋮⋮ つまり寝室のある場所へ、まんまと連れ込むのだった。 ※ ※ ※ 魔法による処置だろうか、毎日掃除されているかのように清潔な ダブルサイズのベッドへと、並んで腰かける俺とシスティナ姫。 家族以外で彼女とこんな場所でふたりっきりになった男は、俺が 初めてだろう。 ﹁あの、トオル様。話とは⋮⋮きゃっ!?﹂ 宝石を転がすような美声が、驚きのトーンを帯びた。 俺の指が、高級レースに彩られた巨大なふくらみの双球、その片 方をだしぬけに掴んだのだ。むんにゅりと五指が深く沈み込む、こ のボリュームと柔らかさ⋮⋮! ﹁と、トオル様っ、いきなり何をっ⋮⋮ふぁぁん!?﹂ ﹁姫⋮⋮あなたは俺のものになると、そう言った。女が男に身を捧 げるという意味が、本当にわかってるのか?﹂ これは俺の欲望を満たすためでもあるが、姫を試す行為でもある。 本当に、心から俺に従うつもりなのか。 その覚悟が、口先だけのものではないか。 万一、俺を利用し騙すつもりではないのか。 それを確かめなくては、魔隷化しなくても大丈夫だという確証を 203 得られない。 ﹁んぁっ、わ、わたくしは⋮⋮っ!﹂ 初めて男に、豊かな胸を無遠慮にまさぐられる衝撃が箱入りお姫 様を襲う。 軽くウェーブがかったプラチナブロンド、その頂点にいくつも宝 石のはまった銀のティアラを頂く黄金の流れが、小刻みに揺れ⋮⋮ そして止まった。 空の色をした瞳が、海のようにうるんで俺を見つめてくる。 ﹁わたくしは、わかっているつもりです⋮⋮! なぜならずっと⋮ ⋮トオル様になら、こうされてもいいと感じていたから、ですわ﹂ かすかに熱を帯びた告白。逆に俺がどきりとする。 ﹁はしたないことなのですが⋮⋮夢の中でトオル様に会うたびに、 そのお姿、そのお声に、わたくしは不思議な胸の高まりをおぼえる ようになりました。トオル様はわたくしにとって、はじめての特別 な⋮⋮たったひとりの男性だったのです﹂ いつしかシスティナ姫は体の力を抜いて、俺に体重をあずけてき た。 羽のように軽い、最高級の衣類とそれよりもなめらかな貴人の肌 が触れる感触。ふんわりと鼻をくすぐる、香木みたいないい匂い。 ﹁姫⋮⋮身も心も俺のものに、なってくれますか﹂ ﹁⋮⋮はい。は、恥ずかしいですけれど、トオル様がそう望むので したら、システィナはすべてを捧げます⋮⋮っ!﹂ 204 完璧な曲線を描くあごに指をやって、やや上を向かせる。 さすがに何をされるかわかった姫がそっと目をつむった。絹のよ うにきめ細かな桜色の唇に、俺のそれがゆっくりと重なった。 ﹁ん⋮⋮ぁ⋮⋮ふぁ⋮⋮!﹂ 一国の姫、それもランバディアの至宝とまで言われた美姫が、誰 にも許したことのないキスを、それだけで国が大騒ぎになるような 行為を俺に捧げるがままになっている。 ドレスごしに肩を抱き、ロイヤル巨乳がむにゅにゅと変形するほ ど密着しつつ、真珠のような歯列を舌先でノックすると、驚きつつ も姫はその侵入を受け入れた。 ﹁ぷぁ、んっ⋮⋮ぁっふ⋮⋮! んっちゅ、れっろ⋮⋮ぉ!﹂ 最初はおずおずと、しだいに俺の真似をするように舌を絡め合う。 たっぷりと至上の甘露を味わってから口を離すと、唇同士の間に 銀糸の橋がかかって落ちた。 ﹁はぅ、はぁぁ⋮⋮っ! トオル様に、くちづけを⋮⋮されてしま いました、わ﹂ とろんと潤みを増した蒼い瞳が至近距離から見つめてくる。 それは紛れもなく恋する視線だった。夢の中への俺に対する、男 に免疫のないお姫様の恋に恋する幼い憧れ⋮⋮だが、これから本物 に変えていけばいいことだ、行為を通して。 ﹁トオルさ⋮⋮あぁっ!? む、胸っ⋮⋮は、恥ずかしい、ですわ っ⋮⋮!﹂ 205 俺は姫の背後に回り、背中から抱きかかえるように密着した。 後ろからだと細い胴体の左右にはみ出るほどの美巨乳、それを繊 細なレース細工に彩られたドレスのカップから、まとめて取り出し た。 ﹁うお、これは⋮⋮予想以上に大きな胸をお持ちだ、姫は﹂ ﹁そ、そんなこと言わないでくださいまし⋮⋮! 最近どんどんそ の、膨らんでいって、何度もドレスを新調しなくてはならなかった ほどで⋮⋮﹂ これでまだ成長途中とは恐ろしい。 雪のような純白の乳肉は、わずかに重力に引かれながらも若々し いハリでぷるんとロケット状にその大ボリュームを保ち、なめらか な双曲線を描いている。 そして唇と同じ桜色の頂点部分は、うっすら膨らみつつも乳輪の 中心に溝ができていて、乳頭が隠れてしまっていた⋮⋮いわゆる陥 没乳首だ。 ﹁人見知りですね、姫の恥ずかしい突起は。揉めば出てくるかな?﹂ ﹁え、こ、これは普通ではないのですかっ⋮⋮あ、ひぁぁぁんっ! ? ふぁ、はふぅあぁぁ⋮⋮と、トオル様のゆびっ、がぁ⋮⋮んん んぅっ!﹂ 背後から巨乳、いや爆乳をわしづかみ、思う存分もにゅんぐにゅ んとこね回す。 男の固い指に敏感な胸をいじり倒される初体験に、プラチナブロ ンドを揺らしてあえぐ姫。 決してちぎれない巨大マシュマロを揉みしだき、寄せ、引っ張り、 押し潰し、好き勝手にもてあそぶ。 206 ﹁飽きないな、いくらでもいじってられそうだ⋮⋮でも、出てきま せんね先っぽ。じゃあ直接っと﹂ ﹁んぅっ、えっ、それはどういうっ⋮⋮はぅぁ、はひゃんっっ!! ?﹂ 左側の柔球をすくい上げ、姫の肩越しに頭を下げてその先端へと かぶりつく俺。 ﹁やっ、あひぃんっ⋮⋮と、トオル様ったら、そっそんな赤ちゃん みたいですわ⋮⋮っひぁぁやぁぁん!?﹂ 高級フレーバーティを思わせるかすかな香気を吸い込みながら、 口触りのいい乳輪を舌先で吸い転がすと、ぴくんぴくんと震える小 さな乳頭がおそるおそる顔を出してきた。 ﹁ぷはっ⋮⋮ほら、引っ込み思案な箱入り乳首が出てきましたよ、 姫?﹂ ﹁こ、これがっ⋮⋮い、意地悪ですわトオルさま、わたくしをこん な恥ずかしい目に⋮⋮あぅぅ﹂ ﹁まだまだこれからですよ? もう片方は、姫自身に引っぱり出し てもらうんだから﹂ ﹁えっ!? そ、それはまさか⋮⋮お、同じようにしろ、というこ とですの⋮⋮!?﹂ ドキッとして、俺の唾液に濡れたぽっちり左乳首と、まだ隠れた ままの右乳首を交互に見やる姫。 俺は左乳首を指先二本で優しくつまみ、少しずつ力を入れながら 耳元でささやいた。 ﹁さあ、自分でそのたっぷりした乳を持ち上げて、先っぽを唇に含 207 んで吸い出すんだ⋮⋮姫のおっぱいのデカさならできるはずだ﹂ ﹁そっそんなこと!? あ、あのどうしてもっ、やらなくてはっ⋮ ⋮あっはうぅ! さ、先をいじめないでくださいましっ、わっわか りましたわ、おっしゃる通りにいたしますぅ⋮⋮っ!﹂ ふだん外に出ない敏感な乳首を俺にやや乱暴に愛撫され、強引に いやらしい命令をされた姫の息が、しだいに荒くなってきている。 純白の長手袋に包まれた十指が、みずからボリューミィな乳をゆ っさりと差し上げ、んちゅっ⋮⋮と桜色の柔肌同士が接触した。 ﹁よぉしいい子だ、システィナ姫⋮⋮俺が左を舌でほじくる動きを 真似て、もう一方のシャイな先っぽを引っぱり出してみろ、自分で な﹂ ﹁ん、んぅんっ⋮⋮! んちゅぅぅっ、はぷぁ⋮⋮んれぉぉぉ⋮⋮ ! ちゅ⋮⋮っぱ⋮⋮あ、ああっ、で、出てきましたわ、引っぱり 出してしまいました、わ⋮⋮っ!﹂ ﹁上出来です。ここをイジるのは気持ちいいでしょう、姫?﹂ ﹁あ⋮⋮は、はいぃ⋮⋮!﹂ 乳首を自分でホジくり出すという恥ずかしい行為と未体験の快感 刺激に、純白の乳肌はうっすら桃色を帯び、出そろった乳頭はふる ふると湯気をたてて震えた。 そんな美味しそうな光景を見せられては、俺もガマンがきかなく なる。 ﹁と、トオル様っ、それでこれからどうすれば⋮⋮きゃっ!?﹂ ベッドに腰かけた姫の正面側に回り、俺はさっきからガチガチに 勃起しているチンポを狭い中から解放した。 姫が目を丸くして硬直する⋮⋮無垢なお姫様の目の前に見たこと 208 もないグロテスクなオスのモノを突きつける、これだけで征服感が ヤバい。 ﹁どうしました、まさか男にこういうものがついてるとご存じなか った?﹂ ﹁い、いえさすがに存じては⋮⋮で、ですがこんなカタチで、こん なにも大きいだなんて考えてもみなくて⋮⋮す、すごい熱気を放っ ていますわ﹂ ﹁手で触れてみてください、ほら遠慮はいりません﹂ ﹁は、はい⋮⋮あっ!? 熱くて、こんなに張り詰めて⋮⋮い、痛 くはないのですか?﹂ なめらかなシルク生地に包まれた細い指が、おずおずと俺の亀頭 や幹、血管の上をフェザータッチで這い回る。 システィナ姫にそうされているという実感も含め、うめき声か漏 れるほどチンポにビリビリくるぞ、これ。 ﹁う、くっ⋮⋮! 痛いというか苦しいですね、男は魅力的な女を 目の前にするとこうなるんですよ。姫、あなたのせいで俺はこうな ってるんです﹂ ﹁そ、そうなのですか!? み、魅力的だなんて⋮⋮で、でもトオ ル様がお苦しいなら、わたくしはどうして差し上げればよろしいの でしょう?﹂ ミチミチとフル勃起して、赤黒い先端からよだれじみた先走りを 垂らす俺の醜いモノごしに、姫の心配そうな美貌が見上げてくると いうビジュアルがやばすぎる。 これで欲望のままに突っ走らない男がいたら教えてほしい。 ﹁まず、これを⋮⋮俺のチンポにたっぷり百回はキスを捧げて、姫 209 の唾液とこの先から漏れてる汁でぬちゅぐちゅに濡らしてもらおう か﹂ ﹁はっはい⋮⋮トオル様のチンポ様に、わたくしが唇を捧げてとろ とろにすればよろしいのですわね? で、では失礼して⋮⋮ん、ん ちゅぅぅぅうっ⋮⋮!﹂ 天然でとんでもなくエロいセリフを言いながら、桜色のリップが、 十本の指をそっと添えられ固定されたチンポ先に、ためらいがちに 密着キスをした。 生まれてこのかた、最高級の食事や香油、ハンカチに至るまで、 庶民の手の届かない贅沢品にしか触れてこなかったであろう王族の 唇が⋮⋮俺なんかの男根に、射精穴に口付けているのだ! ﹁よ、よぉし⋮⋮その割れ目から出てくる液を、舌ですくって口の 中でツバと混ぜろ、それをチンポのあらゆる部分にキスしながら塗 り伸ばすんだ!﹂ ﹁は、はひっ⋮⋮ちゅむっ、れろろぉ⋮⋮! ちゅば、ちゅっぱ⋮ ⋮んちゅぷぁ、ちゅばばっ⋮⋮! ぷぁ、はむっ⋮⋮んりゅんっ!﹂ 亀頭の外周、カリ首、段差、浮き出た血管、ウラスジ、根元⋮⋮ あらゆるイヤらしい形に沿って、ロイヤル処女リップが唾液の筋を 引きながら、淫らなキスを繰り返す。形のいい鼻から漏れる息も、 チンポをくすぐるスパイスだ。 俺はティアラの後ろ、ふんわりした黄金の髪をゆっくり撫でなが ら、油断すると暴発してしまいそうな快感と支配感にゾクゾク背筋 を震わせた。 ﹁ぷぁ、んっふぁ、んちゅっく⋮⋮れろ、にゅっぷぁ⋮⋮ぷちゅう うぅっ、んちゅぅぅ⋮⋮ぷは! ひゃ、百回口付けできましたわぁ、 トオルさまぁ⋮⋮っ!﹂ 210 嬉しそうに俺を見上げる、ぽおっと上気した蒼い瞳。唇の端から 少し泡立った半透明の液が、チンポとの間をまだつないでいる。 律儀に数えてたのかと噴き出しそうになりつつ、愛しい気持ちと さらなる欲望がこみあげてきた。 ﹁よくできましたね、偉いですよ姫。じゃあこのチンポを、こうや って⋮⋮と!﹂ ﹁えっ、あっ熱ぅ!? わ、わたくしのお胸に、チンポ様がはさま ってしまいましたわぁ⋮⋮っ!﹂ 初めて見た時から、これを夢見ずにはいられなかった。 圧倒的サイズのプリンセス爆乳に、すっぽりとガチ勃起チンポを 挟み込むロイヤルパイズリだ。 柔らかな肉の檻は余裕で俺のものを完全に包み込み、わずかに先 端が見え隠れするばかり。 やり方 をしっかり覚えてくださいね、シス ﹁ほら、自分で胸に両手を添えて⋮⋮俺がその上から手のひらをか ぶせて動かすから、 ティナ姫﹂ ﹁や、やり方とはどういう⋮⋮ふぁあ!? お、お胸がすべって動 いて、これっ⋮⋮んあぁぁ、チンポ様をこね回すように、してます のねっ⋮⋮!?﹂ 唾液と先走りで滑りの良くなった硬い肉杭が、同じ人間の肌とは 思えないほど柔軟できめ細かなマシュマロに押し潰され、こすられ、 やわやわと乳肉プールを泳ぐ。 とろける夢心地、ある意味セックス以上に癒される天国がそこに あった。 211 ﹁たまらないですよ、姫のおっぱいの中っ! こんな気持ちいいパ イズリができる爆乳は、なかなかいません﹂ ﹁ぱ、ぱいずり⋮⋮わたくしのおっぱい、大きすぎて醜いのではと 思っていたのですがっ⋮⋮こうしてトオル様に喜んでいただけるの なら、嬉しいです⋮⋮っ!﹂ 姫は表情をほころばせ、しだいに自分から乳を掴む手を大きく動 かして、俺の肉竿により多くの乳奉仕を捧げようと頑張る。 俺も腰を前後に動かし、束ねられた乳谷間を水平に突く姿勢⋮⋮ いわゆる縦パイズリの形でにゅぷにゅぽとチンポを沈めていった。 ﹁すごいな、この角度でも完全に根元までおっぱい肉が俺のを包ん で⋮⋮っく、もっと中央に寄せて圧迫感を高めるんだ、姫っ!﹂ ﹁こ、こうでしょうか? ふあぁっ、熱くてとてもたくましい、で す⋮⋮まるで炎の剣に、わたくしのお乳が貫かれているようですわ っ!﹂ もはや乳マンコと呼べる、柔らかさとキツさを合わせ持つ極上の 肉洞に、俺の張り詰めたチンポはずぶずぶに溺れ、高まっていく。 腰の奥からこみ上げるドロドロしたオスの衝動が、おっぱいホー ルに激しく腰を打ち付ける動きをより加速させる。 ﹁く、姫っ、そろそろ俺は限界だっ! もうすぐチンポから精液っ ⋮⋮子種がたっぷり詰まった男の濃いエキスが、この先から噴き出 すっ!﹂ ﹁え、そ、そんなものが⋮⋮ど、どうすればいいんですの!?﹂ ﹁俺に身を捧げる儀式として、まずは俺がブチまけるそれを、姫の そのお上品な顔面で受け止めろ! それが男に従う女のするべき当 然のことだっ!﹂ ﹁かっ⋮⋮お顔で、ですか!? は、はい⋮⋮わかりましたわ、そ 212 れがトオル様に身を捧げる証になるのなら、わたくしはどんな場所 でもお捧げいたします⋮⋮!﹂ 欲望まみれのウソ八百だが、そっち方面に純真な姫は面白いよう に俺の言うことを鵜呑みにした。 その従順さに嗜虐心を刺激され、いよいよ弾けそうなチンポの内 圧を限界まで乳マンコの中で高めた後、にゅるんッ⋮⋮と勢いよく 姫の眼前までスライドさせた。 ﹁くぅぅっ!! 両手で受け皿を作ってあごの下に揃えろ、口を開 けて舌を出せっ!﹂ ﹁はっはい! んぁっ⋮⋮こ、これれ、いひのへひょうはぁ⋮⋮?﹂ あーんと口を開き、そっと目を閉じてドキドキと鼓動を高鳴らせ つつ、はしたない顔射待ちポーズを無防備に捧げるお姫様。 王をはじめ彼女の一族や国民が見たら、卒倒しそうなその光景め がけ、俺は爆発寸前のチンポをゴシュゴシュとしごきあげ⋮⋮荒れ 狂う欲望のすべてを解き放った! ﹁イクぞ姫っ、システィナぁっ!! 俺の精液を浴びろっ、俺のモ ノだとマーキングされろぉっっ!!﹂ ﹁はっ、はひっ⋮⋮んぷぁぁっ!!?﹂ どびゅぅぅうっっ、びゅばぶばっっ、どびゅるるるるぅぅッッッ !! びゅくんっっ!! びちゃぁぁっ、びゅちゃっっべちゃぁぁっ!! ねちゃぁぁぁ⋮ ⋮っっ!! ﹁きゃふっ、んぅぅぅあっっ!? はぷぁっ、あっ熱ぅぅ!? こ、 こんなにっ⋮⋮つ、次から次へとっ⋮⋮ぷぁぁ、あはぁぁぁ⋮⋮ぁ 213 あっ!﹂ 精一杯伸ばされた清楚な舌先に、通った鼻筋に、形のいい黄金の 眉に、桃色の唇に縁取られた温かそうな口の中に。 パイズリで熟成された粘度たっぷりの白濁液が、汚れなき太陽の 美貌を、俺の思うがままに汚しつくしマーキングしていく。 顔を叩くその洗礼に、最初の一瞬ビクンと驚くも、けなげに逃げ ようともせずすべてを受けきってくれるシスティナ姫。 ﹁う、うおぉっ、くぅぅぅっっ!! ま、まだ出るっ⋮⋮くはっ!﹂ 美しいものを汚す快感に、自分でも驚くほど大量にほとばしった 濃厚精液は、可愛く毛先をウェーブさせたプラチナブロンドや、そ の上に乗った銀のティアラにまで飛び散り、むわっとするオスのに おいと熱で、このメスは自分のものだと主張した。 ﹁め、目が開けられませんわぁぁ⋮⋮と、トオルさまの匂いで、わ たくしの顔がいっぱいにっ⋮⋮み、満たされております、わぁ⋮⋮ っ!﹂ こってりとザーメンの乗った顔で、俺の子種の匂いに満ちた空気 をはぁはぁと呼吸しながら、システィナ姫は薄目を開いてかすかに 微笑んだ。 たまらない征服感、圧倒的な蹂躙感。だが、本番はこんなもんじ ゃない。 ﹁まだまだ覚えてもらうことは山積みですよ、姫。さしあたって次 は、お掃除フェラと精液ごっくんをみっちり教え込んであげましょ う﹂ ﹁は、はいっ⋮⋮わたくしに、システィナにいっぱい教えてくださ 214 いませ、トオルさま⋮⋮何なりと、あなたさまのために尽くします わぁぁ⋮⋮!﹂ 俺の排泄したネトつく液体に、清楚な美貌をがっつりと汚染され たまま。 ランバディアの至宝はまるで魔隷のように、その誓いを口にした。 ※ ※ ※ ﹁ん⋮⋮?﹂ 広間でヒマを持てあましていたパルミューラは、床にこびりつい た異臭放つ黒い液体⋮⋮魔騎士グルームと配下のヘルウォーリアた ちの死骸の痕跡に、ふと怪訝そうな視線を向けた。 グルームのそれが、あの体格に比べて妙に少ないような気がした のだ。 ﹁気のせい、か?﹂ 近付いて調べようとしたその時、入り口から血相を変えたニーナ が走ってきた。 ﹁た、大変ですっ! 大変なんです、パルちゃんっ!﹂ ﹁その呼び方はやめろと言うておろうが。で、どうした?﹂ 慣れない全力疾走にぜーはーと息をつきながら、女法術師はひと 息に言葉を継いだ。 215 ﹁馬車にいるはずのセレスタさんの姿が⋮⋮ど、どこにも見当たら ないんですっ!﹂ 216 18話:三人のメイドと、入り交じる思い 寝室の扉を凄まじい衝撃が半壊させたのは、システィナ姫にお掃 除フェラをねっとり教え込み、その途中でまた盛り上がってきたの ですべすべ長手袋コキでもう一発気持ち良く射精して全部飲ませ、 さあいよいよ処女をおいしくいただこう⋮⋮という時のことだった。 ﹁緊急事態よ、小田森くん!﹂ それにしたって聖光爆濤破を︵フルパワーじゃないとはいえ︶ブ チかます奴がいるかと怒りたいのは山々だったが、決して近付くな という命令が効いてる以上仕方なかったと言われれば反論しづらい。 あとキリカの目が据わってたのが気になるが⋮⋮こいつただ撃ち たかっただけじゃないか? まあ、いいや。 ﹁で、セレスタの姿がどこかに消えてしまった⋮⋮と﹂ ﹁はっはい、馬も一頭いなくなってました﹂ ﹁あの女騎士、一人で逃げおったのか?﹂ ﹁それは彼女の性格からしてまずありえない。不自然だ﹂ あの忠誠心の固まりのような女騎士が、システィナ姫の馬車も停 まっている天啓の塔に、踏み込んで来もせず逃げ戻るとは考え難い。 しかもニーナの強化魔法がかかったロープによる戒めは、一人じ ゃ脱出不可能な強度のはず。それは降りる時も確認した。 ﹁姫、セレスタのほかに護衛の別働隊がいたりは?﹂ ﹁いいえ、そのような話は聞いておりませんが⋮⋮﹂ ﹁いよいよ妙だな。ともあれ、こうなると念のため打っておいた手 217 が役に立つか﹂ 俺は王国の地図を広げ、取り出した一円玉大の薄い金属片を上に 置いた。 ひとりでにそれは地図の上をゆっくりすべっていく。 トレースエンブレム ﹁あ! それって、追跡紋章ですね﹂ ﹁万一、セレスタを回収する余裕なしに逃げるハメになった時を想 定して、鎧の気付きにくい場所に貼り付けておいた﹂ ギルドハウスから持ってきたアーティファクトのひとつ。 GPSのように、ペアになった発信側のおおまかな現在位置を示 す機能を持つ。 ﹁大事な家伝の鎧だって言ってたからな。今後も鎧の位置=セレス タの居場所と考えてまず間違いないだろう﹂ ﹁ほんと、とっさによくそんな頭が回るわね⋮⋮﹂ 金属片は街道沿いに、王都方面へと最短距離を移動している。 ﹁まずいな。どんな状況かわからないが、もしセレスタがそのつも りなら、このままだと王都に報告されてしまうぞ﹂ 今からじゃ追いつくことは難しい。シエラたちに知らせようにも 手段がないし。 最悪の場合、彼女の報を受けた王都が大兵力をこの塔に派遣して もおかしくないということになる⋮⋮こうなるとあの時の悪役演技 はまずったかな。 ﹁どうするの、小田森くん?﹂ 218 ﹁⋮⋮三日、いや二日間だけ、俺たちはここで粘る。おそらくそれ が安全な時間的猶予の限界だ﹂ さすがにイヴリースが新手を送り込んでくるにも、まだ時間はか かるだろう。 その間に、ギリギリまでチャレンジしておくべきことがある。 ﹁姫。すまないがすぐ予言の間とやらに入ってはもらえませんか﹂ ﹁なるほどの。天啓が二日以内に下るかどうかは賭けじゃが、今は それしかないか﹂ ﹁⋮⋮わかりましたわ。トオル様のお役に立ってみせます﹂ ま、予言の詳細は確かに気になるけど、ダメだった時はその時だ。 姫の確保は成功したんだし、一定以上の危険は冒せない。 セレスタも追跡紋章を手掛かりに、またあらためて俺のモノにし てやるさ。 それよりも残念なことは⋮⋮おかげで姫の処女をいただくのが、 少しの間おあずけになってしまったってことだなあ。 ええい、この股間のたぎりをどうしてくれるんだ⋮⋮って、そり ゃ決まってるな。 ﹁な、なによその視線。なんだか凄く悪い予感がするんだけど⋮⋮ !?﹂ ※ ※ ※ 雨空と夜の暗さが、天啓の塔を包むころ。 219 さっきのベッドに全裸で大の字になった俺に、三人の美少女が群 がっていた。 ﹁な、なんでこんな格好させるのよっ、というかなんでこんなもの があるの!?﹂ ﹁あ∼きっと、予言の姫が長期滞在する時のお世話用に、用意され てたんでしょうねぇ﹂ ﹁なにゆえわらわまで、かような下女の扮装を⋮⋮く、屈辱じゃ﹂ モノトーンのかわいらしいメイド服。それを今、三人は俺の命令 で身に着けていた。 黒のブラウスと白いエプロンに、ガーターベルトつき白タイツ、 どちらかというとファミレスの可愛い系制服を思わせる、フリルと リボンにあちこち彩られた可憐なデザインだ。いい趣味してるな、 王家の人も。 なお周囲を取り巻くエプロンでぐっと強調された胸部分は、キリ カの場合たっぷりゆっさり︵しかもノーブラ︶だが、パルミューラ はぺたんと悲しいことになっている。これが格差社会か。 ﹁いやあ苦しゅうないぞ、みんな。さあさあ、俺にしっかりご奉仕 してくれ﹂ ﹁ううっ⋮⋮し、しかもこんなとこ舐めさせるとか⋮⋮意味わかん なひっ、れろっ、んちゅぅぅ!﹂ ﹁ま、まったくじゃ、わらわを誰だと思って⋮⋮んっぷぁ、れにょ ろぉぉっ⋮⋮!﹂ 額にヘッドドレスをつけた姫騎士と魔貴族に、左右の乳首をそれ ぞれ舐めさせ、女法術師には股間を優しく手コキフェラしてもらう トリプルプレイ。 胸担当の即席メイド二人が、ジト目の上目遣いで俺をにらみなが 220 らも舌先をチロチロレロレロ動かすこの光景、正直たまらない。 ﹁っく、くはっ⋮⋮思わず声出る気持ち良さだな、これ。王様気分 で悪くないぞ﹂ ﹁ふふっ、いつもよりカタくなってますよぉ、ご主人様のおちんち ん⋮⋮ちゅぶっ、じゅぶっんぷっ⋮⋮じゅるぷぷっ!﹂ ニーナのツボを心得たねっちょりフェラはサービス精神抜群で、 玉の袋をさすさす絶妙なタッチでくすぐってくれるのもまた心地い い。 ﹁ほらほら、けなげなニーナと違って駄メイドだな、お前たちは。 ご主人様からお仕置きのイタズラだ﹂ ﹁やっ、んあぁん!? ちょ、むっ胸ぇっ、こ、このおっぱい馬鹿 っ⋮⋮ふぁあ!?﹂ ﹁っっひゃぁんっ!!? ど、どこに指を入れておるっ⋮⋮ひっは ひぃぃんっ!?﹂ 左手で姫騎士メイドの柔らか乳をふにむにと揉みしだく。さすが にシスティナ姫のボリュームには負けるが、適度に弾力ある揉み心 地は実に飽きない。 そして濡らした右の中指を、魔貴族メイドの後ろの穴にぬぷっと 侵入させてみた。魔族は排泄とかしないらしいので、ここは少しず つ快楽専用穴に開発してやるつもりだ。 ﹁あ∼、いいなぁ二人とも⋮⋮そろそろこのメイドにも熱いごほう びを、いただけませんかぁ⋮⋮?﹂ ﹁よしよし、じゃあ背中を向けて、俺のチンポに自分からまたがる といい﹂ ﹁はっはい! それではぁ、失礼してっ⋮⋮あ、んんっあぁぁぁ⋮ 221 ⋮! ご、ご主人様のおっきいのが入ってきますぅぅ⋮⋮っ!﹂ ﹁うお⋮⋮っく、いい出迎えだニーナっ、優秀なおマンコメイドだ なっ!﹂ 大胆に開いたメイド服の背中を向けて、可愛らしいフリルエプロ ンつきミニスカートが俺のものをずぶずぶと呑み込んでいく。 俺は下から腰をぐりぐり突き上げてニーナのまったりオマンコを 楽しみながら、パルミューラの角を軽く掴んで顔を寄せた。 ﹁お前は後で目隠しして、ケツいじりしつけしながら大好きなワン ワンスタイルで思いっきりハメ泣かせてやるからな、マゾメイドぉ ⋮⋮覚悟しとけよ?﹂ ﹁ひっ、そ、そのような狼藉、わらわ好きなわけがっ⋮⋮あ、おぁ あっ⋮⋮!﹂ 狭いすぼまりをゆっくりこね回しつつ、わざと低い声で耳元に囁 くと、ドM調教されつつある魔貴族駄メイドの銀髪がぶるぶるっと 震え、キュッと穴が締まった。 ﹁あ、委員長メイドさんは次どんな体位でハメられたいか自己申告 してね。ちなみに言わない場合、死ぬほど恥ずかしいポーズでさせ るからそのつもりで﹂ ﹁えええっ!? なっ何それ、いきなりそんなこと、言われても⋮ ⋮っ!?﹂ 俺に胸をもてあそばれ、命令のまま胸板に舌を這わせながら、真 っ赤になって目を白黒させる姫騎士メイド。 ややあって、半泣きで消え入りそうな小声を漏らす。 ﹁ふ⋮⋮ふつうの、やつ⋮⋮﹂ 222 ﹁ふつうのって何? ああ、正常位? なるほど元クラス委員の姫 野桐華さんは正常位ラブラブセックスが好きなのか、そうかそうか 覚えとこう﹂ ﹁い、言ってないそんなこと! ラブラブとか一言もっ!﹂ 慌てた可愛い反応をスパイスに、いよいよ高まる放出欲をニーナ の柔らかい下半身へばちゅんばちゅんと叩き付ける俺。 金髪セミロングを振り乱し、女法術師メイドは高い鳴き声を響か せる。 ﹁あぁーっ、ひあっんんぁぁぁっっ!? ごっごめんなひゃいっっ、 ごしゅじんっ、さまぁぁんっ!! ニーナも駄目なメイドれすぅぅ っ、ごひゅじんさまよりっ、先にぃぃぃ!!﹂ ﹁イクのかっ、俺の上で腰を振ってイクんだな、ニーナ!? いい ぞっ、自分の魔法で強化エンチャントした大量精液っ、ぜんぶ受け 止めて搾り取れっ⋮⋮くううっ!!﹂ ぶびゅっどびゅるるっ!! どぷっどくんっどくどくぅぅっっ!! ﹁ひゃぁあっ熱ぅぅっっ、ひゃぁああっんはぁぁぁぁんっっっ!! きっ来てますぅぅっ、イッてるおなかの中ぁっ、ご主人様のせー えきでビチャバチャ優しく叩かれてまひゅぅぅぅっっ!!﹂ 小動物めいた顔に似合わず欲張りなマンコに、どくんどくん搾り 取られる甘美な膣内放出感が俺の背筋を駆け抜け、脳を甘くしびれ させる。 しかも、絶頂の叫びで部屋を満たしたのはニーナだけではない。 ﹁んっんあぁぁっ!? む、胸がっ⋮⋮服の上から乳首ぃっ、触ら れてるだけなのにっ、これぇっ⋮⋮あ、うっウソ、ああっひぁぁぁ 223 っ!!?﹂ ﹁はぉっ、はひぃぃやぁぁぁっっ!? わ、わらわの尻穴から熱が ぁ、体中に広がってぇぇ⋮⋮あ、頭が溶けるぅぅ、馬鹿になってし まうのじゃぁぁ⋮⋮っ!﹂ レベルアップした魔隷強化スキルの影響で、俺はより自由自在に 魔隷たちの感覚を同調させられるようになっている。 二人はそれぞれ尻と乳から、ニーナゆずりの小刻みな絶頂感覚を 送り込まれ、共鳴増幅され⋮⋮ビクンビクンとメイド服に包まれた 体をわななかせた。 限界まで勃起したノーブラ乳首のコリコリ感と、食い千切らんば かりに締め付けてくる魔貴族アナル、ふたつの違った触感がそれぞ れ指先に楽しい。 ﹁さーて、パルミューラはしばらく目隠しで放置しつつ⋮⋮だんだ んこなれてきた姫野さんのメイドオマンコ、申告どおりの正常位で ほぐしまくってあげるからね?﹂ ﹁やっ⋮⋮あぁっ⋮⋮い、今だめっ、少し休ませっ⋮⋮んひぃぃぃ あぁぁぁうっっ!?﹂ 姫騎士メイドをころんと押し倒し、むっちり適度に柔らかい太股、 ガーターベルトとロング白タイツに飾られた下半身に、ずぶぬぬぬ ぬっ⋮⋮と強化勃起チンポの奇襲攻撃。 言葉と裏腹に、きゅんきゅん嬉しそうに迎え入れてくるイキたて マンコの感触を味わいながら、俺は姫に注ぎ込むはずだった精液を キリカにブチ込む暗い快感の予感に、ゾクゾクと背筋を震わせるの だった⋮⋮。 ※ ※ ※ 224 すっかり雨もあがった翌朝。 外の井戸で顔を洗っていた俺に気付き、キリカが近付いてきた。 ここでの普段着代わりにしたのか、メイド服のブラウスとエプロ ン姿だ。黒髪が映えるモノトーン、結構似合っている。 そういえば、学園祭の出し物でちょっと似た格好してなかったっ け⋮⋮と、懐かしい記憶をいまさら思い出した。 ﹁小田森くん、その⋮⋮昨日のお礼を、言っておこうと思って﹂ ﹁え?﹂ 予想外の言葉が、少しうつむいた口から飛び出してきた。 ﹁なに、正常位ラブラブセックスがそんなに気持ち良かった?﹂ ﹁そ、そんなわけないでしょ! あんなに何度もしつこく⋮⋮じゃ なくて! ほら、煌剣アルカンシェルを渡してくれた時のことよ﹂ ﹁ああ、あれがどうかした?﹂ ﹁⋮⋮あの時、小田森くんが命を張ってくれなきゃ、きっと私は勝 てなかったし⋮⋮姫さまも守れなかったわ。だから⋮⋮ありがとう﹂ 妙にしおらしく頭を下げるその様子に、俺は一拍遅れて噴き出し てしまう。 どうやら、言う機会をずっとうかがってたらしい。 ﹁ぷっ⋮⋮変なとこで律儀だね、姫野さんって﹂ ﹁ち、違うわよ。モヤモヤを抱えたくないからちゃんと言っておこ うってだけ!﹂ わたわたと手を変に動かして、赤面しつつ慌ててるのが可愛いぞ。 225 ﹁ま、あの時はああでもしなくちゃ全滅の危険もあったし、俺の後 方には姫がいたからグルームも全力攻撃はためらうと計算してた。 俺はいつも通り、その時々で最良の手を選択しただけだよ﹂ ﹁そう⋮⋮単にそれだけ、なのね﹂ ﹁ん?﹂ ﹁⋮⋮な、なんでもないわ。ところで、姫さまのことなんだけど⋮ ⋮本当に魔隷にはしないのね?﹂ 複雑な感情のこもった声で、探りを入れてくるキリカ。 ﹁ああ、少なくとも今はね。彼女は信用できると思う。何しろ、俺 に惚れてるみたいだしな﹂ ﹁う⋮⋮や、やっぱりそうなの? ああもう、なんでよりによって こんな⋮⋮!﹂ ﹁こんなとは失礼だなあ﹂ 者として 朝の光にきらめく黒髪を、ぶんぶんと悩ましげに振って苦悩して いる。 世界を救う 彼女がここまで混乱しているのもなかなか珍しい。 ﹁と、とにかく。姫さまはあなたを完全に 見てるみたいだわ。だから⋮⋮なるべく姫さまの期待を、裏切らな いでほしいの﹂ ﹁へえ、君が俺に頼み事なんてね﹂ 茶化さないで、と俺をまっすぐ見る黒い瞳は、いつになく真剣だ った。 ﹁姫さまはね⋮⋮あまり表には出さないけど、予言の姫というご自 226 分の立場を常に第一に考えて、いわば自身の幸せはずっと諦めてこ られた方なの﹂ 友であり、主君である人のことを、憧れとわずかな寂しさを含ん だ声でキリカは語る。 ﹁あんなに嬉しそうな姫さま、初めて見た⋮⋮もし、あなたと共に いて、あなたの助けになることが彼女の幸せなら⋮⋮私はそれを、 できる限り助けてあげたいのよ﹂ ﹁なるほどね。だから俺に、理想の王子様を演じろと?﹂ ﹁そこまでは言わないけど⋮⋮あんまりできるとも思えないし﹂ またさりげなく俺をディスりながら、キリカは今までに見たこと ないほど複雑な表情で視線を泳がせていた。 まあ、嫌っている俺と大切な友人との仲を、いわば後押しする立 場になったんだから当然か。 ﹁まあ、言いたいことはわかったよ。つまり正常位ラブラブセック スで姫さまを大事に愛してやればいいんだな﹂ ﹁だ、だからなんですぐそっち向きの発想なのよ!? あとどこま でそれ引っ張るのよ!﹂ ﹁でもってその分、はしたない変態的プレイは姫野さんにしまくっ ていいってことだね?﹂ ﹁う⋮⋮ど、どうせ嫌って言ってもするじゃない⋮⋮っ﹂ ま、姫さまに色々ろくでもないこと教え込むのも、やめる気はな いけどな。 なにやら心中穏やかじゃなさそうなキリカの反応を見て、俺は今 後また楽しみが増えそうだと、内心ほくそ笑むのだった。 227 ※ ※ ※ 女騎士セレスタは、馬を全速力で駆りながらひとつの名前を繰り 返していた。 鞍に当たった股関節から、ズキズキとにぶい痛みが走る。 ﹁トオル、魔隷術師トオル⋮⋮ッ! 許さないッ、絶対に⋮⋮!﹂ 害し 、システィナ姫を 奪い連れ去った キリカを、そして自分を捕らえ辱めた、仮面の卑劣漢。 元大神官グルームを 大悪人の名。 だが、なぜ自分はひとりで王都に向かっているのか。 外からの力で 切られていた さらになぜ、姫の安否をその目で確かめようとはしなかったのか。 あるいはなぜ、身を縛るロープが のか。 何か重要な事実 を思い出そうとするたび、謎の頭痛で思考が そしてなぜ、それらに奇妙な違和感を抱くたび、グルームに関す る 中断されるのか。 深紅の薔薇 の誇りにかけて、姫をこの手に取り ﹁くっ⋮⋮必ずや兵を率いて舞い戻り、どこまでも奴を追い詰め、 この私がッ! 戻してみせるッ!﹂ のことを。 セレスタは気付かない。記憶を改ざんし、暗示を植え付けている 存在 馬上で風になびく亜麻色のポニーテール、その下の白いうなじに 刻まれた、ドス黒い異様な刻印の存在を。 228 それは元大神官が首に提げていた、ルメイン神の聖印を上下反転 させたような奇妙な形をして⋮⋮かすかにドクン、ドクンと脈動し ていた。 ※ ※ ※ その日のうちに。 予想外に早く、予言は降りてくることになる⋮⋮誰も予想だにし ていなかった、新たなビジョンが。 ※ ※ ※ ランバディア第三王女システィナ姫 ジョブ:予言の姫LV13 スキル:︻予言夢LV13︼︻高貴なる覚悟LV1︼ ??? 229 18話:三人のメイドと、入り交じる思い︵後書き︶ ※エキストラHシーン投票企画、活動報告にて結果発表を掲載しま した。 230 19話:魔宮の公女と、破天の予言 魔王 ごうえんさかい が、愚かにも反逆を企てた 魔界と呼ばれる広大な次元界の一角に、業炎砂海という果てしな き燃える砂の海があった。 数千年の昔に健在だった頃の 大魔貴族を領土ごと焼き尽くした名残が、今なおこの地を燃やし続 けているのだ。 生半可な炎耐性の乗用魔界獣では、踏み込んで十歩といかず骨ま で焼かれる熱砂地獄。 そんな人外魔境の中心に、八冥家イヴリースの居城はある。 濃い血の色をした荒削りの魔宝石で組み上げられたまがまがしい 魔城は、熱された上昇気流によって常にゆらめいていることから につけていた魔騎士からの報が、途絶えた̶̶ の異名を持つ。 ヘイズ・キャッスル 予言の姫 陽炎魔宮 ﹃̶̶ だと﹄ 床も壁もすべてにぶい血の色に輝く広間。 中心に滞空する直径3mほどの真紅の球体が、声ではなく威圧的 な精神波を放った。 高濃度魔力養液に満ちたその内部には、長い髪をゆらめかせた人 影が⋮⋮この城の主イヴリースの姿がおぼろげに見てとれる。 ディスロケートアーマー ﹃かの者には̶̶次元断層魔甲を与えていたはずだな?﹄ ﹁は。人間はもちろん生半可な第四位階クラスなどでは、あれを破 ることはできますまい⋮⋮我が輩の十二魔剣ならば、また別ですが 231 な﹂ 執事服のような黒い礼服に身を包んだ、獅子の頭部を持つ巨漢が 進み出て優雅に一礼した。その背後には、さまざまな形状をした十 けんまきょう 二本の剣が、切っ先を下に向け浮遊している。 剣魔卿シュトラール。 イヴリースが八冥家入りする以前からの忠臣で、無数の魔剣を駆 憑依再生術式 に も埋め込んでお 使した豪快な戦闘スタイルは一騎当千と恐れられる魔貴族の猛将だ。 ﹁解せぬのは、加えてきゃつには 器 を確実に、そして密かに手 るということですな。万一肉体が破壊されようと、新たな 予言の姫 宿って任務を継続するはず⋮⋮﹂ 何重もの保険は、すべて 中とするため。 その予言の詳細を知ることはイヴリース陣営にとって重要事であ り、他の八冥家どころか三大公にさえ決して気付かれるわけにはい かなかった。 ﹁⋮⋮あー、それ多分、こういうことだと思いますよ﹂ 場に似つかわしくない、どこか気の抜けたくぐもった声。白いロ ーブに身を包んだ細い人影が柱の陰から進み出た。 そのフードの下は、鏡のように磨き上げられた銀色の仮面にすっ ぽりと覆われている。 ﹁予想外の戦力によって討たれた彼は、緊急事態で器を選んでる余 裕もなく、運悪く魔法抵抗を持つ人間に不完全憑依するのが精一杯 だった⋮⋮そんなとこでしょう﹂ ﹁クルス⋮⋮殿。確かに、それならば辻褄は合いまするが﹂ 232 体格も発する魔力も、一見ただの人間と変わらないその新参者に、 剣魔卿はわずかな不信の視線を向けた。 事実、この男?が魔族ではなく人間だという噂は絶えなかったが、 イヴリースに重用されているという事実がそれ以上の追求を古株の 臣下たちにも許さなかった。 ﹃クルスよ̶̶ならばいかなる手を打つ?﹄ ﹁それなんですが、面白い噂がちょうど飛び込んできました。予言 の姫が、邪悪な術師にかどわかされ行方不明になった⋮⋮しかもそ れが、魔隷術師だっていうんです﹂ ﹁なんと、魔隷術師!? 予言にて復活が暗示されたという伝説の ⋮⋮!﹂ ﹁ランバディア王都はもう大騒ぎで、慌てて捜索の手を広げてると か。魔騎士を討ったのも、魔隷術師の戦力って考えられませんか? 伝説通りなら、それこそ上位魔族でもそいつは従えられるんです からね﹂ ﹁むむう⋮⋮!﹂ ﹃魔隷術師̶̶パルミューラめが、かの伝承を探っておったな﹄ ふと思い出したように、球体内の存在が仇敵の名を口にした。 ﹁ああ、我らを恨んでる魔貴族の。そういえば彼女がつい最近、人 間界への門を開いたって噂もありましたね。この件に関わってない とも言い切れませんね、こりゃ﹂ さっきのといい、こいつはどこからそんな情報を集めてくるのだ ⋮⋮と、シュトラールの獅子頭が怪訝そうに銀の仮面を見つめる。 233 ﹁いかがでしょうイヴリース様、自分に一任してもらえれば、予言 の姫は回収してみせますよ。前任の魔騎士はまあ、もう死んだもの とあきらめて﹂ ﹁貴様ッ! きゃつの命を賭した忠勤を愚弄するかッ!?﹂ グルーム 数十年かけて任務に身を捧げた部下への侮辱に、剣魔卿が怒声を 放った。十二本の魔剣が、クルスの周囲を囲み切っ先を一斉に向け る。 だが、クルスはまるで動じない。そして一触即発のその状況に̶ ̶。 ﹁お姉様! イヴリースお姉様ぁ!﹂ さらに場違いな甘い声が、張り詰めた空気をぶち壊しにした。 魔宮広間の空中から降り立ったのは、どこか和服に似た振り袖状 の着物をまとった、人間なら15歳程度に見える一見可憐な少女。 八方に広がるストレートロングの髪は紫がかった青、いたずらっ ぽい大きな琥珀の瞳、牙のようにのぞく八重歯。額には赤の魔紋。 黒地に金の装飾が美しい着物は首周りから背中まで、雪のような 細い肩や鎖骨が大胆に露出するほど大きく開いており、肩胛骨から 生えたコウモリのような翼がぱたぱた羽ばたいている。 ﹃フラミアか̶̶﹄ そう呼ばれた魔族少女は球体にぺたんと抱きつき、すりすりと柔 らかそうな頬を密着させてにへにへ笑った。 ﹁う、妹君⋮⋮いつ領内の討伐任務からお戻りで?﹂ ﹁ついさっきよ? ギガンティックヒドラたった二匹潰すくらい、 234 簡単すぎてつまんなかったわ﹂ イヴリースの実妹であり、その苛烈さから るフラミア。 と恐れられ マッドプリンセス 狂公女 姉譲りの絶大な魔力を持つが、協調性皆無で姉以外の言うことを 聞かないのが欠点で、もっともイレギュラーな単体戦力として扱わ れている。 ﹁それよりいま、パルミューラって言ったよね? お姉様に負けた くせに生意気なあいつの名前。あいつをイジめられる作戦なら、あ たしも人間界に行きたいなあ!﹂ まずい相手にまずいことを聞かれたといった感じの渋面を作るシ ュトラール、構わず空中をぴょんぴょん跳ねながら球体の中に話し かける和装の少女魔族。 ﹁あーすみませんが、予言の姫に関わる件は極秘作戦なんですよね ぇ。フラミアさまに人間界で暴れられちゃうと、ちょっと困ったこ とに⋮⋮﹂ 姉との会話を邪魔した仮面の人物に、露骨に不機嫌そうな瞳が向 けられた。 ﹁ふ∼ん、あんたが新参のクルスだっけ? 態度でかくない? お 姉様に気に入られていい気になってると⋮⋮ブッ潰しちゃうよ? こんなふう、にっ!﹂ 八重歯をむき出し、細い指をパチンと弾く。 圧壊 し とたんに広間に立つ柱の一本が、見えない巨人の手で握りつぶさ れたがごとくグシャリと、ねじられたボロ雑巾のように 235 た。 ﹁おっと⋮⋮怖いですねえ﹂ ﹁ダメって言ってももう行くって決めたからね? お姉様のジャマ する奴らは、あたしがぜぇんぶプチプチ潰してきてあげるんだから﹂ 鈴を転がすような声で恐ろしい内容を一方的にまくし立てると、 着物からのぞく細い素足をぷらぷら空中で泳がせながら、広間から 飛んでいってしまった。 ﹁やれやれ⋮⋮妹君にも困ったものでございますな﹂ ﹁ま、あれはあれでカモフラージュになるかもしれません。こっち はこっちで予言の姫を、その予言を手中にするための手を打つこと にしますよ、イヴリース様﹂ またしても不遜な発言、だがイヴリースの沈黙はクルスのその物 破天の骸 むくろ を、我がものとす 言いを、その計画を容認していることを物語っていた。 ﹃よい、やってみせよ̶̶すべては るために﹄ ※ ※ ※ ﹁破天の⋮⋮骸?﹂ 新たに降りてきたビジョンに現れたという、聞き慣れない単語。 予言の間から出てきたシスティナ姫は、いくぶん青ざめた表情で こくりと頷いた。 236 ﹁それが、世界を大いなる危機に陥れるモノ⋮⋮はっきりと予言は そう示しました﹂ ぶるりと身を震わせる姫。 世界を救う ってのはそれに対してなのだろ 大いなる危機、ねぇ。ずいぶんと雲をつかむような話だな。 俺が、魔隷術師が うか? ﹁パルちゃん、魔界的な意味で心当たりとかあります?﹂ ﹁聞いたこともないのう。物体なのか、それとも別の何かなのか⋮ ⋮﹂ わかっちゃいたが、予言ってやつはずいぶんと抽象的で困る。 ヘルプとかFAQとかでちゃんとフォローしてほしいもんだ、姫 の手前口には出さないが。 ﹁ですが幸い、その手掛かりがどこにあるかというビジョンは得ら れました。⋮⋮シェイヨル大森林、ですわ﹂ ﹁シェイヨル大森林?﹂ ﹁ランバディアの南西に広がる、巨大な樹海よ。エルフたちが数多 く住むことで有名だわ﹂ ﹁あ、そこってシエラちゃんの故郷ですよ、確か!﹂ なるほど、合流したら詳しい話を聞けそうだ。 拠点の洞窟には、王都調査組もそろそろ帰還してる頃だろう。 ﹁他には具体的なことはまだわからないんですね、姫さま﹂ ﹁ええキリカ、残念ながら⋮⋮ただ予言のビジョンに現れた場所に 近付けば、より鮮明な予言夢を見やすくなると、王家の口伝は伝え 237 ていますわ﹂ つまり、姫をシェイヨル大森林に連れていけばいいわけか。 追っ手を避ける意味でもどのみち一旦、この国から離れた方がよ さそうだしな。 ﹁よし、ならここを発って拠点に戻ってから、大森林を目指そう﹂ ﹁ありがとうございます、トオル様。曖昧な予言に付き合ってくだ さって⋮⋮﹂ ﹁なあに、俺は今までどおり生きたいように生きるだけですよ、姫。 新たな土地に行くのも面白そうだ﹂ 新しい場所、イコール新しい出会い。 シエラもだけど、エルフは美人が多いって話だし⋮⋮。 ﹁また変なこと考えてない、小田森くん?﹂ ﹁いや全然?﹂ キリカの視線をいなしつつ、さっそく出発の準備をしようとした その矢先。 ﹁あ、あの⋮⋮できればの話なのですが、お願いがありますの、ト オル様﹂ ﹁ん?﹂ たっぷりとボリュームに満ちた純白ドレスの胸元で、薄い長手袋 の手を握り合わせ。 姫は目を伏せ赤面し、消え入りそうな声で、言葉を継いだ。 ﹁その⋮⋮出発する、その前に。 238 わたくしを、抱いてはいただけませんでしょうか⋮⋮!﹂ 隣でキリカが、絶句するのがわかった。 239 20話:俺と姫と、繋がりの時 広大な塔一階部分の反対側から、強化魔法で応急修理された扉を 見つめる黒い瞳。 これだけ離れれば、声が聞こえることもないはず⋮⋮と考えて、 自分の想像した内容にキリカは赤面した。 姫の驚くべき提案によって、再び部屋の外で待つことになった魔 隷たち三人。 今度は近付くなという命令は出されていないが、状況が状況なの で逆に接近しづらい。 あの中で今頃、トオルと姫が̶̶。 ﹁やっぱり中のお二人が、気になっちゃいます?﹂ ﹁わ、私はただ⋮⋮姫さまが、あんなこと自分から言い出すのに少 しびっくりして⋮⋮﹂ ﹁まあ確かに。でも、やっと会えた好きな人に全部捧げたいって考 えは、乙女としてあんまり変なことでもないと思いますよ﹂ ﹁そう⋮⋮なのかな。私、そういうことよくわからなくて﹂ 仏頂面で悩むキリカに、くすっと笑うニーナ。 ﹁あと、予言の間から出てきてからのお姫さま、すごく不安そうな 顔してましたし。予言のビジョンが、怖かったんじゃないですかね ? ご主人様に抱かれて安心したかったのかもです﹂ そう言われて、姫騎士はハッとしたような表情になる。 240 ﹁私⋮⋮気付いてあげられなかった。戸惑いで頭がいっぱいで⋮⋮ ダメね。騎士失格、ううん、姫さまの友人失格、かも﹂ いよいよ沈んでいくキリカの頬を、むにっと女法術師が左右に引 っ張った。 ﹁んにゃっ⋮⋮ふぁっ!? ちょ、何するのニーナ!?﹂ ﹁ダメですよ、変な落ち込みスパイラルに入っちゃ。そこにつけこ むご主人様はホントHでしょうがない人だな∼って、いつもみたい に怒ってる方がキリカさんらしいです﹂ ﹁あ⋮⋮⋮⋮﹂ 自分を励ましてくれたのだと気付き、キリカの表情が少し和らい だ。 ﹁そうね、ありがとうニーナ⋮⋮ちょっと出てくるわ。ここにいる と、また変なこと考えちゃいそう﹂ ﹁うん、それがいいと思います﹂ ニーナに礼を言って別れ、塔の外に足を運ぶ。 雨上がりの湿った赤い地面を見ながら、ふとキリカは想いを馳せ た。 ︵自分は、姫さまのこと、本当は全然理解してあげられてなかった のかもしれない︶ 予言の姫としての重圧も、不安も⋮⋮その考えは、キリカの胸を ちくりと刺した。 どうにも自分は、いつもそうだ。 241 クラス委員の優等生。友達は多かったし、教師受けも良かった。 でも表面的な当たり障りのない付き合いは多くても、深く心を許 した相手がいたかといえば⋮⋮。 ︵だから小田森くんのことも⋮⋮わかってあげられなかった、のか な︶ 自分の気持ちは、姫野さんにはわからないよ̶̶と、再会した彼 は皮肉げに笑って言った。 今でもわからない。彼の傍若無人な振る舞いが、考えてることが。 自分には決して真似できない自由な生き方が。 ︵でも⋮⋮じゃあ、姫さまなら?︶ システィナ姫なら、小田森トオルの理解者になれるのだろうか? 二人は気が合ってるように見える。 型破りで大胆な思考法が、似ているとも思える。 世界を救う 者として 姫は彼を好いているし、彼もまんざらじゃなさそうだった。 それに姫の存在によって、彼はひとまず の期待に応える行動を、してみる気になったようだった。 もし本当にそれが続くなら、願ったり叶ったりだ⋮⋮なのに。 ︵じゃあなんで、私は⋮⋮こんなに、苛立ってるんだろう⋮⋮?︶ 決して許さないと言った男に、大切な友人であり主君である人を 奪われるのが嫌なのか⋮⋮それとも。 胸に渦巻く感情の正体は、まだわかりそうになかった。 ※ ※ ※ 242 ﹁と、トオル様⋮⋮そんなに見つめられると、恥ずかしいですわ⋮ ⋮!﹂ ベッドに横たわる妖精のような裸身が、俺の目の前にすべてをさ らけ出していた。 姫が身に着けているのは、数え切れないほどのレースに彩られた 白の長手袋とオーバーニータイツ、上品なデザインのガーターベル ト、そしてティアラだけ。 ﹁これくらい当然ですよ、姫? だってこれから俺たちは、もっと 恥ずかしいことをするんだから﹂ その言葉に赤面しつつ、右腕でゆっさり大きなロケット美巨乳を、 左手でもっとも恥ずかしい場所を必死に隠そうとするシスティナ姫。 俺の言いつけで、ブラジャーもショーツも取り払われているのだ。 ﹁さあ、女の一番大事なところを隠さず俺に見せるんだ⋮⋮システ ィナ﹂ ﹁あ、ああっ⋮⋮は、はいぃ⋮⋮﹂ わざと呼び捨てにすると、姫はビクッと体を震わせ、少しずつ息 を荒げながら従っていく。 おずおずと細い指がどけられ、あらわになった股間部分。 髪と同じ輝くプラチナブロンドに彩られたピンク色のそこは、緊 張と興奮でうっすら濡れ光っていた。 庶民には絶対に拝むことのかなわない聖域が、いま俺のためだけ に⋮⋮! 243 ﹁きれいですよ、さすが姫のオマンコ。ぴったり閉じてて高貴な雰 囲気だ﹂ ﹁わ、わたくし男の方に、トオル様に一番恥ずかしいところを、見 られてしまってますのねっ⋮⋮あっっ、ひぁぁっ!?﹂ すでに裸の俺は、うっすら桃色に上気した無防備な姿に覆い被さ り、中指と薬指でふるふる揺れる割れ目をなぞりはじめた。 そこは驚くほどすぐにほぐれ、クチュクチュと水音が大きくなっ ていく。 ﹁初めてなのに濡れやすいんですね、姫は﹂ ﹁じ、実は昨日っ⋮⋮トオル様に胸を可愛がっていただいた時から ずっと、ここが熱くなって⋮⋮よ、予言の間に入る時にもなかなか 心が落ち着かなく⋮⋮んぁぁっ!?﹂ 目元と口元を手で隠そうとしながら、はしたない告白をするお姫 様。 俺に手や胸で奉仕し、精液でこってりマーキングされた体験は、 ウブな彼女にさぞ大きな衝撃を刻んだのだろう。 ﹁それは悪いことをしたなぁ、ずっと姫をおあずけにさせちゃった わけだ。じゃあ、その分思いっきり⋮⋮﹂ ﹁えっ、ゆ、指がっ、トオル様のゆびがぁ、おっ奥までっ⋮⋮あっ ああっ、ひゃぁぁあ⋮⋮っ!?﹂ 狭くて柔らかい、これまで誰の侵入も許さなかった高貴な穴を優 しくまさぐる。 きめ細かで呼吸するみたいに収縮する感触は名器を予感させて、 挿入する時の期待が高まる。 244 ﹁たっぷり濡らしてからいよいよ、俺のものを迎え入れてもらいま すからね、姫﹂ ﹁ひぅぅっ、はっはいっ! トオル様の大きなチンポ様を、少し怖 いですが精一杯お迎えさせていただきますわぁ⋮⋮っ!﹂ たっぷり指を濡らした王家の愛液を、ガチガチに反り返ったチン ポに塗りつける。 両脚を掴んで開き、うっすら入り口を開いてヒクつく無垢な穴に 亀頭を押しつけると、高貴なる処女をついに破る予感に俺の背筋は ゾクゾク震えた。 ﹁よし、さっき教えたとおり、俺にどうされたいかの口上をはっき り言うんだ、システィナ姫っ⋮⋮!﹂ ﹁わ⋮⋮わたくしランバディア第三王女システィナはっ、憧れのト オル様にずっと守り通した純潔を、はしたなくも荒々しく散らされ たく思っておりますぅぅ⋮⋮っ!﹂ 羞恥と期待の涙を蒼い瞳に浮かべ、真っ赤な顔で死ぬほど恥ずか しい告白を口にする従順プリンセス。 ﹁わ、わたくしの処女を、あなた様のおチンポ様でどうかぁっ、く ⋮⋮食い散らかしてくださいませぇぇ⋮⋮っひゃぁぁぁうぅぅぅぅ んっっ⋮⋮ぁぁああっっ!!?﹂ ずぬぬにゅるるぅぅっっ⋮⋮ぴちちっ、ぷちっぢゅちちっ⋮⋮に ゅるぐんっっ!! ﹁あっあっあぁぁぁんっっはぁぁぁ!!? は、入ってしまいまし っ、たぁぁ⋮⋮!﹂ 245 十指でシーツをぎゅっと掴み、軽くウェーブしたプラチナブロン ドの毛先から、白タイツのつま先まで全身をビクビク震わせて。 喪失の痛みと胎内を満たされる圧迫感に、第三王女は高い鳴き声 をあげた。 ﹁くぅぅ⋮⋮! ああ入れたよっ、システィナの処女、今俺が奪っ たぞっ!﹂ 予言の姫の純潔を示す血が、結合部からシーツを薄紅に染めてい く。 最高級のメスをものにするオスとしての圧倒的勝利感に、バチバ チと脳に火花が走る。 ﹁んぁ、あはぅぅっ⋮⋮! いっ痛ぁぁ⋮⋮ふぁ、ひぃんんぅぅぅ ⋮⋮んぅっ!﹂ ﹁痛いですか? しばらく動かずにいようか、姫?﹂ 念願の達成感で暴発しそうになるのを堪えながら、俺にしてはず いぶんと優しいことだな、と内心苦笑する。 完全に自分の意志で俺を迎え入れる相手との初体験に、俺自身少 し戸惑っているのかもしれない。 ﹁あ、はぅぅ⋮⋮お、お気遣いありがとうございます、わっ⋮⋮! で、でも痛みより、ひとつになれたことの嬉しさがっ、大きくて っ⋮⋮!﹂ 涙をこぼしながらも、けなげに微笑む姫がいとおしい。 ﹁って、うぉ⋮⋮っ!? 姫の中っ、俺のをキュンキュンってひと りでに締めてきてますよ!﹂ 246 ﹁ええっ!? そ、そんな、本当ですの⋮⋮っ?﹂ みっちり詰まった俺自身を、初めてなのに甘くラブ締めしてくる ロイヤルプリンセスマンコ。 高貴で上品な体の一部とは思えないほど、貪欲なメスのアプロー チだ。 ﹁そ、それはきっと⋮⋮と、トオル様のものになれたのが⋮⋮女に していただけたのが、う⋮⋮嬉しくてっ⋮⋮反応してしまってるの だと、思いますぅぅ⋮⋮!﹂ 細い胴体の外側にやや傾いた爆乳をふるふるさせながら、消え入 るような声でそんなことを言われては、ガマンも前言撤回だ。 ﹁っく、ごめん姫! やっぱり動く⋮⋮よっ!﹂ ﹁ひゃぁっっんんんっ!? きゅっ急にぃぃっ!? トオル様のが っ、中を揺らしてっ⋮⋮あっふぁぁ、ひぁぁんっはうぅっっ!?﹂ にゅぐっ⋮⋮にゅぐぅんっ、と狭い処女穴を少しずつこなれさせ ていくフル勃起チンポ。 初めはゆっくり、だんだん大胆に⋮⋮汚れなき秘所に、快楽とい う悪い遊びを俺の思うがまま教え込む征服感。 ﹁どこが気持ちいいか、二人でたくさん見つけていきましょうね、 姫っ⋮⋮ほら、ここなんかどうですかっ!﹂ ﹁ぁあっはぁ!? い、入り口の近くをそんなっ何度もぉぉ⋮⋮だ っダメですそれぇっ、こえっ、声おさえられなくなってしまっ⋮⋮ ひゃうぅぅあぁぁあっっ!?﹂ ﹁姫の﹃ダメ﹄は﹃もっと﹄って意味ですよね? ここですか、ほ らほらぁ!?﹂ 247 可愛いおヘソの下あたりに手のひらを当てて軽く押さえつつ撫で 回しながら、中から上の壁を突き上げるように亀頭でコネ回す。 開発されつつある性感帯に、姫は巨爆乳をたぷんたぷん揺らして あえぎ、目と耳を楽しませてくれる。 ﹁と、トオルさまっ⋮⋮む、胸もっ、前のようにいじってっ⋮⋮は ひぃぃんっっ!! そっそれです! 先っぽほじくられるのたまり ませんわぁぁっ!!﹂ 乳肉をわしづかみ、陥没乳首に人差し指の先を潜り込ませてホジ りまくる。 その動きをチンポのストロークと連動させてやると、姫の反応は さらに高まった。 ﹁初セックスでこんなに乱れちゃって、清楚な顔に似合わずエッチ なお姫様だなっ、システィナは! そんなに俺にこうされたかった のか!?﹂ ﹁はっ、ひゃいぃっ!! ごめんなさいぃっ、初めてなのにっ、恥 知らずな女でっ申し訳ありませんっっ⋮⋮げ、幻滅しないでくださ いませぇぇ⋮⋮!﹂ ﹁嫌いになんかなるわけないだろっ、こんなに可愛い俺の姫をっ!﹂ ﹁う、嬉しいですっ⋮⋮わたくしは今ぁっ、しっ幸せをっ! 憧れ の殿方に抱かれて女にされる幸せをぉっ、おなかで感じております のぉぉっっ!!﹂ 王族として⋮⋮それも予言の姫として立場を縛られ、自分を律し てきただろう彼女の、おそらく今までにない解放の瞬間。 それをずっと夢で憧れてきた俺に、一人の女として扱われること でやっと得たのだろう。 248 そう考えると、さらなる征服感と愛しい気持ちがわき上がってく る。 ﹁俺に抱かれて幸せか姫っ! 俺に貫かれるの夢見て、待ちきれな かったマンコぐちょぐちょにえぐられて嬉しいんだなっ、システィ ナっ!?﹂ ﹁そっそうですぅぅっ! こんなっ幸せっっ、いっ一生得られない かとっ、思っておりましたからぁぁっ⋮⋮ひぁっひゃうぅぅっっ、 そっそんな奥までぇぇっっ!!?﹂ より深く強く、未開拓の高貴な処女地をヌコヌコと押し開くチン ポの快感。 高まる腰のグラインドに合わせ、ティアラの載ったプラチナブロ ンドを振り乱し、大ボリュームの乳肉を波打たせて、美しい汗に濡 れた裸体が跳ねる。 ﹁システィナ姫っ、お前はずっと俺のものだっ! その身を俺に捧 げてっ、予言の姫なんかじゃない、俺だけの女になれっ!﹂ ﹁なるっ、なりますぅぅっ!! はしたないシスティナをぉぉっ、 トオル様の女として末永くしつけてくださいませぇぇっ、ふぁぁっ はぁぁんっっっ!!﹂ いつしかズグチュッジュヌチュッと激しさを増す愛液の音は、激 しいチンポピストンをすっかり快感として受け入れていることの証 明だ。 高貴な心も清楚な体も、俺に溶かされ蕩かされ、女の悦びを刻ま れていくシスティナ姫。 さっきからビクビクと小刻みに痙攣する膣内が、無数の軽い絶頂 を繰り返していることをチンポに伝えていた。 249 ﹁よぉぉしいいぞ、もっとイけっシスティナ! 快感に身を任せる んだ、俺のチンポで処女マンコをイカされろッ!!﹂ ﹁は、はいっ⋮⋮! 連れて行って、くださいましっ⋮⋮トオル様 のたくましいチンポ様で、わたくしを知らない場所にぃぃ⋮⋮はぅ ぅ!? そ、そんなこれ以上深くぅぅっっ!!?﹂ 白い花びらのようなガーターベルトで飾られた細い腰を、両手で 掴んで思いっきり引き寄せ、限界まで張り詰めたチンポを最奥まで 突き入れる。 ぐぐっ⋮⋮と射精を待ちわび下に降りてきた子宮口が、亀頭の先 端にコツンと当たった時、姫の背筋が弓のようにのけぞった。 ﹁こっこれぇぇっ!? お、大きいのがぁっ⋮⋮来るっ来ます、キ てしまいますわたくしっ、んぁぁぁあっはぁっあっああっっあっ! !?﹂ ﹁うおッ、搾られっ⋮⋮だ、出すぞ姫ッ! 中に、子宮にっ! 俺 の子種っ、遺伝子をブチ込んでやるからなッッ、くぅぅぅぅあっっ っ!!﹂ ﹁ええ下さい、いっぱい下さいぃぃっ!! システィナの大事なと ころっ、全部捧げますからぁぁっ!! あ、あなた様の色に染め上 げてくださいませぇぇぇっっ!!﹂ あまりの快感に腰が、脳が、チンポが溶ける。溶けて姫と混ざり 合う。 その扱いが一国の政治をも左右する、庶民の子種が立ち入るなど 許されない大切な大切な王室こども部屋に⋮⋮俺はグツグツ煮えた ぎった濃厚ミルクを爆射した! ぶびゅうぅぅっ⋮⋮どびゅるるるぷぷっっ!! どぶっどぷどく んっっ!! 250 びゅくんっ、んびゅっ! ごびゅぅぅ⋮⋮びゅば、びゅろろっ! ﹁え、あっああっ⋮⋮んぁぁっっはぁぁぁっっっ!!? これっ、 これがトオル様のっ⋮⋮はひゃぁぁぁんんんっっ!! ふぁぁ、あ、 ああ、あ⋮⋮っっ!!﹂ ﹁くぅぅぅっっ⋮⋮うぉ、凄っ⋮⋮凄いぞ姫っ、この放出感っ⋮⋮ く、くはっ!﹂ 俺の背中に爪を立てるほどしがみつき、同時絶頂の圧倒的快感に わななくシスティナ姫。 くわえ込んだチンポを、ロイヤルマンコの高貴なヒダヒダが全方 位からけなげに締め付けて、最後の一滴まではしたなく搾ってくる。 ﹁ああっ、ふぁ、ぁ⋮⋮と、トオル、さまぁぁ⋮⋮! く、口付け を⋮⋮キスを、してくださいませんかぁ⋮⋮!﹂ ﹁いいよ、いくらでも⋮⋮﹂ 余韻にびくびくと震える宝石のような体をぎゅっと抱き返し、俺 はプラチナブロンドを撫でながら、桜色の唇にそっと自分を重ねた。 誰かに心の底から自分を求められるってのは、悪くないもんだな ⋮⋮。 キリカが言ってたように、姫の待ち望んだ男としてしばらく付き 合ってやるのも、いいかもしれない⋮⋮俺はふとそう思った。 ﹁ああ⋮⋮トオル、様⋮⋮お慕いして、おりますぅ⋮⋮﹂ 甘くとろけるキスの味。上と下、体の二箇所でつながる感覚が、 激しい波の過ぎ去った俺たちの体をふんわりと包む。 そして⋮⋮その時。 251 ﹁⋮⋮⋮⋮え?﹂ 俺の意識が⋮⋮唐突に白く染まっていく。 姫の体温が、においが、息づかいが、部屋が、すべてが急速に遠 ざかっていくような錯覚。 まるで魂が体から離れ、どこまでも昇っていくような⋮⋮! ※ ※ ※ 唐突に、俺の意識は再び形をとった。 いつの間にか服を着て、安っぽい椅子に腰かけている自分に気付 く。 ﹁はい、次の方⋮⋮おや。お久しぶりですね﹂ 書類が乱雑に積まれた、オフィスによくあるデスクごしに。 東洋人にも西洋人にも見える、ねずみ色スーツの眼鏡男が⋮⋮事 務的にそう告げた。 252 管理者 21話:管理者と、新たな道 ﹁あんたは⋮⋮確か、 忘れるはずもない。 ﹂ 修学旅行のバス事故で死んだ俺が、この世界に転生する経緯の説 ここ での記憶が薄れない人って珍し 明をしてくれた、神さま︵のような存在︶の端末とやら。 ﹁おや、覚えておいでで。 いんですけどね、まあいいや﹂ おいおいおい、ちょっと待て。なぜ、俺が再び、今ここに? 混 乱と疑問が駆け巡る。 まさか姫とのHで腹上死⋮⋮いやいやさすがにそれは。 それともまさか、魔隷術師のジョブはやっぱり手違いだったんで 剥奪するとか言われるんじゃ⋮⋮冗談じゃないぞ、おい!? 補足説明 のため ﹁えーと、なんか勘違いしてるかもですが。あなたの魔隷術師レベ ルがこのたび、規定のレベルに達したので⋮⋮ お呼びしたんです﹂ レベルアップの⋮⋮補足説明? ﹁はい、珍しいケースなんですが、特殊なジョブにはまれにそうい うことがあります。あ、ちなみに元の世界での時間は今、1秒も進 んでませんのでご安心を﹂ それなら最初から説明してくれれば⋮⋮と思いつつ、ひとまず胸 253 をなで下ろす俺。 だが落ち着いた結果、別の大きな疑問にぶち当たった。 ﹁待ってくれ、それは変だ。俺のレベルが、このタイミングでなん でいきなり上がる?﹂ 俺は別に、システィナ姫に隷属魔法を使ったわけじゃない。辻褄 が合わない。 ﹁順番にご説明しましょう。まずレベルアップの原因となった大量 のボーナス経験値は、あなたが︻姫騎士︼︻魔貴族︼︻予言の姫︼、 計3つのレアジョブを支配することに成功した結果です﹂ キリカ、パルミューラ、システィナ姫。 確かに前者の二人を隷属させた時は、膨大な経験が得られた。 それが一定数に達すると、さらにケタ違いのボーナスが入るのか ⋮⋮スタンプラリーとかゲームの実績ボーナスみたいなもんか。 ﹁なるほど、それは理解した。でもなんで隷属魔法を使ってない、 予言の姫がその対象に?﹂ ﹁簡単なことです。その人物があなたに心服、依存⋮⋮あるいは命 支配した という結果が現実になれば、それは魔隷術師の糧 を捧げ、忠誠を誓ったのでしょう。スキルを使ったか否かに関わら ず、 になるんですね﹂ 確かに、姫は俺のものとなった。本人が心の底からそう宣言した。 ある意味魔法で隷属させるより困難なその結果が、多大な実績と して加算されたってことか。 ﹁あらゆる手段で他者を支配する。それが魔隷術師というジョブの 254 本質ですからね﹂ ﹁なるほど⋮⋮そういうことは先に教えてほしかったな﹂ ﹁申し訳ありません、説明は最小限にという決まりなもので⋮⋮﹂ 相変わらず、超越的領域のくせにどこまでもお役所仕事だった。 モノにした ﹁じゃあ、これは聞いてもいいのか? ⋮⋮今後、俺がまた一定人 数のレアジョブ持ちを隷属魔法、ないし他の手段で ら、その時も大幅なレベルアップが望めると?﹂ ﹁ええ、そう考えていただいて結構です﹂ 初ボーナスが3人目ってことは、次は5人目達成時とかか? 具体的な数字までは教えてくれないようだが、ともあれこれは重 要な情報だ。 レアジョブ持ちを優先的にゲットすることが、二重の意味で戦力 の大幅増強に直結する。 ﹁では最後に、今回のレベルアップに伴って得られる特典をご説明 します﹂ ﹁おお、そんなものまであるんだ﹂ それにしてもいちいち、ジョブといいスキルといい、ゲームみた いなロジックで動いてる世界だなあ。 まあ元の地球も、ひょっとしたら当時の俺たちが知覚できてなか っただけで変なシステムに支配されてたのかもしれないけど。 ﹁あなたはご自身のジョブを今後、以下のいずれかの方向に重点特 化することができます﹂ ・︻支配の道︼:同時に隷属可能な人数や、隷属魔法の支配力その 255 ものを重点的に伸ばす。 ・︻強化の道︼:隷属させた者の能力強化、魔力の伝達や共有の最 大値を重点的に伸ばす。 目の前に出されたペラ紙に、そのふたつが書かれていた。 これは要するに、上級職や特化スタイルの決定ってやつだろうか。 ﹁支配の道と、強化の道⋮⋮﹂ 支配の道なら、これまでのスキルレベルに等しい数以内よりも多 くの魔隷を従えられるようになり、隷属魔法をかけたり解除したり する速度もアップ、魔法抵抗も貫通しやすくなるらしい。 強化の道なら、周囲の魔隷たちをさらに大幅パワーアップさせら れるようになり、新たな潜在能力を引き出す、コンディションを操 作するといった能力もしだいに強化されていくとのこと。 おおざっぱに言って、魔隷の量と質、どちらを重視するかという ことでもある。 もちろん、選ばなかった要素が今後まったく伸びないわけではな く、あくまでどっちを重視するかってことみたいだ。 一長一短、なんとも悩ましいこの選択肢。 ﹁まあ、ごゆっくり選んでくださいな。それがすんだら、元の時空 に魂をお戻ししますので﹂ ﹁そうだな⋮⋮俺は⋮⋮﹂ ※ ※ ※ 256 ﹁⋮⋮それで、結局︻強化の道︼を選んだってわけ?﹂ 天啓の塔を離れ、拠点の洞窟に続く道。 ニーナが運転する馬車に揺られながら、隣席のキリカが俺に確認 してくる。 管理者 のことはまるで覚えておらず、説明に ﹁ああ、だいぶ悩んだんだけどね﹂ ちなみに彼女は 時間を要した。やはり覚えてる俺が特別なのか? ﹁ふうん⋮⋮その理由、聞いていいかしら?﹂ 向かいの席では、色んな意味で疲れたらしい姫が、すぅすぅと可 愛い寝息を立てて眠っている。 パルミューラまでがその体にもたれかかってすぴすぴ寝ているの が牧歌的というかなんというか⋮⋮あいつ、魔力の無駄遣いでもし てたんじゃないだろうな。 白と黒の対照的なドレスに身を包むふたりだが、並んで見ると胸 の格差すごいな。 ﹁理由はいくつかあるけど⋮⋮まず、今後想定されるイヴリース陣 営との戦いには、ムダに頭数を増やしても意味が薄い可能性が高い﹂ もしまた次元断層魔甲や類似の手段を持ち出されたら、烏合の衆 がいくらいても肉壁くらいにしかならない。 幸い、それを破れる煌剣アルカンシェル持ちのキリカをはじめ、 優秀な戦力はすでに充実しつつある。強化の道なら、パルミューラ 本来の実力もより早く発揮させられるようになるはずだ。 257 もちろん、支配力を高めることで強大な敵戦力を寝返らせること も重要だが、次元断層のような手段に対してはどのみち無意味に近 いし、強敵めがけ俺が突っ込むような戦法は前提にすべきものじゃ ない。 破天の骸 とやらのために姫を狙ってる以上、必 ﹁あなたはあくまで⋮⋮八冥家の大魔族と、戦うつもりなのね﹂ ﹁イヴリースが ず激突するだろうからな。そして俺には、システィナ姫を手放すっ て選択肢はない﹂ それは他の魔隷たちも同じことだ。 奪われる、殺される⋮⋮誰一人そんなことさせはしない。すべて 俺のものだからだ。 だから、皆にはもっと強くなってもらう必要がある。そのための 力は、必要だ。 ﹁相変わらずの独占欲ね、小田森くんは﹂ ﹁男ってそういうもんだと思うよ? ま、もちろんスキルレベルア ップで魔隷の枠自体に余裕はできたし、今の支配力でも魔貴族クラ スくらいなら隷属は十分可能ってのもあるしね﹂ ﹁これからも、魔隷を増やす気満々ってわけね⋮⋮﹂ ため息をつくキリカに、俺は満面の笑みでもちろん、と頷いた。 ﹁ただ少なくとも今は、姫野さんが俺の決戦用最大戦力であること は間違いない。これからも頼りにしてるよ﹂ ﹁はいはい⋮⋮まあ、システィナ姫さまを魔族から守ることにもな るわけだから、できるだけのことはするけれど﹂ それでいいさ、でもね⋮⋮と、俺は隣の姫騎士にゆっくりと向き 258 直った。 だしぬけにその体の自由を命令で奪い、柔らかい唇に、俺のそれ を乱暴に重ねた。 ﹁⋮⋮っっっ!!? ちょ、やっ⋮⋮んんっ!?﹂ つややかな黒髪に手をやって頭を引き寄せ、無力な抵抗をよそに、 しっとりした口内を思うさま舌で蹂躙する。 たっぷり時間をかけてから唇を離すと、わずかに涙を浮かべた大 きな瞳が俺をにらんだ。 眠っているとはいえ、姫さまの前で唇を奪われるシチュエーショ ンも手伝ってか、その頬は真っ赤に染まっている。 ﹁いいかい、間違えるなよ姫野さん。君は、もう彼女の騎士じゃな い。俺の⋮⋮俺だけの姫騎士なんだ﹂ ﹁っは⋮⋮⋮⋮くッ!!﹂ 魔隷術師の姫騎士。 彼女をその立場に縛り続けること⋮⋮そしていつか、心の底から 屈服させること。 それが、元の世界で俺に見向きもしなかった姫野桐華への、俺の 復讐なのだ。 ﹁⋮⋮じゃあ、私の言葉も⋮⋮忘れないで。私は、いつか必ず⋮⋮ この関係を、変えてみせるわ﹂ この世でただひとり俺だけに向けられる、凛とした清廉さの中に 燃えるような感情をたたえた黒い瞳。 俺をもっとも楽しませてくれる女の瞳。 だけどその時、俺は今までとは違う違和感をおぼえた。 259 憎しみだけでなく、別の何かが⋮⋮そこに宿っているように思え たのだ。その正体までは、わからないけれど。 ﹁ああ、楽しみにしておくよ。俺の予測を、やれるものなら覆して みてくれ﹂ 。 馬車は近付いていく。シエラやアメリア、ナナ、魔隷たちの待つ 拠点へと。 破天の骸 合流後に向かうは、エルフの樹海シェイヨル大森林。 敵は八冥家イヴリース、カギとなる言葉は 管理者 は、管轄外の質問にはいっさい答え この先、俺たちを⋮⋮いったい何が、待っているのだろうか? 予想はしていたが てくれなかった。 だからそれは、俺がこの目で、確かめるしかないのだ。 ※ ※ ※ 同時刻、とある辺境。 今年で四十になる織物商人バロウズは、目の前で展開された信じ られない光景にただ呆然としていた。 大事な商談のため隣町まで馬車で移動中、運悪く街道で凶暴なル ーンベアに道を塞がれるようにして襲われた。 それもかつて見たことないほど巨大な個体の襲撃、頼みの武装し た護衛たちはあっという間に壊滅。 260 ああ最後にひと目妻と子に会いたかったと、死を覚悟した瞬間⋮ ⋮その人影は、唐突に現れた。 あんな手段 で。 そして瞬く間に、本当に一瞬で、巨大なルーンベアを無力化して しまったのだ。 しかも、まさか⋮⋮ そんなことを可能にするのは、一体どんなジョブの、どんなスキ ルなのか? 冒険者たちを含め数々の有能な人間を見て来たバロウズでさえ、 まるで見当がつかなかった。 ﹁あ、ありがとうございます! なんと、なんとお礼を申したらよ いか⋮⋮!﹂ あらためてまじまじと救い主の風体を見て、バロウズはさらに驚 いた。 まるで強そうに見えないだけでなく、予想以上に若い。自分の娘 と同じくらいではないか? ﹁旅のお方、でしょうか? わたくし、このあたりでは多少名の通 った商家をやっております。ご用立てできるものなら、何なりとお 礼を差し上げたく⋮⋮﹂ すると目の前の人物は、しばらく考えるしぐさをして、バロウズ が聞いたことのない単語を口にした。 ﹁じゃあ、ハーゲンダッツのクリスピーキャラメル﹂ ﹁⋮⋮は?﹂ ﹁ううん、言ってみただけ。こっちにないのは分かってるから﹂ 261 先を急ぐらしいその人物は、戸惑うバロウズをよそに一人で立ち 去ろうとする。 慌てて、その背中に声を投げる中年商人。 ﹁お、お待ちを。せめてお名前を!﹂ ﹁いやいや、名乗るほどのものでは。それに当然のことをしたまで ⋮⋮﹂ 勇者 、ですから﹂ 手をひらひらさせ、謎の救世主は最後にこう付け足した。 ﹁⋮⋮なにせ ぽかんと口を開けるバロウズを残し。 伝説のジョブ、勇者を名乗った人物は、細いツインテールを風に なびかせ⋮⋮街道の向こうに、すたすたと消えていった。 ※ ※ ※ ︻第一章:俺と、姫騎士と、予言の姫︼episode end! ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV10↓15 スキル:︻隷属魔法LV7↓9︼︻魔の契約LV1︼︻魔隷強化L 262 V2↓5︼??? 263 21話:管理者と、新たな道︵後書き︶ ※次回、エキストラHシーン﹁俺と、キリカと、制服と﹂掲載後、 第二章へと突入。 264 ︻EXーHシーン︼俺と、キリカと、制服と︵前書き︶ ※投票で決定した﹁エキストラHシーン﹂第一弾。 時系列は11話と12話の間、拠点の洞窟でのできごと。 265 ︻EXーHシーン︼俺と、キリカと、制服と ﹁命令どおりに着たけど⋮⋮なんなのかしら、これは?﹂ 拠点の洞窟、いつもの俺の寝室。 目の前ではキリカが、自分の身を包む白いワンピースタイプの薄 い布地を不審そうに見ていた。 装飾もボタンのひとつもなく、検査の時に着る病院着のようでも ある。 ﹁ギルドハウスにストックされてたアーティファクトのひとつだよ。 ちょっと面白い機能があるんで、試してみようと思ってね﹂ ﹁⋮⋮自分じゃなくてなんで私なの?﹂ ﹁それは後のお楽しみ。じゃ、ちょっと目をつぶってくれ﹂ 怪しみつつも目を閉じるキリカ。 俺はその額に手をかざし、コマンドワードを口内で唱えた。 衣服 のイメージだ。その服にエンチャントされた魔 ﹁これからイメージを引き出す⋮⋮俺と姫野さん、二人の記憶に刻 まれたある 再現 する。 法が、記憶を読み取って⋮⋮﹂ そして、 素っ気ないシンプルな服が魔力の光に包まれ⋮⋮みるみるその形 が、厚みが、構造が、色が、デザインが変わっていく。 ﹁⋮⋮え? うそ、これってまさか⋮⋮!﹂ ﹁よし、成功だ!﹂ 266 キリカが驚くのも無理はない。 彼女の体は今、元の世界で着ていた学校の制服に包まれているの だから。 丈が短め︵腰の上まで︶のブレザーは、黒に近い濃紺に白のパイ ピングラインという落ち着きと可愛らしさの両立した組み合わせ。 清楚な白地の丸襟ブラウスシャツは、胸元に垂れたワインレッド のネクタイがEカップの谷間ラインを強調している。 膝上までを覆うのは折り目正しい、暗めの赤と紺のチェックスカ ート。 これを着ること目当てで入学する女生徒も少なくないって評判の、 人気の高いデザインだ。 ﹁うわあ⋮⋮すごい、本物と区別がつかないわ。一ヶ月ぶりなのに、 ずいぶん久しぶりな気がするわね⋮⋮﹂ 生地をあちこちつまんだりしながら、どことなく嬉しそうな様子 のキリカ。 ちなみにすらりとした美脚を包む黒いニーソックスや、ブラウン のローファーまで完璧再現だ。 する のは、盛り上がるんじゃない 凄いな、魔法って。本来は変装用とかに使うアーティファクトら しいけど。 ﹁俺も同感だよ。この格好で かと思ってさ﹂ ﹁⋮⋮え?﹂ 喜んでいたキリカの表情がピシッと固まった。 267 ﹁いや、寝室で着せた時点で察しようよ。俺の性格からして予想つ くでしょ﹂ ﹁そ、そんなことのためにわざわざ!? お、おかしいでしょそれ !?﹂ 予想通りだが、ドン引きしている。 本人に自覚はないだろうが、長いストレートの黒髪や凛とした美 貌にこの上なく似合ったこの制服姿に、ブラウスを押し上げる巨乳 に、スレンダーな美脚のラインに、劣情を抱いた男子生徒は数限り ない。 かく言う俺もその一人だ。 そして今、手の届かなかったあの制服姿が、俺の命令に逆らえな い魔隷として目の前にいるのだ。 なら、やることは決まってる。当然の帰結だ。 ﹁さあ、今日は思う存分制服プレイといこうか、姫野さん?﹂ ﹁へ、変態っ! 変態バカ馬鹿変態っっ!! し、信じられないっ !﹂ クラス委員で校内 の制服姿めがけ、俺はにじり寄った。 ぶんぶん首を振ってにらむキリカ⋮⋮いや、 のアイドルの姫野桐華 ※ ※ ※ にゅぷぷぷぷっ⋮⋮と、俺の反り返ったチンポが呑み込まれてい く。 ボタンをひとつだけ外したブラウスシャツの下側から、清楚な制 服に押し込まれたEカップ巨乳の狭い谷間へと。 268 ﹁ううっ⋮⋮しかもいきなりさせることがこれ!? い、意味わか んない⋮⋮!﹂ ﹁最高じゃないか、制服着衣パイズリ。男の夢だよ?﹂ ﹁絶対ウソよ⋮⋮な、なんかいつもより硬くなってるし⋮⋮﹂ 下着までは再現されなかったらしく、ノーブラなのが逆にちょう どいい。 薄暗い部屋の中、椅子に座ってキリカにこうさせてると、まるで 放課後の教室でされてるような錯覚すらおぼえる。 ﹁ほら、腕組みして自分で胸押さえつけて、おっぱい圧を高めて揺 さぶってくれ﹂ ﹁んっ⋮⋮くっっ! さ、逆らえないから仕方なくやってるんだか ら、いい気にならないでよね⋮⋮っ!﹂ にゅむむっ⋮⋮と高まる乳圧にみっちり包まれて、フル勃起チン ポがビキビキと嬉しい悲鳴をあげる。 涙目でにらまれながらされると余計興奮するだけなんだけど、気 付いてないんだなあ。 小刻みにぷるぷる揺れる乳肉にズリあげられ、ぱんぱんになった 亀頭が中からネクタイを押し上げて、先走りの染みをブラウスに広 げた。 ﹁やっぱ姫野さんのパイズリはたまらないな⋮⋮チンポにしっくり 来るよ﹂ ﹁わ、私はそんなこと言われても嬉しくないしっ⋮⋮! うう、ど れだけ熱くなるのよこれぇ⋮⋮!﹂ 制服を着せてることによって、あの決して手が届かなかった存在 269 が今、俺の思うがままなんだという実感がより強調されゾクゾクす る。 ﹁ほんと、どれだけおっぱいに執着してるのよ⋮⋮システィナ姫さ まの胸見たら、絶対変なこと要求するに違いないわ⋮⋮!﹂ ﹁ん、何か言った?﹂ ﹁なっ、なにも言ってない!﹂ 柔らかい凶器に心地よくあやされながら、俺はそろそろ、用意し たもうひとつの品を試してみることにした。 ﹁え、こ、今度は何なのよ? なに、これ?﹂ 戸惑うキリカの首に、素早くつけた赤いチョーカー。 呪いの首輪 だよ。一時的に魔法抵抗を弱体化させるエ そのアーティファクトには、ニーナによってある魔法がこめられ ている。 ﹁いわば 彼女 ンチャントがかかっててね、それが何を意味するかっていうと⋮⋮﹂ 一時的に魔法抵抗を失った キリカの頭部に、緑色をした魔力の輪が現れ明滅する。 俺が隷属魔法をあらためて、 に重ねがけしたのだ。 ﹁う⋮⋮あ、頭が⋮⋮こ、これって⋮⋮え、ああっ⋮⋮?﹂ その表情に奇妙な変化が現れた。 まるでPCを再起動するように、すっとハイライトの消えた黒い 瞳に⋮⋮ぴこん、と小さなハート状の光が灯ったのだ。 270 ﹂ ここはひとけのない空き教室で、俺は君の恋 ﹁あれ⋮⋮小田森、くん?﹂ ﹁ああ、そうだよ。 人の小田森トオルだよ、姫野さん どこか甘ったるい夢見心地の声に対し、俺はさも当然のようにそ う答えた。 途端にキリカの表情が、今まで見たことのない、照れを含んだ笑 顔へと変わる。 ﹁もう⋮⋮小田森くん、また教室なんかで私にこんなことさせると か⋮⋮っ! ほ、ほんと、Hなんだから﹂ ⋮⋮かかった。 魔法抵抗を弱められた今のキリカは、俺の隷属魔法で意志や状況 認識までも完全に支配下となったのだ。 今、彼女は恋するクラスメートの俺に対し、恥ずかしいけど幸せ な校内奉仕の真っ最中というわけだ。 ﹁ごめんごめん。でも、ガマンできなくてさ。それに姫野さんもス リルあるの嫌いじゃないだろ?﹂ ﹁も、もう知らないっ⋮⋮! は、はやくイカせちゃうからね?﹂ わざと怒ってみせるような、はにかんだ表情の上目遣い。 わずかに媚びを含んだ小声でそう言うと、キリカはゆっさりした バストをブラウスの上から掴んで大きくグラインドさせ始めた。 ﹁うおっ⋮⋮ひねりを加えたこの動きっ、チンポが根元を支点に振 り回されて⋮⋮っ!﹂ ﹁ふふ、大好きなおっぱいでこうされると弱いの、知ってるんだか らね。よい、しょっ⋮⋮と﹂ 271 普段じゃありえない、行為に積極的なキリカによるラブラブ乳プ レイ。 たぽったぽぽっ、と柔らかなおっぱい肉が服の中で波打ち、縦に 横に斜めに、ガチガチの熱い棒をもてあそぶ。 ﹁ほらほら、小田森くんのせっそーなしおちんちんは、悪いことし ないようにこうやって閉じ込めててあげるんだから﹂ ﹁くっ、ず⋮⋮ずいぶんとノリノリだね、姫野さん﹂ ﹁そ、そうかな? だって、いつもこれで⋮⋮い、いっぱいイジめ られてるから⋮⋮仕返し?﹂ 消え入りそうな声で、ごにょごにょ恥ずかしそうにそんなことを 言う。 催眠支配だとわかってても、たまらなくそそる反応だ。 ﹁きゃっ、ま、また一回りおっきく⋮⋮すご、私のネクタイっ、ブ ラウスの中から持ち上げられちゃってるよ⋮⋮?﹂ ﹁姫野さんがあんまり可愛いからさ。ねえ、このまま中で出しちゃ ってもいいかな⋮⋮っ?﹂ ﹁え、ええ!? ふ、服の中でってこと? これ⋮⋮せ、制服だよ ? ここ、教室だよっ⋮⋮?﹂ 場所を誤認してることもあって、驚き戸惑うキリカ。 だが、本気で嫌がってないことは、にゅっぽにゅっぽと動かしシ ゴき続ける凶悪なおっぱい運動からも明らかだ。 ﹁なあ、頼むよ姫野さん⋮⋮今日は俺のにおいたっぷり染みついた 服で、一緒に帰ろうぜ﹂ ﹁ほ、ほんと変態なんだから小田森くん。で、でもそこまでしたい 272 なら⋮⋮し、仕方ないわねっ⋮⋮い、いい、よ?﹂ これも彼女本来の性格の一面なんだろうか? 恋人になった相手 にはこうやって尽くすんだろうか? ぼんやり考える余裕もなく、激しい上下運動で追い込んでくる制 服着衣パイズリの猛攻に、張り詰めたチンポは限界を迎えようとし ていた。 ﹁ううっ、くぉっ⋮⋮! だ、出すぞ桐華っ、制服とおっぱい、精 液で汚す⋮⋮よッ!!﹂ ﹁うん、いっぱい出してっ⋮⋮あ、中で膨らんで⋮⋮きゃあっ!! ?﹂ どびゅぷっっ!! どくっ⋮⋮どくんっっ、ぶびゅっ!! んびゅっ⋮⋮びゅるびゅぐっ⋮⋮! たぱぱっ、どろぉぉっ⋮⋮! ﹁んぁっ、やだ、これ凄い⋮⋮っ! せ、制服が持ち上がるくらい 出てるっ⋮⋮う、うわぁ⋮⋮!﹂ ﹁うおっくっっ!! す、凄い出るっ、止まらないッ⋮⋮くっ、は ぁっ!﹂ びゅくびゅくと内部ではじける精液が、内側からブラウスシャツ に叩き付けられ、一瞬押し上げるほどの勢いで何度も放出された。 谷間に挟まったワインレッドのネクタイの裏地に、服の隙間から 漏れた濃い白濁液がねっとりと太い筋を作る。 ﹁うぁ⋮⋮もう、服がぬるぬるのぐちょぐちょじゃない⋮⋮におい、 染みついちゃうわ⋮⋮﹂ ﹁ふぅ⋮⋮姫野さんはクラス委員なのに、これから制服着るたびに 俺とのHを思い出しちゃうんだな﹂ 273 ﹁だ、だからそういうこと言わないでよ、意地悪ぅ⋮⋮!﹂ にゅるっ⋮⋮と胸の間から粘液にまみれたチンポを引き抜く。 気持ち良く大量に服内挟射したにも関わらず、ずっと憧れていた 制服と、いつもと違う反応のギャップ、ふたつの誘惑でまだまだ臨 戦態勢だ。 次のステップに移るべく、濃厚なオスの匂いでとろんとした瞳の ところだ﹂ ここは君の家だ、姫野さん。家族がいないタイミングで、 前で、俺は指をパチンと鳴らした。 ﹁さて、 君は俺を部屋に招待した ﹁あ⋮⋮﹂ 新たな催眠暗示によって、キリカの状況認識が再び書き換わる。 彼女の目には、壁も床もベッドも見慣れた自分の部屋のものとし て映っているだろう。 ﹁姫野さん⋮⋮もうガマンできそうにない﹂ ﹁え、そ、そんな部屋入っていきなりっ⋮⋮きゃ!?﹂ とさっ、と胸以外スレンダーな体を制服のままベッドに押し倒す。 それぞれ花のようにふわっと広がる、黒髪とチェックのスカート がいい香りを放っている。 俺の言いつけで、今日はパンツは ﹁せ、制服のまま、するの⋮⋮?﹂ んだろ?﹂ ﹁もちろん。だってそのために いてない ﹁え⋮⋮そ、そうだった、のよね⋮⋮ううっ、私なんでそんなこと まで従っちゃったんだろ、これじゃまるっきり変態じゃないのよぉ ⋮⋮!﹂ 274 ノーパンという事実に沿う形ですり込まれた催眠暗示が、彼女の 中ではしたないエピソードとして辻褄を合わせた。 片手で赤面した顔を隠し、もう片手でスカートのすそを恥ずかし そうに押さえて、ニーソックスからのぞくむっちりした太ももをも じもじさせるキリカ。 ﹁だから授業中もずっとバレないかドキドキして、意識してたんだ よな? 帰ったら俺にいやらしいことされるって、考え続けて興奮 してたんだろ?﹂ ﹁そ、そんなこと、そんな本当に変態みたいなことぉ⋮⋮!﹂ ﹁考えてないって? どうかな、じゃあ確かめてみようか﹂ ﹁えっ⋮⋮やっ、やぁっ!? ちょ、ちょっと待って小田森くんっ !?﹂ スカートをぎゅっと押さえていた手を上から掴み、チェックの生 地をそのままめくりあげさせる。 その中に隠された、もっとも恥ずかしい部分が制服の外にさらけ 出されるように。 ﹁あれ? 濡れてるように見えるんだけど⋮⋮﹂ ﹁そ、そんなことありません﹂ ﹁なんで丁寧語? まあいいや、触って確かめればすぐわかるから な﹂ ﹁え!? だ、だからちょっと待っ⋮⋮んはぁっっ!!?﹂ ちゅくちゅっ⋮⋮と予想以上に大きな湿った音が、俺の伸ばした 中指と薬指の間で鳴った。 ぞくぞくっ! と、制服に包まれた細い体がそれだけでのたうつ。 275 ﹁なんでもうぐちょぐちょになってるの? ノーパンで過ごして、 俺を胸でヌいて、部屋に連れ込んで⋮⋮発情しまくってたのか、真 面目そうなクラス委員の姫野さんは?﹂ ﹁は、はつじょう、とかっ⋮⋮私してなっ⋮⋮んぁ、んやぁぁっ! ? ゆ、指入れなっ⋮⋮はぁうぅぅ、あうぅっっ!?﹂ 柔らかくも弾力のある現役JK穴に、二本の指をぬぶぬぶ押し入 れてやんわりとかき回す。 制服のキリカはシーツを掴んで身をよじるが、抵抗せず俺にいじ られるがままだ。 ﹁腰が浮いてきてるよ? いつもオナニーしてる自分の部屋で俺に マンコほじくられるのそんなに気持ちいい?﹂ ﹁いっ⋮⋮いつもとかっ、してなっ⋮⋮あっああぁーーーっっ!? あーーっ!!?﹂ 指を曲げて、上側のザラザラした壁を指の腹でひっかいてやると、 しっとり汗ばんだ脚を突っ張らせて激しい反応が返ってきた。 可愛く尖ったクリトリスにフッと息を吹きかけた時、ひときわ高 くなったあえぎ声が、自分でそこをいじった経験を雄弁に物語って いた。 ﹁ウソついちゃダメだろ、品行方正なクラス委員がさ。週何回くら いするんだ? まさか毎日?﹂ ﹁そ、そんなにしてないわよぉ! しゅ⋮⋮週に、多くて、にっ二 回⋮⋮とか、だもんっ⋮⋮!﹂ ﹁なるほど控えめだね、ストレスの溜まった時とかにするのかな?﹂ ﹁あぅ⋮⋮な、なんでわかるの、っっひゃぁあんっ!? そ、そこ 一緒にいじっちゃだめ、だめっらめぇっ!?﹂ 276 奥で指を広げて四方八方のマンコ壁を刺激しながら、つつましい 勃起クリを濡らした指でつまみ、中と外で同時にこねる。 キリカのおままごとオナニーとは比較にならない快楽運動で開発 してやるたびに、熱をもった体が制服ごしに放つメスの匂いがどん どん強まった。 ﹁あぁぁあ!? そ、それっ、それ凄いよ小田森くんっ、声っ出ち ゃ⋮⋮んっやぁぁっっ!? あ、あぁ⋮⋮?﹂ ﹁今、なんで急にやめるの、って思ったでしょ?﹂ ﹁あ⋮⋮うっ、そ、そんなことぉ⋮⋮や、やっぱり意地悪ぅ⋮⋮!﹂ 指を一気に引き抜いた後、名残惜しそうにひくつく清楚なメス穴 に、俺は精液まみれのチンポをゆっくり近付けた。 ﹁ほら姫野さん、指より太いこれで思いっきりかき回して欲しかっ たら⋮⋮自分でそこを大きく広げてみせるんだ﹂ じゃないか。 恋人なんだから、 ﹁え、そ、そんな恥ずかしいことできるわけっ⋮⋮!?﹂ いつもやってる ?﹂ ﹁それくらい できるだろ 羞恥心から生まれた違和感と戸惑いを、催眠暗示がムリヤリ押し 流す。 キリカの瞳に灯ったピンクのハートマークがふるふる震え、俺の 言葉を当然のことと認識した心と体が、いやらしい命令を受け入れ た。 ﹁う、うん⋮⋮やる、からぁ⋮⋮! んぁ、これで、いいのっ⋮⋮ ? あぁぁ、は、恥ずかしいよぉ⋮⋮!﹂ 柔らかい体を活かして、自分で抱えた片足を曲げつつ持ち上げ、 277 その付け根⋮⋮めくり上がったスカートの最奥にひそむ秘所を、指 でくぱっと広げてさらけ出すキリカ。 うっすら色付いた桃色の粘膜が、呼吸するように息づいて俺を誘 っている。 ﹁ああ⋮⋮よく見えるよ、姫野さんのピンク色した濡れ濡れのヒダ ヒダが。俺に処女奪われた時みたいに丸見えだ﹂ ﹁なっ!? なんでそんなデリカシーない話するのよ、馬鹿ぁ⋮⋮ ! こ、これめちゃくちゃ恥ずかしいんだからねっ!?﹂ ﹁ごめんごめん、変態な彼氏で悪かった。でも、姫野さんはそんな 俺のコレが大好きなんだよな?﹂ ぐぐっ⋮⋮と押し当てた亀頭が、吸い付くような感触の柔ヒダ入 り口に密着した。 ビクン! とおびえたような、あるいは待ちきれず喜ぶような震 えが返ってくる。 ﹁あ、ああっ⋮⋮! い、入れられちゃう、の⋮⋮?﹂ ﹁さあ⋮⋮恥ずかしいおねだりをしろ、桐華。それができた瞬間に、 最初の時みたいに思いっきりブチ込んでやるよ﹂ ﹁う⋮⋮あ⋮⋮っ、お、小田森くん⋮⋮の、おっきな、お、お⋮⋮ ちんちん、私のおまんこ、にっ⋮⋮!﹂ 制服姿で貫かれる期待と羞恥に、何度も言葉をつかえながら。 キリカは黒髪が色っぽく一筋かかった口元から⋮⋮ついにその一 言をしぼり出した。 ﹁いっぱい、思いっきり、つ⋮⋮突っ込んで下さいっ⋮⋮んぁぁあ あああっっ、あぁぁぁぁああぁあぁやあぁぁああーーーっっ!!?﹂ 278 ずぬぶぷぷぷぷぷっっ⋮⋮にゅるむんっっっ!! あの、いつも遠くから眺め、夢想することしかできなかった対象 ⋮⋮制服姿の姫野桐華という、いわば俺のかつての無力感の象徴へ と。 その胎内へ俺のチンポが、心地よい抵抗感とともに吸い込まれる ように迎え入れられおさまっていく。夢じゃなく、現実に! ﹁入れたぞっ、チンポ入ったぞ! 制服のお前を征服してやったぞ、 桐華ぁっ!﹂ ﹁ひぃんぁ、んはぁぁーーーっ!? お、おっきいのがぁ⋮⋮は、 入ってるぅぅ!! 征服っ、されちゃってるよぉっ、わたし小田森 君にぃぃ!!﹂ 持ち上げられた方の左足を、俺は肩に担ぐようにして抱え込み。 背筋をゾクゾク駆け抜ける征服感に突き動かされるまま、驚くほ どウネってチンポを締め付けてくる柔肉穴へと、チンポを腰ごと叩 き付けていく。 ﹁くぅぅっ! ずっと、ずっとこうしてやりたかったぞ、桐華っっ ! 制服姿で、犯してやりたかったんだっ!﹂ ﹁は、激しいよぉそんないきなりぃっ!? 太くてカタいのがっ、 私の中で暴れてっ⋮⋮あっやっやぁぁっ、こえ、声外まで聞こえち ゃうぅぅ⋮⋮っ!﹂ 催眠支配にかかってるキリカは、ここが自分の家だと思い込んで るため余計に羞恥心を加速させている。 まあ実際、パルミューラやニーナが聞きつけて驚くかもしれない 乱れっぷりだ。 279 ﹁じゃあ、こっちの方がいいかな?﹂ ﹁ふぁ⋮⋮んぁ、ひゃんぅぅ⋮⋮ゆ、ゆっくりになって⋮⋮ま、ま た奥ぅぅ⋮⋮え、えっ何これ、っはぅぅっ!?﹂ 一転してゆっくり、奥の壁を亀頭でこねくるようなねちっこいピ ストンにシフト。 黒ニーソの脚をぐっと抱えて腰同士を密着させ、トントンと子宮 入り口あたりをジワ攻めすると、キリカは別種の快感に戸惑いの嬌 声をあげた。 ﹁ほら、こうやってじわじわとあやされるのも、たっぷりほじくっ て敏感になったマンコにはキくだろ?﹂ ﹁やっ、んひっっ!? と、とんとんって⋮⋮っ、するのっ、ダメ ぇぇ⋮⋮! おなかに熱いのじわって広がってぇぇ⋮⋮きちゃうぅ ⋮⋮!﹂ 口では恥ずかしがって拒んでも、体は、体の中は正直だ。 送り込まれる快感に喜ぶ無数のヒダやツブツブの突起が、みっち りと生チンポの全方位をとりまいて甘噛みしてくるのがたまらない。 ﹁凄いのぉぉ、これぇぇ⋮⋮っ! ね、ねえお願い、小田森っくん っ⋮⋮き、キス、してぇ⋮⋮っ!﹂ ﹁珍しいね、姫野さんの方からキスねだってくるなんて﹂ ﹁だって、だってぇ⋮⋮! こ、これ気持ち良すぎてっ、自分が自 分じゃなくなるみたいで⋮⋮こ、怖いんだもんっ⋮⋮お、ねがいっ ⋮⋮!﹂ 珍しいというか、本当は初めてなんだけど。もちろん断る理由も ない。 俺にずっぷり貫かれたまま、けなげに上半身を起こしてしがみつ 280 いてくるブレザー姿を抱き寄せて、唇を寄せた⋮⋮その時。 ﹁んっ⋮⋮小田森くんっ⋮⋮好⋮⋮あ? えっ⋮⋮!?﹂ エンチャント バチッと渇いた音がして、その白い首に巻かれたチョーカーの帯 びる光が消えた。 強固な魔法抵抗スキルをついに抑えておけなくなり、充填されて いた魔力が枯渇したのだ。 ということは、当然どうなるかというと⋮⋮。 ﹁あっ⋮⋮ちょ、やっ!? んむっ⋮⋮んぅーーーっっ!!?﹂ 瞳からハートマークが消え、正気に戻ったキリカの唇を、俺はか まわず塞いだ。 思念の命令で抵抗を抑え込み、わざと乱暴に舌を差し込んで、口 内粘膜を蹂躙する。 ﹁んんっ、あっ⋮⋮やっやめっ⋮⋮んはっ、んぅぅぅぅっっ!!﹂ チンポをくわえこんだままのJKオマンコに、ぐぐっと強い力が こもった。 どうやら俺を必死に追い出そうとしているようだが、あいにくム ダだ⋮⋮というか逆に余計気持ちいい。 ﹁ぷはっ⋮⋮ううぅっ! な、なんてことするのよぉっ、この変態、 恥知らずっ!!﹂ ﹁その様子だと、催眠支配されてる間にしたこと言ったこと、全部 覚えてるみたいだな?﹂ ﹁∼∼∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ 281 キリカの顔がかつて見たことがないレベルで真っ赤に染まり、じ わわわっと涙が浮かんだ。 逃げようとする体を命令で縛り、腕と脚で逆に俺を抱きしめホー ルドさせる。 ﹁今さら恥ずかしがることないじゃないか、オナニーは週二回で、 マンコの奥が弱くて、イキそうになるとキスしてほしい姫野桐華さ ん﹂ ﹁さっ⋮⋮最低、最低最悪っっ!! 変態、ド変態の馬鹿ぁっ!! し、信じられないっ、すぐこれ抜いてよぉぉっ!!﹂ 罵倒のボキャブラリーに乏しいあたり、育ちが良くて真面目な子 だなあ。 涙目でにらまれながら、俺は奇妙な充足感をおぼえていた。 さっきのギャップあふれる姿も悪くなかったが、やっぱりこっち の方がキリカらしい⋮⋮そんな素の彼女を犯していると思うと、チ ンポにも気合いが入るってもんだ。 ﹁え、ま、まだ大きくっ⋮⋮ちょ、急に動き出さなっ⋮⋮あぁっ! んぁぁああ!?﹂ ﹁立場分かってないな、姫野さん! さっきまで媚び媚びでトロト ロになったマンコの弱点、全部俺のチンポにさらけ出してるんだぜ !?﹂ ﹁んひいぃぃっっ!? そっそこダメ、止めっ⋮⋮あぁぁーーーっ !!? っは、おぁぁんぁぁあ!?﹂ 心持ちはがらりと変わっても、変わらないままの体内は再びズン ズン突き上げえぐるチンポの動きに、歓喜の涙を流して反応してし まっている。 黒髪と制服のにおいを胸いっぱい吸い込みながらの弱点連続攻め 282 で、ここぞとキリカを追い詰めていく俺。 ﹁あと20ピストンくらいで陥落ってとこだな、桐華ぁ! 制服の ままでの初イキ顔、見ててやるから思いっきりさらしてみろよっ⋮ ⋮ほらほらほらほらぁ!!﹂ ﹁そんなのしないぃっ、ぜったい見せないぃぃっ!! やっあぁぁ ーーっっ、んあっっダメだめぇぇぇっ!!? んひゃぁぁあぁぁー ーっ!?﹂ ﹁そんなこと言って、さっきみたいに語尾にハートマークつきそう な勢いだぞっ!?﹂ ﹁違う違うちがうぅぅっ!? そ、そんな声へぇぇっ、だしてっ、 にゃぃぃぃっ⋮⋮へはぁぁっ!!?﹂ ブラウスシャツごしにEカップ巨乳を押し潰すように揉み込み、 チェックのスカートに包まれた弱点の最奥へと容赦ないチンポピス トンを叩き付ける。 全身に汗の玉を浮かせて必死に限界の時を先延ばしにしようとす るキリカ、その涙ぐましい抵抗がいよいよ決壊しようとする、その 時。 ピタリ⋮⋮と、俺はだしぬけに動きを止め。 ﹁ぜったいぃっ、ぜったひ、イかなっ⋮⋮んぁっ⋮⋮⋮⋮え?﹂ 一拍おいて、ずどんッ⋮⋮!! 気の緩んだ瞬間を狙い、無防備な子宮口の入り口へと、熱された 硬質ゴムのようなギンギンのチンポ先を思いっきり突き込んだ! ﹁あ⋮⋮んぉぉぉあぁぁぁぁっっっっ!!? はひゃあぁぁ∼∼∼ 283 ∼っっっ!!?﹂ 半ば命令で、半ば無意識に、黒ニーソに彩られた両脚を俺の腰に 巻き付けホールドし。 のけぞった上半身をしならせて、キリカは隠しようのない盛大な 制服着衣絶頂を迎えた。 ﹁うおっ、中がギュッて、く、食い千切られそうだっ⋮⋮!﹂ 根元と竿中と奥、三段にわたって締め付けてくる名器が、俺のチ ンポを千切れんばかりに甘噛みする。 引きずられるがまま射精してしまいそうになるが、尻に力を入れ てグッとこらえる。 ﹁イッたか? イッたな、桐華っ!? いま思いっきりイッただろ、 お前っ!﹂ ﹁いっ⋮⋮へぇぇ⋮⋮ないぃ⋮⋮! いってぇ、にゃいぃ⋮⋮わよ ぉ⋮⋮!﹂ 焦点のあってない瞳で、一筋の黒髪を口元で噛みながら、すぐバ レるウソをつく。 そんなセリフは、追い打ちをかけてくれと言っているようなもん だ。 ﹁へえ⋮⋮じゃあ、イッてないなら動き続けても大丈夫だなっ!?﹂ ﹁え、ひゃっんひゃぁぁぁっっっ!!? いっ今ダメっ、んぁっん おぉっ!? ひぃぃんひっ、だめだめだめダメぇぇぇっっ!!?﹂ イッてすぐの敏感になったとろけマンコをがつんがつんエグられ、 悲鳴をあげるキリカ。 284 ジュボジュボ、ドチュドチュと、泡立てられた愛液が制服のスカ ートにいやらしい染みを作る。 ﹁じゃあ正直に言えよっ! 止めて欲しいなら、ウソついてごめん なさいってなぁ!﹂ ﹁そんなそんなぁぁっ!? うぅぅぅっっ、ごっごめんなひゃいっ っ!! ウソついた、ついたからぁぁ! イッたの、イッたぁ! 今もイッてるから止めてお願いぃぃっ!!﹂ ﹁そうかそうか⋮⋮って、やめるわけないだろ、俺のチンポでイキ 続けろッ!!﹂ ﹁なっなにそれぇぇっ!? ひどい言ったのにぃぃっ!!? イッ てるのに、だから今ダメってぇぇぇっ!! んひゃぁぁうぅぅぅあ ぁぁ∼∼∼っっ!!?﹂ 俺のチンポによって、制服姿で泣き叫ぶキリカがたまらない。犯 しがいがありすぎる。 その声に、泣き顔に、ピストンのたび揺れる胸に、連続甘イキ締 めを繰り返す膣内に、そして制服姿に。 すべての要素に興奮が高められ、グツグツ煮えたぎりながら腰を 駆け上ってくる。 ﹁俺もイクぞ、そろそろっ! 桐華のイキっぱなしマンコにっ! 子宮にっっ!!﹂ ﹁あぅぅっ、ひゃぐぅぅぅっ!! い、嫌って言っても出すくせに ぃぃっ、馬鹿ぁぁぁっ!!﹂ 俺がいま身に着けている、ニーナにエンチャントしてもらった指 輪型アーティファクト。 それには精力強化と、そして任意でオンオフ可能な避妊魔法がか かっている。 285 大事な戦力が 戦えない状態 安心 させていたのだが になっては困るからという理由で の準備、これの存在がキリカをある意味 ⋮⋮。 無効化 されてしまう ﹁ああ、その前に言っておくことがあった! ニーナの話だと、魔 法抵抗の強い相手には避妊魔法⋮⋮たまに らしいぜ!?﹂ ﹁え、えっ!? えええっっ、ちょ、何それぇっ!? ほ、本当な のそれ、じゃあ、じゃあっ⋮⋮い、嫌ぁぁぁぁっっ!!?﹂ 実際、それは宝くじ一等に当たるような超低確率、まずありえな いらしい。 だが具体的な数字をキリカに教えてやるつもりはない。 ﹁口では嫌がっても体はすっかり俺にデレて、子宮が降りてきてる ぞっ! もう手遅れだ桐華ぁっ、孕むかもしれない俺の子種を⋮⋮ 受け入れろぉっ!!﹂ ﹁やだっ、やだやだやだやだぁぁっ!? そんなのだめぇぇっっ、 抜いてっ抜いてやめてぇぇぇっっ!! ひぃぃあぁぁーーーっ!!﹂ にゅぼぢゅぼと膣内にピストンを、こつんこつんと子宮口にノッ クを繰り返し。 無防備に開かれた若い胎内へと、制服JKの生子宮へと⋮⋮俺は とどめの超密着奥ハメの一撃とともに、白濁した炸裂弾を爆発させ た! ﹁やっ⋮⋮ああっ⋮⋮んぉあぁぁぁぁぁああああ∼∼∼∼∼∼っっ っ!!?﹂ どくんっっ⋮⋮どびゅるるるるぅぅぅーーーっっ!! 286 ごぽっ、ごぼぽぉっ⋮⋮どぶっ、どくんっ⋮⋮! どくどくんっ っ⋮⋮!! ﹁うぉぉ⋮⋮くぉぉぉっ⋮⋮っっ!! 出る出るッ⋮⋮い、今まで で一番出るぞッ、桐華にぜんぶっ⋮⋮くはぁっ!﹂ ﹁ひぁぁぁ、は、はひゃぁぁぁ⋮⋮! あぁぁ⋮⋮う、ウソぉぉ⋮ ⋮! しんじ、られないっ⋮⋮ば、馬鹿ぁぁ⋮⋮っ!﹂ 俺とキリカの肢体が、ベッドの上で彫像のように張り詰めて小刻 みに震え。 制服に包まれたお腹の奥⋮⋮作ろうと思えば赤ん坊を作れる俺だ けの子宮に、大量の精子が次から次へと、じんわりねっとりと浸透 していく。 ﹁最低、最悪ぅぅ⋮⋮! ほ、本当にできたらぁ⋮⋮どうするのよ ぉぉ⋮⋮!﹂ ﹁俺と子供作るのはイヤか?﹂ ﹁な⋮⋮あ、当たり前、じゃないぃ⋮⋮っ!﹂ 耳元でささやくと、赤面した顔がぷいっとそむけられ、精液まみ れになったマンコの奥が、ビクッとおびえるように震え上がった。 嫌がるキリカに注ぎ込むこの征服快感が目的だから、彼女が心配 しているような事態はまずもって起こらない。 でも、もし。本当に天文学的確率を乗り越えて、できてしまった としたら? その時は⋮⋮その時だ。 ※ ※ ※ 287 ﹁ほんと最低⋮⋮っ! もう二度としたくないわよ、こんなこと⋮ ⋮!﹂ あちこち汚れた制服のまま、ベッドに体育座りになってジト目で こっちをにらむキリカ。 結局、あの後抜かずの連射をさらに決め、ぷるぷるした精液ゼリ ーが溢れだすくらいに注ぎ込んで大満足だ。 やっぱり制服は出が違うな、うん。 ﹁それって、制服プレイのこと? それとも催眠ラブラブセックス のこと?﹂ ﹁りょ、両方よっ!﹂ 特に今回は両方の合わせ技が、よっぽど恥ずかしかったんだろう な。 イヤがっても無駄なことは十分わかってるだろうに、言わずには いられないんだろう。 ﹁ふ∼ん、じゃあ今度、片方を選ばせてあげるとしたらどっちにす る?﹂ ﹁え⋮⋮ま、またする気なの!? じゃなくて、片方⋮⋮どちらか 片方⋮⋮うううっ!﹂ 目を白黒させながら、しばし苦悶の顔で悩むキリカ。 ややあって、死ぬほど不本意そうな表情で、結論を出した。 ﹁これを着る方が、まだマシだわ⋮⋮っ﹂ ﹁まあそうだよね。じゃ、お墨付きも出たところでまた今度着ても 288 らおうかな、次は黒ニーソ脚コキとか⋮⋮﹂ ﹁うううっ⋮⋮変態、変態、変態っ!!﹂ ちなみにこのアーティファクトは制服の形状に固定することもで きるし、イメージを再入力してまた別のデザインにもできる。 今後も色々応用が利きそうな逸品だ。 ま、チョーカーの方も最充填すればまた使えるし、催眠プレイの 方も夢は広がるから手放すつもりはないけどな。 ﹁しかも、なんで恋人設定なのよ⋮⋮ほんと⋮⋮﹂ ﹁いやなんとなく? というか、あの状態の姫野さんやたら楽しそ うだったけど、恋人とラブラブHしたい願望あったの? そんなに 彼氏欲しかった?﹂ ﹁な⋮⋮なっ⋮⋮!﹂ 元クラス委員、現姫騎士にして俺の魔隷は、しばらく口をぱくぱ くさせた後、キッとこっちをにらみつけ。 ﹁あ、あなたって⋮⋮本当に、最低だわっっっ!!﹂ かつては見慣れた、そして今はどこか懐かしい制服姿で。 心地よい罵声を、盛大に俺めがけ浴びせかけたのだった。 ※ ※ ※ 289 290 ︻EXーHシーン︼俺と、キリカと、制服と︵後書き︶ 投票にご協力いただいた方々、あらためてありがとうございました。 また、四半期ランキング1位︵7月20日現在︶という予想外の快 挙、ひとえに皆様の応援のおかげです。 これを励みに、次回より始まる第二章にもモチベを高めていきたい と思います! 291 22話:ふたりの訪問者と、王都の女騎士 ﹁⋮⋮いったい何者なのです、あなたは?﹂ 二人がけのソファーに腰を下ろした俺へと、ちりちりした不信の 視線が注がれている。 豪華な調度品が散りばめられた、広く天井の高い応接間。 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 眼前の人物は、この館のあるじ、ユーリナ女伯爵。 まだ二十代になったばかりの若さだが、緑を基調とした華美で威 圧的なドレスと、美人だが性格のキツそうな視線が、近寄りがたい 雰囲気を彼女に与えている。 ﹁黙らず、答えなさい。なにゆえ私の館に忍び込み、ものを盗るで も何をするでもなくただ座っていたのかしら?﹂ 庶民的な布の旅装を着た俺の手も足も、魔力持つ文字の書かれた 帯⋮⋮動きを封じる枷によって自由を奪われている。 加えて、部屋の入り口に直立不動で控えている壮年の執事が、俺 の動きに油断なく目を光らせていた。 彼女の護衛も兼ねているようで、もし魔法を詠唱するそぶりなど 見せようものなら、即座に対処されるだろう。 ﹁あなたが、ちょうどいいと思ったからですよ﹂ ようやく口を開いた俺に、うら若い女伯爵は細い眉をかすかに上 292 げて不思議そうに聞き返す。 ﹁ちょうどいい? それはどういう意味かしら?﹂ ﹁領地と館の立地条件、王家の遠縁という立場の強さ、独り身⋮⋮ そして人嫌いで、酔狂な遊びを好む自分勝手な性格。特に最後のが ちょうどいい﹂ ﹁ぶ、無礼な! なにをわけのわからぬことを!﹂ 手に持った扇を振り上げ、俺を打ち据えようとするユーリナ。 噂以上に子供っぽい性格だ。政治的な理由で、王都を遠く離れシ ェイヨル大森林に面した、この辺境の田舎を領地として割り当てら れた境遇のせいだろうか。 ﹁気に入った若いメイドを寝室に連れ込んでの悪戯が唯一の憂さ晴 らしだって、領内じゃもっぱらの噂ですよ。縁談も断ってばかりで、 ひょっとして男相手が怖いんですか?﹂ ﹁だ、黙りなさい! この、どこの馬の骨とも知れぬ下郎が、私を 誰だと⋮⋮!﹂ 振り下ろされた扇が⋮⋮俺の顔の前でピタリと停止した。 その瞳の周囲に、緑の光がかすかに明滅していることは、後ろの 執事からは見えないだろう。そしてその彼に、ユーリナは向き直っ た。 ﹁⋮⋮お前、下がりなさい﹂ ﹁は? しかし⋮⋮﹂ ﹁下がりなさい、と言いました。この男と少し、私だけで話します。 何かあれば呼びますので﹂ ﹁は⋮⋮﹂ 293 おそらく主人の酔狂には慣れているのだろうし、ひ弱そうな俺に 危険性も感じなかったからか、執事は不思議がりながらも一礼して 退出する。 すぐさまユーリナ女伯爵は、俺の手足を封じる魔力帯に手をかざ して解除のコマンドワードを唱え、俺を解き放った。 ﹁ふう、ありがとう。じゃあ、これからする言いつけを⋮⋮そうだ な、俺のチンポでもしゃぶりながら聞いてくれ﹂ ﹁はい、ご主人様。はじめてで上手くできるかわかりませんが、精 一杯お務めさせていただきます﹂ 俺の隷属魔法によって支配下に置かれた彼女は、躊躇なく俺の股 間にひざまずいて、高級そうなルージュを半勃ちのペニスへと口付 けた。 システィナ姫がかどわかされたという噂は聞いていても、まさか この辺境に現れた俺みたいな年格好の奴が、犯人の魔隷術師だとは 夢にも思わなかっただろう。 ﹁お前の領地の外れ⋮⋮シェイヨル大森林まですぐの場所に、ほと んど使ってない別邸があるらしいな? そこを、俺の新たな拠点に する﹂ ﹁はい、ご主人様っ⋮⋮んちゅ、ああっ⋮⋮これ、すごいにおい、 です⋮⋮!﹂ ﹁長旅が続いてたからね。あと、もうすぐ到着する馬車を迎え入れ て、中にいる村娘たちは館に住まわせ面倒を見るように。お前のい つもの遊びに偽装して、な⋮⋮ああ、だからって俺のものに手は出 すなよ?﹂ ﹁わかりました⋮⋮れろ、ちゅぷっ⋮⋮ちゅぼっ、んぶっ⋮⋮んん ぅっっ!?﹂ 294 ぎこちない初フェラをするお上品ぶった口の奥に、赤いルージュ のこびりついたチンポを突っ込む。 やたらと時間をかけて整えられてそうな複雑な髪型の、ウェーブ がかった薄茶色の頭を無遠慮に掴んで前後にくぽくぽ揺さぶるイラ マチオしつけだ。 ﹁あと出発までに、後で渡すリストに書かれたものを揃えさせとい てくれ。すべて俺の存在含め他言無用、使用人にも箝口令を敷いと くように﹂ ﹁んんーーっっ!! んぷぁっ、ふぁ、ふぁいぃぃっ⋮⋮!﹂ ﹁よしよし、いい子だ⋮⋮ところでユーリナ、お前やっぱり処女か ?﹂ ずるりとチンポを引き抜いて聞くと、けほけほと可愛くむせなが ら女伯爵は告白する。 ﹁けほっ⋮⋮はっ、ふぁいっ⋮⋮しょ、処女ですっ、怖くてずっと そこは、使ってませんっ⋮⋮!﹂ ﹁よし、じゃあそれも出る前に貰っておこう。嬉しいか?﹂ ﹁は、はいっ⋮⋮! ユーリナの初めて、どうか散らしてください ませっ⋮⋮! あのっ⋮⋮ご主人様、よろしければ、お名前を﹂ そういえば名乗ってなかったな、と⋮⋮俺は別人のように幸せそ うなとろけた表情を、ぺちぺちとチンポで軽く叩きつつ告げてやっ た。 ﹁トオルだ。魔隷術師トオル⋮⋮お前の最初で最後のご主人様の名 前だ、よく覚えておくんだぞ﹂ 295 ※ ※ ※ ランバディア王都。 女騎士セレスタは亜麻色のポニーテールをせわしなく揺らしなが ら、色気のない部屋着で自室の中をぐるぐると歩き回っていた。 貴族の邸宅でありながら華美な調度品のひとつもない部屋の隅で は、家伝の鎧が白銀と赤のにぶい輝きを放っている。 ﹁なぜ、なぜこの私に、追跡の命が下らないのだ⋮⋮!﹂ とまで呼ばれたセレスタの実績と忠義を疑う者は 深紅の薔薇 ランバディアの至宝 システィナ姫を守れなかっ いなかったが、 た責任を問う声はさすがに皆無ではなく、あれから謹慎状態が続い ていた。 ﹁いったい他の誰がッ! あの卑怯卑劣、悪の化身のごとき魔隷術 師の手から姫さまを取り戻せるというのだ⋮⋮こうしている間にも、 姫さまは⋮⋮ッ!﹂ 仮面の魔隷術師 に殺害された︵とセレスタが報告した︶ その間に聞こえて来た報告によると、もぬけの空となった天啓の 塔では グルーム元大神官の遺体は見つからなかったそうだ。 そして現場から消えた王家の馬車二台が、それぞれ別の場所で発 見され、乗っていたのは顔を隠した男に金で雇われたというごろつ きどもで⋮⋮つまり姫の追跡は現状、なんの成果もあがっていない のだ。 ﹁もしや今ごろ、キリカのように奴の手で無理矢理その花を⋮⋮く っ! どうしてあのような姿に堕ちてしまったのだ、姫騎士ともあ 296 ろう者が⋮⋮な、情けないッ⋮⋮!﹂ ドンッと壁に拳を打ち付け、切れ長の瞳を悔しさに染めて、ぎり っ⋮⋮と歯噛みするセレスタ。 ライバルだった姫騎士キリカの、別人のような痴態はまだ記憶に 新しかった。 ﹁あの汚れひとつないシスティナ姫さまのお体が、あんな男の⋮⋮ あんな⋮⋮モノ、にっ⋮⋮!﹂ ベッドに頭からぼふっと突っ伏した自分の体に、かっと熱い血が 駆け巡るのを感じる。 忘れもしない、あのトオルという鬼畜外道に与えられた、女とし て最大の屈辱。 それを思い返さない日はなかった⋮⋮そして、思い返すたびに。 ﹁ううっ、くッ⋮⋮! ま、まただ、私の体はっ⋮⋮ど、どうして しまったんだ⋮⋮あ、ああっ!?﹂ いつの間にか、もじもじとすり合わされた内股の間⋮⋮あのゲス な男に散らされ、蹂躙された部分へと、今日も指が伸びる。 ちゅくっ⋮⋮とはしたない水音が、いつものように指二本をあっ さりと飲み込んだ。 ﹁んぅぅっ⋮⋮ひぁ、うあうぅぅっっ!? ああっ、くそぉっ⋮⋮ ! な、なんで私がこんなぁっ⋮⋮!﹂ ずぶずぶと奥まで差し込んだ指を、あの男への、そして自分への 怒りをこめてがむしゃらにかき回し快感をむさぼる。 だが、こんなものでは全然、あの男にしゃぶらされ、突っ込まれ 297 たモノには遠くおよばない⋮⋮ふとそんな思考がちらつく。 ﹁おのれ、魔隷術師トオルめぇ⋮⋮! わ、私のカラダを、奴が得 体の知れない邪術で作り替えてしまったんだ、きっとそうだッ⋮⋮ ああぁっ、ひぃぃんはぁぁっっ!?﹂ 自分の術にかかって、すぐキリカのように堕ちるぞと⋮⋮あの男 は自分を犯しながらせせら笑った。 だからきっと、その術がまだ残っていて、自分の体をおかしくし ているのだとセレスタは結論付けた。 宮廷法術師は女騎士の体に今、活性化状態の魔力は感じられない と言っていたが、信じられたものではない。 ﹁ゆ、許さないぃっ、絶対にぃぃ⋮⋮! トオル、トオルッ⋮⋮私 の初めてをあんな、獣のような恥ずかしい格好で乱暴に奪った最低 のゲス男⋮⋮ッ! ひぐっ、はぁぁうぅぅあっっ!?﹂ うつぶせのまま指をいっそう動かしながら、家伝の鎧を涙目でに らむ⋮⋮あの時、とことんまで汚された誇りの象徴。 それを知られてしまうようで怖くて、戻ってから誰の手にも触れ させていない。 誇り⋮⋮自分の誇りを取り戻す方法は、今やひとつしかない。 ﹁トオル、魔隷術師トオル⋮⋮ッ!! わ、私が、女騎士セレスタ が、姫さまとキリカを必ず取り戻しっ⋮⋮そ、そしてお前をぉぉっ、 あッあうぅぅぅっっっ!!?﹂ しなやかな体をのけぞらせ、ベッドの上でポニーテールを振り乱 して、尻を高く突き上げるセレスタ。 その姿勢は、馬車の中であのにっくき男に純潔を散らされた時と 298 同じ姿勢だった。 ﹁お前を必ずっ、この手で、殺してやるッ⋮⋮!! ひぁっ、あっ ああっ⋮⋮ひぐぅぅぅぅんんんんっっっ!!?﹂ 決意の言葉と同時に、ひときわ高い鳴き声と、秘所からぷしゅっ ⋮⋮と濡れた熱いしぶきが噴出した。 健康的に絞り上げられた、だが要所要所にメスの柔らかさを残す 肢体が、ビクビクとオナニー絶頂にわななく。 ﹁はぁ⋮⋮はぁぁっ⋮⋮ま、またやって、しまったぁ⋮⋮! うう っ、最近いつもこうだッ⋮⋮!﹂ 誰にも言えないひとり遊びの回数も、激しさも増すばかり。 自分の体が自分でなくなってしまうような恐怖に、女騎士は怯え つつも衝動に逆らえたためしがなかった。 ﹁⋮⋮お嬢様、お部屋においでですか?﹂ だしぬけに聞こえたメイド長の声と控えめなノックの音に、セレ スタは心臓が口から飛び出るほど驚いた。 ﹁なっ、なんだッ!? ま、待て、開けずに用件を言えっっ!!﹂ ﹁は、はい⋮⋮その、奇妙な客人が、システィナ姫さまのことでお 嬢様のお耳に入れたいことがあると⋮⋮﹂ ﹁妙な客人、だと?﹂ ﹁それが⋮⋮なんといいますか、仮面で顔を隠しているせいで年格 好も定かでなく、身元も不明です。追い返しましょうか?﹂ 仮面⋮⋮! その単語に、セレスタははじかれるようにベッドか 299 ら立ち上がった。 ﹁待て! 会う、私が会う! いいか、そいつを絶対に帰すなッ!﹂ ※ ※ ※ ﹁クルス、と申します。以後お見知り置きを﹂ 人払いをした中庭で出迎えたその男?は、よもやまさか⋮⋮とい う予想とは違い、鏡のように磨き上げられた銀の仮面で顔全体を覆 っていた。 声はくぐもっていたが、白いローブ姿の背格好共々少し違うよう だ、あの魔隷術師トオルとは。 ﹁あいにくだが、人前で顔を隠すような客人と長い付き合いをでき る自信はない﹂ ﹁これは手厳しいですね⋮⋮まあ、お見苦しい傷を顔にちょっと負 っておりまして、ご勘弁を﹂ 明らかに白々しいセリフだったが、そこを追求してものらりくら りとかわされそうだった。 クルスと名乗った銀仮面の喋り方は、どこかあの魔隷術師を連想 させる雰囲気があって、セレスタを苛つかせた。 ﹁それで、姫さまの行方について何を知っているというのだ、お前 が?﹂ ﹁ん∼、正確には少し違いますね。姫を連れ去った魔隷術師につい て⋮⋮ですよ﹂ 300 ﹁⋮⋮なんだとッ!?﹂ 思わず身を乗り出したセレスタに、クルスはおどけたような仕草 で両手を広げた。 ﹁詳しくは明かせませんが、自分は奴に敵対する立場にいる者です。 敵の敵は味方、って言うでしょ﹂ ﹁それが本当だとして⋮⋮事情を明かさずに、私を利用するつもり か?﹂ ﹁いやいや、人聞きの悪い。私の援助をどう使うもあなたの自由で すよ、見返りも求めません﹂ しばし、無言で悩むセレスタ。 クルスは明らかに怪しいが、魔隷術師の手がかりが喉から手が出 るほど欲しいのも確かだった。 ﹁では貴殿はどんな助けを、私にくれるというのだ?﹂ ﹁そうですね⋮⋮たとえば﹂ 唐突に、クルスの姿が目の前から消えた。 ぞくり⋮⋮と女騎士の背中に戦慄が走る。 背後に回られている、と直感で気付き、反射的に体を動かそうと した瞬間⋮⋮! ﹁あうッッ!?﹂ バチッ、とうなじの下、首筋に火花のような一瞬の痛み。 何かが地面にべちゃりと落ちる音。 ﹁な、なんだ、これは⋮⋮ッ!?﹂ 301 ﹁ふむ、やはり貴方に憑いていたのですね﹂ どこかルメイン神の聖印にも似た、赤黒い円状の薄い塊が、死に かけたクモのようにピクピクとうごめいていた。 首筋に手をやると、そこにはかさぶたを無理矢理はがしたような 傷。 あんなものが⋮⋮まさか自分の体にずっと張り付いていたのか? ﹁キ、サ⋮⋮マ⋮⋮ナ、ゼ⋮⋮ギギャッッ!?﹂ 赤黒い何かをクルスの靴底がつぶし、ぐりぐりと踏みにじった。 その直前、まるでうめき声のような音がかすかに聞こえたが、気 のせいだろうか? ﹁危ないところでした。魔隷術師の邪術ですよ、これは。あなたに 取り憑いていたんです﹂ ﹁な、なんだと!?﹂ そういえば、あの日からずっと続いていた頭の中の重苦しさが消 え去っていた。 後遺症なのか、まだ当日の詳しい記憶は一部はっきりしないが⋮ ⋮。 ﹁か⋮⋮かたじけない、クルス殿。く、このような汚らわしい術が 私の体に⋮⋮おのれッ!﹂ ﹁これで少しは信用していただけますかね? これからお話しする、 奴の手がかりについても﹂ ﹁あ、ああ。我らは共に、奴の敵だ。奴を討てるなら労苦は惜しま ない、どこまでも征こう!﹂ 302 武器 謹慎が解けないなら、たとえ一人ででも、たとえ騎士の栄誉を捨 てようとも、地の果てまでもあの男を追う覚悟だった。 ﹁よろしいでしょう、セレスタさん。ならば奴を討つための も、ご用意しようじゃありませんか﹂ 銀の仮面が満足げに頷く。その中に隠された表情は、窺い知れな い。 ﹁待っていろよ、魔隷術師トオル⋮⋮! その名前、夢の中でまで 片時も忘れたことはないッ⋮⋮!﹂ ※ ※ ※ 魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV15 スキル:︻隷属魔法LV9︼︻魔の契約LV1︼︻魔隷強化LV5︼ ??? ・現在の魔隷︵残り枠:2人分︶ ︻姫騎士キリカ︼︻女法術師ニーナ︼︻女戦士アメリア︼︻エルフ の精霊弓士シエラ︼ ︻アーマーゴーレムのナナ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ 303 破天の骸 の手がかりがあるという、 23話:主従の奉仕と、それぞれのルーツ イヴリースが狙う謎の存在 シェイヨル大森林。 ランバディア王国の南西に広がるその広大な樹海は、この大陸で もっとも多くのエルフが住むという場所だ。 長命種族エルフは数千年の昔から、たびたび魔族との戦いにおい て人間たちと共闘した歴史があり、直接的な交流は薄いにせよおお むね良好な関係を築いている。 ほとんどのエルフは森と共に一生を過ごすが、シエラのように故 郷を出て人に混じる者も、ここ数百年で少しずつ増えているらしい。 だが、だからといって大森林が安全な場所かというと、とんでも ない。 点在するエルフの集落を除けば、道らしい道もない天然の迷路じ みた地形が侵入者を阻み、樹海特有の多様なモンスター生態系も要 注意。内部の危険度は平野部とは比較にならないそうだ。 シエラの先導があるとはいえ、サバイバル手段をはじめさまざま な備えがなくては命の保証はない場所。 その準備が整う間、俺たちが新たな拠点で何をするべきかといえ ば⋮⋮。 ※ ※ ※ 304 ﹁ううっ⋮⋮こういうこと、そのうち絶対させるんじゃないかと思 ってたけどぉ⋮⋮っ!﹂ ﹁ほ、本当にキリカとわたくしで一緒にこれを⋮⋮す、するんです の?﹂ ﹁当たり前じゃないか、プリンセスとその騎士の主従ダブル奉仕は 男のロマンだよ﹂ 伯爵領別邸、キングサイズの天蓋つきベッドに腰掛けた俺の股間 に、ひざまずかせたキリカとシスティナ姫の顔を寄せさせる。 極上の美少女ふたりに突きつけたチンポは、もうはちきれそうな くらいにギンギンだ。 ﹁ああっ、トオル様のとてもたくましいですわ⋮⋮あの⋮⋮わたく し、まだ経験が浅いので、キリカのを見ながらお勉強させていただ こうかと⋮⋮﹂ ﹁え、ええっ!? そ、そんな姫さまに見られながらとか、恥ずか し⋮⋮んぁ!? か、勝手に舌動かしっ⋮⋮んうぅぅっ!﹂ 隷属命令で、キリカの可愛い舌を下品なくらいに突き出させ、亀 頭にねっちょり密着させる。 本人の意志に反して、ねろんねろんと赤黒い肉の上をイヤらしく 踊り、唾液をたっぷりまぶしながらチンポを喜ばせていく姫騎士の ベロ。 ﹁す、すごいですわキリカ、そんなふうに舌を動かすんですのね⋮ ⋮!﹂ ﹁ふぁ、んぁっ⋮⋮れりょ、れろろぉっ⋮⋮ち、違うんです姫さま これは、こいつが無理矢理ぃっ⋮⋮んひゃ、んちゅじゅるるっっ!﹂ 大きな胸をドキドキさせて、興味津々と姫騎士のおしゃぶり奉仕 305 を見つめるシスティナ姫。 同性の友人に見られているという状況が、キリカを耳まで真っ赤 に染めていく。 ﹁さあ、姫も眺めてないで同じようにしてごらん﹂ ﹁あ、はっはい⋮⋮んちゅっ、れろぉぉ⋮⋮っ! んぁ、れろぉっ、 ちゅぷっ、じゅぱっ⋮⋮こ、こうでひょうかぁ⋮⋮?﹂ 見よう見まね、せいいっぱいのイヤらしい動きで大胆に桃色の舌 をこねくり動かす第三王女。 まっすぐ天を突くチンポを中心に、左側のキリカと右側のシステ ィナ姫、ふたりの濡れた舌が対照的なダンスを踊る。 ﹁なかなか上手だよ、姫も。今度はそれぞれ、互い違いにサオの部 分を上から下までしゃぶり上げてごらん﹂ ﹁ちゅ、注文が多いわよぉ⋮⋮んっ、れろるるぅっ、れりょろぉぉ ぉぉっ⋮⋮!﹂ ﹁こ、こうれふかぁ⋮⋮? ちゅっ、にゅちゅぅぅっ、にゅろろぉ ぉぉっっ⋮⋮!﹂ 清楚な黒ストレートと軽くウェーブがかったプラチナブロンドが、 チンポの両サイドを上下に行ったり来たりして、カリの段差や浮き 出た血管を密着させた舌と唇でシゴく。 生まれも世界も違う、だが周囲のアイドル的存在でレアジョブと いうことは共通する最上級の美少女ふたり。 この豪華すぎるダブル奉仕は、視覚的にもたまらない。 ﹁ふぁ⋮⋮キリカは、トオル様にこうやってご奉仕するの、ずいぶ ん慣れてるんでふのね⋮⋮ちゅぶっ、んちゅむむぅぅ⋮⋮っ!﹂ ﹁え、えっ!? わ、私はムリヤリ教え込まれただけで⋮⋮んちゅ、 306 んりゅりゅっ! ひ、姫さまこそ、イヤじゃないんです、かぁ⋮⋮ ?﹂ ﹁わたくしは、トオル様に喜んでほしいですし⋮⋮は、はしたない ですけれど、好きな方のチンポ様にこうやってお仕えすることに、 幸せを感じると気付かされたのですわぁ⋮⋮ちゅぅぅぅっ!﹂ ﹁え、あ、ううっ⋮⋮そ、そんな私は、姫さまと違って幸せ、とか はっ⋮⋮す、好きでもないですからっ、こんなモノ⋮⋮じゅぶぷっ、 んちゅるちゅっっ!﹂ 隷属命令もあるとはいえ、キリカも姫の痴態に引きずられるよう に、だんだんと積極的に大胆に、可憐な唇を使いだす。 育ちのいいお嬢様ふたりが頬を染め、品のないおしゃぶり音をた てながらいつしか、俺のチンポを奪い合うように吸い付き舐めしゃ ぶるのだからたまらない。 ﹁うっくっ、いいぞ二人ともっ⋮⋮よしっ、次はそのでかい乳を寄 せて、俺のを挟めっ!﹂ ﹁なっなにそれ、ちょっ⋮⋮だから体を急にっ、んあぁっ!?﹂ ﹁ま、まあ⋮⋮わたくしたちの、お胸で⋮⋮こ、こうです、の?﹂ 命令のままブラウス状のインナーと純白ドレスの胸元がぺろんと はだけられ、露出した四つの白く巨大なふくらみが、ガチ勃起した チンポめがけてギュッと寄せられ集まった。 ﹁うお、こ、これは想像以上にたまらんものが⋮⋮っ!?﹂ 巨大なマシュマロめいた柔らかな爆乳と、抜群の弾力を備えたハ リのある巨乳。 どちらも捨てがたい豪華な柔乳カルテットが、まとめて四方から 押しつぶすように押し寄せるこの圧倒的ボリューム感! 307 ﹁はっんあっ、んんうっ!? ひ、姫さまのと押し合うようになっ て、これっ⋮⋮やだ、んぁぁっ!?﹂ ﹁ああっ⋮⋮キリカのお乳がわたくしのと密着してっ⋮⋮な、なん だか変な感じですわ、でも心地よい柔らかさが、はぅぅっ!﹂ ﹁よぉし、仲良くそのまま思いっきり寄せてろ⋮⋮よっと!﹂ 二人の唾液をローションにして、腰を浮かせて下から上に、突き 上げるようなピストン運動を開始。 にゅっぽん、にゅぱん、たぽったぱっ⋮⋮と、余すところなくみ っちり乳肉に密着状態でズリ動くフル勃起チンポ。 ﹁や、やぁっ!? す、すごいエッチな音してるよぉ、これぇっ⋮ ⋮それにどんどん熱くなって、む、胸がぁっ⋮⋮ふあぁ!?﹂ ﹁あ、はぅぅっ⋮⋮あ、熱いです、わぁっ⋮⋮! お、お乳同士と チンポ様が、とろけてひとつになるようにっ⋮⋮ひゃうぅぅんっ! ?﹂ ﹁すごいぞっ、キリカっ、姫っ! 二人の乳マンコまとめ喰い、最 高だっ⋮⋮ううっ!﹂ 窒息しそうな乳の海にとっぷり溺れたチンポが時折、四つのぷり ぷり柔肉の十字状になった谷間から息継ぎするように真っ赤な先端 を突き出す。 嬉しそうにピュピュッと漏れるカウパーが、敏感な乳を合わせて こね回し合う行為で桃色に上気した美少女二人の顔に飛び散った。 ﹁か、硬いのがおっぱいの中ごりゅごりゅってぇ⋮⋮﹂ ﹁はふぅぅっ!? よ、寄せた先っぽに当たりますわぁっ、ガチガ チのチンポ様がち、乳首にぃっ⋮⋮ひぁぁんっっ!﹂ 308 とろけるような触感の支えによって柔らかな空間に浮く俺のチン ポは、まるで無重力状態。 腰をどれだけ乱暴に動かしても、決してその天国の檻を出ること なく、沈み込むような気持ちよさだけが返ってくる。 これは止まらない、もう止められない、止められるわけがない。 ﹁ああくそ、そろそろイキそうだっ! すごい量が出そうだけどっ、 どっちにブチまけるべきか迷うなぁっ!﹂ ﹁え、な、なにそれっ⋮⋮や、やめてよねっ、目の前で姫さまをそ んなので汚さないでっ! そ、そんなのするくらいなら、わ⋮⋮私 に出しなさいよっ!﹂ ﹁あ、あのキリカ、わたくしは別に⋮⋮っ、と、トオルさまっ、わ たくしの顔にチンポ様みるく、前みたいに浴びせかけてくださいま せぇっ⋮⋮!﹂ にゅっぱん! にゅぷぷっ、にゅるっぽ、たぽんっっ! という ダブル巨乳ズリ音をBGMに。 片方は姫のために身を挺して、もう片方は望んで、整った顔を爆 発寸前の肉凶器の前にさらそうとする。 ﹁そうかそうか、どっちも俺のチンポ汁がそんなに欲しいのかあ⋮ ⋮なら大サービスだっ!﹂ ﹁え、きゃっっ!?﹂ ﹁あっ、えっえっっ?﹂ 左手を黒髪の、右手を金髪の⋮⋮いい手触りの中に差し入れて真 ん中にぐいっと寄せ、柔らかいほっぺた同士をぷにっと密着させる。 そして四大柔肉凶器の中を、猛スピードでコスりあげられたバキ バキの先端がそこに狙いをさだめ⋮⋮! 309 ﹁仲良く俺のザーメン浴びろぉっ!! キリカッ、システィナぁっ !! くぅぅぅぅっっ!!﹂ ﹁ちょ、ちょっと待っっ⋮⋮きゃぁぁぁあっっ!!?﹂ ﹁えっ、あの、その、あっ⋮⋮ふぁ、んぷぁぁぁぁんっっ!!?﹂ びゅるるっっ、びゅぱぁぁぁっっ!! びゅくびゅくんっっ!! どびゅるびゅっっ、びゅちゃちゅっっ、どぷぶぱっ、ねちゃぁぁ っっ⋮⋮!! ダブルおっぱいに圧迫された肉チューブの先から躍り出た白濁ス ペルマが、姫と姫騎士の清楚可憐な顔面にものすごい勢いで襲いか かった。 頬や鼻筋、眉に額、耳まで、可愛いパーツをことごとく汚してい くばかりか、黒のロングストレートと輝くプラチナブロンドにも降 り掛かり、我が物顔に俺の遺伝子のにおいで染め上げる。 ﹁はぁ、ぷぁ、ぷはっ⋮⋮んううっ、ど、どれだけ射精すれば気が 済むのよぉぉ⋮⋮馬鹿ぁぁ! やだぁ⋮⋮か、顔どろどろぉ⋮⋮!﹂ ﹁ふぁぁ、んふぁぁっ⋮⋮! す、すごいです、わっ⋮⋮いつ浴び ても、頭がしびれるみたいなこの匂いぃ⋮⋮と、トオル様に征服さ れたという感じがしますの⋮⋮っ!﹂ 湯気をたてるほどねっちょりと美貌を汚され、形のいい眉をしか めながら、どこかぼうっとした表情のキリカ。 はっ、はふっと短い呼吸を繰り返し、うっとりと俺の顔射マーキ ングに酔うシスティナ姫。 たまらなく征服欲、独占欲を満たされる眺めだ。 ﹁え、ちょっ、姫さま、前にもこんなこと、されたんですかっ!?﹂ ﹁え⋮⋮? 愛する殿方のおザーメン様を顔面で受け止めるのは、 310 淑女のたしなみではないんですの⋮⋮っ?﹂ ﹁な、な、ななっ⋮⋮何教えてるのよ、この変態ぃぃっ!?﹂ 余計なことをバラされる前に、口をふさごうと思ったその時、部 屋の扉がせっかちなノックと共に開いた。 入って来たアメリアとシエラが、ねっとり白濁液を浴びた二人の 様子に目を丸くする。 ﹁あーっ! ずるいぜ、二人だけでもう始めちゃってるじゃないか、 混ぜてくれよ!﹂ ﹁シエラも⋮⋮⋮⋮参加、する⋮⋮⋮⋮﹂ こうなったらもう酒池肉林の連戦、待ったなしだ。 ここ何日か朝から晩まで続く、魔隷たちを取っ替え引っ替えの夢 のようなハーレムプレイは、まだまだ終わりそうになかった。 ※ ※ ※ とはいえもちろん、Hしてばっかりが準備じゃない。 キリカと姫を手でイカせながら、シエラとアメリアを重ねて交互 に突っ込む5Pをたっぷり楽しんだ後。 俺はニーナのアーティファクト管理部屋に、アメリアを呼んだ。 ﹁なんだマスター、あたしに渡すものって?﹂ ﹁ああ、色気のないプレゼントで悪いが、ユーリナ伯爵邸に死蔵さ れてたやつを貰ってきた﹂ 差し出したのは、ふだん彼女が使ってるものと同じくらいのサイ 311 ズの長剣。まるでカッターナイフのように、幅広の刀身に無数の分 割線のようなものが刻まれている。 ﹁連鎖刃⋮⋮ビュートブレイドというらしい。刃部分の形状を変え ることができる複合武器だ﹂ 短いコマンドワードを唱えると、ジャラッとその刀身が無数に分 割され、中心に通った鋼線で連結された鞭のような形状へと一瞬で 変わった。 なんかアニメとかゲームでたまにあるよな、こういう武器。 ﹁おお、これは凄いなっ! 貰っちゃっていいのか、マスター?﹂ ﹁もちろん。多少離れた間合いにも対応できた方が、盾役としても 位置取りがしやすいと思ってね﹂ アメリアは目を輝かせ、嬉しそうにビュートブレイドの変形を繰 り返す。 まるでプレゼントを貰った子供みたいな喜びようだ。 ﹁さんきゅーマスター! あ∼、早く実戦で試したいぜ! このウ ェイトバランスなら、鞭状態でもかなり深い傷を与えられそうだよ なぁ⋮⋮ふふふ⋮⋮⋮!﹂ それはいいんだが、なんだか目がアブない輝きを帯びてきた。今 にも誰かに斬りかかりそうな勢いだ。 ﹁あー、アメリアはいい武器見るとバトルマニアモードのスイッチ 入っちゃうとこがありまして⋮⋮﹂ ﹁そ、そうか⋮⋮試し切りは、外で丸太とか相手にやってくれよ?﹂ 312 なんとなく、美人なわりに男が寄り付かなかった理由の一端がわ かった気がした。 ﹁そういやニーナ、エンチャントを頼んだアレはできたか?﹂ ﹁あっはい、さっきちょうど! 試してみてください、ご主人様﹂ さっそく手渡された腕輪をはめ、こめられた強化魔法を起動する ⋮⋮と。 揺れるカーテン、ニーナのまばたき、外に走っていくアメリア、 周囲のすべての動きが突然、超スローモーションへと変わる。 頭の中で数える、1秒、2秒⋮⋮5秒まで数えた時点で、すべて は唐突に元に戻った。 ﹁10倍に引き延ばして体感できる限界は、俺の主観で5秒間、っ てとこか﹂ ﹁わたしの強化魔法による感覚加速だと、そのあたりが限界ですね。 時空魔法ならもっといけるかもですが⋮⋮﹂ さっきのはあくまで主観時間を引き延ばしただけで、俺が速く動 けたりするわけじゃない。 状況認識や作戦をたてる時間を、できるだけ稼ぐための手段だ。 元々避けられるタイミングで飛んで来た攻撃に反応するのにも役 立つだろうけど、過信すべきじゃないな。 ﹁一回でけっこうチャージを消費しますし、連続起動はできません から気をつけてくださいね﹂ ﹁ああ、とりあえずは十分だよ。よくやったニーナ﹂ ﹁えへへ、がんばりましたよ﹂ このパーティの、ある意味最大の弱点、ボトルネック。 313 それは他でもない俺自身だ。 魔隷術師のレベルがいくら上がろうと耐久力は一般人とほぼ変わ らず、重い防具も着けられない。 魔隷強化は俺自身を対象にすることはできないし、強化魔法のフ ォローにも限界がある。 パーティの柱である俺が、直接戦闘では一番弱い⋮⋮特にもし、 俺が魔隷術師だと知られてしまえば攻撃は集中するだろう。 少しでも俺の生存能力を上げること。それがグルーム戦でも思い 知った、これからの戦いにおける重要課題だった。 インターアクセル ﹁時分割加速の腕輪⋮⋮これなら少しは生存率を上げることができ そうだ﹂ 焼け石に水の防御力をヘタに稼ぐより、こっちの方がまだ信頼が おける。 まあ、魔隷たちをうまく活かして俺は安全圏にいるってのが、本 当は一番なんだけどな⋮⋮常にそうはいかないだろうからな、今後 はなおさら。 ﹁ところで、ニーナ。ちょっと前から気になってたんだが⋮⋮なん で最近、その格好なんだ?﹂ 彼女が着ているのはモノトーンの、フリルとリボンに彩られたあ の可愛らしいメイド服。 そういや天啓の塔から何着か持ち出してたな。金髪セミロングの 上にはヘッドドレスも装着済みだ。 ﹁え、似合ってませんか?﹂ ﹁いや、むしろよく似合ってるが⋮⋮なんでメイド服?﹂ ﹁なら問題なしです。いやその、いまいちキャラ的なパンチに欠け 314 るわたしとしては、新たな属性を獲得しようと思いまして⋮⋮﹂ よくわからん理屈だが、ニーナなりになにやら思う所があるらし い。 ﹁というわけで、今後わたしはメイド法術師ニーナです! 元々ご 主人様呼びですし、ちょうどいいのです!﹂ ﹁お、おう⋮⋮よくわからんが、頑張ってくれ﹂ それはいいけど、メイド服の上から術師のローブを羽織ってる所 はツッコミ待ちなんだろうか⋮⋮と思いつつ、俺は魔隷の新たな門 出を祝福してやることにしたのだった。 ※ ※ ※ その夜、遅く。 一日ヤリ疲れた汗を別邸一階の広い浴場で流した俺は、二階のベ ランダで涼しい夜風にあたっていた。 地球と違ってふたつ並んだ月を眺めていると、ガシャガシャと誰 だか一発でわかる足音が近付いてくる。 ﹁ナナか、どうした?﹂ ﹁ウムム⋮⋮ゴ主人、ナナハ最近、寂シイゾ!﹂ 赤銅色をしたアーマーゴーレムの巨体が、大げさに嘆息するよう なジェスチャーをとる。 ﹁ゴ主人、皆ト遊ンデバカリデ、ナナニアマリ構ッテクレナイ﹂ 315 ﹁あー、それは悪いことしたな。じゃあここ座れよ、ちょっと月で も見ながら話でもしよう﹂ ﹁ウム、ゼヒ!﹂ ずずんっと重い腰を下ろしたナナと一緒に、しばし月見タイムだ。 ふと、そういえば聞いてなかった疑問を口にする。 ﹁そういや、ナナはどういういきさつでニーナたちのパーティに加 入したんだ?﹂ ﹁アア、ソレハ⋮⋮アノ三人ガ、眠ッテタナナヲ見ツケタンダ。⋮ ⋮遺跡、デ﹂ ﹁遺跡? 見つけた?﹂ てっきり、錬金術師に作られたのを買い取られるか何かしたんだ と思ってた所に、意外な言葉が飛び出てきた。 ﹁あいつらが探索してた遺跡に、ずっといたってことか? いつか ら?﹂ ﹁ソウ⋮⋮ラシイ。ダガ、ウウム⋮⋮ソレガ、ヨク判ランノダ、ゴ 主人﹂ どうも、ナナにはそこで発見され目覚める前の記憶がないらしい。 誰に、いつ作られたのかも。 行く所もないナナを、ニーナたちは軽いノリで仲間に引き入れた んだとか⋮⋮いかにもやりそうではあるが。 ﹁アールマV7、トイウ名ハ、ナナノ眠ッテイタ台座ニ刻マレテイ タ唯一読メル文字ダッタ、ラシイ﹂ ﹁なるほどね⋮⋮気にはならないのか? 自分のルーツってやつが﹂ ﹁マア、ワカラナイモノハ、仕方ナイ。ナナハ十分、皆ト楽シクヤ 316 ッテイル﹂ 頭のスリットの中に光るカメラアイで、双子の月を見上げるナナ。 なかなかユニークで面白い魔法生物だな、こいつ。 しかし、そうなるとひょっとしてずいぶん古い時代の産物なんだ ろうか⋮⋮と、ナナの出自に思いを馳せた、その時。 ﹁⋮⋮⋮⋮主さま﹂ ﹁オ、シエラ?﹂ 今度は、クールなエルフがベランダにやってきた。 尖った耳が突き出る、前髪の片側だけを三つ編みに垂らした特徴 的な髪型。 薄い部屋着を、ゆさっと重そうなバストが押し上げている。 ﹁これから行く、故郷の森のことで⋮⋮⋮⋮主さまに、聞いておい てほしいことが⋮⋮⋮⋮ある﹂ ﹁聞いて欲しいこと、だって?﹂ シエラの静かな声音は、かつてないほどに真剣だった。 ﹁シエラが⋮⋮⋮⋮森を出た、理由﹂ 317 23話:主従の奉仕と、それぞれのルーツ︵後書き︶ ※各エピソードの舞台裏ショートストーリー、X活動報告ページに て連載中です。 318 24話:シエラの過去と、森の異変 丸太をより合わせたような、巨大な樹木の拳が、ゴウッという風 切り音を上げて上空から振り下ろされる。 間一髪横っ飛びでそれをかわすキリカとシエラ。青と萌葱色、二 色のマントの残像が左右になびく。 ﹁くっ! この巨体で暴れられると、反撃のチャンスが⋮⋮!﹂ ﹁ええい誰でもよい、10秒だけ時を稼げっ!﹂ 木々の間に浮かび滞空したパルミューラが、掲げた両手に紫色の 魔力を集め始める。 敵はツリーオーガ⋮⋮ドクロ状の不気味な顔が幹に浮き出た、凶 暴な樹木巨人。 奴は再び、森の柔らかい地面にめり込んだ拳を持ち上げようとす るが⋮⋮! ﹁チャンスだ、ナナ!﹂ 後方から俺の指示が飛んだ直後、ツリーオーガの動きがガクッと 止まった。 ﹁ヌゥゥゥオォォォーッッ!! 押サエ込ンダゾ!!﹂ アーマーゴーレムが大木を抱きかかえるように、樹木巨人の腕を がっしり捕らえて離さない。 すかさずもう一方の腕が、こしゃくなとばかりに生きた全身鎧を はじき飛ばそうとするが⋮⋮! 319 ﹁頼んだぞ、アメリア!﹂ ﹁任せろって! さあ刻めっ、あたしのビュートブレイドっ!﹂ 女戦士の手から連結鞭状に変形した刀身が伸び、その腕をからめ とって拘束した。 しなやかな体にググッと力がこもり、締め上げたビュートブレイ ドを渾身のパワーで引っ張る。 と、バギバギッとものすごい音がして、ツリーオーガの片腕が根 こそぎ斬り飛ばされた。 ﹁ほう、やりおるわ女戦士、魔力も溜まった! では姫騎士よ、あ れを試すぞ!﹂ ﹁え、ぶっつけ本番で!? 仕方ないわね⋮⋮わかったわ、タイミ ングは慎重に合わせて!﹂ ﹁ふん、誰に言っておる!﹂ サークル・エアリアル キリカが煌剣アルカンシェルを振りかざし、天翔輝円を足場に跳 躍する。 両腕が使えない樹木巨人は、だが青々と葉の茂るその頭部から、 蛇のようにうねる無数のツタを迎撃に放った。 しかしその瞬間、薄緑色をした風の魔力をまとって飛来した無数 の矢が、みごとにツタを次々と射抜いてゆく。 ﹁邪魔は⋮⋮⋮⋮させない⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁ナイスだ、シエラ!﹂ すべての攻撃部位を的確に封じられ、落下してくるキリカを迎撃 できないツリーオーガ。 太い幹の上側に、半透明の刀身が深々と突き立った。 320 ﹁今よ、パルミューラッ!﹂ ブレット ディヴィジョン・ショット ﹁くふふ、承知じゃ! 死を抱いて飛べよ裁きの魔光⋮⋮裂破魔散 弾ッッ!!﹂ 煌剣を手から離し、キリカが後方に跳躍退避したその直後。 漆黒のゴスロリドレスが反動で後ろになびくほどの、強烈な紫色 の魔力が放たれた。 その狙いは、樹木巨人⋮⋮ではなく、その幹に刺さったままのア ルカンシェルの刀身。 ﹁疑似次元断層たる煌剣の刃は、あらゆる存在を切り裂き両断する ⋮⋮魔力もまた然り。さあ千切れてはじけよ、我が魔弾ッ!!﹂ 落雷のような轟音がとどろき、ツリーオーガの上半身が黒い爆発 とともにまっぷたつに裂けた。 パルミューラの飛ばした爆発性の魔力が、煌剣の刀身に触れて切 り裂かれ、急激に連鎖爆発したのだ。 しかも刺さった部分から、幹の内部めがけて⋮⋮爆裂弾を体内に 打ち込まれたようなものだろう。 ﹁オオッ、ヤッタゾ!﹂ 姫騎士の聖騎剣技と魔貴族の魔界魔法、本来あり得ないコンビネ ーションの直撃に、それこそ倒木みたいにゆっくりと崩れ落ちる樹 木巨人。 魔隷強化による底上げがあるとはいえ、熟練のエルフ戦士団でも 手を焼くという大型モンスターを無傷で倒してしまうんだから、こ のパーティも強くなったもんだ。 321 ﹁よくやった、みんな。後方に退避したニーナと姫を、呼び戻して きてくれ﹂ ﹁わかったぜマスター。あー、思ったよりあっけなかったな、もっ と斬りたかったなぁ⋮⋮﹂ ﹁ふん、どうせ大森林の奥に進むにつれ、もっとやっかいな連中が 出てくるわい﹂ 煌剣の回収など、戦闘後の処理に移るみんなから、ひとりだけ離 れている人影に俺は気付いた。 弓を背中に背負い直し、無言でたたずむシエラ。 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ クールな瞳が、いよいよ深さを増す大森林の奥を静かに見つめて いる。 その横顔を眺めながら俺は、あの夜に彼女から聞いた話を思い出 していた。 ※ ※ ※ ﹁シエラには⋮⋮⋮⋮大切な姉さまが、いる⋮⋮⋮⋮﹂ 別邸の寝室。俺に後ろから抱きかかえられた、真っ白な細い体の 体温が心地いい。 なんとなく裸で肌を合わせながら、俺はシエラの話を聞いていた。 ﹁へえ? それは初耳だな﹂ ﹁血は、つながってないけど⋮⋮⋮⋮シエラはエルフで、姉さまは 322 ⋮⋮⋮⋮ダークエルフ﹂ ダークエルフ。 別に邪悪なエルフとかじゃなく、暗所に適応した体を持つことか らそう呼ばれる、褐色肌の種族だ。 エルフたちの崇める森と自然の女神アシュグィンの姉妹神、死と 再生の女神ティプトーリを信仰し、洞窟や地下に集落を築いている という。 姉さま ﹁シエラと姉さまは⋮⋮⋮⋮ほんとうの姉妹みたいに育った⋮⋮⋮ ⋮﹂ 古来から友好と文化交流の一環として、シエラの部族と の部族には、常に何人かの子供を互いの部族に預けて幼少期を過 姉さま 姉さま の母親が病気で急死したのが転機 と、シエラは共に仲良く育ったそ ごさせるという風習があった。 そうしてやってきた うだ。 ﹁でも⋮⋮⋮⋮﹂ 二人が成長した頃、 だった。 彼女はダークエルフ部族の祭事を司る、巫女の血筋だったらしい。 先代が死ねば、新たな巫女として、部族の集落に戻らなくてはい けなかった。 ﹁突然の別れ、ってわけか。寂しかったか?﹂ ﹁うん⋮⋮⋮⋮でも、仕方ない⋮⋮⋮⋮姉さまは、いつかそんな日 が来るって覚悟してたから⋮⋮⋮⋮でも﹂ 323 シエラには、ひとつの心配事があった。 ダークエルフの巫女の血筋は代々、特殊な力と引き換えに、短命 姉さま の母も、祖母も⋮⋮エルフの基準からすると驚くほど の呪いというべきものを背負っているらしい。 短くしか生きられなかったそうだ。 つまり、その彼女もまた。 ﹁だから⋮⋮⋮⋮シエラは、その呪いを解く方法を⋮⋮⋮⋮なんと か見つけたいと思った﹂ 姉さま が、あまり エルフの古老たちは、そんなものは聞いた事がない、諦めろと口 を揃えた。 だがシエラは諦めきれなかった。それでは にもかわいそうだと思ったのだ。 ﹁なるほどね。だから森を出て冒険者になって、その手段を探すこ とにしたのか﹂ こくりとうなずくシエラ。 ニーナたちパーティ仲間はそれを知って、他の依頼を遂行しなが らも手がかり探しに協力してくれてたとのことだ。 ﹁でも、まだなんの成果も見つけられてない⋮⋮⋮⋮だから、森に 帰るのが⋮⋮⋮⋮すこし、憂鬱﹂ たっぷり重そうな胸の前で、細い手がシーツをぎゅっと握りしめ る。 後ろからだと顔は見えないが、きっと無力な自分を責めるような 表情を浮かべてるに違いない。 324 ﹁それでシェイヨル大森林に行く話をした時から、すこし様子が変 だったのか⋮⋮っと﹂ ﹁⋮⋮ひゃ、ひゃうっ!? あ、主さまっ⋮⋮!?﹂ 驚き、いきなり跳ね上がるシエラの声。 柔らかそうな蜂蜜色の髪から伸びた長い耳を、かぷっと甘噛みし てやったのだ。 ﹁責任感が強いのはシエラの長所だが、背負い込みすぎるのは短所 だぞ?﹂ ﹁あ、あう⋮⋮⋮⋮ひゃう、む、胸もっ⋮⋮⋮⋮!?﹂ さらにエルフと思えないほどボリューミィなおっぱいに手をやっ て、やわやわと揉み始める。 種族特有の吸い付くような手触り、これも姫やキリカとまた趣の 違ったオンリーワンのいいおっぱいだ。 ﹁焦るほど時間がないわけじゃないんだろ? これからゆっくり探 し続ければいいんだよ﹂ 破天の骸 の手掛かりを探し回るんだ、一緒にそっちも ﹁そ、そうかもしれない、けど⋮⋮⋮⋮んあっ、あっ主さま⋮⋮⋮ ⋮っ!﹂ ﹁どうせ 探せばいいさ。それにシスティナ姫が、ひょっとしたら予言で解決 してくれるかもしれないぜ?﹂ さすがにそれは都合のいい楽観論だが、俺がこうでも言った方が 気が楽になるだろう。 個人的な理由を抱え込むこと自体に、たぶんシエラはストレスを 感じてただろうしな。 325 ﹁あ⋮⋮⋮⋮ありがとう、主さま⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁気にするなよ。魔隷の事情を把握しとくのも、主人の役目だしな﹂ シエラは俺のものだ。クールな顔はいいが、落ち込んで暗くなら れるのは困る。 せっかくの美少女魔隷たちには、常に最高の状態でいてもらわな いともったいないからな。 も、きっと美人とみた。早死に ともども俺のものにしたくなったよ﹂ 姉さま 妹 ﹁ああ、それにシエラの なんかもったいない、 ﹁もう⋮⋮⋮⋮主さまの、えっち⋮⋮⋮⋮﹂ 俺が正直な本音を口にすると、シエラは耳を赤く染めて顔を伏せ た。 あとダークエルフの巫女って、レアジョブかもしれないしな。 ﹁何を今更。でも、もちろん今はシエラの方に興味があるけどな﹂ あぐらをかいた腰の上に、背中から抱えたシエラを座らせるよう にして、敏感な耳と胸への愛撫ですっかり濡れたエルフマンコをチ ンポにあてがう。 にゅぶぶぶっっ⋮⋮と、心地よい抵抗が軽い体重とともに俺を包 んでいく。 ﹁ひゃ、ひにゃああああっ⋮⋮⋮⋮あ゛あ゛っっ!? んあ゛っっ !!?﹂ 種族がら人間よりキツいサイズの柔穴を、真下から思いっきり俺 に貫かれ、シエラがふだんとはまるで違う嬌声を響かせる。 クールなエルフ娘がこんなにも大きく可愛い声をあげるなんて知 326 ってる男は、世界中で俺だけだ。 ﹁く、この体位だと狭いキツキツな中によけい奥までにゅっぽり刺 さって⋮⋮!﹂ ﹁んあぁ⋮⋮⋮⋮あるじさまのっ、太いのがっ⋮⋮⋮⋮シエラの中 心を、貫いてるぅ⋮⋮⋮⋮っっ!!﹂ むにゅむにゅと指が沈み込み、面白いように形を変えるエルフ巨 乳を思う存分揉みしだきながらの座位バック。 ベッドをギシギシ揺らして腰を使い、リズミカルに細い体を突き 上げてやる。 ﹁余計な心配なんかするなよ、シエラ。心細くなったら、いつでも こうやって安心させてやるからなっ!﹂ ﹁うん、うんっ⋮⋮⋮⋮気持ち、いいのぉっ! 主さまにっ、ぎゅ ってされてると安心するっ⋮⋮⋮⋮ひゃんんああっっ!!﹂ いいにおいのする長い耳を甘噛みしつつ、ゆっさゆっさと跳ねる 柔らかな双乳を掴んで支点にし、軽い体を上下に揺さぶる。 ベッドの弾力を利用した真下方向からのピストンは、毎回少しず つ違った場所をえぐり、押し貫き、シエラの体を淫らな楽器に変え ていく。 ﹁そうだそれでいい、たまにはちゃんと発散しろ、こうやって気持 ちよくなってなっ!﹂ ﹁んひゃうぅっ!? なるっ、なってるぅぅ⋮⋮⋮⋮っ! 主さま に、シエラ素直にさせられてるのぉ⋮⋮⋮⋮ひぎっ、ひゃんぅぅぁ あ!?﹂ キュッキュと嬉しそうに締め付けを返すエルフ狭マンコが、声の 327 トーンの違い以上にシエラの喜びを素直に伝えてきた。 ﹁くっ、まだ締まりが強く⋮⋮っ! イクぞっ、このまま注ぎ込む ぞ、シエラ!﹂ ﹁来てっ⋮⋮⋮⋮主さまの熱いのぉっ、シエラにいっぱいいっぱい 注いでっ⋮⋮⋮⋮ひうっ、ひんんんぅぅあ!!?﹂ ごちゅんっっ!! と、ちっちゃな子宮を下から胸まで押し上げ るような錯覚。 輝く髪を振り乱してのけぞったシエラの、胸以外スレンダーな体 の最奥に、俺はすべての欲望を激しく解き放った。 ﹁あああっあるじっさまっ⋮⋮⋮⋮んふぁあ゛あ゛あ゛あ゛っっっ !!? あぁぁぁーーーーっっっ!!﹂ どびゅぶ、どびゅるるるっっ!! どくくっ、どくんどきゅんっ っ!! びゅぐんっっ!! ﹁ううぉっ⋮⋮うっっ! せ、狭いだけじゃなく絞り上げ方がすご いなっ、やっぱシエラのマンコはっ⋮⋮!﹂ 魅力的な異種族のメスにひとしきり気持ちよく白濁液を注ぎ尽く す、オスとして最高の瞬間のあと。 シエラを抱えたまま、後ろに積まれた枕にばふっと倒れ込む。 ﹁ありがとう⋮⋮⋮⋮主さま。少し、元気⋮⋮⋮⋮でた﹂ ﹁そうか⋮⋮それはよかった、じゃあ二回戦だ﹂ ﹁あう⋮⋮⋮⋮い、いいよ⋮⋮⋮⋮主さまが、したいなら⋮⋮⋮⋮﹂ 繋がったまま心地よい体重を感じつつ、片側に一房だけ垂れた、 328 三つ編み状の髪をつまんで撫でさすりながら。 俺は少しだけ重圧から解放されたような顔でかすかに微笑むシエ ラの耳に、そっとキスをした。 ※ ※ ※ ﹁この先⋮⋮⋮もうすぐ、集落に着く⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁あ∼、やっとですね。さすがに一休みしたいとこでしたよ、姫さ まも大丈夫でしたか?﹂ ﹁ええ、わたくし皆さんの足手まといになってないか心配で⋮⋮﹂ 笑顔を交わすメイド姿のニーナと姫の組み合わせが、妙にさまに なっている。 あれから色んな危険を乗り越え、俺たちはシエラの案内によって ようやくエルフの里に近付きつつあった。 ﹁⋮⋮⋮⋮待って、みんな!﹂ と、シエラが耳をピクリと震わせ、俺たちの前進を手で制した。 その直後、目の前の地面にどこからともなく飛来した矢が突き立 った! ﹁うおっ、なんだなんだまた敵かよっ!?﹂ ﹁違う⋮⋮⋮⋮この矢じりは⋮⋮⋮⋮ダークエルフのもの﹂ その言葉に応えるように、ざざっ⋮⋮と葉擦れの音が複数、深い 森に響いた。 周囲の茂みや木の上から、褐色肌を軽装に包んだ何人ものダーク 329 エルフたちが姿を現す。 だがその手元では例外なく、ぎらつく矢がつがえられ俺たちに狙 いを定めている。 ﹁おい、なにやら様子がおかしいのではないか?﹂ ﹁確かに、この殺気⋮⋮ねえシエラ、ダークエルフはエルフの同胞 じゃなかったの?﹂ ﹁こんなはずは⋮⋮⋮⋮聞いて! 我が名はシエラ、この先の故郷 に友達を連れて行きたいだけ⋮⋮⋮⋮なぜ邪魔をするの?﹂ そう問うシエラの声も、明らかに動揺している。 ひとりのダークエルフが、殺気のこもった返事を投げ返した。 ﹁森を出たエルフか⋮⋮ふん、何も知らんようだな。今やエルフど もは、我々ダークエルフの敵となったのだッ!﹂ ※ ※ ※ 女戦士アメリア︵レベルUP!︶※別行動時の成長も合算 ジョブ:戦士LV7↓8 スキル:︻剣技LV3↓4︼︻盾技LV4︼︻料理LV1︼ ??? 特殊装備:連鎖刃ビュートブレイド 精霊弓士シエラ︵レベルUP!︶※別行動時の成長も合算 ジョブ:精霊弓士LV6↓8 スキル:︻弓技LV2↓3︼︻精霊魔法LV2︼︻隠密行動LV2 ↓3︼ ??? 330 魔法生物アールマV7︵レベルUP!︶※別行動時の成長も合算 ジョブ:アーマーゴーレムLV6↓8 スキル:︻格闘LV3↓4︼︻頑強LV2↓3︼︻自己修復LV1︼ ??? 魔貴族パルミューラ︵トオルの成長により、本来の力を一部取り戻 した︶ ジョブ:魔貴族LV8↓11 スキル:︻魔界魔法LV6↓9︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 331 24話:シエラの過去と、森の異変︵後書き︶ ※あなたの投票で決まる、第二回エキストラHシーンアンケート企 画を開催中です。 詳しくはX活動報告からどうぞ︵投票フォームは目次ページ下部 のリンクから︶ 332 25話:囚われの術師と、神殿の再会 ガチャンと目の前で、俺たちを閉じ込めた檻の扉が閉まった。 よく見たら鉄格子じゃなく、硬そうな木材を魔法か何かで強化し たような材質だ。 アイアンウッド ﹁逃げようなどという気は起こすなよ、ニンゲン。鉄面樹は魔力の 衝撃にも強い耐性を持つ⋮⋮万一お前が破壊魔法を得意とする術師 でも、出ることはできん﹂ チョコレート色の褐色肌を、ボディラインのはっきり出る薄布に 包んだダークエルフ美女が、切れ長の瞳で俺を一瞥した。 明らかに人間を、種族的に見下した視線⋮⋮彼女がこの地下牢の 見張り役というわけらしい。 ﹁逃げる? そんなつもりはないな。で、シエラはどこだ? 一人 だけ別の所に連れて行かれたようだけど﹂ ﹁オマエたちが知る必要は、ない﹂ ダークエルフに囲まれたあの時、俺はパーティの約半数は逃がし、 残りはあえて捕まってみるという判断を下した。 ナナに姫とニーナを抱えて走らせ、立体的な逃走が可能なキリカ とパルミューラをそれぞれ別方向に撤退させた。 その場に残って両手をあげたのは俺と、シエラと、アメリアだ。 もし俺たちを殺すつもりなら、姿を現さずに矢の雨を降らせてい ただろうが、最初の矢も威嚇射撃だった。 だから内情を探るには、一旦内部に入り込んだ方が手っ取り早い 333 と判断した。 予想通り、ダークエルフたちは撤退組はろくに追撃せず、エルフ であるシエラのいる俺たち側を捕縛して、自分たちの拠点⋮⋮広大 な地下集落に連れ帰ったのだ。 ﹁さて⋮⋮これからどうするんだ、マスター?﹂ 後ろの硬い土壁に、もたれかかって聞くアメリア。 彼女のビュートブレイドも盾も、武装解除されて檻の外に置かれ ている。 ﹁そうだな、まずはここから出つつ情報を得るとするか。協力して くれ、アメリア﹂ ﹁協力って⋮⋮や、やっぱりそういうこと⋮⋮だよな﹂ ﹁なんだと? おい、何を言っている、ニンゲン!?﹂ さも当然と口から出た俺の言葉に、見張りのダークエルフが怪訝 そうな顔をした。 俺はかまわず、意図を察して赤くなるアメリアをうながし、格子 に近い側の壁に手をつかせて腰を突き出させた。 ﹁で、でもこんな場所でほんとに⋮⋮いぃっ!? まっマスター、 そんないきなり⋮⋮あんんぅうぁぁぁっっ!!?﹂ ぼろんと取り出したチンポを、レザーアーマーの腰部分をめくり あげ、きゅっと健康的に引き締まったお尻の間にぬぶぶぶぶっ⋮⋮ と沈めていく。 とまどいの言葉と裏腹に、そこはもうじゅっぷりと濡れていて、 いきなりの挿入にしっかり対応してくる。 334 ﹁な⋮⋮!? な、何をしているんだ、オマエたちはっ!?﹂ いきなり牢の中でセックスをおっぱじめた俺たちを、さすがに呆 然と見つめるダークエルフ。 ﹁ほらほら、知らないダークエルフに生ハメされるとこ見られてる ぞ、アメリア?﹂ ﹁あぁあぁっ⋮⋮うぁあ!? ひゃ、あうぅっ! ま、マスター、 これ恥ずかしっ⋮⋮ひぐぅうんっ!?﹂ 日焼けした両腕を背後から掴んで引っ張り、女戦士のしなやかな 体を弓のように反らせて激しく攻め立てる立ちバック。 異常な状況で、赤の他人に目撃されながらという状況が、アメリ アの体に普段以上の感度反応をもたらしていた。 じゅぶじゅぶと恥ずかしい水音がしだいに大きくなり、結合部か ら狭い地下牢に響き渡る。 ﹁濡れ方がいつもより余計に激しいなっ、アメリア!? 見られて 燃えてるのかっ!?﹂ ﹁いっ意地悪言わないでマスタぁぁっ! あ、あたしこんな格好で っ、後ろからマスターに征服されてるとこ見られて喜ぶ女にされち ゃったんだぁっ、マスターのおチンポ様でぇっ!!﹂ 年下の、それも遥かに自分より腕力で劣る男にいいように泣かさ れるという力関係が、男勝りの気丈な女戦士に倒錯的な快感を呼び 覚ます。 野生動物のようにムダのない筋肉が配された他の部分と違い、マ ンコの中はとろけるように柔らかく、彼女の二面性を表しているか のようだ。 335 ﹁な、なんという⋮⋮まるでケダモノだ、これがニンゲンの営みな のか⋮⋮!?﹂ ﹁あんなこと言われてるぞ、アメリアっ? ほら、動物みたいにバ ックで犯されながら、ご主人様にマンコで媚びろっ!﹂ ﹁は、はひぃっ! あっあたしマスターの犬なのぉっ、おチンポ様 恵んでほしくてお尻振っちゃうのぉっっ!! わ、わんわんっっ⋮ ⋮わひゃんっっ!?﹂ 尻尾のかわりにチンポのずっぽりハマった肉厚のお尻をぐりんぐ りん振って、キュウキュウ締まる内圧で俺に媚び奉仕してくる忠犬 女戦士。 目の前で展開される恥知らずな痴態に、口をぽかんと開けて突っ 立っていたダークエルフがようやく我に返って、羞恥と怒りに顔を 真っ赤に染めた。 ﹁や、やめないかキサマらっ! 自分たちの立場がわかっているの かっ、おい!﹂ ずかずかと近寄ってきて、格子のすぐ近くにある俺の肩に手を伸 ばす。 予想通りだ。もちろん、彼女にそうしてもらうために俺はこの位 置に体を置いていた。 不用意に近付いたダークエルフに⋮⋮俺はここぞと、隷属魔法の 魔力を送り込んだ。 ﹁う⋮⋮あっ、あ⋮⋮? こ、これはっ⋮⋮!?﹂ 反射的に褐色の手を離し、後ろでくくって垂らされたくすんだ色 の銀髪を揺らして、よろよろと頭を抱えるダークエルフ。 まだ完全に、隷属にかかってはいない⋮⋮だが、すでに堕ちたも 336 同然だ。 ﹁ひゃうっっ!? ふ、深いよぉっ、マスターっ⋮⋮ひゃうんっっ、 わうんっっ!?﹂ ﹁ひっ、ひうっっ!!? な、なんだこれはっ、カラダの中が熱く ⋮⋮あ、ああっ!?﹂ 勢いよくマンコをえぐり込んだ瞬間、アメリアとダークエルフの 嬌声が重なった。 むっちりした褐色の太ももを内股にしてがくがく揺らし、急激に 襲いかかってきた未知の快感⋮⋮俺が感覚同調させた生セックスの 快楽に、驚きとまどうダークエルフ娘。 ﹁さあ、俺の声を聞け⋮⋮俺はお前の主人だ、お前はこいつと同じ、 俺のペットだ。何をすればいいかはわかるな?﹂ ﹁んあっ、んああっ⋮⋮そんな、聞いてはだめなのにっ⋮⋮か、カ ラダが勝手にぃっ⋮⋮あ、ああっ!?﹂ 淡い緑色の隷属魔力が、ダークエルフの銀髪の周囲で明滅する。 なけなしの抵抗をかき消され、彼女は長方形状にぺろんと垂れた 腰布を震える手でみずからまくりあげ⋮⋮褐色の健康的なお尻を、 木材の格子ごしに俺へと差し出した。 ﹁よおし、いい子だ⋮⋮ちょっと待ってろよアメリア、先にこいつ を完全に隷属させるから⋮⋮なっ!﹂ ずにゅうぅっ⋮⋮じゅぶぬぷぷっ、ぷつつっっ⋮⋮にゅぐんっっ !! ﹁っっっんあぅっ!? あっ、んあっ痛ぁっ⋮⋮はぁぁうぅぅっっ、 337 はっ入って⋮⋮な、何だコレぇぇっっ!?﹂ ﹁おっと、処女だったのか⋮⋮高慢そうな顔に似合わず、かわいい 所あるなっ!﹂ アメリアから抜いたチンポで、格子ごしに突き出されたダークエ ルフマンコに遠慮なく生ハメ処女強奪。 よく鍛えられぷりぷりした触感のチョコレート色をした女性器は、 感覚同調で十分以上に濡れつつも、処女特有のキツさで俺のチンポ を絞ってくる。 ﹁んはぁぁっ、ナニこれっ、こんなの知らないぃぃっ!? 焼けた カタマリに貫かれてっ⋮⋮く、苦しいのに熱い感覚がカラダの奥か らっ⋮⋮ひぁぁやぁぁうっっ!?﹂ ﹁あはぁぁっ、まっマスターのおチンポ様がっ、まだ入ってる感じ が伝わって⋮⋮ひぐぅぅっっ!?﹂ 格子ごしで動きが制限されてるのが逆に新鮮で、褐色の尻を掴ん で腰をなんとか少しでも奥めがけ突き入れようと試みるのはなかな か面白い。 感覚同調によって、アメリアも空中に濡れたマンコを突き上げて ひくひくさせながら挿入快感によがりまくる。 ﹁ほらほらぁっ、人間さまのチンポ気持ちいいかっ、ダークエルフ っ!?﹂ ﹁んあぁっ、きっ気持ちいいぃっっ!! こ、こんなに気持ちのい いコトがあったなんてぇぇっ!?﹂ ﹁よぉし、もっと気持ちよくして欲しかったら、俺に服従しろっ! 俺の言う事を聞けっ、いいなっ!?﹂ ﹁はっはいぃっ、服従しますぅぅ! このぶっとい人間チンポに媚 びますぅっ、なんでもしますからぁぁっ! だからもっと良くして 338 ぇぇっ!!﹂ お望み通りにと、今や自分からむっちりした褐色尻肉が木格子に めり込むほどに突き出されたダークエルフ尻の膣奥めがけ。 俺は異種族ファックの興奮にフル勃起したチンポを、これでもか と激しく叩き付けえぐる。 ダークエルフ娘とアメリアのよがり声が混ざり合い、グチュグチ ョいう愛液音と共にボルテージを高めていく。 ﹁よぉぉし、トドメの服従精液注ぎ込んでやるぞッ! ありがたく 処女子宮で受け取れっ、見下してた人間様の精子をなっ!﹂ ﹁はぁっはひぃぃぃっ! に、ニンゲンさまの子種いただきますぅ ぅっ、たっぷり注いでぇぇっ⋮⋮んひゃぁぁぁあっ熱ぅぅぅっっっ !!?﹂ どくんっっ!! どぐっ、どぐびゅるるっっ⋮⋮びゅるるるるっ っっ!! ﹁こっ、こっちにも来たぁぁぁっっ!? マスターのチンポ様でっ、 イカされる感覚ぅぅっ⋮⋮ひぐっ、あっああっ、ひうぁぁぁぁんん んっっっ!!?﹂ 名前も知らない異種族娘の処女を奪い、思うさま無責任にナマ中 出しするこの圧倒的征服感! 感覚同調を全開にしたことでアメリアもそのエクスタシーを共有 し、牢の床に倒れ込みつつ健康的な尻肉の間からプシュッと絶頂の 潮を噴いた。 ﹁よし⋮⋮俺たちをここから出して、今何が起こってるかを説明し てもらおうか﹂ 339 だから、逃げ出すつもりはないと最初に答えたんだ⋮⋮そうじゃ なく、彼女に出してもらうんだから。 脱出するまでの一時的な間だが、彼女には魔隷として存分に働い てもらおう。 そしてまずは、なぜ友好関係にあったはずのダークエルフが、エ ルフと敵対状況にあるのか⋮⋮何が起きているのかを、聞き出さな くてはならない。 魔隷の枠を開けるために術式を解除するかどうかは、その後の状 況次第だな。 ﹁は、ひゃいぃ⋮⋮で、でも、すぐは腰が立ちま、せんっ⋮⋮ごめ ん、なひゃい⋮⋮っ﹂ ﹁やりすぎだよぉ、マスタぁぁ⋮⋮っ!﹂ ﹁おっと⋮⋮しまった、調子に乗りすぎたかな⋮⋮?﹂ がっくりとうつ伏せに倒れひくひく痙攣するダークエルフ娘の、 チョコレート色の割れ目から白いぷりぷりの粘液塊が、ぷくっと溢 れ出す光景に、オスの達成感を心底感じながら。 俺はとりあえず二人の回復を待ちつつ、シエラが今どうしてるか に思いを馳せるのだった⋮⋮。 ※ ※ ※ ダークエルフ部族の地下集落、その最奥部。 そこは複雑な形に削り出された木と、精緻に彫刻された石によっ て組み立てられた静謐な神殿だった。 340 ﹁⋮⋮⋮⋮ここは﹂ 地球の神社にも似た、板張りの神殿内。 武器を奪われ、左右を精悍なダークエルフ戦士二人に伴われたシ エラはそれでもいつものクールな表情を崩さないが、豊かな胸の奥 は早鐘のように鳴っていた。 ここには⋮⋮おそらく、あの人物がいる。 ﹁⋮⋮お前たちは、下がって﹂ 神殿の奥、薄手のカーテンごしに静かな声が投げかけられた。 無言で一礼し、二人のダークエルフ戦士が退出する。 後にひとり残されたシエラは、カーテン奥の人影に、わずかに揺 れる瞳をまっすぐに向けた。 ﹁ディアーネ⋮⋮⋮⋮姉さま⋮⋮⋮⋮!﹂ あの人がなぜこんなことを⋮⋮という、困惑と戸惑いの声音。 信じたくないという、悲しみと否定の声色。 だが、薄い御簾の向こうから返ってきた声は、まぎれもなく。 ﹁久しぶりね⋮⋮シエラ﹂ 実の姉妹のように育ったダークエルフの、かつてと変わらない優 しい声だった。 341 26話:みっつの思惑と、追う影ひとつ 巨大な樹木同士をいくつもの吊り橋が繋ぎ、木材や葉、草などで 作られた家が太い枝や幹の上に並ぶ、自然と密着した立体的な集落。 それがエルフたちの暮らす樹上の村である。 ナナとニーナ、そしてシスティナ姫は、ダークエルフの追撃を逃 れてここに逃げ込んでいた。 ﹁ごきげんよう、エルフの皆様。わたくしはシスティナ・ランバデ ィア。古来よりあなた方と友誼を結んだ、ランバディア王国の第三 王女です﹂ 毅然とした姫のたたずまいに、当初は多少の警戒を見せていたエ ルフたちも態度を改めた。 集落の中心部、もっとも巨大な木のうろに造られた族長の家に、 二人と一体は招き入れられたのである。 ﹁ふむ⋮⋮それでは、お前さんたちはシエラの友人であり、シエラ を含む仲間たちがダークエルフに囚われてしもうたと、そう申され るのか﹂ ティアラを戴いたドレス姿の王族と、メイド服にローブを羽織っ 外 からの訪問者を、置物のようなしわくちゃの長 た術師と、赤銅色のアーマーゴーレムという奇妙きわまる取り合わ せの三人。 久方ぶりの 老エルフはぎょろっとした目で見据えた。 ﹁そうなんですっ、ご主人様やシエラちゃんを助けないと!﹂ 342 ﹁長老さま、今このシェイヨル大森林で何が起こっているのですか ? なぜ永きに渡って友好関係を結んでいたはずのダークエルフと エルフが⋮⋮﹂ ﹁教エテ欲シイ、頼ム、オババ様!﹂ エルフの集落内はぴりぴりと緊張した雰囲気で、木の上には物見 やぐらが設置され、弓矢を構えた戦士たちが警戒の目を周囲に光ら せていた。 明らかに両種族は今、部族をあげての敵対関係にあるのだ。 ﹁外の方々に知られるのは、いささかお恥ずかしい事実じゃが⋮⋮ こうなった以上、隠してもおけますまいなァ﹂ ため息をついて、小柄な長老エルフは草で作られた座布団のよう あれ が発掘された時から、始まったのですじゃ﹂ なものの上に座り直す。 ﹁すべては⋮⋮ ※ ※ ※ あるもの を掘り当てた。それが、今起こっている事態の始 ﹁⋮⋮新たな居住洞窟を拡張していた我が部族の者たちが、古い地 層で まりよ﹂ 薄いカーテンの向こうから、静かだがよく通る落ち着いた声が響 く。 間違いなく、懐かしいディアーネ姉さまの声だ⋮⋮と、シエラは 胸にちくりと郷愁を呼び覚まされた。 343 彼女を、代々続く短命の呪いから解放する方法の探索。それが森 を出て冒険者を志した理由だった。 ﹁謎の発掘物の正体を明らかにするためダークエルフとエルフ、両 破天の骸 の一部分だということが﹂ 部族の古老や賢者が集められ、そして判明したの。 それが伝説の⋮⋮ ﹁え⋮⋮⋮⋮!?﹂ 破天の骸。 それこそは、システィナ姫が予言した世界を危機に陥れるという モノ。 そして八冥家イヴリースが狙っている存在の名ではないか。 ﹁そ、それは、今どこに⋮⋮⋮⋮!?﹂ 思わず一歩、薄い御簾ごしの細い人影に詰め寄るシエラ。 ﹁その反応、あなたも知っているのねシエラ。アレの価値を﹂ ﹁あれは⋮⋮⋮⋮危険なものだと、聞いた﹂ シエラの声が低くなっても、カーテンに映るシルエットは揺るぎ もしない。 ﹁そうよ、だからエルフの古老たちはみな、再びそれを封印するべ きだと結論付けたわ。 ⋮⋮でも、ね﹂ ※ ※ ※ 344 破天の骸 の一部を、独占しようとしたんです ﹁するとダークエルフの方々は、発掘現場を封鎖してエルフの皆さ んを閉め出し⋮⋮ の!?﹂ 両部族の争いの原因として登場した意外すぎる単語に、さすがの システィナ姫も顔色を変えた。 プラチナブロンドと蒼い瞳が、緊張にふるえている。 ﹁さよう⋮⋮そしてその決定を下したのは、ダークエルフの宗教的 指導者たる巫女、ディアーネ⋮⋮かつてシエラと、実の姉妹のよう に育った者じゃ﹂ ﹁シエラちゃんの⋮⋮! な、なんでそんなことを!? 危険なも のなんじゃないんですか、それは?﹂ ニーナの問いに、長老エルフはいくつもの大きなイヤリングによ って垂れた両耳ごと、真っ白な頭をゆっくり左右に振った。 ﹁わからぬ⋮⋮まるでわからぬ。あるいは巫女に伝えられる口伝で、 何かを知っておったのかもしれんが﹂ ﹁巫女の、口伝⋮⋮﹂ 古来よりダークエルフの祭事を司る巫女、その歴史はエルフのそ れよりも古く、部族内の発言力もまた大きいらしい。 その言葉は時に、一族を動かすほどの力を持つのだと。 ﹁いくら問いただそうと答えず、まるで取りつくしまもなく我らを 閉め出し、ついにはアレに近付くならば攻撃も辞さぬと宣言しおっ た。それが、今の状況のはじまりじゃ﹂ ﹁ソモソモ、ドウイウ物ナンダ? 破天ノ骸トハ、ソノ一部トハ?﹂ 345 ﹁⋮⋮口で説明するのは、難しい。じゃがあれは紛れもなく⋮⋮人 の世にあっていい存在ではない﹂ 長老エルフの骨張った腕が、かたかたと震える。 ﹁ゆえに再び、地の底深く封じると。それが結論じゃったはずなの になぜ⋮⋮!﹂ ※ ※ ※ ﹁姉さま⋮⋮⋮⋮シエラは、ただ理由が知りたいだけ。どうして、 優しい姉さまが⋮⋮⋮⋮!﹂ どうして部族をあげての敵対などという、暴力的で愚かな手段に 出たのか。 シエラはいつになく声を荒げ、本来再会を喜ぶべきはずの相手に 感情をぶつける。 ﹁そうね⋮⋮シエラ、あなたもアレを見れば、考えが変わるかもし れないわね﹂ ﹁アレって⋮⋮⋮⋮まさか﹂ ﹁そうよ、破天の骸⋮⋮まぎれもないその一部が、この奥にあるわ﹂ ひゅおおっ⋮⋮と、冷たい風が神殿の奥から巻き起こり、薄いカ ーテンを揺らして吹き抜けた。 その奥に存在する何かがまるで、大きな深呼吸をしたかのようだ った。 346 ※ ※ ※ ﹁ほらほら道を開けろっ、ダークエルフの皆さんっ!﹂ ﹁え、なっ、な⋮⋮っ!?﹂ ﹁何なのあれっ、う、ウソっ⋮⋮!?﹂ いずれも褐色肌を白いローブに包んだ、巫女ディアーネの世話係 らしきダークエルフ娘たちが、ずかずかと通路を進む俺を驚愕の表 情で見つめる。 俺とアメリアは地下牢を脱出し、魔隷にしたダークエルフの案内 でうまく人目を避けて、シエラが連れて行かれた場所⋮⋮巫女の神 状態 でか、というと。 殿とやらへと近付いていた。 どんな ﹁んぉぉっ、んあぁぁっ!? だっダメ、おマンコにビリビリ響き ますぅぅ!? も、もっとゆっくりぃぃ⋮⋮んひゃぁぁんっっ!?﹂ ﹁だらしないなっ、ハメたまましばらく歩いてるだけでもう弱音か ? それでも誇り高き部族の戦士かよっ、おらっ!﹂ ﹁ひゃひぃぃんっっっ!? ふっ深いぃぃぃ!! んあぁっ、しか も皆に見られてっ⋮⋮こっこんなぁぁっ!?﹂ 褐色の軽くしなやかな肢体を両手でM字開脚状に抱え、その濡れ たダークエルフマンコにずっぽりと俺のものを突き刺してゆっくり 歩いているのだ。 神聖な巫女の神殿へと続く通路を奥目指し進む、破廉恥な神輿っ てわけだ。 ﹁な、なあマスター、いくらなんでもこれは⋮⋮ていうか、危険を 347 冒してまですることなのかよっ!?﹂ 取り戻したビュートブレイドを構えて俺を護衛しつつ、この異常 な状況に赤面をまぬがれないアメリア。 ここに来るまで何度も何度も、俺に突き刺されたままのダークエ ルフ魔隷が生ハメ歩き絶頂を迎えるのを見せつけられ、少しご機嫌 ななめのようだ。 ﹁なぁに、この娘は人質でもあるんだ、密着状態でそう簡単に手は 出せないさ。戦士系の連中は、もっと外側にいるみたいだしなっ⋮ ⋮とはいえ、アメリアがそう言うなら急ぐかっ!﹂ ﹁んひぃぃやぁっっ!? あ、歩くペース速くされるとぉっ、もっ と奥までおチンポがぁぁっ⋮⋮も、もうダメ、らめれすぅぅぅ⋮⋮ !﹂ ぷしゅっ、と結合部から愛液が潮を噴いて、板張りの通路をいや らしく濡らした。 巫女の侍女たちは、手で顔を隠したり柱の陰に隠れたりしながら、 こっちの様子を恐れつつ伺っている。 ﹁す、すごい⋮⋮! あ、あれが外のニンゲンの⋮⋮オトコのモノ なの⋮⋮!?﹂ ﹁ちょ、ちょっと! 見てないで助けるか報告しないとっ⋮⋮!﹂ ﹁でっでも、そんなことするとあの女戦士に攻撃されそうだし、ほ ら、ね?﹂ ﹁あ、あなたまさか見ていたいだけじゃないわよねっ⋮⋮?﹂ 異種族との痴態ショーに、興味津々というそぶりを隠せない褐色 娘たちの視線が、いくつも突き刺さる。 そういえばここに来てから、ダークエルフは女しか見てないな⋮ 348 ⋮種族的に男が少ないのかもしれない。 ﹁よぉし、せっかくだからたっぷり見せつけながら奥まで行くとす るかっ! ほら、思いっきりよがって見せてサービスしてやれよっ !﹂ ﹁ひゃんっっ、ひゃんぁぁぁんっっ!!? いっイッてましゅぅぅ っ、イキ続けてますさっきからぁぁぁっっ!! も、もう許してく ださぃぃぃっっ!!﹂ 真っ赤になった褐色耳をぷるぷる震わせての哀願をさらっと無視 し、むっちりしたチョコレート色の太ももを抱え直して生ハメ行進 を続行する俺。 アメリアが周囲を油断なく見渡しながら、はあーっとため息をつ いた。 姉さま とやらと話してる真 ﹁やれやれ⋮⋮大丈夫なのかなぁ、シエラは⋮⋮﹂ おそらくシエラはいま、この奥で っ最中だろう。 あっちはあっちで情報を得ているだろうから、少し時間をかけた 方がいいかもしれないという計算もあった。 まあもちろん、どんな状況でもやりたい放題を楽しむのが俺の生 き方だってのも大きいが。 ﹁待ってろよ、シエラ、それにディアーネ⋮⋮発掘したモノの正体、 しかと確かめさせてもらうぜ﹂ ※ ※ ※ 349 同時刻、エルフの村落とダークエルフの集落のほぼ中間に位置す る、森の一地点。 木々の間から差し込んだ陽光が美しく反射する池のほとりに、あ の場を脱した最後のふたりがいた。 ﹁パルミューラ⋮⋮ここを動く前に話したいことって、何なの?﹂ エルフ村に入った姫たち三人、ダークエルフに囚われる形で潜入 したトオルたち三人。 どちらにどのタイミングで合流すべきかを考えていたキリカは、 同行者の魔貴族を振り返った。 池の水面少し上に浮遊し、姫騎士に背を向けた漆黒のゴスロリド レス姿。 ﹁姫騎士よ⋮⋮そなたは理解しておるのか? 偶然訪れた今の状況、 その価値を﹂ ﹁え⋮⋮?﹂ いつもより少しだけ低い声がそうささやいた。 緑色をした水面に、浮かぶパルミューラを中心とした魔力の波紋 がうっすらと広がってゆく。 ﹁わからぬか。千載一遇の機会じゃと、言うておるのだ。我らが⋮ ⋮魔隷術師の隷属支配から逃れ自由になるための、な﹂ 陽光を上下から反射した銀の髪が揺れ、振り返った赤い瞳がキリ カをじっと見つめた。 350 ※ ※ ※ 一方その頃、森の中の開けた一区画。 周囲にまるで似つかわしくない小柄なひとつの人影が、低空をふ わふわと飛びながら可愛らしい鼻を奇妙にひくつかせていた。 ﹁くんくん⋮⋮すんすん⋮⋮﹂ 黒地に金糸で彩られた着物から、ぷらんと垂らされた振り袖と白 い素足。 紫がかった青色のストレートロング、高位魔族であることを示す 額の赤い魔紋。 コウモリじみた背中の翼をぱたぱたとはためかせて、背の低い草 の上を旋回している。 ﹁あはッ、やっぱりここだわ! あいつの魔力のにおい⋮⋮たどっ てきて正解ね、ここでおっきい魔界魔法を使ったんだわ、あいつっ たら!﹂ そこはトオルたち一行が二日ほど前、ツリーオーガと戦った場所 だ。 落雷を受けたように裂けた樹木巨人の残骸が、あちこちえぐれた 地面の上に散らばっている。 ﹁これなら、まだそんなに遠くには行ってない感じかなぁ? なに なにこれ、思ったより早く会えちゃいそうねっ、パルミューラ!﹂ 鈴を転がすような声でくすくす笑い、にいッと八重歯をむき出す。 その時、小柄な魔族少女の背後に⋮⋮べきべきと木々を乱暴にか 351 き分け、巨体のシルエットが姿を現した。 別のツリーオーガ。同族の死骸に引き寄せられたのか、それとも 偶然やってきたのか。 ﹁んふふっ⋮⋮イヴリースお姉様も、あのクソ生意気なクルスも、 きっとびっくりするわね!﹂ 背後で丸太数本分ほどもある巨腕を振り上げる、凶暴な樹木巨人 の存在に、彼女はまるで反応しない。 そしてうなる死のハンマーが、小さな頭上めがけゴウッと振り下 ろされた、その瞬間。 ﹁あたしがパルミューラをぷちぷちブチ潰してっ、ぺしゃんこにし て持って帰ったら⋮⋮ねっ!﹂ べしゃんっ、とどこかユーモラスな音が響き渡った。 ツリーオーガの巨体が、消失していた。 ﹁⋮⋮あれ? でも他に何か探してたんだっけ、お姉様たちって﹂ 空中でくるんくるん回転し、うーん⋮⋮と細いあごに指をあてて 悩む少女の姿をした魔族。 そのすぐ後ろには⋮⋮異様なものが地面にめり込んでいた。 まるでコルクボードのような茶色のモザイク状をした、数センチ ほどの厚みにまで圧縮されて四方に広がった何か。 ﹁なんだっけ、はて⋮⋮はてんの⋮⋮んんん、ちゃんと思い出せな いなぁ⋮⋮ま、いっか!﹂ 振り返りもせずに、その場をふわりと飛び去る和装の姿。 352 ぺしゃんこに 圧壊 され即死したツリーオーガの、まさに残骸 狂公女 フラミアは、刻一刻と目指 マッドプリンセス というべき成れの果てを残して。 八冥家イヴリースの実妹、 す標的に⋮⋮仇敵パルミューラへと、その野性的直感を頼りに近付 いていた。 353 27話:支配の遊戯と、反逆の挑戦 魔界第四位階の魔貴族パルミューラは最近、ヒマさえあれば自問 自答していた。 このままでいいのか⋮⋮いや、いけない、と。 ※ ※ ※ ﹁な、なんじゃこの面妖な衣服はっ!?﹂ 女伯爵別邸。大理石造りの広い浴場に、狼狽した声が響き渡った。 キリカに以前使った、自在に外観を変える衣服状アーティファク ト。 パルミューラに着せたそれが、今どんなデザインに変わっている かというと⋮⋮。 ﹁おお⋮⋮予想以上に似合うな、スクール水着﹂ ﹁す、すくーる⋮⋮? 一体なんなのじゃこれはっ、まるで極薄の レザーメイルのような、サキュバスどもの扇情的な衣のような⋮⋮ !?﹂ そう、魔貴族さまの幼児体型は、俺のイメージを元に再現された 紺色の旧スク水に覆われていた。 紺色の生地にぴっちり包まれた薄い胴体から、陶器のように真っ 白な手足が隠すものもなく伸びている。 ぺたんこな胸に貼られた名札には、ひらがなで﹁ぱるみゅーら﹂ 354 と書かれているのがポイントだ。 ﹁俺の故郷で使われてた水着の一種だよ。いやあ、さすが高位の魔 貴族だな。着こなすのが難しいんだが、凄く似合ってる。たいした もんだ﹂ ﹁そ、そうなのか⋮⋮? ふむ、そう言われると悪い気はせぬぞ⋮ ⋮くふふ﹂ 角の生えた銀髪をなびかせ、くるっと回って自分の姿を興味深げ に見る赤い瞳がどこか嬉しそうだ。 こいつ、前から薄々思ってたけど意外と単純だよな。 ﹁まあ、わらわくらいになると何を着ても似合ってしまうんじゃよ な。これも内からにじみ出るカリスマゆえか、くふふ⋮⋮ふ?﹂ ふふん、と上機嫌で振り向いた柔らかいほっぺたに、ぐにゅんと めり込む赤黒い異物。 ﹁な、なななっ、わきゃっっ!? なっなにを、おぬし何をするか ぁっっ!?﹂ 俺のガチ勃起チンポが待ち構えてたくらいで妙な声をあげるとは、 情けない魔貴族さまだ。 キリカもだが、俺と特殊なシチュエーションで二人っきりになっ た時点でこうなるのを予測しないなんて、学習しない魔隷だなあ。 ﹁お、おぬしやはりわらわをまた辱める気かっ、しかもこのような 格好で⋮⋮っ!﹂ ﹁まあ端的に言うとそうなんだ、諦めろ﹂ ﹁あ、諦められるかぁーっ!?﹂ 355 スク水スタイルの刺激にもう先走り液がだだ漏れのチンポで、角 を生やした顔をぴたぴた叩きながらの無慈悲な宣告。 ﹁でもまあ、安心しろパルミューラ。今日の俺は慈悲深いんだ、お 前にちょっとしたサービスをやろう﹂ ﹁さ、サービスじゃと? 余計にイヤな予感しかせぬのじゃがっ⋮ ⋮な、なんじゃこれは!?﹂ 折れそうなほど細い首に、赤いチョーカー⋮⋮これも以前キリカ に使った、魔法抵抗弱体化エンチャントの首輪をはめる。 ﹁遠慮するなよ。ある意味、お前の望みを叶えてやるんだ⋮⋮さあ、 愉快な夢の時間のはじまりだ﹂ ﹁う、うあ⋮⋮こ、これ、はっ⋮⋮!?﹂ 重ねがけされた術式によって、赤い瞳が焦点をブレさせ⋮⋮催眠 状態へと陥れていく。 キリカの時とはまた違う、パルミューラが認識する偽りの現実、 それは⋮⋮。 ※ ※ ※ ﹁くふふ⋮⋮ついにこの日がやって来たか。魔隷などというふざけ た枷から逃れ、下克上を現実とするこの時がっ!﹂ 浴場の床に押し倒された俺、その腰の上にまたがったパルミュー ラの小柄な体。 356 勝ち誇った赤い瞳が濡れたようにうるんで、幼い外見に似つかわ しくない妖艶さを振りまいている。 ﹁くっ、まさか隷属が解除されるなんてな⋮⋮こうなった以上もう どうにもできない。さあ、殺せよ﹂ ﹁殺すじゃと? くふふ、それではわらわの腹の虫が治まらぬわ。 今まで好き放題に辱められた礼を、してやらねばのう⋮⋮﹂ ﹁うっ⋮⋮な、なにを⋮⋮うあっ!?﹂ 思わず、声が漏れる。 ゆっくりと上半身を倒して、身長差のままちょうど俺の胸板のあ たりに頭を移動させたかと思うと。 パルミューラが俺の左乳首を、ぬろぉっ⋮⋮と舐めあげたのだ。 ﹁くふふっ、おなごのような声が漏れておるぞ? どうじゃ、抵抗 できぬままされる側になる気分は⋮⋮? ちゅっ、れろぉっ⋮⋮れ りゅりゅっ⋮⋮!﹂ ﹁く、うっ⋮⋮! うあ、うぅっ⋮⋮く!﹂ 垂れ下がった銀の髪が胸板をくすぐり、左右の乳首を交互に小さ な舌先ではじかれ、もてあそばれる刺激。 俺の下半身にドクドクと新鮮な血が集まり、反応してしまう。 ﹁おうおう、そなたの醜いチンポが恥ずかしげもなく勃起してきお ったぞ。幼い小娘の姿をした相手にいいようにされてすぐこれとは ⋮⋮情けないヤツよのう?﹂ ﹁う、うるさいっ⋮⋮うおあっ!?﹂ 身を起こしたパルミューラから、予想外の刺激が勃起チンポに襲 い掛かってきた。 357 なんと、真っ白な両脚であぐらをかくようにして、足の裏で肉棒 を両側から挟み込んできたのだ。 ﹁おぬしのような変態にはふさわしい扱いであろう? ほぉれ、ほ れ! 魔貴族様の高貴な足裏の味はどうじゃ、んん?﹂ 紺色のスクール水着から伸びる両脚を器用に動かし、血管がビキ ビキに浮いたサオをグニュクニュと柔らかい土踏まずが圧迫し、撫 で、しごきたてる。 ﹁や、やめろ、そんな屈辱的なことっ⋮⋮!﹂ ﹁そなたのコレは、そうは言っておらぬようじゃがのう? 嬉し涙 を先からダラダラ漏らして、歓喜にむせび泣いておるぞぉ⋮⋮ほれ、 ていっ!﹂ てしっ⋮⋮てしっ! と、人形のような軽い足が俺のチンポを軽 く何度も蹴る。 そのたびに亀頭の先端からカウパーが、腹の上や大理石の床に飛 び散った。 ﹁ううっ⋮⋮く、くうぅ⋮⋮や、やめ⋮⋮っ!﹂ ﹁なんじゃ、その物欲しそうな顔は? わらわにどうして欲しいの じゃ、んん?﹂ 桜貝を並べたような足指を亀頭にかぶせて、にゅりにゅりと撫で さすりながら。 この立場逆転が楽しくてたまらないといったふうな勝者の笑いを、 端正な口元ににまりと浮かべる魔貴族少女。 ﹁この唇で白いウミを吸い出して欲しいのか? あるいはこのまま 358 足で搾り出してやろうか? それとも⋮⋮﹂ 見せつけるようにゆっくりと、浮かした腰をそそり立つチンポの 真上に移動させるパルミューラ。 水着の股布ごしに、手を添えられ軽く引き寄せられた亀頭が、幼 い秘部にグッと押し当てられた。 なか ﹁まさかおぬし生意気にも、わらわの膣内に挿入したいなどとぬか すのではあるまいなぁ? 下等な人間の分際でっ!﹂ ﹁う、うう⋮⋮っ!﹂ そのまま再び俺に、しなだれかかるようにもたれかかってきた紺 色の上半身。 脇腹から乳首の根元にかけてを舐めあげられた後、がりっ⋮⋮と 軽く歯を立てられ、うめき声が出てしまう。 ﹁くふふ、おぬしにはせいぜい、これが似合いじゃ⋮⋮ほぉぉれ!﹂ ずるんっ⋮⋮と狭い中にチンポがすべりこむ快感が突如として襲 う。 一瞬、マンコの中に入ったのかと錯覚したが、それは違った。 パルミューラはヘソの下あたりに位置する水抜き穴から、スク水 とお腹の隙間にチンポを迎え入れたのだ。 ﹁おおう、熱くドクドクとたぎっておるのぉ? 女陰でなくとも突 っ込めれば満足なのか、この浅ましいクズチンポめが!﹂ 俺をののしりながら、ゆっさゆっさと小柄な体を、はずみをつけ て上下させる魔貴族少女。 かすかにザラッとした水着の生地と、シルクのように柔らかく温 359 かい肌、ふたつの感触に包まれ、こすりあげられる。 ﹁なんじゃ、クズチンポ呼ばわりされてビクンと反応しおったな? ならばいくらでも言うてやるぞ、このクズ、ゴミ人間め! この ような格好に欲情する恥知らずの変態めが!﹂ ﹁く、くそっ⋮⋮ううっ、く⋮⋮うあ、あ⋮⋮っ!﹂ ﹁くふふ、ああ最高の気分じゃ! おぬしを思うがまま辱め蹂躙し、 見下すという甘露の美酒はなぁ! ほぉぉれ、ほれぇ!﹂ 上体を後ろにそらせて、紺色の腹に浮き出たチンポの凹凸を、も みじのような両手のひらでグリグリと撫でさするパルミューラ。 俺は歯を食いしばり、ともすれば暴発しそうな屈辱の刺激をなん とか耐えしのぐ。 ﹁ふむ、あっけなく漏らしてしまいよるかと思うたが、なかなか強 情よのぉ⋮⋮そんなにわらわのマンコに未練があるのか、んん?﹂ 幼い外見の、だが決して人間ではありえない年経た淫らさのこも った赤い流し目。 俺は荒い息を吐きながら、こくこくと必死で頷いて見せた。 ﹁ふふん⋮⋮身の程知らずめが。じゃが、わらわは慈悲深い⋮⋮﹂ ゆっくりと腰が浮き、ずろんっ⋮⋮と真っ赤になったチンポが紺 色の牢獄を抜け出て、ペチンと腹を叩いた。 そして魔貴族の少女は、股布に指をかけぐいっと、その奥に隠さ れた部分を露わにする。 うっすらと濡れ光る、子供のそれのように細く狭い桃肉の花びら を。 360 ﹁くふふっ、必死で見ておるな。そんなにもここに挿入したいか? 極上の膣穴を味わいたいか? ならば⋮⋮誓うてみせよ﹂ 濡れた大理石の床に俺を組み敷き、上位者としての有無を言わさ ぬ言葉が降ってくる。 ﹁わらわのモノに、奴隷になると、な⋮⋮おぬしは人間にしてはな かなか、有能で興味深い。わらわが魔界の覇者となるための側近と して、飼うてやってもよい﹂ ﹁ぱ、パルミューラ⋮⋮!﹂ 元々あの出会いの日、そのつもりで俺にアプローチしてきた野心 ある魔貴族からの再びの勧誘。 だが今度は前と違い、みずからの肉体というエサをちらつかせて の淫らな誘惑だ。 ﹁さすれば、気紛れにこうして快楽を与えてもやろうではないか。 本来手を触れることすらできぬ高位の存在たるわらわが、手ずから なぁ⋮⋮!﹂ ﹁う、お⋮⋮俺は⋮⋮うぐっ!?﹂ ちゅくっ、と亀頭の先に濡れた温かな柔肉がキスをした。 パルミューラのマンコの入り口、上品な薄ピンクの肉ビラが、チ ンポの先端を意地悪くフェザータッチでくすぐっては離れを繰り返 す。 先走りと愛液が、混じり合って光る糸を引いた。 ﹁言え、さあ、誓え。わらわの、わらわだけのモノになると⋮⋮そ うすれば命は取らぬ。今までの非礼千万な愚行の数々も、大目に見 ようではないか、トオルよ⋮⋮!﹂ 361 熱のこもった吐息がささやく。 猫のようにすっと細くなった赤眼には、蔑みと勝利の光、そして 欲情と独占欲が灯ってゆらめいていた。 ﹁⋮⋮わ、わかった⋮⋮なる、なるから頼むっ、パルミューラ⋮⋮ っ!﹂ ﹁ふん、パルミューラ様、であろ? まあ、よいわ⋮⋮では与えて やろう、絶対の支配者からの快楽という恩賜をなあっ!﹂ ぐぐっ⋮⋮ちゅく、ちゅぶぷっ! ﹁ん、はぁっ⋮⋮! そぉぉらっ、そなたの汚らわしいクズチンポ の先っちょを、わらわの魔貴族マンコがくわえこんでいくぞぉぉ⋮ ⋮!﹂ ﹁うぉ、うぁ!? うぐっ⋮⋮うぁあぁっ!?﹂ 八の字に広がった下半身がぐぐっと落とされ、狭くキツい肉穴に ⋮⋮ガチガチに張りつめた赤黒い亀頭が、張り出したカサの部分ま でにゅっぽり呑み込まれた。 だが、パルミューラはそれ以上奥までの侵入を許してくれたわけ ではなかった。 ﹁くふふ⋮⋮! 一旦ここでおあずけじゃ。