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こちら - トミーデジタルバイオロジー

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こちら - トミーデジタルバイオロジー
LEGEND/Abcam Seminar
世界をリードする免疫・再生医療研究の
形成と継承のために!
講演一 「より安全な再生医療への試み」:iPS細胞を用いた細胞療法における安全システム
東京大学医科学研究所 幹細胞治療分野 特任研究員 安藤 美樹 先生
講演ニ 「皮膚バリア機能とその破綻」
慶應義塾大学 医学部 皮膚科 教授 天谷 雅行 先生
▶講演要旨は裏面をご覧ください
座 長 慶應義塾大学 教授 岡野
栄之 先生
日
時 2014年9月18日
(木) 午後6時∼8時
場
所 慶應義塾大学 総合医科学研究棟
▲至新宿
◀国立競技場駅
1階ラウンジ
東京都新宿区信濃町35
防災センター
(警備室)
▲正門
▲東門
(駐車場入口)
▼信濃町駅
参加費無料 事前登録不要
主催 アブカム株式会社 ・ BioLegend Japan株式会社 ・ トミーデジタルバイオロジー株式会社
講演一
「より安全な再生医療への試み」:iPS細胞を用いた細胞療法における安全システム
東京大学医科学研究所 幹細胞治療分野 特任研究員 安藤美樹 先生
近年、
iPS細胞から我々の体内に存在する様々な組織細胞に分化誘導し、
難治性疾患患者に投与する再生医療研究が飛躍的な
進歩を遂げた。我が国の難治性疾患を対象にした再生医療について言えば、既にいくつかの臨床試験開始が目前となって
きている。
しかし、
この治療にはいくつかの懸念点が挙げられる。
1番大きな懸念は移植時に未分化細胞の混入による造腫瘍性、
また移植した細胞がレシピエントの免疫細胞により拒絶される免疫拒絶がある。我々はこれらの問題を克服し、安全に臨床
試験を進めることが、iPS細胞を用いる再生医療を今後発展させるための最重要課題と考えている。
我々はCaspase9のアポトーシス誘導機構を利用することで、
自殺遺伝子である誘導型Caspase9(iC9)
システムを、iPS細胞を
用いる治療に取り入れられるのではないかと考えた。iC9を利用した細胞死誘導システムは、CID(AP1903)
というダイマラ
イザーが細胞内に入ることによりCaspase9を二量体化し、Caspase3を直接的に活性化することでアポトーシスを誘導する
ことができる。
自殺遺伝子HSV-TkよりiC9の方が優れている点として、iC9はヒト由来の分子であり免疫原性が少なく、細胞
周期依存性でないことが報告されている。
更にCID投与における大きな副作用が報告されておらず、
臨床投与時により安全だと
いうことが考えられる。本講演ではこの切れのよい効果的な新しい自殺遺伝子iC9システムを導入した、iPS細胞を用いた再生
医療への我々の試みを紹介する。
また、昨年我々が報告した若返りウイルス特異的細胞障害性T細胞療法における、安全なiPS細胞を用いた細胞療法確立に
向けた詳細な実験についても紹介したい。
講演ニ
「皮膚バリア機能とその破綻」
慶應義塾大学 医学部 皮膚科 教授 天谷雅行 先生
皮膚バリアには、空気と液体の間で働く角層バリア、液体と液体の間で働くタイトジャンクション、免疫を司るランゲルハンス
細胞による免疫バリアの3つが存在する。
この3つのバリアがお互いに協調的、相補的に機能することにより我々の生体は守
られている。
角層の主要構成蛋白であるフィラグリンに機能異常があると、
アトピー性皮膚炎、
喘息、
食物アレルギーなどのアトピー性疾患を
発症しやすくなる。
フィラグリン欠損したマウスでは、蛍光色素を封入したリポソームを外来抗原としてマウスの皮膚に塗布
すると、野生型マウスでは角層表面に色素は留まっていたのに対し、
フィラグリンノックアウトマウスでは角層全層に色素が
浸透した像が認められ、
フィラグリンが欠失することにより角層の透過性が上昇していることが示された。
角層を構成する蛋白はお互いに架橋されることで、高密度の不溶性蛋白質の複合体となり、
その構造・機能解析には困難が
伴う。
しかし、TOF-SIMS法を用いると、
角層が機能的に異なる3つの層からなることが可視化され、
フィラグリンの分解産物で
あり天然保湿因子として働くアルギニン分子が角層中間層に集積することが示された。
さらに、
角層上層は、
様々な金属イオンが
染み込んでは、
出て行くスポンジ状の機能をしていることも明らかにされた。
重層扁平上皮である皮膚にはタイトジャンクションが機能しており、三層存在する顆粒層の二層目の細胞に存在する。表皮内
にいる樹状細胞であるランゲルハンス細胞は、活性化されると、
その樹状突起をタイトジャンクションの上にだし、
角層下まで
浸透した抗原を捕捉する。
そして、
将来起こる感染症に対して先制防御的な免疫反応を惹起する。
皮膚を軽く掻爬すると、
皮膚の中ではダイナミックな免疫細胞の変化が起こっていることも明らかにされた。
毛嚢は哺乳動物の
定義でもあるが、
この毛嚢が外的物理的ストレスのセンターとなっていて、掻爬後毛嚢の様々な部位より異なるケモカインが
骨髄由来の白血球を毛嚢周囲に誘導される事実が明らかにされた。
産生され、
角層と表皮において、
まだまだ我々の知らないことがたくさん起こっている。そのひとつひとつを明らかにすることで、初めて
見えてくる新しい世界があるはずである。
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