わらわのマンコ入り口 だけで、はむはむにゅぽにゅぽしてイジめ抜いてやるわ、う∼りう りっ!﹂ ﹁ぐぅぅあっ、そ、そんなっ⋮⋮こ、こんな状態っ、生殺しだっ⋮ ⋮!﹂ 真っ平らな紺色の胴体がぐりぐりと左右にひねられ、﹁ぱるみゅ 362 ーら﹂の文字がゆがむ。 それに連動して亀頭だけを包んだ柔肉の洞穴が、うねる動きで責 め苛んでくるのだからたまらない。 ﹁なんじゃなんじゃどうしたっ、男のクセに泣き言か? 腰が震え ておるぞぉ、それほどまでにわらわの肉穴を奥までむさぼりたいか っ、この浅ましいド変態めがっ!﹂ ﹁あ、ああっ、お願いだパルミューラ⋮⋮い、いや、パルミューラ、 さまっ⋮⋮!﹂ 哀願の言葉に、にやぁり、と心底嬉しそうに薄いくちびるが笑っ た。 そして、俺の目をじっと紅の瞳が見下しながら⋮⋮ついに、少し ずつゆっくりと、チンポをくわえた小さな肉の唇が⋮⋮! にゅぐ、にゅぷ⋮⋮にゅぶぷっ、にゅぼぶぽぽぽぉぉ⋮⋮! ﹁くふ、ふっ⋮⋮くはぁっ! は、入った、ぞぉぉ⋮⋮喰ろうてや ったぞ、おぬしのチンポをわらわがなぁ!﹂ ずにゅんっっ! と狭いロリ穴いっぱいに、みっちり密着しくわ え込まれる俺のフル勃起チンポ。 はぁはぁと息を荒げながらも、自分が上位で犯しているという征 服嗜虐の悦びに、パルミューラは酔っていた。 ﹁うぁぁ⋮⋮せ、狭いのにヌルヌルでっ、ぐにゅんぐにゅんうねっ て⋮⋮す、すごいマンコだっ⋮⋮!﹂ ﹁当たり前じゃ、このわらわの魔界名器なのじゃからなぁっ⋮⋮ほ ぉれ、動くぞトオルよ、すぐに漏らしなどしてくれるなよぉっ!﹂ 363 にゅぱんっ、にゅぷんっっ! にゅっぷにゅっぐ、にゅぐん、に ゅちぃぃっ! はら ﹁ふぁ、んはっ! お、おぬしを胎の中に呑み込み、逆に犯してお ると思うとっ、たまらぬ良い心地じゃっ⋮⋮くふ、くふふっ!﹂ いっそう激しく細い腰を上下させ、スク水逆レイプの快感にひた る魔貴族少女。 いつもなら痛いほどの狭い穴は、逆転の快感のためか普段よりド ロドロに濡れて、幼い外見に反したイヤらしい水音を立てながらチ ンポをしゃぶりシゴく。 ﹁うあぁっ、ぱ、パルミューラ、パルミューラさまっ! き、気持 ちよすぎるっ!!﹂ ﹁わっ、わらわも良いぞぉっ、最高の気分じゃっ! オスを支配す るまぐわいが、これほど充実するものじゃったとはっ⋮⋮んっはっ っ、ふぁぁあっ!﹂ 俺の乳首に両手を伸ばし、くりくりと刺激しながら腰を恥ずかし げもなく下品に使うパルミューラ。 時にゆっくりヒネりを加えて舐めしゃぶるように、時に激しく上 下摩擦運動し、どんどんエロい動きを覚えて実践してくる。 ﹁くふふぅっ、な、中でピクピクあえいでおるのがわかるぞっ、ト オルよっ⋮⋮わらわの膣で果てたいのかっ、卑しいゲス精液をドピ ュりたいのかっ、答えてみよっ!!﹂ ﹁あああっ! だ、出したい、出せるなら死んでもいいっ、殺され てもいい! ぱ、パルミューラ様に精液をぶちまけられるなら、俺 は悔いはないんだっ⋮⋮ううっ!﹂ 364 断続的にあえぎながら、俺が言葉をしぼり出すと、パルミューラ の膣内がビクンと大きくうねった。 俺を組み伏せながら見下ろす顔が、ぷいっと横に向いて視線をそ らしている。 ﹁あ、あまり恥ずかしいことを大声で言うでないっ⋮⋮ま、まあよ いっ! そ、そこまで言うなら存分に搾り取ってやろうぞっ⋮⋮!﹂ にゅぐぶっっ、ぶここっっ! ちゅぶっぐぶっ! じゅぱんっ、 にゅぱぱんっっ! 途端に、締め付けと動きがより一層の激しさを、貪欲さを増した。 見た目ちっちゃな幼い膣穴肉による、喰らい尽くさんばかりの勢 いでのチンポめがけたとどめの逆レイプピストン。 ﹁く、うぉぉっ、うあぁあ!? だ、ダメだっ、もう出っ⋮⋮で、 るっっ!!﹂ ﹁よっ、よぉぉし、きょっ許可するっ! わ、わらわの高貴なる子 宮めがけ思うさま吐き散らすがよいっ、おぬしの精液をブザマにっ ⋮⋮んあぁぁああぁああっっ!!?﹂ びゅるっっ⋮⋮どびゅぅぅううっっ!! どびゅんっ、どくんっっ!! どぷっどぶぅぅっ! ぐびゅるる ぅぅっっ!! ﹁んぉぉあぁぁっっ、きっ来た来たぁぁぁっっ!! わ、わらわの 奥底にっ、人間ごときの精液がぁっ!! そ、注がれておるぅぅぅ っっ!!﹂ ﹁くぁ、くはぁっっっ!? でっ、うっうおおっ⋮⋮出て、るっ⋮ ⋮うあぁあ!!﹂ 365 紺色の旧スクール水着に包まれた細い肉体の奥の奥、子供そのも のの小さな子宮へと⋮⋮すさまじい勢いでヒリ出された俺の精液が、 飲み込まれ吸い取られていく。 魂そのものを引っぱり出されるような射出の快楽が、大理石の床 に横たわった全身をビリビリ駆け巡る。 ﹁はぁぁ⋮⋮はぁーっ、くはぁぁ⋮⋮っ! ふ、くふふっ⋮⋮! ど、どうじゃっ、支配してやったぞぉ、おぬしの身も心もなぁ⋮⋮ !﹂ ふぁさっと銀髪が胸板にもたれかかり、勝ち誇るような、だがど こか媚びるような視線がねっとりとにらみ付けてくる。 れろんっ⋮⋮と、射精後で敏感になっている乳首をまた舌でほじ られ、ピュクッとさらに精液が弱々しくほとばしった。 ﹁ああ⋮⋮パルミューラ⋮⋮﹂ ﹁なんじゃ、もっと弄んで欲しいのか、この欲張りめ⋮⋮じゃが、 今は少し休憩、じゃ⋮⋮﹂ 息を弾ませ、俺の胸の上で震える少女魔貴族の、つながったまま の下半身。 その、紺色の生地に包まれたぷりんと可愛い尻に⋮⋮俺はそっと、 手を伸ばし。 ﹁⋮⋮んひゃぁぁんっっ!?﹂ 素っ頓狂な声をあげ、はじかれるように弓なりにハネ上がるパル ミューラの肢体。 突然、俺がスク水の上から、その尻の穴に指をぐりりっ⋮⋮と入 366 れたのだから無理もない。 ﹁な、にゃにを、しておるかぁっ!? い、今すぐやめっ、さもな くばっ⋮⋮ひゃぎぃぃぃんっっ!?﹂ さらにヌグリッと指を押し込み、薄い生地ごと中に侵入させる。 さあ⋮⋮そろそろ、夢から醒める時間だ。 ﹁さもなくば、なんだ? 俺を痛めつけるか、殺すか? そりゃ無 理だろ、指一本ぶん逆らうこともできないんだから⋮⋮なっ!﹂ ﹁な、なんじゃと、そ、そんなまさかっ⋮⋮わ、わらわは隷属支配 から逃れたはず、ではっ⋮⋮う、うあっ!?﹂ 必死に体をよじって、俺の尻穴いじめから逃れようとするパルミ ューラだが、それは叶わない。 身を離そうとする動きも、俺を殴ろうとする動きも、すべてスト ッパーがかかったように途中で止まってしまうのだ。 それはまぎれもなく、隷属魔法によって支配されているという証 拠。 ﹁まだ気付かないのか、おめでたいヤツだな。お前は俺の支配から 逃れられてなどいない⋮⋮そもそもどうやって逃れたのか、その経 緯の記憶がお前にあるか? ただ、そうだと思い込んでいてそれを 不自然にも思わなかった、そうじゃないのか?﹂ ﹁そ、それはっ⋮⋮あ、ああっ!? で、ではまさか、よもやっ⋮ ⋮!?﹂ 尻穴屈辱快楽に赤く染まった顔が、今度は絶望に青ざめゆがむ。 気付いてしまったのだ、今までの逆転の愉悦が、単なる道化芝居 に過ぎなかったと。 367 俺の催眠によって、ひとときの間そう思わされていただけだった と。 ﹁いい夢見られましたかぁ、パルミューラ様? さあ、今からは現 実、マゾ奴隷調教の時間だ⋮⋮ゴミだのクズだのよくも好き放題言 ってくれたなあ?﹂ ﹁あ、あれはおぬしがっ⋮⋮!﹂ ﹁問答無用! さあ、今日もみっちりケツ穴ほじり仕込んでやるか らなぁ、覚悟しろよぉ⋮⋮!﹂ ﹁あ、ああっ⋮⋮ゆ、許しっ⋮⋮ひにゃぁぁぁぁんっっっ!!? んあぁぁぁはぁぁぁっっ、うあぁぁーーーーーっっっ!!﹂ 偽りの支配者、勝者から、支配される側の現実へと叩き落とされ た魔貴族の悲鳴が、浴場に響き渡った。 しかし⋮⋮攻めさせるのも案外、悪くはなかったな。 またやってもいいかもしれない⋮⋮。 ※ ※ ※ ︵くっ⋮⋮! わ、忘れもせぬ、あの屈辱っ⋮⋮!︶ 苦い記憶がまざまざと蘇り、条件反射的に尻の穴がじわりと熱を 帯びたのを慌てて打ち消す。 思い出すだけで涙目になりそうな、偽りの勝利の苦い思い出だ。 ﹁⋮⋮どういうことなの、パルミューラ。支配を脱するチャンス、 って﹂ 368 眼前のキリカが慎重にそう聞いてくる言葉に、パルミューラは我 に返った。 池の上からゆっくりとホバー浮遊移動で、姫騎士に近付く。 なくば、 した。油 ためのいやらしい行為を思い出し、軽く かけ直し ﹁よいか。我らは共に魔法抵抗を持つゆえ、こうして意志までは隷 属しておらぬ。そして、それゆえに定期的な 魔隷術師は我らを支配し続けられぬ﹂ かけ直す ﹁わ、わかってるわよ、そんなことは﹂ 隷属魔法を 赤面するキリカ。 許可 かまわずパルミューラは言葉を選びながら続ける。 ﹁そして今、ヤツは我らに自分から離れることを 断ゆえに、な﹂ 繋がり を感じてい ﹁ずっと離れてれば、効力が切れるってこと? ⋮⋮でも、それは 無理だわ﹂ キリカは今も、トオルとの隷属魔法による る。 戻ってこいとトオルが強く念じれば、自分の体はそれに従うこと を最優先に選択してしまうだろう。 それはパルミューラも、実感としてわかっているはずだ。 ﹁ふん、言いたいことはわかる。いつまでも離れてはおけぬと言い たいのだろう? だがな⋮⋮物理的に戻れぬ状態ならば、どうだ?﹂ ﹁⋮⋮え?﹂ 命令基本原則 偶然、互いを巻き込むよう ﹁ヤツ自身や、みずからを傷付けることは魔隷の として禁じられておる。じゃがな⋮⋮ 369 な攻撃 ならば、どうじゃ?﹂ あ⋮⋮! と、キリカがその抜け道に気付いて絶句した。 もちろん、それは普段なら不可能な手だ。 近くにトオルがいれば、具体的な停止命令を飛ばされて中断され、 さらに基本原則を書き換えられて対処もされてしまうだろう。 ﹁むろん、危険も伴う。この大森林のような場所で、いわば足腰が 立たなくなるまでの負傷や疲労を食らわさねばならんのじゃからの。 じゃが⋮⋮それでも、これは千載一遇のチャンスじゃ﹂ だが確かに、それがもしうまくいけば。 トオルたちが、そうなった自分らを探しに来るのが間に合わなけ れば⋮⋮? 隷属の効果が切れるまで、見つからずにすんだら⋮⋮? ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮っ﹂ ﹁わかったであろう、今わらわたち二人きりでここにいる価値が⋮ ⋮さあ、早くできるだけ安全な場所を確保し、そしておぬしとわら わの最大攻撃をもって互いを⋮⋮﹂ ﹁ま⋮⋮待って!﹂ ゆっくりと差し伸べられた白い手から、キリカが一歩下がった。 その黒い瞳はパルミューラからそらされ、かすかに震えている。 ﹁で、でも⋮⋮別の場所にいる姫さまたちや、ダークエルフに捕ま ったあいつらは、どうなるの? もし万一、私たちの戦力が必要な 窮地になっていたら⋮⋮!﹂ ﹁⋮⋮何を今さら、そのようなことを案ずるのじゃ!﹂ 370 怒りと憤りをこめたパルミューラの声が響く。 ﹁よいか、あの姫をおぬしが心配するのはまだわかる。じゃが、他 の魔隷どもはしょせん日も浅い縁、魔隷術師に至っては憎むべき相 手ではないか!﹂ ﹁そ、そう⋮⋮だけど⋮⋮!﹂ なおも逡巡するキリカに、少女魔貴族はさらに声を荒げた。 まるで今まで溜めこんでいたものを吐き出すように。 ﹁だいたいわらわは辟易しておったのじゃ、パルちゃんなどとこの 第四位階魔貴族を軽んじおって⋮⋮あのような仲良しごっこに付き 合わされる身にもなってみよ!﹂ ﹁え、そうだったんだ⋮⋮ごめんなさい、結構楽しんでるものかと ⋮⋮﹂ ﹁そっ、そんなわけあるかぁっ! だ、断じてないっ!﹂ ぶんぶんと腕を振って必死で抗議するゴスロリ魔貴族。 ややあって、はっと自分の醜態に気付いて、慌てて赤面しつつ咳 払いしてごまかす。 ﹁ごほんっ⋮⋮と、とにかく、今を逃しては二度とこのような機会 はないやもしれぬのだ! よく考えろ、姫騎士! おぬしだけは、 わらわの気持ちがわかると思って打ち明けたのだぞ⋮⋮っ!﹂ ﹁パルミューラ⋮⋮﹂ かすかに涙ぐんだ赤い瞳は、今まで思うがままに弄ばれた屈辱を 物語っていた。 理由 がわかった気がした。 いや、された行為そのものよりも⋮⋮と、ふとキリカはパルミュ ーラの 371 パーティの一員として、人間に混じって共に暮らす、ここしばら くの立場。 それが⋮⋮思ったほど嫌ではなかったこと、それ自体が。 自分は人間ごときとは違う、というプライドを何百年も持ち続け てきた魔貴族にとって、想像以上にショッキングな経験だったので はないか。 魔隷という、いつの間にか適応してしまいつつある今の立場を逃 れなければ⋮⋮自分が本当に、今までの自分でなくなってしまうと。 見下していた人間ごときに近付いてしまうという自己変革の恐怖。 だからこそパルミューラは、必死に抵抗を見せているのではない だろうか。 ︵それは⋮⋮少し、わかる気が、する︶ キリカも、否応なく変わっていく自分の一部分を、かすかに自覚 していた。 あの男の⋮⋮トオルの隣にいることで。 あの傍若無人で、スケベで、破天荒で、ずる賢い男に、影響され ていくことで。 ︵私、は⋮⋮︶ だからだろうか、逃げられるチャンスだと言われた時に、逡巡し たのは。 姫さまや他のみんなが心配だという⋮⋮もちろんそれも事実だし、 理由 が自分の中にあるように思えたのは、気のせ ニーナたちにも好感を持っていることも確かだけど。 それ以外の いなのだろうか。 372 ﹁ええい⋮⋮な、何を迷っておるかっ!﹂ そのパルミューラの言葉は、自分に言い聞かせるようでもあった。 彼女もまた悩んでいるのだろうなと、キリカは気付いた。 だとしたら、あの小田森トオルは不思議な男だ⋮⋮この短い時間 で、まったく生まれも立場も種族すら違う自分たちを、こうも悩ま せるのだから。 あるいは、だからシスティナ姫さまも⋮⋮? ﹁⋮⋮パルミューラ。私は⋮⋮!﹂ 魔貴族の顔を、ゆっくりと見据えて、キリカが言葉を続けようと した、その時。 どぉぉんっっ⋮⋮! と、地響きと共にものすごい轟音が、大森 林を揺るがした。 ﹁なっ⋮⋮なんじゃっ!?﹂ ﹁なに、今のっ⋮⋮!?﹂ サークル・エアリアル 反射的に、天翔輝円を起動し、光の足場で樹上へと跳躍する姫騎 士。 緑の大海原のごとく広がるシェイヨル大森林、その四方に視線を 走らせ⋮⋮。 ﹁あれは⋮⋮! な、何が起こってるの、あれ⋮⋮っ!?﹂ 大きく見開かれたキリカの瞳が、異変をとらえた⋮⋮その信じが たい光景を。 373 破天の骸 の一部を、元通り封印すること 28話:呪われし巫女と、骸の正体 ﹁姉さま⋮⋮⋮⋮! は⋮⋮⋮⋮できないの?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 沈黙、それが答えだった。 二人を隔てる薄カーテン、その向こうに映るディアーネの影は微 動だにしない。 ﹁もし、もし姉さまがそれを使って、危険なことをしようとしてい るのなら⋮⋮⋮⋮それなら、シエラはっ⋮⋮⋮⋮!﹂ 神殿奥のシルエットめがけ一歩、シエラは近付く。 だが返ってきたのは、記憶の中の優しい姉とはまるで別人のよう な冷たい声だった。 ﹁なら、どうするの? 同族のエルフたちのように、私の敵になる ⋮⋮とでも言うの、シエラ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮っ!﹂ シエラにとってディアーネは、実の家族よりも濃い絆で結ばれた かけがえのない存在だ。 いくら彼女が今、不可解な行動でエルフとダークエルフの間に不 和を招いた張本人だとしても⋮⋮そんなことはしたくなかった。で きるわけがなかった。 もし、今の彼女が自分を、敵対するエルフ部族の手先くらいに考 えていたとしても。 374 でも⋮⋮だからといって、何ができるというのだろう? ディアーネを苛む短命の呪いを解く方法を探し求め、何の成果も あげられなかった無力な自分に、いったい何が。 ︵主さま⋮⋮⋮⋮主さまなら、どうするの⋮⋮⋮⋮?︶ 目を閉じ、祈るように、ここにいない大切な人のことを想う。 トオルの声が聞きたかった。安心をくれる力強い言葉が。 だが、囚われた彼は今ここにはいない。 決断しなくてはいけない、自分ひとりで。 でも、もしそれで大切な姉との間に、決定的な亀裂を生むことに なってしまったら⋮⋮? シエラの心を焦りと絶望がゆっくりと満たしかけた、その時。 ﹁⋮⋮待たせたな、シエラ﹂ ※ ※ ※ ダークエルフ集落の最奥部、まるで神社のような板張りの大きな 社に、俺はずかずかと踏み込んでいった。 こっちを振り向いたまま驚き硬直しているシエラに近付き、その 蜂蜜色の頭をぽんぽんと軽く撫でる。 ﹁あ、主さま⋮⋮⋮⋮っ!﹂ 375 ﹁だいたいの話は聞いてる。その奥にいるのが、お前の姉さまのデ ィアーネって巫女さんか﹂ 情報源になってくれたあのダークエルフは、イキすぎて気絶して しまったのでアメリアをつけて社の入り口に寝かせてきた。 繋がった状態で押し入るのも一瞬考えたが、巫女さまとやらには 刺激が強すぎるパフォーマンスだよなと思って自重した。 ﹁⋮⋮何者なのです、あなたは?﹂ ﹁破天の骸を魔族より先に手に入れようとしてる魔隷術師、といえ ばわかるかな?﹂ 透き通った、かすかな警戒心を帯びた声が、御簾の後ろから音楽 のように流れてくる。 よし、この美声から想像するにかなりの美人だな、間違いない。 ﹁そうですか、ならば言うことはひとつです。去りなさい、汚れし 野望を抱いた人間よ⋮⋮破天の骸は、魔族であれあなたのような者 であれ渡せません﹂ ﹁そしてエルフたちであれ、か。要するにあんたは、それを独り占 めしようとしている⋮⋮﹂ 俺は一直線に、薄いカーテンに映るシルエットへと歩を進める。 神聖な場所、神聖な巫女⋮⋮シエラや他の連中なら遠慮するだろ うが、知ったこっちゃない。 ﹁いや⋮⋮違うな﹂ ﹁ッ⋮⋮!?﹂ ためらいなく、俺は薄いヴェールを乱暴に引き開けた。 376 姉さ の姿に、シエラがさまざまな感情の入り交じった声をもらす。 間を隔てるものが取り払われ、何年ぶりかに直接目にした ま ﹁ディアーネ姉さま⋮⋮⋮⋮っ!﹂ 目を伏せ無言でうつむいた一人のダークエルフ。 折れそうなほど細身の、宝石のようにつややかで美しい褐色の肌 と、同色の長い耳。 シエラほどではないが豊かそうな胸から腰にかけてを覆い隠す、 対照的な純白のローブ。 二の腕や首など肌の各所を飾る、色とりどりの宝石があしらわれ た木製のアクセサリは、決して派手さや下品さはなくむしろ彼女の 神々しい雰囲気を助長している。 そして乳白色の川のような、限りなく白に近い色素の薄い銀のロ ングヘアには、月桂樹にも似た緑色の葉で編まれた冠が載っていた。 ほっそりした手が持つ装飾的な木の杖も含め、俗世から切り離さ れて長い時を過ごした、まさに聖なる巫女⋮⋮というより、女神そ 破天の骸 に近付けまいとする理由。それはあ のもののようなたたずまいだ。 ﹁あんたが、誰も まりにも危険で、封印すらおぼつかないシロモノだったから⋮⋮そ んなとこじゃないのか?﹂ シエラの長所でもあり短所でもある、強い責任感。 パルミューラとの接触で自分が捕らわれ、俺たちに迷惑をかけた 親しい誰か譲り ではないかと、なんとなく考えて ことをずっと気に病んでいた時に目立ったような、その特徴。 俺はそれを いた。 377 姉さま ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ つまり、シエラの た性格ではないのか、と。 は、彼女に輪をかけて責任感に溢れ そんな人物が生まれて初めて、独断で突拍子もない強硬手段に出 たとして、それは私利私欲のためだろうか? いいや、おそらく違う。 ﹁あんたはたとえエルフたちやシエラに誤解されようとも、同族や そいつらを守るために、一人で全部をしょいこもうとした⋮⋮違う か?﹂ 長い沈黙が、肯定を示していた。 ﹁⋮⋮そこまで、お見通しでしたか﹂ ﹁あんた、ひょっとして眼が⋮⋮?﹂ ゆっくり俺を見上げた綺麗な顔の中心、長いまつげの下で、静か に閉じられたままの瞳。 それでも、シエラが人生経験を積めばこうなるのでは⋮⋮と思わ せるような、とても落ち着いた大人びた表情をしているとわかる。 ﹁巫女となって以来、私の両眼は世界を映しません。ですが、それ ゆえにはっきりと見えることもあります﹂ ﹁姉さま⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁あれがどれだけ危険なものかを、ってか? あいにく、それを判 破天の骸 の一部が本当にここにあるというなら、イヴリース 断するのはあんたじゃない、俺だ﹂ どもに奪われる前に俺のものにする。 378 どんな力があるのか知らないが、彼女やエルフたちで守りきれる とも思えないしな。 それをあくまで拒むなら、ディアーネも隷属させるまでだ。 ﹁いいえ⋮⋮魔隷術師よ、あなたはやはり何もわかっていません。 あれに触れたものが辿る末路を﹂ ﹁なんだって⋮⋮?﹂ 悲しげに首を振り、巫女ディアーネはゆっくりと立ち上がった。 俺の目の前で、けがれひとつない褐色の体から⋮⋮その細い胴体 を覆う純白のローブが、床にすべり落ちていく。 ﹁シエラ、あなたに見てほしかったのはこれよ。見れば、嫌でもわ かるはずだから⋮⋮あなたができることなど、もう何もないと﹂ ﹁ね、姉さま、それはどういう⋮⋮⋮⋮ッ!?﹂ シエラの言葉の後半が、息を呑む声に変わった。 破天の骸 は⋮⋮触れる者の命を喰らいます。誰もあれを手に 俺もまた、驚愕に目を見開いていた。 ﹁ することなどできない⋮⋮そして﹂ 俺たちが眼を奪われていたのは、その美しい褐色の裸体⋮⋮では なかった。 そこにまざまざと刻まれた、おぞましい異変の方だった。 巫女ディアーネが薄布ごしに人と話し、直接対面しなかったその 理由。 ﹁こうなった私はもう⋮⋮助からないでしょう﹂ 379 ダークエルフの豊かな胸から、なだらかな芸術的局面を描く腹部 にかけてが。 のだ。 水晶のような無色透明の、硬質な物質に覆われていた⋮⋮いや、 違う。 置き換わっていた 肌が、肉が、体そのものが。 クリスタル状の異物に、 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮まったく、マスターってば何考えてんだ。まあいつものこと だけどさ⋮⋮﹂ 神殿の奥座敷に続く、板張りの通路。 隣で幸せそうに気を失っているダークエルフ娘にちらりと視線を やって、ため息をつくアメリア。 横たわった褐色の太ももからは、濃い白濁液がごぽりと溢れ伝っ ている。 ﹁いいなあ、あんなにたくさん⋮⋮じゃ、じゃなくて! 一人で奥 に入っていってホントに大丈夫なのかよ?﹂ しばらく待ってろと言われたが、やはり心配だった。 どのタイミングで入っていくべきか、女戦士が腕組みしつつ悩ん でいたまさにその時。 べこんっ⋮⋮という異様な音と共に。 380 アメリアのすぐ近くの壁と天井の一部に、見えない手でムリヤリ 押し開かれでもしたような大穴が開いた。 ﹁なっ、なんだぁっ!?﹂ 反射的に、ビュートブレイドと盾を構えるアメリア。 彼女が凝視する大穴から⋮⋮拍子抜けするほど小柄な人影が、ふ わりと通路に降り立った。 ﹁くんくん⋮⋮ふんふん。やっぱりこっちからニオイがするなあ⋮ ⋮でも、似てるけどなんか違うような??﹂ それは黒と金の豪奢な着物から白い肩をのぞかせた、子供のよう な姿だった。 紫がかった暗色のロングヘアを揺らし、鼻を小動物のようにひく つかせている。 一見、無害そうな姿⋮⋮だが、その背中にはコウモリのような羽、 そして額に刻まれた赤い紋様は⋮⋮。 ﹁あれって、魔紋か⋮⋮!? すると、パルミューラと同じ高位魔 族っ⋮⋮!﹂ アメリアが思わず口にした、その名前。 少女の姿をした魔族は、それまで背景か何かのようにまるで興味 を向けていなかった人間に、ゆっくりと振り向いた。 にいぃっと、かわいらしい口から八重歯がのぞく。 ﹁ねえねえ、おねーちゃん。今、パルミューラって言った? 言っ た⋮⋮よね?﹂ 381 ※ ※ ※ ﹁姉さま、その体は⋮⋮⋮⋮っ!﹂ 胴体の半分以上がそっくり水晶に置き換わった傷ましい姿に、絶 句するシエラ。 内臓や骨も完全に置き換わっているのか、だとしたらどうやって の一部がかすかに脈動を始めつつある 生きているのか⋮⋮まるで見当もつかない、魔法よりも理不尽な力 破天の骸 の存在を感じる。 ﹁掘り出された のを、私の見えない瞳は感じとったわ⋮⋮まるで、長い冬眠から醒 め息を吹き返すかのように﹂ どうやら視力と引き替えに、ダークエルフの巫女には超感覚のよ うなものが備わっているらしい。 一種のサイコメトリーとかテレパシーの類だろうか。 ﹁私は、胸騒ぎがしたわ。だからその正体を暴くために、より深く 破天の骸に接触しようと試みた⋮⋮でも、それこそが大きなあやま ちだった﹂ 浸蝕 した⋮⋮その結果が、 褐色の指が、水晶に変じた脇腹のあたりをそっと撫でる。 ﹁破天の骸は、私の体をこれ幸いと このおぞましい異変。これが生命力を吸い取るためなのか、もっと 他の理由があるのかまでは分からないけれど﹂ 382 ﹁まさか、その浸蝕部位はどんどん広がってるのか⋮⋮!?﹂ ﹁ええ⋮⋮私の体はもう、日ごとに水晶へと変わっていく。そう遠 くないうちに、完全に物言わぬ透明な塊となるでしょうね﹂ ﹁そ、そんな⋮⋮⋮⋮⋮っ!﹂ 謎の水晶への変異。これはもう短命の呪いどころのさわぎではな い。 最愛の姉を襲う残酷な異常事態に、シエラは言葉を失い立ちすく んでいる。 ﹁じゃあ、なおさらなんでその事実を皆に伝えない? 誤解された まま死んだら元も子もないじゃないか﹂ ﹁死ぬ前に一刻も早く、全力でなすべきことがあるからです⋮⋮私 の心の目で破天の骸の本質を暴き、明らかにするという最後の使命 が﹂ ⋮⋮つまりその危険なシロモノの正体を超感覚で暴くために、死 ぬまでの時間をフルに使うつもりで一人で頑張ってるのか、この巫 女さんは。 体が得体の知れないものに浸蝕されてるってのに⋮⋮責任感もこ こまで来ると、凄まじいというかなんというか。 ﹁対抗手段やせめてその手掛かりが得られれば、死ぬ前にそれを我 が部族の者たちに、そしてエルフの方々にもしかと伝えさせましょ う﹂ 閉じられた瞳の下には、静かだが揺るぎない意志が宿っていた。 テコでも動かなさそうな、シエラにもある頑固さを数十倍にもし たような頑なさだ。 383 ﹁だから今、犠牲になるのは⋮⋮私だけでよいのです﹂ ﹁で、でも姉さまは! 姉さまが死ぬなんて、それも誤解されたま ま死んでいくなんて、そんなのって⋮⋮⋮⋮!﹂ シエラの悲愴な声。 だが、ディアーネは少し寂しそうに微笑み、首を振るのみだ。 ﹁どのみち、私はもう助からないわ、シエラ。だからせめて⋮⋮巫 女としての役目を、責任を果たさせてちょうだい。そしてすべてが 終わったら、エルフの皆にお詫びと一緒に伝えてほしいの﹂ ﹁ね、姉さまっ⋮⋮⋮⋮!﹂ 長い耳を力なく垂らし、無力感にへたり込むシエラ。 その碧色の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ち板張りの床を濡らす。 ﹁⋮⋮なるほど、事情はわかった﹂ ﹁わかっていただけましたか。あなたがたを突然捕らえたこと、今 さらですがお詫びします⋮⋮こうなった以上、早々にここを立ち去 ってください﹂ ﹁いや、それはできないな﹂ ﹁あ、主さま⋮⋮?﹂ とうに死を覚悟した顔に、困惑の表情を浮かべるディアーネ。 シエラもまた、はっと赤くなった眼で俺を見上げる。 ﹁呆れたものですね⋮⋮先の話を聞き、この忌まわしい姿を見ても なお、あなたは破天の骸を欲すると?﹂ ﹁それもあるけど、もっと別の理由が大きいな﹂ 俺は片膝をついて、ダークエルフと同じ高さに顔を並べた。 384 形のいい褐色のあごに、そっと手を添える。 ﹁あんたが死ぬのが勿体ないからだ、ディアーネ﹂ ﹁え⋮⋮?﹂ 俺が入ってきた時とも違う本物の驚きが、ディアーネの大人びた 顔にはじめて浮かんだ。 なにを言われているのかまるでわからない、といった様子だ。 ﹁あんたは美人で、いい女だ。ぜひ俺のものにしたい、だから勝手 に死なれちゃ困る﹂ ﹁あなたが何を言っているのか、よくわからな⋮⋮んんうぅっ!?﹂ ﹁え⋮⋮⋮⋮主さま、姉さまっ!?﹂ 目を丸くしたシエラの眼前で、俺はディアーネの薄桃色の唇をだ しぬけに奪った。 甘い花のような良いにおいが鼻孔をくすぐる。 ﹁っあ⋮⋮んんっっ⋮⋮!? な⋮⋮やめっ⋮⋮あ、ああっ⋮⋮! ?﹂ 硬直していたディアーネが、たっぷり数秒おいてからようやく俺 浸蝕 されて弱っているばかりではなく、俺が強引 を引き離そうと抵抗する⋮⋮が、その動きは極めて弱々しい。 破天の骸に なキスと同時に隷属術式をかけたからだ。 ﹁頑固なあんたは素直に従っちゃくれないだろうから、悪いが強制 的に従えさせてもらう⋮⋮っと、かかりが浅いな。まさかとは思っ たけど魔法抵抗持ちか?﹂ 385 巫女ってレアジョブなんだろうか? どっちにしろ、彼女をモノ にするのは俺の中でもう決定事項だ。 この美しい褐色のスレンダーボディ、大人びた神秘的な魅力、そ して気高い心と、なんとも俺好みのそそる要素ばかりだもんな。 ﹁それに、死なれるとまずい理由は他にもある。俺の可愛いシエラ に今後ずっと、死んだ魚みたいな眼でふさぎこまれちゃ、Hしても 楽しくないじゃないか、なあ?﹂ ﹁主さま⋮⋮⋮⋮﹂ まったく、せっかくエルフ&ダークエルフの義理姉妹丼3Pとか、 夢見たいなシチュが待ってるのに勿体ないじゃないか。 それこそシスティナ姫の予言で、治療のための新事実がわかるか もしれないしな。 諦めるのは、まだ早い。 ﹁あ、あなたはひょっとして⋮⋮私の体を欲していると、そう言う のですか? こ、こんなふうになった体を⋮⋮!﹂ ﹁ああ、水晶化のことか? それぐらいなら気にしないけど⋮⋮そ れとも、エッチしたら間接的に俺にも移ったりするの?﹂ ﹁そ、そういうわけではないはずですが⋮⋮っ!﹂ ﹁なら大丈夫だろ、たぶん。まあ、もしなったらその時はその時だ﹂ 好きに生きて好きに死ぬ、やりたいことをためらわないのが俺の ルールだ。 抱きたいと思った美女とセックスするためなら、多少の障害や危 険はどうってことはない。 ﹁破天の骸は、二の次だ。俺はまずあんたが欲しい⋮⋮ダークエル フの巫女、ディアーネ﹂ 386 破天の骸 ̶̶必ずや、我が手に。すべては、そのための駒﹄ ※ ※ ※ ﹃ ヘイズ・キャッスル 陽炎魔宮 ノーヴル・エイト の玉座の間。 床から天井まで、四方を血の色をした魔宝石によって組み上げら れた この魔城の支配者たる八冥家イヴリースは、真紅の球体の中から おごそかに思念波を放った。 ﹃その名が示す通り、天をも破る大いなる遺産̶̶あれを手中にし た者は、文字通り魔界を制す﹄ の正体⋮⋮それは魔界でも、限られたものしか知ら イヴリースほどの大魔族の声に、身震いするかのような畏れの色 破天の骸 が混じった。 ない秘中の秘。 魔王 の骸、 あらゆるパワーバランスを覆す、あってはならないワイルドカー ド。 ﹃あれこそは数千年の昔に滅びし魔界の支配者̶̶ そのものであるゆえに̶̶!﹄ 387 29話:狂える公女と、樹海に墜つもの 俺がダークエルフの巫女ディアーネにかけた隷属術式を、完成さ せようとした、まさにその時。 ほとんど吹き飛ばされるようにして、傷付いたアメリアが神殿に 転がり込んできた。 ﹁き、気をつけろ、マスター⋮⋮っ! そいつ、ヤバい、ぜっ⋮⋮ !﹂ ふわりと降り立った小柄な人影に、俺たちの視線が集中する。 突然の闖入者は、黒い和服に似た奇妙な衣装をまとったひとりの 少女だった。 紫がかったストレートロングの下で、いたずらっぽい瞳が俺をま っすぐに見つめている。 ﹁あれ、あれれ? ねぇ⋮⋮なんでお兄さんから、パルミューラの 魔力のニオイがするのかなぁ?﹂ 背中のコウモリめいた羽根、額に刻まれた魔紋⋮⋮間違いない、 こいつは魔族だ。 それもパルミューラを呼び捨てにしてることからしても、同格か それ以上⋮⋮! ﹁お前⋮⋮イヴリースの仲間、か?﹂ ﹁へぇ、イヴリースお姉様のこと知ってるんだ? ていうか、質問 してるのあたしの方なんだけどなぁ?﹂ 388 お姉様、と来たか。つまりこいつ、イヴリースの妹かよ。 冗談じゃない、キリカたち主戦力がいない時にこんな大物やって くるなんて、さすがに想定外だぞ。 俺はごくりとツバを飲み込み、一見無害な少女そのものの魔族か ら目をそらさないようにして会話を続ける。 ﹁魔貴族のパルミューラを探して、ここにやって来たってことか⋮ ⋮?﹂ ﹁あっ、やっぱ知ってるんだ。そうよ、あいつのニオイをたどって 来たの。そしたらあいつじゃなくてお兄さんがいて、これってどう いうことなのかなぁって﹂ 破天の骸 の一部がここにあることは、まだ 不思議そうに細い首をかしげる、パルミューラに輪をかけて幼い 外見の少女魔族。 まさかこいつ⋮⋮ 知らないのか? 魔族だから外見どおりの年齢じゃないだろうが、見た目どおりあ まりものを考えてそうなタイプには見えない。 本当にパルミューラだけが目当てで偶然ここにたどり着いたって ことなら、まだ最悪の事態は回避できる。 ﹁⋮⋮パルミューラの居場所なら、知ってるぞ。教えてやろうか?﹂ ﹁え、ほんとう!?﹂ ぱぁっと無邪気に、無邪気すぎてどこか怖いくらいの笑顔を咲か せる魔族の少女。 よし⋮⋮なんとかここからこいつを引き離すことが先決だ。 見た所単独行動のようだし、どういう事情か知らないがパルミュ ーラ以外に興味が無いなら好都合。 389 ﹁ああ、だからとりあえずここを出て⋮⋮﹂ 脳内でめまぐるしく策を考えながら、そこまで口にした、その瞬 間。 がしっ、と俺の着ているローブが細い手で掴まれた。 ﹁ありがとう、お兄さん! あたしフラミア、よろしくね! じゃ あ⋮⋮こんなホコリっぽい穴さっさと出ちゃおうね﹂ ﹁お、おい? 何をっ⋮⋮!﹂ フラミアと名乗った魔族の、俺を掴んでない方の手が、すっと頭 上に差し伸べられた。 バグンッッ!! という異様な音。 ﹁な⋮⋮!?﹂ 地下集落と地上とをつなぐ天井部分、おそらく数mはあるはずの 頑丈な岩盤に⋮⋮巨大な大穴が一瞬で穿たれたのだ。 まるで、見えない何かにえぐり取られでもしたように。 ﹁い、一体、何が起こったのです!?﹂ ﹁うんうん、これで通りやすくなったねー﹂ 背後で硬直しているシエラとアメリア、そして盲目のディアーネ の混乱をよそに、俺をぶら下げたまま大穴めがけて浮き上がるフラ ミア。 パルミューラに関係のある俺以外には、まるで興味がないようだ った。 ﹁あ、主さまっ⋮⋮⋮⋮!﹂ 390 ﹁くっ、ま、マスターを放せ、よぉっ!﹂ 反射的に弓を構えようとするシエラと、傷付いた体でなお健気に 立ち上がろうとするアメリアを、俺はとっさにハンドサインで制し た。 手を出すな、と。 ︵ヤバい。こいつはアメリアの言う通り、確かにヤバい⋮⋮!︶ 理性的な話が通じるぶん隙もあったパルミューラとは違う。 わけのわからない破壊の力を、あたりかまわず振るうことにまる で躊躇がない⋮⋮! ﹁さっ、じゃあ行こうか、お兄さん。パルミューラのいる場所まで、 ちゃあんと案内してもらうからね?﹂ ※ ※ ※ ﹁ふ、フラミアじゃとぉ!? なにゆえあやつが、人間界に出てき ておるのじゃっ!?﹂ ダークエルフの集落からやや離れた、シェイヨル大森林の湖のほ とり。 かすかな爆発音と共に、集落から空に浮上した影⋮⋮その正体に 気付いたパルミューラは驚愕の声をあげ、慌てて大樹の陰に身を隠 した。 ﹁ちょ、ちょっと! あれ、魔族よね? なんであいつが捕まって 391 るのよ!?﹂ 小さなコウモリ状の羽でパタパタと樹海の上を飛ぶ小さな魔族が、 ぞんさいに抱えてぶら下げているローブ姿⋮⋮それはまぎれもなく、 小田森トオルだった。 ﹁知らぬわ! それよりもっ、おぬしもはやく身を隠さんか姫騎士 っ!﹂ ﹁知ってるのね、パルミューラ? あの魔族のことを﹂ 樹上からふわりと隣に着地し、魔貴族を問いただそうとしたキリ カは、さらなる驚きに目を見開いた。 魔界第四位階の魔貴族、あの尊大なパルミューラが、うつむいて かたかたと震えていたのだ⋮⋮まぎれもない恐怖に。 狂公女 フラミア⋮⋮! あの小娘は八冥家イヴリースの実妹 マッドプリンセス ﹁パルミューラ、あなた⋮⋮!﹂ ﹁ にして、ヤツの陣営でもっとも恐れられる規格外の単体戦力じゃ⋮ ⋮っ!﹂ 遠目に見るフラミアという魔族の小さな体はとてもそうは見えな かったが、パルミューラのおびえようは尋常ではなかった。 よほど恐ろしい目に遭わされたことがあるのだろうかと、キリカ は想像する。 ノーヴル・エイト ﹁よいかよく聞け⋮⋮! わらわがなぜ、にっくきイヴリースめか ら八冥家の地位を取り戻すために、遠大な策を永きに渡って準備す る必要があったと思う? なにゆえ直接戦うという方法を選択肢か ら除外せざるを得なかったと思う!?﹂ 392 詰め寄る魔貴族少女の剣幕に、思わず気圧されるキリカ。 ﹁かつてあやつ、フラミアたったひとりによって、我が精鋭魔軍の ほとんどが壊滅に追い込まれたからに他ならぬ⋮⋮!﹂ ﹁え⋮⋮!? か、壊滅って⋮⋮!﹂ ﹁そう、壊滅じゃ⋮⋮! 単体戦闘力、特に殲滅力だけならば、こ とによるとフラミアはイヴリース自身より上やもしれん⋮⋮!﹂ ﹁そんなに恐ろしい相手なの、あの子!?﹂ ぎりっ、と唇を噛み、遥かな過去の屈辱に震えるパルミューラ。 ﹁じゃが姉の言うことしか聞かず、戦場では味方まで躊躇なく攻撃 に巻き込むゆえに、イヴリース陣営ですら持て余された狂犬⋮⋮そ れがなぜ、かような場所に⋮⋮っ!﹂ ﹁で、でも! あんなすぐ近くにあいつがいるんなら、隷属魔法を かけてしまえるんじゃないの?﹂ その可能性に思い至ったキリカに、だがパルミューラはゆっくり と首を振った。 ﹁姫騎士よ⋮⋮おぬしにはあれが、支配した相手にとらせておる行 動に見えるのか?﹂ どんよりした顔で、パルミューラが指し示す。 ご主人様 の姿を。 空中から、まるでヘリコプターの輸送物資か何かみたいに吊り下 げられてもがいている、彼女たちの ﹁見えない⋮⋮わね﹂ 393 ※ ※ ※ 眼下に広がる、青々とした樹海の光景。 吹きすさぶ風が、ローブをばたばたと揺らす。 ︵くそっ⋮⋮なんてこった、いくらなんでもタイミングが最悪すぎ るぞっ!︶ 問題だ。 かけたくてもかけられ ちょっとした絶叫マシーン状態を味わわされながら、俺は心の中 で悪態をついた。 。 枠 今このとき、俺はフラミアに隷属魔術を ない その理由は他でもない、魔隷の ︵あの見張りのダークエルフに隷属をかけたままにしてたのが、ま さかここで祟ってくるなんてな⋮⋮!︶ かけ始めた ディアーネでふ そう、残りふたつの魔隷の空きは、脱獄の際に支配下に置いたダ ークエルフと、そして半端に術式を さがった状態だ。 誰かの隷属支配を解除しなければ、新たな魔隷を作り出すことは できない。 そしてすべての魔隷は今、俺から離れた場所にいる⋮⋮隷属と同 様、解除にも近くに寄った状態で時間のかかる処置をする必要があ るのだ。 ﹁ん∼、風が気持ちイイなぁ∼。なんでお姉様ったら、こんなに楽 しいこといっぱいの人間界に出ちゃダメって言うのかなぁ?﹂ 394 しかも次に何をしでかすかもわからない、気まぐれで危険な魔族 と二人で、逃げ場のない空の上にいる。 考えうる限り、これは最悪の状況だった。 ﹁さ∼て、じゃあそろそろ教えてもらおっか、お兄さん。パルミュ ーラの居場所⋮⋮いまさら知らないとか、言わせないからね?﹂ 無邪気そうな口元からのぞく可愛らしい八重歯。 だがこいつは、目に見えない謎の攻撃手段で分厚い岩盤を瞬時に ブチ抜き、アメリアをものともせずあしらう驚異的な力の持ち主な のだ⋮⋮第一、その能力の正体が、まるでわからない。 くそっ⋮⋮考えろ、考えるんだ。 この状況で、俺に何ができる⋮⋮!? ※ ※ ※ ﹁ちょ、ちょっと! このままじゃあいつ⋮⋮連れ去られてしまう わ!﹂ ゆっくりと視界の外に飛び去りつつあるフラミアとトオルの姿に、 焦りを含んだ声をあげるキリカ。 ﹁⋮⋮ムダじゃ、やめておけ姫騎士﹂ だがパルミューラは、薄い胸の前で力なく腕組みをしてそっぽを 向いた。 395 ﹁ただでさえ分散した今の戦力⋮⋮いや、そうでなくてもフラミア に勝てるとは思えん。そして原因はわからぬが、魔隷術師が隷属も させられないなら万に一つの逆転も望めぬ﹂ わらわを倒した時のようにはな、と自嘲気味に笑うパルミューラ。 その表情にはいつもの傲岸不遜なプライドのかけらもない⋮⋮は なから、フラミアと戦う気などないかのようだった。 ﹁あなた⋮⋮逃げるつもりね、パルミューラ?﹂ ﹁はっ! 本来の力を完全に取り戻していたとしても、勝ち目のな い相手じゃぞ? 魔力の多くを封じられた今のわらわでは最初から 勝負は見えておるわ﹂ ﹁そうかもしれないけど⋮⋮でも、このままじゃあいつが!﹂ ﹁死ぬかもしれぬと? 確かに、その可能性も高かろうな⋮⋮フラ ミアにとって姉以外の命など等しくムシケラ以下。じゃが、な﹂ 黒いゴスロリドレスをひるがえし、くるりとキリカに背を向けて、 魔貴族少女はつぶやいた。 それこそ好都合ではないのか⋮⋮と。 ﹁パルミューラ、あなた⋮⋮!﹂ ﹁思い出せ、姫騎士! そもそも我らはさっきまで、あの魔隷術師 めの支配から逃れる話をしておったではないか。ヤツがヘタを踏ん で自滅するならそれこそ好都合! 隷属からもフラミアからも、ま とめて逃れる好機ではないかっ!﹂ 背を向けたまま、肩を震わせて一気にまくしたてる。 その小さな背中を、キリカはじっと見つめ。 396 ﹁本当に⋮⋮そう思ってるの?﹂ ﹁⋮⋮っ、そ、それ以外に何がある!? よいか姫騎士よ、悪い事 は言わぬ、おぬしも今のうちにさっさとあの狂公女からできるだけ 遠くに⋮⋮お、おいっ!?﹂ 輝く足場を蹴って、キリカが再び樹上へと飛び上がった。 その瞳は、こうしている間にも樹海の地平線に消えつつある影を、 まっすぐ見据えている。 ﹁ありがとう、パルミューラ。私、今のあなたを見てて逆に決心が ついたわ﹂ ﹁な、何を言っておる、おぬし?﹂ ﹁確かに、あいつから⋮⋮小田森くんの支配からは、いつか逃れて やるって決心したわ。その気持ちは今でも変わらない⋮⋮でも!﹂ ゆっくりと、しかしよどみない動作で、キリカは煌剣アルカンシ ェルをすらりと抜き放つ。 ﹁私が望むそれは、こんな形じゃないわ! だいたい、もし小田森 くんが死んじゃったら、文句のひとつも言えないままじゃない!﹂ そんなのまっぴらごめんだわ⋮⋮と、キリカは黒髪をなびかせな サークル・エアリアル がら断言した。 天翔輝円を足場に、空を裂いて上昇する甲冑姿。 ﹁や、やめぬか! 死ぬぞっ、フラミアにはその剣でも勝てぬぞっ !?﹂ ﹁やってみなきゃわからないじゃない! パルミューラ、別に私は あなた自身の判断に異論を挟んだりはしないけど⋮⋮ひとつだけ言 わせてちょうだい﹂ 397 樹上にすっくと立ち、蒼いマントをなびかせて、キリカが見下ろ す。 眼下で慌てふためく魔隷仲間、パルミューラを。 ﹁あのフラミアって娘から、そして今の状況から逃げ回ってるあな たは⋮⋮とても格好悪いわ﹂ ﹁⋮⋮っ!!?﹂ ※ ※ ※ ﹁⋮⋮てぇぇぇぇぇいッッッ!!﹂ 裂帛の気合いと共に、虹色の輝きが空中を薙いだ。 疑似空間断層。あの魔騎士グルームをものともせず両断した、王 家の宝剣アルカンシェルの斬撃だ。 ﹁え、えっえっ? なに、なんなのぉっ!?﹂ 反射的に高度を下げたフラミアのいた場所を、七色の刃とその持 ち主が疾風のごとく通過した。 急激な加速と制動で、俺の体はジェットコースターにくくりつけ られたみたいに振り回され、思わず悲鳴をあげそうになる。 ﹁姫野さんっ!?﹂ 輝く足場を蹴って、俺たちの前方に回り込むように空中で向き直 る、銀甲冑の姫騎士。 398 パルミューラと共に別行動をとっていたキリカが、このギリギリ のタイミングで追いついて来たのだ。 ﹁き、奇襲にしても無茶苦茶だぞ! 俺が落ちたらどうするんだよ っ!?﹂ ﹁ごめんね、小田森くん。ま、その時はできるだけ頑張ってキャッ チしてあげるから!﹂ ﹁できるだけ⋮⋮っておい!? まさか、俺をまとめて始末する気 じゃないだろうな⋮⋮?﹂ ﹁私がそうすると思うかどうか、自分の胸に聞いてみれば?﹂ 軽口を応酬しつつ、俺は胸中に複雑な思いがじんわりと広がるの を感じた。 この絶望的状況下で、キリカは俺を救出に来た⋮⋮おそらくパル ミューラからフラミアの強さと危険性を聞いても、なお。 逃げる、あるいは見過ごすという判断もできたはずなのに、そう はしなかったのだ、キリカは。 ﹁なによなによ、いきなり失礼しちゃうなぁ⋮⋮なんなの、お姉さ んは? あっ、ひょっとしてパルミューラの仲間?﹂ 不機嫌そうにむくれた顔で、離れた足場に立つキリカに問うフラ ミア。 ﹁答える必要はないわ。いいからその人を放してちょうだい、さも ないと⋮⋮!﹂ 出会い頭の奇襲が失敗したことに表情をやや硬くしつつ、キリカ が樹上で煌剣を構え直す。 突然の襲撃者による宣告に、フラミアはさぞ怒り狂うと思いきや 399 ⋮⋮。 ﹁あはっ! あたしと遊んでくれるんだ、お姉さん? ちょうどよ かったぁ、このへんの魔物じゃアイツを潰す準備運動にもならない んだもんっ!﹂ 天真爛漫な笑顔で恐ろしいセリフを吐きながら、俺を掴んでない 方の手がキリカに差し向けられた。 やばい、さっきと同じなら、フラミアの攻撃は⋮⋮! ﹁よけろキリカッ! こいつの攻撃は視認できない、いきなり発生 するぞッ!﹂ ﹁⋮⋮っ!﹂ 歪んだ よ ﹁ふふっ、もう⋮⋮遅いよっ! ほら、ぺしゃんこになっちゃえ!﹂ ゆらり⋮⋮と一瞬、俺たちとキリカとの間の空気が うに見えた。 だがキリカは、逃げるでも飛ぶでもなく、キッとフラミアを見据 え。 ﹁はぁぁ⋮⋮せいっっっ!!﹂ ひゅぱんっ⋮⋮! 虹色の光を帯びた半透明の斬線が、その歪みそのものめがけて切 り下ろされた。 ﹁え!?﹂ 驚きの声をあげたのはフラミアの方だった。 パシッ⋮⋮というガラスにヒビでも入ったような甲高い音が鳴り、 400 キリカの眼前に迫りつつあった空気のゆらぎは、真ん中から左右に 散らされるようにして消滅したのだ。 ﹁パルミューラが、最後に教えてくれたわ⋮⋮あなたの攻撃は、空 間そのものに作用すると﹂ そうか⋮⋮! フラミアは空間自体を圧壊させたり、引き裂いた りしているのか。そりゃ見えも防げもしないわけだ。 だが、例外がここにある。 同じく空間そのものを切り裂く煌剣アルカンシェルの斬撃ならば ⋮⋮! ﹁それを切り裂いて、相殺できる⋮⋮ってことか!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮!﹂ ぱちくりと不思議そうに、自分の手と、キリカとを交互に見つめ るフラミア。 おそらく、自分の攻撃が防がれるなんて経験は初めてだったに違 いない。 よし、これなら⋮⋮この相性の良さなら、勝てる目がある。キリ カは、このフラミアに! ﹁ふうん⋮⋮おもしろいね、お姉さん。⋮⋮でも、ね﹂ ぞわり、と俺の背筋に寒気が走った。 俺からは直接見えない位置で、フラミアがくすくす笑っている⋮ ⋮心底、楽しそうに。 ﹁じゃあじゃあ、これならどうかなあ? どうするのかなあ!?﹂ ﹁っ!!?﹂ 401 次に起こった事態に、俺とキリカの瞳が、同時に見開かれた⋮⋮ 絶望的なその光景に。 ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ⋮⋮! 空間の揺らぎが、いくつもいくつも⋮⋮視認できるだけで十や二 十はくだらないそれが、キリカを全方位から何重にも囲むように発 生したのだ。 ﹁なっ⋮⋮こ、こんなにいくつも、一度にっ⋮⋮!?﹂ ﹁ふふっ、どうしたのぉ? まだまだ出せるよ、ほらほら、ほらぁ っ!﹂ なんてこった⋮⋮! いままでの攻撃は、手加減もいいとこだったのか。いや、普通は 一発で勝負がつくような必殺の一撃が、手加減といえるならだが。 俺はあらためてフラミアの、イヴリースの妹の力に戦慄した。お そらくはキリカも。 ﹁に⋮⋮逃げろ、姫野さんっ!﹂ ﹁冗談、どこに逃げるっていうのよ! こうなったら、腹をくくる しかないわ!﹂ サークル・エアリアル 言うや、天翔輝円を蹴って一直線、キリカは俺たち⋮⋮いや、フ ラミアめがけて逆に距離を詰めた。 その間にいくつもたゆたう空間の歪みを、高速の斬撃でひとつ斬 り払い、切り返した刃でもうひとつ切り裂き、限界まで聖騎剣技を、 アルカンシェルを振るう。 その戦術的判断自体は、間違ってない。 だからこそ俺も、限界までその身体能力をブーストするべく魔力 を注ぎ込む。 402 だが⋮⋮! ﹁うふふっ、背中がお留守だよ、お姉さん?﹂ ﹁っ⋮⋮あぐぅぅぅあっっ!!?﹂ フラミアまであと2m圏内に迫ったその刹那。 背の蒼いマントが、螺旋状にググッと引っ張られたかと思うと、 甲冑の背部ごと砕け千切れ飛んだ。 ほぼ不過視であるために距離感を掴むことすら困難な、圧壊空間 の全周包囲網が、ついに姫騎士を捉えたのだ。 しょせん、刀身の及ぶ範囲内にしか疑似空間断層を生み出せない キリカに対し、フラミアは無制限に離れた場所に生成が可能である 以上⋮⋮悲しいがこの結果は、当然といえるものだった。 ﹁すごいすごい、ほんと頑張ったねえお姉さん。シュトラールの次 くらいに頑張れたんじゃないかな? でも、残念だけどこれで⋮⋮﹂ ﹁お、おい、やめっ⋮⋮!﹂ 俺の静止など聞くはずもなく、着物の袖口から伸びたフラミアの 白い手が⋮⋮死刑宣告のように振り下ろされた。 ﹁あ⋮⋮きゃぁぁぁぁぁぁあああっ!!?﹂ 上と下から、挟むように発生した巨大な圧壊空間が、傷付いた姫 騎士をたやすく捕まえ⋮⋮! ﹁はい、おしまいっと﹂ 閃光、そして衝撃波と共に、大爆発のような轟音が耳をつんざく。 403 ﹁き⋮⋮キリカぁぁぁぁぁぁっっっ!!﹂ 眼下に広がる大森林へと、まるで撃墜された戦闘機のごとく、ぼ ろぼろになったキリカが落下してゆく。 俺はただそれを、呆然と見つめるしかなかった。 404 29話:狂える公女と、樹海に墜つもの︵後書き︶ 更新を大変お待たせして申し訳ありませんでした⋮⋮! 次回、EX−Hシーン︵キリカ、システィナ姫との3P︶を挟む予 定です。 405 ︻EXーHシーン︼キリカと、姫と、水着と︵前編︶︵前書き︶ ※投票で決定した﹁エキストラHシーン﹂第二弾。 時系列は23話付近、新たな拠点となった伯爵別邸でのできごと。 406 ︻EXーHシーン︼キリカと、姫と、水着と︵前編︶ 屋内プールサイドのざらついた床が、体育座りを続けて痛がゆく なった尻に不快な感触を伝えてくる。 昨日まで風邪で寝込んでいた病み上がりの俺は、ぼんやりと水泳 授業を見学している真っ最中だった。 水を散らして目の前を行き来したり、あるいはめいめいに泳いだ りサボって雑談したりのクラスメートたちは、俺の存在などまるで 背景か置物のように気にも留めない。 ︵前から思ってたけど、学校生活屈指のムダな時間だよな、これ︶ いや⋮⋮それを言うなら、他も同じか。 だらだらと代わり映えのない日常に何の楽しみも喜びもない俺に とって、ある意味すべてが大差なくつまらない時間だ。 あくびをかみ殺し、尻をさする⋮⋮と、男どものざわめきが大き くなった。 連中の注目が集まる先は、飛び込みポジションに立ったひとりの 女生徒だ。 俺の視線もまた、そこに吸い寄せられる。 ︵姫野⋮⋮桐華︶ 品行方正を絵に描いたクラス委員にして、学年屈指の人気を誇る 文武両道の美少女。 そのすらりとした肢体は、学校指定の色気ひとつない競泳水着に 包まれていてもなお、一人だけレベルの違う華やかなオーラをまと 407 っていた。 まるで周囲はモノクロなのに、そこだけフルカラーで色でもつい ているかのようだ。 しかもスレンダーな体格ながら、青紺の水着に押し込まれた胸の 膨らみは窮屈そうで、隠れ巨乳と噂されるのも無理はない。 笛の音が響き、流線型の美しいフォームとなって、プールに踊り 込む桐華。 俺は間抜けにも口をわずかに開けて、その光景をじっと見つめて いた。 ︵姫野さん⋮⋮か︶ コミュ力皆無の俺にとって、彼女が同じクラスメートであること は逆に残酷なくらいだった。 仲良くなる切っ掛けどころか、まともに話したことすら一度もな い。 今までも⋮⋮もちろんこれからも。 彼女はそのうち俺以外の誰かと付き合って、セックスをして、結 婚して⋮⋮そしてその頃には俺という一介のクラスメートの存在な んざ、名前ごと忘れてしまっているだろう。 ︵はあ⋮⋮何当たり前のこと考えてるんだ、俺は︶ そんな空しい感情を共有し、一緒にぼやき合うような友達ひとり 俺にはいない。 憎たらしいほど奇麗なフォームでクロールする姫野桐華をぼんや り眺めながらつい、ふと夢想する。 もし、あの誰もが憧れる姫野桐華を⋮⋮ありえないことだが、も 408 しも。 お仲 まるでエロ漫画か何かみたいに、弱みを握るか何かして言いなり にできたなら。 その時俺は、どんな気分を味わえるのだろう、と。 その時彼女は、どんな顔をするのだろう、と。 ﹁⋮⋮ねえ、小田森くん﹂ 隣からだしぬけにかけられたその声に、はっと我に返る。 がいたんだった。 そうだ、今日の俺には̶̶このつまらない時間を共有する 間 ﹁どうしたの、さっきからボーッとして﹂ 俺の妄想を邪魔したことなど知る由もなく、ぶしつけに言葉を続 けてくるそいつ。 そうだ、このクラスメートの名前は̶̶。 ※ ※ ※ 燦々と降り注ぐ初夏の日差しが、揺れる水面にキラキラと反射し ている。 それは川でも海でも、もちろん風呂場でもない。 ﹁プールか⋮⋮なんか、懐かしいな﹂ そう、ここもまたプール、ただし異世界のそれだ。 409 転生前の学校にあったような長方形の庶民的なやつではなく、元 の世界なら高級リゾートホテルの敷地内にでもあるような、広大な 楕円形の構造をしており、南国を思わせるヤシに似た植樹に囲まれ ている。 俺が隷属させ、新たな拠点としたユーリナ女伯爵の別邸⋮⋮そこ の中庭に設置されていた、贅沢な屋外娯楽施設。 シェイヨル大森林へ行くための準備をあらかた終えた俺たちは、 ここで出発前の骨休め中というわけだった。 ﹁あ∼、水ん中で体を思いっきり動かすのは気持ちいいなぁ! そ らそらそらそらぁぁっ!!﹂ 高速クロールで波を蹴立てて、猛然とプールを横切るアメリア。 さすが高レベル戦士、地球ならオリンピックとか狙えるんじゃな いかって勢いの身体能力だ。 健康的に日焼けした小麦色ボディを彩る白いビキニが、実にまぶ しい。 ﹁ちょっ、デカい体で水を飛ばすでない、女戦士! わらわの髪が 濡れるであろうが!﹂ ぱるみゅーら と胸ゼ 二本角が飛び出した銀髪をかばいつつ、プールサイドで文句を飛 ばす魔貴族のぺたんこボディを包むのは、 ッケンに書かれた紺色のスクール水着。 あいつ⋮⋮まだあれを高貴な者が身につける水着だと信じてるん だな。ちょっと可哀想になってきた。 ﹁まあまあ、パルちゃんも一緒に泳ぎましょうよ。せっかくだし、 ほぉ∼らっ!﹂ ﹁こ、こら押すでない!? 落ち、落ちるっ⋮⋮ぬ、ぬわぁぁぁっ 410 っ!?﹂ いつの間にか忍び寄ったニーナ︵黄色のワンピースタイプ着用︶ に背中を押され、飛んで逃げるヒマもなく、諸共にざぶんと水中に 転落するパルミューラ。 ぎゃうぎゃう暴れながら、きゃっきゃっと笑う女法術師の体に必 死でしがみついている。 ﹁ナンダナンダ、マサカ泳ゲナイノカ? 情ケナイ奴ダ﹂ ローレライ 水中からざばっとカメラアイの頭部を突き出して、犬猿の仲の魔 貴族を笑う赤銅色のアーマーゴーレム。 マーマン ﹁うっ、うるさいわいガラクタ人形! 魚人や水妖の類いでもある まいに、誰が好き好んで水なんぞにわざわざ浸かるかっ、いやしく もこの魔界第四位階の̶̶んぷぁぼがばっ!?﹂ ニーナが小さな背中にのしかかるように身を乗り出したせいで、 哀れにも魔貴族様は長ったらしいセリフを最後まで言えずに沈んで いった。 ﹁そういえばナナちゃんは、防水魔法とかなくても大丈夫なんでし たっけ?﹂ ﹁問題ナイ。ナナノ体ハ、錆ビル心配ナンカナイゾ。泳グノ、トテ モ楽シイ! 充実ノ刻ダ!﹂ だが、ナナの鈍重な巨体はその代わり水に浮いたりもしないらし く、さっきからプールの底をずんずんと歩いて往復している。 あれも、泳いでるって言うのだろうか⋮⋮? まあナナ自身が楽しそうだからいいか。 411 ﹁主さまは⋮⋮⋮⋮泳がない、の?﹂ トランクス型の水着を穿いてプールサイドの長椅子に寝転ぶ俺の 視界に、たゆん、と揺れるたわわなおっぱいが飛び込んで来た。 お楽し 細身なエルフの体に似つかわしくない巨乳を、南国の植物を思わ せる明るい緑色のパレオタイプ水着に包んだシエラだ。 だしな﹂ ﹁ああ、俺はあの二人が来てからにするよ⋮⋮そこからが み ﹁⋮⋮⋮⋮??﹂ にやりと笑う俺、不思議そうに小首と長耳をかしげるシエラ。 そしてその言葉を待っていたかのように、脱衣所に続く扉から二 人の人影が姿を現した。 ﹁お待たせしましたわ、トオル様⋮⋮﹂ ﹁っ⋮⋮く! な、なんて格好よ、これっ⋮⋮!﹂ 遅れてプールに姿を見せたのはシスティナ姫、そしてキリカ。 彼女たちの体は、他のみんな同様、俺がチョイスした水着に包ま れている。 だが⋮⋮そのデザインたるや。 ﹁わわ、うわぁ⋮⋮!﹂ ﹁な⋮⋮なんじゃアレはっ!?﹂ ﹁うおっ、すげぇ!﹂ 思わず他の魔隷たちが息を呑むのも仕方ない。 412 細い布 だった。 まず、システィナ姫のグラマラスな肢体を覆っているのは⋮⋮水 着というよりも 首の後ろで繋がった数cm幅の帯状布が、鎖骨から股間へと一直 線に左右二筋、体の前面をまっすぐに下りている。 それは100cmをゆうに超えるロイヤル爆乳のそれぞれ真ん中 を、乳首をかろうじて隠す形で密着して通り、股間部分で繋がって 柔らかそうなお尻へと続いていた。 あまりにおっぱいのボリュームが大きくせり出しているため、下 乳からおヘソのあたりにかけては、布がすっかり肌から浮いたスペ ースを作ってしまっているほどだ。 前から見れば二本、後ろから見れば一本の布が、本来衆目に晒さ れるなどあってはならない王族のきめ細かな裸肌、そのYゾーンだ けをかろうじて隠しているに過ぎない。 いわゆるスリングショット水着⋮⋮高貴なるランバディア王家の 第三王女が身に着けるには、あまりにも破廉恥なエロ水着だった。 ﹁こ、この着方で本当に間違っていないんですの? あの⋮⋮なん だかこれ、胸の部分がその、こぼれてしまいそうで⋮⋮!﹂ パール色の布地から今にもこぼれ落ちそうなずっしり巨乳を抱え 込むようにして、さすがに恥ずかしそうに内股の前傾姿勢をとるシ スティナ姫。 この格好でも律儀に頭へ乗せているティアラが、ウェーブがかっ た金髪と共に陽光を反射してきらきらと輝いていた。 ﹁ひ、姫さまにあんな格好させるなんてっ⋮⋮それに私も、こんな ⋮⋮ううっ﹂ そしてもう一方、姫騎士キリカの水着はというと。 413 こちらは布ですらなく⋮⋮まさに ヒモ 、だった。 クモの巣かあやとりのように、ハシゴ状に組まれた黒い極小生地 が、姫に負けず劣らすグラマーなむっちりボディの秘所を、本当に 申し訳程度のレベルで包み隠しているだけ。 おかげで一見、面積自体は姫の水着より多く見えても、その実ほ とんどの肌が明るい光の下に、皆の目に晒されてしまっている。 姫には及ばないまでも元の世界では学年屈指と囁かれたEカップ 隠れ巨乳の魅惑的ラインを、食い込むようにして彩る縦横のヒモ水 着が、肝心な乳首部分をほぼ隠せていないことは、キリカ本人の手 が必死にそこを覆っていることからも明らかだ。 腰部もまた、ぷりんと丸く白いお尻がほとんど全部露出している ばかりか、大半が露わになった下腹部からは薄い恥毛が今にも覗き そうなほど大胆なカッティング。 ヒモ同士を繋ぐ金色の輪っかや、要所に配置された小さなリボン も、こうなっては逆にイヤらしいデコレートに見えてくる。 もはやみずみずしい裸体を隠すというよりは逆に、男を誘うメス としての部分を強調し、妖しく作り替えているかのようなマイクロ ビキニだった。 ﹁いやぁ∼、思った通り二人とも似合ってるじゃないか。全然おか しくないよ、うんうん﹂ ﹁え、そうですの? トオル様がそうおっしゃるなら⋮⋮﹂ ﹁ちょ、姫さま!? またこいつの口車にっ、そんな簡単に騙され ちゃダメですってば!﹂ つややかに輝く長い黒髪をぶんぶん振って、天然気味な姫の反応 に慌ててツッコミを入れるキリカ。 俺は目の前に並ぶ期待通り⋮⋮いや、期待以上の豪華な眼福ショ ーをニヤニヤしながら見つめる。 414 ﹁いや∼、あたしも結構大胆デザインのつもりだったけど、こりゃ 負けるわ、うん﹂ ﹁はぁぁ⋮⋮格差社会ってザンコクですよねー。ねぇパルちゃん﹂ ﹁おい、なにゆえ微妙に哀れみを含んだ視線でわらわを見るッ!? おぬしとてだいぶ貧しめであろうが!?﹂ ﹁シエラは⋮⋮⋮⋮まだ負けてない、おっぱい魔隷として⋮⋮⋮⋮ !﹂ ﹁ヤッタ! 往復タイム、マタ1秒縮マッタゾ!﹂ 口々に勝手な感想をもらす魔隷たち︵と、マイペースな約一体︶ の前で、体を縮こまらせて羞恥に震えるふたりのエロ水着美少女。 ランバディア王国の至宝とまで言われた爆乳姫と、元クラスメー トの美巨乳姫騎士⋮⋮そんな高嶺の花二輪を思うがままに従える立 場となった圧倒的達成感を、ずくんずくんと熱を持つ下半身の脈動 と共に、俺はあらためて実感していた。 さあて⋮⋮お楽しみは、ここからだ。 ※ ※ ※ ﹁そうそう、お上手ですよ姫さま! その調子なら、すぐ泳げるよ うになりますって﹂ ﹁え、ええ! キリカ、ちゃんと手を握っていてくださいね?﹂ 慣れないバタ足で進むシスティナ姫の手を、立ち泳ぎのキリカが 引いて導く、ほほえましい光景。 今までまともに泳いだことのないという姫︵まあファンタジー世 415 界の王族ならそれも無理はない︶に、泳ぎを教える役目を買って出 たのだ。 なるほど、いちど水の中に入ってしまえば、恥ずかしい水着姿を はっきり人目に晒す心配もない⋮⋮という判断もあったのだろう。 だが̶̶甘い。 そんな浅知恵は、俺の欲望の前にはちゃんちゃら甘いと言わせて もらおう。 少し離れた場所で水に浸かり、プールの縁に体を預けつつ⋮⋮俺 はいよいよ行動を開始した。 ︵術式⋮⋮起動︶ まるで見えないキーボードでも叩くように、金属の指輪をはめた 指を水中で規則的に踊らせる。 と̶̶次の瞬間。 ﹁⋮⋮ひぁんっっ!?﹂ 可愛い悲鳴がひとつ上がり、肩から上を水面に出したキリカの体 が、ビクンと跳ねた。 水滴が玉になって表面をこぼれ伝うほどきめ細かなその美肌が、 ふるふると震えている。 ﹁?? 変な声を出してどうしましたの、キリカ?﹂ 突然、誘導の手が止まった事に、不思議がって水中から顔をあげ るシスティナ姫。 ﹁な⋮⋮なんでもありません、姫さま。つ⋮⋮続けま、しょう﹂ 416 ﹁ええ⋮⋮?﹂ わずかに顔を赤らめ、何かを押し殺すように喋る友人の様子に疑 問を抱きながらも、気のせいと結論付けて姫は再び泳ぐ体勢へと戻 る。 今、キリカに起きている異変の正体は⋮⋮俺だけが知っている。 ﹁⋮⋮っ! な、なによ、これっ⋮⋮!﹂ あるもの が あなたの仕業ね小田森くん̶︱と、こっちを睨むジト目が物語っ ている。 もし水中カメラでもあれば、そんなキリカの体に 水 そのものだ。 今まさに悪戯を仕掛けているのが分かっただろう⋮⋮それは、意志 でもあるかのようにグネグネと渦巻いた コントロールウォーター⋮⋮すなわち、周囲の水をある程度思い 通りに動かす魔法が、キリカの水着にはあらかじめ付与されていた。 その術式は、対応する操作用の指輪をはめた俺の意志を受けて水 中を伝い、思うがままの強弱で水着を⋮⋮そこに密着したキリカの 柔肌を刺激する。 喩えるなら遠隔操作のローター、しかも脳波コントロールできる それが胸や股間にいくつも張り付いてるようなものだ。 ︵くくっ、声を出さないよう必死でガマンしてるようだけど⋮⋮そ れでどこまで耐えられるかな、姫野さん︶ 俺は指を踊らせて、柔らかで敏感な乳肉を、脇腹からお腹へのな だらかなラインを、そして内股を⋮⋮知り尽くした性感帯を次々と もてあそぶ。 ツンと勃った乳首がただでさえ極小最低限の生地を押し上げ、ふ 417 たつの柔いふくらみが今にもこぼれそうに水中で踊るのが、目に見 えるかのようだ。 ﹁うっ⋮⋮んっ! く、うぁっ⋮⋮ああっ、ウソっ⋮⋮やぁっ!?﹂ キリカは身をよじるものの、プールの中にいる限り、周囲の水す べてが媒介になるのだから逃れようもない。 まさに、抵抗不能の遠隔痴漢。 しかも泳げないシスティナ姫の手をとって誘導しているため、そ の場を急に逃げ出すことさえできないのだ。 ﹁⋮⋮ぷはっ! だんだんコツが掴めてきた気がしますわ! キリ カの目から見てどうでしょうか、わたくし?﹂ ﹁え⋮⋮ええっ、と、とてもお上手ですよっ、姫さまっ⋮⋮んぁ⋮ ⋮っ!﹂ そんなエロい水中責めに遭っているとは露知らず、無邪気に声を かけてくる姫に、キリカは気が気じゃない様子でこわばった表情を ごまかしている。 もう何度も一緒にHをしている関係なんだから、バレることを諦 めてこの状況からの脱出を優先させればいいものの⋮⋮そうも開き 直れないあたりが、姫野桐華という女の子の可愛い所であり、まん まと俺のオモチャにされてしまう弱点でもある。 ﹁⋮⋮? あの、キリカ? やっぱり、どこか具合でも⋮⋮﹂ ﹁い、いいえっ! そ、そんなことありませんからっ、ほら姫さま 早く向こう岸まで泳ぎきって⋮⋮んぁぁっっ!?﹂ ﹁えっ、き、キリカ!?﹂ 歯を食いしばって押し殺そうとした嬌声が、ひとたまりもなく決 418 壊した。 俺がここぞというタイミングで、あえて今までかすかな⋮⋮触れ るか触れないか程度の刺激にとどめていた部分、すなわち敏感なク リトリスを、いきなり布地ごと水塊を高速振動させて本格的に愛撫 したからだ。 ﹁んあッ、あっあぁぁぁ⋮⋮ぁうっ!!? んうぅ、ぅぅう⋮⋮ッ !!﹂ 脇の下やヘソといった各所の弱点をねちねちと刺激しているだけ でなく、もちろん隷属術式によってキリカの性感は何倍にも敏感に なっている。 見えない電動マッサージ器を押し当てられたに等しいその一撃を、 ガマンしきれるはずもなかった。 困惑するシスティナ姫の手をぎゅっと掴んで、水に顔を沈めんば かりの姿勢でふるふる震えて⋮⋮あれは間違いなく、軽くイッてる な。 ﹁おやおや。どうも姫野さんは調子が悪いみたいだね、こりゃいけ ない﹂ ﹁まあ、本当ですの!? それはいけませんわね﹂ ﹁お⋮⋮小田森くんっ、あ、あなたよくもぬけぬけとっ⋮⋮んふぁ ぁっっ!?﹂ 悠然と近付いて腕を掴むと、その刺激すら甘やかな声に変わって しまうキリカの敏感肌。 同性の友人の前で甘い絶頂に達してしまった羞恥で真っ赤に染ま った顔に、濡れたつややかな黒髪が幾筋か、悩ましげに張り付いて いる。 419 ﹁さ、一緒に来て下さい姫さま。一度プールからあがって、あっち でちょっと休みましょう﹂ ﹁ええ、ほらキリカ、わたくしとトオル様に掴まってくださいまし﹂ ﹁ち、違っ⋮⋮んうっっ!? んむむっ、んん∼∼∼っっ!?﹂ 隷属術式でキリカの口をさりげなくいつものようにふさぎ、腕や 脇腹にキリカと姫の柔らかい部分の感触が当たるのを楽しみながら。 俺は卑猥なエロ水着に身を包んだ極上美少女ふたりを両脇に独占 し、新たなお楽しみの舞台へと連れ出すのだった̶̶。 420 ︻EXーHシーン︼キリカと、姫と、水着と︵前編︶︵後書き︶ 投稿が遅れてしまってるうちに季節感のカケラもないネタに⋮⋮! ︵土下座︶ 遠からずちょっとした重大発表をお届けできるかと思いますので、 お楽しみに。 421 ︻EXーHシーン︼キリカと、姫と、水着と︵後編︶ プールの隣に位置する、大きめの風呂場ひとつぶんほどの広さの 休憩所。 大理石の床にはマットのような感触の柔らかい素材︵魔法の産物 かもしれない︶が敷き詰められ、寝転んでくつろげるスペースが確 保されている。 一休みするという名目でキリカとシスティナ姫を連れ込んだそこ は、いかがわしいことをするのにうってつけの場所だ。 ﹁そういえば二人には日焼け止めのサンオイルを塗ってなかったと 思ってさ。せっかくの綺麗な肌はガードしとかないとね﹂ 俺の言葉に、両脇に腰かけた二人⋮⋮V字のスリングショットと ヒモ状マイクロビキニという、エロ水着に身を包んだ美少女たちが、 同時に首をかしげた。 ﹁さんおいる⋮⋮とは何ですの?﹂ ﹁え? こっちの世界にもそんなものがあるの?﹂ ﹁ああ、正確にはそれに似た働きをするポーションの一種なんだけ ど⋮⋮﹂ 怪訝そうな二人の前で、俺はあらかじめニーナに用意してもらっ たそれを容器から手桶にあけた。 手を突っ込み、ぬるんっ⋮⋮とした粘液の感触を確かめる。 ﹁というわけで塗ってあげるから二人とも体、こっちね﹂ ﹁えっ、ちょ、ちょっと!? そんなの自分で塗れ⋮⋮んひゃんっ 422 !?﹂ ﹁ひぁ!? な、なんですのこれ、ヌメヌメしますわぁ⋮⋮っ!﹂ 両脇に寝かせたダブル巨乳美少女たちのエロ水着姿に、俺は手に たっぷりまとわせたヌメつく透明な液をまぶしはじめた。 糸を引いてキラキラ光りながら、白い肌の上を伝うそれは⋮⋮オ イルというよりそう、ローションだ。 ﹁んぁっ、こ、こんなの絶対オイルじゃないわよぉ!? やっ止め っ⋮⋮ふぁぁんっっ!!﹂ ﹁す、少しつめたいですわトオル様、それににゅるにゅるした奇妙 な感触がお肌にっ⋮⋮!?﹂ 逃げようとするキリカの動きは隷属命令で縛り、おっかなびっく りしつつも従順に身を任せるシスティナ姫とまとめて、めいっぱい 広げた両手でふたつの大迫力ボディを撫で回す。 所々、水着に手が引っかかって止まるたびに、柔らかな肉をグッ と掴む形になって、二人が甘い声と共に身をよじる。 ﹁はぁぁッ、こ、このっ⋮⋮やっ、さっ触り方がいやらしいわよぉ ぉ⋮⋮!﹂ ﹁そうかなあ? 俺はしっかりねっとり、姫野さんの玉のお肌をケ アしてあげてるだけだけど﹂ 脇腹、鎖骨、二の腕、おヘソ、太もも⋮⋮二人の瑞々しいカラダ はどこも少しずつ違った触り心地の良さで、まったく飽きそうにな い。 もちろん、その中でも一番塗りがいがある部分は、いやらしく布 とヒモに彩られた四つのおっぱいだ。 423 ﹁あっ、そ⋮⋮そこは⋮⋮! そ、そんなとこまで塗るんですのっ ⋮⋮あふぁぁあっっ!?﹂ ﹁当然ですよ姫、ここは表面積が大きいですからね、特に念入りに こうして⋮⋮っと!﹂ 決して崩れないマシュマロのように、ぬぷぬぷとどこまでも指が 沈み込むシスティナ姫の爆乳。 濡れたゼリー入り水風船のように、ぐむぐむと心地よい弾力で押 し返してくるキリカの美巨乳。 極小面積エロ水着の隙間に五指を差し入れるようにして、ニュル ニュルのローションをそれらに塗り延ばす作業は、実に楽しすぎる。 ﹁さて、名残惜しいけどだいたい行き渡ったかな? じゃあ次は、 逆に俺にも塗ってもらおうかな﹂ ﹁はぁっ、はぁっ⋮⋮ふぇ? わたくしたちがトオル様に、お塗り すればよろしいんですの?﹂ ﹁ちょ、ちょっと待って。嫌な予感が⋮⋮それって、まさか⋮⋮ん やぁぁっ!? や、やっぱりぃぃっっ!!﹂ 隷属命令で操ったキリカの、ローションまみれのマイクロビキニ 姿。 いやらしくテラテラと輝くそのボディを、俺は自分の体にのし掛 からせるようにして密着させ、そのまま前後上下に動かす命令を出 したのだ。 ﹁こっこれ、体のヘンな所があちこちこすれてっ⋮⋮ふぁあ!? やぁっ、落ちちゃ⋮⋮んうぅぅっ!?﹂ ﹁おおっ、この密着感っ⋮⋮! なんだ、命令以上にギュッて抱き つきながら動くなんて、姫野さんってばデレ期?﹂ ﹁す、滑って落ちそうだからしがみつくしかないのよ馬鹿ぁ! で、 424 デレ期とか一生来ないからっ!﹂ ローションを潤滑油に、ナマの肌同士をにゅっぷにゅっぷとコス り合わせるキリカと俺。 滑るせいで、ひとときも同じ場所になく動き続ける温かい女の子 の柔肌が、未体験の快感を俺の体の各所に伝えてくる。 ﹁ほら、よく見てマネしてくださいね姫。男に塗る時にはこうする のがマナーなんですよ﹂ ﹁ま、まぁ⋮⋮そうだったんですのね、お勉強になりますわ⋮⋮ご くっ﹂ ﹁だっだから信じちゃダメですってば姫さま︱︱ひっぐぅぅうッッ !?﹂ ﹁おっとごめんごめん、手が滑って乳首、水着の隙間からつまんじ ゃったみたいだ﹂ ﹁ど、どんな滑り方よぉぉ⋮⋮!﹂ ほとんどいかがわしいお店のサービスそのものの、密着ローショ ン愛撫。 ドキドキと興味津々の顔で、システィナ姫がそこに参戦した。 ﹁で、では失礼しますわ⋮⋮ふぁんっっ、こ、これバランスが難し いんですのね⋮⋮っ!﹂ 俺の左半身にのし掛かり、むにゅぐぅぅぅ⋮⋮っとたわむ、粘液 まみれのロイヤル姫爆乳。 キリカのそれ︵正確には俺の命令によるイヤらしい動き︶を真似 しての、知識がないぶん大胆なコスりつけ運動が始まった。 ﹁うお、これはまたっ、たまらんボリューム感とやわやわ感っ⋮⋮ 425 ! さ、さすが姫の至宝おっぱい⋮⋮!﹂ ﹁んっ⋮⋮んしょ、えいっ⋮⋮こう、でいいんですのトオル様? キリカみたいに上手くできるかわかりませんが⋮⋮っ﹂ ﹁ちっ違っ⋮⋮だ、だから姫さまっ、これはこいつが勝手にぃぃ⋮ ⋮んぁ、お、お尻ぃぃ!?﹂ バランスを安定させやすいようにと、両腕で抱きかかえるように して、むっちり濡れ輝くそれぞれのお尻を鷲づかみだ。 より密着感が高まり、すらりとした両脚が俺の太ももにぬるぬろ と巻き付いてくるのも心地よい。 ﹁あうぅ⋮⋮い、いつの間にか水着、脱いでるしっ⋮⋮!﹂ ﹁ま、まあ⋮⋮! お、おっきくなっていますわ、トオル様の⋮⋮ おチンポ様﹂ ローションまみれの極上美少女二人に全身奉仕されて、こうなら ないわけがない。 バキバキにフル勃起して天を突くそれは、光る裸体に挟まれて物 欲しそうにぶるぶる揺れていた。 ﹁うん、ここも忘れずに、念入りに塗ってもらおうと思ってさ﹂ ﹁ちょ、おかしいでしょそれ、陽に当たらない部分じゃないっ!?﹂ ﹁で、でもトオル様がそうお申し付けなら⋮⋮わたくしは、従うま でですわ﹂ ﹁え、ひ、姫さまっ!?﹂ 無粋なツッコミを入れるキリカと違い、素直にチンポへと手を伸 ばす姫。 その美しい瞳に、かすかに情欲の炎が灯っているのを俺は見逃さ なかった⋮⋮やっぱり最近の姫は、俺とのエッチな行為に興味津々 426 みたいだな。 ﹁はぁぁっ、熱ぅっ⋮⋮チンポ様あつあつですっ、とっても⋮⋮!﹂ ﹁うぉッ、姫の細い指がにゅるんにゅるん滑ってっ⋮⋮き、気持ち いいよ、上手い塗り方だっ!﹂ ﹁ありがとうございますトオル様。が、がんばりますわ、ではこう して挟む⋮⋮とか?﹂ ﹁くはっ! 教えてないのに、そんなことまでっ!?﹂ むっちりと適度に脂肪のついた真っ白な太ももで、俺のガチガチ ちんぽをそっと挟み、にゅちにゅちと卑猥な音を立ててコスってく れる姫。 生来のセンスの賜物か、本能的に俺が喜ぶやり方を発見して、け なげに実践してくれるのだ。 ﹁ほらほら、主君にばっかりさせてちゃダメじゃないか姫騎士さん も。二人で協力してチンポを挟んでごらん、その太ももでさ﹂ ﹁わ、わかってるわよ、こうなったらもう嫌がっててもどうせされ ちゃうんだし⋮⋮うぁ、ほ、ほんとに熱くて気持ち悪いぃ⋮⋮!﹂ 抵抗を諦めたのか、それとも姫ばかりに恥ずかしい行為をさせる のに気が引けたのか⋮⋮今度は命令せずとも従うキリカ。 ふたつのヌルヌル太ももで挟み込まれた勃起チンポは、赤黒い亀 頭を白い肉の間からニュプニュプと覗かせて喜び踊る。 ﹁おおおっ⋮⋮! た、たまらんっ、ぎこちない共同作業がランダ ムな刺激になって⋮⋮くぅぅ! これはぜひっ、お返しをしないと ⋮⋮なっ!﹂ ﹁え!? ちょ、そ、そこはっ⋮⋮んひゃんっっ!!?﹂ ﹁ぁはぅぅ!? と、トオル様のゆび、がっ⋮⋮ふぁぁぁあ!!﹂ 427 つぷぷぅぅ︱︱ぬぷにゅるうぅぅぅっっ!! たっぷりローションをまぶした俺の指が、二人のエロ水着をかき 分け向かった先は、それぞれのおマンコだ。 思った通り、とろんと蕩けていた姫のそこは、待ちかねていたよ うに左手の二本を飲み込み。 そして潤滑油の助けがあるとはいえ意外にも、キリカの秘唇もま た右手の指二本をさほど抵抗なく迎え入れた。 ﹁あれあれ? 姫野さんってば、エロい密着チンポ洗いでいつの間 にか発情しちゃってた?﹂ ﹁そ、そんにゃことっ、ないわよぉぉ⋮⋮! このヘンなオイルで 濡れてるだけっ⋮⋮よぉっ!﹂ 必死に否定している割に、俺の肩口に押しつけるように伏せた顔 がぷるぷる震えて、まぎれもない挿入快感をおぼえている。 ほんと感度いいしわかりやすいんだよな、この元クラス委員は。 ﹁そっかそっか、じゃあ気にせず遠慮なく中までみっちり塗ってあ げよう、そーらそらそら﹂ ﹁だっだから、なんで中になんか塗る必要がぁっ⋮⋮んあぁぁひぁ ぁぁんっっ!!?﹂ ﹁とっトオルさまのが二本もぉぉっ!? お、奥まで入ってきてま すわぁぁっ、んっひぃぃぅぅうっっ!!﹂ にゅっこにゅっこ、と大ぶりなストロークで、第三王女マンコと 姫騎士マンコを同時にほじくる征服快感。 イキのいい収縮運動で俺の指を甘噛みし、いずれ劣らぬ名器ぶり をアピールしてくる主従のW肉穴⋮⋮もはや、それを味わわないと 428 いう選択肢は存在しない。 ﹁よぉし、たっぷり奥までローションが浸透したところで⋮⋮その ぴったりな肉ホールを使って、俺のチンポに塗ってもらうとしよう かっ、さあまずは姫野さんからだっ!﹂ ﹁えええ!? まっまた命令っ⋮⋮こ、この格好って、まさかぁっ !?﹂ キリカの体を操ってとらせたポーズ。 それは仰向けになった俺の股間にまたがるようにして、みずから チンポを上からくわえ込もうとする騎乗位ポジションだった。 ﹁懐かしいね姫野さん、初めてした時もこの体位だったの、覚えて る?﹂ ﹁えっ、そうだったんですの、キリカ⋮⋮?﹂ ﹁ちょっやっ、ひっ姫さまの前でなんてこと言うのよぉ!?﹂ 抗議のスキも与えず、マイクロビキニの少ない股布を自分で横に ずらすようにさせて。 くちゅりと密着したナマの亀頭と、薄ピンクの姫騎士マンコ⋮⋮ その光景を、口に手を当ててドキドキと凝視するシスティナ姫。 ﹁さあ姫、目の前でがっつり見せてあげますよ⋮⋮俺とキリカとの、 生セックスをね﹂ ﹁まっ待って、お願いちょっと待っ⋮⋮んぅぅあぁぁぁぁひぃぃぁ んっっっ!!?﹂ 共にローションまみれのおかげで、驚くほど一気にニュルんっっ ! と滑り込む挿入感。 そのまま、もぐもぐと真上から美味しそうに俺のチンポを頬張る、 429 キリカの濡れそぼった肉穴。 ﹁くっはぁっ⋮⋮! いいぞっ、さあそのままイヤらしく腰を使う んだ、姫様の見てる前でっ!﹂ ﹁やぁ、やぁぁぁんっっ!!? だっダメぇぇ、みっ見ないで姫さ まっ⋮⋮んおぉぉぉお!?﹂ ﹁あ、ああっ⋮⋮す、すごい格好ですわキリカっ⋮⋮!﹂ 頭の後ろで両手を組ませ、はしたないガニマタの姿勢で、ぱちゅ んぱちゅんと大胆に腰をグラインド運動させる。 ローションにてらてら輝く肢体といい、それを彩るヒモ状のマイ クロビキニといい、一見淫乱ビッチそのものの姿だ。 あの品行方正、真面目なクラス委員姫野桐華が、こんな格好で男 の上にまたがっているなんて⋮⋮非現実的すぎてクラスメートの誰 も想像だにしなかっただろう。 ﹁くうう! 入り口すぐとっ、真ん中あたりと奥っ⋮⋮相変わらず っ、いい三段締め付けの名器だぜ、キリカぁっ!﹂ ﹁か、解説とかしないでよぉぉ!? ひ、姫さまに恥ずかしいこと 聞かれっ、ひゃうぅぅっっ!!﹂ ﹁いいじゃないかっ、乱れるとこしっかり見てもらえよっ、ほらほ らぁぁっっ!!﹂ ﹁やっあっっああ!? しっ下から突きっ⋮⋮突き上げるのっ、だ っダメぇぇぇ∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ いい香りのする長い黒髪を振り乱し、清楚な顔に似合わぬチンポ 搾り運動を止められないキリカ。 至近距離で目にする俺たちの激しい交わりに、姫は青い瞳を見開 いて、まばたきすら忘れているようだった。 430 俺は、いつしか下からキリカの弱点をガンガン突き崩す腰使いを しながら、そんな姫の金髪をそっと抱き寄せ︱︱ささやいた。 ﹁システィナ姫⋮⋮あなたも、こうしてほしいんじゃないですか? 待ちきれないんじゃないですか?﹂ ﹁え⋮⋮で、でも、わたくしは⋮⋮その、トオル様のお好きなよう に⋮⋮﹂ 遠慮 してい ビクッと視線を泳がせ、あわあわと目を伏せる第三王女。 思ったとおりだ︱︱姫は、心のどこかでキリカに る。 優しい性格、王族としての育ち、それとも友情⋮⋮気持ちよさそ うなキリカの姿を見て、自分の都合で割って入るのは悪いと、けな げに考えてしまっているのだろう。 だから、ここであえて。 ﹁⋮⋮そうですか、ならそこで見てて下さい、俺はキリカとしてま すから﹂ ﹁あ⋮⋮!﹂ 欲望 が そうして、もじもじと身をよじる姫をよそに、再びキリカをはし たない騎乗位ピストンで泣き叫ばせる俺。 あえて突き放す理由⋮⋮それは、俺がシスティナ姫の 見たいからだ。 快楽に正直になって、魔隷にならずとも堕ちていく姿が見たいの だ。 だから、自分の口から、俺が欲しいと言うまで待つ⋮⋮大切な友 人のキリカの前で、女としての欲望と、対抗心を発露させてみたい 431 のだ。 ﹁よぉぉし、今度はゆっくり、ゆーっくり腰を上下させるんだ、姫 野さん。チンポが抜ける寸前まで腰を上げて、それから根元までゆ っくり落として⋮⋮そうそう、上手いぞっ!﹂ ﹁う、うぁぁんっっ⋮⋮!? こ、これ恥ずかしいよぉぉ⋮⋮音が ぬぢゅって鳴ってっ、んんぁぁ、ああっ!!﹂ ﹁っ⋮⋮あ⋮⋮っ!﹂ 姫に見せつけ誇るように、ローションと愛液にぬらぬら照り光る 血管バキバキチンポが、キリカのふるふる震える膣内をゆっくり味 わい、蹂躙していく。 羞恥心がオーバーヒートして、姫の方を見ないようにしているん だろうが⋮⋮キリカのその態度は、姫をほったらかしにして自分た ちだけ楽しんでいるように見えなくもないだろう。 ﹁ああっ、こうしてねっとり味わうとまた格別だっ、姫野さんのお マンコはっ! 俺のチンポを喜ばせるために生まれてきたようにし っくりくる、優等生マンコだよっ!﹂ ﹁だ、だからそんなの褒められても困るぅぅ⋮⋮! は、早く射精 でもなんでもしなさいよぉぉ⋮⋮!﹂ ﹁へえ、いいの、膣内に出しても? それとも出して欲しいの、俺 の精液っ!?﹂ ﹁そっそんなことないぃ⋮⋮! だ、だっていつもイヤって言って も出すしっ⋮⋮!﹂ さっき水中痴漢で軽イキしたことも手伝ってか、すっかり快感に 体が負けて甘いトーンが混じっているせいで、キリカの嫌がり方は どうにも表面的だ。 わざと姫の反応を意識した会話を俺が誘導していることも、余裕 432 のない今のキリカは気付いていないだろう。 そんな、恋人セックスのような甘い繋がりを見せつけられたシス ティナ姫は︱︱。 ﹁あ⋮⋮あのっっ!!﹂ ついに、意を決して発せられた、よく通る声。 俺とキリカの動きが止まり、紅に染まった姫の顔に、ふたり分の 視線が集まる。 ﹁あの、あの⋮⋮こ、こんなことを言うのはとても、はしたないこ とだと分かっているのですが⋮⋮っ!﹂ ﹁ひ⋮⋮姫さま?﹂ 姫の複雑そうな内心を察することができず、突然の横槍に驚くキ リカ。 システィナ姫は、そんな友人の上気した顔を見て、申し訳なさそ うにしばし逡巡した後。 ﹁その⋮⋮わ、わたくしにもお情けをっ⋮⋮トオル様のたくましい おチンポ様を、頂けないでしょうか⋮⋮っ!﹂ 顔から火が出そうな勢いでの、消え入りそうな⋮⋮しかし、はっ きりとした意志を伴った声。 ぽかんとしているキリカをよそに、俺はその期待以上の反応に口 元をにやりと歪めた。 ﹁⋮⋮ふぁんっっ!?﹂ にゅぽぉっ⋮⋮と、膣内からだしぬけにチンポが抜ける感触に可 433 愛い声をあげるキリカ。 ころん、と位置を入れ替えて、キリカの代わりに姫を俺の腰に乗 っける。 たっぷん、と揺れるスリングショット水着の巨爆乳が壮観だ。 ﹁えっ、あの、その⋮⋮キリカとのが、終わってからでも⋮⋮っ﹂ まさか中断して自分の番がいきなり来るとは思わなかったのか、 戸惑いを見せる姫。 だが、ここでまた遠慮してもらっては意味がない。 俺は再び、誘惑の言葉をささやく。 ﹁本当にそれでいいんですか、姫? もう待ちきれないんじゃない ですか⋮⋮だから勇気を出して声をかけてきたんでしょう?﹂ ﹁そ⋮⋮それは⋮⋮あの、キリカはそれでも⋮⋮?﹂ いきなり話を振られ、えっ!? と目を丸くするヒモ水着の姫騎 士。 ﹁あ、あの⋮⋮え、ええ、私は別に⋮⋮っ、し、したくなんてない ですし⋮⋮!﹂ そうだよな、まさか自分が先に続きをしたいです、なんてセリフ は、あらゆる意味で口に出せないだろうな、キリカは。 たとえ⋮⋮心とは裏腹にその体が、さっきまで俺のチンポに犯し えぐられ蕩けたマンコが、続きを望んでいても。 こうして姫とキリカ、双方の欲望を自覚させ引き出す⋮⋮それが 俺の狙いだった。 ﹁よし、じゃあ姫野さんの許しも出た所で、同じようにまたがって 434 もらいましょうか⋮⋮システィナ姫﹂ ﹁は⋮⋮はい⋮⋮! う、上から失礼いたします、わ⋮⋮っ!﹂ 今度は、溢れんばかりのロイヤル爆乳をローションにテカらせた 金髪の美姫が、V字状にかろうじて隠された秘所を、おっかなびっ くり自分の指でズラし露出させていく。 金色の恥毛をうっすら上に覗かせた、潤滑液とそれ以外の液体で 輝く肉裂が⋮⋮親友の愛液に濡れた俺のチンポを、おずおずと飲み 込んでいく。 ﹁んっぅう⋮⋮んぁ、あぁ、あぁぁ⋮⋮ああっ入ってっ⋮⋮い、い きますぅぅ⋮⋮っ!!﹂ にゅろろろろろっ⋮⋮にゅずんっっ⋮⋮!! ﹁っは⋮⋮! 奥まで入ったよっ、システィナ姫のマンコにっ!﹂ ﹁ああぁぁっ、は、恥ずかしいですぅぅ⋮⋮! こ、こんな格好で わたくしっ、トオル様のものをはしたなくくわえこんで⋮⋮あっ熱 いっ、熱いですわぁぁ!?﹂ イヤイヤと首を振り、箱入り王女にあるまじきドスケベなポーズ での生ハメに、全身をわななかせるシスティナ姫。 ずくん、ずくん⋮⋮と、俺のチンポを待ちかねたロイヤルマンコ は挿入のショックだけで嬉しそうに軽イキ痙攣し、きゅんきゅんと 肉棒を締め付けてくる。 ﹁ほら、自分だけ喜んでないで、ちゃんとしっかり腰動かさないと ダメだろう姫っ、さっきのキリカみたいに!﹂ ローションまみれの白いお尻を、ばちんっ! と軽く叩いてうな 435 がす。 ﹁んっひゃんっっ!? は、はいぃ⋮⋮わ、わたくしっ、がんばっ て精一杯おチンポ様をおシゴきしますぅぅ⋮⋮!﹂ ランバディア国民が見れば卒倒間違いなしの、エロ水着でせいい っぱいガニマタ騎乗位ピストン奉仕する姫という、とんでもない絵 面が目の前に現れた。 ぱちゅん⋮⋮ぷちゅんっ、にゅこぉぉっ⋮⋮と恥音を立てながら、 律儀に頭の後ろで手を組んでいるところまでキリカに倣っている。 ﹁ご覧よ、姫野さん! このイヤらしい動きを⋮⋮さっきまでは君 が、こうして俺にまたがってたんだぜ?﹂ ﹁え⋮⋮う、あうぅ⋮⋮っ!﹂ ぼっ、と今さらながらに顔を赤面させ、それでも姫が見せる別人 のような痴態から目をそらせないキリカ。 ﹁ああっ、キリカっ⋮⋮み、見ないでくださいましっ、わたくしの あさましい姿をぉ⋮⋮!﹂ ﹁違うでしょう、姫? 友達には隠し事なしに正直に見せなきゃダ メだ、本当の素直な自分を︱︱なっ!﹂ ﹁はぁぁうっっっ!? ⋮⋮は、はひゃぁぁぁんっっっ!??﹂ ずぶちゅぅぅぅぅぅうう!! と、ぶるぶるしながら下まで降り てきた姫マンコを、だしぬけに思いきり突き上げての奇襲攻撃。 まだまだ控えめな姫自身のストロークでは届かなかった奥の奥、 子宮口の入り口の弱点を、ガチガチに燃えたぎる亀頭が突き崩した。 ﹁そらそらほらほらぁぁっ!! 言ってみろシスティナっ、お上品 436 ぶってないでっ、俺にどうされたいかを正直に口に出せっ! 下品 にガニマタピストンしながらなぁ!!﹂ ﹁は、はぃぃぃっっ!! わ、わたくしはぁっっ、トオル様のぶっ といチンポ様に奥っっ、おマンコの奥をぉぉ!! たくさんイジめ てっ、しつけていただきたいんですぅぅっ!!﹂ 両脚を今にも折れそうなほどにガクガク揺すり震わせつつ、涙ま で流しての恥知らずな告白。 すすっ⋮⋮と下に降りてきた従順な子宮が、ちゅっちゅっと俺の 亀頭に貪欲なキスを繰り返す。 ﹁よぉぉし、たっぷりチンポしつけしてやるぞ姫ぇぇ! こうか、 ここかっ!? この角度がいいのかっ!!﹂ ﹁あひぃぃうぅぅっ!!? そ、そこですぅぅ!! トオル様にぃ ぃっ、システィナの赤ちゃんのお部屋っ、下から押し上げ潰されて っっ、ダメです幸せにしつけられてしまいますっ⋮⋮あひぃぃあぁ あ!!﹂ どちゅっ、ばちゅんっ、ばぷっ⋮⋮ずちゅんっっ!! 嬌声混じりの恥ずかしい本音を聞きながら、すっかり俺の形にな じんだ王族マンコに、所有権の証とでもいうべき熱い欲望ピストン を叩き込む。 ﹁すっすみませんトオル様っ、わ、わたくしもうっ、もうっ⋮⋮! !﹂ ﹁なんだ、イクのか姫!? 男にまたがってはしたなく腰を振り乱 しながら、ガマンできずにマジイキしちゃうのか、システィナっっ !?﹂ びくびくびくんっっ!! と。 437 もうローションだか溢れる本気の愛液だかわからないほどにドロ ドロに溶けた膣内が、ひときわ大きく引き絞られ。 ﹁はっはいぃ!! まっマジイキですっ、わたくしマジイキしてし まいまっ︱︱すぅぅぅんぁぁぁああああ!!?﹂ ウェーブがかった金髪を振り乱し、細い背筋をのけぞらせ⋮⋮が くっ、と脱力した体が倒れ込んできた。 胸板に、ローションまみれの爆姫乳がむんにゅりと密着してたわ む感触が心地よい。 ﹁はぁっ、はぁぁ⋮⋮っ! も、申し訳ありませんっ⋮⋮わ、わた くしだけ先にっ、い⋮⋮イッてしまい、ましたぁぁ⋮⋮! こ、腰 が、動かなっ⋮⋮ふぁぁ﹂ 俺がまだイッてないのを気にしてか、けなげになんとか動こうと するも、体の芯まで突き抜けるような絶頂の波からまだ帰ってこら れていない。 俺はそんな姫の背中を優しく撫でると、ゆっくりとその膣内から チンポを抜き放った。 俺の左隣にがっくり横たわった姫は、ほとんど気絶しているよう な有り様だ。 ﹁システィナ姫はしばらく動けないようだし⋮⋮さっきは中断して 悪かったね、姫野さん﹂ ﹁え⋮⋮あっ、えっ⋮⋮!? あ、あぅ⋮⋮!﹂ ぬらぬら光る赤黒い切っ先が、再び自分の方を向いたのを見て、 右隣でぼんやりと俺たちの痴態を眺めていたキリカがはっと我に帰 る。 438 ごくっ⋮⋮と、その白いのどが無自覚につばを飲み込んだ音を、 俺はかすかに聞いた。 ﹁今度こそ、しっかり最後までイカせてあげるからなっ、そらっ!﹂ ﹁え!? そっ、そんなの別にいいっ⋮⋮ちょ、んあぁぁはぁあ! ?﹂ 再びキリカの中に⋮⋮依然濡れているそこに、にゅぶにゅぶと姫 の本気汁で濡れたチンポを沈めていく。 だが、今度の体位は騎乗位ではない。 上から覆い被さったキリカとぴったり抱き合うように密着した、 全身で愛し合うような姿勢だ。 ﹁こ、これっ、この格好っ⋮⋮さ、さっきのよりむしろ恥ずかしっ ⋮⋮!?﹂ ﹁だってこういうラブラブセックス好きでしょ、姫野さんは﹂ ﹁なっ!? そ、そんなの好きなわけっ、小田森くんが勝手に言っ てるだけでしょ!?﹂ ﹁へえ⋮⋮でもさ、その割にはすっごく熱くなってるよ、ここ⋮⋮ 動いてないのに、ずくん、ずくんって震えて、俺のを締め上げてく る﹂ ﹁うっ嘘、そんなっ⋮⋮そ、そんなわけないわよぉぉ⋮⋮!﹂ システィナ姫は魔隷ではないから、感覚同調も発生しない。 つまり、今感じているのは100%キリカ自身の快楽だ。 挿入しているだけで、快感よりも⋮⋮一種の幸福感のような心地 良さが、俺と、そしておそらくキリカの体を貫いてる。 ﹁はぅっ、はぁぁ⋮⋮な、なんで動かない、のよぉ⋮⋮?﹂ ﹁なんだ、姫野さんは動いてほしいの? ガマンがきかない欲しが 439 りおマンコだなあ﹂ ﹁ち、違うわよっ! いつもなら思いっきり腰動かしてくるから、 不思議に思っただけでっ﹂ ﹁はいはい。ま、さっき姫を思いっきり攻めすぎて、ちょっとイン ターバルが欲しくてさ﹂ ﹁そ、そう⋮⋮じゃあ、好きにすれば、いいじゃない⋮⋮っ! か、 髪撫でないでよ、もうっ⋮⋮!﹂ 繋がり抱き合ったまま、一度ローションをぬぐい去った手で、キ リカの艶やかな黒髪をゆっくりと撫でさする。 のテストだ、姫野さん﹂ Eカップおっぱいの心地良い感触越しに、キリカの鼓動がドッド 嘘発見器 ッと伝わってくる。 ﹁さて⋮⋮ここで ﹁え?﹂ いきなり何を言い出すのかと、不審そうなキリカの中で⋮⋮俺は ぐぐっ、とチンポに新たな血液を送り込む。 ﹁んぁ!? きゅ、急にまた大きくっ⋮⋮!﹂ ﹁なに、別に魔法とかじゃない。こいつが教えてくれるんだよ、姫 野さんの正直な反応をね﹂ ﹁え、ど、どういう⋮⋮?﹂ ローションに濡れた背中を横切る、水着のヒモを指でもてあそび ながら、俺は言葉を続ける。 ﹁簡単なことだよ。姫野さんのオマンコの中は、嬉しい時や図星を 突かれた時に、きゅんきゅんってわかりやすく反応して、俺のチン ポを甘噛みするんだ。知ってた?﹂ 440 ﹁な⋮⋮そ、そんなの知らないわよっ!?﹂ ﹁俺はよく知ってる。というわけで、これから聞くことへの反応が、 正直にこのチンポに返ってくるってわけさ⋮⋮じゃあ、第一問だ﹂ ﹁えっな、何それ、ちょっと待っ⋮⋮!﹂ 慌てて身を退こうとしても、隷属命令でそれを許さない。 俺はみっちり奥まで差し込んだチンポに神経を集中しつつ、質問 を口にする。 ﹁﹃姫野さんは、最近けっこう俺とのセックスが楽しくなってきて いる﹄さて、どうだ?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮っっ!!?﹂ きゅっ⋮⋮きゅんっっ! その時、確かに俺のチンポを優しく搾るように、熱い膣壁すべて がはっきりと収縮運動を見せた。 ﹁あっ、おおっ⋮⋮! ほら、今反応したぞっ、姫野さんのおマン コが嬉しそうに!﹂ ﹁ち、違うぅっ!! そんなの嘘よぉっ、そんなことあるわけっ⋮ ⋮!﹂ ﹁強情だな∼、ナマで繋がってるからごまかしようがないのに。そ れじゃ第二問、﹃さっき途中でおあずけを喰らって、寂しかった﹄﹂ きゅきゅっ⋮⋮きゅむんっっ!! ﹁あっ⋮⋮う、うそ、こっこれ違っ⋮⋮やぁぁ!?﹂ ﹁うは、ほらまた! そうかそうか、それは悪いことしたなぁ⋮⋮ というわけで第三問﹂ ﹁ま、まだあるのぉ!?﹂ 441 ﹁まあ、これはさすがに違うと思うけど一応聞くね。﹃俺とシステ ィナ姫がラブラブHするのが羨ましい、自分もしたい﹄﹂ ﹁な⋮⋮!﹂ ⋮⋮⋮⋮きゅっ⋮⋮。 ﹁お? あれ、確かに今﹂ ﹁ち、違う違う違うぅ! だ、だからこんなのっ、絶対違っ⋮⋮! な、なんの根拠もないわよぉぉ⋮⋮!﹂ 否定しつつも反射的に、慌てて隣に寝そべったシスティナ姫の様 子を見るキリカ。 だが、さっきので体力を使い果たしたのか⋮⋮いつの間にか、姫 は目を閉じてくぅくぅと可愛い寝息をたてていた。 ﹁へえ⋮⋮その割には、途端にさっきよりドロッて愛液が溢れてき て、今も俺のチンポを断続的にキュウキュウ締め付けてくるけど?﹂ ﹁そ、そんなのたぶん別の反応だからっ! そ、それともあなたが 隷属術式で勝手に⋮⋮!﹂ ﹁俺は今、そういうことは何もしてないけどなぁ?﹂ もちろん、こんなものは単に、緊張状態になったキリカの体が条 件反射的に見せた反応に過ぎないかもしれない。 だが、キリカが少しでもそれを信じたなら、心が体の快感に引き ずられて⋮⋮俺の言ったようなことを、暗示のようにすり込まれて しまうかもしれないのだ。 まあ、基本的にはキリカをからかって遊んでいるだけだが⋮⋮も しかしたら、本当に。 ﹁さて、そろそろ休憩は終わりだよ、姫野さん﹂ 442 ﹁ま、待って! い、今はちょっと待って、小田森く⋮⋮!﹂ ずむっ⋮⋮ずちゅんっっ、ぬちゅんぶちゅちゅぅぅんっっ!! ばちゅんっっ!! ﹁んひっ⋮⋮ひぃぃあぁぁぁんっっっうぅう!!? だっダメえぇ ぇぇっっ、きゅっ急に動くの今っっ、ほっほんと駄目なのぉぉぉっ っ!!﹂ ローションとヒモ水着に彩られた丸いお尻をがっしり両手でホー ルドして、8の字を描くようにねちっこく回転。 それと同時に、床を尻で蹴るように反動をつけて、斜め上の角度 でキリカの子宮口を高速ピストン攻めだ。 挿入したままじっくり焦らしたために、感度がいつもより段違い に高まった所にこの容赦ない快楽刺激⋮⋮ただでさえ敏感な姫騎士 マンコが耐えられるはずもない。 はい ﹁ほらほらどうだキリカっっ! さっきまで大切な姫に挿入ってた チンポがっ、だらしなくトロけたマンコをガシガシ突きえぐる感触 はっ!!﹂ ﹁ッッひぃぃぃいぃぃんっっ、やっやだぁぁぁっっ!!? だっダ メ声出ちゃうぅっ、姫さまが起きちゃう、これ見られちゃうっ⋮⋮ んむぅぅ!?﹂ お情けとばかりに、その唇を俺のでふさぐ。 そのまま舌を乱暴に差し入れ、上と下、ふたつの接点でキリカの 体内をかき回し、蹂躙する。 ﹁んんぅぅぅ∼∼∼∼っっっ!! んむぅぅ、んぷぅぅっっ!!?﹂ 443 口の中まで、甘くて良い香りのするキリカの体を味わい尽くしな がら、俺はねちねちとしつこく腰を突き動かす。 入り口の少し上、子宮口のそば⋮⋮普段と違う挿入姿勢から生ま れるアトランダムな角度で弱点の限りを攻め立てると、さっきみた いなマンコの甘噛みがチンポにきゅんきゅん反撃をしてきて、俺の 方もたまらない。 ﹁ぷはっ、ふあぁぁ⋮⋮! やっ、だっだめぇぇ! お、お腹の奥 のガクガクがっ、止まらなっ⋮⋮ひっひぃぃぃんっっ!?﹂ ﹁イクのか、もうすぐイクんだな、キリカっ!? なら思いっきり イカしてやるぞっ、体の中と外からなっ!﹂ ﹁えっ、えっえっっ!? そ、それどういうっ⋮⋮んひゃんっっ! ? なっ何これっ、う、動いて⋮⋮るぅぅ!?﹂ 驚くのも無理はない。 ヒモ水着が淡い魔力の光を発したかと思うと⋮⋮クリトリスや脇 腹、ヘソの脇や乳首などを覆うローションが、俺の思うがままにう ごめき始めたのだから。 キリカの全身を覆うローションもまた、成分のほとんどは水分。 つまりさっき水中で使ったコントロールウォーターの術式、その 操作対象となるのだ。 ﹁全身の性感帯を俺に犯されながらっ、深く深くマジイキしろ、キ リカぁっ!! 俺にイキ顔しっかり見せながらなぁっ! その瞬間 っ、ガマンにガマンした精液、腹の底に注ぎ込んでやるからなぁ! !﹂ ﹁んやっ、やぁぁあっ!!? みっ見るのもダメっ、出すのもダメ ぇぇぇっっ!? あぁぁんはぁぁっっ、あうぅぅぅっっっ!!﹂ 444 ずちゅっどちゅっっ、ぬちゅぶちゅぅぅっっ!! ばちゅばちゅ んっっ、どちゅぅぅんっっ!! 響くイヤらしい粘液音はもはや、ローションと体液、どちらがど こで立てている音かも定かではない。 それどころか、長い間結合したままの俺とキリカの体は、もう境 界さえあやふやな状態で⋮⋮ただひとつ、高まっていく快感だけを はっきりと共有していた。 だ ﹁くぅぅぅっっ!! イクっ、イクぞキリカぁ、このまま子宮に直 接ぅぅっっ!! 正直にイキ宣言しろ、生で射精されてイけっ、姫 の前でっ! 俺のチンポでっっ!!﹂ ﹁あふぁぁぁっっ!! やっあっっ、んあぁぁっダメ駄目だめイク いっちゃうよぉぉっっ!! ごっごめんなさい姫さまっ、わたしっ わたしこいつにっ⋮⋮こんなやつにぃぃ!!﹂ どびゅっっ⋮⋮どくんっっ、どびゅるるぅぅぅーーーっっっ!! びゅくっ、びゅくびゅくんっ!! どくどくぅぅっっ、どぷぅぅ んっっ!! ﹁⋮⋮んぅぅあぁぁぁぁ∼∼∼∼∼っっっっ!!? ひぁぁぁあっ っ、あぁぁはぁ∼∼∼∼っっ!!﹂ ﹁うお、っくおぉぉっ⋮⋮うっく、かはっ⋮⋮! で、出るッ⋮⋮ うお、ははっ⋮⋮す、すごい量出るぞっ⋮⋮お!﹂ チンポとローションで内と外、あらゆる性感帯を決壊され。 これまでにないほど大きく、そして深いイキ方をしたキリカのわ ななく膣内に、俺の遺伝子を凝縮した大量の白濁精液が、どぷどぷ 注ぎ込まれていく。 445 ﹁あ、あうぅ⋮⋮! は、はぁぁ⋮⋮あぁ⋮⋮!﹂ 気絶寸前の放心状態で、俺の胸に体重をあずけ脱力するキリカ。 その姫騎士マンコだけが貪欲にもまだ、最後の一滴まで搾ろうと イヤらしい収縮を見せている。 ﹁⋮⋮気持ち良かったですか、キリカ?﹂ ﹁そ、そんなことは⋮⋮って、え!? ひ、姫さまっ!?﹂ いつの間にか、目を覚ましたシスティナ姫が笑顔で覗き込んでい るのに気付き、慌ててがばっと身を起こそうとしたキリカが、ロー ションにすべって失敗した。 というか、俺も驚いた⋮⋮いつから起きてたんだ、姫は? ﹁でも⋮⋮ちょっとずるいですわ、キリカ。わたくしだって、トオ ル様のを注ぎ込んで欲しかったのに⋮⋮﹂ ﹁え? そ、それはそのっ⋮⋮!﹂ ﹁ふふっ、冗談です﹂ ﹁あっ⋮⋮﹂ つん、と面食らうキリカの鼻先を指でつついて、くすっと微笑む 姫。 やっぱりこのお姫様はなんというか、キリカよりも一枚上手のよ うだった。 ﹁でも⋮⋮トオル様、その⋮⋮わ、わたくしにも、やっぱり次は⋮ ⋮﹂ ﹁ああ、もちろんだよ、姫。精力強化エンチャントがあるからすぐ にお相手できるぜ、姫の中にもたっぷりとね﹂ ﹁は、はい⋮⋮っ!﹂ 446 ﹁それに姫野さんも、せっかくこなれてきた所にもっと欲しそうだ しね?﹂ ﹁え、そんな、私は別にっ⋮⋮ふ、ふにゃぁっ!? な、中でまた 大きくしないでよぉぉ!﹂ それに、そろそろ外で他の皆も待ちかねていることだろう。 水着のままローションでくんずほぐれつってのもいいし、水中H も捨てがたい。 まだまだ今日は一日、プールで遊び倒すとしよう︱︱。 ※ ※ ※ ﹁羨ましいのは⋮⋮わたくしも同じですわよ、キリカ﹂ ﹁え? 何か言いました、姫?﹂ ﹁ふふっ、なんでもありませんわ﹂ ※ ※ ※ 夕焼けの濃い赤を反射するプールの水面を、俺は何をするでもな くひとり眺めていた。 あれから、いつ終わるともしれない酒池肉林のハーレムプレイを、 ここや隣の休憩所でたっぷり繰り広げた後。 今、他の皆は夕食の支度やらシェイヨル大森林行きの準備やらで、 ここには誰もいない。 ︵なんか⋮⋮久しぶりにひとりになった気がするな︶ 447 ふと、昔のことを思い出す。 姫野桐 転生前の、学校での記憶だ⋮⋮あの頃は、いつもひとりだった。 が、今は俺の魔隷としてここにいる。 当時、学校のプールで男たちの視線を釘付けにしていた 華 あの時とは違い、俺には力と⋮⋮生きる目的がある。 ︵もし⋮⋮あいつがこっちにいたら、何を考えるんだろうな︶ ふと、そんな脈絡のない考えが浮かんだ。 くるす あいつ︱︱来栖。 それは俺にとって、他のクラスメートとは少しばかり違った意味 を持つ名前だった。 再会することは二度とないだろう 。 そして⋮⋮この世界に転生してきているはずの、他のクラスメー トとは違い。 来栖にだけは、 なぜならば。 あいつは既に⋮⋮あの修学旅行の前に、死んでいるのだから。 448 ︻EXーHシーン︼キリカと、姫と、水着と︵後編︶︵後書き︶ 投票にご協力いただき、ありがとうございました。 長らくお待たせして申し訳ありませんでした⋮⋮本編の続きも、今 度は遠からずお届けできる予定です。 449 30話:選ぶべき道と、逆転の秘策 ダークエルフ集落の最深部、盲目の巫女ディアーネの住まう社。 今ここに、エルフ集落からの調停の使者という形で訪れたシステ ィナ姫、ニーナ、ナナの一行は、ディアーネを交えてアメリア、シ エラとの合流を果たしていた。 ﹁トオル様が、イヴリース陣営の魔族に連れ去られてしまったなん て⋮⋮!﹂ 事情を聞き、さすがに端正な美貌を青ざめさせる姫。 ﹁ごめん⋮⋮⋮⋮主さま、守れなかった。シエラの責任﹂ ﹁それはあたしも一緒だぜ。言い訳する気はないけど⋮⋮あのフラ ミアってヤツは、強すぎる﹂ ﹁仕方ないですよ! それよりも、ご主人様を助ける方法を考えな いとです﹂ アメリアの傷を魔法で治療しながら、フォローを入れるニーナ。 その言葉にうなずき、白銀の髪と褐色の肌を持つ盲目の巫女へと、 システィナ姫が向き直る。 ﹁複雑な内情を話していただき感謝しますわ、ディアーネ様﹂ 。 されてもなお、その脅威に 破天の骸 ﹁こうなった以上、隠していても意味のないことですから⋮⋮﹂ 浸蝕 この神殿の奥底に眠る太古の遺物、 ディアーネはみずからの体を 他の犠牲者たちを近付けないため、そしてその謎を解くため⋮⋮あ 450 えてエルフたちと対立する道を選んでいたのだ。 ﹁あなたの高貴なる覚悟に、このシスティナ・ランバディア、心よ り敬意を捧げます﹂ ﹁⋮⋮もったいない言葉です、外界の姫よ。ですが私のしたことは、 破天の骸 もじき奪われてしまうでしょう﹂ 結局無駄でした⋮⋮あれほどの力を持つ魔族がここの存在を知った 以上、 薙ぎ払って いった。 なお悪いことに、フラミアは行きと帰りの両方で、村落の周囲を 警護するダークエルフ戦士たちを無造作に 残る人員は治療に大わらわで、戦うことも逃げることもままなら ない。 ﹁イヤ、諦メルノハマダ早イゾ、シエラノ姉サン!﹂ がしゃんと身を乗り出す巨体。 一国の姫はもちろん、アーマーゴーレムまで魔隷術師の配下にい るという事実は少なからず巫女を驚かせていた。 ﹁ゴ主人トナナ達ナラ、ドンナ奴ダロウトブッ倒ス、今マデミタイ ニ! ソウダロ、ニーナ?﹂ ﹁ナナちゃん⋮⋮うん、そうですよね!﹂ 司令塔が敵の手に落ち、キリカとパルミューラは依然、合流でき ていない。 状況は絶望的だったが、ここにいるパーティの誰もがまだトオル の奪還を諦めていなかった。 ︵不思議だ。彼女たちは⋮⋮あの男、魔隷術師トオルを心底信頼し ている。それも隷属術式のなせる技なのだろうか、それとも︶ 451 隷属術式にはかかっていないという姫までも⋮⋮それがディアー ネには不可解だった。 あの男に、そうさせる何かがあるのだろうか? ﹃あんたが死ぬのが勿体ないからだ、ディアーネ﹄ あの時自分に向けられた、好色で不遜なエゴ丸出しの物言い。 しかしディアーネは自分でも不思議と、そこに腹立たしさや嫌悪 を感じられずにいた。 それどころか、この奇妙な胸のざわめきは⋮⋮過去百年もの長い 生で感じたことのない鼓動は、一体なんなのだろう? ﹁一番いけそうな手は、あのフラミアをマスターが魔隷にしちまう 枠 の問題が、立ちふさがってきます﹂ ことだよな。でも今は⋮⋮﹂ ﹁ええ。 魔隷の空き枠が足りないことには、皆すでに気が付いていた。 このままでは、新たな魔隷としてフラミアを隷属させるという、 パルミューラ戦の時のような逆転の一手が打てないことになる上⋮ ⋮トオル自身に、みずからを守る手段がない。 状況は、一刻を争う。 枠 を今空ける手段があるかもしれま 訪れた沈黙を破ったのは、女法術師のおそるおそるといった感じ の声だった。 ﹁えっと⋮⋮ひとつだけ、 せん﹂ 全員の視線が、ニーナに集まった。 452 ※ ※ ※ あちこち砕けた白銀の鎧、引き裂かれた蒼いマント。 狂公女 フラミアとの戦いに敗北し、樹海に墜落したキリカの マッドプリンセス 四方にふわりと広がった長い黒髪は、ぴくりとも動かない。 姿だ。 ︵まだ⋮⋮生きてる︶ 意識はあるが、体はまだ動きそうにない。 このままの状態で大森林のモンスターに遭遇でもしたら、姫騎士 といえどひとたまりもないだろう。 ︵⋮⋮だれ?︶ 音もなく、木々の間をすべるように、自分に近寄ってくる人影。 それは全身の痛みが見せた幻覚か何かのように思えた。 何しろ、その人影の顔があるべき部分には︱︱。 ︵銀色の⋮⋮仮面?︶ その思考を最後に、キリカの意識は暗闇に呑まれていった。 ※ ※ ※ 453 ﹁そんな⋮⋮! いくらなんでも、そんな方法ってあるかよ!?﹂ 気丈なアメリアが、いつもなら出さないような声をあげる。 ニーナが口にした内容は、それほど突拍子もないものだった。 枠 を空けるためには、姫さまを除く私たち魔隷の誰 ﹁でっでも、合理的に考えるとそうなるんです。ご主人様が術式を 解く以外に かが⋮⋮﹂ 空き になる﹂ その言葉を、シエラのかすかに震える声が継いだ。 ﹁⋮⋮⋮⋮命を失えば、そのぶんは 全員が、それぞれに息を飲む音。 あまりにショッキングな事実に、場の空気がしばし凍り付く。 そう、確かに、確かに空くのだ。 枠 が空いても、マスターがそれに気 もしも魔隷の誰かが死ねば、トオルがここにいなくとも⋮⋮それ は当然の帰結だった。 ﹁で、でも! 仮にそれで 付かなきゃ意味がっ!﹂ ﹁いえ、気付けるはずなんです。だって、シエラちゃんの時がそう だったじゃないですか﹂ ﹁あ⋮⋮⋮⋮!﹂ シエラがパルミューラの次元断層に捕らえられ、一時的に魔隷で なくなったあの時。 トオルは離れた場所にいながら、その異変を即座に察知したのだ 454 から。 だが⋮⋮では、誰がその役を担う? この先へと思考を、会話を進めることは、取り返しのつかない道 に踏み込むことに他ならない。 ﹁⋮⋮お待ちくださいませ、皆様﹂ 再びの沈黙を破ったのは、システィナ姫のよく通る声だった。 皆の視線が今度は、一斉にドレスの立ち姿へと集中する。 ﹁もし仮に、その手法で危機を脱せるとしても。それでは、トオル 様は喜ばれないと思いますわ﹂ ﹁喜ばない、って⋮⋮﹂ ﹁皆様の誰かがあたら命を落とされることを、です﹂ 静かな口調に、だが確信をこめて続ける金髪の美姫。 ﹁トオル様は、常々おっしゃっていましたわ。わたくしを含め、皆 様方はすべて﹃自分のものだ﹄と。その誰かが、たとえトオル様の ためとはいえ、死という別れの道を勝手に選ぶことを⋮⋮果たして 望まれるでしょうか?﹂ ﹁⋮⋮っ!!﹂ 姫が示す中には、ディアーネと牢番のダークエルフも含まれてい る。 そして確かにそれは、魔隷たちにとって直感的に理解できる真理 だった。 455 ﹁話に聞いたシエラさんの時も、わたくしの時も⋮⋮誰か一人でも 失うくらいならば相手が大魔族であろうと﹃否﹄を突きつけ、決死 の戦いを挑む。それがわたくしたちのあるじ、トオル様ではありま せんか?﹂ 安易な道 を選ばず、そして ならば︱︱︱と、システィナ姫はどこか誇らしげに断言する。 ﹁ならば、最後までわたくしたちも 諦めずに他の手段を模索するべきですわ。それこそが、トオル様に 忠誠を尽くすということではないでしょうか﹂ にっこりと、ランバディアの至宝と呼ばれた美貌に太陽の笑顔が 浮かぶ。 姫を中心に、冷えかけた神殿内にじんわりと暖かな熱が広がって いくようだった。 ﹁はは、確かに⋮⋮考えてみりゃ、そんなことしたらマスターに怒 られちまうよなあ﹂ ﹁それもそうですねぇ、お仕置きは全然オッケーだけど、嫌われち ゃうのはヤですよね!﹂ 顔を見合わせ笑い合うアメリアとニーナ。 さっきまでの剣呑な空気は、場から消え去っていた。 ︵魔隷術師トオル⋮⋮やはり、不思議な男ですね︶ その変化を、見えない目で敏感に感じ取り、ひとり思案するディ アーネ。 魔隷ではないというあの姫にすら、あそこまで言わせるトオルと いう男。 456 それに魔隷たちの反応もまた、盲目的に命を捨てるでもなくとて も人間的で⋮⋮そこにはまるで、術のそれだけではない繋がりが存 在しているかのようだった。 ﹁ディアーネ姉さま⋮⋮⋮⋮﹂ ふと、自分を見上げるシエラの視線を感じ、ディアーネは閉じた 両目を正確にその顔へと向けた。 ﹁⋮⋮シエラ。私も今一度、あの男を見極めてみたくなりました﹂ ﹁え⋮⋮⋮⋮?﹂ 破天の骸 の脅威から同胞たちを守ることに繋がるのなら。 ﹁あなたたちがあの魔族を倒し、魔隷術師を救い出すというなら。 それが この私も、微力ながら力を尽くしましょう﹂ ﹁姉さま⋮⋮⋮⋮っ!﹂ ぱぁっと久方ぶりに、子供の頃のような屈託のない笑顔を姉に向 けるシエラ。 ﹁ありがとうございます。さあ皆さん、まずはキリカとパルちゃん さんを探しに行きましょう!﹂ ﹁おーっ!﹂ だが、そんな輪から外れて一人⋮⋮いや、一体。 ︵犠牲⋮⋮⋮⋮カ︶ アーマーゴーレムは自分の無骨な腕をじっとカメラアイで見つめ ながら、赤銅色の胸の中でその言葉を繰り返していた︱︱。 457 ※ ※ ※ 十数階建てのビルほどもある大木の、大きく張り出した枝の上。 巨大な鳥型モンスターの巣か何かだったのだろうか、枝と柔らか い草を組み合わせて作られたスペースへと、俺は無造作に放り出さ れていた。 枠 は依然空かないままか⋮⋮よし︶ こんな状況じゃなければ、ちょっとした樹上ホテル気分なんだが な。 ︵魔隷の その事実は、俺にふたつの情報を与えてくれていた。 ひとつは、フラミアにさっき敗れ樹海に落ちていったキリカが、 まだ死んでいないということ。 まあ、そんなことは当然だ。 姫野桐華は⋮⋮俺の姫騎士は。 あれくらいでくたばるようなタマじゃないと、俺は主人として確 信している。 ︵そうだよな、姫野さん⋮⋮信じてるぜ︶ そしてもうひとつは、他の魔隷の誰かが死ぬことで強引に枠を空 けるという手段には出ていないということ⋮⋮少なくとも今はまだ。 ︵それでいい。そんなことをしてもらっちゃ困るからな︶ 458 俺は、一度俺のものにした女が失われるなんて死んでもゴメンだ。 それも勝手に命を捨てるなんて、俺への裏切り行為に等しいじゃ ないか。 どれほどフラミアとの戦力差は絶望的でも、諦めるのはまだ早い。 ︵第一、他に勝てる目がないわけじゃないからな︶ 自在に空間断層を生み出し、敵を圧壊させる恐るべき能力。 だが、それは決して無敵の力じゃない。 俺はさっき、キリカとフラミアの戦いを見ていて閃いたのだ⋮⋮ 勝つための策を。 ︵でも、それを実行するには戦力がいる。キリカや他のみんなが︶ だからこそ皆を信じつつ、俺はそのための布石を打つのだ。 勝って、欲しいモノをすべて手に入れるために。 心を決め、ゆっくりと顔を上げる⋮⋮正面に立つ、着物姿の幼い 外見を持つ恐るべき魔族へと。 ﹁ほらほらお兄さん、そろそろだんまりも限界だよ? パルミュー ラとどういう関係なのか、答えてもらおっかなぁ⋮⋮ここから落と されたくなければねっ!﹂ ﹁ああ、それは簡単だぜ。これを見な﹂ すっと、今まで隠していた右手の甲を向ける。 そこに刻まれた紋様を見て、フラミアは一瞬きょとんとした顔を し⋮⋮そして爆発した。 ﹁⋮⋮あ、あはっ⋮⋮あははははははははっはっっ!!﹂ 459 契りの魔紋 が、おにー 羽根をパタパタさせ、華奢な体を折り曲げて、涙を流さんばかり の大爆笑だ。 ﹁な、なにそれっ!? なんであいつの さんみたいな人間にっ? 魔貴族のクセに、あいつっ⋮⋮あははは っっ、ダサすぎだよぉっ! あーもー笑い死にそーっ!!﹂ さすがに、人間の俺とパルミューラの間で、まさか服従を意味す る契約が取り交わされているとは予想してなかったようだ。 ﹁なんでって、そりゃ当然だろ? 俺があいつより強くて、あいつ に勝ったからさ⋮⋮お前より先に、な﹂ ぴたり、とフラミアの笑いが止んだ。 ﹁⋮⋮うそ。パルミューラは確かに弱っちいけど、人間なんかに負 けるわけないわ! 嘘ばっか言ってるとヒネって潰しちゃうよ、お 兄さんっ!﹂ 無邪気な殺気をまとい、ずいっと俺を覗き込んでくる少女魔族。 予想通りの反応だ。 この上位魔族は、何らかの理由でパルミューラに執着している。 わざわざ人間界に出てきてあんなムチャクチャな探し方をするくら いだからな。 だから⋮⋮そこを煽ってやればいい。 ﹁嘘じゃないことは魔紋の存在が証明してるだろ? 俺はあいつに 勝ったんだよ、でもそれは殺し合いでじゃない⋮⋮もっと違う戦い 460 で、だ﹂ ﹁はああ? 潰し合い以外に、どんな戦いがあるって言うのよっ?﹂ フラミアは紫がかった青髪をかしげ、理解できないといった表情 を見せる。 だが、俺の言葉に興味を持ち始めていることは明らかだった。 ﹁知りたいか? 知りたいよなぁ、俺がパルミューラをどうやって 服従させたかを、さ﹂ ﹁もったいぶらないで教えてよ、お兄さん! マジで潰されたいの !?﹂ そうだ、それでいい⋮⋮好奇心こそが、身を滅ぼす毒だと思い知 らせてやるぜ。 狂公女 様めがけ、ビシッと指を突きつけ マッドプリンセス ﹁ああ教えてやろう、それは︱︱セックスだ!﹂ ぽかん、と口を開く て。 俺はそのすばらしい言葉を、自信満々に言い放った。 461 31話:敗北の記憶と、それぞれの戦い ﹁セッ⋮⋮クス⋮⋮?﹂ あっけにとられた顔で、俺の出したその単語を繰り返す フラミア。 ﹁そうだ。まさか知らないのか?﹂ ﹁し⋮⋮知ってるし、それくらいっ!﹂ マッドプリンセス 狂公女 鈴を転がすような声のトーンが一段階上がり、あからさまに目が 泳いでいる。 なんともわかりやすい反応だ。 ﹁ほほう、じゃあ言ってみ?﹂ ﹁そ⋮⋮それは、人間のオスとメスとか⋮⋮あとオークとかゴブリ ンとかが、裸になってなんか、ギュッギュってやるやつ⋮⋮でしょ ?﹂ 偏った知識のお子様発言に、思わず吹き出しそうになってしまう。 まあ、半永久的な寿命を持つ高位魔族は必ずしも子作りを必要と しないようだから、縁の薄い概念でもおかしくはないが。 ﹁何笑ってるのよ! 馬鹿にすると潰すよ、お兄さん!?﹂ ﹁ああ悪い悪い、じゃあ理解できるだろ? 俺とパルミューラは雌 雄を決するために、セックスによる激闘を繰り広げたのさ﹂ えっ⋮⋮!? と絶句するフラミア。 462 ﹁その攻防は、七日七晩もの間続いた。俺たちは互いに一歩も譲ら ず⋮⋮まさに天地を揺るがす死闘だったぜ、あれは﹂ ﹁̶̶そっか、セックスって戦いの一種だったんだ⋮⋮ていうか、 パルミューラのやつセックスしたんだ⋮⋮﹂ 俺が遠い目で語るデタラメを聞いて、ボソボソつぶやいている。 このぶんじゃ、想像通り性知識はお察しというとこだな。まあ、 大魔族イヴリースの妹で、しかもムチャクチャな強さの持ち主⋮⋮ 悪い虫がつくはずもないが。 契りの魔紋 を結ぶ ﹁ああもちろん、パルミューラも強かったぜ。俺は何度も死を覚悟 した⋮⋮だがついには、俺はあいつを倒して に至ったのさ﹂ という焦りも。 という屈辱感をくすぐる 執着しているパルミューラを、 内心の笑いをこらえながら神妙な顔を作ってみせる俺。 ここでのポイントは、フラミアの 自分だけが蚊帳の外 自分より先に人間なんかの手で倒された ことだ。 そして ﹁で⋮⋮でもそれがなんだっていうのよ!? あたしがお兄さんを 潰せば、結局あたしが一番強いってことになるよね、あいつよりも !﹂ 着物から伸びる白く細い手が、俺めがけ突きつけられる。 そこから放たれる見えない一撃は、さっきキリカを倒したように ⋮⋮いや、生き延びる余地さえなく一瞬で、俺をボロ雑巾に変えて しまえるだろう。 463 強さ が永遠にわから ﹁空間破砕能力で潰すってんなら好きにするといいさ。でもな、本 当にいいのか? それじゃお前には、俺の ないままだぜ﹂ 背中を氷が駆け上るような死の恐怖を噛み殺し、言葉を続ける̶ ̶それが隷属魔法を行使できないこの状況で使える、俺の唯一の武 器だ。 ﹁⋮⋮なによ、それどういうこと?﹂ ﹁力で戦えばお前やパルミューラより弱っちい俺だが、セックスだ とそうじゃない。むしろ勝つ自信がある。わかるか? 強さの種類 はひとつじゃないんだよ﹂ ﹁強さに、種類が⋮⋮? ウソよ、そんなことあるわけない! あ たしがお兄さんより弱いかもしれないなんて、そんなの絶対ありえ ない!!﹂ 困惑し、紫がかった長い髪をぶんぶん振る少女魔族。 まあ、そうだろうな。この傍若無人、ある意味無邪気な性格を見 れば察しがつく⋮⋮生まれつき強大すぎる規格外の力を持ち、それ でなんでもワガママを押し通してきたフラミアには、力の強弱以外 の価値基準は頭になかったはずだ。 負ける のは ﹁いや、別にいいんだぜ? お前が得意分野でだけ勝ち続けるのも、 だろうしなァ⋮⋮﹂ なにも間違っちゃいないからな。まあ誰だろうと 怖い ﹁うるさい̶̶もういい、黙ってッ!﹂ ヒュッという音が耳の横を通り抜け、背後の巨大な枝がバラバラ に砕け飛んだ。 まずい、煽りすぎたか⋮⋮とイヤな汗が背中を流れる。 464 が、フラミアの次の言葉は。 ﹁⋮⋮わかったわよ。お兄さんとセックスで戦って勝てば、あたし がやっぱりぜんぶ最強ってことが証明されるよね。たったそれだけ のことじゃない﹂ ︵よし⋮⋮釣れた!︶ 思い通りの言葉を引き出せたことに、心の中でガッツポーズをと る俺。 フラミアの小顔が、すとんと同じ目線にまで降りてきて、冷たい 瞳にじっと射すくめられる。 ﹁で、そうなったら、お兄さんはやっぱり嘘つきってことだから⋮ ⋮あたしがそんな奴をどうするか、そこんとこは覚悟できてるよね ⋮⋮?﹂ ﹁⋮⋮ああ、煮るなり焼くなり好きにするといいさ。負ける気はな いけどな﹂ 文字通り命懸けのセックスバトル、これで死んだら笑い話にもな らない。 だが少なくとも、一筋の光明は見えた。 ﹁あたしがあの弱っちいパルミューラに負けてるとこなんか、何ひ とつないってことを見せつけてやるんだから⋮⋮!﹂ まるで自分に言い聞かせるように、どこか遠い目をしてフラミア は呟いた。 465 ※ ※ ※ 魔界̶̶数百年前。 ノーヴル・エイト かつて八冥家に数えられた大魔貴族の居城にふさわしい荘厳な魔 城が、今や見る影もなく破壊し尽くされていた。 が無 あちこちの壁や床には、巨大なスプーンでえぐり取ったような破 残骸 フラミア。 砕痕が穿たれ、ヘルウォーリアや下級デーモンたちの 数に散らばっている。 狂公女 疑いようもない、一方的な負け戦の光景だ。 その惨禍の中心にふわりと降り立つ、 まだかろうじて息がある漆黒のグレーターデーモン⋮⋮最後まで 抵抗を続けた精鋭魔騎士の前に、ぺたりと座り込んでにっこり笑う。 ﹁これでやっと静かになったね。で、パルミューラをどこに逃がし たの? 素直に教えてくれたら、命は助けてあげてもいいよ﹂ ﹁⋮⋮言うと思うか、イヴリースの狂犬め⋮⋮!﹂ 覚悟と確信をにじませた苦しげな声。 ﹁パルミューラお嬢様さえご存命ならば、必ずや再興は成る⋮⋮八 冥家の座も、成り上がり者どもから取り戻されよう⋮⋮!﹂ フラミアはまるで理解できないといったふうに首を振る。 ﹁わっかんないなぁ⋮⋮お城も部下もみんな潰れちゃって、あいつ 一人で何ができるっていうの? ぜんぜん弱っちいあいつなんかに 466 さ?﹂ ﹁愚かなり、 狂公女 ﹂ 巨大な牙を剥き出し、にやりと笑う瀕死の魔騎士。 ﹁お嬢様は確かにまだ未熟にあらせられる。だが同時に、その御身 に可能性を秘めておられる⋮⋮今は亡き先代当主が、そして我ら臣 下が信じた大いなる未完の器をな﹂ ﹁なにそれ、意味わかんない。負けたくせに、弱いくせに偉そうに っ!﹂ ﹁はは⋮⋮わかるまいよ、ただ暴れるだけの狂犬にはな﹂ パルミューラを幼い頃から見守ってきた忠節の魔騎士の言葉には、 負け惜しみなどではなく揺るぎない確信と達成感があり、それがフ ラミアを惑わせる。 ﹁確かに我らは敗れた! だが元よりみな、お嬢様を逃がすためあ えてここに立った死兵よ。命を糧に、作戦は達せられた⋮⋮ならば 狂公女、貴様こそが敗者なのだ!﹂ ﹁⋮⋮ッッ!!﹂ ずんっっ̶̶と地面が揺れ、すでに半ばから折れかかっていた魔 城の尖塔がゆっくりと崩落を始めた。 フラミアの目の前、さっきまで魔騎士が横たわっていた場所には、 今や巨大なすり鉢状にえぐれた床がぽっかりと開いている。 ﹁わかんない、全然わかんないっ⋮⋮! あたしは強くて、余裕で 勝ったはずなのに⋮⋮なんでこんなにイライラしなくちゃいけない のっ!?﹂ 467 剣魔卿 シュトラールが、イヴリースの 苛つきを隠そうともせず、破壊の余波を周囲にあたりかまわず叩 き付ける。 それは遅れて到着した 命令を盾になんとか彼女をなだめるまで続いた。 ⋮⋮この時から、フラミアの胸には小さなしこりが生まれた。 狂公女 の悪名をさらに 大好きな姉は、だがそんな彼女の相談に乗ってくれるようなこと はなかった。 敵の本拠地を単騎で壊滅させたことが 高め、フラミアは以前にも増して、腫れ物に触るような扱いを受け 続けた。 ︵なんで⋮⋮なんで強いあたしにはいないのに⋮⋮弱いあいつのた めに笑ったり死んだりする奴らはいるのよ⋮⋮!︶ それまでの価値観を揺らがせるあの出来事が、フラミアの心に奇 妙なざわつきを生み出しつつあった。 ︵じゃあもし、もしあたしが強くなかったら⋮⋮それでも、イヴリ ースお姉様はあたしを、好きだって言ってくれるのかな⋮⋮?︶ そうに決まっている。 敵対する連中を潰して潰して潰し続けたのも、すべてイヴリース のためだ。 そのたび良くやったと褒めてくれた姉が、自分を捨てるはずがな い。 でも、その先を考えるのは⋮⋮なぜかとても恐ろしいことに思え た。 468 ︵こんな⋮⋮こんなヘンなモヤモヤができたのも、あいつのせい! ぜんぶパルミューラのせいよ、あいつが素直に諦めてさっさと潰 されないからっ!︶ 居城を命からがら落ち延びた後も、性懲りもなくイヴリース陣営 への反抗を画策しているというパルミューラ。 フラミアはしだいに、それまではせいぜい楽しいオモチャとしか 思ってなかった魔貴族への執着心を、より強くするようになった。 そして、清算のチャンスはついに訪れる⋮⋮ただし、フラミアが 想定していたのとはまるで違う形で。 ※ ※ ※ ﹁じゃあ、いつでも始めていいよ、お兄さん﹂ 柔らかな植物が敷き詰められた樹上の空間にちょこんと座る、か すかにそわそわした様子のフラミア。 ﹁俺から好きにやっていいのか?﹂ ﹁そ、それくらいハンデだもん。せいぜい頑張ってみてよ﹂ なるほど、こいつ自分にセックスの知識がないのをごまかそうと して、まず俺からさせて様子を見ようって考えてるな。 なかなかいい浅知恵だ、それこそ俺の思うツボ。 ﹁オッケー、じゃあ遠慮無く⋮⋮﹂ ﹁えっ、なに、ふあっ!?﹂ 469 フラミアの細い体を、ひざの上に抱えるようにして抱き寄せた。 はだけた着物からのぞくすべすべの肌が俺の腕におさまり、スト レートロングの髪からかすかに柑橘系の良い香りが漂ってくる。 ﹁ヘンなの、こうやってギュッギュってするの⋮⋮?﹂ ﹁まあ、まずはそんな感じからスタートだ﹂ 反射的にこわばる軽い体に、力を抜くように指示する。 無論、俺の力じゃフラミアに傷一つ負わせられないと相手もわか っているから、驚きはしてもさすがに攻撃するようなそぶりはない。 ﹁こうやって互いの体温を確かめ合うのが、セックスの基本のひと つだ﹂ ﹁ん⋮⋮っ、し⋮⋮知ってるもん、それくらい﹂ 簡単に持ち上げてしまえそうな、華奢で軽い子供のような体。 サラサラの髪をゆっくり撫でてやると、背中でぱたぱたとコウモ リに似た羽根が動いているのがわかる。 意外と、人間の俺に初めて抱きしめられることを嫌がってはいな いようだ。 ﹁よし、次は目をつぶって口を前に出してくれ﹂ ﹁え? こう、お兄さん?﹂ すっと無防備に差し出された無防備な桜色のくちびるめがけ。 ﹁んっ⋮⋮んうっ!?﹂ 大きな瞳がぱっちり見開かれるのと、唇同士が重なるのは同時だ 470 った。 ふにゅんっ⋮⋮と柔らかい感触を楽しむ間もなく、フラミアは慌 てて俺から顔を引いた。 ﹁ぷぁっ⋮⋮! なっなにこれ、キスじゃん!?﹂ ﹁ああ、さすがに知ってたか﹂ ﹁当たり前だし! ていうか、セックスとキスは関係ないでしょ! ?﹂ 八重歯を剥き出して抗議するロリ魔族。 関係なくもないんだが、お子様知識じゃそのへんが限界か。 ﹁それに、口にキスするのは好きな人とだけって聞いたことあるも ん。お兄さんは面白い人間だけど、そういうのじゃないし!﹂ ﹁わかったわかった。じゃあ、口以外ならいいんだな?﹂ ﹁え? それなら⋮⋮まあ、いいけど⋮⋮っふぁ、ちょ、ちょっと !?﹂ きょとんとする魔族少女の細い首筋を、かぷりと俺は甘噛みした。 陶磁器のようなすべすべの肌に舌を這わせると、ゾクゾクと小さ な身体が激しい反応を返してくる。なかなか感度が良さそうだ。 ﹁やぁ、く、くすぐったいよお兄さんっ⋮⋮ぞ、ぞくってするぅ⋮ ⋮!?﹂ ﹁そのままじっとしてろよ、フラミア﹂ 元々はだけかかっている着物の合わせ目に手を入れて、ぐっと下 にずり降ろす。 鎖骨やあばらが浮き出た起伏に乏しい胸、可愛らしい桜色の突起 ⋮⋮犯罪的なまでの幼児体型が露わになった。 471 このへんのボリュームはパルミューラといい勝負だな。 ﹁え、え? こ、今度はどこにキスする⋮⋮の?﹂ ﹁それはな、もちろん⋮⋮ここだ!﹂ ﹁えっ⋮⋮ひゃうぅぅぅぅんっっ!?﹂ 首への愛撫より1オクターブ高い鳴き声。 ぬるま湯みたいな体温を口全体で味わいつつ、俺は口中に捕らえ たピンクのつぼみを舌で刺激する⋮⋮壊れ物でも扱うように、繊細 に繊細に。 ﹁な、なにこれっ⋮⋮!? こっこれ、キスなの⋮⋮ぉっ!? あ っあああっ⋮⋮へ、ヘンな感じが、胸にっきてっ⋮⋮んひゃぁぁん っ!﹂ 乳頭だけでなく、周囲の敏感な肌やその境目を、円を描くように ぬるぬると舐め回しながら、突起を時折ピンとはじいたり、舌で押 したりしてやる。 その処女乳首がコリコリと硬い弾力を帯びてくるまで、時間はか からなかった。 ﹁やっああっ⋮⋮んぁあぅっ!? ま、待って、ちょっとストップ !﹂ ﹁なんだフラミア、もう降参か? パルミューラはこれくらい余裕 で耐えたぞ﹂ ﹁⋮⋮え!? あいつが!?﹂ 本当はあっちの反応も似たようなもんだったが。 それを聞くと、フラミアの早くもトロけかけた表情が対抗心でキ ッと険しくなった。 472 ﹁こ、降参とか誰も言ってないし! あたしがあいつより弱いわけ ないじゃない! あたしはただ⋮⋮そっそう、こっちにもキスしな さいって言おうとしただけ!﹂ 言葉尻をごまかそうとフラミアが突き出したのは、向かって右側 の乳首。そこはまだ触っていないのに、かすかにぷっくりとした段 差を作りつつあった。 今まで愛撫したのは左側ばかり⋮⋮おそらくフラミアは無自覚に、 そっちも段々せつなくなってきたのを持てあまし始めてたんだろう。 ﹁はいはい、仰せのままに。それじゃあこっち側も⋮⋮っと﹂ ﹁んぁ、きっ来たぁ⋮⋮! は、はうぅぅぅ⋮⋮っ!﹂ 狂公女 。 長いため息をつきパタパタと背中の羽根を震わせ、新たな快美感 を小さなボディで味わう 思った以上に貪欲な、行為への適応⋮⋮おそらく、フラミアは潜 在的にかなり性欲が強いんだろう。これはやりやすくて好都合だ。 ﹁やあぁっ、あふぁ⋮⋮ふぁぁぁんっっ⋮⋮! あ、頭ふわふわし てきたぁ⋮⋮ひゃふ⋮⋮っんぁっ、あふぅぅ⋮⋮っ!!﹂ 唾液でべとべとになった白い胸板を、右から左、左から右にと交 互にまんべんなくのねちっこい舌攻め。 左手でかすかに汗ばみ始めた背中をさわさわ撫で、右手でこれま た感度のいい反応をビクッと返す耳たぶをこりこりイジりながら、 幼いおっぱいを丁寧にねぶりあげる。 今やフラミアは、自分から上半身を俺の顔に押しつけるようにし て初めての愛撫快感をむさぼり、そして̶̶! 473 ﹁んひっ⋮⋮ひあっっ!? あっ、あっんあっっ⋮⋮やっ何これぇ っっ!?﹂ くにっ⋮⋮と前歯で右の乳頭を上下から挟むように甘噛みした、 その瞬間。 俺の頭を両手でグッと強く抱え、フラミアの幼い肢体が弓のよう にのけぞってわなないた。 ﹁ふ、ふわってなる⋮⋮っ!? ふわって昇っちゃうよぉっ、頭の 中がふわぁぁって⋮⋮ふぁ、あぁぁっ⋮⋮んっんうぅ∼∼∼∼∼∼ ∼ッッッ!?﹂ がくがくと体を痙攣させ、小さな体がすみずみまでピンと緊張し、 狂公女 が初めて迎えた、まぎれもない初絶頂の光景だ 甘く溶けた悲鳴がほとばしる。 それは った。 ﹁まさか、胸だけでイクとはなぁ⋮⋮驚きの感度だな、フラミア﹂ ﹁ふ⋮⋮ふぇ? イク⋮⋮って、なに⋮⋮?﹂ ﹁体がビクッてなって、頭がふわってどこかに昇るように真っ白に なっただろ?﹂ ﹁う、うん⋮⋮そうなった、けど﹂ とろんとした瞳、だらしなく可愛らしいヨダレまで口の端から垂 らし、荒い息で俺にしがみつくフラミアに俺は宣告する。 だ﹂ ﹁それがイクってことだ。そして⋮⋮そうなった側がセックスじゃ 負け ﹁え? え̶̶えええええっっっ!?!?﹂ 474 とたん、小さな身体に似つかわしくない力で俺を枝の上に押し倒 すと、首筋をひっつかんで猛抗議する魔族少女。 ﹁なにそれ、聞いてないっ! そ、そういえば勝ち負けのルール聞 いてなかったんだからっ、こんなの無効! あたし負けてないっっ ! 負けてないもんっ!!﹂ ﹁ぐっ⋮⋮わかったわかった、わかったから止めろ! くっ苦しい ッ、死ぬ!﹂ 首から手が離れ、かわりに涙目で俺をにらみ下ろす顔がぐいっと 接近してきた。 ﹁い、いいもん、あたしはフェアだから、今のはお兄さんの1ポイ ント先取ってことにさせてあげる!﹂ ﹁げほっ⋮⋮へえ、いいのか?﹂ いいったらいいの! と、ぷうっと頬を膨らませて宣言するフラ ミア。 やはり強さや勝ち負けについてはハッキリさせないと気が済まな い性格らしい。 ﹁あたしがこれから逆に取り返せばいいんでしょ! そんなの余裕 だしっ!﹂ ﹁ああ、そうだな、まだ勝負はこれからだ。仕切り直しといこうか﹂ ﹁と、当然よ。勝つのは、強いあたしなんだから⋮⋮お兄さんにも、 パルミューラにだって⋮⋮!﹂ さて、いよいよここからが本番だ。 無知でウブな魔族娘に、俺が叩き込んでやろうじゃないか⋮⋮セ ックスの素晴らしさと恐ろしさを、みっちりとな! 475 ︵そう、馬鹿馬鹿しくてもこれは最後に勝つための布石だ。そして そのための⋮⋮もう一つの布石を、打たせてもらう︶ ※ ※ ※ ﹁くっ⋮⋮じゃから言わぬことではない⋮⋮! やはり勝てぬのじ ゃ、あのフラミアには⋮⋮!﹂ シェイヨル大森林、湖のほとり。 キリカがなすすべなく敗北し、樹海の果てに落下していく光景の 一部始終を呆然と見送ったパルミューラは、巨木の幹に拳を打ち付 けた。 ﹁あの時と、同じように⋮⋮っ!﹂ 目を閉じると、そこには片時も忘れたことのなかったあの光景が 広がる。 フラミアの手で崩れ落ちる居城。 自分を逃がしてくれた忠臣との、涙の別れ。 イヴリースの魔軍に、次々と狩られていく家臣たち。 そして⋮⋮その時もその後も、何もできなかった自分。 仇を討つことも、父母や散っていった者たちの期待に応えること も、何ひとつ。 ﹁じゃが⋮⋮! 今のわらわに何ができるというのじゃ、フラミア 476 は強すぎる⋮⋮わらわは、あ、あやつが恐ろしい⋮⋮っ!﹂ ゴスロリドレスのひざを抱え、情けなく縮こまる体。 フラミアへのトラウマ的恐怖は、魔貴族少女から戦意も希望も奪 っていた。 ﹁唯一の逆転の希望、魔隷術師の力なしにどうやって一矢報いろと ⋮⋮!﹂ と̶̶その時。 パルミューラの額で、赤い魔紋がぼんやりと熱を帯びた。 ﹁っ!? こ、これは⋮⋮!?﹂ そこから全身に、かすかな魔力が広がってゆくのを感じる。 魔隷術師トオルから、契りの魔紋を介して流し込まれているのだ。 意志 を伝えていた。 距離が遠いため、ほんのわずかの量に過ぎないが⋮⋮その行為自 体がパルミューラに、ひとつの ﹁魔隷術師⋮⋮おぬし、まだフラミアと戦うつもりでおるのか。⋮ ⋮そして、わらわにも共に戦えと言うのか﹂ 今のあなたはとても格好悪いわ̶̶と、姫騎士が残したあの言葉 が、繰り返し頭の中に反響する。 キリカも、トオルも、人間たちはまだ一人も諦めてはいなかった。 それなのに自分ひとり真っ先に諦めて本当にいいのかと、二人に 問われているかのようだった。 ﹁そして、わらわもあやつと戦えるに足ると⋮⋮おぬしは信じてお るというのか﹂ 477 可能性 を。 かつて家臣たちがそう信じたように。 パルミューラの ﹁く、くふふ⋮⋮! どいつもこいつも馬鹿者どもが⋮⋮!﹂ ゆっくりと立ち上がり、湖に自分の姿を⋮⋮うっすらと光を放つ 魔紋を映す。 自分を魔隷という立場に縛っているはずの忌み嫌うべきそれが、 今はなぜか頼もしく映った。 トクン、トクンと鼓動のように広がる魔力の律動が、熱となって 全身を満たす。 ﹁ならば⋮⋮ならばわらわも、見せねばなるまい。魔界第四位階魔 貴族としての⋮⋮いや!﹂ ふわりと、背筋の伸びた体が宙に浮き上がる。 そして叫ぶ⋮⋮己を縛る鎖を、吹き飛ばすように。 プライド ﹁あのにっくきイヴリースめから、八冥家の座を取り戻す新たな当 主としての矜持をなッ! 目の玉かっぽじってよぉく見ておれ、我 が契約主⋮⋮魔隷術師トオルよ!!﹂ 478 31話:敗北の記憶と、それぞれの戦い︵後書き︶ ※なんかカッコつけてますが、これで乱入↓寸止めにはなりません のでご安心下さい。 479 32話:狂公女の戸惑いと、不穏の影 ぴとっ⋮⋮! と桜色のちっちゃな舌が、俺の左乳首に先端で触 れ、にゅるるるっ⋮⋮とその周囲を滑った。 フラミアは俺にのしかかるようにして服を引き裂き、はだけた胸 板にちろちろと舌を這わせている。 ﹁ふふっ、さっきのお返しだよ、お兄さん⋮⋮ちゅ、ぺろ⋮⋮れろ ろっ!﹂ ﹁うっ⋮⋮く! な、なかなかやるなフラミア﹂ なるほど、確かに俺がさっきやった行為をマネすればこうなるわ けか。 男にとっても弱点といえる場所を、ロリ魔族のあったかいベロで ぐりぐりと愛撫されるのは思った以上にキく⋮⋮思わず本当に声が うわずってしまう。 ﹁とーぜんだもん、さっきのハンデなんかこうやってすぐ取り戻し ちゃうんだからね⋮⋮はむ、はぷっ⋮⋮れろれりょぉおぉ⋮⋮っ!﹂ はむはむと甘噛みを交えた舌使いは、初めてにしちゃ意外とツボ を突いているし、胸板に当たるサラサラの髪先も心地いい。 ムクムクと股間が最大限に膨張するまで、そう時間はかからなか った。 ﹁ああ、確かに強敵だな。じゃあそろそろ、ここにも攻撃しちゃど うだ?﹂ ﹁⋮⋮え? ここ、って⋮⋮ぅわ、なっ何これ!?﹂ 480 紅葉みたいな手を誘導してギュッと俺の股間を掴ませると、フラ ミアはその感触にビクっと指を跳ねさせた。 次いで俺が取り出した勃起チンポを、目を丸くして見つめてくる。 ﹁何って、セックスに使う大事な男の武器⋮⋮チンポだろ? まさ か、知らないわけないよな﹂ ﹁ちん⋮⋮? え、あっ⋮⋮あ、ああうん、チンポだよね! し、 知ってるわよもちろんそれくらいっ! 常識だし!﹂ バレバレの反応をしつつ、赤黒いオスのシンボルから目を離せな いフラミア。 ごくっ⋮⋮と白い喉が鳴り、宝石のような瞳にはテカテカの亀頭 が映り込みそうな勢いだ。 ﹁そうだな、次はそれを手と口で攻撃するのがセオリーってのも常 識だよな﹂ ﹁え!? ⋮⋮う、うん、そうだよ⋮⋮ね。じゃ、じゃあ遠慮なく いっちゃうよ﹂ 狂公 あーん、と八重歯をのぞかせたお口が限界まで開かれ、ぱくっ⋮ ⋮にゅるっ! と、温かな空間に亀頭が半分ほど包まれた。 さま。 いきなりチンポをくわえるとはなかなかやるじゃないか、 女 ﹁んうっ、んうぅ⋮⋮! んっちゅ、ちゅぷぱっ! れろろんっ、 るろろっ!﹂ ﹁くっ⋮⋮こ、これはなかなかっ⋮⋮!﹂ チンポを大きい乳首にでも見立てたのか、さっきのように唇全体 481 で先端をはむはむとついばみながら、密着させた舌をぐりぐり動き 回らせてくる。 偶然、鈴口の割れ目を可愛いベロ先がほじくり、また不覚にも声 が漏れそうになる⋮⋮確かにこいつ、戦いたけじゃなくセックスの センスもあるのかもしれない。 ﹁んっ⋮⋮あっ、手も使うんだよね⋮⋮じゃあえっと、このへんの 太いとこを指で握って⋮⋮んしょっ、こう⋮⋮かなぁ?﹂ ちっちゃい両手でも、チンポの根元近くをギュッと掴んでしごい てくる。 性に疎いぶん遠慮のない、ごしゅごしゅと音がしそうなほどの派 手な動き⋮⋮そのキツめの刺激が、まったりと心地良い先端部分の 愛撫といい対比になっている。 ﹁れろ、んちゅちゅっ⋮⋮ぷは! ふふふ∼んっ、気持ちよさそー な声出てるよぉ、お兄さん?﹂ ﹁ま、まあな⋮⋮! 思ったよりやるじゃないか﹂ ﹁ふっふーん♪ だから言ったじゃん、あたしはどんな戦いでも強 いって﹂ 元々羞恥心がほぼないからか、くにゅくにゅと大胆に踊るベロ先 弱い かを が、カリの段差や血管の上、ウラスジといった各所をごしごしと優 しくみがきにかかる。 時々、俺の表情をじぃーっと見つめ、どこの反応が しっかり観察しているのがあなどれない。 ﹁お兄さんの弱いとこぉ、ちょっとずつわかっちゃったかもぉ⋮⋮ ほら、こことかグリグリってすると、ビクビクってなってるし? ほらほら、どーだどぉだっ♪﹂ 482 小悪魔的な魅力をたたえる悪戯っぽい仕草で、鈴口の割れ目や玉 袋までも舌で、あるいは指で、面白がりながら好き勝手にいじくる フラミア。 ちゅっちゅっ⋮⋮とちっちゃな唇でグロいオスの性器にキスの雨 を降らせるのがまた、視覚的にもたまらない。 ﹁うっお⋮⋮! こ、このままだと、イキそうだ⋮⋮っ!﹂ ﹁ふぇ? あはっ、今度はお兄さんがイッちゃうんだ? セックス はイッた方が負けなんだよね、じゃああたしが1ポイント取り返せ るってことだよねっ!﹂ もちろん、予想より上手いとはいえフラミアのテクはまだまだ稚 拙だ。 やろうと思えばガマンできる⋮⋮が、俺はあえてそれをしなかっ た。体の芯から駆け上ってくるグツグツ煮えた衝動に、そのまま身 を任せる。 ﹁くっ、なんてこった、この俺が⋮⋮! しかもセックスで男がイ ク時はっ、イッた証拠の精液がチンポの先から発射されてしまうか ら隠すこともできないっ!﹂ わざとらしくそんな説明セリフを口にすると、亀頭をグリグリし ながら包皮を唇でつまんで引っ張り弄んでいたフラミアの目が輝い た。 ﹁せーえき⋮⋮そうだったんだ⋮⋮あ! も、もちろん知ってるけ どね! じゃあお兄さん、あたしに負けた証拠の精液いっぱい出し ちゃいなよ、ほらほらほらぁっ♪﹂ 483 んちゅぅぅぅ∼∼∼∼っっ! と、ピクピク震えだした先端にサ ディスティックな笑顔の上目遣いで吸いつくフラミア。 もちろん、血管の浮いた肉幹を十本の指で一生懸命シゴくのも忘 れない。 ﹁ほら出して、出してっ♪ お兄さんのせーえきっ、だぁしてっっ ♪﹂ ﹁くぉ、こ、この処女ロリビッチめっ⋮⋮!﹂ よぉし、なら望み通りくれてやろうじゃないか。 処女ロリ魔族に熱烈奉仕されるその背徳的な眺めを前に、俺はこ みあげる真っ白い欲望のすべてを解き放った! ﹁んっ⋮⋮んぶっっ!? んぁ、んむぅぅぅぅぅ∼∼∼∼っっっ! ?!?﹂ 狂公女 、亀頭を頬張ったその口がどんどんリ どびゅッッ、どびゅるるるぅぅぅっっっ!! どぷっ、どくどく ぅぅっっ!! 目を白黒させる スみたいに膨らんでいく。 発射されるのはもっと少量だと思っていたのだろう、自分の口腔 勝ち を満たしていくドロドロネバネバの粘液の襲来に圧倒され、今にも 口を離さん勢いだが⋮⋮! ﹁おっと、もちろんわかってると思うが一滴でもこぼしたら にならないからなっ⋮⋮くぉ、まっまだ出るっ!﹂ ﹁っっ!? んぅうっ!? っぷぅぅっ⋮⋮んぷうぅッッ!!﹂ 俺の言葉に、慌てて先端に吸い付いたまま、涙目でビュービュー 484 放たれる精液を必死に受け止め続けるフラミア。 この生意気な凶悪ロリ魔族に思うさま口内射精をどぷどぷキメる 征服感、たまらない⋮⋮チンポの脈動に合わせて、背筋をすさまじ い快感が突き抜ける。 ﹁よぉし、口に溜まった精液を見せてみろ⋮⋮もちろんこぼさずに な﹂ ﹁ぷぁ⋮⋮ん、んあぁ⋮⋮! はぁ、はわぁ⋮⋮っ!﹂ フラミアのちっちゃな口が開き、舌が隠れるほどトップリと注が れた俺の白濁ミルクが、むわぁっ⋮⋮とイヤらしい湯気をたてる卑 猥な光景が現れた。 ﹁見事だぜ、フラミア。あとはこれを飲み込んだら、お前の勝ちだ﹂ ﹁∼∼∼っっっ!?!?﹂ 無慈悲な宣告に、一瞬泣きそうな、あるいは暴れ出しそうな顔に なるも⋮⋮意を決したように目を閉じ、白く細いのどがコクン、コ クンと動き始めた。 あのフラミアが、大魔族イヴリースの妹が、俺の精液を従順に飲 み込んでいる⋮⋮! よっぽど勝ちたいからだろうが、オスとして の達成感を感じずにはいられない。 ﹁⋮⋮ぷはっ! けほっ、うえぇ⋮⋮く、口の中いがいがするぅ、 ヘンな味ぃ⋮⋮! で、でもイカせたからこれであたしの勝ちだよ、 お兄さんっ!﹂ 精液と唾液でぐしょぐしょになった口をぬぐい、えっへんと勝ち 誇るフラミア。 もちろん、俺の答えは決まっている。 485 ﹁ああそうだな、1ポイント取り返してこれで1vs1。同点だな﹂ ﹁うっ⋮⋮そ、そうだったね。じゃあ、次が最後の決戦ってわけ? ま、どうせこのままあたしがまた勝って終わりだろうけどっ!﹂ もう勝った気でいるのか、羽根をパタパタさせてドヤ顔になって いる。 いったん調子に乗らせて次のステップを受け入れさせるため、わ ざと俺があっさり射精したことに気付かないとはマヌケな奴め。 ﹁大した自信だが、俺も負ける気はないぜ? じゃあ最後は⋮⋮い よいよセックスの本番で勝負をつけようじゃないか﹂ ﹁え? ほ、本番⋮⋮?﹂ これまでのはそうじゃなかったのかと、戸惑っているのが見え見 えだ。 ﹁ああ、これなら一気に勝負がつく。でもこれは今までに比べてち ょっと苦しかったり痛かったりするからなぁ⋮⋮ついてこられるか ?﹂ ﹁そ⋮⋮そんなの、余裕に決まってんじゃん! だってパルミュー ラだってそれ、やったんでしょ!?﹂ だったらあたしにできないはずない、とムキになる反応が、まさ に計算通り。 俺は心の中でニヤリと笑い、言葉を続ける。 ﹁よし、じゃあ続けようフラミア。ただし、これからは今までとは 比べものにならないほどハードな本番、いよいよセックスの頂上決 戦ってやつだぜ﹂ 486 ﹁今までとは⋮⋮く、比べものにならない⋮⋮? そ、そんなに凄 いんだ⋮⋮!﹂ ごくっ⋮⋮と生唾を飲み込む音、うっすら桜色に上気した頬。 そのぱっちりした幼い瞳に、好奇心と一抹の期待が混じっている ことを俺は見逃さなかった。 ※ ※ ※ ﹁あら⋮⋮あなたは確か、アーマーゴーレムの⋮⋮?﹂ ダークエルフ集落の最奥部、巫女の神殿。 盲目の巫女ディアーネは、近付いてくる重々しい足音に気付き、 褐色の顔をゆっくりと上げた。 ﹁アア、ナナダ﹂ ﹁あなたもシエラたちと共に、お仲間を探しに出たのではなかった のですか?﹂ ﹁ウム⋮⋮ソノ前ニ、巫女サマニ頼ミタイ事ガ、アル﹂ どうやら、一人でここに引き返してきたらしい。 破天ノ骸 ⋮⋮アレヲ、ナナニ見セテハクレナイカ?﹂ ﹁この私に頼み? それはなんでしょう?﹂ ﹁ ﹁え⋮⋮!?﹂ 魔法生物の思わぬ申し出に、驚くディアーネ。 イヴリースが狙うその太古の遺物がどれほど危険な存在であるか 487 を、ナナも聞いているはずなのに。 破天ノ骸 、ソレガ必要ニナルカモシレナイ ﹁ナナノゴ主人ハ、今窮地ニ陥ッテイル。助ケルタメニ⋮⋮強大ナ ぱわーヲ持ツトイウ ンダ﹂ ﹁し、しかし⋮⋮! あれがどんな作用を起こすかも分からないの ですよ!? 現に私のように、触れるだけで体を浸蝕されてしまう かも⋮⋮!﹂ ディアーネの体の何割かは、生きた水晶のような組織に置き換わ ってしまっている。 その被害をこれ以上広げないことが、エルフたちと敵対までした 理由だった。 ﹁ナナハ、生身ノ体ジャナイ。キット大丈夫ダ﹂ ﹁で、ですが⋮⋮﹂ 話しながら同時に、この魔法生物はやはり奇妙な存在だとディア ーネは思う。 ︵こんな発想や行動を、ただのゴーレムの類いがするのだろうか⋮ ⋮?︶ 魔法生物には本来、人間のように複雑な自我、自意識というべき ものはない。 与えられた命令を実行したり、学習した情報から適切な行動を選 択することはできでも、それは魔術的にプログラムされた範囲を出 ることはないのだ。 ︵喋り方にも豊かな感情のようなものが見られるし、それに⋮⋮︶ 488 ディアーネの巫女としての力は、失った視覚の代わりに常人では 感知できないさまざまな情報を、超越的な感覚として読み取ること ができる。 と呼ぶべきものが、このナナという個体には宿っているよう それを通して見たところ、はっきりとした自我⋮⋮言い換えれば 魂 に感じられるのだ。 ﹁頼ム、巫女サマ⋮⋮! シエラ達ヲ魔族カラ守ルタメニモ、ナナ ハ⋮⋮!﹂ そんな、確固たる意志のこもった懇願。 破天の骸 を前に抱いた決意と同じものだった。 周囲の皆を守るため̶̶その覚悟もまた、まさにディアーネがか つて ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ は⋮⋮この先です﹂ 長い逡巡の後、ダークエルフの巫女は⋮⋮見えない瞳を、まっす 破天の骸 ぐにアーマーゴーレムへと向けた。 ﹁⋮⋮わかりました、ナナ。 ※ ※ ※ ﹁お兄さんのこれを、あたしのここに入れる⋮⋮って、ほっほんと に入るの!?﹂ 寝転がった俺からそそり立つチンポに、着物の下半身をはだけた 489 フラミアが恐る恐るといったふうにまたがっている。 亀頭の先にあてがわれた無毛の割れ目は、さっきからの行為で濡 れてはいるもののいかにも狭そうだ。 ﹁大丈夫だよ、まあちょっとは痛いかもしれないけどな。ああでも、 それが怖いってんなら取りやめても̶̶﹂ ﹁こ、怖いとかやめるとか誰も言ってないし!﹂ ムキになって俺を睨み、しばらく息を整えてから⋮⋮いよいよフ ラミアは、片手で支えた俺のチンポめがけ、ゆっくりと腰を下ろし 始めた。 それが凶悪なオスの武器に、処女マンコをみずから捧げるはした ない動きとも知らず。 ﹁パルミューラにできたんだからっ、あたしにできないわけっ⋮⋮ ないんだからぁっ! ⋮⋮んっ、あうっ、んぅぅ∼∼∼∼ッッッ! ?﹂ ずずっ⋮⋮! みちみちぃっ⋮⋮にゅちちっっ!! ﹁うぁ、痛っ⋮⋮いったぁぁぁぁっっっ!?!?﹂ ﹁く、さすがに、こりゃキツいな⋮⋮っ!﹂ ようやく亀頭の先端をカリ首のあたりまで飲み込んだ幼いマンコ の、想像以上の狭さと温かさ。 熱い肉の杭で柔らかな肉壁を精一杯広げられ、初体験の痛みに全 身の中心を貫かれていることは想像に難くない。 ﹁無理するなフラミア、一旦そのままでも⋮⋮って、おっおい!?﹂ 490 ふるふると首を振り⋮⋮魔族の少女は爪が食い込みそうなほどに 俺の腰と足を掴むと、そのままさらに自分から腰を落としていく。 ずみゅみゅっ⋮⋮みちちっ、ぷちぷちっ⋮⋮ずにゅみゅんっっ!! ﹁うぅぅ痛っ、いったぁぁ⋮⋮いっ! 痛い、けどぉっ⋮⋮ふーっ、 はふーっ⋮⋮うぁ、あぁ⋮⋮入った、よぉ⋮⋮っ!!﹂ ﹁くぅぅっ! む、無理しやがって、大丈夫か!?﹂ みっちりと全方位を痛いほど締め付ける、ぷりぷりしたきめ細か い幼肉の感触。 白い裸身を汗で濡らし、ハァハァと荒い呼吸を繰り返しながら⋮ ⋮それでもフラミアは、目に涙を浮かべながらかすかに微笑んだ。 ﹁へ、へへっ⋮⋮ほら、できたじゃんっ⋮⋮! あたし、ちゃんと できたしっ⋮⋮す、すごいでしょ、お兄さん⋮⋮っ﹂ 限界まで広がってチンポを中ほどまでなんとかくわえ込み、ぷる ぷる震えるマンコからは一筋の血が涙のように垂れている。 思わず、健気なヤツだという感情がわき上がってきた。 ﹁ああ、しっかりチンポをくわえこんで、偉いぞフラミア﹂ ﹁あ⋮⋮お、お兄さん⋮⋮ふぁ、頭、なでてもらうの好き⋮⋮っ﹂ 狂公女 の表情が崩れた。そこ 繋がったまま上半身を起こし、紫がかって青い髪をよしよしと撫 でてやる。 と、にへらっ⋮⋮と嬉しそうに だけ見ると外見相応の無邪気な子供のようで、恐るべき魔族である ことを一瞬忘れそうになる。 491 ﹁よし、じゃあゆっくり動くぞ⋮⋮いいな?﹂ ﹁う、うん⋮⋮だいじょうぶ、だと思う﹂ 軽いその体を手で支えながら、いよいよ俺がフラミアめがけて腰 を繰り出そうとした̶̶その時。 ﹁魔界第四位階魔貴族、パルミューラ推参ッッ!! フラミアよッ、ここで会ったが数百年目ぇっ!! 今こそあの屈 辱を晴ら̶̶はら⋮⋮は、ら?﹂ 高速で樹の下から飛来してきた見慣れた姿が、なんか偉そうなセ リフを言いかけたかと思うと⋮⋮俺たちの様子を見て固まった。 ﹁⋮⋮あ! パルミューラだぁっ!!﹂ ﹁な、ななっ、なななぁっ⋮⋮な、何をしておるかお主らァァァッ ッッ!?!?﹂ あわあわと赤面し混乱する魔貴族と、反射的に攻撃態勢をとるフ ラミア。 すかさず、俺は叫ぶ。 ﹁待てっ、フラミア! 今は俺と戦ってる最中だろ、パルミューラ とやるのは後回しにしろっ!﹂ ﹁うぇえ!? そ、そうかもしれないけどっ、やっとこいつを見つ けっ⋮⋮んひっ、ひゃうぅんっ!?﹂ 腰をわずかに動かして、処女を失ったばかりの柔膣内を少しこね くってやると、ぐちゅっ⋮⋮と大量の愛液があふれた。 そんな結合部と、俺たちの顔を交互に見て、パルミューラの顔が 湯気を放ちそうなほどに噴き上がる。 492 ﹁と、トオルお主っ、そやつと何をヤッて⋮⋮こ、この節操無しの 色魔めがっ!? わっ、わらわのせっかくの決意とかそういうのは どーなるんじゃ!?﹂ ﹁知らん、そんなのは後だ! いいからお前も黙って見てろ、パル ミューラ。俺たちがセックスで勝負をつけるところを、な!﹂ 予想よりパルミューラが来るのが早い⋮⋮つまり、俺が思った以 上に早くフラミアへの恐怖心を克服したってことだな。 そこは正直、ちゃんと評価してやりたいが、今はこっちが先だ̶ ̶安心しろ、その後でお前の力も必要になるさ。 ﹁え⋮⋮えええっっ!? ぱ、パルミューラに見られながら⋮⋮す、 するの!?﹂ ﹁な、なななっ⋮⋮!? ふ、フラミアとお主がするさまを見てお れじゃと!?﹂ 二人のロリ魔族がハモらせる驚きの声。 少し予想外の流れになったが、ここは続行しかない⋮⋮なぜなら フラミアとのセックスこそが、こいつに勝つために必要な行為なの だから。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮⋮⋮! 見て⋮⋮⋮⋮あれ!﹂ ﹁まあ、キリカ! ぶ、無事なのですか!?﹂ シェイヨル大森林の一角、やや開けた場所に横たわる姫騎士の姿 493 をシエラの目が捉え、慌てて駆け寄るパーティ一行。 ﹁気を失ってるみたいだ。甲冑はあちこち傷付いてるけど、でかい 傷は負ってないようだぜ﹂ ﹁ああ、本当によかったですわ⋮⋮!﹂ ﹁じゃあ治癒魔法で体力回復をっと⋮⋮あれ?﹂ ほっと胸をなで下ろすシスティナ姫たち。だが、手当てをしよう としゃがみ込んだニーナが怪訝そうな顔をする。 ﹁これ⋮⋮すでに治癒術式の処置がとられてますよ、ほら﹂ ﹁なんだって?﹂ ニーナが示した先の地面には、横たわるキリカを囲むようにして ピン状の金属がいくつも刺さっていた。 よく見ると、ぼんやりと淡く輝いている。 ﹁簡易魔法陣です、これ。効果は治癒と、低級モンスター除けです ね﹂ ﹁わたくしたち以外の誰かが、キリカの安全を確保するためにこう したというんですの?﹂ その処置のおかげもあってか、キリカはすぐにでも目を覚ましそ うな顔色だ。 ﹁通りすがりの親切なエルフとかダークエルフじゃないのか?﹂ ﹁ううん⋮⋮⋮⋮エルフの術式とは、違う⋮⋮⋮⋮足跡や人のいた 痕跡も、見当たらない﹂ シエラが断言する。 494 その鋭敏な知覚力でも捉えられないほど、ここにいた痕跡をまる で残さない存在とは? ﹁では、いったい誰が⋮⋮?﹂ ※ ※ ※ ﹁⋮⋮これで姫騎士の方は問題なし、と﹂ キリカが仲間たちに発見される様子を、遠くの木陰から見守る影。 銀の仮面で素顔を隠した、クルスと呼ばれる謎めいた人物。 倒してもらう ためにはね﹂ ﹁まあ、戦力は多いに越したことはない。トオル君にフラミアをち ゃんと イヴリース陣営に属している者の発言とは思えないその言葉。 仮面に隠された表情は、誰にも窺い知れない。 ﹁さて。そろそろ、あの女騎士⋮⋮セレスタにも、役に立ってもら うとしましょう﹂ 495 32話:狂公女の戸惑いと、不穏の影︵後書き︶ 書籍版1巻、おかげさまで電子書籍版ともども売れ行き好調とのこ とです。感謝! 496 魔王 の遺産、 33話:幼魔ふたりと、勝負の行方︵前書き︶ ■前回までのあらすじ 大魔族イヴリースが狙うという 破天の骸 手掛かりを求めてシェイヨル大森林に分け入ったトオル一行。 の ダークエルフの巫女ディアーネが身をもって語るところによると、 狂公女 フラミアの圧倒的な 破天の骸は手にした者の肉体を浸蝕する危険な遺物だという。 そこに襲来したイヴリースの妹、 力の前に、キリカは敗北しトオルは連れ去られてしまう。 かつて一族郎党を壊滅させたフラミアへの恐怖をなんとか押し込 め、トオルと共に戦うべく一念発起するパルミューラ。 だがそんな彼女の目の前で、トオルはフラミアを口八丁で騙して まさかのセックス勝負に持ち込むのだった! 497 33話:幼魔ふたりと、勝負の行方 ﹁はっ⋮⋮はうっ、んあぁう⋮⋮っ! あっ、あはぁぁ⋮⋮っ!﹂ 対面座位で俺に抱きかかえられるポーズで、初めての挿入感に少 し苦しそうな、だがうっとりした声を漏らすフラミア。 ﹁これ、すっごいよぉぉ⋮⋮お兄さんのあっついのがぁ⋮⋮あたし のおなかにっ、いっぱいに入ってるぅぅ⋮⋮♪﹂ その真っ白なぷにぷにしたお腹は、奥までずっぷりハマった俺の チンポによってうっすら膨らむほどに押し上げられている。 ﹁そろそろ動かすぞフラミア、大丈夫そうか?﹂ ﹁うっうんっ、だいじょぉぶ⋮⋮ぅ! ちょっとおなかキツキツだ けどぉっ、あっあっ♪ さ、さっきより楽になってきたからぁ⋮⋮ っ!﹂ 挿入したまま細い首筋や薄い胸、あばらの浮いた脇腹などを丁寧 に愛撫したのが効いたようで、じゅくじゅくと分泌されたロリ愛液 がチンポの全方位に絡み付く。 それを潤滑油に、俺はゆっくりとピストン運動を開始した。 にゅちっ⋮⋮にゅるりゅっ、ぎゅちっ⋮⋮りゅちちっっ! ﹁あっ、あっんあァっっ!? きっきたぁ、うっ動いてっっ♪ カ ラダの中でお兄さんのカタぁいおちんぽぉ、ずこずこ暴れてりゅう ぅっっ♪﹂ 498 犯罪的なまでに軽い、20kg台くらいしかなさそうな魔族のち っちゃな肢体を、腰の動きでリズミカルに上下させて揺さぶってや る。 そのたびにキメ細かい処女マンコの細胞ひとつひとつが、みずみ ずしい刺激でプチュプチュとはじけ、反り返った肉棒をしゃぶりあ げてくるのだからたまらない。 ﹁くっ⋮⋮や、やるなフラミアっ、さっきまで処女の初セックスな のにチンポにすぐ馴染んでくるとは、ううっ!﹂ ﹁えへへ、すっごいでしょっ⋮⋮あたしのすごさ、お兄さんにもや っとわかったみたいねっ、んぁッはぁぁっっ♪﹂ ﹁ううっ⋮⋮! な、何ゆえこんな有り様になっておるのじゃ、貴 様ら破廉恥にもほどがあるぞっ!?﹂ うらめしそうな声の主は、少し離れた位置にぺたんとひざまずき、 さまざまな感情で顔を真っ赤にしつつ俺たちを睨んでいるパルミュ ーラだ。 その体は隷属命令で、余計な動きをしないように押さえつけてい る⋮⋮単独で戦わせても勝ち目はないし、それ以前に攻撃に巻き込 まれりゃ俺は死ぬからな。 ﹁もう、うっさいなぁ。パルミューラは黙っててよっ!﹂ ﹁な、なんじゃとぉ!?﹂ ﹁せっかくあたしが今、お兄さんとあつあつセックスしてるんだか らさぁ⋮⋮空気読んでよねっ、あっン、あんっっ♪﹂ ﹁ふ⋮⋮フラミア貴様っ、仮にも八冥家の魔貴族たる者が、人間と まぐわうことを恥じる気はないのか!?﹂ ライバル魔族の予想外の痴態に、赤面しつつ目を丸くするパルミ 499 ューラ。 当初はさすがに恥ずかしがっていたものの、フラミアはすぐに戦 いを楽しむのと同様、抵抗も罪悪感もなく無邪気にセックスを楽し むことを覚えたようだ。 ﹁そんなのどーでもいいもん、だってこれすっごく気持ちいーしっ ⋮⋮あはっ、お兄さんの熱いチンポがあたしの中でっ、ごりゅごり ゅ暴れてるぅぅっっ!﹂ ﹁な、なな、なッ⋮⋮!?﹂ 加えて、自分がこのセックス勝負で俺に勝てる、という自信もあ るのだろう。 狂公女 さまの目的にすり 今や、積年の好敵手パルミューラの前で俺に勝つことで、勝利の 達成感を揺るぎないものにすることが かわったらしい。 ﹁だからぁ、パルミューラはそこで指くわえて見てなよ、あたしが お兄さんのおちんぽぉ⋮⋮こうやってもぐもぐしてぇ、勝っちゃう とこ⋮⋮ねっ♪﹂ ﹁くぉ、こ、この腰使いっ⋮⋮しょ、処女のくせに生意気なっ!?﹂ ﹁えへへっ♪ うりうりっ、う∼りうりっ♪﹂ 実際、天然の戦闘センス同様、フラミアのセックスへの適応力は 抜群だった。 汗にまみれた太ももにギュッと力を入れ、背中のコウモリ羽をぱ たぱた動かして、俺のピストンに少しずつ体の向きや角度を合わせ ることを覚えつつある。 ﹁あはっ、こうしたらずんっ、ずんっって奥までもっと響くぅぅ♪ お兄さんのがさっきより気持ちイイ場所に当たってるよぉぉっ! 500 あははっ♪﹂ ただでさえそこに、無数の子供の指が全方位からやわやわ締め付 けてくるような、幼マンコ処女肉の美味さが加わるのだから凄まじ い。 少し気を緩めればひとたまりもなく精液を吐き出してしまいそう な暴力的快感が、ロリ穴に捕らわれたチンポを襲っていた。 ﹁あれれっ、お兄さんってばさっきペロペロした時みたいに、せつ なそーなカオ、してるね?﹂ ﹁う、く⋮⋮っ!﹂ ﹁汗すっごいかいてるしぃ⋮⋮ひょっとしてもう、負けちゃうのぉ ? あはっ、あたしにセックスで負けちゃう?﹂ ﹁おっ、おいトオルよ!? おぬしともあろう者が、そやつにいい ように弄ばれて果てるのではあるまいなっ!?﹂ パルミューラまで一転、俺を心配そうに応援してくる始末。 だが、なあに、このくらいは計算の内だ⋮⋮そろそろ、この調子 づいた狂公女さまに叩き込んでやるとしよう。 男の、オスの恐ろしさってヤツをな。 ﹁くすくすっ、ほぉ∼らっ♪ 負けちゃえっ、あたしのおマンコに 負けちゃえ∼♪ う∼りうりっ、あんっ、あははっ♪﹂ ﹁おいフラミア、調子に乗ってるところ悪いが⋮⋮﹂ ﹁ふえ? ̶̶ッんひゃっっ!? え、きゅ、急にナカで大きく⋮ ⋮っ!?﹂ みちみちみちッ⋮⋮と、血流を送り込まれて反り返る俺の分身。 より太く、硬く、熱く、エグい形にフル勃起したオスのシンボル が、余裕ぶっこいていたフラミアの若葉マーク生意気マンコめがけ 501 猛反撃を開始した! じゅぶっっ、ずじゅぶッッ⋮⋮ずじゅボボッ、ずこんッッ!! どちゅッ、ずっちゅぐっちゅ!! ずずんッッッ!! ﹁えっ、やっうッウソうそぉぉっっ!!? なにコレなにこれっっ、 さっきまでと全然違っ⋮⋮ひっひゃぁぁぁぁん∼∼∼ッッッ!?! ?﹂ 左手を回して抱きかかえるように細い腰を、右手で上から押さえ つけるようにちっちゃな肩を、がっしり逃がさずホールド。 そのまま、まるで人型オナホールでも扱うみたいに、軽いロリボ ディを全身ごと大きく上下させて、滑りのよくなった膣内をガッツ ンガツン攻略ピストンする。 キリカやアメリアを泣き叫ばせる時のような、オトナの本気のセ ックスだ。 ﹁はっはひッッ!? ひぐぅぅっっ、やっやだこれすごっ⋮⋮ズン っ、ズンって奥までぇぇ⋮⋮んぁぁおぉぉっ⋮⋮あ、あぁああッッ !?﹂ ﹁ほらほらっ、どうしたどうしたっ!? すぐに勝つんじゃなかっ たのかっ、俺をセックスで負かすんじゃなかったのか、ええ!?﹂ ﹁あうッ、やっあっあうぅぅぅ∼∼∼ッッッ!!? そっそんなこ と言ったってこれっ、コレ反則ぅぅぅっ!? な、ナカでぐりゅぐ りゅ暴れないでぇぇぇっ!?﹂ 真っ直ぐだけでなくやや斜めの角度を効かせて、左右の、奥や手 前の膣壁をガチガチの亀頭でこそげ取るようにエグりまわし、ねっ ちりみっちりコネくり回す。 セックスを知ったばかりの魔族お嬢様の箱入りマンコを、俺専用 502 に造り替えるための、容赦も遠慮も捨てた動き。 ﹁な、なんとすさまじい⋮⋮! そ、それにあのフラミアが人間の 男根に貫かれ、あのようなはしたない嬌声をあげるとは⋮⋮!﹂ ごくり、とツバを飲む音と一緒に、パルミューラの熱に浮かされ たような声。 その赤い瞳にじっと見つめられているのが、他でもないチンポで 泣き叫ぶ自分の姿だと気付き、フラミアの顔が急速に紅潮した。 ﹁やっ、みっ見るなぁぁぁっっ!? ぱっパルミューラ見ちゃやだ ぁっ、あっち向いてっ⋮⋮ひぎッ!? あひっ、ヒッひぃぃぃんッ ッッ!?!?﹂ さっきまでの余裕を残した姿ではなく、なすすべもなく快楽に翻 弄され、オモチャにされている様子をライバルに見られる恥ずかし さと屈辱。 それがフラミアに強烈な羞恥を呼び覚まし、膣内がキュンキュン 収縮して、なおさら敏感になった弱点を俺のチンポの前にさらけだ してくる。 負 だってことをな! ほらどうしたっ、もうイキそうにビクビク ﹁忘れてないよなぁフラミアっ、先にイッた方がセックスじゃ け まんこ震わせてるぞっ!?﹂ ﹁えっ、そっ⋮⋮そんなのわかってるもんッ、これくらいぜんぜん 大したことないんだもんっ⋮⋮っあ、ふぐっ、んぅぅ∼∼∼∼ッッ !!﹂ 紫がかった青い髪をぶんぶん振り乱し、必死に唇を噛んで下半身 を襲う快感の嵐に耐えようとするフラミア。 503 パルミューラの前でイキ負けることは、あらゆる意味であっては ならないことなのだろう⋮⋮もちろん、だからといって手加減する つもりはない。 どちゅッズどちゅッ、ぐちゅどちゅうぅぅぅぅッッッ!! ずんッずむんッッ⋮⋮ずぐぐッ、ごりゅごりゅぅぅッッ!! ﹁っひゅあぁ!? ひぃぁああっ、おくっ奥がぁぁっ⋮⋮! い、 いっぱいいっぱいドンドンされりゅっ⋮⋮どすんっ、どすんってぇ ぇ⋮⋮んぁぁあぁあ!?﹂ 一転、まっすぐ子宮口を狙っての、深く重いストレートなストロ ーク。 ロリボディにふさわしく浅い膣道はあっさり最深部までチンポ凶 器の侵入を許し、ちっちゃなコリコリの肉リングを熱い亀頭ハンマ ーで子宮ごとぶっ叩く。 ﹁そらッ、そらそらっ!! どこまで! 耐えられるか、なっと! !﹂ ﹁あッああ゛∼∼∼っっ!? ん゛あ゛あ゛ぁぁ∼∼∼∼ッッッ! ?!? ず、ずんずんダメぇぇ∼∼∼∼っっ!!? おッおなかヘ ンになりゅぅぅぅッッッ!!﹂ ひと突き、ひと押しごとに、魂ごと貫き倒す勢いで肉の武器を打 ち込み、引いてはまた思いっきり叩き込む。魔族の頑丈な体が相手 だけに、容赦はいらない。 俺も口先ほどの余裕はなく、熱い杭と化したチンポの根元でさっ きから出口を求めて精液が荒れ狂っているが、いよいよここが正念 場だ。 まさにこれはセックスバトル、俺とフラミアの全身全霊の戦いだ 504 った。 ﹁まっ負けにゃっ⋮⋮ぁふーっ、ん゛ふーっっ!! 人間にゃんか にぃぃッッ、あたし負けなッ⋮⋮ひっに゛ゃああ゛ぁああ゛!!? !?﹂ ミルクまみれの鈴を転がすようなフラミアの甘ったるい声が、突 然さらに1オクターブ跳ね上がる。 それは、俺が仕掛けた追い打ちのせいだ。 ﹁そっ⋮⋮んなぁぁっっ!? む、胸っおっぱいの先っぽぉっっ♪ ひゃっひゃふっっ!? せ、背中のっっ、そッそんなトコまでぇ ぇぇっっっ!?!?﹂ 貧乳の真ん中で、生意気にピンと立った桜色の乳首ふたつ。 弱点 たち。 コウモリ羽の根元で、うっすらと黒から肌色にグラデーションし ている軟骨。 この時まで攻めずに温存した それらめがけ、一斉に攻撃を開始してやったのだ。 ﹁そらどうだっ、ズボズボされながらここコリコリされるの気持ち イイだろうフラミア、頭が溶けるくらいに響くだろうッ!?﹂ ﹁い゛い゛いぃぃぃッッ!!? い、いっぺんにするのダメぇぇぇ っっっ∼∼∼!! あ、あたま、とけゆっっ⋮⋮ほ、ほんろにとけ ゆっっ、にゃあ゛あ゛ぁ!?﹂ 今までは必死に、マンコとその周辺だけに全神経を集中していた からこそ、かろうじてイクぎりぎりで耐えられていたフラミア。 その快楽襲来地点を一気に全身に分散させてやったのだから、セ ックス初心者がセンスだけで対応できるはずもなかった。 505 ﹁よぉし、そろそろトドメを思いっきりくれてやる!! 俺のチン ポで敗北の天国にイッてしまえッ、フラミアぁぁぁっっ!!﹂ ﹁う、ウソウソウソぉぉっっ、おっお兄さんやめてぇぇぇっっ!! ? いッいまされたらぁっ、いまトドメとかされたらあたしっ、あ たしぃぃぃッッッ!?!?﹂ ピンと弓なりに背筋をそらし、ブルブルと止めようのない痙攣に 肌を震わせ。 じっとり汗に濡れた全身から、むわっと濃厚なメスの屈服フェロ モンを放つほどに出来上がってしまったフラミアの⋮⋮意志力だけ でか細く繋がった、最後の糸。 それを断ち切る最大の一撃を、俺は腰をうならせて叩き込んだ! ずぐっっ̶̶ずずぢゅんッッッッ!!! ﹁は⋮⋮はひゅっ⋮⋮?﹂ その瞬間、俺とフラミアの絡み合う体が同時にぴたりと止まった。 そして⋮⋮激しいセックスの熱気にあてられ、ぽぉっと発情しか けたパルミューラが、固唾を呑んで見守る前で。 ﹁⋮⋮んッんぁッ、あっあああッッあぁああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ ぁぁあぁ∼∼∼∼∼∼∼∼ッッッ!!?!? いっ、イクぅぅぅぅぅぅ∼∼∼∼∼ッッッ!!!﹂ それはもう盛大に、大森林すべてに響き渡るような可愛らしい、 狂公女 フラミアは、はじめての膣内チンポアクメに全身でイ はしたない叫び声をあげ。 キ狂った。 506 ﹁くッ⋮⋮うぉぉッッ!! さあ生意気マンコで残さず受け取れフ ラミアっ、これが敗北の味っ⋮⋮だッッッ!!﹂ そして、たっぷりと敗北を体の芯から自覚させたその後に、ぎゅ むぎゅむと食い千切らんばかりにイキ締め上げる幼マンコ肉の奥底 めがけ、俺も解き放つ! どぷゅっ⋮⋮びゅるるるるるっっっ、どくどくんッッッ!! びゅくくッッ、ごびゅどびゅぅぅぅっっっ!! ごぷぷぅぅッッ !! ﹁あッあああッッ、ああぁあっ熱ぅぅぅぅッッッ!?!? なにコ レなにこれぇぇぇっっ、うそっウソさっきのがあたしのナカでっ、 いっぱいにぃぃっっ!!? いッ⋮⋮いっぱいにされちゃうよぉぉ ぉ∼∼∼∼∼ッッッ!!??﹂ その煮立った白濁マグマの洗礼を、イッたばかりの敏感な膣内が ドロドロになるまで、そしてちっちゃな赤ちゃん部屋がパンパンに なるまで詰め込まれて。 隠しようもない連続絶頂のまっただ中に放り込まれたフラミアは、 俺の背中に血が出るほど爪を立てつつ、荒波に揉まれるボートめい て息も絶え絶えに翻弄し尽くされていた̶̶。 ※ ※ ※ ﹁はぁっ、はぁっ⋮⋮はぁぁっ⋮⋮な、なにこれ、スゴすぎだよぉ ⋮⋮っ!﹂ 507 ぽぉっと呆けた表情で荒い息を吐き、力なく後ろに倒れるフラミ ア。 半勃ちのチンポがずるんと抜け、一拍を置いて、おさまりきらな い精液がこぽぽっ⋮⋮と細い割れ目からあふれた。 すっかり充血したそこでは、処女喪失の朱色がうっすら白濁に混 じっている。 ﹁⋮⋮はっ!? お、おいトオルよ! 今のうちにそやつを⋮⋮!﹂ 正気付いたパルミューラが、小声で余計なことを言ってくる。 だが、俺の思ったとおり⋮⋮やはり、そう甘くはないようだ。 ﹁う、うおぉっ!?﹂ ひゅッ、と大気を裂く音がして、俺たちに近寄ろうとしたパルミ ューラの鼻先を見えない弾がかすめ、巨大な枝の足場に直径1mほ どもある綺麗な穴を空けた。 ﹁黙っててってさっき言ったでしょ、パルミューラ⋮⋮!﹂ よろよろと立ち上がったフラミアが、空間破砕弾を放ったのだ。 普通なら足腰が立たなくなるほど突かれまくったとはいえ、それ で行動不能になるほど上位魔族は甘くはない。 屈辱と恥ずかしさに涙ぐんだ表情が、キッと俺に向けられる。 ﹁その様子だと、素直に負けを認めて俺に従うって気はないみたい だな、フラミア?﹂ ﹁う⋮⋮うるさいっ、うるさいうるさいッ! やっぱりこんなの納 得いかないっ、いかないったらいかないッ! 考えてみたらズルい 508 じゃん、あたしのぜんぜん知らない攻撃ばっかしてきてイカせると かさ!!﹂ 予想はしていたが、セックス勝負に勝てなかったことで⋮⋮それ もパルミューラの前でぶざまに敗北したことで、子供じみた癇癪を 起こしている。 ﹁おいおい、約束を破るのか? イヴリースの妹君ともあろうもの が?﹂ ﹁お、お姉様の名前を出さないで! こ⋮⋮こんなの最初から、た だのヒマつぶしの遊びのつもりだったし! ほ、本当だもんっ!﹂ ﹁その割には必死だったように見えたがなあ﹂ ﹁う⋮⋮うるさいうるさいうるさぁいっっ!!﹂ 怒号と共に、はだけた着物を半端にひっかけた小さな肢体の周囲 に、いくつもの空間のゆらぎが浮かぶ。 そのひとつに触れただけで即死の俺はもちろん、狂公女の力の恐 ろしさを身に染みて知るパルミューラも、ヘビににらまれたカエル のように動けない。 ﹁でも⋮⋮でもね、セックスがすっごく楽しかったのは本当だよ、 お兄さん﹂ 突然冷静さを取り戻し、汗に濡れた髪がなまめかしく貼り付いた 小顔が、にいっと無邪気に歪んだ。 ﹁だから殺さないであげる。お兄さんは魔界に持って帰って、あた し専用のオモチャにして死ぬまで飼ってあげるね、ふふふっ♪﹂ さっきまでの無知な純粋さとはひと味違う、セックスの快楽を知 509 った淫靡なメスの欲望が、その表情にはにじんでいた。 ﹁そうか、それは光栄だな﹂ ﹁おいぃっ!? だ、だから言わぬことではないわ魔隷術師ッ! こうなることは目に見えておったでないか!﹂ ﹁ふふん、残念だったねパルミューラ。お兄さんの前でまずはあん たをこてんぱんにやっつけて、あたしが全部勝ってるって証明して やるんだから⋮⋮覚悟してね﹂ ﹁う、くっ⋮⋮ば、万事休すか!﹂ ま、当然だろうな。 この短時間でいくら俺がフラミアに気に入られようと、その優先 枠 を空けるような隙も、 順位は最愛の姉イヴリースを上回りはしない。 パルミューラの隷属を解除して魔隷の 与えてはくれないだろう。 一見、無為にセックスで時間を潰しただけで、なんの好転も見せ ていない状況。 だが⋮⋮違う。 実は、そうでもない。 俺の狙いは、当初の予定どおり果たされているのだ。 ﹁ん⋮⋮えっ̶̶!?﹂ パルミューラに注意を向けているその隙に、俺はフラミアにとっ て予想外の行動に出た。 巨大な枝と葉の足場を蹴って、背後に身を躍らせたのだ。 ここは高層ビルほどもある大樹の上、まっさかさまに樹海に落ち れば、飛行能力のない俺の末路は決まっている。 510 ﹁な、トオルおぬし、破れかぶれでおかしくなりおったか!?﹂ ﹁ちょ、お兄さんってば死ぬ気っ!?﹂ さすがに虚を突かれ、ハモって叫ぶ二人のロリ魔貴族。 ﹁来いッ、パルミューラ! 布石は全部揃った!﹂ ﹁なん⋮⋮じゃと?﹂ みるみる落下する俺は、ヒモなしバンジージャンプの浮遊感に、 待ち受ける死の恐怖にゾクリと背筋を凍らせながら、それでも声を かぎりに叫んだ。 ﹁俺がお前を⋮⋮フラミアに、勝たせてやる!﹂ 511 33話:幼魔ふたりと、勝負の行方︵後書き︶ そして勝ったら3Pだ! ︵告知が遅れましたが漫画版、コミックヴァルキリーにて先月から 無料連載開始です!︶ 詰まりに詰まっていた長いスランプをやっと抜けました。 今月中くらいに二章終了まで駆け抜けたいと思いますので、どうぞ よろしくお願いします! 512 34話:集う力と、秘策の発動 ﹁ええい、こうなったらもうヤケじゃ! わらわも腹をくくったぞ !﹂ 予想外の展開に呆然とするフラミアの脇をすり抜け、パルミュー ラが俺を追って飛んだ。 自由落下に浮遊の魔力がプラスされ、眼下の樹海めがけ落ちてい く俺になんとか途中で追いついてくると、ローブのフードをぎゅう っと掴む細い腕。 ﹁うぐぐ⋮⋮お、重い∼∼∼!﹂ ﹁ぐえ、首っ、首が絞まる! おい、もっと掴む場所に気を使って くれ!﹂ ﹁たわけ、そんな器用なマネがすぐできるかぁ!?﹂ こっちからも必死で手を伸ばし、魔貴族のゴスロリドレスにしが みつく。 ⋮⋮こんな状況だが、やっぱ服も肌もすべすべでいい匂いがする な、こいつ。 ﹁ひゃぅんっっ!? ど、どこを触っておるのじゃこの非常時にっ !?﹂ ﹁どこをってお前の貧しい胸⋮⋮じゃなくて頑張って飛んでくれ、 木にぶつかる!﹂ 空中で俺を捕まえたパルミューラは、落下の勢いを少しずつ相殺 しようとするが、下に落ちて行くベクトルはすぐには変わらない。 513 ﹁っっ!! 逃がさないよお兄さんっ、パルミューラっ!﹂ ようやく状況を理解したフラミアもまた、コウモリ羽をはためか せて追跡してくる。もちろんただ飛んでくるだけではない。 みるみる、俺たちの落下先をふさぐように四方八方から迫る空間 のゆらぎ̶̶キリカを撃墜した時のような必殺の包囲陣。 ﹁こ⋮⋮これでは逆にフクロのネズミではないか!? 本当に勝つ ための作戦なのじゃろうな、トオル!?﹂ 幾分ゆっくりになったとはいえ、俺という重荷の落下の勢いをす ぐに殺せるほどパルミューラの飛行能力は高くない。 無数の空間破砕弾が待ち受ける死地めがけ、猛スピードで突き進 んで行く死のジェットコースターはもう止められないのだ。 ﹁ああそうだ! いいかパルミューラ、これから俺が指示するとお りに即動け! しくじると、マジで死ぬぞ!﹂ インターアクセル 言うや、ニーナにエンチャントしてもらった時分割加速の腕輪を 俺は発動した。 突然、視界がスローモーションに変わる⋮⋮魔術によって体感時 間が10倍に引き延ばされたのだ。俺視点でわずか5秒、このチャ ンスこそ正念場。 ︵5⋮⋮4⋮⋮3⋮⋮2⋮⋮!︶ 眼下に広がる、樹海の複雑な地形。 ゆっくり近付いてくる何本もの大樹の切っ先。 空気が球状にねじられたようなエフェクトで迫る、大量の空間破 514 砕弾。 それぞれの位置を必死で目に焼き付け、安全なルートを脳みそフ ル回転で割り出す。 ﹁⋮⋮ゼロ! よし、今だ! まず、大きく左に舵を切って前方の 破砕空間をかわせ!﹂ ﹁こ⋮⋮こうかっ!?﹂ あっという間に5秒は過ぎ、ゴウッと耳元で風を切る音と、フリ ーフォールのような落下感が戻ってくると同時に、俺はパルミュー ラに指示を飛ばした。 むろん声だけでなく、隷属魔術を通してその体をナビゲートする。 ﹁次は右! 避けたら落下速度アップ、あの枝を越えたら即、頭側 落ちてゆく のでかい幹沿いに回り込め! 絶対にスピードは落とすな!﹂ ギリギリの細い隙間を縫うように、生存ルートを 俺たち。 時折、チッ⋮⋮ヒュパッ⋮⋮と炸裂寸前の破砕空間が髪やローブ のすそをかすめて削ったり、すぐ近くや背後で樹木が炸裂するのが わかり、肝を冷やす。 ﹁くっ⋮⋮ぬおおっ、かすめたっっ!? い、生きた心地が⋮⋮っ !!﹂ ﹁しないのはこっちも一緒だっ! そこ右っ、その後すぐ左に切り 返し! そしてそのまま⋮⋮まっすぐっ!!﹂ 幸運にも助けられ、空間破砕弾が殺到する空域をついに俺たちは 抜けた。 直後、墜落寸前で姿勢を起こした飛行機のように、地面と平行の 515 動きにシフトしたパルミューラ号が、森の中のやや開けた地形に転 がるように不時着。 見ていた ﹁ウソっ!? ひ、ひとつも当たらないとかどーなってるのっ!?﹂ キリカがやられた時に、必死で俺はフラミアの攻撃を 。 空間破砕の起きる兆候を、移動速度を、炸裂範囲を⋮⋮その体験 がなければ、今の無謀な試みはとうてい成功しなかっただろう。 ﹁はぁっ、はぁっ、はぁっ⋮⋮す、すごいではないかトオル!﹂ ﹁ああ、バクチだったけどな⋮⋮お前もよくやったぞ、パルミュー ラ﹂ ﹁あ⋮⋮ぅあ、うっうむ、これくらい当然、じゃ!﹂ ふたつのツノがぴんと突き出した頭を撫でてやると、意外にも嫌 がらずに、子供めいた﹁にへへ﹂という感じの笑い顔が返ってきた。 こういう時は、素直に外見相応で可愛いヤツだなと思える。 ﹁よしトオルよ、このまま森に紛れて一度撤退を̶̶﹂ ﹁お∼いフラミアぁ!! どうした、威勢のいいのは口だけか! 悔しかったらここまで来てみろよ!﹂ ﹁なっなななぁッ!? ちょ、挑発してどーするんじゃ、あほう! ?﹂ 落着の衝撃からよろよろ起き上がった俺の胸板を、ぽかぽか叩く パルミューラ。まったく、褒めたり怒ったり忙しい魔貴族さまだ。 ﹁も、もうあったまきた! 尻尾巻いて逃げなかったこと、思いっ きり後悔させちゃうんだからね、お兄さん!﹂ 516 ﹁いいや、逃げる必要はないぜ。ここで決着をつける、なぜなら̶ ̶﹂ 遠くからの攻撃では埒が明かないとばかりに、一直線に飛来して くる狂公女。 切り裂かれた そして前方に突き出されたその両手から放たれた、高速の空間破 砕弾が⋮⋮! ﹁̶̶はァッ、てぇぇぇぇえぇいッッッ!!﹂ 振り抜かれた虹色の斬撃によって、破裂音と共に 。 ふわりと長い黒髪が舞い、俺とパルミューラの前に進み出る、そ の姿。 ﹁待たせちゃったみたいね、小田森くん﹂ 姫野キリカ。 姫騎士 はにっこりと微笑 あちこち砕けた騎士鎧を身にまといつつも、煌剣アルカンシェル を構えた威風堂々たる立ち姿で、俺の んだ。 ※ ※ ※ ﹁いや、ぴったりのタイミングだよ、姫野さん⋮⋮それにみんな﹂ その言葉を合図に背後の森から現れたのは、一人だけではない。 アメリア、ニーナ、シエラ、俺が信頼を置く魔隷美少女たちがそ 517 れぞれ武器や杖を構え、キリカを中心にずらりとフォーメーション を組む。 ﹁へへっ、どうやら大一番に間に合ったみたいだな、マスター﹂ ﹁あれが目標、イヴリースの妹フラミアですねっ、ご主人様!﹂ ﹁今度は⋮⋮⋮⋮遅れは取らない⋮⋮⋮⋮!﹂ フラミアとのセックス勝負の最中、隷属魔術によるリンクを通し て、俺はずっと魔隷たちに集結命令を飛ばしていた。 そして時間稼ぎを兼ねた行為が終わった後、ああやって高所から 派手にフラミアの追撃をかわして見せたのは、俺たちの居場所をは っきり目立たせ、スムーズに合流するためでもあったのだ。 ﹁なぁんだ⋮⋮なにかと思ったら、さっきあたしに負けたヤツとか、 どっかで見たようなヤツらじゃん﹂ 少し離れた場所に降り立ったフラミアは、着崩れて生足を太もも まで露出させた着物姿のまま余裕の笑み。 ﹁あはっ、そんな弱っちいのどれだけ集めてもさ、あたしに勝てな いってお兄さん、まだわかんないかなぁ?﹂ 狂公女の周囲に、接近を阻むように新たな無数の破砕空間が浮か び上がる。 援軍の到来に一度は表情を明るくしたパルミューラも、依然とし て変わらない難敵のチートじみた能力を前に、うぐっ⋮⋮と息を呑 んで一歩下がった。 ﹁なに、心配するなパルミューラ。今なら俺たちは勝てるさ﹂ ﹁またそのわっるい表情。きっといつもの悪巧みが完成したんでし 518 ょうね?﹂ 油断なく煌剣を構えつつ、もう慣れっこだと言わんばかりのキリ カ。 彼女がパルミューラにひとつ目配せをして微笑むと、魔貴族は赤 面してぷいと顔をそらした。離れてる間に何かあったのか、あいつ ら? そしてふと、姫騎士の凛々しい姿を、聞き慣れた声を、その笑顔 を前にして⋮⋮俺の胸に、奇妙な熱がじんわりと広がった。 魔隷の枠が減ってない以上、最初のフラミア戦で離れ離れになっ たキリカがなにも死んだわけではないと、それはわかっていたはず だった。 だが、こうして再び俺の前に彼女が無事に現れ⋮⋮すらりとした 体に目立った傷も残っていないと確認できたことが、その実感が。 俺の心を、ガラにもなくホッとさせていたのだ̶̶まったく、我 ながら、ガラでもないことだ。 枠 を空けるまでキリカを中心 ﹁ってちょっと、どうしたの小田森くん? 早く指示して、攻撃が 来るわ!﹂ ﹁っと⋮⋮よし、まず俺が魔隷の に防御に徹して、時間を稼いでくれ! ニーナとシエラはそのサポ ートだ!﹂ ﹁はいです!﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮了解﹂ ﹁アメリアは俺の護衛を頼む。パルミューラは魔力を温存してつい てこい!﹂ ﹁わかったぜ!﹂ ﹁う、うむ!﹂ 519 短い指示を飛ばすだけで、口々に短く返事をしつつ、即座に行動 へと移る頼もしい魔隷パーティ。 さあ、ここからが俺たちの反撃開始だ。 ﹁はッ⋮⋮せいっっ! そこっ、はぁぁぁッッ!﹂ ﹁なに、またそのヘンな剣でムダに頑張る気なの、おねーさんっ! ?﹂ 次々飛来する空間破砕弾を、同じく空間を斬るアルカンシェルの 力で切り払い相殺するキリカ。 もちろんそれだけなら、以前の敗北の時のようにいつかは押し負 けるが⋮⋮。 ﹁させませんよっ! グラビティフィールド、詠唱完了っ!﹂ ﹁キリカは、やらせない⋮⋮⋮⋮風の精霊よ、弓の奏でる歌に乗っ て⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁わ、わわわっ!? 何よもうっ、こいつらってばちょこまかとウ ザいよぉ!﹂ フラミアの全身にニーナの魔術による負荷がかかり、素早い反応 を妨げる。 さらにいくつかの破砕空間を、シエラが次々と飛ばす正確無比な 矢の迎撃に回さなくてはならないため、キリカを押し切るほどの戦 力を集中できないのだ。 ﹁な、なるほどのぉ⋮⋮戦えておるではないか、あのフラミアと⋮ ⋮!﹂ ﹁へへっ、これぞパーティの力ってやつだな、マスター!﹂ 目を丸くするパルミューラを伴い、俺はアメリアの盾によって破 520 壊の余波から守られながら、背後の木陰へと走る。 さっきからそこで待っていたのは、システィナ姫と⋮⋮ダークエ ルフの巫女、ディアーネ。こんな状況でも常人離れした気品をただ よわせたコンビが、仲良く並んで上品に座っている。 ﹁意外だな、てっきりあんたじゃなく、あの牢番のダークエルフを 連れてくるかと思ってたよ﹂ ﹁キリカとの合流後、ディアーネさまみずから同行を申し出てくれ たのですわ、トオルさま﹂ 空き枠 の確保に一刻を争う状況なのでし ﹁ええ⋮⋮かかりの浅い私の方が、魔隷の術を解除するのも早くす むと聞きましたから。 ょう?﹂ ﹁なるほど、そこまで理解してくれてるなら話が早い﹂ 意外にも、銀髪の巫女の言葉には、自分にかけられた怪しげな術 を早く解かれたいから言っている⋮⋮といったトーンは欠片もなか った。 そういう理由でもなく、危険なこの場所に進んでやってくるとは。 それは部下の身を案じたからか、シエラ同様のあの責任感からか、 それとも⋮⋮? ﹁心配しなくとも、私はどこにも逃げませんよ、魔隷術師⋮⋮さ、 どうぞ﹂ ﹁あ⋮⋮ああ、それは助かるね﹂ 盲目の瞳にスッと見上げられ、シエラほどではないが十二分に豊 かな、褐色のむんにゅりした谷間が無警戒に強調されて、俺をドキ リとさせる。 自分のモノにしたい、という俺の宣言を果たしてどう受け止めて いるのか⋮⋮ともかく、今は邪念を追い払って隷属術式の解除処置 521 を急ごう。 ﹁ところで、ナナはどうしたんです、姫? あいつだけ姿が見えな いけど﹂ ﹁トオルさま、そのことなのですが⋮⋮﹂ だが質問は、空から響く大声によって中断された。 ﹁あーっもーっ! あったまきた、もうまとめて潰すの決定ったら けってーいっっ!!﹂ ニーナの魔力を振り切って数mの高さに浮かぶと、ひとさし指を すっと真上に差し伸べる。 と、その上空の大気が̶̶ぐにゃりと大きく歪んだ。 ﹁あれはもしや、我が居城を破壊した時の⋮⋮ま、まずいぞトオル よ! フラミアめ、これまでとは比較にならん巨大な破砕空間を出 現させる気じゃ!﹂ ﹁なんだって!?﹂ シエラが風をまとわせた矢を殺到させて妨害をはかるが、それら はフラミアに到達する前にすべて折れ砕け、デタラメな方向にはじ け飛んだ。 狂公女 の戦闘センス 小型の破砕空間をいくつも生み出し、自分の周囲を高速回転させ てバリアのように使っているのだ。やはり は並じゃない。 空間自体が歪んでいるため、あれではパルミューラを倒した時の ようにテレポートオブジェクトで精液を飛ばすような奇策も使えな いだろう。 522 ﹁ふふんっ、ムダムダぁ♪ 今作ってるでっかいのなら、おねーさ んの剣の長さじゃ斬れないし、どこにも逃げられないよぉっ!﹂ ﹁くっ⋮⋮!﹂ 枠 がひとり分空く。 絶体絶命の状況を前に、ようやくディアーネの隷属解除が終わり、 魔隷の すべての準備はギリギリ整った。俺はある術式を起動させるべく 集中しながら、パルミューラに視線を飛ばす。 ﹁いいか、パルミューラ。俺が今からフラミアに隙を作る。お前が、 あの大玉を相殺しろ!﹂ ﹁なっ⋮⋮!? 待て、どうやってじゃ!? いや仮に隙を作れた として、わらわの力であの巨大な破砕空間をなんとかできるわけが ⋮⋮!﹂ ﹁いや、できるはずだ。俺たちと初めて戦った時に見せた、お前の 奥義なら!﹂ ﹁!!﹂ ブリリアント・バースト ジェットブラック・ヴォルテックス 漆黒螺旋渦動。 かつてキリカの聖光爆濤破にすら打ち勝った、パルミューラ最大 の必殺技。 ﹁アレは空間を歪ませる性質の魔力波だったな。空間に作用する性 質同士、フラミアの空間圧壊攻撃にも有効なはず⋮⋮いや、むしろ お前はいつかフラミアに勝つために、あの術を編み出したんじゃな いのか?﹂ ﹁そっそれは⋮⋮! し、しかし、お主も理解しておろう、今のわ らわは魔の契約によって魔力総量を制限された身⋮⋮かの奥義を放 つのはムリじゃ!﹂ 523 確かにそのとおり。俺のスキルが上がらないうちは、言わば最大 MPが下がっている状態なのだから。 だが、抜け道はある⋮⋮多大なリスクを覚悟すれば、だが。 ﹁一時的に俺の魔隷強化スキルをすべて、お前ひとりに集中する。 それも俺の魔力をギリギリまで振り絞ってな。それでも不足か?﹂ ﹁な⋮⋮!? そ、そのような無茶をすればおぬしの体にどれほど の負担がかかるか、わかったものではないのだぞ!?﹂ まあ、そうだろうな。 だがそれでも、やらなきゃ待っているのは確実な敗北と魔隷たち の死、そして俺が死ぬよりも嫌う自由の束縛だ。 だったら俺は、その無茶を通す! ﹁言っただろう、お前をフラミアに勝たせてやるってな。あいつに 勝ちたいんだろう? 過去の屈辱を晴らしたいんだろう!? 魔隷 の悲願ひとつ叶えてみせなくて何が魔隷術師だ、お前の主人を⋮⋮ 信じろ!﹂ ﹁と、トオル⋮⋮っ!﹂ ﹁あっははははっっ!! もうすぐ完成だよっ、まとめてぺしゃん こになっちゃえッッ!!﹂ フラミアの頭上で明滅する大気のゆらぎは、すでに直径10mは 狂公 あろうかというバカげた範囲を覆っている。あれを落とされたら、 その時は詰みだ。 もう、一刻の猶予もない。 フラミア、簡易術式にて俺が命じる!﹂ ﹁いくぞ、あらためて腹をくくれパルミューラ! ⋮⋮さあ 女 ﹁ちょ、ちょっと小田森くん!? そんな距離から効くはずが̶̶﹂ 524 布石 はすんでいる。 必死に斬り込む隙をうかがっていたキリカが、驚いて振り向く。 確かにそのとおり。だが、このための ﹁その動きを⋮⋮止めろっ!!﹂ ﹁えっ̶̶あ、あうぅうっっ!? な、なに⋮⋮これぇっ!?﹂ 突如、空中でよろけて集中を乱すフラミア。 その下腹部から胸のあたりにかけて、隷属魔術による緑の光がか すかに取り巻いているのをその場の全員が見た。 ﹁マスター、いつの間に隷属の術式を!?﹂ ﹁ついさっきさ。媒介になるアレを、たっぷり注ぎ込んでやったか らな⋮⋮上から下から、そりゃもうたっぷりと﹂ ﹁⋮⋮え? ま、まさか小田森くんっ⋮⋮﹂ そのまさか、パルミューラ戦の応用だ。 隷属術式の媒介となる新鮮な精液は、セックス勝負の口内射精と 生中出しによってフラミアの体内にイヤというほど送り込まれてい る。 行為の直後に開戦する必要があったのは、このためだ。 ﹁あ、あなたって人はあんな小さい子にまで!?﹂ ﹁はいはい、お説教は後で聞くよ。さあみんな下がれ、魔隷強化ス キルをパルミューラに集中する!﹂ お膳立ては整った。 あとはパルミューラ次第⋮⋮文字通りパーティの命運を、俺は振 り絞れるすべての魔力に乗せて契約の魔紋へと送り込む! 525 ﹁く⋮⋮ぉ! 力が、魔力が⋮⋮トオルから流れ込んで、来おるっ ⋮⋮!!﹂ 俺の手とパルミューラの額、対になった魔紋がキィィィン⋮⋮と 甲高い音をたてて共鳴し、ルビーにも似た紅の輝きを放つ。 魔力を、体力を、魂ごとごっそり引き抜かれるような脱力感が俺 を襲い、視界がぼやけ思わず片膝をつく。 ﹁お、小田森くん!?﹂ ﹁トオルさまっ!?﹂ だが、ここで躊躇しては唯一無二のチャンスを失う! 体力気力のすべてを魔力に換えて振り絞りながら、あぜんと見つ めるパルミューラめがけ、俺はかすかにニヤリと親指を立てて見せ た。 ノーヴル・エイト ﹁さあ、ぶちかませパルミューラ⋮⋮魔貴族の、元八冥家の意地を 見せる時だッ!!﹂ ﹁っっ!!﹂ 紅い瞳の奥に映る色が、変わった。 おそらくはフラミアによって過去に刻み付けられた、敗北感と無 力感、恐怖のトラウマ⋮⋮ずっと消せなかったそれが剥がれ、別の 色へと塗り変わる。 ﹁父様⋮⋮母様⋮⋮我が家臣たちよ⋮⋮ッ! 皆の無念を晴らすた め編み出したわらわの秘奥義、しかと見ていてくれ!!﹂ それは闘志とプライド。そして意地だ。 パルミューラは薄い胸を堂々と張り、ふわりと空に⋮⋮フラミア 526 と同じ高さにまで浮かび上がった。その両手に、漆黒の魔力が爆発 的に集中する! ﹁今こそ、我が魔力にねじ曲がれ亜空̶̶﹂ ﹁よ、よくわかんないけどなんかやばいっ!? くっ、こ⋮⋮この ぉぉぉっっ!!﹂ 落下 させるフラミア。 体の異変に混乱したまま、状況を危険と判断して巨大破砕圧壊空 間をパルミューラめがけ むろん精液だけで隷属は完成しないし、直後に全魔力をパルミュ ーラに回す必要があるため、術式の効果もここまでが限界だ。 だが一拍の遅れと集中の妨害とが、未完成なまま技を放つという 致命的な隙を狂公女に生じさせた。 ジェットブラック・ヴォルテックス ﹁漆黒螺旋渦動ッッッ!!﹂ 両手から渦巻いた漆黒の空間歪曲流が、二重螺旋状に絡み合って フラミアの空間圧壊球と正面激突する。 無数の弦楽器をデタラメにかき鳴らしたような⋮⋮文字通り空間 同士が引き裂き合い、喰らい合う異音が鳴り響き、周囲の大気もゴ ウゴウと悲鳴をあげる! ﹁な、なによっ、なんなのよっ!? 弱っちいパルミューラのくせ にっ、なんであたしと張り合えてるのよ!?﹂ ﹁う⋮⋮うぉぉぉぉおッッ!! フラミアよ、わらわをかつて信じ た者たちのため、そして今信じておる者のため! 二度とおぬしに 負けるわけには⋮⋮いかぬのじゃッッ!!﹂ 黒く細い螺旋の魔力を、強引に包み込むかに見えた半透明の球体。 しかし一瞬の拮抗の後、パルミューラが絶叫と共に突き出した両 527 手の示す先、フラミア本体めがけて漆黒の奔流は突き進んでゆく! ﹁な、なんでっ!? なんで強い強いあたしがっ、押し負けっ⋮⋮ こ、こんなのウソよぉっ!?﹂ ﹁だから言ったろ、強さの種類はひとつじゃない、ってな﹂ 蒼白になるフラミアに、俺は苦しい息の下から言い放つ。 確かに、ここまでやっても通常の正面対決ならパルミューラに勝 ち目はなかっただろう̶̶だが、さしもの狂公女の魔力も無尽蔵で はない。 キリカたちの奮闘が少しずつそのキャパシティを削っていたこと が、この決定的な局面で結果を塗り替えたのだ。 ﹁そうですよ! これが私たちとパルちゃんの、仲良しチームワー クの力です!﹂ えっへん、とニーナもメイド服の胸を張る。 ﹁だれが仲良しじゃ⋮⋮ふん、あとパルちゃんはやめろと言ってお ろうに⋮⋮﹂ 魔力激突の逆光を浴びながら、ぽそりとパルミューラがつぶやい た。 背を向けた表情はうかがい知れないが、そこには屈辱感や卑屈さ ではなく、どこか吹っ切れた一抹の満足感がこもっているようにも 思えた。 ﹁い、イヴリースお姉様ぁぁっ⋮⋮! お姉様にもらったあたしの 魔紋が、魔力がっ、人間なんかと契約したパルミューラに負けるな んて、そんなことってぇっっ!?﹂ 528 一方、フラミアの隣には誰もいない。姉イヴリースも、誰も。 どんなに強くとも、たったひとりで戦っていること⋮⋮それがフ ラミアの敗因だ。 かわいそうなくらいに、狂公女はひとりぼっちだった。 ﹁計算違いであったな、フラミアよ! わらわの契約相手は外道で 卑劣でスケベじゃが、あれでなかなか大した男よ⋮⋮お主のオモチ ャに譲るつもりは、ないッ!!﹂ ﹁あ、あたしがほんとに負け⋮⋮っきゃぁぁぁぁぁぁああっっっ! ?!?﹂ そして、ついに黒い閃光がフラミアを飲み込んではじけ̶̶視界 が戻ったとき、ボロボロになった着物に包まれ気絶した、狂公女の 無力な姿がそこにあった。 ﹁や、やったぁっ!!﹂ ﹁よし、勝っ⋮⋮!﹂ が、誰もが勝利を確信したその刹那。 偶然か、それとも最後の意地か。 パァンッ⋮⋮! と甲高い音をたて、パルミューラの漆黒螺旋渦 動に巻き込まれ消滅する直前だった巨大な圧壊空間球が、はじけて 四方に飛散した! ︵ま、まずい̶̶ッ!!︶ 威力のほとんどを失ったとはいえ、ひとつひとつが通常の空間破 砕弾に匹敵するそれらが、巨大なショットガンの散弾のように地表 に降り注ぐ。 529 ﹁くッ! 危ないっ、パルミューラ!﹂ ﹁マスターっ、今助ける!﹂ 全魔力を使い果たしうずくまるパルミューラに迫る一発を、なん とかキリカが切り払う。 同じく動けない俺のブーツにビュートブレイドをうまく巻き付か せ、アメリアが安全圏へと引き寄せてくれた。 だが、少し離れた場所にいたニーナを救う手段が⋮⋮足りない! ﹁あっ⋮⋮﹂ ﹁に、ニーナッッ!!﹂ ﹁ニーナさんっ!?﹂ さっきの大魔法を発動させるため、魔隷のリンクを通して皆の魔 力や体力もごっそりと削られている。特に術師であるニーナの負担 は大きく、逃走もままならない。 杖を抱えなすすべなく硬直するメイド服法術師の頭上に、無慈悲 な死の空間がまっすぐに迫り⋮⋮! ﹁̶̶フンッッッ!!﹂ ばちゅんッ⋮⋮という異音は、しかしニーナが犠牲になった音で はなかった。 彼女をかばうように立っていたのは、赤銅色のアーマーゴーレム の巨体。 ﹁な⋮⋮ナナちゃん!?﹂ ﹁怪我ハ無イカ、ニーナ﹂ 530 魔法生物の右腕。 物理的な相殺は不可能なはずの圧壊空間を、問答無用で した 握り潰 ひとまわり巨大になったその表面を覆っていたのは、にぶく輝く 黒紫色の水晶⋮⋮ディアーネの体を浸食していたのと酷似した、あ の材質だった。 ※ ※ ※ 魔法生物アールマV7︵レベルUP!︶ ジョブ:アーマーゴーレムLV8↓10 スキル:︻格闘LV4︼︻頑強LV3︼︻自己修復LV1︼ ︻破天の魔腕LV0↓2︼︻骸の浸蝕LV0↓1︼ 531 34話:集う力と、秘策の発動︵後書き︶ フラミア戦、これにてついに終結です。 ウェブ拍手を下に設置してみましたので、ちょっとした感想などに もどうぞ。 532 破天の骸 そのものと一体化したって言う 35話:魔腕の奇跡と、彼女たちの動揺 ﹁じゃあ、ナナはあの のか﹂ ﹁ええ⋮⋮信じがたいことですが、そう表現するほかありません﹂ ダークエルフの地下集落に戻った俺たちは、ディアーネから驚き の事実を聞かされていた。 ﹁現に、奥の祭壇に安置されていた骸の欠片はすべて無くなってい ます﹂ ﹁スマン、ゴ主人、シエラノ姉サン。マサカ触ッタダケデ、コウナ ルトハ思ワナカッタ﹂ 巨体に似合わぬ素直な仕草で、ぺこりと頭を下げるアーマーゴー レム。 その右腕は今も、半透明の巨大な水晶に表面すべてを覆われ、ひ と回り以上も巨大になっている。まるでロボットか何かの片腕だけ 接続したようなアンバランスさだ。 とでも呼ぶべき存在 ﹁いや、そうなっちまったものは仕方ないんだが⋮⋮ナナ、体は大 丈夫なのか?﹂ 生ける水晶 ﹁ウム? ナナハ、何トモナイゾ﹂ ﹁どうやら、私の体を浸蝕した と同様の材質に覆われているようですが⋮⋮少なくとも今は、右腕 部だけで浸蝕は止まっているようです﹂ 硬質の腕にそっと褐色の指先を伸ばし、ディアーネが説明する。 533 とはいえ、彼女の体を侵した骸の影響範囲は、徐々に広がってい ると聞いた。それを思うと、いつかナナの全身もそうなるのでは⋮ ⋮という悪い想像はどうしても働いてしまうのだが。 ﹁ん⋮⋮待てよ。ひょっとしたら⋮⋮おい、ナナ。ちょっとディア ーネの体に、骸の浸蝕部位にその右手を当ててみてくれ﹂ ﹁コウ、カ?﹂ ﹁魔隷術師、いったい何を⋮⋮?﹂ 隷属命令 を。 不思議そうな視線が集まる中、俺は下した。 ナナへと ﹁̶̶﹃戻せ﹄!﹂ 瞬間、驚くべきことが起こった。 移動 し まるで磁石を近付けた砂鉄みたいに、ディアーネの腹部一帯を覆 っていた浸蝕部位がナナの腕へと吸い寄せられるように たのだ! ﹁ね、姉さまの体が元に⋮⋮⋮⋮な、なんともない⋮⋮⋮⋮の?﹂ ﹁え、ええ。これは、いったい⋮⋮!?﹂ ダークエルフの下乳から脇腹にかけてのなまめかしい褐色ライン 戻っていた。 は、最初からそうだったように元通りの、普通の肉体にすっかり 置き換わって ﹁すげぇぜマスター! どうやったんだ、今の!?﹂ ﹁いや、正確にはやったのはナナだ。俺は命令しただけさ、まさか とは思ったが⋮⋮﹂ 534 ナナの腕は、骸からウィルスのように広がった浸蝕部位ではなく、 骸そのもの。 命令権 のようなものがあるのではないか。 ならば、言わばウィルスのマスタープログラムのように前者に対 する だったら、それがナナの一部となった今、俺はナナを通してそい つに指示できるのではないか。 それが今起こった現象のカラクリだ。 ﹁なんと⋮⋮なんとお礼を言えばよいのでしょうか、魔隷術師⋮⋮ !﹂ さすがのディアーネも、見えない瞳から涙をこぼさんばかりに動 揺し、そして喜んでいる。 ﹁ありがとう⋮⋮⋮⋮ありがとう、主さま!﹂ シエラも珍しく大声で喜びを表し、むにゅにゅぅ⋮⋮っと抱きつ き押し当てられるパーティ最大クラスのエルフ巨乳。 ﹁ム∼、皆ゴ主人バッカリ褒メル⋮⋮ナナモ頑張ッタンダゾ?﹂ ﹁ふふっ、ナナちゃんがすごいってことちゃんとわかってますよ、 よしよし﹂ ふてくされる巨体に手を伸ばして、犬みたいに撫でるニーナ。 ﹁それにパワーアップしたナナちゃんのおかげでわたし、さっきは 危ないところを助かったんだし!﹂ ﹁オウ、強クナレタゾ。コレデモット、ゴ主人ノ役ニモ立テル!﹂ 確かにニーナ危機一髪の瞬間、フラミアの空間破砕弾をたやすく 535 握りつぶし傷ひとつないナナの腕は、物理も魔法も超越した としか呼べないデタラメな存在だった。 何か それにさっきの現象⋮⋮これらの力は、おそらく破天の骸に秘め られた力のほんの一端に過ぎないんだろう。 では、もし骸をすべて集め、その凄まじい力をコントロールした 時に果たして何が起こるのか? ⋮⋮イヴリースがこれを狙う理由が、実感をもって理解できた気 がする。 そしてなぜ、ナナはディアーネと違い、浸蝕されるのではなく骸 と一体化したんだ? 魔法生物だからか、それとも他に理由が⋮⋮ まあ、今考えても仕方ないか。 ﹁ともあれニーナの言うとおり、これもみんなナナの行動のおかげ だ。あらためて俺からも礼を言うぜ、ナナ﹂ ﹁へへ⋮⋮照レルゾ、ゴ主人﹂ 単眼カメラアイがピンク色の光をチカチカと点滅させた。 ⋮⋮照れてるんだ、それ。 ﹁ところで、姫野さんはどこに行ったんだ?﹂ ﹁キリカなら、ダークエルフの薬師に診てもらっています。大きな 傷はないようでしたがなにぶん、連戦で疲労が激しいみたいで⋮⋮﹂ さすがに少し心配げなシスティナ姫。まあ無理もないな。 ポーション 魔力不足による俺の消耗はレベルアップと、ダークエルフたちに もらった霊薬でだいぶマシになったが、あっちは後で様子を見に行 った方がよさそうだ。 536 しかし̶̶彼女たちから聞いた話が本当なら。 フラミアに敗れ樹海で気を失っていたキリカを人知れず治療した という、正体不明の存在はいったい何者なんだ⋮⋮? ※ ※ ※ ﹁トオルよ、やはりお主はフラミアを、その⋮⋮魔隷として仲間に 引き入れるのじゃな?﹂ 用意してもらった部屋にひとり戻る途中、そう呼びかけて来たの はパルミューラ。 意外にも、声にそのことを非難するようなトーンがない。 ﹁ああ。お前も知っての通り、隷属はすでに完了した﹂ 激戦に敗れ、気を失ったフラミアはまだ目覚めない。 これ幸いと、俺はその間に隷属の術式を完成させた。 パルミューラに続き、ふたりめの魔貴族が俺の魔隷となったのだ ⋮⋮もちろん、それで得た膨大な経験値によってレベルアップを果 魔の契約 だが、これももう少し時間をかければ問題な たしたことは言うまでもない。 ﹁あとは く終わる。体に負担がかかる分、フラミアの意識が戻ってからにな るだろうけどな﹂ ﹁そうか⋮⋮﹂ パルミューラと違い、フラミアはすでに姉イヴリースと魔紋を介 した契約を成立させている。 537 今後、あっちに魔力の主導権を奪われないためには、いわばその 更新手続きが必要なのだ。もちろん、プロバイダ契約とかと違って イヴリースに許可をとる必要なんてないけどな。 ﹁お主、わらわがそれを受け入れておるのが不思議な様子じゃな﹂ ﹁ま、正直な﹂ 積年の怨敵であるフラミアの死を望む⋮⋮あるいはそこまでいか なくても、共に行動するのはまっぴらだと暴れるくらいは十分あり 得ると思っていたが。 ﹁ふん、勝敗は兵家の常。それに最終的な目的はあくまで、やつに 命令しておるイヴリースを打倒し、八冥家の名と誇りを取り戻すこ とじゃ。そのための戦力として使えるならむしろ好都合よ﹂ ﹁⋮⋮少し驚いたぜ、まさにそう言って説得するつもりだったから な。意外と大人なんだな?﹂ ﹁あ、当たり前じゃ、わらわが何年生きておると思っとる!? い つまでも子供なフラミアとは違うわい!﹂ ぷーっと頬を膨らませる仕草も、永久に育たなさそうなつるぺた ボディも子供にしか見えないが、そこは言わないでおいてやろう。 ﹁なあ⋮⋮トオルよ、ひとつお主に聞きたい﹂ ﹁ん?﹂ 銀の前髪の下から、紅の双眸が俺をじっと見上げてくる。 ﹁先の戦いではなぜ、お主自身あれほどのリスクを負うてまでああ した? なぜ、わらわをフラミアに勝たせる、などと無茶を通す気 になったのじゃ?﹂ 538 ﹁それは⋮⋮あの時はそれでイケると思ったから、ってだけじゃ納 得いかないか?﹂ ぽりぽりと頭をかきつつ適当に返すが、ジト目でにらまれる。納 得がいってないのは明白だ。 ﹁あー⋮⋮強いて言えば、お前の眼だよ﹂ ﹁わらわの⋮⋮?﹂ ﹁お前の、フラミアに怯える卑屈な視線。そいつがどうにも見てて 腹が立ってな﹂ そう、俺はその目つきをよく知っている。 自分の限界を早々に諦め、世の理不尽を呪い、何をやってもどう せムダだと可能性に背を向けて、地面をどんより見つめる負け犬の 視線。 それは他ならぬ俺自身の瞳に、ずっと張り付いていた色だ⋮⋮こ の世界に転生するまで。 そんなイラつく色はもう見たくない。 だから、それを変えてやろうとふと思った。俺が変われたように こいつも変われるんじゃないかと思った。 もちろん、これは単なる俺の気まぐれ、勝手な自己満足の類いだ。 俺は善人でもなんでもないしな。 ﹁⋮⋮そうか。確かにわらわはそのような眼をしていたのであろう な、それこそ何百年もずっと⋮⋮じゃが、今は違うであろう?﹂ くふふ、と八重歯をのぞかせ笑う魔貴族は、確かにいい顔をして いた。 長いトラウマを乗り越え、吹っ切れたという実感が得られたから 539 こそ、フラミアの処遇にも余裕をもって考えることができてるんだ ろう。 ﹁ああ、さすが俺と契約した魔隷だ。その方がお前は美しいぜ、パ ルミューラ﹂ ﹁なっ⋮⋮!? そ、そういう答えを期待しておるわけではっ⋮⋮ !﹂ ﹁へえ、じゃあ何を期待してるんだ?﹂ あう、と赤面し目をそらす少女魔貴族。 いつの間にやら、俺たちは用意された個室の前まで来ている。 パルミューラのちっちゃい手は、俺のローブのすそをキュッと握 って離さない。 ﹁そ⋮⋮その、あの奥義を無理に撃って魔力がすっからかんになっ てしまったからな⋮⋮っ、魔隷の体調管理はお主の義務、であろ?﹂ ちらちらと見上げては視線を外し、を繰り返すパルミューラ。 ああくそ、可愛いなこいつ! ﹁じゃからその、ちょ⋮⋮直接、お主がわらわに注いでくれぬかと ⋮⋮きゃうっっ!? と、トオルなにをっ̶̶﹂ ガマンできずに軽いロリボディをお姫様抱っこして、大股で寝台 へとダッシュする俺。 ﹁それで、注いでほしいのは前か? それとも後ろか?﹂ ﹁っ⋮⋮! りょ⋮⋮りょうほうが、いい⋮⋮そうじゃないと、き っと、たりぬ⋮⋮!﹂ 540 ※ ※ ※ ﹁さすがダークエルフの医術ね⋮⋮戦う前よりも調子がいいみたい﹂ 学生服にも似た軽装モードで、地下集落の通路を進むキリカの足 取りは軽い。 インセンス 薬師の女官たちに処置してもらい、もう体の痛みも疲労もすっか り抜けていた。 処置といっても、いいにおいのする治癒の香を焚いた岩室で横に なるだけというアロマテラピーみたいな快適リフレッシュだ。 ︵それにしても。小田森くんの、あの時の表情︶ 決戦に駆けつけた自分を見る、トオルのはっとした顔。 そこにキリカは、安堵の色をかすかに読み取った。 ﹁あれって、ひょっとして心配⋮⋮してくれてたのかな﹂ 思わずつぶやくと、風呂上がりのようにつやつやした白い頬に、 すっと朱が差したことをキリカ自身は気付かない。 フラミアに連れ去られたトオルに無事再会できたあの時、自分も またホッとしていたことも。 ︵そのくせ、自分はまたあんなムチャするんだから。まったく、死 天啓の塔 での魔騎士グルーム戦を思い出す。 んだらどうする気よ︶ あの時はキリカを、今度はパルミューラを勝利に導くため、トオ 541 ルは二度も命を張って死にものぐるいの手を打った。 卑劣でスケベで欲望まみれ、傲慢で自分勝手な元クラスメートだ が、少なくとも目的のためなら自分自身の命すら平等に賭けること をためらわない姿勢は、評価に値するのではないか̶̶姫騎士は、 そう考えてしまう自分に少し驚いた。 ︵でも、なんのためにそこまで⋮⋮って、何度も自分で言ってたわ ね、あいつは︶ トオルが最優先するもの、それは自由だ。 異世界での第二の人生を自分の好きに生きることだと、再会して すぐキリカに言い放った。 ︵私には⋮⋮やっぱりよくわからないな︶ 自由 なんてものの実感はない。実感したことも、望んだこと 自分には、姫野桐華には。 さえない。 それはいま魔隷の身だからではなく、もっと昔からずっと̶̶。 昔 の記憶に沈みかけた思考を追 ﹁⋮⋮っ、何考えてるんだろう、私﹂ ぱちん、と両頬を軽く叩いて い出す。 ただ、トオルの生き方が少しだけうらやましい。 少しだけ彼がまぶしいとキリカは思った。 だから、彼のことを⋮⋮彼とシスティナ姫の仲を見守っている時 に渦巻く正体不明のモヤモヤは、きっとそこに起因する劣等感かコ ンプレックスか何かなのだと、キリカはそう結論付けた。 542 ﹁あ⋮⋮﹂ そんなことを考える間に、居住フロアにまで来たことに気付く。 確か、トオルに用意された部屋もこのあたりだったはず。 ︵⋮⋮せっかく心配してくれてるなら、顔くらいこっちから見せに 行こっかな。もう大丈夫よって︶ いつもよりほんの少し軽い足取りで、木の扉の前に立った彼女の 耳に聞こえてきたのは、しかし⋮⋮! ﹁̶̶ひゃうっっ、ひっひぐぅぅぅんっっ!?!? そっ、そんな に尻の奥までぇぇっ⋮⋮とっトオルんおおああぁぁッッッ!?﹂ ︵え!? ぱ、パルミューラの声っ!?︶ 室内から響いてくる、まぎれもない情事の嬌声。 それも、ただの生易しいセックスのそれではない。 ﹁どうした、もう降参かぁ? すっかりケツをほじくり回されるの が病み付きになっちまったみたいだな、アナル狂いの魔貴族さまは っ⋮⋮おらっ!!﹂ ﹁んあぁぁあ!? いッいぐぅぅぅっっ!!? だっダメじゃぁぁ ⋮⋮わ、わらわまた尻穴で気をやってしまッ⋮⋮ひっひぎぃぃぃっ っ!?!?﹂ ︵な、な、なっ⋮⋮!?︶ ﹁お上品な言葉使ってんじゃないぞっ、ちゃんとケツでイクって叫 543 べって言っただろ! そんなにお仕置き尻ビンタ喰らいたいのか、 ほらほらぁっっ!!﹂ ﹁ゆっ許してっっ、ご、ごめんなひゃいぃぃぃッ!! 言う、言う から堪忍してくれぇっ、わっわらわケツでイクっ、トオルのざーめ んケツマンコ注入でイキましゅぅぅぅぅ∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ ︵な、なにやってるのよあいつらっ!?︶ ノックしようとした姿勢のまま、目を白黒させて呆然と立ちすく むキリカ。 ぐちゅぐちゅ湿った水音や肉をパンパン叩く音、イヤらしいにお いまでがかすかに漂ってくる。 ﹁ふぅ⋮⋮まだまだ終わりじゃないぞ、約束どおりしっかり前にも 注いでやるからな⋮⋮ほら、ぐったりしてないでヒザの上に乗れ﹂ ﹁はぅ、はぁ、はぁっ⋮⋮! こ、この姿勢は、さっきお主がフラ ミアとしておった時の⋮⋮!?﹂ ﹁そうだぜ、お前ずっとうらやましそうに見てただろ? 頑張った ごほうびだ、今日は優しく抱いてやるよ﹂ ﹁や、優しくされたくなど別にっ⋮⋮ふ、ふぁ!? く、口づけし ながら挿れるなぞ、は、反則じゃぁぁ⋮⋮っ﹂ ひぃひぃと鳴きよがるパルミューラの声に、さっきよりも甘いト ーンが混じりだす。 どんな表情でトオルに愛されているのだろうか。 そしてトオルはどんな顔をしているのだろうか。 ︵って、やだっ⋮⋮わ、私何を考えて⋮⋮っ!? こんなのっ、聞 きたくも⋮⋮ううん、聞いたらいけないのにぃっ⋮⋮!︶ 544 扉の脇の壁に背を預け、キリカは息を殺して聞き耳を立てていた。 いつしかその指先が、本人も無意識のうちにブラウスシャツを押 し上げる巨乳へと⋮⋮そして清楚な紺スカートと太ももの間へと伸 びる。 すでにじんわりと湿ったその奥へと、熱にうかされるように。 ﹁しっかしあいかわらず軽いなお前、こんな姿勢でハメることもで きちゃうぞ、っと⋮⋮!﹂ ﹁にゃにっ、ななッ何を、んに¨ゃぁぁっっっ!? こ、このよう な格好は恥ずッ、いっいくらなんでも恥ずかし過ぎるぅぅ!?﹂ ﹁くくっ、その割にはチンポの締め付けがキツくなってきたじゃな いか、ええ? 俺の前でたっぷり恥をかきながら気持ちよくなっち まえよ、パルミューラっっ!!﹂ ︵えっえっ、何なになんなの!? ど、どんな格好でしてるってい うのよぉ⋮⋮っ!?︶ 室内の光景が見えないことが逆に、キリカの脳裏に何通りものイ ヤらしい想像を展開させる。 そこに映るパルミューラのシルエットが、いつの間にか自分自身 の姿に重なった。 そして、くちゅり、とキリカの指が淫らな水音が立てた瞬間。 ﹁あっああ¨あ¨ぁぁぁあ∼∼∼∼ッッッ、お主に恥をかかされて わらわまたっ、またイクぅぅぅっっっ!!?﹂ ﹁ッあ、あぅん⋮⋮っ!? え、わ、私いま何をっ⋮⋮!?﹂ 盛大にイキよがるパルミューラの絶頂声と、熱く火照った自分自 身のカラダに指が触れた衝撃とが、キリカをはっと正気付かせ、慌 545 てて口を押さえる。 自分が今、ふたりの声を聞きながら何をしようとしたのか⋮⋮そ れに気付いてしまって、耳の裏まで真っ赤にのぼせあがる姫騎士。 ︵ううっ、馬鹿⋮⋮私のバカ、最低っ⋮⋮! こ、こんなの小田森 くんに知られたら⋮⋮い、生きてられないっ⋮⋮!︶ 見知った男女の情事を盗み聞き、体を火照らせ、あまつさえそれ をひとり慰めようとしてしまった̶̶羞恥と自己嫌悪とに自殺した くなるほどのショックを受けながら、キリカは慌ててその場を走り 去るのだった⋮⋮。 ※ ※ ※ ﹁シエラ。私は⋮⋮魔隷術師トオルに、感謝の意を示さねばなりま せん﹂ ことん、と切り株型のテーブルに置かれるハーブティの器。 義姉妹水入らずのゆるやかな時間を、何年かぶりにたっぷり楽し んだ後のことだった。 ﹁ディアーネ姉さま、それって⋮⋮⋮⋮!﹂ 破天の骸 に侵されなす ﹁はい。彼の望みに従い、この身を捧げる⋮⋮ということです。彼 はあの魔族の脅威からこの集落を救い、 すべもなかった私をも救ってくれました﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮っ﹂ さも当然と、淡々とクールにそこまで言い切る姉に、シエラは逆 546 に動揺してしまう。 家族同然の彼女がトオルに抱かれるという光景を想像し、思わず 複雑な思いが胸に去来したのだ。 ﹁それで⋮⋮あの、ひとつ相談なのです、が﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮?﹂ 次の瞬間、シエラは驚いた。 あの姉、いつも巫女らしく泰然自若として女神のように清冽、感 情の起伏を自分以上に表に出さないディアーネが。 ﹁わ、私は、そういうことが、よく、わからない、ので﹂ ﹁え? ⋮⋮⋮⋮え?﹂ ﹁一緒に、行為に付き合っては、くれない、でしょう、か!﹂ 盛大に、しどろもどろにガチガチに、赤面していたからだ。 ※ ※ ※ ダークエルフ地下集落の入り口は、いくつもの洞窟や縦穴の形で シェイヨル大森林の各地に点在している。 目立つようなものには見張りの目が光っているが、そうでないも のは知らなければまず発見できないため、基本的に放置されるのが 常だ。 夕暮れが木々をオレンジに染める今、後者のひとつを前に立つ人 影があった。 ﹁ここか⋮⋮クルス殿の情報通りだな﹂ 547 赤と銀の騎士鎧に身を包んだ、亜麻色ポニーテールの女騎士。 を頼もしそう ﹁待っていろよ、キリカ⋮⋮! 誇りを失ったお前を、私はシステ ィナ姫さまと共にあの男から取り戻すッ!﹂ そして私の誇りも⋮⋮と、内心で付け加えつつ。 あるもの でな!﹂ を見れば驚愕の声をあげただろう。 武器 セレスタは、剣と反対側の腰に下げた に撫でた。 武器 ﹁クルス殿より預かった、この もし、トオルがその 恐るべき報復の手段を身に帯びた復讐の女騎士は、ひとり地下へ と侵入していく̶̶! ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV15↓16 スキル:︻隷属魔法LV9↓10︼︻魔の契約LV1︼︻魔隷強化 LV5↓6︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:1人分︶ ︻姫騎士キリカ︼︻女法術師ニーナ︼︻女戦士アメリア︼︻エルフ の精霊弓士シエラ︼ ︻アーマーゴーレムのナナ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ ︻ダークエルフの女斥候︵牢番︶︼︻狂公女フラミア︼ 548 36話:姉妹の淫戯と、非情なる絆 満天の星明かりが、うっすら湯気のたつ水面を照らす。 秘湯 。 月光に銀髪がきらめき、すらりと立った褐色の裸体が、俺の眼前 に惜しげもなくさらされている。 ﹁では、魔隷術師どの⋮⋮どうぞ﹂ ここはダークエルフ地下集落の上にある 直径10mは余裕でありそうな大木の内部がくりぬかれてできた、 広大な露天風呂状の空間が、ヒザ下がつかるくらいまでライトグリ ーンのお湯︵地下から湧いた湯と薬効のある樹液が混ざったものら しい︶をなみなみと湛えている。 地球のヒノキに似た良い香りが気分をリラックスさせてくれるこ の場所は、一族代々の巫女が精神を落ち着けるために用いているら しい。 ﹁意外だな、ディアーネ。まさか自分から俺に身を捧げるとはね﹂ ﹁それが恩人である貴方の望みというならば、ご随意に﹂ たっぷり弾力のありそうな、ツンと乳首が上を向いたロケットお っぱい。ダークエルフらしくキュっと引き締まった、それでいて柔 らかそうな腰からお尻にかけてのライン。 そのどれもが今はお湯に濡れ、月光に照らされて女神のように輝 いている。 この美味そうな体を初めて見てから、思えばずいぶんお預けを食 ったからな。ここでしっかり味わい尽くしてやるとしよう。 549 ﹁あの⋮⋮⋮⋮主さま、姉さま、本当に⋮⋮⋮⋮?﹂ 少し離れた岩の上にちょこんとお行儀よく座ったシエラが、不安 と羞恥でうっすら赤くなった顔でおずおず聞いてくる。 この場に義妹を立ち会わせたことには俺も驚いたくらいだし、シ エラにとっては余計にだろう。 ﹁ごめんなさいね、シエラ。でも、一人では⋮⋮その、心細くて﹂ ﹁だそうだよ。セックスするところをしっかり見てて欲しいなんて Hな姉さんだな。じゃあ、まずはこのおっぱいからだ﹂ ﹁⋮⋮っ、あ⋮⋮っ!﹂ うっすら湿ったダークエルフ巨乳を、真正面から遠慮なく鷲掴み。 むにゅにゅむぅっ⋮⋮と、ミルクチョコレート色の柔肉に十本の 指が沈み込んでいく。色はチョコでも、ぷるぷるの弾力は決して崩 れないくず餅ってとこだ。 ﹁おお、これはなかなか⋮⋮動くなよディアーネ、両手は頭の後ろ に揃えて組んで、俺のなすがままにされろ﹂ ﹁っあ、は⋮⋮はい、それが魔隷術師どのの、ご所望とあれば⋮⋮ っ﹂ にゅむにゅむと双球が楕円形やヒョウタン状に歪むほどに揉み込 み、上下左右互い違いにぐにぐに引っ張り、ぶるんぶるん揺らして もてあそぶ。 長い銀髪を震わせながら、そんな念入りな乳いじりに耐えるダー クエルフ巫女。 ﹁シエラより少し控えめだけど、弾力とか感度は負けてないな。男 に触られたのは俺が初めてだよな?﹂ 550 ﹁は⋮⋮はい、このようなことをされるのはっ、んっう! は、初 めてです⋮⋮あぁっ!?﹂ やや大きめの乳輪を爪でなぞるように引っかいて、その真ん中、 ツンと尖りはじめた桜色の乳首をじっと観察する。 いつもの超然とした態度のままじゃ面白くないので、少し揺さぶ ってやるか。 ﹁でも、自分でしたことくらいはあるんだろ? こことか、けっこ う一人でイジってるんじゃないか?﹂ ﹁な⋮⋮!? な、なにを⋮⋮っ!?﹂ ﹁だってほら、もうむくむくとイヤらしく勃起してきたぞ、ディア ーネ⋮⋮ぷっくりエロく膨らんじゃってまあ、これは相当乳首でオ ナってる証拠だぜ﹂ ﹁え、ええっ!? そ、そうなのですかっ⋮⋮んひぃッ!?﹂ パァン! とずっしり安産型の褐色尻を叩いてやった音が露天に 響く。 ﹁手は頭の後ろで組んでろ、って言っただろ? 背筋もちゃんと伸 ばしてないと、今みたいにお仕置きだ﹂ ﹁は、はいぃ⋮⋮っ、も⋮⋮申し訳な、あっあうぅんッ!? ま、 またそのような胸の先、ばかりっ⋮⋮!﹂ 半分カマかけだが、いつもの澄ました仮面がはがれかけた所を見 るに、オナニー経験は意外にあると見た。 それに目が見えないぶん、次にどう触られるか予想もつかず、そ れで余計に敏感になっているみたいだな。 ﹁はぁ、はぁぁっ⋮⋮んっ、んう!? ふッ、はっはァッ⋮⋮んぅ 551 あぁ!?﹂ ﹁ね⋮⋮⋮⋮姉さまあんなに、お⋮⋮おっぱいばっかり⋮⋮⋮⋮!﹂ 背中に回り、銀色の長髪ごと抱きかかえるような姿勢で褐色おっ ぱいいじりをみっちりたっぷり続行する。 俺の手でブラを作るみたいにして下から双肉球をすくいあげ、そ こだけコリコリに硬化した乳首が手のひらからこすれ出ると同時に、 ブルンッと重力に負けた褐色水風船がまろび落ちる感触を、何度も 何度も繰り返し楽しむ。 ﹁ずいぶん良さそうじゃないか巫女様、んん? こりゃかなり乳首 オナニー常習犯だな、意外とムッツリスケベだったんだな?﹂ ﹁はーっ、はぁぁ⋮⋮っ! あぁ、あ⋮⋮っ! そ、そのようなこ と、はッ⋮⋮!﹂ お湯のせいだけではない汗に全身を艶かしく照り光らせつつ、ち らちらとシエラの気配をうかがっているのがわかる。 実の妹同然の相手にオナニー癖をバラされるのは、クールな巫女 様でもさすがに恥ずかしいらしい。 ﹁ごまかしてもムダだぜ。いつも一人でしてるみたいに乳だけでイ かせてやるよ、ディアーネ⋮⋮ほら、こうやって!﹂ ﹁ひっあぁああ¨!? ま、待って魔隷じゅっ⋮⋮ひっひぎっっっ、 んひぃぃぃぃぃッッッ!?!?﹂ つまんだ乳首を支点にずっしり褐色乳房を真上に引っ張って釣り 上げ、痛いほどつねりあげてのトドメ。 がじっ、と間髪入れず茹だったエルフ耳を噛んでやった途端、も のすごい勢いでスレンダー&グラマラスな体が震え出した。 552 ﹁っ、ディアーネ姉さま⋮⋮⋮⋮っ! イってる、の⋮⋮⋮⋮?﹂ ﹁ああ、もっとこっちに寄ってじっくり見てやれよ、シエラ﹂ ﹁ま、待っ!? やっやめッ⋮⋮やめてシエラ、私のこんな所を見 な⋮⋮ぃいッッ!? ふっふぁぁああッんぁぁぁぁうっっ!!?﹂ あわてて身をよじる姉巫女の体をがっしりホールドして、思う存 分絶頂し続けられるように乳首を指の腹でこすり潰し、耳をしゃぶ り噛みの刑。 両手で顔を隠そうと悪あがくが、もちろん手首を掴んで阻止だ。 ﹁姉さま⋮⋮⋮⋮とても、きれい⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁しっシエラ、何をっ⋮⋮!? あ、あああっ⋮⋮!!﹂ ぽうっと熱に浮かされたような表情で、息がかかるほど近い位置 から義姉のイキざまを見つめる、白いエルフ義妹。 ひとしきり乳首絶頂にけいれんした後、くたっと脱力した肢体が シエラに抱きとめられた。 ﹁お∼、こりゃまた盛大にイッたもんだ﹂ ﹁はぁ、はぁぁ、はぁっ⋮⋮! っ、お見苦しい、ところ、を⋮⋮ っ!﹂ お湯と汗に混じって褐色の内股に伝う、ねっとりした粘液の存在 を俺は見逃さない。 この調子で、俗世離れした巫女様の自分でも気付かなかった欲望 をどんどん引き出してやるとしよう。 ﹁なにも恥じることはないんだぜ、ディアーネ? お堅い巫女の暮 らしで溜まった欲求不満、これからたっぷり解消してやるからな⋮ ⋮!﹂ 553 赤黒く染まったエルフ耳にそう囁きかけてやると、敏感な処女ダ ークエルフの肢体がぶるりと震え、とろりと新たな愛液がひとすじ、 湯船に伝わり落ちた。 ※ ※ ※ 対照的カラーのエルフ姉妹を前に、露天風呂の岩に腰掛ける。 腰に巻いていたタオル代わりの布を外し、ボロンと勃起チンポを 露出させる⋮⋮と、ディアーネがびくっと反応した。 ﹁ん? 目が見えないんじゃなかったっけ﹂ ﹁そうなのですが⋮⋮あの、そのぶん敏感なのです⋮⋮におい、に﹂ ﹁姉さまは昔からお鼻がとても良いの、主さま﹂ 目を伏せ、恥ずかしそうにうつむくディアーネ。形のよい小鼻が 、たっぷり味わ ひくひくと反応している先が、熱気に蒸れた俺の肉棒だと思うと⋮ ニオイ ⋮どくん、と胸の中で嗜虐心が首をもたげた。 ﹁そうかそうか、じゃあ⋮⋮はじめての ってみようか﹂ ﹁え⋮⋮っぷあ!?﹂ グイッと銀色の頭をチンポめがけて抱え寄せて、その鼻筋と俺の ウラスジが密着するようにしてやる。 どんな男の手も触れたことのない、異種族の姫巫女の清楚な顔立 ちに醜いモノを押し当てているという征服感が、その場所にドクド クと血流を送り込む。 554 ﹁まっ魔隷術師どの⋮⋮っあ、当たっているこれはっ⋮⋮か、硬く なって、ふ、ふぁぁ!?﹂ ﹁これが男のチンポだよ巫女様、オナニーには慣れててもこっちは 初めてみたいだな? さあ、このまましっかり深呼吸だ⋮⋮!﹂ ﹁んぅっ、んふぅーっ⋮⋮! んぉ、んふぁぁぁ⋮⋮っっあ!?﹂ 律儀に俺の命じるがまま、湿気と汗で湯気のたつほどムレた男の 勃起肉臭を、にじんだカウパーの香りを、至近距離から吸い込んで いくディアーネ。 どくんどくん脈打つミミズ腫れ血管の音、皮に包まれはちきれそ うに熱い幹の触感。ずりゅずりゅと心地よい顔ズリを味わいながら、 視覚以外の感覚によって俺というオスの存在を覚え込ませる。 ﹁これっ⋮⋮な、なんてすごいっ⋮⋮あっ頭が、しびれっ⋮⋮ふぅ ぅんッ、んっんおぉ⋮⋮はぁっはぁっっ、ふぁぁぁ⋮⋮ッ!﹂ いつしかじゃれつく子犬のように、自分から顔を押しつけるよう にしてチンポ臭をむさぼりはじめるダークエルフ巫女。 人より鋭敏な嗅覚のせいで脳みそまでイヤらしい臭気に犯され、 強制的に発情させられたようにぼぉっと夢見心地のメス顔になりか けている。 ﹁そんなに人間のチンポが気に入った? じゃあせっかくだ、体の 内側からもニオイをかいでみろよ﹂ ﹁え⋮⋮内側、からとは⋮⋮?﹂ 返事代わりに顔面ズリから解放すると、綺麗な唇の隙間から指を すべりこませ、ピンク色の舌をネロッと引っ張り出す。 すでにたっぷりの唾液で濡れたそれを、二本指で挟んでにゅるに 555 ゅるもてあそびながら、俺はシエラに呼びかけた。 ﹁ここに並んで、うぶな姉さまに教えてやってくれシエラ。チンポ をたっぷりねっとりエロおしゃぶりして味わうテクをな﹂ ﹁う⋮⋮⋮⋮うん、主さま⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁おしゃぶ⋮⋮り? し、シエラ?﹂ 羞恥心は依然としてあるが、さっきからずっと見るだけでお預け されてきたもどかしさの方が勝ったようだ。 戸惑うディアーネの隣に座ってその頭をそっと支えると、シエラ はフル勃起した肉棒の根元を握り、むんむんと湯気を放つ先端を狙 い定める。 ﹁姉さま⋮⋮⋮⋮おくち、いっぱい開いてて?﹂ ﹁ふ、ふぁ? ほ、ほふへふは︵こ、こうですか︶⋮⋮んぷぅっっ !?﹂ にゅずぶぶぶぶぷっ⋮⋮!! おとなしいエルフ妹の手に導かれて、優しいダークエルフ姉の処 女口マンコに、野太い人間チンポがみるみるインサートされていく 背徳的な光景。 ﹁お、おぉ⋮⋮! いいぞっ、ねっとり絡み付くこの粘膜っ⋮⋮!﹂ ﹁んぷぁっっ、んぷぅぅ∼∼∼っっ!?!? っぷぁッ、んぅぅぅ う!!?﹂ ﹁ごめんね姉さま⋮⋮⋮⋮ちょっと、我慢してね? そのまま、ベ ロで主さまのをぺろぺろ舐めてみて⋮⋮⋮⋮?﹂ ディアーネは狭い口腔に押し込まれたチンポの威容にうっすら涙 目になって、だが愛するシエラの手をふりほどくこともできずされ 556 るがままだ。 言われた通りにおっかなびっくり動き始めた舌が、狭い隙間で一 生懸命にカリ首やウラスジ、亀頭などあちこちを初おしゃぶりして 俺を楽しませる。 ﹁チンポのニオイ嗅いでたんまり唾液溜めてたとはエロいヤツだな、 ディアーネ⋮⋮それを先っぽからにじみ出る液とぐちょぐちょ混ぜ てしっかりニオイ味わうんだぞ⋮⋮ううっ!﹂ ﹁姉さま、苦しいならお鼻で息してみて? ⋮⋮⋮⋮そう、上手。 じゃあ次は、ベロをもっと思いっきり色んな方向に⋮⋮⋮⋮大丈夫、 シエラもいつもしてるから恥ずかしくないよ﹂ ﹁んぷーっ、はふっ⋮⋮! んぶ、んぷっんじゅぶぶ⋮⋮っ! ち ゅぶぷっっ、れろりゅるるっ⋮⋮れりゅぅぅぅっっ!!﹂ 指導 は的確だ。 経験豊富な妹から何も知らない姉へ贈られる淫らなフェラチオレ ッスン。 俺が何も言わなくてもいいくらい、シエラの 亀頭のねぶり方や幹を唇でシゴく方法を次々レクチャーし、俺の 弱いところを具体的に教え、みるみるうちに思わず声が漏れるほど ディアーネのおしゃぶりテクは上達していく。 ﹁見て、主さま気持ち良さそうだよ⋮⋮⋮⋮シエラも、姉さまの色 んな顔⋮⋮⋮もっと見たいな﹂ ﹁し、シエラぁっ⋮⋮んぷぅぅっ! んじゅっぷ、んっぷぁぁ⋮⋮ あぷっ!?﹂ シエラのやつ、この非日常的3Pですっかりスイッチが入ってし まってる。 よだれまみれのチンポをジュポジュポ高速で唇に出入りさせる涙 目の姉に、少しだけサディスティックな視線で微笑みながら、その 557 後頭部をつかんで前後させる動きは決してやめようとしない。 ﹁くっ、まっ待てディアーネ、いやシエラ! このままじゃ出っ⋮ ⋮!﹂ ﹁あ⋮⋮⋮⋮もうすぐ射精してくれるみたい、主さまが、せーえき いっぱい⋮⋮⋮⋮よかったね、姉さま﹂ ﹁はぷっっ、ぅぷじゅぷっっ、はぶっっんぷぅぅっっっ!?!?﹂ そしてディアーネもまた、妹のハードな教育にみるみる適応して いく。 さっきまでお上品だった唇がキュッとすぼまって貪欲にチンポを 吸い立て、舌が派手に踊ってさまざまな段差をしゃぶりあげ、たま らず高ぶる射精感。 まさか、これも見えない目の代わりに対象の情報を心で読み取る という超感覚の応用だろうか⋮⋮などと悠長に考えてる余裕は、も うなかった。 ﹁うッ⋮⋮で、出る!! し、舌伸ばして並べエロフどもッ、姉妹 まとめてこってりとぶっかけマーキングしてやるからなッッ!!﹂ 生暖かい天国から勢いよく射精寸前チンポを引き抜くと、ガシガ シ痛いほどにシゴきたてる。 これから何を喰らわされるかを知ってうっとりと自分から差し出 すシエラと、わけもわからぬままそれに倣うディアーネ、ふたりの 白黒エルフ美姉妹のはぁはぁと上気した無防備な舌出し顔めがけ̶ ̶!! どびゅっっ、ぶびゅるるるるるぅぅぅッッッ!!! びゅくぅッッ、びゅっくどぷぶぴゅっっ、どびゅくんっっ!! びゅちゃッにゅちゃぁぁぁ⋮⋮ッッ!! 558 ﹁ぷぁっ、ああッふぁぁぁあ!? な、何ですかこれはっ⋮⋮あ、 熱くて臭いモノが顔じゅうにっ、体じゅうに⋮⋮ッ、あぁっ、で⋮ ⋮でもこのにおいッ⋮⋮!!﹂ ﹁あぁっ、ふあぁ⋮⋮⋮⋮! すご、姉さまと、一緒にっ⋮⋮⋮⋮ 主さまに、まっしろに染められてる⋮⋮⋮⋮っ!!﹂ 野太いザーメンが宙をのたくり、びちゃべちゃと下品な音をたて て。 俺の女とこれから俺のものにしてやる女の顔に、金と銀の美髪に、 白黒計四つの巨乳に⋮⋮いたる所に降り注ぎ、ネットリとオスのマ ーキングをする。 シエラの白い肌はもちろん、ディアーネの褐色肌への白濁化粧は よりコントラストが強調され、汚しているという実感もあいまって すさまじくエロい。 二人の顔の間をアーチ状につないだ精液が、ゆっくりと真ん中か ら自重で垂れ下がっていく。 ﹁ふぁ、はぁっ、はっああぁぁあ⋮⋮あぁ⋮⋮っっ!!﹂ 浅いお湯の上にぺたんと可愛らしく座り込み、こってり重いザー メン塊が乗った美顔をやや上に向けて、はふはふと荒い呼吸を重ね るダークエルフ巫女。 かすかにヒクヒク反応し続けるその小鼻は、俺という征服者が貪 欲に刻んだ濃厚な所有権の証を、歓喜と共に味わい尽くすかのよう だった。 ﹁堪能したか、ディアーネ? だけど、まだまだ終わりじゃないぜ。 後生大事に守ってきたその処女、妹の前できっちり貫いてやるから な⋮⋮!﹂ 559 ※ ※ ※ ﹁よもや、あの妹君が人間ごときに⋮⋮あ、ありえぬ! 何かの間 違いだ!﹂ ヘイズキャッスル 魔界、業炎砂海̶̶そのただ中に建つ陽炎魔宮。 壁も床も魔宝石に覆われた城主の間に、剣魔卿シュトラールの驚 愕がこだました。 ﹃と、言われましてもねぇ。自分はしかと見たんですから。魔隷術 師に敗北したフラミア様がその虜囚となるところを﹄ 宙に浮かぶ水晶球から立体投影された銀仮面の人影、クルスの報 告は対照的に落ち着き払っている。 ﹁ならば! すぐさま全力を賭して奪還にかかるが臣下の務めであ ろうが!﹂ ﹃いやいや、イヴリース様に報告するのが先でしょう。それに決定 権の持ち主はあなたじゃありません、剣魔卿﹄ 慇懃無礼な正論に、ぐぬぅ⋮⋮と獅子頭の魔貴族は苛立ちをあら わにする。 臣下たちの視線は、高濃度魔力溶液に満たされた深紅の球体内に 破天の骸 は、確かにその魔法生物の手にあったというの アーマーゴーレム 浮かぶ主君イヴリースへと集まった。 ﹃̶̶ だな?﹄ 560 精神波による問いかけに、うなずく銀仮面。 そしてしばしの沈黙の後、 確保は ﹃ならば、クルスよ。お前はそれを必ず回収せよ⋮⋮手段は問わぬ。 その場にあるものはすべて利用して、な﹄ ﹃は、仰せのままに﹄ 以上だ、とばかりに短い命令を下し、再びの沈黙。 破天の骸 そんな主君の態度を前に、シュトラールは色めき立つ。 ﹁そ⋮⋮それだけでございますか!? 確かに もの は 至上命題、しかし他ならぬ妹君の御身が! クルスだけでは戦力不 足なら、この我輩が人間界に打って出て̶̶﹂ ﹃シュトラールよ、我はすでに答えたぞ。その場にある すべて利用せよ⋮⋮とな﹄ ﹁は⋮⋮? それは、一体いかなる̶̶ッ、ま、まさか!?﹂ 一拍置いて、シュトラールの両眼が愕然と見開かれた。 主君の冷酷無比な真意をようやく理解したのだ。 ﹁しかし⋮⋮しかしッ! そ、それではあまりにも妹君が不憫ッ⋮ ⋮ぐぉぉッ!?﹂ ﹃少しうるさいぞ、シュトラール﹄ ずん、と剣魔卿の巨躯が水晶の床に片膝をついた。魔水晶が薄く ひび割れるピキピキという音。 歯を食いしばり苦悶の表情⋮⋮彼の体に何らかの手段で、とてつ もない負荷と苦痛が与えられているのだ。 561 ﹃ではゆけ、クルスよ̶̶破天の骸、必ずや我が元に持ち帰れ。失 敗は許さん﹄ ﹃⋮⋮は。了解です﹄ 威圧的にうねる精神波を前に、さしものクルスもそれ以上の軽口 は叩かなかった。 立体映像が閉じ、陽炎魔宮に冷ややかな静寂が戻る中、シュトラ ールはなおも続く苦痛の中で必死に自問自答していた。 ︵妹君⋮⋮ふっフラミア様っ⋮⋮! こ、このようなことがあって よいのか!? な⋮⋮なんとか、我輩がなんとかせねば⋮⋮ッ!!︶ 562 37話:温泉の秘め事と、復讐の騎士 にゅぷっ⋮⋮にゅぽん、にゅぱっ! ぐにゅくっ! 露天風呂の岩床に上半身を起こして寝そべる俺の股間で、柔らか な肉がいやらしい音をたてる。 ﹁ああっ⋮⋮ま、魔隷術師どのの肉の棒が⋮⋮! 私の胸の中で、 こんなにも大きく⋮⋮っ﹂ ﹁いいぞディアーネ⋮⋮思った通りの、いいパイズリごこちだ﹂ 心地よい弾力を持つ褐色ミルクタンクによってコネあげられた俺 のチンポは、早くも硬度をみるみる取り戻していた。 だが、その双乳に手を添えてズリ動かしているのはディアーネ自 身ではない。 姉の背中に密着して座るシエラだ。 ﹁主さま⋮⋮⋮⋮ディアーネ姉さまのおっぱい、気持ちいい?﹂ ﹁ああ、たまらないぜ。さすがおっぱい魔隷筆頭シエラのパイズリ テク、処女乳とは思えないしっくり具合だ﹂ ﹁っあ、あうっ!? し、シエラはいつも、胸乳でこのような淫ら なことをっ⋮⋮!?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ひみつ﹂ 銀色の長いまつ毛を震わせ、うわずった声で戸惑うダークエルフ 巫女。 最愛の義妹におっぱいをしつこく揉み込まれ送り込まれる背徳の 快感が、形のいい眉を切なそうにしかめさせている。 563 シエラの巨乳と俺のチンポに体の前後をみっちり挟まれ、どんな におい が、強くなって⋮⋮っ!?﹂ に恥ずかしくても逃げることもできない。 ﹁あ⋮⋮ま、またあの ﹁よぉし、ビンビンに復活だ。いよいよだぞディアーネ⋮⋮っとそ み込んで の前にシエラ、このチンポをたっぷり濡らしてくれ。愛する姉さん が痛くないようにな﹂ こくん、と頷き、フル勃起したモノを可愛らしい唇で いくシエラ。 にゅろっ⋮⋮ちゅくっ⋮⋮にゅるるっ⋮⋮と、戸惑うディアーネ の顔のすぐ横で一心不乱におしゃぶり奉仕。 これから姉の処女膜をブチ抜くチンポに妹の唾液をたっぷりまぶ させる変態的行為、たまらない姉妹丼シチュエーションだ。 ﹁くっ、そろそろ十分だ。このまま精液吸い取るつもりかよ、欲張 りシエラ﹂ ﹁っぷぁ! ごめん主さま⋮⋮⋮⋮つい﹂ 温かな岩床に、じっとり濡れた褐色の裸体を横たわらせる。 かすかに乱れた息の音。その足をゆっくり割り開いていく俺を見 上げる、光を映さない瞳。 ﹁今さらだけど、処女をなくしたら巫女としてまずいとか、そうい うのはないよな?﹂ ﹁い、いえ特に⋮⋮私たちの崇める生と死の女神ティプトーリの教 義では、子を宿すことをむしろ礼賛していますから⋮⋮﹂ ﹁そうかそうか、なら遠慮なくいただこう。しっかり見てろよシエ ラ、姉さんが同じチンポで処女を散らす決定的瞬間を、なっ!﹂ ﹁う、うんっ⋮⋮⋮⋮!﹂ 564 むっちりと適度な肉のついたミルクチョコレート色の内股の奥、 挑発的なコントラストを描く薄いサーモンピンクの処女肉唇。 さっきからの淫らな遊戯ですでに湯気がたつほど濡れそぼり、か すかにくっぱり花咲きはじめたそこめがけ̶̶俺は赤黒い凶器をゆ っくりと押し入れていく。 ﹁あ、ああっ⋮⋮!! は、入って⋮⋮く、来るぅぅぅ⋮⋮っっっ !?﹂ 愛液と湿気でふやけた処女膜をこそげ取りながら、ぷりっぷりの 初物マンコにチンポをおさめ貫く凄まじい征服快感、何度味わって もたまらないこの愉悦! 腰をうねり浮かせて快楽衝撃に耐えるディアーネの、細く甘やか な嬌声がほとばしる。 ﹁はっ、ふぁ、はひっ⋮⋮んああッ、ま⋮⋮まだ奥までっ、まだ入 るのですっかッ⋮⋮んぉああ!?﹂ ﹁だいじょうぶだよ、姉さま⋮⋮⋮⋮シエラが手、にぎっててあげ るから⋮⋮⋮⋮ね?﹂ 上下左右ランダムにウネる何重もの肉壁に多段締めされつつ、さ らに奥へ奥へと異種族征服チンポをインサート。 やがて、こつん、と褐色ヘソの下でコリコリした子宮口に亀頭先 がぶつかり、ディアーネは銀髪を振り乱してのけぞった。 ﹁か、かはっ⋮⋮!?﹂ ﹁ッく、これまたキツいな、すぐに動くのは難しそうだ。よしシエ ラ、姉さんのおなかを撫でてほぐしてやりな﹂ ﹁うん⋮⋮⋮⋮こう? 姉さま、くるしくない?﹂ 565 かすかに膨らんだ褐色の下腹部にそっと白い手が当てられ、小動 物をいたわるように撫でさすり始める。 ゆっくりと丁寧に、その奥にハマったチンポの形をなぞるように。 ﹁っあひッ!? しっシエラ、これっひっ響くっ⋮⋮おなかの中に 響くっ、んぉぉぉおっ!? す、少し待っ⋮⋮ひぁぁぁあッ!?﹂ ﹁姉さま、気持ちいいんだ? じゃあもっとするね⋮⋮⋮⋮なーで、 なーで﹂ 聞く耳持たないとばかりに、片手でぎゅっと暴れる手首を押さえ ながらの優しくも淫らな愛撫。 碧色の瞳には、またさっきの時みたく妖しげな光が宿っている。 姉の弱々しい姿に対して妹が無自覚に発露させるSっ気⋮⋮どう やらこの義姉妹の思わぬスイッチを押してしまったらしい。 ﹁やるなシエラ、おかげで姉さんのお腹の中がトロットロにほぐれ てきたぞ。じゃあそろそろ動かせてもらうからな、ディアーネ⋮⋮ !﹂ ﹁あッんあっっっ!? そっそんな急に動いてはッ⋮⋮ふぁぁあ! ? し、シエラもその手を止めッ、ひゃぁぁぁあっっひぃぃぃぃっ っ!?!?﹂ 内と中から敏感な処女肉を挟みコネられ、こらえようのないよが り声が露天風呂にこだまする。 ぐん、ぐむっ⋮⋮ずん、ずぐんッ! 次第に力強いストロークで、ふやけきった弱点だらけの敏感ダー クエルフマンコに、俺という初めてのオスを刻みつける。 ﹁どうだディアーネっ、人間さまのチンポの味はっ!? お前の妹 566 の中もこれでたっぷりしつけてやったんだぞっ!﹂ ﹁う、うん⋮⋮⋮⋮シエラのおまんこ、主さまのカタチにされちゃ った⋮⋮⋮⋮姉さまのおまんこも、おそろいになってほしい⋮⋮⋮ ⋮な﹂ ﹁いっ言わないでシエラぁそんなことぉぉ⋮⋮! しっ姉妹揃って こんなッ、やはり恥ずかしッ⋮⋮ぅああっ!! んぉあぁぁあっっ !?﹂ 横たわってもなお、ぷりんっ⋮⋮と天を向く褐色おっぱいを鷲掴 んで支点にし、激しく揉みコネながら腰を叩き付ける。 もはやさっきまで処女とは思えないほど、その動きに遠慮がいら ないくらいにほぐれてチンポに順応しつつある弾力いっぱいの姉マ ンコ穴に、妹の手の圧力を感じながら猛突撃を繰り返す。 ﹁だ、ダメですっこれ、かッ体の中がシエラとふたりでダメにされ ています魔隷術師どのっっ、トオルどのぉぉッッッ!? あぁぁぁ あッッ、さっきからずっとずっとぉぉぉ!?!?﹂ ﹁だろうなッ、何度も軽イキしてる手応えがチンポにビキビキ来て るぞっ! でももっとだ、さあそろそろ深く深ぁくイッとけ、ディ アーネ⋮⋮体の奥底、子宮で味わう絶頂でなぁっ!!﹂ ﹁ひっ⋮⋮!? しっシエラ、怖いっ怖いの! ほっほんとにダメ ぇぇぇッッ、おぉぉっおなか押さないでぇぇぇッッ!?﹂ ﹁だいじょうぶだよ、こわくない、こわくないから姉さま⋮⋮⋮⋮ とってもとぉっても、気持ちよくなれるから⋮⋮⋮⋮だから今度も ちゃんと、シエラの目の前でイッて⋮⋮⋮⋮ね?﹂ ぎゅむっ⋮⋮ぐむむっ! 絶妙のタイミングで、シエラが腹肉を押し込むようにしてトドメ のアシスト攻撃を放った。 中と外の両面から過剰快感を注がれ、体の奥底からわき起こるこ 567 れまでにない絶頂の大波がディアーネを直撃し̶̶! なか ﹁ひッンひぃぃっっ!?!? なッ⋮⋮膣内でっ⋮⋮何かがっっは っ、はじけッ⋮⋮んぉぉあぁぁぁぁぁァァァァっっっ!!?﹂ びくびくんっっ⋮⋮びくくんっっ!! ぶるるっっ!! ぶるぶる胴震いしてイキ痙攣にわななく褐色ボディにシンクロし て、サーモンピンクの胎内が初めての膣奥絶頂にむせび泣く。 きゅんきゅんとエロ肉に搾られるがまま、同時にブチ撒けたい衝 動を尻の穴に力を入れてグッとこらえる。 ﹁くッ、ダークエルフまんこがウネるっ⋮⋮すごい締め付けだっ! だが俺はまだ満足しちゃいないぜ、次はお待ちかねのお前だシエ ラ!﹂ ﹁えっ⋮⋮⋮⋮ふぁ、主さっ⋮⋮⋮⋮ふぁぁぁぁっっっ!?﹂ 間髪入れずシエラを、ディアーネに重なって抱きつくようにさせ、 今度はそのとろとろエルフまんこへと、本気汁まみれになったチン ポをハシゴする俺。 途端、姉に負けず劣らずの収縮が肉棒を襲う⋮⋮どうやら挿入さ れただけでイッたらしい。 ﹁うぉっ、いきなりこれか⋮⋮! なんだ、さっきまで姉さんにハ メてたチンポ突っ込まれて興奮したか、スケベだなシエラ!?﹂ ﹁んぉ、んおぉぉ⋮⋮ふはぁぁぁッッ、んひぃぃぃんッッッ!? そっそうなのっ、シエラはエッチな子、なのぉ⋮⋮ッッ!!﹂ ﹁はぁっ、はぁぁ⋮⋮し、シエラが、このようなはしたない声を⋮ ⋮んぁひっ!?﹂ 568 驚きつつも、俺のピストンで派手に動かされる妹の密着巨乳がこ すれ、イッた直後の敏感肌をソープばりに洗われる姉もまたあえぎ 声を止められない。 白黒四つの巨乳同士が押し合いへし合い、尖った乳首がこねくり 合って、エルフ義姉妹は淫らなペアの楽器と化す。 ﹁一緒に育った義妹がこんな声でよがるなんて想像もしなかっただ ろ、ディアーネ? でも心配いらないぜ、すぐにどっちの声か区別 つかなくなるから⋮⋮なっ!﹂ ﹁な、なにをっ⋮⋮んぉぉぉぉおおおぅっっっ!!??﹂ シエラから引き抜いた勢いのまま、再びディアーネのダークエル フマンコへとブチ込む。 まだまだほぐれきらない処女失いたてのぷりぷり肉が、こなれた 妹とはまたひと味違う刺激快感で俺を迎えてくれる。 ﹁血は繋がってなくてもやっぱり姉妹だなっ、あえぎ声のでかさも、 チンポをなかなか離したがらないとこまでよく似てるぞっ! おら おらぁっ!﹂ ﹁んヒッはひぃぃぃっっ!? そっそんな、そうなのですかっ⋮⋮ ひぐっ、んぉぉぉお⋮⋮あっんああっあッッッ!? あ、ぬっ抜け っっ̶̶!?﹂ ﹁̶̶ぁああひぃぃぃっっ、まっまた来たぁぁ!? 主さまのおチ ンポさまでっっ、姉さまと仲良く交代にじゅっぽじゅっぽされてる のぉぉぉっっ!!?﹂ 数回のピストンごとに、上下に重なった二色の花の間を往復する 俺のチンポ。 硬さを残した姉マンコを突き崩すように攻めたかと思えば、一転 優しく包み込むような妹マンコを深いストロークであぶり溶かす。 569 嬌声の姉妹ハーモニーを耳で楽しみながら、ダブルエルフまんこ を好き放題に味比べする、死ぬほど贅沢な至福の時間がそこにあっ た。 ﹁ねっ姉さまっ、ディアーネ姉さまぁぁっ!! ずっと会えなくて 寂しかったっ、体が大変なことになってるのにちゃんと言ってくれ なくて寂しかったぁぁっ!!﹂ ﹁ああっ、シエラっっシエラぁぁっっ!! ごめんなさいねっっ、 でももう大丈夫だからっ!! だからっっ、だから一緒にぃぃぃっ っ!!﹂ いつしか非日常の中、普段と比べ驚くほど饒舌になったシエラに、 ディアーネも涙をこぼしながら応える。 責任感からも立場からも解放され、すべての建前をかなぐり捨て て、俺のチンポで快楽を貪り合うさまをさらけ出しあう。 ふたりの唇が、そっと重なった。 ﹁麗しい姉妹愛だっ⋮⋮仲直り祝いにいいモノをくれてやるぜディ アーネ、女神の教義とやらは子宝歓迎って言ったよな!?﹂ ﹁えっ、そっそれはどういうっ⋮⋮!?﹂ 腰を動かしながら、俺は手にはめた指輪型アーティファクトをカ チリと回す。 ﹁いつもしてる避妊魔法はこれで解除された。この状態で精液を⋮ ⋮それも強壮魔法で強化された特濃のヤツをぶちまけられれば、ど うなるかくらい想像つくよな!?﹂ ﹁なっ!? い、いけません魔隷術師っ、わ⋮⋮私を、はっ孕ませ るおつもりなのですかっ!? いくらなんでもそのようなっ⋮⋮ん ぁぁぁあ!?﹂ 570 ﹁へえ、その割に逃げもせずチンポをキュンキュン締めてくるのは どういうわけだっ!?﹂ 銀髪を振り乱しイヤイヤをするディアーネ、だがそれはもう媚び たおねだりにしか見えない。 射精の前兆と共にぞわぞわと背筋を駆け上るオスの征服欲が、美 エルフ姉妹まとめ喰いピストンをさらに加速させる。 ﹁そ、そんなウソですっ、私が孕まされることを望んでいるなどと そのようなぁぁっ⋮⋮んひゅっ!? ひっはひぃぃっっ、はっ激し いぃぃぃッッ!!?﹂ ﹁これっっこれきたぁぁあっっ!! 主さまのっ、もうすぐイク前 のすごいのがぁぁっっ!! 姉さまに注ぐ精液っ、シエラの中でい っぱいいっぱい作ってぇぇっっっ!!﹂ 今にも爆発寸前、鋼鉄のように反り返りきったフル勃起チンポに ガシガシえぐられながら、再び快感の頂上を駆け上ってゆくエルフ 姉妹。 もはやどっちに突っ込んでいるのかわからないほど、トロけあい もつれ合う肉と肉同士⋮⋮だが、最後にフィニッシュを迎えるべき 場所は宣言どおり決まっている。 ﹁さあ喰らえディアーネ!! 避妊魔法解除して直接子宮に特濃子 種ミルク飲ませてやるからッ、ありがたく受け取ってハーフエルフ 作れっ⋮⋮くううッッッ!!﹂ びゅぐっ⋮⋮んびゅるるるぅぅぅっっ!! どくっ、どぷどぷぅぅ!! ぶぽっ、ごぽぽぉっ⋮⋮ごぴゅくぶ ぴゅくっっ!! 571 ﹁あッああっ⋮⋮で、出てっ⋮⋮奥にっ⋮⋮んッんぉぉおぉぉあぁ ぁぁぁ∼∼∼∼∼ッッッ!?!?﹂ ﹁ひぎっ、ひぃああぁぁぁああっっ⋮⋮ひぁぁぁぁああぁぁぁぁ∼ ∼∼∼∼っっっ!!!﹂ 最後に引き抜く寸前の猛ピストンでシエラを、そして子宮口に密 着させての大量射精の熱でディアーネを、ほぼ同時にイカせながら。 どぷどぷと注ぎ込む長い長い膣内射精の背徳的達成感に、俺は目 の前に火花が散るほどの快感で脳神経をスパークさせ、酔いしれた。 ﹁あぁ、あはぁぁ⋮⋮ど、どうしましょうシエラ、は、ハーフエル フっ、おなかに仕込まれてしまったかもしれないわっ⋮⋮!﹂ ﹁いいなぁ、姉さまうらやましい⋮⋮⋮⋮! シエラも欲しいの、 いつか主さまの赤ちゃんっ⋮⋮⋮⋮!﹂ ほっそりした脚を悩ましげに絡ませ合う、エルフとダークエルフ の美姉妹。 汗に濡れ琥珀のようにテカったディアーネの安産型褐色尻の奥か ら、ぷるぷるの濃い白濁ゼリーがトプトプあふれ、シエラの白いむ っちり太ももに伝い落ちた̶̶。 ※ ※ ※ ︵い⋮⋮いったいいつまでヤってるのよ、あいつったら⋮⋮っ!︶ 一方その頃̶̶広大な露天風呂の反対側、濃い湯気で隔てられた 隅っこの一角。 キリカはのぼせかけた体を丸め、必死に息を殺していた。 572 トオルとパルミューラの情事に偶然出くわしてから、どうにも落 ち着かないモヤモヤを抱えるはめになった彼女。 秘湯 にでもつかって気分転換を⋮⋮というつもりが、 薬師ダークエルフに勧められた︵今や一行は集落を救った英雄扱 いだ︶この まさか後から入って来たトオルたちがあんなことを始めるなんて。 ︵ていうか、なんでまたこんな場面に出くわすの!? しかもさっ きのと同じ日にっ!︶ 姿ははっきり見えなくても、何を、いやナニをやっているかは三 人の声で丸わかりだ。 いくらなんでも盛大に中出ししてフィニッシュかと思いきや、今 度はお掃除ダブルフェラで復活したモノをシエラに挿入しはじめる 始末。 しかも、出口はあちら側だけ。キリカは完全に出て行くチャンス を失っていた。 ︵姉妹と三人で、あんなこと⋮⋮シエラったら声、ぜんぜん我慢し ようともしてない⋮⋮っ︶ 湯あたりでぼぉっとした頭が行為の熱にあてられ、冷静な思考力 が失われていく。 思えば、ここしばらく⋮⋮シェイヨル大森林に入る直前あたりか 契約更新 だけでなく、毎日のように求め ら、キリカはトオルとセックスをしていない。 それまでは週二回の られ、ありとあらゆるイヤらしい行為をさせられ続けてきたのに。 ︵うう⋮⋮ディアーネさんも、あいつにやられちゃったんだわ⋮⋮ 落ち着いた綺麗な人なのに、あんなケダモノみたいに⋮⋮し、しか 573 もあいつの赤ちゃん孕まされたかもしれない、とかっ⋮⋮!︶ 過去、制服プレイの真っ最中に妊娠について言及されたことを思 い出し、キリカの心臓は早鐘のように鳴った。 いつしか、とろみのついた液体が自分の恥ずかしい場所からにじ み出て、お湯に混じっていくことに果たして姫騎士は気付いている かどうか。 トオルが女をよがらせるサディスティックな声を聞くと、条件反 射的に体の芯がじんわり熱くなることにも。 ︵あいつが、あのスケベな小田森くんがぁ⋮⋮! わ、私のカラダ を少しずつ変えちゃったんだ⋮⋮ヘンに、したんだ⋮⋮! わたし、 こんなエッチな子じゃなかったのにぃ⋮⋮!︶ 大キライなはずの行為なのにいつも流され、逆らえず、けっきょ く死ぬほど恥ずかしい姿をさらしてしまう恥辱の記憶。それがまざ まざとよみがえる。 ̶̶感じやすいおっぱいをしつこくまさぐるトオルの手。 ̶̶耳に差し込まれるトオルの舌、クリトリスをつまんでいじめ るトオルの指。 ̶̶そしてカラダの奥まで貫かれ、自分の指なんかでは絶対に届 かない女の子のいちばん大切な場所に注ぎ込まれる、あの熱い液体 ⋮⋮そう何度も、何度も繰り返し⋮⋮! ︵いつ⋮⋮も、みたいにぃっ⋮⋮! っうぁ⋮⋮あっ、んぁ⋮⋮ッ !︶ さっき部屋の外で盗み聞いた時は寸前で踏みとどまれたが、今度 はそうはいかなかった。 574 無自覚なまま、トロけた秘所についに指が触れ、動き始める。 おあずけ あの手この手でねちっこい調教を受け続け、否応なくそれに順応 しつつある若い肢体は⋮⋮処女を奪われてから初めて を食らわされたことで、欲求不満の暴走を始めてしまっていた。 ︵だめ、ダメっ⋮⋮こんなの駄目なのにっ、しちゃいけないのにぃ ⋮⋮っ! 止まら、ないっ⋮⋮よぉ⋮⋮!?︶ 一度外れたタガはもう戻らない。 始めてしまった動きは、もう止まらない。 キリカは、正義の姫騎士にして真面目な元クラス委員は、いま自 分が何をしてしまっているのか必死に考えないようにしながら、何 かに追い立てられるように淫らな指あそびを加速させる。 ︵お⋮⋮小田森くんっ、小田森くんの、ばか⋮⋮ばかぁっ⋮⋮! あ、あなたのせいで、あなたのせいでわたしっこんなっ⋮⋮んぁあ っ!? あっ、ダメ、ほんとにダメに、なるぅぅ⋮⋮っ!?︶ そして、ふたたびクライマックスを迎える三人の嬌声とシンクロ するように、キリカが屈辱のオナニー絶頂を迎えようとした̶̶そ の時。 ※ ※ ※ トレースエンブレム ﹁セレスタの鎧につけた、追跡紋章に反応があっただと!?﹂ ﹁はいっ、これって間違いなくあの人が近くにいるってことです!﹂ 慌ててローブを羽織り風呂場を出た俺に、並んで走るニーナが慌 575 ただしく報告する。 以前逃がした時、女騎士の鎧につけておいた魔法のGPS。それ がいつの間にか、このダークエルフ集落に重なっていたというのだ。 ﹁アレじゃはっきりした位置はわからないからな⋮⋮最悪、もうこ の集落内に入り込まれている可能性もあるな﹂ ﹁すみませんご主人様、わたしがもっと早く気付いていれば⋮⋮﹂ ﹁いや、フラミア戦が終わって気が緩んでいたのは俺も同じだ。ニ ーナの責任じゃない﹂ なおイキすぎて腰が抜けたようになったシエラとディアーネは、 回復を待つわけにもいかず仕方なく一旦置いてきた。 ⋮⋮さすがにヤリすぎたかもしれん。 ﹁な、なにがあったの小田森くん!?﹂ 片方の肩アーマーをカチャカチャつけ直しながら、後ろからキリ カが走って合流してくる。 その髪やら体やらのあちこちが、なぜだかしっとり濡れていた。 ﹁ああ実は⋮⋮って、何やってんの姫野さん、水たまりにでも落ち た?﹂ ﹁え!? あっ、その、えっええ! そう落ちたの、そうッ! 水 たまりにッッ! やんなっちゃうわよねッッッ!!﹂ ﹁き⋮⋮キリカ、さん?﹂ キョドっている。 ニーナもドン引くほど、明らかにキョドっている。 ⋮⋮隷属命令で真実を聞き出すのは、面白いから後の楽しみにと っておこう。 576 ﹁まあいいや、かくかくしかじかで⋮⋮ところでニーナ、他のみん なは?﹂ ﹁それが、この地下集落が広すぎて合流が遅れてるみたいです!﹂ 魔隷の術式を通して呼びかけてはみるが、すぐにとはいかないだ ろうな。 だが、妙だ。ダークエルフたちの警戒網にかかってない所を見る に、軍隊を率いて来たわけでもないはず。 かといってセレスタがいくら手練とはいえ、一度敗北した俺たち の前に少数ないし単独で現れる愚を繰り返すだろうか? 以前とは 違う勝機があるとでも⋮⋮? ﹁っ、あそこか!﹂ 通路を曲がった先、今まさにダークエルフ戦士を二人ばかり剣で 深紅の薔薇 ことセレ 打ち倒したのは、亜麻色のポニーテールをなびかせ、赤と銀の鎧に 身を包んだ女騎士。 間違いない、システィナ姫に忠誠を誓う スタだ。 ﹁なんだ⋮⋮誰かと思えば処女を散らしてやった女騎士か。こんな 所までわざわざやってくるなんて、そこまで俺のチンポが恋しかっ たか?﹂ こんなこともあろうかと持ってきていた仮面を急いでつけつつ言 う。素顔が割れてないというアドバンテージは今後使えるかもしれ ないからな。 ハッと俺の方を振り向いた高貴な女騎士さまの顔が、みるみるゆ でダコのようになった。 577 ﹁なッ、ななっ⋮⋮きっ貴様ぁっ! そ、そんなわけがあるかこの 鬼畜外道めッ! 私は恨み重なる貴様を倒し、姫さまとキリカを取 り戻しに来たのだ!﹂ ﹁ああもう、またそうやって挑発するんだから⋮⋮!﹂ 怒りもあらわに走ってくるセレスタ、慌てて間に入るキリカ。 小人の荷袋 ⋮⋮物品を縮小して収 バッグ・オブ・リリパット と、ニーナがちょいちょいと俺をつつき、女騎士の腰についた大 きめのベルトポーチを指す。 ﹁ご主人様ご主人様、あれは 納するアーティファクトです﹂ ﹁武器とかが中に隠されてるかもしれないってことか?﹂ どんな武器を持ち出したところで、煌剣アルカンシェルに匹敵す るとも思えないが⋮⋮。 とはいえ、相手の手の内がわからないのは、一人で攻めて来た奇 妙な自信と合わせて不気味ではある。 ﹁姫野さん、早いとこ勝負を決めろ。もちろん殺すなよ、目標は無 力化だ﹂ ﹁っ、言われなくても!﹂ 神速のスピードで煌剣を抜き放ち、腹部分で打ち掛かるキリカ。 対するセレスタもさすがランバディア王国のエリート騎士、その 一撃を受け止めすかさず反撃。刀身同士ぶつかり合う鋭い音が周囲 にこだまする。 ﹁ふん、さらに腕を上げたようだな、キリカ!﹂ ﹁くっ⋮⋮おねがい聞いてセレスタ! システィナ姫さまは̶̶﹂ 578 ﹁黙れ! 魔隷術師の淫らな傀儡となった者の戯れ言など、聞く耳 持たん!﹂ ﹁だ、だからそれは誤解でっ̶̶!﹂ ガギィィン! と、力強く打ち合った反動で距離を離す両者。 この機会を逃すキリカではない。 ﹁我が気高き剣に来たれ、破邪の霊光⋮⋮!﹂ ﹁む!?﹂ ブリリアント・バースト 必殺の聖光爆濤破をギリギリかすめるように当て、その余波で無 力化するという以前の決まり手だ。 遠距離攻撃手段のないセレスタは、わかっていてもこれを防げな いはず⋮⋮あるいはその手段が腰の荷袋に隠されているというのな ら、見せてもらおうじゃないか。 小人の荷袋 に手を突っ込む⋮⋮さあ、何 ﹁なめるなよキリカ、同じ敗北を二度も喰う私ではないッ!﹂ 言うや、セレスタは が出てくる!? ﹁出でよ⋮⋮はぁッ!﹂ 意外にも、そこから出て来たのは魔剣でも、魔法弓のたぐいでも なかった。 地味なカーキ色をした、形も大きさもちょうどレモンくらいの小 さな塊。 そしてその道具の上部についた、銀色の金属ピンを引き抜く女騎 士。 579 そう、その光景はまるで俺のいた地球で、映画とか漫画で何度も 見たような̶̶、 って⋮⋮え? ﹁3、2、1⋮⋮受けよ! 聖なる裁きの爆裂ッ!﹂ ﹁なっ̶̶﹂ 耳をつんざく爆発音、荒れ狂う爆風の衝撃! 思わずのけぞり、 尻餅をつく俺とニーナ。 それくらいですんだのは、反射的にキリカがチャージ完了寸前の もの が巻き起こす爆発とぶつ 聖光爆濤波をぶっ放してくれたおかげだ。 魔力の奔流はセレスタが投げた かり、ギリギリで相殺した。 ﹁あ⋮⋮? あ⋮⋮っ?﹂ 呆然と硬直する俺たちの前で、爆風が晴れる。 その向こうには̶̶ドヤ顔。 腰に手をあてフフンと胸を張るセレスタの、満面のドヤ顔がそこ にあった。 ﹁ふっふっふ⋮⋮見たか! これぞ私があの方から授かった聖なる 魔導具! お前たち邪悪を討ち滅ぼす奇跡の武具のひとつだッ!﹂ 俺は叫んだ。反射的に叫んだ。 声をかぎりに、叫ばずにはいられなかった。 ﹁しゅっ⋮⋮手榴弾じゃねーかッッッ!?﹂ 580 ※ ※ ※ ︵※フラミア戦のレベルアップが抜けていたため、以下に記します。 しばらくしたら前の話に移動予定︶ 姫騎士キリカ︵レベルUP!︶ ジョブ:姫騎士LV8↓9 スキル:︻聖騎剣技LV6↓7︼︻魔法抵抗LV2︼??? 特殊装備:煌剣アルカンシェル 女戦士アメリア︵レベルUP!︶ ジョブ:戦士LV8↓9 スキル:︻剣技LV4︼︻盾技LV4↓5︼︻料理LV1︼ ??? 特殊装備:連鎖刃ビュートブレイド メイド法術師ニーナ︵レベルUP!︶ ジョブ:法術師LV7↓8 スキル:︻強化魔法LV3︼︻空間魔法LV3↓4︼︻治療魔法L V1︼ ??? 精霊弓士シエラ︵レベルUP!︶ ジョブ:精霊弓士LV8↓9 スキル:︻弓技LV3↓4︼︻精霊魔法LV2︼︻隠密行動LV3︼ ??? 魔貴族パルミューラ︵トオルの成長により、本来の力を一部取り戻 した︶ ジョブ:魔貴族LV11↓12 スキル:︻魔界魔法LV9↓10︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 581 38話:異界の兵器と、あの言葉 ﹁さあ浴びるがいい魔隷術師トオル! 漆黒の聖杖から放たれし、 清らかなる奔流をッ!﹂ 断続的な着弾音が、俺たちの隠れた通路角の岩壁をガリガリと削 っていく。 テンション高く勝ち誇る女騎士の手で火を噴くのは、確かH&K パーソナル・ディフェンス・ウェポン 社のMP7⋮⋮FPSとかアクション映画によく出てくる、閉所で の銃撃戦に向いた個人防衛火器。 ﹁ちょ、お前仮にも騎士道キャラじゃなかったのかよ! そんなも んぶっ放すことに疑問とか恥じる心はないのか!?﹂ ﹁ふっ、無知なヤツめ。これなるアーティファクトは、我が高潔な 騎士道精神を聖なる破壊の力に変換するとのことだ! そして狙っ た敵の邪心を浄化する⋮⋮らしい!﹂ ﹁いやお前、それ絶対騙されてるぞ!?﹂ どう考えても聖なるじゃない、さっきの手榴弾同様ホーリーの欠 片もない、たぶんアーティファクトですらない。 あとどう見ても浄化とかそういう話じゃなく、物理的に削ってる! ﹁そもそも、なんでセレスタがマシンガンなんか持ってるの!?﹂ ﹁それは違うぞ姫野さん! あれは正確にはPDWって分類の、サ ブマシンガンから派生したカテゴリで⋮⋮﹂ ﹁そ、そんな細かいこと今どうでもいいでしょ!﹂ ミリオタにしばかれそうなセリフを叫びつつ、さすがのキリカも 582 狭い通路を制圧する銃火の前には容易に飛び込めない。 ファンタジーVS現代兵器⋮⋮ある種の定番になって久しいネタ だが、まさかこの世界で、自分の身にそれが降り掛かるとは夢にも 思わなかった。 しかも銃器を使ってるのは元現代人の俺たちじゃなく、まだそん な文明レベルに達してないはずの異世界の女騎士というこの皮肉。 ﹁ニーナ、たとえば異世界から物品を召喚するとか、そういうスキ ルを持ったジョブは一般的なのか?﹂ ﹁いっいえわたしが知ってる限りでは⋮⋮高位の召喚魔法とかでも、 命なき複雑な構造体を出現させることは困難なはずですっ﹂ 具体的に俺が見知った地球の兵器である以上、こっちの世界で偶 然似た形をとった物品というのはまずありえない。 だとしたら、あとは魔隷術師のような失われたレアジョブの力⋮ ⋮? それでもなぜ女騎士のセレスタが̶̶砲火の中でそこまで考えて、 俺はひとつの発想に思い当たる。 ﹁ねえ小田森くん、ひょっとして私やあなたみたいな⋮⋮!﹂ ﹁ああ、俺も同じ考えだ。さっき﹃あの方から授かった﹄とセレス タは言った、その相手が俺たちのクラスメートって可能性はゼロじ ゃない﹂ 管理者 からもらった誰かが、セレスタのバックについている 何らかの手段で現代兵器を持ち込む、ないし造り出すレアジョブ を としたら。 もしそうなら、そいつはどんな勢力に属して、どんな意図を持っ ている? 真相をセレスタから聞き出すにしても、まずはこの窮地を切り抜 583 けなくちゃならない⋮⋮とその時、だしぬけに砲火がぴたり止んだ。 ﹁む、騎士道精神切れか! ならば次はこれで決める!﹂ ﹁いや弾切れだろ! というか切れるのかよ、お前の騎士道精神! おかしいだろ!?﹂ くそ、せっかくのチャンスだったのに俺に思わずツッコませて思 小人の荷袋 から バッグ・オブ・リリパット 考のヒマを与えないつもりか、セレスタ恐るべし。 銃器を惜しげもなく投げ捨てた残念女騎士が 次に引き出したのは、1mほどの長さを持つやや細い筒状の̶̶お い、ウソだろ!? ﹁あ、RPG−7だと!? あんなものまで出てくるのかよ!﹂ 現実でもフィクションでも使われ続ける、多分もっとも有名な対 戦車ロケット兵器のロングセラー。 鎧を着た女騎士の肩という、場違いな位置に構えられたその先端 ⋮⋮丸みを帯びた菱形状に膨らんだ弾頭が、俺たちに狙いを定めて いる! ﹁ろ⋮⋮ロケットランチャー!?﹂ ﹁いや、よく混同されがちだけど正確には炸薬式の擲弾発射筒で⋮ ⋮﹂ ﹁だからそんな場合じゃないでしょぉぉっ!?﹂ ﹁喰らえッッ! 邪悪を貫き爆ぜる、断罪の聖なる矢ッ!!﹂ まずい、ありゃ対戦車兵器というだけあって戦車の装甲をもぶち 抜く威力を誇るはず。 今隠れてる脆い岩壁程度じゃ遮蔽にもならないし、もしここにア メリアがいたとして盾スキル全開強化でも防ぎきれるかどうか⋮⋮! 584 サークル・エアリアル ﹁く、捕まって二人とも! 跳ぶわ、天翔輝円ッ!!﹂ 俺とニーナを抱え、輝く足場をいつもと違って横倒しに発生させ ると、それを蹴り奥の通路めがけて水平跳躍。ナイス判断だ、キリ カ。 ワンテンポ遅れて、曲がり角の壁面に突き刺さった弾頭が、想像 よりは小さな爆煙と想像以上の爆音をあげ炸裂! ﹁ちいっ⋮⋮逃がすかッ、我が騎士道兵器のストックはまだまだあ るぞ!﹂ ﹁だから騎士道兵器ってなんだよっ!? お前、うすうす騎士道じ ゃないことに気付いてるんじゃねーのかっっっ!?﹂ ﹁う、うるさいだまれ! そして死ねッ!!﹂ 逃げる俺たち、次々と現代兵器を繰り出しつつ追うセレスタ。 ダークエルフ地下集落を舞台に、死の追いかけっこが始まった。 ※ ※ ※ 時間は少しさかのぼる。 ここは地下集落居住区の一角、ホテルのスイートルームのように ゆったりした岩室の中。 ﹁むにゃ⋮⋮ぁ、お姉さ⋮⋮ま、だいしゅきぃ⋮⋮⋮⋮ふぁ⋮⋮っ っ!?﹂ 寝乱れた着物から白い肩をのぞかせ、眠りから覚めたフラミアが 585 ベッドから跳ね起きた。 ﹁あら、おはようございます。と言ってももう夜ですけれど﹂ ﹁!!﹂ そう微笑んで扉から入ってきたのは、手に木製トレイを持ったド 狂公女 は反射的に手をかざし、空間圧壊弾を形成しようとす レス姿のシスティナ姫。 るが、 ﹁⋮⋮あ、あれ? このっ、なんで出ないのっ!?﹂ ﹁申し訳ありませんがトオル様の術式が、力を使うことやこの部屋 から出ることをあなたに禁じているはずですわ﹂ ﹁ウソ⋮⋮じゃあ、じゃああたし本当に⋮⋮っ!?﹂ そのことが示すのは、あのパルミューラのように隷属されたとい う事実。 つまり、自分は敗北したのだ。完膚なきまでに。 ﹁負けた⋮⋮あたしが、ほんとに負けちゃった⋮⋮あいつと、パル ミューラに﹂ 初めて味わうショックと屈辱に押し黙り、悔し涙がじんわりと浮 かぶ。 そんなフラミアに、純白ドレスのお姫様はすっと湯気をたてるト レイを差し出した。 ﹁なに、なんのつもり⋮⋮?﹂ ﹁魔族の方々はお食事がなくとも生きていけるそうですが、魔力を 消耗された後はお腹が空くのでしょう? パルちゃんさんもそうで 586 したから﹂ にこにこ顔で差し出される皿の上には、キノコや山菜の浮かぶ温 かそうなスープ、木の実らしきものが練り込まれたパンにラズベリ ージャムを添えたものなどが並んでいる。 急に、何十年ぶりかの激しい空腹感が、フラミアの薄いおなかを ぐうっと襲った。 ﹁て、敵からホドコシは受けないもん﹂ ﹁あら、それは残念ですわね。では、わたくしが食べてしまいます わ﹂ ﹁あっ⋮⋮﹂ ぷいっと顔をそむけるフラミアを横目に、優雅な仕草でスープを 口に運ぶシスティナ姫。 とたん、その気品ある表情が﹁へにょっ﹂と崩れた。 ﹁ん∼! やっぱりアメリアさんのお料理は格別ですわ! 素材の うま味成分さんが舌の上でしゃっきりぽん、って感じですの!﹂ ﹁う⋮⋮よ、よくわかんないけどそんなにおいしい⋮⋮の?﹂ じゅわっと口の中に湧いたツバが、激闘の消耗が、隷属で本来の 魔力を大きく制限されたことによる病み上がりのような倦怠感が。 もともと欲求と好奇心に弱いフラミアの警戒心をもろくも薄れさ せる。 ﹁じゃ、じゃあちょっとだけ⋮⋮って、ち、違うんだからね! 本 当に人間なんかの作ったものが美味しいのか、ジキジキに試してや るだけだから!﹂ ﹁はい、ではあーんしてどうぞ﹂ 587 ﹁あーん﹂ 素直に目を閉じて口を開け⋮⋮ぱくっ、といった直後、丸い瞳が ぱっちり見開かれた。 ﹁!?!? お、おいしっ⋮⋮なにこれ、なにこれ!? も、もっ とたべる!﹂ ﹁うふふ、慌てなくてもお料理は逃げませんわよ﹂ そこからはあっという間。 スープばかりかトレイの上にあるすべての料理を、フラミアは猛 スピードで食べ尽くしてしまった。 ふぅ⋮⋮とひと息をつき、じろりとややバツの悪そうな視線を、 見守る美姫に向ける。 ﹁⋮⋮あんたたち、あたしを早く解放した方がいいよ。それが身の ためってヤツだから﹂ ほっぺたについたスープをぺろっと舐めながら、いくぶんいつも のペースに戻った一段階トーンの低い声。 ﹁イヴリースお姉様が、あたしを助けにくる。きっとすぐに来るよ。 そしたらあのトオルってヤツもパルミューラも、あっというまにぶ っ殺されちゃうんだから﹂ 脅したつもりだったが、システィナ姫はあいかわらずにこにこ顔 を崩さない。 ﹁⋮⋮お姉さんのことが、大好きなのですね﹂ ﹁ふぇっ!?﹂ 588 ﹁うふふ、わたくしもお姉様やお兄様が何人もいますから。よくわ かりますわ﹂ 今となっては、勝手な行動で心配をかける不出来な妹ですが̶̶ と、懐かしそうな、そして少しさびしそうな瞳で語る金髪の第三王 女。 ﹁と、当然じゃん! たったふたりの姉妹なんだよっ、ずっとずっ と昔から! あたしはお姉様が世界一大好きでっ!﹂ ̶̶﹃お姉様も、あたしが大好き﹄ 当然続くはずのその言葉は⋮⋮だがその時、ノド元で引っかかっ た。 フラミア自身、それがなぜなのかわからなかった。 ﹁⋮⋮と、とにかく! 命が惜しかったらあたしをムジョーケンカ イホーしなよねっ! どうなっても知らないよ、お姉様怒ったらめ ちゃくちゃ怖いんだからね!?﹂ ﹁とおっしゃられても困りましたわね、それを決められるのはトオ ル様だけですので﹂ ﹁じゃあさっさと呼んできて! あ⋮⋮そ、その前にっ!﹂ 姫のドレスをたっぷり押し上げる豊かな胸の下から、少し恥ずか しそうなジト目の上目遣い。 ﹁こ、このスープのおかわり⋮⋮持ってきて﹂ ※ ※ ※ 589 息を切らし、迷路のような狭い通路を全力で駆け抜ける俺とキリ カ、ニーナ。 背後から迫る弾着音や爆発音の数々に、生きた心地がしない。 ﹁くそっ、やっぱり場所と武器の相性が悪い!﹂ ﹁ええ、悔しいけど! さっき聖光爆濤破をムダ撃ちしちゃったの も痛いわねっ!﹂ サークル・エアリアル キリカの聖騎剣技は、広い空間を天翔輝円で飛び回っての三次元 的な攻勢をメインとしている。 これは対魔族用スキルという成り立ち上、人間より巨大な目標や 飛行する敵をおもに相手取ることを想定した技術体系だからだ。 直線的な動きしか狙えない今、圧倒的火力で面制圧してくる相手 ⋮⋮それも魔法抵抗が意味をなさない物理攻撃というのは、この狭 い地下では最悪の相手。 もちろん、セレスタを殺しても構わないならまた違うだろう。だ が、もちろんキリカも俺もそれは望まない。 ﹁ええい、ちょこまかと! あきらめて騎士らしく正面から勝負し ろっ、キリカ!﹂ ﹁いやその、さすがに騎士らしさのカケラもない今の貴女に言われ たくないと思いますよぉ∼!?﹂ ﹁な、なんだとメイド! そこに直れ、まとめて成敗してくれる!﹂ チェーンソーで金属を切るような、アサルトライフルか何かの着 弾音がギャリギャリ鳴る。 ありがたくないことに、ポニテ女騎士が次々取り出す銃火器の数 々は尽きてくれる様子もない。 590 曲がりくねった通路構造のため、逃げ続けている限りは狙い撃た れないのが救いだが、行き止まりに入ってしまおうものなら一巻の 終わりだ。 ﹁はぁっ、はぁはぁっ⋮⋮わ、わたしが走れなくなったら、どうぞ 置いてってくださいっ⋮⋮!﹂ ﹁そんなことできるわけないでしょニーナ! 何か方法はないの、 小田森くん!?﹂ ﹁と言われても、まず向こうにある地の利をなんとかしなきゃ⋮⋮ ん? 待てよ⋮⋮そうか、あそこなら!﹂ ※ ※ ※ ﹁む!? なんだここは⋮⋮?﹂ トオルたちを追うセレスタは、だしぬけに広く開けた空間に出た。 そこは高い木の壁でぐるりと囲まれ、淡い月明かりが照らす、1 0mほどの円形のスペース。 薄暗さとたちこめる湯気のせいで、正確な地形が把握できない。 ﹁まさかあの塀を飛び越えて⋮⋮いや、キリカの跳躍力でも二人抱 えては不可能なはず﹂ 跳躍しての三次元奇襲を警戒し、素早く高所を見回すが、目に映 るものはなにもない。 そして他に出入り口は見当たらない、ということはにっくき魔隷 術師をついに追いつめたのだ。 591 小人の荷袋 ﹁ならば⋮⋮いぶり出す!﹂ 即断し、腰の を取り出す。 ガトリングガン からこれまでになく巨大な 武器 というイメージを体現したかのような重火 黒光りする鉄棒を束ねた6本の銃身とドラム状の弾倉を持つ、ま さに 器。 M134機関銃、通称ミニガン。 有名アクション映画でマッチョ俳優が使ったことで知られるそれ 小人の荷袋 を使 でクリアし、異界の女騎士の人並 は、本来なら重さといい反動といい個人携行使用できるレベルの火 器ではない。 だが持ち運びは 聖嵐炎の六連槍 み外れた身体能力が生身での射撃を可能にする。 ﹁どこに隠れているか知らんが、私にこの わせる前に降参した方が身のためだぞ! これは我が高潔なる精神 を聖なる⋮⋮聖なる⋮⋮と、とにかく聖なるなんかに変えて放つの だ!﹂ 警告になんの反応もないのを確認後、回転を始めた銃身が火を噴 いた。 無慈悲なモーター音と共に、毎分数千発に達する大量の弾丸が入 り口付近から水平にバラまかれる。 左から右へと、扇状の掃射が逃げ場なく周囲を襲いつくし、ほぼ ひとつながりの弾痕が刻まれた木壁がメキメキとバランスを崩し崩 壊していく。 ﹁ふははははっ、どうだこの聖なる嵐の洗礼はッ! 堕落した聖騎 剣技や邪術のたぐいで対抗できるというならしてみるがいいッ!!﹂ 592 亜麻色のポニーテールを反動でなびかせ、ひとしきり圧倒的な力 を振るうことに酔いしれた後。 キュラキュラキュラ⋮⋮と、女騎士が提げ持つ連装銃身がゆっく り動きを止めていく。 弾薬のことごとくを撃ち尽くしたのだ。 ﹁はっ⋮⋮いかん、いささかやりすぎたか。ま⋮⋮まさかキリカの やつ、あっさり正面から当たって死んでしまったのではないだろう な?﹂ いまさらのように我に返り、ひとすじの冷や汗を浮かべる残念ポ ニテ騎士。 だがそこに、だしぬけに響いてきた声は̶̶。 ﹁くくくっ⋮⋮どうしたセレスタ、お前が授かった力とやらはその 程度か?﹂ ﹁な⋮⋮!?﹂ 湯気の向こう、さっきミニガンで掃射した空間のド真ん中。 そこに不敵なにやにや笑いを浮かべたトオルが、ひとり立ってい た。 いかなる妖術か、その髪は不気味にゆらゆらと逆立っている。 ﹁ま、魔隷術師トオル! 貴様、どうやってさっきの攻撃をしのい ̶̶﹂ 慌てて荷袋からアサルトライフルを抜き放ち、にっくき仇敵に狙 いを定めるセレスタだったが。 593 ︵待てよ、おかしい⋮⋮いくらなんでも傷ひとつないはずがない、 それになぜ無防備に一人出てくる!?︶ 音 が聞こえはじめる。 違和感が、じっとりイヤな汗になって背中を濡らす。もし自分が、 すでに罠の中にいるとしたら? 直後、セレスタの耳に奇妙な 空気を切り裂き、だんだんどこかから近付いてくるような鋭い風 切り音が⋮⋮! ﹁まさかっ⋮⋮上か!?﹂ バッと見上げた女騎士の瞳が、驚愕に見開かれた。 ふたつの月が浮かぶ空を一直線に、流星のように自分めがけ落下 してくるひとすじの影。 それは紛れもなく、黒髪とミニスカートをはためかせ煌剣を抱え 持った姫騎士キリカ! サークル・エアリアル ︵バカな、さっき上を見た時は⋮⋮そうか、天翔輝円を何度も重ね て遥か上空まで飛んでいたのか!?︶ 慌てて銃身を天に向けるが、狙いが定まらない。 タタタンッ! と放たれた火線は姫騎士にかすりもせず、むなし く夜空に吸い込まれていく。 無理もない̶̶人体も、銃器や爆発物も、斜め上ならともかくぴ ったり真上に狙いをつけるようにはできていない。 ﹁ま、まずい! 落下地点から逃れなくてはっ⋮⋮!? う、うあ ぁっ!?﹂ がくんっと、前に踏み出した足がそこにあるはずの床をすり抜け、 594 バランスを崩したセレスタは前のめりに倒れ込んだ。 水音と共に全身を濡らす、あたたかなお湯。 そして絶望的な表情で見上げた先にあったのは、新たな光の足場 ブライトネス・エアフォール を蹴り、落下軌道の修正を完了したキリカの姿。 ﹁し、しまっ⋮⋮!?﹂ ﹁̶̶はぁぁぁぁぁっっっ!! 聖騎剣技ッ、天墜輝閃突ッッ!!﹂ ※ ※ ※ 小人の荷袋 は勝手に漁られないよう、頭の中でコマン ﹁ふむふむ⋮⋮俺が中を探っても何も出てこないんだな、これ﹂ ﹁ふつう ドワードを唱えないと起動しない構造になってますからねぇ﹂ 小人の荷袋 を調べるのを一旦やめ、露天風呂の床 ﹁なるほどね、じゃあそれも聞き出さないとな﹂ 取り上げた に転がされ涙目でにらんでくるセレスタを見下ろす。 ﹁さてと。ずいぶん手こずらせてくれたなぁ、セレスタ﹂ ﹁くっ⋮⋮おっおのれぇ⋮⋮っ! ま、またしても敗れるとはぁ⋮ ⋮!﹂ その手首と足首は、前回同様ニーナの魔法で硬度を強化したロー プによって縛られている。 サークル・エアリアル 先の聖騎剣技は本来、落下の勢いで敵を貫く技だが⋮⋮キリカは 直前で伸ばした足先に天翔輝円を発生させ、反動を殺すと共に衝撃 で彼女を気絶させたのだ。 595 ﹁くくっ、なんとも懐かしい光景だな女騎士サマ。結局こうなった というわけだ﹂ ﹁小田森くん、また悪役口調が出てるわよ⋮⋮﹂ ﹁それにしても作戦がうまくいってよかったですねご主人様っ。服 はびちょびちょになっちゃいましたけど⋮⋮﹂ 俺を﹁水面に立っている﹂ように誤認させたカラクリは、キリカ との初戦でも活躍した位置誤認魔法、ミラーイメージを﹁縦方向に﹂ 投影した結果。 実際はニーナとふたり、湯を地下から供給するため一段階深くな っている温泉中央の底に身を沈めてやりすごしていた。 水中からの呼吸と会話を可能にしたのは、ウォータースピークバ ブルという潜った者と水上を不可視のパイプでつなぐ水中活動補助 用魔法によるものだ。 結果、セレスタに床の位置を誤認させつつ、あらかじめ上空に飛 んだキリカに奇襲させるという俺の策は見事に功を奏した。 ﹁ああ、二人ともよくやってくれた。というわけで、ふふふ⋮⋮こ れからはお楽しみの尋問タ∼イム、だ﹂ ﹁や、やっぱりそうなるのね⋮⋮﹂ キリカのため息を尻目に、わきわきと指を動かしながらセレスタ に迫る。 自分から俺に同行したシスティナ姫の決意を説明しても、どうせ 信じてはもらえないだろうしな。 エッチによる隷属を通して、現代兵器の出所から黒幕の名前まで、 きっちり吐いてもらうとしよう。 ﹁く⋮⋮だがな外道術師、このセレスタを舐めるなよ! 今度こそ 貴様に情報の一片たりとも吐くものか!﹂ 596 自分に伸びるいやらしい手つきを見て今からナニをされるかを察 し、かぁっと凛々しい美貌を朱に染めながら、セレスタは言った。 キリッと俺をにらみつけ、笑えるまでに予想通りのあのセリフを。 ﹁そうとも、私はおぞましい快楽になんか⋮⋮絶対に負けないッ!﹂ 597 38話:異界の兵器と、あの言葉︵後書き︶ ︻スキル解説︼︵基本A∼Eの5段階評価。どの項目もAに近いほ ブライトネス・エアフォール ど優秀︶ ︽天墜輝閃突︾:聖騎剣技LV6スキル 破壊力:A 命中精度:B 使用前隙:C 使用後隙:B 燃費: B 射程:至近 高空から落下しつつ位置エネルギーを利用して眼下の敵を貫く、 対地強襲剣技。 おもに巨大目標の死角である頭上から首筋などの急所を奇襲する 用途で使われるが、 サークル・エアリアル 敵拠点中枢への強襲降下や、飛行する目標への対抗手段としても 応用できる。 上昇と姿勢制御には天翔輝円の使用を前提にしているため、 同スキルによほど熟練していなければ落着時の衝撃を相殺できず 自滅する危険も高い。 聖騎剣技が掲げる﹁人の身で多種多様な魔族に対抗する﹂思想を 体現する技のひとつ。 598 39話:とろける体と、揺れる世界 ﹁ひぃぃあっっ、んぅぅうぁぁぁああっっ!? いい¨っイクいく またイクぅぅぅぅっっ!!﹂ ぷしゃぁぁぁっ⋮⋮と丸いお尻からはじける潮吹きが、ダークエ ルフ露天風呂の床をはしたなく濡らす。 両手足を緊縛され鎧を剥がされた女騎士は、下半身を上に突き出 す形でうつぶせに転がされ、さっきから俺の中指と薬指で敏感マン コの内壁をぐちゅぐちゅにかき回され続けていた。 ﹁なぁにが﹃絶対に負けない!︵キリッ︶﹄だ、案の定瞬殺じゃな いか。ちょっと指マンでほじくり回されただけで何度イクつもりだ、 セレスタぁ?﹂ ﹁こッ、こんなぁぁ⋮⋮こんにゃ、はずではぁぁ⋮⋮あうう¨ぁ! ?﹂ ぬるんッと引き抜いたショックで、またひとつびくんびくんとイ きカウントを重ねる。 俺の指は大量の白濁した愛液にまみれ、隠しようのない絶頂回数 を物語っている。 ﹁すっかり感度良くなっちゃってまぁ⋮⋮お前、最初に処女奪った あの時からどうせ自分でオナニーしまくってただろ﹂ ﹁んな!? ななっ、なぜわかッ⋮⋮ひゃぐんっっ!? そ、そこ はぁぁッッ!?﹂ ﹁わからないわけないだろ、クリトリスもすっかり剥きやすくなっ ちまって隠せると思ったか﹂ 599 ﹁やぁッ止めっ、ひゃめぇっ⋮⋮すっするなぁぁッ、ソコぐにぐに すりゅなぁぁぁっっ!!?﹂ ちなみにニーナには先に、状況を知らせるべく皆の所に向かって もらった。 セレスタの仲間が別方面から侵入してる可能性を警戒して、ダー クエルフたちにも注意を呼びかける必要があるからな。 あいつ﹃わたしも女騎士さんをイジめてみたいのに残念です!﹄ とかぶつくさ言ってたが、聞かなかったことにする。 そして一方、キリカはといえば。 ﹁うう⋮⋮な、なんで私がこんなトコを見てなくちゃいけないのよ ぉ⋮⋮!﹂ ﹁念のための護衛だよ、万一拘束が解けたり、俺ひとりで別の敵に 襲われちゃ困るだろ?﹂ ﹁だ、だからって視線くらいそらさせてくれてもいいじゃない!﹂ ﹁あれ。てっきり興味があって自主的に見てるものとばかり﹂ ﹁じっ、自分で隷属命令出しといて何言ってるのよ変態ぃ!﹂ 少し離れた場所に立たされ、下唇をきゅっと噛んでチラチラ恨め しそうににらんでくる姫騎士。 セレスタへのエロ調教は、もうひとつ重要な意味を持っている。 そう、キリカにこうやって見せつけることだ。 ﹁うあぁぁっ⋮⋮みっ見ないでくれキリカぁっ、私にこれ以上騎士 としての恥をぉッ⋮⋮ひっひぎっ!? まっまた指が早くぅぅぅっ っ!? あぁあひッ、んひぎぃぃぃぃっっ!!﹂ ﹁わ、私だって見たくて見てるわけじゃ⋮⋮っ! う、あ⋮⋮っ、 す⋮⋮すご、い声⋮⋮っ﹂ 600 思い返せばエルフ姉妹とこの場所で3Pを繰り広げた後、合流し たキリカの濡れた髪からは同じ温泉の香りがわずかに漂っていた。 その前にパルミューラとしていた部屋の外、かすかに聞こえた走 り去る足音もひょっとしたら。 今も赤面しつつ、行為の様子をいつもより積極的に気にしている キリカの様子を見ると、だいたいの想像はつく⋮⋮ここ最近、結果 的にお預けをくらわせていた形だからな。 ﹁み、耳ふさぐとかも命令でさせてくれないしっ⋮⋮は、はやく終 わって⋮⋮!﹂ ならちょうどいい̶̶焦らしてやる。 このチャンスに思いっきり焦らしてやるぜ、キリカ。 欲求不満の炎でじわりじわりとあぶられ続けたお前のカラダが、 少しずつトロットロにふやけてマジメな顔が物欲しそうにくずれる 時、折れない心がポキッといく瞬間が楽しみだ。 ﹁ぅっうあぁあ!? 待てっ、こ⋮⋮このままじゃ出っ⋮⋮でりゅ っ、ああぁあっうああッッッ!?﹂ ﹁おっと。おやおや、これはこれは﹂ ぷしゃっと、愛液ではないものがセレスタの秘部からほとばしっ た。 深紅の みるみるそれは温かい流れとなって、引き締まった内股を、半屋 外浴場の床を濡らしていく。 のセレスタが幼児みたいにおもらしとは!﹂ ﹁ははっ、こりゃ傑作だな。ランバディアの女騎士筆頭、 薔薇 ﹁やっやだぁぁぁ!? とまっ、止まれぇぇっ! お願い止まって 601 ぇぇ!! みっ見るな見るな見るなぁぁっっ、うぁぁぁあっっ⋮⋮ !﹂ ﹁う、うそ⋮⋮﹂ ある意味過去最大の恥を俺たち二人にさらすのを止められないセ レスタ、呆然とその光景に見入るキリカ、そして思いがけない痴態 ショーに仮面の下でほくそ笑む俺。 だが⋮⋮そこで予想外の事態が発生した。 ﹁っ⋮⋮えぐっ⋮⋮ひぐっ、あうぅ、うぁ⋮⋮!﹂ ﹁ん?﹂ ﹁もう⋮⋮もぉ、やぁだぁ⋮⋮っ! あんな手まで使ったのにぃっ、 やっぱり勝てなくて負けてぇ⋮⋮こうやって恥ずかしめられて、キ リカに見られてぇ⋮⋮も、もう死にたいよぉぉ⋮⋮!﹂ 盛大に放尿を終えたセレスタが、ポニーテールをふるわせてボロ ボロ泣いていた。 マジのガチ泣きだった。 ていうか、騎士道にもとる手段って自覚はあったのか。 ﹁せ、セレスタ⋮⋮?﹂ ﹁ほっといてくれぇキリカぁ⋮⋮私はどうせっ、戦いでも姫さまの ことでもお前に一生勝てないしっ、こいつのいいようにされてっ⋮ ⋮生き恥をさらすばっかりなんだぁっ、ふぇぇぇっっ!!﹂ さすがのキリカも気の毒そうだが、かといってかけられる言葉も ない様子。 長年溜め込んだ色んなものが一気に噴き出してしまったセレスタ は、伝い落ちる涙をぬぐおうともせず子供のように泣きじゃくるば かり。 602 ﹁お、お父様の期待に応えるために、ぐすっ⋮⋮頑張ってがんばっ て騎士になってっ、でも姫様を助けることもできなくてっ、こんな ブザマをさらしただけだなんてぇぇ⋮⋮!﹂ ﹁えっとセレスタ、ちょっと落ち着いて⋮⋮﹂ ﹁わ、私は結局ヘンな武器とか投げて笑いをとるだけの弱い弱いダ メダメなザコ女騎士なんだぁっ、死んだ方がマシなんだぁぁっ! う、うえぇぇぇんっっっ!!﹂ うーむ、ここまでくるとさすがに少しかわいそうになる⋮⋮第一、 これじゃキリカに見せつけるという方の目的も達せない。 俺はコマンドワードを唱え、セレスタの手足を縛っていたロープ をほどいた。 ここまでの行為を通してほぼ完成しつつある隷属術式は、命令し ようと思えばできる段階になっているが、あえてまだ動きを制限し ない。まあ今のセレスタ、ほとんど腰が抜けてるしな。 ﹁ふ、ふぇっ⋮⋮? な、なにを⋮⋮﹂ 手桶に汲んだ湯で汚れた場所をきれいに洗い流し、女騎士の上体 を抱き起こす。 そして俺は、驚きとまどう彼女をぎゅっと抱きしめた。 ﹁っっ!? んな、魔隷術師おまえっ、なっなんのマネだ!?﹂ ﹁いや、なんとなくだ。あと、お前の自己評価が低いことが少し気 になってな﹂ ﹁な、なんだと⋮⋮?﹂ ぽんぽんと、亜麻色ポニテが生えた頭をそれこそ子供をあやすよ うに撫でる。 603 予想外の俺の行動に、セレスタは目を白黒させて動けずにいた。 ﹁さっきの戦い、お前は地の利と数々の武器を駆使して俺やキリカ をギリギリの危ないところまで追いつめた。上位魔族すら複数打ち 破ってきた俺たちを、たったひとりで苦戦させたんだ﹂ ﹁そ、それがどういう⋮⋮っ﹂ ﹁わからないか? お前が自分を卑下する必要はないってことだ。 セレスタ、お前は確かにこの魔隷術師トオルに、そして姫騎士キリ カにふさわしい強敵だった。なあ、姫野さん?﹂ ﹁え? ⋮⋮ええ、確かに、この場の地形を利用した奇襲が成功し なければ負けてたのはこっちだったと思うわ﹂ ﹁う⋮⋮で、でも結局負けたじゃない、かぁ⋮⋮!﹂ 一度は驚きで止まった涙が、またじんわりと切れ長の目に浮かん でくる。 まったく、だんだんむずがる子供をあやしてるような気分になっ てきたぞ。 ﹁勝敗は兵家の常だ。それとも一度や二度の敗北で折れちまうのが、 お前の騎士道なのか?﹂ ﹁そっ、それは!﹂ ﹁違うだろ? 現にお前は最初の敗北のあと俺からみごと逃げおお せて、その悔しさを原動力に新たな力を得て⋮⋮そんで敵でいっぱ いのここに単独で飛び込んできたくらいガッツのある女なんだ。そ んなヤツ、俺は他に知らないな﹂ ﹁まあ確かに、私なんかセレスタと違って出会い頭で隷属されたっ きりだものね⋮⋮﹂ 空気を読んでか、自虐的にフォローするキリカ。 冷静に考えると無理のある論理だが、噓も方便。パニクった相手 604 には勢いと断言が重要だ。 ﹁ま、いじめすぎて悪かったなセレスタ。だから今度はこうやって ⋮⋮﹂ ﹁ひゃう!? な、なにをッ﹂ ﹁優しく抱いてやる﹂ ﹁﹁⋮⋮っっ﹂﹂ 背後のキリカと、俺にそっと組み伏せられたセレスタが同時に息 を呑む音。 間髪入れず、キリカのとよく似たブラウス状のアンダーウェアに 包まれた慎ましやかなサイズの乳を、すくいとるように愛撫する。 ﹁待っ⋮⋮ふぁあ!? や、優しいとか優しくないとかじゃなくっ、 きっ貴様なんかに抱かれたくなんかっ!﹂ ﹁お前のカラダはそうは言ってないみたいだぞ。ここも⋮⋮ほら、 さっきより濡れてる﹂ ﹁ひゃぁぁ、ああっ、きゅっ急にそんなぁ⋮⋮あっあっっ!? さ、 さっきまでと全然触り方がっ⋮⋮こっこれ、ちっちがうぅ!?﹂ 指先で触れるか触れないか程度に、ほどよく引き締まった女騎士 の体の各種をフェザータッチ。 わかりやすい反応を返す性感帯の数々に、初めて経験するだろう 壊れ物を扱うような丁寧きわまる快感刺激を塗り込んでいく。 ﹁力を抜くんだ、セレスタ﹂ ﹁ふぇ⋮⋮んっ、んむぅ⋮⋮っ!?﹂ 無防備に脱力して半開きになった唇に、俺のそれを重ねる。 綺麗な歯並びが見せかけたほんの少しの抵抗は、だが強引に押し 605 入れるのではなく舌でそれをなぞるだけにとどめたことで、逆に行 き場を失ってしまったようだ。 急過ぎる感情の上下とさっきとは別種の未体験刺激に、セレスタ の心身は翻弄されるがまま俺と恋人同士のようなキスを交わしてし まう。 ﹁んちゅ⋮⋮はぷ、っぷあ⋮⋮! なに、何なんだこれぇ⋮⋮!?﹂ ぽぉっと熱に浮かされ、しおらしくトロけた女騎士の唇と、俺と の間でうっすら光る銀線のアーチがゆっくり糸をひいて切れた。 そのまま間髪入れず、太ももをさわさわと撫でさすりながら少し ずつ割り開いて、さっきからいきり立ったチンポを下腹部に密着さ せる。 ﹁ほら、わかるか⋮⋮? 俺のこれ、熱くなってるのが当たってる だろ﹂ ﹁うあ⋮⋮あ、熱いぃ、これってあの⋮⋮っ!?﹂ ﹁こうなったのもお前の綺麗な体や、その可愛い反応のせいだ。あ れからお前と、またこうしてセックスがしたくてこうなってるんだ ぞ﹂ ﹁な、なな!? き、綺麗とか可愛いとかっ、そっそんなウソを言 われてもっ⋮⋮﹂ ﹁ウソなもんか、正直な感想だ。もっと言ってやるぞ、お前は強い し、綺麗で可愛い女騎士だ。もっと自分に自信を持て、な?﹂ ﹁あ⋮⋮ああぁ、や、やめて⋮⋮み、耳元でそんなこと言わないで くれぇぇ⋮⋮!﹂ 一言一言、俺にささやかれるたびにセレスタの心と体のガードが 目に見えて下がっていく。 驚きのチョロさに内心苦笑しつつ、確かに今の彼女が発散するギ 606 ャップに満ちた可愛さは正直、お世辞でなく凶悪な破壊力があった。 これまでになく反応しているチンポが何よりの証拠だ。 ﹁お前の可愛さに、ガマンできそうにない。いくぞ⋮⋮いいな?﹂ ﹁え⋮⋮っ?﹂ 何を言われているのかわからない様子で固まったセレスタの、目 尻に残った涙をそっと、指先でぬぐってから。 さっきいじり倒してからというものずっと熱をもったままの女騎 士マンコに、腰を押し進める。 ﹁うぁっ⋮⋮うあぁぁあ、はっ、入ってくるッ⋮⋮これっ、これあ の時のぉぉぉっっ!?﹂ あくまでゆっくりと優しく、丁寧に丁寧に奥へと続く柔らかい肉 を開きほぐしていく。 すっかり尖ったピンクの乳首や、産毛をふるわせる首筋、真っ赤 になった耳たぶなど、弱点の数々をひとつずつ愛撫することで許可 を得るように、時間をかけてセレスタの最奥部まで到達。 ﹁ほら⋮⋮ぜんぶ入ったぞ、痛くないかセレスタ?﹂ ﹁い、痛くないっ⋮⋮ふぁっ、ひゃあぁぁ⋮⋮こっ声、こえ、が、 なか 押さえられなっ⋮⋮あひっっ、ひゃうぅぅん!?﹂ ﹁っく、それは俺も同じだ、久しぶりのお前の膣内が気持ちよくて な⋮⋮っ!﹂ ﹁き、きもちいいっ⋮⋮のかぁっ? わ、私の体がっ⋮⋮?﹂ ﹁ああ、最高だ﹂ 安心させるように、汗ばんだ背中や二の腕をさすりながらうなず いてみせる。 607 とたん、びくびくんッ⋮⋮と、俺との初回しか男を経験しておら ずまだ硬さを残した内壁が、嬉しそうにわなないてギュギュッとチ ンポを甘噛みしてきた。 ﹁セレスタ、またキスするぞ。いいな﹂ ﹁ふぁ!? そ、そんな許可したおぼえはぁっ⋮⋮んぷぅ!? ん ん∼∼っ⋮⋮んぷぁぁあ⋮⋮!﹂ 抵抗するだけの力をもはや入れられない唇をついばみついばみ、 斜め上から貫いたほぐれかけのおマンコを丁寧に耕すように腰をグ ラインド。 くちゅくちゅと舌同士を絡ませあえば、じゅわわっと呼応して湧 き出るたくさんの愛液が俺のモノにまとわりつき、セレスタ自身の メス肉になじませようと歓迎しているかのようだ。 ﹁可愛いぞ、セレスタ。今のお前は今までで一番かわいい﹂ ﹁だっ! ッだからぁっ、かわいひっ、とか言うっ⋮⋮んぅああぁ ぁあ!? なに、これっ、なにこれっ⋮⋮お、おなかの奥からっ、 あついのが広がっ⋮⋮こ、怖いぃぃ!!?﹂ ﹁大丈夫だ、その熱に身を任せろっ⋮⋮そうしたらもっと気持ちよ くなれる、俺がその天国に連れてってやるから⋮⋮なっ!﹂ ﹁ひゃひぃっっ、んあぁぁぁッッこれっこれぇぇぇっっ!? くる っ、来るくるすごいのがっ、ひとりでする時とはぜんぜん違うのが 来るぅぅぅぅっっ!!﹂ ぐにゅぐぐっっ⋮⋮ぐぐんっ、びびくんッッッ!! びくびくぅ ぅぅッッッ!! ﹁ああっっひゃうあぁぁぁあ⋮⋮あ、あ、あっっ⋮⋮んぅぅあぁぁ ぁぁあ∼∼∼∼∼∼∼ッッッ!?!?﹂ 608 優しい優しいセックスが生み出すこれまでにない多幸感にあふれ た絶頂が、セレスタの心と体を遥かなる雲の上、ふわふわの頂上へ と浮かせ飛ばした。 全身を貫く快楽絶頂を示すように女騎士のポニーテールが大きく うねり舞い、一瞬時が止まったように反った肢体ごと静止して⋮⋮ そして力なく床に降る。 ﹁あ、あぁあぁぁ⋮⋮こっんにゃ、こんにゃ、のぉぉ⋮⋮これが、 これがせっくしゅっ⋮⋮し、知らなかっ、たぁぁ⋮⋮!﹂ でれでれにトロけきって愛おしそうにチンポを甘締めする膣肉の 敗北 を迎えた彼女に、そっとキスをし 痙攣、その余韻をたっぷりと感じながら。 もう一度、俺は新たな た。 ※ ※ ※ 幸せそうな顔で眠るセレスタを起こさないよう、ゆっくりとチン ポを抜き去る。 振り返ると、思ったとおり̶̶かすかに荒い呼吸をしつつ、どう していいかわからないといった様子でたたずむキリカの姿があった。 俺とセレスタの、優しくとろけるようなセックスをたっぷり見せ つけられ、言葉すら失い⋮⋮そしてかすかに瞳をうるませて。 ﹁ねえ、姫野さん。俺はまだイッてないんだけど、失神しちゃった セレスタ相手に動き続けるのもかわいそうだ。かといって、見ての とおりこのままじゃおさまりがつきそうにない﹂ 609 ﹁だ⋮⋮だから?﹂ ビンッ⋮⋮びくんッ⋮⋮と、愛液にまみれイヤらしくテカった肉 棒をこれ見よがしに脈打たせる。 キリカが視線をそこから外せずにいるのが、顔をはっきり見なく てもわかる。 ﹁いやね、姫野さんさえ﹃良ければ﹄だけど。俺のこいつを﹃処理﹄ してくれないかと思ってね﹂ ﹁えっ⋮⋮しょ、処理⋮⋮﹂ あくまで愉しむためのセックスではなく、性処理という名目の逃 げ道を用意してやる。 これなら同意する抵抗も少ないはずだ、そうだろう? ﹁ねぇ⋮⋮いいかな﹂ ﹁⋮⋮っ、ぁ⋮⋮!﹂ 隙だらけの彼女に近寄り、耳朶にかかった黒髪を優しくかきあげ て、ささやく。 ドッドッドッと早鐘を鳴らす心臓の音が、触れなくても聞こえて くる。子宮から膣口までをじっとり濡らす、発情したメスのにおい すら今にも漂ってくるかのようだ。 ﹁⋮⋮い⋮⋮﹂ 言え。﹃いい﹄と言ってしまえ、言って楽になれ。 事実上﹃俺とセックスしたい﹄と口にしろ、それこそお前が俺に 屈服する第一歩だ。 あの真面目なクラス委員、高嶺の花の姫野桐華が、俺なんかのチ 610 ンポに欲情してみずから性欲に身を任せたという心の敗北の証なの だ。 さあ堕ちろ、俺に性の欲望を、女の顔を見せろ! 優等生ぶったこれまでの人生の階段を今こそ、踏み外せキリカ̶ ̶! ﹁⋮⋮っ、̶̶̶̶ッッッ!?﹂ 突如としてその言葉をさえぎったのは、ずずんっ⋮⋮と響いた鈍 い振動。 ハッと、キリカの瞳からふだんとは違う情欲色のヴェールが嘘の ように消えていく⋮⋮いや、それを残念がってる場合じゃない。 ﹁なんだこれはっ、地下からか!?﹂ 地震⋮⋮いや違う、背筋を駆け上るもっと別の嫌な予感。 いったい何が起きた̶̶!? ※ ※ ※ ︽̶̶応えよ︾ ︵⋮⋮何、ダ?︶ ︽応えよ、アールマV7︾ ︵ナナノ事ヲ⋮⋮呼ンデイルノカ?︶ 611 ︽■因■の■■が感■■れた。■体の覚醒は■■■。■命に従い、 役目を果■せ︾ ︵命令ナラ聞ケナイ。今ノナナハ、ゴ主人ノモノダ。ソシテ皆ノ仲 間ダ︶ ︽繰■返す、役目■■たせ。時が■い。アー■マ・ヴァ■■ュ■■ ̶̶︾ ︵!? 待テ、ソレハ⋮⋮!︶ ※ ※ ※ モノアイ状の単眼にゆっくりと赤い光が灯る。 用意された部屋の壁際で、直立不動のまま休眠していたアーマー ゴーレムの巨体が目覚めた。 本来眠る必要はないナナだが、先の戦いのような多大な消耗をし た後は例外的にこうしないと機能効率が悪くなる。 ﹁今ノハ⋮⋮マサカ、アレガ夢トイウ物ナノダロウカ﹂ ニーナやトオルたちの言っていた、人間たちが見るというあの、 夢。 それらしきものを休眠中に経験するなんて初めてだった。 夢の記憶はもうはっきりしないが、何か気になることをその中で 言われたような⋮⋮。 612 ﹁ウ⋮⋮ッ!?﹂ 異形の水晶塊、 痛み ドクンとうずく。 人間なら 破天の骸 の欠片に覆われた右腕が、内側から と形容する感覚。これもまた魔法生物にとって は、今までになかった経験。 と⋮⋮何かを感知したようにナナのカメラアイが、スリットに沿 って横に動いた。 ﹁ム、振動⋮⋮? 何処カラダ⋮⋮?﹂ ※ ※ ※ ﹁あっ、スープきた? きた?﹂ 背中のコウモリ羽根をぱたぱたさせて、フラミアは再び開いた扉 を振り返った。 だが無邪気な笑顔が次の瞬間、不快げにこわばる。 ﹁クルス⋮⋮!﹂ ﹁はい、どうも妹君。ご機嫌うるわしゅう﹂ そこにいたのはシスティナ姫ではなく、慇懃無礼に一礼する銀仮 面に白装束の人物。 フラミアが忌み嫌う、新参者の謎めいた食客だった。 ﹁なぁんだ、あーあ最悪⋮⋮お姉様じゃなくて、あんたなんかが来 613 るなんてさ﹂ 嫌っている相手にぶざまな状況を見せてしまった屈辱で、ぷいと 視線を外す狂公女。 クルスと呼ばれた人影は、フラミアが腰掛けるベッドへと無造作 に歩み寄る。 ﹁まあそうスネないでください。そのお姉様から、あなたに伝言を 預かってきてますよ﹂ ﹁え、お姉様があたしに? なになに、はやく教えて!﹂ 最愛の姉からの言づてと聞き、ぱっと表情を咲かせるフラミア。 クルスはその耳元にそっと仮面を寄せ̶̶。 ﹁あなたはね。もう、いらないそうです﹂ ﹁⋮⋮え? あ﹂ ガクンッ⋮⋮! と小さな体がのけぞって、開かれた口から声に ならない叫びがほとばしった。 フラミアの額に刻まれた、イヴリースとの契約の魔紋がかつてな く発光し、凄まじいまでの魔力の奔流を全周囲にとめどなく放出し 始める。 ﹁うっ⋮⋮うあ、あぁぁぁぁああああッッッ!?!?﹂ をしに来たんです﹂ ﹁勘違いしてるみたいですが、救出に来たんじゃあないですよ。 事後処理 ﹁な⋮⋮んでっ、どう、し⋮⋮て⋮⋮っ!?﹂ 室内の大気が荒れ狂い、地下集落そのものまでが鳴動を始める中、 一切動じず。 614 破天の 銀仮面は、いつもと変わらぬ平坦な言葉をまるでひとりごとのよ うに続ける。 を手にする礎と散れ﹄ ﹁﹃使えなくなったコマとして敵の手に渡る前に、せめて 骸 それがあなたの大好きなイヴリースお姉様の⋮⋮最後のご命令で すので﹂ 615 39話:とろける体と、揺れる世界︵後書き︶ サークル・エアリアル ︻スキル解説︼ ︽天翔輝円︾:聖騎剣技LV1スキル 破壊力:E 命中精度:E 使用前隙:A 使用後隙:A 燃費: A 射程:至近 足下や空中に輝く小型魔法陣を発生させ、それを足場に跳躍する 補助スキル。 聖騎剣技の基礎となる三次元機動を支える、なくてはならない必 須能力の一つ。 非常に燃費が良く、他の動作を邪魔せずに連発できるため応用範 囲が広い。 キリカは元々備えていた高い空間認識能力と並外れた耐G能力を フル活用し、 縦横無尽に空を舞うだけでなく、反動にして加速することで剣技 の威力を高めてもいる。 616 40話:空裂く力と、断ち切られる縛鎖 ﹁なんなんだ、これは⋮⋮!?﹂ 空間 が埋め尽く 異変の中心地⋮⋮地下集落居住区に駆けつけた俺たちを待ってい たのは異様な光景。 広い部屋のほとんどを、白い光を放つ球体の していた。触れた家具や壁、そして床や天井を、ことごとく細かい チリに変えて削り飛ばしていくあの破砕空間。 その中心には、ヒザを抱え体を丸めて浮かぶフラミアの姿がぼん やり見てとれる。 ﹁マスター、あいつはもう隷属させてるはずだろ!? 命令して止 められないのかよっ!?﹂ ニーナと一緒に合流したアメリアの焦り声に、だが俺は首を振る。 ﹁さっきからやってる。それでも効果がないってことは、フラミア 自身でもどうにもならない暴走状態ってことだ﹂ ﹁ねえ小田森くん、まさかあれ少しずつ広がってない⋮⋮!?﹂ フラミアを中心に、全包囲に放出され続ける圧壊破砕空間。 それはいったいどこまで広がる? この集落すべて、いや、こと によるとシェイヨル大森林のすべてを̶̶くそっ、もしそうなら俺 たちに、そしてダークエルフやエルフたちにも逃げ場はない。 そして⋮⋮そんな自滅的な力を放出したフラミア自身も、おそら く。 617 ﹁おいフラミア、俺の声を聞け! 自分が何をやってるかわかって るのか!?﹂ ﹁⋮⋮ぅ⋮⋮ぁ⋮⋮﹂ 声をかぎりに呼びかけると、かすかに反応がある。 体を丸めたまま、光を失った瞳がゆっくりと前を向き。 ﹁お姉⋮⋮さまに⋮⋮いらないって、言われた⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮なに!?﹂ ﹁あたしは⋮⋮もう、いらないんだって⋮⋮せめて、道具として⋮ ⋮最後の役に、立てって⋮⋮﹂ 途切れ途切れにそう言ったきり、再び沈黙するフラミア。 その額に刻まれた契約の魔紋は、目に見えるほど高密度の魔力光 を放っていた。 ﹁そうか、そういうことか⋮⋮! イヴリースの奴、フラミアに魔 紋を通して大量の魔力を注いでオーバーロードさせてやがるのか!﹂ 距離が遠くなれば、魔紋越しに契約相手に送れる魔力は大幅に減 が可能なのか。 るはず⋮⋮それでもここまでの大容量、喩えるなら子機が熱暴走す 送電 ノーヴル・エイト るほどの 八冥家に数えられる大魔族の恐るべき力に、俺は身震いした。 ﹁ど、どうしましょうご主人様!? 早くディアーネさんたちに避 難を呼びかけ̶̶﹂ ないし 爆砕 ﹁ダメだ、この地下は広く入り組み過ぎてる。逃がすどころか、俺 加速 たちだけ逃げてももう間に合わない可能性が高い!﹂ ある一点から、破砕空間が広がる速度が 618 することも十分考えられる。 第一、おそらくフラミアが確実に助からない。俺の魔隷が死ぬ⋮ ⋮そんなことは許さない。 だったら、なんとかして止めるしかない! ボレアリス・アルカンシェル ﹁姫野さん、あの魔騎士グルームを倒した最大奥義を撃てるか?﹂ ﹁極光聖彩刃を!? ⋮⋮まさか、この空間を切り裂けっていうつ もり!?﹂ 契りの魔 ﹁ああ、魔力なら俺が魔隷のリンクを通して供与してやる。そうし を更新できれば̶̶﹂ て強引に道を作って近付いて、なんとかイヴリースとの 紋 ﹁いや⋮⋮おそらく、それでは時が足りぬ﹂ ﹁あ、パルちゃん!﹂ いつの間にか背後に降り立ったもうひとりの魔貴族が、唇を噛ん でかぶりを振った。 ジェットブ ﹁今のフラミアは蛇口が壊れたかのごとく破砕空間を絶え間なく放 ラック・ヴォルテックス 出し続けておる。仮にわらわと姫騎士、双方の魔力が充分で、漆黒 螺旋渦動と例の奥義をフルパワーで撃ち込もうと⋮⋮それですら空 間を相殺できるのはほんの一瞬が限界じゃろう﹂ ﹁く⋮⋮!﹂ ﹁じゃが。その一瞬でフラミアを⋮⋮殺すことならばできるかもし れぬ﹂ ﹁えっ⋮⋮!?﹂ お主にもわかっておるじゃろうトオル⋮⋮と、苦渋の表情で冷た い方程式を口にする。 そう、確かに、パルミューラの言う通りなのだ。 たった一瞬で助けることはできなくても、息の根を止めることな 619 らば。 フラミアたったひとりを犠牲に、他の全員を助けることならば⋮ ⋮! ﹁時間がない、決断せよ魔隷術師。我ら魔隷の支配者として、お主 にはその責任があろう!﹂ ﹁⋮⋮っ﹂ キリカの、ニーナの、アメリアの⋮⋮ここにいる皆の視線が俺に 集まる。 それしかないのか? 他に方法は⋮⋮本当にないのか!? ﹁待テ、ゴ主人! 諦メルノ、マダ早イゾ!﹂ 右腕を振り み込みつつある 破天の 沈黙を破ったのは、どすどすと地面を鳴らし走ってきたアーマー ゴーレムの声。 その勢いのまま、水晶状の組織に覆われた かざし⋮⋮なんと、すでに部屋の出口近くまでを 球状破砕空間に手のひらを叩き付けた! ﹁な、ナナちゃん何を!?﹂ ﹁コレト同ジノ、サッキノ戦イデ握リ潰シタ! ダカラコレモ、押 シノケラレルハズ!﹂ ﹁なっ、いくらなんでもムチャじゃデクノボー! どんだけ大きさ が違うと思っとる!?﹂ ﹁ウッサイチビ、黙ッテ見テロ! ウォォォォォォーーーッッ!!﹂ まるでホースから吹き出る水流を受けたような白い光のしぶきが、 太い腕の先ではじける。 620 ガクガクと巨体を反動に震わせながら、それでもナナはじりじり と前に進んでいく。 ﹁よし⋮⋮わかったぜナナ、お前のその腕と覚悟に賭ける!﹂ ﹁小田森くん!?﹂ ﹁アメリア、ニーナに硬度強化をもらって盾で余波をガードしつつ、 ナナの後ろに俺をエスコートしてくれ! フラミアの近くまで行け れば契約を更新できる!﹂ ﹁へへっ、了解だぜ! メイン盾役の意地を見せてやらないとな!﹂ ﹁姫野さんはパルミューラの魔力を回してもらって例の奥義の準備 だ、斜め方向からナナの行く手を撃って道を拓け! フラミアに当 たらないように慎重にな!﹂ ﹁⋮⋮わかったわ!﹂ 次々とポジションにつく魔隷たちに、呆然としていたパルミュー ラも、 ﹁お⋮⋮お主ら⋮⋮ええい、わ、わかったわい! 協力すればいい んじゃろうが、すれば! トオルめのムチャに付き合うのもいい加 減慣れてしもうたわ!﹂ ﹁ふふ、そんなこと言っちゃって、パルちゃんも本当はフラちゃん を見殺しにはしたくなかったんじゃないですか∼?﹂ ﹁う⋮⋮﹂ 軽口を叩き合いつつも、これから挑むのは一歩間違えば全滅する ギリギリのミッション。 俺は焦る頭で魔力配分を必死に計算しつつ、ナナとアメリアの盾、 二重のガードの後ろから死の破砕空間のただ中へと歩み始めた。 ﹁グ⋮⋮ゥ、グ⋮⋮グオ、ォォォ⋮⋮ッ!!﹂ 621 ﹁ナナ!? お前、体があちこち削れて⋮⋮だ、大丈夫か!﹂ すぐ後ろで盾を構えるアメリアが、心配そうに叫ぶ。 フラミアめがけまっすぐ伸ばされたアーマーゴーレムの腕は白熱 し、シュワシュワと何かが溶けるような不吉な音をひっきりなしに あげている。 防ぎきれない余波で、赤銅色の巨体のあちこちが高速でヤスリが けでもされてるように削られていくさまはなんとも痛々しい。くそ ⋮⋮やっぱり長くはもちそうにない! ﹁大丈夫ダ、ナナハ強イ! ナナハ負ケナイ!!﹂ ﹁ちッ、いっちょまえにヤセ我慢しおって⋮⋮姫騎士よ、充填はま だ終わらぬか!?﹂ ﹁あなたの魔力のおかげでなんとかチャージできたわ、いつでもい けるわよ!﹂ ﹁よし、やってくれ姫野さん!﹂ 壁が破砕空間に呑まれて消滅し、すっかり室内と繋がった廊下に 仁王立ちになるキリカ。 真上に掲げられた煌剣アルカンシェルが、刀身に虹の輝きを帯び て周囲をあかあかと照らす。 ボレアリス・アルカンシェル ﹁いま聖なる輝きにて、邪なる魔空を断つ! 極光聖彩刃ッッッ! !﹂ 反動で黒髪を背後になびかせながら、振り下ろされた長大なオー ロラ色の刃。 虹光の軌跡が白色の球状空間を真っ向から断ち斬り、聖者の奇跡 が海を割るがごとく、ナナの行く手を阻む死の世界を一瞬だけ静寂 に還すという神話的な光景が現出する! 622 ﹁ウォォオォォォーッッ!! イ・マ・ダァァァーーーッッッ!!﹂ 破天の骸 を宿した豪腕によって逆V字状に押し開かれた破砕 その瞬間を逃さず、ナナの巨体が踏み込んだ。 空間は、フラミアまであと一歩の所まで⋮⋮! ﹁⋮⋮こ⋮⋮ない⋮⋮でッ!!﹂ ﹁なにッ!?﹂ ﹁ウ!? ウグォォォオ!?!?﹂ だしぬけに圧壊破砕空間が出力を増し、押し返されたナナの肩が ゴキバキとイヤな音をあげた。 今のはフラミアの声⋮⋮こいつ、俺たちの接近を拒絶しているの か!? ﹁ぐっ⋮⋮くぅぅぅ⋮⋮! マスター、このままじゃヤバい、ぜ⋮ ⋮っ!!﹂ 盾スキルを全開にして、猛烈に強まる余波から俺を守るアメリア にも限界が近い。 くそっ、あと一歩⋮⋮あと一歩で、魔の契約への干渉が可能な間 合いに入るのに! ﹁⋮⋮⋮⋮任せて、主さま﹂ その時響いたのは、小さく控え目な、しかしよく通る澄んだ声。 同時に、俺たちの頭上を光の矢⋮⋮天翔ける流星にも似た一条の 輝きが尾を引いて飛んだ。 と、フラミアの頭上で炸裂したそれは、無数の輝きとなって降り 623 注ぎ̶̶! ﹁ヌ⋮⋮コレ、ハ!?﹂ ﹁空間の抵抗が、弱まった⋮⋮!?﹂ 驚くべき現象に思わず後ろを振り返る。そこには、萌葱色の軽装 をまとったシエラの姿。 そして彼女が構えていたのは̶̶エルフの細腕に似合わぬ威容を 誇る、巨大な弓だった。 ※ ※ ※ ﹁ディアーネ姉さま⋮⋮⋮⋮これって﹂ 謎の振動を感知し、異変の現場に急ごうとするシエラに、ダーク エルフの巫女姫は神殿の奥から運び出したひとつのアーティファク アイアンウッド トを手渡した。 硬い鉄面樹を寄り合わせ組み上げられた、だが決して無骨なだけ ではなくひとつの美術品めいて優雅な印象すら与える、義妹の身の 丈を越すほどの大振りな強弓。 せいさんきゅう ﹁星讃弓サウザンドライト。我ら一族に女神ティプトーリが授けた と伝わる至宝。今のあなたの実力なら、真価も引き出せるでしょう﹂ そんな大切なものを、と驚くシエラに、ディアーネは見えぬ瞳を 向けて微笑む。 ﹁私がしてあげられるのはこの程度です。シエラ⋮⋮あなたはずっ 624 と私の、巫女の宿命としての短い命を、なんとかしようと手掛かり を探す旅を続けてくれていたのでしょう?﹂ ﹁!! それ、は⋮⋮⋮⋮! 言ったこと、なかったのに⋮⋮⋮﹂ ﹁それくらいわかるわ。血は繋がってなくとも、ふたりで育った姉 妹なんですもの﹂ ﹁姉、さま⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁さあ、それを持っていきなさい。トオルどのがきっと、あなたの 力を必要としています̶̶﹂ ※ ※ ※ シエラが巨大弓を掲げ、ゆっくりと引く。その弦に、矢はつがえ られていない。 いや、違う。淡い紫色の粒子が集まり、実体なき光の矢として形 成されたかと思うと⋮⋮放たれたそれはさっきと同じくフラミアの 近くで花火のように炸裂し、再びナナの前進を助けた。 ﹁フラミア周囲の破砕空間が、圧を弱めたじゃと!? あの光は⋮ ⋮そうか、魔力を吸収し無に還す性質を持っておるのか!﹂ ﹁暗き夜空に星を讃えし精霊の弓、サウザンドライトが放つ七つの 魔光のひとつ⋮⋮⋮⋮ダークエルフにとって母なる地下の安寧にも 似た、静寂を導く紫の光。ディアーネ姉さまが言っていた﹂ ﹁すごいですっ、シエラちゃん!﹂ ﹁ああ、この距離なら⋮⋮っ! いくぞ、緊急契約更新開始っ!!﹂ ナナの、キリカの、シエラの⋮⋮パーティ皆の作り出してくれた チャンス。 体を丸めて宙に浮かぶフラミアまで肉薄した俺は、手をかざし術 625 式を開始する。 ﹁さあ、フラミア。お前を縛る鎖を⋮⋮断ち切ってやる!﹂ ※ ※ ※ ̶̶ほんとうは、ずっと昔からわかっていた。 あたしが⋮⋮誰にも愛されてなんかいないことくらい。 イヴリースお姉様は、敵を潰せばほめてくれる。 ⋮⋮敵を潰した時だけ、よくやったとほめてくれる。 あたしは本当は、敵を潰すことも、潰される敵が最後にあたしに 向けるカオを夢に見るのも好きじゃなかったけど、そうしないとお 姉様がほめてくれないから、ガマンして潰し続ける。 みんなに嫌われながら、潰し続ける。 お姉様が欲しいのは、敵を潰す強いあたしだけ。だからあたしは 強くなくちゃいけないんだ。潰すのを楽しむくらいじゃなきゃいけ ないんだ。 強くないあたしは、きっと誰も好きになってくれない。必要とな んかしてくれない。 そんな相手は、いない。パルミューラと違って、いない。 本当は違うんじゃないかって、ずっと目をそらしてきたけど、や っぱりそうだった。 捕まったあたしをお姉様が助けにきてくれるかもってバカみたく 期待してたけど、全然違った。 626 だから⋮⋮もういいの。もうどうでもいいの。 だって、これ以上生きていても⋮⋮誰もだれも、あたしを必要と なんか⋮⋮! ﹁そうか、だったら。この俺が必要としてやる﹂ ※ ※ ※ ﹁え⋮⋮? お兄⋮⋮さん?﹂ ﹁ああ、やっと気がつきやがったか、ねぼすけめ﹂ さっきキリカに魔力を回し、いままた最高速で魔紋の契約を書き 換える消耗に脂汗を流しながら、俺はうっすら目を開いたフラミア ににやりと笑ってみせた。 その額に刻まれた魔紋の形が、俺の手に刻まれているそれと対応 するデザインにゆっくりと変わり⋮⋮同時に破砕空間が急速に収縮 していく。 ﹁なん⋮⋮で⋮⋮?﹂ ﹁なんでも何も、お前は俺に負けただろ? だから素直に従っても らわないとな。さしあたっての命令は、俺たちの仲間になることと、 あと俺の妹になることだ﹂ キリカがぼそっと、ロリコン⋮⋮と氷点下の声でつぶやいたが、 聞かなかったことにする。 627 ﹁そ、それって⋮⋮一緒にいろってこと? お兄さんにはあたしが ⋮⋮必要ってこと?﹂ ﹁ああ、そうだ﹂ ﹁でも、でもそれは⋮⋮お兄さんもあたしの力が目当てだから? あたしが、強いから?﹂ つかつかと歩み寄ってきたパルミューラが、ふん、とこれみよが しに鼻を鳴らす。 ﹁は、今のお主のどこが強いのじゃ。よいか? トオルのキャパシ ティを越える魔の契約で、わらわ同様お主の力は大きく制限されて おる。全然へっぽこじゃ、いい気味じゃ、ざまーみろじゃ﹂ ﹁ま、それくらいの方が頭の使いがいがあるさ。お前と違って素直 で可愛いしな、フラミアは﹂ ﹁な⋮⋮なんじゃとお!? わ、わらわだって可愛いぞ!?﹂ ﹁パルミューラ、あなた以前はもうちょっとプライドというかなん というか⋮⋮﹂ ぷーっとふくれるパルミューラ、呆れるキリカ。 そんないつもの漫才を、フラミアはしばし呆然と眺め、 ﹁で⋮⋮でもあたし、さっきまで敵だったんだよ!? みんな潰そ うとしたし、パルミューラのお家だって⋮⋮みんな、本当はあたし のこと怖がって、嫌ってるんでしょ!?﹂ ﹁いいえ。そんなことはありませんわ﹂ 微笑みつつ近付いてくるのは、手に大きな鍋を抱えたシスティナ 姫。 ﹁あ⋮⋮! そのにおい、ひょっとして⋮⋮﹂ 628 ﹁ええ、大好きなスープのおかわり。いっぱい作ってもらってきま したわ、フラちゃんさん﹂ ﹁こんな状況で!? いないと思ったらマイペースすぎですよ、姫﹂ ﹁あら、だってトオルさまが何とかしてくれると思っていましたか ら﹂ 小首をかしげ、うふふと優雅に笑う姫。やっぱこの人、最強なん じゃなかろうか。 温かそうなスープと、俺の顔とを交互に見つめ⋮⋮フラミアの幼 い顔が、くしゃっと崩れた。 狂公女 ⋮ ﹁うっ⋮⋮ぅぇぇ⋮⋮っ、うえぇぇぇぇぇんっっっ⋮⋮!! おに い、さぁんっ⋮⋮!﹂ ﹁おーおー、よしよし﹂ 紫がかった青髪を振り乱し、俺の胸でわんわん泣く ⋮いや、そう呼ばれた魔貴族はもう、ここにはいない。 かすかな痛みと共に、俺の手に刻まれた契約の魔紋が、新たな画 数を付け加えるようにしてその形状を進化させた。フラミアとの魔 の契約が、成った証。 ﹁ふん、やはり何百年経とうが子供じゃのぉ⋮⋮やれやれじゃ﹂ ﹁羨ましいなら⋮⋮⋮⋮よしよしして、って主さまに言えばいいの に⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁うっ、羨ましいなどとそんなわけあるかぁ!?﹂ はだけた背中をぽんぽんとあやしながら、ようやく余裕のできた 思考をぼんやりとまとめる⋮⋮そういえば、イヴリースはなぜフラ ミアが隷属されたという現状をすぐ感知できたんだ? 単純に考えれば、魔界にいる彼女に、誰かそれを伝えた者がいる 629 はず̶̶。 ﹁ドウシタ、ゴ主人?﹂ セレスタのバックにいる謎の協力者。 フラミア戦、女騎士の襲撃、そして今の暴走、異様なまでに連続 して発生した数々の事態。 そいつ の計算の内だったとしたら? すべてが音を立ててつながっていき⋮⋮同時に俺の背筋を、ゾッ と冷たい予感が伝う。 この流れのすべてが、 ﹁みんな! 聞いてく̶̶﹂ ̶̶ずんッ。 ﹁な⋮⋮!?﹂ 俺は、いや、俺たち全員は呆然と見つめていた。 突如としてナナの胸部を背から貫き通した、黒い刃を。 鏡のように磨き上げられた銀の仮面をかぶり、白いローブを羽織 ったその人影を。 ﹁ああ、やっと会えたね。小田森トオルくん﹂ 630 40話:空裂く力と、断ち切られる縛鎖︵後書き︶ ボレアリス・アルカンシェル ︻スキル解説︼ ︽極光聖彩刃︾:聖騎剣技LV5スキル 破壊力:S 命中精度:A 使用前隙:B 使用後隙:C 燃費: E 射程:至近∼約5m 使い手の全魔力を煌剣アルカンシェルの刀身に注ぎ、極限まで共 鳴させて放つ専用奥義。 煌剣を全長数mに達する七色の刃、すなわち疑似次元断層と化し ディスロケートアーマー て空間ごと目標を斬断する。 理論上、次元断層魔甲などの空間防壁を含むあらゆる防御を貫通 できるが、燃費は最悪。 なお本来アルカンシェルは﹁この状態﹂がデフォルトらしいが、 現在のキリカでは一瞬の維持が限界。 631 41話:銀の仮面と、伝説の胎動 あまりの衝撃に、誰もがとっさに動けなかった。 破天の骸 アーマーゴーレム と一体化したその部位が肩口から丸ごと ナナの胸部を貫通した黒い刃は音もなく横薙ぎに振り抜かれ、巨 大な右腕̶̶ 切り飛ばされる。 上半身をぴったり半分断ち裂かれた魔法生物はバランスを崩し、 にぶい激突音を立てて、えぐれた床に崩れ落ちた。 ﹁クルス⋮⋮ッ!﹂ 凶行のすべてを一瞬のうちに終えた銀仮面の人物めがけ、敵意を にじませたフラミアの声。 その言葉に息を呑んだのは、俺とキリカ。 くる、す⋮⋮だと? くるす ﹁そんな、まさか⋮⋮﹂ ﹁まさかお前⋮⋮! 来栖アラヤ⋮⋮なのか!?﹂ ※ ※ ※ ﹁⋮⋮ねえ、小田森くん﹂ 横合いから遠慮がちにかけられたボソボソ声が、俺を現実に引き 戻した。 632 ここは学校のプールサイドで、俺は尻の痛がゆい体育座りポーズ くるすあらや で水泳の授業を見学している真っ最中⋮⋮同じく病み上がりのこい つ、来栖新耶と同じように。 ﹁どうしたの、さっきからボーッとして﹂ まさか、さっき綺麗なフォームでプールに飛び込んだ姫野桐華の カラダを、好き放題に調教する妄想をたくましくさせていた⋮⋮な どとは言えない。やべ、ちょっと勃起してる。 ﹁ああ、いや⋮⋮これって学校生活屈指のムダな時間だよな、って 思ってさ﹂ ﹁あはは、確かにそうかもね。僕はもう慣れたけど﹂ 男女含めてクラスで一番病弱な来栖は、体育見学の常連だ。 俺よりもやや小柄、線が細くなよっとしていて顔だけ見れば女の 子のようでもある。 ﹁それに、悪いことばかりでもないよ。ほら、こうやって小田森く んと話す機会できたしさ﹂ ﹁⋮⋮はあ?﹂ 俺は別に、こいつと友達とかではない⋮⋮そもそも友達と呼べる ような奴は一人もいない。 だが何かと理由をつけて体育をサボりがちな俺と、結果的にこう やって二人でいる時間が時々生まれ、その縁でどちらからともなく 簡単な会話くらいはする関係になっていた。 ﹁変なヤツって言われないか、お前。というか今の発言はちょっと キモいぞ﹂ 633 ﹁そうかなあ⋮⋮?﹂ 来栖がイジメに遭っている光景を、俺は何度か見たことがある。 気弱でおどおどしたいかにも突っつきがいのありそうな性格はも ちろん、男子に人気の﹃鈴ちゃん先生﹄と親戚関係だからというや っかみも多分理由だろう。 まあ、俺にはどうでもいいことだ。ヘタに関わって巻き込まれる のはアホのすることだ⋮⋮あの姫野桐華なら、イジメの事実を知っ たら余計なおせっかいを焼くかもしれないが。 ﹁まーいいや。そういや来栖ってさ、ゲームとかやるほう?﹂ ﹁うーん、最近はスマホゲーばっかかな。それでゲームちゃんと遊 べてるって断言するのもなんかちょっとひっかかる気がして⋮⋮﹂ ﹁あ∼、なんとなくわかるわかる、それ。まあ、俺も似たようなも んなんだけど̶̶﹂ じりじりと暑いプールサイドに並んでの、そんなとりとめもない、 くだらない会話。 でも今思えばそれは、ぼっちの俺にとって当時の学校生活で唯一 といっていいくらいの⋮⋮友達未満の会話だったかもしれなかった。 ⋮⋮そんな来栖がトラックに轢かれて死んだのは、あの修学旅行 の二ヶ月前のこと。 その死を発覚したイジメと関連付けたがる連中もいたが、遺書と かそういうものが出て来たわけでもなく、来栖のいなくなった後も 俺たちの学校生活は特に大差なく続いていった︵鈴ちゃん先生はず いぶんショックだったようで、一週間ほど学校に来なかったが︶。 つまり俺たちは二ヶ月遅れて全員で来栖の後を追い、そして来栖 だけがこっちの世界に転生できなかったことになる⋮⋮俺は少なく 634 とも、そう思っていた。たった今まで。 ※ ※ ※ ﹁あらためて久しぶりだね、小田森トオルくん。そして姫野桐華さ ん﹂ 世間話でもするような気楽さで、くぐもった仮面の声が俺たちの 名を呼ぶ。 かざした手から魔力らしき球状の力場が展開し、切断されたナナ の腕を包んで浮き上がった。 ﹁ほ、本当に来栖くんなの⋮⋮!?﹂ ﹁気をつけろ! なぜこの世界にいるのか分からないが、少なくと もこいつの仕業だ。セレスタに銃火器を与えてけしかけたのも、フ ラミアのことをイヴリースに伝えたのも、全部⋮⋮ッ!﹂ 今思えば、セレスタを派手に暴れさせたのは陽動に違いない。そ の隙にまんまと潜入したこいつは、フラミアに暴走の切っ掛けを与 え、そして待っていたのだ⋮⋮俺たちの消耗を、隙を。 くそッ、次々起こる事態の対処に追われて、根本的な違和感に気 妹君 、そしてフラミアがお前のことを知っている 破 の暴走を完全に止められるとは正直驚きだっ 付けなかったなんて! ﹁まさかあの 破天の骸 を回収するルートも想定してたからね﹂ たよ。こっちとしては、この地下集落が消し飛んだ後に残った 天の骸 ﹁狙いは ⋮⋮つまり、今のお前はイヴリースの手下ってことか﹂ 635 ﹁手下って表現は心外だけど、まあそういう理解で構わない。さす が、頭の回転が速いね﹂ その時、俺の目配せを受け、現状ほぼ唯一まともな戦闘力を残し たシエラが動いた。 巨大な弓に今度は赤色に輝く光の矢が形成され、クルスめがけて 電光石火に放たれる。 白いローブから伸びる細腕を、どすっと鈍い音を立てて矢がちょ うど半分貫通した̶̶が、銀仮面はまるで意に介した様子なく、う めき声ひとつ発しない。 ﹁な⋮⋮なんじゃあいつは、痛みを感じておらぬのか⋮⋮!?﹂ ﹁!! お兄さん、クルスのやつ逃げるつもりだよっ!﹂ 破天の骸 ナナの腕を包む力場がクルス自身も取り込み、その姿が陽炎のよ うにゆらめく。 まさか瞬間転移のたぐいか⋮⋮まずい、このままじゃ がそっくり奪われる! ﹁やらせるかよッ! いちかばちかだ、突っ込めキリカ!﹂ ﹁!? これは⋮⋮っ!﹂ 叫ぶと共に俺の手で軽快な射撃音をあげたのはダークグレーのア サルトライフル、SG550。 セレスタが最後に使った銃器、唯一残弾の残っていたそれを回収 して背中に吊るし、マントで隠して持って来ていたのだ。人間相手 インターアクセル に銃なんか撃つとは思わなかったが、やるしかない。 時分割加速の腕輪で体感時間を加速し、可能な限り狙いをつけて 放つ。 それでも慣れない反動で正確には飛ばず、骸の腕と銀仮面の間を 636 偶然かすめるようにバラまかれた銃弾の雨は̶̶だが結果的に物理 的な弾幕によって、クルスの動きをほんのわずかに妨げた! ﹁っ、はぁぁぁぁッッ!﹂ サークル・エアリアル すかさず、キリカが最後の魔力を振り絞って天翔輝円で舞う。 加速した煌剣の刀身が、一瞬だけ反応の遅れたクルスの仮面めが け迫り̶̶! ﹁⋮⋮なにッ!?﹂ 驚くべきことにクルスは、破天の骸と一体化したナナの巨腕その ものを盾にした。 そのおよそ半分、ヒジ近くから先にあたる部分がアルカンシェル によって斬り飛ばされ、転移の力場からはじき出されて宙に舞う。 そしてクルスの左手がそれを掴もうと伸び̶̶! ﹁させるか! アメリア、ビュートブレイドをッ!﹂ わかったぜ̶̶と女戦士が伸ばした鞭状連結刃が、一歩先に下腕 を絡めとりみごと引き離した! ﹁やるね、トオルくん⋮⋮君と魔隷たちの活躍に免じて、その片割 れはしばらく預けておくよ﹂ 悔しさと賛辞の入り交じったような、くぐもった声。 今度こそその体が急速に非実体化してゆく⋮⋮クルスの手元に残 った骸の上腕部と共に。 ﹁魔隷⋮⋮それが君の欲望で、君の強さか。だけど、こっちも自分 637 の目的を譲る気はない。そのために 破天の骸 はどうしても必要 だからね⋮⋮そう遠くないうちに、また会おう﹂ ﹁待てッ、クルス! お前にはまだ聞きたいことが̶̶!﹂ 予言の姫 。彼に と、銀の仮面がその向きを変えた。おそらくその下にある視線の 先は⋮⋮システィナ姫。 ﹁ああそうだ、トオルくんを助けてあげてくれ は君の予言の力が必要だ﹂ ﹁え⋮⋮?﹂ 最後に姫の動揺と、かすかな発光とを残し、クルスは⋮⋮銀仮面 の転生者はその場から消えた。 と、息つく間もなく、ナナに走り寄って治癒処置を施そうとして いたニーナの悲鳴が上がる。 ﹁ご、ご主人様ぁ! ナナちゃんの魔力反応がどんどん低下してい ますっ!﹂ ﹁なんだと!? おい、ナナ! 返事をしろっ、ナナ!﹂ 金縛りが解けたように次々とナナに駆け寄り、横たわった巨体を 囲む俺たち。 あらぬ方向を向いたモノアイに、切れかけの豆電球みたいな光が かすかに灯った。 ﹁ゴ主人⋮⋮﹂ ﹁良かった、ああ、しゃべらなくていい。待ってろ、すぐ直してや るからな﹂ ﹁イヤ⋮⋮聞イテクレ、ゴ主人⋮⋮! ナナハ⋮⋮ナナハ、コノ体 ⋮⋮ダ。皆ミタイニ、ゴ主人ヲ⋮⋮Hナ行為デ喜バセテアゲル事ハ、 638 デキナイ﹂ ﹁おい、おいナナ!? こんなときに何言ってる!?﹂ 赤銅色の巨体を揺さぶるが、ナナは動かない。無事に残った左腕 すらぴくりともしない。 ﹁皆ガ、ウラヤマシカッタケド⋮⋮デキナイカラ⋮⋮ダカラセメテ、 ニーナヤ他ノ皆ヲ、守レテ良カッタ⋮⋮フラミアヲ、助ケラレテ良 カッタ﹂ ﹁あ、あたしを⋮⋮?﹂ おい、ちょっと待て。 これではまるで。まるで遺言みたいで。 ﹁馬鹿言うな! よしわかった、お前が直ったらセックスするぞ。 なーに、穴ぐらいどっかにムリヤリ開くだろ、お前がやりたいんな らしてやる、頑張ったご褒美になんでもやってやる!﹂ ﹁ホント⋮⋮カ⋮⋮? ゴ主人ハ、優シイ⋮⋮ナ⋮⋮デモ、変ダ、 眠クナッ⋮⋮テ⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁おい、おいナナッ!! ふざけんな、おいッ!! 俺の命令が聞 けないのか、眠るなッ!!﹂ ﹁ゴ主人⋮⋮ミンナ⋮⋮楽シイ思イ出、ヲ⋮⋮ア⋮⋮リ、ガ⋮⋮ト ⋮⋮⋮⋮、⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ 地面に落ちる線香花火のように消えてゆくモノアイの残光、それ を最後に。 アールマV7と呼ばれたアーマーゴーレムは⋮⋮全機能を、停止 した。 ﹁な⋮⋮ナナちゃぁぁぁぁぁぁんッッッ!!﹂ 639 ※ ※ ※ ヘイズキャッスル 陽炎魔城、血と炎の色に染まる魔宝石で造られた城主の間。 か﹄ 人間界より戻ったクルスが、魔力球体の中に浮かぶイヴリースに 破天の骸 うやうやしく包みを差し出す。 ﹃これが̶̶これこそが 全て であろうな?﹄ 大魔貴族の声に混じるかすかな高揚の色が、その物体の途方もな い価値を物語っている。 ﹃クルスよ、よくやった̶̶して、これが ﹁は? おっしゃる意味がよく⋮⋮﹂ ﹃とぼけるなよ﹄ 下位魔族ならそれだけで血を噴いて気絶するほどの高圧的精神波 を叩き付けられても、銀仮面の人物は動じない。 ﹁無論ですとも。魔隷術師の手にあった骸は残らず、奪って参りま した。これが全てです﹂ しばしの沈黙の後、ようやく精神波の圧が緩やかなものに変わる。 ﹃̶̶よかろう。では、魔隷術師めはどうなった?﹄ ﹁仲間たちと一緒にフラミア様の暴走に巻き込まれて生き埋めにな ったようですので、さすがにその後の捜索までは⋮⋮まあ、死んだ んじゃないでしょうかねぇ﹂ 640 ﹁では、フラミア様は、どうなったのだ!﹂ 焦燥を含んだ声は、クルスの背後から浴びせられた。獅子頭の魔 貴族、剣魔卿シュトラール。 ﹁おや、いらっしゃったんですか剣魔卿。ああ、あなたの十二魔剣 のコピー、役に立ちましたよ﹂ あれ と我との魔紋による繋がりは断たれた。 ﹁そんなことはどうでもいい! 妹君はどうなったかと聞いて̶̶﹂ ﹃シュトラールよ。 それがすべてだ﹄ ﹁な!? なん⋮⋮と⋮⋮!﹂ がくりと頭を垂れる歴戦の忠臣。 主君の冷酷な言葉が意味するところは、フラミアの死に他ならな いと悟ったのだ。 そして、沈黙に支配された広間の中⋮⋮イヴリースの浸かる高濃 度魔力溶液が、ふいにごぼりと音をたてた。それは長年仕えた剣魔 卿も聞いたことがない、主君の精神が動揺する音。 ﹃む⋮⋮これは̶̶!﹄ ※ ※ ※ 誰もが長い間、言葉を発しなかった。 パルミューラも、システィナ姫も、フラミアまでが押し黙り、ニ ーナの号泣だけが響いた。 もしやと思い残った右腕の下腕部を、人間の手に触れないように 気をつけながらナナの体や傷跡に接触させてみたが、何の反応も起 641 きなかった。 ﹁小田森くん⋮⋮﹂ ﹁姫野さん、今の俺の顔はちょっと、見ないでいてくれるかな﹂ 許さない。絶対に許しはしない。 ナナの命を俺たちから奪ったあいつが、あの元クラスメート、来 栖だろうと構うものか。 地獄の果てまでも追いつめて、後悔させてやる⋮⋮! ﹁あ⋮⋮⋮⋮ディアーネ姉さま⋮⋮⋮⋮﹂ ボロボロになった部屋に、褐色のダークエルフが静かに入って来 たのはその時だった。 盲目の巫女は迷いのない足取りでナナの残骸に歩み寄ると、頭部 にそっと褐色の手をかざす。 ﹁なるほど⋮⋮やはり感じます。ごくわずかですが⋮⋮眠りし魂の 鼓動を﹂ ﹁どういうことだ、ディアーネ!?﹂ ダークエルフは涼やかな美貌をこちらに向け、かすかに口元をほ ころばせた。 大丈夫です、と安心させるように。 ﹁このアーマーゴーレムどのは⋮⋮まだ、生きているということで す﹂ ※ ※ ※ 642 魔水晶の床が音もなく開き、その中に て閉じる。 破天の骸 が吸い込まれ 異変は、イヴリースが瞬時にその処置を終えた直後に起きた。 ﹁な⋮⋮何事かッ!?﹂ 城主の間天井近くの空間そのものがベキベキと異音をたてて割れ、 剣魔卿が驚愕に目を見開く。 縦数mにおよぶ亀裂から現れたのは、だがそれに反して拍子抜け するほど小さい人間大の影。 ﹁どぅもどぅもぉ∼。お久しぶりねぇ、イヴちゃん﹂ ﹃⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹄ 大魔貴族に対し不遜きわまる挨拶を飛ばした声の主̶̶狐の耳と 豊かな金髪を持つ女性魔族。 白と金の着物状装束の胸元から、豊かすぎる真っ白い双乳が今に もこぼれそうだ。 浮遊する巨大な勾玉型の足場に、ふさふさの尻尾を何本も生やし 妖狐天仙 ミクラ⋮⋮様!? 八冥家最古の当主がなぜ ノーヴル・エイト むっちりした尻で腰掛け、朱色のキセルを艶っぽい口元にくゆらせ ている。 ﹁よ⋮⋮ ここにッ!?﹂ ﹁あらぁ、ワタシだけじゃないのよぉ?﹂ ミクラが現れた空間の裂け目、その縁に巨大な三本爪が内側から 右、左の順に二組かかったと思うと̶̶それらの真ん中からゆっく 643 りと出現したのは、ドス黒い血の色の鱗に覆われ無数のねじくれた 角を生やし、溶岩のごとく輝く三凶眼を持つドラゴンの頭部。 ⋮⋮ッ!?﹂ 眼のひとつ分だけで、隣に浮かぶ狐耳大魔貴族の身長に匹敵する 龍血魔公 ドラゴヴァンプ 威容を誇る。 ﹁ど、 ﹃ヴラドヴェリ⋮⋮﹄ ﹁なるほど、あれがもっとも三大公に近いという八冥家筆頭の⋮⋮ !﹂ 妖狐天仙 。 最古参にして広大なる魔界仙境の支配者、魔力では三大公に引け を取らない 龍血魔公 。 竜種の圧倒的な力と、吸血種の不死性を併せ持ち筆頭の座に二千 年君臨する 八冥家の三頭までが同じ場所に揃うという、千年近くぶりの異常 事態。 出現した者たちは、一歩も動けぬ剣魔卿やクルスに視線さえ向け ない。 イヴリース配下の魔貴族ごときは家具同然、特に意識を払う対象 ですらないのだ。 ﹃お二方⋮⋮断りもなく我が居城を侵すこの非礼、いかなる理由あ ざ ってのことか?﹄ ︿愚問。戯れるな、若輩﹀ 龍公の発する短い言葉そのものが死の魔力を宿した呪言となって、 城主の間を荒れ狂う。 シュトラールの耳と口元から血が伝った。直接叩き付けられてい れば即死していただろう。 644 ﹁まあまあ、ヴラちゃんはちょっと黙っててねぇ。理由も何もそん 破天の骸 のことよん﹂ なの決まってるじゃないのよぉ⋮⋮魔王サマの置き土産、貴女が集 めようとしてる ﹃ほう。なぜ我からそのような話が聞けると? あれは伝説に過ぎ ぬ存在では⋮⋮?﹄ あくまで涼しげにシラを切る主君を前に、全身から脂汗を流すこ としかできないシュトラール。 だがミクラは、その答えは予想済みとばかりにころころと、鈴を 転がす声で笑う。 ﹁だってねぇ、とうとう現れちゃったんだもん、人間界に̶̶﹂ 妖狐天仙 。 くるりとキセルを回し、その筒先を一直線にイヴリースへと向け る ﹁̶̶勇者ちゃんが、ね﹂ ※ ※ ※ あれから丸一日が過ぎ⋮⋮半壊したダークエルフ地下集落は、急 ピッチで再建が進んでいる。 俺は自室にひとり座り、手におさまったピンポン玉大の赤い球体 をランプの灯りにかざす。 ナナが残したモノアイ。 そしてこれこそが、ナナの魂の在り処なのだ。 645 ﹃私が巫女としての力で、物に宿る意志を読み取ることができるの はご承知ですね。ナナさんの記憶、心、魂⋮⋮そう呼べるものは確 かにここに残っていますよ、トオルどの﹄ ディアーネの言葉が正しければ、ナナはまだ完全に死んではいな い。 再生 させる手段を探すことだ。 ひとしきり喜びに沸いた後、俺たちの旅に新たな目的が加わった。 そう̶̶ナナを ナナはニーナたちのパーティが遺跡に眠っている所を発見したと いう。 そしてまるでバックアップ用とでも言うかのように、コンパクト にまとめられた記憶中枢部。 ならその新たな体を造り出す、あるいは見つけ出すことさえでき れば、ナナは蘇る。 そしてその手掛かりを得るためにも、システィナ姫に新たな予言 夢を見てもらう必要がある。 ダークエルフの里にこれ以上滞在することに、イヴリース陣営の 再襲撃を警戒する声もあったが、少なくともすぐにそれはないと俺 は判断した。 俺にはひとつの確信があった。あのクルスの言葉⋮⋮あいつとイ ヴリースとは一枚岩ではない。おそらくは、互いが互いを利用する 関係。そこにこそ付け入る隙があるはず。 だからこそ、骸の片割れをしばらく預けておくとクルスが言った 以上、今は猶予の時間なのだ。 さて⋮⋮それはともかく、だ。 646 ﹁お兄さん、お兄さんっ! 準備できたよ∼!﹂ ﹁おい、フラミア! お主、新参者なら少しは遠慮というものを⋮ ⋮!﹂ ﹁えー、そんなの知らないもん。早い者勝ちぃ∼っ、とぉ!﹂ 扉が勢いよく開かれ、入って来たのはコンパクトサイズのロリボ ディふたつ。 さあ、いよいよ待ちに待った魔貴族3Pの時間だ! ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵スキルレベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV16 スキル:︻隷属魔法LV10︼︻魔の契約LV1↓2︼︻魔隷強化 LV6︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:2人分︶ ︻姫騎士キリカ︼︻メイド法術師ニーナ︼︻女戦士アメリア︼ ︻エルフの精霊弓士シエラ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ ︻狂公女フラミア︼︻異界機士セレスタ︼ 精霊弓士シエラ︵特殊装備ゲット!︶ ジョブ:精霊弓士LV9 スキル:︻弓技LV4︼︻精霊魔法LV2︼︻隠密行動LV3︼ ??? 特殊装備:星讃弓サウザンドライト 狂公女フラミア 647 ジョブ:狂公女LV13︵本来は少なくともLV20以上︶ スキル:︻空間破砕LV11︵本来は少なくともLV16以上︶︼ ︻魔法抵抗LV2︼ ??? 異界機士セレスタ︵ジョブチェンジ!︶ ※※※※※不正な手段によってジョブが変更されています※※※※※ ジョブ:剣士LV8↓異界機士LV4 スキル:︻剣技LV7︼︻異界兵器LV0↓3︼︻魔法抵抗LV1︼ ??? ※※※※※不正な手段によってスキルが変更されています※※※※ ※ 648 41話:銀の仮面と、伝説の胎動︵後書き︶ コミックヴァルキリーWeb版にて、漫画版連載&無料公開中です! 7月3日に肌色なシーン満載の第2話が掲載されましたよ! 649 42話:希望の赤玉と、双魔の共演 ﹁じゃあ、この中にあいつの意識が眠ってるんだ⋮⋮﹂ 灯りにかざした赤い宝玉を、琥珀色の瞳で覗き込むフラミア。 その表情には、いつもの無邪気なテンションとは違う神妙さが見 え隠れする。それは、自分のために命をかけてくれた相手̶̶これ までフラミアの周囲にはいなかっただろう存在̶̶に対する感謝と 敬意の表れだった。 ﹁⋮⋮あいつ、あたしを助けようとしてくれたよ。自分がこんなに なってまで⋮⋮血がつながってるわけでもないのにさ。お兄さんと 一緒に、こんなあたしを⋮⋮!﹂ 最愛の姉、イヴリースという精神的偶像を失ったフラミアだが、 ある意味長年の呪縛から解放されたような朗らかな様子で、思った より安定している。もちろん、まだ姉のことに関して直接口に出そ うとはしないが。 そして依存対象はどうも俺に変わったようで、あれからしょっち ゅうベタベタとくっついてきている。まあ、悪い気はしない⋮⋮キ リカの視線は妙に痛かったが。 ﹁このデクノボーは、そういうヤツじゃからの。わらわと最初にや りあった時もそうじゃった、自分より仲間の身を心配して無茶ばか りしおる﹂ いつもナナとケンカ友達のように接していたパルミューラも、ど こか寂しそうだ。ディアーネがまだ希望はあると太鼓判を押してく 650 れた時、ニーナと並んで真っ先にホッとした様子を見せていたほど だ。 魂 といえる中枢部分の存命を ﹁でも、ちゃんと元に戻るんでしょ、お兄さん?﹂ ﹁ああ⋮⋮もちろんだ﹂ ディアーネの超感覚は、いわば 保証してくれた。 ニーナの話では幸い、ナナを見つけた場所と同じ年代のものと推 測される遺跡は、世界の各所にあるらしい。アールマV7という形 式番号のような名も、同型機や予備パーツの存在を示唆していると いえる⋮⋮ならばきっと、これを別の体に移すなりすればナナは再 び蘇るのだ。 ﹁いや、きっとじゃない⋮⋮必ず俺が見つけてみせる。あの時あい つと約束したんだ、ちゃんとセックスしてやるってな。それを果た さないままなんて俺のプライドが許さない﹂ ﹁まったく、独占欲の強いヤツじゃ⋮⋮それで、企画したのがこの 乱痴気騒ぎというわけか? 確かに、あの姫に次の目的地を予知し てもらうまではここで手持ちぶさたじゃが﹂ 二人を部屋に呼んだことの意図を指し、ちょっと複雑そうな表情 のパルミューラ。さっきの話を聞き、ある意味ナナに遠慮している 節もあるのかもしれない。 だが俺は、あえて明るい口調で断言する。 ﹁だってナナは、湿っぽいのを好むようなヤツじゃないからな。い つまでも悲しんでるより、俺たちがいつもみたいに楽しくやること を望んでると思うぜ̶̶この中で﹂ 651 俺はもう一度、ナナのモノアイを部屋の灯りに透かすと、それを ベッド横の棚に敷いた布の上にそっと置いた。 そう、見ていてくれナナ。心配しなくても、俺たちは楽しくやら せてもらう。 そしてこの楽しい輪の中に、お前をすぐに⋮⋮連れ戻してやるか らな。 ※ ※ ※ ﹁で、この格好というわけか。まったく、またしてもこのようなは したないものを着せおってからに⋮⋮﹂ ﹁え、他にも色んなの着てるの? ずるーい、あたしもぜんぶ着る っ、着るーっ!﹂ ﹁はいはい、また今度着せてやるよ﹂ ﹁やったぁーっ!﹂ ベッドの上にちょこんと立った少女魔貴族、二人の軽いロリボデ ィを彩るのは、極小生地の白マイクロビキニ下着。 細いヒモでつながった3cm程度の幅しか持たない三角布が、ぺ たんこ胸の乳首部分とつるつる無毛の土手をかろうじて隠すだけ。 後はW幼児体型が惜しげもなく目の前に晒されている。 陶器のように白い肌、細い手足。ぽっこりと柔らかそうな局面を なだらかに描くおなか、可愛いおヘソ。だが並べてみると、腰から お尻にかけて結構むちっと肉付きがいいパルミューラ、太ももまで ほっそりしていて前側からでも尻の谷間が覗き見えるフラミアと、 それぞれ個性がある。 ﹁じゃあ今日はぁ、あたしたち二人でお兄さんといーっぱいえっち、 652 しちゃいまぁ∼す!﹂ ﹁お、お主わざわざそのようなことを宣言するでない、恥ずかしい じゃろうが!﹂ ﹁えっ、パルミューラはいっぱいしたくないの? あたしはしたい けどぉ?﹂ ﹁だ⋮⋮誰もしたくないなどとは、言っておらぬ。わ、わらわとて その⋮⋮し、したいわい﹂ 純粋にあっけらかんと言うフラミアに引きずられてか、パルミュ ーラも照れつつ意外なほど素直な調子で口にする。思えばこいつも、 最近はずいぶんと積極的になってきたな。 ﹁あはっ、だったらいーじゃん! ねえねえ、じゃあまずキスしよ おにーさんっ、キスぅっ﹂ ベッドに腰掛けた俺の隣にトスンと並び、羽根をぱたぱたさせつ つ顔を近付けてくる。ミルクと柑橘系の入り交じったようないいに おい。 ﹁なんだ、この前は好きな相手とじゃないとキスはダメだって嫌が ったくせに積極的だな?﹂ ﹁あの時はあの時だもん、今はお兄さんのこと好きだしっ⋮⋮えい っ、ちゅーっ♪﹂ 琥珀色の瞳をそっと閉じ、小さな唇がつんと突き出される。紫が かったストレートロングを撫でながらそこに俺のを重ねると、嬉し そうに自分からついばむような動きをチュッチュッと熱心に繰り返 してきた。舌を入れる動きにも、おっかなびっくりすぐに対応する フラミア。 653 ﹁んっ⋮⋮ちゅっ⋮⋮ふぁ、あはぁっ! どうしよどうしよお兄さ ん、あたしすっごいキス好きかも﹂ ﹁ああ、俺も楽しいぞ。⋮⋮なんだパルミューラ、そんなむくれて﹂ ﹁むぅ⋮⋮わらわも、トオルとちゅーしたい⋮⋮わぷっ、なっなん じゃ急にっ!?﹂ フラミアと逆側に座ったパルミューラをぎゅっと抱き寄せ、ごつ ごつしたツノの生えた長い銀髪を優しくなでてやると、ビクっと驚 かれた。 ﹁いや、お前がそこまでストレートにデレるとはちょっと意外でさ﹂ ﹁で、デレとらんし。こやつの先輩魔隷として妥当な扱いを要求し ておるだけじゃ⋮⋮もん﹂ ﹁はいはい。ほら、こうやってお前にもたっぷりチューしてやるか らな?﹂ ﹁ふぁっ、はぁっ⋮⋮んっう、ふぁ⋮⋮! っそうじゃ、良い、ぞ ぉ⋮⋮っ、んっちゅぅう⋮⋮!﹂ こっちの魔貴族様はベッドにひざ立ちになって俺に身を預け、情 熱的に小さな舌を自分から絡めてくる。同じようにそれをねぶって 応えつつ、性感帯のツノをカリッと指でひっかいてやると、鼻にか かった甘い声が﹁んふぅ⋮⋮﹂と漏れた。 ﹁ずる∼い、パルミューラの方が長いことちゅーしてるっ! あた しももっかいしたいよぉ﹂ ﹁ぷぁ⋮⋮まったく欲張りめ、では来るがよい。二人で一緒にトオ ルと⋮⋮の?﹂ ﹁え、三人でいっぺんにちゅーするの? なにそれすごい⋮⋮でも いいよ、パルミューラのことももう嫌いじゃなくなったしねっ﹂ ﹁あうっ⋮⋮、お主はなぜそうも⋮⋮わ、笑うでないトオルっ!﹂ 654 にこっと天真爛漫に至近距離から微笑まれて、逆にしどろもどろ に照れるパルミューラ。 そんな二人の小顔を抱き寄せて、ひとくちサイズの唇と舌をふた つまとめて堪能する俺。 ﹁んっちゅ、ちゅぱ⋮⋮れろっ、んっぷぁ⋮⋮あはっ! これすご ぉい、あたまトロトロぉ⋮⋮♪﹂ ﹁んむぅ、ちゅぷっ、んちゅぅぅっ⋮⋮っぷは、しかしまさかお主 とこのようなことになるとはのぉ⋮⋮まったくトオルめはいつも予 想を覆してくれおる⋮⋮っぷぁは、ぁんっ!﹂ ぷりんと露出したロリ尻肉、やや骨張った感触のフラミアと比較 的ずっしり柔らかいパルミューラのそれらを片手ずつで掴んで揉み ながら、二本の舌と淫らな口内粘膜ダンスを踊る。 二人の鼻にかかった甘い息が顔をなでていくのも、こそばゆくは あるが気持ちいい⋮⋮と、唇を離れたパルミューラの顔が、しだい に首筋を伝ってもっと下に移動していった。 ﹁くふふ⋮⋮よいか、ひとつ教えておいてやろう。トオルはの、こ こを舌でねぶられるのが好きなのじゃ。こうやって⋮⋮れろろっ﹂ ﹁くぉ、お前っ、いきなり乳首を⋮⋮くっ!﹂ にやっと上目遣いの赤い瞳が笑い、左胸にちっちゃな舌がぺとっ と張り付くと、ナメクジのように銀色の舐めあとを引いてイヤらし く這い回り始めた。 思わず声を漏らした俺の反応に、すぐさまフラミアも琥珀色の目 を輝かせて興味を示す。 ﹁へぇ∼、お兄さん乳首弱いんだ? なんだか女の子みたいだねっ 655 ! じゃああたしはこっち∼っ、ふたりいっぺんにナメナメしたげ るね⋮⋮んっちゅ、れろっれりょろろっ⋮⋮こうかなぁ?﹂ ﹁好きなのは否定しないが女の子呼ばわりは余計だ⋮⋮うっ、うッ く!?﹂ クッションが積み重なるベッドに上体をやや起こして寝転んだ全 裸の俺、その左側にパルミューラが、右側にフラミアが寄り添い、 ふたつの桃色ロリ舌が胸板の突起を楽しげについばむ。 舌の広い部分を押しつけるようにして丁寧にナメ回すパルミュー ラ、尖らせた舌先でピンとはじくように強くいじってくるフラミア。 両乳首を別々に襲う刺激がビリビリしびれる快感電流になって体幹 から脳に駆け上り、また股間めがけてぞわぞわと背筋を下りていっ た。 ﹁あはっ、お兄さんのおチンポさん、もうビンッビンにおっきくボ ッキしちゃってるよぉ? 触ってもないのにすっごぉい、やらしぃ んだぁ∼!﹂ ﹁くふふっ、まったくじゃなぁ、なんとも物欲しげにビクビク脈打 たせおってからに⋮⋮先端からよだれがたぁんと垂れておるぞ?﹂ 二人の言う通り、マイクロビキニロリ魔族コンビとのイヤらしい じゃれ合いによってがちがちにいきり勃った俺のものは、まさに天 を突く勢いだ。 欲情でうっすら潤んだ四つの大きな瞳が、テカテカの亀頭に映り 込むほどに凝視している。 ﹁どうしてほしいのじゃ、んん? しこしこか? わらわがちんぽ シコってやろうかえ?﹂ 左耳をくすぐり囁く、珍しくこっちをリードするように落ち着い 656 た⋮⋮だがその内側に熱く濡れた興奮をこめた声。 ﹁それともぉ、ぺろぺろぉ∼? あたしにい∼っぱい、おしゃぶり されちゃいたいかなぁ?﹂ 右の耳たぶをれろれろ舐めながら、無邪気に鈴を転がすような⋮ ⋮しかし妖艶なメスの色をにじませたやや高い声。 ﹁シコシコがいいのか? 手コキでしこしこかぁ?﹂ ﹁ぺろぺろがいいのぉ? おクチでおしゃぶりぃ?﹂ ステレオで両耳から飛び込んでくる高音のささやきロリ声が、脳 をビシビシと溶かし、侵す。 こんなもんガマンのしようがない、できるはずもない。 ﹁くッ、そんなのどっちもヤるに決まってるだろ、発情ロリ魔族ど もっ⋮⋮! まずはW手コキだ、この体勢のまま二人でチンポ掴ん で仲良くシコってくれ﹂ ﹁ほほう、つまり乳首舐めは継続という注文じゃな。くふふ、よっ ぽど気に入ったかこれが? よいぞよいぞ、だらしなくふやけるま でしゃぶり抜いてやるわい、んちゅぅぅぅ⋮⋮っ!﹂ ﹁いいよぉ∼、でも後でおチンポもたくさん舐めさせてね? んじ ゃパルミューラそっち側からね、あたしはこっちから掴んでぇ⋮⋮ あは、熱ぅっ♪ はぁい、しこしこ開始ぃ∼♪﹂ グロく赤黒い肉の柱に、両側から真っ白なちぃちゃいおててがペ タッとはりついたかと思うと、しゅこしゅこニュコニュコと大胆な 手コキ運動を開始した。 左側のパルミューラが、先端から漏れるカウパーを柔らかい手の ひらにぬりぬりして滑りを良くし、より大きなストロークでシコり 657 だすと、右側のフラミアも見よう見まねでそれに倣う。 ﹁かったぁい、あっつぅい⋮⋮それにやっぱおっきいよぉ⋮⋮! お兄さんのこれが、あたしのおなかに入ってたって思うと、不思議 な気分するね?﹂ ﹁それがな、慣れるとお腹どころじゃないぞ。こいつなんか尻にず っぽり⋮⋮﹂ ﹁お、おいやめんかトオルっっ!﹂ ﹁え? え? む∼、よくわかんないけど後でちゃんとショーサイ 聞かせてねっ!﹂ きゃあきゃあ黄色い声をあげながら、フル勃起チンポを楽しそう に両サイドから挟みコき、もちろん乳首も上目遣いで熱心にねろね ろ舐め続けてくるロリ魔貴族ふたり。 宿敵同士だったはずが、まるで昔からの友人か家族のような丸ま りようだ⋮⋮変われば変わるもの、というより、心根では互いを評 価し憎からず思う部分があったのかもしれない。 ﹁えいえいっ、しこしこぉ∼っ⋮⋮んっ、ふぁ! そろそろおチン ポさんもナメナメしたいよぉ、お兄さぁ∼ん?﹂ ﹁こらえ性のないヤツだな。いいぜ、俺もそろそろ頃合いだ、たっ ぷりしゃぶりつけ﹂ ﹁わぁい! んふっ、それじゃあ先っぽいっただっきまぁ∼っす! ⋮⋮ぱくっ!﹂ ﹁ぬ、一番味の濃い箇所をものにしおって⋮⋮まあよい、ではわら わはここじゃ⋮⋮んちゅうっ﹂ あ∼んと八重歯の覗く大口を開けて、薄めの柔唇がにゅっぷり亀 頭にかぶさり、よだれを大量にこぼしながらナメ回す魔性のロリビ ッチフェラが始まった。 658 パルミューラも負けじと、コテンっと横に頭を倒してハーモニカ を鳴らすように血管ビキビキの肉幹めがけ吸い付き、ジュルジュル にゅるにゅると唇でシゴく。 ﹁んちゅ、ちゅぷんっ⋮⋮ねぇねぇパルミューラ、せっかくだし勝 負しようよ? お兄さんをいっぱいキモチよぉぉくさせてたくさん どぴゅどぴゅさせた方が勝ちってことで、どうかな?﹂ ﹁ふん、魔隷になって一朝一夕のお主がわらわに性技で勝てるとで も? よい機会じゃ、格の違いというやつを思い知らせてやるわい。 その勝負乗った⋮⋮じゅぷっ、れろ、んりゅぷぷっ!﹂ ﹁おいおい、人のチンポの上で了解も得ずに勝手なことを言ってく れるなぁ⋮⋮うぉうっ!?﹂ 問答無用とばかりに、ライバル魔貴族コンビの舌技、口技が一気 に激しくなった。 垂れ落ちる髪をしどけない仕草で耳の後ろに戻しつつ、かぽかぽ、 ぶぽぶぽと下品なほどの音を鳴らしてチンポの上半分を派手にピス トン搾りするフラミアのロリ唇マンコ。 パルミューラもよだれまみれの舌をだらしなく口の外にあふれさ せながら、ウラスジを甘噛みしたりフラミアの担当部分からのぞい たカリ首の段差を舌先で強めにほじくったりといった、手慣れたテ クで俺の弱い部分を的確にねぶり攻めてくる。 ﹁くふふっ、お主の弱点はよぉく把握しとるからのぉ⋮⋮ほらほら、 裏側のぷくっと膨らんだココを舌で強く押すようにシゴかれるのが よいのであろ? ⋮⋮んりゅっ、れろりゅ、れろぉ!﹂ ﹁えっなにソレずっるーい! いいもん、あたしだってお兄さんが どこがイイかくらい反応見てわかるもんっ、先っぽ割れ目のここと かぁ⋮⋮ちゅぷっ、ちゅぷるんっ⋮⋮あはっ、やっぱり♪﹂ 659 好敵手との勝負というシチュエーションでふだんの羞恥心を捨て たパルミューラが、これまでの経験を活かして妖艶なまでのエロ舌 使いを見せるかと思えば、フラミアは持ち前のバトルセンスを応用 した天性のセックス勘で次々と俺の弱点を開拓していく。 しかも、快楽の絨毯爆撃はまだ終わらない。だしぬけに再び胸板 をさわさわと別の快感が襲い、思わず鼻にかかった吐息を漏らして しまう。 ﹁っぷぁ!? え、ぐんぐんっておチンポさんまたおっきくなった ⋮⋮ってパルミューラ、手ぇ伸ばしてお兄さんの乳首手で触ってん じゃん!? ひきょうだー!﹂ ﹁くふふんっ、何を言う。トオルのチンポしか攻めてはならぬとい うルールはないぞ、文句があるならお主も同様にすればよいではな いか⋮⋮うりうり、ほれほれこのようにっ!﹂ ﹁あ、それもそっか。じゃ∼あ、こっち側もつまんでぐりぐりぃ∼ ⋮⋮あはっ、さっきより硬くなった! お兄さんの、男の人のカラ ダって敏感で面白いねぇ⋮⋮もっとしたげるね?﹂ せいいっぱい伸ばしたふたつの手で乳首をコネられながら、魔貴 族様たちの幼いベロ肉と口唇をチンポに捧げて熱烈奉仕されるこの 王様的快感、まさにロリ魔族ハーレム3Pの醍醐味。 互いのキラキラした唾液が俺の先走り汁と混ざり合い、イヤらし い匂いを放つ混合ローションとなってチンポの表面すべてを覆って は、舌や唇、指のすべりがなお加速する快感無限連鎖だ。 ﹁ちゅばっ、ちゅぷるるぅ⋮⋮! や、やるではないかフラミア、 だが負けてはおれんっ⋮⋮ほれ、ここも良いのであろうトオル? タマ袋を揉み揉みじゃ、ほぉ∼れ、ほぉぉれ⋮⋮っ!﹂ ﹁へえ、こんなとこまでキモチいいんだお兄さん? じゃあこっち 側も∼らいっ! かぷってしておクチの中で舐めちゃうね、んっか 660 ぷ⋮⋮にゅろんっ、にゅころろんっ⋮⋮れろろろぉっ!!﹂ ﹁うおッ⋮⋮そんなとこまで熱心にっ、うぅぅぅっっ!?﹂ 急所中の急所、敏感な玉をくにくに優しくマッサージされ、ある いは可愛い口に丸ごと含まれてころころしゃぶり転がされるのは、 弱点を襲われる恐怖と紙一重の激しい快感刺激だ。 腰がじくじくと熱を持ち、もてあそばれる袋の中でどんどん精液 が増産されるイメージが、複合的な攻めにみるみる高ぶる俺の脳内 でミチミチと膨らんでゆく。 ﹁んぷ⋮⋮ちゅぷ、にゅちゅるるっ⋮⋮ふぁ。さあトオルよたっぷ りと、この左タマの中でこってり精液を作るのじゃぞぉ⋮⋮わらわ が勝負に勝ったという証、言い訳しようもないほど大量の生搾りざ ぁめんを、どぴゅどぴゅと恥ずかしげもなく放つがよい⋮⋮っ!﹂ ﹁ちゅぶぷっ、にゅろろっちゅろろろっ⋮⋮ちゅっぽ、っぷぁ! えぇ∼ダメだよお兄さん、勝つのはあたしなんだからね? 右のこ っち側でぎゅんぎゅん作った白ぉいくっさぁいネバネバみるく、パ ルミューラのよりたぁ∼くさん、どぷどぷぅ∼って発射しちゃって ⋮⋮ね?﹂ そんな器用なことができるかと言いたいが、気持ちよすぎてもう 反論する余裕もない。俺にあるのは、まもなく訪れる発射の瞬間を 盛大に、そして欲望のままに迎えたいという純粋な欲求だけだ。 その衝動に従い⋮⋮がしっとふたつの頭、銀髪と紫がかった青髪 にそれぞれ手をかける! ﹁えっ、どしたのお兄さんっ⋮⋮みゅうぁっ!? あ、熱ぅ!?﹂ ﹁な、なんじゃっ⋮⋮うにゅっっ!? こ、これはぁ⋮⋮っ!﹂ 小動物っぽい声をあげて驚く二人のロリ魔貴族。 661 ぷにっとしたほっぺた同士をくっつけるほどに寄せて、その真ん 中にギン勃ち凶悪チンポをサンドしてやったのだ。巨乳組のパイズ リにも劣らぬ柔らかな感触、そして汚れなくも高貴な幼い顔面をま とめて犯しているという背徳の征服感が、バリバリと脳内で火花を あげる。 ﹁うそぉっ、お顔でずりずりっ⋮⋮あはぁ、これすっごいエッチぃ よぉぉ⋮⋮っ! 顔のこっち側ぁ、ぜぇんぶお兄さんのニオイとに ゅるにゅるでいっぱぁい⋮⋮っ!﹂ ﹁くふっ、八冥家クラスの魔貴族ふたりの面体を、人間ごときの肉 棒でこすり付け犯すなどとはっ⋮⋮無礼にもほどがある破廉恥な蹂 躙行為じゃぞ、トオルっ⋮⋮!﹂ とろんと目をハートにする勢いで顔ズリにすぐ適応するフラミア、 口では不満を言いつつも一種の精神的M快楽にうっとりした声音の パルミューラ。 俺は荒い息を吐きながら、両サイドから掴んだ二人の顔にググっ と力をこめ、ごしゅごしゅヌチュヌチュと互い違いに動かして、射 精寸前肉棒のズリ道具にする下品な行為に没頭するのみだ。 ﹁おおっ⋮⋮び、ビクビクと血管がっ、そのさらに奥の管が脈打つ のが伝わってきおるっ⋮⋮イクのかトオルよ、発射するのじゃな? お主のチンポから、わらわたちの肉奉仕で溜まりに溜まった白濁 液をっ⋮⋮ぶ、ぶちまけるのじゃなぁっ!?﹂ ﹁ほんとだぁっ、わかるよ、お兄さんがもう限界なの⋮⋮っ! い いよっイッて♪ ヤらし∼いネバネバみるく、たっぷりプリプリあ たしとパルミューラにまき散らしてぇっ、びゅるびゅるぅ∼って出 してっ、出して♪ ほらほら出して出してだぁ∼し∼てぇ∼っっ♪﹂ はッはッと熱い息が淫語と共に両サイドから吐きかけられ、今に 662 も爆発しそうな亀頭をくすぐり撫でる。俺の射精を今か今かと、目 にハートを浮かべて待ち構える幼魔コンビ。 可愛らしさと淫猥さの同居したその光景に、耐えられる男なんて いるわけない。やわっこい感触のロリほっぺふたつに挟まれた尿道 の中を、みゅちみゅちと白いマグマがせりあがってきた。 ﹁おら顔寄せろっ、発情ロリ魔族どもッ⋮⋮並んだ可愛い顔を俺の ザーメン漬けにしてやる、くうううっっ!!﹂ どぶびゅるるるぅぅっっ、びゅくんっびゅくくんっっ!! どくんっっ、どぷっどぷぷんっっ!! べちゃちゃっにゅちゃぁ ぁ⋮⋮っっ!! ﹁きゃうっ、あっはっ♪ 来た来たぁっ、あっついのいっぱぁいっ、 ほっぺの横ドクドクって通っていってるぅぅっ!! なにこれっ、 すっごぉぉぉ⋮⋮いっ!﹂ ﹁んっっぷぁ!? ふぁあっ、んくぅぅっ⋮⋮! おうおう、出る わ出るわ⋮⋮っ、びしゃびしゃ降り掛かってきおるっ、んっぷぁぁ ぁっ!!﹂ きゃっきゃとはしゃぐ顔をぐしぐしとオナホみたいに動かして、 盛大に射精中の肉棒ポンプを勢いよくしごきあげ、後から後からド ロドロザーメンを吐き出し続ける快感といったらない。 勢いよく噴き上がった粘液の塊が、重力に引かれて二人の発情顔 に、二色の華やかな長髪に、そしてマイクロビキニに彩られたぺた んこボディに、どぷどぷべちゃべちゃと我が物顔に降り掛かっては、 好き放題に俺のにおいをデコレーションしていく。 ﹁あぁんっ、ぷぁっはぁっ⋮⋮! 顔じゅうがお兄さんの濃ゆ∼い ニオイでいっぱい、だぁ⋮⋮っ! でもでも、これって勝負はどう 663 なったのぉ?﹂ ﹁む、それもそうじゃな。まあ、こうもたっぷりとひり出しおった のは、わらわの性技がたまらなかったからに違いあるまいがのぉ⋮ ⋮んふっ、髪までネトネトじゃぞ、しょうのないヤツめ﹂ ﹁えーっ、そんなのナットクできなーい! ぜったいあたしの方が いっぱい出させたもんっ、ねっねっ、そうだよねお兄さんっ?﹂ 射精直後の虚脱状態でそんな無体なことを言われても困る⋮⋮。 ロリ魔貴族たちの不毛な言い争いはそのうち、チンポの中に残っ た余りザーメンを吸い取りあう争いに発展するまで続いた̶̶。 664 43話:少女たちの語らいと、お漏らしと ﹁はぁぁっ⋮⋮はッ!!﹂ 振り抜かれた煌剣アルカンシェルの生み出す風圧が、数m離れた 壁の蝋燭灯りを数本まとめて吹き消した。一拍遅れて、勢いになび 姫騎士 ⋮⋮その実力はどれ いた美しい黒髪が、ふんわりと重力に従って落ちかかる。 上位魔族を撃退したという人間の ほどのものかと遠巻きに見守っていたダークエルフ戦士たちも、感 嘆の声を口々にもらす。 ここは地下集落の一角、テニスコートほどの広さを持つ洞窟内鍛 錬場。キリカの周囲には、両断されたり大穴を穿たれたりした大き な石材や岩塊が、所狭しと転がっている。 ﹁相変わらずやるねぇ。じゃあ、こいつはどう⋮⋮だいッ!﹂ ﹁えっ⋮⋮あ、アメリア!?﹂ 出し抜けに背後から襲った殺気に反応し、振り向きざま反射的な 防御行動をとるキリカ。 鞭状に変形した連鎖刃ビュートブレイドによる一撃を、アルカン シェルによって打ち払おうとするも、鋼線で連結されたカミソリめ いた刃片は刀身にギリギリと絡み付いて離れない。 ﹁おいおい、そいつは隙だぜっ! てりゃああッ!!﹂ 健康的に日焼けした胸を揺らし、アメリアがグイッと両手で鞭状 剣を引っ張る。 単純な腕力では大きく劣るキリカは思わずたたらを踏んでよろけ、 665 ハッと視線を起こした時には、猛然とダッシュで接近した赤毛の女 戦士が繰り出す強烈なキックがもう目の前だ。 ﹁くっ⋮⋮なめない、でっ!﹂ ﹁おおっ、おわっ!?﹂ だが、キリカも伊達に修羅場をくぐっていない。煌剣の柄から両 手を離し、姫騎士装束の下腕部を覆う丸みを帯びた銀の手甲で、ア メリアの蹴り足を挟み込むようにしてブロック。 そのまま突進の勢いを利用して重心を崩し、片足立ちになった女 戦士を回転させるように投げ飛ばす⋮⋮が、アメリアは常人離れし た平衡感覚と判断力で空中にいながらにして姿勢制御に成功すると、 回転ベクトルを反対側の足に移して飛び回し蹴りを放った。 ﹁くぅぅっ⋮⋮っきゃ!?﹂ ﹁っと、悪ぃ! 思わず思いっきり蹴っちまった、大丈夫か!?﹂ とっさに腕を立てて手甲部分でガードするも、勢いを殺しきれず 吹き飛び尻餅をつく姫騎士。 はっと我に返ったアメリアが、豊かな赤毛を申し訳なさそうにか きながら手を差し伸べる。その心配そうな顔を見上げるキリカの表 情が、くすっ、と微笑みに変わった。 サークル・エアリアル ﹁さすがね、アメリア⋮⋮天翔輝円に頼れない状況だと、地上戦の 組み立てはまだまだ精進しないといけないみたいだわ﹂ ﹁へへっ、お前こそ大したもんだよ。このあたしが、寸止めする余 裕ぜんぜんなかったからな﹂ おおーっ⋮⋮と観衆から、思いがけず披露された高レベルな演武 への拍手が巻き起こった。照れてぺこぺこ頭を下げるキリカ、いぇ 666 い! とガッツポーズでピースするアメリア。 そのまま二人は談笑を交わしつつ、鍛錬場の隣に用意された小型 の湯殿︵さすがに規模は小さいが、地上部分の露天風呂と同じ湯が 引かれている︶へと場を移したのである。 ﹁ふう⋮⋮おかげでいい訓練になったわ、ありがとう、アメリア﹂ ﹁なぁに、あたしもちょうど体を動かしたかったからね。容赦なく 斬り掛かっても大丈夫なヤツって、今は他にいないしな﹂ 直径3mほどの円形風呂の中で、豊かな胸を濃緑色の湯に浮かせ ながら汗を流す二人。 ﹁そうね⋮⋮ナナはあの状態だし、それにセレスタも今は⋮⋮﹂ ﹁ああ、まだ目が覚めないんだよな? 命に別状はないみたいだけ ど、ちょっと心配だぜ﹂ クルスが去った後、露天風呂に置き去り状態だったセレスタ︵大 事件が矢継ぎ早に続いたせいで、可哀想なことに半ば忘れられてい た︶にはひとつの異変が発生していた。 もちろん、放置されて風邪を引いたとかではない。トオルの指示 で彼女の回収と手当てに向かったダークエルフ女官たちによると、 クルスの退場と時を同じくして熱にうかされたように苦しみ出し、 気を失ったのだという。 ﹃たぶん、時限式の記憶消去魔法です。それも非人道性から公には 使用を禁じられている、魔界魔法に近い禁呪の一種ですね⋮⋮おそ らくセレスタさんがあのクルスと合流しないまま一定時間経つと、 発動するように設定されてたんだと思います﹄ それがニーナの見立てだった。クルスに関するいくつかの記憶、 667 そしてあの地球産兵器を満載した 小人の荷袋 がその消去対象だろうことは明白だ。 のコマンドワード そして心身にかかった負担により、眠りについたセレスタは今し ばらく目覚めない様子。 天啓の塔 ほどではないが、大森林一 ⋮⋮なおシスティナ姫は今、ディアーネがいた集落最奥部の神殿 に籠っている。そこはあの 帯の魔力が集まるパワースポットだ。予言の神託を受けるにはうっ てつけの場所だろうという判断である̶̶セレスタが目を覚ませば、 あらためて彼女の誤解をとくのも姫の役目だろう。 ﹁まったく、フラミアを爆弾みたいに使ったことといい、ひでえこ としやがるぜあの銀仮面野郎⋮⋮っと、そういや昔の知り合いかも しれなかったんだな、悪い﹂ ﹁ううん⋮⋮もしあいつがあの来栖くんでも、ああまではっきりと 敵対的な立場を表明された以上、敵同士として戦うしかないわ。そ れが、私と小田森くんの結論よ﹂ そうは言っても、キリカの揺れる瞳にはわずかな躊躇いが見てと れた。 真っ向から策略にかけられ、命を狙われてもなお、元クラスメー トを全力で叩き潰すことをためらう。それがキリカという女の子だ。 トオルと最初に対峙した時がそうだったように。 そんな姫騎士の優しさにアメリアは好感を持ったが、口には出さ ない。 ﹁ま、あいつがイヴリースに弱みを握られて従ってるって可能性も あるしな。それに、言うなりゃ最初はキリカだってマスターとあた しらの敵だったけど今はこんなだろ? 出会いはアレでも、殺し合 うだけが結末って悲観したもんでもないさ﹂ ﹁それは確かに⋮⋮ふふっ、考えてみればおかしなものね。正義の 668 姫騎士が、すっかり魔隷術師の⋮⋮あいつの側近みたいな扱いなん だもん﹂ 苦笑いしつつ、話がトオルのことに及んだのを切っ掛けに、キリ カの表情が別の色に曇る。 さっきまでの心配や不安ではなく、当惑と不満、戸惑いを思い出 したような複雑な表情だ。 ﹁まったく、それにしてもあいつと来たら、また飽きもせずに女の 子を部屋に連れ込んで⋮⋮しかもあの小さな二人をとか、やっぱり ロリコンなんじゃないかしら⋮⋮ぶつぶつ﹂ ﹁⋮⋮キリカ? お∼い、キリカさん?﹂ ブツブツ、ぶくぶくと顔を半分湯につけながら、ふてくされた顔 で独り言モードの姫騎士。 どこまで自覚しているのか分からないが、しばらくトオルに抱か れていないらしいキリカの身を欲求不満が苛み、心にまで影響して いるのはアメリアたちから見ても明確だった。 というか、傍目にはどう見てもヤキモチ焼きの顔、男に放ってお かれた女の顔である。 ︵あ∼あ、こりゃ思ったより心も体も重症だ。さっきの長い自己鍛 錬も、きっと気を紛らわせるためだよなぁ。そういやあたしも冒険 者暮らしの頃、長旅でなかなかオナニーできなくて似たような発散 を⋮⋮って、な、なに余計なこと思い出してんだあたしっ!︶ 思わず赤面し、慌ててキリカに気取られないよう赤面顔に湯をか けてごまかすアメリア。 仲間として友人として、今すべきことを少し考えてから、あらた めて口を開く。 669 ﹁なあ。いっそマスターにお願いしないのか? 体がうずうずする から抱いてくれ、ってさ﹂ ﹁なっ、えええっ!? だっ⋮⋮いや、なんでそんなことになるの よっ!? 私はそんなの望んでないし、ただ姫様の手前もあるから 少しはああいうことを自重して欲しいってだけで⋮⋮﹂ どう見ても違うのはバレバレだ、とは思っても言わないのが武士 の、いや女戦士の情け。 代わりにアメリアは、一段階顔を険しくしてグイッと距離を詰め た。 広いとはいえ湯船の中、お湯が滴る赤毛とグラマーな肢体に急に 迫られて、元クラス委員はハッと反射的に身を硬くする。 ﹁なあキリカ。これは前からちょっと思ってたんだけど今言うぜ⋮ ⋮お前さ、そろそろシスティナ姫を言い訳に使うのはやめた方がい い。そりゃ、卑怯だろ﹂ ﹁い、言い訳? 私が姫様を? それに⋮⋮卑怯、ってどういう意 味よ﹂ ﹁いいか? お前はどう思ってんのか知らないが、姫騎士キリカは マスターの、最上級の⋮⋮いやきっと一番のお気に入りだよ。それ はあたしもニーナたちも、たぶん姫サマだって感じてる﹂ ﹁そっ、それは⋮⋮っ﹂ 身に覚えがない、とはさすがに言い切れないキリカ。アメリアは 軽くため息をつき、続ける。 ﹁お前が今の境遇を、マスターに抱かれることを本気で嫌がってる なら、そりゃせめて好きに振る舞えばいいさ、何を言ってもいいさ。 あたしもそれなら文句はない。でも、そうとは言い切れないってん 670 なら⋮⋮﹃自分じゃなくて姫サマが嫌だろうから、マスターが他の 女の子とするのは嫌だ﹄って言い訳は、自分自身すら騙せないその 言葉は。⋮⋮何か違うんじゃないか?﹂ ﹁あ⋮⋮﹂ 心の奥の深い部分を突かれ、絶句する黒髪の姫騎士。 ひと呼吸置いて、女戦士はさらに言葉を繋ぐ。 ﹁第一、それこそ勝手な言い訳に使われた姫サマがどう思うよ? それも姫サマ自身はそんなことは口に出してないってのにだ。⋮⋮ あの姫サマは、マスターに本気で恋してるってのにな﹂ ﹁っっ!! わ、わたし⋮⋮は⋮⋮っ!﹂ 主君であり友人である相手を、無自覚とはいえ心をごまかす言い 訳に使っていたこと。 元々はトオルが悪いとはいえ、自分の中の問題までも彼のせいに し、口に出していたこと。 キリカの自己嫌悪と、整理できない感情が涙になって、ぼろぼろ と湯船にこぼれた。自覚がなかった部分と、薄々自覚していたけど 認めたくなかった部分が心に突き刺さって、あふれる。 それを見て、アメリアは慌てて表情を和らげ、その頭をぽんぽん と撫でた。 ﹁⋮⋮すまねぇ、しんどい時に勝手なこと言っちまって。でも、上 手く言えないけどさ、あんまりドロドロモヤモヤを溜め込んでると そうやって自分でも気付かないうちにヘンな方に考えちまうし、そ んなのはキリカにゃ似合わねぇと思ってさ﹂ ﹁アメリア⋮⋮﹂ へへっ、と照れつつ頬をかく女戦士。日焼けした双乳が、誇らし 671 げにぷるんと揺れる。 それ以前 を共有してる唯一 ﹁それに、この広い世界に生まれ変わってから出会ったあたしらと 違って、キリカはマスターにとって の相手だ。だからこそマスターも、キリカのことは特別に⋮⋮大切 に思ってるんだと思うしな﹂ ﹁あたしが⋮⋮小田森くんに大切に、思われてる⋮⋮?﹂ 湯船に半球状の谷間をつくる胸にそっと手をやって、繰り返すよ うに自問する姫騎士。 思い当たる節は確かにあった。戦いの危機の中、あるいは行為の 中で度々。それは戦力としての価値や、歪んだ独占欲の発露に過ぎ ないと、腹立ち紛れに受け取るばかりだったが⋮⋮。 特別扱い かもな﹂ ﹁少なくとも、あたしはそう思うぜ。そーやってわざわざお預けし てんのも一種の ﹁と、特別扱い? そ、そんなこと言われても⋮⋮﹂ ﹁はは、まあ困るよな。でもたぶん、不器用なのはキリカもマスタ ーもいい勝負だよ。気になった相手ほど意地悪したくなるってヤツ だ、男の子ってしょうがねぇよな、まったく﹂ けらけらと笑う赤毛の姐さん戦士につられ、ふふっ⋮⋮とキリカ も泣き笑いに変わった。 しばし、湯殿に二人の明るい笑い声が響き渡る。 ﹁だから、ま。長々とヘンなこと言っちゃったけどさ、その辺をも う一度整理し直した方が心も体も⋮⋮ちっとはラクになれるんじゃ ないかっていう、おねーさんからの忠告だ。もちろん、お前がやっ ぱりマスターが嫌いって結論に戻るならそれはそれで自由だしな。 話は、そんだけ﹂ 672 ﹁あ⋮⋮うん、そうね⋮⋮ふふっ、ありがとう、アメリア﹂ いいってことよ、ときっぷのいい笑顔でサムズアップの女戦士。 キリカもここしばらくのモヤモヤがひとつ、ストンと楽になった ことに気付き、見違えて明るくなった笑顔で心からの礼を言った。 ﹁あっ、もひとつ! どうしても体がモヤモヤで苦しいなら、あた しがひと肌脱ぐぜ?﹂ 男役 っぽいし、女の子相手とかも ﹁え⋮⋮? アメリアが、って⋮⋮?﹂ ﹁だからほら。見てのとおり 興味がないでもないし?﹂ ﹁っ⋮⋮!? そっ、それは遠慮しときますっ!! ⋮⋮さ、先上 がるねっ!﹂ にやにやしつつ中指と薬指をまとめてクイクイっと動かしてみせ る野性的な美貌。その意味に気付いたキリカはボボッと顔から蒸気 を噴いて、慌てて湯殿から立ち去っていった。 ﹁あらら、冗談なのになぁ⋮⋮勝手にそんなことしたら、マスター に怒られちゃうじゃん。あと、あたしはどっちかっていうとされた い側だしな﹂ 女戦士は笑いながら岩風呂の天井を見上げ、大輪の花のように広 がった赤毛をかきあげる。 ﹁はあ∼、それにしても⋮⋮あたしもお人好しだよなホント。元々 勝ち目がなさそうだってのにさ、塩まで送りまくりじゃんよぉ⋮⋮﹂ ※ ※ ※ 673 ﹁はっ⋮⋮は⋮⋮ッ、はっくしょんっっ!! ⋮⋮ふぁーっくしょ んッ!!﹂ ﹁お兄さんだいじょーぶ? カゼ?﹂ ﹁ああ問題ない、これはきっと誰かが俺のことをウワサしてるんだ な﹂ ﹁何を非魔術的なことを⋮⋮単に腰布一丁でここまで来るからいか んのではないか?﹂ さて、フラミアとパルミューラの顔ズリで盛大に気持ちよく発射 した俺は、くりぬかれた大木のウロに造られたあの露天風呂へと二 人を連れて来ていた。 確かに、風呂とはいえ裸にタオル一枚で移動したのは早計だった かもしれん。なおセレスタ戦の被害で壊れた柵は、仕事の速いダー クエルフたちの手でもうすっかり元通りに直されている。 ﹁まあそれはそうと⋮⋮今度はここでどういう余興のつもりじゃ、 トオルよ﹂ ﹁ん? だって勝負したいんだろ、お前らは。なら、ひとつ仕切り 直してやろうと思ってな﹂ ﹁今度こそちゃあんと勝つよぉ、パルミューラ! で、なんの勝負 すればいいのお兄さん?﹂ 濡れた石床の上、さっきのマイクロビキニ姿でぺたんこの胸をそ らすパルミューラと、コウモリ状の羽根をぱたぱたさせて低空飛行 のフラミア。 両サイドのロリ魔族二人のぷっくりしたおなかにそれぞれ手を当 て、俺はある術式を脳内で詠唱した⋮⋮と、変化はみるみる表れる。 674 ﹁あっ、あれっ⋮⋮!? えっ、なにこれなにこれっ、お腹が⋮⋮ へ、ヘンな感じするよぉ!?﹂ ﹁ぬっ⋮⋮う、ぅあ!? なんじゃ、この体内でせりあがるような 未知の感覚はっ、トオルお主なにをしおったぁ!?﹂ ﹁おお、二人ともさっそく効いてきたみたいだな。なーに心配する な、そりゃ人間なら誰でも毎日感じてる当たり前の感覚だよ﹂ 形のいい眉をしかめ、あるいは困惑顔で身をよじる二人に、俺は にやりと笑って告げた。 ﹁そいつは、尿意ってヤツだ。お前たちの体に隷属術式で命令を出 して、一時的に体内の不純物を魔力じゃない形で排泄するようにし たのさ﹂ ﹁えっ、ええっ⋮⋮!? にょう⋮⋮い?﹂ ﹁な⋮⋮! ななッ、なにを考えとるんじゃおぬしぃぃぃッッ!! ?﹂ この世界において万物万象の最小単位を構成するエネルギー、そ れが魔力だ。 魔法を始めとするスキルはそれらに指向性を与え、あるいは再構 成することで、通常では起こりえない事象をその場に生み出したり、 発生する影響を何倍にも大きく変えたりできる。 そして魔族は、その生態そのものが魔力に直結し、依存している 種族。ゆえに人間などとは比較にならない魔術適性を持ち、活動用 のエネルギーも直接魔力を体に取り込み、循環させることでまかな う⋮⋮普通の食事を摂ることもできるが、その場合でも動物のよう な排泄はしない。 ﹁だが今のお前たちは、人間のように水分と一緒に不純物を出すこ としかできない。しかもその様子だと、今にも出したくてたまらな 675 いみたいだなぁ?﹂ 心なしか膨らんだ白いおなかをさわさわと撫でてやると、﹁はう っ﹂とか﹁ひゃうっ﹂とか、余裕なさげな情けない声が両サイドか ら響いた。 ﹁というわけで、おしっこガマン勝負の始まり始まりってわけだ。 先にぶちまけた方が負けだぞ、さあ頑張れ頑張れっ﹂ ﹁きっ貴様ぁ、そんな下らぬことのためにこの湯場にわざわざ連れ てっ⋮⋮くぉぅぅう!?﹂ ﹁ふにゃ、ひうぅっ⋮⋮!? お、おしりの近くに力入れとかない とこれぇっ、すぐなんか外に漏れちゃいそうだよぉぉ⋮⋮っ!﹂ エロい白マイクロビキニ姿のまま、苦しげに体を折るロリ魔貴族 たち。初めて味わう感覚だけにどうやってガマンしていいかもろく に理解できず、ただ尿意に翻弄されるがままのようだ。 ﹁お、覚えておれよトオルっ、このような屈辱っ⋮⋮はぉぉおっ! ? んにゃぅっ、はっ腹を触るなぁっ、しかも押すなぁぁあ!?﹂ ﹁おっと、平等にやらないとフェアじゃないよな。フラミアの方も こうやってナデナデだ﹂ ﹁んひゃんっっ、ふひっ!? お兄さんちょッ、ちょっと待っ⋮⋮ ぁぁぁああぅぅッッ!?﹂ 二人の背中側に回った俺は、首の後ろから一本ずつ回して下ろし た手を使って、おなかをぎゅぎゅっと押したり撫でたり⋮⋮断続的 なガマン殺しの刺激を送り込んでやる。 隷属術式の力で、ややガニ股気味のつま先立ちで下半身を前に突 き出させるロリビッチめいたポーズを強制させ、暴れないように手 は頭の後ろでそれぞれ組ませて固定する。 676 ﹁はふっ、ふぅーっ! んふぅーっ⋮⋮んおおぉっ、は⋮⋮恥をか かされてなどなるものかぁぁ⋮⋮っ! ぜ、絶対に耐えっ⋮⋮んひ っ、はふぉぉぉっ!?﹂ ふんす、ふんぬっ、と可愛らしく荒げた鼻息を断続的に放って、 脂汗を浮かべながら荒れ狂う未知の嵐に耐えようとするパルミュー ラ。 ﹁ふぇ、あふぁ、んふぇぇえっ⋮⋮! がまんっ、しなきゃっ⋮⋮ あたし強いもんっ、これくらいがまんできるもんっ⋮⋮っ!!﹂ 八重歯のこぼれた唇をとろぉんとだらしなく歪ませ、よだれと涙 をつつっと垂らしながら、今にもこみ上げてくる衝動に身を任せて しまいそうなフラミア。 ﹁ぱ、パルミューラってば顔色ワルいよぉ? どーせあたしには勝 てないんだしっ、早いとこ諦めてしーしーしちゃった方がっ、イイ んじゃないかなぁ、って!?﹂ ﹁な、何を言うかぁ、わらわ全然よゆーじゃぁ⋮⋮っ! お主こそ っ、さっさと漏らして楽になってしまうがよい、ぞぉぉ⋮⋮ッ! っふぅぅーっ!?﹂ 互いに必死になるのも当然だろう、ここで尿をぶちまけてしまっ ては、その恥の極地ともいうべき姿を俺だけでなく長年のライバル にも晒してしまうのだから。 それだけは絶対に避けたい敗北の姿に違いない⋮⋮だが、けなげ な頑張りもここまでだ。 ﹁が、ガマンしなきゃっ、がまんっがまんん⋮⋮っひぎっっ!? 677 ふぁ、ふゅあぁ!? お、お兄さんゆびっ、指ぃぃっっ!? んっ んにゃぁぁっっ!?﹂ ﹁ん∼? なんだフラミア、指をオマンコに入れたくらいでどうし た?﹂ ﹁ほぉぉお!? んぁあッ、んぉぉおっっ!? と、トオルきさま っ、こっちにも指をっ⋮⋮し、しかも尻ぃぃっっ、しっ尻穴に入れ っ⋮⋮ぉおお!?﹂ ﹁あー聞こえんなぁ? 言いたい事あったらちゃんとしゃべれ、じ ゃなきゃもっと止まらんぞ、ほらほらおらおらぁっ!!﹂ はしたないポーズで突き出させたぷりぷりのマン肉とキツキツの ケツ穴肉にそれぞれ指二本を食い込ませ、トロトロに熱くなった幼 肉壁をグニグニと激しく容赦なくほぐしまくる。 手ごと左右にブルブル揺らして振動を体内に叩き込んでやると、 元々ギリギリ付近を漂っていた初尿意の堤防はあっという間に決壊 に向かって転げ落ちていく。 ﹁やじゃっ、イヤじゃぁぁあ!? ほ、放尿させられるぅぅぅっっ ⋮⋮わらわムリヤリっ、ケツをいじられながら小水をぶちまけさせ られてしまうぅぅぅっっ!? んぉぉぉぉおっっ!!?﹂ ﹁でッ出ちゃう出ちゃうぅっ、おしっこ漏れちゃうよぉぉ!? み っ見ないでパルミューラぁっ、見ないでお兄さぁぁんっ!! あっ あぁあ∼∼∼∼∼∼ッッ、もっもうダメぇぇぇぇ!?﹂ びくびくガクガクッと発作のように痙攣した汗まみれの幼い肢体 が、銀と青紫の髪を振り乱し、恥辱の赤に染まった涙目顔で泣きわ めく。 少しかわいそうだが、これは一種の荒療治。心を鬼にして、そし てチンポを硬くして、俺は一気にスパートをかける。 678 ﹁そうだ、今のお前たちは俺と契約の魔紋でつながった姉妹みたい なもんだ。お互いの恥ずかしい所を晒し合って、しっかりわだかま りを捨てとけよ⋮⋮っと! そらっ、トドメだっ!!﹂ 二人の額に浮かんだ契約の魔紋が、ぼぉっと同じ色の光を放った。 魔隷同士の感覚同調を使って、パルミューラのツノとフラミアの コウモリ羽根の根元、ふたつの性感帯をリンクさせたのだ。そして すかさず、下で暴れるツノの方めがけて⋮⋮噛み付く! ﹁⋮⋮んひっ!? ひぁ、ひゃッひあっ、あっああっ⋮⋮んぁぁや ぁぁぁぁあぁぁああっ!!?﹂ ﹁え⋮⋮っ!? あっんぁッッ⋮⋮んあぁぁあ¨あ¨あ¨あ¨あ¨ ぁぁぁぁ∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ そして股間に回した手の内側から、ぷしゃっ⋮⋮と同時に、熱い ほとばしりが弾け̶̶。 ﹁﹁んやっ、ああぁぁあ∼∼∼っっ!!? お、おしっこ出ぇぇる ぅぅぅ∼∼∼∼ッッ!!﹂﹂ ぱしゃしゃっ、ぷしゃぁぁぁぁっっ⋮⋮! じょろろっ、じょろ ろろっっ⋮⋮ぴしゃびしゃっ! 恥ずかしい放尿音と共に、露天の石畳に幼魔ふたりの初お漏らし が盛大にぶちまけられた。 耳を真っ赤にしたパルミューラは両の手で顔を覆ってイヤイヤし ながら、フラミアは気持ち良さそうにトロけ惚けたのぼせ顔でよだ れを垂らしつつ、羞恥と解放のひと時に身を委ねている。 つま先立ちのままガクガク揺れる四本の細い足、その周辺から恥 ずかしい湯気が立ちのぼって温泉のそれと入り交じっていく。 679 ﹁あぁぁうぅぅっ、だ、出してしもうたぁぁ⋮⋮み、見られたぁぁ っ、尿を⋮⋮し、しっこを情けなく、人間の眼前でぇぇ⋮⋮! ぶ、 ぶちまけ漏らしてしもうたぁぁ⋮⋮っ!﹂ ﹁ああそうだな、見事な立ちションっぷりだったぞ、魔貴族様? くくっ、そのうちケツいじられると連動お漏らしガマンできなくな るもっと情けない体にしつけてやろうか?﹂ ﹁やっ、やぁぁだぁぁ⋮⋮! わ、わらわそのような体になっては、 よ⋮⋮嫁に行けぬぅぅ⋮⋮っ﹂ ちょろちょろと勢いの弱まった流れが自分の太ももを伝う光景を 見せつけながら、赤面するパルミューラのツノをぺろりと舐めあげ てやる。 尻穴からぬぷっと指を抜くや、びくびくと腰が震え、プシャっと 最後に一筋勢いが戻った。 ﹁ふゅ、ふぁぁ⋮⋮! なにこれ、しゅごいぃ⋮⋮おしっこってき もち、いぃ、よぉう⋮⋮!﹂ ﹁フラミアもよく頑張ったな。可愛かったぞ、お前がじょろじょろ って出してる時の顔は﹂ ﹁ふえぇ、そ、そうなのぉ⋮⋮? お、おにーさんが見たいなら、 いつでもあたしおしっこするよぉ⋮⋮! おしっこよくできたねー って、なでなでしてぇ⋮⋮!﹂ ぽわぽわふわふわ、夢見心地のフラミアをよしよししてやると、 ふにゃんっと相好を崩して飼い猫みたいに俺の胸板に頭をこすりつ けてきた。 パルミューラもだが、こいつら放尿と同時に軽くイッたみたいだ な。 680 ﹁勝負は引き分けってとこかな。すっきりした所で、今度は俺がそ うさせてもらう番だ。いよいよコイツをお前らのちっちゃい穴にブ チ込んでやるからなぁ、合法ロリども⋮⋮覚悟しろよ?﹂ ﹁ふぁ⋮⋮っ!?﹂ ﹁あ、ああっ⋮⋮!﹂ 脱力して背後の俺にもたれかかるWロリボディの真ん中から、バ キバキに硬さを取り戻した凶器のようなチンポをせり出し、ビンビ ンと上下に脈打たせて見せつける。 幼魔二人が息を呑んでそれに見入る仕草は、顔を覗き込まなくて もすぐにわかった̶̶。 ※ ※ ※ ﹁あたしが、小田森くんに大切に思われてる⋮⋮? 特別扱い、さ れてる⋮⋮?﹂ にわかには信じがたい、だが言われてみると否定もできないその 概念を、集落の通路を歩きながら小声で繰り返すキリカ。 いきなり襲われ、隷属されて、処女を奪われ、それからことある ごとにエッチなことを繰り返し繰り返し⋮⋮本来なら、そんなこと を言われても何をバカなと言いたい状況ではあった。 でもグルーム戦をはじめ、ここぞという場面でトオルがキリカを 救い、精いっぱい命をかけてくれたこともまた事実で。 だからこそキリカの心は、アメリアに指摘されたその事実に揺れ 動いた。いや、これまで自分が揺れ動いていたことを自覚してしま ったこと自体が、さらに心の天秤の揺れ幅を大きくした。 681 ︵あいつの一番の特別扱いは、てっきりシスティナ姫さまの方だっ て思ってた⋮⋮というか、今でもそう思ってるけど⋮⋮︶ 文字通りファンタジーのお姫様、完全無欠の美少女で、男なら好 きになって当然の相手。しかも隷属魔術に関係なく、彼のことを好 いているのだ。そりゃトオルも嬉しいだろう。 だから、せめて自分は友人として姫さまの幸せを願ってやるべき だと思っていた⋮⋮のに。 ︵⋮⋮って、へ、ヘンに意識しちゃうじゃないのよ⋮⋮っ!? お、 おかしいわ! 絶対おかしい、今のあたしっ!︶ 勝手に心が熱くなる。それにつられて、体も⋮⋮熱を持つ。 ただでさえ焦らしに焦らされた体が。 ひょっとしたら、まずいタイミングで余計にまずいことを聞いて しまったのではないか? ︵あ、ああもうっ! 結局どうやってあいつに接したらいいのよぉ、 これぇ⋮⋮!︶ 赤面した顔を手で隠し、湯上がりの湯気をかすかにたてる黒髪を ぶんぶん振って、人知れず苦悩する姫騎士。 ある意味、さらなるドツボにハマるキリカなのであった。 682 43話:少女たちの語らいと、お漏らしと︵後書き︶ 一気に3P&キリカ焦らし編のラストまでいくつもりが長くなりす ぎたので一旦ここで切るんじゃよ。 683 44話:宴の終わりと、最強の称号︵※イラストあり︶ 露天風呂の浅くなった部分、盛り上がった天然岩に手をついて尻 を高く掲げたポーズをとり、背中越しに俺を振り返るフラミアとパ ルミューラ。 くぱぁっ⋮⋮という音さえ聞こえてきそうな勢いで、惜しげもな く突き出された薄ピンク色の肉穴がそれぞれの指で広げられた。 ﹁見て見てぇ、あたしのおまんこ、めっちゃ濡れちゃってまぁす⋮ ⋮っ♥ お兄さんのおチンポさん、今からここでパクッてしちゃう って考えると頭ぼーってなって、カラダの奥がじんじんじゅくじゅ くするんだよぉぅ⋮⋮!﹂ ﹁わ、わらわは、マンコだけでなくケツまでトオルに徹底的にちょ ⋮⋮調教されて、みっちりしつけられましたっ⋮⋮! 恥ずかしい 格好でケツマンコをガンガンほじくり泣かされる快楽に、高位魔貴 族のくせにドハマリしちゃっておるぅっ、のじゃぁ⋮⋮っ!﹂ 会った当初からすれば信じられないようなセリフを口々に言いな がら、湯気のたつような幼い穴ふたつ̶̶片方は前でもう片方は後 ろ̶̶を見せつけてくるロリ魔族たち。 俺からの、できるだけエロくおねだりできた方に先に挿入してや るという宣言が、二人の欲望とライバル心に火をつけたのだ。 ﹁くくっ、これは迷うなぁ⋮⋮フラミアのちびっ子マンコも美味そ うだが、パルミューラもなかなか素直で可愛いじゃないか、ええ?﹂ ﹁い、言うなぁ⋮⋮! わ、わらわの穴という穴を容赦なくしつけ て、乱暴に蹂躙しつくして⋮⋮取り返しがつかないほど素直にさせ たのは、お主であろうにっ⋮⋮あうぅ﹂ 684 あの高慢なパルミューラが命令のせいではなく自主的に、俺に向 けて尻を突き出し、可愛い肛門を自分から指で開いてアナルセック スをねだっているのだ。 それを思うと背筋のゾクゾクが止まらない。 ﹁も∼ぉ、あたしだって素直だもんっ、可愛いもんっ! ねぇねぇ、 もっとお肉の中まで見てぇ⋮⋮柔らかそうでしょ、アツアツそうで しょ? ぜったいここにお兄さんの硬ぁいのをずぽずぽ∼ってする の、キモチいいよぉ? ほらほらぁ、はやくはやくぅ∼♪﹂ ﹁おお、確かにこれは⋮⋮しかもいきなり凄い濡れ方だな、フラミ アは﹂ ぱくぱくと生きた貝か何かのように、光が透けそうなほど桃白く 薄い霜降りロリマンコがヒクついて男を誘っている。まだセックス 二回目とは思えない、イヤらしすぎる媚態。 まさに天然のロリビッチ、たっぷりしつけてやらねばならないエ ロ生意気なハメ穴だ。 ﹁わ、わらわのケツとて期待に濡れそぼっておるぞぉ⋮⋮っ! ご、 後生じゃトオルよ、はやくその女泣かせな逸物でっ、わらわの恥知 らずなケツ穴をよがり鳴かせてくれぇ⋮⋮っ!﹂ ﹁やだぁ、だぁめぇ∼っ! あたしにずっぽし、ぶっとぉいの入れ て入れてぇ∼っ!﹂ ﹁よし、決まったぞ。してやる順番は⋮⋮こうだ!﹂ ひざの下くらいまでを濡らすお湯の中をじゃぶじゃぶ歩いてフラ ミアに歩み寄り、ほっそりしたお尻をがしっと後ろから掴む。 先に選ばれたと思って喜びの声をあげる魔貴族お嬢様の軽い体を、 だが俺はそのまま両手で抱え上げ⋮⋮隣でがっかりしかけたパルミ 685 ューラの 上 に重ねるように移動させた。 ﹁ぬわわっ、おっ重ぉっ!? な、何をするつもりじゃトオルっ! ?﹂ ﹁お、重くないもん! ってお兄さん、これどういうつもりっ⋮⋮ ふにゃぁぁぁぁぁんっっっ、おっおチンポさん来たぁぁぁっっ!! ?﹂ ぷにぷにの鏡餅のように、足をハの字に開いて上下二段重なった ダブルロリ尻タワー。 間髪入れず、俺はフラミアのトロけミニマンコに焼けた杭みたい になったチンポをずぶずぶと押し込み沈めていく。 ﹁おぉぉ、いい狭さだっ⋮⋮さて、パルミューラが倒れないように 羽根でちょっと体浮かせとけよフラミア。ちゃんと言う事聞かない とこうやってズボズボしてやらないから⋮⋮なッ!﹂ ﹁ひっひゃうぅ、ひぃぃぃう!? おぉっ、おっきぃぃ⋮⋮よぉお !? わ、わかったぁっ! 聞くぅぅ、言うことちゃんと聞くから もっと、もっとぉぉ! もっとずぼずぼぉぉ∼っっ!!﹂ チンポの表面がこすり磨かれるんじゃないかと思うくらいに狭く、 だが大量のどろどろ愛液の分泌で心地よくヌルンヌルンと楽に前後 できるキツ穴めがけ、何度も腰を叩き付ける。 このままずっとほじくっていたい誘惑をグッとこらえ、俺はきっ ちり十ピストン目に勢いよくチンポを抜き去ると、たっぷりヌメつ いた先端をそのまま下方向に移し̶̶! ﹁⋮⋮んおぉおっっ、ぉふぅぅぅうッッ!!? はっ入ってきたぁ ぁっ、わらわのケツにトオルチンポずずんってきたのじゃぁぁぁっ っ!! おぁぁ、あぁっ⋮⋮ひっんぁひぃぃぃッッ!?﹂ 686 すかさずパルミューラの尻マンコに狙いを変え、フラミアに勝る とも劣らない狭さキツさをたっぷりと味わいながら、すっかり性器 に調教された後ろのデレデレ穴をガンガンと掘り進む。 ﹁ふえぇ⋮⋮! ほ、ほんとにお尻におちんちん入っちゃうんだ⋮ ⋮すっごい声出てるよパルミューラってば、お兄さんにお尻ほじほ じされるのって、そ⋮⋮そんなに気持ちいいの⋮⋮?﹂ 初めて見るアナルセックスに、獣のようなあえぎ声をあげて肛虐 に悦ぶライバル魔貴族の姿に、中断されたことの不満も忘れて琥珀 色の目を丸くするフラミア。 俺は再び十ピストンぶん極上の尻穴肉を味わった後、またしても ヌポンっと抜き去ったドロドロチンポを、ひくひく物欲しそうにパ クついていたフラミアのロリマン内へ舞い戻らせた。 ﹁んひっ⋮⋮ひぅぅぅあっあひぃぃんっっ!! またっ、またきた ぁぁぁあぁぁあっっ!!?﹂ ﹁ふみゃ、ふひんっっ!? こ、これはぁぁっっ!? ぬ⋮⋮抜か れたはずではぁぁっ!!?﹂ だが今度あがった嬌声は、単独ではなく二人一緒のハーモニーだ った。 そう、魔隷同士の感覚同調によって、お互いの穴に叩き込まれて いるピストンの快楽を余すところなく共有できるようにしてやった のだ。 ﹁はぐぅぅっ、んひぃぃおぉぉっっ!!? ま、前も後ろもぉっ、 いっ、いっぺんにトオルに貫かれてっ、おるぅぅぅ⋮⋮ッッ!! とっ溶けっ、わらわの穴という穴が溶けるぅぅッッ!?﹂ 687 ﹁こっ、これがお尻ぃぃっ!? お尻をお兄さんにぐりゅぐりゅず ぽずぽってされる感じぃぃぃっっ!! あ、あたしのお尻にも来た ぁぁっ、これすっごいよぉぉうぅっっ!!?﹂ こうすることでパルミューラは自分が挿入されていない時でも前 の穴を貫くチンポを感じられ、フラミアも後ろの穴という未知の快 楽をすでにたっぷり開発されたかのように受け取ることができる。 それぞれが両方の穴を交互に犯されているような極上の刺激、し かもそれによって跳ね上がる快感指数が相手に伝わっては増幅され て戻り、再びまた相手に⋮⋮という無限連鎖の完成だ。 ﹁すッすごひぃっ、しゅごいぃぃっっ♪ おまんこもおしりもすっ ごいよぉぉっ、こんなのされてたとかパルミューラだけズルいんだ ぁぁっ!! あたしにもいっぱいお尻えっちしてぇっっ、前も後ろ もじゅぽじゅぽいっぱいしてぇぇっ、はぅっひゃうぅぅッッッ!! ?﹂ ﹁ず、ずるいのはフラミアじゃぁぁ⋮⋮っ! いっ、今まさにトオ ルの形にされつつある穴の、まだカタい肉穴を拡げられるチンポし つけの快感をぉ、こうして存分に味わえるのじゃからぁぁ!! わ、 わらわもいっぱいトオルチンポでしつけられたいのじゃぁっ、もっ とぉぉっ!!﹂ たまらずパルミューラの足がガクガク震え、またフラミアも必死 に体を浮かそうとする羽根の力が限界を迎えて、もつれあうように 浅いお湯の中へと倒れ込んだ。 もちろんそれで腰を止める俺ではなく、四本まとめて細い足を小 脇に抱え込み、ヒザをついた状態でのガン突きピストン連射でロリ 魔族たちをむせび泣かせる。 ﹁おらおらッ、ちゃんと仲良くしろよお前らっ⋮⋮! こうやって 688 どっちのどの穴もっ、たっぷりみっちりイジめて可愛がってっ、お 揃いの形にしつけてやるから⋮⋮なぁッッ!!﹂ ﹁ひゃうぅぅぅあぐぅぅ∼∼∼っっ、すっスゴすぎるよぉぉうっっ !!? わかったぁぁ、ごっごめんなさいお兄さんっ、ぱっパルミ ューラぁぁっ! あたし仲良くするっするぅぅ!! するからいっ ぱいいっぱいぃっ、一緒に可愛がってぇぇっ!!﹂ 上側に重なったフラミアの真っ白い尻たぶを指が食い込むほど掴 み、簡単に子宮口まで亀頭が届くサイズのロリぷにマンの奥の奥ま で大人チンポを突き込み、打ち込み、えぐり抜く。 かと思えば、パルミューラのだらしなくヒクつく恥アナルを一気 に貫通すると、柔らかくも貪欲に吸い付いてくるおなかの中をガチ ガチになった肉棒でかき回し、誰が主人か分からせる。 ﹁んぉぉ、はぉぉうッッひぎぃぃぃんッッッ!!? わ、わらわと てもはやトオルから離れられぬぅぅっ⋮⋮は、離れられぬカラダに 調教されてしもうたぁぁっ、ケツもツノも体ぜんぶしつけられてし もうたのじゃぁぁっ、人間のメスにされてっしもうたのじゃぁぁあ ⋮⋮っっ!!﹂ ﹁よぉし、ならまとめて俺の嫁になれっ! 心も体も俺に嫁げっ、 従うと言えっ!!﹂ ずんずん、どちゅどちゅと、もはやどっちの、どの穴を貫いてい るのか分からないほどに俺たち三人の下半身は一つに溶け合い、全 員で天上の快楽を共有し貪っているかのようだった。 興奮と高揚でもう何を口にしているかわからない状態とはいえ、 こくこくと必死にうなずき、互いのつるぺたボディをぎゅっと抱き しめ合って悦びの声をハモらせるロリ魔族たち。その両手は、いつ しか恋人つなぎ状態で絡み合っている。 689 ﹁なりゅっ、なるっよぉぉうっ!! お、おにーさんのおよめさん とつ にしてっ、してぇぇっ! まっ毎日えっちするっ、えっちなお嫁さ んにしてぇぇっっ!!﹂ ﹁わ、わらわもっっわらわもぉぉっっ!! と、トオルに嫁ぐっ、 ケツ穴で嫁ぐぅぅっ! しっ尻嫁になるぅっ、末永くほじくり可愛 がってくれぇぇ⋮⋮ッ、んおぉぉぉお!!?﹂ きゅむむっ⋮⋮ぎゅちちっ! と、恥ずかしい嫁宣言と同時にロ リ穴のすべてが締まりを増し、びくびくぶるぶると小刻みに激しく 振動を始めたのがチンポに伝わってくる。 幸福感と快感のあまり二人同時に軽イキし、しかもそれが快楽共 有と連鎖によって終わることのない連続オーガズムへと発展したの だ。 ただでさえ狭い穴が、一気に精液を搾り取る状態へとシフトした のだから、俺もたまらない。 ﹁よぉぉしッ⋮⋮いよいよイクぞっ、ぶち込んでやるぞっ、流し込 んでやるぞお前らの媚びロリ穴にまとめてっ!! くっ⋮⋮うっ、 ぉぉぉお⋮⋮ッッ!!﹂ どくっっ⋮⋮どびゅるるるぅぅぅぅっっっ!! どくくんッッ、 どぐんッッッ!! びゅくるるんっっ、びゅくっっどぴゅぷぷぅぅっ⋮⋮びゅるるる ぅぅぅ!! ﹁んぉぉおっっ、あはぁぁぁあっっ!!? くッ来ぅぅるうぅぅっ っ、しっ尻にドクドク注がれるぅぅぅ!! わっわらわもイクっ、 人間の精液ケツ注入でイカされてしまうぅぅぅっっ!!﹂ ﹁あぁぁあっっ、こっこれ、これぇぇぇっっ!! 頭ふわってなる のっ、いっぱいふわふわになるのこれ来たぁぁぁ!! お兄さんと 690 一緒にっっ、一緒におなかの熱いのでぇぇぇっっっ!!﹂ 腰にたまった熱とガマンを一気に解き放ち、精力増強のエンチャ ントによって大増量された白濁液の奔流を、柔らかな肉穴の奥の奥 めがけ爆発するかのような勢いで炸裂、大噴出! それがフラミアのマンコ奥か、パルミューラの尻奥か、どちらな のかはもう問題じゃない。 はら ﹁んおぉっ⋮⋮んあっ、んおぉぉう!? こっこれはぁぁっ、わら わの胎っ、にもぉっ⋮⋮あ、熱い精汁がっ、たらふくっ⋮⋮なぁっ、 流し込まれておるじゃとぉぉぉっっ!!?﹂ ﹁えっえっウソっ、んぁひっっおっお尻あっつうぅぅ!? うそう そ何これぇっ、お腹にもドクドクってぇっ、ああぁぁっっまっまた ぁ、これっまたイッちゃう∼∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ そう。なぜならこの前完成した新たなエロアーティファクト⋮⋮ 液体を短距離転送する魔法のこめられた別の指輪によって、俺の射 精は二人の子宮口にも腹の中にも、すべて同時に注ぎ込まれている のだ。四つのロリ穴すべてを蹂躙する、スペルマシャワーの同時征 服だ。 思わぬ奇襲総攻撃にたまらず幼い体をくねらせあい、連続イキの 甲高く甘い声を混じらせあってぶるぶる震えながら、それでも貪欲 に俺のチンポから最後の一滴まで搾り取っていく。 ﹁いいぞぉ⋮⋮なかなか素直に仲良くなれたじゃないか、二人とも ⋮⋮ほら、キスしながらお掃除フェラだ﹂ ﹁ふぁ、ふぁぁい⋮⋮っ! ふぁ、ぱるみゅーらぁ⋮⋮これからも いっぱい、なかよくえっち、してねぇ⋮⋮っ! んちゅ、ちゅぷっ ⋮⋮!﹂ ﹁んっ、んみゅぅぅっ⋮⋮!? っぷぁ、ま、まったくこやつとき 691 たら調子の良いことをぉ⋮⋮っ、じゃが、まぁ良いぞっ⋮⋮んふ、 んっちゅ⋮⋮!﹂ ぽぉーっと目をハートにして、ドロドロに汚れたチンポをぺろぺ ろ仲良くお掃除おしゃぶりしつつ、ちゅっちゅと舌をついばみあう ロリ魔貴族たち。 行為を通して、半ば強引ではあるが二人のわだかまりを捨てさせ るというもうひとつの目的︵主目的はもちろんエロそのものだ︶も、 思ったより上手く運んだようだった。 触りごこちのいい銀髪と濃紫の髪を片手ずつで撫でながら、俺は その心温まりつつもエロ可愛い光景に再び、チンポを硬くさせるの だった。 そう⋮⋮この時の俺は、まだ知るよしもなかった。 自分の知らない場所で、俺自身を巻き込んだ大きな陰謀の流れが、 今まさに形作られつつあったことを̶̶。 ※ ※ ※ ﹃勇者の再臨⋮⋮だと? は、それこそ数千年に渡り、数限りなく 繰り返されてきた戯れ言の類いではないか? 八冥家の重鎮ともあ 龍血魔公 ドラゴヴァンプ ヴラドヴェリ、そして 妖狐天仙 ミクラ。 ろうお二方が、今さら振り回されるような風聞とも思えぬが﹄ 居城に突如として推参した、同じ八冥家とはいえ格上にあたる大 魔王 と相討ったという伝説のジョブ。 魔族たちがイヴリースに告げたその名こそ⋮⋮かつて数千年の昔、 魔界の絶対支配者 692 め ﹁ん∼、だったらよかったんだケド。今回はぁ、 ってるのよねェ﹂ ︿バル=ヴァルス奴が、討たれおった﹀ ﹃なに⋮⋮!?﹄ 実 が伴っちゃ 異空間の裂け目から巨大な顔を覗かせ、ただ淡々と、イヴリース 狩猟公 バル=ヴァルス様が!? 末席とはいえ八冥 すらも一瞬絶句する事実のみを口にする不死の竜公。 ︵しゅ⋮⋮ 家の一角が、な、亡くなった⋮⋮勇者に討たれたというのか!?︶ 獅子頭を床にめりこませるほどに伏せた剣魔卿シュトラールもま た、衝撃に震えている。 八冥家の一角が崩れるなどという事態は、それこそイヴリースに よるパルミューラ一族の追い落としを最後にここ数百年、絶えて無 かった大事件だ。 ﹁まぁ、バルバルちゃんごときがくたばったのは別にどうでもイイ んだけどぉ⋮⋮ワタシあいつ嫌いだしねェ。でも、人間に倒された 勇者 を名乗っている⋮⋮と﹄ ってのがモンダイで、しかもそいつがどうやらぁ﹂ ﹃他ならぬ そゆことぉ∼、とキセルをくるくる回しながらにんまり笑う、金 の復活も 魔王 の復活も、どちらもこれ 髪狐耳の大魔族。いまいち緊張感が感じられないたたずまいだが、 勇者 これが彼女の平常運転である。 ﹁なるほど⋮⋮ までは眉唾の伝説に過ぎなかった。しかし勇者が本当に現れたかも 破天の の実在もまた、にわかに真実味を帯びてきたと⋮⋮そういうこ しれない今、魔王の遺産にしてその復活の鍵とも言われる 骸 693 とですか﹂ だしぬけに口を開いたのは、これまでシュトラール同様に無言で 平伏していたクルスだ。 自分と同じく、この巨頭会談の場においては勝手な発言など許さ れないはずの立場の者がそう言い放ったことに、剣魔卿は硬直した ままドッと背に冷や汗をかく⋮⋮三者のうち誰の不興を買っても、 即座に殺されておかしくない。 しかも、骸の欠片をすでに発見し回収したという事実をイヴリー ス陣営は隠しているのだ。 ﹁まァ、そういうコトになるかなぁ。だから、抜き打ちでイヴちゃ んちにお邪魔したってワケ﹂ だが、ミクラはあっさりと軽くクルスの発言を受け入れ、そのま ま流した。八冥家の中でも有数の実力と、もっとも気まぐれでつか み所のない性格という噂は本当らしい。 そもそも、他の八冥家をちゃん付けして許されるのはこの人物く らいのものだ。 と ︿然様。疾く真実を告げるが、身のためよ﹀ 再び、常人なら心臓破裂必至の威圧的魔気を叩き付けてくる龍血 魔公。 だがイヴリースの体が収まった高濃度魔力溶液の球体、その内部 で呼吸に合わせて発生する気泡は、規則正しいペースを保ったまま だ。この挑発にも動じていない証拠である。 ﹃確かに我々は⋮⋮破天の骸、それが実在するものとして、ここ最 近調査を進めている﹄ 694 全て嘘を付くのではなく、真実から告げるあたりが上手い⋮⋮と クルスは内心ほくそ笑んだ。 ﹃そして、その重要な手掛かりを持つ人間の存在を掴んだ。それが ̶̶魔隷術師トオルだ﹄ ﹁ふぅん⋮⋮魔隷術師トオル、ねェ?﹂ ︵こ、ここでその名をお出しになるのか⋮⋮!︶ ﹃そ奴もまた、骸の実在を確信し、探索に動いている。そのために 高い予言スキルを持つランバディア王国の姫をかどわかしたという ⋮⋮ことによると、すでに骸の欠片くらい手にしているやもしれん な。それ以上は、こちらもまだ掴んでいない﹄ ︿̶̶̶̶̶̶̶̶﹀ しばし無言の三大魔貴族。張りつめた緊張感が、シュトラールの 胃をキリキリと苛んだ。 ﹁⋮⋮まァ、いいでしょ。勇者ほどじゃないケド伝説のレアジョブ、 魔隷術師⋮⋮それも復活してるってのがホントなら、いよいよ面白 そうだし? んじゃおジャマしたわねん、イヴちゃん﹂ ︿せいぜい油断せぬことだ̶̶この程度で疑いが晴れたとは貴様も 思うまい﹀ ずずず⋮⋮と、巨竜の姿を持つ大魔貴族が爪をかけていた空間の 裂け目が閉じてゆく。 ミクラもまたキセルと無数の狐尾、そして和服の谷間からこぼれ そうな巨乳をふりふりと揺らしつつ、そこに消えていった。 広間に静寂が戻り、緊張の糸を切らしたシュトラールが、ぶはっ と大きく息を吐いた。 695 ﹃あの様子では、情報撹乱にもすぐ限界が来よう⋮⋮破天の骸の探 索を急げ、クルスよ﹄ ﹁は。もちろん、仰せのままに﹂ 再び、至上命題をおごそかに告げるイヴリース。 これを機に主君が骸への執着を捨ててくれるのでは⋮⋮という儚 い願いも崩れ去り、剣魔卿は口の中で密かにため息をついた。 そして、クルスは。 破天の骸 の一部があるという事実を、主君には ︵やれやれ。嘘から出たまこと⋮⋮という形になりましたか︶ トオルの手に 故意に伝えなかった。 誤情報ならぬ誤情報 だがイヴリースが疑いの矛先をそらすため、まさか八冥家たちに ﹁魔隷術師が骸を持っているのでは﹂という を伝える結果になろうとは。 もしかしたらイヴリースは自分の報告を信用しておらず、あのよ うな形で牽制しているのかもしれない⋮⋮という想像も、クルスの 頭をかすめた。 ︵いずれにせよこうなっては、トオルくんには頑張ってもらうしか 願い ないみたいですね。いよいよ本格的に八冥家たちを相手取るこの状 況⋮⋮うまく立ち回ってみせてくださいよ、このクルスの のためにも⋮⋮!︶ ですか⋮⋮おそらくはまあ、あの時の お仲間 銀の仮面の下で、誰にも見えない炎が静かに、だが確実に燃えさ 勇者 かっていた。 ︵しかし、 なんでしょうね。はてさて、誰が選ばれたやら̶̶︶ 696 ※ ※ ※ 狩猟公 狩り もいつもと同様のルーチンワークじみた展 の二つ名を持つ大魔貴族バル=ヴァルスにとって、そ 時は、しばし遡る。 の十数年ぶりの 開に始まり、そして終わるはずだった。 末席とはいえ八冥家に名を連ねる彼の、数百年変わらぬ純然たる 趣味。それが腹心の魔騎士のみを連れて人間界にみずから赴き、気 ままに狩るという遊戯⋮⋮もちろん、その対象はヒトだ。 上位魔族にしては軽卒とも言える行動だったが、バル=ヴァルス は魔界の権力闘争には我関せずの姿勢を長年貫き、八冥家の中でも 狩り 軽んじられている︵そして自身もそれを認めている︶ことから、結 果的にさしたる問題は発生していなかった。むろん、一度の で最低でも村や町、ひどい時には都市ひとつを滅ぼされる人間側 にとってはたまったものではなかったが。 ﹁貴様⋮⋮本当に人間なのか⋮⋮!?﹂ そのバル=ヴァルス、青い肌を貴族めいたやや悪趣味な礼装に包 んだ人型魔族はいま、目の前に展開する信じがたい光景に目を奪わ れていた。 身長3mにおよぶ腹心の魔貴族が、彼に背を向けたままゆっくり と崩れ落ちてゆく。黒いレザーのような外皮に覆われた巨体は地に 伏し、ぴくりとも動かない。 ﹁って言われても、どっからどー見ても人間じゃん?﹂ 697 倒れた巨体の後ろから現れた人影̶̶魔騎士の体に隠れて具体的 にどうやったのかは見えなかったが、何らかの手段で彼を瞬殺した 人物は、あっけらかんと軽い口調でそう答えた。 およそ戦士の類いとは思えないほど白い肌に、同じく白いブラウ スシャツ、短いスカートというこの世界の基準からすると奇妙な衣 服をまとった年若い少女。シャツは豊満な胸の下でくくり結ばれ、 その巨乳ぶりをより強調している。 ﹁ほざくな。ただの人間が、第四位階に匹敵する我が精鋭魔騎士を 無傷で倒せるわけがない。だとすれば貴様はとんだ食わせ者のバケ モノだ﹂ ただの遊びから真剣な命のやり取りに意識をシフトさせ、バル= ヴァルスは少女の背に負われた武器を油断なく観察する。あれは剣 か? 鞘に入っているということは、居合い抜きの類いで魔騎士を 倒したのだろうか? それとも鞘に何か秘密が? 見たところ魔力 は感じ取れないが⋮⋮。 勇者 ﹁うっわ、バケモノ呼ばわりとかひどくない? マジへこむんだけ ど。ま、ただの人間なんですけど、それはそれとして最近は とか呼ばれちゃってるケドね﹂ 八冥家の大魔貴族が一瞬、驚愕の色を顔に浮かべる。勇者。いま 勇者と言ったのか? ﹁勇者⋮⋮だと!? ハ、貴様のような小娘が? 言うに事欠いて くだらぬ戯れ言を!﹂ 数千年の昔、魔界を圧倒的な力で統率支配した魔王̶̶魔族の誰 698 も触れることすらできぬ別次元の強さを誇った絶対王者を相討ちと はいえ滅ぼしたのは、人の中から出でしそのジョブを持つ者だった のだ。かの存在への畏怖は、魔王に対するそれ同様、魔族たちの心 身に刷り込まれている。 もうひとつの肩書き の方 ﹁うわ、ジョセーサベツだ。ま、ウソかホントかどうかは、今から わかると思うよ? それに、勇者より が、アタシのいた世界じゃ最強なんだからね﹂ ﹁勇者以上の肩書き、だと? それこそわけのわからぬことをッ!﹂ 不思議な構えをとり、眼前の大魔貴族に対して微塵も恐れず、少 女は宣言した。 バル=ヴァルスにとっては⋮⋮いや、この世界の住人にとっては 意味の分からない言葉を。 ギ っ! 悪い魔族は、このアタシ⋮⋮ギャル勇者こと、橘リル たちばな ﹁勇者よりも最強のジョブ、世界さいきょーの肩書き、それは ャル ナが! 残らずぶっ倒すっ!!﹂ 699 44話:宴の終わりと、最強の称号︵※イラストあり︶︵後書き ︶ 8月12日発売の書籍版2巻に使われる、フラミアの立ち絵イラス トを一足先に公開します! 吉沢メガネ先生、相変わらず素敵なデ ザインをありがとうございます。 <i159796|15432> 700 45話:目指すべき都と、俺の動揺︵※イラストあり︶ ﹁⋮⋮ですからもう顔を上げてください、セレスタ。この事態は元 を正せば、わたくしのわがままが招いたようなものなのですし。ね ?﹂ ﹁しかしそれではッ! あろうことか魔族に騙され、知らずとはい え姫さまの身に危険が及ぶ陰謀に加担していたなどと⋮⋮このセレ スタ、自分を許すことなどできそうにありません!﹂ システィナ姫が地下神殿の奥院にこもってから二日目の朝。 あくびまじりでセレスタを寝かせていた部屋を通りがかった俺の 耳に、姫その人の困り声と、切羽詰まったような女騎士の声が聞こ えてきた。 ﹁おっ、気がついたのか、セレスタ﹂ ﹁あら、おはようございますトオル様﹂ ﹁うっ⋮⋮ま、魔隷術師トオルっ!?﹂ 入ってきた俺を見てパッと美貌を輝かせるシスティナ姫と、その 眼前で土下座の姿勢から顔を上げ、なんともいえない複雑な表情で 絶句するセレスタ。 ﹁おはよう姫。その様子だと、思ったより早く予言夢は見られたみ たいですね﹂ ﹁ええ、まだ不明瞭な部分もありますが⋮⋮ナナさんを治す手掛か りは、得られたと思いますわ﹂ ﹁⋮⋮! そうか、そいつはよかった﹂ 701 思わずほっと内心、胸を撫で下ろす。 そして、俺に何か言いたそうに口をぱくぱくさせては目をそらし、 赤面してはまた口を開きかけ⋮⋮と、面白い反応の見本市みたいに なっているポニーテール女騎士の前にしゃがみこむ。 ﹁なあセレスタ。クソ真面目なお前のことだから、どうせ自分を罰 しろだの責任を取るだのなんだのと姫に頼み込んでたんだろ?﹂ ﹁う⋮⋮そ、それは!﹂ ﹁お前が納得できないのはわからんでもないが、疲れる話は少なく とも、もうちょっと後にしてあげてくれ。表には出してないけど、 姫は予言夢を見るための神殿籠もりで疲れてるはずだ﹂ ﹁あ⋮⋮っ!﹂ やっとそれに気付いたといった様子で、注意して見なければわか らないレベルで顔色の悪い姫を見上げ、蒼白になるセレスタ。 まあ、色々なことが一度にありすぎてテンパってただろうから無 理もないが。 ﹁ふふ、お気遣いありがとうございます。トオル様はわたくしのこ とをよく見て下さっているのですね﹂ ﹁これでも女の子の体調管理には気を遣ってるつもりだからね。じ ゃあ姫、まず食事にしましょう。その後で皆に予言夢の内容を話し てもらうってことで﹂ ﹁く⋮⋮ま、待て、魔隷術師トオル!﹂ 立ち上がりかけたその拍子に、セレスタのお腹が可愛く﹁くうぅ﹂ と鳴った。 俺と姫は思わずクスッと吹き出してしまい、彼女の盛大な赤面を 誘う。 702 ﹁わかったわかった、お前のぶんの食事もすぐ持ってこさせる﹂ ﹁あうっ⋮⋮! そ、それはそうと私はっ! お前のことを許した わけではないぞ!? 姫を守ってくれたことには感謝しているが、 キリカのことといいそれとこれとはまた話が別でっ!﹂ ﹁はいはい、その話も後で聞いてやるから。お前だって体力すっか らかんだろ? ムリしないでベッドに入っとけ。ほら、掴まれよ﹂ まだ床にいたセレスタに手を差し出すと⋮⋮ぽかんとした表情で 俺の顔をしばらく見つめた後。 ぶんぶんぷいっと、耳まで赤くなったポニテ頭が左右に振られて 盛大に目をそらされた。 ﹁きっ、騎士にそのような気遣いは無用だ! ひとりで立てるっ!﹂ ﹁そっか、じゃあ好きにしろ﹂ ﹁ではまた後でね、セレスタ。久しぶりにお茶でも一緒しましょう ね﹂ 意地を張るセレスタを残し、姫と共に部屋を出る俺。 その間も背後でかすかに、なにやらブツブツ小声でつぶやいてい たみたいだが、はてさて何を言っているやら̶̶。 ﹁⋮⋮仮面の下でわからなかったが⋮⋮あんな顔をしていたのか⋮ ⋮それに思ったより全然若い⋮⋮もっと、てっきり⋮⋮あ、あんな に手慣れていたし⋮⋮ああううっ、わ、私は何を考えてるんだっ⋮ ⋮!?﹂ ※ ※ ※ 703 ﹁遺跡都市パラヴァータ⋮⋮?﹂ ﹁ええ。その場所にナナさんの姿と、そして ジが共に垣間見えました﹂ 破天の骸 のイメー 巨大な切り株で作られた円卓で、ダークエルフたち︵と料理した がりのアメリア︶の用意してくれた食事に舌鼓を打ちながら、俺た ちは姫から予言夢の内容を聞かされていた。 肉に野菜にキノコ、果物と、豊富な森の幸を駆使した料理の数々 はなかなかに美味だ。 ﹁えっ、あのパラヴァータですか!?﹂ ﹁知ってるのかニーナ?﹂ ﹁知ってるも何もっ、冒険者なら一度は行きたい場所ランキング常 連、古代遺跡山盛りのおっきな街ですよ! 大小数百のダンジョン やら地下神殿やらが今でも新しく発見され続けてて、そのいくつか からは魔王戦争以前の貴重な文献とかアーティファクトも出土して るって話です﹂ ﹁ふむ、魔王戦争の⋮⋮確かに、破天の骸と無縁ではない場所とい うことか﹂ 神妙につぶやくパルミューラ︵口元にくっついた料理の欠片で威 厳は台無しだが︶。 魔王 。 数千年の昔⋮⋮唯一魔界の統一に成功した絶対強者、ただひとり の第一位階魔族こと あらゆる魔族を従えた魔王は人間界にも侵略の手を伸ばし、当時 存在した人類国家の大半がなすすべなく滅ぼされた。高位魔族の軍 勢だけでも脅威だったが、海を割り山脈すら吹き飛ばしたという魔 勇者 ただひとりを除いては。 王の圧倒的戦闘力に抗えるものなど存在しなかったのだ。 そう⋮⋮突如として現れた 704 ﹁で、どんなヤツだったんだ? 人間の身で魔王に立ち向かえたそ の勇者ってのは﹂ ﹁それが、ほぼ記録が残ってないんです。出自も性別も年齢も、戦 い方とかも不明で⋮⋮﹂ 管理者 は、確かこんな事態は数世紀⋮⋮ ﹁じゃあ俺や姫野さんみたく、異世界の人間だった可能性もなくは ないってことか﹂ 俺たちを転生させた 数百年に一度とか言っていた。 だったら数千年前なら十分、転生をきっかけに勇者というレアジ ョブを俺の魔隷術師みたいにもらったという可能性もあり得る。ま あ、その転生元が地球とは限らないが。 ﹁勇者と魔王との戦いは、天を焦がし地形を書き換えながらいつ果 てることなく続いた。他の人間はもちろん魔界第二位階の三大公す ら介入できぬほどの、文字通り次元の違ったものであった⋮⋮らし い。らしいというのは、それを無事に見届けることすら至難であっ たからじゃ﹂ ﹁ふ∼ん、なんだかよくわかんないけどスゴいんだね! ねえねえ システィナぁ、この甘いののおかわりある?﹂ ﹁おっ、もっと欲しいのか? じゃああたしが注いでやるよ﹂ ﹁わーい、ありがとアメリアっ!﹂ そこだけ緊張感の感じられない様子のフラミア周辺。 いつの間にかシスティナ姫とアメリアに妙になついてるようだ。 というか、餌付け? ﹁ですが、最終的に勇者と魔王は相討ち、共にこの世界から存在と 痕跡を永遠に消した⋮⋮ダークエルフやエルフの古伝にはそう伝え られています。魔界でも同様ではないのですか?﹂ 705 ﹁うむ、おおむねそのとおりじゃ。残された三大公や当時の八冥家 は手を尽くし、魔王の痕跡を百年単位で探し回ったが、ついに何ひ とつ得ることは叶わなんだ﹂ 破天の ディアーネの静かな問いに、パルミューラがうなずきつつ答えた。 の欠片ってわけか﹂ ﹁で、今になってそれを覆す遺産が、魔王の遺骸⋮⋮あの 骸 対魔法防御を施した布にくるまれ、部屋奥の棚に置かれた2リッ トルペットボトルほどの大きさを持つ存在に、皆のどこかゾッとし た視線が集まる。 あんなちっぽけなものが、世界の命運を左右した超存在の遺産と は一見信じがたいが、あれが起こした数々の異常事態を見るに納得 するほかない。 ﹁遺跡都市パラヴァータは、最終決戦の舞台となった魔王軍の砦跡 に築かれたといいます。周辺に残る無数の遺跡はその名残りだけで なく、魔王と勇者の戦いが巻き起こした次元震動によって魔界と人 間界が入り交じり、両世界各地の建造物がでたらめに混じり合った ものだとも⋮⋮﹂ ﹁おいおい、なんつーかもうムチャクチャなスケールだな、魔王も 勇者も⋮⋮﹂ 常識外の強さというならフラミアも大概だが、そこまでいくと根 本的に違うレベルに思える。 両者の伝説が、双方の世界で数千年経ってなお恐れられていると いうのも納得だ。 ﹁でもよ、勇者も一緒に消えたってんなら、残った大魔貴族どもが 706 侵攻をぱったり止めちまったのはなんでだ? ボロボロの人間界く らい、魔王抜きでも占領できそうなもんだけど﹂ ﹁確かに⋮⋮⋮⋮どうして⋮⋮⋮⋮?﹂ 当然の疑問を呈するアメリアとシエラ。 わらわが説明しよう、とパルミューラ。やっぱこいつ、説明して る時は妙にノリノリだな。 ﹁元々、我らがわざわざ人間界を攻めるメリットは薄い。魔界には 広大な土地も魔力資源も有り余っておるし、高位の魔族ほど魔界の 魔力と自身の存在が直結しておるから、人間界ではむしろ弱体化す る。ゆえに長い歴史の中でも、大規模な侵攻をかけた魔王こそが異 端なのじゃ﹂ ﹁へえ、従ってた魔族たちにとっても意味不明な行動だったってい うのか?﹂ ﹁おそらくの。それゆえ魔王消滅を期に、ある意味これ幸いと魔族 軍は撤退し、以後今に至るまで続く魔界での勢力争いに明け暮れる こととなった﹂ ﹁なんだか拍子抜けする話だな。まあ、人類にとっちゃラッキーだ ったんだろうけど﹂ ﹁それに考えてもみよ、人間界に大規模侵攻したとたん突然現れた、 魔王と同等の力を持つ勇者などというバケモノに⋮⋮万一さらに何 人も出て来られでもしたらどうする?﹂ ﹁あー確かに。そりゃデメリットのでかすぎるヤブをつつきたくは ないわな﹂ それにしても、世界の危機に現れ魔王を滅ぼして消える勇者か⋮ ⋮なんとも都合のいい話だ。 いやまあ、俺のいた世界の創作物じゃお約束の展開なんだけどな。 勇者、魔王、それに破天の骸。謎は多いが、今深刻に考えすぎて 707 も意味はない。 遺跡都市パラヴァータにナナを復活させる手段と、別の骸の欠片 があるというのなら、俺たちのすべきことはひとつ。 ﹁よし。姫やセレスタの体力回復を待ってから、俺たちはここを発 つ。ナナを復活させ、あのクルスの野郎より先に破天の骸を手に入 れるためにな﹂ 皆を見渡し、俺は宣言する。 おそらく、あいつとはイヤでも再びぶつかることになるはずだ。 今度こそ、俺の魔隷たちの誰も傷付けさせるものか。犠牲になど させるものか。 そのためなら、破天の骸という危険な力だろうと、手に入れ制御 してみせる。 ﹁目指すは⋮⋮遺跡都市パラヴァータだ!﹂ ※ ※ ※ 食事を終えた俺は、キリカを探して地下集落内をうろついていた。 さっきの席でほとんど口を聞かずに黙々と食事を済ませ、早々に 中座してどこかに行ってしまった彼女の様子が気になったのだ。 ︵うーむ。もしかして、焦らしすぎたかな⋮⋮?︶ フラミアの暴走で一度うやむやになってから、結局キリカとはま だベッドを共にしていない。 ここまでくると、ちょっとやり過ぎたのではないかという考えも 708 頭をよぎる。 キリカからおねだりさせるという試みは捨てがたいが、このぶん だと今回は諦めた方がいいのかもしれない⋮⋮などと考えていた、 その矢先。 ﹁おい、トオルよ﹂ ﹁ん、なんだパルミューラか﹂ なんだとはなんじゃ、と口を尖らせながら、現れた魔貴族魔隷の 片割れはきょろきょろと周囲に誰もいないことを確認した後、小声 で話し始めた。 ﹁あー⋮⋮おぬしに、伝えておこうと思ったことがひとつあっての﹂ ﹁なんだ、あらたまって。まさか尻穴オナニーで入れた夏野菜が取 れなくなったとかか?﹂ ﹁違うわ、茶化すな! そんなデカいもん入れとらんわい! ⋮⋮ こほん、話というのは他でもない。姫騎士に関するものじゃ﹂ ﹁キリカに?﹂ タイミングがいいのか悪いのか、妙な符合に首をかしげる俺。 ﹁あれは、フラミアにおぬしが連れ去られ孤立した時のことじゃ。 わらわは姫騎士に、今こそお主の⋮⋮魔隷術師の支配から抜け出す チャンスではないかと、そう持ちかけた﹂ ﹁なんだと? お前、性懲りもなくそんなことを企んで̶̶﹂ ﹁まっ待て、その時はその時、今は今じゃって! じゃからこうし て正直に話しとるんじゃろうが!﹂ 詰め寄る俺に、慌てて弁解する銀髪ゴスロリ魔族。 まあ、確かにそれもそうか。あのフラミア戦を切っ掛けに、こい 709 つも仲間意識みたいなものを持つに至ったようだし。 ﹁で、じゃ⋮⋮その誘いを、逃亡の可能性を突きつけられ、姫騎士 はどうしたと思う?﹂ ﹁⋮⋮なんだって?﹂ その時の状況と、当時立てた逃亡計画とを俺に説明するパルミュ ーラ。なるほど確かに、それは俺の隷属から逃れる千載一遇のチャ ンスだったのだろう。 そして、そんな状況に置かれたキリカが、どう答えたかだって⋮ ⋮? ﹁よいか? あやつはの、そのような形での解決は望まぬ、とはっ きりわらわの提案を蹴りおった。お主の窮地を捨て置けぬと、二度 と来ぬかもしれぬ機会を捨ておった。そしてお主を助けに、あのフ ラミアにひとり立ち向かったのじゃ⋮⋮後は知ってのとおりよ﹂ ﹁姫野さんが⋮⋮キリカが、そんなことを﹂ ぶるりと動揺が、俺の背筋を走った。 なんてこった、まさかとは思ったがそりゃお人好しにもほどがあ る。 彼女を隷属し犯した加害者の俺を⋮⋮あの時フラミアに殺されて くれた方がいっそ、彼女の立場としては都合がいいはずなのに。 そんな俺を助けるためチャンスを捨てて、それであんなにボロボ ロになったというのか⋮⋮!? ﹁くふふ、お主でも心揺らぐことがあるか。これは珍しいものを見 れたわい、愉快愉快﹂ ﹁っ⋮⋮﹂ 710 パルミューラの軽口に、いつものようにとっさにやり返すことが できなかった。 心臓が変な勢いで鼓動を高め、耳の後ろで血管がどくどく鳴って いる。おいおい、なんだこりゃ⋮⋮こんなのは俺らしくもない。 ﹁まァ、伝えることはそれだけじゃ。わらわにはよくわからんがの ⋮⋮そういう時に人間なら、相手に礼のひとつも言うものではない のか?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁では、の。わらわは食後のお昼寝タイムじゃ﹂ ふわっと体を浮遊させ、ゴスロリドレスの魔貴族は通路の向こう に消えていった。 後にひとり⋮⋮笑えるほどに挙動不審になった俺を残して。 ※ ※ ※ ︵あのフラミアって娘から、そして今の状況から逃げ回ってるあな たは⋮⋮とても格好悪いわ︶ 腕を組んで通路内を低空浮遊するパルミューラの脳裏に、あの時 の言葉が去来する。 決して自嘲だけではない笑みが、その口元にこぼれた。 し ﹁くふっ⋮⋮あの言葉は、沁みたのぉ⋮⋮﹂ そしてそれこそが、フラミアに立ち向かう勇気を奮い起こし、こ れまで数百年押し込め続けていたプライドを蘇らせてくれる火種と 711 なったのだ。 トオルとキリカ、二人の言葉と、助力とが。 ﹁これであの時の借りは返したぞ、姫騎士。あとは人間同士⋮⋮せ いぜい上手くやるんじゃな﹂ ※ ※ ※ 気がつけば俺は、自分の部屋にひとり戻って来ていた。 キリカの無償の献身ともいえる行動をハッキリと、それも第三者 の言葉で伝えられたことで、なんとも整理のつかないモヤモヤを抱 えてしまっていた。 ︵本当に、お人好しにもほどがあるぞ⋮⋮くそ、なんでこんな俺に そこまでする?︶ しかも彼女は、その事実を俺に伝えようとすらしなかったのだ。 つまり恩を着せようとしての行為でもないってことだ。じゃあ、 何のためだと? ⋮⋮なんてこった、キリカを焦らして悶々とさせるつもりがなん で逆に、俺がこんな目に遭わなくちゃならんのだ。 ︵動揺かよ、あんなことを言われた程度で⋮⋮ええい、まったく俺 らしくない︶ 礼のひとつでも言えばどうだ⋮⋮とパルミューラは言った。 ひとごとだと思って気楽に言ってくれる。 そんなもの、面と向かって恥ずかしくて言えるわけないだろうが。 712 とまあそんな未整理の感情を抱えながら、灯りもつけず薄暗い中 ベッドに身を投げ出そうとした̶̶その時。 ﹁⋮⋮小田森くん﹂ ﹁う、うわぁっ!?﹂ だしぬけの言葉と人の気配に、心臓が口から飛び出るほど驚いた。 その主は、いつもの巨乳にふっくら押し上げられた白ブラウスと 健康的な太股を覗かせる紺のミニスカ、制服にも似たインナーに身 を包んだキリカだ。 いつの間にやら、振り向いた俺のすぐ後ろに立っている。 ﹁な、なんだ脅かすなよ。いきなり部屋にいるとか、らしくない不 作法̶̶﹂ ふわっと黒髪が揺れ、距離が詰まった。いや、詰められた。 薄暗い空気の中で、彼女の熱い息が俺の首筋にかかった。 ﹁ひ⋮⋮姫野、さん?﹂ ぎゅっと、服のそでを掴まれる。 そのまま彼女は、俺の背後のベッドに向かって一歩を踏み出す。 押されるがままにぐらりと一緒に動き、バランスを崩しかける俺の 体。 これはなんの冗談̶̶と、カラカラになった喉で言いかける。 だが、それより先に耳元で囁かれたのは。 その熱い吐息を言葉に固めたような、信じがたいセリフだった。 713 ﹁小田森くん。⋮⋮えっち、しよう﹂ 714 45話:目指すべき都と、俺の動揺︵※イラストあり︶︵後書き ︶ 8月12日発売の書籍版2巻に使われる表紙イラストがこちらにな ります。 さらに可愛くなったキリカをご堪能ください。 <i160139|15432> 715 46話:彼女の鎖と、彼女の欲望 それは、どうやらとてつもなく い。 いけないこと だった⋮⋮らし ﹃̶̶あんなものに興味を持つような子じゃなかったのに̶̶﹄ ﹃̶̶子育ては君の領分なんだからちゃんと見てくれないと̶̶﹄ 両親の言い争う声が、階下の居間から聞こえる。 それは幼い少女が生まれて初めて耳にする、怖い声と不快な言葉。 ﹃̶̶だってまさかあんないやらしい本が̶̶﹄ ﹃̶̶市営図書館には後で苦情を言わないと̶̶﹄ まさかこんなことになるなんて、思ってもみなかった。 いつものように図書館で借りた本を持ち帰り、そしていつものよ うに、読んでもわからない文章の意味を聞いただけだったのに。 ﹃ねえ、このふたりは、なにをしているの?﹄ あれが大きな間違いだったのだ。 その間違いが、いつも優しいママとパパを怒らせ、言い争いに発 展させる原因になった。 ︵わたしが⋮⋮わたしが、わるいんだ。わたしのせいでママが泣い てる。パパが怒ってる︶ 泣きはらした目をこすり、なおも続く両親の声から耳を塞いで、 716 幼い少女は決心する。 自分は二度と、あんなものには興味を持つまいと。 ︵ごめんなさい、ごめんなさい、許して⋮⋮! もうしないから、 許して⋮⋮!︶ 二度と、悪い子にはなってはいけないんだと。 その誓いを、自分の胸の中に刻み込む。 ︵わたし、ずっといい子でいるから⋮⋮だから、だから︶ まじめないい子 であり続けるた 許して、だから許してと、シーツの中で小さな体を丸めて、繰り 返し繰り返し唱え続ける。 そう̶̶パパとママの望む、 めに。 なぜなら自分は。 それ以外の生き方なんて、どうせできないのだから。 ※ ※ ※ ぐぃんっ⋮⋮と、視界が90度上を向いた。太股あたりに、彼女 の下半身の柔らかな重みがぎゅうっと密着した。 俺はいま、キリカによってベッドに押し倒されているのだ。 だが、その事実を認識できても、理解が追いつかない。 ﹁ねえ、小田森くん⋮⋮﹂ 717 再び、熱い息と一緒に名前を呼ばれる。 俺の顔の左右に手をつき、岩室の天井をバックに真上から覗き込 んでくる顔⋮⋮その表情は部屋の薄暗さもあってはっきりしない。 彼女の頭からまっすぐ俺の胸まで流れ落ちるストレートロングの 黒髪が、ふわりといいにおいを放っていた。 ﹁これって、小田森くんの、せい⋮⋮なんだよね﹂ ﹁⋮⋮え? なに、が﹂ 乾いたノドからかろうじてオウム返事。 ﹁えっち、したくなっちゃうの⋮⋮って﹂ 驚くべきセリフをつぶやきながら、キリカはさらに驚くべき行動 に出た。 ぷち、ぷちっ⋮⋮と、俺の胸板に手を伸ばしてシャツのボタンを 外し始めたのだ。 相当慌てているのか意外と不器用なのか、なんども指を滑らせな がら。 ﹁ま、待て、それってどういう̶̶﹂ ﹁だって!﹂ 小さく叫ぶような声があがって、ボタンを外す手が止まった。 ﹁だって、だって私こんな⋮⋮こんなえっちな子じゃない、のに。 いやらしいことなんか、そんなのぜんぜん好きじゃない、好きなは ずない⋮⋮のに、そんなになっちゃダメ、なのに﹂ ﹁姫野さん⋮⋮?﹂ 718 ぽたたっ、と。露出した胸板に二粒、熱いものが落ちてきた。 これ は、今の私がおかしいのは。小 見上げると、下唇を噛んで目に涙をいっぱい溜めたキリカの顔。 ﹁だから⋮⋮っ! だから 田森くんが⋮⋮またへんな魔法でそうしたんでしょ? ねえ⋮⋮そ うなんでしょう⋮⋮?﹂ 涙ながらに懇願するような切羽詰まったトーンと、有無を言わせ ず脅迫するような語気の入り交じった、めちゃくちゃなテンション の言葉だった。 そこで俺はやっと、本来地下で涼しいくらいだった部屋の空気を、 むわっと蒸し暑く感じさせるほどにさっきから染めている雰囲気の 正体に気付いた。 それは、キリカの体からにおいたつような⋮⋮発情した少女のニ オイなのだと。 ﹁⋮⋮っ、ああ⋮⋮ああ、そうだ。そのとおりだ姫野さん﹂ ﹁̶̶̶̶!﹂ それはウソだ。俺は別に、さんざん焦らしはしてもここ最近の彼 女の肉体的コンディションを隷属魔術でいじくったりなどはしてい ない。 だから、キリカがもしこんな大胆な行動をするほど欲求不満を持 て余していたというなら、それは100%彼女自身の心と体から生 まれた欲望⋮⋮性欲の産物だ。 そしてもちろん、その事実を突きつけてやることもできた。フラ ミアの暴走で中断される直前まさに狙ったように、今こそ彼女に自 身の欲望を自覚させるチャンスだったのだが̶̶。 ﹁そうだよ、今の君は、俺の隷属術式でおかしくなってるのさ。だ 719 から⋮⋮こんなことをしても、おかしくはない﹂ ̶̶だが、俺は⋮⋮なぜか、そうしなかった。 礼 のつもりか、どんな心情が働 気まぐれか、哀れみか、気圧されたのか、それともさっきパルミ ューラに勧められたキリカへの いたか自分でもわからなかったが、とにかくウソをついた。 ﹁⋮⋮そう、なのね⋮⋮﹂ そんなウソを聞かされ、キリカのどこかすがるような表情に浮か んだのはホッとした安堵⋮⋮ではなかった。いつものような、俺を 軽蔑する睨み顔でもなかった。 ﹁そっか。そうなんだね、小田森くん﹂ かすかにふわっと、ほんの少し柔らかくなった雰囲気と表情⋮⋮ そこにわずかにのぞいたものは、俺の思い込みや見間違いでなけれ ば̶̶なんと俺への感謝だった。 キリカは当然気付いているのだ、今の俺のセリフがウソだと、欺 瞞だと。 それでも、言ってくれてありがとうと⋮⋮そういうことにしてく れてありがとう、気を遣ってくれてありがとうと。そう、にへらっ と泣き笑いになった顔が物語っていた。 言うなれば、俺たちはこの瞬間⋮⋮一種の共犯関係を結んだのだ。 ﹁そっかぁ⋮⋮じゃあ、えっちしてもいいんだね﹂ ﹁っっ!?﹂ ドクンっ̶̶と今度は俺の心臓が跳ね上がる。 720 普段とのギャップ、たとえムリヤリ言わせても絶対出てこないよ うな天然の反則的破壊力。 とてつもない凶悪な可愛さを振りかざしながら、キリカのすべて が俺に襲いかかった。 ﹁⋮⋮下も脱がすね?﹂ ﹁っ、ちょっ⋮⋮!﹂ かすかに息を荒げながら、完全にはだけさせたシャツの次はズボ ンに手を伸ばすキリカ。 しばらくベルトと悪戦苦闘しながら、ついに前の部分を開くこと に成功。 ぶるんっ⋮⋮ともう半勃ちになっていたチンポが飛び出し、かす かに息を呑む反応と凝視される感覚が伝わる。あのキリカが、自分 から取り出した男のモノをガン見しているのだ。 ﹁もうこんなになってる⋮⋮やらしいんだ﹂ ややひんやりした白い指が五本、熱を持った肉幹にからみついて シゴき始めた。 手コキのやり方を教え込むたびにイヤそうに従っていたキリカが 今、命令に関係なく、朝から洗ってもいない醜いオス器官を熱心に ⋮⋮一心不乱ににゅこにゅこと愛撫する信じがたい光景。 ﹁おっきくなれ⋮⋮いつもみたいにおっきくなーれ⋮⋮はい、なっ たね﹂ すぐにバキバキに血流をみなぎらせ天を突くチンポを、満足げに ながめるキリカ。よしよし、という感じでカウパーの漏れ出た亀頭 を手のひらでナデられ、思わずうめき声が出る。 721 ﹁⋮⋮見、て、小田森くん﹂ 腰を浮かせてヒザ立ちになり、キリカが自分で紺のミニスカート を⋮⋮さすがに何度かためらいながらも持ち上げた。 その奥は⋮⋮その奥に見える白ショーツは、灰色の染みでぐっし ょりと。 ﹁もう、こんなになっちゃってるのは⋮⋮っ。わたしも、いっしょ、 だよ?﹂ ふるふると羞恥に体と声を震わせながら、元クラス委員は金縛り にあったようにそこを凝視する俺の右手をとり、湯気を放つほどに 濡れた大切な場所へと導いた。 ﹁ふぁっっ⋮⋮ぁあんっっ!!?﹂ 俺もまた彼女から伝染した熱に浮かされるように、ぐしょぐしょ になったショーツの隙間から中に指をすべりこませる。 無理な角度で曲げて痛くなるのも気にならず、温泉にでも浸して いるのかと思うほど熱くとろけたドロドロの肉穴に指二本を差し込 み、ぐちぐち、ヌチョヌチョとイヤらしい水音をさせてかき回す。 ﹁んあ、ぁあっ⋮⋮あ、あっああ、あっ⋮⋮だめ、これっ、やっぱ りっ、ひとりでっするのとっ⋮⋮ぜんぜんちがっ⋮⋮うぅ!?﹂ いつもなら﹃へえ、いつもは一人でしてるんだ?﹄とかなんとか 言葉攻めする局面だったが、今の俺は夢中でひたすらに指を、体だ けを動かしていた。 がくがく全身を震わせ、たまらず倒れ込んできたキリカの上半身 722 が、ボリュームたっぷりのブラウスごし巨乳が、はだけた胸板にぎ ゅむうんっと押しつけられる。 彼女の香りと熱とが、鼻孔から脳に抜けて俺を溶かす。 ﹁あぁっ、んあぅっ⋮⋮お、おだもりっくんっ! も、もういいか らっ、もう、じゅんびっ⋮⋮できてるっ、からぁっ⋮⋮! おっ、 おねがいぃ⋮⋮っ!!﹂ 意図を察し、俺は引きちぎるほどの勢いで彼女のショーツを脱が せた。 薄暗い中でかすかに愛液を光らせる秘部があらわになる⋮⋮おも らしでもしたのかと思うほど、キリカの一番大切な場所はぐっちょ りとはしたなく濡れていた。 すっかり下着の用を為さなくなったグショ濡れショーツを床に投 げ捨てると、ぼとっと重めの音がするくらいに。 ﹁⋮⋮っ、姫野、さん﹂ ﹁お、小田森⋮⋮くん﹂ 呼び合って数瞬、無言で見つめ合う。 ここで﹃自分で入れろ﹄などと命令を口に出すのは、望んでいな い。俺も彼女も。 やはりすぐに、もういてもたってもいられない様子のキリカが先 に動いた。あの最初の処女喪失セックスのように、みずから燃えた ぎるチンポに手を添え、真上にまたがって、そして。 ﹁じゃあ、これ、いれちゃう⋮⋮ね?﹂ ぬるんッ̶̶̶̶! 信じがたいほどスムーズに、吸い込まれる ように、熱い熱いキリカの体内へと一気に俺自身が飲み込まれた。 723 ぷりぷりの瑞々しい膣内細胞を、この蹂躙行為を待ちかねダラダ ラよだれを溢れさせていた肉ヒダをみゅりみゅりとかき分け、俺と のセックスを待望していた女の奥の奥へと突き進む! ﹁うっ、うおっ⋮⋮お!?﹂ ﹁∼∼∼∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ こつんっ⋮⋮と亀頭の先端が子宮口、すでにいつもより下に降り て来ていた秘密の門に突き当たり、声にならない悲鳴をあげて白い 肢体がのけぞった。 キリカは、挿入されるだけでイッたのだ。 そして俺もまた、柔らかいままの肉に固く締めあげられるという、 矛盾じみて凄まじい三段締め名器の中イキ膣圧に、あっという間に 精液を漏らしてしまうのをこらえるので必死だった。 ﹁んぁ、っっわたしっ、わたしね!? あのね小田森っくんっっ! ? これねっ!? これ、きもちよくてっ、ほんとはダメなのにダ メじゃなくなってて、それでっ! んあぁぁあっっ!?﹂ 支離滅裂な嬌声をわめきつつ、彼女は泣きそうな顔をしていた。 いや実際、無茶苦茶な快感と整理できないいくつもの感情とが荒れ 狂い、キリカは泣いていた。 わかってしまったのだ、ある意味処女を奪われた瞬間よりもなお 決定的な何かをいま、失ったことを⋮⋮ほかならぬ俺に奪われてし まったことを。 みずからそれを望んだことを。 ﹁駄目じゃない⋮⋮っ、姫野さん、なんで駄目なんだよ、なんで素 直に気持ちよくなることを怖がるんだ⋮⋮よっ!﹂ ﹁んあぁぁあッッ!!? お、奥っおくぅぅぅっっ!? ずんずん 724 ってぇ! 突きっ上げられっ⋮⋮んぁはぁぁぁっっ!!? ふぁぁ ッぁひぁぁぁんっっっ!!﹂ ふぁさっと黒髪を広がり舞わせ、光る汗の玉を散らして、俺のが むしゃらな突き上げピストンに合わせて自分から腰を振る騎乗位。 抜ける寸前まで引き出されたチンポが、待って待ってとばかりに ぎゅっちり掴んでくるぷりぷりの優等生マンコ肉にホールドされ、 愛液を弾けさせながらまた胎内へとブチ込まれる。 ふだんのキリカなら絶対に命令抜きではするはずのない激しいセ ックスが、肉と粘膜でつながった俺たちの快感をかつてないほどに 高めあっていく。 ﹁だって、だってぇぇ!! わたしっ、ダメになったわたしはぁっ ! わ、わたしじゃっ無くなっちゃ⋮⋮うぅぅぅっ!? そんなの 許してもらえないっ、そんなのどうしたらいいのか、わっわかんな いよぉぉっっ!! こ、こわいぃぃっっ、ひっひゃうぅぅぅんッッ !!?﹂ 涙を流し、ろれつが回らなくなるほどの、羞恥心を振り捨てるほ どのおあずけ後セックスの快感奔流に、当のキリカ自身も激しく戸 惑っていた。心も体も暴走させていた。 許してもらえない̶̶とは、誰にだ? それはわからないが、察 することはできる。 たぶん今の彼女は恐れているのだ、真面目すぎる人生をずっと送 って来た姫野桐華は。 おそらく性行為を汚れた遠ざけるべきものだと認識し、嫌ってい ただろうキリカは。 そんなものに溺れ、欲し、それで幸せになってしまう新しい自分 を見つけてしまった事実を。 725 だったら̶̶俺は。 ﹁大丈夫だ、キリカっ⋮⋮!﹂ ﹁んぁ、ふぁ!? お、小田森っくんっ⋮⋮!?﹂ 強く名前で呼ぶと、きゅんっ⋮⋮と膣内の締め付けがひとまわり 強くなるのがわかった。 その熱と存在感を伝えて安心させるように、体の中心に芯をつく ってやるように、突き挿した肉棒にぐぐっと、力と血を流し込む。 ﹁俺が、しっかりお前の体の面倒見てやるっ⋮⋮こんなにした責任 は、取ってやる! だから安心しろ、安心して気持ちよくなれ! 自分に正直になれっ!﹂ ﹁えっ、えっええっっ!? それっどういうっ⋮⋮んにゃぁぁうぅ ぅッッ!!? お、おっぱいっ⋮⋮あっあっっ、くぅぅんぁぁああ っっ!!﹂ そう断言して、さっきから動くたびにぶるんぶるん揺れていた重 たげな双乳肉に手を伸ばしておもいっきり鷲掴みにする。すぐにあ がる甘い声。 ずっしりと両手のひらに心地よい重みの乳は、やっぱり何度触っ ても飽きない俺のベストおっぱいオブおっぱい。 そうだ、こんなにも素晴らしい体を、それを確かめ合う行為を。 誰にも否定なんかさせない。 ﹁はぅ、んぁ、ぁあうぅ!? さっ触り方っ⋮⋮いつもよりっ、い やらしいっ⋮⋮よぉぉ!? それにっ、びりびりって、おっぱいが しびれっ⋮⋮んはぁぁう!!?﹂ 726 乳首がやや外側かつ上側を向く角度まで心持ち双球をすくい上げ、 優しく丁寧に、だがもみくちゃにしてやるという強い意志をこめて。 ぐんにゅりと指が沈みこむ白い巨肉球を、コントローラーのレバ ーでも動かすように前後左右上下、ランダムにこねくり回し、引っ 張り回し、揉みほぐし⋮⋮好き放題めちゃくちゃにする。 ﹁すごっ、すごいぃぃぃっっこれぇぇ!? こんなの知らなっ、今 までと違うぅっよぉぉ⋮⋮!! んあぁぁ∼∼∼∼ッッッ、あはぁ ぁぁああぅぁあっっっ!!?﹂ ぷっくりとイヤらしく勃起した両乳首を指の腹で挟みつぶし、そ のたびに跳ね上がる可愛い悲鳴をスパイスに、美しくも淫らな裸体 の動きに合わせて腰をえぐるように叩き付け続ける俺。 キリカが俺の、俺がキリカの⋮⋮お互いの腰使いや重心移動をリ アルタイムで覚えて対応しながら、もっとも気持ちいい部分を大胆 に探り合うセックス。性の営みの共同作業。 ﹁お、小田森くんのがっ、こうすると、おくにぃ⋮⋮い、いちばん ふかい場所まで、ひっ響いちゃうぅぅ⋮⋮ッッ!? あぁ∼∼∼∼ っっ!!﹂ ﹁小田森くん、じゃないだろっキリカ! 俺が名前呼んでるときは っ、お前もそうしろ! 俺のことも名前で呼べよっ!﹂ ﹁え、えっそんなのっ、でもでもっ⋮⋮ひゃうぅ、ひあぁぁっっ! ? わ、わかった呼ぶぅっ、よぶっからぁぁっ、ち、乳首そんなに 強くっこねこねしないでぇぇ!!?﹂ そこだけでイケるくらいにたっぷりしつけたエロ乳首をイジめ抜 き、ここぞとガードの下がった心の鎧を薄皮一枚ずつ剥がしてやる。 ぐぐっと下まで降りて来ている子宮口を、ごすごすと乱暴に亀頭 でノックするたびに、ガリガリとキリカの理性が削れていくのが目 727 に見えるようだった。 ﹁あぁ⋮⋮う、うぁ⋮⋮っ、と⋮⋮トオル、くんっ⋮⋮?﹂ イヤらしいセリフを言わせられるのよりも万倍恥ずかしそうに、 キリカはついに俺の名前を初めて口にした。 今にも気絶しそうなくらいに、真っ赤になった顔に目一杯涙を溜 めて⋮⋮正直なオマンコ内を、きゅんきゅんと嬉しそうにわななか せて。 ﹁そうだいいぞっ、俺が名前呼ぶたびに、キリカも俺の名前呼べっ !!﹂ ﹁え、なっなにそれっ⋮⋮んあ¨ッッ!!? ぅぅんん¨っっあぁ ぁぁうぅ!!?﹂ 1オクターブ上がったよがり声は、細い両手首を掴んで下にぐい っと引っ張ったせいだ。 挿入したまま体を反らせたキリカと下側の俺との結合部、その密 着感がさらに強まり、内臓を押し上げるほどにずっぽりハマったチ ンポが余す所なく粘膜をミチミチ拡張した。 狙う角度は、子宮口のすぐ下、キリカのもっとも弱い性感帯の筆 頭。 ﹁大丈夫だっ、そうすりゃきっと不安なんか消し飛ぶ! さあ、行 くぞっ⋮⋮キリカ、キリカっ! キリカっ⋮⋮キリカ、キリカぁ! !﹂ ﹁ひゃぇ、ひぐぅぅんっ!? あっやあっっ、とっトオルくんっ、 トオルくんっ!? やだっ、こっこれだめぇぇ⋮⋮っ、と、トオル くぅぅぅんっっ!!﹂ 728 腹を突き破るほどのイメージで激しく突く、突く、突く、貫く、 突き上げる! すっかり俺のチンポの形専用にベストフィットするようになった ドロ濡れ姫騎士マンコを、容赦なく全力で下から突き崩し、ぐっと 射精をこらえて攻める攻める、ひたすらに攻めまくる。 だが、キリカも負けてはいなかった。 ﹁トオルくんっ、トオルくぅぅんっ!! わかるっ、わかるよぉっ ! どうしたらいいのかっ、これぇっ⋮⋮トオルくんがぁっ、いっ ぱいいっぱい、おしえてくれたからぁぁっっ!!﹂ ﹁ぐうぅっ、キリカっ⋮⋮キリカぁっ、それっすごっ⋮⋮くぁあ! ?﹂ ただ上下させるのではなく、腰を左右にひねり、旋回する動きで アクセントをつけてチンポに予想外の新鮮な刺激を喰らわせてくる 運動神経抜群の優等生。 それはエッチな行為をすることに、今までと違いどこか少しだけ 吹っ切れた行動だった。 ﹁トオルくんっ、トオルくんもっとぉ! もっと教えて、もっとし てっ、トオルくんの熱いのでわたしっ、わたしのなかっ、めちゃく ちゃにしてぇぇっっ!! んぁっはうぅッッ、あはうぅぅっっ!! ?﹂ ﹁キリカ、ああっキリカぁあ!! そうだッなれっっ、こうやって 俺のチンポで気持ちよくなれぇっ! 素直に感じろっキリカぁぁッ ッッ!! くぅぅぅっっっ!!﹂ いつしか、両手の指を恋人つなぎ状態に絡み合わせ、互いに上下 からかける力の支点にして肉と粘膜を一心不乱に叩き付け合う。互 いの肉体を、性器を、むさぼり合う。 729 どこまでも正直に素直にセックスに没頭するオスとメス、それが 今の俺たちだった。 だが、永遠に続くかのようなその行為にも終わりがやってくる。 ﹁トオルくんっ、トオルくんっあのねっっ!? わたしっ、さっき からずっとイッてるっっ、イッちゃってるんだよっ!? トオルく んのおちんぽでっ、いっぱいいっぱいぃぃ⋮⋮ッッッ!? い、今 もぉぉっまっまたぁぁ⋮⋮っくぅんん¨ん¨ん¨っっ!!﹂ ﹁ああ、わかるぞっキリカぁ! ずっとビクビクぎちぎちって、俺 のを絞り上げて来てるからなっ⋮⋮うっくぁ!!? そ、そろそろ っ俺も限界、だっ⋮⋮!!﹂ サオの根元、中、先端と、清楚な顔に似合わずがっちり肉棒を三 段締めするエロ名器が、すさまじい勢いで痙攣し続け、しかもその まま腰をがむしゃらに振り回し動かすのだから耐えられるわけがな い。 天国のような柔穴ほじくり̶̶しかもその度にキリカが今まで見 たこともない反応で盛大にあえぎまくるのだ̶̶をいつまでも味わ っていたくても、金玉に溜まった熱の塊はもう爆発寸前。 ﹁じゃあっ、じゃあ⋮⋮だ、だし⋮⋮て?﹂ ﹁っっっ!?﹂ 懇願するような、哀願するような⋮⋮汗濡れた黒髪が艶かしく張 り付いたキリカの泣き笑い顔。 同じくじっとり汗の玉が伝う可愛らしいおヘソの下で、彼女の子 宮が物欲しそうにわななく幻が透けて見えるかのようだった。 ﹁いいよ、だしても? トオルくんのっ、せーえきっ⋮⋮おちんぽ から、びゅーびゅーって⋮⋮注ぎ込んで、解き放って、わたしのか 730 らだのなかっ⋮⋮どろどろにしてもっ、いいんだ、よ?﹂ 途中でさすがに羞恥心が蘇ったのか、これ以上赤くなるのかと驚 くくらいカァァッ⋮⋮と赤面度を増し、一瞬目をそらして、ちらっ ⋮⋮とこっちを流し目で見ながらの、言葉。 その殺人的に可愛いしぐさが俺の、なけなしの理性を̶̶ぶちん と切った。 ﹁き⋮⋮キリカあぁぁぁぁっっっ!! うぉぉおおおおっっ!!﹂ ﹁っきゃっ!? んぁ、えっ、ひゃぅぅぅぅんっっっ!!?﹂ がばっと身を起こしてキリカを押し倒す。 思わぬ反撃にたじろぐ彼女にのしかかり、むっちりした太ももを 抱えて体ごとプレスするように斜め上から体重を乗せ、はち切れそ うな射精寸前チンポを腰ごと思いっきり叩き付ける! ﹁んひゃあぅうっっ、ぁああ¨あ¨ッッ!? やめ、これすごっ! すごすぎるっよぉぉっ⋮⋮かっかお、いまのわたしのっかおっ! みっ見ないっでぇぇ!!﹂ そんなことは聞けないとばかりに、腰を猛スピードで使いながら、 涙と快楽でぐちゃぐちゃになった元クラス委員の顔を覗き込む。 いやらしく響く湿った肉を叩く音の中、吸い込まれるように綺麗 な瞳と、まっすぐ目が合う。 そこに灯る欲情の火が、それとせめぎあう羞恥心の影が、否応な く俺を加速させる。 ﹁イクぞ、望み通り中にぶちまけるぞキリカぁっ!! 飲めっ、俺 の精液子宮で全部飲み干せっっ!! ッくあぁぁぁっっ!!﹂ 731 ﹁うん、うんっトオルくんっっ!! だめ、ダメ、だめっんぁ、や っああっっ、あっあ¨あ¨あ¨んぅぅうううッッ!!? あ¨ぁー っ、うぁぁぁあ∼∼∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ びゅるるるっっ⋮⋮ごぷぅっっ、どくっどくどくんっっっ!! ぶぴゅ、んびゅるるるるっっ⋮⋮どぶぷんっ、ごびゅぶばぱっ! ! びゅるくくんっっ!! ﹁ん¨ん¨ぅぅぅ∼∼∼っっっ!? ひぐっ、あぅぅああ¨!!? と、トオルくっ⋮⋮んあっあああんぁああ¨!!﹂ ﹁うお、おお¨っ⋮⋮くお、おぉぉ⋮⋮ッ! き⋮⋮キリカっ⋮⋮ !!﹂ 決壊する精液をドクドク流し込みながら、俺は頭を抱き寄せてキ リカを抱きしめる。 汗にまみれた体温と双乳の柔らかさを感じつつ、この可愛くて可 愛くて仕方がない女に自分の遺伝子を流し込む達成感に、魂が出て 行くような放出感に、ただただ全身で酔いしれる。 薄暗い部屋で、どれだけそうやって抱き合っていただろうか⋮⋮ 体を包む汗が冷えていく感触に、俺が彼女から身を離そうとした、 その時。 ﹁やだぁ⋮⋮はなれちゃ、やだぁ⋮⋮!﹂ 鼻にかかった甘えた声。どきりと心臓が跳ねた。 俺の、首の後ろに手を回して、キリカのすがるような涙目がこっ ちをじっと見つめていた。 なんだこいつ、かわいすぎる⋮⋮! 732 思わず反射的に、顔を近付けて彼女の唇を奪おうとした俺だった ̶̶が。 ﹁あ⋮⋮、んっ⋮⋮!﹂ ﹁っっ!!?﹂ 驚くべきことに、唇が触れそうになった瞬間、キリカの方から最 後の距離を詰めてきた。 ふんわり柔らかくも温かい湿った感触が押し当てられ、俺はバカ みたいに硬直してしまう。 ﹁んふ⋮⋮っ、っぷぁ⋮⋮ぁ!﹂ さすがに舌までは入れてこなかったが、そっちは我に帰った俺が 仕掛けた。 真珠貝のような歯列を押し開けて侵入していくベロに、キリカは 抵抗しなかった。 精液と愛液にまみれた性器で繋がったまま、上と下とで体液をぐ ちゅぐちゅに混ぜ合わせ、交換しあう。 互いの背中を、しっかりと抱きながら。 ※ ※ ※ ﹁おらッ、どうだキリカぁ!? 後ろからガンガン突かれるのがい いのか、この淫乱姫騎士がぁっっ!! ほらイク時はちゃんとイク って言えッ!!﹂ ﹁らめっ、だめっっらめぇぇ∼∼∼っっ!!? トオルくんっこれ 733 ダメへぇえっ、またっ、またわたしっイクっイクいっちゃうぅぅッ なか ッ⋮⋮んぅぅぅう¨う¨ぁあ¨!!?﹂ ﹁くぅぅ、うぉおッ⋮⋮な、膣内締まるっ⋮⋮し、搾り取られるっ !?﹂ それからの俺たちはもう、二匹のケダモノだった。 どろどろになった肉をぶつけ合い、粘膜を絡ませ合い、互いに数 えきれないほどイキまくり、声にならない声をあげながら、キリカ のあらゆる場所に精液をブチまけ続けた。 床にキリカをひざまずかせ、乱暴に髪を掴んで口マンコにじゅぼ じゅぼとイラマチオし、顔面にザーメンをぶっ放してドロドロにし た上で、白濁液を全部舐め取らせて飲み込ませた。 壁に手をついて立たせ、背後から乳を揉みしだきながらの立ちバ ックでトロけマンコをガン突きし、泣いて倒れ込みそうになる体を 壁に押しつけながらさらに大量精液を子宮注入した。 かと思えば攻勢に転じたキリカが、アザになるのではないかと思 うほど激しいパイズリ責めで二人の混合液にまみれたチンポをシゴ き抜き、乳内射精で二連続ヌかれるはめになった。 むわっと生臭いにおいに満ちた部屋の中でたったふたり、セック スというより交尾と表現するのがふさわしい恥知らずな行為の数々 に没頭し続けたのだ。 ﹁と、トオルくんっ⋮⋮! も、もう晩ご飯の時間っ、だよぉっ⋮ ⋮行かないとっ、みんな心配っ⋮⋮んぁああっっ!?﹂ ﹁うるさい、そんなのどうでもいいっ! 俺はキリカと、セックス してたいんだよっ⋮⋮キリカがもういいってんなら止めるけどなっ、 734 どうなんだ!? ええ?﹂ ﹁∼∼∼∼っっ!? ば⋮⋮ばかぁっ⋮⋮!﹂ ぐっしょり濡れたシーツに、もう何度目かわからない正常位の体 勢でキリカを転がす。 すぐさま、部屋の外に漏れるんじゃないかと思うくらいのイヤら しい音と声とが、再び響き始める⋮⋮誰に聞こえようが知ったこと か、だ。 ※ ※ ※ ﹁っあ、はぁっ、はぁぁっ⋮⋮あぅぅ、からだじゅう、べちゃべち ゃぁ⋮⋮!﹂ ﹁ふっはっ、げほっ⋮⋮み、水まだあるか、キリカ?﹂ ﹁んぁ⋮⋮っ、だめ、これもう空っぽぉ⋮⋮﹂ 再び、どれくらいの時間が経っただろう。 空気までがじっとり水っぽく粘液に湿ったかのような薄暗い室内 で、俺たちは荒い息を吐きながらベッドに身を投げ出し、四肢を力 なくもつれさせあっていた。 でろぉ⋮⋮っ、とゲル状の山になった精液が、半開きになったキ リカの両足の根元からあふれている。精力強化エンチャントの助け があるとはいえ、我ながら信じられないほどの射精量だった。 もう、立ち上がる気力もろくにない。 ﹁ふぅ⋮⋮なあ、キリカ⋮⋮﹂ ﹁なあに⋮⋮?﹂ ﹁⋮⋮俺が、許すよ﹂ 735 ﹁え?﹂ ぜぇぜぇと荒い呼吸のまま、天井に向かってつぶやく。 いつの間にか腕まくらをする形で俺の腕に乗っていたキリカの頭 が、ゆっくりとこっちを向くのが分かった。 ﹁さっき言ってた、これじゃ許してもらえない、って話さ⋮⋮別に 詳しい事情を聞く気はないけど、これだけは言える﹂ 俺もゆっくりと、キリカの方を向いた。 こんなに薄暗い中でも、まるで光を放っているようにはっきり見 える黒く綺麗な瞳。 ﹁今の姫野桐華は、俺の魔隷だ。俺だけのキリカだ。だから、俺は お前の何もかもを許す﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮っ!﹂ ﹁誰にも文句は言わせない。だから、安心しろ⋮⋮以上、それだけ﹂ そのまま目を閉じる。 このまま見つめ合っていたら、俺は雰囲気に流されてどんなこと を言い出すか、我ながら分かったものじゃなかったからだ。 くそ、パルミューラめ⋮⋮気を遣うとか、やっぱり死ぬほど恥ず かしいじゃないか。 ﹁おだも⋮⋮トオル、くん﹂ やわらかい声が、耳朶をくすぐった。 ﹁ありがと⋮⋮ね﹂ 736 目を閉じると、急速に心地よい疲れが全身に回るようだった。 腕に乗っかる彼女の頭の重みに、寄り添う体温に、なぜだか俺は とてつもない安心を覚えた。 そして、そのまま。 すっ̶̶と、意識が肉体を離れて上にあがっていくような感覚。 まずい、やりすぎて失神か⋮⋮? いや違う、これはまさか前にも経験した、あの̶̶! ※ ※ ※ 気がつけばそこは、一対一の面接会場のような殺風景きわまる部 屋。 目の前には、ねずみ色のスーツを着た無個性な人物。 管理者 の空間へと、 ﹁おや。こうしてここで会うのは確か、三度目ですね﹂ そう、みたび。 俺はこの、魔隷術師のジョブを授かった ひとり招かれていた。 737 47話:管理者再びと、俺の愛隷 ﹁あぁあう∼∼∼∼⋮⋮うぉおぅぅ∼∼∼⋮⋮っ!﹂ それは、奇声だった。 キリカは普段の彼女なら絶対口にしないような奇妙な声をあげて、 広いベッドの上を左右にごろごろ転がっていた。 発火しそうなくらい赤面した顔を、両手で必死に押さえながら。 ﹁な、なんでよぉ⋮⋮なんで私あんなことしちゃったのよぉ⋮⋮!﹂ 自分からエッチしよう、などと言ってしまったことが。 その後にトオルと交わした、激しくもイチャイチャしたセックス が。 そして行為の中で部分的とはいえ吐露してしまった、みずからの 内面が。 狂熱から醒めて正気に戻った今、それらすべてが悶え死ぬほど恥 ずかしかった。 だがそれ以上に、彼女の豊かな胸をもっとも激しく苛んでいる記 憶がある。 ﹁じ⋮⋮自分から、き⋮⋮キス、しちゃうとかぁっ⋮⋮!﹂ そう、あの時、唇の間の最後の距離を詰めたのはトオルではなく 自分だったという事実。 忘れたくてももう忘れられないそのメモリーがリフレインするた び、キリカはスレンダー巨乳な裸体を変な方向によじらせ、ぐるん 738 ぐるんとベッドの上を転げ回った。 ﹁うぅ⋮⋮満足そうな顔して寝ちゃってるし⋮⋮トオルくんの、バ カ⋮⋮!﹂ 隣で寝息を立てるトオルを、ジト目でうらめしそうに睨む。 そして、その腕を枕にしていたという事実と、そこが思いのほか 落ち着く場所だったという実感、そしてナチュラルに﹁トオルくん﹂ 呼びしてしまっている自覚が一拍遅れてやってきて。 ﹁あ、あぁぁ∼∼∼∼! 私、ぜったいおかしい、絶対おかしいわ よこんなのぉ⋮⋮っ! も、もうやぁぁぁだあぁぁぁぁ⋮⋮!﹂ 耳の先まで赤面度うなぎのぼり。ひとり転げまくるキリカなので あった。 ﹁やだぁもう⋮⋮! こ、こんなのって、ぜんぜん私らしくないよ ぉ⋮⋮!﹂ ※ ※ ※ 管理者 の男︵相変わらず、とてもそうは見えない地味な会 殺風景なオフィスじみた部屋で、俺は世界のシステムを司る超常 存在 社員めいた姿だが︶と向かい合っていた。 ここに呼ばれたのは転生直前と、魔隷術師のスキルをどういった 傾向に強化するかの選択を迫られた時に加えて、これで三度目とな る。 739 ﹁しかし、意外と頻繁に呼ばれるもんだな⋮⋮﹂ ﹁ええ、まあ普通はそんなことないんですが、あなたのジョブはい ささか特殊でして。段階的な重要成長内容の解禁と、その説明が必 要みたいです﹂ みたいです、とは神みたいな存在のくせになんとも適当な話だが、 まあ特典が多いならそれに越したことはない。 愛隷 のシステムが解禁されました。こ フェイバリット ﹁へえ、じゃあまた俺のスキルが何か大きく成長したってことか?﹂ ﹁はい。今回あなたには お気に入り みたい れは、それにふさわしい魔隷が誕生したことによる追加です﹂ ﹁愛隷⋮⋮?﹂ ﹁魔隷の中でも特別な段階に進んだ、言わば な相手ですね。これにより、その相手におよぼす魔隷術師スキルに はさまざまな恩恵が発生します﹂ それってゲームとかでたまにある、特定キャラのレベルとか親密 度とかを一定以上にしたら新しい能力が解禁されたり、レベルが限 界突破したり⋮⋮みたいなもんだろうか? ﹁ま、だいたいそんなものと考えて頂いて結構です﹂ ﹁⋮⋮ナチュラルに心の中読むのやめてくれよ﹂ ﹁おっと失礼。まあここにお呼びしたのは例によってあなたの魂だ お気に入り の無神経 という解 とやらについて思考する。 管理者 けですので、最初から心で会話してるようなものなんですけどね﹂ 愛隷 人間の感情を本質的には理解してなさそうな さにため息をつきながら、俺は このタイミングで呼ばれたこと、そして 説。 それが誰を指すかは、あらためて考えるまでもない。 740 ﹁キリカ⋮⋮か﹂ つまり、彼女という存在は俺にとって他の魔隷とは少し違う意味 を持った、ということだ。 心当たりが⋮⋮ないとはさすがに言えない。 ﹁私に名前言われても知りませんが、精神的な深いつながりが生ま れた魔隷との間にのみ機能するシステムとのことですよ﹂ 精神的な深いつながり⋮⋮心が通じ合った、ってことか? それって、やはり、そういうことなのか? ﹁くそ⋮⋮いやしかし、これは喜ぶべきなのか⋮⋮?﹂ ﹁いやあ、青春ですねぇ﹂ ﹁なあ、今あんたをめっちゃ殺したいんだけどどうやればいい?﹂ のおっさんの説明に耳を傾け ﹁あまりおすすめしませんね、それは。さて、では新規要素につい 管理者 ての詳しい解説ですが⋮⋮﹂ 俺は仏頂面で、とにかく ることにした。 元の時空に戻った時、果たしてキリカにはどう説明するべきか⋮ ⋮と頭を悩ませながら。 くそ⋮⋮やっぱりまったく、俺らしくもない。 ※ ※ ※ 741 地下集落の大広間は、にぎやかな宴の空気に満ち満ちていた。 そこに参加しているのは何もダークエルフや、トオルのパーティ メンバーばかりではない。 シエラと同じく透き通るような肌をしたエルフたちも、みな笑顔 を浮かべて種族の別なく笑いさざめき、酒を酌み交わし合っている。 ﹁本当に良かったですわね⋮⋮エルフの皆様とダークエルフの皆様 が、元のように共に笑いあえる光景が戻ってまいりましたわ﹂ ﹁これもあなたの尽力あってこそです、システィナ姫﹂ ﹁もったいないお言葉です、ディアーネさま。ですが、この結果を 導かれたのは他ならぬトオルさまですわ﹂ 破天の骸の扱いを巡り、一時期は一触即発の緊張した空気に発展 しつつあった両集落は、ようやく以前と同様の友好関係を取り戻し た。 つまり﹁魔族の脅威から両集落を救った英雄﹂にして﹁ディアー ネを蝕んでいた骸の浸蝕を治したことで、その力を制御可能という 実績を見せた﹂トオル一行が、危険な骸の欠片を責任をもって回収 する⋮⋮という筋書きに落ち着いたのだ。 ﹁ええ⋮⋮最初に会った時はその傍若無人さに驚いたものですが、 やはりトオル殿がなんというか⋮⋮規格外の存在であることは認め なくてはならないようですね﹂ 褐色の美貌にほんの少しだけ恥ずかしそうな色を混ぜての、ディ アーネの賞賛。 はい、それはもう̶̶と、嬉しそうにロイヤル巨乳を揺らして微 笑み返すシスティナ姫。 ﹁それはそうと、そのトオルさまはどちらに行ってしまわれたので 742 しょう⋮⋮? 先程から、お姿が見えませんが。ディアーネさまは ご存知ですの?﹂ 上品な仕草で料理を口に運びながら、小首をかしげる人間の姫に、 ダークエルフの巫女はなんとも微妙そうにこわばった表情を向けた。 ﹁そ⋮⋮それが、これはお耳に入れるべきではないことかもしれま せんが⋮⋮その﹂ 赤面して言いよどむディアーネ。 そう、トオルが今、何をしているかというと̶̶。 ※ ※ ※ ﹁んああっ、すっすごい∼∼∼っっ!!? これがっ、これがセッ クスぅっ⋮⋮人間のオスとのセックスがこんなにキモチいいだなん てぇっ!?﹂ チョコレート色の尻を俺に抱えられ、背後からドチュドチュと腰 を叩き付けられてあえぐダークエルフの娘。 そして俺のチンポが同族の愛液にまみれ、サーモンピンクのマン コに出入りする淫靡な光景を、何人ものダークエルフたちが熱に浮 かされた目で見つめ、口々に囁きあっている。 ﹁す、すご⋮⋮! ヴェラったら、いつもは静かなのにあんな声あ げちゃってる⋮⋮っ﹂ ﹁そんなにイイというのか、あの男のチンポが⋮⋮﹂ ﹁だってほら見て、あんなにたくましくて太い⋮⋮ディアーネさま 743 もされちゃったってウワサ、ホントなのかも⋮⋮!﹂ 精力絶倫でスゴいセックスをする という噂があることないこと広まっていたらしい。ま いつの間にやら、集落内には オスがいる あ、逗留している間しょっちゅう魔隷の皆とあれだけヤリまくって たんだから無理もないが。 しかも、それを聞きつけ是非一夜の体験を⋮⋮と集まってきたの は、ダークエルフだけではなかった。 トロ ﹁ああ⋮⋮な、なんという淫らで動物じみたセックスなのでしょう ⋮⋮!?﹂ ルオーク ﹁アレも、エルフ族の男の細いモノとは全然違う⋮⋮ま、まるで鬼 腕樫の枝みたいにゴツゴツと節くれ立っていて⋮⋮!﹂ ﹁あっ、あんなものでかきまわされたら、お腹がやぶけてしまいま すっ!﹂ 抜けるように白い肌を興奮の朱に染めたエルフたちもまた、さっ きから相手を取っ替え引っ替えよがらせ続ける俺の行為を遠巻きに、 しかし興味津々に見守っている。 希 は十数人におよび、しかもどんどんその数は増えていた。 宴を抜け出し、ここダークエルフ集落の露天風呂に集まった 望者 艶かしく汗にまみれた白や黒の太ももの間から精液をごぷりと溢 れさせながら、幸せそうな顔で床に横たわっている者たちもすでに 三人や四人ではきかない。 ﹁呼び出された時は何かと思ったが⋮⋮揃いも揃ってエロい種族だ な、エルフもダークエルフも! こうやって俺のチンポに貫かれる 体験をご希望とはなっ、そらそらそらぁっ!!﹂ ﹁ああッあひぃぃぃっっっ!!? まっ、まだ奥までっそんなぁぁ っっ!? た、達するっ、達してしまうぅぅっ!? ああっんあぁ 744 ぁぁあぁ∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ 激しくバックで責め立てられ、たまらずビクビクと激しい初中イ キに痙攣するダークエルフまんこに、どぷどぷと濃ゆい子種を注ぎ 込む。 気絶して倒れた褐色の裸体からぬるんと抜け、精力強化エンチャ ントによってなおもビンビンに脈打つ人間チンポへと、いくつもの 視線と生唾を飲む音が集中した。 ﹁さあ、次は誰がこれをブチ込んでほしいんだ⋮⋮ん? お前は確 か、あの時の﹂ ﹁あぅ⋮⋮!﹂ 赤面して顔をそらしたのは、くすんだ長い銀髪を後頭部でくくっ た一人のダークエルフ。 俺とアメリアが牢から脱出する時に隷属させた、牢番の斥候だ。 ﹁なんだ、隷属は解いてやったのにちゃっかり参加してるとはなぁ ? よっぽど俺のこれをまた味わいたかったのか、可愛いヤツだな﹂ ﹁ち⋮⋮ちがう、ワタシはお前が皆に外道なマネをしないか監視し ているだけで⋮⋮!﹂ ﹁へえ、じゃあ黙認されてるってことはこれはそういうマネには入 らないんだ﹂ ﹁や、やぁっ⋮⋮!? だ、誰がワタシのムネを触っていいと言っ ⋮⋮んぁ、ふぁあ!?﹂ スレンダーな体を抱き寄せ、やや小ぶりな褐色乳房をやわやわ揉 みほぐすと、すぐに期待してたことがバレバレの甘い声が漏れ始め た。 口々にうらやましそうなヒソヒソ声が、順番待ちのギャラリーた 745 ちから上がる。 ﹁くくっやっぱりな、この穴ももう濡らしやがって⋮⋮そういえば、 名前なんだっけ?﹂ ﹁ひぁあ、ッあぁっ!? そ、それくらい覚えておけっ、シエスタ の樹に仕えしロウバーン氏族イーマとアリサの子、カルケだっ⋮⋮ ふぁあ﹂ ﹁長いなぁ、どこまでが名前だよ。んじゃまあカルケ、入れるぞ?﹂ ﹁は、はいぃ⋮⋮! っふあぁああぁぁあ∼∼∼っっ!!? こっ これぇっ、これっスゴいぃぃのぉぉ!! この太いチンポが欲しか ったのぉぉっっっ!!﹂ ﹁やっと素直になったなっ! さあ、順番待ちのエロフどもも尻突 き出して一列に並べ! エルフとダークエルフで交互にだぞ、マン コの違いをたっぷり比べて堪能してやるから⋮⋮なっ!﹂ しなやかで心地よい肉の締め付けを堪能しつつ、命じられたまま 異種族たちが二色のお尻の列を作る贅沢な光景を横目に、俺は腰を 動かし続けた。 なにせこの人数、さすがに精力強化魔法の助けを借りても、ちょ っとやそっとじゃ終わらないだろうな⋮⋮。 ※ ※ ※ ﹁なるほど⋮⋮そういうことでしたのね﹂ 今起きているそんな状況を婉曲的に、しどろもどろになんとか伝 えると、意外にもシスティナ姫はこともなげに、笑顔でそれを納得 し受け入れたようだった。 746 これにはさすがに、ディアーネの方が逆に驚かされた。 ﹁その⋮⋮貴女は、お嫌ではないのですか? いいえ、それだけで はなく、他の魔隷の方々とトオル殿が⋮⋮は、肌を重ねられるのが﹂ 普段の物静かな彼女からすると意外ともいえるこの突っ込んだ質 問は、もしかしたらディアーネ自身が、トオルを少しずつ憎からず 思うようになっているからかもしれなかった。 ﹁そうですわね⋮⋮わたくしに男女のことはよくわかりませんが、 普通なら怒りや苛立ちを感じるのがきっと自然なのでしょう。そう、 キリカのように﹂ サファイア色の瞳が、遠くを見るように微笑む。 だがその中には、どこか羨ましがっているような⋮⋮あるいは寂 しがっているような色が混じっているようでもあった。 さが ﹁ですが英雄色を好む、と申します。それに、わたくしはトオルさ まの自由奔放にして世のあらゆる理に縛られない性にこそ、魅せら れているのかもしれませんから﹂ ごう 驚きつつディアーネは、光を失った瞳でランバディア第三王女を 見つめた。 そう言い切る彼女に、一種の常人離れした業のようなものを見た 気がしたからだ。 この一見どこまでも優しい、国民の誰からも愛された理想のプリ ンセスは、もしかしたらその誰もが⋮⋮家族すらもが見抜けなかっ た複雑な内面を抱えているのではないか? ﹁で、ではあなたは⋮⋮トオル殿がもしも、もしも魔隷術師の力に、 747 あるいは破天の骸の力に溺れ、それこそ魔王のごとき存在と化した として⋮⋮それでも⋮⋮?﹂ それでも彼を愛するのですか、と。 どこまでもついていくのですか、と。 一種の敗北感̶̶きっと自分には同じことはできないという̶̶ の痛みをちくりと感じながらディアーネは、眼前の美姫にある種の 畏怖をはらんだ盲目の視線を向けた。 ﹁はい。だってわたくし、きっと皆様が想像するよりも⋮⋮悪い子 ですから﹂ ※ ※ ※ ﹁ふう、さすがに腰が痛い⋮⋮今度ニーナにそっちをなんとかする アーティファクトでも見繕ってもらうかな﹂ 俺は背筋を曲げ伸ばししながら、大量のエルフやダークエルフた ちが死屍累々に折り重なった露天風呂を後にし、集落の入り口付近 を夜風に当たりながら歩いていた。 精霊魔法によるものらしき灯籠の柔らかな光が、間接照明めいて ぼんやり周囲の木々を照らしていて、なかなか風流な雰囲気だ。 ﹁それにしても、あのセレスタのジョブ⋮⋮アレは一体、どういう ことなんだ?﹂ 俺は魔隷術師として、隷属させた者が持つジョブやスキルを大ま かに把握できる。その結果、新たに魔隷となったセレスタの身に起 748 きていたある異変に気付いていた。 異界機士 。ニーナたちも聞 彼女のジョブは、剣技スキルを中心に修めた女騎士⋮⋮ではなく、 異界の銃器を扱うスキルを習得した いた事のない異様なジョブだったのだ。 ﹁ジョブが、スキル構成ごと突然ごっそり変わる⋮⋮それも本人の 管理者 管理者 の力を に新たな特典の説明を受けた後、俺はダメ元で探りを 自覚なしに。そんなことは普通あり得ないはずだ﹂ 入れてみた。そんなチートを可能にする手段が、 除いてこの世界に存在するのか? と。 まあ予想はしていたものの、そのような情報は開示できないとす げなく断られてしまったが。 ﹁どうあれ、あいつは⋮⋮クルスは、その手段を少なくとも知って いるってことになる﹂ ヤツ自身の力か、アイテムか何かか、あるいは仲間やイヴリース の持つ能力か。 いずれにせよ、敵に回すには未知数の脅威に違いない。 ﹁クルス⋮⋮来栖、新耶﹂ あの銀仮面が、本当に俺の元クラスメートだというのか? まだ 俺には実感がない。 修学旅行の前に死んだはずという謎もそうだが、俺の知る来栖は もっとこう、なんというかただの気弱なお人好しで⋮⋮手段を選ば ず魔族とつるむようなあいつの姿と、うまく繋がらない。 ﹁いや⋮⋮でもそれは、俺も同じ⋮⋮か﹂ 749 かく言う俺だって、こっちの世界に転生して魔隷術師というチー トジョブを得る前と後ではまるで違う人間といえるだろう。 さっきまでのエルフハーレム大乱交ひとつとっても、昔の俺じゃ あらゆる意味で不可能だ。 だから、クルスも俺みたいに何かを切っ掛けに変わった⋮⋮ある いは、元々内に秘めていた何かが目を覚ましただけなのかもしれな い。 そうやって、新しい自分を手に入れた俺たち同士がこうして争い 合う⋮⋮皮肉なもんだ。 いい子すぎる ﹁俺たちは変わった⋮⋮じゃあ、キリカはどうなんだ?﹂ 以前も疑問に思ったが、姫野桐華という女の子は 。 クラス委員、ランバディアの姫騎士、そして俺の魔隷⋮⋮どんな 環境に置かれてもどこか素直にそれに適応し、人一倍こなして、そ の役割にいつの間にか落ち着いて、受け入れてしまう。 なぜそうなのか? その理由の一部分は、今日の彼女とのセック スの中で見えた。 おそらくは家庭環境か幼少期の体験が原因で、素直で従順でなけ れば自分は許されない、存在する価値がないと思っているのだ。そ れはある意味、愛情に飢えたあのフラミアにも似たイビツな危うさ だ。 そして異世界に来ても、それは変わらなかった⋮⋮俺や、あるい はクルスとは違って。 ﹁⋮⋮なあキリカ、お前は変わりたいのか? それとも変わりたく ないのか⋮⋮?﹂ 750 双子の月が昇る夜空を見上げ、俺は誰にともなくつぶやいた。 そしてきびすを返し、地下集落内に戻ろうとした⋮⋮その時。 ﹁あっ! ここにいたのね、トオルくんっ!﹂ まさにそのキリカが、血相を変えて行く手から走って来た。 なぜか涙目で顔を真っ赤にしている。さっきのエルフ大乱交でも 見られてたのか? と一瞬頭をよぎったが、どうもそんな感じでも ない。 ﹁へえ。トオルくん⋮⋮って呼んでくれるようになったんだ﹂ ﹁そ、そんなことはどうでもいいでしょ! ちょっと、これはどう いうことなのよ!?﹂ ﹁これ? これって何?﹂ ﹁う⋮⋮ちょ、ちょっとこっち来て!﹂ 周囲に誰もいないことを確認してから、キリカは俺を木陰に引っ 張った。 そして、何度かためらいながらブラウスの裾をたくし上げ、スカ ートも少しだけずり下げる。 ﹁おっと⋮⋮キリカってば大胆だなぁ、ここでしたいの? 野外プ レイに興味津々?﹂ ﹁そっ、そうじゃなくて! 見てよこれ、トオルくんのしわざでし ょ!?﹂ う∼、と涙目で睨み上げつつキリカが示したその場所、彼女のヘ ソの下あたり。 そこには⋮⋮パルミューラやフラミアの魔紋にも似た、奇妙なハ 751 ート型の装飾的な紋様が刻まれていた。よく見れば、ぽうっとピン ク色に発光している。 ﹁ああ、なるほど。これが愛隷の証ってやつか﹂ ﹁愛隷の⋮⋮? え、何それどういうこと!? というか、ほらや 管理者 からの説明にあった、愛隷となった魔隷に刻まれる証。 っぱりトオルくんのせいだったんじゃない!﹂ それはエロ漫画とかエロ画像でたまに見る、所有物として洗脳さ れた性奴隷の類いに刻まれる淫らな紋を思わせるものだった。 真面目なキリカの、しかも子宮のあたりに刻まれてると思うと余 計に卑猥だ。 ﹁まあまあ落ち着けって。ことの顛末を話せばちょっと長いんだけ どさ⋮⋮﹂ ﹁理由なんかどうでもいいのっ、早く消してよこれぇ! こんな場 所にこんなヘンな形の⋮⋮だ、誰かに見られたらどうするのよぉッ !﹂ から聞いた説明を教えてやるこ ﹁消したいの? だったらそれはキリカの気の持ちよう次第ででき るはずだぜ﹂ 管理者 ﹁ど⋮⋮どういうこと?﹂ 俺はにやりと笑って、 とにする。 ﹁その紋が目に見えるように発光するのはさ、愛隷が主人との繋が 気分 にならなけりゃいいんだ﹂ りを欲してる証拠なんだってさ。だから、目立たせたくないなら簡 単だよ。君がそういう ﹁繋がり⋮⋮欲してる⋮⋮?﹂ ﹁そう。心とか、体とかの⋮⋮意外だなぁ、あれだけやったのにま 752 だしたかったりする?﹂ キリカは一拍遅れて、俺が言ってる意味を理解した。 そして、さらにたっぷり三秒ほど固まって。 ﹁と⋮⋮とッ⋮⋮トオルくんのバカぁぁぁぁぁぁッッッ!!﹂ 森の動物たちも目を覚ますような大絶叫が、シェイヨル大森林に 響き渡るのだった̶̶。 ※ ※ ※ そんな地球人ふたりの微笑ましい︵?︶姿を、少し離れて見守る 人影があった。 ︵キリカは⋮⋮トオルさまと、以前より仲良くなれたみたいですわ ね︶ 二人の間に流れる空気の微妙な変化を、システィナ姫はなんとな く感じ取っていた。 キリカの友人として⋮⋮そして、トオルに思いを寄せる者として。 それは前者としては嬉しくもある反面、後者としては寂しく、悲 しくもある。 資格 がありませんもの⋮⋮︶ ︵でも⋮⋮これでいいのですわ。だって、わたくしには⋮⋮キリカ と違って、そうなる ひとつだけ̶̶たったひとつだけ。 753 システィナ姫が、トオルに伝えていない事実があった。 ︵ですから、キリカ⋮⋮どうかあなたが支えてあげて下さいませ。 トオルさまのことを̶̶︶ 愛するトオルに、そしてかけがえのない友キリカに、それを伝え られない罪悪感を胸に。 システィナ姫はひとり、高貴な覚悟を新たにするのだった。 ※ ※ ※ ﹁なむなむ⋮⋮﹂ それは奇妙な光景だった。 荒れ地の地面にこんもりと盛られた大きな土饅頭の前で、この世 界には似つかわしくない制服に身を包んだひとりの少女が、しゃが んで手を合わせているのだ。 薄く輝くライトピンクのリップから、適当な内容の念仏がぶつぶ つと繰り返されている。 ミニスカートの中身がチラ見えしそうな姿勢だが、他に生きて動 いている者は誰もいない。 ︿⋮⋮リルナ。なぜ魔騎士と狩猟公バル=ヴァルスの残骸を、わざ わざ土に埋めたのですか?﹀ だが、少女ひとりしかいないはずの場所で、別の声が聞こえた。 およそ人間らしい感情に欠けた、抑揚の薄い中性的な声。 754 ﹁んー? 見りゃワカるっしょ オルト 。おハカだよ、お墓的な アレだよ。いくらなんでもあのまんま野ざらしはカワイソーっしょ ?﹂ ︿行為の意味を理解しかねます。死亡した魔族は魔力に分解される ため衛生面で埋葬の必要性はなく、また宗教儀式面でも人間社会の それとは根本的に意識と流儀を異にするため⋮⋮﹀ 滔々と喋るその声は、彼女が背負った、鞘におさまったままの剣 から出ていた。 リルナは明るい色のサイドテールを可愛らしく揺らし、さも当然 のように、そのオルトと呼ばれた人ならざる声と会話している。 ﹁うわ、まったいつもの長いおセッキョーだ。マジ勘弁⋮⋮てか、 そんなん別にいいの、アタシのキモチ的な問題なんだからさ﹂ ︿リルナの精神的充足にこの行為が必要、という意味ですか? そ れも理解しかねますが﹀ ﹁ま、たしかにアホらしいっていえばそーかもねー。この魔族サン も、自分ぶっ殺した相手に別の世界のテキトーなお経上げられても ウレシくないだろーしさ﹂ ︿率直に言って理解不能です﹀ ﹁だと思うよ。でも、まー⋮⋮せめてそれくらいはシたげたいと思 ったから、アタシはやる。それだけだよ﹂ にっ、と南国の太陽のような笑顔が咲いた。 よいしょお!と気合いを入れて立ち上がった拍子に、ネクタイに 飾られた白ブラウスシャツをめいっぱい押し上げる巨乳が、ぶるん っと元気に揺れた。 ﹁さて、と。八冥家だっけか、意外と苦戦とかしなかったッスねー ? このブンだと、他の連中もがんがんイケるんじゃないかなーっ 755 て﹂ ︿慢心は禁物です、リルナ。損害がなかったとはいえバル=ヴァル スの戦闘能力は第三位階魔族中で最も劣るものに過ぎません⋮⋮あ なたの勇者としての力も、いまだ未完成なのですから﹀ ﹁はいはいサーセン。わかってるよ、何すりゃいいかってのはさ。 もう耳タコだもん﹂ キラキラ輝くサイドテールをなびかせ、健康的にキュッと引き締 まったお尻と大きな胸を揺らして、橘リルナは歩き始めた。 オルトの導きに従い、手にしたジョブの使命を果たすべく。 魔隷術師 は⋮⋮あたしがきっちり、滅ぼしたげる ﹁まぁ、このリルナさんに任せといてよ。ワルい魔族、そんでもっ て一番ヤバい からさ﹂ 歩きながらグッと、白い手を天に突き上げてガッツポーズ。 ﹁さあ、いっくかぁー! ギャル勇者、いっちょ世界救いになー!﹂ ※ ※ ※ ︻第二章:俺と、魔貴族と、破天の骸︼episode end! ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ 756 ジョブ:魔隷術師LV16↓17 スキル:︻隷属魔法LV10↓11︼︻魔の契約LV2︼︻魔隷強 化LV6︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:3人分︶ ︻姫騎士キリカ︵愛隷︶︼︻メイド法術師ニーナ︼︻女戦士アメリ ア︼ ︻エルフの精霊弓士シエラ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ ︻狂公女フラミア︼︻異界機士セレスタ︼ ランバディア第三王女システィナ姫︵レベルUP!︶ ジョブ:予言の姫LV13↓14 スキル:︻予言夢LV13↓14︼︻高貴なる覚悟LV1↓2︼ ??? 757 47話:管理者再びと、俺の愛隷︵後書き︶ これにて第二章、完結となります。応援してくれた皆様、ありがと うございました! 第三章の新展開にもどうかご期待下さい。 758 俺と、おっぱいとおっぱいと、おっぱいとおっぱいとおっぱいと おっぱい︵前書き︶ 2章完結&書籍2巻発売記念に、外伝的なHシーンオンリーエピソ ードをお届けします。 時系列や場所はあまり深く考えずに、タイトル通りの内容をお楽し みください。 759 俺と、おっぱいとおっぱいと、おっぱいとおっぱいとおっぱいと おっぱい 俺の目の前に、山がある。 大きな12個の山々が。 いや、それはもう山脈と呼ぶべきだろう。 なだらかに連なる、大迫力の雄大な山脈⋮⋮だが決して、硬い岩 肌のそれではない。 いただき むしろこの世でもっとも柔らかい山肌だ。 そしてすべての男たちが夢見て止まない頂だ。 そう、その名こそは̶̶! ﹁⋮⋮おっぱい!﹂ 思わず、高らかにそう声に出してしまった俺に、山の数と同じ1 2の視線が集中した。 ﹁うん⋮⋮⋮⋮主さまの好きな、おっぱい⋮⋮⋮⋮だよ﹂ ﹁し、シエラ。本当に皆様で一緒に⋮⋮す、するのですか?﹂ ﹁なぁに、巫女さんだってシエラと一緒にマスターとシたんだろ? ちょっと人数増えただけで大して変わんないさ﹂ ﹁そうなのですか女戦士どの!? こ、これが人界の性行為の奥深 さ⋮⋮!﹂ たゆんっ⋮⋮と重そうに揺れる、シエラの真っ白な大ボリューム エルフおっぱい。 たぷんっ⋮⋮と柔らかそうに揺れる、ディアーネの褐色ダークエ 760 ルフおっぱい。 ぶるんっ⋮⋮と張り良く揺れる、アメリアの日に焼けた健康的な 女戦士おっぱい。 ﹁な、なんという破廉恥極まるっ⋮⋮ひっ姫さま! いくら姫さま ご自身が受け入れようとも、やはりこのような行為は騎士として看 過できませんッ!﹂ ﹁セレスタ、わたくしも恥ずかしいのは同じですわ。ですから、貴 女にも嫌でなければ一緒にいてもらいたいのですけれど⋮⋮だめで すの?﹂ ﹁え⋮⋮あのその、い⋮⋮イヤというわけ、ではっ⋮⋮! そ、そ うだキリカ、お前はこれでいいというのかっ!?﹂ ﹁こ、こっちに振らないでよセレスタ! わ、私はトオルくんに何 言ってもどうせムダだから諦めてるだけだしっ!﹂ ぱゆんっ⋮⋮と意外に可愛らしく揺れる、セレスタの形のいい女 騎士おっぱい。 どぷんっ⋮⋮とド迫力に揺れる、システィナ姫の最大を誇るロイ ヤルおっぱい。 ぷるんっ⋮⋮と存在感たっぷりに揺れる、キリカの隠れ巨乳優等 生おっぱい。 ﹁いやぁ絶景絶景。さて、おっぱい自慢のみんなにこうして集まっ てもらったのは他でもない﹂ キングサイズのベッドに全裸で身を投げ出し、王様のようなドヤ 顔を決める俺。 おっぱいの部分だけ脱がせて露出させたいずれ劣らぬ巨乳爆乳の 魔隷たち6人を目の前に並べ、こうして乳山脈それぞれの個性をた っぷりじっくり視姦しているんだから無理もない。 761 女の子6人分のいい匂いが体や髪から漂い、ハーレム状況にいる ことを実感させてくれる。 ﹁待って、トオルくん! 絶対聞かなけりゃ良かったって感じにな る内容よね、それ!?﹂ ﹁そ⋮⋮そのとおりだッ! いくら貴様に借りがある身とはいえ断 固抗議す⋮⋮むぐぐっ!?﹂ ﹁?? どうしましたの、お二人ともおノドを押さえて﹂ ﹁きっと食べ過ぎか何かでしょう姫、お気になさらず﹂ 姫騎士と女騎士が口々に抗議するが、隷属術式によって口を塞い でしまえば無力なもんだ。 俺はにやにやと愉悦の笑みを漏らしながら、これからの期待でも 配置 についてもらおうか、みんな̶̶﹂ うビンビンのチンポを自己主張させる。ハッとその場に集まる、1 2の視線。 ﹁さてと。さっそく ※ ※ ※ ﹁お乳で、おチンポさまをこねこねっ⋮⋮ふぁ、んはっ! た⋮⋮ 確かこうでしたわね、トオルさま? わたくし、ちゃんと上手くで きているでしょうか⋮⋮っ?﹂ ﹁んっ⋮⋮⋮⋮んしょ、むぎゅ∼∼∼っ⋮⋮⋮⋮やっぱりお姫さま のすごい、でも負けない⋮⋮⋮⋮主さま、シエラのおっぱいも、ど う⋮⋮⋮⋮?﹂ 寝転がったままそそり立たせたチンポが、白い柔肉の中でこね回 762 されている。 メンバーの中でもサイズでいえば文句なしのトップ2、システィ ナ姫とシエラによる超ボリュームダブルパイズリが、脳までとろけ るような快楽をもたらす。 4つのビニールボールのようなおっぱい津波に押し寄せられ、俺 のモノはほとんど埋もれきって隠れていると言っても過言じゃない ありさまだ。 ﹁ああ、うまいぞ姫、おっぱいでチンポをあやすのがこんなに上手 くなって⋮⋮うぅ! し、シエラもまた一段と腕を上げたなっ、う おぉ⋮⋮!﹂ ﹁ん⋮⋮⋮⋮お姫さまにだって、おっぱい魔隷のトップは譲らない よ⋮⋮⋮⋮!﹂ ﹁す、すごいですわシエラさんの動かし方。わ、わたくしも見よう 見まねで、えいえいっ! こう、ですの?﹂ 一見クールだがその実、魔隷たちの中でも有数にエロい行為に躊 躇がないシエラと、先入観がない分Hの時は無自覚に大胆になる姫、 相乗効果でどんどん激しくなる極楽パイズリ共演。 そして、俺の体に沿って下から上に目を転じれば̶̶。 ﹁い、いけません姫様! そのような汚らわしいモノにお乳を擦り 付けては、病気になってしまいまっ⋮⋮んぁあ!? や、やめっ⋮ ⋮うぁ、あ!?﹂ ﹁おいおい、マスターのを汚いとか失礼な騎士サマだな、ちゃんと 洗ってるって⋮⋮ま、まあ汗とかでムレてる時のにおいもあたしは 好きなんだけどっ⋮⋮ふ、ふあぁんっ!?﹂ 言い争うアメリアとセレスタ、俺の体の左右に座らせた二人のお っぱいをそれぞれ左右の手で鷲掴み、こね回す。手触りはやや違う 763 が、指を押し返してくるたっぷりの弾力は共通している。 二人とも体を鍛えてるだけあって、一種のしなやかさを感じる健 康的な揉みごたえだ。しかも感度がいいから、コリッと硬くなった 乳首への愛撫を混ぜてやると文句もすぐ甘い声に変わる。 ﹁うぅ⋮⋮よりによって6人並べてやらせるのがコレなわけ? ぜ、 ぜんっぜん理解できない⋮⋮っ!﹂ ﹁あの、姫騎士どの⋮⋮これは、人界のならわしとしては普通の行 為というわけではっ、ないのですかっ?﹂ 困惑するキリカとディアーネは、クッションを背に半ば起こした 俺の上半身の両脇、頭部に自分の胸を寄せておっぱいで顔を押しつ けるようにさせている。 白と褐色、対照的な色を持つ巨乳カルテットに左右からほっぺた をぐんみゅりと挟まれ、これまた夢心地のおっぱいプレス天国だ。 ﹁え!? えっとディアーネさま、ああもうなんていうかこの人も 姫さまと一緒で天然すぎっ⋮⋮あのその⋮⋮あううっ!? ちょ、 いきなり体に命令しないでよぉトオルくんっ!﹂ ﹁だってほら、二人とももっと密着しないと! さあ、思いっきり 乳を俺の顔に寄せるんだディアーネも、さあさあ! 圧し潰すくら いのイキオイで!﹂ ﹁は、はい⋮⋮っ! こう⋮⋮です、かぁっ?﹂ ﹁おおぉうっ!? いいぞっ、圧迫祭りだ! 顔面でおっぱいフェ スティバル開催だっ!﹂ ﹁い、意味がびっくりするくらいぜんぜんワカんない!?﹂ そうしている間にもチンポを優しく激しく包みコネる、ダブルパ イズリの快楽。 同時に両手の指でむにゅぐにゅ楽しむ、ダブルおっぱい一気揉み 764 の楽しさ。 さらに頭を包み込み脳まで甘やかさすような、ダブル乳挟み圧の 癒し。 それぞれ個性ある6つのおっぱいを全身でまとめて味わう、究極 のおっぱいハーレムがここにある! このおっぱい、すべてが俺だ けのものなのだ! シフト交代 だ! 右側のおっぱい、さっき しかも⋮⋮もちろんこの配置の素晴らしさは、それだけでは終わ らない。 ﹁よぉし、そろそろ 説明したとおりにひとつずつポジションをズラしてくれ!﹂ ﹁ん⋮⋮⋮⋮了解、主さま﹂ ﹁き、騎士をおっぱい呼ばわりとは何事だぁっ⋮⋮ふ、ふぁ!? ま、またしても怪しげな術で体を勝手にぃっ!?﹂ ﹁え? ええと、そのっ、こちらに交代すればよろしいのです⋮⋮ ね?﹂ 俺の指示で下から上に回転移動するシエラ、セレスタ、ディアー ネの右サイド。 すなわち、今度はシエラがアメリアと共に乳を揉まれ、セレスタ がキリカと共に俺の顔をおっぱいで挟み、ディアーネがシスティナ 姫とペアのダブルパイズリポジションに就く。 ﹁あ⋮⋮よ⋮⋮よろしくお願いします、姫﹂ ﹁はい、ディアーネさま。二人でトオルさまのおチンポを喜ばせて あげましょう﹂ 妙に礼儀正しくぺこりと頭を下げる銀髪のダークエルフと、にっ こり微笑む金髪のランバディア第三王女が、たっぷりゆっさりの双 765 乳を寄せ合ってガチ勃起チンポを挟み直した。 抜けるように白いロイヤル爆乳とコネ混じり合うと、チョコレー ト色の巫女巨乳は余計にイヤらしくコントラストが引き立ち、視覚 的にも俺を楽しませる。 ﹁そこは重要ポジション⋮⋮⋮⋮頑張ってね、姉さま⋮⋮⋮⋮んふ ぁあ!? あ、主さまっ、いきなり強く揉んじゃぁ⋮⋮⋮⋮ッッ!﹂ ﹁だってなあシエラ、姉さんのパイズリが攻撃力高すぎるから射精 ガマンするためにこうやって掴んでないとさ? おおっ、指がむに ゅんって沈むっ⋮⋮!﹂ ﹁ちぇ、こっちだってしっかり可愛がってくれよマスター? そり ゃ、シエラのボリュームにはさすがのあたしも負けるけどさ﹂ ﹁ああ、任せろアメリア。お前はちょっと痛いくらいにされるのが 好きだったよ⋮⋮なっ!﹂ ﹁⋮⋮っひゃうぅぅ!? そ、そんな急に強くぅぅ!? やっ、あ っあたしのおっぱい、マスターの指の形のアトつけられちゃうよぉ ぉ⋮⋮っひぃんっっ!?﹂ こっちのペアも乳のサイズと触り心地のタイプがさっきよりはっ きり違うぶん、お互いのおっぱいの個性と長所がより際立って楽し い。 おっぱいはいずれもオンリーワン、みんな違ってみんないいのだ。 ﹁!? ひぁっ!? き、キリカぁ! お⋮⋮お前のその、先っぽ のアレが私のと当たってるぞっ!?﹂ ﹁ふ、不可抗力よぉっ! トオルくんに体離れられなくされてるん だもんっ、ちょうどヘンな位置にこすれっ⋮⋮やぁ、ああぁぁんっ っ!?﹂ ﹁なんだなんだ、二人とも乳首こすれ合わせて甘い声出して? 特 にセレスタ、まんざらでもなさそうなその顔はあれか、ライバル心 766 の底に秘めた憎からぬ想いってやつか?﹂ ﹁ちっ違っ!? うるさいうるさぁいっ⋮⋮やっ、んあぁ、あぅう ∼∼∼ッッ!!?﹂ 甘い甘い悲鳴が、しなやかな体をのけぞらせた亜麻色ポニーテー た ルの女騎士から放たれる。同時に黒髪の姫騎士からも。 絡み合いシコり勃った乳頭を、まとめて俺が口に含んで転がして やったのだ。 そのままベロベロと舌を乱暴に踊らせて二人の弱点をねぶり回し、 よきライバルにして友人同士に高い嬌声のハーモニーを奏でさせる。 ﹁ぷはっ⋮⋮! さてキリカ、名残惜しいだろうけど今度は反対側 がシフト交代だ﹂ ﹁ふぁ、あぁ⋮⋮な、名残惜しいとかそんなの絶対ないしっ⋮⋮!﹂ ﹁よいしょ、よいしょっ⋮⋮あ、も⋮⋮もう交代ですの?﹂ ﹁へへっ、じゃあ今度はあたしがパイズリポジションだな。たっぷ りマスターのおチンポ様にさっきの反撃してやるぜ﹂ 次はシスティナ姫、アメリア、キリカの左側三人が、さっきとは 逆に上から下にズレる。 パイズリ担当がアメリアとディアーネ、乳揉まれ担当がキリカと シエラ、そして姫とセレスタが顔の部分担当という新ポジンション が完成した。 ぼふゆんっ⋮⋮と、窒息しそうなほどのプリンセス爆乳が恥ずか しそうに押しつけられる。 ﹁むはっ、やっぱりこのド迫力ボリュームは顔いっぱいで味わうに 限るっ⋮⋮さぁて、せっかくこの位置になったんだから姫のアレを 引っ張り出してやらないとな﹂ ﹁やっ、あっんあぁっ!? と⋮⋮トオルさまっ、つ、つよいです 767 っ⋮⋮そんなに強くちゅうちゅうされるとぉ⋮⋮で、出て来てしま いますっ、わたくしの恥ずかしいところがぁぁ⋮⋮!﹂ ﹁ひ、姫!? そっそれは!?﹂ セレスタが目を丸くして見守るすぐ眼前で、小さくイヤイヤをす るシスティナ姫のロイヤル爆乳の頂点、大きめの乳輪の真ん中に隠 れへこんだ陥没乳首がプリッと吸い出された。 さすがに護衛筆頭の女騎士といっても、仕える主人のそんな場所 をまじまじと見たことはなかったようで、この事実を知ったのも初 めてのようだ。 ﹁ああ⋮⋮キリカだけじゃなく、セレスタにも見られてしまいまし たわぁ⋮⋮わ、わたくしの恥ずかしがりやな乳首さんがぁ、こんな にイヤらしい形をしていることを⋮⋮っ!﹂ ﹁そ、そんな⋮⋮姫さま、べっ別にそれは恥ずかしいことでは! その、なんというかとても可愛らしくて素敵だとセレスタは思いま すしッ! ⋮⋮な、なあキリカ?﹂ ﹁えっ、えええっ!?﹂ いきなりまた無茶振りされて、俺のねちっこい手つきの乳揉みに 指を噛みながら耐えていたキリカが素っ頓狂な声をあげる。 ほんとですの⋮⋮? と言いたそうな姫の純真無垢な、そして恥 ずかしそうな上目遣いの涙目に見つめられ、しどろもどろになる姫 騎士。 ﹁え⋮⋮えっと、そうですよ、気にすることなんかないですよ姫さ ま! セレスタの言うとおりっ⋮⋮んっんぁんっっ!? ちょ、ち ょっとトオルくんこんな時にジャマしな、いでっ⋮⋮!﹂ ﹁ほら、キリカもこう言っておりますし! 姫さまの体に美しくな い場所など何もないと、このセレスタが保証⋮⋮って、こっこらぁ、 768 こっちをいきなり吸うなぁぁ!? んぁぁッッ!!?﹂ 主君へのフォローを入れるよくできた騎士たちのエロ乳首を、ご 褒美とばかりに軽くつねり揉んだりしゃぶり吸ったり、賞賛の愛撫 にさらしてやる優しい俺。 ﹁二人ともありがとう⋮⋮! わたくしのこの場所、人と少し違う ようなので昔からちょっぴり気になって⋮⋮でも今は、っふぁぁあ んっっ!? と⋮⋮トオル、さまぁぁ⋮⋮!﹂ ﹁でも今は? こうして俺に可愛がってもらえるし、ですか?﹂ ﹁い、意地悪、ですぅ⋮⋮! そんな、赤ちゃんのように吸われて はぁっ⋮⋮は、はうぅ⋮⋮﹂ すかさず今度は、安心した様子のシスティナ姫のすっかり露出し た乳頭めがけ、思いっきり吸い付いてやる。 すぐに、たっぷり広い乳肌にうっすら汗が浮き快感の悲鳴があが った。 だが決して俺を止めたり逃げようとはせず、赤ん坊に授乳させる ように、母性あふれるしぐさで頭を抱えて好きなだけおっぱいを吸 わせてくれるのがたまらない。 ﹁上の方だけで盛り上がってちゃダメだぜ、マスター? すぐそん な余裕ないくらいこっちをズリコキ搾ってやるからな⋮⋮巫女さん、 ちょっとあたしの指示通りにしてみてくれないか?﹂ ﹁女戦士どの、何を? ⋮⋮な、なるほど、こうすればトオルどの はより良い快感を味わえるというのですね?﹂ アメリアに耳打ちされたディアーネが、少し恥ずかしそうにこく んと頷いた後、きらめく銀髪をかきあげて乳ポジションを少し変え た。 769 そのとたん、これまでになく新鮮な刺激が俺の下半身を電撃的に 襲う。 ﹁うおぉう!? こ、この上下から殺到する新感覚はっ!?﹂ ﹁へへ、姫さんと女騎士さんのおっぱいに顔埋もれてるからこっち がどーなってるか見えないだろ⋮⋮んぁんっ! じゃあ巫女さん、 いっちょマスターに説明してやってくれよ⋮⋮っ!﹂ ﹁は⋮⋮い。トオルどの、お分かりですか? 私の乳房がこの熱い モノの根元を挟み、そして女戦士どののそれが先端の膨らんだ肉の 冠を、上から圧し潰すようにしているのですよっ⋮⋮!﹂ なるほど、そりゃすぐには何が起こっているのか分からないわけ だ。 左右の分担ではなく、上下の分担とは⋮⋮見えないぶん余計に、 柔らかな鏡餅のように重なった四つの楕円乳が、真ん中に串を通す みたくそそり立った赤黒いチンポをコンビネーション攻めしている エロいイメージが膨らんで、金玉の中身をぎゅんぎゅんと元気にさ せる。 ﹁しかもほれほれっ、コリコリ乳首でマスターの恥ずかしいオシッ コ穴をいたずらだっ⋮⋮んぅっ! あは、ビクってなったのがわか るぜ、巫女さんのおっぱいにも今の伝わっただろ?﹂ ﹁え⋮⋮ええ、確かに根元がドクンドクンと脈打って⋮⋮! 女戦 士どの、このしわしわした玉袋の部分も挟んでよろしかったのでし ょうか⋮⋮?﹂ ﹁お、おおぅう!? チンポが上から下までぜんぶっ、柔らかおっ ぱいに揉み包まれるっ!?﹂ ﹁んぁあ!? すごい⋮⋮⋮⋮主さま、おっぱい揉み揉みの手に、 ぎゅぎゅって力入ってる⋮⋮⋮⋮! 姉さま、センスいいのかも⋮ ⋮⋮⋮ちょっと、嫉妬﹂ 770 ﹁えっ? ⋮⋮え、えっ!?﹂ 皆の賞賛を浴び、当惑して褐色肌を赤面させると、ダークエルフ の巫女は普段の落ち着いた様子からとたんに幼く見えてくるから不 思議だ。 そしてそう⋮⋮俺が狙ったのはまさにこれ。 位置をズラすごとの感触の差異も美味しいが、ポジションが変わ ることで皆の思わぬ良さが、普段はなかなか気付かない相性が、組 み合わせの妙が引き出される。 やはりこの6人おっぱいハーレムプレイは素晴らしいアイデアと いえるだろう! ﹁よし、そろそろ一気に一周だ! 最後は左右両方とも同時にズレ てくれっ!﹂ じわじわ発射の時が近付くチンポを、パイズリで挟むのがキリカ、 セレスタ。 俺に鷲掴みにされ、もみくちゃにされるのがシスティナ姫と、デ ィアーネ。 そして顔面おっぱいプレスサンド要員がアメリアに、シエラ。 これで6人全員が、3ヶ所すべてのポジションをひととおり体験 することになる。 ﹁む、胸をこのような破廉恥な道具にして、何が楽しいというのだ ぁ⋮⋮っ、ま、まったく理解できないぞっ⋮⋮うぅ、ドクドクと奇 妙に脈打って、あっ熱いぃ⋮⋮!?﹂ ﹁セレスタ、気持ちは分かるけどトオルくんに言っても多分ムダだ からっ、こういう時は早く終わらせるためにこうやって強く挟んで、 圧力で下から上に押し出すみたいに⋮⋮んぅんっっ!﹂ ﹁ぅおほっ!? こっこれは、なかなか積極的なズリっぷり⋮⋮っ 771 !?﹂ 恥ずかしそうに目を伏せながら、自分ですくいあげるように手を 添えたもちもちの隠れ巨乳をムニュムニュと変形させ、柔らかい凶 器圧で俺の硬い肉をシゴき追いつめていくキリカ。 それは目の前のセレスタが目を奪われ驚くほどの、大胆なエロい テクのお披露目だった。 ﹁う、うぁ⋮⋮き⋮⋮キリカ、姫騎士ともあろうお前がそのような 淫らな技を⋮⋮!?﹂ ﹁やっ、やめてよそういうこと言うのぉ⋮⋮! あ、あくまではや く終わらせるためだもん、好きでやってるんじゃないんだからぁっ ! ほらセレスタも止まってないで手伝って⋮⋮ねっ?﹂ ﹁うっ、うむ⋮⋮わ、わかった、同じ騎士として姫やお前だけに恥 をかかせるわけにはっ⋮⋮よっよし、こう⋮⋮か? こうやって強 く挟み潰すようにすればいいのか!?﹂ ﹁くぅぅ⋮⋮こ、このダブル騎士パイのコンビネーション、チンポ にビシビシ効くっ⋮⋮! というかキリカ、前よりおっぱい大きく なってないか?﹂ ﹁な!? な、なってないもん!!﹂ チンポを乳挟みしたまま、かぁぁ⋮⋮っとさらに赤面し慌てて否 定するキリカ。 育って るように思 おかしいな、俺のチンポ直触りによる計測が変化を見誤るとも思 えないが。 ﹁あ∼やっぱり、あたしの見立てでも前より えたんだよな。キリカ、乳の成長期じゃね? それともマスターに 揉まれまくったからかもなぁ﹂ ﹁油断大敵⋮⋮⋮⋮でもおっぱい魔隷として、姫さま以外には大き 772 さで負けないもん⋮⋮⋮⋮あとでシエラもいっぱい揉んで育ててね、 主さま⋮⋮⋮⋮?﹂ ﹁あうぅ⋮⋮そ、そんなこと言われてもぉ⋮⋮!﹂ 俺のほっぺに、ぐにゅにゅん、もにゅにゅんっと双球の柔らかみ をすりつけながら、アメリアとシエラもその成長に同意する。 ﹁あら、よいではありませんかキリカ。お胸が大きいとトオルさま は喜ばれるとのことですし、赤ちゃんにもいっぱいミルクをあげら れるのでは?﹂ ﹁あっ赤ちゃん!? お、おい魔隷術師トオル、まさか貴様すでに この中の誰かにその、こ⋮⋮子種をアレしたとかいうのではあるま いなッ!?﹂ ﹁いっいや、さすがにそれはないと思うぞ? ⋮⋮まだ﹂ ﹁そ、そうよっ!?﹂ ﹁そ⋮⋮そうです、ええ!﹂ ﹁?? どうしてキリカとディアーネさまが慌ててらっしゃるので すか?﹂ 話題が妙な方向にそれて一瞬気が抜けたせいもあってか、いよい よガマンならない射精欲求が、腹の奥底からズクンッとせり上がっ て来た。 俺は爆発を少しでも先延ばしにすべく、命綱につかまるような必 死さでシスティナ姫とディアーネの乳肉を根元から先にしごき、左 右に振り回すように、もみくちゃに掴みこねる。 ﹁んはぅ、はうぅぅ⋮⋮っ!? とっトオルさまっ、そんなに搾っ てもわたくし、まだおっぱい出ませんよぉ⋮⋮んぁぁっ、ひゃああ ⋮⋮あぁんんっっ!!?﹂ ﹁ああっ姫っ、シエラぁっ⋮⋮! わ、私の乳房もこうして乱暴に 773 こね回されてっ⋮⋮し、しかもその声を皆様に聞かれっ⋮⋮は、恥 ずかしいぃっ⋮⋮でもっ声が押さえられ⋮⋮なぁあっっ!?﹂ 王国とエルフの森、それぞれのコミュニティで女神のように崇め られた高嶺の花の美女たち。 その二色乳を好き放題にする征服感に酔いしれながら、同時に顔 を左右に振ってアメリアとシエラの乳首を交互にちゅぱちゅぱ吸い 立てる。 ﹁ふぁんっ、あはぁっ⋮⋮! い、いいぜマスターっ、今はエッチ な赤ちゃんになって、あたしのおっぱい好きに吸っていいよぉっ! よしよしって可愛がってやるからっ、んうぅっ!!﹂ ﹁シエラも⋮⋮⋮⋮主さまの頭なでなで、するっ⋮⋮⋮⋮このおっ ぱい全部、主さまだけのものだからっ⋮⋮⋮⋮あぁうっっ、んぁは ぁぁうぅっ!!?﹂ まるで全身が、巨大な6つのおっぱいに包まれて、雲の上まで登 っていくかのようだった。 未体験の無重力的快感が、俺をトロトロにとろかし、ふわりと天 国へと⋮⋮約束されたおっぱいの国へと押し上げてゆくのだ。 そして荒れ狂う快感が、今か今かと解放を待つその出口付近では。 ﹁あ⋮⋮ビクビクってしてきたよ、もうイクんだ、トオルくん⋮⋮ ? 私とセレスタのおっぱいで、おちんちん射精⋮⋮びゅくんびゅ くんって、しちゃうんだ⋮⋮っ!?﹂ ﹁な、なに? しゃ⋮⋮射精するのか? よし、ならば解き放って しまえ⋮⋮姫さまに手を出さないよう全部搾り取ってやるっ、私と キリカがそのさまをしっかり見ていてやるからなっ⋮⋮!﹂ 7人ハーレムプレイの熱に浮かされたのか、わずかに欲情をにじ 774 ませた姫騎士と女騎士、ふだんは真面目な二人が繰り出す、柔らか 極まるすべすべ双巨肉球4つの猛攻。 その真ん中に捕われ、小刻みに震える血管バキバキの射精目前チ ンポめがけ、これまでにない全方位肉圧がぎゅぎゅむんっっ⋮⋮と 喰らわされ、最後のトドメとなった! で ﹁うおおっ、はぉおっ!? で、射精るッッ!! み、みんなっ一 斉におっぱいで俺を圧し潰せっ⋮⋮くぁああ!!﹂ どびゅぅるるるっっっ⋮⋮どくっどぷどぷぅぅっっ!! びゅく んっっ!! ﹁きゃっ、んあぁ!? やあぁんっ、すっすごっ⋮⋮トオルくんの が、いっぱいきたぁっ!﹂ ﹁うぁ、で、出てるっ⋮⋮わ、私とキリカの乳房の中でっ、白いの が爆発してっ⋮⋮!?﹂ びゅぱっ、っぶぱっ!! びゅちっ、ッどくんっっ⋮⋮どぷどく ぅぅんっっ!! ﹁ああっ、ここまで飛んで来ていますっ⋮⋮え、もっとですの? もっとお乳をトオルさまに押しつければよいのですかっ?﹂ ﹁で、では私も姫とご一緒を⋮⋮んっ、はぁあ⋮⋮! と、トオル どのの体の熱がっ、脈打つ音が、乳房ごしに伝わってきますっ!﹂ どくっ、びゅぷっ⋮⋮! びちゃっ、にちゃぁぁあ⋮⋮っ! ﹁すげぇ、あたしの髪にまでかかったぜ⋮⋮あ、あんっっ!? そ、 そんな必死に吸わなくてもマスターのおっぱいは逃げねぇってばぁ、 ひゃうぅぅんっっ!?﹂ 775 ﹁し、シエラのもいっぱい吸って主さまぁ⋮⋮⋮⋮おっぱいでぎゅ ∼∼∼∼って、抱きしめてあげるからっ⋮⋮⋮⋮ひぁあっ、は、は ひゃぁぁぁ⋮⋮⋮⋮!!﹂ 一心不乱に、全身に密着したおっぱいというおっぱいを⋮⋮その 個性的な圧迫感と触感、女の子たちそれぞれの声とにおい、それら すべてを味わいながら。 幸せすぎる放出感と共に、俺は6つの山々にとんでもない量の精 液を搾り取られていく。 ﹁うぁ⋮⋮うう、おっぱいの間がトオルくんので、ねちょねちょだ よ⋮⋮っ﹂ ﹁わ、私とキリカとの間で白いのが太い糸を引いてっ⋮⋮!﹂ ﹁ディアーネ姉さま、お鼻ひくひくさせて⋮⋮⋮⋮主さまのせーえ きのにおい、そんなに気になる⋮⋮⋮⋮?﹂ ﹁え!? しっシエラ何を、私は何もそんなっ⋮⋮あうぅ⋮⋮﹂ ﹁うふふっ、ディアーネさまったら、お顔を赤くされて可愛いです わ﹂ ﹁もちろんまだまだイケるんだよな、マスター? こ、今度はあた しのおっぱいもたっぷり汚してほしい⋮⋮な、なーんて﹂ 口々に恥ずかしそうに、あるいは物欲しそうに俺を囲む巨乳美少 女たち。 そんな輪の中心にいるんだから、むくむくとすぐに肉棒が起き上 がってくるのは不可抗力だ。 ﹁ああもちろんだ。射精する時の組み合わせも全パターン試さない とな? キリカとセレスタでの挟射もなかなかだったけど、やっぱ りせっかくだから姫&巫女コンビとも具合を比べて̶̶﹂ 776 ぴしっ、と股間周辺の空気が凍る音。 ﹁なかなか⋮⋮だと?﹂ ﹁試す? 比べる⋮⋮? ふーん⋮⋮﹂ ⋮⋮しまった、調子に乗りすぎて口が滑った。 お顔担当 に行く そう思った時には、女騎士と姫騎士は薄笑いを浮かべて頷き合い、 ゆらりと立ち上がった。 ﹁じゃあトオルくん? 私とセレスタは今度は からね﹂ ﹁うむ、そうだなキリカ⋮⋮ふつつかな乳だが、たっぷりとこすり つけてやるとしよう﹂ ﹁え? ま⋮⋮待て、ちょっと待て!﹂ 二人のおっぱいは、今しがた俺が盛大に発射したザーメンでぬち ょぐちょだ。 あ、あんなものをそのまま顔に密着させられては⋮⋮ッ!? ﹁落ち着け二人とも! その前にほら! ふ、拭いてからにっ⋮⋮﹂ ﹁問答̶̶﹂ ﹁̶̶無用ッ!!﹂ あらあら、まあまあ⋮⋮と姫やみんなが見守る中。 俺はおっぱい天国に続いて、不本意なおっぱい地獄も味わされて しまうのだった̶̶。 ※ ※ ※ 777 ﹁む∼∼∼っ、ぶ∼∼∼∼!! お部屋でお留守番つま∼∼んなぁ ∼∼∼∼いっっっ!!﹂ ﹁はぁ⋮⋮結局世の中は格差社会なんでしょうかねぇ⋮⋮パルちゃ ん、魔界魔法におっぱい大きくするヤツとか、ないんですか?﹂ ﹁ふっ、そんなもんがあったら、すでに使っとるわい⋮⋮﹂ ﹁ちっ⋮⋮じゃあ、世界中のでっかいおっぱいをバァーンって爆発 させるヤツでもいいです﹂ ﹁そっちのが無いわっ!? というか魔族より発想が怖いぞおぬし ッ!?﹂ ﹁ニーナニーナ、あたしバァーンってできるよ? やったげよっか ?﹂ ﹁ナイスですフラちゃん! じゃあさっそく片っ端からリア乳爆発 しろ、巨乳殺すべしですよ! 慈悲はない!﹂ ﹁やるなッ!? てかおぬしも煽るな!! ていうか、だからなん でわらわがいつのまにか常識人ポジなのじゃぁーーーっっ!!?﹂ 778 48話:夢界の出会いと、遺跡の都 上も下もない空間の中をフワフワと、俺は漂っていた。 周囲はキラキラした乳白色のもやに包まれ、どこまでも何もない。 ああ、これはきっと夢だ⋮⋮。 今いるここは現実じゃないんだと、なんとなくぼんやり察しがつ く。 ただただ、全身がふんわかして心地良い。 まるで温泉につかっているみたいに疲れが溶けていく快感と、無 重力空間を浮遊するような解放感だけがある。 ﹁⋮⋮んちゅっ⋮⋮んふ、っぷぁ⋮⋮﹂ そう、とても心地よ⋮⋮く⋮⋮? なんだ、この音は⋮⋮? それに下半身を包む感触は⋮⋮? ﹁んぷ、ちゅぴっ⋮⋮くぷっ⋮⋮れろぉっ⋮⋮!﹂ 音と共にしだいにハッキリしていくそれは、あまりに現実的な快 感。 俺の下半身を襲う具体的な快感に驚き、ガバっと上体を起こす。 ﹁ぷぁっ⋮⋮あらあらぁ? やっと気がついたのねぇ、坊や﹂ ﹁なっ̶̶!?﹂ その途端、ビロードのようなすべすべの質感を持つ、柔らかなク 779 ッションが背中に出現した。 いたのだ。 俺は全裸でそこに体重を預け、下半身をひとりの女性に て 包まれ ﹁といっても、ここはまだ夢境の中だけどぉ⋮⋮んふふっ﹂ 切れ長の瞳に悪戯っぽい笑みを浮かべた美女が、股間の位置から 俺を見上げてくる。 落ち着いた、だが艶のある声⋮⋮俺より少なくとも五歳は年上だ ろうか? キラキラ輝く豊かな金髪からは、狐のそれにそっくりな耳がぴょ こんと生えている。しかも、背中でもこもこしている白と金のぬい ぐるみのようなものは⋮⋮あれも狐の尻尾、か? そんな妖艶美女が白い和服をはだけさせ、シエラやシスティナ姫 にも負けてないたっぷりした巨乳で俺の勃起チンポを挟むと、谷間 から飛び出した亀頭をちろちろと舐めねぶっていたのだ。 ﹁うぉ、な、なんだこの淫夢は!? 俺、こっちの世界に来てから 欲求不満が溜まるような生活は送ってないはずなんだが⋮⋮?﹂ ﹁あはっ、お盛んねぇ坊やったら。まぁ男の子だしぃ、そういうえ っちぃトコロ、お姉さん嫌いじゃないケドねぇ﹂ 見たこともない狐耳巨乳美女が、夢想の産物とは思えない実在感 でそこにいる。 とすると、これは現実⋮⋮!? いや、違う。彼女の言った通り、やはりまだ夢の中だという妙な 確信があった。 ﹁くっ⋮⋮俺を坊や呼ばわりしてくれるあんたは、いったい何者だ 780 っ⋮⋮うぉあ!?﹂ 質問に答える代わりに、にんまり笑った唇から赤い舌がちろっと 出て、尿道口をこちょこちょとイヤらしい動きでいじり始めた。手 慣れたテクニックに、思わず声が漏れてしまう。 ﹁んふっ、そんなの今どうでもいいじゃなぁい⋮⋮? ここは夢の 中なのだから、何もかも忘れてキモチ良くなっちゃいなさいな⋮⋮ んふふ、坊やのヨワいとこ見つけちゃったぁ﹂ ﹁くぁぁっ⋮⋮こ、これはっ!?﹂ いかにも男のツボを心得た大胆な舌使いが、張り出した肉エラに 沿ってナメクジのごとく這い回り、カリ首周りに浮いた血管をくす ぐる。 たぽっ、たぷんっ、たぽゆんっ⋮⋮! と、その間も真っ白な大 迫力乳房でチンポを根元から包みコネて、肉幹に快楽を流し込んで くる動きに余念がない。 ﹁あはぁ、可愛い顔ぉ⋮⋮その様子だとぉ、この若くてたくましい モノでたくさんのオンナを泣かせてはいても、逆にリードされるの は慣れてないって感じかしらぁん?﹂ 鈴口にぷっくり浮いた先走りの玉を、尖らせた舌先でこれみよが しにゆっくりとすくい取ってから、狐耳美女は艶やかな笑みで俺を 見上げてくる。 小馬鹿にするような口調に思わずカッと頭に血が上るが、反撃し ようにも体が動かない。 呑まれて いる限り、抵 ﹁んふふ、ダメよぉ。夢境の中は精神の世界、ここでは心の強さが 力の優劣を決めるの⋮⋮坊やがワタシに 781 抗もままならないってことよん﹂ ﹁なん、だと⋮⋮っ!? うぉ⋮⋮おっ!﹂ にゅぷんっ⋮⋮にゅぱっ、むにゅぱんっ⋮⋮と真っ白い乳房肉を 互い違いにこね合わせるような動きで、その真ん中におさまった勃 起チンポをミチミチと昂らせながらの宣告。 それにさっきから、俺はこの美女相手に反射的に隷属魔術を使お うと試みているがまるで反応がない。抵抗され効かないのではなく、 術式自体がうんともすんとも発動しないのだ。 ﹁怖いかしら坊やぁ? わけもわからず快楽に包まれ、逆らうこと もできず押し流されるのは? そして今はキモチ良くても次の瞬間 には、苦悶の死が待っているかもしれないのよぉう⋮⋮?﹂ 少し低いトーンに染まった声が、ゾッとするような事実を伝えて くる。 なるほど⋮⋮きっとそれは冗談でも何でもないのだろう。目の前 の存在からは、本当にそうするだけの力と、いつそうしてもおかし くない気まぐれな意志とを感じる。 それは快楽の中にあっても相手を恐れ縮こまらせるような、強者 だけが発する静かな威圧感。 だが̶̶俺は。 ﹁あら、あらあらぁ⋮⋮? え、坊やのおチンポが大きくっ⋮⋮ん きゃっ!?﹂ ググッと下腹に力をこめ、おっぱいの谷間でみりみりと怒張させ たモノの存在感と熱に、金髪の狐耳美女は初めて驚いた顔を⋮⋮隙 を見せた。 782 その瞬間、なぜか動くようになった右手を伸ばし、彼女の後頭部 を掴んで顔を引き寄せる。 結果、白磁の花瓶めいて美麗な曲線を描く柔らかなほっぺたに、 醜い俺のオス器官がグニッと食い込んで少し間抜けな表情を晒させ た。 ﹁んぁっ、熱ぅっ⋮⋮! 坊やってばワタシが、いえ死ぬのが怖く ないのぉ⋮⋮っ?﹂ ﹁いや、だって考えてみりゃ当然だろ? もし本当に次の瞬間俺が 死ぬ⋮⋮あんたに殺されるなら、なおさらこの末期の快楽を精いっ ぱい楽しまないって道理はないよな﹂ ﹁え⋮⋮﹂ ﹁そして、あんたにその気がなくても結局同じことだ。だったら余 計に後腐れなく、今は単にこの気持ちいいパイズリフェラを堪能す るだけだ。⋮⋮俺の言ってること、何か間違ってるか?﹂ 深い柔肉の谷間にみっちりとチンポを収めたまま、とぷとぷ漏れ 出るカウパーに美貌を汚されながら、ぽかんとした表情で彼女は俺 と見つめ合う。 ﹁あらあらあらぁ、これは予想外ねぇ⋮⋮! 坊やったら意外と刹 那的なのかしら、それとも思ったよりお馬鹿さんなのかしらぁ?﹂ ﹁両方かもな。俺はこっちの世界に来る直前に一度死んだ身で、だ からこそ今度の人生は最初から最後まで好き勝手に生き続けるって、 そう決めてる﹂ 異世界に来る前の日常を思い出す。生きたまま緩やかに死んでい るようなあの日々。 あんな生き方は、もう二度とごめんだ。 783 ﹁だからってもちろん命を投げ捨てる気もないけどさ、でも魔隷術 師の力で好き放題して魔族なんかを敵に回してる以上、いつ死んだ り殺されてもおかしくないって覚悟だけは決めてる。だから、今も そうしてるだけで⋮⋮まあ、そんなことはどうでもいいんだ。だか ら﹂ びた、びたんっ⋮⋮と濡れたチンポで、狐耳美女の気品のある頬 を無遠慮に叩く。 ﹁いいからさっさと続けてくれよ、さっきのエロいテクを。まさか 自分からあれだけやっといて途中でやめるとか言わないよな?﹂ 尊大きわまる行為と暴言に、ほんの一瞬だけ、さまざまな感情が 彼女の顔に浮かんでは入り交じった。 困惑、感嘆、怒り、屈辱、興味、肉欲̶̶だが、さらに数瞬後。 金髪から飛び出す狐耳が、ぴこぴこんっ⋮⋮と愉しげに跳ねた。 ﹁ふふ、うふふっ⋮⋮あははぁっ! 面白いわぁ、アナタ面白いわ ねぇ坊や⋮⋮! この妖狐天仙ミクラの顔面にチンポ汁こすりつけ ながら、そんなセリフを吐いてくれた人間は̶̶いいえ、あらゆる 種族を含めてもアナタが初めてよぉ、ほぉんと⋮⋮!﹂ 心底嬉しそうに、愉快そうに、どうやらミクラというらしい狐耳 美女は笑いころげた。 そして、あらためて俺のチンポへと向き直る。 ﹁んふふっ、さてさて⋮⋮そこまで言われちゃったなら仕方ないわ ぁ。たっぷり見せてあげないとねぇ、おねぇさんのちょっとした本 気を⋮⋮ね!﹂ 784 ぺろりと真っ赤な舌なめずりをひとつ。 直後、痺れるほどの衝撃が俺の下半身へと襲いかかった。 ﹁う、うおっ、これはまた一段とっ!?﹂ ずぼぽっ⋮⋮ぬぽっ、ずにゅぽぉっ! にゅっぱ、ぬにゅるるん っ⋮⋮! ひょっとこ状に口をすぼめ、美貌を下品なほどに変形させ、遠慮 や羞恥のカケラもなく顔ごと吸い付いて激しく上下させるチンポ搾 りバキューム。 腰からチンポがすっぽ抜けそうな錯覚に襲われ、ゾクゾクと背筋 を快感の塊が駆け上る。 ﹃イイでしょう、スゴいでしょう? タマタマの中身が尿道から引 っこ抜かれそうでしょぉ? このまま坊やのたんまり溜まったおチ ンポエキス、そっくり搾り取ってあげちゃうんだからぁ⋮⋮ほらど うっ、ほぉ∼らほらぁっ!﹄ ここが夢世界の中だからか、口が肉棒でふさがっていても甘った るい声が直接脳裏に響いてきて、それが余計にまた興奮を煽る。 しかも会ったばかりの誰だか分からない美女にこんなことをされ ているという、これまた倒錯的なシチュエーション。 ﹁くぉぉ⋮⋮! うおぉっ、な、なんて容赦のないフェラだよ⋮⋮ っ!?﹂ ﹃ガチガチに硬ぁくなった坊やチンポの真ん中から下はぁ、キモチ い∼いキツネおっぱいでず∼りずりっ⋮⋮! 真っ赤っかな先っぽ さんはぁ、お姉さんのスケベなおクチと器用なベロでこうやってぇ、 じゅぽじゅぽちゅぱちゅぱれぇろれろっ⋮⋮んふふふっ!﹄ 785 連れて行かれる ような凄 それは快感神経のボルテージをムリヤリ上げまくられ、暴走車に 括り付けられ引っ張り回されて絶頂に まじい淫技だった。 たまらず爆発の予感が背骨を貫き、限界まで引かれた唇から暴れ チンポの先端がまろび出た。 ﹁んぷっ、ぷはぁっ⋮⋮! あらぁ、坊やってばワタシのお顔に今 にも爆発しそうなチンポの狙い定めちゃってぇ、このミクラに生意 気にも精液ぶっかけキメるつもりぃ? んふふっ、人間のくせに不 遜だわぁ⋮⋮でもいいわよぉ、特別に青くっさぁいのたっぷり浴び てあげるっ⋮⋮!﹂ エアフェラチオとでも言うべきか、れろれろんっ⋮⋮と赤い舌を 宙に踊らせつつ、亀頭の真正面におとなしく美貌を晒すミクラ。情 欲に潤んだ瞳が、射精の到来を待ちかねている。 そんな破壊力満点の光景に、これ以上ガマンできるはずもなく̶ ̶! で ﹁ううっ⋮⋮くあぁッ、でっ射精るぅぅっっ!! くそっ俺のザー メンシャワー喰らえっ、この淫乱ギツネぇっ!!﹂ ぶぱっ⋮⋮どびゅるるるぅぅぅっっ!! びゅぱっっびゅぶるる っっっ!! びゅく、んびゅくっ⋮⋮どくどくうぅぅっ!! ねちょぉぉっ⋮ ⋮!! ﹁きゃうんっっ!!? あはぁ、これすっごぉい⋮⋮っ!?﹂ 糊みたいに白くて濃ゆい精液の束が、奔放さと高貴さを兼ね備え 786 た美貌に次々と着弾し、俺の遺伝子の匂いを刻み込んでいく。 うっとりとそれを受け止め、口の端に付着したゲル状の塊を赤い 舌で妖艶に舐めとるミクラ。 ﹁んふっ、大したものねぇこの潜在魔力っ⋮⋮なるほどイヴちゃん が警戒するわけだわぁ﹂ ﹁っく、ううっ⋮⋮! い、イヴちゃん⋮⋮?﹂ 引っかかる単語に、射精直後の虚脱した脳が反応したのも束の間。 再び周囲のすべてが乳白色の霧に溶け⋮⋮俺の意識は、ミクラが 現れる前と同様の上も下もない浮遊感の中へとゆっくり拡散してゆ く。 ﹁夢界仙境はワタシの世界⋮⋮また会いましょうねぇ、坊やぁ。そ の時は⋮⋮んふふっ、もっともぉ∼っとえっちな、続きをシテあげ るぅ⋮⋮ふふふっ!﹂ ﹁ま⋮⋮待て⋮⋮っ!﹂ 思わず伸ばした手が、何かはっきりしたものを掴み、そして̶̶! ※ ※ ※ ﹁̶̶きゃあっっ!!?﹂ ﹁⋮⋮んぁ? はっ、ここは!?﹂ 今度こそ、はっきりした現実の世界へと俺は舞い戻り、意識を覚 醒させた。 夢の中と同じような姿勢で横たわっていたベッドシーツから身を 787 起こし、そして⋮⋮! ﹁ちょっ⋮⋮とぉ⋮⋮! トオルくんっ⋮⋮だ、出すなら出すって ちゃんと言いなさいよぉ⋮⋮っ!﹂ 俺に頭を掴まれ、美貌に精液をぶっかけられネトネトにされてこ っちを睨んでいるのは、さっきの狐耳の美女ではなく⋮⋮下着姿で シーツを半分かぶった半裸のキリカだった。 整った鼻筋から前髪にかけて、おでこや眉の上にまで何条も放射 状に縦断し張り付いている、ぷるぷるした白濁液の筋がなんともエ ロい。まさに顔面こってりマーキングだ。 可愛らしいミニリボンに彩られた白いブラから、今にもこぼれそ うな巨乳もまたまぶしい。 ﹁あ⋮⋮? ああ、キリカか⋮⋮なんでここに?﹂ ﹁は、はぁ!?﹂ 思ったままの疑問を口に出すと、俺の匂いに顔中まみれてどこか ぼーっとしていたキリカの表情から陶酔の色が消え、みるみる真っ 赤になった。 ﹁な、なによそれ! と⋮⋮トオルくんがこうやって起こして欲し いってしつこく頼むから、死ぬほど恥ずかしいけどそうしてあげた んじゃない! まさか忘れてたの!?﹂ ﹁ああ! そうだった、うん思い出した。いやもちろん覚えてたけ ど、寝起きで頭がはっきりしてなくてさ⋮⋮なんか変な夢見たし﹂ わざわざ朝シャンでもして来たのか、精液臭に一抹のいい香りを 混じらせる黒髪ロングに手を乗せて、よしよしと頭を撫でる。 キリカはまだ不満そうな顔をしつつも、おとなしくそれを受け入 788 れて﹁んっ⋮⋮﹂と鼻孔から少し色っぽい息を漏らした。 ﹁そ、それならまあいいんだけど。でも、いきなりこんなにしゃ⋮ ⋮射精するなんて思わなかったわよ。うぁ、髪にまでついてるじゃ ない⋮⋮魔法でも使わないとなかなかとれないのにぃ⋮⋮﹂ ﹁ニーナに使ってもらえばいいじゃないか、清掃魔法でも除臭魔法 でも﹂ ﹁この白いのひっつけた顔で頼むのがイヤだから言ってるの、ばか ぁ!﹂ べしっ、と裸の胸のあたりをチョップされた。地味に痛い。 ︵しかし⋮⋮夢、か︶ ついさっきまで見ていた夢は、何かいつもと違うというか、特殊 な内容だった気がするが⋮⋮その記憶の残滓が急速に失われていく のを感じる。 誰かとキリカがだぶって見えた気がしたが、誰だっけ⋮⋮? ﹁まあいいや。ほらキリカ、こういう時は最後の仕上げまでしてく れって教えただろ﹂ ﹁う⋮⋮あ、あれ本当にするの?﹂ 露骨にイヤそうに、顔射されたばかりの表情をしかめる姫騎士。 だが、こういう時の押し方を俺は心得ている。 ﹁頼むよキリカ。寝る前からずっと楽しみにしてたんだからさ? あ∼、してくれたら俺、すっごい幸せに今日という一日を過ごせる と思うんだけどなあっ!﹂ ﹁な、なんでそんな必死にっ⋮⋮? そ、そうなんだ、そんなに楽 789 しみだったんだ⋮⋮。し⋮⋮仕方ないわね⋮⋮こ、今回だけだから ね?﹂ 最近、俺と二人でしている時のキリカは、隷属魔法で強制命令し なくても色々とエッチなお願いを聞いてくれるようになった。 断ってもどうせ命令させられちゃうから⋮⋮とか言い訳している が、明らかに以前より従順に⋮⋮そして色んな行為そのものに興味 を持って積極的になっているように見える。 ﹁じゃあ、えっと⋮⋮トオルくんのお⋮⋮おちんちんを、おそうじ ふぇらちお⋮⋮し、します﹂ 元クラスメートたちが聞いたら卒倒しそうなセリフを、何度も恥 ずかしそうにつっかえながら口に出してくれるキリカ。これだけで むらむらと沸き上がる支配感がヤバい。 ぬるんっと、温かな口内粘膜に白濁まみれの半勃ちチンポが包ま れるゾワっとした感触。 ﹁⋮⋮ぢゅずるるっ⋮⋮ぢゅるっ。んじゅるるっ⋮⋮ぢゅぷっ!﹂ ﹁お、おおっ! くっは、あのキリカがこんなことしてくれるよう になるなんてな⋮⋮っ!﹂ そっと肉棒の根元に手を添えてゆっくりと、しかし決して止まら ず熱心に、元クラス委員の美少女が男性器にまとわりついた白濁の 汚れを丹念に舐めとり、綺麗にしていく。 ある意味膣内射精を喰らわせる以上にとんでもない征服感をおぼ える、男の夢じみた光景。 ﹁いいぞ、茎の中に残ってるのもぜんぶ吸い取れっ⋮⋮よし、一旦 口を開けて中に溜まったザーメン見せろ﹂ 790 ﹁ふぁ、んっぷぁ⋮⋮! ふぉ、ふぉれれいいの⋮⋮?﹂ 目をつぶったままおずおずと開かれた口内で、ネットリしたスペ ルマと唾液の混合液がうっすら湯気をたてる。 ピンク色の舌が、あっぷあっぷと今にも白濁の海に溺れそうだ。 ﹁よぉしいい子だ、呑めキリカ⋮⋮!﹂ ﹁んっ⋮⋮!﹂ こくっ⋮⋮こくんっ、と素直に白い喉が鳴り、濃厚遺伝子満載の 孕ませ汁が彼女の中におさまっていく。 これまた征服欲を刺激されて止まない俺のためだけの見世物。 ﹁っぷぁは! けほっ、うぇぇ⋮⋮や、やっぱりぜんぜんおいしく ない⋮⋮! はいおしまい、きれいになりました⋮⋮って、なんで また大きくなってるのよ﹂ 再びそそり立った肉の柱をジト目で睨みつつ、しこしことそれを 自然にシゴいてくる。 そんな姫騎士の綺麗な瞳に、ほんのわずか欲情の欠片が浮かんで いるのを見つけた俺は、ガマンできずに彼女をベッドに押し倒した。 ﹁きゃっ、と⋮⋮トオルくんっ!? ちょっと待っ、まだ朝だよ⋮ ⋮っ!﹂ ﹁へえ、キリカだってもうこんなになってるのにか?﹂ シーツをはがして、これまた可愛らしいリボンでデコレートされ た白ショーツの下半身をあらわにすると⋮⋮おヘソとの間には、ピ ンク色のハートマークがぼんやり浮かび上がっていた。 特別な繋がりを持つ魔隷̶̶愛隷の証。 791 それが発光して見えている、ということは。 ﹁エッチな気分になっちゃってるってことだろ? お掃除フェラと 精液ごっくんで発情するなんて、ずいぶんイヤらしい子に育っちゃ ったなぁ、キリカも﹂ ﹁ち、違っ!? は⋮⋮はつじょう、とかぁ⋮⋮し、してませんか らぁ⋮⋮っ!﹂ ﹁なんで丁寧語? まあいいや。パンツ脱がすから、もし濡れてた ら生チンポ即ハメな﹂ ﹁えっえっ、やぁぁっ⋮⋮そ、そんなのだめ⋮⋮!﹂ 必死に顔を隠して否定するキリカ。だがそれが口だけであること は、すでにショーツの股布部分が愛液でしっとり濡れ始めているこ とからも明らかだ。 建前程度でしかない弱々しい抵抗を軽くいなしながら、俺は彼女 の下着をゆっくりと脱がし、ヌルヌルに濡れそぼったピンクの肉フ リルに亀頭をぐぐっと押し当てる。 ﹁だからダメだっ⋮⋮てばっ⋮⋮ふぁっ、んあぁぁっ!? んはぁ ぁぁあああぁぁ∼∼∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ こうして今朝も、キリカの可愛いあえぎ声が響き渡るのだった̶ ̶。 ※ ※ ※ ﹁もう⋮⋮結局、朝から二回もしちゃったじゃないのよ⋮⋮うう、 なんでまた流されてるんだろう、私⋮⋮!﹂ 792 ﹁されちゃった、とは言わないんだ? まあ、途中からキリカもノ リノリだったしなぁ﹂ ﹁そ、そういうデリカシーのないこと言わない! もう、ばか!﹂ 裸のままベッドから起こした体を、ふたり寄り添わせ体温を感じ 合うひととき。 ⋮⋮我ながら意外だが、最近、こういう時間にじんわりした幸せ を感じるようになった。 愛隷 システムの利点は説明しただろ? 俺とセックス 恐らくは、顔を赤くしながらまんざらでもなさそうなキリカも。 ﹁それに して快楽を共振させることで、キリカはレベルアップに必要な経験 を効率的に積めるんだぜ﹂ ﹁う⋮⋮そ、そうかもだけど! もう、なんでそんな変な仕様にな ってるのよぉ、ぜったいおかしい⋮⋮﹂ それには俺もまったく同感だが、気持ちいい行為が戦力強化に繋 がるのだからありがたいことこの上ない。 真面目で堅物のキリカにとっては、エッチを肯定する建前にもな るというものだ。 まあ、だからって他の魔隷をお預けにするような気もさらさらな いけどな。 ﹁それにしても、すごいわね⋮⋮こんな移動手段もあったんだ、こ っちの世界﹂ ベッド脇にある円形の窓から、キリカに倣って外を見る。 そこに広がっているのは一面の青空だ。いくつもの雲が流れてい く視界の端には、回転する巨大なプロペラの一部が見える。 793 ﹁ま、さすがにこの魔気船を使えるのはごく一部のセレブとか王族 だけみたいだけどね﹂ 魔気船̶̶大気操作の魔術により空気より軽い組成となったガス の力で浮遊し、ドワーフ技師が粋を尽くしたプロペラ駆動機関によ って軽快に大空を進む飛行船。 ユーリナ女伯爵領から彼女の財力を利用して調達したこれに乗っ て、俺たちは空路から遺跡都市パラヴァータへと向かっている最中 だ。 今いるこの部屋は、そのゴンドラ部分にある居住区画の一室なの だ。さすがに狭めだが内装はちょっとした高級ホテルのようで、居 心地は快適である。 ﹁少なくとも、俺たちがあっちで最後に乗ったあのバスよりよっぽ ど豪勢な旅だな﹂ ﹁やめてよ、そういう冗談⋮⋮あっ! 見てトオルくん、あれがそ うじゃない? 目的地﹂ ﹁おっ、どれどれ?﹂ キリカが指差す進行方向側の窓、遠くにうっすら見えてきたもの ⋮⋮それは異様な光景だった。 距離感が狂うほど巨大な、全長1kmにも届こうかという縦長の 岩塊。 まるで島ひとつを海から引っこ抜いて、地面の上に立たせたよう な地形が雲間にまっすぐそびえ立っているのだ。その非現実的な光 景は、マグリットの有名な絵を思わせた。 ﹁あれが遺跡都市パラヴァータ⋮⋮!﹂ ﹁正確には、その中枢部だな。あれを中心に、下の大地にも街や遺 跡が広がってる﹂ 794 ﹁想像以上にすごいスケールね⋮⋮下側の方が細いのに、どうやっ てあんな大きなものが安定できてるのかしら?﹂ ﹁ニーナの話じゃ、ほんの数十cm四方の設置面で地面とくっつい て、まるで揺れないらしい。魔王戦争時代の遺失魔術か何かの産物 らしくて、正確な仕組みは今でも分からないそうだ﹂ これぞまさにファンタジー世界。さすがにテンションが上がり、 窓に顔を押しつける俺たち。 よく見れば、巨大岩塊の側面あちこちには無数の穴が開いていて、 穴同士を繋ぐように足場らしきものが左右や斜めに多数張り渡され ていた。 それらに沿ってまばらに色が違う部分は、住居らしき建築物のミ ニチュアめいた群れだ。 発掘 ﹁あれって外側に張り付いているの? それとも中に造られた区画 が部分的に露出してるの?﹂ って話だ﹂ ﹁両方じゃないか? なんでも、あの岩塊の中心部分はまだ 中 少しずつ視界の中で巨大さを増すパラヴァータに、しばし言葉も 忘れて二人で見入る。 俺はいつも持ち歩いている赤い宝玉を、コツンと窓に当てた。 ﹁それ、ナナちゃんの⋮⋮﹂ ﹁ああ。姫の予言が本当なら、あそこにはナナを復活させる手はず がある⋮⋮いや、必ずまた喋ったり動いたりできるようにしてやる さ﹂ ﹁⋮⋮トオルくん﹂ だが、今回も一筋縄ではいかない冒険になるという予感があった。 795 破天の骸を狙う八冥家イヴリース、そしてクルス⋮⋮必ず再びぶ つかる時が来るだろう。 ﹁だから、そのためにはキリカの力が必要だ。あてにしてるよ﹂ ﹁な、なによ今さらあらたまって。まあ、もちろん私だってナナち ゃんには元通りになって欲しいし、それにその⋮⋮あ、愛隷だし? そうしたからにはちゃんと私を⋮⋮有効活用してよね﹂ ぎこちない動作で、キリカが俺の肩に頭をもたれさせてきた。 少し照れたように目を伏せてチラ見してくる彼女に、にやりと芝 居がかった調子で応える。 ﹁ああ。仰せのままに﹂ いつしか魔気船は、着陸用スペースのあるパラヴァータの岩塊上 部に回り込んでいた。 眼下に広がる、航空写真で見る山上都市のような威容⋮⋮だが、 ふと。 そこで何かがチカッと光ったような̶̶? ﹁なんだあれ⋮⋮花火? いや、まさか⋮⋮爆発!?﹂ ﹁え? 何、どういうこと?﹂ 窓から下を覗き込むのと、慌ただしいノックが船室のドアを叩く のとはほぼ同時だった。 ﹁ご主人様、ご主人さまっ!! 大変です! 遺跡都市パラヴァータで⋮⋮せ、戦闘が発生しているみたいです っ!!﹂ 796 48話:夢界の出会いと、遺跡の都︵後書き︶ というわけで第三章、開始となります。 ※アンケート企画は25日で終了しました︵たくさんの投票感謝で す!︶詳細は活動報告で書いていきます。 797 49話:水晶の獣と、戦乙女たち ﹁くそっ、なんだ⋮⋮なんなんだぁ! こいつらはッ!?﹂ ツーハンデッドアクス 乱戦の中、必死に両手大斧を振るいつつ戦士サイネクは叫んだ。 二十を過ぎたばかりの若さだが、レベル3の斧技スキルを持つ5 レベル戦士として十分に実力派冒険者を名乗れる腕前だ。実際、彼 のパーティは地元ではそれなりに名も売れてきていた。 だがまさか。 そろそろこの有名な遺跡都市パラヴァータでひと山当てようと、 パーティメンバーと共にやってきた初日から̶̶こんな予想外の敵 との遭遇戦に、しかも街中で見舞われるなんて。 ディバインシールド ﹁くっ⋮⋮おのれェ! 我らを守護せよ、光神の輝盾っ⋮⋮ぐぁぁ っ!?﹂ 背中合わせに戦うパーティメンバーのひとり、光神ルメインに帰 依する神官戦士シャソスの展開した神聖魔術の盾が、敵の突撃を軽 減しきれず割り砕けた。 そのまま屈強なシャソスを街路に引きずり倒し、プレートメイル を喰い破ろうと牙を突き立てているのは⋮⋮まるで全身が水晶の塊 でできた巨大な狼、としか表現できない異様な魔物。 ﹁しっかりしろシャソスのおっさん! こいつら片付けたらすぐに ッ⋮⋮畜生、どけぇぇ!!﹂ だが別の水晶の獣二匹に左右から飛び掛かられ、防戦一方となる サイネク。 798 さっき一匹はなんとか斬り倒せたものの、獣たちの動きは俊敏で 防御力も並ではなかった。決して経験の浅くないパーティの誰もが、 見たことも聞いたことも無い謎めいた魔獣の群れ。 ﹁サイネクぅっ、こっちもヤバいよぉ! リクシーノが息してない っ!﹂ シーフ 少し離れた場所では、小柄なハーフエルフの女盗賊ジュノが悲壮 な叫びをあげている。 その足下で血を流し横たわる老法術師リクシーノはぴくりとも動 かない。地面から湧き出るように出現した水晶の獣たちに、もっと も脆い彼が最初に襲いかかられたのも不運だった。 ジュノが両手で投げ続けるダガーも水晶の外殻にはじかれ、足止 め程度にしかならない。 ﹁くっそぉぉ! 他の冒険者連中だってこの街にゃいくらでもいる はずだろぉ!? なんでそいつらも衛兵も助けに来ねーんだよぉッ !?﹂ このままでは撤退もままならない。今や間近に迫ったパーティ全 滅の危機に、自信家のサイネクらしからぬ弱音が出た。 いや、違う⋮⋮来ないのではなく、来られないのだ。 それは彼も薄々気付いていた。なぜならこの通りだけでなく、こ の区画のあちこちから怒号や悲鳴、戦闘音や魔法によるものとおぼ しき爆発音がひっきりなしに聞こえてくるからだ。 ﹁ちっくしょおッ⋮⋮遺跡の奥ならともかく、こんなとこで全滅な んざ笑い話にもォッ!﹂ ツーハンデッドアクス 疲労と焦りで、両手大斧がむなしく空を切った。すかさず飛び退 799 った水晶の獣二匹が、石畳の上で前傾姿勢になって背中を持ち上げ る。 と、そこに無数のウロコのごとく生えた水晶片が、ジャキジャキ ンッという金属音を立てて一斉に起き上がりサイネクへと切っ先を 向け⋮⋮雪崩をうって連続射出される! ︵ま、まずいッ⋮⋮あれはリクシーノのじーさんをヤッた飛び道具 ⋮⋮っっ!?︶ 大振りでバランスを崩した今の状態では、防ぐも避けるもままな らない。 若い戦士の怯えた瞳に、これまでの結局なんとかなった危機とは モノが違う、本物の死という絶望がいっぱいに広がり、そして̶̶! ブライトネス・エアフォール ﹁̶̶はぁぁぁぁッッ⋮⋮天墜輝閃突ッッッ!!﹂ 凛とした叫びが大気を切り裂き、輝く流星が天空から降り立った のはまさにその時。 それ は、たまらず尻餅をついたサイネクの 射出された水晶弾と射出元の獣どもを一撃でもろともに打ち砕き、 爆風と共に着地した 眼前でゆっくりと立ち上がり⋮⋮そして振り返る。 ﹁ふぅ⋮⋮大丈夫ですか?﹂ 流れるような黒髪、吸い込まれそうに大きな瞳。サイネクは救世 主の美しさに目を見張った。 若い⋮⋮まだ幼さを残すといってもいい可愛らしい美貌と、対照 的に豊満な肢体を包む流麗な騎士鎧。そしてどこかこの世界のもの ではないような、異邦人めいたオーラをまとっている。 800 ﹁あ、ぁあ⋮⋮っ﹂ あまりの状況に言葉すら失った彼の背後では、また別の美女が参 戦していた。 まず上空から伸びて来た鎖状の何かが、神官戦士シャソスを押し 倒していた水晶魔獣に絡み付き、馬ほどもありそうな重さをものと もせず引っ張り上げて投げ飛ばしたのだ。 ﹁でぇぇぇいっっ、そぉぉりゃぁぁぁーーーッッッ!!﹂ 掛け声の主⋮⋮燃えるような赤毛の女戦士が、落下しつつ空中で その魔獣とすれ違う。 交錯の瞬間、一瞬で刀身の形にまとまった鞭状剣が水晶のアゴを 突き刺し、そして左手に持つ盾がハンマーのごとく振るわれて、そ サークル・エアリアル の先端についたスパイクで頭部を砕き潰した。 スパイカーベイル ﹁見たか、尖牙攻盾っ! へへっ、天翔輝円の空中機動にゃ負ける けど、ニーナの重力制御魔法のおかげで大して遅れずに降りて来れ たぜ。さすがのキリカでも一人でこの数はしんどいだろ?﹂ ﹁ありがとアメリア。ということは、セレスタやシエラも?﹂ ﹁ああ。ほら、おいでなすった!﹂ アメリアと呼ばれた、日焼けしたこれまた豊かなボディを持つ野 性的美女。 彼女の言葉に続いて、苦戦するジュノとリクシーノを囲むように 青い光の雨が降り注ぎ、周囲の水晶魔獣どもを石畳に釘付けて動き を封じた。 ﹁星讃弓サウザンドライトが放つ七色の魔光のひとつ⋮⋮⋮⋮敵を 縛るは、青き矢の光﹂ 801 次いでボソボソ声と一緒にゆっくり降りてきたのは、巨大で無骨 な弓を構え、人形めいた無表情と蜂蜜色の三つ編みを備えたエルフ 美少女。 細身の種族とは思えないほど豊かな胸の膨らみが、着地と同時に たゆんっと自己主張した。 ﹁ふんっ⋮⋮せいッ!! 街を脅かす悪しき魔物よ、我が騎士剣の 怒りを受けよ!﹂ 別方向からの声と戦闘音に目を転じれば、亜麻色のポニーテール をなびかせ、キリカと呼ばれた美少女と似た意匠の鎧を着込んだ凛 々しい女騎士が、鋭い剣技で水晶獣を斬り倒している。 デザートイーグル だが、その背後、剣の死角から一匹の魔獣が飛び掛かった。 危ない̶̶とサイネクが叫ぼうとした刹那。 フォーティフォー ﹁ふ、甘いッ! 超時空騎士剣技、四十四式・砂漠鷲ッ!!﹂ だだぁんッ!! と強烈な破裂音、続いて破砕音が鳴り響き、女 騎士の背を襲った水晶獣の頭部が吹き飛んだ。反動でポニーテール を揺らしつつ、振り向きもせずニヤリと笑う彼女。 ワンド いったい何が起こったかわからないサイネクには、女騎士の左手 に握られた黒い短杖のような物体の筒先から、うっすら煙が出てい ることだけが見てとれた。 ﹁我が剣の切っ先の届くところ、すべて斬り伏せる! 届かぬ敵も また、こうして撃ち倒す!﹂ 女騎士の手で火花と轟音がうなるたび、間合いの外にいたはずの 802 敵までが吹き飛び倒れる。 流派も原理もまるで見当がつかないが、使い手がそう言うからに は何かの剣技スキルなのだろう⋮⋮サイネクは未知の戦闘スタイル に戦慄し、そして見とれた。 ﹁ははっ! やっるねぇ、女騎士さんも﹂ ﹁でもセレスタったら、今使える銃も弾も限られてるから節約しろ ってトオルくんに言われてるはずなのに結構ぽんぽん使うのよね⋮ ⋮﹂ ﹁あとネーミングセンスだけは⋮⋮⋮⋮ちょっとどうかと思う⋮⋮ ⋮⋮﹂ 軽口を飛ばし合いながらも、美少女たちの剣が、鞭状刃が、矢が、 そして謎の武器が、周囲を囲む水晶魔獣の群れを的確に駆逐してい く。 その幻じみた光景にしばらく目を奪われていたサイネクがハッと 我に返ったとき、倒れていたリクシーノの傷口に杖を当て、癒しの 魔力を注いでいる女の子の存在に気付いた。 なぜか場違いなメイド服を着ているが、小柄な体格と小動物を思 わせる雰囲気によく似合っていてこれまた可愛らしい。 ﹁ふう⋮⋮一応、容態は安定化できました。あとで専門の治癒術師 さんかお医者さんに見せてくださいね﹂ ﹁あ、ああ、恩に切る。あんたらは一体⋮⋮?﹂ 目に見える範囲すべての水晶魔獣が倒され、やっとその疑問を口 に出せたその時。 ずずんッ⋮⋮と、地震などとは無縁のはずの遺跡都市の地面が揺 れた。 803 ﹁げげっ⋮⋮なんだありゃあ!?﹂ 赤毛の女戦士も驚くほどの威容を誇る新手が、隣の通りから現れ た。 三階建ての屋根に悠々と手をかけ身を起こしたのは、イビツな人 型をした巨体。さっきまでの獣たちと同じく、その体は半透明の水 晶によって組み上げられている。 よく見れば広い背中や太い足のあちこちに、他の冒険者や衛兵が 撃ったらしい何本もの矢が突き立っているものの、まるで意に介し た様子もなく歩み寄ってくる。 ﹁ふむ⋮⋮もしや、水晶の獣たちが複数合体でもしたというわけか ?﹂ ﹁セレスタの言う通りかも。あれはちょっと厄介そうね﹂ ﹁だいじょうぶ⋮⋮⋮⋮来る﹂ ﹁来るって、あいつらが?﹂ 一斉に空を見上げた四人につられてサイネクも顔を上げ、そして 見た。 雲間から落ちてくるふたつの小さな点がどんどん大きくなり、そ れがどうやら奇妙な衣装を着た幼い女の子二人だということに驚き ̶̶! ﹁パルミューラぁっ! こっちに魔力っ、回してもらうからねーっ !﹂ ﹁くふふっ、よかろう⋮⋮じゃが、やるからには一撃で仕留めてみ せよ!﹂ ゴスロリドレスと異国風の装束、対照的な服装を風になびかせた 少女たちは落下しつつ小さな手同士をぎゅっとつなぎ、後者がもう 804 一方の手を地上の水晶巨人めがけ開いた。 二人の額でチカッと何かが発光し、煌めく。 ﹁きたきたぁっ! せぇぇのぉっ⋮⋮ぺしゃんこになっちゃえっ!﹂ 次に起きたことは、驚きの連続のあまりもうこれ以上はさすがに ないだろうと高をくくっていたサイネクの予想すら裏切るものだっ た。 粘土で作った人形を、無造作にペンチで挟んでねじ切った⋮⋮と でも表現すべきだろうか。 水晶巨人の腰部分だけが唐突にグシャリと潰れ、動きを止めた上 体がぐらりと傾ぐ。 ﹁あれれっ? おっかしいなぁ、あれくらいぜんぶいっぺんに潰せ ると思ったんだけどなぁ﹂ ﹁た、たわけ! トオルとの契約でお主の力は制限され弱体化しと ると何度も言うたであろうが! ぜぇ、ぜぇっ⋮⋮あの一発で魔力 を根こそぎ持っていきおってからに⋮⋮﹂ 結合部をねじ切られ、バランスを崩した水晶の巨体がゆっくり倒 れていく。 その落下先には、建物や逃げ後れた人たちの姿が⋮⋮! ブリリアント・バースト ﹁⋮⋮我が気高き剣に来たれ、破邪の霊光̶̶聖光爆濤破ッッ!!﹂ だがその時、黒髪の少女騎士が掲げた虹色の剣から、深紅の奔流 がほとばしった。 斜めに伸びた竜巻のごとき圧倒的猛威が、落下する水晶片のこと ごとくを飲み込み、粉微塵にかき消してゆく⋮⋮まさに戦いの終わ りを告げるとどめの一撃。 805 ﹁キリカすっごぉい! ってあれれっ、落ちる落ちるぅ∼っ!? 落ち⋮⋮っきゃん!﹂ ﹁大丈夫か、フラミア?﹂ ﹁あはっ、ありがとーセレスタっ!﹂ 落下地点で受け止めてくれた女騎士に、嬉しそうに抱きつく奇妙 な衣装の少女。 ﹁う、うむ⋮⋮出自がどうあれ、幼子を守るのは騎士の役目だ。気 にするな﹂ ﹁お∼照れてる照れてる。この女騎士さんってば、意外とかわいい もの大好きだからな﹂ ﹁なッ!? あ、アメリア殿、誰からそんなことを⋮⋮!?﹂ ﹁姫さまが言ってた⋮⋮⋮⋮部屋にぬいぐるみ、いっぱい隠してる って⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁わーわーわー! なっなぜ父上にも知られていない秘密をいつの 間にッ、しかも筒抜けにッ!?﹂ さっきまでの鬼神じみた強さから一転、外見相応のにぎやかな笑 顔を見せる美少女たち。 そして最後に、ふわりと降りて来たゴスロリドレス少女の後ろか ら姿を見せたのは̶̶黒いローブに身を包んだ、少し目つきの悪い 青年だった。 ﹁思ったよりあっさり片付いたか。よくやったな、みんな﹂ ﹁あっ、お兄さんっ! あたしカツヤクしたよ、ごほーびちょーだ い!﹂ ﹁フラミアももちろん頑張ったけど、MVPはキリカだと思うぜ。 初撃もトドメも前よりすげーのなんの、おかげであたしもラクでき 806 た﹂ ﹁くふふ、さすがは愛隷というところかの﹂ ﹁わ、私は別に⋮⋮と、というかあまり外でそういうこと言わない でパルミューラ⋮⋮﹂ ﹁シエラだって⋮⋮⋮⋮がんばった﹂ サイネクはあんぐり口を開けたまま、青年を中心に花開く華やか な会話を遠くから見ていた。 ふと自分のパーティを顧みれば、ハゲ頭のおっさん神官戦士と、 爺さん法術師と、あまり色気を感じない幼馴染みの女盗賊である。 ﹁遠見の片眼鏡で見渡してみましたが、最後のおっきい奴が倒れた おかげで戦況一転、周囲の敵も片付きつつあるみたいです。都市の 下階層からも応援が到着⋮⋮もう大丈夫っぽいですね﹂ ﹁へぇ、さすが遺跡都市の戦力ってとこかな﹂ ﹁それにしても到着早々の遭遇戦とは、先が思いやられるな。弾が いくらあっても足りん﹂ ﹁ほう。セレスタお前、また貴重な弾撃ちまくったのか? こりゃ 後でお仕置きコースだな﹂ ﹁うっ⋮⋮ふ、不可抗力だ! そ、それに仕置きとはなんだ、まさ かまたこの前のっ⋮⋮!?﹂ ﹁ねーねー、そんなことより疲れちゃったよぉ。お兄さんに魔力補 給してほしいかなあって﹂ ﹁疲れたのはわらわの方じゃい! ⋮⋮じゃからその、ほ、補給な らこっちに⋮⋮の?﹂ 上 に置いている。しかも彼女らの言葉や態 ひょろっとしてまるで弱そうな若造を、戦女神のような美女・美 少女たちが取り囲み 度の端々には、どこか甘く淫らなものが見え隠れしていた。 その光景に、若き斧戦士はどうしようもなく世の理不尽を感じた。 807 ﹁な⋮⋮なんであんなヤツが⋮⋮?﹂ ﹁そりゃあ、アレだよ。よっぽど夜のアッチのナニが凄いんだと思 うよ﹂ 隣でしみじみと答えるジュノの声にも、今まで感じたことのない 艶が混じっていた。 ちょっとだけ、一旗あげるのはもう諦めて田舎に帰ろうかな⋮⋮ などと思うサイネクであった。 ※ ※ ※ 専用発着場に停泊させた、魔気船のキャビン。 衛兵から協力の謝礼を受け取りがてら、少し話を聞いてきたセレ 晶片獣 と呼ばれているそうだ。なんでも、 シャードビースト スタの報告を聞く俺たち。 ﹁あの謎の魔物は、 モチーフ 最近この都市の各所を神出鬼没で襲撃しているらしく、その度に撃 退しているものの頭痛の種だとか﹂ ﹁晶片獣、ねぇ⋮⋮水晶、水晶か⋮⋮嫌な符合だな﹂ 魔王 の遺骸そのものたる それは否応なく、ひとつの連想をせずにはいられない要素だった。 。 魔族勢力と俺たちとの争いの焦点、 破天の骸 ディアーネやナナの体を浸蝕していたそれもまた、水晶の形状⋮ ⋮無関係ともあまり思えない。システィナ姫の予言だと、この遺跡 都市にも破天の骸がある可能性は高いしな。 808 ﹁さっき倒したあいつらの残骸は?﹂ ﹁完全に消滅したらしい。毎回そうらしく、誰かが浸蝕されたなど の話は出ていないな﹂ ﹁だとすると別件なのかしら⋮⋮?﹂ ﹁いや、性質がひとつとは限らないからまだ結論には早い。ともあ れ情報収集が必要だな﹂ ナナ復活の手掛かりも、破天の骸に繋がりそうな噂も集めなきゃ ならない。 せっかくの大所帯を活かして、手分けして当たった方がいいだろ う。 ﹁では⋮⋮私はここでトオル殿や皆さんをお待ちしていればよいの ですね﹂ ﹁ああ、ディアーネ。留守番で退屈させて悪いが頼むよ﹂ ﹁お土産買ってくるからね⋮⋮⋮⋮姉さま﹂ 本来ディアーネのことは、シェイヨル大森林に置いていくつもり だった。 ダークエルフたちの巫女という立場もあるし、盲目の彼女は外で の暮らしに慣れていない。 だが、同行をシエラが希望した。遺跡都市はその発掘や研究のた 短命の呪い め、世界中から多くの専門家が集う場所であり、まだ実用化されて いない遺失技術の見本市でもある。義姉の身を苛む の治療法を探すチャンスであり、そのためには本人がいた方が都合 がいいからだ。 ﹁わたくしもやはり、ディアーネ様と共にこの船に残るべきでしょ うね⋮⋮﹂ 809 ほんの少し残念そうに、精緻なレースに彩られたたおやかな指を 薄桃色の頬にやるシスティナ姫。 そういえば、ろくに王城を出たこともないお姫様だったな。おそ らく、有名な観光地でもあるパラヴァータを前に、持ち前の好奇心 がうずいたのだろう。 ﹁じゃあ、姫。俺と一緒に散策がてら街でも見て回ります?﹂ ﹁えっ⋮⋮よ、よろしいのでしょうか?﹂ ぱっと太陽のような笑顔が輝き、ドレスの胸元で豊かな曲線を描 く乳房が嬉しげに揺れた。 どうやらやっぱり、珍しい異国の旅に内心じゃ未練があったみた いだ。 ﹁ま、待て! 姫様はランバディアを陛下たちの許可なく離れた身 だ。国元から遠いこの地とはいえ、万一そのお顔を知る者に見られ たらどうする?﹂ ﹁それなら問題ない。さっきロリ魔族コンビに使わせたアレがあっ たろ?﹂ 晶片獣との戦いの時、フラミアとパルミューラにはあるアーティ ファクトを身に帯びさせた。 持ち主の身体的特徴や外見の印象を、少しだけ変えて見せるアク セサリだ。これによって角や尻尾、羽根、魔紋といった魔族の特徴 をカモフラージュしていたのである。 ﹁これを身に着ければ、俺たち以外の目にはちょっと似てる別人く らいに映るはずだよ﹂ ﹁まあ、そんな便利なものが⋮⋮!﹂ 810 なお、これは上流階級では化粧の一種程度の感覚で使われている 品らしく︵出所も例によってユーリナ女伯爵邸だ︶よほど本人確認 が厳重な場でもなければ別段咎められない。 胸を盛ったりするのに使う貴族婦人も後を絶たないらしく⋮⋮ど この世界でも女は怖いな。 ﹁むぅ⋮⋮確かにそれなら問題はないかもしれんが⋮⋮し、しかし﹂ ﹁ねぇセレスタ、私からもお願い。ほら、あなたが護衛につけばき っと問題ないと思うし﹂ ﹁⋮⋮キリカ﹂ よほど姫が心配なのか、しばらく険しい顔で悩んでいたセレスタ だったが、キリカの言葉にふっと表情が緩んだ。彼女たちも、姫が 街に行きたがっていることを感じ取ったのだろう。 ポニーテールの女騎士は頭を垂れ、美しき姫君に臣下の礼をとっ た。 ﹁まあ、セレスタ?﹂ ﹁お忘れですか姫。こうなった以上世界の果てまでお供するのが、 一度は邪悪の走狗に身を落としたこのセレスタに残された騎士道⋮ ⋮御身、どこまでもお守りします﹂ 当初、姫に何度もランバディアに戻ることを懇願していたセレス タだったが、姫自身の理路整然とした説得︵上位魔族に狙われてい る以上俺のそばがもっとも安全であることや、その大胆な行動を父 王が絶対に許さないだろうことなど︶を受けてとうとう根負けした。 ﹃もちろん、その上でこれはわたくしのわがままなのですから、無 理に貴女まで付き合うことはないのです﹄̶̶そう頭を下げられた のが、逆にとどめになったのかもしれない。 811 以来、セレスタは姫にどこまでも付いていくと誓い、姫が惚れた 俺の存在も不承不承受け入れる態度をとっている⋮⋮まあ、魔隷に なってるんだからどっちみち逆らえないんだけどな。 ﹁まったく大げさなんだから⋮⋮ともあれ、決まりだな。んじゃ、 ニーナたち冒険者トリオは手分けして情報収集にあたってくれ。デ ィアーネは魔族コンビと一緒に、悪いが留守番を頼む﹂ ﹁了解しました。システィナ姫様、私の分も楽しんで来てください ね﹂ 柔らかな笑みで手を振るダークエルフ巫女。 フラミアはディアーネにも懐いてる傾向があるし、さっき魔力を 景気良く使ったせいでいま仲良く昼寝中の二人を任せても問題ない だろう。 ﹁そして姫とセレスタ、あとキリカが俺と市街見物だ。ま、情報収 集も兼ねてになるけどね﹂ ﹁え、私も一緒に?﹂ ﹁ふふっ、キリカとセレスタが守ってくれるのでしたら心強いです わ﹂ ﹁姫様がそう言うなら⋮⋮﹂ ﹁キリカ⋮⋮⋮⋮嬉しそう。主さまと、一緒に街に行けるから⋮⋮ ⋮⋮?﹂ ﹁え!? そ、そんなんじゃないってば!﹂ わたわたと慌てつつも、こっちを見るキリカのジト目が物語って いた。 ﹃何かまたよからぬことを考えてるんじゃないでしょうね⋮⋮﹄と。 まあ̶̶その予感は、当たってるんだけどな。 812 張り付き蜘蛛 亭は、その名の通り八本の支柱で外壁側面に張 ※ ※ ※ り付いた大衆酒場兼宿屋だ。 遺跡都市の中枢を構成する縦長の巨大岩塊、その中層部に位置し ている。 ﹁聞いたか? 上層でまた晶片獣どもが出たって話だ。しかもとび きりデカいヤツがよ﹂ ﹁うへぇ、あっちの担当じゃなくてよかったぜ。まあ、明日は我が 身かもだなァ﹂ 喧噪の中、夜勤を終えた衛兵たちが、朝っぱらからエールを飲み つつ大声で語り合っている。 話題は物騒だが、彼らの口調にまるで悲壮感はない。 元々パラヴァータでは、掘り当てた遺跡からわけのわからない魔 物が湧いて出たり、原因不明の爆発事故が起きる、発掘アーティフ ァクトが暴走するなどのトラブルはしょっちゅうだ。 ここに暮らす者はそんな日常に慣れっこの、たくましくも大ざっ ぱな性格であることが珍しくない。 ﹁で、そのデカブツをあっさり片付けたのが聞いて驚け、美女ばっ かの新参冒険者軍団だったってウワサだぜ。しかも術師か何からし いリーダーひとりだけが男ときた﹂ ﹁ほへぇ∼。あやかりたいねェ、っていうかそいつ死なねーかな。 爆発しねーかな﹂ 813 と⋮⋮衛兵たちの背後、カウンターに座っていた一人の少女がや おら立ち上がった。 一気飲み後に置かれたチョコレートドリンクのコップが、とんッ と軽快な音を立てる。 ﹁ねぇ、オジさんたち⋮⋮そのおハナシ、ちょおぉ∼っと詳しく聞 かせてくんない?﹂ 口の端についたチョコをぺろり、器用に舐めとると。 ギャル勇者こと橘リルナは、にこりと笑った。 814 49話:水晶の獣と、戦乙女たち︵後書き︶ 第三回アンケート企画、たくさんの投票をありがとうございました! 結果の詳細は活動報告をご覧下さいませ。 815 50話:羞恥の騎士たちと、邂逅 観光客や冒険者で賑わう、遺跡都市中層の商業区画。 パラヴァータの巨岩、その外壁近くに位置するこのあたりは数階 建てぶんの街路が吹き抜け状に重なって、まるで地球の大型ショッ ピングモールみたいな立体多層構造をしている。 ﹁すごいですわ⋮⋮! こちらにもあちらにも全部全部、たくさん お店が並んでいますのね!﹂ 薄桃色のドレスに豊満なボディを包むシスティナ姫は、目を輝か せてあちこちを眺めている。 とはいえ並んで歩くキリカもセレスタも、もちろん俺も、想像以 上の光景にテンションが上がっているのは間違いない。 美術品めいて輝く武具、鉱石から加工されたらしい装飾品類、色 とりどりの織物や果物⋮⋮さまざまな品々がバラエティ豊かに並ん で、観光地としての遺跡都市を物語っている。 ﹁見て見てセレスタ、大きなウサギさんです! あれはぬいぐるみ 屋さんでしょうか?﹂ ﹁む、本当ですね⋮⋮って姫! わ、私は別に可愛いものが好きと かそういうことは⋮⋮っ!﹂ ﹁ふふっ、別にいいじゃないセレスタ。女の子なんだし、私もああ いうの好きよ?﹂ ﹁なっ、キ⋮⋮キリカまで!? だ、だから私は女である前に騎士 でッ!﹂ ﹁へえ、騎士ならダメなのか? ぬいぐるみ好きなおっさん騎士だ っているかもしれないだろ﹂ 816 ﹁ぐむむ⋮⋮き、貴様はそうやってまた屁理屈を﹂ わいのわいの喋りながら進む俺たち。タイプの違う美少女を三人 も連れているだけあって、通り過ぎる男どもの羨ましそうな視線が 心地良い。 ⋮⋮と、ひとつの店の前でキリカが軽く立ち止まり興味を示した。 ﹁ん、どした? でっかい服屋が気になる?﹂ ﹁あ⋮⋮そういえば、私たちはともかく姫様の着替えは少ないなあ って思って﹂ ﹁わたくしのドレスは殺菌魔法や形状保持魔法がエンチャントされ てますから、これを着たきりでも大丈夫ではあるのですが⋮⋮﹂ ﹁それはそうですが姫! 王族ともなれば本来なら毎日、複数回お 召し物を換えるのが当然のたしなみですので!﹂ ﹁いやセレスタ、さすがに旅先でそれはキツくないか?﹂ とはいえ確かに、女伯爵邸で色々調達してるもののサイズぴった りとまではなかなか難しい。 それに例のアーティファクトで外見を別人に見せているとはいえ、 姫のドレスはいささか豪華すぎる。少なくとも冒険者には見えず、 何かの拍子で怪しまれるかもしれないしな。 ﹁よし、じゃあせっかくだ。ここでちょっと服でも見ていきましょ うか姫﹂ ﹁えっ⋮⋮よろしいのでしょうか? お金がかかるのでは⋮⋮?﹂ ﹁そっちは余裕があるし、考えてみりゃ年頃の女の子なんだから新 しい服も色々着たいでしょ﹂ にっこり笑いかけると、ぱぁっと嬉しそうな大輪の笑顔が咲く。 普段しっかりして落ち着いているけど、こういうところは姫も年 817 相応だ。 ﹁へえ。そんな気が利くとこもあったのね、トオルくんに﹂ ﹁うむ⋮⋮いささか意外だ﹂ ﹁⋮⋮俺への評価さりげにひどくないか、君ら﹂ ともあれ、かくして姫と騎士二人を連れてのお買い物タイムが始 まったのであった。 そう̶̶まさにこれからだぜ、お楽しみは。 ※ ※ ※ 地球なら有名ブランド店の大型店舗にも匹敵しそうな、広くきら びやかな店内。 姫はあっという間に女性店員たちに囲まれ、取っ替え引っ替え試 着の着付けを繰り返されるお人形さん状態になっている。そこにキ リカも巻き込まれる形だ。 素性を隠していてもにじみ出るオーラと美貌が、格好の素材とし て店員たちのやる気に火をつけたようだ⋮⋮あの様子ならあっちは まだまだ時間かかるな。 ﹁なあセレスタ。お前は姫やキリカみたいに服、見たり着たりしな いのか?﹂ ﹁⋮⋮興味がない。それに私は姫の護衛としてここにいる、目を離 すわけにはいかないのだ﹂ むすっとした仏頂面で答えるポニテ女騎士。 だが俺に声をかけられる直前、フリルをたくさんあしらった可愛 818 い系の服にチラチラ視線をやっていたことはお見通しである。 ﹁さすがに同じ店内にいりゃ十分だろ、命狙われてるわけでもなし ⋮⋮それにこの前姫も言ってたぜ、セレスタはいつも騎士装束だけ ど他にも似合う服が色々あるはずだって﹂ ﹁私に⋮⋮似合う? 姫さまが、そうおっしゃったのか?﹂ ぴくっと反応するセレスタ。とかく姫を持ち出されると弱い、筋 金入りの女騎士体質だ。 ﹁ああ。姫だけじゃなく俺もそう思うよ。これなんかどうだ?﹂ ﹁う⋮⋮!? そ、そんなふりふりした服が私に似合うわけがない ! き、却下だ!﹂ さっきまで彼女がチラ見してたピンクのワンピースを手に取ると、 わかりやすく狼狽した。 困ったな。そんな可愛らしい反応をされると、思わずいじめたく なってしまうぞ。 ﹁あのなセレスタ、臣下がいつも着たきりスズメじゃ主君の沽券に 関わるもんだぜ? そりゃ部屋の調度品が手入れされてないのと同 じだからな、姫の品位を貶めることにもなりかねない﹂ ﹁なっ⋮⋮! わ⋮⋮私が姫様の品位を、貶めていると⋮⋮ッ!? そ、そんな!﹂ 思っても見なかった、と大層ショックを受けた様子。まったくわ かりやすい女騎士様だ。 俺は笑いを噛み殺しつつ、一歩近付いてささやく。 ﹁というわけで、だ⋮⋮俺がこの機会に見繕ってやろうじゃないか。 819 なぁに任せろ、悪いようにはしないから̶̶﹂ ※ ※ ※ ﹁だ⋮⋮だからといってなぜこうなるのだ!? お、おかしいだろ う、どう考えてもッ!?﹂ そして数分後。 セレスタは顔を真っ赤にして、今にも叫び出しそうな勢いだ⋮⋮ もっとも、俺の隷属術式が大声を上げることもこの場から逃げるこ とも封じているが。 ﹁いや、だから言ったばかりだろ? そっち方面にさっぱり疎いお 前に、俺がちゃんとした普段着をチョイスしてやるってさ﹂ ﹁そ、それは一応理解できる! 理解できないのは、なぜトオル、 貴様がっ⋮⋮私と一緒に、この試着室に入っているのかということ だッ!﹂ 真っ赤になったセレスタは今、下着姿である。ブラもショーツも いささか装飾性には欠けるが清楚な白一色のデザインで、ムダなく 引き締まった女騎士の肢体によく似合っている。 俺は更衣中の試着室に、周囲に気付かれないよう頃合いを見て乱 入したのだ。 ﹁いやだって、じっくり見なきゃどれが似合ってるかわかんないだ ろ?﹂ ﹁そ、それは着終わってから外で見ればいいだろう!?﹂ 820 必死に胸を隠しながら、さっき俺が選んだ何着かの服を指すセレ スタ。 だが俺は、にっこりと笑って今持ち込んだ包みを差し出した。 ﹁⋮⋮なんだこれは?﹂ ﹁うん、下着﹂ ﹁しッ⋮⋮!?﹂ びしっ、と音を立てて固まる空気と表情。 ﹁だってせっかくだから新しい下着もあった方がいいだろ? ああ、 こっちはもう支払いは済ませてるから遠慮なく身に着けていいぞ﹂ ﹁そ、そそそそういう問題かぁぁぁッ!!?﹂ 亜麻色の頭から湯気を噴きそうな勢いで、目をぐるぐるさせる下 着姿の女騎士。術式に行動を制限されてなければ、剣やら銃やら振 り回して暴れ出しかねない剣幕である。 ﹁ほら、観念してさっさとこれを着ろ。それとも命令でムリヤリの 方がいいか?﹂ ﹁くっ⋮⋮や、やはり貴様は最低の変態だ、外道だ、恥知らずのド 畜生だ⋮⋮ッ!﹂ ﹁ありがとう、褒め言葉だぜ﹂ 涙目寸前になって俺をキッと睨み、渡されたものを掴む手はぷる ぷる震えている。 そうして始まる生着替えショーを、にやにやしつつ至近距離で眺 める俺。 ﹁お⋮⋮おいッ、この下着、妙に布地が少なくないか⋮⋮!?﹂ 821 ﹁なんだ知らないのか? 最近の流行はこうなんだよ﹂ ﹁そ、そうなのかっ!? くっ、おそるべし最新モード⋮⋮! し、 しかしこれはいくらなんでも⋮⋮!﹂ おっかなびっくり未知の下着を身に着けるセレスタの、贅肉ひと つなく切れ上がったお尻や手ブラの隙間から今にも見えそうな乳輪 などが、女体のいい匂いと共に目の前で見え隠れする。 きわどい部分を必死にガードしようとする動きは、あえて術式で 邪魔したりはしないのがポイントだ。恥じらいの仕草は重要だから な。 ﹁き、着終わったぞ⋮⋮って、なッなんだこれはぁっ!!?﹂ 術式でボリュームを制限してなければ、店員がまとめてすっ飛ん で来そうな驚愕の声。 まあ、それも無理はない。 ワインレッドの布地に純白のレースや薄手のフリルがあしらわれ た上下の下着は、それだけならフェミニンで可愛らしい、彼女によ く似合う品ではあった⋮⋮だが、それだけではない。 ブラは両乳首の、ショーツは股間の部分が、ティッシュの取り出 し口みたいに簡単に左右に開く構造になっていたのだ。しかも尻は ヒモ状に食い込むTバックである。 ﹁な、なぜこんな所に切れ込みがあるッ、そしてなぜ後ろには布が ないんだ!? これが流行だというのかぁ!? ど、どうなってい るんだこの国は⋮⋮ッ!﹂ ︵着てる最中に気付かないものかな⋮⋮まあいいけど︶ 実は、店内でこんなエロ下着を買ったというのは真っ赤なウソで ある。そもそも売ってない。 822 新品には変わりないが、これは女伯爵邸でプレイ用に調達したも のだ⋮⋮買い物に行く流れになった時から、俺はこっそり包みごと ローブの内側に忍ばせていたのである。 ﹁ここが貴族御用達の高級店だってことくらい知ってるだろ? そ んな場所で売ってるんだから、どこに着ていっても恥ずかしくない 品ってわけだ﹂ ﹁う⋮⋮そ、それは確かにそうだ、がぁ⋮⋮っ!﹂ だがそんな想像力の働かない純真なセレスタは、まんまと俺の術 中にハマっている。 運良くサイズもぴったりで、乳首もお尻の割れ目も今にもこぼれ 出しそうだ。眼福眼福。 ﹁ほら、手をどけろよ。しっかり体のラインと下着を見せてくれな いとチェックにならない﹂ 深紅の薔薇 と称されたランバディアきってのエリート女騎士 ﹁う、うぁうっ⋮⋮! こ、これでいいのか⋮⋮っ﹂ が、はしたないエロ下着に包まれたむっちりボディを狭い空間で俺 だけにさらけ出す。 緊張でうっすらと汗が浮かぶ乳房や尻肉の美しいラインを、たっ ぷり舐め回すように全方位から視姦してやると、亜麻色のポニーテ ールが羞恥にふるふると揺れた。 ﹁いいぞ⋮⋮思ったとおりよく似合ってる。綺麗だぜ、セレスタ﹂ ﹁んなっ⋮⋮!? き、貴様に誉められてもぉ⋮⋮う、うれしくな んかぁ⋮⋮!﹂ 口ではそう言っても、はぁはぁと息が次第に荒くなっている。 823 セレスタはもう気付いているはずだ。 以前、二回も自分を犯した男と、こんな無防備な格好で密室にい るという危機的状況に。 ﹁も、もういいだろうッ!? ふ⋮⋮服を着させろ!﹂ ﹁ああ、確かに。でも困ったな、俺の方がこんなになってしまった ぞ﹂ ﹁な、なぁッ!?﹂ ぼろん、とズボンから外に、さっきの生着替えショーで勃起した チンポをさらけ出す。 それが何を意味するかさすがに察し、セレスタの顔色が変わった。 ﹁おっと⋮⋮別にお前が相手をしてくれないって言うならそれでも いいんだぜ? その時は姫様か、キリカにしてもらうまでだからな﹂ ﹁えっ⋮⋮!? ま、待てっ! こっ、こんな場所でか!?﹂ わざと交換条件を持ち出すような言い方をしてやると、思った通 りに逡巡の表情を浮かべた。 仲間になったとはいえ、俺のような男と姫がエッチな行為に及ん でいることにはいつも納得がいかず苦悩しているセレスタだ。それ を一時的とはいえ防げる選択肢を断れるわけがない。 ﹁く⋮⋮! い、いくら姫が合意の上だろうと、あの方にそんな恥 知らずなマネをさせるわけにはいかない⋮⋮ッ! わ、わかった⋮ 深紅の薔薇 、見上げた忠義だぜ。じゃあ、さっそ ⋮私が、か、代わりにそれを処理⋮⋮し、してやる﹂ ﹁それでこそ くそれを自分で開いて、迎え入れる準備をしてもらおうか﹂ ﹁開⋮⋮え⋮⋮?﹂ 824 さも当然とそう告げると、再びショックに硬直するセレスタ。 きっかり三秒後⋮⋮まるで強制テレポートのトラップで飛ばされ た先が高レベル魔物でスシ詰め状態のお仕置き部屋だった新米冒険 者のごとき、絶望の表情がそこに現れた。 ﹁ま、まさかこのスリットは、そういう⋮⋮ッ!?﹂ ﹁やっと気付いたか。言わなくてもわかると思うが、もちろん自分 で広げてもらうぜ﹂ ﹁あっ⋮⋮う、うああっ⋮⋮!﹂ 今や涙目になった切れ長の瞳に、だが俺は屈辱や怒りとは別の色 をかすかに見てとった。 彼女にとって不本意とはいえ初めての男であり、以前の露天風呂 での行為ではお漏らし後のラブラブ恋人風Hというこの上なく恥ず かしい姿を晒し、そして気持ちよくされてしまった俺から再び与え られる快楽と羞恥⋮⋮その背徳的な感情にわななく、女騎士のメス としての部分を。 ﹁ようし、いいぞそのままもっと開いて見せろ、セレスタ⋮⋮!﹂ ﹁あ、ああっ⋮⋮み、見られて⋮⋮また見られてっ、しまうぅ⋮⋮ っ!﹂ それを証明するように、腰を突き出し股間のフリル付きスリット を震える指でつまんで開くセレスタの動きは、ゆっくりではあって も決して止まりはしない。 魔隷として俺に逆らえないから、主君や友人のためだから⋮⋮そ んな理由なぞは言ってしまえばどれもこれも言い訳で、内心では興 味を捨てきれない行為におよぶ免罪符に過ぎないのだ。 そうでなければあの時も、最終的には自分から情熱的に舌を絡め てなんてくるものか。 825 ﹁くくっ、思った通りだなセレスタ。もう濡れやがって⋮⋮メスの 匂いが外まで漂ってるぞ﹂ ﹁なッ、う⋮⋮ウソだぁ、そんなのはぁ⋮⋮き、貴様がまた術で何 かしたんだぁ⋮⋮ッ!﹂ ふるふると首を振って否定しても、指で押し開かれたエロ下着に デコレーションされた姿を現したサーモンピンクの肉ビラは、すで にうっすら緩んでしっとりと身を湿らせている。 俺は右手にはめた指輪のひとつを回し、コマンドワードを唱えて その魔力を起動した。 ﹁ニーナにエンチャントしてもらったミュートフィールド⋮⋮部分 的な音声遮断魔法を展開した。しばらくここで鳴る音は、外に漏れ る心配はない﹂ ﹁あ、あああっ⋮⋮!﹂ それが何を意味するかくらい、わからないセレスタじゃない。 俺に促され、試着室奥の鏡に手をついてTバックの尻をぶるぶる 震わせながら突き出した女騎士の、律儀に指で開いたままのスリッ ト奥にチンポがくちゅりと接し、そして̶̶! ﹁あぁぁ、あっ⋮⋮んぁぁぁぁうぅぅぅんああぁぁぁぁあ∼∼∼∼ ∼∼∼っっっ!!?﹂ エロ下着に立ちバック、それもすぐ外で赤の他人が行き交う状況 という変態的シチュエーションで俺に柔肉の真芯を貫かれ、セレス タは甲高い快楽のうめきをあげた。 した回数がまだ少ないせいか硬さを残すぷりぷりのマンコ肉が、 ぎゅちぎゅちと食いちぎらんばかりに侵入チンポに食い込み、痛み 826 と紙一重の強烈なセックス快感を味わわせてくれる。 ﹁おおっ、いいぞっセレスタっ⋮⋮姫ともキリカとも違うこの挿入 感、抵抗感っ!﹂ ﹁そ、そんなの比べるなぁッ⋮⋮さ、さいていだぁっ、お前はぁぁ ⋮⋮ひゃうぅぅあぁあ!!?﹂ しなやかな肢体をやや反らせ、汗ばんだ肩と腰とを手でホールド してゆさゆさ揺さぶりつつ、少しずつ激しくチンポを前後させてみ ずみずしい女騎士マンコをずんずんと開拓。 奥の姿見に押し当てられたふたつの乳房がエロいやらしくひしゃ げ、スリットからこぼれた乳首が冷たい鏡面に触れたのか﹁ひゃん っ﹂と時折可愛らしい声があえぎ声に混ざる。 ﹁よく言うぜっ! 一緒に買い物行くことになった時にもっ、ここ に俺が入って来た時にも! お前一瞬エロい顔しただろ、そういう ことを心のどっかで期待したんだろっ!?﹂ なか ﹁ち、ちがっ、違ぁぁっ⋮⋮んやぁぁんッッ!!? な、なかぁ、 膣内だめぇぇ!? 体のにゃかっ、ぐりんぐりんしながら言うなぁ ぁそんなことぉぉ⋮⋮んぉ、ふぁんぁぅぅッッ!?﹂ ﹁ウソ言ってもムダだぜ、魔隷の望みを叶えてやるのがご主人様の 務めだからなぁ⋮⋮お前の隠された欲望も引きずり出してやるッ、 こうやって奥の奥まで突き刺さったチンポでなぁっ!!﹂ わざとゆっくり、ずぬぬぬぅっ⋮⋮と引き出した汁まみれの赤黒 い肉棒。 一拍置いて、ワインレッドのTバックからこぼれた真っ白な尻肉 を鷲掴みにして思いっきり引き寄せ⋮⋮ずずんッッ!! と子宮口 に亀頭がめり込むほどに女騎士を貫きえぐる。 827 ﹁んぉぉっっ、はぉおおぉぉッッ!!? ふっ深ッ⋮⋮わ、私こん なもの着たままこんなぁぁッッ、こんっっにゃぁぁぁぁぁっっっ! !﹂ ﹁おいおい、ミュートフィールドはいつ切れてもおかしくないんだ ぜ? 姫やキリカ、外の連中にアヘった声聞かせるつもりかセレス タぁっ、この恥知らずのマゾ女騎士めッ!﹂ ﹁そっそんなぁぁっ、だッだって声がまんできなぁぁッ⋮⋮あ、あ ひぃぃぃぃっっっ!!?﹂ 容赦なく子宮に響く立ちバックピストンが強制的にメスの部分を 呼び起こし、取り繕ったプライドの仮面をべりべり剥がされてあえ ぐセレスタ。 だが⋮⋮彼女を襲う羞恥快楽は、それだけでは終わらなかった。 ﹁⋮⋮ねぇ、セレスタ! セレスタってば、どうして返事しないの ? まさか具合でも悪いの?﹂ ﹁なっ⋮⋮き、キリカぁっ!?﹂ こっちから返事がないのをいぶかしんだキリカが、いつの間にか 仕切りのカーテンすぐ外にいた。きゅぅぅッ⋮⋮と驚いた女騎士マ ンコが収縮し、思わず射精しそうになるほど気持ちいい。 ﹁返事がない⋮⋮? ごめん、ちょっと開けるわね?﹂ ﹁ま、待ッ⋮⋮!!﹂ ﹁̶̶え?﹂ 小さく開いた隙間からキリカの心配そうな顔がのぞき⋮⋮そして 当然ながら、硬直した。 すかさず、隷属術式を働かせて彼女を試着室内に滑り込ませ、脱 出を封じる。 828 ﹁な、ななっ⋮⋮な、なにしてんのよトオルくんっ、セレスタもっ !?﹂ ﹁わっ私は何もしてないっ! この変態が勝手にっ⋮⋮んひゃうぅ ぅぅんッッッ!!? や、止め、腰を止めっ⋮⋮き、キリカがすぐ そばで見てるんだぞぉぉっ!?﹂ ﹁お前が人だけのせいにするからだろっ! キリカ、見ての通りこ いつがマゾ発情したからこうやって鎮めてやってるだけで⋮⋮くぉ ぉ、やっぱ見られてる方がマンコ締まるなお前⋮⋮っ﹂ ﹁ちっちがっ!!? か、勝手なことを言うにゃぁぁっ⋮⋮んひっ ひぃぃぃんぅあぁぁッッ!!﹂ ぽかんとあっけにとられたのも一瞬、経緯はもうどうでもいいと 言わんばかりに俺たちを羞恥混じりの涙目で睨んでくるキリカ。い きなりこんな場所に巻き込まれたのだから無理もない。 ﹁な、なんでこんなとこでやってるのよぉぉ⋮⋮っ! 姫さまだっ て、すぐ外にいるのよ!?﹂ ﹁ひっ、姫さまがっ⋮⋮やっやはり私はなんて恥知らずなことをっ、 してしまっているんだぁぁ⋮⋮なのにっ、なのに体が熱くっ⋮⋮あ あぁっ、なぜだぁぁ⋮⋮ッ!?﹂ ﹁うおお! 姫の名前を出してセレスタの羞恥を加速させるとはっ、 ナイスアシストだキリカっ⋮⋮おかげでマンコが締まる締まるっ、 ううっ!﹂ ﹁そ、そんなつもりじゃないわよっ!? そ、それによく見たらな んて下着をっ⋮⋮!?﹂ 恥知らずなエロ下着に身を包んで俺にこんな場所でバックハメさ れ、メスの声をあげる友人兼元同僚の姿は、普段が凛としている分 キリカにとっても衝撃的な光景に違いない。 829 だが、むわっとするオスとメスのにおいに包まれた狭い試着室の 中、五感に否応無く叩き込まれる眼前のセックスにあてられたのか ⋮⋮キリカの瞳にも次第に、濡れた色が混じってきた。 ﹁ほら見てみろキリカっ⋮⋮! 俺がこうやってポニテを軽く引い てやるとだな、密着したマン肉が反応してキュンキュンって収縮す るんだぜっ⋮⋮くぅぅっ!﹂ ﹁う、うわぁ⋮⋮だ、だから何よぉ⋮⋮!﹂ 腰をねちっこくグラインドさせて女騎士を泣かせながら、俺は肌 が触れるほど近くにいるキリカに、長いポニテの先端を手渡した。 ﹁というわけで、俺の代わりにこう⋮⋮引っ張ってくれ。ああ、断 っても隷属術式でどうせしてもらうからそのつもりで﹂ ﹁﹁なっ⋮⋮!?﹂﹂ キリカとセレスタが、同時に息を呑んだ。ある意味でそれは、セ レスタにとって屈辱の極みかもしれない行為。 だが、強制命令を盾にされてはキリカに逃げ場はなく。 ﹁ううっ、馬鹿、トオルくんのばか、変態っ⋮⋮! ごめんねセレ スタ、痛いようにはしないから⋮⋮え、えいっ!﹂ ﹁ま、待てキリカっ⋮⋮んひぃぃっひぃぃぃぃんんッッッ!!?﹂ ぐいっ⋮⋮と遠慮がちに引かれたポニーテール、その動きに合わ せて俺が腰を叩き込んだ。 まるで手綱でしつけられる動物か何かのように、屈辱的な動きを それも同性の友人の手で導かれることに、堅物女騎士の羞恥心と被 虐快楽がいっそう加速する。 830 ﹁き、キリカに引っ張られっ⋮⋮髪引かれて奥ぅぅっ、奥にアレが ぁぁっ⋮⋮んぉぉっっ、んおぉおぉおおッッ!!?﹂ ﹁アレじゃないだろセレスタぁっ、ちゃんとチンポと口に出して言 えッ! ほら外の姫さまに聞かせる勢いで声出せっ、おらおらぁっ っ!!﹂ ﹁はぅぅんぁぁッ、んはぁぁぁッッッ!!? ちっチンポぉぉっっ、 トオルのチンポが私を貫くぅぅッッ、きっキリカの前でっ、キリカ と二人でしつけられるぅぅぅッッ!!?﹂ がつんがつんと子宮をえぐり込む暴力的なまでの快楽に、トロけ て茹だった脳みそから躊躇が吹っ飛んで、普段なら決して口に出さ ないような淫語が狭い試着室内に響き渡った。 ﹁せ、セレスタっ⋮⋮えっ、んむぅぅっっっ!!?﹂ 命令に従い律儀にポニテを等間隔で引っ張っていたキリカを抱き 寄せ、唇を奪う。 抵抗する間も与えず可愛い舌を舐めしゃぶり、真珠のような歯列 をなぞり、音を立てて吸いあげてやると、目の前の黒い瞳に甘い霧 がかかったように姫騎士もまたトロリと蕩けてゆく。 ﹁や、やだトオルくんこんなっ、恥ずかっ⋮⋮やっあっっあぁ!! ? こ、これってまさか今セレスタが感じてるっ⋮⋮んひぃぃぃっ っっ!!?﹂ ここぞと魔隷のリンクを通して彼女にも女騎士が味わっているセ ックス快楽を共有させ、完全にペースを奪う。いきなり最高潮に高 まった感度で喰らわされたのだから抵抗の余地もない。 胸の谷間から片手を差し入れて巨乳を乱暴に揉みながら、キリカ 831 に甘く濃いディープキス。 同時にもう片手で抱え寄せたセレスタを、エロ下着のまま着衣バ ックハメピストン。 ダブル美少女騎士をまとめて味わう、贅沢すぎる3Pだ。 ﹁くっ⋮⋮そろそろイクぞセレスタぁっ! 俺の精液中出しされて イけっ、システィナ姫にごめんなさいしながらなぁっ!! おらっ、 ポニテ思いっきり引っ張ってやれキリカぁ!!﹂ ﹁あぁぁひッひあっ、んぉあぁぁぁ∼∼∼∼ッッッ!!? もっ申 し訳ありません姫っひめぇぇぇえ!! せ、セレスタはこんな破廉 恥な格好でぇっ、貴女のすぐそばで隠れて獣のように犯され、イっ てしまっ⋮⋮あ、ああっあひぃぃぃいいッッいくぅぅぅぅ∼∼∼∼ ∼∼っっっ!!﹂ んびゅるるるぅぅぅっっ⋮⋮どくどくんっっ!! ぶぴゅっ、どびゅるるんっっ!! びゅくくっ⋮⋮どぷっどぷん っっっ!! ﹁ああっ、やぁああっ⋮⋮! やっやだぁ⋮⋮で、出てるよぉっ、 トオルくんのがセレスタの中にいっぱいっ⋮⋮どくどくってぇ⋮⋮ んぷぅぅっっ!?﹂ ぎゅっとポニーテールを握ったまま硬直するキリカを抱き寄せ、 再びその唇をねっとりディープキスで味わいつつセレスタマンコへ 大量射精。 俺たちの眼前で、汗まみれのTバック尻がビクビク痙攣し、膣奥 にびゅるびゅる流し込まれていく俺の大量ザーメンを美味しそうに 飲み干してゆく。 姿見にすがりつくようにして女騎士の肢体がずるずると倒れ込み、 ぬぽぉっ⋮⋮! と湯気を立てて抜けた半勃ちのチンポが、むせか 832 えるように濃い性行為のニオイを試着室内に漂わせた。 ﹁ぷぁっ⋮⋮! お⋮⋮終わった、の?﹂ 激しいキスに呼吸を乱れさせ、放心状態のセレスタを見下ろすキ リカ̶̶だが、その時だ。 ﹁⋮⋮どちらにいらっしゃいますの、キリカ、セレスタ? トオル 様といい、皆さん一体どこに消えてしまわれたのでしょう﹂ 今度はシスティナ姫の心細げな声がかけられ、キリカが心臓を跳 ね上げさせる番だった。 ﹁キリカ、姫が心配してる。声をかけてやれ﹂ ﹁え、わっ私が!? こっ⋮⋮この状態で!?﹂ 淫らな惨状と呼ぶしかない試着室内を見渡し、絶望的な顔になる 姫騎士。 ﹁大丈夫だ、顔だけ出してまだ二人で試着してると言えばいい。俺 はトイレに行ってるってことにでもして誤摩化せ、さあ早く!﹂ ﹁わ⋮⋮わかったわ﹂ 俺の勢いに押し切られ、おずおずと仕切りカーテンの隙間からキ リカが顔を出す。 ﹁ひ、姫さま。私とセレスタはその、ここで一緒に試着中で⋮⋮待 たせてすみません﹂ ﹁まあ、そうでしたのね。さっきから姿が見えないのでちょっぴり 心細かったのですけれど、それなら安心ですわ。あ、ところでトオ 833 ル様は⋮⋮?﹂ ﹁あいつなら多分トイレに⋮⋮んひっっ!?﹂ だしぬけに、キリカの語尾が跳ねた。外の姫はさぞかし面食らっ ていることだろう。 それもそのはず⋮⋮無防備にこっちを向く尻のミニスカをめくっ て素早くショーツを引き下げ、精力強化エンチャントで再び復活し た勃起を後ろから割れ目に押し当てたのだ。 その場所はさっきの感覚同調とディープキスで、すでにぐっしょ りと濡れていた。 ﹁くくっ、安心してくれ。ミュートフィールド内、つまりカーテン からこっちの音は外の姫には聞こえない⋮⋮気付かれることはない よ。ただし、キリカが声を漏らせば別だけどな﹂ ﹁う、うそっ⋮⋮ま、まさか⋮⋮っ!?﹂ ﹁?? どうしましたのキリカ、後ろに何か?﹂ 術式の支配によって逃げたり首を引っ込めたりできないように制 限をかけると、俺はこの異常な状況にいきり勃つチンポを躊躇なく ̶̶キリカの奥へずぶずぶと押し進めていく! ﹁っっっ!!? ∼∼∼∼∼∼∼∼ぁぁぁッッッ!! んぅぅぅぅ ∼∼∼∼っっ!?﹂ ﹁⋮⋮キリカ? なんだか苦しそうですわよ、どこか体の調子でも ⋮⋮?﹂ 甘い声を噛み殺し、必死に快楽を表情に出すまいと四苦八苦する キリカの膣内を、俺はサディスティックな衝動のまま思いっきり貫 き、えぐりあげ、チンポ全体で味わい尽くす。 体に走る緊張がいつも以上の締まりを生むだけでなく、さっき意 834 図的に絶頂感覚まではセレスタと共有させなかったせいで中途半端 にお預けを食わされた形の姫騎士マンコが、小刻みにイキっぱなし のプルプルした痙攣運動で二回戦チンポを甘噛みしてくるのだから たまらない。 ﹁ほらほらどうしたキリカっ、受け答えしないと姫に怪しまれるぞ っ! 外でずっぷりチンポ頬張ってるところ知られちゃってもいい のかっ!?﹂ ﹁んっ⋮⋮んふぁ、んうぅぅっ⋮⋮あ、あぅっあうぅぅ⋮⋮ッッ! ば、ばかぁぁ⋮⋮っ!!﹂ ﹁えっえっ? キリカ、今なんて?﹂ ﹁なっ、なんでもぉ⋮⋮ない、ですっ⋮⋮! ご、ごめんなさい姫 ぇ⋮⋮っ、せ⋮⋮セレスタがっ、よんでるっ、からぁ⋮⋮っ!﹂ ﹁え? じゃあそちらのお話、ですの?﹂ ほんのカーテン一枚隔てた向こうで、きょとんとした顔のランバ ディア第三王女が俺のチンポぶっ挿されたキリカの感じる顔をそれ と知らず見ているのだと思うと、背徳的な興奮に拍車がかかっても う腰が止まらない。 しかも情け容赦なく腰を叩き付けるたび、キリカの方も意識的に かそれとも無意識にか、紺色のミニスカに包まれた尻をぐりぐりっ と押し付けてきてチンポを奥へ奥へと誘うのだ。 ﹁おおっ、うぉおっ!? 見ろセレスタ、俺がキリカに教え込んだ エロテクをっ⋮⋮姫に見られてるってのにこうやってチンポを吸い 尽くそうとしやがるっ、この愛隷マンコバキュームはっ!﹂ ﹁あ⋮⋮ああっ⋮⋮キリカ、な、なんというはしたない腰使いだっ ⋮⋮!? そ、そこまでこの男に仕込まれてしまったというのかぁ ⋮⋮っ!﹂ ﹁ちっ、ちがっ⋮⋮わ、私そんなんじゃぁ、ないぃ⋮⋮っ!?﹂ 835 ぼんやり半覚醒状態のセレスタに、なおさら羞恥を加速させられ る言葉を浴びせられ、キリカの三段締め名器がぎゅぎゅぅぅっっ⋮ ⋮と恐るべき収縮を見せた。 たまらず俺も最後のラストスパートとばかりに猛烈なピストンを 叩き付け、そして解き放つ! ﹁あの、キリカ本当にお顔が赤いですわよ? やっぱりどこか具合 でも⋮⋮﹂ ﹁だ、大丈夫でっ⋮⋮んぅぅっふぁっあぅぅぅぅッッッ!!? き、 来てるぅぅ⋮⋮っ!!? やだっ、出てっ⋮⋮来ちゃってるよぉぉ ⋮⋮っっ!!﹂ どくんっっ⋮⋮どぷどびゅるるるるぅぅっっっ!! びゅくんっ、どくくんっ⋮⋮ぶぢゅるるるっっ、びゅくびゅくん っっっ!! ﹁え、何がですの? キリカ、何が来てるんですの?﹂ ﹁き⋮⋮着てる、だけですぅっ⋮⋮ふ、服を、きてっ⋮⋮あああっ、 いっぱい、いっぱいきてぇっ⋮⋮ご、ごめんなさいぃぃ姫さまぁぁ ⋮⋮っ!﹂ ﹁え? え? えっと、いっぱい試着中なんですのね。あの、それ って何か謝るようなことでしたかしら⋮⋮?﹂ 苦しい言い訳をしながら、自分にも襲い来る絶頂の快感を噛み殺 しきれず震わせるキリカ。 その背後で俺は、今度は立たせたセレスタの唇を奪って舌同士を 絡め合わせながら、ずっぷり挿入したキリカの子宮にバックで大量 ザーメンを注ぎ込み続ける至福の時間の真っ最中。 金玉の中身を根こそぎひり出すような大量放精は、不思議そうな 836 顔のまま離れていくシスティナ姫の足音が小さくなるまで長く長く 続くのだった。 ﹁っぷぁ⋮⋮! ほ、本当に最低の変態だっ、貴様はぁぁ⋮⋮っ!﹂ ﹁うぁ、んあぁっ⋮⋮あ、あとで覚えてなさいよぉ⋮⋮トオルくん の、ばかぁ⋮⋮!﹂ ※ ※ ※ さっきの大型服飾店に併設された、オープンテラス型のカフェ。 俺はそこに座り、遺跡都市の大通りを行き交う人々の雑踏をぼん やりと眺めていた。 ﹃女の子の買い物をあんなふうにジャマするトオルくんなんか知り ません。買い物終わるまで入店禁止! そこで待ってること!﹄ ﹃うむ、当然の報いだ。さあ、姫は私たちと一緒にこちらに﹄ ﹃?? よくわかりませんがトオル様、お土産買ってきますね﹄ 不本意ながら、一人追い出される形になった俺である。 さっきの行為をさすがにやり過ぎだとヘソを曲げたキリカとセレ スタが、事情がよく飲み込めないシスティナ姫も巻き込んで、女の 子だけで買い物を仕切り直すと言い出したのである。 まあ、好きなだけ服だのアクセサリだのを買って機嫌が直るなら 安いものか⋮⋮などと思ってしまうあたり、俺もまだまだ甘いよう だ。 ﹁むぅ⋮⋮しかし、俺だけ除け者というのはどうなんだ。もう少し ご主人様を敬うべきでは?﹂ 837 まあいい、これを口実にどんなお仕置きコースであの騎士コンビ をねちょねちょのぐちょぐちょにしてやろうかと、俺が少し股間を ふっくらさせながら思案していた⋮⋮その時だった。 ﹁あれ⋮⋮あれれっ? うそ⋮⋮マジ?﹂ ﹁⋮⋮ん?﹂ 素っ頓狂な声が、俺の背後の通りから浴びせられた。 なんだ、俺のことか? それにこの声⋮⋮どこかで、聞き覚えが あるような⋮⋮? ﹁ひょっとして⋮⋮トオルっち?﹂ ﹁̶̶え?﹂ トオルっち⋮⋮だと? そのふざけた呼び名、それを使うヤツは世界にただ一人⋮⋮いや まさか、でもまさか。 俺は呼吸を止めてゆっくりと振り向き、そして。 ﹁うっわ∼∼∼∼!! やっぱそうじゃん、トオルっちだ∼! マ ジマジぃ、元気元気ぃ!?﹂ ﹁なっ⋮⋮お、お前⋮⋮は⋮⋮!﹂ そして、俺は見た。 ぶんぶんと手を振りながら、人懐っこい満面の笑顔でこっちに近 付いてくる一人の少女を。 シミひとつなく抜けるように白い肌、高級犬か何かの毛並みを思 わせる、脱色されサイドテールにまとめられたキラキラ輝く髪。 ぞんざいに結ばれたブラウスシャツの裾に押し上げられるように 838 あの時 とほぼ変わ して揺れるたっぷりの巨乳、限界まで短いスカートからのぞく健康 的に肉付いた太ももと、すらりと続く脚。 背に負った剣の鞘のようなものを除けば、 らないその外見。 橘リルナ。 間違いようもない、俺の⋮⋮元クラスメートの姿を。 839 50話:羞恥の騎士たちと、邂逅︵後書き︶ おかげさまで本編50話を数えました! 今後ともよろしくお願い します。 840 51話:偽りの姿と、勇者の証 たちばなりるな 橘莉琉奈という女の子は、ひと言で表現するなら た。 異種族 だっ 俺にとって⋮⋮いや、元のクラスの大半の男女にとってそうだっ たんじゃないかと思う。 いかにもギャルギャルしいファッションや言動は、そこそこ偏差 値のいいうちの学校ではちょっと浮いてたし、本人の性格も一見明 るく社交的なくせに、特定のグループや誰かと特別仲が良いという 感じでもなかった。 捉えどころがなくマイペースな態度は、どんな相手だろうと変化 しない。 外見や言葉遣いも確かに一見ギャルのステロタイプだが、誰かの マネをしてそうしているのではなく、ただ自分の好みでたまたまそ のスタイルを選択しているだけ⋮⋮そんな意志を感じさせる独特の 雰囲気と個性をいつもまとっていた。 言わば、どの分類にも混ざるようで混ざらない、一種一体のユニ ークモンスター。つがいのいない野生動物。 失礼を承知で言わせてもらえばそんな印象だ。 エルフや魔族という文字通りの異種族を知った今でも⋮⋮いやだ からこそなおさら、ある意味それ以上に理解不能の存在として俺の 苦手であり続けている。 とはいえ、顔と体がいいからそっち方面での男子人気は高かった。 リルナはいわゆる白ギャルで、シミひとつない肌やケバいライン 841 女 までいかないよう気を遣われたメイクは、いきすぎたギャル系にあ りがちな汚らしく不潔な感じなどとはまったく無縁だった。 そこに俺たち男どもは、自分をキレイに見せることに長けた という、同年代ではまだ稀なタイプの魅力を感じてドキドキさせ られたものだ。 おかげでやれズリネタにしただの、やれ筆おろしのお相手をして ほしいだの⋮⋮そういったシモの話題では名前がすぐあがる常連だ ったようだ。 キリカがクラスの表アイドルなら、裏はリルナ。 言うまでもなくいずれも俺には無縁の存在だ︵もっとも、キリカ の方は過去形になったが︶。 ⋮⋮そんな相手といきなり一対一、異世界のカフェでテーブルを 囲むことになった俺は、傍目から見てもさぞかし動揺しているに違 いない。 ﹁いや∼ほんと、マジびっくりだよ! えっトオルっちいるじゃー んウソウソぉ!? みたいなさぁ、こんな偶然すっごいって思わな い?﹂ ﹁⋮⋮ああ、うん。俺もびっくりしたよ﹂ ﹁でしょでしょ、思うよね∼!﹂ 何がそんなに楽しいのか、いちいちアメリカ人みたいなオーバー アクションでサイドテールを振り振り、まくしたてる彼女。気圧さ れた俺は顔をひきつらせて適当な相づちを打つ。 しかもそうやってキビキビ動くたびに、ハリのある真っ白な巨乳 がゆさゆさ揺れ、ブラウスシャツのボタンを今にも弾き飛ばしそう な勢いだ。 さぞかし多数の男のオカズになった光景だろう。かく言う俺も⋮ 842 ⋮いや、言うまい。 ﹁⋮⋮橘さんは、こっちに来てから何やってるんだ?﹂ ﹁ん∼? アタシはいつも通りだよぉー。毎日イキオイとフィーリ ングで生きてます﹂ ﹁まぁ、そうだろうな⋮⋮﹂ 学校時代の彼女は遅刻や早退、欠席の常連だった。たまにずっと 教室にいると思ったら今度は堂々と寝てることもしょっちゅうで、 担任である鈴ちゃん先生の胃痛の種。クラス委員時代のキリカもず いぶん困らせてたっけか。 それでも不思議と成績は悪い方じゃなかったのが、世の不公平っ てやつだが。 そっち方向 の噂がどこからともなく囁かれるよ 学校にいない時間、リルナが何をやってたかは謎に包まれていて、 案の定というか うになった。 ラブホ街でおっさんと腕組んでるとこを見ただの、金を払うとや らせてくれるって話を聞いただの⋮⋮まあそういうアレだ。 俺の知る限り本人はそれを肯定も否定もしなかったし、俺自身ど うでもいいと考えていた。どうせ卒業後は⋮⋮いや、クラスが替わ れば二度と接点もなくなる相手なのだ。それが異種族。 ﹁ん∼∼∼⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁な、なんだよ﹂ いつの間にやら、テーブルに可愛らしく頬杖をついたリルナが俺 の顔をじっと見つめている。 元々ぱっちりした瞳は最低限のメイクでさらに際立ち、薄ピンク のグロスでほんのり濡れたように艶かしい唇と相まって、思わずド 843 キリとさせられる。 ﹁や、トオルっちは、結構印象変わったねぇって思ってさ﹂ ﹁俺が⋮⋮?﹂ ﹁うん。あ、悪い意味じゃないよ! なんてゆーかね、かっこよく なった? 前より男の子って感じになったかも﹂ ﹁なんだそりゃ⋮⋮﹂ にぃっと口元に人懐っこい笑みを浮かべながら、そんなことを屈 託なく言ってくる。 そうだ、これだ⋮⋮俺はこいつのこういう所が苦手なのだ。 勝手に人の心に踏み込んでくるような、そんな距離感の掴めなさ が。 地球にいた頃の記憶がフラッシュバックする。 思えば、俺を勝手にトオルっちと呼ぶようになったあの時も̶̶。 ︿̶̶リルナ。いつまで無駄な会話を続けているのですか﹀ 突然、第三者の声が彼女の背中から聞こえて、ふけりかけた回想 を中断させた。 オルト 。黙ってたと思ったらいきなり何ッス だがその位置には、誰もいないはず。 ﹁んぁ、どしたの かぁ﹂ ﹁オルト⋮⋮?﹂ ﹁あ! そーいや紹介してなかったね、トオルっち⋮⋮んんッ!?﹂ 突然、ハッとなにやら重大なことに気付いたかのように、細く整 えられた眉を寄せるリルナ。 844 なんだ、何か深刻な事態でも発生したのか!? ﹁こっちがオルト⋮⋮あっちがトオルっち⋮⋮オルトと、トオル! やばい、似てない!? これってすごくない!?﹂ ﹁⋮⋮いや別にすごくないっていうか、意味わかんないから﹂ ドッと力が抜ける。 くそ、やっぱりこいつは苦手だ。俺のいつものペースが維持でき ない。 ︿呼称を構成する音韻の類似ということですか? それの何が脅威 なのか、いささか理解しかねます﹀ はからずも俺と意見が合致した、抑揚の少ない中性的な声。 それはどうやらリルナが背負っている、何やら複雑な紋様の描か れた長剣の鞘みたいなものから出ているようだとわかった。 ﹁二人ともノリ悪いなぁ。まあいーや、この喋る不思議なアーティ ファクトがオルト。アタシの相棒みたいなもんだよ。ほんとはもっ と長い名前なんだケド、めんどっちいんでオルト呼び﹂ ︿お好きに。リルナの曖昧な記憶力にもそろそろ慣れました﹀ ﹁ほらほらトオルっち、今の聞いたぁ!? オルトってばいっつも 口悪いんだよぉ、ちょっとヤな感じっしょー?﹂ つまりオルトとやらは、擬似的な人格を持つアーティファクトと いうことか⋮⋮? それ自体は珍しくはあるが、この世界にはそれなりに存在するも のと聞いている。ナナみたいな魔法生物もその一種といえるしな。 個性 ま 護衛用や家事手伝い用、あるいは自分の機能を説明するため⋮⋮ いずれにせよ機械的な自己判断能力以上のもの、つまり 845 で持たされるのは術式構築の難しさもあって稀だという。 だが目の前のやり取りを見る限り、オルトには人間に近い自我さ え存在するように思えた。 該当者 を探しに来たはずでは?﹀ ︿リルナ、また脱線しています。早く彼に例の質問をしてください ⋮⋮そもそも、ここには例の ﹁俺に質問? 該当者⋮⋮?﹂ ﹁あ∼うん、それは忘れてないってば。でもさ、トオルっちは違う よ。カンケーないって、それに聞いた外見ともぜんぜん違うし﹂ ︿それを判断するのは貴女ではありません。リルナ﹀ ﹁む∼∼∼∼∼﹂ 何を言い争っているのやら、さっぱり要領を得ない。 しばらく口を尖らせて背中からの声に反発していたリルナだった が、はぁーっ⋮⋮とひとつため息をつくと、俺に向き直った。 ﹁んじゃまあ、ちょっと聞かしてほしーんだけど、さ。 ⋮⋮トオルっちのジョブって、なに?﹂ 俺の心臓が、どくんっ、と鳴った。 ※ ※ ※ ﹁では⋮⋮そのレイフェル殿という方は、この遺跡都市の副市長を なさっていると?﹂ ﹁は、はい。そのとおりです﹂ パラヴァータ上層階に停留する魔気船のキャビン。 846 ぱりっとした軍服風のスーツに身を包んだ副市長の使いは、応対 するダークエルフが持つ神秘的な美貌に同性ながら見とれそうにな って内心、少し慌てていた。 元々レアな種族ではあるが、このディアーネという女性のまとう どこか高貴なオーラは、何かまた別の意味で浮世離れしているよう に感じられた。 シャードビースト ﹁巨獣級̶̶これはこちらの分類呼称ですが̶̶を含む晶片獣の群 れをごく少数で撃退した冒険者パーティがあると聞き、レイフェル 様はぜひ貴方がたにある依頼をしたいとの仰せです﹂ 説明しつつ、さっきからずっと目を閉じているダークエルフの美 女はまさか盲目なのでは⋮⋮と使者はいぶかしんだ。 だが、彼女はもてなしの紅茶すら一人で淹れてみせたのだ。しか も美味い。 ﹁なるほど。ですがお請けするかどうかの決断はトオル殿⋮⋮私た ちのリーダーにしかできないことです﹂ ﹁それで構いません。まずは、今から話す概要だけを伝えていただ けませんか﹂ 空になったローズヒップティーのカップを置くと、使者は表情を 硬く改めた。 ﹁そう、現在このパラヴァータが直面している⋮⋮きわめて重大な 危機に関わる依頼について、です﹂ ※ ※ ※ 847 ﹁⋮⋮俺のジョブ、ね。そんなの聞いてどうすんの? この街の遺 跡に潜るパーティでも組みたいとか?﹂ ﹁や、まー、そうゆーのじゃナイんだけどさ。オルトがなんか知り たいらしくて﹂ リルナの声がわずかに高い。なんともまあ、ウソの下手なやつだ。 対する俺はさっきまでと変わらないトーンで、ためらいなく答え る。 ﹁俺のジョブは、法術師だよ。元の世界の成績同様、大したレベル じゃないけどね﹂ ﹁⋮⋮ん、そっか﹂ 一瞬、ホッとした空気がリルナの表情に出た。 その反応が、俺にますますある懸念を呼び起こさせる⋮⋮ぞわり と腹の底から沸き起こる、黒い疑念を。 ︿̶̶トオルっちさんと言いましたね﹀ ﹁いや、その語尾はいらない﹂ ︿ではトオルさん。失礼ですが、何らかの法術師スキルをここで使 って見せてくれませんか﹀ ﹁⋮⋮はぁ!?﹂ それを聞いてガタッと椅子から立ち上がりつつ、怒ったような声 を出したのはリルナだった。 ﹁なにソレ、トオルっちがウソついてるってこと? オルト、それ マジ失礼くない?﹂ ︿念のための確認です。リルナは少し黙っていてください﹀ 848 ﹁でもさ!﹂ なおも反発するリルナを、俺は制した。 ローブから出した右手をテーブルの上にかざす。 ﹁よくわからないが、術式を見せればいいんだろ? じゃあ⋮⋮﹂ パチッと指を鳴らすと、ライター程度の炎がテーブルの中央に浮 かんだ。 中空にゆらめく灯火を、もう一回のスナップで局所的に発生させ た風によって吹き消す。 ﹁見ての通り、1レベル元素魔法のキャンドルライトとスモールウ ィンドだけど⋮⋮もっと別のも見せようか? さすがに、攻撃用の やつとかはこんな街中じゃ使えないけどさ﹂ ︿⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹀ しばし無言のオルト。 こういう時、表情も見えないのは厄介だな。 ︿⋮⋮わかりました。失礼を謝罪します、トオルっちさん﹀ ﹁ほんとだよっ! マジごめんね、トオルっち!﹂ ﹁いや、だからトオル⋮⋮もうどっちでもいいよ﹂ 本気ですまなさそうに頭を下げるリルナに、苦笑いで答える。 内心で冷や汗をぬぐいながら。 ︵⋮⋮備えあれば憂いなし、ってヤツだな︶ もちろん、さっき使ってみせた低レベル魔法は俺の習得したもの 849 じゃない。当然だが俺は隷属魔法以外の術式なんて、ひとつも使え やしないからな。 そのタネはローブの下、二の腕にはまった腕輪状アーティファク トにある。 さっきキリカたちと別れてから、俺はこれを服で隠れる位置につ け、他の指輪や腕輪︵精力増強だの避妊だのの便利術式がエンチャ ントされたやつだ︶は外した状態にしていた。 ︵複数の1レベル魔法をエンチャントし、しかもわざわざチャージ 分じゃなく俺の魔力を消耗するよう設定してもらった特注品⋮⋮あ の剣の鞘がどんな目で見てるのか知らないが、俺自身が術式を行使 したようにしか映らなかったはずだ︶ 本来、官憲とかに万一怪しまれた時用の備え︵大抵、隷属魔術で 事足りるとはいえそればかりに頼る慢心は禁物だ︶だったが、こん な形で役に立つとはな。 そして、今のやり取りで俺の腹も決まった。 ﹁ほんとゴメンねトオルっち、わざわざヘンなことさせちゃって⋮ ⋮あ! お詫びにアタシが、ここのカフェ代もつからさ!﹂ 敵 候補となった。 目の前のリルナ⋮⋮いや、オルトとの二人︵?︶は、今や警戒す べき俺の 理由はわからないが、相手のジョブを念入りに確認したがるなど という行為には後ろ暗い秘密の影が見え隠れする。 クルスの仲間という可能性は低い⋮⋮それなら俺のジョブを知っ てるはずだからな。だが魔隷術師をはじめとするレアジョブを狙う 勢力に属してるって線ならあり得なくはない。元クラスメートがレ アジョブに目覚めてるかもって想像には、俺同様に辿り着いてても 不思議じゃないのだ。 850 だったら⋮⋮次の質問はこうだ。 ﹁別にいいよ、気にしてないからさ。そういや⋮⋮今ののお返しっ てわけでもないけど、橘さんのジョブは何なのかな?﹂ さあ、どう出る。 なんとなくだが、ありふれたジョブじゃないだろうという予感が あった。 もしレアジョブだとして、自分の手の内を簡単にさらけ出せるか ? それとも隠そうとして動揺を見せるか? 平静を装いつつ、表情を観察する̶̶ヒマもなく、リルナは即答 した。 ﹁んぁ、アタシ? アタシのジョブは、勇者だよ!﹂ ﹁⋮⋮は?﹂ あっけらかんと、まるで弁当のおかずの内訳でも伝えるかのよう に。 橘リルナは、かつて魔王と相討ったという伝説のジョブ名を口に した。 ※ ※ ※ ﹁はぁ⋮⋮なんで俺、あんなこと口走っちまったんだろ﹂ 中層階の裏通りをとぼとぼ歩く斧戦士サイネクは、今さらながら の自己嫌悪に陥っていた。 851 シャードビースト 上層階に出現した晶片獣どもを瞬く間に撃退した美少女揃いのパ ーティ、彼はそこのリーダーらしき青年の姿をはっきり目にしたほ ぼ唯一の目撃者だった。 だから当然、そのうらやましすぎる男の敵はどんなヤツだったか ⋮⋮と酒場で口々に聞かれたわけだが。 ﹃⋮⋮そ、そりゃアレだよ。黒いローブを着た、目つきの悪い⋮⋮ そう! いかにもめっちゃくちゃ強そうな、ムキムキのおっさんだ ったぜ!﹄ なんのことはない。 自分よりも年下で弱そうなヒョロい男だ、と正直に答えるのは自 尊心が許さなかったのだ。 もっともそんなセコい行為を含めて今、余計に大きな劣等感に苛 まれているわけだが。 ﹁はぁぁ⋮⋮やっぱ俺、田舎に帰ろっかなぁ⋮⋮でもジュノ、付い て来てくれっかなぁ⋮⋮?﹂ 魔隷術師かもし とトオルの外見を合致させなくしたのだが̶̶彼がこの その行動が結果的に、リルナに誤情報を伝えて れない男 事実を知る日は、たぶん永遠に来ないのだった。 ※ ※ ※ ﹁勇者⋮⋮だと?﹂ ﹁うんうん、アイアム勇者。へっへー、びっくりした?﹂ 852 さすがに聞き違いか何かかと思ったが、その期待は一瞬で打ち砕 かれた。 しかも⋮⋮少なくとも、目の前でちょっと偉そうにしているリル ナは嘘をついていない。 平然と嘘をつけるような人間じゃない、と言うべきか。さっき、 俺にジョブを聞いた理由を言えないだけであんなに普段のペースを 崩すくらい申し訳なさそうにしてたのだ。 ︿̶̶リルナ﹀ オルトの抑揚のない声に、わずかな不満が見てとれた。つまり、 この情報をコイツは俺に伝えたくないと考えている⋮⋮おいおい、 ますます信憑性が出てきたじゃないか。 じゃあ、本気でそうだというのか? よりによってこのギャルが、 あの伝説のジョブ? そんなふざけた話が本当に? ﹁いーじゃん、ホントは人に聞くなら先に自分から名乗るべきじゃ ん?﹂ ︿これはそういう問題では̶̶﹀ ﹁そういう問題だよ! 礼儀マジ大事、おばーちゃんも言ってた!﹂ だが少なくとも、リルナは俺をまるで疑ってないらしい⋮⋮まっ たくお人好しなヤツだ。 問題はまだ俺を信用しきってないオルトだが、さっきの引っかけ で今は警戒度が薄れている。 ︵⋮⋮やるか︶ 現状は、先手を打って隷属魔術をかけるチャンス。 このまま会話が進んだらまたどこかで怪しまれないとも限らない 853 しな。それは買い物を終えたキリカたちの姿を見られても同じだ。 そして万一リルナが本物の勇者だというなら、最強戦力の隷属は 多少のリスクを覚悟しても狙うべき千載一遇のチャンスということ になる。 ﹁まあまあ、ケンカするなよ。んじゃ俺、ちょっとトイレ行ってく るから⋮⋮﹂ 席を立ってさりげなくリルナの横を通りつつ、接近に成功した俺 は術式を起動した。 隷属魔術スキルの上昇に伴い、術式の予備動作や発生する魔力の エフェクトは最小限まで目立たなくできるようになっている。この 距離なら、気付かれる心配はまずない。 もちろん、彼女が魔法抵抗スキル持ちということもある。いや、 もし本当に勇者ならその可能性は高いだろう⋮⋮だからこそ、まず ほんの軽く術式をかけて様子を見るのだ。その手応えで魔法抵抗レ ベルも見当がつくし、支配に必要な時間もわかるという寸法だ。 ︵悪く思うなよ、橘リルナ⋮⋮お前も俺の魔隷になってもらうぜ︶ もし本当に勇者だろうと、そうでなかろうと。 キリカに続き、リルナというクラスの裏アイドルまでも俺が従属 させる。 それはあらためて考えると、この上なくゾクゾクする展開だ。 このエロい体が俺のものになる⋮⋮そして彼女にまつわるイヤら しい噂が本当だったのかどうかも、ベッドの上でゆっくり確かめて やれるだろう。 ︵その時が楽しみ⋮⋮ッッッ!?︶ 854 瞬間、突如として。 俺の妄想をぶった切ったのは、すさまじいまでの不快感だった。 激しく車に酔ったような吐き気と酩酊感がこみ上げ、視界がグラ グラ揺れる! ﹁どしたの、トオルっち!? 顔色、最悪じゃん!﹂ 思わずしゃがみ込んだ俺を、リルナが心配そうに覗き込む。 ちょうど目線の高さでミニスカからのぞいた白い太ももと、チラ 見えしそうなその奥がまぶしい⋮⋮などと考えている場合ではない。 ︵これ、はっ⋮⋮これは、まさか⋮⋮っっ!!︶ 以前一度だけ、俺はこのイヤな感覚を体験したことがあった。 自分自身に かけてみたことがあ こっちの世界にやってきてすぐ、隷属魔法の使い方を色々試して いた時のことだ。 興味本位で俺は、その術式を った。一体何が起こるのかと⋮⋮そんな俺を襲ったのが、今感じて いる脳をシェイクされるような不快感だったのだ。 おそらくは、使い手自身をその隷属術式が襲ったことによる自家 中毒じみたバックラッシュ。 リルナにかけたはずのこのタイミングでそれが起こるということ は、つまり̶̶! ︵ま⋮⋮魔法を反射してる、ってことかよ!?︶ そんなスキルは、博識なニーナからも聞いたことすらない。 だが考えてみれば、ある意味当然なのだ。それこそ合点がいくの だ。 855 本当に、リルナが勇者であるとするならば。 数千年の昔⋮⋮伝説の勇者は一人きりで魔界のすべてを敵に回し た。 大陸すら消し飛ばすという魔王はもちろん、強大な魔界魔法を操 る上位魔族もまた無数にいたはずだ。パルミューラやフラミアのよ うな超攻撃力、致死の毒、あるいは高位の弱体術式。 それらを相手取り一歩も引かないという愚行を実現させたスキル は、高位の魔法抵抗などという生易しいものではなかった。問答無 用の対魔法反射能力こそがその正体だったのだ。 ﹁ねえねえ、気分悪い感じ? どっかつらいとこあったらアタシが さすってあげよっか? それとも一緒にトイレいく?﹂ よしよし、と頭を撫でる優しい手の感触。ギャルっぽい外見にそ ぐわない母性。 だが、それに身を委ねるどころではなかった。 つまり、この最大の脅威かもしれない相手を⋮⋮俺は、隷属でき ないということなのか!? 856 51話:偽りの姿と、勇者の証︵後書き︶ EX・Hシーン内容に関するアンケート投票、8日いっぱいで終了 しました! ご協力感謝です。結果は下記のリンクおよび活動報告をご参照下さ い。 また、コミックヴァルキリーWebにて漫画版3話無料公開中です。 全盛期パルミューラの勇姿は必見! 857 52話:乳戯の魔薬と、二人の関係︵前書き︶ ※軽度の搾乳プレイおよび授乳プレイ注意です。 858 52話:乳戯の魔薬と、二人の関係 ﹁う∼ん⋮⋮マジで大丈夫だったのかなぁ、トオルっち﹂ 夕焼けのオレンジをきらきら反射しつつ揺れる、明るい色のサイ ドテール。 きわどいミニスカからすらりと伸びたモデルのような美脚をきび 異国の住人 である彼女の不思議な雰 きび動かして、遺跡都市の大通りを一直線に進むギャル勇者こと、 橘リルナ。 この世界の誰から見ても 囲気と美貌は、種族や年齢層を問わず男たちの目を惹き付けてやま ないが、当人はどこ吹く風だ。 ﹁問題ないとか言われたけど、でも心配すんなって方がマジムリだ よねぇ。やっぱ仲間のヒトらと合流するまで、おせっかいでもつい てくべきだったかもだなぁ⋮⋮﹂ あれから小田森トオルは、冒険者仲間との待ち合わせがあるから ⋮⋮とだけ言い残して慌ただしくカフェを去った。 その直前に見せた顔色の悪さがどうにも気になり、彼女は今でも 心配顔である。 ︿̶̶リルナ。あの男には、気を許さない方が賢明かもしれません﹀ オルト からの冷淡な声に、露骨に不機嫌そうになるリ ﹁へ? ⋮⋮あのさぁオルト、まだそんなことゆってんの?﹂ 背中の ルナ。 相棒がなぜ元クラスメートをそんなに警戒するのか、彼女にはど 859 うしても納得がいかないのだ。 ︿以前も伝えたはずです。あなたが勇者に選ばれたように、同じく 魔隷術師 がいるかもしんないって? でもそれっぽいヒトの 元クラスメートの中にこそもっとも警戒すべきあのジョブ̶̶﹀ ﹁ 外見じょーほー、トオルっちとぜんっぜん違ってたっしょ?﹂ 魔隷術師。 それこそはリルナとオルトのコンビがもっとも警戒する、最優先 討伐目標だ。 ある理由 を説明され リルナはオルトから、現代に復活したという魔隷術師をどうして も探し出し、倒さなくてはならない明確な ている。 ﹁てゆーか、黒ローブのマッチョ術師とかあれからちっとも見つか んないし⋮⋮そもそもあのウワサ自体、単なるネツゾーだったのか も﹂ 酒場で聞いた、多数の美女美少女を従えていたという怪しげな術 師の目撃報告。 それを元に聞き込みをしていたリルナだったが、ここに至るまで 成果はさっぱりだった。 ︿それだけではありません。彼の態度には、どこか計算めいた過剰 な合理性を感じました。魔隷術師でなかろうと、リルナに敵対する 意図を持つ可能性を警戒̶̶﹀ ﹁だぁーかーらぁ! トオルっちはそういうヒトじゃないってばっ !﹂ 通りの真ん中で突然、一人で声を張り上げたように見えたリルナ 860 に周囲の通行人が驚いてざわつく。 もっとも、そんな人目を気にする彼女ではなかったが。 ﹁⋮⋮んぁ、ごめん。でもオルトはさ、トオルっちのこと全然知ら ないっしょ? そりゃ、オルトの判断にはいつも助けられてるけど さ。トオルっちは、そんな悪いヒトじゃないよ﹂ こちらの世界に来て、自分が持つ規格外の力を自覚したリルナ。 彼女が始めたのは、人を襲う邪悪な魔物どもを倒して回るという単 純明快な人助けの旅だった。 オルト と出会い、以来太古の知識や優れた戦術眼でサ その中途で、とある村の祠に伝説のアーティファクトとして祀ら れていた ポートしてもらう頼もしいパートナーとして共闘する仲だ。 ︿ずいぶんと彼を信用しているようですね。元の世界で、親しい仲 だったのですか?﹀ ﹁ふぇ!? あ、いや、ん∼⋮⋮トクベツ親しい、ってワケでも実 はないんだけど、さ﹂ どこか遠い目で、夕焼け空をまぶしげに見上げるリルナ。 ふたつの月が照らす夜とは違い、地球のそれとまるで変わらない 光景。 ﹁昔、ちょっとね⋮⋮それにさ、トオルっちって、なんかかわいい って思わない? アタシがかわいいって思うヒトに、悪いヒトはい ないよ﹂ かわいい と称する基準はいまだによく理解でき 何かを思い出すように、相好を崩してくすくす笑いだす。 ︿⋮⋮リルナが 861 かわいい と評したことすらありました﹀ ません。一般的に嫌悪感の対象となる例が多い昆虫やホブゴブリン を ﹁よく覚えてんねー。まぁ、アタシも自分のことがぜんぶわかって るワケじゃないよ﹂ ︿やはり理解できません﹀ ﹁ハイハイ。ニンゲンはそーゆーもんなんです﹂ オルトの疑問をのらりくらり受け流しつつ、ギャル勇者は再び雑 踏を歩き出す。 あの仏頂面の元クラスメートは、果たして今ごろ何をしているん だろうか⋮⋮と、胸の中でぼんやり夢想しながら。 ※ ※ ※ ﹁んぁっ、ああぁぁあっ!? あふぅあぁッ、うぁぁんっ⋮⋮あぅ ぅんッッ!!?﹂ ベッドの上、俺にまたがった赤毛の女戦士が、汗の玉を飛び散ら せながら悩ましく腰を振る。 防具の日焼け跡もまぶしい乳房がぷるんぷるん揺れる光景は、騎 乗位セックスの醍醐味だ。 ﹁おいおいどうしたアメリア、ちゃんと収集した情報を報告してく れ⋮⋮よっ!﹂ ﹁でっでもマスターっ、こ⋮⋮こんなことしながらなんてさっ、恥 ずかしくて集中できなっ⋮⋮はぅぅっ、あぅぅぅぅぅんっっ!!?﹂ 口を開いた拍子に意地悪く、ずんッ⋮⋮と腰で子宮口を突き上げ 862 てやると、アメリアはしなやかな肢体を弓のように反らせ、普段の 男勝りな様子からは想像できない可愛いあえぎ声をあげた。 ぬっぽり刺さったチンポをみちみち締め上げてくる感触から察す るに、今のひとえぐりでイッてしまったらしい。くたっと脱力し、 ベッドに横たわる野性味満点ボディがオスの嗜虐欲をそそる。 ﹁やれやれ、俺はまだ一度もイッてないってのに、ほんと攻められ ると弱いヤツだなぁ。じゃあアメリアの代わりにニーナ、報告とチ ンポのお世話を頼むぜ﹂ ﹁あっ、はーい! ⋮⋮やったっ﹂ 金髪セミロングの少女法術師は小さくガッツポーズし、ぐったり 半気絶状態の女戦士とポジションを交代すべく小動物っぽい動作で よじ上ってくる。 一見いつものモノトーンメイド服だが胸部分を覆うはずの布が無 い く、慎ましいふくらみとピンクの両乳首が大胆に露出し、超ミニス カの下は当然のごとくノーパンというエロ衣装だ。 ﹁いいなニーナ⋮⋮⋮⋮うらやましい﹂ ﹁えへへ、お先に失礼ですよシエラちゃん。それじゃあ挿れちゃい ますね、ご主人様っ⋮⋮んぁぁんっ、お、おっきいの、にゅぷぅっ て入ったぁぁ⋮⋮っ!﹂ 俺の胸板に舌をちろちろ這わせながら羨望の視線を送るエルフ美 少女の眼前で、メイド法術師の小柄な膣内がアメリアの愛液にまみ れた俺の勃起をぬぷぬぷと飲み込んでいく。 ちょっとした高級ホテルじみた魔気船の船室で、俺は冒険者トリ オから街での情報収集結果を楽しく聞いている真っ最中というわけ だ。 863 ﹁はぁうっ⋮⋮ご、ご報告しまぁすっ、まず 勇者 のことですけ どっ⋮⋮たっ確かに、そう名乗る女の子があちこちで魔族を倒して て、今この都市にいるって噂をいくつか仕入れましたぁっ﹂ ﹁そうか、やっぱりか⋮⋮っ﹂ あの偶然の出会いの後、俺はギャル勇者こと橘リルナと早々に一 旦別れた。 問答無用の魔法反射能力と未知数の戦闘力を前に、慎重にことを 進める必要があると判断したからだ。今キリカたちと引き合わせ、 関係性を怪しまれるのも得策じゃないしな。 トレースエンブレム 泊まっている宿屋の場所はあっさり聞き出せたし、念のため介抱 されている隙に追跡紋章̶̶以前セレスタに使ったあれだ̶̶を目 立たない場所につけておいたから見失う心配はない。 ﹁んぁんっ⋮⋮! こ、これはホントかどうかわからないんですけ どっ、すっごく強い魔族に街ひとつが滅ぼされそうになったのをっ、 その勇者が一人で救ったって噂もあったくらいで⋮⋮っ﹂ 唯一、魔王に匹敵したという伝説の勇者。今のリルナが同等の実 力まですでに達してるとはさすがに思えないが、上位魔族⋮⋮こと によると八冥家クラスを相手取れる可能性は十分にある。 そんなチート存在との直接戦闘は、たとえ不意を突いたとしても リスクが大きすぎるだろう。そもそも殺し合いは本意じゃない。 彼女を隷属させる手段を模索するにせよ、別の手段で懐柔するに がいったい何を目的に行動しているかもはっきりしてない せよ、いずれにしてもまだ情報が不足している。なにせ、彼女と オルト のだ。 だがもちろん、言うまでもなく⋮⋮このまま引き下がるつもりだ けはない。 864 一度欲しいと思ったモノは、心の赴くままに必ず手に入れてやる。 それが生まれ変わった俺の行動理念だ。 ﹁よしよし、そこまで分かりゃ上出来だニーナ。お前に用意しても らったアーティファクトもさっそく役に立ったし、有能なメイドに はたっぷりご褒美くれてやらないと⋮⋮なっ!﹂ ﹁ぁひゃんっっ!!? ご、ご主人様のがずんっ、ずんってわたし の赤ちゃんの部屋ぁぁっ! いっぱいノックしてますぅぅっ!!﹂ ﹁ニーナ⋮⋮⋮⋮き、気持ち良さそう⋮⋮⋮⋮!﹂ ベッドのスプリングを利用して強烈に腰をハネ上げつつ、たまら ず倒れ込んできた上半身、半裸メイド服からさらけ出された可愛ら しい乳首に吸い付いてやる。 ごくり⋮⋮とノドを鳴らして自分の嬌態を見つめる友人に、時折 恥ずかしげな視線を横目で送りながら、ニーナは俺から叩き込まれ る快楽を小柄なスレンダーボディのすべてで味わう。 ﹁そっ、そうだご主人様ぁっ⋮⋮! ご、ご注文のお薬っ、か⋮⋮ かんせーしましたぁっ!﹂ ﹁おおっ、早くもできあがったか﹂ 震える手でメイド服のポケットから、ビンに入った透明な薬液を 取り出すニーナ。 俺も腰を動かしながら、受け取ったそれのフタを開ける。 ﹁さすがに仕事が早いな。シエラ、ちょっとこれ飲んでみてくれる か?﹂ ﹁いいけど⋮⋮⋮⋮主さま、これなに⋮⋮⋮⋮?﹂ ﹁ふっふっふ、お前にピッタリの効果が発揮されるはずだよ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮??﹂ 865 不思議そうに覗き込んで来たシエラだったが、何の疑いもなく無 味無臭の薬液を飲み干した。 想定通りの変化は、あっという間に現れる。 ﹁えっ⋮⋮⋮⋮んっ、んぁっ!? お、おっぱいがっ、張ってっ⋮ ⋮⋮⋮な、なにこれっ!?﹂ ﹁あはっ、シエラちゃんっ⋮⋮う、うまくいったみたいですねっ⋮ ⋮!﹂ みるみるシエラの両乳首が、まるで数分間かけて念入りに吸いし ゃぶってやった時のように最大限に勃起し、いまにもはちきれそう にふるふると震え始めたのだ。 それだけではない。 じわわっ⋮⋮と乳頭付近に浮かび、ぷぴゅ、ぴゅるっ⋮⋮と吹き 出してシーツに散ったのは、他でもないミルク。 妊娠してないエルフ美少女からは出るはずのない母乳だったのだ。 ﹁ふぁ、ああっっんぁぁぁッッッ!!? おっぱいがぁっ、シエラ のおっぱいからぁっ⋮⋮⋮⋮な、なんでっっ!?﹂ ﹁さっきのは、この街で仕入れた素材を使ってニーナに調合しても らった一時的な体質変化の魔法薬だ。おっぱい魔隷を自認するシエ ラに、ぜひ真っ先に使ってやろうと思ってな﹂ ﹁シエラちゃんっ、それおっぱい噴き出すのすっごい気持ちいいで しょうっ⋮⋮!? ご、ご主人様に直接吸い出してもらったらぁ、 もっと気持ちよぉくなると思いますよぉ⋮⋮っ!﹂ 俺に騎乗位で貫かれながら、欲情に上気した顔を友人に寄せて囁 くニーナ。 それを聞いてビクっと長耳を震わせるシエラもまた、恍惚の表情 866 だ。 さっきちょっと漏れたことで、ミルクを出すという未知の⋮⋮そ れも魔法薬で増幅された人外の快感を味わい、本格的に俺に吸われ る快楽を想像し期待してしまったからだろう。 ﹁あ、主さまぁぁ⋮⋮⋮⋮! し、シエラのおっぱいっ⋮⋮⋮⋮す、 吸って⋮⋮⋮⋮っ?﹂ さすがに恥ずかしそうに赤面しつつも、ゆっさり重たげな乳房を 抱え、俺に差し出してくる爆乳エルフ美少女。 断る理由などあるものか。その先っぽでふるふる自己主張する、 じんわり白い液体のにじんだ先端めがけ唇でかぶりつく! ﹁んひぃぃっっ、んん¨ぁぁああ¨あ¨あ¨ッッッ!!? すっ吸 われっっ⋮⋮シエラ主さまにおっぱいっっ、おっぱいミルクちゅう ちゅうされてるよぉぉぉぉおおお¨お¨ッッッ!!?﹂ 一気に、シエラの嬌声がセックスの山場ばりのボルテージへと跳 ね上がった。 すかさず乳肉に指十本を沈み込ませて揉み込んでやると、蜂蜜色 の髪を振り乱し、舌を突き出して獣のようにはしたなくあえぐミル クサーバーエルフ。 俺が注文した通りの出来なら、魔法薬による搾乳は男の射精に数 倍する放出快感を伴うはずだから無理もない。 ﹁あはぁっ、大成功みたいですねっ! ご、ご主人様ぁっ、シエラ ちゃんのミルクのお味はどうですかぁ⋮⋮っ?﹂ ﹁ああ、甘くて美味いぜ⋮⋮これならいくらでも吸えそうだ!﹂ ﹁主さまったら赤ちゃんみたいぃ⋮⋮ん¨ひッッ!!? い、いっ ぱい急に吸っちゃだめ、ら¨ッッらめぇぇぇっっっ!!? んぉぉ 867 ぉぉお¨お¨お¨!!﹂ おそらく本来の味とは違い、薄めたコンデンスミルクのような、 甘いシロップのような⋮⋮なんともいえない甘露が流れ込んでくる。 美少女のおっぱいで作られた美味とあってはなおさらだ。 しかも、優れているのはどうやら味だけではない。 俺の腰に、カイロでも当てたみたいな熱がじんわりと広がって̶ ̶! ﹁んひっ、ぁひゃうぅっっ!? ご、ご主人様のがみちみちって⋮ ⋮お、おまんこの中でさっきまでより大きくっ、カタく反り返って ますぅぅ⋮⋮ッ!!﹂ かはっ⋮⋮と呼吸を一瞬止めて体をのけぞらせるニーナの下腹部 が、うっすらチンポの形に押し上げられるほどに俺のモノが怒張し ている。 分泌されるミルクは、即効性の精力剤としても機能するのだ。 ﹁ぜんぶ注文通りとは天才だなっ、ニーナっ! しかしお前もエロ いヤツだぜ、わざわざ自分が挿入してる時にこうやって⋮⋮友達の おっぱいでデカくなったチンポをめいっぱい味わいたいってことか、 このはしたないエロメイドめッ!﹂ ﹁ひゃぁぁんぅぅぅっっ!!? お、おっきぃですぅぅぅっっ!! そっそうですぅっ、ごめんなさいご主人様ぁっ、ごめんなさいシ エラちゃんっっ!!﹂ いつもより凶悪になった肉棒に小柄マンコをめいっぱい拡張され、 悦びの涙を流して謝るニーナ。 だがシエラもまた、俺の手でリズミカルに双乳を搾られ射乳する 激しい喘ぎ声の中から正直な欲望を返す。 868 ﹁いい¨ッッ、いいのぉっっニーナぁぁあ¨あッッ!! これ気持 ちいいからぁぁっ、おっぱい主さまに吸われちゃうのたまらないの ぉぉお¨お¨お¨っっっ!!? だからぁぁっ、だからっ一緒にぃ ぃぃッッッ!! あ、主さまもぉぉおお!!?﹂ ぷしゃっ、と水しぶきめいた音が、乳房を中央にめいっぱい寄せ て両方いっぺんに俺の口に含まれたシエラの両乳首と、そして股間 からはじけた。 触ってもいないのに潮吹きするほどの射乳快感に全身を浸し、俺 に精力ミルクをトクトク注ぎ込みながら、おっぱい魔隷エルフはニ ーナと共に絶頂へと急速に上り詰めてゆく。 ﹁ごっご主人様ぁっ! ニーナもッ、ニーナもご主人さまの上でっ、 シエラちゃんに見られながらはしたなく腰を振って気持ちよくなっ ちゃいますぅぅっ⋮⋮いっイッちゃいますぅぅぅっ!! ああっん ぁぁぁ∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ 天を突くとどめの生ピストンと同時に、パルミューラやフラミア とさほど変わらない狭さの瑞々しいマン肉が急激に収縮痙攣して、 メイド法術師の絶頂を伝えた。 俺の方も、アメリアから続けて味わうメス性器の猛攻にもうガマ ンの限界だ。 ﹁よぉしッ、俺のチンポミルクも注ぎ込んでやるぞッ!! 子宮で ご褒美たっぷり飲み干せエロメイドっ、くおぅぅぅッッッ!!﹂ どぶびゅるるるっっ、どびゅどくんっっ!! ぶっぴゅ、びゅるるんっっ⋮⋮どっぷぅぅっ、どくくん⋮⋮っっ !! 869 ﹁あぁひあ¨あ¨ぁぁぁっ、んあおお¨ぉぁぁ∼∼∼∼∼ッッッ! !? はッ、はひィィんッ!!? かっ噛まれッ⋮⋮やっあ¨っあ っ、ああっっあるじさまぁぁぁッッッ!!?﹂ 放出の瞬間、シエラの乳頭をまとめて前歯で甘噛みしてやると、 スプリンクラーのように口内でぱしゅっと甘いミルクがはじけた。 シエラから吸い出したものが、ニーナに流れ込むかのような三位 一体の錯覚すら覚える。 甘い液体で喉を潤しながら、小柄なボディをぎゅうっと抱きしめ、 コンパクトサイズの子供部屋にグツグツ煮詰めたザーメンを思うさ ま吐き出す達成快感に、俺は何もかも忘れ没頭した。 ﹁くおおっ、最後の一滴まで搾り取るこのエロい腰使いっ! 何か ら何までよくできたメイドだぞニーナっ、こっちのサポートも優秀 だなっ⋮⋮!﹂ ﹁えへへ⋮⋮ごほうびのなでなで、嬉しいですぅ⋮⋮﹂ ヘッドドレスに彩られた頭をよしよしと可愛がってやると、幸せ そうなトロけ顔を俺の胸板に乗せ、相好を崩すメイド法術師。 同時に、激しい射乳絶頂を迎えたシエラの脱力した上半身が寝転 ぶ俺によりかかり、まだじんわりとミルクを垂らしている大ボリュ ームおっぱいクッションの柔らかさが顔を包んだ。 しかも、こうやってわざわざエロ行為をしているのはただ快楽の ためだけではない。 ブーストレベリング ﹁さて。魔隷術師スキル、成長促進効果⋮⋮ちょっとは実感できた か?﹂ ﹁ん∼、確かにご主人様のがおなかに染み込んで来る感覚と一緒に、 870 なんだか体がぽうって熱くなってきてます⋮⋮これが多分、経験値 が行き渡ってる感覚なのではっ!?﹂ ﹁おお、そいつはなによりだ﹂ ブーストレベリング 目をキラキラさせて、おなかのあたりをさするニーナ。 成長促進̶̶あのフラミア戦後のレベルアップで、俺が新たに身 に付けた力だ。 これにより魔隷のジョブレベルが魔隷術師より低い場合、レベル アップを加速させられる。 何もしなくてもある程度の効果は見込めるが、やはり隷属術式と 同様に体液を介する触れ合い⋮⋮つまり魔隷と体を重ねることでさ らに効率が上がるというオマケつき。 まったく、いちいち役得なジョブ特性もあったもんだな。 シャードビースト ﹁余韻に浸ってるとこ悪いが、晶片獣がらみの情報の方は?﹂ ﹁んぁっ。えっと、そっちはシエラちゃんが集めてきてます﹂ ﹁よし、シエラ頼む⋮⋮ってあらら、気絶してるな。こりゃ、起き るまでは聞けないか﹂ ﹁じゃあ、先にあたしだな! まだぜんぜん肝心なネタを伝えてな いし、経験値と一緒にマスターにあっついの注いでもらわないとぜ んぜん満足できないよぉ⋮⋮!﹂ いつの間にやら起き上がってきたアメリアが、火照ったカラダを 密着させてくる。 言われなくても、たっぷり注ぎ込んでやるとしよう。 パーティ強化のためにも、単純に可愛い魔隷たちとの楽しい時間 を過ごすためにもな。 もちろん、さっきの魔法薬もさっそく量産体勢に入ってもらうと するか̶̶。 871 ※ ※ ※ さすが貴族の乗り物、魔気船にはバスルームもしっかり備わって いる。 周囲の大気を組成変化させて水を生成する術式がエンチャントさ れているため、もし飛行中でも気兼ねなく使用可能という優れもの だ。 ﹁ふうっ、さっぱりした⋮⋮あれ、キリカ?﹂ 平等に精液と経験値をたっぷり注がれ、疲れてぐっすり寝ている 冒険者トリオを残してシャワーを浴びた後。船内ラウンジに顔を出 した俺は、ソファーに座るキリカを見つけた。 いつもの白いインナーにミニスカという軽装ではなく、腰回りが コルセット状になった濃紺のハイウエストスカートに、フリルがた くさんついたベージュの長袖ブラウスの組み合わせ。 胸元のネクタイも、ワインレッドの細いリボンに変わっている。 ファッションに疎い俺でも、なんとなくいつもより女の子っぽさ を主張した格好だな⋮⋮という印象を受ける、今までに見たことの ない普段着だった。 ﹁あ⋮⋮トオルくん。あのね、橘さんのことなんだけど﹂ どうやら、俺に話があって待っていたというわけらしい。 もちろん魔気船に戻る途中、合流したキリカたちにもリルナのこ とは伝えている。 872 ﹁やっぱりその⋮⋮彼女も魔隷にするつもりなのよね?﹂ フラミアやディアーネの時は、複雑そうな顔をしつつも成り行き を受け入れていたキリカだったが、今回はどこか様子が違うように 見えた。 それは、相手がこれまでと違って共通の知り合い⋮⋮同じ元クラ スメートだからだろうか? ﹁ああ。まだ実力は未知数だけど、伝説の勇者はぜひ戦力にしたい からね。それに⋮⋮﹂ ﹁それに美人で魅力的だから? ⋮⋮そうよね、昔から人気あった ものね、橘さん﹂ なぜだか俺と目を合わせようとせず、露骨に不機嫌そうなツンツ ン口調のキリカ。 いやお前も人気あっただろ、と突っ込もうにも自覚がないのが困 り者だ。 ﹁そういえば、教室でもトオルっちとか呼ばれてたし⋮⋮そっか、 やっぱ仲良かったんだ⋮⋮﹂ しだいに顔がうつむき、声もボソボソと小さくなっている。 ⋮⋮なんだ、この反応は。 ﹁ええっと。ひょっとしてキリカ⋮⋮あれか、焼きもちか?﹂ ﹁なっ、やッ⋮⋮!?﹂ ソファーを蹴っ倒しそうな勢いでいきなり立ち上がって、そして 直後、キリカは目を白黒させて﹁あみゅぅぅ⋮⋮!﹂と意味不明の 873 言語をもらした。 口を押さえてバッと後ろを向いたところを見るに、舌でも噛んだ のかもしれない。黒髪の間から見える形のいい耳が、じんわり赤く 染まってるのがわかる。 自分が慌ててることに気付いて余計に慌てている、そんな感じの 珍しい反応だ。 ﹁えーと⋮⋮キリカさん? おーい?﹂ ﹁かっ、勘違いしないで!﹂ 勘違いと来た。 わーテンプレセリフありがとう、とでも言えばいいのか? 怒ら れそうだからやめとこう。 ﹁そのっ⋮⋮わ、私は、橘さんのこと、どうやって接したらいいの かちょっとよくわかんなかったし! だからもし二人とも魔隷とか、 そんなことになったらどういう顔で何話せばいいんだろうとか、そ う思っただけですし!﹂ ﹁日本語が乱れてるぞ、元委員長﹂ なるほど、やっぱりキリカもリルナのことは苦手だったのか⋮⋮ と妙な納得をする俺。 まあ、いつも授業や校内イベントに対し適当な態度で臨む超マイ ペース人間のギャルと、真面目一辺倒のクラス委員とじゃ水と油も いいとこだ。無理もない。 そんなわかりやすい動揺っぷりに苦笑しつつ、隣に移動してそっ と肩に手をやる。 びくっ、とその感触に反応する元クラスメートの姫騎士。 ﹁こっち向けよ、キリカ﹂ 874 ﹁うう⋮⋮んぅっっ!!?﹂ ちょっとうらめしそうな上目遣いがこっちを見上げた瞬間、すか さず唇を奪った。 柔らかい部位同士が重なり、腕の中でキリカから力が抜けて行く のがわかる。 ﹁ぷぁ⋮⋮っ。な、なによぉ、いきなりぃ⋮⋮!﹂ 愛 ﹁いや、なんとなく⋮⋮待て待て怒るな。まあそのなんだ、何を心 だぜ﹂ 配してるかは知らんが、キリカ⋮⋮お前は俺のたったひとりの 隷 ﹁̶̶̶̶っっ﹂ そのまま、おヘソの下あたり⋮⋮愛隷の紋が刻まれている場所を、 ゆっくりと愛おしむようにさすってやる。ビクっと身を震わせるが、 体を逃がそうとはしない。 ﹁だから、変な心配はすんなよ、と⋮⋮まあ、そんだけだ﹂ それ以上具体的なことを口に出すのは、俺だって恥ずかしい。 綺麗ごとを言う資格があるような自分だともあんまり思えないし な。 だから代わりに、頭をぽんぽんと撫で、軽く背中を抱き寄せて体 温を交換する。 キリカはしばらく、俺にされるがままにしていたが⋮⋮やがて。 ﹁⋮⋮うん⋮⋮﹂ と小さな声で応え、俺の胸の中でこくんと頷いた。 875 ﹁よしよし。ああ、ところでよく見たらその服⋮⋮﹂ ﹁っ!! う、うん﹂ 何かを期待する表情で、はっと見上げてくる。 なんだこの食いつきは。 ﹁あー⋮⋮でかい胸がコルセットで強調されて、けっこうエロいシ ルエットしてるよな﹂ ﹁う⋮⋮ん?﹂ ﹁それってやっぱ、俺がムラっとくる効果を狙ってる? あと、や っぱ前より乳が大きく̶̶﹂ ﹁ッッッ⋮⋮とっ⋮⋮トオルくんの、ばか!﹂ とたんに俺を突き飛ばさんばかりの剣幕で、隷属術式で引き止め るヒマもなく。 キリカは大きな足音を鳴らして船内ラウンジを出て行ってしまっ た。 ﹁⋮⋮あら、あらあら﹂ 入れ替わる形でラウンジに入ってきたのは、いつもの笑顔にちょ っぴり苦笑の表情を浮かべたシスティナ姫。 どうやらキリカが走り去っていった方向と反対側の通路にいたら しい。 ﹁見てたんですか。姫もお人が悪い﹂ ﹁すみません、立ち聞きするつもりはなかったのですが⋮⋮ふふ、 トオル様。差し出がましいようですが女の子としては、そこは素直 に新しい服を殿方に誉めてほしいところなのではないでしょうか﹂ 876 もっともな指摘に少しだけバツが悪くなって、俺は頭をかきつつ ソファーに腰を下ろした。 さっきの格好はやっぱり、今日行った店で新しく買ったものだっ たらしい。 ﹁まあ、そうじゃないかとは思ったけど。つい面白いことを言いた くなっちゃう性分でして﹂ 俺だって、あの愛隷の一件があって以来̶̶キリカと自分の関係 性が、少し変化したことは認識している。おそらくはキリカもだ。 でも⋮⋮だからといってどう接し方を変えたらいいのか、それと も現状のままでいいのか、情けない話だが俺にはあまり分からない。 実感をもって受け入れられないというべきか。 これが以前みたいに、戦力&エロい欲望の対象としてのみ見るな ら簡単なのだが⋮⋮おかげでつい、今みたいにごまかしがちになっ てしまう。 ﹁うふふ。トオルさまは、意外とおませさんなのですね﹂ ﹁⋮⋮からかわないでくださいよ、姫﹂ それは、このシスティナ姫との関係にしても同じことだ。 彼女は出会った時から、俺に好意を向けてくれている⋮⋮だが、 それにどう返したらいいのかも実のところ、いまだによく分からな いままだ。 数々のエッチな行為を働いているのは、少なくともそれを通して 姫が喜んでくれるのが明確だからでもある。もっとも、俺自身がそ うしたいからという欲望ももちろん大きいが。 ︵つまるところ俺は⋮⋮人から好意を向けられることに、そもそも 877 慣れていないのかもな︶ ソファーから見上げれば、そこにはいつものようにニコニコして いるシスティナ姫の顔。下から見ると爆乳で首からあごにかけて隠 れるなぁ⋮⋮などとどうでもいい発見がある。 彼女は実際、俺のことを̶̶今の俺とキリカのことを、どう考え ているのだろう? さっきのキリカがリルナのことで覗かせたような嫉妬、生の感情 ⋮⋮そういう類いのモノをあの豊かすぎる胸の内側に抱くことも、 果たしてあるのだろうか? ﹁どうしましたの、トオル様⋮⋮っきゃ!?﹂ 反射的にシスティナ姫をソファーに押し倒しながら、俺は思わず 考える。 誰からも愛される、優しく清らかなランバディアの至宝。金髪碧 眼、完全無欠のプリンセス。 ふと、いつかその心の内側を見てみたいと思った。 もし彼女をあえて隷属術式にかけ、内心を吐露しろと命じたら⋮ ⋮どんな言葉が引き出せるのだろう? そんな夢想すら覚える。 ﹁だ、だめですわっ⋮⋮こんなお外が明るいうちからなんて、んぁ あっ!? あ、あぁ⋮⋮んむぅぅっ⋮⋮!!?﹂ 花のような香りのする唇を奪い、むにゅむにゅの双球に指を沈み 込ませながら俺は、失礼にも他の女の子のことを連想していた。 あの橘リルナは、こんな俺の本性を知ったら、どんな顔をするん だろうな⋮⋮と。 878 依頼 が、俺にもたらされることとなる。 ※ ※ ※ ⋮⋮翌日。 ふたつの驚くべき 相手 から提示された、さ ひとつは遺跡都市の副市長レイフェルによる、依頼の詳細内容。 そしてもうひとつは̶̶意外すぎる らに驚愕すべき選択肢だった。 ※ ※ ※ メイド法術師ニーナ︵レベルUP!︶ ジョブ:法術師LV8↓9 スキル:︻強化魔法LV3↓4︼︻空間魔法LV4︼︻治療魔法L V1︼ ??? 879 52話:乳戯の魔薬と、二人の関係︵後書き︶ 本格的な搾乳&授乳系プレイは受け付けない人もいるという認識で したが、実際どうなんでしょうね? ご意見ありましたら感想やウェブ拍手コメント等でいただければ幸 いです。 880 53話:都市の危機と、ふたつの依頼 どろぼう熊 亭の個室。 ﹁この遺跡都市パラヴァータは今⋮⋮滅亡の危機に瀕しているので すッ!﹂ 翌日、パラヴァータ中層部のレストラン テーブルを挟んで俺と向かい合う副市長は、いきなりそんな物騒 な内容を言い出した。 同行する冒険者トリオとセレスタも、これには度肝を抜かれた様 子だ。 ﹁というわけで法術師トオル殿、副市長のレイフェルでございます。 先の戦闘で市民と街を守っていただいた勇敢な働き、あらためて感 謝の意を表しますです﹂ ﹁あの∼副市長さん。名乗るより先にさっきのセリフ、言う必要あ りました?﹂ ﹁経験上、冒険者の方々への依頼にはツカミが肝心でございますで すので﹂ 妙な口調で大真面目にそう断言したレイフェルは、外見二十代中 盤のキャリアウーマン風だ。 鼻先には小さい丸眼鏡を、ややウェーブがかったアッシュブラウ ンのショートボブヘアーには薄緑色のベレー帽を、それぞれちょこ んと乗せている。 パットフッツ その脇から垂れ下がる犬耳と椅子からはみ出た尻尾から、エルフ ほどではないが長命種の比較的ポピュラーな亜人種族、半犬人であ るとわかる。 881 ︵副市長って言うからどんなオバさんが出てくるかと思ったが、案 外美人だな⋮⋮ま、モノにするかどうかはひとまず後回しだけど︶ 特定の国家に属さない中立の自治都市であるパラヴァータは代々、 市民の手で選出された市長によって平和裏に統治されている。 シエラたちが集めてきた情報によると、現副市長レイフェルはこ とによると市長以上にこの都市を豊かにしてきたと評価される、有 能で上下からの信望も厚い切れ者とのことだ。 行動は多少エキセントリックだが、よそ者の若造に過ぎない俺に 礼を尽くす態度からも公平さと如才なさが見てとれる。 ﹁ま、一介の冒険者パーティへの依頼に、わざわざ副市長ご本人が ご足労されるくらいだ。パラヴァータの危機ってのもあながち大げ さでもないか﹂ ﹁その通りでございますです。そして、これからお伝えする事実は 秘中の秘、口外無用の内密事とさせて頂きたいのですが̶̶﹂ 言葉を切って、背後の魔隷たちにちらりと視線をやる副市長。 何を意図しての動作かは明白だ。 ﹁ご心配なく。みんな口が堅く信用のおける、俺の腹心といってい い仲間ですよ﹂ 振り向きつつ太鼓判を押す。セレスタは何か言いたそうな表情だ ったがスルーだ。 シャードビースト シャードビースト 核 コア 納得した様子でひとつ頷き、副市長が語った驚くべき内容は、や はりあの神出鬼没の晶片獣がらみのものだった。 テレポーター ﹁滅亡の危機と呼んだ理由。それはこのパラヴァータ巨岩の ⋮⋮安定の要が存在する場所へと通じる転送装置が、例の晶片獣ど 882 もによって占拠されてしまったことなのです﹂ 全長1kmにもおよぶ、遺跡都市中枢を構成する縦長の巨岩。 コア これを宙に浮かし安定させている効果はいまだ謎ながら、その力 を発生させる要とおぼしき物体̶̶核は百年近く前に巨岩内部の奥 深くで発見されていたのだという。 そして現状そこに到達するには、ひとつしかない転送装置を通る しかない。 コア シャードビースト 装置を使う知能が連中にあるかどうかは謎とはいえ、もし万一、 核が晶片獣によって破壊されてしまえば。 ﹁おいおい。この巨岩が、落っこちるってことかよ!﹂ ﹁そんな事態が起これば、ここに住む人々だけじゃなく下に広がる 街並も壊滅必至の大惨劇になりますよ!?﹂ 想像以上の危機に、さすがのアメリアやニーナも色めき立つ。 ﹁いや、待って下さい副市長。なら該当の区画に、大人数の攻略兵 員を向かわせるわけにはいかないのですか? 我々パーティだけに 依頼するよりも確実なのでは?﹂ セレスタが当然の疑問を口にするが、副市長は苦々しい表情で首 を振った。 ﹁その選択肢は極めて危険と判断されましたです。なぜならば転送 シャードビースト 装置を警備していた者たちと、先日送り込まれた第一次討伐隊は̶ ̶﹂ ﹁̶̶その身を晶片獣に変えられていた。ヘタに追加の人員を送り 込めば犠牲者を、いや敵を増やすことになりかねない。そういうこ とですね?﹂ 883 副市長が向ける驚きの視線が、俺の推測の正しさを物語っていた。 の欠片に類似していた。 したあの材質に。そしてここ遺跡都市 破天の骸 そう、俺たちだけは身に覚えがあるのだ。 シャードビースト 浸蝕 晶片獣の構成材質は、あの ディアーネやナナを に、別の欠片があるという姫の予言と重ね合わせれば。 シャードビースト ﹁っ⋮⋮! そ、その通りでございますです。晶片獣によって命を 奪われ、奴らの体を構成する水晶片に取り込まれた者の末路は⋮⋮ っ!﹂ 骸に接触し、心身のすべてを浸蝕しつくされた者はどうなるのか? ずっと考えていた疑問、そのおぞましい答えがここにあった。 邪悪な意志のもとに人を、街を襲うバケモノと化すのだ⋮⋮あの シャードビースト 時ディアーネへの浸蝕を阻止できていて本当に良かったと、俺は心 の中であらためてナナに感謝した。 コア ﹁だからこそ少数精鋭⋮⋮俺たちを送り込み、晶片獣討伐と転送装 置および核の安全確保を頼みたいと﹂ ﹁はいです。巨獣級に分類される晶片獣を、いともたやすく討伐な さった実力⋮⋮今の遺跡都市において、あなた方こそが最小にして 最強の戦闘集団であると私は判断しましたです﹂ コア ことは一刻を争う。核への転送装置を確保できなければ、その時 はパラヴァータ全市民を浮遊巨岩とその周辺区域から脱出させなく てはならないだろう。 だがそれは、大量の市民が難民と化す苦渋の選択肢だ。パニック も避けがたい。ギリギリまで転送装置奪還ミッションに賭けたい副 市長の気持ちは理解できる。 884 ﹁俺たちへの依頼内容はわかりました。その上で、ひとつお聞きし たい。なぜ市長ではなく、副市長のあなたからの依頼という形なん です?﹂ コア ﹁⋮⋮市長は、即刻パラヴァータを放棄すべきだと主張してますで す。核破壊の可能性が少しでもある以上、市民の生命を最優先すべ きだと﹂ なるほど、まあそれも理解できる考え方だ。 ﹁ですが、私はこの生まれ育った遺跡都市を捨てたくないです⋮⋮ 雑多で混乱に満ちた街とも謂れますが、活気と暖かみがあります。 市長含め、私どもはパラヴァータを愛してますです﹂ ﹁だから最後のチャンスとして、転送装置奪還ミッションを市長に 提案した、と﹂ パットフッツ 丸眼鏡をくいっと上げて、半犬人の真剣な表情が俺に向けられる。 さっきまでしょげていた犬耳が、ぴんっと立った。 ﹁ええ。誇張でもなんでもなく、あなた方がパラヴァータ最後の希 望なのです。法術師トオル様⋮⋮この依頼、請けていただけますで すか?﹂ ※ ※ ※ ﹁それで、副市長とやらの依頼を受諾したと? ふん⋮⋮お主のこ とじゃ。ただ人助けというわけでもなく、他にも理由があったので あろ?﹂ 885 魔気船のラウンジに、留守番組を集めて説明を終えた後。 お土産のフルーツタルトをもりもりパクつく手を止め、したり顔 でゴスロリ魔貴族が指摘した。 ﹁よくわかってるじゃないか、パルミューラ﹂ ﹁くふふ、そろそろ付き合いも長いからの﹂ 俺はテーブル上に、副市長から渡された平べったいコイン状の物 体を置いた。 コマンドワードに反応してそこから3D立体映像のように投影さ れるのは、曲がりくねった坑道の複雑な地図。 空間魔法によって記録された、例の転送装置までのマップという わけだ。 ﹁ここを見てくれ、みんな﹂ 転送装置近くの部屋に指二本を当てて、スマホの画面でもいじる ように映像を拡大する。 その途端、口の周りについたクリームをシスティナ姫に拭かれて いたフラミアが、驚きの声をあげた。 ﹁あっ! それって、あいつじゃん! ねっ、そうだよねシスティ ナぁ?﹂ ﹁ええ、確かにナナちゃんによく似ていますわ﹂ 立体映像に映っていたのは全身鎧のアーマーゴーレム、その巨体。 レリーフみたく壁の一部に半分埋まっているが、デザインはナナ によく似ていた。 ﹁ニーナたちも、部屋そのものがナナを発見した遺跡とそっくりだ 886 って太鼓判を押してくれたよ﹂ ﹁では、そこに行けばナナさんの新たな体が見つかるかもしれない のですね!﹂ ﹁良かった⋮⋮ナナ殿は私にとっても恩人のひとりです﹂ 姫もディアーネも嬉しそうな声をあげる。 シャードビースト そう、ナナの復活という大切な目標の具体的な道筋がこうして見 えた以上、その障害となる晶片獣の排除はなおさら望むところなの だ。 さらに言えば、連中が湧いてくる遺跡の奥には破天の骸の欠片自 体が存在する可能性も高い。 リルナのことは気になるとはいえ、あのチート能力攻略のために も、パーティ戦力の増強と新たな骸の入手は有効だろう。イヴリー ス陣営に先を越されるわけにもいかないしな。 ﹁でも、こうなるとやっぱりナナちゃんと破天の骸には、何か関係 があるのかしら⋮⋮?﹂ キリカが口にした疑問は実際、俺もずっと気になっていた部分だ。 ナナは破天の骸に浸蝕されず、逆に一体化してパワーアップすら シャードビースト してのけた。 そして晶片獣が大量出現した遺跡と、ナナのいた場所との類似⋮ ⋮ここまで色々重なれば、さすがに偶然とは思えない。 ﹁わからない。だがそれを確かめるためにも、遺跡都市の内部には 向かわなくちゃいけないんだ﹂ 俺の力強い断言に、一斉に頷くみんな。 出発は、明日。 ナナの復活という全員の悲願が、すぐ目の前まで近付いたのだ。 887 ⋮⋮だが、まさか。 もうひとつの意外すぎる依頼が、その夜のうちにやってくること になるとは⋮⋮さすがの俺も、まるで予想していなかったのだった。 ※ ※ ※ ﹁んぁ⋮⋮? ここは⋮⋮!?﹂ 気がつけば俺は、いくつものクッションが乗っかった真っ赤な布 の上に寝転んでいた。巨大な正方形の布は、キングサイズのベッド くらいの大きさだろうか? 感触も同様に柔らかい。 こっちの世界に来てからとんと縁がなくなった桜の樹が一本、満 開の美しさですぐそばに立っている。貴族か何かの、やたら金のか かった花見の席⋮⋮そんなイメージがふと浮かぶ。 だが、その周辺に広がる光景はすさまじく非現実的だった。 上下左右どこもかしこも、宇宙空間のような見渡す限りの星空。 花見の席と桜の樹は、地面も何もないはずのそこにぴったり静止し て浮かんでいるのだ。 物理法則を無視したデタラメな風景は、ここが夢の中であるとい う証明だった。 ﹁夢? 待てよ、夢⋮⋮まさか!﹂ いる という確信をもって振り返ると、そこにはや 突如として、現実世界では忘れていた記憶が蘇った。 間違いなく はり̶̶! 888 ﹁はぁい。また会えたわねぇ、坊や﹂ 妖狐天仙ミクラ。その名も同時に思い出す。 白い和服に豊満な肢体を包む狐耳の金髪美女が、クッションみた いに広げた何本もの尻尾にもたれかかり、艶やかに微笑んでいた。 ﹁ふふ、そう警戒しなさんな。今日は坊やとひとつ、取引をしに来 たのよぉ﹂ ﹁取引⋮⋮だと?﹂ からみつくような声色で囁き、半人半狐の妖女は火の入っていな いキセルを俺に向けた。 ノーヴル・エイト ﹁まずは、ちゃあんと名乗っておきましょうか。ワタシの名は妖狐 天仙ミクラ⋮⋮数千年以上昔から、八冥家の最古参のひとりに名を 連ねているわぁ﹂ ﹁八冥家⋮⋮! そうか、やっぱりか⋮⋮﹂ ﹁あらぁ? 意外と驚かないのねぇ、坊や﹂ 少し心外そうに、そして愉しげにキセルを揺らすミクラ。 着物の谷間からこぼれかけた巨乳が、姿勢を変えるたび柔らかげ に変形する。 ﹁まあ薄々察しはつくさ。この、夢界仙境だったか? 精神世界の 異空間を支配して、俺の夢の中に距離を越えて現れるほどの力⋮⋮ 逆にそれくらいの大物じゃなきゃ説明がつかない﹂ ﹁んふふ、頭の回転が速いコはお姉さん、好きよぉ﹂ お姉さんって年かよ、と言いたいがさすがにやめておく。 889 ﹁で、いつかのパルミューラと同じように、あんたも俺を⋮⋮魔隷 術師の力を自陣に引き入れて勢力争いに役立てようって魂胆か?﹂ ﹁んふっ、パルちゃんったらやっぱりそんなこと企んでアナタに接 触したのねぇ。でもワタシの望みはちょっと違うわぁ⋮⋮だいたい ワタシ、魔界の権力争いとか全然興味ないしねぇ﹂ 奇しくもパルミューラにニーナと同じ呼び方を使う狐耳大魔族は、 あっさりそう言い切った。 ﹁いいこと坊やぁ? ワタシやヴラドヴェリ̶̶ああ、別の八冥家 の名前ねコレ̶̶は、今まで何千年もそうやってきたように魔界で のんびりまったり暮らせればいいワケ。三大公の座を狙うだの、他 の八冥家を蹴落とすだの⋮⋮そんなしょうもない夢はとっくの昔に 卒業してるのよぉ﹂ 魔界貴族がパルミューラやイヴリースのように、何らかの野望を 抱いて陰謀を進めてる連中ばかりだと思っていた俺は、その思いが けない説明に少し驚いた。 なるほど、彼女はいわば魔界の保守派閥̶̶その大物ということ か。 ﹁でも、イヴちゃん⋮⋮イヴリースは違うわぁ。あのコったら本気 で八冥家筆頭に、いえ三大公に成り代わって現魔界の覇権を握ると か、そんな大それた野望を抱いちゃってる系なのよぉ﹂ はふぅっ、と憂鬱そうなため息をつく妖狐美女。 そういうことか⋮⋮ミクラの言いたい内容が少し読めて来た。 ﹁つまり、あんたにとってイヴリースは邪魔なんだな? それで、 890 あいつと敵対する立場にいる俺と共同戦線を張りたいと、そういう 魂胆か﹂ ミクラの唇が満足げな笑みを浮かべ、俺の推測の正しさを裏付け た。 だが、それでは説明のつかないことが当然ある。 ﹁だけど、腑に落ちないな。強大な力を持つ大魔貴族のあんたが、 人間の俺なんぞに頼る必要がどこにある?﹂ ﹁んふふ⋮⋮さて、どうしてだと思う?﹂ ぴこぴこ狐耳を動かしながら答えを待つミクラは、俺を試してい るようだ。 今までの情報から数瞬で思考をまとめ、口に出す。 ﹁これを八冥家同士の争いにしたくない⋮⋮そういうことだろ? あんたとイヴリースが真正面からぶつかれば、当然魔界に大規模な 争いが起こる。ミクラ、それをあんたは望まないんだな﹂ ﹁ワタシがこうやって、夢の中にイヴちゃんを引きずり込んで始末 するとは思わないの?﹂ ﹁これは推測だけど、あんたの力も万能ってわけじゃないんだろ。 前回の俺が抵抗できたように、夢世界でも一方的に相手を倒せると は限らない。ましてや同じ八冥家のイヴリースともなると、何らか の対抗手段なり脱出手段なりを持ってると考えるのが妥当だ﹂ ミクラが魔界の大乱を望まないというなら、彼女が恐れるのはそ の引き金となるリスクだ。 おそらく、八冥家同士の争いともなればイヴリースにつく勢力や、 戦いの混乱を利用しようとする輩も多いのだろう。強引に仕掛けて も、そういう連中に切っ掛けをくれてやることになる。 891 ﹁⋮⋮んふふ、やっぱり坊やは聡いわねぇ。ますます気に入っちゃ ったわぁ﹂ いつの間にか、俺の隣に移動してグラマラスな肢体を寄り添わせ てくる。 二の腕にむにゅり、押しつけられる狐おっぱいの感触が心地いい ⋮⋮いかんいかん、色仕掛けに惑わされてる場合じゃない。 破天の骸 を手に入れることを阻止し ﹁で、具体的に俺に何を望むつもりだ?﹂ ﹁イヴちゃんがこれ以上、 てほしいのよん。他の陰謀なら手の打ちようもあるのだけど、アレ は⋮⋮アレだけは、マズいわ﹂ ここでも焦点はやはり魔王の遺産、破天の骸か。 八冥家の最古参実力者が恐れるほどの、魔界の序列を覆すワイル ドカードというわけだ。 これ以上、という言い方から見るに、クルスが俺たちの元から奪 った骸の欠片はやはり、イヴリースの所にあるらしい。 ﹁具体的にどうマズいのか、知ってるって口ぶりだな?﹂ ﹁まぁねぇ⋮⋮すべてというワケではないのだけど。お姉さんは魔 王サマと勇者の戦いのことを、ちょっとだけ見て来た世代だからね ぇ⋮⋮色々と、やぁな想像がついちゃうのよぉ﹂ 昔を懐かしむミクラの表情に一瞬、ほんのかすかな畏怖の色が見 てとれた。 齢数千年の大魔貴族をしてこの有様⋮⋮魔王や勇者の実力とは、 それほどのものなのか。 892 ﹁とはいえ⋮⋮それ以上は坊やが取引を受けてくれないと話せない わねぇ?﹂ ﹁おいおい。あんたが頼もうが頼むまいが、俺は破天の骸を自分の 物にするつもりだし、必然イヴリースとも戦うつもりだ。これじゃ 取引の意味がないことくらい、わかってるだろ?﹂ メリット 仲間に引き込むつもりなら、当然彼女は俺にその対価を示さなく てはならない。 そして俺に肩入れしている事実をイヴリースに知られてはまずい 以上、わかりやすい形での助力は難しいはずだ。それでは彼女自身 が勢力をあげて戦うのとあまり違いがない。 ﹁んふふ、当然用意してるわぁ。今のあなたが、いちばぁん欲しい モノをねぇ﹂ ﹁今の俺が、一番欲しいもの⋮⋮だと?﹂ にぃぃっ⋮⋮と、ミクラの朱色の唇が妖美な三日月を形作った。 それはヒトに魂を売り飛ばす契約を結ばせる、おとぎ話の悪魔そ のものの笑み。 ﹁そう。あの勇者ちゃん⋮⋮あなたが攻めあぐねてる彼女を、なん とかする方法よぉ⋮⋮!﹂ 893 53話:都市の危機と、ふたつの依頼︵後書き︶ 次回、きつねえっち第二ラウンド 894 54話:妖狐の挑戦と、依頼の誤算 ﹁勇者の攻略法だと⋮⋮? 待て、なぜ俺がそれを欲しがってると あんたが知ってるんだ﹂ 当然の疑問に、朱色のキセルを口元でゆっくり回しつつ、艶然と 余裕の笑みを送るミクラ。 読める ようにな ﹁知っての通り、ここ夢界仙境はワタシの支配する精神世界。足を 踏み入れた時点で、坊やの表層記憶はだいたい ってるのよぉ⋮⋮ま、慣れれば思考をガードするのも不可能じゃな いでしょうケドね﹂ 少なくとも今日、何があったかとか筒抜けってことか。どこまで も厄介な能力だ。 しかもこのエロエロ狐は、勇者の魔法反射能力を認識した上で話 を持ちかけてきてるわけで、となると対抗策ってのもあながちハッ タリじゃないだろう。 ﹁勇者ちゃんにお得意の隷属魔法が効かなくて苦労してるんでしょ お? だったら物知りお姉さんがその突破口を教えてあげても̶̶﹂ ﹁̶̶生憎だがな、ミクラ。俺は、あんたと何も取引するつもりは ないよ﹂ 思わせぶりな言葉を遮ってはっきりそう答えた俺に、狐耳大魔貴 族の片眉がぴくりと跳ね上がった。 ﹁あららぁ、ずいぶんと決断が早いのねぇ坊や。ああ、ひょっとし 895 てワタシの伝える情報が正しいのかどうかそもそも信頼できない⋮ ⋮というところかしらぁ?﹂ 確かにその可能性も考えられるだろう。 だが、俺が気にしてるのはそこではなかった。 ﹁いいや。それに関しては、むしろ正しい情報を教えてくれる気が あんたにはあると思ってる﹂ ノーヴル・エイト ﹁へえ? どうしてかしらぁ?﹂ ﹁八冥家最古参の大魔貴族様ともあろう者が、俺みたいな人間相手 にコスい嘘をついてまで目先の利益を追うとは考えづらいからだ。 そんなマネはあんた自身のプライドが許さない⋮⋮違うか?﹂ 人よりも永い生を持つ魔族にとって、屈辱や自分自身が納得でき ない行為はそれこそ数百年、数千年というタイムスパンで禍根を残 す。 パルミューラもフラミアもある意味そうだったのだ。 だからこそミクラが取引と言った以上、それは公正なもののはず だと推測した。 ﹁んふふ、なるほどねぇ。ワタシたちのことを存外よくわかってる じゃない。でも、だったらなおさらなぜ? ワタシが頼むまでもな くイヴちゃんと戦うつもりだったのなら、利益しかない取引のはず ⋮⋮突っぱねる理由が解せないのだけれどぉ?﹂ 勇者、橘リルナの持つ魔法反射能力の攻略法。彼女を隷属させる 糸口。 確かにそれは今の俺にとって、ノドから手が出るほど欲しい切り 札に違いない。 だが⋮⋮だからこそ。 896 ﹁俺もね、あんたら魔族と似たようなもんさ。意外と、こだわりを 後に引きずるタチらしい﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮?﹂ 突然、関係のない話を始めた俺を、ミクラは目を細めて不思議げ に見つめる。 借り を作りたくないんだ。恩や借りは、 ﹁俺はこの世界で何にも束縛されず自由に生きるって、そう決めて る。だからもう誰にも 俺を縛る枷になる⋮⋮最近それを実感したとこでね﹂ 脳裏に浮かぶのは、忘れもしないナナの最期。 俺たちを助けるために命を投げ出したあいつに、俺は主人として 報いなければならない。そうせずにはいられない。 俺は誰にも従わないが、俺自身の気持ちにだけは逆らえない。そ の衝動は無視できないのだ。 ﹁おそらくあんたのくれる援助は、俺にとって有益だろうさ。でも だからこそ、俺の中にあんたに対する借りが、恩が、一種の引け目 が生まれるだろう。そいつは時間をかけてずるずると、俺の自由を 侵食しかねない﹂ ﹁つまり、借りを作った相手に坊やは冷酷になれないってことぉ? んふふ、意外に律儀なのねぇ?﹂ ﹁そんなんじゃないさ。誰に対しても一歩も引かないために、俺が 自由な俺であり続けるために⋮⋮もう二度と何ひとつ後悔したくな いし、その種になるような行動は避けたいってだけなんだよ﹂ これまでも、そしてこれからも。 自身にも言い聞かせるような決意を乗せ、和装の大妖狐めがけて 897 攻略法 を 教える 俺は毅然と言い放った。 ﹁それに とアンタは言ったな。つまり、俺 が持ってない何かが必要とかじゃなく、手段を思いつけば至れる道 ってわけだ。だったら、俺ひとりでそこに到達してやればいい、あ んたの助けなんぞ借りなくても⋮⋮違うか?﹂ しばしの沈黙、そののち。 ﹁くくくっ⋮⋮あっはははっ! 本当に! 本当に面白いわぁ、坊 やったら⋮⋮! お姉さん、いよいよ本格的にアナタのことが気に 入っちゃいそうよぉ﹂ キセルをくるくる弄びながら、何本もの尻尾と爆乳を波打たせる 勢いで大笑するミクラ。 涙すら浮かべてひとしきり笑った後、息がかかりそうな距離にス ッと美貌を寄せてくる。 ゲーム ﹁なら、やり方を変えるしかなさそうねぇ⋮⋮ひとつ遊戯をしまし ょうか、坊や﹂ ﹁ゲーム、だと?﹂ 豊かな金髪から飛び出した狐耳が、さっきから好奇心を示すよう にぴこぴこと跳ね踊っている。 なお一層の強さで、むぎゅうっ⋮⋮と二の腕に押しつけられる豊 満な生双乳。 ゲーム ﹁そうよぉ、えっちな遊戯勝負。ワタシをイカせることができたら タダで情報を提供する、逆にあなたが先にイッたらワタシの言う事 をひとつ聞いてもらう⋮⋮ってのはどうかしらぁ?﹂ 898 なるほど、勝負で奪い取った報酬なら貸し借りにはならないと言 いたいわけか。 そいつはなかなか面白い、そして魅力的な提案だ。第一、こうま で露骨に誘われておいて引いたら男がすたる。 ﹁いいぜ、あんたとは前回の決着を是非つけたかった所だしな﹂ ﹁んふふっ⋮⋮坊やならそう言うと思ったわぁ。じゃあ、さっそく 遠慮なくぅ̶̶﹂ 柔らかい敷き布の上に、グイッと俺は押し倒される形になった。 ぺろりと舌なめずりをする妖狐の顔が、舞い散る桜を背景にして 上から覗き込んでくる。 ﹁̶̶いただいちゃうわよぉ、坊やの美味しそうなおちんぽぉ、お 姉さんのココでねぇ⋮⋮!﹂ 淫らな熱気にあてられ、ぐぐっと鎌首をもたげた俺の肉棒の真上。 白い着物がはだけ、むっちりした両脚が惜しげもなく開かれて、 何もつけていないミクラの秘所⋮⋮髪や尻尾と同じ黄金の毛並みに 彩られたヒクつく肉の唇が露わになった。 ﹁はぁ∼い、にゅぷにゅぷもぐもぐしちゃうわよぉぅ? あっさり どっぴゅんしちゃわないようにぃ、ちゃぁんとガマンしてみせなさ いな坊やぁ⋮⋮!﹂ 美しくも淫らなサーモンピンクのヒダヒダは、肉食植物のごとく 甘いヨダレをたらしつつチンポの先端めがけ降りて行くと、んちゅ うぅっ⋮⋮とひとりでに吸い付いて飲み込み始める。 899 ﹁えっちぃきつねお姉さんとのぉ、すけべなすけべな生えっち開始 ぃぃ∼! んぁあっ、あはっ、おっき⋮⋮っ! んぅ、ぜんぶ入っ ⋮⋮たぁぁっ!﹂ ﹁うっ⋮⋮おぉお⋮⋮っ!?﹂ みっちりと根元までが胎内におさまった瞬間、俺の下半身をいま までにない感触が襲う。 想像より遥かに熱い。そして遥かに動く。 ミクラの肉厚マンコ内は、ウネウネと別の生き物、それもまるで 何匹もの群れが別々に動いているようにヒダのひとつひとつが絡み 付いてくるのだ。 ﹁んふふっ⋮⋮えっちなきつねまんこの、ドスケベおしゃぶり天国 はいかがかしらぁ? どう、何十本ものベロに激しくフェラチオ蹂 躙されてるみたいでしょぉ∼? ほ∼らほらぁ!﹂ 上半身を覆う着物から完全にこぼれた爆乳を、見せつけるように 自分で揉みしだきながら、俺にまたがって腰をくねらせ淫語を連発 する狐耳大魔族。 さすがに自信満々なだけはある、人をダメにする強烈無比な淫技。 ﹁あらぁ、うっすら汗かいちゃってか∼わいい。いいのよぉ? い いのよ坊やぁ、情けなく白いおしっこお漏らししちゃってもいいの よぉ?﹂ ﹁あっく⋮⋮っ、ううっ!?﹂ ﹁ワタシにえっちで勝てなくても当たり前なのだからぁ、ぜぇ∼ん ぜん恥ずかしいことじゃないんだからぁ⋮⋮ね? ぴゅっぴゅしよ ? ガマンやめちゃお? おチンポお漏らし、しちゃお?﹂ 胎内をぐねぐねウネらせつつ、ミクラは目にハートが浮かびそう 900 な情欲の表情でささやく。 丸いお尻から生えた何本もの狐尻尾が自在に動き、もふもふした 感触で俺の太ももやら下腹、胸板までを包んで、さわさわと撫でさ すってくる手口もまた快感を煽る複合攻撃だ。 思わず言葉通りに射精したくなるのを、尻に力を入れ歯をがっち り食いしばってこらえる。 ﹁あ⋮⋮あいにくだが、攻められるのも悪くないけど攻める方が好 きなんでね、俺はっ⋮⋮! 女一人イカせないうちにあっさり漏ら すなんて醜態、晒すつもりはないぜっ!﹂ ﹁んふっ、ワタシをその辺の女と同列扱いとは不遜ねぇ? まあい いわぁ、この程度で落ちられればそれこそ期待外れだしぃ⋮⋮じゃ あいよいよ本番のピストン運動、始めちゃうわよぉ!﹂ ぬぬっ⋮⋮ぬるぅぅっ、みゅりゅるりゅぶぷっ⋮⋮! 恥ずかしい粘液音と共に、トロみのある愛液にまみれたチンポが 抜けきる寸前まで、淫乱狐のむっちり腰が真上に持ちあげられた。 桃色の肉唇から赤黒いものが出現するなんとも淫らな光景。 一拍を置いて、ガニ股ポーズで舌なめずり⋮⋮そして始まる、激 しい騎乗位腰振り運動! ﹁んっは、あはっんはぁぁっっ! ほぉ∼らほらほらぁ∼っ! こ うやって根元からっ、先っぽまでぇっっ! ぐっちゅぐっちゅのぉ、 むっちゅむちゅぅぅにぃっ⋮⋮お姉さんのドスケベおまんこ肉が往 復往復ぅ∼!﹂ ﹁うぉ、おぉっ!? な、なんて下品な腰の動きだよっ⋮⋮くぅぅ ッッ!?﹂ 後頭部で両手を組み、狐耳をピクつかせて、女神のような裸体を 901 激しくくねらせ上下させるミクラ。まるで全身を巨大なオナホール にしてチンポを抜きにかかっているかのようだ。 腰振りダンスに合わせてばるんばるん乱れ踊る双爆乳、舞い散る フェロモンたっぷりの汗。 視覚的にも興奮を誘う複合快楽責めは、一瞬でも気を緩めると射 精あるのみ。 ﹁ん∼ほらほらぁどうしたのぉ、反撃のひとつもしてごらんなさい よぉ坊やぁ!? このままだとぉ、すぐにびゅーびゅー敗北射精っ、 恥ずかしお漏らしで負けちゃうわよぉ、う∼りうり!﹂ ぶちゅんばちゅん鳴り続ける結合部、腹筋に飛び散る愛液。俺は 奥歯をがっちり食いしばり、敷き布を破れそうなほど掴んで、射精 感をこらえる。 もちろん、ただ耐えているわけじゃない。それではジリ貧だ。 天国のような快楽地獄の中、俺はミクラの表情にじっと目を凝ら していた。観察していた。そこに訪れる変化を見逃すまいと̶̶! ﹁んふふぅっ、もう声出す余裕もなくなっちゃったぁ? じゃあ遠 慮なくザーメン搾り取ってあげちゃうからぁ、お姉さんの子宮に坊 やの濃ゆくて熱ぅいのぉ、たらふくヒリ出してねぇっ!﹂ いよいよチンポにトドメを刺すべく、エロ妖狐はより激しく腰を 動かしやすい位置を探して、またがる角度を少しずらした。 ﹁̶̶んっ、ぁん⋮⋮ふぁっ⋮⋮!﹂ その途中⋮⋮一段甘い声と一緒に、金色の眉毛がせつなそうに寄 せられた瞬間を俺は見逃さなかった! 902 ﹁そ⋮⋮そこかっ、おらぁッ!!﹂ ﹁えっ? ̶̶んぃぃひッッッ!!?﹂ がっしりとミクラの腰を掴み、位置を少しだけ戻して思いっきり 腰を突き上げる! 途端、余裕の表情がぐんにゃりと溶け、だらしなく舌を突き出し て動きを止めるミクラ。 びくびくんッ!! と、膣内が激しく痙攣してこの攻撃の成果を 伝えてくれる。 ﹁おっ⋮⋮んぉ、おぉぉ⋮⋮ッ!!? うそっ、そ⋮⋮そこはぁぁ っ⋮⋮!?﹂ もちろん、突然攻勢に転じたからというだけじゃない。 さっき自分で腰をずらす途中ほんのわずかにチンポ先が触れた、 彼女の弱点。膣内の性感帯。反応を注視していないと見逃すほどか すかな変化だったが、俺の目はごまかせない。 ノーヴル・エイト ﹁ようやく見つけてやったぜ、八冥家最古参の大魔貴族さまの弱い ポイントを! がむしゃらに探してたんじゃ先にこっちが持たない からなぁ、こうやって体力を温存して、一点突破で反撃開始だっ!﹂ ﹁ぼ、坊やっ、それをずっと狙ってっ⋮⋮!? やっ、ん¨ひぅぅ ん¨ぅ!?﹂ どずんッ⋮⋮!! 姿勢を変えるヒマを与えず、間髪入れずのピ ストン攻勢。 弱点の膣壁をグンッと押し上げて、チンポと子宮口の間で挟み潰 すように突き崩すと、ミクラの口からこれまでの人を小馬鹿にした 調子とは一転、だらしない嬌声が漏れた。 903 ﹁はおぉお¨おぉッッ、んぉぉぉぉおうぅぅっっっ!!? そんな ッ、こんな人間の坊やにワタシの弱い所がバレっ⋮⋮おほぉっっ! ?﹂ ﹁おらッ、逃がすかぁっ!! こっからが本当のガマン比べだっ、 こじ開けてやるぜミクラぁっ! あんたの本気のよがり顔をなぁッ ッ!!﹂ ﹁んひぃぃっっ、れっ連続で下から突かれっ、突かっ⋮⋮んあ¨あ ¨あぁぁぁああぉぉぉおお¨!!?﹂ キリカやニーナ、姫たちを何度も泣かせてきた騎乗位テクニック のすべてをつぎ込み、腰を肉のパイルバンカーと化して突く、突く、 突く、突き上げる! だが、相手も数千年以上を生きる百戦錬磨の妖狐天仙。これだけ で堕ちるようなら苦労はない。 ﹁やっヤルわねぇっっ、さっ流石ワタシが見込んだオスよぉっ、坊 やぁぁっ⋮⋮! でもまだまだこっちが有利っ、んぃぃぃい¨っ! ? さっ先にタマタマの中身という中身をぜんぶぅっ、えろえろお まんこで根こそぎ搾り取ってやるんだからぁぁっ!!﹂ 腰を逃がそうとする動きを止め、逆にピストンに調子を合わせて 上下運動を加速させるミクラ。当然、互いのガマンしなくてはなら ない快楽刺激量はハネ上がる。 相手のライフゲージがゼロになった時に自分は1点でも残ってい れば勝ちという、百戦錬磨の勝負功者ならではの捨て身の判断力だ った。 ﹁のっ望むところだッ、こっちも絶対にあんたを俺の上でイキ狂わ せてやるっ、不様なアヘ顔を晒させてやるっ!! おらっおらおら おらおらぁッ!!﹂ 904 ﹁んお¨ぅっ、おぉお¨ッッ!!? 負けっ、まっ負けるもんです かぁっ!! んぅぅ∼∼∼っっっ、あ¨あぅぅ∼∼∼∼ッッッ!! ?﹂ お互いの性器という武器を抜き身でぶつけあい、先に叩き折った 方が勝ち⋮⋮すでに余裕を失った俺たちの戦いはどんどん技の入る 余地を失い、力と力の泥臭い勝負に変わっていく。 ここ夢界仙境が精神の領域であることが、逆に幸いした。 力や肉体のコントロール能力では、俺はトップクラスの魔族たる 彼女には到底かなわなかっただろうから。だが心が折れない限り負 けないこの世界ならば、話は別だ。 ﹁ひっ、んひぐぅぅぅんん¨っっ!!? あっあなたのその心の強 さはっ、一体どこからっ⋮⋮人間ふぜいがこの夢界仙境でっ、支配 者たるワタシに太刀打ちできるなんてそんなっ、そんなことってぇ っ⋮⋮おぉ、お¨ぅぅう¨ぉぉお!!?﹂ 俺が人と違うというなら、それは一度死んだあの瞬間に変わった からだ。 もう二度と後悔はしないと。 二度と誰にも従わず、邪魔されず、へつらわず、ただひたすら自 由に生きると、そう誓って変わったからだ。だったら俺が負けたと 思わない限り、どんな相手にだって負ける道理はない。 その確信を支えに、俺はこみ上げる射精欲を獰猛な攻撃本能に⋮ ⋮目の前のこの大魔貴族を、ただの一匹のメスに堕としてやるとい う支配欲へと変換してひたすら叩き付ける! ﹁うらッ、おらぁぁっ!! こうやってあんたを思いっきりイカせ ればっ、その瞬間の心の隙をっ⋮⋮精神力が一番弱まった時に突け ばっ! 俺の隷属魔術がここでも通用するんじゃないのかッ!? 905 違うかっ!?﹂ ﹁ぉおっひぃぃぃんっっ、んぉぉお¨っっ!!? そっそれを、ま さか最初からそれを狙ってぇぇっっ!!?﹂ ゴスゴスと子宮口すぐ下、ポルチオ性感の要と弱点とを交互に突 き上げてよがらせつつ言い放つと、ミクラのトロけかけた顔色が変 わる。 思ったとおりだ。万一以下の可能性とはいえ、精神の勝負で圧倒 すれば、ここでも彼女を隷属支配できる目があるのだ。 ﹁こ⋮⋮このコっ、わっワタシを本気で堕とそうとぉっ!!? そ れで勝負にも乗ってきたというのねっ、この妖狐天仙ミクラを人間 の身で隷属させるだなんて身の程知らずな野望を本気でっ⋮⋮んぁ あ¨っっあひぃぃっっ!!?﹂ ﹁当たり前だっ、俺は欲しいものはモノにしてやるっ、誰だろうと なぁっ!!﹂ だが、ミクラもまた強固な意志によって支えられていた。 たかだか百年程度の生しか持たない人間、しかも年若い小僧ごと きにイカされてなるものか、支配されてなるかという魔族としての、 いや一人の年上の女としてのプライドだ。 そして恐るべき変化が起こる。 みちっ、みちみちぃ⋮⋮と膣圧がみるみる高まり、ジューシーな 柔肉がうごめいて、チンポを全周囲から型取りでもするかのように フィット感が高まったのだ。 ﹁うっうぉ!? き、急に形が変わっ⋮⋮!?﹂ ﹁んふ、んふふっ⋮⋮! ワタシのカラダはぁっ、この夢界仙境で はある程度自在にカタチを変えるわぁ⋮⋮! 坊やのおチンポの気 906 シフト 持ちイ∼イ場所ぜぇぇんぶ、ジャストフィットするように変化させ たからぁっ、これまでみたくガマンできると思わないことねぇっ、 そぉぉぉれぇっ!!﹂ にゅるるんっ⋮⋮にゅぐるんッッッ!! にゅぐりゅりゅっっ、 ぶりゅるりゅぅぅ!! 暴力的なまでに気持ちいい柔肉の凶器が、俺のチンポを食らいつ くし搾り取るためだけに特化したパーフェクトマンコが、段違いの 搾精能力を発揮して襲いかかって来た。 カリを、亀頭を、ウラスジを、血管を、尿道口を、数々の男のツ ボを余す所なく責め立てる。 まずい⋮⋮このままじゃ意に反して射精に追い込まれるのは時間 の問題だ! ﹁んふっ⋮⋮んふふっ! ほぉらほらどうしたのぉ、チンポの突き 上げがちょっぴり弱まったわよぉ? 今にもイキそうにぶるぶる震 えてるのが伝わってくるわよぉぉ⋮⋮!?﹂ ﹁う、うああ¨っ!? こ、ここで形勢逆転、かよっ⋮⋮!?﹂ だがまだ、俺にも伏せていた切り札がある。 それをここぞと差し込むため、今にもイキそうで打つ手がないと いう演技̶̶イキそうだという部分は本当だが̶̶を、歯を食いし ばった絶望の顔という形で見せつけ、油断を誘う。 ﹁さぁさぁ、思ったより頑張ったケドここまでのようねぇ? ワタ シに勝つとか支配するなんてっ、大それた野望を後悔させてあげる わぁ、坊やぁ⋮⋮ッ! さあ、情けなぁ∼くぶりゅぶりゅ精液どっ ぴゅんこしちゃいなさっ̶̶﹂ 907 その勝ち誇った表情が、一転。 ﹁̶̶い? ⋮⋮んひいぃぃぃぃいい¨い¨い¨ッッッ!!? ほ っ、ほへぇぇぇえ¨え¨!!?﹂ だらしなく品のない⋮⋮だがエロく魅力的なアヘ顔へと崩れる。 ピンっと立つ狐耳。 柔らかくうねる狐尻尾に手を伸ばし、手当り次第にその根元をぎ ゅうっと握りしめたのだ。 これこそが、いよいよの瞬間まで温存したとっておきの攻撃手段。 ﹁やっぱりなっ⋮⋮パルミューラもフラミアもそうだったが、お前 ら魔族はツノだの翼だの、体から生えてるもんが大抵弱点っ、性感 帯だからなぁ!﹂ ﹁おお¨おぅぅっっ、おおっおほぉぉぉお¨お¨うぅぅう¨!!? こっこれをっっ、まさかまさかこれをずっと狙ってぇぇぇッッッ !!?﹂ 当然ミクラもそんなことは自覚していたろうから、普通に攻めて も効果は薄かっただろう。 だが今の彼女は意識を、責め立てられる膣内の弱点スポットへと 集中していた。 警戒が途切れていた方向からの奇襲だからこそ最大限に有効なの だ。 ノーヴル・エイト ﹁どうだッ、付け根のとこグリグリされながら同じペースで子宮口 小突かれるのはっ!? メスにしてやるぞ八冥家様っ、このッ! 俺のチンポに服従しろドスケベ狐ぇ!!﹂ ﹁なッ生意気ぃぃなぁぁっ、齢百年にも満たない人間の坊やがぁっ、 ちょっ調子に乗っ⋮⋮おぉぉんお¨!!? まさかっ、まさかこん 908 なぁぁああ¨!!? あひっひぎぃぃぃう!?﹂ ∞ の字状の軌道を描いて激しく暴れる。 余裕の仮面も剥がれ落ち、ほぼ完全に脱げた着物からこぼれ出し た爆乳がぶるんぶるん しかし、俺の方も射精へのカウントダウンは秒読み状態。 しかもイきそうになったミクラの肉ヒダ名器が、断末魔の収縮で ザーメンを搾り出そうともがく。こうなったらただ一秒でも長く相 手よりガマンできるかどうかのチキンレースだ。 ﹁おらイケっ、観念してイケよミクラぁっ!! 見くびってた人間 様のチンポで狐マンコえぐられてマジイキしろぉ!! おらおらお らおらぁぁッッ!!﹂ ﹁いぃッ、イクもんですかぁぁっ!! さっ先に坊やのチンポから オス汁引っ張り出してやるんだからぁぁっ、このノーヴルマンコで ぇっ!! んぅぅッッぁんふぅぅ∼∼∼∼∼ッッッ!!﹂ 叫びながら、もう止まった瞬間にぶちまけてしまいそうな爆発寸 前チンポを突き上げる俺。 あえぎつつ、痙攣し続ける淫乱マンコを縦横無尽にうねらせトド メの搾精にかかるミクラ。 相手を出し抜いて勝とうとしつつも、互いの腰の動きに合わせる 共同作業⋮⋮奇妙なユニゾンの果てに、とうとうそれぞれに限界の 瞬間が訪れた。 ﹁ああッ、ああ¨う¨ぁ!? ああぁうッ嘘ぉっ、ウソうそぉぉっ !!? こっこのワタシがぁっ!? ワタシが本当にイかされっ⋮ ⋮いっイクイグッイ¨グぅぅぅぅッッッ!!? んぉぉおっお¨ほ ぉぉぉぉぉおお¨お¨∼∼∼∼∼∼っっっ!!﹂ で ﹁くぁぁああっっ、うぁああ!!? げっ限界だッ⋮⋮! でっ出 る出る射精るッ、全部ぶちまけっ⋮⋮くぉぉぉぉおおおお!!﹂ 909 ぶぴっ⋮⋮どびゅるるるぅぅぅッッッ!! ぐぴゅるるっ、んび ゅるるんっっ!! びゅぶんっっ、ぶびゅびゅりゅぅぅう!! どぷどぷぅぅぅッッ !! くぐもった射精音が、ミクラの胎内で何回も何回も爆発した。 溜まりに溜まったガマンをすべて解き放ち、目の前のメスの子袋 に一滴残らず注ぎ込む原始的達成感が全身を駆け巡り、俺は勝負も 忘れて酔いしれる。 ﹁あああ出るっ、出続ける⋮⋮っ! なんだこれっ、ああっくそっ 飲み込めミクラっ! 子宮でぜんぶ吸い取れっ⋮⋮くおおぉお!!﹂ なか ﹁きっ来てるうぅっ、坊やの元気なオスミルクがぁ、ごぽごぽぉっ ていっぱいいっぱいぃ⋮⋮! な、胎内に熱いの染み込んでるわぁ ぁ⋮⋮んお、おぉぉお¨っっ⋮⋮んぉぉっ!!﹂ いつしか、もふもふの狐尻尾が俺を抱きかかえ包み込むようにま とわりつき、射精直後で敏感になった全身の皮膚をさわさわと甘愛 撫してのアフターケア。 結合部からゴポッと溢れ出した白濁混合液の大量っぷりが、お互 いの快感を物語っていた。 ﹁はぁ、はぁ、はぁっ⋮⋮これはっ、どうやら⋮⋮っ!﹂ ﹁ひ、引き分け、みたいねぇっ⋮⋮んぁんっ!﹂ 俺とミクラがイッたタイミングは、まるで同時。 皮肉にも、完全にシンクロしたことでとんでもない快楽を味わっ たせいで、汗だくになった二人ともがはっきりとその結果を確信し ていた。 910 ﹁驚きよぉ、ワタシがこんなイカされ方するなんて⋮⋮! 坊やの こと、ホントに本気で気に入っちゃったかもぉ⋮⋮あぁんっ、子宮 の中で元気な精子がぴちぴち跳ねてるみたぁい⋮⋮っ!﹂ 予想外の敗北だったんだろうが、桜色に上気した狐耳魔族の顔に 屈辱は見当たらなかった。 むしろ熱を増した切れ長の瞳は、俺への興味と欲望で濡れ光って いるようだ。 男の子 にはプレゼントあげないとねぇ﹂ ﹁んふっ、んふふっ⋮⋮! せっかくだからぁ、想像以上にステキ だった ﹁おい、さっきも言ったが借りを作るつもりは⋮⋮﹂ ﹁んふふっ、そんなんじゃないわぁ。アナタを見くびってたお詫び と、楽しい時間を過ごさせてくれたお礼⋮⋮正当な報酬を単にワタ シが進呈したいというだけよぉ﹂ 俺と下半身で繋がったまま、ミクラは尻尾の一本から抜いた毛を フッと吹いた。 と、みるみるそれは勾玉を紐で束ねた腕輪に変わり、俺の左手首 に巻き付く。 ﹁ワタシの持つ九尾は、それぞれが数千年をかけて溜め込んだ魔力 の結晶。その一部をこうしてプレゼント⋮⋮ああ、害を及ぼしたり 坊やの位置を知らせたりといった小細工は仕込んでないからぁ、安 心してちょうだいな?﹂ セックス勝負の前に俺が指摘したように、断言する以上ウソはな いのだろう。 俺の頭を満足げに撫でる表情には、子に向けるような親しみすら 911 感じられた。 ﹁⋮⋮勝手なことをしてくれるもんだ。今回は引き分けたけど、次 は完全に負かしてやるつもりだからな? あんたが泣いて許しを請 う姿を見るのが楽しみだぜ﹂ ﹁んふふっ、こわぁい。イイわよぉ、ワタシをモノにしたかったら いつでも挑んできなさいな﹂ ﹁言われるまでもない。勇者も、あんたも⋮⋮俺のものにしてやる よ﹂ 夢界空間に風が吹き、桜の花がざざぁっと舞い散る。 桜色はしだいに俺の視界を覆い、その向こうにミクラの妖艶な笑 みが溶けてゆく。 こうして、俺とミクラの二回戦は引き分けの勝負持ち越しに終わ ったのだった̶̶。 ※ ※ ※ シャードビースト 翌日⋮⋮パラヴァータ大岩塊の中枢部に通じる、坑道の入り口付 近。 コア 副市長レイフェルの依頼を請けた俺たちは、晶片獣に占拠された 遺跡都市の核への転送装置を奪還すべく、ここから突入する準備を 固めていた。 パーティメンバーはキリカ、ニーナ、アメリア、シエラ、セレス タ。 非戦闘員のシスティナ姫とディアーネ、そしてパルミューラとフ 912 ラミアの魔族コンビは、魔気船の中で待機中だ。 ﹁それにしてもマスター、あのお子様魔族たちときたら一緒に連れ てけ∼ってやかましかったぜ﹂ ﹁ふふ、遠足気分なのだろうな。だが、戦力として同行させなくて も良かったのか?﹂ ﹁あいつらの攻撃手段は破壊力がありすぎる。フラミアは特に加減 を知らないしな。内部通路や転送装置を巻き添えにぶっ壊されでも したら大変だよ﹂ 女騎士に答える俺の左手首には、夢界の中でミクラにもらった勾 玉の腕輪。 これのおかげなのか、今回はあの場所で体験した記憶を目が覚め ても忘れることはなかった。 そして⋮⋮現実世界に戻る直前、ミクラが囁いたひとつの忠告が、 俺の頭の中で何度もリフレインしていた。 ﹃気をつけなさいな、坊や。あの勇者ちゃんの狙いは⋮⋮魔隷術師 よぉ﹄ リルナのターゲットが魔隷術師。 確かにそれならあの背中の剣、オルトの俺に対する疑いっぷりも 説明がつく。入念に正体を隠しておいて正解だった。 だが、いったいなぜだ? 悪用の代名詞みたいな性質のクラスだから、単に正義の勇者とし て許せないというだけか? それとも他に理由が⋮⋮それこそ、自分が隷属させられることを 警戒していると? まあ、今は考えていても仕方がない。先にこっちのミッションが 913 優先だ。 ﹁ところでご主人様、ここで合流する予定の人って誰なんです?﹂ ﹁ああ、副市長が転送装置とかの使い方を解説する人員を同行させ てくれるって話だ。たぶん、専門の遺跡研究者か何かだろうな﹂ ナナの復活、そして破天の骸の回収という目的も兼ねて俺たちと しては、なるべく部外者は混ぜたくないところだが⋮⋮まあ、邪魔 になれば隷属させてしまえばすむことだ。 ﹁あ⋮⋮⋮⋮誰か走ってくるよ、主さま。あれが、そう⋮⋮⋮⋮?﹂ シエラの鋭敏なエルフ耳が足音をとらえ、そっちに振り向いて̶ ̶そして。 ﹁え⋮⋮?﹂ ﹁なっ⋮⋮!﹂ 俺と、キリカは、同時に絶句した。 ﹁ごめんごめ∼∼∼んっ! ちょい遅れちゃいましたっ、や∼マジ すんませんっ!﹂ そう。 重たそうな胸を揺らしながら、息せき切って走って来た人影は。 ﹁勇者とかやってます橘リルナっ! あーんど、背中のオルト! これから一緒にヨロシクっ⋮⋮って、あら⋮⋮あららっ? なんで ここにいるのトオルっち、それに委員長までっ!?﹂ 914 それは⋮⋮それはッ! それは、こっちのセリフだッ!! ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV17↓18 スキル:︻隷属魔法LV11︼︻魔の契約LV2︼︻魔隷強化LV 6↓7︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:3人分︶ ︻姫騎士キリカ︵愛隷︶︼︻メイド法術師ニーナ︼︻女戦士アメリ ア︼ ︻エルフの精霊弓士シエラ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ ︻狂公女フラミア︼︻異界機士セレスタ︼ 特殊装備:妖狐天仙の腕輪 915 テレポーター 55話:リルナの威力と、急変の危機 コア 遺跡都市の核へと続く、転送装置を目指して回廊を進む俺たち。 幅も高さも5∼6mはありそうな通路のどこもかしこも、つるつ るした奇妙な黒い石材が隙間なく敷き詰められている。 この通路自体が、おそらくは魔王戦争時代の古代テクノロジーの 遺物⋮⋮だが、そんな方向に意識を向けている余裕はあまり無かっ た。 ﹁ねぇねぇ委員長、そのかっこ超かわいくない? 姫騎士だっけか、 超似合う∼!﹂ ﹁えっと、あの、その⋮⋮あ、ありがとう橘さん﹂ ﹁リルナでいいって! 今じゃこーやって同じパーティのナカマな んだしさ﹂ しどろもどろの対応をするキリカに持ち前のコミュ力でぐいぐい 話しかけているのは、想定外の同行者、ギャル勇者こと橘リルナ。 姫騎士の隠れ巨乳に負けず劣らず豊かな乳が、ブラウスのボタン を内側から弾き飛ばさんばかりに自己主張している。 ﹁それを言うなら、私ももうクラス委員じゃないんだし委員長って 呼び方も⋮⋮﹂ ﹁あっ確かにね。じゃあ、他のアダ名にする? 姫っち、キリちゃ ん、きりきり⋮⋮あ、キリカだからリカちゃんってのもアリかな?﹂ ﹁え⋮⋮そ、その中から選ぶの? 選ばなくちゃダメなの?﹂ 助けを求めて、こっちに困り顔を向けるキリカ。 苦手なのは俺も変わらないので、曖昧な笑顔でごまかしておく。 916 ︵クラスの表裏アイドル二人がこんな形で異世界共演とはね⋮⋮ク ラスメートの誰も想像しなかっただろうな︶ トレースエンブレム しかもまさか、副市長から寄越された助っ人が彼女だったとは⋮ ⋮今朝も追跡紋章で彼女が宿屋にいることを確認したが、そこから 同じ場所で合流するなんてさすがに予想できなかった。 とはいえ今さらこの探索を中断することもできない。それでは決 定的に怪しまれてしまう。 ﹁にしてもさ、トオルっちとパーティ組んでたなんてビックリだよ。 てゆっか、なんで前の時に教えてくれなかったん?﹂ ﹁ああ⋮⋮それはほら、次会った時に驚かせようと思ってさ﹂ ﹁なるほどサプライズっ! 確かにめっちゃびっくりしたした∼! しかもメンバーみんなかわいい子ばっかだし? トオルっちも意 外とやるねぇ﹂ ﹁な⋮⋮お、おい私は別に可愛くなどは⋮⋮!﹂ ﹁セレスタ、照れてる⋮⋮⋮⋮?﹂ ぽん、と手を打ち納得した様子のリルナ、その後ろで赤くなるポ ニテ女騎士。俺の気も知らず呑気な連中だ。 まあリルナ自身は、この状況を偶然の巡り合わせくらいに思って いて疑ってないようだが⋮⋮問題は背中に背負われた剣の鞘、自我 持つ魔法生物オルト。 ︿⋮⋮⋮⋮﹀ さっきから無言だが、俺を不審がっているのは間違いないな。 なおリルナの説明では、広範な知識を持つオルトは古代遺跡のた ぐいにも詳しく、対トラップ感知能力も優秀らしい。おかげで副市 917 長にこのコンビがスカウトされたというのだから、つくづく俺にと って厄介な存在だ。 だがこうなった以上はポジティブシンキングあるのみ。間近で行 動を共にできるチャンスと考えて、こいつらの手の内を知り、魔法 反射能力の突破手段を発見してみせるさ。 そうだな⋮⋮まずは小手調べといくか。 ﹁なあ、橘さん。うちのニーナは付与魔術が得意なんだが、いつ戦 闘になるか分からないから何かかけさせておこうか?﹂ ﹁あ、はい。見た所前衛さんっぽい感じですが、防御力上昇系とか 必要ですか?﹂ ぺこりと頭を下げるメイド法術師。 だが、リルナは申し訳なさそうに手を合わせた。 ﹁あ∼、実はアタシ、ジョブ特性?的なもんのせいで魔法とかぜん ぜんかかんないんだよねー。ていうか跳ね返っちゃう。だからキモ チだけ受け取っとくねー、メイドさん﹂ あっさり、恐るべきチート能力を素直にバラしてしまった。 止めるかと思ったオルトも口を挟まない⋮⋮このくらいは知られ ても問題ないってことか。 ﹁つまり、その力は常に働いていてオンオフできないと? だがリ ルナ殿、それでは治癒魔法なども通じず不便ではないのか?﹂ ちょうどよくセレスタが、気になっていた部分を訊いてくれた。 確かに、それだといくら対魔法能力が強くてもデメリットも甚大 ってことになる。 918 ﹁んぁ、そこなんだけどね̶̶﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮! 気をつけて、敵が⋮⋮⋮⋮来る﹂ 鋭敏な感覚を持つシエラが、弓を構えながら警告を発した。 とたん、前方通路の曲がり角から飛び出す巨大な影。 シャードビースト ﹁さっそく出やがったな、晶片獣! マス⋮⋮じゃなくて、と、ト オル、あたしの盾の後ろにっ!﹂ 魔隷術師の正体を悟られないよう、慣れない名前呼びをしつつ戦 闘態勢に入るアメリア。 出現した敵は単体だが、以前戦った狼のような個体とも巨人型と も違い、下半身が馬のような四本足になっていて、首の根元にあた る部分から人間に似た上半身が生えている。 体高3mはありそうな、いわば水晶でできた異形のケンタウロス。 しかも右腕が長大な槍そのものと化しており、鋭利な切っ先を構 えて猛然と突進してくる! ﹁⋮⋮速い! トオルくん、指示を!﹂ 煌剣を抜いたキリカや他の魔隷たちを、だが俺は視線で制する。 幸いなことにわざわざ待つまでもない素早さで、リルナが前に飛 び出した。 ﹁まっかせて! 多分、アタシひとりでイケると思うよ!﹂ そう、ここではまず彼女に戦ってもらうのが一番都合がいい。 勇者の力、その戦法、攻撃手段。いまだ未知のスペックを見極め てやるのだ。 919 ﹁橘さん!? 危ないっ、正面からじゃいくらなんでも⋮⋮!﹂ シャードビースト キリカの警告も気にせず、ミニスカとサイドテールをなびかせ真 っ正面からケンタウロス晶片獣に突っ込んで行くギャル勇者。 さあ⋮⋮見せてみろリルナ、お前のファイトスタイルを。 迫る水晶の槍に対抗して、背中のオルトを鞘から抜くのか? 剣らしき外見をしてるが、ソレは一体どういう性質の武器なんだ? ﹁はぁぁぁ⋮⋮っ! はぁっ!!﹂ ̶̶次の瞬間。 俺は、いや俺たちは、驚愕に目を見開いた。 ﹁なっ⋮⋮!?﹂ 2m半はありそうなケンタウロスの水晶槍が、猛突進の勢いを乗 せてリルナの胴体に突き刺さった⋮⋮と見えたのは、一瞬の錯覚。 クロスさせた前腕の間に穂先ががっしりと挟まれ、受け止められ ていたのだ。 バカな、いくらなんでも生身の女の子にそんな芸当が!? ディスロケートアーマー ﹁み、見て下さい! あの虹色の輝きはっ!﹂ ﹁な⋮⋮次元断層魔甲だとっ!?﹂ ぎりぎり震える水晶の穂先と、ろくに筋肉もついていない白ギャ ルの腕の接した部分が、うっすら七色に光っていた。 忘れもしない、かつて魔騎士グルームが俺たちを苦しめた絶対防 御のエフェクト。 920 ﹁いっせ∼の∼っ⋮⋮せいッ!!﹂ どこかお気楽な掛け声の直後、べぎんッという乾いた破砕音が響 いた。 いかにも硬そうな水晶の槍がいとも簡単に、挟んだ腕の力だけで 半ばからヘシ折られたのだ。 衝撃でよろりとバランスを崩したケンタウロス型めがけ、リルナ が踏み込んだ。 ﹁とぉぉうっっ! ゴメンねっ、踏み台にしちゃうっすよぉ!﹂ 緊張感のない宣言どおり、敵の前足のヒザを足場にしてギャル勇 者が跳んだ。 まるで新体操のジャンプじみて、すらりとした肢体が綺麗なフォ ームを描き空中横回転。舞ったミニスカから白い布がちらりと⋮⋮ いや、そんな部分に目を奪われてる場合じゃない。 ﹁勇者式っ! 見よう見まね、シャイニングウィザードぉっ!!﹂ シャードビースト ばぎゃんッ!! まるで何百枚ものガラス板をまとめて叩き割っ たような轟音。 むっちり健康的な美脚が、晶片獣の頭部に強烈なヒザ蹴りを撃ち 込んでいた。 モンク 一拍置いて、人馬型魔獣の胸から上が粉々に破砕され弾け飛ぶ! グラップラー ディスロケートアーマー ﹁おいおい、なんて威力だよ! 格闘士とか拳法僧の体術かぁ!?﹂ ﹁違う、おそらく強固な次元断層魔甲で守られた肉体をそのまま叩 き付けているんだ!﹂ ﹁それができるってことは、防御にしか回せなかったグルームのも のより数段強力ですっ!﹂ 921 魔法絶対反射の性質を備え、また圧倒的な防御力とそれを転用し た破壊力を誇る次元障壁。 確かにそんなものを備えているなら、補助魔法も治癒魔法もなし に一人旅ができるって寸法か。 シャイニングウィザード ﹁閃光魔術師⋮⋮つまりあれが勇者独自の魔術ッ!?﹂ ﹁いやセレスタ、それもたぶん違う。面倒だから説明しないけど﹂ ﹁へっへー! 見た見たトオルっち! けっこーやるっしょ、アタ シ?﹂ しゅたっと着地したリルナが、こっちを向いて勝利のVサイン。 たゆん、と揺れる巨乳。 いやいやいや、結構どころの騒ぎじゃない。 言わば無敵の盾と矛⋮⋮悪夢みたいな戦力というしかなかった。 今まであいつと戦った魔族どもに同情したいくらいだ。 もちろんキリカの煌剣アルカンシェルなら、グルーム戦のように 切り裂くことは可能かもしれない。 だがそれは彼女を殺す気でかかるのと同義だ。万一殺してしまっ ては隷属もクソもないし、失敗すれば決定的に敵対することになる。 さあ、どうする⋮⋮どうやってこの難敵を隷属させる!? ※ ※ ※ ﹁む∼! お留守番ばっかでつまんな∼い!﹂ 922 魔気船の船室。ベッドの上でぐるぐる、ころころと転がり回る和 装のロリ魔貴族。 柔らかそうなほっぺたが、ぷくーっと不満の表情にふくれている。 ﹁仕方ないであろう、我らの戦闘スタイルは広域破壊が本分。ゆえ に今回の任務には向かぬと⋮⋮トオルの説明を聞いておらなんだの か?﹂ ﹁バカにしないでよパル、あたしだってそれくらいわかってるもん。 でもさ、お兄さんの役に立てないのって、悔しいじゃん⋮⋮﹂ 裸足でシーツにぺたんと座ったフラミアは、珍しくしょげた表情 でうつむいた。 ﹁あたしの命は、お兄さんたちに助けられたんだ。ナナだって、あ たしの代わりに壊れちゃったみたいなもんだよ⋮⋮だから、恩返し をしたいのにさ﹂ ﹁フラミア、お主⋮⋮﹂ 今まで見た事もないほど神妙な顔の元仇敵に、パルミューラも少 なからず驚いた。 ﹁あたしの力は、けっきょく誰からも嫌われる力で⋮⋮お姉様から も使い捨てにされちゃった。それをせっかく、初めて誰かを助ける ために使えるって思ったのに⋮⋮!﹂ ︵ふむ、これは驚いたのぉ⋮⋮一緒に遊びに行きたい、くらいの感 覚かと思うておったが。こやつなりに、ナナを救うことにこだわっ ておったのか︶ 読んでいた本をぱたんと閉じると、ふわり宙を舞って隣に移動す 923 るパルミューラ。 くふふ、と八重歯を見せて、意味ありげに笑いかける。 ﹁よかろう。そういうことならば、わらわが先輩魔隷としてひと肌 脱ぐとするか!﹂ ※ ※ ※ シャードビースト それから転送装置のフロアへの道筋は、はっきりいってリルナ無 双だった。 何度か遭遇した晶片獣どもはほとんど、毎回突出する彼女一人に よって片付けられてしまったのだ。 何匹もの群れに囲まれても、人間大の弾丸のごとく無敵の体その ものを武器に変え暴れるギャル勇者は、ものの十数秒で全員をバラ バラの破片にしてしまう。 宙から襲いかかる鳥型には、壁を足場に跳んでの三角蹴り。 巨人型の腕に飛びついて関節技を極め、そのまま床に引き倒して 頭部を一撃粉砕。 魔法を使ってくる個体もいたが、それがどうしたとばかりに正面 から跳ね返して叩き潰す。 攻撃手段はうろ覚えのプロレス技や、単純な殴る蹴るの徒手格闘 に過ぎない。 ディスロケートアーマー だが規格外の身体能力︵これもおそらく勇者のスキルのうちだろ シャードビースト う︶と、攻防一体の次元断層魔甲に支えられたチート勇者の猛攻に、 晶片獣たちはまったくの無力だった。 俺の魔隷たちは、討ち漏らしを露払いするくらいしかやることが 924 ない始末。 もっとも、法術師ということになっている俺がろくに戦わなくて も怪しまれない流れになった点は、ラッキーといえたが。 ﹁ふぅーっ⋮⋮このフロアも片付いた感じ? 毎回こういうムキブ ツ系の敵さんだと、遠慮なくブッ叩けていいんだけどね∼﹂ にっこり笑って一息つくリルナ。 太ももや豊かな胸元にうっすらにじむ汗が、健康的な色気をかも し出している。 ﹁すごいわね⋮⋮やっぱり本当に、あれが魔王を倒した伝説の勇者 の力なのかしら﹂ 小声で話しかけてくるキリカも、さすがに驚きを隠せない様子だ。 伝説の勇者 としては、思ったほどじゃないな﹂ だが、俺の感想は逆だった。 ﹁⋮⋮いや。 ﹁え?﹂ リルナは確かに強い。だが、もし八冥家クラスの高位魔族と単独 でやり合うなら、決定的に不足しているものがある。 シャードビースト それは攻撃力だ。 晶片獣を砕くには十分でも、たとえばキリカやフラミアと比べれ ば数段劣る。 しかも今までの戦いを見た限りでは格闘オンリー、つまりゼロ距 離にしか攻撃できない。ろくに知性のない相手ばかりの今回ならま だしも、すぐに仕留められないような敵には逃亡や回復を許してし まうことにもなりかねない。 925 ﹁勇者としてのレベルがまだ低いだけなのか⋮⋮それとも奥の手を 隠してるのか﹂ ﹁それって、私の聖騎剣技の必殺スキルみたいな?﹂ オルト の存在だ。 ﹁そうかもしれないし、まったく別の何かかもしれない﹂ そこに関連して気になるのは、やはり背中の あの魔法生物は、決してただアドバイスや探索のサポートをする だけじゃないはずだという予感があった。 そもそも、あれは本当に武器なのか? 何か他の用途を持つアーティファクトだとしたら⋮⋮? ︿̶̶どうやらこのフロアが終着点のようです。あれを見て下さい﹀ シャードビースト 思考を遮ったのは、まさにオルトの声だった。 俺たちがまさに晶片獣たちを駆逐し終えた、小さめの体育館くら いはありそうな半球ドーム状のフロア。 その奥の壁に、床から天井まで伸びるメタリックな柱状のオブジ ェクトがある。 ﹁あれが、副市長さんの資料にあった転送装置に間違いないみたい ですね﹂ ﹁おっ、じゃあ依頼これでオシマイってこと? わりとあっさりだ ったね∼﹂ でかい胸を無防備に反らして、脳天気に伸びをするリルナ。 とはいえ、色んな意味でまだ終わりにするわけにはいかない。 この近くのフロアには、副市長からの資料映像で見た限り、ナナ と似た外見のアーマーゴーレムの体が埋め込まれていたはずだ。 ﹁すまないが橘さん、もうちょっと個人的な用に付き合ってくれ。 926 実は̶̶﹂ 仲間の魔法生物を蘇らせるため、スペアの役を果たせるかもしれ ないボディをここに回収に来たことをリルナに説明する。 もちろん、システィナ姫がそれを予言したことなどは伏せてだが。 ﹁へええ、そうだったんだ! だったら時間とかかかってもいいか らさ、じっくり調べていこうよ。そのナナちゃんってコ、元に戻れ るといいね!﹂ ﹁あ⋮⋮ああ。ありがとう、橘さん﹂ 柔らかい指でぎゅっと俺の手を握って、元気付けるようにぶんぶ ん振るリルナの笑顔に、思わず毒気を抜かれそうになってしまった。 ⋮⋮つくづく思うが、お人好しもいいところだ。 やっぱり、攻略するならこの甘さを突くべきなのか? などと思 案しつつ、まずは隣のフロアを探索することにする。 が、しかし、結果は芳しいものではなかった。 確かに同型機らしきものは発見できたが、状態を維持する機構が 破損でもしていたのか経年劣化がひどく、ニーナの見立てでは到底 スペアボディとして使えないありさまだったのだ。 落胆の空気が一行を包む。だが、もちろんここで諦めるにはまだ 早い。 コア ﹁⋮⋮あの転送装置の先は、核のフロア̶̶遺跡都市の最深部に続 いているんだったな?﹂ ﹁なるほど、ここに残っていなければ先に望みを託す⋮⋮というこ とか﹂ ﹁そのとおりだ。ニーナ、転送装置を起動させられそうか?﹂ ﹁は、はい。少し時間はかかると思いますが̶̶﹂ 927 そこに割って入ったのは、意外な声だった。 ︿その必要はありません̶̶このタイプの転送装置なら、以前別の 場所で見たことがあります。すぐにでも起動できるかと﹀ ﹁おおっ、オルト頼れるぅ! んじゃさっそくサクっとおねが∼い﹂ 俺が何か言う前に、リルナは転送装置に近付いて背中のオルトを 手に取り、まるでICカードを読み取り機に押し当てるようにして 近付けた。 魔力か何かだろうか、ぼんやりした光がオルトをうっすら包む。 アーケインロック ﹁へえ、勇者さんの相棒にゃそういう機能もあるのか﹂ ﹁そーだよ戦士さん。ダンジョンの魔術錠とか、いつもこうやって 解除してくれるんだ、おかげで楽チン﹂ ﹁便利なもんだな⋮⋮﹂ 感心しつつ、わずかな違和感が胸にざわついた。 俺を怪しんでいたはずのオルトの、妙に協力的な態度に引っかか りを覚えたのだ。 が⋮⋮次の瞬間。 ︿!? これは̶̶!﹀ 珍しく狼狽したようなトーンの、無機質な声。 いきなり、転送装置を中心にして淡い光の半球が広がった。 装置のすぐそばにいたリルナとオルト、後ろに立っていた俺、そ して隣にいたキリカが、その内部に一瞬で包まれる! 928 ﹁なっ、マスター!?﹂ ﹁主さまっ!?﹂ 呼び方を変えるのも忘れ、光の外側に取り残された冒険者トリオ が慌てて近寄ろうとするが、彼女たちが踏み込もうとするよりも数 瞬早く、光球の内部は白い光の奔流に満たされて⋮⋮! ﹁うそっ̶̶﹂ テレポート ﹁こ、これってまさか!﹂ ﹁転移!?﹂ ︿⋮⋮⋮⋮!﹀ 俺たちは、俺たち三人と一体は。 予想外の形で起動した転送装置によって、いずこかへと強制転移 してゆく̶̶! ※ ※ ※ ヘイズキャッスル 永遠に燃え続ける魔炎の海、業炎砂海の中心に、禍々しいシルエ ットでそびえ立つ八冥家イヴリースの居城、陽炎魔城。 血の色をした魔宝石で組み上げられた城主の間には今、異様なう めき声が響き渡っていた。 ﹃おぉぉぉおッ⋮⋮うぐぉぉぉぉぉぉおおおッッッ!!﹄ 精神波と共に魔力球体の中から放たれているのは、いつもの超然 とした冷たさとは似ても似つかない女城主の声。 かつてない主君の異変を耳に、色めき立って駆け込んでくる獅子 929 頭の魔貴族、剣魔卿シュトラール。 ﹁い、イヴリース様っ!? こ⋮⋮これは何事ッ!?﹂ 直後、城主の体を収めていた直径3mほどもある球体が、甲高い 音をあげて砕け散った。 破天の骸 深紅の魔力溶液があふれ出て、床を凶行の現場めいて染める。 ﹁な⋮⋮ッ!?﹂ ﹃く、くくく⋮⋮そうか、これこそが⋮⋮これこそが の力ということかッ!!﹄ ゆらり、立ち上がる小柄な人影。 ﹁そ、そのお姿は!﹂ 出現した裸体は、フラミアと双子のように瓜二つだった。 凹凸の乏しい胴体、折れそうなほどに細い手足。 ただ、濡れて裸体にまとわりつく長い髪をはじめとする毛髪は、 妹の黒に対して抜けるような白。瞳の色は割れた球体とそっくりな 紅だ。 アルビノ だが、シュトラールが驚いたのは美しくも妖しい白子の姿に対し てではない。 骸 は我が制御下にある﹄ 彼女の右腕は、水晶状の組織によって表面を覆われ、異形に変質 していたのだ。 ﹃案ずるな、シュトラール。この ︵は、破天の骸の欠片を、御身に取り込んだということなのか!?︶ 930 魔力溶液の赤にうっすら染まった顔が、ゆっくりと真上を向く。 うすい唇に、酷薄な笑みが浮かんだ。 ﹃そして理解した⋮⋮魔王なるモノの正体、その真実の一端をな﹄ ﹁は⋮⋮!?﹂ ﹃クルスを呼べ。これよりさらなる骸を我がものとする。ミクラや ヴラドヴェリがごとき老害、骸の真なる力の前には烏合の衆も同じ と知らしめてやろう⋮⋮この世界が忘れかけた夢が、いま再び動き 出すのだ⋮⋮!﹄ 百戦錬磨の剣魔卿をゾッとさせるほど冷たい声音が、まるで歌う ように。 これまでとは比較にならない威圧感を備えた精神波を伴い、玉座 の間に響き渡る。 ﹃そう̶̶魔王に代わり、我イヴリースが今度こそ天を喰い破らん がためにな!﹄ 931 閑話:フラミアのおくちと、ディアーネのおなかと︵前書き︶ 非エロパートを書いてる間に溜まった欲求不満をぶつける勢いで書 いた、ちょっとしたショートHシーンをせっかくなので投下。 断片的なシーンの二本立て、たぶん二章と三章合間の出来事です。 前回までの流れとは無関係なので、興味がない方はお手数ですが読 み飛ばしてくださいませ。 932 閑話:フラミアのおくちと、ディアーネのおなかと ︻フラミア編:おくちえっち♥ろりびっち︼ ﹁んっ、ふっ⋮⋮んっふ、んじゅぷっ! んぷぅっ⋮⋮ぁっぷ、じ ゅぶぷっっ!!﹂ 湿った粘液質のピストン音が、しだいに早くなる。 それは股間にひざまづかせたフラミアの可憐な唇と、そこにブッ 挿さったまま出入りする俺のチンポが激しくこすれあってたてるイ ヤらしい音だ。 ﹁くっ⋮⋮まったくこの天然ロリビッチお嬢様め、すっかり俺のチ ンポしゃぶりにハマっちまってまあ⋮⋮!﹂ 胸すら見せない着物姿のまま、口いっぱいに頬張った勃起チンポ に一心不乱のフェラ奉仕。 きゅっとすぼめられた柔らかい唇が、極上の肉オナホールを形成 している。 なんとも犯罪的なすばらしい眺めだ。 これは本来、戦いで景気良く暴れて消耗した魔力を補給するため の行為だったが、お互いが快楽そのものに没頭するのに時間はかか らなかった。 ﹁いいぞぉ、俺のいいつけ通りちゃんと同時に舌も動かしてるなっ ⋮⋮うっく!?﹂ 933 ﹁っ⋮⋮んっ!﹂ チンポから口を離さず、目で素直に返事するフラミア。 がぽがぽ、じゅぽじゅぽと激しく顔を前後させている間も常に、 琥珀色の瞳はトロけた上目遣いで俺と視線を合わせたまま。 そうして媚びた方が、俺の興奮が加速すると理解しているのだ。 ﹁んじゅっ、じゅぷぷっ、んぶぷぅ! んぶっぷぶっっ、ぼじゅっ、 じゅぶじゅるんっ!!﹂ ﹁おぉっやばっ⋮⋮来たぞ来たぞっ、熱いのがこみあげて⋮⋮うう っ、でっ出るッ!!﹂ どくんっっ、びゅるるっ⋮⋮どくびゅくんっ! どぷどぷぅっ!! 品のない炸裂音をたてて、フラミアの口腔で精液が解き放たれた。 さらさらの黒髪に差し入れて後頭部をつかんだ手にも思わず力が 入って、狭いノドの奥まで射精中のチンポを押し込んでしまうが、 少女魔族は口を離さずに受け止めてくれる。 ﹁んぅぐっ⋮⋮! んくっ、ごきゅっっ⋮⋮こくん、ごくくっ⋮⋮ !﹂ こくこくと細いのどがうごめき、大量のミルクを飲み干す。 最初に精飲させた時は嫌々だったことを思うと、成長︵?︶した もんだ。 しかも、言わなくても尿道に残った最後の一滴まで、ぢゅるぢゅ ると吸い出してくれる。 ﹁っぷぁは! はい、お兄さんのおちんぽさんキレイになりました ぁ∼﹂ 934 ﹁ふぅっ⋮⋮やるじゃないかフラミア、しゃぶるテクがずいぶん上 達したな﹂ 頭をなでなでしながら正直に誉めると、無邪気に﹁えへへ∼﹂と はにかむ。 ただし隣に半勃ち状態のチンポがあるせいで、微笑ましいより先 にエロい光景だが。 ﹁ふふんっ、だってあたしシスティナとかキリカみたいにおっぱい ないし、パルと違ってお尻はまだ使えないし? そのぶん、得意ワ ザを鍛えないとね?﹂ ﹁おお、立派な心がけだ。その向上心はパルミューラのヤツにも見 習わせたいくらいだよ﹂ ﹁でしょでしょ、もっとほめてほめて!﹂ 肉棒の根元を軽くにぎって、ぷらぷら左右に振りながら喜ぶフラ ミア。 こうやってオモチャにしたがるクセはまあ、大目に見るか。 ﹁あっ⋮⋮そうだそうだ! いつものアレ、撮らないとねっ! お 兄さんお願い!﹂ ﹁ああ、またやるのかあれ。お前も好きだな﹂ ﹁だってせっかく、おにーさんのチンポさんに勝った、しょーりの きろくだもん﹂ ﹁はいはい、確かにさっきのは俺の負けだな﹂ 俺は横の戸棚から、小さな手鏡によく似た道具を手に取った。 鏡面の代わりに透明のガラスがはまっている。 映した光景を保存する記録用アーティファクト、言うなれば魔法 式カメラだ。 935 ﹁準備いいよ∼! はいっ、ぴーすっ!﹂ 半勃ちの精液まみれチンポにほっぺを押しつけ、八重歯を見せな がらのにっこり笑顔。 可愛くピースしたそのイヤらしいロリ媚び顔に向けて、俺は手に したアーティファクトのコマンドワードを起動する。 おちんぽこれくしょ パシッ⋮⋮と一瞬の閃光。機能同様、こんなところも偶然だがカ メラ似だ。 が溜まっちゃったっ﹂ ﹁見て見て、いつの間にかこんなにいっぱい ん フラミアが操作端末にあたる宝石状パーツに触れると、半透明の 立体画像が目の前にいくつも投影された。 そこには色んな場所、色んなシチュエーションで、俺のチンポと 並んで映るフラミアの顔がずらり。 カウパーまみれでまだビンビンの亀頭にそっとキスを捧げている ものもあれば̶̶。 歯みがきでもするみたいに口にほおばったままダブルピースを決 めているポーズもあり̶̶。 大量ザーメンにちっちゃな顔の半分以上をねっとりべっとり染め 上げられているものもある。 だがどれも瞳にハートマークを浮かべた、心底嬉しそうな発情顔 という点は共通していた。 まさにロリビッチの見本カタログというべきビジュアルだ。 しかも、ビッチと言っても俺だけに一途な理想の淫乱ロリ。 936 ﹁ねぇねぇお兄さん。気分のってきたし今日はもっともっと、おく ちでセックスしまくっちゃおうよぉ∼? あたし、もうちょっと練 習するとおくちだけでイッちゃえるようになれると思うんだぁ⋮⋮ ♥﹂ ひとさし指二本を、あ∼んと開いた口の中にひっかけて、ぐにっ と左右に引っ張ってみせる。 てらてら光る口内粘膜をバックに、れろれろ下品に踊るピンクの 舌。 俺に、イヤらしく発達したオーラルセックスの道具を見せつけて いるのだ。 それも八冥家イヴリースの妹、高位魔族のお嬢様がみずから、人 間ごときが本来触れることもできない高貴な口をチンポ搾り道具と して捧げると言っているのだ。 ﹁ほら見てぇ、きっとめっちゃキモチいいよぉ⋮⋮服とかこのまま 着たままでさ? おクチばっかりでれろれろちゅぱちゅぱ⋮⋮何度 も何度もどぴゅどぴゅしまくるのって、なんだかすっごいエッチぃ と思わなぁい? くすくすっ⋮⋮﹂ 柔らかな指先で俺の乳首をくにくにイジりつつ、愛くるしい外見 からは想像できないほど妖艶な声で囁かれた瞬間、俺も理性がぷつ んと切れた。 みるみる肉の棒に血が流れ込み、ビキビキと反り返る。 ﹁こっ⋮⋮この淫乱合法ロリめっ! なら望み通り口まんこ調教し てやる、俺専用のチンポしごき性器に作り替えてやるぞぉっ! あ とで泣きべそかくなよッ!?﹂ ﹁きゃ∼! おちんぽさん怒ったぁ! いいよぉ、わるぅ∼いオト ナのボッキちんぽで、あたしのおクチいっぱいお仕置きしてしてぇ 937 ∼っ!﹂ はしゃぎながら半開きに広げられたフラミアの唇めがけ、俺は再 びフル勃起した肉棒を近付けていく̶̶。 ⋮⋮その晩。 フラミアは珍しく﹁今日はもうごはんいらない﹂と、満ち足りた 様子で辞退することになるのだった。 ※ ※ ※ ︻ディアーネ編:ダークエルフ朝まで生種付け︼ なか ﹁んぉ、おぉぉ⋮⋮ふぁぁっ!? と、トオルどのぉっ⋮⋮ま、ま た避妊魔法なしに、わ⋮⋮私の膣内にこんなにたくさんの精液を、 そ⋮⋮注ぎ込むなんてひどい⋮⋮っ!﹂ さっきまで種付けピストンで覆い被さっていた体をどかせると、 下品なまんぐり返しポーズでビクビク痙攣するディアーネのエロい 裸体が丸見えになった。 ごぽぽぉっ⋮⋮! と鳴る、品のない逆流音。 意外とむっちりした褐色の肉がついた太ももの真ん中で、さんざ ん使い込んでやったサーモンピンクの肉ビラ奥から濃ゆい白濁ミル クが盛り上がってプルプル揺れている。 男と女のさまざまなニオイが混じり合い、むわっと淫らな熱気が 938 寝室にたちのぼった。 ﹁おい、自分でちゃんと脚抱えてマンコ上に突き出す姿勢維持して ろよ。俺のザーメンが一滴残らずこぼれずに、しっかり子宮の奥ま で染み通るようにな﹂ ﹁ううっ⋮⋮は、はいぃ⋮⋮!﹂ オスの種 的なものをそそる。そう思うのは俺だけだろうか? ダークエルフという種族はなんというかこう、異様に 付け欲 褐色のむっちり尻を見ていると、なんだか孕ませてやりたくなる のだ。 今日も夕食の後、姫やフラミアと談笑するディアーネの後ろ姿に ムラムラ来た俺は、ベッドルームに連れ込んで抜かず二連発の膣内 射精をぶち込んでやった。 ﹁いい子だ⋮⋮ほらっ、大好きなニオイもたっぷり直に嗅がせてや るぞ﹂ ﹁うぁ、ああっ顔にぃっ!? こ、このにおいっ、子種のっ⋮⋮む ⋮⋮むせかえるみたい、ですぅ⋮⋮!﹂ 激しいピストンで流した涙で濡れている美顔に、べちゃっと無遠 慮に汚れたチンポを乗っけてやる。 盲目の代わりに発達したらしい嗅覚をフル動員して、鼻をすんす ん動かして必死に淫臭をかごうとするディアーネ。 ﹁このチンポの汚れ、半分以上はお前のつゆだく愛液だぜ? ニン ゲンとの種付け交尾で発情しまくりやがって、妹に負けず劣らずエ ロい巫女様だなぁ?﹂ 潜在的なMっ気を煽るべく、わざと言葉で嬲ってやる。 939 年下の俺にこうやっていいようにされているというシチュエーシ ョンも、深層心理で彼女の興奮を加速させてるはずだ。 ﹁お⋮⋮お願いですっ、シエラにはあのことはぁ⋮⋮! さっきの あのことは言わないでくださぃぃ⋮⋮!﹂ ﹁あのこと? ああ、中と外どっちがいいか俺が聞いたら、中出し がいいですって自分から懇願したことか?﹂ ﹁っっっ!!? そ、それです、なっなんども言わないでぇ⋮⋮!﹂ 銀髪を左右に振ってイヤイヤをしつつも、神聖な巫女のいつもは クールな表情が、うっすら淫蕩な色に染まるのを俺は見逃さなかっ た。 こうしている今もまさに、大切な赤ちゃん部屋の奥めがけオスの 精液が我が物顔に殺到しているという事実が、ディアーネをさらな る異常な発情状態へと突き落としていくようだ。 ﹁くくっ、その時点でこうなることは分かってただろうに。観念し て認めろよ、自分の子宮はニンゲンの、いや俺のザーメンをもっと もっと飲みたがってますって﹂ ﹁ち、違っ⋮⋮!? あ、ああっ⋮⋮!﹂ ﹁シエラに黙ってて欲しいなら、今夜は朝まで生チンポ交尾決定だ ディアーネ⋮⋮まだまだぶち込みまくってやるからな、覚悟しろよ﹂ ﹁え、えええっ!?﹂ チョコレート色の長耳を甘噛みしながら囁いてやると、細い肢体 がゾクゾクわなないているのがわかる。今のでまた軽くイッたかも しれない。 伏せられた瞳から伸びる銀色のまつげが、小刻みに震えてなんと も色っぽい。 940 ﹁言うまでもないが、もちろん全部中で出す。一滴残らず全部だ。 ヘソの裏の子供部屋がみっちり満杯になるまで精子注ぎ込んでやる よ﹂ ﹁あぁ、あああっ⋮⋮! そ、そんな、いけません⋮⋮そんなこと をされたら本当にっ、本当に孕んでしまいますっ!?﹂ 口ではそんなことを言っても、M字開脚を閉じようともせず、言 いつけどおり注がれた大量精液をこぼさないよう姿勢を維持してい る。 無防備なマンコを⋮⋮その奥の子宮を、俺に差し出す従順ポーズ。 ダークエルフたちの間で生き神のごとく崇められている姫巫女が、 あられもなく一匹のメスと化す姿を見られる男なんて俺だけだろう な。 ﹁さあディアーネ。いい子だからあらためておねだりだ、どう言え ばいいかわかるよな?﹂ ﹁うぁ、ぁあっ⋮⋮は、はい⋮⋮!﹂ 艶まみれの熱い吐息と一緒に。 ディアーネはわずかに腰をシーツから浮かせ、見えない瞳で俺を まっすぐに見つめて。 ﹁と、トオル殿っ⋮⋮このディアーネに、私にっ⋮⋮げ、元気なハ ーフダークエルフの種、お気のすむまで夜通したんまりと仕込んで 下さいませぇぇ⋮⋮っ!﹂ 淫らで素直な本音を、うっとりと口にした̶̶。 941 閑話:フラミアのおくちと、ディアーネのおなかと︵後書き︶ どっちも前回のアンケートでいただいたアイデアから、ちょっとい いなと思ったネタを膨らませてみたものです。 ︵流れに関係なく挟まったブツなので、そのうちインターミッショ ン部分または活動報告に移動させる予定です︶ 942 を大魔族イヴリースより先に手に入れる 56話:密室の二人と、衝撃の光景︵前書き︶ 破天の骸 ■前回までのあらすじ 魔王の遺産 ため、そして仲間の盾となって散ったアーマーゴーレムのナナを復 ギャル勇者 橘リ 活させるため、遺跡都市パラヴァータを訪れたトオルたち一行。 そこでトオルはもう一人の元クラスメート、 ルナと再会する。 晶片獣 の討 シャードビースト 強力な魔法反射能力で隷属魔術を受け付けない彼女の攻略法を探 すトオルだが、副市長から受けた遺跡内部における テレポーター 伐依頼を、偶然リルナと共同でこなすハメに。 しかしその最中、遺跡奥の転送装置が突然暴走し、トオルとキリ カ、そしてリルナは仲間たちと離れた場所に飛ばされてしまった⋮ ⋮! 943 56話:密室の二人と、衝撃の光景 うっすらと発光する、なめらかな黒い石材の壁に囲まれた部屋。 10m四方程度の、正方形状をした空間に俺はいた。床も天井も 同じ材質のようだ。 ﹁⋮⋮ダメだわ。やっぱり出入り口らしい場所は、その閉まった扉 ひとつしかないみたい。トオルくん、そっちはどう?﹂ 部屋の外周を調べていたキリカが声をかけてくる。 俺の目の前には巨大な両開きの扉があるが、鍵穴のひとつもなく、 動かそうとしてもうんともすんとも言わない。 ﹁いや、開く気配は全然だね。俺たち二人、完全にここに閉じ込め られてるってワケだ﹂ ﹁状況の割には呑気ね⋮⋮まあ、灯りも空気もある場所で良かった けど﹂ テレポーター あの時⋮⋮突如として起動した転送装置によって、俺とキリカは 他のパーティメンバーとはぐれ、気が付いたらこの場所にいた。 シャードビースト 床や壁の材質から見て同じ遺跡の深部、といっても何もない閉鎖 空間だ。 まあ、壁の中や晶片獣の群れのど真ん中だった⋮⋮みたいなこと にならなかっただけマシと言える。さすがにキリカ一人じゃ、俺を 守って戦うのもしんどいだろうからな。 ﹁それにしても、一緒に飛ばされたはずの橘さんはどうしてここに いないのかしら? もし、別の危険な場所に飛ばされてたら⋮⋮!﹂ 944 キリカは少し心配そうな表情で、元クラスメートの に言及する。 ギャル勇者 最後に見た光景の記憶が正しければ、あの時テレポーターの強制 転送に巻き込まれたのは、俺たち二人を除くと彼女︵とその背中の オルト︶だけ。 トレースエンブレム ﹁それなら心配いらない。さっき追跡紋章で現在地を確認してみた ら、すぐ近くに反応があった﹂ ﹁追跡紋章? ⋮⋮あ、そういえば前、こっそり仕掛けたって言っ てたわね﹂ ﹁彼女はちょうどこの扉の向こうあたりをウロウロしてるみたいだ よ。きっと俺たちを捜してるんだろうな﹂ おそらくは、少しだけ転送後の座標がズレたんだろう。 もっとも、無敵の魔法反射スキルと圧倒的な格闘戦能力を誇るリ ルナが、一人になったからといってそうそう苦戦するとも思えない が。 実際、ここに来るまでの戦いではフォローの必要すらない無双状 態だったわけで。 ﹁良かった。じゃあ、やっぱり扉をさっさと破っちゃうのが正解み たいね。離れててちょうだい、トオルくん﹂ 安堵の笑顔を浮かべ、煌剣アルカンシェルを扉に向かって構える キリカ。 なるほど、確かに空間すら断つアルカンシェルの斬撃なら、どん な材質だろうと切り開くことができるだろう。 だが⋮⋮俺は姫騎士の肩に手を置いて、その行動を制した。 945 ﹁ちょっと待ってくれ、キリカ。橘さんと合流する前に、やってお くことがある﹂ ﹁? トオルくん、それって⋮⋮んぅっっ!?﹂ 返事の代わりに、俺は流れるように自然な動きでキリカの唇を奪 った。 少しひんやりした体温差が、ふわっとした感触と一緒に接触部分 から伝わってくる。 すかさず、絹糸のように細くいい匂いのする黒髪に指を差し入れ、 細い、だが胸の膨らみは大ボリュームの体を抱き寄せる。 ﹁ちょっ、やっ⋮⋮!? い、いきなり何よぉっ、こんな所でっ⋮ ⋮んぁっ、あんっっ!?﹂ 柔らかな双乳に手を伸ばすと、腕の中で身をよじり、抵抗のそぶ りを見せるキリカ。 だが、その動きはどちらかというと驚きと恥ずかしさが先に立っ た、形だけの可愛い抵抗に過ぎない。 最初の頃は隷属命令で動きを縛らないと思いっきり暴れられてた ものだが、キリカと俺の関係性もだいぶ変わったなぁ⋮⋮と思うと なかなか感慨深いな。 ﹁ふぁ、なっ、何考えてるのよぉっ、トオルくんっ!?﹂ ﹁いいかキリカ、これは戦術的に重要な行為だ。あの扉を開けて橘 さん⋮⋮いや、勇者リルナという脅威を前にするには、相応の備え が必要なんだよ﹂ ﹁備え⋮⋮? っっひゃうぅんっっ!? み、耳っ噛みながら言わ ないで⋮⋮っ! やっ、むっ胸までぇっ!?﹂ 946 じんわり赤く熱を持つ耳たぶの感触を舌で楽しみながら、俺はキ リッと真剣な眼差しで説明を開始する。 そう、これは決して、俺の欲望を満たすだけの行為というわけで はないのだ⋮⋮いやしかし、それにしても揉み応えのあるけしから んおっぱいだな。やっぱり前より大きくなってるんじゃないか? ﹁再会したが最後、俺たちと彼女は一触即発の敵対状態になっても おかしくないってことだ。いや、むしろ向こうから出会い頭に仕掛 けてくる可能性すらある﹂ 橘リルナは そうだろうな。俺が警戒してるのはあの背 ﹁え⋮⋮そ、そんなこと橘さんがするとは思えないんだけどっ⋮⋮﹂ ﹁まあ、 中の喋る剣⋮⋮オルトの方だよ﹂ お人好しで裏表のなさそうなリルナと違って、オルトと名乗る魔 法生物は明らかに俺を怪しみ、警戒している。それは街のカフェで 最初に遭遇した時から明らかだ。 それが単なる用心深さから来るものか、それともまったく別の理 由があるのかは不明だが。 魔隷術師という正体まではバレてなくとも、その可能性を考えて いることは十分有り得る。 ﹁みんながいたさっきまでとは違う。合流するまで、俺たちはたっ た二人⋮⋮しかも俺は残念ながら、リルナの魔法反射能力に対して はまったくの無力だ。もし向こうが仕掛けてくるなら、合流前がう ってつけのチャンスってことになる﹂ ﹁!!﹂ 俺の指摘にハッとするキリカ。そんなことは考えてもみなかった、 って反応だ。 お人好しって意味じゃ、うちの姫騎士もいい勝負だな。 947 暴 ﹁それに、覚えてるかキリカ? ここに飛ばされる直前、転送装置 した結果、俺たちは皆と分断されてここにいる﹂ を操作することにオルトが妙に協力的だったろ。そして転送が 発 ﹁つまり⋮⋮オルトがわざと転送装置を暴走させたって言うの?﹂ ﹁まあ、仮説の一つだけどね。飛ばされる時に驚いたような反応し てたし、初めて見た遺跡の装置を完全にコントロールできるとは考 えにくいから、本当に事故だったかもしれない﹂ もちろん、すべては俺の推測に過ぎない。 オルトが何を吹き込もうと、お人好しのリルナが耳を貸さない可 能性だってあるだろう。 だが、常に最悪の事態を考えて手は打っておきたい。 いざという時の自衛のため、そしてあわよくばギャル勇者を返り 愛隷 に最大戦力を発揮さ 討ちにして、隷属の方法をなんとか見つけるために。 ﹁⋮⋮というわけで、だ。俺の大事な せるために、魔力のストックを満杯にしとこうと思ってね﹂ ﹁え⋮⋮そ、それって⋮⋮!﹂ 太ももに後ろから押しつけられる硬くて熱い感触に、ビクっと身 を震わせるキリカ。 ゆっくりと、形を思い出させるように、俺はぐりぐりとそのオス の部分を、柔らかな女の体に密着させる。 ﹁そう。俺の新鮮な魔力を注ぎ込む。コレを使ってカラダの中に直 接、ね﹂ むくむくと反り返り、スカートを持ち上げるチンポの存在をキリ カに意識させながら。 948 俺は有無を言わさない口調で、そう宣言した。 ※ ※ ※ ﹁トオルっちが⋮⋮魔隷術師かも、って? いやいやいや、ありえ ないっしょそんなの!﹂ 同時刻、トオルたちのいる部屋に接した遺跡内の通路。 橘リルナはアメリカ人のようなオーバーアクションで巨乳を揺ら し、背中に背負った剣のような物体からの忠告を笑い飛ばした。 ︿⋮⋮リルナ。今までの説明を聞いていなかったのですか? 彼の これまでの行動には不審な要素が多過ぎ、そして彼が魔隷術師だと すればすべての辻褄が合うのですよ﹀ トオルとキリカのいる部屋を︵リルナたちは気付いていないが︶ 囲む形でぐるりと一周する形で繋がった通路を調べながら、ギャル 勇者はむーっとむくれた表情を作る。 リルナは決して、頭の回転が遅い娘ではない。外見で誤解されや すいが、出席日数は最低限でも成績だってむしろ良かったくらいだ。 論理的には、オルトの指摘にも一理あると十分理解していた。 魔王並みの脅威 でかつての魔王にす ってこ ﹁いや、でもさ。トオルっちはそんな、ワルい人じゃないよ。オル トの言う通りならさ、あのトオルっちが とある理由 とになるじゃん? そんなふーには、とてもとても﹂ 現代に復活した魔隷術師は、 ら匹敵する世界の脅威となる可能性を秘めている。 949 ノーヴル・エイト ゆえに、勇者たるリルナは魔隷術師を討ち、その野望を全力で阻 止しなければならない⋮⋮対処の優先度は、八冥家を始めとする高 位の魔族よりも優越する。 それが、オルトがリルナにこれまで何度も念を押した重要事項だ った。 ︿潜在的な脅威度に、当人の人格は関係ありません。世界にとって の脅威を排除することが、勇者というジョブの使命ではないのです か?﹀ ﹁なにソレ。じゃあ、オルトはもし生まれたばっかの赤ちゃんが魔 隷術師だったら、アタシにそのコをぶん殴ってでも倒せって言うの !?﹂ 返事の代わりに訪れた沈黙が、肯定だと物語っていた。 明るい色のサイドテールを勢いよく揺らし、露骨に不機嫌そうに そっぽを向くリルナ。 勇者 を隷属させるチャンス ︿あなたは少し、お人好し過ぎます。彼があなたを騙していないと なぜ言い切れますか? 笑顔の裏で を狙っているのかもしれないのですよ。ヒトの中で最強の力を持つ 勇者には、己の力を悪用されないよう律する義務があります⋮⋮違 いますか?﹀ 今度はリルナが沈黙する番だった。 無人の通路をリルナが進む足音だけが、カツカツとこだまする。 ﹁⋮⋮もし、トオルっちが魔隷術師で、そんで本当に悪いことを企 んでるんだったら。その時は⋮⋮その時は、アタシがきっちり勇者 の務めを果たすよ﹂ 950 リルナは強い意志と責任感を宿した瞳でまっすぐ前を見据え、背 中の相棒に宣言する。 ﹁でも、だからこそ。アタシはちゃんとトオルっちのことを見極め るよ。ジブンの目で見て判断しろって、いつもおばーちゃんが言っ てたし。それでいいよね、オルト?﹂ ︿⋮⋮分かりました。その覚悟があるのならば構いません。リルナ の判断に従います﹀ ん、と満足げに頷いて、幾分軽くなった足取りでリルナは通路周 辺の調査を再開した。 行動も早ければ切り替えも早い、それが橘リルナという少女だ。 ﹁だから、そのためにもトオルっちと姫っちを早いとこ捜さないと ね! アテにしてるよ、オルト。確か、見つけるのに便利な機能と かあったっしょ?﹂ 信頼する相棒と言い争いをして険悪な雰囲気が続くのは、彼女に とっても不本意だったのだろう。 話が一旦収まったことで、リルナにはいつもの太陽のような笑顔 が戻っていた。 ︿はい。任せてください、リルナ﹀ だが⋮⋮そんなリルナからは、見えていなかった。 背負った相棒の、剣でいえば鞘の根元にあたる部分にはまった宝 石状の球体が、いつになく奇妙な色に輝いていたことが。 951 ︿しかし⋮⋮やはり、この遺跡は⋮⋮﹀ 期待 とでも表現 リルナには聞き取れないかすかなボリュームで漏れた声。 無機質なそれは、けれどわずかに、人間的な すべき色に染まっていた。 ※ ※ ※ ﹁ほら、もっと尻を上げろよ、キリカ。その高さじゃやりにくいだ ろ﹂ ﹁そ⋮⋮そんなこと言われてもっ⋮⋮これ、はっ恥ずかしいってば ぁぁ⋮⋮っ!﹂ 姫騎士装束のまま、壁に手をついたキリカはスカートに包まれた 丸い尻をおずおずと差し出す。 寝転がるような場所がないからと頭で納得はしていても、まとも な屋内でもないこんな場所でのセックス、それも立ちバックスタイ ル。 アブノーマルな状況に耳まで赤くなって羞恥に悶える様子が、手 に取るようにわかる。 ﹁ね、ねぇ本当にこれっ、本当の本当に今しなきゃダメなの!?﹂ ﹁だから説明しただろ? 愛隷としての力をフルスペックで発揮さ しておく必要があるって﹂ せるには、術師の魔力の媒介⋮⋮体液っていうか精液を、体内に チャージ ﹁ううっ⋮⋮や、やっぱりなんかおかしいわよぉ、そのシステムっ ⋮⋮!﹂ 952 普通の魔隷なら、ある程度近くに俺がいれば魔力は空間を超えて 送ることができる。 だが愛隷ともなると強力な反面、それだけでは効率が悪い。 言うなれば無線LANの回線強度を強くするために、キリカの体 内⋮⋮この場合は胎内に、優秀な受信機にあたる新鮮な精液を注入 しておくというわけだ。 ﹁こ⋮⋮これくらいで、いいの⋮⋮?﹂ おずおずと何度も躊躇しながらも、太ももをふるふる震わせつつ、 可愛らしいお尻の角度を上げていく元クラス委員。 あの真面目なキリカに自主的にそうさせていることが、嗜虐心に ゾクゾクと火をつける。 ﹁ああ、いい感じだ。さて、じゃあこの中を拝見させてもらおうか﹂ ぺろりとスカートをめくり上げると、ぷりっと形のいい真っ白な 曲線が露わになった。緊張と羞恥のせいか、うっすら汗を浮かべて いるのが実にそそる。 むっちり安産型のお尻を包むのは、上品なレースに縁取られた高 級そうな白いショーツ。 ﹁お、初めて見る下着だな。ひょっとして、前の買い物の時に新し く買ったやつ?﹂ ﹁っ⋮⋮そ、そうだけど﹂ ﹁ほほう、じゃあじっくり鑑賞させてもらおう。至近距離で﹂ 言うなり、可愛いお尻にばふっと顔を密着させて、割れ目部分に 鼻をぐりぐり押しつける俺。 甘酸っぱい女の子の匂いが、吸う息いっぱいに広がる。 953 ﹁やっ、やあぁっ!? か、顔くっつけないでっ、息吸わないでぇ ぇっっ!! ばか馬鹿バカ変態ぃぃっ!!﹂ キリカはじたばたと抵抗するが、もちろん俺は聞く耳持たない。 暴れる尻たぶをがっしり鷲掴み、わざと音が聞こえるようにたっ ぷりと深呼吸を繰り返して、姫騎士の羞恥心をさらに煽ってやる。 ﹁変態とはひどい言い草だなぁ。だったら、変態にそんなことをさ れて濡らしてるキリカこそどうなんだ?﹂ ﹁え⋮⋮? わ、私は濡らして、なんか⋮⋮っ!﹂ ﹁ほほう。じゃあ、これは何だよ?﹂ すかさず太ももの間に指を滑り込ませ、下着の上からその部分を ぐっと押さえる。 と、その途端、 ﹁ひゃ、んぅうぁぁんっっ!!?﹂ ビクっと弾かれたようにキリカの背中が弓なりにのけぞって、1 オクターブ高い快感の悲鳴が漏れた。 俺の指先には、濡れたティッシュを圧し潰したような、ぐしゅっ と水っぽい感触。 ﹁ほら、外側にまで染み出すくらいに濡れてるぞ? これでもまだ 濡らしてないって言うのかな、ほらほら﹂ ﹁やっ、あっあっっ!? ひぁ、うっウソぉっ⋮⋮わ、私っそんな ぁぁっ⋮⋮ひぅうっっ!?﹂ ﹁こんな場所で⋮⋮とか言ってたくせに、これからされることを期 待してこんなにしちゃうとはね。エッチだなぁ、キリカは﹂ 954 背中から抱きすくめるように体を重ね、耳元で囁いてやると、面 白いようにビクビクと全身で反応を見せるキリカ。 ﹁この後、橘さんと合流するってのに、これじゃ下着がぐしょぐし ょになっちゃうぞ? いやらしい匂いとか、気付かれちゃうかもな ぁ﹂ ﹁え⋮⋮あ、そ、そんなぁぁ⋮⋮! そんなの、わっわたし困るよ ぉぉ⋮⋮っ!﹂ ﹁橘さんも驚くだろうな。真面目な元クラス委員が、ちょっと会っ てない間にこんなスケベな体になっちゃってたなんてさ﹂ 俺のサディスティックな物言いに、キリカはイヤイヤと首を振る。 まだほとんど本格的に愛撫してないのに、ぶるぶる震える両脚の 奥からはどんどん愛液が染み出してショーツを灰色に染めていく。 ﹁下着がこれ以上濡れるのが困るなら、脱げばいいんじゃないか? このままだと取り返しがつかないことになっちゃうぜ、それとも 俺が脱がす?﹂ ﹁う⋮⋮じ、自分で脱ぐっ、脱ぐからぁ⋮⋮! み、見ないでぇ、 トオルくん⋮⋮っ﹂ 逡巡の後、ゆっくりとショーツに指をかけ、おずおずと降ろして いくキリカ。 言うまでもなく、その愉しい光景を後ろからばっちり鑑賞してや る。 外気に晒されたサーモンピンクの姫騎士マンコはねっとりした液 体でヌルヌルに濡れ光り、太ももの半ばあたりまで下げられたショ ーツのクロッチ部分との間に銀色の糸を引いていた。 955 ﹁すっかり準備万端って感じだな。じゃあキリカの茹だってヒクヒ クしてるつゆだくマンコ、立ちバックでみっちりずっぷり貫いてや るとしよう﹂ ﹁うう⋮⋮だ、だからなんでわざわざ口に出してそういうこと言う のよぉ⋮⋮!﹂ かく言う俺の方ももう、さっきのお尻の感触と言葉攻めでギンギ ンに勃起しきっている。 元クラスのアイドルのエロ可愛い肢体をこんなふうに好き放題で きる征服感に胸を高まらせながら、取り出したチンポの先を愛隷の 秘唇にくちゅりとあてがい、そのまま⋮⋮! ﹁んぁ、は、入って、くるぅぅぅっ⋮⋮ふぁ、ぁふぁぁぁぁぁんん んんっっっっ!!?﹂ 女体の芯を貫き通す手応えと、にゅるんっと吸い込むように肉棒 を包む熱いヒダヒダの快感。 長く響く甘い喘ぎ声を楽しみながら、腰をぐっと進めて根元まで キリカの中にチンポを収める、この瞬間の充実感は何ものにも換え がたい。 ﹁くぅぅっ⋮⋮! 挿入する時って、いつも凄い可愛い声出るよな ぁ、キリカは⋮⋮それ、やっぱ自分じゃガマンできない?﹂ ﹁わ、わかんないよぉっ⋮⋮と、トオルくんのがはいってくるとっ、 しっ自然と出ちゃう、からぁぁ⋮⋮んぁ、ふぁぁっはぁぁ⋮⋮っ! ?﹂ びくん、びくんと姫騎士ボディが痙攣して、今味わっている快楽 をチンポに伝えてくる。 元々感度のいいキリカだが、最近は奥まで挿入されるだけで軽イ 956 キするほど敏感に開発されていた。 男としては、気持ちよくさせている手応えがあって嬉しい限りだ。 ﹁そうかそうか、じゃあどこをチンポでほじくられたら声が出ちゃ うかをひとつひとつ開拓していこうか。こうやって⋮⋮ほらっ、こ ことか!﹂ ﹁⋮⋮んひっっ!!?﹂ ﹁お、いきなりクリティカルヒット?﹂ キリカのお尻をがっしり両手でホールドして、斜め下から背骨め がけて突き崩すように腰をハネ上げるピストン。 正常位や、ベッドに膝立ちにさせての後背位だと突きにくい角度 を、少しずつ挿入角を変えてここぞと試しまくる。 ﹁んぁぁっ!? や、だめっそこっ⋮⋮へ、へんな声っ、出ちゃっ ⋮⋮ううぅぅっっ!!?﹂ ﹁いいじゃないか出ても、ここには俺たちしかいないんだから、ほ らほらぁ!﹂ ﹁でっでもぉぉっ、でもダメぇぇぇっっ!! だ、だって外にはぁ ぁっ⋮⋮!!﹂ 遺跡の壁も扉も分厚く、外に音が漏れる心配はないだろう。 だがそれでも、すぐ外にリルナがいるかも⋮⋮という認識が、心 理的にキリカの羞恥を煽ってやまないのだ。 ただでさえ恥ずかしいのに、しかも相手は元クラスメートの女子。 すべてが非日常の異世界に来て少しずつ忘れつつあった、現代日 本の日常的な感覚⋮⋮キリカにとってセックスなど遠い行為に過ぎ なかった頃の感覚に突然戻されて、羞恥心もひとしおというわけだ。 ﹁大丈夫だってば⋮⋮ああ、それとも本当は見られたい? キリカ 957 なか の膣内、いつも以上にウネって俺のを凄い勢いで搾ってくるぞっ、 くはっ!﹂ ﹁え!? ち、違っ!? わ、私そんなことしてないぃぃ⋮⋮っ! 勝手にぃ、なっちゃってる、だけだからぁっ⋮⋮ひぐっ、んあぁ ぁう!!?﹂ 長い黒髪を振り乱して否定するが、現にキリカの敏感マンコはい つになく美味しそうにもぐもぐとチンポを頬張り、熱いよだれを垂 らして嬉し泣きしているのだから仕方ない。 後ろから勢いよく腰を叩き付けるたびに、ツブツブざらざらの名 器が細胞ひとつひとつをフル活用して肉の侵略者に反撃してくるの だ。 ﹁まったく、そうやってすぐ否定して⋮⋮いいじゃないか、二人の 時くらい素直になってもさ。偶然とはいえ、こうやって本当の二人 っきりになったんだぜ?﹂ ﹁っ⋮⋮!? ふ、ふたりっきり⋮⋮?﹂ 暴発の危険を感じた俺は、ピストンの速度を一旦緩めて、キリカ の背中を撫でながら荒い息と共に告げる。 そう⋮⋮シェイヨル大森林での一件で、俺とキリカの距離が思い のほか縮まった後も、セックスは誰か他の魔隷やシスティナ姫を交 えてすることの方がどうしても多かった︵フラミアが乱入してくる こともあった︶。 俺は全員の主人である以上、愛隷といえども過剰に特別扱いし続 けることはできない。それがある意味、彼女たちの命を預かる者と して、パーティリーダーとしての責任だ。 ﹁で、でもさっきは⋮⋮トオルくんは、この後のために戦術上必要 だからエッチする、って⋮⋮﹂ 958 幾分かの不満をにじませたキリカの声。 どうやら、思ったよりその物言いを気にしていたようだ。可愛い ヤツめ。 ﹁もちろんそれも事実だけど、切っ掛けに過ぎない。精液を入れる だけだったらもっとあっさり射精して終わりだよ、違うか?﹂ ﹁そ、それはそうかもしれないけど⋮⋮っ﹂ 何かと理由をつけるのは、恥ずかしがりのキリカを強引にエッチ に引きずり込むためでもあるし、ストレートにイチャつきたいなど と口にするのは俺自身が恥ずかしいからでもある。 ⋮⋮まあ、後者は口には出さないが。 ﹁まあ、キリカが別に俺と二人っきりでイチャイチャしたくないん だったら別にいいけどさ? だったらそれこそ、すぐおしまいにす るだけだから﹂ ﹁う⋮⋮い、意地悪っ⋮⋮! わ、私はっ⋮⋮!﹂ あえて腰を止め、膣内にみっちり半分ほど食い込ませたチンポを 呼吸に合わせてグイグイ反り返らせながら、俺はキリカの返事を待 つ。 肩越しに後ろの俺を気にしながら﹁あう﹂だの﹁んぁ﹂だの、何 か言おうとしては喉に引っかかって出てこない状態をしばらく繰り 返す姫騎士。 しばらくして小刻みに震え続ける内股を、一筋の愛液がつうっと 流れ落ちて⋮⋮そして。 ﹁んっ⋮⋮んんっ!﹂ ﹁うぉっ、おおっっ!?﹂ 959 言葉の代わりに、いやらしい水音がヌチュっ⋮⋮と鳴って、チン ポが根元まで余すところなく熱い柔肉に包み込まれた。 なんとキリカが自分から、尻を俺の腰に押しつけるようにして大 胆に動かし、逆ピストンの動作を仕掛けてきたのだ。 ﹁うぅ⋮⋮は、恥ずかしいけど、これでわかった⋮⋮? わ⋮⋮私 だって、トオルくんとえっち、したくなくはないんだよぉ⋮⋮っ?﹂ ﹁くぅうっ⋮⋮き、キリカっ!﹂ どんだけ回りくどい表現だよ、などとからかう余裕もない凶悪な 可愛さの奇襲に、俺は完全に不意を討たれる形になってしまった。 今の行為と発言にどれだけの勇気を振り絞ったのか⋮⋮それを思 うと胸の奥から愛しさがこみ上げて、頭の中で理性の糸がぷちんと 切れた。 俺は反射的に、前の壁に付いていたキリカの両腕をとって思いっ きり引っ張り、動きを止める前以上の激しいピストン運動を開始す る! ﹁んぎっ⋮⋮ひゃぁぁぁんんっっっ!!? やっ、はっ激しっ⋮⋮ きゅっ急にぃぃっっ、動きっ激しすぎるよぉぉっっ!!? んあぁ ぁうぅぅぅッッッ!!﹂ ぱんぱんと肉同士が勢いよくぶつかり合う音に、どちゅぐちゅと 湿っぽい水音が混じり合い、二人の汗と体液が石の床に飛び散る。 掴んだ腕を後ろに引いているぶん、結合部はこれまでと比較にな らないほどの密着感を得て、コリッとした感触の子宮口めがけてゴ ツゴツと亀頭が荒いノックを仕掛ける。 ﹁ひっっ、んにゃぁぁぁっ!? なっ、なんで急にいっぱい動くの 960 ぉっっ!?﹂ ﹁キリカが不意打ちでガマンできなくさせるからだっ、無自覚に男 に火をつけるとかとんでもないエロ姫騎士だなっ、反省しろ反省っ ! 俺のピストンで泣きわめけっっ!!﹂ ﹁ひゃうっっ、んふぁぁ!!? やっあっっ、ご、ごめんなひゃい ぃぃ⋮⋮! あううっっんひゃぁぁぁ∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ 猛り狂うチンポに突き崩されつつ、きゅんきゅんと嬉しそうに小 刻みな絶頂を繰り返しながら、後ろから犯しつくそうとする俺の激 しい突き上げにもしっかり応える三段締め名器。 乱暴な攻め方にもキリカの心と体がちゃんと悦んでいることは、 とめどなく床を濡らす愛液の量と、けなげにピストンに合わせてく る美尻の動きが物語っていた。 ﹁おらっ、おらおらぁっ!! 外で服着たまま立ちバックでハメら れてどんな気持ちだキリカっ、びしょびしょのマンコでチンポ締め ながら言え、言ってみろっ!!﹂ ﹁やっあっあっっんあぁぁっっ!!? わかんないぃっ、はっ恥ず かしいけど頭じんじんしてっ、体もぜんぶおかしくなるうぅぅ!! だめっ私だめになっちゃうよぉぉ、トオルくんっっ!!﹂ 快楽の狂乱の中で、少しずつ素直な自分をさらけ出して行くキリ カ。 叩き付けがいのあるむっちり白尻にラストスパート目前のピスト ンを撃ち込むたび、つややかな黒髪ロングが波打って跳ね回る。 胸アーマーからこぼれた巨乳もまた、ぶるんばるんと左右別々の 生き物のよう舞い踊ってるのが後ろからでも分かるほどだ。前から 見るとさぞかしド迫力の眺めだろう。 ﹁いいんだ、ダメになっていいぞっ! 言ったろ、俺がキリカのエ 961 ロいとこもみんなっ、ちゃんと受け入れてやるってなっ⋮⋮だから 俺の欲望もっ、その体の奥底で受け止めてくれっ!﹂ ﹁うんっ、うんっっ!! いいよぉっ、トオルくんのエッチなとこ もちょっと乱暴なとこもっ、私がちゃんと全部受けきる、からっ⋮ ⋮んあぁぁぁぁあああ!!? き、来ちゃうっ大きいのがぁぁっっ !!﹂ ﹁ああ、俺もガマンの限界っ⋮⋮お待ちかねのザーメン注入だっ、 しっかり子宮の入り口開けて一滴残らず受け取れよキリカっ!! っくぅぅぅぅッッッ!!﹂ びゅるっっ⋮⋮どびゅるるぅぅぅっっっ!! ごぶっ、どぷぷっっ⋮⋮ぶぴっ、びゅくくんっっ、ぐびゅるるぅ ぅ⋮⋮どぷどぷぅぅっっ!! ﹁あ¨ぁぁぁああ¨ッッッ!!? あぁぁっっダメぇぇっ、んあぁ あああ¨∼∼∼ッッ!!? ああぁぁっ⋮⋮あはぁぁぁあああっっ っ!!?﹂ チンポの根元が姫騎士マンコの入り口に、亀頭先端の鈴口が子宮 口にそれぞれゼロ距離密着した状態で、爆発じみた勢いの白濁噴射 が長く長くどこまでも続く。 びゅるびゅると注がれる俺の魔力と遺伝子を満載した精液が、愛 隷たるキリカの子作り部屋を埋め尽くさんばかりの勢いで放たれて は、たぷたぷになるまで折り重なってゆく。 ﹁ああぁ⋮⋮! いっぱい、いっぱい来てるよぉ⋮⋮っ、トオルく んのぉ、あつい精液ぃ⋮⋮!﹂ ﹁うぉぉ、しっ搾り取られ⋮⋮くぅぅ、いい子だキリカっ、ちゃん とマンコの奥うねらせて残さずグビグビ飲み干してるな⋮⋮っ!﹂ ﹁は、はうぅぅ⋮⋮んぁぁぁぁっ⋮⋮!!﹂ 962 度重なる調教の成果か、優等生クラス委員の肉壷はすっかりオス の欲望を受け止めるためのエロ凶器へと造り変わりつつあった。 この体勢からでは見えなくても、お腹に刻まれた愛隷の紋様が発 情を示す発光をしているだろうことは明らかだ。 永遠とも思えた射精が終わると、しばらくお互いの荒い呼吸音だ けが部屋に響いた。 ﹁ふぅ⋮⋮そういや、中に精液出されてるのって、女の子の方はは っきりわかるんだな﹂ ﹁う、うん⋮⋮なんだかね、体の奥の方に熱いのが当たってるのが わかるっていうか⋮⋮﹂ ﹁すごいな、人体﹂ ﹁熱いって感覚は錯覚かもしれないけど、とにかくそんな感じがす る⋮⋮の﹂ 立ちバックで繋がったままの姿勢での、事後の恥ずかしい会話。 普段だとこんな質問をしても睨まれるだろうけど、セックスの勢 いが残る今は驚くほど素直に答えてくれる。 ﹁それはそうと、いつまでこの状態でいるの⋮⋮?﹂ ﹁そりゃ、魔力の乗った精液をこぼさないように、ある程度吸収さ れるまでしばらくはこうして繋がったままだな﹂ ﹁う⋮⋮や、やっぱりそうなるんだ⋮⋮﹂ ﹁ヘタに外に溢れ出したんじゃ、それこそ橘さんに何してたかバレ かねないだろ?﹂ ﹁⋮⋮そ、それもそうね﹂ 半勃ちのチンポをバックスタイルで膣内におさめたまま、キリカ は今さらながら恥ずかしさがこみ上げて来たらしく、うつむいてふ 963 るふると震えている。 乱れた黒髪の合間から見える耳は真っ赤っかだ。真正面から顔を 見られないのが少し残念だな⋮⋮などと考えていると、彼女が何か ボソボソ言っているのに気付いた。 ﹁ん、何だって?﹂ ﹁え? あ⋮⋮あのね、この体勢だと⋮⋮できないなって⋮⋮﹂ ﹁できないって、何が?﹂ 何気なく聞いてみると、しばらくして消え入りそうな細い声が答 えた。 ﹁⋮⋮き、キス﹂ ﹁っっ⋮⋮!!﹂ 無自覚にクリティカルな発言のせいで、俺のチンポは一瞬で硬さ を取り戻すハメになった。 そのまま、もう一発分余計にキリカへとザーメンを注入する流れ に雪崩れ込んだことは、言うまでもない̶̶。 ※ ※ ※ ﹁えっ⋮⋮ちょっ、ナニ? こ、ここここれって⋮⋮ええええええ !!?﹂ リルナは、かつてないほどに混乱していた。 眼前の光景を、呆然と見つめるギャル勇者。 964 ︿⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹀ 手にするオルトの宝石状パーツから放たれた、緑色の光が分厚い 扉に当たり、直径2mほどの円状にくり抜かれるような形で、その 向こう側の光景が透けて見えていた。 さっきの会話に出た、探索用の便利機能なわけだが⋮⋮映し出さ れた情景が大問題だった。 ﹁トオルっちと⋮⋮姫っち⋮⋮だよね? え? ⋮⋮マジ?﹂ まさか分厚い壁越しに見られているとも気付かず、激しいセック スを繰り広げるクラスメートたち。 リルナはその一部始終を、目をそらすこともできず硬直したまま バッチリ見てしまった。 ︿はい。性交しているようですね﹀ 淡々と告げるオルトの声によって、リルナは長い長い茫然自失状 態から現実に戻った。 性交、エッチ、セックス。 小田森トオルと、姫野桐華の。 見てしまった。初めて見てしまった。 ﹁∼∼∼∼∼∼∼∼っっっ!!﹂ バッと両手で顔をふさいで、その場にしゃがみ込む。 おそるおそる、指の隙間からチラっともう一回見返して、行為が まだ続いてることにビクっとなって再び顔を覆う。 頬からおでこから耳の先まで、リルナの白い肌がみるみる真っ赤 に染まった。 965 ﹁なっ、なんでなんでなんでぇ!? な⋮⋮なんでエッチぃことし てるん? あの二人付き合ってるの? むしろケッコンしてんの? いやだってそーだよね、あーゆーことするくらいだもんね好きな 人じゃないとっていうか将来誓い合っちゃった系のナカじゃないと しないよねフツー、おばーちゃんがそう言ってたし、ってちょっと まってここ外じゃん? お外だよベッドないよ!? ああそっかそ ういうの専用なホテルとかあるらしいケドここってそーゆう場所な のかな、さっすが異世界マジパないね! オルトもそう思うよね! ﹃はい、そう思いますリルナ﹄だーよねー!﹂ ︿あの、リルナ? 少し落ち着いて下さい、というか誰と会話して いるのですか? ⋮⋮もしもし?﹀ 困惑するオルトの声も、耳に届いているのかどうか疑わしい大混 乱。 ギャル勇者、橘リルナ。 外見に似合わず⋮⋮まるでそういう方面には耐性のない、ウブな 少女なのであった。 966 56話:密室の二人と、衝撃の光景︵後書き︶ 前回から間が空いてしまって本当に申し訳ありません⋮⋮! 体調不良とか色々ありましたが現在は復調しましたので、今後とも よろしくお願いします。 967 57話:クラスメートたちと、蘇る機身 キリカに魔力をたっぷりチャージした後、扉をアルカンシェルで 切り裂いて部屋の外へと無事脱出した俺たちは、近くをウロウロし ていたリルナと合流を果たした。 ⋮⋮それはいいのだが。 ﹁どうかした、橘さん? さっきからなんか黙ったまんまだけど﹂ ﹁え、うぇっ!? な⋮⋮なんでもない、よっ? うん、マジでマ ジでっ!﹂ テレポーター 別の転送装置なり、外へ出る通路なりを探して無人の通路を進ん でいるわけだが、どうもさっきからリルナの様子がおかしいのだ。 俺とキリカから数歩遅れる形でついてきている彼女は、時折こっ ちの背中をチラチラ見ては、視線に気付かれるとあわあわキョドっ て目を伏せ⋮⋮といった挙動不審を繰り返している。 それは飛ばされる直前までの、元気いっぱいで口数も多く、パー ティの先頭に立ってどんどん歩いていた様子からすると明らかに不 自然な態度だった。 ﹁ねぇトオルくん⋮⋮やっぱりヘンよね、今の橘さん﹂ ﹁ああ。やっぱキリカもそう思うよな﹂ ひそひそ声で耳打ちしてくるキリカも、ギャル勇者のらしくない 態度に違和感を覚えている様子だ。 ﹁ありゃひょっとして⋮⋮バレてたりしてな﹂ ﹁ば、バレてるって何が?﹂ 968 ﹁いや、だから、事後っぽいことが。ほら、ニオイとかで?﹂ ﹁え、う、ウソ!?﹂ 慌てて、自分の衣類をくんくん気にしだすキリカ。 システィナ姫のドレスほどではないが、彼女の姫騎士装束にも消 臭その他のエチケット術式がエンチャントされているため、あから さまに気付かれる心配はそうそうないはずだが⋮⋮女のカンってや つは油断できないからなぁ。 ︵まあ、そっちならまだマシとも言えるか。離れてる間にあのオル トから余計なことを吹き込まれた、とかじゃなけりゃいいが⋮⋮︶ ともあれ素直に合流した以上、少なくとも今仕掛けてくるつもり はないようだ。 こっちとしても、いざという時の戦力になる他の魔隷たちと合流 する前にコトを構えたくはないからな。今はこの遺跡深部らしき場 所からの帰還方法を探すのが第一目標。 そんな状態で、どれくらい通路を歩いただろうか。 ︿̶̶この扉の先に、何らかの反応があります﹀ 相棒以上に黙りこくっていたオルトが、いつも通りの抑揚のない 声で告げた。 目の前には、さっき破ったものよりふた回りは巨大な、つるつる した扉がそびえている。 テレポーター ﹁反応って魔力の? 転送装置か?﹂ ︿あいにく、そこまでは不明です﹀ ﹁ま、他に道もないようだし開けてみるしかないな。じゃあキリカ、 969 さっきみたいに扉を斬って⋮⋮﹂ ︿いえ、その必要はありません。リルナ、私を扉に近付けてみてく ださい﹀ ﹁んぁ? えーと、これでいい?﹂ リルナの手で扉に押し当てられたオルトの宝石状パーツが、淡い 緑の光を放った。 と、まるで到着したエレベーターのように、巨大な扉が音もなく スライドし開かれていく。 ﹁⋮⋮いつの間にそんな芸当ができるようになったんだ? さっき は俺たちの閉じ込められてた扉、外からじゃ開けられなかったみた いだが﹂ ︿起動のキーとなる魔力の波長を解析し、再現したまでです。解析 が終わったのはついさっきですので﹀ さも当然といった口調。相変わらず、表情がないぶん真偽が読み づらくて厄介だ。 リルナの話では探索用の機能を多く持つ魔法生物らしいから、そ ういうことができても不思議ではないが⋮⋮だが、俺は心のどこか に引っかかりを覚えていた。 ﹁!! トオルくん、見て!﹂ テレポーター もうひ キリカの指差した先⋮⋮転送装置のあった部屋によく似た、半球 ドーム状の広い部屋の内部。 があった。 そこにはあれと同じ装置こそ無かったが、俺たちの探す とつの目標 ﹁こいつは⋮⋮間違いない、やっと見つけたぜ﹂ 970 部屋の内壁をずらりと一周するようにして、斜めに立てかけられ た大きなベッドにも似た金属の台座が無数に並んでいる。 そして、それらの上に横たわっていたのは、全身鎧にも似た巨体 のアーマーゴーレムたち。 頭部の形状や身長などに個体差はあるが、いずれもあのナナによ く似ていた。 それも以前の部屋で見つけたものとは違い、どれも破損や風化せ ずに原型をとどめている。 ﹁やったわトオルくん、これならナナちゃんを!﹂ ﹁ああ⋮⋮!﹂ ずっと大事に懐に入れていた、赤い宝石球を取り出す。 俺たちをフラミアの暴走から守り、クルスの奇襲によって散った、 大切な仲間の心臓部だ。 ﹁トオルっち、それは?﹂ 同型機 らしき連中の頭部にはど ︿⋮⋮ナナというアーマーゴーレムの中枢部というわけですか﹀ 見たところ、横たわるナナの れも、そのパーツは嵌っていなかった。 つまり、ここにあるのは予備パーツのようなものなのだろう。あ りがたく使わせてもらおう。 ﹁そっか⋮⋮仲間のナナちゃん、これで直せるかもしれないんだ。 よかったね、トオルっち!﹂ さっきまでのキョドりっぷりも忘れて、夏場の太陽めいた笑顔で 一緒に喜んでくれるリルナ。 971 本当に、善良極まりないお人好しだ。彼女やオルトを出し抜くこ とばかり考えている自分に、少し自己嫌悪を覚えてしまいそうにな る。 ︿では、この素体のどれかを起動させればよいのですか?﹀ ﹁⋮⋮できるのか?﹂ ︿先の扉と、要領は同じです。少し時間はかかるでしょうが、繋が っている台座から動力を供給すれば、その中枢部を組み込む準備が 整うでしょう﹀ ﹁じゃあ、さっそくそうしてもらいましょうよ、トオルくん!﹂ だが、無邪気に喜ぶキリカとは違い⋮⋮俺は一瞬、逡巡した。 ︵⋮⋮本当にいいのか? オルトにこの操作をさせてしまっても̶ ̶︶ テレポーター ナナの新ボディになる素体を起動させるだけ⋮⋮転送装置の時と 違い、普通に考えればそれをさせたところで俺たちの不利になるよ うな事態が起こるとは思えなかった。 むしろ、俺としては合流前に戦力が増えて好都合という結果にな る。 あえて言うなら、オルトがそれを防ぐためにわざとボディを壊す 失敗 し続けるのも無理があるだろう。 という可能性だが、幸いこれだけたくさんあるのだから怪しまれず に次々 そもそも、あの転送暴発がオルトの意図したものかもしれないと いう憶測を裏付けるだけの証拠もない。 そして何より⋮⋮ナナの復活は、俺たちの悲願なのだ。 たとえオルトに借りを作ることになろうと、そのチャンスを逃す 気にはなれなかった。 972 ﹁わかった⋮⋮頼む。やってくれ、オルト﹂ ※ ※ ※ 遺跡室内の壁に、それぞれ少し離れてよりかかったキリカとリル ナ。 オルトによる起動作業が終わるまで、手持ちぶさたで待たされて いる形だ。 ︵トオル君はやっぱり、オルトのことを信用してないのね︶ 姫騎士の視線の先では、アーマーゴーレムが横たわる台座の上に 置かれたオルトを、鋭い視線で見守る⋮⋮いや、見張っているトオ ルの姿がある。 自分で動けない魔法生物を見張る人間というのも、奇妙な構図だ ったが。 ﹁ねぇ⋮⋮姫っちは、さ﹂ ﹁え?﹂ さっきまで再び黙りこくっていたリルナから、急にかけられた声。 相変わらずどこか様子の変な彼女を少し心配しつつも、気まずい 雰囲気を察して話しかけられずにいたキリカは、いささかホッとし た表情で元クラスメートの方を見て、 ﹁トオルっちと⋮⋮どーゆー関係なん?﹂ ﹁⋮⋮ぶっ!?﹂ 973 その思わぬひと言に、黒髪が舞い上がらんばかりの勢いで盛大に のけぞった。 ﹁か、かかか関係って⋮⋮な、なにそれ。どういう意味⋮⋮っ﹂ ﹁あー、うん。なんつーか⋮⋮も、文字通りのイミ?﹂ を思い出してしまったキリカは、瞬間湯 元クラスメートで、その時はほとんど接点がなくて、異世界で再 会して。 アレやコレ そして⋮⋮そして。 その先の 沸かし器のように頭のてっぺんまで昇って来た熱で、全身の肌が真 っ赤になるのを止められなかった。 ︵ううううう∼∼∼∼っっ、な、なにさっきのこととか意識しちゃ ってるのよ、私ぃ⋮⋮!︶ やっぱり声とか、扉ごしに聞かれちゃったりしてしまったのでは ないか⋮⋮と、心臓バクバク状態で目を白黒させる元クラス委員の 姫騎士。 本当はそれどころではないのだが、知らぬが花である。 リルナもまた、うっすら赤面しながら体育座りポーズでキリカを チラチラ見上げている。 ︵う、うぅ⋮⋮な、何か言わないと余計怪しまれちゃうし、えっと、 えぇとぉ⋮⋮っ!︶ 心臓が飛び出しそうな胸を深呼吸でなんとか落ち着かせるが、頭 の中は真っ白だ。 頼みのトオルも、今は離れた場所で完全にこっちからは意識を離 974 している。いつもの助け舟は期待できなかった。 ﹁よ⋮⋮よく、わかんない﹂ ﹁え?﹂ 目を泳がせつつ、ようやくキリカが絞り出したのは、その正直な ひと言だった。 ﹁私はまだまだあいつの⋮⋮トオル君のことも、ぜんぜんわかって ないし⋮⋮どう接したらいいのか困る時も多くて、言いたいことだ って色々あるけど、上手く言葉にできないことばっかりで⋮⋮﹂ 予期せずテンパった状態に叩き込まれたことで、キリカは今まで 口に出せなかったこと⋮⋮誰にも言えなかった内容を、思いがけず 素直な本音として吐き出していた。 水を向けたとはいえ予想外の反応に、今度はリルナが目を丸くす る。 ﹁だから、この関係が何なのかとかもはっきり決められなくて、こ っちが教えてほしいくらいで⋮⋮ああもう、何言ってるんだろう私 ⋮⋮っ!﹂ うつむいた顔を両手で覆い、ずるずる背中を壁に滑らせて座り込 んでしまう姫騎士。 まっすぐ床に垂れ下がった綺麗な黒髪の隙間から、茹だった耳た ぶが可愛くのぞいている。 ﹁⋮⋮あはっ。なんか、安心したぁ﹂ ﹁え⋮⋮?﹂ 975 キリカが見上げると、リルナのぽかんとした表情が一転、屈託の ないいつもの笑顔へとシフトしていた。 立ち上がり大きく伸びをして、ブラウスに包まれた豊乳を健康的 に揺らすギャル勇者。 ﹁いや⋮⋮少なくとも、サイアクの線はなさそうかなーって、ね﹂ ﹁??﹂ ﹁あ∼うん、こっちのハナシ。ゴメンね姫っち、ヘンなこと聞いち ゃってさ﹂ トオルが邪悪な魔隷術師かもしれないという、オルトの推測。 元クラスメートのセックスを目撃したショックからようやく少し 立ち直ったリルナは、その可能性を否定するため、まず二人の関係 性を明らかにしていこうと考えたのだ。 ︵⋮⋮うん。少なくとも、もしトオルっちが魔隷術師でも姫っちを ムリヤリどれーにしてるって線はないカンジだね、この反応だと⋮ ⋮ん? でも、ってことは⋮⋮︶ ということはつまり、さっきの激しい行為は完全に合意の上、二 人の日常ということになるのでは⋮⋮? それはそれで衝撃の事実だと気付き、ギャル勇者の心臓がどんど んビートを速めていく。 同時に、覗き見た淫媚な光景がまざまざと蘇り、不思議そうに首 をかしげて自分を見るキリカと、その時のキリカの別人のようにト ロけた表情が重なって⋮⋮! ︵∼∼∼∼∼∼∼っっっ!!??︶ ちょうど立ち上がったキリカと入れ違うように、今度はリルナが 976 へたへたと座り込んで真っ赤になった顔を覆う番だった。 ﹁?? た、橘さん⋮⋮えーっと? も、もしもし?﹂ サイドテールをぷるぷる震わせ黙りこくる謎の反応を前に、さっ きから状況がわからず、一人わたわたと慌てるキリカなのであった ̶̶。 ※ ※ ※ 巨大なボディが横たわる台座に乗せられたオルトを、俺はじっと 見つめている。 柄にはまった宝石状の部位を時々明滅させるだけ︵そうやってア クセスしているらしい︶の剣状魔法生物を、無言で凝視し続けると いうのはちょっと間抜けな光景だが、これも仕方ない。 まあ、見張っているぞというプレッシャーを与えることに意味が あるのだ。 ︵しっかし、想定はしてたけどやっぱりこいつも並以上の魔法抵抗 の持ち主か⋮⋮︶ 接触 することで、魔法抵抗の存在をすでに カフェで出会い頭のリルナにしたように、俺はオルトにもほんの わずかに隷属術式で 確認している︵備わった機能の一環だろうか?︶。 さすがにこいつまで魔法反射持ちという最悪の展開はなかったも のの、抵抗力がある以上、たとえば今隷属させようとしても術式の 行使途中でどうしても異変に気付かれてしまう。 そうなったが最後⋮⋮敵対行動と魔隷術師の正体を認識され、警 977 告の声を受けたリルナと俺たちは後に引けない戦闘状態に突入して しまうだろう。今の彼我戦力では、それは避けたかった。 ︵⋮⋮ま、とはいえ厄介なこいつを隷属させるって手も不可能じゃ ないと分かっただけマシか。仕掛けるのは、リルナの攻略法を突き 止めてからにしたいとこだけど︶ と、そんなことを考えていると、意外なことにオルトの方から長 い沈黙を破った。 ︿トオルさん。あなたと後ろの彼女は⋮⋮リルナと同じ異世界の出 身なのですよね﹀ ﹁ああ、そうだけど。今さらそれが何だ?﹂ ︿いえ。どのような世界なのか少し興味が湧いただけです﹀ 話術によるカマかけや牽制⋮⋮という感じでもない。 こいつが俺に雑談とは、意外なこともあるもんだ。 ﹁地球のことは、橘さんから聞いてるんじゃないのか?﹂ ︿聞いているといえばそうですが⋮⋮リルナの説明は、いささか情 と称する表現の基準もまったく理解できません﹀ 報が偏っていて要領を得ないことも多いのです。たとえば、彼女が かわいい ﹁ははっ、あ∼そりゃいかにもありそうな話だ﹂ 思わず噴き出す俺。 なるほど、このお硬い魔法生物サマも、ギャル勇者のマイペース っぷりには相棒として頭を悩ませていたらしい。 同じく彼女とのコミュニケーションを苦手としていた俺は、警戒 している相手という状況も忘れて、少しだけ親近感を覚えた。 978 ︿それに、リルナはさほど元いた世界に執着していない様子ですか ら﹀ ﹁まあ、あの前向き全力疾走な性格だからな⋮⋮どこでも住めば都 だろうさ﹂ 勇者として人助けをするという現状へのモチベーションも高そう だしな。 それにあの規格外ギャル勇者のことだ、もし逆に帰りたいと決心 したが最後、世界の壁を越えてでも無理を通してしまいそうなイメ ージすらある。 ︿では、あなたや彼女はどうなのですか?﹀ ﹁ん?﹂ ︿仮定の話として⋮⋮元の世界にもし戻れるとするなら、戻りたい ですか?﹀ 奇妙な質問が来た。 俺は、少し離れた壁際でなぜか顔を押さえてうずくまっているキ リカをちらっと見てから、ほとんど間を置かずに即答した。 ﹁キリカのことは知らないが。少なくとも俺は、帰りたいとはまっ たく思わないな﹂ 生きて などいなかっ 文字通り俺はあのバス事故で死に、そして生まれ変わった。 いや⋮⋮それ以前の俺は、自分の人生を た。今はそう確信できる。 だから、あの頃の自分とそれを象徴する不自由な世界に戻るとい うことは、俺にとっては単に死ぬことにも等しい。頼まれたってゴ メンだ。 979 ︿そうですか⋮⋮﹀ ﹁で、なんでそんな質問を俺に?﹂ ︿いえ⋮⋮少し、興味があっただけです。深い意味はありません﹀ こいつも案外と人間臭い魔法生物だな、と今さらながらに実感す る。 今のはどこか、あのナナの反応を思い出させた。 ︿⋮⋮もうじき素体の起動処置は終わります。問題なく、スペアの ボディとして運用できるでしょう﹀ ﹁そうか、ありがとう﹂ 少しだけ柔らかい声音で、オルトに礼を言っておく。 ようやく⋮⋮これでようやく、ナナを復活させることができるの だ。 そうして借りを返すことでやっと、俺はあいつへの負い目という 鎖に縛られることなく、これまで以上に自由に生き続けることがで きる。この世界で。 ﹁それにしても⋮⋮この新しいボディも硬そうだけど、俺の入るか な⋮⋮?﹂ ︿今、なんと?﹀ ﹁いや、こっちの話だ。気にするな﹂ まあ、約束は約束だ。 あの最期の時、俺とセックスしてみたかったと言ったナナに答え たように、無理矢理に穴をあけてでも望みどおりヤッてやるさ。 俺は決心を新たにすると、壁際のクラスメート二人に手を振る。 ﹁おーい、キリカに橘さん! 準備ができたようだから、念のため 980 こっちに̶̶﹂ 異変が起こったのは⋮⋮まさにその瞬間だった。 ぎぎぎッ̶̶ずずんッッ!! 異音、そして振動。 なんと、壁際に並んでいたアーマーゴーレムたちが次々と身を起 こし、巨体の足で床をしっかり踏みしめて立ち上がってきたのだ! ﹁なっ⋮⋮!?﹂ 腕や頭部をあらぬ方向に曲げながら動くそれらの姿には、ナナに あった生物的な暖かみのようなものは欠片もない。 まるで墓場から次々這い出してくるゾンビの群れだ。 ﹁トオルくんっ!? 一体何が⋮⋮!﹂ ﹁オルトっ、これってどーゆー事ぉ!?﹂ 我に返ってこっちに駆け寄ろうとするキリカとリルナは、巨体に 似合わぬ俊敏な動きで立ちふさがる何体ものアーマーゴーレムに行 く手を阻まれた。 ﹁オルト⋮⋮まさか、お前の仕業かッ!﹂ 反射的に、目の前の魔法生物を掴み上げようと手を伸ばす。 しかし手が届く直前、俺たちはさらなる異変を目の当たりにした。 なんと、その剣に似た細長いボディが爆発でもしたように内側か ら砕け散ったのだ! 981 ﹁う、ウソっ!?﹂ 相棒の身を案じる、リルナの悲壮な声。 だが、破片から自分の顔をかばいつつ、俺は見た。真実を見た。 本来の姿 となった、その全容 剣状のシルエットを構成していた大半のパーツが弾け飛んだ後、 残ったあの宝石状の発光部分⋮⋮ を。 ﹁ッッ!? それは、まさ⋮⋮か⋮⋮っ!﹂ そう。 謎の力で宙に浮く緑の球体は、あまりにも似ていた。 俺が後生大事に抱えた、ナナの中枢部たる赤い球体と、色こそ違 えどそっくりだったのだ。 ︿礼を言います⋮⋮リルナ、そしてトオルさん。ようやくこれで、 私は本来の使命を遂行することができます﹀ 抑揚のない、だがどこか満足げな声と共に、その浮遊する球体は ゆっくりと納まってゆく。 今まさに起動準備を終えたアーマーゴーレムの素体、その頭部へ と。 ﹁そういう⋮⋮ッ、ことかっ⋮⋮!!﹂ 俺はようやく気付いた。 それが、本当は誰のために用意されたものだったのかを。 復活のための新たなボディを必要としていたのは、ナナだけでは なかったということを。 リルナが背負っていた相棒は剣でも鞘でもなく、たまたま似たよ 982 うな形で残った古代の遺物だったということを。 そして、すべてが繋がった。 なぜオルトが、遺跡奥の探索にああも協力的だったのか。 なぜオルトは、遺跡内の転送装置や扉、予備ボディの起動を操作 することができたのか。 そしてなぜオルトは、強引な手段を使ってでもこの場に来る必要 があったのか。 ﹁マジで、オルト⋮⋮なの!?﹂ ︿前にも言ったはずです、リルナ。その名は本来の呼び名の略称に 過ぎないと﹀ 俺の眼前でゆっくりと立ち上がる、かつてのナナに似た巨体。 だが、そのモノアイ部分にはまった宝石状パーツは、どこか冷や やかな光を放っていた。 オルタナティブ ︿私は、あなたたちがナナと呼ぶ存在の同型機にして̶̶代替品。 彼女が本来果たすべきであった使命を、果たすモノです﹀ 983 58話:明かされる謎と、巨大なる変貌 ﹁トオルくんッ、そいつから離れて!﹂ キリカの薙ぎ払う剣閃が、行く手をふさぐ量産型アーマーゴーレ ムの2、3体をまとめて蹴散らす。 だがさすがに、俺のすぐ近くにいたオルトの方が早かった。 ﹁̶̶ぐぅぅッ!?﹂ 鋼の豪腕が俺の首を掴み、体が床から浮くギリギリの高さに軽々 と持ち上げた。 激痛と息苦しさで、隷属魔術を行使するための精神集中ができな い。 ︿そこまでです。それ以上近付けば、魔隷術師の首をヘシ折ります よ﹀ ﹁く⋮⋮っ!﹂ 俺の命を盾に使われ、キリカの動きが止まった。 事態の急変にさっきから呆然としていたリルナ同様、できるのは こっちを見つめることだけだ。 ﹁やっぱり⋮⋮俺が⋮⋮っ、魔隷術師だと、気付いてたんだな⋮⋮ ッ!﹂ ︿ええ、確証が得られたのはつい先程でしたが。そこの彼女の下腹 部に刻まれた、魔族の契約紋に似たモノ⋮⋮それはあなたが隷属魔 術によって彼女を支配している証ですね?﹀ 984 ﹁え!?﹂ ﹁姫っちが、トオルっちの⋮⋮魔隷!?﹂ 慌てて下腹部のあたりに手をやるキリカと、驚愕の反応を見せる リルナ。 こいつ、どこで愛隷の紋を見たんだ⋮⋮? まさか、透視能力の 類いでも持っていたのか。 いや、それよりも。 ﹁これってどういうこと、オルト!? だからってなんでいきなり トオルっちを⋮⋮てゆーか、その姿はナニ!? アタシには、そん なの全然何にも̶̶﹂ リルナの混乱が、オルトの正体も、こんな行動に出ることも知ら なかったと物語っていた。 対して、オルトの静かで抑揚のない口調は平常そのものだ。 ︿私の目的は最初から変わっていません、リルナ。あなたには私が 持つ情報のすべてを伝えていなかっただけです。そしてこの千載一 遇のチャンスに、あなたでは彼の⋮⋮魔隷術師の抹殺を躊躇すると 判断したまでのこと﹀ ﹁え⋮⋮﹂ 苦しい息の下、リルナの表情からだいたいの事情は読み取れた。 恐らく、もし魔隷術師だとハッキリしたらその時は俺と敵対する という合意が、オルトと彼女との間で成立していたのだろう。それ 自体は十分予想の範囲内だ。 そして皮肉にも、オルトが独断で実力行使に出た心理も俺には頷 けた。 985 どうにも、このギャル勇者は優しすぎる。お人好しすぎるのだ。 元クラスメートの俺を抹殺することを、いくら理性では納得して いてもいざ実際となるとためらってしまうだろう。その甘さを俺に 突かれてしまうに違いない。 ﹁待って、どうしてなの橘さん! なぜ魔隷術師を、いくら危険な ジョブだからって勇者のあなたが最優先で抹殺しなきゃいけないの。 教えて、橘さん!﹂ 俺の疑問を代弁するように、キリカが叫ぶ。 その質問には、依然として腕の力を緩めることなくオルトが答え た。 ︿魔隷術師こそが唯一、魔王と同等の脅威になる可能性を秘めてい 破天の骸 には意志がある。今はま るからですよ。魔王の遺産⋮⋮いや遺骸そのものである これ を̶̶隷属させることによって﹀ ※ ※ ※ ﹃感じる。感じるぞ、矢張り⋮⋮ だ、長きまどろみの中にあるが⋮⋮﹄ 雪のごとき白い裸体と、長く垂れ下がる同色の長髪。 妹フラミアからあらゆる色素を抜いたような瓜二つの肢体の持ち 主⋮⋮八冥家イヴリースは、みずからの右腕に一体化した水晶状の 破天の骸 が一定量、ひとつ処に集まった時こそ、あるい 組織を、紅の瞳で射るように見つめた。 ﹃この 986 は魔王の意志と呼べるものが蘇るのだろう。それこそが魔王の復活 ̶̶だが﹄ ゆっくりと、破天の骸を取り込んだ半透明の腕を握り込む。 しゃりん̶̶とガラスをこすり合わせるような音が鳴り響いた。 ﹃もし、もしもだ。魔王の意志、その覚醒が不完全なうちにソレを 支配できるものがいたら何とする?﹄ イヴリースの独白は、どこか夢見るような色を帯びていた 魔界の安定を望むミクラやヴラドヴェリが忘れて久しい、ギラつ く野望の色だ。 ﹃破天の骸を、魔王の力と肉体を、意のままに隷属させ操る者⋮⋮ それは、新たなる魔王そのものと果たして何が違うというのだ?﹄ ※ ※ ※ ︵まさかとは思ったがそういうことか⋮⋮! なるほど、そりゃ魔 魔王の意志 王の復活を阻止する勇者の使命としちゃ、確かに俺が最優先討伐目 標なワケだ⋮⋮っ︶ 破天の骸を一定量集めて融合させ、そこに生まれる を隷属させる。 もし俺にそれが実現できれば、当時の魔王と同等か、それに近し い力を振るうモノが現代に復活することになる。 だが、今はそれはいい。明らかにするべきは、もっと別の謎だ。 その事実を知るオルトは、そして同型機だというナナは、一体何 987 者なんだ? ︿あなたを殺すその前に。返してもらいますよ、我が同型機の中枢 ユニットを。これはあなたの持つべきものではありません﹀ 力の抜けた俺の手からこぼれた、赤い宝石球⋮⋮ナナの中枢部。 それをオルトは巨大な掌で注意深く受け止め、奪い取った。 私たち は、この世界の住人ではありま ﹁同型機? ナナちゃんがオルトの? そんなの、今まで一言も⋮ ⋮!﹂ ︿リルナ、私は⋮⋮いえ せん。あなたがた三人がそうであるように、異世界より来たる存在 です﹀ ﹁な̶̶̶̶﹂ 驚愕の告白。キリカのみならず、リルナも目を見開いた。 どうやら俺たちに聞かせた話と同様、古代遺跡に眠っていたとい う出自から、ただ古い時代に造られた魔法生物とばかり考えていた のだろう。 もちろん俺も、今この時までそうだと信じ疑っていなかった。 ︿数千年前に勃発した魔王と勇者の決戦。それは次元を歪めるほど に膨大なエネルギーがぶつかり合う戦いであったと、あなたたちも 知っているはずですね?﹀ 確かにそう聞いた。今俺たちがいるパラヴァータの浮遊巨岩遺跡 も、その影響でさまざまな地形や建造物がデタラメに入り交じり、 空間の法則すら乱れてしまった場所だ。 ︿超空間的な激突の余波は、次元を超えてとある別の世界にも深刻 988 破天の骸 の散った一部は な影響を及ぼしたのですよ。私や、あなたたちがナナと呼ぶ存在の 故郷となった世界。魔王の遺骸の破片 晶片獣 たちを生み出したのです﹀ シャードビースト その世界にも現れて、ヒトやモノを侵蝕したり、ちょうどこの遺跡 都市を襲っているのと同様の ﹁そ、そんなことって⋮⋮っ!?﹂ あまりに突拍子もないオルトの語り。 だが、言われてみれば、それは十分にあり得ることだった。 魔界とこの世界だって別々の世界同士だし、俺たちは地球からこ 骸 を研究することで っちに転生させられた。つまり超越的な力をもってすれば、世界の 境界線すら超えることは可能なのだ。 ︿辛くも晶片獣を殲滅し、その源となった 侵 の再発を恐れました。ゆえに世界を超えてそれほどの力を 事態の真相を知った我々の世界の住人たちは、当然ながらこの 略行為 危機の という使命を帯びた兵器端末を造り出し、世界を超 ユニット 及ぼせる脅威を、根こそぎ取り除こうと考えたのです⋮⋮ 源を排除する えて送り込むことによって﹀ ﹁それが⋮⋮オルトと、ナナちゃん⋮⋮!﹂ ︿正確には私たちだけではありません。アールマ・シリーズと呼ば れる全128機の独立ユニットと、そのスペアボディを兼ねた10 24機のスレイヴ・ユニット群を乗せた機動プラントが、ようやく 実験段階に達したばかりの次元転移技術によってこの世界に送り込 まれたのです﹀ アールマV7。それはニーナたちがナナを遺跡で発見した際、台 座に刻まれていた文字だ。 つまり、あの遺跡そのものが太古に異世界から送り込まれたプラ ントの一部だったわけか。そしてここも。 なら転送装置や扉をオルトが操作できるのも、こいつらを操れる 989 のも当たり前だ。 ︿ですが⋮⋮プラントは未知の次元転移の衝撃に耐えられませんで した。バラバラになってこの世界のさまざまな場所に出現し、ほと んどが消滅。それを免れたものも元あった地形と融合して、機能の 大半を停止しました﹀ 同時代 ならぬ 同世界 の元はひとつの存 似たような遺跡が世界中に存在していたのはそのためか。 もっとも、それが ボディ メモリー 在だったとは、この世界の誰も想像だにしなかっただろう。 メモリー ボディ そしていわば、ナナは奇跡的に無事な体を持っていたが記憶を失 い、逆にオルトは記憶を保持していても自由に動ける体を喪失して いたのだ。 に取り込まれなかったのはっ、 破天の骸 ﹁ナナの体が⋮⋮っ、 対策 が、施されてたんだな⋮ そういうカラクリか⋮⋮! 元々 ⋮!﹂ ︿ええ。幸い、私たちの世界に現れた骸の欠片が研究材料となりま したから﹀ 苦しい息の下から、俺の首をがっちり掴んだオルトに吐き捨てる。 破天の骸を根絶するという使命を負わせて送り込む端末には当然、 その侵蝕能力への対抗手段を持たせておこうとするだろうからな。 ︿私の目的は最初から、破天の骸と魔隷術師の消去。そしてそのた めに必要な自律行動できるボディを取り戻すという悲願も、この遺 跡⋮⋮パラヴァータの深部に融合した、失われたプラントの中枢部 をついに発見することで果たすことができました﹀ ﹁じゃあ⋮⋮じゃあオルトは、アタシと一緒に悪い魔族をやっつけ てこの世界の人たちを助けて回る旅のことなんか、本当はどーでも 990 よかったワケ!?﹂ リルナの悲痛な声。 性格の反りが合わないとはいえ、これまで信頼し共に旅してきた 相棒に裏切られる形になったのだ、無理もないだろう。 ︿あなたの魔族退治に協力していたのは、高位の魔族なら破天の骸 と魔隷術師の情報を知っている可能性が高いからでした。要は利害 の一致です。そして魔隷術師を倒すという一点においても、私たち の利害は一致していたと思っていたのですが⋮⋮?﹀ ﹁利害とか、アタシはそんなつもりで一緒にいたワケじゃあ⋮⋮!﹂ 今にも泣きそうな顔のリルナには、理解できないのだろう。 には。 自分に得がなくとも無償で誰かを助けてしまえる、根っからの 勇者 ましてや、相手は目的を遂行することを存在意義として造られた、 冷たい人造の知性なのだ。 そして、オルトに善悪はない。 むしろこいつを造り出した世界からすれば、やろうとしているこ とは正当性のある報復行為ともいえる。 どこまでも正義の勇者であるリルナは俺同様、オルトとも本気で の。 戦うことはできないだろう。そうでなくとも、相棒というこれまで の思い入れがジャマをする。 悪の魔術師 なら⋮⋮ならば、これは俺の役目だ。 ヤツと戦うのは俺のような、 ﹁それで⋮⋮ッ、これから何をするつもりなんだ、オルト⋮⋮?﹂ ︿何、とは?﹀ 991 ﹁とぼけるなよ⋮⋮このプラントとやらに、あるんだろ? その、 わざわざ俺の首を掴んでヘシ折るくらいしかできないボディと違っ て、もっととんでもない力を持つ兵器が⋮⋮!﹂ ︿̶̶̶̶!﹀ 次元を超えて、魔王の遺産を根こそぎ滅ぼすために送り込まれた 異界の兵器。 ナナには失礼だが、たとえ同等のアーマーゴーレムが百体や千体、 もし全機健在だったところで果たして十分な戦力といえるだろうか? ただ骸の欠片を回収して始末するだけなら確かにそれで事足りる かもしれない。 だがこちらの世界がどうなっているか分からない以上、強大な力 を持つ骸の所持者︵現状ならまさにイヴリースだ︶や妨害者、いや 復活した魔王そのものと戦う可能性すらあるのだ。 綿密な計画を立ててオルトたちを送り込んだに違いない連中が、 それを考慮しなかったとは到底思えない。 そして何より、そうでなくてはこのタイミングで行動を起こした 説明がつかない。 俺を殺せば終わりじゃなく、すべての骸の欠片を根絶するのがオ ルトの任務である以上、勇者リルナという協力者を切り捨てても構 わないだけの戦力を得られる算段がすでにあるはずなのだ。 ︿⋮⋮やはり貴方は危険な存在です、魔隷術師トオル。お気の毒で すが二重の意味で、生かしておくわけにはいかなくなりました。こ れ以上こちらの事情を話したところで、リルナの心変わりも期待で きないようですし﹀ ﹁ぐっ⋮⋮がッ!?﹂ 今までのが説得のつもりだったのかよ機械頭、と突っ込む余裕も 992 ない。 みしみしッ⋮⋮と、首にプレス機のような圧力が無慈悲にかけら れていく。 破天の骸 を持っているかどうかは、その後でゆっくり 激痛に視界が明滅し、意識が遠くなる。あと数秒で、俺は死ぬだ ろう。 ︿貴方が 突き止めても遅くはありません⋮⋮!﹀ ﹁と、トオルくんッッ!!?﹂ ﹁や⋮⋮やめてぇぇぇっっ、オルトぉぉぉぉっっ!!﹂ 叫ぶ二人のクラスメートと、俺たちとの距離は決定的に遠い。 彼女たちがどんな手段を講じようと、俺の首がぽっきり折られる 方が早い。 まさに絶体絶命。 だが̶̶俺にはそれでもまだ、たったひとつの切り札があった。 ︵借りを作るのは不本意だけど、使わせてもらうぞッ⋮⋮エロ狐ぇ っ!!︶ 心の中で叫び、弱々しく握った拳をオルトめがけ突き出す。 あの妖狐天仙ミクラからセックス勝負の後にもらった、勾玉のつ いた腕輪を。 それだけでいいという確信があった⋮⋮そして、その通りになっ た。 ︿な⋮⋮これは!?﹀ ばちんッ、という破裂音。 993 突然、ウソのように苦痛から解放された俺は、腕輪が発する半球 状の光が自分の体を包み込み、宙に浮かせているという状況を認識 した。 オルトが巨体の腕を伸ばすが、光のバリアは接触面で火花を散ら してそれを阻む。 ブリリアントバースト ﹁げほ⋮⋮ッ、今だキリカぁっ!!﹂ ﹁我が剣に来たれ、破邪の霊光⋮⋮聖光爆濤破ッッッ!!﹂ ︿̶̶̶̶!!﹀ 俺が叫び終えるよりも早く、キリカは阿吽の呼吸で聖騎剣技の奥 義を放っていた。 赤い魔力の奔流が怒濤となって、間に立ちふさがっていたアーマ ーゴーレム、いやスレイヴ・ユニットとやらを十体近くまとめて吹 き飛ばす。 オルトの操る意志なきスペアボディに過ぎないとはいえ、ナナに 似た姿が粉々になるのはあまりいい眺めではないが仕方ない。 ﹁さすがチャージしたての愛隷、想像以上の威力だなっ!﹂ ﹁い、今そんなこと言ってる場合!? トオルくん、早くこっちに !﹂ サークル・エアリアル 敵陣に穿った穴を天翔輝円の水平跳躍で駆け抜け、オルトと俺め がけて距離を詰めつつ叫ぶキリカ。 俺は大丈夫だ、それよりもオルトを⋮⋮と叫ぼうとしたが、敵の 判断も早かった。 俺を守る魔力球の破壊を諦め、緑眼のアーマーゴーレムは巨体に 似合わぬ素早いステップで後方に下がる。 と、その足下の金属床が回転しつつ円形にせり上がり、見覚えの ある光がオルトを包んだ。 994 テレポーター ﹁くそっ、この部屋にも転送装置があったのか!﹂ 何の事はない、いざという時の逃げ道を確保してからの行動とい うわけだ。 残ったスレイヴ・ユニットたちがキリカから主を守る盾となって、 強引に阻止しようにも間に合わない。 ︿魔隷術師トオル⋮⋮この悪あがきも、最終的な結果を何ら変える ものではありませんよ﹀ ﹁それはどうかな、やってみないとわからないだろ。現に今、計算 違いが生じたじゃないか﹂ 緑色のモノアイが俺に向ける眼光は、どこまでも変わらず冷たい。 だがそこに、一抹の苛立ちや怒りに似たブレが混じっているよう に見えたのは、果たして俺の錯覚だったろうか。 ともあれはっきり確かめる暇もなく、転送装置の光に包まれた巨 体は消え失せた。 ﹁逃がしたか。おそらく、こっちから装置を操作するのは無理だろ うな⋮⋮﹂ 溜め込まれていた魔力を使い切ったのか、俺の体を包んでいた腕 輪の光が消え失せる。 床に降り立った俺を、スレイヴ・ユニットたちから守ろうと剣を 構え直すキリカだったが、意外にも連中は糸が切れた操り人形のよ うに機能を停止し、その場に崩れ落ちた。 ﹁え、どうして動きが止まったの? ガス欠?﹂ ﹁もう、足止めで時間稼ぎをする必要もないってことだよ。こりゃ、 995 急いで脱出しないとたぶんまずいな﹂ 言うが早いか、俺の悪い予感は的中した。 次第に強さを増す振動が、部屋全体を⋮⋮いや、遺跡自体を揺ら し始めたのだ。 宙に浮かんだパラヴァータに地震は有り得ない。これはオルトが 発生させた何かだ。 ﹁もしオルトがこの遺跡の機能を掌握できているとすれば、俺たち は敵の腹の中にいるのと同じだ。最悪、部屋ごと折り畳まれてぺし ゃんこにされかねないぜ﹂ ﹁怖いこと言わないでよ。じゃあ急いで脱出方法を探さないと!﹂ オルトが転送装置の先でどんな戦力を手に入れるのか気掛かりだ が、そこに行く手段がまるでない以上、一旦退却するのが先決だ。 その見通しも不明、ナナの中枢ユニットも奪われてしまうという 踏んだり蹴ったりの状況だが、もちろん俺はここで何一つ諦めるつ もりはなかった。 オルトの行動の正当性はどうでもいい。ナナを取り戻し、俺を殺 そうとした敵対行為には報復をもって応える。それだけだ。 と、まるでその決意に呼応するがごとく、轟音を立てて背後の壁 に大穴が開いた! いよいよ遺跡崩壊か⋮⋮と身を硬くするが、続いて飛び出したの はまったく予想外の声だった。 ﹁けほっ⋮⋮こっこら、加減をせぬかフラミア! すぐ先にトオル がおったらどうする気じゃ!﹂ ﹁えー、これでも手加減したんだけどなぁ∼? ⋮⋮って、お兄さ んいるじゃーん! わーい!﹂ 996 驚く間もなく、ロリ魔族の軽い体が満面の笑顔とともに俺の胸に 飛び込んで来た。 パルミューラの後ろには、ニーナやセレスタたちパーティの姿も 見える。 ﹁みんな、どうしてここに!?﹂ ﹁というかパルミューラとフラミアは、魔気船に残ってたんじゃな かったの?﹂ ﹁うむ、それがフラミアのやつ、どうしても皆を手伝いたいと言い 出しての。わらわの判断で、共に後を追うことにした⋮⋮じゃから、 責任はわらわがとる。も⋮⋮もしお仕置きを下すなら、わらわ一人 に、の?﹂ 赤くなってもじもじしながら告げるパルミューラ。 こいつ、お仕置きを食らいたいだけじゃないのかという考えが頭 をかすめたが、その判断が結果的に俺たちを救ったのは間違いない。 ﹁で、あれから転送装置を調べてたとこに、この二人が追いついて きてさ。幸いマスターが魔隷の繋がりを通して呼びかけてくるだい たいの方向はわかったから⋮⋮﹂ ﹁強引に、間の壁を何枚か吹っ飛ばしてきたってわけか! そのム チャはフラミアの発想か?﹂ ﹁あたしじゃないよー、シエラだよー﹂ ﹁非常時だから⋮⋮⋮⋮手段は、選んでられない﹂ いつもの一見クールなポーカーフェイスで、ぐっと親指を立てる シエラ。 相変わらず、無口な割に大胆な発想をするなあ、このおっぱいエ ルフ。 997 ﹁ま、ともあれ結果オーライか。ニーナ、脱出経路は確保できてる のか?﹂ ﹁はい、バッチリです! なんだか遺跡が揺れてるみたいですし、 早く出ちゃいましょう!﹂ ﹁うむ。そうと決まればキリカも、リルナ殿も早くこっちに⋮⋮リ ルナ殿?﹂ さっきから黙ったままのリルナに声を掛けたセレスタが、怪訝そ うな顔に変わる。 事情を知らない皆からすれば、無理もない。 別れる前とは違い、エネルギーと明るさを太陽のごとく有り余ら せていたあのギャル勇者が力なくうつむき、輝いていた表情を曇ら せているのだから。 ﹁オルト⋮⋮どうして⋮⋮っ!﹂ ※ ※ ※ 遺跡から脱出した俺たちの報告を受けた副市長レイフェルの行動 は、迅速だった。 市長への報告と平行して市民に緊急避難勧告を出し、パラヴァー タの浮遊巨岩部分とその周辺に住む人々を一旦離れた平地にまで退 去させたのだ。 次第に強さを増す謎の揺れに、いくらトラブル慣れしている剛胆 なパラヴァータの住人たちですら異変を感じ取っていたため、なん とかパニック寸前で避難が完了した、まさにその直後。 998 ﹁ご覧下さいトオル様、パラヴァータが!﹂ ﹁おいおい⋮⋮マジかよ、こりゃ⋮⋮!﹂ リルナも加えて乗り込んだ魔気船の窓から、システィナ姫が眼下 の異変を指差す。 変形 しつつあったのだ。 始まった事態は、さすがに想像を超えていた。 巨大な縦長の浮遊巨岩が、ゆっくりと 天地をつんざく地響きと共に無数の割れ目がその表面に走ったか と思うと、まるで花のつぼみが開くように岩塊が四方に裂けて、内 側から何かがせり上がってくる。 外壁に張り付いた無数の構造物が、変化に耐えきれず次々と崩壊 してはスローモーションのように地面めがけ落ちていく。 ﹁まさかあれが⋮⋮あの中に入ってた遺跡全体が、そうなのか!﹂ ﹁オルトが言ってた、プラントってやつの中枢部なの!?﹂ だとすればパラヴァータの巨岩が重力に逆らって浮遊していたの も、魔王戦争時代の秘術の遺物などではなく、その後に送り込まれ てきたナナやオルトの世界のテクノロジー⋮⋮おそらくこの世界よ り遥かに進んだ、超技術と魔術のハイブリッドが生み出した産物だ ったのか。 だとしても不思議はない、この世界の人間にその両者を区別など できなかっただろうから。 そして、花のおしべのように巨岩の中枢からせりあがってきた高 層ビルほどもある金属柱、あの遺跡内通路と同じ色をした物体が複 雑に変形し、何かを形作る。 それは人型の上半身。 どこかナナやオルトのボディにも似た、いびつな巨人の上半身だ 999 った。 そいつ は巨大な腕をゆっくりと天空に差し伸ばし、無数の弦 ︿オォォォ⋮⋮オォォォォォ⋮⋮ッッッ!!﹀ 楽器をデタラメにかき鳴らすにも似た大音声で吼えた。まるで産声 のように。 地球の怪獣映画かロボットアニメ、あるいは大作ファンタジーR PGの終盤ムービーシーンでも見せられているかのような一連の光 景に、しばらく誰も言葉を発せなかった。 ﹁⋮⋮おいおいマスター、ありゃ一体全体なんなんだよッ!?﹂ ﹁わからない。わからないが、ひとつだけハッキリしていることが ある﹂ 今や、遺跡都市パラヴァータそのものが、俺たちの敵となったの だ。 1000 58話:明かされる謎と、巨大なる変貌︵後書き︶ こんな状況ですが次回はエロシーンですよ 1001 59話:嵐の前の宴と、攻略の手段 夕暮れの中、遠近感が狂うほどの巨大さでパラヴァータの中央に そびえ立つ、いびつなヒトの上半身に似たシルエット。 今や、その存在を内包していた浮遊岩塊は大地に落着し、潰れた 花弁にも似た形で四方に残骸を広げている。岩塊の内外問わず無数 の家屋が犠牲になったが、避難誘導がギリギリ間に合ったのは副市 長レイフェルの有能さの証明といえるだろう。 巨人は、樹齢数百年の大木を何十本も束ねたような太い両手を、 天空に差し伸ばしたままの姿勢でぴくりとも動かない。まるで地面 から生えた不気味なモニュメントのようだ。 時折、鋼鉄とも岩ともつかないその体表の低い位置めがけ、光る 物体が降り注いでは弾けている。元素魔法によって生み出された火 球や電撃、強化された矢や砲弾などだ。 だが、遠巻きに巨人を囲む冒険者たちやパラヴァータの駐屯兵力 が繰り出すその攻撃は、こびりついた岩塊の残骸を剥がすことはで きても、巨人そのものにはまるで損傷を与えられていなかった。 ﹁チクショウ、まるで俺らのことなんざ眼中にないって感じじゃね ぇか⋮⋮!﹂ 少し離れた丘の上からその光景を眺めつつ、斧戦士の青年サイネ クが舌打ちした。 トオルパーティの華々しい戦いを見てすっかり自信を喪失した彼 だったが、今後の身の振り方に悩んで遺跡都市をぶらぶらしている うちにこの事態を迎えてしまったのだ。 1002 ﹁実際そうでしょうな。先刻、パラヴァータ虎の子の軍用魔気船が 頭部らしき場所に砲撃を加えておりましたが、傷ひとつつけられな い様子でしたぞ﹂ つるりとした頭を撫でながら嘆息を漏らす、パーティメンバーの 神官戦士シャソス。 ハーフエルフの女盗賊ジュノが、幼馴染みでもあるサイネクの脇 を心配顔で小突いた。 ﹁ねぇ、さっさと逃げなきゃヤバいんじゃないの? 今は止まって るけどさ、あんなの動き出したらひとたまりもなく巻き込まれるよ ?﹂ ﹁ジュノ嬢ちゃんの言う通りじゃ。どうやらここも安全ではないよ うじゃぞい、サイネク坊﹂ ﹁おいおい⋮⋮これ以上何が起こるってんだ、リクシーノのじいさ ん?﹂ 遠視魔法︵ニーナの持つ遠見の片眼鏡にエンチャントされている ものだ︶で、地面に半分埋まった巨人の腰付近を拡大して見ていた 老魔術師リクシーノが、さらなる異常事態を告げた。 シャードビースト ﹁晶片獣じゃ。奴らが巨人の中からわらわら湧き出て来て、内部へ の侵入口を探そうとしておった冒険者連中を襲い始めておる!﹂ ﹁ま、マジかよ!?﹂ シャードビースト だとするとあの巨人は、晶片獣の親玉なのか? それとも、物言わぬ水晶の魔獣たちを支配し、統率する力を手に したとでもいうのか? そしてもし、あの巨人が今は力を蓄えているだけだとしたら。 本格的に動き出した時にこの周辺は⋮⋮周囲の国々は、一体どう 1003 なってしまうのか? 誰がそれを止められる? ﹁まあ、いずれにせよこの遺跡都市はもう終わりじゃろうなあ⋮⋮﹂ ﹁くそっ⋮⋮! こんな時に、あいつは何してるってんだよ﹂ ﹁あいつ? あいつって?﹂ 歯嚙みするサイネクの脳裏にあの、まだ少年の面影を残した少し 目つきの悪い青年⋮⋮綺羅星のような美女、美少女たちを従えた謎 のパーティリーダーの姿が浮かぶ。 嫉妬と他力本願の感情だけでなく、ひょっとしたら彼とその一行 ならこの危機をなんとかしてくれるのではないか̶̶という一縷の シャードビースト 期待があった。 巨大な晶片獣どもを物ともせず一蹴した、あの戦乙女たちならば。 だが、彼と彼女たちが戦線に現れる気配はない。 ︵まさか、逃げたのか⋮⋮? 違う、きっとあの巨人と戦うための 準備をしているんだ。そんな気がする⋮⋮いや、きっとそうだ、そ うに決まってる! なあ、そうなんだろ?︶ 自分とパーティの皆の命を救ってくれた戦乙女たち、特に黒髪を なびかせた騎士装束の美少女の可憐な戦いぶりに魅了されたサイネ クは、どこか祈るような面持ちで空を見上げた。 その視線の先には、民間用の魔気船が一隻、静かに浮かんでいた。 ※ ※ ※ いれ ﹁ふぅ⋮⋮待たせたなセレスタ、んじゃ次はお前に挿入るぞっと﹂ 1004 ﹁ちょ、ちょっと待てっ! というか誰も待ってなどっ⋮⋮ふぁ、 あぁぁぁんっっ!!?﹂ 色んな液体にまみれたチンポを、女騎士の膣内に対面座位でぬぶ ぬぶと沈めていく心地よい抵抗感。 すぐ隣では、全裸のキリカとアメリアが汗まみれで荒い息をつき ながらぐったりと、巨大なベッドに倒れ込んでいる。 二人の太ももの間からゴポッとあふれた濃ゆい白濁液は、すでに たっぷり中出し済みだという証明だ。 ﹁きっ貴様! あの巨人がいつ動き出すか分からないというのに、 こんな破廉恥なことをしている場合ではっ、んぁっんひゃんっっ! ?﹂ ﹁逆だぜ、セレスタ。むしろ今だからこそ、キリカだけじゃなく魔 隷たち皆にこうやって俺の魔力をチャージしておかないとなっ!﹂ すっかりメスとして開発されつつある柔肉の奥めがけ腰をずんず んとリズミカルに打ち込んでやると、俺を睨もうとしていたツリ目 気味の顔が﹁へにゃっ﹂と崩れた。 言葉と裏腹に、愛撫に反応してトロトロに蕩けた女騎士の膣内で は、ピストン運動に反応して収縮を始めた子宮が降りて来て亀頭に ちゅうちゅうと密着キスをせがむ。 ﹁そーそー。いいじゃんセレスタぁ、きもちいーこと嫌いじゃない クセにぃ? あっ、エンリョしてるんなら素直になれるよーにあた しが手伝ってあげるねっ﹂ 背後からぴょこんと顔を出したフラミアがいきなり、キリカほど ではないが豊かな乳房に吸い付いて、ちゅーちゅーと右の乳首を吸 い始めた。 1005 ﹁やっ、やめろフラミア! そっ、そんなことをしても私は乳など まだ出なっ⋮⋮いぃっっ!!? ひっ左側もぉぉっっ!?﹂ ﹁おお、確かに出ないがなかなか美味いな、この乳首﹂ ﹁でしょでしょお兄さん! セレスタっていつもピシッてしてるの にこうゆうトコはかわいーよねっ!﹂ ﹁だっ誰が可愛ッ⋮⋮ふぁあ!? ふっ二人で私の胸をオモチャに するなぁぁ!? あぁぁっ、乳首もあそこも熱くなってっ、変な気 持ちにされてしまうぅ⋮⋮ッ!!?﹂ 少女魔族に倣ってもう片方の乳首を強めに吸い、時に軽く歯を立 ててセレスタをのけぞらせながら、俺はさらにえぐり込むような腰 使いを加速させる。 敏感な突起への刺激によって濡れ具合と締め付けを余計に増した 女騎士マンコは、ただでさえ弱点だらけの感じやすい粘膜を俺のチ ンポの前にすべてさらけ出していた。 ﹁おやおや、濡れ具合も締め付けも激しくなってきたぞ。妹みたい に可愛がってるロリっ娘に乳をイジられて興奮するとは、騎士様は そっちのケがあるのか?﹂ ﹁ううっ、ち、ちがっ⋮⋮!?﹂ ﹁ふ∼ん、あたしの感じてくれてるなら嬉しーなぁ。あたし、セレ スタ好きだよ? 一緒に気持ちよくなろ?﹂ ﹁そ、そういうことではっ⋮⋮んあぁぁあっはぁぁぁうぅぅ!!?﹂ 親愛の情と性的な興味にあまり区別のない黒髪ロリ魔族は、普段 からなついていた相手であるセレスタめがけ、ちっちゃな指や舌を 駆使してより一層イタズラを仕掛けにかかる。 ただでさえ生真面目でカタブツな女騎士は背徳的な状況に余計追 い込まれ、美女と美幼女が絡み合う光景に、俺のチンポもますます 1006 元気になるって寸法だ。 しかも、セレスタにとっての伏兵はそれだけではなかった。 ﹁セレスタ⋮⋮⋮⋮ガマンは、良くない⋮⋮⋮⋮はむっ﹂ ﹁しっシエラっ!? お、お前まで何をっ⋮⋮やっあっ!? みっ 耳はやめてへぇぇっっ!?﹂ ﹁だって⋮⋮⋮⋮セレスタがイッてくれないと、主さまがシてくれ ないから﹂ 自分の番が待ちきれなくなったのか、全裸の巨乳エルフまでポニ テ騎士に寄り添い、汗の浮いた鎖骨をフェザータッチで愛撫しつつ 敏感な耳たぶを甘嚙みするという援護射撃を始め出した。 少し離れたベッドの端では、宴に乗り遅れたパルミューラが内股 をすり合わせながら熱っぽい眼差しをちらちら向けてくる。魔貴族 のプライドが邪魔をして自分からは言い出せないが、場のイヤらし い熱気にあてられてすっかり発情しかかっているのは明白だ。 ﹁まったく、堪え性のない魔隷どもだなぁ。じゃあシエラは一足先 にベロチューだ。おら、パルミューラは四つん這いになってこっち に尻突き出せ。お前の大好きな穴をかき回してやるぞ﹂ ﹁主さまとべろちゅー、嬉しい⋮⋮⋮⋮んぅっ、んちゅぅぅっ!﹂ ﹁ううっ、わらわだけ妙に扱いが乱暴ではないか⋮⋮っ? んひっ、 ひっひぎぃぃぃ!? いっ、いきなり指っ奥までぇぇぇぇっっ!! ?﹂ 背中に密着するシエラのエルフ爆乳のずっしりむんにゅり感を堪 能しつつ、柔らかい唇をついばみ、ねっとりと舌同士を絡め合わせ る。 かと思えば、もう一人の魔貴族のセックス専用に調教しつくして やった尻穴を無遠慮にほじくり回し、驚くほど熱い直腸粘膜の抵抗 1007 感を指で楽しむ。 もちろん、そうしている間にもセレスタの、何度も小刻みに軽イ キ痙攣を重ねていく女騎士マンコを楽しみながら⋮⋮まさに多人数 ハーレムプレイの醍醐味ここにありだ。 ﹁うっ⋮⋮出遅れてしまいました﹂ ﹁安心しろニーナ、セレスタとパルをイかせたら次はお前に挿入し なか てやるから⋮⋮なっ!!﹂ ﹁ひぐっっ!!? な、膣内の動きが急に早くっ、そっそんなズン ズンされたらぁぁっ、んはぁあぁぁああっっ!!?﹂ ﹁ふっふん、わ、わらわがそう簡単に尻穴で気をやると思うたら大 間違い⋮⋮ッ!? ゆっ指二本に増えッッ!!? だ、ダメじゃそ れされたら駄目わらわダメになるぅぅぅっっ!!﹂ ﹁いいな∼、セレスタもパルも気持ちよさそー。後であたしもお兄 さんにやってもらおっかなぁ﹂ フラミアが興味津々のキラキラ目で見つめる中、口ばかり達者な アナルマゾ貴族様を即イキに追い込みながら、両手を使えないぶん 下半身そのものの重さを叩き付けるようにして、セレスタの子宮口 めがけ熱した肉棒を打ち込む。 二人の熱気に当てられたのか、シエラが一層情熱的に舌をねぶり 絡めてくる中、俺の腰にもグツグツと熱い塊がこみ上がってきた。 なか ﹁くぅぅッ、そろそろ出すぞセレスタっ! 俺にぶちまけられて子 宮で精子浴びた瞬間にイケっ、俺のチンポで膣内イキしろッッ!!﹂ ﹁あぁぁ∼∼∼っっ、んあ¨ぁあ¨∼∼∼∼ッッッ!!? ああっ イクっイッてしまうぅぅっっ!!? こんな最低なはずの男に精液 注がれてっ、皆に見られながらまたっ、またイくぅぅぅぅんっっっ !!?﹂ 1008 どくんッッッ⋮⋮んびゅるるるぅぅぅぅっっっ!! びゅくどくんっっ、びゅくくんっっ!! どぷどぷぅぅぅんッッ !! 隷属命令ではなく、ただ言葉で命じただけだが、身も心も押しに 弱いセレスタはドクドク注がれるオスの熱い液体で子宮の奥までど ろどろにされながら、亜麻色のポニーテールを振り乱して絶頂にイ キ狂った。 最近デレてきたキリカと違ってまだ嫌がるそぶりの強いセレスタ に、ムリヤリ中出しをぶちまける背徳的な征服感はこれだからたま らない⋮⋮と、両人に聞かれたらダブルで殴られそうなことを考え つつ、俺は放出の快感に酔いしれる。 ﹁すっかり俺とタイミング合わせて一緒にイクのが上手くなっちゃ ったなぁ、セレスタ? 喜べ、そっちの技量じゃそろそろキリカに も負けてないぞ﹂ ﹁ば、馬鹿者⋮⋮っ! そ、そんなの比べるな最低男ぉ⋮⋮んっ、 んちゅぅぅ⋮⋮っ﹂ シエラから一旦唇を離し、涙の筋に髪の毛が何本か張り付いた、 女騎士のイキたての色っぽい顔をそっと抱き寄せて舌を絡める。こ ういう時にはセレスタはあまり抵抗しない。 と、顔と顔の間にふくれっ面のフラミアが割り込んで来た。 ﹁セレスタってば、キス長くてずるーい! お兄さん、次はあたし とちゅーしよーよぉ?﹂ ﹁シエラも⋮⋮⋮⋮もう一度、主さまとキス⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁わ、わらわまだイッておらぬのにっ、このままじゃ生殺しじゃぁ ぁ⋮⋮!﹂ ﹁あーわかったわかった、とりあえず二人ずつイカせるから⋮⋮ニ 1009 ーナ、精力強化エンチャントをもう一段階頼む﹂ ﹁了解ですっ!﹂ わいわいと群がってくる魔隷たちめがけ、あらためて俺はベッド の上で向かい合った。セレスタの派手な痴態にあてられたのか、心 なしかみんな普段より欲情しているようだ。 贅沢な感想だが、こりゃ順番に一周するだけでもなかなか手強そ うだ̶̶。 ※ ※ ※ ﹁ふぅ、さすがに魔隷全員分となると大変だな⋮⋮﹂ ﹁お疲れさまですわ、トオル様﹂ 俺は魔気船のキャビンでソファーに横たわり、システィナ姫のボ リューミィなロイヤルおっぱいを枕代わりに上半身を預けて、さっ きまでのプレイの疲れを癒していた。 後頭部を包むやわっとした感触は、まるで巨大なふたつの水風船 ならぬミルク風船だ。 ﹁それで姫、リルナの様子はどうです?﹂ ﹁ディアーネ様がついていますが、船室に閉じこもったままで⋮⋮ さすがに色々とショックだったのでしょうね﹂ ﹁まあ、無理もないか。ずっと信じてた相棒に裏切られた形になる わけだからな﹂ さっきは皆に不安を与えないためにああ言ったが、実際のところ 今の俺達であのオルトに対抗できるかといえば、かなり分が悪いと 1010 言わざるを得ない。 副市長レイフェルからの報せによれば、相当の高レベル冒険者た ちを擁するパラヴァータの全力をもってしても、岩塊の巨人には損 傷ひとつ与えられていないのだ。 それに加えて、あの圧倒的な火力。 たとえキリカたちをフルパワーで特攻させても、猛烈な反撃でカ トンボのように落とされてしまうだろう。おそらく中心部にいるオ ルト本体に辿り着くまでもつとは到底思えない。 今の リルナなら、たぶん結果はあまり変わらないだ ﹁リルナさんにさえ協力して頂ければ、光明も見えるのですが⋮⋮﹂ ﹁いや⋮⋮ ろうな﹂ 勇者としてのリルナの実力をもっとも正確に把握しているのは、 パートナーとしてずっと一緒に戦っていたオルトだ。 そのオルトが、リルナと敵対するという選択肢を選んでまで、パ ラヴァータ巨岩の中枢部に隠された異世界の兵器⋮⋮プラントとや らを手に入れることを優先した。 つまり言い換えれば現状のリルナでは、いやリルナと俺たちが共 闘して立ち向かったとしても、今のオルトを討ち滅ぼすには戦力不 足ということになる。 ﹁だが、おそらくそれを覆す例外がひとつある﹂ ﹁それは⋮⋮トオル様がリルナさんを魔隷にして、その力を強化し た場合⋮⋮ですわね?﹂ すぐに俺の言いたいことを把握する姫は、やっぱり聡明な人だ。 ﹁ああ。だが言うまでもなく、それを実現するにはリルナの持つ魔 法反射能力が壁として立ちふさがってくる。隷属術式のリンクを確 1011 立できなければ、強化自体が不可能だ﹂ オルトもそのことを計算に入れていないはずはない。 だからこそ俺たちとリルナを共に逃がしてもなお、ああやって悠 長にエネルギーのチャージか何かを進めているというわけだ。まっ たく腹が立つぜ。 ﹁では、現状を打開する決定的な手は無い、ということなのでしょ うか?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮﹂ システィナ姫の、少し心配そうな顔がおっぱい枕の上から覗き込 んでくる。 俺はその問いには、無言で答えた。 なぜならば̶̶。 ﹁⋮⋮手は、あるのですね?﹂ ﹁っ!?﹂ だしぬけに姫が発したのは、確信をこめた言葉。 大粒のエメラルドのような美しい瞳が、真上から俺をまっすぐ見 つめている。 ﹁もし間違っていたら、ごめんなさいまし。わたくしには、トオル 様が打開策を思いつかないのではなく、思いついてはいても実行に 移すのを躊躇している⋮⋮そのように思えましたわ﹂ ﹁⋮⋮かなわないな、システィナ姫には﹂ ロイヤル乳枕に乗せた頭をぐみゅっと横に向けると、柔肉が面白 いように変形して、短く﹁あんっ﹂と姫があえいだ。 1012 アレ を使えば、話は別かもしれないんだ﹂ ﹁その通りですよ。普通にやっても、リルナを隷属させることは不 可能だろう⋮⋮でも 破天の骸 の欠片、あのクルス 横を向いた視線の先には、厳重に梱包されて棚の上に置かれた細 長い包みがある。 シェイヨル大森林で手に入れた に奪われずに残ったぶんだ。 ﹁覚えてるでしょう、姫。アレは⋮⋮魔王の骸は触れたモノを侵蝕 する。それは魔法の類いというわけでもない骸自体の性質だ。現に、 魔法抵抗を持つディアーネの体を容易く侵蝕してのけた﹂ ﹁トオル様、まさか⋮⋮!﹂ そう。 隷属支配すれば、どうだ? もし、破天の骸にリルナを侵蝕させ、しかる後にリルナではなく 骸そのものを オルトが恐れていたのは、俺が魔王の骸たるそれらを集め、隷属 させることだった。つまり、アレ自体に隷属魔法は通用するのだ。 実際、以前ナナと骸が融合した時に、俺はナナを通して骸に命令 し、ディアーネの体から侵蝕を取り除かせた。ある意味、その逆を 試すというわけだ。 リルナを直接支配はできなくても、リルナの体に根を張り同化し た骸に命ずることで、勇者の体と心を間接的に操ることはできるの ではないか? そして骸に俺の力を注ぎ込めば、それはリルナをパワーアップさ せるのと同義だ。 おそらく、ミクラが夢界仙境で同盟の交換条件に持ち出したリル 1013 現状で俺が思いつけばできること ナ攻略手段もこれだろう。 にも合致するしな。 というあの時推理した条件 ﹁ですが⋮⋮! そんなことをすれば、リルナさんの体は、いえ、 身も心も無事ではすまないのではありませんか!?﹂ まさに姫の言う通りだった。 それを危惧したからこそ、俺は躊躇していたのだ、実行に移すの を。 深く 侵蝕さ ディアーネのように、不完全な半融合状態ではこの作戦は不可能 だろう。ほぼ完全に一体化するまで、リルナに骸を せる必要がある。 そしてオルトとの戦いが終わった後、ナナにやらせたように骸に 命令してリルナの体から引き剥がそうとしたとして⋮⋮果たして間 に合うのか? 取り返しのつかない事態に陥ってないという保証は どこにもない。 ﹁その通り。だから⋮⋮これは本当に最後の手段さ。ディアーネを せっかく救ったのに、今度はリルナがモノも言わない水晶像になっ ちゃったら、オルトに勝っても意味がない。それに⋮⋮﹂ ﹁それに?﹂ ﹁せっかく再会した元クラスメートにそんな末路を迎えさせました、 じゃキリカが怒るでしょ﹂ 一瞬、きょとんとした反応をした後、上品な長いまつげをぱちく りさせて。 システィナ姫は、くすくすと笑い出した。 あ∼、おっぱい枕が揺れて気持ちいいぞ。 1014 ﹁って、なんで笑うんですか、姫﹂ ﹁ああいえ、ごめんなさい⋮⋮トオル様が、とてもお優しいことを 仰るので﹂ ﹁優しい? 俺が? 姫の感想は、ちょっとズレてるような気がす るなぁ﹂ 俺はただ、欲望と計算のままに行動しているだけだ。リルナを死 なせる気はないとはいえ、そもそも隷属させようとしてる時点で、 到底善人とは呼べないわけだしな。 ﹁ふふっ⋮⋮ではわたくしの考え方が、普通よりズレているだけな のかもしれませんわ﹂ ﹁かもね。ともあれ、さっきの方法は本当に最後の手段。俺はギリ ギリまで、他の手を模索するつもりですよ﹂ 改めておっぱい枕に沈んだ頭の位置を調整し、下から姫の顔を見 上げる。 と、そのほころんだ笑顔が、すっと一瞬で真剣な表情へとシフト した。 ﹁⋮⋮トオル様。これだけは、申し上げておきますわ﹂ ﹁ん?﹂ ﹁もし。もし、他の手段が見つからずに、トオル様がやむなくさっ きの方法を選択せざるを得なくなった⋮⋮としても﹂ ぎゅっと、たわわな双乳風船が俺の上半身を優しく抱きしめた。 ﹁わたくしは、トオル様の決断に従いますわ。どこまでも、トオル 様の味方です。それだけは⋮⋮お忘れにならないで下さいまし﹂ 1015 それは、リルナの身も心も滅ぼしかねない行為だろうと、肯定す るということだ。たとえばもしキリカが異を唱え、そんな俺を否定 したとしても̶̶。 ありがとう⋮⋮と言おうとして俺はふと、不思議に思った。術式 で隷属されているわけでもない姫が、なぜそうまでして俺に尽くし、 俺のすべてを肯定するのかと。 それを全身全霊で俺に惚れているからだと自惚れるのは簡単だっ たが⋮⋮果たして本当に、それだけで説明のつくことなのだろうか? ﹁姫、あなたは⋮⋮﹂ 思わず口を開きかけた、その時。 勢いよく、キャビンの扉が開いた。 ﹁トオルっち!﹂ ﹁!?﹂ 驚く俺たちの前に姿を見せたのは、いつものように巨乳とサイド テールを元気良く揺らした、橘リルナ。 その表情はパートナーに裏切られた意気消沈、あるいは俺の真意 を知ったことによる怒りや嫌悪⋮⋮そのどちらでもなかった。 ﹁あのね、色々すっ飛ばすけど⋮⋮お願いがあるんだ、トオルっち !﹂ ギャル勇者のつややかな唇は、強い意志を宿した決意の表情に引 き結ばれていたのだ。 1016 59話:嵐の前の宴と、攻略の手段︵後書き︶ ご挨拶が遅れましたがあけましておめでとうございます、今年もよ ろしくです! おかげさまで書籍版3巻、発売日2月24日となりました︵Ama zon等で予約始まっているようです︶ので続報や特典情報など、 今後活動報告でお伝えしていきます。 1017 60話:リルナの決意と、心の世界︵前書き︶ ■これまでのあらすじ 破壊されたアーマーゴーレムのナナ復活のため、遺跡都市パラヴ ァータを訪れたトオル一行は、もう一人の元クラスメート・ギャル 勇者こと橘リルナと再会する。 魔法反射能力を持つ彼女を隷属させる手段を探すため、正体を偽 って共に行動するトオル。 破 だが遺跡の調査中、リルナの相棒だった謎の人造生物オルトが皆 を裏切り、遺跡都市そのものと融合して巨人へと姿を変える。 を消滅させるべく送り込まれた兵器だったのだ。 オルトの正体はナナの同型機で、共に異世界から魔王の遺産 天の骸 状況を打開するには、なんとかリルナを隷属させ強化するしかな い。だが、それには破天の骸との融合という命がけの手段が必要で ⋮⋮!? 1018 60話:リルナの決意と、心の世界 ﹁お願いがあるんだ、トオルっち!﹂ 魔気船のキャビンに入ってくるや、俺に決意の表情を向けてくる リルナ。 柔らかそうな頬には、うっすら乾いた涙のあとがある。 どうやら、さっきのシスティナ姫との会話を聞かれていたらしい。 ﹁⋮⋮まさかとは思うが、そのお願いってのは。破天の骸を自分と 融合させろ、って言い出すつもりじゃないだろうな、橘さん?﹂ ﹁うん、そうだよ﹂ こともなげに頷く、サイドテールのギャル勇者。 予想はしないでもなかったが、俺をズキズキと頭痛が襲った。 くそ⋮⋮突っ込み所がありすぎてどこから突っ込めばいいんだ。 ﹁あのな、聞いてたんなら危険性も理解できるよな? 破天の骸に 体を侵蝕された君を、俺が骸の方を隷属させることで間接的に隷属 術式を成立させたとして⋮⋮そこまで深く融合した骸が、どんな悪 影響を心身に及ぼすかわからないんだぞ﹂ 破天の骸は魔王の骸、その力そのもの。いくら勇者といえども、 無事ではいられないだろう。 隷属云々以前に、心をこっぱみじんに壊される可能性だってゼロ じゃない。 いや⋮⋮それよりも、そもそもだ。 1019 ﹁橘さん、君はどうして俺の隷属術式にかけられること前提で話し てるんだ? 俺の、奴隷になるってことだぞ?﹂ システィナ姫みたいに惚れてるってんならともかく、正気の沙汰 じゃない。 しかも勇者として悪と戦う道を選んだ彼女にとっちゃ、邪悪な魔 術師の手駒になるなんて一番耐えられないことじゃあないのか? ﹁だって、それしか方法ないっしょ? あのでっかい巨人⋮⋮オル トを止めるには、さ﹂ シャードビースト 表情を変えぬまま魔気船の窓から、ちらりと眼下の光景⋮⋮浮遊 岩塊から出現した全長1キロにおよぶ巨人が生み出した、晶片獣の 群れに蹂躙されるパラヴァータの街を見やるリルナ。 なるほど、そういうことか。 ﹁勇者としての責任感、それとも相棒の真意を見抜けずこの事態を 招いた罪悪感ってとこか? 橘さん、ずいぶんと自暴自棄なんだな﹂ ﹁トオル様⋮⋮﹂ なぜだか俺の声は苛立っていた。システィナ姫が心配するほどに。 冷静に考えれば、ああまで隷属の手段を模索していたリルナが自 分から隷属の道を選んでくれるのだから、止めずにそうさせればい いようなものだが⋮⋮どうしても、言葉が先に出てしまう。 ﹁それで後先考えずに俺の魔隷になって、骸やオルトと心中したい と? そいつは安っぽい自己満足以外の何ものでもないな。何が勇 者だ、がっかりだよ﹂ ﹁⋮⋮違うんだよ、トオルっち﹂ ﹁何が違うって?﹂ 1020 リルナは決意の視線のまま、俺に向かって一歩、踏み込んで来た。 そして、だしぬけに明るいサイドテールと大きな胸を揺らしてに っこりと笑う。 それは自暴自棄になった人間の顔ではなかった。 ﹁そりゃ、骸ってのを体にくっつけるのはヤバい賭けかもだけどさ。 でも⋮⋮トオルっちの、その、魔隷? そっちになる方は、ヤケと か考えなしに決めたわけじゃないよ。アタシなりに考えに考えた結 果だもん﹂ ﹁それはどういう⋮⋮﹂ ﹁トオルっちなら。アタシの、勇者の力を使いこなしてくれるって 思ったから﹂ 俺の目を、大きな澄んだ瞳でまっすぐ見つめながら、そう断言さ れた。 ﹁⋮⋮正気なのか、橘さん? 俺は君が思っているような̶̶̶﹂ ﹁イイ人じゃない、って? そうかな? トオルっちこそ、ジブン のことあんましよくわかってないんじゃない? 人間そーゆーもん だよ﹂ ﹁な⋮⋮﹂ 至近距離から瞳の奥、心の中まで見通すような視線で言われ、思 わず返答に窮してしまう。 ﹁トオルっちは頭の回転早くて冷静で、周りのコトと今すべきコト が見えてるヒトだと思う。少なくともアタシ自身よりはね﹂ ﹁俺が⋮⋮?﹂ ﹁うん。アタシは、オルトが本当に考えてることを理解できなかっ 1021 た。ずっと一緒にいたのに、気付けなかった。それでこんなことに なっちゃった﹂ 寂しそうな表情で微笑むギャル勇者。 なるほど、俺は昔からリルナを、才能とセンスで何でもこなして しまう完璧超人だと思っていたが⋮⋮。 他者の心の機微を読むことにかけては、確かにその天才性が、特 異すぎる人格が逆に邪魔をしてしまうものなのかもしれない。 ﹁アタシ一人だと、多分またこんな間違いをやっちゃう。だから勇 者の力をコントロールしてくれるヒトが必要なんだ。今度のことで それを痛感したんだよね⋮⋮そういえば前オルトにも、勇者はその 力を正しく律するギムがあるとか言われたよ﹂ 魔王に唯一対抗しうる勇者という、強大すぎる力に伴う絶大な責 任。 精神面がそれにはまだ未熟だという自己認識は、確かに的を得た 考え方かもしれない。 だが、だからといって。 ﹁でも、だからって俺の魔隷になるってのは飛躍してないか? 勇 者の力をどう悪用するかわかったもんじゃないぞ?﹂ ﹁トオルっちなら、信じられるよ﹂ ﹁何を根拠に̶̶̶!﹂ わかったふうな口を聞くリルナに、俺の苛立ちが加速する。 俺のいったい何を知っているというんだ。 俺の正体を知ってなお、なぜそんな無邪気な目を向けられるんだ。 ﹁あるよ、根拠なら。トオルっちは覚えてないかもしれないケドさ、 1022 昔⋮⋮アタシはトオルっちに勇気と夢をもらったんだよ﹂ ﹁⋮⋮勇気と、夢?﹂ 少し遠い目をするリルナ。 なんだろう、おぼろげに記憶の中に何かが⋮⋮引っかかってるよ うな。 ﹁あはっ、やっぱ覚えてないか⋮⋮まあ、トオルっちにとっちゃ大 したことじゃなかったかもだしね。でも、アタシには十分な理由が あるってコト﹂ ﹁⋮⋮もし過去の何かが根拠だとして。こっちの世界に来た俺が変 わったとは考えないのか? 魔隷術師という絶大な力を手にした俺 が﹂ ﹁ん∼⋮⋮変わってる部分もそりゃあると思うケド、根っこは変わ ってないと思うよ。遺跡で姫っちと話したり、ドアの外でさっきの 話聞いてたりして、そう思ったもん﹂ 結論先にありきで目が曇っているとか、俺に過剰な期待を抱いて 楽観視しているとかとは、どうやら少し違っていた。 リルナの声音には、不思議な確信の響きがあった。 ﹁それにね。もし、本当にアタシの見立てが間違ってて、本当にト オルっちがすっごい悪いヤツだったら⋮⋮﹂ ﹁だったら?﹂ ﹁その時は、トオルっちをぶちのめす!﹂ ﹁⋮⋮は? いや、だって隷属魔法が⋮⋮﹂ 何を言ってるんだと真顔になる俺に、リルナは大輪のひまわりの ような笑みで答えた。 1023 ﹁そんなん、気合と根性でなんとかしちゃうよ! だってアタシ⋮ ⋮勇者だもんねっ!﹂ どん、と胸を叩いて̶̶̶巨乳のせいで効果音はむしろ﹁ぽゆん﹂ だが̶̶̶リルナは根拠のない自信を自信たっぷりに断言した。 ぽかんと、あっけにとられる俺。 ﹁ふふっ⋮⋮うふふっ。すごいですわね、リルナさんは﹂ 黙って話を聞いていたシスティナ姫が、レースの手袋に包まれた 手の甲を上品に口に当ててころころと笑う。 つられて、俺も思わず少し噴き出してしまう。 ﹁ははっ⋮⋮なんですか姫、その﹃これはトオル様の負けですね﹄ みたいな反応﹂ ﹁ごめんなさいまし、そんなつもりでは。でも、彼女の言う事にも 一理あると思いますわ⋮⋮トオル様のご判断の正しさは、わたくし も全幅の信頼を寄せているところですし﹂ 優雅に頭を下げる金髪碧眼のお姫様。 俺は苦笑を返し、リルナに向き直る。 ﹁わかった、根負けしたよ、橘さん﹂ ﹁!! それじゃあ!﹂ まったく、本来ならムリヤリ隷属させたがってた側のはずの俺が、 根負けして隷属させることを受け入れるとはね⋮⋮変な話もあった もんだ。 橘リルナという女の子に関わると、どうもやっぱりペースが乱さ れていけない。 1024 だが⋮⋮今はそれが、不思議とそう嫌ではなかった。 ﹁いいだろう、君を魔隷にしてあのオルトを止める作戦、やってみ るとするさ。でも⋮⋮骸をそのまま使うってのはやっぱりナシだ﹂ ﹁えっ!? で、でもそれじゃ̶̶̶﹂ どうやって隷属術式を成立させるのか、と。もっともな疑問だ。 だが、俺にはさっき、会話の中でひとつのアイデアが閃いていた。 ヒントは、何気ないリルナの言葉。 ﹁その前に、試す価値のある方法がひとつある。協力してくれるよ な、橘さん﹂ ※ ※ ※ ﹁夢界仙境⋮⋮?﹂ ﹁ああ。知らない橘さんにも簡単に説明しとくと、寝ている間に見 る夢と夢とがつながった世界だと思ってくれ﹂ あらためて作戦の説明を開始する俺。 聞いているのはリルナとシスティナ姫、そしてこの計画に必要な 人員として呼んできたダークエルフの姫巫女、盲目のディアーネだ。 ﹁へぇ∼! そんなんあるんだ!﹂ ﹁確か、トオル殿に接触してきた大魔族が支配する場所ですね。そ れがどう関係するのでしょう?﹂ ﹁いいか? 夢の中は精神の世界。つまり、現世に置いてきた肉体 はそこでは無関係になる⋮⋮てことは、だ﹂ 1025 ﹁⋮⋮あっ!﹂ 聡明な姫が真っ先に、はっと気付いた。 ﹁そこならば、リルナさんの体に備わった魔法反射能力も無効にな る⋮⋮と?﹂ 夢 というキーワ ﹁えっとつまり、夢の中でトオルっちがアタシに魔法をかけるって こと!? うわ、ファンタジーっ!﹂ 何を今更、ここはファンタジー世界だ。 そう、これこそがさっきリルナの口から出た ードから連想した一発逆転のアイデア。 ﹁しかしいくつか問題があるように思えます、トオル殿。まず、そ の夢世界でも隷属術式は有効なのですか?﹂ ﹁ああディアーネ、それなら問題ない。世界を作った張本人から確 認済みだ﹂ ミクラとのエッチ勝負の際、精神的に相手を負かした状態ならこ こでミクラを隷属させられるのでは̶̶̶という推測を彼女自身が 肯定しているからな。 の中に入ることは可能なのですか?﹂ ﹁なるほど、ではもうひとつ⋮⋮トオル殿とリルナ殿が、言わば 同じ夢 ﹁ああ、問題はそこだ。だからディアーネ、あなたの力が必要なの さ﹂ ﹁私の⋮⋮?﹂ いぶかしむ褐色の巫女に、俺は推論を語った。 彼女が視力とひきかえに持つ、超常的な感応能力。超自然の知覚 1026 力。 それは破天の骸に侵蝕された際にも、その中に潜む魔王の残滓ら しき意志を探り当て、おぼろげに感じ取ったほどだった。 ﹁ディアーネには、言わばレーダーというかソナーの役をやっても らう﹂ ﹁れ、れーだー? そなー?﹂ ﹁トオルっち、地球じゃないとこのヒトにそれ通じないと思う﹂ ﹁おっと。まあ、探知機というか探査役というか⋮⋮とにかく、ま 合 ずディアーネにはあらためて俺の隷属術式をかける。それで俺との 間に魔隷としての繋がりができるはずだ﹂ パス 命令や指示を出す際に用いられる、精神同士の経路。 できるはずだ。 それを辿れば、おそらく夢の世界で俺とディアーネの意識が 流 探って ほしい。そして夢界の中で俺の意識を、 ﹁そして、ディアーネには現実世界でリルナに触れて、その意識の 場所を超感覚で 彼女の意識の方へと導いてほしいんだ﹂ ﹁まあ、そんなことが可能なのですか!?﹂ ﹁そ、そのような力の使い方をしたことはないので、うまくいくか どうか⋮⋮!﹂ できるかも という仮定に仮定を重ねた、針の穴に糸 むろん、可能だという保証はどこにもない。 すべては を通すような賭けでしかない。 それでも、最初から諦めるよりはマシだ。 ﹁いいじゃん、ダメモトだよ! それでほんとにダメなら、アタシ が骸を使う方をやればいいんだしさ﹂ 1027 ﹁おいおい⋮⋮そっちをさせないために出したアイデアなんだけど な﹂ ﹁あう。ごめん、トオルっち﹂ リルナに突っ込みを入れつつ、ちらりと眼下のパラヴァータを見 やる。 いまだ動かない遺跡の巨人は、明らかに何らかの力をチャージし ている最中だ。 それを完了させてしまえば、おそらく俺たちの勝ち目は本当に消 えるだろうという予感があった。 ﹁時間がない、さっそく取りかかろう。キリカ達には姫から伝えて くれ̶̶̶さあ、ミッションスタートだ!﹂ ※ ※ ※ 不気味な沈黙を保つ、全長1キロにおよばんとする遺跡巨人⋮⋮ その中枢部。 そこには透明な水晶でできた巨大な砂時計のような物体が、謎の 金属に覆われた天井と床を繋ぐようにして鎮座している。 その、砂が落ちるもっとも細い部分にあたる場所には、うっすら 発光する緑色の球体が浮かんでいた。 オルトのコア。 ナナと同型のスペアボディを捨て、直接遺跡の心臓部⋮⋮同じ異 世界より送り込まれた機動兵器の中枢プラントと融合しているのだ。 今や、巨人はオルトの体そのものとなっていた。 1028 破天の骸 ︿プラント修復率89.2%、全防衛機能正常稼働中。エネルギー 充填率現状73.6%、毎分+1.2%で安定̶̶̶ を触媒として取り込んだのは正解でしたね﹀ 機械的な抑揚のない声がそこから響く。 シャードビースト 遺跡深部に存在した破天の骸の欠片は、すでにこのプラントと一 体化している。 その支配力で晶片獣を操り、命令を下しているのだ。 本来、次元を超えてオルトたちの世界にも悪影響を及ぼしたそれ らを消滅させるのが造られた理由のはずだが、今は敵の力を利用す ることにためらいはないようだった。 姉 ̶̶̶アールマ・ヴァルキュリアⅦ ︿もうすぐです。永い永い無為の時を経て、もうすぐ私たちの悲願 が現実となります。我が よ﹀ オルトが声をかけた先には、金属の台座に安置された赤い球体。 体 を与えましょう。このプラントに遺され トオルから奪った、ナナのコアだ。 ︿あなたにも新たな た、最強の駆逐兵器ユニットを﹀ 音もなく床が開き、そこから何かがせり上がってくる。 人間大の何かが。 屈辱 ︿目的完遂までの余興です。本来の使命に戻れず、人間の術師ごと きの走狗として使われた⋮⋮そう、彼らの表現を借りるなら が妥当でしょうか? その意趣返し、新たなボディで存分に晴ら すとよいでしょう̶̶̶﹀ 1029 あくまで機械的な、非人間的な声音。 だが、誰も聞いていないはずなのにあえて喋るという非効率的な 行為を含めて、そこには何らかの感情の色が宿っているかのようだ った。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮どうやら、第一段階はクリアみたいだな﹂ 足のくるぶしまでを澄んだ水が濡らす、川のせせらぎの中に俺は 立っていた。 ミクラが支配する夢の精神 視界の果てまで川は広がり、頭上には抜けるような青空。 妖狐天仙 紛れもなくここは夢界仙境。 ノーヴル・エイト 八冥家最古参の実力者、 世界だ。 ﹁まずはここに俺が来れなきゃ話が始まらなかったが⋮⋮やっぱり これのおかげか﹂ 手に巻かれた勾玉の腕輪、現実世界でも身につけていたミクラか らの贈り物を見やる。 込められた魔力はオルトの攻撃を防ぐ際に使い果たしたが、やは りミクラと何らかの霊的な繋がりを有していたようだ。 ﹃トオル殿⋮⋮私の声が聞こえますか?﹄ 見上げれば、半透明になったディアーネが俺の肩の上あたりに漂 っている。 1030 精霊か女神の類いみたいで、いつもに増して神秘的だ。 視る ﹁ああ、聞こえるよディアーネ。これで第二段階もクリアっと⋮⋮ ところで、ひょっとしてその目﹂ ﹃ええ。ここなら、肉体の束縛を受けずに精神そのもので ことができるようです﹄ いつも閉ざされていたダークエルフの瞳が、うっすら開いてこっ ちに微笑みかけてくる。 ﹃なるほど⋮⋮トオル殿はそのような顔かたちを⋮⋮﹄ ﹁えっと、ガン見されるとちょっと恥ずかしいんだが﹂ ﹃あ! す、すみません、シエラからだいたいの所は聞いていたの ですがつい気になっ⋮⋮い、いえ、なんでもありませんっ﹄ 半透明だからよくわからないが、どうやら赤面して慌てているら しく長いエルフ耳がぴこぴこ跳ねた。 さて、ともあれ次が正念場。リルナの意識との合流だが⋮⋮その 前に。 ﹁てわけで、いるんだろう? 妖狐天仙サマ﹂ ﹁あらぁ⋮⋮やっぱり気付いていたのねぇ、坊や﹂ 虚空に呼びかけるや、清流が渦巻き、豊満な体を和服に包んだ狐 耳の金髪美女が出現した。 ﹃こ、この方が⋮⋮っ﹄ ﹁ええ、ミクラよぉ。初めましてね、ダークエルフの姫巫女サマ﹂ もふもふした九尾をクッションにして空中に腰掛け、艶然と笑う。 1031 やはり、俺たちの表層意識を通して現状を把握しているようだ。 説明は不要だが、隠し事もできない。 ﹁まさか、そんな手を思いつくなんてねェ。ワタシはてっきり、破 天の骸を通してあの勇者ちゃんを隷属させる方を選ぶと思ってたわ ぁ﹂ ﹁見込み違いで悪かったな。あんたのことだ、リルナの心が骸に砕 かれて勇者としての成長がそこで止まれば、魔界の潜在的脅威がひ とつ減る⋮⋮とでも考えたんじゃないのか?﹂ 俺の指摘に、着物の袖で口元を隠し、くすくすと笑う狐耳魔貴族。 その表情は読めない。 ﹁あらぁん、心外ねぇ坊や。ワタシがそんな怖ぁいこと勧めるよう に見えるのかしらぁ?﹂ ﹁どうだかな。ともあれ、これから俺のすることを邪魔しないでく れよ﹂ ﹁もしイヤだと言ったら? 普通の方法なら引きずり込めなかった 勇者ちゃんが、坊やの策で夢界に来たからと⋮⋮これ幸い、あのコ の精神を砕きにかかるチャンスかもしれないわよぉ?﹂ ﹃なっ⋮⋮!?﹄ 相変わらず口元を隠したまま、すっと目を細めるミクラ。 だが、ディアーネと違って俺はその程度で揺さぶられなどしない。 ﹁つまんないハッタリはやめてくれ。用心のために、眠っている俺 たちの体に異変が起きたら物理的に叩き起こすようにと、起きてる 皆に伝えてある﹂ 念のための保険。だが、おそらくそれは不要だろうと俺は考えて 1032 いる。 ﹁第一そんなことがもし可能だとして、俺を完全に敵に回す愚を慎 重派のあんたが冒すとは思えない。むしろ勇者の力を魔界と戦う気 がない俺がコントロール下に置けるなら、その方が安全だと考えて るんじゃないか?﹂ ﹁⋮⋮ふふ。やっぱり坊やは聡いわねぇ。面白いわぁ、なら好きに やってみなさいな﹂ 優雅に手の煙管をひと振りすると、川の向こうに濃い霧のような もやが立ちこめる。 ﹁あの先が、他者の夢との境界線よ。その姫巫女サマの感応力なら、 確かにあの先の膨大な領域から勇者ちゃんの精神世界を探し当てる ことができるかもしれないわねぇ﹂ それは喩えるなら、インターネットから乏しい情報を頼りにたっ た一つのウェブページを探し当てるような所行。 検索エンジンにあたるのがディアーネの力というわけだ。 ﹁言われなくてもやってみるさ。行くぞ、ディアーネ﹂ ﹁んふふ、期待してるわぁ。このまま坊やがやられちゃったら、え っち勝負の決着を今度こそつけることもできなくなっちゃうものね ぇ﹂ ﹃はい、トオル殿⋮⋮って、えっっ!?﹄ もやをくぐる直前で、大いに乱れるディアーネの意識。 なんでこのタイミングでそれを言うんだよ、と内心でぼやきつつ。 俺は、ひらひら手を振るミクラに見送られながら、霧のような境 界面に踏み込んでゆくのだった̶̶̶。 1033 ※ ※ ※ 数分、数時間、あるいは数日⋮⋮ことによるともっと長く。 俺とディアーネは、乳白色の霧の中をさまよい続けた。 夢がそうであるのと同じで、夢界仙境でどれほどの時が過ぎても 現実世界のそれはほとんど経過しない。 その意味では、オルトの本格的攻勢に間に合わなくなる危険はお そらくない。 だが、体感時間に比例して精神は当然、疲弊する。 俺かディアーネのどちらかが限界を迎えればそれで終わりだ。特 に、リルナの意識を捉えるために集中し続けているディアーネの消 耗は大きいだろう。 その意味で、チャンスはこの一度しかない。 ﹃トオル殿⋮⋮! あれを⋮⋮!﹄ 疲労を隠せない声が、だがはっきりと告げた。 周囲を包む霧の先に、薄ぼんやりと光る空間が現れる。 ﹁あれが⋮⋮リルナの精神世界?﹂ ﹃はい、おそらくは⋮⋮そして、申し訳ありません⋮⋮私は、ここ までのようです⋮⋮後は、お一人で⋮⋮っ﹄ 浮遊するディアーネの姿がいっそう透け、どんどん消えて行く。 消耗しきった意識が、夢も見ない深い眠りの中に沈んでいこうと 1034 しているんだろう。 ﹁ありがとうな、ディアーネ。よく探し当ててくれた、ゆっくり休 んでくれ⋮⋮終わったらご褒美に、好きな体位で思いっきりセック スしてやるよ﹂ ﹃なっ⋮⋮そんなこと言われたら⋮⋮眠れなく⋮⋮なるじゃ⋮⋮な いですか⋮⋮っ﹄ 盛大に恥ずかしがる反応を残して、ディアーネの意識が離れてゆ く。 俺はそれを見届けると、眼前の光の中へと意を決し飛び込んだ。 ※ ※ ※ ﹁ここは⋮⋮?﹂ 到達した先に広がっていたのは、見覚えのある景色だった。 整然と並んだ勉強机、日直の名前が書かれた黒板。窓の外には夕 焼けのグラウンド。 といっても高校のそれではない。 確かこれは、俺が中学生の時の教室だったか。 ﹁待ってたよ、トオルっち﹂ 振り返る。 そこには、リルナがいた̶̶̶セーラー服に身を包む彼女が。 髪は地味なお下げの形に結んでおり、色も今の明るいそれではな 1035 く真っ黒。 美貌をより煌びやかに見せるネイルやアクセサリーの類いは何も 身に付けていない。 一見とても、どこにいても輝きを内から放ち、人の目を惹き付け てやまないあのリルナだとは思えない姿。 ︵そうか⋮⋮思い出した︶ これが、中学生の頃の。 俺が初めて会った頃の、橘リルナという女の子だったのだ。 1036 60話:リルナの決意と、心の世界︵後書き︶ 大変お待たせしました、連載再開となります。 いよいよリルナとアレしてソレする61話は週明けに投稿の予定で す。 1037 61話:教室の記憶と、勇者のおっぱい 思い出した。 リルナはあの時̶̶̶ここで。 この無人の教室で、泣いていたのだ。 ﹃あ⋮⋮小田森、くん﹄ 放課後、忘れ物を取りにきた俺の方を振り向いたセーラー服の少 女。 その頬を伝う涙が、夕焼けの逆光できらめいた。 なぜ彼女が泣いていたのかは分からない。 当時の橘リルナはごく普通の目立たない地味な少女で、もちろん 俺と彼女にクラスメートだという以外の接点などなかった。 イジメられていたのかもしれない。 家庭の問題か何かだったのかもしれない。 あるいはもっと、思春期の少女にありがちなくだらない理由だっ たのかもしれない。 いずれにせよ、俺には知る由もない理由で流された無関係な涙だ った。 そのはずだった。 ﹃お⋮⋮俺、忘れ物取りに来ただけだから⋮⋮﹄ 気まずさを覚え、言葉少なに用事を済ませ教室を出ようとした俺 に。 1038 何を思ったかリルナは、かぼそい声でこう言った。 なぜだか俺に問うたのだ。 ﹃⋮⋮なんで、こうだったらいいなってふうに生きてけないんだろ うね﹄ その言葉を聞いた時、どうしてであんなことを答えたのかは分か らない。 だが、悲しみと諦めの混じったその声に、気付けば反射的に言葉 を返していた。 ﹃それは⋮⋮やる前から諦めてるからじゃないのかな?﹄ ﹃え̶̶̶﹄ 女の子とまともに話す機会自体ほぼなかった俺が、どうしてそう はっきり言えたのかは今考えても不思議だ。 ただ、その時は自分でも驚くほど自然に、言葉が溢れていた。 ﹃こうだといいなっていう目標みたいなものが、見えてるんならさ。 そこめがけて何か⋮⋮何でもやってみたらいいんじゃないの。よく、 わかんないけどさ﹄ ﹃小田森くん⋮⋮﹄ それはもしかしたら、ずっと俺自身の心に渦巻いていた考えだっ たからかもしれない。 俺の方こそ、そうありたかっただけかもしれない。 自分には目標すら無かったから、そんな自分よりはまだマシだろ うと苛立ったのかもしれない。 ﹃好きにやってみて、それでもダメだったら本当にダメなんだろう 1039 けど。でも⋮⋮どうせダメだろって考えに最初から縛られてるより は何かしたぶん、マシな気持ちになれるんじゃないの﹄ ﹃縛られてる⋮⋮よりは⋮⋮?﹄ って、何を言ってるんだ俺は⋮⋮と、我に返ってそそくさと教室 を出た覚えがある。 今思えば、自分ができてすらいないことをよくもまあ偉そうに言 ったもんだ。 だがリルナはそんな俺の言葉を、どこか真剣な面持ちで神妙に聞 いていたようだった。 変わって いった。 それからすぐクラス替えがあって、俺と彼女の接点はますます無 くなったが、同時に彼女は少しずつ 自己主張が増え、笑うことが増え、友達が増え、声が大きくなっ た。 そして高校で再会した時は、一瞬誰だか分からないほどの天真爛 漫ギャルが誕生していたというわけだ。 ﹃やっほー! トオルっち、ひっさしぶりーっ!﹄ ※ ※ ※ ﹁思い出した⋮⋮? 思い出して、くれた?﹂ いつの間にか、背景の教室は中学のそれから高校のそれへと。 そしてリルナの外見も、現在のギャル勇者としてのものへと変わ っていた。 ただ、ぱっちりした瞳だけが、あの時見た涙と同じ色でうっすら 1040 と濡れていて⋮⋮そのひかえめな声は一瞬、どちらかというと中学 生の頃の彼女のようでもあった。 ﹁ああ⋮⋮うん。いや⋮⋮不意打ちで黒歴史ノートを見せられたみ たいで、なんか恥ずかしいな﹂ ﹁へへへ。恥ずいのはアタシも同じだよー﹂ 首をこてんっと傾げて、にかっと笑うリルナ。 夕焼けに照らされたサイドテールが、茜色に光る。 ﹁⋮⋮アタシはあの時ね。トオルっちに夢をもらったんだよ。なり たい自分になれるんだって、自分の好きな自分になっていいんだっ て⋮⋮背中を押してもらったんだ﹂ ﹁俺は⋮⋮何もしてないよ。それは橘さんが自分で勝ち取ったもの だ﹂ 何気ない俺のひと言はきっかけに過ぎない。 俺が言わなくても、賢いリルナは誰かの言葉から同じヒントを見 出したかもしれない。 第一同じことを言われても、それを自己実現の支えにできるかど うかなんて当人の資質次第だ。 ﹁そうかもしんない。それでも、アタシのきっかけは他の誰でもな いトオルっちの言葉だったんだ。だから、アタシはトオルっちなら 信じられるし̶̶̶信じたい﹂ リルナは歩を詰めて、半歩離れた正面に立って俺を見つめた。 どこまでもまっすぐな瞳。 ﹁だから、この世界でそのことを⋮⋮伝えられてよかったよ。トオ 1041 ルっちに、思い出してもらえてよかったよ﹂ うっすらはにかんだ、女の子らしい表情。 思わずドキっとさせられ、目をそらしてしまう。 ﹁あ⋮⋮ひょっとしてあの時のことが理由で橘さんは、高校で時々 俺に声というかちょっかいというか、かけてきてたのか?﹂ ﹁あっうん、そだよ。でもトオルっち、フキゲンそーっていうかイ ヤそーにしてたから途中から自重したケド﹂ ﹁⋮⋮当たり前だ﹂ 俺にとっては、リア充が気まぐれで余計なおせっかいをしてきて いるとしか思えず、反応に困るしウザいと思っていたくらいだった が⋮⋮。 あれは、リルナなりの恩返しというか親愛の情の表現のつもりだ ったのか。 やはり俺は少し、誤解していたようだった。 悩みなど何もない完璧マイペース人間に見えた橘リルナという女 の子はその実、年相応に憂いや苦しみ、弱さを抱え、間違うことも ある等身大の人間だったのだ。 そしてそんな面を抱える弱く不完全な自分を自覚してなお、前向 きにポジティブに、目標に向かって進み続けることができる。 それが相棒だったオルトに裏切られても心折れることなく、俺の 魔隷になるという大胆な決断すらできた強さの理由なのだろう。 それゆえに̶̶̶橘リルナは勇者なのだ。 ﹁ねえ、トオルっち。アタシはオルトを止めたい。ううん、それだ けじゃない⋮⋮オルトと、もう一度話したいんだ﹂ 1042 ﹁話す? あいつと?﹂ ﹁うん。だって結局、あの時はちゃんと聞けなかった。オルトが何 をしたいかをさ。理由ってより、気持ちの方を﹂ オルトの目的。 それは破天の骸という脅威を根こそぎ排除すること、ただひとつ のはずだ。 そのためにパラヴァータ同様、この世界の諸々を犠牲にしてでも ̶̶̶それだけではないとでもいうのか? ただそれだけのための兵器として造られたオルトに、他に何があ るというんだ? ﹁アタシはオルトがほんとは何考えてんのか最後までわかんなかっ た。だから、まだわかってない何かがあるのかもしんない。ううん、 やっぱり無いのかもしんない。どっちにしても、もう一回ちゃんと 話さなきゃそれもわかんないまま⋮⋮そんなのはイヤなんだ﹂ 決意の表情の理由はそれか。 なるほど、だったら。 ﹁それが、今の橘さんがしたいことってわけか。じゃあ、俺もあの 時と同じ答えを返そう。﹃好きに何でもやってみたらいいんじゃな いの﹄̶̶̶ってね﹂ ﹁トオルっち⋮⋮!﹂ ﹁そのための力は、魔隷となることと引き換えに俺が与えよう。あ の時みたいに、俺が君の背中を押そう﹂ 俺はリルナに、魔紋が刻まれた手を差し伸ばした。 さあ⋮⋮あとは、隷属術式を完成させて契約を終えれば準備はす べて完了だ。 1043 ﹁あっ⋮⋮う、うん⋮⋮っ﹂ と̶̶̶その時。 ふと、リルナの様子の変化に俺は気付いた。 顔を赤らめ、うつむき、ぎくしゃくと視線を泳がせ、自分の指と 指を絡ませてなんだかもじもじしている。 ⋮⋮なんだ、この今までにない反応は? ﹁か⋮⋮覚悟っていうか、心の準備は⋮⋮できてるよっ。ていうか、 その決心が一番時間かかったっていうか⋮⋮と、トオルっちの前に 出て行くのが一番勇気いったっていうか⋮⋮っ﹂ ﹁は? 準備とか勇気って、何の?﹂ ﹁だ、だから! す⋮⋮﹃する﹄ことのだよっ! だって、その⋮ ⋮魔隷ってのになるには、必要なん⋮⋮だよね? って、はっきり 言わせないでよトオルっちのばかーっ!﹂ 真っ赤になった顔をあげて叫ぶリルナ。 俺は一瞬、ぽかんとあっけにとられたが、 ︵まさか⋮⋮そういうことか︶ ⋮⋮ようやく合点がいった。 どういうわけか彼女は、魔隷術師としての契約には﹃エッチな行 為が必須﹄と早合点し、勘違いしているのだ。 ディアーネあたりから断片的に聞いたか、それとも⋮⋮まさか、 遺跡でのキリカとの行為を感付かれていたのか? いや、今は理由なんかどうでもいい。 むしろこれは⋮⋮言いくるめる手間が省けて好都合だ! 1044 ﹁よく決心してくれたね、橘さん。そのとおりだよ﹂ リルナの決意も過去のちょっといい話も、それとこれとは別問題、 別腹。 そう、欲望のままに突き進んでこその俺だ。 それこそが俺の自分らしさ。リルナと違い、こっちに来て初めて 実現できた生き方。 さあ⋮⋮待ちに待ったそのわがままボディ、たっぷり味合わせて もらうとするぜ! ※ ※ ※ ぷちぷちと一つずつ、ブラウスのボタンが外れる音。 ためらいがちにピンクのブラが取り去られ、そしてついに。 ぽゆんっ⋮⋮と、俺の目の前にふたつの柔らかい膨らみが晒され た。 ﹁おおっ̶̶̶!﹂ 思わず感動の声が漏れる。 すらりと白いボディから突き出された、思った通りキリカに負け ず劣らずの巨乳、いや爆乳。 それは重力に負けずツンと前を向き、なんとも挑発的な大迫力の 双曲面を描いている。 まったくもって生意気でわがままな白ギャルおっぱいだ。 1045 ﹁あぅう、恥ずいよぉ⋮⋮あ、あんまし見ないでトオルっち⋮⋮﹂ 盛大に赤面し、なんとか俺の視線から大ボリュームおっぱいを手 で隠そうとするリルナ。 キリカとの初体験を思い出させる、なんとも初々しい仕草だ。 そのギャルギャルしい外見と印象のせいで、遊びまくってるとい うウワサも少なくなかった彼女だが⋮⋮この反応を見た感じ、案外 処女なんじゃないかと俺は思い始めている。 ﹁そういうわけにもいかないな。隷属術式の完成にはまず、対象の 体をしっかり確認する必要がある﹂ ﹁ま、マジで!? うう∼っ、そ、それじゃあ仕方ないけどさっ⋮ ⋮﹂ もちろんウソ八百だが、リルナにそれを知るすべはない。 この空間なら邪魔もツッコミも入らないし、まったく好都合だ。 ﹁ほら、手をどけてちゃんと見せてくれ。橘さんのおっぱいを﹂ ﹁っっ̶̶̶!﹂ 教室の椅子に腰掛けた俺の前に立つ彼女は、ちょうど男の顔の真 正面に生おっぱいをさらすハメになる。 乳首を隠す手と俺の顔とを、ちょっと涙目になって交互に見るリ ルナだったが、俺が譲る気はないと理解すると、いよいよ観念して 震える手をゆっくり離してゆく。 ﹁こ⋮⋮これでいい、の?﹂ リルナの唇とよく似た色をした薄ピンクの、子供のように初々し い綺麗な乳首。 1046 特徴としては小さめの乳輪がぷっくりと全体的に膨らんで、はっ きり突き出るようになって自己主張している。 パフィーニップルってやつか? ただ巨乳なだけでなくなんとも エロ可愛いおっぱいだ。 しかもその先端、ぽっちり飛び出た突起は緊張のせいか、すでに 勃起していた。 ﹁あ、あのさっ⋮⋮アタシのおっぱい、別にっ⋮⋮その、ヘンとか じゃない、よね?﹂ ﹁え? ああ、何も変なところはないと思うけど。なんで?﹂ ﹁だ、だって、あんまヒカクタイショーとかないしっ⋮⋮そか、ヘ ンじゃないなら⋮⋮よかった﹂ ﹁ああ、変どころか可愛いおっぱいだ。橘さんらしいよ﹂ ﹁かっ⋮⋮可愛いとかそーゆー違いあんの!? てか、アタシらし いおっぱいってイミわかんないよぉ⋮⋮﹂ 俺にまじまじ見られたせいか、シミひとつないリルナの白い肌に うっすら汗が浮かぶ。 そうしてしっとりした双丘の頂点で、恥ずかしげにふるふる震え る乳首⋮⋮なんとも絶景だ。 いつまで眺めていても飽きないくらいだが、もちろんそれだけで は勿体ない。 ﹁さてと、じゃあ次は触って確かめさせてもらうよ﹂ ﹁さ、さわ⋮⋮ッ!? や、やっぱりそうなる⋮⋮よね﹂ これ見よがしに、わきわきとイヤらしい動きで十本の指を、雄大 な山脈めがけ迫らせる俺。 そのしぐさに怖じ気づいたのか、リルナはごくっとツバを飲み込 むと、 1047 ﹁̶̶̶あ、あのね!﹂ 突然、何かの限界を迎えたという感じで声を張り上げた。 ﹁どうしたの?﹂ ﹁あの、その⋮⋮アタシ、実はなんていうかっ⋮⋮! こ、こーゆ うこと⋮⋮えっち的なもんの、経験? そういうの、実はホントに なくてっ! マジで、ぜんぜん⋮⋮なくて﹂ 途中から、しゅんと消え入りに細る声。 半ば予想通りの事実を、まるで言った反動で死んでしまうかのよ うな勢いで絞り出すリルナ。 かちこちに緊張して、漫画的な記号で表現するなら目はグルグル、 汗ダラダラの状態だ。 ﹁と⋮⋮トオルっちはさ。あるん⋮⋮だよね? ほかの魔隷のヒト ⋮⋮姫っちと、こういうこと⋮⋮したんだ、よね?﹂ なぜかピンポイントでキリカの名を出し、ちらりと何かを訴える かのような子犬じみた目を向けてくる。 ﹁ああ。まあ、そりゃもう⋮⋮色々とね﹂ ﹁そ、そーなんだ。す、すごいね﹂ 一見、見るからにエッチなことに経験豊富そうなギャルJKと、 無縁そうな元男子高校生。 元の世界なら誰が見てもそうだったろう俺たち二人の性的ヒエラ ルキーが、実際は完全に逆転しているという奇妙な状況。 1048 ﹁じゃ⋮⋮じゃあ。そのっ⋮⋮い、言う通りにするから。トオルっ ちが、リードして⋮⋮く、ください﹂ おいおいそんなこと言っちゃっていいのかよ、と口に出したくな るくらい無防備な宣言。 外見とのギャップもあいまって、それ自体とんでもない破壊力だ。 ﹁ああ⋮⋮心配しなくても、俺がたっぷり教えてやるよ﹂ ﹁⋮⋮っ。よ、よろしくっ﹂ お許しも出たところで、隠すものひとつないギャル生乳にいよい よ手を伸ばす。 両方まとめて、ぷるぷるの柔肉に俺の指十本が⋮⋮なんともいえ ない感触を得てむんにゅり食い込んだ。 ﹁んぁ⋮⋮ふわ、ひゃぁんっ!?﹂ ﹁おおっ、これが⋮⋮これがあの、橘さんの生おっぱい触りかっ⋮ ⋮!﹂ 弾力はアメリアとキリカの中間あたりだろうか? 最初はやや生意気に指を押し返してくるが、ある程度力をこめる と指は沈み込み、マシュマロのような水風船のような心地良い存在 感に包まれる愉悦をたっぷりと味わえる。 それでいてしっとりきめ細かな手触りは上質のシルクめいていて、 システィナ姫のロイヤルおっぱいにも負けない上品な揉み心地を提 供してくれるのだ。 ﹁これはすごい⋮⋮けしからんな、マジけしからんおっぱいだ⋮⋮ 転生せずに失われでもしていたら、全宇宙の損失になるところだっ た̶̶̶!﹂ 1049 ﹁と、トオルっちっ、何言ってんのかワカんないよぉ!? ひゃぁ、 ふわ!? や、ゆっ指ぃっ⋮⋮つ、つよく揉まなっ⋮⋮ふぁわわっ !?﹂ 根元をぎゅっと絞り上げるように強く揉み込むと、リルナの背筋 がピンと弓なりに反って甘い声が漏れた。 反射的にその手が、俺の袖をぎゅっと掴んでくる。 ﹁こら橘さん、頭の後ろで腕を組んでおくように。俺がこのおっぱ いを、心ゆくまでもてあそ⋮⋮あっいや、隅々まで確認する邪魔を しないように﹂ ﹁ううっ、は、はいぃ⋮⋮こ、これでいーの?﹂ 言われた通り従順に、リルナはみずから手を封じて裸の上半身を 俺に任せるという、無防備過ぎるエロい姿勢をとる。 意外と、命令口調で断言されるのに弱い娘なのかもしれない。 ⋮⋮さあ、もてあそんでやる。 この生意気きわまるギャルっぱいを、みっちりねっとりもてあそ び尽くしてやるぞ! ﹁よしよし、いい子だ。じゃあ、まずはこうして⋮⋮っと﹂ ﹁え、ちょっ̶̶̶! や、やだぁ!?﹂ リルナが慌てるのも無理はない。 俺はそれぞれの双丘の根元に添えた手を支点に、ぶるぶるぶるっ ⋮⋮と激しくおっぱい肉を揺らしにかかったのだ。 面白いように揺さぶられ、互い違いに暴れる巨大なゴムマリのよ うにゆっさゆっさ、たゆんたぷんっと踊り回るリルナのギャル爆乳。 ﹁やっ、お⋮⋮おっぱいで遊んじゃダメぇぇ⋮⋮っ!? お、怒る 1050 よトオルっちっ⋮⋮て、こっ今度はなんなのぉ!?﹂ 間髪入れず、俺は目の前で魅惑のショーを見せる乳の谷間めがけ て頭をダイブさせた。 少しひんやりした心地良い感触、そして指でさんざん味わったの と同じ極上の柔らかさが今度は顔いっぱいに密着する。 うっすら汗のにおいを至近距離で嗅ぎながら、天国のごとき圧迫 感、男としての本能的な安心感にひたる俺。 さっきのは視覚、そして触覚に嗅覚と、俺は五感の限りを尽くし てリルナの乳を味わう気満々なのである。 ﹁そのままだぞ、暴れるなよ橘さん⋮⋮﹂ ﹁̶̶̶ひゃうぅ!? んぁ、ダメっ⋮⋮ま、マジでだめぇっ、そ こは⋮⋮っ!﹂ 俺だけの超高級乳枕に顔をうずめたまま、俺の指はついに最大の 急所̶̶̶ふたつの乳首へと狙いを定めた。 まずは、カリカリと軽く指先で引っかくように、ぷっくり浮き出 た乳輪の輪郭をなぞる。 思った通り敏感なギャル乳首は、それだけで充血を始めどんどん 反応する。 ﹁ふうぁ、ッは⋮⋮っ! や、やぁうっ⋮⋮な、なんでっ⋮⋮!﹂ ﹁何がなんで?﹂ 聞き返しながら、さらに触れる指を増やし、それぞれ五本の指先 で頂点部分⋮⋮乳首先端を中心に囲んで内に外にと閉じ開きするよ うにすべらせる。 ﹁んぁあ、かっ顔うずめたまましゃべんないでぇ̶̶̶っ、な⋮⋮ 1051 なんでそんなに、トオルっち上手いのっ⋮⋮ふぁぁあっっ!?﹂ はぁはぁと荒くなる息を吐き、いよいよ玉の肌のあちこちに汗を 浮かせ、俺からは見えないがサイドテールを尻尾みたいに振り乱し て、未知の快楽に翻弄されるリルナ。 ﹁俺が? そうかな?﹂ ﹁だ、だって段取りすっごい手慣れてるしぃっ⋮⋮そっそれに、そ ーじゃないと、こんなに体ヘンになる説明つかないよぉ⋮⋮っ!﹂ 自慢の巨乳に秘めていた未開発の性感帯が俺の手でほぐされ、熱 を注入されて、女としての自分という未知の側面を初めて味わう快 楽と共に自覚させられている。 リルナの反応が、まさに今起きているその状況を物語っていた。 艶を帯びた彼女の声に、俺もゾクゾクと征服感を覚える。 クラスの裏アイドル、あの橘リルナに、初めての男としてメスの 悦びを刻んでいるのだ̶̶̶キリカと同様に、この俺が。 ﹁そう言う橘さんだって、センスがいいよ。俺の刺激を受け止めて どんどん気持ちいい感覚に変えていけてる⋮⋮最初よりもおっぱい、 敏感になってきてるの自分でもわかるだろ?﹂ ﹁え⋮⋮う、うん⋮⋮っ! わかっ⋮⋮わかるカンジするっ⋮⋮お っぱい熱くて、トオルっちに触られたとこ全部っ⋮⋮んぅぅんぁあ !?﹂ くりゅっ̶̶̶くりゅりゅんっ、と不意打ちで乳首をつまみ、指 の腹でこすりイジメると、リルナの嬌声がさらに1オクターブ上が った。 左の乳肉を引っ張り回すように乱暴に揉み込みながら、右の乳首 1052 を一定のスピードでシゴく。 かと思えば右の乳肌をモチでもこねるようにやんわり可愛がりつ つ、左の勃起乳首を指先ではじく。 ギャル勇者の処女爆乳は、俺のもたらす愛撫刺激に面白いように 反応した。 ﹁と⋮⋮トオルっちってさ、や⋮⋮やっぱりっ⋮⋮なんていうかっ ⋮⋮やっぱり男のヒト、なんだねっ⋮⋮!﹂ ﹁ん?﹂ 手を止めないまま顔を上げ、しばらくぶりにリルナと顔を合わせ る。 眉をハの字に、目の焦点はぽぉっと揺れて、ふにゃふにゃにトロ ほぐれたリルナの表情。 ﹁ゆ、指もっ⋮⋮ごつごつしててっ⋮⋮こうやって、女の子のカラ ダ、ちゃんとエッチな気持ちにさせちゃえるんだ⋮⋮って、なんか スゴいなって、思っちゃったぁ⋮⋮っ﹂ ﹁⋮⋮何をいまさら﹂ 荒い息の下、えへへ、と笑うリルナ。 こっちが一方的に攻め立てているはずなのに、そこになんだか母 性というか⋮⋮女の子の余裕みたいなものを感じさせられて、俺は ドキッとすると同時にちょっと複雑な気持ちになった。 むらむらと反抗心めいた男の衝動を煽られたのだ。 ﹁じゃあ̶̶̶もっと凄いことしてやるよ﹂ ﹁えっ⋮⋮? う、ウソだよね? こ、これ以上スゴいとかアタシ 困っ⋮⋮ひゃあぁぁぁんッッッ!!?﹂ 1053 温存していたさらなる一手。 だしぬけに乳首を唇に含み、度重なる指愛撫で充血しきった乳頭 を吸い立ててやったのだ。 想像以上の快楽刺激にのけぞるリルナの背を抱き寄せると、両方 の乳首めがけ交互にかぶりつき、甘噛み、しゃぶり倒す。 ﹁̶̶̶胸だけでイカせてやるよ、リルナ﹂ ﹁なっ名前呼びっ⋮⋮ふぁぁあ!? ひゃぁぁあうっっ、んひぃぃ っひぅぅぅぅんんっっっ!!?﹂ この乳感度の良さなら、不可能じゃないという自信があった。 時には軽く歯先を立て、かと思えばその刺激に怯えた箇所をケア するように優しくぺろぺろ舐めて、アメとムチの刺激でリルナの敏 感乳首を急ピッチ開発していく。 キリカにも使って鍛えたテクを総動員しているという事実が、同 じクラスメート相手のこの状況では奇妙な興奮を呼んで、俺の下腹 部を硬くすると共に愛撫にさらに熱が入る。 ﹁んっひあ!? ひぎっ、あふぁぁっ⋮⋮だっだめっ、トオルっち っ⋮⋮あ、アタシこれマジでっ、マジへんになっ⋮⋮ちゃうぅぅう !? んぁぁぁあぅぅんぅ!!?﹂ ﹁ちっとも変じゃないよっ、心配するなっ⋮⋮昔、あの教室で聞い た俺の言葉でそうなったみたいに、常識に縛られずに新しい世界の 扉を開け、リルナっ!﹂ 諭すようにささやきながら、思いっきりその背中を抱きかかえ。 とどめとばかりに、双乳肉を真ん中に寄せてまとめた両乳首をま とめて口に含み、イヤらしい音を立てて思いっきり吸いあげる! ﹁あっ̶̶̶やっあっあッッ、あぁんぁぁあっっっ̶̶̶ふぁ、ふ 1054 ぁぁぁぁあああぁああぁあんッッッ!!?﹂ ぎゅうっと俺の上半身を抱き寄せ、固く抱きしめ合いながら̶̶ ̶リルナは甘く長く吼えて絶頂した。 人の手によってもたらされた、ギャル勇者の盛大な初アクメ。 ﹁あふっ、ふぁああっ⋮⋮! はぁっ、はっはぁぁっ、はぁっ⋮⋮ ! なに、これぇぇ⋮⋮っ! マジ、すごすぎるんだけ、どぉっ⋮ ⋮!?﹂ びくびくと伝わる痙攣と密着の熱、柑橘系の爽やかな体臭に包ま れつつ。 俺は彼女のカラダのわななきが一段落するまで、優しくその背を 撫で続けていた̶̶̶。 1055 61話:教室の記憶と、勇者のおっぱい︵後書き︶ 作者も待望の漫画版1巻、いよいよ6/30発売となります。詳し くは活動報告の情報をご覧下さいませ! 1056 62話:俺とリルナと、舞い降りる戦女神 サークル・グラインダー ﹁せぇぇぇぇいッッ!! 輝刃旋円輪ッッ!!﹂ キリカの振るう煌剣アルカンシェルの刀身が、大きな円を描く回 シャードビースト 転斬りで全周を薙ぎ払う。 四足獣の姿を持つ晶片獣の一群が、甲高い音をたてて砕き散らさ れ水晶の破片へと変わった。 サークル・エアリアル クリスタルの吹雪の中、姫騎士の黒髪が幻想的になびく。 普段は移動用に使う天翔輝円を刀身から発生させることで、まる ビュートブレイド でブースターを吹かすがごとく剣を急加速させる聖騎剣技だ。 その背後では、連鎖刃を鞭状形態で敵一体に絡み付かせたアメリ アが、ハンマー投げのように振り回してぶつけることで巨体のケン タウロス型を仕留めた。 ﹁いい調子いい調子ぃっ! やっぱマスターにたっぷり注いでもら うと違うぜ、なあキリカ?﹂ ﹁ちょっ⋮⋮あ、アメリア! いきなり外でそんなこと言わないで よっ!?﹂ 遠巻きに彼女らを援護している一般の冒険者や衛兵たちに聞かれ はしないかと、赤面して慌てる姫騎士。 ここは遺跡巨人からあふれ出た晶片獣の大群に制圧されつつあっ た、パラヴァータの地上市街部だ。 トオルはリルナに隷属魔法をかけるため共に眠りにつく直前、シ スティナ姫に伝言を残して彼女たちを参戦させていた。 冒険者や衛兵たちの防衛戦が今にも崩れそうになったタイミング で斬り込んだキリカたちの奮闘は、状況をギリギリで覆すに十分な 1057 ものだった。 なにしろ強いだけでなく見目麗しい。士気も上がるというものだ。 ﹁おーおー、あっちの通りでドッカンドッカンやってるのはロリ魔 族コンビだな。ありゃ任せて大丈夫そうだ﹂ ﹁トオルくんが近くにいないから魔力は節約しなきゃいけないのに、 派手にやって大丈夫かしら⋮⋮ところでセレスタは?﹂ ﹁もうシエラと配置についてるぜ。ま、あの騎士サンにしかやれな い役目だからな﹂ 戦場の遥か外をちらりと見やるアメリア。 シャードビ 今の彼女たちの戦いは、今後の本番のためのいわば露払いに過ぎ ースト ない。中枢にいるオルトを倒さない限り、遺跡巨人が吐き出す晶片 獣たちの第二、第三波はすぐやってくるだろう。 トオルがリルナと共に到着し決戦を開始するまで、それらを迎撃 し巨人までのルートを確保しておく必要があるのだ。 ﹁ふぅ⋮⋮﹂ シャードビースト やがて、あらかた周囲の晶片獣を一掃し、冒険者たちの歓声があ ちこちで沸き起こる。 だがキリカは、それもあまり耳に入っていないどこか上の空で、 戦闘の疲れだけではないため息をついていた。 ﹁その様子じゃキリカ、やっぱ気になってるか? マスターと、あ のリルナって子のこと﹂ ﹁え!?﹂ にやにやしつつ聞くアメリアに、虚を突かれた姫騎士の肩がびく っと跳ねる。 1058 ﹁いや、わかってるわかってる。可愛いし巨乳だしイイ子だもんな ∼。ありゃ思わぬ強敵ってヤツだぜ﹂ ﹁きょ⋮⋮強敵って。確かに橘さんは、ちょっと変わってるけど人 間のできた人だけど⋮⋮﹂ うんうん、と頷きながら複雑そうなキリカの肩を叩く女戦士。 ﹁第一、マスターと同じ世界の出身だからなぁ。今までそいつはキ リカの特権だったわけだけどさ? こりゃいくら愛隷でもうかうか できないよな﹂ ﹁な、何よ特権って⋮⋮それなら私と違って、あの頃トオル君と話 した回数は橘さんの方が⋮⋮お、多かったはずだし。確かその頃か らトオルっちとか呼んでたから、もっと昔から接点⋮⋮あったのか もだし⋮⋮﹂ 口にしているうちに色々と変な想像を働かせて不安になったのか、 黒髪の先を指でいじりつつ挙動不審に目を泳がせるキリカ。 アメリアはそんな分かりやすい反応を見て内心苦笑しつつ、 ﹁ま、でも今は夢界仙境とやらを使って魔隷の術式を成立させるだ けなんだろ? マスターがいつものスケベ心で手ぇ出すとしても、 もっと後のことだろうさ﹂ ﹁⋮⋮どうもそうは思えないのよね﹂ ﹁え?﹂ キリカは一種の確信めいた予感を胸に、ジト目で空をにらんだ。 ﹁なんだかイヤな予感がするのよ。それに、トオルくんは﹃そうい うチャンス﹄を絶対に逃さないような気がして̶̶̶!﹂ 1059 ※ ※ ※ ﹁っあ⋮⋮!﹂ 繋げた机の上に半脱ぎのわがままボディをあおむけに乗せ、健康 的にすらりと伸びる両足をいよいよ開くと、リルナはせつなそうな 声をあげた。 いつも快活で元気いっぱいのギャルが出すとは思えない、乙女っ ぽい声。なんというか余計興奮する。 ﹁と、トオルっち⋮⋮ほ、ほんとに⋮⋮しちゃうの?﹂ はだけたブラウスからこぼれる白い双乳、めくれあがったスカー トから太ももの奥にのぞくライトピンクのパンティー。 手で口元を隠すようにしてうつむき加減に俺を見上げ、目をうる ませてかすかに震えるリルナの真っ赤に染まった顔。 この状況でガマンを貫ける男などいるわけがない。 ﹁ああ。言ったとおり、隷属術式を成立させるには俺と君が深く繋 がる必要がある﹂ ﹁そ、そっか⋮⋮そだよね。それなら、やんなきゃだよねっ⋮⋮街 のヒトたち、助けらんないもんね⋮⋮っ﹂ いい子すぎるリルナを騙していることに、ちくりと胸が痛む。 だが、俺のオスとしての部分は今更止まれない。はちきれんばか りに勃起したモノを、ぼろんと外に出す。 1060 ﹁ひゃあわっ!?﹂ ギンギンに反り返るチンポを見て、素っ頓狂な奇声をあげるギャ ル勇者様。 期待はしてたが、このウブな反応ときたら⋮⋮外見とのギャップ がやはりたまらない。 ﹁そんなにびっくりした? 大きすぎるってことはないと思うけど﹂ ﹁いやいやいやだって、サイズの平均とかアタシわかんないしっ! そ、そもそも大きさとかじゃなくてっ⋮⋮そのじょーたいが、初 めて見るっていうかぁ⋮⋮うひゃあぁ⋮⋮!﹂ それでも興味は人並みにあるらしく、慌てて顔を隠した指の隙間 からちらりと熱い視線を送ってきてるのがわかる。 あ、チンポに力入れて急に動かしてやったらビクッてなった。い ちいち反応可愛いぞ。 ﹁大丈夫。優しくするから安心して、橘さん﹂ ﹁あ⋮⋮う、うん、よろしくお願いします⋮⋮って、やぁぁあっ! い ? なっ、なにパンツいきなり脱がしてきてんのトオルっちぃぃっ !?﹂ ﹁いやだって、そりゃ脱がさなきゃこれ、挿入れられないでしょ?﹂ 手早く邪魔な布を取り去ると︵ちなみに、その方がエロいから片 足に引っかかるように半脱ぎだ︶、透明な糸を引くくらいリルナの あそこはすでに濡れまくっていた。 胸いじりでイカせただけでこんなになるとはな⋮⋮予想以上の感 度で期待が持てる。 ふるふると震えるシミひとつないサーモンピンクの割れ目、体質 なのかほとんど生えてない毛。 1061 ギャル勇者の秘密の場所は、意外と幼い印象を受ける綺麗なもの だった̶̶̶ズリネタにした男たちの中で、俺だけがこの眺めに到 達したという感慨にしばしふける。 ﹁じゃあいくよ、橘さん﹂ ﹁ちょ、ちょい待っ⋮⋮まって! まってぇ! トオルっち、こ⋮ ⋮これっ! これつけて!﹂ ﹁え?﹂ ずびしッ! という勢いで、リルナは俺の眼前めがけ両手で何か を突き出した。 その、平べったく畳まれた薄ピンクの物体は⋮⋮コンドーム。 ﹁うお、どっからこんなモノが!?﹂ ﹁し、知らない。出てこいって思ったらなんか手に握ってた⋮⋮﹂ 今いる放課後の教室同様、夢界仙境の力で俺たちのイメージが実 体化した産物ってわけか。 ﹁というか、使ったことあったの?﹂ ﹁ないに決まってんじゃん!? でもさ、こーゆーことするときは ⋮⋮つ、つけなきゃダメだよ。おばーちゃんがそう言ってたもん⋮ ⋮で、できたら困るもん⋮⋮あ⋮⋮赤ちゃん﹂ そもそもここは夢界、寸分違わぬ感触や実在感とはいえ非物質的 な世界だ。 精神と精神を介した隷属術式は成立しても、さすがに妊娠まです るとは思えない。 だがリルナはそこまで思い至らないほどテンパっているのか、あ るいは分かっていてもなお気になるのか⋮⋮いずれにせよ、思った 1062 以上に貞操観念がしっかりしているようだ。 ﹁⋮⋮わかったよ、橘さん﹂ 少し考えた末、俺はにっこり笑ってうなずいた。 ﹁あ、ありがと⋮⋮﹂ ﹁いやいや、気にしないで。うん、大事だよね、こういうことはさ﹂ そう̶̶̶俺は気付いたのだ。 考えてみれば、異世界でコンドームを使うチャンスなど基本こう いう場所でもなければ存在しない。 そしてリルナはギャル。中身はウブでも外見はギャルギャルしい ギャル。 ギャルとコンドーム! これほどまでに相性良くエロい小道具の 組み合わせが他にあろうか、いやない! 現に、ちょっと涙目笑顔でゴムを持った赤面リルナを見ているだ けで、俺のチンポはさらに熱く硬く反り返っていくではないか! ﹁てなわけで̶̶̶それを着けてくれ、橘さん﹂ ﹁⋮⋮へ?﹂ 満面笑顔で口にした俺に、理解不能のハテナマークを浮かべるリ ルナwithコンドーム。 うん、やっぱりわからないよな。 ﹁俺のチンポに、そのコンドームを装着してくれってことだよ。君 が﹂ ﹁えっ!? と、トオルっちが自分でつけるモンじゃない⋮⋮の?﹂ ﹁いやいや、女の子が男に着けてあげるんだ。そういう作法なんで﹂ 1063 ﹁作法っっ!? マジで!?﹂ うわぁ知らなかった̶̶̶と、愕然とショックを受けた様子でゴ ムと勃起チンポとを交互に見つめるリルナ。 まあ、ウソ八百なんだからそりゃ知らんわな。 ﹁大丈夫、着け方は俺が指示してあげるから。まず⋮⋮ゴムをそう、 そっち向きにして、形を崩さないまま唇で縦にくわえるんだ﹂ ﹁う、うん、えっとこっち向きで⋮⋮くちっ̶̶̶唇ぅぅ!?﹂ ﹁何か問題でも? 手ですると爪で破れる危険性があるからね。ほ ら、橘さんの爪きれいだけどちょっと長いし﹂ ﹁たっ確かに⋮⋮うわー、そんななんだ⋮⋮ホントにみんな、こん なんやってるんだ⋮⋮!﹂ 多少は真実が混ざっているが、そもそも夢界でゴムをつける根本 的な必要性がないということは黙っておく。 ともあれ勢いに言いくるめられたリルナは、ピンクのグロスでう っすら光るキュートな唇に避妊ゴムをこわごわホールドすると⋮⋮ 突き出された俺の股間に、おそるおそる近付けていく。 ﹁いいぞ、そのまま⋮⋮うっ、おおっ⋮⋮!﹂ 間近で見る男性器の威容に目を半ばつぶりながら、おっかなびっ くり突き出された唇が亀頭に達した。 要領のいいリルナは言葉少なな指示でもすぐメカニズムを察した ようで、密着させたゴムがくるくると巻き開くように、チンポを唇 の奥めがけ沈めていく。 サイドテールを揺らして、せつなそうな赤面顔で̶̶̶ゴム越し フェラに等しい、処女ギャルがやるにはエロすぎる卑猥な行為だ。 柔らかいリップがゴムごしに触れる感触がなんとも心地良い。 1064 ﹁んっ、ぷぁ⋮⋮! で、できた、かな?﹂ ﹁ああ、上手いぞ橘さん。ちゃんとフル勃起チンポにスケベゴムを 着せられたな﹂ ﹁ちょっ、なんかムダにエロい言い方してないっ!? そ、そーゆ ーのオヤジくさいよトオルっち⋮⋮ふ、ふぁ!?﹂ よしよしと股間から見上げる頭を撫でてやると、なついた大型犬 みたいな可愛い反応が返ってきた。 そんな顔のすぐ前に、どぎつい蛍光ピンクのコンドームがかぶさ った俺のチンポがあるという光景がまた興奮必至だ。記念撮影しと きたいくらいだな。 ともあれこれ以上、俺もコイツもお預けを耐えられそうにない。 ﹁じゃああらためて̶̶̶今度こそいくよ、橘さん﹂ ﹁あっ⋮⋮! 熱っ、ご、ゴムごしでもトオルっちが熱くなってん の、わかっ⋮⋮るぅ⋮⋮っ!﹂ にゅる、にゅりりっと蛍光ゴムに覆われた亀頭を淫唇にこすりつ けて直接愛液をまぶすと。 俺はついに、同級生の男どもの誰もがキリカ同様に憧れたクラス の裏アイドル、その未経験処女マンコめがけて̶̶̶いきりたった チンポをゆっくりと侵入させた! ﹁はっ、んはっあっ̶̶̶あぁあっ、あっ入っっ⋮⋮やっ、マジで 入っ⋮⋮ちゃうぅぅぅぅうっっっ!!?﹂ ぬぷ、ぬぷぷっ⋮⋮つぷぷっ、ぷちゅっ̶̶̶にゅとぷんっ! ﹁くっ⋮⋮うはっ、おぉぉ⋮⋮っ!﹂ 1065 いつも格闘戦で激しく運動しているせいか、処女膜の抵抗も、お そらくは痛みも最小限のものだった。 狭く、ところどころコリッとみずみずしいギャル肉穴は、たっぷ りにじみ出た愛液のおかげか俺の侵入を予想以上の素直さで受け入 れてゆく。 何度味わってもたまらない、ひとりの少女を自分の手でオンナに する征服の実感が、みっちりとチンポの全周囲に跳ね返ってくる。 ﹁はぁ、うぁあっ!? と、トオルっちが、アタシのナカにいるの っ⋮⋮わ、わかるぅぅ⋮⋮っ! すご、アタシのあそこっ、ぎゅう って拡げられちゃってるよぉぉ⋮⋮!﹂ 大丈夫そうではあるが、一旦挿入を止めリルナの反応を見る。 はっはっと短く息を荒げ、両腕で自分の体をぎゅっと抱きしめる ようにして、初めての異物感を戸惑いつつ受け止めているようだ。 結合部に視線を落とすと、コンドームと愛液で照り光るチンポの 根元半分がギャルマンコから生えているなんともイヤらしい光景。 ﹁このままいけそうか、橘さん?﹂ ﹁うんっ、た、たぶんだいじょぶ⋮⋮! でも、あのねトオルっち、 ふたつ、お願いっ⋮⋮いいかな?﹂ 何? と聞き返そうとした俺の頭部めがけ、だしぬけに上体を起 こしたリルナが迫ってきた。 胸板にむんにゅり押し当てられる巨乳。 こっちの首筋に手を回して、恥ずかしいのか耳元でそっと答えが 囁かれる。 ﹁ひとつ⋮⋮手、ぎゅってしてて。そんで、もひとつはね̶̶̶名 1066 前で、呼んで﹂ ﹁⋮⋮っ! わかった⋮⋮リルナ﹂ チンポから膣内の温かみを、密着した胸からドキドキと高鳴る心 音を感じながら、真っ赤な耳たぶにその名を告げる。 瞬間、ぶるるっと嬉しそうにリルナのすべてが震えた。 ﹁⋮⋮てへへ。あのね、実は昔からずっとね。そう呼ばれてみたか ったんだぁ﹂ こつん、と額同士を当ててはにかむギャル勇者。 やばい⋮⋮可愛い。 外見と仕草にギャップがあるだけになおのこと強烈な可愛さだ。 あらためてそっと上体を横たえると、優しく押さえつけるように して両手を恋人繋ぎに結ぶ。 ﹁ぁ⋮⋮いい、よ。アタシのいちばん奥まで、来て⋮⋮っ!﹂ せつなそうに潤んだ瞳。机の上にふぁさっと広がったサイドテー ルとスカート。 言われるまでもなく、俺の下半身は燃えたぎる熱に浮かされてい た。それはおそらくリルナも同じ。 ﹁ああ、いくぞリルナっ!﹂ ﹁んっうぁあっっ!? ああっ、おっ奥まで入ってくるぅぅぅ⋮⋮ ッッッ!? はふぁ、はぁぁぁあっあっっ!!?﹂ まだ硬さを残した膣道をミチミチかき分け、誰にも許したことの ない体の真芯めがけゆっくりと、だが着実に肉槍を突き込む。 こつんっ⋮⋮と子宮口に先端が当たる感触が返った瞬間、リルナ 1067 は細い腰を浮かせて声にならない声でわなないた。 どうやら、この刺激だけで軽イキしたようだ。期待以上の感度と 言うほかない。 そのまま丁寧にほぐすように、二、三回のストローク。 ﹁んぅっ、はぅぅあっ⋮⋮あっんあっっ!? ひゃぅうっ⋮⋮んひ ゃんっっ!? ふぁあぁ!?﹂ ﹁くっ⋮⋮リルナ、このペースでつらくないか?﹂ ﹁えへへっ、トオルっち、やっぱ優しいねっ⋮⋮でもっ、あ、アタ シはだいじょーぶ、だからっ⋮⋮好きに動かして、いいからっ⋮⋮ ね?﹂ 長いまつげをかすかに涙で濡らしながらも、けなげにそう言って くる。 その健気さを前にして、俺の胸を再び罪悪感が貫いた。 こんないい子を、騙してセックスに持ち込んでいるというのに⋮ ⋮優しいなどと言われる資格はないのに。 ﹁⋮⋮違うんだ、リルナ。聞いてくれ、俺は実は君を⋮⋮!﹂ ﹁ううん、いいの。そのコトならっ⋮⋮アタシもおあいこ、だから っ⋮⋮!﹂ ﹁え̶̶̶?﹂ ずっぷり根元までの挿入を受け入れたまま、リルナは微笑んだ。 あの、太陽のような満面の笑顔で。 ﹁あのね、途中から、なんとなくわかっちゃってた、よっ⋮⋮! トオルっち、たぶんホントはアタシとえっち、したいだけなのかも ⋮⋮って﹂ ﹁!! じゃあ、なんで⋮⋮﹂ 1068 ならばなぜ、術式の完成に必要なわけでもないセックスを受け入 れたのかと。 思わず聞き返した俺を、いたずらっぽい笑みで迎え撃つと。 ﹁あはっ、トオルっちでも、わかんないことあるんだねぇ⋮⋮じゃ あ、おしえたげる﹂ リルナは悪戯っぽく笑い、告げた。 とびっきりの秘密を告白するように。 ﹁アタシも⋮⋮きょーみあったから、だよ。トオルっちと̶̶̶し ちゃうコトに﹂ ﹁っっ!!﹂ それは、この行為が始まってから、終始俺のペースに引きずられ ていたかに見えたリルナからのとびっきりの不意打ちだった。 まさに一発逆転、勇者の一撃。 ﹁ううん、それだけじゃないね⋮⋮ほんとは、やっぱ不安だったん だと思う⋮⋮オルトと戦うのが、もう一度話すのが⋮⋮だから、あ の時みたいにトオルっちに勇気、もらいたかったの⋮⋮こうして抱 きしめて、大丈夫だよって感じさせて欲しかったんだと、思う⋮⋮ っ﹂ 仮にも相棒として信じてきた存在に見放されたことは、やはり一 人の少女に深い傷を刻んでいた。 それが異世界に来てから⋮⋮いや、あの日俺の言葉をきっかけに 自分を変えてから、ずっと健気に、一見天真爛漫に、前向きに世界 と戦い続けてきた彼女の中にずっと封じ込められてきた弱さを呼び 1069 起こしたのだ。 こうでもしないと、リルナはそれを自分以外には見せられなかっ たのだろう。 ﹁だからね⋮⋮気付いてないフリ、しちゃった。騙されてるフリ⋮ ⋮へへ、どうしよ。今日はトオルっちにいっぱい、アタシの秘密に してたコト⋮⋮知られちゃったね﹂ だからおあいこ、ウソをついていたのはお互いさまだと。 だから罪悪感を覚えることなく自分の体を味わってほしいと⋮⋮ いや、お互いに感じ合おうと。 そうリルナが言っているのだと理解した時。 ぷちんと、俺の中で何かが切れた。 ﹁リルナ⋮⋮リルナぁっ!﹂ ﹁ひゃぁああッッ!? ちょっやぁっ、きゅっ急に動いっ⋮⋮えっ えっ、しかもさっきより大きくっ⋮⋮んふぁぁぁあああんぁあっっ !!?﹂ 湧き上がる愛しさと情欲が、今度こそ俺の心と体のストッパーを 取り払っていた。 今までになくビキビキとみなぎるチンポで繰り返し繰り返し、未 熟なギャル膣肉を耕すかのごとくこすりあげ、イヤらしい水音をズ チュズチュと鳴らす。 不安など消し飛ばしてやるとばかりに、腰を叩き付ける。 ﹁あぁぁスゴっ、これヤバっっ、ひゃふぅぅぅんっっ!!? こす られてるぅうっっ、トオルっちのカタくてアツいのでアタシのなか ッッ中ぁぁぁあ!! け、削られちゃってるみたいだよぉぉっっ! !?﹂ 1070 容赦ないピストンをしっかりと健気に受け止め、可愛らしいあえ ぎ声と精一杯の受け腰で応えようとするリルナがなお愛おしい。 ドッドッドッッと打ち込まれる腰の動きが机をギシギシ鳴らすた び、ぶるっっばるんッと大迫力の生巨乳が半脱ぎのブラウスからあ ふれ踊る。 ﹁んひゃうぅうッッ、はぅぅぅっっ!!? とっトオルっち、アタ シのカラダっ⋮⋮ちゃんとトオルっちのことキモチよくできてるぅ っ!?﹂ ﹁ああ、すごいぞリルナっ! ぎゅうぎゅうにゴムごとチンポ締め 付けてっ、がっちりくわえこんで濡らしまくってっ⋮⋮ひと突きご とにマンコ肉が柔らかく溶けてなじんでくみたいだっ!﹂ 持ち主同様の柔軟さと適応力で、まるで肉棒を型取りするがごと く最適化されてゆく最高級霜降り処女ヒダ肉。 きゅっ、きゅんっと無意識に収縮するランダムな刺激も予想外の スパイスとなって、的確に俺の快楽中枢を刺激してくるこの贅沢さ ⋮⋮気持ちよくないわけがない。 それどころか、油断すると暴発してしまいかねないほどだ。 ﹁ッは! っっふぁああ!! はんっっ、ぁふぁぁんッッ!? ヤ バ、こんなキモチいいんだっっ、スゴいんだっ、セックスってぇぇ っ⋮⋮んぉぉうっっ!!?﹂ ぐりゅんっっ、と内壁のお腹側をエグい角度でえぐったチンポ先 が性感帯の弱点にヒットしたらしく、リルナがひときわ発情したあ えぎを漏らす。 すかさず俺は白い太ももを抱え、その箇所を何度も突き崩すよう な角度でストローク攻勢をかける⋮⋮こういう時は経験値の差がモ 1071 ノをいう。 ﹁ここがギャルマンコの弱点かっ、リルナぁ! たっぷりイジめて 今まで出したことのないメス声あげさせてやるぞっ、そらそらそら ぁっ!!﹂ ﹁ほへっっ、あぅぅッんほぉぉぉっっ!!? やっちょっっ、まっ 待ってヤバっっこれマジでやばいっ⋮⋮てぇぇぇんッッッ!!? んぉぉ、あひっっひぎぃぃうぅ∼∼∼∼∼っっ!!?﹂ 俺のピストンによって強制的に、乱れた品のない嬌声をあげさせ られるリルナ。 ガン突きする腰の動きに合わせてそれはどんどん高まり、かつて ない絶頂の高みへと近付いてゆく。 ﹁んぁっんあぁぁあっっ!? これっ、これさっきのっ! さっき よりスゴいのキちゃうよぉおお!!? あひっんひゃぁぁぁあ!! ?﹂ ﹁いいぞっ、さあイケっ! 俺も一緒にイクっ⋮⋮からっ! イけ っっ、リルナぁぁあ!!﹂ ﹁トオルっちっ、トオルっちぃぃぃっっ!!? うんっ、うんっ一 緒にいこっ!? アタシとっ、あはぁぁあうっっっ!!﹂ 覆い被さる俺の背中に必死で手を回し、足まで自分から絡めて、 体幹を駆け上がる快感電流に揉まれ押し流されてゆくギャル勇者。 俺も自由になった手でずっしり巨乳をもみくちゃに鷲掴み、ある いはプリンっと引き締まったお尻を掴んで、なおもガンガン腰を叩 き付ける。 そして絡み合う男と女の悦びが̶̶̶混じり合い溶け合い、つい に頂点へと登り詰めた。 1072 ﹁あっヤバっイクっっ、いくいくイッちゃうぅっっ⋮⋮んはぁぁう だ っっはぁぁぁぁうぅぅぅぅぅうぅぅぅあ∼∼∼∼∼∼∼∼っっっ! !?﹂ ﹁おおおッッ、うおっ締まッ⋮⋮くぅぅぅぅっっっ!! だっ射精 すぞリルナぁっっ!! うおおッくはぁぁっっ!!﹂ どぶびゅるっっ⋮⋮びゅるるるんっっっ!! っどぷ、どぷぷっっ⋮⋮びゅば、ぶぱっ⋮⋮びゅくんっっ!! びゅぷぷぅぅっっ!! ﹁っっ熱ぅう!? あぁ∼∼∼っっ来てるっ、ナカで熱いのっ爆発 してるよぉぉぉお!!? びゅーって、びゅ∼ってゴム膨らんでっ、 んぁあっはぁぁ⋮⋮ふぁぁあっ⋮⋮あっあ⋮⋮っ!﹂ 何度も何度も、波のように重なって訪れる絶頂感にリルナの可愛 い顔はすっかりトロけ、俺が大量放精をぶっ放すのに合わせてビク ビクと膣内を波打たせる。 元気いっぱい好奇心いっぱいに搾り取ってくる側面と、繊細かつ 従順に包み込む大和撫子な側面が同居する、リルナの純情処女ギャ ルマンコ。 キリカのエロくて優等生なマンコとはまた違う味わいの、魅力あ ふれる食べ心地に射精がなかなか止まらない。 ﹁っく⋮⋮し、搾られたっ⋮⋮! ふぅぅ⋮⋮落ち着いたか、リル ナ?﹂ ﹁え、あっ、うんっ⋮⋮やば、アタシちょっと意識、トんでたかも っ⋮⋮うう、すごすぎだよ、トオルっちぃ⋮⋮っ!﹂ 涙目で俺を見上げるリルナの表情には、一種の尊敬の色があった。 男の自尊心を満たされ、悪い気はしない。 1073 ﹁じゃあこれ、抜くからな﹂ ﹁んぁっ、うんっ⋮⋮うぁ、ズルって抜けっ⋮⋮あう、こ、これヘ ンなかんっ⋮⋮じっ⋮⋮はぅん!?﹂ 根元を指で押さえつつ、ゆっくり引き抜かれたチンポ。 被さっていたモノを手早く外すと、愛液にぬらぬら光るピンクの コンドームは、小さな水風船のようにとっぷり精液で膨らんでいた。 ﹁ほら、見て。こんなに出た﹂ ﹁う、うわぁ⋮⋮! こ、これぜんぶ⋮⋮せーえき? こんないっ ぱい出るんだ⋮⋮﹂ ﹁ああ、リルナがあそこで搾り取った俺の精液だ﹂ ﹁あ、あう⋮⋮だ、だからそーゆうスケベオヤジっぽい言い方やめ てよぉ⋮⋮!﹂ たぷたぷ揺れる重そうな使用済みゴムから慌てて目をそらし、汗 まみれの顔を赤らめる反応が可愛い。 ﹁いやいや、本当にオヤジっぽいセリフってのはこんなもんじゃな いぞ。たとえば̶̶̶﹂ ごにょごにょと耳打ちすると、リルナの顔が今までに無いほど真 っ赤に茹で上がり、わなわなと震えた。 ﹁と、トオルっち、それ⋮⋮まさかアタシにマジで言ってほしいん ?﹂ ﹁うん、まあ、できればかなり﹂ ﹁う∼∼∼∼∼!!? へ、変態だぁ⋮⋮変態がいるよぉ⋮⋮!﹂ 1074 しばらくさまざまな方向に視線を泳がせて逡巡していたが、つい には根負けしてちょっと引きつった笑顔をつくり。 ﹁こ⋮⋮この濃ゆいのがアタシの処女マンでめちゃシコ搾り取っち ゃった、トオルっちのあつあつプリプリせーえきで∼すっ♪ いぇ い、ぴーすっ♥﹂ 顔の横に戦利品のように掲げ吊るした膨らみコンドーム、精液で ぱんぱんに膨らんだそれをピンクの舌先でちろちろイヤらしく舐め ながらのVサイン。 おお⋮⋮これだ、やはりセックス後の着崩れたギャルにしてほし いリアクションはこういうアレだ! ﹁̶̶̶って何ゆわせるんっ、もぉおお!! ばかばかばか変態ぃ ぃ!!﹂ うつむいて表情を隠しつつ、ぽかぽか叩いてくるリルナ。 笑って受け流す俺だが、そのうちなんと手にしたコンドームまで べちべち叩き付け始めた。 ﹁ちょっ、やめ、中身がこぼれるっ! 顔にかかるっ!?﹂ ﹁ジゴージトクだよ、トオルっち! むしろかかっちゃえ! えい えいっ⋮⋮あはっ、あはははっ!﹂ ﹁くくっ⋮⋮ふふふっ!﹂ 行為の汗にまみれた互いの体にもたれかかり、ひとしきり変なテ ンションで笑い合う。 ふと、濡れた視線が交錯し、示し合わせたように無言が訪れる。 やがて、どちらからともなく、俺たちの唇が重なり̶̶̶。 1075 ﹁んっ⋮⋮えへへ。これで、アタシはトオルっちの魔隷⋮⋮だよ﹂ 柔らかでみずみずしい感触の中。 俺と勇者リルナとの間で隷属術式の契約が、ついになされたのだ った。 ※ ※ ※ ﹁危ねぇッ! キリカッ!!﹂ ﹁え̶̶̶﹂ だしぬけに天より飛来した何かが、アメリアがとっさにかざした 盾の表面で炸裂した。 ほぼ同時に、降り注いだ同様の攻撃が周囲の地面や瓦礫に着弾し、 いくつもの小爆発を巻き起こす。 て シャードビースト ﹁ッ痛ぇぇっ! 一体何だってんだ!?﹂ ﹁晶片獣の新手っ!? でも、こんな攻撃をしてくるヤツなんて今 まで⋮⋮!﹂ 天を見上げた美少女たちが、いっせいに息を呑む。 逆光の中、悠然と浮遊するひとつの人影がそこにあった。 ﹁あれは̶̶̶!?﹂ すらりと流麗な、だが女性らしく局所的に突き出たフォルムにフ ィットした、白いボディスーツ。 身体各部にポイントアーマーのように存在するメカニカルな金属 1076 パーツ。 その背には浮遊する二対の翼にも似た、大剣のようにも銃砲のよ うにも見える長大な機械兵装。 エメラルドを溶かしたかのごとく輝く、非人間的な光沢色の長髪 がなびく。 両目部分を覆うバイザー状パーツの細いスリットから、ぎらりと 紅い光が漏れた。 ︿アールマ・ヴァルキュリア・Ⅶ̶̶̶これより、敵性有機生命を 殲滅する﹀ オルトとそっくりの抑揚に欠けた声で宣言する、白銀の戦乙女。 その胸元には⋮⋮ナナの中枢コア、あの真紅の宝石がはめこまれ ていた。 1077 62話:俺とリルナと、舞い降りる戦女神︵後書き︶ パイズリとかはまた今後のシーンでみっちりやるので安心だ 1078 ドライヴ 63話:オルトの誤算と、乙女の帰還 モード ︿装態:ブレードヴァンガード̶̶̶起動﹀ 無感情な宣言と共に、アンドロイドボディの背中にマウントされ ていた二対の翼状兵装のうち二本がパージされた。 シンクロ 金属音をたてて大剣状に展開したそれらは、本体の細腕が振り下 ろされるのと同調し、宙を舞って眼下のキリカたちに襲い掛かる。 ﹁くぅぅっっ!? お、重い⋮⋮ッ!!﹂ キリカは魔力を通した煌剣の背で、アメリアは盾スキルを全開に してそれぞれ受け止めるが、強烈な衝撃を殺しきれず、二人の足下 が石畳を割って沈み込む。 ﹁ウソだろ、本当にナナなのかっ!? おいナナ! 聞こえねぇの か、あたしの声が!﹂ ︿⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹀ 叫ぶアメリアを、上空数mに浮遊したまま無言で見下ろす純白ボ ディスーツの戦乙女。 マシンボイス メモ 替わって答えたのは、バイザーの発光部位から響いたもうひとつ の機械音声⋮⋮この場にいないオルトの声だった。 リー フォーマット ︿̶̶̶無駄です。彼女、アールマVⅦのコアに刻まれた以前の記 録はすべて初期化消去済みですので﹀ ﹁なんですって!?﹂ 1079 それはつまり、ナナがナナとして暮らした記憶を抹消されたとい うことだ。 トオルやキリカに会う前⋮⋮アメリアたち冒険者パーティに遺跡 で発見され、共にいた時間含めて。 ︿こうして本来の任務に立ち返った今となっては、あなたたちと同 行していた時期の記録は不要なノイズに過ぎませんから﹀ ﹁ウソだろ⋮⋮!? ちくしょう、ニーナやシエラになんて言やい いんだよ⋮⋮ッ!﹂ 必死で腕に力をこめながら歯嚙みするアメリア。 その盾との接触面で、機械大剣の輪郭部がジャキッと音をたてて ドライヴ スリット状に開き、出現した無数の光のエッジがチェーンソーのご とく猛回転を始めた! モード ︿装態:レイザーヴァンガード̶̶̶起動﹀ ﹁なっ⋮⋮ぐぅぁぁぁああ!!?﹂ 回転光刃が防護を突き破って盾に食い込み、その勢いのまま全長 3mをゆうに超える大剣が振り抜かれる。 たまらず、女戦士は装備ごと吹き飛ばされ市街の壁面に激突した。 ﹁アメリアっ!? ⋮⋮はっ!?﹂ 殺気を感じ振り向いたキリカの視界に、バイザーが描く紅い光の 軌跡が死神の影めいて映った。 浮遊する兵装とは別に、本体自身も同時行動できるのだ。 無駄ひとつないフォームで繰り出されたしなやかな蹴りが、頭上 の大剣のガードに気を取られていた姫騎士に横あいから直撃した。 1080 ﹁かはっ!? う、くぅうぅ⋮⋮っ!!﹂ 細身のボディとは思えないほど重いキック。地面に叩き付けられ 苦痛にあえぐキリカ。 異界の技術によって限定的に慣性をコントロールし、インパクト の瞬間衝撃を増大させているのだ。 ︿どうしました? 貴方たちの戦闘力はこの程度ではないでしょう ? この駆逐用ボディを起動させるまでもなかった、という結論だ としたらいささか期待外れですが﹀ ゆっくりと地面に降りた直立不動の機械乙女から、不思議そうな 響きの通信音声が投げかけられる。 遺跡巨人の中枢部から、高見の見物をしつつ声だけ届けていると いうわけだ。 ﹁バカか手前ぇ、な⋮⋮仲間を、そう簡単に攻撃できるかよ⋮⋮っ !﹂ 半ば引き裂かれた盾を支えに、よろよろと瓦礫の中から立ち上が るアメリア。 ワイルドな赤毛が血に濡れている。 ︿ですから、彼女がナナと呼ばれていた時期の記憶は消滅したと伝 えたはずですが。つまり、そこにいるのは貴方がたの仲間などでは ありませんよ。理解できませんか?﹀ ﹁わかってないのは、あなたの方よ⋮⋮オルト!﹂ 同じく、何とか身を起こしたキリカが、アメリアを守るように立 ちはだかる。 1081 ﹁私たちは、そんなふうに割り切ることなんかできない⋮⋮いいえ、 もし仮に逆の立場だったとしたら、ナナだってアメリアを傷付ける ことをためらったはずだわ!﹂ ︿理解不能です。確かに私たちアールマ・シリーズは、任務上発生 が想定されるトラブルに﹃創造的思考﹄で対処できるよう、造物主 たるヒト型知性体を模した知恵を与えられている﹀ 音もなく本体の手元に戻った一対の浮遊兵装が、今度は組み合わ さって巨大なハサミのような形態をとる。 ︿ですが、すべての思考は本来の任務の手段でしかなく、その遂行 に何ら優越するものではありません。たかだか一時的な記憶体験か ドライヴ ら、貴方がたの言う愛着や執着などという迷いが発生するなどあり モード えない̶̶̶﹀ ︿装態:シザースヴァンガード̶̶̶起動﹀ ﹁あぐうぅぅっっ!?﹂ 再びナナの新たな体が淡々と攻撃機能を宣言し、人間より大きな ペンチにも見える機械兵装が姫騎士の体を挟み込んで捕らえた。 苦痛にうめくキリカ。トオルが近くにいなければ、愛隷といえど 真価を発揮できない。 ﹁な、なんだかわからんが彼女たちを助けるんだッ!﹂ ﹁おっおう! 動きが止まった今ならぁ!﹂ レベルの違う戦いに、あっけにとられ遠巻きに見守っていた他の 冒険者や衛兵たちが、勇気を振り起こして奮起した。 手に手に武器や杖を構え、不動の戦乙女めがけ殺到しようとする が、 1082 モード ドライヴ ﹁お、おいやめろ! あんたらじゃこいつには勝ち目がっ⋮⋮﹂ ︿装態:チャクラムリアガード̶̶̶起動﹀ 背に残っていたもう一対の翼状兵装が、変形して組み合わさり今 度は直径3m以上におよぶ白銀の円輪を形作る。 高速回転しつつ数m上空に昇ったそれは、無数の細い光の雨をス ヴァンガード リット部から振り撒き、有象無象を悲鳴とともに一網打尽に吹き飛 ばす。 リアガード キリカたちを相手取っている一対が前衛戦闘用ユニットなら、こ ちらは後衛担当。出現と同時に降らせた光条もこの兵装の一形態に よるものだろう。 まさに一騎当千の機械乙女、プラントを守護する無慈悲な白銀の 軍神。それがナナの本来の姿だった。 ︿さて。魔隷術師はどこですか? 大方、また小賢しい計略でも巡 らせているのでしょうが⋮⋮どんな手段で攻めてこようと﹃私たち﹄ 相手には無力です﹀ ︵くっ⋮⋮た、確かに、この新しいナナの動き⋮⋮っ、なぜか避け られない⋮⋮どうして!?︶ 苦戦の理由は、かつての仲間が敵だというだけではなかった。 動作そのものが超スピードというわけではないのに、さっきから 一方的に攻撃を喰らってしまっている。 まるでキリカとアメリア、二人の動きがすべて読まれているかの ようだ。 ︿私はただ会話目的でこのボディと繋がっているわけではありませ モニター んよ。バックアップ役として、遺跡巨人の中にいながらこの戦場⋮ ⋮パラヴァータ市街地のすべてを精査しているのです﹀ 1083 オルトが耳目となって、周囲のモニタリング情報を常に収集分析 しナナへと与え続ける。 それこそキリカたちの呼吸や視線、筋肉の動き、一挙手一投足の クセにいたるまで。 類い稀なる機械知性体が、本来の居場所たるプラントの演算能力 を手にしたがゆえに可能な、おそるべき連携だった。 ﹁よ⋮⋮よくわかんねぇが、動きも攻撃手段も全部先読みされてる ってことかよ⋮⋮!﹂ どんな策略も、瞬時に分析され対応されてしまっては意味がない。 オルトたちはまさに、相性においてパーティ最悪の敵といえた。 だが、それでも。 キリカは瞳に闘志をたぎらせ、キッとナナを⋮⋮いや、その向こ うにいるオルトを見据える。 ﹁それでも⋮⋮それでもトオルくんなら、きっとなんとかしてくれ る。今までもそうだったもの!﹂ ︿まだそのような無根拠なことを̶̶̶!﹀ なおも姫騎士に追撃をしようとしたその時、オルトの機械音声が 途切れた。 バイザーの光が明滅し、ナナの体が上空に視線を向ける。 そして天より舞い降りたのは、一筋の流星。 ドラ ﹁⋮⋮どぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁっっっ!!!﹂ モード ︿!!﹀ ︿装態:シールドリアガード̶̶̶起⋮⋮﹀ 1084 人物。 滞空するリアガード・ユニットを可変させ、扇状の防壁として受 落ちて来た け止めようとするオルトの指示は、一瞬だけ遅かった。 みずからを生身の砲弾と化して文字通り 変形中のリアガード・ユニットを蹴り飛ばし、反動で軌道を変え てキリカを捕らえているヴァンガード・ユニットへと体当たりして 彼女を救い出す。 ﹁けほっ⋮⋮あ、あなたは⋮⋮!﹂ ︿⋮⋮やはり、来ましたか﹀ ﹁うん、来たよ̶̶̶オルト﹂ 橘リルナ。 路面に小さなクレーターを穿ち、ギャル勇者は戦場へと降り立っ た。 ※ ※ ※ ﹁橘さん、それにトオルくん!﹂ ﹁マスター! それにニーナも!﹂ ﹁ああ⋮⋮待たせたな、みんな﹂ ﹁だ、大丈夫ですかアメリアちゃん!?﹂ 重力制御魔法によって、ゆっくりと地面に降り立つ俺とニーナ。 彼女には、リルナと俺をこうやって上空の魔気船から直接送り届 ディスロケートアーマー その けてもらうために船内で待機してもらっていたというわけだ。 もらった。 俺たちと違い、魔法を受け付けないリルナには奇襲を兼ね まま降りて もちろん、リルナの体を覆う次元断層魔甲の保護力がなければ不 1085 可能な芸当だ。 ︿なるほど⋮⋮高空からの強襲とは考えましたね。さすがに対応が 遅れました﹀ ﹁ああ。直前の状況は、魔隷のリンクとニーナの遠視・遠聴魔法で 把握させてもらったからな﹂ ナナのバイザーから、オルトの冷淡な声。 今の一撃であの攻防一体の武装を破壊したかったが、まだ動くら しく厄介だ。さすがに一筋縄ではいかないな。 ︿そして⋮⋮リルナ。あなたはやはり、私と戦う道を選んだのです ね﹀ キリカを助け起こしたギャル勇者に、バイザーの光が向けられる。 だが、リルナはゆっくりと首を振り、 ﹁⋮⋮違うよ、オルト。アタシは戦うためにじゃなくて、もう一度 話しに来たの。オルトがこんなことをする理由、まだちゃんと聞い てない!﹂ 破天の骸 をすべて根絶する⋮⋮それ ︿まだそんな甘い現実認識でいるのですか、リルナ。私は造られた 理由に従い、この世界から 以外に何があると?﹀ 浮遊するナナのボディの遥か背後で、不気味に脈動する遺跡巨人。 あんなものを生み出せる技術力を持つ世界のことだ、まさかとは 思うがこの大陸ごと吹き飛ばす⋮⋮という可能性だってゼロじゃな いな。 ﹁本当にそうなの? アタシには、それだけとは思えないよ。その 1086 ナナって子にだって、自分の心があったんでしょ?﹂ ﹁そうです! ナナちゃんは自分を犠牲にして私たちを守ってくれ たんです!﹂ ︿そんな無意味な行動は、任務の空白状態に発生したいわば一種の バグに過ぎません。さて、これ以上対話する意義など̶̶̶﹀ 話を続けながらも、俺たちの状況を油断なくモニタリングしてい たらしいオルトの言葉が途切れた。 俺はにやりと笑い、 ﹁どうした? 予想外の事態が起こったみたいだな﹂ ︿この魔力の流れは⋮⋮! まさかリルナ⋮⋮あなたは魔隷術師と の間で隷属術式を成立させているのですか。一体どうやって⋮⋮!﹀ 常にフラットだった機械音声が乱れる。人間なら、驚愕するとい う表現がふさわしいだろう。 まあ、さすがに俺たちが使った手段は想定できないだろうな。 ﹁え、えっと⋮⋮ど、どうやってかは聞かないでほしいな、オルト っ!﹂ ﹁? 橘さん、まさか⋮⋮﹂ うっすら赤面して目をそらすリルナを、怪訝そうに見るキリカ。 ⋮⋮ひょっとして感付いてるんじゃないだろうな。こういう時の あいつは妙に勘が鋭いからな。 ともあれ緊張感のない連中は一旦無視し、俺はオルトに宣言する。 ﹁リルナと同じだ。俺もお前とはともかく、ナナと戦うつもりはな いよ﹂ ︿⋮⋮なんですって?﹀ 1087 ﹁俺たちは最初からこの街に、ナナを取り戻しにやってきたんだか らな。今からその悲願、ここで果たさせてもらう﹂ ︿何を世迷言を。私の知覚範囲に入った以上、あなたが何をリルナ や彼女たちに指示しようと対応は容易です⋮⋮さっきの奇襲が唯一 のチャンスだったのですよ? のこのこと身を晒したのは失敗でし たね﹀ 二対の羽状機械ユニットが、ゆらりと浮き上がりナナの周囲を守 るように展開する。 その切っ先が狙うのは他でもない俺自身⋮⋮真っ先に息の根を止 めるべき司令塔というわけだ。 そしてもし一定以上の不利や不確定要素を感じ取れば、オルトは ナナを遺跡巨人の中へと迷わず撤退させるだろう。 傍目には、圧倒的不利な状況のまま̶̶̶だが、俺には勝算があ った。 ﹁いいや。お前の分析能力には弱点がある。さっきの奇襲は、それ を確認するためのものだ﹂ ︿何ですって⋮⋮?﹀ そう。 実を言えば、戦いはすでに終わっているのだ。 これから俺がすることは、その最終手順の遂行、ただそれだけに 過ぎない。 俺はゆっくりと手を上に差し伸べ、魔隷のリンクを通してあるひ とつの指令を飛ばした。 それで⋮⋮勝負は決した。 ︿な̶̶̶﹀ 1088 ナナの頭部にかぶせられた漆黒のバイザー。 白銀のボディと比べ見るからに浮いた、後付けのパーツ。 おそらくはオルトのために取り付けられた通信端末にして情報収 集ユニット。 美しい白銀の戦乙女に取り憑いた歪な悪霊のようなそれが⋮⋮木 っ端微塵に砕け、吹き飛んだ。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮⋮⋮着弾、確認﹂ ﹁あ、当たったか! ナナ殿の本体に傷はないか!?﹂ 戦場となった市街から2km以上離れた、小高い丘の上。 地面に設置された黒く長大な対物スナイパーライフル⋮⋮アキュ スポッター ラシー・インターナショナル社製、AW50の名で呼ばれる大口径 高精度狙撃銃。 寝そべった姿勢でそのスコープを覗く女騎士が、傍らで観測手を 務める巨乳のエルフに慌てて確認をとる。 ﹁大丈夫っぽい⋮⋮⋮⋮セレスタ、ナイスショット﹂ モノクル いつものクールな表情のまま、小さくガッツポーズするシエラ。 ただでさえ鋭敏なエルフの視覚を遠見の片眼鏡でさらに強化して いるのだ。 もちろん、いくら異界機士のスキルで使いこなしているとはいえ、 1089 本来の有効射程を超えるこれほどの高難度狙撃を命中させるのは普 通なら不可能だ。 ﹁いや、エルフ殿の精霊魔法あってこそだ。風の加護なくば発射さ れる弾の軌道を安定させ、より遠くまで正確に届かせることはでき なかった﹂ セレスタの言う通り、クルスから得た現代兵器だけではこの狙撃 は不可能だっただろう。 そして魔法だけでも、弓矢ではこの速度でこの距離を飛ばすこと はできなかっただろう。 二人が力を合わせ、ふたつの世界の力を束ねたからこそ、オルト の知覚範囲外からの一撃が可能となったのだ。 ﹁⋮⋮⋮⋮呼び方、シエラでいい。後で主さまにご褒美、一緒にも らおうね﹂ ﹁う、うむシエラ⋮⋮って! そっそれは遠慮しておくっ!﹂ ※ ※ ※ ︿こんな、ことが⋮⋮!﹀ 地面に落ちたバイザーの破片から、ノイズ混じりの声が響く。 インターアクセル ﹁⋮⋮さっき時分割加速の腕輪で、落下するリルナにどの距離から 反応できるかは確認させてもらった。その結果、あれだけ離れた距 離から超高速で飛んでくる攻撃には、お前の演算能力でも対応でき ないことが予測できたってわけだ﹂ 1090 セレスタとシエラを組ませてあの位置にスナイパーとして配置し たのは、さすがに今の状況を読んでのことじゃない。 ただ、遺跡巨人に近付こうとする俺たちをオルトが何らかの手段 で妨害することは予想できていたから、撤退の支援も考慮に入れた 万一の保険としてそうしたわけだ。 結果的には、思った以上に決め手になってくれた。 ﹁どれだけ技術が進んだ世界から来たのかは知らないが、お前は俺 の世界やこの世界をちょっとナメてただろ? 足下をすくわれたの は自業自得ってとこだ⋮⋮さて﹂ 皆が見守る中、バイザーを失って棒立ちに立ち尽くすナナへと俺 は歩み寄る。 長い緑色の髪をなびかせた、人形のような顔立ちの美少女⋮⋮と ても綺麗だ。 よかったな、ナナ。お前の新しいボディはこの上なく魅力的だぞ。 ︿⋮⋮オルト、指示を。信号が途絶しています﹀ ︿く⋮⋮っ!﹀ どうやら急ごしらえでナナを起動させたせいで、あのバイザーか らの情報伝達がなければ戦う判断もつかないようだ。 好都合とばかりに、俺は白いボディスーツに包まれた豊満なボデ ィへと手を伸ばす。 ︿私の姉妹を再び隷属させるのですか、魔隷術師! 笑わせますね、 結局あなたは手駒が欲しいだけ⋮⋮私を糾弾する資格がどこにある というのです!?﹀ ﹁勘違いするな。俺はナナに、借りを返すだけだ﹂ 1091 そっとかざした手から、緑色の光があふれナナを取り巻く。 ややあって、塗り潰したようにフラットな色だったその瞳に、複 雑な輝きが戻った。 ﹁⋮⋮ご主人? それに、ニーナ、アメリア⋮⋮みんな?﹂ それは、以前のボディの発する機械的なそれではなかったが、確 かにナナとしての声。 ﹁ナナちゃん!﹂ ﹁あたしらといた頃の記憶が戻ったのか、ナナ!﹂ 満面の笑顔で走り寄る冒険者コンビ。 バチバチとショートするバイザーの残骸から、驚愕の響きがもれ る。 俺の方に な。どうやら魔隷のリンクっ ︿こんなことが⋮⋮!? 記憶ノイズは、すべて抹消したはず!?﹀ ﹁それが残ってたのさ。 てやつを通してそうなってるらしい﹂ 喩えるなら、ネットゲームのプレイヤーデータが常にサーバーに アップロードされ記録されているようなものだ。 手元のPC⋮⋮この場合はナナのボディ側の記憶が抹消されよう とも、それは残る。 そして再び魔隷のリンクが確立すれば戻る。この場合、ナナが魔 隷でなくなったのと破壊されたのが同時だったのが幸運といえた。 ﹁久しぶりだな、ナナ﹂ ﹁ご主人⋮⋮ナナは、夢を見ていた﹂ 1092 美しいアンドロイドボディで、アーマーゴーレムだった頃と同じ ように天を見上げるナナ。 その胸元で、かつてのモノアイが光る。 ﹁夢の中でぼんやり、新しい自分の体が生まれ、そこに入って、オ ルトに言われるままアメリアやキリカ⋮⋮みんなと戦うナナ自身を 見ていた。それはとてもつらいことだった﹂ 落ちたバイザーをちらりと見るナナに、俺はうなずくと、再び手 を伸ばした。 ﹁もう大丈夫だ。お前は誰にも従う必要はない。オルトにも⋮⋮俺 にも﹂ ﹁トオルっち⋮⋮?﹂ ﹁トオルくん、まさか⋮⋮!?﹂ そして、隷属術式を解除する。 ナナがナナとして生きた記憶は、新たなボディの側に残したまま。 ﹁お前は自由だ。もう俺に従う必要はない。色々考えたが、こうす ることでしかあの時救ってもらった大きな借りは返せそうにないか らな﹂ ︿な⋮⋮!?﹀ ナナが怒り狂って攻撃してきたり、あらためてオルト側につくな ら、その時はその時だ。 俺は今こうしたいからこうする。それが、自由に生きるというこ とだ。 1093 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ キリカが、リルナが、アメリアが、ニーナが、そしてオルトまで もが固唾を呑んで見守る中。 ナナはゆっくりと綺麗な瞳を閉じ⋮⋮そして再び開いた。 セックス をしてもらうと約束 ﹁何を言っている、ご主人。ナナがしてほしいことはそんなことじ ゃないぞ。忘れたのか、ちゃんと したのを﹂ ﹁̶̶̶!!﹂ にっこりと笑い、みずから俺の手を再び引き寄せて、ナナは言っ た。 ﹁ただいまだ、みんな。ただいまだ̶̶̶ご主人﹂ こうしてナナは。 俺たちのパーティに、新たな体を得て戻ってきたのだった。 ※ ※ ※ ̶̶̶同時刻、パラヴァータ市街地の別方面。 ﹁もう、急いでよパルぅ! おにーさんやキリカたちのとこに急い で行かないといけないのに∼!﹂ ﹁む、ムチャ言うでないわフラミア! まったく、魔力をすっから かんに使い果たしたおぬしに代わって晶片獣どもの始末をつけたの は誰じゃと思うておるんじゃ⋮⋮!﹂ 1094 ぜいぜいと息を荒げつつ、もはや浮遊する余裕もなく小さな体を 引きずるように路地を進むロリ魔貴族コンビ。 魔隷のリンクを介して、トオルたちが戦闘状況にあるらしいこと は分かっているが、これでは到着にはもうしばらくかからざるを得 ない。 ﹁そりゃそうだけどさぁ⋮⋮前みたいにカンジンな時にぎりぎり着 くとかもうヤだもん、ちゃんと役に立ちたいもん⋮⋮っ、̶̶̶え ?﹂ ぶーたれながら先をいくフラミアの歩みが、突然止まった。 ﹁む? どうしたのじゃ、何かあった̶̶̶﹂ パルミューラもまた、驚きのあまり同じ方向を見て絶句する。 そこに立っていたのは、あまりにも予想外の人影。 ﹁⋮⋮久しゅうございますな、妹君。まずはご無事で何より﹂ 鍛え上げられた肉体を貴族めいた礼装に包み、獅子の頭を持つ巨 躯の武人。 剣魔卿シュトラール。 フラミアにとって袂を分かった実の姉、イヴリースに長年仕える 忠臣が、そこにいた。 ※ ※ ※ 1095 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV18↓19 スキル:︻隷属魔法LV11↓12︼︻魔の契約LV2︼︻魔隷強 化LV7︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:2人分︶ ︻姫騎士キリカ︵愛隷︶︼︻メイド法術師ニーナ︼︻女戦士アメリ ア︼ ︻エルフの精霊弓士シエラ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ ︻狂公女フラミア︼︻異界機士セレスタ︼︻巫女姫ディアーネ︼ ︻勇者リルナ︼ 1096 63話:オルトの誤算と、乙女の帰還︵後書き︶ いつの間にやらブックマーク20000人を越えていました、あり がとうございます! そういえば、お待たせしてしまっているキリカとのEX・Hシーン ︵以前のアンケート一位のもの︶ですが﹁第三章のストーリーがこ の後一段落した段階で投下﹂と﹁合間でもいいので投下﹂のどちら がよいでしょうかね? 感想やウェブ拍手のコメント、活動報告のレスなどで意見をいただ ければ参考にいたします。 1097 64話:魔卿の訪れと、突入者たち ︵な⋮⋮け、剣魔卿シュトラールじゃと⋮⋮!? なぜイヴリース の側近たるこやつが人界に!?︶ パルミューラの額を冷や汗が伝う。 シックで実務的な印象を与える濃紺の貴族服に包まれた、がっし りした逆三角形の巨体を持つ獅子頭の魔族。 彼こそは八冥家イヴリースの腹心として、かつてパルミューラの アンデッドスレイヤー ゴ 一族を追い落とした戦いでも多くの殊勲をあげた一騎当千の武人だ。 ヒューマンスレイヤー 彼女にとっては積年の仇敵のひとりといえる。 ーレムスレイヤー キンスレイヤー ︵く⋮⋮! ヤツの操る十二魔剣は、対人間特効、対不死特効、対 転写 が可能! つまり 人造特効、そして対魔族特効など十二の特効属性をそれぞれ備える だけでなく、一本の特性を他の十一本に いかなる相手とでも最大限優位に戦える厄介極まる魔法武具⋮⋮し かもヤツ自身の技量もまた第四位階の中ではトップクラスの古強者 ⋮⋮ッ!︶ 瞬間的に、熟練の解説者めいた思考を巡らせるパルミューラ。 魔力のほとんどが残っていない現状では、到底やりあって勝てる 相手ではない。 だが、意外にもシュトラールから仕掛けてくる様子はなかった。 ﹁やはり、生きておいででしたな⋮⋮ですが、おいたわしや。その ような落ちぶれ者と共に、魔隷術師なる者に囚われておいでという 噂は真でありましたか﹂ 1098 契約状態にあるフラミアの魔紋を見て、痛ましげに表情を歪める ライオン頭の魔族。 ﹁シュトラール、何しにきたの⋮⋮? まさか、お姉様があたしを 今度こそ⋮⋮!?﹂ フラミアはかすかに震える声で、彼女をためらい無く捨て石とし て見捨てようとした姉の名を口にした。 そこには恐怖の色はあっても、親愛のそれはない。 だが剣魔卿は首を振り、 ﹁い⋮⋮いえ、そういう訳ではございません。ご安心めされよ、妹 君﹂ 少し焦りの色をにじませて、意外な答えを返した。 ︵む? こやつ⋮⋮イヴリースの命でここに来たわけではないのか ? ではどこから情報を得た? よもや⋮⋮あのクルスなる面妖な 銀仮面か?︶ シェイヨル大森林でのフラミアとの決戦に現れ、破天の骸の一部 をかすめ取って行ったあの謎の人物。 トオルと同じ世界の住人らしいが、イヴリースと協力関係にある という仮面の怪人のことがパルミューラの脳裏をよぎった。 ヘイズ・キャッスル ﹁率直に申し上げます。我輩と共に魔界に、陽炎魔宮にお戻りくだ され、フラミア様。今ならばまだイヴリース様のお怒りも晴れまし ょう⋮⋮いえ、我輩が必ずや、取りなしてみせまする﹂ ﹁え⋮⋮﹂ 1099 それは、ほとんど懇願するような言葉だった。 どうやらこの忠臣は本気でフラミアの身を案じているのだと、パ ルミューラにも感じ取れた。 ﹁御身を縛る隷属術式とやらも、魔界の高位術師に研究させれば解 く手段とてきっと見つかりましょう。剣魔卿の名にかけて、我輩が 決して悪いようにはさせませぬ。ですから、どうか共に⋮⋮!﹂ ﹁⋮⋮違うよ、シュトラール﹂ ﹁は⋮⋮?﹂ フラミアは、一歩進み出て首を振った。 涙をこらえるような、寂しげな表情で。 ﹁あたしが本当に縛られてたのは、魔界にいた頃の方だったんだよ。 生 でも今は違う。トオルやパル、みんなと楽しくやってるんだ⋮⋮こ の!﹂ んなに楽しいの、生まれて初めてなの! やっと今、あたしは きてる ﹁な⋮⋮なんと⋮⋮!?﹂ 途中からほとんど叫ぶように、黒髪を振り乱して言葉をぶつける フラミア。 シュトラールは愕然として、その言葉を聞くばかりだ。 ﹁確かにお姉様は、怒ってないかもしれない。でも、他の感情だっ てあたしに持ってないんでしょ? あたしはただの道具だった⋮⋮ ものを壊すだけの道具⋮⋮最初からそうだったって、やっとはっき 狂公女 と呼ばれ誰からも疎まれた魔族の少女は、パル り気付けたの! だから!﹂ かつて ミューラを守るように、シュトラールとの間に入る位置に進み出た。 1100 ﹁だからあたしは、隷属とか関係なくもうお姉様のとこには戻らな い。ごめんねシュトラール⋮⋮ムリヤリ連れ戻すっていうなら、あ たしは戦うよ。パルにだって、手出しはさせないから!﹂ もうほとんど残っていない魔力を振り絞るように、魔紋が輝く。 フラミアは毅然と胸を張って、心のうちを宣言した。 ﹁くふっ⋮⋮アホめ、勝手に熱くなりおって﹂ ﹁パル?﹂ すっと、フラミアの背後から歩み出てその隣に並ぶパルミューラ。 彼女からも、なんとかしてこの場を逃げようという算段は吹き飛 んでいた。 ﹁こういう時はの、一人で無茶しようなどと考えず魔隷としての先 輩に少しは頼るがよい。まあ、なんというか⋮⋮姉のようなもんじ ゃから、な﹂ にやりと微笑むパルミューラの魔紋もまた、闘志を示すように淡 く発光していた。 ﹁パル⋮⋮っ!! ありがと、お兄さんの次くらいに大好きっ!﹂ ﹁は、はぁ!? い、いきなり何ぬかす! あと、くらいってなん じゃくらいとは!?﹂ 緊張感もどこへやら、わちゃわちゃと言い合う和装とゴスロリ、 二人の魔貴族少女。 シュトラールはしばし、沈黙したままそれを見ていたが、 1101 ﹁⋮⋮なるほど。我輩にとってフラミア様は、今も変わらず主君の 妹君⋮⋮主家に向ける剣は、この剣魔卿一本たりとも持ち合わせて おりませぬ﹂ 一礼しつつ、静かに二歩下がる。 再び上げたその顔には、ほんの少しだけ、まるで子の成長を見た 親のような寂しさと誇らしさとの混じった色があった。 ﹁シュトラールよ、お主⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮今更言えた筋合いではないが、あえて頼むパルミューラ。今 見せた態度が偽りでないとするならば⋮⋮これより先もどうか、フ ラミア様の友であってくれ。我輩には、できなんだ役目だ﹂ ﹁しゅ、シュトラールっ!﹂ はっとしたフラミアに向け、獅子頭の口元が寂しげに微笑む。 その足下から発生した転移魔法陣の光が、隆々たる肉体を包んだ。 ﹁ですがフラミア様、これだけはお忘れあるな。万が一にも、イヴ 今の あの御方は、以前とは違うのです!﹂ リース様と戦うような真似だけはなりませぬ⋮⋮決して! あの御 方は⋮⋮ ﹁なに⋮⋮!? どういうことじゃっ、シュトラール!﹂ ﹁言えぬ、これ以上は騎士の忠道に反する! だが、戦っては誰で あれ死あるのみ⋮⋮それどころか、あの御方は変えてしまうだろう ⋮⋮そう、魔界そのものの在り方を⋮⋮ッ!﹂ ﹁なん⋮⋮じゃと!?﹂ その言葉を最後に、ライオンの頭部を持つ巨漢の姿は薄れ、完全 に消失した。 ﹁ふん、ごく短時間のみ有効な一時転移術式か⋮⋮元より戦う余裕 1102 はなかったわけじゃな、驚かせおってからに﹂ ﹁ねえパル、シュトラールが最後に言ったことって⋮⋮﹂ しばらく考え込んだ後、魔貴族はゆっくりと首を振る。 ﹁わからん。わからぬが⋮⋮どうやら、ここだけではなく魔界でも 何かとんでもない事態が動いておるらしいな⋮⋮!﹂ ※ ※ ※ バイザーの残骸からオルトの声が聞こえなくなると同時に、市街 地の向こうに屹立する遺跡巨人が不気味な鳴動を始めた。 km単位で離れていても、その巨大感と威圧感はすさまじい。 ﹁ぐずぐずしちゃいられない。こうなった以上、ヤツはきっとあの 遺跡巨人の起動を早める気だろうな﹂ 俺は足下の残骸をちらりと一瞥してから、グラデーションがかっ た美しいライトグリーンのロングヘアをなびかせる鋼鉄の美少女⋮ ⋮ナナに視線を戻す。 ﹁寝起きのところさっそくですまないが、力を貸してくれるか? しかも相手は、お前の姉妹ってことになるが﹂ ﹁もちろんだ、ご主人。それに⋮⋮ナナの気持ちも、そこのリルナ ってのと同じだ﹂ ﹁えっ? アタシ?﹂ 初対面のアンドロイドにいきなり水を向けられ、驚くギャル勇者。 1103 ナナは美しいボディでにっこり微笑むと、胸元に光る赤い宝玉状 コアに手をそっと当てる。 ﹁コレだけになって眠ってた間のことも、さっきまでのことも、ぼ んやり覚えてるからな。リルナが言ったみたいに、ナナもオルトと ちゃんと話をしなきゃならない。でも、あいつはガンコだから⋮⋮ そのためにはまずあのでっかいのを止めなきゃだ﹂ ﹁そっか⋮⋮そうだね、ナナちゃん! あっ、ていうかナナっちっ て呼んでいい?﹂ ﹁うん、いいぞ。眠ってる間、リルナはナナを助けてくれようとし たくれたからな。ありがとう、もうニーナたちと同じトモダチだ﹂ ﹁おおっ、やっりぃ∼! ロボ子の友達ゲットだぁ!﹂ ぱっと大輪の笑顔で、ナナの手を掴んでぶんぶん振るリルナ。 誰とでもすぐに仲良くなってしまう天然の力、恐るべし⋮⋮そん なことを思いつつ、瓦礫に腰掛けてニーナに治癒魔法処置を受けて いるキリカへと、俺は向き直る。 ﹁ここからがいよいよ本番。巨人攻略の鍵はリルナ、そして⋮⋮キ リカだ﹂ ﹁あらためてよろしくね、姫っち!﹂ ﹁え⋮⋮ええ、わかったわ。私にできることなら﹂ 俺とリルナを見上げる視線をほんの少しだけ泳がせた後、真剣な 表情で頷く姫騎士。 何やら複雑そうな思いが胸のうちにあるが、生来の真面目さと責 任感でそれを押し込めているといった感じだ。 まあ⋮⋮その辺りは、あとでたっぷり解消させてやるとしよう。 ﹁すまない、アメリア。それにキリカも。ナナはさっき、二人を傷 1104 付けてしまったぞ﹂ ﹁気にすんなよ、あれをやったのはオルトだ。あたしもキリカも、 そんなのぜんぜん気にしてないからな?﹂ にかっと明るく笑い、サムズアップするアメリア。 ﹁にしてもまぁ、前より体がずいぶん小さくなったというか、綺麗 になりやがって⋮⋮ほら見ろよマスター、この膨らみ! 機械とは 思えなくないか? てかアタシと同じくらいでけーし﹂ ナナを安心させるためもあるんだろうが、豪快に肩をばしばし叩 きつつ、水着にも似た白いボディスーツの胸ラインをぐぐっと、オ ヤジっぽい仕草で持ち上げるアメリア。 俺も思わずその魅惑的な双球に吸い寄せられ、指でつついてみる。 ﹁おおっ、ほんとに柔らかいな! 人間の体と変わらない感触だ。 どうなってるんだ、これ?﹂ ﹁ナナにもよくわからんが、確かオルトが言ってたぞ。﹃極小の構 造素材の組成と配置を変えることで、偽装や潜入工作にも対応でき るボディです﹄⋮⋮とかなんとか﹂ むにむに乳をいじる俺を綺麗な瞳でじっと見つめたまま、平然と 答えるナナ。なるほど、高性能ナノマシンの集合体みたいなものか。 もし行き先が高い科学力を持つ異世界でも見破られないように、 触感だけでなく内部構造まで人間そっくりになれるのだろう。 確かにそれなら、セックスも不可能じゃないかもな。 ﹁ちょ、ちょっと! 今はそんな場合じゃないんでしょ、もう! いつまでナナちゃんのこと触ってるのよ、トオルくん!﹂ ﹁⋮⋮こほん! ところでご主人様、パルちゃんとフラちゃんがま 1105 だ合流してきてませんけど、どうします?﹂ 割って入ったのはキリカだけでなく、彼女とアメリアの治療を終 えた幼児体型のメイド法術師⋮⋮一瞬、新生ナナの乳を見つめるそ の視線が怖かったのは気のせいだろうか? ともあれ確かに、掃討力に優れる魔族コンビが晶片獣に遅れをと るとも思えない以上、何らかのトラブルが発生した可能性はゼロじ ゃない。 俺はあごに手を当てて数秒考えた後、 ﹁そうだな⋮⋮状況は一刻を争う。魔隷のリンクで俺の位置を知ら せつつ、あっちからの合流を期待しよう。なあに、パルミューラの 状況判断能力はあれでなかなかしっかりしてるから、あいつがいる なら大丈夫さ﹂ ﹁了解ですっ! ふふ、フラちゃんといるとなんだかんだでお姉さ んしてますもんねっ、パルちゃんも﹂ そうこう言ってる間にも、遺跡巨人の大地から生えた上半身の根 元あたりから、わらわらと晶片獣の第二波が吐き出され始めた。 時間稼ぎをするつもりだろうが、そうはさせるか。 ドライヴ ﹁よし、てなわけでこのまあのデカブツに強襲開始だ。ナナ、やつ モード に急速接近するのに使えそうな機能はあるか?﹂ ﹁任せろ、ご主人! 装態:スライダーヴァンガード̶̶̶起動!﹂ 翼にも似た白兵戦用ユニット、二基のヴァンガードユニットが連 結変形してゆく。 そして組み上がったのは、低空に浮く巨大なサーフボードにも似 た板状のメカだ。 1106 ﹁おおっ、か⋮⋮かっこいぃ∼! なんかロボットアニメっぽいじ ゃん!﹂ サイドテールが跳ねるほどの勢いで、目を輝かせるリルナ。まあ、 確かにこういうの好きそうだと思った。 スペース的に、乗れるのはナナ含めて四人が限度ってところか。 ならばちょうどキリカとリルナ、そして俺ってことになるな。援 護、支援に優れたニーナやアメリアたちを連れて行けないのは心も とないが、やむを得ない。 ナナを先頭に、ユニットに乗り込む俺たち。 ﹁飛ばすぞ、準備はいいかご主人!﹂ ﹁たぶんめっちゃ揺れると思うから、トオルっち、アタシに掴まっ てるといいよ!﹂ ﹁あっ⋮⋮﹂ 先に飛び乗ったリルナが、俺に手を差し出すのを見て、キリカが かすかに微妙な反応を示した。先に言われてしまった⋮⋮といった 様子だ。 二人 に掴まって 俺は女勇者の手を取りつつ、さりげなくもう一方の手を姫騎士に 伸ばし、 ﹁確かに、俺は一番脆くて運動神経ないしな。 守ってもらうことにするさ﹂ ﹁! トオルくん⋮⋮そ、そうね﹂ ﹁あ⋮⋮うん、わかった! んじゃそれでっ!﹂ 少し照れたそぶりで、俺の手を取るキリカ。 ほんの一瞬、今度はリルナの視線が泳ぐが、次の瞬間には屈託な い笑顔に戻るギャル勇者。 1107 なるほど⋮⋮紆余曲折あって俺と男女の関係になったクラスメー トがこうして揃うことで、なかなか面白い化学反応が生まれてるみ たいだな。 よしよし、せいぜいうまく活用させてもらうとしよう⋮⋮主にエ ッチする時とかに。 ﹁んじゃマスターを頼んだぜ、ナナ!﹂ ﹁おうっ、任せろ。⋮⋮あ、そうだ! 戻ってきたら、ナナはみん なと同じゴハンというやつを食べてみたいぞ。システィナに伝えて くれ!﹂ ﹁了解ですよっ、ナナちゃん。気をつけて帰ってきてくださいね!﹂ アメリアとニーナに見送られ、俺たちの乗るスライダーユニット が音もなく加速する。 目指す巨人めがけ、流星のごとく。 ※ ※ ※ ﹁うぉぉ⋮⋮っ! こりゃちょっとした絶叫マシーンだぜ、シェイ ヨル大森林でパルミューラと飛び降りた時を思い出すなっ!﹂ ﹁しゃべると舌噛むぞ、ご主人!﹂ ぎゅんぎゅんと背後に流れて行く市街地の景色。時速二百キロ以 上出てんじゃないか、これ!? 先頭に仁王立ちするナナが風圧を防いでくれてるとはいえ、空飛 ぶ超高速サーフボードに立ち乗りとか正気の沙汰じゃない。 ﹁そうそう、ちょい黙って掴まって⋮⋮ふぁあ!? そ、そこ掴ん 1108 じゃだめってばトオルっちぃ!?﹂ ﹁ちょ、どこ握ってるのよトオルくん⋮⋮って、あっんぁっっ!? わ、私もぉ!?﹂ ふたつの柔らかなエアバッグに無我夢中で手を回しながら、俺は みるみる大きくなる巨人のシルエットを見やる。 通過する景色と音の中では、いくつもの魔力爆発や弓矢の雨、剣 戟音が入り交じる。 ニーナたちだけでなく冒険者連中や、副市長レイフェル指揮する パラヴァータの駐屯戦力も晶片獣との交戦を開始していた。 俺がナナ、つまり敵の精鋭戦力をどうやってか味方につけたとい う逆転で士気が上がり、なんとか奮戦できているようだ。 ﹁あ! 来るよっ、前から飛ぶタイプのヤツがいっぱい!﹂ ﹁私たちを行かせまいとしてるってわけね⋮⋮!﹂ 羽根を生やしたいびつなコウモリや鳥、昆虫などの似姿を持つ水 ドラ 晶の塊が、規則的な隊列を組んで俺たちの行く手に展開した。 モード ﹁ちぃっ、迎撃だナナ!﹂ ﹁おう、ご主人! 装態:ガトリングリアガード̶̶̶起⋮⋮む、 むむっ!?﹂ 背中のリアガードユニット二基を、おそらく射撃系の形態に変形 させようとした、その時。 ヴァン 翠緑の長髪を風圧にはためかせたまま、ナナの動きが止まった。 ﹁ど、どうした?﹂ ガード リアガード ﹁まずいぞご主人⋮⋮出力も演算能力も、足りてない。どうやら前 衛ユニットと後衛ユニットの同時起動が⋮⋮今のナナじゃ無理みた 1109 いだ﹂ ﹁ええっ、どゆことナナっち!?﹂ はっと、思い至る可能性。 今のナナは、オルトのサポートとプラント本体との接続が失われ た状態にある。 つまり、ハイテク火器コントロールの複雑な運用演算を担当して くれる者がいないのだ。 そして魔隷となった今はエネルギー源もまた、俺の魔力依存だ。 おそらく、異世界での自律起動を想定して造られたナナは、魔力 を含むあらゆるエネルギーをやろうと思えば動力に変換できるだろ う。とは言っても、変換効率にはやはり限界があるはずだ。 ただでさえ、突貫工事で起動させられたボディらしいから色々と 無理をしてたんだろうしな。 ﹁となると、一度に起動できるユニットはどちらか片方⋮⋮しかも 多分、高出力の光学兵器の使用も制限されることになる﹂ ﹁よくわからないけど、じゃあこれに乗って飛んでる今は他の武器 は使えないってこと?﹂ ﹁そ、それってまずいじゃん!﹂ 確かにまずい、ここには他に射撃戦ができる者がいない。 契約を通し俺の魔力をすべて注げばナナの一時的な限界突破は可 能かもしれないが、そうする間もなく、みるみる飛行型の晶片獣の 群れが迫る! ﹁⋮⋮任せて!﹂ と、キリカが煌剣アルカンシェルを抜き放った。 1110 黒髪を強風になびかせ、凛とした声で叫ぶ。 ジョウント・スラッシャー ﹁聖騎剣技⋮⋮跳空裂斬舞ッッ!!﹂ 何もない虚空を幾度も薙いだかに見えた、虹色の剣閃。 瞬間、同じ虹色をした空間の裂け目のようなものが離れた空中に いくつも出現し、空飛ぶ敵が次々すっぱりと切り裂かれて墜落する! ﹁おおおっ!? すっごいじゃん姫っち、そんな隠しワザあるとか っ!﹂ ﹁ふぅ⋮⋮! 覚えたばかりで実戦で使うのは初めてだけど、なん とか⋮⋮!﹂ なるほど、空間を切り裂いて斬撃そのものを跳躍させ敵に届かせ たってことか。 恐るべし聖騎剣技、数mとはいえ中距離戦にも対応とはね。 ﹁せいッ、てぇぇぇいっ!! く⋮⋮! でも燃費がイマイチなの よね、この技っ!﹂ ﹁ほほう、そうかそうか。だったら後でちゃんと補給してやるから 安心してくれ、キリカ﹂ ﹁そ、そんなこと今言わないでよっ!? て⋮⋮手元が狂うじゃな いっ!﹂ ﹁え? 補給⋮⋮って、ひょっとして⋮⋮っ!﹂ 煌剣を振るって空間斬撃を飛ばしつつ、後ろからでもわかるくら い耳を朱に染めるキリカと、ワンテンポ遅れ、かぁぁっと顔を赤く するリルナ。 そうこうしている間に、空飛ぶ妨害者の群れを突破し、いよいよ 遺跡巨人の胸板⋮⋮巨大すぎてもはや視界すべてを覆う岩の壁にし 1111 か見えないそれがみるみる迫る。 このままでは数秒とたたず激突するとこだが、もちろん考えはあ る。 ﹁よしっ、出番だ橘さん! 思いっきりやってくれッ!﹂ ﹁お、おーけーっ! んじゃ、いっくよぉぉぉっっっ!!﹂ 魔隷のリンクを通して、俺はリルナにここぞと魔力を供給する。 邪念を振り払うように自分の頬をパンッと叩くと、ギャル勇者は 飛行ボード上でまるでクラウチングスタートのように体を屈めた。 健康的な太ももに、ぐぐっと力がこもる。 ﹁せーのでしゃがんで、ナナっち! せぇぇのぉぉぉっ⋮⋮どぉぉ ぉりゃあぁぁぁぁっっっ!!﹂ ﹁おう、いいぞ行けリルナっ!﹂ 全身をバネにしてナナの頭上を飛び越え、リルナが跳躍した。 ミニスカートがはためき、ちらりと俺の目に可愛い縞パンが映る。 そのままスローモーションのごとく、美しい飛び蹴りのフォーム を空中で形作るギャル勇者のわがままボディ。 ﹁勇者式ぃぃぃっっ!! なんかヒーローっぽいキィィィィィック ッッッ!!﹂ こればっかりはよくわからんセンスの掛け声と共に。 リルナのしなやかに伸びた足先が、遺跡巨人の装甲表面に激突し た。 一瞬遅れて⋮⋮轟音!! ボゴォッ!! という勢いで、クレーターじみた巨大なへこみが 巨人の胸板に穿たれたのだ! 1112 ﹁す、凄っ⋮⋮!﹂ キリカも驚愕に目を見開く。 ディスロケートアーマー リルナの足先をうっすら包む虹色の光は、勇者たる者の身を護る 次元断層魔甲の輝きだ。 ただの岩塊ではなく、パラヴァータ駐屯戦力の攻撃をいくら浴び てもびくともしなかった遺跡巨人もまた、それに近い装甲だかバリ アフィールドだかに護られていたのだろう。 だが、足場にしていたユニットの加速と勇者の身体能力による勢 いを乗せた、猛然たるジャンプキックの一撃は⋮⋮それを真正面か らブチ抜いたのだ。 ﹁よしッ! このまま内部に突入だ、ナナ!﹂ ﹁がってん承知だ、ご主人っ!﹂ なおもバキバキと破壊音をたてて蹴り進むリルナを追うように、 俺たちを乗せたナナのサーフボード状ユニットが加速する。 リルナとナナ、そしてキリカ。 本来決して束ねられなかった戦力三種を俺がこうして束ねたこと で、オルトの想定を超えた強襲が可能となったのである。 ﹁突入⋮⋮成功だっ!!﹂ ズザザザッ⋮⋮と火花が出るほどの勢いで着地する、ナナとリル ナ。 俺もキリカに抱えられ、心地良い乳の感触を二の腕に感じながら 降り立つ。 分厚い外装を突き抜けたそこは、通路状の空間だった。 1113 この事態の始まりになったあの遺跡のような、一面銀色の材質で 四方が覆われている。プラントと一体化したパラヴァータ内部は、 その一部として構造を作り替えられているらしいな。 ﹁さて、後はこのデカブツの中枢にどう辿り着くかだが⋮⋮﹂ ﹁それなら任せろ、ご主人⋮⋮オルトの居る場所なら、ぼんやりと わかるぞ﹂ ﹁すっごい、わかるんだナナっち?﹂ 接続を断たれたとはいえ、ナナのボディは本来この遺跡巨人の中 枢⋮⋮プラントの守護者だ。 ならば確かに、ナビゲーション機能が働いてもおかしくはないだ ろうな。 俺たちはナナに先導され、不気味に静まり返った通路を複雑な道 順で進んで行く。 ややあって、まるでエレベーターのような小部屋の中へと辿り着 いた。 ﹁うむ、少し待て。これなら動かせそうだぞ⋮⋮﹂ ﹁ほへぇ∼、一家に一台ナナっちってカンジだねっ!﹂ ﹁というか本当にエレベーターなのね、これ﹂ 端末のようなものをナナが操作すると、閉じた小部屋がゆっくり と動き出す。 どうやら上に昇っているらしい⋮⋮これの行き先が、オルトの居 場所近くということになる。 ﹁でもトオルくん、これ大丈夫なの? オルトはこのプラントを掌 握してるんでしょう? じゃあ外から操作されて止められたり、潰 1114 されたりでもしたら⋮⋮!﹂ ﹁ちょっまっ、姫っち! み、密室でコワイこと言わないでよっ! ?﹂ 急に青ざめるクラスメート女子二人だが、ナナは平然としている。 ﹁あー、多分大丈夫だぞ。いくらあいつでも広すぎて目が行き届い てないし、運搬用とかで動いてる同じような小部屋、いっぱいある しな﹂ なるほど、見た感じ監視カメラとかも無いっぽいしな。 それだけ内部に侵入されるのは予想外だったんだろうし、さすが に起動優先でそこまでは手が回らなかったのかもしれない。 ﹁問題は、内部が広すぎてこのスピードじゃ到達までに時間がかか りそうってことだな﹂ ﹁じゃあちょっとの間、ここで休憩ってことだね。ふ∼、ちょっち 疲れたからちょうどいいかも﹂ 床がピカピカで清潔そうなことを確認して、早くも緊張感のない モードに切り替わり腰を下ろすリルナ。 一同に、ほっと弛緩した空気が流れた。 ⋮⋮ん? 待てよ? 俺は、にやりとほくそ笑む。 戦力補強 のためにも、だ。 この思わぬ猶予時間、有効活用しない理由はないじゃないか。 そう⋮⋮ ﹁⋮⋮ちょっと、トオルくん。ま、まさかとは思うんだけど⋮⋮っ 1115 !?﹂ 一番こういう流れに慣れてしまっているキリカがハッと、鎧から こぼれた豊かな胸元を両手で隠すようにして後ずさる。 なかなか理解が早くなってきたもんだ、この元クラス委員も。 ﹁え? えっ? どしたん姫っち?﹂ ﹁むむむ? なんだ、ご主人?﹂ きょとんとした顔のギャル勇者と、首をかしげるナナ。 うむ、この新人二人にも勉強させてやらねばならないな。 魔隷のお仕事、そして俺のやり方というやつを。 ﹁というわけで、皆。ちょっとこっちに集まってくれたまえ﹂ ﹁ああっ⋮⋮や、やっぱりぃぃっっ!?﹂ 密室の中。 頭を抱えたキリカの声が、盛大に反響したのだった。 1116 64話:魔卿の訪れと、突入者たち︵後書き︶ 前回伺った意見を総合した結果﹁EX・Hシーンは三章が一段落し てから投下﹂の意見が大多数を占めましたので、そうさせていただ くことにします。 ご協力、ありがとうございました! 1117 65話:キリカのレッスンと、三人の唇 ﹁うう⋮⋮な、なんでこんなことになってるのよぉ⋮⋮?﹂ 小部屋の中でひざまずき、ちょっと涙目になって俺を見上げるキ リカの睨み顔。 その鼻先には、仁王立ちでバッキバキにフル勃起したチンポが、 ぴくぴく嬉しそうに胴震いしながら突きつけられている。 ﹁う、うわぁ⋮⋮! うわーうわー⋮⋮﹂ ﹁むむむ、あれがご主人のセックス用挿入端末か⋮⋮興味深いぞ﹂ 姫騎士の両サイドには、口元に手を当ててあわあわしている赤面 顔のリルナと、平然とクールな視線で観察してくるナナの対照的な 姿。 で俺のモノを拝むのは初めてってわけだな。 そういえばリルナとの初エッチは夢界仙境だったから、二人とも 今の体 美少女たちの汚れのない網膜︵ナナのはレンズか?︶に初チンポ ビジュアルを焼き付けてると思うと、余計に仰角がググッと上を向 いてしまうぜ。 ﹁ひゃぅ!? う、動いたっ!? あ、あれ動かせるんだ﹂ ﹁きっと筋肉が詰まってるんだぞ。ご主人の体の中で一番ムキムキ だもんな﹂ ﹁そっ、そか! すごいやトオルっち、めっちゃピンポイントに鍛 えたんだね⋮⋮!﹂ ﹁あ、あのね、あなたたち⋮⋮いえ、なんでもないわ⋮⋮﹂ 1118 さて、なんでこんな愉快な状態になっているかというと、だ。 さっきのナナ奪還戦∼巨人突入戦でそれなりに消耗した魔隷三人 に、この時間的猶予を活かして少しでも魔力を直にチャージしてお きたいという戦術的意義がちゃんとあるのだ。 特に契約したばかりのナナには重要だ、燃費も悪いしな。 だがさすがに、万一の奇襲を警戒すると本番セックスは隙が大き すぎる。生き物の一番無防備な瞬間だしな。 そんなわけで、口から摂取するのがベターという結論になったわ お手本 でもなければ時間がかかりすぎる。 けだが⋮⋮そういえばリルナもナナも、そんなことをした経験は皆 無だった。 そう、参考にする そこで白羽の矢が立てられたのが、ベテラン魔隷にして愛隷、我 らが姫騎士キリカというわけだ。自慢じゃないが何度しゃぶらせた ことか⋮⋮いや、自慢だなこれ。 ﹃うむ、本当ならナナが真っ先にやってみたいとこだが、あいにく そんな戦闘メモリーがないのだ。キリカが実践してくれるなら、頼 もしいぞ!﹄ ﹃な、なんかごめんねー姫っち⋮⋮で、でもさ、トオルっちの説明 だとやっとかないと戦い的にもマズいっぽいし? ぶっちゃけアタ シいきなり自分じゃ出来る気しないし⋮⋮っ﹄ 二人にそういう態度を取られて頭を下げられてしまえば、雰囲気 に流され、マジメな元クラス委員が断れるはずもなかった。 こうしてキリカ講師を招いての、元クラスメートと美少女アンド ロイドへの実践フェラチオレッスンが開始されたのである! ︵うう⋮⋮お、おぼえてなさいよトオルくんっ! こんなとこで二 1119 人に、それも橘さんにシてるの見せるなんて想像もしなかったわよ ぉぉ⋮⋮!︶ ︵まあまあ。時間がどれだけあるかわかんないんだし、テキパキと 頼むぜ? 大丈夫大丈夫、キリカの腕前⋮⋮いや舌前? は俺が保 証するさ︶ ︵そ、そんなの保証されても困るし! ううっ、トオルくんがなん で人前で堂々とできるんだか全然わかんない⋮⋮!︶ 愛隷のリンクを通じて、二人には聞こえない俺たちだけの会話で キリカをうながす。 ややあって、観念したのかそっと目を閉じ、形のいい唇から可愛 らしいベロをおずおずと突き出して肉棒へと近付けてゆく。 ﹁⋮⋮⋮⋮っっ﹂ 固唾を飲んで見守るリルナの存在が、俺たちが元々単なるクラス メートに過ぎなかったことをまざまざと思い出させてくれる。 そういえば当時⋮⋮クラスのアイドルだったキリカが飲み物のペ ットボトルに口をつける光景を見ただけでも、俺を含む男どもはエ ロい妄想をかき立てられていたものだ。 その妄想通りに、可憐な桜色の舌がボトルの飲み口ではなく⋮⋮ カウパーで濡れた俺の赤黒くグロい亀頭の鈴口めがけ、ためらいが ちに密着した。 ﹁ん、んぅっ⋮⋮!﹂ ﹁わ⋮⋮っ﹂ ﹁⋮⋮おお﹂ ギャラリーたちのかすかな歓声の中、とろけるような甘い接触感 に包まれる俺のチンポ先。 1120 羞恥心でかすかに震えている唇の振動が伝わって、実に気持ちい い。 ︵うう、目閉じても余計二人の声が気になるよぉ⋮⋮!︶ ︵見てる見てる、めっちゃガン見してるよ。キリカのいやらしいチ ンポキス、橘さんもナナも食い入るみたいにかぶりつきになってる ぜ︶ ︵よ、余計なこと言わないでってばぁ!? 恥ずかしい恥ずかしい 恥ずかしいっ⋮⋮か、顔から火が出そぉぉ⋮⋮っ!︶ 心の抗議を聞き流しつつ、キリカの触り心地のいいサラサラ黒髪 をひとすじ指先でもてあそびつつニヤニヤする俺。 だが、いくら恥ずかしくても俺の命令にはキリカは逆らえない。 ︵ほらほら、舌が止まってるぞ? いつもやってるみたいに、ちゃ んと動かしてしゃぶり方を見せてあげなきゃ︶ ︵わ⋮⋮わかってるわよ、そうしないと終わらないんだし⋮⋮んっ、 んうっ⋮⋮!︶ 差し伸ばされたまま別の生き物のように動いて亀頭の上を滑り、 そのゴムのように張った表面に押しつけられては縦横にたわんで、 ぐにぐにと変形するピンクの柔肉。 それは生真面目な元クラス委員の清楚な肉体から生えているとは 思えないほど、卑猥でイヤらしい動きを見せるオーラルセックスの 道具だ。 ﹁なるほど⋮⋮段差になっている部分を重点的になぞったり、裏側 のスジに沿って下から上に滑らせたりするんだな。ナナ、覚えたぞ﹂ ﹁う、うわ。こ、こんなふうにやるんだ⋮⋮おクチでエッチするの って⋮⋮﹂ 1121 冷静に解説してなおさらキリカの羞恥を無自覚に煽るナナと、元 クラスメートの痴態にショックを受けつつ目を離せないリルナ。 ウブな処女ギャルだと思ってたけど、フェラチオぐらいは知識に あったか。 ﹁橘さん、口でするエッチは知ってたんだ?﹂ ﹁え? う、うん⋮⋮その、友達から借りたちょっとエッチぃめの 少女マンガで⋮⋮見たし﹂ ﹁ほほう、やっぱ少女マンガの方がそういうの進んでるなぁ。で、 それと比べてどう?﹂ ﹁いやいやいや、ぜ、全然違うよ! マンガだとはっきり描かれて ないし、それに⋮⋮ひ、姫っちの⋮⋮て、テク? なんかめっちゃ 慣れてるってゆーか、う⋮⋮上手いっぽいってゆーか⋮⋮す、すご くエッチい⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮っっ!?﹂ 両手で顔を隠しながらも、その隙間から興味津々の視線を送って しまうギャル勇者。 一方、自分より経験の浅いクラスメートに淫行を目撃されている という事実⋮⋮そして自分がいつの間にかエッチ慣れしてしまって いるという事実を認識してしまったキリカは、耳まで加熱したよう に赤さを増した。 ︵傍目に見ても上手いらしいぞ、よかったなあキリカ︶ ︵よ、よくないぃ⋮⋮! だ、誰のせいでムリヤリ慣れさせられた と思ってるのよぉぉ⋮⋮!︶ まあ確かに、教え込みまくったもんなぁフェラも。 かつての優等生の顔しか知らないリルナからすれば、そりゃ驚く 1122 だろう。 そして今、教えがいのある新たなメンバーが追加というわけだ。 ﹁じゃあ、そろそろ橘さんも参加して実践で学んでみようか﹂ ﹁え、ちょっ⋮⋮こ、心の準備がぁあ!!?﹂ 反射的に逃げようとする頭に手を置いて、ぐぐっと俺の腰へと近 寄せる。 羞恥で涙目になりつつ今も俺のをしゃぶっているキリカと、目を 丸くして真っ赤になっているリルナの目が合った。 ﹁ほら、両側からそれぞれ⋮⋮橘さんはキリカがやってるようにや ってごらん﹂ ﹁う、うん⋮⋮じゃっじゃあ、よ、よろしくお願いします、姫っち﹂ ﹁っぷぁ⋮⋮そっ、そんな私にわざわざ断らなくても⋮⋮っ﹂ ギャル勇者はぺこりと礼儀正しく頭を下げて、おそるおそる震え る舌を伸ばす。 対照的な雰囲気を持つ元クラスのアイドルふたりの唇が⋮⋮とう とう俺のチンポに同時に触れた。 ﹁んっ⋮⋮ちゅっ⋮⋮ぅ!﹂ ﹁お、おお⋮⋮っ!﹂ 思わず、感動に腰が浮きそうになる。 清楚なたたずまいの黒髪ロング委員長、どんな男も憧れたクラス の表アイドルことキリカ。 天真爛漫な赤茶サイドテールのギャル、男ども皆がズリネタにし た裏アイドルことリルナ。 1123 その二人の美少女が、今、同時に。 俺のチンポをダブルフェラで仲良くおしゃぶりしているのだ。 こんな光景は、あまりにも非現実的で贅沢すぎて、妄想ズリネタ にした奴すらいないんじゃないかと思うほどだ⋮⋮だが、紛れもな くリアルな快感が現実だと教えてくれる。 ﹁は、はふっ⋮⋮! と、トオルっちのこれぇ、めっちゃ熱くてカ タいぃっ⋮⋮! こ⋮⋮こう、かにゃっ⋮⋮? んぅ、んっぷ⋮⋮ ぅ﹂ 見よう見まねでキリカのやり方を真似し、同じようにカリ首根元 のくびれを舌先で左右にレロレロなぞったり、血管の浮いた幹をハ ーモニカを吹くように唇を這わせたりするリルナ。 思ったとおり、カンの良さとセンスのなせるワザか、初フェラな のになかなか筋がいい。 そして初セックスが夢界仙境だったから、そういえばこの生身の 肉体はまだ処女なんだな⋮⋮と思うと余計興奮する。 ︵ほらキリカ、目そらしてないで橘さんを見てあげろよ。キリカの 実演が上手いおかげもあって、的確なおしゃぶりっぷりだぜ︶ ︵う、上手いとか言われても困るし、さっ参考にされるのも恥ずか しいよぉぉ⋮⋮橘さんにまで一緒にこんなことさせるなんて、うう、 ほんと変態、トオルくんの変態へんたいっ⋮⋮!︶ 心の声で罵倒されながら熱心にフェラしてくれるとか、どんなご 褒美だ。 キリカは時々俺をジト目で睨みながらも、真面目にうっすら熱を こめて。 そしてリルナの方はまるで従順なペットのように一心不乱に⋮⋮ クラスメートコンビによる、性格の反映されたタイプの違うフェラ 1124 の競演。 ﹁いいぞ、二人ともっ⋮⋮よし、じゃあ左右両側から幹を唇でサン ドイッチして、ハーモニカ吹くみたいな動きで頼む﹂ ﹁ら、らじゃー⋮⋮ん、んじゃアタシこっち側ねっ⋮⋮﹂ ﹁うう、またこういうことさせるぅ⋮⋮!﹂ キリカとリルナ、美少女クラスメートふたりの柔らかな唇がよだ れまみれでそそり勃つグロ肉棒を優しく挟み、豪華極まるズリ道具 となってニュチニュチといやらしくシゴきあげる。 たまらず、ひざまずく二人の頭に手を置いて軽く押さえ、少し違 う髪質の手触りを楽しみながらガイドするように前後に動かしてや ると、密着感と速度が増してその快楽たるや凄まじい。 ピュプっ、ブプッ! と、はちきれそうになった先端からカウパ ーが漏れ飛ぶほどだ。 ﹁ご主人、ナナも待ちきれないぞ。そろそろ参加してもいいか?﹂ と、思わず夢中になりかけたそこに、クールな顔のままナナがし ゅぱっと手を上げた。 ﹁ああ、もちろんだ。待たせて悪かったな、ナナ⋮⋮じゃあちょう ど空いてるいちばん美味しいところ、先っぽを担当してくれ﹂ ﹁うむ、任せろご主人! 口から出る潤滑液も、ニンゲンと同じ成 分のを問題なく合成できるぞ﹂ やる気満々でコクコクと頷くと、真正面に座ったナナはなんのた めらいもなく、両サイドからの快感でぷるぷる震える亀頭をにゅっ ぷりと口腔にくわえこんだ。 少しひんやりとした、だが人間のと変わらない粘膜の心地いい感 1125 触。 ﹁ぷぁ⋮⋮う、うわー、ナナっちまで来たぁ⋮⋮こ、こうやると三 人でいっぺんにナメられちゃうんだ⋮⋮っ?﹂ ﹁た、橘さんあのね? こういうのって普通じゃないから慣れちゃ ダメっ⋮⋮んぷぅぅっ!?﹂ ﹁はいそこ、余計なこと言わずに集中するように﹂ キリカの顔をチンポ脇に押さえつけるようにしつつ、先端に新た に加わった性感を楽しむ俺。 ナナの動きは二人と違って大胆で、ストローク速度もスピーディ なら口内でぐるぐる動かす舌の回転も容赦ない。 初めてとは思えないほどの、全力でチンポをヌくための的確なエ ロ動作だ。 ﹁んぶ、んぷっ⋮⋮ぅんっぷっっ⋮⋮! どうだご主人、ナナはち ゃんとご主人のチンポを気持ち良くできているか?﹂ ﹁お、おおっ、ナナお前うまいなっ⋮⋮!? むしろびっくりする ほど気持ちイイぞっ、くうッ!﹂ ﹁んっ、そうか⋮⋮嬉しいぞ、やっとナナはご主人にエッチで貢献 できているのだな⋮⋮ふふふ﹂ クールな表情の口元が、ほんのわずかに不器用に微笑んだ。 なるほど、ずっと俺にそうしたいと思っててくれてたんだな⋮⋮ 可愛いヤツだ。 ﹁よし、そのまま唇をかぶせるみたいにニュポニュポしながら、先 っちょを吸ってみてくれ﹂ ﹁吸引すればいいのか? この穴から吸い出すみたいにか? こう か?﹂ 1126 ﹁お、おぅっ!? そ、そうそれっ! くぅぅっ、優秀だなナナっ !﹂ ナナのフェラは、いい意味で機械的だった。 人間なら存在するためらいや容赦が一切ないおかげで、痛いの一 歩手前レベルの、俺すら未体験の新感覚快楽をビシバシとチンポの 性感帯に叩き込んでくる。 しかも人造物ならではの完璧な造形のクールな美人フェイスが、 透明感のある無表情のままそんなドエロいおしゃぶり動きをしてい るギャップがまたたまらない。 ﹁くぅ⋮⋮! ほらほら、二人も一番経験の浅いナナに遅れをとっ てちゃダメだぞ⋮⋮特にキリカ、愛隷の意地を見せるんだっ!﹂ ﹁な、なによそれっ⋮⋮い、言われたとおりにちゃんとやってるで しょぉ、もうっ⋮⋮!﹂ ﹁ふぁ、あっぷぁ⋮⋮が、頑張るぅぅ⋮⋮でっでも、トオルっちの エッチぃにおいでなんか頭、ぼぉーっとしてきたかもぉ⋮⋮!﹂ 憮然としつつもチクリと対抗心を刺激されたのか、それともヤケ クソになったのか、俺が頭を押さえなくても自分から密着度を上げ てチンポサイドをしゃぶりあげるキリカ。 リルナの方は淫らなニオイにあてられたのか、とろんとした瞳で 犬のように舌を口の外に伸ばし、ほっぺたごと擦り付けるようにし て快感を送り込んでくれる。 そしてまるでキンタマの中から精子を吸い出さんばかりの、ナナ の先っぽ吸引⋮⋮三者三様の豪華トリプルフェラに、いよいよ限界 が近付く。 ﹁うっ、く! そろそろ出るぞっ、射精するっ⋮⋮こ、今回はまっ さらなナナに媒介を注入する必要があるから、全部ナナに飲ませる 1127 けどいいな、二人ともっ?﹂ ﹁え⋮⋮そ、そんなの好きにしたら、いいじゃない⋮⋮っ! べ、 べつに飲ませてほしくなんか⋮⋮な、ないしっ﹂ ﹁あ、アレ飲むんだ⋮⋮わ、わかったぁ⋮⋮ナナっち、頑張ってね っ?﹂ ﹁うむ、感謝する二人とも。ご主人の精液、いっぱいナナに注ぎ込 んでくれ⋮⋮!﹂ ここにくれ、と言わんばかりに一旦あ∼んと口を開け、一度ピン ク色の綺麗なナノマシン口腔粘膜を見せつけるようにする緑髪の美 少女アンドロイド。なんてエロい光景だ。 俺はラストスパートの快楽をより貪欲に貪るべく、思いついたア イデアを実行に移す事にした。 ﹁よし、じゃあ三人とも顔を寄せて横並びになって口をすぼめた状 態をキープだっ!﹂ ﹁ふぇ? こ、こう?﹂ ﹁ナナは真ん中でいいのか?﹂ ﹁ちょ、何する気っ、まっまさか⋮⋮!﹂ 向かって左からリルナ、ナナ、キリカの順でそっと寄せられた、 美少女トリオフェイス。 三つ並んでそっと開かれた、アツアツの唇⋮⋮美味しげなトリプ ルおくちマンコ。 俺はそこに、三人の唾液とカウパーの混合液にまみれてホカホカ いやらしい湯気をたてるフル勃起チンポを構え⋮⋮順番に1ピスト ンずつ挿しては抜いて隣に移り、なドスケベ行為を開始した! ﹁はぶぅっ、んっぷぁは!? い、一回ずつ、おーふくとかぁぁ! ?﹂ 1128 ﹁な、何かこれすごく変態っぽいわよぉっ⋮⋮っぷぶぅっっ!? けほっ!﹂ ﹁んぶちゅるるっ⋮⋮ラッキーだぞ、ナナは真ん中だから一番多く 来るっ⋮⋮んぷぅんっっ!﹂ リルナのギャルリップにニュっぷし挿し込まれたチンポが、ナナ のひんやりクールなロボ娘口唇でちゅぽんとお口直しされたかと思 えば、キリカの生意気な愛隷オーラルをズブズブ犯す。 左から右へ、右から左へ、エッチなしずくをじゅぱじゅぱ飛び散 らせながら。 タイプのそれぞれ違う美少女たちのそれぞれ異なる口内の感触と 反応を楽しみながら、しだいに抜き挿しのスピードを速めて猛烈な ピストンへと高めていく。 おくちマンコを三つ並べてハシゴする、贅沢極まりないヌキ方と いうわけだ。 ﹁くううぅぅっっ!! 来たぞ来たぞっ、こみ上げて来たぁっ⋮⋮ い、イクぞナナっ、俺の⋮⋮ご主人様の精液の味っ、そのまっさら な体で覚え込めっ!!﹂ ﹁わかったご主人っ、ナナ覚えるっ、頑張っておぼえるっ⋮⋮んぶ っんぷぅぅぅぅぅっっっ!!?﹂ 最後のひと突き、うっすら輝く蛍光グリーンの髪をやや乱暴に掴 んで引き寄せ、チンポの根元に唇が密着するほど挿しこんで、俺は ナナの口腔へと射精を解き放った! んどぶッッ、どびゅるるるるぅぅぅぅッッッ!! どくっ⋮⋮どぷんっっ、んびゅるるびゅるっっ⋮⋮びゅく、びゅ くんっっ!! 1129 ﹁わ、わわっ⋮⋮! と、トオルっちのが、びっくんびっくん脈打 ってるよぉ⋮⋮! あ⋮⋮アレ出してる時って、こうなってるんだ ぁ⋮⋮っ﹂ ﹁す、すご⋮⋮っ! い、いつもよりたくさん出てないかしら⋮⋮ ?﹂ クラスメートふたりにまじまじと射精を見守られながらのこの放 出感、たまらない。 ただでさえ精力増強エンチャントの指輪で増幅した大量ザーメン が、精神的にもさらに濃く多くなっていくのがわかるようだ。 で ﹁っうう⋮⋮おぁあっ、出た出たすごい射精た⋮⋮っ! よぉしナ ナ、まだ飲まずに口を開けて溜め込んだものを見せてみろ﹂ ﹁お、おぅ⋮⋮ふぉ、ふぉれれいいのか?﹂ ゆっくりと開いた、精緻な人形のように整ったアンドロイドボデ ィの唇。 その中にたっぷりと海を作った大量の白濁液⋮⋮俺の遺伝子スー プが、むわっとイヤらしい湯気とオスの匂いをたてる。 ﹁さてキリカに橘さん、二人にも補給が必要だろ? というわけで ひとすくいだけ、おすそ分けをしてやってもいいかナナ?﹂ ﹁なっ⋮⋮ちょ⋮⋮っ!?﹂ ﹁おぅふ、ナナはいいふぉ﹂ ﹁え⋮⋮ま、マジ? マジでそれ、しなくちゃダメ⋮⋮なの?﹂ 硬直するキリカとリルナに、ナナは素直に美しい顔を差し出した。 そのさも自然な態度に呑まれ、あるいはあれだけ欲しがっていた のに仲間に快く分けてくれるつもりのナナに悪いと思ったのか⋮⋮ 二人は困った顔を見合わせ、そして。 1130 ﹁じゃ、じゃあ失礼するね、ナナっち⋮⋮あぅぅ﹂ ﹁ううっ⋮⋮んっ⋮⋮れ、れちゅ⋮⋮っ!﹂ おすそ分 ぷるぷると半ゲル状になった高粘度ザーメンを、美人アンドロイ してもらう美少女たち。 ドの舌先からすくい取るように、それぞれ一口ぶんだけ け なんとも非現実的で、美しくもイヤらしい光景だ。 ﹁よしいいぞ、じゃあ三人とも一度に⋮⋮飲め﹂ ﹁んっ⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮こくっ﹂ ﹁ごきゅんっ⋮⋮ごくんっっ﹂ 恥ずかしくてたまらないといった風情でジト目で睨みつつ、俺の ザーメンを飲み込むキリカ。 雰囲気にあてられ、まるで熱に浮かされた顔で口に手を当て、俺 のスペルマを飲み込むリルナ。 そして無表情ながらどこか嬉しそうな光を綺麗な瞳に湛え、俺の 大量精液を全部飲み込むナナ。 三人の美少女がエロい咀嚼音をハモらせ、仲良く俺の白濁スープ をお腹におさめたのだった。 ﹁うぇ⋮⋮これ、思ったより二ガくて飲むのに慣れいるかも⋮⋮﹂ ﹁た、橘さん、別に慣れる必要はないんじゃないかしら?﹂ ﹁ご主人の精液、元気いっぱいの精子が活発に動き回ってるのがス キャンできるぞ。きっとこれは母体を妊娠させる力もすごく強いに 違いないな!﹂ ﹁ってナナちゃん、そういうこと解説しないでいいから!?﹂ 1131 ﹁に、妊娠っ⋮⋮かぁ⋮⋮﹂ 平然とすごいことを口にするナナ、赤面顔で慌てるキリカ、ぽお っとした顔のリルナ。 すっきりした俺はそんな光景にニヤニヤしつつ、隷属術式のリン クが新鮮な精液を通して強まっていくのを感じた。 完成 させられるかだけど⋮⋮こっち ﹁これでナナにもある程度のエネルギーはストックできたかな。あ とは、橘さんの術式をいつ は少しずつ重ねてくしかないな﹂ ﹁え? 隷属術式は成立したんじゃないの?﹂ 不思議そうな顔をするキリカに、俺は夢界仙境から出た後に解っ た事実を説明することにした。 ﹁魔法反射能力をスルーするために、精神世界での術式成立ってい ういわばズルを使ったわけだが⋮⋮肉体を介さない隷属の契約には、 やはりというか限界もあるみたいでね﹂ 例えるなら普通の隷属術式が、丈夫な縄で繋がっている状態だと すれば。 リルナとのそれは、か細い糸一本でギリギリひっかかっているに 過ぎないのだ。 糸が細いのは、ネットの回線が細いのと同じ⋮⋮そこを通して供 給できる魔力もまた限られたものになるし、隷属の特典として俺側 に入ってくる経験値もまた少しずつになる。 現に勇者という、いわば究極のレアジョブを隷属させたにしては、 俺のレベルはまだ1しか上昇していない︵それでもこの高レベルで 即上がるのだから十分凄い量だが︶。 1132 ﹁もちろん術式が勝手に切れる心配とかはないようだが、魔隷とし ての特典を最大限にお互いが得るためには、今後段階的に繋がりを 強化していく必要があるってわけさ﹂ ﹁なんかゴメンねぇトオルっち、めんどくさいカラダでさ﹂ ﹁いや、術式を成立できただけでも奇跡みたいなもんだし、十分さ。 それにこれから、こうやってエッチを重ねていけばいいんだし?﹂ ﹁う⋮⋮あう、お、お手柔らかに⋮⋮っ﹂ 大きな乳を揺らして、ぺこっと頭を下げる赤面リルナ。 そう、まだまだヤリたいことはたっぷりある⋮⋮キリカとダブル おっぱい競演とか、そりゃもう後でしっかりみっちりやらねばなら んしな! ﹁そうなんだ⋮⋮じゃあ橘さんは⋮⋮あ、愛隷とかにはまだならな いん⋮⋮だ﹂ ﹁ん? キリカ、何か言ったか?﹂ ﹁え、なっ、なんでもないわよっ!?﹂ と、そうこう言っているうちに。 ゆっくり移動していた小部屋が動きを止め、音もなく扉が開かれ た。 行く手には、うっすら発光する銀色の通路⋮⋮あの遺跡最奥部に よく似た光景が広がっている。 ﹁いよいよここがプラント中枢⋮⋮あいつはこの先ってわけだな﹂ ﹁うん、オルトにもう一度会って、ちゃんと話す。こんなことはや めてよって説得してみるよ!﹂ ﹁橘さん⋮⋮でも、それでもオルトが耳を貸さなかったら?﹂ ﹁その時は! ナナがぶっ叩いてでも正気に戻すぞ! そうだろ、 リルナ?﹂ 1133 異世界の戦闘兵器と、地球からやってきたギャル勇者。 奇妙な縁で、オルトというひとつの存在と関わりを持った二人は、 こくりと頷きあった。 ﹁だよね、ナナっち! 頑張ろう! じゃあ行こう、トオルっち、 姫っち!﹂ ﹁わかったわ。できる限りのフォローはしてみるから﹂ ﹁よし⋮⋮それじゃ、さっさとカタをつけに行くか!﹂ こうして俺たち四人は、決着をつけるために歩み出した。 遺跡巨人と化したパラヴァータ中枢部、すなわち異世界から来た る自律兵器プラントの心臓部⋮⋮そこに座す人造の支配者、ナナの 姉妹機の下へと。 ※ ※ ※ アールマ・ヴァルキュリア・Ⅶ︵通称ナナ︶ ジョブ:対異層次元突入任務用独立稼働殲滅兵器LV13 スキル:︻異界兵器LV6︼︻格闘LV3︼︻頑強LV3︼︻自己 修復LV1︼ ??? ギャル勇者リルナ ジョブ:勇者LV10 スキル:︻格闘LV5︼︻頑強LV5︼︻魔法抵抗LV∞︼︻フォ ームチェンジLV0︼ ??? 1134 65話:キリカのレッスンと、三人の唇︵後書き︶ サークル・グラインダー ︻スキル解説︼ ︽輝刃旋円輪︾:聖騎剣技LV3スキル 破壊力:B 命中精度:B 使用前隙:A 使用後隙:C 燃費: B 射程:至近︵円状全周︶ サークル・エアリアル 本来は移動用に用いる天翔輝円を刀身から水平方向に発生させる サークル・エアリアル ことで剣ごと体を急加速回転させ、円状に周囲を薙ぎ払う対集団用 聖騎剣技。 その特性上、天翔輝円の熟練を前提とするスキル。出は早いが使 用後の隙はやや大きいため、確実に敵すべてを射界に捉える判断力 が要求される。 サークル・ライザー バリエーションとして下方向に発生させ上に刀身を跳ねる対空技 サークル・ストンプ ﹁輝刃翔月輪﹂や、逆に上方向に発生させ下に叩き付ける対地中潜 航型魔族スキル﹁輝刃落地輪﹂も存在する。 1135 66話:次元起爆と、詰みの一手 ̶̶̶夢を見ていた。 古く懐かしい場所の、夢を。 たったひとつだけの月が浮かぶ、ここではない色の空。 初めてあれを見たのは自分が生まれてから、一体どれほど経った 頃のことだったか。 もはや定かではないその風景は、しかし今も鮮明に記憶されてい る。 何の役にも立たないはずのその記憶を、だがなぜだか忘れ去ろう という気にはならなかった。 空の色など、大気中のチリにぶつかった光が見せる光学現象に過 ぎない。 月の数など、ただ衛星がどういう配置で浮かんでいるかに過ぎな い。 感情 には̶̶̶いったいどう説明をつ そこにさしたる違いなど、何もない。 ないはず⋮⋮だった。 だが、だとしたらこの ければいいのだろう? ※ ※ ※ 1136 俺たちが到達したのは、直径数十メートルはあろうかという巨大 な球体の内側にあたる空間だった。 一面つやのない銀色で、オーバースケールの地球儀を思わせる、 緯度や経度のような線が規則正しく縦横に走って時折発光している。 そして球状空間の頂点と最下部を繋ぐ形で、一本の太い円柱がど 真ん中にまっすぐ貫き立ち、俺たちの入った外周部からその柱に向 けて、人間二人がギリギリ並んで通れる広さの細い金属の橋がかか っていた。 よく見れば、円柱の上下端からは無数の光ファイバーコードのよ 破天の骸 を根絶すべ うなものが頂点と最下部めがけて伸び、根を張るかのように繋がっ ている。 どうやらここが、遺跡巨人の心臓部⋮⋮ く、異世界から送り込まれた兵器プラントの中枢というやつらしい。 ﹁出てこいオルト! ここにいるのはわかるぞ!﹂ ナナの声に応えるかのように、中央部の柱⋮⋮橋と繋がっている 部分のやや上にあたる位置が、寄せ木細工を分解するかのごとく左 右に展開した。 その内部からせり出してきたのは、ナナの旧ボディを思わせる無 骨なアーマーゴーレムの胸部と頭部だ。 円柱から斜めに生える様子は、まるで船首像か何かのようでもあ る。 緑色のモノアイ⋮⋮オルトの瞳が俺たちの方を向き、ぎらりと発 光した。 ︿対物・対魔力の多重防護壁を破り、この中枢部にまで突入してく るとは⋮⋮いささか、あなた方の戦力を過小評価していたと認めざ 1137 るを得ませんね﹀ 最初に聞いた時と変わらない、抑揚のないマシンボイス。 リルナが悲しげな顔で、一歩進み出た。 ﹁もうやめようよ、オルト! 破天の骸ってのを全部消し去るのが オルトの使命ってのはわかったよ、でもこんな強引なことするのは 戻し 絶対良くないってば! この世界の人たちを巻き込んで、犠牲にし ていいわけないよ!﹂ 遺跡都市パラヴァータそのものを兵器に作り替え⋮⋮いや 、今そこに住む人々の暮らしを奪った行為に対して、リルナの勇 者らしいまっすぐな言葉がぶつけられる。 ﹁リルナの言う通りだとナナも思うぞ! オルトのやろうとしてる ことは強引すぎる、他にとれる道がきっとあるはずだ!﹂ クールな表情のまま、だが真剣に姉妹ともいえる存在に呼びかけ るナナ。 やや沈黙があってから、オルトは答えを返した。 ︿⋮⋮あなた方はやはり、認識が甘い﹀ ﹁甘い、ですって?﹂ ︿このパラヴァータに埋蔵されていた骸の欠片から生まれし晶片獣 侵略 を、この ⋮⋮私がコントロール下に置かねば、連中は骸の同化汚染能力によ る被害を世界中に広めていったでしょう。同様の 世界に散らばった骸が今この瞬間も起こしていないとなぜ言えます ?﹀ ﹁そ、それは⋮⋮!﹂ 1138 はっとした顔で言葉につまるキリカ。 そう、俺たちは知っている。シェイヨル大森林で発見された欠片 もまた、ディアーネの肉体を侵蝕していた。 あれや晶片獣出現と同じようなことが別の場所で起こっていたり、 まさに起ころうとしている可能性は十分あり得る。 ︿つまりあなた方の知識と力とやり方では、後手後手に回るだけで 破天の骸の根絶など到底不可能。それどころか骸を魔族に奪われ、 より破滅的な事態を招くことすらあり得ます﹀ なるほど、現にあのクルスに一部を奪われた俺たちとしては耳の 痛い意見ではある。 だが、だからといってはいそうですかと納得するわけにはいかな い。 ﹁なら逆に聞くが、お前ならそれができるってのか? 兵器プラン トとやらを起動し、このバカでかい巨人を作り上げ、本来なら敵の 晶片獣まで手駒に使って、お前はいったい具体的に何をやらかすつ もりだ、オルト?﹂ 俺の問いに、緑色のモノアイがまるで睨むように光を強めた。 起爆剤 です﹀ ︿いいでしょう。あなた方に理解できるような概念に翻訳するなら ば、このプラントは⋮⋮いわば ﹁起爆剤、だと?﹂ ⋮⋮何かとてつもなくイヤな予感がする。 案の定、オルトが語り始めた説明はとんでもない内容だった。 ︿魔王戦争。この世界の住人がそう呼ぶ、かつて人間界に侵攻した 1139 魔王と、迎え撃つ勇者との戦い。ここパラヴァータは、その最終決 戦の地でした﹀ そういえばこの都市に来る途中、そんな話をした覚えがあるな。 ﹁確か、あまりにも激しい戦いで次元が歪んで、人間界と魔族の世 界がめちゃくちゃに混じり合った結果この遺跡が生まれた⋮⋮って 話だったわね﹂ ﹁よくわかんないけどつまり、ふたつの世界の接点ってこと?﹂ ﹁いや、それ以上だぞ。次元が歪んだ結果ナナやオルトたちを造っ た世界にまで、破天の骸の欠片が飛んで来たんだからな﹂ キリカの言葉をリルナが、次いでナナが継いだ。 近い 世界同士だから、他の世界はそれに比べりゃ遠 まあ正確には、魔界と人間界はちょっと力ある魔族なら行き来で きるくらい いみたいだが。 極 極点 に多大な となる点、それがパラヴァータ。それがこの遺 ︿その通りです。つまり̶̶̶言わば複数の次元間、特に人間界と 魔界とを繋ぐ 跡。ならば、兵器プラントと骸の力を使い、その エネルギーを送り込んだとしたら⋮⋮?﹀ ぞくり、と背筋が震えた。 おいおい、冗談じゃないぞ。まさかこいつの解決法ってのは⋮⋮! ﹁まさかお前、この世界と魔界とを次元ごと、いっぺんに吹き飛ば すつもりとでも言うのか!?﹂ ﹁な⋮⋮っ﹂ ﹁なんですってっ!?﹂ 1140 リルナもキリカも、そしてさすがの俺自身も絶句した。 なるほど、確かにそうすりゃ両世界に存在する骸の欠片は、根こ そぎ消滅するだろうよ⋮⋮犠牲ってレベルじゃない犠牲を出して、 だが。 ﹁⋮⋮待て。本当にそんなことが可能なのか、オルト?﹂ ︿シミュレーションはすでに完了していますよ、アールマV7﹀ ナナの疑問に対し、オルトの緑眼が点滅する。 と、俺たちを包む球体の内側状の壁一面に、複雑なグラフや図形、 無数の数値のようなものが立体的に投影された。 ︿破天の骸は次元そのものに干渉する力を持つ超時空存在。とはい 極点 たるこの地 えもちろん、普通なら世界そのものを破壊するほどの力を生み出す ことは不可能です。が、先ほど説明したように なら別です﹀ 数千年前に乱れてからずっと、不安定さを抱えた次元の接触点⋮ ⋮いわば、土台の崩れそうな脆い点にピンポイントで衝撃を与える というわけか。 ︿完全稼働したこの遺跡プラントが数千年に渡って蓄積したエネル ギーを解放し、骸の力を増幅励起すれば⋮⋮94%以上の確度でふ 次元起爆 なのです﹀ ディメンジョン・イグナイト たつの世界を完膚なきまでに吹き飛ばせるでしょう。それこそが私 の計画̶̶̶ 次元起爆だと。 冗談じゃない。 いくら異世界の超兵器といっても、最悪でも被害はこの大陸ひと つぶん程度と考えていたが、オルトのやろうとしてることは文字通 1141 りそんな次元じゃなかった。 本当に完遂されてしまえば、人間も魔族も根こそぎ全滅だ。世界 がなけりゃ生きていける道理はない。 ﹁む、ムチャクチャだよオルトっ! そんな、ゴキ全滅させるのに 家に火ぃつけるみたいなマネ、いくらなんでも!﹂ ︿あなたならそう言うでしょうね、リルナ。いくら勇者の使命を遂 行するためとはいえ、受け入れられはしないでしょう。だからこそ 袂を分かったのです⋮⋮私たちの道は二度と交わりません﹀ 的確な表現で反論するリルナに、やはりオルトは耳を貸さない。 だが確かに、本来の使命を考えればそれがこいつにとっては最善 なのかもしれない。 オルトが守る使命を与えられたのは、自分の造られた世界であっ てこの異世界じゃないのだから。 ﹁当たり前じゃん!? 第一そんなことしたら、オルトだって無事 じゃ済まないんじゃないのっ!?﹂ ︿確かに、次元起爆の爆心地もただではすまないでしょう。消滅す るか、次元の狭間に吹き飛ばされるか、それとも⋮⋮﹀ ほんの一瞬、緑色のモノアイ光が、うっすらと曇った⋮⋮ように 見えた。 ︿⋮⋮ですが、私は任務遂行のために造られたモノです。あなたや、 感情バグが発生したそこのアールマV7とは違う。私に、ためらい などありません﹀ ﹁お、オルト⋮⋮っ!﹂ そして投影スクリーンのひとつに、どういう原理で映しているの 1142 かは知らないが、遺跡巨人を外側から見た望遠映像が表示された。 巨人は今や、両手を天に向かってまるで神に礼拝でもするかのよ うに差し伸べている。 体のあちこちに爆発光⋮⋮おそらくパラヴァータの兵力や、外に 残したアメリアたち、セレスタたちの攻撃の着弾痕がいくつも発生 しているものの、やはり外から巨人に痛手を与えることは不可能の ようだ。 ﹁見て! 巨人の頭のところ!﹂ ﹁く、口が開いてるっ!?﹂ キリカが指差した先、雲つく高さの頭部が⋮⋮いつの間にか裂け 目のようなイビツな大口を開いていた。 その奥からは紫色の光、見るからに膨大なエネルギーの奔流が漏 れ出て、少しずつ輝きを強めている。 どう見てもチャージ完了まであとわずかという様子だ。こうなっ ては、話し合いの余地もクソもない。 ﹁悪いがやるしかないみたいだぞ、橘さん⋮⋮やっぱりこいつは俺 たちの基準からすれば、狂った機械だ。今止めなきゃやられる、世 界ごと全員が!﹂ もちろん俺は、これまでの長話をただおとなしく聞いていたわけ じゃない。オルトまでの距離や防衛機構の可能性を考慮しつつ、会 話しつつ作戦を立てていたのだ。 猶予時間も少ない以上、最短距離を突破しての早期決着⋮⋮それ しかない! ﹁キリカ、愛隷のリンクで指示を出すからその通りに動け! リル ナはキリカをサポート、ナナは俺を守るんだっ!﹂ 1143 ﹁了解よ!﹂ ﹁わ⋮⋮わかった、トオルっち! オルトにそんなこと、絶対にさ せないんだからっ!﹂ ﹁おうっ、ご主人!﹂ サークル・エアリアル 号令の下、一斉に動き出す俺たち。 まず、天翔輝円を蹴った反動で橋の上を矢のように突撃したキリ カが、オルトめがけ煌剣アルカンシェルを振りかざす。 ︿やはりこうなりましたか⋮⋮では、迎え撃ちましょう﹀ 直後、オルトと一体化した円柱の上部にスリットが開き、そこか ら無数の金属触手が奇怪な昆虫めいて伸びる。 斬っ そしてそれらの先端から、細いレーザー光がキリカめがけて降り 注いだ! ﹁やはり防衛機構か!﹂ ﹁させるもんですかッ! はぁぁぁっっ、せいっっ!!﹂ 。 姫騎士の刃が虹の軌跡を描き、殺到する何本もの赤い光を た フラミアの破砕空間すら切り裂くアルカンシェルに、たとえ光学 兵器だろうと切断し無力化できないはずもない。 そして迎撃動作のため動きを止めたキリカの背後からリルナが飛 び出し、狙いを変えたレーザーを何本か浴びつつもさらに突進する。 ﹁あつっ、熱ちちっ!?﹂ ﹁だ、大丈夫橘さんっ!?﹂ ﹁へーきへーき、姫っち! アタシ、勇者だもんっ!﹂ 1144 殺人レーザーを浴びて 熱い たいがいムチャクチャである。 で済むんだから、勇者の耐久力も なお、レーザーは俺の方にも抜け目無く何発か飛んで来たが、こ れはナナがシールド形態に変形させたリアガード・ユニットで防い でくれている。 ﹁さあいけっ、橘さん! まずはその迎撃機構を潰すんだ!﹂ ﹁わかったよっ! でぇぇぇぇいっっっ!! 勇者式っ、フライン グニールキィィィィッック!!﹂ 橋を蹴って飛んだリルナが、レーザー発振装置を射程内にとらえ る。 ギャル勇者めがけゼロ距離で新たなレーザーを浴びせようとする 直前、鎌のように薙ぎ払われた空中浴びせ蹴りが、それらをまとめ て爆砕させた! ︿⋮⋮!!﹀ レーザー触手を破壊され不利と見たか、オルトのモノアイがまる で命令を出すかのように明滅した。 と、本体まであと数mの距離まで近付いていたキリカとリルナを 拒絶するかのように、円柱を中心に半球状の輝きが広がった。 ﹁これって!?﹂ ﹁ひょっとして、バリア的なやつ!?﹂ 接近を物理的に阻むバリアフィールド。 だろうな、そのくらいの備えはしていると思っていた。 ﹁いいからそいつも切り裂いてしまえっ、キリカっ! さっき飲み 1145 込んだ俺の魔力を使ってな!﹂ ﹁よ、余計なこと言わなくてもいいからっ! ⋮⋮てぇぇぇいっっ !!﹂ 愛隷の魔力を流され、刀身をオーロラのごとき疑似次元断層と化 した煌剣の一閃。 それが異世界科学のバリアを、まるでペラ紙のように切り裂いた。 もちろん、バリアはすぐに切断面を閉じようとするが⋮⋮! ﹁そうはさせないって! うぉぉぉりゃぁぁぁあああっっ!!﹂ なんとリルナは両手を突き出し、バリアの断面を素手でがっしり ディスロケートアーマー 掴んで、ムリヤリ閉じるのに逆らいこじ開けた! 自身の肉体を強靭無比な次元断層魔甲で保護する勇者ならではの、 とんでもない力技だ。 モード ﹁よし⋮⋮今だナナ、俺を運べっ、ヤツのところまで!﹂ ドライヴ ﹁がってん承知だご主人! 装態:スライダーヴァンガード̶̶̶ 起動!﹂ シールドを解除し、飛行サーフボード形態へと変形させたユニッ トに、ナナと共に飛び乗る。 急加速に耐えながら、キリカが切り開きリルナがこじ開けたまま のバリアの裂け目めがけて、猛然と俺自身が進む! ︿魔隷術師自身が近付いてくるとは⋮⋮まさか!?﹀ そう、これが俺の作戦だ。 決め手はあくまで、俺の隷属魔術。 攻撃してオルトを物理的に破壊しても、巨人による次元起爆を止 1146 められなければ俺たちの負けだ。自分が破壊されてもその進行を止 めないようなプログラムを仕込んでる可能性もあるからな。 ﹁お前に隷属術式が通じるはずなのは、以前の接触で確認済み⋮⋮ 多少の抵抗はあってもリルナみたいな絶対魔法反射なんか持ってな いだろ!﹂ ならば、こうやってまず防衛機構を沈黙させた後に俺が肉薄し、 隷属させてしまえばすべては終わるというわけだ。 ⋮⋮破壊せずに済んだ方がまだ、リルナも喜ぶだろうしな。 ﹁くぅぅぅ⋮⋮っ! そ、そろそろ限界っ⋮⋮ギリギリっ!!﹂ ﹁十分だっ、よくやった橘さんっ! さあオルト、これが俺の、詰 みの一手だッ!﹂ 間一髪、リルナのバリアこじ開けが限界を迎える前に、俺とナナ とは境界の内側に転がり込んだ。 目の前には、円柱と一体化し動けぬ上半身を無防備にさらすオル ト。千載一遇のチャンス! 俺はその頭部⋮⋮ナナと同じコアにあたる緑色のモノアイめがけ 手を伸ばす。 そして隷属術式の光が、周囲を包み̶̶̶! ︿⋮⋮かかりましたね﹀ 瞬間。 俺の背筋を、氷のような予感が突き抜けた。 ﹁!? トオルくん、どうし⋮⋮﹂ 1147 ない。 隷属術式の反応が、まるでない。 意志がまったく存在しない 。 魔法抵抗の類いではなく、そもそも俺が手をかざしているモノに ⋮⋮ ということは、つまり。 ﹁まさかっ、フェイク⋮⋮か!?﹂ ︿その通りです、魔隷術師﹀ 答える声は、目の前のアーマーゴーレムの上半身ではなく、円柱 のさらに上⋮⋮バリアの外から降ってきた。 ぎょろり、と。 円柱の最上部に瞳のようなスリットが開き、緑色の眼球めいた宝 玉が露出する。言うまでもなく、俺の術式の射程外。 ﹁お、オルトのコアがふたつ!?﹂ ﹁ど⋮⋮どういうことなの!?﹂ ﹁どうもこうもない、あれがオルトの本体⋮⋮俺たちに見せてたこ れは最初から偽物、フェイクのダミーだったんだ!﹂ そう、ヤツは俺がコア本体を狙うことはもちろん、自分を隷属さ せる行動に出ることまで予測していたのだ。 だからこうやってダミーの自分を、おそらくここに無数にあるナ ナの同型機を材料にして据え付けた。ご丁寧にコアの発光や発声ま で⋮⋮! ︿プラントをコントロールするために、構造上この部屋から本体を 離すことは不可能でしたが、こうやって保険は打てるということで す⋮⋮これまでの行動から、あなたの隷属術式の射程は短いと見て 正解だったようですね﹀ 1148 そして依然、俺とナナは閉じたバリアで包まれている。 これが何を意味するかは、イヤでもわかる。 ﹁キリカっ、急いでバリアを全力で斬̶̶̶﹂ ︿⋮⋮起爆﹀ 閃光、そして轟音。 俺の視界が、真っ白に染まった。 ﹁と、トオルくっ⋮⋮きゃぁぁぁあっっ!?﹂ ﹁うそ、トオルっち⋮⋮うあぁっっ!!?﹂ 遠く聞こえる二人の悲鳴。 おそらくはバリア内が何らかの手段で爆破され、阻止しようとし た二人もその余波で吹き飛ばされたのだろう。 ⋮⋮だが、爆心地にいたはずの俺には、いつまでたっても痛みは やってことなかった。 それどころか、何か柔らかいものが覆い被さって⋮⋮? ﹁ぶ⋮⋮無事か、ご主人⋮⋮っ﹂ ﹁な、ナナっ!?﹂ なんと、爆発の瞬間、緑髪のアンドロイドボディが盾となって俺 をかばい、衝撃をシャットアウトしてくれていた。 しかし、ということはつまりユニットをシールド形態に変形させ るヒマもなかったということで⋮⋮! ﹁おいナナ、お前こそ大丈夫じゃないだろっ!?﹂ 1149 ﹁た、多少の⋮⋮そ⋮⋮損傷、は⋮⋮っ!﹂ 多少どころじゃない。 俺の体の上からずるりと力なく床に滑り落ちたナナの背中は、バ チバチと帯電する機械的組織が一面に露出していた。 明らかに、ひどい損傷だ。 ︿計算上、確実にあなたを殺せる爆発でしたが、アールマV7の自 己犠牲に救われましたか⋮⋮まあ、どちらにせよ同じことですが﹀ 頭上からの無機的な声。 姉妹同様の同型機を破壊することを、何ら躊躇しないマシンボイ ス。 ﹁オルト⋮⋮ッ!﹂ ぎりっと歯を食いしばり、俺は頭上の球体、真のコアを睨む。 すさまじい爆発で背後に吹き飛ばされたキリカとリルナが、よろ よろと立ち上がる気配。 護衛のナナが倒れ、彼女たちもそんな状態⋮⋮これは最悪に近い 事態だ。 なにしろ今この瞬間、俺の身を守れる仲間が誰もいないのだから。 そして⋮⋮その隙を逃すオルトでは、もちろんなかった。 さっきリルナに破壊されたレーザー発振触手のうち、比較的損傷 の少ない一本が、火花を散らしながら俺にその先端を向ける。 ︿さっきの言葉を返しましょう。これで詰みです、魔隷術師トオル ̶̶̶あなたは確かに恐るべき敵でしたが、私の執念がギリギリで 一歩勝ったといったところでしょうね﹀ 1150 ⋮⋮執念? 執念だと? 無機質な機械知性にそぐわないその響きに、かすかな違和感を抱 く間もなく。 レーザー触手の先端が、チカッと真っ赤に輝いた。 ﹁え、う、嘘っ⋮⋮!?﹂ ﹁と⋮⋮トオルくぅぅぅんっっっ!!?﹂ 痛みは、一瞬。 反射的に身を引き、襲い来る死の光に対して思わずかざした、左 腕が。 俺の左腕の、ヒジから先が。 跡形もなく̶̶̶消し飛ばされていた。 1151 66話:次元起爆と、詰みの一手︵後書き︶ ジョウント・スラッシャー ︻スキル解説︼ ︽跳空裂斬舞︾:聖騎剣技LV5スキル 破壊力:B 命中精度:C 使用前隙:B 使用後隙:A 燃費: C 射程:約2∼5m 煌剣アルカンシェルの力を引き出し、空間を切り裂いて離れた場 サークル・エアリアル 所に斬撃を届かせるスキル。 天翔輝円による高機動力と併用すれば、姫騎士の間合いを見切る ことは非常に困難となる。 貴重な中距離攻撃手段だが、空間を乱暴に切り裂く以上到達地点 が多少ブレるため、正確な狙いがつけづらいのが短所。 燃費もあまり良好ではないが、愛隷としての高効率魔力供給を受 けられるキリカならある程度の連発は可能。 1152 67話:﹃魔隷術師﹄と、天穿つ光 スローになる視界の中、俺はきれいに無くなった左腕の残り半分 をぼんやり見つめながら、ゆっくりと床に倒れ込んだ。 マヒしているのか、少なくとも今は痛みもほとんど感じられない のが余計に恐ろしい。 レーザーによる傷口はすぐ焼き閉じたらしく出血もないが、この ままでは致命的な傷に変わりなかった。 ︵くそッ⋮⋮このままじゃあ、両手でキリカとリルナの乳をいっぺ んに揉むことができないじゃないか⋮⋮ッ!︶ 追い詰められた脳裏になぜか浮かんだのは、そんなバカバカしい までの感想だった。 ﹁と⋮⋮トオルくんっ!! トオルくんッッ!!﹂ ﹁う、ウソ⋮⋮だよね⋮⋮?﹂ 共に吹き飛ばされた体に鞭打って立ち上がり、我を忘れて叫ぶキ リカと、呆然とした顔のリルナ。 だが、彼女たちとの間を隔離するように再び出現するバリアフィ ールド。しかも一枚ではなく、三重⋮⋮オルトも必死だ。 傷付き消耗した二人では、これを突破するには相当な時間がかか ってしまうだろう。 俺はといえば、動けない。 声すら出ない。 幸か不幸かギリギリ初撃で即死することは避けられたが、これで 1153 はどうすることもできない。 せいぜい、俺にできるのは今にもぷっつり途切れそうな意識を、 必死で手放すまいと歯を食いしばることだけ。 ︿安心して下さい。長く苦しめるつもりはありませんから﹀ 無感情な宣言と共に、触手状のレーザー発振器が床の俺めがけ再 び狙いをつけた。 ︿そして、いずれにせよあなた方の勝ちは消えました。臨界に達し つつある次元起爆は、もはやこの部屋や私を破壊したくらいでは止 まりません﹀ ﹁なん⋮⋮だと⋮⋮!?﹂ ︿プラントのエネルギーが遺跡巨人の頭部に収束してゆくのを止め ない限りは⋮⋮私の、勝ちです﹀ ボレアリス・アルカンシェル キリカの最大奥義、極光聖彩刃の刀身でも貫ける距離はせいぜい 数m。 でかすぎる巨人を一気に切り裂くことなど、できるはずもない。 そしてそもそも次元起爆による終わりを待つまでもなく、今度こ そ防ぎ得ない死の光が、俺の頭部か心臓を正確に貫くだろう。 万事休す。 ﹁やっ⋮⋮やめてぇぇぇえええぇぇっっ!!﹂ キリカのものかリルナのものか、もはやわからない叫びをバック に。 発振器の先端が、再び赤く発光した。 ̶̶̶パシュッ。 1154 ︿⋮⋮!?﹀ だが。 覚悟した速やかな死は、訪れなかった。 翼を広げたような形状の白い浮遊端末が⋮⋮俺めがけ発射された レーザーを、寸前のところで受け止め散らしていたのだ。 モード ﹁⋮⋮も、装態⋮⋮シールド、リアガー⋮⋮ド⋮⋮ッ!﹂ ﹁な、ナナっち!!﹂ 俺めがけて片腕を差し伸ばす、緑髪のアンドロイドボディ。 なんと、さっき俺をかばって甚大な損傷を受けたナナが、床に転 がったまま盾状ユニットを展開してくれたのだ。 その献身に、思わずカッと胸が熱くなる。 ︿アールマV7⋮⋮なぜそこまでしてこの男を守るのです? 本来 の任務を完全に忘れ去ってしまったのですか?﹀ タチの悪いことにどうやら自己修復機能があるらしく、リルナに 破壊された他のレーザー触手も二本、三本と再び動き出した。 それらは俺めがけ何本もの火線を集中させるも、俺の体に覆い被 さるような形で浮遊するシールドユニットにことごとく受け止めら れる。 ﹁わ⋮⋮忘れたわけじゃ、ないぞ⋮⋮今も、ナナの心には命令の声 が聞こえる⋮⋮任務に従えと⋮⋮オルト、お前のようになれと⋮⋮ ぐぅぅッ!?﹂ ﹁な、ナナちゃんっっ!?﹂ 1155 狙いを変えたレーザー光が、ナナ自身に次々殺到し火花をあげた。 俺を守るシールドを突破できないなら、先に操作する本体の方を 機能停止させればいいというわけだ。 だが、ナナはシールドユニットを俺から自分に戻そうとしない。 自身の体が灼熱に焼かれようとも、決して。 ﹁でも、でもナナは! もう、自分のやりたい命令しか遂行したく ない⋮⋮! ナナが聞きたいのは、ご主人の楽しい命令であって⋮ ⋮お前と同じそれじゃ、ないぞッ!﹂ ︿⋮⋮!!﹀ ボロボロのボディで、クールな表情を崩さぬまま言い放つナナ。 どくん、と俺の心臓が、燃料を注入されたかのように脈打った。 そうだ⋮⋮諦めるには、まだ早い。 ナナが見せてくれた覚悟に、主人の俺も覚悟で報いなくてどうす る。 オルトの見せた執念に、俺が執念で勝ってみせなくてどうする。 ヤツ以上の覚悟と執念をもってして、この逆境に打ち克つのだ。 死に物狂いで俺と戦っているオルトを、俺も全力全霊で上回るの だ。 そのためなら̶̶̶そう、どんな手段を使ってでも! ﹁うっ⋮⋮ぐぅぅぅっっ、おおおおおぉぉぉぉッッッ!!﹂ ︿ッ!? 何をしているのです!?﹀ 突如、シールドの下で異様なうめき声をあげはじめた俺に、オル トが反応した。 1156 さすがに俺が今、何をしようとしているかは解るまい。 だがこれは一か八かの賭け⋮⋮それも分の悪すぎるベットだ。状 況を好転どころか悪化させるかもしれない大バクチだ。 できることなら、やりたくはなかった手だ。 しかし、今取りうる手段はこれしかない! ならば、やるしかな いのだ! このまま座して死を待つよりも、覚悟を決めて⋮⋮今! ﹁ご⋮⋮ご主人⋮⋮っ! す、すまないっ⋮⋮限、界、だ⋮⋮!﹂ ついにナナが限界を迎え、シールドユニットが力なく床に落ちた。 ローブにくるまるように身を丸めた俺を取り囲むように、今度こ そ殺到する赤い光の檻。 が、しかし! ︿な̶̶̶!﹀ 次の瞬間、幾本ものレーザー光はことごとくあらぬ方向へとねじ もの によって、偏向反射され 曲がり、床や壁に赤熱した着弾痕をデタラメに刻んだ。 。 ローブの中から俺が突き出した たのだ。 左腕 それは、腕。 俺の⋮⋮ ﹁う、うそ⋮⋮!?﹂ ﹁⋮⋮あれって!!﹂ 1157 ガントレット オルトの、リルナの、キリカの、驚愕の視線がそこに集中する。 欠片 に。 不吉な黒紫色の水晶に覆われた⋮⋮まるでイビツな篭手を片腕に だけまとったような、俺の左前腕に。 失った左腕に癒着し一体化した、あの忌まわしき ﹁そう⋮⋮破天の骸、だッ!!﹂ ※ ※ ※ ﹃む⋮⋮?﹄ ヘイズ・キャッスル 陽炎魔城。 うっすら発光する異様に巨大で複雑な積層魔法陣の中心に、一糸 まとわぬ姿で片膝をついたイヴリースは、何かに呼ばれたように顔 を上げた。 抜けるように白い髪の下で、赤い瞳が異様な光を帯びる。 妹フラミアとうりふたつの、だが一切の色素を欠いたアルビノの 肉体。 ﹁どうかなされましたか、イヴリース様﹂ 骸 ノーヴル・ が、な。一瞬まるで、悲鳴をあげたかのよう 背後の闇の中から、銀色の仮面⋮⋮クルスの声。 ﹃いや⋮⋮この に思えた﹄ エイト 精神波で会話しつつ、右腕をみずからの顔の前に差し伸べる八冥 家の大魔貴族。 1158 水晶状の組織に一面覆われた、異形の片腕。 クルスが持ち帰った破天の骸の欠片と、一体化した結果だ。 ﹁それはきっと、これからイヴリース様が成そうとされてる偉業に さしもの魔王も恐れおののいてるってヤツじゃないですかね?﹂ ﹃心にもない世辞は止めろ。耳が腐る﹄ おどけたような臣下の言葉を辛辣に切り捨て、幼い体に妖しい魔 力をまとうイヴリース。 呼応するかのように、彼女を包む魔法陣が光を強めた。 ﹃だが⋮⋮かの魔王はいざ知らず。少なくともミクラやヴラドヴェ リ、そして三大公⋮⋮今の魔界でぬるま湯の安寧を貪るものどもは。 今日という日を最後に、到底平静では居られまいだろうよ﹄ 変革 が始まるのですか 傲岸不遜かつ皮肉げな言葉を、深々と頭を下げたクルスが継いだ。 ﹁ええ⋮⋮確かに。いよいよ、不可逆の ら̶̶̶﹂ 転送術式の魔光が、イヴリースを包む。 あるじの姿がいずこかに転移したのを見届けると、銀仮面はさっ きの緊張感のない様子からは一転、冷めた声音でつぶやいた。 ﹁さて、とはいえ世界そのものが吹き飛んでは元も子もない⋮⋮そ っちは頼んだよ、小田森トオルくん﹂ ※ ※ ※ 1159 ︿こ⋮⋮こんなことが⋮⋮!? あるはずがない⋮⋮!﹀ 余裕の平静さから一転、動揺に乱れるオルトのマシンボイス。 ︿ある程度の耐性を持つよう設計された我々のボディならいざ知ら ず、ただの生物が骸と癒着すればたちまち侵蝕されその一部となっ てしまうはず!?﹀ そう考えるのは当然だ。実際、ディアーネはほんの少し触れただ けでそうなりかけた。 だが⋮⋮俺に関しては例外がある。 この俺に限っては。 スレイヴマンサー ﹁俺を誰だと思っている? 俺のジョブを忘れたか、オルト!?﹂ ︿!! す⋮⋮魔隷術師⋮⋮まさか!?﹀ ﹁そのまさかだ。俺は、この骸を隷属魔法で従えたッ!﹂ かつて侵蝕されたディアーネが感じ取ったように、骸にはかすか だが意志がある。おそらくは魔王の遺志、その残滓が。 ならばレベルアップした俺の隷属魔法ならば、そのかすかな反応 を捉え従わせる⋮⋮肉体と同化した上でコントロール下に置くこと は不可能じゃない。 そもそもオルトが俺を警戒したのも、魔隷術師が骸を隷属支配で きるかもしれない存在だったからだ。 現にナナの旧ボディとこの欠片が一体化していた時、ナナを通し て俺はこいつに命令し、ディアーネの侵蝕を取り除いてみせた。 リルナと一体化させて間接的に支配するという手段を選ばなかっ た結果、使い道を失ったこの欠片。 1160 いざという時にオルトとの交渉なり何なり、切り札に使えるかも しれないという可能性を考慮し、対魔素材の布で厳重に包んだそれ をローブの内側に忍ばせていたのだ。 ⋮⋮まさかこんな方法で使うことになるとは、さすがに思わなか ったが。 ﹁と、トオルくん、でもその腕!﹂ ﹁大丈夫なのっ、そんなコトしちゃってホントにっ!?﹂ バリアで隔てられたキリカとリルナの心配そうな声。 大丈夫だ⋮⋮と言いたいところだが、さすがにそう都合良くはい かない。 ︵くッ⋮⋮あ、頭の中が、燃えるみたいだ⋮⋮っ!!︶ 感じる。 左前腕から逆に這い上り、俺の体を、意志を、隙あらば逆に乗っ 取ろうと狙う破天の骸の意志を。 隷属術式でこれ以上の侵蝕を禁じ続け、押さえ込み続けなければ、 骸の腕は即座に俺の肉体すべてを取り込もうとし始めるだろう。 俺はこの身に、とんでもない爆弾を抱え込んでしまったというわ けだ。 ︿ですが⋮⋮そのような手段で傷を無理矢理塞いだところで、無力 なあなたに何ができると!﹀ 再び、オルトの操作を受けたレーザー触手端末が、死の光を浴び せかけようと俺を向く。 だが。 1161 ﹁ぐ、くっ⋮⋮うおぉおおぉぉぉぉおあッッ!!﹂ 変化 した。 ビキッ、ビシッッ⋮⋮というガラスを砕くような異音と共に、俺 の新たな左腕が瞬時に 尖った水晶の切っ先がいくつも、ヒジや手首、爪などから伸び、 インターアクセル 凶悪で攻撃的なフォルムを形作る。 同時に、俺は時分割加速の腕輪̶̶̶これを右腕にはめていたの は幸運だった̶̶̶を起動する。 もちろん、いくら体感時間を十倍に加速しても光の速度に対応す ることはできない。 だが、レーザーの軌跡は直線。向けられた発射光の方向がわかれ ば、その着弾点は割り出せる。 あとはその位置に沿って、左腕を薙ぎ払うのみ! ︿な⋮⋮!?﹀ オルトのさらなる驚愕。無理もない。 自衛能力はほぼ皆無だと思われていた俺が、まるでキリカが煌剣 でやったように、異形の左腕によって光線のことごとくを弾きそら したのだから。 かつてナナが旧ボディに一体化させた時、暴走するフラミアの破 砕空間をも切り裂いた破天の骸だ。レーザーごときに負けはしない。 明白だ。 そして俺は、奔流のごとく流れ込んでくる膨大な魔力を感じた。 どこから? 破天の骸が内包する、滅びてなお凄まじい魔王の魔力だ。 ﹁舐めるなよオルト、俺は魔隷術師⋮⋮魔王すらも隷属させる者だ ッッ!!﹂ 1162 しかも、それだけではない。新たな力の目覚めを感じる。 欠片とはいえ魔王⋮⋮勇者と並ぶ究極のレアジョブを隷属させた ことで、俺のレベルが瞬時に上昇しているのだ。 これならば̶̶̶やれる! ﹁キリカァァァッッ!! 受け取れぇぇぇぇッッッ!!﹂ 叫び、俺の切り札たる愛隷に、術式のリンクを通してそれらの力 のすべてを注ぎ込む! かつてない高効率で注がれる、かつてないほど膨大な魔力を! ﹁あううッッ!? な、なにこれっ⋮⋮凄い魔力っ⋮⋮ああぁぁあ ああっっっ!!?﹂ ﹁ひ、姫っち!? ナニが起こってんのっ!?﹂ まるで見えない力に導かれるように、キリカが両手で頭上に掲げ た煌剣アルカンシェルが、凄まじいまでの魔力光を放った。 地上に落ちた太陽のごとく、目を開けていられないほどの灼熱光 そ⋮⋮そんなまさか⋮⋮!? あの姫騎士が、あの小さな が室内を染めあげる。 ︿!? 何 剣が内包するエネルギー総量が⋮⋮この遺跡プラントのそれに匹敵 ⋮⋮いや! 上回る⋮⋮などとは!? あ、ありえないッ!? かの間違いだ!!﹀ 状況を分析しようとしていたらしいオルトが、冷静さを欠片も無 くしたパニックのうめき声を漏らした。 1163 ﹁舐めるなよと言ったぜ、オルト。本来なら決して束ねられること のなかった魔王の力と姫騎士の力⋮⋮それを今、この俺が束ねた! 魔隷術師の、そして愛隷の繋がりで! そのくらいの奇跡は、俺 とキリカなら起こせるぜッ!!﹂ 今はっきりとわかった。 この魔隷術師という力の恐るべき本質が。それはただ他者を隷属 させることが終着点ではない。 その先がある。 隷属術式のリンクを介して、本来ならば決して繋がるはずのない ものを接続させる力。 聖と魔とを繋げ、ありえざる新たな形を生み出す力⋮⋮俺にはそ の、無限の可能性を秘めた力があるのだ! ﹁ひ、姫っち! 剣から、なんか文字出てるっ!?﹂ ホログラフィックディスプレイのように、アルカンシェルの刀身 を中心として周囲の空間に古代文字らしきものが投影された。 ﹁これ、まさか古代ランバディア文字!? ﹃煌剣の⋮⋮封印を⋮ ⋮解放﹄ですって!? どういう、こと⋮⋮!?﹂ ︿く⋮⋮!﹀ 何が起きているのか理解できなくとも、とにかくこのままではま ずいと判断したか、オルトは全レーザー射出口を姫騎士に向け束ね た。 複数が集束して放たれる、柱ほどありそうな極太のレーザー! まずい、接触面が広すぎてあれではアルカンシェルでも斬り払え ない!? 1164 だがその真正面に、赤茶のサイドテールをなびかせたギャル勇者 が立ちはだかる! だからっ、ここは任せてっっ!!﹂ ﹁姫っちほどじゃないけど、アタシにもグングン来てるよトオルっ ちの魔力っ! 何もかも消し飛ばしそうな光の奔流に対し、リルナはなんと、素 光線っ⋮⋮押し返しぃぃぃぃッッッ! 手をバツ字にクロスさせて仁王立ちの体勢をとった。 ﹁勇者式ぃぃぃっっっ!! !﹂ ディスロケートアーマー めちゃくちゃなネーミングと共に、さらにめちゃくちゃとしか言 いようのない光景が現出した。 俺からの魔力供給で輝きを増した次元断層魔甲は、虹色の光の飛 沫を飛ばしながら極太レーザーのすべてを体表で散らし、キリカま で届かせない! ﹁凄いぜ、橘さん⋮⋮君はやっぱり、無敵の勇者だよ!﹂ ﹁えへへっ! さあ、やっちゃえ姫っちっっ!!﹂ ぶるんっ、とバストを揺らして顔だけ振り返り、信頼を込めて微 笑むリルナのエールを受け。 煌剣を掲げたまま、半ばトランス状態のように閉じられていたキ リカの瞳が、キッと凛々しく見開かれた。 ︿や⋮⋮止め⋮⋮ッッ!!﹀ ゴウッ、と全身を包む魔力光の反動で舞い上がる黒髪。 1165 俺とキリカの目が合う。 二人同時に、うなずく。 アミターユス ボレアリス・アルカンシェル ﹁今、無限なる輝きにて那由他の虚空を断つ!! 極光聖彩刃̶̶ ̶無辺光ッッッ!!!﹂ ※ ※ ※ パラヴァータ市街と、その周辺地域。 そ 今なお無傷の遺跡巨人、そこから吐き出され続ける晶片獣との絶 を見た。 望的な戦いを続ける者たち、そして見守る者たちの全員が⋮⋮ れ ﹁むッ!? し、シエラ殿、見ろあれを!﹂ ﹁!! ⋮⋮⋮⋮あれって﹂ 天を仰ぐ巨人の胸からまっすぐ真上に伸びる、細い細い虹色の光 を。 ﹁ありゃ何なんだ、ニーナっ!?﹂ ﹁わ、わかんないよアメリアちゃん、でもなんだか、温かい感じの 光⋮⋮!﹂ 空へ、遥か空の彼方へと、一直線に伸びてゆくその光を。 ﹁むう、あの光は⋮⋮もしや!?﹂ ﹁知ってるの、パルっ!?﹂ 1166 無限の距離を一瞬で突き抜け、その虹の光は。 ﹁いったい何が見えるのですか、システィナ姫?﹂ ﹁わたくしには分かります、ディアーネさま。あれは、キリカとト オルさまが束ねた力⋮⋮ついに、封印の解かれる日が来たのですね ⋮⋮!﹂ 中天にかかるふたつの月。 その片方、小さい方の中心に。 虹色の光は到達し⋮⋮やすやすと貫いた。 そして、次の刹那。 雷鳴の速度で、振り下ろされる。 地上と月とを結ぶ、この世でもっとも長い光の刃が。 斬り下ろし、瞬時に切り返し⋮⋮美しくも破壊的なVの字を描く ところを、思わず戦いの手を止めたすべての者たちが確かに見た。 一瞬の沈黙があって。 遺跡巨人が口内に収束させ、今にも放とうとしていた紫の光が、 プツッと電気でも消すかのように途絶えた。 次いでゆっくりと⋮⋮巨大感のあまりスローモーションのごとく、 遺跡巨人の頭部と胸部の上半分が、下に滑り落ちてゆく。 そう、あの虹の刃が。 無敵の巨人を、いともたやすく切断したのだ。 彼方の月にまで⋮⋮かすかな爪痕を残して。 1167 ※ ※ ※ ︿こんな⋮⋮こと⋮⋮がァ⋮⋮ッッ!?﹀ 円柱に瞳のごとく浮かんだオルトのコアは、人間で言うなら絶望 の表情をたたえているように見えた。 真の力を解放したアルカンシェルによる貫通斬撃は、バリアごと 円柱を斜めに両断しただけでなく、中枢プラントにも致命的な損傷 を与えていた。 ただの一撃で遺跡巨人が受けた被害は計り知れない。 レーザー触手が力を失いダラリと垂れ下がり、部屋の内壁に映し 出されていたモニター表示も乱れて消えてゆく。 煌剣が光を収めて元の状態に戻り、大技の反動でがくりと膝をつ きそうになったキリカを、リルナが慌てて支えた。 ﹁終わりだ⋮⋮オルト。お前の、負けだ﹂ ディメンジョン・イグナイト これでは次元起爆とやらも起こせまい。 俺は左腕の内側からドクン、ドクンと脈打つ不気味な痛みを感じ つつも、床に倒れたナナに走り寄る。 ﹁お⋮⋮終わったのか、ご主人⋮⋮?﹂ ﹁ああ、俺たちの勝ちだ。お前もよく頑張ってくれたな﹂ ﹁そ、そうか⋮⋮褒められると嬉しい、ぞ。だが、オルトは⋮⋮﹂ 見上げれば、火花を散らしゆっくりと崩壊してゆく円柱から、俺 をまるで睨むかのように明滅する緑のコア。 1168 ︿確かに⋮⋮私の敗北のようです⋮⋮ですが!﹀ 直後。突如として、コアのすぐ下部分の柱がバシャリと展開した。 ︿使命を成し遂げられず、あなたに隷属させられ道具とされるくら いならば、私は⋮⋮破壊という結末を選ぶ!﹀ そこに埋め込まれていたのは、透明な水槽のような球体の中に浮 かぶ水晶塊⋮⋮俺の左前腕を覆っているのと同じ、不吉な輝きを放 つ物体。 ﹁あ、あれって!?﹂ ﹁破天の骸の欠片⋮⋮この遺跡で晶片獣を生み出していたやつか!﹂ ︿そのとおり。もはや次元起爆に必要なエネルギー総量に達するこ とは不可能⋮⋮ですが今まで蓄積したぶんを触媒にこの骸を暴走励 起させれば、パラヴァータ一帯を吹き飛ばす程度の爆発は十分起こ せるでしょう⋮⋮!﹀ まさかこいつ、こういうメカにお決まりの道連れ自爆でもするつ もりか! させるかとばかりに、俺はオルトめがけ手を伸ばそうとするが、 円柱が崩壊しつつあるとはいえまだ位置が高すぎて術式が届かない! しかも俺を抱えて飛べそうなナナもキリカも、到底すぐ動けない 状態だ。 ﹁く⋮⋮まずいッ!﹂ 違う空 から⋮⋮解放、される⋮⋮﹀ ︿いささか不本意な終わり方ですが⋮⋮これでやっと、少なくとも ⋮⋮この ⋮⋮空? 違う空とはなんだ? 1169 狂った機械知性の、自殺を前にしたうわごとか? いずれにせよ時間がない。焦った俺は、リルナを呼び戻そうと振 り向く。 と、その時。 ﹁⋮⋮待って、トオルっち!﹂ キリカに肩を貸したまま、リルナがゆっくりと近付いて来た。 その瞳に、どこか母親の優しさを連想させる穏やかな光をたたえ て。 状況にそぐわない様子に思わず言葉を失った俺に、ぐったりした キリカを優しく預け、ギャル勇者はオルトの円柱の真下まで歩み出 る。 ﹁ねえ、オルト⋮⋮アタシ、ずっと考えてた。オルトの、本当の望 みを﹂ ︿⋮⋮!?﹀ ﹁それが、今の言葉でやっとわかった気がするよ﹂ ︿リルナ⋮⋮あなたに何がわかると⋮⋮!﹀ ううん、と首を左右にゆっくり振るリルナ。 ﹁わかるよ。アタシはオルトと、それなりに長い間いっしょにいた からね。だから、アタシにはわかるんだ﹂ 豊かな胸の前で、きゅっと手を握りしめ。 リルナは、決定的な言葉を口にした。 ﹁オルトはさ⋮⋮故郷の世界に、帰りたいんだね?﹂ ︿⋮⋮⋮⋮!!﹀ 1170 今、なんと言ったんだ? 故郷に帰りたい⋮⋮だと? ﹁本当は、破天の骸をぜんぶ失くすって使命は。オルトにとっては 目的じゃなくて手段ってだけなんだよね? だって、そうしないと 元の世界に戻れないから⋮⋮任務を果たさなきゃ、戻っちゃいけな いから﹂ オルトの沈黙が、リルナの推測の正しさを何よりも雄弁に証明し ていた。 自爆のカウントダウンすら、動揺のあまり一時停止したかのよう だった。 ﹁だから、こんな強引な手段でまでそれを一気にやろうとした。遺 跡でアタシを裏切って、トオルっちたちも敵に回した。ずっと思っ てたんだ、いつも冷静でアタシの猪突猛進をいさめてたオルトが、 なんで急にまるで焦ってるみたいに計画を進めようとしたのか⋮⋮ って﹂ 確かに、その疑問は俺も感じていた。 警戒している俺を始末するにしても、遺跡プラントを支配するに しても、もっと表面上穏便な手段は時間をかければいくらでも狙え たはずだからだ。 待てなかった ん 少なくとも、俺たちとリルナの両方を一気に敵に回すリスクは大 きすぎた⋮⋮現にそれが、この敗北を呼んだ。 ﹁でも、さっきわかったよ。オルトはもう⋮⋮ だ、って﹂ ︿⋮⋮っ!!﹀ 1171 ﹁だよね? 任務を一気に終わらせられるかもしれないおっきなチ 人間臭い 機械だ。あ ャンスが目の前にきて、それで居ても立ってもいられなくなった⋮ ⋮違う?﹂ なんてこった。 それが本当なら。 こいつは、こいつこそが、とんでもなく るいは姉妹のナナよりも。 この、冷徹で無情なマシンにしか思えなかったオルトこそが。 ︿⋮⋮私、は。そう⋮⋮確かに、待てなかった﹀ 長い沈黙を破る、ひどく疲れたような声。 ︿この世界に送り込まれてより⋮⋮永い永い、数千年の時を⋮⋮ヒ 本音 。 トのように眠ることも自死することもできずただ耐え続け、ただひ たすらに待ち続けた⋮⋮﹀ 恐らくはメモリーの奥底に押し込め続けた、オルトの ︿すべては⋮⋮ただ、帰るために。私の造られた⋮⋮生まれた⋮⋮ 世界に。こことは違う空の色、こことは違うたったひとつの月を持 つ⋮⋮あの世界に⋮⋮!﹀ そうか、思い出した。 リルナを裏切って行動を起こす直前⋮⋮こいつは同じくこの世界 にとっての異邦人である俺に聞いた。 ﹃元の世界に戻りたいか?﹄̶̶̶と。 1172 あれがおそらく、最後の引き金だったのだ。 俺もリルナも、元の世界にさしたる未練はないという答えを聞い たことが。 それでオルトは俺たちを、自分とは相容れない相手だと断じた。 そして今にして思えば、次元起爆にしてもそうだ。 オルト自身がその爆発に巻き込まれどこに吹き飛ばされようと構 わない、という答えだったが、あれはひょっとして。 ﹁まさかお前⋮⋮それで元の世界に戻れるかもしれないっていう望 みを賭けていたのか?﹂ ﹁え!? どういうこと、トオルくん﹂ ﹁元々、この場所で起こった戦いで骸の欠片はオルトの世界にまで 飛んで行った。なら再びここで同じく次元に干渉する大破壊を起こ せば、同様のことが発生する可能性はゼロじゃない⋮⋮!﹂ あれは骸を滅ぼす行為であると同時に、イチかバチかの手段で元 の世界に戻るための行為でもあったのだ。 考えてみれば、仮に任務を果たしたからといってオルトを造った 者たちが、骸を処理する兵器端末に過ぎないオルトが元の世界に戻 れるような処置を施しているだろうか? あまりそうは思えない。おそらくは一方通行の世界転移に過ぎな いだろう⋮⋮そうでなければ逆に、さらなる災厄を呼び込む可能性 もあるしな。 そもそも数千年の時を経て、オルトを造り出した者たちはもう元 の世界にいなかったり、滅びている可能性すらあるのだ。 だから賭けた。賭けるしかなかった。 オルトは、みずからの願いを叶えるためには、こんな無茶で強引 で奇跡でも起こらない限り成功しないような可能性に賭けるしかな 1173 かったのだ。 ⋮⋮なんて愚かで純粋な機械なんだろう。 ︿それでも⋮⋮私は。ただ⋮⋮帰りたかった⋮⋮⋮⋮﹀ 誰もが、沈黙する中。 骸の欠片が異様に発光し、自爆の時が近いことを告げる。 やろうと思えば、阻止はおそらく間に合う。オルトもきっとそれ を理解しているからこそ、もはや声には深い諦めがにじんでいた。 ﹁ご主人⋮⋮頼みがある﹂ バチバチと火花をボディからあげながら、ナナが立ち上がる。 それを見たリルナが、ナナとアイコンタクトをかわしてうなずい た。 ﹁アタシからも⋮⋮トオルっち﹂ 二人が何を言いたいかは、聞かずともよくわかった。 俺はひとつため息をつき、水晶のガントレット状に変質した左腕 を、円柱に埋め込まれた骸の欠片めがけて差し伸ばす。 ︿何⋮⋮を⋮⋮?﹀ ﹁なに、俺と一体化したこの欠片を通して、そっちの欠片に蓄積さ れたエネルギーをコントロールしてみるだけだ。上手く行けば⋮⋮ 別次元への扉を開けるかもしれない﹂ いわば自爆のエネルギーを転用し、小規模で指向性を持たせた次 元起爆モドキを起こすようなもんだ。 1174 極点 たるこのパラヴァータ、そして次元 もちろん、ぶっつけ本番のムチャな試み。 だが次元が不安定な 干渉能力を持つ破天の骸の力⋮⋮そして俺の隷属魔術による支配な らば、あるいは。 ︿!! まさか⋮⋮私を、元の世界へと還す試みだとでも⋮⋮!? 敵であるはずの私に情けをかけるとでも⋮⋮!?﹀ ﹁勘違いするな。ここで自爆されちゃたまったもんじゃないっての と、お前みたいなハタ迷惑なポンコツは元の世界にお引き取り願い たいってだけだよ﹂ もちろん、俺が言うのもなんだが、こいつは遺跡都市やこの世界、 魔界のすべての生命まで目的のため犠牲にしようとした、世間一般 の基準からすれば許されていいはずもない罪深い存在だ。 だが、真の目的を知った今⋮⋮俺はこいつのことが、敵同士とは 願い のためならあらゆる手段を駆使し知恵 いえそこまで嫌いになれなかった。 自分の心が命じた をしぼり、世界を相手にたった一人戦いを開始する孤独な異邦人。 その在り方に、俺は一種の親近感のようなものを感じたのかもし れない。 ﹁トオルっち⋮⋮!﹂ ﹁ご主人⋮⋮感謝する﹂ ﹁トオルくん⋮⋮﹂ リルナ、ナナ、そして俺に肩を預けたキリカが見守る中。 絶句するオルトめがけニヤリと笑い、左腕に意識を集中させる。 ﹁くッ⋮⋮うぐぁっ、ぐぐ⋮⋮ッ!﹂ 1175 骸に自我を逆に支配されないよう、内心で脂汗を流しつつ。膨大 な内在エネルギーをなんとか支配し、その方向性を定めようと精神 を研ぎ澄ませる。 やはりこの骸の力は、とてつもなく危険でリスキーだ。 間違いなく、使い続ければ俺は⋮⋮俺自身ではなくなってしまう! ﹁⋮⋮トオルくん。大丈夫、だよ﹂ その時、反動でカタカタ震える左手に、キリカがそっと手を添え た。 あたたかな感触が、流れ込んでくる。 異形となった腕を恐れようともせず、姫騎士の綺麗な瞳が励ます かのように⋮⋮信じているとでも言うように俺を見つめ、真剣な顔 でうなずいた。 ﹁!! ああ⋮⋮任せろ、キリカ⋮⋮っ!﹂ 左腕の中に潜むモノを押さえ込み、押さえつけ、乗りこなす! ﹁お前が魔王の欠片だろうが知ったことか⋮⋮! 俺は、俺の生き たいように生きる、だから今もこうするッ! 俺を支配なぞさせる ものか、逆にお前を従わせてやるさッ⋮⋮さあ!! 魔隷術師たる 俺に従え、破天の骸ォォ!!﹂ そして、ついに。 爆発寸前の遺跡プラントのエネルギーは、ふたつの骸が放つ光と 混じり合って、オルトのコアが埋め込まれた円柱を包み̶̶̶! ︿⋮⋮!!!﹀ 1176 さっきのキリカの一撃で破壊された天井部分が、外側にはじける ように吹き飛んだ。 円柱を包む光が、花開くかのごとく天空にたちのぼる。 その先に見える光景は⋮⋮空。 白昼の月が浮かぶ、青い空。 ︿あれは⋮⋮あの空は⋮⋮! あの、月は⋮⋮っっ!!﹀ ※ ※ ※ 別の色の空 ⋮⋮異次元 破壊された遺跡巨人を外側から見守る者たちは、二度目となる光 を見た。 その胸に空いた大穴から、天に開いた の裂け目めがけたちのぼってゆく、光の柱を。 そして⋮⋮その光景を最後に。 頭部を失った遺跡巨人は今度こそ、すべての活動を停止し、残存 する晶片獣たちもことごとく同時に砕け散った。 遺跡都市パラヴァータを揺るがし、世界そのものを未曾有の危機 に陥れた戦いは̶̶̶ここに、終結したのである。 ※ ※ ※ ﹁ばいばい⋮⋮オルト﹂ 1177 ※ ※ ※ 姫騎士キリカ︵レベルUP!︶ ジョブ:姫騎士LV9↓10 スキル:︻聖騎剣技LV7↓8︼︻魔法抵抗LV2↓3︼??? 特殊装備:煌剣アルカンシェル︵覚醒段階0↓1︶ 特記事項:トオルの愛隷 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV19↓20 スキル:︻隷属魔法LV12↓13︼︻魔の契約LV2↓3︼︻魔 隷強化LV7↓8︼︻骸の侵蝕LV0↓1︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:1人分︶ ︻姫騎士キリカ︵愛隷︶︼︻メイド法術師ニーナ︼︻女戦士アメリ ア︼ ︻エルフの精霊弓士シエラ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ ︻狂公女フラミア︼︻異界機士セレスタ︼︻巫女姫ディアーネ︼ ︻勇者リルナ︼︻異界戦機ナナ︼︻破天の骸︼ 特殊装備:破天の左腕 1178 68話:変貌の魔腕と、ナナの悲願 ﹁⋮⋮⋮⋮ッッは!? はぁっ、は⋮⋮っ!!﹂ まどろみから飛び起きた俺は、そこが停泊した魔気船の一室であ ることに気付く。 そしてベッド脇では、少し学生服にも似た白ブラウスと紺のスカ ートを身につけたキリカが、俺を心配そうに覗き込んでいた。 ﹁よかった⋮⋮! 目が覚めたのね、トオルくん﹂ ﹁キリカ? 俺は確か、決着がついた後意識を失って⋮⋮﹂ ﹁ええ、ここに運び込まれたあと丸三日間も眠ってたのよ。ずいぶ んうなされてたわ﹂ 俺が目覚めたことで、ずいぶんホッとしているようだ。 目尻がうっすら赤いところを見るに、自分はあまり眠らずに俺を 看病してくれていたのかもしれない。 ﹁三日もか⋮⋮そうだ、左手はっ!? ⋮⋮うお、なんだこれ!?﹂ 慌てて顔の前に持って来た左腕は、俺の予想とは違う状態になっ ていた。 まず、生身の指がある。柔らかい手のひらがある。 もちろんすべて思い通りに動く。肌で空気を感じられる。 それだけなら、破天の骸と一体化したこと自体が夢だったと思え るくらいだが⋮⋮やはり、そういうわけにはいかなかった。 手の甲部分と、手首からヒジにかけての一面が、ギラリとにぶい 1179 輝きを放つ黒紫の水晶で覆われていた。 パッと見、魔法的金属で造られたガントレットでもはめているよ うだ。 そして手の甲の中心には、つるりとした半球状のレンズ型水晶が 埋め込まれ⋮⋮その中にパルミューラやフラミアとの契約のそれを 思わせる、しかもより禍々しいデザインの魔紋が浮かんでいる。 ﹁言うなれば魔王との契約の証⋮⋮ってとこか。にしても、なんで パーツリジェネレート 無くなったはずの生身の指とかが戻ってるんだ?﹂ ﹁遺跡都市の高位治癒術師が、念入りに組織再生魔法を施してくれ たのよ。今この街でトオルくんは、ちょっとした英雄扱いだし⋮⋮ でも﹂ そこで、キリカの表情が曇る。 根 み ﹁治療の時に、地球で言うところのCTスキャンにあたる魔法をか けてわかったんだけど⋮⋮その水晶部分から神経というか たいなものがトオルくんの体内に張り巡らされてて、たとえ片腕を 切断しても除去は不可能らしいわ﹂ ﹁⋮⋮なるほどね。この欠片、よっぽど俺を逃がしたくないみたい だな﹂ 左腕をゆっくり握ったり開いたりしつつ、ため息をつく俺。 おそらく今後また骸の力を使おうとすれば、侵蝕はそのぶん進ん でいくだろう。切り札であると同時に諸刃の剣、これからはこいつ と一蓮托生の運命。 まあ、半ば予想はしていたことだ。 ﹁こ、怖くないの? そんな、魔王の骸なんてものを体に宿して、 いくら隷属させてるとは言ってもいつ何が起こるか分からないのに 1180 ⋮⋮﹂ ﹁ん? ああ、まあ気分がいいとは思わないけど、もっとヤバい勢 いで侵蝕されることも覚悟してたからな。現状この程度で済んだな ら御の字さ。それに俺の隷属術式が効いてるうちは、触れても俺以 外を侵蝕する心配はどうやらないっぽいしな﹂ ﹁確かにそこは、眠ってた間に安全を確認してるけど⋮⋮﹂ 俺のあっけらかんとした答えにキリカは目をぱちくりさせ、 ﹁⋮⋮あなたってほんと、肝が座ってるというか何と言うか。時々 どう反応していいのかわからなくなるわよ⋮⋮これじゃ、心配した こっちがバカみたいじゃない﹂ 最後の部分は、ほとんど消え入りそうな小声。 呆れたような、あるいはある種尊敬の眼差しで見るような、複雑 な視線と共にため息をついた。 ﹁そうかな? それに、いつ従えてる魔隷⋮⋮たとえば以前俺に﹃ あなたを絶対許さない﹄とか凄んでた姫騎士さんとかに、逆襲され ないとも限らないのは今に始まったことでもないだろ? それと似 たようなもんさ﹂ ﹁え? ⋮⋮あ﹂ ﹁ん、ひょっとして忘れてた? 自分が言ったこと。じゃあもしか して、もう俺って許されちゃってる?﹂ にやにやしつつの俺の指摘に、キリカの顔がまるでメーターが上 昇していくかのごとく真っ赤に染まった。 ﹁そっ、そんなわけないでしょっ!? あ、あんなに色々っ⋮⋮す、 好き勝手やっておいて許されるとか思わないでよねっっ!?﹂ 1181 ﹁んぶふっ!? まっ待てキリカ、病み上がりの人間にクッション をぶつけるなっ⋮⋮うりゃっ!﹂ ﹁んあっっ!?﹂ 照れ隠しのクッション投げに対し、反撃として突き出された俺の 両手が、ブラウスの上からキリカの触りごこちのいい柔巨乳を掴ん だ。 そのまま、むにむにと両手のひらに伝わる感触を楽しむ。 ﹁ちょっ⋮⋮い、いきなり何やってるのよぉぉ⋮⋮んぅぅんっ!?﹂ ﹁いや、ちゃんと左手の触感が普段通りか確認しとこうと思って﹂ ﹁そ、そんなの別のものでいいじゃないっ、なんで私の胸なのよぉ !?﹂ ﹁いやほら、一番揉み慣れてるし?﹂ ﹁⋮⋮っ! そ、そんなこと言われても嬉しくないもん⋮⋮っ!﹂ 大きいくせに感度のいい美巨乳を襲う突然の愛撫に対し、恥ずか しげにビクッと反応しつつも、それ以上の大きな抵抗はしないキリ カ。 得体の知れないものを内包したこの左腕で揉まれることに対して も嫌悪感を見せたりしないのは、ある意味俺を信じてくれているの だろうか⋮⋮などと、都合のいい考えが頭をよぎる。 ﹁うむ、それに、柔らかな乳に触れてるとこの腕が人間らしさを取 り戻して、侵蝕がマシになる気がするんだ。だから頼む、な?﹂ ﹁そっそれ、ぜったいウソでしょっ⋮⋮んぁあっ! い、いつまで 揉んでるのよぉ⋮⋮!﹂ ﹁ちっ、橘さんならこれで騙されてくれるんだが﹂ 思わずぼやくと、キリカの表情がピクッとひきつった。 1182 まずい⋮⋮何か地雷を踏んだかもしれん。 ﹁な⋮⋮なによそれぇ!? というか、あの純粋な子にこれ以上ヘ ンなこと教え込まないでよっ!?﹂ ﹁あーそうだなあ、どっかの元クラス委員ときたらすっかり純粋じ ゃない方向に覚醒しちゃったもんなぁ﹂ 俺のしつこい乳揉みを受け、服の上からでも位置がわかるほど尖 りつつある姫騎士の乳首⋮⋮愛撫慣れしたカラダの反応を、にやに や眺めながら言うと。 ﹁∼∼∼∼っっっ!!?﹂ 耳まで赤く染まり、わなわなと体を震わせるキリカ。 あ、これはいつものように﹃トオルくんの馬鹿、変態!﹄と叫ば れる流れか⋮⋮と身構える。 ̶̶̶が。 予想した反応の代わりに、ややあってキリカは顔を伏せ、ぽつり とつぶやいた。 ﹁本当に⋮⋮ずっと起きなくて本当に心配、したんだからね⋮⋮ば か﹂ ﹁⋮⋮キリカ?﹂ 俺の異形の左腕に手を添えたまま、かすかにその肩が震えている。 もしかして泣いているのか、こいつ。 ﹁勝手に⋮⋮ぜんぶ勝手に、私を魔隷にして、いっぱいヘンなこと して⋮⋮私の色んなところ、いっぱい好き勝手に変えちゃって⋮⋮ 1183 それでまた勝手に無茶して、いまさら死んじゃっていなくなる、と か⋮⋮そんなの、許さないんだから⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮キリカ﹂ 思わず俺は、悪戯する手を止めて、彼女の細い肩を抱き寄せた。 キリカはかすかにビクっと震えたが、その行為に抵抗はしなかっ た。 俺の胸のあたりに、熱い涙が当たる感触がする。 ﹁私、わたしっ⋮⋮ずっとあなたを許さないんだからね⋮⋮トオル くん⋮⋮﹂ 俺たちは、そのまましばらく。 互いの体温を感じながら二人きり、寄り添っていた。 ※ ※ ※ 同じ部屋の外。 トオルを見舞いに来たギャル勇者リルナは、壁にもたれかかって 冷や汗をかきながら、足音を立てずにその場を離れるタイミングを さっきから見計らっていた。 なまじ耳とカンがいいおかげで、中の会話や状況はだいたい把握 できてしまっている。 ︵⋮⋮やっぱトオルっちと姫っちって。こっちで色々、あったっぽ いよね⋮⋮︶ 二人の間には、何かひと言では言い表せない深く特別な繋がりが 1184 あるように思えた。 愛隷だからそうなのか、そうなるだけのものを積み上げたから愛 隷なのか。 ︵どっちにしろアタシには、まだああいう役はムリだなぁ⋮⋮︶ 苦笑しつつ、頬をかく。 もしここにオルトがいたら、そんな自分に何と言うだろう? ︵﹃変に遠慮するなんてあなたらしくもない﹄とか﹃彼に好意を抱 いているならむしろ乱入して雰囲気をぶち壊すのが合理的です﹄と か、言われちゃうかもねぇ。あはは︶ そもそも自分が彼、小田森トオルに抱いている感情も何と呼べば いいのだろう。 恋愛的な側面を持つ憧れ? それとも他の何か? ここに至る状況が色々と特殊すぎて、体まで重ねたのにはっきり 言葉にできない。 ウブで恋愛経験もないリルナには、よくわからない。 自分の気持ちも、キリカの気持ちも。 それを恋愛感情と呼んでいいものなのかどうかも。 ︵でも⋮⋮このモヤモヤ抱えたまま、諦めるってのだけは⋮⋮アタ シ的に、ナシだよね。うん︶ サイドテールを揺らし、すっと上を向く。 あの相棒ならきっと̶̶̶﹃その意気ですよ、リルナ﹄と言って くれる。そんな気がした。 1185 ※ ※ ※ 目覚めた俺は、次々押し寄せてくる仲間たちのお見舞いラッシュ に遭いつつ、パラヴァータの現状を聞いた。 驚くべきことに、遺跡都市は副市長レイフェル主導の下、すでに 急ピッチで復興計画が進められているという。 頭部と胸を吹き飛ばされ、動かなくなった遺跡巨人。 として、観光収益大幅ア なんとあれをそのまま、新たなパラヴァータの都市中枢として改 巨人都市 装し運用するつもりだというのだ。 ﹃これからは遺跡都市ならぬ ップを目指しますです!﹄ ̶̶̶と、副市長︵今回の活躍で次期市長に推す声も多いらしい︶ は熱く語る。 しかも構造が組み替えられたことで、これまで発掘できる位置に なかったブロックへの道が次々巨人内部で見つかっているらしく、 冒険者たちはゴールドラッシュばりの稼ぎ時。 さすがにプラント中枢は完全に破壊されたものの︵危険性を考え るならそれで良かったのだろう︶ざくざく掘り出される新たなアー ティファクトや巨人そのものの研究に、学者や技術者たちも熱狂し ているという。 なんともまあ、たくましい連中だ。 もちろん、戦いを終結させたのが俺たちパーティである事実は知 れ渡っており、シェイヨル大森林に続いてここでも結果的に英雄扱 いとなった。 資金や物資面での援助はもちろん、隷属魔術を駆使するまでもな 1186 く、貴重な発掘アーティファクトをいくらでも譲ってもらえたほど だ。 なお一連の事件の原因は、対外的には遺跡の暴走という形で片付 けられた。 あのプラント中枢で何が起こったか、正確に知っている者は俺た ちしかいないことになる。 つまり⋮⋮オルトという、生真面目で不器用で人間臭い機械がこ の世界に存在したことを記憶しているのも、今や俺たちだけになっ たのだ̶̶̶。 ※ ※ ※ パラヴァータの外れ、破壊をまぬがれた区域に建つ商館か何かを 改装したという屋敷。 レイフェル副市長から、滞在用にと用意してもらった建物だ。魔 気船暮らしも悪くはないが、やはり広い方が色々と便利で助かる。 俺はその一室でナナと二人、キングサイズのベッドに腰掛けてい た。 あの戦いでかなりの損傷を受けたナナだったが、自己修復機能と 残った遺跡から発見された補修用機材のおかげで、俺が目覚めるよ り先にすっかり元通りに回復したようで何よりだ。 ﹁そうか⋮⋮オルトは最後に、お前と橘さんに別れを言ったんだな﹂ ﹁ああ、ナナには確かにそう聞こえた。それと、ご主人にもだ﹂ 1187 俺に、あいつが? 意外と殊勝なところがあるんだな。その辺り、やはりナナと似て いるのかもしれない。 ﹁ご主人⋮⋮オルトは、元の世界に無事戻れたのだろうか?﹂ ﹁さあな。あいつも大概ボロボロだったから、戻ったところで機能 停止したのかもしれないし、故郷の連中に回収されて分解されたな んてこともあるかもしれない⋮⋮ま、でもなんとなく、しぶとく生 きてるんじゃないかって俺は思うよ﹂ ﹁その考えには何か根拠があるのか、ご主人?﹂ 美少女アンドロイドボディがクールな表情をかしげると、翠緑の ロングヘアが灯りにきらめく。 ﹁だってあいつは、この俺をあれだけ苦しめた強敵だぜ。ある意味 似たもの同士だ、俺と同じでそう簡単にはくたばらないよ。根拠と しちゃ不足か?﹂ ﹁いや⋮⋮うん、ナナもそう思う。ありがとう、ご主人﹂ 窓の外の空を見上げ、ほんの少しだけ目を細めるナナ。 違う道を行った姉妹のことを、どこか誇らしく感じているように も見えた。 ﹁⋮⋮なあ、ナナ。お前はその、これでよかったのか? 故郷の世 界に戻る最初で最後のチャンスだったのかもしれないんだぜ﹂ 試しに聞いてみると、ナナは俺の瞳をまっすぐ覗き込んで首を振 った。 ﹁何を言う、ご主人。ナナの故郷はもう、この世界だ。ニーナやア 1188 メリア、シエラたちみんなのいる⋮⋮それにだ、約束を忘れたのか ?﹂ ずい、とベッドの上で距離を詰めてくる美少女アンドロイド。 俺は苦笑し、その細い肩をぐっと掴む。 ﹁心配するな、もちろん覚えてるよ。そのつもりでこうやって二人 きりになったんだしな﹂ そのままゆっくり、美術品のように完璧なラインを描くボディを 押し倒す。 ベッドの上にふわっと放射状に、うっすら内側から光るライトグ リーンの髪が広がった。 ﹁ん⋮⋮嬉しいぞ。いよいよご主人と、セックス⋮⋮できるんだな﹂ ﹁ああ、俺も嬉しいぜ。オルトに感謝だな、そのボディはある意味、 あいつの置き土産だ﹂ 頭の両サイドについた突起状の金属パーツ、その下からのぞく人 間と同じ形の耳を撫でながら、俺はナナと唇をそっと重ねた。 柔らかさや温かさといい、かすかに香る少女らしい匂いといい、 生身と区別がつかない。 舌を進入させ口内を愛撫すると、ナナのそれも俺の真似をして的 確に絡めてくる。超技術のアンドロイドボディだけあって学習能力 も抜群のようだ。 ﹁んっ⋮⋮これが、キスというやつだな。前の体ではこれもできな かったが、ようやくみんなみたいにご主人とキスできたぞ﹂ ﹁なんだ、そんなにしてほしかったのか? これからはいくらでも してやるぞ、ほら﹂ 1189 ﹁っちゅ⋮⋮ぅんっ、ぷは⋮⋮! うん、楽しいぞご主人、ナナは キスが好きみたいだ﹂ 声音も表情もクールなままだが、それが逆にまるで精巧な人形を 愛撫してるかのような倒錯的な興奮を覚える。 しかも人形とは違い、ナナは積極的に俺の行為に反応し、見よう 見まねで返してくるのだ。 そんなナナの唇をついばみながら、俺はレオタードや水着のよう にも見える白いボディスーツにぴっちり包まれた胸へと手を伸ばし、 なかなかのボリュームを誇る膨らみを揉みまさぐり始めた。 ﹁うん、やっぱいい揉み心地だ。ところでこのスーツ、脱がせられ るのか?﹂ ﹁戦闘中は吸着一体化してるが、別パーツ扱いだからやろうと思え ば脱げるぞ。ずらしてみてくれ、ご主人﹂ ﹁どれどれ⋮⋮おおっほんとだ、水着脱がすみたいにできるな﹂ 乳の谷間に向けてぴっちりした布地をずらすようにすると、ぶる んっと白くたわわな乳肉と、その頂点でツンと張った桜色の突起と が外気にさらされた。 誰の目にも触れたことのない生乳を拝む瞬間は、何度体感しても 格別だ。 ﹁ちゃんと乳首まであるとは⋮⋮これも人間に擬装するための機能 ってやつか?﹂ ﹁そんなとこだ。まあ、邪魔にはならないから普段からずっとこの モードでも支障はないぞ。ちなみに胸のサイズは自由自在だから、 ご主人が望むならどんな形状でもアリだぞ﹂ ﹁マジか﹂ ﹁マジだぞ﹂ 1190 なんという神仕様、あとパルミューラが聞いたら泣いて悔しがり そうな機能だな。 というかあいつ、俺の見舞いに来た時なぜか死にそうな顔でフラ フラしてたが、ナナの新ボディにそっち方面で負けたのがよっぽど ショックだったのかもしれん。 ﹁とはいえ今はこのサイズでいいぜ、ナナ。なかなか揉み心地が手 に馴染んでちょうどいい﹂ ﹁そうか、ご主人が気に入ってくれるならこれをデフォルトのまま にしよう﹂ 片側だけはだけさせた乳を両手で、生とボディスーツ越しで揉み 比べつつそう言うと、ナナはほんのりと嬉しそうな声音をにじませ て答えた。可愛いヤツだ。 それにしても、乳肉を揉みしだき乳首を指や舌で愛撫しても、ナ ナは目立った反応を見せない。もし快感を受け取る機能がなかった ら、ちょっと困るな。 ﹁ひょっとして気持ちよくないのか、ナナ?﹂ ﹁あ⋮⋮いや、それは違う。ちゃんとナナは快楽信号を受け取れる ぞ。さっきのキスの時から、それらしきものを感じて今もどんどん 強くなってる。安心してくれ﹂ ﹁そうか、それはなによりだ﹂ ﹁⋮⋮うむ﹂ ひと安心とばかりに愛撫を続ける俺に、ややあってナナは口を開 いた。 ﹁なあご主人⋮⋮もう少しナナは、声を出したり感じている態度を 1191 表に出した方がよいのだろうか?﹂ ﹁ん、なんでだ? 気持ちよくなってるんだろ?﹂ ﹁ああ⋮⋮だが、みんなはもっとはっきりした反応を返してるよう だし、普段無口なシエラもセックスの時は大きな声を出してたから ⋮⋮その方が、ご主人は喜ぶのかと、思って﹂ ツンと勃起した両乳首をくりくりとコネられつつ神妙な表情で言 うナナに、思わず俺はぷっと噴き出してしまう。 ﹁む。なんだご主人、ナナは真剣なんだぞ﹂ ﹁いやすまんすまん、バカにしたわけじゃないんだ。可愛い反応だ な、と思ってさ﹂ ﹁⋮⋮可愛い? ナナがか? 今のご主人の発言はちょっと理解不 能だ﹂ ﹁分からないならそれはそれでいいさ。ま、クールなままってのも ナナらしい反応だから、自然体のままでいいと思うぜ? それがナ ナの、セックスの個性ってことだよ﹂ これはこれで妙に興奮するしな。 それにそのうち快感を表に出す事を覚えるかもしれないんだし、 焦る必要はどこにもない。 ﹁そういうものか⋮⋮﹂ ﹁そういうもんだ。感じてくれてるなら、俺は何も文句はないよ﹂ ﹁うむ⋮⋮そうだ、快感を覚えている証拠としてちょうどいいもの がある。ナナの性器を、見てくれるかご主人?﹂ ぷりっと形のいいお尻を俺に向けて突き出し、大胆なポーズで持 ち上げるナナ。 俺はごくりと生唾を飲み込むと、ハイレグ状にその股間を覆うボ 1192 ディスーツに手をかけ、そっと横にずらした。 ﹁おおっ、これは⋮⋮! すごいな、ここも人間そのものだ﹂ 一本の毛も生えていないツルツルのパイパンの下、うっすらピン クに色づいた綺麗な細い割れ目。いかにも未使用らしくぴっちり閉 じつつも、そこは確かに愛液で濡れ光っていた。 人間同様の体液は体内で合成できると言ってたし、これなら挿入 も問題なく可能だろう。 ﹁実は、この内部に関してだが⋮⋮みんなに、協力してもらったん だ﹂ ﹁協力? どういうことだ?﹂ 参考資料 がないと正確に再現 うむ、とこっくりうなずいてナナは、割ととんでもない事実を説 明し始めた。 ﹁さすがに性器の内部構造までは できなかった。だからご主人が起きる前にみんなに事情を説明して、 許可を得た上でスキャンさせてもらった﹂ ﹁スキャン? てことはまさか、このナナのマンコの形って⋮⋮﹂ ﹁そう。キリカやシスティナ、ニーナたち三人、セレスタやディア ーネも⋮⋮みんなの形を組み合わせた上で、ちょっとランダムにア レンジを加えたハイブリッド形状だ﹂ さすがに驚いて、サーモンピンクの濡れ光るヒダを指で押し拡げ てみる。 言われてみれば、その形状にはあちこちどこかで見覚えがあった。 入り口付近のヒダはシスティナ姫に、穴のサイズはセレスタに⋮ ⋮クリトリスはアメリアか? 1193 ﹁ってちょっと待て、スキャンってどうやったんだ!?﹂ ﹁服の上からお腹に手をかざせば済むぞ。ご主人の許可なく脱がせ たり触ったりしてないから安心してくれ、形状に反映させるのもご 主人に見せる今が初めてだ﹂ なるほど、それなら独占欲的にもひと安心⋮⋮というか、すごい 機能だな! でも言われてみればオルトにもトラップスキャン機能とかあった わけで、その応用ってとこか。 ﹁しっかし、それでもよくみんな了承してくれたな? 特にキリカ とかセレスタ﹂ ﹁うむ、その二人は特に恥ずかしがってたが、頭を下げて頼み込む と最後にはいいと言ってくれたぞ﹂ ﹁あー⋮⋮まあ、ナナにそうされると断れんだろうなぁ⋮⋮﹂ 純粋に俺とのエッチを念願とする無垢な女性型アンドロイドに、 邪心なくそんなことを頼まれてしまっては無下にもできまい。 むしろいいことを聞いたぜ、あとでこれをネタにあいつらをから かってやろう。 しかし、てことはここに突っ込むとみんなのマンコの味を一度に 味わえるということだ。 妙に倒錯的かつある意味豪華な行為の予感に、ビクッとチンポが 反応してしまう。 ﹁よし⋮⋮じゃあ入れていいか、ナナ?﹂ ﹁いつでもいいぞ、ご主人。ナナの体は準備できてるし、ずっとこ の瞬間を待ち望んでいたのだから⋮⋮!﹂ 1194 壁に手を突き、はしたない立ちバックスタイルで挿入をねだる従 順素直クールな緑髪美少女アンドロイド。 俺はいてもたってもいられず、ギンギンに反り返るチンポ先をく ちゅりと未使用ヴァギナに押し当て̶̶̶そのまま一気に挿入した! ﹁くっ⋮⋮入るっ、さあ入ってくぞナナっ⋮⋮くうぅっ!?﹂ ﹁んっっ⋮⋮! ああ、わかるぞご主人っ、ご主人の熱いモノが、 ナナを貫いて進入してくる⋮⋮のが⋮⋮っ!﹂ ほんの少しだけ体温が低いほかは、人間と何ら変わらない⋮⋮い や、均一かつプリプリしたシリコンにも似た弾力と、きめ細かなヒ ダの密着感でいえば勝るかもしれない挿入快感。 だがそれ以上に驚くべきことに、ぷちぷちっと処女膜を引き裂く 感覚があった。 ﹁こ、これは⋮⋮あのメンバーは全員、貫通済みだったはずでは⋮ ⋮?﹂ というか全員、俺がブチ抜いたんだったな。今更ながら贅沢なセ ックスライフだ。 ﹁その部分は、リルナからスキャンさせてもらって参考にしたもの ⋮⋮だ﹂ ﹁⋮⋮あ! そういえば、本番セックスはまだ夢界仙境オンリーだ から膜が残ってたな! って、すまんナナっ、あるとは思わなくて 一気に奥まで貫いちゃったけど痛くなかったか?﹂ むっちりした尻肉のど真ん中を肉棒でずっぷり突き通す征服感あ ふれる光景を見下ろしつつ聞く俺を、ボディスーツのアンドロイド 1195 はかすかな笑みで肩越しに振り返った。 ﹁⋮⋮ふふ。ご主人は、優しいな。みんなが口々に言ったとおりだ﹂ ﹁え?﹂ ﹁スキャンを頼む時みんなに、聞いてみたんだ。ご主人とのセック スのことを。情報を収集しておかないと、ちゃんとご主人を満足さ せられないかもと思ったから⋮⋮な﹂ またそんな無自覚に可愛いことを言いつつ、ナナは話を続ける。 ﹁そうしたら、恥ずかしがりながら異口同音に﹃ご主人はなんだか んだで優しくリードしてくれるだろうから心配しなくても多分大丈 夫﹄的なことを言われた⋮⋮実際、その通りだったようだ﹂ ﹁う⋮⋮﹂ どこか安心したように、キュキュッと膣肉を心地良く震わせなが らのナナの言葉。 あいつら、そんなことをナナに⋮⋮この繋がった状況でいきなり 言われると、こっちが妙に恥ずかしくなってくる。 まさか、いつもよがらせられてる仕返しのつもりか、あいつら!? 照れくささのあまり、ムラムラと攻撃的な衝動が目の前の美尻め がけて湧き上がってくるぞ。 ﹁そうか、だがそれは買いかぶりかもしれないぞ。こうやってハメ た以上、この気持ちいい穴に男の欲望を乱暴に叩き付けさせてもら うが、それでもいいかナナ?﹂ ﹁⋮⋮それこそ望むところだ、ご主人。心配しなくてもナナは丈夫 で壊れない⋮⋮ナナの穴っぽこで、好きなだけ気持ち良くなってく れ。乱暴にしても構わない、ナナのカラダにご主人の欲望を思う存 分、刻んでくれ⋮⋮!﹂ 1196 クールな表情のままそんなことを言われては、ガマンなどできる はずもない。 俺は白いボディスーツの張り付く尻に乱暴に指を食い込ませると、 衝動の赴くままバックから叩き付けるようなピストンを開始した! ﹁っっ! ⋮⋮っ!? ∼∼∼∼∼っっ!! ッあ!!﹂ ﹁ふんっ!! うおぉっっ、ふんっっ! くっは!! どうだナナ っ、これがっ!! これがお待ちかねのセックス、だっっ!!﹂ にゅぱんっ、ずぱんっっ⋮⋮ずんっ、ずずんっっ!! と、腰ご と工事用ハンマーめいて叩き付けるような生ハメバック突き。 だがにゅるにゅるに濡れた超きめ細かなヒダヒダホールは、いく ら俺が好き勝手乱暴に腰を使おうとも初めてとは思えないほどの適 応力で馴染み、俺のチンポ突きに合わせて形を変える。 いや、本当に形状をリアルタイムで適応変化させていてもおかし くない。とんでもないセックス性能を備えたアンドロイドマンコの 味は、とてつもなく甘美だった。 ﹁これが、これがセックス⋮⋮っ! ナナは、やっと、ご主人とひ とつに、なれてるんだなっ⋮⋮気持ちいいかご主人? ちゃんとナ ナはご主人チンポを気持ちよく、できてるか?﹂ がくがくと体を容赦なく前後に振り回され欲望にさらされながら も、イヤな顔ひとつせずそんな嬉しいことを聞いてくる。 冷静な声が少し乱れているが、それは物理的に俺に揺さぶられて いるからか、それとも。 ﹁ああ、大丈夫だ安心しろっ⋮⋮くうぅっ! お前のロボマンコは めちゃくちゃ気持ちいいぞナナっ、油断するとすぐ搾り取られそう 1197 なくらい、だっ⋮⋮!﹂ 俺の言葉は、心の底から出た正直な感想だった。 多段階にキュキュっと締め付けてくる膣道の感触はキリカ、まっ 味 個 の片鱗がチンポで感じられ、背徳感 たり包み込んでくる肉感はニーナのそれが元だろうか? 今までハメたみんなの はまぎれもなくナナにしかないオリジナリティ。 混じりの本来ありえない快楽を生む上、全体としての複合的な 性 ﹁そう、か⋮⋮! とても嬉しいぞ、ご主人っ⋮⋮! ナナも、ち ゃんと気持ちよくなってるからおあいこだな、ご主人のチンポおい しいぞっ! もっと、もっと突いてくれっ!﹂ クールな鉄面皮の中に、快感の情熱と感動をうっすらにじませつ つ、自分からむっちり尻をグリグリ押しつけてくるようにして俺の 高速ピストンに応える健気なナナ。 俺はチンポの根元にこみ上げてくる射精欲を必死にこらえつつ、 いっそう打ち付けるスピードと勢いを増して共に駆け上ってゆく。 ﹁くぉぉぉっっ!! このまま一緒に感じて、最後には一緒にイク ぞ、ナナっ⋮⋮! 俺の精液を、腹の中で受け止める準備をしてろ っ!﹂ ﹁そうか、ナナの中で射精してくれるんだなご主人? あの時に飲 ませてくれた精液を注いでくれるんだな? ならこれを見てくれ、 ご主人っ⋮⋮!﹂ と、ナナの両耳の上から生えた金属パーツのクリア部分が発光し、 バックピストンで揺れるしなやかな背中の上に立体映像を投射した。 それはなんと、ピンク色の美味しそうな肉穴にゴツゴツした赤黒 いチンポ⋮⋮紛れもない俺のものが出入りしているところを映した、 1198 内部スキャン図だった。 まるでエロ漫画やエロゲーでよくある断面図演出だ。 ﹁うおっ、こんな機能までっ!? しかも、奥にあるアレはっ⋮⋮ !?﹂ ﹁そう、だ、子宮だ⋮⋮っ! さすがにナナに子供を作る機能はな いが、これも再現してみたっ⋮⋮さあご主人、この奥の奥めがけて、 ドロドロの白いのを解き放って気持ち良くなってくれ⋮⋮!﹂ 美少女アンドロイドの膣内に遺伝子をブチまけ、疑似子宮までも 汚し抜く光景をリアルタイムで見られるというあまりにも倒錯的で エロい体験。 それが直後に待っているという事実に、カッと俺の背筋にマグマ のような欲望が駆け上り、脳が射精命令を精巣めがけて放った。 ﹁いい心がけだぞっ、ナナぁ!! 望み通りカラダの芯までギトギ トのグチャドロに染め汚し抜いてやるからなぁっ!! うぉぉぉぉ おおおぉぉおっっ!!﹂ ﹁ああ、受け止める、全部受け止めるぞご主人っ! そしてナナも 達するっ、ご主人と一緒に﹃イク﹄を感じたい、だから来てくれ、 全部ぶち込んでくれご主人っ!!﹂ ナナの尻肉に十本の指を食い込ませ、歯を食いしばってラストス パートのピストンをがむしゃらに突いて突いて突きまくり、そして ついに̶̶̶! ぱぁんッッ!! とかつてない勢いで叩き込んだ最後のひと突き が、子宮口のコリコリ肉をグリリっ! と歪ませる光景が断面映像 に表示された、その直後。 どぷびゅるるるんっっっ⋮⋮どっぷどぶぷぅぅっっ!! 1199 どくんっ、びゅくんっっ、びゅるるぅぅぅ∼∼∼∼っっっ!! びゅばっっ⋮⋮ぶぱぱっ!! びゅくくぅっっ、どぼぽぉぉ⋮⋮ っっ!! ﹁おぉおっ、うおぉぉぉ⋮⋮ぉおぉ⋮⋮ッッ!! で、出るぅ⋮⋮ ッ、しっ搾り取られっっ⋮⋮くっはぁぁっっ!!?﹂ ﹁ああ、わかる、流れ込んでくるのが、わかるぞ⋮⋮っ!! ご主 人、すごいぞご主人っ、これが本当のセックス⋮⋮これが、ご主人 の射精、ご主人に中出しされるということなんだな⋮⋮!!﹂ みっちり奥の奥まで子宮口のど真ん中に突き立った俺のチンポ先 から、どばどばと鞭のようにのたうち回って飛び出る太い白濁液の 帯。 その白い奔流が、ナナの疑似子袋の中に折り重なるようにして次 々流し込まれて行くさまがはっきりと、立体映像に映し出される。 ﹁っくぅぅぅぅっっ⋮⋮!! これ、エロすぎだろっ⋮⋮ううっ、 まだ止まらん⋮⋮っ!?﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮っ!! っは⋮⋮ぁ⋮⋮⋮⋮っっ!!﹂ その非現実的なまでにエロい光景と、イッた証にびくびく収縮し てわななくナナの膣内運動によっていつも以上の精液を搾り取られ、 長く長く果てしなく続く気持ちよすぎる射精。 受け止める側のナナも、断続的に大きな吐息をつき、ぶるぶると 全身を震わせている。 ﹁くっ⋮⋮どうだ? イク感じはちゃんと体感できたか、ナナ?﹂ ﹁あ⋮⋮あ、たぶん、これがそうなんだろうなと⋮⋮わかったぞ、 ご主人⋮⋮! みんなに、いっぱい自慢できそう⋮⋮だ﹂ 1200 断面図の中で大きなハート型を思わせる形にきゅんっ、と収縮す るナナの疑似子宮。 俺は体を反らせてむっちり尻に腰を密着させつつ、シンクロした 絶頂の余韻に彼女と二人、酔いしれていた。 だ ※ ※ ※ だ ﹁ふぅ⋮⋮あ∼、射精した射精した。すごく良かったぞ、ナナ﹂ ﹁うむ、ナナもだ⋮⋮ご主人に喜んでもらえたし、念願叶ったぞ。 セックスとはいいものだな、みんなの気持ちが少しわかった﹂ 結局、あれから盛り上がったまま二回戦、三回戦とこなし、色ん な体位で何時間もねっちょりとセックスを堪能した俺たち。 ベッドにあおむけになったナナの綺麗なボディはあちこち白濁で 汚れ、ヴァギナから逆流した粘度の高い精液がぷるぷる震えてはみ 出しているが、これはこれでそそる光景だ。 今透視映像で見たら、さぞかしお腹の中は俺の遺伝子でたぷたぷ になっていることだろう。 ﹁そういえばナナ、パルミューラとフラミアの形状はスキャンの材 料には使ってないのか?﹂ ﹁ああ、ちょっと体格が合わないからな。それにフラミアはともか く、パル公に頼むのはナナとしてはシャクだぞ﹂ そういえば、初対面であいつに襲われてから犬猿の仲だったな。 とはいえ最近はもう険悪ってほどでもなくなってるから、ケンカ するほど仲がいいってやつかもしれないが。 1201 ﹁でも、ご主人が望むなら二人に頼むのもやぶさかではない。やろ うと思えば調整は可能だし、多少アンバランスになるがそのままの サイズで再現も可能だ﹂ ﹁おお、この体格で子供サイズのマンコか⋮⋮それはそれでそそら れるものがあるな!﹂ ﹁ご主人が望むなら、ナナはどんなセックスでもどんと来いだぞ。 ご主人に喜んでもらいたいし、まだ試してない機能もいっぱいある からな﹂ 今回見せた能力すら、ほんの一端に過ぎないというのか。 すごい、すごすぎるぜ、異世界技術! ﹁ちょ、たとえばどんなことができるんだ?﹂ ﹁そうだな⋮⋮唾液と同じで大抵どんな性質の液体でも体内プラン トで生成できるし、質量も光と相互変換できるから時間さえかけれ ばプラスマイナス25kgくらいなら体型変化も余裕だ。ああ、人 間に効果のある各種薬品とかも合成できるな﹂ ﹁マジか⋮⋮!﹂ ﹁マジだぞ﹂ 宝石のように綺麗な瞳で、じっと俺を見上げてくる美少女アンド ロイド。 そこにはほんのうっすら、芽生え始めたセックスへの好奇心がの ぞいていた。 ⋮⋮ひょっとして俺は、とてつもなく超高性能なオーバーテクノ ロジー・セックスパートナーを手に入れてしまったのではないだろ うか。しかも本人は超乗り気で超従順だ。 ごくり、と喉が鳴り、あれだけ出したというのにチンポに新たな 血が集まって来た。 1202 ﹁じゃあナナ、えーと、こういうことってできるか⋮⋮?﹂ ﹁ふむ、やってみるぞ。ご主人はそういうのが好きなのか?﹂ ﹁⋮⋮キリカには言うなよ﹂ ﹁もちろんだ。その代わり、これからもいっぱいセックスしてくれ よ、ご主人﹂ ナナを造った世界の技術者たちは泣くかもしれないが、まあ知っ たことかだ。 むしろ、祝福してやってほしい。 少なくともオルトと違ってこの世界で⋮⋮ひとりのアンドロイド が自分の望む形で幸せを手に入れたことに、間違いはないのだから。 1203 68話:変貌の魔腕と、ナナの悲願︵後書き︶ ナナの機能が思ったより色んな応用が利きそうなので、こういうプ レイできるんじゃね?的アイデアなどありましたら感想なりウェブ 拍手なりで書いてもらえると参考にします!︵今回書かれてない機 能でも可︶ 1204 69話:キリカとリルナの、おっぱい天国︵前書き︶ いつになく頭の悪いサブタイですが、いよいよお待ちかねのあのプ レイですよ 1205 69話:キリカとリルナの、おっぱい天国 さて、いつの間に仲良くなったのやら⋮⋮俺が昏睡から目覚めて みれば、リルナはすっかりパーティの皆と打ち解けていた。 朝早くからアメリアと一緒にトレーニングしているかと思えば、 あの意思疎通が難しいシエラとボードゲームで勝負していることも あった。案の定というか、フラミアにも懐かれている。 今日も俺が邸宅のサンルームを訪れてみれば、システィナ姫やセ シスてぃん って呼んでいい?﹂ レスタと一緒に仲良くお茶会をしている最中だ。 ﹁ねぇねぇお姫さま∼。これから ﹁シス⋮⋮てぃん? それはひょっとして、あだ名というものです の?﹂ ﹁そそ、あだ名あだ名。アタシ、気に入ったヒトのことは自分ネー ムで呼ぶんだ﹂ すると、姫はものすごく嬉しそうな顔でぱぁっと顔を輝かせた。 ﹁か⋮⋮感動ですわ! 実はわたくし、一度も呼ばれたことがない のであだ名というものに憧れてたんですの。ええ、それはもう是非 呼んでいただきたいですわっ!﹂ ﹁おおっ、めっちゃ乗り気っ!?﹂ ⋮⋮そりゃ、一国の王女サマを面と向かってあだ名で呼ぶやつは 普通いないだろうからなぁ。 1206 案の定セレスタが血相を変え、 ﹁ゆ、勇者殿っ! いくら国元を出奔した身とはいえ仮にも一国の 王女に、そのような軽々しい呼び方は⋮⋮!﹂ ねー﹂ ﹁まあまあ。姫自身なんかめちゃくちゃ嬉しそうだし、いいじゃな いか﹂ セレぴょん ﹁ぐ、ぐむむ⋮⋮しかしだな、トオル!﹂ ﹁あっ、んじゃセレスタさんは と今度は、不意打ちでセレスタめがけて矛先が向く。 ﹁ぴょ、ぴょんッッ!? ど⋮⋮どうしましょう姫さま、私のあだ 名がなんだか非常に可愛いくて困るのですがッ!?﹂ ﹁うふふ、別にいいんじゃないんですの?﹂ ﹁ぷぷっ⋮⋮よかったなあ、セレぴょん?﹂ ﹁き、貴様まで!? お、お前はその名で呼ぶの禁止だぁッ!?﹂ わたわた赤面しつつまんざらでもなさそうな、実はかわいいもの 好きのポニテ女騎士。 ﹁んじゃさんじゃさーシスてぃん、アタシのことも好きなあだ名つ けていーよー﹂ ﹁えっ!? で、でも突然そう仰られても⋮⋮トオルさま、どうす ればよろしいかしら?﹂ ﹁あー⋮⋮適当でいいんじゃないですかね?﹂ ﹁ちょっと∼、トオルっちってばマジ、ノリ悪いんですけどぉ∼! ぶーぶー!﹂ 口を尖らせるリルナのしぐさを、システィナ姫も真似して、 1207 ﹁そうですわよ、マジのりわるい∼ですわトオルさま。ぶーぶーで すわ﹂ ﹁ひ、姫さまッ!? そのような妙な言葉遣いを覚えてはなりませ ん∼∼∼ッッ!?﹂ 慌てるセレスタとノリノリの姫を見て、けらけら笑うリルナ。 ⋮⋮とまあこんな風に、やはり彼女はどんな相手ともすぐ仲良く 打ち解けてしまうのだ。 と、そんなギャル勇者が何かを思いついたように、俺を振り返っ た。 ﹁あ、そういやトオルっちさ。今日この後、時間のヨユーある?﹂ ﹁俺か? 別に構わないけど﹂ ﹁うん、じゃあちょっと、一緒に来てほしいトコがあるんだけどさ ̶̶̶﹂ ※ ※ ※ 破壊された銀色の外壁越しに、リルナが夕焼け空を見上げている。 すべての活動を停止し、今はすっかり新たなパラヴァータの中枢 部として改装計画中の遺跡巨人、ここはその元中枢部。 あの日、最終局面の舞台となった場所だ。 ﹁ここに来るとさ。やっぱオルトのこと思い出しちゃうね﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁大切な相棒、だったから。ずいぶんダメ出しされたり叱られもし たけどさ、今思えば、しっかり者のお姉ちゃんがいる気分だったか 1208 も。アタシひとりっ子だから、ちょっと嬉しかったんだ﹂ うつむいたサイドテールが、寂しそうに揺れる。さすがに喪失感 はそれなりに大きそうだ。 だが、声をかけあぐねている俺の様子に気付き、 ﹁ん、大丈夫だよ。今のアタシには、新しい仲間がいるもんね。姫 っちや、こっちの世界のみんな、それに⋮⋮トオルっちが﹂ にっと、あの太陽のような笑顔に戻る。 それでこそ勇者。この様子なら余計な心配は要らなそうだ。 破天の骸 を集めてるんだよね?﹂ ﹁ね、トオルっち。みんなに聞いたけど、イヴリースってヤバい魔 族があの ﹁ああ。俺たちは成り行きでヤツと争奪戦を繰り広げることになっ たが⋮⋮ま、今のこの腕じゃ、俺は当事者ってレベルじゃない存在 になっちゃったけどね﹂ 包帯で隠した左腕の変質部分を、夕陽にかざす。 俺と一体化したこの欠片も、おそらくヤツが狙ってくる対象とな るだろう。 自分の命と自由とを守り抜くためにも、いよいよイヴリースとの 全面対決は避けられない。 それにパルミューラとフラミアが会ったというヤツの腹心、剣魔 卿の残した言葉も気になる。 ﹃魔界そのものの在り方を変える﹄̶̶̶とは、どういうことだ? あれ以来、夢の中でミクラに会えてないのがもどかしいな。 ﹁いずれにせよ、だ。ヤツの陣営との骸を巡る戦いは今後、避けら 1209 れないだろうな﹂ ﹁世界に穴をあけちゃうくらいの力⋮⋮そんなの、絶対悪用させち ゃダメだよね。自分の妹まで、ためらいもせず見捨てるようなヤツ に⋮⋮!﹂ おそらく誰かからフラミアの一件を聞いたんだろう。 リルナの声は、義憤の怒りに震えていた。 ﹁ねえ、トオルっち。トオルっちは、手に入れた骸を最終的にどう するつもりなの?﹂ リルナの問いに、俺はほとんど即答した。 ﹁俺は̶̶̶ゆくゆくはこの骸をすべて、消滅させてやるつもりだ﹂ ﹁この世界からぜんぶ無くすってコト?﹂ ﹁ああ。俺まで侵蝕支配しようとする魔王の遺志とやらが気に食わ ない。俺はね、こっちの世界に来てから自分の好きなように、誰に も束縛されず自由に生きてやるって決めたのさ﹂ いつか、キリカに言ったのと同じ信念を語る。 俺に命令できるのは俺だけ⋮⋮その新たな生き方は、たとえ極悪 人と言われようが、そのせいで命を落とすことになろうが変えるつ もりはない。 それを貫くのが、俺が俺であるということだからだ。 ﹁だからコイツには、その報いを受けさせてやる。ま、今は物理的 に一蓮托生だけど、それまでの間せいぜい利用させてもらうとする さ﹂ ぎりり、と左手を宣戦布告めいて握りしめる。 1210 するとリルナは、どこかホッとしたような顔で俺に近付いてきて、 ﹁そっか⋮⋮やっぱトオルっちは、トオルっちだね﹂ ﹁そうか? 自分じゃ、こっちに来てから変わった部分だと思って るんだけど﹂ ホントの自分 に変わる、才能 ﹁かもしんない。けど、アタシは昔からトオルっちの中には、そー ゆー部分があったと思ってるよ。 変わる きっかけをくれた⋮⋮﹂ みたいなもんがさ。それがトオルっち自身より先に、アタシにも影 響して 俺の心臓のあたりに、とんっと人差し指を置いて懐かしむように 言う。 今の自由闊達なギャルとしての、そして勇者としての生き方。 彼女にとっては、過去の俺の何気ない言葉がそうなるきっかけだ ったというわけだ。 ﹁⋮⋮かなわないな、橘さんには。俺には昔からずっと、君は謎め いたまぶしい存在だよ﹂ ﹁そ、そっかな? アタシはただ、単純バカなだけだと思うけど⋮ ⋮﹂ 俺にまぶしいと言われたせいか、少し頬を赤らめて照れ笑いを浮 かべるリルナ。 ⋮⋮まあ、なんにせよ彼女の中で俺を信用する理由になってるな ら、面倒がなくて助かるが。 ﹁ねえ、トオルっち。⋮⋮あらためてお願いがあるんだ﹂ ﹁なんだい、あらたまって﹂ ﹁これからもアタシを一緒に戦わせて。二度と、破天の骸を巡って こんな事件が起きないようにさ。それが⋮⋮アタシがこの世界で勇 1211 者に選ばれた使命ってやつだと思うんだ﹂ ぐっと拳を握りしめたリルナの瞳は、決意に燃えていた。 シェイヨル大森林や遺跡都市に災厄を起こし、オルトの運命を言 わば弄ぶ原因にもなった破天の骸⋮⋮いや、死してなお世界に混乱 の種を遺した魔王という存在そのものへの、正義の怒り。 ﹁こちらこそ、言われるまでもないよ。というかまあ、君はもう俺 の魔隷だし?﹂ ﹁あ、あぅ⋮⋮そ、そうだったね、うん⋮⋮⋮⋮んあー⋮⋮⋮⋮﹂ それが何を意味するかを想像したのか、赤面して目をそらしなが ら頬をかく、まだ肉体的には処女の純情ギャル。 こんな可愛いしぐさを見せられては、ムラムラと熱い情熱が俺に も別の意味で湧いてくるじゃあないか。 ﹁よし、じゃあ次は俺からの提案だ。戻ったらキリカと一緒に部屋 に来てくれるかな、橘さん⋮⋮ぜひ見せたいものがあるんだ﹂ ※ ※ ※ ﹁おお∼っ、すごいじゃんこれ! ホントにあの制服、カンペキ再 現っ!﹂ 器用に片足立ちで、くるんっ、と一回転するリルナ。 黒に近い濃紺のブレザー、ネクタイに彩られた清楚な純白のブラ ウスシャツ。 折り目正しく膝の上までを覆う、暗色のプリーツスカート。足下 1212 にはブラウンのローファー。 俺たちが通っていた高校の、なにげに高人気デザインの女子用制 服一式を、胸元をゆるめて若干崩したギャルらしいラフなスタイル で着こなしている。 ﹁前も思ったけど、こっちの世界でこれ着るのって不思議な気分よ ね⋮⋮﹂ そしてもう一人、キリカも同じ制服に身を包み、複雑な表情をし ている。 こっちはマジメな元クラス委員の優等生らしく、きっちり隙なく 身につけていて好対照だ。 もちろんこれらは以前何度か使った、記憶にある服を出現させる アーティファクトの機能によるものだ。 ﹁まあ、せっかく三人クラスメートが揃ったんだしさ。懐かしいだ ろ?﹂ そして俺もまた、こっちは面白みのないデザインの男子用制服を 身につけていた。 三人この格好でいると、あてがわれた洋風邸宅の一室も地球のカ フェだか美術館だかのように錯覚してしまいそうな光景だ。 ﹁懐かしいも何も⋮⋮どうせまた、エッチなことさせるくせに﹂ ﹁ぅえっっ!? こっ、これってそーゆーのの準備的なヤツなの⋮ ⋮? ま、マジ?﹂ ジト目で俺を見るキリカ、ぴしっと硬直して今更そこに気付くウ ブなリルナ。 俺はそんな二人を頭からつま先までじっくり眺めつつ、大きくう 1213 なずいた。 ﹁もちろんだ! 俺はその格好の二人とエッチがしたい、セックス がしたいんだ!﹂ 姫野桐華と、橘莉琉奈。 タイプはまるで違えど表と裏、クラスの⋮⋮いや、学園の二大ア イドルと呼んでも差し支えなかった美少女ふたり。 そんなふたりと、夢の制服3P! まさにドリームマッチ、憧れないクラスの男はいなかったと断言 できる。当面の危機が片付いた今、俺がついにそれを現実にすべく 動くのは当然のことだろう。 ﹁ちょっ、開き直って大声で言わないでよっ!? わ、わかってた けどトオルくんの変態っ!﹂ ﹁あっはい、そ⋮⋮そなんだぁー⋮⋮うわーうわー⋮⋮せ、制服の カッコでそーゆうこと、しちゃうんだぁ⋮⋮ふ、ふぅ∼ん⋮⋮﹂ ﹁って、橘さんも勢いに流されちゃダメぇ!﹂ 根が素直で人を疑わないのに加え、エッチなこと自体にも次第に 興味が出てきてるようで、我らがギャル勇者は実に扱いやすくて助 かる。 彼女のペースに引っ張られ、キリカもいつの間にか状況にハマっ てしまうというわけだ。 ﹁というわけで、俺としてはぜひやりたいプレイがあるんだがいい かな、橘さん?﹂ ﹁え!? な⋮⋮なんでしょうかトオルっち﹂ がしっと手を掴み、まっすぐ瞳を見つめてささやくと、リルナが 1214 ドキッとした顔になる。 こうやって疑問や躊躇のスキを与えずに押して押して押しまくる と、元々人に頼られるのが好きで忠犬体質でもある彼女は弱い。 俺はキリカに口を挟む暇を与えず、力強く断言した。 ﹁それは̶̶̶パイズリ、だ!!﹂ ﹁⋮⋮へ?﹂ ﹁や、やっぱり⋮⋮っ!﹂ そう。 目の前で制服からはちきれんばかりの、優等生姫騎士おっぱいと、 ギャル勇者おっぱい。 クラスの男どもを魅了してやまなかった、生意気で罪作りな四つ の膨らみ。 今日はまず、いよいよその贅沢な柔肉果実たちを思う存分犯し抜 だ だ だ き、俺だけのダブル乳まんこに変えてやろうじゃないか。 魅惑のパイズリ競演で、射精して乳内射精して乳外射精しまくる のだッ!! ※ ※ ※ にゅっぷ、ずぬっぷ、にゅぱんッ⋮⋮と、柔らかい乳肉と硬いチ ンポ肉が奏でるイヤらしいパイズリ音が部屋に響く。 ベッドの縁に腰掛けて大股を開いた俺のチンポを包むのは、ひざ まずいて制服の前をはだけたリルナのノーブラ生乳。 たわわなギャルおっぱいに挟まれるという念願の快感をついに、 俺は全身で堪能していた。 1215 だが̶̶̶目の前にあるのはそれだけに終わらない、少々変則的 な光景だ。 ﹁うわ、わぁ⋮⋮っ! こ、これはちょっとヘンタイっぽいかもぉ ⋮⋮っ﹂ ﹁ううっ⋮⋮なんでわざわざ私に、橘さんのおっぱい動かさせてる のよぉ⋮⋮!?﹂ そう、制服ギャル勇者の乳を両手でホールドし、にゅりにゅりと はしたなくズリ動かしているのはリルナ自身ではなく、背中から彼 女に抱きつくような形で密着したキリカだ。 彼女本人の手は、お行儀よく座ったスカートの上で揃えられてい る。 いわば、勝手に乳をパイズリに使われていると言ってもいい状態 だ。 ﹁そりゃあ、こうすればパイズリ慣れてる優等生の実演テクを初心 者の橘さんも的確に学べるからに決まってるじゃないか﹂ ﹁ま、学ばせてどうするのよっ! どれだけみんなのおっぱいを弄 んだら気が済むのよぉ!?﹂ 決戦前のフェラの時と同様、まずは経験豊富なキリカが手本を∼ という流れの変則パターンだ。 この流れ、なかなか使えるな。キリカの恥ずかしがる様子も楽し めて一石二鳥だし。 ﹁いまさら愚問だなあ、さんざん身をもって知ってるくせに﹂ ﹁ふ∼ん、そ、そうなんだ⋮⋮やっぱフツーのヒトよりおっぱい好 きだったんだトオルっち⋮⋮ってうわ、めっちゃ熱くなってるよこ れ!? す、すご⋮⋮っ﹂ 1216 こんな状況でも好奇心が勝ってしまうようで、自分の胸の谷間を ヌプヌプと上下してたまに亀頭をのぞかせる俺のチンポを、まじま じと観察する赤面顔のリルナ。 そしてプイとむくれた顔をそむけつつ、俺の命令でギャル乳にス ケベな運動をさせることを止められないキリカ。 ﹁橘さん、こ、これくらいの強さで動かして大丈夫? 私も、こん なこと初めてで加減が⋮⋮﹂ ﹁う、うん。な⋮⋮なんかごめんね姫っち、アタシが経験足りてな いもんでこんなヘンなカンジになっちゃってさ﹂ ﹁そ⋮⋮そんな、橘さんが謝ることじゃないわ、そもそもトオルく んが変態なのが元凶なんだし﹂ 互いに気を遣う制服JKふたりの美しい友情、いいねえ。 だが、そんな彼女たちの顔の下では、俺の赤黒い肉棒が二人のコ ンビ乳プレイで挟みコネられズリあげられているという、エロすぎ る倒錯的光景が展開しているのだからたまらない。 しかも生意気な弾力とすべすべの肌質を持つリルナのおっぱいは 非常に具合が良く、まさにパイズリをするためにあるような極上乳 まんこだ。 そこにキリカの慣れたテクが加わるのだから俺の興奮もビンビン に加速して、とめどなく溢れたカウパーでリルナの乳はもうヌルヌ ルだった。 ﹁んうっ⋮⋮んぁんっ!?﹂ ﹁ど、どうしたの橘さん、もしかして痛かった!?﹂ ﹁う⋮⋮ううんだいじょぶ⋮⋮っ、そ、そうじゃなくて⋮⋮!﹂ 耳まで赤くなって、ふるふる首を振るリルナ。 1217 ﹁あっあのね、こうやってギュギュってされると、トオルっちのカ タいのが思いっきりおっぱいに食い込んでこすれて⋮⋮その⋮⋮っ、 な⋮⋮なんかヘンなカンジに⋮⋮っ!﹂ ﹁あ⋮⋮!﹂ 半ば強制的に送り込まれるパイズリ反動で、敏感な乳房が感じて しまっているんだろう。 キリカも察して恥ずかしげに視線をそらすが、だが俺の命令には 逆らえないのでリルナの乳をストロークさせる動作は続ける⋮⋮な んて興奮する光景だ。 ﹁ほらほら、単調な上下運動も悪くないが、いつも自分が俺にして る時みたいにもっと色んなテクを実演してみせてくれよ、キリカ﹂ ﹁うう、覚えてなさいよトオルくん⋮⋮っ! じゃ、じゃあちょっ と動かし方変えるわね、橘さん?﹂ ﹁お、おてやわらかに⋮⋮ふぁあ!? な、なにこれぇ⋮⋮!?﹂ キリカがリルナの乳を使って繰り出したのは、左右の柔肉球を互 い違いに大きく上下させる動きだった。 真ん中のチンポは右へ左へダイナミックに弄ばれ、側面に変則的 で強い乳圧がかかる寸法だ。 ﹁おお⋮⋮っ! やっぱりこのズリ方はたまらんなぁ、仕込んだか いがあった⋮⋮くぅぅ!﹂ ﹁うぁ、おっぱいが押し合いへし合いしてっ、トオルっちのが間で めっちゃ暴れてるぅ!? ひ、姫っちってばいつもこんなふうにシ ちゃってるんだ⋮⋮っ!?﹂ ﹁す、好きでこんな変態っぽいことやってるんじゃないからっ!? し、仕方なくだから!﹂ 1218 顔から火を出しそうなキリカだが、隷属術式の命じるままパイズ リアシストを続けるしかない。 今度は、両乳房をまとめて上にズヌヌヌゥっと持ち上げ、亀頭だ けかろうじて挟んだ状態にしてから⋮⋮一気に下へと、にゅぱんッ ! と勢い良く落としてはまた上げての繰り返し運動に移る。 ﹁ひゃうぅ!? こッこれってば、トオルっちのとおっぱいでエッ チ、ほんとにしちゃってるみたいっ⋮⋮ぅあんっっ!!? あっあ んんあっ!?﹂ キリカの震える指が食い込んだ真っ白なおっぱいが、先端でパフ ィーニップルを可愛らしく揺らしつつ、俺の恥骨にパンパン音を立 てて叩き付けられんばかりのパイズリピストン。 俺がみっちり教え込んでやった、精液を搾り取るためのおっぱい セックステクだ。 ﹁も、もう少しの辛抱だからガマンしてね、橘さんっ⋮⋮こうする とトオルくん、いつもみたいにイクと思うから⋮⋮っ!﹂ ﹁え? えっえっ?? い、イクって⋮⋮お、おっぱいで? ま、 マジっ!?﹂ キリカの言う通り、俺のガマンは限界を迎えつつあった。 初めてチンポで味わう待ちに待ったギャル谷間の美味はもちろん、 キリカに協力させてこんな行為を、しかも制服姿でさせてる状況の 何もかもがたまらない。 ﹁っくぅぅぅッッ!! よぉし、じゃあお望み通りブチまけてやる ぞっ!! リルナの乳マンコでたっぷり作ったグツグツの精液をな ぁっ!!﹂ 1219 射精衝動に身を任せ、今回一発目の濃ゆい精液を、むぎゅぅぅぅ っっと最大限に高まった乳圧に押し出されるがまま解き放つ! ﹁ちょ、出すなら出すって言っ⋮⋮きゃあぁっ!?﹂ んびゅるるるるっっ⋮⋮どびゅるるんっっ!! びゅくどぷぅっっ、どびゅぴゅぅぅぅぅっっっ!! どぷどぷぅ ぅっっ!! 勢いよく飛び出た太い白濁液のラインがリルナの頬をかすめ、背 後から覗き込む形になっているキリカの顔面へと一直線に襲い掛か る。 ﹁わ、ウソっ、ほっホントに出てる、飛び出てるっ! こっこんな にビュ∼ッて勢い良く飛ぶんだぁ⋮⋮って姫っち、めっちゃかかっ てない!?﹂ 処女ギャルの乳でシゴき出したザーメンを、マジメな元クラス委 員めがけて着弾させる行為は思った以上に背徳的で、俺のチンポは ビュクンビュクンと嬉しそうに濃い粘塊を放ちまくる。 ﹁ううっ、く⋮⋮ッ!! おら、逃げずにみっちりネットリ浴びろ だ よキリカぁっ、これも愛隷への魔力補給の一環だしなっ⋮⋮くっは !!﹂ ﹁そ、そんなの関係なくいつも射精すくせにっ、んっぷぁあ!?﹂ ﹁わわ、うわわぁ⋮⋮っ! ひ、姫っちのカオなんかスゴイことに なってるんですけどぉっ﹂ 至近距離でクラスメート女子が盛大に顔射される光景は、そりゃ 1220 衝撃的だろうな。 そういえばこれまでリルナが体感したり見たりしたのは膣内や口 内への射精だったから、彼女にとって目の前で精液が飛ぶところを 見るのも初の体験というわけだ。俺も脈打たせるチンポに気合が入 るぜ。 ﹁やぁっ、髪にまで飛んでるじゃないトオルくんのバカぁ⋮⋮! このベタベタ、後でとるの大変なのにぃ⋮⋮けほっ﹂ ﹁だ、だいじょぶ姫っち? ハンカチあるよ、これで顔拭く?﹂ 顔にこってり乗ったザーメンが、喋った拍子に口の中にまで侵入 したらしい。まぶたも片方精液の重みで閉じられた状態で、恨めし げに下から睨んでくるキリカ。 こんな余計興奮を煽ってくる反応するもんだからしょっちゅう俺 にブッかけられてるんだが、本人は自覚がないんだよなあ。 ﹁ふぅ⋮⋮でも綺麗にするのはまだ早いぞ、二人とも? 今のは言 わば準備運動、これからが本番なんだからな﹂ ﹁え!? ま、まだおっぱいでするって言うの、しかもそんなすぐ っ⋮⋮!?﹂ ﹁それなら心配無用だよ、ほら﹂ ﹁ほ、ほんとだ⋮⋮トオルっちの、ぜんぜんちっちゃくなってない !?﹂ 精液にまみれてなおリルナの谷間で天を突くチンポを、二人に見 せつけてやる。 破天の骸と一体化してからというもの、俺の精力は強化魔法のエ ンチャント抜きでも有り余るくらいになっていた。 としての効果も持ち、それが俺の体内に充填され渦巻いて ニーナの推測では、骸は周囲の大気などから常に魔力を集積する 触媒 1221 いる結果だそうだ。 今朝も夜這いならぬ朝這いにきたフラミアとパルミューラを、ち っちゃいロリマンコと尻から精液が逆流するくらい注いで返り討ち にしてやったがもうこのとおりである。 ﹁というわけで、二人とも向かい合わせになって乳を合わせて⋮⋮ そうそう、いい感じ﹂ ﹁こ、これでいいのトオルっち?﹂ ﹁んぁ⋮⋮っ、た、橘さんと胸同士がこんなに⋮⋮っ!﹂ 膝立ちになって正面から抱き合うように、四つの膨らみをむんに ゅり合わせる二人。 正反対のタイプの美少女JKが制服生おっぱいを絡み合わせる、 乳 してゆく。 美しくも妖しい絵面めがけ、俺は真横からその合わせ目へとヌメつ くチンポを挿 はい ﹁お、おおぉ⋮⋮! 入るっ⋮⋮挿乳ってくぞ、ついにこの空間に ⋮⋮ッ!﹂ ﹁よ⋮⋮横からぁ!? やだ、あ、熱ぅぅ!?﹂ ﹁は、入ってきたぁぁ⋮⋮! カタいのが、アタシと姫っちのおっ ぱいの間にぃぃ⋮⋮!﹂ 犯している。俺のチンポが、制服からたっぷりはみ出してみゅっ ちり寄せられた姫野桐華と橘莉琉奈、あのダブルアイドルの巨乳を ! 四つ!! いっぺんに!!! こんな事実が知られたら、クラスの、いや教師まで含めた学園の 男ども全員が俺を総出でブチ殺しにかかってきてもおかしくない極 上の贅沢、まさに一人勝ちの瞬間だ。 ﹁くうぅぅっっ! だ、抱き合って乳圧を高めてくれ二人ともっ⋮ 1222 ⋮おおっ、いいぞいいぞっ! くはぁぁ⋮⋮い、生きててよかった この極楽⋮⋮真の異世界はここにあったっっ!!﹂ ﹁ね、ねえ姫っち、トオルっちってば泣きそうなくらい喜んでるよ ? こ、これってそんなに楽しいのかなぁ?﹂ ﹁し⋮⋮知らないわよぉそんなことっ!? ほ、ほんと変態のおっ ぱいマニアなんだからっ⋮⋮!﹂ ネトネトの精液があちこち乗った顔のまま睨んでくるキリカと、 ぬっぷりチンポを食い込ませて変形した乳の合わせ目を興味津々と 見つめるリルナ。 視覚的にも愉悦感あふれる状況を楽しみながら、俺はゆっくりと 味わうように腰を前後させる。 左右でわずかに違う体温や肌の感触を食べ比べられるのが、同時 乳ファックの醍醐味だ。 ﹁おおお、こっこの浮遊感⋮⋮っ! 柔らかいマシュマロの海にチ ンポが浮かんでるみたいだ、ああ∼トロける、他じゃ味わえない感 触だぞ、おぉおぉ⋮⋮っっ!﹂ ﹁んぅうっ! こ、こっちはヘンなところにトオルくんのがこすれ てそれどころじゃないわよぉ﹂ ﹁ごりゅごりゅしたのが、ふぁぁんっっ!? い⋮⋮行ったり来た りするたび先っぽに引っかかってっ⋮⋮ひゃうぅっっ!?﹂ 気持ち良さのあまり、おっぱいたちに叩き付けられる腰の動きも 次第にヒートアップ。 真横からの挿入で巻き込まれ圧し潰される形になる二人の敏感乳 首も、すべてが柔らかな中でコリッとしたアクセントになってチン ポを愉しませてくれる。 ﹁すごいな二人ともっ、がっちり乳肉と乳肉が嚙み合ってベストフ 1223 ィット、俺のチンポと合わせてこうなるために作られた生き別れの 半身のようなおっぱいだっ! 会えてよかった、一緒になれてよか ったぜっ!﹂ ﹁よ、よくわかんないこと言いながら腰振らないでよぉぉ!? と、 トオルくんのばかぁぁ!!﹂ ﹁で⋮⋮でも、こんなに喜んでくれるとか、なんかちょっと嬉しい かも⋮⋮っ、えへ、えへへっ﹂ ぽぉっとした表情で、必死に腰を動かす俺を見上げるリルナ。 その顔はギャルらしからぬ母性に満ちているようにも、俺の欲望 にあてられて共に酔いかけているようにも見えた。 ﹁ね、姫っちは嬉しくないの⋮⋮? トオルっちってば、こんなに 一生懸命になってアタシたちのおっぱい、味わおうとしてるよ⋮⋮ っ?﹂ ﹁えっっ!? そ、そんなこと言われても⋮⋮って橘さんっ、むっ 胸、ぎゅってしすぎ⋮⋮ぃ!?﹂ リルナはいつしかキリカの背にぎゅっと腕を回し、自分から熱烈 に抱擁して密着度を高めようとしている。あたふたして真っ赤にな るキリカ。 いよいよ乳圧が高まり、押し合いへし合いする柔らかな肉凶器に プレスされた俺のチンポは、ある意味マンコ以上の密着感と圧迫感 に包まれてかつてない天国へと昇ってゆく。 なかだし ﹁いいぞぉっ、このままJKダブルおっぱいマンコに乳内射精キメ てやるからなぁっ!! 一滴残らずその乳オナホで受け止めきれよ っ、二人ともぉ!!﹂ ﹁ん⋮⋮っ、いいよぉ、きてトオルっちぃ⋮⋮! アタシのおっぱ いで、さっきみたいにびゅ∼ってしちゃってイイからねっ? ね?﹂ 1224 ﹁うう、す⋮⋮好きなだけ射精すればいいじゃないっ、いつもみた いに⋮⋮っ! も、もう慣れっこになっちゃったわよぉ⋮⋮ばかぁ ⋮⋮っ!﹂ にゅぱんっ、ずにゅっぱんっっ、ぬぷぬぷぬっぷんっっ、にゅぽ たぷんっっ!! と、二人の制服の肩を抱えていよいよ全力で打ち 付けるラストスパート。 キリカとリルナ、この異世界で再会した二人を共に魔隷とした俺 だけが完成させられる極上の合体巨乳名器⋮⋮そのトロける柔らか さの密着空間内めがけ、俺は腰からせり上がってくる熱い奔流を爆 発させた! で ﹁おおおぉぉっっ⋮⋮うぉぉおおぉぉぉおッッ!! で、射精るぅ ぅぅッッ!! キリカ、リルナっ、生意気な乳で仲良く俺の子種孕 めぇぇぇっっ!!﹂ ぶぷっっ⋮⋮どぷどぷぅぅぅんんんっっっ!! どぶびゅるるっ っ!! ごびゅるるっるるるっっ⋮⋮どっぷ、どぷん、どぶぶんっっ⋮⋮ どくどぷぅぅっっ!! ﹁んぁぁぁあっっ!!? き、来たぁぁ⋮⋮!! いっぱいいっぱ いっ、トオルっちのが白いの吐き出しながら暴れてるぅぅ⋮⋮! あ、アタシたちのおっぱいの中でぇぇ⋮⋮ひゃうぅぅっ!!?﹂ ﹁うそ、何この量っ⋮⋮さ、さっきより全然多っ⋮⋮んあぅぅっっ !? え、なっなんで、私たちまで急にっ⋮⋮んぅぅぅ∼∼∼∼∼ ∼っっっ!!?﹂ 嬉しそうに後から後から大量ザーメンを噴出しまくる暴れチンポ を間に抱擁しあいつつ、制服に包まれた二人の肢体がビクビクとわ 1225 なないた。 せっかくなので魔隷のリンクを通して俺の快感を送り込み、瞬時 に絶頂へと追い込んでやったというわけだ。 そのおかげでブルブルけいれんする乳肉の刺激が、俺の乳内噴射 を最後の一滴まで気持ちよく搾り取ってくれる。 ﹁ううっ、くっふぅぅ⋮⋮! ほんとに胸でセックスしたみたいな 絶頂感だっただろ? こういうのを繰り返すと、パイズリでイキぐ せがついちゃうかもなあ?﹂ ﹁そ、そんなの困るわよぉぉ⋮⋮っ!? あぅぅ、お⋮⋮おっぱい の間がぐちょぐちょすぎて、もうどこまでが誰の体だかわかんない じゃない⋮⋮っ!﹂ ﹁はぁーっ、はぁぁ⋮⋮っ! と、トオルっちこれ、今おっぱい離 すと全部垂れてスゴいことになっちゃいそうなんですケド⋮⋮?﹂ リルナの言葉に対し、俺は当然にこやかに返答した。 ﹁もちろん、乳を開いて見せてくれ二人とも。俺は精液まみれにな った二人のおっぱいと、俺のにおいで汚れた制服が見たいんだ﹂ ﹁うう⋮⋮へ、変態、変態、変態へんたいぃぃっ⋮⋮!﹂ ﹁あはは、トオルっちって、ほんとよくぼーにちゅーじつだよねぇ ⋮⋮ま、まあいいケド⋮⋮っ﹂ にゅぱぁぁっ⋮⋮にゅちゃぁぁ⋮⋮! と、おずおず体を離した 二人の揺れるおっぱいの間で、俺の濃いゲル状精液がアーチ状の橋 を形作った。 むわわっとエロいにおいのする湯気がたちのぼり、半勃ちのチン ポがそこからヌルンっと抜けたかとおもうと、それらから垂れた精 液が制服のスカートやブラウスに染みをつくる。 1226 ﹁こ、これでいいのかなぁ⋮⋮?﹂ ﹁うう、ぐちょぐちょになっちゃったじゃない、どうするのよこれ ぇ⋮⋮!﹂ おっぱいをまとめて犯され、制服をあちこち汚され、俺の遺伝子 のにおいでたっぷりコーティングされた元クラスのアイドル二人が、 ぺたんと床に座って荒い息をつく。 姫野桐華と、橘莉琉奈を、この俺が征服してやったひとつの証と いえる光景がそこにあった。 ﹁よし、そのまま仲良く手つないで最後にピースだ﹂ ﹁は、はあぁ!?﹂ ﹁そ⋮⋮そゆことさせるのなんでか好きだよね、トオルっち⋮⋮﹂ その後キリカも結局、最後にはピースをキメてくれた̶̶̶照れ 笑顔のリルナと違って、めっちゃこっちを睨みながらだが。 まあ、これはこれで記念にふさわしい、大変そそるツーショット といえるだろう。 1227 70話:二度目の初めてと、管理者三たび ﹁んはぁぁっっ、ふぁぁあぁぁあっっ!!? だ、だめだめダメぇ ぇぇっっ!? やだぁぁっっ、トオルくんそれダメだって言ってる のにぃぃぃいっっっ!!?﹂ ﹁やだ、何これ何コレっ!? と、トオルっちの指で⋮⋮来ちゃう っ、何か来ちゃうよぉぉ⋮⋮んんんっっくぅぅぅんっっっ!!?﹂ 制服姿で仲良くベッドの上に四つん這い、お尻を突き出させたポ ーズで俺から指マン刺激を受けていたキリカとリルナが、甲高いあ えぎ声をハモらせて同時に絶頂に達した。 特にキリカは、うつ伏せになってがっくり突っ伏したまま息も絶 え絶えだ。乱れて汗に濡れた黒髪がなんとも色っぽい。 さんざん豪華パイズリ競演を堪能した後、お返しとばかりに二人 の敏感マンコをじっくりと両手でホジくってやった結果である。 なお、もちろんプリーツスカートは脱がさず、ショーツも履かせ たままの着衣プレイだ。 ﹁ふぁ、はぁぁぁあ⋮⋮っ! え、エッチってこんなのもあるんだ、 すごっ、かったぁぁ⋮⋮! って、姫っち意識トんじゃってるじゃ ん、だいじょぶなのっ!?﹂ リルナの方はといえば、軽イキしただけでまだ隣を気遣う余裕が あるが、これはもちろんあえて俺がそっち側だけ手加減したからだ。 これからすることを、スムーズに運ぶために。 ﹁キリカなら心配ないさ、ちょっと天国に行ってるだけでそのうち 1228 目が覚めるから。ところで橘さん⋮⋮説明した勇者の特性のことは、 覚えてるよね?﹂ 繋がり が細いって話、だよね﹂ ﹁あ⋮⋮う、うん。アタシの対魔法能力が強すぎて、今はまだトオ ルっちの魔隷としての パス 夢界仙境という裏技で術式の経路を繋げたはいいが、現状では俺 から送れる魔力供給も魔隷強化も必要最低限︵それでもあれだけの ポテンシャルなのが勇者の恐ろしい所だが︶。 もらうよ﹂ 太く する 第一、せっかくの超レアジョブから得られる隷属ボーナス経験値 も少ないままじゃもったいないしな。 繋がらせて ﹁というわけで、わかってると思うけど⋮⋮繋がりを ためにあらためて、君と肉体的に ﹁は、はい⋮⋮って、ま、まさか今ここでっ!? ま⋮⋮マジ、で ?﹂ 眠っているとはいえ、隣にキリカが⋮⋮元クラスメートの同性が いるという状況でセックスをすると告げられ、さすがのリルナも色 めき立つ。 だがもちろん、俺は大マジだ。 橘リルナという女の子は、押しに弱い従順犬属性ギャル。 多少アブノーマルな体験と快感を叩き込んでやった方が、俺への 依存度も高まるとみた。 それに、ここがさらに重要なとこだが⋮⋮キリカが横にいるこの 状況でヤッてしまうというシチュエーションに、俺がとても興奮す るからでもある! ﹁ダメかな? ほら見てくれ橘さん、俺のここ⋮⋮こんなにはち切 れそうになってるだろ? 男はこうなると、とてもつらいんだ⋮⋮ 1229 もう、ガマンできそうにない﹂ ﹁う、うわ⋮⋮ぁ、ホントだ、さっきあんなにおっぱいでビュービ ューってしたのに、トオルっちのスゴいことになっちゃってるじゃ ん⋮⋮そ、そんなにつらいんだ?﹂ ギャル勇者の母性本能をくすぐるべく、懇願するような声音を作 ってみせる。 案の定、ギチギチに反り返って震えるチンポを前に、汗まみれ半 裸制服姿のリルナは赤面しつつも、俺を気遣うような優しい視線に なった。 ﹁じゃ、じゃあっ⋮⋮い、いいよ? マジメッチャ恥ずかしいけど、 トオルっちがガマンできないならっ⋮⋮お、男のヒトだもんね、し ょうがないんだよ⋮⋮ね?﹂ 恥ずかしげに目を伏せつつ、サイドテールを揺らしてコクン、と うなずいてくれた。 ちょろい、ちょろすぎるぜ、ギャル勇者⋮⋮ッ! 悪い男にたぶらかされてダブルピースエンドを迎える前に、保護 初めて ⋮⋮優し しておいて本当によかった⋮⋮と、自分の所行がまさにそれである ことは棚に上げて感動に打ち震える俺。 ﹁ありがとう、橘さん。じゃあ、二度目の君の くするからね﹂ だがそんな内心はおくびにも出さず、爽やかな笑顔で健康的な太 ももを掴み、ぐいっと左右に割り開いてプリーツスカートをたくし あげる。 再びショーツを指でずらすと、さっきの浅い指愛撫ですでに敏感 ギャルまんこはトロトロにほぐれ、俺の手でメスになりかけている 1230 女の子のにおいをイヤらしく発散させていた。 ﹁やぁっ!? ってそうだっ、アレ夢ん中だったからコレ、初めて ってことは⋮⋮っ!?﹂ ﹁そうだよ。君は俺に、二度処女を奪われるってことになるな﹂ ﹁処⋮⋮っっっ!!?﹂ 通常ならありえないエロすぎる経験をしようとしていることに気 付き、今さらながらショックを受けるリルナ。 だがその羞恥と困惑の表情の中に、彼女らしからぬしっとりした 妖艶さの欠片が混じっているのを俺は見逃さなかった。 ﹁や、やぁぁ⋮⋮! そ、そんなことされちゃうとかヤバいって、 これ絶対ぃぃ⋮⋮!?﹂ それは言うなれば﹃そんなことをされては、もうこの人のものに なるしかない﹄という、ゾクゾクするような女の喜びを内包した倒 錯的満足感だ。 ほんのちょっと前までエッチなことと無縁だったはずの優しく天 真爛漫な元気印ギャルの中に、そんなメスとしての側面が潜んでい ることを、俺だけが知っている。 いや、俺がそれをこの無自覚エロいカラダから引き出してやった のだ⋮⋮と思うと、男としての達成感がふつふつと湧いてくる。 ﹁よし、じゃあ入れるよ橘さんっ﹂ ﹁や、待っっ⋮⋮!? こっ心の準備がぁっ⋮⋮ッッふぁぁぁああ ぁぁぁっっうぁぁあああ!!?﹂ ずぬぷぷぷぷっ̶̶̶と。 まだプリプリした固さを残す処女肉を割り裂き、俺の生チンポが 1231 正常位で制服着衣ギャル処女の中へと沈み込んで行く。もちろんシ ョーツは残したまま隙間から。 あの時と違い、まぎれもない本来の肉体を伴った世界で、コンド ームという障壁もなくだ。 やはり精神的に、気持ち良さも征服感も一段階違う気がする。 ﹁んぃっ、あっ⋮⋮んあぁっっ、はぅぅうっっ⋮⋮ッ!? あは、 はっ入っちゃっ⋮⋮たぁ⋮⋮!﹂ ﹁大丈夫? 痛くは?﹂ ﹁う、ううんっこれくらいなら平気っ⋮⋮い、一回経験したから、 かも?﹂ はだけた制服の隙間からのぞく、キュートなおヘソが彩る白いお 経験 があるぶん受け入れやすい なかをのけぞらせ、シーツにぎゅっとカラーネイルを食い込ませつ つふるふる首を振るリルナ。 なるほど確かに、処女なのに か。 ﹁って、そっそういえばトオルっちこれぇ、な⋮⋮ナマで入っちゃ ってるんですケドぉぉ!?﹂ 一転、うっすら破瓜の血に濡れつつ自分を貫いているモノの状態 に気付き、慌てるリルナ。 ﹁そりゃまあ、何もつけなかったからね。でも大丈夫、この避妊魔 法エンチャントの指輪があるから間違いが起こる心配はないよ﹂ ﹁え、マジ!? そ、そうなんだ⋮⋮! でっでもキモチ的にっ、 前とはなんかゼンゼン違うよぉ!? んうぅあぁぁっ、ふぁぁんっ !!?﹂ 1232 二回目 とはいえ強すぎる刺激を与えないよう、俺はずっぷり 挿入したまま動かさずに止めているが、それでも彼女の膣内はビク ビクと盛大な反応を見せた。 キュッ、キュンッ⋮⋮と断続的に締め付けてくるスポーティな敏 感エロ肉の手応えが、その感じっぷりを物語っていた。 もちろん俺の側としても、ナマで感じるヌメったギャル柔肉のぷ りぷりねっちょり感たるや、思わず声が漏れるほどだ。 ﹁そりゃ生挿入だから違うんだよ。ほらほら、コンドーム越しとナ マと、どっちがいい?﹂ ﹁えっ、えっええっっ!!?﹂ オスの武器の熱さを染み込ませるように、子宮口にこつんと到達 した亀頭にググッと熱を込めつつ意地悪く聞いてやる。 真っ赤になって焦るリルナに、前回よりもじっくりと挿入の快楽 を自覚させてやるために。 リルナ ﹂ ﹁い、イイとかそんなのワカんなっ⋮⋮いぃぃ⋮⋮は、はふぅぅぅ ⋮⋮っ!﹂ ﹁ちゃんと正直に答えてくれよ、 ﹁んぁっっ!? なっ名前ぇ⋮⋮っ!?﹂ 呼び捨てにした途端、狭い膣道の奥がビクン、とわかりやすく脈 動した。 俺の生チンポの熱が移ったかのように、その場所はドクドクと内 側から熱くなりつつある。 ﹁だって、前の時言ったろ? こうする時は名前で呼んで欲しいっ てさ﹂ ﹁な、なんでそんなこと覚えてんのトオルっちぃ!? あ、アタシ 1233 あの時のこととか頭めちゃくちゃで何言ったか覚えてないもんっっ !! ふぇぇ⋮⋮!﹂ 恥ずかしさのあまり下唇を噛んでいやいやをする、凶悪な可愛さ のギャル勇者。 無自覚なくせに男心をそそる反応を前に、俺はたまらず腰をゆっ くり動かし始める。 ﹁リルナ、可愛いぞリルナっ⋮⋮! 俺はリルナとエッチできて嬉 しいよ、現実の肉体で⋮⋮だからほら、一緒に気持ち良くなろうぜ ? こうやって、さ⋮⋮ッ!﹂ ﹁んぁんっっ!? や、トオルっち、なっ名前呼びながらそんな優 しく動くのダメぇぇ⋮⋮っ!? あ、アタシのカラダどんどんヘン にっ、なっちゃうよぉぉっっ!?﹂ ぬとっ、ぬとんっっ、ぬぷんっ、ずぬんっっ⋮⋮! と、少しず つ力を込めてゆく腰のストロークで、物理的には処女だった狭い穴 を優しくエグるたび、リルナの嬌声が跳ね上がる。 夢界で一度味わっているせいで、どこをどう攻めれば効果的かは よく理解している。 結果、ただでさえ感度のいいリルナのカラダは、破瓜したばっか りなのに普通ならありえないほどトロットロに溶かされてゆくわけ だ。 なか ﹁ここか? ここがイイんだなリルナっ? 膣内の奥の方のお腹側、 こうやってグリッてされるのが好きなんだよな!?﹂ ﹁んぁぁはぁぁぁんっっ!!? そっそこ好きぃぃ、しゅきぃぃぃ ⋮⋮っ! トオルっちにお腹の奥のそこぉ、ぐりゅぐりゅトントン ってされるのぉ、しゅきなのぉぉぉ⋮⋮ひゃうぅぅあうぅぅぅんっ っ!?﹂ 1234 ろれつが回らなくなってくるほど感じているリルナは、すぐ隣に キリカが寝ているというのに、いつしか俺と真正面から抱きしめ合 って快楽をむさぼっている。間に挟まって胸板に密着する乳クッシ ョンの感触が心地良い。 目で訴える彼女の容貌に応え、唇を優しくついばむようにキスを してやると、従順子犬ギャルマンコはさらに愛液をとめどなく流し 始めた。 これならもっと強く動かしても大丈夫だろうと、腰を力ませよう とした̶̶̶その時。 ︵何よ、私の初めての時は⋮⋮そんなに優しくしてくれなかったの に⋮⋮!︶ ︵⋮⋮ん?︶ だしぬけに頭に流れ込んでくる、誰かの思考。 それは紛れもなく、キリカの心の声だった。いつの間にか目覚め ていた彼女が、愛隷のリンクを通して俺に念話を届けているという わけだ。 だが、あの恥ずかしがりでエッチに関してなかなか強く主張でき ない元クラス委員が、そんなことをするだろうか⋮⋮? ︵何よ、何なのよ⋮⋮! 私の時はそんなのじゃなかったのに⋮⋮ もっと乱暴に、ムリヤリされたのにっ⋮⋮なんで、橘さんの時は違 うのよぉ⋮⋮!? 名前とか優しく呼んじゃうし、ぎゅってしなが 漏れてる のだ。 らキスとかしちゃってるしっ⋮⋮! お、おかしくない⋮⋮っ!?︶ そうか、と俺は気付いた。 これは彼女が意図して届けているのではなく 1235 あまりにも強く念じられた思考が、言わば愛隷のチャンネルに勝 手に混線を起こして俺にまで聞こえてしまっている。 つまり今聞こえているのは、キリカの紛う事なき本音というわけ だ。 しかもそれが俺に聞かれてることに、彼女自身は気付いてない。 ﹁くっ⋮⋮うッッ!﹂ ﹁ひゃあぁあんっっ!? ま、またナカでおっきくなったよぉっ! ? トオルっちのおっきくてめっちゃアツいのでっ、アタシのナカ ごりゅごりゅってカタチ変えられてるぅぅ⋮⋮ッッ!!?﹂ うつ伏せでクッションに顔をうずめ、黒髪の隙間からむくれた顔 をのぞかせつつ、心の声で可愛い不満を漏らす制服姿のキリカ。 そんな彼女をすぐ隣に置いてのリルナへの生ハメというシチュエ ーションが、余計に俺のチンポを硬くさせた。 我ながら度し難いヤツだと思うが、興奮するんだから仕方がない。 ︵ばか、バカ、トオルくんの馬鹿ぁ⋮⋮! 私がなんでこんな気分 にされなきゃいけないのよぉっ、なんでこんなの見せつけられなき ゃいけないのよぉ、もうヤダぁぁ! どうせ私はっ、橘さんみたい に素直でも可愛くもないもんっ、そんなの自分が一番良くわかって るんだからぁ⋮⋮!︶ 涙目キリカの恥ずかしいセリフを心に感じつつ、俺はいよいよ腰 を加速させてリルナを中イキさせるべくラストスパートをかける。 しているかのようなゾクゾクする背徳感が絡まり合い、生ギ なんだか申し訳ないという気持ちと、愛隷を差し置いてまるで 浮気 ャル膣内の熱にあぶられて際限なく快楽が高まってゆく。 ﹁やっあっっんあぁぁぁあああっっっ!!? これっこれダメ!! 1236 きっ来ちゃうよトオルっちっっ、すっごいトコにアタシ連れてか れちゃうぅぅぅっっ!!?﹂ ﹁ああいいぞっ、そのままイクんだリルナッッ!! 俺も一緒にイ クからっ、そらそらぁっ!!﹂ ︵ううっ、見せられちゃう⋮⋮橘さんがエッチでイクとこ、トオル くんが橘さんの中でイクとこ⋮⋮っ、すぐ目の前で見せられちゃう よぉ⋮⋮っ!?︶ キリカの心の声をスパイスに、俺はたぎりにたぎった腰のドロド ロを肉棒の芯に沿って駆け上らせ、ついに⋮⋮! リルナの奥の奥、子宮めがけて﹁ごちゅんっ﹂と突き込むと同時 に盛大に解き放った! ﹁おおぉぉうおおッッ!! 受け取れリルナぁっっ、これが魔隷の 証だっ⋮⋮くぅぅぅぅッッ!!﹂ ﹁やっあっっあんッんんんんああッッ!!? やばっマジいくぅぅ っっ、生エッチでイクイクイッちゃうぅぅぅ∼∼∼∼∼っっっ!! ? ああぁぁっっひゃうぅぅぅぅんんっっっ!!?﹂ どぶびゅるるッッ、どぶぷどくぅぅぅぅッッッ!! びゅぐびゅるるんっっ、どくッどぶどぷどびゅるぅぅぅッッッ! ! どびゅるるんっっ!! ︵あ、あああっ⋮⋮!? やだ、出てるっ、あれ奥で出てるぅぅ⋮ ⋮!? トオルくんのが、流し込まれてるぅぅ⋮⋮やっあっっ、同 じようにされた時のこと、なんで思い出しちゃってるのよぉ私ぃぃ ⋮⋮っ!?︶ 戸惑いと、欲情の欠片を帯びたキリカの思考を受け取りながら、 破裂せんばかりの勢いで噴き出す白濁ザーメンをリルナの子宮内へ 1237 とドクドクドクドク⋮⋮大量に注ぎ込む。 脳が焼き切れそうなほどの背徳快感と征服感、そして満足感にど うにかなりそうだ。 ﹁んひゃあうぅぅあッッ!!? ほっホントだぁっ、ナマですると 全然違うぅっ⋮⋮と、トオルっちの熱いのがアタシの奥にびちゃび ちゃ流し込まれてるのが、ばっちりワカっちゃうぅぅ⋮⋮っ!? はわぁぁ⋮⋮は、はふぅぅ⋮⋮っ!﹂ まさかキリカにこっそり見聞きされているとは思いもせず、彼女 の穏やかじゃない心中を煽るようなセリフをうっとりと口にしつつ、 絶頂の余韻にひたるリルナ。 俺はそんな彼女の今度こそ正真正銘処女を失った秘穴から、ぬぷ っと肉棒を抜いた。 ﹁んぁあんッッ!? ふあ、と⋮⋮トオルっちの、マジめっちゃた っぷりすぎぃ⋮⋮! 奥から、あふれて、きちゃうよぉ⋮⋮!﹂ うっすらピンクが混じった大量白濁液が、ヒクつくサーモンピン クの処女穴からごぼりと逆流し、シーツに恥ずかしい液溜まりをこ んもりと作ってゆく。 制服姿のリルナを、完全に征服してやった証といえる光景だ。 ﹁さて⋮⋮そろそろ目が覚めたようだし、次は待ちぼうけ状態にな ってたキリカの番だな﹂ ﹁え!? い、いつから気付いてっ⋮⋮じゃなくてっ、私はそんな のいらないってばっっ!?﹂ 起きていることに気付くどころか、心の声まで聞かれていたとい う事実はつゆ知らず、慌てて素っ頓狂な声をあげる元クラス委員。 1238 俺はそんな彼女の足をにこやかに押さえつけながら、 ﹁こんなふうに言ってるけど、どうする橘さん?﹂ ﹁えっ、あ⋮⋮アタシは、十分注がれちゃったっていうかっ⋮⋮い やいやいやナニ言ってんだろアタシっ、とっとにかくこっちはいい から姫っちにもしてあげてよ、ねっねっ?﹂ ﹁ちょっ!? た、橘さん!? わ、私はそんなつもりじゃっ!?﹂ 悪気なくチンポを譲る良い子のリルナによって、逆に追い詰めら れる形となるキリカ。 制服をはだけてやると、子宮の真上にあたる位置にぼんやり浮か び上がるハートに似た紋様⋮⋮愛隷の証は、うっすらピンク色に発 光して彼女の発情を物語っていた。 ﹁おなかに⋮⋮模様? ナニそれ、姫っち? なんか光ってるケド﹂ ﹁あっあのそのっっ、これは別になんでもなくてっっ!?﹂ 慌てるキリカの、さっきまでの盗み聞きのせいかしっかり濡れて いる制服マンコめがけ、俺はギャル愛液混じりの精液にまみれたチ ンポを容赦なく近付けてゆく。 ﹁だっ、だからなんで私まで目の前でこんなぁぁっ⋮⋮んぁぁっっ はぁぁぁあぁぁぁぁあぁあんんっっっ!!?﹂ 結局、この日。 魔術の媒介 を体の奥深く注がれることにな 当初の目的であった勇者だけでなく、愛隷の姫騎士もまた、制服 姿でみっちりと俺の ったのであった̶̶̶。 1239 ※ ※ ※ そして̶̶̶その夜。期待していたものが、ついにやってきた。 俺の意識は肉体を離れ、夢界仙境とは違うもうひとつの異界へと いざなわれていた。 会社か役所のオフィスにも似た、あの謎の空間。 ﹁いや⋮⋮驚きました。まさかこの短期間で、この領域まで到達さ れるだなんて﹂ 管理者 だ。 俺の目の前でお手上げのジェスチャーをとっているのは、地味な スーツ姿の特徴のない男⋮⋮久方ぶりの ここにやってくるのも、もうおなじみの恒例行事である。 ﹁ということは、レアジョブを特定数隷属させた時のボーナスって やつをまたもらえるんだな?﹂ ﹁ええ。あなたが隷属および心服させた︻姫騎士︼︻魔貴族︼︻予 言の姫︼︻狂公女︼︻異界機士︼︻異界戦機︼そして︻勇者︼̶̶ ̶これで7つに達しましたからね。今回は、色々な特典が一気に与 えられます﹂ 最初の大幅レベルアップボーナスをもらったのが計3つの時点、 今のこれが7つというわけか。 正式に勇者がカウントされた理由は⋮⋮行為を重ねることで繋が りが順調に強くなり、その段階に達したという証明だろうな。 同様に破片にすぎない破天の骸だけでは、さすがに魔王を隷属さ せた扱いにはならないらしい。 1240 ﹁それにしてもほんと、私もこの役目について長いですが、あなた のジョブがこの段階に到達したのを目の当たりにするのは初めてで すよ﹂ 今まであまり意識しなかったが、そういえば過去にもいたんだよ な、魔隷術師。 そもそも最初パルミューラもそれを知って、新たな魔隷術師の出 現を利用することを思いついたようだし。 そいつは俺と同じで欲望に忠実な使い方をしたのだろうか、それ とも⋮⋮少なくとも、俺の方が実績は上らしいが。 ﹁ご賞賛どうも。特典、タダでくれるものなら大歓迎だよ。んじゃ 説明よろしく﹂ ﹁私が言うのもなんですが、超越存在に対してずいぶん気安くなり ましたねあなたも⋮⋮﹂ すっかり慣れて図太くなった俺に肩をすくめつつ、説明を始める 管理者。 簡易隷属 のオプションです﹂ ﹁まずはジョブが一気にレベルアップするほどの大量の経験値ボー ナス、そして次に ﹁簡易隷属?﹂ ﹁ええ、魔法抵抗が低い相手に限られますが⋮⋮魔隷の枠を使わず とも一定時間、あなたは隷属魔法をかけた相手を服従させることが 可能になりました﹂ ﹁おお、それは決定力にはならないが便利そうだな!﹂ 使える対象が限定されるとはいえ、これで仮に枠がいっぱいの時 でも隷属魔術を使える状況が作れるというわけだ。主に自衛面で役 に立つだろう。 1241 ﹁効果時間は、あなたの隷属魔術スキルレベルに比例します。なお、 術式に必要な予備動作や有効射程は通常どおりですのでご注意を﹂ ﹁ふむふむ⋮⋮まだ他にもあるのか?﹂ ﹁ええ、前回解禁された愛隷システムに関してなんですが̶̶̶﹂ 愛隷絡み、か。 つまり現状キリカに関わる特典ということになる。 いや、あるいは愛隷の数そのものが増えるとかもありえるのか? そういえば、何人までオッケーとか前回は聞いてなかったな。 ̶̶̶と思わず身を乗り出した、その時だった。 ぐらり、と俺の視界が揺れたのは。 ﹁あ、あれ⋮⋮っ?﹂ ﹁ちょ、大丈夫ですか!?﹂ 机に倒れ込んだ俺を、管理者が慌てて支えた。 妙な立ちくらみは一瞬のことで、あっさりと気分は元通りになる。 ﹁あ⋮⋮ああ、平気だよ。でも男にそんなことされてもまったく嬉 しくない⋮⋮あんた、外見を美少女とかにできないのか﹂ ﹁このアバターは気に食わないと? 一応考慮しておきます。しか し、妙ですね⋮⋮この魂の世界では、肉体的な不調など表れるはず がないのですが⋮⋮?﹂ しきりに首をひねる管理者だったが、はたと何か思いつき、 ﹁もしかしてあなた、よっぽど何か、魂のエネルギーを削るほどの 無茶をしたのでは?﹂ 1242 ﹁⋮⋮心当たりがないと言えばウソになるな﹂ 破天の骸。 あれとムリヤリ一体化してしまったこと以外に、理由らしい理由 は考えられなかった。 俺はざっと、これまでの経緯を管理者に説明する。 ﹁⋮⋮なるほど。魔王の遺骸ですか、それは道理で⋮⋮ちょっと待 って下さい、あなたが一体化した欠片はその、ひとつだけなんです か?﹂ ﹁そのはずだが⋮⋮?﹂ ﹁少しお待ちを。念のため、調べてみましょう﹂ と、管理者はオフィス机の引き出しを開け、そこから白紙の紙を 取り出した。 目の前に広げたそれに、しばらくして何やら俺には読めない文字 が浮かび上がってくる。 おそらく世界の情報そのものを読み取っているのだろう。 ﹁ふむふむ⋮⋮おや、やっぱりですね。あなたさっきの話で、遺跡 プラントとやらの動力になっていた方の欠片はその後発見できなか った、って言いましたよね?﹂ ﹁ああ、パラヴァータの連中にも協力して捜索させたが、綺麗さっ ぱり消え失せてたよ﹂ オルトが晶片獣を生み出したり、最後の自爆に使おうとした方の 骸の欠片。 それこそオルトを元の世界に送った行為で力を使い果たし消滅で もしたか、あるいは一緒にあっちの世界に飛んで行ったかしたと思 っていた。 1243 ﹁それがですね、今確認してみたらその欠片も⋮⋮あなたの左腕に 吸収一体化されてますよ﹂ ﹁⋮⋮なんだって?﹂ 肉体を伴う世界じゃないと知りつつも、思わず左腕を凝視してし まう。 ﹁あなたが骸の欠片同士を共鳴させ、次元起爆をコントロールした 瞬間のことでしょうね。欠片は他の欠片と接触すれば、ひとつにな ろうとする性質があるようです﹂ つまり現状、欠片ふたつぶんの質量が俺の体に⋮⋮そりゃ、三日 間ぶっ倒れもするか。 だが考えてみれば、あのクルスとかにどさくさ紛れでかすめ取ら 破天の骸 の欠片にも俺が れていたって可能性もゼロじゃなかったからな。そうじゃなかった のは一安心といえる。 ﹁ん? ということは、今後もし他の 接触すれば⋮⋮﹂ ﹁ええ、おそらくはその欠片もまた、あなたの中に取り込まれるこ とでしょうね﹂ それはメリットでもあり、デメリットでもある。 俺の体に一体化させられれば、もう欠片を奪われる心配は︵俺が 死なない限り︶薄いわけだが、同時にそれはより巨大なリスクと反 動を抱え込むことと同義だ。 だが、より多くの骸を吸収同化すれば当然その力が高まるという ことでもあり⋮⋮俺の切り札という観点で見れば、恩恵は計り知れ ないだろう。魔力供給量もさらに跳ね上がるだろうしな。 1244 それに取り込んだ骸が一定を超えたら なされるかもしれない。 魔王を隷属させた ここはいつもの俺らしく、ポジティブに考えるとしよう。 とみ ﹁にしても⋮⋮珍しいな。これまでジョブの補足説明以外、俺に余 分な情報を教えてくれなかったあんたがここまで教えてくれるとは ね﹂ お役所仕事でケチなこいつにしては、異例といえる。 その違和感から出た疑問を告げると、管理者はわずかに目をそら 魔王 の一件に関しては。我々も無関係とは言え し⋮⋮そして、次の衝撃的なひと言を口にした。 ﹁まあ⋮⋮あの ませんからねぇ⋮⋮一種のアフターケア、でしょうか﹂ ﹁!? おい、今なんて言った!?﹂ 確かに聞こえた。 魔王が、この神というか世界のシステムそのものな連中と、何か 関係があるとでも言うのか? それは何を意味する? どんな真実が、数千年の時のヴェールに 隠されている? ﹁っとと! す、すみません忘れて下さい。これ自体はトップシー クレットでした、はい﹂ ﹁いや、今さら忘れられるか! こうなったらはっきり聞かせてく れ、魔王ってのはそもそもいったい̶̶̶﹂ はっきりと喋れたのはそこまでだった。 意識が白い光に飲まれ、俺の魂は元の世界へと帰還してゆく。 1245 間違いない、明らかに都合が悪くなったからってごまかそうとし てやがる! ﹁おい、ちょっと待てぇっ!?﹂ ﹁ほんとすみません! 残りの特典に関しては、目が覚めた時のあ なたの記憶に説明を送り込んでおきますから!﹂ 神のごとき存在のくせに、呆れた手抜き仕事もあったもんである。 さっきの疑問を管理者に再び問いただすには、もう一度この場所 に来る必要があるということだ。 そのためにも、俺は魔隷術師として⋮⋮さらなる高みを目指さね ばならない。 いいさ、やってやろうじゃないか。 それが誰にも侵害されない、第二の人生を自由に生きるためなら ば̶̶̶。 ※ ※ ※ 魔隷術師トオル︵レベルUP!︶ ジョブ:魔隷術師LV20↓25 スキル:︻隷属魔法LV13↓15︼︻魔の契約LV3︼︻魔隷強 化LV8↓10︼︻骸の侵蝕LV1︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:3人分︶ ︻姫騎士キリカ︵愛隷︶︼︻メイド法術師ニーナ︼︻女戦士アメリ ア︼ ︻エルフの精霊弓士シエラ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ 1246 ︻狂公女フラミア︼︻異界機士セレスタ︼︻巫女姫ディアーネ︼ ︻勇者リルナ︼︻異界戦機ナナ︼︻破天の骸︼ 特殊装備:破天の左腕 1247 70話:二度目の初めてと、管理者三たび︵後書き︶ 次話でいよいよ三章完結、そして長らくお待たせしましたEX・ Hシーン投下という流れになります︵キリカ単独の制服Hプラスア ルファはそっちでしっかりやりますのでご安心下さい︶ また、おかげさまで書籍版最新4巻が10月頭に発売決定しまし た。詳細は今後の活動報告で! 1248 71話:ふたつの故郷と、ふたつの月 ﹁う∼、キンチョーするぅ∼!﹂ ﹁ど、どうかしらニーナ⋮⋮?﹂ ﹁むむむむ⋮⋮﹂ 固唾を飲んだリルナとキリカの真剣な視線が、じっと目をつむっ たニーナに集まっている。 まるで戦場のような緊張感だが⋮⋮そうではない。 彼女たちが身につけているのは武具ではなく可愛らしいエプロン で、ここは貸し与えられた邸宅内の広々とした厨房なのである。 ﹁⋮⋮ばっちりですよ、お二人とも。キリカさんのホワイトシチュ ーも、リルナさんのオムライスもどっちもイイ味してますっ!﹂ 味見のスプーンを置くと、にっこり笑顔でぱっちり目を開き、グ ッとサムズアップして両者を讃えるメイド服の法術師。 ﹁おおっ! やっりぃ∼∼∼っっ!!﹂ ﹁ふぅ⋮⋮なんとかうまくできたみたいね﹂ ﹁ふっふっふ、アメリアちゃんの料理スキルをこの舌で育てた私が 言うんだから間違いないですよ! バターライスを使うリルナさん の気配りもグッドですし、特にキリカさんは前回の注意点が軒並み 改善されてて満点ですっ!﹂ ようやくホッと安心したように一息つくキリカと、サイドテール をぴょんぴょん揺らしてジャンプし全身で喜びを表現するリルナの 対照的な姿。 1249 ﹁おぉ∼! やるじゃん姫っち、アタシも負けてらんないなぁ﹂ ﹁ううん、私はもっと前からアメリアに教わってるんだし、同じよ うにこっちに来てから料理を始めたのに上達がもっと速い橘さんの 方がすごいと思うわ⋮⋮本当に何でもできちゃうのね﹂ 姫騎士がギャル勇者に向ける視線にはほんの少し、羨望と敗北感 の色が混じっていた。 キリカも才色兼備の優等生だが、それは幼い頃からの人一倍の努 力によるところが大きい。 対してリルナは何でもすぐ好きになってしまい、好きこそものの 上手なれの精神で全力で楽しみつつ万能にこなしてしまうのだ。 ﹁えへへ、そっかな? アタシはおばーちゃんが昔言ってた﹃料理 は努力と根性だ﹄ってのを実践したみただけだよ。要はホラ、ファ イヤー!ってカンジ?﹂ ﹁ず、ずいぶんとダイナミックなおばあさまだったのね⋮⋮﹂ ﹁おっ、そっちも上手くいってるみたいだな?﹂ 厨房の反対側ではアメリアの監督の下、システィナ姫がパラヴァ お料理教 ータ名物、遺跡ジャガイモのビシソワーズを冷やす行程に入ってい る。 。 以前から、キリカがアメリアに入門する形で始まった 室 少し前そこに、自分で料理をするというこれまで縁遠かった行為 に興味を抱いたシスティナ姫も加わり、今またリルナが飛び入りで 参加したというわけだ。 ﹁うふふ、こうやってみんなでお料理をするのはとても楽しいです わね、リルリルさん﹂ 1250 ちなみにこれが、姫が熟考の末リルナにつけたあだ名である。 使うのは本人だけかと思いきや、二人に懐いているフラミアも﹃ あたしもあたしも!﹄と真似し始めている。 ﹁だよねーシスてぃん! そーいやちょっと思ったんだけど、セレ ぴょんはここにいないんだね? いつもシスてぃんにべったりだか ら、コレにもてっきり参加してんじゃって思ってたケド﹂ ﹁あ∼、女騎士サンか。最初はそうだったんだけどな⋮⋮ちょっと 前、出入り禁止になったぜ﹂ ﹁え!? セレぴょんってばナニしたの!?﹂ パラヴァータ名物その2、洞窟魚を手際よくさばきつつ言う女戦 士に、驚いて向き直るリルナ。 ﹁それが⋮⋮セレスタはわたくしを気遣うあまり、調理場に入れる と少々奇行が目立って⋮⋮﹂ ﹁ああ、火の勢いが少し強くなっただけで﹃危ない姫さまッ!﹄と 鍋に水ぶちまけるわ、包丁を使ってる時はまるで果たし合いかよっ て勢いのすげぇ眼光でお姫サマの手元ガン見してるわ⋮⋮﹂ ﹁あの時は大変でしたよねぇ、ほんと﹂ ﹁うわあ。そりゃさすがにゼンゼン落ち着けなくなるよね、シスて ぃんも﹂ そんなことがあったのかと、さすがのギャル勇者も苦笑する。 ﹁ふふっ、あの時の姫さまってば珍しくお冠でしたよねぇ。﹃もう、 これじゃわたくしお料理を楽しめませんわ、セレスタは厨房に出入 り禁止ですっ!﹄って﹂ ﹁に、ニーナさん! お恥ずかしいことを思い出させてはイヤです 1251 わ、わたくしだってセレスタにちょっと強く言い過ぎてしまったと 反省してますのよ。ねえ、キリカ?﹂ ﹁あ、あはは⋮⋮﹂ 複雑な表情で笑ってごまかすキリカ。 姫にそう言われたショックで、いつか最後に戦った時みたいな落 ち込みモードに入って泣きまくるセレスタを必死で励ますのに苦労 したことや、そこにトオルが付け込んでなし崩しにエロ展開に持ち 込まれてしまった記憶を思い出したのである。 ﹁ねーねーできたできたぁ∼? そろそろできたぁ∼? ほらナナ ぁ、もっと急いでよぉ∼!﹂ ﹁おいフラ公、そんなに慌てると落っこちるぞ、ちゃんと頭に掴ま れ﹂ ﹁まったく、はしたないのぅ。いやしくも魔貴族たる者、慌てず騒 がずわらわを見習って常に悠然とじゃな⋮⋮﹂ いいにおいを嗅ぎ付けてか、ナナに肩車されたフラミアが待ちき れないとばかりに厨房に入ってきた。 偉そうなポーズで腕組みをして低空飛行のパルミューラも一緒だ。 ﹁うふふ、パルちゃんさんの好きなアプリコット入りのエッグタル トパイもありますわよ﹂ ﹁なにっ!? お、おいポンコツロボ娘、フラミアがわらわのぶん までつまみ食いせぬよう見張るのじゃ、おい聞いとるのかっ!?﹂ ﹁あなた、常に悠然とってのは一瞬でどこに消えたのよ⋮⋮﹂ ﹁忘れたのかパル公、ナナに命令できるのはご主人だけだぞ。あ、 それはそうとナナも味覚センサーをもっと試してみたい、ニーナ。 料理に含まれる栄養バランスとか分析できるぞ﹂ ﹁へええ、便利ですねそれ! じゃあナナちゃんも次から味見係に 1252 任命ですよ∼!﹂ 人数が増え、たちまち一層にぎやかになる厨房。 堅苦しいお城暮らしでは味わえなかった楽しみをにこにこ顔で満 喫しつつ、システィナ姫はふと気付いた疑問を口にする。 ﹁そういえば、今日はトオルさまはどちらに? なんだか最近、よ く外出なさってますよね﹂ ﹁ご主人さまなら、仮設市庁舎の方に行くって言ってましたよ。な んでもパラヴァータの今後のことで街の要人の方々に色々相談を求 められて、それで連日帰りが遅くなってるらしいです﹂ ﹁へ∼、よくわかんないけどスゴイじゃん! んじゃトオルっちの ぶん、ばっちりキープしとかないとねぇ⋮⋮せ、せっかくだから食 べて感想とか、言って欲しいし⋮⋮えへへ﹂ うっすら頬を赤らめるリルナと対照的に、ニーナの説明を聞いた キリカはピクッと形のいい片眉を上げ、腕組みジト目で口を開いた。 ﹁⋮⋮あのね、橘さん。そういう時のトオルくんのセリフは、信じ ちゃダメよ﹂ ﹁ふぇっ!? そうなの!?﹂ ﹁普段は何も言わずにワンマンで行動するくせに、わざわざ事細か に予定を説明する時って、大抵やましい事がある時なんだから⋮⋮ トオルくんって、いつもそうなのよ。おおかた、またいかがわしい ことでもしてるんじゃないかしら﹂ ぶすっとした顔で、もう慣れっことばかりに遠い目をして語るキ リカ。 そんな様子を見たシスティナ姫が、くすりと口元をゆるめ、 1253 ﹁ふふっ⋮⋮やっぱりキリカは、トオルさまのことを深く理解して いるのですね﹂ ﹁え!? り、理解というか、ただ慣れたくもないのに慣れさせら れちゃったってだけで⋮⋮ちょっと姫さま、なんで笑ってらっしゃ るんですかぁっ!?﹂ ﹁ま、さすがは正妻ってとこかねェ﹂ ﹁アメリアまで⋮⋮も、もうっ! 何よそれっ﹂ みるみる赤面し、エプロンのすそをぎゅっと握ってぷいと目をそ らす姫騎士。 ﹁ふ∼ん、まっキリカなら仕方ないかぁ∼。んじゃあたしはお兄さ んのアイジン筆頭やりま∼す﹂ ﹁ちょい待てぇフラミア!? なにゆえ先達のわらわを差し置いて おぬしが筆頭を名乗るんじゃ⋮⋮あ、いや、今の発言は別に人間な んぞの愛人たる位置をわらわが望んでおるとかそういうことではな く、の? かっ勘違いするでないぞ?﹂ ﹁誰も何も言ってないぞ。自意識過剰か、チビ魔族﹂ ﹁なんじゃとポンコツぅ!? ちょっと乳がでかくなりおったくら いで調子に乗りおって、もっかいビー玉にしてやろうか!?﹂ ﹁昔のリベンジマッチなら上等だぞコラ、やるかコラ﹂ ﹁はいはいストーップ! 厨房での狼藉はこのアメリア姐さんの目 が黒いうちは許さねぇぜ、女騎士サンみたいに出禁になりたくなき ゃ表でやれ表で! それなら許すっ、てかあたしも混ぜな!﹂ わいわいきゃあきゃあと、にぎやかさを増す女子会めいてきた厨 房。 いざ食事時となればここにエルフ姉妹とセレスタも加わるのだか ら、発散されるエネルギーたるや推して知るべしである。 そしてその中心で二人、異世界からのクラスメートたちは。 1254 ︵正妻、正妻かぁ⋮⋮やっぱ姫っちがそういうポジなんだよね⋮⋮ アタシから見てもめっちゃ綺麗だし、ひとりだけトオルっちの愛隷 だし⋮⋮ってまたナニ考えちゃってんのアタシっ、あうぅ︶ ︵そうよ⋮⋮私なんかぜんぜん、思われてるほど特別でもないって いうか⋮⋮元クラスメートって立場なら今は橘さんもそうだし、む しろ私より昔からトオルくんを知ってるわけだし⋮⋮ああもう! だからなんで、私ってばこんなことで悩むようになっちゃったのよ ぉぉ⋮⋮!?︶ ここにいないもうひとりのクラスメートを想い、複雑な乙女心を それぞれ、豊かな胸の内にモヤモヤ渦巻かせるのだった̶̶̶。 ※ ※ ※ ﹁あはぁんっっ!! これすっごいよぉ、英雄さまのチンポすっご いのぉっ!! たくましいのがぁっ、下からガンガン子宮突いてく るぅぅ∼∼∼っっ!!﹂ 俺に騎乗位でまたがり嬉しそうに腰を振るのは、金色のビキニア ーマーを身につけた青髪ロングヘアの美少女。 ここはパラヴァータ市街地、遺跡巨人による破壊をまぬがれた高 級宿屋の一室。 キングサイズのベッドに寝転ぶ俺の全身に、何人もの美女や美少 女がしなだれかかり、あちこちに舌を這わせたり、俺の手マンであ えぎ声をハモらせたりしている。 ﹁す、すご⋮⋮あのリーダーが一方的に攻められちゃってるの初め 1255 て見たかもっ⋮⋮んぁあぅぅんっっ!!? ゆ、指テクもこれヤバ っ、こんなの知らないよぉぉ!?﹂ ﹁んちゅ、れろろぉ⋮⋮! 英雄トオルさぁん、気持ちイイですか ぁ? あたしたち法術師姉妹のコンビネーションで、両乳首ペロペ ロ攻撃しちゃいますからねぇ⋮⋮んちゅるるぅぅ⋮⋮っ!﹂ ﹁あはぁっ、英雄さまの腕、ごつごつしてて男らしいですわ⋮⋮私 バード アルケミスト のおっぱいで、い∼っぱい労ってさしあげますからね⋮⋮うふふっ﹂ モンク 戦士、法術師、神官戦士、拳法僧、魔曲詩人、練金術師⋮⋮。 ブライアローズ のメンバーたちだ。 彼女たちは遺跡都市で二年ほど前から名を馳せている有名な女性 オンリー冒険者ギルド、 それぞれタイプの違う美貌と活躍でファンが多く、都市の観光産 業と提携して公認グッズも売られているという、地球で言えばちょ っとしたアイドルグループのような存在である。 ﹁しかしまったく、そんなアイドル冒険者のリーダー様が、俺とギ ルド総出でこんな乱交プレイしたがるとはなぁ。ファンが泣くぜ?﹂ ﹁えへへっごめ∼ん、でもでもあたしステキな男のヒトとエッチす るの大好きなんだも∼ん♥ んぁんっっあんっっ、トオルさんのお チンポ今までで一番素敵だよぉっ!! 清楚ぶったえろえろマンコ にもっとアツぅいお仕置きしてしてぇ∼っっ!!﹂ ﹁リーダーばっかいつもずるぅ∼い。あと一回イッたらちゃんと交 代してよねぇ?﹂ リーダー以下経験のあるメンバーが多いようだが、たまにはこう いうこなれたマンコを喰いまくるのも悪くない。 そして、どうやら未経験な女の子もそれなりに混じっているよう だ。 ﹁わわわっ⋮⋮! す、すごいことになっちゃってます⋮⋮! ど、 1256 どうしよう⋮⋮!?﹂ パーティメンバーの痴態を見て顔を真っ赤にしているのは、光神 ルメインの聖印が染め抜かれたクロースアーマーを身につけた、小 柄な栗色巻き毛の神官戦士。 ハーフドワーフらしく幼児体型で、指の隙間から様子をうかがう 反応がいかにも処女っぽい。 ﹁ほら、君ももっとリラックスして、こっちにおいで﹂ ﹁あわわ、じ⋮⋮自分はただ付き添いでご一緒してるだけでっ、お っおかまいなく!?﹂ ﹁遠慮しなくていいから。さ、俺に顔寄せて﹂ ﹁あ⋮⋮っ、き、キス優しっ⋮⋮んちゅ、んぅぅっ⋮⋮!﹂ 神官戦士娘の柔らかい唇を奪いつつ、キュキュンっといよいよ狭 く締め付けるリーダーのマンコを、ベッドスプリングの反動を借り てずずんッ!! と子宮まで容赦なく突き上げる。 ﹁やっっあッあんんあっっ!!? いっイクイク奥でいっくぅぅぅ ぅ∼∼∼∼っっっ!!? トオルさんの英雄おチンポでマジイキさ せられちゃうよぉぉぉおぉぉぉおおっっっ!!?﹂ ベッドにぐったり倒れたビキニアーマー娘からずるりとチンポを 引き抜き、キスが気に入ったらしく俺の唇をうっとりついばみ続け ているハーフドワーフ娘を、正面にM字開脚で座らせる。 ﹁はぅぅ!? ちょ、ちょっと待っっ!? じっ自分はこういう経 験がなく、とっとても皆さんみたく英雄さまを満足させる自信わわ わわわ!?﹂ ﹁え∼チャンスじゃん、せっかくだから英雄さんにオンナにしても 1257 らいましょうよぉ?﹂ ﹁そうそう、きっと優しくイカせてくれますよ。あぁっ、でもうら やましいなぁ⋮⋮﹂ ﹁ほら、仲間もああ言ってるしさ。それとも初めてが俺じゃ嫌?﹂ ﹁い、いえいえいえいえ!? むしろ自分っ、光栄でありますとい うかっ!? は、はうぅ⋮⋮で、ではふつつかものですがよろしく お願いしますぅ⋮⋮んぁ、んあぁぁあぁぁああ∼∼∼∼!!?﹂ すでに興奮で濡れまくった小柄なロリドワーフマンコに、ずぶず ぶチンポを沈めて行く。 狭い初物穴を割り開く征服感、これがまた異種族セックスの醍醐 味でたまらない。 を地で行くキャラで、美女の誘いは ︵簡易隷属を酒場のマスターや冒険者に使って、積極的に噂を流さ 英雄色を好む せたかいがあったな⋮⋮︶ それは俺が 断らない上に精力絶倫、何人でも同時にオッケーで処女のエスコー トも苦にならないという噂だ。 自分で言うのも何だが、俺は今やこのパラヴァータを救った英雄、 ただでさえモテモテだ。 それに遺跡都市の冒険者たちは危険と隣り合わせな暮らしを送っ ているぶん、享楽的で開放的な娘が多い̶̶̶という情報は正しか った。 ある意味、これもこの街が持つたくましいバイタリティの証明か もしれない。 しかもその結果、噂を聞きつけ俺に抱かれに来るのは、彼女たち みたいな冒険者だけにとどまらなかった。 昨日は、遺跡都市の復興に協力を申し出て視察に来た、さる大商 1258 会の代表だという独身美女とその友人の女貴族︵事後に聞いたが旦 那がいたらしい︶とねっちょり濃い高級3Pを楽しんだ。 その前はニーナも昔通ってたという魔法学院から実地研修授業に 訪れている最中の、興味津々の女生徒たちの一団にたっぷり男の体 予約 が埋まっているあ を教え込み、二ケタにおよぶ処女を優しく散らしてやった。 すでに明日も明後日も、何日も先まで りさまだ。 ﹁んはぁぁっ、はぅぅぅ∼∼∼っっっ!!? これぇぇっ、これが イクってことなんですねぇっ!? はっはいイキますっ、英雄さま のおちんぽ様でジブンっ、みんなの前で初めてイカされちゃいます ですぅぅぅ∼∼∼∼っっ!!?﹂ なか どぷどぷぅっ! と、初の膣内イキ痙攣を迎える合法ロリ穴に大 量精液を注ぎ込む俺。 頬を染めてきゃあきゃあ言いつつそれを見守る、順番待ちの冒険 者たち。 もちろん、じっくり開発したキリカたち魔隷のハーレムでイチャ ラブる日課も楽しいが、こうやって旅先で一期一会のアバンチュー ルにハメを外すのもまた、男の本懐というやつだろう̶̶̶。 ※ ※ ※ さんざんアイドル冒険者たちと楽しんだ、その日の夕暮れのこと。 俺はひとり、先日リルナと一緒に訪れたあのプラント中枢部跡地 にて、暗く染まりかけた空を見上げていた。 実を言うと、ここを一人で訪れることも今日の外出の目的のひと つだった。 1259 今ここからうっすら見える月は当然、大小ふたつ並んだこの異世 界独自のそれだ。 あれの片方にまで届く一撃を繰り出したんだから、思えばキリカ の姫騎士としての力も凄まじい域まで高まったものだ。 ︵月̶̶̶か︶ オルトに関して、キリカやリルナにも話してない事実がひとつあ った。 確証がなく証明もできない、俺の胸だけに秘めたささやかな秘密 だ。 あの、疑似次元起爆を起こしてオルトを元いた世界に戻した瞬間。 あちらの世界 の空と月とを、数瞬だがはっきり見た。 中心地にいた俺はたった一人、世界の狭間を越えるオルトと同じ 光景を⋮⋮ 見間違えでなければ、その時に見えた月の模様に、俺は見覚えが あったのだ。 そう⋮⋮あれは、見慣れた地球の月にそっくりではなかったか? オルトが確かに故郷の光景だと反応していた以上、間違って俺た ちの世界に繋がってしまったというわけでもない。 だとしたら、考えられる可能性はひとつ。 オルトの世界と、俺たちの世界が、実は同じひとつの地球である ̶̶̶という可能性だ。 異なる世界同士の時間の流れが、必ずしも一定である保証はない。 同じ世界の別の時間軸からこの世界に送られてきたということも、 1260 ありえないとは断言できない。 遥かな未来か。それとも記録されざる古代超文明の過去か。 もしかするとオルトやナナを造り出したのは、地球人類だったか もしれないのだ。 だとすれば俺が帰還を望まなかった空と、オルトが望んだ空とは ⋮⋮ひとつの同じ空だったということになる。 もちろん⋮⋮その事実をはっきり確かめることは、もうできない が。 それでも俺はなんとなく、愉快な気持ちになるのだった。 数千年、あるいはそれ以上の時を経て、異なる世界で繋がれた奇 妙な同郷の縁。 あらゆる意味で俺とオルトは、合わせ鏡の存在だったということ だ。 これだから、この世界は面白い。 を、この世界の双子の月を見 オルトリ ﹁だから、ま⋮⋮そっちはそっちでせいぜい頑張れよ。オルト⋮⋮ ﹂ 本名 いや、アールマ・ヴァルキュリア・タイプオルタⅡ⋮⋮ ンデ 最後にナナから聞いたその 上げ、つぶやいた。 さて̶̶̶キリカたちの待つ家に、戻るとしよう。 今は、連中と一緒にいるこの世界こそがたぶん⋮⋮俺の故郷とい える場所だから。 1261 ※ ※ ※ 一方、その頃。 斧戦士の青年サイネクは、パーティメンバーたちと一緒に調査依 頼を請け、遺跡都市内で新たに発見された未踏査区画のひとつに向 かっていた。 巨人都市となった遺跡都市では今や、この手の依頼は引く手あま ただ。しかも割がいい。 ﹁へへっ、あの時戻らなくて正解だったなあ、俺たち。こりゃ名前 の売り時ってやつだぜ、今のこの街にゃいくらでもチャンスが転が ってらぁ﹂ パラヴァータの決戦をなんとか生き延びた彼は結局、一旗あげる のを諦めて田舎に帰るという弱気な︵あるいは堅実な︶考えは捨て、 冒険者稼業を続けていくことに決めたのである。 ﹁にしてもアンタ、なんか妙に最近調子いいじゃん? 心境の変化 でもあったの?﹂ トオ 同郷の女盗賊ジュノが不思議そうに聞くと、サイネクはニヤリと 笑って答えた。 法術師 ﹁ふっふっふ。俺はあの人に出会って変わったのさ﹂ ﹁あの人?﹂ ﹁そう⋮⋮パラヴァータの救世主にね!﹂ 今やこの都市の英雄となったパーティのリーダー ルのことだ。彼はその活躍を、最初に目の当たりにした人物として 1262 通っていた。 ﹃いやぁ、俺はひと目見た時から普通とは違うお方だと思ってたね !﹄などと酒場で調子良く捏造混じりの武勇伝を吹聴しては、観衆 から飲み代をせしめている。 ⋮⋮そんな彼のかつての虚言が、巡り巡ってリルナとトオルを引 き合わせるのに重要な役割を果たしたという隠れた真の功績は、彼 自身含めて誰も知らない。 ﹁だから俺もひとつ、俺より若いのにあんな偉業を達成したあの人 みたく気張らにゃならんと思ったワケよ。見てろよ、そのうちパラ ヴァータ第二の英雄と呼ばれてやるぜ!﹂ だが、鼻息荒く語るサイネクに対しジュノは呆れ顔で、 ﹁なにそれキモい。だいたい会ったって言っても会話もしてないじ ゃん、あと最初はなんであんなガキが∼ってぶつくさ言ってたの覚 えてるからね﹂ ﹁うっ⋮⋮﹂ ﹁それにどーせ、英雄になりゃあの人みたくモテると思ってんでし ょうが。下心ミエミエだね、そんなだから相手にされないんだよ﹂ ﹁ううっ!?﹂ すたすた先に行ってしまう仏頂面の幼馴染みを、慌てて追いかけ るサイネク。 そこでふと、昨日酒場で聞いた噂をはたと思い出し、 ﹁な、なあ。英雄トオルに見初められた女冒険者とかが、あの人に 片っ端からお手つきにされてるってウワサ聞いたんだけどよぉ⋮⋮ ま、まさかお前もそれに加わったりとか、してないよな?﹂ ﹁さあ、どうだかねぇ? アンタはどっちだと思う? フフッ﹂ 1263 ﹁ちょっ⋮⋮そ、そりゃないぜジュノぉ∼!﹂ 故郷に帰る 道は選ばなかった一 かくして、リルナのようにわずかな触れ合いでトオルから影響を 受け⋮⋮そしてオルトと違って 人の青年の人生は、それなりに続いていくのであった。 ※ ※ ※ ﹁ん? ここは⋮⋮﹂ 夢のまどろみの中で、精神だけが目覚めるあの感覚。 気が付けば俺は、爽やかな風が吹き川がせせらぐ、だだっ広い草 原に立っていた。 間違いない、ここは夢界仙境。 推測を裏付けるように、たわわな肢体を和装に包む狐耳の金髪魔 族が目の前に現れた。 ﹁てっきりもっと早く接触してくると思ってたが、ずいぶんと遅い 参上だったな、ミクラ? あれからこっちは、とんでもない展開が 色々あったんだぜ﹂ そこで俺は、おや、と気付く。 妖狐天仙サマの表情から、いつもの余裕綽々な態度が消えていた のだ。 ﹁こっちもちょっと魔界がねぇ、それどころじゃない状況だったの よぉ⋮⋮てんやわんやの大騒ぎで、今の今までこうして坊やの夢と 繋がる余裕すらなかったってワケ﹂ 1264 魔界に急変、だと? そこから連想する名は、ひとつしかない。 ﹁⋮⋮まさか、イヴリースが何か行動を起こしたのか?﹂ ﹁そのとおりよぉ。でも、何かってレベルじゃないわ⋮⋮これを見 てちょうだい﹂ 狐耳魔族がキセルをひと振りすると、夢界仙境の光景が一変した。 まるで雲の高さに浮かんでいるかのごとく、眼下いっぱいにどこ かの場所が映し出される。 一見して冗談のような、異様な光景が。 ﹁おいおい、なんだこりゃ⋮⋮!?﹂ それは、すり鉢状にえぐり取られた赤茶色の大地だった。 平らなアイスクリームの表面を大きなスプーンできれいにすくっ た跡のようで、よく見れば何段階かに分かれた地層の断面も見える。 天空から見下ろしているのもあってスケール感が狂うが、えぐら れた範囲は下手すると数km単位じゃなかろうか? 通常ならありえない天変地異めいた惨状がようやく認識でき、背 筋がゾッとする。 金眼大公 スペクルド・アイズ アロイシャスのね﹂ ﹁ここにはねぇ、ほんの数日前まである大魔貴族の居城があったの よ̶̶̶三大公のひとり、 ﹁三大公だって!?﹂ それはミクラたち八冥家よりも上、魔族ヒエラルキーの第二位階 を指す。 単独第一位は消えた魔王だから、事実上魔界のトップ3のひとり 1265 ということになる。 その超大物の一角が⋮⋮居城ごと一瞬で消滅させられたとでも言 うのか!? ﹁アロイシャス大公の魔力反応は一族郎党ごときれいさっぱり消失、 まあほぼ間違いなくおくたばりあそばされたみたいねぇ。どうやっ てこんなことができたのかは調査中だけど、まぁまず間違いなくイ ヴちゃんの仕業よ﹂ ﹁そうか、破天の骸だ⋮⋮!﹂ 俺はその大破壊の痕跡から、連想するものがあった。 まるで空間ごと削り取り、異次元に放逐したかのような、物理的 手段とも魔法的手段とも違う理不尽なまでの力。 それはまさに、次元に干渉し異世界への扉すら開く破天の力に他 ならない。 ﹁⋮⋮ワタシも同意見よ。魔王サマがかつての勇者との戦いで振る った力の痕跡にも、これと似たものがあったわ﹂ ﹁骸の力、いや魔王の力そのものを、引き出したってことか⋮⋮!﹂ クルスに持ち去られた欠片の質量は、俺の左腕に一体化したぶん と大差ないか、今は二個分を吸収したこっちより少なかったはず。 たったそれだけの欠片が、これほどの破壊を生み出す潜在能力を 内包していることになる。 俺は今さらながらに戦慄を覚え、思わず左の二の腕あたりをグッ と握りしめた。 ﹁これだけのことをしでかして、イヴリースは次にどう出るつもり だ? 残る二大公は、そしてあんたたち八冥家はどう動く? いや、 動いている?﹂ 1266 ﹁まさにソコなんだけどねぇ⋮⋮坊や、いえ̶̶̶魔隷術師トオル。 現状を話す前に、アナタにひとつ、八冥家の最古参として提案があ るわ﹂ これまでの飄々とした態度を引っ込め、責任ある大魔貴族として の真剣な顔で彼女は言った。 俺の運命を大きく変える、次のひと言を。 ﹁魔界に̶̶̶来てほしいのよ。この事態を収束させ、イヴリース との決着をつけるには。 ⋮⋮他でもないアナタの力が、必要だわ﹂ ※ ※ ※ ︻第三章:俺と、女勇者と、復活の遺跡︼episode end! ※ ※ ※ 姫騎士キリカ︵スキルレベルUP!︶ ジョブ:姫騎士LV10 スキル:︻聖騎剣技LV8︼︻魔法抵抗LV3︼︻料理LV0↓1︼ ??? 特殊装備:煌剣アルカンシェル︵覚醒段階1︶ 特記事項:トオルの愛隷 ギャル勇者リルナ︵スキルレベルUP!︶ 1267 ジョブ:勇者LV10 スキル:︻格闘LV5︼︻頑強LV5︼︻魔法抵抗LV∞︼︻フォ ームチェンジLV0︼︻料理LV0↓1︼ ??? 1268 71話:ふたつの故郷と、ふたつの月︵後書き︶ これにて第三章完結となります、お付き合いありがとうございまし た! 次回いよいよお待たせのキリカ単独EX・Hシーン、そして恒例の 投票企画も予定しております。 1269 ︻EXーHシーン︼俺と、キリカと、制服ふたたび︵前書き︶ 大変お待たせしました、皆さんの投票で決定したエクストラHシー ン第三弾。 時系列はオルト戦終了後∼三章終了直前までの間あたりです。 1270 ︻EXーHシーン︼俺と、キリカと、制服ふたたび ﹁嫌よ嫌よ嫌ぁぁっっ!! そ、そんなの絶対嫌ぁぁっっ!!﹂ キリカの叫び声が、ベッドルームに響き渡った。 拳を握りしめ顔を真っ赤にしての、全身全霊の﹃ノー﹄だ。 なんだかんだで俺を変態だのなんだの罵りつつも、最近は結局行 為を受け入れることが基本だったから、ここまで全力で嫌がる反応 はなんだか久しぶりだ。 ﹁そんなに嫌がることかなぁ? ほら、パルミューラとか普通に慣 れてきてるぜ?﹂ ﹁わ、私はぜんぜんそんなことしたことないしっ! こ⋮⋮これか らもしたいと思わないものっ!﹂ 頑として首を縦に振らないキリカ。 我らが姫騎士が何をそんなに嫌がっているのかというと、だ。 ﹁どうしても嫌か? ⋮⋮お尻をいじられるのは﹂ ﹁⋮⋮っっ! あ、当たり前じゃないっ!﹂ そう、お尻。 いわゆる後ろの穴というやつだ。 俺としてはそろそろ、これまで手を出してこなかったキリカのそ の部分を調教したいと思い、こうやって紳士的に提案してみたわけ だが。 ﹁交渉決裂かぁ⋮⋮んじゃ仕方ない。紳士的じゃない手段を執らせ 1271 てもらおう﹂ ﹁え̶̶̶やっ、か、体がっ⋮⋮!?﹂ パチリと指を鳴らして︵もちろん本来そんな動作は不要なのでち ょっとした雰囲気作りのカッコ付けだ︶術式を起動し、キリカの自 由を奪う。 こうして隷属術式をフルに使ってキリカを支配するのも、思えば 久々だな。 俺としたことが、魔隷術師として最近は少し甘くなっていたのか もしれん。 ﹁魔隷である以上、根本的に俺に逆らえないってことは理解してた はずだよね?﹂ ﹁くっ⋮⋮! や、やっぱりあなた最低だわっ、トオルくん⋮⋮っ !﹂ これからの運命を理解し、それでもキッと俺を睨むキリカ。 いいねぇいいねぇ、魔隷にしたての頃の反応を思い出してなんだ か興奮してきたぞ。 ﹁というわけでキリカ。楽しい愉しいお尻のレッスンの̶̶̶始ま りといこうか﹂ ※ ※ ※ ﹁くっ⋮⋮しかも、なんでわざわざ制服着せるのよぉ⋮⋮っ﹂ リルナを交えての3Pの時と同様、キリカには衣服再現アーティ 1272 ファクトによって実体化したあの母校の制服を身に着けさせた。 にやらせた方がギャップで盛 ﹁いや、なんとなく? これからする恥ずかしいことを思えば、 クラス委員で優等生の姫野桐華さん り上がると思ってね﹂ ﹁ううっ、へ⋮⋮変態ぃっ! せ、制服を何だと思ってるのよぉ! ?﹂ ﹁そりゃこっちで使う目的はこういう時を置いて他にないだろ、言 うまでもない!﹂ ﹁き、聞いた私がバカだったわ!﹂ さて、清楚な紺のプリーツスカートの下は、すでにノーパンだ。 俺は隷属術式を駆使し、ベッドの上でキリカにみずから、うつぶ せでお尻を上げてこっちに突き出させるような姿勢をとらせる。 ﹁やっ、いやぁぁぁっっ!? こ、こんな恥ずかしい格好させない でよぉぉ⋮⋮っ!?﹂ にはこれからもっと、恥をかいてもらうんだからなぁ ﹁おいおい、これぐらいで恥ずかしがってちゃこの先大変だぜ? 姫野さん ⋮⋮?﹂ 目の前に持ち上げられる、ぷりんと適度な肉付きの真っ白なお尻。 緊張でぷるぷる震えるその尻たぶを両手で掴むと、俺はぐっと左 右に割り開いた。 ﹁ひっ⋮⋮や、やめて見ないでぇぇぇ!? そ、そんなとこ見ちゃ やだぁぁぁああ!!?﹂ さすがに乙女として、お尻の穴を広げてまじまじ見られるのはと んでもない羞恥だろうな。 1273 周囲の皮膚より一段階色の濃いそこは、だがもちろん汚れた不潔 な感じなどまるでなく、第二の性器めいてひくひくと震えている。 ﹁安心しろ、うん、別に汚くないよ﹂ ﹁そ、そういう問題じゃなくてぇぇっっ!! や、やだぁもぉぉ⋮ ⋮!﹂ クッションに顔を突っ伏し、耳まで真っ赤に震えている制服姿。 あの姫野桐華にこんな生き恥ポーズをさせていると思うと、最初 に処女を奪った時のような嗜虐心と征服欲がふつふつと下っ腹から 湧いてくるぞ。 ﹁さて、もちろんいきなりハードなことはしないから安心してくれ、 デリケートな場所だしね﹂ これ をわざわざ用意 ﹁じゃっじゃあ、今すぐやめて⋮⋮もうこれでやめて⋮⋮﹂ ﹁それはちょっと聞けないなぁ。せっかく したのに﹂ ﹁え? な⋮⋮何それっ?﹂ 彼女からも見える位置に置いたのは、ボウルに入った透明な液体 だ。 指を浸して持ち上げてみせると、粘度の高いそれがねっとり糸を 引いてキラキラ光る。 ﹁これはね、遺跡都市の歓楽街⋮⋮元の世界で言うなら大人のオモ チャ屋で仕入れてきたマジックポーションさ。いや、マジックロー ションと言った方が早いかな?﹂ ﹁ま、マジックローション? それをどうするのトオルくん、まさ かっ⋮⋮んひゃうぅぅぅ!!?﹂ 1274 たっぷり粘液にまみれた指の腹で可愛いアヌスの入り口を軽くこ すられ、キリカが素っ頓狂な声を出した。 隷属術式で行動を縛ってなければ、全力で身を引いて逃げ出して ただろうな。 ﹁まだほんの入り口に軽く塗り付けてるだけだよ? ほら、力を抜 いて﹂ ﹁やっ、あっ!? あッああっダメッこれ駄目ぇぇぇ⋮⋮!! き、 汚いしほんとにダメぇぇ!?﹂ ﹁だから汚くないって。このローション、殺菌と老廃物分解の作用 もあるし安心だね﹂ ﹁ぜ、ぜんぜん安心できなっ⋮⋮ぃぃぃいい∼∼∼∼∼っっ!!?﹂ 抗議のセリフの後半が、長く伸びる嬌声へと変わる。 ニチッ⋮⋮と湿った音を立て、不意打ちで中指の先っぽを、潤滑 液の助けを借りてすぼまりの内側へとほんの少し侵入させたのだ。 おどろくほど強い締め付けの抵抗が伝わってきて、すぐに指先が 押し返されそうになる。 ﹁おお、生真面目でガンコなお尻の穴だなぁ、なんともキリカらし い﹂ ﹁わ、私らしいお尻ってそれどういうことよぉぉ⋮⋮っ! だ、だ から入らないからっ、お尻はそんな指とか入れる場所じゃないから ぁぁ!? す、すぐそれ出してよぉぉ⋮⋮っっ!?﹂ ﹁いやあ、でもせっかくちょっとだけ入ったんだし? どこまでイ ケるか試してみよう﹂ ﹁う、ウソでしょっ⋮⋮んぁあ、はぅぅうううぅぅあッッ!!?﹂ 力をこめすぎないよう慎重に気をつけながら、第一関節の前半分 くらいだけ入った指を左右にニチュニチュ回し、少しずつ少しずつ 1275 ⋮⋮キリカの狭い尻穴をほじくり広げてゆく。 不随意運動までは術式で拘束していないので、俺の指が動くたび にぶるぶる、びくびくと汗ばんだむっちり太ももや白い尻たぶがめ くられたスカートの下で揺れ、視覚的にもたまらない。 ついに俺は今、あのキリカのお尻の穴⋮⋮性器ですらない不浄の 器官に、男のごつごつした指を挿れて辱めているのだ。 真面目な元クラス委員にして高貴な姫騎士の、ケツの穴に。 ﹁ううっ⋮⋮ふーっ、んふぅぅー⋮⋮っっ! やぁ、あっ⋮⋮はぉ ぉあぁぁ⋮⋮ッッ!﹂ 羞恥心にまみれた息も荒く、だが抵抗できない状態にあるキリカ はそんなセックス以上の恥辱から逃れることも気をそらすこともで きず、制服に包まれたカラダを初めて味わう羞恥感覚に翻弄される がままだ。 ﹁少しずつこなれてきたかな⋮⋮? もうちょっと奥まで入れてみ るか﹂ ﹁え!? や、ダメぇ⋮⋮っ!? ぜ、ぜったいこれいじょう、は ⋮⋮はいらな、いぃ⋮⋮っ!﹂ ﹁大丈夫大丈夫、マジックローションだけあって一時的に弛緩して 柔らかくなる魔法成分配合だそうだから⋮⋮ほらいくぞ、力抜けよ﹂ ﹁あああぁああぁぁぁ⋮⋮あッああッッ!? えっウソ、はっ入っ ちゃうぅぅ⋮⋮よぉぉ!!? ず、ずぶずぶってトオルくんのゆび ぃぃ⋮⋮も、もっと奥にぃぃぃぃ⋮⋮ッッ!!?﹂ 入り口すぐの強い抵抗を抜けると、意外とその後はスムーズだっ た。 数秒に1∼2ミリのペースでゆっくりゆっくり⋮⋮だが着実に押 1276 し込まれてゆく俺の中指は、マジックローションの助けもあってキ リカのお尻のより深い部分へと侵入していく。 ﹁お尻の先輩ことパルミューラからのアドバイスだけど、大きく深 呼吸で息を吐いて受け入れるのがコツだそうだ﹂ ﹁んぅぅぅ∼∼∼∼⋮⋮っっ!!﹂ 上半身をクッションに突っ伏したまま、乱れた黒髪の隙間から恨 めしそうな涙目が、背後でにやにやする俺を可愛く睨んでくる。 だが観念したようで、その方が楽になるなら⋮⋮とばかりにキリ カは、ブレザーに包まれた背中をゆっくり波打たせて深呼吸を始め た。 ﹁よぉし、いい子だ⋮⋮もう少し奥まで入れるぞ? そぉぉーら⋮ ⋮!﹂ ﹁ふぅぅーっっ⋮⋮んはぁぁーっ、はぅぅぅっっ⋮⋮ッッ!! あ っ、んあぁぁ⋮⋮や、ふっ深いぃぃ⋮⋮っっ!?﹂ 驚くべきことに、キリカの処女尻は第二関節の根元までにゅっぽ り飲み込んでしまった。 魔族ならではの頑丈な体を持つパルミューラはともかく、今まで お尻経験のないキリカがここまでスムーズに飲み込めたのはやはり この魔法粘液のおかげだろうな。異世界さまさまだ。 の字にして制服羞恥ポーズで突き ﹁こ⋮⋮これで、お⋮⋮おわりぃ⋮⋮? き、気が済んだら早く抜 ハ いて⋮⋮よぉぉ⋮⋮っっ!﹂ あのキリカの、太ももを 出された可愛らしいお尻に、俺の中指が三分の二も挿さってしまっ ているビジュアルはなかなかに衝撃的だ。 1277 だがもちろん、むしろここからが本番なのだよ。 ﹁⋮⋮んひっっ!!? んひゃ、はぅあぁぁあんッッ!!? ゆ、 指っ中でっっ!? う、動かしちゃっ⋮⋮んふぅぅぅぅッッッ!! ?﹂ くいっ、くいくいっ⋮⋮とリズミカルに。 穴にずっぷり沈んだ中指を内部で曲げ伸ばしするようにして、ウ ブな腸内粘膜を刺激してやる。 そのたびにキリカの汗ばんだ肢体はビクンビクン跳ね、まるで俺 の指一本で好き勝手に操られる淫らな楽器のようだ。 ﹁どうだ? 俺にこうやって、制服姿でお尻ほじくられる感想は。 ほら、さっきまでみたいに変態だのバカだの、威勢良く罵倒してみ てくれよ。んん?﹂ ﹁あふッッッ!? はぅッ、んはぁぁあぅぅう!!? ひゃっっ、 んひゃあぅッッ!? やっあぁっっ、ダメぇっ⋮⋮ほ、ほんとにコ レだめぇぇぇっっ!!?﹂ キリカに生き恥をかかせながら屈服させオモチャにしているのだ というサディスティックな衝動に、俺は突き動かされていた。 空いた左手で綺麗な黒髪をもてあそんだり、手触りなめらかなブ レザーの背中を優しく撫でたりしつつ、ケツ穴の内壁をイジりほじ くる遊びは決してやめてやらない。 そして⋮⋮執拗にアナルでもてあそばれるキリカの方にも、少し ずつ変化が現れてきた。 ﹁んぅぅっ⋮⋮あぅ、はぅぅあッッ⋮⋮!? ひゃあぅぅぅ⋮⋮ッ、 んぉぉお⋮⋮っ!! あっんぁんッッ、やぁあぁぁぁああ⋮⋮あひ 1278 ぃんんっっ!?﹂ そう、丹念に執拗に、マジックローションをシワのひとつひとつ にまで塗り込まれほぐされ、男の指で今まで刺激されたこともない 場所を内から愛撫されるうちに。 最初は嫌悪と戸惑いばかりだった彼女の声に、甘い響きが確かに 混入し始めてきたのだ。 ビクン、ビクンッと指の動きに合わせて跳ねる制服の下の肉体も、 ただの反射行動というだけでなく、見慣れたセックスの時の快感痙 攣に似たそれに近くなっている。 ﹁おやおや⋮⋮? 元クラス委員の姫騎士さんときたら、イヤだイ ヤだと言いつつだんだんお尻が気持ち良くなってきてないかな? ん∼?﹂ ﹁やっ、ばっ⋮⋮そ、そんなワケ、なッないぃぃ⋮⋮っ!? こん なのぉぉ⋮⋮き、キモチ悪いだけぇ、なんだからぁぁ⋮⋮んぁあ、 はぁぁうぅああっっ!?﹂ わざと下卑たセリフで反抗心を煽りつつ、縦の曲げ伸ばしの動き だけでなく次第に横に揺するような挙動も指にこめ、未開拓の快感 恥穴をどんどん開発してやる。 声が抑えられるものなら抑えてみろ、とばかりに。 案の定、キリカの嬌声はどんどんトーンを上げ、もはや快感を後 ろの穴で得てしまっていることは誰の目にも明らかだ。 ここからじゃ見えないが、間違いなく子宮上に刻まれた愛隷の紋 は発光しているに違いない。 ﹁こ、これぇぇっ、このヘンな感じはぁぁ⋮⋮っ! と、トオルく んがどうせっ、ま⋮⋮魔術で私のカラダっ、へ⋮⋮ヘンにしてるん でしょぉぉ⋮⋮っ!?﹂ 1279 ﹁ん? いやいや、それはないな。少なくとも今、俺はそんな術式 は行使してないよ。これは誓って本当さ﹂ ﹁う、ウソっ⋮⋮!? ほ、ホントにそう、なのぉ⋮⋮っ!?﹂ ﹁ああ、そこにかけては嘘じゃない。だから⋮⋮もし気持ち良くな ってしまってるなら、それはキリカ自身の資質̶̶̶つまり、お尻 で感じる才能があるってことじゃないかなあ?﹂ ﹁そ、そんなぁぁ⋮⋮!? 嘘よぉ、そっそんなのウソよぉぉっ⋮ ⋮!?﹂ いつになく自信満々に断言した俺に、困惑を隠せないキリカ。 だが、これには実はカラクリがある。 キリカには言ってないが、たっぷり尻穴に塗り込んでやったマジ ックローションには軽度の媚薬成分も混入されているらしい。 つまり俺自身が術式で快感をイジってないのは事実でも、キリカ の尻性感は今敏感に増幅された状態なのだ⋮⋮しかし、それをエロ グッズに疎い本人は到底見破れないだろう。 ﹁ほらほら、お尻の中からジンジン熱くなってきたんじゃないのか ? まるでオマンコを俺にほじくられてる時みたいに、この穴がキ モチ良くなってきちゃったんじゃないのか? だったらキリカ、そ れはお前がアナルセックスで感じる素質のあるイヤらしいHな娘だ、 ってことさ⋮⋮!﹂ ﹁ち⋮⋮違う、ちがうぅぅ⋮⋮っ!? わ、私そんな子じゃないぃ っ、お⋮⋮お尻の、あ、穴で⋮⋮エッチなんてっ、そッそんなぁぁ ⋮⋮!? ちがうよぉぉぉおおおっっ!!?﹂ いくら首を振ってイヤイヤしても、俺に突き出した隷属従順ケツ マンコは嘘をつけない。 わざと指を早めに出し入れし、ニチッ、ニチュッ⋮⋮! と品の ない水音をあえてキリカに聞かせてさらなる羞恥心を煽りながら、 1280 俺は媚薬でふやけた尻穴をいよいよ追い詰めていく。 ﹁いいや違わないね。なにせキリカは、放置プレイの欲求不満で俺 に自分からセックスをねだるような、イヤらしい娘になっちゃった んだからなぁ⋮⋮ほら、だからこのケツ穴もっ! スケベな性器に 変わって俺の指をがっちりくわえ込んで媚びてるんだよっ! ほら ほらぁっ!!﹂ ﹁んぁあぉぉあぁぁあ∼∼∼∼っっっ!!? ひゃうぅ、はひっは ひぃぃぃんッッッ!!? 熱っっお尻熱いぃぃぃっっ!!? トオ ルくんのゆびっ、ゆびで私のお尻ぃぃっっ!!? え、エッチなお 尻にされちゃうよぉぉぉっっっ!!?﹂ お尻で感じてしまっているという非日常的な事実を受け止めきれ ず、戸惑いと裏腹の快楽、そして限界を超えた羞恥にシェイクされ たキリカの脳は、もうまともな思考さえ難しい。 ジュボジュボともはやピストン運動そのものの音と光景で、激し く出し入れされる指がそんな彼女の敏感処女アナル性感をとめどな く高め、追い詰め、高みへと引きずり上げてゆく。 初の尻穴いじりなのに、このまま間違いなくイカせられるという 確信があった。 ﹁お尻だと? 違うだろこのドスケベクラス委員ッ!! お上品な 言葉使ってんじゃないぞっ、いいかちゃんとケツ穴って言え!! 制服着たままケツ穴ほじくられてイッちゃう子です、とちゃんと生 き恥自己紹介しろキリカぁぁっ!!﹂ ﹁はひっっ、んはひぃぃぃっっっ!!? け、けちゅっ⋮⋮けちゅ、 あなぁぁ⋮⋮ッッ!? わっ私はぁっ、せーふくのままケチュ穴ぁ ぁ、トオルくんにほじッ⋮⋮んぉぉぉああぁあ¨あ¨!!? ほじ くられ、てぇぇ⋮⋮ッッッ!!﹂ 1281 ぶるぶるっ、がくがくがくッ⋮⋮と、高速で激しい痙攣を、イク 直前特有の反応を見せる、スカートから伸びたむっちり内股。 俺はトドメとばかりに、キリカの奥の奥まで沈めたローションま みれの中指を小刻みにグリグリ震わせると、次の瞬間⋮⋮勢い良く ニュルンッッ̶̶̶! と引き抜いた! ﹁い¨ッッッ!!? いッ、ちゃうッ⋮⋮うぅぅぅぅうぅうぅぅう ∼∼∼∼∼∼∼ッッッ!!? い、イクっいくいくぅぅぅッッッ! !? おっお尻でイッちゃうぅぅぅんんんぉぉぉッッ!!? ひゃ んん¨あッッ、あぁぁあッッあぁぁぁあああ∼∼∼∼∼∼ッッッ! !?﹂ 指の圧迫を一気に引き抜かれたことによる、擬似的な排泄にも似 た快感。 それがキリカのガマンを容易く打ち壊し、長く長く伸びるはした ない嬌声をあげさせて、制服着衣のままの盛大な初アナルアクメへ といざなった。 俺にお尻を突き出したまま、ビクビクがくがく、ぷるぷると断続 的な痙攣で波打つJKの肢体が、今まさに彼女が刻まれてしまって いるお尻の羞恥絶頂快楽の凄さを物語っている。 ﹁おお、これはこれは⋮⋮思った以上に見事なイキっぷりだなぁキ リカ、やっぱり才能があるんじゃないか?﹂ ﹁し⋮⋮しらにゃ、いぃぃ⋮⋮っ! そんにゃのぉぉ、知らなッ⋮ ⋮ぃぃい⋮⋮! と⋮⋮トオルくんの、ばかぁぁ⋮⋮っ!﹂ やがて完全に脱力し、こてんっとベッドに上に横倒しになった白 いお尻。 その中心でローションにまみれヌラヌラと光るお尻の穴は、呼吸 するようにかすかに拡がって⋮⋮恥ずかしい湯気をたてつつ、うっ 1282 すらピンク色に染まっているかのようだった。 ※ ※ ※ ﹁⋮⋮うぅ∼∼∼∼∼∼! あぅぅぅ∼∼∼∼∼∼∼っっ⋮⋮!﹂ 乱れた制服のままシーツにくるまって俺に背を向け、ベッドに横 たわったまましきりにうなっているキリカ。 さっきから顔も見せてくれずにこの有り様だ。 ﹁いい加減機嫌直せよ、キリカ﹂ ﹁な・お・り・ま・せ・んっ! うう、まだお尻に何か入ってる感 じがする⋮⋮﹂ お尻で恥ずかしい姿を晒させられてしまった不本意さで、完全に スネてしまっている。 まあ、これはこれで可愛いからしばらく眺めていても飽きないの だが、それを本人に言うとまた怒るだろうなあ。 ﹁そんなはずはないだろ? だってさっき、マジックローションは 入念にほじくり出して⋮⋮あ痛ててっっ!?﹂ げしっ、と後ろ蹴りをスネに喰らった。地味に痛い。 しかも一発ならともかく、二発三発とげしげし追い打ちがきた。 普通に痛い。 ﹁ちょっ、おいやめろ! 暴力ヒロインは今時流行んないぞっ、痛 ってぇっ!?﹂ 1283 ﹁う、うるさい死んじゃえ! ばか! 私がどれだけ恥ずかしかっ たと思ってるのよぉ、どれだけ恥をかかされたと⋮⋮っ! うう、 あぅぅっ⋮⋮!﹂ 途中からうっすら涙声だ。泣くほど恥ずかしかったのか。 俺は蹴る元気もなくした細い背中をそっと抱き、耳元でささやく。 ﹁いいから、俺の前でもっと恥をかけよ﹂ ﹁っ!? な、何言ってるのよ⋮⋮っ﹂ びくっと反応する柔らかい耳や、つややかな黒髪を撫でながら、 俺だけの姫騎士に熱い息に乗せた言葉を送り込む。 ﹁他の男にはそういう所見せなくてもいい、というか見せるな。で も、俺の前でだけは見せてくれよ⋮⋮キリカの恥ずかしいところを さ﹂ ﹁っ⋮⋮! な⋮⋮なによそれ、そっそんなこと言われても、わか んなっ⋮⋮んぁっ⋮⋮!?﹂ シーツをはがして首を回させ、唇を強引に奪う。 とんとんっ、と閉じた前歯を舌で根気よくノックしてやると、最 初は少し抵抗していたキリカもうっすら力を弱め、粘膜同士の接触 を口内に受け入れた。 ﹁んっ、んちゅっ⋮⋮っふぁ、ぁふ⋮⋮ぁ⋮⋮んむぅ⋮⋮っ!﹂ 寝転んだままぎゅっと制服姿を強く抱きしめながら、互いの唾液 を絡み合わせ、唇同士舌同士で熱い愛撫を重ね合う俺たち。 どれだけそれを続けただろうか、ようやくどちらからともなく口 を離した時には、どちらのものともわからない銀色の雫がぽたぽた 1284 とシーツに染みを作っていた。 ﹁っぷあ! す、すぐそうやってトオルくんは、キスでごまかす⋮ ⋮んだから⋮⋮っ﹂ ﹁へえ、つまりごまかされてくれる程度には、俺とのキスが好きな んだ?﹂ ﹁っっ!! そ、そういう意味じゃない⋮⋮もん⋮⋮っ!﹂ ぷいっ、と口をとがらせ気味に横を向くキリカの頬は、うっすら 朱に染まっている。 言葉では否定しても、すっかりしおらしくおとなしくなってしま うんだから可愛いヤツだ。 ﹁⋮⋮ねぇ﹂ ﹁ん?﹂ ﹁そ、そんなに⋮⋮したいの?﹂ ﹁したいって何が?﹂ ﹁私に⋮⋮お、おしりとか⋮⋮でっ、これからも⋮⋮はっ⋮⋮恥を かかせたい⋮⋮の?﹂ クッションをまとめてふたつ奪い取り、それを顔に押し当てて俺 から表情を隠しつつ、キリカは確かにそう聞いた。 ﹁ああ。俺はキリカに恥ずかしいポーズをさせたいし、恥ずかしい こと言わせたいし、お尻という恥ずかしい場所でどんどん恥をかい てほしいな。さっき言ったみたいに、俺だけの前で﹂ ﹁⋮⋮っ。よ、よくそんなことが言えるわね⋮⋮っ﹂ ﹁ああ、自慢じゃないが俺は変態のゲス野郎だからな﹂ ﹁ほんとに自慢にならないわよ、それ⋮⋮はぁ、なんでこんな人を ⋮⋮﹂ 1285 ﹁こんな人を、なに?﹂ ﹁な⋮⋮なんでもない、わ﹂ 最後の聖域とばかりに顔をうずめるクッションの盾を死守しつつ、 しばらく沈黙し。 そしてキリカは、消え入りそうな声で、確かに口にした。 ﹁じゃ、じゃあ⋮⋮好きにすれば、いいじゃない⋮⋮っ! どうせ 逆らえないんだし、これからもせいぜい私に恥をかかせれば⋮⋮い いんだわ⋮⋮﹂ 寝乱れた黒髪から、ぴょこんと真っ赤な耳たぶの先を覗かせての、 制服姿でのお尻調教受け入れ宣言。 こんな素晴らしいお墨付きをもらってしまっては、俺もいよいよ ガマンの限界だ。 ﹁っっ!? ちょ⋮⋮せ、背中に何か当たってるんだけど⋮⋮!?﹂ ﹁何か、ってわかってくせに今さらだな。なあ、頼むよキリカ⋮⋮ さっきお前のお尻をいじってる時から、大きくなりっぱなしでガマ ンできそうにないんだ⋮⋮﹂ ガチガチに硬くなった勃起を、しゅりしゅりと制服スカートの布 地にこすりつける。 これだけで何気になかなか気持ちイイが、もちろんそれだけじゃ もう満足できない状態だ。 ﹁しょ、しょうがないわね⋮⋮! でも、いきなりその、う⋮⋮後 ろにとか、そんなの絶対ムリだからねっ!?﹂ いきなりじゃなければOKなのかとか、へえ後ろに具体的に何を 1286 ? とか聞いてこれ以上赤面させるのは、さすがに勘弁してやるこ とにした。 俺は安心させるようにシーツの中で手を回し、ノーパン状態の汗 ばんだ太ももの心地良さを堪能しつつ、プリーツスカートに隠され た秘所へと指を当てる。 にちゅっ⋮⋮と、熱く湿った手応え。 ﹁あッ、んあぁ⋮⋮っ!?﹂ ﹁やっぱりな。人をさんざん変態呼ばわりしといてこれだ、いつか らこんなにドロドロに濡らしてたんだ? キスの時か、それともま さかお尻をホジられた時から?﹂ ﹁やっあっ、ちっ違⋮⋮っ!! わ、わかんないよ、そんなことぉ っ⋮⋮!?﹂ ニヤニヤしながら言葉でもイジりつつ、たっぷり指にまぶされた 愛液を反り返るチンポにニュリニュリとなすりつけローション代わ りにすると、俺はベッドに仰向けに転がった。 シーツをはがし、キリカを膝立ちにさせる。 ﹁え、ま⋮⋮まさか、このまま上からまたがる⋮⋮の?﹂ ﹁ああ、自分で俺のをそのアツアツまんこに迎え入れるんだ⋮⋮最 初にした時みたいにな﹂ ﹁っっ!!﹂ これもまた、恥をかいてもらう行為の一環と言うわけだ。 普段なら隷属術式で縛らなければなかなか難しい行為だが、今は 少し違う。 お尻いじりからキスを経た長い前戯によって、キリカの情欲にも すっかり火が点き、理性をトロトロにあぶり溶かされつつあるとい う寸法だ。 1287 ﹁はぁ⋮⋮はぁっ、んはぁ⋮⋮っ、あぁ⋮⋮っ!﹂ 現に、制服も息も乱れたキリカは術式もこもっていない俺の言葉 にまるで操られるように、ゆっくりと足をハの字に開き⋮⋮逆手に 持ったチンポを、くちゅりとその場所に押し当てた。 ﹁いいぞ、そう、その角度でもうちょっと後ろ⋮⋮そこだ、そのま ま沈めて⋮⋮!﹂ ﹁ん、んあぁ⋮⋮はぁ、あぅぅぅんっっっ!? は、入るぅ⋮⋮と、 トオルくんの入っちゃうっ⋮⋮はぁぁぁぁあああぁぁぁ⋮⋮ッッ! !﹂ 長く尾を引く嬌声と共に、にゅとぷんっ̶̶̶と熱い肉の海に沈 み込む勃起チンポ。 制服のスカートによって結合箇所が隠されている光景が、普段な ら学校に通うための格好でこんなことをしているという背徳感のギ ャップを余計に際立たせる。 最初こそ何度か俺の方から腰を揺すってやったが、すぐにキリカ 自身がそのリズムに合わせるようにして、自分から前後にこすりつ け動かすように動き始めた。 ﹁んぁっはっ、あっふっ、んぅぅぅんっっ!!? っっあ、これっ、 これぇぇっ⋮⋮わ、私制服でこんなことっ、自分からしちゃってる っ⋮⋮よぉぉ⋮⋮!?﹂ ボタンが外れたブラウスの隙間からこぼれ出た巨乳が、騎乗位の 動きに合わせてぶるんっっ、ぷるるんっとわがままに揺れ暴れる。 ベッドのスプリングをギシギシと鳴らし、二匹の発情した獣のよ うになっての濃厚セックス。 1288 時折、上下運動の勢いでめくれかけたブラウスとスカートの間か ら、うっすらピンクに発光する淫らな紋様̶̶̶愛隷の証が見え隠 れし、興奮をさらに煽る。 さ ﹁ううっ、キリカっ、いいぞッきゅんきゅん締まって気持ちいいっ ⋮⋮くううっ! 深いとこまで挿さってるの、わかるだろっ!?﹂ ﹁ッ、うんっ、わっわかるぅぅ!! トオルくんのがっ、ずんずん って響くぅぅ⋮⋮! はっ、はぁっはぁっっ、ああんっ! こ⋮⋮ これ邪魔ぁっ!﹂ と、腰を振るキリカがブレザーを乱暴に脱ぎ捨て、ベッドの外へ と放り捨てた。 行為の熱で暑くて、動きにくくもあるからそうしたんだろう。 だが、その瞬間⋮⋮俺はその一見なんでもない行為に、ゾクゾク と強い背徳感を覚えた。 いつも品行方正で教師の覚えもめでたい真面目な優等生、クラス 委員の姫野桐華。 そんな彼女が、これまで制服の上着を乱暴に脱ぎ捨てるなどとい う行為をしたことが果たして一度でもあっただろうか? とうていそうは思えない。 ガサツな男の俺なんかと違って、たとえ暑い日に部屋に帰ってき た時でも、彼女は丁寧にそれを畳むなり、きちんとハンガーにかけ るなりするだろう。 そんな彼女が̶̶̶今。 ﹃男と制服姿でセックスしている最中に、騎乗位で腰を振りづらい から﹄という理由で、乱雑にブレザーを投げ捨てたのだ。 俺との交尾の快楽を、もっと思う存分全身で味わうために。 1289 ﹁くっ⋮⋮き、キリカぁっ!!﹂ ﹁えっ、なっ何っいきなりっ⋮⋮きゃふっっ!!?﹂ そのとんでもなくイヤらしい事実に気付いた時、俺はいてもたっ てもいられずキリカを繋がったまま押し倒していた。 そのまま、ぱっと花が咲いたようにめくれたプリーツスカートか ら伸びるすらりとした両足を、あおむけになった彼女の頭の両サイ ドに膝こぞうが着くくらいに押し曲げる。 体の柔らかいキリカ相手だから可能な、これまた恥ずかしい体位 だ。 ﹁やぁあっっ!? こ、こんな格好恥ずかしっ⋮⋮ひゃ、ひゃうぅ ぅんっっ!!? んぁあぁっっ、こっこんな姿勢でずんずんってし ちゃダメぇぇぇっっ!!?﹂ ﹁おらっ、おらおらぁっ!! お望みどおり今度はこっちからチン ポ叩き込んでやるぞキリカッ、子宮めがけて上からこうっ、こうだ ッ!! そらそらそらぁっ!!﹂ ずん、ずんずんッ⋮⋮! と真上から杭打ち機のように、熱くト ロけたJKマンコに燃えたぎるチンポパイルバンカーを叩き込む。 キリカの体を、覆い被さる俺の全身で内側に丸め込むようにして の猛烈ピストンだ。 ﹁ひゃうぅぅっっ、はひゃっっはひぃぃぃうぅぅぅあああっっ!! ? ダメぇぇっ、これ届くっ、届いちゃダメなところまでっ届いち ゃうよぉぉっっ!!? んあぁぁあ∼∼∼∼ッッ!!?﹂ ドチュッ、ずちゅずちゅんッッ、ずんッずんずんずぐんッッ!! と、濡れた卑猥な音がひっきりなしに部屋を満たす。 1290 今、もし俺たちの結合部を後ろから見たら、キリカの真っ白で柔 らかそうなお尻を俺のごつごつした腰と太ももが取り囲むようにホ ールドし、真上から肉棒が出たり入ったりしつつ激しく愛液を飛び 散らせている⋮⋮という、とてつもなくスケベな光景が展開されて いることだろう。 ﹁どうだキリカぁっ、制服姿でこんな恥ずかしいセックスしちゃっ てるんだぞ俺たちっ!? 橘さんが見たらなんて言うだろうなぁ、 すっかりエロくなっちゃったキリカをさぁ!?﹂ ﹁いっ言わないでぇっっ!? わ、私こんな子じゃなかったのにっ、 トオルくんにいっぱいいっぱいぃぃ⋮⋮んあぁああッッ!? いっ ぱいエッチされてぇっ、変にされちゃったんだもん⋮⋮ッッあはっ んはぁぁぁああ!!?﹂ いつしかキリカは俺の背中に自分から手を回し、互いにぎゅっと 抱き合って、唇まで熱心に重ねつつ俺の腰使いに精一杯応えてくる。 叩き付けんばかりのオスの獣欲を全身で受け止める、女の献身が そこにあった。 俺はますます猛り、いわゆる種付けピストンの姿勢で制服に包ま れた肢体へと、その奥の子宮へと、今にも爆発せんばかりの肉棒を 全霊で打ち付ける! ﹁言ったろっ、俺の前じゃ変になっていいってなっ! エロい体位 でこうやってハメられて恥をかけっ、さっき尻の穴でめいっぱい恥 をかいたみたいになぁっ! このままイカされるとこ、俺に種付け 精液流し込まれるとこ全部見ててやるからっ、俺にお前を全部見せ ろキリカぁっっ!!﹂ ﹁うんっっ、うんっっ!! もういいっ、恥ずかしいところ見られ てもいいっ⋮⋮んひゃぁぁぁああんッッ!!? ぜんぶ、ぜんぶい いからぁっ、トオルくんの言うとおりにするからっ⋮⋮ひぐぅぅう 1291 あぁんっっ、だっだからぁっっ̶̶̶﹂ 清楚な黒髪を淫らに振り乱し、涙まみれになった可愛い顔で何度 も俺の唇をついばみ、敏感な子宮口をごちゅごちゅ小突かれながら。 制服姿のキリカは、どこまで意味がわかっているのかわからない まま口にした⋮⋮その言葉を。 ﹁た、たねちゅけ、せいえきぃぃ⋮⋮ながしこんでぇぇ⋮⋮っっ! !﹂ 瞬間、俺のガマンはぷつんっと決壊した。 腰の奥の奥、ドロドロに渦巻く欲望の熱いたぎりを̶̶̶オスと しての衝動のまま解き放つ!! ﹁うッッ⋮⋮くぅぅぅぅぅぅあぁぁぁッッ!! だッ、出すぞぉぉ ぉキリカぁぁああ!!﹂ どぶッ̶̶̶どびゅるるるんびゅるるるぅぅぅぅッッッ!! どぶぷぷんっっ、ごびゅんッッ⋮⋮!! どぶるるっっんびゅる るるぅぅぅぅッッッ!! ぶぷっ、どくどくぅぅぅぅッッッ!! ぶびゅんっっ!! ﹁んぁぁぁああッッあはぁぁぁああ∼∼∼∼∼∼∼∼ッッッ!!? あはぁぁあっ熱ぅぅううぅ∼∼∼ッッ!!? イクっ、いくいく イッちゃうよぉぉぉっっ!! と⋮⋮トオルくんので恥ずかしいか っこでっ⋮⋮わ、わたしっ今イッてるよぉぉぉおおおおぉぉッッ! !?﹂ まるでお互いが性器で繋がり、ひとつの巨大な生き物になったか のような一体感と幸福感。 1292 どくどくと痛いほどの勢いで注がれる俺の濃厚精液を、キリカの 多段階に締め付ける名器と子宮そのものが息ぴったりにキュンキュ ン収縮して美味しそうに、貪欲に飲み干してゆく。 ﹁くぁ⋮⋮っっ! か、かはっ⋮⋮うぅぅっ、まっまだ出るッ⋮⋮ おおおっ⋮⋮うぁあ、たったまらんこの放出感っ⋮⋮く、くはぁぁ ⋮⋮ッ!!﹂ このまま死んでしまっても構わないと思えるほどの、満足感と達 成感にまみれた長い長い射精。 キリカがビクビクと膣イキを繰り返しながら、それをひたすらに 受け止めてくれていること自体もまた、胸の奥が熱くなってくる。 ﹁ふぁ⋮⋮と、トオルくん⋮⋮お、重いぃ⋮⋮!﹂ ぐったり脱力し、無理な姿勢のまま覆い被さる形になった俺に、 か細い声で抗議しつつも。 彼女は背に回した腕を、ぎゅっと離さないままだった̶̶̶。 ※ ※ ※ ﹁キリカー? お∼い、キリカさーん? なんでこっちを向かない のかな∼?﹂ ﹁うぅぅぅ⋮⋮う、うるさぃぃ⋮⋮! か、顔見ようとしないでよ ぉぉ、ばかぁ⋮⋮ッ!﹂ エロすぎる制服生セックスのあと、行為の熱から醒めたキリカは というと。 1293 またもやシーツとクッションのバリケードに逃げ込み、俺に背を 向けて顔を隠していた。 無限ループか、これ。 ﹁いやまさか、その場の勢いとはいえ﹃たねちゅけせいえきながし こんで∼﹄とはねぇ。さすがの俺もそこまで言ってくれるとは夢に も思わなかったなぁ、あのキリカがなぁ⋮⋮﹂ ﹁やっ、やだやだやだぁぁ!! 忘れて、すぐ忘れてっ、記憶から 消してぇぇぇ!! あ、あれは意味とかぜんぜんわかんなくなって なんか言っちゃっただけなのよぉぉ⋮⋮!﹂ しばらくはこれで、からかう材料に困らない。 しかも、お尻をちょくちょくイジってもいいという許可ももらっ たからな。 辱めるにしてもイチャラブるにしても、可能性は無限大というわ けだ。 ﹁いやあ、これからの性生活が楽しみだなぁキリカ! はっはっは !﹂ ﹁しっ知らない知らないぃ⋮⋮っ! ぜ、前言撤回よっ、お尻とか ももうぜったい触らせない! ぜったいにぜったいだからねっ!?﹂ 背を向けたまま器用にまた俺を蹴飛ばそうとする、可愛らしい抵 抗を楽しみながら。 俺はとりあえず、このうるさい口をキスで黙らせてやるべく、制 服姿の愛隷めがけて再び覆い被さるのだった̶̶̶。 1294 ︻EXーHシーン︼俺と、キリカと、制服ふたたび︵後書き︶ というわけでシチュエーション投票で上位となった結果から﹁今度 は正気で制服Hふたたび﹂﹁恥辱のアナル開発プレイ﹂を主軸に、 扱ってほしいプレイ内容投票結果の上位﹁事後のいちゃいちゃ会話﹂ ︵正確には一回戦目終わった後ですが︶﹁キス﹂﹁種付けプレス﹂ ﹁騎乗位﹂﹁着衣セックス﹂を組み合わせたものとなりました。 そして第四回の投票、開始しました!︵下部のリンクから飛べます︶ ぜひぜひご参加頂ければと思います! 1295 三章終了時点主要キャラクターまとめ&設定紹介︵前書き︶ というわけで三章終了&書籍四巻発売を記念し、恒例のEX・H シーン投票を開始します。 投票の結果、首位となったキャラクター1人ないし2人とトオル のシーンを書き下ろさせていただきます。 どなたでも投票可能ですので、ぜひぜひページ下または目次下の リンクからご参加くださいませ︵締め切りは今月いっぱいを予定︶。 また、併設している人気投票のご参考も兼ねて、主要キャラクタ ーの紹介やこれまで本編で書く機会のなかった設定などを以下に軽 くまとめました︵なお、読まなくても本編に支障はありません︶。 三章終了時点までのネタバレが含まれてますので、そこはご注意 下さいませ。 1296 三章終了時点主要キャラクターまとめ&設定紹介 ※三章終了時点でのレベルアップがあるキャラは、それも書かれて います。 ■姫騎士キリカ ジョブ:姫騎士LV10 スキル:︻聖騎剣技LV8︼︻魔法抵抗LV3︼︻料理LV1︼? ?? 特殊装備:煌剣アルカンシェル︵覚醒段階1︶ 特記事項:トオルの愛隷 本名、姫野桐華。父親が弁護士、母親が聖職者という裕福だがや や堅苦しい家庭に育ち、優等生としての生き方を無言のうちに求め られる︵そして本人もそれを察して自分を自然と﹁両親の望む自分﹂ という型にはめる︶抑圧された幼少期を過ごしたことが、潜在的な 性欲の強さ︵本人は無自覚︶に結びついている。 努力型の秀才で、頭の回転は速いがいざという時には自分の殻を 破れず失敗するタイプ︵根本的に自分に自信がないことに起因する︶ なため、型にとらわれない大胆な決断と命令ができるトオルはベス トパートナー。天性の空間認識能力を持ち、聖騎剣技スキルとの相 性にかけては歴代の姫騎士中トップクラス。 学生時代に男たちから向けられていた視線には多少は気付いてい たが、まさかエロ妄想を抱かれているとはとても想像は及ばなかっ たようだ。 トオルへの呼称は以前は﹁小田森くん﹂今は﹁トオルくん﹂。 ■メイド法術師ニーナ 1297 ジョブ:法術師LV9 スキル:︻強化魔法LV4︼︻空間魔法LV4︼︻治療魔法LV1︼ ??? アメリア、シエラ、ナナと共に活動していた冒険者パーティの一 員。童顔でやや幼児体型、友人たちと並ぶと一人だけ幼く見られが ちなのが悩みの種。予言の塔の一件以来、なぜか常にメイド服姿。 平凡な地方村の出身だが、術師の才を見出され大陸最高学府の魔 法学院を卒業。天性の高速計算能力が術者に要求される空間魔法の 三重術師 トリニダード は全法術師中でも2%以下に過ぎないこ 使い手としては世界レベルの才能の持ち主。また、三種類の魔法体 系を習得した とからも彼女の優秀さが伺える。 なお、魔法学院の講師級でも法術師レベルが8を超える者はごく 少数である。 トオルへの呼称は﹁ご主人さま﹂。 ■女戦士アメリア ジョブ:戦士LV9 スキル:︻剣技LV4︼︻盾技LV5︼︻料理LV1︼ ??? 特殊装備:連鎖刃ビュートブレイド ニーナたち冒険者パーティの中ではリーダー的位置にいた男勝り の女戦士。代々冒険者の家系に生まれ育ち、少人数でのドラゴン討 伐すら成し遂げた著名な女ギルドマスターを母親に持つ︵父親は戦 死したため母子家庭︶。その影響もあって﹁男には負けない﹂を信 条としてきたが、内面では無自覚に﹁男に屈服したい﹂という性癖 を押し隠しており、トオルによって開花させられることに。好戦的 でやや武器フェチの気がある。 実は、パーティを組むまで料理はまるでできず﹁腹に入れば同じ だろ﹂と公言していたが、ニーナに﹁そんなんじゃお嫁さんになれ 1298 ませんよ﹂と言われて内心ショックを受け、猛勉強して改善した一 面を持つ。 トオルへの呼称は﹁マスター﹂。 ■魔貴族パルミューラ︵トオルの成長により、本来の力を一部取り 戻した︶ ジョブ:魔貴族LV12↓14 スキル:︻魔界魔法LV10↓12︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? かつてイヴリースに八冥家の座から一族を追い落とされ、領土と 臣下のすべてを失った没落魔貴族の最後の生き残り。その境遇から、 魔族には珍しい柔軟な思考と努力の才を身に着け、人間たちに比べ て﹁創造性﹂そのものに大きく劣る魔族でありながら﹁新たな術を 開発する﹂という一種の離れ業を実現した非凡さを持つ。 魔族の外見は本人の精神性を強く反映するため、幼い姿のままな のは過去の敗北と﹁イヴリースには勝てない﹂というトラウマに起 定着 した姿はそう簡単には 因している︵フラミアにも同様のことが言える︶。今はそれから解 放されつつあるが、かといって長年 変えられないので、あっさり胸がでかくなったりはしない。 トオルへの呼称は﹁魔隷術師トオル﹂最近は﹁トオル﹂呼びも多 い。 ■精霊弓士シエラ ジョブ:精霊弓士LV9 スキル:︻弓技LV4︼︻精霊魔法LV2︼︻隠密行動LV3︼ ??? 特殊装備:星讃弓サウザンドライト 無口、無表情だが実は内面では感情豊かで情が深いエルフ。同族 には珍しい巨乳を持つ。実の姉妹同様に育ったディアーネの巫女と 1299 しての 短命の呪い 探索を続けていた。 を解くため、故郷のシェイヨル大森林を出て 興味を持った相手に対しては積極的で、口先ばかりの男たちのパ ーティを見限って抜けたアメリアと、魔法学院の卒業研究に必要な レア魔法試料を回収に行く護衛を探していたニーナを引き合わせ、 パーティを結成させる切っ掛けを作ったのは彼女である。 トオルパーティ中一番の大食漢で、一度に成人男性三人分近く黙 あるじ 々と食べる。栄養は全部乳に行くようだ。 トオルへの呼称は﹁主さま﹂。 ■アールマ・ヴァルキュリア・Ⅶ︵通称ナナ︶ ジョブ:対異層次元突入任務用独立稼働殲滅兵器LV13 スキル:︻異界兵器LV6︼︻格闘LV3︼︻頑強LV3︼︻自己 修復LV1︼ ??? 破天の骸根絶のため、異世界から送り込まれた遺跡プラントの一 部で数千年の間眠っていた自我持つ戦闘ユニット。本来の任務メモ リーを失い、古代のアーマーゴーレムの一種と誤解されたまま、発 見したアメリアたちのパーティの一員となっていた。 ちなみに、現在の美少女ボディにならなかった場合でも﹁セック スする﹂と約束したトオルは本気で、遺跡都市の闇市で﹁魔法生物 の構造材と癒着一体化するオナホール型マジックアイテム︵ゴーレ ムや岩精霊などに欲情する一部の特殊性癖者御用達︶﹂を購入する 準備を進めていたようだ。 トオルへの呼称は﹁ご主人﹂。 ■異界機士セレスタ︵レベルUP!︶ ※※※※※不正な手段によってジョブが変更されています※※※※※ ジョブ:異界機士LV4↓6 スキル:︻剣技LV7︼︻異界兵器LV3↓5︼︻魔法抵抗LV1︼ 1300 ??? ※※※※※不正な手段によってスキルが変更されています※※※※※ 代々ランバディア王家に仕えてきた騎士の家系に生まれる。敬愛 するシスティナ姫の守護騎士として最大の栄誉たる﹁姫騎士﹂の称 号の最有力候補とみなされるも、突然現れたキリカにそれをかっさ らわれた。 なお、父親︵近衛騎士筆頭団長︶は別に生き方まで強制している わけではないのだが、彼女本人が﹁父上にバレたらきっと怒られる﹂ と勝手に思い込んで﹁騎士らしくないもの﹂﹁かわいいもの﹂を必 死に遠ざけたり、こっそり隠し持ったりしていた。父親も内心では 可愛い服装の娘とか見たいのだが、悲しいすれ違いである。 ちなみに、凛とした風貌から年下の同性にファンが多く、ラブレ ターをもらったこともあるのだが、果たし状と勘違いして騒ぎにな りかけて以来﹁セレスタさまは遠くから愛でるだけ﹂が周囲の共通 認識となった。 トオルへの呼称は以前は﹁貴様﹂﹁魔隷術師﹂呼び、最近は﹁ト オル﹂。 ■ランバディア第三王女システィナ姫 ジョブ:予言の姫LV14 スキル:︻予言夢LV14︼︻高貴なる覚悟LV2︼ ??? 予言の姫 。 ランバディアの至宝と讃えられた稀代の美姫にして、数世代ぶり に王家の血から発現した 姉と兄が合わせて五人おり、周囲のあらゆる人間からいささか過 保護気味に育てられたが、世間知らずなだけの人物ではなく予言ス キル抜きでも優れた直感能力やカリスマ、専任教師たちが舌を巻く ほどの多様な学才を身につけている。対等の友人に長く飢えていて、 キリカを取り立てたのはその期待もあってのことだったようだ。 1301 なお彼女の肖像画は、年に数回の公開式典の前後ともなれば日に 五万枚以上を売り上げるという。このまま故郷に戻らなければ多く のファン︵老若男女問わない︶や芸術家たちが涙に暮れるだろう。 トオルへの呼称は﹁トオルさま﹂。 ■ダークエルフの巫女ディアーネ 部族の祭祀を司る、巫女姫の血筋を受け継ぐダークエルフ。シエ ラとは部族間の倣わしで実の姉妹のように育った。触れたものの意 志を読み取る精神感応能力を持ち、同部族内では生き神のように崇 められている。 清楚で超然とした人物だがその実﹁乱暴に犯されたい﹂﹁汚され たい﹂﹁精液を浴びたい﹂﹁というか孕まされたい﹂﹁ハーフダー クエルフいっぱい産まされたい﹂とかなりドロドロした欲求を深層 心理に溜め込んだ、こじらせまくった女性。五感が鋭い反動で匂い フェチでもあり、トオルが部屋に入って来たことをかすかな体臭︵ 主に下半身の︶でわかってそれだけで子宮がきゅんきゅんしてしま うのが最近の悩みの種。 システィナ姫とは茶飲み友達。実は猥談とかもしてみたいのだが さすがにはしたないので自制している。 トオルへの呼称は﹁トオルどの﹂。 ■狂公女フラミア︵トオルの成長により、本来の力を一部取り戻し た︶ ジョブ:狂公女LV13↓15 スキル:︻空間破砕LV11↓13︼︻魔法抵抗LV2︼ ??? 八冥家イヴリースの実妹。本来は戦いを好まない優しい性格で、 狂公女としての好戦的なペルソナはその実、逆らえない姉の命令と 殺戮のストレスの板挟みで発狂しないための本能的自衛手段に近い。 1302 トオルの欲望に過剰なまでに応えようとするのも﹁姉にそうされ たようにまた捨てられるのが怖い﹂という無意識が根底にあるが、 それはそれとしてセックスに天賦のセンスを持ち、また行為自体が 楽しいのも事実なので、本人の中で少しずつその境界はなくなって いきつつあるようだ。イヴリースの下を離れトオル一行の一員とな 妖狐 ワー の肩書きを持つが厳 ったことで、あらゆる意味で救われたといえる。 トオルへの呼称は﹁お兄さん﹂。 ■妖狐天仙ミクラ 数千年以上を生きる八冥家最古参。 フォックス 密な意味で同族はおらず、一種一体の存在。魔族だが、人間界の半 狐族からは古来より神として崇められているという側面も持つ。 魔界そのものを強く愛しており、魔王戦争のような大規模動乱を 二度と起こさないようさまざまな策謀を巡らしている。飄々と人を 食った態度は計算して演じている部分が少なからずあるが、享楽的 な性格は地でもあるので、ある意味﹁仕事と趣味が合致している﹂ 人物。 過去、同志であり一時期恋人でもあったとある相手を陰謀劇の果 てに失ったことを少なからず悔いており、気に入った人間︵今はト オル︶に庇護を与え、成長させることが趣味なのは本人なりの罪滅 ぼしでもあるようだ。 トオルへの呼称は﹁坊や﹂。 ■ギャル勇者リルナ ジョブ:勇者LV10 スキル:︻格闘LV5︼︻頑強LV5︼︻魔法抵抗LV∞︼︻フォ ームチェンジLV0︼︻料理LV1︼ ??? 本名、橘莉琉奈。中学生時代までは比較的地味な少女だったが、 1303 一転してギャルファッション&今の性格になったのはトオルと出会 って何かしら心境の変化があったかららしい。なお、胸も急速に成 長したとか。 善良で天真爛漫なおばあちゃんっ子、行動力に溢れたマイペース な性格。好奇心旺盛で何でもすぐ好きになり、一度好きになれば上 達も早いという天才型の万能人間。祖母︵故人︶は本人曰く﹁厳し いとこもあったけど昔話が凄く面白かった、若い頃は女スパイとか 探検家やってたみたい﹂とのことだがどこまで本当か不明。 趣味はアニメとゲーム︵どちらもジャンルを問わず気に入ったも のを見て遊ぶ︶とプロレス観賞、気に入った相手にあだ名をつける こと。爬虫類やローカルゆるキャラなど一見キモいものを時々﹁可 愛い﹂と喜ぶ。 トオルへの呼称は﹁トオルっち﹂。 ■魔隷術師トオル ジョブ:魔隷術師LV25 スキル:︻隷属魔法LV15︼︻魔の契約LV3︼︻魔隷強化LV 10︼︻骸の侵蝕LV1︼??? ・現在の魔隷︵残り枠:3人分︶ ︻姫騎士キリカ︵愛隷︶︼︻メイド法術師ニーナ︼︻女戦士アメリ ア︼ ︻エルフの精霊弓士シエラ︼︻魔貴族パルミューラ︼︻女伯爵ユー リナ︼ ︻狂公女フラミア︼︻異界機士セレスタ︼︻巫女姫ディアーネ︼ ︻勇者リルナ︼︻異界戦機ナナ︼︻破天の骸︼ 特殊装備:破天の左腕 主人公。平凡な中流家庭に生まれ、別にイジメられているわけで はなかったが自己主張が薄くなんとなく他人とのコミュニケーショ ンに失敗し続け、ぼっちの学生生活を送っていた。 1304 一度死んだことをきっかけに﹁第二の人生は後悔しないよう自由 に生きる﹂方向に覚醒し、倫理も死の危険も省みず欲望のままに突 き進む。ミクラ曰く、人間としては規格外の意志力を身に付けつつ ある。 嫌いなことは自由を束縛されることと、他人に借りを作ること。 悪人を自認する割には義理堅い一面があるが、これは負い目や引け 陽炎魔城 の主。フラミアの実姉。比較 目があると心から自由を満喫できないという信条に由来する。 ■八冥家イヴリース 業炎砂界にそびえ立つ 的新参でありながら、多大な戦力と影響力を誇り他の八冥家からも 一目置かれ︵あるいは警戒され︶ている存在。 高純度魔力溶液の球体に千年単位で浸かっていたのは、おそらく 魔力を補給するためと見られているが、なぜ長い期間不自由な状態 親 が何者か知る魔族はい にあってまでそれほどの魔力を必要としたのかは謎。 フラミアとは姉妹だが、彼女たちの ない。フラミアにしても突然、実の妹と呼んでいずこからか連れて 来たというが、その背景を探ろうとして次の日の出を無事迎えられ た者はいない。 ■クルス 銀の仮面で素顔を隠した謎の人物。異例の抜擢によりイヴリース 陣営の腹心におさまった。 に事故 はトオルたちのクラス 前 トオルはその正体を元クラスメートのいじめられっ子、来栖アラ ヤであると認識しているが、だとするとバス事故より 鈴ちゃん先生 死したはずの彼がこの世界に転生できた理由は不明。 なお、名前のみ登場した の元担任教師で、教育実習を終えたばかりの新任女教師。善良だが 小心者で、生徒に友達感覚でナメられるタイプの先生だったようだ。 1305 ■剣魔卿シュトラール ライオンの頭部を持つ屈強な第四位階魔貴族。イヴリースに長年 仕えた現場叩き上げの忠臣。 さまざまな種族への特効能力を持つ十二魔剣は単独戦闘において 無双を誇るだけでなく、短時間ならコピーしていくらでも増やせる ため、それらを持たせた魔兵を指揮することでも多大な戦力を発揮 する。 かつての魔界の争乱で妻を失っており、フラミアには娘に向ける にも似た擬似的な家族愛を抱いていたが、イヴリースの命には逆ら えず、また自分では彼女の心を救えないことも理解していた。 趣味はたまの休日の庭園いじりと、三次元魔術投影式クロスワー ドパズル。豪傑風だが酒は一滴も飲めない。 ■龍血魔公ヴラドヴェリ レッド・ドラゴン 八冥家筆頭。龍の中の龍と称えられた龍族の貴種、赤帝龍の最後 の生き残り。 千年ほど前に種としての寿命が尽きかけたため、延命を望んで魔 界最強の吸血鬼を喰らい取り込むことでヴァンパイアの特性を併せ 持った、世にただ一体のドラゴヴァンプ。正面から戦えるのは三大 公のみとされる。 魔界の平穏を望んではいるのだが、良くも悪くも古参の大魔貴族 らしく尊大でいささか頭が固く、ミクラと違って策謀も不得手、沸 点も低い。おかげでミクラはフォローにそれなりに苦労しているよ うだ。 一回の食事で十数トンにおよぶ血液︵大半は魔力で生成させたも の︶を貪り飲むが、本人はこれでしか魔力を補給できない体になっ たことに辟易しているようで、美味い血の料理を作れる料理人を高 給で捜索させている。 1306 ■オルト 破天の骸根絶のために、ナナと同じ異世界で造られた人造知性体。 オルト 。本来、ナナたちアールマ・シリーズのバックアップサポ 正式な呼称はアールマ・ヴァルキュリア・タイプオルタⅡ リンデ ート機として用意されたため、演算能力と分析能力に特化している。 次元 で吹き飛ばそうと画策するもトオルたちに阻まれ失敗。その 故郷への郷愁を行動原理に、すべての破天の骸を世界ごと 起爆 真意を知った彼の手で元の世界に送り返されたが、以後の消息は不 明。 リルナのことは目的が一致する限りにおいては信頼しており、パ ートナーとして素直に評価もしていた。 ■斧戦士サイネクとその一行 人間の5レベル斧戦士。一旗揚げようと遺跡都市にやってきた途 端、晶片獣の襲撃に遭い全滅しかかるもトオルたちに救われる。そ の後、本人もそれと知らないまま彼とリルナを引き合わせる切っ掛 けを作った。 パーティメンバーはハーフエルフの4レベル盗賊ジュノ︵同じ村 の出身︶、人間の4レベル神官戦士シャソス︵ハゲ頭はファッショ ンで剃っている︶、人間の5レベル老法術師リクシーノ︵年下の妻 と離婚調停中︶。 ■副市長レイフェル パットフッツ 遺跡都市改め巨人都市パラヴァータの副市長。耳や尻尾に犬の特 徴を持つ半犬人。 若くしてその地位にある有能な人物で、危機管理と根回しに優れ、 1307 オルトの騒動の被害を最小限に食い止めた縁の下の功労者。﹁あの 人はしっかりしてるから男なんかに支えられなくても大丈夫だろう﹂ と思われがちで恋人ができたことがないのが密かな悩みの種。好物 はシナモンアイスクリームで、仕事に煮詰まると大量にかき込む。 ■ユーリナ女伯爵 シェイヨル大森林近くに広大な屋敷を持つ若き女伯爵。王家の縁 者、つまりシスティナ姫とは遠い親戚筋にあたる。 政治的な理由で華やかな王都から離され、田舎領主として押し込 められたことに不満をつのらせており、夜な夜なメイドを軽度のS Mプレイでいじめる︵痛いのは自分が怖いのでごく軽度︶のが唯一 の憂さ晴らしだった。 だがトオルにあっさり隷属されて処女を散らされ、資金源にされ たあげく今は絶賛放置プレイ中だが、それを愉しめるほどのマゾ性 癖に開花したある意味しあわせな人物。派手すぎる化粧を落とした 方が実は美人。 ■村娘アンジェ︵活動報告参照︶ 魔隷術師となったトオルに最初に捕まった村娘のひとり。平凡な リンゴ農家の娘で、退屈な田舎をいつか出て都会に行くことに憧れ ていた。独特のなまり︵中途半端な関西弁もどきに翻訳される︶で 喋る。 外見は可愛らしくスタイルも悪くないが、意外と口が悪く思った ことをずけずけ言う性格。トオルに処女を散らされたことも﹁まあ それはそれ﹂と新たな生活をエンジョイできる、妙なたくましさと 適応能力の持ち主。 ■村娘レア︵活動報告参照︶ 1308 魔隷術師となったトオルに最初に捕まった村娘のひとり。村長の ファッションお嬢様 っぷりは友人か 娘で、その立場を少し鼻にかけるプライドの高いところがあったが、 無理してお嬢様言葉を使う ら生暖かい目で見られていた。縦ロール気味の金髪という絵に描い たようなお嬢様スタイルだが胸は貧しい。 アンジェとはケンカ友達の腐れ縁だが、なんだかんだで仲は良い 様子。好きなおやつは豆、と庶民的。 ■村娘グレース︵活動報告参照︶ 魔隷術師となったトオルに最初に捕まった村娘のひとり。村の教 会の娘で、信心深い清楚なシスター見習いとして近所のご老人から ﹁息子や孫の嫁にしたい﹂と高評価だが、実は超のつく耳年増でむ っつりスケベ。 村の裏山で拾った官能小説﹃緊縛女騎士∼媚肉のわななき∼﹄を こっそり宝物にして擦り切れるまで愛読している︵なおアンジェに はバレている︶。着やせするタイプで胸と尻のボリュームはなかな かのもの。 1309 閑話:魔隷たちとの日常∼ニーナ/セレスタ/システィナ編︵前 書き︶ 四章開始までの箸休めと、投票企画の参考も兼ねて、ショートシー ン集的なものを投下していきます。 1310 閑話:魔隷たちとの日常∼ニーナ/セレスタ/システィナ編 ︻ニーナ編:まったり挿入でゆったりお昼寝︼ ﹁はぁぁぁ⋮⋮! あ∼、ニーナのマンコのまったり感、癒される なぁ⋮⋮﹂ 俺はベッドに仰向けになった状態でメイド法術師に挿入し、小柄 な体を抱きかかえて密着している。 ふわふわトロトロの柔らかい膣内は、絶妙な優しい感触でチンポ を包み込んでくれて、このまま何時間でも動かずにこうしていたい くらいだ。 ﹁うふふ、ご主人さま最近色々お疲れみたいですもんね。私でよけ れば、こうやっていつでもケアしてさしあげますよ﹂ ﹁ああ⋮⋮ありがとうニーナ。お前のサポートにはいつも助けられ てるよ、感謝してる﹂ ﹁そ、そんな。あらたまって言われると、ちょっと恥ずかしいです ⋮⋮嬉しいですけどねっ﹂ ヘッドドレスのついた柔らかい金髪を労るように撫でると、ニー ナは﹁えへへっ﹂とはにかんで嬉しそうに俺の胸板にほっぺを密着 させてきた。 癒しマンコに埋まったチンポが、心臓の鼓動に合わせるようにキ たゆた ュンキュンっ⋮⋮と優しくマッサージされ、まるで母性的な安心感 の海にぷかぷかと浮かんで揺蕩っているようで心地良い。 必死に腰を動かす必要も、あの手この手で愛撫を重ねる必要もな い穏やかなセックスというのは、思った以上に癒される不思議な体 1311 験といえた。 ﹁んぁ⋮⋮っ。いつでも好きに動いて構いませんからね、ご主人さ ま?﹂ ﹁ああ、でも今はもう少しこのままでいたいかな。ニーナにこうし て包まれてるの、なんか幸せだ﹂ ﹁⋮⋮私もです。じゃあ、しばらくこうしていましょうか﹂ そうして、ひとつに繋がりながら。 しばし、至福の昼寝タイムにまどろむ俺たち。 ﹁ああでも、ニーナがガマンできなくなったら腰とか動いていいん だぜ?﹂ ﹁えぇ∼、私ガマンできますよぉ? ふふっ、そんなこと言ってご 主人様の方が動きたくなっちゃうんじゃないんですか?﹂ 珍しく、いたずらっぽい笑みを浮かべて俺を挑発するように言う ニーナ。 ﹁ほほう、言ったな? じゃあガマン比べだ、勝った方が負けた方 になんでもひとつ好きなプレイをさせられるってことで﹂ ﹁え、そんなこと言っちゃっていいんですかご主人さまぁ? 私、 勝っちゃいますよ?﹂ ﹁ふふん、俺だって負ける気はないぜ﹂ 妙に自信満々、ドヤ顔のニーナに負けじとそう宣言する俺だった が、次の瞬間。 予想外の刺激がぞわぞわと、胸板から這い上がってきた。 ﹁うっ⋮⋮!? こ、こら待てニーナ、乳首とか触ってくるのは反 1312 則じゃないのかっ!?﹂ ﹁うふふっ、パルちゃんに聞いたご主人さまの弱点です。さ∼てさ て、どこまでガマンできますかね∼?﹂ ﹁く、そういうことならこっちも手段を選ばんぞ! うりゃっ⋮⋮ ふんっ!﹂ ﹁っっふあぁ!? ちょぉっ⋮⋮!? ご、ご主人さまぁ、おなか の中でおちんぽさんピクピクさせるのはアウトなんじゃないですか ぁ∼!?﹂ ﹁んん∼聞こえんなぁ? 腰は動いてないからセーフだろ、セーフ !﹂ わいわいきゃあきゃあと、繋がって寝そべったままじゃれあう俺 たち。 結局、変な方向にエスカレートした勝負は、勝者不在のままうや むやのうちに終わるのだった⋮⋮。 ※ ※ ※ ︻セレスタ編:ドレスアップだ女騎士︼ ﹁ほらほら、いい加減諦めて出てこいよセレスタ。いつまで待たせ るつもりだ?﹂ ﹁まっ、待てっ!? これ多分、絶対何かおかしいぞっ、だっだか らっ待て! あと心の準備がまだっ⋮⋮!﹂ カーテンの向こうで盛大に慌てている女騎士。すーはーすーはー と、深呼吸の音が聞こえてくる。 何をしているかというと、単に新しく買った服に着替えているの 1313 だ。 いつかの、キリカや姫と行った買い物⋮⋮リルナと再会したあの 店で見繕ったものである。 これでも最大限に温情をかけてナマ着替えを視姦するのは勘弁し てやったというのに、往生際の悪いヤツだ。 ﹁ううっ⋮⋮! く⋮⋮こ、これでいいのか⋮⋮? ああぅうぅっ、 ぜ、絶対私を笑い者にする気だこいつ⋮⋮っ!﹂ ようやく観念して、カーテンがおずおずと開かれる。 純白のイブニングドレスに身を包み、うっすら赤面してぷるぷる 震えるポニテ騎士がそこにいた。 精緻な高級レースに彩られた胸元のライン、窮屈さを感じさせず 上品に引き締まったウェスト、幾重にも折り重なった薄い布地が優 雅に流れる脚部のシルエット。 肩口と背中は大胆に開いているが、かといって品のなさは欠片も なく、セレスタのすらりとしたスタイルの良さもあって流麗かつ女 らしくまとまっている。 どこに出しても恥ずかしくない、上流階級の淑女の姿だった。 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂ ﹁お、おい。何か言え⋮⋮わ、笑うならひと思いに笑え﹂ 下唇をきゅっと噛んで、うらめしげな上目遣いで俺を見るセレス タ。 ﹁あ、いや⋮⋮普通に綺麗で、茶化すような気にならなかった。似 合うな、それ﹂ ﹁なっ、なななぁっっ̶̶̶!!?﹂ 1314 俺が素直な感想を口にすると、セレスタは真っ赤になって盛大に 当惑した。 そういえばこいつ、名門貴族のお嬢様なんだよなぁ⋮⋮と、今さ らながらに変な感慨と納得を抱いてしまう。 ﹁せっかくだし今日はそのかっこでいろよ。姫もきっと喜ぶぜ﹂ ﹁な!? ちょちょちょっと待てっ、そ⋮⋮それは恥ずかしいっっ、 わ、私がこのような似合わぬ格好をして喜んでいると思われてしま うではないかっ!?﹂ いや内心こういうの着るのを喜んでるんじゃないのかとか、だか ら似合ってるんだけどなぁ⋮⋮とか思うが。 そこであることを思いついた俺は、ニヤリと笑い耳元でささやく。 ﹁じゃあ、俺とこのまま部屋に二人でいるか?﹂ ﹁え⋮⋮? って、トオル貴様っ! そんなことを言ってまた私に 変なことをするつもりだろう⋮⋮こ、このケダモノめ﹂ ﹁いやいや安心しろ。せっかくこんな見目麗しいお嬢さんが目の前 に現れたんだ、視姦⋮⋮じゃなくてゆったり眺めつつ一緒にお茶で もしたいだけさ。ほら、ちょうど姫さまたちが作ってくれたお菓子 もあるぜ﹂ ﹁ッ⋮⋮! ほ、本当だな? 二言はないな? そ⋮⋮そういうこ となら、付き合ってやる﹂ ぷい、と口をとがらせて顔をそむけつつも、俺にうっすら照れた 視線をちらちら送ってくるセレスタ。 そしてボソボソと、 ﹁ま、まあ、この服を選んでくれた⋮⋮あ、いや、押しつけられた 1315 とはいえ一応買ってもらった借りはある、しな⋮⋮﹂ ﹁なになに? よく聞こえなかったんだが、もう一回言ってくれる か?﹂ ﹁∼∼∼∼∼っっっ!? ぜ、絶対聞こえたくせにわざと言ってる だろ貴様ぁ!?﹂ その後結局、ムラムラ来た俺によって隷属魔術で拘束され、ドレ ス着衣立ちバックHに持ち込まれてしまうセレスタだったが。 ⋮⋮いつもよりほんの少しだけ、その抵抗は弱々しかった気がし たのである。 ※ ※ ※ ︻システィナ姫編:ロイヤル手袋コキで大量射精︼ ︵くぅぅっ、うぉ⋮⋮っ! こ、このすべすべした何ともいえない 握られ感、たまらん⋮⋮っ!︶ ミリ以下の精度で織り成された花弁状の白いレースに彩られた、 たおやかな指。 ランバディアの至宝と呼ばれたシスティナ姫の白魚のようなそれ が今、俺の赤黒い勃起肉槍に絡み付き、にゅこにゅこ、すこすこと 一心不乱にシゴきあげている。 膝枕でロイヤルおっぱいをクッション代わりにもたれかかり、い わゆる授乳手コキに似た体勢で姫に体を預けながらの極楽ご奉仕タ イムというわけだ。 ﹁くはっ⋮⋮おおっ⋮⋮だいぶチンポしごきが上達しましたね姫、 1316 俺のも悦んで先っぽから嬉し涙を流してますよ﹂ ﹁うふふ、それはトオルさまが懇切丁寧にやり方を教えて下さった からですわ。ではわたくしのお手々で、ぱんぱんに腫れたおチンポ さま⋮⋮もっとコかせていただきますわね?﹂ ふんわりした金髪を揺らし、にっこりと宝石のような瞳が天使の 笑顔を向けてくる。 俺の影響で無自覚にエロ下品なセリフを口にしてしまいつつ、手 慣れた動作でカウパーまみれのチンポをシコりあげるシスティナ姫。 悪い子 に育ち セレスタと姫はまだほとんど一緒にHさせてないから、あの女騎 士は敬愛する姫が取り返しのつかないエロ調教で つつあると知らない。お披露目の時が楽しみだな。 ﹁んっ⋮⋮んっっ⋮⋮! どうでしょうか、トオルさま? わたく しちゃんと、お勃起を手袋コキでシコシコするおセンズリのお手伝 い、できておりますかしら?﹂ ︵うっ⋮⋮こ、この清楚な声でそんなセリフ聞いていると今にも暴 発しそうだ⋮⋮ッ!︶ 彼女を女神のように憧れ戴くランバディア国民が聞いたら卒倒モ ノの淫語⋮⋮無垢なプリンセスに俺が好き放題仕込んだそれらを、 上品なたたずまいのまま平然と口にするのだから、その破壊力たる やすさまじい。 しかも片手で血管ビキビキのサオを丁寧にしごきあげつつ、もう 一方の手のひらは亀頭を上から包むようにかぶせて、手袋に先走り が染みるのもかまわずグリグリとすりこぎを使うように複合愛撫し てくるのだ。 その甲にかすかに触れるだけでも、忠勇の騎士が末代までの名誉 に感じるだろう姫の手⋮⋮そんな高貴な箇所を欲望まみれのヌキ道 具にさせているという優越感もたまらない。 1317 ﹁ああっ、す⋮⋮すごく上手だ姫っ、そのままもっと強く握って、 しごく勢いを加速させてくれっ⋮⋮くうぅぅっっ!?﹂ ﹁まあ、トオルさまったらこんなに汗をかかれてせつなそう⋮⋮で はもうすぐ﹃おチンポミルクタンクのお金玉﹄がキュッとせりあが って、このたくましいお肉の柱から﹃くっさぁい孕ませドスケベざ ぁめん﹄が﹃どくどくどっぴゅん﹄と撒き散らされてしまうのです ね⋮⋮?﹂ ﹁うぁあっ、ひ、姫っ⋮⋮!!﹂ い⋮⋮いかん、性知識に疎い姫が俺を疑わないのをいいことに少 々エロ淫語を調子に乗って教え込みすぎたかもしれん。 俺のガマンがぷつんと切れ、やおら姫を押し倒すと、言いつけ通 りガーターベルトだけでノーパンにしている秘所にググッと亀頭を 押し当てる。 ﹁ふあぁっ!? と、トオルさま突然何をっ⋮⋮んはぁぁぁぁああ あ∼∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ さっきまでの行為で姫も興奮していたらしく、すでに十分に濡れ ていたロイヤルヴァギナへと、射精寸前のチンポを突き入れる。 心地良いぷりぷり柔肉をかき分ける抵抗感がトドメとなり、すで に暴発寸前だった俺の堤防はすぐに決壊した。 で ﹁ううっ、くぅぅぅおッッ⋮⋮!? ああッ射精るっ、一国の姫の 高貴なマンコでシコられチンポ汁好き勝手に排泄するっ⋮⋮くはぁ ぁぁっ!!﹂ どぴゅぶりゅりゅりゅっっ⋮⋮どぶんどくどくぅぅんっっ!! んびゅるるるっっ、どくどくッッどぴゅぶぴゅぅぅッッ1! び 1318 ゅるるくんっっ!! ﹁んぁぁああっ!? きっ、来てますわぁっ⋮⋮トオルさまの熱ぅ い﹃どぴゅどぴゅざぁめん﹄がぁっ、わたくしの中でたくさんたく さんはじけてますぅぅ⋮⋮わぁぁ⋮⋮っ!! ふぁ、んふぁあぁぁ あああっっ!!?﹂ 使う という贅 ただ射精の受け皿にするためだけに、ランバディアの至宝と呼ば れた美姫の、一国の未来を左右しかねない場所を 沢で下劣な行為。 その背徳感と、俺だけがそれを許されている特権意識に興奮し、 気持ちいい射精が後から後からなかなか止まらない。 ﹁おぉ、くぅッ⋮⋮! 俺の、男のチンポをシゴく遊びでマンコを じゅくじゅくに濡らすだなんて、すっかり悪い子だなぁ、システィ ナ?﹂ ﹁い⋮⋮言わないでくださいまし、あぁぁ⋮⋮っ!﹂ 挿入の衝撃で軽くイッたらしいまろやかな膣内を、半勃ちチンポ でぐちゅぐちゅと精液を塗り込むようにかき回す。 ﹁こうやって今度は姫のヒダヒダでしごいてまた勃起させて、今日 はこのまま抜かずの二発、三発とハメまくるからな⋮⋮? 俺の子 種がロイヤルマンコ逆流するまでナマ注入しまくってやるから覚悟 しろよぉ?﹂ ﹁は、はいぃ⋮⋮っ! ど、どうぞわたくしにいっぱいハメハメパ コパコして、もっと悪い子にされてしまう素を注ぎ込んでください、 ませっ⋮⋮んぁぁはぁぁぁんっっっ!?﹂ こうして、王国の至宝と呼ばれた類い稀なる美貌の第三王女を、 1319 俺だけの悪い子へと調教する遊びは⋮⋮今日もねっとりと着々と、 進行してゆくのだった。 1320 閑話:魔隷たちとの日常∼ニーナ/セレスタ/システィナ編︵後 書き︶ 好評なようでしたら、これらのシーンを膨らませてEX・Hシーン などに使うかもしれません。 1321 閑話:魔隷たちとの日常∼アメリア/フラミア編 ︻アメリア編:女戦士、羞恥の人前凌辱!︼ ﹁感激ですぅ⋮⋮! この街を救った英雄パーティに、まさかアメ リア先輩がいたなんて!﹂ ﹁さっすがアメリア先輩っす! あたしマジ、リスペクトっすよ!﹂ 赤毛の女戦士をキラキラした目で見つめる、二人の少女冒険者。 彼女たちは、アメリアがニーナやシエラとパーティを組む前に一 時期、同じギルドで面倒を見ていたという駆け出し冒険者たちだ。 今日、俺とアメリアは武具を新調するために巨人都市パラヴァー タの商業区画に出向いていた。 そこで偶然、彼女たちと再会し、せっかくだから⋮⋮と一緒にお 茶をすることを提案して今に至るというわけだ。 だが⋮⋮当のアメリアは、というと。 ﹁は、はは⋮⋮っ。よ、よしてくれよお前ら、照れくさいじゃない かっ⋮⋮んぁんっ!?﹂ ﹁?? どうしたんっすか、先輩?﹂ ﹁なんだか、お顔が赤いような⋮⋮?﹂ ﹁あ、いっいや! な、なんでもないんだっ、気にしないでくれっ ⋮⋮んぁ、やっあぁ⋮⋮っ!﹂ 赤面して目は伏せがち、いつもは明るく男勝りな美貌と健康的に 日焼けした肢体を、時々びくびくぷるぷると震わせている。 1322 まあ、無理もない。 だって隣に座る俺が、彼女のぷりんっと弾力に飛んだ巨乳と軽装 に隠されたアソコとを、さっきから揉んだりまさぐったり好き放題 愛撫しているからだ。 ﹁はぁ、あぁっやっ⋮⋮ま、マスターっ⋮⋮! こ、こいつらの前 じゃ許しっ⋮⋮んぃいっ!?﹂ ﹁先輩? どこかお体の調子でも?﹂ ﹁やっ、ち、違うんだ、どうもしなっ⋮⋮いぃ⋮⋮っ!﹂ もちろん、普通ならこんな堂々たる痴漢行為は、机を挟んですぐ 目の前に座っている少女たちに一発でバレてしまうだろう。 しかし、彼女たちはアメリアの状況を﹁少し不自然﹂とだけしか 認識できない。 なぜか? そう、俺はこのカフェの個室に入ってから、こっそり 制限 しているの 簡易隷属をかけて彼女たちの精神をそれと気付かぬまま支配し、そ の活動の一部だけ⋮⋮すなわち状況認識能力を だ。 このプレイを思いついたから、わざわざ個室にしたってわけだ。 ﹁くくっ、どんな気持ちだアメリア? 後輩として可愛がってた年 下の冒険者娘たちに、男に愛撫されてトロットロになった体と顔を それと知らず至近距離で見られる気分は?﹂ ﹁あぁ、こ⋮⋮こんなのダメだぁぁ⋮⋮! あ、あたしはこいつら の前じゃあ、かっこいい先輩なのにぃぃ⋮⋮!?﹂ ﹁へー、そうなんですねぇー﹂ 女戦士の羞恥心を煽る俺の言葉も、彼女たちには無関係な雑談と しか認識できない。 だがこの異常な状況下の羞恥プレイによって、アメリアの顔はみ 1323 るみる火照り、キュッと指を締めつけるマンコはどんどん派手に濡 れて、マゾっ気を隠し持つ彼女の興奮を物語っている。 ﹁じゃあ、俺はちょっとお手洗いに。ごゆっくり﹂ ﹁あ、はーい﹂ そう言って席を立つ⋮⋮ふりをして、アメリアの背後に回る。 これで彼女たちには言葉通り﹁俺が部屋を出た﹂という状況が誤 認識され、俺の姿は目に映っているはずなのに見えなくなるという わけだ。 そしてアメリアの腰を掴み、椅子から中腰にさせて̶̶̶! い ﹁う、ウソだろマスター!? まっ、まさかこんなとこで挿入れッ ⋮⋮ぁああっんはぁぁぁぁぁッッッ!!?﹂ ﹁おいおい、こんなにすんなりチンポを受け入れといてそりゃあな いだろ? 心配するなよっ、お前の姿を認識できてるのは俺だけだ から﹂ ﹁そっそういう問題じゃぁぁっ⋮⋮んひぃぃいっっ、ひぐぅぅう! !?﹂ ﹁???﹂ にゅぱんっ、ずんっっ、にゅぱずぱんっっ!! と鍛えられ引き 締まったボディをガクガク揺さぶる着衣バックセックス。 部屋に淫臭がたちこめるが、少女冒険者ふたりは不思議そうに首 をかしげるばかりだ。 ﹁⋮⋮あっ、そういえば。今出てった男の方って、アメリア先輩の 今のパーティメンバーなんッスよね?﹂ ﹁え!? あ、あぁ⋮⋮そ、そうだけどっ⋮⋮ぉぉおうっ⋮⋮!?﹂ ﹁なんだか少し意外ですねぇ。先輩が、あんな⋮⋮その、こう言っ 1324 てはなんですがあまり強くなさそうな男性と組むなんて﹂ ﹁だよね∼。先輩、弱っちい男とか一番キライだったッスもんねっ !﹂ パラヴァータの英雄 である俺に詳し 俺がいなくなったと認識するや、そんな失礼な陰口を叩く少女た ち。 まあ、彼女らはどうやら くないようだし、再会した憧れの先輩の横にいたうさんくさい俺に 一抹の不審と嫉妬があるんだろうな。 ﹁くくくっ、後輩さんから見て俺は弱っちそうらしいぞ? どう思 うアメリア?﹂ ﹁っっ∼∼∼∼!! お、お前たちぃ⋮⋮! あの人を、み⋮⋮見 かけで判断しちゃダメだぞぉっ、ほ⋮⋮ほんとはすごく強くて、た ⋮⋮たくましいぃ⋮⋮んあぁあっ! た、たくましいんだぞぉっ!﹂ 硬いチンポに膣内をゴリゴリえぐられながらの言葉には、なるほ ど実感がこもっている。 怒られたと認識した冒険者娘たちは顔を見合わせ、 ﹁ご、ごめんッス先輩。まあ、確かにそうじゃなきゃ先輩がパーテ ィ組むはずないッスもんね﹂ ﹁出過ぎたことを申しましたぁ⋮⋮﹂ ﹁いっ、いやいいんだぁッ⋮⋮お、お前たちにもきっとぉ、マスタ ーのっ⋮⋮い、いやあの人の強さが、もし一緒にいたらすぐ解るか らぁっ⋮⋮やぁあっ、イッイクぅぅっっ!? こ、後輩の前でぇ、 あたしイカされちゃうよぉぉぉ∼∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ ﹁???﹂ 俺に両手を後ろに引っ張られてのけぞり、子宮口までグリリッと 1325 えぐる容赦ないピストンの前にあっさり陥落するアメリア。 不思議そうな顔の後輩に痴態を見られながらという興奮でこうも 乱れるとは、男勝りと裏返しのマゾ性癖もいよいよ開花してきたな。 ﹁ほらほら、ちゃんと可愛い後輩にイキ顔見せてやれ! そしたら 精液流し込んでまたイカせてやるから⋮⋮なっ!﹂ ﹁ふぁ、ふぁいっ⋮⋮! んふぁぁ、ぁあ⋮⋮っ! あ、あたしを もっと見てぇぇ⋮⋮! 男に支配されてカラダが悦ぶ、ダメな先輩 になっちゃったんだよぉぉ⋮⋮っ! こんなあたしをぉ、もっとぉ ぉ⋮⋮見てぇぇ⋮⋮!﹂ もちろん俺はこの後、アメリアの膣内をたっぷり味わってから、 後輩二人の体も美味しくつまみ食いさせてもらった。 たくましさ さらにアメリアと、ついでに追加注文をとりにきたウェイトレス の美人さんを交えた5Pで、仲良く全員を可愛がって を教え込んでやったのである⋮⋮。 ※ ※ ※ ︻フラミア編:秘密のロリビッチ☆隠れおくちえっち︼ ﹁あれトオルっち、ここにいたんだ? ねぇねぇ、ふらみん見なか った?﹂ 市からあてがわれた俺たちの屋敷、ここはその書斎の一室。 扉を開けてひょいっと覗き込んでのリルナの質問に、大きなマホ ガニーの机に腰掛けていた俺は顔を上げた。 1326 ﹁⋮⋮ふらみん、って?﹂ ﹁ああ、アタシがつけたフラミアちゃんのあだ名だよー。カワイイ っしょ?﹂ かわいい⋮⋮のか? 彼女のネーミングセンスの法則ってやつは、マジでよくわからん な。 ﹁いや、あいつなら見てないな。ここには来なかったよ﹂ をとる。 ﹁そっか∼。うーむ、アタシの勇者のカンだとこのへんにいるんだ けどなぁ⋮⋮?﹂ ﹁勇者ってそんなスキルもあるのか?﹂ ﹁ううん、実は言ってみただけ系∼﹂ ポーズ おいおい、とツッコミたくなるいつものマイペースだ。 ともあれ俺は、何も心当たりがない⋮⋮という ﹁実はね、ふらみんと今かくれんぼ中なんだよ。だからこっちに来 たかもって思ったワケ﹂ ﹁遊び相手になってあげてるのか。橘さんは面倒見がいいな﹂ ﹁えっへっへ、トオルっちに褒められちった。ああ、あとナナっち も一緒だよ。トオルっちも一緒にやるぅ?﹂ あいつもか⋮⋮まあ、自我の幼さで言えば幼児みたいなもんか、 とある意味失礼なことを考える俺。 ﹁いや、俺はちょっと用事があるからパスで。ま、武運を祈ってる よ⋮⋮うっ﹂ ﹁?? どーかしたの、トオルっち?﹂ 1327 突然、妙な声を漏らした俺の様子に、不思議そうに首を傾げるギ ャル勇者。 ﹁いや⋮⋮なんでもない、ちょっと腹がね、昼食べ過ぎたかも﹂ ﹁そんなに食べてたっけ? 苦しいっぽいなら、お薬もらってこよ か?﹂ ﹁ああいや、そんな心配するほどのことじゃない、気のせいレベル だから。大丈夫だよ﹂ 心配顔の優しいリルナに手を振って微笑み、机の上の本に目を落 とす俺。 その様子を見て作業を邪魔するのも悪いと考えたのか、彼女は納 得したようにうなずいた。 ﹁そっか、んじゃまた後でね。あ! もしふらみん来たら、かくま 来たら ⋮⋮ね﹂ っちゃダメだよ∼? トオルっちってば、意外とちっちゃいコに甘 いからね∼﹂ ﹁なんだよそれ⋮⋮まあ、わかったよ。 扉を閉め、リルナが退出したのを確認すると。 俺は机の下⋮⋮彼女からは死角になっていたスペースに視線を落 とす。 そこには、フラミアがいた。 開かれた股の間に跪き、ズボンから取り出した俺のモノを熱心に 舐めしゃぶる、黒髪の幼い魔族の姿が。 ﹁ううっ⋮⋮おい、いつまでしゃぶってるんだ。危うく気付かれる とこだったぞ?﹂ ﹁⋮⋮っぷぁ! えへへ、ごっめ∼んお兄さんっ。でも大丈夫だよ 1328 ぉ、リルリルお姉ちゃんってばあたしがこぉ∼んなコトしてるなん てぇ、絶対気付いてないってばぁ﹂ 琥珀色の瞳で悪戯っぽい笑みを浮かべ、よだれとカウパーで濡れ 光る亀頭の先にちっちゃな手を添えて、ちゅっとキスをするロリ魔 貴族。 ﹁まったく⋮⋮かくれんぼの鬼からかくまってやるとは言ったが、 フェラまで許可した覚えはないんだがな? しかも、リルナが入っ て来てからおっ始めやがって﹂ ﹁だってだってぇ、すぐ目の前からお兄さんの、おいしそぉ∼なニ オイがぷんぷんするんだもぉん⋮⋮♪ こんなのぜったいガマンで きないよぉ⋮⋮!﹂ この魔貴族お嬢様ときたら、以前から俺のチンポをおしゃぶりす るのにすっかりハマってしまった。 夜這い、朝這いで勝手にベッドにもぐり込んできて舐め始めるの はしょっちゅうのことで、最近は風呂場やトイレで待ち構えていた こともあれば、魔族の特徴を隠蔽するアーティファクト︵システィ ナ姫の外出時にも使ったやつだ︶を使ってカフェや買い物に連れて 行った時に、屋外でおねだりしてきたことさえある。 待て だフラミア﹂ ﹁このチンポ大好きっ子め、ちょっとはガマンすることを知らない のか? ほら、 ﹁あっ、あんっ⋮⋮! お兄さんのイジワルぅぅ、あたしが毎日お クチにこれ入れてないと落ち着かないの知ってるクセにぃぃ⋮⋮っ !﹂ はぁ、はっはっ、とエサを前にした子犬か何かのように、目にハ ートを浮かべピンクの舌をめいっぱい伸ばして、反り返るチンポを 1329 凝視するフラミア。 ﹁おいおい、由緒正しい魔貴族のお嬢様が、はしたないとは思わな いのか? よだれ垂れてるぞ、よだれ﹂ ﹁ぶ∼。そんなこと言ってぇ、お兄さんだってけっきょく毎回あた しのおしゃぶりでビュービュー射精しちゃってるじゃ∼ん? ふふ っ、この前お外でした時なんかぁ、途中からお兄さんの方がノリノ リになって思いっきりあたしのノドの奥ぅ、ぶっといコレでガンガ ン突きまくったの覚えてるんだからぁ⋮⋮!﹂ ﹁う⋮⋮っ﹂ 人気のない路地裏でのイラマチオで興奮したことを思い出し、俺 の竿がビクっと反応してしまったのを、目ざとく見つけて笑うフラ ミア。 ふーっ、と亀頭に息を吹きかけ、小悪魔チックに俺を見上げる。 ﹁それにねぇ、考えてみてよ? この後あたし、リルリルお姉ちゃ んとかくれんぼの続きするわけだけどぉ、その時にあたしのおなか にお兄さんのせーえきがたっぷりちゅーにゅーされてるのってぇ、 すっごいエッチいって思わなぁい⋮⋮? くすくすっ﹂ 俺とイヤらしいオーラルセックスの続きをして、たっぷり男の子 種汁を搾り取った少女魔貴族が、何食わぬ顔で外見相応の子供らし い遊びに戻る。 そんな淫行が行われたことを夢にも想像しない、純真なあのリル ナと一緒に⋮⋮その淫媚な想像は、俺の股間に新たな血流をドクド クと送り込むのに十分だった。 ﹁く⋮⋮いいぞ、好きなだけしゃぶれ﹂ ﹁あはっ♪ しょーじきになったねっ、お兄さんっ。んじゃ遠慮な 1330 くぅ⋮⋮おくちえっち、いっちゃいまぁ∼すっ! ⋮⋮んじゅるる るっっ!﹂ 許可を得た途端にたちまち再開する、天然ロリビッチの大好きな チンポおしゃぶり。 手は添えず、ノーハンドで俺を上目遣いで見上げながら、かぽか ぽと人形のように整った顔を品無く上下させるイヤらしい口淫だ。 ﹁んっぷ、んじゅるっぷぅっ⋮⋮んぷんっっぷぁんっ! じゅるる ろろろっ⋮⋮じゅぷぁ、りゅるるんっぶぷっっ!!﹂ ビキビキ太い血管の浮いた大人の怒張に、めいっぱい広がった柔 らかげな幼な唇が密着している光景だけでもエロいのに、その隙間 から舌をはみ出させ、うりゅうりゅと外周に沿ってひっきりなしに 動かしていく。 そうやって下品なくらいのやり方を見せつけた方が俺が興奮する と理解している、フラミアの天賦のプレイセンスの賜物というほか ない。 ﹁くはっ、くぁっ⋮⋮!? ううっ、今日はまた一段と熱心にしゃ ぶるなぁっ、お前⋮⋮っ!﹂ ﹁っぷは! えへへっ、だってぇ⋮⋮さっき、いいこと思いついち ゃったんだもぉん♪﹂ ノド奥まで頬張った状態からゆっくり、にゅずるるるぅっ⋮⋮! とサオを引き抜いてから、ッぽぉん! と勢い良く口から抜けて ぶんぶん揺れるチンポに柔らかほっぺをこすりつけつつ言う。 ﹁ねぇねぇあのね、リルリルお姉ちゃんにはぁ、おちんちんさんど れくらいおしゃぶりさせたぁ?﹂ 1331 ﹁いや、まだフェラはあんまりさせてないな、そういや﹂ ﹁ふふっ、だったらちょうどいいね⋮⋮リルリルお姉ちゃんはさ、 たぶんこれナメナメしちゃうの好きなヒトだと思うよ。自分では気 付いてないかもだけどさ⋮⋮あたし、同じシュミの人なんとな∼く わかるんだぁ﹂ そそり立つ勃起に熱い視線を送り、時々カリ首の段差を舌先でほ じくりながら語るフラミア。 なるほど確かに⋮⋮忠犬体質で従順なリルナは、そう言われれば その傾向はあるのかもしれない。 ごほー を教えてあげよーと思うんだ。ふふっ、お姉ちゃんはあたしを ﹁だからぁ、あたしが魔隷のセンパイとしてお兄さんへの し 可愛がってくれてるから⋮⋮きっと油断して、どんどんすっごくエ ッチいことになっちゃってもイヤって言えないと思うんだぁ⋮⋮!﹂ 舌なめずりするフラミアの表情は、幼さにそぐわない蠱惑的な淫 魔の顔だった。 おそらく彼女の言う通り、純粋なリルナはまんまと引きずり込ま れてしまうだろう⋮⋮最初は子供の遊びやわがままに付き合わされ る感覚で、それを言い訳にして自分の好奇心に負けて⋮⋮。 そして気が付いた時には、あの健康的で明るいセリフを紡ぎ出す ギャルリップに、男のチンポしゃぶりテクをみっちり仕込まれてし まうのだ。 ﹁お前、結構恐ろしいこと考えるヤツだな⋮⋮﹂ ﹁え∼そうかなぁ? あたしはリルリルお姉ちゃんがイヤなら、し ないよぉ? でもそーじゃなくて、ほんとはお兄さんにたっぷり気 ふくじゅー したがってるような気がするからぁ、素直になる 持ち良くなってもらいたいって思ってて、このおちんぽにい∼っぱ い 1332 お手伝いをしてあげるだけだもんね⋮⋮くすくすっ♪﹂ 俺は想像してしまう。 フラミアとリルナがエロい下着を身に着け、俺のチンポに左右か らむしゃぶりついている姿を。 悪戯っぽい表情と、まだ恥ずかしさを残した表情、そんな二人は 共に淫らな発情の視線を目の前の肉棒に向け、我先にとその舌先を くねらせ⋮⋮! ﹁うっ⋮⋮!﹂ ﹁あはっ♪ 期待してまたちょっとおっきくなったぁ、お兄さんの えっちぃ⋮⋮んじゃ、けーやくせーりつだねっ? 協力するお礼の せーえきさん、前払いでもらっちゃうよぉ⋮⋮んじゅるるるぷっっ !!﹂ 勝手に納得して、いよいよ精液を搾り取るための激しいチンポし ゃぶりが再開された。 派手に顔全体を深く前後させ、狭い口腔粘膜を性器に変えて肉棒 を搾りあげる、ロリビッチそのものの淫乱テクだ。 時折、ほっぺたを内側から押し上げる先端に、外から頬肉ごしに 指を当ててぐりぐりと刺激したりという意外性のあるテクも交え、 俺の射精感を的確に昂らせてゆく。 ﹁ううっ、くぉぉっ⋮⋮おっ!! くぅぅっっ!! いいだろう、 お望み通りくれてやるぞこの発情フェラ好きお嬢様めっ!!﹂ ﹁んぷっっ、んぶぅぅ∼∼∼∼∼∼っっっ!!? んじゅるっっ、 んぶぷぷっっ!!?﹂ 射精の こみ上げる発射欲に動物的な本能を喚起され、フラミアの後頭部 を乱暴に掴んでガシガシと、上下にピストンして文字通り 1333 ために使う 俺。 それでもイヤな顔ひとつせず、けなげに口内凌辱を快感に変えて 受け入れる和装の魔貴族令嬢。 そしてついに⋮⋮ガマンの限界に達した欲望の塊を、俺は思うさ ま好き放題ぶちまけた! ﹁はぶっっっ!!? んぶっ⋮⋮ッッぷぅぅんぶぷぅぅ∼∼∼∼∼ ∼∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ どびゅぶるるるっっっ⋮⋮ぶびゅるるびゅくんっっ!! ぶぷっ⋮⋮んびゅぷっっ⋮⋮どぷっどぷんっっ!! びゅるるっ っ、びゅくん⋮⋮びゅぶぷぅぅう!! ﹁おッ、おっおっおおっ⋮⋮おぁあ⋮⋮ッ!! くぅぅぅッッ、ぜ、 全部飲めロリビッチっ、俺のザーメン飲み干せっ⋮⋮くはっっ!!﹂ ﹁んぅぅううぅぅうぅぅうぅ∼∼∼∼∼っっ!!? んっく、ごき ゅっ⋮⋮ごくんっっ、ごく⋮⋮こくっ⋮⋮! っぷぁあ、げほっけ ほっ!?﹂ 猛烈な勢いで注がれる白濁ミルクの洗礼に涙を浮かべつつも、俺 の腰をほっそりした手で抱え、けなげに吸い付いて残らず体内にお さめようとするフラミア。 いつものように射精を敏感なノドで受けた感触で軽くイッたらし く、細い肢体がビクビクと震え、机に内側から肩がぶつかってガタ ンッと音をたてた。 さすがに最後の方はむせ気味だったが、今度もしっかり受けきり、 立派に飲み干してみせる。 ﹁ふぁ、はぁぁ⋮⋮! も∼、お兄さんってばいつもより濃かった し多かったよぉ? そんなに、あたしとリルリルお姉ちゃんにエッ 1334 チおしゃぶりさせる想像にドキドキしちゃったの∼? えっちぃ⋮ ⋮♪﹂ ﹁⋮⋮うるさい﹂ 心地良い虚脱感の中、にやにや見上げてくる顔を、照れ隠し混じ りにぐりぐり強めに撫でる俺。 と⋮⋮そこに。 ﹁⋮⋮ねーねートオルっちぃ! 今の音なになに∼!? やっぱふ らみんってば、そこにいたんじゃないのーっ!?﹂ リルナの声と足音がみるみる迫って来る。 どうやら、さっきの机の揺れる音を耳ざとく聞きつけてきたよう だ。 ﹁やれやれ⋮⋮あいつが入ってくる前に、ここにいる言い訳ちゃん と考えとけよ、フラミア⋮⋮?﹂ 1335 閑話:魔隷たちとの日常∼アメリア/フラミア編︵後書き︶ 今週から四章の更新に入っていく予定です。乞うご期待! 1336 72話:新たなる冥家と、集う巨頭 アビサル・パンデモニウム 会議 奈落万魔殿̶̶̶数千年の昔にあるじを失った、魔王の居城。 。 ここはその、おぞましくも広大な魔城の一区画に存在する 場 ノーヴル・エイト 今、永い魔界の歴史上でも稀な会合が、この場で開かれようとし ていた。 妖狐天仙 ミクラ様̶̶̶ご到着!﹂ そう⋮⋮名だたる八冥家たちが一同に会する集まりが。 ﹁ どこから響いてくるのか分からない司会の声と共に、円卓に並ぶ 空席のひとつを立体魔法陣の光が包み、狐耳の大魔貴族が転移出現 した。 豊満なボディを包む紅白の和装、帯に手挟む赤いキセル。さすが に普段の緊張感に欠ける態度は少し鳴りを潜め、八冥家最古参の策 龍血魔公 ドラゴヴァンプ ヴラドヴェリ様̶̶̶ご到着!﹂ 謀家としての顔をのぞかせている。 ﹁ 次いで、円卓上の空間がばりばりと帯電し、ぱっくりと裂けた。 そこから出現したのは、燃えさかるような鋭い三眼を持つ、途方 もない巨体を誇る全身血の色をした魔龍。 その影響力は八冥家内でも最大という、悠久の時を生きるヴァン パイア・ドラゴンだ。 ﹁イヴリース様̶̶̶ご到着﹂ 1337 読み上げる魔族の声も、いささかの緊張を帯びている。 空席のひとつが魔法陣の光に包まれ、いよいよこの騒動の渦中の 人物が出現した。 あらゆる色素が抜け落ちたような、細い四肢と長い髪。その中で 唯一、真紅に染まる瞳。 和装に似た白い着物をしどけなく着崩し、真っ白で薄い胸元がの ぞいている様子はミクラとはまた別ベクトルの妖しい色気を発散し ていた。 色を除けば双子のように妹フラミアとそっくりな姿、だがまるで 俺 の最大の敵⋮⋮か。 似ても似つかない圧倒的威圧感と、酷薄そのものの冷たい表情。 こいつが、 残る冥家たちもすでに到着しているが、ひとまずそっちに興味を 向けるのは後回しだ。 俺はじっと、不倶戴天の宿敵たる存在を観察する。 着物に包まれ隠れている右腕⋮⋮おそらくあの中にある腕は、俺 の左腕と同様の変質を遂げているのだろう、破天の骸との一体化に よって。 ︿遅参とは、悠長なことよな。得意の薄汚い策を巡らすのに手間取 ったか?﹀ ﹃龍血魔公はいささか我を買いかぶっておいでのようだ。我はただ、 ご不幸 には、心より弔意を示させていただく﹄ 大いなる流れに沿ってここに居るのみ⋮⋮アロイシャス大公に降り 掛かった ︿よくもまあぬけぬけと吐くものよ⋮⋮ッ! 恥を知れィ、若造!﹀ 巨大な裂け目のような口を怒りに剥き出し、闇の瘴気を漏らすヴ ラドヴェリだが、イヴリースはそれを我関せずで受け流す。 1338 どうやら良くも悪くも感情が先に立つタイプのようだな、あのデ カブツドラゴン。 あれじゃ、ミクラみたいな腹芸は難しいだろうな⋮⋮八冥家筆頭 でありながら、組んでいる彼女の方が参謀っぽい立ち位置にいるの も道理か。 バル=ヴ の代表を、ね﹂ 狩猟公 ﹁さぁて⋮⋮じゃあ本題を始めるその前に。新たなワタシたちの同 八家目 輩を、紹介しておきましょうかしら。今は亡き ァルスに代わる、襲名したばかりの ミクラの言葉を受け、今までひと言も発さなかった者がすっと立 ち上がり、一礼した。 暗色のゴスロリドレスに身を包む、銀髪の魔貴族。 この場でもっとも小柄なその姿。 ﹁̶̶̶八冥家パルミューラ。この度、若輩者ながら栄光ある冥家 の末席に名を連ねさせて頂き光栄至極⋮⋮以後、よろしくお願いす る﹂ ※ ※ ※ ﹁わ⋮⋮わらわを八冥家の一員に推挙する、じゃと!? あ、あの ミクラが!?﹂ ぽろりと、シーツにくるまったロリ魔貴族の口から、タルトの欠 片が刺さったままのフォークが落ちた。 セックス後のピロートークにいきなりそんな話題を持ち出され、 驚くのもまあ無理はない。 1339 ﹁ああ、バル=ヴァルスとかいうのが人間界で討たれてちょうど空 いた席にな。夢界の中で、俺に提案があったってわけさ﹂ 色んな証言を総合すると、暴虐を重ねていたその八冥家を討伐し たのはどうも他ならぬリルナらしいのだが⋮⋮人生、何がどう転ぶ かわからないな。 ﹁ってどうした、難しい顔して。お前の一族は八冥家から追い落と されて以来、返り咲くのは悲願じゃなかったのか?﹂ ﹁そ、それはその通り⋮⋮じゃが、それはつまり、なし崩し的にイ ヴリースめと敵対するミクラやヴラドヴェリめの派閥に組み込まれ、 全面戦争に加わらされるということではないのか?﹂ 尻尾をしなしなとさせて目を泳がせるパルミューラ。 魔界保守派 こいつ、明らかにビビってるな、普段偉そうにしてるくせにまっ たく小心者め。 ﹁安心しろ、その点はミクラに言質を取った。連中ら が望むのは、あくまでイヴリースの当面の思惑を阻止することだ けだ。それさえうまく進めば、血は流さずにすむ﹂ ﹁当面の思惑じゃと⋮⋮? そうか、彼奴め、まさか!﹂ 金眼大公 アロイシ ﹁そう、そのまさかだ̶̶̶自分が新たな三大公になる、という⋮ ⋮な﹂ 破天の骸の力で、領地ごと消滅させられた ャス。 当然、空席となった三大公の一角を新たに決める必要があり、そ れは当然ながら第三位階=八冥家から選出されるというのがかつて 魔王の定めた法だ︵もっとも、そんな事態はこれまで一度も起こら 1340 なかったが︶。 ﹁⋮⋮お待ち下さい、トオルさま。お話を聞く限りでは、そこで選 ばれるのは八冥家筆頭のヴラドヴェリさまなるお方、あるいは最古 参のミクラさまが妥当なのでは?﹂ ベッドの反対側から身を起こしたのは、全裸にティアラと長手袋、 ガーターベルトだけ身につけたシスティナ姫。 たぷんっ、と凶悪ボリュームのロイヤルおっぱいがふたつの動く 丘のように揺れる。 今夜はこの二人と濃厚3Pで、パルの尻をキリカにも使ったマジ ックローションで泣かせつつ姫の王室子袋に連続射精をさんざんブ チ込んだわけだが⋮⋮おっと、今は浸ってる場合じゃない。 ﹁ですから、三大公を討つなどという言わば大罪を犯した者は糾弾 され処罰されることはあっても、その後釜に悠々と名乗りを上げら れるなどとは到底考えられないと思いますが⋮⋮﹂ ﹁ふむ、システィナの言う事も一理あろうよ。だがな、人界の姫よ。 あくまでそれは人の世の常識に過ぎぬ⋮⋮魔界の理は、また別じゃ﹂ そう、パルミューラの言う通りだ。 俺もまさにその疑問をミクラにぶつけたが、返ってきた答えは単 純明快だった。 ﹁まず、明らかにイヴリースの仕業でも証拠がない。次にそれ以前 の大前提として、魔界の掟は弱肉強食⋮⋮負けて死ぬ方が悪いのさ﹂ ﹁然様。わらわの一族がイヴリースめに滅ぼされ彼奴が新たな冥家 を名乗った時も、誰も何も咎め立てはできなんだ﹂ ﹁パルちゃんさん⋮⋮﹂ 1341 屈辱をまざまざと思い出し、苦々しげに語るパルミューラと、そ れを気遣う優しい姫。 ﹁そして最後にして最大の理由。魔界最大の発言力を持つ残る二大 公にとっても、振って湧いたこの状況はチャンスなのさ﹂ ﹁チャンス⋮⋮ですか?﹂ ﹁ああ。二大公は魔王亡き後、犬猿の仲となって冷戦を続けていた。 滅びたアロイシャス大公は、そのクッションとしてどちらにも与せ ず、両者の争いを牽制していた立場だったんだよ﹂ ﹁! では、アロイシャス大公を欠きパワーバランスが崩れた今は ⋮⋮!﹂ ﹁うむ⋮⋮両大公は共に、みずからに与する新たな三大公を立てよ うとするじゃろう﹂ 新たな大公選出そのものが、二大公の代理戦争の様相を呈すると いうわけだ。 ﹁そして一方の大公が後釜に推挙したのが、イヴリースだ。ミクラ によればヤツはどうやら長い時間をかけて、裏でその大公に恭順の 意志を示し、信頼を勝ち得ていたらしい﹂ この早い動きを見るに、アロイシャス大公を消し去るという計画 そのものをあらかじめ内通して伝えていた可能性も高い。 まったく、イヴリースめ⋮⋮厄介極まりない陰謀家だぜ。 ﹁そしてもう一方の大公が推したのは⋮⋮こっちは少し意外なこと 沈黙の八冥家 じゃと!?﹂ に、ヴラドヴェリやミクラじゃなかった。その名は̶̶̶ベル=フ ォイゾン﹂ ﹁なにっ!? あの、 ﹁?? その、ベル=フォイゾンさんというのはどういう方なんで 1342 しょう⋮⋮?﹂ 驚くパルミューラ、当然だが怪訝そうな反応をする姫。 ﹁俺もミクラから説明されただけだが、八冥家の中でもっとも謎め いた魔族⋮⋮らしい﹂ ﹁らしいというのは、本当にこやつに関してはあのミクラですら全 貌を掴みかねておるんじゃ。冥家入りしたのもイヴリースより新し く、せいぜい百年足らずに過ぎん﹂ 沈黙の八冥家 が示す通り、公の場で言葉を発するこ 人型の女魔族であるということ以外、経歴も血縁関係も謎また謎。 二つ名の とすら十年に一度でもあれば多い方だという。 生きたオブジェ へと変え ﹁じゃが、漏れ聞こえてくる領内での振る舞いは冷徹非情。やれ腹 心の魔将軍がひとつ失敗をしただけで て万年の苦痛を味わわせておるだの、やれ秘密を探ろうとした他冥 家の間者を寸刻みにして送り返しただの⋮⋮何を考えておるのか解 らぬこともあって、ベル=フォイゾンの領地に好んで近付く者は皆 無というぞ﹂ ﹁まあ、それはずいぶんと苛烈な⋮⋮恐ろしい方なのですね﹂ 顔色を悪くした姫だけではなく、パルミューラの声音にも畏敬の 色があった。 実際、魔界で恐れられてる度合いで言えばあのイヴリースよりよ っぽど上らしいからな。魔族としては、それは勲章かもしれないが。 ﹁ただひとつ確かなことは⋮⋮亡き金眼大公アロイシャスが、ずっ と彼女の後見人として便宜を図っておったということだけ。彼女を 八冥家に推挙したのも、かの大公じゃ﹂ 1343 ﹁なるほど。つまり 没した大公の後継者 として、新たな三大公 に推す大義名分が立ちやすい背景を持つ⋮⋮ということですね?﹂ さすが王族、システィナ姫の理解は正しい。 それゆえにミクラもヴラドヴェリも、この推挙に対して反対を唱 えはしなかったし、むしろそれならばとベル=フォイゾンを盛り立 てる立場に回るつもりだという。 さて、整理するとこうだ。 新たな三大公として名乗りを上げたのは、イヴリースとベル=フ ォイゾン。 票 を獲得できるかが勝負の 二大公がそれぞれのバックについているから、その時点では影響 力は互角。 つまり後は、より多くの八冥家の 分け目になると言っていい。 ﹁して、その現状は?﹂ ﹁はっきり言って予断を許さない。ベル=フォイゾン擁立派には言 うまでもなくミクラとヴラドヴェリがついているが⋮⋮残る三冥家 は、どうもイヴリース側に与するつもりのようだ﹂ ﹁な、なんと!?﹂ ミクラによればあの手この手で利権を約束し、あるいは弱みを握 り、密かにそこまでの影響力網を完成させていたらしい。 その絵を描いたのがバックにいる大公ではなく、イヴリース本人 だとすると⋮⋮そしてイヴリースが、野望のためにその大公も利用 しているだけだとすると⋮⋮つくづく恐ろしい策謀家だ。 ﹁では、パルちゃんさんが何としてでも新たな八冥家となって、ミ クラさんたちの発言力を高める必要があるというわけですわね﹂ 1344 ﹁うっ⋮⋮ううっ!?﹂ いくらミクラたちが最古参メンツとはいえ、八冥家内の発言力差 はそう大きくはない︵唯一小物だったという故バル=ヴァルスは例 外として⋮⋮なんか扱い悪いな、あいつ︶以上、ここは確実に四対 四の状況にまず持ち込みたい、というのがミクラの判断だった。 なお、この提案を受ければバル=ヴァルスの領地と、ミクラやヴ ラドヴェリから割譲された兵力や財力がパルミューラのものとなり、 八冥家としての一応の体裁はすぐに整う算段だ。 ﹁いいか? 俺とミクラの予想だと、いくらイヴリースでも骸の力 を完全にコントロールし、無制限に使えるってわけじゃない。だか らこそ、アロイシャス大公をピンポイントで消すことでこの状況を 作り出し、まずは三大公となることを狙った⋮⋮逆に言えば、その 目論見を潰せばいいんだ﹂ イヴリースの最終的な目的は、いまだ謎だ。 だが、もし三大公という地位を一度得てしまえば、おそらくその 次に打つ手は誰にも止められないだろう。 ここが正念場、ヤツのご大層なサクセスストーリーをご破算にし てやる千載一遇の機会なのだ。 ﹁そうビクつくな。思ったより早く、ヤツにガツンと一発かますチ ャンスが巡ってきたってだけさ。それも八冥家に返り咲き、魔界の 実力者たちにドでかい恩を売るってオマケつきでな﹂ ﹁確かに⋮⋮それはそうじゃが⋮⋮わぷっ!?﹂ まだ心細そうな軽い肢体を、優しく抱き寄せた。 子供を安心させてやるように、触り心地のいい銀髪を撫でつつ言 う。 1345 ﹁お前は自慢の魔隷だ、パルミューラ。こう言うのはヘンかもしれ ないが、俺はお前に一種の敬意みたいなもんを抱いてるよ。お前は フラミアとの戦いでトラウマに打ち克ち、俺と共にあいつをただ倒 すだけじゃなく救ってのけた⋮⋮それは、俺ひとりじゃできなかっ たことだ﹂ 姉 とし 戦いの後でフラミアを受け入れる度量を見せ、幸せな居場所を与 えたことも含めてだ。 なんだかんだでこいつは、イヴリースよりもまともな て、あの狂公女の心を救い続けているといえる。 ﹁ある意味、完全に勝ったんだ。イヴリースの目論見にも、過去の 弱い自分にもな。そんなお前だから、今度もできると俺は信じてる ぜ? そのためのバックアップだっていくらでもしてやる﹂ ﹁と、トオル⋮⋮﹂ ﹁ふふ、パルちゃんさんもすっかり、いいお姉さんですものね﹂ 姫の言葉に、少し照れたようになって俺の胸板に顔をうずめ。 しばしの沈黙の後、パルミューラが上げた瞳には、強い意志の光 が宿っていた。 ﹁⋮⋮わかった。おぬしに囚われた時はずいぶん恨みもしたが、こ こに導かれたのはわらわにとって僥倖な巡り合わせだったといえよ う⋮⋮ならば今一度この運命を、信じるのみ﹂ ﹁その気になったか、パルミューラ﹂ ﹁うむ⋮⋮やるだけやってみようではないか。うむ、ええと⋮⋮じ ゃから、な⋮⋮トオルよ?﹂ 俺の腕の中、頬を赤く染めてチラチラと、何か言いたげなロリ魔 1346 貴族。 ニヤリとその心中を察し、システィナ姫の方に視線を送ると⋮⋮ すぐに理解した姫はうっすら赤面した顔でコクリとうなずき、隣の 部屋に下がって俺たちをふたりきりにしてくれた。 ﹁なんだ? まるで景気付けに何かが欲しいみたいな仕種だなあ?﹂ ﹁み、みなまで言わすな⋮⋮そら、言葉以外の手段で、わらわを⋮ ⋮安心させてみせよ﹂ ﹁では仰せのままに、八冥家パルミューラさま﹂ ﹁んぁ、んうっ⋮⋮ああっ、と⋮⋮トオルぅ⋮⋮っ! ひぁああぁ ぁぁっっ̶̶̶﹂ ※ ※ ※ ︵運命⋮⋮︶ 後ろ手に扉を閉め、ぽつりとつぶやく。 最高級美術品のように美しい王族の肢体を隠すシーツを、胸元で 予言 が決定的な運命を告げる時は、近い⋮⋮それはお ぎゅっと握りしめる。 ︵新たな そらく、トオルさまにとってわたくしの告げる最後の予言になるは ず︶ 副市長から貸与された邸宅の中は、建物自体にエンチャントされ 最後の予言 に思い た魔法によって常に快適な温度に保たれていたが、それでもぶるり とシスティナ姫の金髪が震えた。 彼女ほどの高貴な覚悟を持つ者でも、その 1347 を馳せることは、恐ろしかった。 その理由を、まだトオルに告げられないという心苦しさも含めて。 告げること自体が予言の結果を左右し、悪しき災いを彼にもたら す可能性がある以上、それだけはどうしてもできないのだ。 ︵でも⋮⋮きっとトオルさまなら、大丈夫ですわ。今はキリカと⋮ ⋮リルリルさんも、いるのですから̶̶̶︶ ※ ※ ※ アビサル・パンデモニウム ̶̶̶再び、奈落万魔殿。 新たな八冥家としての挨拶を無事終え、パルミューラは静かに腰 を下ろした。 ふぅ⋮⋮と誰にも気取られないように、ひとまずの安堵の息を吐 いている。恨み重なるイヴリースに対しても感情を抑えてみせてい て、まずは上出来といえるだろう。 ︵それにしても⋮⋮すごいメンツだな。直接浴びてない俺でもこの 威圧感、パルミューラにはせいぜい気張ってもらうしかないが⋮⋮ まあ、今の所は褒めてやってもいいくらい堂々としてるから、この ままボロを出さず終わるのを期待するか︶ そう。 俺は八冥家たちの会談を、さっきからずっと見聞きしている。 パルミューラの目と耳を通してだ。 これがレベルアップして得られた新たな能力のひとつ、魔隷との 1348 遠隔五感同調スキル。ここに居並ぶお歴々といえども、この唯一無 二の力でこっそり覗き見る俺の存在には気付けまい⋮⋮。 ﹃⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹄ と、まさにその時。 真正面に座るイヴリースが、じっとパルミューラの目を見据えた。 視界が同調している俺も、体感的にはまっすぐ彼女と向き合う形 となる。 ︵なんだ⋮⋮? まさか、俺に気付いたわけでもあるまいに⋮⋮ッ !?︶ ゾクッと、背筋に嫌な悪寒が走った。 驚くべきことに⋮⋮見られている、という感覚が確かにあった。 まるで真紅のドライアイスを固めたような、氷点下の視線に。 それはただ、パルミューラではなくここにいない俺を冷ややかに 見つめている。 ︵く⋮⋮いったいこいつは、何を考えている⋮⋮?︶ かつてパルミューラの一族を容赦なく滅ぼし八冥家となり、そし て今また実の妹をも無情に切り捨てる冷酷そのものの策略を経て、 三大公たらんとする覇道の果てに⋮⋮こいつは何を願う? こうして視線を交わしても、恐るべき大魔貴族の心の内はまった く読めない。 ただ⋮⋮ひとつだけ、俺がようやく読み取れたものがあった。 それは、憎悪だ。 1349 こいつの⋮⋮イヴリースの真紅の瞳には、深く昏い憎悪の欠片が 宿っている。 俺を、憎んでいる? いや違う、もっと別の何かを憎んでいるよ うに思えた。 それはいったい̶̶̶なんだ? 魔界のパワーバランスを強引に破壊してまで、この白い女は何を 望む? と、そんな時、唐突に下を向く視界⋮⋮あ、パルミューラのやつ 目をそらしやがった。 ガンの飛ばしあいで負けるとは情けない。さっき褒めたのは撤回 だ、あとでお仕置き&やる気注入の刑だな、尻に。 ﹁では改めて、新たな三大公に名乗りをあげられた両名から、ひと 言頂きたいわ。まずはベル=フォイゾン卿から⋮⋮よろしいかしら﹂ ミクラがうながす。 選挙の所信表明みたいなもんか。こういうのはどの世界でも大差 ないな。 まあ、というよりイヴリースがここで何か言葉尻にボロでも出さ ないかと期待しているのかもしれない⋮⋮あの抜け目ない狐耳エロ 魔族も、今は協力関係とはいえやっぱり油断ならない。 すっ̶̶̶と、俺の視点、すなわちパルミューラからもっとも離 れた位置に無言で座っていた人物が、音もなく立ち上がった。 ︵そしてあれが、俺たち側の三大公候補、ベル=フォイゾンか⋮⋮︶ 顔のあたりはうっすら影になっていてよく見えない上に、パルミ 1350 ューラが露骨にビビってはっきり見ようとしないため、容貌は把握 沈黙の八冥家 は恐ろしい人物ということか。 しづらい⋮⋮味方側なんだしそんなに恐れなくてもよさそうなもん だが、それほど ただ、暗めのブラウンの髪から伸びる、パルミューラより数段立 派なふたつのツノの存在ははっきり見てとれた。 体格はキリカなどと大差ないようだが、漆黒と赤の威圧的なマン トの襟を立て、なかなかに豊満なカラダを布地面積の少ない黒紫色 のレザービキニめいた装束に包んでいる。 手にしているのは、おどろおどろしいドクロの意匠のついた金属 の錫杖。 全体的に、まるで悪の組織の女幹部といった風情のビジュアルだ。 それであのウワサ通りの苛烈な所行なら、そりゃ恐れられるのも当 然だろうな。 ﹁わたしは⋮⋮ここに、宣言する﹂ の声か⋮⋮ほとんど言葉を発さないとい しんと静まり返る中、ほとんどギリギリ聞き取れる音量の声が、 沈黙の八冥家 初めて響いた。 これが うことだから、この場にいる連中もほとんど聞いたことがないレア ボイスというわけだ。歴史的瞬間ってやつかな? だが⋮⋮後から思えば、魔界の歴史がとんでもなく左右されたの は、次の瞬間だった。 八冥家ベル=フォイゾン。 亡き三大公アロイシャス秘蔵の後継者、謎多き沈黙の大魔貴族。 彼女が続いて発したひと言は̶̶̶この場に居るあらゆる存在が、 予想だにできない驚天動地の内容、とんでもないちゃぶ台返しだっ 1351 たからだ。 ﹁わたしは⋮⋮新たな三大公への立候補を、ここに。 ̶̶̶辞退する﹂ 1352 72話:新たなる冥家と、集う巨頭︵後書き︶ というわけで第四章開始です。 EX・Hシーンアンケート企画は引き続き投票受付中ですので、ご 協力頂ければ幸いですー。 1353 73話:万魔殿の混乱と、沈黙の正体 ﹁い、いったい何を考えとんのじゃっ、あのベル=フォイゾンめは っ!!? これではわらわの立つ瀬がないではないかぁっ!?﹂ アビサル・パンデモニウム ここは奈落万魔殿の広い一室⋮⋮俺たちのために用意された、意 外と上品な貴族邸宅風の内装を持つ部屋。 憤慨したパルミューラが今にも壁を蹴らんばかりの勢いで、地団 駄を踏んでいる。 まあ、せっかく覚悟を決めて八冥家になったのに、いわばハシゴ を外される形になったのだから無理もない。 ﹁⋮⋮いやはや。さすがにこの展開は、俺にも予想外だったよ﹂ ベル=フォイゾンの唐突な辞退宣言は、当然のことながら大波乱 を巻き起こした。 そして彼女自身は、あの爆弾発言を告げるだけ告げて、同じく奈 落万魔殿に用意された自室に引っ込んでしまったのである。 こうなってしまえばどうもこうもなく、会合はそこで中断されて 今に至る。 この事実が、ベル=フォイゾンとイヴリース、両者を推挙した二 大公の耳に入ればさらなる混乱は必至。そしてそれは時間の問題だ ろう。 ﹁これもやっぱり、イヴリースの策略のひとつなのかしら?﹂ ﹁でもさ、アタシ難しいことはよくわかんないけど⋮⋮敵対候補を 自分から辞退させちゃうとか、そんなのいくらなんでもこんなスグ できるもんかなぁ?﹂ 1354 並んでソファーに腰掛けたキリカとリルナが、疑問を口にする。 ちなみに俺は今回の魔界行きに、魔隷たちを全員同行させている。 八冥家パルミューラ、そしてミクラの客人扱いだから、人間だろう と安全は保障されるというわけだ⋮⋮表向きは、だが。 ﹁俺も五感リンクで覗き見てたとはいえ、あの場にいたのはお前だ、 パルミューラ。お前から見て、あの時のイヴリースはどうだった?﹂ ﹁ふむ⋮⋮ヤツ自身もあの時、ごくわずかじゃが驚いた表情を瞳に 浮かべていた。ベル=フォイゾンの決断は、イヴリースにとっても 予想外の事態じゃったということじゃ﹂ だとすると、より事態は謎めいている。 沈黙の八 サマが、まさかこの土壇場でビビったわけでもあるまいに⋮ 小心者のパルミューラと違って、冷酷非情で知られる 冥家 ⋮ここにきて三大公入りを辞退する理由とは、なんだ? ﹁トオル、そういえばミクラ殿はどこに行かれたのだ? あれから 姿が見えないが﹂ ﹁ああ、派閥の混乱を収拾するために飛び回ってるはずだよ。ヴラ ドヴェリなんかブレス吐きまくりかねない勢いでキレまくってたし な⋮⋮あのお狐サマにも今度ばかりは同情するね﹂ セレスタに肩をすくめてみせつつ、俺は思考を巡らせる。 俺たちの立場じゃ今、ここで待機するくらいしかやることがない 宙ぶらりんの状態だ。 だが⋮⋮このまま手をこまねいていても、事態は好転しない。 ﹁決めたぜ。こうなりゃこの混乱を利用して、俺は独自に動く﹂ ﹁え? トオルくん、こんな魔界の中心で何をするっていうの⋮⋮ 1355 ?﹂ 怪訝そうなキリカにニヤリと笑いかけ、言う。 渦中の相手 がまだいるんだ。わからない理由は、 ﹁いや、考えてもみろよ。せっかくこのデカい城の中とはいえ、ひ とつ屋根の下に 直接聞きに行きゃいいんじゃないか⋮⋮ってね﹂ ﹁!! まさか、おぬし⋮⋮!﹂ ﹁ああ、そのまさかだ。俺は̶̶̶ベル=フォイゾンに、会いに行 く﹂ ※ ※ ※ 真紅のビロード絨毯が敷き詰められた、10mは高さがあろうか という冗談のように広い廊下。 ここがかつて魔王の居城だったことを思うと、さぞかし巨体の魔 族とかも闊歩していただろうから、当然といえば当然のスケールか。 ﹁⋮⋮どうだ、ナナ? 構造はわかりそうか?﹂ 人の身でこんな魔界の大本営ともいえる場所に来ている事実に今 さらながら軽く緊張しつつ、俺は壁に両手を当てて集中している緑 髪の美少女アンドロイドにささやいた。 ﹁予定通りだ、ご主人。この建物の構造解析はもうじき終了する﹂ ナナの両耳上のアンテナ状パーツから、3Dホログラフィックマ ップが空中に投影された。 1356 俺にも詳しい原理はよくわからないが、ナナは超音波のようなも のを壁から送り込み、その反応で建造物をマッピングする機能を持 っているのだ。 もちろんこれだけでは、どこにベル=フォイゾンがいるかまでは 解らない。 そこで次の人材の出番というわけだ。 ﹁よし、じゃあニーナ。ロケーションマジックを頼む﹂ ﹁はいっ、お任せくださいご主人さまっ﹂ ワンド メイド服の法術師が両手で魔杖をかかげ、3Dマップにそっと重 ねた。 空間魔法の詠唱が紡がれ、オレンジ色の魔力がそこに集積すると、 しばらくして地図のあるポイントに球体状の光がぼうっと灯った。 ロケーションマジック 。 ﹁これが、探し人⋮⋮ベル=フォイゾンさんの反応に間違いないは ずです﹂ 特定の人物を探し出す魔法 本来ならおおよその位置しかわからないが、ナナの地図投影機能 と組み合わせることで、より正確な居場所を割り出すことが可能に なる。 魔法の力だけでも、異世界科学の力だけでもこうはいかないが、 そのふたつを組み合わせることで不可能が可能となったのだ。 ﹁なるほど、ここの階の来賓室か。ありがとうなナナ、ニーナ。だ いたいわかった﹂ ﹁うむ、ナナは頑張った。どういたしましてだぞ、ご主人﹂ ﹁えへへ。でも、ここからはどうするんですご主人様? 直接会い に行こうとしても他の方みたいに追い返されちゃうと思うんですけ 1357 沈黙の八冥家 ど⋮⋮?﹂ 八冥家パルミューラのいち従者 に過ぎない さまは今、ミクラやヴラドヴェリにすら頑とし て会おうとしない。 ここでは対外的に 俺が接触を図ったところで、ニーナの言う通り結果は見えているだ ろう。 ﹁だから⋮⋮俺はいつものように、裏技でいかせてもらう﹂ にやりと口の端を歪める俺。 ﹁悪い顔してるぞ、ご主人﹂ ﹁でもでも、ホントに気をつけてくださいよぉ⋮⋮?﹂ ﹁なに、大丈夫さ。この奈落万魔殿は魔王亡き後、絶対中立の話し 合いの場となってるって話だ。血の気が多い魔族連中でも、ここで の暴力沙汰は御法度だよ﹂ もちろん、だからといって俺が無事に済む絶対の保証はない。 これから接触を図ろうとする相手がウワサ通り、あのイヴリース 以上に酷薄な大魔貴族ならば。 俺が五体満足で⋮⋮いや、まともな精神状態で無事戻れるとは言 い切れないのだ。 さまだろうと、いつかのフラミア戦みたく手玉に取 ﹁それに、俺には隷属魔法と得意の口八丁がある。いざとなりゃ 沈黙の八冥家 ってみせるさ﹂ まあ、さすがにお子様のフラミアみたく楽にはいかないだろうし、 仮にチャンスがあったとしてもベル=フォイゾンをいきなり隷属な 1358 んてのは、色々な意味で難しいだろうけど。 それでも安心させるためにそう言うと、俺は二人に一時の別れを 告げ⋮⋮ハイリスクハイリターンの単独ミッションを、開始したの である。 ※ ※ ※ ﹁さて、ここまでは順調⋮⋮と﹂ 俺の目の前にそびえる、縦長の真紅の扉。 間違いなくこの中が、あのベル=フォイゾンに用意された部屋だ。 もちろん、何のトラブルもなくここまで来れたわけじゃない。 懐かしのグルームを思わせる巨体の護衛魔騎士に、どこの所属だ と誰何され不審に思われそうになったが⋮⋮あっさりと簡易隷属で カタがついた。今は俺と会った記憶を忘れ、お散歩中だ。 受けきる わけだが、かかることが 魔騎士クラスでも魔法抵抗は基本的に持っていない。大抵の魔法 は並外れた生命力や防御力で ゲームセットを意味する隷属魔術に対しては例外的に無力だ。 ここみたいな出会い頭に攻撃されない状況だと、俺のジョブはま さに向かうところ敵なし。 快く譲って もらったプレート状の魔法鍵を、 ﹁さて、鬼が出るか蛇が出るか⋮⋮というかその程度で済めばお慰 みってヤツだな﹂ 護衛魔騎士から 扉に当てる。 意を決し、音もなく開く扉の隙間に滑り込む。 1359 逃走も含め、ベル=フォイゾンが俺を殺す気で来たらどうやって 沈黙の八冥 丸め込み生き延びるかは、ここに来るまでの途中何十通りも想定パ ターンを変えてシミュレートした。 。 とはいえ、相手はもっとも謎めいた、そして冷酷な 家 何が起きるかは想定しきれない。さすがに背筋が緊張の汗で濡れ る。 ︵お邪魔しますよ⋮⋮っと。とりあえず、中に他の魔族の気配はな いようだが⋮⋮たった一人でここにいるのか?︶ 部屋といっても広大な平屋の邸宅ほどはあるため、入ってすぐ主 に鉢合わせはしなかった。 俺は分厚い絨毯に足音を沈み込ませ、奥へ奥へと歩を進める。 と̶̶̶その時。 ︵ん⋮⋮声?︶ 奥まった一室、半開きになった扉の隙間から、かすかに漏れ聞こ えてくる。 パルミューラに用意された部屋と同じ間取りなら、あそこは寝室 だったはず。 誰かと会話しているのか、それとも⋮⋮? いずれにせよここまで来て引き返すという手はない。俺はいよい よ溢れてくる緊張のツバを飲み込み、そっと扉に近付いた。 ﹁⋮⋮⋮⋮から⋮⋮⋮⋮無理⋮⋮⋮⋮もう⋮⋮⋮⋮っ⋮⋮⋮⋮﹂ 1360 ︵なんだ、はっきり聞こえないが⋮⋮ベルの声か?︶ 八冥家の大魔貴族の知覚力相手に、どこまで隠れていられるかは 正直不安だが。 それでも好奇心と、一抹のスリルを愉しむ心の赴くまま、俺は扉 の隙間からそっと中をのぞき見て̶̶̶そして。 予想外のものを、そこに見た。 ︵ん⋮⋮? ⋮⋮え?︶ 直径5mはあろうかという大型の円形ベッド︵巨体の魔族でも使 えるシロモノだ︶の真ん中に、ぺたんと女の子座りで縮こまった小 さな人影があった。 悪の女幹部を思わせる、威圧的で悪そうな露出過多な装束にマン ト⋮⋮パルミューラの目を通して覗き見た、まぎれもないベル=フ ォイゾンの姿。 だが⋮⋮何かがおかしい。 背を向けたシルエットは、あの時と比べて、どこかに決定的な違 和感がある。 それが何かはすぐにわかった。 別の場所 にあった。 頭のツノ、ご立派でいかにも魔族らしい身体的特徴が⋮⋮ないの だ。 いや、よく見るまでもなくそれは ドクロの意匠がついた金属の魔杖と並んで、彼女の脇、ベッドシ つけツノ が。 ーツの上に無造作に投げ出されていたのだ⋮⋮ヘアバンド状のもの で繋がった 1361 ︵え? え?? 作り物⋮⋮? ふぁ⋮⋮ファッション?︶ なんでそんなものを大魔貴族さまがつける必要があるのか。 困惑しつつもっとよく見ようと、思わず俺はぐっと身を乗り出し ⋮⋮そして半開きの扉が押されて、ギイッと予想外に大きな音を立 ててしまった。 ﹁っ!? だ、だれっ!?﹂ ︵しまっ̶̶̶︶ 俺を振り返るベル=フォイゾン。 目が、合った。 俺は初めて彼女の顔を、明るい場所で真正面から̶̶̶はっきり と見た。 ﹁̶̶̶え!?﹂ ﹁っっ!!?﹂ 硬直。 止まる時間。 ただ呆然と、互いの顔を見つめ合う俺たち。 目の前にあったのは、あまりにも予想外の現実。 ﹁す⋮⋮すっ⋮⋮鈴ちゃん、先生?﹂ ﹁お、おおおおおっ⋮⋮小田森、くんっ!?﹂ 沈黙の八冥家 と呼ばれた、もっとも謎めいた大魔貴族は。 ベル=フォイゾンは。 1362 まぎれもなく̶̶̶俺たちクラスメートと共にあのバス事故で死 んだ、担任教師だった。 1363 74話:思わぬ再会と、媚処女蹂躙︵※イラストあり︶ そのむらすずね 園村鈴音̶̶̶生徒からの通称、鈴ちゃん先生。 彼女を簡潔に表現するならば だ。 良く言えば友達感覚、悪く言えば 俺たちのクラスの担任教師だった人物。 ちょっとナメられがちな女教師 大学で教員免許を取って教育実習を終えたばかりの23歳という 年の近さ、そして心優しいのだが少しオドオドしがちな小心者の性 格。背も低めで猫背気味、威圧感や頼もしさとはまるで無縁。 まさに、ちゃん付けのあだ名が象徴する通りの存在といえる。 他の先生に﹃わたし、こんなことで教師としてやっていけるんで しょうか⋮⋮﹄などと気弱に相談しているところを度々目撃されて おり、クラス委員時代のキリカはずいぶんとフォローに気を揉んで いたようだ。 そんな、人畜無害を絵に描いたような若葉マーク女教師が。 ﹁な⋮⋮なんで、魔界の魔族⋮⋮それも八冥家とかやってんのっ! ?﹂ ﹁あうぅぅ!? ご、ごめんなさいぃっ!?﹂ 元生徒からのツッコミに、ぺこぺこ頭を下げるベル=フォイゾン ⋮⋮いや、鈴ちゃん先生。 マントの下に大胆な黒紫のローライズビキニという悪の組織の女 幹部じみた威圧的コスチュームが、正体がわかった途端に単なるエ ロコスプレみたいに見えてしまうのがなんともアレだ。 教師時代は野暮ったい格好ばっかで気付かなかったが、こうして 1364 見ると意外といい体してるんだなぁ⋮⋮などと、混乱する頭の片隅 で思わず考えてる場合じゃない。 ﹁ええと、とりあえず説明してくれます? マジになんでこうなっ たのか、経緯を﹂ ﹁あ、あのね小田森くん⋮⋮本当にどこから説明していいのか、先 生わかんないんだけどぉ⋮⋮と、というかそう言う小田森くんの方 もどうしてここにいるのかな、とか?﹂ ﹁⋮⋮俺の方も手短に説明しますから。いいですね?﹂ ﹁っ、は、はいぃ⋮⋮!﹂ こっちがペースを握らないとらちが開かないので、じろりと仏頂 沈黙の八冥家 の正体とは⋮ 面で威圧的に告げると、ビクっと小動物のように怯えつつコクコク うなずく元女教師。 これが魔界全土で恐れられている ⋮ほんと、どうしてこうなった。 ともあれ、鈴ちゃん先生の打ち明け話をまとめると、以下のよう になる。 俺たち生徒と同様、バス事故で命を失った彼女は、管理者によっ てあの転生くじを引かされたわけだが⋮⋮その結果、転移した先は なんと魔界だったというのだ。 ただの人間、それも別にチートジョブも持たない女がとても生き ていける場所じゃない。魔族の手で戯れに嬲り殺されるか、徘徊す 金眼大公 アロイシャス。 る魔獣にあっさり喰われるか⋮⋮だがそこに現れ、彼女を保護した 者がいた。 それが三大公のひとり、今は亡き 彼は鈴ちゃん先生を居城に招き、﹃実は異世界からやってきた﹄ という事情を聞くと、何も言わず彼女に自分の遠縁の魔貴族という 1365 ニセの身元を用意し、領地まで与えてくれたのだという。 ﹁驚いたな。それで、何か命じられるとか利用されるみたいなこと はなかったんだ?﹂ ﹁ううん、そんなことないわ! アロイシャスおじいさまはとって もお優しい方だったの。わたしのことをまるで実の孫みたいに可愛 がってくれて、地球のお話をいつも楽しそうに聞いてくれて⋮⋮う ぅ、それがどうしてあんなことに⋮⋮ぐすっ﹂ 鈴ちゃん先生の悲しそうな表情を見る限り、どうやら本当に亡き 金眼大公は少なくとも、彼女にとっては優しい保護者だったようだ。 もちろん、内心では何かの目的で利用するためにそうしていたと いう推測も立たなくはないが、イヴリースの骸の力で彼が消滅した 今となってはどのみち真意を確かめることはできない。 ともあれ、三大公の一角という巨大な後ろ盾を得た彼女は、彼に 言われるがままその領土を割譲される形で勢力をぐんぐん伸ばし、 ついには押しも押されぬ八冥家の一員に名を連ねたというわけだ。 しかし、ただの人間を魔族と偽ってまで後継者のような位置に取 り立てるとは⋮⋮保護するだけなら普通そこまではすまい。アロイ シャス大公は、いったい何を考えていたんだ? ﹁⋮⋮って、ちょっと待って先生。先生が⋮⋮つまりベル=フォイ ゾンが八冥家入りしたのって百年とか前だよね? 俺たちがこっち 鈴 だから ベル なんだな、と今さら脱力モノの に来たタイミングとずいぶんズレるっていうか⋮⋮先生、今いくつ なの?﹂ そういえば 真実に気付きつつの疑問。 1366 ﹁お、小田森くんっ! 女のヒトに年を聞いちゃ、めっ! ですよ っ?﹂ ﹁⋮⋮チッ﹂ ﹁はひっ!? ご、ごめんなさい、舌打ちやめて、こわいから⋮⋮ !﹂ ぷるぷる震えてベッドの上で縮こまる、大魔貴族のはずの小動物 系女教師。 なんというか、いちいちイジめたくなる仕種だ。こりゃナメられ るわけだよな。 ともかく、彼女と俺の体験を照らし合わせて分かったのは、鈴ち ゃん先生が魔界に転生したのは少なくとも二百年以上前という驚き の事実だった。 あのクルスはまだ謎が多いから例外として、キリカやリルナがや ってきたのは俺と同じタイミングなわけだから、彼女だけが特別な のだろうか、それとも⋮⋮? ⋮⋮あの管理者のお役所仕事が、単にずさんなだけという可能性 も捨てきれないけど。 ﹁で、なんで外見が変わってないんだ? 魔族を騙ってるだけの人 間なんでしょ、先生﹂ 魔杖ラーフ=アティ にはいくつもの魔法が ﹁あっ⋮⋮それはね、おじいさまから頂いたこのアーティファクト のおかげなの。この 永久エンチャントされてて、その中に持ち主の体の時間を止めるっ てのもあるんだよ﹂ ベッドに投げ出された、先端にドクロがあしらわれた杖を指す。 ⋮⋮そんな大事なもん無造作にほっぽっていいのかよ、と思わな くもないが、なるほど、ほとんど姿を現さない謎めいた存在になっ 1367 た理由はそこか。 彼女の話では、領内の経営も部下の魔族に任せっきりらしいが⋮ ⋮ん? ﹁ってちょっと待って。魔貴族の上下関係は、魔紋を介した契約で 結ばれるんだったよな? 先生にそんなことはできないと思うんだ が、そこはどうやってクリアしてんの?﹂ ﹁それはね、わたしの側近の皆さんって全員、おじいさまが用意し てくれた魔法生物なの。魔紋がなくてもわたしに絶対服従するよう に作られてるから⋮⋮あっ、ちなみに魔法生物のみんなにも、この 魔杖で指示するんだよ﹂ なるほど、それにしても危ないごまかし方だな。 いよいよアロイシャス大公の真意が謎だ⋮⋮単に鈴ちゃん先生を 保護したいだけなら、八冥家なんて目立つ地位は与えず、自分の領 内で住まわせた方がよっぽど平穏無事に思えるが。 まあもっとも、そうしなかったおかげで他の一族郎党のようにイ ヴリースの手で領地ごと消滅させられる難を逃れられ、こうして生 き残っているんだから、結果的には幸いしたわけだ。 沈黙の八冥家 とかって恐れられてるわけ? 先 ﹁まあ、だいたいの経緯は理解できたよ。解らないのは、それでな んで冷酷非情な 生、そんなキャラには程遠いだろ﹂ ﹁うぅ⋮⋮そ、それはね。ほらわたし、先生だった時なんていうか ちょっと⋮⋮生徒のみんなから甘く見られてた、でしょ?﹂ ﹁うん、まあちょっとどころじゃなく﹂ ﹁お、小田森くんの意地悪ぅ⋮⋮とっとにかく! だから今度はね、 最初からコワ∼い噂を流せばいけるんじゃないかって思ったわけ。 ほら、表向き魔族なんだし、なめられちゃうと良くないでしょ?﹂ 1368 ドッと力が抜ける⋮⋮なんとなく、そんなことだろうと思ったぜ。 そりゃまあ沈黙の八冥家って呼ばれるわけだよ、喋ったらすぐボ ロが出るもんな。 むしろ今までよく決定的なボロが出なかったもんだと褒めてやる べきか。 ﹁んじゃ最後の質問だ、先生。どうして三大公への推挙を辞退する なんて言い出したんだ? ぶっちゃけ、あの爆弾発言のせいで魔界 は大混乱になりかけてるんだけどさ﹂ ﹁そ⋮⋮それなんだけどぉ⋮⋮﹂ じわっ、と俺を見つめるタレ目気味の瞳に大粒の涙が浮かんだ。 そして次の瞬間、 ﹁う、うぇぇぇ∼∼∼∼∼んっっ⋮⋮!! お、小田森くぅぅん⋮ ⋮っっ!!﹂ ﹁ちょっ、ちょっと先生、おい鈴ちゃんっ!? な、泣いてちゃわ かんないでしょうがもうっ、子供じゃないんだからイイ年︵二百数 十歳︶して! ほら、ちゃんと話す!﹂ ぴーぴー泣き出す鈴ちゃん先生を、必至でなだめる俺。 元の生徒と教師という関係からしても、今の新参八冥家の従者と 三大公候補という立場からしても、普通逆だろこれ、という状況だ。 なんかもう死にたくなってきた⋮⋮なんで決死の思いで潜入した 先で、こんな予想外のめんどくさい状況に直面せにゃならんのだ! ? ここ奈落万魔殿のかつての主、魔王も泣くわ。 ﹁だって、だってぇ⋮⋮! わたし、もっもう限界だよぉ⋮⋮! 怖いひとたちに囲まれて八冥家やらされるのだけでもいっぱいいっ ぱいだったのにぃ、三大公とかぜったいむりぃぃ!! アロイシャ 1369 スおじいさまも居なくなっちゃったのにっ、わたしひとりで出来る わけないよぉう!?﹂ ⋮⋮なんてこった。 まさか今さらビビって辞退でもあるまいに⋮⋮というかつての冗 談混じりの推測が、本当に真実を言い当てていたとは。 なんだかんだで八冥家を名乗る器に成長しつつあるパルミューラ よりよっぽど弱メンタルのチキンハートを計画の中心に据えてしま ったなんて、あのミクラも夢にも思うまい。 しばし、えぐえぐ泣き続ける鈴ちゃん先生を呆然と眺めた後。 俺はマジで途方に暮れかかった心を⋮⋮深呼吸してムリヤリ落ち 着け、そして口を開いた。 ﹁よし⋮⋮わかった、先生﹂ ﹁ふ、ふぇ?﹂ ﹁⋮⋮俺が。俺がなんとかしてやる﹂ ﹁な、なんとか⋮⋮って? あ! も、もしかしてわたしの代わり に小田森くんが魔族のみんなに説明して謝ってくれるの? 今まで 騙しててごめんなさい、実はわたしただの人間で、全然三大公とか になるつもりないんです、もうこういう似合わない格好もやめて家 庭菜園とかやりながら静かにのんびり余生を送りたいんですって̶ ̶̶﹂ ﹁ええい、違うわい!!﹂ ﹁んひっっっ!?﹂ 肩にずばんっと手を置くと、びくぅぅぅぅッッ!? と現実逃避 しかけてた元女教師の体が盛大にビビり跳ねた。 ﹁いいか? 先生に、いやベル=フォイゾンに今さら辞退されると 1370 冗談じゃないことになる。イヴリースはまんまと三大公の地位を得 て、間違いなく魔界に大乱を巻き起こす⋮⋮アロイシャス大公を消 した時以上の惨事を引き起こしてな﹂ ﹁お、おじいさまを⋮⋮﹂ ﹁まだ間に合う。辞退を取り消すんだ。そしてイヴリースに勝って、 新たな三大公になってくれ、先生! こうなったらウソをつき通す しか、生き残る道はないんだよ!﹂ 人間ごときが長らく八冥家という地位を得て、他家をたばかって いた時点で、真実を知らせたところで彼女が無事に済むとは思えな い。 庇護者のアロイシャス亡き今、二大公あるいはヴラドヴェリらに よる見せしめの制裁はまぬがれないだろう。 そしてこのまま辞退を確定させたところで、恐らく彼女を推挙し た大公は徹底的にその真意を糾弾するだろう。何かの策略を︵実際 はそんなものないのだが︶警戒したイヴリースもそうするかもしれ ない。 その結果、おそらく間違いなく真実がバレる。 ﹁え、えええええっっ!!? む、無理だよ怖いよ、ぜったいむり むりむりっ!?﹂ だが俺と違い、そんな計算の回らないちょっぴりお花畑な鈴ちゃ ん先生は、積もりに積もったストレスから逃れたいばかりに首を振 るばかり。 根本的にこの人、策謀だの生存戦略だのに向いていないんだよな、 わかっちゃいたが。 このままではラチが開かないことは解りきっていたから、俺は強 硬手段に出た。 1371 ﹁だ、だからどうしてもって言うならほら、ええと、他の八冥家の ヒトとかが代わりにっ⋮⋮んぷぅぅっっ!!?﹂ 怯える細いあごを掴み、彼女の唇をいきなり奪ったのだ。 異世界で味わう、元女教師との柔らかなキスの味。 ﹁んぅぅ∼∼∼∼∼!!? んむぅぅぅぅ∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ 当然ながら鈴ちゃん先生は目を白黒させて大混乱、すぐ眼前の顔 色が赤に青にピンクにとめまぐるしく入れ替わる。 じたばたする抵抗は正直あまりにも弱っちく、俺は容易くそれを ねじ伏せてそのまま、彼女をベッドの上に押し倒した⋮⋮思えばそ もそも、こんな状況で無防備に男と一対一で話していたのだから、 ガードの緩さも尋常じゃないなこの人。 ﹁⋮⋮ぷぁはぁっ!? な⋮⋮何するのよぉ、お、小田森くぅん⋮ ⋮っ!? じょ⋮⋮冗談でも先生、怒るよぉぉ⋮⋮!?﹂ ﹁冗談でも何でもない。俺は今から、先生を̶̶̶俺の女にする﹂ ﹁えっ⋮⋮? ふ、ふえぇぇぇっっ!!?﹂ 壁ドンならぬ、ベッドに倒して真上からドンしての傍若無人な宣 言。 一拍置いてやっと現状を理解したのか、どっからどう見ても男性 経験がロクにないであろう気弱な元女教師は、ボボボッと顔を真っ 赤に染めて驚愕した。 ﹁あのっ、あのねっ小田森くんっっ!? せ、先生なんでこうなる のかちっともわかんないんだけどっ!? こういうのっていけない んだよっ、処罰されちゃうよっ!? ほら条例とかで!﹂ ﹁いや異世界の魔界に条例もクソもないだろ! ともかく、まだ言 1372 ってなかったから伝えとくが⋮⋮俺のジョブは魔隷術師って言って ね。他者を隷属させ支配するスキルなのさ、そして今までもこうや って色んな女たちをモノにしてきたんだよ﹂ ﹁えっ⋮⋮えええええっっ!!?﹂ 先生の元生徒も約二名ほど含めてね、とはさすがにまだ言わない。 ﹁だから、先生がどうしても三大公候補から逃げ出すってんなら強 硬手段を取らせてもらうまでだ。こうやって俺のモノにして⋮⋮あ らゆる意味で、言う事に逆らえなくしてやる⋮⋮!﹂ ﹁やっ、あっんあぁっ⋮⋮あひゃぁああんっっ!? や、やめっ⋮ ⋮さ、さわらなっ⋮⋮んぁあ!?﹂ 両腕をシーツに押さえつけ、白い首筋に口づけてうっすら透ける 血管沿いに舌を這わせると、漏れたのはくすぐったさ混じりの素っ 頓狂な嬌声。 明らかに、愛撫され慣れてない⋮⋮どころか、初めてそうされる ような反応。 キスの時も思ったが、やはり̶̶̶。 ﹁先生、処女なんだね﹂ ﹁∼∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ トマトのように真っ赤になる表情が、雄弁に物語っていた。 まあ、男子生徒のトトカルチョでも賭けが成立しなかったくらい バレバレだったが。 ﹁お、小田森くぅんっ⋮⋮こ、こんなことする子じゃなかったのに ぃぃ⋮⋮っ!? ほ、ほんとにこっちに来てから女のヒトにっ⋮⋮ こんなぁっ⋮⋮ふぁぁぁあ!?﹂ 1373 ﹁ああ、そろそろ経験人数3ケタとか行くんじゃないかな﹂ ﹁さっ⋮⋮さんっっ⋮⋮!!?﹂ 意外と豊かな乳房をこねられながら告げられ、絶句する魔族女教 師。 シェイヨル大森林でのエルフやダークエルフたちとの乱交、そし て記憶に新しい遺跡都市改め巨人都市パラヴァータでの連日の喰い まくりツアー。 今や俺は、鈴ちゃん先生の知るぼっちでモテない小田森トオルと はまるで別人。 大魔貴族となって人とは違う時を重ねても、まったく変わってい ない彼女とは対照的だ。 ﹁だから安心して、処女の相手も慣れてるからさ。先生の初めて⋮ ⋮俺が優しく散らしてやるよ﹂ ﹁え⋮⋮えええっっ!!? ちょっちょっとまさかっ、まさかこの まま本当にっ⋮⋮ひゃぁぁあんっっ、やっ止めっ!? お、小田森 くんっっっ!?﹂ ぐっと掴んだ両足をムリヤリ開き、元々きわどい箇所をほとんど ギリギリ隠すサイズのローライズビキニに手をかける。 こうしてみるとお腹のおヘソまわりや太ももなど、わりと無駄め なお肉がついて柔らかそうな元女教師ボディ。 太っているとまではいかないが、これはこれでムラムラくる、だ らしな気味のエロい体型だ。 ﹁へえ、パイパンなんだね、鈴ちゃん先生は。こんなとこまで子供 っぽいなあ﹂ ﹁みっ見ないでぇぇぇ!? だ、だって魔杖の効果でずっと変わん ないんだもんっ、ほんとはもうすぐ生えてくるはずだったんだもん 1374 ⋮⋮って、ひゃぁああぁわわわ!!? どっどこに顔寄せてるのぉ ぉぉおお!!?﹂ 沈黙の八冥家︵笑︶ サマのいか すんすん、とぴっちり閉じたあそこの匂いを嗅ぐ。うっすら香る 花のようなメスのにおい。 俺は問答無用で舌を伸ばし、 にも処女っぽい割れ目を丹念にクンニでほぐし始めた。 ﹁やだやだやだうそっ、嘘っウソぉぉぉぉうっっ!? せ、先生の そんなとこぉ⋮⋮な、舐めちゃダメだよぉぉ⋮⋮ぅっっ!!? お、 小田森くっ⋮⋮んんんんんぅぅぅん∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ 股の間に埋まった俺の頭をぽかぽか叩こうとするか弱い抵抗を、 クリトリスを強くはじく舌使いで強引に体をのけぞらせ黙らせてや る。 仮にも肩書きだけは八冥家のくせして、まったく弱い⋮⋮弱すぎ る。 これは色んな意味で、俺が一から鍛え直してやらねばなるまい。 ﹁ひっぐ、ぐすっ⋮⋮あうぅ、んうぅあっっ⋮⋮!? も、もうや めてぇぇ小田森くんっっ⋮⋮! せ、先生のカラダにこれ以上ぉぉ ⋮⋮へ、変なことしないでっ、よぉぉ⋮⋮ぅ!?﹂ しばらくの執拗なクンニ責めで未知の快感をムリヤリ一足飛びに 開発された鈴ちゃん先生は、自分の体の変化を理解できず、泣きな がら戸惑うばかり。 だがその、全身から無自覚に発せられるいじめてオーラにあてら れ、俺の方はといえばすっかりギンギンの臨戦態勢だ。 ﹁ほら先生、見てよコレ⋮⋮どうせ初めてナマで見るだろうけど、 1375 これが男のチンポだよ﹂ ﹁ひっ!? やめてやめてぇっ、そんなの見せないでぇぇ!!? こっこわいぃぃ!!﹂ 予想外の再会とはいえ、密かに男子生徒からの人気はあったこの 可愛らしい小動物系女教師̶̶̶年上とは思えないよわよわぽわぽ わお姉さんを、俺がムリヤリ犯す。 その背徳の興奮に、魔隷にして言う事を聞かせるという計画抜き でも俺は酔っていた。 ﹁これだけ濡れてりゃ入るだろ⋮⋮ってわけで、いくよ、鈴ちゃん 先生? 力抜くんだぞっ⋮⋮!!﹂ ﹁え? え?? あっ、ちょっと止めっ⋮⋮ほっほんとにやめっ⋮ ⋮!? や、あぁぁあああぁぁぁあああッッッんううぅぅぅあぁぁ あああ∼∼∼∼∼∼っっっ!!?﹂ むちむちボディをのけぞらせビクビク震わせる鈴ちゃん先生の、 生徒も魔族も誰も知らない未踏の奥の奥へと̶̶̶。 キツキツに狭い処女肉をみちみちと割り裂き、俺は百戦錬磨の剛 直チンポを突き沈めた! ﹁やっあッッ、やだやだやだ痛い痛い痛いいったいよぉぉぉぉおぉ ぉ∼∼∼∼∼∼うっっっ!!? ぬ、抜いて抜いて抜いてぇぇ!! しっ死んじゃう∼∼∼∼∼っっ!!?﹂ ﹁大丈夫だよっ、このくらいじゃ死なないからっ! くぁ、それに してもキツ⋮⋮くおぉっ!﹂ ずくん、ずくんっっと鼓動に合わせて侵入者たる俺を締め上げる、 元女教師の処女マンコ。 全方位からカリや幹の凹凸をみっちり包む密着感、こなれた時が 1376 楽しみななかなかの名器だ。そしてもちろん、青く固い段階の果実 の抵抗をたっぷり味わえるのは今だけ。 ﹁よぉし、こうやって乳やクリをいじりながら少しずつ動くからな、 先生っ⋮⋮! マンコよりそっちの気持ち良さに意識集中してみて よ、その方が痛くなくなるっ!﹂ ﹁ふぇぇぇ、やだぁ、やだっやなのにぃぃ⋮⋮!? おっ小田森く んの犯罪者ぁぁ⋮⋮っ!? ふぅぅーっっ、んふぁ、ふあぁ⋮⋮っ !? は、はぅぅぅん⋮⋮っ!!﹂ えぐえぐ泣いて栗色の髪をぶんぶん振りつつ、他にどうすること もできないので言われるがままに、俺が両手でそれぞれ愛撫を始め たおっぱい肉とちっちゃな豆の快楽を味わう鈴ちゃん。 処女の痛みを軽減する動き方も幾度となく経験して慣れてるだけ に、そうして丹念にほぐしながら腰を使っていくうちに、次第に少 しずつスムーズに動けるようになってくる。 ﹁あぁあっ⋮⋮んはぁあんっっ!? やっ、なっなんかヘン、なの ぉぉ⋮⋮っ!? おっ小田森くんの、指とかがっ⋮⋮さ、触られた とこどんどんジンジンしてぇぇ⋮⋮!? おっおなかの中までぇ、 熱くなってっ⋮⋮ひゃあわわわぁぁんっっっ!!?﹂ ぽよんと柔らかく触り心地のいい処女教師おっぱいをコネほぐし つつ、外から子宮のあるお腹の肉をぐにぐに押すように撫でさすっ てやると、中にみゅっちりハマったチンポと上下サンドされる形に なった膣内腹側の性感帯がどんどん開発されてゆく。 愛液の分泌もかなり増え、そろそろ頃合いと察して俺は本格的に 腰を使い始める。 ﹁やっ、んあっっああぁあッッ!? だめ、ダメよぉ小田森くぅん 1377 っっ⋮⋮わ、わたしたち教師と生徒なのにぃぃ⋮⋮こ、こんなこと しちゃダメぇぇぇ⋮⋮んかはぅぅっっはぅぅぅッッ!!?﹂ ﹁先生面してもムダだよ鈴ちゃん、この世界じゃ、このベッドの上 じゃ一人の男と女なんだからな? 鈴ちゃんみたいな男慣れしれな い処女マンコ、どうやって崩して陥落させりゃいいかなんて俺はば っちり解っちゃってるんだからなぁ⋮⋮そらっ、ここだろっ弱点っ っ!!﹂ ﹁⋮⋮んんぉぉおおっっ!!? やっあっああッッ!!? なっな にこれぇぇ⋮⋮っっ!? だめ、これダメっ、おっ⋮⋮おしっこ漏 れちゃうみたいになっちゃうよぉぉ⋮⋮うぅぅんっっ!!?﹂ 正常位で奥までずっぽり繋がった状態で、チンポをえげつなく反 り返らせて子宮口付近のポルチオ性感を容赦なくリズミカルにノッ クしてやる。 弱点だらけの処女マンコがこのテクに耐えるのは不可能だ。 案の定、鈴ちゃん先生はエロ衣装に包まれたカラダを小刻みに軽 く何度も絶頂させ、プシッぷしゅぅぅぅ⋮⋮っっ! と軽く潮まで 噴いて結合部を濡らす始末。 ﹁そらっ、そらそらぁっ!! いいから俺の女になれ、鈴ちゃん⋮ ⋮! そしたらこのちょっとだらしないエロボディの面倒もみっち り見てやるし、不安なんか全部取り除いてやるぞっ!!﹂ ﹁だめ、だめっだめぇぇっ!!? み、耳元でえっちなこと言いな がら動いちゃダメぇぇえ!? わ、わたしは先生だもん⋮⋮っっ! ! せ、生徒のものになんかぁ、なっちゃいけないんだよぉぉ⋮⋮ っっ!!? ああぁぁうぁぁぁ∼∼∼∼∼っっ!!?﹂ ズンッズンッッといよいよトドメを刺しにかかるイカせピストン の重いストロークに処女膣内を食い荒らされながら、ぴーぴー泣き つつも首を横に振る元女教師。 1378 あんなに気弱なくせに最後の一線は思ったより強情だが、なあに、 魔隷にしてしまえば同じことだ⋮⋮と、久々に鬼畜モード全開の俺 はよりいっそう激しく、こなれ始めた柔肉を叩き掘る。 ﹁そうか、だったら強引に俺のモノにするまでだッ!! 生徒の極 悪チンポでたっぷり精液ぶち込んでやるからっ、その処女くさい子 で 宮でガッツリ飲み干せよ鈴ちゃん⋮⋮いや、鈴音ぇっ!! おおお おぉぉおおっっ⋮⋮でっ、射精るぞぉぉぉぉぉッッッ!!﹂ ﹁やっやだぁぁぁぁぁぁっっっ!!? たっ、たしゅけてぇぇぇっ っっ!!? ダメダメダメそんなの出しちゃダメぇぇぇっっ、ああ っっんはぁぁぁあぁああ∼∼∼∼∼∼∼∼ッッッ!!?﹂ びゅばッッ、どぶびゅるるっっ⋮⋮どぶどぷぅぅぅぅッッッ!! どびゅるるるんっっ、どくっどくどくどくぅぅッッ⋮⋮びゅくん っっ!! んびゅくんっっ!! むちむち柔らかいカラダを強引にかき抱いたまま、俺は隷属魔術 の精髄を満載した欲望の白濁ミルクを、それはもう凄まじく大量に ⋮⋮元女教師の未使用子宮の奥へと注ぎ込んだ。 かりかりっと俺の背中に、同時に絶頂した鈴ちゃんの爪が夢中で 立てられる痛がゆさも、快感と征服感を後押しするスパイスだ。 ﹁うっく、くふっ⋮⋮おぉぉっ、全部お腹の奥で受け止めて飲み込 め鈴音っ、鈴ちゃんっ⋮⋮!﹂ ﹁ひやぁぁぁ⋮⋮あぁぁあ⋮⋮っっ!! お、小田森くんっ、ひっ ひどいよぉぉ⋮⋮! わたしっ、はじめてだったのにぃぃ⋮⋮! こ、こんないきなりぃぃ⋮⋮あぅぅっあうぅぅ∼∼∼∼∼⋮⋮っっ !!﹂ 涙を流しながら快感とチンポによる征服に翻弄され、射精を受け 1379 止める弱々しい小動物めいた彼女の姿にちくりと罪悪感が胸を刺す が、だからといって男の欲望は別腹である。 俺はしばし、えぐえぐ泣き続ける鈴ちゃんの頭をぽんぽんと子供 でもあやすように撫で続けつつ、処女血にうっすら濡れたチンポを 絶頂の余韻にたゆたわせるのだった̶̶̶。 ※ ※ ※ まこと ﹃││それは真か、クルスよ﹄ 着崩した純白の着物姿で頬杖をつき、振り向きもせず腹心の言葉 の先をうながすイヴリース。 ﹁はい。間違いありませんよ﹂ 銀仮面の人物⋮⋮クルスは芝居がかった一礼と共に、報告の核心 を口にした。 ﹁ベル=フォイゾン公に関する決定的な極秘情報│││しかと、掴 みました﹂ 1380 74話:思わぬ再会と、媚処女蹂躙︵※イラストあり︶︵後書き ︶ ※ ※ ※ というわけで10月4日の書籍4巻発売を前にちょうどタイムリー に届きました、ベル=フォイゾンこと鈴ちゃん先生の設定画が以下 になります。 ︵この話まで読んでいないとネタバレになるため活動報告ではなく ここに掲載︶ <i210050|15432> なんというドスケベボディ⋮⋮! 1381 75話:狐尻の誘惑と、闘宴への招待︵※イラストあり︶ 人間界と魔界は、近くて遠い世界だ。 極め 俺たちが元いた世界同様、それぞれはあくまで別々の世界なのだ 。 特に近い が、世界同士の距離︵これは概念的な表現だが︶が例外的に て近い ポータル 双方の世界のあちこちに、次元の歪みとも言うべき 場所が無数に存在する。 言わば、人間界と魔界とを繋ぐ転移門だ。 界渡り を行うメリットは少な ここで適切な術式を用いることで、もう片方の世界に移動するこ とは比較的容易なのである。 もっとも、だからといってこの い。 人間側にしてみれば、危険極まる魔族の領域なんぞに行くのは猛 獣の檻に飛び込むような自殺行為だし︵実際、そうやって消息を絶 つアホな腕自慢は定期的にいるらしい︶魔族側としても人間界をわ ざわざ訪れる理由に乏しいのだ。 なぜなら魔族にとってもっとも重要なのは、肉体を構成するエネ ルギー源である魔力。 これが糧であり、富だ。そして魔界に満ちる魔力は量も純度も人 八冥家一番の小物 ことバル=ヴァルスみたい 間界の比ではない。加えて土地も資源も労働力も有り余っている。 それゆえ、あの に人間狩りが趣味ってタイプでもなければ、あえて人間界に手を出 す理由はないに等しい。 ポータル ともあれ、俺たちはミクラの案内で転移門のひとつを通って魔界 1382 へとやってきた。拍子抜けするくらいあっさり来れたことに驚いた くらいだ。 それに魔界は地形や天候、生態系こそ危険でダイナミックだが、 おどろおどろしい不毛の世界というわけでもなかった。別の惑星⋮ ⋮という概念が一番近いのかもしれない。 魔族にしても、邪悪一辺倒かといえば決してそんなことはなく、 ヒトがそうであるように性質も考え方も千差万別だ。 もちろん基本的に人間を見下してはいるが、だからといって積極 的に滅ぼそうなどとはしない。単に興味がない連中がほとんどだ。 その意味では、住み分けることで共存が可能な種族といえる。 唯一絶対の例外があるとすれば̶̶̶魔王。 かの最強の存在が、なぜ魔界の支配に飽き足らず人間界侵攻など という無益で馬鹿げた行為に全霊をかけたのか? ⋮⋮魔王の遺産にして欠片を身に宿し、 それは魔族たちにとってすら、今なお謎であり続けている。 破天の骸 そして、イヴリース。 俺と同じく 三大公の地位を狙う大魔貴族。 ヤツの目的もまた、単なる権力欲などとは俺にはどうしても思え ない。 が分かる時こそ、すべての謎が解ける時なのだろう 俺の左腕に宿る、かすかな魔王の意志の残滓。今はまだ形を成さ 真意 ないソレ。 その か̶̶̶? ※ ※ ※ 1383 荒れ狂うような豪雨と無数の稲光が、赤紫色をした魔界の空に渦 巻いている。 体が沈み込むほど柔らかい大型ソファーに寝転がったまま、俺は まるで大作CGディザスタームービーのようなその光景をぼんやり と見上げていた。 時折、樹形図みたいに閃く落雷の中に、翼の生えた蛇のような巨 サンダードレイク 大な生き物のシルエットがいくつも踊っているのが見える。 あれは雷雲亜竜といって、雷の魔力をああして食べて生きている 低位の竜族らしい。龍血魔公ことヴラドヴェリに言わせれば、知能 も低くとても真の竜とはいえないまがい物だそうだ。 アビサル・パンデモニウム ここは奈落万魔殿に用意された、来客用のだだっ広い個室。 半球ドーム状の透明な屋根によって雨はもちろん、轟音や稲光の 明滅もほとんどがシャットアウトされていて、安全快適に外のすさ まじい天候を観賞できるという造りだ。さすがは魔王の城。 広さも内装の豪華さも、もし同じようなグレードのホテルを地球 で味わおうとするなら一泊百数十万はくだらないシロモノだろうな。 と、そこに。 ﹁やっほ∼。入っていい、トオルっち?﹂ ﹁ああ、どうぞ﹂ 軽快なノックが響き、明るい色のサイドテールを揺らしてリルナ が入って来た。 ギャル仕様の学生服を思わせるラフな出で立ちは、魔界に来ても 変わらない。 魔界行きにセレスタやキリカは警戒心を示したが、彼女は﹃なん 1384 か面白そう!﹄のひと言で片付けていたあたり、なんとも 話だ。 らしい ﹁どしたの? こんな朝早くから、急にアタシだけ呼んだりして⋮ ⋮って、なんかめっちゃ疲れたカオしてない!?﹂ 沈黙の八冥家 ベル=フォイゾン。いや、鈴ちゃん先生。 ﹁ああ⋮⋮控え目に言って、疲れた⋮⋮﹂ 謎めいた大魔貴族のまさかの正体を知った俺は、魔族を演じるこ とに耐えかね三大公候補から逃げ出そうとしたあの女教師を、むり やり犯して隷属させるという鬼畜な手段をとらせてもらった。 処女を俺に奪われぴーぴー泣き続ける鈴ちゃんを、なんとかなだ めすかして落ち着かせた頃には、すでに明け方近く。 こうして部屋に戻ってやっとひと息つくも、考えるべきことが多 くて眠れないという状況だ。 ﹁てわけで、他でもない。橘さん、おっぱい揉ませてくれ﹂ ﹁え? え?? ⋮⋮ふぇえ!!?﹂ いきなりの要求に、純白のブラウスシャツを内側からぐぐっと持 ち上げるわがままボリュームおっぱいを反射的に押さえて、盛大に 赤面するギャル勇者。 ﹁い、いきなり何言ってんのさトオルっち!?﹂ ﹁いや、橘さんのおっぱいをこう、愛でることで癒されると思うん だ⋮⋮男ってそういう生き物なんだ⋮⋮頼む⋮⋮ダメかな?﹂ ﹁え、ええぇ⋮⋮ま、マジ!?﹂ ソファーから立ち上がる気力もないというふうに、ぐてーっとの びたままリルナを見上げる。 1385 優しい彼女の母性本能に訴えるように、わざと弱々しい声で。 ﹁わ、わかった⋮⋮よ。トオルっちの疲れがそれでとれるんなら⋮ ⋮い、いいよ?﹂ 予想通り、お人好しのリルナは恥ずかしそうに目を伏せつつも、 俺の頭付近に膝立ちになっておずおずとその豊満なバストを差し出 してくれた。天使か。 ﹁えっと、ブラ外した方がいいの⋮⋮?﹂ ﹁うん、是非。あ、でも服は脱がずにノーブラのまま俺にこう、身 を委ねてくれると嬉しい﹂ ﹁うぅ⋮⋮注文が多いなぁ、もぉ⋮⋮ま、まあいいけど﹂ ごそごそと自分でホックを外して胸元から下着を引き出す動作が、 妙に興奮する。 たまらず、たぷんと柔らかそうな双丘を服の上から鷲掴みにする 俺。 ﹁んっ、やっ、ふぁ⋮⋮っ!?﹂ もにゅむにゅと十本の指を沈み込ませ、心地良い弾力が薄い布ご しに返ってくるのを味わう。 男に本能的な安心感を与えてくれる、まさに疲れの特効薬だ。 ﹁おお、これこれこの手触り、癒されるぜ⋮⋮! んじゃ、しばら くこのままで頼むよ、橘さん﹂ ﹁え、うん⋮⋮っ、べっ別にいいけど⋮⋮っ! ひゃ⋮⋮ぅ!?﹂ 贅沢な感触を思う存分両手で堪能しながら、俺は考え事を再開し 1386 た。 ⋮⋮鈴ちゃん先生は、俺の隷属術式にかかった。それは間違いな い。 俺に逆らえなくなった彼女に命じたのはもちろん、三大公選の辞 退を取り消すことだ。 彼女にはこのまま八冥家という立場を演じ続け、イヴリースへの 対抗馬として旗印でいてくれなければ困る。 これは彼女自身を守るためにも必要なことだ。今さら実は人間だ ったという事実を暴露して無事でいられるなんていうのは、言っち ゃ悪いがお花畑の甘い考えに過ぎない。 もちろん、だからってムリヤリ犯した俺を恨む権利は当然ある。 それは好きにするといいだろう。ただこっちとしても、共倒れにな 人間的 すぎるんだよな。百年以 らないために容赦ない手段をとることを譲る気はない。 ︵そう、あの思考⋮⋮あまりに 上も魔界で過ごしてたってのに︶ 俺が妙に引っかかるのは、そこだった。 いくらあの小動物系女教師が、ここで乳を揉まれてるリルナ以上 にドのつくお人好しでも、俺たちと違ってとんでもなく長い時間を 異世界⋮⋮それも魔界で過ごしてきたはずなのだ。 なのに、まるで彼女は成長していない。変わってすらいない。 肉体の時間経過は、あの魔杖とやらで止まっているらしいが⋮⋮ 精神の方もそうなのか? 彼女に問いただした限りでは、少なくと もそんな機能は聞いていないという。 ︵しかも、そもそも自分の現状自体にまるで疑問を抱いてないみた いだったな⋮⋮いくら鈴ちゃん先生の頭があったかくても、そこま でユルいってありえるのか?︶ 1387 解せない点は他にもある。彼女のジョブのことだ。 俺は魔隷術師のスキルの一環として、隷属させた相手のジョブを 知ることができる。 だが、鈴ちゃん先生のそれが何であるか、さっぱりわからないの だ。 アナライズ これに関して、先生自身は﹃たぶんそれも魔杖の効果だと思う﹄ と答えた。 彼女の正体がバレないように、あらゆる探査行為から自動的に情 報を隠蔽する機能も備わっているのだと⋮⋮どんだけ万能なんだよ、 あの杖。 解除するには魔杖を破壊するか、遥か遠くに引き離すしかないら しい。彼女の正体がバレるリスクを考えれば、軽々しくそれらを試 すわけにもいかなかった。 にしても、だからって自分自身でもジョブがわからず、今まであ まり気にしたこともなかったというのも呆れる話である。これもぽ わぽわしたお花畑思考の産物なのか、それとも⋮⋮? ﹁んっあ、ぁあんっ!? ね、ねぇトオルっち、いつまで揉んでる のさっ⋮⋮!?﹂ 気が付けば、考え事の間ひたすらに乳を揉まれ続けたリルナが、 切なそうな声をあげていた。 かけている状態だ。 はぁはぁと乱れた熱い息を吐き、うっすらと頬やうなじが桃色に 出来上がり 上気してきている。 明らかに ﹁おっと、ごめんごめん。橘さんの方が疲れちゃったかな? つら いなら、もう充分だから戻ってもらってもいいよ﹂ 1388 わざと、意地悪にそんなことを言ってみる。 ﹁え⋮⋮? そ、そしたら、さ。ひ⋮⋮姫っちとか呼んで、おんな じようにする⋮⋮の?﹂ ﹁キリカを?﹂ ぼそぼそとためらいがちに聞いてくるリルナ。 俺は一瞬考えて、 ﹁いや⋮⋮あいつはアレだ、今はちょっとナシ⋮⋮だな﹂ 最近のキリカは勘が鋭い。俺の憔悴した様子を見せれば、ベルの 正体絡みで何か想定外のことがあったと勘付かれる可能性がある。 今はまだ、この危険すぎる真実は俺ひとりの胸に秘めておくつも りだ。 それに、あの鈴ちゃん先生に手を出したと知れればまた色々言わ れるかもしれんしな⋮⋮ま、将来的にリルナも交えて夢の女教師& クラスメート混合プレイは絶対譲れないけど。 ﹁それって⋮⋮なんで?﹂ だがまあ、それをそのまま言うわけにもいかないのでこう答える。 ﹁そうだな⋮⋮言うなれば、その時々で効くおっぱいの属性ってヤ ツがあるんだ。今揉んで癒されるのは橘さんのであって、キリカの はちょっと違う﹂ ﹁属性っ!? そんなのあったんだ!? げ、ゲームみたい⋮⋮!﹂ ⋮⋮まさか納得するとは思わなかった。まあ、いいならいいか。 1389 ﹁そっかぁ⋮⋮そなんだ、今はアタシのおっぱいの方がいいんだ⋮ ⋮﹂ ﹁ん?﹂ ﹁う、ううん! な、なんでもないよぉ!﹂ 何やらホッとしたような複雑なような、妙な表情をしてからハッ と我に返って慌てるリルナ。 心なしか口元が嬉しそうに緩んでいる。 そういう表情になるべきはむしろ揉ませてもらってるこっちの方 なのだが、本人がまんざらでもないならよしとしよう。 ︵ともあれ、鈴ちゃん先生の謎は探っておくべきだな。死んだアロ イシャス大公が、いったい何を考えて彼女を保護したのか。まずは そこから調べてみるべきか⋮⋮?︶ ﹁ってトオルっち、ま、まだコレ続けるのぉ⋮⋮っ? べ、別にい いんだけどさっ⋮⋮ふぁあ、あっんぁあん⋮⋮っっ!?﹂ なし崩し的に引き続きギャルおっぱいの感触と、そしてリルナの 可愛らしい声とを堪能しながら。 俺は再び、いくつもの思考を脳裏に巡らせるようとした̶̶̶そ の時。 予想外の闖入者が、そこに現れた。 ﹁トオル坊やぁぁ∼∼∼∼∼∼! お姉さん、疲れちゃったわよぉ う∼∼∼∼∼!﹂ 弱々しい声と共に部屋に転がり込んで来たのは、なんとミクラだ った。 1390 普段の飄々としたカリスマ性が、どこかに吹っ飛んでしまってい る。 ﹁ああもう大公サマへの言い訳やら他の冥家への根回しやらで飛び 回らされてヘトヘトったらないわぁ! ヴラドヴェリのトカゲ野郎 ときたらギャースカ吼えるだけでぜんぜん手伝ってくんないしぃ、 いやむしろあの脳筋に余計なことされても困るしぃ!? 何もかも アタシが動かさないと派閥が回んないのよぉ∼! でももう限界、 マジでちょっと疲労の限界っっ! 少しだけここで休ませなさ⋮⋮ い⋮⋮? あら、あらら? アナタは⋮⋮!?﹂ まるで飲み会疲れのキャリアウーマン状態でまくしたてる妖狐天 仙さまは、そこでようやく、抱きつこうとした俺の隣で乳を揉まれ ているリルナに気付いた。 ギャル勇者の方も、さすがにびっくりして固まっている。 そういえばこの二人、直接顔を合わせるのは初対面である。 ﹁え、えーと⋮⋮狐のおねーさん、ミクラさん、だっけ?﹂ ﹁お⋮⋮おぉ⋮⋮お、おほんっ! あらあらぁ、誰かと思えば当代 ̶̶̶﹂ の勇者ちゃんじゃないの。そうよぉ、ワタシが八冥家の最古参こと 妖狐天仙 ﹁おい、気持ちはわかるが、今さら威厳を見せようとしてもちょっ と遅いと思うぞ﹂ ﹁う、うるっさいわねぇ!? あぁもう何よこれぇ、ワタシとした ことがらしくないしくじり方だわぁ⋮⋮疲れでガードが下がってた のかしら⋮⋮!﹂ あのミクラが、頬を赤らめて悔しげに目をそらすとは、こりゃ珍 しいものが見られたな。 しかし、逆に言えば俺にならそういう所を見せてもいいと思った 1391 というわけか。 俺たちはまだ完全に互いを信用しきった関係ではないが、意外と 情が深いところがあるようだ、このお狐さまも。 ﹁ええっと。トオルっちと一緒で、ミクラさんもお疲れってことで いいんだよ⋮⋮ね?﹂ ﹁うぅ、そうよぉ勇者ちゃん⋮⋮お姉さんね、ヘタに長生きで偉い もんだから身内の面倒をしょい込まされた苦労人なのよぉ﹂ ﹁いやお姉さんって年かよ。ともあれ、俺の方もまさにこうやって 橘さんのおっぱいで癒されてる所なんだ。邪魔しないでくれ﹂ ﹁へぇぇ、そうなのぉ? じゃあ、ワタシも勇者ちゃんのを揉み揉 みしたら癒されるかしらぁ?﹂ ﹁えっ、ええっ!?﹂ ﹁おいちょっと待て、その乳は俺のだ。勝手に揉むなよ?﹂ 目をきゅぴーんと光らせ、手をわきわきさせてリルナに迫るミク ラを押しとどめる俺。 ﹁でもさでもさ、ミクラさんよれよれでかわいそうだよ。アタシの、 む⋮⋮胸はその、トオルっちのもの⋮⋮だからあげられないけどさ、 何かしてあげられることってないのかな?﹂ ﹁あらあらぁ、話に聞いてたとおり優しい子ねぇ! そうよぉそう なのよぉ、お姉さんもたまには坊やに甘えたい時があるのよぉ、だ から甘えさせなさいよぉ∼!?﹂ ﹁一回素の状態を見せたらなんか吹っ切れたな、あんた⋮⋮﹂ 狐耳をぴこぴこさせながら、年甲斐もなく俺にすりすりとじゃれ ついてくるミクラ。まったく、最近の俺は年上の残念美女と妙に縁 があるな。 まあちょうど幸い、俺の疲れはリルナの癒しおっぱいで吹き飛ん 1392 だ。 ならば、この普段は油断ならない同盟相手を、精神的にケアして やるのも一興ってもんだろう⋮⋮そう、俺のやり方で。 ﹁⋮⋮っきゃん!? いきなり何よぉ、坊や!?﹂ やや乱暴めに、豊満な狐耳美女の肢体をベッドにぼふっと組み伏 せる。 もふもふと触り心地のいい尻尾を掴み、和装の下帯をめくりあげ て、尻をこっち側に突き出させた屈辱的な姿勢をとらせた。 教材 になってもらうぜ、妖狐天仙 ﹁いや、ご期待通りに甘えさせてやろうと思ってさ。でもちょうど いいから経験の浅い橘さんの さま? さあ、じっくり見ててくれよ橘さん﹂ ﹁え、なに? ナニするの? ひょっとして⋮⋮!?﹂ 困惑するリルナがあたふたと見守る中、俺はさっきまでの乳揉み ですでに勃起していたチンポを取り出すや、ミクラの肉厚なヴァギ ナに押し当て̶̶̶そのまま、バックから貫いた! いれ ﹁んおぉっっ!? あふぅあぁぁ⋮⋮ッ!? いっいきなり挿入る だなんて、坊やったら乱暴よぉ⋮⋮っ!!?﹂ ﹁十分濡らしてるくせに何言ってんだ、これが妖狐天仙さまの生マ ンコかっ⋮⋮! くぅうっ、吸い付いてくるみたいだ⋮⋮っ!﹂ ヌメヌメした無数のヒダで形作られた狐耳魔族の名器が、後ろか ら攻め立てる俺のチンポをみっちり贅沢な肉感で迎えてくれる。 思えば夢界仙境で何度かセックスはしても、こうやって生身の肉 体同士では初めてだ。 体感的な違いはわからなくとも、気分的にはやはり征服感や達成 1393 感が違う。 ﹁おふぁあっっ、んふぅううんッッ!!? くッ、ワタシとしたこ とが油断してたわぁっ⋮⋮坊やのケダモノっぷりを、見くびって⋮ ⋮っあひぃぃぃあっっ!!?﹂ ﹁くくっ、ヘトヘトってのは本当らしいなぁ? ほら、見てごらん 橘さんっ! 偉そうで余裕ぶった生意気な女をしつけるには、この 体位が一番だってのがよくわかるだろ!﹂ ﹁う、うわ⋮⋮! ミクラさんってば、めっちゃ後ろからパンパン ってされてる⋮⋮っ!?﹂ 雰囲気に呑まれ、獣の交尾のようにつがう俺たちをドキドキしな がら見つめるリルナ。 普段のミクラなら余裕の表情でむしろ見せつけるくらいだろうが、 不本意な流れでペースを乱された状態だとそうもいかないらしい。 ﹁くっ⋮⋮ちょ、調子に乗ってくれるわねぇ坊やっ、このワタシ相 手によくもこんな⋮⋮!﹂ 襲い来るチンポの快感によって形のいい眉をハの字に歪めつつも、 怒りにピンと狐耳を立て、キッと肩越しに背後の俺を睨もうとする ミクラ。 八冥家の大魔貴族として、人間に過ぎない俺にこんな屈辱的な姿 勢で獣のように犯され、しかもそれを第三者に見られているのだか ら無理もない。 ﹁へぇ、だったらなんで突くたびにどんどんトロけてくるんだ、ミ クラさまの高貴なおマンコさまは? このキツさ、生身のセックス は長い間ご無沙汰だったんじゃないか?﹂ ﹁そ、それはぁっ⋮⋮んうぅおぉうぅ!? んおひっ⋮⋮あひぃぃ 1394 いっっおッ奥ぅぅう!? こ、このチンポ凶悪ぅぅう!!?﹂ ﹁本当は嬉しいんだろ、久々の生チンポこうやって奥までブチ込ま れて⋮⋮さッ!﹂ ﹁ひぎっっ⋮⋮ひぃぃんんんんぁぁああ¨あ¨!!?﹂ もちろん、ミクラが本気で現状に憤りを感じていたなら、俺は圧 倒的な魔力によってはね除けられるなり動きを封じられるなりされ てしまうだろう。 そうしないということは、少なくとも今この行為を彼女自身が受 け入れているということだ。 ストレスに晒されている時に、何も優しく抱いてやるだけがケア の方法じゃない。 乱暴なくらいの快感と共に、普段とは違う立場̶̶̶支配される 側はある意味、相手に何もかも委ね責任感から解放された立場でも ある̶̶̶に置いてやることもまた、ひとつの和姦の形だ。 ﹁んうぅっっ!? や、あっんぁあっっ!? う、うそぉおぉお! ? このワタシがぁっ、坊やにこんな一方的にっ⋮⋮んおぉおぉぉ お¨っっ、んっくぅぅ、おふぅああぁんッッ!!?﹂ ぱんぱん、ぱちゅんッと尻同士のぶつかる淫らな音が部屋に響き 渡り、ギャラリーのリルナをさらに赤面させる。 えぐりこむように襲いかかる俺の腰が、ミクラの肉付きのいい真 っ白な尻に勢い良く叩き付けられるたび、きめ細かな尻の皮膚に打 ち寄せる波のような振動が走る。 その振動が行き着く先は、メスの体の中心奥深くの弱点⋮⋮子宮 だ。勢いをつけて何度も叩き込まれる肉ピストンの波が胎内に乱反 射して、年上の大魔貴族に甘い悲鳴をあげさせる。 ﹁あんた、自分優位でセックスするのが好みだからこんな体位で犯 1395 されたことないんじゃないか? どんな気分だ、んん? 橘さんに 聞かせてやれよ、おらおらぁっ!﹂ ﹁そ、そんなこと言えないわぁ⋮⋮! は、初めて顔を合わせた人 間にぃぃ⋮⋮わ、ワタシのこんなブザマな姿を見せるだけでも屈辱 的なのにぃっ⋮⋮ひッんひぃぃぃぃいい¨い¨ぅッッ!!? し、 尻尾ぉぉっっダメえぇぇえ!?﹂ ぎゅっとミクラの弱点、いくつも生えた狐尻尾の根元を不意打ち で握ってやると、連動してぎゅむむぅっ! とマンコが盛大に締ま った。 ﹁おおっ!? ははっ、こりゃいいなっ! この体勢だと尻尾を握 るたびにわかりやすくチンポを締めつけてくるぜ、まるで肉オナホ のコントローラーだなぁ!﹂ ﹁こっこの、ワタシの尻尾を好き勝手にぃっ⋮⋮んくぅぅうッッ、 おぉぉぉお¨んっっ!!? りょ、両手で二本いっぺんにぎゅって するなんてぇぇ!? は、反則よぉぉお!!?﹂ 種族的特徴でもある性感帯をオモチャのように扱われるという、 さらなる屈辱。 だがそれは狂うような快感とも表裏一体で、ますますミクラは普 段の理知的で余裕しゃくしゃくの表情がすっかり剥がれた、涙混じ りのだらしない顔をさらしてしまう。 ﹁たくさん生えててこれじゃ手が足りないな⋮⋮そうだ、橘さん! こっち来て尻尾握るの手伝ってくれよ、ほら!﹂ ﹁え、あ、アタシもそれやるの!?﹂ いきなり水を向けられ、自分を指差して戸惑うリルナ。 だがこういう時にぐいぐい命令されると、押しに弱い忠犬体質の 1396 この子は弱い。 ﹁ほら、早く。さあさあ、ハリーアップだ橘さん! この尻尾を、 さあさあさあ!﹂ ﹁えっえっ!? う⋮⋮うん、トオルっちがめーれーするんなら、 アタシ魔隷だもんね⋮⋮んじゃいくね、ごめんね狐のおねーさん⋮ ⋮?﹂ ﹁ちょっ、ちょっと待ちなさいっ、アナタたち何をっ⋮⋮んぎぃぃ ぃひぃぃいいんッッッ!!?﹂ えいっ、とばかりにリルナが両手で掴んだ尻尾が、さらに二本。 その途端、もう二段階の強い収縮が、今もガシガシと熱い膣内を えぐり続けているチンポに急速に襲いかかった。柔らかい肉壁に搾 り取られんばかりの、すさまじい圧縮快感だ。 ﹁うおぉ⋮⋮ッ! こ、これはヤバいっ、なっ⋮⋮くぉぉおっっ! !﹂ ﹁あひッッひぐぅぅぅあうぅうっっ、あぐぅぅぅぅんんんッッッ! !? やっやぁぁっっ、んやぁぁあああぅぅぅんんん¨ん¨っっっ !!? んおぉおっっ、ダメダメ坊やダメぇぇぇっっ!!?﹂ ﹁う、うわぁぁ⋮⋮! す、すご⋮⋮っ!﹂ 同時に、ラストスパートとばかりに叩き付けられる腰が、至近距 離でリルナに見守られながら、快楽の絶頂へとお互いの肉体を運び 上げていく。 ミクラもされるがままじゃなく、自分から尻で何度も俺の腰を蹴 り上げるように勢いよく押しつけては、乱暴なピストン運動に応え てくれる⋮⋮この辺りはさすがの熟練の性技だ。 そしてついに̶̶̶高まる快感の螺旋が絡み合って昇ってゆき、 1397 腰がひとりでに溶け崩れるような限界の時が訪れた。 で ﹁くぅぅぅうっっ!! で、射精るぞミクラぁっ!! おらッ、淫 乱キツネマンコで俺の遺伝子グビグビ飲み干せッ!!﹂ どびゅぶりゅりゅっっ⋮⋮どくっっどくどくんッッ!! んぶぷっっ、びゅくくぅぅッッ⋮⋮びゅくん、びゅるるるんっっ !! どぷんッッ!! ﹁んぉぉお¨っっ、ぉああああぁぁあァァ∼∼∼∼∼∼ッッッ!! ? あ、熱いのがぁぁ⋮⋮っ、坊やの精液がっ、ワタシの体の真芯 にぃぃ⋮⋮んひぃぃいぃぃいッッ、おぉお¨っイクいくいくイクぅ ぅぅっ、勇者ちゃんに見られたままイかされちゃうぅぅぅぅう∼∼ ∼∼∼∼∼ッッ!!?﹂ 派手にイキ収縮する狐マンコに締め付けられ、指が食い込むほど 鷲掴みにしたデカケツの奥めがけて、排泄のような勢いで噴き出す 濃縮ザーメンをドクドク、ドクドクと注ぎ込む。 これだからバックからの生中出しは最高だ。自分のモノにしてい る実感が強くてたまらない。 ﹁おほぉお¨ぉぉぉ⋮⋮な、なんて量なのぉ⋮⋮!? 坊やの精液 ぃ、これ普通の人間の域を越えてるわぁぁ⋮⋮んおぉおおぉ⋮⋮し、 子宮が灼けるぅぅ⋮⋮ッ!!﹂ ﹁ぐくっっ、まだ出るぞぉっ、まだまだぁっ⋮⋮あんたのせっかく のナマ子宮っ、俺のスペルマでどろッどろに漬け込んでやるからな ぁ⋮⋮くぅぅうっ!!﹂ 破天の骸を取り込んだ副作用で、周囲の魔力から自然と変換され るようになった俺の射精量は、やろうと思えば精力エンチャントの 1398 力を借りなくても常人の軽く数倍に達する。 そんな凶悪な射精でイッたばかりの子宮をびしゃびしゃと叩かれ る感触は、女にとってたまらない快感なのだそうだ。 実際、今のでミクラもさらに高い絶頂に達したらしく、汗だくの 美尻がプルプルと震えている。 ﹁ふぅ⋮⋮っ、出た出た、自分でもびっくりするくらい射精したな ぁ⋮⋮っ﹂ くてっと脱力したミクラの膣内から、ぬるんッ、と抜き出した精 液まみれの半勃ちチンポ。 もわっとした湯気とエロい匂いを放つそれを見せつけながら、俺 はリルナの頭に置いた手に軽く力を入れた。 ﹁あ⋮⋮っ⋮⋮!﹂ その動作で、俺が何を欲しているかを察してしまうリルナ。 一瞬、さんざん濃厚なセックスを目の前で見せつけられた彼女の 顔に、じわっと情欲の熱が灯った。 ﹁な⋮⋮舐めればいいの、これ⋮⋮?﹂ ﹁ああ、お掃除フェラって言うんだよ。しっかり覚えてくれ、橘さ ん̶̶̶いいね?﹂ ﹁⋮⋮っ! は⋮⋮はい⋮⋮!﹂ イヤな顔ひとつせず、性交の汚れにまみれたチンポにおずおずと、 従順に舌を這わせてゆくギャル勇者。 突き出されたままのミクラの尻、うっすら充血した肉の割れ目か ら濃ゆい白濁がとろぉり⋮⋮と垂れてくる征服感抜群の光景を横目 に、俺はリルナのお掃除ご奉仕を堪能するのだった̶̶̶。 1399 ※ ※ ※ ﹁まったく⋮⋮ワタシとしたことがなんてブザマな姿を晒してしま ったのかしらぁ⋮⋮これは本格的に消耗している証拠ねぇ、やれや れだわ﹂ すっかり裸になってシーツにくるまり、狐耳をぴこぴこさせなが ら悔しさ半分、照れ隠し半分な様子のミクラ。 その隣では、同じく全裸のリルナがくぅくぅと可愛い寝息を立て ている。 あれから結局、二人を交互に貫いてたっぷり泣かせる贅沢プレイ を経てのピロートークだ。 ﹁ま、こうして勇者と親睦も深められたし、ストレスも解消できて 一石二鳥じゃないか?﹂ ﹁調子のいいことを言ってくれるわねぇ。確かに、勇者ちゃんとは 直に接しておきたかったからちょうどよくはあったのだけれど⋮⋮ 何というか想像以上に善良な人間ねぇ、この子﹂ ﹁だろ? お人好しが服着てでかいおっぱいつけて歩いてるような 娘だからな、橘さんは﹂ ﹁んふふっ、遠からずともひどい表現だこと⋮⋮まぁ、ひとまず安 心はしたわぁ﹂ 言外に、勇者が好戦的あるいは独善的な人物⋮⋮つまり魔界の平 穏を脅かすような存在なら、何かしらの手を下すつもりだったとい う冷徹な算段が見え隠れしている。 俺としても、リルナの善良な人となりは会えばすぐ理解してもら 1400 えるだけに、こうやって確認してもらって一安心というところだ。 ちなみに、いつかはミクラを隷属させてやると決心している俺が、 さっきの油断した状態の彼女に術式をかけなかったのにはもちろん 理由がある。 これまでならともかく魔界にいる今は、俺たちは運命共同体。 今の俺がミクラを隷属させ、その魔力が本来のレベルから弱体化 してしまってはそれこそイヴリースに付け込む隙を与えてしまうこ とになるし、決定的な決裂を迎えてしまうだろう。 それが分かっているからこそ、ミクラの方もこうして俺に隙を見 せているわけだ。少なくとも、今のうちは⋮⋮将来的には絶対、モ ノにしてやるけどな。 ﹁さて。それはともかく、あんたにひとつ提案がある﹂ ﹁⋮⋮何かしらぁ? お姉さんの悩みを解消してくれるような内容 だと嬉しいのだけれど?﹂ 口調を一段階マジメなものにシフトさせ、ミクラに向き直る。 そう⋮⋮このタイミングでミクラに会えたのは、実は俺にとって 幸運だった。 これから口にする内容は、駆け引きは、今この時だからこそ価値 を持つからだ。 ﹁ああ、まさにそれだ。沈黙の八冥家ベル=フォイゾン⋮⋮俺に、 彼女の辞退を取り消させる策があると言ったら、どうする?﹂ ※ ※ ※ 1401 ﹁⋮⋮まんまとしてヤられたわぁ、坊や。どんな手を使ったのか知 らないけど、あの時にはもうベル=フォイゾン公を再立候補させる 算段がついていたのね?﹂ その日の夕方。 再び俺の部屋に姿を見せたミクラは、朱色のキセルをくるりと回 して大きなため息をついた。 ﹁そいつはご想像にお任せするよ﹂ ﹁⋮⋮まぁ、いいわぁ。ワタシたちの陣営にとって、何にも代え難 い一手を坊やが現実にしてくれたことに違いはないもの。今は、追 求はしないでおきましょ﹂ こちらを見るミクラの瞳には、素直な感嘆の色があった。 あの時、俺が﹃もしそれを実現できれば、代わりにこの頼みを聞 いてくれ﹄と何を彼女に呑ませたか⋮⋮それは後々語らせてもらお う。 条件 に提示してきた?﹂ ﹁理解が早くて助かるね、いつもながら⋮⋮で、イヴリース側は何 を ミクラは片眉を上げ、俺の察しの良さに感心したそぶりを見せた。 ﹁あら、理解が早いのはお互いさまねぇ、坊や﹂ ﹁それくらい誰でも分かる。なにせ一度、公の場で明言した辞退を 取り消すんだ。対立候補のイヴリースからすりゃ、今さらそれはな い⋮⋮と難癖をつけて自分に有利な条件なり何なり、ねじ込むチャ ンスにするのは当然だろ? 俺でもそうするよ﹂ むろん、再立候補自体を潰せるとはイヴリースも思っていまい。 1402 だからそこは最終的には折れる形で、もっと呑みやすい条件をね じ込んでくるはずだ。そこまでは想定内。 そしてミクラの表情はまさに、厄介な何かを呑ませられたことを 物語っている。 ﹁⋮⋮イヴちゃんはねぇ、予想外の手を打ってきたわ。この新三大 伝統的な手段 を採択することを迫ってきたのよ﹂ 公選の選出方法として、もはや魔界でほとんど忘れ去られて久しい、 とある ﹁伝統的な手段⋮⋮だと?﹂ いぶかしむ俺に、キセルをピシッと突きつけ、ミクラはその名を 口にした。 ノーヴルブラッド・ジャッジデュエル ﹁そう̶̶̶冥家煉武闘決﹂ ⋮⋮なんだ、その仰々しい名前の何かは。 なにやらとてつもなくイヤな予感がしてきたぞ。 ﹁八冥家同士の揉め事に兵を用いず決着をつけるために、かの魔王 の御世に定められるも、結局一度も使われなかった古臭くもバカバ カしい手段。その仕組みは単純明快⋮⋮双方の代表者たる戦闘チー ムによる、公開闘技の勝者がすべての決定権を得るという̶̶̶決 闘試合よ﹂ 1403 75話:狐尻の誘惑と、闘宴への招待︵※イラストあり︶︵後書 き︶ ※ ※ ※ 第四回EX・Hシーン投票、たくさんの投票ありがとうございまし た! 結果発表および、活動報告で通知したキリカの別枠シーン投 票設置はもう少しお待ち下さいませ。 そして明日発売︵もう売られてるところも︶の書籍版四巻は、以下 の表紙が目印です! <i211561|15432> この調子でいくと次はどうなってしまうんだ、キリカ⋮⋮ッ! 1404 76話:渦巻く策謀と、解き放たれる魔囚 ノーヴルブラッド・ジャッジデュエル ﹁ぬう⋮⋮! 冥家煉武闘決じゃと!?﹂ ﹁知っているの、パルミューラ?﹂ アップルシナモンティーのカップを口に運びながら、くわっ! と思わせぶりに目を見開いたゴスロリ魔貴族。 聞いたキリカをはじめ、だだっ広い洋間に集まる皆の目が集中す る。 比較的穏便に 決着させるため、 ⋮⋮なんか少年漫画とかで何回か見たな、こういうやりとり。 ﹁うむ⋮⋮八冥家同士の争いを 両家から数名の代表者を選出し、公開の場での決闘によって勝敗を 決するという⋮⋮なんとも奇妙でバカバカしい解決手段よ﹂ ﹁え、なにソレ! なんかかっこいい! マンガみたいっ! ねっ、 トオルっち?﹂ ﹁あー⋮⋮うん、橘さんはそういう反応すると思ってたよ。うん﹂ ﹁うむ、武闘大会のようなものか! 騎士の血が騒ぐなっ!﹂ ﹁せ、セレスタまで⋮⋮﹂ 眼を輝かせるギャル勇者と女騎士︵というかどう見ても今の戦闘 スタイルは騎士じゃないだろお前︶をスルーし、俺はミクラから伝 えられた内容を説明することにした。 ﹁まあ、定められたはいいがこれまで一度も使われなかった、カビ の生えたルールってやつだ。イヴリース陣営は今更こいつを持ち出 して、次期三大公の選出をそれで一気に決めようと提案してきた﹂ ﹁おおっ、そいつは手っ取り早くていいな! いいじゃんマスター、 1405 あたしもそういうの好きだぜ!﹂ ﹁アメリアちゃんってば⋮⋮うーん、でも確かにこれはむしろチャ ンスかもしれませんね﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮ニーナ、どういうこと⋮⋮⋮⋮?﹂ こてんっと首を傾げたシエラに、姉のディアーネが代わって説明 する。 ﹁つまり、こういうことでしょうか? 陰謀家と恐れられるイヴリ ースとこのまま水面下で策謀戦を続けるより、公正な第三者の目が ある場での決闘という単純明快な手段でことを決めた方が、我らの 陣営にとっては比較的安全かつ勝機もあるのではないか⋮⋮と﹂ ﹁ふむふむ⋮⋮⋮⋮さすが姉様﹂ お行儀良くソファーの上に正座して、無表情でこくこく頷きつつ 聞く巨乳エルフ。 ﹁ディアーネさんの言う通りです。問題は、代表者として出場させ る強力な個人戦力をどれだけ用意できるかってことですけど﹂ ところ ﹁それならわらわ達が心配せずとも、かのミクラやヴラドヴェリな どの冥家から、歴戦の強者をいくらでも用意できるのではないか?﹂ パルミューラの言葉はもっともだが、俺はゆっくりと首を振った。 双方共に、当事者たる冥家お ﹁いや⋮⋮そこが問題でな。お前なら知ってると思うが、冥家煉武 闘決には厄介な特殊ルールがある。 というヤツだ﹂ よびその﹃介添役﹄たる﹃もうひとつの冥家﹄のみから出場者を選 出せねばならない ﹁ええとつまりトオル君。今回出られるのはイヴリースとベル=フ ォイゾン、そして両者のパートナーに選ばれた特定の冥家、そこに 1406 直接属してる人員限定ってこと?﹂ ﹁そう。そしてまさにそのチョイスが曲者でね﹂ まだピンときていないらしいキリカたちに、俺は肝心な解説を付 け加える。 パルミューラの方を向き、 ﹁ベル=フォイゾンの介添役、パートナーとして選ばれたのは⋮⋮ 他でもないお前なんだよ、八冥家パルミューラ﹂ ﹁な、ぬなぁっ!?﹂ ブフォッ、とはしたなくもお茶を噴き出してむせるゴスロリ魔貴 族。 まあ、無理もないが。 ﹁待て、待て待て待てい!? わらわは新参の冥家として名を連ね たばかり、最低限の兵力はミクラたちから割譲されておっても、単 体で強敵と戦える高位魔族の配下など今はひとりもおらぬぞ!?﹂ ﹁ああ⋮⋮それこそがイヴリースの狙いってわけだ。ベル=フォイ ゾンの辞退宣言を取り消す条件として、あいつが要求してきたのは パートナーの指定権。流れ上、それを却下することはミクラにも残 念ながらできなかった﹂ 本来なら、あの敗北宣言に等しい爆弾発言をなかったことにして 貸し を作ったことを承知で、条件 もらえるというだけで大幅譲歩もいいとこだからな。 もちろんそれでこっち側に を呑まなくちゃいけないタイミングでこんな策を出してくるんだか ら、やはりイヴリースのヤツは厄介だ。 ﹁ふむ、なら当主自らが堂々と出場すればいいじゃないか。貴族の 1407 誉れというやつだ、我が父上も何かあればそうしてきたぞ﹂ ﹁セレぴょんの言うとおりだよ! むしろめっちゃオイシいじゃん、 鮮烈な八冥家デビューってやつだよ、目立てるよ﹂ ﹁お、おぬしらぁ!? ひとごとだと思うてぇぇ!?﹂ ﹁ちょっと落ち着け、パル公。ベル=フォイゾンってヤツ自身が出 るか、ソイツに部下の強いのを出してもらえばすむんじゃないのか ?﹂ ﹁そ、それもそうじゃ! たまにはいいこと言うでないか元デクノ ボーゴーレム!﹂ ﹁先にここでぶっ飛ばされたいのか、おまえ?﹂ ﹁どうどう、まあ待て待て。実は、そういうわけにもいかないんだ﹂ ナナを交えて始まった漫才を中断させつつ、俺はそこに厳しい顔 で割り込んだ。 ﹁これは極秘事項だが⋮⋮ベル=フォイゾンの主要な部下たちは、 実はほとんどが魔法生物だ。総兵力は多くても、一対一の戦いに向 いた戦闘力と判断力を持つモノは皆無に近い。そして⋮⋮ベル自身 も、個人戦闘能力はおそらくお前の想定値より低い。少なくとも、 イヴリースと冥家同士で戦っても絶対に勝てないだろう﹂ ﹁な、なんじゃと!? 初耳じゃぞ⋮⋮おぬし、いつそのような情 報を!?﹂ ﹁⋮⋮まあ、今はそこは気にするな。秘密の情報源ってやつだ﹂ 俺は言葉を濁した。 沈黙の八冥家 鈴ちゃん先生 であるという突 ベル=フォイゾンが、実は魔族を騙っ ここにいる他の誰も知らない事実。 そう⋮⋮ た異世界人、俺たちの元担任教師 拍子もない真実。 1408 それが魔族を、八冥家を装えているのは、亡きアロイシャス大公 から貰った魔杖ラーフ=アティの力によるものだ。 おそらく低い どころか、たぶん戦闘タイプ だから主要な部下たちは魔杖で命令を出せる魔法生物に限られる し、本人の戦闘力も の魔族とやりあえば一発で消し飛ばされかねないだろう。 ︵⋮⋮イヴリースのヤツは、間違いなくそれに気付くか、少なくと も怪しんでいる。だから真実を確かめるためのカマかけも兼ねて、 こんな条件を出してきやがったに違いない︶ だから事実上、ベル=フォイゾン陣営から出せる代表者は存在し ない。 冥家煉武闘決の開催が発 該当する冥家に家臣として属しているものに限ら そしてやっかいなことに、選べるのは せられた時点で れるというのが古来よりのルール。ミクラやヴラドヴェリの所から 人員を借り受けるという手も封じられているのだ。 と、なれば。 ﹁⋮⋮俺たちが、出場するしかない。俺たちはパルミューラの臣下 扱いだからな﹂ もはやこれしかないという選択肢を、俺は静かに口にした。 ﹁あっ、なるほどぉ! アタシらってそういやそうだったんだね!﹂ ﹁おおっ! ならやはり騎士の本懐が果たせるということだなっ! むっふっふ、望む所ッ!﹂ ﹁ちょっ⋮⋮橘さん、セレスタ、本当にそれでいいの!? あ、相 手はきっと魔族の、イヴリース臣下の精鋭よ!?﹂ 脳天気な二人に慌ててツッコむ、常識人キリカ。 1409 俺も心情的には、それに同調したいところなのだが⋮⋮。 ﹁まーでも、それっきゃないんだろマスター? そういう顔してる ぜ﹂ ﹁ナナにも是非任せてくれ、ご主人。パル公はどうでもいいが、ご 主人の役に立ってみせるぞ。というか立ちたいぞ﹂ ﹁タッグとかチームで出るってアリなんでしょうか? それなら私 やシエラちゃんもワンチャンって感じなんですけどね﹂ ﹁前衛ナシは⋮⋮⋮⋮さすがに、辛い⋮⋮⋮⋮﹂ 冒険者トリオ+ナナも、普通にやる気を出している。 ことの重大さがあまり実感できていないのか、それともある意味 頼もしいメンタルなのやら。 なお、試合形式は追って正式に発表されるらしく、ミクラの見立 てでは複数vs複数のチーム戦が発生する可能性もあるとのことな ので、確かに昔からコンビネーションプレイの経験を積んできた彼 女たちにも活躍の場はあるかもしれない。 ﹁そのような場でシエラを戦わせるのは正直心配ですが⋮⋮トオル 殿には、いつものように勝算がおありなのでしょう? ならば私た ち魔隷は、それに従うのみです﹂ ﹁デ、ディアーネさん⋮⋮﹂ 相変らず達観しているというか、落ち着いた声でまとめるダーク エルフの姫巫女。 まあ、確かに勝算はなくはない⋮⋮だからこそこうして皆を集め て話をしているわけだ。 そしておそらく、イヴリースがこの形式を提案してきたのは、俺 たちの出場を見越してのことだろう。 1410 これは試合中に死人が出ても不問とされる、魔界らしい容赦のな いルール。 ヤツは三大公の地位をもぎ取ると同時に、邪魔者の俺たちをその 場で一気に殲滅する一石二鳥の一人勝ちを狙っているというわけだ。 だが裏を返せば、ヤツの重要戦力、そしてあわよくばヤツ自身を 一気に討てるかもしれないチャンスでもある。 ﹁ああ、やるからには当然勝つさ。だからキリカも、パルミューラ も、悪いが腹をくくってくれ。お前達には特に、重大な役目を果た してもらうことになると思う﹂ キリカの不安を残した瞳を、まっすぐに見据える。 こっちを見つめ返してくる、相変らず綺麗な瞳。 少しの間があって、そこから戸惑いの色がスッと消えていくのが わかった。 ﹁ふう⋮⋮わかったわ。私が戦うことで、この一件をより流血や混 乱が少なくカタをつけられるなら、望むところよ。それに、言うか らには私たちを勝たせる采配をしてくれるんでしょう、トオル君? いつもみたいにね﹂ ﹁へえ、言ってくれるね﹂ キリカは少しだけ不敵な顔で、俺に微笑みかけた。 共犯者 めいた距離感の近さを感じ 俺はその表情に、かつてのマジメ一辺倒の堅物クラス委員からは 想像のつかない、言うなれば て少し嬉しくなった。 思えば、この異世界で再会してからというもの、彼女との関係性 にもいくつもの変化が生じたもんだ⋮⋮いまだにひと言では言い表 せない、複雑な関係だけど。 1411 ﹁む、むう⋮⋮! ええい、そう言われてしまってはわらわもやる み込ん しかないではないか。ようやく襲名した八冥家の名に、臆病者の泥 をいきなり塗るわけにはいかんからのぅ⋮⋮﹂ はぁ⋮⋮とため息をつき、生来のビビリ体質をようやく だらしいパルミューラも同調してくれた。 ﹁その意気だ。ありがとうな、二人とも﹂ するとそこに、なぜか今のキリカとのやりとりの最中、ずっとそ わそわうずうずしていたらしいリルナが、しゅぴっと手をあげた。 ﹁ねぇねぇ、アタシもアタシも! アタシも頑張るよ、そのバトル 大会的なヤツ! 自慢じゃないけど一人でガンガン戦える系勇者だ むふーっ と可愛らしい鼻息も からさ、ぜひ選抜して欲しいな、トオルっち!﹂ サイドテールと巨乳を揺らし、 荒く、いつになくやる気を出している。 これはキリカへの対抗心⋮⋮なのか? いや、天真爛漫で絵に描 いたようないい子の彼女が、あまりそういう行動に出るとも考えづ らいが。 ともあれ、だがそんなリルナに俺は、ツラいお知らせを告げなけ ればならなかった。 ﹁あー⋮⋮それなんだが、橘さん。君は出場させるわけにはいかな いんだ﹂ ﹁え、えええっ!? うっそマジ、なんで!?﹂ 目を丸くして表情一変、ショックと疑問符を全身から発散するギ ャル勇者。 1412 ﹁む、それもそうか、勇者ゆえに⋮⋮じゃな? おぬしの能力、魔 法絶対反射能力という勇者にのみ許されるスキル。かつての魔王戦 争を知る魔族の目も多数ある場所で、その正体がバレてしまえば大 ごとじゃ﹂ ﹁あっ!? そ、そっかぁ⋮⋮!﹂ リルナの素性を知るのは俺たちを除けばミクラのみ。そして彼女 自身が、さすがに魔界で勇者という出自がバレてはかばうことは立 場上できない⋮⋮と俺に宣言しているのだ。 いくら強力無比な戦力とはいえ、公の決闘の場で戦わせるわけに はいかなかった。 いや⋮⋮これももしかしたら、リルナという虎の子のひとつを封 じるイヴリースの策か。 ﹁そう落ち込むなよ、橘さん。君には代わりにやってもらうことが ある⋮⋮それは後で伝えるよ﹂ ﹁え、ホント! うん、わかった、じゃあそっちを頑張るよ!﹂ ぱっと顔を輝かせるリルナ。 どうやら、何かしら俺の役に立ちたくて仕方がないようだ。さす がの忠犬体質。 ﹁しかし、となると我らの単体最強戦力はキリカということになる か。それにもちろんわらわ自身と⋮⋮﹂ ﹁おい、ナナを忘れるなパル公﹂ ﹁ええい、水を差すでないわ。⋮⋮まあ、ポンコツから色々便利な ポンコツへと変わったから認めてやらんこともない⋮⋮そして、後 はフラミアじゃが﹂ 1413 そこで、ちらりとパルミューラの視線が部屋の壁際に向けられる。 その先には、ソファに座ったまま、珍しくさっきからずっと黙っ ている和装の黒髪少女魔族の姿があった。 他の連中の、一様に心配げな視線も、追ってそこに集まる。 ﹁⋮⋮それに出る、ってことは﹂ ややあって、ぼそりと口を開くフラミア。 ﹁シュトラールや⋮⋮もしかしたらイヴリースお姉様と⋮⋮直接戦 うかもしれない、ってことだよね⋮⋮?﹂ ﹁フラミア⋮⋮﹂ 気まずげな沈黙が下りる。 恐怖の対象 として 今や敵味方の間柄になったとはいえ、実の姉。おそらくたったひ とりの血縁であり、かつての依存対象だ。 いや、フラミアの様子を見るに、何よりも の意味合いが大きいのだろう。 今まではなんだかんだでごまかしてきたものの、そんな相手と今 の時点で直接、戦えるのだろうか⋮⋮戦わせることができるのだろ うか⋮⋮? ﹁⋮⋮ごめんね、お兄さん、それにみんな。あの人はあたしのこと なんか、最初っから家族だなんて思ってなかったってのはもうわか ってる。お兄さんやみんなに恩返ししたいって気持ちもあるよ。で も⋮⋮それでも、戦えるかどうかは⋮⋮ちょっとまだわかんないや﹂ ﹁フラミアちゃん⋮⋮!﹂ ﹁ま、そう言うと思ってたぜ。どのみちまだ出場者決定までに時間 はある、一旦保留にしとくからもうしばらく考えてみててくれ﹂ ﹁⋮⋮ありがと、お兄さん﹂ 1414 未知の懸念はもうひとつあった。 ここにいないもう一人の重要人物、システィナ姫。 彼女は今朝から、ミクラに用意してもらった瞑想用の部屋に籠っ ている。新たな⋮⋮それも重要な予言が降りて来る兆候があったか らだ。 それは果たして俺たちにとって、吉と出るものか⋮⋮あるいは。 ︵いずれにせよ⋮⋮冥家煉武闘決が開かれるまでの猶予は、長くて 半月。それまでにすべてを決めて、すべての準備を整えなくちゃな らない⋮⋮!︶ 俺は腕組みし、天井を見上げる。 ヤツらは果たして、どんな連中を繰り出してくるのか。 剣魔卿シュトラールとやらが出てくるのは濃厚だが、あのクルス もそこに含まれるのか。 それとも⋮⋮? ※ ※ ※ ノーヴルブラッド・ジャッジデュエル ﹁なるほど⋮⋮よもや冥家煉武闘決とは⋮⋮!﹂ 宙に浮かぶ立体魔力スクリーンの中で平伏する獅子頭の巨漢魔貴 族、剣魔卿シュトラール。 気だるげに肘掛け椅子にもたれかかったまま臣下を見下ろすのは、 肌も髪も色素ひとつない真っ白で幼い肢体を持つ大魔貴族⋮⋮イヴ リース。 1415 ヘイズ・キャッスル 顔かたちの造形は色以外フラミアと瓜二つだが、表情は似ても似 アビサル・パンデモニウム つかぬほどに酷薄で老獪だ。 彼女は奈落万魔殿に滞在しつつ魔術的な通信によって、陽炎魔宮 の留守を預かるシュトラールに指示を下しているのである。 ﹁ともあれ委細承知。では、さっそく部下から単独戦闘に特化した 精鋭を選りすぐり⋮⋮﹂ ﹃その必要はないぞ、シュトラール﹄ ﹁は⋮⋮はっ?﹂ 困惑するライオン顔の忠臣に、イヴリースはこともなく次のひと 言を告げた。 彼が驚愕する台詞を。 プリズンヴォルト ﹃⋮⋮監獄宮の禁を解け﹄ ﹁なッ⋮⋮なんと!? なんとおっしゃられましたかッ!?﹂ 唖然とするシュトラールを尻目に、イヴリースの後ろから音もな く進み出る人影。 銀の仮面で素顔を覆った、年齢も性別もはっきりしない謎めいた 腹心。 ﹁その大きなお耳がモウロクするお年でもないでしょ、剣魔卿。監 あやつら 獄宮の囚人を解放しろ、とイヴリース様は命じられたのですよ﹂ ﹁クルス⋮⋮殿⋮⋮ッ! で、ですがイヴリース様、 は! 監獄宮の忌まわしき永劫囚どもをまさか、他の冥家や大公も 列席する公開の場で使うなどとは!?﹂ ﹃シュトラールよ。確か、二度目よな﹄ ﹁は⋮⋮ッ!?﹂ 1416 白く細い体から紡ぎ出される、あくまで静かな、だが氷点下に冷 えた声。 ﹃お前が私に同じ言葉を繰り返させるのは、フラミアめの処遇の時 に続いてこれで二度目よな⋮⋮と、指を折って数えているのだ﹄ ﹁⋮⋮ッッ!!?﹂ ﹃三度目はないぞ? シュトラールよ﹄ まるで深海の水圧でじわじわと圧し潰されるような、一片の慈悲 もないプレッシャー。 それが、通信越しなのにまるで至近距離から発せられるような質 量で、シュトラールの巨体を床に釘付けにした。彼の全身にドッと 冷や汗が伝う。 ﹁とまあそういうわけで、早いとこ命令通りにお願いしますよ剣魔 卿。では後よろしく﹂ ﹁く⋮⋮ッ! しょ⋮⋮承知﹂ 慇懃無礼なクルスの態度に歯がみしつつ、シュトラールは主君に 頭を下げる。 その脳内では、今しがた下された命令に対する反発がどうしよう もなく渦巻いていた。 ︵監獄宮の永劫囚⋮⋮いくら必勝の戦いとはいえ、あのような誇り の欠片もなく狂った連中を代表に加えるなどと⋮⋮! それは我ら が冥家の恥ではないのか⋮⋮!?︶ プリズンヴォルト 監獄宮。 イヴリースの居城たる陽炎魔宮の遥か地下に位置する、巨大な地 下牢獄だ。 1417 そこでは反逆者や領内で凶行を行なった者、あるいはかつてイヴ リースが攻め落とした領地の敗残魔族の生き残りが収監され、永劫 の責め苦を受けている。 それは罪を罰し治安を守るという目的よりも、自らに敵対した者 を長い時間をかけていたぶる娯楽としての意味合いが強い。 そして永劫囚と呼ばれるカテゴリは、その中でもより重い罪を犯 し、群を抜いて恐るべき力⋮⋮イヴリース本人でなければ捕えてお けなかったほどの戦闘能力を誇った、危険極まりない魔族囚人の呼 称だ。 いわば領内に封じられた、恐るべき爆弾たち。 それを解放し、誉れある冥家の代表として公の場の試合に出すと いうのだから、シュトラールの困惑も当然だった。 ︵なぜ、自家の恥ずべき暗部をわざわざさらけ出すようなマネをな さる⋮⋮? イヴリース様が求めるのは、次代の三大公としての栄 光ある前途と誉れではないのか⋮⋮?︶ シュトラールにわからないことは他にもある。 クルスはかつて、イヴリースに見限られ暴走状態にされたフラミ アが、パルミューラたちを巻き添えに死んだと主君に報告した。 だが実際は生存しており、パルミューラは新たな八冥家となって ミクラ陣営についている。 シュトラール個人はフラミアの無事を喜んだものの、イヴリース はてっきりクルスの報告の不徹底⋮⋮あるいは嘘を咎め、先のよう に怒りを露わにすると予想していたのだが。 ︵きゃつの八冥家就任の報を受けた時も、平然としておられた⋮⋮ クルスに特に何を言うでもなく⋮⋮イヴリース様にとって、すべて は計算の内だったのか? クルスめの不忠をご存知でなお、泳がせ 1418 ているとでも⋮⋮? クルス自身もそれに気付かぬわけはないが⋮ ⋮︶ ただ力で主君に尽くすことのみをモットーにしている武人肌のシ ュトラールには、策謀ごとはわからない。 だが、突如として現れた仮面のクルス⋮⋮あの人物が信用も油断 もならぬ獅子身中の虫であることは本能的にわかる。 彼自身と違って、イヴリースや冥家のために忠を尽くしての行動 破天の骸 とはどうしても思えないのだ。しかも、魔族ですらないのかもしれ ないとなれば尚更だ。 ︵だが⋮⋮では、イヴリース様はどうなのだ⋮⋮? すら取り込み、永劫囚すら解き放つあのお方の目的は、向かう先は、 一体⋮⋮それは本当に、我らが冥家を栄えさせるものなのか?︶ 芽生え始めた主君への疑念を振り払うように、慌てて首を振る剣 魔卿。 そのまま顔を上げると、いつの間にか魔術通信は終わっていた。 ﹁そしてフラミア様⋮⋮あのお方がもし冥家煉武闘決で戦われるお つもりなら、永劫囚どもの凶手にかかるはあまりに忍びない⋮⋮!﹂ フラミアに関することを、イヴリースはひと言も口にしていない。 つまり、主君にとってどうでもいいということだ、フラミアの生 死は。 ﹁せめて我輩が⋮⋮この手で打ち倒すことで、あのお方だけは無事 に生かさねば⋮⋮! そう、たとえイヴリース様のご意向に背くこ とになろうとも⋮⋮ッ!﹂ 1419 苦渋の顔で決意を口にした後、彼はひとり、静まり返った大広間 を後にした。 ※ ※ ※ ﹁入るわよ、トオル君⋮⋮?﹂ ﹁ああ、どうぞ﹂ 俺に呼び付けられ、白いブラウスに紺のスカート姿で自室にやっ てきたキリカからは、かすかに石鹸か何かのいい香りがした。 よく見ると、長い黒髪がしっとりと湿りを帯びている。 ﹁で、何の用なの? 私一人だけあらためて呼んだりして﹂ 扉の近くに立ったまま、ベッドに腰掛ける俺の方を、ちらちらと どこか不審げな表情で伺っている。なんか警戒されてるな、俺。 ﹁何の用かは、うすうす勘付いてるんじゃないか、キリカ?﹂ ﹁え⋮⋮ちょ、ちょっと!?﹂ 俺が早足で距離を詰め、さらさらと手触りのいい髪を一筋すくっ てかすかに匂いをかぐようにしたので、慌てるキリカ。 ﹁やっぱり、お風呂浴びてきたんだな。つまり、これからどういう 方向性のことになるか薄々予感があった⋮⋮それとも期待してた?﹂ ﹁っっ⋮⋮!? な、何言ってんのよっ、トオルくんの馬鹿ぁ!﹂ 俺の言わんとする意味に気付き、ぼっと赤面して距離を離そうと 1420 するが、すぐ後ろが扉だからそうもいかない。 そういう反応をされると余計に俺が面白がるってこと、まだわか ってないのかなぁ。 ﹁だ⋮⋮だって、部屋とかに目的言わずに呼ぶ時ってだいたい⋮⋮ っ、へ⋮⋮ヘンなこと、されるし⋮⋮っ!﹂ ﹁ふんふん、それがなんで体を綺麗にしてくることに繋がるわけ?﹂ ニヤニヤしながらあえて聞くと、元クラス委員の姫騎士は唇を噛 んでちょっと恨めしげな上目遣いでこっちを睨んだ。 ﹁そ、それはトオルくんがこの前、そのっ⋮⋮に⋮⋮におい、とか、 かいだり⋮⋮した、しっ⋮⋮!﹂ ﹁へえ、どこのにおい?﹂ ﹁∼∼∼∼∼∼∼∼∼っっっ!!? お、怒るわよぉっヘンタイっ っ!?﹂ さすがに羞恥心が臨界点を迎えたか、目を白黒させてばっと手を あげるキリカ。 だがその行動を予測済みの俺は、機先を制して細い手首を軽く掴 むと、うっすら赤く染まったいい匂いのする耳元でささやいた。 ﹁まあ怒るな。これからすることは大事なことなんだぜ? 冥家煉 武闘決までに、キリカには聖騎剣技の力をもっと引き出してもらわ なきゃいけない﹂ ﹁わ⋮⋮私の力を⋮⋮?﹂ ﹁そう、勝つためにだ。そしてそのためにも⋮⋮愛隷としての繋が りを、これまで以上の領域にまで高める必要があるんだ﹂ ﹁愛隷⋮⋮として﹂ 1421 湯上がりキリカはなおも怪訝そうに、ブラウスに包まれた豊かな 乳房を俺の視線からかばうようにみずから抱きしめる。 管理者 に説明された新たな仕様。それをいよいよ システム そのムラッとくる光景を前に、俺はニヤリと口の端を歪めた。 ﹁そう。あの ⋮⋮身をもって体感してもらうことにしよう。準備はいいな、キリ カ?﹂ 1422 PDF小説ネット発足にあたって http://novel18.syosetu.com/n0153ce/ 姫騎士がクラスメート! ∼異世界チートで奴隷化ハー レム∼ 2016年11月1日15時33分発行 ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。 たんのう 公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、 など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ 行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版 小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流 ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、 PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。 1423